(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】滑り止め脱落防止コンドーム
(51)【国際特許分類】
A61F 6/04 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
A61F6/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564124
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2020086511
(87)【国際公開番号】W WO2020221107
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】201910367395.1
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517161245
【氏名又は名称】広州万方健医薬有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李華智
(72)【発明者】
【氏名】袁永玲
(72)【発明者】
【氏名】盧智俊
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA05
4C098EE13
(57)【要約】
開口端、閉口端、男性側、女性側を有する本体を備え、男性側の底面の5%以上の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、前記男性側の底面の単位面積内の1次ミクロ構造を含む総表面積と前記単位面積との面積比が1.05~565.00である、滑り止め脱落防止コンドームを提供する。本発明で提供するコンドームは、性交時に男性の陰茎との密着を維持することができ、コンドームと陰茎の皮膚間の相対的な滑りを減らし、しわになったり脱落したりしにくく、粘膜への損傷を減少し、非リアリティを低下させることができる。このコンドームは、消費者のコンドーム使用意欲を高めるのに役立ち、性感染症の予防にも役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端、閉口端、男性側、女性側を有する本体を備えるコンドームであって、男性側の底面の5%以上の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、前記男性側の底面の単位面積内の1次ミクロ構造を含む総表面積と前記単位面積との面積比が1.05~565.00である、ことを特徴とする、コンドーム。
【請求項2】
前記男性側の底面の20%~95%の部分が表面積を増加できる前記1次ミクロ構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のコンドーム。
【請求項3】
前記面積比が1.1~100.0であり、
好ましくは、前記面積比が1.2~50.0である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンドーム。
【請求項4】
前記男性側の縦軸方向及び/又は横軸方向に前記1次ミクロ構造を有する異なる領域の平均面積比が同じである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項5】
前記主体のうち閉口端を起点とする8.0/10~9.8/10での男性側の底面に前記1次ミクロ構造を有し、かつ、面積比が1.1~50.0である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項6】
前記男性側の表面は、縦軸方向に異なる領域が異なる平均面積比を有し、かつ前記閉口端に近いほど領域の平均面積比が大きくなる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項7】
前記主体のうち閉口端を起点とする9.0/10での男性側の底面に前記1次ミクロ構造を有し、閉口端を起点とする0/10~6.5/10での前記平均面積比〔S1〕が1.2~20.0であり、閉口端を起点とする6.5/10~9.0/10(ただし、6.5/10を含まない。)での前記平均面積比〔S2〕が1.1~5.0であり、かつS1がS2よりも大きい、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のコンドーム。
【請求項8】
前記1次ミクロ構造は、異なるタイプ及び/又は数で、塊状及び/又はストライプ状に男性側に分布する、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項9】
前記コンドームに潤滑剤が付着している、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項10】
前記コンドームの男性側の潤滑剤の含有量が、(0.1μg~1.0mg)/mm
2(男性側の表面積で)である、ことを特徴とする請求項9に記載のコンドーム。
【請求項11】
前記1次ミクロ構造の平均高さと前記1次ミクロ構造の平均外周長との比が157:1~1:16であり、
好ましくは、前記1次ミクロ構造の平均高さと前記1次ミクロ構造の平均外周長との比が80:1~1:15であり、
