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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(54)【発明の名称】核酸分子の配列決定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6874 20180101AFI20220630BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220630BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220630BHJP
   C12M 1/34 20060101ALN20220630BHJP
【FI】
C12Q1/6874 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12N15/09 200
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564773
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 US2020031196
(87)【国際公開番号】W WO2020227161
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/842,534
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/909,389
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】520167449
【氏名又は名称】ウルティマ・ゲノミクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】オーバーシュトラース,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】アルモギー,ギラッド
(72)【発明者】
【氏名】リー,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】トルパニエ,イリアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ユング,グンウォン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA12
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB06
4B063QA13
4B063QQ28
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ62
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR42
4B063QR56
4B063QR62
4B063QR66
4B063QS03
4B063QS15
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、核酸配列特定方法を提供する。本方法は、複数の核酸分子を、核酸分子の部分的標識をもたらす濃度のヌクレオチドを含む反応混合物と接触させることを含み得る。本方法は、前の配列決定サイクルにおける可逆的ターミネーターのアンブロッキングが完了する前に、次の可逆的終結配列決定サイクルを開始することを含み得る。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)互いに配列同一性を有する複数の核酸分子を提供することと;
(b)前記複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;
(c)(b)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることと
を含み、
前記第1の複数のヌクレオチドまたは前記第2の複数のヌクレオチドは、非終結ヌクレオチドを含む、配列決定方法。
【請求項2】
前記第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の前記複数の核酸分子と接触させ、前記第2の反応混合物を、前記第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の前記複数の核酸分子と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の反応条件セットおよび前記第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の前記複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が非標識ヌクレオチドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の複数のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、前記第1の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、前記第2の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の複数の成長中の鎖および前記第2の複数の成長中の鎖が、前記複数の核酸分子において相互に排他的である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の複数の成長中の鎖および前記第2の複数の成長中の鎖が、少なくとも1つの共通の成長中の鎖を共有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの共通の成長中の鎖の共通の成長中の鎖が、前記第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
(c)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
第2のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
第3のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型および前記第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第4のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型、前記第2の同じカノニカル塩基型および前記第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
(b)の後に、または(c)の後に、前記第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出する前にまたは検出しないで、(c)を実施する、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
(a)互いに配列同一性を有する複数の核酸分子を提供することと;
(b)前記複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;
(c)(b)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることと
を含み、
前記第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出する前にまたは検出しないで、(c)を実施する、配列決定方法。
【請求項36】
前記第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の前記複数の核酸分子と接触させ、前記第2の反応混合物を、前記第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の前記複数の核酸分子と接触させる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の反応条件セットおよび前記第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の前記複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項35から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項35から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項35から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が非標識ヌクレオチドである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項35から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項35から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項35から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項35から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項35から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項35から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の複数のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項35から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、前記第1の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる、請求項35から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、前記第2の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる、請求項35から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の複数の成長中の鎖および前記第2の複数の成長中の鎖が、前記複数の核酸分子において相互に排他的である、請求項35から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の複数の成長中の鎖および前記第2の複数の成長中の鎖が、少なくとも1つの共通の成長中の鎖を共有する、請求項35から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの共通の成長中の鎖の共通の成長中の鎖が、前記第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項35から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、請求項35から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
(c)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む、請求項35から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
第2のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項35から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
第3のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型および前記第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
第4のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型、前記第2の同じカノニカル塩基型および前記第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項62から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、請求項62から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
(c)の後に、前記第1の複数のヌクレオチドまたは前記第2の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む、請求項35から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
(a)検出領域に固定化された複数の核酸分子を提供し、前記複数の核酸分子は、鋳型配列を含む鋳型核酸分子と配列相同性を有し、前記複数の核酸分子は、第1の配列に結合された前記複数の核酸分子の第1のサブセットおよび第2の配列に結合された前記複数の核酸分子の第2のサブセットを含むことと;
(b)前記複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットにわたる前記鋳型配列の所与の開放位置で前記第1の配列に取り込むのに十分な条件下で、前記第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;
(c)(b)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の前記第2のサブセットにわたる前記鋳型配列の前記所与の開放位置で前記第2の配列に取り込むのに十分な条件下で、前記第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることと
を含む、配列決定方法。
【請求項69】
前記第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の前記複数の核酸分子と接触させ、前記第2の反応混合物を、前記第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の前記複数の核酸分子と接触させる、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の反応条件セットおよび前記第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の前記複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項68から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項68から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記第1の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項68から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項68から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記第2の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項68から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が非標識ヌクレオチドである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項68から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項68から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項68から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項68から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記第1の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項68から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項68から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記第1の複数のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項68から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記第1の配列のヌクレオチド位置へ、前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットに結合された前記第1の配列の配列に取り込まれる、請求項68から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットに結合された前記第1の配列の配列に取り込まれる、請求項68から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットおよび前記複数の核酸分子の前記第2のサブセットが、前記複数の核酸分子において相互に排他的である、請求項68から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記複数の核酸分子の前記第1のサブセットおよび前記複数の核酸分子の前記第2のサブセットが、少なくとも1つの共通の核酸分子を共有する、請求項68から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記少なくとも1つの共通の核酸分子の共通の核酸分子が、前記第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項68から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、請求項68から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
(c)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の配列に取り込むのに十分な条件下で、前記第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む、請求項68から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
第2のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項68から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
第3のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型および前記第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
第4のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型、前記第2の同じカノニカル塩基型および前記第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項96から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、請求項96から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
(c)の後に、前記第1の複数のヌクレオチドまたは前記第2の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む、請求項68から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
(a)互いに配列同一性を有する複数の核酸分子を提供することと;
(b)前記複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;
(c)(b)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることと
を含み、
前記第1の反応混合物または前記第2の反応混合物中、前記同じカノニカル塩基型のヌクレオチドは別のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である、配列決定方法。
【請求項103】
前記第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の前記複数の核酸分子と接触させ、前記第2の反応混合物を、前記第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の前記複数の核酸分子と接触させる、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記第1の反応条件セットおよび前記第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の前記複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項102から104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記第1の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項102から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項102から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記第2の複数のヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む、請求項102から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が非標識ヌクレオチドである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含む、請求項102から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記第2の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む、請求項102から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項102から115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が前記同じカノニカル塩基型のものである、請求項102から116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記第1の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項102から117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項102から118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記第1の複数のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドが終結していない、請求項102から119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、前記第1の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる、請求項102から120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する前記成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、前記第2の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる、請求項102から121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記第1の複数の成長中の鎖および前記第2の複数の成長中の鎖が、前記複数の核酸分子において相互に排他的である、請求項102から122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記第1の複数の成長中の鎖および前記第2の複数の成長中の鎖が、少なくとも1つの共通の成長中の鎖を共有する、請求項102から123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記少なくとも1つの共通の成長中の鎖の共通の成長中の鎖が、前記第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび前記第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項102から125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、
(i)(b)の後および(c)の前に、
(ii)(c)の後に、または
(iii)(i)と(ii)の両方で、
前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、請求項102から126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
(c)の後に、前記複数の核酸分子を、前記同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを前記複数の核酸分子の第3のサブセットに結合した第3の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、前記第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む、請求項102から127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
第2のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項102から127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
第3のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型および前記第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
第4のフローサイクルで、前記第1の反応混合物の代わりに、前記同じカノニカル塩基型、前記第2の同じカノニカル塩基型および前記第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、前記第2の反応混合物の代わりに、前記第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む、請求項129から131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、前記第2のフローサイクルの前に、前記複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、前記標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む、請求項129から132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
(b)の後に、または(c)の後に、前記第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む、請求項102から133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出する前にまたは検出しないで、(c)を実施する、請求項102から134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記第1の反応混合物および前記第2の反応混合物中、前記同じカノニカル塩基型のヌクレオチドが別のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である、請求項102から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記第1の反応混合物または前記第2の反応混合物中、前記同じカノニカル塩基型のヌクレオチドがそれぞれの他のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である、請求項102から136のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年5月3日に出願された米国仮出願第62/842534号および2019年10月2日に出願された米国仮出願第62/909389号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
核酸配列を特定するための様々な方法が存在する。このような方法は、蛍光標識ヌクレオチドを使用して、蛍光標識を検出することなどによって、それらが成長中の核酸鎖に取り込まれる際の個々の塩基の特定を容易にすることを含むことが多い。成長中の核酸鎖に取り込まれた塩基は、例えば、第2のヌクレオチドが鎖の次の位置に取り込まれ、検出されたシグナルを破壊するのを防ぐために終結され得る。場合によっては、ヌクレオチドの終結が、後続の塩基を取り込むために逆転され得る。あるいは、またはさらに、成長中の核酸鎖に取り込まれる塩基は、終結しておらず、第2のヌクレオチドが鎖の次の位置に取り込まれることを可能にし得る。蛍光標識は、後続の塩基の取込みの検出を容易にするために、ヌクレオチドの後続のバッチに流れる前に除去され得る。標識された塩基のバッチに流れる、およびターミネーターを逆転させる、および/または色素部分を除去するサイクルを何度でも繰り返して、より長い鎖を配列決定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヌクレオチドは、標識基を含み得る。ヌクレオチドは終結していなくてもよい。あるいは、ヌクレオチドを修飾して、3’-OH基をキャップしてポリメラーゼ反応を一時的に終結させることができるアジドメチル基またはジスルフィド基などのブロッキング基を含めることによって、ヌクレオチドを可逆的に終結させることができる。場合によっては、ブロッキング基はまた、単一の部分がヌクレオチドを終結すると共に標識するように、標識(例えば、蛍光標識)であり得るか、または標識として機能し得る。このようなブロッキング基の除去は、ヌクレオチドの終結を逆転させると共にヌクレオチドから標識を除去し得る。他の例では、蛍光標識が、ブロッキング基と独立に除去され得る。
【0004】
例えば、反応速度論および/または取込みを阻害する他の因子のために、複数の核酸分子(例えば、配列同一性を有するクローン集団)を、カノニカル塩基型のヌクレオチドを含む反応混合物と接触させても、そのカノニカル塩基型のヌクレオチドを取り込むように構成された利用可能な取込み部位の全てがヌクレオチドの取込みを完了するとは限らない。反応混合物が蛍光標識されたヌクレオチドを含む場合、ポリメラーゼはこのような非天然ヌクレオチドと適合性でない可能性があるため、このような取込み失敗イベントはより起こりやすくなり得る。よって、そのカノニカル塩基型を使用する複数の核酸分子の照合は100%未満の取込み率で終了し、異なるカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む後続の反応混合物を複数の核酸分子と接触させる場合、ラグフェージング(lag phasing)が存在する。場合によっては、成長中の鎖がフローの前にヌクレオチドを取り込んだ場合に、リードフェージング(lead phasing)が起こり得る。ラグフェージングがある場合、予想される取込みの後に、ラギング鎖からのシグナルが現れる可能性がある。リードフェージングがある場合、予想される取込みの前に、リーディング鎖からのシグナルが現れる可能性がある。このようなラグフェージングおよびリードフェージングは、最終的に配列決定品質の低下につながり、読み取り長を制限する可能性がある。少なくとも上記の問題に対処するシステムおよび方法の必要性が本明細書で認識される。
【0005】
さらに、蛍光標識の除去は、成長中の核酸鎖を損傷する可能性のある瘢痕をもたらすことが多い。配列決定品質に対する瘢痕の累積的な効果は有意であり得る。所与の配列に基づいて検出された輝度の分散に対応するコンテキスト依存性の課題も一般的である。さらに、ヌクレオチドのアンブロッキング反応は、比較的遅く(例えば、1分以上)、大量の数の鎖にわたって漸近的に(例えば、自然対数で)起こり得る。例えば、アンブロッキングの99.33%(例えば、1-1/(e))の完了を達成するのに、63%(例えば、1-1/e)の完了を達成するのにかかる時間のおよそ5倍の時間がかかり得る。よって、本明細書で認識されるのは、瘢痕化、フェージング、およびコンテキスト依存性の効果を軽減すると共に、配列決定の反復を加速するなど、少なくとも上記の問題に対処する核酸配列特定方法の必要性である。本開示は、核酸配列特定のための方法、システム、およびキットを提供する。本明細書に記載される方法は、瘢痕化、フェージング、および/またはコンテキスト依存性の課題を回避しながら、核酸配列特定を克服することができる。同様に、本明細書に記載される方法は、核酸配列特定を加速し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、(a)互いに配列同一性を有する複数の核酸分子を提供することと;(b)複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;(c)(b)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることとを含み、第1の複数のヌクレオチドまたは第2の複数のヌクレオチドは非終結ヌクレオチドを含む、配列決定する方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の複数の核酸分子と接触させ、第2の反応混合物を、第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の複数の核酸分子と接触させる。いくつかの実施形態では、第1の反応条件セットおよび第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が、非標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。いくつかの実施形態では、第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが終結していない。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、第1の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、第2の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる。いくつかの実施形態では、第1の複数の成長中の鎖および第2の複数の成長中の鎖が、複数の核酸分子において相互に排他的である。いくつかの実施形態では、第1の複数の成長中の鎖および第2の複数の成長中の鎖が、少なくとも1つの共通の成長中の鎖を共有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共通の成長中の鎖の共通の成長中の鎖が、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法が、(c)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第3のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型および第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第4のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型、第2の同じカノニカル塩基型および第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、(b)の後に、または(c)の後に、第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出する前にまたは検出しないで、(c)を実施する。
【0016】
別の態様では、本開示は、(a)互いに配列同一性を有する複数の核酸分子を提供することと;(b)複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;(c)(b)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることとを含み、第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出する前にまたは検出しないで、(c)を実施する、配列決定する方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の複数の核酸分子と接触させ、第2の反応混合物を、第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の複数の核酸分子と接触させる。いくつかの実施形態では、第1の反応条件セットおよび第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が、非標識ヌクレオチドである。
【0019】
第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。いくつかの実施形態では、第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが終結していない。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、第1の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、第2の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる。いくつかの実施形態では、第1の複数の成長中の鎖および第2の複数の成長中の鎖が、複数の核酸分子において相互に排他的である。いくつかの実施形態では、第1の複数の成長中の鎖および第2の複数の成長中の鎖が、少なくとも1つの共通の成長中の鎖を共有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共通の成長中の鎖の共通の成長中の鎖が、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法が、(c)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第3のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型および第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第4のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型、第2の同じカノニカル塩基型および第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本方法が、(c)の後に、第1の複数のヌクレオチドまたは第2の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む。
【0026】
さらなる態様では、本開示は、(a)検出領域に固定化された複数の核酸分子を提供し、複数の核酸分子は、鋳型配列を含む鋳型核酸分子と配列相同性を有し、複数の核酸分子は、第1の配列に結合された複数の核酸分子の第1のサブセットおよび第2の配列に結合された複数の核酸分子の第2のサブセットを含む、ことと;(b)複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを複数の核酸分子の第1のサブセットにわたる鋳型配列の所与の開放位置で第1の配列に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;(c)(b)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを複数の核酸分子の第2のサブセットにわたる鋳型配列の所与の開放位置で第2の配列に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることとを含む、配列決定する方法を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の複数の核酸分子と接触させ、第2の反応混合物を、第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の複数の核酸分子と接触させる。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の反応条件セットおよび第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が、非標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。いくつかの実施形態では、第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが終結していない。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する第1の配列のヌクレオチド位置へ、複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の配列の配列に取り込まれる。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の配列の配列に取り込まれる。いくつかの実施形態では、複数の核酸分子の第1のサブセットおよび複数の核酸分子の第2のサブセットが、複数の核酸分子において相互に排他的である。いくつかの実施形態では、複数の核酸分子の第1のサブセットおよび複数の核酸分子の第2のサブセットが、少なくとも1つの共通の核酸分子を共有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共通の核酸分子の共通の核酸分子が、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本方法が、(c)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の配列に取り込むのに十分な条件下で、第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第3のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型および第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第4のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型、第2の同じカノニカル塩基型および第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本方法が、(c)の後に、第1の複数のヌクレオチドまたは第2の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む。
【0036】
さらなる態様では、本開示は、(a)互いに配列同一性を有する複数の核酸分子を提供することと;(b)複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第1の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと;(c)(b)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることとを含み、第1の反応混合物または第2の反応混合物中、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドは別のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である、配列を決定する方法を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の反応混合物を、第1の反応条件セット下で、(b)の複数の核酸分子と接触させ、第2の反応混合物を、第1の反応条件セットとは異なる第2の反応条件セット下で、(c)の複数の核酸分子と接触させる。いくつかの実施形態では、第1の反応条件セットおよび第2の反応条件セットが、温度、pHレベル、塩濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、ヌクレオチド濃度、インキュベーション時間、反応混合物の体積、反応混合物の複数の核酸分子への分配速度、およびクラウディングまたは粘度試薬の濃度からなる群から選択される1つまたは複数の異なる条件を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも5%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも10%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも20%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの少なくとも30%が標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドの実質的に100%が、非標識ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。いくつかの実施形態では、第2の反応混合物中のヌクレオチドの実質的に100%が同じカノニカル塩基型のものである。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドが終結していない。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが終結していない。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、第1の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる。いくつかの実施形態では、第2の複数のヌクレオチドのサブセットが、ホモポリマー配列に対応する成長中の鎖のヌクレオチド位置へ、第2の複数の成長中の鎖の成長中の鎖に取り込まれる。いくつかの実施形態では、第1の複数の成長中の鎖および第2の複数の成長中の鎖が、複数の核酸分子において相互に排他的である。いくつかの実施形態では、第1の複数の成長中の鎖および第2の複数の成長中の鎖が、少なくとも1つの共通の成長中の鎖を共有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共通の成長中の鎖の共通の成長中の鎖が、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本方法が、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、(i)(b)の後および(c)の前に、(ii)(c)の後に、または(iii)(i)と(ii)の両方で、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、本方法が、(c)の後に、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型とは異なる第2の同じカノニカル塩基型の第3の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第2の同じカノニカル塩基型の第4の複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第3のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型および第2の同じカノニカル塩基型とは異なる第3の同じカノニカル塩基型の第5の複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第3の同じカノニカル塩基型の第6の複数のヌクレオチドを含む第6の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第4のフローサイクルで、第1の反応混合物の代わりに、同じカノニカル塩基型、第2の同じカノニカル塩基型および第3の同じカノニカル塩基型とは異なる第4の同じカノニカル塩基型の第7の複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を使用し、第2の反応混合物の代わりに、第4の同じカノニカル塩基型の第8の複数のヌクレオチドを含む第8の反応混合物を使用して、(b)~(c)を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法が、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドが標識ヌクレオチドを含み、第2のフローサイクルの前に、複数の核酸分子を切断溶液と接触させて、標識ヌクレオチドから標識を切断することをさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法が、(b)の後に、または(c)の後に、第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のヌクレオチドの取込みを示す1つまたは複数のシグナルを検出する前にまたは検出しないで、(c)を実施する。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の反応混合物および第2の反応混合物中、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドが別のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である。いくつかの実施形態では、第1の反応混合物または第2の反応混合物中、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドがそれぞれの他のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である。
