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特表2022-531693垂直離着陸航空機のためのハイブリッド推進システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-08
(54)【発明の名称】垂直離着陸航空機のためのハイブリッド推進システム
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/24 20060101AFI20220701BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220701BHJP
   B64C 29/00 20060101ALI20220701BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20220701BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B64D27/24
B64C27/08
B64C29/00 A
B64D47/00
B64C39/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565915
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 FR2020050747
(87)【国際公開番号】W WO2020225510
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】1904715
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティリエ,ロマン・ジャン・ジルベール
(72)【発明者】
【氏名】ベドック,ステファヌ・メイエ
(57)【要約】
垂直離着陸(VTOL)航空機のためのハイブリッド推進システム(10)であって、発電機(122、142)を駆動する少なくとも1つの燃焼エンジン(120、140)と、各発電機に関連付けられ、各発電機とともにエネルギー分岐を規定する少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵アセンブリ(16、18A、18N)と、航空機の推進力および/または揚力を一緒に提供する同じ複数のローター(202、222、242、262)を作動させる複数の電気モータ(200、220、240、260)と、事前に確立された飛行段階にしたがって、発電機からおよび/または電気エネルギー貯蔵アセンブリから複数の電気モータに電力を供給する電力および分配ユニット(28)とを備え、システムは、非対称構成を有する少なくとも2つのエネルギー分岐を含み、少なくとも2つのエネルギー分岐のそれぞれが電力および分配ユニット(28)によって複数の電気モータの全部または一部に選択的に電力をそれぞれ供給し、システムにおいて、燃焼エンジンの発電機が、全ての飛行条件において航空機に必要な電力を単独でより強力に供給することができるように、燃焼エンジンの発電機の間に1.2から1.4の間に含まれる電力比を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直離着陸(VTOL)航空機のためのハイブリッド推進システム(10)であって、発電機(122、142)を駆動する少なくとも1つの燃焼エンジン(120、140)と、各発電機に関連付けられ、各発電機とともにエネルギー分岐を規定する少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵アセンブリ(16;18A、18N)と、ハイブリッドVTOL航空機の推進力および/または揚力を一緒に提供する同じ複数のローター(202、222、242、262)を作動させる複数の電気モータ(200、220、240、260)と、事前に確立された飛行段階にしたがって、発電機からおよび/または電気エネルギー貯蔵アセンブリから複数の電気モータに電力を供給する電力および分配ユニット(28)とを備え、システムが、非対称構成を有する少なくとも2つのエネルギー分岐を含み、少なくとも2つのエネルギー分岐のそれぞれが電力および分配ユニット(28)によって複数の電気モータの全部または一部に選択的に電力を供給すること、および、燃焼エンジンの発電機が、全ての飛行条件において航空機に必要な電力を単独でより強力に供給することができるように、燃焼エンジンの発電機の間に1.2から1.4の間に含まれる電力比を有することを特徴とする、ハイブリッド推進システム。
【請求項2】
複数の電気モータが発電機によって直接電力を供給されるときに、電気エネルギー貯蔵アセンブリのそれぞれが、この複数の電気モータへの電力供給を平滑化することができる決定された電力を供給すること、および、発電機のうちの1つによって送達される電力に対応する決定された電力を供給し、少なくとも2つのエネルギー分岐のいずれか1つに選択的に接続されることができる追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ(38)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項3】
2つのエネルギー分岐からなることを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項4】
第1の発電機が400kWの電力を送達することができ、第2の発電機が300kWの電力を送達することができることを特徴とする、請求項3に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項5】
