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特表2022-531502窓に実装されるトランシーバー部のための透明パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(54)【発明の名称】窓に実装されるトランシーバー部のための透明パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 23/00 20060101AFI20220629BHJP
   H01Q 1/02 20060101ALI20220629BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220629BHJP
   H01Q 5/40 20150101ALI20220629BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q1/02
H01Q21/06
H01Q5/40
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566487
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2020031977
(87)【国際公開番号】W WO2020231763
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/846,135
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】タヴェニク,ミカエル ブロル
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,マーク ピーター
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021AB06
5J021CA03
5J045DA10
5J045HA01
5J046AA15
5J046AB03
5J046CA10
(57)【要約】
本開示の実施形態は、アンテナ部に関する。アンテナ部は、第1のアンテナプレート、および、第2のアンテナプレートを含む。第2のアンテナプレートは、第1のアンテナプレートから離間して配置される。ガラス枠部は、アンテナプレートの間に配置されて、内側空洞部を画成する。アンテナ部は、プリント回路基板(PCB)、並びに、少なくとも1つのPCBに実装された第1および第2の集積回路(IC)も含む。第1のICは、信号を第1の周波数で送受信するように構成される。第2のICは、信号を、第1の周波数とは異なる第2の周波数で送受信するように構成される。アンテナ部は、信号を、第1および第2の周波数で、各々、第1および第2の導波路を通って送信するように構成された導波部も含む。アンテナプレート、ガラス枠部、および、PCBは、可視スペクトルにおいて、入射光の少なくとも50%を透過する材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部において、
第1の内面および第1の外面を有する第1のアンテナプレートと、
第2の内面および第2の外面を有し、前記第1のアンテナプレートから間隔をあけて配置された第2のアンテナプレートであって、該第2のアンテナプレートの該第2の内面は、該第1のアンテナプレートの前記第1の内面に対向するものである第2のアンテナプレートと、
前記第1のアンテナプレートの前記第1の内面と、前記第2のアンテナプレートの前記第2の内面の間に配置されて、内側空洞部を画定するガラス枠部と、
少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、
前記少なくとも1つのPCBに実装されて、信号の送信または受信の少なくとも一方を、第1の周波数で行うように構成された第1の集積回路(IC)と、
前記少なくとも1つのPCBに実装されて、信号の送信または受信の少なくとも一方を、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で行うように構成された第2のICと、
信号を、前記第1の周波数で、前記第1のアンテナプレートと前記第1のICの間の第1の導波路を通って送信するように構成された第1の導波部と、
信号を、前記第2の周波数で、前記第2のアンテナプレートと前記第2のICの間の第2の導波路を通って送信するように構成された第2の導波部と
を含み、
前記第1のアンテナプレート、前記第2のアンテナプレート、前記ガラス枠部、および、各前記少なくとも1つのPCBは、可視スペクトルにおいて入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものであるアンテナ部。
【請求項2】
前記第1のアンテナプレートおよび前記第2のアンテナプレートは、各々、複数のパッチアンテナを含み、各該複数のパッチアンテナは、該第1または第2のアンテナプレートの前記第1または第2の内面に形成された凹部に配置されたものである請求項1に記載のアンテナ部。
【請求項3】
前記第1の導波部および前記第2の導波部は、各々、前記パッチアンテナに対向する第1の被膜、および、前記少なくとも1つのプリント回路基板に対向する第2の被膜を含むものであり、
前記第1の被膜は、複数のスロットを含み、各該スロットは、前記複数のパッチアンテナの1つと位置合わせされたものであり、
前記第2の被膜は、信号を、各前記第1または第2の導波路から、または、そこへ送信するように構成された放射供給切抜き部を含むものである請求項2に記載のアンテナ部。
【請求項4】
前記第1の被膜および前記第2の被膜は、透明な導電性酸化物を含むものである請求項3に記載のアンテナ部。
【請求項5】
前記第1のアンテナプレートおよび前記第2のアンテナプレートの材料は、5以下の誘電率を有するガラスである請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナ部。
【請求項6】
前記第1の導波部および前記第2の導波部は、可視スペクトルにおける入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものである請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナ部。
【請求項7】
前記第1の導波部および前記第2の導波部の材料は、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸ガラスであり、該第1の導波部および該第2の導波部の各々の厚さは、共に、200μm未満である請求項6に記載のアンテナ部。
【請求項8】
前記ガラス枠部は、前記第1のアンテナプレート、および、前記第2のアンテナプレートに、水および空気が前記内側空洞部に到達しないように連結されたものである請求項1から7のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【請求項9】
方法において、
