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特表2022-531466遺伝性ニューロパチーおよび関連障害の処置および検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】遺伝性ニューロパチーおよび関連障害の処置および検出
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220629BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20220629BHJP
   A61K 31/499 20060101ALI20220629BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220629BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220629BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20220629BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20220629BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220629BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20220629BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20220629BHJP
   C12N 9/04 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61K31/426
A61K31/499
A61P25/28
A61P43/00 105
A61P43/00 111
C12Q1/6827 Z
C12N15/09 110
C12N15/12
C12N15/113 130Z
C12Q1/06
C12N9/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565930
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-29
(86)【国際出願番号】 US2020031708
(87)【国際公開番号】W WO2020227430
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/844,370
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/987,151
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】514198183
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ マイアミ
(71)【出願人】
【識別番号】507245021
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ロチェスター
(71)【出願人】
【識別番号】507299817
【氏名又は名称】ユーシーエル ビジネス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ザックナー, スティーブン エル.
(72)【発明者】
【氏名】レベロ, アドリアーナ
(72)【発明者】
【氏名】コルティース, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ジャイ, ロン グレース
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン, デイビッド エヌ.
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B050DD11
4B050LL01
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA17
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ68
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR44
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS36
4B063QX01
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZB211
4C084ZB212
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA15
(57)【要約】
本開示は、遺伝性ニューロパチーを検出および処置する方法に関する。種々の局面において、上記方法は、被験体に由来するサンプル中でソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異の存在を検出することを包含する。種々の実施形態において、上記SORD変異は、American College of Medical Genetics and Genomics(ACMG)基準に従って病原性またはおそらく病原性として分類されるDNAバリアントである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物被験体において遺伝性ニューロパチーを処置する方法であって、前記方法は、
(a)前記被験体に由来するサンプル中でソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異の存在を検出すること;および
(b)前記被験体に、SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド、アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド、変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤、SORD遺伝子における前記変異を矯正する薬剤、または前記のうちのいずれかの組み合わせを投与すること、
を包含する方法。
【請求項2】
前記方法は、前記SORDペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記SORD遺伝子における前記変異を矯正する薬剤を投与することを包含し、ここで前記薬剤は、CRISPR Cas9タンパク質および1またはこれより多くのガイドRNA分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物被験体において遺伝性ニューロパチーを処置する方法であって、前記方法は、
(a)前記被験体に由来するサンプル中でソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異の存在を検出すること;および
(b)前記被験体に、アルレスタチン、エパルレスタット、ジエパルレスタット、フィダレスタット、イミレスタット、リドレスタット、ミナルレスタット、ポナルレスタット、ラニレスタット、サルフレジン B11、ソルビニル、トルレスタット、ゼナレスタット、またはゾポルレスタットを投与すること、
を包含する方法。
【請求項5】
哺乳動物被験体において遺伝性ニューロパチーを処置する方法であって、前記方法は、
(a)前記被験体に由来するサンプル中でソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異の存在を検出すること;および
(b)前記被験体に、SORDペプチドを投与すること、
を包含する方法。
【請求項6】
前記SORD遺伝子における前記変異は、c.753delG; p.Ala253GlnfsTer27、c.329G>C; p.Arg110Pro、c.298C>T; p.Arg100Ter、またはc.458C>A; p.Ala153Aspである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記SORD遺伝子における前記変異は、c.757delG; p.Ala253GlnfsTer27、c.28C>T; p.Leu10Phe、c.316_425+165del; p.Cys106Ter、c.295C>T; p.Arg299Ter、c.964G>A; p.Val322Ile、または個々のもしくは複数のコードエキソンまたは前記SORD遺伝子全体の欠失である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記被験体に由来するサンプル中でソルビトールを測定することをさらに包含する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物被験体におけるニューロパチーを特徴づける方法であって、前記方法は、ニューロパチーに罹患している被験体におけるソルビトールのレベルを測定することであって、ここで約10g/Lより大きいソルビトールレベルは、前記ニューロパチーが、ソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異と関連することを示すことを包含する方法。
【請求項10】
被験体における遺伝性ニューロパチーの処置の有効性を評価する方法であって、前記方法は、
前記被験体に、アルドースレダクターゼインヒビター、アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド、SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド、SORDペプチド、変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤、およびSORD遺伝子における変異を矯正する薬剤、または前記のうちのいずれかの組み合わせからなる群より選択される薬剤を投与すること;ならびに
被験体におけるソルビトールのレベルを測定すること、
を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
助成金資金調達の開示
本発明は、National Institutes of Health(NIH)によって授与された助成金番号NS065712およびNS075764の下で政府の支援を得て行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照および電子的に提出された資料の参照による援用
本出願は、これによって、2019年5月7日出願の米国仮特許出願第62/844,370号および2020年3月9日出願の同第62/987,151号(これらの各々は、それらの全体において参照により援用される)への優先権を主張する。
【0003】
それと共に併せて提出されかつ以下のとおり特定される、コンピューター可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表が、その全体において参照により援用される: ファイル名: 54095A _Seqlisting.txt; サイズ:141,930バイト; 作成日: 2020年5月5日。
【0004】
発明の分野
本開示は、遺伝性ニューロパチーを検出および処置する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
背景
