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特表2022-531894がんの処置において使用するための抗DR5抗体の組み合わせの投与レジメン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】がんの処置において使用するための抗DR5抗体の組み合わせの投与レジメン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220705BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20220705BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220705BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61P7/00
A61P35/02
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/573
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566144
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020063101
(87)【国際公開番号】W WO2020225456
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/845,746
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518192172
【氏名又は名称】ゲンマブ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フォルスマン ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】モーテンセン イェンス シング
(72)【発明者】
【氏名】エレキルデ-ペデルセン メレーテ
(72)【発明者】
【氏名】オーバーディーク マリー ベルベル
(72)【発明者】
【氏名】アーマディ タハムタン
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA51
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、ヒトDR5抗原に結合する2つの抗体分子の組み合わせ、およびがんの処置におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、毎週投与量とそれに続く隔週投与量または1つもしくは2つのプライミング投与量とそれに続く隔週投与量を対象に投与することを含む、そのような抗DR5抗体の投与レジメンに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する方法であって、その必要のある対象に、DR5に結合する第1の抗体およびDR5に結合する第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含み、該第1の抗体および該第2の抗体が、
i)最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に;または
ii)1回目の14日サイクルの1日目および8日目に;または
iii)1回目の14日サイクルの1日目に;または
iv)1回目および2回目の14日サイクルの1日目に
投与され、その後14日サイクルの1日目に投与される、該方法。
【請求項2】
前記第1の抗体が可変重鎖領域および可変軽鎖領域を含み、ここで、該可変重鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:1、8、および3であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ該可変軽鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:5、FAS、およびSEQ ID NO:6であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2の抗体が可変重鎖領域および可変軽鎖領域を含み、ここで、該可変重鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:10、2、および11であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ該可変軽鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:13、RTS、およびSEQ ID NO:14であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1の抗体および第2の抗体がヒトIgG1のFc領域を含み、ここで、該Fc領域が、ヒトIgG1におけるE430に対応するアミノ酸位置のE430G変異を含み、該アミノ酸位置がEuナンバリングによる、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記第1の抗体が、それぞれSEQ ID NO:30および27に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記第1の抗体が、それぞれSEQ ID NO:47および27に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記第2の抗体が、それぞれSEQ ID NO:48および35に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記第2の抗体が、それぞれSEQ ID NO:32および35に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記固形腫瘍が、大腸がん(CRC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、腎細胞がん(RCC)、胃がん、膵臓がん、および尿路上皮がんからなる群より選択される、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記血液悪性腫瘍が、白血病、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、または骨髄異形成症候群からなる群より選択される、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、同時に、別々に、または連続的に投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が同時に投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、静脈内注入によって投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記第1の抗体もしくは第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、約0.05mg/kg~9mg/kgの範囲の用量で投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記第1の抗体もしくは第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、約0.05mg/kg、0.15mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2.25mg/kg、3mg/kg、4.5mg/kg、6mg/kg、7.5mg/kg、または9mg/kgの用量で投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記第1の抗体もしくは第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、前記対象に、最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に、約0.15mg/kg~9mg/kgの範囲の用量で投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記第1の抗体もしくは第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、前記対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約0.15mg/kg~3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記第1の抗体もしくは第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、前記対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、約0.05mg/kg~1mg/kgの範囲、例えば、約0.05mg/kg~0.3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記第1の抗体もしくは第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、前記対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、約0.05mg/kg~1mg/kgの範囲、例えば、約0.05mg/kg~0.3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
前記第1の抗体または第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、前記対象に、1回目の14日サイクルの8日目に、約0.5mg/kg~3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
前記第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされる場合、投与される抗体の総量が、約0.1mg/kg~18mg/kgの範囲の用量でのものである、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
前記第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、約1:1のモル比で投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
前記第1の抗体および第2の抗体の投与の前にステロイドホルモンが投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記ステロイドホルモンがコルチコステロイドである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記ステロイドホルモンがデキサメタゾンである、請求項23~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記デキサメタゾンが1~100mgの範囲の用量で投与される、請求項23~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記デキサメタゾンが10mgの用量で投与される、請求項23~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記デキサメタゾンが静脈内注入によって投与される、請求項20~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
固形腫瘍または血液悪性腫瘍の処置において使用するための、DR5に結合する第1の抗体および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩であって、
i)最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に;または
ii)1回目の14日サイクルの1日目および8日目に;または
iii)1回目の14日サイクルの1日目に;または
iv)1回目および2回目の14日サイクルの1日目に
投与され、その後14日サイクルの1日目に投与される、該第1の抗体および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項30】
前記第1の抗体が可変重鎖領域および可変軽鎖領域を含み、ここで、該可変重鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:1、8、および3であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ該可変軽鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:5、FAS、およびSEQ ID NO:6であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、請求項29記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項31】
前記第2の抗体が可変重鎖領域および可変軽鎖領域を含み、ここで、該可変重鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:10、2、および11であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ該可変軽鎖領域が、それぞれSEQ ID NO:13、RTS、およびSEQ ID NO:14であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む、請求項29~30のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項32】
前記第1の抗体および第2の抗体がヒトIgG1のFc領域を含み、ここで、該Fc領域が、ヒトIgG1におけるE430に対応するアミノ酸位置のE430G変異を含み、該アミノ酸位置がEuナンバリングによる、請求項29~31のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項33】
前記第1の抗体が、それぞれSEQ ID NO:30および27に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項29~32のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項34】
前記第1の抗体が、それぞれSEQ ID NO:47および27に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項29~32のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項35】
前記第2の抗体が、それぞれSEQ ID NO:31および35に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項29~34のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項36】
前記第2の抗体が、それぞれSEQ ID NO:48および35に示される重鎖および軽鎖を含む、請求項29~34のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項37】
前記固形腫瘍が、大腸がん(CRC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、腎細胞がん(RCC)、胃がん、膵臓がん、および尿路上皮がんからなる群より選択される、請求項29~36のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項38】
前記血液悪性腫瘍が、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病ならびに骨髄性白血病、例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、または多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、または骨髄異形成症候群からなる群より選択される、請求項29~36のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項39】
同時に、別々に、または連続的に投与される、請求項29~38のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項40】
同時に投与される、請求項29~38のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項41】
静脈内注入によって投与される、請求項29~40のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項42】
約0.05mg/kg~9mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項29~41のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項43】
約0.05mg/kg、0.15mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2.25mg/kg、3mg/kg、4.5mg/kg、6mg/kg、7.5mg/kg、または9mg/kgの用量で投与される、請求項29~42のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項44】
前記対象に、最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に、約0.15mg/kg~9mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項29~43のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項45】
前記対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約0.15mg/kg~3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項29~43のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項46】
前記対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、約0.05mg/kg~1mg/kgの範囲、例えば、約0.05mg/kg~0.3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項29~43のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項47】
前記対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、約0.05mg/kg~1mg/kgの範囲、例えば、約0.05mg/kg~0.3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項29~43のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項48】
前記対象に、1回目の14日サイクルの8日目に、約0.5mg/kg~3mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項29~43のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項49】
前記第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされる場合、投与される抗体の総量が、約0.1mg/kg~18mg/kgの範囲の用量でのものである、請求項29~48のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項50】
約1:1の比で投与される、請求項29~49のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項51】
前記第1の抗体および第2の抗体の投与の前にステロイドホルモンが投与される、請求項29~50のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項52】
前記ステロイドホルモンがコルチコステロイドである、請求項29~51のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項53】
前記ステロイドホルモンがデキサメタゾンである、請求項29~52のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項54】
前記ステロイドホルモンが5~20mgの範囲の用量で投与される、請求項29~53のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項55】
前記ステロイドホルモンが10mgの用量で投与される、請求項29~54のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項56】
前記ステロイドホルモンが静脈内注入によって投与される、請求項29~55のいずれか一項記載の使用のためのDR5に結合する第1の抗体および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、とりわけ、ヒトDR5抗原に結合する2つの抗体分子の組み合わせ、およびがんの処置におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、毎週投与量とそれに続く隔週投与量または1つもしくは2つのプライミング投与量とそれに続く隔週投与量を対象に投与することを含む、そのような抗DR5抗体の投与レジメンに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細胞死受容体5としても知られているDR5、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10B、TNFRSF10B、TNF関連アポトーシス誘導リガンド受容体2、TRAIL受容体2、TRAIL-R2、およびCD262は、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)に結合してアポトーシスを媒介する、TNF受容体スーパーファミリーの細胞表面受容体である。リガンドの非存在下では、DR5は、単量体として、または、プレリガンドアセンブリドメイン(PLAD)としても知られている第1のシステインリッチドメインの相互作用を介した2つまたは3つの受容体のプレアセンブリされた複合体として、細胞膜に存在する。DR5エクトドメインと複合体化したTRAILの結晶構造は、TRAILが、三量体受容体および三量体リガンドを含有する複合体の状態でDR5に結合することを示した(Hymowitz et al., Mol Cell. 1999 Oct;4(4):563-71(非特許文献1))。リガンドが結合した立体構造では、細胞質のデスドメイン含有FASアダプタータンパク質(FADD)が、オリゴマー化したDR5分子の細胞内DD表面と結合し、誘導型カスパーゼであるカスパーゼ-8およびカスパーゼ-10と会合して、細胞死誘導シグナル伝達複合体(DISC)を形成する。
【0003】
TRAIL媒介アポトーシスにがん細胞が感受性であることに基づき、この経路を活性化してがん細胞において選択的にアポトーシスを誘導する多数の作用物質が開発された。一連の従来型(単一特異的、二価)抗DR5抗体が開発され、臨床で試験されている(Ashkenazi et al., Nat Rev Drug Discov. 2008 Dec;7(12):1001-12(非特許文献2);Trivedi et al., Front Oncol. 2015 Apr 2;5:69(非特許文献3);Yuan et al., Cancer Metastasis Rev 2018 Dec;37(4):733-748(非特許文献4)において概説されている)。これらの化合物を用いた臨床研究は、DR5抗体が、一般に良好な耐容性を示すが説得力のある有意な臨床的有益性を示さないことを実証した。
【0004】
ヒトIgG1のFc領域とDR5に結合する抗原結合領域とを含み、Fc領域がE430G変異を含む、2つの競合しない抗DR5抗体の組み合わせは、抗原結合時に細胞表面上で該抗体の六量体化を容易にし、アポトーシスおよび細胞死を誘導する際の該抗体の効力を有意に増強させることが判明した。
【0005】
したがって、固形腫瘍および血液悪性腫瘍を患う患者に対して未だ満たされていない医療ニーズがあり、抗DR5抗体が有望な戦略を提供する。しかしながら、PCT/EP2016/079518(特許文献1)に記載されている抗体のための改善された投与レジメンを提供する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】PCT/EP2016/079518
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hymowitz et al., Mol Cell. 1999 Oct;4(4):563-71
【非特許文献2】Ashkenazi et al., Nat Rev Drug Discov. 2008 Dec;7(12):1001-12
【非特許文献3】Trivedi et al., Front Oncol. 2015 Apr 2;5:69
【非特許文献4】Yuan et al., Cancer Metastasis Rev 2018 Dec;37(4):733-748
【発明の概要】
【0008】
発明の目的
固形腫瘍および血液悪性腫瘍を処置するための方法を提供することが本発明の一つの目的である。そのようながんを処置する方法において使用するための、DR5に結合する第1および第2の抗体の組み合わせの投与レジメンを提供することが本発明のさらなる目的である。DR5に結合する第1および第2の抗体のための安全で有効な新たな投与レジメンを提供することが本発明のさらなる目的である。
【0009】
発明の概要
本発明者らは、有効な治療レジメンを提供し、かつ、許容される耐容性および安全性プロファイルを有する、第1の抗DR5抗体および第2の抗DR5抗体の組み合わせのための隔週投与レジメンの改善された投与レジメンを開発してきた。したがって、本発明は、固形がんまたは血液悪性腫瘍の処置において使用するための第1および第2の抗DR5抗体であって、週1回で8週間投与され、その後隔週投与量で投与されるか、または2週間に2回投与され、その後隔週投与量で投与されるか、または1回目および2回目の2週間の初日に投与され、その後隔週投与量で投与される、第1および第2の抗DR5抗体に関する。したがって、一局面では、本発明は、対象における固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する方法であって、その必要のある対象に、DR5に結合する第1の抗体およびDR5に結合する第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含み、第1の抗体および第2の抗体が、i)最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に(強化);またはii)1回目の14日サイクルの1日目および8日目に(プライミング);またはiii)1回目の14日サイクルの1日目に(プライミング);iv)1回目および2回目の14日サイクルの1日目に(プライミング)投与され;その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)、方法に関する。
【0010】
さらなる局面では、本発明は、固形腫瘍または血液悪性腫瘍の処置において使用するための、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩であって、i)最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に;またはii)1回目の14日サイクルの1日目および8日目に(プライミング);またはiii)1回目の14日サイクルの1日目に(プライミング);iv)1回目および2回目の14日サイクルの1日目に(プライミング)投与され;その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)、第1の抗体および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0011】
一態様では、第1の用量がプライミング用量であるか、第1および第2の用量がプライミング用量である。プライミング用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて約0.05mg/kg~0.15mg/kgの範囲にあるより低用量である。したがって、プライミング用量における第1および第2の抗体の組み合わせ用量は、約0.1mg/kg~0.3mg/kgの範囲にある。プライミング用量は、単回のプライミング用量または2回のプライミング用量に続いて隔週(Q2W)個体に投与される処置用量よりも低用量である。好ましい態様では、第1および第2の抗体のそれぞれについてのプライミング用量は、0.05mg/kgである。