少なくとも1つの透明なアンテナプレート、少なくとも1つの透明な導波部、少なくとも1つの透明なプリント回路基板(PCB)、および、少なくとも1つの集積回路(IC)を含むアンテナ部を、窓の外面に実装する工程であって、該少なくとも1つのICは、該少なくとも1つのPCBに実装され、該少なくとも1つの透明な導波部は、該少なくとも1つのアンテナプレートと該少なくとも1つのICの間で信号を送信するものである工程と、
電力を、前記窓の内側の電源部から、前記アンテナ部に、該窓を通って無線で送る工程と
を含む方法。
【請求項10】
トランシーバー部において、
電力を、窓を通って無線で送るように構成された電源部と、
前記電力を、前記電源部から前記窓を通して受けとるように構成されたアンテナ部と
を含み、
前記アンテナ部は、
少なくとも1つのアンテナプレートと、
少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、
前記少なくとも1つのPCBに実装された少なくとも1つの集積回路(IC)と、
前記少なくとも1つのアンテナプレートと前記少なくとも1つのICの間で信号を送信するように構成された少なくとも1つの導波部と
を含むものであり、
前記少なくとも1つのアンテナプレート、前記少なくとも1つの導波部、および、前記少なくとも1つのPCBは、各々、可視スペクトルにおける入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものである方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2019年5月10日出願の米国仮特許出願第62/846,135号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、トランシーバー部、特に、略透明なトランシーバー部に関する。
【背景技術】
【0003】
5Gネットワークの展開により、多数の新規アンテナの設置が必要になった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなアンテナは、建物に設置されることが多く、アンテナを設置するには、典型的には、建物の窓または壁を通って延びる電源ケーブルが必要である。更に、アンテナ自体、および/または、それらを実装する器具が一旦設置されると、美的建築特性、または、窓を通した景色が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、本開示の実施形態は、アンテナ部に関する。アンテナ部は、第1の内面および第1の外面を有する第1のアンテナプレートと、第2の内面および第2の外面を有する第2のアンテナプレートを含む。第2のアンテナプレートは、第1のアンテナプレートから間隔をあけて配置され、第2のアンテナプレートの第2の内面は、第1のアンテナプレートの第1の内面に対向する。ガラス枠部は、第1のアンテナプレートの第1の内面と、第2のアンテナプレートの第2の内面の間に配置される。ガラス枠部は、内側空洞部を画定する。アンテナ部は、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、少なくとも1つのPCBに実装された第1の集積回路(IC)と、少なくとも1つのPCBに実装された第2のICも含む。第1のICは、信号の送信または受信の少なくとも一方を、第1の周波数で行うように構成される。第2のICは、信号の送信または受信の少なくとも一方を、第2の周波数で行うように構成される。第2の周波数は、第1の周波数と異なる。アンテナ部は、信号を、第1の周波数で、第1のアンテナプレートと第1のICの間の第1の導波路を通って送信するように構成された第1の導波部と、信号を、第2の周波数で、第2のアンテナプレートと第2のICの間の第2の導波路を通って送信するように構成された第2の導波部とを含む。第1のアンテナプレート、第2のアンテナプレート、ガラス枠部、および、各少なくとも1つのPCBは、可視スペクトルにおいて入射光の少なくとも50%を透過する材料を含む。
【0006】
他の態様において、本開示の実施形態は、アンテナ部を窓の外面に実装する方法に関する。アンテナ部は、少なくとも1つの透明なアンテナプレート、少なくとも1つの透明な導波部、少なくとも1つの透明なプリント回路基板(PCB)、および、少なくとも1つの集積回路(IC)を含む。少なくとも1つのICは、少なくとも1つのPCBに実装され、少なくとも1つの透明な導波部は、少なくとも1つのアンテナプレートと少なくとも1つのICの間で信号を送信する。電源部は、窓の内側に電源部を備えられ、電力を、アンテナ部に、窓を通って無線で送る。
【0007】
更に外の態様において、本開示の実施形態は、電力を、窓を通って無線で送るように構成された電源部と、電力を、電源部から窓を通して受けとるように構成されたアンテナ部とを含むトランシーバー部に関する。アンテナ部は、少なくとも1つのアンテナプレートと、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、少なくとも1つのPCBに実装された少なくとも1つの集積回路(IC)と、少なくとも1つのアンテナプレートと少なくとも1つのICの間で信号を送信するように構成された少なくとも1つの導波部とを含む。少なくとも1つのアンテナプレート、少なくとも1つの導波部、および、少なくとも1つのPCBは、各々、可視スペクトルにおける入射光の少なくとも50%を透過する材料を含む。
【0008】
更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、それは、部分的には、当業者には、その記載から容易に明らかであるか、または、次の記載、請求項、および、添付の図面に記載の実施形態を実施することによって分かるだろう。
【0009】
ここまでの概略的記載および次の詳細な記載の両方が例示にすぎず、請求項の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると理解すべきである。
【0010】
添付の図面は、更なる理解のために含められたものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、記載と共に、様々な実施形態の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態による窓に実装されたトランシーバー部を示している。
図2】例示的な実施形態による図1のトランシーバー部の側面図である。
図3】例示的な実施形態によるトランシーバー部のアンテナ部の断面図である。
図4】例示的な実施形態によるアンテナプレートの平面図である。
図5】例示的な実施形態による導波部の第1の被膜の平面図である。
図6】例示的な実施形態による導波部の平面図である。
図7】例示的な実施形態による導波部の第2の被膜の平面図である。
図8】例示的な実施形態による誘導充電部を有するプリント回路基板の平面図である。
