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特表2022-531745美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ
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  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図1
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図2
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図3A
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図3B
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図4A
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図4B
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図5
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図6
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図7
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図8
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図9
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図10
  • 特表-美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-11
(54)【発明の名称】美容的配慮及び効能の注意事項を有するフォトクロミックソフトコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020565836
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(85)【翻訳文提出日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2020053519
(87)【国際公開番号】W WO2020225622
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】16/406,454
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デュイス・ドニー
(72)【発明者】
【氏名】ジェルリガン・ピエール-イーブス
(72)【発明者】
【氏名】ソノダ・レイラニ・ケアヒ
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BA06
2H006BC03
2H006BD01
2H006BD03
(57)【要約】
フォトクロミック眼用レンズは、光学ゾーンと、光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンとを備える本体であって、光学ゾーン及び周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備えてもよく、眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に関連付けられた美容的外観に基づいて構成されている厚さプロファイルを有し、厚さプロファイルの少なくとも一部は、2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって同じであり、2つ以上のSKUのそれぞれは、異なる目標処方を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトクロミック眼用レンズであって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備え、
前記眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に関連付けられた美容的外観に基づいて構成されている厚さプロファイルを有し、
前記厚さプロファイルの少なくとも一部は、2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって同じであり、前記2つ以上のSKUのそれぞれは、異なる目標処方を有する、フォトクロミック眼用レンズ。
【請求項2】
中心厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項3】
光学ゾーン接合厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項4】
特定の直径で計算された調波厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項5】
特定の直径で計算された体積が、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項6】
前記美容的外観又は前記目標透過率レベル(%T)のうちの1つ以上が、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、調波厚さ、又は特定の直径で計算された体積のうちの1つ以上の構成に基づいて達成される、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項7】
前記厚さプロファイルが、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、又は調波厚さのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項8】
前記レンズの前記周辺領域の少なくとも一部における厚さが、少なくとも前記美容的外観に基づいて構成されている、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項9】
