(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】予測的な環境転倒リスクを特定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20220629BHJP
G06F 3/048 20220101ALI20220629BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/048
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566101
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 US2020031486
(87)【国際公開番号】W WO2020227303
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520264003
【氏名又は名称】エレクトロニック ケアギヴァー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ジェイコブ アール.
(72)【発明者】
【氏名】リッチ,ハンナ エス.
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA58
5E555AA74
5E555BA01
5E555BA04
5E555BA22
5E555BB01
5E555BB04
5E555BB22
5E555BC04
5E555CA41
5E555CA42
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5E555DD03
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5E555EA10
5E555EA22
5E555EA25
5E555EA27
5E555FA00
(57)【要約】
様々な例証的な実施形態において、本技術は、ユーザに対する予測的な環境転倒リスクを特定する方法である。一部の実施形態において、当該方法は:(a)センサを使用して環境マップの動的観察を受信すること;(b)環境マップを決定すること;(c)センサを使用して環境マップについてのリスク因子のセットを収集すること;(d)ユーザに対する環境マップについてのリスク因子のセットを評価すること;(e)収集したリスク因子のセットを含む第1の訓練セットを作成すること;(f)第1の訓練セットを使用して、第1のステージにおいて人工ニューラルネットワークを訓練すること;(g)第1の訓練セット及び環境マップの動的観察を含む、第2のステージの訓練に対する第2の訓練セットを作成すること;(h)第2の訓練セットを使用して、第2のステージにおいて人工ニューラルネットワークを訓練すること;(i)人工ニューラルネットワークを使用して、ユーザの転倒リスクを予測すること;及び、(j)環境マップの動的観察及びユーザの転倒リスクに基づき、ユーザに警告を送ること;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対する予測的な環境転倒リスクを特定する方法であって、
センサを使用して環境マップの動的観察を受信すること、
前記環境マップを決定すること、
前記センサを使用して前記環境マップについてのリスク因子のセットを収集すること、
前記ユーザに対する前記環境マップについてのリスク因子のセットを評価すること、
収集した前記リスク因子のセットを含む第1の訓練セットを作成すること、
前記第1の訓練セットを使用して、第1のステージにおいて人工ニューラルネットワークを訓練すること、
前記第1の訓練セット及び前記環境マップの動的観察を含む、第2のステージの訓練に対する第2の訓練セットを作成すること、
前記第2の訓練セットを使用して、前記第2のステージにおいて前記人工ニューラルネットワークを訓練すること、
前記人工ニューラルネットワークを使用して、前記ユーザの転倒リスクを予測すること、及び、
前記環境マップの動的観察及び前記ユーザの転倒リスクに基づき、前記ユーザに警告を送ること、
を含む方法。
【請求項2】
階段吹き抜けにおける照明不足及びタイルの床上のこぼれた水のうち1つ以上を含む、転倒を引き起こし得る一般的に発生する危険源を特定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサの配置の最適化をさらに含み、前記センサの配置の最適化は、新たに形成されたリスク及び前記ユーザが部屋に残っている時間の両方を特定及び検出するためにカバレッジを最大化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザに対する環境マップについてのリスク因子のセットを評価することは、環境マップ内の異なる部屋に関連するリスクを含み、環境マップ内の異なる部屋に関連するリスクは、予測識別子を生成するために、機械学習を使用してより明確に定められる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