末梢性ニューロパチーは、最も頻度の高い神経変性疾患の1つであり、最も一般的な作用機序の中には、糖尿病性ニューロパチーおよび遺伝性起源のものがある。遺伝性ニューロパチー(シャルコー・マリー・トゥース病(CMT),としても公知)に関しては、患者の診断ギャップは、約50%残っている。本発明者らの理解では、CMTは、末梢神経に影響を及ぼす臨床上のおよび遺伝的に不均一な遺伝性の単一遺伝子の高度に表現型的に浸透性の状態に関する包括的概念を表す。CMTは、伝導速度に応じて脱髄型(CMT1)および軸索型(CMT2)として分類される。遠位型遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)は、疾病負荷が主にまたは専ら運動神経に降りかかるCMT2の一形態を表す(Rossor, Tomaselli, and Reilly 2016)。類似の状態としては、ALS4(若年性dHMN+上位運動ニューロン関与の徴候としての活発な反射(brisk reflex))が挙げられる。症例のうちの90%超が既知の遺伝子における変異を有するCMT1とは対照的に、CMT2および遠位型HMN患者のうち20~30%が、遺伝子診断を受けるに過ぎない(Fridmanら. 2015)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示は、遺伝性ニューロパチーを処置および/または検出する方法を提供する。種々の局面において、上記方法は、被験体に由来するサンプル中でソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異の存在を検出することを包含する。種々の実施形態において、上記SORD変異は、American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG)基準に従って病原性またはおそらく病原性として分類されるDNAバリアントである。必要に応じて、上記方法は、SORD遺伝子における変異の存在が検出される場合に、遺伝性ニューロパチーを有する被験体を診断することを包含する。必要に応じて、上記方法は、上記被験体に、アルドースレダクターゼインヒビター;アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド;SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド;SORDペプチド;変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤;およびSORD遺伝子における変異を矯正する薬剤からなる群より選択される薬剤を含む組成物を投与することを包含する。種々の局面において、上記方法は、上記被験体に、アルレスタチン、エパルレスタット、ジエパルレスタット(diepalrestat)、フィダレスタット、イミレスタット、リドレスタット、ミナルレスタット、ポナルレスタット、ラニレスタット、サルフレジン B11、ソルビニル、トルレスタット、ゼナレスタット、またはゾポルレスタット(またはこれらの組み合わせ)を投与することを包含する。種々の局面において、上記方法は、上記被験体に、アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド;SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド;変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤;SORD遺伝子における変異を矯正する薬剤;または前記のうちのいずれかの組み合わせを投与することを包含する。種々の局面において、上記方法は、上記被験体にSORDペプチドを投与することを包含する。前記のうちのいずれかの組み合わせの投与も企図される。必要に応じて、上記方法は、上記被験体に由来するサンプル中でソルビトールレベルを測定することを包含する。
【0007】
ソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異の存在に関して試験した被験体における遺伝性ニューロパチーの処置のための(または遺伝性ニューロパチーの処置のための医薬の調製における使用のための)、(i)アルドースレダクターゼインヒビター(例えば、アルレスタチン、エパルレスタット、ジエパルレスタット、フィダレスタット、イミレスタット、リドレスタット、ミナルレスタット、ポナルレスタット、ラニレスタット、サルフレジン B11、ソルビニル、トルレスタット、ゼナレスタット、および/またはゾポルレスタット);(ii)アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド、SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド、変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤、および/もしくはSORD遺伝子における変異を矯正する薬剤;ならびに/または(iii)SORDペプチドの使用がまた、提供される。
【0008】
本開示は、哺乳動物被験体におけるニューロパチーを特徴づける方法であって、上記方法は、ニューロパチーに罹患している被験体におけるソルビトールのレベルを測定することを包含し、ここで約10g/Lより大きいソルビトールレベルは、上記ニューロパチーが、ソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異と関連することを示す方法をさらに提供する。本開示はまた、被験体における遺伝性ニューロパチーの処置の有効性を評価する方法であって、上記方法は、上記被験体に、アルドースレダクターゼインヒビター(例えば、アルレスタチン、エパルレスタット、ジエパルレスタット、フィダレスタット、イミレスタット、リドレスタット、ミナルレスタット、ポナルレスタット、ラニレスタット、サルフレジン B11、ソルビニル、トルレスタット、ゼナレスタット、および/またはゾポルレスタット)、アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド、SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド、SORDペプチド、変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤、およびSORD遺伝子における変異を矯正する薬剤(または前記のうちのいずれかの組み合わせ)からなる群より選択される薬剤を投与すること;ならびに被験体におけるソルビトールのレベルを測定すること、を包含する方法を提供する。
【0009】
本明細書で記載される各特徴もしくは実施形態、または組み合わせが、本開示の局面のうちのいずれかの非限定的な例証的例であり、よって、本明細書で記載される任意の他の特徴もしくは実施形態、または組み合わせと組み合わせ可能であることが意味されることは、理解される。例えば、特徴が、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「種々の実施形態」、「関連する実施形態」のような文言とともに記載される場合、これらのタイプの実施形態の各々は、あらゆる考えられる組み合わせを列挙する必要なしに、本明細書で記載される任意の他の特徴、または特徴の組み合わせと組み合わされることが意図される、特徴の非限定的な例である。このような特徴または特徴の組み合わせは、本発明の局面のうちのいずれかに該当する。
【0010】
本明細書中の見出しは、読み手の便宜のためであって、限定であることは意図しない。本発明のさらなる局面、実施形態、およびバリエーションは、詳細な説明および/または図面および/または特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1-1】図1A~F。SORD遺伝子および系図。SORDにおける両アレル変異は、常染色体劣性dHMN/CMT2を引きおこす。(図1A)SORDにおいて両アレル変異を有するdHMN/CMT2家族の代表的系図。四角は男性を、丸は女性を示す。斜線は、死亡した個体に関して使用される。患者は、黒塗りの形で示される。(図1B)NCBI参照配列: NM_003104.6に基づいてSORDの全てのエキソン、イントロンおよび非翻訳領域(UTR)を示す模式的ダイアグラム。灰色および白のボックスは、それぞれ、SORDのコード配列およびUTRを表す。本研究の中で考慮される家族の中で同定されたバリアントは、遺伝子のコード領域全体にわたってマップする。エキソン7上のナンセンスc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)バリアントを、特定の高い頻度で同定した。(図1C)SORDタンパク質ドメインにわたる変異の分布。(図1D)この研究におけるdHMN/CMT2家族の中で同定された4つのミスセンス置換が、ヒトからゾウまでの種にわたって高度に保存された残基に位置することを示すSORDタンパク質オルソログアラインメント。(図1Eおよび1F)SORD(逆方向鎖)およびSORD2P(順方向鎖)のエキソン7における高度に相同性の領域のヌクレオチド配列の拡大図。SORDに由来するSORD2Pにおいて異なるヌクレオチドは、図1CのSORD2Pにおける欠失を含め、矢印で示される。代表的な電気泳動図は、SORDにおいて、dHMN/CMT2患者においてホモ接合性状態、および入手可能な特許におけるヘテロ接合性状態(右側のボックス、上側のプロット)で見出されるc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)バリアントが、健常コントロール(右側のボックス、下側のプロット)から両アレル状態で存在しないが、SORP2Pにおいて固定される(左のボックス、下側のプロット)ことを示す。
図1-2】同上。
図1-3】同上。
【0012】
図2図2A~C。患者の線維芽細胞における減少したSORD発現およびソルビトール蓄積。(図2A)グルコースをフルクトースに変換する2段階ポリオール経路の模式図。(図2B)健常コントロール(n=4、レーン1~4)、SORDにおいてc.757delG;p.(Ala253GlnfsTer27)バリアントのヘテロ接合性キャリア(n=2、レーン10~11)およびホモ接合性c.757delG;p.(Ala253GlnfsTer27)変化を有する患者(n=4、レーン5~8)または第2のナンセンスc.895C>T;p.(Arg299Ter)変異を一緒に有する複合性ヘテロ接合性c.757delG;p.(Ala253GlnfsTer27)バリアント(n=1、レーン9)におけるポリクローナル抗体ab189248を使用し、チューブリンで正規化したSORDのタンパク質レベルを示すイムノブロット。(図2C)UPLCによって測定され、健常コントロール(n=5)およびSORDにおいて両アレルナンセンス変異を有する患者(n=5)におけるタンパク質含有量に対して正規化した場合の細胞内ソルビトールのレベル。グラフは、平均±s.d.およびデータ分布(ドット)を示す。両側t検定を行って、群にわたってSORDによってコードされるタンパク質(図2B)またはソルビトールレベル(図2C)を比較した。統計的有意性を、P値が<0.05、<0.01または<0.001である場合に、それぞれ、**または***として示す。全ての実験を独立して2回反復したところ、類似の結果を得た。
【0013】
図3-1】図3A~F。Drosophila Sord2の喪失は、年齢依存性シナプス変性を引きおこす。(図3A)視葉板(lamina)、視髄(medulla)、および視小葉(lobula)を示すDrosophila視覚系の3D構造。光受容体末端および視葉板ニューロンを示すxy面およびxz面が、示される。(図3B)2 DAEでのywコントロールハエの視葉板。組織化した視葉板カートリッジおよび円柱状光受容体ニューロン(columnar photoreceptor neuron)を、それぞれ、xy面およびxz面に示す。(図3C)2 DAEおよび10 DAEにおけるSodh2MB01265/MB01265ホモ接合性ハエの視葉板。矢頭は、視葉板空胞を示す。ボックスは、視葉板のより高倍率の領域を示す。BRPの強度を示す。点線は、視葉板空胞の領域を示す。スケールバー:30μm。(図3D)空胞の数、サイズ、およびBRP強度の定量。各群の合計3個の視葉板を定量した。データを平均±s.d.として示す。統計分析を、二元配置ANOVA、続いて、Tukeyの事後多重比較検定を使用して行った。P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001。(図3E~3F)コントロールハエ(yw)およびSodh2MB01265/MB01265図3E)またはSodh1およびSodh2汎ニューロン二重ノックダウン(RNAi)(図3F)ハエの自発運動活性。各群においてn=10。データを平均±s.d.として示す。統計分析を、二元配置ANOVA、続いて、Tukeyの事後多重比較検定を使用して行った。****P<0.0001。
