(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】多角形トロイダルプラズマソース
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565943
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2020031836
(87)【国際公開番号】W WO2020227502
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505477121
【氏名又は名称】エムケイエス インストゥルメンツ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】メネギーニ、ポール マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ショーン
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB26
2G084BB28
2G084CC13
2G084DD13
2G084FF02
2G084FF04
2G084FF33
2G084FF38
(57)【要約】
複数の金属ブロックを備えたプラズマソースが提供される。トロイダルプラズマチャンバと変圧器とが金属ブロック内に実質的に埋め込まれている。トロイダルプラズマチャンバは、プロセスガスを受け取るように構成されたガス入口と、プラズマチャンバからプロセスガスの少なくとも一部分を排出するように構成されたガス出口と、を備える。また、プラズマチャンバは、金属ブロック内に機械加工された複数の線形チャネルセグメント、複数の結合部、入口結合部、及び出口結合部を備える。入口結合部、出口結合部、及び複数の結合部のそれぞれは、線形チャネルセグメントのペアを接続している。線形チャネルセグメント、結合部、入口結合部、及び出口結合部は、組合せにおいてトロイダルプラズマチャンバを形成している。ガス入口は、入口結合部上において配設されている。ガス出口は、出口結合部上において配設されている。結合部のそれぞれのものの内角は、約90度超である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマソースであって、
複数の金属ブロックと、
前記金属ブロック内に埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバであって、
プロセスガスを受け取るように構成されたガス入口、
前記プラズマチャンバから前記プロセスガスの少なくとも一部分を排出するように構成されたガス出口、
前記金属ブロック内に機械加工された複数の線形チャネルセグメント、複数の結合部、入口結合部、及び出口結合部であって、前記入口結合部、前記出口結合部、及び前記複数の結合部のそれぞれは、前記線形チャネルセグメントのペアを接続しており、(i)前記線形チャネルセグメント、前記結合部、前記入口結合部、及び前記出口結合部は、組合せにおいて前記トロイダルプラズマチャンバを形成し、(ii)前記ガス入口は、前記入口結合部上において配設され、(iii)前記ガス出口は、前記出口結合部上において配設され、且つ、(iv)前記結合部のそれぞれのものの内角は、約90度超である、複数の線形チャネルセグメント、複数の結合部、入口結合部、及び出口結合部
を含むトロイダルプラズマチャンバと、
前記金属ブロック内に実質的に埋め込まれた変圧器であって、
前記金属ブロック内に埋め込まれた、且つ、前記トロイダルプラズマチャンバの少なくとも1つの線形チャネルセグメントを取り囲む、複数のフェライト部材、及び、
前記トロイダルプラズマチャンバの内径に隣接した状態において位置決めされた複数の一次巻線、
を含む変圧器と、
を備えるプラズマソース。
【請求項2】
前記複数の線形チャネルセグメントは、少なくとも6つの線形チャネルセグメントである、請求項1に記載のプラズマソース。
【請求項3】
前記複数の金属ブロックは、少なくとも2つの金属ブロックである、請求項2に記載のプラズマソース。
【請求項4】
前記複数の金属ブロックは、アルミニウムブロックである、請求項1に記載のプラズマソース。
【請求項5】
複数の冷却プレートを更に備え、それぞれの冷却プレートは、前記プラズマチャンバ及び前記変圧器を冷却するべく前記金属ブロックの少なくとも1つのものの外側表面との物理的な接触状態にある、請求項1に記載のプラズマソース。
【請求項6】
前記冷却プレートは、前記金属ブロック内において少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項5に記載のプラズマソース。
【請求項7】
前記ガス入口は、前記プロセスガスを受け取るための前記プラズマチャンバの唯一の入口である、請求項1に記載のプラズマソース。
【請求項8】
それぞれの金属ブロックは、(i)少なくとも2つの線形チャネルセグメントの一部分と、(ii)前記複数の結合部の少なくとも1つと、を含み、前記入口結合部又は前記出口結合部は、前記少なくとも2つの線形チャネルセグメントに接続されている、請求項1に記載のプラズマソース。
【請求項9】
前記金属ブロックは、前記金属ブロック内に埋め込まれた前記線形チャネルセグメントが前記トロイダルプラズマチャンバ内においてトロイダルプラズマチャネルを形成するべくアライメントされるように、複数のインターフェイスにおいて固定された方式で装着されている、請求項1に記載のプラズマソース。
【請求項10】
前記インターフェイスのそれぞれにおいて真空封止及び誘電体ブレークを更に備える、請求項9に記載のプラズマソース。
【請求項11】
それぞれのフェライト部材は、前記金属ブロックのペアの間のインターフェイスにおいて埋め込まれており、前記フェライト部材は、前記金属ブロックのそれぞれのもの内に機械加工されたポケットのペアによって形成されたフェライトチャンバ内において収容されている、請求項9に記載のプラズマソース。
【請求項12】
前記一次巻線の1つ又は複数は、前記フェライト部材のセクションの周りにおいて包み込まれており、前記一次巻線は、前記インターフェイスにおいて前記金属ブロックのペアの対応するポケットによって形成された前記フェライトチャンバ内において実質的に収容されている、請求項11に記載のプラズマソース。
【請求項13】
前記フェライトチャンバは、熱インターフェイス材料によって充填されている、請求項11に記載のプラズマソース。
【請求項14】
それぞれのフェライト部材は、丸い環状セクション及び台形セクションを含む一体的な部品として成形されている、請求項1に記載のプラズマソース。
【請求項15】
それぞれのフェライト部材の前記丸い環状セクションは、前記プラズマチャンバの外径に隣接した状態において位置決めされ、且つ、それぞれのフェライト部材の前記台形セクションは、前記プラズマチャンバの前記内径に隣接した状態において位置決めされており、前記台形セクションの一部分は、これに対して包み込まれた前記一次巻線の1つ又は複数を有する、請求項14に記載のプラズマソース。
【請求項16】
プラズマソースを製造する方法であって、
複数の金属ブロックを提供するステップと、
前記金属ブロック内において、埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバを形成するステップであって、
複数の線形チャネルセグメント、複数の結合部、入口結合部、及び出口結合部を前記金属ブロック内に穿孔することであって、それぞれの結合部、入口結合部、及び出口結合部は、前記線形チャネルセグメントのペアを接続している、こと、
前記入口結合部上においてガス入口を配設すること、
前記出口結合部上においてガス出口を配設すること、
約90度超の内角を生成するべく前記複数の結合部のそれぞれを形成すること、並びに、
前記それぞれの金属ブロック内において埋め込まれた前記線形チャネルセグメントがトロイダルプラズマチャネルを前記トロイダルプラズマチャンバ内において形成するべくアライメントされるように、前記金属ブロックを組み立てること、
を有するステップと、
複数のフェライト部材を前記金属ブロック内において埋め込み且つ1つ又は複数の一次巻線をそれぞれのフェライト部材のセクションの周りにおいて包み込むことにより、変圧器を前記金属ブロック内に形成するステップと、
を備える方法。
【請求項17】
前記ガス入口は、プロセスガスを受け取るための前記プラズマチャンバの唯一の入口である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
