(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-08
(54)【発明の名称】歯周組織由来の分化多能性幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/28 20150101AFI20220701BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61K35/28
A61P15/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566004
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 KR2020006091
(87)【国際公開番号】W WO2020226451
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0053424
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509109545
【氏名又は名称】インダストリー-アカデミック コーポレーション ファウンデーション キョンサン ナショナル ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】521483054
【氏名又は名称】ステムセントリック カンパニ- リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウ、ギュジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギョンミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シジョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ソンリム
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ボンウク
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB46
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZA81
(57)【要約】
本発明は、ガラス化凍結保存された歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物に係るものである。本発明の男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物は、肝臓内の脂質代謝酵素の改善を通じて萎縮した精巣内精細管及び血中性ホルモン濃度を正常レベルに回復させ、男性不妊症に対する著しい予防及び治療効果を示す。また、本発明の有効成分である歯周組織由来の間葉系幹細胞は、最も非侵襲的な方法で細胞を得ることができ、男性不妊症の細胞治療剤として有用に用いられることが期待される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記歯周組織は、乳歯又は永久歯の歯髄組織、歯周靱帯組織、歯嚢組織、歯胚幹組織及び根尖歯乳頭組織からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項3】
前記歯周組織は、智歯(wisdom teeth)周辺組織であることを特徴とする、請求項1に記載の男性不妊症予防用又は治療用薬学的組成物。
【請求項4】
前記歯周組織は、ガラス化凍結保存されたことを特徴とする、請求項1に記載の男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項5】
前記男性不妊症は、肥満又は非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease、NAFLD)によって誘発されることを特徴とする、請求項1に記載の男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項6】
前記薬学的組成物は、精巣内の精細管萎縮を改善させることを特徴とする、請求項1に記載の男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項7】
前記薬学的組成物は、肝損傷による性ホルモンバランスの不均衡を改善させることを特徴とする、請求項1に記載の男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項8】
歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む、男性不妊症治療用幹細胞治療剤。
【請求項9】
前記歯周組織は、乳歯又は永久歯の歯髄組織、歯周靱帯組織、歯嚢組織、歯胚幹組織及び根尖歯乳頭組織からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項8に記載の男性不妊症治療用幹細胞治療剤。
