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特表2022-531781既存のエレベータ設備のエレベータデータを記録しデジタルツインを生成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-11
(54)【発明の名称】既存のエレベータ設備のエレベータデータを記録しデジタルツインを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
B66B5/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021565913
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2020062301
(87)【国際公開番号】W WO2020225203
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】19173039.9
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルトーナ,エレナ
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA15
3F304BA26
(57)【要約】
本発明は、既存のエレベータシステム11のエレベータデータを記録および処理するための方法151およびデバイス1に関し、各階21、23、25、27が、少なくとも1回の測定運転65によって接近され、階高h1、h2、h3を表す測定データが測定デバイス63、73によって記録される。さらに、3次元デジタルダブルデータセット111が構成要素モデルデータセット112から生成され、3次元デジタルダブルデータセットは、記録済みシーケンスでおよび決定された階高h1、h2、h3で、測定運転65によって記録された少なくとも各階21、23、25、26を再現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存のエレベータシステム(11)の各階(21、23、25、27)が、既存のエレベータシステム(11)での少なくとも1回の測定運転(65)によって少なくとも一度接近され、少なくとも階高(h1、h2、h3)を表す測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)が測定デバイス(63、73)によって記録される、既存のエレベータシステム(11)のエレベータデータを記録および処理するための方法(151)であって、
3次元デジタルダブルデータセット(111)が、構成要素モデルデータセット(112)から生成され、記憶媒体(115)に記憶され、構成要素モデルデータセット(112)が、異なる構成を有することができ、デフォルト値(x、y、z)で事前定義される特徴付けプロパティ(T、B、H)によって定義され、
測定運転(65)によって記録されたエレベータシステム(11)の各階(21、23、25、27)について、階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)として構成された構成要素モデルデータセット(112)またはシャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)として構成された構成要素モデルデータセット(112)が、記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置され、構成要素モデルデータセット(112)内の特徴付けプロパティ(T、B、H)のデフォルト値(y、y、z)が、次の階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)までの高さ距離(h1、h2、h3)を定義するものであり、測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)から決定された対応する階高(h1、h2、h3)で置き換えられること
を特徴とする、方法(151)。
【請求項2】
各階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)または各シャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)が、事前定義されたインタフェース(131、135)を有し、事前定義されたインタフェース(131、135)を介して構成要素モデルデータセット(112)が互いに接続され互いに対して位置付けられることができ、追加されるべき各構成要素モデルデータセットの対応する特徴付けプロパティ(T、B、H)が、インタフェース(131、135)を介した接続のために提供された構成要素モデルデータセット(112)の対応する特徴付けプロパティ(T、B、H)で自動的に複製される、請求項1に記載の方法(151)。
【請求項3】
エレベータかご構成要素モデルデータセット(153)として構成された構成要素モデルデータセット(112)が、少なくとも1つのシャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)によって形成された仮想シャフト内に配置され、測定運転(65)中に記録された既存のエレベータかご(43)の個々のモーションプロファイル(G1、G2、G3、G4)が、エレベータかご構成要素モデルデータセット(153)に特徴付けプロパティ(G1、G2、G3、G4)として階(21、23、25、27)の階層で割り当てられる、請求項1または2に記載の方法(151)。
【請求項4】
既存のエレベータかご(43)の空間寸法が測定値(u、v、w)として記録され、エレベータかご構成要素モデルデータセット(153)の割り当てられた特徴付けプロパティ(N、O、P)のデフォルト値(q、r、s)が、測定済み空間寸法で置き換えられることができ、シャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)またはシャフト構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティ(B、T)のデフォルト値が、衝突検査ルーチンを使用してチェックされ、衝突する寸法の場合、対応する特徴付けプロパティ(B、T)が、衝突につながる予測に適合される、請求項3に記載の方法(151)。
【請求項5】
3次元デジタルダブルデータセット(111)が、記憶媒体(115)から取り出され、画面(171)上に静的および/または動的な方法で仮想エレベータシステムとして表示され、少なくとも階(21、23、25、27)の高さ距離(h1、h2、h3)を互いに正しい比率で再現することができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(151)。
【請求項6】
エレベータシステム(11)の構成要素のさらなる構成要素モデルデータセット(112)が、グラフィカルユーザインタフェース(173)を介してデータベース(175)から選択され、事前定義されたインタフェース(131、135)を介して3次元デジタルダブルデータセット(111)に挿入されることができる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(151)。
【請求項7】
異なる懸架手段案内の変形における、少なくとも釣合おもり(177)、ガイドレール(179)、シャフトドア(161)、かごドア(163)、駆動構成要素モデルデータセット(181)、および懸架手段構成要素モデルデータセット(183)が、構成要素の構成要素モデルデータセット(112)として選択されることができる、請求項6に記載の方法(151)。
【請求項8】
測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)によって定義される特徴付けプロパティ(B、T、H)がマーカ()を提供され、したがって、それらが、デフォルト値(x、y、z)を有する特徴付けプロパティ(B、T、H)と区別されることができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(151)。
【請求項9】
デジタルダブルデータセット(111)の構成要素モデルデータセット(112)は、構成要素モデルデータセットのマーカ()を提供された特徴付けプロパティ(B、T、H)が置換ルーチンを介して読み取られることで、決定的な構成要素モデルデータセットで置き換えられることができ、特徴付けプロパティ(B、T、H)と一致する、エレベータシステム(11)の実際に存在する構成要素の可能な定義済み構成要素モデルデータセットが、前記マーカ付き特徴付けプロパティ(B、T、H)を使用してデータベース(175)から決定され、置換構成要素モデルデータセット(112)が、随意に手動入力によって追加で選択されることができる、請求項8に記載の方法(151)。
【請求項10】
少なくとも1つの測定デバイス(63、73)であって、測定デバイスを用いて、既存のエレベータシステム(11)での少なくとも1回の測定運転(65)を介して、少なくともそれらの測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)が記録されることができ、測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)から既存のエレベータシステム(11)の階(21、23、25、27)の階高(h1、h2、h3)が決定されることができる、少なくとも1つの測定デバイス(63、73)と、
プログラム可能なデバイス(101)と、
機械可読プログラム命令(107)を有するコンピュータプログラム製品(109)と
を備える、既存のエレベータシステム(11)のエレベータデータを記録および処理するためのシステム(1)であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(151)による測定運転(65)中に、各階が少なくとも一度接近され、
