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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ブラシ毛駆動の脈動
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/34 20060101AFI20220630BHJP
   A46B 9/04 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A61C17/34 J
A46B9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566516
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 IB2020054737
(87)【国際公開番号】W WO2020234768
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/850,303
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】カレン、リン、クレア-ツィメット
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス、アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、フリッチュ
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト、シェーファー
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202BA01
3B202BC04
3B202BD03
3B202BD06
3B202DB04
3B202EE06
(57)【要約】
ブラシ毛駆動の脈動を有する電動歯ブラシは、ブラシ毛ホルダと、ブラシ毛ホルダに取り付けられたブラシ毛束と、を有するブラシヘッドを含む。ブラシ毛束及び対応するブラシ毛は、ブラシヘッドの取り付け面に対して垂直及び/又は非垂直の角度で配設される。電動歯ブラシはまた、ブラシヘッドに取り外し可能に取り付けられた電動歯ブラシハンドルを含む。電動歯ブラシハンドルは、リニアモータ及びブラシ毛ホルダに連結された歯車構造を介してブラシ毛ホルダを駆動するように構成されたリニアモータを含む。リニアモータは、回転周波数閾値(例えば、100Hz、120Hzなど)を超える回転周波数で、ブラシ毛ホルダを時計回り及び反時計回りに回転させる。リニアモータはまた、ブラシヘッドを、ブラシ毛の回転と同期して接触面に向かう方向及び接触面から離れる方向に振動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歯ブラシであって、
ブラシヘッドに対して非垂直の角度で前記ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドと、
前記ブラシヘッドに取り外し可能に取り付けられ、前記ブラシヘッドの取り付け面に垂直な回転軸を中心に回転可能な前記ブラシヘッドに取り付けられた前記複数本のブラシ毛を駆動するように構成されたモータ、具体的にはリニアモータを含む、ハンドルであって、前記複数本のブラシ毛は、少なくとも1つの回転周波数で、前記ブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転可能であり、前記少なくとも1つの回転周波数は、周波数閾値以上である、ハンドルと、を備え、
前記ブラシヘッドは、前記複数本のブラシ毛の前記回転と同期して接触面に向かって、及び前記接触面から離れる方向に動く、電動歯ブラシ。
【請求項2】
電動歯ブラシであって、
ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドと、
前記ブラシヘッドに取り外し可能に取り付けられたハンドルであって、
モータに連結された歯車構造を駆動するように構成された、モータ、具体的にはリニアモータを含み、前記歯車構造は、前記モータの動きを、前記ブラシヘッドに取り付けられた前記複数本のブラシ毛の回転に変換して、前記複数本のブラシ毛を、所定の回転周波数で前記ブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させるように構成されており、前記ブラシヘッドは、接触面に向かって、及び前記接触面から離れる方向に動き、前記ブラシヘッドの動きは前記複数本の前記ブラシ毛の特性によって生じる、ハンドルと、を備える、電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記複数本の前記ブラシ毛の前記特性は、ブラシ毛密度、前記ブラシヘッドに前記複数本のブラシ毛が取り付けられる角度、並びに屈曲力及び座屈力をもたらす、前記複数本のブラシ毛の剛性のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記モータは、前記複数本のブラシ毛を、第1の時間間隔中に時計回りに回転させ、第2の時間間隔中に反時計回りに回転させるように構成されており、前記所定の回転周波数に対応する期間は、前記第1の時間間隔と前記第2の時間間隔との組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記複数本のブラシ毛は、前記ブラシヘッドに対して非垂直の角度で前記ブラシヘッドに取り付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記ブラシヘッドは、ブラシ毛接触力の標準偏差に対応する量を前記接触面に向かって、及び前記接触面から離れる方向に動く、請求項1~5のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記ブラシヘッドは、前記所定の回転周波数に対応する1つ以上の振動周波数で振動することによって前記複数本のブラシ毛の前記回転と同期して、前記接触面に向かって、及び前記接触面から離れる方向に動く、請求項1~6のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
前記ブラシヘッドの振動振幅は、前記接触面に印加される荷重が閾値量を上回って増加するにつれて増加し、具体的には、前記閾値は0.8N~1.0Nである、請求項7に記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
前記ブラシヘッドと、ブラシネックと、を含むリフィルを更に備え、前記リフィルは前記電動歯ブラシハンドルに取り外し可能に取り付けられ、前記リフィルが前記電動歯ブラシハンドルに取り付けられるとき、前記リフィルの内側表面と前記電動歯ブラシハンドルの外側表面との間の距離は、0.16mm未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
前記モータは、前記複数本のブラシ毛を、時計回り及び反時計回りに所定の回転角度回転させるように構成されており、前記所定の回転周波数は100Hzより高い、請求項1~9及び11のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項11】
前記ハンドルは、光源と、圧力センサと、を更に含み、前記光源は、前記圧力センサによって検出された圧力の変化に応答して色を変えるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項12】
前記ブラシ毛特性は、前記振動量が、第1の印加力閾値を下回る振動量から前記第1の印加力閾値を上回る振動量へとほぼ3倍になるように設定され、具体的には、前記印加力の標準偏差として表される前記振動量は、前記第1の閾値を0.1N~0.15N下回り、前記第1の閾値を上回る前記振動量は0.35N~0.45Nであり、前記第1の閾値は0.8N以上である、請求項1~11のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ。
【請求項13】
電動歯ブラシのブラシ毛駆動の脈動を提供する方法であって、
電動歯ブラシハンドルに含まれるモータによって、歯車構造に、ブラシヘッドに含まれる複数本のブラシ毛を、周波数閾値以上の回転周波数で前記ブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させることであって、前記複数本のブラシ毛は、前記ブラシヘッドに対して非垂直の角度で前記ブラシヘッドに取り付けられている、ことと、