図3-2】同上。
【0014】
図4-1】図4A~G。アルドースレダクターゼインヒビターであるエパルレスタットおよびラニレスタットでの処置は、ソルビトールレベルを減少させ、機能を回復させる。(図4A)エパルレスタット 100μM、ラニレスタット 10μMまたはDMSOでの処置の3日後に健常コントロール(n=5、丸のドット)およびSORDにおいて両アレルナンセンス変異を有する患者(n=5、四角のドット)に由来する線維芽細胞において、UPLCによって測定し、タンパク質含有量に対して正規化した細胞内ソルビトールレベル。(図4B)卵封入後10日間での野生型(yw、白丸のドット)、Sodh2MB01265/MB01265(黒丸のドット)、ならびにRNAiによるSodh1およびSodh1のニューロン特異的ノックダウン(四角のドット)のDrosophilaeからの、脳/頭部ホモジネート由来のUPLCによって測定され、タンパク質濃度に対して正規化した場合のソルビトールレベル。Sodh2模倣物(Sodh2 Mimic)ならびにSodh1およびSoh2 RNAi Drosophilaeに、80μM エパルレスタット、80μM ラニレスタットまたはDMSOのいずれかを供給した。グラフは、平均±s.d.を示す。両側t検定を行って、ソルビトールレベルを比較した。統計的有意性は、別段特定されなければ、P値が<0.05、<0.01または<0.001である場合、それぞれ、**または***として示される。全ての実験を独立して2回反復したところ、類似の結果を得た。(図4C)DMSOを供給したコントロールハエ(yw)、DMSO、80μM エパルレスタット、または80μM ラニレスタットを供給したSodh2MB01265/MB01265ハエ(各群においてn=10)の自発運動活性。データを平均±s.d.として示す。統計分析を、二元配置ANOVA、続いて、Tukeyの事後多重比較検定を使用して行った。P<0.05、***P<0.001。(図4D~4F)DMSO(図4D)、80μM エパルレスタット(図4E)、または80μM ラニレスタット(図4F)を供給した10 DAEおよび40 DAEでのSodh2MB01265/MB01265ホモ接合性ハエの視葉板。矢頭は、視葉板空胞を示す。ボックスは、視葉板のより高倍率の領域を示す。BRPの強度を示す。点線は、視葉板空胞の領域を示す。スケールバー:30μm。(図4G)空胞の数、サイズ、およびBRP強度の定量(図4D~4F)。n=3。データを平均±s.d.として示す。統計分析を、二元配置ANOVA、続いて、Tukeyの事後多重比較検定を使用して行った。P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001。
図4-2】同上。
【0015】
図5-1】図5。SORDにおいて両アレル変異を有する家族の系図。四角は男性を、丸は女性を示す。斜線は、死亡した個体に関して使用される。患者は、黒塗りの形で示される。
図5-2】同上。
図5-3】同上。
【0016】
図6図6A~B。Drosophila Sodh1およびSodh2の二重ノックダウンは、年齢依存性シナプス変性をもたらす。(図6A)2 DAEおよび10 DAEでのSodh1およびSodh2二重ノックダウンホモ接合性ハエの視葉板。矢頭は、視葉板空胞を示す。ボックスは、視葉板のより高倍率の領域を示す。BRPの強度を示す。点線は、視葉板空胞の領域を示す。スケールバー:30μm。(図6B)空胞の数、サイズ、およびBRP強度の定量。各群の合計3個の視葉板を定量した。データを平均±s.d.として示す。統計分析を、二元配置ANOVA、続いて、Tukeyの事後多重比較検定を使用して行った。P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001。
【0017】
図7図7。アルドースレダクターゼインヒビターであるエパルレスタットおよびラニレスタットでの処置は、Sodh1およびSodh2二重ノックダウンハエの自発運動機能を回復させる。DMSOを供給するコントロールハエ(yw)(ドット、示した各DAE点に関して左から1番目のデータ点)、またはDMSO(四角、示した各DAE点に関して左から2番目のデータ点)、80μM エパルレスタット(四角、示した各DAE点に関して左から3番目のデータ点)、もしくは80μM ラニレスタット(四角、示した各DAE点に関して左から4番目のデータ点)を供給するSodh1およびSodh2のニューロン特異的ノックダウンを有するハエの自発運動活性。各群においてn=10。データを平均±s.d.として示す。統計分析を、二元配置ANOVA、続いて、Tukeyの事後多重比較検定を使用して行った。***P<0.001、****P<0.0001。
【0018】
図8図8。SORDペプチドをコードする例示的発現ベクター(pAAV-SORD)の図示。
【0019】
図9図9。SORDコード配列を含む例示的完全AAVベクターDNA配列(pAAV-SORD)(配列番号1)。
【0020】
図10図10。SORDプライマー配列およびサーモサイクリング条件。PCR:ポリメラーゼ連鎖反応; Fw:順方向; Rv:逆方向。
【0021】
図11-1】図11。遺伝性ニューロパチーを有し、SORDにおいて両アレル変異を有する患者の臨床的特徴。
図11-2】同上。
図11-3】同上。
図11-4】同上。
【0022】
図12図12。遺伝性ニューロパチーに冒され、SORDにおいて両アレル変異を有する患者の臨床的特徴。カテゴリカルデータは、データが全個体で利用可能である場合N(%)、またはN/検討した個体数(%)として表される。連続変数は、平均±標準偏差(最小-最大)として表される。CMTはシャルコー・マリー・トゥース病、dHMNは遠位型遺伝性運動ニューロパチー。
【0023】
図13図13。10名の血縁でない健常コントロールおよびSORDにおいて両アレルp.Ala253GlnfsTer27変異を有する10名の患者に由来する血清中の空腹時ソルビトールレベル。グラフは、平均±s.d.およびデータ分布(ドット)、および、群にわたってSORDタンパク質およびソルビトールレベルを比較する両側t検定のp値を示す- p<0.05、**p<0.01、および***p<0.001。全実験を、独立して2回反復した。
【0024】
図14図14A~14C。SORD遺伝子補充療法のための例示的ベクター設計。(図14A)SORD遺伝子補充療法のためのAAV-9パッケージされたベクター設計。CB7プロモーターは、高発現を駆動するにあたって有効であることが示されており、SORD cDNA(NCBI参照配列: NM_003104.6)、発現および標的特異性をさらに増強するための転写後調節エレメント(WPRE)、および転写終結ポリ(A)エレメント、さらに複製起点(pUC-ori)およびITR配列(逆方向末端反復配列)が続く。(図14B)SORD cDNA配列。(図14C)SORDポリペプチド配列。
【0025】
図15-1】図15A~15D。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)(AR 1A、(配列番号22))を介するアルドースレダクターゼ(AR)(AKR1B1遺伝子)の有意なノックダウン。標的化ASO(AR 1A)配列およびASO-S混合配列(AR-S 1A、(配列番号47))を、図15Aに示す。図15Bは、ASOのヌクレオチド骨格に対する改変を示す。これは、SORD患者線維芽細胞およびコントロール線維芽細胞において行い、β-チューブリンに対して正規化し、ウェスタンブロットを介して測定した(図15C~15D)。さらなるコントロールは、ランダムヌクレオチドを示すASO-Sの混合バージョン(AR-S 1A)を使用した(図15C)。
図15-2】同上。
【0026】
図16-1】図16。Homo sapiensアルド-ケトレダクターゼファミリー1メンバーB(AKR1B1)におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド配列および標的部位(エキソン標的のみ)の表。フィルター基準: A)40%≦GC%≦60%; B)アンチセンスオリゴ結合エネルギー≦-8kcal/mol; C)標的配列の中にGGGGがない。
図16-2】同上。
図16-3】同上。
図16-4】同上。
図16-5】同上。
図16-6】同上。
【0027】
図17図17。Homo sapiensアルド-ケトレダクターゼファミリー1メンバーB(AKR1B1)におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)配列および標的部位(エキソン標的のみ)の表。フィルター基準: A)40%≦GC%≦60%; B)標的配列の中にGGGGがない; C)標的部位ヌクレオチドの平均非対形成確率(average unpaired probability)≧0.5; D)閾値確率0.5を上回るアクセシビリティプロファイルにおける各ピークに関しては、この同じピークに標的化される全ての部位を、それらの平均非対形成確率によってランク付けし(高いほどよい)、ピーク毎に多くてもn個の部位が選択され、ここで、nが最大([ピーク幅/部位の長さ]、2)によって決定される; E)基準A~Dを満たす部位の中でも、最高の平均非対形成確率を有する上位20個の特有のものを列挙する。
【0028】
図18-1】図18。Homo sapiensアルド-ケトレダクターゼファミリー1メンバーB(AKR1B1), hg19_dna range=chr7:134127102-134143944におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)配列および標的部位(イントロン標的のみ)の表。フィルター基準: A)40%≦GC%≦60%; B)標的配列の中にGGGGがない; C)標的部位ヌクレオチドの平均非対形成確率≧0.5; D)閾値確率0.5を上回るアクセシビリティプロファイルにおける各ピークに関しては、この同じピークに標的化される全ての部位を、それらの平均非対形成確率によってランク付けし(高いほどよい)、ピーク毎に多くてもn個の部位が選択され、ここで、nが最大([ピーク幅/部位の長さ]、2)によって決定される; E)基準A~Dを満たす部位の中でも、最高の平均非対形成確率を有する上位20個の特有のものを列挙する。
図18-2】同上。
図18-3】同上。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本開示は、遺伝性ニューロパチーおよび関連する遺伝状態を検出および/または処置する方法を提供する。
【0030】
遺伝性(inherited)(または遺伝性(hereditary))ニューロパチーとしては、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、遺伝性運動感覚性ニューロパシー、遺伝性運動ニューロパチー、遠位型遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)、軸索型ニューロパチー、中間型ニューロパチー、および筋萎縮性側索硬化症型ALS4が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
種々の局面において、本開示は、ソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異の存在が被験体に由来するサンプル中で検出される方法を提供する。上記変異は、遺伝子のDNA配列を調べるか、RNAを調べるか、またはある機能喪失を生じる変異を有するタンパク質を調べることによって検出され得る。
【0032】
