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特表2022-531448雰囲気が制御される処理チャンバを自動管理するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】雰囲気が制御される処理チャンバを自動管理するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 21/00 20060101AFI20220629BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B25J21/00
B65B55/04 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565867
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 IT2020050105
(87)【国際公開番号】W WO2020225838
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】102019000006552
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500361593
【氏名又は名称】イ・エメ・ア,インドゥストリア・マキーネ・オートマティーク・ソシエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ガブシ ガブリエーレ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707BS12
3C707ES03
3C707KT01
3C707KT06
3C707NS02
3C707XJ01
(57)【要約】
雰囲気が制御される隔絶された処理チャンバ(12)内で医薬品を処理及び/又は包装するための機械の組立てを自動管理するための装置及び方法を開示し、処理チャンバ(12)は壁(14)によって区切られ、壁(14)のうち少なくとも1つに、一次閉止ユニット(19’)を用いて選択的に閉止可能な少なくとも1つのアクセス用開口(15)が設けられている。本装置は処理チャンバ(12)から出し入れすべき1つ又は複数の組立可能要素(11)を入れることができる輸送用容器(20)を備えており、輸送用容器(20)は、チャンバ(12)外部からアクセス用開口(15)に関連付けられるように構成され、当該輸送用容器(20)の内部をチャンバ(12)の内部に連通させるために一次閉止ユニット(19’)共々開放できるよう、一次閉止ユニット(19’)と協働できる二次閉止ユニット(20’)を備えている。本装置はまた、ハンドリング装置(13)と、交替で組立可能要素(11)を把持し又は離すように構成された作業ツール(25)と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルーム内で医薬品を処理及び/又は包装するための機械の組立てを自動管理するための装置であって、
壁(14)によって区切られたチャンバ(12)であって、当該壁(14)のうち少なくとも1つに、一次閉止ユニット(19’)を用いて選択的に閉止可能な少なくとも1つのアクセス用開口(15)が設けられたチャンバ(12)と、
前記医薬品を処理するための処理システム(26)であって、当該処理システムを得るために他の要素に取外し可能に結合可能な少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を備えており、前記チャンバ(12)に収容されている処理システム(26)と、
前記チャンバ(12)外部から前記アクセス用開口(15)に関連付けられるように構成された輸送用容器(20)であって、当該輸送用容器(20)の内部を前記チャンバ(12)の内部に連通させるために前記一次閉止ユニット(19’)共々開放できるよう、前記チャンバ(12)の前記一次閉止ユニット(19’)と協働できる二次閉止ユニット(20’)を備えている輸送用容器(20)と、
を備えており、
前記輸送用容器(20)は、前記処理システム(26)を得るために他の要素に結合すべき前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を入れるように構成された装置において、
前記装置は、前記チャンバ(12)に収容されたハンドリング装置(13)を備えており、
前記ハンドリング装置(13)は可動の作業ツール(25)を備えており、
前記作業ツール(25)は、前記処理システム(26)を得るために前記輸送用容器(20)から前記組立可能要素(11)をそれぞれ取り出して所定の位置に組み付けることにより前記組立可能要素(11)を他の要素に結合するため、及び/又は、共に前記処理システム(26)を構成する前記他の要素から前記組立可能要素(11)を結合解除して前記輸送用容器(20)内に戻すため、前記組立可能要素(11)を交替で把持し又は離すよう構成されている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの組立可能要素(11)を認識して、対応する認識信号を前記ハンドリング装置(13)へ送信するよう構成された認識装置(41)をさらに備えている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記認識信号は、前記処理システム(26)における前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)の組付位置及び/若しくは組付方向、又は、前記ハンドリング装置(13)による前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)の把持位置、のうちいずれか少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記認識装置(41)は、前記組立可能要素(11)を認識するための画像を取得するよう構成された少なくとも1つのセンサを備えている、
請求項2又は3記載の装置。
【請求項5】
前記組立可能要素(11)は、前記識別装置(41)により認識される認識コードを備えている、
