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特表2022-531917MR撮像アプリケーションのためのコイルアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】MR撮像アプリケーションのためのコイルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
A61B5/055 355
A61B5/055 350
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566288
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2020062958
(87)【国際公開番号】W WO2020229373
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】19173969.7
(32)【優先日】2019-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20153574.7
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520496431
【氏名又は名称】スコープ マグネティック レゾナンス テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SKOPE MAGNETIC RESONANCE TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブルンナー、ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、トーマス
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB44
4C096CC04
4C096CC05
4C096CC40
(57)【要約】
MR撮像アプリケーションのためのコイルアセンブリは、MR動作周波数で励起場を生成するための導電性RF送信機コイル構成(2)であって、撮像ボリューム(4)の周りに配置されるとともに長手方向軸(A)を有する管状構造を形成している導電性RF送信機コイル構成と、送信機コイル構成を囲む外部RFシールド(6)と、撮像ボリューム内に配置され、その中に配置された対象または物体からMR信号を受信する少なくとも1つの導電性RF受信機コイル(8;8a,8b)とを備え、少なくとも1つの導電性RF受信機コイルは、外部RFシールドの外側に配置された受信機デバイス(14)に接続可能なそれぞれのRF受信ライン(12;12a,12b)にその接続ポイント(10;10a,10b)で電気的に接続されている。コイルアセンブリの性能を改善するために、各受信機コイルのそれぞれのRF受信ラインは、接続ポイント(10;10a,10b)と、受信ライン(12;12a,12b)が通る外部RFシールドの隣接する面部分(18;18a,18b)との間の受信機近位セグメント(16;16a,16b)において、長手方向軸(A)に対して実質的に垂直に向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MR撮像アプリケーションのためのコイルアセンブリであって、
MR動作周波数で励起場を生成するための導電性RF送信機コイル構成(2)であって、撮像ボリューム(4)の周りに配置されるとともに長手方向軸(A)を有する管状構造を形成している導電性RF送信機コイル構成と、
前記送信機コイル構成を囲む外部RFシールド(6)と、
前記撮像ボリューム内に配置され、その中に配置された対象または物体からMR信号を受信する少なくとも1つの導電性RF受信機コイル(8;8a,8b)であって、前記外部RFシールドの外側に配置された受信機デバイス(14)に接続可能なそれぞれのRF受信ライン(12;12a,12b)にその接続ポイント(10;10a,10b)で電気的に接続されている少なくとも1つの導電性RF受信機コイル(8;8a,8b)と
を備え、
前記受信機コイルの前記それぞれのRF受信ラインは、前記接続ポイント(10;10a,10b)と、前記受信ライン(12;12a,12b)が通る前記外部RFシールドの隣接する面部分(18;18a,18b)との間の受信機近位セグメント(16;16a,16b)において、長手方向軸(A)に対して実質的に垂直に向けられている、コイルアセンブリ。
【請求項2】
非導電性材料で形成され、前記外部RFシールド内に配置された支持構造(22)をさらに備え、前記支持構造に前記送信機コイル構成が堅固に接続され、各受信機コイルが堅固に接続可能である、請求項1に記載のコイルアセンブリ。
【請求項3】
前記管状構造は、実質的に円筒形である、請求項1または2に記載のコイルアセンブリ。
【請求項4】
前記送信機コイル構成(2)は、鳥かご型またはTEM共振器型である、請求項1に記載のコイルアセンブリ。
【請求項5】
前記送信機コイル構成は、ループ、ダイポール、ストリップライン、またはTEMラインのアレイである、請求項1に記載のコイルアセンブリ。
【請求項6】
前記送信機コイル構成(2)は、送信機通過領域(19)で前記RFシールドを横断して、前記外部RFシールドの外側に配置されたRF送信機供給デバイス(15)に到達する少なくとも1つのRF送信機ライン(13)を備え、前記RF送信機ラインのうちの少なくとも1つは、前記送信機通過領域(19)に近接する領域において前記長手方向軸(A)に対して実質的に垂直に向けられている、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のコイルアセンブリ。
