(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】太陽電池アレイ通信のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20220705BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H04B1/04 Z
B64D27/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563038
(86)(22)【出願日】2020-04-25
(85)【翻訳文提出日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 US2020029979
(87)【国際公開番号】W WO2020219999
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517211229
【氏名又は名称】エアロバイロメント,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AeroVironment,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロトフィ,ネイダー
(72)【発明者】
【氏名】アーガード,エリック
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060CC06
5K060DD05
5K060MM04
(57)【要約】
一実施では、太陽電池アレイのための方法が提供され、方法は、通信メッセージに対応する検知可能な量の放射を太陽電池の少なくとも一部に放出させるように、太陽電池アレイを逆バイアスすることによって、太陽電池アレイから通信メッセージを発することを含む。一実施形態では、ともに結合された複数の太陽電池を備える太陽電池ストリングと、電力バスに結合された電荷蓄積デバイスと、第1及び第2のペアリングされたMOSFETの間から太陽電池ストリングの充電出力に結合されたインダクタによって、電力バスのポジティブレールとネガティブレールとの間で直列に接続された第1及び第2のペアリングされたMOSFETを有する双方向ブーストバックコンバータと、を含む太陽電池アレイ回路が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池アレイのための方法であって、太陽電池の少なくとも一部に、通信メッセージに対応する検出可能な量の放射を放出させるように、前記太陽電池アレイを逆バイアスすることによって前記太陽電池アレイから前記通信メッセージを発することを含む方法。
【請求項2】
パターン、文字、字、数字、記号、画像又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備えるメッセージを前記太陽電池アレイから発するように選択的な太陽電池ストリングを逆バイアスすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
通信メッセージを発することは、直接の、コード化された又は審美的なメッセージのうちの少なくとも1つを発することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記通信メッセージを発することは、時間変数の又は強度変数の符号化されたメッセージのうちの少なくとも1つを発することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記通信メッセージを発することは、持続時間符号化された、周波数符号化された、又は、強度符号化されたメッセージのうちの少なくとも1つを発することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記通信メッセージを発することは、(1)可視光メッセージ又は(2)赤外線光メッセージのうちの少なくとも1つを発することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記通信メッセージを発することは、前記太陽電池アレイに視覚表示メッセージを表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記通信メッセージを発することは、ウェアラブル太陽電池アレイ上に前記視覚表示を表示することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記太陽電池アレイを逆バイアスすることは、インダクタを介して前記太陽電池アレイ内の少なくとも1つの太陽電池に結合されたMOSFETスイッチを変調することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
a)ともに結合された複数の太陽電池を備える太陽電池ストリングと、