【0012】
好ましい態様では、組み合わされた第1および第2の抗体のプライミング用量は、0.1mg/kgである。プライミング処置用量に続いて、処置の必要のある対象に、隔週投与計画(14日サイクルの1日目(Q2W))に基づいてさらなる処置用量が投与され得る。プライミング用量に続く処置用量は、各抗体について0.3mg/kg~9mg/kgの範囲にあり得る。本発明の一態様では、14日サイクルの1日目に投与される処置用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.15mg/kg~9mg/kgの範囲にある。本発明の一態様では、14日サイクルの1日目に投与される処置用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.15mg/kg~9mg/kgの範囲にある。好ましい態様では、14日サイクルの1日目に投与される処置用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.15mg/kg~3mg/kgの範囲にある。本発明の一態様では、14日サイクルの1日目に投与される第1および第2の抗体の組み合わせ処置用量は、0.3mg/kg~6mg/kgの範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ヒトおよびカニクイザルDR5を発現するCHO-Sへの結合。抗体結合は、(A)ヒトDR5および(B)カニクイザルDR5を発現するCHO-S細胞を使用したフローサイトメトリーによって試験した。IgG1-b12をアイソタイプ対照抗体として使用した。結合は、二つ組の試料の蛍光強度の幾何平均値±SDとして表される。
図2】DR5特異的抗体のHCT 116細胞への結合。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430GのHCT 116細胞への結合をフローサイトメトリーによって測定し、六量体化増強変異E430GのないWT抗体と比較した。IgG1-b12をアイソタイプ対照抗体として使用した。グラフは、代表実験の二つ組の測定値の幾何平均蛍光±標準偏差(SD)を示す。
図3】ドメイン交換DR5分子を使用した結合領域のマッピング。(A)EMBOSS Matcher(http://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_matcher/)を使用したヒトDR5およびマウスDR5の細胞外ドメインの一部の配列アラインメント;(.)類似アミノ酸;(:)同一アミノ酸。(B)ドメイン交換DR5細胞外ドメインのグラフ表示(白色:ヒトDR5配列;黒色:マウスDR5配列)。アミノ酸番号は、ヒト配列のことを指し、ドメイン交換は、パネルAに示されるアラインメントに基づいてなされた。(C)フローサイトメトリーによって評価した場合のIgG1-hDR5-01-F405Lおよびアイソタイプ対照抗体IgG1-b12の一連のヒト-マウスキメラDR5分子への結合。各ドメイン交換DR5分子において、X軸上に示すように、特定のヒトアミノ酸がマウス配列に置き換わっている。エラーバーは、二つ組の試料の標準偏差を示す。(D)フローサイトメトリーによって評価した場合のIgG1-hDR5-05-F405Lの一連のヒト-マウスキメラDR5分子への結合。各ドメイン交換DR5分子において、X軸上に示すように、特定のヒトアミノ酸がマウス配列に置き換わっている。IgG1-b12をアイソタイプ対照抗体として含めた。エラーバーは、二つ組の試料の標準偏差を示す。
図4】抗体特異的結合ELISA。組換えDR5バリアントへのIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gの示差的結合を結合ELISAで調査した。IgG1-b12をアイソタイプ対照抗体として使用した。データは、405nmのODによって測定した場合の固定化DR5バリアントへの濃度依存的な結合を示す。(A)DR5ECD-FcRbHisCtagへの結合;(B)DR5sh79-115ECDdel-FcRbHisCtagへの結合;(C)DR5sh139-166ECDdel-FcRbHisCtagへの結合。
図5】DR5特異的抗体に結合するヒトDR5の可溶性組換え細胞外ドメインの結合および解離曲線。ForteBio Octet HTXでバイオレイヤー干渉法を使用して、IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430GについてkDR5ECDdelHisに結合する親和性を測定し、WT IgG1抗体と比較した。データは、抗体ごとに、代表実験の結合および解離トレース(黒色で)およびフィット(赤色で)を示す。(A)IgG1-hDR5-01-G56T;(B)IgG1-hDR5-01-G56T-E430G;(C)IgG1-hDR5-05;(D)IgG1-hDR5-05-E430G。
図6】細胞株を使用したIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物についてのインビトロ生存アッセイ。数種の細胞株を用いて3日間生存アッセイを実施して、IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性を試験した。IgG1-b12をアイソタイプ対照抗体として使用した。CellTiter-Gloキットを使用して細胞生存率を判定した。示されるデータは、二つ組の試料の平均値±標準偏差(SD)である。
図7】固形腫瘍適応症を表す多種多様な細胞株での細胞傷害性スクリーニング。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性能を、16個の固形がん系統を表す一連の240個の細胞株を使用した生存アッセイで調査した。ATPliteキットを使用して細胞生存率を判定した。(A)IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物とのインキュベーション後の生存細胞の割合。各データ点は、表示のヒトがんタイプの個々の細胞株を表す;水平の実線は、ヒトがんタイプごとの平均を表す。抗体処置後に30%以下の生存細胞を示した細胞株(点線によって示される)をレスポンダーとして分類した。(B)各系統内の応答する細胞株の割合。5個を超える細胞株が試験されたがんタイプがグラフに含まれる(括弧は試験された細胞株の数)。
図8】異なる血液悪性腫瘍を表す細胞株での細胞傷害性スクリーニング。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性能を、5個の血液がん系統を表す一連の45個の細胞株を使用した生存アッセイで調査した。CellTiter-Glo 2.0増殖アッセイを使用して細胞生存率を判定した。ドットプロットは、IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物とのインキュベーション後の生存細胞の割合を示し、各データ点は表示のヒトがんタイプの個々の細胞株を表す;水平の実線は、個々のデータ点の平均を表す。DLBCL:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;MCL:マントル細胞リンパ腫;AML:急性骨髄性白血病;MM:多発性骨髄腫。
図9】HCT-15大腸がんCDXモデルにおける投与レジメン。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の異なる投与レジメンを、アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用して、皮下HCT-15大腸がん異種移植片において試験した。マウスに、Q7Dx3で0.5mg/kg、Q7Dx2で0.75mg/kgもしくは10mg/kg、または0、3、7、10、14、21日目に0.25mg/kgのHx-DR5-01/05を投与した。マウスにおける腫瘍サイズ(平均値±平均の標準誤差[SEM])を時間単位で示す。
図10】COLO 205大腸がんCDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下COLO 205大腸がん異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図11】HCT-15大腸がんCDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下HCT-15大腸がん異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図12】SW480大腸がんCDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下SW480大腸がん異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図13】BxPC-3膵臓がんCDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下BxPC-3膵臓がん異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図14】PANC-1膵臓がんCDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下PANC-1膵臓がん異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図15】A375黒色腫CDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下A375黒色腫異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図16】SNU-5胃がんCDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下SNU-5胃がん異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図17】SK-MES-1 NSCLC CDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果。アイソタイプ対照としてIgG1-b12抗体を使用した、皮下SK-MES-1 NSCLC異種移植片における異なる用量のIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。表示の抗体用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図18】PDX臨床試験における有効性。2mg/kgのIgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の有効性を、陰性対照としてPBSを使用して、大腸がん(n=70)、NSCLC(n=62)および腎臓がん(n=5)に由来するPDXモデルにおいて試験した。レスポンダー、中間体および非レスポンダーモデルは、処置マウス対非処置マウスにおける相対腫瘍成長(ΔT/ΔC値)によって定義される。
図19】大腸がんPDXモデルCR0126。大腸がんPDXモデルCR0126におけるIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。IgG1-b12-E430Gを陰性対照抗体(アイソタイプ対照)として使用した。表示の用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図20】大腸がんPDXモデルCR3056。大腸がんPDXモデルCR3056におけるIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。IgG1-b12-E430Gを陰性対照抗体(アイソタイプ対照)として使用した。表示の用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図21】大腸がんPDXモデルCR3150。大腸がんPDXモデルCR3150におけるIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビボ効果の評価。IgG1-b12-E430Gを陰性対照抗体(アイソタイプ対照)として使用した。表示の用量で処置したマウスにおける腫瘍サイズ(平均値±SEM)を時間単位で示す。
図22】1mg/kgのIgG1-DR5-01-G56T-E430GまたはIgG1-DR5-05-E430Gまたはそれらの混合物で静脈内処置した腫瘍のない免疫不全CB17-SCIDマウス由来の血漿中の総ヒトIgG濃度。血漿試料中の総ヒトIgGを、1試料当たり4つの段階希釈物の平均を使用してELISAによってマウスごとに判定し、濃度対時間曲線でプロットした。IgG1-b12をアイソタイプ対照抗体として使用した。各データ点は、3匹の個々のマウスからの平均値±SEMを表す。
図23】腫瘍のないマウスにおけるPK解析。(A)抗体投与後20日目までのクリアランス(CL)速度を式(D×1000)/AUCに従って判定した。D;注射用量およびAUC;濃度-時間曲線の曲線下面積。(B)抗体投与の10分後に観察した場合の血漿濃度ピーク(Cmax)。(C)中央分布容積(Vcen)を式(用量×1,000)/Cmaxに従って判定した。IgG1-b12をアイソタイプ対照抗体として使用した。1群当たり3匹のマウスについて平均値±SEMが示される。
図24】雌カニクイザルでのIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの単回i.v.投与後の血漿濃度-時間プロファイル。3匹の雌ザルそれぞれに3用量レベル:(A)0.5mg/kg;(B)5mg/kg;(C)25mg/kgを試験した。投与後1、3、6、12、24時間、2、3、7、14、21、22、35、49日の時点に投与後試料を採取した。点線は、2コンパートメントモデルを使用したIgG1の予測PKプロファイルを示す。0.006 h-1でk10(クリアランス定数)、Vc(血漿量)40mL・kg-1および体重5kg。
図25】雌カニクイザルでのIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの複数回i.v.投与後の血漿濃度-時間プロファイル。2匹の動物それぞれに4用量群:0.1mg/kg(動物105および106)、0.5mg/kg(動物107および108)、5mg/kg(動物109および110)、ならびに25mg/kg(動物111および112)を試験した。
図26】雄および雌カニクイザルでのIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの週1回静脈内投与後の平均血漿濃度-時間プロファイル。5匹の雄および5匹の雌の動物それぞれに4用量群:0、2、10および50mg/kgを試験した。グラフは、投与後1日目(上)および29日目(下)のIgG1-hDR5-01-G56T-E430G(左)およびIgG1-hDR5-05-E430G(右)についての血漿濃度-時間プロファイルを表す。
図27】ヒトがん患者におけるIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの初回静脈内投与後の血漿濃度-時間プロファイル。グラフは、用量漸増コホート(0.3および3.0mg/kg)の15名の患者の初回i.v.投与後のIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gについての血漿濃度-時間プロファイルを表す。用量漸増コホート(0.3、1.0および3.0mg/kg)のIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gの初回i.v.投与後の平均血漿濃度-時間プロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な開示
本明細書において記載されるように、本発明は、固形腫瘍または血液悪性腫瘍などのがんの処置において使用するための、本明細書における任意の局面または態様において定義されるようなDR5特異的抗体(本明細書において「抗DR5 ab」または「DR5に結合する抗体」とも称される)に関する。特に、第1および第2の抗DR5抗体のための新たな投与レジメンが提供される。該投与レジメンは、がんを処置するための有効な治療レジメンを提供し、かつ、許容される耐容性および安全性プロファイルを有する。
【0015】
定義
「DR5」という用語は、本明細書において使用される場合、CD262およびTRAILR2としても知られている細胞死受容体5のことを指し、これは、3つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを有する、1回貫通I型膜タンパク質である。ヒトでは、SEQ ID NO:24に示されるDR5タンパク質をコードするアミノ酸配列は、核酸配列(UniProtKB-O14763 TR10B_HUMAN)によってコードされる。
【0016】
「免疫グロブリン」という用語は、本明細書において使用される場合、4つすべてがジスルフィド結合によって潜在的に相互接続された1対の低分子量軽(L)鎖および1対の重(H)鎖の2対のポリペプチド鎖からなる、構造的に関連する糖タンパク質の一クラスのことを指す。免疫グロブリンの構造は、十分に特徴付けられている。例えば、Fundamental Immunology Ch. 7(Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))を参照されたい。簡単に述べると、各重鎖(HC)は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略記される)および重鎖定常領域(CH)から構成される。IgG抗体の重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメインCH1、CH2およびCH3から構成される。重鎖は、いわゆる「ヒンジ領域」でジスルフィド結合を介して相互接続される。各軽鎖(LC)は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略記される)および軽鎖定常領域(CL)から構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCLから構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存されている領域によって隔てられた、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性の領域(または、配列が超可変であり得るおよび/または構造的に規定されたループの形態であり得る超可変領域)にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順に整列される3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196, 901 917 (1987)も参照のこと)。他に明記のない限りまたは文脈による反論がない限り、本発明におけるアミノ酸位置への言及は、EUナンバリング(Edelman et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1969 May;63(1):78-85; Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition. 1991 NIH Publication No. 91-3242)に従うものとする。
【0017】
「ヒンジ領域」という用語は、本明細書において使用される場合、免疫グロブリン重鎖のヒンジ領域のことを指すと意図される。したがって、例えば、ヒトIgG1抗体のヒンジ領域は、Euナンバリングによるアミノ酸216~230に対応する。
【0018】
「CH2領域」または「CH2ドメイン」という用語は、本明細書において使用される場合、免疫グロブリン重鎖のCH2領域のことを指すと意図される。したがって、例えば、ヒトIgG1抗体のCH2領域は、Euナンバリングによるアミノ酸231~340に対応する。しかしながら、CH2領域は、本明細書に記載されるような他のアイソタイプまたはアロタイプのいずれであってもよい。
【0019】
「CH3領域」または「CH3ドメイン」という用語は、本明細書において使用される場合、免疫グロブリン重鎖のCH3領域のことを指すと意図される。したがって、例えば、ヒトIgG1抗体のCH3領域は、Euナンバリングによるアミノ酸341~447に対応する。しかしながら、CH3領域は、本明細書に記載されるような他のアイソタイプまたはアロタイプのいずれであってもよい。
【0020】
本明細書において互換的に使用され得る「断片結晶化可能領域」、「Fc領域」、「Fc断片」または「Fcドメイン」という用語は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって整列された少なくともヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む、抗体領域のことを指す。IgG1抗体のFc領域は、例えば、パパインによるIgG1抗体の消化によって生成させることができる。抗体のFc領域は、免疫系の様々な細胞(エフェクター細胞など)および補体活性化の古典的経路における第1成分であるC1qなどの補体系の成分を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0021】
「Fab断片」という用語は、本発明の文脈において、重鎖および軽鎖の可変領域ならびに軽鎖の定常領域および免疫グロブリンの重鎖のCH1領域を含む、免疫グロブリン分子の断片のことを指す。「CH1領域」は、例えば、Euナンバリングによるアミノ酸118~215に対応するヒトIgG1抗体の領域のことを指す。したがって、Fab断片は、免疫グロブリンの結合領域を含む。
【0022】
「抗体」(Ab)という用語は、本発明の文脈において、抗原に特異的に結合する能力を有する、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の断片またはそのいずれかの誘導体のことを指す。本発明の抗体は、免疫グロブリンのFcドメインおよび抗原結合領域を含む。抗体は、一般に、2つのCH2-CH3領域および接続領域、例えば、ヒンジ領域、例えば少なくともFcドメインを含有する。したがって、本発明の抗体は、Fc領域および抗原結合領域を含み得る。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常または「Fc」領域は、免疫系の様々な細胞(エフェクター細胞など)および補体活性化の古典的経路における第1成分であるC1qなどの補体系の成分を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体または類似分子でもあり得る。「二重特異性抗体」という用語は、少なくとも2つの異なる、典型的には、重複しないエピトープに対して特異性を有する抗体のことを指す。そのようなエピトープは、同じまたは異なる標的上にあり得る。エピトープが異なる標的上にあるならば、そのような標的は、同じ細胞または異なる細胞または細胞タイプ上にあり得る。上で指摘したように、他に明記のない限りまたは文脈による明らかな反論がない限り、本明細書における抗体という用語は、Fc領域の少なくとも一部分を含みかつ抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の断片を含む。そのような断片は、酵素的切断、ペプチド合成および組換え発現技法などの任意の公知の技法によって提供され得る。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって果たされ得ることが示されている。「Ab」または「抗体」という用語の範囲内に包含される結合断片の例は、非限定的に、一価抗体(GenmabによるWO2007059782に記載);2つの重鎖のみからなり例えばラクダにおいて天然に存在する重鎖抗体(例えば、Hamers-Casterman (1993) Nature 363:446);ThioMabs(Roche, WO2011069104)、非対称かつ二重特異性の抗体様分子である鎖交換操作ドメイン(SEEDまたはSeedボディ)(Merck, WO2007110205);Triomab(Pharma/Fresenius Biotech, Lindhofer et al. 1995 J Immunol 155:219; WO2002020039);FcΔAdp(Regeneron, WO2010151792)、Azymetricスキャフォールド(Zymeworks/Merck, WO2012/058768)、mAb-Fv(Xencor, WO2011/028952)、Xmab(Xencor)、二重可変ドメイン免疫グロブリン(Abbott, DVD-Ig、米国特許第7,612,181号);二重ドメインダブルヘッド抗体(Unilever; Sanofi Aventis, WO20100226923)、ジ-ダイアボディ(ImClone/Eli Lilly)、ノブ-イントゥ-ホール抗体フォーマット(Genentech, WO9850431);DuoBody抗体(Genmab, WO 2011/131746);二重特異性IgG1およびIgG2(Pfizer/Rinat, WO11143545)、DuetMab(MedImmune, US2014/0348839)、静電ステアリング抗体フォーマット(Amgen, EP1870459およびWO 2009089004; Chugai, US201000155133; Oncomed, WO2010129304A2)、CrossMAbs(Roche, WO2011117329)、LUZ-Y(Genentech)、Biclonic(Merus, WO2013157953)、二重標的化ドメイン抗体(GSK/Domantis)、2つの標的を認識するツー-イン-ワン(Two-in-one)抗体または二重作用Fab(Genentech, NovImmune, Adimab)、架橋Mabs(Karmanos Cancer Center)、共有結合で融合されたmAbs(AIMM)、CovXボディ(CovX/Pfizer)、FynomAbs(Covagen/Janssen ilag)、DutaMab(Dutalys/Roche)、iMab(MedImmune)、IgG様二重特異性(ImClone/Eli Lilly, Shen, J., et al. J Immunol Methods, 2007. 318(1-2): p. 65-74)、TIGボディ、DIGボディおよびPIGボディ(Pharmabcine)、二重親和性再標的化分子(MacrogenicsによるFc-DARTまたはIg-DART、WO/2008/157379、WO/2010/080538)、BEAT(Glenmark)、Zybodies(Zyngenia)、共通軽鎖(Crucell/Merus、US7262028)または共通重鎖(??NovImmuneによるBodies、WO2012023053)を用いたアプローチ、ならびにFc領域を含有する抗体断片に融合されたポリペプチド配列を含む融合タンパク質、例えば、scFv融合体、例えば、ZymoGenetics/BMSによるBsAb、Biogen IdecによるHERCULES(US007951918)、Emergent BioSolutions/TrubionおよびZymogenetics/BMSによるSCORPIONS、Ts2Ab(MedImmune/AZ(Dimasi, N., et al. J Mol Biol, 2009. 393(3): p. 672-92)、Genetech/RocheによるscFv融合体、NovartisによるscFv融合体、ImmunomedicsによるscFv融合体、Changzhou Adam Biotech IncによるscFv融合体(CN 102250246)、RocheによるTvAb(WO 2012025525, WO 2012025530)、f-StarによるmAb2(WO2008/003116)、および二重scFv融合体、ならびに、例えば、ApogenixのHERA技術によるFc融合体、ナノボディ-Fc融合体(例えばINHIBRXから)、JN BiosciencesによるMultYmabおよびMultYbody、GliknikによるStradobodyおよびZyngeniaによるZybodiesを含む。また、抗体という用語は、他に規定のない限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(ヒトモノクローナル抗体など)、例えばSymphogen and Merus(Oligoclonics)によって開発された技術によって生成される抗体混合物(組換えポリクローナル)、WO2015/158867に記載されているような多量体Fcタンパク質、WO2014/031646に記載されているような融合タンパク質および抗体様ポリペプチド、例えばキメラ抗体およびヒト化抗体も含むと理解されるべきである。生成された抗体は、任意のアイソタイプを潜在的に保有することができる。
【0023】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体のことを指す。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロのランダムもしくは部位特異的変異誘発またはインビボの体細胞変異によって導入される変異、挿入または欠失)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、マウスなどの別の種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を含むことを意図していない。
【0024】
