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特表2022-531588一定の厚さを有するスカートを含む金属製閉栓用ロングキャップの製造方法
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  • 特表-一定の厚さを有するスカートを含む金属製閉栓用ロングキャップの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(54)【発明の名称】一定の厚さを有するスカートを含む金属製閉栓用ロングキャップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/44 20060101AFI20220630BHJP
   B21D 22/28 20060101ALI20220630BHJP
   B65D 41/34 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B21D51/44 Q
B21D22/28 B
B21D51/44 D
B65D41/34 118
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564692
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2020062546
(87)【国際公開番号】W WO2020225288
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】1904810
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1912577
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516265609
【氏名又は名称】コンステリウム ロールド プロダクツ シンゲン ゲーエムベーハー アンド シーオー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】CONSTELLIUM ROLLED PRODUCTS SINGEN GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ストピグリア,エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥブリュー,レジーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラエ,エミリ
【テーマコード(参考)】
3E084
4E137
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA32
3E084AB02
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC02
3E084DA01
3E084DB03
3E084DB12
3E084DC02
3E084FB02
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB08
4E137AA06
4E137AA19
4E137BA05
4E137BB01
4E137BC09
4E137CA07
4E137CA21
4E137CA24
4E137CA26
4E137CA29
4E137DA11
4E137DA13
4E137EA02
4E137EA25
4E137GA02
4E137GB20
(57)【要約】
次のような連続する工程:a)両面がニス層でコーティングされたアルミニウム合金製のストリップまたはシートの供給、b)ブランクと呼ばれる円盤を得るための第一の切断作業、c)ヘッドおよびスカートを含む型打ち済みプリフォームを形成するように、前記ブランクの、1回または複数回のパスによる型打ち工程、c’) 好ましくは20~40mm、より好ましくは25~35mmの直径を有するヘッドと、好ましくは40~85mm、より好ましくは40~83mm、さらにより好ましくは40~80mm、さらにより好ましくは40~70mm、またさらにより好ましくは45~65mmの長さを有するスカートとを含むキャップを形成するように、型打ち済みプリフォームを少なくとも1つの引抜き加工用リングに通して金属を伸ばして薄くすることにある、少なくとも1回の引抜き加工工程であって、キャップの上部はヘッドの側でありキャップの下部はスカートが終る側であり、スカートは、0.12~0.27mm、好ましくは0.15~0.25mmの一定の厚さを、キャップの下部を起点としてその長さの少なくとも20%にわたり(また好ましくはキャップの下部を起点としてその長さの60%まで)有し、またキャップの内側にも外側にも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層を含む、d)場合によってはあり得る、前記キャップの脱脂工程、e)場合によってはあり得る、印刷工程、および/または、保護用および/または装飾用の仕上げのニス塗布工程、を含む閉栓用金属製キャップの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の連続する工程、
a)両面がニス層でコーティングされた、0.2~0.8μm、より好ましくは0.2~0.6μmのNF EN ISO 4287規格(1998年12月)に準じた粗度Raを好ましくは有する、アルミニウム合金製のストリップまたはシートの供給、
