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特表2022-531354バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス
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  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図1
  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図2
  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図3
  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図4A
  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図4B
  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図5A
  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図5B
  • 特表-バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】バネ式可動モータ部品付きモータ及びこのようなモータを備えるパーソナルケアデバイス
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/02 20060101AFI20220629BHJP
   A61C 17/34 20060101ALI20220629BHJP
   A61C 17/16 20060101ALI20220629BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H02K33/02
A61C17/34 E
A61C17/16
H02K5/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564852
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 IB2020054133
(87)【国際公開番号】W WO2020222184
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】19172247.9
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ツィーグラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、マインク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ブルム
(72)【発明者】
【氏名】大井 賢治
(72)【発明者】
【氏名】堀田 健
【テーマコード(参考)】
3B202
5H605
5H633
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202AB19
3B202BA01
3B202BE09
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC01
5H605GG02
5H633BB08
5H633BB11
5H633GG02
5H633GG04
5H633GG05
5H633GG09
5H633GG17
5H633HH03
5H633HH05
5H633JA03
5H633JB03
5H633JB07
(57)【要約】
本出願は、モータに関し、このモータは、少なくとも一部が板金材料で製造されるモータキャリア、可動モータ部品、この可動モータ部品をモータキャリアに連結するバネ要素を含み、上記板金材料は、上記板金材料の2層が互いに向かい合って配置されるよう、上記板金材料が折り畳まれる少なくとも1つの連結領域を含み、上記2層はそれぞれ、スロットを含み、このスロットは、互いに整列し、この整列されるスロットを通って、上記バネ要素の接続延長部が延在する。本出願は、このようなモータを有するパーソナルケアデバイスにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータであって、
少なくとも部分的に板金材料で製造されるモータキャリアと、
可動モータ部品と、
前記可動モータ部品を前記モータキャリアに連結するバネ要素と、を備え、
前記板金材料が、前記板金材料の2層が互いに向かい合って配置されるよう、前記板金材料が折り畳まれる少なくとも1つの連結領域を含み、前記2層はそれぞれ、スロットを含み、前記スロットは互いに整列し、前記整列されるスロットを通って、前記バネ要素の接続延長部が延在する、モータ。
【請求項2】