前記本体が、着用対象者の処方又は着用対象者の低輝度下での瞳孔径のうちの1つ以上に基づいて構成されている、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項10】
前記フォトクロミック染料の量が、前記レンズ厚さプロファイルに基づいて前記本体にわたって徐々に調整されて、所望の前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)、又はその両方を達成する、請求項1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項11】
請求項1に記載の前記フォトクロミック眼用レンズの製造方法。
【請求項12】
着用対象者のために請求項1に記載の前記フォトクロミック眼用レンズをカスタマイズする方法であって、前記方法は、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの1つ以上を決定することと、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの決定された前記1つ以上に基づいて、前記眼用レンズの前記厚さプロファイルを構成することと、を含む、方法。
【請求項13】
フォトクロミック眼用レンズであって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備え、
前記眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)を構成されている厚さプロファイルを有し、
前記厚さプロファイルの少なくとも一部は、2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって同じであり、前記2つ以上のSKUのそれぞれは、異なる目標処方を有する、フォトクロミック眼用レンズ。
【請求項14】
中心厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項15】
光学ゾーン接合厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項16】
特定の直径で計算された調波厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項17】
特定の直径で計算された体積が、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項18】
前記目標透過率レベル(%T)が、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、調波厚さ、又は特定の直径で計算された体積のうちの1つ以上の構成に基づいて達成される、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項19】
前記厚さプロファイルが、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、又は調波厚さのうちの1つ以上を含む、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項20】
前記本体が、着用対象者の処方又は着用対象者の低輝度下での瞳孔径のうちの1つ以上に基づいて構成されている、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項21】
前記フォトクロミック染料の量が、前記レンズ厚さプロファイルに基づいて前記本体にわたって徐々に調整されて、前記目標透過率レベル(%T)を達成する、請求項13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項22】
請求項13に記載の前記フォトクロミック眼用レンズの製造方法。
【請求項23】
着用対象者のために請求項13に記載の前記フォトクロミック眼用レンズをカスタマイズする方法であって、前記方法は、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの1つ以上を決定することと、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの決定された前記1つ以上に基づいて、前記眼用レンズの前記厚さプロファイルを構成することと、を含む、方法。
【請求項24】
フォトクロミック眼用レンズであって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備え、
前記眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている厚さプロファイルを有する、フォトクロミック眼用レンズ。
【請求項25】
中心厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項26】
光学ゾーン接合厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項27】
特定の直径で計算された調波厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項28】
特定の直径で計算された体積が、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項29】
前記目標透過率レベル(%T)が、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、調波厚さ、又は特定の直径で計算された体積のうちの1つ以上の構成に基づいて達成される、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項30】
前記厚さプロファイルが、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、又は調波厚さのうちの1つ以上を含む、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項31】
前記本体が、着用対象者の処方又は着用対象者の低輝度下での瞳孔径のうちの1つ以上に基づいて構成されている、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項32】