【請求項10】
歯周組織由来の間葉系幹細胞を個体に処理する段階を含む、男性不妊治療方法。
【請求項11】
前記歯周組織由来の間葉系幹細胞を個体に処理する段階は、1~3週間隔で3回以上処理する段階である、請求項10に記載の男性不妊治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス化凍結保存された歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
男性不妊症(Male infertility)患者は、過去4年間で急速に増加し、2013年には4万3094人であったのが、2017年には6万2468人と約1.5倍増加した。2012年基準で不妊治療を受けた経験のある35~39歳の男性は、人口10万人当たり695人、40~44歳の男性は10万人当たり266人と、5年間の性別比較で女性不妊患者が年平均2.5%ずつ増加したのに対し、男性は11.8%ずつと大幅に増える傾向にある。
男性不妊症は、様々な要因によって発生し、その要因としては男性ホルモンを含むホルモンの問題、有害物質への露出や感染及び外傷により精巣に問題が生じた場合、精子の問題、精子が排出される道が異常な場合などがある。近来では、肥満、糖尿病、喫煙及びストレスなどの現代のライフスタイルと関連して、男性不妊症が平均より高い増加率を示すと報告されており、そのうち肥満症は2010年の初頃まで見過ごされてきたが、不妊との病理学的関連性が報告されると、最近では数多くの不妊要素中、不妊と直接関連性がある要因として注目を集めている。肥満男性は過剰な脂肪組織が性ホルモンの代謝に問題を起こし、男性ホルモン(テストステロン)が女性ホルモン(エストロゲン)に変換されて精子形成が妨げられ、肥満男性の過剰な脂肪が体温を高め、精子がつくられにくいとの一連の研究が報告されている。また、非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease,NAFLD)は、慢性肝疾患の中でも最も一般的な疾患であり、主な原因として肥満が知られており、NAFLDは、肝細胞損傷が原因で性ホルモンバランスの不均衡を起こし、男性性腺機能低下症(Male hypogonadism)等、慢性的な男性不妊症を誘発する。特に、大抵のエストロゲンは肝組織で代謝されるので、肝細胞損傷はエストロゲンのクリアランスシステムに問題を惹起し、このことは肝移植後、肝硬変による性ホルモンバランスの不均衡が改善された研究で実証されたところがある。
肥満、肝疾患等に関連する男性不妊症には、ホルモン療法、カリクレイン(kallikrein)、カルニチン(carnitine)、ペントキシフィリン(pentoxifylline)、非ステロイド性抗炎症薬、アルファ遮断薬など、精子形成機能に影響を及ぼし得る様々な薬物が使われるが、テストステロン補充療法(testosterone replacement therapy,TRT)などのホルモン療法の場合、臨床的成功率が一貫していなかったり、致命的な副作用が報告されており、非ホルモン療法の場合には、薬物の正確な作用基準が分かっていないことが多い。また、性腺機能低下症の場合、未だ効果的な治療方法がないとして知られている。したがって、肥満及びNAFLDのような肝細胞損傷による慢性的な男性不妊症を根本的に治療することができる新たな治療法が必要である。
一方、歯周組織由来の間葉系幹細胞(dental tissue-derived mesenchymal stem cells)は、間葉系幹細胞の1種であって、近来の研究によれば、間葉系幹細胞は中胚葉だけでなく外胚葉(主に神経細胞)あるいは内胚葉(肝細胞、膵細胞等)にも分化しうることが明らかになり、分化多能性(Multipotency)を有することが認められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明者等は、副作用が多く報告されている男性不妊症治療を代替できる新たな治療剤を開発すべく努力した結果、ガラス化凍結保存された歯周組織由来の間葉系幹細胞を高脂肪食による不妊動物モデルに投与した時、精巣内の精細管及び血中性ホルモン濃度が正常モデルと同様のレベルまで回復され、男性不妊症の改善に有効であることを確認し、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物を提供するものである。
本発明のもう一つの目的は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症治療用幹細胞治療剤を提供するものである。
【課題解決手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
また、本発明は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む、男性不妊症治療用幹細胞治療剤を提供する。