前記バネ要素の近位にある板金材料の前記層の前記スロットが、少なくとも1つの領域において、前記バネ要素の遠位にある前記板金材料の前記層の前記スロットよりも幅が狭い、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記スロットが前記板金材料の折縁に接合開口部を有するよう、前記整列されたスロットが前記折縁から延在する、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記整列されるスロットの前記接合開口部が、広い面取り部を備える、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
特に、固定が溶接で実施される場合、前記バネ要素の前記接続延長部が、少なくとも、前記バネ要素の遠位にある前記板金材料の前記層でしっかりと固定される、請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記固定深さが前記近位層まで延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
0.005mm~5.0mmの範囲で幅を有する前記2層間で間隙が延在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記バネ要素の近位にある前記層が、1.0mm~10.0mmの範囲で、前記折縁からその自由縁までの長さを有し、又は前記スロットから自由側縁までの前記バネ要素の近位にある前記層の幅が、1.0mm~5.0mmの範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項9】
前記板金材料が、少なくとも板金材料の、向かい合って配置される2層の領域において、0.05mm~2.0mmの範囲の厚さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項10】
前記バネ要素が、板金材料の前記向かい合って配置される2層の延長面と垂直に延在する平面内で静止して延在する板バネ要素である、請求項1~9のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項11】
前記可動モータ部品が直線振動運動用に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項12】
板金材料の前記近位層の前記スロットの幅が、前記バネ要素の前記接続延長部と前記スロットとの間で圧入を提供するよう設定され、前記板金材料の前記遠位層の前記スロットの幅が、前記延長接続部と前記スロットとの間でとまりばめを提供するように設定される、請求項1~11のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項13】
前記近位層内の前記スロットが、前記折縁と対向する前記板金材料の縁に開口部を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項14】
パーソナルケアデバイス、特に、電動歯ブラシであって、請求項1~13のいずれか一項に記載のモータを備える、パーソナルケアデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バネ式可動モータ部品を有し、具体的には、バネ要素がモータキャリアに接続される、モータに関する。本出願は、このようなモータを備えるパーソナルケアデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電動歯ブラシで使用されるようなモータは、1つ以上のバネ要素によりモータキャリアに取り付けられた1つ以上の可動モータ部品を有することが、知られている。文書国際公開第2014/009915A2号は、概してこのようなモータについて述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/009915A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本開示の目的は、構造が改善されたモータを提供することであり、具体的には、モータ構造及び製造プロセスの簡素化に対して構造が改善されたモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、少なくとも一部が板金材料で製造されるモータキャリア、可動モータ部品、可動モータ部品をモータキャリアに連結するバネ要素を有するモータが提供されており、この板金材料は、板金材料の2層が互いに向かい合って配置されるよう、板金材料が折り畳まれる少なくとも1つの連結領域を含み、2層はそれぞれ、スロットを含み、このスロットは、互いに整列し、整列されるスロットを通って、バネ要素の接続延長部が延在する。
【0006】
一態様によると、提案されたモータを備えるパーソナルケアデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示を、例示的実施形態の詳細な説明及び図面の参照によって更に明らかにする。図中、
図1】電動歯ブラシとして実現される一例のパーソナルケアデバイスの図である。
図2】本開示による一例のモータの図である。
図3】本開示による一例のモータキャリアの図である。
