(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-11
(54)【発明の名称】電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20220704BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220704BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20220704BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20220704BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M10/0569
H01M10/0568
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564973
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020061825
(87)【国際公開番号】W WO2020225041
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(71)【出願人】
【識別番号】506075182
【氏名又は名称】ポリテクニコ ディ トリノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アブスレメ, ジュリオ アー.
(72)【発明者】
【氏名】ビソ, マウリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】フラッチェ, アルベールト
(72)【発明者】
【氏名】バッテガッツォーレ, ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】リベラーレ, フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL15
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM09
5H029CJ02
5H029CJ06
5H029DJ07
5H029DJ08
5H029DJ09
5H029DJ15
5H029DJ16
5H029EJ01
5H029EJ04
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ10
5H029HJ14
5H050AA17
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB04
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB19
5H050CB29
5H050DA04
5H050DA10
5H050DA11
5H050DA13
5H050EA02
5H050EA03
5H050EA08
5H050EA10
5H050EA11
5H050EA24
5H050EA28
5H050FA16
5H050FA17
5H050GA02
5H050GA08
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA10
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、電極形成組成物、電極の製造のためのプロセスにおける前述の電極形成組成物の使用、前述の電極、及び前述の電極を含む電気化学デバイスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 0.5重量%~20重量%未満、好ましくは0.5重量%~15重量%未満の1,1-ジフルオロエチレン(VDF)に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つの半結晶性部分フッ素化ポリマー[ポリマー(F)]と、
- 10重量%~60重量%未満、好ましくは10重量%~40重量%未満の沸点が150℃以上であることを特徴とする少なくとも1つの液体媒体[媒体(L)]と、
- 少なくとも50重量%の少なくとも1つの電気活性化合物[化合物(EA)]と、
を含む組成物[組成物(C)]であって、前記量は、前記組成物(C)の総重量に基づき、前記ポリマー(F)は、0.05L/gより高く、より好ましくは0.12L/gより高く、更により好ましくは0.25L/gより高い固有粘度を有することを特徴とし、前記固有粘度は、Ubbelhode粘度計を使用してN,N-ジメチルホルムアミド中の0.2g/dLの濃度にて25℃での前記ポリマー(F1)の溶液の滴下時間から測定される、組成物[組成物(C)]。
【請求項2】
前記ポリマー(F)は、1,1-ジフルオロエチレン(VDF)に由来する繰り返し単位、及び少なくとも1つのカルボン酸末端基を含む少なくとも1つの水素化モノマー[モノマー(MA)]に由来する繰り返し単位、及び/又は少なくとも1つの部分的又は完全にフッ素化されたモノマー[モノマー(F
FH)]に由来する繰り返し単位を含み、前記モノマー(F
FH)は、VDFとは異なる、請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項3】
前記ポリマー(F)は、
-前記モノマー(MA)は、以下の化学式(II):
【化1】
(式中、
- R’
1、R’
2、及びR’
3は、水素原子であり、
- R’
OHは、水素原子であり、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC
1~C
5炭化水素部位である)に従い、
前記モノマー(F
FH)は、
- C
2~C
8パーフルオロオレフィン、
- VDFとは異なるC
2~C
8水素化フルオロオレフィン、
- CH
2=CH-R
f0(この場合、R
f0は、C
1~C
6パーフルオロアルキルである)、
- クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C
2~C
6フルオロオレフィン、
- CF
2=CFOX
0
(この場合、X
0は、C
1~C
6フルオロ又はパーフルオロアルキル、
C
1~C
12アルキル基、1つ以上のエーテル基を有するC
1~C
12オキシアルキル基又はC
1~C
12(パー)フルオロオキシアルキル基、
基-CF
2OR
f2(この場合、R
f2は、C
1~C
6フルオロ又はパーフルオロアルキル基、又は1つ以上のエーテル基を有するC
1~C
6(パー)フルオロオキシアルキル基である)である)、
- CF
2=CFOY
0
(この場合、Y
0は、C
1~C
12アルキル基又は(パー)フルオロアルキル基、1つ以上のエーテル基を有するC
1~C
12オキシアルキル基又はC
1~C
12(パー)フルオロオキシアルキル基であり、Y
0は、カルボン酸又はスルホン酸基を、その酸、酸ハロゲン化物、又は塩の形態で含む)、
-フルオロジオキソール
を含む、より好ましくはこれらからなる群において選択される、請求項2に記載の組成物(C)。
【請求項4】
前記ポリマー(F)は、
- VDFに由来する繰り返し単位、及び少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位 [ポリマー(F*)]、又は
- VDFに由来する繰り返し単位、少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位、及び少なくとも1つのモノマー(F
FH)に由来する繰り返し単位 [ポリマー(F**)]、又は
