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特表2022-531695ポリオルガノシロキサンを調製するための方法
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  • 特表-ポリオルガノシロキサンを調製するための方法 図1a
  • 特表-ポリオルガノシロキサンを調製するための方法 図1b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-08
(54)【発明の名称】ポリオルガノシロキサンを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/38 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
C08G77/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565926
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2019085595
(87)【国際公開番号】W WO2020223863
(87)【国際公開日】2020-11-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティアン,シュワイ
(72)【発明者】
【氏名】ドワン,ホイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヘン
【テーマコード(参考)】
4J246
【Fターム(参考)】
4J246AA03
4J246AB01
4J246BA020
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB022
4J246BB023
4J246BB02X
4J246CA010
4J246CA120
4J246CA12E
4J246CA12U
4J246CA12X
4J246CA130
4J246CA13M
4J246CA13X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246CA340
4J246CA34M
4J246CA34X
4J246CA350
4J246CA35X
4J246CA400
4J246FA132
4J246FA281
4J246FA282
4J246FA321
4J246FA322
4J246FA372
4J246FB271
4J246FB272
4J246FE32
4J246GA01
4J246GA04
4J246GA11
4J246GB02
4J246HA61
4J246HA70
(57)【要約】
本開示は、以下の工程を含む、ポリオルガノシロキサンを調製するための方法に関する:a)ヒドロキシル末端化ポリシロキサン及びジアルコキシシラン又はそのオリゴマーを、触媒1の存在下で一緒に反応させること、及びb)工程a)の生成物を、触媒2の存在下でエンドキャッパーと反応させて、ポリオルガノシロキサンを形成すること。この方法に従い、適切な重合度及び粘度を有するポリオルガノシロキサンが、順次、重縮合反応及び平衡反応によって調製され、そしてこれは、同じ高熱伝導性フィルターローディングにて他のポリシロキサンと比較して、得られたシリコーン組成物の粘度を有意に低減し得、かつ流動性及び熱伝導度を有意に改善し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)式Iのヒドロキシル末端化ポリシロキサン及び式IIのジアルコキシシラン又はそのオリゴマー:
【化1】
を、触媒1の存在下で一緒に反応させることであって、ここで、pは、10~60の間の任意の整数であり、
R1は、メチル基又はエチル基であり、
R2は、C6~C18アルキル基であり、
R3は、C1~C18アルキル基であり、
qは、1~8の間の任意の整数である;
b)工程a)の生成物を、触媒2の存在下でエンドキャッパーと反応させて、ポリオルガノシロキサンを形成すること
を含む、ポリオルガノシロキサンを調製するための方法。
【請求項2】
工程a)の反応が重縮合反応であり、かつ/又は平衡反応が工程b)で起こる、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記ポリオルガノシロキサンが、以下の式III:
【化2】
に示す構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数であり、
nは、0.7~20の間の任意の数であり、
mは、10~1500の間の任意の数であり、
m/nは、20を超える任意の数であり、
Xは、ビニル基、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1以上の基を表す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Xの一部分は、アルコキシ基である、請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
X基の総モル数に基づいて少なくとも20mol%のXが、アルコキシ基である、請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
Xの一部分は、ビニル基である、請求項3~5のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項7】
X基の総モル数に基づいて少なくとも45mol%のXが、ビニル基である、請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
