(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】バルーン・カテーテル支持スリーブのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20220629BHJP
【FI】
A61M25/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564830
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 CA2020050594
(87)【国際公開番号】W WO2020220144
(87)【国際公開日】2020-11-05
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514125101
【氏名又は名称】サニーブルック リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウス、ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】チブルスキー、ギラッド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA06
4C267AA32
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB15
4C267BB27
4C267BB40
4C267BB51
4C267CC09
(57)【要約】
患者の狭窄した血管を拡張するためのシステム及び方法であって、このシステムは、ガイドワイヤと、拡大バルーンを備えるバルーン・カテーテルと、少なくとも1つの支持バルーンを備える管状の支持スリーブとを備える。支持バルーンは、血管の狭窄区域内へのバルーン・カテーテルの前進を機械的に支持するように膨張させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーン・カテーテルと共に使用するための支持スリーブにおいて、
形状が管状であり、バルーン・カテーテルを受容するような大きさ及び形状の内径を備えるスリーブ部と、
前記スリーブ部の外表面に連結された支持バルーンと、
前記支持バルーンと流体連通するインフレーション・チューブであって、前記インフレーション・チューブにより、前記支持バルーンを膨張させるために流体を前記支持バルーンに供給することが可能になるインフレーション・チューブとを備える支持スリーブ。
【請求項2】
前記スリーブ部の前記内径内に配されたバルーン・カテーテルに対する前記支持スリーブの選択的連結を可能とする連結部をさらに備える、請求項1に記載の支持スリーブ。
【請求項3】
前記連結部は、前記バルーン・カテーテルと前記スリーブ部の内表面とを接触させて前記バルーン・カテーテルと前記支持スリーブとの間の相対的移動を制限するように構成されたワイヤである、請求項2に記載の支持スリーブ。
【請求項4】
前記ワイヤは、高さより幅が大きい平坦形状のワイヤである、請求項3に記載の支持スリーブ。
【請求項5】
前記ワイヤは、前記バルーン・カテーテルと前記支持スリーブとの間の前記相対的移動を制限するのに十分な摩擦係数を有する被覆層で被覆されている、請求項3に記載の支持スリーブ。
【請求項6】
前記連結部はワイヤ及びウインチであり、前記ワイヤは、前記バルーン・カテーテルを受容するための輪を備え、
前記ウインチは、前記バルーン・カテーテルと前記支持スリーブとの間の相対的移動を選択的に制限又は許容するために前記ワイヤの前記輪を締め付け又は弛緩させるように動作可能である、請求項2に記載の支持スリーブ。
【請求項7】
前記支持スリーブに対し近位にあるハンドルであって、前記ウインチが前記ハンドルに連結されるハンドルと、
前記ハンドルから前記支持スリーブの近位端の近傍にある位置まで延びるハイポチューブであって、前記ワイヤ及び前記インフレーション・チューブが前記ハイポチューブ内に配されるハイポチューブとをさらに備える、請求項4に記載の支持スリーブ。
【請求項8】
前記支持バルーンは、患者内の狭窄した血管区域近傍の血管の直径にほぼ等しい直径まで膨張するように構成されている、請求項1に記載の支持スリーブ。
【請求項9】
前記支持バルーンが、
第1の支持バルーン及び第2の支持バルーンであって、前記第1の支持バルーンは前記スリーブ部の前記外表面から外向きに膨張するように配置され、前記第2の支持バルーンは前記スリーブ部の内表面から内向きに膨張するように配置されている第1の支持バルーン及び第2の支持バルーンを備える、請求項1に記載の支持スリーブ。
【請求項10】
前記インフレーション・チューブはハイポチューブである、請求項1に記載の支持スリーブ。
【請求項11】
前記支持スリーブは、可撓管において前記可撓管の内表面に連結された編組フィラメントを備える可撓管を備える、請求項1に記載の支持スリーブ。
【請求項12】
前記スリーブ部の長さは30mmと120mmとの間にある、請求項1に記載の支持スリーブ。
【請求項13】
前記支持バルーンの軸方向長さは5mmと20mmとの間にある、請求項12に記載の支持スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年5月2日に出願され、「Balloon Catheter Support Sleeve」と題され、その全体がこの参照によって本文に編入される米国仮特許出願第62/841,997号に基づき、同出願に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
