(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】動的電力潮流モデルを用いた電力系統制御
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20220705BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J3/00 170
H02J13/00 301A
H02J13/00 311A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566941
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2020039873
(87)【国際公開番号】W WO2020264336
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521489274
【氏名又は名称】ユーティリデータ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UTILIDATA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224683
【氏名又は名称】齋藤 詩織
(72)【発明者】
【氏名】テイラー スパルト
(72)【発明者】
【氏名】ナイ リー
(72)【発明者】
【氏名】マリッサ ハモン
(72)【発明者】
【氏名】ロブサン ラマ
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA03
5G066AA01
5G066AE09
5G066HB02
5G066HB04
5G066HB06
5G066HB09
5G066HB11
(57)【要約】
電力系統の構成要素を制御するシステムと方法とを対象とする。システムは信号を受信できる。システムは、信号に基づいて1つ以上の統計的測定基準を判定することができる。システムは、入力行列を生成することができる。システムは、入力行列を機械学習モデルに入力することができる。システムは、入力行列に基づいて、および機械学習モデルを介して、値が入力行列において提供されない期間において、電力系統の信号についての値を予測することができる。システムは、命令を提供して、機械学習モデルによって予測される、電力系統の信号についての値に応答して、電力系統の構成要素を制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の構成要素を制御する方法であって、前記方法は、
データ処理システムによって、電力系統の1つ以上の部分に配置される1つ以上の装置によって検出される第1の複数の信号と、前記電力系統から離れたサーバから受信される第2の複数の信号とを識別することと、
前記データ処理システムによって、前記第1の複数の信号と前記第2の複数の信号とに基づいて、1つ以上の統計的測定基準を判定することと、
前記データ処理システムによって、タイムスタンプに対応する第1の次元と、前記第1の複数の信号、前記第2の複数の信号、および前記1つ以上の統計的測定基準に対応する第2の次元と、を有する入力行列を生成することと、
前記データ処理システムによって、前記入力行列に基づいて前記電力系統の信号についての値を出力するように構成される機械学習モデルに、前記入力行列を入力することと、
前記入力行列に基づき及び前記機械学習モデルを介して前記データ処理システムによって、前記値が前記入力行列において提供されない期間において前記電力系統の前記信号についての前記値を予測することと、
前記機械学習モデルによって予測される前記電力系統の前記信号についての前記値に応答して、前記データ処理システムによって、命令を提供して、前記電力系統の構成要素を制御することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記第1の複数の信号は、
電圧調整器、負荷タップ切換器、変電所計、デジタル継電器、または回路遮断器のうちの少なくとも1つに対応する変電所信号と、
一次回路計、コンデンサバンク、一次回路電圧調整器、線間電圧監視装置、一次太陽光逆変換装置のうちの少なくとも1つに対応する一次回路信号と、
二次太陽光逆変換装置、電気自動車充電ポイント、住宅用電力計、又は顧客の場所に配置される電子装置からのデータのうちの少なくとも1つに対応する二次回路信号と、
を含み、
前記第2の複数の信号は、現在の天候、予測される天候、現在の電送、予測される電送、または配電容量のうちの少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
前記第1の複数の信号のうちの第1の信号についての標本化率が、前記第1の複数の信号のうちの第2の信号についての標本化率と異なると判定することと、
前記第1の信号を前記第2の信号と同期することと、
前記データ処理システムによって、前記第1の複数の信号をクリーニングして、ノイズによって破損される、または空値を含む期間を除去することと、
を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
前記第1の複数の信号のうちの少なくとも1つの信号の1つ以上の標本は、ノイズによって破損される、または空値を含むことを検出することと、
ノイズによって破損される、または空値を含む前記少なくとも1つの信号の前記1つ以上の標本のタイムスタンプに対応する標本を、前記第1の複数の信号の各信号から除去することによって、前記第1の複数の信号をクリーニングすることと、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
前記第1の複数の信号の標本化率または平滑パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、前記データ処理システムによって、フィルタを選択することと、