より好ましくは、前記1次ミクロ構造の平均高さと前記1次ミクロ構造の平均外周長との比が、63:1~1:12である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項12】
前記1次ミクロ構造の平均高さが、0.5~100μmである、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項13】
前記1次ミクロ構造の平均高さが、1~10μmである、ことを特徴とする請求項12に記載のコンドーム。
【請求項14】
前記1次ミクロ構造が占める男性側の底面における前記1次ミクロ構造の密度が0.31~10
10個/mm
2である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項15】
前記密度が、10
2~10
8個/mm
2であり、
好ましくは、前記密度が、10
4~2.5×10
7である、
ことを特徴とする請求項14に記載のコンドーム。
【請求項16】
前記1次ミクロ構造に2次ミクロ構造を備える、ことを特徴とする請求項11~15のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項17】
前記2次ミクロ構造の平均高さが、前記1次ミクロ構造の平均高さの1/2~1/100である、ことを特徴とする請求項16に記載のコンドーム。
【請求項18】
前記1次ミクロ構造及び/又は2次ミクロ構造が、柱状構造、鋸歯状構造及び突起状構造の少なくとも一つである、ことを特徴とする請求項11~17のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項19】
前記柱状構造が、回転体、柱体のうち少なくとも一つである、ことを特徴とする請求項18に記載のコンドーム。
【請求項20】
前記柱状構造の平均高さと平均外周長との比が157:1~4:1であり、前記柱状構造の平均高さが0.5~100μmであり、前記柱状構造の密度が0.31~10
10個/mm
2である、ことを特徴とする請求項19に記載のコンドーム。
【請求項21】
前記鋸歯状構造の平均高さが0.5~5μmであり、前記鋸歯状構造における鋸歯のいずれかの方向の断面における頂部の平均挟角が160°以下であり、前記鋸歯状構造の密度が164~10
10個/mm
2である、ことを特徴とする請求項18に記載のコンドーム。
【請求項22】
前記突起状構造の平均高さが0.5~5μmである、前記突起状構造の数が636~10
6個/mm
2である、ことを特徴とする請求項18に記載のコンドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンドームの技術分野に関し、特に陰茎の皮膚とよりよく密着できる滑り止め脱落防止コンドームに関する。本発明が提供するコンドームは、性交時に男性の陰茎と密着し、コンドームと陰茎皮膚との相対的な滑りを低減することができ、性交が終わったら摘み取るのが便利であり、このコンドームは、使用の際にしわになったり脱落したりしにくく、粘膜への損傷を減らし、非リアリティを低下させることができる。また、消費者の性体験やコンドームの使用意欲を高めることができるので、様々な性感染症の予防にも役立つ。
【背景技術】
【0002】
コンドームはヒトの性生活で広く使われており、その一般的な機能として、避妊や、各種性感染症(STD)病原体、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)の交差感染の防止が挙げられる。コンドームを使用する場合、男性の陰茎に接触する本体の内側を男性側1と呼ばれ、腔道(女性膣又は肛門直結腸)に接触する本体の外側を女性側2と呼ばれ、精子を受け入れる端が閉口端3であり、それに対向する端が開口端4となる。コンドームの構造を
図1に示す。
ある大規模な調査データによると、コンドームの使用率は十分に高くない。分析によると、コンドームを使いたくない人にとって、コンドームと男性陰茎の皮膚は密着しておらず、相対的な滑りが生じやすく、時にはカフ膜にしわができたり脱落したりすることによって、カフ膜に形成されたしわによる非リアリティや異物感を引き起こしたり、しわと粘膜との摩擦により粘膜を損傷させやすく、出血及び/又は性交痛を引き起こしたり、コンドームの脱落により、避妊失敗、病原の交叉感染のリスクが高まったり、使用時に大きなしわを取り除くためにコンドームを平らにする必要があり、コンドームが脱落した後にコンドームを交換する必要があり、性行為を一時的に中断しなければならない、などの一連の問題が存在する。これらの問題はいずれも消費者の性体験感に大きく影響し、コンドームに対する消費者の試用意欲を低下させた。
既存のコンドームの上記の問題を克服するために、当分野の研究者は次のような試みを行った。
中国特許CN203493801Uには、コンドームの直径を縮小することでコンドームと陰茎をよりよく密着させることを目的とした技術が開示されている。しかし、このコンドームは、縮小した部分では依然として陰茎に対して滑り、他の縮小していない部位ではより滑りやすくなる。そして、縮小した部分は血管と神経を圧迫し、装着が困難になる。したがって、これは、理想的な解決策ではない。