図9】例示的な実施形態による単一のPCB上に2つのICを有するアンテナ部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、透明なトランシーバー部に関する。そのトランシーバー部は、視界を遮らないで実装しうるように、主に透明材料で構成される。現在の5Gのインフラ整備は、ネットワークの様々な地点間で信号を向けるために密集したアンテナ設置を含む。多くの場合において、アンテナは、建物に実装されて、電源またはデータ送信ケーブルを、建物の窓、および/または、壁部を通って設置することを必要とする。特に、アンテナは、作動するための電力を必要とし、5G信号に関するミリ波は、窓および壁部を、あまりよく通り抜けず、信号を建物内に送信する通信線を必要とする。しかしながら、本開示によれば、トランシーバー部は、窓の外面に実装されたアンテナ部を有し、それは、5G信号を受信して、典型的なWi-Fi周波数など、建物の窓および壁部を通って送信され易い低い周波数の信号を、窓を通って送信する。更に、実施形態において、アンテナ部は、窓の反対側である内側に実装されて誘導的に連結された電源部を通してなど、無線で電力を供給される。このように、トランシーバー部を設置するのに、建物に大きな変更を行う必要なく、更に、任意で透明材料を用いることで、アンテナ部を、邪魔にならない態様で設置可能になる。本明細書において、透明なトランシーバー部の様々な実施形態を提供する。これらの実施形態は、例示にすぎず、限定するものではない。
【0013】
図1は、透明なトランシーバー部10の実施形態を示している。示した実施形態において、トランシーバー部10は、建物14の窓12に実装される。しかしながら、他の実施形態において、トランシーバー部10を、車窓など、他の平面に実装しうる。トランシーバー部10は、アンテナ部16、および、電源部18を含む。以下に記載するように、アンテナ部16および電源部18は、窓12の両側に実装され、両方とも、トランシーバー部10が略透明になるのを可能にする材料で構成される。しかしながら、窓12を通って延伸し、アンテナ部16と電源部18を物理的に接続する電線も構成要素もない。実施形態において、アンテナ部16は、窓の外面に実装され、電源部18は、窓の内面に実装される。アンテナ部16および電源部18は、例えば、シリコーン接着剤、光学的に清澄な接着剤、透明テープ、エポキシ、透明ガラスまたはプラスチック枠、真空シリコーン封止部などを用いて実装されうる。図1に示したように、電源部18は、電源への有線接続部20を有する(コンセント22として示しているが、その代わりに、電源部18は、建物14の電力分配システムに有線で接続されうる)。実施形態において、電源部18は、誘導電力をアンテナ部16に供給し、したがって、電源部18、および、アンテナ部16は、窓12に垂直な水平軸上に位置合わせされる。他の実施形態において、電源部18は、窓12から離れたマイクロ波送電器でありうるもので、そのような実施形態において、電源部18は、電力を、アンテナ部16上の受信部に無線で送る。
【0014】
図2は、その上に実装されたトランシーバー部10を有する窓12の側面図を示している。図から分かるように、アンテナ部16は、(二重窓として示した)窓12の外面に実装され、電源部18は、窓12の内面に実装される。電力24は、電源部18から、窓12を通って、アンテナ部16へ送られる。このように、トランシーバー部10の設置は、建物13の表面を通り抜けて設置する必要がない。更に、トランシーバー部10を比較的容易に設置できることは、トランシーバー部を配置するのに、熟練者を必要としないことを意味する。つまり、トランシーバー部10を、建物14を破損することなく、建物14に設置しうる。更に、トランシーバー部10を略透明にすることによって、トランシーバー部10は、窓を通した視界を、実質的に遮らない。
【0015】
図3は、アンテナ部16の断面図を示している。示した実施形態において、アンテナ部16は、第1のアンテナプレート26、および、第2のアンテナプレート28を含む。実施形態において、第1のアンテナプレート26は、データを、第1の波長/周波数で受信し、第2のアンテナプレート28は、そのデータを、第2の波長/周波数でブローキャストする。例えば、第1のアンテナプレート26は、5G信号(例えば、6GHz以上の周波数のミリ波)を受信するように構成され、第2のアンテナプレート28は、その信号を、Wi-Fi周波数(例えば、2.4GHz、または、5GHz)でブロードキャストするように構成されうる。実施形態において、アンテナ部16は、受信信号を、窓12、または、建物14の内壁部を通り抜け易い低い周波数でブロードキャストする。同様に、第2のアンテナプレート28は、建物14内で発信された信号も、第2の周波数(例えば、Wi-Fi周波数)で受信し、第1のアンテナプレート26は、建物14の外側で、その信号を、第1の高い周波数でブロードキャストしうる。他の実施形態において、第1のアンテナプレート26、および、第2のアンテナプレート28は、同じ波長/周波数で送受信しうる。例えば、トランシーバー部10は、例えば、アンテナが信号を異なる方向に送信/受信する中継部として動作しうる。他の実施形態において、アンテナプレート26、28は、信号を、500MHzから100GHzの範囲の周波数を含む特定の利用例についての関心周波数で送信/受信する。
【0016】
信号をブロードキャスト、および、受信するために、アンテナプレート26、28は、その中にパッチアンテナ32が成膜された複数の凹部30を有する。更に、アンテナプレート26、28は、それらの間に、信号を変換するための要素が備えられた空洞部34を画成する。空洞部34内には、第1の導波部36、および、第2の導波部38が配置される。第1の導波部36は、1つの主面上に、第1の被膜40を有し、第1の導波部36は、反対側の主面上に、第2の被膜42を有する。同様に、第2の導波部38は、第1の被膜44を1つの主面上に、第2の被膜46を反対側の主面上に有する。第1の被膜40、44は、各々、第1のアンテナプレート26、および、第2のアンテナプレート28に対向する。各第1の被膜40、44は、各々、アンテナプレート26、28のパッチアンテナ32と位置合わせされた複数のスロット48を画成する。スロット48は、電磁放射が、パッチアンテナ32から出射、または、そこに入射するのを可能にする。第2の被膜42、46は、各々、導波部36、38のアンテナプレート26、28に対向しない方の面に備えられる。第2の被膜42、46は、下層の(以下に記載する)RF回路から、各々、導波部36、38へのトランジションを提供する。
【0017】
空洞部34には、第1のプリント回路基板(PCB)50、および、第2のPCB52も配置される。第1のPCB50は、第1の面54、および、第2の面56を有する。第1の導波部36は、第1のPCB50の第1の面54へ、導電トレース60と第2の被膜42の間の1つ以上の半田付けされた接続部58で接続される。実施形態において、第1の導波部36と第1のPCB50の間の半田付けされた接続部58は、透明である。他の実施形態において、半田付けされた接続部58は備えられず、第1の導波部36と第1のPCB50の間の接続は、直接接触(または、第1の導波部36がエネルギーを伝達するのに十分近い小さい間隙のみ)を通して行われる。1つ以上の第1の集積回路(IC)62は、第1のPCB50の第2の面56上のトレース60に、半田付けされた接続部58で接続される。第1の面54上のトレース60は、第2の面56上のトレース60へ、複数のビア64を用いて接続される。このようにして、第1のIC62で生成された信号は、第1のPCB50を通って、第1の導波部36へ、更に、第1のアンテナプレート26のパッチアンテナ32へ送信されるか、パッチアンテナ32で受信された信号は、第1の導波部36を通って、第1のIC62へ送信される。