「キメラ抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、抗体操作の結果として両方の鎖タイプ、すなわち重鎖および軽鎖がキメラである、抗体のことを指す。キメラ鎖は、ヒト起源の定常領域に連結された外来可変ドメイン(非ヒト種から生じるか、または合成であるか、またはヒトを含む任意の種から操作された)を含有する鎖である。
【0025】
「ヒト化抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、ヒト抗体定常ドメインとヒト可変ドメインに対して高レベルの配列相同性を含有するように修飾された非ヒト可変ドメインとを含有する、遺伝子操作された非ヒト抗体のことを指す。これは、一緒に抗原結合部位を形成する6つの非ヒト抗体相補性決定領域(CDR)を相同ヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)上に移植することによって達成することができる(WO92/22653およびEP0629240を参照のこと)。親抗体の結合親和性および特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち、非ヒト抗体)由来のフレームワーク残基のヒトフレームワーク領域への置換(復帰変異)が必要とされ得る。構造相同性モデリングは、抗体の結合特性にとって重要なフレームワーク領域中のアミノ酸残基を特定するのに役立ち得る。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列、主として、非ヒトアミノ酸配列への1つまたは複数のアミノ酸復帰変異を任意で含むヒトフレームワーク領域、および完全ヒト定常領域を含み得る。任意で、好ましい特徴、例えば親和性および生化学的特性を有するヒト化抗体を得るために、必ずしも復帰変異でない追加のアミノ酸修飾を適用してもよい。
【0026】
「アイソタイプ」という用語は、本明細書において使用される場合、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリンクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA1、IgA2、IgE、またはIgM)のことを指す。標準的な抗体を産生するために、各重鎖アイソタイプは、カッパ(κ)またはラムダ(λ)のいずれかの軽鎖と組み合されるべきである。
【0027】
「アロタイプ」という用語は、本明細書において使用される場合、同じ種における1つのアイソタイプクラス内のアミノ酸変異のことを指す。抗体アイソタイプの優位なアロタイプは、民族個体間で変動する。重鎖のIgG1アイソタイプ内の公知のアロタイプ変異は、抗体フレームにおける4つのアミノ酸置換から生じる。一態様では 本発明の抗体は、SEQ ID NO:46に定義されるようなIgG1m(f)アロタイプのものである。本発明の一態様では、本発明の第1および第2の抗体は、少なくとも1つのアミノ酸置換が導入されているSEQ ID NO:46に定義されるようなIgG1m(f)アロタイプのものである。本発明の一態様では、本発明の第1および第2の抗体は、多くても5つのアミノ酸置換、例えば4つのアミノ酸置換、例えば3つのアミノ酸置換、例えば2つのアミノ酸置換が導入されているSEQ ID NO:46に定義されるようなIgG1m(f)アロタイプのものである。
【0028】
「モノクローナル抗体」、「モノクローナルAb」、「モノクローナル抗体組成物」、「mAb」などの用語は、本明細書において使用される場合、単一分子組成のAb分子の調製物のことを指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を呈する。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する、単一の結合特異性を呈するAbのことを指す。ヒトmAbは、機能的なヒト抗体を産生するように再整列されかつ不死化細胞に融合された、ヒト重鎖導入遺伝子レパートリーおよびヒト軽鎖導入遺伝子レパートリーを含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスなどのトランスジェニックまたはトランスクロモソーマル非ヒト動物から得られるB細胞を含むハイブリドーマによって生成され得る。あるいは、ヒトmAbは、組換えによって生成され得る。
【0029】
「完全長抗体」という用語は、本明細書において使用されるとき、そのクラスまたはアイソタイプの野生型抗体において通常見られるものに対応するすべての重鎖および軽鎖定常および可変ドメインを含有する抗体(例えば、親またはバリアント抗体)のことを指す。
【0030】
「オリゴマー」という用語は、本明細書において使用される場合、少なくとも原則的には限定されない数の単量体からなるポリマーと対比して、1つ超であるが限定された数の単量体単位(例えば、抗体)からなる分子のことを指す。例示的なオリゴマーは、二量体、三量体、四量体、五量体、および六量体である。オリゴマー中の単量体単位の数を指定するためにギリシャ語の接頭語が使用されることが多く、例えば、四量体は4つの単位から構成され、六量体は6つの単位から構成される。同様に、「オリゴマー化」という用語は、本明細書において使用される場合、分子を有限の重合度に変換するプロセスのことを指すと意図される。本明細書において、本発明による標的結合領域を含む抗体および/または他の二量体タンパク質は、例えば細胞表面での、標的結合後のFc領域の非共有結合を介して、六量体などのオリゴマーを形成することができることが認められる。
【0031】
「抗原結合領域」、「結合領域」または抗原結合ドメインという用語は、本明細書において使用される場合、抗原に結合可能である抗体の領域のことを指す。この結合領域は、典型的には、抗体のVHおよびVLドメインによって規定され、このVHおよびVLドメインは、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存されている領域によって隔てられた、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性の領域(または、配列が超可変であり得るおよび/または構造的に規定されたループの形態であり得る超可変領域)にさらに細分され得る。抗原は、例えば細胞、細菌もしくはビリオン上または溶液中に存在する、ポリペプチドなどの任意の分子であることができる。「抗原」および「標的」という用語は、文脈による反論がない限り、本発明の文脈において互換的に使用され得る。
【0032】
「標的」という用語は、本明細書において使用される場合、抗体の抗原結合領域が結合する分子のことを指す。標的は、産生された抗体が指向される任意の抗原を含む。「抗原」および「標的」という用語は、抗体との関連で互換的に使用され、本発明の任意の局面または態様に関して同じ意味および目的を構成し得る。
【0033】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合可能なタンパク質決定基のことを意味する。エピトープは、通常、アミノ酸、糖側鎖またはそれらの組み合わせなどの構成単位の表面基からなり、かつ、通常、特異的な三次元の構造的特徴および特異的な電荷的特徴を有する。立体構造エピトープと非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが後者への結合は失われないという点で区別される。エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基および結合に直接関与しない他のアミノ酸残基、例えば、特異的抗原結合ペプチドによって効果的にブロックされるアミノ酸残基(言い換えると、アミノ酸残基は、特異的抗原結合ペプチドのフットプリント内にある)を含み得る。
【0034】
「結合」という用語は、本明細書において使用される場合、所定の抗原または標的への抗体の、典型的には、約10-6 Mもしくはそれ未満、例えば10-7 Mもしくはそれ未満、例えば約10-8 Mもしくはそれ未満、例えば約10-9 Mもしくはそれ未満、約10-10 Mもしくはそれ未満、または約10-11 Mもしくはさらにそれ未満のKDに相当する結合親和性での結合のことを指す。結合親和性は、例えば、抗原をリガンドとしてかつ抗体を分析物として使用したまたはその逆の場合も同様に使用したBIAcore 3000装置での表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって判定され得、抗体は、所定の抗原に、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に結合するその親和性よりも少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、例えば少なくとも1,000倍低い、例えば少なくとも10,000倍低い、例えば少なくとも100,000倍低いKDに相当する親和性で結合する。親和性がより低い量は、抗体のKDに依存するので、抗体のKDが非常に低い(すなわち、抗体が非常に特異的である)とき、抗原に対する親和性が非特異的抗原に対する親和性よりも低い程度、少なくとも10,000倍であり得る。「KD」(M)という用語は、本明細書において使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数のことを指し、kdをkaで割ることによって得られる。
【0035】
「kd」(sec-1)という用語は、本明細書において使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数のことを指す。当該値は、koff値または解離速度(off-rate)とも称される。
【0036】
「ka」(M-1×sec-1)という用語は、本明細書において使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の結合速度定数のことを指す。当該値は、kon値または結合速度(on-rate)とも称される。
【0037】
「KA」(M-1)という用語は、本明細書において使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の結合平衡定数のことを指し、kaをkdで割ることによって得られる。
【0038】
本明細書において使用される場合、「親和性」という用語は、抗体の個々の抗原結合部位の抗原への一価結合などの、単一部位での、ある分子、例えば抗体の、別の分子、例えば標的または抗原への結合の強度である。
【0039】
本明細書において使用される場合、「アビディティー」という用語は、標的と同時に相互作用する抗体の複数の抗原結合部位の間などの、2つの構造間の複数の結合部位の複合強度のことを指す。1つ超の結合相互作用が存在する場合、2つの構造は、すべての結合部位が解離した場合にのみ解離するため、解離速度は個々の結合部位の場合よりも遅くなり、それによって個々の結合部位の結合の強度(親和性)と比べて高い有効全結合強度(アビディティー)をもたらすと考えられる。
【0040】
「六量体化増強変異」という用語は、本明細書において使用される場合、E430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置の変異のことを指すが、ただし、S440の変異は、Euナンバリングによる、ヒトIgG1中のS440YまたはS440Wであるとする。六量体化増強変異は、WO2013/004842;WO2014/108198に記載されているように、細胞表面標的に結合した隣接するIgG1抗体間のFc-Fc相互作用を強化し、その結果、標的が結合した抗体の六量体形成を増強させる一方で、抗体分子は溶液中で単量体状態のままである。
【0041】
「アポトーシス」という用語は、本明細書において使用される場合、細胞内で起こり得るプログラム細胞死(PCD)のプロセスのことを指す。生化学的事象は、特徴的な細胞変化(形態学)および死を導く。これらの変化は、小疱形成、細胞収縮、ホスファチジルセリン曝露、ミトコンドリア機能の喪失、核断片化、クロマチン凝縮、カスパーゼ活性化、および染色体DNA断片化を含む。特定の態様では、1つまたは複数のアゴニスト抗DR5抗体によるアポトーシスは、カスパーゼ-3/7活性化アッセイまたはホスファチジルセリン曝露を使用することによって判定され得る。例えば1μg/mLの一定濃度の抗DR5抗体を接着細胞に加え、1~24時間インキュベートしてもよい。カスパーゼ-3/7活性化は、BD PharmingenのPE活性カスパーゼ-3アポトーシスキット(カタログ番号550914)またはPromegaのカスパーゼ-Glo 3/7アッセイ(カタログ番号G8091)など、この目的のための特別なキットを使用することによって判定することができる。ホスファチジルセリン曝露および細胞死は、BD Pharmingen製のFITCアネキシンVアポトーシス検出キットI(カタログ番号556547)など、この目的のための特別なキットを使用することによって判定することができる。
【0042】
「プログラム細胞死」または「PCD」という用語は、本明細書において使用される場合、細胞内シグナル伝達によって媒介される任意の形態の細胞死、例えばアポトーシス、オートファジーまたはネクロトーシスのことを指す。
【0043】
「アネキシンV」という用語は、本明細書において使用される場合、細胞表面上のホスファチジルセリン(PS)に結合するアネキシン群の一タンパク質のことを指す。
【0044】
「カスパーゼ活性化」という用語は、本明細書において使用される場合、誘導型カスパーゼによるエフェクターカスパーゼの不活性プロ型の切断のことを指し、これによってエフェクターカスパーゼへの変換が起こり、今度はこれが、細胞内のタンパク質基質を切断してアポトーシスを引き起こす。
【0045】
「カスパーゼ依存的プログラム細胞死」という用語は、本明細書において使用される場合、カスパーゼによって媒介される任意の形態のプログラム細胞死のことを指す。特定の態様では、1つまたは複数のアゴニスト抗DR5抗体によるカスパーゼ依存的プログラム細胞死は、pan-カスパーゼ阻害剤Z-Val-Ala-DL-Asp-フルオロメチルケトン(Z-VAD-FMK)の存在下または非存在下での細胞培養物の生存率を比較することによって判定され得る。Pan-カスパーゼ阻害剤Z-VAD-FMK(終濃度5μM)が細胞に加えられ、37℃で1時間インキュベートされ得る。次に、抗体濃度希釈系列(例として、例えば20,000ng/mLから始めて5倍希釈で終濃度0.05ng/mLまで)が加えられ、37℃で3日間インキュベートされ得る。細胞生存率は、PromegaのCellTiter-Glo発光細胞生存アッセイ(カタログ番号G7571)など、この目的のための特別なキットを使用して定量することができる。
【0046】
「細胞生存率」という用語は、本明細書において使用される場合、代謝的に活性な細胞の存在のことを指す。特定の態様では、1つまたは複数のアゴニスト抗DR5抗体とのインキュベーション後の細胞生存率は、細胞中に存在するATPを定量することによって判定することができる。抗体濃度希釈系列(例として、例えば20,000ng/mLから始めて5倍希釈で終濃度0.05ng/mLまで)が細胞に加えられ、培地が陰性対照として使用され、5μMのスタウロスポリンが細胞死の誘導のための陽性対照として使用され得る。3日間のインキュベーション後、PromegaのCellTiter-Glo発光細胞生存アッセイ(カタログ番号G7571)またはPerkin ElmerのATPlite 1step発光アッセイシステム(カタログ番号6016739)など、この目的のための特別なキットを使用して細胞生存率が定量され得る。生存細胞の割合は、以下の式を使用して算出することができる:生存細胞%=[(抗体試料の発光-スタウロスポリン試料の発光)/(抗体なし試料の発光-スタウロスポリン試料の発光)]*100。
【0047】
本明細書において互換的に使用され得る「DR5に結合する抗体」、「抗DR5抗体」、「DR5結合抗体」、「DR5特異的抗体」、「DR5抗体」、「DR5に結合する1つの抗体」または「DR5に結合する複数の抗体」という用語は、DR5の細胞外部分のエピトープに結合する任意の抗体のことを指す。
【0048】
「アゴニスト」という用語は、本明細書において使用される場合、DR5に結合したときに細胞において応答を引き起こすことができる抗DR5抗体などの分子のことを指し、ここで、応答は、プログラム細胞死であり得る。抗DR5抗体がアゴニストであるということは、抗DR5抗体がDR5に結合した結果として、該抗体が、DR5を刺激、活性化またはクラスター化することと理解されるべきである。DR5に結合した本発明によるFc領域にアミノ酸変異を含むアゴニスト抗DR5抗体は、DR5に結合したTRAILと同じ細胞内シグナル伝達経路のDR5刺激、クラスター化または活性化をもたらす。
【0049】
特定の態様では、1つまたは複数の抗体のアゴニスト活性は、標的細胞を抗体濃度希釈系列(例えば、20,000ng/mLから5倍希釈で終濃度0.05ng/mLまで)と3日間インキュベートすることによって判定することができる。抗体は、細胞を播種するときに直接加えてもよく、あるいは、抗体試料を加える前に細胞をまず37℃で4時間インキュベートする。アゴニスト活性、すなわち、アゴニスト効果は、PromegaのCellTiter-Glo発光細胞生存アッセイ(カタログ番号G7571)またはPerkin ElmerのATPlite 1step発光アッセイシステム(カタログ番号6016739)など、この目的のための特別なキットを使用して生存細胞の量を測定することによって定量することができる。
【0050】
「DR5陽性」および「DR5発現」という用語は、本明細書において使用される場合、例えばフローサイトメトリーまたは免疫組織化学で測定できるDR5特異的抗体の結合を示す組織または細胞のことを指す。
【0051】
本発明の「バリアント」または「抗体バリアント」は、「親」抗体と比較して1つまたは複数の変異を含む抗体分子である。例示的な親抗体フォーマットは、非限定的に、野生型抗体、完全長抗体またはFc含有抗体断片、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0052】
「アミノ酸置換」という用語は、いずれか1個もしくは他の19個の天然アミノ酸への、または非天然アミノ酸などの他のアミノ酸への置換を包含する。例えば、アミノ酸は、別の保存的または非保存的アミノ酸へ置換され得る。アミノ酸残基はまた、代替的な物理的および機能的特性によって定義されるクラスに細分され得る。
【0053】
保存的置換のためのアミノ酸残基クラス
【0054】
代替的な保存的アミノ酸残基置換クラス
【0055】
アミノ酸残基の代替的な物理的および機能的分類
【0056】
本発明の文脈において、バリアントにおける置換は、以下のように示される。
元のアミノ酸-位置-置換アミノ酸
【0057】
アミノ酸残基を表示するために、XaaおよびX表記を含む3文字表記または1文字表記が使用される。したがって、「E345R」または「Glu345Arg」という記法は、バリアントが、親抗体の345位のアミノ酸に対応するバリアントアミノ酸位置にグルタミン酸のアルギニンとの置換を含むことを意味する。
【0058】
抗体にそのような位置が存在しないが、バリアントがアミノ酸の挿入を含む場合、例えば、位置-挿入されたアミノ酸;記法、例えば、「448E」が使用される。そのような記法は、一連の相同ポリペプチドまたは抗体における修飾に関して特に関連する。
【0059】
元のアミノ酸および/または置換されたアミノ酸がすべてではないが1つ超のアミノ酸を含み得る修飾、例えば、345位におけるグルタミン酸のアルギニン、リシンまたはトリプトファンへの置換について、本発明の文脈において「Glu345Arg,Lys,Trp」または「E345R,K,W」または「E345R/K/W」または「E345からR、KまたはW」が互換的に使用され得る。さらに、「置換」という用語は、他の19個の天然アミノ酸のいずれか1つへの、または非天然アミノ酸などの他のアミノ酸への置換を包含する。例えば、345位におけるアミノ酸Eの置換は、以下の置換の各々を含む:345A、345C、345D、345G、345H、345F、345I、345K、345L、345M、345N、345Q、345R、345S、345T、345V、345W、および345Y。これは、ちなみに、345Xという指定と等価であり、ここで、Xは任意のアミノ酸を指定する。これらの置換は、E345A、E345Cなど、またはE345A,Cなど、またはE345A/C/などと指定することもできる。同じことが、本明細書において言及されるありとあらゆる位置に対して適用され、本明細書においてそのような置換のいずれか1つが具体的に含まれる。
【0060】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277)、好ましくはバージョン5.0.0またはそれ以降のNeedleプログラムで実施されるようなNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使用して判定される。使用されるパラメーターは、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」とラベル付けされたNeedleの出力(-nobriefオプションを使用して取得される)は、同一性%として使用され、以下のとおり算出される:(同一残基×100)/(アラインメントの長さ-アラインメントにおけるギャップの総数)。
【0061】
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et a/., 2000、上記)、好ましくはバージョン5.0.0またはそれ以降のNeedleプログラムで実施されるようなNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970、上記)を使用して判定される。使用されるパラメーターは、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、およびEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」とラベル付けされたNeedleの出力(-nobriefオプションを使用して取得される)は、同一性%として使用され、以下のとおり算出される:(同一デオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ-アラインメントにおけるギャップの総数)。
【0062】
CDRバリアントの配列は、親抗体配列のCDRの配列と、主に保存的、物理的または機能的アミノ酸置換を通じて、抗体結合領域の6つのCDR配列全体で合計、多くても5つの保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される変異または置換、例えば、抗体結合領域の6つのCDR配列全体で合計、多くても4つの保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される変異または置換、例えば、多くても3つの保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される変異または置換、例えば、多くても2つの保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される変異または置換、例えば、多くても1つの保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される変異または置換が異なり得る。保存的、物理的または機能的アミノ酸は、見いだされている20個の天然アミノ酸、すなわち、Arg(R)、His(H)、Lys(K)、Asp(D)、Glu(E)、Ser(S)、Thr(T)、Asn(N)、Gln(Q)、Cys(C)、Gly(G)、Pro(P)、Ala(A)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、Phe(F)、Trp(W)、Tyr(Y)、およびVal(V)から選択される。
【0063】
CDRバリアントの配列は、親抗体配列のCDRの配列と、主に保存的、物理的または機能的アミノ酸置換を通じて異なり得る;例えば、バリアントにおける置換の少なくとも約75%、約80%またはそれ以上、約85%またはそれ以上、約90%またはそれ以上、約95%またはそれ以上(例えば、約75~99%、例えば約92%、93%または94%)が保存的、物理的または機能的アミノ酸残基置換から選択される変異または置換である。保存的、物理的または機能的アミノ酸は、見いだされている20個の天然アミノ酸、すなわち、Arg(R)、His(H)、Lys(K)、Asp(D)、Glu(E)、Ser(S)、Thr(T)、Asn(N)、Gln(Q)、Cys(C)、Gly(G)、Pro(P)、Ala(A)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、Phe(F)、Trp(W)、Tyr(Y)、およびVal(V)から選択される。
【0064】
別の配列中のアミノ酸またはセグメントに「対応する」1つの配列中のアミノ酸またはセグメントは、ALIGN、ClustalWまたは類似のものなどの標準的な配列アラインメントプログラムを、典型的にはデフォルト設定で使用して他のアミノ酸またはセグメントとアラインするものである。よって、標準的な配列アラインメントプログラムを使用して、例えば免疫グロブリン配列中のどのアミノ酸が、例えばヒトIgG1中の特定のアミノ酸に対応するかを特定することができる。さらに、標準的な配列アラインメントプログラムを使用して、配列同一性、例えば、少なくとも80%、または85%、90%、または少なくとも95%のSEQ ID NO:46に対する配列同一性を特定することができる。
【0065】
「ベクター」という用語は、本明細書において使用される場合、ベクターにライゲーションされた核酸セグメントの転写を誘導可能な核酸分子のことを指す。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、これは、環状の二本鎖DNAループの形態である。ベクターの別のタイプは、ウイルスベクターであり、ここでは、核酸セグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、これらが導入される宿主細胞において自律複製可能である(例えば、細菌の複製起源を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(非エピソーム哺乳動物ベクターなど)を、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込んでもよく、それによって、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、これらが機能的に連結されている遺伝子の発現を指令可能である。そのようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態のものである。プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に使用され得る。しかしながら、本発明は、等価な機能を果たすウイルスベクター(複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなど)などの、他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。
【0066】
「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、本明細書において使用される場合、発現ベクターが導入されている細胞のことを指すと意図される。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫のことも指すと意図されるものと理解されるべきである。変異または環境影響のいずれかが原因で後に続く世代で何らかの改変が起こる場合があるため、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一でない可能性があるが、それでも本明細書において使用される「宿主細胞」という用語の範囲に含まれる。組換え宿主細胞には、例えば、CHO-S細胞、HEK-293F細胞、Expi293F細胞、PER.C6、NS0細胞およびリンパ球細胞などのトランスフェクトーマ、ならびに大腸菌(E. coli)などの原核細胞、さらには植物細胞および真菌などの他の真核生物宿主も、大腸菌などの原核細胞と同じく含まれる。
【0067】
本明細書において使用される場合、薬物の「誘導体」は、直接的な化学反応によって薬物から誘導されるかまたは誘導可能な化合物である。本明細書において使用される場合、薬物の「類似体」または「構造類似体」は、その薬物と類似の構造および/または作用機序を有するが少なくとも1つの構造要素が異なる化合物である。このように、親薬物の「治療上活性な」類似体または誘導体は、親薬物と比較して類似のまたは改善された治療有効性を有し得るが、例えば、安定性、溶解性、毒性などの1つまたは複数が異なり得る。
【0068】
「処置」は、本明細書に記載されるような治療上活性な化合物の有効量を、対象に、対象の症状または疾患状態を緩和する、改善する、抑止するまたは根絶する(治癒する)目的で投与することを指す。
【0069】
本明細書において使用される場合、「維持療法」は、がんの進行または再発を回避または遅延させる目的の治療法のことを意味する。典型的には、がんが初期処置後に完全寛解の状態にある場合、維持療法を使用して、がんの再発を回避または遅延させることができる。がんが初期処置後も進行して完全寛解が達成されない場合、維持療法を使用して、がんの成長を遅らせる、例えば、患者の寿命を延長させることができる。
【0070】
本明細書において使用される場合、「対象」という用語は、典型的には、DR5に結合する第1および第2の抗体が投与されるヒトであり、例えば、DR5発現がん細胞の殺傷によって直接的または間接的に処置され得るがんを有すると診断されたヒト患者を含む。
【0071】