前記複数本のブラシ毛が回転するときに、前記モータ及び前記歯車構造によって、前記複数本のブラシ毛の前記回転と同期して前記ブラシヘッドを接触面に向かって、及び前記接触面から離れる方向に動かすことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電動歯ブラシシステムに関し、より具体的には、ブラシ毛の回転と同期したブラシヘッドの振動に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、電動歯ブラシは、歯ブラシヘッドと、歯ブラシネックと、歯ブラシハンドルと、を有する。ブラシヘッドは、単数又は複数のブラシ毛束を含む平坦な表面を有する可動ブラシ毛ホルダを含む。歯ブラシハンドル内のモータは、ブラシ毛ホルダの動きを制御し、円形運動パターンなどで、ブラシ毛を上下左右に動かす。
【0003】
しかしながら、ブラシ毛が動くと、歯ブラシヘッド、ネック、又はハンドルも、例えば、ブラシヘッド又はネックの硬質プラスチックを介して振動してよい。硬質プラスチックを介したこれらの追加の振動は、ユーザにとって煩わしく、不快であり得る。場合によっては、ブラシヘッド又はネックの振動は、ブラシ毛の動きによる振動よりも大きい。ユーザは、振動時にブラシネック又はブラシヘッドと偶発的に接触したときの不快感を報告している。
【0004】
更に、ユーザが電動歯ブラシに追加の力を印加するときに、ブラシ毛の動きが元の運動パターンから下に傾くことが知られている。場合によっては、荷重下においてブラシ毛が潰れて、ブラシ毛の動きが著しく低減される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ブラシヘッドの振動をブラシ毛の回転と同期させ、ブラシヘッド、ネック、又はハンドルの硬質プラスチックでの望ましくない振動を除去するために、電動歯ブラシは、ブラシヘッド上の可動ブラシ毛ホルダに取り付けられた、いくつかのブラシ毛束を含む。各ブラシ毛束は、数本のブラシ毛を含み、ブラシ毛束及び対応するブラシ毛は、ブラシヘッドの取り付け面に対して垂直又は非垂直の角度で配設されてよい(本明細書では「真っ直ぐな毛束」及び「真っ直ぐなブラシ毛」又は「角度付けされた毛束」及び「角度付けされたブラシ毛」とも呼ばれる)。毛束は、任意の好適な角度で配設されてよく、一部の毛束は、他の毛束とは異なる角度で配設されてよい。加えて、毛束は、取り付け面に垂直な線に対して上下に傾いていてよい、取り付け面に垂直な線に対して左右に角度付けされてよい、又は取り付け面に垂直な線に対して上下及び左右の組み合わせで角度付けされてよい。
【0006】
加えて、電動歯ブラシは、リニアモータなどモータと、モータが動く際に毛束を回転させる、モータに連結された歯車構造と、を含む。毛束は、所定の回転角度(例えば、28°、33°、45°など)で、かつ閾値周波数(例えば、100Hz、115Hz、130Hz、145Hzなど)を超える特定の回転周波数で前後に回転される。いくつかの実施態様では、1回の回転サイクル、つまり期間は、第1の時間間隔中の、所定の回転角度の前半(例えば、14°、16°、22°)から所定の回転角度の後半(例えば、-14°、-16°、-22°など)までの時計回りの回転を含んでよく、第2の時間間隔中の、所定の回転角度の前半(例えば、14°、16°、22°など)に戻る反時計回りの回転を含んでよい。換言すれば、回転周波数に対応する期間は、第1の時間間隔と第2の時間間隔との組み合わせを含む。また、いくつかの実施態様では、毛束は、閾値周波数範囲(例えば、100Hz~200Hz、100Hz~150Hzなど)内である、特定の回転周波数で回転されてよい。
【0007】
角度付けられた毛束がリニアモータの動きに従って回転するとき、及びブラシ毛がユーザの歯の表面など接触面と接触するとき、動きによってブラシ毛が屈曲/座屈し、ブラシヘッドを接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に周期的に動かし、微小振動(本明細書では「ブラシ毛駆動の脈動」とも呼ばれる)をもたらす。微小振動振幅は、閾値力(例えば、0.8N)以上である力が接触面に印加されるときに増加する。更に、微小振動周波数は、毛束の回転の周波数に同期する。これにより、より円滑なブラッシング体験がユーザにもたらされ、歯磨き期間中の電動歯ブラシのノイズレベルを低減する。加えて、微小振動振幅は、ハンドル内で生成されるのではなく、ブラシ毛において、及びブラシ毛を介して生成され、硬質プラスチックであるブラシヘッドの背面及びブラシネックを介して伝達される。このようにして、ユーザが硬質プラスチックとの偶発的接触を経験するときには、潜在的に不快な振動が硬質プラスチックを通して低減される。
【0008】
更に、接触面に追加荷重が印加されるときには、ブラシ毛の動きは安定したままであり、ブラシ毛は、所定の回転角度での回転を続ける。また更に、電動歯ブラシを試験したユーザは、微小振動を伴う歯磨き時に向上した経験を報告した。
【0009】
一実施形態では、電動歯ブラシは、ブラシヘッドに対して非垂直の角度でブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドを含む。電動歯ブラシはまた、ブラシヘッドに取り外し可能に取り付けられた電動歯ブラシハンドルを含む。電動歯ブラシハンドルは、ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を駆動して、ブラシヘッドの取り付け面に垂直な回転軸を中心として、周波数閾値以上の回転周波数でブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させるように構成されたモータを含む。ブラシヘッドは、複数本のブラシ毛の回転と同期して接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動く。
【0010】
別の実施形態では、電動歯ブラシは、ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドを含む。電動歯ブラシはまた、ブラシヘッドに取り外し可能に取り付けられた電動歯ブラシハンドルを含む。電動歯ブラシハンドルは、モータに連結された歯車構造を駆動するように構成されたモータを含み、歯車構造は、モータの動きを、ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛の回転に変換して、所定の回転周波数でブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させ、ブラシ毛駆動の脈動を介してブラシヘッドを接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動かすように構成されている。
【0011】
更に別の実施形態では、電動歯ブラシは、ブラシヘッドに対して非垂直の角度でブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドを含む。電動歯ブラシはまた、ブラシヘッドに取り外し可能に取り付けられた電動歯ブラシハンドルを含む。電動歯ブラシハンドルは、ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を駆動して、周波数閾値以上の回転周波数でブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させ、ブラシヘッドを振動させるように構成されたモータを含む。ブラシヘッドの振動量は、接触面に印加される荷重が閾値量を上回って増加するときに増加する。
【0012】
別の実施形態では、電動歯ブラシは、ブラシヘッドに対して非垂直の角度でブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドを含む。電動歯ブラシはまた、ブラシヘッドに取り外し可能に取り付けられた電動歯ブラシハンドルを含む。電動歯ブラシハンドルは、ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を駆動して、周波数閾値以上の回転周波数でブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させ、ブラシヘッドを振動させるように構成されたモータを含む。ブラシヘッドは、回転周波数に対応する1つ以上の振動周波数で振動する。
【0013】