測定運転(65)中に測定デバイス(63、73)によって記録された測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)を考慮しながら、プログラム可能なデバイス(101)上でコンピュータプログラム製品(109)を実行することにより、3次元デジタルダブルデータセット(111)が、構成要素モデルデータセット(112)から生成され、プログラム可能なデバイス(101)の記憶媒体(115)に記憶されることができ、構成要素モデルデータセット(112)が、異なる構成を有することができ、デフォルト値(x、y、z)で事前定義される特徴付けプロパティ(B、T、H)によって定義され、
測定運転(65)によって記録された既存のエレベータシステム(11)の各階(21、23、25、27)について、階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)またはシャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)として構成可能な1つの構成要素モデルデータセット(112)がそれぞれ、プログラム可能なデバイス(101)によって生成された3次元デジタルダブルデータセット(111)に記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置され、その特徴付けプロパティ(B、T、H)のデフォルト値(x、y、z)が、次の階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)またはシャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)までの高さ距離(h1、h2、h3)を定義するものであり、測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)から決定された対応する階高(h1、h2、h3)で置き換えられること
を特徴とする、システム(1)。
【請求項11】
測定デバイス(63、73)が既存のエレベータシステム(11)のエレベータ制御ユニット(41)に接続され、特徴付けプロパティ(T、B、H)が、エレベータ制御ユニット(41)の制御信号から測定デバイス(63、73)によって抽出され、プログラム可能なデバイス(101)に送信されることができる、請求項10に記載のシステム(1)。
【請求項12】
請求項10または11に記載のシステム(1)のプログラム可能なデバイス(101)上で実行されるときに、システム(1)に、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(151)を遂行するように促す機械可読プログラム命令(107)を含むコンピュータプログラム製品(109)。
【請求項13】
コンピュータ可読媒体(105)に記憶される請求項12に記載のコンピュータプログラム製品(109)を有する、コンピュータ可読媒体(105)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のエレベータシステムのエレベータデータを記録および処理するための方法、ならびに前記方法を遂行するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、建物または構造物内で人々を移送するために使用される。この目的のために、十分な動作安全性だけでなく、理想的には継続的可用性も常に確保されなければならない。したがって、エレベータシステムは、ほとんどの場合、通常は一定の間隔をおいてチェックおよび/または点検される。間隔は、一般に同様のエレベータシステムでの経験に基づいて決定され、間隔は、安全を脅かす動作状態が発生する前にチェックまたはメンテナンスがタイミング良く行われるように、動作の安全性を確保するために十分に短くなるように選択されなければならない。
【0003】
エレベータシステムの場合、チェックは、通常、エレベータシステムの実際の現在のステータスとは完全に独立して遂行される。これは、技能者がエレベータシステムを訪れ、エレベータシステムを現場で調査しなければならないことを意味する。このような場合、メンテナンスが緊急に行われる必要がないと分かることが多い。したがって、技能者の訪問は余分だと分かり、不必要なコストを引き起こす。しかしながら、技能者が実際にメンテナンスの必要性に気付いた場合、技能者はエレベータシステムのどの構成要素がメンテナンスを必要とするかを現場でしか判断することができないため、多くの場合に追加の出張が必要になり、したがって、例えば、スペア部品または特殊工具がメンテナンスまたは修理に必要とされることは、現場でしか明らかにならない。
【0004】
さらに、既存のエレベータシステムは、必ずしもエレベータ製造業者自身によって維持管理されるわけではない。様々な理由で、いわゆる外部システム、すなわち他のエレベータ製造業者からのエレベータシステムがエレベータ所有者自身のメンテナンスポートフォリオに組み込まれ、点検されるということが起こり得る。必要なら、このような外部システムは最新化される、したがって、その後、様々な製造業者からの構成要素が相互に適合され、最新化されたエレベータシステム内に設置される。この種の外部システムでは、例えば、既存のサードパーティー製エレベータ制御ユニットは、社内のエレベータ制御ユニットで頻繁に置き換えられる、というのは、社内のエレベータ制御ユニットのアーキテクチャおよびプロパティ(properties)が既知であり、サードパーティー製エレベータ制御ユニットに関する特別な知識が取得される必要がないからである。しかしながら、階の数、階高、機械的および電気的構成要素に合わせて調整された個々の階高を介するエレベータかごのモーションプロファイル(motion profiles)など、既存のエレベータシステムの様々なパラメータまたは特徴付けプロパティ(characterizing properties)が記録され、社内のエレベータ制御ユニット内に実装されなければならない。
【0005】
外部システムがメンテナンスポートフォリオに追加された場合、この既存のエレベータシステムの技術データを記録し、この技術データを利用可能にするという問題が常にある。技能者が通常は採用されるべき外部システムに派遣され、次いで、技能者は、このエレベータシステムの様々な特徴付けプロパティを決定し、フォームまたはデータベースに手作業で記録する。採用されるべきエレベータシステムの複雑さに応じて、例えば、15から50個のパラメータが、特徴付けプロパティとしてフォームまたはデータベースに記録され手作業で入力されなければならない。特徴付けプロパティとそれらのドキュメンテーションをデータベースに手作業で記録するには膨大な時間を要し、技能者の作業の質に応じてデータ品質の低下につながることがある。
【0006】
もちろん、既存のエレベータシステムのメンテナンス責任が数回変わることもあり、異なるメンテナンス会社によってエレベータシステムに加えられた変更がほとんどまたはまったく文書化されていないことが経験から分かっている。したがって、エレベータシステムがメンテナンスポートフォリオに「戻っている(returning)」場合でも、最初に、エレベータシステムの現在の特徴付けプロパティに関して詳細な一覧表が作成されなければならない。
【0007】
国際公開第2014027144号パンフレットでは、エレベータシステムの構造がスキャナを用いて記録され、既知のエレベータ要素が記憶されているデータベースと比較される。このようにして、記録済み構造と一致するエレベータ要素はデータベースで識別されることができる。しかしながら、構造のスキャニングにはかなりの労力が伴い、既存のエレベータシステムには、汚染によって引き起こされる記録済み構造のずれにより、エレベータ要素が識別されないか、または誤ったエレベータ要素が識別されるというリスクがあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2014/027144号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明によって対処される問題は、記録済み特徴付けプロパティのデータ品質を高めるとともに、それらの特徴付けプロパティの可用性および処理可能性を改善するために、既存のエレベータシステムの特徴付けプロパティの記録を単純化することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題は、既存のエレベータシステムのエレベータデータを記録および処理するための方法であって、既存のエレベータシステムの各階が、既存のエレベータシステムでの少なくとも1回の測定運転(measuring run)によって少なくとも一度接近され、少なくとも階高を表す測定データが測定デバイスによって記録される、方法によって解決される。
【0011】
さらに、3次元デジタルダブルデータセット(three-dimensional digital-double dataset)が、構成要素モデルデータセットから生成され、記憶媒体に記憶され、構成要素モデルデータセットは、異なる構成を有することができ、デフォルト値で事前定義される特徴付けプロパティによって定義される。測定運転によって記録されたエレベータシステムの各階について、階部分構成要素モデルデータセットとして構成された構成要素モデルデータセット、またはシャフト部分構成要素モデルデータセットとして構成された構成要素モデルデータセットが、記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置される。これらの構成要素モデルデータセットの場合、特徴付けプロパティのデフォルト値は、次の階部分構成要素モデルデータセットまでの高さ距離を定義するものであり、測定データから決定された対応する階高で置き換えられる。垂直方向に上下に配置されるという特徴は、構成要素モデルデータセットが、階部分およびシャフト部分も、既存のエレベータシステムと同様に、3次元デジタルダブルデータセットに仮想的にマッピングされるように配置されることを意味し、「垂直の(vertical)」は、一般に移送方向を記述する。この場合、階部分構成要素モデルデータセットは、このデータセットがよりオープンである、すなわち、より少ない特徴付けプロパティを有するという点で、シャフト部分構成要素モデルデータセットとは異なる。階部分構成要素モデルデータセットは、階高が後で遂行されるべきシミュレーションにとって本質的に重要であり、記録する労力が最小限に抑えられるべき場合に選択される。しかしながら、シャフト部分断面もシミュレーションにとって重要である場合、シャフト部分セクション構成要素モデルデータセットが選択されることができ、この寸法については特徴付けプロパティがすでに提供されている。論理的には、最初に階部分構成要素モデルデータセットを選択し、続いてそのデータセットにシャフト部分構成要素モデルデータセットを追加することも可能である。
