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特表2022-531401セラミック排気ガスセンサの電気化学セルの内部抵抗を特定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】セラミック排気ガスセンサの電気化学セルの内部抵抗を特定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/419 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
G01N27/419 327Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565036
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020059883
(87)【国際公開番号】W WO2020224902
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】102019206429.9
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート レーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン バウマン
(72)【発明者】
【氏名】ダンカ ディトマー-ゴベリッチ
(57)【要約】
本発明は、評価及び制御ユニットを用いて排気ガスセンサの電気化学セルの内部抵抗を特定する方法に関する。評価及び制御ユニットは、特に電流源を有している。本発明は、特に、少なくとも、電気化学セルが低温即ち高抵抗の場合に、測定の間、第1の電気的な抵抗器を電気化学セルに並列に接続するという考案に基づいている。このようにして、電気化学セルに、許容されないほど高い電圧が印加されることを回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック排気ガスセンサ(20)、特にラムダゾンデの電気化学セル(21,22)の内部抵抗(R)を特定する方法であって、
前記電気化学セル(21,22)は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている固体電解質とを有しており、
前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を評価及び制御ユニット(10)によって行い、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記電気化学セル(21,22)の第1の電極との接続のために第1の電気的な端子(RE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサの前記電気化学セル(21,22)の第2の電極との接続のために第2の電気的な端子(IPE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記評価及び制御ユニット(10)の第1のスイッチ(SCS1)を介して前記第1の電気的な端子(RE)と接続可能な電流源(SR)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)の信号評価ユニット(12)は、前記第2の電気的な端子(IPE)と接続されており、その結果、前記電流源(SR)は、前記電気化学セル(21,22)を介して、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続されており、
前記電流源(SR)は、前記第1の端子(RE)と接続される場合には、前記評価及び制御ユニット(10)の第2のスイッチ(SCP1)を介して、かつ、前記第2のスイッチ(SCP1)に直列接続されている、前記評価及び制御ユニット(10)の第1の抵抗器(R_P)を介しても、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続可能であり、その結果、前記評価及び制御ユニット(10)の前記第2のスイッチ(SCP1)と前記評価及び制御ユニット(10)の前記第1の抵抗器(R_P)とが直列接続されている経路が、前記電気化学セル(21,22)が接続されている経路と並列接続され、
前記信号評価ユニット(12)は、自身に供給された電気信号に基づいて、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)を特定する、方法において、
前記第1のスイッチ(SCS1)が閉成されかつ前記第2のスイッチ(SCP1)が閉成される第1の動作モードにおいて、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行う、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のスイッチ(SCS1)が閉成されかつ前記第2のスイッチ(SCP1)が開放される第2の動作モードにおいて、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が所定の閾値を上回る場合には、前記第1の動作モードに従って、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行い、