記センサは視覚センサである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記センサは無線周波数センサである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記センサはオーディオセンサである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記センサは、光検出と測距センサである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザがカーペットの床からタイルの床に移動すると、前記ユーザの転倒リスクは増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザがラグの床からカーペットの床に移動すると、前記ユーザの転倒リスクは増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ユーザに対する予測的な環境転倒リスクを特定するためのシステムであって、
環境マップの動的観察を提供するセンサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
プロセッサ実行可能命令を格納するメモリであり、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記プロセッサ実行可能命令を実行すると、
前記環境マップを決定する動作、
前記センサを使用して前記環境マップについてのリスク因子のセットを収集する動作、
前記ユーザに対する前記環境マップについてのリスク因子のセットを評価する動作、
収集した前記リスク因子のセットを含む第1の訓練セットを作成する動作、
前記第1の訓練セットを使用して、第1のステージにおいて人工ニューラルネットワークを訓練する動作、
前記第1の訓練セット及び前記環境マップの動的観察を含む、第2のステージの訓練に対する第2の訓練セットを作成する動作、
前記第2の訓練セットを使用して、前記第2のステージにおいて前記人工ニューラルネットワークを訓練する動作、
前記人工ニューラルネットワークを使用して、前記ユーザの転倒リスクを予測する動作、及び、
前記環境マップの動的観察及び前記ユーザの転倒リスクに基づき、前記ユーザに警告を送る動作、
を実施するように構成される、メモリと、
を含むシステム。
【請求項12】
階段吹き抜けにおける照明不足及びタイルの床上のこぼれた水のうち1つ以上を含む、転倒を引き起こし得る一般的に発生する危険源を特定することを含むプロセッサ実行可能命令をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記センサの配置の最適化を含むプロセッサ実行可能命令をさらに含み、前記センサの配置の最適化は、新たに形成されたリスク及び前記ユーザが部屋に残っている時間の両方を特定及び検出するためにカバレッジを最大化することを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ユーザに対する環境マップについてのリスク因子のセットを評価することは、環境マップ内の異なる部屋に関連するリスクを含み、環境マップ内の異なる部屋に関連するリスクは、予測識別子を生成するために、機械学習を使用してより明確に定められることを含むプロセッサ実行可能命令をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記センサは視覚センサである、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサは無線周波数センサである、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記センサはオーディオセンサである、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記センサは、光検出と測距センサである、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザがカーペットの床からタイルの床に移動すると、前記ユーザの転倒リスクは増加する、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記ユーザがラグの床からカーペットの床に移動すると、前記ユーザの転倒リスクは増加する、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、“Systems and Methods for Predictive Environmental Fall Risk Identification”と題された、2019年5月7日に出願された米国仮特許出願第62/844,661号の優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本技術は、予測的な環境転倒リスクを特定するためのシステム及び方法に関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Rosen,et.al. in US National Library of Medicine (2013)