前記データ処理システムによって、前記選択されたフィルタを前記第1の複数の信号に適用して、フィルタリングされたデータを生成することと、
前記フィルタリングされたデータを使用して、前記入力行列を生成することと、
を含み、
前記平滑パラメータは、前記第1の複数の信号の基礎となる傾向を維持するように設定される、
方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
前記データ処理システムによって、過去の信号と過去の統計的測定基準とから生成される過去の入力行列を使用して、前記機械学習モデルを訓練すること、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記方法は、
前記過去の入力行列の次元に1つ以上の重みを適用して、前記機械学習モデル上の前記次元の影響値を調節すること、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
前記機械学習モデルによって予測される前記電力系統の前記信号についての前記値を閾値と比較することと、
前記比較に基づいて、前記命令を生成して、前記構成要素を制御することと、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
前記入力行列と前記機械学習モデルとを介して、前記電力系統の複数の構成要素と関連付けられる複数の信号に対する複数の変更を予測することと、
前記複数の変更を評価して、前記電力系統についての所望の結果を識別することと、
1つ以上の命令を生成して、前記複数の構成要素のうちの1つ以上を制御し、前記電力系統についての前記所望の結果を達成することと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
前記命令を用いて前記構成要素を制御した後に、前記電力系統の前記1つ以上の部分に配置される前記1つ以上の装置によって検出される第3の複数の信号を受信することと、
前記命令と前記第3の複数の信号とに基づいて、前記機械学習モデルを更新することと、
を含む、方法。
【請求項11】
電力系統の構成要素を制御するためのシステムであって、前記システムは、
1つ以上のプロセッサと記憶部とを含み、
電力系統の1つ以上の部分に配置される1つ以上の装置によって検出される第1の複数の信号と、前記電力系統から離れたサーバから受信される第2の複数の信号とを識別して、
前記第1の複数の信号と前記第2の複数の信号とに基づいて、1つ以上の統計的測定基準を判定して、
タイムスタンプに対応する第1の次元と、前記第1の複数の信号、前記第2の複数の信号、および前記1つ以上の統計的測定基準に対応する第2の次元と、を有する入力行列を生成して、
前記入力行列に基づいて前記電力系統の信号についての値を出力するように構成される機械学習モデルに、前記入力行列を入力して、
前記入力行列に基づいておよび前記機械学習モデルを介して、前記値が前記入力行列において提供されない期間において前記電力系統の前記信号についての前記値を予測して、
前記機械学習モデルによって予測される前記電力系統の前記信号についての前記値に応答して、命令を提供して、前記電力系統の構成要素を制御する、
システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記第1の複数の信号は、
電圧調整器、負荷タップ切換器、変電所計、デジタル継電器、または回路遮断器のうちの少なくとも1つに対応する変電所信号と、
一次回路計、コンデンサバンク、一次回路電圧調整器、線間電圧監視装置、一次太陽光逆変換装置のうちの少なくとも1つに対応する一次回路信号と、
二次太陽光逆変換装置、電気自動車充電ポイント、住宅用電力計、又は顧客の場所に配置される電子装置からのデータのうちの少なくとも1つに対応する二次回路信号と、
を含み、
前記第2の複数の信号は、現在の天候、予測される天候、現在の電送、予測される電送、または配電容量のうちの少なくとも1つを含む、
システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の複数の信号のうちの第1の信号についての標本化率が、前記第1の複数の信号のうちの第2の信号についての標本化率と異なることを判定することと、
前記第1の複数の信号をクリーニングする前に、前記第1の信号を前記第2の信号と同期することと、
前記第1の複数の信号をクリーニングして、ノイズによって破損される、または空値を含む期間を除去することと、
を実行するように構成される、システム。
【請求項14】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の複数の信号のうちの少なくとも1つの信号の1つ以上の標本が、ノイズによって破損される、または空値を含むことを検出することと、
ノイズによって破損される、または空値を含む前記少なくとも1つの信号の前記1つ以上の標本のタイムスタンプに対応する標本を、前記第1の複数の信号内の各信号から除去することによって、前記第1の複数の信号をクリーニングすることと、
を実行するように構成される、システム。
【請求項15】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の複数の信号の標本化率または平滑パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、フィルタを選択することと、
前記選択されたフィルタを前記第1の複数の信号に適用して、フィルタリングされたデータを生成することと、
前記フィルタリングされたデータを使用して、前記入力行列を生成することと、
を実行するように構成され、
前記平滑パラメータは、前記第1の複数の信号の基礎となる傾向を維持するように設定される、