【0018】
同様に、第2のPCB52は、第1の面66、および、第2の面68を有する。第2の導波部38は、第2のPCB52の第1の面66へ、導電トレース60と第2の被膜46の間の1つ以上の半田付けされた隆起部63で接続される。更に、1つ以上の第2のIC70は、第2のPCB52の第2の面68上のトレース60に接続される。第1の面66上のトレース60は、第2の面68上のトレース60に、複数のビア64を用いて接続される。したがって、第1のPCB50の場合と同様に、第2のIC70で生成された信号は、第2のPCB52を通って、第2の導波部38へ、更に、第2のアンテナプレート28のパッチアンテナ32に送信されるか、パッチアンテナで受信された信号は、第2の導波部38を通って、第2のIC70に送信される。実施形態において、第1のIC62は、第2のIC70とは異なる周波数の信号を受信/送信するように構成される。上記のように、第1のIC62は、5G規格による(例えば、6GHz以上の周波数を有する)信号を、受信/送信するように構成され、第2のIC70は、Wi-Fi規格による(例えば、2.4GHz、または、5GHzの)信号を、受信/送信するように構成されうる。
【0019】
図3に示したように、第1のPCB50と第2のPCB52は、相互接続部72で接続される。したがって、例えば、第1のPCB50は、5G信号を建物の外側から受信し、それらの信号を、例えば、建物の内部にブロードキャストされるWi-Fi信号に変換する第2のPCB52へ通信するように構成されうる。更に、第2のPCB52は、例えば、Wi-Fi信号を建物の内部から受信し、それらの信号を、例えば、建物の外部にブロードキャストされる5G信号に変換する第1のPCB50に通信しうる。
【0020】
アンテナ部16の構成において、導波部36、38は、各々、アンテナプレート26、28に、例えば、(連結部74として示した)接着封止部、または、レーザ溶接部を用いて接合される。更に、ガラス枠部76は、アンテナプレート26、28の間に備えられ、アンテナ部16の周縁部を画成する。ガラス枠部76も、アンテナプレート26、28に、例えば、(連結部74として示した)接着封止部、または、レーザ溶接部を用いて接合される。
【0021】
図4~7は、アンテナ部16の様々な層および構成要素を、より詳細に示している。特に、第1のアンテナプレート26、第1の導波部36、並びに、第1の導波部36の第1および第2の被膜40、42を、図4~7に示している。対応する第2のアンテナプレート28、第2の導波部38、並びに、第2の導波部38の第1および第2の被膜44、46は、図4~7に示したものと略同様で、信号周波数の特定の要件により変更される。したがって、それらの層および構成要素にも、図4~7に関する記載は適用される。
【0022】
まず、図4に、第1のアンテナプレート26を示している。アンテナプレート26は、パッチアンテナ32が備えられた凹部30を含む。図4から分かるように、パッチアンテナ32は、受信アレイ78、および、送信アレイ80に配列されている。示した実施形態において、パッチアンテナ32は、一辺が1mmの正方形で、300nm以上の厚さを有する。そのようなパッチアンテナ32は、信号を79GHzで送受信するのに有用である。パッチアンテナ32のサイズ(長さ、幅、および、厚さ)は、パッチアンテナ32が送受信するように設計された信号の周波数に応じたものである。更に、受信アレイ78、および、送信アレイ80の形状は、アンテナ部16が設置される特定の利用例に応じて異なりうる。実施形態において、凹部30は、パッチアンテナ32の厚さより深い。実施形態において、凹部30は、100μmから150μmの深さを有しうる。
【0023】
図5は、第1の被膜40を示している。図5から分かるように、第1の被膜40は、パッチアンテナ32と位置合わせされた複数のスロット48を含む。つまり、スロット48は、パッチアンテナ32と同じ受信アレイ78および送信アレイ80に配列される。実施形態において、スロット48は、パッチアンテナ32と同じ長さを有するが、幅は狭い。実施形態において、幅は、パッチアンテナ32の幅の半分以下である。他の実施形態において、幅は、パッチアンテナ32の幅の1/4以下であり、更に他の実施形態において、幅は、パッチアンテナ32の幅の約1/20である。上記のように、スロット48は、放射を、第1の導波部36からパッチアンテナ32へ出射、または、パッチアンテナ32から第1の導波部36へ入射可能にする。
【0024】
図6は、第1の導波部36を示している。図から分かるように、第1の導波部36は、導波路82を含む。導波路82は、第1の部分84、および、第2の部分86を有する。第1の部分84は、放射が、スロット48を通って出入り可能にし、第2の部分86は、放射を、第1のIC62へ、または、そこから送る。導波路82は、導電材料で被膜された(または、充填された)複数のビア88で構成される。ビア88は、図5の第1の被膜40を、図7の第2の被膜42と接続する。図7に示したように、第2の被膜42は、導波路82の第2の部分86と位置合わせされた放射供給切抜き部90を含む。放射供給切抜き部90は、第1のIC62からの放射が導波路82に入射して、パッチアンテナ32に送られる(または、パッチアンテナ32からの放射が導波路82を通って第1のIC62に送られる)のを可能にする。
【0025】
図8は、第2のPCB52の実施形態を示している。概して、図8に示した第2のPCB52は、第1のPCB50と略同様でありうるが、図示した実施形態の第2のPCB52は、(例えば、図2に示すような)窓12の表面に近い。したがって、第2のPCB52は、(例えば、図2に示したような)電源部18からの磁気誘導充電を行うための誘導コイル92を担持する可能性が高い。図8に、第2のPCB52の第2の面68を示している。トレース60は、複数の第2のIC70間を含む第2の面68に亘って、電気接続部を提供する。誘導コイル92は、第2のPCB52の周辺部に配列されて、電力を、第2のIC70に、電源部18への誘導連結を通して提供する。誘導コイル92の最外側の線輪は、第2のPCB52の反対側面66の他のトレース60と接続したビア64で終端する。裏側のトレースは、誘導コイル92に亘って延伸し、第2のPCB52の第2の面68に戻るビア64で終端する。この配列は、生じた電流を、第2のPCB52の第2の面68上の第2のIC70の1つへ電力供給する。
【0026】