【非特許文献2】Rosen,T.,Mack,K.A.,&Noonan,R.K.(2013),“Slipping and tripping: fall injuries in adults associated with rugs and carpets.”Journal of injury&violence research,5(1),61-69.doi:10.5249/jivr.v5i1.177
【発明の概要】
【0004】
一部の実施形態において、本開示は、1つ以上のコンピュータのシステムを対象としており、この1つ以上のコンピュータのシステムは、動作中に本明細書において記載される動作及び/又は方法のステップをシステムに行わせるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせをシステムにインストールさせることによって、特定の動作又は行為を行うように構成することができる。
【0005】
様々な実施形態において、本技術は、ユーザに対する予測的な環境転倒リスクを特定する方法である。一部の実施形態において、当該方法は:(a)センサを使用して環境マップの動的観察を受信すること;(b)環境マップを決定すること;(c)センサを使用して環境マップについてのリスク因子のセットを収集すること;(d)ユーザに対する環境マップについてのリスク因子のセットを評価すること;(e)収集したリスク因子のセットを含む第1の訓練セットを作成すること;(f)第1の訓練セットを使用して、第1のステージにおいて人工ニューラルネットワークを訓練すること;(g)第1の訓練セット及び環境マップの動的観察を含む、第2のステージの訓練に対する第2の訓練セットを作成すること;(h)第2の訓練セットを使用して、第2のステージにおいて人工ニューラルネットワークを訓練すること;(i)人工ニューラルネットワークを使用して、ユーザの転倒リスクを予測すること;及び、(j)環境マップの動的観察及びユーザの転倒リスクに基づき、ユーザに警告を送ること;を含む。
【0006】
様々な例証的な実施形態において、センサは、視覚センサを含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、センサは、無線周波数(RF)センサ、光検出と測距センサ(「LiDAR」)、オーディオセンサ、温度センサ、及び光センサ等を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本技術の特定の実施形態が、添付の図によって例示されている。図は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないと理解されることになる。本技術は、必ずしも本明細書において例示されている特定の実施形態に限定されるわけではないと理解されることになる。
【
図1】本技術の例証的な実施形態による、予測的な環境転倒リスクを特定する方法の流れ図である。
【
図2】本技術の例証的な実施形態による、予測的な環境転倒リスクを特定するための環境マップを例示した図である。
【
図3】本技術の例証的な実施形態による、環境の変化が検出されている、予測的な環境転倒リスクを特定するための環境マップを例示した図である。
【
図4】本技術の例証的な実施形態によるコンピュータシステムを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の詳細な実施形態がここに開示される。開示される実施形態は、単に本発明の例証であり、複数の形態で具体化することができると理解されるべきである。本明細書において開示されるそれらの詳細は、いかなる形態においても、限定的であるとして解釈されることはなく、特許請求の範囲に対する基礎として解釈されることになる。
【0009】
転倒を防ぐために、在宅医療システムは、緊急警報のようなサービスを、雇われた人による家の最初の転倒危険性評価と組み合わせる。一部の潜在的危険性は、予め定められておらず、予め存在している。従って、一般的な安全基準との比較のための外観検査は、特定技術として、特に標準化されていないリスクを定量的に予測することができない。健康データの標準化を機械学習(ML)に統合することは、危険性を検出する正確な方法のために必要であり、危険性を検出する際のリスク特定を改善する。本技術の実施形態は、リスクを認識するためにMLモデルを訓練するためのデータセットが利用可能ではなかったことを含む様々な理由によりこれまで追求されていない。加えて、本技術を展開するためのインフラストラクチャー、並びに訓練データを集めるためのインフラストラクチャーは、欠如していたか又は利用可能ではなかった。ML及びディープラーニングは、本技術の実施形態に適用されるカメラ技術における新たに利用されるツールである。
【0010】
