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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(54)【発明の名称】温水成形性ポリアミド成形組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/06 20060101AFI20220630BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20220630BHJP
   C08K 7/04 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
C08L77/06
C08K3/01
C08K7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565974
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2020062693
(87)【国際公開番号】W WO2020225358
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】19198864.1
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/844,850
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル, パスカル
(72)【発明者】
【氏名】デシオ, グレン ピー.
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CL031
4J002DA016
4J002DA037
4J002DE107
4J002DE117
4J002DE137
4J002DG027
4J002DG047
4J002DL006
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD097
4J002GB00
4J002GC00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、ポリアミド成形組成物(C)、特に低い成形温度条件及び低い射出圧力条件下で射出成形可能なポリアミド成形組成物(C)に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 式(I):
(式中、
nは、4~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくは4であり、及び
は、1:99~99:1の間で変動するモル%比のm-キシリレン(MX)とp-キシリレン(PX)との混合物である)による繰り返し単位(RPA)を含む少なくとも1つのポリアミド(P1)、
- 以下:
・Tm(P2)≧Tm(P1)
(Tm(P2)及びTm(P1)は、それぞれ、P2及びP1の融点である)であり、
・Tc(P2)>Tc(P1)
(Tc(P2)及びTc(P1)は、それぞれ、溶融から冷却時のP2及びP1の結晶化温度である)であり、並びに
・Tm(P2)-Tc(P2)<Tm(P1)-Tc(P1)
であるような少なくとも1つのポリマー(P2)、
- 任意選択的に少なくとも1つの補強剤、
- 任意選択的に、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分
を含む、ポリアミド成形組成物(C)であって、
- P1/P2の重量比が、15/1~1/1の間で変動し、並びに
- ポリマー(P2)が、式(V):
(式中、mは6~18(両端を含む)の間で変動し、及びRはp-キシレン(PX)である)による繰り返し単位(RPA2)を含む、ポリアミド成形組成物(C)。
【請求項2】
前記ポリアミド(P1)中の全モル数を基準として、少なくとも50モル%の式(I)による繰り返し単位(RPA)を含む、請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項3】
前記ポリアミド(P1)が、
- m-キシレンジアミン及びp-キシリレンジアミンのブレンドである少なくとも1つのジアミン成分と、
- 少なくとも1つのジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中nは4~18(両端を含む)の間で変動する)又はその誘導体と
を含む混合物の縮合生成物である、請求項1又は2に記載の組成物(C)。
【請求項4】
前記ジカルボン酸がアジピン酸である、請求項3に記載の組成物(C)。
【請求項5】
前記縮合混合物が、
- 少なくとも1つのジカルボン酸成分若しくはその誘導体、及び少なくとも1つのジアミン成分、
- 少なくとも1つのアミノカルボン酸、並びに/又は
- 少なくとも1つのラクタム
からなる群から選択される少なくとも1つの追加成分をさらに含む、請求項3又は4に記載の組成物(C)。
【請求項6】
- 前記ジカルボン酸成分が、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビ安息香酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、5-スルホフタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は
- 前記ジアミン成分が、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアモノペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクトアン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、HN-(CH-O-(CH-O(CH-NH、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(MACM)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項5に記載の組成物(C)。
【請求項7】
前記ラクタムが、カプロラクタム、ラウロラクタム及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物(C)。
【請求項8】
前記組成物(C)の総重量を基準として、10重量%~60重量%の繊維補強剤(ガラス繊維、炭素繊維又はその混合物)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項9】
前記組成物の総重量を基準として、0.5重量%~5重量%の、TiO2、カーボンブラック、硫化亜鉛、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化第二鉄及びこれらの1つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される顔料、染料又は着色剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項10】
前記組成物の総重量を基準として、40重量%~70重量%の前記ポリアミド(P1)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項11】
- 以下:
- 式(I):
(式中、
nは、4~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくは4であり、及び
は、m-キシリレンとp-キシリレンとの混合物である)による繰り返し単位(RPA)を含む少なくとも1つのポリアミド(P1)、
- 以下:
・Tm(P2)≧Tm(P1)
(Tm(P2)及びTm(P1)は、それぞれ、P2及びP1の融点である)であり、
・Tc(P2)>Tc(P1)
(Tc(P2)及びTc(P1)は、それぞれ、溶融から冷却時のP2及びP1の結晶化温度である)であり、並びに
・Tm(P2)-Tc(P2)<Tm(P1)-Tc(P1)
であるような少なくとも1つのポリマー(P2)、
- 任意選択的に少なくとも1つの補強剤、
- 任意選択的に、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分
を含む、ポリマー成形組成物(C)を加熱すること、
- 型を110℃未満、好ましくは100℃又は95℃未満の温度まで加熱すること、
- 加熱された型の中に溶解組成物(C)を射出すること、並びに
- 成型品を取り出すこと
を含む、成形を使用して物品を製造する方法であって、
- P1/P2の重量比が、15/1~1/1の間で変動し、並びに
- ポリマー(P2)が、式(V):
(式中、mは6~18(両端を含む)の間で変動し、及びRはp-キシレン(PX)である)による繰り返し単位(RPA2)を含む、方法。
【請求項12】
前記型を加熱するために水が使用される、請求項12に記載の方法。
【請求項13】
射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、プレス成形、直接ブロー成形、回転成形、サンドイッチ成形、二色成形、溶融スピニングからなる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項14】
以下の方程式:
(式中:
ΔHfは、1回目の加熱における融解エンタルピー(J/g)であり、
ΔHcは、1回目の加熱における結晶化エンタルピー(J/g)であり、
ASTM D3418に従ってDSC(高純度のキャリアガスとして窒素50ml/分を用いたTA Instruments D2920)によって測定される)
に従って測定される、90%より高い、好ましくは95%より高い、算出された結晶化度百分率を有する、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法によって得られる成形品。
【請求項15】
以下の特性:
- ISO 180/1Uによって測定される、少なくとも40kJ/m、少なくとも42kJ/mの衝撃強度、
- ISO527に従って測定される、少なくとも18GPa、好ましくは19GPaの弾性率、
- 90℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも1.5、60°において少なくとも8及び85°において少なくとも12の光沢、
- 100℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも3、60°において少なくとも15及び85°において少なくとも20の光沢、