【0047】
本開示の別の態様は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによる実行時に、上記または本明細書の他の場所の方法のいずれかを実行する、機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0048】
本開示の別の態様は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサおよびそれに結合したコンピュータメモリを含むシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記または本明細書の他の場所の方法のいずれかを実行する機械実行可能コードを含む。
【0049】
本開示の追加の態様および利点は、以下の詳細な説明から当技術分野の当業者に容易に明らかになり、ここでは本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明される。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な自明な点で修正することができる。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものとして見なされるべきではない。
【0050】
参照による組み込み
本明細書中で言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別的に示されているのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲では、本明細書が、このような矛盾する資料に取って代わる、および/または優先することを意図している。
【0051】
本発明の新規な特徴を添付の特許請求の範囲に具体的に示す。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明および添付の図面(本明細書ではまた「図(Figure)および図(FIG))を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】マルチフローモノクロイメージング法を概略的に示す図である(図中、「b」は3’-ブロッキング基を示し、「」は蛍光色素を示す)。
図2A】様々なイオン濃度での所与のヌクレオチドの取込みの程度を示す図である。
図2B】様々な伸長時間での所与のヌクレオチドの取込みの程度を示す図である。
図3】マルチフローモノクロイメージング法に対応する配列決定シグナルを示す図である。
図4】本明細書で提供される方法を実行するようにプログラムされているか、または構成されているコンピュータシステムを示す図である。
図5】3’-ジスルフィド終結ヌクレオチドおよびその切断スキームの例を示す図である。
図6】3’-アジドメチル終結ヌクレオチドおよびその切断スキームの例を示す図である。
図7A】本明細書の実施例3に記載される、鋳型TF5に対する、プロトコルAについてのフローによるイメージングによって検出される正規化シグナル(上のパネル)およびフローによるフェージング%(下のパネル)を示す図である。
図7B】本明細書の実施例3に記載される、鋳型TF5に対する、プロトコルBについてのフローによるイメージングによって検出される正規化シグナル(上のパネル)およびフローによるフェージング%(下のパネル)を示す図である。
図7C】本明細書の実施例3に記載される、鋳型TF5に対する、プロトコルCについてのフローによるイメージングによって検出される正規化シグナル(上のパネル)およびフローによるフェージング%(下のパネル)を示す図である。
図7D】本明細書の実施例3に記載される、鋳型TF5に対する、プロトコルDについてのフローによるイメージングによって検出される正規化シグナル(上のパネル)およびフローによるフェージング%(下のパネル)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の様々な実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態が単なる例示として提供されることが当業者に自明であろう。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更および置換が思い浮かび得る。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が採用され得ることを理解すべきである。
【0054】
値が範囲として説明される場合、このような開示には、特定の数値または特定の部分範囲が明示的に記載されているかどうかに関係なく、このような範囲内の全ての可能な部分範囲、ならびにこのような範囲内に入る特定の数値の開示が含まれることが理解されよう。
【0055】
本明細書で使用される「増幅」という用語は、一般に、核酸分子のコピーの生成を指す。アンプリコンは、出発鋳型核酸分子からの増幅手順によって生成される一本鎖または二本鎖核酸分子であり得る。アンプリコンは、その少なくとも一部が出発鋳型の少なくとも一部と実質的に同一または実質的に相補的である核酸鎖を含み得る。出発鋳型が二本鎖核酸分子である場合、アンプリコンは、一方の鎖の少なくとも一部と実質的に同一であり、いずれかの鎖の少なくとも一部と実質的に相補的である核酸鎖を含み得る。アンプリコンは、最初の鋳型が一本鎖であるか二本鎖であるかに関係なく、一本鎖または二本鎖であり得る。核酸の増幅は、線形、指数関数、またはこれらの組み合わせであり得る。増幅は、エマルジョンベースであり得るか、または非エマルジョンベースであり得る。核酸増幅法の非限定的な例としては、逆転写、プライマー伸長、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ヘリカーゼ依存性増幅、非対称増幅、ローリングサークル増幅、および多置換増幅(MDA)が挙げられる。PCRが使用される場合、リアルタイムPCR、アレル特異的PCR、アセンブリPCR、非対称PCR、デジタルPCR、エマルジョンPCR、ダイヤルアウトPCR、ヘリカーゼ依存性PCR、ネステッドPCR、ホットスタートPCR、インバースPCR、メチル化特異的PCR、ミニプライマーPCR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、オーバーラップエクステンションPCR、熱非対称インタレースPCRおよびタッチダウンPCRを含む非限定的な例を含む任意の形態のPCRが使用され得る。例えば、増幅反応は、エマルジョンポリメラーゼ連鎖反応(emPCR;例えば、ウェルまたはドロップレットなどのマイクロリアクター内で行われるPCR)などのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり得る。さらに、増幅は、増幅に関与するかまたは増幅を促進する様々な成分(例えば、(1または複数の)プライマー、鋳型、ヌクレオチド、ポリメラーゼ、緩衝液成分、補因子等)を含む反応混合物中で行うことができる。場合によっては、反応混合物が、ヌクレオチドのコンテキスト非依存性取込みを可能にする緩衝液を含む。非限定的な例としては、マグネシウムイオン、マンガンイオン、およびイソクエン酸緩衝液が挙げられる。このような緩衝液の追加の例は、その各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Tabor,S.et al.C.C.PNAS,1989,86,4076-4080ならびに米国特許第5409811号明細書および同第5674716号明細書に記載されている。
【0056】
本明細書で使用される「変性」という用語は、一般に、二本鎖分子(例えば、DNA)の一本鎖分子への分離を指す。変性は、完全変性または部分的変性であり得る。部分的変性では、一本鎖領域が、2本のデオキシリボ核酸(DNA鎖)の変性によって二本鎖分子に形成され得、DNAの二本鎖領域が隣接し得る。
【0057】
本明細書で使用される「コロニー」または「クローン」という用語は、一般に、そのメンバーの実質的な部分が実質的に同一の配列を有する核酸分子の集団を指す。核酸分子のクローン集団のメンバーは、互いに配列相同性を有し得る。核酸分子のクローン集団のメンバーは、100%同一または相補的である必要はない、例えば、合成の過程で「エラー」が発生し、結果として所与の集団の少数が集団の大部分と配列相同性を有さない場合がある。例えば、集団のメンバーの少なくとも50%が、互いに、または参照核酸分子(すなわち、配列比較の基礎として使用される定義された配列の分子)と実質的に同一であり得る。集団のメンバーの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはそれ以上が、互いにまたは参照核酸分子と実質的に同一であり得る。あるいは、クローン集団のメンバーの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上が、参照核酸分子に実質的に相補的であり得る(しかし、互いに実質的に同一であり得る)。2つの分子間のパーセント同一性が少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、99.9%またはそれ以上である場合、2つの分子は実質的に同一(または相同)であると見なされ得る。非相同核酸分子の低レベルまたは実質的でないレベルの混合が、本明細書に記載される方法中に起こり得、よって、クローン集団は、少数の多様な核酸(例えば、30%未満、10%未満、5%未満等)を含み得る。クローン集団は、クローン増幅法を使用して調製され得る。クローン増幅法の例としては、それだけに限らないが、ブリッジ増幅、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅、および山火事増幅(wildfire amplification)が挙げられる。クローン増幅法は、支持体に固定化されたアダプターに核酸鋳型を付着させ、核酸鋳型および場合によってはその相補配列の複数のコピーを生成することを伴い得る。
【0058】
「%配列相同性」または「パーセント配列相同性」または「パーセント配列同一性」という用語は、本明細書において「%相同性」、「%配列同一性」、または「%同一性」という用語と互換的に使用され得、配列アラインメントプログラムを使用してアラインメントした場合の、2つ以上のヌクレオチド配列間のヌクレオチド配列相同性のレベルを指し得る。例えば、本明細書で使用される場合、80%相同性は、定義されたアルゴリズムによって決定される80%配列相同性と同じものであり得、したがって、所与の配列の相同配列は、所与の配列の長さにわたって80%を超える配列相同性を有する。%相同性は、例えば、所与の配列との少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%以上の配列相同性から選択され得る。%相同性は、例えば、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、または約95%~約99%の範囲であり得る。
【0059】
本明細書で使用される「相補的配列」という用語は、一般に、定義された条件下で実質的かつ特異的に別の配列にハイブリダイズする配列を指す。実質的なハイブリダイゼーションは、例えば、核酸分子の相補的配列の5%、10%、30%、50%、または80%超が、別の核酸分子の他の配列にハイブリダイズすることを意味し得る。2つの一本鎖核酸分子間のハイブリダイゼーションは、定義された条件下で安定である二本鎖構造の形成を伴い得る。2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、それらが2つ以上の連続して隣接する塩基対によって互いに結合している場合、ハイブリダイズしていると見なされ得る。二本鎖構造の一方の鎖のヌクレオチドのかなりの割合が、他方の鎖のヌクレオシドとのワトソン-クリック塩基対形成を受け得る。ハイブリダイゼーションはまた、デオキシイノシンなどのヌクレオシドアナログ、ヌクレオシドと2-アミノプリン塩基の対形成などを含み得、これらは、このような対形成が水素結合の形成を伴うかどうかにかかわらず、プローブの縮重を低減するために採用され得る。
【0060】
本明細書で使用される「固定化」という用語は、一般に、例えば、定義された条件下での支持体への核酸分子の実質的に安定な付着を指す。付着は、それだけに限らないが、非共有結合、イオン相互作用、および共有結合を含む任意の機構によることができる。第1の核酸分子が支持体上に固定化された第2の核酸分子にハイブリダイズする場合、増幅条件が、かなりの量の第1の核酸分子および第2の核酸分子が、増幅中の任意のまたは全ての時に互いに会合または接続しているようなものである場合、第1の核酸分子も増幅中に支持体に固定化されていると見なされ得る。例えば、第1の核酸分子および第2の核酸分子は、ワトソン-クリック塩基対形成または水素結合を伴うハイブリダイゼーションによって合わせて会合され得る。一例では、増幅条件が、第1の核酸分子の少なくとも50%、80%、90%、95%または99%が第2の核酸分子とハイブリダイズしたままであること、またはその逆を可能にし得る。核酸分子は、それが直接的にも間接的にも支持体に付着も会合もしていない場合、固定化されていないまたは非固定化と見なされ得る。場合によっては、複数の核酸分子が、複数のプライマーを介して支持体および/または検出領域に固定化され得る。例えば、プライマーは、例えば、非共有結合、イオン相互作用、および共有結合を介して支持体および/または検出領域に固定化され得、複数の核酸分子は複数のプライマーにハイブリダイズまたはライゲーションされ得る。
【0061】
本明細書で使用される「支持体」または「基板」という用語は、一般に、核酸分子などの試薬が固定化され得る任意の固体または半固体の物品を指す。核酸分子は、合成され、付着され、ライゲーションされ、または支持体に固定化され得る。核酸分子は、それだけに限らないが、物理吸着、イオン結合もしくは共有結合の形成、またはこれらの組み合わせを含む任意の方法によって、基板上に固定化され得る。基板は、二次元(例えば、平面2D基板)または三次元であり得る。場合によっては、基板はフローセルの構成要素であり得る、および/または配列決定機器内に含まれるか、もしくは配列決定機器によって受け入れられるように適合され得る。基板は、ポリマー、ガラス、または金属材料を含み得る。基板(または支持体)の例としては、膜、平面基板、マイクロタイタープレート、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)、フィルター、試験ストリップ、スライド、カバースリップ、および試験管が挙げられる。基板は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミド(例えば、ポリアクリルアミドゲル)、ならびにこれらのコポリマーおよびグラフトなどの有機ポリマーを含み得る。基板は、ラテックスまたはデキストランを含み得る。基板はまた、ガラス、シリカ、金、多孔性ガラス粉体(controlled-pore-glass)(CPG)、または逆相シリカなどの無機であり得る。支持体の構成は、例えば、ビーズ、球、粒子、顆粒、ゲル、多孔質マトリックス、または基板の形態であり得る。場合によっては、基板が、単一の固体または半固体物品(例えば、単一粒子)であり得るが、他の場合には、基板が、複数の固体または半固体物品(例えば、粒子の集合)を含み得る。基板は、平面、実質的に平面、または非平面であり得る。基板は多孔性または非多孔性であり得、膨潤特性または非膨潤特性を有し得る。基板は、1つまたは複数のウェル、凹部、または他のコンテナ、容器、特徴、または場所を含むように成形され得る。複数の基板を様々な場所にアレイ状に構成してもよい。増幅基板(例えば、ビーズ)は、別の基板内またはその上(例えば、第2の支持体のウェル内)に配置することができる。基板は、ロボット要素(例えば、試薬のロボット送達または検出またはその上の1つもしくは複数の要素)によって、またはレーザー照明および共焦点もしくは偏向光収集による走査などの検出アプローチによってアドレス可能であり得る。例えば、基板は、検出器と光学的および/または物理的に通信していてもよい。あるいは、基板は、ある距離だけ検出器から物理的に分離され得る。増幅基板(例えば、ビーズ)は、別の基板内またはその上(例えば、第2の支持体のウェル内、平面基板に付着して、等)に配置することができる。
【0062】
本明細書で使用される「検出領域」という用語は、一般に、検出方法によってアドレス指定され得る基板の領域を指す。場合によっては、検出領域が、基板全体(例えば、フローセルの平面アレイなどの平面アレイ全体)を含み得る。他の場合には、検出領域が、基板の一部を含み得る。基板は、複数の検出領域を含み得る。場合によっては、複数の検出領域が同じ検出器によってアドレス可能であり得る。例えば、検出器は、異なる検出領域をアドレス指定するために、基板全体にわたって走査され得る。同じ基板の異なる検出領域は、同じまたは異なる幾何学、サイズ、および他の特性を有し得る。検出領域は、光学的検出方法によってイメージングされるか、または照合されるように構成された領域に対応し得る。例えば、基板の検出領域は、光が照射され、その後、イメージングされる(例えば、その上の要素による光の放出を検出するために)領域に対応し得る。検出領域は、任意の有用なサイズまたは幾何学を有し得る。場合によっては、検出領域が円形であり得る。他の場合には、検出領域が長方形であり得る。検出領域は、その領域を照合するように構成された検出器が異なる感度を有し得る領域を含み得る。したがって、場合によっては、検出領域が、ダークスポットおよび可変感度の領域に対して較正され得る。
【0063】
本明細書で使用される「プライマー」または「プライマー分子」という用語は、一般に、鋳型核酸分子の一部に相補的な核酸分子(例えば、ポリヌクレオチド)を指す。例えば、プライマーは、鋳型核酸分子の鎖の一部に相補的であり得る。プライマーは、鋳型核酸分子に対して配列同一性または相同性または相補性を示し得る。プライマーと鋳型核酸分子との間の相補性または相同性または配列同一性は制限され得る。プライマーと鋳型核酸分子との間の相同性または配列同一性または相補性は、プライマーの長さに基づき得る。例えば、プライマーの長さが約20ヌクレオチド塩基である場合、これは、鋳型核酸分子に相補的な10個以上の連続ヌクレオチド塩基を含み得る。プライマーの長さは、例えば、8~50ヌクレオチド塩基の間であり得る。場合によっては、プライマーの長さが、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、42、44、46、48、50、またはそれ以上のヌクレオチド塩基などの2ヌクレオチド塩基超であり得る。場合によっては、プライマーの長さが、48、46、44、42、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、または3ヌクレオチド塩基以下などの50ヌクレオチド塩基未満であり得る。プライマーは、核酸反応(例えば、PCRなどの核酸増幅反応)の構成要素であり得るプライマー伸長反応などの、核酸合成の出発点として機能する核酸の鎖であり得る。プライマーは、鋳型鎖にハイブリダイズすることができ、次いで、ヌクレオチド(例えば、カノニカルヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ)を、時にはポリメラーゼなどの重合酵素の助けを借りて、プライマーの(1または複数の)末端に付加することができる。よって、DNA試料の複製中に、複製を触媒する酵素は、DNA試料に付着したプライマーの3’末端で複製を開始し、反対側の鎖をコピーし得る。プライマー(例えば、オリゴヌクレオチド)は、プライマーを支持体および/または検出領域(例えば、本明細書に記載される)に結合するために使用され得る1つまたは複数の官能基を有し得る。
【0064】
本明細書で使用される「プライマー伸長反応」という用語は、一般に、プライマーの鋳型核酸分子の鎖への結合、引き続いてプライマーの伸長を指す。これはまた、二本鎖核酸分子の変性、および二本鎖核酸分子の一方または両方の変性鎖へのプライマーの結合、引き続いて1つまたは複数のプライマーの伸長を含み得る。プライマー伸長反応は、酵素(例えば、重合酵素)を使用することによって、鋳型指向様式でヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログをプライマーに取り込むために使用され得る。
【0065】
本明細書で使用される「重合酵素(polymerizing enzyme)」、「ポリメラーゼ」、または「重合酵素(polymerization enzyme)」という用語は、一般に、重合反応を触媒する物質を指す。重合酵素を使用して、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを取り込むことによって、鋳型鎖と対形成する核酸プライマーを伸長することができる。重合酵素は、既存のヌクレオチド鎖の3’末端を伸長し、ホスホジエステル結合の作成を介して鋳型鎖に一致する新たなヌクレオチドを一度に1つずつ付加することによって、DNAの新たな鎖を付加し得る。重合酵素は、核酸ポリメラーゼなどのポリメラーゼであり得る。ポリメラーゼは、天然に存在するか、または合成され得る。ポリメラーゼは、比較的高い処理能力、すなわち、ポリメラーゼが、核酸鋳型を放出することなくヌクレオチドを核酸鋳型に連続的に取り込む能力を有し得る。重合酵素は、転写酵素であり得る。ポリメラーゼの例としては、それだけに限らないが、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、熱安定性ポリメラーゼ、野生型ポリメラーゼ、改変ポリメラーゼ、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ、Φ29(ファイ29)DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Tliポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、VENTポリメラーゼ、DEEPVENTポリメラーゼ、EXTaqポリメラーゼ、LA-Taqポリメラーゼ、Ssoポリメラーゼ、Pocポリメラーゼ、Pabポリメラーゼ、Mthポリメラーゼ、ES4ポリメラーゼ、Truポリメラーゼ、Tacポリメラーゼ、Tneポリメラーゼ、Tmaポリメラーゼ、Teaポリメラーゼ、Tihポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、Platinum Taqポリメラーゼ、Tbrポリメラーゼ、Tflポリメラーゼ、Pfutuboポリメラーゼ、Pyrobestポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Sacポリメラーゼ、Klenowフラグメント、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ、ならびにこれらのバリアント、修飾産物、および誘導体が挙げられる。ポリメラーゼは、単一サブユニットポリメラーゼであり得る。
【0066】
本明細書で使用される「ヌクレオチド」という用語は、一般に、塩基(例えば、核酸塩基)、糖部分、およびリン酸部分を含む物質を指す。ヌクレオチドは、リン酸基が付着した遊離塩基を含み得る。3つのリン酸基が付着した塩基を含む物質は、ヌクレオシド三リン酸と呼ばれ得る。ヌクレオチドが成長中の核酸分子鎖に付加されている場合、ヌクレオチドの近位リン酸と成長中の鎖との間のホスホジエステル結合の形成は、ピロリン酸としての2つの遠位リン酸の放出を伴う高エネルギーリン酸結合の加水分解を伴い得る。ヌクレオチドは、標準的(例えば、カノニカル)ヌクレオチド、またはヌクレオチドアナログ(例えば、修飾もしくは操作されたヌクレオチド、または非カノニカルヌクレオチド)であり得る。ヌクレオチドは、天然に存在してもよいし、または天然に存在しなくてもよい(例えば、修飾もしくは操作されたヌクレオチド)。
【0067】
ヌクレオチドアナログは、非標準または非カノニカルヌクレオチドであり得る。ヌクレオチドアナログは、修飾または操作されたヌクレオチド(例えば、フルオロフォアを有するヌクレオチド)であり得る。ヌクレオチドアナログは、天然に存在するヌクレオチドであっても、または天然に存在しないヌクレオチドであってもよい。例えば、ヌクレオチドアナログは、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)、またはグアニン(G)などのカノニカルヌクレオチドに由来する、および/またはこれらとの構造的類似性を含む。ヌクレオチドアナログは、天然ヌクレオチドと比較して1つまたは複数の差異または修飾を含み得る。ヌクレオチドアナログの例としては、イノシン、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、デアザキサンチン、デアザグアニン、イソシトシン、イソグアニン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルケオシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-D46-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、2,6-ジアミノプリン、エチニルヌクレオチド塩基、1-プロピニルヌクレオチド塩基、アジドヌクレオチド塩基、ホスホロセレノエート核酸、およびこれらの修飾バージョン(例えば、酸化、還元、および/またはアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、もしくはハロゲン部分などの置換基の付加による)が挙げられる。核酸分子(例えば、ポリヌクレオチド、二本鎖核酸分子、一本鎖核酸分子、プライマー、アダプター等)は、塩基部分(例えば、典型的に相補的ヌクレオチドと水素結合を形成するのに利用可能な1つもしくは複数の原子、および/または典型的に相補的ヌクレオチドと水素結合を形成することができない1つもしくは複数の原子)で修飾され得る。場合によっては、ヌクレオチドが、三リン酸部分への修飾を含む、そのリン酸部分の修飾を含み得る。修飾の追加の非限定的な例としては、より長い長さのリン酸鎖(例えば、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のリン酸部分を有するリン酸鎖)、チオール部分による修飾(例えば、アルファ-チオ三リン酸およびベータ-チオ三リン酸)、およびセレン部分による修飾(例えば、ホスホロセレノエート核酸)が挙げられる。ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログは、リボース、デオキシリボース、およびこれらの修飾バージョン(例えば、酸化、還元、および/またはアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、もしくはハロゲン部分などの置換基の付加による)からなる群から選択される糖を含み得る。ヌクレオチドアナログはまた、(例えば、リン酸部分の代わりに)修飾されたリンカー部分を含み得る。ヌクレオチドアナログはまた、アミノアリル-dUTP(aa-dUTP)およびアミノヘキシルアクリルアミド-dCTP(aha-dCTP)などのアミン修飾基を含み、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)などのアミン反応性部分の共有結合を可能にし得る。本開示のオリゴヌクレオチドにおける標準的なDNA塩基対またはRNA塩基対の代替物は、例えば、より高い密度(ビット/立方mm)、より高い安全性(天然毒素の偶発的または意図的な合成に対する耐性)、光プログラムポリメラーゼにおけるより容易な識別、および/またはより低い二次構造を提供し得る。ヌクレオチドアナログは、ヌクレオチド検出のために検出可能な部分と反応または結合することができ得る。場合によっては、ヌクレオチドアナログが、可逆的ターミネーターおよび/または蛍光標識を含み得る。
本明細書で使用される「遊離ヌクレオチド」または「遊離ヌクレオチドアナログ」という用語は、一般に、追加のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに結合されていないヌクレオチドアナログを指す。遊離ヌクレオチドアナログは、(例えば、本明細書に記載される)プライマー伸長反応によって成長中の核酸鎖に取り込まれ得る。
【0068】
本明細書で使用される「可逆的ターミネーター」という用語は、一般に、プライマー伸長を可逆的に終結させることができるヌクレオチドアナログの部分を指す。可逆的ターミネーターを含むヌクレオチドアナログは、ポリメラーゼによって受け入れられ、非可逆的に終結したヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログと同様に、成長中の核酸配列に取り込まれる。可逆的ターミネーターを含むヌクレオチドアナログを核酸鎖に取り込んだ後、可逆的ターミネーターを除去して、核酸鎖のさらなる伸長を可能にすることができる。可逆的ターミネーターは、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログの糖部分(例えば、ペントース)の3’-酸素原子に付着しているブロッキング基またはキャッピング基を含み得る。このような部分は、3’-O-ブロック可逆的ターミネーターと呼ばれる。3’-O-ブロック可逆的ターミネーターの例としては、例えば、3’-ONH可逆的ターミネーター、3’-O-アリル可逆的ターミネーター、および3’-O-アジドメチル可逆的ターミネーターが挙げられる。あるいは、可逆的ターミネーターは、リンカー(例えば、切断可能なリンカー)および/またはヌクレオチドアナログの色素部分にブロッキング基を含み得る。このような部分は、3’-アンブロック可逆的ターミネーターと呼ばれる。3’-アンブロック可逆的ターミネーターは、ヌクレオチドアナログの塩基と蛍光基(例えば、本明細書に記載される、標識)の両方に付着され得る。3’-アンブロック可逆的ターミネーターの例としては、例えば、Helicos BioSciences Corp.によって開発された「仮想ターミネーター」、ならびにMichael L.Metzkerおよびその同僚によって開発された「ライトニングターミネーター」が挙げられる。可逆的ターミネーターの切断は、例えば、可逆的ターミネーターを含む核酸分子を照射することによって達成され得る。
【0069】
本明細書で使用される「標識」という用語は、一般に、例えばヌクレオチドアナログなどの種と結合することができる部分を指す。標識は、親和性部分を含み得る。場合によっては、標識は、検出することができるシグナルを発する(または既に発せられたシグナルを低減する)検出可能な標識であり得る。場合によっては、このようなシグナルが、1つまたは複数のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログの取込みを示し得る。場合によっては、標識をヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログに結合させ、そのヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログをプライマー伸長反応に使用することができる。場合によっては、プライマー伸長反応後に標識をヌクレオチドアナログに結合させることができる。場合によっては、標識がヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログと特異的に反応性であり得る。結合は共有結合または非共有結合であり得る(例えば、イオン相互作用、ファンデルワールス力等を介して)。場合によっては、結合が、光切断可能(例えば、紫外線下で切断可能)、化学的に切断可能(例えば、ジチオトレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン(THP)などの還元剤を介して)、または酵素的に切断可能(例えば、エステラーゼ、リパーゼ、ペプチダーゼもしくはプロテアーゼを介して)など切断可能であり得るリンカーを介し得る。場合によっては、標識が発光性であり得る;すなわち、蛍光性またはリン光性である。標識は消光剤分子であり得る。本明細書で使用される「消光剤」という用語は、放出されたシグナルを低減することができる分子を指す。例えば、鋳型核酸分子は、検出可能なシグナルを放出するように設計され得る。消光剤を含むヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログの取込みは、シグナルを低減または排除することができ、次いで、その低減または排除が検出される。場合によっては、本明細書の他の場所に記載されるように、消光剤による標識が、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログの取込み後に起こり得る。色素の非限定的な例としては、SYBRグリーン、SYBRブルー、DAPI、ヨウ化プロピジウム、Hoechst、SYBRゴールド、臭化エチジウム、アクリジン、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、フルオロクマニン(fluorcoumanin)、エリプチシン、ダウノマイシン、クロロキン、ディスタマイシンD、クロモマイシン、ホミジウム、ミトラマイシン、ルテニウムポリピリジル、アントラマイシン、フェナントリジンおよびアクリジン、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー-1および-2、エチジウムモノアジド、およびACMA、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580、DAPI、アクリジンオレンジ、7-AAD、アクチノマイシンD、LDS751、ヒドロキシスチルバミジン、SYTOXブルー、SYTOXグリーン、SYTOXオレンジ、POPO-1、POPO-3、YOYO-1、YOYO-3、TOTO-1、TOTO-3、JOJO-1、LOLO-1、BOBO-1、BOBO-3、PO-PRO-1、PO-PRO-3、BO-PRO-1、BO-PRO-3、TO-PRO-1、TO-PRO-3、TO-PRO-5、JO-PRO-1、LO-PRO-1、YO-PRO-1、YO-PRO-3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBRゴールド、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBR DX、SYTO-40、-41、-42、-43、-44、-45(青)、SYTO-13、-16、-24、-21、-23、-12、-11、-20、-22、-15、-14、-25(緑)、SYTO-81、-80、-82、-83、-84、-85(オレンジ)、SYTO-64、-17、-59、-61、-62、-60、-63(赤)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、ローダミン、テトラメチルローダミン、R-フィコエリトリン、Cy-2、Cy-3、Cy-3.5、Cy-5、Cy5.5、Cy-7、テキサスレッド、ファーレッド、アロフィコシアニン(APC)、SybrグリーンI、Sybrグリーン II、Sybrゴールド、CellTrackerグリーン、7-AAD、エチジウムホモダイマーI、エチジウムホモダイマーII、エチジウムホモダイマーIII、臭化エチジウム、ウンベリフェロン、エオシン、緑色蛍光タンパク質、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、蛍光ランタニド錯体、例えばユーロピウムおよびテルビウムを含むもの、カルボキシテトラクロロフルオレセイン、5および/または6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、VIC、5-(または6-)ヨードアセトアミドフルオレセイン、5-{[2(および3)-5-(アセチルメルカプト)-スクシニル]アミノ}フルオレセイン(SAMSA-フルオレセイン)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、5および/または6カルボキシローダミン(ROX)、7-アミノ-メチル-クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、BODIPYフルオロフォア、8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸三ナトリウム塩、3,6-ジスルホネート-4-アミノ-ナフタルイミド、フィコビリタンパク質、AlexaFluor 350、405、430、488、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、750および790色素、DyLight 350、405、488、550、594、633、650、680、755および800色素、またはその他のフルオロフォア、Black Hole Quencher色素(Biosearch Technologies)、例えばBH1-0、BHQ-1、BHQ-3、BHQ-10);QSY色素蛍光クエンチャー(Molecular Probes/Invitrogen製)、例えばQSY7、QSY9、QSY21、QSY35、およびその他のクエンチャー、例えばDabcylおよびDabsyl;Cy5QおよびCy7Qおよびダークシアニン色素(GE Healthcare);Dy-Quenchers(Dyomics)、例えばDYQ-660およびDYQ-661;ならびにATTO蛍光クエンチャー(ATTO-TEC GmbH)、例えばATTO 540Q、580Q、612Qが挙げられる。場合によっては、標識が、自己消光せず、近接消光も示さない型であり得る。自己消光せず、近接消光も示さない標識型の非限定的な例としては、モノブロモビマンなどのビマン誘導体が挙げられる。
【0070】
本明細書で使用される「近接消光」という用語は、一般に、互いに近い1つまたは複数の色素が、それらが個別に示す蛍光と比較して低い蛍光を示し得る現象を指す。場合によっては、色素が、ドナー色素とアクセプター色素が互いに1ナノメートル(nm)~50nm以内にある近接消光を受け得る。
【0071】
本明細書で使用される「検出器」という用語は、一般に、取り込まれたヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログの存在または非存在を示すシグナルなどのシグナルを検出することができる装置を指す。検出器は、シグナルを検出し得る光学的および/または電子的構成要素を含み得る。検出器を伴う検出方法の非限定的な例としては、光学的検出、分光学的検出、静電的検出、および電気化学的検出が挙げられる。光学的検出法には、それだけに限らないが、蛍光定量およびUV-vis光吸収が含まれる。分光学的検出法には、それだけに限らないが、質量分析、核磁気共鳴(NMR)分光法、および赤外分光法が含まれる。静電的検出法には、それだけに限らないが、例えば、ゲル電気泳動などのゲルベースの技術が含まれる。電気化学的検出法には、それだけに限らないが、増幅産物の高速液体クロマトグラフィー分離後の増幅産物の電気化学的検出が含まれる。
【0072】
本明細書で使用される「配列決定」という用語は、一般に、核酸分子またはポリペプチドなどの生体分子の配列を生成または特定するためのプロセスを指す。このような配列は、核酸塩基(nucleic acid base)(例えば、核酸塩基(nucleobase))の配列を含み得る核酸配列であり得る。配列決定は、例えば、単一分子配列決定、合成による配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、またはライゲーションによる配列決定であり得る。配列決定は、(例えば、本明細書に記載される)フローセルまたは1つもしくは複数のビーズなどの支持体上に固定化された鋳型核酸分子を使用して実施され得る。配列決定アッセイは、1つまたは複数の鋳型核酸分子に対応する1つまたは複数の配列決定リードをもたらし得る。
【0073】
本明細書で使用される「リード」という用語は、一般に、配列決定リードなどの核酸配列を指す。配列決定リードは、核酸配列決定アッセイを介して得られた核酸塩基(例えば、ヌクレオチド)または塩基対の推定配列であり得る。配列決定リードは、超並列アレイシーケンサー(例えば、IlluminaまたはPacific Biosciences of California)などの核酸シーケンサーによって生成され得る。配列決定リードは、対象のゲノムの一部、または場合によっては全部に対応し得る。配列決定リードは、配列決定リードの集合の一部であってもよく、これを、例えば、アラインメント(例えば、参照ゲノムに対する)を通して組み合わせて、対象のゲノムの配列を生成することができる。
【0074】
核酸配列を分析する方法
本開示は、核酸配列を分析するための方法、システム、およびキットを提供する。核酸配列特定のための方法は、検出領域に固定化されたまたは検出領域に隣接して固定化された複数の核酸分子を含む基板を提供することを含み得る。複数の核酸分子は、鋳型(例えば、標的)核酸分子と配列相同性を有し得る。複数の核酸分子を、第1の反応混合物と接触させ、その後、第2の反応混合物と接触させることができる。第1の反応混合物および第2の反応混合物は、(例えば、本明細書に記載される)標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドの様々な組み合わせを含み得る。検出領域から検出されたシグナルは、第1および/または第2の反応混合物のヌクレオチドに対応し得る。このようなシグナルは、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定するために使用され得る。場合によっては、シグナルが、複数の核酸分子を第1の反応混合物と接触させた後に(例えば、本明細書に記載される、洗浄フローおよび/または切断フローの前または後に)検出され得る。場合によっては、同様にまたは代わりに、シグナルが、複数の核酸分子を第2の反応混合物と接触させた後に(例えば、本明細書に記載される、洗浄フローおよび/または切断フローの前または後に)検出され得る。標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの様々な組み合わせを含む追加の反応混合物を使用することもできる。第1の反応混合物のヌクレオチドに対応するシグナルおよび第2の反応混合物のヌクレオチドに対応するシグナル(およびまた場合により追加の反応混合物のヌクレオチドに対応するシグナル)はそれぞれ、鋳型核酸分子の配列中の(1または複数の)同じ塩基位置に対応し得る。場合によっては、第1の反応混合物のヌクレオチドに対応するシグナルおよび第2の反応混合物のヌクレオチドに対応するシグナル(およびまた場合により追加の反応混合物のヌクレオチドに対応するシグナル)の組み合わせを使用して、鋳型核酸分子の配列中の(1または複数の)このような同じ塩基位置の(1または複数の)核酸塩基を特定することができる。
【0075】
本開示の配列決定スキームまたはアプローチは、1配列決定リードサイクル当たり複数のフローを採用することができる。所与のフローは、例えば、複数の標識ヌクレオチドなどの複数のヌクレオチドを含む反応混合物を含み得る。複数のヌクレオチドは、1つまたは複数の異なるカノニカル型のヌクレオチドを含み得、少なくともそのサブセットが、(例えば、本明細書に記載される)標識を含み得る。例えば、所与のフローは、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドを含む反応混合物を含み得る。第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドは、同じまたは異なるカノニカル型のものであり得る。第1および/または第2の複数のヌクレオチドは、(例えば、蛍光標識で)標識され得る。あるいは、第1および/または第2の複数のヌクレオチドは、(例えば、蛍光標識なしで)非標識であり得る。第1および/または第2の複数のヌクレオチドは、同様にまたは代わりに、(例えば、本明細書に記載されるように)可逆的に終結され得る。所与のフローの複数のヌクレオチドを、複数のヌクレオチドの少なくともサブセットが複数の核酸分子(例えば、成長中の鎖)に結合された配列に取り込まれるのに十分な条件下で、複数の核酸分子(例えば、検出領域などの、基板に固定化された複数の標的核酸分子)と接触させることができる。複数の核酸分子に結合された配列は、少なくとも部分的に相補的な配列であり得る。追加のフローを採用することもできる。例えば、洗浄フロー(例えば、緩衝液を含む溶液)を使用して、(例えば、本明細書に記載されるように)取り込まれていない反応混合物フローの反応混合物の複数のヌクレオチドのヌクレオチドを除去することができる。洗浄フローは、取り込まれたヌクレオチドから標識および/または可逆的ターミネーターを除去するために使用され得る切断試薬などの1つまたは複数の試薬を含み得る。あるいは、またはさらに、切断フロー(例えば、切断試薬を含む溶液)を使用して、取り込まれたヌクレオチドから標識および/または可逆的ターミネーターを除去することができる。場合によっては、複数の異なる切断試薬を使用することができる(例えば、1つまたは複数の異なる標識などの1つまたは複数の異なる成分を除去するため)。
【0076】
サイクルは、複数のフローを含み得る。サイクルは、少なくとも反応混合物(例えば、ヌクレオチド)フローおよび洗浄フローが、複数の核酸分子(例えば、検出領域などの基板に固定化された複数の標的核酸分子)に提供されるプロセスであり得る。サイクルはまた、1つまたは複数の切断フローを含み得る。サイクルは、1つまたは複数の反応混合物フローを含み得、そのそれぞれに洗浄フローが続き得る。例えば、サイクルは、第1の反応混合物フロー、第1の洗浄フロー、第2の反応混合物フロー、および第2の洗浄フローを含み得る。
【0077】