b)電力バスに結合された電荷蓄積デバイスと、
c)双方向ブーストバックコンバータであって、
(i)前記電力バスのポジティブレールとネガティブレールとの間で直列に接続された第1及び第2のペアリングされたMOSFETと、
(ii)前記第1及び第2のペアリングされたMOSFETの間から前記太陽電池ストリングの充電出力に結合されたインダクタと、を備える双方向ブーストバックコンバータと、を備える太陽電池アレイ回路。
【請求項11】
前記インダクタと前記太陽電池ストリングの前記充電出力との間で直列に接続されたMOSFETデバイスを備える、請求項10に記載の回路。
【請求項12】
前記インダクタと前記太陽電池ストリングの前記充電出力との間で直列に接続されたMOSFETスイッチをさらに備える、請求項10に記載の回路。
【請求項13】
前記MOSFETスイッチは、バックトゥバック相補MOSFETデバイスを備える、請求項12に記載の回路。
【請求項14】
(1)パターン、(2)文字、(3)字、(4)数字、(5)記号、(6)画像又は(7)それらの組み合わせのうちの少なくとも1つを発することができるように構成された複数の前記太陽電池ストリングをさらに備える、請求項10に記載の回路。
【請求項15】
高高度長航続時間航空機の太陽電池アレイによってメッセージを通信するための方法であって、
a)前記高高度長航続時間航空機の太陽電池アレイ上にメッセージを表示することと、
b)衛星を使用して前記メッセージを検出することと、
c)検出された前記メッセージを、前記衛星から前記高高度長航続時間航空機の下のプラットフォームに中継することと、を含む方法。
【請求項16】
メッセージを表示することは、前記太陽電池アレイ内の少なくとも1つの太陽電池にインダクタを介して結合されたMOSFETスイッチを変調することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「太陽電池アレイ通信のためのシステム及び方法」の発明の名称でNader Lotfyらによって2019年8月29日に出願された米国仮出願第62/893,756号;及び「太陽電池診断のためのシステム及び方法」の発明の名称でNader Lotfyによって2019年4月25日に出願された米国仮出願第62/838,937号;の出願の利益を主張し、これらの出願はすべて、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0001] 特定の状況では、従来の通信システムを使用して通信することが可能ではなく、実用的ではなく、又は、望ましくない場合がある。場合によっては、例えば、機器の故障のために従来の通信が不可能である。他の例では、例えば、従来の通信が傍受されることを可能にすることは望ましくない場合がある。さらに他の状況では、従来の通信を使用すると、送信者を検出可能にし得る。
【0003】
[0002] 必要であるのは、そうした状況やその他の状況で使用されることができるシステム及び方法である。
【発明の概要】
【0004】
[0003] 1つの可能な実施では、太陽電池アレイのための方法が提供され、この方法は、太陽電池の少なくとも一部に、通信メッセージに対応する検出可能な量の放射を放出させるように、太陽電池アレイを逆バイアスすることによって太陽電池アレイから通信メッセージを発することを含む。
【0005】
[0004] 1つの可能な実施形態では、ともに結合された複数の太陽電池を備える太陽電池ストリングと、電力バスに結合された電荷蓄積デバイスと、第1ペア及び第2ペアのMOSFETの間から太陽電池ストリングの充電出力に結合されたインダクタを有する、電力バスのポジティブレール及びネガティブレールの間に直列に接続されたMOSFETの第1ペア及び第2ペアを有する双方向ブーストバックコンバータと、を含む太陽電池アレイ回路が提供される。
【0006】
[0005] 1つの可能な実施では、高高度長航続時間航空機において太陽電池アレイとメッセージを通信するための方法が提供される。この特定の実施形態は、高高度長航続時間航空機の太陽電池アレイ上にメッセージを表示することと、衛星を使用してメッセージを検出することと、検出されたメッセージを、衛星から高高度長航続時間航空機の下のプラットフォームに中継することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0006] 太陽電池アレイ用の双方向回路の簡略化された概略図を示している。
【
図2A】[0007] 両方の充電モードでの双方向回路の動作を示すタイミング図である。
【
図2B】[0008] 表示モードでの双方向回路の動作を示すタイミング図である。
【
図3】[0009] 太陽電池を有する回路の簡略図である。
【
図4】[00010] 太陽電池用の改良された回路の簡略図である。
【
図5】[00011] 太陽電池用の改良された回路の簡略図である。
【
図6】[00012] ストリング回路の簡略図である。