- VDFに由来する繰り返し単位、及び少なくとも1つのモノマー(F
FH)に由来する繰り返し単位 [ポリマー(F^)]
を含む、より好ましくはこれらからなる、請求項1に記載の組成物(C)。
【請求項5】
前記ポリマー(F*)は、
- 少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも97モル%のVDFに由来する繰り返し単位、
- 0.05モル%~10モル%、好ましくは0.1モル%~5モル%、より好ましくは0.2モル%~3モル%の少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位
を含む、より好ましくはこれらからなり、
前記ポリマー(F**)は、
- 少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%のVDFに由来する繰り返し単位、
- 0.01モル%~10モル%、好ましくは0.05モル%~5モル%、より好ましくは0.1モル%~1.5モル%の少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位、及び
- 0.1モル%~15モル%、好ましくは0.5モル%~12モル%、より好ましくは1モル%~10モル%の少なくとも1つのモノマー(F
FH)
を含む、より好ましくはこれらからなり、
前記ポリマー(F^)は、
- 少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%のVDFに由来する繰り返し単位と、
- 0.1モル%~15モル%、好ましくは0.5モル%~12モル%、より好ましくは1モル%~10モル%の少なくとも1つのモノマー(F
FH)と、
を含む、請求項4に記載の組成物(C)。
【請求項6】
前記組成物(C)は、好ましくは、カーボンブラック、黒鉛微粉末カーボンナノチューブ、グラフェン、又は繊維などの炭素質材料、或いはニッケル又はアルミニウムなどの金属の微粉末又は繊維を含む群において選択される、導電性化合物[化合物(C)]を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項7】
前記化合物(C)は、前記組成物(C)の総重量に基づいて、0.1重量%~15重量%、より好ましくは0.5重量%~12重量%の量で前記組成物(C)中に存在する、請求項6に記載の組成物(C)。
【請求項8】
前記組成物(C)は、以下の式:
-[(CH
2)
x-CHR
1-R
2)-
(式中、xは1~3の整数であり、
R
1は、水素又はメチル基であり、
R
2は、酸素原子、又は式-OC(=O)R
3の基であり、R
3は、水素原子又はメチルである)
に従う骨格を含むポリマー[ポリマー(P)]を含み、前記ポリマー(P)は、25℃より高く120℃未満の融点(Tm)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項9】
前記ポリマー(P)は、前記組成物(C)の総重量に基づいて、0.1重量%より高く20重量%未満の量で前記組成物(C)中に存在する、請求項8に記載の組成物(C)。
【請求項10】
前記組成物(C)は、
- 18~40.5重量%の、任意選択で少なくとも1つの塩(M)を含む、前記媒体(L)と、
- 2~14重量%の前記ポリマー(F)と、
- 52~82重量%の前記化合物(EA)と、
- 0.5~10重量%の前記化合物(C)と、
- 任意選択で、3~5重量%の前記ポリマー(P)と、
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項11】
本発明の組成物(C)であることを含む前記組成物(C)は、組成物(C-1)であり、これは、
- 10~40重量%の、唯一の媒体(L)として少なくとも1つの有機カーボネートを含む前記媒体(L)と、
- 2~14重量%のポリマー(F**-1)
(この場合、ポリマー(F**-1)は、
- 少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%のVDFに由来する繰り返し単位、
- 0.01モル%~10モル%、好ましくは0.05モル%~5モル%、より好ましくは0.1モル%~1.5モル%の少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位、及び
- 5モル%~12モル%、より好ましくは6モル%~10モル%の少なくとも1つのモノマー(FFH)
を含む、より好ましくはこれらからなる)と、
- 52~82重量%の前記化合物(EA)と、
- 0.5~10重量%の前記化合物(C)と、
- 任意選択で、3~5重量%の前記ポリマー(P)と、
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項12】
(i)基板を提供することと、
(ii)上記の請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物(C)を提供することと、
(iii)前記組成物(C)を100℃より高い温度で加熱することと、
(iv)工程(ii)で提供された前記組成物(C)を工程(i)で提供された前記基板に対して押し出し、これにより、前記組成物(C)からなる少なくとも1つの層でコーティングされた基板を含む組立体を提供することと、
を含む、組立体を製造するためのプロセス。
【請求項13】
(a)基板を提供することと、
(b)請求項11に記載の組成物(C-1)をペレットの形態で提供することと、
(c)前記組成物(C-1)を100℃より高い温度で加熱することと、
(d)工程(b)で提供された前記組成物(C-1)を工程(a)で提供された前記基板に対して押し出し、これにより、前記組成物(C-1)からなる少なくとも1つの層でコーティングされた基板を含む組立体を提供することと、
を含む、組立体を製造するためのプロセス。
【請求項14】
- 少なくとも1つの基板と、
- 前記基板に対して直接接着された、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物(C)からなる少なくとも1つの層[層(L1)]と、
を含む組立体であって、前記組立体は、正極又は負極である組立体。
【請求項15】
- 正極と、
- 負極と、
- 前記正極と前記負極の間に挿入された膜と、
を含む二次電池であって、前記正極及び前記負極のうちの少なくとも1つは、請求項14に記載の組立体である二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月3日出願の欧州特許出願第19172469.9号及び2020年2月3日出願の欧州特許出願第20155055.5号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、電極形成組成物、電極の製造プロセスにおける前述の電極形成組成物の使用、前述の電極及び前述の電極を含む電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
現在まで、正極又は負極のいずれかを製造するための技術は、金属コレクターに適用されるペーストを生成するために、フルオロポリマーバインダーを溶解し、それらを電気活性材料及び全ての他の適切な成分で均質化するために、N-メチル-2-ピロリドン(「NMP」とも呼ばれる)などの有機溶媒の使用を伴う。
【0004】
有機溶媒の役割は、典型的には、有機溶媒の蒸発時に電気活性材料粒子をそれぞれ一緒に及び金属コレクターに結合させるためにフルオロポリマーを溶解させることである。ポリマーバインダーは、電気活性材料粒子を、これらの粒子が充電及び放電サイクル中の大量膨張及び収縮に化学的に耐えることができるように一緒に及び金属コレクターに適切に結合させる必要がある。