電気エネルギー貯蔵アセンブリのそれぞれが、この電気エネルギー貯蔵アセンブリが関連付けられた燃焼エンジンの発電機によって送達される電力に対応する決定された電力を供給することを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項6】
追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリが、より低い電力を有する発電機によって送達される電力に対応する決定された電力を供給することを特徴とする、請求項2に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項7】
電気エネルギー貯蔵アセンブリが再充電可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項8】
電力および分配ユニットが、発電機によって送達される交流を直流に変換するためのAC-DCコンバータ(30)と、直流を電気モータに電力を供給するための交流に変換するためのDC-ACコンバータ(32)と、事前に確立された飛行段階にしたがって、発電機および/または電気エネルギー貯蔵アセンブリを電気スラスタに接続するための接触器アレイ(34)とを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項9】
燃焼エンジンが、ガスタービン、または、自由タービンもしくはリンクされたタービンを介して発電機を駆動するピストンもしくは回転タイプの他の任意の内燃機関であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項10】
電気エネルギー貯蔵アセンブリが、燃料電池、または再充電可能な場合はバッテリおよび/またはスーパーキャパシタユニットであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システムを含むハイブリッドVTOL航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直離着陸航空機のためのハイブリッド推進システムおよびこのタイプのシステムを含む航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチローター航空機を推進させるためのアーキテクチャは、出願FR3056555から公知であり、タービンエンジン、このタービンエンジンに関連付けられ、バッテリを再充電することができる発電機、および8つの二重反転(counter-rotating)プロペラを駆動する8つの電気モータを使用することからなる。ターボ発電機(タービンエンジンと発電機)およびバッテリの寸法は、各部材が航空機の推進に必要な電力を単独で、ターボ発電機に継続的に、バッテリに数分間供給することができるように実現される。
【0003】
しかしながら、このタイプのマルチローター航空機の巡航に必要な電力は、離陸時に必要な最大電力よりも30から40%低いため、ターボ発電機は、この巡航段階中に特定の燃料消費率の最適値からはほど遠く動作する。
【0004】
さらに、推進システムの性能は、航空機の、周囲条件、進行速度、および搭載質量に大きく依存する。さらに、かなりの質量のバッテリを搭載しているという事実に加えて、ターボ発電機が失われた場合、このアーキテクチャは、例えば海上飛行ゾーンを除いて、限られた時間内にアクセス可能なゾーンに緊急着陸することしかできない。
【0005】
したがって、現在、マルチローター航空機、より具体的には、ハイブリッド推進を有する垂直離着陸(VTOL)航空機のための新たな推進システムの必要性が現在存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3056555号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、前述の不利な点を軽減し、特に、航空機の飛行段階に応じたエネルギーの発生の最適化だけでなく、多用途性の増大を可能にするハイブリッドVTOL推進アーキテクチャを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、垂直離着陸航空機のためのハイブリッド推進システムであって、発電機を駆動する少なくとも1つの燃焼エンジンと、各発電機に関連付けられ、各発電機とともにエネルギー分岐を規定する少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵アセンブリと、航空機の推進力および/または揚力を一緒に提供する同じ複数のローターを作動させる複数の電気モータと、事前に確立された飛行段階にしたがって、発電機からおよび/または電気エネルギー貯蔵アセンブリから複数の電気モータに電力を供給する電力および分配ユニットとを備え、システムが、非対称構成を有する少なくとも2つのエネルギー分岐を含み、少なくとも2つのエネルギー分岐のそれぞれが電力および分配ユニットによって複数の電気モータの全部または一部に選択的に電力を供給すること、および、燃焼エンジンの発電機が、全ての飛行条件において航空機に必要な電力を単独でより強力に供給することができるように、燃焼エンジンの発電機の間に1.2から1.4の間に含まれる電力比を有することを特徴とする、システムが開示される。
【0009】
したがって、2つ以上のターボ発電機を含むアーキテクチャを提案することにより、燃焼エンジンが完全に失われた場合に航空機に見られる見かけの電力損失を低減し、多数の電力の組み合わせを優先することができる。
【0010】
有利なことに、各電気エネルギー貯蔵アセンブリは、複数の電気モータが発電機によって電力を供給されるときに、この複数の電気モータへの電力供給を平滑化することができる決定された電力を供給し、それはまた、発電機のうちの1つによって送達される電力に対応する決定された電力を供給し、少なくとも2つのエネルギー分岐のいずれか1つに選択的に接続されることができる追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリも含み、または電気エネルギー貯蔵アセンブリのそれぞれは、この電気エネルギー貯蔵アセンブリが関連付けられている燃焼エンジンの発電機によって送達される電力に対応する決定された電力を供給する。