前記フォトクロミック染料の量が、前記レンズ厚さプロファイルに基づいて前記本体にわたって徐々に調整されて、前記目標透過率レベル(%T)を達成する、請求項24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【請求項33】
請求項24に記載の前記フォトクロミック眼用レンズの製造方法。
【請求項34】
着用対象者のために請求項24に記載の前記フォトクロミック眼用レンズをカスタマイズする方法であって、前記方法は、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの1つ以上を決定することと、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの決定された前記1つ以上に基づいて、前記眼用レンズの前記厚さプロファイルを構成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年5月8日に出願された米国特許出願第16/406,454号に対する優先権を主張するものであり、特許出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ソフトコンタクトレンズは、主に視力障害を矯正するように設計されているが、取り扱い(例えば、レンズ装着及び取り外しのため)、快適性、フィット、又は設計プロセス中に考慮を必要とした任意の他の態様など、レンズの他の態様も設計プロセス中に考慮される。有色レンズなどの標準的な美容レンズは、角膜領域の美容増進を提供する。印刷パターン及び/又は有色領域は、レンズの光学性能への潜在的悪影響を有し得る。したがって、従来の印刷パターン及び/又は有色領域は限定され、眼の強膜及び/又は瞳孔に延在しない、又はこれらを覆わない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
大きな度数補正を有するレンズでは、レンズがエッジトゥエッジのフォトクロミックレンズ又は中心のみのフォトクロミックレンズであるかにかかわらず、厚さの著しい変動がその光学領域内に存在する。高プラスレンズは、厚い中央光学領域を有し、一方、高マイナスレンズは厚い周辺光学領域を有することになる。光学ゾーン内のそれらの厚さの著しい変動はまた、レンズの美容的態様に影響を及ぼすであろう。
【0004】
改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示では、ソフトコンタクトレンズは、フォトクロミック染料材料を含むモノマー混合物を含んでもよく、又はフォトクロミック染料材料を含むモノマー混合物から形成されてもよい。フォトクロミック染料がレンズ材料モノマーと十分に混合される場合、フォトクロミック領域は、レンズの表面全体を覆い、眼の角膜領域だけでなく強膜にも影響を及ぼすことがある。レンズが眼上にあり、フォトクロミック染料が活性化されると、レンズの外側領域は暗くなる。レンズの周辺の厚さ及びフォトクロミック染料の量が正しく選択されない場合、レンズエッジから強膜の変わり目は、その領域の暗さの急激な変化に起因して、着用者に対して美容的に魅力的に見えない。更に、コンタクトレンズによって提供される視力矯正は、通常、光学領域内の屈折力を調節することによって得られる。
【0006】
本開示は、フォトクロミック染料が活性化されると、レンズ厚さプロファイルが色変化及び眼上のレンズの態様を最適化するように設計されている視覚効果に対処することができる。本開示は、エッジトゥエッジのフォトクロミック材料又は中心のみのフォトクロミック材料のどちらかを有するソフトコンタクトレンズに関し、レンズの光学領域及び周辺領域は、眼に望ましい美容効果を与えるように設計されている。本明細書で使用するとき、望ましい美容効果を決定することは、レンズの主観的外観に関するアンケートに基づく臨床評価に基づいてもよい。
【0007】
ソフトコンタクトレンズ着用者の利益のために、瞳孔領域内のフォトクロミック効果は、理想的には、その開口部にわたって一定のままである。しかしながら、度数は光学領域における厚さの変化の関数であるため、これを実現することができない。フォトクロミック効果と呼ばれるものは、染料が活性化されたときに通過する光の割合を表す%Tとして記載される、眼に透過される光の量である。1つの解決策は、領域に沿った半径方向厚さが一定のままであるように、前面曲率を裏面から一定の量オフセットすることによって達成されてもよく、半径方向厚さは、レンズの後面に垂直な方向で計算されたレンズの厚さである。この設定は、使用されるレンズの領域とは独立して、同じ量の%Tを提供する。しかし、屈折力の手段によって得られる視力矯正は、屈折の規則(スネルの屈折の法則)に基づいて、レンズの前面及び後面は、特定の屈折力を提供するために異なる曲率を有する必要があるため、このアプローチによって達成することができない。
【0008】
あるいは、又はそれに加えて、周辺領域におけるフォトクロミック効果は、内側領域と実質的に同様であってもよい。実質的に同様のフォトクロミック効果は、例えば、閾値内の2つの領域間の暗さ又は%T差として定義されてもよい。閾値は、被験者が光学ゾーン内又は光学ゾーンの外側の複数のレンズの美容的態様について尋ねられる臨床評価によって判定され得る。レンズは、フォトクロミック染料のジオメトリ及び/又は百分率で変化してもよい。閾値は、レンズの異なる領域(中央領域対内側/外側周辺部)を通して透過された光の光学モデリングを使用して決定されて、レンズの美容的態様周辺の閾値/許容誤差を確立することができる。これらの閾値はまた、例えば、毎日の活動のタイプによって決定される標的集団に応じて変化し得る。
【0009】
周辺領域が光学領域よりもはるかに厚い場合、周辺部ははるかに暗く見え、着用者に美観的に魅力的ではないだろう。このような状態は、図1に示すように、高マイナス度数のレンズで生じることになり、ここで中心厚さは最小で、周辺厚さは最大であり、最大厚差をもたらす。同様に、高プラス度数を有するレンズについては、図2に示すように、光学ゾーンのエッジと周辺領域との間に大きな厚差が生じる。
【0010】