一例では、第1の反応混合物フローが、少なくとも第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物が、少なくとも第3の複数のヌクレオチドおよび第4の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドが、異なるカノニカル型のものである。別の例では、第1の反応混合物フローが、少なくとも第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、および第3の複数のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物フローが、第4の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドが、異なるカノニカル型のものである。別の例では、第1の反応混合物フローが、少なくとも第1の複数のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物フローが、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドが、異なるカノニカル型のものである。
【0078】
所与の反応混合物フローのヌクレオチドは、標識されていても、非標識であってもよい。したがって、前記例のいずれにおいても、複数のヌクレオチドの少なくともサブセットが標識され得る。したがって、場合によっては、複数のヌクレオチドの少なくともサブセットが非標識であり得る。
【0079】
一例では、第1の反応混合物フローが、少なくとも第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチドが、カノニカル塩基型の標識ヌクレオチドを含み、第2の複数のヌクレオチドが、同じカノニカル塩基型の非標識ヌクレオチドを含み、第2の反応混合物が、少なくとも第3の複数のヌクレオチドを含み得、第3の複数のヌクレオチドが、標識されていても、非標識であってもよい、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む。場合によっては、第2の反応混合物が、少なくとも第3の複数のヌクレオチドおよび第4の複数のヌクレオチドを含み得、第3の複数のヌクレオチドが、同じカノニカル塩基型の標識ヌクレオチドを含み、第4の複数のヌクレオチドが、同じカノニカル塩基型の非標識ヌクレオチドを含む。
【0080】
別の例では、第1の反応混合物フローが、少なくとも第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物が、少なくとも第3の複数のヌクレオチドおよび第4の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドが、異なるカノニカル型のものであり、第1の複数のヌクレオチドの少なくともサブセットおよび第2の複数のヌクレオチドの少なくともサブセットが標識されている。別の例では、第1の反応混合物フローが、少なくとも第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、および第3の複数のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物フローが、第4の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドが、異なるカノニカル型のものであり、第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、および第3の複数のヌクレオチドのそれぞれの少なくともサブセットが標識されている。別の例では、第1の反応混合物フローが、少なくとも第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物フローが、第5の複数のヌクレオチド、第6の複数のヌクレオチド、第7の複数のヌクレオチド、および第8の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドが、異なるカノニカル型のものであり;第1の複数のヌクレオチドが、第5の複数のヌクレオチドと同じカノニカル型のものであり;第2の複数のヌクレオチドが、第6の複数のヌクレオチドと同じカノニカル型のものであり;第3の複数のヌクレオチドが、第7の複数のヌクレオチドと同じカノニカル型のものであり;第4の複数のヌクレオチドが、第8の複数のヌクレオチドと同じカノニカル型のものであり;第1の複数のヌクレオチド、第2の複数のヌクレオチド、第3の複数のヌクレオチド、および第4の複数のヌクレオチドのそれぞれの少なくともサブセットが標識されており;第5の複数のヌクレオチド、第6の複数のヌクレオチド、第7の複数のヌクレオチド、または第8の複数のヌクレオチドのヌクレオチドが標識されていない。追加の例は、本明細書の他の場所で説明されている。
【0081】
基板(例えば、検出領域)に固定化された複数の核酸分子(例えば、標的核酸分子)は、複数の配列に結合され得る。複数の配列は、例えば、プライマー配列を含み得る。例えば、複数の核酸分子は、複数のプライマー分子を含む複数の配列にハイブリダイズすることができる。複数のプライマー分子は、複数の核酸分子の配列に相補的な配列を含み得る。複数の核酸分子に結合された複数の配列は、複数の取込み部位(例えば、ヌクレオチドが取り込まれ得る部位)を含み得る。例えば、複数の核酸分子に結合された複数の配列の各配列の末端は、所与の時点で(例えば、複数の核酸分子を(例えば、本明細書に記載される)第1の反応混合物と接触させる前に)取込み部位を含み得る。複数の核酸分子に結合された複数の配列の配列の取込み部位は、ヌクレオチド(例えば、配列が結合する複数の核酸分子の核酸分子のヌクレオチドに相補的なヌクレオチド)の取込みに利用可能であると見なされ得る。場合によっては、複数の核酸分子に結合された複数の配列の配列の末端をブロックすることができる。例えば、末端は、可逆的ターミネーターを含むヌクレオチドを含み得る。このようなヌクレオチドは、複数の核酸分子と反応混合物との間の接触中に(例えば、反応混合物フロー中に)配列に取り込まれた可能性がある。複数の配列の配列の可逆的ターミネーターは、(例えば、切断フロー中などの、可逆的ターミネーターの全部または一部の切断を介して)完全にもしくは部分的に除去されるか、または不活性化されて、1つまたは複数の追加のヌクレオチドの配列への取込みを容易にすることができる。
【0082】
(例えば、本明細書に記載される)複数の核酸分子を複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることは、利用可能な取込み部位の100%での複数のヌクレオチドのヌクレオチドの取込みをもたらす場合もあれば、もたらさない場合もある。例えば、複数のヌクレオチドは、第1の反応混合物が所与の取込み部位での取込みに適切な型のヌクレオチドを提供しないように、限られた型のヌクレオチドを含み得る。あるいは、またはさらに、複数のヌクレオチドの所与のヌクレオチドに関する取込み反応の速度は、所与の時間枠(例えば、複数の核酸分子と第1の反応混合物との間の接触の持続時間)で100%の取込みが達成されないようなものであり得る。例えば、配列決定リードサイクルの第1のフロー(例えば、複数の核酸分子を第1の反応混合物と接触させる)の後、利用可能な取込み部位は、第1のフローから取り込まれたヌクレオチドによって部分的に占有されただけである可能性がある。このような部分占有率は、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%またはそれ以上であるが、完全占有率未満であり得る。部分占有率は、取込み部位の総数、または所与のヌクレオチドの取込みに適した取込み部位の総数に適用され得る。例えば、所与のヌクレオチド(例えば、dATP、dCTP、dGTP、またはdTTP)の取込みに適した取込み部位の部分占有率は、少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%またはそれ以上であるが、完全占有率未満であり得る。配列決定リードサイクルにおける次の、または他の後続のフロー(例えば、第2のフロー、第3のフロー、第4のフロー等)は、残りの利用可能な部位の少なくともサブセットが次の、または他の後続のフローのヌクレオチドによって占有されることを可能にし得る。これを必要に応じて繰り返して、全ての取込み部位を同位相にする(例えば、(i)複数の核酸分子に結合された複数の配列が同じ期間にわたって(例えば、反応サイクル中に)同じ長さ(例えば、単一ヌクレオチド)成長する、および/または(ii)次の取込み部位が(1または複数の)後続のフロー中に適切なヌクレオチドを取り込むことができるように、各利用可能な取込み部位で単一ヌクレオチドを取り込む)ことができる。
【0083】
例えば、第1の反応混合物を含む第1のフローは、全ての利用可能な部位(例えば、総取込み部位または所与のヌクレオチドの取込みに適した総取込み部位)のわずかなパーセンテージ(例えば、約5%などの約10%未満)が第1の反応混合物のヌクレオチドによって占有され、大きなパーセンテージ(例えば、約95%などの少なくとも約90%)が未占有のままであることをもたらし得る。第1のフロー後の第2の反応混合物を含む第2のフローは、第1のフローから占有されなかった利用可能な部位の残り(すなわち、約95%)を占有し得る。場合によっては、第2のフローが第1のフローからの残りのサブセットを占有し得る(例えば、約20%、部位の約75%はヌクレオチドによって占有されないままである)。サブセットの少なくとも一部は、別の後続のフローによって占有され得る。これは、全てまたは実質的に全ての部位がヌクレオチドによって占有されるまで繰り返され得る。別の例では、第1の反応混合物を含む第1のフローが、全ての利用可能な部位(例えば、総取込み部位または所与のヌクレオチドの取込みに適した総取込み部位)の大きなパーセンテージ(例えば、約95%などの少なくとも約90)が第1の反応混合物のヌクレオチドによって占有され、小さなパーセンテージ(例えば、約5%などの約10%未満)が未占有のままであることをもたらし得る。第1のフロー後の第2の反応混合物を含む第2のフローは、第1のフローから占有されなかった利用可能な部位の残り(すなわち、約5%)を占有し得る。場合によっては、第2のフローが第1のフローからの残りのサブセットを占有し得る(例えば、約4%、部位の約1%はヌクレオチドによって占有されないままである)。サブセットの少なくとも一部は、別の後続のフローによって占有され得る。これは、全てまたは実質的に全ての部位がヌクレオチドによって占有されるまで繰り返され得る。
【0084】
核酸配列を特定する方法は、(例えば、本明細書に記載される)複数の核酸分子を提供することを含み得る。複数の核酸分子は、鋳型核酸分子との配列相同性を有する、コロニーもしくはクローン集団、またはコロニーもしくはクローン集団の一部であり得る。複数の核酸分子は、各コロニーが別個の鋳型核酸分子(別個のコロニー間で同じであっても異なっていてもよい)との配列相同性を有する複数のコロニーまたはクローン集団であり得る。複数の核酸分子は、検出領域(例えば、フローセル内)で、または検出領域に隣接して固定化され得る。例えば、複数の核酸分子は、複数のプライマーによって固定化され得る。1つまたは複数のコロニーは、1つまたは複数の支持体に固定化され得る。
【0085】
複数の核酸分子またはそのサブセットを、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを複数の核酸分子の第1のサブセットに結合(例えば、ハイブリダイズ)された第1の配列に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチド(例えば、遊離ヌクレオチド)を含む第1の反応混合物と接触させることができる。第1のサブセットは、複数の核酸分子の全部未満であり得る。例えば、第1のサブセットは、複数の核酸分子の最大で約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%またはそれ以下であり得る。あるいは、またはさらに、第1のサブセットは、複数の核酸分子の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上であるが、100%未満であり得る。第1の複数のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第1のサブセットにわたる所与の開放位置(例えば、取込み部位)で第1の配列に取り込まれ得る。第1の複数のヌクレオチドは標識され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。あるいは、またはさらに、第1の複数のヌクレオチドは非標識であり得る。第1の複数のヌクレオチドは可逆的に終結され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。あるいは、またはさらに、第1の複数のヌクレオチドは終結されていなくてもよい。この操作の最後に(例えば、複数の核酸分子と第1の反応混合物との間の接触の持続時間の後)、複数の核酸分子は、(i)第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが所与の開放位置で取り込まれている、複数の核酸分子の第1のサブセット、および(ii)取込み部位が取込みのために開いたままである、第1のサブセットとは異なる複数の核酸分子の第2のサブセットを含み得る。すなわち、第1の反応混合物の第1のフローの後、利用可能な取込み部位のごく一部のみが、第1の反応混合物からヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。複数の核酸分子の第1のサブセットであろうと第2のサブセットであろうと、コロニー内の核酸分子の所与の開放位置は、同じまたは異なるカノニカル塩基型ヌクレオチドを取り込むように構成され得る。
【0086】
次いで、複数の核酸分子またはそのサブセットを、第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを複数の核酸分子の第2のサブセットに結合(例えば、ハイブリダイズ)された第2の配列に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることができる。第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第2のサブセットにわたる所与の開放位置で第2の配列に取り込まれ得る。場合によっては、第2の複数のヌクレオチドが非標識であり得る。他の場合には、第2の複数のヌクレオチドが標識され得る。さらに他の場合には、第2の複数のヌクレオチドが、標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの混合物であり得る。第2の複数のヌクレオチドは可逆的に終結され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。あるいは、またはさらに、第2の複数のヌクレオチドは終結されていなくてもよい。この操作の最後に(例えば、複数の核酸分子と第2の反応混合物との間の接触の持続時間の後)、複数の核酸分子は、(i)第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチド(例えば、標識、非標識または混合)が複数の核酸分子の第1のサブセットの所与の開放位置で取り込まれている、複数の核酸分子の第1のサブセット、および(ii)第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチド(例えば、標識、非標識または混合)が複数の核酸分子の第2のサブセットの所与の開放位置で取り込まれている、複数の核酸分子の第2のサブセットを含み得る。場合によっては、第2の反応混合物の第2のフローの後、複数の核酸分子の第1のサブセットおよび第2のサブセットの各核酸分子が、第1のサブセット(標識もしくは非標識)であろうと第2のサブセット(標識もしくは非標識)であろうと、取込み部位でヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。すなわち、第2のフローの後、複数の核酸分子の第1のサブセットおよび第2のサブセットの利用可能な取込み部位の全てが、複数の核酸分子の第1のサブセットおよび第2のサブセットの核酸分子が同位相にあるように、第1の反応混合物または第2の反応混合物のいずれかからヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。場合によっては、複数の核酸分子が、複数の核酸分子の第1のサブセットおよび複数の核酸分子の第2のサブセットからなり、結果として第2の反応混合物の第2のフローの後、複数の核酸分子の各核酸分子が、取込み部位にヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。あるいは、場合によっては、この操作の最後に(例えば、複数の核酸分子と第2の反応混合物との間の接触期間後)、複数の核酸分子が、(iii)取込み部位が取込みのために開いたままである、第1および第2のサブセットとは異なる複数の核酸分子の第3のサブセットをさらに含み得る。すなわち、第2のフローの後、複数の核酸分子の複数の配列の利用可能な取込み部位の一部のみが、第1の反応混合物の第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを取り込んでいる可能性があり、利用可能な取込み部位の一部のみが、第2の反応混合物の第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込んでいる可能性があり、利用可能な取込み部位の別の部分を取込みのために開いたままにし得る。この例では、任意の型の第3の複数のヌクレオチド(例えば、標識、非標識、非終結、可逆的に終結したヌクレオチド、またはこれらの組み合わせ等)を含む第3の反応混合物を、第3の複数のヌクレオチドの第3のヌクレオチドを複数の核酸分子の第3のサブセットに結合(例えば、ハイブリダイズ)された第3の配列に取り込むのに十分な条件下で、複数の核酸分子と接触させることができる。ヌクレオチドの部分的取込みのこのようなフローは、利用可能な全ての取込み部位がヌクレオチドを取り込み、複数の核酸分子が同位相になるまで繰り返され得る。場合によっては、利用可能な全ての取込み部位が、複数の核酸分子が同位相であるようにヌクレオチドを取り込んだ場合、取込み部位の大部分が非標識ヌクレオチドを取り込んだ可能性があり、取込み部位の少数が標識ヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。例えば、利用可能な取込み部位の少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上が、非標識ヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。場合によっては、取込み部位の全てが、可逆的に終結されているヌクレオチドを取り込む。場合によっては、取込み部位の全てが、終結されていないヌクレオチドを取り込む。
【0087】
複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の配列に取り込まれた第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドに対応する(例えば、検出領域から)検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することができる。あるいは、またはさらに、複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の配列に取り込まれた第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドに対応する検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することができる。あるいは、またはさらに、複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の配列に取り込まれた第3の複数のヌクレオチドの第3のヌクレオチドに対応する検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することができる、以下同様である。シグナルは、所与のフローの後(例えば、複数の核酸分子を所与の反応混合物と接触させた後)に検出され得る。換言すれば、シグナルは、第1の複数のヌクレオチドの取込み後、および/または第2の複数のヌクレオチドの取込み後等に検出され得る。場合によっては、シグナルが、いずれかのフロー(例えば、第1のフロー、第2のフロー、第3のフロー、第4のフロー等)の前、間、または後に検出され得る。場合によっては、シグナルが、洗浄フローおよび/または切断フローの後に検出され得る。
【0088】
シグナル検出(例えば、所与の配列決定リードサイクルの最終シグナル検出)後、可逆的に終結され、取り込まれたヌクレオチドがある場合は、アンブロッキングされ得る。あるいは、またはさらに、シグナル検出後、標識され、取り込まれたヌクレオチドが、もしあれば、標識部分を除去するか、または不活性化するために非標識反応を受け得る。場合によっては、アンブロッキングが、可逆的ターミネーターおよび/または標識部分(例えば、蛍光色素)の全部または一部を除去することを含み得る。アンブロッキングまたは非標識化は、例えば、切断試薬を使用して(例えば、本明細書に記載される、洗浄フローまたは切断フローにおいて)達成され得る。場合によっては、切断、非標識、および/またはアンブロッキングプロセスが、瘢痕(例えば、本明細書に記載される化学残基)を残す可能性があり、この瘢痕は、複数の核酸分子に結合された核酸分子に結合された所与の成長中の鎖における後続のヌクレオチドの取込みに影響を及ぼし得る。瘢痕は、例えば、ヒドロキシル部分を含み得る。取り込まれた、終結されたヌクレオチドをアンブロッキングすることによって、方法を繰り返し、追加のサイクルまたはその一部を実施することができるように、新たな取込み部位を提供することができる。
【0089】
この方法を繰り返して、配列内の後続の塩基を特定することができる。この方法を複数回繰り返して、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100回またはそれ以上、後続の塩基を一度に1塩基ずつ特定することができる。この方法の各繰り返しは、1つまたは複数の反応混合物フローを使用して、各カノニカル核酸塩基を含むヌクレオチドを、基板に(例えば、その検出領域に)結合された複数の核酸分子と接触させるサイクルなどのサイクル(例えば、本明細書に記載される)を実施することを含み得る。異なるサイクルは、同じもしくは異なるフローまたはフローの組み合わせを含み得る。例えば、第1のサイクルは、第1の反応混合物フローおよび第2の反応混合物フローを含み得、第2のサイクルは、第3の反応混合物フローおよび第4の反応混合物フローを含み得、これらの第3の反応混合物フローおよび第4の反応混合物フローは、第1の反応混合物フローおよび第2の反応混合物フローとは異なるヌクレオチドの組み合わせを含む。
【0090】
本明細書に記載される第1のフローが不足する複数のフロースキームは、第1のフローの後に、利用可能な全ての取込み部位の100%未満がヌクレオチドを取り込んだフロースキームを説明し得る。有益なことに、後続のフローは、複数の核酸分子が同位相であるように、ヌクレオチド(例えば、標識または非標識ヌクレオチド)を取り込んだ全ての利用可能な取込み部位のおよそ100%をもたらし得る。有益なことに、これらのフロースキームは、「瘢痕」(例えば、化学残基)(この瘢痕は、サイクル間に標識ヌクレオチドから標識(例えば、色素部分)および/または可逆的ターミネーターを切断した結果として生じ得る)を保有し得る成長中の鎖を有する(例えば、コロニー内の)複数の核酸分子における核酸分子のパーセンテージを最小化し、その分配を容易にすることができる。複数の核酸分子の一部のみが標識ヌクレオチドを取り込み、最終的な瘢痕が互いに隣接する可能性が低くなるように、標識ヌクレオチドを取り込むごく一部が複数の核酸分子の全てにわたって分配され得るので、このような瘢痕が後続の取込みを妨げる可能性は低い。
【0091】
本明細書に記載される方法を使用して複数の核酸分子を分析することができる。複数の核酸分子は、(例えば、本明細書に記載される)別個のコロニー内の支持体上に分配され得る。例えば、支持体は、それぞれが異なる標的核酸分子に対応し得るコロニーの集合を含み得る。コロニーは、標的核酸分子の複数のコピー、または場合によってはその相補配列を含み得る。場合によっては、標的核酸分子の相補配列に対応する核酸鎖を変性させて、相補鎖を除去し、所与のコロニー内の標的核酸分子およびそのコピーを濃縮することができる。相補鎖の選択的変性は、例えば、所与のアダプターを支持体から脱離する、および/または温度、pH、もしくは化学的条件を変更することによって達成され得る。
【0092】
核酸配列を分析する方法は、複数の核酸分子を反応混合物と接触させることを含み得る。反応混合物は、複数のヌクレオチド(例えば、ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ)を含み得る。反応混合物は、ヌクレオチドの任意の有用な組み合わせを含み得る。例えば、反応混合物は、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミン含有ヌクレオチドからなる群から選択される1つまたは複数のヌクレオチドを含み得る。場合によっては、反応混合物が、単一カノニカル核酸塩基型(例えば、単一カノニカルヌクレオチド型)を含むヌクレオチドを含み得る。他の場合には、反応混合物が、2つのカノニカル核酸塩基型を含むヌクレオチド(例えば、アデニンおよびシトシン含有ヌクレオチド)を含み得る。場合によっては、反応混合物が、3つ以上のカノニカル核酸塩基型を含むヌクレオチド(例えば、3つ以上のカノニカルヌクレオチド型)を含み得る。例えば、反応混合物は、4つのカノニカル核酸塩基型を含むヌクレオチド(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン含有ヌクレオチド)を含み得る。反応混合物に含まれるヌクレオチドは、任意の所望の相対濃度で存在し得る。例えば、反応混合物は、等濃度の第1のヌクレオチド型および第2のヌクレオチド型を含み得る。一例では、反応混合物が、等濃度の4つの異なるヌクレオチド(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン含有ヌクレオチド)を含み得る。あるいは、反応混合物は、不等濃度のヌクレオチドを含み得る。例えば、反応混合物は、第2のヌクレオチド型よりも多い第1のヌクレオチド型、例えば第2のヌクレオチド型と比較して少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%またはそれ以上の濃度の第1のヌクレオチド型を含み得る。場合によっては、反応混合物が、第2のヌクレオチド型と比較して少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍多い第1のヌクレオチド型を含み得る。一例では、反応混合物が、それぞれが異なる濃度で存在する(例えば、50%の第1の型、25%の第2の型、20%の第3の型、および5%の第4の型)、4つの異なるカノニカル核酸塩基型を含む4つの異なるヌクレオチド型を含む。反応混合物の組成(例えば、各カノニカル塩基の相対濃度および/または相対同一性)が既知であってもよい。
【0093】
反応混合物のヌクレオチドは、可逆的に終結され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。例えば、反応混合物は、1つまたは複数のアデニン、グアニン、シトシン、およびチミンを含む可逆的に終結されたヌクレオチドを含み得る。特定の例では、反応混合物が、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミンを含む可逆的に終結されたヌクレオチドを含み得る。場合によっては、反応混合物の各ヌクレオチドが可逆的に終結され得る。場合によっては、反応混合物の異なるヌクレオチドが、異なる可逆的ターミネーターを含み得る。反応混合物のヌクレオチドは、任意の有用な可逆的ターミネーターを含み得る。場合によっては、照射を使用して、ヌクレオチドから可逆的ターミネーターを切断することができる。他の場合には、切断試薬を使用して、ヌクレオチドから可逆的ターミネーターを切断することができる。可逆的ターミネーターの除去後、そのブロッキング効果が無効になり得る。したがって、可逆的ターミネーターの除去は、(例えば、後続の反応混合物フローにおいて)追加のヌクレオチドを取り込むための取込み部位を提供し得る。反応混合物フローの完了後にアンブロッキングを実施することができる。場合によっては、洗浄フロー前にアンブロッキングを実施することもできる。場合によっては、アンブロッキング後に洗浄フローが続くことができる。例えば、サイクルの一部を実施することは、反応混合物フローを提供すること、第1の洗浄フローを提供すること(例えば、反応混合物の取り込まれていないヌクレオチドを除去するため)、取り込まれたヌクレオチドをアンブロッキングすること(例えば、切断試薬または照射を提供することを介して)、および第2の洗浄フローを提供すること(例えば、切断された可逆的ターミネーターを除去するため)を含み得る。
【0094】
第1の反応混合物などの反応混合物のヌクレオチドの全部または一部は、(例えば、本明細書に記載される)蛍光部分で標識され得る。場合によっては、反応混合物が、蛍光標識された、可逆的に終結されたヌクレオチドを含み得る。例えば、反応混合物は、それぞれ蛍光標識されると共に、可逆的に終結される2つの異なるカノニカル核酸塩基型を含む2つの異なるヌクレオチド型(例えば、アデニンおよびシトシン含有ヌクレオチドまたはアデニンおよびチミン含有ヌクレオチド)を含み得る。場合によっては、異なる型のヌクレオチドが異なる標識で標識され得る。場合によっては、異なる型のヌクレオチドが同じ標識で標識され得る。場合によっては、異なる型のヌクレオチドが同じ可逆的ターミネーターを含み得る。他の場合には、異なる型のヌクレオチドが、異なる可逆的ターミネーターを含み得る。別の例では、反応混合物が、それぞれ蛍光標識されると共に、可逆的に終結される4つの異なるカノニカル核酸塩基型を含む4つの異なるヌクレオチド型(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン含有ヌクレオチド)を含み得る。場合によっては、反応混合物のヌクレオチドの全部または一部が非標識であり得る。さらなる例では、第2の反応混合物などの反応混合物が、可逆的に終結されるが、蛍光標識されていない4つの異なるカノニカル核酸塩基型を含む4つの異なるヌクレオチド型(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン含有ヌクレオチド)を含み得る。場合によっては、反応混合物が、標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの混合物を含み得る。例えば、反応混合物は、カノニカル塩基型の標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチド(例えば、標識C塩基、非標識C塩基)の混合物を含み得る。別の例では、反応混合物が、第1のカノニカル塩基型の標識ヌクレオチド(例えば、標識A塩基)、第2のカノニカル塩基型の非標識ヌクレオチド(例えば、非標識G塩基)の混合物、および第3のカノニカル塩基型標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチド(例えば、T塩基)の混合物を含み得る。一例では、第1の反応混合物の第1のヌクレオチド型の第1のヌクレオチドの一部が標識され得、第1の反応混合物の第1のヌクレオチド型の第1のヌクレオチドの一部が非標識であり得る。例えば、第1の反応混合物の第1のヌクレオチド型の第1のヌクレオチドの約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満が標識され得る。場合によっては、第1の反応混合物の第1のヌクレオチド型の第1のヌクレオチドの少なくとも約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、または1%が標識され得る。
【0095】
蛍光標識されている反応混合物のヌクレオチドは、同じまたは異なる標識を含み得る。例えば、同じ反応混合物中の蛍光標識されたアデニン含有ヌクレオチドおよび蛍光標識されたシトシン含有ヌクレオチドは、同じまたは異なる蛍光標識を含み得る。反応混合物は、異なる塩基および同じ蛍光標識を有する2つ以上のヌクレオチドを含み得る。あるいは、反応混合物は、異なる塩基および異なる蛍光標識を有する2つ以上のヌクレオチドを含み得る。異なる蛍光標識は、異なる励起波長および/または発光波長を有し得る。場合によっては、異なる蛍光標識が電磁スペクトルの同様の領域で蛍光を発し得る。例えば、第1の蛍光標識は、緑色蛍光を発し得(例えば、約500~550nmの間)、第2の蛍光標識は、黄色蛍光を発し得る(例えば、約550nm~約625nmの間)。あるいは、異なる蛍光標識が電磁スペクトルの異なる領域で蛍光を発し得る。例えば、第1の蛍光標識は、緑色蛍光を発し得(例えば、約500~550nmの間)、第2の蛍光標識は、赤色蛍光を発し得る(例えば、約650nm~約750nmの間)。場合によっては、異なるヌクレオチド(例えば、異なる塩基型を含むヌクレオチド)に付着した同じ標識がわずかに異なる波長で蛍光を発し得る。例えば、第1の標識ヌクレオチドは、第1の波長で蛍光を発し得、第1の標識ヌクレオチドと同じ標識を含む第2の標識ヌクレオチドは、ヌクレオチドの他の特徴に基づいて、第1の波長と比較していくぶんシフト(例えば、アップシフトまたはダウンシフト)した第2の波長で蛍光を発し得る。場合によっては、異なるヌクレオチド(例えば、異なる塩基型を含むヌクレオチド)に付着した同じ標識が、実質的に同じ、または区別できない(例えば、波長の近接性および/または検出器の検出限界のために)波長で光学的に検出され得る。本明細書で使用される場合、「モノクロ」または「モノクロの」という用語は、標識が正確に同じ波長または同じ効率で蛍光を発するかどうかに関係なく、複数のカノニカル核酸塩基型を含む複数のヌクレオチド型が同じ蛍光標識を含むシステムを説明するために適用され得る。
【0096】
本明細書に記載される方法は、反応混合物への曝露からの複数の核酸分子(例えば、コロニー)への有効取込みパーセンテージが100%未満である、第1の型の反応を提供する。有効取込みパーセンテージは、核酸分子の集団において、カノニカル塩基型のヌクレオチドを取り込んだカノニカル塩基型の取込みに利用可能な取込み部位の数とカノニカル塩基型に利用可能な取込み部位の総数の比を指し得る。すなわち、第1の型の反応の最後に、複数の核酸分子(例えば、コロニー)における利用可能な取込み部位の総数よりも少ない数が、ヌクレオチド(例えば、標識ヌクレオチド)を取り込んだ可能性がある。例えば、第1の型の反応の有効取込みパーセンテージは、最大で約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%であり得る。場合によっては、第1の型の反応の有効取込みパーセンテージが、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上であり得る。場合によっては、第1の型の反応の有効取込みパーセンテージが、少なくとも、取り込まれたヌクレオチドの少なくともサブセットが標識されている、複数の核酸分子から検出可能なシグナルを生成するのに十分な比であり得る。場合によっては、第1の型の反応が、第1の条件セット下で行われ得、(本明細書の他の場所で記載される)第2の型の反応が、第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で行われ得る。場合によっては、100%未満の有効取込みパーセンテージが、複数の核酸分子への反応混合物のインキュベーション時間を短縮すること、および/または(例えば、マグネシウム、マンガン、および/またはストロンチウムレベル、酵素レベル等を調整することにより)減速(または律速)条件を提供することなど、第1の型の反応の反応条件を調節または最適化することによって達成され得る。例えば、二価カチオンおよび/または多価カチオンの任意の組み合わせを使用すること、ならびに/あるいはそれらの相対濃度を調整して、取込みを阻害し、有効取込み速度を減速することができる。一例では、ストロンチウムなどの陽イオンの濃度を増加させる、および/または他のイオン(例えば、マグネシウム、マンガン等)に置換して置き換えて、有効取込み速度を低下させることができる。あるいは、またはさらに、マンガンおよび/またはマグネシウムなどの陽イオンの濃度を低下(または省略)して、有効取込み速度を低下させることができる。逆(例えば、ストロンチウムの減少、マンガンまたはマグネシウムの増加等)は、必要に応じて有効取込み速度を増加させ得る。場合によっては、反応混合物中の異なるヌクレオチド型(標識ヌクレオチドを含む)の濃度または相対量が、反応条件に関して調節または最適化され得る。反応条件を、例えば、インキュベーション時間、ヌクレオチド濃度、温度、pHレベル、塩濃度、酵素濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、他の触媒濃度、クラウディングまたは粘度試薬濃度、反応混合物の体積、反応混合物の(核酸分子への)分配速度、およびその他の因子を調整することによって、取込み速度を低下または増加させるよう調節することができる。反応条件は、反応混合物の組成(例えば、反応混合物中の元素の濃度)を指し得る。場合によっては、反応混合物中のヌクレオチドまたは他の試薬を修飾して、反応を減速することができる。場合によっては、第1の型の標識ヌクレオチドの有効取込み速度が、第1の型の非標識ヌクレオチドの有効取込み速度とは異なり得る。例えば、第1の型の標識ヌクレオチドの有効取込み速度は、第1の型の非標識ヌクレオチドの有効取込み速度よりも遅くなり得る(例えば、立体障害および他の速度論的考慮事項のために)。場合によっては、第1の型の反応の反応条件を調節して、取込み反応を最適化および促進して、100%の取込み速度に向けて完了させることができるが、反応速度論および/または100%近くで完了をずらす他の因子のために100%未満の取込み(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%等)をもたらすことができる。例えば、第1の型の反応条件は、反応混合物中に過剰量のヌクレオチドを提供すること、複数の核酸分子に対する反応混合物のインキュベーション時間を増加させること、および/または他の速度増加条件を提供すること(例えば、マグネシウム、マンガン、および/またはストロンチウム濃度、酵素濃度、塩濃度、pHレベル、クラウディングまたは粘度試薬濃度、温度等を調節することにより)を含み得る。
【0097】
本明細書に記載される方法は、有効取込みパーセンテージが約100%である第2の型の反応を提供する。すなわち、第2の型の反応の最後に、複数の核酸分子における全利用可能な取込み部位の実質的に全てがヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。場合によっては、約100%の有効取込みパーセンテージが、反応混合物中に過剰量のヌクレオチドを提供すること、複数の核酸分子に対する反応混合物のインキュベーション時間を増加させること、および/または第2の型の反応のために他の速度増加条件を提供すること(例えば、マグネシウム、マンガン、および/またはストロンチウムレベル、酵素のレベル等を調整することによって)によって達成され得る。反応条件を、例えば、インキュベーション時間、ヌクレオチド濃度、温度、pHレベル、塩濃度、酵素濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、他の触媒濃度、クラウディングまたは粘度試薬、反応体積、反応混合物の分配速度、およびその他の因子を調整することによって、調節することができる。
【0098】
反応混合物は、任意の有用な濃度または相対量のヌクレオチド型(例えば、様々なカノニカル塩基型を含むヌクレオチド)を含み得る。反応混合物中の所与のヌクレオチド型の濃度または相対量は、所与の数の核酸分子(例えば、支持体の検出領域などの支持体に付着した核酸分子;コロニー内の核酸分子等)と相関し得る。例えば、所与のヌクレオチド型の濃度または相対量は、全核酸分子の約5%に対応し得る。場合によっては、核酸分子が、それにハイブリダイズしたプライマー(例えば、配列決定プライマー)を有し得、ヌクレオチドの取込みを伴うプライマー伸長反応を受けることが可能であり得る。したがって、反応混合物中の所与のヌクレオチド型の濃度または相対量は、ヌクレオチドが(例えば、取込み部位が利用可能な複数の核酸分子に結合された配列に)取り込まれ得る所与の数の潜在的な位置に対応し得る。場合によっては、ヌクレオチド型が、核酸分子(例えば、支持体の検出領域などの、支持体に結合された核酸分子)の総数の100%未満に対応する濃度または相対量で反応混合物中に存在し得る。一定の場合には、ヌクレオチド型が、核酸分子の総数の約50%以下に対応する濃度または相対量で反応混合物中に存在し得る。例えば、ヌクレオチド型は、核酸分子の総数の約45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%以下、例えば核酸分子の総数の30%未満または20%未満に対応する濃度または相対量で反応混合物中に存在し得る。場合によっては、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、核酸分子の総数の10%以下に対応し得る。例えば、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量は、核酸分子の総数の約9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.5%以下に対応し得る。場合によっては、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、核酸分子の総数の約5%以下に対応し得る。あるいは、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、核酸分子の総数の約50%以上に対応し得る。例えば、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量は、核酸分子の総数の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%以上に対応し得る。場合によっては、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、核酸分子の総数の約70%以上に対応し得る。一定の場合には、反応混合物中のヌクレオチドの濃度または相対量は、核酸分子の総数の約100%以上に対応し得る。場合によっては、第1の反応混合物および第2の反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計が、核酸分子の総数の少なくとも約95%であり得る。あるいは、またはさらに、第1の反応混合物および第2の反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計は、核酸分子の総数の少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。あるいは、またはさらに、所与の配列決定サイクルにおいて核酸分子に導入される各反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計は、核酸分子の総数の少なくとも約95%であり得る。例えば、所与の配列決定サイクル中に核酸分子に導入される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上の反応混合物があり得る。あるいは、またはさらに、所与の配列決定サイクルにおいて核酸分子に導入される各反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計は、核酸分子の総数の少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。
【0099】
したがって、反応混合物中の所与のヌクレオチド型の濃度または相対量は、ヌクレオチドが(例えば、取込み部位が利用可能な複数の核酸分子に結合された配列に)取り込まれ得る所与の数の潜在的な位置に対応し得る。
【0100】
場合によっては、ヌクレオチド型が、対応する利用可能な取込み部位(例えば、所与のヌクレオチド型に利用可能な取込み部位)を有する核酸分子(例えば、支持体の検出領域などの、支持体に結合された核酸分子)の総数の100%未満に対応する濃度または相対量で反応混合物中に存在し得る。一定の場合には、ヌクレオチド型が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約50%以下に対応する濃度または相対量で反応混合物中に存在し得る。例えば、ヌクレオチド型は、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%以下、例えば対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の30%未満または20%未満に対応する濃度または相対量で反応混合物中に存在し得る。場合によっては、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の10%以下に対応し得る。例えば、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、または0.5%以下に対応し得る。場合によっては、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約5%以下に対応し得る。あるいは、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約50%以上に対応し得る。例えば、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量は、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%以上に対応し得る。場合によっては、反応混合物中のヌクレオチド型の濃度または相対量が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約70%以上に対応し得る。一定の場合には、反応混合物中のヌクレオチドの濃度または相対量が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の約100%以上に対応し得る。場合によっては、第1の反応混合物および第2の反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の少なくとも約95%であり得る。あるいは、またはさらに、第1の反応混合物および第2の反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計が、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。あるいは、またはさらに、所与の配列決定サイクルにおいて核酸分子に導入される各反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計は、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の少なくとも約95%であり得る。例えば、所与の配列決定サイクル中に核酸分子に導入される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上の反応混合物があり得る。あるいは、またはさらに、所与の配列決定サイクルにおいて核酸分子に導入される各反応混合物中のヌクレオチド型の相対量の合計は、対応する利用可能な取込み部位を有する核酸分子の総数の少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。
【0101】
反応混合物中の所与のヌクレオチド型の量は、所与のヌクレオチド型の取込み速度と相関し得る。例えば、反応混合物中の所与のヌクレオチド型の量は、所与のヌクレオチド型の遅い有効取込み速度を提供するように選択され得る。取込みが全ての利用可能な取込み部位で起こらないように、(例えば、本明細書に記載される)核酸分子の利用可能な取込み部位の数よりも少ない所与の型のヌクレオチドの数を提供することによって、遅い有効取込み速度を得ることができる。同様に、より迅速な有効取込み速度(および場合によっては完全な取込み)は、利用可能な取込み部位の数と同じかそれより多い所与の型のヌクレオチドの数を提供することによって達成され得る。迅速な有効取込み速度は、所与のヌクレオチド型のより利用可能な取込み部位への取込みをもたらし得る。場合によっては、迅速な有効取込み速度が、所与のヌクレオチド型の全ての利用可能な取込み部位への取込みをもたらさないことがある。一例では、第1の反応混合物が、所与のヌクレオチド型の遅い有効取込み速度を提供する量の所与のヌクレオチド型を含み、第2の反応混合物が、所与のヌクレオチド型のより迅速な有効取込み速度を提供する量の所与のヌクレオチド型を含む。よって、所与のヌクレオチド型は、核酸分子(例えば、支持体に付着した核酸分子)の利用可能な部位への部分的取込みを受け得る。
