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特表2022-5318022つの電極間の接触を破断することによって変形を感知するMENSセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-11
(54)【発明の名称】2つの電極間の接触を破断することによって変形を感知するMENSセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/06 20060101AFI20220704BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G01L1/06
B81B3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566492
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2020062733
(87)【国際公開番号】W WO2020229303
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】1904884
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507069601
【氏名又は名称】シルマック
【氏名又は名称原語表記】SILMACH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スウォロウスキー,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ,シャルル
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA22
3C081BA32
3C081BA41
3C081BA48
3C081CA13
3C081CA32
3C081DA04
3C081DA27
3C081EA01
3C081EA41
(57)【要約】
本発明は、構造の2つの領域の間の相対変位を測定するためのMEMS変形センサに関し、変形センサは、測定軸(X)に沿って互いに対して移動可能な第1の部分(2)及び第2の部分(3)と、第1の部分に対して固定的に取り付けられる推力要素(4)と、異なる電位に高められることができる第1の電極(A)及び第2の電極(B)であって、各電極は第2の部分に対して固定的に取り付けられる、第1の電極及び第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間の電気的リンクを形成する接続部分(I)とを含み、推力要素は、第1の部分が所定の距離を超えて測定軸に沿って第2の部分に対して移動するときに、接続部分に負荷を加えるように構成され、電気的リンクは、負荷の影響の下で破断される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造の2つの領域の間の相対変位を測定するように構成されるMEMSタイプの変形センサであって、
測定軸に沿って互いに対して移動可能な第1の部分及び第2の部分と、
前記第1の部分に対して固定的に取り付けられる押圧要素と、
異なる電位に導かれるように構成される第1の電極及び第2の電極であって、各電極は前記第2の部分に対して固定的に取り付けられる、第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気的接続を形成する接合部とを含み、
前記押圧要素は、前記第1の部分が所定の距離を超えて前記測定軸に沿って前記第2の部分に対して移動するときに、前記接合部に対して負荷を加えるように構成され、前記電気的接続は、前記負荷の影響の下で破断されることを特徴とする、
変形センサ。
【請求項2】
前記押圧要素は、前記第1の部分が、第1の方向に沿って前記第2の部分に対して移動するときに、前記接合部に対して前記負荷を加え、前記第1の部分が、前記測定軸に沿って前記第1の方向とは反対の第2の方向において前記第2の部分に対して移動するときに、前記接合部に対して如何なる負荷も加えない、ように構成される、請求項1に記載の変形センサ。
【請求項3】
前記接合部は、第1のブリッジと、第2のブリッジとを含み、前記第1のブリッジ及び前記第2のブリッジは、前記第1の電極及び前記第2の電極にそれぞれ固定され、前記接合部に対する前記押圧要素の前記負荷は、前記第1のブリッジ及び前記第2のブリッジを破断する効果を有する、請求項1又は2に記載の変形センサ。
【請求項4】
前記第1のブリッジ及び前記第2のブリッジは、前記接合部の薄肉部分によって形成される、請求項3に記載の変形センサ。
【請求項5】
前記接合部は、変形可能な要素を含み、該変形可能な要素は、開構成と閉構成との間で変形させられるように設計され、前記接合部は、前記変形可能な要素が前記閉構成にあるときに、前記第1の電極及び前記第2の電極を共に電気的に連結し、
前記押圧要素は、前記第1の部分が前記測定軸に沿って前記第2の部分に対して移動するときに、前記変形可能な要素を前記開構成から前記閉構成に向かって負荷するように設計される、
請求項1又は2に記載の変形センサ。
【請求項6】
前記変形可能な要素は、前記第2の電極に固定される第1の端と、前記変形可能な要素の変形中に前記第2の電極に対して移動させられるように設計される第2の端とを含む、請求項5に記載の変形センサ。
【請求項7】
前記変形可能な要素は、前記第1の端の近傍において第1の剛性を有し、前記第2の端の近傍において第2の剛性を有し、前記第1の剛性は、前記第2の剛性よりも厳密により少ない、請求項6に記載の変形センサ。
【請求項8】
当該変形センサは、当接部を含み、該当接部は、前記押圧要素が前記変形可能な要素に負荷をかけるまで、前記変形可能な要素に向かう第1の方向における前記押圧要素の相対変位を許容し、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記押圧要素の引き続きの変位を防止する、ように構成される、請求項5~7のうちのいずれか1項に記載の変形センサ。
【請求項9】
当該変形センサは、終端を含むアームを含み、前記押圧要素は、前記測定軸に実質的に平行な方向に沿って前記終端から延びるロック要素を含み、該ロック要素は、前記当接部と協働するように構成される、請求項8に記載の変形センサ。
【請求項10】
前記当接部は、前記第2の電極から前記押圧要素に向かって突出する、請求項8又は9に記載の変形センサ。
【請求項11】
前記当接部は、摺動面と、阻止面とを含み、前記摺動面は、前記押圧要素が前記変形可能な要素に向かって第1の方向において移動するときに、前記押圧要素が前記摺動面を摺動するように方向付けられ、前記阻止面は、前記押圧要素が前記第1の方向とは反対の第2の方向において引き続き移動する一方で、前記変形可能な要素から離れるように移動するときに、前記押圧要素が前記阻止面に当接するように方向付けられる、請求項8~10のうちのいずれか1項に記載の変形センサ。
【請求項12】
前記第2の部分は、SOIとも呼ばれる、シリコン・オン・インシュレータタイプの基板を含み、前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記基板によって支持される、請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の変形センサ。
【請求項13】
請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の変形センサを含む電子回路。
【請求項14】
固定電位に導かれるように構成される導体と、