図4A】バネ式可動モータ部品の第1実施形態の正面図であり、バネ要素の延長突出部は、折り畳まれた板金接続部の整列されるスロット内で配置されている。
図4B図4Aの斜視図である。
図5A】第2実施形態による可動モータ部品の斜視図である。
図5B図5Aの正面図である。
図6】一例の接続領域を含む、板金材料から製造されたモータキャリアの一部の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書の文脈において、「パーソナルケア」とは、皮膚及びその付属物(すなわち、毛及び爪)並びに、歯及び口腔(舌、歯茎などを含む)の育成(又はケア)を意味するものとし、一方では、疾病の予防並びに健康の維持及び増強(「ケア」)を目指し、また一方では、皮膚及びその付属器の美容的処置並びに外観の改善を目指すものである。これは、ウェルビーイングの維持及び強化を含む。これは、スキンケア、ヘアケア、口腔ケア、及びネイルケアを含む。これは、顎ひげケア、シェービング、及び脱毛など、その他の整容動作も更に含む。したがって、「パーソナルケアデバイス」とは、このような管理又は身づくろいを実行するための任意のデバイス、例えば、皮膚マッサージデバイス又は皮膚ブラシなどの(美容)皮膚処置デバイス;湿式かみそり;電気シェーバー又はトリマー;電動脱毛器;及び手動又は電動の歯ブラシ、(電気)フロスサー、(電気)洗浄器、(電気)舌クリーナー、又は(電気)歯肉マッサージ器などの口腔ケアデバイスを意味する。これは、本提案の個人衛生システムが、このような育成又はデバイスの領域のうちの1つ又は複数の領域で、これらの育成又はデバイスの領域のうちのそれ以外の1つ又は複数においてよりも、より顕著な利点を有し得ることを除外するものでない。図に関連する以下の説明では、提案されるパーソナルケアデバイスの詳細を示すために、脱毛デバイスが選定されている。詳細が脱毛デバイスに特定されない限り、提案される技術は、任意の他のパーソナルケアデバイスにおいて用いられ得る。
【0009】
本開示によると、モータの可動モータ部品は少なくとも1つのバネ要素によりモータキャリアに連結する。モータキャリアは、少なくとも一部が板金材料から製造され、具体的には、モータキャリアは、プレス加工されて曲げられた板金から製造された部分を含んでもよい。パーソナルケアデバイスのモータの取り付け構造を提供するために使用される板金材料の厚さは、0.05mm~2.0mm、具体的には、0.1mm~1.0mmの範囲であってよい特定厚さである。バネ要素とモータキャリアとを接続する構造を提供するために、板金材料は、少なくとも1つの接続領域を含み、この領域では、板金材料は、板金材料の2層が向かい合って配置されるように折り畳まれる。スロットは、2つのスロットが整列するように(つまり、位置、及び/又は形状において少なくとも一部が一致、又は重複するように)、各層に設けられ、更に、バネ要素をモータキャリアに接続するために、バネ要素の接続延長部を整列されるスロットまで摺動させることができる。バネ要素は、バネ要素が可動モータ部品に取り付けられるモータ接続部を含むことができる。可動モータ部品は、少なくとも2つのバネ要素により、モータキャリアへと接続可能である。可動モータ部品は、線形振動動作用に、具体的には、静止しているバネ要素の延長面に垂直な軸に沿った直線振動動作用に、可動モータ部品を実装可能である。モータは、2つ以上の可動モータ部品を備えてもよい。
【0010】
バネ要素は、特に、バネ板金から製造されたフラットスプリングで実現可能であり、バネ板金の2つ以上の層を互いに接続してバネ要素を形成することを除外するものではない。
【0011】
モータキャリアの板金材料の接続領域の2層の一方の層は、バネ要素により近く(つまり、近位)、他方の層は、バネ要素から離れてもよい(つまり、遠位)。こうした実施形態において、これは、板金材料から形成された折り畳まれた接続領域の近位層、及び遠位層と称する。特に、近位層のスロットが、その全クランプ長、つまりバネ要素の接続延長部と接触する長さに沿って遠位層のスロットよりも幅が狭くなり得る場合、近位層のスロットは、少なくとも1つの領域において、遠位層のスロットよりも幅が狭くてもよいことが企図される。いくつかの実施形態において、スロットはそれぞれ、幅が一定であり、近位層のスロットの幅は、遠位層のスロットの幅よりも狭い。とりわけ、バネ要素の接続延長部とスロットとの間に圧入が確立されるよう、近位層のスロット幅の寸法を決めることができる。バネ要素の接続延長部とスロットとの間にとまりばめが確立されるよう、遠位層のスロット幅の寸法を決めることができる。整列されるスロットは、折縁に共通開口部を有してもよく、この共通開口部により、バネ要素の延長部を一対の整列されるスロットまで摺動させることが可能である。いくつかの実施形態において、折縁の共通開口部は、バネ要素の接続延長部の整列されるスロットへと摺動しやすくするために、折縁に向かって広がる(例えば、自動化プロセスとして)面取り部を含むことができる。更に、近位層のスロットは、折縁と対向する縁に開口部を有してもよい。
【0012】