また、本発明は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を個体に処理する段階を含む、男性不妊症治療方法を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物は、肝臓内の脂質代謝酵素の改善を通じて萎縮した精巣内の精細管及び血中性ホルモン濃度を正常レベルまで回復させ、男性不妊症に対する顕著な予防及び治療効果を示す。また、本発明の有効成分である歯周組織由来の間葉系幹細胞は、最も非侵襲的な方法で細胞が得られ、男性不妊症に対する細胞治療剤として有用に使用されることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】対照群と高脂肪食によりNAFLD及び男性不妊症が誘導された各実験群のマウスの体重(A)、(B)、精巣(C)組織の重量を測定した結果を示すものである(*p<0.05、対照群と比較;#p<0.05、HFD群と比較)。
【
図2】対照群と各実験群のマウス精巣組織の組織学的解析に対する結果を示すものであって、それぞれの行に該当するH&E染色の結果は、それぞれ異なるマウスの組織学的所見を示す(scale bar=100μm、Magnification=x200)(A)。また、対照群と各実験群のマウス精巣組織において精細管直径(B)、ライディッヒ細胞数(C)を測定した結果を示す(*p<0.05、対照群と比較;#p<0.05、HFD群と比較)。
【
図3】対照群と実験群の肝臓及び精巣組織に対するTUNEL解析結果を示したものであって、それぞれTUNEL染色の結果(A;scale bar=50μm、Magnification=x400)、肝臓組織におけるTUNEL陽性細胞(アポトーシス)計数の結果(B)、精巣組織におけるTUNEL陽性細胞計数の結果(C)に該当する(*p<0.05、対照群と比較;#p<0.05、HFD群と比較)。
【
図4】肝臓の特異的エストロゲン代謝と関連する酵素の活性を確認するための免疫組織化学解析の結果を示したものであって、それぞれ各群におけるアロマターゼ(aromatase)の発現程度(A;scale bar=50μm)、CYP1A2の発現程度(B;scale bar=100μm)、前記発現量を定量化した結果であって、全領域中、アロマターゼ陽性信号領域の割合(C)及び全領域中、CYP1A2陽性信号領域の割合(D)に該当する(*p<0.05、対照群と比較;#p<0.05、HFD群と比較)。
【
図5】精細管においてセルトリ細胞の機能を評価した結果を示したものであって、それぞれアンドロゲン結合タンパク質(ABP)の発現を確認した免疫組織化学染色の結果(A;scale bar=50μm、Magnification=x400)、前記発現量を定量化した結果であって、全領域中、ABP陽性信号領域の割合(B)に該当する(*p<0.05、対照群と比較;#p<0.05、HFD群と比較)。
【
図6】生殖能力と関連性のある視床下部-下垂体-性腺軸(HPG axis)に関連する血清中のホルモンレベルを解析した結果を示したものである(*p<0.05、対照群と比較;#p<0.05、HFD群と比較)。
【
図7】NALFDによって誘導された男性性腺機能低下症(Male hypogonadism)に対する歯周組織由来の間葉系幹細胞治療の作用メカニズム(Mode of Action、MoA)を示した図である。本発明に係る歯周組織由来の間葉系幹細胞は、肝臓のエストロゲン代謝及び脂質恒常性を改善させることによりALFDによって誘導された男性性腺機能低下症をはじめとする男性不妊症を緩和させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書で特に断りのない用語は、本発明が属する技術分野において通常使用される意味を有するものである。
本発明において、用語「幹細胞(stem cells)」とは、組織を構成する各細胞に分化(differentiation)される前段階の未分化細胞を総称するものであって、特定の分化刺激(環境)によって特定の細胞に分化が進む細胞を意味する。
本発明において、用語「間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells、MSCs)」とは、間葉系ストローマ細胞又は成体幹細胞とも呼ばれ、胚以外の組織から分離及び培養された幹細胞を通称するものである。間葉系幹細胞は、既に分化が完了したほとんどの組織において少量存在するものであって、これまでに臍帯血、臍帯、歯、眼、胎盤、毛包、肺、肝臓等、研究されたほぼ全部の組織からその存在が確認された。
本発明において、用語「歯周組織由来の間葉系幹細胞(dental-tissue derived mesenchymal stem cells)」は、歯及び歯周組織由来の成体幹細胞、間葉系幹細胞と類似した形態の細胞(mesenchymal stem cell-like cells)を全て含む概念であり、骨髄や臍帯等に存在する他の成体幹細胞に比して組織の損傷を最小化し(非侵襲的)、容易に得られるという長所があるので、本発明の有効成分として使用した。前記歯周組織は、これに制限されるものではないが、乳歯又は永久歯の歯髄組織、歯周靱帯組織、萌出中の歯の歯嚢組織、歯胚幹組織、未熟永久歯の根尖歯乳頭組織であってもよく、好ましくは智歯(wisdom teeth)周辺組織であってもよい。