【0102】
反応混合物は、様々な成分を含み得る。例えば、反応混合物は、(例えば、本明細書に記載される)複数のヌクレオチド、ならびに複数のヌクレオチドのヌクレオチドを核酸鎖に取り込むことができる重合酵素を含み得る。反応混合物に含めるための重合酵素は、核酸分子(例えば、支持体に固定化された核酸分子)の利用可能な取込み部位への所与のヌクレオチド型の所望の取込み速度を提供するように選択され得る。例えば、ヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、遅い取込み速度を与える重合酵素が選択され得る。重合酵素は、異なるヌクレオチド型に異なる取込み速度を与え得る。例えば、重合酵素は、第1のヌクレオチド型に第1の取込み速度および第2のヌクレオチド型に第2の取込み速度を与え得、第2の取込み速度は、第1の取込み速度よりも大きくなり得る。同様に、重合酵素は、標識された第1の型のヌクレオチドに第1の取込み速度、および非標識の第1の型のヌクレオチドに第2の取込み速度を与え得、第1の取込み速度は、第2の取込み速度よりも大きくなり得る。反応混合物はまた、核酸分子(例えば、支持体に付着した核酸分子)との配列相補性を有するプライマー(例えば、プライミング配列)を含み得る。
【0103】
核酸分子(例えば、支持体に付着した核酸分子)を、同じであっても異なっていてもよい反応混合物の複数のフローと連続的に接触させることができる。例えば、核酸分子を、第1の濃度または相対量の第1のヌクレオチドセット(例えば、第1の複数のヌクレオチド)を含む第1の反応混合物と接触させることができる。その後、核酸分子を、第2の濃度または相対量の第2のヌクレオチドセット(例えば、第2の複数のヌクレオチド)を含む第2の反応混合物と接触させることができる。場合によっては、洗浄、イメージング、ならびに可逆的ターミネーターおよび/または蛍光標識の切断などの1つまたは複数の処理または検出ステップが、核酸分子を第1の反応混合物および第2の反応混合物に曝露する間に実施され得る。第1の反応混合物および第2の反応混合物は、同じであっても異なっていてもよい。第1の反応混合物および第2の反応混合物の第1のヌクレオチドセットおよび第2のヌクレオチドセットは、それぞれ、同じまたは異なるヌクレオチド型を含み得る。例えば、第1のヌクレオチドセットと第2のヌクレオチドセットの両方が、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン含有ヌクレオチドを含み得る。別の例では、第1のヌクレオチドセットが、アデニンおよびシトシン含有ヌクレオチドを含み得、第2のヌクレオチドセットが、アデニンおよびチミン含有ヌクレオチドを含み得る。例えば、第1の反応混合物は、第1のヌクレオチド型である第1の複数のヌクレオチドおよび第2のヌクレオチド型である第2の複数のヌクレオチドを含み得る。第2の反応混合物は、第1のヌクレオチド型および第2のヌクレオチド型と同じまたは異なる第3の複数のヌクレオチドを含み得る。第1の反応混合物および第2の反応混合物のヌクレオチドの相対量または濃度は、同じであっても異なっていてもよい。第1の反応混合物は、第1の濃度または相対量の所与のヌクレオチド型(例えば、アデニン含有ヌクレオチド)を含み得、第2の反応混合物は、第1の濃度または相対量よりも高いまたは低い第2の濃度または相対量の所与のヌクレオチド型(例えば、アデニン含有ヌクレオチド)を含み得る。例えば、第1の反応混合物は、第1の濃度または相対量(例えば、核酸分子の総数の50%以下に対応する)の、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン含有ヌクレオチドの2つ以上などの少なくとも2つの異なる型のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物は、第1の濃度または相対量よりも高い第2の濃度または相対量(例えば、核酸分子の総数の50%超に対応する)の、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン含有ヌクレオチドの2つ以上などの少なくとも2つの異なる型のヌクレオチド(例えば、2つ、3つ、または4つの異なる型のヌクレオチド)を含み得る。場合によっては、第1の反応混合物および第2の反応混合物が、同じまたは同様の濃度または相対量の所与のヌクレオチド型を含み得る。このような場合、第1の反応混合物が、所与のヌクレオチド型の遅い取込み速度を提供する第1の重合酵素を含み得、第2の反応混合物が、所与のヌクレオチド型のより迅速な取込み速度を提供する第2の重合酵素を含み得る。場合によっては、核酸分子を、第3の濃度または相対量の第3のヌクレオチドセットを含む第3の反応混合物と接触させることができる。第3のヌクレオチドセットは、同じまたは異なる濃度または相対量の第1のヌクレオチドセットおよび第2のヌクレオチドセットと同じまたは異なるヌクレオチドを含み得る。第3の反応混合物は、第1の重合酵素および第2の重合酵素と同じであっても異なっていてもよい第3の重合酵素を含み得る。
【0104】
核酸分子(例えば、支持体に固定化された核酸分子)を、複数のヌクレオチドのヌクレオチドを核酸分子の全てまたはサブセットに相補的な配列(例えば、利用可能な取込み部位を有する配列)に取り込むのに十分な条件下で、複数のヌクレオチドを含む反応混合物と接触させることができる。条件は、特定の温度、pH、および/または塩濃度あるいはこれらの範囲を含み得る。場合によっては、条件が、複数のヌクレオチドまたはそのサブセットの取込み速度を調節するための1つまたは複数の試薬を含み得る。例えば、条件は、様々な濃度または相対量の金属イオン(例えば、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムイオン)を含み得る。異なる反応混合物に異なる条件を使用することができる。例えば、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物を、第1の条件セット下で核酸分子と接触させることができ、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物を、第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で核酸分子と接触させることができる。例えば、第1の条件セットおよび第2の条件セットは、異なる温度、pH、塩濃度、および/または試薬を含み得る。異なる条件の使用は、(例えば、本明細書に記載される)ヌクレオチドの取込み速度の調整を容易にし得る。
【0105】
反応混合物への曝露後、(例えば、支持体の検出領域に付着した)核酸分子からシグナルを検出することができる。例えば、検出領域内の(例えば、に固定化された)核酸分子をイメージングすることができる。検出領域から検出されたシグナルは、核酸分子に結合された配列へのヌクレオチドの取込みを示し得る。場合によっては、シグナルが、複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、または導電率の変化に対応し得る。他の場合には、シグナルが、光シグナルであり得、検出(例えば、イメージング)が、光学的検出スキームを使用して実施され得る。場合によっては、蛍光標識ヌクレオチドが反応混合物に含まれ、プライマー伸長反応においてポリメラーゼによって(例えば、検出領域に固定化された核酸分子に結合された配列の)核酸分子の成長中の鎖に取り込まれる。取り込まれなかったヌクレオチドは、(例えば、本明細書に記載される)イメージングの前に核酸分子から洗い流され得る。光学的検出スキームは、検出領域内の核酸分子を励起源に曝露し、その後の発光を測定することを含み得る。発光(例えば、所与の波長または波長範囲で)は、固定化された核酸分子に結合された配列に取り込まれた標識ヌクレオチドの存在を示し得る。配列への異なるヌクレオチド(例えば、反応混合物からの異なる型のヌクレオチド)の取込みを示す検出領域からのシグナルを検出することができる。場合によっては、シグナルがバイナリ(例えば、0、1)であり、標識されたカノニカル塩基型を区別することなく、任意の蛍光標識塩基の取込み(またはその欠如)を示し得る。このようなバイナリシグナルは、光シグナルの強度(波長の代替として)から測定され得る。他の場合には、複数の異なる蛍光標識ヌクレオチドを取り込むことができ、イメージングが、核酸分子を複数の異なる励起波長に曝露し、各別個の励起の発光を測定することを伴い得る。他の場合には、励起が一度に複数の波長にわたって提供され得、そして異なる蛍光標識ヌクレオチドからの発光が同時に測定され得る。カメラまたは電荷結合デバイスもしくは相補型金属酸化物半導体デバイスなどの他の光検出器を使用して、核酸分子へのヌクレオチドの取込みを検出することができる。複数の反応混合物を核酸分子と接触させる場合、核酸分子を1つまたは複数の反応混合物に曝露した後、核酸分子を含む検出領域からシグナルを検出することができる。例えば、イメージングは、核酸分子を第1の反応混合物(例えば、標識ヌクレオチドを含む第1の反応混合物)に曝露した後に実施することができるが、第2の反応混合物(例えば、標識ヌクレオチドを含まない第2の反応混合物)に曝露した後には実施することができない。別の例では、イメージングが、核酸分子を第1の反応混合物および第2の反応混合物(例えば、標識ヌクレオチドを含む第1の反応混合物および第2の反応混合物)に曝露した後に実施することができるが、第3の反応混合物(例えば、標識ヌクレオチドを含まない第3の反応混合物)に曝露した後には実施することができない。イメージングは、シーケンシング・バイ・シンセシス(sequencing-by-synthesis)分析を容易にし得る。
【0106】
反応混合物への曝露および核酸分子へのヌクレオチドの取込み後、もしあれば、可逆的ターミネーターを、取り込まれたヌクレオチドから除去することができる。場合によっては、照射を使用して、ヌクレオチドから可逆的ターミネーターを切断することができる。他の場合には、切断試薬を使用することができる(例えば、本明細書に記載される、洗浄フローまたは切断フローで)。ヌクレオチドに可逆的ターミネーターを含めることにより、成長中の核酸鎖へのヌクレオチドの取込みに続いて、他のヌクレオチドが取り込まれることが確実にブロックされる。このようにして、核酸鎖の成長を制御することができ、蛍光標識ヌクレオチドの場合、所与のヌクレオチドの取込みを検出することができる。場合によっては、第1の反応混合物と第2の反応混合物の両方(および使用する場合は後続の反応混合物)のヌクレオチドを可逆的に終結することができる。場合によっては、各反応混合物を固定化された核酸分子と接触させた後、可逆的ターミネーターを除去することができる。他の場合には、2つ以上の反応混合物を固定化された核酸分子と接触させた後、例えば、(例えば、本明細書に記載される)配列決定サイクルの完了後に可逆的ターミネーターを除去することができる。あるいは、反応混合物が非終結ヌクレオチドを含み得、ブロッキング基の切断が次の取込みに進む前に必要とされない。
【0107】
ヌクレオチドの蛍光標識は、イメージング後に除去することもできる。場合によっては、蛍光標識と可逆的ターミネーターを、取り込まれたヌクレオチドから同時に除去することができる。場合によっては、照射を使用して、ヌクレオチドから蛍光標識を切断することができる(例えば、可逆的ターミネーターが除去されると同時に)。ヌクレオチドの取込みに続いてヌクレオチドの蛍光標識を除去することによって、後続の標識ヌクレオチドの取込みの検出が容易になり得る。
【0108】
蛍光標識ヌクレオチドを用いた配列決定は、ヌクレオチドからの蛍光標識(例えば、色素部分)の切断後に瘢痕の形成をもたらし得る。例えば、アルキルまたはヒドロキシル部分などの化学残基が、蛍光部分または他の検出可能な標識の切断後に残る可能性がある。瘢痕は、例えば、読み取り長を制限することによって、配列決定に悪影響を与えるおそれがある。本明細書に記載される方法は、検出領域上のコロニー内の核酸分子鎖(例えば、DNA鎖)のごく一部のみを蛍光標識ヌクレオチドで標識し、検出領域内の核酸分子の大部分を標識しないままにする、よって、瘢痕によって損傷を受けないままにすることを伴い得る。標識ヌクレオチドのごく一部に非標識ヌクレオチドを混合すると、統計学的に、瘢痕(例えば、同位相と位相外の瘢痕の両方)が互いに遠く離され、よって、配列決定品質に対する影響が小さくなるので、「瘢痕」の問題を克服することができる。しかしながら、取り込まれる標識ヌクレオチドの比は、特定の配列の関数として変化し得る。そのため、検出される輝度が変化する。この現象は、「コンテキスト依存性」と呼ばれ得る。場合によっては、非終結ヌクレオチドを使用すると、コンテキスト依存性により、異なる長さのホモポリマー間の差異を区別することが困難になり得る。他の場合には、同じカノニカル塩基型(単一フローサイクルで取り込むことができる)の連続塩基を含む配列を特定することができるように、1つまたは複数の学習されたアルゴリズムがコンテキスト依存性を解決できる可能性もある。
【0109】
標識ヌクレオチドの割合が少ないという利点を維持しながらコンテキスト依存性の課題を克服するために、(例えば、第1の反応混合物中の)標識ヌクレオチドを、鎖(例えば、核酸分子の所与のコロニーの鎖)のごく一部のみが蛍光標識ヌクレオチドで伸長され得るような条件下で、核酸分子(例えば、検出器に付着した核酸分子)のセットと接触させることができる。例えば、これは、ごく少量の標識ヌクレオチドのみを核酸分子のセットに導入することによって達成することができる(例えば、単独で、または非標識ヌクレオチドの大部分との混合物で)。別の例では、例えば核酸分子のセットに対する反応混合物のインキュベーション時間を変化させること、および/または1つもしくは複数の金属イオン(例えば、マグネシウム、ストロンチウム、マンガン等)の濃度を変化させることによって、反応条件を調節して、核酸分子のセットに対してごく少量の標識ヌクレオチドのみが取り込まれることを可能にすることができる。標識ヌクレオチドの取込みに続いて、プライマー伸長反応が、鎖の大部分が伸長されないままで、減速および/または停止する(または停止もしくは減速させられる)。場合によっては、可逆的に終結したヌクレオチドを使用することによって、伸長を受けている鎖の一部の所与の鎖に単一塩基のみを取り込むことができる。他の場合には、非終結ヌクレオチドを使用し、伸長を受けている鎖の一部の所与の鎖に複数の塩基を取り込むことができる。コロニーを照合(例えば、イメージング)して、(例えば、本明細書に記載される)取込みイベントを検出することができる。検出後、残りの伸長されていない鎖(例えば、核酸分子の所与のコロニーの鎖)が、過剰の非標識の可逆的に終結したヌクレオチドで伸長され得る(例えば、第2の反応混合物において)。標識(例えば、蛍光標識)は、検出後(例えば、過剰の非標識ヌクレオチドの取込みの前または後に)、取り込まれたヌクレオチドから除去され得る。可逆的ターミネーターを、もしあれば、取り込まれたヌクレオチドから同時にまたはその後に除去して、切断イベントからの瘢痕を保持しない大部分の鎖を得ることができる。このプロセスを1回または複数回繰り返して、一度に1塩基ずつ鎖を伸長させることができる。
【0110】
場合によっては、上記の伸長プロセスの最初の数サイクルを使用して、付加するヌクレオチドの量またはインキュベーション時間の持続時間を較正して、試薬が所望のシグナルレベル(例えば、輝度)を達成できるようにすることができる。シグナルレベルは、標識ヌクレオチドを取り込んだ鎖の割合に対応し得る。較正は、低濃度から高濃度のヌクレオチド(例えば、標識ヌクレオチド)を流し、各フローの後にイメージングするか、または極めて低濃度を使用して複数のフロープロセスを実施することによって達成され得る。同様に、いくつかの短い取込みステップを使用して、有効な取込みにどれくらいの時間が必要となり得るかを決定することができる。このような較正手順は、目的の重要な配列を含む鎖または核酸分子の場合に特に有用であり得る。
【0111】
場合によっては、核酸配列特定のための方法が、検出領域に固定化された複数の核酸分子を提供することを含み、複数の核酸分子は鋳型核酸分子と配列相同性を有する。次いで、複数の核酸分子を、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを複数の核酸分子の第1のサブセットと相補的な第1の配列に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることができ、第1のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第1のサブセットにわたる所与の開放位置で第1の配列に取り込まれる。第1の複数のヌクレオチドは標識され得る。条件は、例えば、第1の複数のヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含み得る。例えば、条件は、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量を変化させること、ならびに/あるいは複数の核酸分子に対する第1の反応混合物のインキュベーション時間を変化させることを含み得る。次いで、複数の核酸分子を、第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを第1のサブセットとは異なる複数の核酸分子の第2のサブセットと相補的な第2の配列に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることができ、第2のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第2のサブセットにわたる所与の開放位置で第2の配列に取り込まれる。第2の複数のヌクレオチドは非標識であり得る。あるいは、第2の複数のヌクレオチドは標識され得る。第1の複数のヌクレオチドと第2の複数のヌクレオチドの両方が標識される場合、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドは、励起時に実質的に同じ周波数または色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識され得る。場合によっては、複数の核酸分子の第2のサブセットが、複数の核酸分子の第1のサブセットよりも多数の核酸分子を含み得る。他の例では、複数の核酸分子の第1のサブセットが、複数の核酸分子の第2のサブセットよりも多数の核酸分子を含み得る。次いで、複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の配列に取り込まれた第1のヌクレオチドに対応する、検出領域から検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することができる。シグナルは光シグナルであり得る。あるいは、シグナルは、複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、または導電率の変化に対応し得る。場合によっては、本方法が、検出領域からのシグナルを検出することをさらに含む。シグナルは、第1の反応混合物を提供した後に検出され得る。あるいはまたはさらに、シグナルは、第2の反応混合物を提供する前に検出され得る
【0112】
場合によっては、複数の核酸分子の第1のサブセットが、複数の核酸分子の第2のサブセットよりも多数の核酸分子を含み得る。例えば、第1の反応混合物のヌクレオチドが取り込まれる第1の配列の第1の相対量は、約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上に対応し得る。場合によっては、複数の核酸分子の第2のサブセットが、複数の核酸分子の第1のサブセットよりも多数の核酸分子を含み得る。例えば、第1の反応混合物のヌクレオチドが取り込まれる第1の配列の第1の相対量は、複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以下に対応し得る。例えば、第1の相対量は、複数の核酸分子の個々の核酸分子の30%、20%、10%、または5%以下に対応し得る。第2の反応混合物のヌクレオチドが取り込まれる第2の配列の第2の相対量は、前記複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以上に対応し得る。例えば、第2の相対量は、複数の核酸分子の個々の核酸分子の70%以上または90%以上に対応し得る。場合によっては、第1の相対量と第2の相対量の合計が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の90%以上に対応し得る。
【0113】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび/または第2の複数のヌクレオチドが、可逆的に終結され得る。本方法は、検出領域からのシグナルを検出した後、(例えば、本明細書に記載される)第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの可逆的ターミネーターを除去することをさらに含み得る。第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドは、それらの3’末端にブロッキング基を含み得る。第1のヌクレオチドの3’末端は標識を含み得る。
【0114】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドが、複数の検出可能な部分で標識され、第1の反応混合物を複数の核酸分子に提供した後、複数の検出可能な部分が除去され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。
【0115】
第1の反応混合物の第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドは、第1の取込み速度で取り込まれ得、第2の反応混合物の第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドは、第2の取込み速度で取り込まれ得る。第2の取込み速度は、第1の取込み速度よりも大きくてもよい。あるいは、第1の取込み速度は、第2の取込み速度よりも大きくてもよい。
【0116】
場合によっては、第1の反応混合物が、標識されている第3の複数のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドが、異なる型のものであり(例えば、異なる核酸塩基を含み)、本方法が、複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の配列に取り込まれた第3の複数のヌクレオチドの第3のヌクレオチドに対応する検出からのシグナルを検出することをさらに含み得る。一例では、第1の複数のヌクレオチドが、アデニン核酸塩基(A)を含み得、第3の複数のヌクレオチドが、チミン核酸塩基(T)を含み得、結果として、第1の反応混合物が、A塩基とT塩基の混合物を含む。第1の検出イベントにおいて、第1の検出は、利用可能な取込み部位でのAまたはTのいずれかの取込みを示すシグナルを検出し得る。次いで、複数の核酸分子を、標識された第4の複数のヌクレオチドおよび第5の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることができ、第5の複数のヌクレオチドは、第1の複数のヌクレオチドと同じ型のものである。これは、第4の複数のヌクレオチドの第4のヌクレオチドおよび第5の複数のヌクレオチドの第5のヌクレオチドを、複数の核酸分子の第3のサブセットに相補的な第3の配列に取り込むのに十分な条件下で実施され得、第1の複数のヌクレオチドまたは第4の複数のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第3のサブセットにわたる所与の開放位置で第3の配列に取り込まれる。第1、第3、および第4の複数のヌクレオチドは、異なる型のものであり得る。第4の複数のヌクレオチドおよび/または第5の複数のヌクレオチドは標識され得る。例えば、第4の複数のヌクレオチドおよび第5の複数のヌクレオチドは、励起時に実質的に同じ色または周波数の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識され得る。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ色または周波数の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識され得る。
【0117】
次いで、第2の検出イベントで、複数の核酸分子の第3のサブセットの第3の配列に取り込まれている第4の複数のヌクレオチドの第4のヌクレオチドおよび/または第5の複数のヌクレオチドの第5のヌクレオチドを示すシグナルが検出領域から検出され得る。上記の例で、第4の複数のヌクレオチドは、第3の反応混合物がAおよびC塩基を含むように、シトシン(C)を含み得る。この第2の検出は、AまたはCのいずれかの取込みを示すシグナルを検出し得る。第4の複数のヌクレオチドおよび/または第5の複数のヌクレオチドの全部または一部は、実質的に同様の周波数の光シグナルを生じる検出可能な部分で標識され得る。第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドは、実質的に同じ周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。例えば、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドは、同じ色の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。一例では、第1/第5(例えば、A塩基)、第3(例えば、T塩基)、および第4(例えば、C塩基)の複数のヌクレオチドが、実質的に同じ周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され、デジタル出力が、第2の検出と第1の検出との間の差異から計算されて、4つの塩基型のどれが配列内の所与の位置にあるかを決定することができる。例えば、両検出イベントで暗いシグナル(例えば、シグナルなし)が検出され、デジタル差が0である場合、デジタル出力は、G塩基の取込み(または、配列内の所与の位置がGであること)を示し得る。例えば、第1の検出イベントでシグナルが検出されないが、第2の検出イベントでシグナルが検出され、デジタル差が正の増加(例えば、+1)である場合、デジタル出力は、C塩基の取込み(または配列内の所与の位置がCであること)を示し得る。例えば、第1の検出イベントでシグナルが検出されるが、第2の検出イベントでシグナルの変化が検出されず、デジタル差が0である場合、デジタル出力は、T塩基の取込み(または配列内の所与の位置がTであること)を示し得る。例えば、第1の検出イベントでシグナルが検出され、第2の検出イベントでシグナルが増加し、デジタル差が正の増加(例えば、+1)である場合、デジタル出力は、A塩基の取込みを示し得る。場合によっては、第1の反応混合物が、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含み得る。例えば、第1の反応混合物は、4つの異なる型のヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第4のヌクレオチド型の第6の複数のヌクレオチド(例えば、グアニン塩基、Gを含むヌクレオチド)を含む追加の反応混合物(例えば、第4の反応混合物)も使用され得、第6の複数のヌクレオチドは非標識である。この追加の反応混合物は、取込み部位の全てまたは大部分が様々な反応混合物のうちの1つからのヌクレオチドを含む複数の配列に結合された複数の核酸分子を提供するための配列決定サイクルの完了を表し得る。
【0118】
場合によっては、第1の反応混合物が、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドが、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。一定の場合では、第1の反応混合物が、4つの異なる型のヌクレオチドを含み得る。少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドは、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。同様に、場合によっては、第2の反応混合物が、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチド、例えば少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドを含み得る。
【0119】
場合によっては、第1の反応混合物および/または第2の反応混合物が、重合酵素を含み得る。複数の核酸分子は、複数のプライマーを介して検出領域に固定化され得る。
【0120】
場合によっては、核酸配列特定のための方法が、検出領域に固定化された複数の核酸分子を提供することを含み、複数の核酸分子は鋳型核酸分子と配列相同性を有する。複数の核酸分子を、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを複数の核酸分子に相補的な複数の配列の第1のサブセットに取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させて、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが取り込まれていない複数の配列の第2のサブセットを提供することができる。第1の複数のヌクレオチドの少なくともサブセットは標識され得る。条件は、例えば、第1の複数のヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含み得る。例えば、条件は、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量を変化させること、ならびに/あるいは複数の核酸分子に対する第1の反応混合物のインキュベーション時間を変化させることを含み得る。次いで、複数の核酸分子を、第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを複数の配列の第2のサブセットに取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドと同じ型のものである第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることができる。第2の複数のヌクレオチドは非標識であり得る。あるいは、第2の複数のヌクレオチドの全部または一部が標識され得る。第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドは、励起時に実質的に同じ周波数および/または色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識され得る。
【0121】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび/または第2の複数のヌクレオチドが、可逆的に終結され得る。本方法は、検出領域からのシグナルを検出した後、(例えば、本明細書に記載される)第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの可逆的ターミネーターを除去することをさらに含み得る。第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドは、それらの3’末端にブロッキング基を含み得る。第1のヌクレオチドの3’末端は標識を含み得る。
【0122】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドが、複数の検出可能な部分で標識され、第1の反応混合物を複数の核酸分子に提供した後、複数の検出可能な部分が除去され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。
【0123】
複数の配列の第2のサブセットは、複数の配列の第1のサブセットよりも多数の配列を含み得る。
【0124】
第1の反応混合物の第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドは、第1の取込み速度で取り込まれ得、第2の反応混合物の第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドは、第2の取込み速度で取り込まれ得る。第2の取込み速度は、第1の取込み速度よりも大きくてもよい。あるいは、第1の取込み速度は、第2の取込み速度よりも大きくてもよい。
【0125】
第1の反応混合物は、少なくとも2つの異なる型のヌクレオチドを含み得、第1の複数のヌクレオチドは、前記第1の反応混合物中の少なくとも第3の複数のヌクレオチドの型とは異なる型のものであり得る。第1の反応混合物は、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含み得、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドは、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。場合によっては、第1の反応混合物が、4つの異なる型のヌクレオチドを含み得る。少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドは、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。同様に、第2の反応混合物は、少なくとも2つの異なる型のヌクレオチドを含み得、第2の複数のヌクレオチドは、前記第2の反応混合物中の少なくとも第4の複数のヌクレオチドの型とは異なる型のものであり得る。第2の反応混合物は、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含み得、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドは、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。場合によっては、第2の反応混合物が、4つの異なる型のヌクレオチドを含み得る。少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドは、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。
【0126】
第1の反応混合物または第2の反応混合物は、重合酵素を含み得る。複数の核酸分子は、複数のプライマーを介して検出領域に固定化され得る。
【0127】
次いで、複数の配列の第1のサブセットに取り込まれた第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドに対応する、検出領域から検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することができる。場合によっては、本方法が、第1の配列に取り込まれた第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを示す、検出領域からのシグナルを検出することをさらに含み得る。シグナルは、第2の反応混合物と複数の核酸分子の相互作用の前および/または後に検出され得る。シグナルは光シグナルであり得る。あるいは、シグナルは、複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、または導電率の変化に対応し得る。場合によっては、本方法が、検出領域からのシグナルを検出することをさらに含む。シグナルは、第1の反応混合物を提供した後に検出され得る。あるいはまたはさらに、シグナルは、第2の反応混合物を提供する前に検出され得る
【0128】
場合によっては、核酸特定のための方法が、第1の検出領域に固定化された第1の複数の核酸分子および第2の検出領域に固定化された第2の複数の核酸分子を、第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることを含み得る。第2の検出領域の第1の検出領域は、平面アレイ上にあり得る。第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドは、異なる型のものであり得る。第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドを、第1の複数の標識ヌクレオチドの第1のヌクレオチドまたは第2の複数の標識ヌクレオチドの第2のヌクレオチドを第1の複数の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズし、相補的な第1の配列および第2の複数の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズし、相補的な第2の配列に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数の核酸分子および第2の複数の核酸分子と接触させることができる。条件は、例えば、第1の複数のヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含み得る。例えば、条件は、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量を変化させること、ならびに/あるいは複数の核酸分子に対する第1の反応混合物のインキュベーション時間を変化させることを含み得る。第1の複数の核酸分子および第2の複数の核酸分子は、異なる鋳型核酸分子と配列相同性を有し得る。次いで、第1のシグナルセット(例えば、光シグナル、あるいは第1および/または第2の複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、または導電率の変化に対応するシグナル)を第1の検出領域および/または第2の検出領域から検出することができる。第1のシグナルセットは、第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの第1の配列および/または第2の配列への取込みを示し得る。次いで、第1の複数の核酸分子および第2の複数の核酸分子を、第3の複数の標識ヌクレオチドの第3のヌクレオチドおよび/または第4の複数の標識ヌクレオチドの第4のヌクレオチドを第1の複数の核酸分子の第2のサブセットにハイブリダイズし、相補的な第3の配列および/または第2の複数の核酸分子の第2のサブセットにハイブリダイズし、相補的な第4の配列に取り込むのに十分な条件下で、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることができる。第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドは、異なる型のものであり得る。第3の複数の標識ヌクレオチドは、第1の複数の標識ヌクレオチドまたは第2の複数の標識ヌクレオチドと同じ型のものであり得、第4の複数の標識ヌクレオチドは、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドとは異なる型のものであり得る。次いで、第2のシグナルセットを、第1の検出領域および/または第2の検出領域から検出することができる。第2のシグナルセットは、第3の複数の標識ヌクレオチドの第3のヌクレオチドおよび/または第4の複数の標識ヌクレオチドの第4のヌクレオチドの第3の配列および/または第4の配列への取込みを示し得る。少なくとも第1のシグナルセットおよび/または第2のシグナルセットを使用して、第1の複数の核酸分子または第2の複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することができる。第1のシグナルセットおよび第2のシグナルセットは、実質的にモノクロの光シグナルであり得る。第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドは、実質的に同じ色および/または周波数の第1のシグナルセットの光シグナルを生成する検出可能な部分を含み得る。同様に、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドもまた、実質的に同じ周波数および/または色の第2のシグナルセットの光シグナルを生成する検出可能な部分を含み得る。第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドに対応する周波数は、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドに対応する周波数と同じであっても異なっていてもよい。
【0129】
第1のヌクレオチドが取り込まれる第1の配列の第1の相対量および第2のヌクレオチドが取り込まれる第2の配列の第2の相対量は、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以下および第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以下に対応し得る。場合によっては、第1の相対量および第2の相対量が、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の30%以下(例えば、20%、10%、または5%)および第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の30%以下(例えば、20%、10%、または5%)に対応し得る。
【0130】
第1の反応混合物は、第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの第1の取込み速度を提供する第1の重合酵素を含み得、第2の反応混合物は、第3のヌクレオチドおよび/または第4のヌクレオチドの第2の取込み速度を提供する第2の重合酵素を含み、第1の取込み速度は第2の取込み速度よりも遅い。第2の配列に取り込まれる第2のヌクレオチドは、第1の配列に取り込まれる第1のヌクレオチドよりも多数のヌクレオチドを含み得る。第3の配列に取り込まれる第3のヌクレオチドは、第4の配列に取り込まれる第4のヌクレオチドよりも多数のヌクレオチドを含み得る。第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および第4の複数の標識ヌクレオチドは、可逆的に終結され得る。第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および第4の複数の標識ヌクレオチドのヌクレオチドは、それらの3’末端にブロッキング基を含み得る。3’末端は標識を含み得る。
【0131】
場合によっては、4つ未満のヌクレオチド型を含むフロー(例えば、反応混合物)を、複数の核酸分子と接触させることができる。例えば、4つのカノニカル塩基(アデニン、グアニン、シトシン、およびチミン)のサブセットのみを反応混合物に含めることができる。反応混合物に含まれるヌクレオチドの全てが、可逆的に終結され得る。Therminatorなどの酵素(例えば、重合酵素)は、ただ1つのヌクレオチド三リン酸型のみが取込みに利用可能である場合、可逆的に終結したヌクレオチドを誤って取り込むことが知られている。本明細書に記載される方法は、核酸分子(例えば、支持体に固定化された核酸分子に結合された配列)へのヌクレオチドの取込み速度を制御すること、および/またはインキュベーション時間を制御することによって、このエラーを最小化または回避し得る。取込み速度は、例えば、複数の核酸分子に対する反応混合物中の所与のヌクレオチドならびに(例えば、本明細書に記載される)使用のために選択された特定のヌクレオチドおよび重合酵素の濃度または量を介して制御され得る。取込みを遅らせることによって、誤取込み速度も遅くなる。典型的には、その全てが可逆的に終結しており、他のヌクレオチドが核酸分子と接触しない、標識アデニン含有ヌクレオチドと非標識アデニン含有ヌクレオチドの両方を含む反応混合物の場合、標識アデニン含有ヌクレオチドおよび非標識アデニン含有ヌクレオチドの誤取込みは有限速度で起こる。例えば、誤取込みは、正しいヌクレオチドの取込み速度の1/20で起こり得る。正しいヌクレオチドは極めて速い速度で取り込まれ、100%完了した瞬間に反応を停止するのは困難であり得るので、誤取込みイベントが測定可能である。本開示の方法では、正しいヌクレオチドの取込みが、核酸分子(例えば、支持体に固定化された鋳型核酸分子)の数と比較して所与の反応混合物中のヌクレオチドの濃度が低いために、例えば、通常の速度の1/100に減速し得る。したがって、取込み反応は、例えば、20%完了で停止され得、結果として誤取込み速度が、例えば、正しいヌクレオチドの取込み速度の1/2000に減速し得る。誤取込みイベントは、このような低い速度ではもはや検出不能であり得る。したがって、本明細書に記載される方法は、通常の誤取込みなしに、4つのカノニカル塩基のサブセットのみを含むフローの使用を容易にし得る。
【0132】
(a)検出領域に固定化された複数の核酸分子を提供し、複数の核酸分子は、鋳型配列を含む鋳型核酸分子と配列相同性を有する、ことと;(b)複数の核酸分子を、複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の配列に第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させ、第1のヌクレオチドは複数の核酸分子の第1のサブセットにわたる鋳型配列の所与の開放位置で第1の配列に取り込まれ、第1の複数のヌクレオチドは標識されている、ことと;(c)(b)の後に、複数の核酸分子を、複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の配列に第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させ、複数の核酸分子の第2のサブセットは複数の核酸分子の第1のサブセットとは異なり、第2のヌクレオチドは複数の核酸分子の第2のサブセットにわたる鋳型配列の所与の開放位置で第2の配列に取り込まれる、ことと;(d)第1の配列に取り込まれた第1のヌクレオチドに対応する、検出領域から検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することとを含む、核酸配列特定のための方法が本明細書で提供される。
【0133】
場合によっては、本方法が、複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の配列に取り込まれた第1のヌクレオチドに対応する、検出領域からのシグナルを検出することをさらに含む。場合によっては、シグナルが(c)の前に検出される。場合によっては、シグナルが(b)の後に検出される。場合によっては、シグナルが(c)の前に検出される。
【0134】
場合によっては、複数の核酸分子の第2のサブセットが、複数の核酸分子の第1のサブセットよりも多数の核酸分子を含む。
【0135】
場合によっては、第1の反応混合物の第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが、第1の取込み速度で取り込まれ、第2の反応混合物の第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドが、第1の取込み速度よりも大きい第2の取込み速度で取り込まれる。
【0136】
場合によっては、第1の反応混合物の第1のヌクレオチドが取り込まれる第1の配列の第1の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の30%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の20%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の10%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の5%以下に対応する。場合によっては、第2の反応混合物の第2のヌクレオチドが取り込まれる第2の配列の第2の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以上に対応する。場合によっては、第2の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の70%以上に対応する。場合によっては、第2の相対量が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の90%以上に対応する。場合によっては、第1の相対量と第2の相対量の合計が、複数の核酸分子の個々の核酸分子の90%以上に対応する。