図9は、第1のIC62および第2のIC70が同じPCB50に実装されたアンテナ部16の他の実施形態を示している。図示したように、2つのIC62、70の両方を、PCB50の同じ側に実装しうるが、他の実施形態において、第1のIC62を、PCB50の第2のIC70とは異なる側に実装しうる。それでも、PCB50およびIC62、70は、導波部36、38の間に配置されたままであり、次に、導波部36、38は、アンテナプレート26、28の間に配置される。IC62、70の両方を同じPCB上に備えることで、アンテナ部16について全体的な厚さを薄くする利点を提供する。
【0027】
アンテナ部16の概略構造を記載したが、次に、可視光に対して略透明なアンテナ部16の製作に関係する(図3に関連する)各要素の材料を記載する。本明細書で用いるように、実施形態において、「略透明」は、アンテナ部16が、例えば、400nmから700nmなどの可視スペクトルにおいて、(透明な形で製作されないか、または、そのような形態で現在入手できないIC62、70などの要素を通して以外は)入射光の少なくとも50%を透過することを意味する。他の実施形態において、「略透明」は、アンテナ部16が、可視スペクトルにおいて、入射光の少なくとも70%を透過することを意味し、更に他の実施形態において、「略透明」は、アンテナ部16が、可視スペクトルにおいて、入射光の少なくとも80%を透過することを意味する。実施形態において、アンテナ部16は、例えば、装飾、光を遮る、UVブロック、または、色合わせ機能を提供する他の被膜または色を含みうる。
【0028】
アンテナプレート26、28は、ガラスから製作される。特に、ガラスは、純SiO(D=3.85)など、5以下の誘電率(D)を有するように選択される。概して、低い屈折率、例えば、約1.46以下の屈折率を有するガラスも、5以下の誘電率を有する傾向があり、アンテナプレート26、28として用いるのに適する。更に、原子番号が小さい(例えば、≦20)成分を有するガラスも、アンテナプレート26、28として使用するのに適する。有利なことに、ガラスは、ミリ波長範囲の放射も透過する。要求される誘電率を有する例示的なガラスは、溶融シリカ、および、リチウムカリウムホウケイ酸を含む。実施形態において、特定のガラス、および、そのガラスの誘電率は、導波部36、38用に選択された材料にも応じたものである。特に、アンテナプレート26、28に用いるガラスは、導波部36、38用に選択された材料の誘電率の半分以下の誘電率を有する。実施形態において、パッチアンテナ32は、薄いこと、または、成膜された金属粒子のサイズにより、透明なままである薄い金属膜であるか、パッチアンテナ32は、インジウム・スズ酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、または、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明な酸化物導電体でありうる。他の実施形態において、パッチアンテナは、カーボンナノチューブの薄い(例えば、300nm~500nmの)層であり、更に他の実施形態において、パッチアンテナは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)などの有機導電体である。金属膜を、フォトリソグラフィエッチングなど、様々な成膜技術を用いて成膜しうる。実施形態において、アンテナプレート26、28に形成された凹部30は、エッチング、ロストガラス積層、および/または、リプレシング技術によって生成される。
【0029】
導波部36、38は、例えば、アンテナプレート26、28用のガラス材料の誘電率の少なくとも2倍の誘電率など、高誘電率のガラス材料から製作される。実施形態において、導波部36、38に用いられるガラス材料の誘電率は、5から15の範囲、特に、8から10の範囲である。実施形態において、比較的大きい原子番号(例えば、>20)の成分を有するか、または、非常に密な分子構造を有するガラスは、導波部36、38に適した材料である。更に、導波部26、28の材料は、RF放射が吸収されないように小さい誘電正接を有し、それは、アルカリ基イオンの使用を制限することで実現しうる。最後に、ガラス、または、セラミックは、均一な濃度で融解して、薄いシートとして形成可能でなければならない。特定の実施形態において、導波部36、38は、100μmから200μmの厚さを有する。導波部36、38に使用可能な例示的なガラスは、Corning Incorporated(ニューヨーク州、コーニング所在)から入手可能なWillow(登録商標)ガラスなどのアルカリ土類ホウアルミノケイ酸ガラスである。導波部36、38に用いるのに適した他の例示的なガラスは、各々、10.5、および、13.7の誘電率のガラスを含む。他の実施形態において、導波部36、38は、40μmから100μmの厚さを有する酸化アルミニウムから製作される。有利なことに、酸化アルミニウムは、約20μmから80μmで透明で、100μmにおいて、透明度は、約80%のままである。実施形態において、導波部36、38上の第1の被膜40、44および第2の被膜42、46は、ITO、AZO、または、IZOなど、透明な導電性酸化物から製作される。
【0030】
実施形態において、PCB50、52は、ガラスから製作される。特に、ガラスは、導波部36、38に用いられる材料の熱膨張率の30%以内、特に20%以内、更に10%以内の熱膨張率を有するように選択されうる。実施形態において、PCB50、52用に選択される材料は、Corning Incorporated(ニューヨーク州、コーニング所在)から全て入手可能なGorilla(登録商標)ガラスなどのアルカリアルミノケイ酸である。トレース60、および、ビア64は、ITO、AZO、または、IZOなど、透明な導電性酸化物から製作される。
【0031】
ガラス枠部76も、ガラス材料、特に、アンテナプレート26、28を製作するのに用いるのと同じガラス材料から製作される。アンテナプレート26、28をガラス枠部76に封止するのに、様々な方法が可能である。実施形態において、UV硬化エポキシなどの接合剤を用いうるか、または、実施形態において、アンテナプレート26、28を、レーザ溶接によって連結する。実施形態において、特定の連結方法を、透明で気密および水密でもあり、周囲の気候条件(例えば、-40℃から60℃の温度範囲、および、0から100%の相対湿度)にも耐える連結部になるように選択する。
【0032】
図1および図2に示した電源部18は、アンテナ部16と略同じ材料から構成されうる。実施形態において、電源部18は、2つのカバーシート(例えば、上側および下側シート)を含む。実施形態において、カバーシートは、ガラス、または、プラスチック(例えば、ポリカーボネート)である。実施形態において、誘導コイル(図8の誘導コイル92など)は、カバーシートの間に配置される。更に、実施形態において、制御回路(図8に示したIC70など)も、カバーシートの間に配置されて、更に、誘導コイルの中に配置されうる。実施形態において、電源部18の平面図は、図8に図示したものと略同様であるが、追加で、制御回路に接続されて、電力を、誘導コイルを介してアンテナ部16に送るAC/DC電線である特徴物を有する。
【0033】