また、前記組織は、間葉系幹細胞を含むことを特徴とすることができ、前記間葉系幹細胞は、歯の歯髄幹細胞(dental pulp stem cells、DPSCs)、脱落乳歯幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth、SHEDs)、歯周靱帯幹細胞(periodontal ligament stem cells、PDLSCs)、歯胚幹細胞(dental follicle stem cells、DFSCs)及び根尖歯乳頭幹細胞(stem cells from apical papilla、SCAP)からなる群から選択された一つ以上であることができるが、これに制限されるものではない。
一方、このような歯周組織由来の間葉系幹細胞は、インプラント周囲炎、神経損傷、歯茎骨消失などを治療又は改善するために再生医学的に臨床に適用されたことはあるが、今日まで男性不妊症への医学的効果については報告されたところがない。
本発明において、前記歯周組織は、人体から分離され、ガラス化凍結保存されたことを特徴とし、前記ガラス化凍結保存方法は本発明者らの先行特許である韓国登録特許10-1551900(特許文献1)に記述された方法を用いることができる。
本発明において、間葉系幹細胞の分離方法は、当業界における公知方法を制限なく用いることができ、例えば、歯周組織から分離され、精製されることができ、分離された間葉系幹細胞は、必要に応じて培養することもできる。
本発明において、前記男性不妊症はこれに制限されるものではないが、肥満、糖尿病、喫煙、ストレス及び非アルコール性脂肪性肝疾患に起因するものであることができ、好ましくは、肥満症又は非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease、NAFLD)によって誘発されたことを特徴とすることができる。
本発明において「歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症予防又は治療用薬学的組成物」は、歯周組織由来の間葉系幹細胞自体であってもよく、歯周組織由来の間葉系幹細胞に加えて、培養液、幹細胞培養の際、当業界において一般的に用いられる物質を含む組成物を含むものである。また、歯周組織由来の間葉系幹細胞が分泌する物質又は歯周組織由来の間葉系幹細胞から抽出した物質を、歯周組織由来の間葉系幹細胞の代替として用いることも含む意味である。
本発明において、前記薬学的組成物は、歯周組織由来の間葉系幹細胞に加えて、薬学的に許容可能な通常の担体を含むことができ、注射剤の場合、保存剤、無痛化剤、可溶化剤又は安定化剤、局所投与用製剤の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、又は保存剤などを含むことができる。
本発明の薬学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常使用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油などを含むが、これらに制限されるものではない。本発明の薬学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。
本発明の薬学的組成物は、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法に基づいて薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することによって単位容量形態に製造したり、又は多用量容器内に入れて製造したりすることができる。この時、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。
本発明の薬学的組成物は、非経口投与することができ、静脈内、皮下、腹腔内投与又は局所適用が可能であり、本発明に係る組成物の非経口投与用組成物(例えば、注射剤)は、薬剤学的に許容可能な担体、例えば、滅菌精製水、pH約7の緩衝液、又は生理食塩水中に分散及び/又は溶解させて生体内に注入することができ、必要に応じて保存剤、安定化剤などのような通常の添加剤を含むことができる。
また、本発明において、間葉系幹細胞の量は、104~1010cells/回投与することができ、好ましくは105~109cells/回投与することができ、より好ましくは106~108cells/回、最も好ましくは5×107~108cells/回投与することができるが、これに制限されるものはではない。前記投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に処方することができる。
本発明の薬学的組成物は、1回以上投与することができ、好ましくは1~3週間隔で3回以上投与することができ、最も好ましくは2週間隔で3回以上投与することできる。