【0137】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび/または第2の複数のヌクレオチドが、可逆的に終結されている。場合によっては、本方法が、(d)の後に、第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの可逆的ターミネーターを除去することをさらに含む。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、可逆的に終結されている。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが、それらの3’末端にブロッキング基を含む。場合によっては、第1のヌクレオチドの3’末端が標識を含む。
【0138】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドが複数の検出可能な部分で標識され、(b)の後に、複数の検出可能な部分が除去される。
【0139】
場合によっては、(i)(b)が、第1の反応混合物を第2の複数の核酸分子と接触させることを含み、第2の複数の核酸分子が、第2の鋳型核酸分子と配列相同性を有し、第2の鋳型核酸分子が第2の鋳型配列を含み;(ii)第1の反応混合物が、標識された第3の複数のヌクレオチドを含み、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドが異なる型のものであり;(iii)(b)の条件が、第3の複数のヌクレオチドの第3のヌクレオチドを、第2の複数の核酸分子の第3のサブセットに結合された第3の配列に取り込むのに十分であり、第3のヌクレオチドが、第2の複数の核酸分子の第3のサブセットにわたる第2の鋳型配列の所与の開放位置で第3の配列に取り込まれ;(iv)本方法が、第1の配列に取り込まれた第1のヌクレオチドおよび第3の配列に取り込まれた第3のヌクレオチドに対応するシグナルを検出することをさらに含む。
【0140】
場合によっては、本方法が、(i)第3の複数の核酸分子を提供し、第3の複数の核酸分子は、第3の鋳型配列を含む第3の鋳型核酸分子と配列相同性を有する、ことと;(ii)(c)の前に、複数の核酸分子、第2の複数の核酸分子、および第3の複数の核酸分子を、複数の核酸分子の第4のサブセットに結合された第4の配列に第4の複数のヌクレオチドの第4のヌクレオチドを取り込むのに十分な、および第5の複数のヌクレオチドの第5のヌクレオチドを、第3の複数の核酸分子の第5のサブセットに結合された第5の配列に取り込むのに十分な条件下で、標識されている第4の複数のヌクレオチドおよび標識されている第5の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させ、第1のヌクレオチドおよび第4のヌクレオチドは同じ型のものであり、第1、第3および第5の複数のヌクレオチドは異なる型のものであり、第4のヌクレオチドは複数の核酸分子の第4のサブセットにわたる鋳型配列の所与の開放位置で第4の配列に取り込まれ、第5のヌクレオチドは第3の複数の核酸分子の第5のサブセットにわたる第3の鋳型配列の所与の開放位置で第5の配列に取り込まれる、ことと;(iii)第4の配列に取り込まれた第4のヌクレオチドおよび第5の配列に取り込まれた第5のヌクレオチドに対応するシグナルを検出することとをさらに含む。場合によっては、第4の複数のヌクレオチドおよび第5の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドが、励起時に同じ色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の反応混合物が、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドが、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の反応混合物が、4つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドが、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識される。
【0141】
場合によっては、第2の反応混合物が、少なくとも2つの異なる型のヌクレオチドを含み、第2の複数のヌクレオチドが、第2の反応混合物中の少なくとも第3の複数のヌクレオチドの型とは異なる型のものである。場合によっては、第2の反応混合物が、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、第2の反応混合物が、4つの異なる型のヌクレオチドを含む。
【0142】
場合によっては、第1の反応混合物または第2の反応混合物が、重合酵素を含む。場合によっては、複数の核酸分子が、複数のプライマーを介して検出領域に固定化される。
【0143】
場合によっては、シグナルが光シグナルである。場合によっては、シグナルが、複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、または導電率の変化に対応する。
【0144】
場合によっては、(b)の条件が、第1の複数のヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含む。場合によっては、(b)の条件が、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量を変化させること、ならびに/あるいは複数の核酸分子に対する第1の反応混合物のインキュベーション時間を変化させることを含む。
【0145】
場合によっては、第2の複数のヌクレオチドが非標識である。
【0146】
場合によっては、第2の複数のヌクレオチドが標識されている。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、励起時に同じ色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。
【0147】
場合によっては、(d)が、実質的に異なる周波数の光シグナルに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドの間のように、複数の核酸分子の核酸塩基の型を特定することを含む。
【0148】
(a)検出領域に固定化された複数の核酸分子を提供し、複数の核酸分子は、鋳型核酸分子と配列相同性を有する、ことと;(b)複数の核酸分子を、複数の核酸分子にハイブリダイズした複数の配列の第1のサブセットに第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させて、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが取り込まれていない複数の配列の第2のサブセットを提供し、第1の複数のヌクレオチドの少なくともサブセットは標識されている、ことと;(c)(b)の後に、複数の核酸分子を、複数の配列の第2のサブセットに第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドと同じ型のものである第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることと;(d)複数の配列の第1のサブセットに取り込まれた第1のヌクレオチドに対応する、検出領域から検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することとを含む、核酸配列特定のための方法が本明細書でさらに提供される。
【0149】
場合によっては、本方法が、複数の配列の第1のサブセットに取り込まれた第1のヌクレオチドに対応する、検出領域からのシグナルを検出することをさらに含む。場合によっては、シグナルが(c)の前に検出される。場合によっては、シグナルが(b)の後に検出される。場合によっては、シグナルが(c)の前に検出される。
【0150】
場合によっては、(b)の条件が、第1の複数のヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含む。場合によっては、(b)の条件が、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量、ならびに/あるいは複数の核酸分子に対する第1の反応混合物の曝露時間を変化させることを含む。
【0151】
場合によっては、第2の複数のヌクレオチドが非標識である。
【0152】
場合によっては、第2の複数のヌクレオチドが標識されている。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、励起時に同じ色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。
【0153】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび/または第2の複数のヌクレオチドが、可逆的に終結されている。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドの少なくともサブセットの第1のヌクレオチドが、それらの3’末端にブロッキング基を含む。場合によっては、第1のヌクレオチドの3’末端が標識を含む。場合によっては、本方法が、(d)の後に、第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの可逆的ターミネーターを除去することをさらに含む。
【0154】
場合によっては、複数の配列の第2のサブセットが、複数の配列の第1のサブセットよりも多数の配列を含む。
【0155】
場合によっては、第1の反応混合物の第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが、第1の取込み速度で取り込まれ、第2の反応混合物の第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドが、第1の取込み速度よりも大きい第2の取込み速度で取り込まれる。
【0156】
場合によっては、第1の反応混合物が、少なくとも2つの異なる型のヌクレオチドを含み、第1の複数のヌクレオチドが、第1の反応混合物中の少なくとも第3の複数のヌクレオチドの型とは異なる型のものである。場合によっては、第1の反応混合物が、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドが、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の反応混合物が、4つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドが、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識される。
【0157】
場合によっては、第2の反応混合物が、少なくとも2つの異なる型のヌクレオチドを含み、第2の複数のヌクレオチドが、第2の反応混合物中の少なくとも第4の複数のヌクレオチドの型とは異なる型のものである。場合によっては、第2の反応混合物が、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、少なくとも3つの異なる型のヌクレオチドが、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識される。場合によっては、第2の反応混合物が、4つの異なる型のヌクレオチドを含む。場合によっては、少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドが、実質的に異なる周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識される。
【0158】
場合によっては、第1の反応混合物または第2の反応混合物が、重合酵素を含む。場合によっては、複数の核酸分子が、複数のプライマーを介して検出領域に固定化される。
【0159】
場合によっては、シグナルが光シグナルである。場合によっては、シグナルが、複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、または導電率の変化に対応する。
【0160】
場合によっては、(d)が、実質的に異なる周波数の光シグナルに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも4つの異なる型のヌクレオチドの間のように、複数の核酸分子の核酸塩基の型を特定することを含む。
【0161】
(a)第1の検出領域に固定化された第1の複数の核酸分子および第2の検出領域に固定化された第2の複数の核酸分子を、第1の複数の標識ヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび/または第2の複数の標識ヌクレオチドの第2のヌクレオチドを(i)第1の複数の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズした第1の配列および/または(ii)第2の複数の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズした第2の配列に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させ、第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドは異なる型のものであり、第1の複数の核酸分子および第2の複数の核酸分子は、異なる鋳型核酸分子と配列相同性を有する、ことと;(b)第1の検出領域および/または第2の検出領域からの第1のシグナルセットを検出し、第1のシグナルセットは、第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの第1の配列および/または第2の配列への取込みを示す、ことと、(c)第1の複数の核酸分子および第2の複数の核酸分子を、第3の複数の標識ヌクレオチドの第3のヌクレオチドおよび/または第4の複数の標識ヌクレオチドの第4のヌクレオチドを第1の複数の核酸分子の第2のサブセットにハイブリダイズした第3の配列および/または第2の複数の核酸分子の第2のサブセットにハイブリダイズした第4の配列に取り込むのに十分な条件下で、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させ、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドは異なる型のものであり、第3の複数の標識ヌクレオチドは第1の複数の標識ヌクレオチドまたは第2の複数の標識ヌクレオチドと同じ型のものであり、第4の複数の標識ヌクレオチドは第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドとは異なる型のものである、ことと;(d)第1の検出領域および/または第2の検出領域からの第2のシグナルセットを検出し、第2のシグナルセットは、第3のヌクレオチドおよび/または第4のヌクレオチドの第3の配列および/または第4の配列への取込みを示す、ことと;(e)少なくとも第1のシグナルセットおよび第2のシグナルセットを使用して、第1の複数の核酸分子または第2の複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することとを含む、核酸分子特定のための方法が本明細書でさらに提供される。
【0162】
場合によっては、第1の検出領域または第2の検出領域が、平面アレイ上にある。場合によっては、第1のシグナルセットおよび第2のシグナルセットが、実質的にモノクロの光シグナルである。場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドが、実質的に同じ周波数の第1のシグナルセットの光シグナルを生成する検出可能な部分を含む。場合によっては、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドが、実質的に同じ周波数の第2のシグナルセットの光シグナルを生成する検出可能な部分を含む。
【0163】
場合によっては、第1のシグナルセットまたは第2のシグナルセットが光シグナルである。場合によっては、第1のシグナルセットまたは第2のシグナルセットが、第1の複数の核酸分子または第2の複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、または導電率の変化に対応する。
【0164】
場合によっては、第1のヌクレオチドが取り込まれる第1の配列の第1の相対量および第2のヌクレオチドが取り込まれる第2の配列の第2の相対量が、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以下および第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の50%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量および第2の相対量が、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の30%以下および第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の30%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量および第2の相対量が、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の20%以下および第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の20%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量および第2の相対量が、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の10%以下および第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の10%以下に対応する。場合によっては、第1の相対量および第2の相対量が、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の5%以下および第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の5%以下に対応する。
【0165】
場合によっては、第1の反応混合物が、第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの第1の取込み速度を提供する第1の重合酵素を含み得、第2の反応混合物が、第3のヌクレオチドおよび/または第4のヌクレオチドの第2の取込み速度を提供する第2の重合酵素を含み、第1の取込み速度が第2の取込み速度よりも遅い。場合によっては、第2の配列に取り込まれる第2のヌクレオチドが、第1の配列に取り込まれる第1のヌクレオチドよりも多数のヌクレオチドを含む。
【0166】
場合によっては、第3の配列に取り込まれる第3のヌクレオチドが、第4の配列に取り込まれる第4のヌクレオチドよりも多数のヌクレオチドを含む。
【0167】
場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および第4の複数の標識ヌクレオチドが、可逆的に終結される。場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および第4の複数の標識ヌクレオチドのヌクレオチドが、それらの3’末端にブロッキング基を含む。場合によっては、3’末端が標識を含む。
【0168】
別の態様では、本開示は、(a)支持体に固定化され、鋳型核酸分子と配列相同性を有する複数の核酸分子を、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドを複数の核酸分子にハイブリダイズした複数の配列の少なくともサブセットに取り込むのに十分な条件下で、第1の複数の標識されているヌクレオチドと接触させ、複数の配列の少なくともサブセットは複数の配列の全てより少ない、ことと;(b)(a)とは別に、複数の核酸分子を、第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを(a)で第1のヌクレオチドが取り込まれていない複数の配列の残りの少なくともサブセットに取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドと接触させることと;(c)第1のヌクレオチドから検出されたシグナルを使用して、複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することと
を含む、核酸配列特定のための方法を提供する。
【0169】
場合によっては、シグナルが(b)の前に検出される。場合によっては、シグナルが第1のヌクレオチドの取込み中に検出される。場合によっては、シグナルが第1のヌクレオチドの取込み後に検出される。
【0170】
場合によっては、第2の複数のヌクレオチドが非標識である。
【0171】
場合によっては、第2の複数のヌクレオチドが標識されている。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、励起時に同じ色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。
【0172】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび/または第2の複数のヌクレオチドが、可逆的に終結されている。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが、それらの3’末端にブロッキング基を含む。場合によっては、第1のヌクレオチドの3’末端が標識を含む。場合によっては、本方法が、(c)の後、第1のヌクレオチドおよび/または第2のヌクレオチドの可逆的ターミネーターを除去することをさらに含む。
【0173】
場合によっては、(b)の複数の配列の残りの少なくともサブセットが、(a)の複数の配列の少なくともサブセットよりも多数の配列を含む。
【0174】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが、第1の取込み速度で複数の配列の少なくともサブセットに取り込まれ、第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドが、第1の取込み速度よりも大きい第2の取込み速度で複数の配列の残りの少なくともサブセットに取り込まれる。
【0175】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドが、第1の取込み速度で複数の配列の少なくともサブセットに取り込まれ、第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドが、第1の取込み速度よりも低い第2の取込み速度で複数の配列の残りの少なくともサブセットに取り込まれる。
【0176】
場合によっては、複数の核酸分子が、複数のプライマーを介して支持体に固定化される。
【0177】
場合によっては、シグナルが光シグナルである。場合によっては、シグナルが、複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、または導電率の変化に対応する。
【0178】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、同じ型のものである。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、異なる型のものである。
【0179】
場合によっては、本方法が、標識されている第3の複数のヌクレオチドおよび第4の複数のヌクレオチドで(a)~(c)を繰り返すことをさらに含む。
【0180】
場合によっては、本方法が、(a)の後および(b)の前に、複数の核酸分子を洗浄溶液と接触させることをさらに含む。
【0181】
(a)第1の検出領域に固定化された第1の複数の核酸分子、第2の検出領域に固定化された第2の複数の核酸分子、第3の検出領域に固定化された第3の複数の核酸分子、および第4の検出領域に固定化された第4の複数の核酸分子を含む基板を提供し、第1の複数の核酸分子、第2の複数の核酸分子、第3の複数の核酸分子、および第4の複数の核酸分子は、異なる鋳型核酸分子との配列相同性を有する、ことと;(b)基板を、第1の複数の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズした第1の配列に第1の複数の標識ヌクレオチドの第1のヌクレオチドを取り込み、第2の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズした第2の配列に第2の複数の標識ヌクレオチドの第2のヌクレオチドを取り込むのに十分な条件下で、第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させ、第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドは異なる型のものである、ことと;(c)第1の検出領域、第2の検出領域、第3の検出領域、および第4の検出領域からの第1のシグナルセットを検出して、第1のデータセットを生成し、第1のシグナルセットは、第1の複数の標識ヌクレオチドの第1のヌクレオチドの第1の配列への取込みおよび第2の複数の標識ヌクレオチドの第2のヌクレオチドの第2の配列への取込みを示す、ことと;(d)基板を、第1の複数の核酸分子の第2のサブセットにハイブリダイズした第3の配列に第3の複数の標識ヌクレオチドの第3のヌクレオチドを取り込み、第3の複数の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズした第4の配列に第4の複数の標識ヌクレオチドの第4のヌクレオチドを取り込むのに十分な条件下で、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させ、第3の複数の標識ヌクレオチドは第1の複数の標識ヌクレオチドと同じ型のものであり、第4の複数の標識ヌクレオチドは第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドとは異なる型のものである、ことと;(e)第1の検出領域、第2の検出領域、第3の検出領域、および第4の検出領域からの第2のシグナルセットを検出して、第2のデータセットを生成し、第2のシグナルセットは、第3の複数の標識ヌクレオチドの第3のヌクレオチドの第3の配列への取込みおよび第4の複数の標識ヌクレオチドの第4のヌクレオチドの第4の配列への取込みを示す、ことと;(f)第1のデータセットおよび第2のデータセットを処理して、第1の複数の核酸分子、第2の複数の核酸分子、第3の複数の核酸分子、および第4の複数の核酸分子の1つまたは複数の核酸塩基を特定することとを含む、核酸配列特定のための方法が本明細書でさらに提供される。
【0182】
場合によっては、第1のシグナルセットおよび第2のシグナルセットが光シグナルを含む。
【0183】
場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドの第2のヌクレオチドが、第1の取込み速度で取り込まれ、第3の複数の標識ヌクレオチドの第3のヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドの第4のヌクレオチドが、第1の取込み速度よりも大きい第2の取込み速度で取り込まれる。
【0184】
場合によっては、第1のヌクレオチドが取り込まれる第1の配列の第1の相対量が、第1の複数の核酸分子の個々の核酸分子の90%以下に対応する。
【0185】
場合によっては、第2のヌクレオチドが取り込まれる第2の配列の第2の相対量が、第2の複数の核酸分子の個々の核酸分子の90%以下に対応する。
【0186】
場合によっては、第3のヌクレオチドが取り込まれる第3の配列の第3の相対量が、第3の複数の核酸分子の個々の核酸分子の90%以下に対応する。
【0187】
場合によっては、第4のヌクレオチドが取り込まれる第4の配列の第4の相対量が、第4の複数の核酸分子の個々の核酸分子の90%以下に対応する。
【0188】
場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および第4の複数の標識ヌクレオチドが、可逆的に終結される。場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および第4の複数の標識ヌクレオチドが、それらの3’末端にブロッキング基を含む。場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および第4の複数の標識ヌクレオチドの3’末端が標識を含む。
【0189】
場合によっては、第1の複数の標識ヌクレオチドおよび第2の複数の標識ヌクレオチドが複数の検出可能な部分で標識され、(b)の後、複数の検出可能な部分が除去される。
【0190】
場合によっては、第3の複数の標識ヌクレオチドおよび第4の複数の標識ヌクレオチドが複数の検出可能な部分で標識され、(d)の後、複数の検出可能な部分が除去される。
【0191】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第2の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数または色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。
【0192】
場合によっては、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数または色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。
【0193】
場合によっては、(b)および/または(d)の条件が、第1の複数の標識ヌクレオチド、第2の複数の標識ヌクレオチド、第3の複数の標識ヌクレオチド、および/または第4の複数の標識ヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含む。場合によっては、(b)の条件が、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量を変化させること、ならびに/あるいは第1の複数の核酸分子、第2の複数の核酸分子、第3の複数の核酸分子、および第4の複数の核酸分子に対する第1の反応混合物および/または第2の反応混合物のインキュベーション時間を変化させることを含む。
【0194】
(a)検出領域に固定化された複数の核酸分子を含む基板を、複数のヌクレオチドのヌクレオチドを複数の核酸分子にハイブリダイズした配列に取り込むのに十分な条件下で、複数のヌクレオチドを含む反応混合物と接触させ、複数のヌクレオチドは可逆的に終結および標識され、複数の核酸分子は鋳型核酸分子と配列相同性を有する、ことと;(b)検出領域からのシグナルセットを検出し、シグナルセットは複数のヌクレオチドのヌクレオチドの取込みを示す、ことと;(c)アンブロッキング反応を開始して、複数のヌクレオチドのヌクレオチドからターミネーターを除去することと;(d)アンブロッキング反応中に、(a)~(c)を繰り返すこととを含む、核酸配列を特定する方法が本明細書でさらに提供される。
【0195】
場合によっては、(c)が、基板を1種または複数の還元剤と接触させ、(a)~(c)を繰り返す前に1種または複数の還元剤を洗浄することを含む。場合によっては、1種または複数の還元剤がホスフィン剤である。
【0196】
場合によっては、複数のヌクレオチドが3’-OHジスルフィド可逆的ターミネーターを含む。
【0197】
場合によっては、(d)が、アンブロッキング反応が少なくとも30%完了した後、(a)~(c)を繰り返すことを含む。場合によっては、(d)が、アンブロッキング反応が少なくとも40%完了した後、(a)~(c)を繰り返すことを含む。場合によっては、(d)が、アンブロッキング反応が少なくとも50%完了した後、(a)~(c)を繰り返すことを含む。場合によっては、(d)が、アンブロッキング反応が少なくとも90%完了した後、(a)~(c)を繰り返すことを含む。
【0198】
場合によっては、(d)が、追加の複数のヌクレオチドで(a)~(c)を繰り返すことを含み、追加の複数のヌクレオチドが、可逆的に終結および標識され、追加の複数のヌクレオチドが、複数のヌクレオチドとは異なる型のものである。場合によっては、追加の複数のヌクレオチドおよび複数のヌクレオチドが、励起時に実質的に同じ周波数または色の光シグナルを生成することができる検出可能な部分で標識される。
【0199】
場合によっては、複数の核酸分子が、複数のプライマーを介して検出領域に固定化される。
【0200】
場合によっては、シグナルが光シグナルである。場合によっては、シグナルが、複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、または導電率の変化に対応する。
【0201】
場合によっては、(b)の条件が、第1の複数のヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含む。場合によっては、(b)の条件が、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量を変化させること、ならびに/あるいは複数の核酸分子に対する第1の反応混合物のインキュベーション時間を変化させることを含む。
【0202】
ラグフェージングの低減または排除
(例えば、本明細書に記載される)核酸配列決定中などの、複数の核酸分子の分析におけるフェージング(例えば、ラグおよび/またはリードフェージング)を低減または排除する方法が本明細書で提供される。
【0203】
方法は、互いに配列同一性を有する、(例えば、本明細書に記載される)複数の核酸分子を提供することを含み得る。複数の核酸分子は、(例えば、本明細書に記載される)検出領域に固定化され得る。複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型(例えば、本明細書に記載される、T、A、C、もしくはG含有ヌクレオチド、またはそれらのアナログ)の第1の複数のヌクレオチドのヌクレオチドを、複数の核酸分子の第1のサブセットに結合された第1の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物(例えば、フロー)と接触させることができる。第1の反応混合物中のヌクレオチドの一部または全部は標識ヌクレオチドであり得る。複数の核酸分子を任意の後続の反応混合物と接触させる前に、(例えば、本明細書に記載される)標識ヌクレオチドから標識を除去するための切断フローおよび/または(例えば、本明細書に記載される)1つもしくは複数の洗浄フローを流すことができる。場合によっては、洗浄フローを使用して、取り込まれなかったヌクレオチドを除去することができるが、第1の反応混合物を流した後は標識を除去することができない。その後、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の第2の複数のヌクレオチドのヌクレオチドを複数の核酸分子の第2のサブセットに結合された第2の複数の成長中の鎖に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることができる。第2の混合物のヌクレオチドは全て非標識であり得る。あるいは、第2の混合物の少なくとも一部のヌクレオチドは標識され得る。例えば、第2の混合物の少なくとも約1%、2%、2.5%、5%、10%、またはそれ以上のヌクレオチドが標識され得る。場合によっては、第1の反応混合物と第2の反応混合物の組成は同じであり得る(例えば、両反応混合物が、約2.5%の標識ヌクレオチドなど、同じカノニカル塩基型の標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの同じ比を含み得る)。場合によっては、第1の複数のヌクレオチドのヌクレオチドおよび/または第2の複数のヌクレオチドのヌクレオチドが、非終結ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第2の反応混合物が、第1の複数のヌクレオチドのヌクレオチドの取込みを示すシグナル(例えば、蛍光シグナルなどの光シグナル)を検出する前にまたは検出することなく、流され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物中、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドが別のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である。例えば、第1および/または第2の反応混合物中、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドは別のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である。一例では、第1および/または第2の反応混合物中、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドが各他のカノニカル塩基型のヌクレオチドよりも高い濃度である。異なるカノニカル塩基型を含むヌクレオチドフローを使用して、このプロセスを1回または複数回繰り返すことができる。
【0204】
本方法は、複数の核酸分子を、カノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることと、その後、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることとを含み得る。2つのフローは、ヌクレオチドを含まない1つまたは複数の中間フロー(例えば、洗浄フロー、切断フロー等)によって中断され得る。同じカノニカル塩基型の連続フローは、複数の核酸分子の全てではないにしてもほとんどが、(例えば、複数の核酸分子に結合された成長中の鎖の)全ての利用可能な取込み部位にカノニカル塩基型のヌクレオチドを取り込むことを確実にし、よって、100%または実質的に100%の取込み率を達成することによって、フェージングを低減または排除し得る。
【0205】
伝統的に、複数の核酸分子をカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む反応混合物と接触させると、例えば反応速度論および/または取込みを阻害する他の因子のために、利用可能な取込み部位の全てがカノニカル塩基型のヌクレオチドを取り込んでしまうわけではない。反応混合物が蛍光標識されたヌクレオチドを含む場合、ポリメラーゼはこのような非天然ヌクレオチドと適合性でない可能性があるため、このような取込み失敗イベントはより起こりやすくなり得る。よって、そのカノニカル塩基型(またはその相補物)についての複数の核酸分子の照合は100%未満の取込み率で終了し、異なるカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む後続の反応混合物を複数の核酸分子と接触させる場合、ラグフェージングが存在する。このようなラグフェージングは、最終的に配列決定品質の低下につながり、読み取り長を制限する可能性がある。少なくとも上記の問題に対処する方法の必要性が本明細書で認識される。本明細書で提供される方法は、複数の核酸分子を、同じカノニカル塩基型の連続フローと接触させて、複数の核酸分子の全てではないにしてもほとんどが、(例えば、複数の核酸分子に結合された成長中の鎖の)全ての利用可能な取込み部位にカノニカル塩基型のヌクレオチドを取り込むことを確実にし、よって、100%または実質的に100%の取込み率を達成し、ラグフェージングを低減または排除することができる。各カノニカル塩基型の照合中に100%または実質的に100%の取込み率を達成すると、シグナル源での問題に対処することにより、複雑なフェージング補正アルゴリズムの必要性をさらに取り除くことができる。
【0206】
例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物であって、ヌクレオチドが、標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物であって、ヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む反応混合物。あるいは、またはさらに、(1または複数の)後続の反応混合物(例えば、第2の反応混合物)は、標識ヌクレオチドを含み得る。
【0207】
別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;および取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物。
【0208】
別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;および標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物。
【0209】
別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物;標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物;取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物;および標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物;および取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;および標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;および取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物。フロースキームは、標識ヌクレオチドを含む任意のヌクレオチド含有反応混合物の後に切断反応混合物または(1または複数の)追加の切断反応混合物を含み得る。例えば、フロースキームは、複数の核酸分子と接触する2つの連続した切断反応混合物を含み得る。フロースキームは、任意のヌクレオチド含有反応混合物の後、または任意のヌクレオチド含有反応混合物の前に、洗浄反応混合物または(1または複数の)追加の洗浄反応混合物を含み得る。例えば、フロースキームは、複数の核酸分子と接触する2つの連続した洗浄反応混合物を含み得る。
【0210】
別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された洗浄反応混合物;標識ヌクレオチドから標識部分を切断するよう構成された切断反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;および取り込まれなかったヌクレオチドを反応部位から除去するよう構成された第2の洗浄反応混合物。
【0211】
フロースキームは、第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む(1または複数の)任意の数の追加の反応混合物を含み得る。例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第3の反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物であって、ヌクレオチドが、標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物;第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物であって、ヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む反応混合物;および第1のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第3の反応混合物であって、ヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む反応混合物。あるいは、またはさらに、(1または複数の)後続の反応混合物(例えば、第2の反応混合物、第3の反応混合物)は、標識ヌクレオチドを含み得る。例えば、フロースキームは、非ヌクレオチド含有反応混合物(例えば、洗浄反応混合物、切断反応混合物等)によって中断されていてもされていなくてもよい、同じカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の連続した反応混合物を含み得る。
【0212】
場合によっては、フロースキームが、2つ以上のカノニカル塩基型(例えば、2つの型、3つの型、4つの型)を含む反応混合物を含んでもよく、その後の反応混合物も、同じ2つ以上のカノニカル塩基型を含む。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型および第2のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物;ならびに第1のカノニカル塩基型および第2のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物。別の例示的なフロースキームでは、複数の核酸分子を、列挙される順序で少なくとも以下の反応混合物と接触させる:第1のカノニカル塩基型および第2のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第1の反応混合物であって、ヌクレオチドが、標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物;ならびに第1のカノニカル塩基型および第2のカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む第2の反応混合物であって、ヌクレオチドが非標識ヌクレオチドを含む反応混合物。あるいは、またはさらに、(1または複数の)後続の反応混合物(例えば、第2の反応混合物)は、標識ヌクレオチドを含み得る。
【0213】
場合によっては、異なる反応混合物を、異なるおよび/または所定の反応条件下で複数の核酸分子と接触させることができる。例えば、任意の所与の反応混合物は、取込みを促進するか、または取込みの速度を低下させるように調節された反応条件下で、核酸分子と接触し得る。反応条件を、例えば、反応体積、インキュベーション時間、ヌクレオチド濃度、温度、pHレベル、塩濃度、酵素濃度、マグネシウム濃度、マンガン濃度、ストロンチウム濃度、他の触媒濃度、クラウディングまたは粘度試薬濃度、反応混合物の分配速度、およびその他の因子を調整することによって、調節することができる。
【0214】
一例では、第1の反応混合物が、第1の条件セット下で、複数の核酸分子と接触することができ、第2の反応混合物が、第2の条件セット下で、核酸分子と接触することができ、第1の条件セットおよび/または第2の条件セットが、第2の反応混合物が第1の反応混合物よりも迅速な取込みおよび/または高い取込み速度を有することを可能にするように調節される。例えば、第2の条件セットは、第1の条件セットに対して、高い反応混合物中のヌクレオチド濃度、非標識ヌクレオチドと比較して低い濃度の反応混合物中の標識ヌクレオチド、長いインキュベーション時間、低いストロンチウム濃度、高いマンガン濃度、高いマグネシウム濃度、高い温度、および/またはこれらの組み合わせを含み得る。塩濃度、クラウディングまたは粘度試薬濃度、pHレベル、反応混合物の分配速度などの他の因子も調整することができる。例えば、第2の条件セットは、取込みを加速するよう構成され得る(例えば、本明細書の他の場所に記載されるように)。あるいは、またはさらに、第1の条件セットは、取込みを減速または阻害するよう構成され得る(例えば、本明細書の他の場所に記載されるように)。
【0215】
場合によっては、より高い取込み率を有する反応混合物のヌクレオチド濃度が、他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、1000%大きくなるよう最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)ヌクレオチド濃度が、1リットル当たり約100ナノモル(nM)~1リットル当たり約20マイクロモル(μM)の間になるよう最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)ヌクレオチド濃度が、少なくとも約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1000nM(または1μM)、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μMまたはそれ以上になるように最適化され得る。あるいは、またはさらに、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)ヌクレオチド濃度が、最大で約100μM、90μM、80μM、70μM、60μM、50μM、40μM、30μM、20μM、19μM、18μM、17μM、16μM、15μM、14μM、13μM、12μM、11μM、10μM、9μM、8μM、7μM、6μM、5μM、4μM、3μM、2μM、1μM(または1000nM)、900nM、800nM、700nM、600nM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nMまたはそれ以下になるように最適化され得る。