「有効量」または「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するために、必要な投与量および期間で有効な量のことを指す。第1および第2の抗DR5抗体の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに第1および第2の抗DR5抗体が個体において所望の応答を誘発する能力などの要因に応じて変動し得る。治療有効量はまた、治療上有益な効果が、第1および第2の抗DR5のあらゆる毒性または有害作用を上回る量でもある。
【0072】
「サイクル」または「処置のサイクル」という用語は、定期的に繰り返される処置の期間とそれに続く休止の期間(処置なし)のことを言い表す。例えば、1日目に与えられる処置とそれに続く13日の休止は、14日の1つの処置サイクルである。このサイクルが定期的に複数回繰り返される場合に、1つの処置コースを構成する。一態様では、処置は、14日サイクルの1日目に投与される。一態様では、処置は、14日サイクルの1日目および8日目に投与される。
【0073】
「Ctrough」という用語は、投与間隔の最終時点での薬物血清濃度のことを言い表す。したがって、Ctroughは、次の用量が投与される前に薬物が達する最低濃度である。
【0074】
「治療指数」(TI)という用語は、標的となる適応症と両立しない発生率/重症度で有害作用を引き起こす薬物の用量(例えば、対象の50%で毒性の用量、TD50)と所望の薬理効果に導く用量(例えば、対象の50%で有効な用量、ED50)との比のことを言い表す。
【0075】
本明細書において使用される場合、「耐性」、「処置耐性」、または「難治性」のがん、腫瘍などは、治療用物質による処置に処置の開始から応答しなかった(本明細書において「自然耐性」と称される)または治療用物質による処置に初期は応答したが処置の一定期間後に治療用物質に非応答性もしくはより低い応答性となった(本明細書において「獲得耐性」と称される)結果として病勢進行をもたらす、対象のがんまたは腫瘍のことを意味する。固形腫瘍について、また、疾患の初期安定化は、初期応答を表す。他の耐性の指標は、治療用物質による処置にもかかわらず、がんの再発、腫瘍量の増加、新たに特定された転移などを含む。腫瘍またはがんが治療用物質に耐性になるかその傾向が高いかどうかは、当業者が判定することができる。例えば、全米総合がん情報ネットワーク(NCCN、www.nccn.org)および欧州臨床腫瘍学会(ESMO、www.esmo.org/Guidelines)は、特定のがんが処置に応答するかどうかを評価するためのガイドラインを提供している。
【0076】
発明の具体的な態様
上で説明したとおり、本発明は、DR5に結合する第1の抗体およびDR5に結合する第2の抗体を含む併用処置であって、投与レジメンがより短い期間内で効果的な薬物曝露に達するように改善されて隔週投与レジメンと比較してより有効な処置を提供する、併用処置を対象とする。
【0077】
一局面では、本発明は、対象における固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する方法であって、その必要のある対象に、DR5に結合する第1の抗体およびDR5に結合する第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含み、第1の抗体および第2の抗体が、i)最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に(強化);またはii)1回目の14日サイクルの1日目および8日目に(プライミング);またはiii)14日サイクルの1日目に(プライミング);またはiv)1回目および2回目の14日サイクルの1日目に(プライミング)投与され;その後14日サイクルの1日目に投与される、方法に関する。したがって、本発明は、対象における固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する方法であって、DR5に結合する第1および第2の抗体が、対象に、強化レジメン(最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に)に基づいて投与される、方法を提供し、これは、より高い投与前Ctrough値および改善された治療指数を可能にし、それによって処置継続期間の過程でCtroughが終始維持されることが可能となり;引き続いての用量では、対象は、その後、第1および第2の抗体が14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)投与レジメンに基づいて、DR5に結合する第1および第2の抗体による処置を継続し得る。本発明はまた、対象における固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する方法であって、DR5に結合する第1および第2の抗体が1回目の14日サイクルの1日目および8日目に投与され、投与される用量がプライミング用量である、方法を提供し、これは、治療に対する対象の脱感作を可能にし、より高用量の処置の潜在毒性を低減させ得、対象は、その後、第1および第2の抗体が14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)投与レジメンに基づいて、DR5に結合する第1および第2の抗体による処置を継続し得る。本発明はまた、対象における固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する方法であって、DR5に結合する第1および第2の抗体が14日サイクルの1日目に投与され、投与される用量がプライミング用量である、方法を提供し、これは、薬物曝露の段階的増大を可能にし、より高用量の投与で生じ得る認識される毒性の発生率および重症度を低減させ得る。したがって、その後の処置サイクルで投与される用量よりも低用量であるプライミング用量の投与は、薬物耐容性を改善し得る。対象は、薬品、すなわち、DR5に結合する第1および第2の抗体が14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)隔週投与レジメンに基づいて、処置を継続し得る。
【0078】
好ましい抗DR5抗体は、以下の局面および態様において述べられるDR5結合特性、可変もしくは超可変配列、または結合および配列特性の組み合わせによって特徴付けられる。最も好ましいのは、表2に記載のVH領域およびVL領域CDR、VHおよび/またはVL配列を含む、特定の抗DR5抗体であり、特に興味深いのは、抗体DR5-01および抗体DR5-05からなる群より選択される抗体ならびに/またはそれらのいずれかのバリアントと1つまたは複数のDR5結合特性またはCDR、VHおよび/またはVL配列を共有する抗体である。
【0079】
一態様では、抗DR5抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、ここで、VH領域およびVL領域は、以下からなる群より選択されるCDR配列を含む:
(a)それぞれSEQ ID NO:1、8、および3であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびにそれぞれSEQ ID NO:5、FAS、およびSEQ ID NO:6であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域[DR5-01-G56T];
(b)それぞれSEQ ID NO:1、2、および3であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびにそれぞれSEQ ID NO:5、FAS、およびSEQ ID NO:6であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域[DR5-01];
(c)それぞれSEQ ID NO:10、2、および11であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域、ならびにそれぞれSEQ ID NO:13、RTS、およびSEQ ID NO:14であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域[DR5-05];
(d)それぞれSEQ ID NO:16、17、および18であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびにそれぞれSEQ ID NO:21、GAS、およびSEQ ID NO:22であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域[cona];
(e)(a)~(d)で定義された該抗体のいずれかのバリアントであって、好ましくは、6つのCDR配列全体で多くても1個、2個または3個のアミノ酸修飾、より好ましくはアミノ酸置換、例えば、保存的アミノ酸置換を有する、バリアント。したがって、一態様では、第1および第2の抗体は、(a)~(d)に記載されるような抗体から選択され得るが、この場合、第1および第2の抗体は同じではない。
【0080】
一態様では、DR5に結合する第1または第2の抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、ここで、VH領域は、それぞれSEQ ID NO:1、8、および3であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ、VL領域は、それぞれSEQ ID NO:5、FAS、およびSEQ ID NO:6であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0081】
一態様では、DR5に結合する第1の抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、ここで、VH領域は、それぞれSEQ ID NO:1、2、および3であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ、VL領域は、それぞれSEQ ID NO:5、FAS、およびSEQ ID NO:6であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0082】
一態様では、DR5に結合する第1または第2の抗体は、可変重鎖領域および可変軽鎖領域を含み、ここで、可変重鎖領域は、それぞれSEQ ID NO:10、2、および11であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ、可変軽鎖領域は、それぞれSEQ ID NO:13、RTS、およびSEQ ID NO:14であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0083】
一態様では、DR5に結合する第2の抗体は、可変重鎖領域および可変軽鎖領域を含み、ここで、可変重鎖領域は、それぞれSEQ ID NO:16、17、および18であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み;かつ、可変軽鎖領域は、それぞれSEQ ID NO:21、GAS、およびSEQ ID NO:22であるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0084】
本発明の一態様では、DR5に結合する第1または第2の抗体は、以下からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む:
(a)SEQ ID NO:9を含むVH領域およびSEQ ID NO:7を含むVL領域[DR5-01-G56T];
(b)SEQ ID NO:4を含むVH領域およびSEQ ID NO:7を含むVL領域[DR5-01];ならびに
(c)SEQ ID NO:12を含むVH領域およびSEQ ID NO:15を含むVL領域[DR5-05]。
【0085】
本発明の好ましい一態様では、DR5に結合する第1の抗体は、それぞれSEQ ID NO:1、8、および3に示されるVH領域CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列;ならびにそれぞれSEQ ID NO:5、FAS、およびSEQ ID NO:6に示されるVL領域CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を有する抗体[DR5-01-G56T]であり、DR5に結合する第2の抗体は、それぞれSEQ ID NO:10、2、および11に示されるVH領域CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列;ならびにそれぞれSEQ ID NO:13、RTS、およびSEQ ID NO:14に示されるVL領域CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を有する抗体[DR5-05]である。例えば、DR5に結合する第1の抗体は、SEQ ID NO:9を含むVH領域およびSEQ ID NO:7を含むVL領域を含み得る[DR5-01-G56T];DR5に結合する第2の抗体は、SEQ ID NO:12を含むVH領域およびSEQ ID NO:15を含むVL領域を含み得る[DR5-05]。
【0086】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体は、DR5上の異なるエピトープに結合する。これによって、抗体がDR5に結合するために異なるエピトープに結合するかまたはDR5配列(SEQ ID NO:24)内に異なるアミノ酸を必要とする態様が提供される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体は、DR5上の重複していないエピトープに結合する。すなわち、本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体は、DR5への結合に競合せず、したがって、第1および第2の抗体は、DR5に同時に結合し得る。
【0087】
本発明の好ましい態様では、抗体は、完全長抗体である。抗体は、例えば、IgG1,κなどの完全ヒトモノクローナルIgG1抗体であり得る。一態様では、抗体は、完全長抗体である。
【0088】
本発明の一態様では、DR5に結合する抗体は、ヒトIgG1のFc領域を含み、ここで、Fc領域は、抗体間のFc-Fc相互作用を増強する変異を含む。Fc-Fc相互作用を増強することが示されている変異は、EuナンバリングによるヒトIgG1におけるE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置での変異であるが、ただし、S440の変異はS440YまたはS440Wであるとする。Fc-Fc相互作用を増強する変異はまた、そのようなFc-Fc増強変異を含む抗体が細胞表面上の標的に結合したら、そのような抗体の六量体化を増強することも判明している。
【0089】
本発明の一態様では、DR5に結合する抗体は、ヒトIgG1のFc領域を含み、ここで、Fc領域は、E430に対応するアミノ酸位置での変異を含む。一態様では、DR5に結合する抗体は、ヒトIgG1のFc領域を含み、ここで、Fc領域は、E345に対応するアミノ酸位置での変異を含む。一態様では、DR5に結合する抗体は、ヒトIgG1のFc領域を含み、ここで、Fc領域は、S440YまたはS440Wの変異を含む。
【0090】
本発明の一態様では、第1および/または第2の抗体は、EuナンバリングによるヒトIgG1におけるE430に対応するアミノ酸位置での変異を含み、変異は、E430G、E430S、E430FおよびE430Tからなる群より選択される。
【0091】
本発明の一態様では、第1および/または第2の抗体は、EUナンバリングによるヒトIgG1におけるE345に対応するアミノ酸位置での変異を含み、変異は、E345K、E345Q、E345RおよびE345Yからなる群より選択される。
【0092】
本発明の一態様では、第1および/または第2の抗体は、EuナンバリングによるヒトIgG1におけるS440YまたはS440Wに対応する変異を含む。
【0093】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体は、ヒトIgG1のFc領域を含み、ここで、Fc領域は、ヒトIgG1におけるE430G変異を含み、アミノ酸位置は、Euナンバリングによる。
【0094】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、SEQ ID NO:30に示される重鎖を含む。本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、SEQ ID NO:32に示される重鎖を含む。
【0095】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、SEQ ID NO:47に示される重鎖を含む。本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、SEQ ID NO:48に示される重鎖を含む。
【0096】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、SEQ ID NO:27に示される軽鎖を含む。本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、SEQ ID NO:35に示される軽鎖を含む。
【0097】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、それぞれSEQ ID NO:30および27に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0098】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、それぞれSEQ ID NO:47および27に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0099】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、それぞれSEQ ID NO:32および35に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0100】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体は、それぞれSEQ ID NO:48および35に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0101】
本発明の一態様では、第1の抗体は、それぞれSEQ ID NO:30および27に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0102】
本発明の一態様では、第1の抗体は、それぞれSEQ ID NO:47および27に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0103】
本発明の一態様では、第2の抗体は、それぞれSEQ ID NO:32および35に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0104】
本発明の一態様では、第2の抗体は、それぞれSEQ ID NO:48および35に示されるような重鎖および軽鎖を含む。
【0105】
治療適用
本発明は、本明細書に記載されるようなDR5に結合する第1および第2の抗体を投与することによる、対象における固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する方法を提供する。
【0106】
本発明は、対象にDR5に結合する第1および第2の抗体が投与される態様であって、第1および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、i)最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に;またはii)1回目の14日サイクルの1日目および8日目に(プライミング);またはiii)1回目の14日サイクルの1日目に(プライミング)もしくはiii)1回目および2回目の14日サイクルの1日目に(プライミング)投与され;その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)、態様を含む。より安定なCtrough値および改善された治療指数の確立を可能にするi)による初期投与計画に続いて、対象は、隔週投与計画(Q2W)に基づいて投与される処置を受け得、治療に対する対象の脱感作を可能にしかつより高用量の処置の潜在毒性を低減させ得るii)、iii)、またはiv)による初期投与計画に続いて、対象は、隔週投与量に基づいて投与される処置を受け得る。プライミング用量を投与する効果は、DR5に結合する第1および第2の抗体の投与によって引き起こされる潜在的なトランスアミナーゼ上昇を軽減し得る。したがって、プライミング用量を投与することは、第1および第2の抗体によるトランスアミナーゼレベルの誘導を低減、防止または減少させ得る、例えば、アラニントランスアミナーゼ(ALT)またはアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の誘導を低減、防止または減少させ得る。
【0107】
一態様では、ii)~iv)に従って投与されるプライミング用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.05mg/kg~0.15mg/kgの範囲にある。一態様では、第1および第2の抗体の組み合わせプライミング用量は、0.1mg/kg~0.3mg/kgの範囲にある。好ましい態様では、第1および第2の抗体の組み合わせプライミング用量は、0.1mg/kgである。
【0108】
プライミング用量に続いて投与される処置用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.15mg/kg~9mg/kgの範囲にある。一態様では、第1のまたは第1および第2のプライミング用量に続いて、対象に、隔週計画で処置用量が投与され、処置用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.15mg/kg~9mg/kgの範囲にある。一態様では、第1のまたは第1および第2のプライミング用量に続いて、対象に、隔週計画で処置用量が投与され、処置用量は、第1および第2の抗体の組み合わせ用量で0.3mg/kg~18mg/kgの範囲にある。好ましい態様では、組み合わされた第1および第2の抗体の処置用量は、0.3mg/kg~6mg/kgの範囲にある。より好ましい態様では、組み合わされた第1および第2の抗体の処置用量は、0.3mg/kg~3mg/kgの範囲にある。
【0109】
本発明の投与レジメンに従って処置されるべき対象は、典型的には、DR5に結合する第1および第2の抗体の投与から恩恵を受けると期待される対象である。別個のかつ具体的な例示的な態様では、本発明の投与レジメンに従って処置されるべき対象は、以下から選択される:
- 固形腫瘍またはがんと診断されている対象、
- 血液悪性腫瘍と診断されている対象、
- DR5を発現する腫瘍またはがんを有すると疑われる対象、または
- ある特定の治療用物質に耐性であるかまたは耐性になる傾向が高いがんと診断された対象。
【0110】
例えば、DR5を発現するがんは、DR5を発現する固形腫瘍であり得るか、またはDR5を発現する血液がんであり得る。
【0111】
いくつかの態様では、がんは、DR5を発現する固形腫瘍を含み、非小細胞肺がん(NSCLC)および肺扁平上皮がんなどの肺がん;卵巣がん、子宮内膜がんまたは子宮頚部がんなどの婦人科がん;甲状腺がん;黒色腫、例えば、悪性黒色腫などの皮膚がん;大腸がん腫および大腸腺がんなどの大腸がん;膀胱がん;軟骨肉腫などの骨がん;トリプルネガティブ乳がん(TNBC)などの乳がん;膠芽腫、星細胞腫および神経芽腫などの中枢神経系のがん;結合組織がん;線維芽細胞がん;胃がん腫などの胃がん;頭頸部がん;腎臓がん;肝細胞がんなどの肝臓がん;筋肉がん;神経組織がん;膵管がんおよび膵腺がんなどの膵臓がん;ならびに軟部組織肉腫などの肉腫からなる群より選択される。一態様では、がんは、黒色腫である。一態様では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)などの肺がんである。一態様では、がんは、肉腫、例えば、未分化型多形肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫および軟骨肉腫からなる群より選択される肉腫である。一態様では、がんは、卵巣がんである。一態様では、がんは、子宮内膜がんである。一態様では、固形がんは、子宮頚部がんである。一態様では、がんは、甲状腺がんである。一態様では、固形がんは、大腸がんである。
【0112】
本発明による第1および第2の抗体の細胞傷害能のインビトロ分析から、本発明による抗体が、多種多様な固形腫瘍細胞株において細胞傷害活性を示すことが示された(実施例7、実施例8)。本発明の好ましい態様では、固形腫瘍は、大腸がん(CRC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、腎細胞がん(RCC)、胃がん、膵臓がん、尿路上皮がん、黒色腫、脳腫瘍、卵巣がん、肝臓がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、および肺中皮腫からなる群より選択される。一態様では、固形腫瘍は、大腸がん(CRC)である。一態様では、固形腫瘍は、非小細胞肺がん(NSCLC)である。一態様では、固形腫瘍は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である。一態様では、固形腫瘍は、腎細胞がん(RCC)である。一態様では、固形腫瘍は、胃がんである。一態様では、固形腫瘍は、膵臓がんである。一態様では、固形腫瘍は、尿路上皮がんである。
【0113】
いくつかの態様では、DR5発現腫瘍は、血液悪性腫瘍である。一態様では、血液悪性腫瘍は、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)ならびに骨髄性白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および濾胞性リンパ腫(FL)、または多発性骨髄腫(MM)、ホジキンリンパ腫、または骨髄異形成症候群からなる群より選択される。
【0114】
一態様では、血液悪性腫瘍は、白血病である。一態様では、血液悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。一態様では、血液悪性腫瘍は、骨髄性白血病である。一態様では、血液悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)である。一態様では、血液悪性腫瘍は、慢性骨髄性白血病である。一態様では、血液悪性腫瘍は、リンパ腫である。一態様では、血液悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。一態様では、血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫(MM)である。一態様では、血液悪性腫瘍は、ホジキンリンパ腫である。一態様では、血液悪性腫瘍は、骨髄異形成症候群である。
【0115】
本発明による第1および第2の抗体の細胞傷害能のインビトロ分析から、本発明による抗体が、多種多様な血液学的細胞株において細胞傷害活性を示すことが示された(実施例9)。本発明の好ましい態様では、血液悪性腫瘍は、AML、DLBCL、FL、MM、およびMCLからなる群より選択される。
【0116】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、同時に、別々に、または連続的に投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、同時に投与される。すなわち、第1および第2の抗体は、別々に保存してもよいが、第1および第2の抗体が同時にされ得るように投与の前に一緒に混合して単一溶液にしてもよい。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、別々に投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、連続的に投与される。すなわち、第1の抗体を対象にまず投与し、その後、第2の抗体の投与を行ってもよい。あるいは、第2の抗体を対象にまず投与し、その後、第1の抗体の投与を行ってもよい。
【0117】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、静脈内注入によって投与される。
【0118】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、静脈内注入によって投与される。
【0119】
プロトコール
一局面では、本発明は、本明細書に記載されるような固形腫瘍または血液悪性腫瘍を有する対象を処置する方法であって、第1および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が特定の頻度で投与される、方法を提供する。
【0120】
本発明は、対象にDR5に結合する第1および第2の抗体が投与される態様であって、第1および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩が、i)最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に;またはii)1回目の14日サイクルの1日目および8日目に(プライミング);またはiii)1回目の14日サイクルの1日目に(プライミング);またはiv)1回目および2回目の14日サイクルの1日目に(プライミング)投与され;その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)、態様を含む。したがって、より安定なCtrough値および改善された治療指数の確立を可能にするi)による初期投与計画に続いて、対象は、隔週投与計画に基づいて投与される処置を受け得、治療に対する対象の脱感作を可能にしかつより高用量の処置の潜在毒性を低減させ得るii)またはiii)による初期投与計画に続いて、対象は、隔週投与量に基づいて投与される処置を受け得る。