- 90℃で成形される場合、ISO1997によって測定される、1.5μm未満の表面ルゴシティ、及び/又は
- 100℃で成形される場合、ISO1997によって測定される、1μm未満の表面ルゴシティ
の少なくとも1つを有する、請求項14に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月8日に出願された米国仮特許出願第62/844850号及び2019年9月23日に出願された欧州特許出願公開第19198864.1号に対する優先権を主張し、これらの出願のそれぞれの全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ポリアミド成形組成物(C)、特に、低い成形温度条件下で射出成形可能なポリアミド成形組成物(C)に関する。
【背景技術】
【0003】
熱可塑性ポリアミド系組成物は、射出成形によって変形されることが可能な原材料である。それらの優れた機械強度、熱抵抗、水抵抗及び化学抵抗のため、熱可塑性ポリアミド系組成物から製造される繊維強化プラスチックは、自動車、輸送、電気及び電子機器などの多数の多様な用途で使用されている。典型的な用途としては、コントロールシステム筐体、水ポンプ用ハウジング、サーモスタット及び電子バルブポンプ、オイルクーラー、水ポンプインペラー、ヒーターコアエンドキャップ、スナップフィット電気ターミナル及びモールデッドインプレイスガスケット、コネクター及びスイッチが挙げられる。
【0004】
これらの市場のために推奨される商業的に入手可能なポリアミドのほとんどは、約100℃以上のガラス遷移温度(Tg)を有する。そのような製品が十分な品質で射出成形されるためには、特に成型キャビティの中心でのポリマーの完全結晶化度を確実にするように、型を約120℃まで加熱しなければならない。より低い温度での成形では、ポリアミドの完全結晶化度を得ることが不可能となり、その結果、期待される機械性能、並びに許容できる表面外観を得ることが不可能となる。
【0005】
それらの特性、すなわち、機械強度、熱抵抗、水抵抗及び化学抵抗を維持しながら、より低い温度で成形可能なポリアミドが必要とされている。
【0006】
出願人は、安価な装置で低温及び低圧で射出成形が可能なポリアミド成形組成物を特定した。これらの組成物は、従来の高温及び高圧技術で成形される物品と類似の表面特徴及び機械特性を有する成型品を製造する。本発明の組成物は、物品を成形するために必要なサイクル時間を有意に低下させる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下:
- 式(I):
(式中、
nは、4~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくは4であり、及び
は、1:99~99:1の間で変動するモル%比のm-キシリレン(MX)とp-キシリレン(PX)との混合物である)による繰り返し単位(RPA)を含む少なくとも1つのポリアミド(P1)、
- 以下:
・Tm(P2)≧Tm(P1)
(Tm(P2)及びTm(P1)は、それぞれ、P2及びP1の融点である)であり、
・Tc(P2)>Tc(P1)
(Tc(P2)及びTc(P1)は、それぞれ、溶融から冷却時のP2及びP1の結晶化温度である)であり、並びに
・Tm(P2)-Tc(P2)<Tm(P1)-Tc(P1)
(P1/P2の重量比は、15/1~1/1の間で変動する)であるような少なくとも1つのポリマー(P2)、
- 任意選択的に少なくとも1つの補強剤、
- 任意選択的に、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分
を含む、ポリアミド成形組成物(C)に関する。
【0008】
本発明は、以下のステップ:
- ポリマー成形組成物(C)を加熱すること、
- 型を110℃未満、好ましくは100℃又は95℃未満の温度まで加熱すること、
- 加熱された型の中に溶解組成物(C)を射出すること、並びに
- 成型品を取り出すこと
を含む、成形を使用して物品を製造するためのプロセスにも関する。
【0009】
好ましくは、本発明によれば、型を加熱するために水が使用される。
【0010】
本発明は、以下の方程式:
(式中:
ΔHfは、1回目の加熱における融解エンタルピー(J/g)であり、
ΔHcは、1回目の加熱における結晶化エンタルピー(J/g)であり、
ASTM D3418に従ってDSC(高純度のキャリアガスとして窒素50ml/分を用いたTA Instruments D2920)によって測定される)、
に従って測定される、90%より高い、好ましくは95%より高い、算出された結晶化度百分率を有する、このプロセスによって得られる成型品にも関する。
【0011】
有利には、本物品は、以下の特性:
- ISO 180/1Uによって測定される、少なくとも40kJ/m、少なくとも42kJ/mの衝撃強度、
- ISO527に従って測定される、少なくとも18GPa、好ましくは19GPaの弾性率、
- 90℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも1.5、60°において少なくとも8及び85°において少なくとも12の光沢、
- 100℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも3、60°において少なくとも15及び85°において少なくとも20の光沢、
- 90℃で成形される場合、ISO1997によって測定される、1.5μm未満の表面ルゴシティ(rugosity)、
- 100℃で成形される場合、ISO1997によって測定される、1μm未満の表面ルゴシティ
の少なくとも1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中、例えばm-キシリレンジアミン(MXD)及びp-キシリレンジアミン(PXD)の混合物と、少なくとも1つのジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中、nは4~18(両端を含む)の間で変動する)とから誘導される少なくとも1つのポリアミド(P1)、並びに熱特性の特定の組み合わせを示す少なくとも1つのポリマー(P2)を含むポリアミド成形組成物(C)が記載される。また本明細書中、ポリアミド成形組成物(C)を加熱するステップを含む射出成形によって物品を製造するプロセスも記載される。
【0013】
本明細書で記載されるポリアミド成形組成物(C)は、温水成形性であるという主要な利点を示す。これは、それらが110℃未満の温度、例えば100℃、又は90℃で成形可能であることを意味する。射出成形によって物品を製造するために、そのような組成物を使用することによって、物品を成形するために必要なサイクル時間を有意に低下させることが可能となるのみならず、安価で容易に入手可能な材料を必要とする。さらにまた、型を加熱するために温水を使用することができる。
【0014】
一実施形態によると、本発明のポリアミド成形組成物(C)によって、以下の方程式:
(式中:
ΔHfは、1回目の加熱における融解エンタルピー(J/g)であり、
ΔHcは、1回目の加熱における結晶化エンタルピー(J/g)であり、
ASTM D3418に従ってDSC(高純度のキャリアガスとして窒素50ml/分を用いたTA Instruments D2920)によって測定される)
に従って測定される、110℃未満の温度、好ましくは100℃未満の温度で成形される場合、90%より高い、好ましくは95%より高い算出された結晶化度百分率を示す物品を得ることが可能である。
【0015】
また本明細書で記載されるポリアミド成形組成物(C)は、良好な機械性能(例えば引張弾性率、破断時の引張強さ、衝撃抵抗)を有する。
【0016】
本明細書で記載されるポリアミド成形組成物(C)は、少なくとも2つのポリマー、より正確には特定の重量比率での少なくとも1つのポリアミド(P1)及び少なくとも1つのポリマー(P2)の組み合わせに基づく。本発明の組成物は、有利には少なくとも1つの補強剤も含む。
【0017】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、式(I):
(式中、
nは4~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくはnは4に等しく、及び
は、1:99~99:1の間で変動するモル%比のm-キシリレン(MX)とp-キシリレン(PX)との混合物である)による繰り返し単位(RPA)を含む。
【0018】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、繰り返し単位(RPA)から本質的になるポリアミド又は繰り返し単位(RPA)を含むコポリアミド(PA)であり得る。より正確には、表現「コポリアミド」は、本明細書では、例えば、MXD及びPXDと、少なくとも1つのジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中、nは4~18(両端を含む)の間で変動する)とから誘導される繰り返し単位(RPA)、並びに繰り返し単位(RPA)とは異なる繰り返し単位(RPA*)を含むコポリアミドを示すために用いられる。
【0019】
一実施形態によると、ポリアミド(P1)は、例えば1:99~99:1の間で変動するモル%比のm-キシリレンジアミン(MXD)及びp-キシリレンジアミン(PXD)と、アジピン酸とから誘導される式(I)の繰り返し単位(RPA)から本質的になる。
【0020】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、
- 1:99~99:1(両端を含む)の間で変動するモル%比のm-キシリレンジアミン及びp-キシリレンジアミンの混合物である少なくとも1つのジアミン成分と、
- ジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中、nは4~18(両端を含む)の間で変動する)又はその誘導体である少なくとも1つの二酸成分と
を含む混合物の縮合生成物である。
【0021】
いくつかの実施形態において、ジアミン成分は、10:90~90:10(両端を含む)又は20:80~80:20(両端を含む)の間で変動するモル%比のm-キシリレンジアミン及びp-キシリレンジアミンの混合物である。m-キシリレンジアミン及びp-キシリレンジアミンのモル%は、例えば50:50又は70:30又は60:40であることが可能である。
【0022】
いくつかの実施形態において、二酸成分は、ジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中、nは4~10(両端を含む)又は4~8の間で変動する)である。好ましくは、二酸成分はアジピン酸を含む。