b)ブランクと呼ばれる円盤を得るための、第一の切断作業、
c)ヘッドおよびスカートを含む型打ち済みプリフォームを形成するように、好ましくは型打ち用潤滑剤を用いた、前記ブランクの、1回または複数回のパス、好ましくは少なくとも2回のパス、より好ましくは2回または3回のパス、さらにより好ましくは2回のパスによる型打ち工程、
c’)ヘッドとスカートとを含むキャップを形成するように、型打ち済みプリフォームを少なくとも1つの引抜き加工用リングに通して金属を伸ばして薄くすることにある、少なくとも1回の引抜き加工工程であって、キャップの上部はヘッドの側でありキャップの下部はスカートが終る側であり、スカートは、0.12~0.27mm、好ましくは0.15~0.25mmの一定の厚さを、キャップの下部を起点としてその長さの少なくとも20%にわたり(また好ましくはキャップの下部を起点としてその長さの60%まで)有し、またキャップの内側にも外側にも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層を含む、
d)場合によってはあり得る、前記キャップの脱脂工程、
e)場合によってはあり得る、印刷工程、および/または、保護用および/または装飾用の仕上げのニス塗布工程、
を含む閉栓用金属製キャップの製造方法。
【請求項2】
キャップのヘッドが、20~40mm、好ましくは25~35mmの直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
キャップのスカートが、40~85mm、好ましくは40~83mm、より好ましくは40~80mm、さらにより好ましくは40~70mm、またさらにより好ましくは45~65mmの長さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ブランクが、80~96mmの直径を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
引抜き加工率(1-最終厚さE/初期厚さE0)が、0%以上であり、好ましくは2.5%以上であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
引抜き加工率が、30%以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
キャップの内側に使用されるニスがアクリルニスであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
キャップの外側に使用されるニスがポリエステルニスであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
型打ち工程と引抜き加工工程とが、他の中間工程なしで連続していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
最後の型打ち工程と引抜き加工工程とが、ただ一回の同じプレスストロークで実現されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
型打ち/引抜き加工工程用パンチを使用し、パンチが、その長さにわたり2つの異なる直径、すなわち、型打ちして引抜き加工すべき金属とまず初めに接触するようになるパンチの部分に相当する第一の直径D1と、型打ちして引抜き加工すべき金属と2番目に接触するようになるパンチの部分に相当する第二の直径D2とを有し、異なる直径を有する2つの部分が、円錐形の移行部によって互いに結ばれており、第一の直径D1が第二の直径D2より小さく、D1とD2との間の直径の差が0.02~0.1mm、好ましくは0.03~0.07mmであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
ヘッドおよびスカートを含む、請求項1から11のいずれか一つに記載の方法によって製造される閉栓用金属製キャップであって、キャップの上部はヘッドの側でありキャップの下部はスカートが終る側であり、そのスカートの厚さが、キャップの下部を起点としてその長さの少なくとも20%にわたり一定で、0.12~0.27mm、好ましくは0.15~0.25mmであることを特徴とし、また、キャップの内側にも外側にも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層を含み、キャップのヘッドが、20~40mm、より好ましくは25~35mmの直径を好ましくは有し、またキャップのスカートが、40~85mm、より好ましくは40~83mm、さらにより好ましくは40~80mm、さらにより好ましくは40~70mm、またさらにより好ましくは45~65mmの長さを好ましくは有することを特徴とする、閉栓用金属製キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金製の金属外部シェルを含む閉栓用キャップの分野、特に、栓が取り外される際にスカートの下部がボトルの頸上のしかるべき場所にとどまるように長いスカートを有するスクリューキャップに関する。これらのキャップは、容器、本質的にはアルコール飲料特にワインまたは蒸留酒の入ったガラス製ボトルの閉栓のためのものである。
【0002】