【0121】
好ましい態様では、第1および第2の抗体は、単回プライミング用量として14日サイクルの1日目に投与され、その後14日サイクルの1日目に処置用量が投与される。本発明の好ましい態様では、第1および第2の抗体のそれぞれのプライミング用量は、0.05mg/kgである。本発明の好ましい態様では、プライミング用量は、組み合わされた第1および第2の抗体0.1mg/kgである。
【0122】
本発明の一態様では、プライミング用量に続いて投与される処置用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.15mg/kg~9mg/kgの範囲内にある。本発明の好ましい態様では、プライミング用量に続いて投与される処置用量は、第1および第2の抗体のそれぞれについて0.15mg/kg~3mg/kgの範囲内にある。
【0123】
本発明の一態様では、プライミング用量に続いて投与される処置用量は、第1および第2の抗体の組み合わせ用量で0.3mg/kg~18mg/kgの範囲内にある。本発明の好ましい態様では、プライミング用量に続いて投与される処置用量は、第1および第2の抗体の組み合わせ用量で0.3mg/kg~6mg/kgの範囲内にある。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、0.3mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、0.6mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、1mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、2mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、3mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、4mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、4.5mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、6mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、9mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、12mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、15mg/kgである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体の処置用量は、18mg/kgである。これによって、処置用量が第1および第2の抗体の組み合わせ用量として提示される態様が提供される。
【0124】
本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、最初の4サイクルについては2回投与され、その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)。一態様では、第1および第2の抗体またはそれらの薬学的に許容される塩は、最初の4サイクルで2回投与され、したがって、第1および第2の抗体の第1の用量が14日サイクルの1、2、3、4、5、6または7日目に投与され得、第1および第2の抗体の第2の用量が14日サイクルの8、9、10、11、12、12または14日目に投与され得、その後第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が14日サイクルの1日目に投与され得る(Q2W)。一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩の第1の用量が14日サイクルの1、2または3日目に投与され、第1および第2の抗体の第2の用量が14日サイクルの8、9または10日目に投与され、その後第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)。一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が、最初の4サイクルについては14日サイクルの1日目および8日目に投与され、その後第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)。
【0125】
これによって、処置されるべき対象に毎週投与量による強化レジメンが処置の最初の8週間投与され、その後隔週投与レジメン(Q2W)で投与される、投与レジメンが提供される。
【0126】
本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、14日サイクルに2回投与され、その後14日サイクルの1日目に継続して投与される(Q2W)。本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、1回目の14日サイクルの1、2または3日目および8、9または10日目に投与され(プライミング)、その後14日サイクルの1日目に継続して投与される。本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に投与され(プライミング)、その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)。したがって、最初の2週間、DR5に結合する第1および第2の抗体が治療に対する対象の脱感作を可能にするプライミングレジメンに従って投与される。したがって、プライミング用量は、より高用量の処置の潜在毒性を低減させ得る。治療の開始時に使用されるプライミング用量は、その後の14日サイクルで投与される用量よりも低用量のDR5に結合する第1および第2の抗体である。対象がプライミング用量に基づく処置を受けたら、治療は、14日サイクルの1日目などの隔週投与レジメンに基づき得る。
【0127】
本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、プライミング用量として1回目の14日サイクルに1回投与され、その後14日サイクルの1日目に継続して投与される(Q2W)。本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、1回目の14日サイクルの1、2または3日目に投与され(プライミング)、その後14日サイクルの1、2または3日目に継続して投与される。本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、1回目の14日サイクルの1日目に投与され(プライミング)、その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)。したがって、1回目の14日サイクルにおけるDR5に結合する第1および第2の抗体の投与は、治療に対する対象の脱感作を可能にしかつより高用量の処置の潜在毒性を低減させるプライミングレジメンに従う投与である。したがって、初期プライミング用量に続いて、対象は、後続用量がプライミング用量よりも高用量である隔週投与レジメンに基づいて投与される処置を受け得る。投与されるプライミング用量は、その後の14日サイクルで投与される用量よりも低用量のDR5に結合する第1および第2の抗体である。したがって、第1のプライミング用量は、0.1mg/kgであり得るが、後続用量は、0.3mg/kg~18mg/kgであり得る。したがって、プライミング用量は、対象に投与される後続用量よりも低用量であり得る。治療の開始時に使用されるプライミング用量は、治療に対する対象の脱感作に使用され得、それによって、プライミング用量は、より高用量の処置の潜在毒性を低減させ得る。
【0128】
本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、プライミング用量として第1および第2の14日サイクルに1回投与され、その後14日サイクルの1日目に継続して投与される(Q2W)。本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、第1および第2の14日サイクルの1、2または3日目に投与され(プライミング)、その後14日サイクルの1、2または3日目に継続して投与される。本発明の一態様では、DR5に結合する第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に投与され(プライミング)、その後14日サイクルの1日目に投与される(Q2W)。したがって、第1および第2の14日サイクルにおけるDR5に結合する第1および第2の抗体の投与は、治療に対する対象の脱感作を可能にしかつより高用量の処置の潜在毒性を低減させるプライミングレジメンに従う投与である。したがって、初期プライミング用量に続いて、対象は、後続用量がプライミング用量よりも高用量である隔週投与レジメンに基づいて投与される処置を受け得る。投与されるプライミング用量は、その後の14日サイクルで投与される用量よりも低用量のDR5に結合する第1および第2の抗体である。したがって、第1のプライミング用量は、1mg/kgであり得、第2のプライミング用量は、1mg/kg~6mg/kgであり得るが、後続用量は、3mg/kg~15mg/kgであり得る。したがって、プライミング用量は、対象に投与される後続用量よりも低用量であり得る。治療の開始時に使用されるプライミング用量は、治療に対する対象の脱感作に使用され得、それによって、プライミング用量は、より高用量の処置の潜在毒性を低減させ得る。
【0129】
本発明は、対象が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上のサイクル数の場合に14日サイクルの1日目などの隔週(Q2W)処置サイクルに留まる態様を包含する。別の態様では、対象は、2~48サイクル、例えば2~36サイクル、例えば2~24サイクル、例えば2~15サイクル、例えば2~12サイクル、例えば2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、または12サイクルの場合に、隔週処置サイクルに留まり、各サイクルは、上記のような14日である。いくつかの態様では、対象は、Q2W処置サイクルに、12サイクルまたはそれ以上、例えば16サイクルまたはそれ以上、例えば24サイクルまたはそれ以上、例えば36サイクルまたはそれ以上留まる。いくつかの態様では、第1および第2の抗体は、3以下、4以下、5以下、または6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下のサイクル数の14日処置サイクルの間に投与される。任意の特定の対象または対象群に適した処置サイクルの数は、当業者、典型的には医師によって判定され得る。例えば、そのような人は、抗DR5抗体処置に対する応答を表1に提供される基準(RECIST基準 v1.1)に基づいて評価し得る。
【0130】
本発明のある特定の態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約0.05mg/kg~9mg/kgまたは約0.15mg/kg~18mg/kgの範囲の用量で投与される。したがって、投与量は、対象の体重に調整され得る。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約0.05mg/kg~6mg/kgまたは約0.15mg/kg~9mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約0.05mg/kgの用量、または約0.15mg/kgの用量、または約0.3mg/kgの用量、または約0.5mg/kgの用量、または約1mg/kgの用量、または約1.5mg/kgの用量、または約2.25mg/kgの用量、または約3mg/kgの用量、または約4.5mg/kgの用量、または約6mg/kgの用量、または約7.5mg/kgの用量、または約9mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約0.1mg/kg~3mg/kgまたは約1mg/kg~6mg/kgの用量範囲で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約0.05mg/kg、0.15mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2.25mg/kg、3mg/kg、4.5mg/kg、6mg/kg、7.5mg/kg、または9mg/kgの用量で投与される。
【0131】
いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約0.05mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約0.15mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約0.3mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約0.5mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約1mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の週用量は、約1.5mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約2.25mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約3mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約4.5mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約6mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約7.5mg/kg体重である。いくつかの態様では、第1または第2の抗体の隔週用量は、約9mg/kg体重である。これによって、隔週用量が提供され、この場合、隔週用量は、プライミング用量または隔週用量に続く用量、すなわち、処置用量のいずれかであり得る。
【0132】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約0.15mg/kg~9mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約0.30mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約0.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約1mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約1.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約2.25mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約3mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約4.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約6mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約7.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、7日サイクルの1日目に、最初の8週間、約9mg/kgの用量で投与される。
【0133】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約0.15mg/kg~3mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約0.15mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約0.30mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約0.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約1mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約1.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約2mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約2.25mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目および8日目に、約3mg/kgの用量で投与される。
【0134】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、約0.05mg/kg~0.15mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、0.05mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、0.15mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、0.30mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、0.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、1mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、2mg/kgの用量で投与される。
【0135】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの1日目に、約0.05mg/kg~1mg/kgの範囲、例えば、約0.05mg/kg~0.3mg/kgの範囲の用量で投与される。
【0136】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、約0.15mg/kg~1mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、約0.15mg/kg~0.5mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、0.15mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、0.30mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、1mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、1.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、2mg/kgの用量で投与される。
【0137】
本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目の14日サイクルの8日目に、約0.5mg/kg~3mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、0.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、1mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、1.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、2mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、2.25mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、3mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、3.5mg/kgの用量で投与される。本発明の一態様では、第1または第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、対象に、1回目および2回目の14日サイクルの1日目に、4mg/kgの用量で投与される。
【0138】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、約0.1mg/kg~18mg/kgまたは約0.3mg/kg~18mg/kgの範囲の用量でのものである。したがって、いくつかの態様では、投与される用量は、対象に投与される第1および第2の抗体の組み合わせ量として記載される。したがって、例えば1mg/kgの第1の抗体が対象に投与されて1mg/kgの第2の抗体が対象に投与されるいくつかの態様では、対象に投与される抗体の組み合わせ総量は、2mg/kgの用量である。
【0139】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、0.1mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、0.3mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、0.5mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、0.6mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、1mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、2mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、3mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、4.5mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、6mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、8mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、9mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、10mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、12mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、15mg/kgの用量でのものである。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩が組み合わされ;その場合、投与される抗体の総量は、18mg/kgの用量でのものである。
【0140】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約49:1~1:49のモル比で投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約25:1~1:25のモル比で投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約15:1~1:15のモル比で投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約10:1~1:10のモル比で投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約5:1~1:5のモル比で投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約2:1~1:2のモル比で投与される。本発明の一態様では、第1および第2の抗体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約1:1のモル比で投与される。
【0141】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体の投与の前にステロイドホルモンが対象に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体の投与の3日前から7日後に投与される。すなわち、一態様では、第1および第2の抗体が14日サイクルの1日目に投与される場合、ステロイドホルモンは-3~8日目に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体の投与の1日~3日前に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体の投与の1日前に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体の投与の2日前に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体の投与の3日前に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体と同じ日に対象に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体の投与の1日~7日後に投与される。本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、第1および第2の抗体の投与の1日~3日後に投与される。ステロイドホルモンを投与する効果は、DR5に結合する第1および第2の抗体の投与によって引き起こされる潜在的なトランスアミナーゼ上昇を軽減することである。したがって、ステロイドを投与することは、第1および第2の抗体によるトランスアミナーゼレベルの誘導を低減、防止または減少させ得る、例えば、アラニントランスアミナーゼ(ALT)またはアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の誘導を低減、防止または減少させ得る。
【0142】
本発明の一態様では、ステロイドホルモンは、コルチコステロイドである。一態様では、ステロイドホルモンは、デキサメタゾンである。
【0143】
本発明の一態様では、第1および第2の抗体の投与の3日前から7日後にデキサメタゾンが対象に投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、第1および第2の抗体の投与の前に対象に投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、第1および第2の抗体の投与の1日~3日前に投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、第1および第2の抗体の投与の1日前に投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、第1および第2の抗体の投与の2日前に投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、第1および第2の抗体の投与の3日前に投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、第1および第2の抗体の投与の日に投与される。
【0144】
本発明の一態様では、デキサメタゾンは、1~100mgの範囲の用量で投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、5~20mgの範囲の用量で投与される。したがって、デキサメタゾンは、対象の体重に左右されない一定用量で対象に投与される。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、10mgの用量で投与される。したがって、本発明の一態様では、デキサメタゾンは、1対象当たり10mgの用量で投与され、投与される用量は、対象の体重に左右されない。本発明の一態様では、デキサメタゾンは、毎日投与される。
【0145】
本発明の一態様では、デキサメタゾンは、静脈内注入によって投与される。本発明の一態様では、10mgのデキサメタゾンが、第1および第2の抗体の投与の1日前に静脈内注入によって投与される。これによって、DR5に結合する第1および第2の抗体の投与によって引き起こされるトランスアミナーゼ上昇を軽減するためにデキサメタゾンが投与される態様が記載される。したがって、デキサメタゾンを投与することは、第1および第2の抗体によるトランスアミナーゼレベルの誘導を低減、防止または減少させ得る、例えば、アラニントランスアミナーゼ(ALT)またはアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の誘導を低減、防止または減少させ得る。
【0146】
維持療法
医師などの当業者は、適切な処置サイクル数の後、処置サイクルに続き、必要に応じてDR5に結合する第1および第2の抗体による維持療法、別の治療用物質または治療用物質の組み合わせによる処置を行うべきかを判定し得る。