【
図7】[00013] 改良された太陽電池ストリング回路の簡略図である。
【
図8】[00014] 典型的な太陽電池システムの電圧対電流の例示的なV-I曲線を示すプロットである。
【
図9】[0015] 高高度長航続時間航空機の実施で利用される高性能太陽電池用の太陽電池システムの電圧対電流の例示的なV-I曲線を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[00016] 本発明に係る1つの可能な実施では、通信デバイスとして太陽電池を使用して通信することが有用である。これを達成するために、太陽光を吸収して太陽光を電力に変換するその通常の機能に代わって、選択された部品又は太陽電池のすべてが放射を放出するように形成され得る。したがって、本発明のある実施形態によれば、太陽電池をバイアスして、太陽光を吸収していないときに太陽電池に放射を放出させ、かつ、通信目的のために太陽電池に放射を放出させることが可能である。
【0009】
[00017] ある実施では、放出された放射は、太陽電池デバイスの特性に応じて、可視光、赤外線又は他のスペクトルのうちの1以上にある可能性がある。したがって、太陽電池は、通常の太陽エネルギー変換と、その望ましい通信スペクトルとの両方を実行するように選択される。さらに、太陽電池は、ソーラー収集の目的のために利用されていないとき、そうした通信目的のために特定の周波数を放出するように調整されることができることが想定される。
【0010】
[00018] 典型的には、太陽電池は、放射を吸収し、かつ、システムで使用するために又はその後に使用するための貯蔵のために放射から電力を生成するためにアレイで使用される。太陽光発電の利用がますます広まっている。本発明に係る実施は、通信デバイスとしての太陽電池の新規な用途を提供する。これは、従来の固定された地上用途だけでなく、太陽電池の他の用途にも適用されることができる。
【0011】
[00019] 特定の実施において、太陽電池は、無人航空機(UAV)、自律的に飛行し得る又は遠隔操縦され得る、機内にパイロットのいない航空機で利用される。高高度長航続時間航空機では、バッテリ、エンジン及びその他の航空機システムが使用する太陽電池アレイが電源として使用され得る。
【0012】
[00020] 例えば、高高度長航続時間航空機では、太陽電池アレイは、通常、翼の上面又は胴体の上面若しくはその両方などの航空機の上面に位置決めされる。高高度長航続時間航空機は、通常、翼幅が大きく、時には100メートル以上の長さを有する軽量航空機である。さらに、高高度長航続時間航空機は、高揚力翼を有することができ、かつ、比較的ゆっくりと飛行するように形成されることができる。太陽電池で覆われた高高度長航続時間航空機の大きな翼幅は、通信中に視覚的に表示するための大きな表面積を提供する。通信のために太陽電池を使用することの利点は、アレイが翼の上面にあるので、通信が、上方に向けられ、かつ、地上又は下の航空機からは見えないことである。しかしながら、通信は、光学、赤外線又はその他の周波数などの衛星検出器によって見ることができる。したがって、太陽電池は指向性通信に利用され得る。
【0013】
[00021] 他の用途では、太陽電池は、携帯可能であり得る又はウェラブルでさえあり得る。太陽電池又はパネルは、比較的柔軟に形成されることができるので、衣類などのテキスタイルやその他のウェラブル製品に取り付けられることができる。ウェラブルな太陽電池パネルは、その後、衣服やアクセサリの一部であるとともに携帯可能バッテリ又はバッテリを備える/電力供給される機器又はデバイスを充電するために使用される。こうした用途では、太陽電池はさらに近距離通信又は遠距離通信に利用される。
【0014】
[00022] 太陽電池は、メッセージを伝達するために、近可視光、可視光又は他の検出可能なスペクトルで通信するための表示モードで放射するように動作するように構成され得る。例えば、着用可能な衣類において、着用者は、視線内メッセージを伝達するために、衣類から可視光でメッセージを放出させることができる。同様に、太陽光アシスト/動力付き自動車では、太陽電池又はアレイが使用されて、位置を示す、又は、ドライバの意図を伝達し(指示器又はその他のインジケータ/通信ライトとして)、又は、メッセージを点滅させることができる。
【0015】
[00023] 航空機の場合、通信の方向は、航空機の向きを調整することによって調整され得、これにより、太陽電池の向きを変化させる。同様に、衛星の向き又は作動可能な地上の太陽電池パネルの向きが調整されて通信の方向を変化させることができる。ウェアラブル太陽電池を含む携帯機器の場合、携帯機器又はウェアラブル機器の向きは直接通信するように調整され得る。
【0016】
[00024]