前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が所定の閾値を下回る場合には、前記第2の動作モードに従って、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の閾値は、前記評価及び制御ユニット(10)の前記第1の抵抗器(R_P)の抵抗値と正確に一致し又はほぼ一致し、例えば4kOhmであり又は例えば1kOhm乃至8kOhmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が特定されていない場合に、前記第1のスイッチ(SCS1)が開放される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が特定されていない場合に、前記第2のスイッチ(SCP1)が常に又は少なくとも一時的に閉成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記信号評価ユニット(12)は、自身に供給された電気信号に基づいて、かつ、前記信号に該当する、前記第1のスイッチ(SCS1)の閉成後に発生する過渡的な事象を考慮して、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)を特定する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の第2の電気化学セル(21,22)の第1の電極との接続のために第3の電気的な端子(APE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)の前記第2の電気的な端子(IPE)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記第2の電気化学セル(21,22)の前記第2の電極との接続のために設けられており、
前記第2の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(Ri2)の前記特定を、前記第1の電気化学セル(21,22)について請求項1乃至7のいずれか一項に記載されているように、合理的に行う、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定と前記第2の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(Ri2)の前記特定とを交互に周期的に行う、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
セラミック排気ガスセンサ(20)、特にラムダゾンデの電気化学セル(21,22)の内部抵抗(R)を特定する評価及び制御ユニット(10)であって、
前記電気化学セル(21,22)は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている固体電解質とを有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記電気化学セル(21,22)の第1の電極との接続のために第1の電気的な端子(RE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記電気化学セル(21,22)の第2の電極との接続のために第2の電気的な端子(IPE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記評価及び制御ユニット(10)の第1のスイッチ(SCS1)を介して前記第1の端子(RE)と接続可能な電流源(SR)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)の信号評価ユニット(12)は、前記第2の電気的な端子(IPE)と接続されており、その結果、前記電流源(SR)は、前記電気化学セル(IPE)を介して、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続されており、
前記電流源(SR)は、前記第1の電気的な端子(RE)と接続される場合には、前記評価及び制御ユニット(10)の第2のスイッチ(SCP1)を介して、かつ、前記第2のスイッチ(SCP1)に直列接続されている、前記評価及び制御ユニット(10)の第1の抵抗器(R_P)を介しても、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続可能であり、その結果、前記評価及び制御ユニット(10)の前記第2のスイッチ(SCP1)と前記評価及び制御ユニット(10)の前記第1の抵抗器(R_P)とが直列接続されている経路が、前記電気化学セル(21,22)が接続されている経路と並列接続され、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記信号評価ユニット(10)が、自身に供給された前記電気信号に基づいて、請求項1乃至9のいずれか一項に従って、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)を特定するように構成されている、評価及び制御ユニット(10)。
