(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-07
(54)【発明の名称】透明なカプセル化構造を含む能動植込み型医療機器(AIMD)
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20220630BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502085
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2019069087
(87)【国際公開番号】W WO2021008688
(87)【国際公開日】2021-01-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517285068
【氏名又は名称】シナジア メディカル
【氏名又は名称原語表記】Synergia Medical
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドフラインド,カルメン
(72)【発明者】
【氏名】ドゲット,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】デ コック デ ラメヤン,オーレリー
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェンヒュー,オーロラ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ02
4C053JJ11
4C053JJ18
4C053JJ24
4C053JJ27
4C053JJ33
(57)【要約】
本発明は、患者の体内への植込み用の能動植込み型医療機器(AIMD)に関し、前記AIMDは、380~2200nmに含まれる所与の波長範囲に対して透明な壁によって外部環境から封止式に分離された内部空間を画成するカプセル化構造(1)を含み、(a)壁は、互いに対面し且つ内部空間の内側高さ(Hi)だけ互いに分離された第1の主壁(1a)及び第2の主壁(1b)を含み、(b)カプセル化構造は、第1の構成要素(2)及び第2の構成要素(3)によって形成されたハウジングを含み、両構成要素は、単一の材料で作製され、且つ単一の境界面(23)に沿って互いに密封接合されて、壁によって外部環境からハーメチックシールされた内部空間を画成し、(c)内部空間には、所与の波長範囲の主光源(10L)及び/又は所与の波長範囲の光を検知し且つカプセル化構造の壁に対面する第1の光検知器(10P)を含む電子回路を含んでおり、第1の構成要素(2)と第2の構成要素(3)との接合は、第3の材料を追加することなく、溶接によって実施され、内部空間は、少なくとも2cm
3の容積の容積領域(Vi)を有する。
【選択図】
図6b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内への植込み用の能動植込み型医療機器(AIMD)であって、前記AIMDは、容積領域(Vi)の内部空間の境界を規定する内面と、外部環境に接する外面とにより規定された壁によって、前記外部環境から封止式に分離された前記内部空間を画成するカプセル化構造(1)を含み、前記外面は、第1の軸(X)に沿って測定された長さ(Lo)、第2の軸(Y)に沿って測定された幅(Wo)、及び第3の軸(Z)に沿って測定された高さ(Ho)によって規定され、X⊥Y⊥Zである、能動植込み型医療機器において、
(a)前記壁は、互いに対面し且つ前記第3の軸(Z)に沿って測定された前記内部空間の内側高さ(Hi)だけ互いに分離された第1の主壁(1a)及び第2の主壁(1b)を含み、前記第1及び第2の主壁は、外面が面的であるか又は少なくとも100mmの曲率半径(R)の単曲率若しくは二重曲率を有するいずれかの壁部分として規定され、
(b)前記カプセル化構造は、第1の構成要素(2)及び第2の構成要素(3)によって形成されたハウジングを含み、両構成要素は、単一の透明なセラミック材料で作製され、且つ単一の境界面(23)に沿って互いに密封接合されて、前記壁によって、前記外部環境からハーメチックシールされた前記内部空間を画成し、
(c)前記内部空間には、所与の波長範囲の主光源(10L)及び/又は前記所与の波長範囲の光を検知するための第1の光検知器(10P)を含む電子回路基板(7)を含み、前記所与の波長範囲は380~2200nmに含まれる、能動植込み型医療機器において、
前記第1の構成要素(2)と前記第2の構成要素(3)との間の前記境界面は、第3の材料を追加することなく、溶接によって形成されること、
前記内部空間の前記容積領域(Vi)の容積は少なくとも2cm3であること、
前記第1及び第2の主壁の平均厚さ(t1a、t1b)は、400~1200μmに含まれること、
前記主光源(10L)及び/又は前記第1の光検知器(10P)は、前記第1の主壁(1a)の光用壁部分(1Lt)に対面すること、及び
前記光用壁部分(1Lt)は、室温において、850nmの波長に対して、ASTM D1003-7に従って測定された少なくとも75%の透過率を有することを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項2】
前記患者の電気的又は光学的に興奮性組織を電気的又は光学的に刺激するように構成された、請求項1に記載の能動植込み型医療機器において、前記機器は:
(D)ヒトの組織に結合するように構成された組織結合ユニット(50)、
(E)前記組織結合ユニット(50)に結合するように構成された遠位端と、前記カプセル化構造(1)に結合するように構成された近位端(30p)とを含む、導電線及び光ファイバー(30f)から選択されるエネルギー伝達リード線(30)
を含み、
(F)前記カプセル化構造(1)は、前記エネルギー伝達リード線の前記近位端(30p)を前記カプセル化構造に接続するように構成された接続ユニット(9)を含み、且つ前記内部空間内に、
・前記主光源(10L)とは異なり、且つエネルギーのパルスを出すように構成された光又は電気エネルギー源(11L)であって、エネルギー伝達リード線(30)の前記近位端が前記接続ユニット(9)に接続され且つ前記エネルギー伝達リード線の前記遠位端が前記組織結合ユニット(50)に接続されると、前記エネルギーパルスが、前記エネルギー伝達リード線を通して前記組織結合ユニットへ伝えられるようになる、光又は電気エネルギー源(11L)、及び/又は
・前記第1の光検知器(10P)とは異なり、及び前記光ファイバーの前記近位端が前記接続ユニットに接続され且つ前記光ファイバーの前記遠位端が前記組織結合ユニットに接続されると、前記組織結合ユニット(50)から出された光信号を検知し、及び光ファイバー(30f)を含む前記エネルギー伝達リード線(30)を通して前記カプセル化構造(1)へ伝達するように構成された第2の光検知器(11P)
を包囲することを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の能動植込み型医療機器において、前記第1及び第2の構成要素(2、3)を構成する前記単一の透明なセラミック材料は:石英ガラス、ホウケイ酸、ピネル、サファイア、又は酸化イットリウム材料から選択され、好ましくは前記単一の材料は石英ガラスであることを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、前記光用壁部分(1Lt)の前記外面及び/又は内面は、前記第1の主壁の他の部分の表面仕上げよりも滑らかな表面仕上げを有し、及び好ましくは、3μm未満、好ましくは1.5μm未満、一層好ましくは1μm未満のRa-粗さによって特徴づけられることを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、前記第1の主壁の前記外面の面積(A1)は、少なくとも3cm2、好ましくは少なくとも5cm2であることを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、前記第1の主壁(1a)の前記外面と前記第2の主壁(1b)の前記外面との間の、前記第3の軸(Z)に沿って測定された前記外面の前記高さ(Ho)は、3~15mm、好ましくは5~8mmに含まれることを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、前記内部空間は電子回路構成要素を包囲し、及び前記ハウジングは、
・前記電子回路構成要素によって占有されていない前記内部空間に樹脂(41)を充填することであって、任意選択的に、硬化収縮を低減させるために微粒子充填材で満たされ、前記樹脂及び任意選択的な微粒子充填材は、前記所与の波長範囲に対して透明であること、及び/又は
・前記第1の主壁(1a)から前記第2の主壁(1b)まで前記内部空間の前記内側の厚さ(Hi)にわたって延在する補強用ピラー(1P)を提供することであって、前記補強用ピラーは、好ましくは前記第1及び/又は第2の主壁と一体であること、及び/又は
・様々な厚さを有する壁を提供して、前記電子回路構成要素と前記壁の前記内面との間のヘッドスペースを減少させること