それぞれの金属ブロックは、(i)少なくとも2つの線形チャネルセグメントの一部分と、(ii)前記結合部の少なくとも1つと、を含み、前記入口結合部又は前記出口結合部は、前記少なくとも2つの線形チャネルセグメントを接続している、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記金属ブロックを組み立てるステップは、前記トロイダルプラズマチャンバを形成するべく複数のインターフェイスにおいて前記金属ブロックを固定された方式で装着するステップを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のフェライト部材のそれぞれは、複数のインターフェイスにおいて前記金属ブロック内において埋め込まれており、それぞれのフェライト部材は、前記プラズマチャンバの少なくとも1つの線形チャネルセグメントを取り囲んでいる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
複数のフェライト部材を前記金属ブロック内に埋め込むステップは、対応するインターフェイスにおいて前記金属ブロックのそれぞれのもの内に機械加工されたポケットのペアによって形成されたフェライトチャンバ内においてそれぞれのフェライト部材を収容するステップを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
それぞれのフェライト部材の前記1つ又は複数の一次巻線を対応するフェライトチャンバ内において収容するステップと、
前記プラズマチャンバの内径に隣接した状態において前記1つ又は複数の一次巻線を配置するステップと、
前記フェライトチャンバを熱インターフェイス材料によって充填するステップと、
を更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
それぞれのフェライト部材を丸い環状セクション及び台形セクションを含む一体的な部品として成形するステップを更に備え、前記環状セクションは、前記プラズマチャンバの外径に隣接した状態において位置決めされるように適合されており、且つ、前記台形セクションは、前記プラズマチャンバの内径に隣接した状態において位置決めされるように適合されており、前記台形セクションの一部分は、これに対して包み込まれた前記一次巻線を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
それぞれの冷却プレートが前記金属ブロック内において少なくとも部分的に埋め込まれるように、複数の冷却プレートを前記金属ブロックに結合するステップを更に備える、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
それぞれの冷却プレートは、前記プラズマチャンバ及び前記変圧器を冷却するべく前記金属ブロックの少なくとも1つのものの外側表面との物理的接触状態にある、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
真空封止及び誘電体ブレークを前記インターフェイスのそれぞれにおいて形成するステップを更に有する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プラズマ生成及び処理装置の分野に関し、且つ、更に詳しくは、プラズマ生成及び処理用の改善された構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ放電は、イオン、遊離基、原子、及び分子を含む活性化されたガスを生成するためにガスを励起するべく使用することができる。活性化されたガスは、半導体ウエハ、粉体、及びその他のガスなどの固体材料の処理を含む多数の産業的且つ科学的用途に使用されている。プラズマのパラメータ及び処理対象の材料に対するプラズマの曝露の条件は、用途に応じて大きく変化している。
【0003】
例えば、いくつかの用途は、低運動エネルギー(即ち、数電子ボルト)を有するイオンの使用を必要としており、その理由は、処理対象の材料が損傷の影響を受けやすいからである。異方性エッチング又は平坦化誘電体堆積などのその他の用途は、高運動エネルギーを有するイオンの使用を必要としている。反応性イオンビームエッチングなどの更にその他の用途は、イオンエネルギーの正確な制御を必要としている。
【0004】
いくつかの用途は、高密度プラズマに対する処理対象の材料の直接的な曝露を必要としている。1つのこのような用途は、イオン活性化化学反応を生成することである。その他の用途は、高アスペクト比の構造への材料のエッチング及び堆積を含む。その他の用途は、プラズマからの処理対象の材料の遮蔽を必要としており、その理由は、材料が、イオンによって生成される損傷の影響を受けやすいからであり、或いは、プロセスが高い選択制要件を有しているからである。
【0005】
プラズマは、直流(DC)放電、高周波(RF)放電、及びマイクロ波放電を含む様々な方法において生成することができる。DC放電は、ガス中において2つの電極の間に電位を印加することによって実現されている。RF放電は、電源からのエネルギーをプラズマに容量又は誘導結合することによって実現されている。マイクロ波放電は、マイクロ波エネルギーソースをガスを収容している放電チャンバに結合することによって生成することができる。
【0006】
プラズマ放電は、プラズマによって活性化されうるプラズマを構成する帯電した種及び中性種の両方が処理対象の材料との緊密な接触状態になるような方式によって生成することができる。或いは、この代わりに、プラズマ放電は、中性種が依然として処理対象の材料に接触可能な状態にありつつ、帯電した種の相対的に少ないものが処理対象の材料との接触状態となるように、処理対象の材料から離れた状態において生成することもできる。このようなプラズマ放電は、リモート又は下流プラズマ放電と一般に呼称されている。一例として、リモートプラズマソースは、チャンバ上において取り付けられたリモート装置内などのプロセスチャンバの外側においてプラズマを生成することができると共に、反応性種及びプラズマの副産物をプロセスチャンバ内に供給することができる。その構造、処理対象の材料との関係における位置決め、及び動作状態(例えば、ガス種、圧力、流量、及びプラズマ内に結合される電力)に応じて、プラズマソースは、これら2つの一般的なタイプのいずれか又は両方のものの特性を有することができる。
【0007】
リモートプラズマソースは、電流がガスの内側の閉鎖ループ経路を中心として誘発され、これにより、形状がほぼトロイダルであるプラズマを生成しているトロイダルプラズマソースとして構築することができる。具体的には、リモートトロイダルプラズマソースにおいては、ガスは、プラズマソースに進入し、且つ、プラズマソースの内側のガスのループした経路を生成するべく装置の出口において収束する2つの経路に分割されている。電流は、ガス内に誘導結合され、且つ、装置内においてトロイダル形状のプラズマを形成するべくループした経路を中心として循環している。更なるガスが、プラズマソースに進入し、プラズマソース内のプラズマと混合及び反応し、且つ、次いで、プラズマソースを離脱し、これにより、プラズマの反応性副産物をプロセスチャンバに搬送している。
【0008】
現時点においては、リモートトロイダルプラズマソースを構築する2つの方法が存在している。1つは、特許文献1において開示されている方法などのように、全体的に誘電材料からリモートトロイダルプラズマソースの内部プラズマチャンバを構築するステップを伴っている。もう1つの方式は、特許文献2及び特許文献3に開示されている方法などのように、ガスに対する誘電体遮蔽を生成するべく陽極酸化された内部空洞を有する且つトロイダルループの周りにおいて誘電体ブレークを有する金属ブロック(例えば、アルミニウムブロック)を組み立てることにより、プラズマチャンバを構築するステップを伴っている。一般には、製造及び冷却の容易性及び低減された費用に起因して、金属ブロックを使用してプラズマソースを構築する第2の方法が好ましい。
【0009】
一般に、リモートトロイダルプラズマソース内において生成されるプラズマは、トロイダルガス経路の内径に沿って丸い形状を構成しており、その理由は、これが、電流が循環するための最短の且つ最低抵抗値の経路であるからである。但し、1つ又は複数の金属ブロックから生成されたトロイダルプラズマソースにおいて、丸い形状をブロックの内側において機械加工することは困難である。その代わりに、既存の方式は、相対的に線形の空洞を金属ブロック内に機械加工しており、且つ、結果的に得られるループした経路は、複数のまっすぐなセクションから形成されている。例えば、