【0023】
ポリアミド(P1)が繰り返し単位(RPA*)を含む場合、繰り返し単位(RPA*)は、式(II)及び/又は(III):
(式中、
は、結合;1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を任意選択的に含み、並びに、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシ(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された、C~C15アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択され;
は、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を任意選択的に含み、並びにハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシ(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されたC~C20アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択され;及び
は、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N及びS)を任意選択的に含み、並びにハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素)、ヒドロキシ(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐C~C14アルキルからなる群から選択される)であり得る。
【0024】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、式(IV):
(式中、
、n及びnは、それぞれ、各繰り返し単位x、y及びzのモル%であり;
繰り返し単位x、y及びzは、ブロックで、交互に又はランダムに配置されており;
+n+n=100であり;
5≦n≦100であり;
、R、R及びRは上に記載されたとおりである)であり得る。
【0025】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、1,000g/モル~40,000g/モル、例えば2,000g/モル~35,000g/モル又は4,000~30,000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有し得る。数平均分子量Mnは、ポリスチレン標準物質を用いて、ASTM D5296を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
【0026】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)において、繰り返し単位yは、脂肪族又は芳香族であり得る。本発明の目的のために、表現「芳香族繰り返し単位」は、少なくとも1つの芳香族基を含む任意の繰り返し単位を意味することが意図される。芳香族繰り返し単位は、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合、又は少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの重縮合、又は芳香族アミノカルボン酸の重縮合によって形成され得る。本発明の目的のためには、ジカルボン酸又はジアミンは、それが1つ又は2つ以上の芳香族基を含む場合に「芳香族」と考えられる。
【0027】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)において、繰り返し単位zは、脂肪族であり、Rは、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N及びS)を任意選択的に含み、並びにハロゲン、ヒドロキシ、スルホ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐C~C14アルキルである。
【0028】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、繰り返し単位x及びy、又は繰り返し単位x及びz、又は繰り返し単位x、y及びzから構成され得る。繰り返し単位x、y及びzは、ブロックで、交互に又はランダムに配置される。
【0029】
本出願において、
- いずれの記載も、特定の実施形態に関連して記載されているとしても、本開示の他の実施形態に適用可能であり、及びそれらと交換可能であり、
- 要素又は成分が、列挙された要素又は成分のリストに含まれ、及び/又はリストから選択されると言われる場合、本出願で明確に企図される関連実施形態では、要素又は成分は、個別の列挙された要素若しくは成分のいずれか1つでもあり得るか、又は明確に列挙された要素若しくは成分の任意の2つ以上からなる群からも選択され得;要素又は成分のリストに列挙されたいかなる要素又は成分も、そのようなリストから省略され得ることが理解されるべきであり;
- 端点による数値範囲の本明細書でのいかなる列挙も、列挙された範囲内に包含される全ての数並びに範囲の端点及び均等物を含む。
【0030】
本明細書の全体にわたり、全ての温度は、摂氏度(℃)単位で示される。
【0031】
特に具体的に限定されない限り、用語「アルキル」、並びに「アルコキシ」、「アシル」及び「アルキルチオ」などの派生用語は、本明細書で使用される場合、それらの範囲内に直鎖、分岐鎖及び環状部分を含む。アルキル基の例は、メチル、エチル、1-メチルエチル、プロピル、1,1-ジメチルエチル、及びシクロプロピルである。特に具体的に記述しない限り、各アルキル及びアリール基は、非置換であっても、ハロゲン、ヒドロキシ、スルホ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ若しくはC~C15アリールから選択されるが、それらに限定されない1つ以上の置換基で置換されていてもよいが、ただし、置換基が立体的に相溶性であり、且つ化学結合及び歪みエネルギーの規則が満たされていることを条件とする。用語「ハロゲン」又は「ハロ」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれ、フッ素が好ましい。
【0032】
用語「アリール」は、フェニル、インダニル又はナフチル基を意味する。アリール基は、1つ以上のアルキル基を含み得、この場合、「アルキルアリール」と呼ばれることもあり、例えばシクロ芳香族基及び2つのC~C基(例えば、メチル又はエチル)から構成され得る。アリール基は、1つ以上のヘテロ原子、例えばN、O又はSも含み得、この場合、「ヘテロアリール」基と呼ばれることもあり;これらのヘテロ芳香環は、他の芳香族系に縮合され得る。そのようなヘテロ芳香環には、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジニル及びトリアジニル環構造が含まれるが、それらに限定されない。アリール又はヘテロアリール置換基は、無置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、スルホ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ若しくはC~C15アリールから選択されるが、それらに限定されない1つ以上の置換基で置換され得るが、ただし、置換基が立体的に適合性を有し、且つ化学結合及びひずみエネルギーの規則が満たされていることを条件とする。
【0033】
一実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、
- 以下で定義されるモルパーセントで、少なくとも5モル%のMXD及びPXD
(又は少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、少なくとも35モル%、少なくとも40モル%、少なくとも45モル%、少なくとも50モル%、少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも65モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%又は少なくとも98モル%のMXD及びPXD)の混合物を含む少なくとも1つのジアミン成分と、
- 少なくとも5モル%(又は少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、少なくとも25モル%、少なくとも30モル%、少なくとも35モル%、少なくとも40モル%、少なくとも45モル%、少なくとも50モル%、少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも65モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%又は少なくとも98モル%のHOOC-(CH-COOH(式中、nは4~18(両端を含む)の間で変動する)又はその誘導体を含む少なくとも1つのジカルボン酸成分と
を含む混合物の縮合生成物である。
【0034】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、繰り返し単位(RPA)から本質的になるポリアミドであり得る。このような場合、ポリアミドは、繰り返し単位(RPA)、並びに2モル%未満の、繰り返し単位(RPA)とは明確に異なる繰り返し単位、例えば、1モル%未満、0.5モル%未満、又はさらに0.1モル%未満の、繰り返し単位(RPA)と明確に異なる繰り返し単位を含む。
【0035】
表現「少なくとも」は、本明細書では、「~以上」を意味することを意図する。例えば、表現「少なくとも5モル%の繰り返し単位(RPA)」は、本明細書では、ポリアミド(PA)が5モル%の繰り返し単位(RPA)又は5モル%超の繰り返し単位(RPA)を含み得ることを意味する。表現「少なくとも」は、そのため、本発明との関連で数学的記号「≧」に対応する。
【0036】
表現「未満」は、本発明との関連で数学的記号「<」に対応する。例えば、表現「100モル%未満の繰り返し単位(RPA)」は、本明細書では、ポリアミドが厳密に100モル%未満の繰り返し単位(RPA)を含み、したがって繰り返し単位(RPA)と少なくとも1つの別の繰り返し単位(RPA*)とから製造される、コポリアミドとみなされる。
【0037】
