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特表2022-531488拡張可能なフレームを備えた弁付き導管
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】拡張可能なフレームを備えた弁付き導管
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566095
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020031597
(87)【国際公開番号】W WO2020227359
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/843,911
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】カイル ダブリュ.コラビート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.シェパード
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC05
4C097CC15
4C097CC16
4C097SB02
4C097SB09
(57)【要約】
本開示の様々な態様は、弁付き導管を含む装置、システム及び方法を対象とする。弁付き導管は、導管内に配置されたフレーム要素と、前記フレームを半径方向に拡張するようにバラバラに広がるように構成された1つ以上の拡張要素とを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面及び外面を有する導管、及び、
前記導管内に配置されそしてフレーム要素の周りに配置された交連ポストを有するフレーム要素であって、前記フレーム要素は、第一の構成において第一の直径を有し、そして、流体の差圧に応答して、開放して流れを可能にし、そして、閉止して導管管腔を閉塞しそして流れを防止し、そして、前記フレーム要素の内部に加えられた力に応答して、第二の構成において、第二のより大きな直径に拡張するように構成された弁尖を有する弁構造を支持するように構成されている、フレーム要素、及び、
前記交連ポストの間に又は前記交連ポストに隣接して配置され、前記第一の構成と前記第二の構成との間で移行する際に前記フレーム要素を半径方向に拡張するようにバラバラに広がるように構成された1つ以上の拡張要素、
を含む、弁付き導管。
【請求項2】
前記フレーム要素は、前記第二の構成において第二の弁構造をその中に収容するように構成されている、請求項1記載の弁付き導管。
【請求項3】
前記フレーム要素は、前記交連ポストによって接続された第一の円形リム及び第二の円形リムを含み、そして前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムのうちの少なくとも1つのうちの部分を形成する、請求項1~2のいずれか1項記載の弁付き導管。
【請求項4】
前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムの一方とともに配置され、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムの他方に向かって延在している、請求項3記載の弁付き導管。
【請求項5】
前記1つ以上の拡張要素は、第一の線形部分、第二の線形部分及び湾曲部分を含む、請求項4記載の弁付き導管。
【請求項6】
前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、前記第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在し、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている、請求項5記載の弁付き導管。
【請求項7】
前記1つ以上の拡張要素は前記交連ポストの間に配置されている、請求項1~6のいずれか1項記載の弁付き導管。
【請求項8】
前記1つ以上の拡張要素は前記交連ポストに隣接して配置されている、請求項1~7のいずれか1項記載の弁付き導管。
【請求項9】
前記1つ以上の拡張要素は前記交連ポストの部分の間に配置されている、請求項1~8のいずれか1項記載の弁付き導管。
【請求項10】
前記フレーム要素は複数の交連ポストを含み、前記1つ以上の拡張要素は、各交連ポストの部分の間に配置された複数の拡張要素を含む、請求項1~9のいずれか1項記載の弁付き導管。
【請求項11】
前記交連ポストの間に配置された複数の追加の拡張要素をさらに含む、請求項10記載の弁付き導管。
【請求項12】
前記1つ以上の拡張要素は、前記フレーム要素の直径を増加させるように構成されている、請求項1~11のいずれか1項記載の弁付き導管。
【請求項13】
弁構造、及び、
第一の構成で前記弁構造を支持するように構成され、そして前記第一の構成におけるフレーム要素の直径よりも大きい直径を有する第二の構成に前記フレーム要素を半径方向に拡張し、前記第二の構成で二次弁構造を収容しそして連続外周を維持するように構成された1つ以上の拡張要素を含むフレーム要素、
を含む、拡張可能な人工器官デバイス。
【請求項14】
前記フレーム要素は、第一の円形リム及び第二の円形リムを含み、前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムのうちの少なくとも1つのうちの部分を形成している、請求項13記載の拡張可能な人工器官デバイス。
【請求項15】
前記1つ以上の拡張要素は第一の線形部分及び第二の線形部分を含み、そして前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、前記第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在しており、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている、請求項14記載の拡張可能な人工器官デバイス。
【請求項16】
導管をさらに含み、前記フレーム要素は前記導管内に配置されている、請求項13記載の拡張可能な人工器官デバイス。
【請求項17】
患者の大動脈弁又は肺動脈弁を修復又は交換する方法であって、前記方法は、
患者内の標的位置に弁付き導管を配置することであって、内部の前記弁付き導管は、弁構造を含み、前記弁構造を支持するように構成されたフレーム要素は、第一の構成において、流体の差圧に応答して、開放して流れを可能にし、そして閉止して導管管腔を閉塞しそして流れを防止するように構成された弁尖を含み、そして前記フレーム要素を半径方向に拡張するように構成された1つ以上の拡張要素を含む、配置すること、
前記フレーム要素の内部に力を加えて、前記フレーム要素の連続外周を維持しながら、前記第一の構成よりも大きい直径を有する第二の構成に前記フレーム要素を半径方向に拡張すること、及び、
前記拡張されたフレーム要素内に二次弁構造を配置すること、
を含む、方法。
【請求項18】