本開示の態様(1)は、アンテナ部に関し、それは、第1の内面および第1の外面を有する第1のアンテナプレートと、第2の内面および第2の外面を有し、第1のアンテナプレートから間隔をあけて配置された第2のアンテナプレートであって、第2のアンテナプレートの第2の内面は、第1のアンテナプレートの第1の内面に対向するものである第2のアンテナプレートと、第1のアンテナプレートの第1の内面と、第2のアンテナプレートの第2の内面の間に配置されて、内側空洞部を画定するガラス枠部と、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、少なくとも1つのPCBに実装されて、信号の送信または受信の少なくとも一方を、第1の周波数で行うように構成された第1の集積回路(IC)と、少なくとも1つのPCBに実装されて、信号の送信または受信の少なくとも一方を、第1の周波数と異なる第2の周波数で行うように構成された第2のICと、信号を、第1の周波数で、第1のアンテナプレートと第1のICの間の第1の導波路を通って送信するように構成された第1の導波部と、信号を、第2の周波数で、第2のアンテナプレートと第2のICの間の第2の導波路を通って送信するように構成された第2の導波部とを含み、第1のアンテナプレート、第2のアンテナプレート、ガラス枠部、および、各少なくとも1つのPCBは、可視スペクトルにおいて入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものである。
【0034】
本開示の態様(2)は、態様(1)のアンテナ部に関し、第1のアンテナプレートおよび第2のアンテナプレートは、各々、複数のパッチアンテナを含み、各複数のパッチアンテナは、第1または第2のアンテナプレートの第1または第2の内面に形成された凹部に配置されたものである。
【0035】
本開示の態様(3)は、態様(2)のアンテナ部に関し、第1の導波部および第2の導波部は、各々、パッチアンテナに対向する第1の被膜、および、少なくとも1つのプリント回路基板に対向する第2の被膜を含むものであり、第1の被膜は、複数のスロットを含み、各スロットは、複数のパッチアンテナの1つと位置合わせされたものであり、第2の被膜は、信号を、各第1または第2の導波路から、または、そこへ送信するように構成された放射供給切抜き部を含むものである。
【0036】
本開示の態様(4)は、態様(3)のアンテナ部に関し、第1の被膜および第2の被膜は、透明な導電性酸化物を含むものである。
【0037】
本開示の態様(5)は、態様(4)のアンテナ部に関し、透明な導電性酸化物は、インジウム・スズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、または、インジウム亜鉛酸化物の少なくとも1つである。
【0038】
本開示の態様(6)は、態様(1)から(5)のいずれか1つのアンテナ部に関し、第1のアンテナプレートおよび第2のアンテナプレートの材料は、5以下の誘電率を有するガラスである。
【0039】
本開示の態様(7)は、態様(1)から(6)のいずれか1つのアンテナ部に関し、第1の導波部および第2の導波部は、可視スペクトルにおける入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものである。
【0040】
本開示の態様(8)は、態様(7)のアンテナ部に関し、第1の導波部および第2の導波部の材料は、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸ガラスである。
【0041】
本開示の態様(9)は、態様(8)のアンテナ部に関し、第1の導波部および第2の導波部の各々の厚さは、共に、200μm未満である実施形態8に記載のアンテナ部。
【0042】
本開示の態様(10)は、態様(8)のアンテナ部に関し、第1の導波部および第2の導波部の各々の厚さは、100μmから200μmである。
【0043】
本開示の態様(11)は、態様(1)から(10)のいずれか1つのアンテナ部に関し、第1の周波数は、少なくとも6GHzである。
【0044】
本開示の態様(12)は、態様(1)から(11)のいずれか1つのアンテナ部に関し、第1の周波数は、20GHzから80GHzである。
【0045】
本開示の態様(13)は、態様(1)から(12)のいずれか1つのアンテナ部に関し、第2の周波数は、2.4GHz、または、5GHzの一方である。
【0046】
本開示の態様(14)は、態様(1)から(13)のいずれか1つのアンテナ部に関し、少なくとも1つのPCBは、第1のPCBおよび第2のPCBを含み、第1のICは、第1のPCBに実装され、第2のICは、第2のPCBに実装されたものである。
【0047】
本開示の態様(15)は、態様(14)のアンテナ部に関し、第1のPCBは、第2のPCBに平行に、かつ、間隔をあけて配置されたものであり、少なくとも1つの相互接続部が、第1のPCBと第2のPCBの間での電気的連通を提供する。
【0048】
本開示の態様(16)は、態様(1)から(15)のいずれか1つのアンテナ部に関し、ガラス枠部は、第1のアンテナプレート、および、第2のアンテナプレートに、水および空気が内側空洞部に到達しないように連結されたものである。
【0049】
本開示の態様(17)は、方法に関し、それは、少なくとも1つの透明なアンテナプレート、少なくとも1つの透明な導波部、少なくとも1つの透明なプリント回路基板(PCB)、および、少なくとも1つの集積回路(IC)を含むアンテナ部を、窓の外面に実装する工程であって、少なくとも1つのICは、少なくとも1つのPCBに実装され、少なくとも1つの透明な導波部は、少なくとも1つのアンテナプレートと少なくとも1つのICの間で信号を送信するものである工程と、窓の内側に電源部を備える工程と、電力を、アンテナ部に、窓を通って無線で送る工程とを含む。
【0050】
本開示の態様(18)は、態様(17)の方法に関し、備える工程は、更に、電源部を窓の内面に実装する工程を含むものである。
【0051】
本開示の態様(19)は、態様(18)の方法に関し、電力を無線で送る工程は、更に、アンテナ部に誘導的に電力を供給する工程を含むものである。
【0052】
本開示の態様(20)は、態様(17)の方法に関し、電力を無線で送る工程は、更に、RF電力を、アンテナ部の受信部へ向ける工程を含むものである。
【0053】
本開示の態様(21)は、態様(17)から(20)のいずれか1つの方法に関し、第1の周波数を有する信号を、アンテナ部で受信し、信号を、アンテナ部から窓を通って、第1の周波数より低い第2の周波数で送信する工程を、更に含む。
【0054】
本開示の態様(22)は、態様(21)の方法に関し、第1の周波数は、少なくとも6GHzである。
【0055】
本開示の態様(23)は、態様(21)または(22)の方法に関し、実施形態23
第1の周波数は、20GHzから80GHzである。
【0056】
本開示の態様(24)は、態様(21)から(23)のいずれか1つの方法に関し、第2の周波数は、2.4GHz、または、5GHzの一方である。
【0057】