図1は、太陽電池アレイ用の双方向回路100の簡略化された概略図を示している。太陽電池は、複数の太陽電池105がともに結合された太陽電池ストリング110に配列され得る。この実施形態では、太陽電池ストリング110は、2象限双方向ブーストバックコンバータ170を介して電力バス195に結合されている。したがって、太陽電池ストリング110は、例えば、約300から600マイクロヘンリーなどのインダクタ171を介して、MOSFET173とMOSFET174との間で電力バス195に結合されている。MOSFET173及びMOSFET174は、電力バス195のポジティブレール及びネガティブレールの間に直列に接続されている。MOSFET173及び174の制御入力ゲートは、コンバータ170に太陽電池ストリング110からバス195に充電モードで電流を供給するように、又は、バス195から電流を引き出して太陽電池ストリング110を駆動して表示モードで放射を放出するように、制御入力を変調するためのマイクロコントローラに接続されている。充電構成では、MOSFET174は、パルス幅変調などに変調される一方で、MOSFET173は、変調される又は充電のためにバス195に電力を供給するためのダイオードとして単に使用される。表示構成では、MOSFET173は変調される一方で、MOSFET174は開いている又は変調される。
【0017】
[00025] 太陽電池ストリング110は、太陽電池パネルの線形、正方形、長方形又は他の幾何学的構成であり得る近くにある複数の太陽電池パネルを含み得る。あるいは、ストリング内の太陽電池パネルは、パターン、文字(characters)、字(letter)、数字、記号、画像、機械可読タイプの線形又はマトリックスバーコーディングなどの表示を可能にして、直接の、コード化された又は審美的コミュニケーションのいずれかによる通信を可能にするように、間隔を空けて配置され得る。表示は、時間変数の又は符号化されたメッセージ、例えば、放出持続時間符号化された又は周波数符号化されたメッセージ、若しくは、強度符号化された又は他の既知の符号化方法であり得る。
【0018】
[00026] 1つの単純化された例では、太陽電池は、光学モールス信号によってメッセージを発することができる。あるいは、別の簡略化された例では、バーコードメッセージ又は文字メッセージが静的に表示される、若しくは、高高度長航続時間無人航空機の翼幅全体に動的にスクロールされることができる。考えられるシナリオの1つでは、航空機が通常の通信チャネルを介して送信することができない場合、すなわち、航空機の送信機が機能していない場合、又は、メッセージの一般的なオープン送信が望ましくない場合に、表示されるメッセージは受信メッセージへの応答であり得る。
【0019】
[00027] ウェアラブル、他のモバイル又は固定地上用途などの別の可能な用途では、太陽電池は、例えば、赤外線/夜間明視装置などの赤外線検出手段、双眼鏡やその他の手持ち式赤外線検出デバイスなどの携帯赤外線検出器、及び/又は、航空機の前方又は側面を向いた赤外線検出器などでのみ検出されることができる赤外線スペクトル信号のみを放出するように選択されることができる。
【0020】
[00028] さらに別の有用な用途では、立ち往生している人、道に迷った人又は彼らの位置から移動することができない人は、太陽電池デバイスの表示モードを利用して、SOS、別の信号又はメッセージを送信する、若しくは、光学又はIR検出手段、すなわち双眼鏡又はIRゴーグルなどのIRイメージングデバイスを使用した夜間の識別又は救助のための視覚又はIRスペクトルなどで単に照明することができる。したがって、通信で使用するためにディスプレイは検出可能な量の放射を放出し、その結果、放射は、直接支援なしで観察され得、若しくは、表示されたスペクトルで検出して直接観察可能な放射に変換することができる電子検出器の助けを借りて観察され得、又は、放射を情報に変換することによって観察され得、すなわち、夜間又は定期的な視覚収集及び/又は増幅、1以上のスペクトルから別のスペクトルへの変換、手持ち式デバイスディスプレイ、投影ディスプレイ、ディスプレイモニタなどの情報ディスプレイのための検出及び変換、読み取り可能又はテキスト表示、位置識別表示、マッピング表示などの情報ディスプレイのための検出及び変換によって観察され得る。
【0021】
[00029] ある実施形態は、入力が航空機搭載センサによって検出される航空機によって生成された情報を表示することができる。この表示は、車速などの車両の状態を表示するように調整されることができる。
【0022】
[00030]
図2A及び
図2Bは、充電モード及び表示モードの両方での双方向バックブーストコンバータの動作を示すタイミング
図200a及び200bである。MOSFET173及びMOSFET174は、充電モード及び表示モードを提供するために、相補的な方法でMOSFET173及び174のデューティサイクル及びパルス幅を調整することによって動作される。充電モードでは、MOSFET174のデューティサイクルがMOSFET173に対して増加させられる。表示モードでは、MOSFET173はMOSFET174に対して増加させられる。