【0012】
本出願で概説されるような測定デバイスは、複数のデバイスを備えることができる。例えば、測定デバイスは、かごの床上に置かれ、階から階へ移動するときに測定データを記録する加速度センサ付き携帯電話とすることができる。測定デバイスは、既存のエレベータシステムのエレベータ制御ユニットに接続されることができ、エレベータ制御ユニットから測定データを読み取り、測定データを必要なら意図した方法で準備し、測定データを以下に説明されるシステムで利用可能にする伝送ユニットとすることもできる。上記の携帯電話または伝送ユニットに加えて、測定デバイスは、ポータブルコンピュータ、データロガー、レーザスキャナ、RFIDタグ読取デバイスなど、互いに恒久的または一時的に通信する複数のデバイスとするかまたは複数のデバイスを備えることもできる。
【0013】
換言すれば、測定運転によって記録されたエレベータシステムの各階について、例えば階部分構成要素モデルデータセットとして構成された構成要素モデルデータセットが、記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置されることができ、構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティのデフォルト値は、次の階部分構成要素モデルデータセットまでの高さ距離を定義するものであり、測定データから決定された対応する階高で置き換えられる。
【0014】
3次元デジタルダブルデータセットの構造を用いて、既存のエレベータシステムのデジタル3次元画像が生成され、デジタル3次元画像の本質的な特徴付けプロパティは、測定データの転送および実装により、割り当てられたエレベータシステムの特徴付けプロパティに対応する。この場合、少なくとも階の数は、対応する数の階部分構成要素モデルデータセットおよび/またはシャフト部分構成要素モデルデータセットと共に、記録済み測定データに基づいてマッピングされ、階の階距離または階高は測定データに従って適合される。したがって、この種の3次元デジタルダブルデータセットは、例えば、エレベータ制御ユニットを置き換える前に新しいエレベータ制御ユニットをプログラムし試験するために、「ハードウェアインザループ(hardware in the loop)」アプローチという意味で完璧なシミュレーション環境を提示する。もちろん、既存のエレベータシステムが割り当てられた3次元デジタルダブルデータセットでより包括的で精密に表されるほど、シミュレーション結果はより良くなる。
【0015】
本発明の一実施形態では、各階部分構成要素モデルデータセットまたは各シャフト部分構成要素モデルデータセットは、事前定義されたインタフェースを有することができ、構成要素モデルデータセットは、そのインタフェースを介して互いに接続され、互いに対して位置付けられることができる。追加されるべき各構成要素モデルデータセットの対応する特徴付けプロパティが、インタフェースを介した接続のために提供される構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティで自動的に複製される。「複製する(replicate)」とは、相互接続された2つの構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティを、それらが同じ特徴付けプロパティに関連する場合に、互いに比較するプロセスを指す。例えば、インタフェースを介して互いに接続されたシャフト断面構成要素モデルデータセットのシャフト部分断面を定義する特徴付けプロパティ「深さ(depth)」および「幅(width)」を複製するシャフト部分構成要素モデルデータセットが使用される、というのは、エレベータシャフトは通常、その全高にわたって同じシャフト断面を有するからである。シャフト壁の材料プロパティなど、その他の特徴付けプロパティも、すべてのシャフト部分構成要素モデルデータセットにわたって複製されることができる。
【0016】
しかしながら、階高は大きく異なることがあり、例えば、それらが互いに隣接しておらず、したがって対応する方法で配置されていない場合に複製不可と定義されることができる。複製命令は、構成要素モデルデータセットごとに特別なルールセットに記憶されることができる。原則として、これらの複製命令は、複製の際、測定値によって定義された特徴付けプロパティが、デフォルト値によって定義された特徴付けプロパティよりも優先することを規定することができる。
【0017】
本発明の別の実施形態では、各階部分構成要素モデルデータセットは、事前定義されたインタフェースを有することができ、シャフト部分構成要素モデルデータセットとして構成された構成要素モデルデータセットは、これらのインタフェースに接続されることができる。シャフト部分構成要素モデルデータセットの寸法もデフォルト値によって特徴付けられるが、デフォルト値は、割り当てられたエレベータシステムの寸法に論理的に対応していない。接続において、そのインタフェースに接続されたシャフト部分構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティのデフォルト値は、シャフト部分の高さを定義するものであり、このとき、それに接続された階部分構成要素モデルデータセットの高さ距離で置き換えられ、したがって複製される。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、各階部分構成要素モデルデータセットは、事前定義されたインタフェースを有することができ、シャフト構成要素モデルデータセットとして構成された構成要素モデルデータセットは、すべての階部分構成要素モデルデータセットのインタフェースに接続されることができる。この場合、すべての階部分構成要素モデルデータセットの高さ距離は、合計して全高にされることができ、この全高は、対応する特徴付けプロパティの複製という意味で、インタフェースに接続されたシャフト構成要素モデルデータセットの対応する特徴付けプロパティのデフォルト値を置き換えることができる。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、エレベータかご構成要素モデルデータセットとして構成された構成要素モデルデータセットが、少なくとも1つのシャフト部分構成要素モデルデータセットによって形成された仮想シャフト内に配置されることができる。この場合、測定運転中に記録されたエレベータかごの個々のモーションプロファイルは、階の順序でエレベータかご構成要素モデルデータセットに特徴付けプロパティとして割り当てられることができる。これは、既存のエレベータシステムの可動構成要素を表す特定の構成要素モデルデータセットが動的特徴付けプロパティも有することができ、したがって厳密に言えば、4次元で特徴付けられることを意味する。したがって、特徴付けプロパティとして記憶されたそのようなモーションプロファイルは、シャフト部分セクション構成要素モデルデータセットなどの静的構成要素モデルデータセットに対する割り当てられた構成要素モデルデータセットの運動方向を指定する少なくとも1つの運動方向ベクトルを有する。さらに、モーションプロファイルは、階高または複数の階高として定義される、網羅されるべき距離にわたるモーションの全範囲も有することができる。モーションプロファイルは、加速度段階、定速度での駆動段階、および減速度段階を表す。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、既存のエレベータかごの空間寸法が測定値として記録されることができ、エレベータかご構成要素モデルデータセットの割り当てられた特徴付けプロパティのデフォルト値は、測定済み空間寸法で置き換えられることができる。さらに、少なくとも1つのエレベータかご構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティは、衝突検査ルーチン(collision checking routine)を使用してチェックされることができ、衝突する寸法の場合、少なくとも1つのシャフト部分構成要素モデルデータセットの対応する特徴付けプロパティが、衝突につながるエレベータかご構成要素モデルデータセットの予測に適合されることができる。
【0021】
換言すれば、少なくともエレベータかご構成要素モデルデータセットのシャフト断面は、少なくともエレベータかごの床面まで自動的に拡張される。この場合、適合は、シャフト断面のかご壁までの通常の距離を提供し、適切な場合、釣合おもり構成要素モデルデータセットの断面アドオンも提供する適合ルーチンを用いて遂行されることができる。
【0022】
上で既述されたように、3次元デジタルダブルデータセットは、動的シミュレーションに使用されることができる。例えば、本発明のさらなる実施形態では、3次元デジタルダブルデータセットは、記憶媒体から取り出され、画面上に静的および/または動的な方法で仮想エレベータシステムとして表示され、少なくとも階の高さ距離を互いに正しい比率で再現することができる。
【0023】