CMTの最も頻度の高い劣性形態と関連するソルビトールデヒドロゲナーゼ遺伝子(SORD)における両アレル変異の同定が、本明細書で開示される。SORDは、ソルビトールをフルクトースに変換する酵素であるソルビトールデヒドロゲナーゼをコードする。それは、糖尿病の高血糖状態における神経損傷に中心的と以前に同定された2段階ポリオール経路に属する。異なる民族性にわたるCMTの42症例を、ホモ接合性状態または複合性ヘテロ接合性状態のいずれかにあるSORDにおけるナンセンス変異、c.757delG; p.Ala253GlnfsTer27を有すると同定した。さらなる症例および複数のコントロールセットにおけるp.Ala253GlnfsTer27変化をスクリーニングすることによって、このバリアントを、メンデルの法則に従って遺伝した男性における最も一般的な病原性アレルのうちの1つとして確立した(MAF=0.003)。患者線維芽細胞培養物は、SORDタンパク質の完全な喪失および組織損傷を引きおこす細胞内ソルビトール蓄積の喪失を示す。DrosophilaにおけるSodh1の喪失は、シナプス変性および進行性の運動障害をもたらした。顕著なことには、アルドースレダクターゼインヒビターでの処置によるポリオール流入の低減は、患者線維芽細胞およびSodh1 Drosophilaモデルにおける細胞内ソルビトールレベルを十分に救済した。後者のモデルにおいて、上記処置はまた、運動および眼の表現型を完全に改善した。まとめると、これらの所見は、遺伝性ニューロパチーにおけるポリオール経路およびソルビトール蓄積の主要な役割を示し、症例の有意な割合において潜在的に処置可能な状態の分子的な根拠を確立する。これらの所見はまた、糖尿病の分野においてより広い影響とともに、遺伝性および後天性のニューロパチーの集中的な病理機序の一例を表す。
【0033】
従って、本開示の種々の局面において、上記方法は、SORD遺伝子変異、753delG; p.(Ala253GlnfsTer27)、c.757delG; p.Ala253GlnfsTer27、c.28C>T; p.Leu10Phe、c.316_425+165del; p.Cys106Ter、c.329G>C; p.Arg110Pro、c.298C>T; p.Arg100Ter、c.295C>T; p.Arg299Ter、c.964G>A; p.Val322Ile、c.458C>A; p.Ala153Asp;コピー数バリエーションを介する個々のもしくは複数のコードエキソンまたはSORD遺伝子全体の欠失;あるいは任意のタンパク質短縮変異および/またはタンパク質の「機能喪失」もしくは低次形態機能(hypomorphic function)をもたらす変異を検出することを包含する。
【0034】
種々の局面において、上記SORD変異は、DNAシーケンシング法、例えば、全エキソームシーケンシング、全ゲノムシーケンシング(WGS)および/または次世代シーケンシング(NGS)、アレル特異的オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的またはリアルタイムPCR(qPCR)、多重PCR、ネスト化PCR、増幅不応性変異システム(Amplification Refractory Mutation System)(ARMS)PCR、多重ライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、1本鎖高次構造多型(SSCP)、タンパク質短縮試験(Protein Truncation Test)(PTT)、RFLP、DNAマイクロアレイ、RNA-seqを使用して、CRISPRベースの変異検出(例えば、CRISPR-Chip, Hajianら., Nature Biomedical Engineering 3, 427-437(2019))、または変異検出に適した他のDNAもしくはRNA変異検出法を使用して検出される。
【0035】
種々の局面において、上記SORD変異は、ウェスタンブロット法(イムノブロット)、高速液体クラマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)、抗体依存性の方法(例えば、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、タンパク質免疫沈降法、タンパク質免疫染色法、タンパク質チップ法または変異検出に適した他のタンパク質検出法を使用してタンパク質を調べることによって検出される。
【0036】
必要に応じて、上記方法は、被験体のサンプル中でソルビトールレベルを測定することをさらに包含する。ソルビトールを測定するための方法としては、例えば、酵素アッセイ、蛍光アッセイ、クロマトグラフィーベースの方法、および分光法ベースの方法が挙げられる。ソルビトール測定の例示的方法は、実施例の中で提供される。
【0037】
本開示は、SORD変異が関わるニューロパチー(例えば、遺伝性ニューロパチー)および関連状態を特徴づける方法をさらに提供する。種々の局面において、上記方法は、ニューロパチーに罹患している被験体の生物学的サンプル中でソルビトールレベルを測定することを包含する。種々の局面において、上記方法は、上記生物学的サンプル中でソルビトールの増加したレベルを検出することを包含する。「ソルビトールの増加したレベル」とは、例えば、約10mg/Lを上回るソルビトールレベルを意味する。SORD関連ニューロパチーは、実施例および図13に記載されるように、患者において高レベルのソルビトールをもたらす。よって、約10mg/Lを上回るソルビトールレベルの検出は、上記ニューロパチーが、SORD変異と関連する遺伝性ニューロパチーであり、それによって、臨床医が上記被験体を悩ますニューロパチーを特徴づけることを可能にすることを示す。必要に応じて、上記方法は、上記被験体に、アルドースレダクターゼインヒビター;アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド;SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド;SORDペプチド;変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤;およびSORD遺伝子における変異を矯正する薬剤からなる群より選択される薬剤を投与することを包含する処置ステップを包含する。
【0038】
種々の局面において、本開示は、被験体におけるソルビトールレベルを測定することの前または後に、上記被験体に由来するサンプル中でソルビトールデヒドロゲナーゼ(SORD)遺伝子における変異を同定することを包含する方法を提供する。この点において、上記方法は、遺伝性ニューロパチーの診断を確定するために使用され得る。同様に、本開示は、病原性であるSORD変異を同定するための方法であって、上記方法は、SORD遺伝子において変異を含む被験体においてソルビトールレベルを測定することを包含する方法を提供する。増加したソルビトールレベル(例えば、約10mg/Lより高い)の存在は、SORD変異が病原性であることを示す。
【0039】
代わりに(またはさらに)、上記方法は、被験体において遺伝性ニューロパチーの処置の有効性を評価するために使用され得る。この点において、上記方法は、上記被験体に治療を投与すること、次いで、生物学的サンプル中でソルビトールレベルを測定することを包含する。前処置で観察されたソルビトールのレベルと比較したソルビトールレベルの減少(例えば、約10g/Lを下回るソルビトールレベルの低減)は、上記被験体の状態の改善を示す。本明細書で記載される材料および方法はまた、SORD関連遺伝性ニューロパチーの処置のための医薬を摂取するにあたって、患者コンプライアンスを特徴付け得るか、または臨床試験における候補治療剤の成功をモニターし得る。
【0040】
上記サンプルは、上記被験体から採取された任意の生物学的サンプル(目的の形質(例えば、核酸(例えば、SORD mRNA)、タンパク質(例えば、SORDタンパク質)、またはソルビトールの存在または量)に関して分析され得る任意の組織、細胞、または流体(例えば、血液、血漿、血清、または尿)が挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。種々の実施形態において、上記生物学的サンプルは、血漿、血清、唾液、尿、または皮膚サンプルである。
【0041】
「被験体」とは、本明細書で言及される場合、任意の哺乳動物(例えば、ヒト)であり得る。飼い慣らされた愛玩動物(イヌおよびネコが挙げられる)として重要な動物;研究において重要な動物(齧歯類および霊長類が挙げられる);および大型の絶滅危惧種および動物園動物(例えば、霊長類、猫、キリン、ゾウ、サイ)だけでなく、農業上重要な動物(例えば、ウシ、ウマ、およびブタ動物)が企図される。
【0042】
種々の局面において、上記方法は、1またはこれより多くのアルドースレダクターゼインヒビターを含む組成物を上記被験体に投与することによって、上記被験体を処置することを包含する。いくつかの実施形態において、上記アルドースレダクターゼインヒビターは、アルレスタチン、エパルレスタット、ジエパルレスタット、フィダレスタット、イミレスタット、リドレスタット、ミナルレスタット、ポナルレスタット、ラニレスタット、サルフレジン B11、ソルビニル、トルレスタット、ゼナレスタット、またはゾポルレスタットである。アルドースレダクターゼインヒビターは、Expert Opin Ther Pat. 2019;29(3):199-213; Chatzopoulouら., Expert Opin Ther Pat. 2012;22(11):1303-23(それらの全体において参照により援用される)において総説される。
【0043】
いくつかの実施形態において、酵素補充療法が使用され、SORDペプチドが上記被験体に投与される。よって、上記治療は、内因性SORDレベルが不適切であるかまたは存在しないSORDペプチドレベルを補う。例示的なSORDペプチドは、配列番号46に提供される。本開示は、配列番号46と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100% 同一性を構成するペプチドの使用を企図する。
【0044】
種々の実施形態において、上記方法は、ポリヌクレオチド(例えば、アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド、SORDペプチド/タンパク質をコードするポリヌクレオチド、変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤、および/またはSORD遺伝子における変異を矯正する薬剤)を上記被験体に投与することを包含する。ポリヌクレオチドは、代表的には、発現ベクターを介して宿主細胞に送達され、その発現ベクターは、送達および発現に必要な調節配列を含むが、発現ベクターの使用は、本開示との関係では要求されない。いくつかの局面において、本明細書で記載される構築物は、プロモーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはCB7プロモーター)、タンパク質コード領域(必要に応じて、発現を促進する非コード(例えば、3’-UTR)領域を伴う)、転写終結配列、ならびに/またはレギュレーターエレメント配列(例えば、転写後調節エレメント(WPRE)、ポリ(A)エレメント、複製起点(pUC-ori)および/もしくはITR配列(逆方向末端反復配列))を含む。種々の局面において、本明細書で記載される構築物は、表1に列挙されるベクター特徴のうちの1またはこれより多くを含む。ベクター特徴はまた、Powellら., Discov Med. 2015; 19(102): 49-57(その全体において参照により援用される)に総説される。例えば、Cre-loxPシステムは、目的のペプチドを(例えば、SORDペプチドを、必要に応じて、目的の特異的組織において)発現させるために利用され得る。発現ベクターは、ウイルスベース(例えば、レトロウイルスベース、アデノウイルスベース、またはアデノ随伴ウイルスベース)であっても、非ウイルスベクター(例えば、プラスミド)であってもよい。非ベクターベースの方法(例えば、裸のDNA、DNA複合体などを使用する)がまた、使用されてもよい。必要に応じて、上記ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクターまたはバキュロウイルスベクター)であり、種々の好ましい実施形態において、上記ベクターは、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)である。上記発現ベクターは、任意のAAV血清型(AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、またはAAV-13を含む)に基づき得る。ポリヌクレオチドはまた、リポソーム、ナノ粒子、エキソソーム、微小小胞、流体力学ベースの遺伝子送達を介するか、または「遺伝子銃」を介して送達され得る。
【0045】
【表1】
【0046】