第1の端子と第2の端子とを含む抵抗であって、前記第1の端子は、前記導体に接続され、前記第2の端子は、前記変形センサの前記第1の電極又は前記変形センサの前記第2の電極に接続される、抵抗と、
前記第2の端子の電位の測定値を提供するように構成される電圧測定デバイスとを含む、
請求項13に記載の電子回路。
【請求項15】
請求項8~11のうちのいずれか1項に記載の変形センサを含む、請求項13又は14に記載の電子回路であって、
当該電子回路は、ロック解除システムを更に含み、該ロック解除システムは、命令で、前記当接部に対して前記押圧要素を押し戻すことができる力、好ましくは、電気力又は磁気力を加えるように構成される、アクチュエータを含む、
電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(微小電気機械システム)タイプのマイクロセンサの技術分野にある。本発明は、より具体的には、MEMSタイプの変形センサ及びそのようなセンサを統合した電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子システムは、1つ以上の方向に沿った変位のリアルタイム検出のためにMEMSマイクロセンサを統合する。例えば、閾値を超える変位を測定するために、使用中に振動を受けることを意図したシステムに衝撃センサを統合することができる。MEMSタイプのセンサは、顕微鏡スケールでシステムの変位を検出することを可能にし、従って、肉眼では見えない衝撃を報告することができる。
【0003】
幾つかの既存のMEMS変形センサは、2つの機械的要素を含み、2つの機械的要素の一方は、他方の要素に対して並進して、所与の方向にシステムが変位した場合に後者を機械的に付勢するように構成される。
【0004】
一例として、特許文献1の下で公開された国際出願は、検出アセンブリに対して移動可能な押圧部を含むセンサを記載しており、検出アセンブリは、押圧部のストローク上に配置された作動ビームを含む。支持体が作動ビームに近づくように、押圧部の支持体が測定軸に沿って変位するときに、押圧部は、作動ビームによって並びに検出アセンブリの接続ビームによって形成される平行四辺形を変形させ、作動ビームは、反対側に配置される固定歯の方向に移動させられる。
【0005】
従来技術のこのMEMSセンサでは、変形の検出を可能にする局所事象は、対向する固定歯に近づく作動ビームの機械的変位である。
【0006】
電源の下で作動する他のアクティブタイプのMEMS変形センサが知られており、この変形センサでは、あまり離れていない並びに異なる電位に導かれる変形可能な要素間に電気的接触が確立されると、変形が検出される。
【0007】
一例によれば、前記変形可能な要素は、互いから軸方向に僅かに離間する平行な変形可能なビームである。静止状態の2つのビームに対して実質的に垂直な方向に沿って移動可能な押圧部は、2つのビームに面して位置付けられる。
【0008】
センサに電気エネルギが供給されると、2つのビームは異なる電位に配置される。押圧部の支持体が、閾値以上の距離に亘って押圧部の可動性の方向における変位を受けると、押圧部は、2つのビームの一方を他方のビームに対して駆動する。次に、2つのビームは、機械的に接触し、接触領域で押圧部によって加えられる圧力が十分であるならば、2つのビーム間に電圧が確立される。
【0009】
このタイプのアクティブ変形センサの1つの欠点は、2つのビームの間に電気的接触が確立される押圧部の変位の距離に亘ってある範囲の不確実性(uncertainty)があることである。押圧部の可動性の方向に沿う2つのビーム間のギャップは、機械的接触が閾値距離から正確に形成されるように寸法決めされる。しかしながら、ビームはフレキシブル(可撓)であり、押圧部の可動性の方向に沿って変形可能性を有する。従って、押圧部は、変形の場合には、閾値よりも大きな距離だけ移動することができ、従って、2つのビームは、他方のビームに対する一方のビームの押圧力が低抵抗の電気接触を生成するのに十分であることなく、機械的に接触することになる。
【0010】
後者の場合、2つのビームの近似は、閾値距離よりも厳密に大きい押圧部の特定の距離の変位に亘ってのみ検出される。閾値距離と等しいか或いはそれよりも僅かに大きい距離に亘る押圧部の変位は検出されないことがある。従って、変形の検出は、幾つかの用途では許容できない不正確性による欠陥がある。
【0011】
押圧部の移動度方向におけるビームの剛性を増大させることによって、押圧部の変位距離に亘る不確実性の範囲を減少させることができる。しかしながら、2つのビームを機械的に接触させた後に、押圧部が2つのビームに近づくように、押圧部の引き続きの変位を許容するために、変形可能なビームは、可動性の方向において十分にフレキシブルなままであることが依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、改良された検出精度を有する可動電極における電気抵抗の変化を検出することによって作動するMEMS変形センサの必要性がある。
【0013】
特に、可動要素間の電気抵抗の変化は、所定の変形閾値を超えることに非常に正確に対応しなければならない。
【0014】
断続的な電源と両立するMEMS変形センサの追加的な必要性がある。変形閾値を超える事象の検出は、センサの不存在又はセンサにおける電源遮断によって損なわれてはならない。
【0015】
第2に、幾つかの特定の用途のために、変形閾値を超える事象のそのような機械的タイプの格納を可能にする一方で、引き続きの変形事象を検出するために再利用可能である、MEMS変形センサの願望がある。他の特定の用途のためには、閾値を超える事象の後に、変位位置を決定的に採用するように構成された変形センサの願望があり、その場合、センサは、改竄防止される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの必要性を満たすために、本発明は、第1の態様に従って、構造の2つの領域の間の相対変位を測定するように構成されるMEMSタイプの変形センサに関し、変形センサ
測定軸に沿って互いに対して移動可能な第1の部分及び第2の部分と、
第1の部分に対して固定的に取り付けられる押圧要素と、
異なる電位に導かれるように構成される第1の電極及び第2の電極であって、各電極は第2の部分に対して固定的に取り付けられる、第1の電極及び第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間の電気的接続を形成する接合部とを含み、
押圧要素は、第1の部分が所定の距離を超えて測定軸に沿って第2の部分に対して移動するときに、接合部に負荷を加えるように構成され、電気的接続は、負荷の影響の下で破断される。
【0017】
本発明のMEMS変形センサでは、(所定の距離を超える第2の部分に対する押圧要素を支持する第1の部分の変位に対応する)所定の変形閾値の超過が検出されることは、2つの電極の間の電気的接続の破断の故に検出される。この電気的接続の破断は、遠隔システムによるセンサの状態の呼掛け中に、変形事象に続いて測定システムによって検出されることができる。代替的に、電気的接続の破断は、遠隔システムにこの情報を送信するように構成された測定システムによってリアルタイムで検出されることができる。そのような測定システムは、2つの電極の一方で電位を測定するマイクロコントローラであることができる。
【0018】
接合部は、変形事象の間に電極を電気的に接触させることによって作動する最新技術のセンサとは異なり、押圧要素と接触するその領域で変形可能であることは必要でない。よって、接合部が押圧要素によって負荷されると、電気的接続は明らかに破断される。電気的接続の破断は、センサが寸法決定された値からの更なる変位距離に亘って電気的接続の破断が起こり得る従来技術のMEMSセンサと比較して、センサが寸法決定された押圧要素の所定の変位距離により具体的に対応する。
【0019】