間隙は、接続領域の板金材料が向かい合って配置された2層間で延在可能であり、この間隙は幅が0.005mm~5.0mm、具体的には、0.01mm~2.0mm、更に具体的には、0.05mm~1.0mmの範囲であってもよい。これは、いくつかの実施形態において、意図的な間隙を設けずに、2層が互いに隣接することを除外するものではない。
【0013】
バネ要素の接続延長部は、整列されるスロット内のクランプ力(つまり、摩擦力)で保持可能である。しかし、モータ機器によっては溶接が好ましいものもあるが、接続延長部は、とりわけ、溶接や接着等の他の接続技術を用いて、板金材料に固定可能である。固定は、遠位層又は両層に提供可能である。接続領域の板金材料の2層間に間隙が延在できることが企図されるが、いくつかの実施形態において、2層は互いに隣接し、この2層間に意図的な間隙は延在しない。とりわけ、後者の場合、固定の深さ(例えば、溶接深さ)は、遠位層から近位層まで延在可能である。
【0014】
本明細書で提案されるモータは、パーソナルケアデバイス、例えば、電動歯ブラシで使用可能であり、電動歯ブラシの場合、モータは、電動歯ブラシのドライブシャフトを駆動するために使用できる。
【0015】
図1は、電動歯ブラシとして本明細書で実現されるパーソナルケアデバイス1の一例の図である。パーソナルケアデバイス1は、ヘッドセクション10、及び柄セクション20を備える。図示の例では、ヘッドセクション10は、柄セクション20へと着脱可能に取り付けられているので、本質的に、ヘッドセクション10は、柄セクション20に対して移動することができない。ヘッドセクション10は、本明細書では、ブラシヘッドとして実現される、処置ヘッド11を含む。処置ヘッド11は、二重矢印Rで示すとおり、軸Aを中心とする駆動振動回転動作用に配置される。この振動回転動作は、本説明に従って、モータで駆動することができる。パーソナルケアデバイス1は、縦方向1に沿って延在する。
【0016】
図2は、本開示による一例のモータ100の図である。図示のモータ100は、2つの可動モータ部品、すなわち、電機子120及び逆振動おもり140を有する。第1可動モータ部品120は、2つのバネ要素121及び122によりモータキャリア110へと取り付けられている。第2可動モータ部品140は、2つのバネ要素141及び142によりモータキャリア110へと取り付けられている。提案されたモータに備えられる可動モータ部品は1つだけでよく、可動モータ部品は、1つのバネ要素でモータキャリアに取り付けることもできることが理解されるであろう。逆振動おもり140は能動的に動作されるのではなく、モータキャリア110の振動によって受動的に励磁され、本出願の意味の範囲内の可動モータ部品であることもまた理解されるであろう。可動モータ部品に関する「第1」と「第2」という語句は、図示される例が2つの可動モータ部品を含むと言う以外の特定の意味を一切伝えないものとすることに留意されたい。いくつかの実施形態において、電機子は、本明細書で提案されるように取り付けることはできず、逆振動おもりのみをそれぞれ取り付けることができる。次に、逆振動おもりは、本明細書に記載の方法で取り付けられる第1の(又は、唯一の)可動モータ部品である。これは逆の場合にも当てはまる。
【0017】
モータキャリア110は、例えば、プレス加工されて曲げられ得る板金材料1100から製造されている(プレス加工の代わりに、レーザ切断、又は同様の技術も使用することもできる)。図3は、プレス加工されて(又は、レーザ切断された)曲げられた板金材料から製造される一例のモータキャリア110Aを示す。2つの安定化要素111及び112は、モータキャリア110の2つの対向する長手方向端部にしっかりと固定されている。ドライブシャフト150は、電機子や第1可動モータ部品120に取り付けられている。固定子130はコイル131を備え、このコイルには、二重矢印Mで示されるように、本明細書において2つの永久磁石128及び129を備える電機子120が、駆動されて直線振動動作するように、動作中に交流電流が印加される。バネ質量構成要素の共振周波数に近いか、又はこの共振周波数の駆動周波数で励磁される駆動バネ質量型のモータに関する概念は、当業者に広く知られており、ここではこれ以上詳しく説明しない。
【0018】
図示される例示的モータ100において、第2可動モータ部品140は、2つのバネ要素141及び142によりモータキャリアに取り付けられ、バネ要素141及び142はそれぞれ、接続延長部1411及び1421をそれぞれ有する。バネ要素141の接続延長部1411は、モータキャリア110の板金材料1100の折り畳まれた接続領域115の整列スロット1151内で延在する。バネ要素142の接続延長部1421は、折り畳まれた接続領域115の整列スロット1152内で延在する。以下で更に詳述するように、折り畳まれた接続領域150において、バネ要素とモータキャリアとの間の強力で良好な連結が可能となるよう、板金材料1100の2層は、向かい合って配置されている。
【0019】