本開示の方法において投与されるべきAAVの力価は、例えば、特定のAAV、投与様式、処置目的、個体、標的化されている細胞タイプ(複数可)に依存して変動し、当該分野で公知の方法によって決定され得る。AAVの力価は、1mlあたり約1×10、約1×10、約1×10、約1×10、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013~約1×1014またはより多くのDNase耐性粒子(DRP)の範囲に及び得る。投与量はまた、ウイルスゲノム(vg)の単位で表され得る。
【0047】
種々の実施形態において、SORDペプチドをコードするポリヌクレオチドは、上記被験体に投与される。SORDのアミノ酸配列は、配列番号46として提供される(図14C、NCBI参照配列: NP_003095.2)。上記方法で使用されるポリヌクレオチドは、必要に応じて、配列番号46のアミノ酸配列、または配列番号46のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100% 同一である配列(これはSORDの機能を保持する)をコードする。必要に応じて、上記ポリヌクレオチドは、配列番号45(図14B)、または配列番号45のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100% 同一である配列(そしてこれは、SORDをコードする)を含む。上記SORDペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む例示的な発現ベクターは、図8および14Aに図示される。上記ポリヌクレオチドは、本開示の少なくとも1つの局面において、図9に示される核酸配列(配列番号1)を含み、この配列は、SORDをコードするポリヌクレオチドを含むAAVベクターの配列に相当する。
【0048】
種々の実施形態において、上記方法は、変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤を上記被験体に投与することを包含する。変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤とは、SORD遺伝子発現および/またはSORDタンパク質レベルが、基底/野生型レベルと比較して低減されるように、SORD遺伝子の発現に干渉する薬剤に言及する。変異型SORD遺伝子の発現を「遮断すること」は、発現およびSORD生成の100%消滅(abolition)を要求しない;異常なSORDの低減した発現の任意のレベルが、被験体に有益であり得ることが認識される。例示的な薬剤としては、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、またはマイクロRNA(miRNA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
種々の実施形態において、上記方法は、アルドースレダクターゼ配列を標的とするアルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチドを、上記酵素の発現が遮断されるように、上記被験体に投与することを包含する。アルドースレダクターゼ、アルド-ケトレダクターゼファミリー1メンバーB(AKR1B1)は、配列番号48(NCBI参照配列: NM_001628)によってコードされる。アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチドは、AKR1B1遺伝子発現および/またはアルドースレダクターゼタンパク質レベルが、基底/野生型レベルと比較して低減されるように、アルドースレダクターゼ遺伝子(AKR1B1)の発現に干渉する。アルドースレダクターゼ遺伝子(AKR1B1遺伝子)の発現の「遮断」は、発現およびアルドースレダクターゼ生成の100%消滅を要求しない;アルドースレダクターゼの低減した発現の任意のレベルが、被験体に有益であり得ることが認識される。例えば、種々の局面において、上記アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アルドースレダクターゼの発現を低減する。ASOは、1本鎖デオキシリボヌクレオチドであり、これは、mRNA標的配列に相補的である。種々の局面において、上記アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アルドースレダクターゼ遺伝子のエキソン配列またはイントロン配列を標的とする。
【0050】
アルドースレダクターゼを標的とするASO配列を同定するための例示的方法において、以下の基準を使用した: A)アルドースレダクターゼ(AKR1B1)を標的とする配列は、≦40% GCまたは≦60% GC含有量を含むものを選択した; B)GGGGヌクレオチドを含む配列を排除した; C)標的部位ヌクレオチドの平均非対形成確率≧0.5を有する配列を選択した; D)閾値確率0.5を上回ったアクセシビリティプロファイルにおける各ピークに関して、その同じピークに標的化される全ての部位を、それらの平均非対形成確率によってランク付けし(高いほどよい)、ピーク毎に多くてもn個の部位が選択され、ここで、nが最大ピーク幅/部位の長さによって決定される。これらの基準を満たす例示的な薬剤は、表2に提供される。さらなる例示的なASO配列およびフィルター基準は、図16~18に示される。
【0051】
【表2】
【0052】
種々の実施形態において、ASO配列のヌクレオチド骨格を、基底/野生型レベルと比較した場合に、遺伝子発現を低減するために、キメラまたはギャプマーデザインに改変される。種々の実施形態において、ギャップマーデザインは、RNase H認識および他のヌクレアーゼに対して耐性のリボース糖部分における改変を有するように、上記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列の各末端上で3-5ヌクレオチドの指定を必要とする一方で、全ての他のヌクレオチドが、RNase H適合性改変を含む。RNase Hは、RNA-DNA二重鎖(例えば、異常なmRNA転写物と合成的にデザインされたDNAアンチセンスオリゴヌクレオチドとの間で形成されるもの)の切断を担う。種々の実施形態において、ASO配列の改変としては、ホスホロチオエート(PS)-RNase H認識可能、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)-RNase H耐性、2’-O-メチル-RNase H耐性、2’-O-メトキシエチル(MOE)-RNase H耐性、ロック核酸(LNA)-RNase H耐性、エチレン架橋核酸(ENA)-RNase H耐性、または(S)-拘束エチル(cEt)-RNase H耐性が挙げられるが、これらに限定されない。ASO配列の例示的な改変は、図15A~15Bに示される。ASO配列に対する改変は、Scolesら., Neurol Genet. 2019;5(2):e323(その全体において参照により援用される)において総説される。
【0053】
種々の局面において、上記方法は、SORDの発現を調節するためにRNA干渉(RNAi)を使用する。RNAi経路は、Muscle Gene Therapy, Springer Science+Business Media, LLC(2010)の第7章の7.3節、Duan(編)にまとめられている。適切な薬剤としては、例えば、siRNA、miRNA、およびshRNAが挙げられる。shRNA/Hairpinベクターは、RNAiを介して標的遺伝子発現をサイレントにするために使用され得るタイトなヘアピンターンを有する人工RNA分子(ヌクレオチド)である。shRNAは、比較的遅い分解およびターンオーバー速度を有するという点で、RNAiの有利なメディエーターであるが、それはしばしば、発現ベクターの使用を必要とする。例示的な局面において、本開示はl、SORDを標的とする1またはこれより多くのshRNAを発現するAAVベクターの生成および投与を含む。shRNAの発現は、種々のプロモーターの使用によって調節される。種々の局面において、ポリメラーゼIIプロモーター(例えば、U6およびH1)、およびポリメラーゼIIIプロモーターが、使用される。いくつかの局面において、U6 shRNAが使用される。RNAiはまた、アルドースレダクターゼ(例えば、AKR1B1)の発現をダウンレギュレートする(すなわち、遮断する)ために使用され得ることが認識される;よって、本開示は、アルドースレダクターゼの発現を遮断するために、アルドースレダクターゼイントロン配列またはエキソン配列(extronic sequence)を標的とするsiRNA、miRNA、およびshRNAの使用(sue)を企図する。
【0054】
旧来の低分子/ショートヘアピンRNA(shRNA)配列は、Pol IIIプロモーター(例えば、U6)を含むベクターから細胞核の内部で通常転写される。内因性U6プロモーターは通常、U6 RNA(スプライシングに関与する低分子RNA)の発現を制御し、十分に特徴づけられている(Kunkelら., Nature. 322(6074):73-7 (1986); Kunkelら., Genes Dev. 2(2):196-204 (1988); Pauleら., Nucleic Acids Res. 28(6):1283-98 (2000))。本開示は、マウスおよびヒト両方のU6またはH1プロモーターを含む。ループによって接続された標的遺伝子からのセンス配列およびアンチセンス配列を含むshRNAは、核から、DicerがこれをsiRNAへと処理する場所である細胞質へと輸送される。
【0055】
本開示のいくつかの局面において、SORD遺伝子における変異を矯正する薬剤が使用される。SORD遺伝子における変異を矯正する薬剤とは、SORDコード配列もしくは調節エレメントおよび/またはSORD遺伝子と関連する非コード領域を改変して、配列の中で所望の変化を達成し得る薬剤に言及する。種々の局面において、ゲノム編集は、SORD遺伝子配列のうちの一部もしくは全てを置き換えるか、またはSORDタンパク質発現レベルを変化させるために、使用され得る。種々の実施形態において、上記薬剤は、ゲノム編集技術(例えば、デザイナージンクフィンガー、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENs)、またはCRISPR-Cas(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート-CRISPR関連)システムにおいて使用される構成成分を含み得る。本開示の方法における使用のための例示的な薬剤は、Cas9分子および/またはgRNA分子をコードするDNAである。Cas9およびgRNAは、単一発現ベクターまたは別個の発現ベクターの中に存在し得る。CRISPR/Cas9システムのアデノウイルス送達は、Holkersら., Nature Methods (2014), 11(10):1051-1057(これは、その全体において参照により援用される)に記載される。
【0056】
CRISPRシステムおよびCas9を記載する他の刊行物としては、以下が挙げられる:Congら. Science (2013) 339:819-23; Jinekら., Elife. (2013) 2:e00471; Leiら. Cell (2013) 152: 1173-1183; Gilbertら. Cell (2013) 154:442-51; Leiら. Elife (2014) 3:e04766; Perez-Pinelaら. Nat Methods (2013) 10: 973-976; Maiderら. Nature Methods (2013) 10, 977-979; 米国特許第8,697,359号;同第8,771,945号;同第8,795,965号;同第8,865,406号;同第8,871,445号;同第8,889,356号;同第8,895,308号;同第8,906,616号;同第8,932,814号;同第8,945,839号;同第8,993,233号;同第8,999,641号;米国特許公開番号2014/0068797;および国際特許公開番号WO 2014/197568(全て、それらの全体において参照により援用される)。
【0057】