本発明は、より詳細には、ブランクの厚さより薄く、かつその長さ全体にわたり一定である厚さのスカート、ならびにスカートの長さ全体にわたり連続しており無傷である内側および外側のニス層を有するスカートを有するキャップを得ることができる、これらのキャップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アルミニウム合金製の閉栓用キャップは、典型的には、以下のように製造される。
-型打ちプレスにより、ニスの厚さを考慮に入れずに0.15ないし0.25mmの典型的厚さを有し、両面にニスが塗布された、ブランクの形に切断された、フォーマットとも呼ばれる、ストリップまたはシートからキャッププリフォームが形成される。スカートの高さ(キャッププリフォームの長さ)に応じて、1回から3回の型打ちパスが必要であり得る。
-これらのプリフォームを、典型的には180~210℃の高温の乾燥炉内で、3~5分間脱脂して、型打ち用潤滑剤を除去する。
-次に、これらのプリフォームの外表面全体にわたりラッカーを塗布し、乾燥炉に通してラッカーを焼き付ける。
-ラッカーが塗布されたこれらのプリフォームにおいて、乾燥炉内でのインクの最終乾燥を伴う、典型的には当業者にとっては「オフセット」の呼称で知られているプロセスであるスクリーン印刷により、スカート上に印刷を施す。
-印刷を保護するためにオーバーコート用ニスを最後に塗布するが、前記ニスは、乾燥炉内の通過の際に乾燥させられる。
-こうして得たプリフォームには、ネジ切りされているプラスチック製内部インサートおよび/またはシールが具備される。
【0004】
以下で取り上げられるアルミニウム合金は全て、別段の記載の無いかぎり、「アルミニウム協会」がその定期的刊行物「Registration Record Series」内で規定する呼び名にしたがって呼ばれることに留意されたい。
【0005】
あらゆるパーセンテージが、別段の指示の無いかぎり、質量パーセントで示されることにもまた留意されたい。
【0006】
[提起される問題]
このように、ロングキャップは、複数の型打ちパスを含むプロセスによって得られる。ところで、これらの連続する型打ちパスは、スカートの厚さが不規則であるキャップに至る。この不規則性は、例えば使用者によるブリッジラインの破壊を時にはより困難にすることによって、または時には過度に容易にすることによって、キャップの使用の際に問題を生じ得る。ブリッジラインは、ボトルを開けるために、使用者がキャップをくるくる回すとキャップがそれに沿って壊れるラインである。開栓トルクがさほど変わらずより再現性のある、開栓時の信頼度がより高いキャップを得ることが求められる。
【0007】
型打ち工程とそれに続く引抜き加工工程とによって得ることのできるキャップもいくつかあるが、しかしそれらはロングキャップではなく、またそれらを得ることを可能にする方法は、独自の問題を解決しようと努めている。
- ヘッドからスカートまでの、キャップのあらゆる部分にわたり、艶のある同一表面を保つこと(例えばコンステリウム フランスの国際公開第2015/075324号を参照)、
- ヘッドにテクスチャ化された表面を保ち、またスカート全体にわたり艶のある同一表面を得ること(例えばコンステリウム ヌフ-ブリザックの欧州特許第3188855号明細書を参照)、
- 特定の決まった位置にのみ存在する、断続的なニス層を得ること(例えばPechiney Emballage alimentaireの米国特許第6403173号明細書を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2015/075324号
【特許文献2】欧州特許第3188855号明細書
【特許文献3】米国特許第6403173号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
産業効率の理由で、ニスが、型打ち工程および引抜き加工工程の前に付加されることが望ましい。しかしながら、型打ちおよび引抜き加工の前に塗布されるニスが、キャップの内側および外側の、キャップの表面全体にわたり、特にキャップのスカートの長さ全体にわたり、その無傷の状態を保つことは確実ではない。
【0010】
他方では、スカートが良好な機械的性質を保って、キャップの使用に必要なさまざまな成形、とりわけ図1で示されるようなモールディング加工1、クリンピングライン3(キャップをボトルに留めるため)、およびブリッジライン2を受けることができるように、一定ではあるが薄すぎないスカートの厚さを得ることが必要である。
【0011】
本発明は多数の利点を有しており、すなわち、使用される材料の量を最小限に抑えるかまたは材料の量を増大させることなくより背の高いキャップの製造を可能にしながら、スカートの高さ全体にわたりスカートの厚さを均一化すると同時に、キャップのスカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層と良好な機械的性質とを保証することである。
【0012】
本発明は、飲料ボトルの閉栓用ロングキャップの市場のための工業的に経済性の高い条件において実現可能な方法を提案することによって、型打ちおよび引抜き加工前に塗布されるニスの無傷の状態をスカートの長さ全体にわたり保証しつつ、スカートの良好な機械的性質を保証することによる、キャップのスカートの厚さの規則性の妥協の問題を解決することを目ざす。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[発明の対象]
本発明は、以下の連続する工程を含む閉栓用金属製キャップの製造方法に関している。