【0005】
NMPは、フルオロポリマーの溶解に広く使用されている溶媒であるが、その費用及び環境への配慮から、この溶媒は再利用されている。しかしながら、NMPの使用は、人間の健康と環境への影響の両方の観点から問題を提起している。
【0006】
従って、近年、溶媒の非存在下で電極を製造するための代替のプロセスの必要性が感じられた。
【0007】
例えば、国際公開第2018/050314号パンフレット(Rovert Bosch GmbHの名称で)は、電極フィルムを作製する方法を開示しており、粒子混合物は、ポリマーバインダーと導電性カーボンブラックの粒子から予備混合によって作製され、次いで凝集体が、前述の粒子を圧縮することによって作製され、電気化学的活物質の添加後、電極フィルムは、圧延又は押し出しによって製造される。従って、この特許出願は、固体粒子が混合され、次いで凝集体に圧縮され、次いで前述の固体混合物を圧延又は押し出す前に、サイズが縮小され篩にかけられるプロセスを記載した。この記載において、添加され得る溶媒が述べられているが、処理される混合物が液体であるプロセスの例はない(添付の図における参照もない)。実際、記載全体及び図は、固体混合物が使用されるプロセスに言及していた。
【発明の概要】
【0008】
出願人は、電極の製造プロセスの必要性が依然として存在し、フルオロポリマーを溶解するために溶媒(NMPのような)が使用されないため、再利用が必要ないことを認識した。
【0009】
出願人は、驚くべきことに、本発明によるプロセスで組成物を使用することにより、上記の技術的問題を解決できることを見出した。
【0010】
実際、出願人は、驚くべきことに、本発明の組成物を溶融押し出ししすることにより、電気化学デバイスでの使用に適した電極を製造することが可能であることを見出した。
【0011】
従って、第1の態様では、本発明は、
-0.5重量%~20重量%未満、好ましくは0.5重量%~15重量%未満の1,1-ジフルオロエチレン(VDF)に由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つの半結晶性部分フッ素化ポリマー[ポリマー(F)]と、
-10重量%~60重量%未満、好ましくは10重量%~41重量%未満の沸点が150℃以上であることを特徴とする少なくとも1つの液体媒体[媒体(L)]と、
-少なくとも50重量%の少なくとも1つの電気活性化合物[化合物(EA)]と、を含む組成物[組成物(C)]に関し、この場合、上記の量は、前述の組成物(C)の総重量に基づく。
【0012】
第2の態様では、本発明は、組立体、より好ましくは電極[電極(E)]の製造プロセスにおける前述の組成物(C)の使用に関する。
【0013】
第3の態様では、本発明は、組立体の製造プロセスに関し、前述のプロセスは、
(i)基板を提供すること、
(ii)上記で定義される組成物(C)を提供すること、
(iii)前述の組成物(C)を100℃より高い温度で加熱すること、
(iv)工程(ii)で提供された組成物(C)を工程(i)で提供された基板に押し出し、これにより、前述の組成物(C)からなる少なくとも1つの層でコーティングされた基板を含む組立体を提供することと、を含む。
【0014】
第4の態様では、本発明は、上記のプロセスで得られた組立体に関する。
【0015】
有利には、前述の組立体は、
-少なくとも1つの基板と、
-前述の基板に対して直接接着された、
-上記で定義される少なくとも1つのポリマー(F)と、
-上記で定義される少なくとも1つの化合物(EA)と、
-上記で定義される少なくとも1つの液体媒体[媒体(L)]と、を含む組成物[組成物(C2)]からなる、少なくとも1つの層[層(L1)]と、を含む。
【0016】
有利には、前述の組立体は、電極[電極(E)]である。より好ましくは、前述の電極(E)は、カソード又はアノードである。
【0017】
本発明の電極(E)は、電気化学デバイスで使用するのに特に適切である。
【0018】
適切な電気化学デバイスの非限定的な例には、二次電池、好ましくはアルカリ又はアルカリ土類二次電池が含まれる。より好ましくは、前述の二次電池は、リチウムイオン二次電池である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書及び以下の特許請求の範囲内で使用される場合:
-例えば、「ポリマー(P)」などの表現で、式(formulae)を識別する記号又は数字を括弧を用いて囲むことは、記号又は数字をテキストの他の部分からより適切に区別することを唯一の目的としているため、前述の括弧は、省略されることもでき、
-「1,1-ジフルオロエチレン」、「1,1-ジフルオロエテン」及び「フッ化ビニリデン」という用語は、同義語として使用され、
-「ポリ-(1,1-ジフルオロエチレン)」及び「ポリフッ化ビニリデン」という用語は、同義語として使用され、
-「二次電池」という用語は、充電式電池を示すことを意図しており、
-「電気活性化合物[化合物(EA)]」という用語は、電気化学デバイスの充電段階及び放電段階中にアルカリ又はアルカリ土類金属イオンを、その構造に組み込み又は挿入し、実質的にその構造から放出することができる化合物を示すことを意図している。化合物(EA)は、好ましくは、リチウムイオンを組み込む又は挿入し放出することができ、
-「部分フッ素化ポリマー」という表現は、少なくとも1つのフッ素化モノマー、及び任意選択で少なくとも1つの水素化モノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーを示すことを意図し、この場合、前述のフッ素化モノマー及び前述の水素化モノマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの水素原子を含み、
-「フッ素化モノマー」という用語は、少なくとも1つのフッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーを示すことを意図し、
-「水素化モノマー」という用語は、少なくとも1つの水素原子を含み、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーを示すことを意図し、
-「少なくとも1つのフッ素化モノマー」という表現は、ポリマーが、1つ以上のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含み得ることを示すことを意図し、
-「フッ素化モノマー」という表現は、複数形と単数形の両方を意図し、即ち、上記で定義される1つ以上のフッ素化モノマーの両方を示し、
-「少なくとも1つの水素化モノマー」という表現は、1つ以上の水素化モノマーに由来する繰り返し単位を示すことを意図し、
-「水素化モノマー」という表現は、複数形と単数形の両方を意図し、即ち、上記で定義される1つ以上の水素化モノマーの両方を示す。
【0020】
「半結晶性」という用語は、本明細書では、ASTM D3418-08に従って測定される、5~90J/g、好ましくは30~60J/gの融解熱を有するポリマー(F)を示すことを意図する。
【0021】
有利には、前述のポリマー(F)は、0.05L/gより高く、より好ましくは0.12L/gより高く、更により好ましくは0.25L/gより高い固有粘度を有することを特徴とし、固有粘度は、実験の部で詳述されているように、Ubbelhode粘度計を使用したN,N-ジメチルホルムアミド中の0.2g/dLの濃度にて25℃での前述のポリマー(F1)の溶液の滴下時間として測定される。
【0022】