更に別の実施形態では、電動歯ブラシは、ブラシヘッドに対して非垂直の角度でブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドを含む。電動歯ブラシはまた、ブラシヘッドに取り付けられたブラシネックと、ブラシネックに取り外し可能に取り付けられた電動歯ブラシハンドルと、を含む。電動歯ブラシハンドルは、ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を駆動して、周波数閾値以上の回転周波数でブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させ、複数本のブラシ毛、ブラシヘッド、及びブラシネックを振動させるように構成されたモータを含む。複数本のブラシ毛における振動量は、ブラシヘッドにおける振動量及びブラシネックにおける振動量を超える。
【0014】
別の実施形態では、電動歯ブラシは、ブラシヘッドに対して非垂直の角度でブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を含むブラシヘッドを含む。電動歯ブラシはまた、ブラシヘッドに取り付けられたブラシネックと、ブラシネックに取り外し可能に取り付けられた電動歯ブラシハンドルと、を含む。電動歯ブラシハンドルは、ブラシヘッドに取り付けられた複数本のブラシ毛を駆動して、周波数閾値以上の回転周波数でブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに所定の回転角度で回転させ、ブラシヘッドを振動させるように構成されたモータを含む。複数本のブラシ毛の回転量は、接触面に印加される荷重が増加するときに実質的に同じままである。
【0015】
更に別の実施形態では、電動歯ブラシのブラシ毛駆動の脈動を提供する方法は、電動歯ブラシハンドルに含まれるモータによって歯車構造に、ブラシヘッドに含まれる複数本のブラシ毛を、周波数閾値以上の回転周波数でブラシヘッドに対して時計回り及び反時計回りに回転させることを含み、複数本のブラシ毛は、ブラシヘッドに対して非垂直の角度でブラシヘッドに取り付けられる。複数本のブラシ毛が回転するとき、本方法は、モータ又は歯車構造によってブラシヘッドを、複数本のブラシ毛の回転と同期して接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動かすことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に記載される図は、本明細書に開示されるシステム及び方法の様々な態様を表す。各図は開示されるシステム及び方法の特定の態様の実施形態を示すものであること、並びに、図面の各々はその可能な実施形態と調和することを意図したものであることを理解されたい。更に、可能な限り、以下の説明は、以下の図に含められた参照符号を参照しており、それらの図において、複数の図に記された特徴は、一貫した参照符号を用いて指定されている。
図1】角度付けられたブラシ毛を有する、例示的な電動歯ブラシを示す。
図2図1の電動歯ブラシ内で動作することができる、例示的なブラシヘッドを示す。
図3A】電動歯ブラシハンドルの内部の例示的な断面図を示す。
図3B】電動歯ブラシのリフィルの内部の例示的な断面図を示す。
図4】ブラシ毛の回転時の、様々なブラシヘッドタイプを有する図1の電動歯ブラシの微小振動を示す表を示す。
図5A】接触面にゼロの力が印加されたときのブラシヘッドの例示的な動きを示すグラフを示す。
図5B】接触面に様々な量の力が印加されたときのブラシヘッドの例示的な動きを示す別のグラフを示す。
図6】接触面に様々な量の力が印加されたときのブラシヘッドの振動量を示す更に別のグラフを示す。
図7A】ブラシヘッドの振動の周波数成分のフーリエ変換分析を示すグラフを示す。
図7B】代替電動歯ブラシシステムにおけるブラシヘッドの振動の周波数成分のフーリエ変換分析を示すグラフである。
図8A】ブラシヘッドの例示的な動き及び第1のリフィル設計を有する第1のリフィルのためのブラシ毛の回転を示すグラフを示す。
図8B】ブラシヘッドの例示的な動き及び第2のリフィル設計を有する第2のリフィルのためのブラシ毛の回転を示すグラフを示す。
図8C】ブラシヘッドの例示的な動き及び第3のリフィル設計を有する第3のリフィルのためのブラシ毛の回転を示すグラフを示す。
図9A】接触面に様々な量の力が印加されるときの、経時的なブラシ毛の例示的な回転角度を示すグラフを示す。
図9B】接触面に様々な量の力が印加されるときの、経時的なブラシ毛の回転の例示的な角度を示すグラフを示す、代替電動歯ブラシシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の文言は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を記載するものであるが、本明細書の法的範囲は、本特許及び等価物の最後に記載された特許請求の範囲の語句によって定義されることを理解されたい。この詳細な説明は例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、可能な全ての実施形態を説明することは非現実的であるので、可能な全ての実施形態を説明するものではない。現在の技術、又は本特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替の実施形態を実施することができるが、このような実施形態はやはり、特許請求の範囲の範囲内に含まれることになる。
【0018】
また、「本特許において使用されるとき、『_』という用語は・・・を意味するようにここで定義される」という文又は類似の文を使用して本明細書において用語が明示的に定義されない限り、その単純又は通常の意味を超えて、明示的又は暗示的のいずれかで、その用語の意味を制限する意図はまったくないことを理解されたく、更に、かかる用語は、(特許請求の範囲の言語を除き)本特許のいずれかの項においてなされるいずれかの記述に基づいて範囲を制限されると解釈されるべきではない。本特許の最後にある請求項に記載されているいずれかの用語が、ある単一の意味と一致した形で本特許内で言及されている限りにおいては、読み手を混乱させないように、単に分かりやすくする目的だけのためにそうしているのであって、暗示又はその他の方法によって、請求項の当該用語をその1つの意味に限定することは意図していない。最後に、特許請求の範囲の要素が、いかなる構造の詳述も伴わずに、「意味する」という語及び機能を記述することによって定義されるものでない限り、いかなる特許請求される要素の範囲も、米国特許法第112条第6段落の適用に基づいて解釈されることは意図しない。
【0019】
図1は、角度付けられたブラシ毛を有する、例示的な電動歯ブラシ100を示す。電動歯ブラシ100は、電動歯ブラシハンドル35と、電動歯ブラシハンドル35に取り外し可能に取り付けられ、ブラシネック95に取り付けられたブラシヘッド90を含むブラシリフィル92と、を含んでよい。電動歯ブラシ100は、モータ37と、モータ37との電気通信をなすエネルギー源39と、を含んでよい。モータ37は、ブラシ毛ホルダを動かすために、ブラシヘッド90に配設された可動ブラシ毛ホルダに動作可能に連結される。より具体的には、ブラシ毛ホルダは、ブラシヘッド90に含まれるディスクであってもよく、毛束のそれぞれはディスクに取り付けられている。ディスクが回転すると、毛束のそれぞれが回転する。いくつかの実施形態では、モータ37はリニアモータであり、図3を参照して以下により詳細に記載する歯車構造を介して可動ブラシ毛ホルダに動作可能に連結される。ブラシ毛ホルダは、回転、振動(oscillate)、並進、及び振動(vibrate)を行うこと、又はこれらの組み合わせである動きを経験し得る。モータ37は、所定の回転角度(例えば、28°、33°、45°など)で、かつ閾値周波数(例えば、100Hz、115Hz、130Hz、145Hzなど)を超える特定の回転周波数で、ブラシ毛ホルダを前後に回転/振動させてよい。例えば、モータ37は、1秒あたり100サイクルを超えて、第1の時間間隔中に所定の回転角度でブラシ毛ホルダを時計回りに回転させ、次いで、第2の時間間隔中に所定の回転角度でブラシ毛ホルダを反時計回りに回転させてよい。いくつかの実施態様では、ブラシ毛ホルダは、閾値周波数範囲(例えば、100Hz~200Hz、100Hz~150Hzなど)内である、特定の回転周波数で回転されてよい。
【0020】