一実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(PA)は、
- 少なくとも1つのジカルボン酸成分(本明細書では二酸とも呼ばれる)又はその誘導体、及び少なくとも1つのジアミン成分、
- 少なくとも1つのアミノカルボン酸、並びに
- 少なくとも1つのラクタム
からなる群から選択される成分の少なくとも1つをさらに含む混合物の縮合生成物である。
【0038】
この実施形態によれば、ジカルボン酸成分は、少なくとも2つの酸性部分-COOHを含む多様な脂肪族又は芳香族成分の中で選択することができる。この実施形態によれば、ジアミン成分は、少なくとも2個のアミン部分-NHを含む多様な脂肪族又は芳香族成分の中で選択することができる。
【0039】
表現「その誘導体」は、表現「ジカルボン酸」と組み合わせて用いられる場合、重縮合条件で反応を受けてアミド結合を生成するいずれの誘導体も意味することが意図される。アミド形成誘導体の例としては、そのようなカルボン酸のモノ-又はジメチル、エチル又はプロピルエステルなどのモノ-又はジアルキルエステル;そのモノ-又はジアリールエステル;その一酸又は二酸ハロゲン化物;そのカルボン酸無水物及びその一酸又は二酸アミド、モノ-又はジカルボキシレート塩が挙げられる。
【0040】
脂肪族ジカルボン酸の非限定的な例は、とりわけ、シュウ酸(HOOC-COOH)、マロン酸(HOOC-CH-COOH)、コハク酸[HOOC-(CH-COOH]、グルタル酸[HOOC-(CH-COOH]、2,2-ジメチルグルタル酸[HOOC-C(CH-(CH-COOH]、アジピン酸[HOOC-(CH-COOH]、2,4,4-トリメチル-アジピン酸[HOOC-CH(CH)-CH-C(CH-CH-COOH]、ピメリン酸[HOOC-(CH-COOH]、スベリン酸[HOOC-(CH-COOH]、アゼライン酸[HOOC-(CH-COOH]、セバシン酸[HOOC-(CH-COOH]、ウンデカン二酸[HOOC-(CH-COOH]、ドデカン二酸[HOOC-(CH10-COOH]、トリデカン二酸[HOOC-(CH11-COOH]、テトラデカン二酸[HOOC-(CH12-COOH]、ペンタデカン二酸[HOOC-(CH13-COOH]、ヘキサデカン二酸[HOOC-(CH14-COOH]、オクタデカン二酸[HOOC-(CH16-COOH]である。このカテゴリーに1,4-シクロヘキサンジカルボン酸及び1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸も含まれる。
【0041】
芳香族二酸の非限定的な例は、とりわけ、イソフタル酸(IPA)、テレフタル酸(TPA)などのフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(例えばナフタレン-2,6-ジカルボン酸)、4,4’-ビ安息香酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、2,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピリジンジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4-カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ケトン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、ビス(3-カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ケトン、ビス(3-カルボキシフェノキシ)ベンゼンである。
【0042】
芳香族ジアミン(NNar)の非限定な例は、とりわけ、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4’-ODA)及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)である。
【0043】
脂肪族ジアミン(NNal)の非限定的な例は、とりわけ、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、プロピレン-1,3-ジアミン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン(プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(カダベリン)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン(すなわち1,6-ジアミノヘキサン)、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノへプタン、1,8-ジアミノオクタン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、5-メチル-1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12ジアミノドデカン、1,13-ジアミノトリデカン、2,5-ジアモノテトラヒドロフラン及びN,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミンである。このカテゴリーにイソホロンジアミン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス-p-アミノシクロヘキシルメタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(メチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(メチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)及びビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(MACM)などの脂環式ジアミンもまた含まれる。
【0044】
脂肪族ジアミン(NNal)は、ポリエーテルジアミンの群の中で選択することもできる。ポリエーテルジアミンは、エトキシレート化(EO)主鎖及び/又はプロポキシレート化(PO)主鎖をベースとすることができ、それらは、エチレンオキシド末端、プロピレンオキシド末端又はブチレンオキシド末端ジアミンであることが可能である。そのようなポリエーテルジアミンは、例えば、商品名Jeffamine(登録商標)及びElastamine(登録商標)(Hunstman)で販売されている。
【0045】
一実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、少なくとも1つのアミノカルボン酸(繰り返し単位z)及び/又は少なくとも1つのラクタム(繰り返し単位z)を含む。
【0046】
アミノカルボン酸は、3~15個の炭素原子、例えば4~13個の炭素原子を有し得る。一実施形態によると、アミノカルボン酸は、6-アミノヘキサン酸、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、13-アミノトリデカン酸、3-(アミノメチル)安息香酸、4-(アミノメチル)安息香酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0047】
ラクタムは、3~15個の炭素原子、例えば4~13個の炭素原子を有し得る。一実施形態によると、ラクタムは、カプロラクタム、ラウロラクタム及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0048】
好ましい実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、少なくとも50モル%の繰り返し単位(RPA)、例えば少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%の繰り返し単位(RPA)を含む。
【0049】
本明細書で記載されるポリアミドは、100モル%未満の繰り返し単位(RPA)を含み得る。
【0050】
別の好ましい実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、99モル%未満の繰り返し単位(RPA)、例えば98モル%未満、97モル%未満、96モル%未満の繰り返し単位(RPA)を含む。
【0051】
一実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(PA)は、ASTM D3418に従って測定される場合、少なくとも約160℃、例えば少なくとも約168℃、少なくとも約170℃の融解温度(Tm)を有する。
【0052】
一実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(PA)は、ASTM D3418に従って測定される場合、少なくとも約300℃、例えば少なくとも約290℃、少なくとも約280℃の融解温度(Tm)を有する。
【0053】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、ポリアミド及びポリフタルアミドの合成に適合された任意の従来の方法によって調製することができる。
【0054】
好ましくは、本発明で記載されるポリアミド(P1)は、40重量%未満、好ましくは30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満の水の存在下で、好ましくは水を加えずに、モノマーを少なくともTm+10℃の温度(Tmはポリアミドの融解温度である)まで加熱して反応させることによって調製される。
【0055】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、例えば、モノマー及びコモノマーの水溶液の熱重縮合によって調製することができる。コポリアミドは、アミン又はカルボン酸部分と反応することができる一官能性分子であり、そしてコポリアミドの分子量を制御するために使用される連鎖リミッターを含有し得る。例えば、連鎖リミッターは、酢酸、プロピオン酸、安息香酸及び/又はベンジルアミンであることができる。触媒も使用することができる。触媒の例は、亜リン酸、オルト-リン酸、メタ-リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属次亜リン酸塩及びフェニルホスフィン酸である。ホスファイトなどの安定剤も使用され得る。
【0056】