フォトクロミック眼用レンズは、光学ゾーンと、光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンとを備える本体であって、光学ゾーン及び周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備えてもよく、眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に関連付けられた美容的外観に基づいて構成されている厚さプロファイルを有し、厚さプロファイルの少なくとも一部は、2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって同じであり、2つ以上のSKUのそれぞれは、異なる目標処方を有する。
【0011】
フォトクロミック眼用レンズは、光学ゾーンと、光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンとを備える本体であって、光学ゾーン及び周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備えてもよく、眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)を構成されている厚さプロファイルを有し、厚さプロファイルの少なくとも一部は、2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって同じであり、2つ以上のSKUのそれぞれは、異なる目標処方を有する。
【0012】
フォトクロミック眼用レンズは、光学ゾーンと、光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンとを備える本体であって、光学ゾーン及び周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備えてもよく、眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている厚さプロファイルを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図面は、例として、ただし限定としてではなく、本開示で検討される様々な実施例を一般的に示したものである。図面は、以下のとおりである。
図1】高マイナスレンズ(例えば、-6.00D未満の光学度数)の断面図である。
図2】高プラス度数レンズ(例えば、+6.00Dを超える屈折力)の断面図である。
図3A】-12.0D~+8.00Dの範囲の複数のSKUについて単焦点型コンタクトレンズの半径方向周辺厚さの例を示す。
図3B】-12.0D~+8.00Dの範囲の複数のSKUについて単焦点型コンタクトレンズの半径方向周辺厚さの例を示す。
図4A】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズと、活性化されたフォトクロミック染料を4%含有するソフトコンタクトレンズの例を示す。
図4B】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズと、活性化されたフォトクロミック染料を4%含有するソフトコンタクトレンズの例を示す。
図5】活性化されたフォトクロミック染料を4%含有するソフトコンタクトレンズの例である。
図6】3つの異なるレベルの中心厚さ0.240mm、0.210mm及び0.180mmの光学ゾーン接合厚さを示す。
図7】任意の5.00mmの直径にわたって計算されたレンズの中央領域内の体積を示す。
図8】3つの異なるレベルの光学ゾーン接合厚さ、0.240mm、0.210mm、及び0.180mmの中心厚さを示す。
図9】3つの異なるレベルの調波厚さ、0.240mm、0.210mm、及び0.180mmの中心厚さを示す。調波厚さは、5.00mmの直径にわたって計算される。
図10】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズの例である。
図11】活性化されたフォトクロミック染料を1%含有するソフトコンタクトレンズの例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示において、コンタクトレンズは、前面又は表面度数、後面又はベースカーブ、及びエッジを備え得る。レンズの前面及び後面は、少なくとも3つの領域によって定義することができ、この3つの領域は、視力矯正が得られる内側領域、眼の上のレンズの機械的安定性を提供するレンズの外側周辺部、及び内側領域と外側領域との間にあり、不連続部分が生じないように2つの前述の領域を滑らかに融合するために使用される中間領域である。
【0015】
「光学ゾーン」は、レンズの実質的中心部分として定義されてもよく、着用者の屈折異常及び/又は老眼のための視力矯正を含む。「屈折異常」は、一般的に遠距離での、良好な視力をもたらすのに必要とされる屈折力として定義され得る。これには、近視又は遠視が含まれることが分かる。老眼は、正の光学度数を光学ゾーンの一部分に代数的に加えて着用者の近方視力条件を修正することによって矯正される。これらの屈折力は、屈折手段若しくは回折手段、又はその両方によって作られ得るということが認識されている。
【0016】
周辺ゾーンは、セントレーション及び配向を含めて、眼の上におけるレンズの安定化をもたらし得る。レンズのその領域はまた、装着の容易さ及び取り外しの容易さ、快適性及びフィット性に関連する取り扱いなどの機械的特性も提供する。眼上のレンズの気密度が、過度の動きをもたらし得るルーズフィット又は十分な動きをもたらさないことがあるタイトフィットのいずれかを決める。配向安定性は、光学ゾーンが乱視矯正及び/又は高次収差矯正などの非回転対称性の特性を含むとき不可欠である。中間ゾーンは、光学ゾーン及び周辺ゾーンが正接曲線で一体となるようにするものである。光学ゾーンと周辺ゾーンの両方は独立して設計されてもよいが、それらの設計は、特定の要件が必要となるときには、強く関連することに留意することが重要である。例えば、乱視用の光学ゾーンを有するトーリックレンズの設計は、眼上の所定の配向にレンズを維持するための特定の周辺ゾーンを必要とする場合がある。
【0017】
フォトクロミック効果は、レンズの内側領域及び外側領域にわたって一定の厚さ(例えば、+/-0.020mm以内)で美容用として得られてもよい。このことは、視力矯正が通常、レンズの前面の曲率の変化に適応するように、レンズの中心又は光学ゾーンのエッジのいずれかでの厚さ変化を必要とする屈折力によって得られるので、レンズの内側領域において達成することができない。