本技術の様々な実施形態は、住居環境における安全性を高めるための解決策として、カメラ技術及び在宅医療に関してMLを使用する。例えば、個人(すなわち、ユーザ)及び時間(の変化)に依存し且つリスクのある個人に通知する、関連する環境転倒リスク(EFR(商標))を生成するために強化学習(RL)を使用するMLのタイプである。
【0011】
本技術の一部の実施形態は、危険性を低減し且つ転倒を防ぎ、ユーザの安全及び独立性を維持しながら在宅医療モニタリングの高いコストを低減する解決策である。本技術の実施形態は環境アセスメントシステム及び方法であり、ヒトの解釈では予測することができないリスクを特定し、迅速にリスクに気付き、ユーザに警告する。本技術の実施形態は、リスクを予測及び検出するためにほぼリアルタイムの技術を組み込んだシミュレーション環境を含む。
【0012】
本技術の一部の実施形態は、シミュレーション及び視覚センサを使用して、強化学習(RL)モデルを生成し、この強化学習(RL)モデルは、潜在的及び既存のEFR(商標)を正確に予測し、並びに、新たに展開されるEFR(商標)をほぼリアルタイムで特定する。潜在的及び既存の因子には、家具の設置、部屋依存性のリスク、ユーザの個人の転倒リスク、及び時間の進行が含まれる。環境内の各部屋は、寄与因子由来の計算されたEFR(商標)を有する。例証的な寄与因子には、床の変化(例えば、ラグからカーペットへの移動、タイルからラグへの移動等)、不均一な床(すなわち、不均一なタイル)、部屋依存性のベースライン(バスルームは高い転倒リスクを有する)、及び家具の配置が含まれる。環境転倒リスクのさらなる例証的な寄与因子は、物理的なテクスチャ/障害物ではなく、非物理的な原因(すなわち、温度、光条件、及び周囲のオーディオレベル等)の因果性を含む。環境の変化は、(例えば、水溜まりの形成として等)新たに発生したリスクをもたらす。時間の進行は、組み合わされた部屋依存性のリスク及び個人の転倒リスク因子に対するEFR(商標)の変化をほぼリアルタイムで計算する。
【0013】
本技術の様々な実施形態によると、家具の配置及び部屋依存性のリスクを評価するために、モデルがさらなるシーケンスを行うに従い、既定の因子及び最初のリスク値が改善される。例えば、提案された家具の再配置に対するリスク値は、潜在的及び既存のリスクとして定められてもよく、これは、最初の値が60%以上(30%未満)である場合に高く(低く)、シーケンス後に50%を超えて(10%未満)高く(低く)なる。
【0014】
本技術の様々な実施形態において、これらのモデルは、時間的に変化する列挙された全ての因子を含み且つ新たな転倒リスクを出力するために、本技術のシステムによって集められ且つ分析される訓練データを用いて生成される。時間における変化に対して、ユーザ及びEFR(商標)のRLモデルは、視覚センサと統合される。例えば、個人の転倒リスクが75%の人が0%の部屋におり、その合計は変わらない。次に、同じ人が、21.3%のリスクの部屋にいる場合、合計のリスクは高くなる。時間に対する依存的関係も存在する。人が部屋にいる時間が長いほど、リスクは高くなる(すなわち、合計のリスクには個人、部屋、及び時間が含まれる)。例えば、このベースラインは、時間に依存する方程式(以下の方程式1を参照)に対して確立されてもよい。
【0015】
転倒リスク=f(t)=0.75t+0.213*t
2 (方程式1)
ここで、0.213は、時間的に進行する部屋のベースラインを表し、0.75tは、時間における人の個人のリスクを表している。因子0.213-ベッドルームの転倒リスクは、ラグ又はカーペットに関連した転倒分析由来のものである。非特許文献1、特に
図2の脚注を参照されたい。より多くの変数を含めることによって、ここに示される技術は、より明確に定められるようになるに従い、部屋特異的な値を改善する。方程式1は、例証的な方程式であり、様々な実施形態において、この方程式は、線形、対数等である。同様に、視覚センサの配置を決定するリスクユニットのスコアについては、これらの値は例示目的で使用され、環境ごとに変わり、MLを使用して、データが時間を通して収集されるに従い、精度が改善される。
【0016】
本技術の一部の実施形態において、新たに検出されるリスク(水溜まりの形成)に対して、誰かが部屋に残っている時間を検出した同じ視覚センサがまた、カバーされる平方フィートを最大化するように配置されている。シャワーが1の大きなリスクを有している場合、50のリスクユニットのスコアを有している。キッチンを一望するリビングエリアが、200のリスクユニットのスコアでいくつかの中くらい及び小さなリスクを有している場合、センサが、バスルームの代わりにそこに配置される。
【0017】
本技術の実施形態は、訓練されたモデルを使用して、危険源を自動的に特定し、リスクのある個人に、RLで特定された転倒危険源及びEFR(商標)を通知する。深度カメラ及びオンボードニューラルネットワーク処理を使用して、このRL技術は、一般的で曖昧な環境転倒リスク(EFR)をリアルタイムで特定し、個々の変数を組み込み、転倒を防ぐことによって医療コストを低減する。
【0018】
図1は、本技術の例証的な実施形態による、予測的な環境転倒リスクを特定する方法の流れ