【請求項7】
前記送信機コイル構成(2)に堅固に接続された少なくとも1つの磁場プローブ(24)をさらに備える、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載のコイルアセンブリ。
【請求項8】
前記磁場プローブは、その接続ポイント(26)において、前記外部RFシールド(6)の外側に配置されたプローブ受信機デバイス(30)につながるそれぞれのRFプローブライン(28)に電気的に接続されており、各磁場プローブの前記それぞれのRFプローブラインは、前記接続ポイント(26)と、前記外部RFシールドの隣接する面部分(34)との間の磁場プローブ近位セグメント(32)において前記長手方向軸(A)に対して実質的に垂直に向けられている、請求項7に記載のコイルアセンブリ。
【請求項9】
前記受信機デバイス(14)のグランドおよび/または前記送信機デバイス(15)のグランドおよび/またはプローブ受信機デバイス(30)のグランドは、各々がDCガルバニック接続またはAC接続であるそれぞれの接続(17)によって前記RFシールド(6)にそれぞれ接続されている、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載のコイルアセンブリ。
【請求項10】
前記外部RFシールドは、容量性スロット付きシールドである、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載のコイルアセンブリ。
【請求項11】
RF受信機構成と前記RFシールドとの間の領域に、光刺激のための自由な見通し線を備える、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載のコイルアセンブリ。
【請求項12】
対象または物体のMR撮像または分光法を実行するための構成であって、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載のコイルアセンブリに動作可能に接続されたMR装置を備え、
前記MR装置は、
a)前記コイルアセンブリの前記撮像ボリューム(4)内の磁場方向に沿って主磁場(B)を生成するための磁石手段と、
b)前記主磁場に重ね合わされる符号化磁場を生成するための符号化手段と、
c)前記アセンブリのRF送信機コイル構成(2)に接続されて、前記MR動作周波数で前記励起場を生成するRF送信機手段(15)と、
d)画像またはスペクトルを形成するためのMRシーケンスに従って、重ね合わされた時間依存の符号化場および無線周波数場を生成するために前記符号化手段および前記RF送信機手段を操作するためのドライバ手段と、
e)前記アセンブリの外部RFシールドの外側に配置された受信機デバイス(14)を含む取得手段と
を含み、前記受信機デバイスは、MR信号を取得するために少なくとも1つのRF受信ライン(12)に接続されており、
前記長手方向軸(A)は、前記主磁場(B)に実質的に平行である、構成。
【請求項13】
前記受信機デバイス(14)は、前記外部RFシールド(6)にその外側で取り付けられている、請求項12に記載の構成。
【請求項14】
前記RF受信ラインおよび/またはRF送信機ラインおよび/またはRFプローブラインに、少なくとも1つのバランまたはRFトラップを備える、請求項13~15のうちのいずれか一項に記載の構成。
【請求項15】
バランまたは前記受信機デバイスは、DCまたはAC接続を介して、少なくとも1つのポイントで前記RFシールドに電気的に接続されている、請求項12~14のうちのいずれか一項に記載の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、磁気共鳴(MR)撮像アプリケーションのためのコイルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
MR撮像および分光法では、磁場を使用して核磁気共鳴信号を操作する。通常、複数の方向の時間変化する磁場は、一定の均一な主磁場に重ね合わされて、検査中のオブジェクト全体の局所磁場の空間変調を生成する。均一磁場は、通常、超伝導電磁石によって生成される。勾配場は、通常、特定の形状の電流波形を複数の勾配コイルに印加することによって生成される。MR励起は、予め定義されたパルスシーケンスに従って、いわゆるラーモア周波数で無線周波数(RF)場を印加することによって実現され、続いてRF信号の検出が行われる。取得されたRF信号は、既知の方法で画像またはスペクトル情報に変換される。
【0003】
動作の1つのモードによれば、別個のセットのRFコイルが、MR励起およびMR検出のために使用される。特に、対象の場全体を実質的に取り囲む、ボディコイルまたはボリュームコイルとも呼ばれる比較的大きなRFコイルを使用することができる。ボリュームコイルの1つの既知のタイプは、いわゆる「鳥かごコイル」であり、これは、MR励起に有利に使用される。MR信号の取得は、いわゆる表面受信機コイルを用いて有利に行われる。表面受信機コイルは、本質的により高く、かつより局所化された感度を有しているため、信号対雑音比(SNR)が向上し、画質を向上させ、スキャン時間を短縮し、または感度符号化(sensitivity encoding,SENSE)などの並列撮像技術の実装に使用できる。
【0004】