【0018】
図3は、単焦点ソフトコンタクトレンズの-12.0D~8.00Dの範囲のSKUのレンズ半径方向厚さの典型的な例である。中心厚さ(CT)は、レンズ材料の屈折率、光学ゾーン直径の選択、及びレンズ材料の機械的特性によって決定される最小厚さ及び最大厚さ値を有する全SKU範囲にわたって0.70mm~0.270mmで変化し得る。最大周辺厚さ(PT)はまた、CT用と同じレンズ材料及びレンズ設計選択に基づいて変化してもよい。
【0019】
本開示の一態様では、ソフトコンタクトレンズの中央領域におけるフォトクロミック効果は、2つ以上の処方範囲(例えば、SKU)にわたって一定の中心厚さ(例えば、+/-0.020mm以内)を提供することによって達成される。中心厚さは、モノマーと混合されたフォトクロミック染料の量、及び/又はフォトクロミック染料が活性化されたときにレンズが提示する所望のレベルの暗さに応じて選択することができる。フォトクロミック効果の差が所望の度数補正に適応するための光学ゾーン内の曲率の変化によるものであるならば、提案された解決策は、光学ゾーンの内側領域内で同様のフォトクロミック効果をSKUにわたって与える。このアプローチは、フォトクロミックコンタクトレンズが、低輝度下で小さい瞳孔径を有する対象に対して具体的に設計されているとき、望ましい効果が示されている。低い輝度は、照度が400ルクスを超えない光条件として説明することができる。曇りの日、晴れた日の日の出又は日没、オフィス照明、及び中程度のレベルの室内光などの光条件は、低輝度の代表的な条件である。他の適用を使用してもよい。
【0020】
本開示の一態様では、ソフトコンタクトレンズの中央領域におけるフォトクロミック効果は、光学ゾーン内の所与の直径内に一定の半径方向厚さ(例えば、+/-0.020mm以内)を提供することによって達成される。一例として、中心厚さは、半径方向厚さ、レンズ材料の率、後方光学ゾーン半径及び度数補正の選択に従って調整される。半径方向厚さは、モノマーと混合されたフォトクロミック染料の量、及び/又はフォトクロミック染料が活性化されたときにレンズが提示する所望のレベルの暗さに応じて選択することができる。フォトクロミック効果の差が所望の度数補正に適応するための光学ゾーン内の曲率の変化によるものであるならば、提案された解決策は、光学ゾーンの外側領域に向かって、同様のフォトクロミック効果をSKUにわたって与える。このアプローチは、フォトクロミックコンタクトレンズが、低輝度下で大きな瞳孔径を有する対象に対して具体的に設計されている場合に好ましい。
【0021】
本開示の一態様では、ソフトコンタクトレンズの中央領域におけるフォトクロミック効果は、光学ゾーン内の所与の直径内に一定の調和半径方向厚さ(例えば、+/-0.020mm以内)を提供することによって達成される。中心厚さは、調和半径方向厚さ、レンズ材料の率、後方光学ゾーン半径及び度数補正の選択に従って調整される。調和半径方向厚さは、モノマーと混合されたフォトクロミック染料の量、及び/又はフォトクロミック染料が活性化されたときにレンズが提示する所望のレベルの暗さに応じて選択することができる。フォトクロミック効果の差が所望の度数補正に適応するための光学ゾーン内の曲率の変化によるものであるならば、提案された解決策は、同様のフォトクロミック効果をSKUにわたって与える。このような解決策はまた、分配されるフォトクロミック材料の量が同じであるため、特に中央のみのフォトクロミックレンズの製造プロセスを助ける選択された直径内のレンズ体積を最小化する。
【0022】
本開示の一態様では、レンズの光学領域は、フォトクロミック効果を提供するように設計されている。フォトクロミック効果は、本開示により提案された解決策のうちの1つ以上に基づいて得ることができる。光学領域内の厚さは、モノマー混合物中に存在するフォトクロミック染料の量によって決定される所望の暗さに基づいて調整することができる。低濃度のフォトクロミック染料では、より大きな濃度のフォトクロミック染料で得ることができる同じ量の暗さを達成するために、より大きな厚さが必要とされる場合がある。厚さはまた、異なるレベルの暗さにもつながり得る、所望の量の%Tに基づいて調整することもできる。
【0023】
ソフトコンタクトレンズを設計する当業者であれば、より厚い周辺領域がより良好な取り扱い性能を提供することが知られている。周辺領域の厚さは、材料の剛性によって決定される。より硬いレンズ材料は、柔らかい材料より、同じ取り扱い性能を達成するのに必要な周辺部における厚さが少ない。光学ゾーンのエッジと周辺部の内側領域との間の厚さの差は、中間領域を通して管理され、その目的は、両方の領域を滑らかに融合することである。フォトクロミックレンズでは、レンズの周辺領域がレンズの内側領域よりも厚く、取り扱いを維持し、依然として通常のレンズよりも良好な美容効果を提供するように、周辺厚さに対して妥協が必要とされる場合がある。
【0024】
レンズの反転、レンズの折り畳み、FEAモデリングによって通常評価されるレンズラッピングなどの他の基準もまた、レンズの設計プロセス中に考慮され得る。レンズの機械的性能に関連するこのような基準はまた、美容効果を最適化するプロセス中に含まれ、所望のレンズ性能に従って調整され得る。
【0025】
屈折力ベースのソフトコンタクトレンズでは、光学ゾーン直径は、厚さの制約により、SKU範囲にわたって変化する。平坦な前面曲率を必要とする高マイナスレンズは、光学ゾーンのエッジにおいて大きな厚さに起因して、低度数レンズよりも小さい光学ゾーン直径を有する。その位置での厚さを制御するために、光学ゾーン直径は、厚さが最大周辺厚さとほぼ同じ大きさであるように低減される(図3)。段階的な前面曲率を必要とする高プラスレンズはまた、光学ゾーンの中心で大きな厚さに起因して、低度数レンズよりも小さい光学ゾーン直径を有する。その位置での厚さを制御するために、光学ゾーン直径は、中心厚さが最大周辺厚さとほぼ同じ大きさであるように低減される。したがって、提案された解決策のうちの2つ以上を適用して、予定されたSKU範囲に基づいて所望のフォトクロミック効果及び美容性能を達成する必要があり得る。
【実施例
【0026】