中国特許CN201743815Uには、コンドームの両側の表面に粒子状突起が対称的に形成されている技術が開示されており、この技術は、性交中の男性生殖器への刺激作用を増加させ、コンドームの滑脱を防止する役割を果たすことを目的としている。しかし、この技術で作られたコンドームは、男性側の粒子状突起によってコンドームが一部領域で陰茎皮膚との接触面が減少し、摩擦力が低下し、発明者が予想した滑落防止効果が得られない。
米国特許第US6135112には、コンドームの開口端の口巻部に近いところで1つ又は複数のリングを設置するとともに、本体の一部の直径を縮小させる技術が開示されており、この技術は、滑り止め脱落防止コンドームを提供することを目的としている。しかし、このコンドームは使用時に局部的に縮小した部位ではきつくて非常に不快感を与え、同時に設置されたリングも装着しにくく、製造時にコンドームを巻き取るのが困難になる。
欧州特許EP1003448B1には、コンドームの開口端に近い側の1/3の部位で、内面に粘着層を設ける技術が開示されており、コンドームを性交中に強固に保持し、滑りを避けることを目的としている。しかし、粘着層が陰茎の皮膚に付着すると使用者の不快感を招き、また粘着層の存在によりコンドーム内面に潤滑剤を添加することができず、使用時の困難性が高くなる。
特許WO95/34261には、コンドームの男性側に摩擦係数が1.0以上の特定の材料を内層フィルムとして設置する技術が開示されており、コンドームの男性側の摩擦力を高め、コンドームの滑りを防止することを目的としている。しかし、コンドームは勃起した陰茎の皮膚に包まれているだけなので、大きい圧力が発生せず、それ以上の摩擦力を生み出すことができず、滑りを防止するという目的を達成できない。また、異なる内層膜材料は、コンドームの高い形状記憶効果と安全性に影響を及ぼす。
当分野の研究者は上記のような様々な技術を提案したが、応用の際の効果は悪く、使用時にコンドームが陰茎の皮膚の表面を滑ってしわになったり、脱落したりする問題を解決することができなかった。そのため、陰茎の皮膚に密着し、使用時に滑りにくく、脱落を防止する滑り止め脱落防止コンドームの開発が強く求められている。
【発明の概要】
【0003】
以上の問題点に基づいて、本発明は、従来技術の欠点を克服し、陰茎の皮膚に密着し、使用時に滑りにくく、脱落しにくい滑り止め脱落防止コンドームを提供する。本発明が提供するコンドームは、使用時に男性の陰茎との密着を維持し、コンドームが陰茎の皮膚に対して相対的に滑ることを防止することができ、使用後、簡単に摘み取ることができ、使用時にカフがしわになったり、脱落したりすることなく、粘膜への損傷を避け、非リアリティを低下させることができる。したがって、このコンドームは、消費者の性体験を著しく向上させることができ、消費者のコンドーム使用意欲を高めるのに役立つ。
上記の目的を達成するために、本発明に係る滑り止め脱落防止コンドームは、開口端、閉口端、男性側、女性側を有する本体を備えるコンドームであって、男性側の底面の5%以上の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、前記男性側の底面の単位面積内の1次ミクロ構造を含む総表面積の前記単位面積に対する面積比が1.05~565.00である、コンドーム。前記底面は、仮想的な表面が滑らかな男性側の表面全体又は局所領域である。
【0004】
なお、顕微鏡下では、陰茎の皮膚表面の皮溝5と皮丘6には、多くの部分的に脱落した角質細胞と、数百ナノメートルから数百μmの間の大きさを有する凹凸のある微細構造7がある(
図2~
図3に示す。)。本出願の発明者らが検討しているところ、性交時にコンドームと陰茎皮膚との有効な接触面積が大きいほど、マイクロ構造との相補性が高いほど、両者の密着が密で滑りにくくなることを発見した。
コンドームの男性側が1次ミクロ構造を有し、そのサイズと形状が上記の陰茎皮膚表面の様々なミクロ構造と相補的である場合、このコンドーム本体の男性側は陰茎皮膚表面の様々なミクロ構造とより良好な接触となり、本体の男性側と陰茎皮膚との有効な接触面積が増加し、密着及び滑脱防止の目的を達成することができる。1次ミクロ構造の表面積が大きいほどコンドームの表面積が増加し、面積比が大きくなり、ミクロ構造を有する主体の男性側と陰茎皮膚のミクロ構造との相補性が良くなり、有効接触面積も大きくなる。
【0005】
好ましくは、コンドームの男性側の底面の20%~95%の部分は表面積を増加できる1次ミクロ構造を有する。これにより、コンドームの男性側の局所領域内には1次ミクロ構造がなく、コンドームの装着と軟化した陰茎からの取り外しを容易にする。コンドームの男性側の底面に占める、ミクロ構造を有する男性側の部分の割合を調整することで、異なる人の生理的特徴及び異なるニーズに対応することができる。
【0006】
好ましくは、コンドームの男性側は、1次ミクロ構造の表面を有し、その面積比は1.1~100.0である。より好ましくは、前記面積比は1.2~50.0である。
【0007】
好ましくは、前記男性側の縦軸方向及び/又は横軸方向に前記1次ミクロ構造を有する異なる領域の平均面積比は同じである。前記平均面積比は、選択された領域の男性側の1次ミクロ構造を含む総表面積と、選択された領域の男性側の底面の面積との比である。
【0008】