請求項2から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記作業ツール(25)は、第1の把持要素(25a)及び第2の把持要素(25b)により構成された把持部を備えており、
前記第1の把持要素(25a)及び第2の把持要素(25b)は、前記モジュール型の組立可能要素(11)をそれぞれ把持し及び離すために互いに離接すべく往復移動するように共に協働し、互いに対して可動である、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記ハンドリング装置(13)は、制御指令ユニット(40)によって制御されるロボット自動ハンドラを備えており、
好適には、前記ロボット自動ハンドラは少なくとも6つの動作軸を有する擬人ロボットとして構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記処理システム(26)は、前記クリーンルーム内部で前記医薬品を輸送するための輸送システムである、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)は、前記医薬品を載せて運ぶための輸送要素(31,32)であって前記輸送システムを得るための輸送要素(31,32)である、
請求項6記載の装置。
【請求項10】
前記組立可能要素(11)は、前記処理システム(26)に関連付け可能なホッパ(28)及び/又は収集用容器(29)である、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
一次閉止ユニット(19’)を用いて選択的に閉止可能な少なくとも1つのアクセス用開口(15)が設けられた壁(14)を少なくとも1つ含む壁によって区切られたクリーンルーム(12)内で医薬品を処理及び/又は包装するための機械の自動組立てを行うための方法であって、
二次閉止ユニット(20’)を備えた輸送用容器(20)を前記チャンバ(12)の外部から前記アクセス用開口(15)に応じて関連付けるステップと、ただし前記二次閉止ユニット(20’)は、前記輸送用容器(20)の内部を前記チャンバ(12)の内部に連通させるために前記一次閉止ユニット(19’)及び前記二次閉止ユニット(20’)が開放できるように前記一次閉止ユニット(19’)と協働可能であり、
前記チャンバ(12)の内部を前記輸送用容器(20)の内部に連通させるため、前記一次閉止ユニット(19’)及び前記二次閉止ユニット(20’)を開放するステップと、
少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を前記輸送用容器(20)から取り出して、医薬品を処理するための前記システム(26)における所定の位置に組み付けるステップと、
を有する方法において、
前記開放するステップと、前記抽出するステップと、前記取り出すステップとは、前記チャンバ(12)内に収容されたハンドリング装置(13)を用いて行われ、
前記ハンドリング装置(13)は、可動の作業ツール(25)によって前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を把持し、前記処理システム(26)の所定の位置に前記医薬品を組み付けるために供給する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を認識装置(41)によって認識し、対応する認識信号を前記ハンドリング装置(13)へ送信するステップを有する、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記認識信号は、前記処理システム(26)における前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)の組付位置及び/若しくは組付方向、並びに/又は、前記ハンドリング装置(13)による前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)の把持位置、に関する情報を含む、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの組立可能要素(11)を取り出すステップは、前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を収容した支持スライダ(23)を前記輸送用容器(20)から取り出すステップと、その後、前記支持スライダ(23)から前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を取り出すステップと、によって行われる、
請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素(11)を取り出して組み付けるステップの後、前記ハンドリング装置(13)を用いて前記支持スライダ(23)を前記輸送用容器(20)内に再導入し、前記ハンドリング装置(13)を用いて前記一次閉止ユニット(19’)を閉止する、
請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に「アイソレータ」又は「クリーンルーム」と称される、雰囲気が制御される処理チャンバを自動管理するための装置及び方法に関するものであり、特に、保護された環境下かつ制御され規定された雰囲気条件下で動作する医薬品の包装用及び/又は処理用の機械において上述のような処理チャンバを自動管理するための装置及び方法に関するものである。本発明の装置及び方法は、特に、チャンバ内に配された定置の構造物に取り付けられる要素又は部品を処理チャンバに自動的に入れたり処理チャンバから自動的に取り出すための、上記の機械の組立てを自動管理するものである。
【背景技術】
【0002】
製薬分野では、例えば粉薬、錠剤又は丸剤等の医薬品を処理及び包装する作業は、一般に「アイソレータ」と称される保護されたチャンバ内で行われ、このチャンバは外部環境から隔絶され、制御された雰囲気中で無菌状態に維持される。
【0003】