図100である。
図1は、環境転倒リスク(EFR(商標))を予測及び特定するために実施されるシミュレーションプロセスを示している。シミュレーションプロセスにおける第1のステップは、物体を有する環境状態の測定から、強化学習(RL)を使用するエージェントによって取り込まれる情報を入力して、三次元での環境のマッピングを開始することである。本技術の方法及びシステムは、周囲と相互作用することによって検出されたものに基づき行動をとる。エージェントは、報酬関数を通じて行動を評価し、能力を改善する方法を学習する。例えば、報酬関数は、全てのシーケンスにわたって期待される将来の報酬を最大化することによって、全ての目標に達成することができると規定する。エージェントが良い行動をとる場合、エージェントは正の報酬を得て、これによって、エージェントは累積報酬を最大化し、可能な限り高い報酬を得たいと望むようになる(すなわち、全てのシーケンスにわたって、期待される将来の報酬は最大化される)。例えば、シーケンスi=1において行われた測定及び行動が、ランク10、良好=10であり、エージェントは、完了したシーケンスごとにランク10+iを達成することができる。加えて、完了したシーケンスが多いほど、より速く本技術のシステム及び方法は、より少ない相互作用で改善される。
【0019】
様々な実施形態において、エージェントは、環境マップ(例えば、家のマップ)を作成するセルフドライビングカーである。例えば、MLモデルを配備したセンサに接続された小型コンピュータが、転倒リスクを評価及び特定する。エージェント(例えば、セルフドライビングカー等)は、環境及び環境最適化の推奨事項(例えば、家具の再配置、照明調整等)のベースライン、並びに、センサが変化を検出するために使用するRLのベースラインを生成する。
【0020】
図2は、本技術の例証的な実施形態による、予測的な環境転倒リスクを特定するための環境マップ200を例示している。
図2は、ユーザの個人のリスク、時間の進行、及び既定の依存性因子を用いて、環境マップにアイテムを組み込むことによって転倒リスクが確立されることを示している。寄与因子には、家具の配置、床の変化(カーペットからタイル、ラグからカーペット又はタイルへ移動するときにリスクが増大する)、及び部屋依存性のリスクが含まれる。転倒についての部屋依存性のリスクに対する変数は、バスルームで35.7%、ベッドルームで21.3%、及びキッチンで15.3%を含む。これらのパーセンテージは、例として提供され、非限定的である。
【0021】
様々な例証的な実施形態によると、エージェントは、フロントドアによって左側の最初のシーケンスを開始し、ベッドルームに入り、キッチンを通過した後に最後のシーケンスを終了する。エージェントがマップを構成し、対応するリスクを評価するに従い、どちらも、各シークエンスでより明確に定められる。例えば、フロントドアによる開始点では、状態の入力に対してf1(x)及びg1(f(x))で、最初のシーケンスはxi+1=x0+1=x1である。次の順次の点(i=1)では、エージェントは相互作用し、次の環境状態x2に含まれるべきものを検出し、それらをマッピングし、関連するリスクを特定した。この方程式は一例として提供されており、その精度は、さらなるデータが収集されるに従いMLを使用して改善される。例えば、一般に、エージェントがモデルを確立するに従い堅牢性が増すことによって、低リスクからリスクが無い状態に対してチェックマーク(レ点)によって示され、中リスクから高リスクの状態に対してクロスマーク(×)によって示される。薄く示されたパーセンテージ及び濃く示されたパーセンテージは、それぞれ終了していないリスクのモデル及び終了したリスクのモデルを表している。ここに描かれているように、ベッドルームに到達すると、フロントドアからリビングルームまでのEFR(商標)評価は終了する。この時点で、モデルはその高リスクの評価を改善して、それらの領域に対して60%のベースラインの代わりに50%のベースラインを有した。最初の60%は、例えば、ベッドルームに対する21.3%等、異なる部屋の因子が、ユーザの個人の転倒リスクと組み合わされることに由来するものである。50%までのこの減少は、家具の配置を評価し、それを計算に入れたことに由来するものである。スライドガラスドアから、廊下を通って、(それが終わる)キッチンまでのリスクは、経路を通るさらなる方向がまだ考慮されていないため(しかし、それが終わるときには考慮されるため)、ここではまだ終了していない。この方程式は、一例として提供され、非限定的である。
【0022】