本開示の態様(25)は、トランシーバー部に関し、それは、電力を、窓を通って無線で送るように構成された電源部と、電力を、電源部から窓を通して受けとるように構成されたアンテナ部とを含み、アンテナ部は、少なくとも1つのアンテナプレートと、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、少なくとも1つのPCBに実装された少なくとも1つの集積回路(IC)と、少なくとも1つのアンテナプレートと少なくとも1つのICの間で信号を送信するように構成された少なくとも1つの導波部とを含むものであり、少なくとも1つのアンテナプレート、少なくとも1つの導波部、および、少なくとも1つのPCBは、各々、可視スペクトルにおける入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものである。
【0058】
本開示の態様(26)は、態様(25)のトランシーバー部に関し、少なくとも1つのアンテナプレートは、第1の内面および第1の外面を有する第1のアンテナプレート、並びに、第2の内面および第2の外面を有する第2のアンテナプレートを含むものであり、第2のアンテナプレートは、第1のアンテナプレートから間隔をあけて配置され、第2のアンテナプレートの第2の内面は、第1のアンテナプレートの第1の内面に対向するものであり、更に、第1のアンテナプレートの第1の内面と、第2のアンテナプレートの第2の内面の間に配置されて、少なくとも1つのPCB、少なくとも1つのIC、および、少なくとも1つの導波部が収容された内側空洞部を画定するガラス枠部を含む。
【0059】
本開示の態様(27)は、態様(26)のトランシーバー部に関し、ガラス枠部は、第1のアンテナプレート、および、第2のアンテナプレートに、水および空気が内側空洞部に到達しないように連結されたものである。
【0060】
本開示の態様(28)は、態様(25)から(27)のいずれか1つのトランシーバー部に関し、各少なくとも1つのアンテナプレートは、複数のパッチアンテナを含み、各複数のパッチアンテナは、少なくとも1つのアンテナプレートに形成された凹部に配置されたものである。
【0061】
本開示の態様(29)は、態様(25)から(28)のいずれか1つのトランシーバー部に関し、各少なくとも1つの導波部の材料は、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸ガラスである。
【0062】
本開示の態様(30)は、態様(29)のトランシーバー部に関し、各少なくとも1つの導波部の厚さは、100μmから200μmである。
【0063】
別段の記載がない限りは、本明細書に示した、いずれの方法も、工程が特定の順序で行われることを要すると解釈されることを意図しない。したがって、方法の請求項が、工程の行われる順序を実際に記載しないか、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されると記載しない場合には、特定の順序が推測されることを全く意図しない。更に、本明細書で用いるように、原文の英語の不定冠詞は、1つ以上の構成要素または要素を含むことを意図し、1つのみを意味すると解釈されることを意図しない。
【0064】
当業者には、本開示の実施形態の精神も範囲も逸脱することなく、様々な変更および変形が可能なことが明らかだろう。当業者には、実施形態の精神および本質を組み込んで、開示した実施形態の変更、組合せ、部分組合せ、および変形が可能なので、開示した実施形態は、添付の請求項の範囲、および、それらの等価物の全てを含むと解釈されるべきである。
【0065】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0066】
実施形態1
アンテナ部において、
第1の内面および第1の外面を有する第1のアンテナプレートと、
第2の内面および第2の外面を有し、前記第1のアンテナプレートから間隔をあけて配置された第2のアンテナプレートであって、該第2のアンテナプレートの該第2の内面は、該第1のアンテナプレートの前記第1の内面に対向するものである第2のアンテナプレートと、
前記第1のアンテナプレートの前記第1の内面と、前記第2のアンテナプレートの前記第2の内面の間に配置されて、内側空洞部を画定するガラス枠部と、
少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、
前記少なくとも1つのPCBに実装されて、信号の送信または受信の少なくとも一方を、第1の周波数で行うように構成された第1の集積回路(IC)と、
前記少なくとも1つのPCBに実装されて、信号の送信または受信の少なくとも一方を、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で行うように構成された第2のICと、
信号を、前記第1の周波数で、前記第1のアンテナプレートと前記第1のICの間の第1の導波路を通って送信するように構成された第1の導波部と、
信号を、前記第2の周波数で、前記第2のアンテナプレートと前記第2のICの間の第2の導波路を通って送信するように構成された第2の導波部と
を含み、
前記第1のアンテナプレート、前記第2のアンテナプレート、前記ガラス枠部、および、各前記少なくとも1つのPCBは、可視スペクトルにおいて入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものであるアンテナ部。
【0067】
実施形態2
前記第1のアンテナプレートおよび前記第2のアンテナプレートは、各々、複数のパッチアンテナを含み、各該複数のパッチアンテナは、該第1または第2のアンテナプレートの前記第1または第2の内面に形成された凹部に配置されたものである実施形態1に記載のアンテナ部。
【0068】
実施形態3
前記第1の導波部および前記第2の導波部は、各々、前記パッチアンテナに対向する第1の被膜、および、前記少なくとも1つのプリント回路基板に対向する第2の被膜を含むものであり、
前記第1の被膜は、複数のスロットを含み、各該スロットは、前記複数のパッチアンテナの1つと位置合わせされたものであり、
前記第2の被膜は、信号を、各前記第1または第2の導波路から、または、そこへ送信するように構成された放射供給切抜き部を含むものである実施形態2に記載のアンテナ部。
【0069】
実施形態4
前記第1の被膜および前記第2の被膜は、透明な導電性酸化物を含むものである実施形態3に記載のアンテナ部。
【0070】
実施形態5
前記透明な導電性酸化物は、インジウム・スズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、または、インジウム亜鉛酸化物の少なくとも1つである実施形態4に記載のアンテナ部。
【0071】
実施形態6
前記第1のアンテナプレートおよび前記第2のアンテナプレートの材料は、5以下の誘電率を有するガラスである実施形態1から5のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【0072】
実施形態7
前記第1の導波部および前記第2の導波部は、可視スペクトルにおける入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものである実施形態1から6のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【0073】