【請求項11】
ASIC上に集積されている、請求項10に記載の評価及び制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
独国特許出願公開第102010000663号明細書から、内燃機関の排気ガスチャネル内において広帯域ラムダゾンデを動作させ、広帯域ラムダゾンデの動作状態に関する情報を取得するための装置が既に知られている。ここで、広帯域ラムダゾンデは、基準電極端子、内側のポンプ電極端子、外側のポンプ電極端子及び測定端子を有しており、この装置は、広帯域ラムダゾンデのこれらの端子並びに接地抵抗器及び較正抵抗器と接続されており、この装置は、第1のスイッチングマトリックスを有しており、この第1のスイッチングマトリックスは、ポンプ電流源及び基準電流源を、広帯域ラムダゾンデの端子、接地抵抗器、較正抵抗器及び基準電圧源と相互に接続し、この装置は、第2のスイッチングマトリックスを有しており、この第2のスイッチングマトリックスは、広帯域ラムダゾンデの端子、接地抵抗器及び較正抵抗器並びにポンプ電流源及び基準電流源を、デジタル測定システムと相互に接続する。
【0002】
広帯域ラムダゾンデの電気化学セルの内部抵抗を測定するために、従来技術においては、複数の電流源のうちの1つの電流源の電流が完全に、該当する電気化学セルを通って流れる、装置のスイッチング状態が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010000663号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の利点
これに対して、本発明は、既知のこの手法において、電気化学セルの温度が相対的に低い場合、即ち、電気化学セルの内部抵抗が高い場合には、電気化学セルの内部抵抗の測定時に、オームの法則に従って、電気化学セルにおいて電圧が降下し得るという、発明者の基本的な知識に基づいている。これは、セラミック固体電解質の不可逆的な損傷が発生し得るほど高く、これによって、ラムダゾンデの耐用年数が短くなる。ここで、電気化学セルに印加される電圧の高いピーク値も高い平均値も、潜在的に有害であることが証明されている。
【0005】
第1のスイッチが閉成されかつ第2のスイッチが閉成される第1の動作モードにおいて、電気化学セルの内部抵抗の特定が行われるという本発明の措置によって、即ち、測定中に電気化学セルに第1の抵抗器を並列接続することによって、電気化学セルの温度が相対的に低い場合、即ち、電気化学セルの内部抵抗が高い場合であっても、平均してかつピークにおいて、固体電解質に不可逆的に損傷を与えない電圧だけが、電気化学セルにおいて降下することが実現される。即ち、本発明に係る方法によってラムダゾンデの耐用年数は長くなる。
【0006】
有利には、電気化学セルの内部抵抗が閾値を上回る値の場合、電気化学セルの内部抵抗の特定が、少なくとも常にこのような第1の動作モードに従って行われることが想定されるものとしてよい。電気化学セルの内部抵抗が既知でない場合に、電気化学セルの内部抵抗の特定が第1の動作モードに従って行われるものとしてもよい。
【0007】
他方、発展形態においては、電気化学セルの内部抵抗が閾値を上回らない値であるという前提条件が満たされる場合に、第2のスイッチが開放される、即ち、特に、電流源が電気化学セルを介してのみ信号評価ユニット接続される第2の動作モードに従って電気化学セルの内部抵抗の特定が行われることが想定されるものとしてよい。例えば、この前提条件が満たされているか否かを評価するために、存在する場合には、先行する内部抵抗測定の結果を利用することができる。
【0008】
言及された閾値は、例えば4kOhmであるものとしてよく、及び/又は、例えば1kOhm乃至8kOhmの範囲にあるものとしてよい。第1の抵抗器は、4kOhmの抵抗値又は1kOhm乃至8kOhmの間の抵抗値を有するものとしてもよい。この閾値は、特に正確に第1の抵抗器の抵抗値と等しいものとしてよく、又は、ほぼ(例えば、+/-30%)第1の抵抗器の抵抗値と等しいものとしてよい。
【0009】
付加的又は選択的に、電気化学セルの特定の温度を下回ると、第1の動作モードに従って進行され、電気化学セルの特定の温度を上回ると、第2の動作モードに従って進行されることも想定されるものとしてよい。この特定の温度は、例えば、500℃であるものとしてよく、又は、400℃乃至600℃の間の範囲にあるものとしてよい。
【0010】
しかし、選択的に、常に第1の動作モードに従って進行されるものとしてもよい。
【0011】
特に、第1の電気化学セルの内部抵抗が特定されていない場合に、第1のスイッチが開放されることが想定されている。このような場合には、電気化学セルは、電気的に電流源と接続されていない。
【0012】
他方、第1の電気化学セルの内部抵抗が特定されていない場合においても、第2のスイッチが、常に又は少なくとも一時的に、第1の動作モードに従って閉成されることが想定されるものとしてよい。この場合、電気化学セルの電極は第1の抵抗器を介して互いに接続されており、これによって、結果的に、このようなフェーズにおいても、電気化学セルに印加される有害な電圧から保護され、電気化学セルに印加される電圧が平均して、さらに低下する。