図4A及び図4Bにおいて、フォトクロミックレンズは、Acuvue2レンズなどのソフトコンタクトレンズの標準的なジオメトリを使用して得られた。そのレンズの処方は、-1.00D球面度数である。第1の実施例(A)と第2の実施例(B)との間で染料の量は、1.0%~4.0%変動する。両方の画像は、フォトクロミック染料が活性化されたときのレンズを描写している。各場合において、暗さの差により、光学ゾーンとレンズ周辺部とを識別することが可能である。この例では、レンズ中心厚さは約0.124mmであり、最大周辺厚さは約0.240mmである。
【0027】
第2の実施例(図5)では、モノマー混合物に添加した1%のフォトクロミック染料を使用して、-1.00Dの球面度数フォトクロミックレンズを得た。レンズ中心厚さは約0.080mmであり、最大周辺厚さは約0.203mmである。前述の実施例と同様に、光学ゾーンは、レンズの周辺領域より暗さにおいて明るい。両方の領域は、フォトクロミック染料が活性化されると、互いに非常に異なる。
【0028】
以下の表1は、ソフトコンタクトレンズの中心領域におけるフォトクロミック効果が、2つ以上の処方(例えば、SKU)にわたって一定の中心厚さ(例えば、+/-0.020mm以内)を提供することによって達成される、ソフトコンタクトレンズのOZジオメトリを記述している。レンズ直径-ベースカーブの組み合わせを、1.42の材料屈折率値で14.20mm/8.40mmとなるように選択した。提供された実施例では、中心厚さは0.240mmに設定された。
【0029】
【表1】
【0030】
図6は、3つの異なるレベルの中心厚さ0.240mm、0.210mm及び0.180mmの光学ゾーン接合厚さを示す。光学ゾーン接合厚さは、光学ゾーンのエッジにおける半径方向厚さである。図6はまた、光学ゾーン接合厚さデータを得るために使用された任意の光学ゾーン直径も提供する。図7は、任意の5.00mmの直径にわたって計算されたレンズの中央領域内の体積を示す。体積は、中心厚さの減少に伴って減少する。体積の変化率は、提供されるSKU範囲内の中心厚さ(-6.00D~+0.00D)から独立したままである。好ましくは、レンズ体積の変動は、選択された直径にわたる%Tの変動を最小限に抑えるために、小さいままである必要がある。光学ゾーン接合厚さを設定するために選択された直径はまた、特定の集団に従って選択することができる。例えば、レンズが、小さい瞳孔径を有する被験者に対して具体的に設計されている場合、3.00mm~4.50mm内の直径を選択することができる。レンズが、大きな瞳孔径を有する対象に対して具体的に設計されている場合、6.50mm~8.00mm内の直径を選択することができ、又は、レンズが、中程度の瞳孔径を有する対象に対して具体的に設計されている場合、4.50mm~6.50mm内の直径を選択することができる。提案されるアプローチは、エッジトゥエッジのタイプ又は中央のみのタイプのフォトクロミックレンズのいずれかに適用可能である。
【0031】
光学ゾーン接合厚さは、ベースカーブ、レンズ材料の屈折率、中心厚さ及び光学ゾーン直径の組み合わせの選択の結果であり得る。同等の結果は、言及されたパラメータの異なる組み合わせで達成することができる。これらのパラメータは、レンズの剛性及びしたがって取り扱い性能を決定するレンズ材料(弾性率)の選択、フォトクロミック染料の割合、並びに/又は美容的外観を決定する暗さに基づいて調整されるべきである。
【0032】
以下の表2は、ソフトコンタクトレンズの中央領域におけるフォトクロミック効果が、光学ゾーン内の所与の直径内に一定の半径方向厚さ(例えば、+/-0.020mm以内)を提供することによって達成される、ソフトコンタクトレンズのジオメトリを記述している。レンズ直径-ベースカーブの組み合わせを、1.42の材料屈折率値で14.20mm/8.40mmとなるように選択した。提供された実施例では、半径方向厚さは、8.00mmの直径で0.210mmに設定された。
【0033】
【表2】
【0034】
図8は、3つの異なるレベルの光学ゾーン接合厚さ、0.240mm、0.210mm、及び0.180mmの中心厚さを示す。同じ任意の光学ゾーン直径を用いて中心厚さを得た。また、5.00mmの直径にわたって計算される体積のより大きな変動は、SKU範囲にわたって光学ゾーン接合厚さを一定に保つ(例えば、+/-0.020mm以内)ときに得られる。光学ゾーン直径を調節することにより、体積の変動を低減することができる。提案されるアプローチは、エッジトゥエッジのタイプ又は中央のみのタイプのフォトクロミックレンズのいずれかに適用可能である。
【0035】
中心厚さは、ベースカーブ、レンズ材料の屈折率、光学ゾーン接合厚さ、及び光学ゾーン直径の組み合わせの選択の結果であり得る。同等の結果は、言及されたパラメータの異なる組み合わせで達成することができる。これらのパラメータは、レンズの剛性及びしたがって取り扱い性能を決定するレンズ材料(弾性率)の選択、フォトクロミック染料の割合、並びに/又は美容的外観を決定する暗さに基づいて調整されるべきである。
【0036】
以下の表3は、ソフトコンタクトレンズの中央領域におけるフォトクロミック効果が、光学ゾーン内の所与の直径内(例えば、+/-0.020mm以内)内に一定の調和半径厚さを提供することによって達成される、ソフトコンタクトレンズのジオメトリを記述している。レンズ直径-ベースカーブの組み合わせを、1.42の材料屈折率値で14.20mm/8.40mmとなるように選択した。提供された実施例では、調和半径方向厚さは、5.00mmの直径で0.240mmに設定された。
【0037】
【表3】
【0038】
中心(点0)から、酸素流に曝露された円形区域のエッジ(点h)まで等しい環状面積の間隔で、一連の(h+1)半径方向厚さ測定値から計算された、回転対称のコンタクトレンズの調波厚さ。厚さ測定値間の間隔は、各連続する環が同じ面積であることを可能にするべきである。
【0039】
【数1】
式中、tHMは、半径方向に対称な試験サンプルの調波厚さであり、t0-hは、曝露されたサンプル区域の中心(t)からエッジ(t)まで等しい面積の間隔で測定される半径方向厚さである。
【0040】
単焦点レンズなどの回転対称の円形レンズについては、半径方向厚さプロファイルが角度的に変化しないため、調波厚さは、任意の経線に沿って計算することができる。レンズの外側エッジは、その位置に厚みが存在しないため、計算中に省略されるべきである。
【0041】
半径方向厚さプロファイルが角度的に変化するため、トーリックレンズなどの回転非対称の円形レンズでは、次に調波厚さは、レンズの周囲の複数の経線に沿って計算された調波厚さの平均から決定される。レンズの外側エッジは、その位置に厚みが存在しないため、計算中に省略されるべきである。