男性側の縦軸方向及び/又は横軸方向における前記1次ミクロ構造のタイプ及び/又は密度が異なっていてもよい。ここで、コンドームの男性側の縦軸方向(すなわち、閉口端から開口端に向かう方向)に沿って1次ミクロ構造のタイプ及び/又は面積比が同じである場合、コンドームの横軸方向(すなわち、閉口端又は開口端から等距離にあるところの本体の円周である)における1次ミクロ構造のタイプ及び/又は面積比は異なっていてもよい。同様に、コンドームの横軸方向に沿って1次ミクロ構造のタイプ及び/又は面積比が同じである場合、コンドームの縦軸方向における1次ミクロ構造のタイプ及び/又は面積比は異なっていてもよい。
なお、上記ミクロ構造のタイプ及び/又は密度は、上記コンドーム主体の縦軸方向及び/又は横軸方向に沿った対称性分布は、軸方向全体に沿っていてもよく、特定の軸方向のうちの一部に沿っていてもよく、例えば、縦軸方向の一部(コンドーム主体を円筒極座標とした場合、Δz)に沿っていてもよく、横軸方向の特定の円弧(上記円筒極座標では、Δφ)に沿っていてもよい。
【0009】
好ましくは、前記主体のうち閉口端を起点とする8.0/10~9.8/10での男性側の底面は1次ミクロ構造を有し、かつ面積比が1.1~50.0である。これにより、コンドームの男性側の前記開口端に近い0.2/10~2.0/10での部分(長さ180mmのコンドームについては、この開口端部分の長さが3.6~36mm)は、1次ミクロ構造を有しない。これは、この開口端部分は滑り止めに対する要求が高くない一方で、性交終了後にコンドームを取り外しやすくするためである。
好ましくは、前記男性側の表面の縦軸方向の異なる領域は、異なる平均面積比を有し、かつ閉口端に近いほど領域の平均面積比が大きくなる。
【0010】
なお、陰茎中部から亀頭までの部分は神経が多く分布し、性交時の運動強度が大きいため、コンドームの男性側とよりよく貼り合わせる必要がある。陰茎後部の神経が少なく、性交時の運動強度が小さいため、あまり密着させる必要はない。上記領域別の設計により、男性側のうち陰茎の中部領域から亀頭までの部分に接触するコンドームの平均面積比を陰茎後部に接触する領域の平均面積比よりも大きくすることで、本体と陰茎皮膚の両者を中間領域から先端までより密着させることができ、滑りや脱落を防止し、感触のリアリティを向上させることができる。そして、この両者を後部で適度に貼り合わせて、性交が終わった後にコンドームを取り外すのに便利である。
好ましくは、前記コンドーム主体のうち閉口端を起点とする9.0/10での男性側の表面に前記1次ミクロ構造を有し、閉口端を起点とする0/10~6.5/10での平均面積比〔S1〕が1.2~20.0であり、閉口端を起点とする6.5/10~9.0/10(ただし、6.5/10を含まない。)での平均面積比〔S2〕が1.1~5.0であり、かつS1がS2よりも大きい。
【0011】
なお、上記の領域別の方法を用いると、コンドーム主体を縦軸方向及び/又は横軸方向に沿ってより多くの領域に分けることができ、また、異なる領域の男性側の表面に異なるタイプ及び/又は密度の1次ミクロ構造を有することにより、異なる人の異なる生理構造と使用ニーズをさらに満たすことができる。
【0012】
好ましくは、前記1次ミクロ構造は、異なるタイプ及び/又は密度で、塊状及び/又はストライプ状に男性側の表面に分布する。これにより、異なるタイプ及び/又は密度のミクロ構造を有する塊及び/又はストライプなどの形状のコンドームの男性側の表面での配置の組み合わせにより、製造工程を複雑に調整することなく、コンドームの男性側の異なる領域の平均面積比および皮膚との密着度を簡単に調整することができ、よって、異なるニーズに対応することができる。
【0013】
好ましくは、前記コンドームに潤滑剤が付着している。好ましくは、前記コンドームの男性側の潤滑剤含有量は、(0.1μg~1.0mg)/mm2(男性側の表面積で、男性側の全体であってもよく、男性側の局所領域であってもよい。)である。本願の発明者らが検討しているところ、上記の含有量で潤滑剤が存在すると、コンドーム本体と陰茎皮膚との間の空隙をさらに減少することができ、男性側の前記1次ミクロ構造が皮膚のミクロ構造とよりよく密着することができ、コンドームの着脱が容易になることを発見した。
【0014】
好ましくは、前記1次ミクロ構造の平均高さと前記1次ミクロ構造の平均外周長との比は157:1~1:16である。より好ましくは、前記1次ミクロ構造の平均高さと前記1次ミクロ構造の平均外周長との比は80:1~1:15である。最も好ましくは、前記1次ミクロ構造の平均高さと前記1次ミクロ構造の平均外周長との比は63:1~1:12である。
好ましくは、前記1次ミクロ構造の平均高さは0.5~100μmである。より好ましくは、前記1次ミクロ構造の平均高さは1.0~10.0μmである。
【0015】
なお、本発明でいう前記男性側の1次ミクロ構造のサイズ及び/又は幾何形状は、同一の1次ミクロ構造以内及び/又は異なる1次ミクロ構造の間に、高さ及び/又は外周長が異なってもよい。前記平均高さとは、特定の男性側の領域内の全ての高さ及び/又は形状の異なるミクロ構造の高さの平均値である。前記平均外周長とは、特定の男性側の領域内の全てのミクロ構造の外周長の平均値である(ただし、前記1次ミクロ構造の太さ及び/又は性質が異なり、及び/又は2次ミクロ構造を有する場合、まずそれぞれの1次ミクロ構造の平均外周長を取得し、そしてすべてのミクロ構造の外周長を取得する必要がある。)。