によって機械的に補強されていることを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、前記カプセル化構造の前記外面の一部又は全てにわたって付けられた保護ポリマー層(40)を含み、前記第1の主壁(1a)の前記光用壁部分(1Lt)にわたって付けられた保護ポリマー層のいずれの部分も透明であり、室温において、850nmの波長に対して、光用壁部分(1Lt)及び保護ポリマー層(40)の双方の透過率に、少なくとも75%をもたらし、少なくとも前記第1の及び/又は追加的な壁部分にわたってコーティングされた領域において、前記保護ポリマー層は好ましくはシリコーンを含むことを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、露出面が、請求項8に記載の前記外面の一部又は全てにわたって付けられた前記任意選択的な保護ポリマー層(40)によって、好ましくは前記接続ユニット(9)を含む任意選択的なカバー(90)によって、及び前記任意選択的な保護ポリマー層又は前記任意選択的なカバーにより覆われていない前記壁の前記外面のいずれかの部分によって、規定され、前記露出面の曲率半径は、その全ての箇所において、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mm及び一層好ましくは少なくとも2mmであることを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、前記光用壁部分(1Lt)は、前記光用壁部分(1Lt)と一体であり且つ前記主光源(10L)及び/又は前記第1の光検知器(10P)に対面する1つ以上のマイクロ光学レンズ(4L)を含むことを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、
・通信目的用の追加的な光源及び/又は検知器、
・組織の光刺激用又は光遺伝学用の追加的な光源、及び/又は
・心拍数、血中酸素濃度、血糖量、pHレベル、血圧、前記光刺激からのフィードバックのうちの1つ以上を含むバイオマーカを監視するように構成された監視用光検知器、及び/又は
・光源が前記患者の体外に位置決めされた状態での、照射による、バッテリー(12)充電用の光電池
の中から選択された追加的な光学素子(10A)を含み、
前記追加的な光学素子(10A)は、前記光用壁部分(1Lt)とは異なる又はそれと同じである追加的な壁部分(1At)に対面し、前記追加的な壁部分は、
・室温において、850nmの波長に対して、少なくとも75%の透過率を有し、
・任意選択的に、前記追加的な壁部分と一体である1つ以上のマイクロ光学レンズ(4L)を含み、及び
・好ましくは400~1000μmに含まれる厚さを有する
ことを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項12】
請求項2~11のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器において、
・前記ハウジングは、前記接続ユニット(9)に対面し且つ好ましくは300~1000μmに含まれる厚さを有するパルス用壁部分(1Pt)に対面する前記光エネルギー源(11L)を包囲し、室温において、850nmの波長に対して少なくとも75%の透過率を有する光学窓を形成し、及び前記接続ユニットから前記内部空間を分離し、前記パルス用壁部分は、任意選択的に、前記パルス用壁部分と一体である1つ以上のマイクロ光学レンズ(4L)又はプリズムを含み、
・前記接続ユニット(9)は、好ましくは、カバー(90)に統合され、
・前記エネルギー伝達リード線(30)は、少なくとも1本の光ファイバー(30f)を含み、及び電線はなく、及び
・前記カプセル化構造にはフィードスルーがないことを特徴とする、能動植込み型医療機器。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の能動植込み型医療機器の生産プロセスにおいて、以下のステップ:
(f)前記第1及び第2の構成要素の3Dコンピュータ支援設計を提供するステップ;
(g)前記第1及び第2の構成要素(1a、1b)のそれぞれに同じ透明なセラミック材料の第1及び第2の基本ブロックを提供するステップであって、前記透明なセラミック材料は、380~2200nmに含まれる波長に対して透明であり、且つ余分な材料の除去によって、前記対応する第1及び第2の構成要素を形成するのに好適な寸法であるステップ;
(h)前記第1及び第2の基本ブロックから余分な材料を除去して、
・前記第1及び第2の基本ブロックを機械加工することによって、機械的に、及び/又は
・物理化学的にであって、
○レーザを用いて、前記第1及び第2の基本ブロックのそれぞれから除去されるべき前記余分な材料を選択的に処理して、第1及び第2のレーザ処理済みブロックを得るようにし、前記そのようにレーザ処理された余分な材料は、エッチング処理に対してより敏感になるようにされ、
○前記第1及び第2のレーザ処理済みブロックを、化学組成物を用いてエッチングして、前記レーザ処理済みブロックから前記レーザ処理された余分な材料を除去するようにし、且つレーザによって選択的に処理されていない前記材料には影響を及ぼさず、それゆえ、前記第1及び第2の構成要素を得るように、物理化学的に
のいずれかで、前記第1及び第2の構成要素(1a、1b)をもたらすステップ、及び
(i)前記第1の構成要素内に、まとめて電子回路部品と呼ばれる前記主光源(10L)及び/又は前記第1の光検知器(10P)及び追加的な電子構成要素を堅固に装着するステップ、
(j)第1及び第2の構成要素を封止接合することによって前記ハウジングを形成し、それゆえ、前記外部環境から封止式に分離された前記内部空間を画成し、且つ前記電子回路構成要素を包囲して、前記主光源又は前記光検知器が前記第1の構成要素の前記光用壁部分(1Lt)の前記内面に対面するようにするステップ
を含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスにおいて、接合は、第3の材料を追加することなく、溶接によって、好ましくはレーザ溶接によって、一層好ましくは短又は超短パルスレーザ溶接によって、実施され、及び前記透明なセラミック材料は好ましくは石英ガラスであることを特徴とする、プロセス。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のプロセスにおいて、前記光用壁部分(1Lt)の前記外面及び/又は内面は磨かれて、3μm未満、好ましくは1.5μm未満、一層好ましくは1μm未満のRa-粗さを生じることを特徴とする、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の治療に使用するための能動植込み型医療機器(AIMD:active implantable medical devices)の分野である。本発明のAIMDは、カプセル化構造(encapsulation)を含み、カプセル化構造は、患者の皮膚を通って又は標的器官若しくは脈管の方へ向かって光を透過させるように、及び/又は患者の体外からか若しくは標的器官や脈管によって反射されるかのいずれかの光信号を受信するように、構成されている。本発明のAIMDは、好都合にも、さらに、カプセル化構造から分離しており且つリード線によってそれに結合される組織結合ユニットを含み得、カプセル化構造で周囲を囲まれた植込み型パルス発生器(IPG:implantable pulse generator)と組織結合ユニットとの間で刺激パルスを伝達し、且つ組織結合ユニットが結合される生物学的組織を刺激するようにする。IPGが光エネルギーを生じて、それを、光ファイバーを通して、組織結合ユニットに含まれる光電池へ伝達し、光エネルギーを電気エネルギーへ変換し、組織結合ユニットの電極接触部へ供給することが特に好都合である。
【0002】
カプセル化構造は、外部環境から完全に封止された内部容積領域を画成するハウジングを含み、且つ光エネルギー(light energy)を透過させることができる透明な壁を有する。透明な壁は、通信及びデータ伝送、バイオマーカの監視、光パワー伝達などを可能にする。別個の組織結合ユニットを含むAIMDでは、透明な壁はまた、光ファイバーを通して、オプトロードへの、又はそれを電気エネルギーへ変換して、組織結合ユニットに含まれる電極に供給する光電池への、光エネルギー(optical energy)の伝達を可能にする。本発明は、異なる形状及び寸法の様々な幾何学的形状において所与の波長に対して透明な、完全に封止されたカプセル化構造ハウジングを提供する。
【背景技術】
【0003】
能動植込み型医療機器(AIMD)は、いくつもの障害、特に神経障害を治療するために、何十年も使用されてきている。能動植込み型医療機器(AIMD)は、RFIDタグなどのような(非能動)植込み型医療機器(IMD)とは、AIMDが、例えば組織を刺激する、バイタルサインを監視するなどによって、それらが挿入される体と能動的に相互作用するように構成されている点で、区別する。一般的に、AIMDは、インプラントから及びインプラントへエネルギーを伝達できる。それゆえ、AIMDは、一般的に、エネルギー源、例えばバッテリー又は再充電可能バッテリーを包囲する。
【0004】
AIMDの主要なタイプは、いくつもの障害、例えばパーキンソン病、癲癇、慢性痛、運動障害を診断又は治療するため、及び多くの他の応用のために、神経又は筋肉などの組織へ電気パルス送る神経刺激装置からなる。治療されるべき組織、使用される電極のタイプ、及び電極間の距離に応じて、植込まれた電極間に必要な電圧は、一般的に15V±5V程度である。そのような電圧は電気パルス発生器を必要とし、その電気パルス発生器の寸法は、電気刺激インプラントが、一般的に2つの別個の構成要素:一方では、治療されるべき組織に直接植え込まれる電極、及び他方では、活用時に応じて体内の様々な箇所に植込まれ得る、カプセル化構造内に封じ込まれる、より大きな寸法の電気パルス発生器で形成されるような寸法である。カプセル化構造は、鎖骨下領域、下腹部又は臀部などに植込まれ得る。カプセル化構造は、一般的に、その機械的性質並びに生体適合性及び容易な加工可能性などの他の理由のために、チタン(合金)で作製される。しかしながら、チタン製のカプセル化構造は、RF波長、可視波長及びIR波長に対して低透過率であるかそれらを透過させず、MRIに使いにくく、熱及び撮像のアーチファクトを発生させる。いくつかのカプセル化構造は、可視光及びIR光を通さないセラミック材料で作製されている。ポリマーがカプセル化構造用に試験されてきているが、それらは、一般的に、耐久性及び耐湿性に欠ける。