しかしながら、既存のエレベータシステムを記録する技能者は、エレベータシステムに入り、例えば、シャフトピット、シャフトヘッド、およびシャフトの断面を測定し、これらの測定データの影響を受ける構成要素モデルデータセットの対応するデフォルト値を、既存のエレベータシステムのエレベータデータを記録および処理するための以下に説明されるシステムの入力インタフェースを介して入力することもできる。場合によっては、測定デバイスの一部として、技能者は、入力インタフェースと無線で通信することができるレーザ距離測定デバイスを有していてもよく、したがって、測定値は部分的に自動化された方法で採用される。この場合、技能者は、例えば、システムの出力インタフェース上の画面命令により、測定運転、および既存のエレベータシステムのさらなる特徴付けプロパティの記録を通じて段階的に案内されることができる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態では、エレベータシステムの構成要素のさらなる構成要素モデルデータセットが、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介してデータベースから選択され、事前定義されたインタフェースを介して3次元デジタルダブルデータセットに挿入されることができる。選択は、技能者による部分的に自動化された方法で、例えば、システムが、特徴付けプロパティとして処理された記録済み測定データに基づいて適切な構成要素を提案することにより行われることができる。しかしながら、選択は、技能者が、システムの適切な読取デバイスを使用して、例えばシリアル番号、バーコード、マトリックスコード、RFIDタグなどの設置済み構成要素の識別子を読み取ることによって行われることもできる。記録された識別子により、これらの識別子と一致する構成要素だけが、グラフィカルユーザインタフェース上に現われる。次いで、技能者は、その構成要素を、例えば「ドラッグアンドドロップ(drag and drop)」機能を使用して、デジタルダブルデータセットの3次元仮想表現の適切な場所に挿入することができる。しかしながら、飛行時間型カメラまたはレーザスキャナを使用して記録された画像および画像シーケンスが、画像データ処理プログラムによって処理されることができる可能性もあり、エレベータシステム内に設置された構成要素がこの処理によって識別されることができ、構成要素の対応する構成要素モデルデータセットは、3次元デジタルダブルデータセットに直接挿入されるか、またはグラフィカルユーザインタフェース上で提案されることができる。
【0025】
例えば、異なる懸架手段案内の変形における、釣合おもり、ガイドレール、シャフトドア、かごドア、駆動構成要素モデルデータセット、および懸架手段構成要素モデルデータセットが、構成要素の構成要素モデルデータセットとして選択されることができる。
【0026】
本発明のさらなる実施形態では、測定データによって定義される特徴付けプロパティがマーカを提供されることができ、したがって、それらは、デフォルト値を有する特徴付けプロパティと区別されることができる。
【0027】
本発明のさらなる実施形態では、デジタルダブルデータセットの構成要素モデルデータセットは、構成要素モデルデータセットのマーカを提供された特徴付けプロパティが置換ルーチンを介して読み取られることで、決定的な構成要素モデルデータセットで置き換えられることができ、特徴付けプロパティと一致する、エレベータシステムの実際に存在する構成要素の可能な定義済み構成要素モデルデータセットが、前記マーカ付き特徴付けプロパティを使用してデータベースから決定されることができ、置換構成要素モデルデータセットが、随意に手動入力によって追加で選択されることができる。適切な置換構成要素モデルデータセットの選択の後、デジタルダブルデータセットの対応する構成要素モデルデータセットが削除され、置換構成要素モデルデータセットは、削除された構成要素モデルデータセットがリリースしたデジタルダブルデータセットの対応するインタフェースにおいて挿入される。
【0028】
上で数回既述されているように、本発明によれば、既存のエレベータシステムのエレベータデータを記録および処理するためのシステムが提供され、このシステムで前述の方法が遂行されることができる。システムは、少なくとも1つの測定デバイスを備え、測定デバイスを用いて、既存のエレベータシステムでの少なくとも1回の測定運転を介して、少なくともそれらの測定データが記録されることができ、測定データからエレベータシステムの階の階高が決定されることができる。これは、例えば、モーションプロファイルおよび階の間の移動時間を含み、これらから階高は計算されることができる。もちろん、階高は、既存のエレベータシステムのエレベータ制御ユニットのデータから、例えば、エレベータ制御ユニットに接続されたシャフト情報システム、エレベータ制御ユニットに接続されている既存のエレベータシステムのセンサによって生成されたセンサ信号などから決定されることもできる。測定デバイスは、この目的のために特別に構成され、RAM、ROM、EPROM、ハードディスクメモリ、SDRAMなどのデータ記憶リソース、プロセッサやプロセッサネットワークなどのデータ処理リソース、入力インタフェースおよび出力インタフェースなどのインタフェース、および、既存のエレベータシステムのエレベータ制御ユニットや以下に説明されるシステムのプログラム可能なデバイスなどの他のデバイスとの通信を可能にするデバイスインタフェース、ならびにセンサが装備されたデバイスとすることができる。しかしながら、測定デバイスは、全体として上述されたプロパティおよびリソースを有し、データを交換し合うことができる、物理的に分離した様々なデバイスの集合体とすることもできる。
【0029】
システムはさらに、プログラム可能なデバイスと機械可読プログラム命令を有するコンピュータプログラム製品とを含む。この場合、プログラム可能なデバイスは、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯電話、タブレット、エレベータシステムのエレベータ制御ユニットなどの単一のデバイスとすることができる。しかしながら、プログラム可能なデバイスは、1つ以上のコンピュータも備えることができる。特に、プログラム可能なデバイスは、クラウドコンピューティングを介してデータを処理するコンピュータネットワークから形成されることができる。この目的のために、プログラム可能なデバイスは、3次元デジタルダブルデータセットのデータおよびそのデータの生成に必要とされる様々な構成の構成要素モデルデータセットが、例えば電子的形態または磁気的形態で記憶されることができるメモリを有することができる。プログラム可能なデバイスは、データ処理オプションも有することができる。例えば、プログラム可能なデバイスはプロセッサを有することができ、このプロセッサを用いて、これらのデータセットのすべてからのデータおよびコンピュータプログラム製品の機械可読プログラム命令が処理されることができる。プログラム可能なデバイスはデータインタフェースも有することができ、データインタフェースを介して、データがプログラム可能なデバイスに入力され、および/またはプログラム可能なデバイスから出力されることができる。プログラム可能なデバイスは、例えば、データが複数のコンピュータ上で分散されたデータクラウドで処理されるときに、空間的に分散された方法で実装されることもできる。
【0030】
特に、プログラム可能なデバイスはプログラム可能であり得る、すなわち、プログラム可能なデバイスは、適切にプログラミングされたコンピュータプログラム製品によって、本発明による方法のコンピュータ処理可能なステップおよびデータを実行または制御するように促されることができる。コンピュータプログラム製品は、例えば、デバイスのプロセッサに、3次元デジタルダブルデータセットのデータを生成、記憶、読取、処理、修正などするよう促す命令またはコードを含むことができる。コンピュータプログラム製品は、任意のコンピュータ言語で書かれることができる。
【0031】
プログラム可能なデバイス上でコンピュータプログラム製品を実行することにより、3次元デジタルダブルデータセットが、構成要素モデルデータセットから生成され、測定デバイスによって記録された測定データを考慮しながらプログラム可能なデバイスの記憶媒体に記憶されることができる。この目的のためにデータベースから取り出されることができる構成要素モデルデータセットは、データクラウドにも記憶されることが好ましく、異なる構成を有し、デフォルト値で事前定義された特徴付けプロパティによって定義される。
【0032】
3次元デジタルダブルデータセットを生成するとき、特に測定運転によって記録されたエレベータシステムの各階について、階部分構成要素モデルデータセットまたはシャフト部分構成要素モデルデータセットとして構成された1つの構成要素モデルデータセットがそれぞれ、プログラム可能なデバイスによって生成された3次元デジタルダブルデータセットに記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置される。既存のエレベータシステムをデジタル形式で正しく再現するために、その特徴付けプロパティのデフォルト値は、次の階部分構成要素モデルデータセットまでの高さ距離を定義するものであり、測定データから決定された対応する階高で置き換えられる。
【0033】
関連パラメータの記録を容易にするために、測定デバイスは、既存のエレベータシステムのエレベータ制御ユニットに接続されてもよい。その結果、測定デバイスは、エレベータ制御ユニットから特徴付けプロパティを抽出し、特徴付けプロパティをシステムのプログラム可能なデバイスに送信することができる。
【0034】
要約すると、コンピュータプログラム製品は、プログラム可能なデバイス上で実行されると、デバイスに、本発明による方法の上記の実施形態を遂行または制御するよう促す機械可読プログラム命令を含むと言われることができる。
【0035】
