(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(54)【発明の名称】水精製装置、浄水モジュールおよび浄水方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20060101AFI20220630BHJP
C02F 9/02 20060101ALI20220630BHJP
C02F 9/04 20060101ALI20220630BHJP
C02F 9/10 20060101ALI20220630BHJP
C02F 9/12 20060101ALI20220630BHJP
C02F 9/08 20060101ALI20220630BHJP
C02F 9/06 20060101ALI20220630BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20220630BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20220630BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20220630BHJP
C02F 1/42 20060101ALI20220630BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20220630BHJP
B01J 49/07 20170101ALI20220630BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
C02F1/28 F
C02F9/02
C02F9/04
C02F9/10
C02F9/12
C02F9/08
C02F9/06
B01D61/08
B01D61/58
C02F1/44 J
C02F1/42 A
C02F1/32
B01J49/07
C02F1/461 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560339
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 GB2020050754
(87)【国際公開番号】W WO2020201709
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521440655
【氏名又は名称】ブライトマン・ウォーター・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・ハッセル
【テーマコード(参考)】
4D006
4D025
4D037
4D061
4D624
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006KA02
4D006KA16
4D006KA52
4D006KA54
4D006KA56
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4D006PC02
4D025AA04
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4D624AA03
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4D624CB80A
4D624DA04
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4D624DB05
4D624DB06
4D624DB09
4D624DB10
4D624DB19
(57)【要約】
純水を吐出するための水精製装置(10)が提供される。この水精製装置(10)は、少なくとも1つの主流体入口(26)および少なくとも1つの主流体出口(28)を有する主装置本体(12)と、水精製装置装置(10)から純水を吐出するための分注エレメント(20)とを備える。そして、主装置本体(12)と解放可能に係合する浄水モジュール(18)も設けられている。この浄水モジュール(18)は、複数の浄水サブモジュールと、複数の浄水サブモジュールと流体連通し、主装置本体(12)の少なくとも1つの主流体出口(28)に接続可能な入口マニホールド(76a)と、分注エレメント(20)と流体的に係合可能な出口マニホールド(76b)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水を分注するための水精製装置(10)であって、
少なくとも1つの主流体入口(26)と少なくとも1つの主流体出口(28)とを備えた主装置本体(12)と、
前記水精製装置から純水を分注するための分注エレメント(20)と、
前記主装置本体(12)と解放可能に係合する浄水モジュール(18)とを備え、
前記浄水モジュール(18)は、複数の浄水サブモジュールと、支持フレームワーク(46)と、前記複数の浄水サブモジュールと流体連通し、前記主装置本体(12)の少なくとも1つの主流体出口(28)に接続可能な入口マニホールド(76a)と、前記分注エレメント(20)と流体連通可能な出口マニホルド(76b)とを含み、
前記複数の浄水サブモジュールのうちの少なくとも1つが、モジュール構造を有するように構成されており、浄水媒体を挿入できる取り外し可能な容器(52)を備えており、
前記取り外し可能な容器(52)は、前記支持フレームワーク(46)に取り付けられ、前記支持フレームワークを介して密封されている、
水精製装置(10)。
【請求項2】
前記複数の浄水サブモジュールが、活性炭サブモジュール(64)、逆浸透膜サブモジュール(50)、イオン交換サブモジュール(68)、限外濾過サブモジュール(50)、および、UVランプ・サブモジュール(60)のうちの少なくとも2つから成る、請求項1に記載の水精製装置(10)。
【請求項3】
浄水モジュール(18)が、第1の浄化サブモジュール列と第2の浄化サブモジュール列とを含む、請求項2に記載の水精製装置(10)。
【請求項4】
前記第1の浄化サブモジュール列は、活性炭サブモジュール(64)、第1の逆浸透膜サブモジュール(50)、および、第2の逆浸透膜サブモジュール(50)の順に複数の浄水サブモジュールを備える、請求項3に記載の水精製装置(10)。
【請求項5】
前記第2の浄化サブモジュール列は、活性炭サブモジュール(64)と、少なくとも1つのイオン交換サブモジュール(68)との順に複数の浄水サブモジュールを備える、請求項3または請求項4に記載の水精製装置(10)。
【請求項6】
前記第2の浄化サブモジュール列は、UVランプ・サブモジュール(60)、限外濾過サブモジュール(50)をさらに備える、請求項5に記載の水精製装置(10)。
【請求項7】
前記第2の浄化サブモジュール列が再循環ループを形成する、請求項3から6のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項8】
前記再循環ループと流体連通する純水リザーバー(82)をさらに備える、請求項7に記載の水精製装置(10)。