人体内では、血管が狭窄することがある。例えば、冠動脈疾患などの病態においては、動脈の離散した区域で狭窄が起きることがある。狭窄した血管を拡張するため、血管形成術が実施されることがあり、その場合、送達のためバルーンに連結されたステントを備えることがあるバルーン・カテーテルを循環系を通して狭窄した血管に送り、膨張させる。しかしながら、場合によっては、狭窄した血管が蛇行又は石灰化しており、バルーン・カテーテルには狭窄した血管を通すことを助ける物理的な支援がほとんど乃至は全く備わっていないため、狭窄した血管区域にバルーン・カテーテルを挿入することが困難になる。
【0003】
バルーン・カテーテルを挿入する前に、医師は、中空の可撓管を形成するガイドライン伸展装置を循環系内で用いることがある。ガイドライン伸展装置は、狭窄した血管区域付近に着座するまで患者の脈管構造を通して送ることができる。この装置は、ガイドライン伸展装置の中空の通路を通して送られるバルーン・カテーテルを支持することができる。しかしながら、ガイドライン伸展装置によっては、ある種の冠動脈構造において前進させることが非常に困難であり、ガイドライン伸展装置が動脈内にあるので適切な支持、バルーン・カテーテルの前進を試みる際の後退、造影剤注入を実施する際のリスク分析を行なうことができず、一般的に非常に高価なものがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
バルーン・カテーテルと共に使用するための支持スリーブを提供することが本開示の態様である。支持スリーブはスリーブ部と、支持バルーンと、インフレーション・チューブとを備える。スリーブ部は、形状が管状であり、バルーン・カテーテルを受容するような大きさ及び形状の内径を備える。支持バルーンはスリーブ部の外表面に連結される。インフレーション・チューブは支持バルーン及び流体源と流体連通しており、流体源は支持バルーンを膨張させるものであり、支持スリーブはバルーン・カテーテルに着脱可能に連結されている。
【0005】
実施例によっては、支持スリーブは、支持スリーブをバルーン・カテーテルに選択的に連結する連結部をさらに備える。
【0006】
実施例によっては、連結部は、バルーン・カテーテルとスリーブ部の表面とを接触させてバルーン・カテーテルと支持スリーブとの間の相対的移動を制限するように構成されたワイヤである。
【0007】
実施例によっては、連結部はワイヤ及びウインチであり、ワイヤは、バルーン・カテーテルの周囲に受容される輪を備え、バルーン・カテーテルの周囲に輪を形成しているワイヤを備えたウインチは、バルーン・カテーテルと支持スリーブとの間の相対的移動を選択的に制限又は許容するためにワイヤの輪を締め付け又は弛緩させるように構成されている。
【0008】
実施例によっては、支持バルーンは、患者内の狭窄した血管区域近傍の血管の直径にほぼ等しい直径まで膨張するように構成されている。
【0009】
実施例によっては、支持バルーンは、第1の支持バルーンと第2の支持バルーンとを備え、第1の支持バルーンはスリーブ部の外表面から外向きに膨張するように配置され、第2の支持バルーンはスリーブ部の内表面から内向きに膨張するように配置されている。
【0010】
実施例によっては、インフレーション・チューブはハイポチューブである。
【0011】
本開示の前述及び他の態様及び利点は以下の説明から明らかとなる。説明においては、本明細書の一部をなす附属図面を参照し、好適な実施例を図示により示すものとする。しかしながら、この実施例は必ずしも本発明の全範囲を表わすものではなく、したがって本明細書では本発明の範囲を解釈するために特許請求の範囲に対し参照を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ある実施例による支持スリーブを示す図である。
【
図2】ある実施例による、患者の体内で狭い通路を拡げるためのシステムを示す図である。
【
図3】膨張した支持バルーンを含む
図2のシステムを示す図である。
【
図4A】ある実施例による支持スリーブの部分図である。
【
図4B】
図4Aに示す支持スリーブの部分図を通る横断面を示す図である。
【
図5】血管を拡げるためのシステムの側断面図である。
【
図6】血管を拡げるための別のシステムの側断面図である。
【
図7】ある実施例による、狭窄した血管を拡張するためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で記述されるのは、患者の内部で、狭窄した血管を拡張するためのシステム及び方法である。本開示で記述される実施例により、蛇行且つ/又は石灰化した動脈における、場合によっては、ガイドワイヤが病変を横切った後に行なわれる血管形成術用バルーン・カテーテル及びステント・カテーテルの前進が容易になる。多くの場合、バルーン・カテーテルを前進させることは、不適切なガイダの支持によって困難なものになりうる。バルーン・カテーテルが抵抗に遭遇すると、案内カテーテルを冠動脈口の外へ押し出すことができ、バルーン・カテーテルは進行できなくなる。
【0014】
最初に