最適なSNR性能は、対象または物体の撮像領域を可能な限り完全に、多数の受信機コイルでカバーすることによって実現される。実際には、これは、できるだけ多くの撮像状況および患者のサイズをカバーするために、複数の異なるサイズおよび形状の機械的に個別のコイルのアレイを有することを必要とする。このような個々の受信機コイルの配置および保持は困難であり、いくつかの実際的な問題を引き起こす。
【0005】
特に、MR励起に使用される送信機によって生成された場にケーブルを配線すると、セットアップの安全かつ効率的な操作に重大な技術的な問題を引き起こす。ケーブル上の送信機によって誘導される強いRF電流は、送信機の場を歪め、そのマッチングを変更し、コンポーネントを過熱または過負荷にし、対象の組織に潜在的に危険なRF電力の堆積を誘発する可能性がある。このような相互作用を防ぐために、ケーブル電流は、RFバラン[1,2]、トラップ[3]、またはグランドブレーカー[4]を配置することによってブロックされる。しかしながら、これらのデバイスは、比較的かさばり、コストのかかるデバイスである。さらに、それらは共振回路であるため、送信RF場に結合し、大量の熱を発生させる可能性がある。上記の結合を防ぐために、これらのデバイスをシールドすることができるが、これにより、低周波スイッチング勾配場の歪みが生じる可能性がある。
【0006】
RF周波数が高くなると、異なるアンテナ要素とそれらのケーブル接続との間の前述の相互作用がより顕著になる。通常、バランおよびRFトラップ回路は、波長の1/4のオーダーの距離に配置され、したがって、より高い周波数でのより短い波長により、互いにより近くなる。送受信機アレイの場合、送受信機要素とそれらのケーブル接続との間の結合の問題は、RFラインが貫通する追加のRFシールドを導入することによって解決された[5]。これにより、個々のケーブルには、ケーブルがシールドを貫通するポイントのすぐ近くにバランが設置された。
【0007】
専用の送信機または送信機アレイを、受信機または受信機アレイと組み合わせて使用する典型的なセットアップでは、通常、受信機は、MRIスキャナに患者をロードするために送信機から移動しなければならないため、この解決策は同じ方法では追求されていない。さらに、ほとんどの臨床システムでは、送信機(ボディコイル)はボアにしっかりと取り付けられているため、受信機コイルとともに移動することはできない。さらに、これらのシステムでは、RFシールドが勾配コイルに取り付けられている。したがって、それを突き出して、RFシールドの外側に電子機器を取り付けることはできない。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、MR撮像アプリケーションのための改良されたコイルアセンブリを提供することである。特に、そのようなアセンブリは、現在知られているシステムの制限および欠点を克服しなければならない。
【0009】
本発明の一態様によれば、MR撮像アプリケーションのためのコイルアセンブリは、
-MR動作周波数で励起場を生成するための導電性RF送信機コイル構成(coil arrangement)であって、撮像ボリュームの周りに配置されるとともに長手方向軸を有する管状構造を形成している導電性RF送信機コイル構成と、
-送信機コイル構成を囲む外部RFシールドと、
-撮像ボリューム内に配置され、その中に配置された対象または物体からMR信号を受信する少なくとも1つの導電性RF受信機コイルであって、外部RFシールドの外側に配置された受信機デバイスに接続可能なそれぞれのRF受信ラインにその接続ポイントで電気的に接続されている少なくとも1つの導電性RF受信機コイルと
を備え、
-受信機コイルのそれぞれのRF受信ラインは、接続ポイントと、受信ラインが通る外部RFシールドの隣接する面部分(neighboring face portion)との間の受信機近位セグメント(receiver-proximal segment)において、長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられている。
【0010】
送信機コイル構成の文脈における「管状構造(tubular structure)」という用語は、実質的に閉じた周面と、開閉可能であり、中空構造の長手方向軸の両端に配置された2つの端部領域とを有する中空構造として理解されるべきである。便宜上、「管状構造を形成している送信機コイル構成」という表現は、「管状送信機コイル」とも呼ばれる。
【0011】
MR撮像から一般的に知られているように、管状送信機コイルは、アセンブリの撮像ボリュームの周りに配置することができ、撮像ボリューム内に配置された対象または物体に向けてMR動作周波数で強いRF励起場を送るために使用される。送信機コイル構成を取り囲む外部RFシールドは、送信機コイル構成によって生成されるRF場への曝露から周囲の領域を保護するのに役立つ。
【0012】
コイルアセンブリは、撮像ボリューム内、すなわち送信機コイル構成によって形成された中空構造内に配置された少なくとも1つの導電性RF受信機をさらに含む。受信機コイルの目的は、送信機コイル構成による励起に続いて、撮像ボリューム内に配置された対象または物体によって放出されたMR信号をピックアップすることである。各受信機コイルは、その接続ポイントで、受信機デバイスにつながるそれぞれのRF受信ラインに電気的に接続されている。後者は、RF送信機コイル構成によって放出される強いRF場への曝露から保護するために、外部RFシールドの外側に配置されている。
【0013】