a) 両面がニス層でコーティングされた、0.2~0.8μm、より好ましくは0.2~0.6μmのNF EN ISO 4287規格(1998年12月)に準じた粗度Raを好ましくは有する、アルミニウム合金製のストリップまたはシートの供給、
b) ブランクと呼ばれる円盤を得るための、第一の切断作業、
c) ヘッドおよびスカートを含む型打ち済みプリフォームを形成するように、好ましくは型打ち用潤滑剤を用いた、前記ブランクの、1回または複数回のパス、好ましくは少なくとも2回のパス、より好ましくは2回または3回のパス、さらにより好ましくは2回のパスによる型打ち工程、
c’) 好ましくは20~40mm、より好ましくは25~35mmの直径を有するヘッドと、好ましくは40~85mm、より好ましくは40~83mm、さらにより好ましくは40~80mm、さらにより好ましくは40~70mm、またさらにより好ましくは45~65mmの長さを有するスカートとを含むキャップを形成するように、型打ち済みプリフォームを少なくとも1つの引抜き加工用リングに通して金属を伸ばして薄くすることにある、少なくとも1回の引抜き加工工程であって、キャップの上部はヘッドの面でありキャップの下部はスカートが終る面であり、スカートは、0.12~0.27mm、好ましくは0.15~0.25mmの一定の厚さを、キャップの下部を起点としてその長さの少なくとも20%にわたり、また好ましくはキャップの下部を起点としてその長さの60%まで有し、またキャップの内側にも外側にも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層を含む、
d) 場合によってはあり得る、前記キャップの脱脂工程、
e) 場合によってはあり得る、印刷工程、および/または、保護用および/または装飾用の仕上げのニス塗布工程。
【0014】
本発明はまた、ヘッド、スカートを含む、本発明による方法によって製造される閉栓用金属製キャップも対象としており、キャップの上部はヘッドの側でありキャップの下部はスカートが終る側であり、該閉栓用金属製キャップは、そのスカートの厚さが、キャップの下部を起点としてその長さの少なくとも20%にわたり(また好ましくはキャップの下部を起点としてその長さの60%まで)一定でかつ0.12~0.27mm、好ましくは0.15~0.25mmであることを特徴とし、また該厚さが、キャップの内側にも外側にも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層を含み、キャップのヘッドが、好ましくは20~40mm、より好ましくは25~35mmの直径を有し、またキャップのスカートが、好ましくは40~85mm、より好ましくは40~83mm、さらにより好ましくは40~80mm、さらにより好ましくは40~70mm、またさらにより好ましくは45~65mmの長さを有することを特徴とする。
【0015】
本発明はまた、アルミニウム合金製ブランクを型打ちおよび引抜き加工するためのパンチも対象としており、該パンチは、パンチがその長さにわたり2つの異なる直径、すなわち、型打ちして引抜き加工すべき金属とまず初めに接触するようになるパンチの部分に相当する第一の直径D1と、型打ちして引抜き加工すべき金属と2番目に接触するようになるパンチの部分に相当する第二の直径D2とを有し、異なる直径を有する2つの部分が、円錐形の移行部によって互いに結ばれており、第一の直径D1が第二の直径D2より小さく、D1とD2との間の直径の差が0.02~0.1mm、好ましくは0.03~0.07mmであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ロングキャップの図である。参照符号1はモールディング加工を示し、参照符号2はブリッジライン、参照符号3はクリンピングライン、参照符号4はキャップ、参照符号5はキャップのヘッド、参照符号6はキャップのスカートを示しており、スカートは、上方部分(参照符号7)および下方部分(参照符号8)を含む。
図2】考慮されるキャップの部分に応じたキャップの厚さの変化を示すグラフである。横座標軸は、曲線座標、すなわちmm単位での、キャップのヘッドの中心(0)からスカートの両端(-40および40)までの距離に相当する。縦座標軸は、μm単位での、金属の厚さに相当する。参照符号キャップ1は、型打ちだけの後のキャップに相当する。参照符号キャップ2および参照符号キャップ3は、本発明の方法による型打ちおよび引抜き加工後の2つのキャップに相当する。
図3】本発明による有利なパンチを示している。以下に記述されるように、参照符号Lはパンチの全長、参照符号D1は第一の直径、また参照符号D2は第二の直径を示している。数値は、例として与えられている。参照符号AおよびBは、切断面を示している。
図4】実施例中で使用されるような引抜き加工用リングを示している。Dは、実施例の表中で示される、引抜き加工用リングの直径に相当する。
図5】実施例にしたがって作製されたキャップの写真である。
図6】以下の実施例中で使用されるような、型打ちおよび引抜き加工前のニス塗布済み金属断面の顕微鏡写真である。参照符号9は、アルミニウム合金に相当し、参照符号10は第一サンプルの外側ニス、参照符号11は別のサンプルの内側ニス、また参照符号12はサンプルを覆う樹脂に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の説明]
本発明は、以下の連続する工程を含む閉栓用金属製キャップの製造方法を対象とする。
a) 両面がニス層でコーティングされた、0.2~0.8μm、より好ましくは0.2~0.6μmのNF EN ISO 4287規格(1998年12月)に準じた粗度Raを好ましくは有する、アルミニウム合金製のストリップまたはシートの供給、