X基の総モル数に基づいて少なくとも65mol%のX及び少なくとも20mol%のXが、それぞれビニル基及びアルコキシ基である、請求項3~7のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項9】
mが、10~380の間の任意の数であり、かつm/nが、20~500の間の任意の数である、請求項3~8のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項10】
mが、60~160の間の任意の数であり、かつm/nが、50~150の間の任意の数である、請求項9に記載の調製方法。
【請求項11】
前記式IIIのポリオルガノシロキサンが、25℃にて10~200mPa・sの動粘度を有する、請求項3~10のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項12】
前記ジアルコキシシラン又はそのオリゴマーが、前記ヒドロキシル末端化ポリシロキサンにおけるシラノール基の1モルあたり0.2~0.5モルのアルコキシ基を提供し得る量で使用される、請求項1~11のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項13】
前記工程a)の反応が、80~100℃で実施される、請求項1~12のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項14】
式IIにおけるR1及びR2の両方がメチル基であり、かつqが1である、請求項1~13のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項15】
前記エンドキャッパーが、以下の式IV及び/又はV:
【化3】
で示される構造式を有し、ここで、tは、0~20の間の任意の数であり、かつR4は、C1~C6アルキル基である、請求項1~14のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項16】
前記エンドキャッパーが、前記ヒドロキシル末端化ポリシロキサンにおけるシラノール基の1モルあたり0.2~0.5モルのビニル基を提供し得る量で使用される、請求項15に記載の調製方法。
【請求項17】
前記工程b)の反応が、100~140℃で実施される、請求項1~16のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項18】
触媒1及び触媒2の両方が、第4級水酸化アンモニウムである、請求項1~17のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項19】
触媒1及び触媒2の総量が、固体形態に基づき、前記ヒドロキシル末端化ポリシロキサンの重量に対して0.01~0.05wt%である、請求項18に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、ポリオルガノシロキサンを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
近年、電気自動車産業が、迅速に成長している。パワーバッテリーは、電気自動車のための主要技術として認識されている。パワーバッテリーモジュールの温度の上昇は、電気自動車の安全性、信頼性及び耐用年数を減じるバッテリー性能の悪化をもたらし得るので、パワーバッテリーのために放熱はきわめて重要である。典型的には、熱管理のための経路は、加熱エレメントから始まり、熱伝導材料を通ってヒートシンクへ至る。放熱における改善は、熱伝導材料の熱耐性の低下を必要とする。一般に、これは、例えば、熱伝導材料の熱伝導度の上昇及びボンドライン厚の低減、並びに熱接触抵抗の低減によって、実現し得る。
【0003】
熱伝導材料は、主に、ポリマーベースのマトリックス及び熱伝導性フィルターからなる。ポリマーマトリックス、例えば、オルガノポリシロキサンは、通常、良好な熱導体ではないので、熱伝導性フィルターを加えることにより、その熱伝導度を増強する必要がある。しかし、高い熱伝導度を達成するために既存のポリオルガノシロキサン中に加えられた高レベルの熱伝導性フィルターは、低いアセンブリ圧で薄いボンドラインを可能にし、低い熱抵抗経路を生み出すシリコーン組成物を、もたらし得ない。さらに、高充填シリコーン組成物は、より高い粘度を有する(すなわちより低い流動性)を有する傾向があり、したがって、小さな間隙を完全に埋めることはできず、それにより、その熱伝導度を制限する。したがって、高いフィルターローディングにおいてすらより低い粘度を有し、より良い熱伝導度及び処理性能を達成するポリオルガノシロキサンを開発することが依然として必要である。
【0004】
CN105838079Aは、30~40部のビニルシリコーンオイル及び100~500部の熱伝導性フィルターを含む熱伝導性シリコーングリース組成物を開示し、ここで、このビニルシリコーンオイルは、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びジビニルテトラメチルジシロキサンを110~120℃にて数時間にわたり平衡化し、次いで、得られた混合物を150℃まで加熱して低沸点溶剤を除去することによって、調製される。熱伝導性シリコーングリースにおけるビニルシリコーンオイルの移動速度を低下させるために、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びC3~C16オレフィン類によってヒドロシリル化を介して調製されたテトラメチルテトラアルキルシクロテトラシロキサンが、上記の平衡反応に導入される。C3~C16アルキル基含有のビニルシリコーンオイルを用いたものと比較して、より低い粘度を有するメチルビニルシリコーンオイルを用いて調製された熱伝導性シリコーングリース組成物は、より高い熱伝導度を有する。