好ましくは、前述のポリマー(F)は、1,1-ジフルオロエチレン(VDF)に由来する繰り返し単位、及び少なくとも1つのカルボン酸末端基を含む少なくとも1つの水素化モノマー[モノマー(MA)]に由来する繰り返し単位、及び/又は少なくとも1つの部分的又は完全にフッ素化されたモノマー[モノマー(FFH)]に由来する繰り返し単位を含み、前述のモノマー(FFH)は、VDFとは異なる。
【0023】
好ましい実施形態によれば、前述のポリマー(F)は、
(I)VDFに由来する繰り返し単位、及び
(II)少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む、より好ましくはこれらからなる。
【0024】
この実施形態によるポリマー(F)は、本明細書では以下、「ポリマー(F*)」と呼ばれる。
【0025】
好ましくは、前述のポリマー(F*)は、
-少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも97モル%のVDFに由来する繰り返し単位、
-0.05モル%~10モル%、好ましくは0.1モル%~5モル%、より好ましくは0.2モル%~3モル%の少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む、より好ましくはこれらからなる。
【0026】
好ましい実施形態によれば、前述のポリマー(F)は、
(I)VDFに由来する繰り返し単位、
(II)少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位、及び
(III)少なくとも1つのモノマー(FFH)に由来する繰り返し単位を含む、より好ましくはこれらからなる。
【0027】
この実施形態によるポリマー(F)は、本明細書では以下、「ポリマー(F**)」と呼ばれる。
【0028】
好ましくは、前述のポリマー(F**)は、
-少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%のVDFに由来する繰り返し単位、
-0.01モル%~10モル%、好ましくは0.05モル%~5モル%、より好ましくは0.1モル%~1.5モル%の少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位、及び
-0.1モル%~15モル%、好ましくは0.5モル%~12モル%、より好ましくは1モル%~10モル%の少なくとも1つのモノマー(FFH)を含む、より好ましくはこれらからなる。
【0029】
本発明の特に好ましい実施形態では、前述のポリマー(F**)は、
-少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%のVDFに由来する繰り返し単位、
-0.01モル%~10モル%、好ましくは0.05モル%~5モル%、より好ましくは0.1モル%~1.5モル%の少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位、及び
-5モル%~12モル%、より好ましくは6モル%~10モル%の少なくとも1つのモノマー(FFH)を含む、より好ましくはこれらからなるポリマー(F**-1)である。
【0030】
ポリマー(F**)は、例えば、国際公開第2008/129041号パンフレットの教示に従って、VDFモノマー、少なくとも1つのモノマー(MA)及び少なくとも1つのモノマー(FFH)の重合によって得られることができる。
【0031】
有利には、前述のポリマー(F*)及び前述のポリマー(F**)は、0.25L/gより高く、0.60L/gより低い固有粘度を有することを特徴とし、固有粘度は、実験の部で詳述されているように、Ubbelhode粘度計を使用したN,N-ジメチルホルムアミド中の0.2g/dLの濃度にて25℃での前述のポリマー(F*)又は(F**)の溶液の滴下時間として測定される。
【0032】
好ましい実施形態によれば、前述のポリマー(F)は、
(I)VDFに由来する繰り返し単位、及び
(II)少なくとも1つのモノマー(FFH)に由来する繰り返し単位を含む、好ましくはこれらからなる。
【0033】
この実施形態によるポリマー(F)は、本明細書では以下、「ポリマー(F^)」と呼ばれる。
【0034】
より好ましくは、前述のポリマー(F^)は、
-少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%のVDFに由来する繰り返し単位と、
-0.1モル%~15モル%、好ましくは0.5モル%~12モル%、より好ましくは1モル%~10モル%の少なくとも1つのモノマー(FFH)とを含む。
【0035】
有利には、前述のポリマー(F^)は、0.05L/gより高く、0.60L/gより低く、より好ましくは0.25L/gより低い固有粘度を有することを特徴とし、固有粘度は、実験の部で詳述されているように、Ubbelhode粘度計を使用したN,N-ジメチルホルムアミド中の0.2g/dLの濃度にて25℃での前述のポリマー(F^)の溶液の滴下時間として測定される。
【0036】
ポリマー(F)中の少なくとも1つのモノマー(MA)に由来する繰り返し単位の平均モルパーセントの決定は、任意の適切な方法によって行うことができる。特に、酸-塩基滴定法(例えば、アクリル酸含有量の決定に適切である)、NMR法(側鎖に脂肪族水素原子を含むモノマー(MA)の定量化に適切である)、ポリマー(F)製造中の全ての供給されたモノマー(MA)及び未反応の残留モノマー(MA)に基づく重量バランスを挙げることができる。
【0037】
有利には、前述のモノマー(MA)は、以下の化学式:
【化1】
(式中、
-R’
1、R’
2及びR’
3は、水素原子であり、
-R’
OHは、水素原子である、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC
1~C
5炭化水素部位である)に従う。
【0038】
前述のモノマー(MA)の非限定的な例は、特に、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルアクリレート、及びこれらの混合物である。
【0039】
好ましくは、前述のモノマー(MA)は、
-式:
【化2】
のヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、
-式:
【化3】
のいずれかの2-ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、
-式:
【化4】
のアクリル酸(AA)、
-及びこれらの混合物を含む、より好ましくはこれらからなる群から選択される。
【0040】
好ましい実施形態によれば、前述のモノマー(MA)は、アクリル酸(AA)である。
【0041】
好ましくは、前述のモノマー(FFH)は、
-テトラフルオロエチレン(TFE)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのC2~C8パーフルオロオレフィン、
-フッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン、及びトリフルオロエチレンなどの、VDFとは異なるC2~C8水素化フルオロオレフィン、
-CH2=CH-Rf0(この場合、Rf0は、C1~C6パーフルオロアルキルである)、
-クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などの、クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C2~C6フルオロオレフィン、
-CF2=CFOX0