好ましくは、前記1次ミクロ構造が占める男性側の底面における前記1次ミクロ構造の密度は0.31~1010個/mm2である。より好ましくは、前記密度は102~108個/mm2である。さらに好ましくは、前記密度は104~2.5×107個/mm2である。なお、本発明における密度とは、どのようなプロセスでも絶対的に均一な密度での分布を得ることができないため、実際には、特定の男性側の領域内のすべての1次ミクロ構造の数の平均値を意味する。前記1次ミクロ構造の平均高さと密度を要求される範囲内で調整することにより、面積比を1から数百倍の範囲内で調整することができる。
好ましくは、前記1次ミクロ構造に2次ミクロ構造を備え、前記2次ミクロ構造に3次ミクロ構造を備えることができる。このように、2次又は3次のミクロ構造の導入により、男性側の表面の面積比をより高くし、男性側の表面と陰茎皮膚の表面との間のミクロ構造をよりよく相補的に貼り合わせることができ、特に亀頭、冠状溝付近などのような神経が最も密集する箇所で、触感のリアリティをさらに高めることができる。
好ましくは、前記2次ミクロ構造の平均高さは、前記1次ミクロ構造の平均高さの1/2~1/100である。
【0016】
好ましくは、前記1次ミクロ構造及び/又は2次ミクロ構造は、柱状構造、鋸歯状構造及び突起状構造の少なくとも一つである。このように、同一の1次ミクロ構造及び/又は2次ミクロ構造において上記異なるミクロ構造のうち少なくとも一つの構成を選択し、または、三つの異なるミクロ構造の隣接する並列及び/又は領域における配置によってコンドームの男性側の表面の異なる部分の間の面積比の差異を実現してもよい。隣接する並列とは、隣接して並んでいるいずれか2つのミクロ構造が異なることを意味する(この2つのミクロ構造の間は直接つながっていてもよいし、底部の平滑な領域を隔てていてもよい)。一方、領域における配置とは、それぞれのより小さな領域内のミクロ構造が同じであるが、隣接する領域のミクロ構造が異なる可能性があることを意味する(この2つのより小さな領域の間は直接つながっていてもよいし、底部の平滑な領域を隔てていてもよい)。なお、上記の各構造(前記柱状構造、鋸歯状構造、突起状構造を含む。)は、現実には絶対的に対称な単純な幾何構造ではないため、これらの各寸法の測定には、必要に応じて近似処理、間接測定及び/又は計算、延伸処理(角度など)や平均化処理(不平滑な表面や線など)などを行う必要がある。
【0017】
好ましくは、前記1次ミクロ構造又は2次ミクロ構造及び/又は柱状構造であり、前記柱状構造は回転体、柱体のうちの少なくとも一つである。
【0018】
好ましくは、前記柱状構造の平均高さと平均外周長との比は157:1~4:1であり、前記柱状構造の平均高さは0.5~100であり、前記柱状構造の密度は0.31~1010個/mm2である。
【0019】
好ましくは、前記1次ミクロ構造及び/又は2次ミクロ構造は鋸歯状構造である。
【0020】
好ましくは、前記鋸歯状構造の平均高さは0.5~5.0μmであり、前記鋸歯状構造における鋸歯のいずれかの方向の断面における頂部の平均挟角は160°以下であり、前記鋸歯状構造の密度は164~1010個/mm2である。
なお、前記鋸歯状構造とは、底部が広く、頂部が狭い又は鋭い立体構造のことであり、これらの立体構造のいずれかの縦断面は三角形、台形、又はその近似形状などであってもよく、これらの形状は左右及び/又は上下対称であってもなくてもよい。前記突起状構造は、マイクロフック構造などの、皮膚の表面によりよく付着、ひっかけ、貼り付けることができる他のミクロ構造であってもよい。
【0021】
好ましくは、前記1次ミクロ構造及び/又は2次ミクロ構造は突起状構造である。
【0022】
好ましくは、前記突起状構造の平均高さは0.5~5.0μmであり、前記突起状構造の密度は636~1010個/mm2である。
【0023】
なお、前記鋸歯状構造の平均高さと同様に、前記突起状構造とは、頂部が鋭くなく、その幅が底部の高さ及び幅に近い立体構造であり、これらの立体構造のいずれかの縦断面は長方形、放物型、半円形、弧形、又はその近似形状などであってもよく、これらの形状は左右及び/又は上下対称であってもでなくてもよい。
本発明でいうコンドームは、ラテックス、ポリウレタン、グラフェン材料などから製造されることができる。
【0024】
以上のことから、本発明の有益な効果は以下の通りである。
本発明は、滑り止め脱落防止コンドームであって、男性側の底面の5%以上の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、前記男性側の底面の単位面積内の上記1次ミクロ構造を含む総表面積と前記単位面積との面積比が1.05~565.00である、ことを特徴とする、コンドームを提供する。このようなコンドームは、男性側の表面積を増加させ、コンドームと陰茎の皮膚との間の有効接触面積を増加することができ、コンドームと陰茎の皮膚との間の相対的な滑りを防止し、使用後、簡単に摘み取ることもできる。このようなコンドームは、使用時に本体がしわになったり脱落したりしにくく、粘膜への損傷を減少することができ、非リアリティを低下させることができる。このコンドームは、消費者のコンドーム使用意欲を高めるのに役立ち、性感染症の予防にも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】
図4は、本発明のコンドームの一実施例の概略構造図である。4-Aは男性側に1次円柱状のミクロ構造を有する部分の拡大模式図であり、
図4-Bは
図4-Aの拡大部分の立体構造模式図である.