【0147】
いくつかの態様では、対象は、14日処置サイクル(Q2W)の1サイクルまたはそれ以上、好ましくは2サイクルまたはそれ以上の後、例えば、3または4または5または6または7または8または9または10または11または12またはそれ以上のサイクル数、例えば24サイクルまたはそれ以上、例えば36サイクルまたはそれ以上の後、維持療法を開始する。
【0148】
いくつかの態様では、対象のがん量が低下しているか検出可能ながんがないことを示す評価の後、例えば、対象が完全奏効を有していたことを示す評価の後、対象は、維持療法を始める。
【0149】
本明細書において使用される場合、「低減された投与頻度」は、DR5に結合する第1および第2の抗体による治療であるが、abが例えば週1回投与される強化投与計画と比較して低減された投与計画による治療のことを指す。低減された投与頻度の間、DR5に結合する第1および第2の抗体は、好ましくは、2週間ごとに1回(Q2W)投与される。
【0150】
あるいは、DR5に結合する第1および第2の抗体は、併用療法として投与され得る。「併用療法」という用語は、DR5に結合する第1および第2の抗体による処置サイクルの間に少なくとも1つの他の抗がん剤が対象に投与されることを意味する。DR5に結合する第1および第2の抗体と少なくとも1つの他の抗がん剤は、同時に投与してもよく、任意で、同じ薬学的組成物中に提供してもよい。しかしながら、典型的には、DR5に結合する第1および第2の抗体と少なくとも1つの他の抗がん剤は、別々に投与され、別々の薬学的組成物として製剤化される。例えば、少なくとも1つの他の抗がん剤は、単剤療法として投与される場合に医薬品規制機関によって承認されている投与レジメンに従って投与してもよく、または、少なくとも1つの他の抗がん剤は、本明細書に記載されるようなDR5に結合する第1および第2の抗体との併用のために最適化される投与レジメンに従って投与してもよい。
【0151】
抗DR5療法に対する応答は、公知の方法、例えば、NCCNまたはESMOのガイドラインに従って当業者によって評価され得る。具体的な態様では、評価は、以下の基準(RECIST基準 v1.1)に基づくことができる。
【0152】
(表1)応答の定義(RECIST基準 v1.1)
【0153】
薬学的組成物
本発明の別の局面では、本明細書に記載されるような本発明の任意の局面または態様による使用のための、DR5に結合する第1および/または第2の抗体は、薬学的組成物に含まれる。一態様では、薬学的組成物はさらに、薬学的に許容される担体を含む。特に、DR5に結合する第1および/または第2の抗体を精製する際に、これらは周知の薬学的担体または賦形剤を使用して薬学的組成物へと製剤化され得る。
【0154】
前記薬学的組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに任意の公知のアジュバントおよび賦形剤を用いて、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に開示されているものなどの従来技法に従って製剤化され得る。
【0155】
前記薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに任意の公知のアジュバントおよび賦形剤は、本発明の抗体および選択された投与様式に適したものであるべきである。薬学的組成物の担体および他の成分の適合性は、本発明の化合物または薬学的組成物の所望の生物学的特性に対する顕著な負の効果の欠如(例えば、抗原結合に対する顕著な効果に満たない(10%またはそれ未満の相対阻害、5%またはそれ未満の相対阻害など))に基づいて判定される。
【0156】
本発明の薬学的組成物はまた、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、洗剤(例えば、Tween-20またはTween-80などの非イオン性洗剤)、安定剤(例えば、糖またはタンパク質不含アミノ酸)、保存料、組織固定剤、可溶化剤、および/または薬学的組成物中への包含に適した他の材料を含み得る。
【0157】
前記薬学的組成物は、任意の好適な経路および様式によって投与され得る。本発明の抗体の好適な投与経路は、当技術分野において周知であり、当業者によって選択され得る。
【0158】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、静脈内投与によって投与される。
【0159】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、静脈内注入によって投与される。
【0160】
薬学的に許容される担体は、本発明の抗体と生理学的に適合性である、あらゆる好適な溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張化剤、酸化防止剤ならびに吸収遅延剤などを含む。
【0161】
本発明の薬学的組成物において利用され得る好適な水性および非水性の担体の例は、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、エタノール、デキストロース、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの好適な混合物、オリーブ油、コーン油、落花生油、綿実油およびゴマ油などの植物油、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、トラガカントゴムならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステル、ならびに/または様々な緩衝液を含む。他の担体は、医薬の分野において周知である。
【0162】
薬学的に許容される担体は、無菌水溶液または分散液、および無菌注射用溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来媒体または作用物質が本発明の第1および/または第2の抗体と不適合である場合を除き、本発明の薬学的組成物におけるそれらの使用が想定される。
【0163】
適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用によって、分散液の場合は必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0164】
本発明の薬学的組成物はまた、薬学的に許容される酸化防止剤、例えば、(1)水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などを含み得る。
【0165】
本発明の薬学的組成物はまた、等張化剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、グリセロールまたは塩化ナトリウムを含み得る。
【0166】
本発明の薬学的組成物はまた、薬学的組成物の貯蔵寿命または有効性を延長させ得る保存料、湿潤剤、乳化剤、分散剤または緩衝剤などの選択された投与経路に適した1つまたは複数のアジュバントを含有し得る。本発明のDR5に結合する第1および/または第2の抗体は、急速な放出から化合物を保護する担体、例えば、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤を用いて調製され得る。そのような担体は、ゼラチン、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、生分解性の生体適合性高分子、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を単独またはロウと共に、または当技術分野において周知の他の材料を含み得る。そのような製剤の調製のための方法は、一般に、当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。
【0167】
一態様では、本発明のDR5に結合する第1および/または第2の抗体は、適切なインビボ分布を確保するように製剤化され得る。非経口投与のための薬学的に許容される担体は、無菌水溶液または分散液、および無菌注射用溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来媒体または作用物質が活性化合物と不適合である場合を除き、本発明の薬学的組成物におけるそれらの使用が想定される。また、補助活性化合物が組成物に組み入れられ得る。
【0168】
注射のための薬学的組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または高い薬物濃度に適する他の秩序構造として製剤化され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含有する、水性または非水性溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合は必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましいと考えられる。注射用組成物の吸収延長は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。無菌注射用溶液は、必要量のDR5に結合する第1および/または第2の抗体を、適切な溶媒中に、必要に応じて、例えば上に挙げたような成分の1つまたはそれらの組み合わせと共に組み入れ、続いて、滅菌精密濾過することによって調製され得る。一般に、分散液は、DR5に結合する第1および/または第2の抗体を、塩基性分散媒および例えば上に挙げたものからの必要な他の成分を含有する無菌ビヒクルに組み入れることによって調製される。
【0169】
無菌注射用溶液は、必要量のDR5に結合する第1および/または第2の抗体を、適切な溶媒中に、必要に応じて、上に挙げた成分の1つまたはそれらの組み合わせと共に組み入れ、続いて、滅菌精密濾過することによって調製され得る。一般に、分散液は、DR5に結合する第1および/または第2の抗体を、塩基性分散媒および上に挙げたものからの必要な他の成分を含有する無菌ビヒクルに組み入れることによって調製される。
【0170】
特定の一態様では、DR5に結合する第1および/または第2の抗体は、1つまたは複数の賦形剤を含むが界面活性剤を含まない薬学的組成物に含まれる。一態様では、薬学的組成物は、約5.5~約7のpHを有し、かつ、水溶液中に以下を含む:
(a)約5mg/mL~約30mg/mLのDR5に結合する第1および第2の抗体;
(b)ヒスチジン;ならびに
(c)塩化ナトリウム。
【0171】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約6のpHを有する。
【0172】
具体的な態様では、薬学的組成物は、約5.5~約6.5の範囲のpHを有し、かつ、以下を含む:
(a)約2mg/mL~約20mg/mLのDR5に結合する第1および第2の抗体、例えば、約10mg/mLのDR5に結合する第1の抗体および10mg/mLのDR5に結合する第2の抗体;
(b)約10mM~約50mMのヒスチジン、例えば、約30mMのヒスチジン;
(c)約50mM~250mMの塩化ナトリウム、例えば、約150mMの塩化ナトリウム。
【0173】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約6のpHを有し、かつ、以下を含む:
(a)10mg/mLのDR5に結合する第1の抗体および10mg/mLのDR5に結合する第2の抗体;
(b)約30mMのヒスチジン;ならびに
(c)150mMの塩化ナトリウム。
【0174】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約6のpHを有し、かつ、以下を含む:
(a)20mg/mLのDR5に結合する第1の抗体および20mg/mLのDR5に結合する第2の抗体;
(b)約30mMのヒスチジン;ならびに
(c)150mMの塩化ナトリウム。
【0175】
(表2)配列
【0176】
本発明は、以下の実施例によってさらに例証されるが、実施例は、さらなる限定として解釈されるべきではない。
【実施例
【0177】
実施例1:抗体および抗原構築物
DR5のための発現構築物
デスドメイン機能喪失型変異K386Nを伴うヒトDR5のショートアイソフォーム(SEQ ID NO:36;UniprotKB/Swiss-Prot O14763-2に基づく)、ならびにアミノ酸185~213の欠失およびデスドメイン機能喪失型変異K420Nを伴うカニクイザルDR5(SEQ ID NO:40;NCBI登録番号XP_005562887.1に基づく)の発現のためのコドン最適化構築物を生成した。構築物を哺乳動物発現ベクターpcDNA3.3(Invitrogen)にクローニングした。DR5抗体の結合領域のマッピング(実施例4に記載されているような)のために、以下のキメラヒト/マウスDR5構築物を作製した(ヒトDR5において、それぞれ、以下の部分を対応するマウスDR5配列に置き換えた。番号はヒト配列を参照):構築物A aa 56~68、構築物B aa 56~78、構築物C aa 69~78、構築物D aa 79~115、構築物E 79~138、構築物F aa 97~138、構築物G aa 139~166、構築物H aa 139~182、構築物I aa 167~182、構築物J 167~210、構築物K aa 183~210。FreeStyle MAX Reagent(Invitrogen by Life technologies, カタログ番号16447-100)を製造業者による説明のとおり使用して、DR5発現構築物をFreestyle CHO-S細胞(Life technologies, カタログ番号R80007)に一過性にトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を液体窒素中に保存した。
【0178】
C末端タグを有するヒトDR5の細胞外ドメイン(ECD)のためのコドン最適化構築物を生成した:DR5ECD-FcRbHisCtag(SEQ ID NO:42)およびkDR5ECDdelHis(SEQ ID NO:45)。すべての構築物は、クローニング用の好適な制限部位および最適なKozak(GCCGCCACC)配列を含有した。構築物を哺乳動物発現ベクターpcDNA3.3(Invitrogen)にクローニングした。
【0179】
抗体のための発現構築物
抗体発現のために、キメラヒト/マウスDR5抗体DR5-01およびDR5-05(EP2684896A1;WO17093448;US20170260281)ならびにそれらのヒト化バリアントhDR5-01およびhDR5-05(WO14009358;WO17093448;US20170260281)のVHおよびVL配列を、関連する定常HCおよびLC領域を含有する発現ベクター(pcDNA3.3)にクローニングした。所望の変異を遺伝子合成または部位特異的変異誘発のいずれかによって導入した。
【0180】
実施例の一部では、gp120特異的ヒトIgG1抗体IgG1-b12またはIgG1-b12-E430Gを陰性(アイソタイプ)対照として使用した(Barbas et al., J Mol Biol. 1993 Apr 5;230(3):812-23)。
【0181】
一過性発現
抗体をIgG1,κとしてGeneArtによってまたは社内でGenmab BVによって発現させた。Genmabでは、293fectin(Life technologies)を基本的にはVink et al.(Vink et al., Methods, 65(1), 5-10 2014)による説明のとおり使用して、抗体の重鎖と軽鎖の両方をコードするプラスミドDNA混合物をExpi293F細胞(Life technologies)に一過性にトランスフェクトした。
【0182】
膜タンパク質を、freestyle Max試薬を製造業者による説明のとおり使用して、Freestyle CHO-S細胞(Life technologies)で発現させた。
【0183】
タンパク質の精製および分析
抗体を、固定化プロテインAクロマトグラフィーによって精製した。Hisタグ化組換えタンパク質を、固定化金属親和性クロマトグラフィーによって精製した。タンパク質バッチを、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)およびエンドトキシンレベルの測定を含む多数の生物学的分析アッセイによって分析した。
【0184】
実施例2:トランスフェクトCHO-S細胞へのDR5抗体結合
凍結したトランスフェクトCHO-S細胞を37℃で素早く融解し、培地(25mM HepesおよびL-グルタミン[Lonza, カタログ番号BE12-115F]+50単位のペニシリン/50単位のストレプトマイシン[Pen/Strep; Lonza, カタログ番号DE17-603E]+鉄含有10%熱非働化ドナーウシ血清([DBSI; Life Technologies, カタログ番号10371-029]を含むRPMI 1640)10mLに懸濁した。細胞をPBSで洗浄し、FACS緩衝液(PBS+0.1% w/vウシ血清アルブミン[BSA; Roche, カタログ番号10735086001]+0.02% w/vアジ化ナトリウム)に1.0×106個の細胞/mLの濃度で再懸濁した。細胞懸濁液試料(100,000または50,000個の細胞/ウェル)100μLを96ウェルpsプレート(Greiner Bio-One, カタログ番号650101)に播種し、4℃の300×gで3分間の遠心によってペレット化した。抗体調製物の希釈系列(6倍希釈で抗体終濃度0~20μg/mL)25μLを加え、4℃で30分間インキュベートした。次に、細胞をFACS緩衝液150μLで1回洗浄し、二次抗体R-フィコエリスリン(R-PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson ImmunoResearch, カタログ番号109-116-098; 1/100)50μLと光から保護して4℃で30分間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液150μLで1回洗浄し、FACS緩衝液50μLまたは100μLに再懸濁し、BD LRSFFortessaセルアナライザー(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより10,000イベントを記録することによって抗体結合を分析した。CHO-S細胞についてのトランスフェクション効率は100%ではなかった;それゆえ、PE陽性集団の幾何平均蛍光強度(FI)を判定した。PE陽性集団がもはや陰性集団と区別できない場合、すべての細胞から幾何平均FIを判定した。GraphPad Prismソフトウェアを使用した非線形回帰分析(可変傾斜シグモイド型用量応答)を使用して結合曲線を分析した。
【0185】
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gは、ヒトおよびカニクイザルDR5を発現するCHO-S細胞へ類似の用量依存的結合を示し、見掛けの親和性(EC50)は高ピコモル~低ナノモルの範囲であった(図1、表3)。
【0186】
(表3)ヒトおよびカニクイザルDR5への抗体結合のEC50値。抗体結合は、ヒトDR5およびカニクイザルDR5を発現するCHO-S細胞を使用したフローサイトメトリーによって試験した。EC50値は、GraphPad Prismソフトウェアを使用して用量応答曲線から算出した。平均EC50値は、4つの独立した実験から算出した。
【0187】
実施例3:HCT 116へのDR5抗体結合
単一細胞懸濁液を調製するために、接着HCT 116細胞(ATCC CCL-247)をPBS(B.Braun, カタログ番号3623140)で2回洗浄した後、トリプシン-EDTA(Gibco, カタログ番号15400-054、PBS中0.05%トリプシンの終濃度に希釈)と37℃で2分間インキュベートした。培養培地(L-グルタミンおよびHEPES[Lonza, カタログ番号BE12-168F]+鉄含有10%ドナーウシ血清[Life Technologies, カタログ番号10371-029]+50単位のペニシリン/50単位のストレプトマイシン[Lonza, カタログ番号DE17-603E]を含むマッコイ5A培地)10mLを加えた後、1,200rpmで5分間の遠心によって細胞をペレット化した。細胞を培地10mLに再懸濁し、再び1,200rpmで5分間の遠心によってペレット化し、FACS緩衝液に1.0×106個の細胞/mLの濃度で再懸濁した。次の工程は4℃で実施した。細胞懸濁液試料(100,000個の細胞/ウェル)100μLをポリスチレン96ウェル丸底プレート(Greiner Bio-One, カタログ番号650101)に播種し、4℃の300×gで3分間の遠心によってペレット化した。細胞を希釈系列の抗体試料(5倍希釈で0~10μg/mL)100μLに再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。4℃の300×gで3分間の遠心によって細胞をペレット化し、FACS緩衝液150μLで2回洗浄した。細胞を、二次抗体R-フィコエリスリン(R-PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson ImmunoResearch, カタログ番号109-116-098; 1/100)50μLと光から保護して4℃で30分間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液150μLで2回洗浄し、FACS緩衝液150μLに再懸濁し、FACS Fortessa(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーにより10,000イベントを記録することによって抗体結合を分析した。GraphPad Prismソフトウェアを使用した非線形回帰分析(可変傾斜シグモイド型用量応答)を使用して結合曲線を分析した。
【0188】
すべての被験DR5特異的抗体についてDR5陽性HCT 116細胞への濃度依存的な結合が観察され(図2)、見掛けの親和性(EC50)値は高ピコモル/低ナノモルの範囲であった(表4)。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gについて、EC50値は同じ範囲にあった。HexaBody分子およびそれらのそれぞれのWT対応物について高度に同等なEC50値によって実証されるように、E430G変異はDR5への結合に影響を及ぼさなかった。対照抗体IgG1-b12は結合を示さなかった。
【0189】
(表4)HCT116への抗体結合のEC50値。抗体結合は、HCT 116ヒト大腸がん細胞を使用してフローサイトメトリーによって試験した。EC50値は、GraphPad Prismソフトウェアを使用して用量応答曲線から算出した。
【0190】
実施例4:ドメイン交換DR5分子を使用した結合領域のマッピング
ヒトおよびネズミDR5の細胞外ドメインのアミノ酸配列は、限定された相同性を示し(図3A)、ヒト化抗体IgG1-hDR5-01-F405LおよびIgG1-hDR5-05-F405LはネズミDR5に結合しない(図3C、D)。抗体結合に関与するヒトDR5細胞外ドメイン中のアミノ酸ストレッチを特定するために、本発明者らは、図3Bに視覚化するように、特定のヒトDR5ドメインがマウス類似物に置き換わっている11個のヒト-マウスキメラDR5分子(実施例1に記載のドメイン交換DR5分子)を開発した。ドメイン交換DR5バリアントをCHO細胞上で一過性に発現させた。ドメイン交換DR5分子へのDR5抗体の結合の喪失は、ヒトDR5の交換されたドメインが、結合に重要な1つまたは複数のアミノ酸を含有することを示している。反対に、ドメイン交換DR5分子へのDR5抗体の結合の保持は、ヒトDR5の交換されたドメインが、結合に重要なアミノ酸を含有しないことを示している。結合アッセイのために、3×106個のトランスフェクト細胞を洗浄し、FACS緩衝液3mLに再懸濁した。96ウェル丸底プレート(Greiner Bio-one; カタログ番号650101)の1ウェルに細胞懸濁液100μLを加えた(100,000個の細胞/ウェル)。次の工程は4℃で実施した。細胞をペレット化し、DR5抗体試料(終濃度10μg/mL)50μLに再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、二次抗体R-PEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson ImmunoResearch; カタログ番号109-116-098; 1/100)50μL中で光から保護して4℃で30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、FACS緩衝液120μLに再懸濁し、FACS Canto ll(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーによって分析した。生存PE陽性細胞の割合をGraphPad Prismソフトウェアを使用してプロットした。異なるエピトープに対して指向される一連のDR5抗体を使用して各ドメイン交換DR5分子について表面発現が確認された(示さない)。gp120に対する非標的結合抗体IgG1-b12を結合の陰性対照として含めた。図3Cは、IgG1-hDR5-01-F405Lが、構築物E(79-138)、F(97-138)、G(139-166)およびH(139-182)への結合の喪失を示したが、構築物A~D(ヒトDR5配列56~115を網羅する)およびI~K(ヒトDR5配列167~210を網羅する)への結合が保持されたことを示す。まとめると、これらのデータは、アミノ酸領域116~138および139~166が各々、IgG1-hDR5-01-F405LがヒトDR5に結合するのに必要な1つまたは複数のアミノ酸を含有することを示している。図3Dは、IgG1-hDR5-05-F405Lが、構築物D(79~115)、E(79~138)およびF(97~138)への結合の喪失を示したが、構築物A~C(ヒトDR5配列56~78を網羅する)およびG~K(ヒトDR5配列139~210を網羅する)への結合が保持されたことを示す。まとめると、これらのデータは、アミノ酸領域79~138が、IgG1-hDR5-05-F405LがヒトDR5に結合するのに必要な1つまたは複数のアミノ酸を含有することを示している。
【0191】
実施例5:選択的抗体検出のためのELISA
ヒト-マウスDR5シャッフルバリアントへの結合分析によって特定されたIgG1-hDR5-01-F405LおよびIgG1-hDR5-05-F405Lの特異的DR5結合領域(実施例4)に基づき、2つの組換えDR5抗原をDR5ECD-FcRbHisCtagに基づいて生産した:一方は、ヒトDR5アミノ酸79~115が対応するマウス配列に置き換わっており(DR5sh79-115ECDdel-FcRbHisCtag)、他方は、ヒトDR5アミノ酸133~166が対応するマウス配列に置き換わっている(DR5sh139-166ECDdel-FcRbHisCtag)。
【0192】
96ウェル平底ELISAプレート(Greiner bio-one, カタログ番号665092)を100μL(PBS中2μg/mL)のペンタ-ヒス抗体(Qiagen, カタログ番号34660)で一晩(4℃)コーティングした。プレートをPBST中で3回洗浄した後、非特異的結合を200μL/ウェルの1% BSAを含むPBSでブロッキングし、振盪(300×rpm)しながらRTで1時間インキュベートした。PBST中で3回洗浄した後、組換えDR5 ECD融合タンパク質(DR5ECD-FcRbHisCtag;DR5sh79-115ECDdel-FcRbHisCtag;DR5sh139-166ECDdel-FcRbHisCtag)をウェルに加え(1μg/mL、100μL/ウェル)、振盪(300×rpm)しながらRTで1時間インキュベートした。プレートをPBST中で3回洗浄した後、2% BSAを含有するPBS中のDR5特異的抗体またはアイソタイプ対照の3倍段階希釈物(範囲0.46~1,000ng/mL)を二つ組で加え(100μL)、振盪(300×rpm)しながらRTで2時間インキュベートした。PBST中で3回洗浄した後、ウェルをHRPコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab)2(Jackson, カタログ番号109-035-097)100μLとインキュベートし、振盪(300×rpm)しながらRTで1時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、光から保護してRTで30分間のABTS(Roche, カタログ番号11112597001)100μLとのインキュベーションを通じて反応を可視化した。等量の2%(w/v)シュウ酸を加えることによって基質反応を停止した。ELISAリーダー(BioTek ELx808 Absorbance Microplate Reader)により405nmで蛍光を測定した。
【0193】
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gについて完全ヒトDR5抗原(DR5ECD-FcRbHisCtag、図4A)への濃度依存的結合が観察された。プレートをDR5sh79-115ECDdel-FcRbHisCtagでコーティングした際、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gでのみ濃度依存的結合が観察され、IgG1-hDR5-05-E430Gでは観察されなかった(図4B)。反対に、プレートをDR5sh139-166ECDdel-FcRbHisCtagでコーティングした際、IgG1-hDR5-05-E430Gでのみ濃度依存的結合が観察され、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gでは観察されなかった(図4C)。これらの実験は、これらの結合アッセイで、DR5sh79-115ECDdel-FcRbHisCtagタンパク質を使用してIgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの存在を特異的に実証することができ、DR5sh139-166ECDdel-FcRbHisCtagタンパク質を使用してIgG1-hDR5-05-E430Gの存在を特異的に実証することができることを示す。