【0011】
このように追加の貯蔵アセンブリをプールすることにより、電気エネルギー貯蔵アセンブリの全体的なサイズ(したがって質量)を低減し、巡航段階で「エコノミー」と呼ばれる動作モードを得て、スタンバイモードのままになっているターボ発電機のいずれかの緊急再アクティブ化を可能にすることが可能である。
【0012】
有利な実施形態によれば、第1の発電機は、400kWの電力を送達することができ、第2の発電機は、300kWの電力を送達することができる。
【0013】
好ましくは、追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリは、より低い電力を有する発電機によって送達される電力に対応する決定された電力を供給する。
【0014】
企図される実施形態によれば、電気エネルギー貯蔵アセンブリは、再充電可能とすることができる。
【0015】
有利なことに、電力および分配ユニットは、発電機によって送達される交流を直流に変換するためのAC-DCコンバータと、直流を電気モータに供給するための交流に変換するためのDC-ACコンバータと、事前に確立された飛行段階にしたがって、発電機および/または電気エネルギー貯蔵アセンブリを電気スラスタに接続するための接触器アレイとを含む。
【0016】
好ましくは、燃焼エンジンは、ガスタービン、または、自由タービンもしくはリンクされたタービンを介して発電機を駆動するピストンもしくは回転タイプの他の任意の内燃機関であり、電気エネルギー貯蔵アセンブリは、燃料電池、または再充電可能な場合はバッテリおよび/またはスーパーキャパシタユニットである。
【0017】
本発明はまた、前述のようなハイブリッド推進システムを含むハイブリッドVTOL航空機に関する。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、いかなる限定的な特徴もない以下の図を参照して、以下に与えられる詳細な説明によって明らかにされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明にしたがうハイブリッドVTOL航空機の電気推進アーキテクチャの第1の例を簡略化した方法で示している。
図2図2は、本発明にしたがうハイブリッドVTOL航空機の電気推進アーキテクチャの第2の例を簡略化した方法で示している。
図3図3は、本発明にしたがうハイブリッドVTOL航空機の電気推進システムに実現された接触器アレイの例示的な実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に準拠し、N個のエネルギー分岐を含み、各エネルギー分岐が、燃焼エンジン(またはターボ発電機12;14A、14N)と、有利には再充電可能である電気エネルギー貯蔵アセンブリ16;18A、18Nとを有する発電機を備え、これらのN個のエネルギー分岐が、航空機の推進力および/または揚力を提供する複数の電気スラスタ20、22、24、26、2X、2Yに選択的に電力を供給する、垂直離着陸(VTOL)航空機のためのハイブリッド推進システム10の第1の例を非常に概略的に示している。
【0021】
したがって、図1に実線で示されている2つの推進アセンブリを有する好ましいシステムは、それぞれが電気スラスタの全部または一部に電力を供給する2つのエネルギー分岐を規定する。これらの2つのエネルギー分岐が分離されると、それぞれがこれらのスラスタの半分、すなわち4つのスラスタを有して示されている構成においてそれぞれ2つのスラスタに電力を供給する。リザーバ(図示せず)に貯蔵された燃料が供給される燃焼エンジン120、140は、例えば、ターボ機械(例えば、ガスタービンまたはピストンもしくは回転タイプの他の任意の内燃機関)であり、それは、自由タービンまたはリンクされたタービンを介して発電機または電気スタータ/発電機122、142を駆動する。電気エネルギー貯蔵アセンブリは、例えば、推進に使用される場合も使用されない場合もある水素などの燃料からこのエネルギーを生成する燃料電池、または再充電可能な場合はバッテリおよび/またはスーパーキャパシタユニット16、18Aである。電気スラスタは、それぞれ、おそらく減速ギア(図示せず)を通して、電気モータ202、222、242、262によって駆動される少なくとも1つのローター200、220、240、260からなる。
【0022】
図面を簡略化するために、それぞれローターが設けられた2つのスラスタが、エネルギー分岐の各ターボ発電機に関連付けられているが、本発明は、区別なく、より多くのスラスタ、典型的には例えば2個から12個以上に適用され、前文で引用された従来技術のように、ローターは、おそらく、二重反転タイプの単純プロペラまたは二重同心プロペラであることが理解される。
【0023】
このハイブリッド推進システムは、問題の航空機の飛行段階にしたがって、発電機122、142からおよび/または電気エネルギー貯蔵アセンブリ16、18Aから複数の電気モータ202、222、242、262に電力を供給する電力および分配ユニット28をさらに含む。このユニットは、発電機と電気モータの間の電気的デカップリングを保証し、発電機と電気モータは、航空機の性能を最適化するために、それぞれがそれぞれの公称回転速度で回転されることができる(発電機は、一般に、同様に異なる速度で回転することができる電気モータよりもはるかに高い回転速度を有する)。
【0024】