(この場合、X0は、C1~C6フルオロ又はパーフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7、C1~C12アルキル基、パーフルオロ-2-プロポキシ-プロピル基などの1つ以上のエーテル基を有するC1~C12オキシアルキル基又はC1~C12(パー)フルオロオキシアルキル基、基-CF2ORf2(この場合、Rf2は、C1~C6フルオロ又はパーフルオロアルキル基、例えば、CF3、C2F5、C3F7、又は、-C2F5-O-CF3などの1つ以上のエーテル基を有するC1~C6(パー)フルオロオキシアルキル基である)である)、
-CF2=CFOY0(この場合、Y0は、C1~C12アルキル基又は(パー)フルオロアルキル基、1つ以上のエーテル基を有するC1~C12オキシアルキル基又はC1~C12(パー)フルオロオキシアルキル基であり、Y0は、カルボン酸又はスルホン酸基を、その酸、酸ハロゲン化物、又は塩の形態で含む)、
-フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソールを含む、より好ましくはこれらからなる群において選択される。
【0042】
より好ましくは、前述のモノマー(FFH)は、フッ化ビニル(VF1)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、及びパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される。
【0043】
ポリマー(F)は、典型的には、この分野の当業者に知られている方法による乳化重合又は懸濁重合によって得られることができる。
【0044】
組成物(C)中の、及び結果として本発明の組立体の層(L1)中の化合物(EA)の性質は、これによって提供される最終組立体が正極[電極(Ep)]であるか又は負極[電極(En)]であるかに依存する。
【0045】
リチウムイオン二次電池用の正極を形成する場合、前述の化合物(EA)は、式LiMQ2(式中、Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr及びVなどの遷移金属から選択される少なくとも1つの金属であり、Qは、O又はSなどのカルコゲンである)の複合金属カルコゲナイドを含むことができる。これらの中で、式LiMO2(式中、Mは、上記で定義されるものと同じものである)のリチウム系複合金属酸化物を使用することが好ましい。これらの好ましい例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiNixCo1~xO2(0<x<1)及びスピネル構造化LiMn2O4を挙げることができる。
【0046】
代替として、リチウムイオン二次電池用の正極を形成する場合には更に、化合物(EA)は、式M1M2(JO4)fE1~f(式中、M1は、リチウムであり、M1金属の20%未満に対応する別のアルカリ金属によって部分的に置換されてもよく、M2は、Fe、Mn、Ni又はこれらの混合物から選択される+2の酸化レベルの遷移金属であり、0を含めてM2金属の35%未満に対応する、+1~+5の酸化レベルの1つ以上の更なる金属によって部分的に置換されてもよく、JO4は、任意のオキシアニオンであり、この場合、Jは、P、S、V、Si、Nb、Mo又はこれらの組み合わせのいずれかであり、Eは、フルオリド、ヒドロキシド又はクロリドアニオンであり、fは、一般的に0.75~1に含まれるJO4オキシアニオンのモル分率である)のリチウム化又は部分的にリチウム化した遷移金属オキシアニオン系電気活性材料を含み得る。
【0047】
上記で定義されるM1M2(JO4)fE1~f電気活性材料は、好ましくは、ホスフェート系であり、規則正しい又は変性されたカンラン石構造を有することができる。
【0048】
より好ましくは、化合物(EA)は、式Li3~xM’yM’’2~y(JO4)3(式中、0≦x≦3であり、0≦y≦2であり、M’及びM’’は、同じ又は異なる金属であり、それらの少なくとも1つは遷移金属であり、JO4は好ましくは、別のオキシアニオンで部分的に置換されてもよいPO4であり、この場合、Jは、S、V、Si、Nb、Mo又はこれらの組み合わせのいずれかである)を有する。より一層好ましくは、化合物(EA)は、式Li(FexMn1~x)PO4(式中、0≦x≦1であり、xは、好ましくは1である(即ち、式LiFePO4のリチウム鉄ホスフェート))のホスフェート系電気活性材料である。
【0049】
好ましくは、前述の化合物(EA)は、一般式(I)
LiNixM1
yM2
zY2(I)
(式中、M1及びM2は、互いに同じであり又は異なり、Co、Fe、Mn、Cr及びVから選択される遷移金属であり、
0.5≦x≦1であり、
y+z=1-xであり、
Yは、カルコゲンを示し、好ましくはO及びSから選択される)のリチウム含有複合金属酸化物から選択される。
【0050】
正極活物質(AM)は、好ましくは、YがOである式(I)の化合物である。
【0051】
好ましい実施形態では、M1は、Mnであり、M2は、Coである。
【0052】
別の好ましい実施形態では、M1は、Coであり、M2は、Alである。
【0053】
このような活物質の例は、LiNixMnyCozO2(本明細書では以下、NMCと呼ばれる)及びLiNixCoyAlzO2(本明細書では以下、NCAと呼ばれる)を含む。
【0054】
具体的には、LiNixMnyCozO2に関して、マンガン、ニッケル及びコバルトの含有比を変動させて、電池の電力及びエネルギーの性能を調整できる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態では、活物質(AM)は、上記で定義される式(I)の化合物であり、この場合、0.5≦x≦1、0.1≦y≦0.5及び0≦z≦0.5である。
【0056】
式(I)の適切な正極活物質(AM)の非限定的な例は、特に、
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、
LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2、
LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、
LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、及び
LiNi0.8Co0.2O2
を含む。
特に有利であることが判明している活物質(AM)は、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2及びLiNi0.8Mn0.1Co0.1O2である。
【0057】
リチウムイオン二次電池用の負極(En)を形成する場合、化合物(EA)は、好ましくは炭素系材料及び/又はケイ素系材料を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、炭素系材料は、例えば、天然又は人工の黒鉛などの黒鉛、グラフェン、又はカーボンブラックであり得る。
【0059】
これらの材料は、単独で使用されてもよく、又はこれらの2つ以上の混合物として使用されてもよい。
【0060】
炭素系材料は好ましくは黒鉛である。
【0061】
ケイ素系化合物は、クロロシラン、アルコキシシラン、アミノシラン、フルオロアルキルシラン、ケイ素、塩化ケイ素、炭化ケイ素、及び酸化ケイ素からなる群から選択される1つ以上であり得る。より具体的には、ケイ素系化合物は、酸化ケイ素又は炭化ケイ素であり得る。
【0062】
化合物(EA)に存在する場合、少なくとも1つのケイ素系化合物は、化合物(EA)に、化合物(EA)の総重量に対して1~50重量%、好ましくは5~20重量%の範囲の量で含まれる。
【0063】