b) ブランクと呼ばれる円盤を得るための、第一の切断作業、
c) ヘッドおよびスカートを含む型打ち済みプリフォームを形成するように、好ましくは型打ち用潤滑剤を用いた、前記ブランクの、1回または複数回のパス、好ましくは少なくとも2回のパス、より好ましくは2回または3回のパス、さらにより好ましくは2回のパスによる型打ち工程、
c’) 好ましくは20~40mm、より好ましくは25~35mmの直径を有するヘッドと、好ましくは40~85mm、より好ましくは40~83mm、さらにより好ましくは40~80mm、さらにより好ましくは40~70mm、またさらにより好ましくは45~65mmの長さを有するスカートとを含むキャップを形成するように、型打ち済みプリフォームを少なくとも1つの引抜き加工用リングに通して金属を伸ばして薄くすることにある、少なくとも1回の引抜き加工工程であって、キャップの上部はヘッドの側でありキャップの下部はスカートが終る側であり、スカートは、0.12~0.27mm、好ましくは0.15~0.25mmの一定の厚さを、キャップの下部を起点としてその長さの少なくとも20%にわたり(また好ましくはキャップの下部を起点としてその長さの60%まで)有し、またキャップの内側にも外側にも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層を含む、
d) 場合によってはあり得る、前記キャップの脱脂工程、
e) 場合によってはあり得る、印刷工程、および/または、保護用および/または装飾用の仕上げのニス塗布工程。
【0018】
好ましくは、工程a)のストリップまたはシートは、その両面が単一のニス層だけでコーティングされる。
【0019】
典型的に、ブランクは、ニスを考慮に入れずに0.15~0.35mmの厚さを有する。
【0020】
好ましくは、ブランクは、80~96mmの直径を有する。本発明によると、ブランクは、2つの異なる直径を有することができる。第一の変形例によると、ブランクは、90~96mmの直径を有することができ、これはロングキャップの分野において通常用いられるものに相当する。この変形例は、例えば60~105mmである、ロングキャップの分野において通常用いられるものより長いキャップを生産可能にすることができる。したがって、追加の長さを切り取って再利用することが可能である。本発明の利点はここでは、同じ長さであるがロングキャップの分野において通常用いられるものより薄い厚さを有するキャップを生産するために使用されなかった金属の有効利用を可能にしながらも、すべての生産工具を取り換えなくてよいことである。
【0021】
第二の変形例によると、ブランクは、80~92mmの直径を有することができ、これはロングキャップの分野において通常用いられるものより小さい直径に相当する。この変形例は、例えば40~70mmである、ロングキャップの分野において通常用いられるものと同じ長さのキャップの生産を可能にすることができる。本発明の利点はここでは、金属を節約し、同じ長さであるがロングキャップの分野において通常用いられるものより薄い厚さを有するキャップの生産を可能にすることである。
【0022】
本発明の一変形例によると、発明者らは、キャップの直径Bおよび高さH、ならびに、金属の初期厚さE0、引抜き加工後のキャップのスカートの厚さE、そして引抜き加工率Redに応じた、開始時のブランクの直径Dを、+/-0.1mmの誤差幅で決定することを可能にするための、例えば工業レベルのツールとして役立つことができ得る式を決定した。引抜き加工率Redが、1-(E/E0)に等しいことに留意されたい。式は、開始時のブランクの金属の体積(E0×π×D/4)が、最終キャップの金属の体積([E0×π×B/4]+[H×π×B×E])に等しいと示す関係に由来している。Eが、E0×(1-Red)に等しいことに留意されたい。式はこの場合、単純化された後、以下のとおりである。
【0023】
【数1】
【0024】
この式において、Dは、mm単位の、開始時のブランクの直径であり、Bは、mm単位のキャップの直径であり、Hは、mm単位のキャップの高さであり、またRedは引抜き加工率である。
【0025】
好ましくは、型打ち済みプリフォームは、前記プリフォームの軸方向に沿って軸対称である。型打ち済みプリフォームは好ましくは、27~31mmの直径および/または0.15~0.35mmの厚さを有する。
【0026】
本発明によると、「一定の厚さ」とは、スカートの高さにわたる厚み変動が、ニスを考慮せずにスカートの総厚さと比べて、5%未満、好ましくは3%未満である場合を意味する。比較として、型打ち後のスカートの高さにわたる厚み変動は一般的に、スカートの総厚さと比べて、およそ20%である。
【0027】
本明細書中において基本的に、金属の厚さは、ニスを除いたものと理解される。
【0028】
最小引抜き加工率は、この率によってスカート全体の厚さが、型打ち後に局所的に得られる最小厚さの値にほぼ均一に少なくとも導かれるはずであるという事実により正当化される。この厚さの値は、型打ち条件(工具の粗度、クリアランス、ブランクホルダーの圧力、潤滑)によって左右される。
【0029】
型打ち工程が、スカートの長さにわたり均一でない仕方で、スカートを厚くすることに留意されたい(図2を参照)。したがって、型打ち後であり引抜き加工前である、型打ち済みプリフォームのスカート厚さは、スカートの長さにわたり変動し、また概してプリフォームのヘッドからスカートの下部に向かって、しだいに厚くなる。型打ち済みプリフォームのスカートの厚さは、考慮される長さがどうであろうと、一般的に型打ち前のブランクの初期厚さより厚い。