また、従来、このユニットは、発電機によって送達される交流を航空機のDC電気ネットワークのために意図される直流に変換するためのAC-DCコンバータ30と、このDC電気ネットワークから由来する直流を電気モータに電力を供給するための交流に変換するためのDC-ACコンバータ32と、飛行計画(オーバーフローゾーンのマッピング、環境条件)、航空機の離陸質量(輸送される乗客および貨物の数)および利用可能なエネルギー(規制リザーブを含むエネルギーおよび燃料資源)にしたがって、最良に適合されたエネルギー源(発電機もしくは電気エネルギー貯蔵アセンブリまたはその双方)を電気スラスタに送達するように指示する接触器アレイ34とが設けられている。
【0025】
好ましくは、DC-DCコンバータ36は、電気エネルギー貯蔵アセンブリ16、18Aが再充電可能である場合、これらの再充電を可能にするために提供されることができる(しかしながら、この再充電の可能性は、燃料電池では実用的ではない)。
【0026】
必要に応じて2つのエネルギー分岐の分離を提供することができる2つのターボ発電機を有するこのアーキテクチャでは、2つのタービン発電機のうちの1つが故障した場合、この故障したタービン発電機を有する電気エネルギー貯蔵アセンブリが、対応するエネルギー分岐の電気スラスタに電力をその後に供給することで、残留電力をより長く保持することが可能である。しかしながら、この保持は、従来技術の単一のターボ発電機を有するアーキテクチャと比較して、質量および燃料消費のペナルティを犠牲にして達成される。
【0027】
燃焼エンジンは、このアーキテクチャを使用すると、OEI(片発停止)タイプなどの利用可能な緊急動作レジームを有することができることに留意されたい。
【0028】
本発明にしたがうハイブリッドVTOL航空機のためのハイブリッド推進システムの第2の例が図2に示されている。これは、追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ38も含み、このことは、追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ38が、N個のエネルギー分岐のうちの1つの故障したターボ発電機を補うことを可能にし(したがって、プールされた非常用バッテリとして動作する)、各発電機に関連付けられた電気エネルギー貯蔵アセンブリ16;18A、18Nが電力の必要性に対する電流の単純な平滑化以上のものを提供しないという点で、前述のものと区別される。
【0029】
この第2のアーキテクチャは、電気エネルギー貯蔵アセンブリの質量を大幅に低減することを可能にする。実際に、各発電機が300kWの電力を送達することを考慮すると、同じ電力を供給するバッテリは、追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ38に適合され、そして、それぞれ50kWの電力を供給するバッテリは、各電気エネルギー貯蔵アセンブリ16;18A、18Nにとって十分である。N+1個のバッテリを有するこの貯蔵構成は、電気エネルギー貯蔵アセンブリ16;18A、18Nがそれぞれ300kWの電力を供給するN個のバッテリを伴って有利に得られる第1のアーキテクチャから生じるものと比較されるべきである。
【0030】
さらに、限られた飛行および速度の領域では、この第2のアーキテクチャは、(「エコノミー」モードと呼ばれる)単一のターボ発電機における巡航時の動作を可能にし、航空機の信頼性の向上または10%を超える燃料節約の実現を可能にする。
【0031】
実際に、そのようなエコノミーモードの動作は、2つのターボ発電機のうちの1つ(例えば、2つのターボ発電機12、14Aを有する構成におけるターボ発電機14A)をスタンバイモードにすることを可能にする。2つのターボ発電機のうちの他方であるアクティブターボ発電機12が失われた場合の迅速な再アクティブ化に必要なエネルギーは、まず、スタンバイターボ発電機14Aをこの追加のアセンブリ38から再始動する前に、故障したターボ発電機12を絶縁し、スタンバイターボ発電機が再始動されると、かくして再アクティブ化したターボ発電機14Aを用いて飛行段階を進むことを可能にする、接触器アレイ34における適切な措置によって、この追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ38から得られる。
【0032】
さらに、2つのターボ発電機の使用は、このエコノミーモードの飛行領域におけるより広い使用を可能にするために、これら2つのターボ発電機の非対称構成を可能にする。
【0033】
したがって、巡航段階における電力の必要性は、異なるパラメータ(外部の温度および圧力、航空機の質量、速度・・・)に依存し、単一のターボ発電機によって送達される電力よりも大きくすることができる。この場合、全ての飛行条件においてエコノミーモードを提供することができるようにするために、他のターボ発電機よりも強力なターボ発電機が利用可能である必要がある。例えば、2つの発電機のうちの1つが300kWの電力を送達し、2つ目が400kWの電力を送達することができる。通常、1.2から1.4の間に含まれる2つのターボ発電機間の電力比は、より強力なものが全ての飛行条件において航空機に必要な電力を単独で供給することを可能にするために適切であるように見える。
【0034】
有利なことに、このエコノミーモードは、飛行条件(離陸質量、周囲条件、・・・)に応じて、2つのターボ発電機(出力がより強いまたはより弱い)のうちの一方または他方において実現されることができ、ミッション中にも発展することができる。この場合、追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ38は、2つのターボ発電機のうちの一方または他方の緊急再アクティブ化ができるであろう。
【0035】
ハイブリッドVTOL航空機の場合、このエコノミーモードのアクティブ化は、好ましくは、以下の2つの条件が同時に検証される場合、巡航段階において実現されることに留意されたい:進行速度>100kts、および航空機に必要な電力が、(有効な巡航速度と周囲の飛行条件(高度、温度・・・)に応じて)2つのターボ発電機のうちの1つによって供給されることができる。
