(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(54)【発明の名称】新鮮な収穫物を被覆するための食用被覆組成物
(51)【国際特許分類】
A23B 7/16 20060101AFI20220630BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20220630BHJP
A01G 7/06 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A23B7/16
A23L5/00 F
A01G7/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021565973
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 NL2020050290
(87)【国際公開番号】W WO2020226495
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520232758
【氏名又は名称】リクイッドシール ホールディング ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】LIQUIDSEAL HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】Schuttersveld 9, 2316 XG LEIDEN, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンスター、ヴィクター スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ファンデンベルク、ユージーン ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フルーネヴェーヘン、グレン ギャレス
【テーマコード(参考)】
2B022
4B035
4B169
【Fターム(参考)】
2B022AB15
2B022AB17
2B022EA10
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4B035LC16
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4B169HA07
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(57)【要約】
本発明は、新鮮な収穫物を被覆するための食用組成物、及び前記組成物で被覆された収穫物に関する。本発明はまた、収穫物を被覆する方法に関する。更に、本発明は、前記組成物で被覆されていない果物又は野菜と比較して、長い貯蔵寿命及び/又はより遅い重量減少を有する収穫後の果物又は野菜の調製のための前記食用組成物の使用に関する。また、本発明は、前記組成物で被覆されていない同等の切り花と比較して、前記組成物で被覆された場合に日持ちが延長された収穫後の切り花の調製のための前記食用組成物の使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新鮮な収穫物を被覆するための食用組成物であって、
前記組成物が水性エマルジョンの形態であり、
炭素数8~24の鎖長を有するモノグリセリド若しくはジグリセリド、又はそれらの混合物;
1以上の脂肪酸;及び
1以上のアルカリ剤を含む、食用組成物。
【請求項2】
前記エマルジョンの10w/v%未満の更なる成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モノグリセリド及びジグリセリドが、炭素数12~20の鎖長の鎖を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モノグリセリド及びジグリセリドが、ラウレート鎖、オレエート鎖、パルミテート鎖及びステアレート鎖の群から選択される鎖を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記1以上の脂肪酸が、前記モノグリセリド及びジグリセリドよりも低い融点を有する、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記1以上の脂肪酸が、1以上のC18脂肪酸、例えばC18脂肪酸、C18:1脂肪酸、C18:2脂肪酸、C18:3脂肪酸、例えばオレイン酸、又はそれらの混合物を含む、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記1以上の脂肪酸が、C18脂肪酸、C18:1脂肪酸、C18:2脂肪酸、C18:3脂肪酸、又はそれらの混合物の群から選択される1以上のC18脂肪酸を含み、好ましくは、前記1以上の脂肪酸がオレイン酸を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記1以上の脂肪酸が、少なくともオレイン酸及びパルミチン酸を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記1以上の脂肪酸が、ソルビン酸脂肪酸を含む、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記1以上のアルカリ剤が、NaOH、KOH、モルホリン、水酸化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、アンモニア、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、塩化アンモニウムからなる群の1以上の化合物を溶解することによって得られ、及び/又は、好ましくは、前記アルカリ剤が、前記組成物を新鮮な収穫物に塗付した後に蒸発することができる、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
1以上のスペーシング剤を更に含む、請求項1~10のいずれかに記載の組成物であって、
前記スペーシング剤が、ポリオール、例えばグリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はそれらの混合物の群から選択されるポリオールであり、好ましくはグリセロールである、組成物。
【請求項12】
レシチンを更に含む、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
アンモニウムホスファチドを更に含む、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
消泡剤を更に含む、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
有機溶媒を含まない、又は前記エマルジョンの5w/v%未満の百分率で有機溶媒を含む、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記エマルジョンの0.1~20w/v%の量の前記モノグリセリド、ジグリセリド、又はそれらの混合物;
前記エマルジョンの0.1~20w/v%の量の前記1以上の脂肪酸;
前記エマルジョンの0.1~20w/v%の量の前記1以上のアルカリ剤;
前記エマルジョンの0~20w/v%の量の前記1以上のスペーシング剤を含み、前記組成物の残りが水である、請求項1~15のいずれかに記載の組成物:
【請求項17】