既知のアセンブリでは、管状送信機コイル内に配置された任意の受信機コイルのRF受信ラインは、実質的にその長手方向軸に沿って配置され、管状送信機コイルから、および2つの端部領域のうちの1つで後者を取り囲む外部RFシールドから現れる。RF受信ラインのそのような長手方向の配置は、対象または物体が撮像ボリュームに持ち込まれた後、各受信機コイルを適切な位置に配置する必要性を考慮すると便利であるように思われる。
【0014】
しかしながら、各受信機コイルのそれぞれのRF受信ラインを、接続ポイントと、外部RFシールドの隣接する面部分との間の受信機近位セグメントの長手方向軸に対して実質的に垂直に向けることは、予期しない利点を提供することが見出された。そのような構成では、各受信ラインは、外部RFシールドのそれぞれの隣接する面部分を通って導かれ、その目的のために、RFシールドは、適切な通路またはフィードスルーを備えている。
【0015】
受信ラインは、シールド内の励起場、すなわち、送信機によって生成された電界および磁界にのみ曝される。シールドの外側には、実質的な励起場部分は存在しない。これにより、送信機と受信機との間で自然に発生する結合が減少する。さらに、プリアンプまたは離調回路およびコモンモード除去回路など、感度が高い、あるいは励起場への不利な結合を示す可能性のある受信機の電子機器をシールドの外側に配置することができる。これにより、より簡単なセットアップを使用でき、前述の感度が高いコンポーネントの追加のシールドの必要性を減らすことができる。追加のシールドは、MRIスキャナのスイッチング勾配場の追加の渦電流誘起歪みを引き起こすことになる。
【0016】
さらに、送信機によって生成された電界は、受信ラインに大電流を誘導する可能性がある。これらのケーブル電流は、送信機の場を歪ませ、送信効率の低下、SNRの低下、画像のコントラストの低下、さらには対象の組織への局所的で潜在的に危険な高出力堆積につながる可能性がある。ほとんどの送信機トポロジーでは、送信機の中央領域で、電気力線はz方向、すなわち、撮像ボリュームの長手方向にかなり向いている。したがって、本発明に従ってケーブルを比較的短い距離で場に直交するように、すなわち長手方向軸に対して垂直に配線することで、大きなケーブル電流の発生を抑制することができる。
【0017】
送信機と受信機の間の結合が減少すると、RFセットアップのさまざまな負荷および時間的安定性の下での安定性も向上し、機能的MRIモダリティで必要とされるような動的観察において、より均一なパフォーマンス、より少ない信号変動、および高い時間的SNRにつながる。
【0018】
受信ラインとしてより短いケーブルを使用すると、一般に、ケーブル内の受信機信号の散逸による損失が減少する。これは、プリアンプのデカップリングが確立されている場合、例えば、ケーブル内の定在波が強い散逸損失につながる可能性がある大きなチャネル数のアレイで特に重要である。
【0019】
プリアンプ、場合によっては離調回路をRFシールドの外側に配置すると、これらのデバイスの動作によって発生する熱を取り除く可能性が大幅に高まる。この機能は、金属製のヒートシンクおよびダクトを使用できない撮像ボリューム内からの限られた熱除去を考慮すると、チャネル数をスケーリングするための鍵となる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、対象または物体のMR撮像または分光法を実行するための構成は、第1の態様によるコイルアセンブリに動作可能に接続されたMR装置を含み、MR装置は、
a)コイルアセンブリの撮像ボリューム内の磁場方向に沿って主磁場を生成するための磁石手段と、
b)主磁場に重ね合わされる符号化磁場を生成するための符号化手段と、
c)アセンブリのRF送信機コイル構成に接続されて、MR動作周波数で励起場を生成するRF送信機手段と、
d)画像またはスペクトルを形成するためのMRシーケンスに従って、重ね合わされた時間依存の符号化場および無線周波数場を生成するために符号化手段およびRF送信機手段を操作するためのドライバ手段と、
e)アセンブリの外部RFシールドの外側に配置された受信機デバイスを含む取得手段とを含み、受信機デバイスは、MR信号を取得するために少なくとも1つのRF受信ラインに接続されており、
コイルアセンブリの長手方向軸は、主磁場に実質的に平行である。
【0021】
有利な実施形態は、従属請求項で定義され、以下でさらに説明される。
一実施形態(請求項2)によれば、コイルアセンブリは、非導電性材料で形成され、外部RFシールド内に配置された支持構造をさらに備え、支持構造に送信機コイル構成が堅固に接続され、各受信機コイルが堅固に接続可能である。
【0022】
さらなる実施形態(請求項3)によれば、管状構造は実質的に円筒形であり、すなわち、その内面は、例えば、送信機コイル構成のラング、コネクタポート、または他の電子コンポーネントなどの特定の局所構造から離れて円筒形である。そのような実施形態では、送信機の中央領域において、RF励起場の電気力線は、長手方向軸に実質的に平行であり、したがって主磁場Bに平行である。
【0023】
一実施形態(請求項4)によれば、送信機コイル構成は、鳥かご型またはTEM共振器型である。あるいは、それは、進行波構成[6]または誘電体共振器の原理に基づく送信機である。
【0024】
別の実施形態(請求項5)によれば、送信機コイル構成は、ループ、ダイポールまたは折り返しダイポール、(マイクロ)ストリップライン、またはTEMラインのアレイである。モード縮退鳥かご[7]、TEMおよび誘電体共振器などの他の典型的な送信機アレイトポロジー、ならびにマルチチャネル進行波供給構造[8]を本発明で使用することができる。
【0025】