図3は、プレス加工されて曲げられた板金材料1100Aから製造された一例のモータキャリア110Aの図である。モータキャリア110Aは、対向配置された2つの接続領域111A及び112Aを有し、2層の板金材料が向かい合って配置されるよう、板金材料1100Aは折り畳まれている。接続領域111A及び112Aは幾何学的に同一であるが、鏡像であり、板金材料1100Aの折り畳まれた部分は、双方の場合において、モータキャリア110Aの内側に折り畳まれている。図2と同様、バネ要素は、2つの連結領域111Aと112Aとの間で組み立てられた状態で延在する。連結領域111Aと112Aはそれぞれ、内側を向き、ひいてはバネ要素に近接する板金材料の層である近位層113A及び115Aを含む。同様に、各連結領域111Aと112Aは、板金材料1100Aの外層も含む。これは、バネ要素の遠位にあり、ひいては、遠位層114A及び116Aである。近位層及び遠位層113A及び114Aは、折縁1123Aによって接続され、近位層及び遠位層115A及び116Aは、折縁1113Aによって接続されている。接続領域111Aは、2対の整列されるスロット1111A、及び1112Aを含み、接続領域112Aは、2対の整列されるスロット1121A、及び1122Aを含む。図3から分かるように、各整列される対のスロット1121A及び1122Aは、それぞれの折縁に接合開口部がある。
【0020】
図4Aは、本明細書で提案するモータ100Bの第1例示的実施形態の正面図であり、モータ100Bは、バネ要素141Bによりモータキャリア110Bに取り付けられた可動モータ部品140Bを備える。第2バネ要素は、可動モータ部品140Bの反対側の端に接続可能である。図3で示すモータキャリア110Aについて説明したように、モータキャリア110Bは、2つの接続領域111Bと112Bを有する。各接続領域111B及び112Bは、板金材料1100Bの2つの層を含む。ここで、板金材料1100Bは、前述の範囲内にあり得る厚さdを有し、具体的には、厚さは、d=0.15mmであってもよい。接続領域111Aは、折縁1113Bで接続された、近位層115D及び遠位層116Dを含む。2つの層115D及び116Dは、幅gを有する距離で配置され、これは、前述の範囲内であってよく、具体的には、幅は、g=0.5mmであってもよい。同じことは、板金材料1100Bの折縁1123Bで接続される2層113B及び114Bを有する反対側の接続領域112Bにも当てはまる。この場合も、近位層113Bと遠位層114Bとの間の間隙は、g=0.5mmであってもよいが、これは、2つの間隙が異なる値を有することを除外するものではない。
【0021】
バネ要素141Bは、本明細書では静止時のフラットスプリングとして実現され、可動モータ部品140Bがバネ要素141Bに接続している中央接続部145Bから延在する、2つのスプリングアーム1421B及び1422Bを有する。スプリングアーム1421B及び1422Bはそれぞれ、中央接続部145Bを約270度回転させる。スプリングアーム1421B及び1422Bはそれぞれ、接続延長部1411B及び1412Bでそれぞれ終端し、これらは、接続領域111B及び112Bの整列スロットにそれぞれ配置される。図3で見られるように、モータキャリア110Bは、モータキャリア110Aの形態と形状を有することができる。
【0022】
図4Bは、第1の例示的モータ100Bの斜視図である。この図では、モータキャリア110Bにおいて可動モータ部品140Bを接続するために、別のバネ要素142Bが使用される。ここでは、接続領域111B及び112Bはそれぞれ、2対の整列したスロットを含み、そのうち、整列されるスロット1112B、1121B、及び1122Bが見られる。接続領域111A内で整列される対のスロット1112Bは、接続領域111Aの遠位層と近位層にそれぞれ配置されたスロット11121B及び11122Bを備える。接続領域112A内で整列される対のスロット1122Bは、接続領域112Aの遠位層と近位層にそれぞれ配置されたスロット11221B及び11222Bを備える。バネ要素141Bの接続延長部1411Bは、整列される対のスロット1112Bに配置され、バネ要素141Bの接続延長部1412Bは、整列された対のスロット1122Bに配置される。他のバネ要素142Bの接続延長部1422が、整列される対のスロット1121Bに配置されていることもまた確認可能である。
【0023】
図5A及び図5Bは、本開示によるモータ100Cの第2例示的実施形態の斜視図と正面図である。可動モータ部品120Cは、バネ要素121C及び122Cによってモータキャリア110Cへと取り付けられている。バネ要素121Cのみについて、更に詳細に説明する。バネ要素122Cは、同様の方法で取り付けられる。いくつかの実施形態において、第1例示的実施形態と第2例示的実施形態は、ジョイントモータキャリアを備え、つまり、キャリア110B及び110Cは、図2で示されるモータ100と同様のモータを得るため、単一キャリアへと連結される。
【0024】