【0005】
現在、ビニルシリコーンオイルは、主に、CN105838079Aに開示の方法に類似の方法によって調製されており、すなわち、低分子量シクロシロキサン及びジビニルテトラメチルジシロキサンによって平衡反応を介して調製され、このとき、シロキサン結合の触媒による切断及び無作為再編成が生じる。所望のポリシロキサン構造が得られ得るが、得られた生成物は、かなりの割合のシクロシロキサン及び直鎖状オリゴマーのシロキサンを含み、これは、減圧蒸留後でさえも、完全には除去され得ない。実際の適用において、これらの低分子は、生成物から揮発し、その性能に影響を及ぼす。
【0006】
平衡生成物におけるシクロシロキサンの割合をより低下させるために、直鎖状シロキサンを開始物質として用いる試みが、先行技術においてなされている。しかし、この方法は、より高分子の直鎖状ビニルポリシロキサンを生成する傾向にある。例えば、CN106589378Aは、30の重合度を有するヒドロキシル末端化メチルフェニルオリゴマー及びジビニルテトラメチルジシロキサンの、175℃にて7時間にわたる平衡反応によって得られる、4,360の重合度及び195,000mPa・sの粘度を有するビニルフェニルポリシロキサンを、開示する。
【0007】
平衡過程の間のシロキサン結合の触媒による切断及び無作為再編成を避けるために、≡Si-OH基を有する有機ケイ素化合物が、≡Si-OR基を有する有機ケイ素化合物と縮合することが、先行技術において提唱されている。例えば、US5109093Aの実施例2において、11の重合度を有するヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサンが、テトラデシルメチルジメトキシシラン及びメチルビニルジメトキシシランと、120℃にて4時間にわたり縮合されて、テトラデシル基及びビニル基を含み、そして33の構造単位数を有するヒドロキシル及びメトキシ末端化ポリジメチルシロキサンが調製される。CN104231276Aにおいて、低粘度ヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサンが、ジメチルビニルアルコキシシランと縮合されて、ビニル末端化ポリジメチルシロキサンが調製され、そして生成物の粘度及びビニル含量に対する2つの開始物質間の電荷比の影響が、調査されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許出願公開第105838079号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第106589378号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第5109093号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第104231276号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
先行技術における既存の問題について、本開示は、以下の目的の少なくとも1つ以上を達成し得る、ポリオルガノシロキサンを調製するための方法を、提供する:
i)直鎖状ヒドロキシル末端化ポリシロキサンを開始物質として用いて平衡反応を実施することにより、平衡生成物における望ましくないシクロシロキサンの割合を劇的に低減すること;
ii)ヒドロキシル末端化ポリシロキサンと6以上の炭素原子を持つアルキル基を有するジアルコキシシラン又はそのオリゴマーとの間の重縮合反応により、並びにその後、平衡処理における鎖切断及び再編成によって、適切な重合度及び粘度を有するポリオルガノシロキサンを調製すること;及び
iii)同じ高熱伝導性フィルターローディングにて他のポリシロキサンと比較して、得られるシリコーン組成物の粘度を有意に低下し得、そして流動性を改善し得るポリオルガノシロキサンを得ることであって、これは、小さな間隙を埋め、そして低アセンブリ圧での薄いボンドラインを達成することによって、組成物の熱伝導度を改善することを容易にし得る。
【0010】
本開示において、用語「平衡」は、シロキサン単位の並び方の均整が得られるまでの、シリコーン化合物の分子鎖の再編成をいう。用語「平衡反応」は、シロキサンの分子分布の平衡が得られるまでの、シリコーン化合物の分子鎖の再編成の反応をいう。
【0011】
用語「エンドキャッパー」は、本開示において、ポリシロキサンの活性末端基と反応して、ポリシロキサン分子鎖をこれ以上長く伸びないようにすることができる、ビニルなどの基を含む試薬をいう。本明細書中で使用される「エンドキャッパー」の代表的な構造式を、以下に記載する。
【0012】