前記弁付き導管を配置することは、前記弁付き導管を展開して、患者の肺動脈弁を置換することを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記フレーム要素は、第一の円形リム及び第二の円形リムを含み、前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムのうちの少なくとも1つのうちの部分を形成し、前記1つ以上の拡張要素は第一の線形部分及び第二の線形部分を含み、前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、前記第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在し、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、前記第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在しており、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている、請求項19記載の方法。
【請求項21】
第一の弁構造を収容するための弁付き導管でかつ第二の弁構造を収容するための拡張が可能である弁付き導管であって、前記弁付き導管は、
内面及び外面を有する導管、及び、
第一の構成において第一の直径を含む、前記導管内に配置されたフレーム要素であって、そして流体の差圧に応答して、開放して流れを可能にし、そして閉鎖して導管管腔を閉塞しそして流れを防止するように構成された弁尖を有する第一の弁構造を支持するように構成されたフレーム要素、
を含み、前記フレーム要素は、
第一の円形リム、
第二の円形リム、
前記フレーム要素の周りに配置され、前記第一の円形リムと前記第二の円形リムを接続する交連ポスト、
前記第一の円形リムに沿って前記交連ポストの間に又は前記交連ポストに隣接して配置されている上部拡張要素、及び、
前記第二の円形リムに沿って前記交連ポストの間に又は前記交連ポストに隣接して配置されている下部拡張要素を有し、
前記上部拡張要素及び前記下部拡張要素のうちの少なくとも1つは、前記フレーム要素の内部に加えられた力に応答して、前記第一の構成と、弁尖を有する第二の弁構造を支持するための第二の構成における第二のより大きい直径との間の移行時に前記フレーム要素を半径方向に拡張させるようにバラバラに広がるように構成されている、弁付き導管。
【請求項22】
前記フレーム要素は前記第二の弁構造の弁尖間のギャップを維持するように変形するように構成されている、請求項21記載の弁付き導管。
【請求項23】
前記上部拡張要素及び前記下部拡張要素は内部半径方向力によって意図される直径で前記第二の構成において前記フレーム要素を保持するように構成されている、請求項21記載の弁付き導管。
【請求項24】
前記上部拡張要素及び前記下部拡張要素は、前記フレーム要素を線形的に拡張するように傾斜して拡張するように構成されている、請求項21記載の弁付き導管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月6日に出願された仮出願第62/843,911号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、一般に、人工弁に関し、より具体的には、中に拡張可能なフレームを有する導管を含む装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
天然弁の機能及び性能を模倣しようとする生体人工心臓弁を開発した。可撓性弁尖は、弁尖を支持し、インプラント処置時に寸法安定性を提供する比較的剛性のフレームに機械的に結合されうる。生体人工心臓弁は、短期的には優れた血行動態的及び生体機械的性能を提供することができるが、故障モードの中でもとりわけ、石灰化及び尖点裂傷を起こしやすく、再手術及び交換が必要である。
【0004】
特定の例において、弁尖は、肺動脈弁導管などの導管内に配置されうる。しかしながら、弁付き導管の必要な直径プロファイルが、ある時点から別の時点に変化する様々な状況が発生する。例えば、小児科用途において、第一の、より小さな内直径(すなわち、内部流直径)を有する弁付き導管の弁部分は適切であることができるが、患者の成長に続いて、人工弁のより大きな内直径が望ましい。既存の弁の取り外し及び/又はより大きな流直径を有する別の弁のインプラント処置は、様々な合併症及び付随するリスクを引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
要旨
1つの例(「例1」)によれば、弁付き導管は、内面及び外面を有する導管、及び、前記導管内に配置されそして交連ポストを有するフレーム要素であって、前記交連ポストが前記フレーム要素の周りに配置されたフレーム要素、ここで、前記フレーム要素は、第一の構成において第一の直径を有し、流体の差圧に応答して、開放して流れを可能にし、そして閉止して導管管腔を閉塞しそして流れを防止し、そして、前記フレーム要素の内部に加えられた力に応答して、第二の構成において、第二のより大きな直径に拡張するように構成された弁尖を有する弁構造を支持するように構成されている、及び、交連ポストの間に又は前記交連ポストに隣接して配置され、前記第一の構成と前記第二の構成との間で移行する際に前記フレーム要素を半径方向に拡張するようにバラバラに広がるように構成された1つ以上の拡張要素、を含む。
【0006】
別の例(「例2」)によれば、例1の弁付き導管に加えて、前記フレーム要素は、前記第二の構成において第二の弁構造をその中に収容するように構成されている。
【0007】
別の例(「例3」)によれば、例1~2のいずれか1つの弁付き導管に加えて、前記フレーム要素は、前記交連ポストによって接続された第一の円形リム及び第二の円形リムを含み、そして前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムのうちの少なくとも1つのうちの部分を形成する。
【0008】
別の例(「例4」)によれば、例3の弁付き導管に加えて、前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムの一方とともに配置され、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムの他方に向かって延在している。
【0009】
別の例(「例5」)によれば、例4の弁付き導管に加えて、1つ以上の拡張要素は、第一の線形部分、第二の線形部分及び湾曲部分を含む。
【0010】
別の例(「例6」)によれば、例5の弁付き導管に加えて、前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、前記第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在し、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている。
【0011】
別の例(「例7」)によれば、例1~6のいずれか1つの弁付き導管に加えて、前記1つ以上の拡張要素は前記交連ポストの間に配置されている。
【0012】
別の例(「例8」)によれば、例1~7のいずれか1つの弁付き導管に加えて、前記1つ以上の拡張要素は交連ポストに隣接して配置されている。