前記エマルジョンの1~10w/v%の量のモノステアリン酸グリセロール;前記エマルジョンの1~5w/v%の量の脂肪酸としてのオレイン酸;及び、前記エマルジョンの0.1~10w/v%の量のアルカリ剤を含み、残りが水である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記エマルジョンの1~10w/v%の量のモノステアリン酸グリセロール;前記エマルジョンの1~5w/v%の量の脂肪酸としてのオレイン酸;及び、前記エマルジョンの0.1~10w/v%の量のアルカリ剤としてのアンモニアを含み、残りが水である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記エマルジョンの1~10w/v%の量のモノステアリン酸グリセロール;前記エマルジョンの1~5w/v%の量の脂肪酸としてのオレイン酸;前記エマルジョンの0.01~10w/v%の量のスペーシング剤としてのグリセロール;及び、前記エマルジョンの0.1~10w/v%の量のアルカリ剤としてのアンモニアを含み、残りが水である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記エマルジョンの1~10w/v%の量のアンモニアを含む、又は前記エマルジョンの1~10w/v%の合計量のNaOH若しくはKOHと組み合わせたアンモニアを含む、請求項18又は19に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の組成物で被覆された収穫物であって、
好ましくは、果物、野菜、花の球根、鉢植え植物、及び切り花の群から選択される、収穫物。
【請求項22】
収穫後、新鮮な収穫物、好ましくは果物、野菜、花の球根、鉢植え植物、及び切り花の群から選択される新鮮な収穫物に請求項1~20のいずれかに記載の組成物を塗付することを含む、新鮮な収穫物を被覆する方法。
【請求項23】
長い貯蔵寿命及び遅い重量減少を有する収穫後の果物又は野菜の調製のための、請求項1~20のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項24】
長い日持ちを有する収穫後の切り花又は鉢植え植物の調製のための、請求項1~20のいずれかに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新鮮な収穫物を被覆するための食用組成物、及び前記組成物で被覆された収穫物に関する。本発明はまた、収穫物を被覆する方法に関する。更に、本発明は、前記組成物で被覆されていない果物又は野菜と比較して、長い貯蔵寿命及び/又はより遅い重量減少を有する収穫後の果物又は野菜の調製のための前記食用組成物の使用に関する。また、本発明は、前記組成物で被覆されていない同等の切り花と比較して、前記組成物で被覆された場合に長い日持ちを有する収穫後の切り花の調製のための前記食用組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、食用被覆が収穫物に使用され、特に果物の貯蔵寿命を延長するために用いられている。
例えば、モノグリセリドが、果物及び野菜を被覆するための食用組成物に有用であることが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、依然として改善の必要性があることを見出した。特に、本発明は、貯蔵寿命/日持ちを延長し、重量減少を遅くすることに関して優れた特性を有する、新鮮な収穫物を被覆するための、調製が容易で費用効果の高い被覆組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の側面において、本発明は、新鮮な収穫物を被覆するための食用組成物であって、前記組成物が水性エマルジョンの形態であり、炭素数8~24の鎖長を有するモノグリセリド若しくはジグリセリド、又はそれらの混合物;1以上の脂肪酸;及び、1以上のアルカリ剤を含む、食用組成物に関する。
【0005】
第2の側面において、本発明は、本発明の第1の側面の組成物で被覆された収穫物に関する。
【0006】
第3の側面において、本発明は、収穫後、収穫物に第1の側面の組成物を塗付することを含む、新鮮な収穫物を被覆する方法に関する。
【0007】
第4の側面において、本発明は、第1の側面の組成物で被覆されていない果物又は野菜と比較して、長い貯蔵寿命及び/又はより遅い重量減少を有する収穫後の果物又は野菜の調製のための、第1の側面の組成物の使用に関する。
【0008】
第5の側面において、本発明は、第1の側面の組成物で被覆されていない同等の切り花と比較して、前記組成物で被覆した場合、長い日持ちを有する収穫後の切り花又は鉢植え植物の調製のための、第1の側面の組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】被覆されていないバナナ(点線)と比較して、本発明の組成物で被覆されたバナナ(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図2】被覆されていないメロン(点線)と比較して、本発明の組成物で被覆されたメロン(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図3】被覆されていないキュウリ(点線)と比較して、本発明の組成物で被覆されたキュウリ(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図4】被覆されていないキュウリ(点線)と比較して、本発明の組成物で被覆されたキュウリ(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図5】被覆されていないリンゴ(点線)と比較して、本発明の組成物で被覆されたリンゴ(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図6】被覆されていない梨(点線)と比較して、本発明の組成物で被覆された梨(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図7】被覆されていないメロン(点線)と比較して、本発明のいくつかの異なる組成物で被覆されたメロン(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図8】被覆されていないオレンジ(点線)と比較して、本発明のいくつかの異なる組成物で被覆されたオレンジ(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図9】被覆されていないオレンジ(点線)と比較して、本発明のいくつかの異なる組成物で被覆されたオレンジ(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図10】被覆されていないオレンジ(点線)と比較して、本発明のいくつかの異なる組成物で被覆されたオレンジ(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【