図1を参照すると、ある実施例による支持スリーブ10が示されている。支持スリーブ10はインフレーション・チューブ12と、管状スリーブ部14と、支持バルーン16とを備えている。通例、管状スリーブ部14は、バルーン・カテーテルなどのカテーテルを受容するような大きさを備えている。支持バルーン16は、支持バルーンを膨張させた時に管状スリーブ部14の外表面から離れて延び血管腔の内表面と接触するように管状スリーブ部14の外表面に連結される。インフレーション・チューブ12と支持バルーン16とは相互に流体連通しており、インフレーション・チューブ12にシリンジを連結可能であり、支持バルーン16を拡張させるために、空気、液体、又は他の流体をインフレーション・チューブ12を通して支持バルーン16内に注入できるようになっている。インフレーション・チューブ12は、インフレーション・チューブ12が患者の血管系を通して送られるような直径を備えたハイポチューブ又は任意の細いチューブとすることができる。
【0015】
支持バルーン16は、支持バルーン16がシリンジにより加えられた非常に小さい圧力でその完全に膨張した直径に達することができるような柔軟な材料で構成することができる。ある非限定的な実例では、完全に膨張した状態で支持バルーン16は、血管拡張術中に支持スリーブ10が配置される動脈の直径に概ね等しい直径を有する球形状に拡張する。支持バルーン16の膨張の程度は、シリンジを介して加えられる流体圧力に依存する。他の構成では、支持バルーン16は異なる形状又は構造を備えることができる。膨張後、支持バルーン16は、血管内の所定位置に支持スリーブ10を堅固に保持すると共に、バルーン・カテーテル24を前進させる目標となる構造として作用しうる。実施例によっては、
図1に示すように、支持バルーン16はスリーブ部14の全周にわたって延在するが、代替的な構成では、バルーン16はスリーブ部14の周囲の一部分(例えば、スリーブ部14の周囲のアーク長)に沿って延在しうる。
【0016】
形態によっては、支持スリーブ10は複数の支持バルーン16を備えることができる。これらの例では、いくつかの支持バルーン16は、管状スリーブ部14の外表面から拡張して患者の血管の内壁と接触して押圧するように配置することができる。この構成により、支持スリーブ10が狭窄した血管区域から後退することが防止される。いくつかの支持バルーン16は、管状スリーブ部14の内表面から内向きに拡張して、管状スリーブ部14を貫通して延びるガイドワイヤ22(
図2から
図3)と接触するように配置することができる。この構成は、狭窄した血管区域へのバルーン・カテーテル24の前進中又は前進後のバルーン・カテーテル24の後退防止に役立つ。支持スリーブ10は、2個の外向きに拡張する支持バルーン、2個の内向きに拡張する支持バルーン、1個の内向きに拡張する支持バルーン及び1個の外向きに拡張する支持バルーン、などの支持バルーン16の構成の任意の組合せを備えることができる。
【0017】
次に
図2及び
図3を参照すると、患者の体内で、狭い通路を拡げるためのシステム20が示されている。システム20は、ガイドワイヤ22と、拡大バルーン26を備えたバルーン・カテーテル24と、支持スリーブ10とを備える。バルーン・カテーテル24はガイドワイヤ22を通して前進させられ、支持スリーブ10は、収縮状態にあるバルーン・カテーテル24を収容するような大きさ及び形状の内径を備える。使用時、バルーン・カテーテル24及びガイドワイヤ22は、管状スリーブ部14を貫通して延びている。したがって、支持スリーブ10が血管拡張のために配置された時、インフレーション・チューブ12及びガイドワイヤ22は、循環系を通ってシステム20の体内への入口まで遡って平行に延びている。
【0018】
形態によっては、支持スリーブ10が連結部を備え、且つ/又は、バルーン・カテーテル24が連結部を備える。連結部は、接着剤を基本とした連結、機械的連結、又は、支持スリーブ10をバルーン・カテーテル24に選択的に連結する他の任意の連結配置を備えることができる。例えば、機械的連結は、拡張により支持スリーブ10とバルーン・カテーテル24とを共に摩擦により保持することが可能な追加のバルーン又は二重壁のバルーンとすることができる。さらに、機械的連結は、選択的な連結及び分離を行なう他の摩擦機構、足場、又はフック・ループ構造を備えることができる。バルーン・カテーテル24は遠位端28と近位端30とを備え、遠位端28はバルーン・カテーテル24の先端であり、近位端30はバルーン・カテーテル24のガイドワイヤ輸出口近傍に位置している。
【0019】
上述の連結部は、支持スリーブ10がバルーン・カテーテル24の拡大バルーン26に対し近位であるが、ガイドワイヤ輸出口に対し遠位に配置されるように支持スリーブ10とバルーン・カテーテル24とを選択的に連結する。いくつかの他の例では、支持スリーブ10がバルーン・カテーテル24の遠位端で連結可能であり、支持スリーブ10が患者の脈管構造内に導入される複合装置の前縁となるようになっている。支持スリーブ10は、支持スリーブ10とバルーン・カテーテル24とを患者の脈管構造を通して共に前進させられるようにバルーン・カテーテル24に対し選択的に連結及び分離を行なうことができるが、システム20が狭窄した血管区域に到達すると、バルーン・カテーテル24を支持スリーブ10とは別に前進させることもできる。
【0020】
図4Aは、患者の体内で通路を拡げるための別のシステム50の上面図を示しており、システム20の具体的な実施となっている。したがって、システム20に関する前の記述もシステム50に関連する。システム50も、支持スリーブ52と、バルーン・カテーテル54とを備える。
図4Aに示すように、支持スリーブ52は、視覚的な明瞭さのため、より内側の層を露出させるよう層を取り除いた領域を有している。したがって、
図4Bに示すように、支持スリーブの層(又は構成要素)は、概ね相互に同軸に配置され、且つ、ある軸(軸方向)に沿って共に延びるように意図されている。言い換えると、