【0194】
実施例6:バイオレイヤー干渉法を使用した親和性判定
ForteBio Octet HTX装置でバイオレイヤー干渉法を使用して、DR5特異的抗体の標的結合親和性を判定した。この実現のために、抗体(1μg/mL)を抗ヒトIgG Fc Capture(AHC)バイオセンサー(ForteBio)上に600秒ロードした。試料希釈剤(ForteBio)中でベースライン(100秒)後、2倍希釈工程で100nM~1.56nM(1.53μg/mL~0.02μg/mL)の濃度範囲を使用してkDR5ECDdelHisの結合(1,000秒)および解離(1,000秒)を判定した。実験は、30℃で振盪(1,000rpm)しながら行った。ForteBio Data Analysis Softwareを用いて、1:1モデルおよびグローバルフルフィット(global full fit)を使用し、関心対象の時間枠として結合時間1,000秒および解離時間100秒で親和性データを分析した。データトレースを基準曲線(kDR5ECDdelHisの代わりに試料希釈剤)の減算によって補正し、Y軸をベースラインの最後の10秒に合わせ、インターステップコレクション(interstep correction)ならびにSavitzky-Golayフィルタリングを適用した。応答<0.05nmのデータトレースは分析から除外した。
【0195】
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430GのDR5結合親和性を判定し、対応するWT抗体と比較した(図5)。データは、DR5特異的抗体の解離定数(KD)がすべて、ナノモル範囲にあったこと、六量体化増強変異E430Gの存在と無関係であったことを示す(表5)。IgG1-hDR5-01-G56T-E430G(KD 10.6nM)の親和性はIgG1-hDR5-05-E430G(KD 27.1nM)よりもおよそ2.5倍高かった。
【0196】
(表5)バイオレイヤー干渉法によって試験した場合のヒト組換えDR5の抗体結合親和性の平均値
1 KD 解離定数
2 ka 結合速度定数または結合速度
3 kd 解離速度定数または解離速度
【0197】
実施例7:ヒト細胞株での生存アッセイ
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性を誘導する能力を、12個の異なる細胞株を使用したインビトロ生存アッセイで調査した。非接着細胞およびトリプシン処理した接着細胞を含有する培養上清をプールすることによってCOLO 205がん細胞を採取した。A375、A549、BxPC-3、HPAFII、PANC1、HCT 116、HCT 15、HT29、SW480、SK-MES-1およびSNU5がん細胞をトリプシン処理によって採取した。トリプシン処理のために、接着細胞を、PBS(B.Braun; カタログ番号3623140)中0.05%トリプシンの終濃度に希釈したトリプシン-EDTA(Gibco, カタログ番号15400-054)と37℃で2分間インキュベートし、セルストレーナーを通過させた。細胞を1,200rpmで5分間の遠心によってペレット化し、培養培地中に0.5×105個の細胞/mLの濃度で再懸濁した(表6を参照のこと)。
【0198】
(表6)本実施例で使用した細胞株
【0199】
単一細胞懸濁液(5,000個の細胞/ウェル)100μLをポリスチレン96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One, カタログ番号655180)に播種し、37℃で一晩接着させた。翌日、抗体試料(4倍希釈で終濃度0.002~133nM)50μLを接着細胞に加え、37℃で3日間インキュベートした。すべての生存アッセイにおける陽性対照として、細胞を5μMスタウロスポリン(Sigma Aldrich, カタログ番号S6942)とインキュベートし、未処置細胞を陰性対照として含めた。代謝的に活性な細胞の指標であるATPの存在を定量化するCellTiter-Glo発光細胞生存アッセイ(Promega, カタログ番号G7571)で培養細胞の生存率を判定した。キットから、Luciferin Solution Reagent 15μLを生存アッセイプレートの各ウェルに加えた。次に、プレートを37℃で1.5時間インキュベートした。上清100μLを白色OptiPlate-96(Perkin Elmer, カタログ番号6005299)に移し、発光をEnVision Multilabel Reader(PerkinElmer)で測定した。GraphPad Prismソフトウェアを使用した非線形回帰(可変傾斜シグモイド型用量応答)を使用して、データを分析してプロットした。生存細胞の割合は以下の式を使用して算出した:生存細胞%=[(抗体試料の発光-スタウロスポリン試料の発光)/(抗体なし試料の発光-スタウロスポリン試料の発光)]×100。
【0200】
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物は、図6に示されるように、大腸がん細胞株COLO 205およびHCT-15ならびに膵臓がん細胞株BxPC-3およびPANC-1について用量依存的な細胞傷害性を誘導した。被験細胞株(A375、A549、BxPC-3、HPAF-II、PANC-1、COLO 205、HCT 116、HCT-15、HT-29、SW480、SK-MES-1、SNU-5)のIC20、IC50、IC90および最大阻害の平均値の概要および算出を表7に提示する。
【0201】
(表7)IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性を試験するために様々な適応症由来の12個の細胞株を用いて実施された3日間生存アッセイからの平均IC20、IC50、およびIC90値ならびに最大成長阻害率
* HPAF-II細胞(n=2)を使用して実施された2つの実験から、一方の実験では有効性なしが観察され;他方の実験では19.5%の最大阻害が観察された。
【0202】
実施例8:ヒトがん細胞株パネルを使用した生存率スクリーニング:固形腫瘍適応症
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性能を16個の固形がん系統を表す一連の240個の細胞株で調査した:腎臓、肺中皮腫、大腸、胃、膵臓、肝臓、子宮内膜、卵巣、頭頸部、および尿路上皮のがん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、非TNBC、NSCLC、小細胞肺がん(SCLC)、黒色腫ならびに脳腫瘍(表8)。Horizon Discovery Ltd.でスクリーニングを2セットで実施した(スクリーニング1およびスクリーニング2)。凍結細胞を融解し、成長培地中で拡大増殖させた。
【0203】
(表8)Horizon Discovery Ltd.での培養条件、細胞株、固形腫瘍適応症
【0204】
細胞が期待される倍加時間に達したら、細胞をトリプシン処理によって採取し、単一細胞懸濁液(500個の細胞/ウェル)を黒色384ウェルアッセイプレート(Corning)に播種し、37℃で一晩接着させた。翌日、抗体試料(3倍希釈で、スクリーニング1で0~71nMまたはスクリーニング2で0~67nMの終濃度)または培地対照0.25μLを、培地25μL/アッセイウェルに加え、37℃で3日間インキュベートした(DLD-1およびHCT 116細胞株を除く、これらについては120時間アッセイを実施した)。試料を4つ組として384ウェルアッセイプレートで試験した。代謝的に活性な細胞の指標であるATPの存在を定量化するATPlite 1step発光アッセイシステム(Perkin Elmer, カタログ番号6016739)で培養細胞の生存率を判定した。また、抗体試料を与えなかった試料についても処置の時点で生存率を判定した。キットから、ATPLite懸濁液15μLを生存アッセイプレートの培地25μL/アッセイウェルに加え、発光を高感度発光Envisionプレートリーダーで測定した。すべてのデータ点を自動処理によって収集し、品質管理に供し、Chaliceビューアソフトウェア(Horizon)を使用して分析した。阻害率を以下の式を使用して算出した:T≧V(0)であれば、阻害率=100×[1-(T-V(0))/(V-V(0))];T<V(0)であれば、阻害率=100%、式中、T=被験試料の発光、V(0)=0日目の培地対照試料の発光、およびV=3日目の培地対照試料の発光。式:100-阻害率を使用して生存率を算出した。
【0205】
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の存在下で腫瘍細胞生存率≦30%(すなわち、腫瘍細胞生存阻害>70%)を示した細胞株をレスポンダーとして分類した。非TNBCおよびSCLCを除くすべての腫瘍タイプについて、少なくとも1つの応答細胞株を特定した(図7)。パネルに5個を超える細胞株を含めた腫瘍タイプについて、応答細胞株の割合を算出した(図7)。腎臓、大腸、胃、尿路上皮および膵臓のがん、TNBC、NSCLCならびに脳腫瘍において、被験細胞株の40%超がIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物による処置に応答した。個々の細胞株についての完全概要を表9に提供する。
【0206】
(表9)240個のヒト腫瘍細胞株における細胞傷害性の概要。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性を試験するために72時間ATPliteアッセイ(DLD-1およびHCT 116細胞株を除き、これらについては120時間アッセイを実施した)からのIC50、IC90値、および最大成長阻害率。スクリーニングを2部(#1および#2)で実施した。両実験で試験した細胞株について、平均値を算出した。A. 尿路上皮がん(11個の細胞株);B. 脳腫瘍(10個の細胞株);C. 非TNBC(3個の細胞株);D. TNBC(14個の細胞株);E. 大腸がん(38個の細胞株);F. 子宮内膜がん(15個の細胞株);G. 胃がん(17個の細胞株);H. 頭頸部がん(23個の細胞株);I. 腎細胞がん(9個の細胞株);J. 肝臓がん(14個の細胞株);K. NSCLC(26個の細胞株);L. SCLC(8個の細胞株);M. 肺中皮腫がん(5個の細胞株);N. 黒色腫(19個の細胞株);O. 卵巣がん(16個の細胞株);P. 膵臓がん(12個の細胞株)。
表9A
表9B
表9C
表9D
表9E
表9F
表9G
表9H
表9I
表9J
表9K
表9L
表9M
表9N
表9O
表9P
【0207】
実施例9:ヒトがん細胞株パネルを使用した生存率スクリーニング:血液悪性腫瘍
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性能を異なる血液悪性腫瘍を表す一連の45個の細胞株で調査した(表8)。スクリーニングをHorizon Discovery Ltd.で実施した。凍結細胞を融解し、成長培地中で拡大増殖させた。
【0208】
(表10)Horizon Discovery Ltd.での培養条件、細胞株、血液悪性腫瘍
【0209】
CellTiter-Glo増殖アッセイを使用してプールした補体ヒト血清の存在下で72時間生存アッセイを実施した。簡単に述べると、液体窒素中に保存しておいた細胞株を融解し、成長培地中で拡大増殖させた。細胞が期待される倍加時間に達したら、細胞を黒色384ウェル組織培養処理プレートの成長培地中に500~1,500個の細胞/ウェルで播種した。細胞をアッセイプレート中で簡単に遠心し、処置する前に37℃、5% C02で24時間インキュベートした。処置時に、処置を行わなかった一連のアッセイプレートを収集し、ATPの存在を定量化するCellTiter-Glo(CTG)2.0アッセイ(Promega, カタログ番号G9243)で生存率を判定した。これらのTzero(T0)プレートを、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)で高感度発光を使用して読み取った。残りのアッセイプレートに、Echo 555アコースティックディスペンサー(Labcyte)を使用して試験作用物質を投与した。プールした補体ヒト血清(Innovative Research)をアッセイプレートに加えて終濃度を20%にした。アッセイプレートを化合物と72時間インキュベートし、次いで、CTG 2.0を使用して分析した。
【0210】
すべてのデータ点を自動処理によって収集し、品質管理に供し、Chaliceソフトウェア(Horizon)を使用して分析した。アッセイプレートが以下の品質管理基準を満たした場合にこれらのアッセイプレートを採用した:相対的な生の値が実験全体を通して一貫しており、Z因子スコアが0.6を超え、かつ、未処置/ビヒクル対照がプレート上で一貫した挙動を示す。
【0211】
阻害率を以下の式を使用して算出した:T≧V0であれば、阻害率=100×[1-(T-V0)/(V-V0)];T<V0であれば、阻害率=100%、式中、T=被験試料の発光、V=3日目の未処置対照試料の発光、およびV0=ゼロ時点(T0プレート)での未処置対照試料の発光。式:100-阻害率を使用して生存率を算出した。
【0212】
一連の45個の細胞株を漸増濃度のIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物に曝露させ、細胞成長に対して観察された最大阻害効果を、抗体混合物に対する感受性の指標として使用した。細胞株をその病理学的起源に従って5つの疾患群に分類した:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、急性骨髄性白血病(AML)および多発性骨髄腫(MM)。IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物との72時間のインキュベーションは、対照抗体IgG1-b12と比較してすべての被験疾患群において平均細胞生存率を低減させた(図8)。
【0213】
(表11)異なる血液悪性腫瘍を表す45個の細胞株におけるIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の細胞傷害性の概要。プールした補体ヒト血清の存在下での72時間のCellTiter-Glo増殖アッセイからのIC50および最大効果(成長阻害率)。
【0214】
実施例10:細胞株由来異種移植片モデルを使用したインビボ有効性
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビボ治療活性を、異なる固形腫瘍適応症を表す確立されたヒト腫瘍細胞株に由来する異種移植腫瘍モデル(CDX)で試験した(表12)。免疫不全の7~10週齢の雌CB17-SCID(C.B-17/IcrHan(登録商標)Hsd-Prkdcscid, Harlan)、BALB/c無胸腺ヌードマウス(Shanghai Laboratory Animal Center, China)またはNOD/SCIDマウス(Beijing HFK Bioscience)をCDX研究で使用した。マウスの特定のために耳標を取り付けた。300~1000万個の細胞を含有する腫瘍細胞懸濁液100~200μLをマウスの側腹部に皮下注射することによって腫瘍を誘導した。
【0215】
(表12)CDXモデル(固形腫瘍適応症)に使用した細胞株
1 細胞株はすべて対数期(およそ70%のコンフルエンス)において採取した。
【0216】
マウスを、等しい腫瘍サイズ分布(平均と分散)の各マウス6~8匹の群に分けた。マウスに、試験溶液0.1mL/マウスを下記の具体的な計画に従って腹腔内(i.p.)または静脈内(i.v.)注射した。大部分の研究において、処置当日を含め週2回マウスの体重をモニタリングした。病気の臨床兆候について1週間に少なくとも2回マウスを観察した。デジタルキャリパー(PLEXX)を使用して腫瘍体積を1週間に少なくとも2回測定した。腫瘍体積(mm3)は、以下のとおり算出した:腫瘍体積=0.52×(長さ)×(幅)2。最終日にマン・ホイットニー検定を使用して処置群間で中央腫瘍体積の統計学的差異を比較し、処置群はgraphpad prismソフトウェアを使用して比較した。カプラン・マイヤー曲線のMantel-Cox分析を実施して、一般的な腫瘍サイズカットオフを500mm3にし、IBM SPSS統計学を使用して無増悪生存期間の統計学的差異を分析した。
【0217】
実験は、個々のマウスについて、腫瘍サイズが1.5cm3を超えたとき、腫瘍が潰瘍形成を示したとき、重篤な臨床的疾患の場合に、腫瘍成長がマウスの動きを妨げたとき、または腫瘍成長評価が完了したときに終了した。
【0218】
HCT-15 CRC CDXモデルにおける異なる投与レジメン
均等累積最終用量1.5mg/kgの異なる投与レジメンでのIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビボ抗腫瘍効果を皮下HCT-15大腸がん異種移植片モデルで研究した。細胞をPBS 100μL容量で7~9週齢の雌BALB/c無胸腺ヌードマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが平均161mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。腫瘍細胞接種後11日目に、体重1グラム当たり10μLの試験項目のi.v.注射によってマウスを処置した;7日ごとに2ラウンド(Q7Dx2)で0.075mg/mL(0.75mg/kg);7日ごとに3ラウンド(Q7Dx3)で0.05mg/mL(0.5mg/kg)、または0、3、7、10、14および21日目に0.025mg/mL(0.25mg/kg)のi.v.注射による。さらに、1mg/mLのIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物(10mg/kg)の高用量投与Q7Dx2を含め、対照群のマウスは0.05mg/mL(0.5mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0219】
図9は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物で処置したすべての群が無傷であった最終日(24日目)の統計解析は、1.5mg/kgの累積用量が異なる投与レジメン;6×0.25mg/kg、3×0.5mg/kgまたは2×0.75mg/kgを使用して与えられたとき、腫瘍成長阻害に有意差がなかったことを示した。さらに、累積用量を1.5mg/kgから10mg/kgに増加させても抗腫瘍活性の有意な増加は得られなかった。これらのデータは、0.25mg/kgの低用量のHx-DR5-01/05による高頻度の処置または0.5mg/kgもしくは0.75mg/kgの高用量のHx-DR5-01/05によるより低頻度の処置が同等のインビボ抗腫瘍効果を与えたことを実証している。
【0220】
異なるCDXモデルにおけるインビボ抗腫瘍効果
異なる用量のIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビボ抗腫瘍効果を皮下CDXモデルで評価した。これらの研究では、K409RまたはF405L変異を含有するヒト/マウスキメラHexaBody分子の混合物(IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430G)をIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gの代理物として使用したが、これは、機能的同等性を示すことが知られている。
【0221】
COLO 205大腸がん異種移植片モデル
COLO 205細胞をPBS 200μL容量で6~11週齢の雌CB17-SCIDマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが約400 mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。10日目に、PBS 100μL中の40μg(2mg/kg)、10μg(0.5mg/kg)または2μg(0.1mg/kg)抗体のi.v.注射によってマウスを1回処置した。対照群のマウスは40μg(2mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0222】
図10は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの単回用量0.5mg/kgまたは2mg/kgによる処置は、完全な腫瘍退縮をもたらし、126日目に研究を停止するまで腫瘍の再発はなかった。0.1mg/kgで、混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gは、抗腫瘍活性を示した。これらのデータは、IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の被験代理物が、COLO 205ヒト大腸がん異種移植片モデルにおいて0.5mg/kgおよび2mg/kgで腫瘍成長を阻害したことを実証している。
【0223】
HCT-15大腸がん異種移植片モデル
HCT-15細胞をPBS 100μL容量で7~9週齢の雌BALB/c無胸腺ヌードマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが平均186mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。11日目に初回用量を開始して、体重1グラム当たり10μLの試験項目のi.v.注射によってマウスをQ7Dx2処置した;1mg/mL(10mg/kg)、0.2mg/mL(2mg/kg)または0.05mg/mL(0.5mg/kg)。対照群のマウスは1mg/mL(10mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0224】
図11は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gのすべての被験用量は、陰性対照IgG1-b12と比較して腫瘍成長を有意に阻害した(マン・ホイットニー検定;10mg/kg p<0.0003;2mg/kg p<0.0002;0.5mg/kg p<0.0011)。これらのデータは、IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の被験代理物が、HCT-15ヒト大腸がん細胞を有するインビボ異種移植片モデルにおいて0.5mg/kg、2mg/kgおよび10mg/kgで腫瘍成長を阻害したことを示している。
【0225】
SW480大腸がん異種移植片モデル
SW480細胞を、PBSとMatrigel(1:1)の200μL容量で、6~8週齢の雌 NOD/SCIDマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが平均175mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。10日目に初回用量を開始して、体重1グラム当たり10μLの試験項目のi.v.注射によってマウスをQ7Dx2処置した;1mg/mL(10mg/kg)、0.2mg/mL(2mg/kg)または0.05mg/mL(0.5mg/kg)。対照群のマウスは1mg/mL(10mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0226】
図12は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(処置開始後28日目)の統計解析は、混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gのすべての被験用量が、陰性対照IgG1-b12と比較して腫瘍成長を有意に阻害したことを示した(マン・ホイットニー検定;10mg/kg p<0.0003;2mg/kg p<0.0047;0.5mg/kg p<0.0281)。これらのデータは、IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の被験代理物が、インビボSW480ヒト大腸がん異種移植片モデルにおいて0.5mg/kg、2mg/kgおよび10mg/kgで腫瘍成長を阻害したことを示している。
【0227】
BxPC-3膵臓がん異種移植片モデル
BxPC-3 細胞をPBS 100μL容量で6~11週齢の雌CB17-SCIDマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが約250mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。20日目に、PBS 200μL中の200μg(10mg/kg)、40μg(2mg/kg)または10μg(0.5mg/kg)抗体のi.v.注射によってマウスをQ7Dx2処置した。対照群のマウスは200μg(10mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0228】
図13は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(48日目)の統計解析は、混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gのすべての被験用量で、陰性対照IgG1-b12と比較して有意な腫瘍成長阻害を示した(マン・ホイットニー検定;10mg/kg p<0.0070;2mg/kg p<0.0281;0.5mg/kg p<0.0104)。これらのデータは、IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の被験代理物が、インビボBxPC-3ヒト膵臓がん異種移植片モデルにおいて0.5mg/kg、2mg/kgおよび10mg/kgで腫瘍成長を阻害したことを示している。
【0229】
PANC-1膵臓がん異種移植片モデル
PANC-1細胞をPBS 100μL容量で6~11週齢の雌CB17-SCIDマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが約250mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。13日目に、PBS 200μL中の200μg(10mg/kg)、40μg(2mg/kg)または10μg(0.5mg/kg)抗体のi.v.注射によってマウスを1回処置した。対照群のマウスは200μg(10mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0230】
図14は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。いかなる用量レベルでもIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの混合物の抗腫瘍効果は観察されなかった。
【0231】
A375黒色腫異種移植片モデル
A375細胞をPBS 100μL容量で6~11週齢の雌CB17-SCIDマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが約250mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。19日目に、PBS 200μL中の200μg(10mg/kg)、40μg(2mg/kg)または10μg(0.5mg/kg)抗体のi.v.注射によってマウスをQ7Dx2処置した。対照群のマウスは200μg(10mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0232】
図15は、1処置群当たりの中央腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(29日目)の統計解析は、混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gのすべての被験用量で、陰性対照IgG1-b12と比較して有意な腫瘍成長阻害を示した(マン・ホイットニー検定;10mg/kg p<0.0006;2mg/kg p<0.0006;0.5mg/kg p<0.0047)。これらのデータは、IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の被験代理物が、インビボA375黒色腫異種移植片モデルにおいて0.5mg/kg、2mg/kgおよび10mg/kgで腫瘍成長を阻害したことを示している。
【0233】
SNU-5胃がん異種移植片モデル
SNU-5 細胞を、PBSとMatrigel(1:1)の200μL容量で、6~8週齢の雌CB17-SCIDマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが平均169mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。8日目に初回用量を開始して、体重1グラム当たり10μLの試験項目のi.v.注射によってマウスをQ7Dx2処置した;1mg/mL(10mg/kg)、0.2mg/mL(2mg/kg)または0.05mg/mL(0.5mg/kg)。対照群のマウスは1mg/mL(10mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0234】