本発明において、薬学的組成物は、精巣内の精細管萎縮を改善させることができ、肝臓損傷による性ホルモンバランスの不均衡を改善させることができることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、歯周組織由来の間葉系幹細胞を投与した場合、男性不妊症動物モデルの精巣構造が回復され、内腔にて精子が形成されるなど、精細管の改善を示すことが確認されており、精細管直径の長さが増加して、精細管の組織学的特徴が著しく回復され、テストステロンを生成するライディッヒ(Leydig)細胞の数が著しく増加することを確認した。
また、本発明のもう一つの実施形態では、歯周組織由来の間葉系幹細胞を投与することにより、血清中のテストステロンの数値及び性ホルモンバランスの臨床的指標に相当するテストステロン/17β-estradiol値が増加し、高脂肪食(肥満)による性ホルモンバランスの不均衡が著しく改善されることが確認された。
本発明の薬学的組成物は、男性不妊症の予防及び治療のために、単独又は当業界に公知された男性不妊症の予防又は治療方法と併用して使用することができる。
また、本発明は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を含む男性不妊症治療用幹細胞治療剤を提供する。
本発明において、前記歯周組織は、これに制限されるものではないが、乳歯又は永久歯の歯髄組織、歯周靱帯組織、萌出中の歯の歯嚢組織、歯胚幹組織、未熟永久歯の根尖歯乳頭組織であってもよく、好ましくは智歯(wisdom teeth)周辺組織であってもよい。
本発明において、用語「細胞治療剤」は、ヒトから分離、培養、及び特殊な操作を通じて作製された細胞及び組織であって、治療、診断及び予防の目的で使用される医薬品(米国FDA規定)であり、細胞又は組織の機能を復元させるために、生きている自己、同種、又は異種細胞を体外で増殖、選別したり、或いは他の方法で細胞の生物学的特性を変化させるなどの一連の行為を介して治療、診断及び予防の目的で使用される医薬品を意味する。
本発明で使用される用語「予防」は、本発明に係る薬学的組成物、又は幹細胞治療剤の投与により男性不妊症が好転されるか、有益であるように変更されるすべての行為を意味する。
本発明で使用される用語「処置」は、本発明に係る薬学的組成物、又は幹細胞治療剤の投与により男性不妊症が好転されるか、有益に変わるようにするすべての行為を意味する。
また、本発明は、歯周組織由来の間葉系幹細胞を個体に処理する段階を含む、男性不妊治療方法を提供する。
本発明の前記個体は、脊椎動物であってもよく、好ましくは、哺乳動物であってもよく、より好ましくはラット、ウサギ、モルモットピーク、ハムスター、犬、猫やヒトであってもよく、最も好ましくはヒトであることができるが、これに制限されるものではない。
本発明の前記歯周組織由来の間葉系幹細胞を個体に処理する段階は、1回以上処理する段階であってもよく、好ましくは1~3週間隔で3回以上処理される段階であってもよく、より好ましくは、2週間隔で3回以上処理する段階であることができる。
以下、実施形態を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施形態は単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨により本発明の範囲がこれらの実施形態によって制限されるものではないということは当業界において通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。統計解析は、SPSS (SPSS Inc.,Chicago,IL,USA)を用いてone-way ANOVA followed by Tukey’s testに従って行われた。結果は平均±標準誤差で示した。P<0.05の場合、有意なものと判断した。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1.歯周組織由来の間葉系幹細胞の準備
全ての化学物質は、SigmaAldrich(登録商標(St.Louis,MO,USA)から購入して使用し、培地はGibco Life Technologies(Gaithersburg,MD,USA)で購入して使用した。歯周組織由来の間葉系幹細胞を得るために、本発明者らは新規な凍結プロトコルを確立し、これをガラス化凍結保存方法と命名した。前記方法は、エチレングリコール(Ethylene glycol)、スクロース(Sucrose)及びグルコースを含む組織のガラス化凍結保存用組成物を用いて、組織内の細胞を効果的に保存するためのものであり、本発明者らの先行特許である韓国登録特許10-1551900(特許文献1)に記述されてあり、これはその全体で参考として引用される。