【
図5】
図5は、本発明のコンドームの一実施例の概略構造図である。5-Aは男性側に規則的な1次鋸歯状ミクロ構造を有する部分の拡大模式図であり、
図5-Bは
図5-Aの拡大部分の立体構造模式図である。
【
図6】
図6は、本発明のコンドームの一実施例の概略構造図である。6-Aは男性側に不規則的な1次鋸歯状ミクロ構造を有する部分の拡大模式図であり、
図6-Bは
図6-Aの拡大部分の立体構造模式図である。
【
図7】
図7は、本発明のコンドームの一実施例の構造模式図である。7-Aは男性側に1次突起状ミクロ構造を有する部分の拡大模式図であり、
図7-Bは
図7-Aの拡大部分の立体構造模式図である。
【
図8】
図8は、本発明のコンドームの一実施例の構造模式図である。8-Aは男性側に1次円柱状ミクロ構造と2次円柱状ミクロ構造を有する部分の拡大模式図であり、
図8-Bは
図8-Aの拡大部分の立体構造模式図である。
【
図9】
図9は、本発明のコンドームの一実施例の断面図であって、男性側に塊状又はストライプ状に分布する1次ミクロ構造が含まれており、上記塊状又はストライプ状に分布する1次ミクロ構造がコンドームの男性側に位置することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明におけるいくつかの名称、試験方法、試験材料について簡単に説明する。
【0027】
男性側
本発明の実施例において、表面、表面積、面積比とは、特に断りのない限り、コンドーム主体が陰茎に接触する男性側の表面の特徴を指す。
表面積
本発明の実施例に用いる表面積とは、コンドーム主体の表面の構造サイズに基づいて、通常の測定と積分計算により得られるものである。
面積比
本発明の実施例に用いる面積比とは、コンドームの男性側の表面の選択された部分の表面積を、選択された部分の底面の面積で割ったものであり、前記底面は仮想の滑らかな表面である。
滑脱力測定
有効接触面積は滑脱力と正の相関があり、有効接触面積が大きいほど滑脱力が大きくなるため、滑脱力で有効接触面積を示す。
直径34mmの円柱にコンドームをかぶせ、円柱の表面は表面構造と柔らかさが人体の皮膚に似ている人工皮革であり、コンドームが円柱を包む長さは180mmである。コンドームの上部を挟んで、引張り測定器で、引張り速度500mm/分で引張り試験を行い、コンドームと円柱との間に明らかな滑りが発生する時の力の値を記録した。
コンドームサンプル
本発明の実施例に用いるコンドームは、天然ラテックスの材質の男性用コンドームである。本体の膜厚は50μm、長さは180mmである。
本発明の目的、技術案及び利点をよりよく説明するために、添付の図面と具体的な実施例を組み合わせて、本発明をさらに説明する。本発明で使用する各パラメータの値は、特に断りのない限り、いずれも複数組又は複数回の平均値である。
【0028】
実施例1
本発明のコンドームの一実施例は、
図4に示すように、コンドームの男性側は全領域に均一に並んだ円柱状の1次ミクロ構造8を有する。ここで、hは円柱状構造の高さ、dは個々の円柱状構造の直径、lは個々の円柱状構造の平均周長である。表1に円柱状構造の構造パラメータから計算したコンドームの男性側の面積比を示す。
【表1】
【0029】
実施例2
本発明のコンドームの一実施例は、
図5に示すように、コンドームの男性側は全領域に密に配列された規則的な鋸歯状の1次ミクロ構造9を有する。ここで、鋸歯状構造は規則的な正四角錐で、hは個々の鋸歯状構造の高さ、wは個々の鋸歯状構造の底面の一辺の長さ、αは鋸歯状構造のテーパ頂角である。表2に鋸歯状ミクロ構造の構造パラメータから計算した男性側の面積比を示す。
【表2】
【0030】
実施例3
本発明のコンドームの一実施例は、
図6に示すように、コンドームの男性側は全領域に密に配列された不規則的な密配列鋸歯状の1次ミクロ構造10を有する。不規則的な鋸歯状のミクロ構造の構造パラメータは、平均値で表し、鋸歯状構造の平均ピッチをL、鋸歯状構造の平均高さをHとする。
鋸歯状構造の平均ピッチL及び鋸歯状構造の平均高さHは、テスト面上で互いに直交するa、bの2方向を含み、それぞれL
a、L
bおよびH
a、H
bと表記する。
無限小解析を応用して、不規則的な鋸歯状のミクロ構造を有する男性側の面の表面積をa、b両方向の微小面積の積分とみなし、以下の式で男性側の面積比を計算し、得られた結果を表3に示す。
【数1】
【表3】
【0031】
実施例4
本発明のコンドームの一実施例は、
図7に示すように、コンドームの男性側は全領域に密に配列された突起状の1次ミクロ構造11を有する。ここで、hは突起状構造の高さ、dは個々の突起状構造の直径、lは個々の突起状構造の周長である。表4に突起状構造の構造パラメータから計算したコンドームの男性側の面積比を示す。
【表4】
【0032】
実施例5
本発明のコンドームの一実施例は、
図8に示すように、コンドームの男性側は全領域に均一に配列された円柱状の1次ミクロ構造8を有し、円柱状の1次ミクロ構造8に円柱状の1次ミクロ構造よりもサイズの小さい円柱状の2次ミクロ構造12を有し、各円柱状の1次ミクロ構造に4つの円柱状の2次ミクロ構造を有する。ここで、h
1とd
1は、それぞれ個々の円柱状の1次ミクロ構造の高さと直径であり、h
2とd