本技術の様々な例証的な実施形態において、エージェントは、マップを理解し、エージェントがベッドルーム又はバスルームにあるかを特定し、同時にリスクを(例えば、家具又はラグの配置から)特定及びマッピングする必要がある。個々のユーザには、特定のリスクが通知され、1つ又は複数の家具の再配置が、関連するリスクの変化に伴って示唆される。例えば、ベッドルームは、部屋自体(21.3%)及びドレッサーの位置(35%)から、組み合わせて(0.213+0.35=0.563)、合計のベースラインリスクが50%を超える(56.3%)ことから、高リスクである。椅子とソファが交換されると、これは、21.3%まで減少する。また、タイルの変化が転倒の高いリスクをもたらすため、廊下からキッチンに歩いて入るときには十分に注意するべきである。最後に、エージェントは、ユーザの個人の転倒リスク及び時間の進行を含める。例えば、75%の一定の転倒リスクを有するユーザがベッドルーム(21.3%)に歩いて入ると、そのリスクf(t)は、ここで、f(t)=0.75+0.213*tとなり、時間因子は、部屋によって異なるスケールである。非特許文献2を参照されたい。様々な実施形態において、全てのこれらの因子は、EFR(商標)評価に含まれ、視覚センサに統合されて、ほぼリアルタイムで新たに発生したリスクを検出することができる。
【0023】
異なる家具の配置に対する結果は、対応するEFRパーセンテージの変化に基づき、優先順位の観点からオプションを出力することになる。それらのリスクは、部屋ごとのものが組み合わされて総合的な改善につながることに基づいている。
図1において説明されている方法から、依存性因子、視覚センサ、及び時間の進行を組み込むために、出力されるリスクは、多くの数値的方法から決定することができる。ここでは、例示目的のために、線形回帰が1つの方法の一例として使用されることになる。線形回帰は、回帰モデルが(y=mx+bの形の)複数の線をデータポイントにフィットさせてベストフィットを見つける場合、ここでは、主成分分析(PCA)によって三次元空間で実施することができ、あるポイントからその(ベストフィット)線への平均二乗距離を最小化し、isolation forestのような異常ランク付け法が続く。この方法は、一次元データに対する方法を三次元に適応させることから成る。回帰直線/i番目の観察に対する予測応答値は、h(x
i)=β
0+β
1xiであり、ここで、β
0及びβ
1は回帰係数であり、それぞれy切片及び回帰直線の傾きを表している。次に、最小二乗法を使用して、y
i=β
0+β
1xi+ε
i=h(x
i)+ε
i=→ε
i=y
i-h(x
i)である。
【0024】
PCAを使用して、これをr=r(xi,yi,zi)の形態で補い、2次元平面に対する法線ベクトル又は線に対する方向ベクトル、及びその平面又は線上のポイントを3次元空間に出力する。言い換えると、あるポイントからその線までの平均二乗距離h(x)を最小化するためにβ0及びβ1を求め、そのベクトルは、Isolation Forestアルゴリズムにおいてパス長h(x)として使用される。これは、1つ又は複数の異常の程度を反映したランク又はスコアs(x,n)を提供する異常検出法である。
【0025】
【数1】
ここで、h(x)-パス長、c(n)-測度収束、s(x,n)-インスタンスxの異常スコア、H(i)-ln(i)+0.5772156649によって推定される調和数、及びE(h(x))-ランダムフォレストにわたって平均したh(x)の平均である。このアルゴリズムは、前から、線形回帰に対する係数として個々の部屋の因子を使用し、(75%の個人の転倒リスクの人が、そのリスクが21.3%のベッドルームにいる場合の例として)f(t)=0.75+0.213*tである。
【0026】
多くの異なる数値的方法を、本発明の結果を達成するために利用することができ、その1つの構成要素は、EFRに関してより安全な異なる家具配置のための複数のオプションを得ることである。例えば、個々の部屋は、それらの部屋に対して個々にEFRを減少させ(表1)、且つ、環境全体に対して出力されるオプションに対する寄与因子である再配置を有する。これは、以下の表、表2、及び
図2において見ることができ、ランクは、最高ランク(すなわち、最も好ましい)として「1」から始まるオプション番号において反映されている。ここではベッドルーム及びリビングルームのみが考慮されていること、及び、これは明確にするためである(含まれていない環境の他のエリアも、必要に応じて、本発明に対するものである)ことは注目すべきに値する。
【0027】
【0028】
【表2】
表におけるそれぞれのリスクとの組み合わせは、パーセンテージによって示されており、ここでは、全ての正のパーセンテージが、EFRの減少を表している。
図2の左下及び
図3において描かれているオプション1において、どのようにしてこの組み合わせがEFRを55%低下させているかに注目されたい。ここに例示されている再配置は、リビングルームX及びベッドルームXを表す
図2の左上に描かれている元のレイアウトからの最適な変更である。リビングルームへの変更はなく、ベッドルームAを使用するオプション10を考慮すると、これは、ベッドルームのEFRを60%減少し、全体で約28%減少する。ベッドルームにおける家具配置に対する変更は、上述したように全体で約21.3%の高いEFRをそれ自体が有するため、より重要である(Rosen, T. et. Al,2013)。これは、オプション3及び4を比較する際にも反映されており、家具の再配置の評価及び出力において、より高いリスクのエリアが適切にランク付けされている。
【0029】
