IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-膨張装置 図1
  • 特表-膨張装置 図2
  • 特表-膨張装置 図3
  • 特表-膨張装置 図4
  • 特表-膨張装置 図5
  • 特表-膨張装置 図6
  • 特表-膨張装置 図7
  • 特表-膨張装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】膨張装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/958 20130101AFI20220629BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20220629BHJP
【FI】
A61F2/958
A61M25/10 544
A61M25/10 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564949
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 US2020030861
(87)【国際公開番号】W WO2020227034
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/843,022
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ニティン
(72)【発明者】
【氏名】トマール、ピユーシュ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA07
4C267AA41
4C267BB27
4C267CC08
4C267DD01
4C267EE03
4C267EE11
(57)【要約】
血管内バルーンを膨張させるための膨張装置を開示する。膨張装置は、バレルと、バレル内に移動可能に配置されたプランジャーとを含む。プランジャーはらせんねじを含む。ハウジングはプランジャーに取り付けられる。ナットはハウジング内に設置される。ナットはナットの側面に沿ってねじ領域を含む。スラスト部材はハウジング内に設置され且つナットに対向して配置される。スラスト部材は、プランジャーに沿って配置されるように構成された弓形の表面を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内バルーンを膨張、又は収縮させるための膨張装置であって、膨張装置は、
バレルと、
前記バレル内に移動可能に配置され、らせんネジを含むプランジャーと、
前記プランジャーに連結されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたナットであって、同ナットは側面に沿ってねじ領域を有することと、
前記ナットは、前記ねじ領域が前記らせんねじに螺合した第1の形態と、前記ねじ領域が前記らせんねじから離脱された第2の形態との間で移動することと、
前記ナットを前記第1の形態と前記第2の形態との間で移動させるためのアクチュエータと、
前記ハウジング内において前記ナットに対向して配置されたスラスト部材であって、前記プランジャーに沿って配置される弓形の表面を含む、前記スラスト部材と、
を備える膨張装置。
【請求項2】
押し下げ可能部材は、前記アクチュエータに連結されており、前記押し下げ可能部材の駆動により、前記ナットは前記第1の形態と前記第2の形態との間で移動する、請求項1に記載の膨張装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、カム部材を含む、請求項1又は2に記載の膨張装置。
【請求項4】
前記ナットの側面は、前記カム部材に相互作用するように設計されたカム面を含む、請求項3に記載の膨張装置。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記ハウジング内で第1の位置及び第2の位置の間で移動する、請求項4に記載の膨張装置。
【請求項6】
前記アクチュエータに連結された1つ以上のばねをさらに備え、前記1つ以上のばねは、前記アクチュエータを第1の位置に向かって付勢する、請求項5に記載の膨張装置。
【請求項7】
前記アクチュエータが前記第1の位置にあるとき、前記ナットは前記第1の形態をなす、請求項5又は6に記載の膨張装置。
【請求項8】
前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、前記ナットは前記第2の形態をなす、請求項5~7のいずれか一項に記載の膨張装置。
【請求項9】
前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、前記カム部材は前記カム面に係合する、請求項5~8のいずれか一項に記載の膨張装置。
【請求項10】
前記プランジャーはルート部を含み、前記らせんねじは前記ルート部から径方向外方に突出している、請求項1~9のいずれか一項に記載の膨張装置。
【請求項11】
前記ナットが前記第1の形態及び前記第2の形態にあるとき、前記弓形の表面は、前記ルート部から径方向に間隔をおいて配置される、請求項10に記載の膨張装置。
【請求項12】
前記ナットが前記第1の形態及び前記第2の形態にあるとき、前記弓形の表面は、前記らせんねじに隣接して配置される、請求項11に記載の膨張装置。
【請求項13】
バルーンカテーテルに係合するように構成された遠位端領域と、近位端領域とを有するシリンジバレルと、
前記シリンジバレル内に移動可能に配置され、らせんねじを含む、プランジャーと、