従って、電気的接合部に対する押圧によって引き起こされる電気的接続の破断による変形閾値の超過を検出することは、変形閾値の周りの不確実性の範囲を最小限に抑えるという利点を有する。よって、本発明の変形センサは、より良い検出精度を有する。
【0020】
本発明のセンサの別の利点は、所定の変位距離を超えて、測定軸に沿って、同じ測定方向において、押圧要素の引き続きの変位を防止する必要がないことである。実際には、本発明のセンサは、互いに対する2つの電極の直接的な近似を必要としない。従って、押圧要素のストロークは、必ずしも制限されるものではなく、ひとたび変形事象が発生すると、継続することができる。
【0021】
上述の変形センサは、単独で又は技術的に可能な組み合わせのうちの任意の1つで取られた、以下の非限定的な構成を更に含んでよい。
- 押圧要素は、第1の部分が、第1の方向に沿って第2の部分に対して移動するときに、接合部に対して負荷を加え、第1の部分が、測定軸に沿って第1の方向とは反対の第2の方向において第2の部分に対して移動するときに、接合部に対して如何なる負荷も加えない、ように構成される。
- 接合部は、第1のブリッジと、第2のブリッジとを含み、第1のブリッジ及び第2のブリッジは、第1の電極及び第2の電極にそれぞれ固定され、接合部に対する押圧要素の負荷は、第1のブリッジ及び第2のブリッジを破断する効果を有する。
- 後者の場合において、第1のブリッジ及び第2のブリッジは、接合部の薄肉部分によって形成される。
- 接合部は、変形可能な要素を含み、変形可能な要素は、開構成と閉構成との間で変形させられるように設計され、接合部は、変形可能な要素が閉構成にあるときに、第1の電極及び第2の電極を共に電気的に連結し、押圧要素は、第1の部分が測定軸に沿って第2の部分に対して移動するときに、変形可能な要素を開構成から閉構成に向かって負荷するように設計される。
- 変形可能な要素は、第2の電極に固定される第1の端と、変形可能な要素の変形中に第2の電極に対して移動させられるように設計される第2の端とを含む。
- 後者の場合において、変形可能な要素は、第2の電極に固定される第1の端と、変形可能な要素の変形中に第2の電極に対して移動させられるように設計される第2の端とを含む。
- 変形可能な要素は、第1の端の近傍において第1の剛性を有し、第2の端の近傍において第2の剛性を有し、第1の剛性は、第2の剛性よりも厳密により少ない。
- 変形センサは、当接部を含み、当接部は、押圧要素が変形可能な要素に負荷をかけるまで、変形可能な要素に向かう第1の方向における押圧要素の相対変位を許容し、第1の方向とは反対の第2の方向における押圧要素の引き続きの変位を防止する、ように構成される。
- 後者の場合において、変形センサは、終端を含むアームを含み、押圧要素は、測定軸に実質的に平行な軸に沿って終端から延びるロック要素を含み、ロック要素は、当接部と協働するように構成される。
- 当接部は、第2の電極から押圧要素に向かって突出する。
- 当接部は、摺動面と、阻止面とを含み、摺動面は、押圧要素が変形可能な要素に向かって第1の方向において移動するときに、押圧要素が摺動面を摺動するように方向付けられ、阻止面は、押圧要素が第1の方向とは反対の第2の方向において引き続き移動する一方で、変形可能な要素から離れるように移動するときに、押圧要素が阻止面に当接するように方向付けられる。
- 第2の部分は、SOIとも呼ばれる、シリコン・オン・インシュレータタイプの基板を含み、第1の電極及び第2の電極は、基板によって支持される。
【0022】
本発明は、第2の態様に従って、上記で定義したようなMEMS変形センサを含む電子回路に関する。
【0023】
有利には、非限定的に、電子回路は、単独で又は組み合わせにおいて取られた、以下の特徴を有することができる。
- 電子回路は、更に、固定電位に導かれるように構成される導体と、第1の端子と第2の端子とを含む抵抗であって、第1の端子は、導体に接続され、第2の端子は、変形センサの第1の電極又は変形センサの第2の電極に接続される、抵抗と、第2の端子の電位の測定値を提供するように構成される電圧測定デバイスとを含む。
- 電子回路は、更に、ロック解除システムを更に含み、ロック解除システムは、命令で、当接部に対して押圧要素を押し戻すことができる力、好ましくは、電気力又は磁気力を加えるように構成される、アクチュエータを含む。
【0024】
第3の態様によれば、本発明は、MEMSタイプの変形センサに関し、センサは、構造の2つの領域の間の相対変位を測定するように構成され、センサは、
- 測定軸に沿って互いに対して移動可能な第1の部分及び第2の部分と、
- 第1の部分に対して固定的に取り付けられる押圧要素と、
- 異なる電位に導かれるように構成される第1の電極及び第2の電極であって、各電極は第2の部分に対して固定的に取り付けられる、第1の電極及び第2の電極と、
- 変形可能な要素を含む接合部であって、変形可能な要素は、開位置及び閉位置を有し、接合部は、変形可能な要素が閉位置にあるときに、第1の電極と第2の電極との間に電気的接続を形成し、押圧要素は、第1の部分が測定軸に沿って第2の部分に対して移動するときに、開位置又は閉位置の一方から開位置又は閉位置の他方に向かって変形可能な要素を負荷するように構成される、接合部と、
- 押圧要素が変形可能な要素に負荷を加えるまで、第1の方向における変形可能な要素に向かう押圧要素の相対変位を許容し、第1の方向とは反対の第2の方向における押圧要素の引き続きの変位を防止する、ように構成される、当接体とを含む。
【0025】
この第3の態様に従って定義される変形センサは、単独で又は技術的に可能な組み合わせのいずれか1つにおいて取られた、以下の非限定的な特徴を更に含むことができる。
- 変形可能な要素は、第2の電極に固定された第1の端と、変形可能な要素の変形中に第2の電極に対して移動させられるように設計された第2の端とを含む。
- 後者の場合、変形可能な要素は、第1の端の近傍において第1の剛性を有し、第2の端の近傍において第2の剛性を有し、第1の剛性は、第2の剛性よりも厳密に低い。
- センサは、終端を含むアームを含み、押圧要素は、測定軸に対して実質的に平行な軸に沿って終端から延びるロック要素を含み、ロック要素は、当接部と協働するように構成される。
- 当接部は、ロック要素の方向において第2の電極から突出する。
- 当接部は、摺動面と、阻止面とを含み、摺動面は、押圧要素が変形可能な要素に向かって第1の方向に移動するときに、押圧要素が滑動面を滑動するように方向付けられ、阻止面は、押圧要素が第1の方向とは反対の第2の方向に移動する一方で、変形可能な要素から離れて移動するときに、押圧要素が阻止面に当接するように方向付けられる。
【0026】
本発明は、第4の態様によれば、第3の態様に従って定義されるようなMEMS変形センサを含む電子回路に関する。
【0027】
この電子回路は、有利かつ非限定的な方法において、以下の構成を有することができる。
- 電子回路は、固定電位に導かれるように構成された導体と、第1の端子と第2の端子とを含み、第1の端子は、導体に接続され、第2の端子は、変形センサの第1の電極又は変形センサの第2の電極に接続される、抵抗と、第2の端子の電位の測定値を提供するように構成される電圧測定デバイスとを更に含む。
- 電子回路は、命令で押圧要素を当接部に対して押し戻すことができる力、好ましくは、静電力又は磁力を加えるように構成されるアクチュエータを含む、ロック解除システムを更に含む。
【0028】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、純粋に例示的であり、限定的ではなく、添付の図面に関連して読まれるべき、以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1a】変形センサを含み、センサの可動部が休止位置にある、1つの実施形態に従った回路を概略的に示している。