【0005】
神経刺激装置では、エネルギー伝達リード線が、電極又はオプトロードを含む組織結合ユニットに植込み型パルス発生器(IPG)を接続する。エネルギー伝達リード線は、1本以上の導線を含み得、これらは全体的にコイル状になっていて可撓性をもたらし、電気パルス発生器と電極との間の距離を変化させることができるようにし、且つ体の動きに対する高度のコンプライアンスで機械的安定性を高めるようにする。電線を使用するため、特にコイル状になっているとき、そのようなインプラントは、磁気共鳴画像(MRI)装置によって、及びまた空港、銀行などで使用されているような単純な金属探知ポータルによって使用するには、安全ではない可能性がある。
【0006】
或いは、例えば、国際公開第2016131492号パンフレットに説明されているように、エネルギー伝達リード線は、IPGによって出された光パルスを組織結合ユニット内の光電池へ伝達する1本以上の光ファイバーを含み得、光電池で、光エネルギーを電気エネルギーへ変換して組織結合ユニットの電極へ供給する。
【0007】
図1(a)に示すように、その最も単純な形態では、エネルギーパルスを送るための機器は、カプセル化構造のハウジングに組み込まれた植込み型パルス発生器(IPG)、組織結合ユニット、及び組織結合ユニットをIPGに結合してIPGからのエネルギーを組織結合ユニットへ電気又は光エネルギーの形で伝えるエネルギー伝達リード線を含む。IPGは、導線によって組織結合ユニットの電極へ伝送される電気パルスを発生させ得る。或いは、例えば欧州特許第3113838B1号明細書に説明されている通り、IPGは光パルスを発生させ、これら光パルスは、光ファイバーを通して、オプトロード、又は電極へ供給される電気エネルギーへ光エネルギーを変える光電池のいずれかへ伝達され得る。本明細書では、用語「エネルギー伝達リード線」は、導電体(例えば、ワイヤ、テープ)及び光ファイバーの双方を定義するために使用される。
【0008】
近年は、光エネルギーを用いる組織の治療は、光遺伝学の分野を支援するか又は直接赤外光を使用するかのいずれかで、複数の障害の治療の可能性に希望を与えるものを示してきた。組織のそのような光線療法では、いわゆるオプトロードが使用され得る。オプトロードは、光ビームを組織の正確な部位上に収束させる発光体とし得るか、又は発光体によって発せられた、反射、透過、又は散乱された光ビームを感知する光センサーとし得る。発光体は、上述の電極と同様の方法で、電流によって給電され得る。
【0009】
ガラス製ハウジングが、いわゆるスマートインプラントに関して説明されており、スマートインプラントは、患者の状態(血糖、眼圧など)に関する生体内診断バイオフィードバック(in-vivo diagnostic biofeedback)を提供するように及び/又は診断データを測定して伝達するように設計され、その意図した寿命にわたって自律的に機能する必要がある。Valtronic社は、注入可能なシリンダー状ガラス製ハウジングを宣伝しており、これは、外径4mm~8mm、壁の厚さ0.4~0.6mm、及び長さ12mm~50mmである。このハウジングの寸法の縮小は、バイオマーカを監視するためのその機能及び医学的応用を実質的に制限する。例えば、そのような小さい容積領域内にバッテリーを組み込むことは不可能である。また、幾何学的形状(シリンダー状)及び小さい寸法にすることは、それらを生産するための材料の選択によって動機付けられ、これら材料は、ホウケイ酸及び生体活性ガラス(バイオガラス)、石英、及びコバール(Kovar)ガラスを含み、これらは、成形するのが困難である及び/又は機械抵抗が限定されている。
【0010】
或いは、ガラス製の平壁のある平面的なガラス製ハウジングも宣伝されていた。ここでも、それらは、内部容積領域が非常に小さい寸法に限られており、マイクロ電子回路を組み込むのに好適であるにすぎない。
【0011】
米国特許第10,251,286号明細書には、ハウジング壁の一部分が通信用の赤外光を通す窓を形成しているカプセル化構造を含むAIMDが説明されている。透明の窓に選択された材料は、酸化アルミニウム、又はセラミック材料を含有する酸化アルミニウム、及びクリスタル又は宝石用原石、例えばサファイア、ルビー、ダイアモンドなどである。これらの材料は、非常に高価であり、且つ成形するのが困難であるため、表面を平らにするために利用可能な幾何学的形状を少なくする。さらに、このハウジングは、いくつかの構成要素で、及び異なる材料で作製され、複数回の、時には繊細な接合作業を必要とし、多くの接合境界面を生じ、これは、長期にわたる水密性すなわち湿密性(moisture tightness)を保証することが困難である。
【0012】
当業界では、AIMDにより多くの機能、例えばインプラントからの及びインプラントへのエネルギーの能動的な伝達、並びに、同時に、例えば監視機能及び通信機能を含めることに関心がある。例えば、心拍ペース(cardiac pace)などのバイオマーカが監視され得、及び刺激パルスのパラメータが、監視された心拍ペースに応じて自動的に適合され得る。後者は、所与の波長を通す壁、すなわち電磁波、好ましくは可視光及び/又は赤外光が壁を通ることができるようにする壁を含むハウジングを提供することによって、達成され得る。しかしながら、これは、非常に小さい寸法においてのみ可能であり、エネルギーのいずれかの伝達に必要とされる電子を、又は異なる材料で作製され且つはんだ用金属ではんだ付けされたいくつかの個々の部品を収納するには小さすぎる。これは、同様に、生産コストを増大させ、且つハウジングの密封性にかなり害を及ぼす、すなわち、十分に気密;液密、及び水密にできない。例えば、米国特許第10,251,286号明細書では、ハウジングの内部容積領域内の水分含量を減らすために、ハウジングに乾燥剤を含ませることが提案されている。
【0013】
本発明は、監視機能及び通信機能と、エネルギーの伝達、例えば患者の組織に結合された電極ユニットへの電気刺激とを組み合わせることが必要である、光-電子構成要素、電子構成要素、電源などを含む電子回路を収納するのに十分な大きさのカプセル化構造を含むAIMDを提案する。カプセル化構造ハウジングの空気、水、水分に対する緊密性は、耐湿性が高い材料を使用し且つ境界面数を1つに減少させることによって、優れている。本発明のカプセル化構造は、機械的に抵抗性があり、且つその生産は、大量に手頃な費用で入手可能な材料を使用することで、費用効率が高い。これらの及び他の利点は、下記のセクションでより詳細に説明されている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、添付の独立請求項に定義されている。好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。特に、本発明は、患者の体内への植込み用の能動植込み型医療機器(AIMD)に関する。AIMDは、内部空間の境界を規定する内面と外部環境に接する外面とによって規定された壁によって外部環境から封止式に分離された、少なくとも2cm3の容積の容積領域(Vi)の内部空間を画成するカプセル化構造を含む。外面は、第1の軸(X)に沿って測定された長さ(Lo)、第2の軸(Y)に沿って測定された幅(Wo)、及び第3の軸(Z)に沿って測定された高さ(Ho)よって規定され、X⊥Y⊥Zである。
【0015】
カプセル化構造の壁は、互いに対面し且つ第3の軸(Z)に沿って測定された内部空間の内側高さ(Hi)によって互いに分離される第1の主壁及び第2の主壁を含む。第1及び第2の主壁は、外面が平面的であるか又は少なくとも100mmの曲率半径(R)の単曲率若しくは二重曲率を有するいずれかの壁部分として規定され、且つ400~1200μmに含まれる平均厚さ(t1a、t1b)を含む。
【0016】
カプセル化構造は、第1の構成要素及び第2の構成要素によって形成されたハウジングを含み、両構成要素は、単一の透明なセラミック材料で作製され、且つ単一の境界面に沿って互いに密封接合されて、壁によって外部環境からハーメチックシールされた内部空間を画成する。内部空間には、所与の波長範囲の主光源及び/又は所与の波長範囲の光を検知するための第1の光検知器を含む電子回路基板を含み、所与の波長範囲は、380~2200nmに含まれる。第1の構成要素(2)と第2の構成要素(3)との間の境界面は、第3の材料を追加することなく、溶接によって形成される。
【0017】
主光源及び/又は第1の光検知器は、第1の主壁(1a)の光用壁部分に対面する。光用壁部分は、室温において、850nmの波長に対して、ASTM D1003-7に従って測定された少なくとも75%の透過率を有する。
【0018】
好ましい実施形態では、AIMDは、患者の電気的又は光学的に興奮性組織を電気的又は光学的に刺激するように構成されている。この実施形態では、機器は、以下の構成要素を含む。
(A)ヒトの組織に結合するように構成された組織結合ユニット。
(B)組織結合ユニットに結合するように構成された遠位端と、カプセル化構造に結合するように構成された近位端とを含む、導電線及び光ファイバーから選択されたエネルギー伝達リード線。
(C)カプセル化構造は、エネルギー伝達リード線の近位端をカプセル化構造に接続するように構成された接続ユニットを含み、且つ内部空間内に、
・主光源とは異なり、且つエネルギーのパルスを出すように構成された光又は電気エネルギー源であって、エネルギー伝達リード線の近位端が接続ユニットに接続され、且つエネルギー伝達リード線の遠位端が組織結合ユニットに接続されると、エネルギーパルスが、エネルギー伝達リード線を通して組織結合ユニットへ伝えられるようになる、光又は電気エネルギー源、及び/又は