【請求項9】
純水リザーバー(82)の上部に係合可能なエアベント・フィルター(84)をさらに備え、前記エアベントフィルタ(84)は塩素錠剤すくい(86)を含む、請求項8に記載の水精製装置(10)。
【請求項10】
浄水モジュール(18)を介した浄化後の純水を抽出するために、前記出口マニホールドの下流に直接分注アダプタ-(22)をさらに備える、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項11】
前記直接分注アダプター(22)は、少なくとも1つの注入コネクタ-(24)を備えることを特徴とする、請求項10に記載の水精製装置(10)。
【請求項12】
前記浄水モジュール(18)は、前記複数の浄水サブモジュールのそれぞれを包囲するケーシング(78)を備える、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項13】
前記支持フレームワーク(46)は、複数の容器が支持されたカセットを含む、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項14】
水精製装置(10)の殺菌のために塩素を生成するように構成されている電気分解モジュール(98)をさらに備える、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項15】
前記水精製装置(10)からの純水を計量するために、前記分注エレメント(20)に関連する蠕動ポンプをさらに備える、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項16】
熱水リザーバーをさらに備え、前記熱水リザーバーは、水精製装置(10)と流体連通して、その熱殺菌を可能にするよう構成された、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項17】
主装置本体(12)の前記主流体出口と、前記浄水モジュール(18)の前記入口マニホールド(76a)とを接続するために挿入可能なマニホールド・アダプターをさらに備える、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項18】
前記水精製装置(10)内に冷却マニホールドをさらに備える、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項19】
前記浄水モジュール(18)が、前記装置本体(12)の前面と解放可能に係合している、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項20】
前記取り外し可能な容器(52)を取り付けるために、前記支持フレームワーク(46)上、または支持フレームワーク(46)において、1つまたは複数のロケータ(48a、48b)をさらに備える、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項21】
前記支持フレームワーク(46)は、前記浄水モジュール(18)の所定の位置にあるすべての前記取り外し可能な容器(52)を封止するための少なくとも1つのプレートを備える、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の水精製装置(10)。
【請求項22】
a]浄水モジュール(18)を主装置本体(12)から取り外すステップと。
b]複数の浄水サブモジュールのそれぞれをリサイクルまたは再生するステップと、
c]前記浄水モジュール(18)または別の浄水モジュール(18)を前記主装置本体(12)に再装着するステップとを含む、
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の水精製装置(10)を再生する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、ステップb]が、複数の前記浄水サブモジュールのそれぞれについて、
b1]サブモジュール容器から浄水媒体を除去するサブステップと、
b2] 前記浄水媒体を再生またはリサイクルするサブステップと、
b3] 前記サブモジュール容器を洗浄・殺菌するサブステップと、。
b4] 再生またはリサイクルされた浄水媒体を前記サブモジュール容器のそれぞれに挿入することにより、複数の前記浄水サブモジュールを再構築するサブステップとを含む方法。
【請求項24】
水精製装置(10)のための浄水モジュール(18)であって、
複数の浄水サブモジュールと、
支持フレームワーク(46)と、
入口マニホールド(76a)と、
出口マニホールド(76b)とを備え、
前記複数の浄水サブモジュールの少なくとも1つが、浄水媒体を挿入可能な取り外し可能な容器(52)を備えたモジュール構造を有し、
前記取り外し可能な容器(52)のそれぞれが前記支持フレームワーク(46)に取り付けられ、支持フレームワーク(46)を介して密封されており、
前記入口マニホールド(76a)が、前記複数の浄水サブモジュールと流体連通し、水精製装置(10)の主装置本体(12)の少なくとも1つの主流体出口(28)に接続可能であり、
前記出口マニホールド(76b)が、前記水精製装置(10)の分注エレメント(20)と流体的に係合可能に適合されている、
水精製装置(10)のための浄水モジュール(18)。
【請求項25】
a]請求項24に記載の浄水モジュール(18)を提供するステップと、
b]浄水モジュール(18)の入口マニホ-ルドを、水浄水装置(10)の主装置本体(12)の主流体出口(28)に直接または間接的に接続するステップと、
c] 水精製装置(10)から出力される浄化水の純度が所定の閾値を下回った場合に、複数の水質浄化サブモジュールのそれぞれをリサイクルまたは再生するステップとを含む、
既存の水精製装置(10)の廃棄物成分を削減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、広くは、水精製装置(浄水器)に関し、特に実験用の純水を提供するためのものに関するが、必ずしもそれに限定されない。また、このような装置を再生する方法、および、既存の水精製装置への組み込みに適した浄水モジュールも開示される。また、既存の水精製装置の廃棄物を削減する方法、および改良された水精製装置も開示される。
【背景技術】
【0002】
純水や超純水は、様々な場面、特に科学や医療の実験室で使用されている。純水や超純水とは、汚染物質や不純物を可能な限り取り除いた水である。純水を提供する際に問題となるのは、水が入っている容器内での汚染を防ぐことである。たとえば、貯蔵容器素材からの浸出や大気との接触、あるいは貯蔵容器と使用場所の間の移動による汚染などである。
【0003】
そのため、従来の純水・超純水精製装置では、密閉容器のユニットを使用し、入口の水のろ過と純化を同じユニット内で行っている。浄水カートリッジはプラグ・アンド・プレイ方式で使用できるようになっており、使用済みのカートリッジを新しいカートリッジと交換することで純水の生成を維持し、使用済みのカートリッジは廃棄することができるようになっている。一般的に、使用済みカートリッジは埋め立て処分されるが、これは非常に無駄である。