本開示において、ポリシロキサンの「構造式」は、他に特定しない限り、1H NMR分光学(核磁気共鳴)及び任意的に29Si NMR分光学によって決定される。1H NMR分光学において、水素結合した原子及び官能基が、周知のデータベース及び文献を参照することによって決定され得る;他方で、29Si NMRは、1H NMR分光学によって正確に決定することができない水素結合した原子及び基を、確かめるか、又は決定するために、さらに使用される。ポリシロキサンの分子組成物を分析する際、まず、1H NMRスペクトルの基線を平坦にし、次いで、水素の異なる種類のシグナルピークを、3回より多く積分し、1%未満の相対積分偏差を有するピーク面積を見出す。29Si NMR分光学が必要とされる場合、異なる種類のケイ素のシグナルピーク面積を、同じ方法によって決定し、次いで、水素及びケイ素のシグナルピーク面積を比例して変換し、ポリシロキサンの各基の単位のモル数を計算する。最後に、ポリシロキサンの構造式を、末端基分析によって決定する。一般に、NMR分光学によって決定される構造式は、平均分子式である。本開示のポリシロキサンの構造式が、一般的に利用可能なNMR分光学方法を用いて決定され得るということは、正しい。しかし、高品質のNMRスペクトルを得てポリシロキサンの構造式の分析を容易にするために、試験溶媒としての重水素化クロロホルム及び1H NMR分光学のための内部標準物質としてのテトラメチルシラン(TMS)非含有クロロホルム、並びに試験溶媒としての重水素化ベンゼン及び29Si NMR分光学のための緩和試薬としてのクロムアセチルアセトネートが、好ましい。
【0013】
本開示において、「数平均分子量」(Mn)は、他に特定しない限り、NMR分光学によって決定される。
【0014】
本開示において、「動粘度」は、他に特定しない限り、DIN 51562に従って、25℃にて測定される。
【0015】
本開示は、以下の工程を含む、ポリオルガノシロキサンを調製するための方法を、提供する:
a)式Iのヒドロキシル末端化ポリシロキサン及び式IIのジアルコキシシラン又はそのオリゴマー:
【0016】
【化1】
を、触媒1の存在下で一緒に反応させることであって、ここで、pは、10~60の間の任意の整数であり、
R1は、メチル基又はエチル基であり、
R2は、C6~C18アルキル基であり、
R3は、C1~C18アルキル基であり、
qは、1~8の間の任意の整数である;
b)工程a)の生成物を、触媒2の存在下でエンドキャッパーと反応させて、ポリオルガノシロキサンを形成すること。
【0017】
さらに、式Iにおいて、pは、15、20、25、30、35、40、45、50又は55であってもよく、特に、15~55の間、例えば20~50の間の任意の整数であってもよい。
【0018】
式IIにおいて、R1は、好ましくはメチル基である。
【0019】
R2は、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基であってもよく、特に、C6~C16アルキル基、より特には、C6~C12アルキル基であってもよい。
【0020】
R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はR2と同じであるかもしくは異なっているC6~C18アルキル基であってもよい。
【0021】
qは、1、2、3又は4、特に1であってもよい。
【0022】
本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、以下の式IIIで示される構造式を有する:
【0023】
【化2】
ここで、aは、6~18の間の任意の整数であり、
nは、0.7~20の間の任意の数であり、
mは、10~1500の間の任意の数であり、
m/nは、20を超える任意の数であり、
Xは、ビニル基、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1以上の基を表す。
【0024】
さらに、式IIIにおいて、aは、6、8、10、12、14、16又は18であってもよく、特に、6~16の間の任意の整数、より特には、6~12の間の任意の整数であってもよい。
【0025】
nは、0.7~3の間、4~8の間、9~14の間、又は15~20の間の任意の数であってもよく、特に、0.7~3の間、例えば0.7~1.2の間の任意の数であってもよい。
【0026】
mは、10~220の間、220~380の間、380~660の間、660~850の間、850~1000、の間、又は1000~1500の間の任意の数であってもよい。
【0027】
m/nは、20、例えば20、50、100、150、200、300、500、700、900、1100、1300、又は1500より大きな任意の数であってもよい。
【0028】
末端基Xの全ては、ビニル基、アルコキシ基又はヒドロキシル基であってもよく;すなわち、末端基Xの一部分はビニル基であり、そして残りはアルコキシ基であるか;又は一部分はビニル基であり、そして残りはヒドロキシル基であるか、又は一部分はアルコキシ基であり、そして残りはヒドロキシル基であるか;又は一部分はビニル基であり、一部分はアルコキシ基であり、そして残りはヒドロキシル基である。
【0029】
本明細書中の1つの実施形態において、本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、式IIIに示す構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、nは、0.7~20の間の任意の数、mは、10~380の間、例えば60~220の間の任意の数、及びm/nは、20~500の間、例えば50~300の間の任意の数であり;Xは、ビニル基、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1以上の基を表す。本明細書中のより詳細な実施形態において、ポリオルガノシロキサンは、式IIIに示される構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、nは、0.7~20の間の任意の数、mは、10~160の間、例えば60~160の間の任意の数、及びm/nは、20~150の間、例えば50~150の間の任意の数であり;Xは、ビニル基、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1以上の基を表す。