コンピュータプログラム製品は、任意のコンピュータ可読媒体、例えば、フラッシュメモリ、CD、DVD、RAM、ROM、PROM、EPROM、フロッピーディスクなどに記憶されることができる。コンピュータプログラム製品および/またはコンピュータプログラム製品で処理されるべきデータは、例えばデータクラウド内のサーバまたは複数のサーバに記憶されてもよく、サーバからネットワーク、例えばインターネットを介してダウンロードされることができる。
【0036】
本発明の可能な特徴および利点のうちのいくつかは、異なる実施形態を参照して本明細書に説明されていることに留意されたい。当業者は、本発明の他の実施形態に到達するために、特徴が適切な方法で組み合わされるか、転送されるか、適合されるか、または交換されることができることを認識する。
【0037】
本発明の諸実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明され、図面も本明細書も、本発明を限定するものと解釈されるように意図されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】既存のエレベータシステムを3次元ビューとして概略的に示す図であり、エレベータシステムのエレベータシャフトが、明瞭にするために概略的にのみ示され、エレベータシステムによって接続されるべき階は破線だけで示されている。
図2A図1に示される既存のエレベータシステムの3次元デジタルダブルデータセットを生成するための本発明による方法ステップを概略的に示す図である。
図2B図1に示される既存のエレベータシステムの3次元デジタルダブルデータセットを生成するための本発明による方法ステップを概略的に示す別の図である。
図2C図1に示される既存のエレベータシステムの3次元デジタルダブルデータセットを生成するための本発明による方法ステップを概略的に示す別の図である。
図2D図1に示される既存のエレベータシステムの3次元デジタルダブルデータセットを生成するための本発明による方法ステップを概略的に示す別の図である。
図3図2Aから図2Dに示される方法を遂行するのに適したシステムの必須構成要素を3次元ビューとして概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、既存のエレベータシステム11を3次元ビューとして概略的に示し、エレベータシステムのエレベータシャフト19は、明瞭にするために概略的にのみ示され、現場で構築され、エレベータシステム11によって接続されるべき階21、23、25、27は破線だけで示されている。
【0040】
エレベータシステム11は、通常は現場で構築されたエレベータシャフト19内に配置される多くの異なる構成要素を備える。これらの構成要素は、エレベータシャフト19の壁上に取り付けられたガイドレール37、ガイドレール37上で案内されるエレベータかご43、ガイドレール37上で案内される釣合おもり35など、この段落に記載されているすべての構成要素を含む。釣合おもり35は、懸架手段31、例えば、鋼ケーブルまたはベルトによって耐荷重的方法でエレベータかご43に接続される。本実施形態では、懸架手段31は、偏向ローラ49およびトラクションシーブ51の上のいわゆる2対1懸架手段配置で案内される。もちろん、1対1や3対1などの他の懸架手段案内の変形も可能である。トラクションシーブ51は、通常は常用ブレーキ53、減速機55、および駆動モータ57を備える駆動ユニット39によって駆動される。駆動モータ57は、エレベータ制御ユニット41によって駆動される。本実施形態では、駆動ユニット39およびエレベータ制御ユニット41は、エレベータシャフト19のシャフトヘッド59の真上に位置する機械室29内に配置される。エレベータかご43は、階21、23、25、27上に配置されたシャフトドア61(図2Aおよび図3参照)に一時的に結合されることができるかごドア45を有する。既存のエレベータシステムが正しく機能するのを監視する安全デバイス33もある。
【0041】
図2Aから図2Dを使用して、既存のエレベータシステム11のエレベータデータを記録および処理する本発明による方法151の可能な方法ステップ、ならびに図1に示される既存のエレベータシステム11の3次元デジタルダブルデータセット111の関連生成が以下に説明される。図2Aは、再び既存のエレベータシステム11を簡略化した方法で示し、エレベータシャフト19、階21、23、25、27の床スラブ、エレベータかご43、シャフトドア61、および機械室29の外側輪郭のみが示されている。
【0042】
本発明の可能な一実施形態によれば、図2Bに示されるように、既存のエレベータシステム11のエレベータかご43での少なくとも1回の測定運転65が、エレベータシステム11の各階21、23、25、27に少なくとも一度接近するために使用され、少なくとも、階高h1、h2、h3を表す測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3は、測定デバイス63によって記録される。本実施形態では、測定デバイス63はデータ記録デバイスであり、データ記録デバイスは、エレベータ制御ユニット41から測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3を受信するか、または測定データを、エレベータシステム11内に設置されたセンサからエレベータ制御ユニット41に送信された制御信号およびセンサデータから抽出し記憶する、あるいは、これらの測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3を転送することができる。この目的のために、測定デバイス63は、既存のエレベータシステム11のエレベータ制御ユニット41に作用し、所要の測定運転65を開始する適切なコンピュータプログラムを有することができる。この場合、例えば、階高h1、h2、h3は、エレベータ制御ユニット41の制御信号から測定データh1、h2、h3として直接読み取られることができ、測定データは、例えば、既存のエレベータシステム11のシャフト情報システム(図示せず)からエレベータ制御ユニット41に送信される。さらに、モーションプロファイルは、測定データG1、G2、G3、G4として記録されることができる。モーションプロファイルは、時間tに対するエレベータかご43の速度Vを表すので、階高h1、h2、h3は、もちろんこれらの測定データG1、G2、G3、G4から計算されることもできる。
【0043】
もちろん、測定運転65は、測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3が既存のエレベータシステム11のエレベータ制御ユニット41から読み取られることなく遂行されてもよい。この目的のために、例えば、技能者71が、携帯電話(スマートフォン)を持ってエレベータかご43に入り、既存のエレベータシステム11で測定運転65を遂行することができる。測定デバイス73としての携帯電話は、加速度および減速度プロファイルならびに階から階への移動時間またはモーションプロファイルを測定データG1、G2、G3、G4として記録する。技能者は、測定データG1、G2、G3、G4を改ざんしないようにするために、測定運転65中に携帯電話または測定デバイス73をエレベータかご43の床上に置くことが好ましい。個々の階21、23、25、27の階高h1、h2、h3は、これらの測定データG1、G2、G3、G4から順番に計算されることができる。
【0044】
図2Cに示されるように、これらの測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3を考慮に入れることにより、3次元デジタルダブルデータセット111が、構成要素モデルデータセット112から段階的に生成され、記憶媒体101に記憶されることができる(図3参照)。構成要素モデルデータセット112は、異なる構成を有することができ、デフォルト値x、y、zで事前定義された特徴付けプロパティB、T、Hによって定義される。
【0045】
構成要素モデルデータセット112の本質を定義する特徴付けプロパティB、T、Hは、例えば、それらが表す構成要素の幾何学的寸法、それらが表す構成要素の重量、それらが表す構成要素の材料プロパティ、および/またはそれらが表す構成要素の表面プロパティとすることができる。もちろん、既述されたモーションプロファイルなどの動的情報は、構成要素モデルデータセット112に特徴付けプロパティとして割り当てられ、動的情報の動的挙動を特徴付けることもできる。換言すれば、エレベータシステム11の1つの構成要素または複数の構成要素の複数の特徴付けプロパティB、T、Hが決定され、測定データG2、G3、G4、h1、h2、h3として3次元デジタルダブルデータセット111に記憶されることができる。構成要素の幾何学的寸法は、例えば、構成要素の長さ、幅、高さ、深さ、断面、半径、フィレットなどとすることができる。構成要素の材料プロパティは、例えば、構成要素または構成要素の部分領域を形成するために使用される材料のタイプとすることができる。さらに、材料プロパティは、構成要素の強度プロパティ、硬度プロパティ、電気プロパティ、磁気プロパティ、光学プロパティなどとすることもできる。構成要素の表面状態は、例えば、構成要素の粗さ、テクスチャ、コーティング、色、反射率などとすることもできる。特徴付けプロパティB、T、Hは、個々の構成要素または構成要素群を指すことができる。例えば、特徴付けプロパティB、T、Hは、より大きい、より複雑な構成要素群が構成される個々の構成要素に関連することができる。代替的または追加的に、特徴付けプロパティB、T、Hは、駆動モータ、ギヤユニット、懸架手段などの複数の構成要素から構成されたより複雑な機器を指すこともできる。
【0046】