ブラシ毛束10は、ブラシ毛ホルダに取り付けられ、数本のブラシ毛を含む。図1に示すように、ブラシ毛束10及びブラシ毛のうちの少なくともいくつかは、ブラシヘッド90の取り付け面に対して角度付けされており、その結果、ブラシ毛束10及びブラシ毛は、ブラシヘッド90の取り付け面に対して非垂直の角度で配設される。これについては、図2を参照して以下により詳細に記載する。ブラシヘッド90は、ブラシ毛ホルダのブラシ毛(又は他の構成要素)が劣化したときに、取り外され、交換され得るように、取り外し可能なヘッドとして提供され得る。モータをブラシ毛ホルダに動作可能に連結する(又は別様にブラシ毛ホルダ又はヘッドを動かす)ための駆動システムの例を含む、本発明と共に使用され得る電動歯ブラシの例、ブラシ毛ホルダで使用するための洗浄要素の種類、取り外し可能なヘッドで使用するのに好適な構造、ブラシ毛ホルダの動き、他の構造的構成要素及び特徴、並びに電動歯ブラシの動作又は機能的特徴又は特性は、米国特許出願公開第2002/0129454号、同第2005/0000044号、同第2003/0101526号、米国特許第5,577,285号、同第5,311,633号、同第5,289,604号、同第5,974,615号、同第5,930,858号、同第5,943,723号、米国特許出願公開第2003/0154567号、同第2003/0163881号、同第2005/0235439号、米国特許第6,648,641号、米国特許出願公開第2005/0050658号、同第2005/0050659号、同第2005/0053895号、同第2005/0066459号、同第2004/0154112号、米国特許第6,058,541号、及び米国特許出願第2005/008050号に開示されている。
【0021】
ブラシ毛束10及びブラシ毛は、ブラシヘッド90の取り付け面に対して非垂直の角度で配設されているものとして図1に示されているが、これは単に例示を容易にするための一例に過ぎない。他の実施態様では、ブラシ毛束10及びブラシ毛は、ブラシヘッド90の取り付け面に対して垂直の角度で配設される。
【0022】
いくつかの実施形態では、電動歯ブラシ100は、電動歯ブラシのヘッド90、ネック95、又はハンドル35内に含まれ得る1つ又は複数のセンサを含んでよい。センサとしては、カメラなど光センサ若しくは撮像センサ、ホールセンサなど電磁界センサ、静電容量センサ、抵抗センサ、誘導性センサ、湿度センサ、多軸加速度計など運動センサ若しくは加速度センサ若しくは傾斜センサ、圧力センサ、ガスセンサ、振動センサ、温度センサなどが挙げられてよい。電動歯ブラシ100はまた、圧力センサで検出された力又は圧力に基づいて色を変えるように構成されている、ハンドル35又はブラシネック95の外部の周囲に配設された発光ダイオード(LED)を含んでよい。例えば、電動歯ブラシ100が起動され、ユーザが歯磨きを開始すると、LEDは白色光を発してよい。ユーザが第1の閾値力(例えば、0.8N)を超える力を歯の表面に印加すると、LEDは色を変え、ユーザが適切な量の力で歯を磨いていることを示す緑色光を発してよい。次いで、ユーザが第2の閾値力(例えば、2.5N)を上回る力を印加することによって過剰な力を印加し始めると、LEDは再び色を変え、ユーザが最適な力の範囲(例えば、0.8N~2.5N)外の力を印加していることを示す赤色光又は別の有色光を発してよい。電動歯ブラシ100に含まれるコントローラは、圧力センサから圧力データ又は力データを受信してよい。コントローラは、圧力データ又は力データを第1の閾値力及び第2の閾値力と比較してよく、比較に基づいてLEDに制御信号を提供して、特定の色を発してよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、リフィル92は使い捨てであり、いくつかのリフィル92は、電動歯ブラシハンドル35に取り付けられ、電動歯ブラシハンドル35から取り外されてよい。例えば、4人家族が同一の電動歯ブラシハンドル35を共有してよく、各人は、使用中に電動歯ブラシハンドル35に自身のリフィル92を取り付ける。加えて、リフィル92は、限られた寿命を有してよく、ユーザは、特定の使用回数後に、古いリフィルを新しいリフィルに交換してよい。
【0024】
図2は、図1のブラシヘッド90の拡大図を示す。上記のように、ブラシヘッド90は取り付け面202を含み、取り付け面202には可動ブラシ毛ホルダ206が配設されている。数本のブラシ毛をそれぞれ含むブラシ毛束10、204には、ブラシ毛ホルダ206が取り付けられている。図2に示すように、毛束10、204は、取り付け面202に対して様々な非垂直の角度で配設されてよい。加えて、毛束10、204は、取り付け面202に垂直な線に対して上下に傾いていてよい、又は取り付け面202に垂直な線に対して左右に角度付けされてよい、又は取り付け面202に垂直な線に対して上下及び左右の組み合わせで角度付けされてよい。
【0025】
所定の回転角度、所定の回転周波数でブラシ毛ホルダ206を回転させるために、モータ37は、ブラシ毛ホルダ206に連結された歯車構造に連結されている。モータ37は、歯車構造を駆動するリニアモータであってよい。リニアモータ37が上下に動くとき、歯車構造は、リニアモータ37の動きをブラシ毛の回転に変換する。より具体的には、リニアモータ37は、リニアモータ37に連結された駆動シャフトを介して直線振動運動を提供してよく、直線振動はブラシヘッド90に伝達され、それぞれの歯車ユニットによって、駆動シャフトが沿って振動する長手方向軸に対して本質的に垂直であり得る回転軸の周りでの、又はブラシヘッド90の取り付け面に垂直な回転軸を中心とした、ブラシ毛ホルダ206の振動回転に変換されてよい。モータ37は、直線振動運動を介して歯車構造に、閾値周波数(例えば、100Hz)を超える特定の回転周波数(例えば、145Hz)でブラシ毛を所定の回転角度(例えば、28°)で時計回り及び反時計回りに回転させる。ブラシ毛が回転するとき、モータ37はまた、直線振動運動を介してブラシヘッド90を振動させ、ブラシ毛の回転と同期してユーザの歯など接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動く。
【0026】
モータ37及び歯車構造の少なくとも一部分を含む電動歯ブラシハンドル35の内部を図3Aに示す。いくつかの実施形態では、駆動シャフトは、歯車構造に含まれてよい。上記のように、電動歯ブラシ100は、電動歯ブラシハンドル35と、取り外し可能なリフィル92と、を含む。モータハウジング302は、ハンドル35内に配設されている。
【0027】
リニアモータ37は、モータハウジング302と、両方向矢印Aで示すように、長手方向(長手方向軸Lに平行)に沿った直線振動用に取り付けられた電機子304と、固定子306と、両方向矢印Bで示すように、長手方向に沿った直線振動用に取り付けられた二次質量ユニット308と、を有してよい。デカルト座標システムが示されており、このシステムでは、x軸は長手方向軸Lと一致し、y軸は、x軸に対して横方向に垂直である。z軸は、接触面に向かう方向及び接触面から離れる方向である。
【0028】
固定子306は、モータハウジング302と固定的に接続され得るコイルコア312と、コイルコア312の周りに巻かれた固定子コイル314と、を備える。図3AではE字形(すなわち、3つの歯状)の地鉄を示すが、これは、他の地鉄設計、例えばU字形(すなわち、2つの歯状)の地鉄が用いられ得ることを除外するものではない。コイルコア312の歯は、電機子304の中央部318に取り付けられた永久磁石配列316に面する端面を有する。リニアモータ37は、動作中に固定子コイル314に電流を供給するために少なくとも2つの電気接点を備えてよい。コイルコア312は、強磁性金属シート(「軟鉄」、例えば、Fe-Si系金属)など単離されたシートの積層体で作製されてよい。
【0029】
電機子304はまた、強磁性金属シート(例えば、Fe-Ni系金属)など単離シートの積層体で(少なくとも部分的に)作製されてよい。電機子304は、少なくとも1つの電機子取り付けばねアセンブリ320、322によってハウジング302に取り付けられてよく、二次質量ユニット308は、少なくとも1つの二次質量体取り付けばねアセンブリ324、326によってモータハウジング302に取り付けられてよい。図示の例示的な実施形態では、電機子304は、2つの電機子取り付けばねアセンブリ320及び322によってハウジング302に取り付けられ、二次質量体328は、2つの二次質量体取り付けばねアセンブリ324及び326によってハウジングに取り付けられる。一実施形態では、電機子取り付けばねアセンブリ320及び322又は二次質量体取り付けばねアセンブリ324及び326は、それぞれが長手方向軸Lに垂直な平面に静止状態で延在し得る板ばねとして具現化されてよく、これらの板ばねは、ばねの外側に配置された第1締結部と、バネのより中心の領域に配置された第2締結部と、を有するスパイラル状の形状を有してよい。
【0030】