有利には(請求項6)、送信機コイル構成は、送信機通過領域でRFシールドを横断して、外部RFシールドの外側に配置されたRF送信機供給デバイスに到達する少なくとも1つのRF送信機ラインを備え、RF送信機ラインのうちの少なくとも1つは、送信機通過領域に近接する領域において、長手方向軸(A)に対して実質的に垂直に向けられている。
【0026】
特定の実施形態(請求項7)では、コイルアセンブリは、送信機コイル構成に堅固に接続された少なくとも1つの磁場プローブをさらに備えている。この目的に特に便利なのは、磁気共鳴測定に基づく磁場プローブである。そのようなMR磁場プローブは、例えば、欧州特許出願公開第1582886号明細書または欧州特許出願公開第2515132号明細書に開示されている。
【0027】
有利には(請求項8)、磁場プローブは、その接続ポイントにおいて、外部RFシールドの外側に配置されたプローブ送受信機デバイス(30)につながるそれぞれのRFプローブラインに電気的に接続されており、各磁場プローブのそれぞれのRFプローブラインは、接続ポイントと、外部RFシールドの隣接する面部分との間の磁場プローブ近位セグメントにおいて、長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられている。
【0028】
特定の実施形態によれば、RF受信ラインおよび/またはRF送信ラインおよび/またはRFプローブラインは、同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、またはツイナックスケーブルとして構成されている。便宜上、RF受信ライン、RF送信ライン、およびRFプローブラインのいずれか1つを、そのようなRFラインのうちのいずれか1つに適用できる機能について説明する場合、総称して「RFライン」と表記される。
【0029】
各デバイスの回路は、基準電位に対して動作することを理解されたい。大抵の場合、この基準電位は、交流リターン電流のみが流れる場合は「グランド」または「ACグランド」として示される。また、シールド表面の電位は、少なくとも対応する接続が行われている場合、DCまたはACの基準電圧にあると見なすことができる。差動ラインペアのRFラインの場合、基準電圧は、両方の信号ラインの平均電圧である。この対応する基準電圧プレーンは、純粋に仮想的なものであっても、ライニングシールド、グランド、シールドブレードによって運ばれるものであってもよい。
【0030】
異なるデバイスを導電性ケーブルで接続する場合、上記の基準電圧間の電圧および電流を制御することは非常に重要である。このような電流は通常、シングルエンドおよび差動ライン上でコモンモード波(電流または電圧)として流れる。コモンモード波は、接続されたデバイス自体の不十分なバランス、または外部場からの誘導によって誘導され得る。その結果、コモンモード電流は、不要なチャネルクロストークを増加させ、伝送効率および/または均一性に影響を与え、シールドの有効性を制限し、接続の雑音指数を増加させる可能性がある。
【0031】
別の実施形態(請求項9)によれば、RF電位基準、すなわち、受信機デバイスおよび/または送信機デバイスおよび/またはプローブ受信機デバイスのグランドまたはACグランドは、各々がDCガルバニック接続またはAC接続であるそれぞれの接続線によってRFシールドにそれぞれ接続されている。AC接続は、非線形動作または信号スパイクを引き起こす可能性のある大きなDC電荷の蓄積を防ぐために、高いオーム値の並列DC抵抗を含むことができる。AC接続は、ディスクリートキャパシタまたは分布キャパシタンスによって提供できる。通常、低い正味インピーダンスは、最適なシールド性能に有益であると見なされていることが理解される。RFラインに流れる大きなコモンモード電流を防ぐために、バランおよび/またはRFトラップをRFラインに沿って配置することができる。周囲のシールドへの1つまたは複数の低インピーダンス接続(AC、DC、またはRCタイプ)と直列の、コモンモード電流に対して高インピーダンスを示す1つまたは複数のバランおよびRFトラップの組み合わせは、非常に有利なコモンモード分離特性を提供することが理解される。
【0032】
さらなる実施形態(請求項10)によれば、外部RFシールドは、容量性スロット付きシールド(capacitively slotted shield)である。グランドループがスイッチング勾配およびRFによって誘導に曝されるのを防ぐために、異なる信号ライン(RF、制御信号、およびバイアス)間のDC結合を避けるのは良い方法である。すべてのラインがシールドに接続されている場合、グランドループは、すべてのケーブルのシールド/基準電圧プレーンへのAC(容量性)結合により回避できる。あるいは、ラインが突き出ており、そのグランドを介してDC接続されているシールドの部分は、望ましくないDCグランドループを防ぐために、他のラインに接続されているパッチにのみAC結合されている。したがって、RFシールドのスロットは、突出するRF受信ラインの幾何学的構成に適合されている。これにより、シールドのパッチは、周囲のシールドの他のパッチと分布キャパシタンスを形成する。
【0033】
本発明のコイルアセンブリは、人間の頭に適用するように構成されている場合、特に脳撮像アプリケーションのために構成されている場合、または人間の胴体に適用するように構成されている場合に特に有用である。
【0034】
特定の実施形態(請求項11)によれば、コイルアセンブリは、RF受信機構成とRFシールドとの間の領域に、光刺激のための自由な見通し線(free line of sight)を備えるように構成されている。
【0035】
