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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】金属化フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
B32B15/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564843
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2020061777
(87)【国際公開番号】W WO2020221753
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】19172277.6
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511214727
【氏名又は名称】ヒュック・フォーリエン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク アイグナー
(72)【発明者】
【氏名】バルトラウト リッケル
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
4F100AB10A
4F100AB13A
4F100AB16A
4F100AB17A
4F100AB18A
4F100AB21A
4F100AB24A
4F100AB25A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK02B
4F100AK04B
4F100AK07B
4F100AK15B
4F100AK17B
4F100AK18B
4F100AK19B
4F100AK41B
4F100AK41D
4F100AK42B
4F100AK45B
4F100AK46B
4F100AK49B
4F100AK51D
4F100AK54B
4F100AK55B
4F100AK56B
4F100AK57B
4F100AK74B
4F100AT00D
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10D
4F100CA02C
4F100CB00C
4F100EH46
4F100EH66
4F100EJ42
4F100EJ86
4F100JL11C
4F100YY00C
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの表面に金属層を有する金属化フィルム、特に金属化プラスチックフィルムであって、以下の層を、表示された順序で含むことを特徴とする金属化フィルム、特に金属化プラスチックフィルムに関する:
a)プラスチックフィルムからなるキャリア基材、
b)接着促進層としてのラッカー層、
c)ラッカー層に適用された、特に直接適用された金属層、
d)任意選択的に、カバー層。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの表面に金属層を含む金属化フィルム、特に金属化プラスチックフィルムであって、以下の層を、表示された順序で含むことを特徴とする、金属化フィルム、特に金属化プラスチックフィルム:
a)プラスチックフィルムのキャリア基材、
b)接着促進層としてのラッカー層、
c)前記ラッカー層に適用された、特に前記ラッカー層に直接適用された金属層、
d)任意選択的に、カバー層。
【請求項2】
前記金属層が、Al、Cu、Ag、Au、Cr、Ni、Zn、Pd、V、In又はSnからなることを特徴とする、請求項1に記載の金属化フィルム。
【請求項3】
前記金属層が、PVD又はCVD法により適用されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属化フィルム。
【請求項4】
前記キャリア基材が柔軟なプラスチックフィルムからなり、前記柔軟なプラスチックフィルムが、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリオキシメチレン(POM)。アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び/又はエチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-フルオロポリマー(EFEP)からなる群から選ばれた1種又は複数種の材料でできていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項5】
前記キャリア基材がポリエチレンからなることを特徴とする、請求項4に記載の金属化フィルム。
【請求項6】
塗布された前記ラッカー層が、自己架橋性ポリマー及び/又は硬化剤により架橋可能なポリマーに基づいた構成となっていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項7】
前記ラッカー層が160~300L/cmを有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項8】
前記カバー層が、ポリエステル、ポリウレタン又はそれらの混合物に基づいた構成、あるいはアクリレートに基づいた構成となっていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項9】
以下の方法ステップにより特徴づけられる、金属化フィルム、特に請求項1~8のいずれか一項に記載の金属化フィルムの製造方法:
a)プラスチックフィルムでできたキャリア基材を提供すること、
b)自己架橋性ポリマー及び/又は硬化剤により架橋可能なポリマーでできたラッカー層を160~300L/cmで塗布すること、
c)40~70℃→90~120℃→40~70℃の温度順序、ウェブ速度1~500m/分、ウェブ張力<50daN/mで、前記ラッカー層を乾燥させること、
d)PVD又はCVD法によって、あるいは、熱蒸発、スパッタリング又は電子ビーム蒸発によって、金属層を、前記ラッカー層上に適用する、特に直接適用すること、
e)任意選択的に、カバー層を塗布すること。
【請求項10】
前記ラッカー層が、ステップc)において、少なくとも1つのアニロックスローラー、及び/又は、少なくとも1つのノズル、特にスリットノズル、及び/又は、少なくとも1つのメイヤーロッドを用いて塗布されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の表面に金属層を含む金属化フィルム、特に金属化プラスチックフィルムに関する。
【0002】
さらに、本発明は、金属化フィルムを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