図4Aで層が除かれた領域は、支持スリーブ52の実際の構造であることは意図されておらず、むしろ、支持スリーブ52の内部構成要素の、より明瞭な図示のために示されている。
【0021】
支持スリーブ10と同様に、支持スリーブ52も管状スリーブ部56と、支持バルーン60と流体連通するインフレーション・チューブ58とを備えている。管状スリーブ部56は、患者の任意の数の血管構造(例えば、静脈、動脈など)内に挿入されるような大きさを備えている(又は他の様態の寸法で形成されている)。管状スリーブ部56は、近位端62と、反対側の遠位端64と、それらを貫通する(例えば、軸方向に沿って延在する)孔とを備える。図示のように、管状スリーブ部56の遠位端64がさらに遠位に延びるにつれて、管状スリーブ部52の遠位端64は、弓状(又は先細)の形状を備えている。実施例によっては、管状スリーブ部56の遠位端64がさらに遠位に延びるにつれて、遠位端64の断面積が(漸進的に)減少する場合がある。断面積における、この漸進的減少により、管状スリーブ部56は、患者の血管構造を通って、より容易に往来できるようになる。支持バルーン60は、管状スリーブ部56の遠位端64の外表面に連結され、患者の脈管構造内の特定の位置で支持スリーブ52を堅固に保持且つ支持するように選択的に膨張させることができる。支持バルーン16と同様に、支持バルーン60は管状スリーブ部56の外表面の一部分の全周に延在することができる。しかしながら、代替的実施例では、支持バルーン60は管状スリーブ部56の外表面の周囲の一部分のみに沿って(例えば、180度など、周囲の両端部の間)延在することができる。その他の場合では、支持バルーンは、管状スリーブ部の両側に配置され、且つ、それぞれのインフレーション・チューブと結合した2つの独立して膨張可能な部分を備えることができる。
【0022】
支持スリーブ52はまた、管状スリーブ部56の内表面に連結されたライナ66を備える。ライナ66は相対的に薄くして、可撓性材料(例えばポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」:polytetrafluoroethylene))で形成することができる。
図4に示すように、ライナ66は、可撓性を付与し、且つ、ライナ66を構造的に強化する編組フィラメント68を含んでいる。編組フィラメント68は、特定の寸法の個々のフィラメントを有することができ、様々な材料(例えば金属、プラスチックなど)で形成可能である。編組フィラメント68は、隣接するフィラメントと概ね等距離のらせんパターンを持つ4本の交互のフィラメントを有するものとして図示されているが、代替的な構成では、それ以外の数のフィラメント又は異なる型(若しくは種類)の編組パターンを編組フィラメント68のために用いることができる。場合によっては、ライナ66を編組フィラメント68の間に挟むことができるが、他の場合では、編組フィラメント68をライナ66の特定の表面(例えば内表面又は外表面)に連結することができる。代替的な構成では、ライナ66を取り外すことができ、編組フィラメントを管状スリーブ部56の内表面に連結することができる。したがって、通例、編組フィラメント68は管形状を有するものとして構造化されるが、編組フィラメント68の全体形状は、例えば支持スリーブ52の所望の可撓性に基づき適宜調整可能である(例えば、編組フィラメントは、直方柱、八角柱など、様々な形状で具体化することができる)。
【0023】
支持スリーブ52はまた、支持スリーブ52の有無に関わらずバルーン・カテーテル54の前進を選択的に許容又は制限する連結部70を備える。言い換えると、連結部70により、バルーン・カテーテル54を支持スリーブ52に着脱可能に連結することができ、バルーン・カテーテル54を患者の脈管構造内へ前進させる時に、バルーン・カテーテル54を支持スリーブ52と共に前進させるか(連結時)、或いは、単独で前進させることができる(バルーン・カテーテル54を支持スリーブ52から分離させた時)。
図4A及び
図4Bの図示された実施例では、連結部70は、インフレーション・チューブ74と流体連通したバルーン72であるものとして実装されている。バルーン72はライナ66(例えば内表面)に連結されており、バルーン72により、支持スリーブ52をバルーン・カテーテル54に着脱可能に連結することができる。例えば、バルーン72を膨張させた時、バルーン72の表面は、支持スリーブ52をバルーン・カテーテル54に連結するようにバルーン・カテーテル54と接触する。このようにして、支持スリーブ52及びバルーン・カテーテル54は、患者の脈管構造に沿って共に前進させられる。言い換えると、支持スリーブ52とバルーン・カテーテル54との間の相対的移動が制限される。或いは、バルーン72を収縮させた時(例えば、狭窄又は石灰化した血管に到達した時)、バルーン72の表面は、バルーン・カテーテル54から離れて(完全に、又は若干)引き込まれ、結果として、バルーン・カテーテル54は支持スリーブ52から離れて自由に移動できるようになる。言い換えると、バルーン・カテーテル54と支持スリーブ52との間の相対的移動が許容される。場合によっては、バルーン72(又は、以下で説明するもののような他の連結部70)は、施術者が支持スリーブ52に対してバルーン・カテーテル54を前進させるために必要な力(又は労力)を調節することができる。例えば、様々な収縮(又は膨張)度合い(例えば、圧力、液量など)により、バルーン72とバルーン・カテーテル54との間の摩擦量を調節することができ、この摩擦量は、バルーン72に対しバルーン・カテーテル54を平行移動させるのに必要な容易さ又は困難さ(例えば、力)に影響を及ぼす。言い換えると、バルーン72(又は、他の連結部70)は、バルーン72(又は、通例、支持スリーブ52)とバルーン・カテーテル54との間の連結の程度を調節することができる。