【0023】
[00031] タイミング
図200a及び200bはタイミングプロット200a及び200bの例を示しており、タイミングプロット200a及び200bの例は、MOSFET173及びMOSFET174のパルス幅変調が、それぞれ、充電中に太陽電池ストリング110から生成される、又は、表示モード中に電力バス195からの太陽電池ストリング110内に生成される、正又は負の電流I
Lフローをどのように生成/許容するかを示している。タイミングプロット200aは、接地に対して、インダクタ171のバッテリ190側に印加された正の電圧V
Lパルストレイン270pがどのように正の電流I
Lを生成する一方で、他方のプロット200bがどのように負の電流I
Lを生成するかを示している。各プロット200a及び200bについて、その結果として生じる電流I
Lプロット273及び274の上に、それぞれ、電圧V
Lパルス列270p及び270nが存在する。MOSFET173及び174は、電圧V
L矩形波パルス270p又は270nに、正273又は負274ののこぎり波状電流I
Lを生成させるようにパルスされる。より広い電圧パルス270pは正の電流I
Lに寄与する一方で、より狭いパルス270nは負の電流I
Lに寄与する。これにより、太陽電池ストリング105の通常の充電モードの充電動作、又は、太陽電池ストリング105の表示モードの表示動作のいずれかが可能になる。
【0024】
[00032]
図3は、太陽電池を有する回路300の簡略図である。典型的には、チャネル320を形成するために複数の独立した太陽電池又はストリング310a、310b及び310cが並列に接続される。ある実施形態では、ストリングは、例えば、多数の交換可能な太陽電池パネルを有し得る。ストリング310a、310b及び310cの各々は、並列に接続されたブロッキングダイオード315a、315b及び315cを備えている。ブロッキングダイオード315a、315b及び315cは、ストリング310a、310b及び310cのうちの1つが短絡した場合に、ストリング310a、310b又は310cのうちの1つが、他の短絡していないストリング310a、310b又は310cにおいて短絡又は他の障害が発生することを防止する。ブロッキングダイオードは、システムに損失を付加するが、アレイ内の関連する太陽電池又はシステム内の他のコンポーネントの障害を減らすために必要とされる。
【0025】
[00033] ブロッキングダイオードは、通常、パワートラッカ380内に配置され、パワートラッカ380はブーストステージ385DC/DCコンバータを有している。ブーストステージ385は、供給された電圧及び電流を高電圧電力バス395、すなわち、270V-400V、から切り離し、高電圧電力バス395は、バッテリ390に接続され、かつ、太陽電池によって供給される電圧及び電流に関係なく高電圧電力バスに適切な電圧が供給されるように構成される。一実施形態では、パワートラッカは、太陽電池から出力への電圧をブーストし、かつ、太陽電池から最大電力を得るためにブースト比を調整するように構成された最大電力点追従装置すなわちはMPPTコントローラである。MPPTコントローラの例には、Outback(登録商標)FLEXmax60/80MPPT、Xantrex(登録商標)MPPTソーラーチャージコントローラ、Blue Sky(登録商標)ソーラーチャージコントローラが含まれる。一般的に、MPPTコントローラは、太陽電池からバッテリに入る利用可能な電力を最大化するように構成されている。これは、最大電圧が、その両方が1日を通して変化し得る太陽電池の温度及び照明の関数である様々な高高度長航続時間航空機の用途で重要である。
【0026】
[00034] しかしながら、
図3の回路では、ダイオード315a、315b及び315cは、太陽電池ストリング310a、310b又は310cの逆バイアスを防止するため、表示モードは不可能である。
図4及び以下で説明する
図5の実施形態は、太陽電池105を逆バイアスすることが可能であるので、表示モードを許容する。
【0027】
[00035]
図4は、太陽電池用の改良された回路400の簡略図である。この実施形態では、ブロッキングダイオード315a、315b又は315c(
図3)に代えて、太陽電池ストリング制御MOSFET415がチャネル410で使用される。この構成は、太陽電池ストリング制御MOSFET415がオンにされたときにダイオード315a、315b又は316cの両端の電圧降下損失を排除するので、
図3の回路よりも効率的である。しかしながら、この実施形態は、太陽電池ストリング制御MOSFET415がオンにされたとき、太陽電池ストリング410に短絡がある場合に、並列に接続された太陽電池ストリング間の分離を本質的に提供しない。
【0028】