図11】被覆されていないアボガド(点線)と比較して、本発明のいくつかの異なる組成物で被覆されたアボガド(実線)の時間的な重量減少を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、炭素数8~24の鎖長を有する1以上のモノグリセリド、及び/又は1以上のジグリセリド、又はそれらの混合物;1以上の脂肪酸;及び1以上のアルカリ剤を含む、水性エマルジョンの形態である組成物で、これらの収穫物を被覆することで、新鮮な収穫物の貯蔵寿命を延長することができることの発見に基づく。本発明者らは、水中でのモノ/ジグリセリド、脂肪酸及びアルカリ剤の組み合わせによって、安定なエマルジョンがもたらされ、これを新鮮な収穫物に塗付すると、前記収穫物の重量減少の大幅な遅延をもたらすことを見出した。従って、収穫物が長い貯蔵寿命を有する。エマルジョンは、成分に応じて、通常のエマルジョンの形態、又はマイクロエマルジョンの形態であることができる。新鮮な収穫物の表面との良好な相互作用をもたらすため、エマルジョンは適切にはアニオン性エマルジョンの形態であることができる。
【0011】
理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、これらの脂肪酸とモノ/ジグリセリドとの組み合わせによって、例えばモノ/ジグリセリドのみで形成されるミセルと比較して少し不安定なミセルの形成がもたらされる一方、アルカリ剤の順番では、アルカリ剤によって、脂肪酸の端の基が帯電し、ミセルの周りに電荷の球が生成し、その順番で、静電反発力によってエマルジョンが安定し、ミセルの凝集が防止され、安定なマイクロエマルジョンが形成されると考えている。本発明者らは、エマルジョン中でミセルの凝集が防がれる一方、ミセル中の脂肪酸の存在のためにミセルが少し不安定であるので、ミセルが新鮮な収穫物の表面に接触する時、相互作用がより効率的かつ均一に起こるとの効果があると考えている。なぜなら、収穫物が一般に多少の脂肪質の表面を有するため、新鮮な収穫物の表面とよく相互作用する均一な被覆が達成されるからである。
【0012】
組成物は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はそれらの混合物を含むことができる。モノグリセリド(アシルグリセロール又はモノアシルグリセロールとも言われる)は、エステル結合を介して脂肪酸に結合したグリセロール分子で構成されるグリセリドの1つのクラスである。モノグリセリドには、異なる2つの主な種類:脂肪酸が第一級アルコールに結合してモノアシルグリセロールを形成する1-モノアシルグリセロール、又は脂肪酸が第二級アルコールに結合してモノアシルグリセロールを形成する2-モノアシルグリセロールである。ジグリセリド(ジアシルグリセロール(DAG))は、エステル結合を介してグリセロール分子に共有結合した2つの脂肪酸鎖からなるグリセリドである。2つの主な種類、すなわち、1,2-ジアシルグリセロールと1,3-ジアシルグリセロールが存在する。
【0013】
モノ/ジグリセリドの脂肪酸鎖は、適切には、炭素数8~24の鎖長を有する。より長い鎖又はより短い鎖では、新鮮な収穫物に塗付された時、適切な被覆をもたらさない。
【0014】
本発明の組成物の好ましい実施態様において、前記モノグリセリド及びジグリセリドは、炭素数12~20、例えば14~20又は16~20の鎖長を有する鎖を有する。本発明の組成物におけるこれらの分子の使用によって、より長い貯蔵寿命を新鮮な収穫物に与えることができる被覆がもたらされる。このような鎖には、ラウリン酸鎖、ミリスチン酸鎖、オレイン酸鎖、パルミチン酸鎖、及びステアリン酸鎖が含まれる。このような分子は十分に特徴付けられ、健康に無害であり、市販されている。従って、前記モノグリセリド及びジグリセリドは、ラウリン酸鎖、オレイン酸鎖、パルミチン酸鎖、及びステアリン酸鎖の群から選択される鎖を有することが好ましい。
【0015】
本発明の組成物における使用に非常に好ましいモノグリセリドは、モノステアリン酸グリセロールである。組成物にこの化合物を含めることで、以下の実施例で示される通り、重量減少の低下に関して優れた結果が得られる。更に、モノステアリン酸グリセロールは、菜種、油ヤシ等の植物源から直接回収できるため、大量に入手できる。この点で、組成物中のモノ/ジグリセリド部分が、主にモノステアリン酸グリセロールから形成されることが好ましい。例えば、モノステアリン酸グリセロールの適切な供給源は、90モル%のモノステアリン酸1-及び2-グリセリル、及び10モル%のC16-C18の偶数番号のモノグリセリド材料の混合物であることができ、これは市販されている。
【0016】
組成物は、1つの特定のモノグリセリド及び/又は1つの特定のジグリセリドを含むことができる。組成物が、異なる鎖を有する複数の異なるモノグリセリド、及び/又は異なる鎖を有する複数の異なるジグリセリドを含むことも可能である。あるいは、組成物は、ジグリセリドを含まずに、1つの特定のモノグリセリド(モノステアリン酸1-又は2-グリセリル等)、又は複数のモノグリセリド(モノステアリン酸1-及び2-グリセリル等)を含むことができる。組成物はまた、モノグリセリドを含まずに、1つの特定のジグリセリド又は複数のジグリセリドを含むこともできる。
【0017】
本発明の組成物中に、モノ及び/又はジグリセリド、例えばモノステアリン酸1-及び/又は2-グリセリル等は、組成物の体積に対して0.1~20w/v%、好ましくは1~10w/v%の濃度で含まれることができる。実施例によって、モノ/ジグリセリドは、本発明の組成物中に、組成物の体積に対して5w/v%の濃度で適切に含まれることができる。
【0018】
本発明の組成物には、1以上の脂肪酸も含まれる。本出願で言及される脂肪酸は、一般構造:R-COOH〔式中、Rは、長い炭化水素鎖、例えば炭素数4~28の鎖、例えば炭素数8~26の鎖を表す。〕の化合物である。本発明の組成物で用いられる脂肪酸は、炭素数6~12の脂肪族テールを有する中鎖脂肪酸(MCFA)、及び炭素数13~21の脂肪族テールを有する長鎖脂肪酸(LCFA)から選択されることが好ましい。脂肪酸は、組成物中のモノグリセリド及び/又はジグリセリドの融点以下の融点を有することが好ましい。なぜなら、それによって、エマルジョンの安定性が高められ、一方で新鮮な収穫物の効率的で均一な被覆が得られるからである。同じ理由で、被覆組成物は一般に室温(すなわち、気候に応じて約15~30℃)で塗付されるため、少なくとも、本発明の組成物の場合のように、それらが共晶混合物中にある場合、前記1以上の脂肪酸は、室温で液体状態であることが好ましい。
【0019】
脂肪酸には、飽和及び不飽和脂肪酸が含まれ得るが、これらに限定されない。この出願における用語「脂肪酸」は、脂肪酸部分を含む脂肪酸のエステル又はエーテルを包含することも意味する。
【0020】
飽和脂肪酸は、C=C二重結合を有さず、一般式:CH3(CH2)nCOOH〔式中、nは可変整数である。〕を有する。不飽和脂肪酸は、1以上のC=C二重結合を有する。C=C二重結合は、シス又はトランス異性体のいずれかを与えることができる。シス異性体及びトランス異性体の両方とも本発明の目的のために機能するが、シス異性体を使用することが好ましい。なぜなら、これらは自然界に見出され、天然、特に植物の供給源から容易に精製できるからである。
【0021】
不飽和脂肪酸には、例えばα-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、リノレライジン酸(linolelaidic acid)、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、アオコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルシン酸、ネルボン酸、及びミード酸が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0022】