【0024】
インフレーション・チューブ58は通例、管状スリーブ部56に連結され、管状スリーブ部56に沿って延びるが、代替的実施例では、インフレーション・チューブ58を、異なる構成要素に沿って延び、支持スリーブ52の近位端に達する(例えば、管状スリーブ部56の内表面に沿って延びる、ライナ66の内表面に沿って延びる、など)ように管状スリーブ部56(又は付加的にライナ66などの他の層)内に向けることができる。
【0025】
図5は、患者の体内で通路を拡げるための別のシステム100の側断面図を示しており、前記説明したシステム20、50と同様である。したがって、システム20、50に関する前の記述もシステム100に関連する。システム100も、支持スリーブ102と、バルーン・カテーテル104とを備える。支持スリーブ102は管状スリーブ部106と、支持バルーン110と流体連通するインフレーション・チューブ108とを備えている。管状スリーブ部106は、患者の任意の数の血管構造内に挿入されるような大きさを備えている。実施例によっては、管状スリーブ部106はハイポチューブである。管状スリーブ部56は、近位端112と、反対側の遠位端114と、それらを貫通する孔とを備える。図示のように、支持バルーン110は管状スリーブ部106の外表面に連結され、管状スリーブ部56の端部112、114の間に配置される。特に、管状スリーブ部は、管状スリーブ部106の外表面から半径方向外向きに延びる突起116を備えており、支持バルーン110は、隣接する突起116の間に配置することができる。場合によっては、突起116は、管状スリーブ部106より滑り摩擦係数(及び静止摩擦係数)が低い材料で形成可能であり、その場合、支持スリーブ102が、(例えば突起116によって)往来する血管構造を超えて容易に摺動できるようになる。実施例によっては、所与の突起116が管状スリーブ部106の全周(又は周囲の部分)に延在する場合がある。また、隣接する突起116は互いに同じ距離だけ離間させることができ、又は、離間距離を(例えば、管状スリーブ部の軸方向に沿って)変えることができる。突起116は実質的に平坦な(例えば、平坦域を有する)ものとして図示されているが、代替的実施例では、所望の摺動性の程度に基づき他の形状(例えば、半球)を利用することができる。
【0026】
上記のように、隣接する突起116の組は支持バルーン(例えば、支持バルーン110)を受容することができる。このことは、施術者が患者の解剖学的構造、血管構造の種類、解剖学的位置などに基づき、支持バルーン110の数又は寸法を選択することにより、固着能力を具体的に調整できるという点で有利になりうる。支持バルーン110は、患者の脈管構造内の特定の位置で支持スリーブ102を堅固に保持する(又は他の方式で固着させる)ように選択的に膨張させることができる。実施例によっては、所与のバルーン110及び隣接する突起116は様々な軸方向長さ118を有することができる。具体的構成によっては、軸方向長さ118は20mm未満、10mm未満、5mmと15mmとの間の範囲内などとすることができる。実施例によっては、突起116は、支持スリーブ102の外径を大幅に増すことのない高さだけ、管状スリーブ部106の外表面から離れて延在することができる。図示のように、膨張した状態の支持バルーン110は突起116の高さより大きな高さを有しており、この高さは5mmから25mmの範囲内とすることができる。場合によっては、膨張したバルーン110と突起116との高さの違いは約1mm(例えば、膨張したバルーン110の高さは5mm)とすることができる。実施例によっては、突起116の軸方向長さは20mm以下とすることができる。実施例によっては、バルーン110は、例えばポリウレタン、ペバックス(登録商標)、シリコンなどのような様々な材料で形成することができる。
【0027】
図示のように、支持スリーブ部102も、ある厚さを有し、且つ、管状スリーブ部106の内表面に連結されたライナ120を備える。ライナ120は相対的に薄くして、可撓性材料(例えばポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」))で形成することができる。
図5にも示すように、ライナ120は、可撓性を付与し、且つ、ライナ120を構造的に強化する編組フィラメント122を含んでいる。編組フィラメント122は、特定の寸法の個々のフィラメントを有することができ、様々な材料(例えば金属、プラスチックなど)で形成可能である。編組フィラメント122は、斜交平行線パターンを有するものとして図示されているが、代替的な構成では、それ以外の数のフィラメント又は異なる型(若しくは種類)の編組パターンを編組フィラメント122のために用いることができる。場合によっては、ライナ120を編組フィラメント122の間に挟むことができるが、他の場合では、編組フィラメント122をライナ120の特定の表面(例えば内表面又は外表面)に連結することができる。代替的な構成では、ライナ120を取り外すことができ、編組フィラメントを管状スリーブ部106の内表面に連結することができる。したがって、通例、編組フィラメント122は管形状を有するものとして構造化されるが、編組フィラメント122の全体形状は、例えば支持スリーブ102の所望の可撓性に基づき適宜調整可能である(例えば、編組フィラメントは、直方柱、八角柱など、様々な形状で具体化することができる)。また図示のように、ライナ120(及び編組フィラメント122)は管状スリーブ部106の一部分に沿って延在するに過ぎない。具体例によっては、ライナ(及び編組フィラメント122)の軸方向長さは30mmと120mmとの間の範囲内にある。