【0030】
シート、ストリップおよびブランクが、同じ厚さ、すなわち初期厚さE0を有することに留意されたい。
【0031】
型打ち工程がスカートの厚化に導くので、引抜き加工率は、負でもあり得、0%に等しくもあり得、または正でもあり得る。0%の引抜き加工率は、スカートのところで均一に、ブランクの初期厚さが再び見出されることを意味する。負の引抜き加工率は、引抜き加工工程によりスカートの厚さが均一化されるが、しかしこの厚さがブランクの初期厚さと同じレベルに減ってはいないことを意味する。正の引抜き加工率は、引抜き加工工程によりスカートの厚さが均一化され、同時にこの厚さをブランクの初期厚さより薄いレベルに減らすことを意味する。
【0032】
本発明によると、引抜き加工率は、好ましくは0%以上であり、すなわち少なくともブランクの初期厚さが再び見出されるということである。最も一般的な形態によると、引抜き加工率(1-最終厚さE/シートまたはストリップまたはブランクの初期厚さE0)は、好ましくは2.5%以上である。
【0033】
最大引抜き加工率は、型打ち後に最も厚い部分であるスカート下部の引抜き加工の際に超えてはならない、アルミニウム合金/ニスの積層複合材固有の、(金属および/またはニスの)破断前引抜き加工性限界に結びつけられる。例えば、AA3105タイプの合金の場合、工業的に許容される最大引抜き加工率は40%である。このとき、とりわけニスの限界を考慮に入れるため、ほぼ30%という最大引抜き加工率が得られる。
【0034】
好ましい一形態によると、引抜き加工率は、30%以下である。
【0035】
好ましくは、ニスは型打ち可能であり、すなわちニスは型打ちおよび引抜き加工の間に損傷することなく、ヘッドからスカートまで、キャップの表面全体にわたり存在したままでありかつ良好な質を保つということである。ニスが、型打ちおよび引抜き加工後であっても、内側でも外側でも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷の層を形成することが期待される。
【0036】
例として、内側ニス、すなわちキャップの内側となるブランクの側に塗布されるニスは、好ましくは2~6mg/m、より好ましくは3~5mg/mの坪量を有する、アクリルニスであることができる。この内側ニスは一般的に、食品接触に適していなければならない。この内側ニスは例えば、1~6μm、好ましくは2~5μmの厚さに塗布されることができる。その色は例えば、金色、銀色または白色であり得る。
【0037】
例として、外側ニス、すなわちキャップの外側となるブランクの側に塗布されるニスは、好ましくは3~17mg/m、より好ましくは4~16mg/mの坪量を有する、ポリエステルニスであることができる。この外側ニスは例えば、4~12μm、好ましくは5~11μmの厚さに塗布されることができる。その色は例えば、金色、銀色または白色であり得る。
【0038】
有利には、潤滑剤が、型打ち工程用に使用されることができる。潤滑剤は好ましくは揮発性であり、加熱によって除去される。
【0039】
引抜き加工のために使用される潤滑剤についても同様であり、それは、有利には揮発性で、典型的には連続加熱炉または乾燥炉内での加熱によって除去される。
【0040】
その上、同じ潤滑剤を、型打ちと引抜き加工の2つの工程のために使用することができる。
【0041】
好ましくは、場合によっては行われ得る脱脂工程は、潤滑剤の残りを除去し、場合によっては行われ得るニス塗布に適した脱脂済みキャップを形成することを目的としている。いかなる既知の方法でも利用して、脱脂を行うことができる。脱脂は例えば、熱的または化学的、好ましくは熱的であることができる。熱的脱脂は例えば、乾燥炉内で行われることができる。熱的脱脂の温度は、好ましくは180~210℃である。熱的脱脂の継続時間は、好ましくは3~5分である。この脱脂工程は任意であり、というのも、この工程は、本方法が印刷および/またはニス塗布工程を含む場合に主に有用だからである。したがって一般的に、2つの工程が存在するか、あるいは2つの工程とも不在であるかである。本方法は好ましくは、脱脂工程d)と、印刷および/またはニス塗布工程e)とを含まない。
【0042】
有利には、型打ち工程と引抜き加工工程とは、他の中間工程なしで連続している。さらにより有利には、最後の型打ち工程と引抜き加工工程とは、ただ一回の同じプレスストロークで実現される。
【0043】
最後に、アルミニウム合金は、AA3105タイプまたはAA8011タイプであり得るが、しかし排他的ではない。
【0044】
本発明はまた、ヘッドおよびスカートを含む、本発明による方法によって製造される閉栓用金属製キャップも対象としており、キャップの上部はヘッドの側でありキャップの下部はスカートが終る側であり、該閉栓用金属製キャップは、そのスカートの厚さが、キャップの下部を起点としてその長さの少なくとも20%にわたり一定で、0.12~0.27mm、好ましくは0.15~0.25mmであることを特徴とし、また該厚さが、キャップの内側にも外側にも、スカートの長さ全体にわたり連続した無傷のニス層を含むことを特徴とする。
【0045】
好ましくは、キャップのスカートの厚さは、キャップの下部を起点としてその長さの60%まで一定である。キャップのヘッドの直径は好ましくは、20~40mm、より好ましくは25~35mmである。キャップのスカートの長さは好ましくは、40~85mm、より好ましくは40~83mm、さらにより好ましくは40~80mm、さらにより好ましくは40~70mm、またさらにより好ましくは45~65mmである。