取り付けばねアセンブリ320、322、324、326のそれぞれは、モータハウジング302において、又はそれに対して固定的に接続された一端(すなわち、第1の締結部を有する)、及び電機子304又は二次質量ユニット308とそれぞれ固定的に接続されたもう一端(すなわち、第2の締結部)にあってよい。上記のばねアセンブリ320、322、324、又は326のそれぞれは、単一の板ばねで、又はx方向に積層された(具体的には同一形状の)板ばねの積層体で作製されてよい。板バネのそれぞれは、目標ばね定数を達成するために、x方向に特定の厚さを有してよい。板バネの厚さ及び数は、共振周波数及び反共振(つまり、相殺)周波数などリニアモータ37の構成要素の特性を調整するように設定されてよい(反共振、つまり相殺周波数は、電機子及び二次質量体が本質的に対向する位相で動くだけではなく、モータハウジングに伝達される振動が最小となるように本質的に同一の振幅で動く周波数である)。高いばね定数は、2枚の薄い板ばねの積層体ではなく、1枚の厚い板ばねによって達成され得るが、より厚い板ばねは、2枚の薄い板バネの積層体とは異なるたわみ曲線を有し、後者がより良好な耐疲労性を有し、したがってモータ設計全体の長寿命挙動を改善し得ることが見出されている。2つの振動システムとして、すなわち、それぞれの電機子取り付けばねアセンブリ320及び322と共に電機子304を備える第1のシステム、並びに二次質量ユニット308及びそれぞれの二次質量体取り付けばねアセンブリ324及び326を備える第2のシステムは、しっかり連結され、2つのシステムの共振周波数は強く依存している。一実施形態では、電機子304は、x方向に延在し、長手方向軸線Lに対して中心に配設される係止突起部342及び344を有してよい。本開示によるリニアモータの例示的な実施形態について図3Aに示すように、下部係止突起部342は、下部電機子取り付けばねアセンブリ322と固定的に接続されてよい。更に、上部係止突起部344は、上部電機子取り付けばねアセンブリ320と固定的に接続されてよい。加えて、上部係止突起部344は、駆動シャフト346との接続を確立してよく、これにより、二重矢印Aで示す電機子304の直線振動は、運動中に駆動シャフト346へ、及び駆動シャフト346からブラシ毛ホルダ206に伝達される。駆動シャフト346は、長手方向軸線Lに対して中心に配設されてよい。
【0031】
更に、二次質量体328は、x方向(すなわち、長手延在方向)に延在し、長手延在方向軸Lに沿って中心に配設される係止突起部348及び350を有してよい。上部係止突起部350は、二次質量体取り付けばねアセンブリ326と固定的に接続されてよい。更に、下部係止突起部348は、下部二次質量体取り付けばねアセンブリ324と固定的に接続されてよい。
【0032】
電機子304(それぞれの電機子取り付けアセンブリ320及び322と合わせて)及び二次質量ユニット308のアセンブリ全体は、本質的に、2質量系発振器を形成する(ここでは電機子304が、駆動シャフト346を介して、動作中に駆動されることになる、より遠くの、少なくとも部分的にばね様である取り付け部と接続され得ることを無視し、また、ハウジングの振動は、ハウジング質量も無視できるように、互いに完全に相殺され得ると仮定する)。以下でより詳細に説明するように、二次質量ユニット308は、動作中に電機子振動に対して対向振動に励起されるように用いられる。したがって、一方では、モータハウジング302(したがって、リニアモータ37が取り付けられる電動歯ブラシ100のハンドル35)に伝達される振動は、二次質量ユニット308を有さない設計よりも低減され、他方では、ハウジングに伝達される振動は、電機子304の振動に対する二次質量ユニット308の逆位相振動により、少なくとも部分的に互いに相殺し合う。これを達成するために、電機子304の振動の変化(例えば、リニアモータ37で印加される荷重による)は、対向振動が、電気装置のハンドル部を保持するユーザが感じる振動を低減できるように、二次質量ユニット308に迅速に伝達される。
【0033】
電機子304は、いくつかの部分、すなわち、2つの端部352及び354と、1つの中央部318と、中央部318の一端をそれぞれの端部352又は354とそれぞれ接続する2つの中間部分356及び358と、を備えてよい。すなわち、下部中間部356は、中央部318の下端を下端部352と接続させ、上部中間部358は、中央部318の上端を上端部354と接続させる。下端部352及び上端部354は、モータハウジング302まで一定の距離を有する長手方向軸Lの周りに中心として配設されてよく、中央部318は、モータハウジング302に対してごくわずかな距離で配置される。すなわち、中央部318は、長手方向軸Lに平行であり、モータハウジング302により近い長手方向軸に沿って延在する。したがって、中央部318は、中央部318とモータハウジング302の反対側との間でより多くの構造容積が利用可能となるように、モータハウジング302の片側に向かって後退する。固定子が電機子の周りに配置される電動歯ブラシで知られている他のリニアモータ設計とは対照的に、電機子304のこの特定の設計は、上記のように、モータハウジングの反対側で電機子304の中央部318の反対側に固定子306を配置することを可能にする。永久磁石アセンブリ316は、コイルコア312の歯の端面に面する電機子304の中央部318の側に配設される。永久磁石は、(焼結)FeNdB(ネオジム-鉄-ボロン)材料で作製されてよい。
【0034】
具体的には、コイルコア312の端面と永久磁石配列316との間の空隙は、長手方向軸Lに近接して、これに対してほぼ中心に延在してよく、この設計は、動作中により低い傾斜力をもたらし得、取り付けばねアセンブリを電機子用ベアリングとしても使用することを支援する。これは、一方では、より単純なモータ設計をもたらし、したがって、比較的低コストのリニアモータを実現し、他方では、所与の構造容積においてより高い力がリニアモータによって提供されることを可能にする設計オプションをもたらす。
【0035】
図3Bは、リフィル92に含まれてブラシ毛ホルダ206の動きを駆動する、例示的な歯車構造を示す。図3Aに示し、電動歯ブラシハンドル35に含まれる駆動シャフト346は、リフィル部92に連結され、直線的に振動する。駆動シャフト346は、接続部351で終結する電動歯ブラシハンドル35内の概ね管状の前側ハウジング349の中空内に延在し、接続部351は、取り付け部においてそれぞれのコネクタ構造と特定の機械的接続を確立するのに好適なコネクタ構造を備えてよい。駆動シャフト346は、その自由端(電機子304に連結されている端部の反対側)に、取り付け要素366のそれぞれの磁気連結要素との磁気接続を確立するための磁気連結要素355を収容し得るホルダ部353を有し、その結果、駆動シャフト346は、駆動運動のために、電機子304によってもたらされた直線運動をリフィル92に取り付けられたブラシ毛ホルダ370に伝達することができる。直線運動は、リフィル92内のそれぞれの歯車ユニットによって、駆動シャフトが沿って振動する長手方向軸に対して本質的に垂直であり得る回転軸の周りでの、又はブラシヘッド90の取り付け面に垂直な回転軸を中心とした、ブラシ毛ホルダ206の振動回転に変換されてよい。
【0036】
図3Bを参照すると、リフィル92は、リニアモータ37に連結された駆動シャフト346に連結された歯車構造を含み、歯車構造は、近位端364A及び遠位端364Bを有する駆動部材364を含む。近位端364Aは、第1の取り付け要素366を備えてよく、遠位端364Bは接続部368を備えてよい。接続部368は、ブラシ毛ホルダ(例えば370)に連結されてよい。ブラシ毛ホルダ370は、駆動時にブラシ毛ホルダ370が振動回転方式で動き得るように、取り付けハウジング372に回転可能に連結されてよい。図3Bに示すように、接続されると、電動歯ブラシハンドル35の外側表面とリフィル92の内側表面とが密接に接触して、接触ゾーン380が生じる。隙間を回避するために、圧入が使用されてよく、締まり嵌めでは、両部分間の直径が0.04mm~0.16mmであってよい。電動歯ブラシハンドル35の接続部351とリフィル92の取り付け要素との間でのこの緊密な嵌合、つまり隙間の欠如は、リフィル92の左右の動きを阻止する横剛性を生み出す。このようにして、ブラシ毛がユーザの歯の表面など接触面と接触して動く際に生じるブラシ毛の屈曲力及び座屈力は、左右ではなく、接触面に向かって、及び接触面から離れる方向でのブラシ毛ホルダ370内の動きを誘発する。
【0037】