・第1の光検知器とは異なり、及び光ファイバーの近位端が接続ユニットに接続され、且つ光ファイバーの遠位端が組織結合ユニットに接続されると、組織結合ユニットから出された光信号を検知し、且つ光ファイバーを含むエネルギー伝達リード線を通してカプセル化構造へ伝達するように構成された第2の光検知器
を包囲する。
【0019】
この実施形態では、ハウジングは、接続ユニットに対面するパルス用壁部分に対面する光エネルギー源を包囲することが好ましい。パルス用壁部分は、好ましくは、300~1000μmに含まれる厚さを有して、室温において850nmの波長に対して少なくとも75%の透過率を有する光学窓を形成し、且つ接続ユニットから内部空間を分離する。パルス用壁部分は、パルス用壁部分と一体である1つ以上のマイクロ光学レンズ又はプリズムを含み得る。接続ユニットは、好ましくは、カバーに統合される。エネルギー伝達リード線は、少なくとも1本の光ファイバーを含み、且つ電線を含まず、及びカプセル化構造はフィードスルーを含まない。
【0020】
第1及び第2の構成要素を構成する単一の透明なセラミック材料は:石英ガラス、ホウケイ酸、ピネル、サファイア、又は酸化イットリウム材料から選択され得る。単一の材料は好ましくは石英ガラスである。
【0021】
ハウジングを生産するために使用される生産プロセスに依存して、壁の表面仕上げは、光用壁部分を通る放射線の最適な透過を保証するには十分ではないこともある。この場合、第1の主壁の内面及び/又は外面の少なくとも一部分が磨かれ得る。放射線の透過に必要なものよりも大きな面積を磨く必要を回避するために、光用壁部分の外面及び/又は内面は、第1の主壁の他の部分の表面仕上げよりも滑らかな表面仕上げを有し、且つ好ましくは3μm未満、好ましくは1.5μm未満、一層好ましくは1μm未満のRa-粗さによって特徴づけられることが好ましい。
【0022】
第1の主壁の外面の面積は、好ましくは、少なくとも3cm2、好ましくは少なくとも5cm2である。第3の軸(Z)に沿って測定された、第1の主壁の外面と第2の主壁の外面との間の外面の高さ(Ho)は、3~15mm、好ましくは5~8mmに含まれ得る。
【0023】
好ましい実施形態では、内部空間は電子回路構成要素を包囲し、且つハウジングは、好ましくは、
・電子回路構成要素によって占有されていない内部空間を樹脂で充填することであって、任意選択的に、硬化収縮を低減させるために微粒子充填材で満たされ、樹脂及び任意選択的な微粒子充填材は、所与の波長範囲に対して透明であること、及び/又は
・内部空間の内側の厚さ(Hi)にわたって第1の主壁から第2の主壁まで延在する補強用ピラーを提供することであって、補強用ピラーは、好ましくは、第1及び/又は第2の主壁と一体であること、及び/又は
・様々な厚さ壁を提供し、電子回路構成要素と壁の内面との間のヘッドスペースを減少させること
によって、機械的に補強される。
【0024】
AIMDは、カプセル化構造の外面の一部又は全てにわたって付けられた保護ポリマー層を含み得る。第1の主壁の光用壁部分にわたって付けられた保護ポリマー層のいずれの部分も透明であり、少なくとも第1の及び/又は追加的な壁部分にわたってコーティングされた領域において、室温において、850nmの波長に対して、光用壁部分及び保護ポリマー層の双方の透過率に少なくとも75%をもたらす。保護ポリマー層は好ましくはシリコーンを含む。
【0025】
AIMDの露出面は、上記で定義したような外面の一部又は全てにわたって付けられた任意選択的な保護ポリマー層によって、好ましくは接続ユニットを含む任意選択的なカバーによって、及び任意選択的な保護ポリマー層又は任意選択的なカバーにより覆われていない壁の外面のいずれかの部分によって、規定される。露出面は、好ましくは、その全ての箇所において、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mm及び一層好ましくは少なくとも2mmの曲率半径を有して、患者の体内に植込まれたときに、カプセル化構造を取り囲むいずれの組織の傷害も回避する。
【0026】
AIMDに機能を追加するために、光用壁部分は、光用壁部分と一体であり且つ主光源及び/又は第1の光検知器に対面する1つ以上のマイクロ光学レンズを含み得る。AIMDは、
・通信目的用の追加的な光源及び/又は検知器、
・組織の光刺激用又は光遺伝学用の追加的な光源、及び/又は
・心拍数、血中酸素濃度、血糖量、pHレベル、血圧、光刺激からのフィードバックのうちの1つ以上を含むバイオマーカを監視するように構成された監視用光検知器、及び/又は
・光源が患者の体外に位置決めされた状態での、照射による、バッテリー(12)充電用の光電池
から選択される追加的な光学素子を含み得る。
【0027】
追加的な光学素子は、光用壁部分とは異なり得る又はそれと同じとし得る追加的な壁部分に対面する。追加的な壁部分は、好ましくは、室温において、850nmの波長に対して、少なくとも75%の透過率を有する。追加的な壁部分と一体である1つ以上のマイクロ光学レンズも含み得る。追加的な壁部分の厚さは、好ましくは400~1000μmに含まれる。
【0028】
本発明はまた、上記で定義したような能動植込み型医療機器の生産プロセスに関する。プロセスは、以下のステップを含む:
(a)第1及び第2の構成要素の3Dコンピュータ支援設計を提供するステップ;
(b)第1及び第2の構成要素のそれぞれに、同じ透明なセラミック材料の第1及び第2の基本ブロックを提供するステップであって、透明なセラミック材料は、380~2200nmに含まれる波長に対して透明であり、及び余分な材料の除去によって、対応する第1及び第2の構成要素を形成するのに好適な寸法であるステップ;
(c)第1及び第2の基本ブロックから余分な材料を除去して、
・第1及び第2の基本ブロックを機械加工することによって、機械的に、及び/又は
・物理化学的にであって、
○レーザを用いて、第1及び第2の基本ブロックのそれぞれから除去されるべき余分な材料を選択的に処理して、第1及び第2のレーザ処理済みブロックを得るようにして、そのようにレーザ処理された余分な材料は、エッチング処理に対してより敏感になるようにされること、
○第1及び第2のレーザ処理済みブロックを、化学組成物を用いてエッチングして、レーザ処理された余分な材料をレーザ処理済みブロックから除去し、且つレーザによって選択的に処理されていない材料には影響を及ぼさず、それゆえ第1及び第2の構成要素を得ること
によって物理化学的に
のいずれかで、第1及び第2の構成要素をもたらすステップ、及び
(d)第1の構成要素内に、まとめて電子回路部品と呼ばれる主光源及び/又は第1の光検知器及び追加的な電子構成要素を堅固に装着するステップ、
(e)第1の構成要素と第2の構成要素との封止接合によってハウジングを形成し、それゆえ、外部環境から封止式に分離された内部空間を画成し、且つ主光源又は光検知器が第1の構成要素の光用壁部分の内面に対面するように、電子回路構成要素を包囲するステップ。
【0029】
接合は、好ましくは、第3の材料を追加することなく、溶接によって、好ましくはレーザ溶接によって、一層好ましくは短又は超短パルスレーザ溶接によって、実施される。透明なセラミック材料は、好ましくは石英ガラスである。光用壁部分の外面及び/又は内面は磨かれて、3μm未満、好ましくは1.5μm未満、一層好ましくは1μm未満のRa-粗さを生じ得る。
【0030】
本発明の性質をより十分に理解するために、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、(a)本発明によるAIMD、(b)
図1(a)のAIMDのカプセル化構造の上面図、並びに(c)及び(d)
図1(a)のAIMDのカプセル化構造の2つの実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明によるカプセル化構造の第1の実施形態を示し、カプセル化構造の(a)上面図、(b)後ろからの分解図、(c)前からの分解図を示す。
【
図3】
図3は、本発明によるカプセル化構造の第2の実施形態を示し、カプセル化構造の(a)上面図、(b)後ろからの分解図、(c)前からの分解図を示す。
【
図4】
図4は、本発明によるカプセル化構造ハウジングの幾何学的形状の4つの例を示す。
【
図5】
図5は、本発明によるカプセル化構造ハウジングの幾何学的形状のさらなる例を示す。
【
図6】
図6は、電子回路基板及びバッテリーを収容しているハウジングの2つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、患者の体内へ植込むための能動植込み型医療機器(AIMD)に関する。AIMDは、380~2200nm(=可視光範囲及び近赤外範囲)に含まれる少なくとも所与の波長範囲の電磁放射線の透過によって、これが植え込まれている体の外部と通信することができる。AIMDは、容積領域(Vi)の内部空間を画成するハウジングを含み、この内部空間は、内部空間の境界を画成する内面と、外部環境に接する外面とによって画成された壁により、外部環境から封止式に分離されている。外面は、第1の軸(X)に沿って測定された長さ(Lo)、第2の軸(Y)に沿って測定された幅(Wo)、及び第3の軸(Z)に沿って測定された高さ(Ho)によって画成され、X⊥Y⊥Zである。
【0033】
内部空間は、電子回路構成要素を包囲する。電子回路構成要素は、主光源(10L)及び/又は第1の光検知器(10P)を含む。主光源(10L)及び/又は第1の光検知器(10P)は、第1及び任意選択的に第2の主壁の光用壁部分(1Lt)に対面し、これらは、380~2200nmに含まれる所与の波長範囲を通す。
【0034】
主光源(10L)及び第1の光検知器(10P)及び任意選択的な追加的な光学素子(10A)
図1(b)、