本発明の目的のために、「液体媒体[媒体(L)]」という用語は、大気圧下にて20℃で液体状態にある1つ以上の物質を含む媒体を示すことを意図する。
【0064】
媒体(L)は、典型的には、いかなる溶媒[溶媒(S)]も含まない。
【0065】
本発明内では、溶媒(S)は、上記で定義されるポリマー(F)を溶解するのに適した溶媒を示すことを意図する。この目的のために、溶媒(S)は、典型的には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスファミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、及びこれらの混合物を含む極性溶媒から選択される。
【0066】
前述の媒体(L)は、好ましくは、有機カーボネート、イオン液体(IL)、又はこれらの混合物から選択される。
【0067】
本発明の第1の実施形態によれば、前述の媒体(L)は、唯一の媒体(L)として少なくとも1つの有機カーボネートを含む。
【0068】
適切な有機カーボネートの非限定的な例としては、特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合物、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル-メチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート及びこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
本発明の第2の実施形態によれば、前述の媒体(L)は、唯一の媒体(L)として少なくとも1つのイオン液体(IL)を含む。
【0070】
「イオン液体(IL)」という用語は、本明細書では大気圧下で100℃未満の温度で液体状態で存在する、正に帯電したカチオンと負に帯電したアニオンとの組み合わせによって形成される化合物を示すことを意図する。
【0071】
イオン液体(IL)は、プロトン性イオン液体(ILp)、非プロトン性イオン液体(ILa)、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0072】
「プロトン性イオン液体(ILp)」という用語は、本明細書ではカチオンが1つ以上のH+水素イオンを含むイオン液体を示すことを意図する。
【0073】
1つ以上のH+水素イオンを含むカチオンの非限定的な例としては、特に、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、又はピペリジニウム環が挙げられ、正電荷を有する窒素原子はH+水素イオンに結合している。
【0074】
「非プロトン性イオン液体(ILa)」という用語は、本明細書ではカチオンがH+水素イオンを含まないイオン液体を示すことを意図する。
【0075】
イオン液体(IL)は、典型的には、カチオンとしてスルホニウムイオン、又はイミダゾリウム環、ピリジニウム環、ピロリジウム環、又はピペリジウム環(前述の環は任意選択で窒素原子において置換されていてもよく、特には1~8の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基によって置換されていてもよく、又炭素原子において特には1~30の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基によって置換されていてもよい)を含むものから選択される。
【0076】
本発明の第3の実施形態によれば、前述の媒体(L)は、上記で定義される少なくとも1つの有機カーボネートと、上記で定義される少なくとも1つのイオン液体(IL)との混合物を含む。
【0077】
好ましい実施形態によれば、前述の組成物(C)は、少なくとも1つの金属塩[塩(M)]を更に含む。
【0078】
前述の塩(M)は、典型的には、
(a)MeI,Me(PF
6)
n,Me(BF
4)
n,Me(ClO
4)
n,Me(ビス(オキサラト)ボレート)
n(「Me(BOB)
n」),MeCF
3SO
3,Me[N(CF
3SO
2)
2]
n,Me[N(C
2F
5SO
2)
2]
n,Me[N(CF
3SO
2)(R
FSO
2)]
n(この場合、R
Fは、C
2F
5,C
4F
9又はCF
3OCF
2CF
2,Me(AsF
6)
n,Me[C(CF
3SO
2)
3]
n,Me
2S
nであり、Meは、金属、好ましくは遷移金属、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、より好ましくは、Meは、Li、Na、K又はCsであり、更により好ましくは、Meは、Liであり、nは、前述の金属の原子価であり、典型的には、nは、1又は2である)、
(b)
【化5】
(この場合、R’
Fは、F,CF
3,CHF
2,CH
2F,C
2HF
4,C
2H
2F
3,C
2H
3F
2,C
2F
5,C
3F
7,C
3H
2F
5,C
3H
4F
3,C
4F
9,C
4H
2F
7,C
4H
4F
5,C
5F
11,C
3F
5OCF
3,C
2F
4OCF
3,C
2H
2F
2OCF
3及びCF
2OCF
3からなる群から選択される)、並びに
(c)これらの組み合わせからなる群から選択される。
【0079】
前述の塩(M)は、前述の媒体(L)によって有利に溶解される。
【0080】
これに関して、媒体(L)中の前述の塩(M)の濃度は、有利には、少なくとも0.01M、好ましくは少なくとも0.025M、より好ましくは少なくとも0.05Mである。
【0081】
媒体(L)中の塩(M)の濃度は、有利には多くとも3M、好ましくは多くとも2M、より好ましくは多くとも1Mである。
【0082】
有利には、前述の組成物(C)は、電極に電子伝導性を与えることができる導電性化合物[化合物(C)]を更に含む。
【0083】
これらの例としては、カーボンブラック、黒鉛微粉末カーボンナノチューブ、グラフェン、又は繊維などの炭素質材料、或いはニッケル又はアルミニウムなどの金属の微粉末又は繊維を挙げることができる。
【0084】
前述の化合物(C)は、好ましくは、カーボンブラック又は黒鉛から選択される。
【0085】
明確にするために、化合物(C)は、負極(En)について上記の炭素系材料とは異なる。
【0086】
好ましくは、前述の化合物(C)は、前述の組成物(C)の総重量に基づいて、0.1重量%~15重量%、より好ましくは0.25~12重量%の量で前述の組成物(C)中に存在する。
【0087】
有利には、前述の組成物(C)は、以下の式:
-[(CH2)x-CHR1-R2)-
(式中、
xは、1~3の整数であり、
R1は、水素又はメチル基であり、
R2は、酸素原子又は式-OC(=O)R3の基であり、R3は、水素原子又はメチルである)に従う骨格を含む少なくとも1つのポリマー[ポリマー(P)]を更に含む。
【0088】
好ましくは、前述のポリマー(P)は、120℃よりも低い、より好ましくは100℃よりも低い、更により好ましくは90℃よりも低い融点(Tm)を有する。
【0089】
好ましくは、前述のポリマー(P)は、25℃より高い、より好ましくは30℃より高い、更により好ましくは40℃より高い融点(Tm)を有する。
【0090】
有利には、存在する場合、前述のポリマー(P)は、前述の組成物(C)の総重量に基づいて、0.1重量%より高い、好ましくは0.5重量%より高い、より好ましくは1重量%より高い量で前述の組成物(C)中に存在する。
【0091】
有利には、前述のポリマー(P)は、前述の組成物の総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは8重量%未満の量で前述の組成物(C)中に存在する。
【0092】