【0013】
別の例(「例9」)によれば、例1~8のいずれか1つの弁付き導管に加えて、前記1つ以上の拡張要素は前記交連ポストの部分の間に配置されている。
【0014】
別の例(「例10」)によれば、例1~9のいずれか1つの弁付き導管に加えて、前記フレーム要素は複数の交連ポストを含み、前記1つ以上の拡張要素は、各交連ポストの部分の間に配置された複数の拡張要素を含む。
【0015】
別の例(「例11」)によれば、例10の弁付き導管に加えて、前記弁付き導管はまた、前記交連ポストの間に配置された複数の追加の拡張要素を含む。
【0016】
別の例(「例12」)によれば、例1~11のいずれか1つの弁付き導管に加えて、前記1つ以上の拡張要素は、前記フレーム要素の直径を増加させるように構成されている。
【0017】
1つの例(「例13」)によれば、拡張可能な人工器官デバイスは、弁構造、及び、第一の構成で弁構造を支持するように構成され、そして前記第一の構成におけるフレーム要素の直径よりも大きい直径を有する第二の構成に前記フレーム要素を半径方向に拡張し、前記第二の構成で二次弁構造を収容しそして連続外周を維持するように構成された1つ以上の拡張要素を含むフレーム要素を含む。
【0018】
別の例(「例14」)によれば、例13の拡張可能な人工器官デバイスに加えて、前記フレーム要素は、第一の円形リム及び第二の円形リムを含み、前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムのうちの少なくとも1つのうちの部分を形成している。
【0019】
別の例(「例15」)によれば、例14の拡張可能な人工器官デバイス加えて、前記1つ以上の拡張要素は第一の線形部分及び第二の線形部分を含み、そして前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、前記第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在しており、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている。
【0020】
別の例(「例16」)によれば、例13の拡張可能な人工器官デバイスに加えて、前記デバイスは導管も含み、前記フレーム要素は前記導管内に配置されている。
【0021】
1つの例(「例17」)によれば、患者の大動脈弁又は肺動脈弁を修復又は交換する方法は、患者内の標的位置に弁付き導管を配置すること、ここで、内部の前記弁付き導管は、弁構造を含み、弁構造を支持するように構成されたフレーム要素は、第一の構成において、流体圧差に応答して、開放して流れを可能にし、そして閉止して導管管腔を閉塞しそして流れを防止するように構成された弁尖を含み、そして前記フレーム要素を半径方向に拡張するように構成された1つ以上の拡張要素を含む、前記フレーム要素の内部に力を加えて、前記フレーム要素の連続外周を維持しながら、前記第一の構成よりも大きい直径を有する第二の構成に前記フレーム要素を半径方向に拡張すること、及び、前記拡張されたフレーム要素内に二次弁構造を配置することを含む。
【0022】
別の例(「例18」)によれば、例17の方法に加えて、前記弁付き導管を配置することは、前記弁付き導管を展開して、患者の肺動脈弁を置換することを含む。
【0023】
別の例(「例19」)によれば、例17の方法に加えて、前記フレーム要素は、第一の円形リム及び第二の円形リムを含み、前記1つ以上の拡張要素は、前記第一の円形リム及び前記第二の円形リムのうちの少なくとも1つのうちの部分を形成し、前記1つ以上の拡張要素は第一の線形部分及び第二の線形部分を含み、前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在しており、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている。
【0024】
別の例(「例20」)によれば、例19の方法に加えて、前記第一の線形部分及び前記第二の線形部分は、前記第一の構成において前記フレーム要素の長手方向軸と実質的に平行に延在しており、前記第二の構成において前記フレーム要素の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている。
【0025】
1つの例(「例21」)によれば、第一の弁構造を収容するための弁付き導管でかつ第二の弁構造を収容するための拡張が可能である弁付き導管であって、内面及び外面を有する導管、及び、第一の構成における第一の直径を含む、導管内に配置されたフレーム要素であって、そして流体の差圧に応答して、解放して流れを可能にし、閉鎖して導管管腔を閉塞しそして流れを防止するように構成された弁尖を有する第一の弁構造を支持するように構成されたフレーム要素を含み、前記フレーム要素は、第一の円形リム、第二の円形リム、前記フレーム要素の周りに配置され、前記第一の円形リムと前記第二の円形リムを接続する交連ポスト、前記第一の円形リムに沿って前記交連ポストの間に又は前記交連ポストに隣接して配置された上部拡張要素、及び、前記第二の円形リムに沿って前記交連ポストの間に又は前記交連ポストに隣接して配置された下部拡張要素を有し、前記上部拡張要素及び前記下部拡張要素のうちの少なくとも1つは、前記フレーム要素の内部に加えられた力に応答して、前記第一の構成と、弁尖を有する第二の弁構造を支持するための第二の構成における第二のより大きい直径との間の移行時に前記フレーム要素を半径方向に拡張させるようにバラバラに広がるように構成されている。
【0026】
別の例(「例22」)によれば、例21の弁付き導管であって、前記フレーム要素は前記第二の弁構造の弁尖間のギャップを維持するように変形するように構成されている。
【0027】
別の例(「例23」)によれば、例21の弁付き導管であって、前記上部拡張要素及び前記下部拡張要素は内部半径方向力によって意図される直径で前記第二の構成において前記フレーム要素を保持するように構成されている。
【0028】
別の例(「例24」)によれば、例21の弁付き導管であって、前記上部拡張要素及び前記下部拡張要素は、前記フレーム要素を線形的に拡張するように傾斜して拡張するように構成されている。
【0029】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限し又は他の方法で狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0031】
図1A図1Aは、1つの実施形態による、例示的な弁付き導管の図である。
【0032】
図1B図1Bは、図1Aに示されるように、閉止構成の弁構造の内部下流図を示す。
【0033】
図2図2は、1つの実施形態による、導管、フレーム要素及び弁構造の断面図である。
【0034】
図3A図3Aは、1つの実施形態による、第一の構成における例示的なフレーム要素である。
【0035】
図3B図3Bは、1つの実施形態による、第二の構成における図3Aに示されるフレーム要素である。
【0036】
図4A図4Aは、1つの実施形態による、第一の構成における別の例示的なフレーム要素である。
【0037】