図1(c)、
図1(d)、及び
図6に示すように、内部空間は、所与の波長範囲の主光源(10L)及び/又は所与の波長範囲の光を検知するための第1の光検知器(10P)を含む、好ましくは電子回路基板(7)(ECB)に印刷された電子回路を含み、所与の波長範囲は、380~2200nmに含まれる。
【0035】
主光源(10L)は、第1の主壁(1a)に属する光用壁部分(1Lt)に対面する。一実施形態では、主光源は、所与の波長範囲内に含まれる光の形で、光用壁部分を通って光データを外部環境へ伝達するように構成され得る。別の実施形態では、主光源(10L)は、光用壁部分を通って標的器官又は脈管の方へ向かって光を発して、バイオマーカの監視、光刺激、又は光遺伝学治療(opto-genetic treatment)を行うように構成され得る。
【0036】
第1の光検知器(10P)は光用壁部分(1Lt)に対面する。ハウジングが主光源(10L)及び第1の光検知器(10P)の双方を含む場合、光用壁部分(1Lt)は、第1の主壁内に単一の閉鎖領域を画成し得る。或いは、光用壁部分は、双方とも第1の主壁(1a)に属する2つの個別の閉鎖領域、すなわち、第1の主壁に属する、主光源に対面する第1の閉鎖領域、及び第2の主壁(1b)に属する、第1の光検知器に対面する第2の閉鎖領域を画成し得る。第1の光検知器は、外部環境から第1の主壁の光用壁部分(1Lt)を通って発せられる、所与の波長範囲内に含まれる電磁放射線の形でのデータを受信するように構成され得る。第1の光検知器は、主光源によって照射されると、標的器官又は脈管から反射された光を受けるように構成され得る。
【0037】
主光源(10L)は、好都合には、発光ダイオード(LED)、又はレーザLEDである。本明細書では、用語「光」は広い意味で使用され、可視光に限定されない。本発明に好適な主光源(10L)は、380~2200nm、好ましくは700~1550nmに含まれる波長を有する光を発することができる必要がある。発せられる光は、好ましくは単色である。
【0038】
内部空間、特に電子回路基板(7)は、追加的な電子構成要素を含む。内部空間で周囲を囲まれている全ての電子構成要素は、まとめて電子回路部品と呼ばれる。電子回路部品は、カプセル化構造外から第1の光検知器(10P)によって受信された電磁信号に応答して活動し出すように構成されたプロセッサー又は電子論理制御回路を含み得る。
【0039】
本発明のAIMDは、内部空間内に位置し且つ光用壁部分(1Lt)とは異なり得る又はそれと同じとし得る第1又は第2の主壁の追加的な壁部分(1At)に対面する1つ以上の追加的な光学素子(10A)を含み得る。追加的な光学素子(10A)は、以下の中から選択され得る:
・通信目的用の追加的な光源及び/又は検知器、及び/又は
・心拍数、血中酸素濃度、血糖量、pHレベル、血圧のうちの1つ以上を含むバイオマーカを監視するように構成された、第1の光検知器(10P)とは異なる又はそれと同じである監視用光検知器;光は、内部空間から組織又は器官の方へ向かって発せられ、及びそれにより反射され、監視用光検知器によって受光された光は、所与のバイオマーカの値を示す、及び/又は
・組織の光刺激用又は光遺伝学用の追加的な光源、及び/又は
・光源が患者の体の外部に位置決めされた状態で、照射によってバッテリー(12)を充電するための1つ以上の光電池。
【0040】
第1又は第2の主壁(1a、1b)の追加的な壁部分(1At)は、好ましくは、室温で850nmの波長に対して少なくとも75%の透過率を有する。これは、
図1(d)に示すように、追加的な壁部分と一体の1つ以上のマイクロ光学レンズ(4L)を備え得る。追加的な壁部分の厚さは、好ましくは400~1000μmに含まれる。
【0041】
カプセル化構造(1)
本発明の要旨は、内部空間内に収納された電子回路構成要素を外部環境から保護するカプセル化構造(1)である。カプセル化構造が患者の体内に植込まれると、外部環境は、患者の体の内部になり、これは、水分レベルの高い攻撃的な媒体である。一般的に数年の長さとし得るインプラントの持続期間全体において、カプセル化構造ハウジング内に収納された電子回路構成要素は、水分から及びいずれの体液やガスとのどんな接触からも保護される必要があり、患者の体は、カプセル化構造に収納された電子回路構成要素の非生体適合性構成要素から保護される必要がある。それゆえ、カプセル化構造ハウジングは、外部環境から内部空間を耐久的に封止する必要がある。これらの条件は、ハウジングを形成する材料の選択肢を狭め、且つ長期の封止結合を保証する必要がある、ハウジングの異なる構成要素の全ての結合作用に関する課題がある。例えば、ハウジングの壁を横切って延在し且つ内部空間と外部環境内に延在するエネルギー伝達リード線(30)との間で電気エネルギーを伝えるために必要な密封フィードスルーを設けることは、フィードスルーとハウジング壁との間に形成された境界面の寸法が小さいため、真の課題がある。この理由から、本発明のカプセル化構造は、好ましくは、フィードスルーを全く含まない。
【0042】
カプセル化構造はまた、その壁を通って、所与の波長範囲内の電磁放射線の透過を可能にする必要があり、それゆえ、所与の波長に対して透明である必要があり、これは、ハウジングを形成する材料の選択肢をさらに狭めるか、又はハウジングにある開口部に結合される必要のある第3の材料の使用を課す。上述の通り、どんな接合も封止の理由で課題がある。
【0043】
上述の全ての条件を満たすために、本発明のカプセル化構造ハウジングは、互いに対面し且つ第3の軸(Z)に沿って測定された内部空間の内側高さ(Hi)だけ互いに分離されている第1の主壁(1a)及び第2の主壁(1b)を含む。
図4に示すように、第1及び第2の主壁(1a、1b)は、外面が平面的であるか(
図4(a)及び
図4(c)参照)又は少なくとも100mm、好ましくは少なくとも200mm、一層好ましくは少なくとも500mmの曲率半径(R)の単曲率若しくは二重曲率を有する(
図4(b)及び
図4(d)参照)いずれかの壁部分として画成される。平らな表面は、無限の曲率半径を有する。第1及び第2の主壁(1a、1b)は、互いに平行とし得る。
【0044】
ハウジングの長期の水密性
ハウジングは、第1の構成要素(2)及び第2の構成要素(3)によって形成され、両構成要素は、セラミック材料から選択された単一の材料で作製される。第1及び第2の構成要素は、単一の境界面(23)に沿って互いにハーメチックに接合されて、外部環境から壁によってハーメチックシールされた内部空間を画成している。第1及び第2の構成要素は、第3の材料を追加することなく、溶接によって単一の境界面(23)に沿って接合されている。例えば、第1及び第2の構成要素は、レーザ溶接によって、特に、ナノ-、フェムト-、又はピコ-秒レーザ溶接を含む、短又は超短パルスレーザ溶接によって、接合され得る。この技術は、限定されるものではないが、石英ガラス製の第1及び第2の構成要素に、特に好適である。
【0045】
第1及び第2の構成要素(2、3)の材料としての、及び温度、圧力、pHなどの変化で異なる振る舞いをし得る第3の材料を全く追加することなく、2つの構成要素を接合するために巨視的な寸法の単一の境界面(23)を形成する(これは、むしろ実行が簡単である)、セラミック材料の選択は、外部環境からの内部空間の完全な長期の封止性を保証する。好ましくは、ハウジングは、そのどの壁も横切って延在するフィードスルーを全く含まない。
【0046】
IR放射線の透過
所与の波長範囲内の電磁放射線の透過は、一方では、ハウジングの第1及び第2の構成要素を形成するセラミック材料、並びに、他方では、壁の厚さ及び表面仕上げの適切な選択によって保証される。
【0047】
主光源(10L)及び/又は第1の光検知器(10P)は、第1の主壁(1a)の光用壁部分(1Lt)に対面している。光用壁部分(1Lt)は、第1の主壁の一体部分であり、それゆえ同じ材料で作製されている。光用壁部分は、室温において、850nmの波長に対して、ASTM D1003-7に従って測定された少なくとも75%の透過率を有する。これは、光用壁部分(1Lt)を形成する壁を横切る所与の波長の電磁放射線の十分な透過を可能にする。壁の透過は、壁材料の吸収係数、壁の厚さ、及び光用壁部分(1Lt)の表面の粗さ(又は、むしろ粗さの欠如、又はより良好には滑らかさ)を含め、様々なパラメータに依存する。同じことが、変更すべきところは変更して、任意選択的にハウジングで周囲を囲まれたいずれかの追加的な光学素子(10A)に対面する追加的な壁部分(1At)に言える。
【0048】
第1及び第2の主壁の平均厚さ(t1a、t1b)は、400~1200μmに含まれる。この厚さの範囲は、所望の透過率を保証するために十分に低く、且つ機械的安定性を保証するために十分に高い。平均厚さは、主面の5箇所の最も厚い部分、及び5箇所の最も薄い部分を計算し、且つ10箇所の測定値の厚さを平均することによって、決定され得る。内側の厚さは一定とし得る。主面の境界は、曲率半径が100mmを下回る箇所ではどこにでも規定される。
【0049】
光用壁部分(1Lt)及び任意選択的な追加的な壁部分(1At)は、光用壁部分及び/又は追加的な壁部分(1Lt、1At)と一体であり且つ主光源(10L)及び/又は光検知器(10P)及び存在する場合には任意選択的な追加的な光学素子(10A)に対面する1つ以上のマイクロ光学レンズ(4L)を含み得る。これにより、放射線を特定の焦点に集めることができるため、信号の強度を強めるか、又は器官や脈管へ正確に光ビームの目標を定める。
【0050】
第1及び第2の構成要素(2、3)を構成する単一の材料は:石英ガラス、ホウケイ酸、ピネル、サファイア、又は酸化イットリウム材料から選択され得る。石英ガラスは、良好な機械的性質、高い透過率、良好な加工可能性を有し、且つレーザ溶接によって簡単に溶接でき、及び手頃な費用ですぐに入手できるため、第1及び第2の構成要素(2、3)に好ましい材料である。