また、本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、無溶媒プロセスによって、すなわち、溶媒の非存在下で、溶融体として行われる方法によって調製することができる。縮合が無溶媒である場合、反応は、モノマーに対して不活性な材料でできた装置で実施することができる。この場合、装置は、モノマーの十分な接触を提供するために選択され、この装置では、揮発性反応生成物の除去が実行可能である。好適な装置としては、撹拌反応器、押出機及び混錬機が挙げられる。
【0057】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として30重量%超、35重量%超、40重量%超又は45重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【0058】
ポリアミド(P1)は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、99.95重量%未満、99重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、又は60重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【0059】
ポリアミドは(P1)、例えば、ポリアミド組成物(C)の総重量を基準として35~60重量%、例えば40~55重量%の範囲の量で組成物(C)中に存在し得る。
【0060】
本発明のポリアミド成形組成物(C)は、
・Tm(P2)≧Tm(P1)
(Tm(P2)及びTm(P1)は、それぞれ、P2及びP1の融点である)であり、
・Tc(P2)>Tc(P1)
(Tc(P2)及びTc(P1)は、それぞれ、溶融から冷却時のP2及びP1の結晶化温度である)であり、並びに
・Tm(P2)-Tc(P2)<Tm(P1)-Tc(P1)
であるような少なくとも1つのポリマー(P2)も含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、P2はポリアミド(P1)とは異なるポリアミドである。
【0062】
一実施形態によると、P2は、ASTM D3418に従って測定される場合、少なくとも235℃、例えば少なくとも約240℃、少なくとも約245℃の融解温度(TmP2)を有するポリアミドである。
【0063】
いくつかの実施形態において、P2は、ポリアミド66、ポリアミド68、ポリアミド610、ポリアミド106(ポリデカメチレンアジパミド)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアミドMP6(m-キシレンジアミン及びパラ-キシレンジアミンとアジピン酸とのコポリマー)、並びにポリアミドMP10(m-キシレンジアミン及びパラ-キシレンジアミンとセバシン酸とのコポリマー)からなる群から選択されるポリアミドである。
【0064】
本発明において、ポリアミド66は、少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%の、-NH-(CH-NH-CO-(CH-CO-の式に従う反復単位、これはとりわけ、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸の重縮合反応によって得ることができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、P2は、式(V):
(式中、
mは6~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくはmは6、8又は10に等しく、及び
はp-キシリレン(PX)である)による繰り返し単位(RPA2)を含むポリアミドである。いくつかの実施形態において、mは、4、8又は10に等しい。
【0066】
この実施形態によると、P2は、ポリアミド(P1)中の総モル数に基づき、少なくとも50モル%、例えば少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%の式(V)による繰り返し単位(RPA2)を含み得る。
【0067】
この実施形態によると、P2は、
- p-キシリレンジアミンである少なくとも1つのジアミン成分と、
- ジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中、mは6~18(両端を含む)の間で変動する)又はその誘導体である少なくとも1つの二酸成分と
を含む混合物の縮合生成物であり得る。
【0068】
この実施形態によると、P2は、
- p-キシリレンジアミンである少なくとも1つのジアミン成分と、
- セバシン酸である少なくとも1つの二酸成分と
を含む混合物の縮合生成物であり得る。
【0069】
さらにこの実施形態によると、P2は、
- P1への参照において上記された、少なくとも1つのジカルボン酸成分又はその誘導体、及び少なくとも1つのジアミン成分、
- P1への参照において上記された、少なくとも1つのアミノカルボン酸、並びに/或いは
- P1への参照において上記された、少なくとも1つのラクタム
からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む縮合混合物から誘導され得る。
【0070】
本発明の組成物(C)において、P1/P2の重量比は、15/1~1/1(両端を含む)の間、例えば14/1~3/2(両端を含む)の間、又は例えば10/1~2/1(両端を含む)の間で変動する。
【0071】
ポリアミド成形組成物(C)は、補強剤、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される1種の成分も含み得る。
【0072】
幅広い選択肢の補強剤(補強繊維又は充填剤とも呼ばれる)が本発明による組成物に添加され得る。それらは、繊維状及び粒子状の補強剤から選択することができる。繊維補強充填剤は、本明細書では、平均長さが幅及び厚さの両方よりも著しく大きい長さ、幅及び厚さを有する材料であると考えられる。一般に、そのような材料は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも20又は少なくとも50の、長さと、最大の幅及び厚さとの間の平均比として定義されるアスペクト比を有する。そられは、フラット繊維、すなわち、非円形断面、例えば星型繊維及び三角形型繊維から選択されることも可能である。
【0073】
補強充填剤は、鉱物充填剤(タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、ガラス繊維、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、スチール繊維及びウォラストナイトから選択され得る。
【0074】
繊維充填剤の中でも、ガラス繊維が好ましく;これらには、Additives for Plastics Handbook,2nd edition,John Murphyのチャプター5.2.3,p.43~48に記載されているようなチョップドストランドであるA-、E-、C-、D-、S-及びR-ガラス繊維が含まれる。好ましくは、充填剤は、繊維充填剤から選択される。充填剤は、より好ましくは、高温の用途に耐えられる補強繊維である。
【0075】
補強剤は、10重量%~60重量%の総量で組成物(C)中に存在し得る。いくつかの実施形態において、それらは、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として15重量%超、20重量%超、25重量%超又は30重量%超の量で組成物(C)中に存在し得る。補強剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、60重量%未満、55重量%未満又は50重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。補強充填剤は、例えば、ポリアミド組成物(C)の総重量を基準として20~60重量%、例えば30~50重量%の範囲の量で組成物(C)中に存在し得る。
【0076】
好ましくは、補強剤は、ガラス繊維、炭素繊維又はその混合物である。
【0077】
いくつかの実施形態において、組成物(C)は、組成物の総重量を基準として、0.5重量%~5重量%の、TiO2、カーボンブラック、硫化亜鉛、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化第二鉄及びそれらの1つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される顔料、染料又は着色剤を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、組成物(C)は、組成物の総重量を基準として、20重量%~70重量%のポリアミド(P1)を含む。例えば、組成物(C)は、25重量%~60重量%のポリアミド(P1)、又は29重量%~50重量%のポリアミド(P1)を含み得る。
【0079】
本発明の組成物(C)は、強化剤も含み得る。強化剤は、一般に、低いガラス転移温度(T)のポリマーであり、例えば室温未満、0℃未満又はさらに-25℃未満のTを有する。その低いTの結果として、強化剤は、典型的には、室温でエラストマー性である。強化剤は、官能化されたポリマー主鎖であり得る。強化剤は、組成物(C)の総重量を基準として、1重量%超、2重量%超又は3重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。強化剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満又は10重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【0080】
組成物(C)は、可塑剤、着色剤、顔料(例えば、カーボンブラック及びニグロシンなどの黒色顔料)、帯電防止剤、染料、潤滑剤(例えば、直鎖低密度ポリエチレン、ステアリン酸カルシウム若しくはマグネシウム又はモンタン酸ナトリウム)、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤など、当技術分野で一般に使用されている他の従来の添加剤も含み得る。
【0081】
組成物(C)は、1種又はそれ以上の他のポリマー、好ましくは本発明のポリアミド(P1)とは異なるポリアミドも含み得る。とりわけ、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、より一般的には芳香族若しくは脂肪族飽和二酸と、脂肪族飽和若しくは芳香族第一級ジアミン、ラクタム、アミノ酸又はこれらの異なるモノマーの混合物との間の重縮合によって得られるポリアミドなど、半結晶性又は非晶性ポリアミドを挙げることができる。