【0004】
この他にも、既存の水精製装置には様々な欠点がある。第一に、一般的に、水の純度の測定は、精製の時点で水のコンダクタンスをマイクロジーメンスやメガオームの単位で測定することによって行われるが、精製後に精製水を移動・保管すると、ユーザーに表示されるよりも高いレベルの不純物が含まれる可能性があり、超純水が必要な場合に誤解を招く恐れがある。
【0005】
さらに、水精製装置の消毒を定期的に行わなければならない。これは、技術者が塩素タブレットを装置に投入することで行われる。そのため、大気中の汚染物質が装置内に侵入する経路が増え、最終的に水の純度が低くなることがあり得る。また、システム内の塩素が、浄水システムの一部として使用されている逆浸透膜に損傷を与えるため、塩素消毒が装置全体に深刻な損傷を与えるリスクが生じる。
【0006】
本願発明は、ユーザーが適切な純度の水を確実に抽出することができ、かつ現在の精製水業界が生み出している過剰な廃棄物をなくすことができる、改良された水精製装置(浄水器)を提供することを目的とする。
【0007】
本願発明の第1の側面によれば、純水を吐出するための水精製装置が提供され、この浄水装置は以下の構成要素を含む。少なくとも1つの主流体入口と少なくとも1つの主流体出口を有する主装置本体、水精製装置から純水を分注するための分注エレメント、および、主装置本体と解放可能に係合する浄水モジュール。ここで、浄水モジュールは、複数の浄水サブモジュールと、支持フレームワークと、複数の浄水サブモジュールと流体的にやり取りでき、主装置本体の少なくとも1つの主流体出口と接続可能な入口マニホールドと、分注エレメントと流体的に係合可能な出口マニホールドとを含み、少なくとも1つの浄水サブモジュールはモジュール構造を成し、浄水媒体を挿入可能な取り外し可能容器を含み、取り外し可能容器のそれぞれは、支持フレームワークに取付けられ、それ介して密封されている。
【0008】
飲料水や蒸留水から純水や超純水を生成するために必要な部品をすべて含んだ浄水モジュールを取り外し可能にした水精製装置を提供することで、ユーザーのニーズに合わせた装置の容易な変更が可能になる。浄水モジュール全体を一体として取り出し、リサイクルや再生を行うことができる。これには主に2つの利点がある。第一に、従来の水精製装置では使用済みのろ過カートリッジを廃棄していたため、膨大な量の廃棄物が発生していたが、これをほぼゼロにすることができる。第二に、浄水モジュールにオーダーメイドの浄水媒体を充填することができるので、ユーザーが追加の装置を購入することなく、浄水プロセスを要求に合わせて簡単に調整することができる。
【0009】
好ましくは、複数の浄水サブモジュールは、活性炭サブモジュール、逆浸透サブモジュール、イオン交換サブモジュール、限外ろ過サブモジュール、UVランプ・サブモジュールのうちの少なくとも2つを含んでいてよい。
【0010】
多くの浄水サブモジュールを全体的浄水モジュールの一部として提供することができ、多くの異なるオプションを提供することによって、ユーザーは、タスクごとにいくつかの異なる装置を必要とせずに、オーダーメイドの浄水アセンブリを構築することができる。
【0011】
オプションとして、浄水モジュールは、第1の浄水サブモジュールシーケンスおよび第2の浄水サブモジュールシーケンスを含んでいてよい。
【0012】
一般的には水道網からの流入水を浄化するための大まかな浄水手段と、長時間にわたって水の純度を維持するためのより洗練された第2の再循環手段を提供することで、ユーザーが吐出時の水の純度に確信を持てるようになっていることが好ましい。
【0013】
好ましい一実施形態では、第1の浄化サブモジュールシーケンスは、活性炭サブモジュール、第1の逆浸透サブモジュール、および、第2の逆浸透サブモジュールの順序で構成された、複数の水浄化サブモジュールを含んでもよい。
【0014】
逆浸透膜が、初期の強力なろ過オプションを提供する一方で、活性炭サブモジュールの吸着機能が、逆浸透膜への塩素消毒剤によるダメージを防ぐ。
【0015】
第2の浄化サブモジュールのシーケンスは、活性炭サブモジュールと、少なくとも1つのイオン交換サブモジュールとをこの順序で構成した、複数の浄水サブモジュールであってよい。
【0016】
イオン交換は、逆浸透膜では取り除けなかった、純水に含まれる可能性のある外部イオンを抽出する手段である。これにより、長期間にわたって純水を維持することができる。
【0017】
さらに、第2の浄水サブモジュールシーケンスは、UVランプ・サブモジュール、および、限外ろ過サブモジュールを含んでいてもよい。
【0018】
UV処理は、時間の経過とともに水中に細菌が蓄積することがないようにし、限外ろ過は、逆浸透膜では捕らえられなかった粒子状物質の除去をサポートする。
【0019】
好ましくは、第2の浄水サブモジュールの配列が、再循環ループを形成してもよい。
【0020】
循環させることにより、滞留している水のように時間の経過とともに水の純度が低下することを防止できる。
【0021】
好ましくは、再循環ループと流体連通する純水リザーバーをさらに設けてもよい。
【0022】
純水リザーバーを設けることで純水を貯め、循環ループを設けることで、埃の侵入や材料の溶出などによる長期的な汚染を防ぐことができる。
【0023】
本願発明に係る水精製装置は、さらに、純水リザーバーの上部に係合可能な通気フィルターをさらに備えていてもよく、通気フィルターは塩素錠剤すくいを備えていてよい。
【0024】
通気フィルターは、貯水量の減少に伴う汚れを防ぐために適する。また、殺菌効果のある塩素錠剤を、ユーザーが手を触れずに導入することができるという有利な効果もある。これにより、汚染の経路が限定される。
【0025】
本願発明に係る水精製装置は、浄水モジュールによる浄化後の純水を抽出するために、出口マニホールドの下流に直接分注アダプターをさらに備えてもよい。
【0026】
従来の技術ではノズル式ディスペンサーで水を出していたが、水が大気と接触する機会が増え、すぐに水が汚染されてしまう可能性があった。超純水が求められる場合は、純水を直接最終的な容器や給水手段に移すことが好ましい場合がある。
【0027】
好ましくは、直接分注アダプターは、少なくとも1つの注入ルアー・コネクターを含んでいてよい。
【0028】
注入ルアー・コネクターにより、無菌・無汚染のシリンジを使用して超純水を装置から取り出すことができるため、特に技術者による汚染のリスクを大幅に軽減することができる。
【0029】
オプションとして、浄水モジュールは、複数の浄水サブモジュールのそれぞれを包囲するケーシングを含んでもよい。
【0030】
浄水モジュールは、本体から簡単に取り外せるように設計されているため、サブモジュールを囲む外側のケーシングを使って、ユニットを取り出してセンターに戻し、リサイクルや再生を容易に行うことができる。それまでの間は、オーダーメイドの交換用モジュールをユーザーに提供することができる。