第1の取り付け要素366は、永久磁石又は磁化可能な要素、例えば、磁化可能な鉄若しくは鋼のブロックなどを含んでよい。典型的には、オーステナイト鋼は磁化可能ではないが、マルテンサイト鋼又はフェライト鋼は、典型的には磁化可能である。第1の取り付け要素366は、駆動部材364の近位端364Aの凹部内に配設されてよい。
【0038】
図示のように、駆動部材364は、矢印374で示すように、長手方向軸L2に対して概ね平行に往復運動してよい。接続部368が旋回軸376に対して偏心しているため、駆動部材364の往復運動は、回転軸を中心としてブラシ毛ホルダ370を回転させる。
【0039】
駆動部材364は比較的細くてよく、リフィル92内でのコンパクトな適合を可能にする。加えて、駆動部材364は、機械的に安定していてよく、約10Nの力を伝達することが可能であってよい。したがって、駆動部材364は、少なくとも200Hz、約225Hzより高い、約250Hzより高い、約275Hzより高い、又は所与の値を含む若しくは所与の値内の任意の数若しくは任意の範囲の固有周波数を有してよい。
【0040】
駆動部材364は任意の好適な材料を含んでよい。いくつかの例としては、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。いくつかの実施形態では、駆動部材364に追加の補強が加えられてよい。例えば、補強繊維、例えばKevlar(商標)繊維を駆動部材364の材料に加えてよい。任意の他の好適な補強繊維が加えられてよい。加えて、駆動部材364は、座屈の可能性を低減するように構成されている形状を備えてよい。例えば、駆動部材364は、十字形、Y形、又は任意の他の好適な形状である断面を備えてよい。
【0041】
前述したように、いくつかの実施形態では、電動歯ブラシ100は、約120Hzより高い動作周波数を有してよい。このような周波数では、いくつかの実施形態において、リフィル92が動作周波数の共振周波数よりも大きい共振周波数を有することが重要である。リフィル92の共振周波数が所望の周波数にあまりに近い場合、動作中に、リフィル92内で共振運動が誘発され得る。例えば、リフィル92又は駆動部材364は、左右の動きを経験してよい。この左右の動きは、ユーザを不快にし得る、及び/又は動作中の更なるノイズを発生させ得る。共振運動が望ましくないこれらの実施形態については、リフィル92の共振周波数は、所望の周波数の約125パーセントより高くてもよい。
【0042】
直線振動運動Aは、モータ37に連結された歯車構造に、ブラシ毛ホルダ206を回転させる。いくつかの実施態様では、ブラシ毛ホルダ206の回転周波数は、直線振動運動Aの周波数に比例する。更に、回転振幅又は所定の回転角度は、振動運動Aの振幅に比例する。
【0043】
閾値距離未満の電動歯ブラシハンドル35との圧入を有するリフィル92に含まれる歯車構造にブラシ毛ホルダ206を回転させることに加えて、ユーザの歯の表面など接触面と接触しているとき、モータの直線振動運動M、電子歯ブラシハンドル35に対するリフィル92の緊密な嵌合若しくは横剛性を含む歯車構造、及び/又はブラシ毛が動くときに生じる、ブラシ毛の屈曲力及び座屈力は、ブラシヘッド90を、周期的に接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に(z方向とも呼ばれる)わずかに動かし(例えば、接触面の方向での運動量は、300μm未満であってよく、100μm~300μmなどであってよい)、この動きは、振動又は微小振動と呼ばれてよい。いくつかの実施形態では、微小振動は、ブラシ毛密度、ブラシ毛がブラシ毛ホルダ206に配設される角度、屈曲力及び座屈力を生じさせるブラシ毛繊維の剛性などブラシ毛の特性によって生じてよい。図4は、ブラシ毛が3つの異なるブラシヘッド90に対して回転するときのブラシヘッド90の例示的な動きを示す。各ブラシヘッド90は、異なるブラシヘッド設計を含んでよく、毛束10は異なる角度で角度付けされ、ブラシヘッド90は異なるブラシ毛密度を含む。例えば、第1のブラシヘッド(ブラシヘッドA)内の毛束10は角度付けられてよく、約3740本のブラシ毛のブラシ毛密度を有してよい。第2のブラシヘッド(ブラシヘッドB)内の毛束10は真っ直ぐであってよく、約4000本のブラシ毛のより高いブラシ毛密度を有してよい。第3のブラシヘッド(ブラシヘッドC)内の毛束10は角度付けられてよく、約2460本のブラシ毛のより低いブラシ毛密度を有してよい。
【0044】
表400に示すように、ブラシ毛が左に回転すると、ブラシ毛B及びブラシヘッドCは、ブラシヘッドAよりも小さい振幅(例えば、50μm)で接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動く。ブラシ毛が左に回転すると、ブラシヘッドAは、ブラシヘッドB及びCよりも大きい振幅(例えば、150μm)で接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動く。ブラシ毛が右に回転すると、ブラシヘッドBは、この場合も、より小さい振幅(例えば、50μm)で接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動く。したがって、ブラシヘッドBは、ブラシ毛の1回転サイクル中に2回振動する。これは、以下により詳細に記載する図8Bに更に例示する。ブラシ毛が左に回転するとき、ブラシヘッドCは接触面に向かって、及び接触面から離れる方向にのみ動く。これは、以下により詳細に記載する図8Cに更に例示する。加えて、ブラシ毛が右に回転するとき、ブラシヘッドAは、回転の第1の部分中には動かない。ブラシヘッドAは、次いで、右への回転の第2の部分中に、より小さい振幅(例えば、50μm)で、接触面に向かって、及び接触面から離れる方向に動く。これは、以下により詳細に記載する図8Aに更に例示する。
【0045】
図5A及び図5Bは、ブラシヘッド90から接触面に様々な量の力が印加されるときのブラシヘッド90の動きを示す。この動きは、モータ37が作動し、ブラシ毛が回転している間に生じる。この動きは、接触面に向かって、及び接触面から離れる方向へのブラシヘッド90の動きであるz方向、及びブラシヘッド90の左右の動きであるy方向に例示される。x方向はブラシヘッド90の上下の動きである。いずれの場合も、図5Aのグラフ500は、ブラシヘッド90から接触面にゼロの力が印加された(例えば、電動歯ブラシ100はユーザの歯とまだ接触していない)ときのブラシヘッド90の動きを示す。このシナリオでは、ブラシヘッド90はごくわずかに動き、z方向よりもy方向に動くように見えるが、それでもなおy方向での動きはほとんどない(例えば、100μm未満)。図5Bのグラフ550は、ブラシヘッド90から接触面にゼロの力が印加されるとき、ブラシヘッド90から接触面に1Nの力が加えられるとき、ブラシヘッド90から接触面に2Nの力が加えられるとき、及びブラシヘッド90から接触面に3Nの力が加えられるときのブラシヘッド90の動きの比較分析を示す。ブラシヘッド90から接触面にゼロの力が印加されるときにはz方向への動きはほとんどないが、1N、2N、及び3Nの力が印加されるときに、ブラシヘッド90は、z方向に著しくより多くの動きを呈する。各例において、ブラシヘッド90は、z方向に約200~300μm動く。加えて、1N、2N、及び3Nの力が印加されるときのy方向の動きは、ゼロの力が印加されるときとほぼ同じである。
【0046】
このことは、接触面に様々な量の力が印加されるときにブラシヘッド90のブラシ毛を介して伝達される振動の量を示すグラフ600を示す、図6により明確に示されている。グラフ600は、接触面に印加される力の関数として振動量を示し、振動量は、印加された荷重ごとに測定された力の標準偏差として測定される。印加された力の標準偏差は、ブラシヘッド90のz方向での振動力又はブラシ毛接触力の振幅を示す。これは、ブラシ毛の屈曲力/座屈力が増加すると、ブラシヘッド90は上に、接触面から離れる方向へと動き、屈曲力/座屈力が減少すると、ブラシヘッド90は接触面に向かって下に戻るためである。いずれの場合も、グラフ600に示すように、接触面に印加される力が1N未満であるときには、振動量は0.1N~0.15Nである。接触面に印加される力が閾値量を上回って増加すると(例えば、0.8N以上)、振動量は0.35N~0.45Nへと著しく増加し、荷重が1N未満であるときの振動量と比較して3倍の振動量となる。
【0047】
更に、ブラシヘッド90の振動、つまり接触面に向かって、及び接触面から離れる方向への周期的な動きは、ブラシヘッド90が回転周波数に対応する振動周波数で振動するために、ブラシ毛の回転と同期してよい。より具体的には、ブラシヘッド90の振動周波数成分は、振動周波数が回転周波数と調和するように、ブラシ毛の回転周波数及び/又は回転周波数の倍数として基本周波数を含んでよい。結果として、歯磨き期間中に電動歯ブラシ100によって生じるノイズの量は、これらの高調波効果を呈さない代替システムと比較して減少する。これはまた、より滑らかな音及びより円滑な歯磨き体験をユーザに提供する。