【0013】
信号評価ユニットが、自身に供給された電気信号に基づいて電気化学セルの内部抵抗を特定することが想定されている。例えば、電気化学セルにおいて又は電気化学セルと第1の抵抗器との並列接続において降下する電圧を、例えば相対的に、電気化学セルが通電されている状態を、電気化学セルが通電されていない状態と比較することによって評価することができる。
【0014】
さらに、例えば国際公開第18206191号に記載されているように、第1のスイッチの閉成後に発生する過渡的な事象が適当に考慮されるものとしてよい。
【0015】
本発明を、ここまで、1つの電気化学セルに関連して説明してきた。2つ以上の電気化学セルを備えるラムダゾンデ又は他の排気ガスセンサの場合には、2つの又は総ての電気化学セルの内部抵抗も、それぞれ、本発明の態様により特定することができる。
【0016】
2つの電気化学セルを備えるラムダゾンデに関する、本発明の発展形態では、この点において、次のように想定されている。即ち、評価及び制御ユニットが、セラミック排気ガスセンサの第2の電気化学セルの第1の電極との接続のために第3の電気的な端子を有しており、評価及び制御ユニットの第2の電気的な端子が、セラミック排気ガスセンサの第2の電気化学セルの第2の電極との接続のために設けられており、第2の電気化学セルの内部抵抗は、評価及び制御ユニットの電流源が、評価及び制御ユニットの第1のスイッチを介して、又は、評価及び制御ユニットの別の第1のスイッチを介して、第3の端子と接続可能であることによって特定され、評価及び制御ユニットの信号評価ユニットは、第2の電気的な端子と接続されており、その結果、電流源は、第2の電気化学セルを介して、評価及び制御ユニットの信号評価ユニットと接続されており、電流源は、第3の端子と接続される場合には、評価及び制御ユニットの別の第2のスイッチを介して、別の第2のスイッチに直列接続される、評価及び制御ユニットの第1の抵抗器を介して、又は、評価及び制御ユニットの別の第1の抵抗器を介しても、評価及び制御ユニットの信号評価ユニットと接続可能であり、その結果、評価及び制御ユニットの別の第2のスイッチと評価及び制御ユニットの第1の抵抗器又は評価及び制御ユニットの別の第1の抵抗器とが直列接続されている経路が、第2の電気化学セルが接続されている経路と並列接続され、信号評価ユニットは、自身に供給された電気信号に基づいて、第2の電気化学セルの内部抵抗を求めるように、設定されている。
【0017】
第1の電気化学セルの内部抵抗の特定と第2の電気化学セルの内部抵抗の特定とが同時に行われるのではなく、交互に周期的に行われることが想定されるものとしてよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】評価及び制御ユニットを概略的に示し、部分図a、b、c、d及びeに基づいて、例に従った本発明に係る方法の実施を示す図である。
図2】選択的な評価及び制御ユニットを示す図である。
図3】本発明に係る方法の間、さらに比較測定の間に、電流源によって生成された電流及びネルンストセルに印加された電圧を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例の説明
図1aは、本発明に係る方法を実施する評価及び制御ユニット10を概略的に示している。評価及び制御ユニット10は、4つの出力端RE、IPE、APE及びMESを有しており、これらを介して、評価及び制御ユニット10は、広帯域ラムダゾンデ20と接続されている。この例においては、端子RE及びIPEは、広帯域ラムダゾンデ20の第1の電気化学セル21、例えば広帯域ラムダゾンデ20のネルンストセルと接続されており、端子IPE及びAPEは、広帯域ラムダゾンデ20の第2の電気化学セル22、例えば広帯域ラムダゾンデ20のポンプセルと接続されている。出力端APE及びMESは、例えば、広帯域ラムダゾンデ20の平衡抵抗器と接続されているものとしてよい。
【0020】
評価及び制御ユニット10は、さらに電流源SRを有しており、これは、一定の制限内において、自身に接続されている負荷とは無関係に所定の電流を生成する。これは、例えば0.25mAの範囲の電流である。評価及び制御ユニット10は、さらに信号評価ユニット12を有しており、これは、例えば、アース電位に対して相対的に、及び/又は、以前に検出された若しくは後に検出される電位に対して相対的に、自身に接続されている電位を評価することができる。
【0021】
広帯域ラムダゾンデのネルンストセル21の内部抵抗Rを測定することができるようにするために、電流源SRは第1のスイッチSCS1を介して端子REと接続可能であり、さらに信号評価ユニット12は端子IPEと接続されている。さらに、広帯域ラムダゾンデのポンプセル22の内部抵抗Ri2を測定することができるようにするために、電流源SRは、付加的に、別の第1のスイッチSCS2を介して端子APEとも接続可能である。ネルンストセル21と並列に、第2のスイッチSCP1と、この例においては抵抗値Rが4kOhmである第1の抵抗器R_Pとが、評価及び制御ユニット10において、互いに直列接続されている。
【0022】