図1は、ブロック102a、bとして機械加工された4つのまっすぐなチャネルセグメント104a~dを有する2つの金属ブロック102a、bから生成されたプラズマチャネルを有する従来技術のリモートトロイダルプラズマソース100を示している。ブロック102a、bは、チャネルセグメント104a~dが相互の関係において直角に位置決めされるように組み立てられている。従って、結果的に得られるループしたプラズマチャネル106は、4つのほぼ90°の方向転換108a~dを有する矩形である。このような角度を伴ってループしたプラズマチャネル106と関連する1つの欠点は、プラズマが方向転換108a~dの内側コーナの内側壁に衝突する可能性が高いという点にあり、これは、チャネル内の陽極酸化された被覆を侵食し、これにより、乏しい性能、粒子の生成、及び早期の装置障害をもたらしうる。実際に、プラズマ-チャネル壁の相互作用からの誘電障害は、主要な障害モードを構成しており、且つ、プラズマソースの寿命を制限するイベントである。
【0010】
プラズマチャネルの内側壁とのプラズマの相互作用を防止することに多大な努力及び支出が払われているが、限られた成功しか示していない。1つの典型的な方式は、プラズマチャネルの内部コーナの半径を拡大及び制御するというものである。但し、これらの場所に対するアクセスは、
図1のプラズマチャネル106の90°の内部コーナ108a~dなどの埋め込まれた角度を伴う方向回転に対するアクセスにおける困難に起因して制限されている。これらの場所に対するアクセスを取得するべく、且つ、これらの場所を拡大するべく、しばしば、蒸気噴射又は手磨きなどの費用を所要するフローに基づいた方法が使用されているが、これは、完全に自動化された機械加工プロセスの費用又は反復可能性という利点を提供してはいない。プラズマ-壁の相互作用を制限するための別の既知の技法は、慎重にチューニングされた流体力学である。一般に、プラズマの外側のガスは、プラズマ自体よりも格段に高い密度を有しており、且つ、ガスのこの外側層は、プラズマチャネルのコーナ及びその他の場所において壁から離れるようにプラズマを押し出す可能性がある。従って、プラズマチャネル内のプラズマを中心としてスピンする保護層を生成し、これにより、プラズマがチャネル壁と相互作用することを防止するような方式でガスをプラズマチャネル内に注入することに多大な努力が合焦されている。これらの努力は、しばしば、複雑であり、費用を所要し、且つ、複数の場所においてガスを注入するための更なる構造を伴っている。例えば、
図2は、メインガス入口206に加えて、プラズマチャネル202及び1つ又は複数の上流ガスプレナム204を有する別の従来技術のリモートトロイダルプラズマソース200を示している。これらの更なるガスプレナム204は、特許文献4に記述されているように、ガス注入場所をプラズマチャネル202の鋭い90°のコーナ208に分散させている。プラズマチャネル202内においてプラズマを中心としてガスをスピンさせるべく利用されている更なる注入ポイント204は、負担になると共に高価であり、その理由は、これらが、更なる封止、被覆、及び複雑な穿孔パターンを有する部分の構築を伴っているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7501600号明細書
【特許文献2】米国特許第6150628号明細書
【特許文献3】米国特許第6388226号明細書
【特許文献4】米国特許第9275839号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、改善されたプラズマソースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、半導体製造プロセスにおいて使用されうる改善されたリモートトロイダルプラズマソースを特徴としている。いくつかの実施形態において、改善されたプラズマソースは、矩形プラズマチャネルを有する
図1及び
図2のプラズマソース100及び200などの従来のプラズマソースのものよりも実質的に丸いループした経路を有する多角形トロイダルプラズマチャネルを形成する複数の金属ブロック(例えば、アルミニウムブロック)から構築されている。本発明の多角形トロイダルプラズマチャネルは、チャネルの内部壁に衝突するプラズマの傾向を低減する1つ又は複数の鈍角の内角を有することができる。一例として、本発明のリモートトロイダルプラズマソースは、複数の陽極酸化されたアルミニウムブロックから構築することができる。6つ以上の辺及び鈍角の内角を有する多角形の形状におけるトロイダルプラズマチャネルをアルミニウムブロック内において埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、本発明のプラズマソースは、金属ブロック内において実質的に埋め込まれた変圧器及び/又は金属ブロック内において少なくとも部分的に埋め込まれた1つ又は複数の冷却構造を含む。
【0014】
一態様では、プラズマソースが提供される。該プラズマソースは、複数の金属ブロックと、金属ブロック内に埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバと、金属ブロック内に実質的に埋め込まれた変圧器とを備える。トロイダルプラズマチャンバは、プロセスガスを受け取るように構成されたガス入口と、プラズマチャンバからプロセスガスの少なくとも一部分を排出するように構成されたガス出口と、金属ブロック内に機械加工された複数の線形チャネルセグメント、複数の結合部、入口結合部、及び出口結合部とを備える。入口結合部、出口結合部、及び複数の結合部のそれぞれは、線形チャネルセグメントのペアを接続している。線形チャネルセグメント、結合部、入口結合部、及び出口結合部は、組合せにおいてトロイダルプラズマチャンバを形成している。ガス入口は、入口結合部上において配設されている。ガス出口は、出口結合部上において配設されている。結合部のそれぞれのものの内角は、約90度超である。さらに、プラズマソースの変圧器は、金属ブロック内に埋め込まれた、且つ、トロイダルプラズマチャンバの少なくとも1つの線形チャネルセグメントを取り囲む、複数のフェライト部材を備える。また、変圧器は、トロイダルプラズマチャンバの内径に隣接した状態において位置決めされた複数の一次巻線を備える。
【0015】
他の態様では、プラズマソースを製造する方法が提供される。該方法は、複数の金属ブロックを提供するステップと、金属ブロック内において、埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバを形成するステップと、複数のフェライト部材を金属ブロック内において埋め込み且つ1つ又は複数の一次巻線をそれぞれのフェライト部材のセクションの周りにおいて包み込むことにより、変圧器を金属ブロック内に形成するステップとを備える。埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバを形成するステップは、複数の線形チャネルセグメント、複数の結合部、入口結合部、及び出口結合部を金属ブロック内に穿孔することであって、それぞれの結合部、入口結合部、及び出口結合部は、線形チャネルセグメントのペアを接続している、ことを備える。また、埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバを形成するステップは、入口結合部上においてガス入口を配設すること、出口結合部上においてガス出口を配設すること、約90度超の内角を生成するべく複数の結合部のそれぞれを形成すること、並びに、それぞれの金属ブロック内において埋め込まれた線形チャネルセグメントがトロイダルプラズマチャネルをトロイダルプラズマチャンバ内において形成するべくアライメントされるように、金属ブロックを組み立てること、を備える。
【0016】
上記態様のいずれも次の一つ以上の特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、プラズマチャンバの複数の線形チャネルセグメントは、少なくとも6つの線形チャネルセグメントである。いくつかの実施形態では、複数の金属ブロックは、少なくとも2つの金属ブロックである。複数の金属ブロックは、アルミニウムブロックであり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、プラズマソースは複数の冷却プレートを備える。それぞれの冷却プレートは、プラズマチャンバ及び変圧器を冷却するべく金属ブロックの少なくとも1つのものの外側表面との物理的な接触状態にある。いくつかの実施形態では、冷却プレートは、金属ブロックの外側表面と物理的に接触している状態で、金属ブロック内において少なくとも部分的に埋め込まれている。