いくつかの実施形態において、CRISPR/Cas9多重化は、2またはこれより多くのガイドRNAがCRISPR 101:A Desktop Resource (1st Edition), Addgene, January 2016(これは、その全体において参照により援用される)に記載されるように発現される複数のゲノム遺伝子座を標的とするために使用され得る。
【0058】
用語「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」とは、遺伝性ニューロパチーおよび/または関連障害および/またはこれらと関連する症状を低減または改善することに言及する。これらの用語は、上記ニューロパチーまたはこれと関連する症状の発生または再発の頻度を低減または遅らせる(すなわち、その障害に罹患した患者における寛解の期間を長くする)、ならびに上記障害またはこれと関連する任意の障害の重症度を低減することを含む。排除はされないが、障害または状態を「処置すること」または「処置」は、その障害、状態、またはこれと関連する症状が、完全に排除されることを要求しないことは、認識される。
【0059】
活性薬剤(例えば、アルドースレダクターゼインヒビター、アルドースレダクターゼアンチセンスオリゴヌクレオチド、SORDペプチドをコードするポリヌクレオチド、SORDペプチド、変異型SORD遺伝子の発現を遮断する薬剤、またはSORD遺伝子における変異を矯正する薬剤)の用量は、投与経路(例えば、局所 対 全身)、患者の特性(例えば、性別、体重、健康状態、副作用)、遺伝性ニューロパチーまたは関連障害の性質および程度、ならびに特定の活性薬剤または投与のために選択された活性薬剤の組み合わせのような要因に依存する。
【0060】
本明細書で記載される活性薬剤は、被験体への投与に適した製剤構成成分、およびさらなる治療剤を含み得る組成物(例えば、薬学的に受容可能な組成物)中に提供される。薬学的に受容可能な組成物(例えば、本明細書で記載される薬剤を含む医薬組成物)の適切な投与方法は、当該分野で周知である。種々の局面において、1より多くの経路が、本明細書で開示される薬剤のうちの1またはこれより多くを投与するために使用され得る。特定の経路が、別の経路よりも即座のかつ効果的な反応を提供し得る。例えば、ある特定の状況において、上記組成物を経口的に;静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、病変内、髄内、髄腔内(intrathecal)、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻内、経腸的、局所的、舌下、尿道、膣、もしくは直腸手段による;制御された、遅延した、徐放のもしくは別の方法で改変された放出システムによる;移植デバイスによる;ナノ粒子を使用する;またはコンジュゲートとしての注射または注入を通じて送達することは望ましい。
【0061】
本明細書で記載される2またはこれより多くの活性薬剤が治療レジメンの一部として投与され得ることは、企図される。代わりにまたはさらに、上記活性薬剤のうちの1またはこれより多くが、治療レジメンの一部として他の治療剤とともに投与され得る。上記活性薬剤(複数可)は、単剤療法として、または同時にもしくは規則正しく(metronomically)投与される他の処置との併用療法として、投与され得る。用語「同時の」または「同時に」とは、2種の薬剤を6時間以内またはそれ未満で(例えば、互いに3時間以内または1時間以内)に投与することに言及する。この点において、複数の活性(または治療)薬剤が、同じ組成物の中で、または短期間内に(例えば、30分以内に)提供される別個の組成物において投与され得る。用語「規則正しく」とは、異なる薬剤を異なる時間でかつ反復投与に関連する頻度で投与することを意味する。活性薬剤は、同じ時間にまたは同じ経路によって投与される必要はない;好ましくは、種々の実施形態において、異なる活性薬剤がそれらの治療効果を発揮している期間において重複が存在する。本開示のさらなる局面および詳細は、以下の実施例から明らかであり、この実施例は、例証であって限定ではないことが意図される。
【実施例
【0062】
一般的方法
家族
全ての家族に、書面によるインフォームド・コンセントを提供して、試験に参加してもらった。その試験プロトコールは、提供機関の機関内審査委員会による承認を得た。全ての患者は、神経科医によって臨床的に評価された。
【0063】
全エキソームおよびサンガーシーケンシング
全エキソームシーケンシングを、散発性および劣性のCMTおよびdHMN家族の指標個体において行った。SureSelect Human All Exon 50 MB Kit(Agilent)を、液中富化(in-solution enrichment)のために使用し、HiSeq 2500機器(Illumina)を使用して、約120bpペアエンド配列リードを生成した。Burrows-Wheeler aligner、およびFreebayersを使用して、配列リードのアラインメントおよびバリアントコールを行った。最終的なデータを、分析のためにGENESISソフトウェアにアップロードした。同じホモ接合性バリアントを共有する家族の検索のためのフィルタリングアプローチを、データベースの中の全エキソームにわたって適用した。サンガーシーケンシング(Eurofins Genomicsが行った)は、SORDバリアントの分離を確認した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、Veriti Thermocycler(Applied Biosystem)で行い、Platinum Taq(ThermoFisher)を使用して、標的変異を含む領域を増幅した。以下のプライマーを使用して、SOR2PではなくSORDを特異的に標的とした(図10)。
【0064】
線維芽細胞培養
線維芽細胞を患者から得て、10% ウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリンおよびストレプトマイシン(Gibco)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(ThermoFisher)中で培養した。細胞を、5% CO中、37℃で加湿インキュベーターの中で維持した。非同期細胞培養物を、およそ80%コンフルエントになるまで成長させ、エパルレスタット(100μM)、ラニレスタット(10μM)またはDMSOで72時間処理した。上記薬物またはDMSOを含む培地を、24時間ごとに交換した。
【0065】
ウェスタンブロット
線維芽細胞を、プロテアーゼインヒビター(Roche)を含むRIPA緩衝液(ThermoFisher)中で溶解し、5分間、Bioruptor超音波デバイス(Diagenode)で超音波処理した。細胞溶解物を13,000×gで10分間、4℃において遠心分離し、その上清を、タンパク質定量(Pierce BCA Protein Assay Kit)のために集めた。30μgのタンパク質サンプルを、Bolt LDSサンプル緩衝液およびサンプル還元剤(ThermoFisher)と混合し、90℃で5分間加熱した。サンプルを、Bolt 4-12% Bis-Tris Plusミニゲルにロードし、続いて、ニトロセルロース膜(Bio-Rad)に転写した。膜を5% 無脂肪乳でブロッキングし、抗SORD(ab189248, Abcam)抗体とともに2時間インキュベートし、0.01% Tween(登録商標) 20を含むTBS(Bio-Rad)で洗浄し、二次抗ウサギ抗体(Cell Signaling)とともにインキュベートした。膜を、続いて、GAPDH一次抗体(Santa Cruz)および二次抗マウス抗体(Cell Signaling)とともにインキュベートした。化学発光検出を、SuperSignal West Pico PLUS Chemiluminescent Substrateで行い、FluorChem E(ProteinSimple)で画像化した。
【0066】
ソルビトール測定
線維芽細胞を集め、ウェスタンブロットの節で記載されるように、プロテイナーゼインヒビターの非存在下で溶解した。ヒト線維芽細胞溶解物中のソルビトールの決定を、超高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(UPLC-MS/MS)(Waters Acquity UPLC & TQD質量分析計- Waters, Milford, MA, USA)で行った。線維芽細胞を集め、ウェスタンブロットの節で記載されるように、プロテイナーゼインヒビターの非存在下で溶解した。プロテイナーゼインヒビターは、高濃度マンニトール(マンニトールはソルビトールのエナンチオマーである)を含み、UPLC-MS/MSソルビトール決定に干渉する可能性がある。溶解物サンプルは、UPLCに注入(3μL)する前に、アセトニトリル(1:5)でタンパク質沈殿およびアセトニトリル-水(50/50)での10倍希釈、およびOasis HLBカートリッジでのクリーンアップ(10mg/1ml)を受けた。UPLC条件: カラム, 88℃でBEH Amide 1.7μm(2.1×100mm)、溶離液A, アセトニトリル 90%-水 5%-イソプロパノール 5%、溶離液B, アセトニトリル 80%-水20%、勾配溶離0分, 100% A、3.6分 100% B、流速 0.45ml/分。ソルビトールの保持時間は、2.7分であった。MS/MS条件: インターフェース, 陰イオンモードにおいてエレクトロスプレーインターフェース、多重反応モニタリング収集(Multiple Reaction Monitoring acquisition), m/z 180.9→88.9(CV 24, CE 15)。
【0067】
空腹時ソルビトールレベル検査のために、一晩絶食(最後の食事は前夜)後に、血清分離チューブの中に血液を集めた。サンプルを、500gで10分間遠心分離した。血清を分離し、採血から1時間以内に凍結した。ソルビトールレベルを、Liら. Biochem Biophys Res Commun. 2009 Oct 2;387(4):778-83から修正した方法を使用して、UPLCによって検査した。条件は以下のとおりであった: カラム, BEH Amide 1.7μmを25℃で(45℃の代わりに)維持; 溶離液A, 10mM 酢酸アンモニウム pH10; 溶離液B, アセトニトリル、流速, 0.6ml/分で20回の同じ勾配。ソルビトールの保持時間は、6.0分であった。MS/MS条件は、線維芽細胞分析のものと同じであった。血清サンプルは、UPLCに注入(3μL)する前に、冷メタノール(1:5)でタンパク質沈殿、アセトニトリル-水(50/50)で5倍希釈およびOasis HLBカートリッジでクリーンアップ(10mg/1ml)を受けた。較正曲線を、ソルビトール濃度範囲0.1~20mg/Lにおいて血清中で作成した。
【0068】
Drosophilaストックおよび遺伝学
特定されなければ、全てのハエは、コーンミール-糖蜜-酵母培地上で、25℃で65%湿度において、12時間明/12時間暗サイクルで維持した。この試験において使用した以下のハエ系統は、Bloomington Drosophila Stock Centerから得た: elavC155-GAL4、GMR-GAL4, Sdh2MB01265、UAS-Sdh1RNAi、およびUAS-Sdh2RNAi。
【0069】
薬物供給
エパルレスタットまたはラニレスタットを、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解してストック濃度 10mg/mlを達成し、次いで、10ml ハエ飼料の中に最終濃度80μg/mlで混合した。コントロールとして、等量のDMSOをハエ飼料の中に混合した。供給する前に、バイアルを室温で12時間乾燥させた。
【0070】
Drosophila寿命アッセイおよび負の走地性アッセイ
寿命アッセイに関しては、各群の100匹の新たに閉じ込めた雌性ハエを集め、20の個体のバイアルに入れた。ハエを2日ごとに新たなバイアルの中に移し、死んだハエの数を計数した。生存データを、カプラン-マイアープロットを使用してプロットし、ログランク検定を使用して群間比較を行った。負の走地性行動アッセイ(negative geotaxis behavior assay)に関しては、10匹の年齢を合わせた雌性ハエを、底から8cm上に黒の水平線を引いて印を付けたバイアルの中に入れた。ハエに、CO麻酔から完全回復するために60分間を与え、底面を穏やかにタップして、10秒間を与えて登らせた。8cmの線を越えたハエを計数した。各バイアルに関して、このアッセイを10回反復し、各群10個の独立したバイアル(1群あたり合計100匹のハエ)を試験した。観察者期待バイアスを最小限にするために、このアッセイは、実験者には群割り当てを盲検にして行われた。