さらに、評価及び制御ユニット10において、ポンプセル22と並列に、別の第2のスイッチSCP2と第1の抵抗器R_Pとが互いに直列接続されている。この点において、第1の抵抗器R_Pは、ネルンストセル21に対して並列な分岐にも、ポンプセル22に対して並列な分岐にも配置されている。選択的に、2つの異なる第1の抵抗器R_Pを使用することも可能である。
【0023】
図1aにおいては、2つの第1のスイッチSCS1、SCS2が開放されており、2つの第2のスイッチSCP1、SCP2は閉成されている。即ち、ここでは現在、内部抵抗測定は行われていない。ネルンストセル21とポンプセル22とは、ここでは例示的に、それぞれ第1の抵抗器R_Pを介して短絡されており、その結果、2つの電気化学セル21、22は、それらに印加される有害な電圧から保護されている。
【0024】
図1bは、第1の動作モードに従った、即ち、高抵抗で低温のネルンストセル21の場合におけるネルンストセル21の内部抵抗Rの測定を示している。ここで、第1のスイッチSCS1と第2のスイッチSCP1とが閉成されているため、電流源SRによって生成された、例えばISR=0.25mAの電流が、信号評価ユニット12へ流れ、ここで、キルヒホッフの法則に従って、ネルンストセル21を通る分岐と、第1の抵抗器R_Pを通る分岐とに、電気抵抗と流れる電流との積がこれら2つの分岐において等しくなるように、分割される。即ち、外部からネルンストセル21に印加される電圧は、ネルンストセル21が高抵抗(低温)であっても、第1の抵抗器の抵抗値Rと、電流源によって生成される電流ISRとの積(この例においては1ボルトである)より大きくなることはあり得ない。これは、ネルンストセル21のセラミック及び固体電解質に臨界的ではない値である。対応する電位を検出することによって、信号評価ユニット12において、ネルンストセル21の高い内部抵抗及び低い温度を推定することができる。
【0025】
より詳細には、例えば国際公開第18206191号に記載されているように、第1のスイッチSCS1の閉成後に発生する過渡的な事象が適当に考慮されるものとしてよい。
【0026】
図1cは、第2の動作モードに従った、即ち、低抵抗で高温のネルンストセル21の場合におけるネルンストセル21の内部抵抗Rの測定を示している。ここで、第1のスイッチSCS1は閉成されたままだが、第2のスイッチSCP1は開放されており、そのため、電流源SRによって生成された、例えばISR=0.25mAの電流が、ネルンストセル21を通って、さらに信号評価ユニット12へ流れる。この例においては、信号評価ユニットにおいて、ネルンストセルでの50mVの電圧降下に対応する電位が測定される。ここから、ネルンストセルの内部抵抗Rが200Ohmであることが推定される。これは、例えば、ネルンストセル21の780℃の温度に対応する。
【0027】
図1dは、第1の動作モードに従った、即ち、高抵抗で低温のポンプセル22の場合におけるポンプセル22の内部抵抗Ri2の測定を示している。ここで、別の第1のスイッチSCS2及び別の第2のスイッチSCP2は閉成されており、そのため、電流源SRによって生成された、例えばISR=0.25mAの電流が信号評価ユニット12へ流れ、ここで、キルヒホッフの法則に従って、ポンプセル22を通る分岐と、第1の抵抗器R_Pを通る分岐とに、電気抵抗と流れる電流との積がこれら2つの分岐において等しくなるように分割される。即ち、外部からポンプセル22に印加される電圧は、ポンプセル22が高抵抗(低温)であっても、第1の抵抗器の抵抗値Rと、電流源によって生成される電流ISRとの積(この例においては1ボルトである)より大きくなることはあり得ない。これは、ポンプセル22のセラミック及び固体電解質に臨界的ではない値である。対応する電位を検出することによって、信号評価ユニット12において、ポンプセルの高い内部抵抗及び低い温度を推定することができる。
【0028】
より詳細には、例えば国際公開第18206191号に記載されているように、別の第1のスイッチSCS2の閉成後に発生する過渡的な事象が適当に考慮されてよい。
【0029】
図1eは、第2の動作モードに従った、即ち、低抵抗で高温のポンプセル22の場合におけるポンプセル22の内部抵抗Ri2の測定を示している。ここで、別の第1のスイッチSCS2は閉成されたままだが、別の第2のスイッチSCP2は開放されており、そのため、電流源SRによって生成された、例えばISR=0.25mAの電流が、ポンプセル22を通って、さらに信号評価ユニット12へ流れる。この例においては、信号評価ユニット12において、ポンプセルでの50mVの電圧降下に対応する電位が測定される。ここから、ポンプセルの内部抵抗が200Ohmであることが推定される。これは、例えば、ポンプセルの780℃の温度に対応する。
【0030】
この例においては、ネルンストセル21及びポンプセル22の内部抵抗R、Ri2の測定が、これらの内部抵抗R、Ri2が4kOhmより小さいことが既知である場合には、周期的かつ交互に、即ち、第2の動作モードに従って行われ、その他の場合には、即ち、ネルンストセル21及びポンプセル22の内部抵抗R、Ri2が先行する測定から既知ではない場合、又は、これらの内部抵抗R、Ri2が4kOhmより大きいことが既知である場合には、第1の動作モードに従って行われることが想定されている。
【0031】