【0018】
いくつかの実施形態では、ガス入口は、プロセスガスを受け取るためのプラズマチャンバの唯一の入口である。いくつかの実施形態では、それぞれの金属ブロックは、(i)少なくとも2つの線形チャネルセグメントの一部分と、(ii)複数の結合部の少なくとも1つと、を含み、入口結合部又は出口結合部は、少なくとも2つの線形チャネルセグメントに接続されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、金属ブロックは、金属ブロック内に埋め込まれた線形チャネルセグメントがトロイダルプラズマチャンバ内においてトロイダルプラズマチャネルを形成するべくアライメントされるように、複数のインターフェイスにおいて固定された方式で装着されている。インターフェイスのそれぞれにおいて真空封止及び誘電体ブレークが配置され得る。いくつかの実施形態では、それぞれのフェライト部材は、金属ブロックのペアの間のインターフェイスにおいて埋め込まれており、フェライト部材は、金属ブロックのそれぞれのもの内に機械加工されたポケットのペアによって形成されたフェライトチャンバ内において収容されている。いくつかの実施形態では、一次巻線の1つ又は複数は、フェライト部材のセクションの周りにおいて包み込まれている。一次巻線は、インターフェイスにおいて金属ブロックのペアの対応するポケットによって形成されたフェライトチャンバ内において実質的に収容されている。フェライトチャンバは、熱インターフェイス材料によって充填されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、それぞれのフェライト部材は、丸い環状セクション及び台形セクションを含む一体的な部品として成形されている。それぞれのフェライト部材の丸い環状セクションは、前記プラズマチャンバの外径に隣接した状態において位置決めされ、且つ、それぞれのフェライト部材の台形セクションは、プラズマチャンバの内径に隣接した状態において位置決めされている。台形セクションの一部分は、これに対して包み込まれた一次巻線の1つ又は複数を有する。
【0021】
本明細書に記載の発明の利点は、さらなる利点とともに、添付図面と併せて以下の説明を参照することによりさらによく理解されるであろう。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ技術の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、従来技術のリモートトロイダルプラズマソースを示す。
【
図2】
図2は、別の従来技術のリモートトロイダルプラズマソースを示す。
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による例示用のリモートトロイダルプラズマソースの断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による別の例示用のリモートトロイダルプラズマソースの断面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による金属ブロック内においてプラズマチャネルの少なくとも一部分を生成する例示用の穿孔動作の断面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による
図5の金属ブロック内において埋め込まれたプラズマチャネル部分の異なるセクションを面取りするべく使用されうる例示用のツールを示す。
【
図7】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による
図5の金属ブロック内において埋め込まれたプラズマチャネル部分の内側のプロセスガスの例示用の伝播パターンを示す。
【
図8】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による金属ブロック内において埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバ及び変圧器を含む
図3のプラズマソースの例示用の組立体の分解図を示す。
【
図9】
図9は、本発明のいくつかの実施形態による
図8の変圧器のフェライト部材の例示用の形状を示す。
【
図10a】
図10aは、本発明のいくつかの実施形態による結合された冷却システムを有する
図3のプラズマソースの等角図を示す。
【
図10b】
図10bは、本発明のいくつかの実施形態による結合された冷却システムを有する
図3のプラズマソースの断面図を示す。
【
図11】
図11は、本発明のいくつかの実施形態による
図3又は
図4のプラズマソースなどの多角形トロイダルプラズマソースを製造する例示用のプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による例示用のリモートトロイダルプラズマソース300の断面図を示している。プラズマソース300は、一般に、トロイダルプラズマチャネル303、ガス入口310、及びガス出口312を有するトロイダルプラズマチャンバ302を含む。ループした閉鎖経路を定義するトロイダルプラズマチャネル303は、複数のプラズマチャネルセグメント(全体的に304と呼称されている304a~f)及び複数の結合部(全体的に305と呼称されている305a~f)によって形成されており、これらのすべては、2つ以上の金属ブロック(全体的に306と呼称されている306a及びb)内において埋め込まれている。金属ブロック306は、誘電材料によって被覆された又はチャネルセグメント304の内部表面上において誘電障壁を生成するべく陽極酸化されたアルミニウムなどの金属材料を有することができる。また、プラズマソース300は、金属ブロック306内において実質的に埋め込まれた1つ又は複数の磁気コア308及び一次巻線309を有する変圧器320をも含む。少なくとも1つのプラズマチャネルセグメント304を取り囲むように構成されたそれぞれの磁気コア308は、AC電源(図示されてはいない)との電気通信状態にある。ガスがガス入口310を介してプラズマチャネル303に進入するのに伴って、電源によって電力供給される磁気コア308から放射された誘導エネルギーは、プラズマチャネル303内においてプラズマを生成するべく、ガスをイオン化する。このプラズマは、ガス出口312を介してプラズマチャネル303を離脱することが可能であり、且つ、処理対象の少なくとも1つのウエハを含む下流のプラズマ処理チャンバ(図示されてはいない)に進入することができる。
【0024】
一般に、プラズマチャネルセグメント304は線形である。プラズマチャネルセグメント304及び結合部305は、六角形又は八角形の形状などの多角形形状を有するトロイダルプラズマチャネル303を形成するように構成されている。いくつかの実施形態において、プラズマチャネル303の多角形形状は、実質的に対称である。いくつかの実施形態において、多角形トロイダルプラズマチャネル303は、2つ以上の金属ブロック306内に機械加工された6つ以上のチャネルセグメント304及び6つ以上の結合部305によって形成されている。複数の結合部305は、(i)プラズマチャネル303内にプロセスガスを受け取るべくその上部において配設されたガス入口310を有する入口結合部305a、(ii)プラズマチャネル303からプロセスガスの少なくとも一部分を排出するべくその上部において配設されたガス出口312を有する出口結合部305f、及び(iii)1つ又は複数の残りの内部結合部305b~eを含むことができる。いくつかの実施形態において、多角形トロイダルプラズマチャネル303のそれぞれの内部結合部305b~eの内角316は、矩形結合部を有する従来のプラズマチャネル(例えば、
図1の従来技術のプラズマソース100)よりも実質的に丸いプラズマ経路を生成するように鈍角(即ち、90度超)である。多角形トロイダルプラズマチャネル303の丸い鈍角の結合部は、チャネル壁に衝突し、これにより、チャネル303内の陽極酸化された被覆を侵食する、乏しい性能、粒子の生成、及び早期の装置障害をもたらしうる、プラズマチャネル303内のプラズマの傾向を低減するように適合されている。
【0025】
いくつかの実施形態において、それぞれの金属ブロック306は、チャネルセグメント304のペアの少なくとも一部分を流体接続する少なくとも1つの結合部305を含むように機械加工されている。組立の際に、金属ブロック306は、金属ブロック306内において埋め込まれた線形チャネルセグメント304が多角形トロイダルプラズマチャネル303を形成するべくアライメントされるように複数のインターフェイス(全体的に314と呼称されている314a及びb)において互いに固定した方式で装着されるように構成されている。