実施形態8
前記第1の導波部および前記第2の導波部の材料は、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸ガラスである実施形態7に記載のアンテナ部。
【0074】
実施形態9
前記第1の導波部および前記第2の導波部の各々の厚さは、共に、200μm未満である実施形態8に記載のアンテナ部。
【0075】
実施形態10
前記第1の導波部および前記第2の導波部の各々の厚さは、100μmから200μmである実施形態8に記載のアンテナ部。
【0076】
実施形態11
前記第1の周波数は、少なくとも6GHzである実施形態1から10のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【0077】
実施形態12
前記第1の周波数は、20GHzから80GHzである、実施形態1から11のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【0078】
実施形態13
前記第2の周波数は、2.4GHz、または、5GHzの一方である実施形態1から12のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【0079】
実施形態14
前記少なくとも1つのPCBは、第1のPCBおよび第2のPCBを含み、前記第1のICは、該第1のPCBに実装され、前記第2のICは、該第2のPCBに実装されたものである実施形態1から13のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【0080】
実施形態15
前記第1のPCBは、前記第2のPCBに平行に、かつ、間隔をあけて配置されたものであり、少なくとも1つの相互接続部が、該第1のPCBと該第2のPCBの間での電気的連通を提供する実施形態14に記載のアンテナ部。
【0081】
実施形態16
前記ガラス枠部は、前記第1のアンテナプレート、および、前記第2のアンテナプレートに、水および空気が前記内側空洞部に到達しないように連結されたものである実施形態1から15のいずれか1つに記載のアンテナ部。
【0082】
実施形態17
方法において、
少なくとも1つの透明なアンテナプレート、少なくとも1つの透明な導波部、少なくとも1つの透明なプリント回路基板(PCB)、および、少なくとも1つの集積回路(IC)を含むアンテナ部を、窓の外面に実装する工程であって、該少なくとも1つのICは、該少なくとも1つのPCBに実装され、該少なくとも1つの透明な導波部は、該少なくとも1つのアンテナプレートと該少なくとも1つのICの間で信号を送信するものである工程と、
前記窓の内側に電源部を備える工程と、
電力を、前記アンテナ部に、前記窓を通って無線で送る工程と
を含む方法。
【0083】
実施形態18
前記備える工程は、更に、前記電源部を前記窓の内面に実装する工程を含むものである実施形態17に記載の方法。
【0084】
実施形態19
前記電力を無線で送る工程は、更に、前記アンテナ部に誘導的に電力を供給する工程を含むものである実施形態18に記載の方法。
【0085】
実施形態20
前記電力を無線で送る工程は、更に、RF電力を、前記アンテナ部の受信部へ向ける工程を含むものである実施形態17に記載の方法。
【0086】
実施形態21
第1の周波数を有する信号を、前記アンテナ部で受信し、信号を、該アンテナ部から前記窓を通って、該第1の周波数より低い第2の周波数で送信する工程を、
更に含む実施形態17から20のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
実施形態22
前記第1の周波数は、少なくとも6GHzである実施形態21に記載の方法。
【0088】
実施形態23
前記第1の周波数は、20GHzから80GHzである実施形態21または22に記載の方法。
【0089】
実施形態24
前記第2の周波数は、2.4GHz、または、5GHzの一方である実施形態21から23のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態25
トランシーバー部において、
電力を、窓を通って無線で送るように構成された電源部と、
前記電力を、前記電源部から前記窓を通して受けとるように構成されたアンテナ部と
を含み、
前記アンテナ部は、
少なくとも1つのアンテナプレートと、
少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)と、
前記少なくとも1つのPCBに実装された少なくとも1つの集積回路(IC)と、
前記少なくとも1つのアンテナプレートと前記少なくとも1つのICの間で信号を送信するように構成された少なくとも1つの導波部と
を含むものであり、
前記少なくとも1つのアンテナプレート、前記少なくとも1つの導波部、および、前記少なくとも1つのPCBは、各々、可視スペクトルにおける入射光の少なくとも50%を透過する材料を含むものである方法。
【0091】
実施形態26
前記少なくとも1つのアンテナプレートは、第1の内面および第1の外面を有する第1のアンテナプレート、並びに、第2の内面および第2の外面を有する第2のアンテナプレートを含むものであり、
前記第2のアンテナプレートは、前記第1のアンテナプレートから間隔をあけて配置され、該第2のアンテナプレートの前記第2の内面は、該第1のアンテナプレートの前記第1の内面に対向するものであり、
更に、
前記第1のアンテナプレートの前記第1の内面と、前記第2のアンテナプレートの前記第2の内面の間に配置されて、前記少なくとも1つのPCB、前記少なくとも1つのIC、および、前記少なくとも1つの導波部が収容された内側空洞部を画定するガラス枠部を
含む、実施形態25に記載のトランシーバー部。
【0092】
実施形態27
前記ガラス枠部は、前記第1のアンテナプレート、および、前記第2のアンテナプレートに、水および空気が前記内側空洞部に到達しないように連結されたものである実施形態26に記載のトランシーバー部。
【0093】
実施形態28
各前記少なくとも1つのアンテナプレートは、複数のパッチアンテナを含み、各該複数のパッチアンテナは、該少なくとも1つのアンテナプレートに形成された凹部に配置されたものである実施形態25から27のいずれか1つに記載のトランシーバー部。
【0094】
実施形態29
各前記少なくとも1つの導波部の材料は、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸ガラスである実施形態25から28のいずれか1つに記載のトランシーバー部。
【0095】
実施形態30
各前記少なくとも1つの導波部の厚さは、100μmから200μmである実施形態29に記載のトランシーバー部。
【符号の説明】
【0096】
10 トランシーバー部
16 アンテナ部
18 電源
26、28 アンテナプレート
36、38 導波部
40、44 第1の被膜
42、46 第2の被膜
50、52 PCB
62、70 IC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】