対象または物体のMR撮像または分光法を実行するための構成の有利な実施形態(請求項13)によれば、受信機デバイスは、外部RFシールドにその外側で取り付けられている。そのような取り付けは、好ましくはスナップオンまたはねじ込み式接続などの取り外し可能な取り付けを提供する、多種多様な機械的固定手段によって実施することができる。機械的固定手段は、受信機デバイスと外部RFシールドとの間のグランド接続も提供するように構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、受信機デバイスは、高インピーダンスまたは低インピーダンスの種類であってよいプリアンプまたは反射型プリアンプである。
有利なことに(請求項14)、この構成は、受信ラインに沿ってシールドを貫通するエバネセント場をブロックすることにより、コモンモード電流を抑制して受信機におけるSNR劣化および送信機の電力損失を回避するために、RF受信ラインおよび/またはRF送信機ラインおよび/またはRFプローブラインに、少なくとも1つのバランまたはRFトラップを備えている。受信機コイル要素からシールドを通ってRF信号を案内する信号ラインが差動タイプである場合、好ましい実施形態として考えられる。テブナン(Thevenin)ラインなどの標準トポロジー、シールド付きまたはシールドなしのツイストペアライン、またはツイナックスラインを配置することができる。
【0037】
一実施形態(請求項15)によれば、バランまたは受信機デバイスは、DCまたはAC接続を介して、少なくとも1つのポイントでRFシールドに電気的に接続されている。
信号ラインのシールド導体またはガードは、シールドに電気的に接続することができる。優先的な実施形態では、受信機コイルとシールドとの間に配置されたRFトラップ、バラン、またはグランドブレーカーは、送信機から受信機構造への結合を低減するために、受信機コイルからシールドへの電流を遮断する。コモンモード遮断手段は、その効率を高めるために、受信ラインがシールドを貫通するポイントの近くで、コイル上に直接結合することができる。
【0038】
別の好ましい実施形態では、受信機は、外部RFシールドの外側に配置されたアクティブまたはパッシブ離調ネットワークを備えている。これにより、送信機の離調回路への潜在的に危険な結合が大幅に減少し、回路によって生成された熱の除去が容易になる。
【0039】
コイル内に追加の電気信号および/またはDC電源が必要な場合(例えば、離調電流、増幅器バイアス、シム電流など)、これらのラインは、受信機のRFラインと同じ方法で優先的にルーティングされる。DC電源および低周波信号には、さらにRFチョークおよびシールドを貫通するポイントでのシールドへのバイパスをさらに設けることができる(例えば、フィードスルーキャパシタ、L、T、またはPIフィルタを配置することによって)。
【0040】
さらに、プリアンプは、受信ラインが送信機のRFシールドを貫通するポイントの近くに優先的に配置される。短いRFラインは、損失、誘導ノイズ、ならびに送信機および他の受信機チャネルへの結合を低減する。さらに、(例えば温度などでの)ケーブルの位相および振幅のドリフトが、短い接続距離によって等しく最小化されるため、信号の安定性が向上する。特に、プリアンプのデカップリングが、(高インピーダンスまたは低インピーダンスの種類の)反射型プリアンプを配置することによって確立される場合にはこのようになる。プリアンプのデカップリングを確立するには、反射型プリアンプとコイルとの間にコンパクトなRF移相器または適切なRF遅延ラインが必要になる場合がある。
【0041】
プリアンプ入力およびコイルフィードは、信号の対称性の観点から差動トポロジー(differential topology)とすることができる。次に、増幅器のコモンモード除去能力を使用して、取得したコイル信号からの同相ノイズをブロックすることができる。これは、バランまたはRFトラップに加えて、またはその代わりに適用できる。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、プリアンプの後に、信号チェーンにおいて受信機フロントエンドが続く。この受信機フロントエンドは、信号をボアから誘導するのにより便利な別の周波数に変換するアナログミキシング段とすることができる。あるいは、完全なデジタル-アナログ変換器を、信号をボアからデジタル的に誘導する複数の受信チャネルに埋め込むことができる。
【0043】
さらに、ボアからの必要なケーブル配線を減らすために、デジタルまたはアナログの信号は、光または無線信号送信機に変換されてよい。
受信要素は、表面または垂直ループタイプ、8の字、ダイポールまたはモノポールにすることができる。それらは、容量性セグメンテーション、アクティブおよびパッシブ離調ネットワーク、ならびにコイル直上のプリアンプをさらに含むことができる。
【0044】
RFシールドの近くを走るすべてのケーブルがこのグランド基準に電気的に接続できる場合、結合効果を低減するという点で有益であり得ることが理解される。
さらに、スイッチング勾配場によって誘導される拡張RFシールド上の渦電流を回避するために、シールドは、スロットが付けられ、容量結合され、および/または導電性材料の単一またはいくつかの薄い層(表皮深さのオーダー)で作られるべきであることが理解される。実証済みの実施形態は、薄い(1μmから50μmの厚さ)金属導体シートによって裏打ちされた薄い(1μmから100μmの厚さ)誘電体材料からなる。その後、スロットの両側をエッチングまたはレーザー加工して、残りのオーバーラップがスロット全体に十分な容量を形成するようにする。誘電率が高く、好ましくは抵抗損失が低い薄い基板がこの用途に有益であることが理解される。さらに、スロットは、キャパシタ、優先的にはセラミックキャパシタによってブリッジすることができる。コイルの動作周波数に近い直列共振を備えたキャパシタが有益であることが理解される。さらに、スロットは、RF送信に低い損失をもたらすために、送信コイルによって誘導されるRF電流の経路に従うべきであることが理解される。しかしながら、同時に、スロットは、スイッチング勾配および動的シムシステムによって誘導される渦電流の範囲を制限する必要がある。