図4B図4Bは、1つの実施形態による、第二の構成における図4Aに示されるフレーム要素である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的な方法で読まれることを意図しない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰するという意味の関係で広く読まれるべきである。
【0039】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」は、交換可能に、測定値を指すために使用され、前記測定値は、記載された測定値を含み、記載された測定値に合理的に近い測定値を含む。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に少量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的誤差、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微小調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある、関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解することができる。
【0040】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点に関して、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0041】
本明細書の実施形態は、様々な原理及び信条に関連して記載されうるが、記載された実施形態は理論に拘束されるべきではない。例えば、実施形態は、人工弁付き導管に関連して本明細書に記載されている。しかしながら、本開示の範囲内の実施形態は、任意の弁付き導管、弁構造、又は同様の構造及び/又は機能の機構に適用することができる。さらに、本開示の範囲内の実施形態は、心臓以外の用途に適用することができる。
【0042】
本開示の様々な態様は、限定するわけではないが、肺動脈弁及び対応する肺動脈の一部を置換するなど、使用することができる人工弁として動作可能な弁構造を有する導管のための装置、システム及び方法を対象とする。弁構造は、導管が導管管腔を画定する一方向弁として動作可能な1つ以上の弁尖を含むことができる。弁尖は、流体の差圧に応答して流れを可能にするために開き、導管の管腔を閉塞して流れを防止するために閉じる。さらに、導管は、弁構造を支持するフレーム要素を含むことができる。特定の例において、導管を有する患者は、弁構造がもはや機能しないか、又は所望のように機能していないように、成長して導管が小さすぎて使えなくなることがある。以下でさらに詳細に論じられるように、フレーム要素は、第二の弁構造が導管のフレーム要素/弁構造内に設置されることを可能にするように拡張するように構成されうる。第二の弁構造は、(導管内で)以前に展開された弁構造の代わりに展開され得る人工弁であることができる。
【0043】
本明細書中の実施形態は、限定するわけではないが、大動脈弁及び大動脈の一部、例えば、上行大動脈を置換するなど、使用することができる人工弁として動作可能な弁構造を有する導管のための様々な装置、システム及び方法を含む。導管は、導管の近位端で左心房に外科的に結合され、導管の遠位端として上行大動脈の一部に外科的に結合されるように動作可能である。他の実施形態において、導管はまた、導管に1つ以上の冠状動脈を外科的に取り付け、それに血流を確立するように動作可能である。
【0044】
図1Aは、1つの実施形態による、例示的な弁付き導管100の図である。弁付き導管100は、導管102内に配置された弁構造104を備えた導管102を含む。導管102は、弁構造104が一方向への流れを可能にするように、上流端及び下流端を含むことができる。
【0045】
弁付き導管100は、非限定的な例において、大動脈弁及び上行大動脈の少なくとも一部を置換するために使用されうる。1つの非限定的な例において、弁付き導管100は、小児患者における大動脈根及び大動脈弁の矯正又は再建、すなわち大動脈根置換に適応可能である。弁付き導管100はまた、機能不全又は不十分になった以前にインプラントされた同種移植片又は弁付き導管の交換にも適用可能である。
【0046】
弁付き導管100は、非限定的な例において、左心低形成症候群の治療のために頻繁に行われるようなノーウッド手術後に右心室を肺動脈に接続するためのシャントとして使用されうる。1つの非限定的な例において、弁付き導管100は、小児患者における右心室流出路(RVOT)の矯正又は再建に適応可能である。このような再建は、ファロー四徴症、総動脈幹症、右旋性大血管転位症、無傷の心室中隔の肺動脈弁閉鎖症、又は大動脈弁膜症などの先天性心疾患に適応可能である。弁付き導管100はまた、機能不全又は不十分になった以前にインプラントされた同種移植片又は弁付き導管の交換にも適用可能である。さらに、弁付き導管100は、心臓の他の領域を含む、より広範囲の心臓障害を治療する用途を有することができる。一般に、「遠位」という用語は、弁付き導管100の流出端(遠位端)又は流出方向を指すために本開示で使用され、次に、「近位」という用語は、弁付き導管100の流入端、又は弁付き導管100を通る一次流の方向と反対の方向を指すために使用される。
【0047】
図1Aに示され、図2にさらに詳細に示されるように、弁付き導管100は、フレーム要素300を含むことができる。フレーム要素300は、弁構造104及び弁尖106を支持するように構成されうる。弁構造104は、フレーム要素300の外面又はその一部(例えば、外直径)に適用されるシリコーン又は別の可撓性ポリマーから形成されうる。特定の例において、導管100はグラフト材料から形成され、フレーム要素300は、導管100とともに配置される唯一の支持構造である。例えば、導管100は、フレーム要素300を除いて、ステント又はステント様特徴部を含まなくてよい。
【0048】
図1Bは、図1Aに示されるように、閉鎖構成の弁構造104の内部下流図を示す。弁構造104は、導管102の内部に延在している弁尖106を含む。3つの弁尖106が図1Bに示されているが、弁構造104は、1、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上の数の弁尖106を含むことができる。図1Bに示されるように、弁尖106は、閉鎖構成において導管102の中心108に向かって閉じる。図1Bに示されるように、ギャップ112は、各弁尖106の間に存在する。ギャップ112は、導管102を通る逆流を可能にする。逆流は、血栓形成につながる可能性がある、血液が弁尖106の後ろに停滞する機会を減らす。ギャップ112は、逆流に起因する漏出が最小であり、さもなければ導管102を通して血液を送り出すための患者の心臓への負担を増大させないようなサイズである。開放構成において、血液は弁構造104を通って流れることができ、弁尖106は導管102の内面110に向かって押される。弁尖106は、図2に記載されるように、フレーム要素300に結合されうる。弁尖106は、流体の差圧に応答して流れを可能にするように開き、導管の管腔を閉塞してそして流れを防止するように閉じるように構成されている。
【0049】