【0026】
図3に示されているように、プラズマチャンバ302は、2つの金属ブロック306a、b内において埋め込まれた6つのチャネルセグメント304a~f及び6つの結合部305a~fによって形成された六角形形状のトロイダルプラズマチャネル302を有する。具体的には、第1金属ブロック306aは、第1金属ブロック306aとして機械加工された2つの完成したチャネルセグメント304a、bに直接的に接続された入口結合部305aを含む。また、第1金属ブロック306aは、第1金属ブロック306aとして機械加工された完成したチャネルセグメント304a及び部分的チャネルセグメント304c1に接続された第1内部結合部305bをも含む。第1金属ブロック306aは、第1金属ブロック306aとして機械加工された完成したチャネルセグメント304b及び部分的なチャネルセグメント304d1に接続された第2内部結合部305cを更に含む。同様に、第2金属ブロック306bは、第2金属ブロック306bとして機械加工された2つの完成したチャネルセグメント304e、fに直接接続された出口結合部305fを含む。また、第2金属ブロック306bは、第2金属ブロック306bとして機械加工された完成したチャネルセグメント304e及び部分的チャネルセグメント304c2に接続された第1内部結合部305dを含む。第2金属ブロック306bは、第2金属ブロック306bとして機械加工された完成したチャネルセグメント304f及び部分的チャネルセグメント304d2に接続された第2内部結合部305eを更に含む。第1及び第2金属ブロック306a、bをインターフェイス314a、bにおいて固定された方式で装着した際に、部分的なチャネルセグメント304c1、304c2は、インターフェイス314aにおいて完成したチャネルセグメント304cを形成するようにアライメントされ、且つ、部分的チャネルセグメント304d1、304d2は、インターフェイス314bにおいて完成したチャネルセグメント304dを形成するようにアライメントされている。更には、2つの金属ブロック306a、bの組立の際に、チャネルセグメント304a~fは、プラズマチャンバ302の六角形形状のトロイダルプラズマチャネル303を形成するように流体接続されている。
【0027】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による別の例示用のリモートトロイダルプラズマソース400の断面図を示している。プラズマソース400のプラズマチャンバ402は、4つの金属ブロック406a~dとして機械加工された8つのチャネルセグメント404a~h及び8つの結合部405a~hによって形成された八角形トロイダルプラズマチャネル403を有する。従って、相対的に大きなプラズマソース400は、
図3のプラズマソース300との比較において、2つの更なる中間セクション金属ブロック406b、406cを有する。一般に、多角形トロイダルプラズマチャネル内の辺の数は、それぞれの金属ブロックが追加されるのに伴って増大している。プラズマソース300と同様に、プラズマチャネル403の内部結合部405b~gの内角は、実質的に丸いトロイダル形状を生成するように鈍角である。また、当業者には理解されるように、本発明は、8つ超の辺を有する多角形トロイダルプラズマチャネルを有するプラズマソースをも想定しており、この場合にも、内部結合部は鈍角である。これは、一般に、増大された数の金属ブロックとして機械加工された増大した数のチャネルセグメント及び結合部を必要としている。
【0028】
いくつかの実施形態において、2つ以上の金属ブロック内において埋め込まれたプラズマチャネルの多角形形状は、金属ブロック内に内部空洞を機械加工することによって形成されている。具体的には、プラズマソースのそれぞれの金属ブロックは、入口結合部、出口結合部、又は内部結合部などの結合部に接続された少なくとも2つの線形チャネルセグメントの一部分を有する少なくとも1つの機械加工された内部ガス経路を含む。結合部が内部結合部である場合には、ガス経路内のガスは、内部結合部を通過しつつ、鈍角の角度において方向転換している。
図5は、本発明のいくつかの実施形態による金属ブロック内のプラズマチャネルの少なくとも一部分を生成する例示用の穿孔動作の断面図を示している。
図5を参照して記述されている動作は、
図3のプラズマチャネル303及び
図4のプラズマチャネル403を機械加工するべく使用することができる。一般に、所与の金属ブロックの場合に、それぞれの内部結合部は、内部結合部を形成する鈍角の角度においてブロックの内部において遭遇するようにブロックの反対側から機械加工することによる2つの盲穿孔動作により、製造することができる。
【0029】
図5に示されているように、金属ブロック500内において内部結合部502bを形成するべく、チャネルセグメント504aが、ブロック500の内部に向かって第1方向508に沿ってブロック500の1つの側部506から金属ブロック500内に穿孔されている。チャネルセグメント504cが、ブロック500の内部に向かって第2方向514において反対側512から金属ブロック500内に穿孔されている。2つの穿孔動作は、内部結合部502bが形成される鈍角の角度516において遭遇するように適合されている。第2内部結合部502cを形成するべく、類似の動作を使用することが可能であり、これは、結合部502cを形成する鈍角の角度524において遭遇する時点まで、個々の方向520、522に沿ってブロック500の反対側506、512から2つのチャネルセグメント504b、504dを穿孔するステップを含む。入口結合部502aを有する
図5の金属ブロック500などの入口結合部又は出口結合部をも含む金属ブロックの場合には、入口結合部502aは、それぞれ、2つの異なる内部結合部502b、502cに接続された2つのチャネルセグメント504a、504bの交差によって形成されている。図示のように、チャネルセグメント504a、504bは、入口結合部502aを形成するようにブロック500の1つの側部506上において交差しており、入口結合部502aは、その上部に配設されたガス入口532を有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、入口結合部502aの内角534は、鈍角ではない。内角534は、鋭角又は直角であってよい。入口結合部502aにおいて鈍角の角度を有することは、重要ではない場合があり、その理由は、これがガス注入の場所であるからである。具体的には、ガスは、プラズマ-チャネル壁の相互作用を低減するべく、従来の注入方法を使用してガス入口532を介してプラズマチャネル内に注入することができる。例えば、ガスは、入口結合部502aの表面からプラズマを持ち上げるのみならず、ガスフィールドがチャネル方向520、508に接したプラズマチャネル内のプラズマの周りにおいて形成されるようにスピニングパターンを確立するような方式により、プラズマチャンバ内に注入することができる。このガス注入方法は、入口結合部502aにおけるプラズマチャネル内のプラズマとプラズマチャネル壁の間の相互作用を既に極小化していることから、ガスの進入及び離脱を有していない内部結合部502b、502cの内角とは対照的に、入口結合部502aの内角534が鈍角であることを保証することは重要ではない。いくつかの実施形態において、本発明のプラズマチャンバは、プロセスガスを受け取るべく1つの入口のみを有する。例えば、
図3のガス入口310は、プラズマチャンバ302用の唯一のガス入口であり、且つ、
図4のガス入口410は、プラズマチャンバ402用の唯一のガス入口である。プラズマチャンバ内の更なるガス注入構造及び場所は、必要とされない場合があり、その理由は、プラズマチャネルの内部結合部が、プラズマチャネルの壁との間のプラズマ相互作用を極小化するべく滑らかであり且つ鈍角であるからである。また、代替実施形態においては、プラズマチャネルの入口結合部も鈍角である。
【0031】
いくつかの実施形態において、
図3の出口結合部305f又は
図4の出口結合部405hなどのガス出口が配設されている出口結合部の内角は、鈍角ではない。ガス出口を有する出口結合部を含む金属ブロックの場合に、離脱するガスの勢いが、通常、結合部壁からプラズマを持ち上げており、従って、更なるプラズマ-チャネル壁の相互作用を防止するための鈍角の角度を必要としてはいない。また、代替実施形態においては、プラズマチャネルの出口結合部も鈍角である。
【0032】