2は、それぞれ個々の円柱状の2次ミクロ構造の高さと直径であり、円柱状の1次ミクロ構造の男性側の底面での密度は80000個/mm
2である。表5に、上記1次と2次のミクロ構造の構造パラメータから計算した男性側の面積比を示す。
【表5】
【0033】
実施例6
本発明のコンドームの一実施例は、男性側は全表面に密に配列された円柱状の1次ミクロ構造を有し、1次ミクロ構造に円柱状の2次ミクロ構造を有する。ここで、1次ミクロ構造のパラメータは、高さ10μm、個々の直径5μm、密度10000個/mm
2である。円柱状の1次ミクロ構造のそれぞれにある円柱状の2次ミクロ構造の高さは5μm、個々の直径は0.5μmであるが、異なるサンプルの円柱状の1次構造ごとに、円柱状の2次構造の数はそれぞれ0、10、25、50個である。表6は、全領域に1次ミクロ構造のみを有し、2次ミクロ構造を有さない男性側に比べて、全領域に1次と2次のミクロ構造を有する男性側の面積比が相対的に増加した倍数を示す。
【表6】
【0034】
実施例7
本発明のコンドームの一実施例は、コンドームの男性側は離散的な塊状に分布するミクロ構造を有する表面であり、ここで、1次ミクロ構造を有する表面の面積比は1.25である。面積比1.25のミクロ構造は、0%、5%、10%、20%、50%、75%、100%の割合で男性側に離散的な塊状に分布し、それぞれサンプルG-1、G-2、G3、G4、G5、G6を得た。
男性側の表面に水溶性潤滑剤を200mg均一に塗布し、各コンドームサンプルの滑脱力をそれぞれ測定した結果を表7に示す。
【表7】
上記の結果は、コンドームの男性側の全体に占める1次ミクロ構造を有する部分の割合が高いほど、男性側の平均面積比が高くなり、1次ミクロ構造自体の面積比に近づくことを示す。また、コンドームの滑脱力が大きいほど、有効接触面積が大きくなる。
【0035】
実施例8
本発明のコンドームの一実施例は、
図9に示すように、異なる面積比を有する1次ミクロ構造がコンドームの男性側の表面に塊状とストライプ状に間隔をおいて配置されている。ここで、S
n(n=1、2、3...)は塊状又はストライプ状に分布する1次ミクロ構造13が存在する領域の面積比であり、
はコンドームの男性側の表面の閉口端に近い1/3の領域の平均面積比であり、
はコンドームの男性側の表面の開口端に近い2/3の領域の平均面積比である。コンドームサンプルの男性側の潤滑剤含有量が異なる場合の滑脱力を測定した結果を表8に示す。
【表8】
試験の結果、水溶性潤滑剤の含有量が異なる場合、平均面積比が増加するにつれて、滑脱力は増加し、特にコンドームの男性側の表面の開口端に近い2/3の領域の平均面積比が増加すると、滑脱力への影響はより顕著であることが分かった。
【0036】
実施例9
本発明のコンドームの使用効果を検証する一実施例である。実施例1~8のコンドームサンプルの一部を選び、選択したサンプルの男性側に水溶性潤滑剤を400mg/mm
2の塗布量で均一に塗布した。
10人のボランティアを選んで個人体験試験を行い、その中で、被験者一人一人に対して潤滑剤が塗布されたコンドームを2個ずつ提供し、使用後の評価を主観評価効果訪問表に記入した。すべてのボランティアの表を集めて統計をとった結果を表9に示す。
【表9】
【0037】
実施例10
本発明のコンドームは、男性側の底面の5%の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、1次ミクロ構造が存在する領域の面積比が1.05であり、コンドームの男性側の潤滑剤含有量が5×10-3mg/mm2であり、サンプル1とした。
【0038】
実施例11
本発明のコンドームは、男性側の底面の20%の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、1次ミクロ構造が存在する領域の面積比が500であり、コンドームの男性側の潤滑剤含有量が5×10-3mg/mm2であり、サンプル2とした。
【0039】
実施例12
本発明のコンドームは、男性側の底面の95%の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、1次ミクロ構造が存在する領域の面積比が1.2であり、1次ミクロ構造が突起状構造であり、突起の平均高さが1000nmであり、コンドームの男性側の潤滑剤含有量が5×10-3mg/mm2であり、サンプル3とした。
【0040】
実施例13
本発明のコンドームは、男性側の底面の95%の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、1次ミクロ構造が存在する領域の面積比が100であり、1次ミクロ構造は柱状構造で、高さは5000nm、コンドームの男性側の潤滑剤含有量は10×10-3mg/mm2であり、サンプル4とした。
【0041】
実施例14
本発明のコンドームは、閉口端から開口端までの9/10での男性側の表面が1次ミクロ構造を有し、その存在領域の面積比が50であり、ここで、閉口端から開口端までの6.5/10での平均面積比〔S1〕は20であり、6.5/10~9/10(6.5/10を除く。)での平均面積比〔S2〕は1.1である。1次ミクロ構造が鋸歯状構造であり、その平均高さが2000nmであり、前記鋸歯状構造における単一の歯の頂部挟角が30~140°であり、コンドームの男性側の潤滑剤含有量は20×10-3mg/mm2であり、サンプル5とした。