飽和脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
この点で非常に好ましい脂肪酸は、C18脂肪酸、ソルビン酸脂肪酸、及びスクログリセリドである。従って、組成物は、1以上のC18脂肪酸、例えばC18脂肪酸、C18:1脂肪酸、C18:2脂肪酸、C18:3脂肪酸、例えばオレイン酸、又はそれらの混合物;及び/又は、ソルビン酸脂肪酸、例えばポリソルベート80、65又は60を含むモノオレイン酸ソルビタン;及び/又はスクログリセリドを含むことが好ましい。更に好ましい化合物は、脂肪酸のスクロースエステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリプロピレン脂肪酸エステル、グリセロール大豆脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリリシノール酸エステルを含む。食品グレードの脂肪酸の例には、E番号:E473~478及びE480~482が割り当てられる。
【0024】
前記1以上の脂肪酸は、C18脂肪酸、C18:1脂肪酸、C18:2脂肪酸、C18:3脂肪酸、又はそれらの混合物の群から選択される1以上のC18脂肪酸、好ましくはオレイン酸を含むことが非常に好ましい。なぜなら、モノステアリン酸グリセロールと組み合わせたこれらの脂肪酸は、本発明の組成物で被覆された収穫物の貯蔵寿命の延長及び重量減少の低下に関する優れた結果を示すからである。
【0025】
好ましい実施態様において、オレイン酸とパルミチン酸の組み合わせが用いられる。これによって、収穫物の貯蔵寿命に関する有利な効果がもたらされる。更に、パルミチン酸の使用は、エマルジョンの安定性に貢献した。
【0026】
例えばオレイン酸等の脂肪酸は、本発明の組成物中に、組成物の体積に対して0.1~20w/v%、好ましくは1~5w/v%の濃度で含まれることができる。実施例によって、オレイン酸等の脂肪酸が、組成物の体積に対して3w/v%の濃度で本発明の組成物に適切に含まれることができる。
【0027】
前記モノグリセリド、ジグリセリド又はそれらの混合物を安定なエマルジョン中に維持するために、組成物はまた、1以上のアルカリ剤(すなわち、塩基)、好ましくは強塩基又は中程度の塩基を含む。この目的のために、組成物中のミセル間に静電反発力を作り出すことができる限り、様々な塩基を使用することができる。非常に適切な組成物は、NaOH、KOH、モルホリン、水酸化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、アンモニア、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、又は塩化アンモニウムを溶解することで、得ることができる。アルカリ剤は、組成物を新鮮な収穫物に塗付した後、すなわち室温(15~30℃)で蒸発することが好ましい。蒸発すると、エマルジョンは再び不安定になり、ミセルは収穫物の脂肪質の表面と効率的に相互作用する。好ましい実施態様において、溶解されたアルカリ剤はアンモニアである。なぜなら、アンモニアは、被覆塗付後に、痕跡、香り、または味の影響を残すことなく容易に蒸発するからである。
【0028】
これらのアルカリ剤は、エマルジョンの0.10~20w/v%、例えば0.10~10w/v%、例えば1~10w/v%、例えば約3又は4w/v%の総量で添加されることが好ましい。アンモニアが使用される場合、好ましくは、組成物の体積に対して0.10~20w/v%の間の濃度で、好ましくは、0.10~10w/v%、例えば1~10w/v%、例えば約3又は4w/v%でアンモニアが添加される。
【0029】
例示的及び好ましい実施態様において、アンモニアは、組成物の体積に対して0.10~20w/v%、好ましくは0.10~10w/v%、例えば1~10w/v%、例えば約3又は4%のアンモニア濃度で、オレイン酸及びモノステアリン酸グリセロールと組み合わせられる。
【0030】
組成物は、更なる添加物を含まずに、水性エマルジョンとして水中に前記モノ/ジグリセリド、前記脂肪酸及びアルカリ剤を含むことができる。更に添加剤を使用することも可能である。しかし、本発明の組成物は食用被覆であるため、すべての成分が食品グレードであるか、又は更には承認された食品であることが非常に好ましい。
【0031】
前記モノ/ジグリセリド、前記脂肪酸、前記アルカリ剤及び前記水以外の更なる添加物の百分率は、好ましくはエマルジョンの20w/v%を超えず、より好ましくはエマルジョンの10w/v%を超えず、例えば5w/v%以下である。
【0032】
この点で、組成物中の好ましい添加剤はスペーシング剤である。このスペーシング剤の存在は、代謝ガスの拡散のための導管(スペース)の提供のために必要であり、それによって、被覆内の新鮮な収穫物の最小限の継続的な代謝及び成熟を可能にし、その結果、特に果物を本発明の組成物で被覆する場合に、果実の味に悪影響を及ぼさない。
【0033】
スペーシング剤は、組成物の体積に対して0.001~20.0w/v%の間、例えば0.01~10w/v%の間、例えば組成物の体積に対して約0.1w/v%の量で存在することができる。特に有用な組成物は、スペーシング剤を組成物の体積に対して0.05~0.5w/v%の間、例えば0.1w/v%で含むことができる。これらの濃度によって、被覆内の新鮮な収穫物の最小限の継続的な代謝及び成熟が確実にされる。これは、被覆された果実の場合に特に重要であり、果実の味に悪影響を及ぼさない一方で、重量減少の低下が達成される。これらの低濃度のスペーシング剤は、新鮮な収穫物に塗付した時の被覆の粘着性の低下にも寄与する。
【0034】
前記スペーシング剤は、ポリオール、例えばジオール又はトリオールであることが好ましい。組成物にポリオールを含めることで、当技術分野で記載される他のスペーシング剤、例えばデンプンと比較して、被覆の粘着性が低下する。適切なポリオールには、グリコール及びポリエーテルが含まれる。適切なポリオールは、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、又はそれらの混合物の群から選択されることができる。好ましくは、前記スペーシング剤はグリセロールである。グリセロールは、組成物の体積に対して0.001~20w/v%の間、例えば0.01~10w/v%の間の量で存在することができる。適切なグリセロール量は、組成物の体積に対して0.005~0.75w/v%の間、0.005~0.5w/v%の間、0.01~1.0w/v%の間、0.01~0.75w/v%の間、又は0.01~0.5w/v%の間であることができる。特に有用な組成物は、グリセロールを組成物の体積に対して0.1w/v%のグリセロールの量で含むことができる。特に果物が被覆される場合、これらの濃度で、被覆内の果物の最小限の継続的な代謝及び成熟が確保され、その結果、果物の味が悪影響を受けない。他方、光沢の増加と重量減少の低下が達成される。組成物中にグリセロールをこれらの濃度で有することの更なる利点は、高い相対湿度であっても被覆が無傷のままであるということである。これらの低濃度のグリセロールは、新鮮な収穫物に塗付した時の被覆の粘着性の低下にも寄与する。
【0035】
本発明の好ましい組成物は、前記エマルジョンの0.1~20w/v%の量の前記モノグリセリド、ジグリセリド、又はそれらの混合物;前記エマルジョンの0.1~20w/v%の量の前記1以上の脂肪酸;前記エマルジョンの0.1~20w/v%の量の前記1以上のアルカリ剤;前記エマルジョンの0~20w/v%の量の前記1以上のスペーシング剤を含み、前記組成物の残りが水である。