【0030】
本明細書中の別の実施形態において、本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、式IIIに示される構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、nは、0.7~20の間の任意の数、mは、380~850の間、例えば380~660の間の任意の数、及びm/nは、20~1200の間、例えば50~900の間の任意の数であり;Xは、ビニル基、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1以上の基を表す。
【0031】
本明細書中のなお別の実施形態において、本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、式IIIで示される構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、nは、0.7~20の間の任意の数、mは、850~1500の間、例えば850~1200の間の任意の数、及びm/nは、20~1700の間、例えば50~1500の間の任意の数であり;Xは、ビニル基、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1以上の基を表す。
【0032】
本明細書中の1つの実施形態において、本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、式IIIで示される構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、nは、0.7~20の間の任意の数、mは、10~1500の間の任意の数、m/nは、20より大きい任意の数であり、かつXの一部分は、アルコキシ基である。上記の実施形態において、詳細には、X基の総モル数に基づいて少なくとも20mol%、例えば35mol%又は45mol%のXは、アルコキシ基である。上記の百分率は、1H NMR分光学及び任意的に29Si NMR分光学によって、決定される。具体的には、これは、以下
【0033】
【化3】
におけるR基からの全ての水素シグナルのピーク面積対以下
【0034】
【化4】
におけるX基からの全ての水素シグナルのピーク面積の比率によって変換され、ここで、Rは、アルキル基を表し、Xは、ビニル基、アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1以上の基を表す。
【0035】
本明細書中の別の実施形態において、本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、式IIIで示される構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、nは、0.7~20の間の任意の数、mは、10~1500の間の任意の数、m/nは、20より大きな任意の数であり、そしてXの一部分は、ビニル基である。上記の実施形態において、詳細には、X基の総モル数に基づいて少なくとも45mol%、例えば55mol%又は65mol%のXは、ビニル基である。上記の百分率は、アルコキシに関する上述の方法に詳細に記載されるように、1H NMR分光学及び任意的に29Si NMR分光学によって決定される。
【0036】
本明細書中のなお別の実施形態において、本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、式IIIで示される構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、nは、0.7~20の間の任意の数、mは、10~1500の間の任意の数、m/nは、20より大きな任意の数であり、そしてXの一部分は、ビニル基であり、そしてXの一部分は、アルコキシ基である。上記の実施形態において、詳細には、少なくとも55mol%のXがビニル基であり、そして少なくとも35mol%のXがアルコキシ基であり;又は少なくとも45mol%のXがビニル基であり、そして少なくとも45mol%のXがアルコキシ基であり;又は少なくとも65mol%のXがビニル基であり、そして少なくとも20mol%のXがアルコキシ基であり、全ての百分率は、X基の総モル数に基づく。上記の実施形態の任意の1つにおいて、詳細には、少なくとも55mol%のXがビニル基であり、少なくとも35mol%のXがアルコキシ基であり、そして最大10mol%のXがヒドロキシル基であり;又は少なくとも45mol%のXがビニル基であり、少なくとも45mol%のXがアルコキシ基であり、そして最大10mol%のXがヒドロキシル基であり;又は少なくとも65mol%のXがビニル基であり、少なくとも20mol%のXがアルコキシ基であり、そして最大10mol%のXがヒドロキシル基であり、全ての百分率は、X基の総モル数に基づく。上記の百分率は、アルコキシに関する上述の方法に詳細に記載されるように、1H NMR分光学及び任意的に29Si NMR分光学によって決定される。
【0037】
本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、25℃で、好適には1000mPa・s未満、例えば、900、800、700、600、500、400、300又は200mPa・s未満、好ましくは10~200mPa・sの動粘度を有することが、好ましい。ポリオルガノシロキサンの粘度が低すぎる場合、熱伝導性フィルターを充填したシリコーン組成物は、沈殿を生じやすく、他方で、ポリオルガノシロキサンの高すぎる粘度は、同じフィルターローディングにおいて、有意な粘度低下効果を有さないシリコーン組成物をもたらす。