処理及び/又は包装する装置や機器は上述のような保護されたチャンバ内部で行われ、このチャンバは特殊な出入口によって外部に接続されており、出入口には、保護チャンバの内外で材料の保護された移送を可能にする移送ポートが設けられており、これによりチャンバの内部環境と外部環境とが直接接続されることが阻止される。現行の規制を順守していることの認証を受けた上述のような移送ポートは、一般に「アルファベータ」ポートや、ラピッドトランスファポート(Rapid Transfer Port)の略称である「RTP」との呼称で知られている。
【0004】
上述の保護チャンバは、通常はハンドリング装置も装備しており、このハンドリング装置は、保護チャンバ内に入った製品及び/又は機器とオペレータがやりとりできるようにするものであり、例えば、保護チャンバ内でオペレータが作業できるようにするためのグローブ等である。グローブには一般に、保護チャンバの壁に設けられた特殊な孔に対する気密シールが取り付けられ、この保護チャンバの特殊な孔からグローブをチャンバ内部に突っ込む。
【0005】
要求されている無菌要件が常に満たされることを保証するためには、保護チャンバの雰囲気を外部環境の雰囲気から常に隔絶しなければならず、また、殺微生物作用や殺菌作用を有する適切な化学物質を用いて保護チャンバ内部の処理を周期的に行うよう規定されている。例えば、最も普及している処理の1つに、いわゆるVHP(Vaporized Hydrogen Peroxide)と称される処理サイクルがあり、これは、保護チャンバの滅菌サイクルを行うために過酸化水素蒸気ベースの物質を保護チャンバ内に導入するものである。かかるサイクルは、医薬品の処理及び包装プロセスの清浄性及び衛生状態を保証するために厳しい規制によって規制されているが、このサイクル中、チャンバ内に導入された物質は、保護チャンバを完全に滅菌処理するため、チャンバ自体の壁や、チャンバに入っているあらゆる物、部品又は構造に堆積する。
【0006】
従来技術の欠点の1つは、滅菌サイクルにおいて使用される微量の物質が、保護チャンバ内で処理や包装された医薬品において確認されることである。これが生じる理由は、保護チャンバ内に入っている様々な要素、例えば医薬品を前進させるガイド等が滅菌サイクルを施されて、このサイクルで使用された滅菌物質が一定量堆積し、これらの様々な要素に医薬品が接触するからである。この欠点は特に不所望なものであり、滅菌サイクルにおいて使用された微量の滅菌物質を医薬品の利用者が摂取することを防止する必要があることが明らかである。
【0007】
従来技術の他の1つの欠点は、使用される滅菌物質が化学的に非常に攻撃的であることが多いため、時間の経過と共に、保護チャンバ内に入っている要素や部品の中で腐食されるものが出てくる可能性があることである。この欠点も特に不所望であり、滅菌サイクルにおいて使用される滅菌物質が保護チャンバ内に入っている要素や部品に損傷を与えたり、その使用可能寿命を短縮することを防止する必要があることが明らかであり、このような損傷や寿命短縮は要素あるいは部品の交換の早期化の原因となり、その結果、保守コストや保守時間の連続増加を伴う。
【0008】
上述の欠点を解消するため、滅菌サイクルを実施する前に処理対象の医薬品と接触する全ての部品又は要素を取り外し、その後、滅菌サイクルの終了時に各自の位置に組み付けし戻せる、保護チャンバの管理システムが複数完成している。
【0009】
かかるシステムの一例が独国特許出願公開第102015102143号明細書に記載されており、そのシステムは、保護チャンバの保護雰囲気を破壊したり損なわずに保護チャンバにおける部品の出し入れを行うための輸送用容器を備えている。輸送用容器は保護チャンバ外部に配置され、一時的に上述の「アルファベータ」移送ポート又はRTPポートに着脱可能に接続される。かかるRTP移送ポートの一例が米国特許第5783156号明細書に記載されており、同文献ではドアフレームと、ドア間に挟まれた閉鎖空間自体を滅菌処理するためのシステムが開示されている。
【0010】
また、独国特許出願公開第102015102143号明細書に記載されているシステムは、例えば滅菌サイクルが実施完了した後等に、部品を意図した位置に組み付けるために輸送用容器を用いて保護チャンバに導入された部品と、例えば滅菌サイクルを実施する前等に、輸送用容器で交換するために保護チャンバから取り出すべき部品の両方を、オペレータが上述のグローブを用いて操作するものとなっている。
【0011】
従来技術において公知であるこの解決手段の欠点の1つは、アイソレータから隔絶した状態で当該アイソレータ内で作業する間に用いられるグローブが、チャンバ内に汚染物質を持ち込む手段となり得ることである。実際、使用中にグローブに孔や切れ目が形成され、これを通じて汚染物質が保護チャンバに侵入するということが生じ得る。
【0012】
さらに、この解決手段はオペレータの安全問題に繋がるおそれがあり、例えばグローブが損傷して、オペレータの健康にとって危険、有毒及び/又は有害となり得る医薬品や、周囲の環境にとって有害となり得る医薬品と接触するような場合等に問題となり得る。
【0013】
本解決手段の他の1つの欠点は、グローブを用いて行われる手動の作業が長時間かつ労力を要することである。というのも、グローブによってオペレータの触覚の感度が低下するからである。
【0014】
米国特許出願公開第2004/0185521号明細書に記載の解決手段についても同様の欠点があり、同文献では、クリーンルーム内にある微生物量を検出するための装置を、オペレータがそのチャンバの壁のうち1つ自体に関連付けられたグローブを用いて外部から操作する。
【0015】
本発明の1つの目的は、雰囲気が制御される処理チャンバを自動管理するための装置及び方法であって、従来技術において公知の解決手段の欠点のうち少なくとも1つを解消する装置及び方法を提供することである。
【0016】
本発明の1つの目的は、オペレータがグローブを用いて行う手動介入を何ら要しない、処理チャンバを自動管理するための装置及び方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の1つの目的は、外部から特にグローブを通じて持ち込まれる汚染物質に起因する処理チャンバの汚染の問題の可能性を無くし、又は少なくとも有意に低減する、処理チャンバを自動管理するための装置及び方法を提供することである。
【0018】
他の1つの目的は、処理チャンバ内に配置された1つ又は複数の部品又は要素の組立て及び取外し作業を、迅速、簡単かつ完全自動で行うことができる、処理チャンバを自動管理するための装置及び方法を提供することである。