【0216】
場合によっては、より高い取込み率を有する反応混合物の塩濃度が、他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きくなり得る。あるいは、より低い取込み速度を有する反応混合物の塩濃度が、他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きくなり得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)塩濃度が、1リットル当たり約0ミリモル(mM)~約500mMの間になるよう最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)塩濃度が、少なくとも約0mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、200mM、300mM、400mM、500mM、600mM、700mM、800mM、900mM、1000mMまたはそれ以上になるよう最適化され得る。あるいは、またはさらに、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)塩濃度が、最大で約1000mM、900mM、800mM、700mM、600mM、500mM、400mM、300mM、200mM、100mM、90mM、80mM、70mM、60mM、50mM、40mM、30mM、20mM、19mM、18mM、17mM、16mM、15mM、14mM、13mM、12mM、11mM、10mM、9mM、8mM、7mM、6mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mMまたはそれ以下となるよう最適化され得る。
【0217】
場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)クラウディングまたは粘度試薬(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、デキストラン、Ficoll等)濃度が、約0%~約3%の間となるよう最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)クラウディングまたは粘度試薬濃度が、少なくとも約0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%またはそれ以上となるよう最適化され得る。あるいは、またはさらに、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)クラウディングまたは粘度試薬濃度が、最大で約5.0%、4.9%、4.8%、4.7%、4.6%、4.5%、4.4%、4.3%、4.2%、4.1%、4.0%、3.9%、3.8%、3.7%、3.6%、3.5%、3.4%、3.3%、3.2%、3.1%、3.0%、2.9%、2.8%、2.7%、2.6%、2.5%、2.4%、2.3%、2.2%、2.1%、2.0%、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、またはそれ以下となるよう最適化され得る。
【0218】
場合によっては、より高い取込み率を有する反応混合物のマグネシウム濃度が、他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きくなり得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)マグネシウム濃度が、1リットル当たり約50マイクロモル(μM)~1リットル当たり約5ミリモル(mM)の間で最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)マグネシウム濃度が、少なくとも約10μM、20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、200μM、300μM、400μM、500μM、600μM、700μM、800μM、900μM、1000μM(または1mM)、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、2.mM、2.1mM、2.2mM、2.3mM、2.4mM、2.5mM、2.6mM、2.7mM、2.8mM、2.9mM、3mM、3.1mM、3.2mM、3.3mM、3.4mM、3.5mM、3.6mM、3.7mM、3.8mM、3.9mM、4mM、4.1mM、4.2mM、4.3mM、4.4mM、4.5mM、4.6mM、4.7mM、4.8mM、4.9mM、5mM、6、mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、30mM、40mM、50mMまたはそれ以上となるよう最適化され得る。あるいは、またはさらに、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)マグネシウム濃度が、最大で約50mM、50mM、30mM、20mM、19mM、18mM、17mM、16mM、15mM、14mM、13mM、12mM、11mM、10mM、9mM、8mM、7mM、6mM、5mM、4.9mM、4.8mM、4.7mM、4.6mM、4.5mM、4.4mM、4.3mM、4.2mM、4.1mM、4mM、3.9mM、3.8mM、3.7mM、3.6mM、3.5mM、3.4mM、3.3mM、3.2mM、3.1mM、3mM、2.9mM、2.8mM、2.7mM、2.6mM、2.5mM、2.4mM、2.3mM、2.2mM、2.1mM、2mM、1.9mM、1.8mM、1.7mM、1.6mM、1.5mM、1.4mM、1.3mM、1.2mM、1.1mM、1mM(1000μM)、900μM、800μM、700μM、600μM、500μM、400μM、300μM、200μM、100μM、90μM、80μM、70μM、60μM、50μM、40μM、30μM、20μM、10μMまたはそれ以下となるよう最適化され得る。
【0219】
場合によっては、より高い取込み率を有する反応混合物のマンガン濃度が、他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きくなり得る。
【0220】
場合によっては、より低い取込み率を有する反応混合物中のストロンチウム濃度が、他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きくなり得る。
【0221】
場合によっては、より高い取込み率を有する反応混合物のインキュベーション時間が、他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きくなり得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物に提供される(1または複数の)インキュベーション時間が、約1秒~約30秒の間で最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物に提供される(1または複数の)インキュベーション時間が、少なくとも約10-3秒、10-2秒、10-1秒、1秒、10秒、10秒、または10秒程度となるよう最適化され得る。あるいは、またはさらに、第1および/または第2の反応混合物に提供される(1または複数の)インキュベーション時間が、最大で約10秒、10秒、10秒、1秒、10-1秒、10-2秒、10-3秒、またはそれ以下の程度となるよう最適化され得る。
【0222】
場合によっては、複数の核酸分子に提供されるより高い取込み速度を有する反応混合物の体積が、複数の核酸分子に提供される他の反応混合物よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きくなり得る。場合によっては、複数の核酸分子に提供される第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)体積が、約100マイクロリットル(μL)~約6ミリリットル(mL)の間で最適化され得る。場合によっては、複数の核酸分子に提供される第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)体積が、少なくとも約10μL、20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、1000μL(または1mL)、1.1mL、1.2mL、1.3mL、1.4mL、1.5mL、1.6mL、1.7mL、1.8mL、1.9mL、2.mL、2.1mL、2.2mL、2.3mL、2.4mL、2.5mL、2.6mL、2.7mL、2.8mL、2.9mL、3mL、3.1mL、3.2mL、3.3mL、3.4mL、3.5mL、3.6mL、3.7mL、3.8mL、3.9mL、4mL、4.1mL、4.2mL、4.3mL、4.4mL、4.5mL、4.6mL、4.7mL、4.8mL、4.9mL、5mL、5.1mL、5.2mL、5.3mL、5.4mL、5.5mL、5.6mL、5.7mL、5.8mL、5.9mL、6、mL、7mL、8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL、18mL、19mL、20mL、30mL、40mL、50mLまたはそれ以上となるよう最適化され得る。あるいは、またはさらに、複数の核酸分子に提供される第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)体積が、最大で約50mL、50mL、30mL、20mL、19mL、18mL、17mL、16mL、15mL、14mL、13mL、12mL、11mL、10mL、9mL、8mL、7mL、6mL、5.9mL、5.8mL、5.7mL、5.6mL、5.5mL、5.4mL、5.3mL、5.2mL、5.1mL、5mL、4.9mL、4.8mL、4.7mL、4.6mL、4.5mL、4.4mL、4.3mL、4.2mL、4.1mL、4mL、3.9mL、3.8mL、3.7mL、3.6mL、3.5mL、3.4mL、3.3mL、3.2mL、3.1mL、3mL、2.9mL、2.8mL、2.7mL、2.6mL、2.5mL、2.4mL、2.3mL、2.2mL、2.1mL、2mL、1.9mL、1.8mL、1.7mL、1.6mL、1.5mL、1.4mL、1.3mL、1.2mL、1.1mL、1mL(1000μL)、900μL、800μL、700μL、600μL、500μL、400μL、300μL、200μL、100μL、90μL、80μL、70μL、60μL、50μL、40μL、30μL、20μL、10μMまたはそれ以下となるよう最適化され得る。
【0223】
場合によっては、より高い取込み率を有する反応混合物の反応条件における温度が、他の反応混合物の反応条件よりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、または1000%高くなり得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の反応条件における(1または複数の)温度が、ほぼ周囲温度または室温(例えば、摂氏20~25度)~摂氏約60度(℃)の間で最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の反応条件における(1または複数の)温度が、少なくとも約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65℃、またはそれ以上となるよう最適化され得る。あるいは、またはさらに、第1および/または第2の反応混合物の反応条件における(1または複数の)温度が、最大で約65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18℃、またはそれ以下となるよう最適化され得る。
【0224】
場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)pHレベルが、約6.0~9.5の間で最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)pHレベルが、少なくとも約5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0またはそれ以上となるよう最適化され得る。あるいは、またはさらに、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)pHレベルが、最大で約10.0、9.9、9.8、9.7、9.6、9.5、9.4、9.3、9.2、9.1、9.0、8.9、8.8、8.7、8.6、8.5、8.4、8.3、8.2、8.1、8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5またはそれ以下となるよう最適化され得る。
【0225】
場合によっては、複数の核酸分子への第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)分配速度が、それぞれの反応混合物の所与のフローの後に所望の取込み速度を達成するよう最適化され得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物が、(1または複数の)反応混合物についての分配位置と基板との間の相対運動を使用して複数の核酸分子に分配され得、複数の核酸分子が基板上に配置される(例えば、これに隣接して固定化されるか、またはこれに結合される)。場合によっては、相対運動の速度を最適化することができる。場合によっては、相対運動が線形運動を含み得る。あるいは、またはさらに、相対運動は非線形運動を含み得る。場合によっては、第1および/または第2の反応混合物の(1または複数の)分配位置と基板との間の(1または複数の)角速度が、毎分約50回転(rpm)~約1200rpmの間になるよう最適化され得る。場合によっては、軸に対する回転している基板の角速度が、約50rpm~約1200rpmの間になるよう最適化され得る。場合によっては、分配位置に対する運動している基板の線形速度を最適化することができる。
【0226】
場合によっては、反応混合物中の非標識ヌクレオチドに対する標識ヌクレオチドの割合を、ホモポリマーの検出および分割のために、成長中の鎖に取り込まれた(同じカノニカル塩基型の)連続ヌクレオチドの数とシグナルの強さまたは強度との間の線形関係を提供するように選択することができる。
【0227】
本明細書に記載されるフロースキームは、異なるカノニカル塩基型のヌクレオチドを含む反応混合物を用いて、任意の回数繰り返すことができる。例えば、フローサイクルは、4つのカノニカル塩基型のそれぞれについてフロースキームを循環することを含み得る。
【0228】
本明細書に記載されるフロースキームでは、検出操作を、標識ヌクレオチドを含む反応混合物後の洗浄反応混合物を流した後など、標識ヌクレオチドを含む任意の反応混合物を流した後にいつでも行うことができる。検出操作は、異なるカノニカル塩基型の標識ヌクレオチドを含む反応混合物を流す前にいつでも行うことができる。
【0229】
核酸配列特定の加速
本開示はまた、核酸配列特定を加速するためのシステムおよび方法を提供する。核酸配列を特定する方法は、直前のサイクルまたはその一部から取り込まれた可逆的に終結したヌクレオチドのブロッキング基の切断が完了する前に、新たな配列決定リードサイクルまたはその一部(例えば、反応混合物フロー)を開始することを含み得る。すなわち、新たな配列決定リードサイクルまたはその一部を、ブロッキング基の切断中に開始することができる。
【0230】
成長中の鎖に取り込むために核酸分子に導入された反応混合物中のヌクレオチドは、本明細書の他の場所に記載されているように、可逆的に終結され得る。終結したヌクレオチドは、プライマー伸長反応を終結させ、所与の配列決定サイクル中にただ1つだけ、かつ1つ以下の塩基が確実に取り込まれるようにすることができる。可逆的に終結したヌクレオチドは、ポリメラーゼによって受け入れられ、非可逆的に終結したヌクレオチドと同様に、成長中の核酸鎖に取り込まれ得る。可逆的ターミネーターは、ヌクレオチドの糖部分(例えば、ペントース)の3’-酸素原子など、ヌクレオチドの3’末端に付着したブロッキング基を含み得る。例えば、ブロッキング基は、アジドメチルまたはジスルフィドブロッキング基であり得る。3’-O-ブロッキング可逆的ターミネーターの例としては、3’-O-(2-ニトロベンジル)可逆的ターミネーター、3’-O-アジドメチル可逆的ターミネーター、3’-ONH可逆的ターミネーター、3’-O-アリル可逆的ターミネーター、および3’-O-(2-シアノエチル)可逆的ターミネーターが挙げられる。ブロッキング基は、切断可能なリンカーを介してヌクレオチドに付着させることができる。場合によっては、ブロッキング基が、レポーター部分(例えば、色素部分)を含み得る。あるいは、レポーター部分が、独立したリンカーを介して、異なる位置(例えば、核酸塩基)でヌクレオチドに付着され得る。場合によっては、ブロッキング基のリンカーおよび色素のリンカーが、同じ型のリンカーであり得る、および/または同じ刺激(例えば、切断剤)を介して切断可能であり得る。切断可能なリンカーには、例えば、ジスルフィドリンカーおよびフッ化物切断可能リンカーが含まれ得る。可逆的に終結したヌクレオチドを、(例えば、切断試薬または照射を使用して)ブロッキング基を切断することなどによってアンブロッキングして、終結を逆転させることができる。アンブロッキングは、1つまたは複数の切断剤を導入することによって促進され得る。切断剤は、存在するアンブロッキング基に依存し得る。例えば、還元剤を使用して、ジスルフィド結合または他の還元開裂基を切断することができる。還元剤には、それだけに限らないが、ホスフィン化合物、水溶性ホスフィン、窒素含有ホスフィンならびにそれらの塩および誘導体、ジチオエリトリトール(DTE)、ジチオトレイトール(DTT)(それぞれ、2,3-ジヒドロキシ-l,4-ジチオールブタンのシスおよびトランス異性体)、2-メルカプトエタノールまたはβ-メルカプトエタノール(BME)、2-メルカプトエタノールまたはアミノエタンチオール、グルタチオン、チオグリコレートまたはチオグリコール酸、2,3-ジメルカプトプロパノールおよびトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(THP)およびp-[トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン]プロピオン酸(THPP)が含まれる。ホスフィン試薬には、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、スルホネート含有ホスフィンおよびカルボキシレート含有ホスフィン、ならびに誘導体化水溶性ホスフィンが含まれ得る。例えば、2-シアノエチルブロッキング基および/またはシアノエチルエステルリンカーの場合などの別の例では、フッ化物イオン(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を含む溶液等)を切断剤として使用することができる。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Diana C.Knapp et al.,Fluoride-Cleavable,Fluorescently Labelled Reversible Terminators:Synthesis and Use in Primer Extension,17 Chem.Eur.J.2903-15(2011)、およびDiana C.Knapp et al.,Fluorescent Labeling of(Oligo)Nucleotides by a New Fluoride Cleavable Linker Capable of Versatile Attachment Modes,21 Bioconjugate Chem.1043-55(2010)を参照されたい。
【0231】
上記のようなアンブロッキング反応は比較的遅く、完了するまでに最大1分以上かかる場合がある。さらに、このようなアンブロッキングプロセスは、多数の鎖にわたって漸近的に(例えば、自然対数の)起こり得る。例えば、アンブロッキングの99.33%(例えば、1-1/(e))の完了を達成するのに、コロニーにおけるアンブロッキングの63%(例えば、1-1/e)の完了を達成するのにかかる時間のおよそ5倍の時間がかかり得る。標準的な可逆的に終結したシーケンシング・バイ・シンセシス(SBS)スキームでは、(例えば、コロニー内の)核酸分子の成長中の鎖を同位相に維持するために、次の鎖伸長サイクルが、典型的には、アンブロッキングが完全に終了した後(例えば、約100%終了)に開始され得る。例えば、核酸分子の99%のみがアンブロッキングされている場合、残りの1%は1塩基ずつ位相が遅れ、検出中に相反するシグナルを生成する。このような遅れは、各連続するサイクルで複合および/または繰り越される可能性がある。したがって、アンブロッキング反応が完了するのを待つと、(例えば、フローセル内の)限られた反応部位がこのような待機時間中に占有されたままになるため、全体的な配列決定時間が有意に遅延し、増加する。一部のSBSスキームでは、色素を切断せずにブロッキング基のみを切断し、イメージング後に色素リンカーを個別に切断することにより、可逆的ターミネーターの切断中にイメージングを行うことが理論上可能となり得るが、高価なイメージングシステムを反応が完了するまでスタンバイモードに入らせることにもなり得る。
【0232】
前のサイクルから取り込まれた可逆的に終結したヌクレオチドのブロッキング基の切断が完了する前に、新たな配列決定リードサイクルを開始することを含む配列決定する方法が提供される。このような方法を、完全な切断の前に新たな配列決定リードサイクルを早まって開始することから生じる可能性のある位相遅れの問題を回避するために、本明細書に記載される様々な反応混合物フロースキームと合わせて使用することができる。
【0233】
場合によっては、本開示のヌクレオチドが、3’-ジスルフィド終結ヌクレオチドであり得る。図5は、3’-ジスルフィド末端ヌクレオチドおよびその切断スキームの例を示す。3’-ジスルフィド終結ヌクレオチド508が提供される。終結したヌクレオチド508をアンブロッキングするために、アンブロッキング試薬502を導入することができる。例えば、アンブロッキング試薬は、ホスフィン試薬(例えば、THPまたはTCEP)などの還元試薬であり得る。ブロッキング3’-ジスルフィド残基は非対称であり、それぞれパネルAおよびBに示されるように、アンブロッキング試薬のリンの2つの潜在的な攻撃部位を提供する。しかしながら、どちらの場合も、初期反応は速く、不可逆的であり、どちらの場合も中間化合物510をもたらし、次いで、これが比較的遅い反応で加水分解して3’アンブロッキングプライマー507をもたらし、ここではこれが後続のポリメラーゼ伸長反応に利用可能である。パネルAには、HOの添加により中間化合物510に変換される別の中間化合物509が存在する。パネルAとBの両方に示されるように、中間化合物510のプライマー507への律速変換(例えば、「遅い」)は、還元試薬502の存在を必要としない。よって、比較的短いインキュベーション時間の後に反応混合物から過剰の還元試薬502を除去しても、予想される律速速度を超えてアンブロッキングプロセスを妨げることも遅らせることもない。
【0234】
場合によっては、本開示のヌクレオチドが、3’-アジドメチル終結ヌクレオチドであり得る。図6は、3’-アジドメチル末端ヌクレオチドおよびその切断スキームの例を示す。3’-アジドメチル終結ヌクレオチド601が提供される。終結したヌクレオチド601をアンブロッキングするために、アンブロッキング試薬602を導入することができる。例えば、アンブロッキング試薬は、ホスフィン試薬(例えば、THPまたはTCEP)などの還元試薬であり得る。アンブロッキング試薬602の導入時に、中間化合物603が、比較的遅い可逆的プロセスで形成され、次いで、これがさらに別の比較的遅い可逆的プロセスで環状構造604に再配列する。環状構造604は、窒素を失って中間化合物605をもたらすことができ、これは中間化合物606に急速に加水分解することができる。別の比較的迅速な加水分解の後、3’アンブロッキングプライマー607が形成される。(1または複数の)律速段階は、終結したヌクレオチド601を環状化合物604に変換する可逆反応であり得る。例えば、過剰の還元試薬602を添加して、可逆反応を推進することができる。環状化合物604への変換が完了する前に還元剤602を除去すると、より少ない量の最終生成物である3’アンブロッキングプライマー607が得られ得る。
【0235】
前のサイクルから取り込まれた可逆的に終結したヌクレオチドのブロッキング基の切断が完了する前に、新たな配列決定リードサイクルを開始することを含む配列決定する方法が本明細書で提供される。このような方法は、位相遅れの問題を回避するために、本明細書に記載される様々な反応混合物フロースキームと合わせて使用することができる。
【0236】
本明細書の他の場所に記載されるように、核酸配列特定のための方法は、検出領域に固定化された複数の核酸分子を提供することを含み、複数の核酸分子は鋳型核酸分子と配列相同性を有する。次いで、複数の核酸分子を、第1の複数のヌクレオチドの第1のヌクレオチドおよび/または第3の複数のヌクレオチドの第3のヌクレオチドを複数の核酸分子の第1のサブセットにハイブリダイズし、相補的な第1の配列に取り込むのに十分な条件下で、第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物と接触させることができる。条件は、例えば、第1の複数のヌクレオチドの取込み速度を調節するための試薬を含み得る。例えば、条件は、ストロンチウム、マンガン、および/またはマグネシウムの濃度または相対量を変化させること、ならびに/あるいは複数の核酸分子に対する第1の反応混合物のインキュベーション時間を変化させることを含み得る。第1のヌクレオチドおよび/または第3のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第1のサブセットにわたる所与の開放位置で第1の配列に取り込まれ得る。第1の複数のヌクレオチドおよび第3の複数のヌクレオチドは、異なるカノニカル型のものであり得る。第1の複数のヌクレオチドおよび/または第3の複数のヌクレオチドの全部または一部は標識され得る。あるいは、第1の複数のヌクレオチドおよび/または第3の複数のヌクレオチドは非標識であり得る。同様に、第1の複数のヌクレオチドおよび/または第3の複数のヌクレオチドの全部または一部は、可逆的に終結され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。第1の検出イベントで、第1のヌクレオチドおよび/または第3のヌクレオチドの取込みを示すシグナル(例えば、光シグナル、または複数の核酸分子に関連するインピーダンス、電荷、静電容量、電流、もしくは導電率の変化に対応するシグナル)が、(例えば、本明細書に記載される)検出領域で検出され得る。一例では、第1の複数のヌクレオチドがそれぞれ、アデニン核酸塩基(A)を含み得、第3の複数のヌクレオチドがそれぞれ、チミン核酸塩基(T)を含み得、結果として第1の反応混合物がA塩基およびT塩基の混合物を含み、第1の検出がAまたはTのいずれかの取込みを示すシグナルを検出し得る。例えば、A塩基を含むヌクレオチドは第1の標識で標識され得、T塩基を含むヌクレオチドは第2の標識で標識され得、第1の標識は第2の標識とは異なり、標識されたAおよびT含有ヌクレオチドに対応するシグナルが(例えば、本明細書に記載されるように)検出され得る。別の例では、A塩基を含むヌクレオチドが第1の標識で標識され得、T塩基を含むヌクレオチドが第2の標識で標識され得、第1の標識が第2の標識と同じであり、標識されたAおよびT含有ヌクレオチドに対応するシグナルが(例えば、本明細書に記載されるように)検出され得る。
【0237】
第1の反応混合物からのヌクレオチドの取込みの検出(および、場合によっては、本明細書に記載される1つまたは複数の洗浄または切断フロー)の後に、複数の核酸分子を、標識された第4の複数のヌクレオチドおよび第5の複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物と接触させることができ、第5の複数のヌクレオチドは、第1の複数のヌクレオチドと同じ型のものである。これは、(例えば、本明細書に記載される)複数の核酸分子の第2のサブセットにハイブリダイズし、相補的な第2の配列に第4のヌクレオチドまたは第5のヌクレオチドを取り込むのに十分な条件下で実施され得る。第4のヌクレオチドおよび第5のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第2のサブセットにわたる同じ所与の開放位置で第2の配列に取り込まれ得る。第1、第3、および第4の複数のヌクレオチドは、異なる型のものであり得る。第2の検出イベントで、第2の配列に取り込まれている第4のヌクレオチドおよび/または第5のヌクレオチドを示す(例えば、本明細書に記載される)シグナルが、検出領域から検出され得る。例えば、第4の複数のヌクレオチドは、第2の反応混合物がAおよびC塩基を含み、第2の検出イベントがAまたはCのいずれかの取込みを示すシグナルを検出するように、シトシン核酸塩基(C)を含み得る。第1、第3および第4の複数のヌクレオチドは、実質的に同じ色または周波数の光シグナルを生成する検出可能な部分で標識され得る。本明細書の他の場所で記載されるように、4つの塩基型のどれが配列中の所与の位置にあるかを決定するために、第2の検出と第1の検出との間の差異からデジタル出力が計算され得る。
【0238】
第2の反応混合物からのヌクレオチドの取込みの検出(および、場合によっては、本明細書に記載される1つまたは複数の洗浄または切断フロー)の後に、複数の核酸分子を、第2の複数のヌクレオチドの第2のヌクレオチドを、第1のサブセットおよび第2のサブセットとは異なる複数の核酸分子の第3のサブセットに相補的な第3の配列に取り込むのに十分な条件下で、第2の複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物と接触させることができる。第2のヌクレオチドは、複数の核酸分子の第3のサブセットにわたる同じ所与の開放位置で第3の配列に取り込まれ得る。第2の複数のヌクレオチドは非標識であり得る。第2の複数のヌクレオチドはまた、可逆的に終結され得る(例えば、本明細書に記載されるように)。複数の核酸分子の第3のサブセットは、複数の核酸分子の、個々のおよび/または組み合わせた、第1のサブセットおよび第2のサブセットよりも多数の核酸分子を含み得る。
【0239】
完全な取込み(例えば、複数の核酸分子の全てが、標識されているか非標識であるかにかかわらず、所与の開放位置に塩基を取り込んだ)後、可逆的に終結し、取り込まれたヌクレオチドをアンブロッキングし、標識を除去することができる。次いで、この方法を繰り返して、配列内の後続の塩基を特定することができる。この方法を必要に応じて何度も繰り返して、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100サイクルまたはそれ以上、後続の塩基を一度に1塩基ずつ特定することができる。あるいは、またはさらに、この方法を、最大で約100、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1回繰り返すことができる。
【0240】
図5に関して説明されるように、例えば、ジスルフィド終結ヌクレオチドを使用する場合、アンブロッキングプロセス中、還元剤(例えば、502)が導入された後、アンブロッキングプロセスの第1の部分で、標識(例えば、色素)が急速に切断し、可逆的ターミネーターが中間化合物への変換を急速に受け、その時点で、アンブロッキング反応の第2の部分で、中間化合物がゆっくりと自然の3’状態に戻り、さらなる取込みに利用可能になるため、アンブロッキングプロセスが減速する。すなわち、さらなる取込みに利用可能な核酸分子の数が、複数の核酸分子の集団において漸近的に(例えば、ゆっくり)増加するだろう。しかしながら、このような反応の第2の部分には還元剤の存在は必要ではない。よって、この方法は、反応の第1の部分(例えば、ジスルフィド結合の切断および中間化合物の形成)の後、還元剤および色素分子を洗浄し、比較的遅いアンブロッキング反応の完了を待つことなく、次のサイクルを開始する(例えば、上記の操作を繰り返す)ことを含み得る。次のサイクルを開始することは、標識ヌクレオチドを部分的にのみ取り込むのに十分な条件下で、標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含む第1の反応混合物を流すことを含み得る。次のサイクルのこのような完了前の開始は、本明細書に記載される配列決定スキームの第1のフローが部分的な取込みのみを必要とし(例えば、全ての取込み部位が利用可能である必要はない)、前のサイクルからの色素が切断されており、検出中の現在のシグナルに干渉しないために可能である。還元剤も反応部位から洗い流されているため、新たに取り込まれた可逆的に終結したヌクレオチドは切断されない。
【0241】
有益なことに、本開示に記載されるシーケンシング・バイ・シンセシススキームは、部分的取込みが目的であるフロー(例えば、第1のフロー)で、ヌクレオチドのOH部位に(例えば、塩基と対照的に)結合された標識(例えば、色素部分)を含む標識ヌクレオチドを使用し得る。潜在的に大きくて嵩高い色素分子がOH部位に結合され得るこのような構成は、ポリメラーゼが嵩高い標識ヌクレオチドを成長中の鎖に取り込むことを困難にし、プライマー伸長反応を実質的に減速し得る(これは、このようなヌクレオチドを、標識ヌクレオチドが全ての利用可能な部位に取り込まれる典型的なシーケンシング・バイ・シンセシススキームで使用するのに実行不能にし得る)。しかしながら、このような問題は回避され得、場合によっては、ほんの部分的取込み(例えば、約5%)が必要とされ得、このような部分的取込みを達成するために嵩高いヌクレオチドによって有効取込み速度が減速され得るので、本明細書で提供される方法を使用することが有益になることさえあり得る。さらに、色素が切断されると、取り込まれたヌクレオチドは、その自然な状態(例えば、色素なし)に戻り得るか、または他の取り込まれたヌクレオチドの他の瘢痕から十分に間隔を空け得る瘢痕(例えば、化学残基)を含み得る。
【0242】
同様のプロセスは、図6に示されるように、アジドメチル終結ヌクレオチドを伴う方法に関係し得る。アジドメチル終結ヌクレオチドのアンブロッキングは、切断剤(例えば、還元剤602)の使用を含み得る。このような薬剤が導入された後、可逆的ターミネーターは、環状中間化合物(例えば、604)への変換を受け得る。このプロセスは可逆的であり得る。その後、環状中間化合物は窒素を失い、加水分解を受けて3’アンブロッキング状態(例えば、607)を提供し得、これが、追加のヌクレオチドの取込みのための利用可能な取込み部位を提供し得る。アンブロッキングプロセスのこの第2の部分には、切断剤(還元剤など)は必要とされ得ない。よって、この方法は、アンブロッキングプロセスの第1の部分(例えば、環状中間体への変換)の後に、複数の核酸分子を洗浄して、切断剤(例えば、還元剤)および色素分子を除去し、アンブロッキング反応の完了を待つことなく、次のサイクル(上記の操作を繰り返すこと)を開始することを含み得る。次のサイクルを開始することは、標識ヌクレオチドを部分的にのみ取り込むための条件下で、標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含む第1の反応混合物を流すことを含み得る。本明細書に記載される配列決定スキームの第1のフローは、部分的な取込みのみを必要とするため、次のサイクルのこのような完了前の開始が可能となり得る。還元剤も反応部位から洗い流されているため、新たに取り込まれた可逆的に終結したヌクレオチドは切断されない。
【0243】
第2、第3、第4などの配列決定サイクルの(例えば、第1の反応混合物の)第1のフローは、前の配列決定サイクルのアンブロッキング反応の第2の部分と同時に起こり得る。場合によっては、所与の配列決定サイクルの第1の検出イベント、第2のフロー、および/または第2の検出イベントが全て、前の配列決定サイクルのアンブロッキングプロセス(例えば、上記のアンブロッキングプロセスの第2の部分)中に起こり得る。
【0244】
場合によっては、(例えば、本明細書に記載されるように)複数の核酸分子を同位相にするために、ヌクレオチド(例えば、標識ヌクレオチド、非標識ヌクレオチド、または標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの混合物)を、所与の配列決定サイクルの前のフロー(例えば、第1および第2のフロー)でヌクレオチドがまだ取り込まれていない複数の核酸分子の残りに結合されている配列に取り込む、所与の配列決定サイクルの(例えば、第3の反応混合物の)第3のフローが、前の配列決定サイクルのアンブロッキングプロセスが実質的に完了した後に起こり得る。例えば、第3のフローは、前のサイクルのアンブロッキングプロセスの少なくとも約95.0%、95.5%、96.0%、96.5%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%完了後に開始され得る。例えば、第3のフローは、(所与の配列決定サイクルの第1および/または第2のフローからのヌクレオチドを既に取り込んだ鎖を除く)鎖の少なくとも約95.0%、95.5%、96.0%、96.5%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%が追加の取込みに利用可能になった後に開始され得る。
【0245】
場合によっては、前の配列決定サイクルにおけるアンブロッキングプロセスを開始するための切断剤(例えば、還元剤)の導入時間と次の配列決定サイクルを開始するための第1の反応混合物の導入時間との間の期間が、アンブロッキングプロセスの完了に必要な期間よりも短くなり得る。場合によっては、前の配列決定サイクルにおけるアンブロッキングプロセスを開始するための切断剤(例えば、還元剤)の導入時間と次の配列決定サイクルを開始するための第1の反応混合物の導入時間との間の期間が、アンブロッキングプロセスの第2の部分の完了に必要な期間よりも短くなり得る。場合によっては、この期間が、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の鎖(例えば、複数の核酸分子に結合され、利用可能な取込み部位を有する配列)が、(例えば、前のサイクルのアンブロッキングプロセスの完了後に)取込みに利用可能である場合に、第1の反応混合物のヌクレオチドが複数の核酸分子に導入されることを可能にするように選択され得る。場合によっては、この期間が、利用可能な鎖のパーセンテージが実質的に一定であり、後続の配列決定サイクルの第1の反応混合物からヌクレオチドを取り込むための反応条件が実質的に一定であるように、各連続配列決定サイクル間で一定になるように選択され得る。
【0246】
有益なことに、アンブロッキング反応の完全な完了を待つ必要はないので、全体的な配列決定時間が有意に短縮され、効率が向上し得る。さらに、本明細書に記載される方法で3’ジスルフィド可逆的ターミネーターを使用すると、アンブロッキング反応が最終的に完了したときに、取り込まれたヌクレオチドの自然状態への復帰が容易になり、よって、その後のプライマー伸長反応に影響を及ぼし得る化学残基の出現率が低下し得る。
【0247】
本明細書で提供される方法に従って核酸分子を分析するために、様々なスキームを採用することができる。以下の節でいくつかの例を説明する。
【0248】
マルチカラーイメージング法
場合によっては、マルチカラー(例えば、4色)イメージングを使用して、核酸分子を分析することができる。このような方法は、成長中の鎖に(例えば、検出領域などで、基板に固定化された複数の核酸分子に結合された配列に)取り込まれたヌクレオチドを特定するために使用され得る。取り込まれたヌクレオチドの検出は、少なくとも1、2、3、4またはそれ以上の色(または周波数)、または色の組み合わせの検出を含み得る。検出は、異なる強度で1つまたは複数の色を検出することを含み得る。
【0249】
いくつかの例では、4色イメージングが採用される。様々なヌクレオチドを含む反応混合物の2つのフローを利用することができる。異なる配列を有する異なる鋳型核酸分子と配列相同性を有する、核酸分子(例えば、検出領域などで、基板に固定化された核酸分子)の複数のコロニーを提供することができる。鋳型核酸分子は、DNA分子であり得る。
【0250】
第1のフローにおいて、4つの異なるカノニカル塩基を含む4つの異なる蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含む第1の反応混合物を、ヌクレオチドを(例えば、本明細書に記載される)複数のコロニーの核酸分子に結合(例えば、ハイブリダイズ)された配列(例えば、配列決定プライマー)に取り込むのに十分な条件下で、複数のコロニーと接触させることができる。例えば、第1の反応混合物は、A塩基(色1で標識)を含む複数のヌクレオチド、C塩基(色2で標識)を含む複数のヌクレオチド、G塩基(色3で標識)を含む複数のヌクレオチド、およびT塩基(色4で標識)を含む複数のヌクレオチドを含むことができ、色1~4は別個であり、異なる。場合によっては、4つの塩基のそれぞれの濃度が十分に低いので、コロニー内の利用可能な鎖のごく一部のみを標識することができる。例えば、第1の反応混合物が、鎖の利用可能な取込み部位の約5%を占めるのに十分なヌクレオチドを含むように、4つの塩基のそれぞれの濃度が利用可能な鎖の約5%に対応し得る。したがって、第1の反応混合物内の相対濃度は、約25%のA塩基ヌクレオチド、約25%のC塩基ヌクレオチド、約25%のG塩基ヌクレオチド、および約25%のT塩基ヌクレオチドとなり得る。場合によっては、第1の反応混合物内の相対濃度が、例えば、GCバイアスを説明するよう調整され得る。場合によっては、重合酵素(例えば、ヌクレオチドを利用可能な取込み部位に取り込むために使用される重合酵素)、インキュベーション時間、および/または使用のために選択される特定のヌクレオチドが、第1の反応混合物のヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、1つまたは複数のヌクレオチドの有効取込み速度を減速させるよう選択され得る。複数のコロニーをイメージングすることができる(例えば、取り込まれなかったヌクレオチドを除去するための洗浄プロセスの後)。色1、2、3、または4の蛍光色シグナルを示すコロニーは、それぞれ、例えば鎖の約5%に、A塩基、C塩基、G塩基、またはT塩基を取り込んでいるだろう。
【0251】
次いで、複数のコロニーを、非伸長鎖が全て1塩基だけ伸長される;すなわち、全ての鎖が同位相であることを保証するために過剰の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド(例えば、A、T、G、およびC含有ヌクレオチド)を含む第2のフローで、第2の反応混合物に(例えば、本明細書に記載されるように)曝露することができる。場合によっては、複数のコロニーを第2の反応混合物に曝露する間に、鎖のサブセットのみが伸長され得る。場合によっては、重合酵素(例えば、ヌクレオチドを利用可能な取込み部位に取り込むために使用される重合酵素)、インキュベーション時間、および/または使用のために選択される特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドがより利用可能な取込み部位に取り込まれるように、1つまたは複数のヌクレオチドの有効取込み速度を増強するよう選択され得る。
【0252】
第1の反応混合物の取り込まれたヌクレオチドの蛍光色素ならびに/あるいは第1および第2の反応混合物の取り込まれたヌクレオチドの可逆的ターミネーターを(例えば、本明細書に記載されるように)除去することができ、本プロセスは、低濃度の4つの塩基を含む第1の反応混合物を流し、イメージングし、引き続いて過剰の非蛍光終結塩基を含む第2の反応混合物を流し、色素および可逆的ターミネーターを除去することによって繰り返され得る。イメージング後の色素部分の切断は、全ての配列決定サイクルの後に実施され得るか、または複数の配列決定サイクルの後に(例えば、1、2、3、またはそれ以上の配列決定サイクルの後に)実施され得る。場合によっては、同じ切断プロセスを使用して、それぞれの異なる蛍光色素および可逆的ターミネーターを除去することができる。他の場合には、複数の切断試薬および/または照射サイクルを使用して、各異なる蛍光色素および可逆的ターミネーターを除去することができる。有益なことに、クローン集団のごく一部(例えば、この例では約5%)のみが、所与の配列決定サイクルで色素部分の切断によって「瘢痕化」され、後続の配列決定サイクルでの効果を最小化し得る。場合によっては、本明細書の他の場所で記載されるように、前の配列決定サイクルにおける色素および/または可逆的ターミネーターの切断が完了する前に、ならびに切断剤(例えば、還元剤)を洗い流した後に、第1の反応混合物を導入して後続の配列決定サイクルを開始することができる。
【0253】
場合によっては、第1の反応混合物にヌクレオチドを取り込むことの限界濃度が、マグネシウムまたはマンガンイオンの濃度を律速レベルに低下させることによって間接的に達成され得る。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸)(エグタズ酸、EGTA)、クエン酸塩、イソクエン酸塩などの金属キレート剤を使用して、遊離マグネシウムまたはマンガンのレベルを調節することができ、これにより、反応速度が制御される。例えば、約5%の取込みを達成するために必要とされるよりも多くのヌクレオチドが存在し得るが、鎖がヌクレオチドに曝露される所定の時間においては、一定のパーセンテージのみが実際に取り込まれ得る。
【0254】
あるいは、またはさらに、ストロンチウムイオンなどの阻害剤を使用して、ヌクレオチドの取込みを減少させ、その結果、利用可能な鎖のごく一部のみが伸長されるようにすることができる。ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)阻害剤の追加の例としては、それだけに限らないが、アフィジコリン、ミトラマイシンA、およびリファマイシンが挙げられる。一定のヌクレオチドアナログも阻害剤として機能し得る。
【0255】
場合によっては、第1の反応混合物が、低レベルの非標識の可逆的に終結したヌクレオチド、ならびに蛍光標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。取込み中の標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの間の競合は、コンテキスト依存性の問題および標識ヌクレオチドから生成されるシグナルのダイナミックレンジに有益に対処し、これらを低減し得る。
【0256】
3フローモノクロイメージング法(1)
単一発光波長および単一の収集範囲を備えたモノクロシステムは、複雑さを大幅に軽減し、より高速なイメージングを可能にすることができる。単一波長システムはまた、低いコストおよび複雑さ、最適な色素、ならびに低バックグラウンド蛍光を備えた最適化されたイメージングシステムの使用を容易にし得る。モノクロイメージングシステムを使用して、異なるヌクレオチド混合物の3つの連続したフローを使用して、4つの異なるカノニカル塩基を含む4つの異なるヌクレオチドの取込みを分析することができる。
【0257】
そこに結合(例えば、ハイブリダイズ)された複数の配列(例えば、配列決定プライマー)を含む複数の核酸分子を含む複数のコロニー(例えば、平面表面、ビーズまたはウェル上、例えば、検出領域内)を、A塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチドおよびC塩基を含む複数の同様に標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含む第1の反応混合物に曝露することができる。場合によっては、第1の反応混合物中のヌクレオチドの濃度が十分に低いので、コロニー内の利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみを標識することができる。複数のコロニーをイメージングして(例えば、本明細書に記載される、取り込まれなかったヌクレオチドを除去するための洗浄プロセスの後)、第1の画像を生成することができる。蛍光シグナルを示すコロニーは、鎖の約5%にA塩基またはC塩基のいずれかを取り込んでいる可能性がある。