[00036] したがって、この実施形態では、太陽電池ストリング制御MOSFET415の両端の電圧降下が検出及び監視されて、太陽電池ストリング410の電流の大きさ及び方向を決定し、別の太陽電池ストリング(図示せず)が短絡されたかどうかを決定する。複数の並列に接続されたストリングの監視に基づいて、太陽電池ストリングのうちの1つが短絡したと決定された場合、他の並列に接続された太陽電池ストリングを損傷させないように、短絡した太陽電池ストリングに即して太陽電池ストリング制御MOSFETが開かれる。太陽電池ストリング制御MOSFET415は、開いている状態で、
図3のようにダイオードとして機能して、短絡した太陽電池ストリングを流れる電流を遮断する。
【0029】
[00037] したがって、
図4の実施形態は、より効率的な電力伝送を提供するが、太陽電池ストリング410又は関連のストリングのうちのいずれかで短絡が発生したかどうかを決定するために、太陽電池ストリング410の電流を監視する必要がある。通常、太陽電池ストリング制御MOSFET415の監視及び制御は、パワートラッカ又は他の関連の電子機器によって行われる。パワートラッカは、太陽電池ストリング制御MOSFET415と、電力バス495に電力を供給するブーストステージ485と、を含む。
【0030】
[00038]
図5は、太陽電池用の改良された回路500の簡略図である。この実施形態では、ブロッキングダイオード315a、315b及び315c(
図3)に代えて、バックトゥバックMOSFETデバイス515a
1及び515a
2を有するMOSFETスイッチ515a、515b及び515cが利用される。複数のストリングの出力が、バッテリ590を充電するために電力バス595に電流を供給するブーストステージ585DC/DCコンバータなどの単一の電力ステージに入るにも関わらず、MOSFETスイッチにより、チャネル520の各ストリング510a、510b又は510cを個別に完全に無効にする又は開くことができる。ブーストコンバータ585は、MOSFETスイッチ510a、510b又は510cを制御し、かつ、検出されたストリング電圧を利用して、太陽電池全体にわたる他のすべてのストリング(図示せず)及びチャネル(図示せず)とともにストリング510a、510b又は510cの状態を決定する。これの利点は、システムが各ストリング510a、510b又は510cをターゲットにして、ストリングごとに短絡電流、開回路電圧などの飛行中の多くの診断を実行することができることである。
【0031】
[00039] 保護ダイオードをMOSFETスイッチに置換することは、システムのコストを増加させるので、地上の太陽電池システムでは望ましくない。しかしながら、MOSFETスイッチを使用することは、太陽電池から最大のエネルギーを抽出することが大切かつ重要である高高度長航続時間航空機では非常に望ましいことである。MOSFETスイッチは、保護ダイオードと比較してスイッチ全体の電力損失が低くなるように選択されることができる。したがって、MOSFETスイッチは、充電システムの効率を向上させ、(傾向分析を通じて)はるかに簡単に障害を予測して検出することを可能にする。差し迫った障害が予測され、かつ、障害が重大になる前にアクションが実行されることができる。これは、高高度長航続時間航空機では、電源オフや着陸のクラッシュにすらつながる可能性のある重大な障害を回避することができるようにするために重要である。ストリングは個別にテストされることができるため、飛行中の太陽電池の機能及び状態をより「可視化」する。
【0032】
[00040] さらに、各ストリングが飛行中にテストされて、そのV-I及び電力出力特性に従って、各ストリングの最適な電力出力を個別に決定することができる。したがって、ストリング特性が経時的にテストされてストリングの状態を決定することができる。これは、長航続時間飛行中や高高度飛行中は特に重要であるため、太陽電池パネルの交換などのメンテナンス及び/又は修復措置の必要性が、予測されて、都合のよいときに行われることができる。
【0033】
[00041] ある実施形態では、各ストリングは、航空機の翼に沿ってほぼスパン方向にグループ化された多数の太陽電池パネルを含み、例えば、ストリングごとに4つ、5つ又は6つの小さな太陽電池パネルがグループ化される。太陽電池パネルはこのようにグループ化され、その結果、ストリング内の太陽電池パネルは、同様の環境条件及び動作条件をともに経験する。例えば、翼の後縁の近くの太陽電池パネルは、おそらくスパン方向又は前縁のストリングと後縁のストリングとの間で翼のスパンに沿って横方向に延在する1以上のストリングとともに、ともにグループ化され得るが、翼の前縁の太陽電池パネルはストリングでともにグループ化され得る。
【0034】