【0036】
本明細書の好ましい実施態様において、組成物は、前記エマルジョンの1~10w/v%の量のモノステアリン酸グリセロール;前記エマルジョンの1~5w/v%の量の脂肪酸としてのオレイン酸;及び、前記エマルジョンの1~10w/v%の量のアルカリ剤を含み、残りが水である。
【0037】
更に好ましい実施態様において、組成物は、前記エマルジョンの1~10w/v%の量のモノステアリン酸グリセロール;前記エマルジョンの1~5w/v%の量の脂肪酸としてのオレイン酸;及び、前記エマルジョンの0.1~10w/v%の量のアルカリ剤としてのアンモニアを含み、残りが水である。必要に応じて、この実施態様において、アンモニアと共に、アンモニア及びKOH又はNaOH、好ましくはKOHを組み合わせて、エマルジョンの1~10w/v%の好ましい総量で使用することができる。
【0038】
更に別の実施態様において、組成物は、前記エマルジョンの1~10w/v%の量のモノステアリン酸グリセロール;前記エマルジョンの1~5w/v%の量の脂肪酸としてのオレイン酸;前記エマルジョンの0.01~10w/v%の量のスペーシング剤としてのグリセロール;及び、前記エマルジョンの0.1~10w/v%の量のアルカリ剤としてのアンモニアを含み、残りが水である。必要に応じて、この実施態様において、アンモニアと共に、アンモニア及びKOH又はNaOH、好ましくはKOHを組み合わせて、エマルジョンの1~10w/v%の好ましい総量で使用することができる。
【0039】
そのような組成物は、被覆された収穫物の重量減少の非常に高い低下及び長い貯蔵寿命をもたらす。
【0040】
原則として、本発明の組成物の主成分は水であり、組成物は水性エマルジョンの形態である。しかし、例えば他の添加剤を溶解するための補助として、限られた範囲で有機溶媒を使用することも可能である。そのような有機溶媒の例は、例えば、エタノール又は酢酸エチルであることができる。それにも関わらず、本発明の組成物中の有機溶媒の量は最小限に制限されるべきである。従って、本発明の組成物は、有機溶媒を含まないか、又はエマルジョンの5w/v%未満の百分率で有機溶媒を含むことが好ましい。
【0041】
更に好ましい添加剤はレシチンである。本発明者らは、驚くべきことに、レシチンの添加によって、より高い濃度の組成物が可能になることを発見した。更に、本発明者らは、レシチンの添加によって、組成物中のアンモニアの量を低下させることができることを見出した。これは臭気の観点から有利である。これによって、組成物を濃縮物として製造及び販売することが可能になり、最終ユーザーはこの濃縮物を所望の希釈液にすることができる。レシチンは、好ましくは、組成物の体積に対して10w/v%未満の濃度で添加される。レシチンの好ましい濃度は、組成物の体積に対して0.1~5w/vの範囲であり、例えば組成物の体積に対して1w/v%である。レシチンは、例えば、粘度を低下させるポリリシノール酸ポリグリセリンの有無に関わらず添加することができる。
【0042】
レシチンの代わりに、又はレシチンに加えて、アンモニウムホスファチドを使用することができる。また、これらの化合物は、より高濃度の組成物を得るのを助ける。
【0043】
塩の形態のイオン剤、例えばKC1又はNaClを添加することが、更に好ましい。これは、イオン性エマルジョンの安定性に貢献する。
【0044】
組成物に消泡剤を加えることが更に好ましい。本発明者らは、驚くべきことに、消泡剤の添加によって、収穫物、特に果実の貯蔵寿命に有利な効果が得られることを発見した。好ましい消泡剤は、ポリジメチルシロキサンを含む。非常に適切な消泡剤は、ジメチルポリシロキサン、二酸化ケイ素、乳化剤、及び防腐剤、例えば、Munzing社のMagrabar(登録商標)製品を含む組成物である。非限定的な例には、大豆油、有機ワックス、植物油及び二酸化ケイ素を含むMagrabar(登録商標)3303;植物系界面活性剤、植物油及び疎水性シリカを含むMagrabar(登録商標)PD-602E;変性脂肪及びアルコキシル化化合物、シリカ及び乳化剤(非イオン性)の混合物であるMunzing agitan351;植物油及びアルコキシル化化合物、シリカ及び乳化剤(非イオン性)及びポリジメチルシロキサンの混合物であるMunzing agitan352が含まれる。消泡剤は、好ましくは、組成物の体積に対して10w/v%未満の濃度で添加される。消泡剤の好ましい濃度は、組成物の体積に対して0.1~5w/v%の範囲であり、例えば組成物の体積に対して0.5又は1w/v%である。驚くべきことに、本発明者らは、収穫物、特に果物の貯蔵寿命に対する消泡剤の添加のプラスの効果を見出した。
【0045】
消泡剤を添加する場合、NaCl又はKC1等の塩をも添加することが好ましい。
【0046】
本発明の組成物は、バイオ樹脂、ポリマー、バイオポリマー、脂質、例えばリン脂質、ワックス、抗酸化剤、酸、デンプン、糖、ミネラル、天然抽出物、防腐剤、ホルモン、抗真菌剤、抗菌剤、サイトカイン、充填剤、フィルム形成剤、界面活性剤、有機材料の形態の添加剤を更に含むことができる。
【0047】
室温(すなわち、15~30℃)で液体であるジ/トリグリセリドを使用することも可能である。これらには、一般的な油、例えば植物油が含まれる。例えば、サラダ油、落花生油、オリーブ油、大豆油、又はトリグリセリドタイプの油を添加することができる。油の添加によって、組成物はO/Wエマルションになる。油を含む本発明の例示的な組成物は、GMS、オレイン酸、アンモニア及び油、例えば5%のGMS、3%のオレイン酸、5%のアンモニア及び5%の油(組成物の体積に対するw/v)を含むことができる。
【0048】
例えば、ソルビタンエステル、ポリソルベート(エトキシル化ソルビタンエステル)、アセチル化モノグリセリド、脂肪アルコール、エトキシル化アルコール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化ラノリン、サルコシン/サルコシネート等の更なる乳化剤を添加することもできる。
【0049】
【0050】
【0051】
被覆される収穫物は、果実、野菜、鉢植え植物、花の球根及び切り花の群から適切に選択され、好ましくは果実又は野菜である。従って、本発明はまた、収穫物が適切には上記で特定された通りである、本発明の組成物で被覆された収穫物に関する。
【0052】
果物は、任意の食用果物であることができ、摂取前にむかなければならない厚い皮を有する果物、又は薄い食用の皮を有する果物が含まれる。本発明の組成物で被覆することができる果物の非限定的な例には、バナナ、マンゴ、メロン、柑橘系果物、パパイヤ、ライチ、オレンジ、リンゴ、アプリコット、アボカド、バナナ、カンタロープ、イチジク、グアバ、キウイ、ネクタリン、桃、梨、柿、プラム、パッションフルーツ、イチゴ、ブラックベリー、トマト等が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
本発明の組成物で被覆することができる野菜の例には、緑色野菜、オレンジ色野菜、デンプン質の野菜、根野菜、エンドウ豆及び豆、並びに他の野菜、例えばセロリ、緑豆、ピーマン、きぬさや、さやえんどう、アスパラガス、ズッキーニ、ブロッコリー、きゅうり、玉ねぎ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の組成物で被覆することができる切り花の例には、チューリップ、バラ、キク、グラジオラス、ユリ、クチナシ、蘭、ポインセチア等が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の被覆で果物及び野菜を被覆することで、前記果物又は野菜の長い貯蔵寿命とより遅い重量減少が得られる。この点で、本発明はまた、本発明の組成物で被覆されていない同等の果物又は野菜と比較して、長い貯蔵寿命及びより遅い重量減少を有する収穫後の果物又は野菜の調製のための、本発明の組成物の使用に関する。「同等の果物又は野菜」とは、実質的に同様の大きさであり、収穫後の時間が等しい段階にある、同じ品種の果物又は野菜を意味する。