【0019】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成する本発明を着想し、試験し、具現化した。
【発明の概要】
【0020】
本発明は独立請求項に記載され、またその特徴が特定される。従属請求項は本発明の他の特徴又は本発明の主な思想に対する変形態様を記載する。
【0021】
本願に記載の実施形態は、処理チャンバ内で製品を処理及び/又は包装するための機械の組立てを自動管理するための装置に関するものである。一部の実施形態では、処理チャンバ又はクリーンルームは、雰囲気が制御され壁により区切られた隔離チャンバであり、当該壁のうち少なくとも1つには、一次閉止ユニットを用いて閉止可能な少なくとも1つのアクセス用開口が設けられている。
【0022】
一部の実施形態では本装置は、医薬品を処理するための処理システムを備えており、当該処理システムは、処理チャンバに収容された処理システムを得るために他の要素に取外し可能に結合可能な少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素を備えている。
【0023】
本願に記載されている実施形態では、本装置は、処理チャンバ外部からアクセス用開口に関連付けられるように構成された、例えば閉じた筒状体の形態等の輸送用容器を備えており、輸送用容器は、処理チャンバの内部を当該輸送用容器の内部に連通させるために一次閉止ユニット共々開放でき、それと同時に処理チャンバの内部及び輸送容器の内部を外部環境から隔離して分離した状態に維持するために、一次閉止ユニットと協働できる二次閉止ユニットを備えている。輸送用容器は、上記の処理システムを得るために他の要素に結合すべき1つ又は複数のモジュール型の組立可能要素を入れるように構成されている。組立可能要素は典型的には、処理チャンバ内に一時的に配置すべきもの、又は、当該処理チャンバから一時的に取り出すべきものである。
【0024】
本発明の他の特徴的な一側面では、本装置は、処理チャンバに収容されたハンドリング装置を備えており、ハンドリング装置は可動の作業ツールを備えており、作業ツールは、上記の処理システムを得るために輸送用容器から組立可能要素をそれぞれ取り出して所定の位置に組み付けることにより組立可能要素を他の要素に結合するため、及び/又は、共に上記の処理システムを構成する他の要素から組立可能要素を結合解除して輸送用容器内に戻すため、組立可能要素を交替で把持し又は離すよう構成されている。
【0025】
本願にて開示されている一実施形態では、ハンドリング装置は、関節連結された部品を複数備えており、関節連結された部品はそれぞれ各自の回転軸まわりに他の関節連結された部品に対して回転するように互いに対して枢動する。というのもハンドリング装置は、処理チャンバの管理に関連する明確な指令に従って制御ユニットにより制御されるロボット自動ハンドラとして、例えば少なくとも6つの動作軸を有する擬人ロボット等として構成されているからである。
【0026】
一部の実施形態では、輸送用容器は、組立可能要素を載せる1つ又は複数の支持面が設けられた支持スライダを備えている。
【0027】
本願に記載されている実施形態では、輸送用容器はガイド手段を備えており、輸送用容器に収容される後退位置と、輸送用容器から少なくとも部分的に取り出されて処理チャンバ内に突出する取出位置と、の間で支持スライダを移動させるため、支持スライダに設けられた適切なスライドガイド手段がガイド手段に係合している。
【0028】
本願に記載されている実施形態では、上記のようにモジュール型の組立可能要素は、処理される物すなわち医薬品と接触する要素であり、例えばホッパ、又は収集用容器、又は輸送要素等である。かかる組立可能要素は、当該組立可能要素を支持する各機器又は装置から迅速かつ容易に取り外し再装着できるようにするため、可逆的に(reciprocally)脱着できるように構成されている。この取外しとその後の再装着は、本発明の管理装置に設けられたハンドリング装置を用いて行われ、このハンドリング装置は例えば多関節ロボットとすることができ、特に6つの動作軸を有する多関節ロボットとすることができる。
【0029】
本発明の一側面では、一次閉止ユニットを用いて選択的に閉止可能な少なくとも1つのアクセス用開口が設けられた壁を少なくとも1つ含む壁によって区切られたクリーン処理ルーム内で医薬品を処理及び/又は包装するための機械の自動組立てを行うための方法を提供する。
【0030】
本発明の方法の特徴面は、
二次閉止ユニットを備えた輸送用容器を処理チャンバの外部からアクセス用開口に応じて関連付けるステップと、ただし二次閉止ユニットは、処理チャンバの内部を輸送用容器の内部に連通させるために一次閉止ユニット及び二次閉止ユニットが開放できるように一次閉止ユニットと協働可能であり、
処理チャンバの内部を輸送用容器の内部に連通させるため、上記の一次閉止ユニット及び二次閉止ユニットを開放するステップと、
少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素を輸送用容器から取り出して、医薬品を処理するためのシステムにおける所定の位置に組み付け、又は逆に、組立可能要素を輸送用容器内に戻すため、処理チャンバ内における組立可能要素の位置から当該組立可能要素を取り外すステップと、
を有する。
【0031】
本発明の方法の特徴面では、前記開放するステップと、前記抽出するステップと、前記取り出すステップとは、クリーンルーム内に収容されたハンドリング装置を用いて行われ、ハンドリング装置は、可動の作業ツールによって少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素を把持し、処理システムの所定の位置に医薬品を組み付けるために供給する。
【0032】
本発明の方法の実施形態では、少なくとも1つの組立可能要素を取り出すステップは、少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素を収容した支持スライダを輸送用容器から取り出すステップと、その後、支持スライダから少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素を取り出すステップと、によって行われる。