【0046】
本発明によるキャップは、本発明による方法との関連において示される全ての特徴を有している。
【0047】
キャップは好ましくは、前記キャップの軸方向に沿って軸対称である。キャップは好ましくは、ブランクの初期厚さ、すなわち一般的に0.15~0.35mmの厚さに相当する厚さを有するヘッドを含む。
【0048】
有利な一実施形態によると、長さLおよびその長さにわたり2つの異なる直径を有する、図3で示されているようなパンチを使用することが可能であり、型打ちして引抜き加工すべき金属とまず初めに接触するようになるパンチの部分の直径(=第一の直径D1)は、型打ちして引抜き加工すべき金属と2番目に接触するようになるパンチの部分の直径(=第二の直径D2)より小さい。この実施形態によると、本発明による方法は、型打ち/引抜き加工工程用パンチを使用し、パンチは、その長さにわたり2つの異なる直径、すなわち、型打ちして引抜き加工すべき金属とまず初めに接触するようになるパンチの部分に相当する第一の直径D1と、型打ちして引抜き加工すべき金属と2番目に接触するようになるパンチの部分に相当する第二の直径D2とを有し、異なる直径を有する2つの部分は、円錐形の移行部によって互いに結ばれており、第一の直径D1は第二の直径D2より小さく、D1とD2との間の直径の差は0.02~0.1mm、好ましくは0.03~0.07mmである。
【0049】
第一の直径D1および第二の直径D2は、好ましくは19~39.6mmである。直径D1を有する部分は、好ましくはパンチの高さの25~35%を示す。直径D2を有する部分は、好ましくはパンチの高さの60~70%を示す。移行部は、好ましくはパンチの高さの3~7%を示す。パンチの長さLは、当業者に既知の仕方で、望まれるスカート長さとの関係において適合すべきものである。例として、D1はおよそ29.53mmであり得、D2はおよそ29.58mm、また移行部はおよそ5mmであり得る。直径としてD1を有する部分はこの場合、パンチの高さの約28.9%を示す。
【0050】
この変形例は、キャップのスカートの厚さに変化をつけることを可能にし得、スカートの上部は、スカートの下部の厚さより厚みがある。この変形例によると好ましくは、スカートの上部は0.15~0.35mm、より好ましくは0.12~0.27mmの厚さを有し、またスカートの下部は0.12~0.27mmの厚さを有し、スカートの上部の厚さがスカートの下部の厚さを超えていることが分かっている。スカートの上方部分のより厚い厚さが、場合によってはあり得るモールディング加工、ブリッジラインおよびクリンピングラインの作製のための優れた機械的強度、ならびに最終使用者によるボトルの開栓の際の優れた機械的強度を保証することを可能にし得ることに留意されたい。
【0051】
本発明は、アルミニウム合金製ブランクを型打ちおよび引抜き加工するためのパンチもまた対象としており、該パンチは、パンチがその長さにわたり2つの異なる直径、すなわち、型打ちして引抜き加工すべき金属とまず初めに接触するようになるパンチの部分に相当する第一の直径D1と、型打ちして引抜き加工すべき金属と2番目に接触するようになるパンチの部分に相当する第二の直径D2とを有し、異なる直径を有する2つの部分が、円錐形の移行部によって互いに結ばれており、第一の直径D1が第二の直径D2より小さく、D1とD2との間の直径の差が0.02~0.1mm、好ましくは0.03~0.07mmであることを特徴とする。
【0052】
第一の直径D1および第二の直径D2は、好ましくは19~39.6mmである。直径D1を有する部分は、好ましくはパンチの高さの25~35%を示す。直径D2を有する部分は、好ましくはパンチの高さの60~70%を示す。移行部は、好ましくはパンチの高さの3~7%を示す。パンチの長さは、当業者に既知の仕方で、望まれるスカート長さとの関係において適合すべきものである。例として、D1はおよそ29.53mmであり得、D2はおよそ29.58mm、また移行部はおよそ5mmであり得、直径としてD1を有する部分はこの場合、パンチの高さの約28.9%を示す。
【0053】
本発明はその詳細において、以下の、ただし限定的な性格は有しない例を用いて、よりよく理解されるであろう。
【実施例
【0054】
キャップのスカートの長さ全体にわたり無傷のニス層を保ちつつ、減少したスカートの厚さを有するキャップを得るために本発明による方法が効果のあることを証明するため、テストが行われた。工業プロセスにおいて、ニス層がキャップの表面全体にわたり無傷のままであることは実際に重要であり、というのも、前記キャップは次に一般的に、典型的に160~180℃で2分の熱処理を、そして次にキャップの壁を装飾するための印刷を受けるからである。もしニス層がこれらの工程前に無傷でないならば、得られた最終的なキャップは、顧客および最終使用者が期待する美的基準を満たさないであろう。
【0055】
ニス層の質、特にキャップの表面全体にわたるこのニス層の存在を検証するために、硫酸銅を使用してテストが行われる。それは硫酸銅での有孔度試験である。この試験は、破壊的であり、一般的にリファレンスにつき10個のキャップで行われる。プロトコルは、以下に記述されているとおりである。
【0056】
硫酸銅溶液は、950gの脱塩水に溶解する結晶の形態の50gの硫酸銅(CuSO)からなり、そこに20mlの36%の塩酸が加えられる。全体は次に、撹拌装置を用いて混合される。