システム。
【請求項16】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
過去の信号と過去の統計的測定基準とから生成される過去の入力行列を使用して、前記機械学習モデルを訓練する、
ように構成される、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
1つ以上の重みを前記過去の入力行列の次元に適用して、前記機械学習モデル上の前記次元の影響値を調節する、
ように構成される、システム。
【請求項18】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
前記機械学習モデルによって予測される前記電力系統の前記信号についての前記値を閾値と比較することと、
前記比較に基づいて、前記命令を生成して、前記構成要素を制御することと、
を実行するように構成される、システム。
【請求項19】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
前記入力行列と前記機械学習モデルとを介して、前記電力系統の複数の構成要素と関連付けられる複数の信号に対する複数の変更を予測することと、
前記複数の変更を評価して、前記電力系統についての所望の結果を識別することと、
1つ以上の命令を生成して、前記複数の構成要素のうちの1つ以上を制御し、前記電力系統についての前記所望の結果を達成することと、
を実行するように構成される、システム。
【請求項20】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記1つ以上のプロセッサは、
前記命令を用いて前記構成要素を制御した後に、前記電力系統の前記1つ以上の部分に配置される前記1つ以上の装置によって検出される第3の複数の信号を受信することと、
前記命令と前記第3の複数の信号とに基づいて、前記機械学習モデルを更新することと、
を実行するように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年7月30日に出願された米国特許出願第16/526,465号(2019年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/868,594号に対する米国特許法119条に基づく優先権の利益を主張する)に対する優先権の利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、動的電力潮流モデルを用いて電力系統を制御するためのシステムおよび方法に関連する。特に、本開示のシステムおよび方法は、データ駆動で、リアルタイムな、動的電力潮流モデルに基づいて、電力の段階における構成要素を制御することができる。
【背景技術】
【0003】
電力配電系統は、計量器を使用して、送電網内の電力の伝送または消費を観察または測定することができる。電力配電系統は、多数の接続ポイントと構成要素とを含むことができる。しかしながら、電力系統全体にわたる効率的で信頼できる電力の配電を維持するために、電力供給または消費の特性を評価することは困難である場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステムおよび方法は、動的電力潮流モデルを使用して、電力系統を制御することを対象とする。本開示のシステムおよび方法は、データ駆動で、リアルタイムな動的電力潮流モデルに基づいて、電力段階における構成要素を制御することができる。例えば、システムは、電力系統の構成要素から信号を受信することができ、信号をクリーニングしてフィルタリングすることができる。システムは、機械学習モデルを使用して、入力信号に基づいて電力系統についての値を予測することができ、次に、電力系統を制御する、管理する、または維持することができる。
【0005】
本開示の少なくとも1つの態様は、電力系統の構成要素を制御する方法を対象とする。本方法は、電力系統の1つ以上の部分に配置される1つ以上の装置によって検出される第1の複数の信号を識別するデータ処理システムを含むことができる。本方法は、電力系統から離れたサーバから受信される第2の複数の信号を識別することを含むことができる。本方法は、第1の複数の信号と第2の複数の信号とに基づいて、1つ以上の統計的測定基準を判定することを含むことができる。本方法は、入力行列を生成することを含むことができる。入力行列は、タイムスタンプに対応する第1の次元を有することができる。入力行列は、第1の複数の信号、第2の複数の信号、および1つ以上の統計的測定基準に対応する第2の次元を有することができる。本方法は、入力行列を機械学習モデルに入力するデータ処理システムを含むことができる。機械学習モデルは、入力行列に基づいて、電力系統の信号についての値を出力するように構成されることができる。本方法は、入力行列に基づいておよび機械学習モデルを介して、値が入力行列において提供されない期間において電力系統の信号についての値を予測するデータ処理システムを含むことができる。本方法は、機械学習モデルによって予測される電力系統の信号についての値に応答して、電力系統の構成要素を制御するための命令を提供するデータ処理システムを含むことができる。
【0006】
第1の複数の信号は、変電所信号、一次回路信号又は二次回路信号を含むことができる。変電所信号は、電圧調整器、負荷タップ切換器、変電所計、デジタル継電器、または回路遮断器のうちの少なくとも1つに対応することができる。一次回路信号は、一次回路計、コンデンサバンク、一次回路電圧調整器、線間電圧監視装置、一次太陽光逆変換装置のうちの少なくとも1つに対応することができる。二次回路信号は、二次太陽光逆変換装置、電気自動車充電ポイント、住宅用電力計、または顧客の場所に配置される電子装置からのデータのうちの少なくとも1つに対応することができる。第2の複数の信号は、現在の天候、予測される天候、現在の電送、予測される電送、価格信号、または配電容量のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0007】