【0048】
図7Aは、閾値量の力(例えば、2N)を超える量の力が接触面に印加される歯磨き期間中のブラシヘッド90の振動の周波数成分を示すグラフ700を示す。周波数成分は、高速フーリエ変換(FFT)などブラシヘッド90のブラシ毛を介して伝達された振動のフーリエ変換解析から決定される。ブラシ毛の回転周波数は145Hzである。グラフ700に示すように、ピーク周波数は、147Hz、293Hz、及び437Hzであり、それぞれ回転周波数と実質的に同じ、回転周波数の2倍、及び回転周波数の3倍である。したがって、ブラシヘッド90の振動はブラシ毛の回転と同期し、回転周波数及び振動数は互いに調和している。
【0049】
対照的に、ハンドル駆動の脈動を含む代替電動歯ブラシは、図7Bのグラフ750に示すように類似の高調波効果を呈さない。代わりに、代替電動歯ブラシの振動の周波数成分は、複数の基本周波数、及びこれらの基本周波数の混合物を含むように見えるので、より大きく、耳障りな音を発する歯ブラシとなる。より具体的には、グラフ750に示すように、ピーク周波数は、回転周波数と実質的に同じである93Hzの第1の基本周波数と、代替電動歯ブラシの脈動周波数と実質的に同じである417Hzの第2の基本周波数と、を含む。ピーク周波数としてはまた、第1の基本周波数のほぼ2倍である184Hz、第2の基本周波数と第1の基本周波数の2倍との差である233Hz、第1の基本周波数のほぼ3倍である277Hz、第2の基本周波数と第1の基本周波数との間の差にほぼ等しい327Hz、第1の基本周波数のほぼ4倍である367Hz、第1の基本周波数のほぼ5倍である460Hz、及び第1の基本周波数と第2の基本周波数との合計である510Hzが挙げられる。
【0050】
図8A図8Cは、ブラシヘッド90の振動と3つの異なるリフィル92のブラシ毛の回転との同期の更なる例を示す。各リフィル92は、毛束10が異なる角度で角度付けされているリフィル設計を含んでよく、異なる毛束サイズ、ブラシ毛密度、及びブラシ毛の総数を含んでよく、これらは微小振動の振幅及び振動数に影響を与える。例えば、第1のリフィルの毛束10は、16°で角度付けされてよく、第2のリフィルの毛束10はブラシヘッドに対して垂直であってよく、第3のリフィルの毛束10は、16°で角度付けされてよく、第1のリフィルよりも著しく低いブラシ毛密度を有してよい。
【0051】
グラフ800、830、860のそれぞれは、時間の関数としてブラシ毛の回転運動とブラシヘッドの動きとの比較を含む。各グラフ800、830、860では、ブラシ毛及びブラシヘッド90の両方が正弦波運動パターンを呈する。加えて、振動周波数及び回転周波数は、同じ、又は互いの倍数のように見える。例えば、グラフ800では、振動及び回転の各サイクルの期間は約7msのように見え、約145Hzの振動周波数及び回転周波数を示す。グラフ830では、振動の期間は、回転の期間の約半分の長さのように見え、約145Hzの回転周波数及び約290Hzの振動周波数を示す。グラフ800に類似して、グラフ860では、振動及び回転の両期間は約7msごとのように見え、約145Hzの振動周波数及び回転周波数を示す。
【0052】
加えて、各グラフ800、830、860では、振動及び回転の期間及び振幅は、経時的に一貫したままである。例えば、グラフ800では、振動の各期間は約7msであり、回転の各期間は約7msである。更に、グラフ800では、振動の各振幅は約0.15mmであり、回転の各振幅は約1.5mmである。振幅及び期間は経時的に変化しない。これは、振動の期間及び振幅が一貫せず、経時的に、又は異なる歯磨き荷重が印加されると大きく変化し得る代替電動歯ブラシとは異なる。
【0053】
更に、歯磨き期間中、モータ37は、接触面に印加される荷重又は力の量に関係なく、ブラシブラシ毛ホルダ206に、所定の回転角度に一致する、一貫した回転角度を維持させる。これについては、接触面に様々な量の力が印加されるときの、経時的なブラシ毛の例示的な回転角度を示すグラフ1000を示す図9Aに示す。グラフ1000では、0Nが接触面に印加されたときの回転角度は、約33°である。同様に、1N、2N、又は3Nが接触面に印加されるときの回転角度はまた、約33°、又は例えば、31°~35°である。したがって、ブラシ毛の回転量は、接触面に印加される荷重が増加するときも実質的に同じままである。ブラシ毛ホルダ206の回転角度は、代替電動歯ブラシシステムでのように荷重下で減少せず、より大きな荷重は、ブラシ毛が潰れること、及び/又は印加された荷重がモータ/歯車システムの有効な動きを低減することに起因して、より小さい回転角度をもたらす。
【0054】
対照的に、図9Bのグラフ1050に示すように、代替電動歯ブラシシステムでは、0Nが接触面に印加されたときの回転角度は、約46°である。しかしながら、2Nが接触面に印加されると、回転角度は約36°に減少し、3Nが接触面に適用されると、回転角度は約32°に更に減少する。したがって、図9Bの代替電動歯ブラシシステムでは、印加される荷重は、モータ/歯車システムの有効な動きを低減する。
【0055】
本明細書全体を通して、複数の実例が、単一の実例として説明される構成要素、動作、又は構造を実装してもよい。1つ以上の方法の個々の動作が別個の動作として図示及び説明されているが、個々の動作のうちの1つ以上が同時に実施されてもよく、また動作が図示の順序で実施される必要はない。例示的な構成における別個の構成要素として提示される構造及び機能は、組み合わされた構造又は構成要素として実現されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示される構造及び機能は、別個の構成要素としても実現され得る。これら及び他の変形、修正、追加、及び改善も本明細書の主題の範囲に含まれる。
【0056】
更に、特定の実施形態については、論理又はいくつかのルーチン、サブルーチン、アプリケーション、又は指示を含むものとして本明細書に記載されている。これらは、ソフトウェア(例えば、機械可読媒体上に若しくは送信信号内に具現化されたコード)又はハードウェアのいずれかを形成し得る。ハードウェアでは、ルーチンなどは、特定の動作を実施することが可能な有形のユニットであり、特定の様式で構成又は配置され得る。例示的な実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアント若しくはサーバーコンピュータシステム)又はコンピュータシステムの1つ以上のハードウェアモジュール(例えば、プロセッサ若しくはプロセッサのグループ)が、本明細書に記載されるような特定の動作を実施するように動作するハードウェアモジュールとしてソフトウェア(例えば、アプリケーション若しくはアプリケーション部分)によって構成されてもよい。
【0057】
様々な実施形態において、ハードウェアモジュールは、機械的に実装されても電子的に実装されてもよい。例えば、ハードウェアモジュールは、(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは特定用途向け集積回路(ASIC)などの専用プロセッサとして)永続的に構成された専用回路又はロジックを含んでもよい。ハードウェアモジュールはまた、特定の動作を実施するようにソフトウェアによって一時的に構成されるプログラマブルロジック又は回路(例えば、汎用プロセッサ若しくは他のプログラマブルプロセッサ内に包含される)を含んでもよい。ハードウェアモジュールを機械的に、専用にかつ永続的に構成された回路に実装するか、それとも一時的に構成された回路(例えば、ソフトウェアによって構成される)に実装するかの判断は、コスト及び時間の考慮によって判定され得ることが理解されるであろう。
【0058】
したがって、用語「ハードウェアモジュール」は、特定の様式で動作するようにあるいは本明細書に記載された特定の動作を実施するように、物理的に構築された実体であっても、恒久的に構成された(例えば、配線された)実体であっても、一時的に構成された(例えば、プログラムされた)実体であっても、有形の実体を包含すると理解されるべきである。ハードウェアモジュールが一時的に構成される(例えば、プログラムされる)実施形態を考慮すると、ハードウェアモジュールのそれぞれは、任意の時点で構成又は具現化される必要はない。例えば、ハードウェアモジュールが、ソフトウェアを使用して構成された汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサは、異なる時間にそれぞれの異なるハードウェアモジュールとして構成されてもよい。したがって、ソフトウェアは、例えば、ある1つの時点では特定のハードウェアモジュールを形成するように、また異なる時点では異なるハードウェアモジュールを形成するように、プロセッサを構成してもよい。