【0045】
SNR効率およびコモンモード電流抑制に関する同じ考慮事項が、そのような送信機および受信機のセットアップにおける場プローブ(field probe)の統合に適用されることが理解される。場プローブの信号ラインが受信機のラインとしてRFシールドを貫通することは有益であると考えられる。特に、プローブの信号ラインにRFトラップおよび/またはシールドへの(ACバイパス)接続を備えることにより、コイルにおけるRF状況を大幅に改善できる。さらに、特に送信機のRFシールド上を流れる渦電流からの、スイッチング勾配および動的シミング場の渦電流誘起歪みは、通常の撮像目的よりも高度に回避される必要があることが理解される。したがって、プローブの近くでは、シールド導体をより細かくスロットに入れるか、または完全に省略することが有益であると考えられる。さらに、シールド材料は、炭素繊維など、より低いおよび/または一方向のDCコンダクタンスを提供する他の材料と置き換えることができる。さらに、場プローブおよび/またはそれらのRFラインのRF回路は、少なくとも部分的に差動トポロジーであってよい。そのような実施形態は、専用のバラン、T/Rスイッチ、プリアンプ、パワーアンプを使用することで、高いコモンモード除去、ケーブルシールド電流による低損失、コモンモード電流による低ノイズ、コモンモード抑制によるチャンネル間カップリングの抑制を実現し、かつ高いシールド効率を維持することができる。
【0046】
さらに別の実施形態によれば、コイルアセンブリは、視覚刺激のための手段を含む。一実施形態では、対象に視覚刺激を提示するため、および/または、例えばアイトラッカーによって、対象を監視するための見通し線(line of sight)を、さまざまな方法で提供することができる。送信機の外側にミラーまたはプリズムを使用する従来のセットアップを使用して、対象の見通し線を患者またはスキャナのサービス側に向けることができる。このために、シールドに穴を開け、あるいは薄いワイヤーメッシュまたは金属層で作られた透明なRFシールドを採用することができる。あるいは、ミラーまたはプリズムをコイルの内側に配置して、サービス側に突出させることもできる。しかしながら、好ましい実施形態では、コイルは、本質的にRFシールドと受信機コイルの内殻との間に導かれるコイルセットアップを通して見通し線を提供する。ハウジングは、額を覆う部分およびコイルセットアップの後ろの対応する部分を透明にすることができる。さらに、光学部品をコイルハウジング内に配置して、対象に提示される画角を調整し、コイルにおいて電子部品およびハウジング部品の周りの光路を導くことができる。さらに、マットスクリーンは、コイルの後ろに配置することができ、またはコイルハウジングに好適に取り付けられて、視覚刺激をサービス側から投射することができる。このようにして、超高磁場システムの比較的長いボアにもかかわらず、刺激を大きな視野角で対象に提示することができる。マットスクリーン自体は、穴、レンズシステム、または追加のミラーなどの設備をさらに備えて、視覚的投影と同時に磁石のサービス側に配置された外部アイトラッカーの操作を可能にすることができる。
【0047】
そのようなマットスクリーンまたは偏向ミラー/プリズムは、電子スクリーンに置き換えることができることも理解される。さらに、視線追跡または他の光学記録デバイス(モーションキャプチャ用など)は、コイルの後ろ、または受信機の内殻と送信機のRFシールドとの間の前述の空間に配置できることが理解される。
【0048】
特定の実施形態では、コイルアセンブリは、局所適応Bシミングのための手段をさらに含み、これは、好ましくは、外部RFシールド内に配置される。好ましくは、それぞれのシムコイルの電流リードは、本発明のRFラインのように配線される。有利なことに、シムコイルリードは、RFバランおよび/またはRFトラップを含み、シールドに電気的(DCまたはAC)に接続されている。局所適応Bシミングのための手段が外部RFシールドの一部であることもまた企図されている。
【0049】
さらなる実施形態によれば、コイルアセンブリは、撮像ボリューム内に配置された対象または物体の動きを追跡するための手段を追加的に含む。これらは、誘導モーショントラッキングシステムまたは光学モーショントラッキングシステムであってよい。
【0050】
別の実施形態によれば、モーショントラッキングのための手段は、場プローブベースのモーショントラッキングシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
添付の図面と併せて本発明の実施形態の以下の説明を参照することにより、本発明の上記および他の特徴および目的、ならびにそれらを達成する方法はより明らかになり、本発明それ自体がよりよく理解されるであろう。
図1】先行技術による対象または物体のMR撮像を実行するための構成の概略的な垂直断面図である。
図2】本発明による対象または物体のMR撮像を実行するための構成の概略的な垂直断面図である。
図3】本発明によるコイルアセンブリの部分的に切り取られた概略斜視図である。
図4】本発明によるコイルアセンブリの軸方向断面図である。