【0033】
本発明の方法の実施形態では、少なくとも1つのモジュール型の組立可能要素を取り出して組み付けるステップの後、ハンドリング装置を用いて支持スライダを輸送用容器内に再導入し、ハンドリング装置を用いて一次閉止ユニットを閉止する。
【0034】
好適な一実施形態では、支持スライダを輸送用容器から取り出すステップと、その後の支持スライダを輸送用容器に再導入するステップと、モジュール型の組立可能要素を支持スライダから取り出すステップは、その後の組立可能要素を支持スライダに再配置するステップと共に、全てハンドリング装置によって行われる。
【0035】
本発明の他の一側面では、医薬品を処理及び/又は包装するための機械を準備する方法を提供し、これは、処理システムの組立てを自動管理するための上述の方法により自動的に処理チャンバを管理するためのものであり、クリーンルーム内において周期的に、殺微生物作用や殺真菌作用を有する例えば過酸化水素蒸気等の化学物質を用いて滅菌サイクルを1回又は複数回行う。上述のような機械を準備するための方法の特徴的な一側面では、滅菌サイクル中は組立可能要素は処理チャンバの外部に配置される。というのも、組立可能要素は上記のように輸送用容器を用いてクリーンルームの外部に取り出され、その後クリーンルーム内部に戻されるからである。
【0036】
本発明の処理チャンバ内で医薬品を処理及び/又は包装するための機械の組立てを自動管理するための上記の装置及び方法により、好適には多関節ロボットであるハンドリング装置を用いて、上記の処理システムを構成する組立可能要素を自動的に組立て又は取り外すことができるという利点が奏される。
【0037】
本発明の一つの利点は、処理チャンバの壁のうち1つにグローブを配置し、これを用いてオペレータが手動で、組立可能要素の組立作業や取外し作業を行う必要がなくなることである。このことが有利である理由は、スリット又は切れ目を有し得るグローブに起因する処理チャンバの保護雰囲気の不所望のコンタミネーションが生じるリスクが無くなるか又は有意に低減するからであり、上述のようなスリット又は切れ目があると、これを通じて菌やウィルス等の微生物が処理チャンバ内に侵入する可能性がある。
【0038】
本発明の他の1つの利点は、組立可能要素の組立てや取外しの手動作業がオペレータにとって長時間及び労力を要したり、実施の観点で不便になることを回避できることであり、これによる長時間化や、長時間の機械ダウン時間を回避することができる。
【0039】
本発明のさらに1つの他の利点は、処理チャンバ内への組立可能要素の導入や処理チャンバからの組立可能要素の取り出しを完全自動化できる医薬品処理包装機械及びこれを準備する方法を提供できることであり、これにより上記の利点が奏される。
【0040】
本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照した非限定例としての一部の実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本願に記載されている実施形態の、雰囲気が制御される処理チャンバの自動管理を行うための装置に設けられた多関節のハンドリング装置の概略的な立体図である。
図2】本発明の雰囲気が制御される処理チャンバの自動管理を行うための装置の動作順序を示す概略的な立体図である。
図3】本発明の雰囲気が制御される処理チャンバの自動管理を行うための装置の動作順序を示す概略的な立体図である。
図4】本発明の雰囲気が制御される処理チャンバの自動管理を行うための装置の動作順序を示す概略的な立体図である。
図5】本発明の雰囲気が制御される処理チャンバの自動管理を行うための装置の動作順序を示す概略的な立体図である。
図6】本発明の雰囲気が制御される処理チャンバの自動管理を行うための装置の動作順序を示す概略的な立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
より理解しやすくするため、可能な場合には、図面中の同一の共通要素を示すために同一の符号を使用している。1つの実施形態の要素や特徴は、さらなる明確化を要せずに他の実施形態に簡便に取り入れることが可能であると解される。以下、本発明の種々の実施形態について詳細に記載する。その一例又は複数例が、添付図面に示されている。各例は本発明の例示のために提示されるものであり、本発明を限定するものとして解すべきものではない。例えば、図示又は記載された特徴は、1つの実施形態の一部である限りにおいて、他の実施形態に採用し又は関連付けることにより、他の一実施形態を得ることができる。本発明は、かかる全ての改良形態及び変形態様を含むと解される。
【0043】
これらの実施形態を説明する前に、ここで明確にすべき点として、本説明はその出願において、添付図面を参照した以下の説明に記載の構成要素の構造や配置の詳細について限定されるものではないことを述べておく。本願明細書は他の実施形態も提供できるものであり、また、種々の他の態様で得られ、また実施できるものである。本願明細書にて使用されている文言及び用語用法はあくまで説明目的のためのものであり、本発明を限定するものと解してはならない。
【0044】
添付図面を用いて記載された実施形態は、医薬品を処理及び/又は包装するための機械の、「アイソレータ」又は「クリーンルーム」とも称される区域において、処理チャンバ12内において医薬品を処理及び/又は包装するための機械の組立てを自動管理するための装置10に関するものである。処理チャンバ12は、外部環境から隔絶され環境が制御される閉鎖されたチャンバである。
【0045】
装置10は、特に製薬部門において、処理対象の製品と接触するこの組立可能要素11を処理チャンバ12に挿入して位置決めするため、及びその後、かかる部品を処理チャンバ12から取り出すために使用するのに適している。
【0046】
装置10は、処理チャンバ12内部に配置された少なくとも1つのハンドリング装置13と、処理チャンバ12の内外に1つ以上の組立可能要素11を輸送するように構成された輸送用容器20と、を備えており、これらについては以下で詳細に説明する。
【0047】
処理チャンバ12は、その一部が図2~6に示されているが、壁14によって外部環境から隔絶されると共にアクセス用開口15を備えており、これらのアクセス用開口15はそれぞれ、チャンバ12の内部又は外部における材料の保護された移送を行える構造の各対応する閉止装置に関連付けられている。