図1b図1aの回路を概略的に示しており、センサの可動部は、静止位置とは異なる、接合部の負荷位置にある。
図2】第1の変形例に従った変形センサの要素を示す図である。
図3a】第2の変形例に従った変形センサの要素を示す図である。
図3b】第3の変形例に従った変形センサの要素を示す図である。
図4】第4の変形例に従った変形センサの要素を示す図である。
図5】変形センサを含む電子回路内の測定のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
全ての図及び以下の詳細な記載において、類似の要素は、同一の英数字参照を有する。
【0031】
アクティブ変形センサを統合した回路-一般アーキテクチャ
【0032】
図1a及び図1bは、電子回路1に埋め込まれたMEMS(微小電気機械システム)タイプのセンサを示している。回路1は、頂部機械的支持体1aと、底部機械的支持体1bとを含む。図1a及び図1bは、それぞれ、センサの接合部I(junction part)の静止位置(rest position)及び負荷位置(loaded position)に対応している。
【0033】
提案するセンサは、電子回路1が埋め込まれた構造の変形を検出するためのデバイスを形成する。
【0034】
以下において、「変形事象(deformation event)」は、2つの支持体1a及び1bの相対的な変位をもたらす、センサで感知される変形として理解される。
【0035】
頂部機械的支持体1a及び底部機械的支持体1bを示す「頂(top)」及び「底(bottom)」という用語は、図1a及び図1bに示す向きについて有効であることが理解されるであろう。動作中、2つの支持体は、他の向きに沿って位置付けられることができる。図1a及び図1bは、三次元基準フレーム(X、Y、Z)を表し、ここで、センサは、支持体1bに対して左に向かう支持体1aの変位の方向において、測定軸Xに沿う支持体1bに対する支持体1aの並進(平行移動)を検出するように構成される。
【0036】
機械的支持体1a及び1bは、それぞれ、センサの第1の可動部2及び第2の可動部3のための支持体として機能する。よって、第1の部分2は、支持体1aに固定され、第2の部分3は、支持体1bに固定される。可動部2及び3は、変形の検知に有用なエレメントを有する。
【0037】
提案するセンサは、ここでは、センサの呼掛け(interrogation)に基づいて電源(図示せず)で作動することを意図される、アクティブタイプのMEMSセンサである。センサへの電力供給は、断続的であってよい。すなわち、センサが変形事象の発生中に電流を供給される必要はなく、引き続きセンサに電気エネルギが供給されるならば、センサに呼び掛けるときに、変形事象が発生したことを検出することが可能でなる。
【0038】
第2の部分3は、電極A及び電極Bが取り付けられる基板を含む。基板の材料は、MEMSセンサ内での使用に従った剛性、結晶性及び抵抗率で選択される。例えば、金堆積による金属被覆(メタライゼーション)のような、特定の表面処理で、材料の抵抗率を低減することができる。加えて、基板は、通常の微細製造方法と両立しなければならない。好ましくは、基板は、SOIとも呼ばれるシリコン・オン・インシュレータ(silicon-on-insulator)タイプの基板である。
【0039】
加えて、基板は、電極A及びBでの電気的接触の再開を可能にするように作られる。
【0040】
第1の部分2は、第1の部分2に対して固定された押圧要素4(pushing element)を支持する。第2の部分3は、センサが供給されるときに、第1の電位及び第2の電位にそれぞれ導かれるように意図された2つの電極A及びBを含み、2つの電位は異なる。
【0041】
第2の部分3は、接合部Iも含む。(押圧要素4が負荷される前の)静止時に、接合部Iは、特に軸Xに沿う並進において、第2の部分3に対して固定的に取り付けられ、この接合部は、第1の電極Aと第2の電極Bとの間の電気的接続を達成する。電極A及びBは、接合部Iを除いて、それらの間に如何なる他の電気的接続も有さないことが好ましい。
【0042】
図1aの例において、接合部Iは、第1のブリッジ50と、第2のブリッジ51とを含む。好ましくは、接合部Iは、第2の部分3の基板と同じ材料、例えば、シリコン・オン・インシュレータタイプの材料で作られる。基板は、低い抵抗率であるか、或いは金属被覆によって導電性にされる。接合部は、第1のブリッジ50によって第1の電極Aに固定され、第2のブリッジ51によって第2の電極Bに固定される。
【0043】
図1a及び図1bの例において、第1の部分2は、第2の部分3に向かって延びる部分を含み、前記部分は、押圧要素4を支持する。押圧要素は、ここでは指し示される軸Xに沿って延びている。接合部Iは、押圧要素4に面して、第1の部分2の方向に延びている。
【0044】
センサの変形シーケンスは、以下のように進み得る。
【0045】
図1aの休止位置において、例えば、センサを含む構造の無負荷状態において、押圧要素4は、接合部Iから離れて配置される。
【0046】
第1の可能性によれば、センサは、以下に記載するシーケンス中の変形事象の間に、電気エネルギを供給されない。実際には、以下から分かるように、提案するMEMSセンサは、たとえ変形事象がセンサへの電力供給の不存在において生じるとしても、所定の閾値を超える変形事象の検出を可能にするという利点を有する。遠隔システムによるセンサの状態の引き続きの呼掛けの間に、センサは、他方では、測定システムによる測定を可能にするために、電気エネルギを供給され、2つの電極A及びBは、異なる電位に導かれる。センサの引き続きの呼掛けは、変形事象の発生を事後的に観察することを可能にする。
【0047】
第2の可能性によれば、センサは、以下に記載するシーケンス中の変形事象の間に、電気エネルギを供給される。
【0048】
センサに対する機械的負荷の間に、例えば、センサが衝撃又は振動事象を受ける場合に、第1の部分2は、押圧要素4及び接合部Iが互いに近づくように、測定軸Xに沿って第2の部分3に対して移動することができる。
【0049】
よって、接合部Iは、参照符号L1によって図1bにおいて識別される距離よりも小さい軸Xに沿った変位の相対距離まで、近似変位の開始時に第2の部分3に従う。変位の距離L1は、好ましくは、5~500マイクロメートルの間であり、更に好ましくは、10~200マイクロメートルの間である。
【0050】
相対変位が、変位の距離L1を越えて、例えば、ここでは変位の距離L2まで続くならば、押圧要素4は、接合部Iに負荷を加える。
【0051】
負荷の影響の下で、接合部Iで電気的接続が破断される(broken)。
【0052】
よって、図1bは、接合部の負荷位置に対応する。
【0053】
距離L1は、部分2及び3の相対変位閾値を構成し、相対変位閾値を超えると、電極Aと電極Bとの間の電気的接続の破断がある。電気的破断は、例えば、2つの電極のうちの1つで電位を測定することによって検出される。
【0054】
2つの電極のうちの1つで電位を測定するは、以下から分かるように、2つの電極A及びBの間の等価抵抗を測定することを可能にする。この等価抵抗に関連するインピーダンス値は、接合部Iを通過する電極A及びBの間に電気的接続が存在するかどうかに依存して異なる。
【0055】
よって、提案するセンサの故に、変位の距離L1に対応する所定の閾値を超える変形をリアルタイムで検出することができる。
【0056】
このセンサの1つの利点は、変位の距離L1の検出の不正確さの範囲が、既存のセンサと比較して大幅に低減されることである。換言すれば、距離L1と等しい又は距離L1より僅かに大きい相対変位は、実際には電極A及びBの間の電気的接続の破断の検出をもたらす(センサは、相対変位のために較正される)。従って、変形の検出は、非常に正確である。