【0031】
浄水モジュールは、複数の浄水サブモジュールを支持するための複数の容器を有するカセット)(小箱)を含んでもよい。
【0032】
カセットを重ねて配置することで、浄水モジュールを容易に取り付け・取り外しでき、サブモジュールを安全かつ頑丈に保持することがでる。
【0033】
オプションとして、水リザーバーと流体連通可能な、水精製装置の殺菌のために塩素を生成するように構成されている電気分解モジュールが備えられていてもよい。
【0034】
従来の浄水器では貯水槽に塩素錠剤を導入することは、主に技術者を介した最大の汚染源の一つであった。電気分解モジュールを内蔵し、ユーザーがコントロールパネルを介して遠隔操作することにより、この問題は解消される。
【0035】
一実施形態では、純水を浄水器から計量するために、分注エレメントに付随する蠕動ポンプがさらに備えられていてよい。
【0036】
蠕動ポンプにより、超純水に直接触れることなく、非常に正確に水を計量して吐出することができる。ゆえに、特に注入ルアー・コネクターを使用する場合には、このようなポンプの構成が好ましい。
【0037】
水精製装置と流体的に連通し、水精製装置の熱消毒を可能にする温水タンクを設けてもよい。
【0038】
前述のように、塩素錠剤は潜在的な汚染源であるだけでなく、活性炭サブモジュールによって効果的に除去されなければ、逆浸透膜に大きなダメージを与える可能性がある。温水タンクは熱殺菌が可能なため、化学的な殺菌の必要性を完全に排除できるが、そのためにはより頑丈な耐熱性のある管路が必要となる。
【0039】
オプションとして、本願発明に係る水精製装置は、主装置本体の主流体出口または各主流体出口と浄水モジュールの入口マニホールドとを接続するために挿入可能なマニホールド・アダプターをさらに含んでもよい。
【0040】
浄水モジュールと本体の接続に、シンプルなアダプターを使用することで、モジュールの交換作業を迅速かつ容易に行うことができるようになる。
【0041】
また、水精製装置は、水精製装置内に設けられた冷却マニホールドをさらに備えていてもよい。
【0042】
冷却マニホールドにより、特に逆浸透膜からの濃縮液を再利用することで、高温の実験室環境でも装置の温度を安定させることができる。これは暑い国では特に有効である。
【0043】
浄水モジュールは、主装置本体の前面に解放可能に係合してもよい。
【0044】
浄水モジュールを装置の前面に配置することで、モジュールを簡単に取り外すことができ、異なるモジュール構成が必要な場合でも簡単に交換できるようになる。
【0045】
好ましくは、水精製装置は、取り外し可能な容器を取り付けるために、支持フレームワーク上または支持フレームワークにおいて、1つまたは複数のロケーターを含んでいてもよい。
【0046】
好ましくは、支持フレームワークは、すべての取り外し可能な容器を浄水モジュールの所定の位置に密封するための少なくとも1つのプレートを含んでいてよい。
【0047】
本願発明の第2の態様によれば、本願発明の第2の態様に係る水精製装置を再生する方法が提供され、この方法は、以下のステップを含む。a)浄水モジュールを装置本体から取り外すステップ、b)複数の浄水サブモジュールのそれぞれをリサイクルまたは再生するステップ、c)前記浄水モジュールまたは別の浄水モジュールを前記装置本体に再装着するステップ。
【0048】
既存の浄水器は、ろ過・浄水用カートリッジの廃棄性を極端に重視しているが、本願発明では、この廃棄物をなくすために、装置のリサイクルと再生を可能にしている。
【0049】
オプションとして、ステップb)は、複数の浄水サブモジュールのそれぞれについて、以下のサブステップを含む。b1)浄水媒体がサブモジュール容器から取り除かれる、b2)浄水媒体が再生またはリサイクルされる、b3) サブモジュール容器が洗浄および滅菌される、b4) 再生またはリサイクルされた浄水媒体をそれぞれのサブモジュール容器に挿入することによって、複数の浄水サブモジュールが再組み立てされる。
【0050】
浄水媒体が入っている容器を個別に洗浄できることで、再生が可能になるだけでなく、ユーザーの要件に応じてカスタムメイドの精製プロセスを設計することもできる。
【0051】
本願発明の第3の態様によれば、水精製装置用の浄水モジュールが提供され、この浄水モジュールは、以下の構成要素を含む。複数の浄水サブモジュール(当該複数の浄水サブモジュールのうちの少なくとも1つは、モジュール構造を有して提供され、浄水媒体を挿入することができる取り外し可能な容器を含む)と、支持フレームワーク(ここで、各容器は支持フレームワークを介して支持され、密封される)と、前記複数の浄水サブモジュールと流体連通し、浄水装置の主装置本体の少なくとも1つの主流体出口に接続可能である入口マニホールドと、水精製装置の分注エレメントと流体的に係合可能に適合されている出口マニホールドとを含む。
【0052】
専用の浄水モジュールを使用することで、水精製装置の利用方法を変更できる。本願発明では、使い捨てのカートリッジを提供するのではなく、モジュール全体を抽出してリサイクルや再生を行うことができる。さらに、この配置は、既存の水精製装置に最新の浄水モジュールを後付けすることを可能にし、それによって既存の廃棄物の原因を排除できる。
【0053】
本願発明の第4の側面によれば、既存の浄水装置の廃棄部品を削減する方法が提供される。この方法は以下のステップを含む。a)本発明の第3の側面に従った浄水モジュールを提供するステップ、b)浄水モジュールの入口マニホールドを浄水装置の主装置本体の主流体出口または各主流体出口に直接または間接的に接続するステップ、c)水生成装置から出力される浄水の純度が所定の閾値を下回った場合に、複数の浄水サブモジュールのそれぞれをリサイクルまたは再生するステップ。
【0054】
浄水装置で発生する廃棄物を減らすことができることは、本願発明における顕著な効果であり、したがって、実験室用の浄水装置において、より環境に優しいアプローチを検討できることにつながる。
【0055】
本願発明の別の側面によれば、純水を吐出するための水精製装置が提供され、この水精製装置は、以下の構成要素を含む。少なくとも1つの主流体入口と、各主流体入口と流体連通する浄水アセンブリと、水精製装置から純水を吐出するための分注エレメントと、分注エレメントを介して分注するための純水を生成するために浄水器に水を循環させる流体ポンプと、浄水器の下流に設けられた少なくとも1つの注入ルアー・コネクターとを含み、浄水器からの純水の制御された取出しを可能にする直接分注アダプター。
【0056】
注入ルアー・コネクターから成る直接分注アダプターを使用することで、汚染の原因となる大気との接触を最小限に抑えながら、精製水をコントロールしながら取り出すことができる。これにより、ユーザーは用途に応じた十分な純度の水を確実に手に入れることができる。
【0057】
オプションとして、本願発明に係る水精製装置は、プローブが浄水アセンブリの下流に配置されている、少なくとも1つの水純度センサーをさらに備えていてよい。