【0028】
支持スリーブ102はまた、支持スリーブ102の有無に関わらずバルーン・カテーテル104の前進を選択的に許容又は制限する連結部124を備える。言い換えると、連結部124により、バルーン・カテーテル104を支持スリーブ102に着脱可能に連結することができ、バルーン・カテーテル104を患者の脈管構造内へ前進させる時に、バルーン・カテーテル104を支持スリーブ102と共に前進させるか(連結時)、或いは、単独で前進させることができる(バルーン・カテーテル104を支持スリーブ102から分離させた時)。
図5の図示された実施例では、連結部124は固定ワイヤ126であるものとして実装されている。固定ワイヤ126は、金属(例えばステンレス鋼ワイヤ)で形成された糸状の典型的ワイヤとして構造化可能であり、その他の場合では、固定ワイヤ126は、様々な他の形態、形状などで実装可能である。したがって、固定ワイヤ126は、細長のみである必要はなく、固定ワイヤ126を板状などとすることもできる。実施例によっては、固定ワイヤ126の一部分(又は全体)を、固定ワイヤ126自体よりも高い滑り(及び静止)摩擦係数を有する被覆層で封止(又は表面を処理)することができる。このようにして、この被覆は、固定ワイヤ126と比較して、バルーン・カテーテル104の移動に対し様々な度合いの抵抗を付与することができる。実施例によっては、被覆により、固定ワイヤ126の縁部(又は端部)によるシステム100の構成要素に対する望ましくない穿刺を防止することができる。
【0029】
通例、固定ワイヤ126により、支持スリーブ102をバルーン・カテーテル104に着脱可能に連結することができる。例えば、固定ワイヤ126を管状スリーブ部106内に挿入すると、固定ワイヤ126は、バルーン・カテーテル104及びライナ120(又は編組フィラメント122)と接触し(又は間に挟まれ)、バルーン・カテーテル104を(例えば固定ワイヤ126を介して)支持スリーブ102のライナ120に一時的に連結する。固定ワイヤ126の接触により、バルーン・カテーテル104及び支持スリーブ102を患者の脈管構造に沿って共に前進させることができる。別の言い方をすれば、バルーン・カテーテル104と支持スリーブ102との間の相対的移動が防止される。或いは、固定ワイヤ126を取り外す(例えばバルーン・カテーテル104及びライナ120と接触しないように引き出す)と、バルーン・カテーテル104は支持スリーブ102から離れて自由に移動(又は平行移動)できるようになる。このようにして、バルーン・カテーテル104と支持スリーブ102との間の相対的移動が許容される。上記バルーン72と同様に、固定ワイヤ126は、支持スリーブ102に対してバルーン・カテーテル104を前進させるために必要な力を増大(又は低減)させるために前進(又は後退)させることができる。例えば、固定ワイヤ126を支持スリーブ102の近位端に対し遠方に前進させるにつれて、バルーン・カテーテル104(及びライナ120)と接触する固定ワイヤ126の表面積がより大きくなり、固定ワイヤ126とバルーン・カテーテル104との間の相対的移動を創出するのに必要な力が増大する。同様に、固定ワイヤ126を支持スリーブ102の近位端に対し、より近くへ後退させるにつれて、バルーン・カテーテル104(及びライナ120)と接触する固定ワイヤ126の表面積がより小さくなり、固定ワイヤ126とバルーン・カテーテル104との間の相対的移動を創出するのに必要な力が低減する。
【0030】
図示のように、インフレーション・チューブ108は、通例、管状スリーブ部106に連結され、(例えば、バルーン110に達するように)管状スリーブ部106に沿って延びている。しかしながら、代替的実施例では、インフレーション・チューブ108は、バルーン110から異なる構成要素に沿って延び、支持スリーブ102の近位端に達する(例えば、管状スリーブ部106の内表面に沿って延びる、ライナ120の内表面に沿って延びる、など)ように管状スリーブ部106(又は付加的にライナ120などの他の層)内に向けることができる。実施例によっては、インフレーション・チューブ108はポリイミドで形成可能である。
【0031】
実施例によっては、図示のように、支持スリーブ部102はまた、ポート・アダプタ128と、デュアル・ポート・アタッチメント130とを備える。ポート・アダプタ128は、管状スリーブ部106に連結可能であるが、
図5の図示された実施例では、ポート・アダプタ128は、管状スリーブ部106から離間されている。図示のように、ポート・アタッチメント128の近位端はデュアル・ポート・アタッチメント130の第1の端部に(例えば、ねじ係合、接着剤などにより)連結される一方、ポート・アタッチメント128の遠位端は(例えば、遠位端に向かう軸方向に沿って)先細になっている。デュアル・ポート・アタッチメント130の反対側の第2の端部は、ポート・アダプタ128により形成された単一の孔に最終的に合流する2つの別個のポートを備えている。具体的実施によっては、デュアル・ポート・アタッチメント130はyルアーである。