前記プランジャーの近位端領域に連結されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたナットであって、同ナットは側面に沿ってねじ領域を有することと、
前記ナットは、前記ねじ領域が前記らせんねじに螺合した第1の形態と、前記ねじ領域が前記らせんねじから離脱された第2の形態との間で移動することと、
前記ナットを前記第1の形態及び前記第2の形態の間で移動させるためのアクチュエータと、
前記ハウジング内において前記ナットに対向して配置されたスラスト部材であって、前記らせんねじに隣接して配置される弓形の表面を含む、前記スラスト部材と、
を備える膨張装置。
【請求項14】
前記アクチュエータは、カム部材を含み、前記ナットの前記側面は、前記カム部材に相互作用するように設計されたカム面を含む、請求項13に記載の膨張装置。
【請求項15】
前記アクチュエータは、前記ハウジング内で第1の位置及び第2の位置の間で移動するように構成され、前記アクチュエータが前記第1の位置にあるとき、前記ナットは前記第1の形態をなし、前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、前記ナットは第2の形態をなす、請求項14に記載の膨張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器、及び医療装置を製造するための方法に関する。より詳細には、本発明は、血管内バルーンとともに使用するための膨張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内使用などの医療用途用に多種多様な体内医療装置が開発されてきている。これらの装置にはガイドワイヤ、バルーンカテーテルなどが含まれる。これらの装置は、さまざまな異なる製造方法のいずれかによって製造され、さまざまな方法のいずれかに従って使用することができる。公知の医療装置及び方法には、それぞれ特定の長所及び短所がある。代替的な医療装置、ならびに医療装置を製造及び使用するための代替的な方法を提供することが依然必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、医療装置の設計、材料、製造方法、及び代替用途を提供する。医療装置の例には、血管内バルーンを膨張/収縮させるための膨張装置が含まれる。膨張装置は、バレルと、バレル内に移動可能に配置されたプランジャーと、プランジャーがらせんねじ山を含むことと、プランジャーに連結されたハウジングと、ハウジング内に配置されたナットであって、ナットの側面に沿ってねじ領域を有し、ねじ領域がらせんねじ山に螺合した第1の形態と、ねじ領域がらせんねじから離脱された第2の形態との間で移動するように設計されたナットと、第1の形態と第2の形態との間でナットを移動させるためのアクチュエータと、ハウジング内に配置され且つナットに対向して配置されたスラスト部材であって、プランジャーに沿って配置される弓形の表面を含むスラスト部材とを備える。
【0004】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、押し下げ可能部材は、アクチュエータに連結され、押し下げ可能部材の作動は、第1の形態と第2の形態との間でナットを移動させる。
【0005】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータはカム部材を含む。
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、ナットの側面は、カム部材に相互作用するように設計されたカム面を含む。
【0006】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータは、ハウジング内で第1の位置と第2の位置との間で移動するように設計されている。
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータに取り付けられた1つ以上のばねをさらに含み、1つ以上のばねは、アクチュエータを第1の位置に向かって付勢する。
【0007】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータが第1の位置にあるとき、ナットは第1の形態をなす。
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータが第2の位置にあるとき、ナットは第2の形態をなす
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータが第2の位置にあるとき、カム部材はカム面に係合する。
【0008】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、プランジャーはルート部を含み、らせんねじはルート部から径方向外方に突出している。
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、ナットが第1の形態にあるとき及びナットが第2の形態にあるとき、弓形の表面は、ルート部から径方向に間隔をあけて配置される。
【0009】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、ナットが第1の形態にあるとき及びナットが第2の形態にあるとき、弓形の表面は、らせんねじに隣接して配置される。