【0258】
次いで、複数のコロニーを、A塩基およびT塩基を含む低濃度の同様に標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含む第2の反応混合物に曝露することができる。場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、ならびに/あるいは第1および第2の反応混合物で使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、有効取込み速度を減速させるよう選択され得る。コロニーを再度イメージングして(例えば、本明細書に記載される、洗浄プロセスの後に)、第2の画像を生成することができる。AおよびC含有ヌクレオチドの第1の曝露後に第1の画像で蛍光になったコロニーは、AまたはC含有ヌクレオチドのいずれかを取り込んでいる可能性がある。第1の画像と比較して第2の画像で蛍光強度が増加しているコロニーは、A含有ヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。第1の画像から第2の画像まで蛍光強度が増加しなかったコロニーには、C含有ヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。以前は暗かった(蛍光がない)が、AおよびT含有ヌクレオチドの第2のフロー後に蛍光になったコロニーは、T含有ヌクレオチドを取り込んでいる。両イメージングステップの後で暗いままであるコロニーは、G含有ヌクレオチドについて開放位置を有している可能性がある。
【0259】
次いで、コロニーを、低濃度(または限られたインキュベーション時間および/または限られた有効取込み速度等)の蛍光標識された可逆的に終結したヌクレオチド、またはG含有ヌクレオチドの場合は、曝露の欠如のために伸長しなかった鎖が全て一塩基だけ伸長される;すなわち、全ての鎖が同位相であることを保証するために過剰の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド(例えば、A、T、G、およびC含有ヌクレオチド)に曝露することができる。場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、および/または使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドがより利用可能な取込み部位に取り込まれるように、有効取込み速度を増強するよう選択され得る。
【0260】
蛍光色素を切断し、ターミネーターを除去することができ(例えば、本明細書に記載されるのと同じまたは異なるプロセスで)、低濃度の蛍光標識された可逆的に終結したAおよびC含有ヌクレオチドの第1のフローを実施し、引き続いて洗浄およびイメージングし、低濃度の蛍光標識された可逆的に終結したAおよびT含有ヌクレオチドの第2のフローを実施し、引き続いて洗浄およびイメージングし、高濃度の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド(例えば、A、T、G、およびC含有ヌクレオチド)による第3のフローを実施することによって、プロセスを繰り返すことができる。以下の表1は、3フローモノクロイメージングスキームを要約している。画像1のシグナルを測定し、画像2のシグナルと画像1のシグナルの差異を決定することによって(画像2-画像1)、デジタル出力が得られる。1,1のシグナル(画像1、デジタル出力)はAとして読み取られ;1,0のシグナルはCとして読み取られ;0,0のシグナルはGとして読み取られ;0,1のシグナルはTとして読み取られる。
【0261】
【表1】
【0262】
3フローモノクロイメージングスキームは、図1に概略的に示されている。
【0263】
場合によっては、イメージング後の色素部分の切断が、全ての配列決定サイクルの後に実施され得るか、または複数の配列決定サイクルの後に実施され得る。
【0264】
場合によっては、本明細書の他の場所で記載されるように、前の配列決定サイクルにおける可逆的ターミネーターの切断が完了する前に、切断剤(例えば、還元剤)を洗い流した後に、第1の反応混合物を導入して次の配列決定サイクルを開始することができる。
【0265】
場合によっては、ヌクレオチドを取り込むことの限界濃度が、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンの濃度を律速レベルに低下させることによって間接的に達成され得る。EDTA、EGTA、クエン酸塩、イソクエン酸塩などの金属キレート剤を使用して、遊離マグネシウムまたはマンガンのレベルを調節することができ、これが反応速度に影響を及ぼし得る。例えば、約5%の取込みを達成するために必要とされるよりも多くのヌクレオチドが所与のフロー中に存在し得るが、鎖がヌクレオチドに曝露される所定の時間においては、一定のパーセンテージのみが実際に取り込まれ得る。
【0266】
あるいは、またはさらに、ストロンチウムイオンなどの阻害剤を使用して、ヌクレオチドの取込みを減少させ、その結果、利用可能な鎖のごく一部のみが伸長されるようにすることができる。ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)阻害剤の追加の例としては、それだけに限らないが、アフィジコリン、ミトラマイシンA、およびリファマイシンが挙げられる。一定のヌクレオチドアナログも阻害剤として機能し得る。
【0267】
場合によっては、反応混合物が、低レベルの非標識の可逆的に終結したヌクレオチド、ならびに蛍光標識されたヌクレオチドを含み得る。
【0268】
理解されるように、反応混合物は、本明細書に示される特定の例以外のカノニカル塩基型の異なる組み合わせを含み得る(例えば、第1の反応混合物がTおよびCを含み得、第2の反応混合物がTおよびAを含み得、第3の反応混合物がA、T、G、Cを含み得るなど)。
【0269】
3フローモノクロイメージング法(2)
3つのフローを使用する別のスキームでは、モノクロイメージングシステムを使用して、異なるヌクレオチド混合物の3つの連続したフローを使用して、4つのカノニカル塩基を含むヌクレオチドの取込みを分析することができる。そこに結合(例えば、ハイブリダイズ)された配列(例えば、配列決定プライマー)を有する核酸分子の複数のコロニー(例えば、平面表面、ビーズまたはウェル上、例えば、本明細書に記載される、検出領域)を、(例えば、本明細書に記載される)第1の反応混合物に曝露することができる。第1の反応混合物は、A塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチド、C塩基を含む複数の同様に標識された可逆的に終結したヌクレオチド、およびC塩基を含む複数の非標識の可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。反応条件は、A塩基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成されたコロニー内の利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみが、標識されたA含有ヌクレオチドを実際に取り込み、残りの鎖が、(1または複数の)後続のフローでA塩基を含むヌクレオチドを取り込むために利用可能であり得るように調節され得る。反応条件は、C塩基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成されたコロニー内の利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみが、標識されたC含有ヌクレオチドを取り込むように調節され得る。例えば、残りの利用可能な鎖の少なくともサブセット(例えば、少数、多数、または全て)が、第1の反応混合物から非標識C含有ヌクレオチドを受け入れることができる。コロニーをイメージングして(例えば、本明細書に記載される、洗浄プロセスの後に)、第1の画像を生成することができる。蛍光シグナルを示すコロニーは、鎖の約5%にA含有ヌクレオチドまたはC含有ヌクレオチドのいずれかを取り込んでいる可能性がある。第1のフローの後、C含有ヌクレオチドを受け入れるように構成された全ての鎖が、C塩基取込み部位が同位相であるように、C含有ヌクレオチド(標識または非標識)を受け入れた可能性がある。あるいは、(1または複数の)後続のフローでC含有ヌクレオチドを取り込むために利用可能な鎖が残っている可能性がある。
【0270】
次いで、コロニーを第2の反応混合物に曝露することができる。第2の反応混合物は、A塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチド;T塩基を含む複数の同様に標識された可逆的に終結したヌクレオチド;A塩基を含む複数の非標識の可逆的に終結したヌクレオチド、およびT塩基を含む複数の非標識の可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。反応条件は、A塩基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成された利用可能な鎖のごく一部(例えば、第1のフローの前後の利用可能な鎖の約5%)のみが、第2の反応混合物からAを含む標識ヌクレオチドを実際に取り込むように調節され得る。例えば、残りの利用可能な鎖の少なくともサブセット(例えば、少数、多数、または全て)が、第2の反応混合物からA塩基を含む非標識ヌクレオチドを受け入れることができる。反応条件は、T基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成された利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみが、第2の反応混合物から標識されたT含有ヌクレオチドを実際に取り込むように調節され得る。例えば、残りの利用可能な鎖の少なくともサブセット(例えば、少数、多数、または全て)が、第2の反応混合物からT塩基を含む非標識ヌクレオチドを受け入れることができる。第2のフローの後、A塩基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成された全ての鎖は、A塩基を含むヌクレオチド(標識または非標識)を受け入れた可能性があり、A塩基取込み部位は同相であり得る。あるいは、(1または複数の)後続のフローでA塩基を取り込むために利用可能な鎖が残っている可能性がある。第2のフローの後、T塩基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成された全ての鎖は、T塩基を含むヌクレオチド(標識または非標識)を受け入れた可能性があり、T塩基取込み部位は同相であり得る。あるいは、(1または複数の)後続のフローでT塩基を取り込むために利用可能な鎖が残っている可能性がある。コロニーを再度イメージングして(例えば、本明細書に記載される、洗浄プロセスの後に)、第2の画像を生成することができる。第1の画像と比較して第2の画像で蛍光強度が増加しているコロニーは、A塩基を含むヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。第1の画像から第2の画像まで蛍光強度が増加しなかったコロニーには、C塩基を含むヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。以前は暗かった(蛍光がない)が、A塩基およびT塩基を含むヌクレオチドの第2のフロー後に蛍光になったコロニーは、T塩基を含むヌクレオチドを取り込んでいる。両イメージングステップの後で暗いままであるコロニーは、G塩基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成された開放位置を有し得る。
【0271】
場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、ならびに/あるいは第1および第2の反応混合物で使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、有効取込み速度を減速させるよう選択され得る。場合によっては、ヌクレオチドを取り込むことの限界濃度が、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンの濃度を律速レベルに低下させることによって間接的に達成され得る。EDTA、EGTA、クエン酸塩、イソクエン酸塩などの金属キレート剤を使用して、遊離マグネシウムまたはマンガンのレベルを調節することができ、これが反応速度に影響を及ぼし得る。例えば、約5%の取込みを達成するために必要とされるよりも多くのヌクレオチドが存在し得るが、鎖がヌクレオチドに曝露される所定の時間においては、一定のパーセンテージのみが実際に取り込まれ得る。場合によっては、ストロンチウムイオンなどの阻害剤を使用して、ヌクレオチドの取込みを減少させ、その結果、利用可能な鎖のごく一部のみが伸長されるようにすることができる。ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)阻害剤の追加の例としては、それだけに限らないが、アフィジコリン、ミトラマイシンA、およびリファマイシンが挙げられる。一定のヌクレオチドアナログも阻害剤として機能し得る。
【0272】
次いで、コロニーを、低濃度(または限られたインキュベーション時間および/または限られた有効取込み速度等)の蛍光標識された可逆的に終結したヌクレオチド、またはG含有ヌクレオチドの場合は、曝露の欠如のために伸長しなかった鎖が全て一塩基だけ伸長される;すなわち、全ての鎖が同位相であることを保証するために過剰の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド(例えば、A、T、G、およびC含有ヌクレオチド)を含む第3の反応混合物に曝露することができる。第3の反応混合物は、非標識である塩基の型の任意の組み合わせを含み得る。例えば、場合によっては、第3の反応混合物が、A塩基、T塩基、G塩基、およびC塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第1のフローの後に全てのC塩基取込み部位が占有されている場合など、第3の反応混合物がA塩基、T塩基、およびG塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第2のフローの後に全てのA塩基取込み部位が占有されている場合など、第3の混合物がC塩基、T塩基、およびG塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第2のフローの後に全てのT塩基取込み部位が占有されている場合など、第3の混合物がA塩基、C塩基、およびG塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第2のフローの後に全てのC塩基、A塩基およびT塩基取込み部位が占有されている場合など、第3の混合物がG塩基のみを含むヌクレオチドを含み得る。場合によっては、G塩基を含む非標識ヌクレオチドが、第1および/または第2の反応混合物に含まれ得る。場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、および/または使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドがより利用可能な取込み部位に取り込まれるように、有効取込み速度を増強するよう選択され得る。
【0273】
蛍光色素を切断し、ターミネーターを除去することができ(例えば、本明細書に記載されるのと同じまたは異なるプロセスで)、プロセスを繰り返して、各サイクルについての2つの画像間のデジタル出力を決定して、複数の核酸分子の配列を決定することができる。
【0274】
場合によっては、イメージング後の色素部分の切断が、全ての配列決定サイクルの後に実施され得るか、または複数の配列決定サイクルの後に実施され得る。
【0275】
場合によっては、本明細書の他の場所で記載されるように、前の配列決定サイクルにおける可逆的ターミネーターの切断が完了する前に、切断剤(例えば、還元剤)を洗い流した後に、第1の反応混合物を導入して次の配列決定サイクルを開始することができる。
【0276】
場合によっては、反応混合物が、低レベルの非標識の可逆的に終結したヌクレオチド、ならびに蛍光標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。理解されるように、反応混合物は、本明細書に示される特定の例以外のカノニカル塩基型の異なる組み合わせを含み得る(例えば、第1の反応混合物がTおよびC含有ヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物がTおよびA含有ヌクレオチドを含み得、第3の反応混合物がA、T、GおよびC含有ヌクレオチドを含み得るなど)。
【0277】
2フローモノクロイメージング法(1)
上記方法の代替として、2フローモノクロイメージングスキームを採用することができる。モノクロイメージングシステムを使用して、異なるヌクレオチド混合物の2つの連続したフローを使用して、4つの異なるカノニカル塩基を含むヌクレオチドの取込みを分析することができる。そこに結合(例えば、ハイブリダイズ)された配列(例えば、配列決定プライマー)を含む核酸分子の複数のコロニー(例えば、平面表面、ビーズまたはウェル上、例えば、本明細書に記載される、検出領域)を、A塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチドおよびC塩基を含む複数の同様に標識された可逆的に終結したヌクレオチドを含む第1の反応混合物に曝露することができる。反応条件は、標識ヌクレオチドがコロニー内の利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみに取り込まれるように制御され得る。場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、および/または第1の反応混合物で使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、有効取込み速度を減速させるよう選択され得る。例えば、インキュベーション時間は、ヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、有効取込み速度に関して調整され得る。コロニーをイメージングして(例えば、本明細書に記載される、洗浄プロセスの後に)、第1の画像を生成することができる。蛍光シグナルを示すコロニーは、鎖の約5%にA塩基またはC塩基を含むヌクレオチドのいずれかを取り込んでいる可能性がある。
【0278】
次いで、コロニーを、A塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチド;T塩基を含む複数の同様に標識された可逆的に終結したヌクレオチド;C塩基を含む複数の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド;およびG塩基を含む複数の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチドを含む第2の反応混合物に曝露することができる。カノニカル塩基型のそれぞれを含むヌクレオチドは、低い濃度、遅い有効取込み速度、および/または第1のフローにおける限られた曝露時間のために伸長しなかった鎖が全て一塩基だけ伸長される;すなわち、全ての鎖が同位相であることを保証するために過剰に提供され得る。場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、および/または使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドがより利用可能な取込み部位に取り込まれるように、有効取込み速度を増強するよう使用され得る。コロニーを再度イメージングして(例えば、本明細書に記載される、洗浄プロセスの後に)、第2の画像を生成することができる。AおよびC含有ヌクレオチドの第1の曝露後に蛍光になったコロニーは、A含有ヌクレオチドまたはC含有ヌクレオチドのいずれかを取り込んでいる可能性がある。第1の画像と比較して第2の画像で蛍光強度が増加しているコロニーは、A含有ヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。第1の画像から第2の画像まで蛍光強度が増加しなかったコロニーには、C含有ヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。以前は暗かった(蛍光がない)が、AおよびT含有ヌクレオチドの第2のフロー後に蛍光になったコロニーは、T含有ヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。両イメージングステップの後で暗いままであるコロニーは、G含有ヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。蛍光色素を切断し、ターミネーターを除去することができ、各フローの後に洗浄およびイメージング操作を含む、2つのフローを実施することによって、プロセスを繰り返すことができる。
【0279】
画像1のシグナルを測定し、画像2のシグナルと画像1のシグナルの差異を決定することによって(画像2-画像1)、デジタル出力が得られる。上記3フローモノクロイメージングスキームと比較して、第1の画像(第1のフローの後)のシグナルと第2の画像(第2のフローの後)のシグナルとの間の差異は変化し得る。例えば、1,xのシグナルはAとして読み取られ;1,0のシグナルはCとして読み取られ;0,0のシグナルはGとして読み取られ;0,yのシグナルはTとして読み取られる(xおよびyは正の値である)。有益なことに、4つの異なる塩基を含むヌクレオチドの取込みを2つの連続したフローで分析することができ、第3のフローの必要性が排除される。
【0280】
他の場合には、第2の反応混合物が、2つの異なるカノニカル塩基型を含む2つの異なる標識ヌクレオチド型、および4つの異なるカノニカル塩基型を含む4つの異なる非標識ヌクレオチド型を含み得る。6つの型のヌクレオチド全てが、全ての利用可能な取込み部位がヌクレオチドを取り込み、これらを同位相にすることを可能にするために過剰に提供され得る。非標識ヌクレオチドと標識ヌクレオチドの両方がカノニカル塩基型(例えば、A)に存在する場合、標識ヌクレオチドからの「瘢痕化」効果を最小化するために、非標識ヌクレオチドがより高い濃度で存在し得る。例えば、上記例を参照すると、第2の反応混合物は、A塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチド;T塩基を含む複数の同様に標識された可逆的に終結したヌクレオチド;C塩基を含む複数の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド;G塩基を含む複数の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド;A塩基を含む複数の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド;およびT塩基を含む複数の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。場合によっては、A塩基を含む標識ヌクレオチドよりも多くのA塩基を含む非標識ヌクレオチドが取り込まれて、「瘢痕化」効果を最小化するように、A塩基を含む非標識ヌクレオチドが、第2の反応混合物中にA塩基を含む標識ヌクレオチドよりも高い濃度で提供され得る。同様に、T塩基を含む標識ヌクレオチドよりも多くのT塩基を含む非標識ヌクレオチドが取り込まれて、「瘢痕化」効果を最小化するように、T塩基を含む非標識ヌクレオチドが、第2の反応混合物中にT塩基を含む標識ヌクレオチドよりも高い濃度で提供され得る。
【0281】
他の場合には、第1の反応混合物が、標識された第1の型のカノニカル塩基(例えば、A)を含む複数のヌクレオチド、標識された第2の型のカノニカル塩基(例えば、C)を含む複数のヌクレオチド、および非標識の第2の型のカノニカル塩基(例えば、C)を含む複数のヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物が、標識された第1の型のカノニカル塩基(例えば、A)を含む複数のヌクレオチド、標識された第3の型のカノニカル塩基(例えば、T)を含む複数のヌクレオチド、ならびに第1の型(例えば、A)、第3の型(例えば、T)、および第4の型(例えば、G)の塩基を含む複数の非標識ヌクレオチドを含み得る。第1の反応混合物では、標識されているか非標識であるかにかかわらず、第2の型のカノニカル塩基(例えば、C)を含むヌクレオチドが、第2の型のカノニカル塩基を含むヌクレオチドを受け入れるように構成された全ての取込み部位が、標識されているか非標識であるかにかかわらず、第1の反応混合物のヌクレオチドを取り込むように過剰に提供され得る。場合によっては、第2のカノニカル塩基型の塩基を含む非標識ヌクレオチドが、第1の反応混合物中に第2のカノニカル塩基型の塩基を含む標識ヌクレオチドよりも高い濃度で存在して、標識ヌクレオチドからの「瘢痕化」効果を最小化することができる。場合によっては、第2の型のカノニカル塩基(例えば、C)を含むヌクレオチドが、第1の反応混合物中に過剰に提供されない(または、全ての利用可能な取込み部位に取り込むための条件下で導入されない)場合、第2の反応混合物が、第2の型のカノニカル塩基を含む非標識ヌクレオチドをさらに含み得る。場合によっては、4つの異なるカノニカル塩基を含むヌクレオチドのうち、この例で第2の型のカノニカル塩基として選択された塩基型が、最も遅い取込みを有する塩基型であり得る。
【0282】
場合によっては、イメージング後の色素部分の切断が、全ての配列決定サイクルの後に実施され得るか、または複数の配列決定サイクルの後に実施され得る。
【0283】
場合によっては、本明細書の他の場所で記載されるように、前の配列決定サイクルにおける可逆的ターミネーターの切断が完了する前に、切断剤(例えば、還元剤)を洗い流した後に、第1の反応混合物を導入して次の配列決定サイクルを開始することができる。
【0284】
場合によっては、ヌクレオチドを取り込むことの限界濃度が、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンの濃度を律速レベルに低下させることによって間接的に達成され得る。EDTA、EGTA、クエン酸塩、イソクエン酸塩などの金属キレート剤を使用して、遊離マグネシウムまたはマンガンのレベルを調節することができ、これが反応速度に影響を及ぼし得る。例えば、約5%の取込みを達成するために必要とされるよりも多くのヌクレオチドが存在し得るが、鎖がヌクレオチドに曝露される所定の時間においては、一定のパーセンテージのみが実際に取り込まれ得る。
【0285】
あるいは、またはさらに、ストロンチウムイオンなどの阻害剤を使用して、ヌクレオチドの取込みを減少させ、その結果、利用可能な鎖のごく一部のみが伸長されるようにすることができる。ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)阻害剤の追加の例としては、それだけに限らないが、アフィジコリン、ミトラマイシンA、およびリファマイシンが挙げられる。一定のヌクレオチドアナログも阻害剤として機能し得る。
【0286】
場合によっては、反応混合物が、低レベルの非標識の可逆的に終結したヌクレオチド、ならびに蛍光標識されたヌクレオチドを含み得る。
【0287】
2フローモノクロイメージング法(2)
以下の例は、上記2フローモノクロイメージングスキームの代替手段を提供する。そこに結合(例えば、ハイブリダイズ)された配列(例えば、配列決定プライマー)を含む核酸分子の複数のコロニー(例えば、平面表面、ビーズまたはウェル、例えば、本明細書に記載される検出領域内)を、異なる塩基について異なる輝度を生成する方法で、低濃度の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチドの混合物に曝露することができる。
【0288】
場合によっては、第1の反応混合物が、異なる濃度の複数の異なる標識ヌクレオチド(例えば、0%のA含有ヌクレオチド、5%のC含有ヌクレオチド、10%のG含有ヌクレオチド、および20%のT含有ヌクレオチド)を含み得る。平均濃度は、コロニー内の利用可能な鎖のごく一部のみを標識するのに十分に低いものとなり得る(例えば、この例では35%/4=8.75%)。ホモポリマーに隣接色素が蓄積するのを防ぐために、最大濃度を制限することもできる(この場合は20%)。場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、および/または使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、有効取込み速度を減速させるよう選択され得る。コロニーをイメージングすることができる(例えば、本明細書に記載される、洗浄プロセスの後に)。蛍光シグナルの相対的輝度は、どのヌクレオチドが所与のコロニーの鎖に取り込まれているかを示し得る。
【0289】
場合によっては、第1の反応混合物が、ほぼ同じ濃度の複数の異なる標識ヌクレオチドを含み得る。反応混合物の各ヌクレオチドは、同様の励起波長および同様の発光波長を有するが、実質的に異なる蛍光収率を有する色素、またはシフトした励起ピークおよび発光ピークを有し、したがってイメージングシステムの特定の励起波長および発光波長で異なる輝度を有する色素の使用のいずれかにより、異なる蛍光強度を有し得る。
【0290】
場合によっては、反応混合物中の異なる塩基を含む異なるヌクレオチドについての異なる輝度が、蛍光標識ヌクレオチドを非蛍光標識ヌクレオチドと混合することによって得られ得る。例えば、第1の反応混合物は、各異なるヌクレオチド型が蛍光標識ヌクレオチドおよび非蛍光標識ヌクレオチドを含む、異なるカノニカル塩基を含む複数の異なるヌクレオチドを含み得る。前の例のように、第1の反応混合物は、複数の核酸分子の5%など、複数の核酸分子のごく一部に対応する濃度または相対量のヌクレオチドを含み得る。例えば、A含有ヌクレオチドの100%(例えば、取り込まれた5%のうちの100%)を蛍光色素で標識することができ、C含有ヌクレオチドの50%を同じ蛍光色素で標識することができ、T含有ヌクレオチドの25%を同じ蛍光色素で標識することができ、G含有ヌクレオチドの0%を標識することができる。
【0291】
上記例では、次いで、コロニーを、第1のフローで低濃度の蛍光標識された可逆的に終結したヌクレオチドのために伸長しなかった鎖が全て一塩基だけ伸長される;すなわち、全ての鎖が同位相であることを保証するために過剰の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチドを含む第2の反応混合物に曝露することができる。蛍光色素を切断し、ターミネーターを除去することができ(例えば、本明細書に記載されるのと同じまたは異なるプロセスで)、プロセスを繰り返すことができる。
【0292】
場合によっては、本明細書の他の場所で記載されるように、前の配列決定サイクルで取り込まれたヌクレオチドの可逆的ターミネーターの切断が完了する前に、切断剤(例えば、還元剤)を洗い流した後に、第1の反応混合物を導入して次の配列決定サイクルを開始することができる。
【0293】
4フロー法
本明細書で提供される方法は、4フローモノクロイメージングスキームの使用を含み得る。モノクロイメージングシステムを使用して、異なるヌクレオチド混合物の4つの連続したフローを使用して、4つの異なる塩基を含むヌクレオチドの取込みを分析することができる。そこに結合(例えば、ハイブリダイズ)された配列(例えば、配列決定プライマー)を含む核酸分子の複数のコロニー(例えば、平面表面、ビーズまたはウェル上、例えば、本明細書に記載される、検出領域)を、第1の反応混合物に曝露することができる。第1の反応混合物は、A塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチドおよびA塩基を含む複数の非標識の可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。反応条件は、A塩基含有ヌクレオチドを受け入れるように構成されたコロニー内の利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみが標識ヌクレオチドを実際に取り込むように調節され得る。例えば、残りの利用可能な鎖の少なくともサブセット(例えば、少数、多数、または全て)が、第1の反応混合物の非標識ヌクレオチドを受け入れることができる。コロニーをイメージングして(例えば、洗浄プロセスの後に)、第1の画像を生成することができる。蛍光シグナルを示すコロニーは、鎖の約5%にA塩基含有ヌクレオチドを取り込んでいる可能性がある。第1のフローの後、A塩基含有ヌクレオチドを受け入れる全ての鎖が、A塩基取込み部位が同位相であるように、A塩基含有ヌクレオチド(標識または非標識)を受け入れた可能性がある。あるいは、(1または複数の)後続のフローでA含有ヌクレオチドを取り込むために利用可能な鎖が残っている可能性がある。
【0294】
次いで、コロニーを第2の反応混合物に曝露することができる。第2の反応混合物は、C塩基を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチドおよびC塩基を含む複数の非標識の可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。反応条件は、C含有ヌクレオチドを受け入れるように構成されたコロニー内の利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみが標識ヌクレオチドを実際に取り込むように調節され得る。例えば、残りの利用可能な鎖の少なくともサブセット(例えば、少数、多数、または全て)が、第2の反応混合物の非標識ヌクレオチドを受け入れることができる。コロニーをイメージングして(例えば、洗浄プロセスの後に)、第2の画像を生成することができる。第1の画像で以前は暗かったが、第2の画像で蛍光になったコロニーは、鎖の約5%にC含有ヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。第2のフローの後、C含有ヌクレオチドを受け入れるように構成された全ての鎖が、C塩基取込み部位が同位相であるように、C塩基(標識または非標識)を受け入れた可能性がある。あるいは、(1または複数の)後続のフローでC含有ヌクレオチドを取り込むために利用可能な鎖が残っている可能性がある。
【0295】
次いで、コロニーを第3の反応混合物に曝露することができる。第3の反応混合物は、T塩基(またはU塩基)を含む複数の蛍光色素標識された可逆的に終結したヌクレオチドおよびT塩基を含む複数の非標識の可逆的に終結したヌクレオチドを含み得る。反応条件は、T含有ヌクレオチドを受け入れるように構成されたコロニー内の利用可能な鎖のごく一部(例えば、約5%)のみが標識ヌクレオチドを実際に取り込むように調節され得る。例えば、残りの利用可能な鎖の少なくともサブセット(例えば、少数、多数、または全て)が、第3の反応混合物の非標識ヌクレオチドを受け入れることができる。コロニーをイメージングして(例えば、洗浄プロセスの後に)、第3の画像を生成することができる。第1および第2の画像で以前は暗かったが、第3の画像で蛍光になったコロニーは、鎖の約5%にT含有ヌクレオチドを取り込んだ可能性がある。3つの画像全てで暗いままであるコロニーは、利用可能なG塩基取込み部位を示し得る。第3のフローの後、T含有ヌクレオチドを受け入れるように構成された全ての鎖が、T塩基取込み部位が同位相であるように、T含有ヌクレオチド(標識または非標識)を受け入れた可能性がある。あるいは、(1または複数の)後続のフローでT含有ヌクレオチドを取り込むために利用可能な鎖が残っている可能性がある。
【0296】
場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、ならびに/あるいは第1、第2および第3の反応混合物で使用するために選択された特定のヌクレオチドが、所与のフローでヌクレオチドが全ての利用可能な取込み部位に取り込まれないように、有効取込み速度を減速させるよう選択され得る。場合によっては、ヌクレオチドを取り込むことの限界濃度が、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンの濃度を律速レベルに低下させることによって間接的に達成され得る。EDTA、EGTA、クエン酸塩、イソクエン酸塩などの金属キレート剤を使用して、遊離マグネシウムまたはマンガンのレベルを調節することができ、これが反応速度に影響を及ぼし得る。例えば、約5%の取込みを達成するために必要とされるよりも多くのヌクレオチドが存在し得るが、鎖がヌクレオチドに曝露される所定の時間においては、一定のパーセンテージのみが実際に取り込まれ得る。場合によっては、ストロンチウムイオンなどの阻害剤を使用して、ヌクレオチドの取込みを減少させ、その結果、利用可能な鎖のごく一部のみが伸長されるようにすることができる。ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)阻害剤の追加の例としては、それだけに限らないが、アフィジコリン、ミトラマイシンA、およびリファマイシンが挙げられる。一定のヌクレオチドアナログも阻害剤として機能し得る。
【0297】
次いで、コロニーを、低濃度(または限られたインキュベーション時間および/または限られた有効取込み速度等)のヌクレオチド、またはG含有ヌクレオチドの場合は、前のフローにおける曝露の欠如のために伸長しなかった鎖が全て一塩基だけ伸長される;すなわち、全ての鎖が同位相であることを保証するために過剰の非蛍光の可逆的に終結したヌクレオチド(例えば、A、T、G、およびC含有ヌクレオチド)を含む第4の反応混合物に曝露することができる。第4の反応混合物は、非標識である塩基の型の任意の組み合わせを含み得る。例えば、場合によっては、第4の反応混合物が、A塩基、T塩基、G塩基、およびC塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第1のフローの後に全てのA塩基取込み部位が占有されている場合など、第4の反応混合物がC塩基、T塩基、およびG塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第2のフローの後に全てのC塩基取込み部位が占有されている場合など、第4の混合物がA塩基、T塩基、およびG塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、第3のフローの後に全てのC塩基、A塩基およびT塩基取込み部位が占有されている場合など、第4の混合物がG塩基のみを含む非標識ヌクレオチドを含み得る。場合によっては、G塩基を含む非標識ヌクレオチドが、第1、第2および/または第3の反応混合物に含まれ得る。場合によっては、重合酵素、インキュベーション時間、および/または使用するために選択された特定のヌクレオチドが、ヌクレオチドがより利用可能な取込み部位に取り込まれるように、有効取込み速度を増強するよう選択され得る。
【0298】
蛍光色素を切断し、ターミネーターを除去することができ(例えば、本明細書に記載されるのと同じまたは異なるプロセスで)、プロセスを繰り返して、各サイクルについての3つの画像間のデジタル出力を決定して、複数の核酸分子の配列を決定することができる。
【0299】
場合によっては、イメージング後の色素部分の切断が、全ての配列決定サイクルの後に実施され得るか、または複数の配列決定サイクルの後に実施され得る。
【0300】
場合によっては、本明細書の他の場所で記載されるように、前の配列決定サイクルにおける可逆的ターミネーターの切断が完了する前に、切断剤(例えば、還元剤)を洗い流した後に、第1の反応混合物を導入して次の配列決定サイクルを開始することができる。
【0301】
理解されるように、反応混合物は、本明細書に示される特定の例以外のカノニカル塩基型の異なる組み合わせを含み得る(例えば、第1の反応混合物は、T塩基を含む標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含み得、第2の反応混合物は、C塩基を含む標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含み得、第3の反応混合物は、A塩基を含む標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドを含み得、第4の反応混合物は、A塩基、T塩基、G塩基およびC塩基を含む非標識ヌクレオチドを含み得るなど)。
【0302】
単一フロー法
場合によっては、単一のフロー(例えば、反応混合物)が、異なる塩基(例えば、カノニカル塩基型)を含む複数の非標識の可逆的に終結したヌクレオチド型、ならびに様々な比の異なる塩基を含む標識ヌクレオチドを含み得る。前の例のように、測定された相対的輝度を使用して、どのヌクレオチド型が取り込まれたかを決定することができる。このシステムは、(例えば、本明細書に記載される)「コンテキスト依存性」の問題を有し得る。例えば、異なる場所では、標識ヌクレオチドの取込みと非標識ヌクレオチドの取込みの比が変化し、したがって、輝度が変化し得る。補正されていない場合、これにより2つの塩基間で混乱が生じ得る。例えば、低濃度で反応混合物に含まれる標識ヌクレオチドの高い取り込みが、高濃度で反応混合物に含まれる標識ヌクレオチドの低い取込みと同様に見えるかもしれない。しかしながら、反応混合物中のヌクレオチドの全てが可逆的に終結している場合、ホモポリマーは取り込まれず、核酸配列特定を容易にするために必要な補正または較正は単純になり得る。
【0303】
別の例では、異なる色で標識された複数の塩基を含む単一のフロー(例えば、反応混合物)が使用され得る。例えば、それぞれの異なるヌクレオチド型は、(例えば、本明細書に記載される)異なる蛍光色素で標識され得る。反応混合物はまた、上に含まれる「マルチカラーイメージング法」の節で説明された2フロースキームではなく、単一のフローのみが使用され得るように、非標識塩基を含み得る。
【0304】
核酸分子
本開示の方法を使用して分析される核酸分子は、任意の型または起源のものであり得る。核酸分子は、標的核酸分子であり得る。本明細書で使用される場合、「鋳型核酸」、「標的核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「核酸断片」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、一般に、デオキシリボヌクレオチド(dNTP)もしくはリボヌクレオチド(rNTP)、またはこれらのアナログなどの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指し、互換的に使用され得る。核酸は、任意の三次元構造を有し得、既知または未知の任意の機能を実施し得る。オリゴヌクレオチドは、典型的には、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);およびチミン(T)(ポリヌクレオチドがRNAである場合、チミン(T)の代わりにウラシル(U))の特定の配列で構成される。オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の非標準ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、および/または修飾ヌクレオチドを含み得る。核酸の非限定的な例としては、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ゲノムDNA(例えば、剪断gDNAなどのgDNA)、無細胞DNA(例えば、cfDNA)、合成DNAまたはRNA、遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義される(1または複数の)遺伝子座、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、相補的DNA(cDNA)、プラスミドDNA、組換え核酸分子、分岐核酸分子、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、核酸プローブ、人工核酸アナログ(例えば、ペプチド核酸、モルホリノオリゴマー、ロックド核酸、グリコール核酸、およびトレオース核酸)、クロマチン、およびプライマーが挙げられる。核酸は、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログなどの1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、核酸の組み立ての前または後になされ得る。核酸のヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。核酸は、レポーター剤とのコンジュゲーションまたは結合などによって、重合後にさらに修飾され得る。場合によっては、核酸分子がDNA分子であり得る。他の場合には、核酸分子がRNA分子であり得る。
【0305】
核酸分子は二本鎖または一本鎖であり得る。場合によっては、検出領域に固定化された核酸分子が二本鎖分子であり得、核酸分子が、配列決定による分析の準備において一本鎖を除去するために変性され得る。場合によっては、標的核酸鎖の相補鎖を分析することができる。他の場合には、標的核酸鎖、またはその複製物(例えば、アンプリコン)を分析することができる。変性は、例えば、温度もしくはpH条件を変化させることによって、または核酸分子を界面活性剤などの化学変性剤に曝露することによって実施され得る。
【0306】
核酸分子は、任意の有用な特性を有し得る。例えば、核酸分子は、任意の有用なサイズ(例えば、長さ)を有し得る。例えば、一本鎖核酸分子は、少なくとも10塩基(例えば、核酸塩基)、20塩基、30塩基、40塩基、50塩基、60塩基、70塩基、80塩基、90塩基、100塩基、200塩基、300塩基、400塩基、500塩基、600塩基、700塩基、800塩基、900塩基、1キロベース(kb)、2kb、3kb、4kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、またはそれ以上の塩基を含み得る。同様に、二本鎖核酸分子は、少なくとも10塩基対(bp)、20bp、30bp、40bp、50bp、60bp、70bp、80bp、90bp、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1,000bp、2,000bp、3,000bp、4,000bp、5,000bp、6,000bp、7,000bp、8,000bp、9,000bp、10,000bp、またはそれ以上の塩基対を含み得る。
【0307】
核酸分子は、天然に存在するおよび/または天然に存在しないヌクレオチド(例えば、本明細書に記載される、修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ)を含み得る。
【0308】
核酸分子は、(例えば、本明細書に記載される)検出可能な部分などの標識を含み得る。例えば、核酸分子は、(例えば、ヌクレオチド中のまたはヌクレオチドに付着している)蛍光タグを含み得る。核酸分子はまた、イントロン、エキソン、コード領域、非翻訳領域、プライミング配列、固有分子識別子(unique molecular identifier)、分子系統タグ、およびバーコード配列などの1つまたは複数の特徴を含み得る。場合によっては、核酸分子が、アダプターを含み得る(例えば、これに連結されているか、または増幅プロセスに後に配列に取り込まれる)。アダプターは、プライミング配列と、バーコード配列または固有分子識別子、支持体への核酸分子の付着を容易にする機能的配列、または別の配列などの1つまたは複数の追加の配列とを含み得る。アダプターは、有用な長さ、塩基内容物、またはその他の特性を有し得る。場合によっては、核酸分子が、分子の第1の末端に第1のアダプターを含み、分子の第2の末端に第2のアダプターを含み得る。アダプターは一本鎖または二本鎖であり得る。
【0309】