図5に示すように、2つのポートの構成により、1つのポートが固定ワイヤ124を独立して受容できる一方、(例えば、ポート・アダプタ128の孔に対し同軸に配置された)第2のポートが(例えば、最終的に流体源に接続するように)インフレーション・チューブ108を独立して受容する。この場合、上記のように、固定ワイヤ124は、それ自体の独立したポートにおいて、より容易に操作することができる。また、図示された実施例のように、インフレーション・チューブ108はポート・アダプタ128に連結される。
【0032】
図6は、患者の体内で通路を拡げるための別のシステム200の側断面図を示しており、前記説明したシステム20、50、及び100と同様である。したがって、システム20、50、及び100に関する前の記述もシステム200に関連する。システム200も、支持スリーブ202と、バルーン・カテーテル204とを備える。支持スリーブ202は第1の管状スリーブ部206と、第2の管状スリーブ部208と、支持バルーン212に流体連通するインフレーション・チューブ210とを備えている。第1の管状部206は管状部106と同様に構造化されている。例えば、第1の管状部206も突起214と、隣接する突起214の間の第1の管状部206の外表面に連結されている支持バルーン212とを備えている。また前記説明したように、第1の管状部206も、編組フィラメントを備えたライナを備えることができる。
【0033】
第2の管状部208は、貫通方向にある孔を備えるものとして図示されている。具体的実施例によっては、第2の管状部208はハイポチューブである。実施例によっては、第2の管状部208の一部分を第1の管状部206に連結することができる。この場合、第1及び第2の管状部206、208は、バルーン・カテーテル204を受容する間隔(又は、開口)によって、なお離間している。図示のように、インフレーション・チューブ210は、第1の管状部206の外表面に連結され、この外表面に沿って延びており、第2の管状部208を貫通して延び(且つ第2の管状部208の内表面に連結可能であり)、支持スリーブ102のハンドル216内へ(又はハンドル216に対して外部に)延び、支持スリーブ102のポート・アダプタ218内に挿入される。ポート・アダプタ218は輸液装置(例えばシリンジ)を受容するように構成されており、輸液装置がポート・アダプタ218と結合されると、輸液装置もインフレーション・チューブ210と流体連通する。このようにして、輸液装置は、インフレーション・チューブ210を介して支持バルーン212に流体を供給することができる。
【0034】
図示のように、支持スリーブ部202も、支持スリーブ202の有無に関わらずバルーン・カテーテル204の前進を選択的に許容又は制限する連結部220を備える。言い換えると、連結部220により、バルーン・カテーテル204を支持スリーブ202に着脱可能に連結することができ、バルーン・カテーテル204を患者の脈管構造内へ前進させる時に、バルーン・カテーテル204を支持スリーブ202と共に前進させるか(連結時)、或いは、単独で前進させることができる(バルーン・カテーテル204を支持スリーブ202から分離させた時)。
図6の図示された実施例では、連結部220は、ウインチ224と結合したワイヤ222(又は、他の係留構造)であるものとして実装されている。ウインチ224は、ワイヤ222の一端を引き込む(又は、たるみを付与するように引き出す)ための歯車、シャフトなどの他の回転構成要素と結合する回転可能なハンドルを備えるものとして図示されており、ワイヤ222の他端はウインチ224の一部分(例えば、ウインチの回転可能なシャフト)又は他の構造に対し固定可能である。ワイヤ222は適切な寸法を備えることができ、様々な材料で作製可能である。例えば、ワイヤ222は超弾性金属(例えばニチノール)で形成することができ、例えば太さ0.1016mm(0.004インチ)、0.01524mm(0.0006インチ)などとすることができる。場合によっては、ワイヤ222は丸みを持たせる(例えば縁部を無くす)ことができ、他の場合では、ワイヤ222はプラスチックなどの他の材料で形成可能である。
【0035】
ワイヤ222(及びウインチ224)により、通例、支持スリーブ202をバルーン・カテーテル204に着脱可能に連結することができる。例えば、図示のように、ワイヤ222がバルーン・カテーテル204に巻き付けられ、ワイヤ222が(例えばウインチ224による締め付けにより)緊張している時、ワイヤ222の輪がより小さくなってワイヤ222とバルーン・カテーテル204との間の接触を増大させる。したがって、このワイヤ222の締め付けにより、バルーン・カテーテル204がワイヤ222に一時的に連結される。ワイヤ222によるこの制限により、バルーン・カテーテル204及び支持スリーブ202を患者の脈管構造に沿って共に前進させることができる。別の言い方をすれば、バルーン・カテーテル204と支持スリーブ202との間の相対的移動が防止される。或いは、ワイヤ222が(例えばウインチ224を反対方向に回転させることにより)弛緩された時、ワイヤ222の輪の大きさが増してワイヤ222とバルーン・カテーテル204との間の接触が低減する。したがって、このワイヤ222の弛緩により、バルーン・カテーテル204がワイヤから一時的に分離される。この弛緩により、バルーン・カテーテル204が支持スリーブ202に対して自由に平行移動できるようになる。上記した他のシステムと同様に、ワイヤ222の輪の締め付け(又は弛緩)の程度によって、バルーン・カテーテル204を前進させるために必要な力を増大(又は低減)させることができる。
【0036】