膨張装置が開示される。膨張装置は、バルーンカテーテルに係合するように設計された遠位端領域と近位端領域とを有するシリンジバレルと、シリンジバレル内に移動可能に配置されたプランジャーと、プランジャーがらせんねじを含むことと、プランジャーの近位端領域に連結されたハウジングと、ハウジング内に配置されたナットであって、ナットはナットの側面に沿ってねじ状域を有することと、ナットは、ねじ領域がらせんねじに螺合した第1の形態と、ねじ領域がらせんねじから離脱された第2の形態との間で移動するように設計されていることと、第1の形態と第2の形態との間でナットを移動させるためのアクチュエータと、ハウジング内に配置され且つナットに対向して配置されたスラスト部材であって、らせんねじに隣接して配置されるように設計された弓形の表面を含むスラスト部材とを備える。
【0010】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータはカム部材を含み、ナットの側面は、カム部材に相互作用するように設計されたカム面を含む。
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータは、ハウジング内で第1の位置と第2の位置との間で移動するように設計され、アクチュエータが第1の位置にあるとき、ナットは第1の形態をなし、アクチュエータが第2の位置にあるとき、ナットは第2の形態をなす。
【0011】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、アクチュエータが第2の位置にあるとき、カム部材はカム面に係合する。
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、プランジャーはルート部を含み、らせんねじはルート部から径方向外方に突出しており、ナットが第1の形態にあるとき及び第2の形態にあるとき、弓形の表面は、ルート部から径方向に間隔をおいて配置される。
【0012】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、プランジャーはルート部を含み、らせんねじはルート部から径方向外方に突出しており、ナットが第1の形態にあるとき及びナットが第2の形態にあるとき、弓形の表面は、らせんねじに隣接して配置される。
【0013】
バルーンカテーテルを備えた膨張装置を使用するための方法が開示される。この方法は、膨張装置をバルーンカテーテルに取り付ける工程であって、膨張装置は、バレルと、バレル内に移動可能に配置され且つらせんねじを含むプランジャーと、プランジャーに連結されたハウジングと、ハウジング内に配置されたナットであって、ナットの側面に沿ってねじ領域を有し、ねじ領域がらせんねじに螺合した第1の形態と、ねじ領域がらせんねじ山から離脱された第2の形態との間で移動するように設計されているナットと、ナットを第1の形態と第2の形態との間で移動させるためのアクチュエータと、及びハウジング内に配置され且つナットに対向して配置されたスラスト部材であって、らせんねじに隣接して配置されるように設計された弓形の表面を含むスラスト部材とを備える、膨張装置をバルーンカテーテルに取り付ける工程と、ナットが第1の形態にある間、バレル内でプランジャーを遠位方向に前進させる工程と、ナットを第1の形態から第2の形態に移動させるためにアクチュエータを駆動する工程とを含む。
【0014】
上記の実施形態のいずれかに代替的又は追加的に、ナットを第1の形態から第2の形態に移動させるためにアクチュエータを駆動する工程は、アクチュエータに連結された押し下げ可能部材を押す工程を含む。
【0015】
いくつかの実施形態の上記概要は、開示された各実施形態又は本開示のすべての実施を説明することを意図するものではない。以下の図及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示している。
【0016】
本開示は、添付の図面と合わせて以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】膨張装置の例を示す斜視図。
図2】膨張装置の例を示す分解図。
図3】膨張装置の例の一部を示す部分断面図。
図4】膨張装置の例の一部を示す部分断面図。
図5】膨張装置の例の一部を示す斜視図。
図6】膨張装置の例の一部を示す斜視図。
図7】膨張装置の例の一部を示す斜視図。
図8】膨張装置の例の一部を示す部分分解図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定することではない。むしろ、その意図は、本発明の主旨及び範囲に含まれるすべての修正物、均等物、及び代替物を網羅することにある。
【0019】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
ここでは、明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「約」という用語で修飾されることが想定されている。「約」という用語は、一般に、当技術分野の技術者が記載された値と同等であると見なすであろう数値範囲を指す(例えば、同じ機能又は結果を有する)。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入される数値が含まれる。
【0020】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a(ひとつ)」、「an(ひとつ)」、及び「the(その)」は、内容が明確に別の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「又は」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般に使用される。