【0051】
本明細書で説明するハウジングの製造プロセスに応じて、第1(及び第2)の主壁(2、3)の表面仕上げは、かなり異なり得る。表面仕上げが、所望の透過率を保証するのに十分である場合、光用壁部分(1Lt)は、いかなるさらなる作業も行わなくても、第1の主壁(1a)の全域にわたって延在する。他方では、表面仕上げが所望の透過率を生じるのに不十分である場合、光用壁部分(1Lt)及び任意選択的にいずれかの追加的な壁部分(1At)の少なくとも外面、好ましくは外面及び内面の双方は、表面仕上げを局所的に改善するために、磨かれ得る。それゆえ、第1(及び任意選択的に第2)の主壁の全域が磨かれ得る。これは、好都合にも、生体適合性を高め得るが、第1の主壁(1a)の面積よりも小さい面積にわたって磨かれる光用(及び任意選択的にいずれかの追加的な)壁部分(1Lt、1At)のみが磨かれる場合よりも、時間がかかり、且つ高価になる。後者の実施形態によれば、光用壁部分(1Lt)の及び任意選択的にいずれかの追加的な壁部分(1At)の外面、及び好ましくは内面も、第1の主壁(1a)の他の部分の表面仕上げよりも滑らかな表面仕上げを有し、且つ好ましくは、3μm未満、好ましくは1.5μm未満、一層好ましくは1μm未満のRa-粗さによって特徴づけられる。Ra-粗さは、ISO4287に従って測定され得る。同じことが、変更すべきところは変更して、第2の主壁(1b)に言える。
【0052】
本発明では、所与の波長範囲内の電磁放射線によってハウジングの外部と通信できる、完全に封止されたハウジングは、これまで利用可能だったものよりも実質的に大きな寸法で生産され得る。カプセル化構造の外のり寸法は、第1の軸(X)に沿って測定された長さ(Lo)、第2の軸(Y)に沿って測定された幅(Wo)、及び第3の軸(Z)に沿って測定された高さ(Ho)によって規定され得、X⊥Y⊥Zである。
【0053】
本発明では、封止された内部空間を規定するカプセル化構造ハウジングは、少なくとも2cm3、好ましくは少なくとも5cm3、一層好ましくは少なくとも8cm3、最も好ましくは少なくとも10cm3の容積の内部容積領域Viで生産され得る。15~20cm3よりも大きな容積の内部空間を備えるカプセル化構造は、皮膚の下側で膨らむため、植込むのが困難になる。第1及び第2の主壁(1a、1b)の面積(A1、A2)は、少なくとも3cm2、好ましくは少なくとも6cm2、一層好ましくは少なくとも10cm2、最も好ましくは少なくとも12cm2とし得る。植込み可能にするために、カプセル化構造は、好ましくは薄い。それゆえ、第1の主壁(1a)の外面と第2の主壁(1b)の外面との間の第3の軸(Z)に沿って測定された外面の高さ(Ho)は、好ましくは、3~15mm、好ましくは5~8mmに含まれる。
【0054】
面積が大きく且つ厚さが薄い第1及び第2の主壁を含むハウジングの機械抵抗を補強する必要がある場合もある。例えば、
図1(d)に示す実施形態では、電子回路構成要素によって占有されない内部空間は、樹脂(41)で満たされ得、任意選択的に、硬化収縮を低減させる微粒子充填材で満たされ得る。樹脂及び任意選択的な微粒子充填材は、所与の波長範囲に対して透明であり、且つ好ましくは、透明なセラミック材料に対して同様の膨張係数を有する。好ましい樹脂(41)は、限定されるものではないが、エポキシ又はシリコーンを含む。
【0055】
その代わりに、又は付随して、補強用ピラー(1P)が設けられ得、これらは、内部空間の内側の厚さ(Hi)にわたって第1の主壁から第2の主壁(1a、1b)まで延在する。これは、
図6(a)&6(b)に示されている。補強用ピラーは、第1及び/又は第2の主壁と一体とし得るか、又は接着や溶接によって第1及び第2の主壁に結合された別個のピラーとし得る。ハウジングの主壁へのピラーの結合は、それらは全て内部空間内に含まれているため、密封されている必要はない。熱膨張係数(CTE)を適合させるために、ピラー(1P)が、ハウジングの第1及び第2の構成要素(2、3)と同じ透明のセラミック材料で作製されることが好ましい。
【0056】
さらに代替的な実施形態では、第1及び第2の主壁(1a、1b)は、様々な厚さを有し、電子回路構成要素と壁の内面との間のヘッドスペースを減少させ得る。それゆえ、第1及び第2の主壁の内面は、電気回路基板(EBC)(7)の表面トポグラフィ(そこに支持される電子構成要素によって規定されている)と、少なくともおおよそ、かみ合う。この解決法は、主壁の複数の部分を、より厚いセクション及びより薄いセクションと組み合わせることができ、より薄いセクションのように均一な厚さの主壁よりも全体的に優れた機械抵抗を生じる。
【0057】
上述の寸法のカプセル化構造は、組織を電気的又は光学的に刺激するように構成されたAIMDを刺激するのに好適であり、且つ植込み型パルス発生器(IPG)及びIPGを励起させるバッテリー(12)、主光源(10L)及び/又は第1の光検知器(10P)、いずれかの追加的な光学素子(10A)、及びカプセル化構造内に収納された電子回路基板(7)を含む、電子回路部品の構成要素を全て収納し得る(
図6(b)参照)。
【0058】
刺激パルスAIMD
図1(a)に示す好ましい実施形態では、本発明のAIMDは、患者の電気的又は光学的に興奮性組織を電気的又は光学的に刺激するように構成された刺激用AIMDである。この実施形態では、AIMDは:
・上述のようなカプセル化構造(1)、
・ヒトの組織に結合するように構成された組織結合ユニット(50)、及び
・組織結合ユニットに結合するように構成された遠位端と、カプセル化構造(1)に結合するように構成された近位端(30p)とを含む、導電線及び光ファイバー(30f)から選択されたエネルギー伝達リード線(30)
を含む。
【0059】
AIMDのカプセル化構造(1)
図1~3、及び
図6(b)に示すように、カプセル化構造(1)は、内部空間内に、
・主光源(10L)とは異なる電気又は光エネルギー源(11L)を含み、及びエネルギーのパルスを出して、エネルギー伝達リード線(30)の近位端(30p)が接続ユニット(9)に接続され且つエネルギー伝達リード線の遠位端が組織結合ユニット(50)に接続されると、エネルギーパルスがエネルギー伝達リード線(30)を通って組織結合ユニットへ伝えられるように構成された、植込み型パルス発生器(IPG)、及び/又は
・第1の光検知器(10P)とは異なり、及び光ファイバーの近位端が接続ユニット(9)に接続され且つ光ファイバーの遠位端が組織結合ユニットに接続されると、組織結合ユニット(50)から出された光信号を検知し、且つ光ファイバー(30f)を含むエネルギー伝達リード線(30)を通してカプセル化構造(1)へ伝達するように構成された第2の光検知器(11P)、
を包囲する。
【0060】
図2及び
図3及び
図6(b)に示すように、光又は電気エネルギー源(11L)及び/又は第2の光検知器(11P)は、好ましくは、IPG電気回路基板(8)上に支持され、それは、様々な光源及び光検知器の相対的な向きに依存して、主光源(10L)及び/又は第1の光検知器(10P)を支持する電気回路基板(7)と同じとし得る、又はそれとは異なり得る。
【0061】
図1(c)、
図1(d)、及び
図6(b)に示すように、ハウジングは、好ましくは、バッテリー(12)、好ましくは再充電可能バッテリーとし得る電力源を包囲する。バッテリーは、例えば、電磁誘導電力又は光出力によって充電され得る。前者の場合には、コイルが必要とされ、好ましくは内部空間に組み込まれて、それをバッテリー(12)に接続するためのフィードスルーの必要性を回避し、並びにインプラントの体積全体を減少させる。電磁誘導電力によるバッテリー充電の例は、国際公開第2019110378号パンフレットに説明されている。光エネルギーによる充電は、追加的な壁部分(1At)に対面し且つバッテリー(12)と電気通信する光検知器を収納するためのカプセル化構造を必要とする。
【0062】
カプセル化構造(1)は、エネルギー伝達リード線(30)の近位端(30p)をカプセル化構造に接続するように構成された接続ユニット(9)を含む。カプセル化構造に光ファイバー(30f)の近位端を接続するための接続ユニット(9)は、光ファイバーと光エネルギー源(11L)及び/又は第2の光検知器(11P)との間のいずれのミスアライメントによってもエネルギー伝達損失が劇的に増大するため、特に重大である。エネルギー損失は、バッテリー(12)の自律性を延ばすために、最小限にまで低減される必要がある。2つの植込まれた光ファイバー間又は植込まれた光ファイバーと植込まれた光エネルギー源との間のアライメントを最適にするのに好適な接続ユニットの例は、PCT/EP2018/073436号明細書に説明されている。
【0063】
他の接続ユニット(9)は、
図2、
図3、及び
図6(b)に示されている。リード線結合要素(30c)は、光ファイバー(30f)の近位端(30p)を、対となるカプセル化構造結合要素(9c)内の適所に押圧するように構成されている。
図2では、リード線結合要素(30c)は、例えば2つのスクリューによってカプセル化構造の壁に固定され得るプレート形状にあり、及びカプセル化構造結合要素(9c)は、光ファイバーの近位端(30p)の幾何学的形状に正確に対となる(mating)キャビティ、及びスクリューを受け入れるためのねじ式キャビティである。
図3では、リード線結合要素(30c)は、雄ねじを含むナットの形状にあり、カプセル化構造結合要素(9c)を形成する雌ねじに対となる。
図6(b)では、リード線結合要素(30c)は、雌ねじを含むナットの形状にあり、カプセル化構造結合要素(9c)を形成する突出部分にある雄ねじに対となる。
【0064】