【0058】
水の純度を示す(典型的には導電率測定による)センサーを追加することで使用時の水の純度に対するユーザーの信頼性を確保することができる。これは、従来の業界では欠如していた要素である。
【0059】
以下、例示としての添付図面を参照し、本願発明をより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本願発明の第1の側面に係る水精製装置の一実施形態を示す正面透視図である。
【
図2】
図1の水精製装置の装置本体およびマニホールド・アダプターの分解正面透視図(明確にするために浄水モジュールを取り除いている)である。
【
図3】
図1の水精製装置の本体を背面から見た図(明確性のために上部ケーシングを取り除いている)である。
【
図4】本願発明の第3の態様に係る水精製装置の浄水モジュールの正面透視図である(明確にするために外側のケーシングを取り除いている)である。
【
図5】
図4の浄水モジュールの第1の組立段階を示す正面透視図である。
【
図6】
図4の浄水モジュールの第2の組立段階を示す正面透視図である。
【
図7】
図4の浄水モジュールの第3の組立段階を示す正面透視図である。
【
図8】
図4の浄水モジュールの第4の組立段階を示す正面透視図である。
【
図9】
図4の浄水モジュールの浄水サブモジュールの背面透視図である。
【
図10】
図4の浄水サブモジュールの正面図である。
【
図11】完全に組み立てられた状態の
図4の浄水モジュールの正面透視図である。
【
図12】
図1の水精製装置と互換性のある純水リザーバーの透視図である。
【
図13】
図1の水精製装置の通気口フィルターの正面透視図である。
【
図14】
図1の水精製装置の注入ルアー・コネクターの透視図である。
【
図15】
図1の水精製装置に適合する電気分解モジュールの上面図である。
【0061】
図1に、特に実験室での使用のための、純水(より好ましくは超純水)を生成するのに適した水精製装置(全体を10で表わす)を示す。
【0062】
本開示では、純水とは、不純物を除去するために様々な方法でろ過や処理を行った水を指す。これは実験用精製水と呼ばれることが多く、飲料水や地下水などの一般的な飲用水とは異なる。超純水は、微量の汚染物質が10億分の1の単位で測定されるほど純度が高く、理論上の最小導電率は25℃で約0.055μS/cm、18MΩcmに相当する。この場合には、導電性は水の解離平衡で生成されるH+イオンとOH-イオンによってのみ提供される。実際には、25℃で10μS/cm程度の導電率であれば、超純水として分類されるに十分である。
【0063】
水精製装置10は、ここでは後部ハウジング・ユニット14と、水精製装置10の電子部品を覆うトップキャップ16とを有する主装置本体12と、好ましくはその支持台19を介して後部ハウジング・ユニット14と解放可能に係合する浄水モジュール18とを備える。
【0064】
水の精製は、浄水モジュール18を介して達成される。浄水モジュール18は、内部にある複数の、好ましくは異なる種類の、浄水サブモジュールから構成されるが、これについては後に詳しく説明する。浄水モジュール18によって浄化された水は、次に、ノズルなどの分注エレメント20を介して分配されてよい。好ましくは、分注エレメント20は、さらなる汚染物質を導入することなく、ディスペンスされた水の正確な計量を可能にするために、蠕動ポンプと対応している。しかし、
図2に示すように、水精製装置10は、主装置本体12からアクセス可能な少なくとも1つの注入ルアー・コネクター24を含む直接分注アダプター22を含んでもよい。吐出した水が空気に触れてしまうという問題を解決するためには、ルアー・コネクターが好ましいが、シリンジなどの密閉型抽出システムに接続するための適切な受容手段があれば、それを利用してもよい。
【0065】
主装置本体12は、1つ以上の主流体入口26を含み、これを介して浄化用の水を水精製装置10に導入してよい。そのような主流体入口26は、主装置本体12の外部から容易にアクセス可能であってよく、示された実施形態ではその側面に配置されている。
【0066】
図2に、浄水モジュール18を取付けていない状態の主装置本体12を示す。本図は、浄水モジュール18に流体的に接続可能な主装置本体12の主流体出口28を示している。この例では、浄水モジュール18には間接的な結合しかなく、主流体出口28に接続するために挿入可能なマニホールド・アダプター30が設けられている。マニホールド・アダプター30は、主装置本体12に容易にねじで取り付けられる大型の留め具32を備えていてもよい。
【0067】
図2では、直接分注アダプター22をより詳細に見ることができる。直接分注アダプター22は、浄水モジュール18の下流の注入ルアー・コネクター24に流体を導くスプリッターである。ここでは単純化のために分注エレメント20上に、またはそれと隣接して配置されているが、精製水の精製後の汚染を最小限にするために、直接分注アダプター22を浄水モジュール18の直後に配置することも容易である。
【0068】
また、水精製装置10は、コマンド入力のための制御パネル34を含んでいてもよく、ここではタッチスクリーンパネルが使用されている。制御パネル34は、水精製装置10全体のコントローラ36と通信する。
【0069】
水は、再循環ポンプ38を介して水精製装置10を通して分配されるが、再循環ポンプ38は、必要に応じてポンプ能力を向上させるためのブーストポンプ40を伴っていてもよい。ブーストポンプ40はシステムを約6バールに加圧するために使用してよい。
図3に、これらの構成要素の詳細、および、本体側パイプマニホールドを示す。
【0070】
インレットストレーナー42が、パイプマニホールドの一部として設けられており、主流体入口26からのインレット飲料水が、インレットバルブ(好ましくはインレットソレノイドバルブ)に入る前にそこを通過する。これにより、浮遊物や微粒子が入口ソレノイドシールに干渉したり、浄水モジュール18に侵入したりするのを防ぐことができる。
【0071】
入口電磁弁は真鍮製の電磁弁であり、飲料水が各主流体入口26を介して導入されることが好ましい。しかし、脱塩された入口水を使用する場合は、ステンレス製のバルブなど、より耐腐食性の高いバルブを使用してもよい。この際に、ブーストポンプ40を利用してシステムを加圧してもよい。
【0072】
複数のセンサー44も図示されている。ここではライン・セル・チャンバの形状であり、水の抵抗率を測定し、これを制御パネル34に提示してユーザーに表示することができる。ユーザーに水の純度を正確に示すために、センサー44は、水の吐出点の近くで水を監視するように配置されることが好ましい。
【0073】
図4に、浄水モジュール18の構造を示す。多階建てのカセットとして形成された支持フレームワーク46は、最適な浄化のために様々な浄水サブモジュールを正しい構成で配置するために提供される。
【0074】