3次元デジタルダブルデータセット111を生成するには、いずれの場合にも、階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127として構成された構成要素モデルデータセット112が、測定運転65によって記録されたエレベータシステム11の各階21、23、25、27について記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置されることができ、互いに対して正しく位置付けられ統合されたインタフェース情報131は、この目的のために、階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127上で、例えばルールセット133を用いて定義されることが好ましい。既述されたように、構成要素モデルデータセット112は、特徴付けプロパティB、T、Hによって定義され、これらの特徴付けプロパティB、T、Hは、デフォルト値x、y、zによって順番に事前定義される。図2Cの本実施形態では、階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127は、互いに直角を成して配置された2つの表面PおよびQによって定義され、2つの表面の平面寸法はそれぞれ、特徴付けプロパティの幅B、深さT、および高さHによって対応するデフォルト値x、y、zで事前定義される。したがって、この3次元デジタルダブルデータセット111またはこのように生成された仮想モデルは、3次元で表されることができるものであり、最初に、エレベータシステム11の階21、23、25、27の数のみを正しく表示する。
【0047】
次に、図2Dが示すように、3次元デジタルダブルデータセット111または3次元で表現されることができるこの仮想モデルは、各階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127の特徴付けプロパティの高さHのデフォルト値zが、次の階部分構成要素モデルデータセットまでの高さ距離を定義するものであり、測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3から決定された対応する階高h1、h2、h3で置き換えられることで、徐々に洗練され、指定される。図2Dに示されている階高h1、h2、h3に基づいて、それらが図2Cのデフォルト値x、y、zから、それにまた互いに大幅に異なることは明らかである。最上階27の階高h4は、測定運転65によって決定された測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3によって計算または定義されることができないことも見られることができる。例えば、技能者は、前記階高h4を手動で測定し、それを測定データh4として記録しなければならないか、あるいはそのデフォルト値zは、最上階27のこの特徴付けプロパティ高さHに関するさらなる測定データが利用可能になるまで最初に維持される。それらの特徴付けプロパティB、T、Hは、そのデフォルト値x、y、zが測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3で置き換えられているものであり、本実施形態ではアスタリスク付きでh1、h2、h3として象徴的に示されるように、マーカを提供されることができる。そのようなマーカは、コード部分、接頭辞、接尾辞などとすることができる。
【0048】
前述のように、各階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127は、事前定義されたインタフェース131を有する。これらのインタフェースは、階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127が組み合わされるときの互いの位置決め点として働くだけでなく、追加の構成要素モデルデータセット112が追加されるときのインタフェース131としても働く。次に、図2Dに示されるように、シャフト部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147として構成された構成要素モデルデータセット112が、これらのインタフェース131に追加されることもできる。この目的のために、そのインタフェース131に接続されたシャフト部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147の特徴付けプロパティB、T、Hのデフォルト値x、y、zは、シャフト部分の高さを定義するものであり、階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127の対応する階高h1、h2、h3で置き換えられるか、または複製される。
【0049】
もちろん、上述の階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127の代わりに、シャフト構成要素モデルデータセットまたは複数のシャフト構成要素モデルデータセット141、143、145、147を構成要素モデルデータセット112として直接使用する可能性もある。これらはまた、3次元デジタルダブルデータセット111を正しく生成できるようにするか、または少なくとも階の数および階高h1、h2、h3、zを正しく反映できるようにするために、階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127およびインタフェース131という意味で特徴付けプロパティB、T、Hを有することが好ましい。
【0050】
原則として、各構成要素モデルデータセット112は、その構成に応じて、さらなる構成要素モデルデータセット112を追加するための複数のインタフェース131、135を有することができる。例えば、シャフト部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147は、階部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147と一致しおよび/または互いに一致するインタフェース131に加えて、シャフトドア構成要素モデルデータセット161のためのインタフェース135も有することができる。
【0051】
図3は、図2Aから図2Dに示される方法151を遂行するのに適したシステム1の必須構成要素を3次元ビューとして概略的に示す。既存のエレベータシステム11のエレベータデータを記録および処理するためのこのシステム1は、本質的に以下のシステム部品を有する:
少なくとも1つの測定デバイス63であって、測定デバイス63を用いて、既存のエレベータシステム11での少なくとも1回の測定運転65が、少なくとも測定データh1、h2、h3を記録するために使用されることができ、測定データからエレベータシステム11の階21、23、25、27の階高h1、h2、h3が決定されることができる、少なくとも1つの測定デバイス63と;
プログラム可能なデバイス101と;
機械可読プログラム命令107を有するコンピュータプログラム製品109。
【0052】
図2の説明で既述されたように、描写される実施形態の測定デバイス63は、既存のエレベータシステム11のエレベータ制御ユニット41の測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3にアクセスし、その測定データを、二重矢印113で象徴的に表されているように、プログラム可能なデバイス101に送信する。
【0053】
プログラム可能なデバイス101は、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯電話、タブレット、既存のエレベータシステム11のエレベータ制御ユニット41などの単一のデバイスとすることもできる。しかしながら、プログラム可能なデバイス101は、1つ以上のコンピュータも備えることができる。特に、プログラム可能なデバイス101は、図3に示されるように、データクラウドの形をとるデータを処理するコンピュータネットワークから形成されることができる。この目的のために、プログラム可能なデバイス101は、デジタルダブルデータセット111のデータ、およびその生成に必要とされる様々な構成の構成要素モデルデータセット112が、例えば電子的形態または磁気的形態で記憶されることができる記憶媒体115を有することができる。プログラム可能なデバイス101は、データ処理オプションも有することができる。例えば、プログラム可能なデバイス101はプロセッサ117を有することができ、このプロセッサを用いて、これらすべての構成要素モデルデータセット112からのデータおよびコンピュータプログラム製品109の機械可読プログラム命令107が処理されることができる。プログラム可能なデバイス101は、二重矢印119で象徴的に表されているデバイスインタフェースも有することができ、デバイスインタフェースを介してデータがプログラム可能なデバイス101に入力され、および/またはプログラム可能なデバイス101から出力されることができる。プログラム可能なデバイス101は、また、例えば、データが複数のコンピュータ上で分散されたデータクラウドで処理されるときに、空間的に分散された方法で実装されることができる。
【0054】
特に、プログラム可能なデバイス101はプログラム可能であり得る、すなわち、プログラム可能なデバイスは、適切にプログラムされたコンピュータプログラム製品109によって、本発明による方法151のコンピュータ処理可能なステップおよびデータを実行または制御するように促されることができる。コンピュータプログラム製品109は、例えば、プログラム可能なデバイス101のプロセッサ117に、3次元デジタルダブルデータセット111のデータを生成、記憶、読取、処理、修正などをするよう促す命令またはコードを含むことができる。コンピュータプログラム製品109は、任意のコンピュータ言語で書かれることができる。
【0055】