【0057】
試験の実施は、熱的脱脂を必要とする。次にキャップは槽の中に配置され、硫酸銅溶液の中に浸漬された。実行時間は15分であった。この時間の後、裸眼による単純な観察により、キャップが傷んだかどうかを見ることができ、それぞれの傷んだ部分は、もはやニスがない部分に相当する。傷んでいない部分は、元のキャップと同じ色であり、一方傷んだ部分は錆色である。
【0058】
傷んだ表面が無い場合、そのときニス層は、キャップの表面全体にわたり存在しかつ無傷である。
【0059】
以下に記述されるプロトコルにしたがって、ただ一度のパスで型打ちされて引き抜かれたキャップが複数生産された。NF EN ISO 4287規格(1998年12月)に準じた0.3μmの粗度Raと、以下の表1中に示されるようなニスのない初期厚さE0とを有する、AA8011タイプのアルミニウム合金製の金属ストリップが、100mm×300mmのフォーマットに切断された。前記フォーマットは次に、切断用リングを使って、64mmの直径を有するブランクに切断された。
【0060】
ブランクは、キャップの内側用にPPG-3117-3003タイプの金色のニスを用いて、またキャップの外側用に以下の表1中に記述されるようなニスを用いてニスが塗布された。33mmのパンチの直径および以下の表1中に与えられる型打ち用リングの直径、という特徴を有する工具(BUP 200)を用いて、前記ニス塗布済みブランクに型打ち工程が施されて、型打ち済みプリフォームが得られた。
【0061】
潤滑剤は、クリューバー社のParaliqP12のリファレンスで知られるタイプのものであった(パラフィンベースの無色オイル)。この潤滑剤は、キャップの製造工場内で一般に使用される自動装置を用いて被着された。ブランククランプ圧力を、しわの無い型打ち済みプリフォームを得るように調節した。
【0062】
引抜き加工工程は、33mmのパンチの直径および以下の表1中に示される引抜き加工用リングの直径、という特徴を有する工具(BUP200)を用いて、前に記述されたような型打ち工程にしたがって得られた型打ち済みプリフォームに施された。
【0063】
前に記述したような硫酸銅試験の結果、テストしたキャップの全ては、スカートの長さ全体にわたり一定かつ無傷のニス層を得ることを可能にした。
【0064】
キャップのそれぞれについて、スカートの厚さおよび高さが、ミツトヨ製のモデル395-271-30のマイクロメータを用いて測定された。各キャップのスカートの厚さは、図5で見ることのできるダッシュのところで測定された。以下の表1は、型打ちおよび引抜き加工の条件ならびに得られた結果を示している。
【0065】
【表1】
【0066】
さまざまなテストキャップ(例えば図2中に示されるキャップ)のスカートの厚さの測定が、ミツトヨ製のモデル395-271-30のマイクロメータで行われた。図2、特に本発明により得られるキャップ2およびキャップ3に相当する曲線は、型打ち工程のみを伴い引抜き加工なしで得られるキャップ1についての壁の厚さと比べると、キャップのスカートの壁の厚さの削減をしっかりと示している。
【0067】
このように、実施例は、スカートの長さ全体にわたりニス層の質を守りつつも、9~26%のスカートの厚さの可能な削減を示している。これらの厚さの削減は、およそ8~22%の金属量の減少に導くことができる。
【0068】
また、本発明によるキャップのさまざまな製造テストが行われた。これらのテストは、スカートの長さがそれぞれ70mm、72mm、76.8mm、78.5mmそしてさらには78.7mmであるキャップを得ることを可能にした。
【0069】
型打ちおよび引抜き加工前のニス層の厚さおよび質に関しては、テストするシートを切断した。複数の断面が作製された。各断面について、複数のサンプルを切断し互いの上に積み重ねた。
【0070】
型打ちおよび引抜き加工後のニス層の厚さおよび質に関しては、テストするキャップを長手方向に切断した。複数の長手方向の断面が作製された。
【0071】
さまざまなサンプルは、樹脂で覆われて艶出しされ、ついでそれらは光学顕微鏡で観察された。外側ニスの厚さの測定が、得られた顕微鏡写真上で行われた。得られた顕微鏡写真の例が、図6で示されている。
【0072】
図6は、型打ちおよび引抜き加工前のサンプルである。図6の顕微鏡写真は、さまざまな層(内側ニスおよび外側ニス、金属ならびに樹脂)の観察および外側ニスの厚さの測定が、さまざまな層がよく目に見えて鮮明な境界を有しているので、容易になされることができることを示している。
【0073】
外側ニスの厚さに関して得られた結果は、マイクロメートル単位で、以下の表2中に示されている。
【0074】
【表2】
【0075】
ニスの厚さの各値について、図5で見ることのできるダッシュのところで、20の測定が行われた。全ての測定はしたがって、キャップのスカートの上部からほぼ同じ距離のところで行われた。20の測定の標準偏差は、最大0.77μmであった。
【0076】
行われた厚さ測定に加えて、型打ちおよび引抜き加工後の横断面の顕微鏡写真により、キャップのスカートにずっと沿った内側ニスおよび外側ニスの連続性を見ることができた。
【符号の説明】
【0077】
1 モールディング加工
2 ブリッジライン
3 クリンピングライン
4 キャップ
5 キャップのヘッド
6 キャップのスカート
7 上方部分
8 下方部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】