モジュール性提供のために、挿入可能なユニット、典型的には逆浸透または限外ろ過サブモジュール50のためのいくつかのロケーター48a、48bが提供される。しかし、再生やリサイクルを容易にするために、サブモジュールの少なくとも一部がモジュール構造を有して提供され、浄水媒体を挿入できる取外し可能な容器52(チャンバ)が提供されることが好ましい。
【0075】
各容器52は、支持フレームワーク46に取り付けられ、好ましくは支持フレームワーク46によって所定の位置に保持されるように設計されている。この例では、容器52の各端部に成形または配置された、好ましくは焼結されたディスク54の存在によって取り付けが行われる。容器52のための代替的なロケーター(位置決め手段)も検討され得る。これには、支持フレームワーク46に直接ロケーターを成形することが含まれるが、これに限定されず、容器52を所定の位置に配置するのを支援するために他の可能な手段が提供されてよい。浄水媒体、浄化される水、またはその両方の流出を防止または抑制するために、特定のシール(たとえば、低浸出性のOリング)を使用してよい。これらのシールは、支持フレームワーク52の一部として提供されるか、または支持フレームワーク52によって所定の位置に保持されてよい。浄水モジュール18のアセンブリ、および、その分解については、
図5から
図8で詳しく説明する。
【0076】
まず、
図5に示すように、支持フレームワーク46のベースプレート56aが設けられ、浄水モジュール18のベースを形成している。そして、支持フレームワーク58の中間棚56bを支持するために、複数のスペーサー58を設けてもよい。ベースプレート56aが、浄水モジュールの少なくとも1つを支持するために用いられてもよい。本実施形態では、実際には、水精製装置10の殺菌に主に使用され得るUVランプ・サブモジュール60を支持するために使用される。なお、ベースプレート56aが、少なくとも1つの浄水モジュールを支持するために用いられてもよい。本実施形態では、実際には、水精製装置10の殺菌のために主に使用され得るUVランプ・サブモジュール60を支持するために使用されている。これは、例えばMaclowクリップを使って簡単に着脱できるように、水平方向に取り付けてもよい。
【0077】
図6に示すように、中間棚56bは、モジュール式の容器52を支持するように作用し、支持フレームワーク46のこのレベルのスペーサー58は、容器52の高さと一致するか、ほぼ一致するように寸法設定されてよい。焼結されたディスク54が、それに関連するあらゆるシールを含めて、中間棚56b上に配置されてもよい。しかし、容器52は、密封配置で保持されるように、支持フレームワーク46の任意の部分に取り付けてもよい。焼結ディスク54の正確な位置決めは、焼結ディスク54と付属のシールからなる組み立てられたシーリングユニットを、中間棚56bの所定の位置に下げる位置決め治具を使用することによって達成ができる。
【0078】
容器52が確実に配置されると、次に浄水媒体が導入可能になる。たとえば、ココナッツカーボンなどの活性炭などの炭素62を導入して活性炭サブモジュール64として機能させたり、イオン交換素材66を導入してイオン交換サブモジュール68を形成したりしてよい。その後、各容器52が、シーリング・キャップ70でキャップされてよい。シーリング・キャップ70は、浄水媒体を所定の位置に保持する一方で、容器52への水の浸入を許容することができる。そのようなシーリング・キャップ70は、やはり非浸出性のOリングなどの適切なシールを有する焼結されたトップディスクとして形成されてもよい。
【0079】
すべての容器52が組み立てられると、中間トップシェルフ56cをスペーサー58に接続して、すべての容器52を密閉し、浄水モジュール18内の所定の位置に確実に保持できる。支持フレームワーク46の一部(通常は中間トップシェルフ56cのようなプレート)によって提供される圧縮が、容器52を保持して密封するための固定力を提供する。中間トップシェルフ56cには、好ましくは追加のサブモジュールを挿入できるロケーター48aが設けられている。
図7では高圧カーボン・フィルター72が設置されている状態を示す。ロケーター48aは、そこに設置されたサブモジュールの横方向の動きを制限する役割を果たすことができ、ここでは、緊密な寸法の開口部として形成されている。
【0080】
図8に示すように、任意の中央サブモジュールが設置されると、サブモジュールが確実に取り付けられるように、トッププレート56dを設置することができる。56dは、容器52に直接接触して固定力を与えてもよいし、与えなくてもよい。上位棚56dは、ベースプレート56aに接続されたものと同様のスペーサー58を介して取り付けられる。ここでは開いた開口部として形成されている追加のロケーター48bが、先に説明した逆浸透サブモジュールや限外濾過サブモジュール50のような、さらなるサブモジュールの横方向の挿入を可能にするために設けられてもよい。
【0081】
浄水モジュール18の組み立てにより、複数の交換可能な容器52(チャンバ)を導入し、その中の浄水媒体をオーダーメイドで選択し、ユニットとして使用することができる。浄水モジュール18は、複数の(好ましくはすべての)容器52が、支持フレームワーク46の単一のプレートまたは部分を使用して密封されるように組み立てられる。これにより、交換可能な使い捨てカートリッジを有する浄水モジュールではなく、単一のユニットとして供給可能な浄水モジュール18を提供する有利な効果を得られる。
【0082】
図9に浄水モジュール18の浄水アセンブリ74の支持フレームワーク46を除いた配置、および、その複雑なパイプマニホールド76を示す。
図10に、完全に組み立てられた浄水アセンブリ74は、支持フレームワーク46を含めて示す。パイプマニホールド76のパイプの少なくとも1つは、名目上、主流体出口28と流体的に連通する入口マニホールド76aの一部となる。これは、先に述べたように、マニホールド・アダプタ-30との相互接続を介して達成され得る。
【0083】
パイプマニホールド76のパイプのさらに少なくとも1つは、浄水モジュール18からの浄化された水が出力される出口マニホールド76bの名目上の一部であってもよい。ここでも、出口マニホールド76bは、分注エレメント20への上向きの供給のために、マニホールド・アダプター30に接続されてもよい。
【0084】
完全な浄水モジュール18のためには、
図11に示すように、外部ケーシング78が必要である。これにより、エンドユーザーは、個々の浄水サブモジュールに干渉する必要なく、浄水モジュール18を水精製装置10に取り付けたり、取り外したりすることができる。
【0085】
浄水モジュール18は、水精製装置10に対して遠隔で組み立てられることが意図されており、製造者は、エンドユーザーの浄水要件に応じて浄水モジュール18を容易に調整することができる。この配置により、浄水サブモジュールを再生またはリサイクルすることができるので、エンドユーザーは、異なる純度仕様の水を製造するために、いくつかの異なる装置を持つ必要はない。その代わりに、浄水モジュール18を交換することができる。これにより、交換用の浄水モジュール18を状況の変化に応じてエンドユーザ-に迅速に出荷する一方で、使用済の浄水モジュール18を再生またはリサイクルするという特定のビジネスモデルが可能になる。これにより、浄水器から発生する全体的な廃棄物を大幅に削減することができる。