図5図4のコイルアセンブリの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
概して、同じ参照記号は、様々な図面の機能的に同一または類似の特徴に使用され、したがって、本発明を理解するために必要でない限り、複数回説明されない。
対象または物体SのMR撮像を実行するための構成は、概して、コイルアセンブリに動作可能に接続されたMR装置を含む。先行技術によるそのような構成は、図1に部分的に示されている。コイルアセンブリは、MR動作周波数で励起場を生成するための導電性RF送信機コイル構成2を備えている。送信機コイル構成は、撮像ボリューム4の周りに配置され、長手方向軸Aを有する管状構造を形成している。外部RFシールド6は、図示の例でも実質的に管状であり、送信機コイル構成を取り囲んでいる。コイルアセンブリは、その中に配置された対象または物体SからMR信号を受信するために、撮像ボリューム内に配置された導電性RF受信機コイル8をさらに備えている。受信機コイル8は、外部RFシールド6の外側に配置された受信機デバイス14に接続可能なそれぞれのRF受信ライン12に電気的に接続される接続ポイント10を有している。
【0053】
MRデバイスは、詳細には示されていないが、撮像ボリューム4内の場方向に沿って主磁場Bを生成するための磁石手段と、主磁場に重ね合わされる符号化磁場を生成するための符号化手段と、アセンブリのRF送信機コイル構成2に接続されて、MR動作周波数で励起場を生成するRF送信機手段15と、画像またはスペクトルを形成するためのMRシーケンスに従って、重ね合わされた時間依存の符号化場および無線周波数場を生成するために符号化手段およびRF送信機手段を操作するためのドライバ手段と、アセンブリの外部RFシールド6の外側に配置された受信機デバイス14を含む取得手段とを備えている。動作状態では、受信機デバイス14は、MR信号を取得するために少なくとも1つのRF受信ライン12に接続されている。図1に示すように、コイルアセンブリの長手方向軸Aは、主磁場Bに実質的に平行である。さらに、RF受信ライン12は、実質的に管状送信機コイル構成の長手方向軸Aに沿っており、それに対応して、実質的に主磁場Bに沿って向けられている。
【0054】
本発明に従って構成された構成は、図2および図3に示されている。図1の構成とは対照的に、受信機コイル8のそれぞれのRF受信ライン12は、接続ポイント10と、受信ライン12が通る外部RFシールド6の隣接する面部分18との間の受信機近位セグメント16において、長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられている。特に図2からわかるように、送信機コイル構成2は、MRIで広く使用されているタイプの実質的に円筒形のケージとして構成されている。送信機コイル構成を取り囲む外部RFシールド6も実質的に円筒形であり、送信機コイルに対して実質的に同軸に配置されている。その接続ポイント10で受信機コイル8に接続されたRF受信ライン12は、実質的に半径方向、すなわち長手方向軸Aに実質的に垂直に向けられるとともに小さな開口部20を通してその面部分18でRFシールド6を横切る受信機近位セグメント16を有している。同様に、送信機コイル構成2は、送信機通過領域19でRFシールドを横断して、外部RFシールドの外側に配置されたRF送信機供給デバイス15に到達する少なくとも1つのRF送信機ライン13を備え、RF送信機ラインは、送信機通過領域19に近接する領域において長手方向軸(A)に対して実質的に垂直に向けられている。
【0055】
さらに、受信機デバイス14のグランドおよび/または送信機デバイス15のグランドおよび/またはプローブ受信機デバイス30のグランドは、各々が単純なDCガルバニック接続、または例えば単一のキャパシタまたはRC素子を含む適切なAC接続であってよいそれぞれの接続線17によってRFシールド6にそれぞれ接続されている。図面を簡単にするために、各デバイスのグランドは、それぞれのデバイスの周辺/ハウジングに配置されたドットとして示されている。
【0056】
機械的な安定のために、非導電性材料で形成された支持構造22が、外部RFシールド6内に配置されている。送信機コイル構成および受信機コイル10は、支持構造22に堅固に接続(rigidly connected)されている。
【0057】
本発明によるさらなる構成のコイルアセンブリが、図4および図5に示されている。図2および図3の実施形態とは対照的に、コイルアセンブリは、2つの受信コイル8aおよび8bを含み、これらは、示される例では、相互に重なり合う方法で配置されている。
【0058】
図4に概略的に示されるように、有利な実施形態によるコイルアセンブリは、それに堅固に接続された少なくとも1つの磁場プローブ24をさらに含む。磁場プローブは、その接続ポイント26で、外部RFシールドの外側に配置されたプローブ受信機デバイス30につながるそれぞれのRFプローブライン28に電気的に接続されている。各磁場プローブのそれぞれのRFプローブラインは、接続ポイント26と外部RFシールドの隣接する面部分34との間の磁場プローブ近位セグメント32において長手方向軸(A)に対して実質的に垂直に向けられている。図5の例では、受信機デバイス14は、機械的固定要素36によって外部RFシールド6に機械的に取り付けられている。
【0059】
[参考文献]
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図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】