キャリア、キャリアフィルム又は物体への装飾層、特に金属装飾層の適用は、通常、転写フィルムからキャリア又は物体に層を転写することによって行われる。ポリエチレンは、温度耐性や低いガラス転移温度Tgなどのその物理的特性のために、直接的な鏡面金属化を非常に困難にするため、この転写工程は、特にポリエチレンフィルムがキャリアとして使用される場合に用いられる。転写フィルムは、装飾層(1つ又は複数)が適用されたキャリア基材で構成される。装飾層(1つ又は複数)の転写後、転写フィルムのキャリア基材は除去されてもよい。
【0004】
装飾層、特に金属層の、このタイプの適用の欠点は、キャリアへの層(1つ又は複数)の接着がしばしば不良又は不十分であり、特に、装飾層(1つ又は複数)のその後の印刷が困難であることである。そのため、転写を行った後は、十分な印刷適性を得るために、追加の印刷用プライマーを塗布する必要がある。
【0005】
金属層及び/又は印刷層及び少なくとも1つの保護ラッカー層を備えたポリマーキャリアフィルムからなる、任意のキャリア上に適用するための装飾箔が、国際公開第2007/054343 A2号から知られている。
【0006】
高い反射率及び光輝性を有する装飾用ラミネートは、米国特許第4,403,004号から知られている。このラミネートは、熱成形可能な樹脂のフィルムから作製されたベース層を含み、その両表面にはPVDプロセスで製造された薄い密着性のある金属層がコーティングされている。ベース層の金属化表面の一方に保護層が結合される。保護層とベース層の金属化された表面との間に、紫外線に対して不感性であり、金属層に対して無害な、感圧性及び感熱性のエラストマー接着剤コーティングが配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高光沢の反射性表面を有し、印刷可能であり、特に柔軟な製品、例えばラベルフィルムなどに使用することができる直接金属化フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的は、本発明によれば、以下の層を、表示した順序で含む、最初に述べたタイプのフィルムによって達成される:
a)プラスチックフィルムのキャリア基材、
b)接着促進層としてのラッカー層、
c)ラッカー層に適用された、特にラッカー層に直接適用された金属層、
d)任意選択的に、カバー層。
【0009】
本発明による解決策は、非常に優れた鏡面光学系を有し、柔軟なラベルフィルムに特に適した金属化フィルムの実現を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
キャリア基材としては、例えば、好ましくは透明なキャリアフィルム、好ましくは柔軟なプラスチックフィルム、例えば、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-フルオロポリマー(EFEP)でできた柔軟なプラスチックフィルムが使用される。
【0011】
ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルムが特に好適である。
【0012】
キャリアフィルムは、好ましくは5~700μm、好ましくは30~150μm、特に好ましくは50~100μmの厚さを有する。フィルムは、ブロー押出又はキャスト押出フィルムであることができる。
【0013】
接着促進層がキャリアフィルムに適用される。接着促進層は、キャリアフィルムに直接適用されることが好ましい。接着促進層は、自己架橋性ポリマー及び/又は硬化剤により架橋可能なポリマーに基づく水性ラッカー系、例えば自己架橋性ポリウレタンに基づく水性ラッカー系からなっていてもよい。
【0014】
ラッカー系は、好ましくは高いバリア性を有する。特に、DIN 53310-1に準拠した酸素透過度は、好ましくは0.01~1,000ccm/m、より好ましくは0.05~100ccm/m、特に好ましくは0.1~5cm/mである。
【0015】
ラッカー系の接着力は、好ましくは少なくとも4N/15mmである。測定のために、以下の試験プロセスを実施することができる。
試験対象のフィルムに、長さ約40cmのテサフィルム(Tesafilm(商標))片を、延在方向に対して横方向に試験サンプルの左側、中央及び右側に貼り付け、手で押し付ける。その後、テサフィルムを約135°の角度で試験サンプルから引き剥がす。この試験に合格した場合、ラッカー系の接着力は4N/15mmを超える。
【0016】
本発明によれば、ラッカー系の粘度は<200mPa・s、好ましくは<20mPa・sである。
【0017】
接着促進層として機能するラッカー層は、可能な限り均一な層を形成するためにグリッドを使用して塗布される。これに関して、160~300線/cm、特に200~260線/cmの格子が有効であることが分かった。
【0018】
ラッカー層の良好な流れを確保するアニロックスローラーが、ラッカー層を塗布するのに特に好適である。ラッカー層は、アニロックスローラーを用いて、例えば、アニロックス併流もしくはアニロックス向流で、又は、ラインアニロックス併流もしくはラインアニロックス向流で、あるいは、圧力室ドクターブレードを用いて、塗布することができる。上述の変形例は、キスコーティングモードで行うこともできる。
【0019】
しかし、加えて、及び、代わりに、ラッカー層を塗布するために、例えば、メイヤーロッド(「メイヤーロッド」又は「メイヤーバー」)及び/又はノズル、例えばスロットノズルなどの他の方法及び補助具を使用してもよい。
【0020】
このラッカー層の塗布厚は、好ましくは<3g/m、好ましくは0.8~1.2g/mである。
【0021】
ラッカー層の乾燥には、好ましくはランププログラムが用いられ、ウェブ速度と、使用されたラッカーとに応じて、40~70℃→90~120℃→40~70℃の温度シーケンスが設定される。これに関し、ウェブ速度は1~500m/分、好ましくは50~250m/分である。本発明によれば、乾燥プロセスの間のウェブ張力は、<50daN/m、特に好ましくは7~16daN/mである。
【0022】
その後、金属層を接着促進層に適用する。これに関し、金属層は、好ましくは接着促進層に直接適用される。
【0023】
適切な金属層は、特に、Al、Cu、Ag、Au、Cr、Ni、Zn、Pd、V、In又はSnでできた層である。
【0024】
金属層は、PVD又はCVD法、例えば、熱蒸発、スパッタリング又は電子ビーム蒸発によって堆積されることが好ましい。
【0025】
金属層の厚さは、金属化フィルムの用途によって異なるが、約5~100nm、好ましくは10~70nm、特に好ましくは20~50nmである。
【0026】
必要に応じて、容易に印刷可能なカバー層を金属層に適用してもよい。カバー層は、好ましくは、ポリエステル、ポリウレタン又はそれらの混合物に基づいたコーティング、あるいは、アクリレート、例えばエチレンアクリレートに基づいたコーティングからなる。かかるトップ層は、熱転写、オフセット、フレキソ印刷、又はインクジェット印刷によって、また、UVインクを用いて、優れた印刷が可能である。
【0027】
また、必要に応じて金属層に直接印刷してもよい。
【国際調査報告】