【0086】
さらに、適切なマニホールド・アダプター30を用いれば、本願発明に係る浄水モジュール18を既存の装置に容易に後付けできることを理解されたい。これにより、既存のユーザーは、廃棄カートリッジを排除して、水精製装置を効果的にアップグレードおよび強化することができる可能性がある。
【0087】
本願発明に係る浄水モジュール18の浄水シーケンスは以下の通りである。飲用水または蒸留水が浄水モジュール18の入口マニホールド76aを介して導入される。まず、水は圧力で活性炭サブモジュール64に導入されるが、これは、の塩素を完全に除去するためのものである。このステップがないと、逆浸透サブモジュール50の逆浸透膜を損傷する可能性がある。
【0088】
水が脱塩素化されると、逆浸透膜サブモジュール50に通される。水は、その第1の膜に入り、2つの流れに分割される。第1の流れは、圧力をかけられて膜を通過し、水を透過させて透過液を作る。膜を越えて流れ続ける水は、汚染物質と塩分でより飽和する(濃縮液(concentrate)と呼ぶ)。
【0089】
その後、水の浪費を減らすために、濃縮液を第2の逆浸透サブモジュール50に誘導し、同じプロセスを適用してもよい。第2の逆浸透サブモジュール50からの濃縮液は、ドレーン・バルブ80(好ましくはフロー・リストリクターを含むドレーン・ソレノイド・バルブ)に戻る。これにより、最適な逆浸透を可能にする適切な背圧を維持しつつ、ドレーンへの連続的な流れが可能になる。最適な透過液の回収率は、各逆浸透サブモジュール50からの透過液が7リットル/時のオーダーである可能性がある。
【0090】
定期的に濃厚液ラインのドレーン・バルブ80を開き、逆浸透膜サブモジュール50の膜から不純物を洗い流すことで、膜の寿命を延ばすことができる。
【0091】
その後、逆浸透膜サブモジュール50からの透過液をセンサー44に戻して、抵抗率、つまり純度を測定してもよい。これにより、第1の浄水サブモジュールのシーケンスが終了し、その後、最初に浄化された水を、好ましくはポリプロピレンやポリエチレンなどのプラスチック材料から形成された少なくとも1つの純水リザーバー82に貯蔵できる。このようなリザーバー82の例示的実施形態を
図12に示す。最初の浄水サブモジュールのシーケンスが終了した時点で、水質は5.0μS/cm程度になると予想されるが、これは一部の用途には十分である。好ましくは、水リザーバー82は、主装置本体12内に収納されるが、外部タンクも考えられ、これにより、大容量の用途のために複数の純水リザーバー82を使用してもよい。
【0092】
しかし、保管中に混入した不純物の影響を軽減するために、純水は分注の直前に再精製されることが好ましい。純水リザーバー82は、水の吐出に伴って水面上の空気の量が変化するため、吐出時に空気が純水リザーバー82内に取り込まれる。この空気は、保管されている純水に汚染物質を混入させる可能性がある。
【0093】
図13に純水リザーバー82に関連するエアベント・フィルター84を示す。エアベント・フィルター84は、空気が純水リザーバー82に導入される際の水の汚染を制限することを目的とする。この構成では、エアベント・フィルター84は、ソーダ石灰、好ましくは粒状の活性炭、および好ましくは0.2マイクロメートル前後の細孔寸法を有するエアフィルタの組み合わせで満たされる。これにより、純水が吐出される際に水タンクに引き込まれる空気を適切にフィルターすることができる。
【0094】
エアベント・フィルター84のこの特定の実施形態は、塩素錠剤すくい86となるように特別に設計された、すくい状の部材を含むことに留意されたい。塩素錠剤すくいは、メインフィルタ本体92の下方の純水リザーバー82に延びるステム90に取り付けられたカップ部88として形成されている。これにより、汚染源となりうる塩素錠剤(タブレット)を技術者が直接取り扱うことなく、純水リザーバー82や内部のマニホールドの塩素消毒を行うことができる。
【0095】
純水リザーバー82に十分な水が溜まると、第2の浄化サブモジュールのシーケンスを検討することができる。このシーケンスは、再循環ポンプ38を作動させ、純水リザーバー82から、好ましくはストレーナーを介して浄化された水を引き出す。この水は、好ましくは毎分1.5から1.9リットルの速度で、活性炭サブモジュールである高圧カーボン・フィルター72を介して浄水モジュール18に送られ、このフィルターは、浄化された水に含まれる残留塩素を選別するように再び作用する。その後、水は少なくとも1つ、好ましくは最大3つのイオン交換サブモジュール68に通され、汚染物質がさらに除去される。
【0096】
さらに、第2の浄水サブモジュールのシーケンスは、UVランプ・サブモジュール60に通過する前に、水を限外濾過サブモジュール50に導くことも含むことができる。この時点で、水は純水リザーバー82に戻され、循環プロセスをループで繰り返すことができる。この再循環により、分注直前の水の純度を効果的に向上できる。
【0097】
その後、水は分注のために分注エレメント20に向けられるか、または注入ルアー・コネクター24を介して直接抽出することができる。
図14に例示的な注入ルアー・コネクター24を示す。直接分注アダプター22に接続するメインカップリング94と、注入ルアーシリンジと直接接続可能なシリンジアダプター96が設けられている。ユーザーは、注入ルアーシリンジをシリンジアダプター96に直接係合させることで、吐出時に精製水が大気と接触するのを最小限に抑えることができる。
【0098】
好ましくは、精製された水をろ過する最終的な手段として、分注エレメント20または直接分注アダプター22の少なくとも一方に、または、それに隣接して取り付けられたポイントオブユースフィルターが設けられていてよい。
【0099】
ユーザーは、コントロールパネル34を介してどの分注オプションを選択するかを決定できる。ディスペンスエレメント20またはダイレクトディスペンスアダプター22のいずれかの選択されたディスペンス経路を介して、純水を純水リザーバー82から逆流防止弁を介して誘導できる。これにより、圧力が水を押し出すことができ、水がバルブポートを通過する際のベンチュリ効果によりシステム内に空気が吸い込まれるのを防ぐことができる。
【0100】
本願に係る水精製装置10の他の追加的な有利な特徴について、以下で説明する。
【0101】
図15に、水精製装置10から塩素錠剤の使用を完全になくすために使用できる電気分解モジュール98を示す。電気分解モジュール98は、食塩水を入れた容器に接続されており、それにより電気分解プロセスによって殺菌目的の塩素が生成される。このシナリオでは、塩素錠剤がなくなるので、それによる汚染の可能性がなくなる。
【0102】