【0082】
ポリアミド組成物(C)の調製
また本明細書で記載されるのは、上で詳述されたような組成物(C)を製造する方法であって、ポリアミド(P1)と、ポリマー(P2)と、特定の成分、例えば充填剤、強化剤、安定化剤及び任意の他の任意選択の添加剤とを溶融ブレンドする工程を含む方法である。
【0083】
本発明に関連するポリマー成分と非ポリマー成分とを混合するために、いずれの溶融ブレンド法も使用され得る。例えば、ポリマー成分及び非ポリマー成分は、一軸スクリュー押出機若しくは二軸スクリュー押出機、撹拌機、一軸スクリュー若しくは二軸スクリューニーダー又はバンバリーミキサー等の溶融ミキサーに供給され得、添加するステップは、全ての成分の同時添加又はバッチ式の段階的添加であり得る。ポリマー成分及び非ポリマー成分がバッチ式で徐々に添加される場合、ポリマー成分及び/又は非ポリマー成分の一部がまず添加され、次いで十分に混合された組成物が得られるまで、その後に添加される残りのポリマー成分及び非ポリマー成分と溶融混合される。補強剤が長い物理的形状(例えば、長いガラス繊維)を示す場合、補強された組成物を調製するために延伸押出成形が使用され得る。
【0084】
本発明は、本明細書で記載されるポリアミド成形組成物(C)を含む物品に関する。これらの物品を、自動車、輸送、電気及び電子機器、家庭用品及び消費財に使用することが可能である。典型的な用途としては、コントロールシステム筐体、水ポンプ用ハウジング、サーモスタット及び電子バルブポンプ、オイルクーラー、水ポンプインペラー、ヒーターコアエンドキャップ、スナップフィット電気ターミナル及びモールデッドインプレイスガスケット、コネクター及びスイッチ、医療用デバイスハウジング、消費者製品(例えば機器、コーヒーマシン、バキュームクリーナー)、家具、スポーツ用品(例えば自転車部品、アーチェリー、釣り具部品)が挙げられる。
【0085】
本発明の組成物(C)から調製される成形品は、以下の方程式:
(式中:
ΔHfは、1回目の加熱における融解エンタルピー(J/g)であり、
ΔHcは、1回目の加熱における結晶化エンタルピー(J/g)であり、
ASTM D3418に従ってDSC(高純度のキャリアガスとして窒素50ml/分を用いたTA Instruments D2920)によって測定される)
に従って測定される、90%より高い、好ましくは95%より高い、算出された結晶化度百分率を有する。
【0086】
有利には、本発明の物品は、上記で説明されたように90%より高い算出された結晶化度百分率を示すのみならず、以下の特性:
- ISO 180/1Uによって測定される、少なくとも40kJ/m、少なくとも42kJ/mの衝撃強度、
- ISO527に従って測定される、少なくとも18GPa、好ましくは19GPaの弾性率、
- 90℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも1.5、60°において少なくとも8及び85°において少なくとも12の光沢、
- 100℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも3、60°において少なくとも15及び85°において少なくとも20の光沢、
- 90℃で成形される場合、ISO1997によって測定される、1.5μm未満の表面ルゴシティ、
- 100℃で成形される場合、ISO1997によって測定される、1μm未満の表面ルゴシティ
の少なくとも1つを示す。
【0087】
参照により本明細書に組み込まれる任意の特許、特許出願及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【実施例
【0088】
これらの実施例は、本発明の組成物が、増加した核形成速度を有し、及び110℃より低い温度、例えば100℃又は90℃で成形されることが可能であることを実証する。
【0089】
ポリアミド
PA#1(本発明):Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc.からのLexter(登録商標)6700、ポリアミドMXD6/PXD6 50/50、CAS番号25718-71-2、50/50のp-キシリレンジアミン及びm-キシリレンジアミン+アジピン酸の混合物(Tm=277℃;Tc=230℃)。
【0090】
PA#2(比較):比較ポリアミド#2は、次のプロセスに従って調製した:アジピン酸(394g、Invistaから)、酢酸ナトリウム(0.4g、Sigma Aldrichから)及び次亜リン酸ナトリウム(0.7g、Sigma Aldrichから)を6Lの反応器中に装填した。窒素パージ後、反応器を171℃まで加熱した。m-キシリレンジアミン(368g、Mitsubishi Gas Chemical Companyから)を反応器に滴下して添加した。m-キシリレンジアミンの添加後、反応混合物を246℃まで加熱し、そして生じる水は全て蒸気として放出させた。混合物をさらに40分間、この温度に保持した。次いで、ポリマー溶融体を取り出し、ペレット化した(Tm=236℃;Tc=205℃)。
【0091】
他の成分
ポリマーP2:Lexter(登録商標)8900、Mitsubishi Gas Chemical Company,Inc.からのポリアミドPXD10(Tm=282℃;Tc=249℃)。
Eガラス繊維ChopVantage(登録商標)3540HP(EC 10 3,8mm)
PA66:Radipol(登録商標)A45
【0092】
ポリアミド成形組成物
様々な組成物を表1に詳述のとおりに調製した。
【0093】
各調製物は、35:1のL/D比を有する直径30mmのCoperion(登録商標)ZSK-30共回転部分噛合二軸スクリュー押出機を用いて溶融混錬した。バレルセクション2~11及びダイを290℃まで加熱した。
【0094】
溶融温度は、約300℃に達した。
【0095】
各場合において、樹脂ブレンドは、30~35ポンド/時の範囲のスループット速度で重量測定フィーダーを使用してバレルセクション1で供給した。押出機を、約300RPMのスクリュー速度で運転した。約27インチの水銀又は0.1気圧の真空レベルでバレルゾーン10/11に真空を適用した。二重孔ダイを化合物の全てに対して使用し、直径約2.6~2.7mmのフィラメントを生じさせ、ダイから出てくるポリマーフィラメントを水中で冷却し、ペレタイザーに供給して長さ約2.7mmのペレットを生成した。サーモバランスデバイスで測定した場合に0.15%未満の水分含有量に達するように、ペレットを射出成形(IM、比較例)の前に数時間かけて140℃で乾燥させた。
【0096】
射出成形法を使用して、120℃に調節した金型内で引張ISO527-2の1A型バー及びISO178フレックスバーを生成した。
【0097】
試験方法
キャリアガスとして窒素を用いて(高純度、50ml/分)、TA Instruments DSC 2920上でASTM D3418によるDSC測定によって、2つの別個の型温度(90℃及び100℃)で、厚さ2mmの部分において、1回目の加熱における結晶化エンタルピー(ΔHc)(J/g)及び1回目の加熱における融解エンタルピー(ΔHf)(J/g)を測定した。
【0098】
DSC試験条件:20K/分の加熱及び冷却速度
1回目の加熱:-20℃で開始し、Tm+50℃まで
等温線:1回目加熱の最終温度で1~10分
冷却:等温線で開始し、-20℃まで冷却
2回目の加熱:-20℃からTm+50℃まで
【0099】
比較例1では以下のパラメーターが適用された:
20K/分において-20℃から280℃
等温線280℃、10分
-20K/分において280℃から-20℃
20K/分において-20℃から290℃
【0100】
比較例2、実施例3、実施例4、実施例5及び比較例6では以下のパラメーターが適用された:
20K/分において-20℃から330℃
等温線330℃、10分
-20K/分において330℃から-20℃
20K/分において-20℃から330℃
【0101】
算出された結晶化度の百分率は、以下の方程式によって測定される:
【0102】
引張特性特性(ASTM D638)及びアイゾット衝撃強さ(ISO 180/1U)を表1に報告する。
【0103】
【0104】
出願人は、引張及び衝撃抵抗特性を維持しながらも、本発明の組成物の1回目の加熱における結晶化エンタルピーが比較組成物のものよりも有意に低いため、本発明の組成物が低温(例えば90℃及び100℃)で成形されることが可能であることを実証する。比較例6の組成物は、両方の評価された成形温度下で1回目の加熱において低い結晶化エンタルピーを示すが、破断時の引張応力は有意に減少する。
【0105】
美的評価
特定の実施例のルゴシティ(ISO1997)及び光沢(ISO2813又はASTM D523)を測定し、以下の表2に報告する。
【0106】
【0107】
本発明の組成物は、従来の高温及び高圧力技術で形成される物品と類似の表面特徴、すなわちルゴシティ及び光沢を有する成型品を製造する。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、以下のステップ:
ポリアミド成形組成物(C)を加熱すること、
- 型を110℃未満、好ましくは100℃又は95℃未満の温度まで加熱すること、
- 加熱された型の中に溶解組成物(C)を射出すること、並びに
- 成型品を取り出すこと
を含む、成形を使用して物品を製造するためのプロセスにも関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
有利には、本物品は、以下の特性:
- ISO 180/1Uによって測定される、少なくとも40kJ/m、少なくとも42kJ/mの衝撃強度、
- ISO527に従って測定される、少なくとも18GPa、好ましくは19GPaの弾性率、
- 90℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも1.5、60°において少なくとも8及び85°において少なくとも12の光沢、
- 100℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも3、60°において少なくとも15及び85°において少なくとも20の光沢、
- 90℃で成形される場合、ISO4287:1997によって測定される、1.5μm未満の表面ルゴシティ(rugosity)、
- 100℃で成形される場合、ISO4287:1997によって測定される、1μm未満の表面ルゴシティ
の少なくとも1つを示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、式(I):