【0057】
出願人は、10~200マイクロメートルの間の変位の距離L1について、電極A及びBの間の電気的接続の破断についての距離L1の周りの不確実性の範囲を多かれ少なかれ1マイクロメートルよりも小さくし得ることを観察した。
【0058】
提案するセンサは、変形の検出のための簡単なシステムを構成する。それは、マイクロエレクトロニクスの分野における通常のコンポーネントのみを必要とする。
【0059】
シリコンタイプの基板、例えば、シリコン・オン・インシュレータ基板からセンサを得ることができ、部分2及び3の構造は、押圧部と、(例えば、エッチングによる)電極と、電極A及びBの間に良い品質の電気的接触を得るための導電性トラックの金属被覆とを含む。これらの操作は、マトリックス(又はウェハ)当たり数個のセンサを製造することを可能にする。その場合、センサの製造のために、非常に満足できる単価/精度比が得られる。
【0060】
ここで、押圧要素4は、第1の部分が軸Xに沿って第2の部分に対して左に移動するときに接合部Iに対して負荷を加え、第1の部分が軸Xに沿って第2の部分に対して右に移動するときに接合部Iに対して負荷を加えない、ように構成されることが分かるであろう。従って、支持体1a及び1bが軸Xに沿って互いに近づくような支持体1a及び1bの相対変位を特別に検出するように構成されたセンサが得られる。
【0061】
図1bの特定の例において、押圧要素4によって加えられる負荷は、第1のブリッジ50及び第2のブリッジ51の破断(breaking)を引き起こすのに十分な、接合部に対する押圧力である。この破断後、電極と接合部との間には、もはや如何なる機械的接続もなく、接合部は、もはや第2の部分3に固定されない。
【0062】
押圧要素4との接触面積がX軸に沿って変形可能でない接合部Iを用いることによって、変位検出の不正確性の範囲を更に低減することができる。実際には、この場合、接合部Iは、押圧要素と接触しても変形せず、電極A及びBの間の電気的接続の破断は明らかである。
【0063】
1つの可能な変形例によれば、押圧要素は、変形の同じ軸に沿った変位の2つの反対方向について、2つの所定の変形閾値と関連付けられることができる。例えば、(場合によっては共通の1つの電極を有する)異なる電極のペアの間の2つの異なる電気接続に対応する、類似構造の2つの接合部の間で軸Xに沿って押圧要素を介在させることができる。押圧要素が変形閾値を超えて2つの接合部のうちの1つに近づくと、当該接合部に対応する電気的接続が破断される。
【0064】
この変形例の1つの利点は、それが独立した所定の変形閾値を用いて相対変位の異なる方向に沿う変形事象の検出を可能にすることである。閾値は、同一であっても異なってもよい。
【0065】
前の変形例と関連しても関連していなくてもよい別の変形例によれば、同じ軸Xに沿う相対変位の同じ方向は、幾つかの異なる接合部、従って、幾つかの異なる所定の変形閾値に対応してよい。同じ押圧要素4は、幾つかの異なる接合部と相互作用するように構成された幾つかの異なる端部を支持することができる。異なる接合部は、異なる電極のペアの間の電気的接続に対応する。
【0066】
後者の変形例において、押圧要素が異なる変形閾値を連続的に超えること(crossing)は、異なる接合部を支持する部分に対する、押圧要素を支持する部分の変位の相対距離を正確に推定することを可能にする。
【0067】
従って、本発明のセンサは、所望の用途、すなわち、同じ測定方向に沿った及び/又は同じ測定軸によって支持された2つの異なる測定方向に沿った幾つかの変形閾値の測定に従って適合可能である。
【0068】
例1に従った電極の押圧要素及び接合部
【0069】
図2は、第1の実施形態に従った、上述の一般的なアーキテクチャに従った変形センサの幾つかの要素の拡大概略図である。この実施形態は、図1a及び図1bに表されている例に類似する。
【0070】
この実施形態において、接合部Iは、第1のブリッジ50によって電極Aに連結され且つ第2のブリッジ51によって電極Bに連結されたブロック54で形成される。例えば、ブロック54は、平行四辺形を有する。ブリッジ50及び51は、導電性材料で作られる。ブリッジ50及び51の材料は、金属被覆によって、例えば、金蒸着によって、導電性にされる。よって、ブリッジ50及び51は、接合部Iと電極A及びBとの間で電気的接続及び機械的接続を達成する。電極A及びBは、ここでは、互いから離れている。
【0071】
第1のブリッジ50及び第2のブリッジ51は、接合部の残部に比べてより低い破壊強度を有する、接合部の弱い領域である。好ましくは、第1のブリッジ50及び第2のブリッジ51は、接合部Iの薄肉部分によって形成される。図2の例において、接合部は、第1のブリッジ50、第2のブリッジ51及びブロック54において、軸Xに沿ってそれぞれ厚さEa、Eb及びEcを有する。厚さEa及びEbは、厚さEcに比べて非常に小さく、好ましくは、その20%未満である。ここで、Ea及びEbの各々は、厚さEcの10%未満である。
【0072】
代替的に、接合部Iと一対の電極A及びBとの間に単一のブリッジを形成することができる。実際には、電極A及びBが軸Xに沿って十分に近いならば、2つの電極を接合部に連結するために単一の薄いブリッジを形成することができる一方で、押圧要素4の負荷の間に、この薄いブリッジに優先的な破断領域(breaking area)を残すことができる。
【0073】
ここで、押圧要素4は、軸Xに沿って接合部Iに向かって延びる端部を含む。任意に、押圧要素4は、センサの第1の部分2(図示せず)から第2の部分3に向かって延びる或いは第1の部分2に固定的に取り付けられるアーム40を有し、アーム40は、終端41を含み、押圧要素4の端部が、終端41から延出する。
【0074】
押圧要素が2つの接合部の間に構成され且つ変形の同じ軸に沿った変位の2つの反対方向についての2つの変形閾値に関連する変形例において、押圧要素は、終端41から2つの反対方向に突出する2つの端部を含むことができる。
【0075】
この第1実施形態では、第1の部分2が、変位の距離L1を越えて第2の部分3に近づくように、第2の部分3に対して軸Xに沿って移動すると、押圧要素4は、ブロック54の外面に接触するようになり、ブロック54に対して十分な押圧力を加えて、第1のブリッジ50及び第2のブリッジ51を破断する。
【0076】
この破断の後に(又は2つのブリッジのうちの1つのみが破断した場合でさえも)、接合部Iを通過する電極A及びBの間の電気的接続が破断される。
【0077】
変形事象が電極A及びBの間の電気的接続の破断をもたらすセンサを使用することの1つの利点は、図1a及び図1bに関連して上述したように、押圧部の変位閾値の周りの不確実性の範囲を回避することである。
【0078】
接合部Iは、2つのブリッジ50及び51と共に、ここでは、機械的融合部(mechanical fuse part)を構成する。この可融部(fusible part)は、距離L1よりも大きい接合部に対する押圧要素の変位を生成する変形事象の結果として破断するように意図される。
【0079】
2つのブリッジ50及び51のいずれか1つの破断は、不可逆的である。よって、変位の距離L1を超える相対変位を引き起こす変形事象の後に、接合部Iは、2つの電極A及びBから明確に分離され、従って、2つの電極は、もはや互いに電気的に連結されない。
【0080】
破断の不可逆性の1つの利点は、センサへの電力供給が変形現象中に又は変形現象後に一時的に遮断される期間の間に、接合部Iは、電極A及びBから分離されたままであることである。電源が復旧されると、機械的ヒューズ(mechanical fuse)は依然として破断されている。従って、センサに呼び掛けて、センサが変形事象を受けたことを観察することが依然として可能である。