より具体的には、20歳前後の埋伏智歯患者から抜歯されてから廃棄される歯周組織を慶尚大学病院口腔顎顔面外科から提供を受けて利用し、滅菌されたメスを用いて抽出した智歯から歯の組織を分離し、ガラス化凍結させ、最低3ヶ月間保管した後、解凍した。組織解凍時、液体窒素に保管された凍結用チューブを37℃の水で1~2分間解凍させた後、凍結保存剤を完全に除去するために、100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシン、0.25μg/mlのアムホテリシンB(amphotericin B、Invitrogen)が含有されたDPBSを用いて1500rpmで5分間遠心分離し、数回洗浄した。前記歯周組織から間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell)を分離するために、collagenase type IV (Sigma,USA)を30分間酵素処理した。処理された組織を100μm cell strainer(BD FalconTM,USA)、40μm cell strainer(BD FalconTM,USA)にそれぞれ一回ろ過した後、15mlのコニカルチューブ(15ml polypropylene conical tube;BD FalconTM,USA)に移した後、ペニシリン/ストレプトマイシン、アムホテリシンB (amphotericin B,Gibco,USA)が含有されたDPBSを用いて1500rpmで5分間遠心分離し、2回洗浄した。
10% FBS(fetal bovine serum)、1% L-グルタミン(GlutamaxTM及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む4mL DMEM(Dulbecco’modified Eagle’s Medium)を用いて25T-フラスコ(NuncTM、Roskilde、Denmark)内で5%CO2、37℃と湿った(humidity)条件で前記ガラス化凍結保存された歯周組織由来の間葉系幹細胞を培養した。培地は3日に1回ずつ交換した。
動物に投与する直前に、継代培養4~5回の細胞を0.25%トリプシン/EDTAで培養容器の底から剥離した後、DPBSで洗浄した。血球計数器(hemocytometer)を用いて分離した細胞を計数し、細胞1×106個を冷たいDPBS 200μlに希釈した後、実験に用いた(以下、MSCという)。
【0009】
実施形態2.高脂肪食摂取による男性不妊症動物モデルの作製
20~22gの8週齢雄性C57BL/6Jマウス40匹をCentral Lab Animal Inc.(Seoul,Korea)から購入して使用した。全部のマウスは12時間の明暗周期を維持し、部屋の温度は25±2℃、湿度30~40%で飼育し、水と食べ物に自由にアクセスできるようにした。マウスはダンダムに4群に分けた:
1.対照群(Con)(n=10):10週間正常食餌
2.HFD群(n=10):10週間60kcal%の脂肪を含む高脂肪食+10週間後、200μl PBS腹腔内投与
3.MSCi群(n=10):10週間60kcal%の脂肪を含む高脂肪食+高脂肪食5週間、7週間及び9週間後、1106/200μl MSCsをそれぞれ腹腔内投与
4.MSCs群(n=10):10週間60kcal%の脂肪を含む高脂肪食+高脂肪食8週間後、1×10
6/200μl MSCsを5日連続腹腔内投与。
毎週全部のマウスの体重を測定し、10週間後0.5μL/g tiletamine-zolazepam(Zoletil (登録商標)μL/g xylazine(Rompun,Bayer Korea Ltd.,Seoul,Korea)を注入して犠牲にした。心臓穿刺(cardiac puncture)してマウスの血液を採取し、ヘパリンが含まれたPBSで灌流させて残留血液を除去した。肝臓、精巣組織を採り、組織の重量/体重を計算するために秤量した。全ての動物実験は、慶尚大学の実験動物の処置及び使用に向けたガイドラインに沿って実施した。その結果を
図1に示す。
図1のAに示すように、HDF群の体重は、高脂肪食3週間目から対照群より有意により高かった(p<0.05)。MSCi群の体重は、MSCを最初に投与した時、HFD群に比べて体重が著しく低かった(p<0.05)。肝臓の重量の場合、
図1のBに示すように、HFD群の肝臓の重量は、対照群に比べて大幅に増加しており(p<0.05)、MSCi群は、HFD群に比べて著しく減少した肝臓の重量が示されており(p<0.05)、その一方、MSCs群は、HFD群に比べて有意な差異を示さなかった。また、精巣重量の場合、
図1のCに示すように、HFD群の精巣重量は、対照群に比べて有意に減少しており(p<0.05)、MSCi及びMSCs群両方HFD群に比べて精巣重量が大幅に増加したことが確認された(p<0.05)。
【0010】
実施形態3.MSC投与前と投与後の組織学的解析
肝臓及び精巣に対する歯周組織由来の間葉系幹細胞の治療的効果を確認するために、組織学的解析を行った。肝臓、精巣組織を4%のホルムアルデヒドで固定し、脱水させた後、パラフィン包理し、5μm厚の切片に切断した。キシレン(xylene)を用いて組織切片からパラフィン成分を除去した後、エタノールで再水和(rehydration)した後、H&E(hematoxylin and eosin)で染色した。染色された全部の組織は、脱水、洗浄過程を経てpermount(Fisher scientific、