【0021】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が1つ以上の特定の要素、構造、及び/又は特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記載は、必ずしもすべての実施形態が特定の要素、構造、及び/又は特徴を含むことを意味するわけではない。さらに、特定の要素、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような要素、構造、及び/又は特性は、明確に述べられない限り、明示的に説明されているかどうかにかかわらず、否定することが言及されていない限り他の実施形態に関連して使用され得ることを理解されたい。
【0022】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれたい。異なる図面の類似した要素には同一番号が付けられている。必ずしも縮尺通りでない図面は、例示的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0023】
血管間の状態を診断したり治療したりするために、多くの医学的介入が利用されている。これらの介入には、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、ステント送達/配備(例えば、ステントを拡張させるためのバルーンの拡張を含む配備を含む)などが含まれる。バルーンを利用するこれらのような介入には、バルーンを膨張/収縮させるための膨張装置が使用される。一般に、そのような膨張装置は、プランジャーを前進させて膨張媒体をバルーン内に移動させること(バルーンを膨張させる)、及び収縮させて膨張媒体をバルーンから退出させる(バルーンを収縮させる)ことができるシリンジ、又はシリンジ様装置を含む。
【0024】
図1は、例示的な膨張装置10を示す斜視図である。膨張装置10は、バレル12(例えば、シリンジバレル)を含む。いくつかの場合には、圧力計又は計器14をバレル12に接続することができる。管状部材16は、バレル12に連結され、バレルから延びる。コネクタ18は、管状部材16の遠位端領域に配置される。一般に、コネクタ18は、膨張装置10を別の装置(例えば、PTCA装置、ステント送達カテーテル、カテーテルなど)に連結するように設計される。これにより、膨張装置10を使用して、膨張媒体をバルーンに移動させたりバルーンから退出させたりすることができる。
【0025】
ハウジング20は、バレル12に連結することができる。いくつかの場合には、バレル12は、ハウジング20内に延び及び/又はハウジング20内に固定される(例えば堅固に固定される)。押し下げ可能部材22は、ハウジング20に取り付けられる。押し下げ可能部材22は、バルーン内の圧力を維持することを助けるために利用することができ、必要に応じて、臨床医が本明細書でより詳細に説明するようにバルーンを急速に収縮可能にするロック/解除機構の一部をなす。プランジャー24は、バレル12に連結される。プランジャー24は、前進させてバレル12内に配置された膨張媒体をバルーン内に移動させる(バルーンを膨張させる)ことができ、及び、後退させてバルーンから膨張媒体を退出させる(バルーンを収縮させる)ことができる。
【0026】
膨張媒体がバルーンに移動されるにつれて、膨張装置内の圧力/力が増加する。このような圧力/力は、プランジャーに付与される。いくつかの場合には、これらの力は「自己解除」されたり(例えばロック/解除機構がより高い圧力に耐えられないとき、圧力が意図せずに解放されて、バルーンの収縮を引き起こす可能性がある)、プランジャーの変形や、ロック機構を活性化/不活性化にする為に必要とされる力を増加させる可能性がある。膨張装置10は、より高い圧力に耐え、より高い圧力に関連する増加した力を適切に処理するように設計されている。これにより、膨張装置10にいくつかの望ましい要素を付与し得る。例えば、膨張装置10は、(a)「自己解除」する可能性が低減することができ、(b)ロック/解除機構を作動させるために使用者が必要とする力の量を低減することができ、(c)プランジャー24の変形を低減することができ、(d)より高い圧力/力に耐えることができるようになり、及び/又は追加の望ましい要素を付与し得る。
【0027】
図2は、膨張装置10を示す分解図である。ここで、膨張装置10のいくつかの構成要素を見ることができる。例えば、ハウジング20は、第1の部分26及び第2の部分28を含む。しかしながら、これは、ハウジング20が単一部品又は2つ以上の部品/部分から形成され得るため、この図の通りである必要はない。アクチュエータ30は、押し下げ可能部材22に接続され、一般に、少なくとも部分的にハウジング20内に配置される。1つ以上の付勢部材、すなわちばね32をアクチュエータ30に連結することができる。スラスト要素、又はスラスト部材34及びナット38は、ハウジング20内に配置される。プランジャー24は、バレル12に対して(例えば、その内部で)移動可能/摺動可能に配置される。プランジャー24は、ねじ領域40及びハンドル42を含む。
【0028】
押し下げ可能部材22、アクチュエータ30、ばね32、スラスト部材34、及びナット38(及び/又は膨張装置10の他の構成要素)は、ロック/解除機構の一部を構成する。一般に、ナット38のねじ山は、プランジャー24のねじ領域40に係合できる。係合されると、プランジャー24を移動して(例えば、回転及び/又は遠位に前進されて)、膨張媒体を前進させることができる。これにより、圧力は、バルーン及び/又は膨張装置10内に蓄積する。ナット38及びプランジャー24のねじ領域40の間の螺合は、プランジャー24の近位方向の移動に抵抗するように設計されている(例えば、プランジャー24が反対方向に回転されない限り)。いくつかの場合には、バルーンを急速に収縮させることが望ましい場合がある。ロック/解除機構は、臨床医が押し下げ可能部材22を押すことによってバルーンを迅速に収縮させることを可能にするように設計されている。それにより、アクチュエータ30を駆動して、ナット38上のねじ山をプランジャー24のねじ領域40から離脱させて、プランジャー24を後退させて(例えば、必要に応じて急速に収縮させ)バルーンを収縮させることができる。押し下げ可能部材22が解放されると、ばね32がアクチュエータ30を移動させ、ナット38のねじ山はプランジャー24のねじ領域40に係合できる(例えば、「再係合」又はそうでなければ「ロック」する)。ロック/解除機構の使用に関するいくつかのさらなる詳細が本明細書に開示されている。