【0081】
よって、この第1の実施形態に従ったセンサは、断続的な電源と両立する。
【0082】
例2に従った電極の押圧要素及び接合部
【0083】
図3aは、第2の実施形態に従った、上述の一般的なアーキテクチャに従った変形センサの幾つかの要素を表している。
【0084】
センサの全体的アーキテクチャは、前述と同一である。押圧要素4は、第1の部分2に対して固定されたままである。残余の位置において、接合部は、第2の部分3に対して固定されたままである。しかしながら、この第2の実施形態の接合部Iは、第1の実施形態の接合部とは異なる構造を有する。
【0085】
ここで、接合部Iは、電極の一方、例えば、電極Aと接続するための要素i1を含む。接合部Iは、接合部Iと電極の他方、例えば、電極Bとの間の電気的接触を(静止位置において)達成する変形要素i2を更に含む。変形要素i2は、図3aにおいてi2(2)として点線で表されている開位置と図3aにおいてi2(1)として実線で表されている閉位置とで切り替えることができる。接続要素i1は、剛性であり、好ましくは、変形可能な要素i2の底端の剛性よりも大きい剛性を有する。
【0086】
要素i1の閉位置では、電極Bと接続要素i1との間の電気的接続が、変形可能な要素i2を通過する。接続要素i1は導電性であるため、電極A及びBは、この閉位置で電気的に接続される。
【0087】
要素i1の開位置では、電極Bと要素i1との間に要素i2を通過する電気的接続はない。
【0088】
押圧要素4は、第1の部分2が閾値距離L1を越えて測定軸Xに沿って第2の部分3に対して移動するときに、変形可能な要素i2を閉位置から開位置に向かって負荷(ロード)するように構成される。この第2の実施形態において、要素i2の閉位置は、接合部Iの静止位置に対応し、変形可能な要素i2の開位置は、接合部Iの負荷位置に対応する。
【0089】
ここでも、第1の部分2及び第2の部分3が互いに近づくような、軸Xに沿った第2の部分3に対する第1の部分2の距離L1よりも大きい変位のために、押圧要素4が変形可能な要素i2と接触し、開位置への切り替えを引き起こすことによって、2つの電極A及びBの間の電気的接続が遮断するよう、押圧要素4は、接合部Iに対して(特に変形可能な要素i2に対して)位置決めされる。
【0090】
接合部Iは、変形可能な要素i2が、押圧要素と反対側の障害物によって破断されないように構成される。
【0091】
有利には、変形可能な要素は、電極Bに固定された底端と、軸Xに沿って電極Bに対して移動可能な頂端とを含む。頂端は、自由端である。
【0092】
図3aの例において、接続要素i1は、第2の部分3に対して固定された剛性要素である。要素i1は、下向きに向けられたフックを含む。変形可能な要素i2は、その閉位置i2(1)において、フックの自由端で静止し、フックは、変形可能な要素i2と押圧要素4との間に延在する。
【0093】
よって、変形可能な要素i2は、接触後に開位置に切り替わり、電極A及び電極Bの間の電気的接続の破断が直ちに検出される。変形の検出は、変位の距離L1に正確に対応する。
【0094】
変形事象が電極A及びBの間の電気的接続の破断をもたらすセンサを使用することの1つの利点は、図1a及び図1bに関連して上述したように、押圧部の変位閾値の周りの不確実性の範囲を回避することである。
【0095】
開位置i2(2)と閉位置i2(1)との間に位置する変形可能な要素の中間位置は、電極A及びBの間の電気的接点の破断にも対応することが分かるであろう。
【0096】
有利には、変形可能な要素i2は、底端52の近傍におけるその剛性よりも厳密に大きい、頂端53の近傍における剛性を有する。底端52は、フレキシブル(可撓)である。頂端53は、その部分について、電気的接続が押圧要素4との接触後に破断されるように十分に剛性である。この構成の1つの利点は、押圧要素4が変形可能な要素i2の頂端53を押し始めるやいなや、変形要素i2が開位置に切り替わることである。
【0097】
非常に有利には、図3aの第2の実施形態に従ったセンサは、変形可能な要素i2をロックするためのシステムを更に含む。ここでのロックシステムは、変形事象の後に、変形可能な要素i2を開位置にロックすることを可能にする。
【0098】
よって、センサは、当接部6(アバットメント)を含み、変形可能な要素i2を開位置に導いた変形事象の後でさえも、押圧要素4が変形可能な要素i2を開位置に負荷する位置に押圧要素4を維持することを可能にする。
【0099】
図3aの例において、当接部6は、電極Bから押圧要素4に向かって突出するパッドの形状を有する。当接部6は、電極Bが固定される第2の部分3に固定される。押圧要素4は、ここでは、アーム40の終端41に配置される。押圧要素4と当接部6との間の協働を確実にするために、押圧要素は、変形可能な要素i2とは反対側で軸Xに沿って延びるロック要素42を含む。
【0100】
ロック要素42は、ここでは、ポール43(pole)の端に配置された三角形の先端(tip)である。ポール43は、変形可能な要素i2から軸Xに沿って終端41から離れて延在する。
【0101】
当接部6は、押圧要素が変形事象の間に変形可能な要素を開位置において負荷するまで、軸Xに沿って変形可能な要素i2に向かう押圧要素4の相対変位を許容するように構成される。当接部6の先端は、ここでは、静止位置におけるL1よりも大きい距離dだけ先端42から離れている。
【0102】
当接部6は、変形可能な要素i2との接触を発生させる変形事象の発生後に、変形可能な要素i2から離れる押圧要素4の引き続きの変位を防止するように構成される。
【0103】
換言すれば、当接部6は、押圧要素4が、変形事象の後に、2つの電極A及びBの間の電気的接続を再確立する効果を有する変形可能な要素から離れた位置に戻ることを防止する。
【0104】
ここで、押圧要素が図3aに示す距離dよりも大きい距離だけ変形可能な要素i2に向かって移動させられると、先端42は、先ず、当接部6と接触させられ、次に、当接部を通過する。
【0105】
ひとたび先端42が当接部6を越えて(図3aの当接部の左側に)移動すると、先端42は当接部の反対側に戻ることができない。
【0106】
よって、ひとたび距離dが越えられると、変形可能な要素i2は、電極A及びBの間の電気的接続の破断位置に負荷されたままである。
【0107】
ロックシステムの故に、センサへの電力供給が、変位の距離L1を超える相対変位を引き起こす変形事象の間に又は変形事象の後に瞬間的に遮断されるならば、押圧要素は、その静止位置に戻ることが当接部6によって防止されたままである。ここで、押圧要素は、右に移動することが防止されたままである。従って、電源が復旧させられるときに、センサが変形事象を受けたことを観察することが依然として可能である。
【0108】
よって、押圧要素と当接部との間の協働は、断続的な電源との変形センサの適合性を保証する。
【0109】
図3aの例において、当接部6は、摺動面60(sliding surface)と、阻止面61(blocking surface)とを含む。
【0110】
摺動面60は、押圧要素4が軸Xに沿って変形可能な要素i2に向かって移動するときに、押圧要素が摺動面を摺動するように方向付けられる。ここで、摺動面60は、先端42の傾斜と相補的な傾斜を有する。
【0111】
他方、阻止面61は、押圧要素4が引き続き軸Xに沿って変形可能な要素から離れるように移動するときに、押圧要素4が阻止面61に当接するように方向付けられる。ここで、阻止面61は、軸Xに直交する軸に沿って延びる。よって、先端42は、当接部6の左から右に向かう変位の間に、阻止面61に当接する。
【0112】
この機械的構成は、有利である。何故ならば、それは、変形可能な要素i2が変形可能な要素i2に向かう押圧要素4の引き続きの変位を防止することなく、電気的接続の破断位置において変形可能な要素i2を維持することを可能にするからである。