【0071】
Drosophila脳解剖、免疫染色、および共焦点顕微鏡検査
脳解剖および染色を、以前に記載されるように行った(Brazillら., J Vis Exp. 2018;(138))。簡潔には、ハエの脳を、リン酸緩衝食塩水(PBS, pH 7.4)中で解剖し、4% ホルムアルデヒド中で10分間固定し、PBTX(0.4% v/v Triton X-100を含むPBS)中で3回(各15分間)洗浄した。次いで、脳を、5% 正常ヤギ血清を含む0.4% PBTX中で1:250希釈した一次マウス抗BRP抗体(nc82, Developmental Studies Hybridoma Bank)とともに4℃で一晩、穏やかに振盪しながらインキュベートした。その後、脳を、1:250希釈したCy3コンジュゲート抗マウス二次抗体(Rockland)およびCy5コンジュゲート抗HRP(Jackson ImmunoLab)とともに、4℃で一晩、穏やかに振盪しながらインキュベートし、続いて、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI, 1:300, Invitrogen)染色を室温で10分間行った。サンプルを、ガラススライド上にVECTASHIELD Antifade Mounting Medium(Vector Laboratories Inc.)とともに載せた。ハエの脳スライドを、スキャン速度8.0μs/画素および空間分解能1024×1024画素で、60×油浸対物レンズ付きのOlympus IX81共焦点顕微鏡を使用して撮像した。画像を処理し、FluoView 10-ASW(Olympus)を使用して分析した。
【0072】
本開示のさらなる局面および詳細は、以下の実施例から明らかであり、この実施例は、例証であって限定ではないことが意図される。
【0073】
実施例1: GENESIS分析を使用するCMTにおけるDNAバリアントの同定
遺伝性ニューロパチー(シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)を含む)は、末梢神経に影響を及ぼす臨床上および遺伝的に不均一な状態に関する包括的概念を表す。CMTは、伝導速度に応じて、脱髄型(CMT1)および軸索型(CMT2)として分類される。遠位型遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)は、疾病負荷が主にまたは専ら運動神経にかかるCMT2の一形態を表す(Rossor, Tomaselli, and Reilly 2016)。症例のうちの90%超が既知の遺伝子における変異を有するCMT1とは対照的に、CMT2および遠位型HMN患者のうちの20~30%が、遺伝子診断を受けるに過ぎない(Fridmanら. 2015)。CMT2およびdHMN症例のうちの70%までが散発性であることから、1つの症例の全エキソームおよびゲノム配列から候補の病原性遺伝子を同定することはより困難になる;従って、大きな集合的データセットが必要である。GENESIS分析プラットフォームで利用可能な1,100を超えるCMT全エキソームシーケンシング(WES)および全ゲノムシーケンシング(WGS)のデータ集約を使用することで、このような高品質データの最大の収集が利用可能になった(Gonzalezら. 2015)。複数の家族に存在する有意なDNAバリアントを有する遺伝子を、CMT症例で大きな比率を占める個々のアレルと同様に同定した。>3家族によって共有されかつgnomADコントロールデータベースにおけるマイナーアレル頻度<1%を有する遺伝子における劣性のナンセンスバリアントに関して、598名の診断されていないCMT患者の部分セットを問い合わせする場合に、12症例を、SORDにおいてホモ接合性c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)変異を有する11の血縁でない家族から同定した。血縁でない3家族からさらに4症例が、ヘテロ接合性c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)バリアントを、第2のバリアント、家族2ではc.298C>T; p.(Arg100Ter)、家族3ではc.329G>C; p.(Arg110Pro)、ならびに家族14のII-1およびII-2ではc.458C>A; p.(Ala153Asp)と一緒に有した(図1A~Dおよび図5)。全ての変異は、c.329G>C; p.(Arg110Pro)を除いて、機能喪失型(LOF)アレルを表した。興味深いことに、Arg110Pro変化は、以前に報告した、Tyr111Phe(ラットにおけるTyr110Pheに相当)(これは、SORD酵素活性を消滅させ、タンパク質を不安定化することが示された(Hellgrenら. 2007))に隣り合っている。
【0074】
興味深いことに、SORDは、非機能的な高度に相同性のパラログ、偽遺伝子SORD2Pを有し、この偽遺伝子は、第15染色体上の0.5Mb領域内でのSORDの重複から生じると考えられる(Carrら. 2016)(図1E)。Sanger確認試験においてSORD2Pではなく、SORDを特異的に増幅するために、プライマーを、両方の遺伝子領域においてヌクレオチド配列差異および別個のレトロトランスポゾン挿入を利用してデザインした(図5)。顕著なことには、SORDのエキソン7におけるc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)変異は、多くのさらなるエキソンインデル変異(これは、SOPR2Pの効果的な翻訳を防止する(1000 Genomes Project Consortiumら. 2015; Lekら. 2016))とともに、コントロール染色体の95%超において偽遺伝子SORP2Pの中に固定される。上記領域の高い類似性が原因で、ネスト化PCRアプローチは、SORDのエキソン7の特異的増幅を得、それをSORD2Pにおける相同領域から区別することが必要であった。WESによって検出されたバリアントの存在は、Sangerシーケンシングによって全症例で確認され、直近親族のキャリアにおける分離データを提供した(図1Fおよび図5)。
【0075】
(ロンドン(UK)のUCL Institute of Neurology)での103の未解明のCMT2/dHMN症例のWESの独立したセットをスクリーニングした。血縁でない6家族から、SORDにおいてホモ接合性c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)変異を有する9症例を同定した(8.7%)。297名の劣性または散発性のCMT2/dHMN患者の第3の独立したセットを、SORDのエキソン7の標的化Sangerシーケンシングによってスクリーニングし、これを、1つのc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)が同定された場合に他のコードエキソンに拡げたところ、SORDにおいて両アレル変異を有する18家族から20の追加症例(7%)が明らかになった:16症例は、ホモ接合性c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)変異を有し、4症例は、c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)を、第2のおそらく病原性バリアントとの複合性ヘテロ接合性状態において有する。後者は、家族29においてc.964G>A; p.(Val322Ile)を、家族30においてエキソン4中の275bp欠失 c.316_425+165delを、家族32において新規なc.28C>T; p.(Leu10Phe)を、および家族33においてc.895C>T; p.(Arg299Ter)を含んだ。全ての変化は、gnomADにおいてマイナーアレル頻度(MAF)<0.0001を有する(Lekら. 2016)。ミスセンス変異によって影響を及ぼされた残基は、3より大きいGERPスコアを有する複数の種にわたって高度に保存されている(図1D)。さらに、SORDにおける両アレルのナンセンスバリアントは、GENESISデータベースの中に存在するCMT以外の別個の神経学的障害に罹患した4,598の指標症例には存在しなかった。
【0076】
正常集団におけるc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)バリアントのアレルキャリア頻度は、gnomADゲノムの中の30,872のうち94というアレル数に基づいて0.003%である(Lekら. 2016)。注目すべきは、gnomADエキソームセットは、ランダムフォレストフィルターを通過しなかったことに起因して、MAF=0.00008において有意に低い割合でc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)変化を検出した。GENESISは、バリアントコーリングにFreeBayesソフトウェアを使用する(Gonzalezら. 2015)。これは、gnomADゲノムベースのコールセット(MAFGENESIS=0.002、9,196のうち22)により近いアレル頻度を生じた可能性がある。600の健常コントロールのSangerシーケンシングを行い(欧州起源の200のサンプル、トルコ起源の100のサンプル、および中東起源の200のサンプルを含む)、3つのヘテロ接合性を同定したが、ホモ接合性、c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)アレルは同定されなかった(MAF=0.0025)。これらの計算は、約1/100,000個体というホモ接合性c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)アレル単独の予測有症率を裏付け、このことは、そのアレルを軸索型ニューロパチーにおいて最も一般的な個々の病原性アレルかつ任意のメンデル疾患の最も一般的なアレルのうちの1つにしている。
【0077】
血縁でない38家族から、遺伝性ニューロパチーに冒された全45名の個体を本試験においてSORDにおいて両アレル変異を有すると同定した(図11および12)。注目すべきは、症例のうちの71%が、家族歴または血族の証拠もない散発性であった。正式の臨床診断は、症例のうちの51%(n=16)において軸索型CMT、40%(n=18)において遠位型HMN、および9%(n=4)において中間型CMTであてた。ニューロパチーの平均発症年齢は、17±8歳であり、歩行困難が、発症時の最も共通する主訴であった。運動発達のマイルストーンの遅滞は希であったが、患者のうちの2/3が、足の変形を報告した。これは、ニューロパチーが、おそらく人生の早い時期に始まったことを示す。最初の試験において、全個体が、四肢の虚弱を有したが、半数のみが感覚障害を示した。虚弱は、上肢遠位において軽度であり、下肢遠位では、軽度からほぼ完全な麻痺までの範囲に及んだ。上肢および下肢の近位の筋は、代表的には影響を及ぼされていなかった。7名の患者は上肢の振戦を有し、4名は軽度側弯症を有し、2名は軽度難聴を有した。1症例は、同時の、おそらく関連のない、異形成顔貌(dysmorphic features)、3歳齢以来の非進行性の精神遅滞、および脳MRIで小脳萎縮の証拠がある痙性運動失調を含む症候性の障害を有した。患者はいずれも、白内障も他の器官の関与もなかった。CMTニューロパチースコアによれば、ニューロパチーは、67%(n=30)が軽度、31%(n=14)が中程度、および1症例が重度であった。患者のうちの42%(n=19)が、歩行時に足を支えるために短下肢装具を必要とし、1名の患者は、片側の支持を必要とし、1名の患者は、車椅子に依存した。詳細な神経伝導試験は、42名の患者において利用可能であり、常に運動性軸索型ニューロパチーを示し、26%(n=11)では中程度の神経伝導速度の低下および26%(n=65)では感覚活動電位の低下が伴った。
【0078】