図2は、1つの実施形態による、導管102、フレーム要素300及び弁構造104の断面図である。フレーム要素300を含むことができる弁構造104は、弁尖106が導管102内に、そして導管102の中心108に向かって延在するように、導管102内に配置される。弁構造104は、フレーム要素300及び/又は導管102に結合又は接着されうる。
【0050】
特定の例において、導管102は、蛍光透視視覚化の下での処置後の導管102内のフレーム要素300の位置の視覚化を支援するために1つ以上の放射線不透過性マーカー210を含むことができる。1つ以上の放射線不透過性マーカー210は、フレーム要素300に隣接して配置することができる。他の例において、フレーム要素300が放射線不透過性であるときに、導管102は放射線不透過性マーカー210を含まない。
【0051】
以下でさらに詳細に論じられるように、フレーム要素300は、図2に示されるような第一の構成において弁構造104及び弁尖106を支持するように構成されている。フレーム要素300は、第一の構成におけるフレーム要素300の直径よりも大きい直径を有する第二の構成にフレーム要素300を半径方向に拡張するようにバラバラに広がるように構成されている1つ以上の拡張要素204を含むことができる。1つ以上の拡張要素204は、二次弁構造が第二の構成においてフレーム要素300内に配置されうるように、フレーム要素300の直径を拡張するように構成されている。
【0052】
図3Aは、1つの実施形態による、第一の構成における例示的なフレーム要素300である。フレーム要素300は、導管102内に配置され、上記の図1~2に示されるように、弁構造104を支持して弁付き導管を形成するように構成されることができる。他の例において、フレーム要素300は、導管内に配置されることなく、患者内に展開されることができる。示されるように、フレーム要素300は、弧状又はU字形を画定することができる。フレーム要素300はまた、1つ以上の交連ポスト302、304、306を含むことができる。交連ポスト302、304、306(又は交連領域又は支持体)の数は、フレーム要素300が支持するように構成されている弁構造104の弁尖の数に等しくてよい。図3Aに示されるように、フレーム要素300は、3つの交連ポスト302、304、306を含む。交連ポスト302、304、306は、弁尖を取り付けるための場所を提供することができる。
【0053】
特定の例において、フレーム要素300は、第一の構成において、図3Aに示される第一の直径に拡張するように構成されている。この第一の構成において、フレーム要素300は、第一の展開直径で弁構造104を支持するように構成されている。弁構造104及び弁尖106(図1~2に示される)は、肺動脈弁及び対応する肺動脈の一部の置換など、患者内の標的位置で展開されたときに開閉することができる。
【0054】
特定の例において、弁構造104及び弁尖106(図1~2に示される)は、患者の成長、弁尖106の石灰化又は他の問題のために、もはや所望のように機能しないことがある。結果として、フレーム要素300は、フレーム要素300の内部に加えられた力に応答して、第二の構成(図3Bに示される)において第二のより大きな直径に拡張するように構成されている。その力はフレーム要素300を拡張するためのバルーン又は交換品もしくは第二の弁構造104を運ぶデリバリーシステムから生じることができる。交換品又は第二の弁構造104は、拡張されたフレーム要素300内に展開されうる。
【0055】
フレーム要素300(及びフレーム要素300がインプラントされうる導管102)の拡張を容易にするために、フレーム要素300は、1つ以上の拡張要素310、312、314、316を含むことができる。拡張要素310、312、314、316は、1つ以上の交連ポスト302、304、306の間に配置され、第一の構成と第二の構成との間で移行する際にフレーム要素300を半径方向に拡張するようにバラバラに広がるように構成されている。フレーム要素300は、第二の構成でその中に第二の弁構造を収容するように構成されうる。フレーム要素300は、第二の弁構造がインプラントされ、フレーム要素300からの干渉なしに機能することができるように拡張することができる。
【0056】
特定の例において、フレーム要素300は、交連ポスト302、304、306によって接続された第一の円形リム318及び第二の円形リム320を含む。1つ以上の拡張要素310、312、314、316は、第一の円形リム318及び第二の円形リム320の一方又は両方の部分を形成することができる。例示を容易にするために、すべての拡張要素が図3A~Bに特定されているわけではない。示されるように、拡張要素310、312、314、316は、第一の円形リム318及び第二の円形リム320のそれぞれの部分を形成している。他の例において、拡張要素310、312、314、316は、第一の円形リム318のみ又は第二の円形リム320のみの部分を形成することができる。特定の例において、第二の円形リム320の部分を形成する拡張要素310、312、314、316は、交連ポスト302、304、306の部分の内部に配置されうる。
【0057】
例えば、拡張要素314は交連ポスト304の部分の内部に配置されている。フレーム要素300は、円形リム318、320のうちの1つとともに1つの拡張要素310、312、314、316、円形リム318、320の各々とともに1つの拡張要素310、312、314、316、円形リム318、320のうちの1つとともに2つの拡張要素310、312、314、316、円形リム318、320の各々とともに2つの拡張要素310、312、314、316、円形リム318、320のうちの1つとともに3つの拡張要素310、312、314、316、円形リム318、320の各々とともに3つの拡張要素310、312、314、316、あるいは、上記の組み合わせ(例えば、円形リム318、320の一方と1つ、円形リム318、320の他方と2つ)、及び追加の拡張要素310、312、314、316を含むことができる。したがって、フレーム要素300は、複数の拡張要素310、312、314、316を含むことができ、これは、交連ポスト302、304、306の間又はその内部に配置されうる。
【0058】
特定の例において、1つ以上の拡張要素310、312、314、316は、第一の円形リム318及び第二の円形リム320の一方とともに配置され、第一の円形リム318及び第二の円形リム318の他方に向かって延在している。さらに、拡張要素310、312、314、316は、例示を容易にするために拡張要素310上で強調表示されているように、第一の線形部分322及び第二の線形部分324を含むことができる。特定の例において、第一の線形部分322及び第二の線形部分324は、別の線形部分、ギザギザの部分、波状の部分、湾曲部分又はそれらの組み合わせによって互いに接続又は結合されうる。
【0059】