【0029】
ナット38は、図3,4に示すように、第1の形態と第2の形態との間で移動するように設計され得る。第1の形態と第2の形態との間の移動は、ナット38のねじ山がプランジャー24のねじ領域40に螺合する「ロック」形態と、ナット38上のねじ山がプランジャー24のねじ領域40から離間、又は離脱される「離脱された」又は「迅速に離脱された」形態との間の移動である。これらの形態間の移動には、ナット38上のいくつかの構造的要素と、アクチュエータ30、プランジャー24などとの相互作用が含まれる。例えば、図3に示すような第1の形態にあるとき、アクチュエータ30のカム部材、すなわちフランジ46は、ナット38の側部65に隣接して配置され、カム部材46は、ナット38のカム面48から間隔をあけて配置されて、ナット38のカム面48に係合されていない。さらに、アクチュエータ30の下面78は、一般に、ナット38の内面75に隣接して配置されるが、必ずしも係合されなくてもよい。したがって、第1の形態では、カム部材46は、ナット38の上部66に係合して、ナット38は、より小さな形状又はより圧縮された形状をとることができる。このように配置/配置されると、ナットの側面に沿ったねじ領域54はプランジャー24のねじ領域40に係合する。
【0030】
スラスト部材34は、ナット38に隣接して配置される。スラスト部材34は、プランジャー24に係合するように設計された弓形の表面36を含む。一般に、弓形の表面36は、プランジャー24に密接に隣接して適合するように設計されている。したがって、プランジャー24を偏倚/変形させるのに十分であると考えられる力がプランジャー24に加えられたとき、弓形の表面36は、偏倚/変形に抵抗し得る構造的支持を提供し得る。このため、プランジャー24は、ナット38から離脱される可能性が低い(例えば、ナットのねじ領域54は、プランジャー24のねじ領域40から離脱される可能性が低い)。いくつかの場合には、プランジャー24は、ルート部24a及びルート部24aから突出したネジ山24bを含む。ネジ山24bはルート部24aから突出しているため、弓形の表面36は、ネジ山24bに隣接して(例えば、直接隣接して、近接してなど)配置されている間、弓形の表面36は、ルート部24aから径方向に間隔をおいて配置される。いくつかの場合には、これは、ねじ山24bから径方向に離間した弓形の表面36を含む。
【0031】
押し下げ可能部材22が押されると、アクチュエータ30は、移動し(例えば、押し下げ可能部材22によって付勢されるため、図3に示す初期位置又は第1の位置から、図4に示す第2の位置に)、カム部材46は、一般に図4に示すようにカム面48に向かって移動及び/又はカム面48に係合する。追加的に、アクチュエータ30の表面78は、ナット38の内面75に向かって移動してこのナット38の内面75に係合する(例えば図4は、表面76,78が内面75に向かって移動したことを示し、表面78は、内面75に係合する)。ナット38は、ねじ領域54がプランジャー24のねじ領域40から離間する方向に移動して、そこから離脱されるように回動/拡大/拡張する。これにより、プランジャー24を必要に応じて迅速に引き抜くことができ、バルーンを収縮させることができる。押し下げ可能部材22が解放されると、アクチュエータ30を第1の位置に付勢できるばね32は、アクチュエータ30を第1の位置に戻すように移動する(例えば図3に示す)。
【0032】
例えばナット38を利用する膨張装置10は、より高い圧力に耐えられる可能性がある。例えば、膨張装置10は、「自己解除」及び/又はプランジャー24のたわみ/変形なしで、10~80気圧以上、又は20~60気圧以上、又は20~50気圧以上、又は30~40気圧以上、又は25気圧を超える圧力、又は45気圧を超える圧力に耐えることができる。さらに、押し下げ可能部材22を押すのに必要な力は、85N未満、又は65N未満、又は50N未満、又は約30~60N、又は約45~55Nである。
【0033】
膨張装置10の構成要素の別図を図5~7に示す。例えば、図5は、スラスト部材34を示す斜視図である。図5では、弓形の表面36が確認できる。いくつかの場合には、弓形の表面36は、1つ以上の湾曲した棚部36a,36bを含む。スラスト部材34は、チャンネル68も含む。図6~7は、ナット38を示す斜視図である。ナット38は、成形品(例えば、適切な金属、ポリマー、複合材料などから形成されたもの)であってよい。ナット38は、1つ以上の上部66a,66bを含む。ナット38は、スラスト部材34のチャンネル68内に適合するように設計されたピン70も含む。ねじ領域54は、図6~7にも表されている。図8は、スラスト部材34に連結されたナット38を示す。
【0034】
本開示は、多くの点で、例示にすぎないことを理解されたい。開示の範囲を超えることなく、特に形状、サイズ、及びス工程の順序に関して、詳細に変更を加えることができる。これには、適切な範囲で、他の実施形態に使用されている一例の実施形態の要素のいずれかの使用が含まれ得る。言うまでもないが、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】