【0038】
本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、好適には、60,000g/mol未満、例えば、50,000、40,000又は30,000g/mol、特に5,000~20,000g/molの間の重量平均分子量(Mw)を有する。数平均分子量(Mn)は、好適には、30,000g/mol未満、例えば、25,000、20,000又は15,000g/mol未満、特に3,000~10,000g/molの間である。多分散指数Mw/Mnは、好適には、1.5~2.0の間、例えば、1.6~2.0の間、又は1.7~1.9の間である。
【0039】
本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンとしては、1つのリオルガノシロキサン化合物、及び2以上のポリオルガノシロキサン化合物の組み合わせが挙げられる。個々のポリオルガノシロキサン分子各々について、m及びnは、上述の範囲内の整数であり、そしてX基において、上記のいずれか一方が100%を占めるか、又は一方が50%を、そして他方が50%を占める;しかし、2以上の異なるポリオルガノシロキサン化合物の混合物について、m及びnは、上述の範囲内の正の数であって、これは平均値を表し、そして、X基において、上記の個々の一つ一つは、0~100%の範囲内の任意の数字であってよく、これは平均値を表し、そして全てのX基の総百分率は、100%である。
【0040】
本明細書中の好ましい実施形態において、本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンは、式IIIで示される構造式を有し、ここで、aは、6~18の間の任意の整数、mは、60~160の間の任意の数、nは、0.7~3の間の任意の数、m/nは、50~150の間の任意の数であり、そして少なくとも20mol%のXは、アルコキシ基である。別のより詳細な実施形態において、ポリオルガノシロキサンは、式IIIで示される構造式を有し、ここで、aは、6~16の間の任意の整数、mは、70~100の間の任意の数、nは、0.7~1.2の間の任意の数、m/nは、70~130の間の任意の数であり、そして少なくとも65mol%のXは、ビニル基であり、そして少なくとも20mol%のXは、アルコキシ基である。
【0041】
本開示の方法によって調製されるポリオルガノシロキサンの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:
【0042】
【化5】
【0043】
工程a)において、ジアルコキシシラン又はそのオリゴマーは、ヒドロキシル末端化ポリシロキサンにおけるシラノール基1モルあたり0.2~0.5モル、好ましくは0.3~0.4モルのアルコキシ基を提供し得るような量で、使用される。
【0044】
工程a)において、反応は、代表的には、重縮合反応であり、これは、好ましくは、80~100℃で、より好ましくは85~95℃で、好ましくは2~4時間にわたって、実施される。
【0045】
重合度を上昇させるために、重縮合は、そこから生成する低分子アルコール及び水を抽出するために、減圧下で実施されると都合がよく、ここで、圧力は、100mbar未満、例えば、80mbar未満又は60mbar未満に低下される。
【0046】
工程b)において、エンドキャッパーは、以下の式IV又はVで示される代表的な構造式を有する:
【0047】
【化6】
ここで、nは、0~20の間の任意の数、好ましくは0であり;そしてR4は、C1~C6アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、特にエチル基である。
【0048】
エンドキャッパーは、ヒドロキシル末端化ポリシロキサンにおけるシラノール基1モルあたり0.2~0.5モル、好ましくは0.25~0.4モルのビニル基を提供し得るような量で使用される。
【0049】
本明細書中の1つの実施形態において、エンドキャッパーは、式IVで示される構造式を有する。本明細書中のより詳細な実施形態において、エンドキャッパーは、式IVで示される構造式を有し、ここで、t=0である。
【0050】
工程b)において、反応は、代表的には、平衡反応であり、これは、好ましくは100~140℃、特に110~130℃で、好ましくは3~6時間にわたって実施される。一般に、より長時間の平衡反応が進行すると、反応がより均一になる傾向がある。しかし、費用を考慮すると、上記の反応時間が好ましい。
【0051】
工程a)において、触媒1は、塩基性触媒、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化カリウム)、第4級水酸化アンモニウム(例えば水酸化テトラメチルアンモニウム)及びそれらの水和物、並びに酸性触媒を含み、好ましくは塩基性触媒を含む。触媒1は、純粋な物質の形態、すなわち固体、又は水溶液又はエタノール溶液など、好ましくは水溶液の溶液の形態で、使用されてもよい。触媒1は、有効な重縮合反応を確実にするために必要とされる最小量で使用されるべきである。
【0052】
工程b)において、触媒2は、塩基性触媒及び酸性触媒を含み、これは、触媒1と同じであっても異なっていてもよい。触媒2は、有効な平衡反応を確実にするために必要とされる最小量で使用されるべきである。この後で取り除くことがより困難になる触媒不純物のより多くの導入を避けるために、触媒2は、好ましくは、触媒1と同じである。この場合、供給操作を単純化するために、工程b)における触媒2は、工程a)における触媒1と一緒に供給されてもよい。このとき、触媒の総量は、固形形態に基づき、ヒドロキシル末端化ポリシロキサンの重量に対して、好ましくは0.01~0.05wt%、より好ましくは0.02~0.04wt%の範囲に及ぶ。