図3Aに示されるように、第一の線形部分322及び第二の線形部分324は、湾曲部分326によって接続されている。湾曲部分326は、第一の線形部分322及び第二の線形部分324の拡張及び分離を容易にすることができる。さらに、湾曲部分326は、より大きな直径に拡張し及び拡張されるときに、フレーム要素300にかかる応力を吸収及び分散させることができる。特定の例において、第一の線形部分322及び第二の線形部分324は、図3Aに示されるように、第一の構成においてフレーム要素300の長手方向軸と実質的に平行に延在し、図3Bに示されるように、第二の構成においてフレーム要素300の長手方向軸に対して角度をなすように構成されている。図3Bに示されるように、フレーム要素300は、第二の構成において、中断しない又は連続的な外周を維持する。拡張要素310、312、314、316は、フレーム要素300の物理的一体性を破壊することなく又はさもなければ攪乱することなく、フレーム要素300を拡張するように構成されている。
【0060】
上記のように、拡張要素310、312、314、316は、フレーム要素300の直径を増加させるために、図3Aに示される第一の構成と、図3Bに示される第二の構成との間のフレーム要素300の拡張を容易にするように構成されている。図3Bは、第二の構成において、図3Aに示されるフレーム要素300を示す。第二の構成に示されるように、第一の線形部分322及び第二の線形部分324は、分離し、角度を付けて、フレーム要素300が拡張直径を有することを可能にする。さらに、拡張要素310、312、314、316は、第二の構成において、そして第二の構成への移行において、フレーム要素300の一体性を維持する。特定の例において、湾曲部分326は、拡張要素310、312、314、316が破壊しないように力を緩和することができる。
【0061】
特定の例において、第一の円形リム318及び第二の円形リム320のそれぞれに拡張要素310、312、314、316を有するフレーム要素300は、第一の円形リム318及び第二の円形リム320のそれぞれの拡張を可能にしうる。さらに、同数の拡張要素310、312、314、316を有する第一の円形リム318及び第二の円形リム320は、フレーム要素300の均一な拡張を容易にすることができる。さらに、特定の例において、第一の円形リム318の拡張要素310、312、314、316は、第一の円形リム318の周りに等間隔で配置されることができ、第二の円形リム310の拡張要素310、312、314、316は、第二の円形リム320の周りに等間隔で配置されることができる。等間隔はまた、フレーム要素300の均一な拡張を容易にしうる。
【0062】
拡張要素310、312、314、316は、内部半径方向力によって意図される直径にて第二の構成でフレーム要素300を保持するように構成されうる。例えば、バルーンは、フレーム要素300に内力を加えて、フレーム要素300を所与の直径に拡張することができる。バルーンがもはや膨張しなくなった後に、拡張要素310、312、314、316は、フレーム要素300を所与の直径に保持する。より大きな力は、フレーム要素300をさらに拡張することができる。例えば、第一の力は、フレーム要素300を5%拡張することができ、より高い力は、フレーム要素300を10%拡張することができ、さらにより高い力は、フレーム要素300を20%(又はそれ以上)拡張することができる。フレーム要素300は、拡張要素310、312、314、316によって傾斜して拡張及び保持されることができ、その結果、フレーム要素300は、直線的又は徐々に拡張され、所望の直径に維持されうる。特定の例において、フレーム要素300は、第一の構成において約10mm~約20mmであることができ、第二の構成において約20mm~約30mmに拡張されることができる。拡張要素310、312、314、316は、フレーム要素300を所望の直径に保持して、拡張後にフレーム要素300内に配置される所望のサイズの二次弁構造の収容を容易にするように構成されうる。
【0063】
特定の例において、フレーム要素300を含む弁付き導管が患者内(例えば、心臓内)に配置された後、そしてフレーム要素300の内部に力を加えてバラバラに広げてフレーム要素を第一の構成よりも大きな直径を有する第二の構成に半径方向に拡張した後に、二次又は置換弁構造(弁尖を有し、弁構造104と同様に構成されている)を拡張フレーム要素300内に配置することができる。二次又は置換弁構造は、経カテーテルアプローチを介してインプラントされ、フレーム要素300内で拡張されるように機能することができる。
【0064】
図4Aは、1つの実施形態による、第一の構成における別の例示的なフレーム要素300である。フレーム要素300は導管102内に配置され、上記の図1~2に示されるように、弁構造104を支持して、弁付き導管を形成するように構成されることができる。他の例において、フレーム要素300は、導管内に配置されることなく、患者内に展開されうる。示されるように、フレーム要素300は、弧状又はU字形を画定することができる。フレーム要素300はまた、1つ以上の交連ポスト302、304、306を含むことができる。交連ポスト302、304、306(又は交連領域又は支持体)の数は、フレーム要素300が支持するように構成されている弁構造104の弁尖の数に等しくてよい。図4Aに示されるように、フレーム要素300は3つの交連ポスト302、304、306を含む。交連ポスト302、304、306は、弁尖を取り付けるための場所を提供しうる。特定の例において、フレーム要素300は、交連ポスト302、304、306によって接続された第一の円形リム318及び第二の円形リム320を含む。
【0065】
特定の例において、フレーム要素300は、第一の構成において図4Aに示される第一の直径に拡張するように構成されている。この第一の構成において、フレーム要素300は、第一の展開直径で弁構造104を支持するように構成されている。弁構造104及び弁尖106(図1~2に示される)は、肺動脈弁及び対応する肺動脈の一部の置換など、患者内の標的位置で展開されたときに開閉することができる。
【0066】
特定の例において、弁構造104及び弁尖106(図1~2に示される)は、患者の成長、弁尖106の石灰化又は他の問題のために、もはや所望のように機能しない可能性がある。結果として、フレーム要素300は、フレーム要素300の内部に加えられた力に応答して、第二の構成(図4Bに示される)において、第二のより大きな直径に拡張するように構成されている。その力は、フレーム要素300を拡張するためのバルーン又は置換もしくは第二の弁構造104を運ぶデリバリーシステムによるものであることができる。置換又は第二の弁構造104は、拡張されたフレーム要素300内で展開されうる。
【0067】
フレーム要素300(及びフレーム要素300がインプラントされうる導管102)の拡張を容易にするために、フレーム要素300は、1つ以上の拡張要素310、312、314、316を含むことができる。例示の容易性のために、すべての拡張要素が図4A~Bで同一にされるわけではない。拡張要素310、312、314、316は、1つ以上の交連ポスト302、304、306に隣接して配置され、第一の構成と第二の構成との間で移行する際にフレーム要素300を半径方向に拡張するようにバラバラに広がるように構成されうる。示されるように、拡張要素310、312、314、316は、交連ポスト302、304、306の上部及び下部に配置されている。特定の例において、交連ポスト302、304、306のそれぞれは、上部及び下部拡張要素310、312、314、316を含み、そして他の例において、1つ以上の交連ポスト302、304、306は、上部及び下部拡張要素310、312、314、316を含む。さらに、1つ以上の交連ポスト302、304、306は、1つのみの上部及び下部拡張要素310、312、314、316を含むことができる。