【0056】
本発明の被覆で切り花を被覆することで、前記花の長い日持ちが得られる。この点で、本発明はまた、本発明の組成物で被覆されていない同等の切り花と比較して、前記組成物で被覆された時に長い日持ちを有する収穫後の切り花の調製のための、本発明の組成物の使用に関する。「同等の切り花」とは、実質的に同様の大きさであり、切断後の時間が等しい段階にある、同じ品種の花を意味する。
【0057】
本発明はまた、収穫後、果物、野菜、及び切り花の群から選択される新鮮な収穫物に本発明の組成物を塗付することを含む、新鮮な収穫物を被覆する方法に関する。
【0058】
いくつかの技術によって、好ましくは噴霧又は浸漬によって、被覆エマルジョンを塗付することができる。使用される被覆エマルジョンが高粘度である場合、好ましくはエマルジョンの希釈を用いて、エマルジョンを塗付する。一方、低粘度のポリマーエマルジョンでは、好ましくは噴霧/浸漬技術が用いられる。塗付後、被覆を乾燥させる。
【0059】
水分含有量の少ない濃縮組成物の場合、使用前に組成物を希釈する。
【0060】
この方法によって、被覆の厚さを0.3~25μm、好ましくは1.5~20μmにすることができる。単一の被覆工程で、例えば浸漬又は噴霧で、これを達成することができる。
【0061】
複数の被覆工程、例えば2つの工程を適用することも可能である。この場合、最初の被覆工程はプライマー層になり、第2の工程は「仕上げ」層になる。しかし、効率のために、被覆は単一工程で行われることが好ましい。
【0062】
果物に直接、本発明の被覆組成物のエマルジョンを1回以上塗付することができる。好ましくは、エマルジョンを1回塗付する。
【0063】
本発明の被覆組成物のエマルジョンは、収穫物に直接塗付され、食用である。組成物は、少なくとも収穫物の皮に塗付されるが、その茎及び/又は壊れた表面にも組成物を塗付することは、光沢及び重量安定性に有害ではない。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、本発明を限定しない。
【0065】
実施例1-組成物の例
本発明の以下の組成物は、果物、野菜及び花の被覆としてのそれらの効果を試験するために調製された。
【0066】
[組成物A]
・5.0% GMS(1-ステアロイル-rac-グリセロール,SIGMA)
・3.0% オレイン酸
・5.0% アンモニア
・0.1% グリセロール
・残余の水
【0067】
[組成物B]
・5.0% グリセロールモノステアレート(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・3.0% オレイン酸
・5.0% アンモニア
・0.1% グリセロール
・残余の水
【0068】
[組成物C]
・1,0% GMS
・0.6% オレイン酸
・5.0% アンモニア
・残余の水
【0069】
[組成物D]
・2.5% GMS
・1.5% オレイン酸
・5.0% アンモニア
・残余の水
【0070】
[組成物E]
・3.5% GMS
・2.0% オレイン酸
・5.0% アンモニア
・残余の水
【0071】
[組成物F]
・5.0% GMS(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロールト(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・2.5% シェラック
・3.0% オレイン酸
・5.0% アンモニア
・0.1% グリセロール
・残余の水
【0072】
[組成物G]
・2.5% GMS(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・2.5% GML(1-ラウロイル-rac-グリセロール,Radiamuls MG 2549K)
・3.0% オレイン酸
・5.0% アンモニア
・0.1% グリセロール
・残余の水
【0073】
すべての百分率は、組成物の体積に対する重量百分率である。
【0074】
実施例2-アボカド
この実施例では、組成物Aをアボカドに塗付して、重量減少及び真菌感染の生成に対する被覆の効果を試験した。既知の重量のアボカドを上記の組成物の1つに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのアボカドは被覆されていなかった。以下の試験では、アボカドを冷却室中、6℃で相対湿度85%で保温した。これは、アボカドの冷蔵輸送及び冷蔵貯蔵の間の条件によく似ている。
【0075】
2.1 重量減少
冷却室での2週間の保温の後、20個のアボカドの24時間での平均重量減少を測定した。重量減少は、前記24時間の保温の開始時の収穫物の平均重量の百分率における重量の平均減少として決定された。試験結果を表3に示す。
【0076】
【0077】
表3は、組成物Aで被覆されたアボカドの重量減少が著しく低下することを示す。被覆されたアボカドの平均質量減少率に対する被覆されていないアボカドの平均質量減少率の比は、1.85であった。この比率は、質量減少率の低下の尺度として使用することができ、従来技術では前例のないものである。
【0078】
2.2 真菌感染
被覆されたアボカド及び被覆されていないアボカドを、真菌感染についても試験した。この実験では、20個のアボカドを18日間の外表面の真菌感染の存在について視覚的に評価した。試験結果を以下の表4に示す。
【0079】
【0080】
表4は、組成物Aで被覆されたアボカドが、真菌感染におけるアボカドの損失を著しく低下させること、すなわち、14日間の貯蔵後に最大75%低下することを示す。
【0081】
実施例3-バナナ
この実施例では、組成物Aをバナナに塗付して、重量減少に対する被覆の効果を試験した。既知の重量のバナナを組成物Aに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのバナナは被覆されていなかった。以下の試験では、バナナを冷却室中、6℃で相対湿度85%で保温した。これは、バナナの冷蔵輸送及び冷蔵貯蔵の間の条件によく似ている。
【0082】
1、11及び18日間の保温後、いくつかのバナナの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。被覆されていないバナナの当初の重量は778gであった。被覆されたバナナの開始時の重量は861gであった。試験結果を表5及び
図1に示す。
【0083】
【0084】
表5及び
図1は、本発明の組成物で被覆されたバナナが、被覆されていないバナナと比較して、時間的(in time)に重量減少の著しい低下を示すことを示す。従って、被覆されたバナナはより長い貯蔵寿命を有する。
【0085】
実施例4-メロン-組成物A
この実施例では、組成物Aをメロンに塗付して、重量減少に対する被覆の効果を試験した。既知の重量のメロンを組成物Aに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのメロンは被覆されていなかった。以下の試験では、メロンを18~20℃で相対湿度50%で保温した。