【0036】
本発明にしたがうハイブリッドVTOL航空機の電気推進アーキテクチャに実現された接触器アレイ34の決して限定的であるとは見なされることができない例示的な実施形態が図3に示されている。
【0037】
このタイプのアレイは、いくつかの接触器を含む:N個の接触器P1A;P2AおよびP2Nは、開くと、各ターボ発電機12、14Aおよび14Nを絶縁するように意図され、別のB1は、追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ38と同じことを行うように意図される。他の接触器B2;B2AおよびB3Nは、開位置での推進アセンブリの分離を保証し(例えば、ターボ発電機12は、電気スラスタ20、22のみに供給し、ターボ発電機14Nは、電気スラスタ2X、2Yのみに供給する)、閉位置では、それらは、追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリからの選択されたターボ発電機のうちの1つの再始動、さらにはこのエネルギー分岐のターボ発電機が失われた場合に1つのエネルギー分岐の別のエネルギー分岐への置き換えを可能にする。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直離着陸(VTOL)航空機のためのハイブリッド推進システム(10)であって、
2つのエネルギー分岐であって、それぞれが、発電機(122、142)を駆動する燃焼エンジン(120、140)、および、各発電機に関連付けられた少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵アセンブリ(16;18A、18N)を有する、2つのエネルギー分岐と、
ハイブリッドVTOL航空機の推進力および/または揚力を一緒に提供する同じ複数のローター(202、222、242、262)を作動させる複数の電気モータ(200、220、240、260)と、
事前に確立された飛行段階にしたがって、発電機からおよび/または電気エネルギー貯蔵アセンブリから複数の電気モータに電力を供給する電力および分配ユニット(28)と
を備え、
システムが、2つのエネルギー分岐が非対称構成を有し、2つのエネルギー分岐のそれぞれが電力および分配ユニット(28)によって複数の電気モータの全部または一部に選択的に電力を供給することと、燃焼エンジンの発電機が、全ての飛行条件において航空機に必要な電力を単独でより強力に供給することができるように、燃焼エンジンの発電機の間に1.2から1.4の間に含まれる電力比を有することとを特徴とする、ハイブリッド推進システム。
【請求項2】
複数の電気モータが発電機によって直接電力を供給されるときに、電気エネルギー貯蔵アセンブリのそれぞれが、この複数の電気モータへの電力供給を平滑化することができる決定された電力を供給すること、および、発電機のうちの1つによって送達される電力に対応する決定された電力を供給し、少なくとも2つのエネルギー分岐のいずれか1つに選択的に接続されることができる追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリ(38)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項3】
2つのエネルギー分岐の電気エネルギー貯蔵アセンブリのそれぞれが、50kWの平滑化電力を送達することを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項4】
第1の発電機が400kWの電力を送達することができ、第2の発電機が300kWの電力を送達することができることを特徴とする、請求項3に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項5】
電気エネルギー貯蔵アセンブリのそれぞれが、この電気エネルギー貯蔵アセンブリが関連付けられた燃焼エンジンの発電機によって送達される電力に対応する決定された電力を供給することを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項6】
追加の電気エネルギー貯蔵アセンブリが、より低い電力を有する発電機によって送達される電力に対応する決定された電力を供給することを特徴とする、請求項2に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項7】
電気エネルギー貯蔵アセンブリが再充電可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項8】
電力および分配ユニットが、発電機によって送達される交流を直流に変換するためのAC-DCコンバータ(30)と、直流を電気モータに電力を供給するための交流に変換するためのDC-ACコンバータ(32)と、事前に確立された飛行段階にしたがって、発電機および/または電気エネルギー貯蔵アセンブリを電気スラスタに接続するための接触器アレイ(34)とを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項9】
燃焼エンジンが、ガスタービン、または、自由タービンもしくはリンクされたタービンを介して発電機を駆動するピストンもしくは回転タイプの他の任意の内燃機関であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項10】
電気エネルギー貯蔵アセンブリが、燃料電池、または再充電可能な場合はバッテリおよび/またはスーパーキャパシタユニットであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のハイブリッド推進システムを含むハイブリッドVTOL航空機。
【国際調査報告】