接続ユニット(9)の正確な幾何学的形状は、実質的に封止された接続を形成して光又は電気エネルギー源(11L)及び/又は第2の光検知器(11P)との光ファイバー(30f)の優れたアライメントを生じる限り、本発明にとって重大ではない。例えば、接続ユニット(9)は、スナップ式要素、バイオネット、回転-スナップ式要素などを含み得る。
【0065】
図2に示すように、カプセル化構造結合要素(9c)は、第1及び/又は第2の構成要素(2、3)の一体部分とし得る。或いは、
図3及び
図6(b)を参照して下記でより詳細に説明するように、カプセル化構造結合要素(9c)は、植込まれたAIMDの環境内での十分な機械抵抗及び耐老化性を有する生体適合性材料製のカバー(90)によって形成され得るか又はその一部とし得る。カバーは、好ましくは、ポリマーで作製されるが、金属又は異なるセラミック材料でも作製され得る。
【0066】
組織結合ユニット(50)
組織結合ユニット(50)は、絶縁支持体に結合された電極を含み得、電極と接触する組織に結合されるように構成されている。例えば、組織結合ユニット(50)は、当業界で周知のように、限定されるものではないが、標的神経に巻き付けられるカフ又はらせん電極(例えば、国際公開第2019042553号パンフレット及びPCT/EP2018/082703号明細書参照)、脳深部刺激治療用のロッド又は針(例えば、国際公開第2019042553号パンフレット参照)、2次元アレイなどの形状にあるとし得る。絶縁支持体は電極結合面を含み、これは、刺激効果を全くもたらさずに、治療されるべき組織に接触し得る。絶縁支持体は、長期の植込みのために、及び迷走電流の形成を減少させるために、それらの治療位置に電極を固定するために使用される。絶縁支持体は、好ましくは、ポリマー材料で作製される。挿入するために、及びどんな体の動きにも合わせるために、絶縁材が変形される必要があるとき、絶縁材は、好ましくは、弾性重合体、例えばシリコーン又はポリウレタンエラストマーで作製される。他の電極の幾何学的形状、例えば脳深部刺激電極では、絶縁支持体は、剛体とし得、且つ例えばポリウレタン又はエポキシ樹脂で作製され得る。
【0067】
組織の抵抗は、3~5kΩ程度である。mAオーダー、例えば0.1~3mAの電流では、電極間に必要とされる電圧は、10V程度とし得る。
【0068】
IPGが電気エネルギー源(11L)を含む場合、これは、導線を含むエネルギー伝達リード線(30)によって電極へ直接伝達され得る。他方で、IPGが光エネルギー源(11L)を含む場合、これは、光ファイバー(30f)を含むエネルギー伝達リード線(30)によって組織結合ユニット(50)へ伝達され得る。組織結合ユニットは、光ファイバー(30f)によって伝達された光エネルギーを電気エネルギーへ変換して、電極に供給するための光電池を含み得る。或いは、組織結合ユニットは、組織を光学的に刺激するオプトロードを含み得る。
【0069】
エネルギー伝達リード線(30)
エネルギー伝達リード線(30)は、エネルギーをカプセル化構造(1)から組織結合ユニット(50)へ伝達し且つ戻すために使用される。エネルギーは、電気エネルギーの形とし得る。この場合、エネルギー伝達リード線(30)は少なくとも1本の導線を含む。エネルギーが光エネルギーである場合、エネルギー伝達リード線(30)は少なくとも1本の光ファイバー(30f)を含む。
【0070】
IPGは、光エネルギー源(11L)を含み;エネルギー伝達リード線(30)は光ファイバー(30f)を含み、及び組織結合ユニットは光電池を含み得ることが好ましい。光エネルギー源(11L)は、接続ユニット(9)に向かい合って位置決めされ且つ光用壁部分(1Lt)と同じ光学的性質を有するハウジング壁のパルス用壁部分(1Pt)に対面する。パルス用壁部分の内面及び/又は外面はまた、ハウジングの他の部分よりも滑らかな表面仕上げを生じるように、磨かれ得、それゆえ、透過率を高める。
【0071】
導電線の使用は当業界で公知である。本明細書では、それらの使用は好ましくない。なぜなら、一方では、ハウジングの内部空間内に組み込まれたIPGへの導線の接続は、フィードスルーの使用を求め、フィードスルーは、フィードスルーの周りの封止を維持することが非常に困難であるため、故障原因であり、他方では、導線は、磁場に干渉し、且つ磁気共鳴画像(MRI)の、さらには空港、銀行、及び一部の行政の建物でのセキュリティポータルの問題点であるためである。これらの理由で、本発明では光ファイバーの使用が好ましい。電流がハウジングの壁を横切って伝達される必要がある場合、フィードスルーではなく、微細孔付きガラス基板(TGV:through glass vias)を使用することが好ましく、微細孔付きガラス基板は、ハウジングの壁を通して穿孔を作って、穿孔を導電性の金属、好ましくは金又は白金で充填して、導電性ビアと、当業界で公知のいずれかの技術、例えばワイヤボンディング、レーヤボンディング、はんだ付け、溶接などによって、導電性ビアの両面に結合ワイヤとを形成することからなる。
【0072】
それゆえ、本発明の好ましい実施形態は、以下の通り定義される刺激用AIMDである。
・カプセル化構造ハウジングは、光エネルギー源(11L)を包囲し、光エネルギー源は、接続ユニット(9)に対面するパルス用壁部分(1Pt)に対面し、且つ好ましくは300~1000μmに含まれる厚さを有して、室温において850nmの波長に対して少なくとも75%の透過率を有する光学窓を形成する。窓は、接続ユニットから内部空間を分離し、パルス用壁部分は、任意選択的に、
図2及び
図3に示すように、パルス用壁部分と一体の1つ以上のマイクロ光学レンズ(4L)を含む。
・接続ユニット(9)は、
図2に示すように、第1又は第2の構成要素(2、3)と一体とし得るか、又は
図3及び
図6(b)に示すように、カバー(90)に統合され得る。
・エネルギー伝達リード線(30)は、少なくとも1本の光ファイバー(30f)、好ましくは少なくとも2本又は少なくとも3本の光ファイバーを含み、及び電線はない。
・カプセル化構造はフィードスルーを含まない。
【0073】
エネルギー伝達リード線(30)は、単一の光ファイバー(30f)を含み得るが、AIMDに機能を追加するために、2本以上の光ファイバーを含むことが好ましい。例えば、光ファイバー(30f)が、光エネルギー源(11L)から、組織結合ユニット(50)に含まれる光電池まで光パルスを伝達するために使用され得る。第2の光ファイバーが、組織結合ユニット(50)に含まれる光源からカプセル化構造ハウジング内の第2の光検知器(11P)までフィードバック信号を送信するために使用され得、そのフィードバック信号は、電気パルスが、それが結合されている組織へ送られたことを示し得る。第3の光ファイバーが、組織結合ユニット内の修復回路を起動して、有害な副作用を予防するために使用され得る。第3の光ファイバーは、カプセル化構造ハウジングに組み込まれた修復発光源から修復光電池まで光エネルギーを伝達し、電極に電気的に供給し得、それゆえ、電気刺激回路と並列の電荷修復回路を形成する。修復回路を含む組織結合ユニットは、例えば、国際公開第2016131492号パンフレットに説明されている。
【0074】
保護ポリマー層(40)及びカバー(90)
好ましい実施形態では、カプセル化構造(1)は、ハウジングの外面の一部又は全てにわたって付けられた保護ポリマー層(40)を含み得る。第1及び/又は第2の主壁(1a、1b)の光用壁部分(1Lt)にわたって又は追加的な壁部分若しくはパルス用壁部分(1At、1Pt)にわたって付けられた保護ポリマー層のいずれの部分も、透明である必要があり、室温で、第1の又は追加的な壁部分(1Lt、1At)及び保護ポリマー層(40)によって形成されたラミネートを通る850nmの波長に対して、少なくとも75%の透過率を生じる。少なくとも第1の及び/又は追加的な壁部分(1Lt、1At)にわたってコーティングされた領域では、保護ポリマー層は、シリコーン又はパリレンを含み得る。好ましい実施形態では、好ましくはシリコーン製の保護ポリマー層(40)は、
図1(d)に示すように、カプセル化構造の全域を覆い得る。
【0075】
保護ポリマー層は、ハウジングの耐衝撃性を高め得る。潤滑効果も有し、カプセル化構造に対する周囲組織のより滑らかな動きを可能にする。保護ポリマー層はまた、カプセル化構造の外面上での結合組織の増殖及びそこへの結合組織の取り付けを減少させ得る。
【0076】
保護ポリマー層(40)は、当業界で公知の任意の技術によって、第1及び/又は第2の構成要素(2、3)にわたって付けられ得る。一実施形態では、保護ポリマー層は、別々に射出成形されてシースを形成し、そこに、ハウジング(カバー(90)のある又はない)が挿入される。保護ポリマー層は、型内に位置決めされたハウジング(カバー(90)のある又はない)の外面の上側を覆って(射出)成形され得る。保護ポリマー層は、浸せきコーティング、吹き付け、ブラッシングなどによって、ハウジング(カバー(90)のある又はない)の外面(の一部分)にわたってコーティングされ得る。
【0077】
カプセル化構造はまた、カプセル化構造に追加的な機能を加える(例えば、接続ユニット(9)を形成する)、1つ以上のカバー(90)を含み得る。本明細書では、カバーは、カプセル化構造の任意の構成要素において、第1及び第2の構成要素(2、3)とは異なり、且つ内部空間と接触しないと定義される。カバーは、カプセル化構造にもたらす機能性に依存して、ポリマー、金属、又はセラミックを含む、任意の生体適合性材料で作製され得る。カバーは、第1及び/又は第2の構成要素(2、3)の一部分にわたって、
・ハウジングの外面の部分にわたって直接、成形する、好ましくは射出成形することによって、又は
・別々に生産されたカバーを、ハウジングの外面の部分に、接着、はんだ付け、溶接、機械的に嵌めることなどにより、結合することによって
のいずれかで、付けられ得る。
【0078】