(式中、
nは4~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくはnは4に等しく、及び
は、1:99~99:1の間で変動するモル%比のm-キシリレン(MX)とp-キシリレン(PX)との混合物である)による繰り返し単位(RPA 又は繰り返し単位x)を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、繰り返し単位(RPA)から本質的になるポリアミド又は繰り返し単位(RPA)を含むコポリアミド(PA)であり得る。より正確には、表現「コポリアミド」は、本明細書では、例えば、MXD及びPXDと、少なくとも1つのジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中、nは4~18(両端を含む)の間で変動する)とから誘導される繰り返し単位(RPA)、並びに繰り返し単位(RPA)とは異なる繰り返し単位(RPA*)、例えば繰り返し単位(R PAY )及び(R PAZ を含むコポリアミドを示すために用いられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
ポリアミド(P1)が繰り返し単位(RPA*)を含む場合、繰り返し単位( PAY 及びR PAZ )は、式(II)及び/又は(III):
(式中、
は、結合;1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を任意選択的に含み、並びに、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシ(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された、C~C15アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択され;
は、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を任意選択的に含み、並びにハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシ(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されたC~C20アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択され;及び
は、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N及びS)を任意選択的に含み、並びにハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素)、ヒドロキシ(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐C~C14アルキルからなる群から選択される)であり得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、式(IV):
(式中、
、n及びnは、それぞれ、各繰り返し単位、式Iによるx、式(II)による(R PAY )及び式(III)による(R PAZ のモル%であり;
繰り返し単位x、(R PAY )及び(R PAZ は、ブロックで、交互に又はランダムに配置されており;
+n+n=100であり;
5≦n≦100であり;
、R、R及びRは上に記載されたとおりである)であり得る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)において、繰り返し単位(R PAY は、脂肪族又は芳香族であり得る。本発明の目的のために、表現「芳香族繰り返し単位」は、少なくとも1つの芳香族基を含む任意の繰り返し単位を意味することが意図される。芳香族繰り返し単位は、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合、又は少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの重縮合、又は芳香族アミノカルボン酸の重縮合によって形成され得る。本発明の目的のためには、ジカルボン酸又はジアミンは、それが1つ又は2つ以上の芳香族基を含む場合に「芳香族」と考えられる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)において、繰り返し単位(R PAZ は、脂肪族であり、Rは、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N及びS)を任意選択的に含み、並びにハロゲン、ヒドロキシ、スルホ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐C~C14アルキルである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、繰り返し単位x及び(R PAY 、又は繰り返し単位x及び(R PAZ 、又は繰り返し単位x、(R PAY 及び(R PAZ から構成され得る。繰り返し単位x、(R PAY 及び(R PAZ は、ブロックで、交互に又はランダムに配置される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
表現「少なくとも」は、本明細書では、「~以上」を意味することを意図する。例えば、表現「少なくとも5モル%の繰り返し単位(RPA)」は、本明細書では、ポリアミド(P1)が5モル%の繰り返し単位(RPA)又は5モル%超の繰り返し単位(RPA)を含み得ることを意味する。表現「少なくとも」は、そのため、本発明との関連で数学的記号「≧」に対応する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
一実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、
- 少なくとも1つのジカルボン酸成分(本明細書では二酸とも呼ばれる)又はその誘導体、及び少なくとも1つのジアミン成分、
- 少なくとも1つのアミノカルボン酸、並びに
- 少なくとも1つのラクタム
からなる群から選択される成分の少なくとも1つをさらに含む混合物の縮合生成物である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
一実施形態によると、本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、少なくとも1つのアミノカルボン酸(式(III)に従う繰り返し単位(R PAZ )及び/又は少なくとも1つのラクタム(式(III)に従う繰り返し単位(R PAZ )を含む。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、例えば、モノマー及びコモノマーの水溶液の熱重縮合によって調製することができる。溶液は、アミン又はカルボン酸部分と反応することができる一官能性分子であり、そしてポリアミドの分子量を制御するために使用される連鎖リミッターを含有し得る。例えば、連鎖リミッターは、酢酸、プロピオン酸、安息香酸及び/又はベンジルアミンであることができる。触媒も使用することができる。触媒の例は、亜リン酸、オルト-リン酸、メタ-リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属次亜リン酸塩及びフェニルホスフィン酸である。ホスファイトなどの安定剤も使用され得る。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
本明細書で記載されるポリアミド(P1)は、組成物(C)の総重量を基準として25重量%超、35重量%超、40重量%超又は45重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
ポリアミド(P1)は、組成物(C)の総重量を基準として、99.95重量%未満、99重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、又は60重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
ポリアミドは(P1)、例えば、ポリアミド組成物(C)の総重量を基準として、25~60重量%、例えば40~55重量%の範囲の量で組成物(C)中に存在し得る。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
いくつかの実施形態において、P2は、式(V):
(式中、
mは6~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくはmは6、8又は10に等しく、及び
はp-キシリレン(PX)である)による繰り返し単位(RPA2)を含むポリアミドである。いくつかの実施形態において、mは、8又は10に等しい。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
補強剤は、10重量%~60重量%の総量で組成物(C)中に存在し得る。いくつかの実施形態において、それらは、組成物(C)の総重量を基準として15重量%超、20重量%超、25重量%超又は30重量%超の量で組成物(C)中に存在し得る。補強剤は、組成物(C)の総重量を基準として、60重量%未満、55重量%未満又は50重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。補強充填剤は、例えば、ポリアミド成形組成物(C)の総重量を基準として20~60重量%、例えば30~50重量%の範囲の量で組成物(C)中に存在し得る。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
本発明の組成物(C)は、強化剤も含み得る。強化剤は、一般に、低いガラス転移温度(T)のポリマーであり、例えば室温未満、0℃未満又はさらに-25℃未満のTを有する。その低いTの結果として、強化剤は、典型的には、室温でエラストマー性である。強化剤は、官能化されたポリマー主鎖であり得る。強化剤は、組成物(C)の総重量を基準として、1重量%超、2重量%超又は3重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。強化剤は、組成物(C)の総重量を基準として30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満又は10重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