【0042】
図9は、3つの異なるレベルの調波厚さ、0.240mm、0.210mm、及び0.180mmの中心厚さを示す。調波厚さは、任意の5.00mmの直径にわたって計算される。調波厚さ定数を維持することにより、調波厚さが計算される同じ直径内の一定の体積(例えば、+/-0.020mm以内)をもたらす。調波厚さの代わりに平均厚さを使用する場合、同様の結果が得られる。調波厚さの使用は、その計算方法が、各リング上の厚さに同じ寄与を提供し、したがって、選択された直径内で透過される光の量を調和させる。提案されるアプローチは、エッジトゥエッジのタイプ又は中央のみのタイプのフォトクロミックレンズのいずれかに適用可能である。
【0043】
中心厚さは、ベースカーブ、レンズ材料の屈折率、調波厚さ、及び光学ゾーン直径の組み合わせの選択の結果であり得る。同等の結果は、言及されたパラメータの異なる組み合わせで達成することができる。これらのパラメータは、レンズの剛性及びしたがって取り扱い性能を決定するレンズ材料(弾性率)の選択、フォトクロミック染料の割合、並びに/又は美容的外観を決定する暗さに基づいて調整されるべきである。
【0044】
図10では、モノマー混合物に添加した1%のフォトクロミック染料を使用して、-1.00Dの球面度数のエッジトゥエッジのフォトクロミックレンズを得た。調波厚さを、0.158mmの中心厚さ及び0.190mmの最大周辺厚さを有する7.00mmの直径で0.160mmに設定した。別の実施例、図11では、モノマー混合物に添加した1%のフォトクロミック染料を使用して、-1.00Dの球面度数のエッジトゥエッジのフォトクロミックレンズも得た。調波厚さは、8.00mmの直径で0.120mmに設定した。レンズ中心厚さは約0.117mmであり、最大周辺厚さは約0.182mmである。周辺領域を薄化しながら光学区域を厚くすることにより、透過光の量を減少させながら、レンズ全体にわたって暗さのバランスを達成することができる。
【0045】
本開示の一態様では、ソフトコンタクトレンズは、着用者の処方、低輝度下の着用者の瞳孔径、及び必要とされる透過光の量の選択に基づいてカスタマイズされてもよい。
【0046】
本開示の一態様では、フォトクロミック染料の量は、暗さのレベル又は光学密度のいずれかがレンズの表面全体にわたって一定のままであるように、レンズ中心からレンズエッジまで徐々に調整されてもよい。フォトクロミック染料はまた、暗さのレベル及び光学密度の両方をバランスさせるように調整することができる。
【0047】
図示及び説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更がそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) フォトクロミック眼用レンズであって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備え、
前記眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に関連付けられた美容的外観に基づいて構成されている厚さプロファイルを有し、
前記厚さプロファイルの少なくとも一部は、2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって同じであり、前記2つ以上のSKUのそれぞれは、異なる目標処方を有する、フォトクロミック眼用レンズ。
(2) 中心厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(3) 光学ゾーン接合厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(4) 特定の直径で計算された調波厚さ(harmonic thickness)が、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(5) 特定の直径で計算された体積が、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)又はその両方に基づいて構成されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0049】
(6) 前記美容的外観又は前記目標透過率レベル(%T)のうちの1つ以上が、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、調波厚さ、又は特定の直径で計算された体積のうちの1つ以上の構成に基づいて達成される、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(7) 前記厚さプロファイルが、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、又は調波厚さのうちの1つ以上を含む、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(8) 前記レンズの前記周辺領域の少なくとも一部における厚さが、少なくとも前記美容的外観に基づいて構成されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(9) 前記本体が、着用対象者の処方又は着用対象者の低輝度下での瞳孔径のうちの1つ以上に基づいて構成されている、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(10) 前記フォトクロミック染料の量が、前記レンズ厚さプロファイルに基づいて前記本体にわたって徐々に調整されて、所望の前記美容的外観若しくは前記目標透過率レベル(%T)、又はその両方を達成する、実施態様1に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0050】
(11) 実施態様1に記載の前記フォトクロミック眼用レンズの製造方法。
(12) 着用対象者のために実施態様1に記載の前記フォトクロミック眼用レンズをカスタマイズする方法であって、前記方法は、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの1つ以上を決定することと、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの決定された前記1つ以上に基づいて、前記眼用レンズの前記厚さプロファイルを構成することと、を含む、方法。