いくつかの実施形態において、複数のチャネルセグメント及び結合部を有するプラズマチャネルを形成する穿孔動作は、穿孔動作が遭遇する内部結合部の表面を滑らかにするための1つ又は複数の面取り動作によって後続されている。上述のように、プラズマチャネルの壁との間のプラズマの相互作用を極小化するべく、プラズマチャネルの形状は、6つ以上の辺を有する多角形などのように、実質的に丸い。これは、プラズマチャネルのそれぞれの内部結合部の面取り半径が極大化される必要があることを意味している。但し、プラズマを中心とした回転するガスフィールドを最良に伝播させるべく、内部結合部の鈍角の方向転換を通じて、実質的に一定の直径を有する大きな丸い断面が望ましい。これらの競合する設計目標は、面取りツールを使用して金属ブロック内において埋め込まれた内部結合部の半径に対するアクセスの保証という更なるニーズとの間において、バランスさせる必要がある。鈍角の内角を有するプラズマチャネルの内部結合部を形成することが、これらの目標を実現している。
図6は、本発明のいくつかの実施形態による
図5の金属ブロック500内において埋め込まれたプラズマチャネル部分の異なるセクションを面取りするべく使用されうる例示用のツールを示している。図示のように、ロリポップ面取りツール602は、内部結合部502b又は502cにおけるものなどの内部結合部の場所においてプラズマチャネルの壁を滑らかにするべく使用されている。例えば、ロリポップ面取りツール602は、内部結合部502cを面取りするためのツール経路606などの、金属ブロック500の辺512に進入するか又はこれから離脱するツール経路に沿って内部結合部502b又は502cの内径及び外径を面取りすることができる。内部結合部502b又は502cの鈍角の内角は、直角を有する従来技術の内部結合部との比較において、ロリポップ面取りツール602に対する格段に良好なアクセスを提供している。これに加えて、入口結合部502aを面取りするべく、ボールエンドミル604を使用することができる。
図6において、ボールエンドミル604は、入口結合部502aを面取りするべく経路608に沿って移動している間にツール604の先端が回転するのに伴う3つの異なる位置において示されている。いくつかの実施形態において、ロリポップ面取りツール602及びボールエンドミル604を使用した多角形トロイダルプラズマソースの様々な結合部の面取りは、ロボット機器を使用して完全に自動化されており、これにより、完全に自動化された面取りプロセスの費用及び反復可能性の利点を維持しつつ、埋め込まれた内部結合部場所に対するアクセスを大幅に増大させている。
【0033】
従って、
図3のプラズマソース300又は
図4のプラズマソース400などの本発明のプラズマソースの場合に、プラズマソース内のトロイダルプラズマソースの内部結合部を定義している鈍角の内角は、これらの内部結合部における大きな且つ滑らかな面取りとの組合せにおいて、プラズマチャネルを通じた丸いトロイダルガス経路を生成している。本発明のプラズマチャネルは、
図1及び
図2に示されている従来技術の矩形プラズマチャネルよりも格段に丸いトロイダル形状(例えば、
図3の六角形形状又は
図4の八角形形状)を有していることから、本発明のプラズマソースのプラズマチャネルは、本質的に、プラズマチャネルの結合部において壁に衝突するプラズマの発生に対して相対的に安定している。また、本発明のプラズマソースは、プラズマチャネル内のプラズマを中心とした保護用の回転ガス層を相対的に良好に維持し且つ伝播させ、これにより、ガス注入方式を単純化している。例えば、上述のように、プロセスガスを受け取るべく、
図2のプラズマソース200などの従来技術のプラズマソースにおける複数の入口の代わりに、1つのガス入口のみが必要とされている。更には、上述のように、ガス入口が配設されているプラズマチャネルの入口結合部は、鈍角である必要はない。入口結合部の内角は、鋭角又は直角であってよい。
【0034】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による
図5の金属ブロック500内において埋め込まれたプラズマチャネル部分の内側のプロセスガスの例示用の伝播パターンを示している。図示のように、プロセスガスは、ガス入口532を介してプラズマチャネルに注入されている。いくつかの実施形態において、ガス入口532は、プラズマチャネルに対する唯一の入口である。ガス入口532は、入口532のエッジの周りの複数のまっすぐな孔702を含むように構築することができる。これらのまっすぐな孔702は、プラズマチャンバ内のプラズマが内部壁に衝突することを防止するべく、到来するガスに接した渦巻704を導入するように構成することができる。まっすぐな孔702を含む入口532の例示用の実施形態は、その内容のすべてが引用によって本明細書に包含されるマサチューセッツ州アンドーバに所在するMKSインスツルメンツ社(MKS Instruments,Inc.,of Andover,Massachusetts)に譲渡された米国特許第6872909号明細書及び同第6388226号明細書において見出すことができる。チャネルの内部結合部502b、502cの鈍角の内角516、524及び大きな滑らかな面取りと組み合わせられたプラズマチャネルの多角形トロイダル形状は、プロセスガスの接した渦巻704がチャネルを通じて伝播することを許容し、これにより、プラズマがチャネルの内部壁に衝突することを実質的に防止している。例えば、
図7に示されているように、プロセスガスは、内部結合部502b、502cを通じて移動している間にその渦巻パターンを維持することができる。対照的に、
図1の従来技術の構造におけるような直角又は鋭角を有する従来技術の内部結合部は、プロセスガスの渦巻フローを破壊する可能性が高く、これにより、結合部の場所におけるプラズマチャネルの壁との間のプラズマの相互作用を可能にしている。
【0035】
別の態様において、本発明は、この場合にも
図3のプラズマソース300又は
図4のプラズマソース400などのその内部に埋め込まれた多角形トロイダルプラズマチャンバを有する実質的に金属ブロック組立体内において埋め込まれた変圧器を特徴としている。上述のように、埋め込まれたプラズマチャンバは、内部プラズマチャネルセグメント及び結合部が多角形(例えば、六角形又は八角形)プラズマチャネルをアライメントさせ且つこれを形成するように2つの以上の金属ブロックを組み立てることにより、構築することができる。
図8は、本発明のいくつかの実施形態による金属ブロック306a、b内に埋め込まれたトロイダルプラズマチャンバ302及び変圧器320を含む
図3のプラズマソース300の例示用の組立体の分解図を示している。2つの金属ブロック306a、bは、金属ブロック306内において埋め込まれた線形チャネルセグメント304がプラズマチャンバ302の多角形トロイダルプラズマチャネル303を形成するべくアライメントされるように、少なくとも2つのインターフェイス314a、bを介して互いに固定された方式によって装着することができる。いくつかの実施形態において、インターフェイス314a、314bのそれぞれは、セラミックOリングの形態でありうる誘電体ブレーク812と、誘電体Oリング812との関係において同心状に位置決めされたポリマーOリングの形態でありうる真空封止814と、を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、変圧器320は、(i)フェライト部材の形態における1つ又は複数の磁気コア308と、(ii)1つ又は複数の一次巻線309と、を含む。また、フェライト部材308及び一次巻線309は、インターフェイス314a、bにおいて金属ブロック306a、b内に埋め込むこともできる。一般に、それぞれのフェライト部材308は、金属ブロック306のペアの間のインターフェイス314において埋め込まれており、この場合に、それぞれのフェライト部材308は、プラズマチャネルセグメント304を取り囲むように適合されている。これに加えて、一次巻線309は、それぞれのフェライト部材308の少なくとも1つのセクションの周りを包み込み、且つ、プラズマチャンバ302の内径810に隣接した状態において位置決めされている。
図8に示されているように、2つのフェライト部材308は、1つに積層され、且つ、インターフェイス314aにおいて線形プラズマチャネルセグメント304cを取り囲んでおり、且つ、2つのフェライト部材308は、1つに積層され、且つ、インターフェイス314bにおいて線形プラズマチャネルセグメント304dを取り囲んでいる。
【0037】