好ましい実施形態では、前述のポリマー(P)は、ポリアルキレンオキシド、特に例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリブチレンオキシド、及びポリ(ビニルエステル)、例えば、ポリ(酢酸ビニル)を含む、好ましくはこれらからなる群において選択される。
【0093】
好ましい実施形態では、本発明による組成物(C)は、
-18~40.5重量%の、任意選択で上記で定義される少なくとも1つの塩(M)を含む、上記で定義される前述の媒体(L)と、
-2~14重量%の上記で定義される前述のポリマー(F)と、
-52~82重量%の上記で定義される前述の化合物(EA)と、
-0.5~10重量%の前述の化合物(C)と、
-任意選択で、3~5重量%の前述のポリマー(P)と、を含む。
【0094】
本発明の電極(E)の層(L1)は、典型的に、10μm~500μm、好ましくは50μm~250μm、より好ましくは70μm~150μmに含まれる厚さを有する。
【0095】
好ましくは、工程(i)の下で、前述の基板は、金属及び非金属基板から選択される。より好ましくは、前述の基板は、銅、アルミニウム、チタン、真ちゅう、銀、プラチナ、黒鉛、不活性金属又は炭素コアに渡る酸化物コーティングを有する混合された金属酸化物(MMO)電極を含む、更により好ましくこれらからなる群から選択される。
【0096】
好ましくは、前述の工程(iii)は、前述のポリマー(F)が溶融するまで、前述の組成物(C)を100℃より高い温度で加熱することによって実施される。
【0097】
有利には、工程(iii)は、前述の組成物(C)を100℃より高い、好ましくは300℃より低い、より好ましくは200℃より低い、更により好ましくは170℃より低い温度で加熱することによって実施される。
【0098】
有利には、工程(iv)は、高温押出機、言い換えれば、100℃より高い温度で作動することができる押出機を介して実施される。
【0099】
実際、組成物(C)は上で詳述された媒体(L)を含むので、ポリマー(F)がその溶融形態になるように組成物(C)を加熱し、次いで熱押し出し工程を介してこれを押し出すことが可能である。
【0100】
出願人は、請求された範囲の媒体(L)を含まない組成物は、本発明のプロセスの熱押し出し工程を介して押し出すことができないことを実際に見出した。
【0101】
組成物(C)は、当業者に知られている方法によって有利に調製することができる。
【0102】
組成物(C)は、好ましくはペーストの形態で得られる。
【0103】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物(C)は、組成物(C-1)であり、これは、
-10~40重量%の、唯一の媒体(L)として少なくとも1つの有機カーボネートを含む上記で定義される前述の媒体(L)と、
-2~14重量%の上記で定義される前述のポリマー(F**-1)と、
-52~82重量%の上記で定義される前述の化合物(EA)と、
-0.5~10重量%の前述の化合物(C)と、
-任意選択で、3~5重量%の前述のポリマー(P)と、を含む。
【0104】
この好ましい実施形態による組成物(C-1)は、ペレットの形態で有利に押し出すことができ、これにより、電極の調製に使用するのに適した前述の組成物(C-1)のペレットを提供する。
【0105】
従って、更なる態様では、本発明は、組立体、より好ましくは電極[電極(E)]の製造プロセスにおける前述の組成物(C-1)の使用に関し、前述のプロセスは、
(a)基板を提供することと、
(b)上記で定義されるペレットの形態で組成物(C-1)を提供することと、
(c)前述の組成物(C-1)を100℃より高い温度で加熱することと、
(d)工程(b)で提供された組成物(C-1)を工程(a)で提供された基板に対して押し出し、これにより、前述の組成物(C-1)からなる少なくとも1つの層でコーティングされた基板を含む組立体を提供することと、を含む。
【0106】
第4の例において、本発明は、本発明の電極(E)を含む電気化学デバイスに関する。
【0107】
特に、本発明は更に、
-正極と、
-負極と、
-前述の正極と前述の負極の間の膜と、を含む二次電池に関し、
この場合、正極と負極のうちの少なくとも1つは、本発明の電極(E)である。
【0108】
従って、本発明は又、正極と負極の間に膜を組み立てる工程を含む、二次電池の製造プロセスに関し、この場合、正極及び負極のうちの少なくとも1つは、本発明の電極(E)である。
【0109】
有利には、前述の二次電池において、正極は、本発明による電極(E)である。
【0110】
有利には、前述の二次電池において、負極は、本発明による電極(E)である。
【0111】
電池が組み立てられると、上記で定義される塩(M)を含む上記で定義される媒体(L)が、二次電池に更に追加され得ることが当業者には明らかであろう。前述の媒体(L)及び前述の塩(M)は、上記の組成物(C)について定義された媒体(L)及び塩(M)と同じである又は異なる。
【0112】
本発明の目的のために、「膜」という用語は、これに接触する化学種の浸透を緩和する、別個の、一般に薄い界面を示すことを意図する。この界面は、均質であっても、即ち、構造が完全に一様であってもよく(稠密な膜)、又はそれは、例えば、有限の寸法の空隙、細孔又は穴(多孔質膜)を含み、化学的に又は物理的に不均一であってもよい。
【0113】
膜は典型的には、無機材料及び有機材料から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0114】
適切な有機材料の非限定的な例には、特に、部分フッ素化フルオロポリマーからなる群から好ましくは選択されるポリマーが含まれる。
【0115】
膜は有利には、上記で定義される1つ以上の化合物(EA)を含まない。
【0116】
状況に応じて、膜は、上記で定義される少なくとも1つの媒体(L)と、上記で定義される少なくとも1つの塩(M)とを含む多孔質膜であり得る。前述の実施形態も又、本発明内に包含される。
【0117】
膜が前述の媒体(L)と前述の塩(M)とを含む場合、媒体(L)と塩(M)のそれぞれは、本発明による組成物(C)で使用される媒体(L)と塩(M)と同じであり得る又は異なり得る。
【0118】
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0119】
本発明をこれから以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、その目的は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0120】
実験の部
材料
ポリマー(F1**):25℃及びTm=148℃でのDMFにおける0.28L/gの固有粘度を有するVDF-AA(0.9モル%)-HFP(2.4モル%)ポリマー。
【0121】
ポリマー(F2*):国際公開第2008/129041号パンフレットに記載されているように得られた、25℃及びTm=162℃でのDMFにおける0.30L/gの固有粘度を有するVDF-AA(0.9モル%)ポリマー。
【0122】
ポリマー(F1**-1):25℃及びTm=127℃でのDMFにおける0.32L/gの固有粘度を有するVDF-AA(0.5モル%)-HFP(6.5モル%)ポリマー。
【0123】
ポリマー(F3^):25℃及びTm=131℃でのDMFにおける0.08L/gの固有粘度を有するVDF-HFP(7モル%)ポリマー。
【0124】
理論容量を備えたBTRからBTR480として市販のケイ素/炭素(ケイ素と黒鉛の混合物)は、480mAh/gであった。
【0125】