NH,USA)でマウントした後、光学顕微鏡(Nikon Eclipse 80i)及びPhoto Imaging System(Canon 600D)で染色程度を確認した。精細管(seminiferous tubule)の直径及びライディッヒ(Leydig)細胞数は、NIS Elements BR3.2を用いて測定した。各群毎にマウス10匹から計150本の精細管を測定し(マウス1匹当たり3field、各field当たりランダムに精細管5本)、ライディッヒ細胞は30個のキャプチャされた画像から計数した(マウス当たり3field、10匹)。その結果を
図2に示す。
図2に示すように、対照群は精細管において精子形成の観察と共に正常な精巣の組織学的特徴を示すのに対し、HFD群は、精細管の大きさが対照よりも小さく、30%程度の精細管から精細胞(spermatid)の数が少なかったり、内腔(lumen)がなかったり、内腔において精子形成が起こらなかったりなどの異常な特徴が観察されることが確認された。一方、MSCs及びMSCi群は、精巣構造が回復され、内腔において精子が形成されるなど、精細管の改善が示されることが確認された(A)。また、精細管直径の場合、HFD群が対照群よりも顕著に減少しており(p<0.05)、MSCs及びMSCi群では直径の長さが増加し、精細管の組織学的特徴が顕著に回復されることが確認された(p<0.05)(B)。さらに、テストステロンを生成するライディッヒ(Leydig)細胞の場合、HFD群は、対照群よりも細胞数が顕著に減少しており(p<0.05)、その反面、MSCi及びMSCs群では、細胞数が著しく増加することが確認された(p<0.05)(C)。
前記実験結果を通じて、高脂肪食により精巣萎縮が誘導されたNAFLD及び男性不妊症動物モデルが成功的に作製され、歯周組織由来の間葉系幹細胞の投与時に男性不妊症に効果があることが確認された。一方、投与方式によって治療有効性に若干の差異がみられたが、高脂肪食5週間、7週間及び9週間後のそれぞれの時点で、間葉系幹細胞を投与したMSCi群が、8週間後、5日間連続して間葉系幹細胞を投与したMSCs群よりも体重及び精細管の回復においてより優れた治療効果を示すことが確認された。それ以後の実験ではMSCi群のみをMSC群として選択して実験を行った(以下、MSC群という)。
【0011】
実施形態4.MSC投与によるアポトーシスの解析
高脂肪食によって誘導されたアポトーシスを評価するために、TUNEL解析を行った。TUNEL(terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP nick end labeling)kit(TUNEL,Roche,IN,USA)を用いて、肝臓、精巣組織のアポトーシス(apoptosis)レベルを評価した。各スライドから10個の領域をランダムに選択し、400倍率下で茶色に染色された核の数をTUNEL陽性細胞の数として計数し、測定された数字の平均を計算した。全ての解析は、NIS Elements BR3.2.を用いて盲検法で行われた。その結果を
図3に示す。
図3に示すように、HFD群の肝臓組織と精巣組織において茶色に染色された核が著しく増加し、歯周組織由来の間葉系幹細胞を投与したMSC群では有意に減少したことが確認された。前記結果から、肝臓及び精巣組織の両方で高脂肪食によってアポトーシスが顕著に増加するが(p<0.05)、間葉系幹細胞を投与することにより、アポトーシスが顕著に減少したことが確認された(p<0.05)。
【0012】
実施形態5.MSCの投与による肝機能の変化
男性不妊症動物モデルにおいて、エストロゲン代謝と関連する肝機能の変化を評価するために、アロマターゼ(aromatase)とCYP1A2の発現レベルを免疫組織化学により解析した。免疫組織化学染色(immunohistochemistry、IHC)のために再水和された切片を0.1Mクエン酸緩衝液(pH=6.0)に10分間煮沸して抗原を復元し、3%H
2O
2で室温で30分間反応させることにより、内在性ペルオキシダーゼ(peroxidase)活性をブロッキングした。組織切片を1:100に希釈したABP(LS-B12124、LSBio)、マウスモノクローナル抗シトクロム(anti-cytochrome)P450 1A2、CYP1A2(sc-53241、Santacruz)、ポリクローナルウサギ抗アロマターゼ(ab18995、Abcam)で4℃で一晩反応させた。その後、1:200に希釈し、ビオチン結合2次抗体IgG(Vector Laboratories、Burlingame、CA、USA)を適用させた後、ABC試薬(avidin-biotin-peroxidase complex;ABC Elite Kit、Vector Laboratories)で反応させた。全部のスライドは0.05% DAB(diaminobenzidine tetrahydrochloride;Sigma-Aldrich)で発色した後、Mayer’hematoxylinで対比染色した。各群当たり30個のfield(10枚のスライドから選択された3個のランダムfield)から陽性シグナルを解析し、陽性信号領域/全領域の割合を計算した。その結果を