本方法は、第1の複数の信号のうちの第1の信号についての標本化率が第1の複数の信号のうちの第2の信号についての標本化率と異なることを判定するデータ処理システムを含むことができる。データ処理システムは、第1の信号を第2の信号と同期する。データ処理システムは、第1の複数の信号をクリーニングして、ノイズによって破損される、または空値を含む期間を除去することができる。
【0008】
本方法は、第1の複数の信号のうちの少なくとも1つの信号の1つ以上の標本が、ノイズによって破損される、または空値を含むことを検出するデータ処理システムを含むことができる。データ処理システムは、ノイズによって破損される、または空値を含む少なくとも1つの信号の1つ以上の標本のタイムスタンプに対応する第1の複数の信号内の各信号から標本を除去することによって、第1の複数の信号をクリーニングすることができる。
【0009】
本方法は、第1の複数の信号の標本化率または平滑パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、フィルタを選択するデータ処理システムを含むことができる。データ処理システムは、選択されたフィルタを第1の複数の信号に適用して、フィルタリングされたデータを生成することができる。データ処理システムは、フィルタリングされたデータを使用して、入力行列を生成することができる。平滑パラメータは、第1の複数の信号の基礎となる傾向を維持するように設定される。
【0010】
本方法は、過去の信号と過去の統計的測定基準とから生成される過去の入力行列を使用して、機械学習モデルを訓練するデータ処理システムを含むことができる。データ処理システムは、過去の入力行列の次元に1つ以上の重みを適用して、機械学習モデル上の次元の影響値を調節することができる。
【0011】
本方法は、機械学習モデルによって予測される電力系統の信号についての値を閾値と比較するデータ処理システムを含むことができる。データ処理システムは、比較に基づいて、命令を生成して、構成要素を制御することができる。
【0012】
本方法は、入力行列と機械学習モデルとを介して、電力系統の複数の構成要素と関連付けられる複数の信号に対する複数の変更を予測するデータ処理システムを含むことができる。データ処理システムは、複数の変更を評価して、電力系統についての所望の結果を識別することができる。データ処理システムは、1つ以上の命令を生成して、複数の構成要素のうちの1つ以上を制御し、電力系統についての所望の結果を達成することができる。
【0013】
本方法は、命令を用いて構成要素を制御した後に、電力系統の1つ以上の部分に配置される1つ以上の装置によって検出される第3の複数の信号を受信するデータ処理システムを含むことができる。データ処理システムは、命令と第3の複数の信号とに基づいて、機械学習モデルを更新することができる。
【0014】
少なくとも1つの態様は、電力系統の構成要素を制御するためのシステムを対象とする。システムは、1つ以上のプロセッサを含むことができる。1つ以上のプロセッサは、電力系統の1つ以上の部分に配置される1つ以上の装置によって検出される第1の複数の信号と、電力系統から離れたサーバから受信される第2の複数の信号とを識別することができる。1つ以上のプロセッサは、第1の複数の信号と第2の複数の信号とに基づいて、1つ以上の統計的測定基準を判定することができる。1つ以上のプロセッサは、タイムスタンプに対応する第1の次元と、第1の複数の信号、第2の複数の信号、および1つ以上の統計的測定基準に対応する第2の次元とを有する入力行列を生成することができる。1つ以上のプロセッサは、入力行列に基づいて電力系統の信号についての値を出力するように構成される機械学習モデルに入力行列を入力することができる。1つ以上のプロセッサは、入力行列に基づいておよび機械学習モデルを介して、値が入力行列において提供されない期間において電力系統の信号についての値を予測することができる。1つ以上のプロセッサは、機械学習モデルによって予測される電力系統の信号についての値に応答して、命令を提供して、電力系統の構成要素を制御することができる。
【0015】
第1の複数の信号は、変電所信号、一次回路信号又は二次回路信号を含むことができる。変電所信号は、電圧調整器、負荷タップ切換器、変電所計、デジタル継電器、または回路遮断器のうちの少なくとも1つに対応することができる。一次回路信号は、一次回路計、コンデンサバンク、一次回路電圧調整器、線間電圧監視装置、一次太陽光逆変換装置のうちの少なくとも1つに対応することができる。二次回路信号は、二次太陽光逆変換装置、電気自動車充電ポイント、住宅用電力計、または顧客の場所に配置される電子装置からのデータのうちの少なくとも1つに対応することができる。第2の複数の信号は、現在の天候、予測される天候、現在の電送、予測される電送、価格信号、または配電容量のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、第1の複数の信号のうちの第1の信号についての標本化率が第1の複数の信号のうちの第2の信号についての標本化率と異なることを判定することができる。1つ以上のプロセッサは、第1の複数の信号をクリーニングする前に、第1の信号を第2の信号と同期することができる。1つ以上のプロセッサは、第1の複数の信号をクリーニングして、ノイズによって破損される、または空値を含む期間を除去することができる。
【0017】
1つ以上のプロセッサは、第1の複数の信号のうちの少なくとも1つの信号の1つ以上の標本が、ノイズによって破損される、または空値を含むことを検出することができる。1つ以上のプロセッサは、ノイズによって破損される、または空値を含む少なくとも1つの信号の1つ以上の標本のタイムスタンプに対応する第1の複数の信号内の各信号から標本を除去することによって、第1の複数の信号をクリーンニングすることができる。