コンピュータプログラム製品109の機械可読プログラム命令107は、図2Aから図2Dに例として示される、本発明による方法151の方法ステップを機械処理可能な方法で再現する。さらに、機械可読プログラム命令107は、モーションプロファイルG1、G2、G3、G4(図2B参照)から階高h1、h2、h3を決定するための異なる変換ルーチン、エレベータ制御ユニット41と測定デバイス63との間の相互作用を制御するための制御ルーチン、構成要素モデルデータセット112の配置をそれらの互換性についてチェックする割当ルーチン、インタフェースを介した構成要素モデルデータセット112の正確な位置決めを担う位置決めルーチン、ルールセット133(図2C参照)、互いに対して3次元空間に配置された構成要素モデルデータセット112の静的および動的特徴付けプロパティをチェックする衝突チェックルーチン、伝送プロトコル、デバイスインタフェース用の制御ルーチン、技能者用の指示ルーチンなど、複数の他のプログラムルーチンを有することができる。
【0056】
測定デバイス63によって記録された測定データを考慮して、プログラム可能なデバイス101上でコンピュータプログラム製品109を実行することにより、3次元デジタルダブルデータセット111が構成要素モデルデータセット112から生成され、プログラム可能なデバイス101の記憶媒体115に記憶されることができる。ここで、構成要素モデルデータセット112は、異なる構成を有し、例えば、階部分構成要素モデルデータセット121、123、125、127、シャフト部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147、エレベータかご構成要素モデルデータセット153、かごドア構成要素モデルデータセット163、シャフトドア構成要素モデルデータセット161、駆動構成要素モデルデータセット155などとして構成されることができ、デフォルト値q、r、sで事前定義された特徴付けプロパティN、O、Pによって定義されることができる。
【0057】
測定運転65によって記録されたエレベータシステム11の各階21、23、25、27について、階部分構成要素モデル記録121、123、125、127として構成されたそれぞれの構成要素モデルデータセット112が、プログラム可能なデバイス101によって生成された3次元デジタルダブルデータセット111に記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置される。図2Aから図2Dに示されるように、その特徴付けプロパティHのデフォルト値zは、次の階部分構成要素モデルデータセットまでの高さ距離を定義するものであり、測定データG1、G2、G3、G4、h1、h2、h3から決定された対応する階高h1、h2、h3で置き換えられる。
【0058】
さらに、エレベータかご構成要素モデルデータセット153として構成された構成要素モデルデータセットは、少なくとも1つのシャフト構成要素モデルデータセット141、143、145、147によって形成された仮想シャフト内に配置されることができる。この場合、測定運転65中に記録されたエレベータかご43の個々のモーションプロファイルG1、G2、G3、G4は、エレベータかご構成要素モデルデータセット153に特徴付けプロパティとして、階21、23、25、27の階層で割り当てられることもできる。これは、シャフト構成要素モデルデータセット141、143、145、147に対する動的プロパティがエレベータかご構成要素モデルデータセット153に割り当てられ、その結果、部分的に動的なまたは可動の構成要素モデルデータセット112を有する3次元デジタルダブルデータセット111が、例えば画面171上に表示されることができることを意味する。換言すれば、3次元デジタルダブルデータセット111は、記憶媒体115から取り出され、少なくとも階の間の階距離を互いに正しい比率で再現する仮想エレベータシステムとして、画面171上に静的におよび/または動的に表示されることができる。動的プロパティにより、エレベータかご構成要素モデルデータセット153によって画面171上に表示される仮想エレベータかごは、シャフト構成要素モデルデータセット141、143、145、147によって形成された仮想エレベータシャフト内の既存のエレベータシステム11のエレベータかご43と同じ運動方向、同じ加速度、速度および減速度で同じ運動を実行することもできる。
【0059】
さらに、技能者によって測定されるか、あるいは計画およびCADファイルから抽出されたエレベータかご43の空間寸法が測定値u、v、wとして記録されることができ、エレベータかご構成要素モデルデータセット153の割り当てられた特徴付けプロパティN、O、Pのデフォルト値q、r、sは、測定済み空間寸法で置き換えられることができ、シャフト部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147またはシャフト構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティT、B、Hのデフォルト値x、y、zは、衝突ルーチンによってチェックされ、衝突する寸法の場合、対応する特徴付けプロパティT、B、Hが、衝突につながる、エレベータかご構成要素モデルデータセット153の特徴付けプロパティN、O、Pの予測に適合される。特に、シャフト部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147の断面は、依然としてデフォルト値x、yによって定義されるものであり、エレベータかご43の実際の寸法には小さすぎる可能性がある。必要なら、エレベータかご43から始まる、シャフト断面を特徴付けるシャフト部分構成要素モデルデータセット141、143、145、147の特徴付けプロパティT、Bを決定するために、かごの壁とシャフトの壁との間の所要の遊びが標準としてかご寸法に追加されることができる。
【0060】
3次元デジタルダブルデータセット111の生成をさらに単純化するには、エレベータシステムの構成要素のさらなる構成要素モデルデータセット112が、図示のラップトップなどの入力インタフェース/出力インタフェース103のグラフィカルユーザインタフェース173を介してデータベース175から選択され、事前定義されたインタフェース131、135を介して3次元デジタルダブルデータセット111に挿入されることができる。データベース175内に構成要素モデルデータセット112-様々な釣合おもり構成要素モデルデータセット177、ガイドレール構成要素モデルデータセット179、シャフトドア構成要素モデルデータセット161、かごドア構成要素モデルデータセット163、駆動構成要素モデルデータセット181、および様々な懸架手段案内オプションの懸架手段構成要素モデルデータセット183など-として描写されている既存のエレベータシステム11の構成要素が、選択のために利用可能であることができる。
【0061】
実際に存在する構成要素の構成要素モデルデータセットは、データベース175から取り出されることができるものであり、測定結果に基づいて完全に定義された特徴付けプロパティN、O、Pを有することができる。デジタルダブルデータセット111をさらに改善するには、デジタルダブルデータセットの構成要素モデルデータセット112は、測定データu、v、wおよびデフォルト値q、r、sで定義された混合特徴付けプロパティN、O、Pを有するものであり、定義済み特徴付けプロパティN、O、Pを有するデータベース175からの定義済み構成要素モデルデータセット181、183、153で置き換えられることができる。これは、マーカを提供された特徴付けプロパティN、O、Pが置換ルーチン189によって読み取られ、これらのマーカ付き特徴付けプロパティに基づいて、特徴付けプロパティN、O、Pと一致する、エレベータシステム11の実際に存在する構成要素の可能な定義済み構成要素モデルデータセット181、183、153がデータベース175から決定されることで、自動的に行われることができる。続いて、置換構成要素モデルデータセット112は、必要に応じて、これらの提案された定義済み構成要素モデルデータセット181、183、153から手動入力によって追加的に選択されることができる。選択後、置換ルーチン189は、置き換えられるべき構成要素モデルデータセット112を自動的に削除し、置換構成要素モデルデータセット112を挿入することができる。場合によっては、既存のエレベータシステム11の構成要素上にバーコード、マトリックスコード、RFIDタグなどの識別子もあり、これらの識別子は、システム1内での適切な検出により、この構成要素を表す構成要素モデルデータセット112の明確な選択と使用を可能にする。
【0062】
コンピュータプログラム製品109は、任意のコンピュータ可読媒体105であってもよく、あるいは、任意のコンピュータ可読媒体105に記憶されていてもよい。
【0063】
本発明は、単純な既存のエレベータシステム11の例を使用するとともに、それを描写し、基本的にほんの少数の構成要素モデルデータセット112でのみ生成される単純なデジタルダブルデータセット111を使用して、図1から図3に説明されているが、説明された方法151および対応するシステム1がより複雑な設計のエレベータシステム11にも同様に適用されることができることは明らかである。エレベータかご43が1つだけ記載され図に示されているとしても、当然、本発明によるシステム1および本発明による方法151は、複数のエレベータかご43を有する既存のエレベータシステム11にも使用されることできる。
【0064】
最後に、「備える(comprising)」、「有する(having)」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの用語は、複数を排除するものではないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態の1つを参照して説明された特徴またはステップはまた、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得ることに留意されたい。特許請求の範囲における参照記号は、限定的であると見なされるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存のエレベータシステム(11)の各階(21、23、25、27)が、既存のエレベータシステム(11)での少なくとも1回の測定運転(65)によって少なくとも一度接近され、少なくとも階高(h1、h2、h3)を表す測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)が測定デバイス(63、73)によって記録される、既存のエレベータシステム(11)のエレベータデータを記録および処理するための方法(151)であって、