【0068】
上部拡張要素312、314は、第一の部分430及び第二の部分432を含むことができる。上部拡張要素312、314の第一の部分430及び第二の部分432のそれぞれは、交連ポスト302、304、306の1つに隣接するもののいずれかの側にアームを含む。図4Bに示されるように、上部拡張要素312、314の第一の部分430及び第二の部分432のアームは、第二の(拡張)構成において交連ポスト302、304、306の1つに隣接するものから分離する。下部拡張要素310、316は、第一の構成において交連ポスト302、304、306の1つに隣接するものに向かって崩潰されているアコーディオン様部分を含むことができる。第二の構成において、図4Bに示されるように、下部拡張要素310、316は、交連ポスト302、304、306の1つに隣接するものに対して外向きに拡張する。アコーディオン様部分は、線形形状の間に湾曲遷移を含むことができる。さらに、図2に示されるように、上部及び下部拡張要素310、312、314、316のいずれか又は両方は、拡張を容易にするために三角形又は他の湾曲形状を含むことができる。図4Bに示されるように、フレーム要素300は、第二の構成において、中断されない又は連続的な外周を維持する。拡張要素310、312、314、316は、フレーム要素300の物理的一体性を破壊するか、さもなければ攪乱することなく、フレーム要素300を拡張するように構成されている。
【0069】
上部及び下部拡張要素310、312、314、316を有するフレーム要素300は、フレーム要素300の変形を交連ポスト302、304、306の間で隔離することができる。その結果として、フレーム要素300は、弁尖間のギャップ(図1Bに示されるように)を維持するために変形するように構成されている。上部及び下部拡張要素310、312、314、316は、内部半径方向力によって意図される直径にて第二の構成でフレーム要素300を保持するように構成されうる。フレーム要素300は、フレーム要素300が直線的又は徐々に拡張され、所望の直径に維持されうるように、傾斜して上部及び下部拡張要素310、312、314、316によって拡張及び保持されうる。
【0070】
特定の例において、フレーム要素300を含む弁付き導管が患者内(例えば、心臓内)に配置された後に、フレーム要素300の内部力を加えてバラバラに広げて、第一の構成よりも大きな直径を有する第二の構成までフレーム要素を半径方向に拡張した後に、二次又は置換弁構造(弁尖を有し、弁構造104と同様に構成されている)を、拡張されたフレーム要素300内に配置することができる。二次又は置換弁構造は、経カテーテルアプローチを介してインプラントされ、フレーム要素300内で拡張されるように機能することができる。
【0071】
本明細書で論じられるフレーム要素は、ステンレス鋼、L605鋼、ポリマー、MP35N鋼、ポリマー材料、パイノックス、エルジロイ又は任意の他の適切な生体適合性材料などの他の材料から形成することができ、それらの組み合わせを、フレームの材料として使用することができる。他の例において、フレーム要素はニチノール(NiTi)から形成されうる。
【0072】
本明細書で論じられる導管は、合成導管に取り付けられた少なくとも1つの可撓性合成弁弁尖を備えた合成導管であることができる。インプラント処置前に、合成弁弁尖及び/又は合成導管を生理食塩水ですすぐことができ、事前凝固を必要としない。続いて、合成弁弁尖及び合成導管を外科的にインプラントすることができる。合成弁弁尖及び合成導管は、右心室流出路及び/又は主肺動脈の部分的又は完全な再建が望まれる場合に、天然の肺動脈弁又は以前にインプラントされた肺動脈弁導管の置換物であることができる。特定の例において、合成弁弁尖及び合成導管の設置には、導管の流入領域及び流出領域(又は端部)の識別、冠状動脈に対する意図された位置へのアクセスが含まれ、インプラント時に冠状動脈圧迫のリスクがないことを確保し、場合により、導管の流入端及び/又は流出端を、適度な張力下で、インプラント処置に適切な長さにトリミングすることが含まれる。
【0073】
本明細書で論じられる弁付き導管は、外科手術において罹患した解剖学的構造を置換するために使用される。インプラント処置前に、バルブ付き導管を生理食塩水ですすぐことができ、事前凝固を必要としない。治療の1つの方法によれば、弁付き導管は、大動脈弁及び上行大動脈の一部の置換として、例えば、大動脈根置換において使用される。弁付き導管のインプラント処置には、導管の流入部分及び流出部分の識別、解剖学的構造に対する意図された位置へのアクセス、及び、場合により、適度な張力下で、導管の流入端又は部分及び/又は流出端又は部分をインプラント処置に適した長さにトリミングすることが含まれる。上行大動脈を切断し、弁付き導管の流入部分及び/又は流入端を縫合するか、又は他の方法で、切除された大動脈弁に隣接して又はその場所で左心室に結合する。弁付き導管の流出部分及び/又は流出端は、切断された上行大動脈に縫合される。冠状動脈は上行大動脈に留まることが許されるか、又はそれらは導管の流出部分に縫合されることができ、そして流路は導管管腔から冠状動脈に提供される。
【0074】
患者の大動脈根を置換することによって大動脈弁疾患を治療する別の方法によれば、この方法は、本明細書の実施形態による弁付き導管を提供すること、及び、弁付き導管を外科的にインプラントすることの工程を含む。この方法は、導管の流入部分(又は端)及び流出部分(又は端)を識別すること、解剖学的構造に関して意図された位置にアクセスすること、場合により、導管の流入部分(又は端)及び流出部分(又は端)を、インプラント処置に適した長さにトリミングすること、場合により、流入端を外向きにテーパー化するか、又は場合により、流入部分を弁尖構造に向けて裏返し、ロールさせて、縫製カフスを画定すること、上行大動脈を切断すること、弁付き導管の流入部分を、切除された大動脈弁に隣接するか、又はその場所で左心室に結合させること、及び、弁付き導管の流出部分を、切断された上行大動脈に結合させることをさらに含むことができる。この方法は、冠状動脈を導管の流出部分に結合させること、及び、導管管腔から冠状動脈への流路を確立することをさらに含むことができる。
【0075】
特定の実施形態において、本明細書で論じられる導管は、多孔質ePTFE膜から作製された延伸フルオロポリマー材料を含む。
【0076】
記載された延伸フルオロポリマー材料を形成するために使用される延伸性フルオロポリマーはPTFEホモポリマーを含むことができる。代替の実施形態において、PTFE、延伸性変性PTFE及び/又はPTFEの延伸コポリマーのブレンドを使用することができる。
【0077】
延伸フルオロポリマー膜は、所望の弁尖性能を達成するために、細孔などの任意の適切な微細構造を含むことができる。弁尖での使用に適していることができる他の生体適合性ポリマーとしては、限定するわけではないが、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、シリコン-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-コ-ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素ポリマー、及び、上述のそれぞれのコポリマー又は混合物の群が挙げられる。