【0018】
1つ以上のプロセッサは、第1の複数の信号の標本化率または平滑パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、フィルタを選択することができる。1つ以上のプロセッサは、選択されたフィルタを第1の複数の信号に適用して、フィルタリングされたデータを生成することができる。1つ以上のプロセッサは、フィルタリングされたデータを使用して、入力行列を生成することができる。平滑パラメータは、第1の複数の信号の基礎となる傾向を維持するように設定される。
【0019】
1つ以上のプロセッサは、過去の信号と過去の統計的測定基準とから生成される過去の入力行列を使用して、機械学習モデルを訓練することができる。1つ以上のプロセッサは、1つ以上の重みを過去の入力行列の次元に適用して、機械学習モデル上の次元の影響値を調節することができる。
【0020】
1つ以上のプロセッサは、機械学習モデルによって予測される電力系統の信号についての値を閾値と比較することができる。1つ以上のプロセッサは、比較に基づいて、命令を生成して、構成要素を制御することができる。
【0021】
1つ以上のプロセッサは、入力行列と機械学習モデルとを介して、電力系統の複数の構成要素と関連付けられる複数の信号に対する複数の変更を予測することができる。1つ以上のプロセッサは、複数の変更を評価して、電力系統についての所望の結果を識別することができる。1つ以上のプロセッサは、1つ以上の命令を生成して、複数の構成要素のうちの1つ以上を制御し、電力系統についての所望の結果を達成することができる。
【0022】
1つ以上のプロセッサは、命令を用いて構成要素を制御した後に、電力系統の1つ以上の部分に配置される1つ以上の装置によって検出される第3の複数の信号を受信することができる。1つ以上のプロセッサは、命令と第3の複数の信号とに基づいて、機械学習モデルを更新することができる。
【0023】
これらおよび他の態様および実装については、以下で詳しく論じられる。前述の情報および以下の詳細な説明は、様々な態様および実装の例示的な例を含み、特許請求される態様および実装の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供する。図面は、様々な態様および実装の例示およびさらなる理解を提供し、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。
【0024】
添付の図面は、一定の縮尺で描かれることを意図されない。様々な図面における同様の参照番号および名称は、同様の構造または機能を有する同様の要素を示す。明確にするために、すべての構成要素がすべての図面において表示されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態による、例示的な電力系統を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による、電力系統内の構成要素を制御するためのシステムを示すブロック図である。
【
図3】一実施形態による、電力系統内の構成要素を制御するためのシステムの動作を示すフロー図である。
【
図4】一実施形態による、電力系統内の構成要素を制御する方法の一例を示すフロー図である。
【
図5】本明細書で説明および図示されるシステムおよび方法の要素を実施するために使用されることができるコンピュータシステムの構成を示すブロック図であり、例えば、
図1に示される電力系統の態様、
図2に示されるシステム、
図3に示される動作、および
図4に示される方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本解決法の特徴および利点は、図面と併せて以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。図面において、同様の参照符号は、全体を通して対応する要素を識別する。主題の他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0027】
以下では、電力系統内の構成要素を制御する方法、機器、およびシステムに関連した様々な概念、およびそれらの実装について、より詳細に説明する。上記で紹介され、以下でより詳細に論じられる様々な概念は、多数の方法のうちの任意の方法で実装されることができる。
【0028】
電力系統または電力配電システムは、電力を分配することができる。電力系統を管理するシステムは、電力潮流のモデル化を使用して、有効電力、無効電力、およびシステムに対する変更の電圧効果を予測し、識別し、または判定することができる。電力潮流モデルを使用することは、改善または最適な装置設定、運用制御、および将来のシステムリソース消費の計画を可能にすることができる。
【0029】
しかしながら、電力潮流モデルの生成、構築、または確立は、それらが、モデル化される電力系統回路の頭上および地下の電線、変圧器、コンデンサ、リアクトル、発電機、および負荷の物理的特性から、抵抗値およびリアクタンス(誘導抵抗)値を導出することに基づくため、困難であり得る。電力潮流モデルを確立するとき、計算の複雑さを低減するために、変圧器のモデル化における磁化分岐を取り除くこと、または特定の要素から抵抗する構成要素を除去することなどの特定の仮定が、モデル化中に行われることができる。
【0030】