核酸分子は、(例えば、本明細書に記載される)支持体に固定化され得る。例えば、核酸分子は、平面アレイに固定化され得る。支持体は、これに付着した複数の核酸分子を含み得る。例えば、支持体は、それぞれが複数の核酸分子を含む1つまたは複数のコロニーを含み得る。核酸分子のコロニーは、(例えば、本明細書に記載される)クローン増幅法を使用して生成され得る。例えば、核酸分子のコロニーは、ブリッジ増幅、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅、山火事増幅、または他の方法を使用して生成され得る。支持体に含まれる異なるコロニーは、核酸の異なる集団を含み得る。例えば、第1のコロニーは、第1の特徴セットを有する核酸分子を含み得、第2のコロニーは、第2の特徴セットを有する核酸分子を含み得る。第1および第2のコロニーの核酸分子は、同じ供給源に由来してもよく、場合によっては、同じ核酸分子の断片であり得るか、またはこれに由来し得る(例えば、第1のコロニーの核酸分子は、より大きな核酸分子の第1の断片に由来し得、第2のコロニーの核酸分子は、同じより大きな核酸分子の第2の断片に由来し得る)。同じ供給源に由来する核酸分子は、重複する配列を含み得る。核酸分子のコロニーは、(例えば、本明細書に記載される)支持体の検出領域に含まれ得る。検出領域は、核酸分子の1つまたは複数のコロニーを含み得る。例えば、検出領域は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のコロニーを含み得る。コロニーは、同じ数または異なる数の核酸分子を含み得る。例えば、第1のコロニーは、第2のコロニーよりも多い核酸分子を含み得る。コロニーは、支持体(例えば、支持体の検出領域)上にパターンで配置され得るか、または不規則に配置され得る。場合によっては、支持体上の核酸分子(例えば、核酸分子のコロニー)の分配が、クローン増幅法で使用され得る支持体に付着されたアダプターの分配によって駆動され得る。
【0310】
核酸分子は、細胞に由来し得るか、または(例えば、本明細書に記載される)無細胞核酸分子であり得る。核酸分子は、細胞外であり得るか、または1つもしくは複数の細胞内に含まれ得る。細胞内に含まれる核酸分子は、細胞を溶解または透過処理することによってアクセスすることができる。例えば、機械的方法(例えば、ボルテックス、攪拌、ビーズ破砕、振盪、遠心分離、もしくはこれらの組み合わせなどの機械的攪拌)および/または化学薬品(例えば、溶解緩衝液もしくは溶媒などの1つもしくは複数の試薬の添加))を使用して、細胞を溶解または透過処理して、そこに含まれる1つまたは複数の核酸分子へのアクセスを提供することができる。
【0311】
本明細書に記載される方法によって分析される核酸分子は、環境的供給源または生物学的供給源に由来し得る。生物学的供給源は、例えば、対象由来のものであり得る。本明細書で使用される「対象」という用語は、一般に、生物学的試料(例えば、本明細書に記載される処理もしくは分析を受けている、または受ける予定の生物学的試料)が由来し得る個体または実体を指す。対象は、ヒト、植物、または動物(例えば、哺乳動物もしくは非哺乳動物)、例えば霊長類、齧歯類、ネコ、イヌ、ウサギ、ウマ、ブタ、鳥類、シミアン、家畜、コンパニオンアニマル、スポーツ動物、または他の動物であり得る。対象は患者であり得る。対象は、がん(例えば、乳がん、結腸直腸がん、脳がん、白血病、肺がん、皮膚がん、肝臓がん、膵臓がん、リンパ腫、食道がん、もしくは子宮頸がん)または感染性疾患などの疾患または障害を有し得るか、または有する疑いがあり得る。あるいは、またはさらに、対象は、以前に疾患または障害を有していたことが知られている可能性がある。対象は、軟骨形成不全症、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症、抗リン脂質抗体症候群、自閉症、常染色体優性多発性嚢胞腎、シャルコー・マリー・トゥース病、猫鳴き症候群、クローン病、嚢胞性線維症、ダーカム病、ダウン症候群、デュアン症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、第V因子ライデン血栓形成傾向、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱x症候群、ゴーシェ病、ヘモクロマトーシス、血友病、全前脳症、ハンチントン病、クラインフェルター症候群、マルファン症候群、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、ヌーナン症候群、骨形成不全症、パーキンソン病、フェニルケトン尿症、ポーランド奇形、ポルフィリン症、プロジェリア、網膜色素変性症、重度の複合免疫不全、鎌状赤血球症、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、サラセミア、トリメチルアミン尿症、ターナー症候群、口蓋心臓顔面症候群、WAGR症候群、またはウィルソン病などの遺伝性障害を有し得るか、または有する疑いがあり得る。対象は、疾患または障害の処置を受けている可能性がある。対象は、所与の疾患または障害の症候性または無症候性であり得る。対象は健康であり得る(例えば、疾患も障害も有する疑いがない)。対象は、所与の疾患についての1つまたは複数の危険因子を有し得る。対象は、所与の体重、身長、肥満度指数、またはその他の身体的特徴を有し得る。対象は、所与の民族的もしくは人種的遺伝形質、出生地もしくは居住地、国籍、疾患もしくは寛解状態、家族歴、または他の特徴を有し得る。
【0312】
本明細書で使用される場合、「生物学的試料」という用語は、一般に、対象から得られた試料を指す。生物学的試料は、対象から直接的または間接的に取得することができる。試料は、それだけに限らないが、スピッティング、スワビング、採血、生検、排泄物(例えば、尿、便、痰、嘔吐物、または唾液)の取得、切除、掻爬、および穿刺を含む任意の適切な方法を介して対象から取得され得る。試料は、例えば、静脈内もしくは動脈内で循環系にアクセスすること、分泌された生物学的試料(例えば、便、尿、唾液、痰等)を回収すること、呼吸すること、または組織を外科的に抽出すること(例えば、生検)によって対象から取得され得る。試料は、それだけに限らないが、皮膚もしくは子宮頸部の掻爬、頬のスワビング、または唾液、尿、糞便、月経、涙、もしくは精液の回収を含む非侵襲的方法によって取得され得る。あるいは、試料は、生検、針吸引、または瀉血などの侵襲的処置によって取得され得る。試料は、それだけに限らないが、血液(例えば、全血、赤血球、白血球もしくは白血球細胞、血小板)、血漿、血清、汗、涙、唾液、痰、尿、精液、粘液、滑液、母乳、初乳、羊水、胆汁、骨髄、間質液もしくは細胞外液、または脳脊髄液などの体液を含み得る。例えば、試料は、血液および/または血漿を含む体液を取得するための穿刺法によって取得され得る。このような試料は、細胞核酸材料と無細胞核酸材料の両方を含み得る。あるいは、試料は、それだけに限らないが、血液、汗、毛包、頬組織、涙、月経、糞便、または唾液を含む他の任意の供給源から取得され得る。生物学的試料は、腫瘍生検などの組織試料であり得る。試料は、それだけに限らないが、皮膚、心臓、肺、腎臓、乳房、膵臓、肝臓、腸、脳、前立腺、食道、筋肉、平滑筋、膀胱、胆嚢、結腸、または甲状腺を含む、本明細書で提供される組織のいずれかから取得され得る。本明細書で提供される取得方法には、細針吸引、コア針生検、真空補助生検、ラージコア生検、切開生検、切除生検、パンチ生検、薄片生検または皮膚生検を含む生検の方法が含まれる。生物学的試料は、1つまたは複数の細胞を含み得る。生物学的試料は、(例えば、細胞内に含まれるかまたは細胞内に含まれない)1つまたは複数のデオキシリボ核酸(DNA)および/またはリボ核酸(RNA)分子などの1つまたは複数の核酸分子を含み得る。核酸分子は細胞内に含まれ得る。あるいは、またはさらに、核酸分子は、細胞内に含まれなくてもよい(例えば、無細胞核酸分子)。生物学的試料は、無細胞試料であり得る。
【0313】
本明細書で使用される「無細胞試料」という用語は、一般的に、実質的に細胞を含まない(例えば、体積ベースで10%未満の細胞)試料を指す。無細胞試料は、(例えば、本明細書に記載される)任意の供給源に由来し得る。例えば、無細胞試料は、血液、汗、尿、または唾液に由来し得る。例えば、無細胞試料は、組織または体液に由来し得る。無細胞試料は、複数の組織または体液に由来し得る。例えば、第1の組織または体液からの試料を、第2の組織または体液からの試料と組み合わせることができる(例えば、試料が取得されている間、または試料が取得された後に)。一例では、第1の体液および第2の体液を、対象から(例えば、同じまたは異なる時間に)回収することができ、第1の体液および第2の体液を組み合わせて試料を提供することができる。無細胞試料は、1つまたは複数のDNAまたはRNA分子などの1つまたは複数の核酸分子を含み得る。
【0314】
無細胞試料ではない試料(例えば、1つまたは複数の細胞を含む試料)を処理して、無細胞試料を提供することができる。例えば、1つまたは複数の細胞ならびに細胞内に含まれない1つまたは複数の核酸分子(例えば、DNAおよび/またはRNA分子)(例えば、無細胞核酸分子)を含む試料が対象から取得され得る。試料を、細胞および他の材料を細胞内に含まれない核酸分子から分離するための(例えば、本明細書に記載される)処理に供し、それによって、(例えば、細胞内に含まれない核酸分子を含む)無細胞試料を提供することができる。次いで、無細胞試料を、(例えば、本明細書で提供される)さらなる分析および処理に供することができる。細胞内に含まれない核酸分子(例えば、無細胞核酸分子)は、細胞および組織に由来し得る。例えば、無細胞核酸分子は、腫瘍組織または(例えば、体の組織の)分解された細胞に由来し得る。無細胞核酸分子は、(例えば、本明細書に記載される)任意の型の核酸分子を含み得る。無細胞核酸分子は、二本鎖、一本鎖、またはこれらの組み合わせであり得る。無細胞核酸分子は、分泌または細胞死プロセス、例えば、細胞壊死、アポトーシスなどを通して体液に放出され得る。無細胞核酸分子は、がん細胞(例えば、循環腫瘍DNA(ctDNA))から体液に放出され得る。無細胞核酸分子はまた、母体血流中を自由に循環する胎児DNAであり得る(例えば、cffDNAなどの無細胞胎児核酸分子)。あるいは、またはさらに、無細胞核酸分子は、健康な細胞から体液に放出され得る。
【0315】
生物学的試料は、複数の標的核酸分子を含み得る。例えば、生物学的試料は、単一対象からの複数の標的核酸分子を含み得る。別の例では、生物学的試料が、第1の対象からの第1の標的核酸分子および第2の対象からの第2の標的核酸分子を含み得る。
【0316】
生物学的試料は、対象から直接取得され、例えば、試料の精製または抽出などの介入処理なしに分析され得る。例えば、血液試料は、対象の循環系にアクセスし、対象から血液を取り出し(例えば、針を介して)、取り出された血液を容器に移すことによって、対象から直接取得することができる。容器は、血液試料がさらなる分析に有用であるように、試薬(例えば、抗凝固剤)を含み得る。このような試薬は、分析の前に、容器または別の容器内の試料または試料に由来する分析物を処理するために使用され得る。別の例では、スワブを使用して、対象の口腔咽頭表面上の上皮細胞にアクセスすることができる。対象から生物学的試料を取得した後、生物学的試料を含むスワブを流体(例えば、緩衝液)と接触させて、スワブから体液を回収することができる。
【0317】
1つまたは複数の核酸分子を含む任意の適切な生物学的試料を対象から取得することができる。本明細書で提供される方法に従って使用するのに適した試料(例えば、生物学的試料または無細胞生物学的試料)は、試験される個体の組織、細胞、分解された細胞、核酸、遺伝子、遺伝子断片、発現産物、遺伝子発現産物、および/または遺伝子発現産物断片を含む任意の材料であり得る。生物学的試料は、固形物(例えば、生物学的組織)であり得るか、または流体(例えば、体液)であり得る。一般に、体液は、生物に関連する任意の流体を含み得る。生物学的試料の非限定的な例としては、対象の任意の解剖学的位置(例えば、組織、循環系、骨髄)から得られた血液(または血液の成分-例えば、白血球、赤血球、血小板)、対象の任意の解剖学的位置から得られた細胞、皮膚、心臓、肺、腎臓、呼吸、骨髄、便、精液、膣液、腫瘍組織に由来する間質液、乳房、膵臓、脳脊髄液、組織、喉スワブ、生検、胎盤液、羊水、肝臓、筋肉、平滑筋、膀胱、胆嚢、結腸、腸、脳、体腔液、痰、膿、微生物叢、胎便、母乳、前立腺、食道、甲状腺、血清、唾液、尿、胃液および消化液、涙、眼液、汗、粘液、耳垢、油、腺分泌物、脊髄液、毛、指の爪、皮膚細胞、血漿、鼻腔スワブもしくは鼻咽頭洗浄液、脊髄液、臍帯血、強調液(emphatic fluid)、および/または他の排泄物もしくは体組織が挙げられる。試料の適合性および/または妥当性を判断する方法が提供される。試料には、それだけに限らないが、血液、血漿、組織、細胞、分解された細胞、無細胞核酸分子、および/または細胞の、もしくは個体の細胞に由来する生物学的材料、例えば無細胞核酸が含まれ得る。試料は、細胞、組織、または無細胞生物学的材料の不均一または均一集団であり得る。生物学的試料は、本明細書に記載される分析方法に適した試料を提供することができる任意の方法を使用して取得することができる。
【0318】
試料は、処理または分析の準備で、1つまたは複数の前処理操作を受けることができる。例えば、細胞を溶解または透過処理する、固体または他の材料を除去する、タンパク質および/または核酸分子を変性させる、試料を希釈する、試料を特定のpHに緩衝する、あるいはこれらの任意の組み合わせのために試料を処理することができる。
【0319】
試料(例えば、生物学的試料または無細胞生物学的試料)は、分析の準備で、1つまたは複数のプロセスを受けることができる。例えば、細胞を溶解または透過処理する、固体または他の材料を除去する、タンパク質および/または核酸分子を変性させる、試料を希釈する、試料を特定のpHに緩衝する、あるいはこれらの任意の組み合わせのために試料を処理することができる。1つまたは複数の液相および固相を分離するための相分離も実施することができる。例えば、沈殿、抽出、清澄化、結晶化、沈降、遠心分離、流体流、機械的攪拌(例えば、ビーズ破砕)、または濾過プロセスを実施することができる。試料の前処理は、試料を加熱すること、ならびに/あるいは試料を緩衝液および洗浄液などの1つまたは複数の試薬と組み合わせることを含み得る。場合によっては、試料が、濾過、遠心分離、選択的沈殿、透過処理、単離、攪拌、加熱、精製、および/または他のプロセスなどの1つまたは複数のプロセスを受けることができる。例えば、試料を濾過して汚染物質または他の材料を除去することができる。一例では、細胞を含む試料を処理して、細胞を試料中の他の材料から分離することができる。このようなプロセスを使用して、無細胞核酸分子のみを含む試料を調製することができる。このようなプロセスは、多段階遠心分離プロセスからなり得る。同じ対象からの複数の試料(例えば、同じもしくは異なる身体の場所から同じもしくは異なる方法で取得された、および/または同じもしくは異なる時間に(例えば、数秒、数分、数時間、数日、数週間、数ヶ月、もしくは数年離れて)取得された)、または異なる対象からの複数の試料などの複数の試料が、本明細書に記載される分析のために取得され得る。一例では、第1の試料が、対象が処置レジメンまたは手順を受ける前に対象から取得され、第2の試料が、対象が処置レジメンまたは手順を受けた後に対象から取得される。あるいは、またはさらに、複数の試料を、同じ対象から同時にまたはほぼ同時に取得することができる。同じ対象から得られた異なる試料は、同じ方法または異なる方法で取得され得る。例えば、第1の試料、生検を介して取得され得、第2の試料は、採血を介して取得され得る。異なる方法で得られる試料は、異なる医療専門家によって、異なる技術を使用して、異なる時間に、および/または異なる場所で取得され得る。同じ対象から得られた異なる試料は、体の異なる領域から取得され得る。例えば、第1の試料は、体の第1の領域(例えば、第1の組織)から取得され得、第2の試料は、体の第2の領域(例えば、第2の組織)から取得され得る。
【0320】
反応容器に提供される場合、本明細書で使用される生物学的試料(例えば、1つまたは複数の核酸分子を含む生物学的試料)は、精製されない場合がある。さらに、1つまたは複数の核酸分子を含む生物学的試料の場合、生物学的試料が反応容器に提供される場合、1つまたは複数の核酸分子は抽出されない場合がある。例えば、生物学的試料を反応容器に提供する場合、生物学的試料のリボ核酸(RNA)および/またはデオキシリボ核酸(DNA)分子は、生物学的試料から抽出されない場合がある。さらに、生物学的試料を反応容器に提供する場合、生物学的試料に存在する標的核酸(例えば、標的RNAまたは標的DNA分子)は濃縮されない場合がある。あるいは、生物学的試料を精製することができる、および/または核酸分子を生物学的試料中の他の材料から単離することができる。
【0321】
あるいは、試料は環境試料であり得る。環境試料は、表面またはリザーバーから回収され得る。例えば、環境試料は、ヒトまたは動物によって取り扱われるか、またはこれと相互作用する表面から回収され得る。環境試料は、固体または流体材料を含み得る。例えば、環境試料は、水域または配管系に由来する水を含み得る。
【0322】
試料内に含まれる核酸分子は、1つまたは複数の異なる供給源に由来し得る。例えば、環境試料は、試料が由来し得る同じ表面と相互作用した複数のヒトなどの複数の生物に関連する核酸分子を含み得る。
【0323】
コンピュータシステム
本開示は、開示の方法を実行するようプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図4は、例えば、複数の核酸分子への1つもしくは複数のフロー、または検出領域(例えば、複数の核酸分子を含む検出領域)のイメージングを制御するようにプログラムまたは構成されたコンピュータシステム401を示す。コンピュータシステム401は、例えば、試薬フロー、温度、およびイメージングパラメータなどの本開示の核酸特定方法の様々な態様を調節することができる。コンピュータシステム401は、ユーザの電子デバイス、または電子デバイスに対して遠隔に配置されたコンピュータシステムであり得る。電子デバイスは、携帯電子デバイスであり得る。
【0324】
コンピュータシステム401は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」でもある)405を含み、これは、シングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム401はまた、メモリまたはメモリ位置410(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置415(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース420(例えば、ネットワークアダプター)、および周辺装置425、例えばキャッシュ、他のメモリ、データ記憶および/または電子ディスプレイアダプターを含む。メモリ410、記憶装置415、インターフェース420、および周辺装置425は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU405と通信している。記憶装置415は、データを格納するためのデータ記憶装置(またはデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム401は、通信インターフェース420の助けを借りて、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)430に動作可能に結合することができる。ネットワーク430は、インターネット、インターネットおよび/またはエクストラネット、あるいはインターネットと通信しているイントラネットおよび/またはエクストラネットであり得る。ネットワーク430は、場合によっては、遠隔通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク430は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる1つまたは複数のコンピュータサーバを含むことができる。ネットワーク430は、場合によっては、コンピュータシステム401の助けを借りて、ピアツーピアネットワークを実行することができ、これにより、コンピュータシステム401に結合されたデバイスがクライアントまたはサーバとして機能することが可能になり得る。
【0325】
CPU405は、プログラムまたはソフトウェアで具体化することができる一連の機械可読命令を実行することができる。命令は、メモリ410などのメモリ位置に格納され得る。命令は、CPU405に向けることができ、これが、その後、本開示の方法を実行するようにCPU405をプログラムするか、構成することができる。CPU405によって実施される動作の例としては、フェッチ、デコード、実行、およびライトバックが挙げられ得る。
【0326】
CPU405は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム401の他の1つまたは複数のコンポーネントを回路に含めることができる。場合によっては、回路が特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0327】
記憶装置415は、ドライバ、ライブラリ、および保存されたプログラムなどのファイルを格納することができる。記憶装置415は、ユーザデータ、例えば、ユーザの選好およびユーザプログラムを格納することができる。コンピュータシステム401は、場合によっては、イントラネットまたはインターネットを通してコンピュータシステム401と通信しているリモートサーバ上に配置されるなど、コンピュータシステム401の外部にある1つまたは複数の追加のデータ記憶装置を含むことができる。
【0328】
コンピュータシステム401は、ネットワーク430を通して1つまたは複数のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム401は、ユーザのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例としては、パーソナルコンピュータ(例えば、携帯型PC)、スレートもしくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、またはパーソナルデジタルアシスタントが挙げられる。ユーザは、ネットワーク430を介してコンピュータシステム401にアクセスすることができる。
【0329】
本明細書に記載される方法は、例えば、メモリ410または電子記憶装置415などのコンピュータシステム401の電子記憶場所に格納された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実行することができる。機械実行可能コードまたは機械可読コードは、ソフトウェアの形式で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ405によって実行され得る。場合によっては、コードが、記憶装置415から検索され、プロセッサ405による容易なアクセスのためにメモリ410に格納され得る。状況によっては、電子記憶装置415を排除することができ、機械実行可能命令がメモリ410に格納される。
【0330】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを備えた機械で使用するためにあらかじめコンパイルおよび構成するか、ランタイム中にコンパイルすることができる。コードは、コードをあらかじめコンパイルしたまたはコンパイルされる様式で実行することを可能にするよう選択できるプログラミング言語で供給することができる。
【0331】
コンピュータシステム401などの、本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングで具体化することができる。技術の様々な態様は、典型的には、機械(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/または機械可読媒体の型で実行もしくは具体化される関連データの形式の「製品」または「製造品」と考えられ得る。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置に格納され得る。「記憶」型媒体には、コンピュータ、プロセッサなどの有形メモリ、またはその関連モジュール、例えば様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどのいずれかまたは全てが含まれ、これらは、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的記憶を提供することができる。ソフトウェアの全部または一部は、時々、インターネットまたは他の様々な遠隔通信ネットワークを通して通信され得る。このような通信は、例えば、あるコンピュータまたはプロセッサから別のものへの、例えば、管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にし得る。よって、ソフトウェア要素を保持し得る別の型の媒体には、ローカルデバイス間の物理インターフェース、有線および光固定電話ネットワーク、および様々なエアリンクで使用されるような、光、電気、および電磁波が含まれる。有線または無線リンク、光リンクなどの、このような波を運ぶ物理的要素も、ソフトウェアを搭載した媒体と見なされ得る。本明細書で使用される場合、非一時的で有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0332】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、それだけに限らないが、有形の記憶媒体、搬送波媒体、または物理的伝送媒体を含む多くの形態をとることができる。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示されるデータベース等を実行するために使用され得るような、(1または複数の)任意のコンピュータなどの記憶装置のいずれかなどの光または磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体には、このようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが含まれる。有形の伝送媒体には同軸ケーブル;コンピュータシステム内のバスを構成するワイヤを含む、銅線および光ファイバーが含まれる。搬送波伝送媒体は、電気シグナルもしくは電磁シグナル、または音響波もしくは光波、例えば無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるものの形をとることができる。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、その他の光学媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを持つその他の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、その他のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を転送する搬送波、このような搬送波を転送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができるその他の媒体が含まれる。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のために1つまたは複数の命令の1つまたは複数の配列をプロセッサに運ぶことに関与し得る。
【0333】
コンピュータシステム401は、例えば、フローおよびイメージングパラメータに関する入力を提供するためのユーザインターフェース(UI)440を備える電子ディスプレイ435を含むか、またはこれと通信することができる。UIの例としては、限定されないが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)およびWebベースのユーザインターフェースが挙げられる。
【0334】
本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって実行され得る。アルゴリズムは、中央処理装置405による実行時にソフトウェアによって実行され得る。アルゴリズムは、例えば、その上に複数の核酸分子を含む支持体への様々な反応混合物のフローを制御することができる。
【0335】
[実施例]
[実施例1]
色素標識ヌクレオチドの取込みの程度の制御
色素標識ヌクレオチドの取込みの程度を、イオン濃度およびその比、ヌクレオチド濃度、ならびに時間などの様々なパラメータによって制御することができる。
鋳型をハイブリダイズさせたプライマーを、100ナノモル(nM)のdGTP-16-Cy5を含む反応混合物と30秒間接触させた。Therminator DNAポリメラーゼを使用して、Sr++中様々な割合のMg++でプライマーを伸長した。二価金属イオンの総濃度は2mMとした。フローサイトメーターを使用して反応の程度を評価した。図2Aに示されるように、反応の程度を、制御された方法で有効に変化させた。したがって、取込み反応の程度は、一定時間での金属イオン(例えば、Mg++、Mn++、Sr++等)の比の調整によって制御され得る。
【0336】
標識ヌクレオチドの取込みの程度は、伸長に許容される時間を変化させることによっても制御され得る。鋳型をハイブリダイズさせたプライマーを、100nMのdGTP-16-Cy5を含む反応混合物と様々な持続時間にわたって接触させた。Therminator DNAポリメラーゼを使用して、0.05/1.95mMのMg++/Sr++濃度(Mg++割合=0.025)でプライマーを伸長した。異なる時点でEDTAを用いて反応を停止し、標識の程度を評価した。図2Bに示されるように、反応の程度を、制御された方法で有効に変化させた。したがって、取込み反応の程度は、伸長時間の調整によって制御され得る。
【0337】
[実施例2]
3フロー単色イメージング法
3フロー、単色イメージング法を実施した。ヌクレオチドを、3’-アジドメチルブロッキング基で可逆的に終結した。蛍光色素Cy5を、ジスルフィドリンカーを介してヌクレオチドに付着させた。3’-アジドメチルブロッキング基を含む標識ヌクレオチドの構造は以下に含まれる:
【化1】
【0338】
(i)それぞれ25nMで可逆的に終結し、標識されたアデニンおよびシトシン含有ヌクレオチド;(ii)それぞれ25および15nMで可逆的に終結し、標識されたアデニンおよびウラシル含有ヌクレオチド;(iii)可逆的に終結し、標識されていないアデニン、シトシン、ウラシル、およびグアニン含有ヌクレオチド、ならびに(iv)Tris pH8.8中THP(10mM)切断溶液を含む反応混合物のセットを調製した。
【0339】
ビオチン化鋳型およびアニーリングプライマーを含む磁性ストレプトアビジンビーズをアミノシランフローセルに添付した。鋳型をハイブリダイズさせたプライマーを、反応混合物(i)、(ii)、および(iii)とそれぞれ約20秒間連続して接触させた。ヌクレオチドはマグネシウムイオンのみの存在下で極めてゆっくり取り込まれるため、ストロンチウムイオンは含めなかった。4つの3’-アジドメチル-dNTPのセット(3’-アジドメチル-dGTPアナログを以下に示す)を使用して、伸長されていないプライマー/鋳型を伸長した。反応混合物(iv)による切断時間は3分であった。
【化2】
【0340】
このサイクルは、(1)標識されたアデニンおよびシトシン含有ヌクレオチドを含む反応混合物(i)の第1のフロー、(2)洗浄およびイメージング、(3)標識されたアデニンおよびウラシル含有ヌクレオチドを含む反応混合物(ii)の第2のフロー、(4)洗浄およびイメージング、(5)非標識(「ダーク」)ヌクレオチドを含む反応混合物(iii)の第3のフロー、(6)色素および可逆的ターミネーターの切断、ならびに(7)洗浄およびイメージングを含んでいた。第2のフロー、(3)の後に得られたシグナルを、第1のフロー、(1)の後に得られたシグナルから差し引いて、第2のフローのシグナルを得た。データを以下の通り解釈した:第1のフローに続く初期シグナル、および第2のフローに続くシグナルがないことは、シトシン含有ヌクレオチドが取り込まれたことを示し(すなわち、1,0のシグナル);第1のフローに続くシグナルおよび第2のフローに続くシグナルは、アデニン含有ヌクレオチドが取り込まれたことを示し(すなわち、1,1のシグナル);第1のフローに続く最初のシグナルがないこと、および第2のフローに続くシグナルは、ウラシル含有ヌクレオチドが取り込まれたことを示し(すなわち、0,1);どちらのフローに続くシグナルもないことは、グアニン含有ヌクレオチドが取り込まれたことを示す(すなわち、0,0)。
【0341】
図3は、3フロー、2画像、単色法に対応する配列決定結果を示している。黒色「玉ねぎ」に示されているのはビーズのシグナル値の配列であり;平均シグナルは赤色十字で示され、緑色正方形は標準偏差を示す。真の配列はTCAGTACGAGCであり;各フローのデジタルサインが示される。図3に示されるように、フローのサイクル後のシグナルを解釈することによって、正しい配列を読み取ることができた。例えば、配列がTを読み取るためには、ACの第1のフローが0のシグナルを与え、ATの第2のフローが1のシグナルを与えるべきである。配列がCを読み取るためには、ACの第1のフローが1のシグナルを与え、ACの第2のフローが0の(差し引かれた)シグナルを与えるべきである。配列がGを読み取るためには、第1のフローおよび第2のフローが0のシグナルを与えるべきである。配列がAを読み取るためには、第1のフローが1のシグナルを与え、第2のフローが1の(差し引かれた)シグナルを与えるべきである。
【0342】
[実施例3]
マルチフロー実験におけるフェージング
マルチフロー実験を実施した。それぞれが異なる核酸配列を有する3つの異なる鋳型核酸分子集団(TF3、TF5、およびTF6)を、(例えば、本明細書に記載される)検出領域に固定化する。
【0343】
鋳型を、いくつかの異なるフロープロトコル(プロトコルA~D)で照合した。プロトコルDは、配列T-A-C-Gに従って、異なるカノニカル塩基の単一フローを使用した。このプロトコルでは、Tフローは、T塩基を含む複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物(例えば、フロー)が流れたことを示す。第1の反応混合物のヌクレオチドのわずかなパーセンテージ(2.5%)が標識されている。次いで、C塩基(2.5%標識)を含む複数のヌクレオチドを含む第2の反応混合物を流した。次いで、A塩基(2.5%標識)を含む複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を流した。最後に、G塩基(2.5%標識)を含む複数のヌクレオチドを含む第4の反応混合物を流した。洗浄、切断、およびイメージングを、反応混合物フロー間で一貫して実施した(例えば、本明細書に記載されるように)。第1~第4の反応混合物のフロー、ならびに関連する洗浄、切断、およびイメージングは、単一フローサイクルを構成する。少なくとも32のフローサイクルを実行し、各サイクルはT-A-C-Gフローシーケンスを含んでいた。
【0344】
プロトコルA-Cは、配列T-T-A-A-C-C-G-Gに従って、異なるカノニカル塩基のマルチフローを使用した。このプロトコルの各々では、Tフローは、T塩基を含む複数のヌクレオチドを含む第1の反応混合物(例えば、フロー)が流れることを示す。第1の反応混合物のヌクレオチドのわずかなパーセンテージ(2.5%)を標識した。その後、同じ組成(例えば、2.5%の標識されたT含有ヌクレオチドおよび97.5%の非標識のT含有ヌクレオチド)を含む第2の反応混合物を提供した。T含有ヌクレオチドの取込みを検出するためのイメージングを、第1および/または第2のフローの後に実施した。次いで、A塩基(2.5%標識)を含む複数のヌクレオチドを含む第3の反応混合物を流し、引き続いて、第3の反応混合物と同じ組成を有する第4の反応混合物を流した。次いで、C塩基(2.5%標識)を含む複数のヌクレオチドを含む第5の反応混合物を流し、引き続いて、第5の反応混合物と同じ組成を有する第6の反応混合物を流した。次いで、G塩基(2.5%標識)を含む複数のヌクレオチドを含む第7の反応混合物を流し、引き続いて、第7の反応混合物と同じ組成を有する第8の反応混合物を流した。洗浄、切断、およびイメージングを、反応混合物フロー間で一貫して実施した(例えば、本明細書に記載されるように)。第1~第8の反応混合物のフロー、ならびに関連する洗浄、切断、およびイメージングは、単一フローサイクルを構成する。プロトコルAおよびBについて少なくとも32のフローサイクルを実行し、各サイクルはT-T-A-A-C-C-G-Gフローシーケンスを含んでいた。プロトコルCについて少なくとも33のフローサイクルを実行し、各サイクルはT-T-A-A-C-C-G-Gフローシーケンスを含んでいた。
【0345】
表2は、3つの異なる鋳型配列についての32サイクル後のローカルフェージング(%)を要約している。
【0346】
【表2】
【0347】
表2に示されるように、累積されたフェージングは、各カノニカルヌクレオチドを1サイクル当たり1回流すプロトコルDで有意に高かった。蓄積されたフェージングは、各カノニカルヌクレオチドを1サイクル当たり2回流すプロトコルA~Cで低かった。
【0348】
図7A図7Dは、鋳型TF5に対する、プロトコルA(図7A)、B(図7B)、C(図7C)、およびD(図7D)についてのフローによるイメージングによって検出される正規化シグナル(上のパネル)およびフローによるフェージング%(下のパネル)をそれぞれ示す。上のパネルの縦軸は、取り込まれた各ヌクレオチドについての正規化された中程度のシグナル強度を描いている。下のパネルの縦軸は、各チャレンジングフローの正規化された中程度のシグナル強度を描いている(例えば、フロー内のヌクレオチドは取り込まれるとは予想されない)。上のパネルおよび下のパネルのそれぞれの横軸は、フローシーケンスを描いている。同じヌクレオチド型の二重フローを含むフローシーケンスの場合、シグナルを重複フローのうちの1つについてのみ測定した。上のパネルでは、所与の塩基の取込みがピークで示されている。点線の白丸記号はA含有ヌクレオチドに対応し、空の白丸記号はT含有ヌクレオチドに対応し、黒丸記号はG含有ヌクレオチドに対応し、右から左へのハッシュ記号はC含有ヌクレオチドに対応する。縦軸の0またはその近くにある左から右へのハッシュ記号は、所与のフローからのヌクレオチドが取り込まれるとは予想されなかったことを示す(例えば、チャレンジフロー)。破線は連続する記号(データポイント)を接続して目を案内し、最小二乗適合は実線で示される。各図に対応するフィッティングパラメータを、以下の表3に含める。下のパネルでは、各記号が、ヌクレオチドが取り込まれるとは予想されなかった上のパネルのフローに対応している。上のパネルのチャレンジフロー(例えば、左から右へのハッシュ記号で塗りつぶされた円で表される)のヌクレオチド同一性を、下のパネルからの対応するフローシーケンスによって決定することができた。例えば、図7Aでは、蛍光シグナルが、フローシーケンス37(フロー位置としても知られている)での第1のチャレンジフローについて観察され、これは、約0.2の正規化された媒体シグナルを有していた。このチャレンジフローは、下のパネルの同じフローシーケンス/位置にある第1の破線のピークで表されるように、Tフローであると決定された。上のパネルと同様に、点線は連続する記号を接続して目を案内し、灰色実線は、位相遅れ、位相進みおよび位相ドロープなどのパラメータを適合させて、観測されたシグナル(チャレンジフローからのシグナルを含む)を最もよく相関させる位相モデルに対応する。
チャレンジフローf、塩基bのローカルフェージングは、チャレンジフロー(例えば、フロー内のヌクレオチドが取り込まれるとは予想されない)シグナルと、その塩基の前および次の取込みシグナルの比であり、以下のように与えられる。
【0349】
【数1】
【0350】
1のローカルフェージングは、チャレンジフロー(例えば、フロー内のヌクレオチドが取り込まれるとは予想されない)が取込みと同じくらい多くの信号を有し、鎖が完全に位相がずれていることを意味する。
【0351】
【表3】
【0352】
表3のフィッティングパラメータは、データで観察されたフェージングの推定測定値を提供する。説明される変動%は、各プロトコル適合で70~80%であり、それぞれの数学的適合がデータセットの変動をどの程度うまく説明しているかを示しています。表3に示されるように、各カノニカルヌクレオチドを1サイクル当たり2回連続して流した他のプロトコルと比較して、各カノニカルヌクレオチドを1サイクル当たり1回流したプロトコルDではラグフェージングが有意に増強された。ドループは、実験の過程で配列決定実験から核酸分子が脱落することに対応する。
【0353】
以下の表4は、様々なフローシーケンスについての様々な鋳型(TF3、TF4等)の塩基品質スコアを示している。例えば、実行番号283は、T-T-A-C-Gのフローシーケンスに対応する(例えば、単一フローサイクルが、それぞれがT含有ヌクレオチドを含む第1および第2の反応混合物、A含有ヌクレオチドを含む第3の反応混合物、C含有ヌクレオチドを含む第4の反応混合物、ならびにG-含有ヌクレオチドを含む第5の反応混合物を含む)。洗浄、標識/リンカーの切断、および異なるカノニカルヌクレオチドを含むフロー間のイメージングを、本明細書の他の場所で記載されるように実施した。実行番号296は、T-T-A-A-C-C-G-Gのフローシーケンスに対応し、ここでは、本明細書の他の場所で記載されるように、連続する同じ塩基ヌクレオチドフロー間で標識を切断し、連続する同じ塩基ヌクレオチドフロー間で洗浄を実施した。実行番号290は、T-T-T-A-A-A-C-C-C-G-G-Gのフローシーケンスに対応し、ここでは、各塩基型を連続して3回流し、標識を少なくとも2つの連続する同じ塩基ヌクレオチドフロー間で切断し、洗浄を少なくとも2つの連続する同じ塩基ヌクレオチドフロー間で実施した。実行番号291は実行番号296のフローシーケンスに対応するが、連続する同じ塩基ヌクレオチドフロー間で切断を実施しなかった。実行番号292は実行番号296のフローシーケンスに対応するが、同じカノニカルヌクレオチドを含むフロー間(例えば、共にT含有ヌクレオチドを含む第1のフローと第2のフローとの間)で洗浄も標識の切断も実施しなかった。各実行について、各フローは、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物を使用した(例えば、実行番号296の場合、第1のフローは、標識T含有ヌクレオチドおよび非標識T含有ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物を使用し、第2のフローは、標識T含有ヌクレオチドおよび非標識T含有ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物を使用し、第3のフローは、標識A含有ヌクレオチドおよび非標識A含有ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物を使用し、第4のフローは、標識A含有ヌクレオチドおよび非標識A含有ヌクレオチドの混合物を含む反応混合物を使用した、など)。塩基品質(BQ)スコアを、BQスコア30が1000回のうち1回(またはP=0.001)の不正確なベースコール確率に相当するように、ベースコーリングエラー確率(P)の関数として、式
【0354】
【数2】
によって計算した。
【0355】
【表4】
【0356】
表4に示されるように、2つ以上の連続した同じ塩基ヌクレオチドフローを伴う重複フローは、塩基品質スコアの改善に役立つ。重複フロー間の洗浄および切断は、共に塩基品質スコアの改善に役立つ。
【0357】
[実施例4]
マルチフロー実験におけるフェージング
マルチフロー実験を実施した。同じ核酸配列を有する鋳型核酸分子の集団を、(例えば、本明細書に記載される)検出領域に固定化した。以下の表5に要約されるように、鋳型核酸分子を2つの異なるフロープロトコルで照合した。プロトコルEはフローシーケンスT-T-C-C-A-A-G-Gを使用し、「ブライトポリッシュ(bright polish)」プロトコルとも呼ばれ、プロトコルFはフローシーケンスT-T-C-C-A-A-G-Gを使用し、「ブライトポリッシュ」プロトコルとも呼ばれる。前記フローシーケンスでは、アスタリスクは、標識ヌクレオチド(例えば、2.5%の標識ヌクレオチド)を含む反応混合物を示し、アスタリスクがないことは、非標識ヌクレオチドのみを含む反応混合物を示す。標識ヌクレオチドは、ジスルフィドリンカーを介して蛍光標識に連結されている。
【0358】
【表5】
【0359】
表5に示されるように、「ダークポリッシュ」プロトコル(例えば、プロトコルF)は、「ブライトポリッシュ」プロトコルよりも全体的に低いフェージングを示した。
【0360】
フェージングの問題を減らすことに加えて、「ダークポリッシュ」プロトコル(例えば、同じカノニカル型の標識ヌクレオチドを含む第1の反応混合物を流し、次いで、同じカノニカル型の非標識ヌクレオチドを含む第2の反応混合物を流す)の使用は、「ブライトポリッシュ」プロトコル(例えば、同じカノニカル型の標識ヌクレオチドを含む第1の反応混合物を流し、次いで、同じカノニカル型の標識ヌクレオチドを同様に含む第2の反応混合物を流す)に対するさらなる利点を提供し得る。非標識ヌクレオチドは、供給業者から直接購入するか、利用可能な試薬を使用して確立された手順に従って調製することができ、標識ヌクレオチドは、より高いコストで取得でき、かなり多くの調製を要し得る。標識ヌクレオチドの標識は、配列決定におけるコンテキストの問題を低減するために、しばしば切断される(例えば、本明細書に記載されるように)。したがって、非標識ヌクレオチドのみを含む反応混合物の使用は、異なる反応混合物間で複数の異なる切断フローを使用する必要性を排除し、洗浄フローを低減すると同時に、瘢痕化効果を低減し得る。例えば、第2のまたは他の後続の反応混合物に含まれる非標識ヌクレオチドの濃度が、第1の反応混合物に含まれるヌクレオチド(例えば、標識および非標識ヌクレオチド)の濃度よりも高くてもよい。例えば、第2の反応混合物(例えば、ダークフロー)中の所与の同じカノニカル型の非標識(例えば、ダーク)ヌクレオチドの濃度は、第1の反応混合物中の所与の同じカノニカル型の全ヌクレオチド(例えば、標識および非標識)の濃度の100%を超え得る、例えば少なくとも約110%、120%、125%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、またはそれ以上であり得る。いくつかの実施形態では、ダークポリッシュが、対応するブライトフローよりも高い濃度を有することができ、それだけに限らないが、250%、300%、最大500%またはさらにそれ以上を含む、約150%~200%超の範囲であり得る。フローシーケンスT-T-A-A-C-C-G-Gを有するダークポリッシュプロトコルの例では、様々なカノニカルヌクレオチドの第2の反応混合物(例えば、ダークポリッシュフロー)中の濃度が、[T、A、C、G]=[200%、200%、200%、154%]であった。
【0361】
ダークポリッシュスキームは、本明細書で提供される任意のフローシーケンスまたはプロトコルに適用することができる。場合によっては、1つまたは複数のダークフローが使用され得る。例えば、フローシーケンスは、所与の同じカノニカル塩基型(例えば、T)の標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの両方を含む第1の反応混合物、所与の同じカノニカル塩基型の非標識ヌクレオチドのみを含む第2の反応混合物、および所与の同じカノニカル塩基型の非標識ヌクレオチドのみを含む第3の反応混合物の使用を含み得る。同様に、複数のブライトフローを1つまたは複数のダークフローと組み合わせて使用することもできる。別の例では、フローシーケンスが、所与の同じカノニカル塩基型の標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの両方(例えば、T、例えば2.5%の標識T含有ヌクレオチドおよび97.5%の非標識T含有ヌクレオチド)を含む第1の反応混合物、同じまたは異なる濃度の所与の同じカノニカル塩基型の標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの両方(例えば、2.5%の標識T含有ヌクレオチドおよび97.5%の非標識T含有ヌクレオチド、または異なる量の標識T含有ヌクレオチド、例えば1%のT含有ヌクレオチド)を含む第2の反応混合物、および所与の同じカノニカル塩基型の非標識ヌクレオチドのみを含む第3の反応混合物の使用を含み得る。
【0362】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態が単なる例示として提供されることが当業者に自明であろう。本発明が本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図するものではない。本発明を前記明細書を参照して説明してきたが、本明細書の実施形態の説明および例示は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更および置換が思い浮かぶだろう。さらに、本発明の全ての態様が、様々な条件および可変要素に依存する、本明細書に示される特定の描写、構成、または相対的な割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が、本発明の実施において採用され得ることを理解すべきである。したがって、本発明が、このような代替物、修正、変形、または等価物も網羅することが企図される。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物がこれにより網羅されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】