いくつかの実施形態において、それぞれのフェライト部材308は、そのインターフェイス表面から且つ真空封止特徴814の周りにおいて金属ブロック306内に機械加工されたフェライトポケット802内において配設されている。具体的には、フェライトポケット802は、可能な限り小さな空間を伴ってフェライト部材308のセクションの周りにおいて包み込まれた一次巻線209と共に少なくとも1つのフェライト部材308を収容するように構成することができる。いくつかの実施形態において、インターフェイス314a、bに沿ったプラズマチャンバ302の内径810における金属ブロック306a、bの厚さは、伝導性の冷却を促進するべく、その他の場所における金属ブロック306a、bの厚さを上回っている。
図8においては、拡大された厚さを有する金属ブロック306a、bのエリア820は、丸で囲まれている。一般に、プラズマチャンバ302内のプラズマが内径810に近接した状態において進む傾向を有し、これにより、外径816に沿ったものよりも格段に大きな熱流束を内径810に沿って生成するという事実に起因し、プラズマソース300内の最も温度が高い場所の1つは、プラズマチャンバ302の内径810に沿っている。これに加えて、有効な冷却を提供するべく内径810に十分に近接するように冷却構造を配置することは、かなり困難である。従って、フェライト部材308の台形セクション904に隣接したエリア820内のフェライトポケット802の周りの(即ち、プラズマチャンバ302の内径810に隣接した)金属ブロック306a、bの厚さを増大させることは、増大した伝導を通じて熱の除去を促進することができる。図示のように、この厚さは、フェライト部材308を収容するべく、特に、フェライト部材308の台形セクション904を収容するべく、使用されるポケット802の形状によって制御することができる。いくつかの実施形態において、後述する冷却システムによってしばしば冷却されている金属ブロック306に対するフェライト部材308の適切な熱結合を保証するべく、それぞれのフェライトポケット802の空間を充填するために、熱グリース、薄膜、又はポッティング材料などの熱インターフェイス媒体が使用されている。
【0038】
2つのインターフェイス314a、bにおいて2つの金属ブロック306a、bを結合した際に、それぞれのインターフェイスは、個々のポケット802内においてフェライト部材308及び一次巻線309を実質的に収容するべく、個々のフェライトポケット802からフェライトチャンバ804を形成している。従って、変圧器320のフェライト部材308及び一次巻線309は、2つの金属ブロック306a、b内において実質的に埋め込まれている。図示のように、フェライト部材308の積層された構成をそれぞれのフェライトチャンバ804内において形成することができる。それぞれのフェライトチャンバ804の空間は、熱インターフェイス材料によって充填することができる。いくつかの実施形態において、それぞれのフェライトポケット802は、少なくとも1つのフェライト部材308を収容しており、これは、結果的に得られるフェライトチャンバ804が、それぞれの金属ブロックインターフェイスにおいて2つ以上のフェライト部材308を封入していることを意味している。代替実施形態においては、フェライトチャンバ804は、それぞれの金属ブロックインターフェイスにおいて1つのフェライト部材308を封入している。
【0039】
いくつかの実施形態において、それぞれのフェライト部材308は、冷却及び磁気性能を極大化するのみならずフットプリント及び材料の浪費を極小化する形状を生成するようにカスタム成形されている。
図9は、本発明のいくつかの実施形態による
図8の変圧器320のフェライト部材308の例示用の形状を示している。このような形状は、
図8に示されている変圧器320の構成と互換性を有しており、この場合に、一次巻線309は、一次巻線309のリード814がプラズマチャンバ302の中心との間において進入及び離脱する状態においてプラズマチャンバ302の内径810上において配置されている。
図9に示されているように、成形されたフェライト部材308は、境界線906によって分離された丸い環状セクション902及び台形セクション904を含む一体的な部品である。丸い環状セクション902は、プラズマチャンバ302の外径816に隣接した状態において位置決めされており、且つ、フェライト部材308を収容する金属ブロック306のサイズ及びフットプリントを極小化するように外径816に隣接した状態において延在するように設計されている。フェライト部材308の台形セクション904は、プラズマチャンバ302の内径810に隣接した状態において位置決めされており、且つ、プラズマチャンバ302の内径810から離れるように一次巻線309を運動させると共に変圧器320内におけるフェライト材料の結合の合計量を増大させつつ一次巻線309用の空間を提供するように設計されている。
【0040】
いくつかの実施形態においては、
図8及び
図9との関係において上述した変圧器320に類似した変圧器構造420が、
図4のプラズマソース400について構築されている。
図4に示されているように、フェライト部材408及び一次巻線409を含む変圧器420は、インターフェイス414a~dにおいて、金属ブロック406a~d内において実質的に埋め込まれている。具体的には、それぞれのインターフェイスにおいて、フェライトチャンバ(図示されてはいない)は、少なくとも1つのフェライト部材408及びその一次巻線409を封入するように形成されており、この場合に、それぞれのフェライトチャンバは、
図8のフェライトチャンバ804と実質的に同一である。更には、当業者には明瞭に理解されるように、類似の変圧器構造は、本発明の任意の多角形トロイダルプラズマソースについて構築することができる。
【0041】
別の態様において、本発明は、本発明の多角形トロイダルプラズマソースを冷却するシステム及び方法を特徴としている。従来は、金属ブロック内に埋め込まれたプラズマチャンバ内においてプラズマによって生成された高熱を低減するべく、1つ又は複数のコールドプレートがそれぞれの金属ブロック上にクランプされている。また、従来の冷却システムは、フェライト部材及び一次巻線を含む変圧器の形態における第2熱源用の更なる冷却構造をも必要としている。例えば、従来の冷却システムを有する従来技術のプラズマソースにおいて、コールドプレートは、金属ブロックの反対側に直接的にクランプされている。従って、コールドプレートの1つの表面のみが単一の次元において金属ブロックを冷却している。これに加えて、従来技術のプラズマソースの変圧器のフェライト部材は、冷却された金属ブロックの外側に配置された少なくとも1つの部分を有していることから、変圧器を冷却するべく、ヒートシンク、コールドプレート、又はヒートパイプなどの別個の指定された冷却構造が使用されており、これが更なる複雑性及び費用をもたらしている。
【0042】
対照的に、本発明の多角形トロイダルプラズマソースの場合には、フェライト部材及び一次巻線を含む変圧器が実質的に金属ブロック組立体の内側において埋め込まれている。これは、変圧器に専用の更なる冷却構造に対するニーズを除去しており、これは、プラズマソースの複雑性及び費用を低減している。いくつかの実施形態においては、金属ブロック組立体を冷却するべく、1つ又は複数のコールドプレートなどの冷却構造のみが使用されており、次いで、この金属ブロック組立体が、その内部に埋め込まれた変圧器を冷却している。また、いくつかの実施形態においては、金属ブロック組立体用の冷却構造は、金属ブロック内において実質的に埋め込まれており、従って、冷却構造の複数の側部(それぞれのコールドプレートの3つの側部)によって金属ブロック組立体を冷却する能力を有する。これは、複数の次元における熱フローを可能にすることによって熱源に対する伝導性経路を低減すると共に金属ブロックに対する伝導性エリアを増大させることにより、冷却の効率を大幅に改善している。
【0043】
図10a及び
図10bは、それぞれ、本発明のいくつかの実施形態による結合された冷却システムを有する