図2は、2つの第1のスイッチSCS1、SCS2が端子RE及びAPEの直前に配置されており、かつ、第2のスイッチSCPが1つしか設けられていない、選択的な評価及び制御ユニット10を示している。この例においては、さらに2つの他のスイッチS及びSが設けられており、これらを介して、電流源SRが信号評価ユニット12と接続可能である。
【0032】
この方法をさらに説明するために、図3には、電流源SRによって生成されたポンプ電流ISRと、低温のラムダゾンデ20のネルンストセル21において降下する電圧Uとが、時間の経過において示されている。
【0033】
ここで、ポンプ電流ISRは、0mA及び0.25mAの値の間を行ったり来たりする(破線を参照)。第2のスイッチSCP1は、低温のゾンデ20に対して設定されている第1の動作モードに従って閉成されているので、ネルンストセル21において降下する電圧は、1ボルトの値を超えることはない(実線を参照)。
【0034】
低温のゾンデ20の場合には、第2の動作モードに従って(即ち、開放されている第2のスイッチSCP1の下で)、ネルンストセル21の内部抵抗Rが、比較の目的においてのみ測定されており、これは、本発明の手法に相当せず、冒頭において述べた従来技術の手法に相当する。このような場合には、ネルンストセル21において、この例では最大4.5Vの高い電圧Uが降下する(点線を参照)。ネルンストセル21におけるそのような電圧は、これを直ちに破壊することはないが、出願人の、より新たな知識によれば、それらが周期的に印加される場合には、ラムダゾンデ20の耐用年数を短くするので、有利には回避される。
【0035】
記載された評価及び制御ユニットは、例えば、ASIC上に集積されるものとするとよい。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック排気ガスセンサ(20)、特にラムダゾンデの電気化学セル(21,22)の内部抵抗(R)を特定する方法であって、
前記電気化学セル(21,22)は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている固体電解質とを有しており、
前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を評価及び制御ユニット(10)によって行い、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記電気化学セル(21,22)の第1の電極との接続のために第1の電気的な端子(RE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサの前記電気化学セル(21,22)の第2の電極との接続のために第2の電気的な端子(IPE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記評価及び制御ユニット(10)の第1のスイッチ(SCS1)を介して前記第1の電気的な端子(RE)と接続可能な電流源(SR)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)の信号評価ユニット(12)は、前記第2の電気的な端子(IPE)と接続されており、その結果、前記電流源(SR)は、前記電気化学セル(21,22)を介して、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続されており、
前記電流源(SR)は、前記第1の端子(RE)と接続される場合には、前記評価及び制御ユニット(10)の第2のスイッチ(SCP1)を介して、かつ、前記第2のスイッチ(SCP1)に直列接続されている、前記評価及び制御ユニット(10)の第1の抵抗器(R_P)を介しても、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続可能であり、その結果、前記評価及び制御ユニット(10)の前記第2のスイッチ(SCP1)と前記評価及び制御ユニット(10)の前記第1の抵抗器(R_P)とが直列接続されている経路が、前記電気化学セル(21,22)が接続されている経路と並列接続され、
前記信号評価ユニット(12)は、自身に供給された電気信号に基づいて、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)を特定する、方法において、
前記第1のスイッチ(SCS1)が閉成されかつ前記第2のスイッチ(SCP1)が閉成される第1の動作モードにおいて、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行う、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のスイッチ(SCS1)が閉成されかつ前記第2のスイッチ(SCP1)が開放される第2の動作モードにおいて、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が所定の閾値を上回る場合には、前記第1の動作モードに従って、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行い、