また、水精製装置10の一部として温水殺菌装置を組み込むことも可能である。これにより、化学薬品、すなわち塩素を使った消毒が完全に不要になる。水精製装置10の水処理ループを温水タンク内の発熱体を用いて、水温を少なくとも85℃まで上昇させることで洗浄できる。加熱された水は、消毒が完了するまで内部の様々な水の通り道に流すことができる。しかし、浄水媒体を熱による劣化から保護するために、浄水モジュール18を分離する必要がある可能性もある。さらに、水精製装置のパイプマニホールドは、耐熱性があるように構成する必要がある。温水タンクが設けられている場合には、温度制御のために関連するサーミスタ100が含まれてよい。このサーミスタ100は、コントローラ36に結合していてよい。
【0103】
また、特に暑い国の実験室や、温度調節施設へのアクセスが限られている実験室では、状況によって冷却マニホールドを設けることが重要になる場合がある。具体的には、冷却マニホールドは浄水モジュール18に組み込まれ、逆浸透膜サブモジュール50から出力される濃縮水を利用して実現することができる。この水は通常は、地方自治体のネットワークによって地下パイプから供給されているため冷たく、管理可能な動作温度を維持するために浄水モジュール18を介して濃縮液を流すことができ、浄水サブモジュールから熱エネルギーを除去できる。
【0104】
水精製装置10の浄水媒体は、典型的には浄水モジュール18の再生ステーションへの返却を介して、再生およびリサイクルが可能である。この方法は、以下のように要約できる。
【0105】
浄水モジュール18は、主装置本体12から取り外すことができる。そして、複数の浄水サブモジュールのそれぞれをリサイクルまたは再生できる。浄水モジュール18を主装置本体12に再び取り付け、動作を継続できる。リサイクル・再生ステップでは、サブモジュール容器52から浄水媒体が取り出され、再生またはリサイクルされる。その間に、サブモジュール容器52は、付随するシールアセンブリと共に、洗浄および滅菌され、その後、再生またはリサイクルされた浄水媒体をそれぞれのサブモジュール容器52に挿入することによって、複数の浄水サブモジュールが再組み立てされる。
【0106】
ユーザーのニーズに応じて、浄水サブモジュールのいずれかまたはすべてが、任意の構成に含まれ得ることを理解されたい。したがって、上述した例は、1つの、比較的複雑な浄水アセンブリを示すものであり、他の構成は当業者に明らかであろう。
【0107】
典型的には、異なる浄水サブモジュールが使用される。しかし、ユーザーの要求に応じて、同じタイプの複数のサブモジュールが提供されることがあり、例えば、単一の浄水モジュールに複数のイオン交換サブモジュールが使用されることが考えられる。
【0108】
以下に、本願明細書で使用される用語の定義を示す。
【0109】
活性炭は黒鉛の一種であり、ランダムで不完全な構造をしており、幅広い孔径を持つ多孔質の炭素である。そのため、表面積が大きく、さまざまな化合物を吸着できる。活性炭の物理的吸着特性は非常に高く、潜在的表面積はグラム当たり1000平方メートルを超える。
【0110】
逆浸透膜は、半透膜を用いて水からイオンや分子、大きな粒子を取り除く浄水技術である。浸透圧に打ち勝つためには、圧力をかけることが必要である。逆浸透膜は、バクテリアを含む多くの種類の溶存種や浮遊種を水から取り除くことができる。その結果、溶質は膜の加圧された側に保持され、純粋な溶媒は反対側に通過する。
【0111】
イオン交換樹脂(ポリマー)は、イオン交換のための媒体として機能する材料である。イオン交換樹脂は、不溶性のマトリックスとして形成され、通常はマイクロビーズの形をしており、媒体上の既存のイオンと交換して水からイオンを捕捉できる。イオン交換樹脂は、樹脂が担持するイオンの種類によって分類され、この場合には、強塩基性イオン交換樹脂と弱塩基性イオン交換樹脂のいずれかが考えられる。一般的に、弱塩基性イオン交換樹脂はより容易に再生されるため、本願発明で使用することが好ましいが、一部の強塩基性樹脂も再生可能であり、したがって浄水モジュールでは適切であるかもしれない。
【0112】
限外ろ過(ultrafiltration)は、圧力勾配や濃度勾配などの力を利用して、半透膜を介して分離する膜ろ過の一種である。浮遊物質や高分子量の溶質は、いわゆる「戻り液」(retentate)に保持され、水や低分子量の溶質は、いわゆる「透過液」(permeate)や「濾液」(filtrate)として膜を通過する。この分離プロセスは、高分子(10の3乗から10の6乗ダルトン)溶液、特にタンパク質溶液の濃縮と精製に使用される。概念的には精密ろ過と類似するが、相違はろ過できる粒子の大きさだけであり、したがって精密ろ過(microfiltration)は限外ろ過の類似技術と考えられる。
【0113】
紫外線処理は、紫外線殺菌照射とも呼ばれ、短波長の紫外線(UV-C)を用いて核酸を破壊することで微生物を死滅または不活性化させる殺菌方法である。
【0114】
タンクと限外ろ過水フィルターの洗浄には熱水消毒が使用される。温度を85℃まで上げ、限外ろ過膜(ultrafiltration membrane)やタンクの貯蔵施設に存在する可能性のあるバクテリアのコロニーを死滅させることができる。
【0115】
ポイント・オブ・ユース・フィルターとは、使用する直前に使用するフィルターのことで、市販されている製品であってよい。一般的には、ナイロンなどの親水性の膜であり、0.2マイクロメートルのフィルターを有し、そこから十分な流量を得ることができる。
【0116】
上述のようにして、使い捨ての浄水・ろ過カートリッジの必要性を排除または削減することで、当該産業における廃棄物を大幅に削減できる水精製装置を提供することができる。また、浄水モジュール全体が装置から取り外し可能であるため、遠隔操作で分解し、浄水媒体をリサイクルまたは再生することができる。また、浄水モジュールを交換することで、1台の水精製装置を様々な用途に使用することができるため、ユーザーの負担を軽減できる。
【0117】
本願発明に関連して本明細書で使用される「comprises/comprising」(構成する、成る)および「having/including」(含む、備える)という言葉は、記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を特定するために使用されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、または、それらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0118】
明確化のために別々の実施形態の文脈で説明されている本願発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔化のために、単一の実施形態の文脈で説明されている本願発明の様々な特徴も、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0119】
ここで説明した実施形態は、例としてのみ提供されており、本明細書で定義された本願発明の範囲から逸脱することなく、様々な他の変更が当業者にとって明らかであることを理解されたい。
【国際調査報告】