【0086】
1~29日間の保温後の様々な時点で、いくつかのメロンの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表6及び
図2に示す。
【0087】
【0088】
表6及び
図2は、本発明の組成物で被覆されたメロンが、被覆されていないメロンと比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示すことを示す。従って、被覆されたメロンはより長い貯蔵寿命を有する。
【0089】
実施例5-キュウリ
この実施例では、組成物Bをキュウリに塗付して、重量減少に対する被覆の効果を試験した。既知の重量のキュウリを組成物Bに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのキュウリは被覆されていなかった。プラスチックでカバーされたキュウリも試験した。
【0090】
以下の試験では、キュウリを20℃で相対湿度50%で保温した。
【0091】
1~15日間の保温後の様々な時点で、いくつかのキュウリの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表7及び
図3に示す。
【0092】
【0093】
キュウリに、しかしこの実験では組成物Dで被覆されたキュウリに、同じ実験が行われた。1~21日間の保温後の様々な時点で、いくつかのキュウリの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表8及び
図4に示す。
【0094】
【0095】
表7及び8と
図3及び4は、本発明の異なる組成物で被覆されたキュウリが、被覆されていないキュウリと比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示すことを示す。従って、被覆されたキュウリはより長い貯蔵寿命を有する。
【0096】
実施例6-リンゴ
この実施例では、組成物Cをリンゴに塗付して、重量減少に対する被覆の効果を試験した。既知の重量のリンゴを組成物Cに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのリンゴは被覆されていなかった。
【0097】
以下の試験では、リンゴを18~22℃で相対湿度50%で保温した。
【0098】
1~50日間の保温後の様々な時点で、5個のリンゴの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。5個のリンゴの重量減少率を平均し、その結果を表9及び
図5に示す。
【0099】
【0100】
表9及び
図5は、本発明の異なる組成物で被覆されたリンゴが、被覆されていないリンゴと比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示すことを示す。従って、被覆されたリンゴはより長い貯蔵寿命を有する。5週間以上の保温後に、最も顕著な違いが観察される。
【0101】
実施例7-梨
この実施例では、組成物Cを梨に塗付して、重量減少に対する被覆の効果を試験した。既知の重量の梨を組成物Cに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールの梨は被覆されていなかった。
【0102】
以下の試験では、梨を18~22℃で相対湿度50%で保温した。
【0103】
1~50日間の保温後の様々な時点で、4個の梨の重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。4個の梨の重量減少率を平均した。試験結果を表10及び
図6に示す。
【0104】
【0105】
表10及び
図6は、本発明の異なる組成物で被覆された梨が、被覆されていない梨と比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示すことを示す。従って、被覆された梨はより長い貯蔵寿命を有する。5週間以上の保温後に、最も顕著な違いが観察される。
【0106】
実施例8-イチゴ
この実施例では、組成物D及びEをイチゴに塗付して、重量減少に対する被覆の効果を試験した。既知の重量(190~230g)のイチゴを上記の組成物の1つに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのイチゴは被覆されていなかった。以下の試験では、アボカドを18~22℃で相対湿度50%で、2日間保温した。重量減少は、前記24時間の保温の開始時の収穫物の平均重量の百分率における重量の平均減少として決定された。24時間の平均重量減少率はその値から計算された。試験結果を表11に示す。
【0107】
【0108】
表11は、本発明の異なる組成物で被覆されたイチゴが、被覆されていないイチゴと比較して、時間的に重量減少の著しい減少を示すことを示す。従って、被覆されたイチゴはより長い貯蔵寿命を有する。本発明の組成物で被覆されたイチゴは、従来技術の組成物で被覆されたイチゴと比較して、前例のない重量減少の低下を示す。
【0109】
実施例9-メロン-組成物B,F及びG
この実施例では、組成物B、F又はGをメロンに塗付して、重量減少に対する被覆の効果を試験した。既知の重量のメロンを組成物B、F又はGに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのメロンは被覆されていなかった。以下の試験では、メロンを6~7℃で相対湿度80%以上で保温した。
【0110】
1~21日間の保温後の様々な時点で、いくつかのメロンの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表12及び
図7に示す。
【0111】
【0112】
表12及び
図7は、本発明の様々な組成物で被覆されたメロンが、被覆されていないメロンと比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示すことを示す。従って、被覆されたメロンはより長い貯蔵寿命を有する。最も強い効果は、モノステアリン酸グリセリルとモノステアリン酸グリセリルの組み合わせを含む組成物Fで得られる。
【0113】
実施例10-オレンジ
この実施例では、組成物H又はIをオレンジ(南アフリカのバレンシアオレンジ)に塗付して、重量減少に対する消泡剤の含有の効果を試験した。既知の重量のオレンジを組成物H又はIに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのオレンジは被覆されていなかった。以下の試験では、オレンジを19℃で相対湿度58%で保温した。
【0114】
[組成物H]
・5.0% モノステアリン酸グリセロール(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・3.0% オレイン酸(Radiacid 0163)
・4.0% アンモニア
・1.0% Capmul 471(Capmul 471は、カプロン酸(C6)脂肪酸の含有量が1%未満、カプリル酸(C8)脂肪酸の含有量が55~60%、カプリン酸(C10)脂肪酸の含有量が40~45%、及びラウリン酸(C12)脂肪酸の含有が2%未満(mol%)であるモノ-及びジーグリセリドである。)
・残余の水
【0115】
[組成物I]
・5.0% モノステアリン酸グリセロール(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・3.0% オレイン酸(Radiacid 0163)