組成物(C)は、ポリマーP2に加えて、又はそれ以上の他のポリマーも含み得る。好ましくは、1つ又はそれ以上の他のポリマーは、本発明のポリアミド(P1)とは異なるポリアミドを含む。とりわけ、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、より一般的には芳香族若しくは脂肪族飽和二酸と、脂肪族飽和若しくは芳香族第一級ジアミン、ラクタム、アミノ酸又はこれらの異なるモノマーの混合物との間の重縮合によって得られるポリアミドなど、半結晶性又は非晶性ポリアミドを挙げることができる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
有利には、本発明の物品は、上記で説明されたように90%より高い算出された結晶化度百分率を示すのみならず、以下の特性:
- ISO 180/1Uによって測定される、少なくとも40kJ/m、少なくとも42kJ/mの衝撃強度、
- ISO527に従って測定される、少なくとも18GPa、好ましくは19GPaの弾性率、
- 90℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも1.5、60°において少なくとも8及び85°において少なくとも12の光沢、
- 100℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも3、60°において少なくとも15及び85°において少なくとも20の光沢、
- 90℃で成形される場合、ISO4287:1997によって測定される、1.5μm未満の表面ルゴシティ、
- 100℃で成形される場合、ISO4287:1997によって測定される、1μm未満の表面ルゴシティ
の少なくとも1つを示す。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
引張特性(ISO527)及びアイゾット衝撃強さ(ISO 180/1U)を表1に報告する。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
美的評価
特定の実施例のルゴシティ(ISO4287:1997)及び光沢(ISO2813)を測定し、以下の表2に報告する。
【手続補正24】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 式(I):
(式中、
nは、4~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくは4であり、及び
は、1:99~99:1の間で変動するモル%比のm-キシリレン(MX)とp-キシリレン(PX)との混合物である)による繰り返し単位(RPA)を含む少なくとも1つのポリアミド(P1)、
- 以下:
・Tm(P2)≧Tm(P1)
(Tm(P2)及びTm(P1)は、それぞれ、P2及びP1の融点である)であり、
・Tc(P2)>Tc(P1)
(Tc(P2)及びTc(P1)は、それぞれ、溶融から冷却時のP2及びP1の結晶化温度である)であり、並びに
・Tm(P2)-Tc(P2)<Tm(P1)-Tc(P1)
であるような少なくとも1つのポリマー(P2)、
- 任意選択的に少なくとも1つの補強剤、
- 任意選択的に、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分
を含む、ポリアミド成形組成物(C)であって、
- P1/P2の重量比が、15/1~1/1の間で変動し、並びに
- ポリマー(P2)が、式(V):
(式中、mは6~18(両端を含む)の間で変動し、及びRはp-キシレン(PX)である)による繰り返し単位(RPA2)を含む、ポリアミド成形組成物(C)。
【請求項2】
前記ポリアミド(P1)中の全モル数を基準として、少なくとも50モル%の式(I)による繰り返し単位(RPA)を含む、請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項3】
前記ポリアミド(P1)が、
- m-キシレンジアミン及びp-キシリレンジアミンのブレンドである少なくとも1つのジアミン成分と、
- 少なくとも1つのジカルボン酸HOOC-(CH-COOH(式中nは4~18(両端を含む)の間で変動する)又はその誘導体と
を含む混合物の縮合生成物である、請求項1又は2に記載の組成物(C)。
【請求項4】
前記ジカルボン酸がアジピン酸である、請求項3に記載の組成物(C)。
【請求項5】
前記縮合混合物が、
- 少なくとも1つのジカルボン酸成分若しくはその誘導体、及び少なくとも1つのジアミン成分、
- 少なくとも1つのアミノカルボン酸、並びに/又は
- 少なくとも1つのラクタム
からなる群から選択される少なくとも1つの追加成分をさらに含む、請求項3又は4に記載の組成物(C)。
【請求項6】
- 前記ジカルボン酸成分が、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビ安息香酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、5-スルホフタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は
- 前記ジアミン成分が、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアモノペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクトアン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、HN-(CH-O-(CH-O(CH-NH、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(MACM)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、
請求項5に記載の組成物(C)。
【請求項7】
前記ラクタムが、カプロラクタム、ラウロラクタム及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物(C)。
【請求項8】
前記組成物(C)の総重量を基準として、10重量%~60重量%の繊維補強剤(ガラス繊維、炭素繊維又はその混合物)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項9】
前記組成物の総重量を基準として、0.5重量%~5重量%の、TiO2、カーボンブラック、硫化亜鉛、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化第二鉄及びこれらの1つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される顔料、染料又は着色剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項10】
前記組成物の総重量を基準として、20重量%~70重量%の前記ポリアミド(P1)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項11】
- 以下:
- 式(I):
(式中、
nは、4~18(両端を含む)の間で変動し、好ましくは4であり、及び
は、m-キシリレンとp-キシリレンとの混合物である)による繰り返し単位(RPA)を含む少なくとも1つのポリアミド(P1)、
- 以下:
・Tm(P2)≧Tm(P1)
(Tm(P2)及びTm(P1)は、それぞれ、P2及びP1の融点である)であり、
・Tc(P2)>Tc(P1)
(Tc(P2)及びTc(P1)は、それぞれ、溶融から冷却時のP2及びP1の結晶化温度である)であり、並びに
・Tm(P2)-Tc(P2)<Tm(P1)-Tc(P1)
であるような少なくとも1つのポリマー(P2)、
- 任意選択的に少なくとも1つの補強剤、
- 任意選択的に、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分
を含む、ポリアミド成形組成物(C)を加熱すること、
- 型を110℃未満、好ましくは100℃又は95℃未満の温度まで加熱すること、
- 加熱された型の中に溶解組成物(C)を射出すること、並びに
- 成型品を取り出すこと
を含む、成形を使用して物品を製造する方法であって、
- P1/P2の重量比が、15/1~1/1の間で変動し、並びに
- ポリマー(P2)が、式(V):
(式中、mは6~18(両端を含む)の間で変動し、及びRはp-キシレン(PX)である)による繰り返し単位(RPA2)を含む、方法。
【請求項12】
前記型を加熱するために水が使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、プレス成形、直接ブロー成形、回転成形、サンドイッチ成形、二色成形、溶融スピニングからなる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
以下の方程式:
(式中:
ΔHfは、1回目の加熱における融解エンタルピー(J/g)であり、
ΔHcは、1回目の加熱における結晶化エンタルピー(J/g)であり、
ASTM D3418に従ってDSC(高純度のキャリアガスとして窒素50ml/分を用いたTA Instruments D2920)によって測定される)
に従って測定される、90%より高い、好ましくは95%より高い、算出された結晶化度百分率を有する、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法によって得られる成形品。
【請求項15】
以下の特性:
- ISO 180/1Uによって測定される、少なくとも40kJ/m、少なくとも42kJ/mの衝撃強度、
- ISO527に従って測定される、少なくとも18GPa、好ましくは19GPaの弾性率、
- 90℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも1.5、60°において少なくとも8及び85°において少なくとも12の光沢、
- 100℃で成形される場合、ISO2813によって測定される、20°において少なくとも3、60°において少なくとも15及び85°において少なくとも20の光沢、
- 90℃で成形される場合、ISO4287:1997によって測定される、1.5μm未満の表面ルゴシティ、及び/又は
- 100℃で成形される場合、ISO4287:1997によって測定される、1μm未満の表面ルゴシティ
の少なくとも1つを有する、請求項14に記載の物品。
【国際調査報告】