【0053】
工程a)及びb)において、重縮合反応及び平衡反応は、好適には、水の非存在下で、さらには、水及び溶媒の非存在下で実施される。用語「の非存在下で」は、本明細書中で、水又は溶媒が、反応系中に0.1wt%未満、例えば、0.05wt%未満の量で存在することを意味する。
【0054】
本開示の調製方法は、さらに、触媒不純物の生成物性能に対する影響を最小限にするために、触媒を除去する工程c)を含んでもよい。一般に、酸性触媒は、アルカリ性物質、例えばアンモニアガスで中和され、アルカリ金属水酸化物触媒は、酸性物質、例えばリン酸で中和され、そして第4級水酸化アンモニウム触媒は、例えば150~170℃で0.5~2時間にわたって熱分解される。酸性触媒及びアルカリ性物質又はアルカリ金属水酸化物及び酸性物質から形成される塩としては、不透明なポリオルガノシロキサンが生じ得るので、好ましくは第4級水酸化アンモニウムが、本開示における触媒として使用される。
【0055】
本開示において、工程a)、b)及びc)は、不活性雰囲気の存在下で実施されることが都合よく、これは、通常、窒素又はアルゴン雰囲気である。
【0056】
ポリオルガノシロキサン生成物の質をさらに改善させるために、本開示の調製方法はまた、低分子シクロシロキサン、メタノール、水、及び未反応のジアルコキシシラン又はそのオリゴマーを含む低沸点溶剤を、好ましくは100mbar未満、例えば60mbar未満、30mbar未満の好適な圧力及び140~190℃、例えば、150~180℃、160~180℃、又は170~180℃の好適な温度下での減圧蒸留によって除去する工程d)を含む。
【0057】
本開示はさらに、上記の方法によって調製されたポリオルガノシロキサンを提供する。
【0058】
本開示はさらに、上記の方法によって調製されたポリオルガノシロキサンの、電気自動車、電子部品、半導体、チップ、消費者用電子製品、通信及びコンピューターのための、特に電気自動車のための熱伝導材料における使用を提供し、ここで、これらは、効果的に電池、ECU、モーター、電子部品などを冷却し得る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1a】実施例1で得られるポリオルガノシロキサンポリマーA-1の1H NMRスペクトル(1a)及び29Si NMRスペクトル(1b)を示す。
図1b】実施例1で得られるポリオルガノシロキサンポリマーA-1の1H NMRスペクトル(1a)及び29Si NMRスペクトル(1b)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、その範囲を限定されない。以下の実施例において条件を特定されない任意の実験方法が、従来の方法及び条件又は製品仕様書に従って選択される。
【0061】
ポリオルガノシロキサンの構造式及び数平均分子量の性質決定
1H NMR分光学及び29Si NMR分光学によって決定される。
【0062】
1H NMR分光学
試験溶媒:重水素化クロロホルム
内部標準物質:TMS非含有クロロホルム
分光計:Bruker Avance III HD 400
サンプリングヘッド:5mm BBOプローブ
測定パラメータ:
パルスシーケンス(Pulprog)=zg30
TD=65536
NS=64
DS=2
SWH=7211.54Hz
FIDRES=0.11Hz
AQ=4.54s
RG=86.97
DW=69.33μs
DE=6.50μs
TE=298.2K
D1=5s
SFO1=400.15MHz
いくつかの測定パラメータは、分光計の種類に基づいて、適切に調整される必要がある場合がある。
【0063】
29Si NMR分光学
試験溶媒:重水素化ベンゼン
緩和試薬:クロムアセチルアセトネート
内部標準物質を添加しない
分光計:Bruker Avance III HD 400
サンプリングヘッド:5mm BBOプローブ
測定パラメータ:
パルスシーケンス=zgig60
TD=65536
NS=2048
DS=4
SWH=16025.64Hz
FIDRES=0.24Hz
AQ=2.04s
RG=196.53
DW=31.20μs
DE=13.00μs
TE=298.1K
D1=5s
SFO1=79.49MHz
いくつかの測定パラメータは、分光計の種類に基づいて、適切に調整される必要がある場合がある。
【0064】
ポリオルガノシロキサンの各基単位及びそのモル数は、まず、1H NMR積分によって得られ、そして基の種類は、29Si NMR分光学によってされに決定される。積分を行った際、まず、NMRスペクトルのスペクトルを平坦にし、次いで、ピーク積分間隔を選択し、ここで、各ピークを3回より多く積分して1%未満の相対偏差を有する平均ピーク面積を計算する。最後に、ポリシロキサンの分子組成を、末端基定量法によって分析し、ポリシロキサンの構造式を得ることによって、その数平均分子量を計算する。
【0065】
シリコーン組成物の粘度の決定
DIN EN ISO 3219に従って行う:所定のせん断速度で回転粘度計を用いる、液体状態又は乳液又は分散液中のポリマー及び樹脂の粘度の決定(ISO 3219:1993)。
【0066】
以下の実施例で使用される原材料は、全て市販されており、詳細な情報は以下のとおりである:
WACKER(R) FINISH WS 62 M、25℃にてDIN 51562に従って測定して50~110mPa・sの動粘度を有するヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサン、Wacker Chemicalsによって供給される;