カバー(90)は、第1及び第2の要素(2、3)を形成する透明なセラミック材料を用いて生じるのがより困難とし得るか又はより高価とし得る複雑な形状を生じるのに好都合である。第1及び第2の構成要素(2、3)を形成する透明なセラミック材料は、必ずしも、所与の機能を達成するために最も好適な性質を有していなくてもよい。例えば、接続ユニット(9)のカプセル化構造結合要素(9c)は、ねじ山又は薄壁のキャビティなどを含み得(
図2(c)参照)、これは、透明なセラミック材料内に作製される場合には、脆すぎることがある。それゆえ、
図3及び
図6(b)に示すように、カプセル化構造接続ユニット(9)は、少なくとも部分的にカバー(90)によって作製され得る。結合される必要がある第1又は第2の構成要素の外面の部分とカバーとの最適なアライメントを保証するために、カバー及びその部分の双方とも、対となる突起/キャビティの形態にあるガイドを含み得る。カバーが第1又は第2の構成要素(1a、1b)の上側を覆って成形される場合、突起は、さらには、キノコ形状にされて、ハウジングの外面へのカバーの機械的な固着を保証し得る。
【0079】
カバー(90)は、内部空間の封止性に影響を及ぼさないため、水分に対する安定性の条件は、ハウジングの壁を形成する材料に対するほどには厳しくない。接続ユニット(9)を形成するために使用される場合、カバーは、攻撃的な体内環境にあるときには機械的に安定している必要があり、且つ光ファイバー(30f)の近位端の汚れ又は劣化を防止する必要がある。さらに、ポリマーは、生体適合性である必要がある。カバーは、ポリアリールエーテルケトン、例えばPEEK、PEK、PEKK、PEEKK、PEKEKK、エポキシ、シリコーン、チタンで作製され得る。
【0080】
カプセル化構造の露出面は、外部環境と接触する面であると定義され得、
・外面の一部又は全てにわたって付けられた任意選択的な保護ポリマー層(40)、
・例えば接続ユニット(9)を含む、任意選択的なカバー(90)、及び
・任意選択的な保護ポリマー層又は任意選択的なカバーによって覆われていない、壁の外面のいずれかの部分
を含む。
【0081】
好ましい実施形態では、露出面の曲率半径は、その全ての箇所において、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mm及び一層好ましくは少なくとも2mmである。尖ったエッジ又は尖った角がないこと、すなわち、曲率半径が0.5mm未満のエッジ又は角は、動いている体内に植込まれたカプセル化構造に起因する傷害のリスクを低減させる。例えば、
図3及び
図6(b)の第2の構成要素(3)は、尖ったエッジを有しているが、カバー(90)が、これらの尖ったエッジを覆っており、且つ露出面全体を滑らかにする、すなわち、少なくとも0.5mmの曲率半径を有するようにする。
【0082】
AIMDの生産プロセス
本発明によるAIMDは、以下のステップを含むプロセスによって、生産され得る。第1に、第1及び第2の構成要素(1a、1b)の3Dコンピュータ支援設計(CAD)が提供される必要がある。次いで、第1及び第2の基本ブロックが提供され、両ブロックは、第1及び第2の構成要素(1a、1b)のそれぞれに関し、同じ透明なセラミック材料で作製されている。透明なセラミック材料は、上記で定義されたようなものである、すなわち、380~2200nmに含まれる波長に対して透明であり、且つ好ましくは石英ガラスである。第1及び第2の基本ブロックは、余分な材料の除去によって、対応する第1及び第2の構成要素を形成するのに好適な寸法である必要がある。第1及び第2の構成要素の寸法は、それらの接合後に、第1、第2及び第3の軸X、Y、Zに沿った外のり寸法Lo、Wo、及びHoのハウジングの形成を可能にする必要がある。例えば、第1の軸(X)に沿って測定された第1の構成要素(2)の外側長さLo2は、
図1~3、及び
図4(a)、(b)、及び(d)に示すようなLoよりも短いとし得るか、又は
図4(c)及び
図5に示すようなLoと等しいとし得る。
【0083】
余分な材料は、第1及び第2の基本ブロックから除去されて、第1及び第2の構成要素(1a、1b)を生じる。主光源(10L)及び/又は第1の光検知器(10P)及び任意の追加的な電子構成要素(まとめて、電子回路部品と呼ぶ)は、第1の構成要素及び/又は第2の構成要素に堅固に装着され得る。電子回路部品は、好ましくは、1つ以上の電子回路基板(7、8)(ECB)上に支持される。ハウジングは、ここで、第1の構成要素と第2の構成要素とを封止接合し、それゆえ、外部環境から封止式に分離された内部空間を画成し、且つ電子回路構成要素を包囲して、主光源(10L)及び/又は光検知器(10P)が第1の主壁(1a)の光用壁部分(1Lt)の内面に対面するようにすることによって、形成され得る。
【0084】
余分な材料の除去は、異なる技術によって実施され得る。第1に、余分な材料は、第1及び第2の基本ブロックを機械加工することによって、機械的に除去され得る。それゆえ、3D CADと一緒にコンピュータ制御ツールを使用することによって、幾何学的精度の高い部品が生産され得る。
【0085】
第2に、余分な材料は、以下のステップを含む物理化学的プロセスによって除去され得る。
・レーザを用いて、第1及び第2の基本ブロックのそれぞれから除去されるべき余分な材料を選択的に処理して、第1及び第2のレーザ処理済みブロックを得るようにし、それゆえ、レーザ処理された余分な材料は、エッチング処理に対してより敏感になるようにされ、これに続けて、
・第1及び第2のレーザ処理済みブロックを、化学組成物を用いてエッチングして、レーザ処理された余分な材料をレーザ処理済みブロックから除去するようにし、且つレーザによって選択的に処理されていない材料には影響を及ぼさず、それゆえ、第1及び第2の構成要素を得る。
【0086】
極めて高精細度の部品は、ねじ山(例えば、
図2(c)、#9cにおけるように)、第1及び第2の主壁と一体のピラー(1P)(
図6参照)などを含め、この技術によって生産され得る。
図3及び
図6(b)におけるように、
図2のAIMDの第2の構成要素(3)は、接続ユニット(9)を提供するためにカバー(90)が上側を覆って付けられた比較的単純な幾何学的形状で生産されることができた。しかしながら、
図2に示すように、第2の構成要素(3)は、優れた精度の薄いねじ山(9c)を含めて、石英ガラスのブロックに、上述の物理化学的プロセスによって生産された。
【0087】
第1及び第2の構成要素(2、3)の封止接合は、第3の材料を追加することなく、溶接によって、好ましくはレーザ溶接によって、一層好ましくは、ナノ-、フェムト-、又はピコ-秒レーザ溶接を含む短又は超短パルスレーザ溶接によって、実施される。この技術は、透明なセラミック材料としての石英ガラスを用いて、優れた結果を生じる。
【0088】
第1の主壁(1a)の光用壁部分(1Lt)の外面及び/又は内面の表面仕上げは、透過率を最適にするには十分に滑らかではない場合もある。必要に応じて、外面及び/又は内面は、3μm未満、好ましくは1.5μm未満、一層好ましくは1μm未満のRa-粗さを生じるために、当業界で周知の技術によって磨かれ得る。
【0089】
要約及び利点
本発明のAIMDは、その内部空間を極めて良好に封止し、主光源(10L)及び/又はハウジングの第1の主壁(1a)を通して電磁放射線を出すか若しくは受けるための第1の光検知器(10P)を含め、電子回路構成要素のいくつもの感湿構成要素を入れる、カプセル化構造ハウジングを提供する。第1の主壁を通しての電磁放射線の透過は、患者の体の外部へ及びそこからデータを通信する、標的組織を光学的に刺激する、バイオマーカを監視する、ハウジングに組み込まれたバッテリー(12)を充電するなどのために、使用され得る。
【0090】
本発明のAIMDは、大きな寸法を有し、刺激用AIMDとしてのその使用を可能にし、バッテリー(12)、光(又は電気)エネルギー源(11L)、及び/又は第2の光検知器(11P)、並びにカプセル化構造へ及びそこから送られたパルス及び情報を制御するためのマイクロプロセッサーを包囲し得る。
【0091】
多くの機能が、ハウジングの外壁の一部分にカバー(90)を付けることによって、内部空間内又は外面上のいずれかで、AIMD(例えば、追加的な光学素子(10A)、接続ユニット(9))に含まれ得る。
【符号の説明】
【0092】
A1 第1の主壁1aの表面積
A2 第2の主壁1bの表面積
1 カプセル化構造
1a 第1の主壁
1At 追加的な壁部分
1b 第2の主壁
1Lt 第1の主壁の光用壁部分
1P 補強用ピラー
1Pt パルス用壁部分
2 第1の構成要素
3 第2の構成要素
4L マイクロ光学レンズ
7 電子回路基板(ECB)
8 IPG電子回路基板
9 接続ユニット
9c カプセル化構造結合要素(光ファイバー30f用)
10A 追加的な光学素子
10L 主光源
10M 監視用光検知器
10P 第1の光検知器
11L 光又は電気エネルギー源
11P 第2の光検知器
12 バッテリー/電源
18 IPG電子回路基板(8)を受け入れるための凹部
23 第1の構成要素(2)と第2の構成要素(3)との間の境界面
30 エネルギー伝達リード線
30c リード線結合要素(光ファイバー30f用)
30f 光ファイバー
30p エネルギー伝達リード線の近位端
40 保護ポリマー層
41 樹脂充填Vi
50 組織結合ユニット
90 カバー
Hi Zに沿ったカプセル化構造の内側高さ
Ho Zに沿ったカプセル化構造の外側高さ
Lo Xに沿ったカプセル化構造の外側長さ
Lo2 Xに沿ったカプセル化構造の第1の構成要素の外側長さ
Lo3 Xに沿ったカプセル化構造の第2の構成要素の外側長さ
t1a 第1の主壁の平均厚さ
t1b 第2の主壁の平均厚さ
Vi カプセル化構造の内部容積領域
Wo Xに沿ったカプセル化構造の外側幅
R 曲率半径
X
Y
Z
【国際調査報告】