【0048】
一部の実施形態では、閉止装置は従来技術において知られている種類のラピッドトランスファポート(RTP)又は「アルファ-ベータ」ポートとすることができ、このラピッドトランスファポート又はアルファ-ベータポートには、「アルファユニット」とも称される一次閉止ユニット19’が設けられており、一次閉止ユニット19’は、例えば輸送用容器20等の移送装置上に設けられた相手方の二次閉止ユニット20’に適切な可逆的(reciprocal)結合インタフェースを用いて結合するために適したものであり、二次閉止ユニット20’は「ベータユニット」とも称される。
【0049】
一次閉止ユニット19’は、処理チャンバ12内部のアクセス用開口15に設置することができる。
【0050】
一部の実施形態では、一次閉止ユニット19’は、アクセス用開口15を取り囲むフランジ16と、アクセス用開口を閉止するハッチ19aとを含む結合手段を備えており、ハッチ19aは適切なシール部材を備えている。
【0051】
一部の実施形態では、一次閉止ユニット19’のハッチ19aは、閉止状態と開放状態との間でフランジ16に対して回転するように、片側でフランジ16にヒンジ連結することができる(図1)。
【0052】
一部の実施形態では、一旦互いに結合されたときに、一次閉止ユニット19’のハッチ19aの開口が二次閉止ユニット20’の開口にもなって、一次閉止ユニット19’と二次閉止ユニット20’とを一致させることができ、これにより、輸送用容器20及び処理チャンバ12の各内部環境を維持しつつ輸送用容器20の内部を処理チャンバ12の内部に連通させ、互いに連通してからも外部環境から隔離し隔絶することができる。
【0053】
一実施形態では、ハンドリング装置13は、ハッチ19aを開閉するように構成され、従って、一次閉止ユニット19’及び二次閉止ユニット20’の開閉をそれぞれ決定する。
【0054】
一部の実施形態では、可動の輸送用容器20は、内部に少なくとも1つの組立可能要素11を入れて、これを閉鎖密閉状態で輸送できるように構成されている。
【0055】
本願明細書でいう「組立可能要素」とは、処理チャンバ12内部に配置された機器、器具、システム又は装置に設けられる要素であって、単独で又は機械の他の部品若しくは物若しくは一部と共に使用できる要素をいう。特に、当該組立可能要素11は好適にはモジュール型の要素である。すなわち、当該組立可能要素11を包含する機器、器具、システムまたは装置に関して組立て及び分解が可能な要素である。さらに、当該組立可能要素11は好適には、処理チャンバ12内で処理される物、具体的には例えば医薬品等と接触する部品であることに留意すべきである。非限定的な一例として、組立可能要素11は、複数合わさって結合されたときに、処理チャンバ12の内部に収容された、医薬品を処理するためのシステムを構成することができる。
【0056】
一部の実施形態では、輸送用容器20は、一端22bで閉じられた筒状体22を有し、筒状体22の他端22aは、処理チャンバ12の壁14に設けられたアクセス用開口15に関連付けられた一次閉止ユニット19’と気密に結合するために適した二次閉止ユニット20’が設けられている。
【0057】
一部の実施形態では、輸送用容器20は支持スライダ23を備え、支持スライダ23は、その上に載せられた組立可能要素11を受ける1つ以上の支持面39を有する。一実施形態では、スライダ23は、鉛直方向にずれた少なくとも2つの支持面39を提供することができ、実質的に平行四面体の形状を有する。
【0058】
スライダ23は、筒状体22内を滑るように配置されている。好適な実施形態では、スライダ23はリニアガイド(不図示)上でスライドし、このリニアガイドは特定の傾斜を有することができ、これにより、図3~6に示すように、スライダが筒状体22の外部に部分的に突出して処理チャンバ12の内部に突入することができる。一実施形態ではリニアガイドは、スライダー23の前進をブロックして筒状体22から完全に出ることを阻止するように、適切な位置に配置されたストッパ(end-of-travel)を提供する。
【0059】
一変形形態では、スライダ23を移動させるための駆動ユニット(不図示)が設けられており、この駆動ユニットは従来技術において知られている種類のものであり、例えば電気モータを備えることができる。本変形形態では、スライダ23がリニアガイドに沿って移動することにより、(筒状体22から外部に少なくとも一部取り出されるように)筒状体22からの取出しと、その後の筒状体22への再導入が可能であり、かかるスライダ23の移動は上述の駆動ユニットの手段によって達成される。
【0060】
他の代替的な一実施形態では、スライダ23はハンドリング装置13によって移動し、これによりスライダ23は筒状体22から取り出されたり筒状体22に再導入される。この実施形態ではスライダ23は、例えばフック、ペグ又はブラケット等として構成された適切な把持手段を備えることができ、把持手段は、スライダ23の取出しや再導入の際にハンドリング装置13によって把持される。
【0061】
本願にて記載されている一部の実施形態では、ハンドリング装置は、従来技術で知られている種類の多関節ロボット13として構成されている。
【0062】
多関節ロボット13は、互いに対して枢動する複数の関節連結された部品17を含み、特に医薬品の製造及び包装の分野での使用に適している。すなわち、多関節ロボット13は、医薬品の可能性のあるコンタミネーションを防止するために厳しい無菌要件を満たさなければならない隔離チャンバ内、例えばいわゆるアイソレータの処理チャンバ12内等で使用することができる。
【0063】
この目的のために、当該多関節ロボット13は特に、適切な除染及び滅菌処理を受けるために適したものであり、例えば、蒸気相過酸化水素(VPHP)を使用するCIP及び/またはSIP処理等を受けるために適したものであり、これは、殺微生物作用、殺胞子作用や殺真菌作用を伴う高い酸化力を有するが、その外表面の酸化を伴わない、又は部品自体に生じる可能性のある損傷を生じさせない。
【0064】