【0059】
ハードウェアモジュールは、他のハードウェアモジュールに情報を提供し、他のハードウェアモジュールから情報を受け取ることができる。したがって、記載されたハードウェアモジュールは、通信可能に連結されていると見なされ得る。複数のそのようなハードウェアモジュールが同時に存在する場合、通信は、ハードウェアモジュールを接続する信号伝送を通じて(例えば、適切な回路及びバスを介して)達成され得る。複数のハードウェアモジュールが異なる時間に構成又はインスタンス化される実施形態では、そのようなハードウェアモジュール間の通信は、例えば、複数のハードウェアモジュールがアクセスするメモリ構造内の情報の記憶及び取り出しを通じて達成されてもよい。例えば、1つのハードウェアモジュールは、ある動作を実施し、そのハードウェアモジュールが通信可能に連結されているメモリデバイス内にその動作の出力を記憶することができる。次いで、更なるハードウェアモジュールが後に、記憶された出力を取り出し、処理するために、メモリデバイスにアクセスすることができる。ハードウェアモジュールはまた、入力又は出力デバイスとの通信を開始することができ、リソース(例えば、情報の集合体)上で動作することができる。
【0060】
本明細書に記載される例示的方法の様々な動作は、少なくとも部分的に、関連する動作を実施するように一時的に構成された(例えば、ソフトウェアによって)又は永続的に構成された1つ以上のプロセッサによって実施されてもよい。一時的に構成されたか、又は永続的に構成されたかにかかわらず、このようなプロセッサは、1つ以上の動作若しくは機能を実施するように動作するプロセッサ実装モジュールを形成し得る。本明細書で言及されるモジュールは、いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサ実装モジュールを含み得る。
【0061】
同様に、本明細書に記載される方法又はルーチンは、少なくとも部分的にプロセッサ実装され得る。例えば、ある方法の動作のうちの少なくともいくつかは、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサ実装ハードウェアモジュールによって実施され得る。それらの動作の特定の性能は、1つ以上のプロセッサに分散されてもよく、単一のマシン内に存在するだけでなく、多数の機械にわたって展開されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、単一の場所(例えば、家庭環境、オフィス環境内に、あるいはサーバーファームとして)に配置されてもよく、他の実施形態では、プロセッサは、いくつかの場所にわたって分散されてもよい。
【0062】
それらの動作の特定の性能は、1つ以上のプロセッサに分散されてもよく、単一のマシン内に存在するだけでなく、多数の機械にわたって展開されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールが、単一の地理的位置(例えば、家庭環境、オフィス環境、又はサーバーファーム内)に配置されてもよい。他の例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールが、多数の地理的位置にわたって分散されてもよい。
【0063】
特に明記しない限り、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「判定する」、「提示する」、「表示する」などの単語を用いた本明細書における説明は、1つ以上のメモリ(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はこれらの組み合わせ)、レジスタ、又は情報を受信、記憶、送信、又は表示する他の機械構成要素内に物理的(例えば、電子的、磁気的、又は光学的)量として表現されるデータを操作又は変換する機械(例えば、コンピュータ)のアクション又はプロセスに関連し得る。
【0064】
本明細書全体を通した「一実施形態(one embodiment)」又は「ある実施形態(an embodiment)」への言及は、本実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含められることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所における「一実施形態では(in one embodiment)」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すものではない。
【0065】
いくつかの実施形態は、その派生物と共に「連結された」及び「接続された」という表現を用いて説明され得る。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していることを示すために、「連結された」という用語を用いて説明され得る。しかしながら、「連結された」という用語はまた、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働又は相互作用することを意味し得る。実施形態は、この状況に限定されない。
【0066】
本明細書で使用するとき、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語又はこれらの任意の他の変化形は、非排他的な包含に対応することを意図したものである。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか、あるいはそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含み得る。更に、そうでない旨が明示的に記載されない限り、「又は、若しくは、あるいは(or)」は、包含的な「又は、若しくは、あるいは(or)」を指すものであり、排他的な「又は、若しくは、あるいは(or)」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、Aが真であり(あるいは存在し)かつBが偽である(あるいは存在しない)こと、Aが偽であり(あるいは存在せず)かつBが真である(あるいは存在する)こと、並びに、AとBの両方が真である(あるいは存在する)こと、のうちのいずれか1つによって満足される。
【0067】
加えて、「a」又は「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは単に便宜上行われ、説明の一般的な意味を与えるものである。本明細書及び以下の特許請求の範囲は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形はまた、そうでないことを意味することが明らかでない限り、複数形も含む。
【0068】
本開示との関連において、「実質的に」という用語は、理論上は正確な一致又は挙動を示すことが期待されるが、実際にはわずかに正確ではないものとして具体化され得る要素又は機構の構成を意味する。そのようなものであるから、本用語は、定量的な値、測定値、又はその他の関連する表現が、問題とされる対象物の基本的機能に変化をもたらすことなく、記載される基準から変動し得る程度を示すものである。
【0069】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0070】
あらゆる相互参照又は関連する特許若しくは出願を含む、本明細書に引用される全ての文献の開示は、明確に除外する、ないしは別の形で限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0071】
この詳細な説明は例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、また、可能な全ての実施形態を説明することは不可能ではないとしても非現実的であるので、可能な全ての実施形態を説明するものではない。現在の技術又は本出願の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替的な実施形態が実現され得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
【国際調査報告】