3次元デジタルダブルデータセット(111)が、構成要素モデルデータセット(112)から生成され、記憶媒体(115)に記憶され、構成要素モデルデータセット(112)が、異なる構成を有することができ、デフォルト値(x、y、z)で事前定義される特徴付けプロパティ(T、B、H)によって定義され、
測定運転(65)によって記録されたエレベータシステム(11)の各階(21、23、25、27)について、階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)として構成された構成要素モデルデータセット(112)またはシャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)として構成された構成要素モデルデータセット(112)が、記録済みシーケンスで垂直方向に上下に配置され、構成要素モデルデータセット(112)内の特徴付けプロパティ(T、B、H)のデフォルト値(x、y、z)が、次の階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)またはシャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)までの高さ距離(h1、h2、h3)を定義するものであり、測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)から決定された対応する階高(h1、h2、h3)で置き換えられる、方法(151)。
【請求項2】
各階部分構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)または各シャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)が、事前定義されたインタフェース(131、135)を有し、事前定義されたインタフェース(131、135)を介して構成要素モデルデータセット(112)が互いに接続され互いに対して位置付けられることができ、追加されるべき各構成要素モデルデータセットの対応する特徴付けプロパティ(T、B、H)が、インタフェース(131、135)を介した接続のために提供された構成要素モデルデータセット(112)の対応する特徴付けプロパティ(T、B、H)で自動的に複製される、請求項1に記載の方法(151)。
【請求項3】
エレベータかご構成要素モデルデータセット(153)として構成された構成要素モデルデータセット(112)が、少なくとも1つのシャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)によって形成された仮想シャフト内に配置され、測定運転(65)中に記録された既存のエレベータかご(43)のモーションプロファイル(G1、G2、G3、G4)が、エレベータかご構成要素モデルデータセット(153)に特徴付けプロパティ(G1、G2、G3、G4)として階(21、23、25、27)の階層で割り当てられる、請求項1または2に記載の方法(151)。
【請求項4】
既存のエレベータかご(43)の空間寸法が測定値(u、v、w)として記録され、エレベータかご構成要素モデルデータセット(153)の割り当てられた特徴付けプロパティ(N、O、P)のデフォルト値(q、r、s)が、測定済み空間寸法で置き換えられることができ、シャフト部分構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)の特徴付けプロパティ(B、T)のデフォルト値が、衝突検査ルーチンを使用してチェックされ、衝突する寸法の場合、対応する特徴付けプロパティ(B、T)が、衝突につながる予測に適合される、請求項3に記載の方法(151)。
【請求項5】
3次元デジタルダブルデータセット(111)が、記憶媒体(115)から取り出され、画面(171)上に静的および/または動的な方法で仮想エレベータシステムとして表示され、少なくとも階(21、23、25、27)の高さ距離(h1、h2、h3)を互いに正しい比率で再現することができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(151)。
【請求項6】
エレベータシステム(11)の構成要素のさらなる構成要素モデルデータセット(112)が、グラフィカルユーザインタフェース(173)を介してデータベース(175)から選択され、事前定義されたインタフェース(131、135)を介して3次元デジタルダブルデータセット(111)に挿入されることができる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(151)。
【請求項7】
異なる懸架手段案内の変形における、少なくとも釣合おもり(177)、ガイドレール(179)、シャフトドア(161)、かごドア(163)、駆動構成要素モデルデータセット(181)、および懸架手段構成要素モデルデータセット(183)が、構成要素の構成要素モデルデータセット(112)として選択されることができる、請求項6に記載の方法(151)。
【請求項8】
測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)によって定義される特徴付けプロパティ(B、T、H)がマーカ()を提供され、したがって、それらが、デフォルト値(x、y、z)を有する特徴付けプロパティ(B、T、H)と区別されることができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(151)。
【請求項9】
デジタルダブルデータセット(111)の構成要素モデルデータセット(112)は、構成要素モデルデータセットのマーカ()を提供された特徴付けプロパティ(B、T、H)が置換ルーチンを介して読み取られることで、決定的な構成要素モデルデータセットで置き換えられることができ、特徴付けプロパティ(B、T、H)と一致する、エレベータシステム(11)の実際に存在する構成要素の可能な定義済み構成要素モデルデータセットが、前記マーカ付き特徴付けプロパティ(B、T、H)を使用してデータベース(175)から決定され、置換構成要素モデルデータセット(112)が、随意に手動入力によって追加で選択されることができる、請求項8に記載の方法(151)。
【請求項10】
少なくとも1つの測定デバイス(63、73)であって、エレベータシステム(11)での少なくとも1回の測定運転(65)により、少なくともそれらの測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)が測定デバイス(63、73)によって記録されることができ、測定データからエレベータシステム(11)の階(21、23、25、27)の階高(h1、h2、h3)が決定されることができる、少なくとも1つの測定デバイス(63、73)と、
プログラム可能なデバイス(101)と、
機械可読プログラム命令(107)を有するコンピュータプログラム製品(109)と
を備える、 エレベータシステム(11)のエレベータデータを記録および処理するためのシステム(1)を備えるエレベータシステム(11)であって、
エレベータシステム(11)での測定運転(65)中に、エレベータシステム(11)の各階(21、23、25、27)が少なくとも一度接近され、測定デバイス(63、73)を用いて、階高(h1、h2、h3)を表す少なくともそれらの測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)が記録されること、および、プログラム可能なデバイス(101)上でコンピュータプログラム製品(109)を実行することにより、および、測定運転(65)中に測定デバイス(63、73)によって記録された測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)を考慮することにより、3次元デジタルダブルデータセット(111)が、構成要素モデルデータセット(112)から構築されることができ、プログラム可能なデバイス(101)の記憶媒体(115)に記憶されることができ、構成要素モデルデータセット(112)が、異なる構成を有することができ、デフォルト値(x、y、z)で事前定義される特徴付けプロパティ(B、T、H)によって定義され、プログラム可能なデバイス(101)によって作られた3次元デジタルダブルデータセット(111)において、測定運転(65)によって記録済み順序で記録された既存のエレベータ設備(11)の各階(21、23、25、27)について、階セクション構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)またはシャフトセクション構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)として構成可能な構成要素モデルデータセット(112)が、垂直方向に上下に配置され、構成要素モデルデータセットの特徴付けプロパティ(B、T、H)のデフォルト値(x、y、z)が、次の階セクション構成要素モデルデータセット(121、123、125、127)またはシャフトセクション構成要素モデルデータセット(141、143、145、147)までの距離高さ(h1、h2、h3)を表すものであり、測定データ(G1、G2、G3、G4、h1、h2、h3)から決定された対応する階高(h1、h2、h3)で置き換えられ、測定デバイス(63、73)が、既存のエレベータシステム(11)のエレベータ制御ユニット(41)に接続され、特徴付けプロパティ(T、B、H)が、エレベータ制御ユニット(41)の制御信号から測定デバイス(63、73)によって抽出され、プログラム可能なデバイス(101)に送信されることができること
を特徴とする、エレベータシステム(11)。
【国際調査報告】