カーボンブラックは、Super(登録商標)C45及びSuper(登録商標)C65として市販された。黒鉛は、Actilion2として市販された。両方ともImerys S.A.より。
【0126】
LFP(リン酸鉄リチウム)は、PhostechからLifePower(登録商標)P2として市販された。
【0127】
LiTFSI:Sigma Aldrichから市販のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム塩
【0128】
Pyr13TFSI:Solvionicから市販のN-プロピル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【0129】
ビニレンカーボネート(VC)は、Sigma Aldrichから市販された。
【0130】
ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)は、Greenflex(登録商標)MQ40として市販され、MFI=12g/10分及びTm=83℃であった。
【0131】
ポリ(エチレンオキシド)(PEO)は、平均分子量が1×106~1.2×106のAlkox(登録商標)E60として市販された。
【0132】
媒体(L1):Pyr13TFSI
【0133】
媒体(L2):エチレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)1/1体積
【0134】
方法
ポリマー(F
1**)、(F
2*)、及び(F
3^)の固有粘度の決定
固有粘度(η)[dl/g]は、Ubbelhode粘度計を使用して約0.2g/dlの濃度で、ポリマー(F
1**)、(F
2*)、(F
1**-1)及び(F
3^)のそれぞれをN,N-ジメチルホルムアミドに溶解して得られた溶液の25℃での滴下時間に基づいて、以下の式:
【数1】
(式中、
cは、ポリマー濃度[g/dl]であり、
η
rは、相対粘度、即ち、試料溶液の滴下時間と溶媒の滴下時間の比であり、η
spは、特定の粘度であり、即ち、η
r-1であり、Γは、実験係数であり、ポリマー(F
1**)、(F
2*)、(F
1**-1)及び(F
3^)は、3に対応する)を使用して測定した。
【0135】
DSC分析
DSC分析は、ASTM D3418規格に従って実行され、融点(Tm)は、10℃/分の加熱速度で決定された。
【0136】
電極の調製
以下の表に報告された量の成分を一緒に混合して、各混合物についてペーストを得た。
【0137】
こうして得られた各ペーストをミニ押出機の供給ホッパーに導入し、共回転二軸マイクロ押出機DSM Xplore 15mlマイクロコンパウンダーを使用して溶融ブレンドした。マイクロ押出機は、2つの取り外し可能な円錐形の混合スクリューを含む分割可能な流体密封混合コンパートメントによって形成された。滞留時間を記録した。軸速度は、混合において50rpmに固定され、押し出し物の排出の間ではそれよりも高くなる場合があった。加熱温度は200℃又は230℃に設定した。混合時間の終わりに、材料はノズルを通して押し出された。ノズルから出てすぐに、押し出されたプロファイル(profile)は、その下に置かれ230℃に予熱された鋼板によって保温された銅フィルムに置かれた。剥離接着剤で覆われた小さなローラーを使用して、押し出されたものを手動でプレスした。その結果、総厚が約500umの銅又はアルミニウムフィルムに付着したままのストリップが得られた。
【0138】
いくつかのストリップから構成されたこのシートは、PTFEの2つのフォイルの間に、以下に詳述する温度で加熱する圧縮成形機に配置された。以下に詳述する圧力を加えて、こうして、以下に報告する厚さを有する電極(アノード又はカソード)を得た。
【0139】
実施例A-アノードを調製するための組成物
実施例1及び実施例2の組成物のそれぞれは、200℃の温度で押し出された。押出機での滞留時間は5分であった。RPM=50。
【0140】
組成物が押出機から出され、これを銅金属コレクターに対して置き、次いで230℃及び200バールでプレスし、こうしてSiC電極を得た。
【0141】
【0142】
接着を測定し、結果を表5に示す。
【0143】
比較の実施例1C(*)の組成物は、請求された範囲外の量の媒体(L-1)を含んだ。この組成物は押し出すことができなかった。
【0144】
実施例A1-アノードを調製するための組成物
実施例1A及び実施例2Aの各組成物は、130℃の温度で押し出された。押出機での滞留時間は5分であった。RPM=50。
【0145】
組成物が押出機から出され、これを銅金属コレクターに対して置き、次いで130℃及び200バールでプレスし、こうして黒鉛電極を得た。
【0146】
【0147】
接着を測定し、結果を表5に示す。
【0148】
実施例B-LFPカソードを調製するための組成物
実施例3の組成物は、230℃の温度で押し出された。押出機での滞留時間は4分であった。RPM=50。組成物が押出機から出され、これをアルミニウム金属コレクターに対して置き、次いで230℃及び200バールでプレスして、こうしてLFP電極を得た。
【0149】
【0150】
接着を測定し、結果を表5に示す。
【0151】
実施例C-アノードを調製するための組成物
実施例4、実施例5及び実施例6の各組成物は、200℃の温度で押し出された。押出機での滞留時間は5分であった。RPM=50。組成物が押出機から出てきたら、それらを銅金属コレクターに対して置き、次いで230℃及び200バールでプレスし、こうして黒鉛電極を得た。
【0152】
【0153】
接着を測定し、結果を表5に示す。
【0154】
実施例D-アノードを調製するための組成物
実施例7の組成物を140℃の温度で押し出した。押出機での滞留時間は5分であった。RPM=50。組成物が押出機から出され、これを銅金属コレクターに対して置き、次いで140℃及び200バールでプレスし、こうして黒鉛電極を得た。
【0155】
【0156】
比較の実施例2C(*)の組成物は、請求された範囲外の量の媒体(L)を含んだ。この組成物は押し出すことができなかった。
【0157】
接着試験
金属支持体への電極組成物コーティングの接着を評価するために、剥離試験を実施した。試験は、ASTM D903の手順に従って、20℃で300mm/分の速度で動作して、上記のように調製された電極で実施した。
【0158】
10N/mより高い値は、電池用途での使用に適した良好な性能であると見なされた。
【0159】
【0160】
本発明に従って調製された全ての電極は、電池用途に必要な最小値よりも高い集電体への接着値を示した。
【0161】
実施例E-電池の調製
2つのリチウムコイン電池(CR2032タイプ、直径20mm)は、参照電極としてリチウム金属を用いて、実施例3の組成物を使用して調製された電極の小さなディスク(直径=12mm)を打ち抜くことにより、アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で調製した。
【0162】
コイン電池の調製に使用された電解質は、比1/1でのEC/DMCにおける標準的な1M LiPF6溶液であり、VC添加剤は2重量%であった。
【0163】
ポリエチレンセパレーター(Tonen Chemical Corporationから市販)を受け取ったままの状態で使用した。
【0164】
容量保持試験
低電流レートでの初期の充電及び放電サイクル(形成段階)の後、実施例Eで記載したように調製した2つのセルのそれぞれを、4Vの正のカットオフ(cut off)及び2.5Vの負のカットオフでC/5-D/5の定電流レートで定電流サイクルした。
【0165】
【0166】
両方のセルは、25サイクル後、非常に良好なクーロン効率、初期容量、及び保持を示した。
【国際調査報告】