図3は、本技術の例証的な実施形態による、環境の変化が検出されている、予測的な環境転倒リスクを特定するための環境マップ300を例示している。
図3は、家具の再配置に関連する新たなリスク、RLを使用する視覚センサによってどのように環境の変化が検出されて新たに発生したリスクを特定するか、及び平方フィートカバレッジを最大化する視覚センサの配置を示している。最大化されたカバレッジによって、新たに形成されたリスクと、部屋に残っている(又は残っていない)時間の両方を特定及び検出する能力が与えられる。例えば、
図3は、猫が花瓶をひっくり返して水溜まりを形成し、ユーザに対する転倒リスクを変化させたことを示している。ほぼリアルタイムで、ユーザに転倒リスクの変化が通知される。
【0030】
図4は、本技術の例証的な実施形態によるコンピュータシステムを例示している。
図4は、コンピュータシステム1の形態の例となる機械の図表示であり、その中で、本明細書において論じられる方法のうちいずれか1つ又は複数を機械に行わせるための命令のセットを実行することができる。様々な例となる実施形態において、機械は、スタンドアロンデバイスとして動作するか、又は他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)されてもよい。ネットワーク化される展開において、機械は、サーバ-クライアントネットワーク環境におけるサーバ若しくはクライアントマシンとして、又はピアツーピア(若しくは分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作することができる。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ポータブルミュージックプレーヤー(例えば、Moving Picture Experts Group Audio Layer 3(MP3)プレーヤー等のポータブルハードドライブオーディオデバイス等)、ウェブアプライアンス、ネットワークルーター、スイッチ若しくはブリッジ、又は、(連続的であるか又はさもなければ)その機械によって取られるべき行動を指定する命令のセットを実行することができる任意の機械であってもよい。さらに、単一の機械のみが例示されているけれども、「機械」という用語は、本明細書において論じられる方法のうちいずれか1つ又は複数を行うための命令のセット(又は複数のセット)を個々に又は共同で実行する機械の任意のコレクションも含むと解釈されるはずである。
【0031】
例となるコンピュータシステム1は、プロセッサ又は複数のプロセッサ5(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、又はその両方等)、並びに、バス20を介して互いに通信するメインメモリ10及びスタティックメモリ15を含む。コンピュータシステム1は、ビデオディスプレイ35(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等)をさらに含んでもよい。コンピュータシステム1はまた、1つ又は複数の英数字入力装置30(例えば、キーボード等)、カーソル制御装置(例えば、マウス等)、音声認識又は生体認証ユニット(図示せず)、ドライブユニット37(ディスクドライブユニットとも呼ばれる)、信号発生装置40(例えば、スピーカー等)、及びネットワークインターフェースデバイス45を含んでもよい。コンピュータシステム1は、データを暗号化するためのデータ暗号化モジュール(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0032】
ディスクドライブユニット37は、コンピュータ又は機械読み取り可能媒体50を含み、その媒体上に、本明細書において記載される方法又は機能のうちいずれか1つ又は複数を具体化又は利用する命令及びデータ構造の1つ又は複数のセット(例えば、命令55)が格納される。命令55はまた、コンピュータシステム1によるその実行中に、完全に又は少なくとも部分的にメインメモリ10内及び/又は1つ又は複数のプロセッサ5内に存在してもよい。メインメモリ10及び1つ又は複数のプロセッサ5も、機械読み取り可能媒体を構成することができる。
【0033】
命令55は、さらに、多数の周知の転送プロトコル(例えば、ハイパーテキストトランスファープロトコル(HTTP)等)のうちいずれか1つを利用して、ネットワークインターフェースデバイス45を介してネットワーク上で送信又は受信されてもよい。機械読み取り可能媒体50は、例となる実施形態において、単一の媒体であるとして示されているけれども、「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、命令の1つ以上のセットを格納する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型のデータベース及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ等)を含むと解釈されるべきである。