[00042] 高高度用途では、太陽電池パネルをストリングにグループ化することは重要である。これは、温度が翼の前縁から後縁まで大きく変化する可能性があるためである。さらに、翼の前縁から後縁に至るまでより大きな曲率を有することはもちろん、仰角、方位角、回転などにおける太陽に対する航空機の向きは、温度差をさらに過大にする可能性がある。高高度長航続時間太陽光発電航空機では、温度は、翼全体で、翼の前縁の-60℃から後縁の+60℃まで変動する可能性がある。したがって、太陽電池パネルをストリングにグループ化することと、ストリングの性能に基づいて個々のストリングを個別にオン又はオフに切り替えることができることとを組み合わせることで、より効率的な太陽光発電を可能にする。
【0035】
[00043]
図6を参照すると、ストリング回路600の簡略図が示されている。
図6では、ストリング600は、通常、2以上の太陽電池605a及び605bと並列のバイパスダイオード645を有している。バイパスダイオード645は、太陽電池の1以上がひび割れ又は破損などによって機能しなくなったとき又は開回路になったときに他の太陽電池605mが太陽電池305a及び605bの周りに電流を供給することを可能にする。
【0036】
[00044]
図6を参照すると、さらなる実施形態では、バイパスダイオード615は、
図7の太陽電池ストリング回路700の簡略図に示されるようなバイパスMOSFETスイッチ760によって置換される。そうした一実施形態は、太陽電池が605a、605b、...又は605m(
図6)が、バイパスダイオード645と比較してMOSFETスイッチ760に関連する電力損失が低いために故障するときに、ダイオードのさらなる効率を可能にする。さらに、ストリングのより良い予測分析のために、個々の又は小グループの太陽電池のより綿密な監視及び予測分析を可能にする。ストリング710の最大許容電流は、最も低い個々の太陽電池の制約によって制限されるので、1以上の個々の太陽電池705a及び705b又は他のもののみをバイパスすることができることが、ストリング710の電力出力を最適化するために使用されることができる。
【0037】
[00045] ブロッキングダイオードを使用するストリング回路に対する様々な実施形態の1つの利点は、ブロッキングダイオードが約0.7%の損失に寄与することができるのに対し、MOSFETスイッチはそれらの損失を減らすことができることである。MOSFETスイッチに関して上で論じたが、他の同等のタイプのスイッチ、すなわち、軽量で低損失のスイッチが他の実施形態で利用されることができる。さらに、説明する目的で、チャネル内に3つの太陽電池ストリングのみを有する場合を
図5で示したが、実施形態は2以上のストリング及び複数のチャネルを包含し得る。
【0038】
[00046] 様々な実施形態が、飛行中の診断を実行する能力を可能にする又は拡張する。高高度長航続時間太陽光発電航空機では、乱気流、頻繁かつ極端な熱、モータの振動などの要因が故障の可能性を高め得る。様々な実施形態が、傾向分析を伴う経時的な性能追跡を提供し、かつ、卓越した障害検出、サービス/定期保守のより柔軟なスケジューリング、及び、カバレッジエリアにおける空中ネットワーク機能/カバレッジ又は監視機能/カバレッジの欠如の回避を可能にすることができる。これは、高高度長航続時間航空機がセルラーリピータとして、又は、プラットフォームがネットワークから欠落している場合にカバレッジがないエリアでの他のネットワーク通信に使用されている場合に特に重要である。
【0039】
[00047]
図8は、典型的な太陽電池システムの電圧対電流の例示的なV-I曲線810を示すプロット800である。太陽電池システムの電力曲線820はプロット800に重ね合わされている。太陽電池システムから最大電力を抽出することが望ましい。したがって、システムの電力がそのピークにあるV-I曲線810に沿って動作することが望ましい。
【0040】
[00048]
図9は、高高度長航続時間航空機の実施で利用される高性能太陽電池用の太陽電池システムの電圧対電流の例示的なV-I曲線210を示すプロット900である。高高度長航続時間航空機で利用され得る様々な高性能太陽電池の実施において、V-I曲線910及び電力曲線(図示せず)は、それらが最大電流に近づくにつれて非常に急峻な勾配を有する。したがって、システムの最適な動作点は狭い動作範囲にある。電流が少しでも大きすぎると、電圧が、ゼロになる又は非常に簡単に短絡する。例えば、最適な電力出力と短絡との間の差は、チャネル120あたり100mAの電流まで低くすることができる(
図1)。太陽電池及びチャネル構成に応じて、これは、75mA、50mA、25mA又はそれ以下など、ある実施形態ではさらに低くなる可能性がある。最高出力を達成しながらこれを回避するために、電圧ループが使用されて、電圧を監視すると同時にピーク電力動作点を決定し、併せて電流及び電力を監視する。これは、電圧の変化が、このポイントの近くの電力又は電流のいずれかよりもはるかに大きいことが理由である。
【0041】
[00049] したがって、システムの最適な動作点を見つけるために、電圧及び電力を監視しながら電流が調整される。指令された電流は、電力を監視しながら、パワーポイントトラッカ回路によって変更される。さらに、電圧の変化率は最大電力出力動作点の近くで電力の変化率よりも大きいので、電圧は電力出力が最大になる時期を決定するために監視される。