この技術的解決法のシステムおよび方法は、データ駆動の、リアルタイムな、動的電力潮流モデルを使用して、電力系統の制御を提供する。例えば、本明細書に開示される技術は、電力系統回路上の異なる物理的な場所/装置からの記録データを、入力データでそれ自体を訓練することを通じて電力系統回路の特性を学習する機械学習生成器に与えることによって、電力潮流モデルを構築することができる。機械学習生成器を使用することにより、この技術的解決法のシステムおよび方法は、モデル化されるシステムに関する限られた情報を使用して、所望の三相不平衡電力潮流モデルの高速な形成を提供することができる。システムは、ユーザ定義の時間工程において複数の定常状態負荷潮流判定を実行することができ、モデル化されるシステムにおいて測定される変数の動的で、リアルタイムな、時系列予測を形成する。この負荷潮流の例は、上流の負荷および電圧状態が与えられる第2の回路測定ポイントでの電圧または電力の時系列の予測、またはコンデンサバンクが切り替えられるときの下流の位置での無効電力の変更であろう。これらの予測が行われる時間工程は、非常に高い分解能の装置の一秒以内の時間工程などの、予測される所与の位置におけるデータの標本化分解能によって、より低い分解能のデータについての時間刻みの時間工程に制限される。これらのモデルは、新しい入力データが利用可能なときはいつでも更新されることができ、これは、電圧最適化がオン/オフされるとき、または負荷の一部がある給電線から別の給電線に切り替えられるときなど、回路の状態変化の間に動的で正確な予測を生成することができる。これらの予測の予測範囲は、現在から数年先までである。
【0031】
したがって、技術的解決法のシステムおよび方法は、電圧/無効電力最適化および電圧管理、システム状態予測、様々な分散型エネルギー資源シナリオ(例えば、太陽光発電、風力発電、または電気自動車の普及)の下での最適化および制御、故障、場所、免震、およびシステム回復、単独運転防止検出、または、自動切り換え、電圧制御、および保護システム動作の順序および制御の検証、を提供することができる。
【0032】
そのようにするために、この技術的解決法のデータ処理システムは、配電システムなどの電力系統(または電力配電系統)上の異なる位置または装置から入力データを受信して識別することができる。入力データは、信号を含むことができ、または信号と呼ばれることができる。入力データは、電力系統上の装置、または電力系統から離れた他の装置若しくはサーバによって、デジタル的に記録され、送信されることができる。信号は、電力系統上の装置のセンサによってなされる生の測定値若しくは検出を含むことができ、または電力系統上の装置は、生の測定値を前処理することができ、若しくは、データ処理システムに信号を送信する前にデータを操作することができる。送信の前に電力系統上の装置によってローカルにデータを前処理することは、より高い予測精度を容易にするか、またはネットワーク帯域幅の利用を低減することができる。例えば、データは、ネットワーク帯域幅の利用を低減する及び誤ったデータを除去する方法で、前処理をされ、無効な標本を除去し、または信号データを圧縮することができる。
【0033】
データ処理システムは、様々な種類の信号を受信することができる。信号の種類は、電力系統上の異なる位置に対応することができる。例えば、第1の種類の信号は位置汎用信号に対応することができ、第2の種類の信号は電力系統上の変電所の位置に対応することができ、第3の種類の信号は電力系統上の一次回路に対応することができ、第4の種類の信号は電力系統上の二次回路に対応することができる。
【0034】
これらの信号は、所定のまたは所望の標本化分解能以上の割合で時間内に標本抽出されることができる。例えば、信号の時間内における標本化分解能は、回路の物理的伝送機能が捕捉されることができるように、60秒毎に1標本よりも大きくすることができる。信号の分解能が1つの信号から別の信号に変化する場合、データ処理システムは、信号を時間内に同期することができる。データ処理システムは、誤った標本を識別し、それらを除去または修正してデータをクリーニングし、機械学習生成器を用いて正確な予測結果の生成を容易にすることができる。
【0035】
データ処理システムは、機械学習生成器の精度を高めるために、受信データまたは信号を前処理することができる。例えば、データ処理システムは、データの標本化率と他の特性とに基づいて、1つ以上のフィルタをデータに適用することができる。データ処理システムは、システムまたは外因性の挙動の物理的徴候を定義するデータから様々な統計的測定基準を期間にわたって判定することができる。例えば、データ処理システムは、平均値、中央値、最小値、最大値、標準偏差、平均値差、中央値差、最小値差、最大値差、および標準偏差の差などの統計値を判定することができる。
【0036】
データ処理システムは、受信データ(例えば、クリーニングされ、前処理された)と判定された測定基準とを使用して、入力行列を生成することができる。例えば、入力行列は、タイムスタンプに対応する列と、様々な信号と統計的測定基準とに対応する行とを含むことができる。データ処理システムは、モデルを形成するときにそれらの重要性を増加または減少させるため、この訓練期間内にタイムスタンプ(列)を重み付けすることができる。データ処理システムは、行列を入力変数と出力変数と(行)に分離することができ、これらは、機械学習アルゴリズムへの入力として使用され、機械学習アルゴリズムの出力は選択される出力変数を予測する。
【0037】
データ処理システムは、入力行列と機械学習モデル発生器とを使用して、対応する出力行列を予測することができる。モデルは、将来の期間についての新しい出力を予測することができる、または現在の期間にデータが存在しない変数についての出力値を予測することができる。データ処理システムは、電力系統の設定またはパラメータに対する変化が出力変数にどのように影響するかを予測することができる。データ処理システムは、所望の結果をもたらすために、電力系統の構成要素を制御する対象または方法を判定することができる。
【0038】