(13) フォトクロミック眼用レンズであって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備え、
前記眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)を構成されている厚さプロファイルを有し、
前記厚さプロファイルの少なくとも一部は、2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって同じであり、前記2つ以上のSKUのそれぞれは、異なる目標処方を有する、フォトクロミック眼用レンズ。
(14) 中心厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(15) 光学ゾーン接合厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0051】
(16) 特定の直径で計算された調波厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(17) 特定の直径で計算された体積が、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(18) 前記目標透過率レベル(%T)が、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、調波厚さ、又は特定の直径で計算された体積のうちの1つ以上の構成に基づいて達成される、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(19) 前記厚さプロファイルが、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、又は調波厚さのうちの1つ以上を含む、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(20) 前記本体が、着用対象者の処方又は着用対象者の低輝度下での瞳孔径のうちの1つ以上に基づいて構成されている、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0052】
(21) 前記フォトクロミック染料の量が、前記レンズ厚さプロファイルに基づいて前記本体にわたって徐々に調整されて、前記目標透過率レベル(%T)を達成する、実施態様13に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(22) 実施態様13に記載の前記フォトクロミック眼用レンズの製造方法。
(23) 着用対象者のために実施態様13に記載の前記フォトクロミック眼用レンズをカスタマイズする方法であって、前記方法は、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの1つ以上を決定することと、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの決定された前記1つ以上に基づいて、前記眼用レンズの前記厚さプロファイルを構成することと、を含む、方法。
(24) フォトクロミック眼用レンズであって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンに隣接して配置された周辺ゾーンと、を含む本体であって、前記光学ゾーン及び前記周辺ゾーンのうちの1つ以上は、フォトクロミック染料を含む、本体を備え、
前記眼用レンズは、目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている厚さプロファイルを有する、フォトクロミック眼用レンズ。
(25) 中心厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0053】
(26) 光学ゾーン接合厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(27) 特定の直径で計算された調波厚さが、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(28) 特定の直径で計算された体積が、前記2つ以上の在庫管理単位(SKU)にわたって一定であり、前記目標透過率レベル(%T)に基づいて構成されている、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(29) 前記目標透過率レベル(%T)が、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、調波厚さ、又は特定の直径で計算された体積のうちの1つ以上の構成に基づいて達成される、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(30) 前記厚さプロファイルが、中心厚さ、光学ゾーン接合厚さ、又は調波厚さのうちの1つ以上を含む、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
【0054】
(31) 前記本体が、着用対象者の処方又は着用対象者の低輝度下での瞳孔径のうちの1つ以上に基づいて構成されている、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(32) 前記フォトクロミック染料の量が、前記レンズ厚さプロファイルに基づいて前記本体にわたって徐々に調整されて、前記目標透過率レベル(%T)を達成する、実施態様24に記載のフォトクロミック眼用レンズ。
(33) 実施態様24に記載の前記フォトクロミック眼用レンズの製造方法。
(34) 着用対象者のために実施態様24に記載の前記フォトクロミック眼用レンズをカスタマイズする方法であって、前記方法は、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの1つ以上を決定することと、
前記着用対象者の処方又は前記着用対象者の瞳孔径のうちの決定された前記1つ以上に基づいて、前記眼用レンズの前記厚さプロファイルを構成することと、を含む、方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】