バネ要素121Cは、中央接続部125Cを有する単一バネ要素128Cを備える。この中央接続部では、バネ要素121Cは、広げられた延長部1201C及び1202Cにより可動モータ部品120Cへと固定されている。スプリングアーム128Cで、中央接続部を約360度に回転させる。第1接続延長部1211Cは、モータキャリア110Cの接続領域114Cにおいて約270度でスプリングアーム128Cを接続する。スプリングアームの第2接続延長部1212Cは、約360度に配置され、スプリングアーム121Cとモータキャリア110Cの最下層117Cとを接続する。接続延長部1212Cは、底層117Cに設けられたスロット119Cに溶接可能である。接続領域114Cは、板金材料1100Cの2層、つまり、遠位層111C及び近位層112Cを含み、2層111C及び112Cは、2層111C及び112Cの間で間隙が延在しないように互いに隣接するように配置されている。2つの層は、一対の整列されるスロット116Cを含む。接続領域114Cの構造は、更に以下の図6を参照して述べるよりも一般的な方法であり、本説明のこの部分を参照している。
【0025】
図4A及び図4Bの第1例の実施形態と、図5A及び図5Bに示す第2例の実施形態との違いの1つとして、第2例の実施形態では、板金材料1100Cの2つの層111C及び112Cが隙間なく配置されているということがある。こうした一実施形態において、例えば、溶接により遠位層111Cにおいて接続延長部1211Cを固定すると、遠位層111Cの厚さよりも延在する固定深さを得ることができる。図5Bで示すように、固定深さdは近接層へと延び、次いで板金材料1100Cの厚さdよりも厚い(厚さdは、図4Aを参照して定義される)。
【0026】
モータキャリアにおけるバネ要素の接続延長部の固定(例えば、溶接)を、スロット幅が近位層のスロット幅よりも幾分広い遠位層で実施することが、図示の実施形態、及び提案されたモータ全般で共通する態様である。実現が正確であるかどうかに関わらず、このような設計により、固定の疲労限度、つまり、疲労破壊を起こさずに接続に適用される繰り返し応力の振幅が改善する傾向がある。本質的に、2層でのクランプは2点サスペンションにつながり、近位クランプは、遠位層の溶接線にかかるねじり応力を抑制する傾向がある。折り畳まれた接続領域は、全体的にモータキャリアの剛性を高め、ひいては、振動、及び付随するノイズを抑制する傾向がある。更に、明らかなように、必要とされた構成要素の数は少ない。追加のリベットは必要とされない。図示のモータでは、縦方向の動作の振幅は、約150Hzの周波数において±1.0mm程度であり得る。この選択された設計はまた、比較的強固な固定も確保し、有効バネ長(つまり、バネ定数)が比較的正確に定まることを確保しやすくなる。すでに述べたように、整列スロットの面取りされた接合開口部により、接続延長部を整列されるスロットへと摺動しやすくなり、かくして、自動組み立てが容易になる。
【0027】
図6は、一例の接続領域114Dを含む、板金材料1100Dから製造されたモータキャリア110Dの一部の詳細図である。接続領域114Dは、板金材料1100Dの2層111D及び112Dを含む。連続性を踏まえ、ここでは、層111Dを遠位層と称し、層112Dを近位層と称する。モータキャリア110Dの折縁115Dは、遠位層111D及び近位層112Dを接続する。整列される対のスロット116Dは、接続領域114D内で設けられる。整列される対のスロット116Dは、遠位層111D内のスロット1161Dと、近位層112D内のスロット1162Dとを備える。整列される対のスロット116Dは、折縁115Dで接合開口部を有する。折縁115Dの高さにおいて、接合開口部1163Dは、スロット1161D及び1162Dそれぞれよりも幅が広い。接合開口部1163Dは、バネ要素の接続延長部を一対の整列されるスロット116Dへと摺動させやすくする、面取り部1165Dを含む。遠位層111D内のスロット1161Dの幅wは、近位層112Dのスロット1162Dの幅wよりも広い。整列スロット116Dの対の有効クランプ長は、sである。近位層112Dのスロット1162Dは、近位層112Dの自由縁118Dに開口部11621Dを有し、この自由層118Dは、折縁115Dの反対側にある。前述したように、バネ要素の接続延長部で圧入が確立されるよう、スロット1162Dの幅wを寸法決めすることができる。図示の設計において、スロット1162Dは、通常圧入を画定するシャフト/孔の対よりも、印加された力の下で変形するいくらか大きい弾性を有する、これは、特定状況下での圧入の画定を制限するものではない。つまり上記の寸法は、圧入を確立するシャフトと孔に関連する場合と同様に扱われる。スロット1161Dの幅wは、バネ要素の接続延長部に対して、とまりばめが可能となるように寸法決めされる。所与の設計により、近位層112Dは、スロット1162Dの側部に配置された2つのウィング1121D及び1122Dに分かれる。ウィング1121D及び1122Dの幅は同一であってよく、bによって得られ、bは、1.0mm~50.0mmの範囲であってもよい。折縁115Dと自由縁118Dとの間のウィングの高さは、lによって得られ、lは1.0mm~30.0mmの範囲であってもよい。所与の範囲は制限として捉えないものとする。個々のケースの必要性に応じて、他の寸法を選択してもよい。
【0028】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】