例えば、データ処理システムは、電力系統の技術的な動作目標(例えば、エネルギー使用量の削減、又は断続的な再生可能エネルギー発電中の安定性)のために、電力系統回路の電圧及びVARレベルを最適化することができる。データ処理システムは、電力系統装置に命令を出すために使用される閉最適化ループを実行することができる。データ処理システムは、電力系統装置とこれらの装置に出された前の命令とからリアルタイムなデータを受信または取り込むことができる。データ処理システムは、装置の変更の所与の集合についての電力系統の状態の変更を予測することができる。データ処理システムは、所望の結果に対して送電網の状態の変更を評価することができる。データ処理システムは、この処理を繰り返すことができ、この処理を通して反復することができ、または、モデルを使用して、所望の目標を満たす変更の最適な集合を識別することができる。
【0039】
したがって、本開示のデータ処理システムは、記録されたデータを使用して、電力系統の変数と位置との間の関係を判定してモデル化することができる。例えば、数日のデータは、数年と比べて、これらの関係を正確にモデル化し始めるのに十分であるとすることができる。さらに、データ処理システムは、電力系統から受信され、モデルを更新するために使用される電気的データに基づいて、モデルをリアルタイムで動的に変更することができる。したがって、データ処理システムは、季節性、装置の機能、変化する供給源または負荷、および外因性要因による変更に、これらの変更を事前に取得すること及び静的モデルを手動で更新することなく、適応することができる。
【0040】
データ処理システムは分散されることができる。例えば、データ処理システムのシステムと機能性とは、各ローカルデータ記録サイトが処理を実行してその近隣の間で通信する分散方法で実行されることができる。これは、ローカル入力を使用してローカル変数を予測することができる複数のモデルの分散された集まりをもたらすことができる。ローカルモデルは、天候、電力費用、およびローカルリソースのディスパッチまたは保存に使用される価格(price)信号などのグローバル情報にアクセスすることができる。
【0041】
ここで
図1を参照すると、電力配電環境の一例が示される。電力配電環境は、電力系統100を含むことができる。電力系統100は、コンピューティング装置500などの1つ以上の装置、資産(asset)、またはデジタル計算装置およびシステム、を有する配電送電網を含むことができる。簡単に説明すると、電力系統100は電源101を含む。電源101は、サブシステム電送バス102を介して、及び/又は変電所変圧器104を介して、電圧調整変圧器106aに接続されることができる。電圧調整変圧器106aは、調整器インタフェース110を有する電圧制御装置108によって制御されることができる。電圧調整変圧器106aは、一次配電回路112上で、任意の配電変圧器114を介して、二次利用回路116に、および1つ以上の電気装置または電子装置119に、任意で結合されることができる。電圧調整変圧器106aは、複数のタップ出力106bを含むことができ、各タップ出力106bは異なる電圧レベルで電力を供給する。電力系統100は、監視装置118aから118nを含むことができる。これらの監視装置は、任意の変圧器120aから120nを介して二次利用回路116に結合されることができる。監視装置または計量装置118aから118nは、バス102に結合される電源101から回路112または116に接続される1つ以上の電気装置119に供給される電力の測定値および連続電圧信号を(例えば、連続的に、定期的に、時間間隔に基づいて、事象または目標に応答して)検出することができる。電圧制御装置108は、通信メディア122を介して、計量装置118aから118nによって取得される測定値を受け取り、測定値を使用して電圧タップ設定に関する判定を行い、調整器インタフェース110に指示を与えることができる。調整器インタフェースは、電圧調整変圧器106aと通信して、出力タップレベル106bを調節することができる。
【0042】
さらに
図1を参照すると、さらに詳細には、電力系統100は電源101を含む。電源101は、配電のための電力を生成するように構成される設備などの発電プラントを含むことができる。電源101は、電力を生成するエンジンまたは他の機器を含むことができる。電源101は、力またはエネルギーをある状態から別の状態に変換することによって、電力を作成することができる。いくつかの実施形態では、電源101は、発電所、原動所、動力室、動力装置または発電装置と呼ばれる、またはそれらを含むことができる。いくつかの実施形態では、電源101は、磁場と導体との間の相対運動を作成することによって機械的動力を電力に変換する回転機械などの発電機を含むことができる。電源101は、発電機を回転させるための1つ以上のエネルギー源を使用することができ、例えば、石炭、石油、および天然ガスなどの化石燃料、原子力、または太陽光、風力、波力、および水力発電などのよりクリーンで再生可能な供給源を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、電力系統100は1つ以上の変電所電送バス102を含む。変電所電送バス102は、電源101から変電所104または配電ポイント114に配電するために使用される頭上の電力線を支持する構造物(例えば、鉄格子塔、コンクリート、木材など)などの送電塔を含み、または送電塔を指すことができる。送電塔102は、高電圧ACおよびDCシステムにおいて使用されることができ、多種多様な形状およびサイズのものがある。例示的な例では、送電塔は、15から55メートルまたはそれより高い高さの範囲とすることができる。送電塔102は、例えば、サスペンション、電極、張力、及びトランスポジション(transposition)を含む様々な種類とすることができる。いくつかの実施形態では、電力系統100は、送電塔102に加えて、またはその代わりに、地下電力線を含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、電力系統100は、変電所104又は変電設備104又は変電所変圧器104を含む。変電所は、発電、電送、配電システムの部分とすることができる。いくつかの実施形態では、変電所104は、高電圧から低電圧へ、若しくはその逆に電圧を変換する、またはいくつかの他の機能のうちのいずれかを実行して、配電を容易にする。いくつかの実施形態では、電力系統100は、発電所101と消費者電気装置119との間にいくつかの変電所104を含むことができ、電力はそれらを通って異なる電圧レベルで流れる。