【0042】
[00050] ある実施形態において最も効率を達成するために、電圧は、電流及び電力よりも速い速度で監視される。ある実施形態では、電圧は、電流又は電力よりも10倍速く監視されることができる。例えば、電流及び/又は電力は毎秒10回監視され得る一方で、電圧は毎秒100回監視される。
【0043】
[00051] これにより、様々な実施形態は、過度の電流を引き出さずに、電圧をゼロにせずに、それによって太陽電池を短絡させずに、高高度長航続時間航空機の用途において太陽電池パネルから最大量の太陽電力を抽出することができる。
【0044】
[00052] 太陽電池パネルの温度及び太陽への暴露の量などの要因が最大電力動作点をシフトさせる可能性があることに留意することが重要である。高高度長航続時間太陽光発電航空機では、以下でさらに説明するように、太陽電池全体の温度範囲がより極端であり、通常、シェーディング又はシャドウイングがより頻繁に大いに発生するため、これらの要因はより重要である。したがって、動作点の監視及び調整は、高高度長航続時間太陽光発電航空機では特に重要である。
図9は、より高い太陽の強さ又は明るい太陽曝露910、及び、より低い太陽の強さ又は影付き太陽曝露912の場合の高温910及び低温911のV-I曲線の例を示している。
【0045】
[00053] 「一実施形態」又は「実施形態」への参照は、必要に応じて、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が実施形態に含まれ得ることを意味することに留意する価値がある。本明細書の様々な箇所における「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照するとは限らない。
【0046】
[00054] 本明細書で提供される図及び例は、説明を目的とするものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本開示は、本発明の原理の例示と見なされるべきであり、かつ、本発明の精神及び範囲並びに/又は例示された実施形態の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0047】
[00055] 当業者は、本発明の特定の用途のために本発明に修正を加えるであろう。
【0048】
[00056] この特許に含まれる議論は基本的な説明として役立つことを意図している。読者は、特定の議論が、可能なすべての実施形態を明示的に説明しているわけではなく、代替案が暗黙的であることに注意する必要がある。また、この議論は、本発明の一般的な性質を完全に説明していない可能性があり、各特徴又は要素が実際にどのように代表的又は同等の要素になり得るかを明示的に示していない可能性がある。繰り返すが、これらはこの開示に暗黙的に含まれている。本発明がデバイス指向の用語で説明されている場合、デバイスの各要素は暗黙的に機能を実行する。本発明の本質から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることも理解されたい。このような変更も説明に暗黙的に含まれている。これらの変更は依然として本発明の範囲内にある。
【0049】
[00057] さらに、本発明及び特許請求の範囲の様々な要素の各々が様々な方法で達成され得る。本開示は、任意の装置の実施形態の変形であろうと、方法の実施形態の変形であろうと、又は、これらの任意の要素の単なる変形であろうと、そのような各変形を包含すると理解されるべきである。特に、本開示は本発明の要素に関するものであるため、機能又は結果のみが同じであっても、各要素の単語は同等の装置用語で表現され得ることを理解されたい。このような同等の、より広い又はさらに一般的な用語は、各要素又はアクションの説明に包含されると見なされるべきである。そうした用語は、本発明が権利を与えられている暗黙的に広い範囲を明示するために必要な場合に置き換えられることができる。すべての行動は、その行動をとるための手段として又はその行動を引き起こす要素として、表現され得ることを理解されたい。同様に、開示される各物理的要素は、その物理的要素が促進する作用の開示を包含すると理解されるべきである。そうした変更及び代替用語は、本説明に明示的に含まれていると理解されるべきである。
【0050】
[00058] 多数の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、当業者に対して修正がそれ自体を確かに示唆する。本明細書の例示的な実施形態は、限定することを意図するものではなく、様々な構成及び特徴の組み合わせが可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって要求される場合を除いて、開示された実施形態に限定されない。
【国際調査報告】