【0042】
実施例15
本発明のコンドームは、閉口端から開口端までの9/10での男性側の表面が1次ミクロ構造を有し、その存在領域の面積比が200であり、他の部分はミクロ構造を有しなく、ここで、閉口端から開口端までの6.5/10での平均面積比〔S1〕は15であり、6.5/10~9/10(6.5/10を除く。)での平均面積比〔S2〕は3であり、1次ミクロ構造は鋸歯状構造であり、コンドームの男性側の潤滑剤含有量は20×10-3mg/mm2であり、サンプル6とした。
【0043】
実施例16
本発明のコンドームは、男性側の底面の40%の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、1次ミクロ構造が存在する領域の面積比が250であり、1次ミクロ構造の平均高さは1500nmであり、1次ミクロ構造には2次ミクロ構造があり、2次ミクロ構造の高さは600nmであり、コンドームの男性側の潤滑剤含有量は20×10-3mg/mm2であり、サンプル7とした。
【0044】
実施例17
実施例12と比較して、1次ミクロ構造に2次ミクロ構造があり、2次ミクロ構造の高さが600nmである点で異なり、サンプル8とした。
【0045】
実施例18
実施例13と比較して、1次ミクロ構造に2次ミクロ構造があり、2次ミクロ構造の高さが500nmである点で異なり、サンプル9とした。
【0046】
実施例19
実施例15と比較して、S2が5である点で異なり、サンプル10とした。
【0047】
実施例20
実施例13と比較して、ミクロ構造に2次ミクロ構造があり、2次ミクロ構造の高さが1200nmである点で異なり、サンプル11とした。
【0048】
実施例21
本発明の実施例10~20のサンプルと対照品を取り、これらのサンプルをボランティア10名の中で個人体験試験を行った。その中で、対照品は何のミクロ構造もない(面積比1)の普通コンドーム(男性側の潤滑剤含有量は25×10
-3mg/mm
2である。)であった。各ボランティアにコンドーム1種類につき2個ずつ提供し、使用後の個人の気持ちを主観評価訪問表に記入した。すべての表を集めて統計をとり、結果を表10にまとめる。
【表10】
【0049】
実施例9と実施例21の実験結果から、本発明が提供した、男性側の底面の5%以上の部分が表面積を増加できる1次ミクロ構造を有し、かつ、前記男性側の底面の単位面積内の前記1次ミクロ構造を含む総表面積と前記単位面積との面積比が1.05~565.00であるコンドームは、リアリティが高く、滑りにくく、しわや脱落が発生しにくく、官能体験効果が対照品より明らかに高いことが分かった。
【0050】
実施例9と実施例21の結果からも明らかなように、閉口端から開口端までの0/10~6.5/10における平均面積比〔S1〕が1.2~50.0であり、閉口端から開口端までの6.5/10~9.0/10(6.5/10を除く。)における平均面積比〔S2〕が1.05~10.0であり、かつS1がS2よりも大きくなるように、男性側で領域別に設計されることにより、性交中のコンドームの滑りを効果的に減らすことができると同時に、性交後にコンドームを簡単に取り外すことができ、良好な使用体験を提供できる。
【0051】
なお、以上の実施例は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の技術的範囲を説明するためのものであり、好ましい実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、本発明の技術的範囲の本質と範囲を逸脱することなく、本発明の技術的範囲を修正又は均等に置き換えることができることを理解する。
【符号の説明】
【0052】
1 男性側
2 女性側
3 閉口端
4 開口端
5 皮溝
6 皮丘
7 皮膚に凹凸のあるミクロ構造
8 円柱状の1次ミクロ構造
9 規則的な鋸歯状の1次ミクロ構造
10 不規則的な鋸歯状の1次ミクロ構造
11 突起状の1次ミクロ構造
12 円柱状の2次ミクロ構造
13 塊状又はストライプ状に分布する1次ミクロ構造
【手続補正書】
【提出日】2021-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
好ましくは、面積比は1.1~100.0である。より好ましくは、前記面積比は1.2~50.0である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
好ましくは、前記1次ミクロ構造及び/又は2次ミクロ構造は柱状構造であり、前記柱状構造は回転体、柱体のうちの少なくとも一つである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
なお、前記鋸歯状構造の平均高さと同様に、前記突起状構造とは、頂部が鋭くなく、その幅が底部の幅に近い立体構造であり、これらの立体構造のいずれかの縦断面は長方形、放物型、半円形、弧形、又はその近似形状などであってもよく、これらの形状は左右及び/又は上下対称であってもでなくてもよい。
【国際調査報告】