塩基性触媒、25wt%の濃度の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液;
エンドキャッパー、ビニルテトラメチルジシロキサン、TCIによって供給される;
25℃にてDIN 51562に従って測定して120mPa・sの動粘度を有するビニル基を有するポリジメチルシロキサンである、ELASTOSIL(R)ビニルポリマー120は、Wacker Chemicalsによって供給される;
アルミナA、40μmの平均粒子サイズを有する球状アルミナ粉末;
アルミナB、5μmの平均粒子サイズを有する球状アルミナ粉末;
アルミナC、20μmの平均粒子サイズを有する球状アルミナ粉末;
アルミナD、2μmの平均粒子サイズを有する球状アルミナ粉末;
酸化亜鉛、5μmの平均粒子サイズを有する非球状酸化亜鉛粉末;
ポリジメチルシロキサン25℃にてDIN 51562に従って測定して約100mm2/sの動粘度を有する、WACKER(R) AK 100は、Wacker Chemicalsによって供給される。
【0067】
他に特定しない限り、以下の表における「wt%」は、熱伝導性シリコーン組成物に基づく。
【実施例
【0068】
実施例1:ポリオルガノシロキサンポリマーAの調製
(a)ヒドロキシル末端化ポリシロキサン、ジアルコキシシラン及び塩基性触媒を、窒素雰囲気下でフラスコに加え、撹拌し、そして80~100℃まで加熱して、重縮合反応を2~4時間にわたって行った;
(b)エンドキャッパーを、窒素雰囲気下でフラスコに加え、そして100~140℃まで加熱して、平衡反応を3~6時間にわたって行った;
(c)得られた混合物を、さらに160℃まで加熱して触媒を1時間にわたり窒素雰囲気下で分解した;
(d)上で得られた混合物を、蒸留フラスコに移し、175℃及び30mbarにて2時間にわたって蒸留して低沸点溶剤(ほぼ低分子シクロシロキサン)を除去し、そして最後に室温まで冷却して、ポリオルガノシロキサンを得た。
【0069】
表1は、各ポリマーAバリアントについての原材料の量及び処理パラメータを列挙する。
【0070】
表2は、構造式、数平均分子量、並びに1H NMR分光学及び29Si NMR分光学によって決定された各ポリマーAバリアントの25℃での動粘度を列挙する。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
全てのポリマーAバリアントの中で、ポリマーA-1は、1.826の多分散指数(Mw/Mn)を有し、これは、DIN 55672を参照し、テトラヒドロフランを溶離剤として用いて、PSS SECcurityゲル浸透クロマトグラフィーによって決定された。
【0074】
実施例2:熱伝導度試験
表3における調合に従い、ポリオルガノシロキサンポリマーA-1、ポリマーB(ELASTOSIL(R)ビニルポリマー120)及び熱伝導性フィルターを混合し、熱伝導性シリコーン組成物N-1~N-4’を得た。組成物の粘度を、0.5s-1及び25s-1のせん断速度で測定した。結果は、同じ熱伝導性フィルターローディングにおいて、ポリマーA-1がポリマーBよりも組成物の粘度の低下に有効であることを示す。
【0075】
【表3】
【0076】
表4における調合に従い、ポリオルガノシロキサンポリマーA-1、A-2、A-4、ポリマーB及び熱伝導性フィルターを混合し、熱伝導性シリコーン組成物N-5~N-8’を得た。組成物の粘度を、10s-1のせん断速度で測定した。結果は、熱伝導性フィルターローディングにおいて、本開示のポリオルガノシロキサンであるポリマーAがポリマーBよりも組成物の粘度の低下に有効であることを示し、ここで、ポリマーA-1が、ポリマーA-2及びA-4よりも、粘度の低下においてより優れている。
【0077】
【表4】
【0078】
表5において、ポリオルガノシロキサンポリマーA-1の粘度低下効果を、同じ熱伝導性フィルターローディングで、ポリマーC(以下の構造式:
【0079】
【化7】
を有し、NMR分光学及び25℃にて測定した100mPa・sの動粘度により性質決定したシリコーンオイルであって、「The method for preparing long chain alkyl silicone oil using hydrogen silicone oil as a starting material」最後の第3段落、413頁、Synthesis and Application of Organic Silicon Products [M]、Beijing:Chemical Industry Press、2009、Lai Guoqiao、Xing Songmin et al.を参照して調製した)と比較した。結果は、ポリマーA-1が、粘度thanポリマーCよりも粘度の低下に有効であることを示す。
【0080】
【表5】
【0081】
表6は、90%及び91%の熱伝導性フィルターローディングにおけるポリオルガノシロキサンポリマーA-1及びポリマーD(WACKER(R)AK 100)の粘度の変化を調べる。結果は、同じ熱伝導性フィルターローディングで、ポリマーA-1が、ポリマーDと比較して、有意に粘度を低下し得、したがって、得られた組成物の流動性及び加工性を改善することを示す。さらに、同じ粘度の組成物については、ポリマーA-1は、ポリマーDよりも高いレベルの熱伝導性フィルターを許容することにより、組成物の熱伝導度を上げる。ポリマーDは、その熱伝導性シリコーン組成物の塑像、保存及び使用の間のブリードアウト傾向について周知であることに留意するべきである。
【0082】
【表6】
図1a
図1b
【国際調査報告】