一例として、図1aに拡大されて示されている多関節ロボット13は、それぞれの結合インターフェース18に対応して順次関節方式で結合された5つの関節連結された部品17を有し、これらの関節連結された部品17はそれぞれA,B,C,D,Eの文字によって示されている。
【0065】
一部の実施形態では、結合インターフェース18に対応して、それぞれ結合された2つの関節連結された部品17の、共通の回転軸まわりでの相対回転を行うための不図示の移動部材を設けることができる。
【0066】
しかし、要求に応じて、多関節ロボット13が有する関節連結された部品17の数をより多く又はより少なくできることを除外するものではない。
【0067】
一部の実施形態では、各関節連結された部品17は少なくとも部分的に中空であり、関節連結された部品17自体を動かしたり、当該各関節連結された部品17間でパワーを送ったりデータ信号を送信するための駆動部材、電気電子回路及び/又は流体用導管を収容するように構成された収容区画(図示せず)を内部に備えている。
【0068】
一実施形態では、上述の関節連結された部品17を繋げたものは、処理チャンバ12の床21に取り付けられる、図1aにおいて文字Aを付したベース関節連結部品と、図1aにおいて文字Eを付された末端関節連結部品と、ハンドリング装置13の動きを司る運動連鎖を定めるようにベース関節連結部品Aと末端関節連結部品Eとの間に挟まれた複数の他の関節連結された部品と、を含み、当該他の関節連結された部品には、図1aにおいて文字B,C及びDが付されている。末端関節連結部品Eは、作業ツール25が一時的に着脱可能に接続される装着部24を有する。
【0069】
図1aに示されている実施形態では、作業ツール25は、第1の把持要素25a及び第2の把持要素25bを備えた把持部として構成されており、第1の把持要素25a及び第2の把持要素25bは、組立可能要素11を取り出したり離すように互いに協働する。
【0070】
第1の把持要素25a及び第2の把持要素25bは、組立可能要素11をそれぞれ把持したり離すために、図1の矢印Fで示すように往復運動して離接するように互いに対して可動であり、また、第1の把持要素25a及び第2の把持要素25bは回転軸Rまわりに回転することもできる。
【0071】
複数の関節連結された部品17(添付図面に示されている例では5個)により構成された多関節ロボット13の端部で作業ツール25が支持されていることにより、十分に広い操縦空間に到達することができるので、空間内で自在に移動することができる。
【0072】
他の代替的な実施形態では、作業ツール25は、図1aに例示されている構成とは異なるが多くの点で図1aと技術的に均等な構成とすることができることが明らかであり、かかる代替的な実施形態は全て、本発明の保護範囲に属する。
【0073】
一実施形態では、装置10は2つ以上のハンドリング装置13を備えることができ、これらの各ハンドリング装置13は例えば、図1aを参照して上記にて説明したような多関節ロボットとして構成され、処理チャンバ12内における各々適切な位置に配置されることができる。
【0074】
処理チャンバ12の内部には、医薬品に対してそれぞれの処理を実行するように構成された機器、器具、システム又は装置が多数設けられている。
【0075】
一例として、処理チャンバ12の内部で医薬品を輸送するための輸送システムとして構成された医薬品の処理システム26を取り上げる。図2~6には処理システム26の一部が示されているが、これはあくまで、本発明の装置の動作についての以下の説明をより分かりやすくするためのものである。以後の説明では、符号26は特に輸送システムであるとし、また、あくまで一例として、図2~6に示されている実施形態を参照して説明する。
【0076】
本発明の装置10に含まれないこの輸送システム26は、多くの他の実施形態で作製することができ、かかる実施形態は全て、図2~6を参照して後述する実施形態と均等であることが、当業者に理解されることが明らかである。
【0077】
輸送システム26は、処理チャンバ12の床21に取り付けられたベース27を含むことができる。
【0078】
一部の実施形態では、輸送システム26は振動式とすることができる。本事例では輸送システム26は、輸送対象の物の搬送を決定するため所定の周波数で当該輸送システム26の1つ又は複数の要素を適切に振動させるために適した1つ又は複数の振動装置(不図示)を備えることができる。一部の実施形態では、かかる振動装置はベース27内部に配置され、又は必ずベース27に関連付けられると共に、ベース27によって支持することができる。
【0079】
輸送システム26は、多数の物を手当たり次第に受けるよう構成されたホッパ28を備えており、この多数の物は例えば、丸剤、錠剤又はカプセル等の医薬品であり得る。輸送システム26はまた収集用容器29を備えており、この収集用容器29内には、ホッパ28から出された物が到着する。一実施形態では、収集用容器29はホッパ28の下方に、ホッパ28の出口と連通するように配置され、これにより、ホッパ28に入っていた物が重力によって収集用容器29内に徐々に落下できるようにされている。ここで提示したバージョンでは、収集用容器29は、物がスライドして前進できるように傾斜した底30を有する。
【0080】
輸送システム26は第1の輸送要素31と第2の輸送要素32を備えており、これらの輸送要素には複数のトラック33が作成されており、このトラック33内で上記の物が送られる。一実施形態では、1つの輸送要素のトラック33が他の輸送要素のトラック33の直接的な連続となるように、両輸送要素31,32は隣り合っている。
【0081】
輸送システム26は、当該輸送システム26に載せられた輸送要素31,32を安定的かつ取出し可能に受ける支持台34を備えている。支持台34をベース27から離隔するため、例えばカラム等として構成されたスペーサ要素35によって支持台34が支持されている。
【0082】
本願にて開示されている一部の実施形態では、輸送要素31、32は、例えば遊びを有する接続と干渉部を有する接続の両方を提供できる同一形状の結合部等の機械的結合部によって、支持台34によって支持される。
【0083】