図3のプラズマソース300の等角図及び断面図を示している。図示のように、2つのコールドプレート1002が、全体的に、それぞれの金属ブロック306の反対側の外部表面に装着されており、この場合には、合計で4つのコールドプレート1002が2つの金属ブロック306a、bを冷却するべく使用されている。これらのコールドプレート1002は、プラズマソース300のプラズマチャンバ302内のプラズマによって生成された高熱負荷を散逸させるように構成されている。金属ブロック306内において埋め込まれた変圧器320は、更なる熱負荷を構成しているのみならず、フェライト部材308の動作温度の限度に起因して相対的に厳しい温度要件を生成している。いくつかの実施形態においては、増大した冷却要件を充足するべく、コールドプレート1002が金属ブロック306内において少なくとも部分的に埋め込まれている。図示のように、2つの凹部1004がそれぞれの金属ブロック306の反対側において機械加工されており、この場合に、それぞれの凹部1004は、コールドプレート1002を受け入れるように寸法設定されている。金属ブロック306は、その内部に埋め込まれた変圧器320を有するように十分大きいものである必要があることから、コールドプレート1002を収容するための凹部1004を機械加工するべく、それぞれの金属ブロック306内には、十分な未使用の容積が存在している。このような凹入した構造は、金属ブロック306を冷却するべくそれぞれのコールドプレート1002の少なくとも3つの側部1006を利用することによって2次元冷却を促進しており、この場合に、これらの側部は、コールドプレート1002と金属ブロック306の間のインターフェイスを表している。更には、
図10a及び
図10bに示されているように、それぞれのコールドプレート1002の少なくとも1つの側部は、変圧器320の一部分を収容しているフェライトチャンバ804に隣接しており、従って、変圧器部分を効果的に冷却している。また、少なくとも2つの熱源-プラズマチャンバ302及び変圧器320-の加熱された表面1008に近接するように冷却表面1006を運動させることにより、改善された冷却が実現されている。いくつかの実施形態においては、熱インピーダンスを低減するべく且つ機械的公差について補償するべく、グリース、薄膜、又はパッドのなどの熱インターフェイス材料が冷却表面1006に適用されている。
【0044】
図10a及び
図10bを参照して上述した冷却システムは、いくつかの辺を有する多角形トロイダルプラズマソースに対して一般化することができる。例えば、プラズマソース内において使用されているそれぞれの金属ブロックごとに、プラズマチャンバ及び変圧器の埋め込まれた部分を含む金属ブロック用の冷却を提供するべく、2つのコールドプレートを凹入させることができると共に金属ブロックの外部表面に装着することができる。
【0045】
図11は、本発明のいくつかの実施形態による
図3のプラズマソース300又は
図4のプラズマソース400などの多角形トロイダルプラズマソースを製造する例示用のプロセス1100を示している。プロセス1100は、プラズマソースを構築するべくアルミニウムブロックなどの複数の金属ブロックを提供することにより、ステップ1102において開始している。例えば、六角形プラズマソースの場合には、少なくとも2つの金属ブロックが使用されている。八角形プラズマソースの場合には、少なくとも4つの金属ブロックが使用されている。
【0046】
ステップ1104において、プラズマチャンバがブロック内において実質的に埋め込まれるように、多角形トロイダルプラズマチャンバが金属ブロック内に機械加工されている。これは、ステップ1104aにおいて、
図5及び
図6を参照して上述した方式を使用するなどにより、結合部によって接続された複数の線形チャネルセグメントを金属ブロック内に穿孔するステップを含みうる。一般的に、入口結合部、出口結合部、又は内部結合部でありうるそれぞれの結合部は、線形チャネルセグメントのペアを接続している。ステップ1104bにおいて、ガス入口が入口結合部上において配設されている。一般に、多角形トロイダルプラズマチャンバは、プロセスガスを受け取るための1つ又は複数の入口を有することができる。プロセスガスは、到来するガスに接した渦巻を導入するように、入口を介してプラズマチャンバ内に注入することができる。ステップ1104cにおいて、ガス出口が出口結合部上において配設されており、この場合に、ガス出口は、プロセスガスの少なくとも一部分がプラズマチャンバから離脱することを許容するように構成されている。いくつかの実施形態において、それぞれの金属ブロックは、その内部に埋め込まれた少なくとも1つの結合部及び2つの接続チャネルセグメントを含むように機械加工されている。例えば、ガス入口又は出口を収容している金属ブロックの場合には、ブロックは、その接続しているチャネルセグメントと共に、少なくとも3つの結合部(入口又は出口結合部及び少なくとも2つの内部結合部)を含むように機械加工されている。中間セクションの金属ブロックの場合には、2つの接続している線形チャネルセグメントと共に少なくとも1つの内部結合部を含むように、それぞれを機械加工することができる。
【0047】
ステップ1104dにおいて、プラズマチャンバの内部結合部は、鈍角である、即ち、約90度超である内角を生成するように形成されている。鈍角の角度は、プラズマチャネルの結果的に得られる多角形形状が実質的に丸くなることを許容しており、これは、上述の多くのその他の利益に加えて、プラズマ-チャネル壁の相互作用を極小化している。ステップ1104eにおいて、金属ブロックは、その内部にチャネルセグメント及び結合部が機械加工された後に、トロイダルプラズマチャンバを形成するべくアライメントされ且つ組み立てられている。
【0048】
ステップ1106において、変圧器は、
図8との関係において上述した方式を使用するなどにより、金属ブロック内において埋め込まれている。例えば、2つの金属ブロックの間のそれぞれのインターフェイスにおいて、フェライト部材のセクションの周りにおいて包み込まれた状態において一次巻線を有する少なくとも2つのフェライト部材を収容するように、フェライトチャンバを金属ブロック内に機械加工することができる。それぞれのフェライト部材は、プラズマチャネルの線形チャネルセグメントを取り囲むように且つ
図9との関係において先ほど図示及び記述した形状を有するように、構築することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、プロセス1100は、
図10a及び
図10bを参照して上述したように、それぞれのコールドプレートが金属ブロック内において少なくとも部分的に埋め込まれる(例えば、凹入する)ように、金属ブロックに1つ又は複数のコールドプレートを結合するステップを更に含む。これらのコールドプレートは、埋め込まれたプラズマチャンバ及び変圧器の両方を含む金属ブロック組立体を冷却するように適合されている。
【0050】
上述のように、本発明の多角形トロイダルプラズマソースは、チャネル内の誘電体被覆の相対的に低い侵食レートをもたらしうるプラズマチャネル内のプラズマとプラズマチャネルの壁の間における相互作用の発生を低減し、その結果、生成される相対的に少ない数の粒子、相対的に少ない数の誘電体障壁障害、及び相対的に長い装置の寿命をもたらしている。この低減は、ガス経路に沿ったプラズマチャネルの内部結合部において鈍角の内角及び滑らかな大きな面取りを有する、6つ以上の辺を有するなどの、実質的に丸い多角形トロイダルプラズマチャネルを生成することにより、実現することができる。更には、この形状は、プラズマチャネルに沿った複数の場所においてガス注入を分散させるニーズを除去することにより、プラズマチャンバ内へのガス注入を単純化させ且つ改善している。その代わりに、いくつかの実施形態においては、複数の注入サイトを有するプラズマチャネルと同一のガス伝播品質を実質的に維持しつつプロセスガスを受け取るべく、単一のガス入口のみが使用されている。この結果、本発明のプラズマソースの場合には、相対的に少ない数の部分及び封止が存在しており、これにより、相対的に低い費用及び相対的に高い信頼性をもたらしている。これに加えて、本発明は、金属ブロック及び変圧器用の別個の冷却メカニズムを使用している複雑な冷却システムに対するニーズを除去している。このような低減は、相対的に少ない数の部分、相対的に低い費用、及びプラズマソースの相対的に良好な冷却を結果的にもたらしている。これは、金属ブロックの内側に変圧器を埋め込むことによって金属ブロック内に埋め込まれた変圧器及びプラズマチャンバの両方を冷却するべく1つの冷却構造のみ(例えば、1つ又は複数のコールドプレート)を使用することにより、実現することができる。更には、本発明の凹入した/埋め込まれた冷却能力は、冷却表面を増大させると共にプラズマソース内の熱源までの伝導性経路を低減しており、これにより、冷却性能を改善し、プラズマソースの動作空間を延長し、且つ、変圧器用の更なる冷却構造の除去を促進している。
【0051】
以上、特定の実施形態を参照し、本発明について具体的に図示及び記述したが、当業者は、添付の請求項によって定義されている本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに、これらにおいて形態及び詳細における様々な変更が実施されうることを理解するであろう。
【国際調査報告】