「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、機械による実行のための命令のセットを格納、符号化、又は保持することができ、且つ、本願の方法のうちいずれか1つ又は複数を機械に行わせるか、又は、そのような命令のセットによって利用されるか若しくはそれに関連するデータ構造を格納、符号化、又は保持することができる任意の媒体を含むとも解釈されるはずである。「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、従って、ソリッドステートメモリ、光及び磁気媒体、並びに搬送波信号を含むがそれらに限定されないと解釈されるはずである。そのような媒体はまた、ハードディスク、フロッピーディスク、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及びリードオンリーメモリ(ROM)等を含んでもよいが、これらに限定されない。本明細書において記載される例となる実施形態は、コンピュータにインストールされたソフトウェアを含む動作環境で、ハードウェアで、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装されてもよい。
【0034】
インターネットサービスは、インターネットサービスに結合された1つ以上のコンピューティングデバイスにインターネットアクセスを提供するように構成されてもよいということ、及び、コンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサ、バス、メモリ装置、ディスプレイ装置、及び入力/出力装置等を含んでもよいということを当業者は認識することになる。さらに、インターネットサービスは、本明細書において記載される本開示の実施形態のうちいずれかを実装するために利用され得る1つ以上のデータベース、リポジトリ、及びサーバ等に結合されてもよいということを当業者は正しく理解することができる。
【0035】
コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他の装置に特定の様式で機能するよう指示することができるこれらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ読み取り可能媒体に格納されてもよく、その結果、コンピュータ読み取り可能媒体に格納された命令は、流れ図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能/行為を実施する命令を含む製品を生成する。
【0036】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他の装置にロードされて、コンピュータ実施プロセスを生成するための一連の動作ステップが、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置上で行われるようにしてもよく、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行される命令は、流れ図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能/行為を実施するためのプロセスを提供する。
【0037】
本明細書においては、説明目的で且つ限定されることなく、本技術を完全に理解するために、特定の実施形態、手順、技術等の具体的な詳細が明記される。しかし、本技術は、これらの特定の詳細から逸脱する他の実施形態においても実施され得るということが当業者には明らかになる。
【0038】
当該システムの特定の実施形態及びそれに対する例は、例示目的で上述されているけれども、当業者が認識するように、当該システムの範囲内で様々な等価な修正が可能である。例えば、プロセス又はステップが所与の順序で示されているけれども、代替の実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを行ってもよく、一部のプロセス又はステップを、削除、移動、追加、サブ分割、結合、及び/又は修正して、代替の又はサブコンビネーションを提供してもよい。これらのプロセス又はステップの各々は、種々の異なる方法で実施することができる。また、プロセス又はステップは、時には順次に行われているように示されているけれども、これらのプロセス又はステップは、代わりに、同時に行われてもよく、又は異なる時間に行われてもよい。
【0039】
様々な実施形態が上述されてきたけれども、これらは、単なる例として示されており、限定的ではないということが理解されるべきである。本明細書は、本技術の範囲を本明細書において明記される特定の形態に限定することを意図するものではない。それとは反対に、本明細書は、当業者によって正しく理解されるように、本技術の真意及び範囲に含まれ得るような代替物、修正、及び等価物をカバーすることを意図している。従って、好ましい実施形態の広さ及び範囲は、上記の例証的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【国際調査報告】