・2.0% アンモニア
・1.0% Capmul 471
・0.25% KC1
・0.5% ポリジメチルシロキサン(PDMS,Calsil)
・残余の水
【0116】
すべての百分率は、組成物の体積に対する重量百分率である。
【0117】
2~29日間の保温後の様々な時点で、いくつかのオレンジの重量が測定された。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表13及び
図8に示す。
【0118】
【0119】
表13及び
図8は、本発明の様々な組成物で被覆されたオレンジが、被覆されていないオレンジと比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示し、従って、より長い貯蔵寿命を有することを示す。この試験で最も強い効果は、消泡剤を含む組成物Iで得られ、果物の重量減少に対する消泡剤の有利な効果を示す。
【0120】
また、エマルジョンの0.5及び0.1w/v%の濃度で、組成物中のモノグリセリド及びジグリセリドの唯一の供給源としてのCapmul 471を有する組成物を試験した。2~29日間の保温後の様々な時点で、いくつかのオレンジの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を以下の表14に示す。
【0121】
【0122】
表14の結果は、短鎖モノ/ジグリセリドを使用することで、長鎖モノ/ジグリセリドよりも程度は低いものの、オレンジの重量減少が低下することを示す。
【0123】
実施例11-オレンジ
この実施例では、組成物J又はKをオレンジ(スペインのSalustianaオレンジ)に塗付して、パルミチン酸の含有が重量減少に及ぼす影響を試験した。既知の重量のオレンジを組成物J又はKに浸漬し、続いて室温で乾燥することで、被覆を塗付した。コントロールのオレンジは被覆されていなかった。以下の試験では、オレンジを19℃で相対湿度60%で保温した。
【0124】
[組成物J]
・5.0% モノステアリン酸グリセロール(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・3.0% オレイン酸(Radiacid 0163)
・4.0% アンモニア
・0.5% KC1
・0.5% ポリジメチルシロキサン(PDMS,Calsil FG20)
・残余の水
【0125】
[組成物K]
・5.0% モノステアリン酸グリセロール(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・1.2% オレイン酸(Radiacid 0163)
・1.8% パルミチン酸
・4.0% アンモニア
・0.5% KC1
・0.5% ポリジメチルシロキサン(PDMS,Calsil FG20)
・残余の水
【0126】
すべての百分率は、組成物の体積に対する重量百分率である。
【0127】
1~22日間の保温後の様々な時点で、いくつかのオレンジの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表15及び
図9に示す。
【0128】
【0129】
表15及び
図9は、本発明の様々な組成物で被覆されたオレンジが、被覆されていないオレンジと比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示し、従って、より長い貯蔵寿命を有することを示す。この試験で最も強い効果は、オレイン酸に加えて脂肪酸としてのパルミチン酸を含む組成物Kで得られる。更に、本発明者らは、添加されたパルミチン酸の組成物のより高い安定性を観察した。
【0130】
実施例12-オレンジ
この実施例では、組成物L又はK(実施例11で説明)をオレンジ(スペインのNavelinaオレンジ)に塗付して、重量減少に対するレシチンの含有の効果を試験した。本発明者らは、レシチンの添加で、組成物をより高度に濃縮することができることを見出した。既知の重量のオレンジを組成物L又はKに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのオレンジは被覆されていなかった。以下の試験では、オレンジを19℃で相対湿度60%で保温した。
【0131】
[組成物L]
・5.0% モノステアリン酸グリセロール(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・2.0% オレイン酸(Radiacid 0163)
・1.333% アンモニア
・0.167% KC1
・0.167% ポリジメチルシロキサン(PDMS,Calsil FGA20)
・0.167% レシチン(顆粒,ヒマワリ由来)
・残余の水
【0132】
すべての百分率は、組成物の体積に対する重量百分率である。組成物Lは、3倍に濃縮された安定な組成物の希釈によって得られた。
【0133】
2~22日間の保温後の様々な時点で、いくつかのオレンジの重量を測定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表16及び
図10に示す。
【0134】
【0135】
表16及び
図10は、組成物K及びLで被覆されたオレンジは、被覆されていないオレンジと比較して、時間的に重量減少が著しく減少し、従って、より長い貯蔵寿命を有することを示す。レシチンを含むがパルミチン酸を含まない組成物Lと、オレイン酸に加えて脂肪酸としてのパルミチン酸を含むがレシチンを含まない組成物Kの間には、有意な効果はない。組成物の濃縮を可能にするためのレシチンの添加は、貯蔵寿命に制限的な影響を及ぼさない。実際、レシチンの添加は、実施例11に示されるパルミチン酸の添加に匹敵する果実の貯蔵寿命に有利な効果を有するように思われる。
【0136】
実施例13-アボカド
この実施例では、組成物L(実施例12で説明)又は組成物Mをアボカド(スペインのHass)に塗付して、重量減少に対する代わりのアルカリ剤の効果を試験した。既知の重量のアボカドを組成物L又はMに浸漬し、続いて室温で乾燥させることで、被覆を塗付した。コントロールのアボカドは被覆されていなかった。以下の試験では、アボカドを21℃で相対湿度54%で保温した。
【0137】
[組成物M]
・5.0% モノステアリン酸グリセロール(モノステアリン酸1-及び2-グリセロール)とGMP(モノパルミチン酸1-及び2-グリセロール(Radiamuls 2918K))の60:40の混合物
・2.50% オレイン酸(Radiacid 0163)
・0.333% アンモニア
・1.0% KOH
・0.813% クエン酸(pHを9.8に調整するため)
・0.167% ポリジメチルシロキサン(PDMS,Calsil FGA20)
・0.167% レシチン(顆粒,ヒマワリ由来)
・残余の水
【0138】
すべての百分率は、組成物の体積に対する重量百分率である。組成物L及びMの両方は、3倍に濃縮された安定な組成物の希釈によって得られた。
【0139】
3~12日間の保温後の様々な時点で、いくつかのアボカドの重量を決定した。重量減少は、収穫物の当初の重量の百分率として決定された。試験結果を表17及び
図11に示す。
【0140】
【0141】
表17及び
図11は、組成物L及びMで被覆されたアボカドが、被覆されていないアボカドと比較して、時間的に重量減少の著しい低下を示し、従って、より長い貯蔵寿命を有することを示す。組成物Lと、アンモニアの一部をアルカリ剤としてのKOHに置き換えた組成物Mの間に有意な効果はない。
【国際調査報告】