【0113】
有利には、図3aの例の変形センサを含む電子回路は、押圧要素がもはや当接部によって制限されないよう押圧要素又は当接部を負荷するように構成された(ここには示されていない)ロック解除システムを更に含む。
【0114】
例えば、回路は、命令で押圧要素4を当接部6に対して押し戻すことができる力を加えるように構成されたMEMS技術アクチュエータを含む。それは先端42又はポール43を上向きに移動させるように構成されたアクチュエータであることができ、それは、変形事象の後でさえも、先端42を自由にし、押圧要素4の右への変位を可能にする。
【0115】
アクチュエータは、例えば、先端42又はポール43との機械的、静電的又は磁気的な協働によって作動する。それは、典型的には、遠隔電気的に制御可能なアクチュエータである。
【0116】
そのようなロック解除システムは、ロック要素42と当接部6との組み合わせにおいて有利である。何故ならば、それは命令で押圧要素をロック解除することを可能にして、押圧要素が変形事象前のその初期状態に戻ることを可能にするからである。
【0117】
提案するセンサは、ロック解除システムと共に、命令でリセット可能なセンサになる。断続的な電源とのセンサの適合性が観察され、センサは、ロック解除システムのアクチュエータに信号を送信して押圧要素のロック解除する場合にのみリセットされる。
【0118】
図3bは、第3の実施形態に従った変形センサを示している。この第3の実施形態のセンサの全体的アーキテクチャは、図3aに関連して上述したセンサのアーキテクチャと同じである。押圧要素4は、第2の部分に対して左側に向かう軸Xに沿った第1の部分の変位の検出のために構成される。押圧要素4は、第1の部分2に対して固定されたままである。残余の位置において、接合部Iは、第2の部分3に対して固定されたままである。加えて、押圧要素4の一般的な構造及び接続要素i1の構造は、図3aに示す第2の実施形態に類似する。
【0119】
他方、センサに影響を及ぼす変形事象の場合に押圧要素4と接触するように配置された変形要素i2の構造は、図3aの第2の実施形態と異なる。
【0120】
この第3の実施の形態において、ロックを可能にする要素は、変形可能な要素i2及び接合部に直接的に配置される。当接部6’は、押圧要素4に対する変形可能な要素i2の反対側に配置される。よって、押圧要素4が測定方向において軸Xに沿って移動すると、それは当接部6’の方向において変形可能な要素i2を押す。
【0121】
従って、この第3の実施形態において、センサは、変形可能な要素i2に対する押圧要素4の反対側に当接部を必ずしも含まない。
【0122】
図3bの例では、ロック要素42’が、当接部6’の方向において変形可能な要素i2に直接的に配置される。ここで、変形可能な要素i2は、当接部6’の方向に延び且つロック要素42’で終端するアーム54を含む。ロック要素42’は、アーム54の端に配置された三角形の先端である。
【0123】
有利には、変形可能な要素i2は底端52’の近傍における剛性よりも厳密に大きい頂端53’の近傍における剛性を有するので、押圧要素4が変形可能な要素i2の頂端53’と機械的に接触するやいなや、電極A及びBの間の電気的接続の破断が起こる(intervenes)。
【0124】
ロック要素42’は、ひとたび押圧要素4が軸Xに沿って十分な距離を横切って、当接部6’を越えてロック要素42’を移動させると、当接部6’によって遮断されるように構成される。この十分な距離は、ここでは、変形可能な要素i2が押圧要素4の負荷の影響下で開位置に切り替わる変位の距離dと図3bに示す追加的な距離d2との和に等しい。当接部が変形可能な要素i2を遮断するとき、後者はもはや閉位置に戻ることができない。従って、電極A及びBの間の電気的接続は破断されたままである。この変形例では、第2の部分3に別の当接部を設ける必要はない。
【0125】
図3bにおいて、当接部6’は、摺動面60’と、阻止面61’とを含む。摺動面60’は、変形可能な要素i2が接触面6’に近づくと、変形可能な要素i2が摺動面で摺動するように、方向付けられる。ここで、摺動面60’は、ロック要素42’の勾配と相補的な勾配を有する。他方、阻止面61’は、変形可能な要素が距離d+d2を越えた後に開位置において変形可能な要素i2(具体的にはここではロック要素42’)を阻止するように、方向付けられる。
【0126】
変形可能な要素i2のロック(係止)は、たとえ変形事象の間に電源がないとしても或いはこの電源がセンサの呼掛け前に切断されるとしても、変形可能な要素i2を強制的に開位置に留まらせるという利点を有する。従って、センサは、断続的な電源と両立する。
【0127】
図3bの例の変形センサを含む電子回路は、変形可能な要素が当接部によってもはや遮断されないよう、変形可能な要素i2又は当接部6’を負荷するように構成された、(ここには示されない)ロック解除システムを有利に含むことができることが分かるであろう。
【0128】
変形センサを統合した回路内の測定
【0129】
図4は、前の例のいずれかに従った変形センサを統合した回路における測定を示す電気図である。ここでは、電極Aと電極Bとの間の等価抵抗が電圧測定によって測定される。この図4に関連して記載する電圧測定デバイスを図5に関連して以下に記載する変形センサと共に使用することもできる。
【0130】
前記から分かるように、閾値距離を越えて軸Xに沿う第2の部分3に対する第1の部分2の変位を伴う、変形センサを支持する構造の変形事象が、2つの電極A及びBの間の電気的接続の破断を引き起こす。
【0131】
前記電気的接続の破断を遠隔処理ユニットによってリアルタイムで検出可能な信号に変換するために、回路は、ここでは、電圧測定デバイスを有する。電極Aと電極Bとの間の電気的接続が破断されると、電圧測定デバイスによって測定される電圧が修正される。
【0132】
電圧測定デバイスは、2つの電極のうちの1つ、ここでは電極Bで電位を測定することを可能にする。この例において、電圧測定デバイスは、マイクロコントローラ70である。
【0133】
回路は、固定された電位に導かれるように構成された第1の導体71を更に含む。それは、ここでは、ゼロ電位に対応する接地に接続された先端である。
【0134】
回路は、第1の導体71と電極Bとの間で、電極Bと直列に配置された抵抗RPDを更に含む。抵抗RPDは、知られている固定されたインピーダンスを有する。マイクロコントローラ70は、電極Bに接続された抵抗RPDの端子に電位の測定値を提供する。
【0135】
回路は、(電極Bに接続されていない)電極Aに接続された第2の導体72を更に含む。第2導体72は、回路の動作中、非ゼロの固定された電位Vddに導かれる。従って、動作中の電極Aの電位は、電位Vddに非常に近く、導体が完全であると考えられるならば、電位は、電位Vddに等しい。
【0136】
電圧測定は、抵抗ブリッジ原理に基づく。(図4には示さない)接合部を通過する電極A及びBの間の電気的接続は、等価抵抗Reqによって具現される。
【0137】
好ましくは、等価抵抗Reqのインピーダンスは、抵抗RPDの固定インピーダンスよりもずっと低い値を有する。
【0138】
電極Aと電極Bとの間の電気的接続が確立されるときに(例えば、センサの静止位置において、接合部が閉位置にあるときに)、等価抵抗Reqは、低インピーダンスに対応する。電極Aと電極Bとの間の電気的接続が確立されるときに、抵抗Reqのインピーダンスが、抵抗RPDのインピーダンスに比べて非常に低いとされるとき、電極Bの電位は、Vddに実質的に等しい。
【0139】
逆に、電極Aと電極Bとの間の電気的接続が破断されるときに(例えば、センサの負荷位置において)、等価抵抗Reqは、非常に高いインピーダンスに対応する。従って、電極Bの電位は、電気的接続の破断後に修正され、図4の底で導体71の電位に近づく。