図面中に例示されているバージョンでは輸送要素31、32は、トラック33が作成された平面であって前進する物が載る平面と、支持カラム37を用いてこの前進面を支持するすなわちトラック33を支持するベース面36と、から構成されている。本バージョンでは、支持台34は1つ又は複数の着座部(seating)38を備えており、この着座部38は特に、支持台34のハンドリング装置13側の壁等の側壁のに孔として形成されたものである。一部の実施形態では、着座部38は実質的に円柱状の孔の形状であり、それぞれ対応する支持カラム37を収容するサイズとなっている。換言すると、着座部38はそれぞれ支持カラム37を受けるようになっているので、着座部38のサイズ及び形状は支持カラム37のサイズ及び形状と相関している。
【0084】
ここで留意すべき点は、第1輸送要素31及び第2輸送要素32はあくまで、組立可能要素11の一部の非限定的な実施形態例を構成するに過ぎないことである。図1~6に示されている実施形態を参照すると、モジュール型の組立可能要素11の他の例として、ホッパ28及び収集用容器29がある。
【0085】
一部の実施形態では、自動管理装置10は、当該自動管理装置10の動作を監視及び指令するように構成された制御指令ユニット40(図1)を備えており、この制御指令ユニット10は特に、ハンドリング装置又は多関節ロボット13を監視及び指令する。
【0086】
ここで示されている実施形態では、装置10は認識装置を備えており、認識装置は組立可能要素11を認識し、特に制御指令ユニット40を介して、対応する認識信号をハンドリング装置13へ送信するように構成されている。可能な実施形態では、認識装置は、組立可能要素11を認識するために画像を取得するように構成された少なくとも1つのセンサを備えている。図1に示した例では、認識装置はビデオカメラとして、特に産業オートメーション用途で慣用されている高解像型のカメラとして構成されており、このビデオカメラには符号41が付されている。ビデオカメラ41は例えば、チャンバ12の壁14の1つであって、視野が処理システム26全体に及ぶことができる適切な位置に取り付けることができる。
【0087】
可能な実施形態では、上述の認識信号は、処理システム26におけるモジュール型の組立可能要素11の組付位置及び/若しくは組付方向、並びに/又は、ハンドリング装置13によるモジュール型の組立可能要素11の把持位置、のうちいずれか少なくとも1つに関する情報を含む。
【0088】
一部の実施形態では、組立可能要素11は、認識装置によって認識するための、公知の種類の不図示の識別コードを有する。非限定的な一例として、かかる識別コードはRFIDタグ、バーコード、又は他の任意の英数字コードとすることができる。
【0089】
ここで、図面を参照して、処理チャンバ12の自動管理のための装置の動作について説明する。
【0090】
最初に、輸送用容器20に設けられた二次閉止ユニット20’を処理チャンバ12の一次閉止ユニット19’に取り付ける(図2)。輸送用容器20には、組立可能要素11が支持スライダ23に載せられた状態で入っている。なお、支持スライダ23への組立可能要素11の配置は、例えば、雰囲気が制御される環境下でオペレータが事前に行うことができる。
【0091】
輸送用容器20は、その二次閉止ユニット20’が一次閉止ユニット19’に結合するように、閉鎖された状態で位置決めされる。続いて、図2に示すように、処理チャンバ12の内部に向かってハッチ19aを開放して、一次及び二次閉止ユニット19’,20’の両方を開放し、輸送用容器20の内部を処理チャンバ12の内部に連通させる。
【0092】
この時点で、スライダ23を上述のようにして取り出し、ハンドリング装置13が組立可能要素11を取り出せるようにする。
【0093】
なお、装置が認識装置41を備えた実施形態では、以下で説明するステップの前に、認識装置41によってモジュール型の組立可能要素11を認識するステップが設けられている。かかるステップは、特に制御指令ユニット40を用いて、対応する認識信号をハンドリング装置13に送信する。本発明の方法の一部の実施形態では、上述の認識信号は、処理システム26におけるモジュール型の組立可能要素11の組付位置及び/若しくは組付方向、並びに/又は、ハンドリング装置13によるモジュール型の組立可能要素11の把持位置に関する情報を含む。
【0094】
こうするために、ハンドリング装置13は、組立可能要素11の近傍に作業ツール25を移動させるように配置され、把持要素25,25bは、組立可能要素11を把持するように互いに接近させられる(図3,4)。
【0095】
続いて、ハンドリング装置13は、組立可能要素11を目標位置に配置するように、図中の例では支持台34上の目標位置に配置するように配される。上述の特定の実施形態にでは、ハンドリング装置13が支持台34上に組立可能要素11を載せることにより、支持カラム37が各対応する着座部38に挿入される(図5及び6)。
【0096】
続いて、把持要素25a,25bは互いに離され、これによりハンドリング装置13は組立可能要素11を離すことができる。
【0097】
組立可能要素11を取り外さなければならない場合には、上記にて図1~6を参照して説明したシーケンスを逆の順序で実行するようにハンドリング装置13に指令し、組立可能要素11をその動作位置(例えば支持台34)から取り出して支持スライダ23に載せ、これを輸送用容器20内に閉じ込めることができることは勿論である。
【0098】
なお、自動管理装置10の動作は、ハンドリング装置13が輸送用容器20から第1の輸送要素31を取り出して支持台34に載せる例を参照して説明したが、装置10の動作は、多関節ロボット13が、例えば第2の輸送要素32、ホッパ28又は収集用容器29等の、第1の輸送要素31とは別の組立可能要素11をハンドリングする場合にも同様であることは明らかである。
【0099】
本発明の技術分野及び範囲から逸脱することなく、上記にて説明した処理チャンバ12を自動管理するための装置10及び方法について構成要素又はステップの変更及び/又は追加を行えることが明らかである。
【0100】
また、一部の具体例を参照して本発明を説明したが、当業者は、特許請求の範囲に記載された構成要件を具備する、処理チャンバ12を自動管理するための多くの他の均等態様の装置10及び方法を確実に達成することができ、よって、かかる均等態様は全て、特許請求の範囲にて特定される保護範囲に属することも明らかである。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】