実施例2: ヒト線維芽細胞におけるSORDタンパク質発現および血中のSORDレベルの評価
ソルビトールデヒドロゲナーゼは、38kDaサブユニットのホモテトラマー酵素であり、これは、哺乳動物組織において広く分布している(Johanssonら. 2001; Hellgrenら. 2007; Lindstad, Teigen, and Skjeldal 2013)。それは、2段階ポリオール経路の第2の酵素を表し、その経路においてグルコースは、酵素アルドースレダクターゼ(AR)によって、比較的非代謝性の糖であるソルビトールに変換される。次いで、ソルビトールは、SORDによってフルクトースへと酸化される(図2A)。さらなる洞察をSORDにおける劣性変異の機能的結論へと集めるために、次のSORD発現を、ホモ接合性c.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)(n=4)またはc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)およびc.895C>T; p.(Arg299Ter)(n=1)バリアントを有する血縁でない5名の罹患被験体、ならびにヘテロ接合性状態においてc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)の2名の非罹患キャリアに由来する線維芽細胞において評価した。SORDタンパク質は、全患者において存在せず、野生型レベルは、コントロールと比較して、非罹患キャリアにおいて低減した(図2B)。よって、細胞内ソルビトール濃度は、SORD酵素活性の喪失と一致して、コントロールと比較して患者の線維芽細胞において10倍を超えて高かった(図2C)。ホモ接合性p.Ala253GlnfsTer27変異を有する10名の患者および血縁でない10名のコントロールに由来する血清中の空腹時ソルビトールレベルを決定したところ、100倍を超えて高い(14.82±0.780 対 0.046±0.004mg/L, p<0.0001)ことが見出された。これは、患者においてSORD酵素活性を欠いていることを確認する(図13)。この試験はまた、ソルビトールが、哺乳動物被験体においてSORD変異と関連する遺伝性ニューロパチーを検出または特徴づけるために有用なマーカーであることを示す。
【0079】
実施例3: SORD欠損症のモデルにおけるSORD変異の調査
SORD変異の病態生理をインビボでさらに調査するために、SORD欠損症のDrosophila melanogasterモデルを樹立した。Drosophilaは、90% 残基同一性を共有する2つの機能的SORD遺伝子(Sodh1およびSodh2)を有する(Luqueら. 1998)。SORDは、遠い系統間で保存されており、ショウジョウバエ(Drosophila)Sodh1(NP_001287203.1)およびSodh2(NCBI参照配列: NP_524311.1)によってコードされるタンパク質は、ヒトSORDタンパク質(NCBI参照配列: NP_003095.2(配列番号46))と、それぞれ、75%および73%の同一性を共有する。Sodh2の変異型アレルは、その遺伝子がトランスポゾンMinos媒介性組み込みカセット(MiMIC)挿入(Sodh2MB01265)によって破壊される場合に得られる(Bellenら. 2011)。ホモ接合性Sodh2(Sodh2MB01265/MB01265)変異体は、正常の寿命で生存できる。神経変性性表現型を特徴づけるために、そのDrosophilaの視覚系を使用して、微細なニューロンおよびシナプスの病理的変化のインビボ検出を可能にする複眼の高度に組織化された平行軸索を利用した(Bausenwein, Dittrich, and Fischbach 1992)。外側の光受容体軸索は、視葉板皮質を横断し、視葉板の層における視葉板の単極性ニューロンとのシナプス接続を作る(図3A)。羽化後2日(DAE)のコントロールハエ(yw)において、光受容体シナプスの組織化された視葉板カートリッジが、それぞれ、xy面およびxz面において可視化され得る(図3B)。Sodh2MB01265/MB01265変異体の視葉板層における光受容体末端の喪失は、羽化後2日(DAE)で観察された(図3C)。その表現型は、10 DAEで進行性に重篤になり、空胞は、数がより多く、サイズがより大きくなり、シナプス視葉板層にわたって分布した(図3C、D)。これらの空胞は、ニューロン膜の喪失(HRP標識によって顕著)、およびBruchpilot(BRP、シナプス活性ゾーンサイトマトリクスタンパク質)標識の減少を示した。これは、シナプス変性を示す(図3C、D)。本明細書で記載される所見を検証するために、第2のSORDモデルを、汎ニューロン駆動因子elavC155を使用して、ニューロンにおけるSodh1およびSodh2の両方の発現の特異的ノックダウンによって生成した。Sodh1およびSodh2の両方の喪失は、ホモ接合性Sodh2(Sodh2MB01265/MB01265)のものと同様に、年齢依存性シナプス変性を生じた(図6)。Sodh2における機能を全身的に喪失した、SORD欠損症の行動表現型Sodh2MB01265/MB01265 ホモ接合性ハエを特徴付けたところ、これらのハエは、正常寿命を示したが、それらの自発運動活性は、後期ステージ(40 DAE)において有意に損なわれた(図3E、F)。これは、遺伝性ニューロパチーを思い起こさせる進行性の年齢依存性神経筋機能障害を示した。さらに、ソルビトールレベルを10 DAEにおいてハエの頭部で測定したところ、患者線維芽細胞における観察と一致して、Sodh2MB01265/MB01265モデルにおいて有意な増加を観察した(図4B)。まとめると、SORD欠損症のDrosophilaモデルは、成功裡に樹立され、(1)正常寿命、(2)進行性かつ年齢依存性のシナプス変性および自発運動欠陥、ならびに(3)増加したソルビトールレベルを含め、ヒト患者における代表的病的表現型を再現した。
【0080】
作用機序および既知の酵素経路として機能喪失を確立した後に、SORD関連遺伝性ニューロパチーの処置選択肢を調査した。アルドースレダクターゼ(SORDの上流にある酵素)の薬理学的阻害が、糖尿病の細胞モデルおよび動物モデル(Kikkawaら. 1983; Matsumotoら. 2008; Ramirez and Borja 2008; Haoら. 2015; Grewalら. 2016)、ならびに議論の余地はあるものの、同様にヒト(Chalk, Benstead, and Moore 2007; Polydefkisら. 2015; Sekiguchiら. 2019)において毒性のソルビトール蓄積を低減する成功裡のストラテジーを表すことは、以前示された。2種の市販のアルドースレダクターゼインヒビター(ARI)、エパルレスタットおよびラニレスタットの効果を、機能的SORDを欠いている患者線維芽細胞において細胞内ソルビトール蓄積に対して試験した。患者およびコントロールの線維芽細胞を、エパルレスタット(100μM)またはラニレスタット(10μM)の存在下または非存在下で72時間成長させ、細胞内ソルビトールレベルを後に測定した。ARIであるエパルレスタットおよびラニレスタットはともに、ソルビトールの有意な低減を、コントロールに匹敵するレベルへと達成した(図4A)。さらに、SORDのDrosophilaモデルに、2 DAEにおいて開始してエパルレスタットおよびラニレスタットを供給した。ソルビトールレベルの有意な低減が、10 DAEにおいてSodh2MB01265/MB01265ハエの頭部で観察された(図4B)。重要なことには、Sodh2MB01265/MB01265ハエならびにSodh1およびSodh2の両方のニューロン特異的ノックダウンを有するハエの自発運動活性は、ywコントロールハエのレベルへと救済された(図4C図7)。さらに、エパルレスタットまたはラニレスタット供給は、Sodh2MB01265/MB01265変異型ハエにおける年齢依存性シナプス欠陥を回復させた。DMSOビヒクル処置したハエでは、シナプス末端の喪失は、隣り合う空胞の拡大が、複数のシナプスカートリッジを含む融合した遙かに大きな空胞を生じた40 DAEという高齢において非常に顕著であった(図4D)。著しくも、エパルレスタット/ラニレスタット供給は、空胞の数を低減し、10 DAEおよび40 DAEの両方において、シナプスサイトマトリクスタンパク質BRPの局在を回復させた(図4E~G)。
【0081】
まとめると、SORDは、軸索型/中間型の、運動優勢型(motor predominant)CMTを引きおこす新規な劣性遺伝子を表す。コホート由来のおよびコントロールデータベース由来の遺伝的データは、SORDにおける優勢な病原性バリアントであるc.757delG; p.(Ala253GlnfsTer27)(キャリア頻度は、集団において約3/1,000個体)が、劣性のメンデル疾患を引きおこす最も一般的な特異的アレルのうちの1つを表し得ることを示唆する。実際に、診断されていないCMT2およびdHMN症例における頻度は、約10%までであるが、それは、遺伝性の軸索型ニューロパチーにおける診断ギャップの有意な割合をおそらく説明する。それらの頻度にもかかわらず、SORDにおける変異が、以前の研究によってCMTの原因として同定されていなかったことは、好奇心をそそるものである。ヒトSORD2P遺伝子重複の存在は、機能的SORDにおけるバリアントの検出を妨げた可能性がある。なぜなら利用可能な註釈プログラムが、現在の次世代シーケンシング技術によって生成される150~300bp長のリードの特有のマッピングに高度に依存するからである。他の公知の病原性バリアントは、偽遺伝子の存在によって隠されていることが以前示された(De Vosら. 2004)。SORD変異の病原性は、SORDタンパク質の非存在および細胞内ソルビトール蓄積を示した患者由来の線維芽細胞のインビトロデータによってさらに裏付けられる。2つのインビボDrosophilaモデルは、進行性のシナプス変性および運動障害、SORD欠損症、および増加したソルビトールレベルを有するヒト表現型を再現した。
【0082】
本明細書で記載される試験は、酵素の機能喪失およびその後のソルビトール蓄積が、SORD関連CMTの作用機序であることを示す。糖尿病の細胞モデルおよび動物モデルにおける以前の研究は、増加したポリオール流入と細胞内ソルビトール蓄積とが、細胞の容量オスモル濃度の増加、酸化的ストレスおよび減少したNADPHレベルに平行しており、これらが全て、末梢神経に対して有害な効果を有し得ることを示した(Schmidtら. 2001; Obrosova 2005; Sangoら. 2006)。しかし、イントロンスプライシング変異に起因して低減したレベルのSORDタンパク質を発現する成体C57BL/LiAマウスに対する以前の研究から、明白な神経学的欠陥は同定されなかった(Holmes, Duley, and Hilgers 1982; Lee, Chung, and Chung 1995; Ngら. 1998)。患者臨床データおよびハエにおける後期発症型表現型に基づくと、加齢しているC57BL/LiAマウスに対する観察を拡張するか、または完全ノックアウトSORDマウスもしくはラットモデルを作製することは、重要である。その研究はさらに、正常血糖状態における末梢神経代謝および生存におけるポリオール経路の中心的役割を解明する。細胞内ソルビトール蓄積が末梢神経の選択的変性をもたらし得る機序は未知であるが、この試験における患者由来細胞の増加したソルビトールレベルの観察には、基質低減、遺伝子置換または矯正、およびSORD酵素置換のための方法を含め、疾患の成体マーカーとして、および将来的な治療的介入の標的としての両方の有望な暗示がある。よって、ヒト由来細胞およびDrosophilaモデルにおけるARI適用を介して基質低減の有益な効果を示す前臨床試験が、本明細書で開示される。エパルレスタットは現在、糖尿病合併症の処置のために数カ国において市場で販売されている(Grewalら. 2016)。その一方で、ラニレスタットは、臨床試験の後期ステージに進んでいる(Polydefkisら. 2015; Sekiguchiら. 2019)。
【0083】
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【配列表】
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【国際調査報告】