【0140】
よって、電極Bにおける電位は、(知られている)抵抗RPDのインピーダンスと等価抵抗Reqに対応するインピーダンスとの間の比に依存し、後者は、電極Aと電極Bとの間の電気的接続の開閉状態に従って修正される。
【0141】
センサの動作中、電圧測定デバイス(ここでは、マイクロコントローラ70)は、特にこの電圧測定デバイスが遠隔システムによって呼び掛けられるならば、電気的接続の破断を検出することができる。有利には、回路は、ここでは、電圧測定デバイスの出力に接続された、高周波通信モジュール80、ここでは、UHF(超高周波)回路を含む。通信モジュール80は、高周波アンテナ81、ここでは、UHFアンテナにも接続される。
【0142】
ここで、電圧測定デバイス及び高周波通信モジュールは、電子回路1の外側にある。しかしながら、代替的に、これらの要素は、変形センサと同じ電子回路1内にあることができる。
【0143】
好ましくは、UHFアンテナ及びUHF通信モジュールの通信周波数は、700~1,000メガヘルツの間で構成され、例えば、868メガヘルツ又は915メガヘルツに等しいとされる。よって、センサの呼掛け距離は、変形センサの通常の使用と両立する。
【0144】
電圧測定デバイスに接続される高周波通信モジュール、例えば、UHFモジュールの使用は、変形事象がセンサによって検出された情報を(高周波受信機に接続されたプロセッサのような)遠隔処理ユニットにリアルタイムで通信することを可能にするという点で有利である。
【0145】
電極A及びB並びに抵抗RPDの電源が変形事象の発生中に遮断された場合においてさえも、電源が再び確立されるときに電圧測定デバイス70に引き続き呼び掛けることができる。次に、電源が、異なる電位に導かれる電極A及びB、ならびに抵抗RPDに提供される。電極Bで測定される電位の値は、接合部の開位置又は閉位置に依存して異なる。
【0146】
例3に従った電極の押圧要素及び接合部
【0147】
図5は、第4の実施形態に従った、上述の一般的なアーキテクチャに従った変形センサの幾つかの要素を示している。
【0148】
センサの全体的アーキテクチャは、前述と同じである。押圧要素4は、第1の部分2に対して固定されたままである。残余の位置において、接合部Iは、第2の部分3に対して固定されたままである。加えて、押圧要素4の一般的な構造及び接続要素i1の構造は、図3aに示す第2の実施形態及び図3bに示す第3の実施形態と比較して類似している。
【0149】
変形可能な要素i2に関して、それは第2実施形態の形状と類似の形状を有する(好ましくは、フレキシブルな底端と、剛性の頂端とを有する)。この第4の実施形態において、変形可能な要素i2は、図5のi2(1)として点線によって表される閉位置と、i2(2)として実線で表される開位置との間で切り替わることができる。
【0150】
第2の実施形態とは異なり、押圧要素4は、第1の部分2が測定方向において閾値距離を超えて測定軸Xに沿って第2の部分3に対して移動するときに、変形可能な要素を開位置から閉位置に向かって負荷するように構成される。
【0151】
図2図3a及び図3bの実施形態とは異なり、測定方向は、ここでは、接合部Iに対して押圧要素4から離れる方向であることが分かるであろう。従って、ここで測定される変形事象は、互いから離れた方向における第2の部分3に対する第1の部分2の変位に対応する。
【0152】
よって、変形可能な要素i2の開位置は、この第4の実施形態において、接合部Iの静止位置に対応し、変形可能な要素i2の閉位置は、接合部Iの負荷位置に対応する。静止状態で、押圧要素4は、変形可能な要素i2を接続要素i1から離れるよう移動させるために、変形可能な要素i2に当接する。従って、静止時に、変形可能な要素i2は、その開位置において負荷される。
【0153】
換言すれば、静止時に、2つの電極A及びBの間に変形可能な要素i2を通過する電気的接続はない。それは、接続要素i1と変形可能な要素i2とを介して電極Aと電極Bとの間の電気的接触の確立をもたらす、閾値距離(ここでは、変形可能な要素i2と接合要素i1のフックとの間の軸Xに沿った距離)を越えて離れる押圧要素4の変位である。前述のように、閾値距離は、好ましくは、5~500マイクロメートルの間で構成され、更に好ましくは、10~200マイクロメートルの間でさえ構成される。
【0154】
第2の実施形態に関して、第4の実施形態に従ったセンサは、変形可能な要素i2をロックするためのシステムを有利に含む。ロックシステムは、ここでは、変形事象の後に、変形可能な要素i2を閉位置にロックすることを可能にする。
【0155】
ロックシステムは、第2の実施形態と比較して類似の機能を有する。当接部6は、検出される変形事象に対応するものと同じ方向(ここでは、変形可能な要素i2から離れる方向)における押圧要素4の引き続きの変位を許容する。しかしながら、ロックシステムは、変形事象の後に、それが変形可能な要素i2と再び接触するまで、押圧要素が反対方向に移動することを防止する。
【0156】
図5の例において、センサロックシステムは、電極Bから押圧要素に向かって延びるパッドの形態の当接部6を備える。当接部6は、先端42が、右側への押圧要素4の変位の間に、当接部6で摺動することを可能にする、摺動面60を含む。図3aの例とは異なり、当接部6の阻止面61は、当接部の右側に配置される。よって、ひとたび先端42が当接部6の右側に切り替わると、当接部の阻止面61は、先端42が当接部の左側に移動して戻るのを防止する。
【0157】
従って、距離dを超える先端42の変位を引き起こす変形事象の後に、押圧要素4は、変形可能な要素i2と接触しないままである。変形可能な要素i2を通過する電極A及びBと接続要素i1との間の電気的接続は維持される。
【0158】
この機械的構成は、有利である。何故ならば、それは、変形可能な要素i2から離れる方向における押圧要素4の引き続きの変位を防止することなく、変形事象後に電極Aと電極Bとの間の電気的接続を維持することを可能にするからである。
【0159】
従って、押圧要素と当接部との協働は、ここでも、変形センサと断続的な電力供給との両立を保証する。変形事象がセンサへの電力供給の遮断中又は遮断後に起こるとしても、変形事象を検出することができる。
【0160】
図3a及び図3bに関連して上述した実施形態に関して、図5に従った変形センサを統合した回路は、(図示しない)ロック解除システムを備えることができる。ロック解除システムは、押圧要素又は当接部の負荷によって、押圧要素を解放することを可能にする。
【0161】
例えば、命令でポール43又は先端42を上方に負荷するように構成されたアクチュエータを設けることができる。作動後、先端42は、もはや当接部6と接触せず、それは押圧要素4が左に移動することを可能にする。
【0162】
よって、提案するセンサは、ロック解除システムによって、命令でリセット可能なセンサである。
【0163】
図3a、図3b及び図5の例において、ロック解除システムは、例えば、サーバのような遠隔デバイスから受信されるリセット信号に応答して起動(アクティブ化)されるように構成される。例えば、センサは、センサが変形事象を検出したという情報を遠隔デバイスが記録するやいなやリセットされる。リセット信号は、例えば、RFID回路80によって受信されることができる。代替的に又は組み合わせにおいて、ロック解除システムは、一定の間隔でセンサをリセットするように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0164】
【特許文献1】国際公開第2017/149211A1号
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5
【国際調査報告】