図16は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(処置開始後23日目)の統計解析は、混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gのすべての被験用量で、対照IgG1-b12と比較して有意な腫瘍成長阻害を示した(マン・ホイットニー検定;すべての被験用量についてp<0.0002)。これらのデータは、IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の被験代理物が、インビボSNU-5 ヒト胃がん異種移植片モデルにおいて0.5mg/kg、2mg/kgおよび10mg/kgで腫瘍成長を阻害したことを示している。
【0235】
SK-MES-1 NSCLC異種移植片モデル
SK-MES-1細胞をPBS 100μL容量で7~9週齢の雌BALB/c無胸腺ヌードマウスの側腹部に注射した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが平均161mm3に達したら処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。21日目に初回用量を開始して、体重1グラム当たり10μLの試験項目のi.v.注射によってマウスをQ7Dx2処置した;1mg/mL(10mg/kg)、0.2mg/mL(2mg/kg)または0.05mg/mL(0.5mg/kg)。対照群のマウスは1mg/mL(10mg/kg)IgG1-b12で処置した。
【0236】
図17は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(処置開始後14日目)の統計解析は、混合物IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gのすべての被験用量で、陰性対照IgG1-b12と比較して有意な腫瘍成長阻害を示した(マン・ホイットニー検定;10mg/kg p<0.0012;2mg/kg p<0.0006;0.5mg/kg p<0.0003)。これらのデータは、IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物の被験代理物が、インビボSK-MES-1ヒト扁平上皮肺がん異種移植片モデルにおいて0.5mg/kg、2mg/kgおよび10mg/kgで腫瘍成長を阻害したことを示している。
【0237】
実施例11:マウスPDX臨床試験
患者由来異種移植(PDX)モデルは、免疫不全マウスへのヒト腫瘍生検材料の移植および増殖によって生成され、ヒト腫瘍において観察されるような遺伝的かつ組織学的異種性を表すと考えられている。PDX臨床試験を使用して、臨床試験反応を予測する目的で多数の一連のPDXモデルの薬物感受性をスクリーニングすることができる。本発明者らは、Crown Bioscienceによって中国北京施設および米国サンディエゴ施設で実施されたPDX臨床試験を利用して、以下の3つの固形腫瘍適応症:CRC、NSCLCおよび腎臓がんでIgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物に対する感受性をスクリーニングした。
【0238】
Crown Bioscience(中国北京)で実施されたモデルについて、確立された原発ヒトがん組織を担持するマウスから新鮮な腫瘍組織を採取し、小さな切片(およそ直径2~3mm)にカットした。ドナーマウスから採取してRPMI1640で洗浄したPDX腫瘍断片を、腫瘍発生のために雌BALB/c無胸腺ヌードマウス(Nanjing Biomedical Research Institute of Nanjing University, China)またはNU/NU NUDEマウス(Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co. Ltd, China)の右上背部側腹部に皮下(s.c.)接種した。
【0239】
CrownBio(米国サンディエゴ)で実施されたモデルについて、PDX腫瘍断片から得られた凍結細胞懸濁液を融解し、PBS中で洗浄し、計数して、冷PBSに0.25×106~1.0×106個の生存細胞/mLの濃度で再懸濁した。細胞懸濁液を等量のCultrex ECMと混合し、26G 7/8(0.5mm×22mm)針を備えた冷却した1mLのLuer-lokシリンジに吸引し、氷上で保管した。免疫不全の6~8週齢の雌NOD/SCIDマウス(Envigo and Jackson, US)を、注射に備えて標準的なイソフルラン麻酔にかけ、ECM中200μLの腫瘍細胞懸濁液(範囲0.5×105~5×105個の細胞/マウス)の後方側腹部へのs.c.注射の前に剪毛した。
【0240】
腫瘍が触知可能となったら、腫瘍体積が1,500mm3に達するまで少なくとも週2回キャリパーを使用して腫瘍体積を測定した。腫瘍体積(mm3)は、以下のとおり算出した:腫瘍体積=0.5×(長さ)×(幅)2
【0241】
マウス1匹/群デザインを使用してPDX臨床試験を実施した:モデルごとに、同等な腫瘍体積を有する2匹のマウスを研究に登録し、平均腫瘍体積が約150~250mm3に達したら処置を開始した。処置群のマウスを、体重1グラム当たり0.2mg/mLの抗体10μL(2mg/kg)のi.v.注射によって週1回(QW)×2処置した。対照マウスはPBSでQW×2処置した。
【0242】
IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物による処置に対する応答の評価は、抗体混合物で処置したマウスにおける腫瘍体積の変化(ΔT=処置マウスの分析最終日の腫瘍体積-処置マウスの0日目の腫瘍体積)とPBS処置対照マウスの腫瘍体積の変化(ΔC=対照マウスの分析最終日の腫瘍体積-対照マウスの0日目の腫瘍体積)とを比較することによって実施した。ランダム化(処置の開始)当日と分析最終日(処置の開始後最大25日、曝露が合理的に想定できる場合)との間で応答を評価した。PBS処置対照マウスの腫瘍体積が処置開始日と比較して少なくとも2倍増加していないモデルは、分析から除外した。相対腫瘍成長は式ΔT/ΔC*100に従って算出した。応答モデルは、ΔT/ΔC<10%(腫瘍退縮または腫瘍停滞)を示すモデルとして定義され、非レスポンダーモデルは、ΔT/ΔC≧70%を示すモデルとして定義された。レスポンダーまたは非レスポンダーとして分類できなかったモデル(10%≦ΔT/ΔC<70%)は中間体として分類された。合計で、70個のCRC、62個のNSCLCおよび5個の腎臓がんモデルを分析し、これらの基準に従ってカテゴリーに分けた。
【0243】
CRC PDXモデルのうち、33/70(47%)がIgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物に応答し、19/70(27%)が中間体であり、18/70(26%)は応答しなかった(図18A)。
【0244】
NSCLC PDXモデルのうち、11/62(18%)がIgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物に応答し、23/62(37%)が中間体であり、28/62(45%)は応答しなかった(図18B)。
【0245】
腎臓がんPDXモデルのうち、1/5(20%)がIgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物に応答し、2/5(40%)が中間体であり、2/5(40%)は応答しなかった(図18C)。
【0246】
実施例12:大腸がんPDXモデルにおける抗腫瘍活性
CrownBio(中国北京)で、免疫不全の8~13週齢の雌BALB/c無胸腺ヌードマウス(Beijing HFK Bio-Technology Co. Ltd.)またはnu/nuマウス(Vital River Laboratories Research Models and Services)の右側腹部に1つの腫瘍断片(直径2~3mm)を皮下接種した。マウスの特定のために耳標を取り付けた。少なくとも週2回デジタルキャリパー(PLEXX)を使用して腫瘍体積を測定した。腫瘍体積(mm3)は、以下のとおり算出した:腫瘍体積=0.5×(長さ)×(幅)2。マウスを、等しい腫瘍サイズ分布(平均と分散)の各マウス8匹の群に分けた。体重1グラム当たり10μLのIgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430G:0.2mg/mL(2mg/kg)または0.05mg/mL(0.5mg/kg)のi.v.注射によってマウスをQW×2処置した。
【0247】
大腸がんPDXモデルCR0126
大腸がんPDXモデルCR0126の腫瘍断片を8~9週齢の雌nu/nuマウスの側腹部に接種した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが201mm3に達した18日目に処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。研究中に2匹のマウスが死亡したが、これは処置に無関係であるとみなし、これらのマウスを分析から除外した。図19は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(処置開始後25日目)の統計解析は、対照IgG1-b12-E430Gと比較して、2mg/kgのHx-DR5-01/05による有意な腫瘍成長阻害を示した(マン・ホイットニー検定;p<0.0379)。0.5mg/kgのHx-DR5-01/05では有意な腫瘍成長阻害が観察されなかった。
【0248】
大腸がんPDXモデルCR3056
大腸がんPDXモデルCR3056の腫瘍断片を12~13週齢の雌BALB/cヌードマウスの側腹部に接種した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが208mm3に達した37日目に処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。図20は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(処置開始後42日目)の統計解析は、対照IgG1-b12-E430Gと比較して、2mg/kgおよび0.5mg/kgの両方でHx-DR5-01/05による有意な腫瘍成長阻害を示した(マン・ホイットニー検定;それぞれp<0.0003およびp<0.0379)。
【0249】
大腸がんPDXモデルCR3150
大腸がんPDXモデルCR3056の腫瘍断片を9~10週齢の雌BALB/cヌードマウスの側腹部に接種した。ランダム化ブロックデザインを使用してマウスを群に割り当て、平均腫瘍サイズが208mm3に達した19日目に処置を開始した(1群当たりマウス8匹)。図21は、1処置群当たりの平均腫瘍体積を示す。すべての群が無傷であった最終日(7日目)の統計解析は、いずれの処置も有意な腫瘍成長阻害を誘導しなかったことを示す。
【0250】
実施例13:腫瘍のないマウスにおけるPK
7~10週齢の雌の腫瘍のない免疫不全CB17-SCIDマウス(C.B-17/IcrHan(登録商標)Hsd-Prkdcscid, Harlan)でインビボPKを調査した。マウスの特定のために耳標を取り付けた。マウスに、マウス3匹/群でマウス1匹当たり0.1mg/mLのIgG1-DR5-01-G56T-E430GまたはIgG1-DR5-05-E430G、またはそれらの混合物0.2mL(20μg/マウス、1mg/kg前後に等しい)を静脈内注射した。抗体投与の10分後、4時間後、1日後、2日後、7日後、13日後、および20日後に伏在静脈から血液試料50~100μLを収集した。
【0251】
血液をヘパリン含有バイアル(Sarstedt, カタログ番号20.1309)に収集し、10,000×gで5分間遠心し、上清(血漿)をエッペンドルフチューブに移した。ヒトIgG分析のために、血漿試料を最初の5つの時点で1:20希釈(PBSTA[PBS;B.Braun; カタログ番号3623140、0.05% Tween-20;Sigma-Aldrich; カタログ番号63158、および0.2%ウシ血清アルブミン;BSA;Roche; カタログ番号10735086001含有]285μL中試料15μL)、最後の2つの時点で1:10希釈し(PBSTA 270μL中試料30μL)、抗体濃度の決定まで-20℃で保存した。
【0252】
PBS 100μL中2μg/mLのマウス-抗ヒトIgG抗体クローンMH16-1(Sanquin, カタログ番号M1268)を用いて、96ウェル平底ELISAプレート(Greiner bio-one; カタログ番号655092)を4℃で一晩コートした。プレートをPBST(0.05% Tween-20[Sigma-Aldrich]含有PBS)中で3回洗浄した後、200μL/ウェルのPBSA(0.2% BSA[Roche]含有PBS)を加えることによって非特異的結合をブロッキングし、室温(RT)で1時間インキュベートした。ウェルをPBSTで3回洗浄した。次に、希釈血漿試料(試料ごとに4回のPBSTA中段階希釈;最初の5つの時点で100×、300×、900×、2700×;最後の2つの時点で50×、150×、450×、1350×)100μLを加え、振盪(300rpm)しながらRTで1時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、ウェルを、PBSTA中1:10,000のペルオキシダーゼコンジュゲートAffiniPureヤギ抗ヒトIgG Fcγ特異的抗体(Jackson; カタログ番号109-035-098)100μLと振盪(300rpm)しながらRTで1時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、光から保護してRTで10分前後の2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS[Roche; カタログ番号11112597001])100μLとのインキュベーションを通じて反応を可視化した。等量の2%シュウ酸を加えることによって基質反応を停止した。吸光度は、ELISAリーダー(BioTek ELx808 Absorbance Microplate Reader)により405nmで測定した。注射した材料(PBSTA中3倍希釈で0.037~1μg/mLの範囲)を使用して標準曲線を作成し、それから、Microsoft Excelの4-パラメーターロジスティック適合曲線を使用した未知の内挿によって検量線を算出した。血漿試料中のヒトIgG濃度を検量線の方程式から算出し、GraphPad Prismソフトウェアを使用してプロットした。プレート対照として、精製ヒトIgG1(Binding Site, カタログ番号BP078)を含めた。
【0253】
1. 0時点から最終測定時点までの曲線下面積(AUC)をGraphpad Prismソフトウェアを使用して算出した。
2. 最大観測血漿薬物濃度(Cmax)は、抗体注射の10分後に測定した場合の抗体注射の投与後の最大ヒトIgG血漿濃度である。
3. 採血の最終日(抗体注射後20日目)までのクリアランス速度(CL)を式:(用量×1,000)/AUCによって決定した。
4. 中央分布容積(Vcen)を式:(用量×1000)/Cmaxによって決定した。
【0254】
図22は、総ヒト血漿IgG濃度を時間単位で示す。予測IgG1曲線は、2コンパートメントモデルに基づいた。抗体試験試料の曲線は、マウスでの非結合ヒトIgG1の予測曲線から外れることはなかった。IgG1-hDR5-01-G56T-E430G、IgG1-hDR5-05-E430Gおよびアイソタイプ対照抗体の間でCL、CmaxおよびVcenに差は観察されなかった(図23)。提示されたデータは、観察されたIgG1-DR5-01-G56T-E430G、IgG1-DR5-05-E430Gおよびその混合物の薬物動態特性が、腫瘍のないマウスでの正常ヒトIgG1と同等であったことを実証している。
【0255】
実施例14:カニクイザルにおけるPK
カニクイザルでの静脈内注入によるIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの混合物の単回用量研究
ヒト抗体血漿濃度プロファイルは、IgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの混合物の用量レベル0.5、5および25mg/kgでの静脈内単回用量注入後に、一般的なIgG PK電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)を使用して測定した(注入時間30分、雌n=3、投与後時点:1、3、6、12、24時間、2、3、7、14、および21日)。手短に言うと、モノクローナル抗ヒトIgG(カニクイザルIgGと非交差反応性)抗体のコート上にIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gを捕捉した。SULFO-TAGにコンジュゲートされた別のモノクローナル抗ヒトIgG(カニクイザルIgGと非交差反応性)を使用することによって、捕捉したIgGを検出した。ECL撮像装置を使用してこの複合体を可視化した。血漿濃度-時間プロファイルは、試験項目の静脈内投与経路と一致していた(図24)。半減期(T1/2)の個々の推定値は、3.16~7.57日の範囲であった。個々のクリアランス値は、8.98~14.2mL/日/kgの範囲であった。個々の分布容積値は、52.4~98.8mL/kgの範囲であり、このことは、循環の見込みのない限定された試験項目の分布を示している。nAUC0-∞に基づき、程度の差はあるが曝露の比例的増加が用量の増加と共に認められた。nCmaxに基づき、曝露の比例的増加が5mg/kgの用量まで認められたが、5 mg/kgと25mg/kgの間ではより小さい曝露の比例的増加が観察された。個々の血漿濃度プロファイルを図24に示し、群平均毒物動態パラメーターを表13に示す。
【0256】
(表13)カニクイザルでのIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの単回i.v.用量研究における平均薬物動態パラメーター
【0257】
カニクイザルでの静脈内注入によるIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの混合物の用量範囲設定試験
ヒト抗体血漿濃度プロファイルは、IgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの混合物の0.1、0.5、5、および25mg/kgの用量レベルでのi.v.単回用量(n=1)または反復用量(1q4x4、n=2)注入後に、一般的なIgG PK ECLIAを使用して測定した(注入時間30分、投与前試料採取時点ならびに投与後0.5、4、12、24、および72時間の時点)。血漿濃度-時間プロファイルは、カニクイザルでの野生型ヒトIgG1クリアランスと一致しており、標的媒介クリアランスの兆候はなかった(図25)。nCmaxおよびnAUC0-∞に基づき、曝露の比例的増加が用量の増加と共に認められた;nCmaxに基づき、単回用量処置群においてのみ中用量群と高用量群との間でより少ない曝露の比例的増加が観察された。
【0258】
カニクイザルでのIgG1-hDR5-05-E430G+IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの混合物の毎週5回反復i.v.注入による反復用量毒性研究
雄5匹および雌5匹のカニクイザルの4群それぞれに、以下のとおり、週1回30分間の静脈内注入を投与フェーズの1、8、15、22、および29日目に与えた。
【0259】
1、8、15、22、および29日目に、各動物から投与前と注入終了後0.5、4、12、24、および72時間の時点に血液試料を採取した。各回復動物(2匹の雄および2匹の雌/用量群)から36、43、50、および57日目に追加の血液試料を採取した。
【0260】
カニクイザル血漿中のIgG1-hDR5-01-G56T-E430Gの濃度は、ECLIA法(実施例5に基づく)を使用して決定した。このアッセイでは、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gが被覆抗原DR5sh79-115ECDdelHis(SEQ ID NO:43)で捕捉される。捕捉されたIgG1-hDR5-01-G56T-E430Gを、SULFO-TAGにコンジュゲートされたモノクローナル抗ヒトIgG(カニクイザルIgGと非交差反応性)抗体によって検出した。ECL撮像装置を使用して複合体を可視化した。このECLIAは、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gのみ検出し、IgG1-hDR5-05-E430Gは検出しない。
【0261】
カニクイザル血漿中のIgG1-hDR5-05-E430Gの濃度は、ECLIA法(実施例5に基づく)を使用して決定した。このアッセイでは、IgG1-hDR5-05-E430Gが被覆抗原DR5sh139-166ECDdelHis(SEQ ID NO:44)で捕捉される。捕捉されたIgG1-hDR5-05-E430Gを、SULFO-TAGにコンジュゲートされたモノクローナル抗ヒトIgG(カニクイザルIgGと非交差反応性)抗体によって検出した。ECL撮像装置を使用して複合体を可視化した。このECLIAは、IgG1-hDR5-05-E430Gのみ検出し、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gは検出しない。
【0262】
図26は、投与1日目および29日目のIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gの平均血漿濃度を示す。試料採取時ごとに、IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの両方の血漿濃度は、一般に、最初の試料採取時点、注入開始の1時間後(注入終了の0.5時間後)に最大であった。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの両方の体循環からのクリアランスは、最初の2回の週1回用量の各々の後、投与間隔内で不完全であった。IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの両方のクリアランスの程度は、特に2mg/kg/週の用量レベルでの、引き続いての毎週用量後に増加した。1日目に、算出可能な場合、総血清クリアランスは、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gでは0.649~1.23mL/h/kg、IgG1-hDR5-05-E430Gでは0.936~1.65mL/h/kgであった。引き続いての試料採取時に、平均Clss値は時間と共に増加する傾向にあった。抗薬物抗体(ADA)陽性でかつ最高のADA応答を与えた動物で、最も急速なクリアランスが生じる傾向があった。
【0263】
1日目に、算出可能な場合、排泄半減期(t1/2)は、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gでは83.1~103時間であり、IgG1-hDR5-05-E430Gでは54.5~95.4時間であった。8日目に、算出可能な場合、t1/2は、IgG1-hDR5-01-G56T-E430Gでは26.4~103時間であり、IgG1-hDR5-05-E430Gでは27.3~89.1時間であった。引き続いての毎週用量後、両化合物についての平均半減期は、特に低用量および中用量レベルで減少する傾向にあり、動物間変動がより大きかった。
【0264】
週1回静脈内投与後のIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの両方への血漿曝露の測定値(CmaxおよびAUC(0-t))の観察された増加は、用量レベルの増加と概ね比例していた。これらのデータは、より高用量レベルではいずれの化合物もクリアランスの飽和がなかったことを示唆している。
【0265】
実施例15:ヒト等価用量
安全性の理由で、IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の無有害作用量(NOAEL)/重篤な毒性がみられない最大用量(HNSTD)に基づく最大推奨開始用量(MRSD)8.3mg/kgよりも低いFIH開始用量を使用した。IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のFIH臨床試験開始用量0.3mg/kgを使用した。この用量レベルは、非臨床薬理学、薬物動態学および毒性学研究ならびに前臨床集団PKシミュレーションモデル(BAST GmbHによって実施された)からの考察に基づいて、安全で、かつ、潜在的な治療上活性な用量範囲の下限であるとみなされた。モデル化の目的で、引き続いての投与時に観察された抗薬物抗体の交絡効果を避けるために、最初の投与サイクルのカニクイザルPKデータのみを使用した。
【0266】
1. IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の1QWx5 i.v.投与後のカニクイザルにおけるNOAELおよびHNSTDは、重要な優良試験所規範(GLP)i.v.毒性研究で50mg/kgであると決定され、これは、ヒトでは8.3mg/kgのMRSDに変換された。
【0267】
CDX(実施例10に記載)およびPDXマウスモデル(実施例11に記載)を使用して決定されたIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビボ薬理学的活性用量を、前臨床集団PKシミュレーションモデル(BAST GmbHによって実施された)を使用したヒト等価用量レベルへの変換に使用した。これらの予測に基づき、IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物の0.3mg/kgのヒト用量が、マウス異種移植片モデルにおいて部分的抗腫瘍応答を誘導した0.5mg/kgのインビボネズミ用量レベル範囲に相当するとみなされる。それゆえ、0.3mg/kgのFIH開始用量を、ヒト患者における潜在的な治療用量範囲の下限であるとみなした。
【0268】
【0269】
様々なヒトがん細胞株におけるIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物のインビトロ細胞傷害性のIC20値をヒトでの推定最小薬理作用量(MABEL)への変換に使用した。実施例7に記載のデータから、IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物で40%を超える細胞生存阻害が観察された細胞株の平均IC20値を使用することで、中央IC20値が0.554nM(0.083μg/mL)であると計算された(表14)。前臨床集団PKシミュレーションモデル(BAST GmbHによって実施された)を使用して対応するヒト用量レベルへの変換を実施し、結果として、ヒト患者ではMABEL用量0.0051mg/kgとなった。
【0270】
(表14)MABELに使用される、すなわち40超の最大阻害を示す、細胞株を用いて実施されたIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gによる3日間生存アッセイからの平均IC20および最大成長阻害率
【0271】
GEN1029を用いたインビトロ細胞傷害性研究に由来するMABELに基づく開始用量0.0051mg/kgは、以下の理由で進行がん患者の処置に適するとみなされなかった:1)IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物が免疫アゴニスト特性を示していないこと、および2)IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物を用いた際の急性サイトカイン放出活性の危険性が特定されていないこと。
【0272】
また、非臨床集団PKモデルを使用して、想定される治療上活性な用量レベル1mg/kgでのIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gによるヒトの2週毎(1Q2W)の反復i.v.処置後の潜在的な血漿濃度をシミュレーションした。インビトロ薬理学研究によれば、1mg/kgの混合物投与後のトラフ時間でのIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gの予測血漿濃度は、治療上活性であるとみなされた。
【0273】
実施例16:ヒトにおけるPK
IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの混合物によるFIH臨床試験GCT1029-01から用量漸増コホートの0.3、1または3.0mg/kgの第1用量後に評価された入手可能なPKデータは、2つの分子IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gに関してヒトにおけるPKが非常に似通って見えることを示す(図27)。加えて、血漿半減期(T1/2)が15~80時間の範囲で比較的短いことも分かった。これらのデータは、実施例15に記載されているような前臨床PKモデルに基づくヒトPK予測が、IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの両方のヒトクリアランスを過小評価していたことで、両抗体のCtrough値が定量下限(LLOQ)を下回り(隔週投与間隔に基づく)、AUC0-14日が予測値を下回る結果となったことを示している。それゆえ、適用された隔週投与レジメンは、最良の治療指数を達成することができない可能性があり、強化された週間計画およびプライミング用量が、用量を増加させ、それによって、より高い薬物曝露およびおそらく改善された抗腫瘍効果を得ることができると想定された。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26
図27A
図27B
【配列表】
2022531894000001.app
【国際調査報告】