前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が所定の閾値を下回る場合には、前記第2の動作モードに従って、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定を行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の閾値は、前記評価及び制御ユニット(10)の前記第1の抵抗器(R_P)の抵抗値と正確に一致し又はほぼ一致し、例えば4kOhmであり又は例えば1kOhm乃至8kOhmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が特定されていない場合に、前記第1のスイッチ(SCS1)が開放される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)が特定されていない場合に、前記第2のスイッチ(SCP1)が常に又は少なくとも一時的に閉成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記信号評価ユニット(12)は、自身に供給された電気信号に基づいて、かつ、前記信号に該当する、前記第1のスイッチ(SCS1)の閉成後に発生する過渡的な事象を考慮して、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)を特定する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の第2の電気化学セル(21,22)の第1の電極との接続のために第3の電気的な端子(APE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)の前記第2の電気的な端子(IPE)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記第2の電気化学セル(21,22)の前記第2の電極との接続のために設けられており、
前記第2の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(Ri2)の前記特定を、前記第1の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R )の前記特定について請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法と同様に行う、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)の前記特定と前記第2の電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(Ri2)の前記特定とを交互に周期的に行う、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
セラミック排気ガスセンサ(20)、特にラムダゾンデの電気化学セル(21,22)の内部抵抗(R)を特定する評価及び制御ユニット(10)であって、
前記電気化学セル(21,22)は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている固体電解質とを有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記電気化学セル(21,22)の第1の電極との接続のために第1の電気的な端子(RE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記セラミック排気ガスセンサ(20)の前記電気化学セル(21,22)の第2の電極との接続のために第2の電気的な端子(IPE)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記評価及び制御ユニット(10)の第1のスイッチ(SCS1)を介して前記第1の端子(RE)と接続可能な電流源(SR)を有しており、
前記評価及び制御ユニット(10)の信号評価ユニット(12)は、前記第2の電気的な端子(IPE)と接続されており、その結果、前記電流源(SR)は、前記電気化学セル(IPE)を介して、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続されており、
前記電流源(SR)は、前記第1の電気的な端子(RE)と接続される場合には、前記評価及び制御ユニット(10)の第2のスイッチ(SCP1)を介して、かつ、前記第2のスイッチ(SCP1)に直列接続されている、前記評価及び制御ユニット(10)の第1の抵抗器(R_P)を介しても、前記評価及び制御ユニット(10)の前記信号評価ユニット(12)と接続可能であり、その結果、前記評価及び制御ユニット(10)の前記第2のスイッチ(SCP1)と前記評価及び制御ユニット(10)の前記第1の抵抗器(R_P)とが直列接続されている経路が、前記電気化学セル(21,22)が接続されている経路と並列接続され、
前記評価及び制御ユニット(10)は、前記信号評価ユニット(12)が、自身に供給された前記電気信号に基づいて、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法に従って、前記電気化学セル(21,22)の前記内部抵抗(R)を特定するように構成されている、評価及び制御ユニット(10)。
【請求項11】
ASIC上に集積されている、請求項10に記載の評価及び制御ユニット。
【国際調査報告】