【0078】
様々な例において、本明細書に記載の弁尖構築物(例えば、弁尖構築物)のいずれかは、生体適合性合成材料(例えば、ePTFE及びePTFE複合材、又は必要に応じて他の材料を含む)から形成されうる。合成弁尖での使用に適していることができる他の生体適合性ポリマーとしては、限定するわけではないが、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、シリコン-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-コ-ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素ポリマー、及び、上述のそれぞれのコポリマー又は混合物の群が挙げられる。
【0079】
他の例において、そのような弁尖構築物は、ウシ組織、ブタ組織などを含む再利用組織などの天然材料から形成される。
【0080】
本明細書で使用されるときに、「エラストマー」という用語は、元の長さの少なくとも1.3倍まで伸長され、解放されるとほぼ元の長さまで急速に収縮する能力を有するポリマー又はポリマーの混合物を指す。「エラストマー性材料」という用語は、必ずしも同程度の伸張性及び/又は回復性である必要はないが、エラストマーと同様の伸張及び回復特性を示すポリマー又はポリマーの混合物を指す。「非エラストマー性材料」という用語は、エラストマー又はエラストマー性材料のいずれにも類似していない、すなわち、エラストマー又はエラストマー材料ではないと考えられる、伸張及び回復特性を示すポリマー又はポリマーの混合物を指す。
【0081】
本明細書の幾つかの実施形態によれば、弁尖構築物は、複数の細孔及び/又は空間を有する少なくとも1つの多孔質合成ポリマー膜層と、前記少なくとも1つの合成ポリマー膜層の細孔及び/又は空間を充填するエラストマー及び/又はエラストマー性材料及び/又は非エラストマー性材料を含む複合材料を含む。他の例によれば、弁尖構造は、複合材料上にエラストマー及び/又はエラストマー性材料及び/又は非エラストマー性材料の層をさらに含む。幾つかの例によれば、複合材料は、質量基準で約10%~90%の範囲の多孔質合成ポリマー膜を含む。
【0082】
多孔質合成ポリマー膜の例としては、細孔及び/又は空間を画定するノード及びフィブリル構造を有する延伸フルオロポリマー膜が挙げられる。幾つかの例において、延伸フルオロポリマー膜は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。多孔質合成ポリマー膜の別の例としては、ミクロ多孔質ポリエチレン膜が挙げられる。
【0083】
エラストマー及び/又はエラストマー性材料及び/又は非エラストマー性材料の例としては、限定するわけではないが、テトラフルオロエチレン及びペルフルオロメチルビニルエーテルのコポリマー(TFE/PMVEコポリマー)、(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、シリコン-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-コ-ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素ポリマー、及び上述のそれぞれのコポリマー又は混合物が挙げられる。幾つかの例において、TFE/PMVEコポリマーは、本質的に60~20質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ40~80質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを本質的に含むエラストマーである。幾つかの例において、TFE/PMVEコポリマーは、本質的に67~61質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ33~39質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むエラストマー材料である。幾つかの例において、TFE/PMVEコポリマーは、本質的に73~68質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ27~32質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含む非エラストマー性材料である。TFE-PMVEコポリマーのTFE及びPMVE成分はwt%で表される。参考までに、40、33~39及び27~32のPMVEのwt%は、それぞれ29、23~28及び18~22のモル%に対応する。
【0084】
幾つかの例において、TFE-PMVEコポリマーは、エラストマー、エラストマー性及び/又は非エラストマー特性を示す。
【0085】
幾つかの例において、複合材料は、73~68質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ27~32質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEコポリマーの層又はコーティングをさらに含む。
【0086】
幾つかの例において、弁尖構築物は、60~20質量パーセントのテトラフルオロエチレン及びそれぞれ40~80質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEコポリマーが吸収された延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜であり、弁尖構築物は血液接触面上に73~68質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ27~32質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEコポリマーのコーティングをさらに含む。
【0087】
上記のように、エラストマー及び/又はエラストマー性材料及び/又は非エラストマー性材料は、エラストマー及び/又はエラストマー性材料及び/又は非エラストマー性材料が延伸フルオロポリマー膜内の実質的にすべての空隙空間又は細孔が占めるように延伸フルオロポリマー内で組み合わせることができる。
【0088】
1つの実施形態によれば、複合材料は、多孔質ePTFE膜から作製された延伸フルオロポリマー材料を含むことができる。
【0089】
記載された複合材料の幾つかを形成するために使用される延伸フルオロポリマー膜は、PTFEホモポリマーを含むことができる。代替の実施形態において、PTFE、延伸性変性PTFE及び/又はPTFEの延伸コポリマーのブレンドを使用することができる。
【0090】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記の両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
【国際調査報告】