図4及び5に示した。
図4に示すように、肝実質(liver parenchyma)に脂肪が蓄積するにつれてHFD群のアロマターゼ発現程度が顕著に増大したのに対し(p<0.05)、MSC群では肝脂肪変性が改善されるにつれてアロマターゼ発現程度が著しく減少したことが確認された(p<0.05)(A及びC)。また、肝臓の主要エストロゲン水酸化酵素(hydroxylase)であるCYP1A2は、対照群の肝臓において全体的に広く発現されるのに対し、HFD群において発現が劇的に減少しており、MSC群では肝脂肪変性が改善されるにつれてCYP1A2の発現も顕著に回復されることが確認された(B及びD)。前記結果から、男性不妊症動物モデルに、間葉系幹細胞を投与することによって肝臓の特異的なエストロゲン代謝が回復され、これを通じて高脂肪食が誘導されたマウスにおいて、肝臓の脂肪症も共に改善されることが確認された。さらに、前記結果はHFD動物モデルの場合、ホルモンバランスの不均衡が誘導され、エストロゲン代謝が異常的であることを示唆する。
さらに、
図5に示すように、精細管内セルトリ(Sertoli)細胞において分泌されるアンドロゲン結合タンパク質(Androgen binding protein、ABP)の場合、対照群の精細管基底膜で高度に発現されるのに対し、HFD群ではセルトリ細胞の構造的変化又は消失なしに発現が顕著に減少することが確認された(p<0.05)。一方、間葉系幹細胞を投与した場合、ABPの発現は有意に増加することを確認した。前記結果を通じて、ABPの低い数値はセルトリ細胞の消失に起因するものではなく、高脂肪食により誘導された肝組織の損傷に伴うホルモン異常によるものであることが確認された。
【0013】
実施形態6.MSCの投与による性ホルモンバランスの不均衡改善効果
実施形態2に記載した方法で心臓穿刺(cardiac puncture)してマウスの血液を採取し、400×Gで10分間遠心分離して血清を収集し、使用するまで-80℃で保存した。歯周組織由来の間葉系幹細胞が高脂肪食とNALFDにより誘導された性ホルモンバランスの不均衡を改善することができるかを確認するために、ELISAを介してマウスの血清テストステロン(T;ADI-900-065、ENZO)、17β-estradiol(E2;ADI-900-174、ENZO)、FSH(LS-F39325、LSBio)、LH(LSF22503、LSBio)、TNF-α(ADI-900-047、ENZO)、IL-1βを解析した。その結果を
図6に示す。
図6に示すように、HFD群においてテストステロンレベルが有意に減少したが(p<0.05)、MSC投与後、顕著に増加することが確認された(p<0.05)(A)。アロマターゼによってテストステロンから転換された17β-estradiolの場合、HFD群においてその数値が著しく増加し(B)、性ホルモンバランスの臨床的指標に相当するテストステロン/17β-estradiol値は、MSC投与後、著しく増加した(p<0.05)(C)。前記結果から、高脂肪食動物モデルにおいて性ホルモンバランスの不均衡が誘導されてもよく、これを間葉系幹細胞を投与することによって治療することができることを確認した。
さらに、男性性腺機能低下症(male hypogonadism)を確認するために精巣を刺激し、ABP及びテストステロンを産生するFSH及びLH数値を測定した結果、両ゴナドトロピンがいずれもHFD群で著しく減少したが、MSC投与後、有意に増加したことが確認された(D及びE)。前記結果から、ABP産生量の減少は、性ホルモンバランスの不均衡により誘発されたFSHの減少に影響を受けたことが確認された。
前記の実施形態にて確認した本発明の歯周組織由来の間葉系幹細胞の男性不妊症の治療に対する作用機序(Mode of Action、MoA)を
図7に示す。
NAFLDを誘導する種々の動物モデルの中で、高脂肪食動物モデルは、ヒトNAFLDに最も類似した病理学的特徴を有し、体重、血糖、及び代謝性疾患の増加のような類似した生理学的な変化を示すことが報告されている。
本発明者らは、肥満、NAFLDを有する男性において現れ得る男性不妊症の新規な治療剤を開発するために、高脂肪食を誘導した動物モデルを作製し、前記動物モデルに歯周組織由来の間葉系幹細胞を投与した際、脂肪代謝と肝細胞の回復を通じて精細管の組織学的特性の回復、性ホルモンバランスの不均衡の緩和、様々なホルモン代謝酵素の発現及び組織学的所見が正常化されることを確認した。
さらに、本発明の有効成分である歯周組織由来の間葉系幹細胞は最も非侵襲的な方法で細胞が得られ、本発明は、男性不妊症に対する細胞治療剤として有用に用いられることが期待される。
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単なる好ましい一具現例に過ぎず、これに本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は添付された特許請求の範囲とその等価物によって定義されるものである。
【国際調査報告】