図7は、狭窄した血管を拡張するためのプロセス300のフローチャートを示している。実施例によっては、プロセス300は、ガイドワイヤと、遠位端と近位端とを備えるバルーン・カテーテルと、支持バルーンを備える支持スリーブと、他の構成要素とを利用可能なものである。302において、プロセス300は、ガイドワイヤ及びバルーン・カテーテルを患者の血管系内に配置して送ることを含んでいる。例えば、医師は、ガイドワイヤを送って配置した後に、狭窄した血管区域までバルーン・カテーテルを送って配置することができる。狭窄した区域を拡張するために所定位置へバルーン・カテーテルを前進させることが可能な場合、医師はそのようにして手術を完了することができる。狭窄した区域を通してバルーン・カテーテルを前進させることができない場合、バルーン・カテーテルを患者の体外へ後退させることができる。形態によっては、医師は、バルーン・カテーテルの前進に関する問題を調べる必要はなく、バルーン・カテーテルに取り付けられた支持スリーブにより手術を開始することができる。
【0037】
304において、プロセス300は、バルーン・カテーテルを越えて支持スリーブを摺動させることを含んでいる。例えば、支持スリーブをバルーン・カテーテルの遠位端を越えて摺動させ、所望の位置まで前進させることができる。306において、プロセス300は、一時的にバルーン・カテーテルを支持スリーブに連結することを含んでいる。例えば、バルーン・カテーテルの拡大バルーンと近位端との間のバルーン・カテーテルにバルーンを一時的に連結することができる。
【0038】
308において、プロセス300は、支持スリーブ及びバルーン・カテーテルをガイドワイヤを通して共に前進させることを含んでいる。例えば、バルーン・カテーテルが支持スリーブに一時的に連結されると、バルーン・カテーテル及び支持スリーブを患者の循環系を通して狭窄した血管区域に到達するまで共に前進させることができる。
【0039】
310において、プロセス300は、バルーン・カテーテルが狭窄した血管に到達する時に、バルーン・カテーテルから支持スリーブを分離することを含んでいる。場合によっては、施術者は、バルーン・カテーテルが狭窄した血管に到達したことを、(例えば、手術の医学画像で)視覚的に判定するか、又は、(例えば、支持スリーブを伴うバルーン・カテーテルの前進における抵抗、又は困難さから)触覚的に判定することができる。これに関わらず、バルーン・カテーテルが支持スリーブに対して平行移動(又は移動)できるように、バルーン・カテーテルを支持スリーブから分離することができる。
【0040】
312において、プロセス300は、支持スリーブのバルーンを膨張させることを含んでいる。バルーン・カテーテルを支持スリーブから分離した後、支持スリーブを血管内のある位置に接触させて固着させるように支持バルーンを膨張させることができる。
【0041】
314において、プロセス300は、バルーン・カテーテルを狭窄した血管内に前進させることを含んでいる。例えば、支持スリーブを適切に配置且つ定着(例えば、支持バルーンの膨張により固着)させた後に、バルーン・カテーテルを狭窄した血管区域内へ前進させ適宜に配置することができる。例えば、バルーン・カテーテルの拡大バルーンを、血管の拡張が望まれる狭窄部内に完全に配置することができる。場合によっては、支持スリーブの使用により、バルーン・カテーテルを患者の脈管構造の第1の狭窄部を越えて前進させることが可能になるが、バルーン・カテーテルが所望の区域に到達可能となる前に、第2の狭窄部に遭遇するかもしれない。これらの例では、支持スリーブのバルーンを収縮させ、第2の狭窄部においてバルーン・カテーテルを越えて支持スリーブを前進させることができる。そこで、患者の脈管構造のこの第2の、より遠位の狭窄部において支持スリーブのバルーンを膨張させることにより、支持スリーブを再展開することができる。必要であれば、患者の脈管構造内の所望の区域に到達するよう、このプロセスを数回繰り返すことができる。
【0042】
316において、プロセス300は、バルーン・カテーテルを膨張させることを含む。例えば、バルーン・カテーテルの前進(及び適宜の配置)に成功した後、血管の拡張すべき狭窄区域を拡張するためにバルーン・カテーテルを膨張させる。必要であれば、拡大バルーンが拡張するにつれて、バルーン・カテーテルによってステントを配置することもできる。
【0043】
318において、プロセス300は、バルーン・カテーテルを収縮させることと、バルーン・カテーテルを狭窄し(且つ拡張し)た血管から後退させることとを含むことができる。例えば、十分な拡大バルーンの膨張及び血管拡張が起きた時、又は他の何らかの理由でバルーン・カテーテルを患者から取り外す必要がある場合、拡大バルーンを収縮させて、バルーン・カテーテルを後退させることができる。
【0044】
320において、プロセス300は、支持バルーンを収縮させることと、支持スリーブをバルーン・カテーテルに(一時的に)連結することと、バルーン・カテーテルを支持スリーブと共に患者から後退させることとを含むことができる。例えば、バルーン・カテーテルが適切な位置まで後退させられると、(支持バルーンが膨張した)支持スリーブにバルーン・カテーテルを連結することができる。この時、支持バルーンを収縮させて、バルーン・カテーテル及び支持スリーブを患者から共に後退させることができる。本説明は、狭窄した血管を拡張する方法の具体的な実施例を提示してきたが、複数のこれらのステップは説明したものと異なる順序で実行してもよいことに留意すべきである。
【0045】
本開示は1つ又は複数の好適な実施例を記述してきたが、明示したものの他に、多くの均等物、代替、変種、及び変型が実施可能であり、且つ、本発明の範囲内にあることを認識すべきである。
【国際調査報告】