【0045】
変電所104は、(例えば、監視制御およびデータ収集システム、またはデータ処理システム202を介して)遠隔操作され、監視され、制御されることができる。変電所は、1つ以上の変圧器を含み、高い電送電圧と低い配電電圧との間で、または2つの異なる電送電圧の相互接続において、電圧レベルを変更することができる。
【0046】
調整変圧器106は、(1)配電に使用されるマルチタップ単巻変圧器(単相または三相)、または(2)変電所変圧器104に一体化され、電送と配電との両方に使用されることができる負荷時タップ切換器(三相変圧器)、を含むことができる。本明細書で説明される例示されたシステムは、単相または三相配電システムのいずれかとして実装されることができる。電力系統100は交流(AC)電力配電システムを含むことができ、用語電圧は、いくつかの実施形態では「RMS電圧」を指すことができる。
【0047】
電力系統100は、配電ポイント114又は配電変圧器114を含むことができ、これらは電力配電システムを指すことができる。いくつかの実施形態では、配電ポイント114は、電力の送達の最終段階またはほぼ最終段階とすることができる。例えば、配電ポイント114は、電送システム(1つ以上の送電塔102を含むことができる)から個々の消費者119に電力を運ぶことができる。いくつかの実施形態では、配電システムは、変電所104を含むことができ、電送システムに接続して、例えば、変圧器を用いて、2kVと35kVとの間の範囲の中電圧に電送電圧を下げることができる。一次配電線または回路112は、この中電圧力を、顧客の建物119の近くに配置される配電変圧器に伝える。配電変圧器は、電気製品の利用電圧に電圧をさらに下げることができ、この電圧で二次配電線又は回路116を通していくつかの顧客119に給電することができる。商業用および住宅用の顧客119は、引込み線を介して二次配電線に接続されることができる。いくつかの実施形態では、高い負荷を要求する顧客が一次配電レベルまたは副伝送レベルで直接接続されることができる。
【0048】
電力系統100は、1つ以上の消費者の場所119を含む、または結合することができる。消費者の場所119は、例えば、建物、家、ショッピングモール、工場、オフィスビル、住宅ビル、商業ビル、スタジアム、映画館などを含むことができる。消費者の場所119は、電力線(地上または地下)を介して配電ポイント114から電力を受け取るように構成されることができる。消費者の場所119は、電力線を介して配電ポイント114に結合されることができる。消費者の場所119は、場所計118aから118nまたは高度計量インフラストラクチャ(「AMI」)にさらに結合されることができる。場所計118aから118nは、制御可能な一次回路セグメント112と関連付けられることができる。関連するものは、ポインタ、リンク、分野、データ記録、またはデータベース内のデータファイル内のその他の標示として格納されることができる。
【0049】
電力系統100は、場所計118aから118nまたはAMIを含むことができる。場所計118aから118nは、エネルギー使用量を測定し、収集し、および分析することができ、要求またはスケジュールのいずれかに応じて、電力計、ガス計、熱計、および水計などの計量装置と通信することができる。場所計118aから118nは、ハードウェア、ソフトウェア、通信、消費者エネルギー表示装置および制御装置、顧客関連システム、計量データ管理(MDM)ソフトウェア、または供給者ビジネスシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、場所計118aから118nは、リアルタイムで、または時間間隔に基づいて、電力使用量の標本を取得することができ、情報を伝達、送信、または、提供することができる。いくつかの実施形態では、場所計によって収集される情報は、計量観察または検針観察と呼ばれることができ、電力使用量の標本を含むことができる。いくつかの実施形態では、場所計118aから118nは、場所計118aから118nの一意識別子、消費者の一意識別子、タイムスタンプ、日付スタンプ、温度読み取り、湿度読み取り、環境温度読み取りなどの追加の情報とともに、検針観察を伝達することができる。いくつかの実施形態において、各消費者の場所119(又は電子装置)は、対応する場所計又は監視装置118aから118nを含むことができ、または結合されることができる。
【0050】
監視装置118aから118nは、通信メディア122aから122nを通して、電圧制御装置108に結合されることができる。電圧制御装置108は、電力系統を介して供給または提供される電力の調整または制御を容易にする、電力についての値を(例えば、離散時間、連続的に、または時間間隔に基づいて、または状態/事象に応答して)計算することができる。例えば、電圧制御装置108は、供給される電力(例えば、電源101から供給される)が、1つ以上の電気装置119による電気消費を変化させる結果として、下回らないまたは上回らないであろう推定偏差電圧レベルを計算することができる。偏差電圧レベルは、所定の信頼レベルと検出される測定値とに基づいて計算されることができる。電圧制御装置108は、電圧信号処理回路126を含むことができ、この処理回路は、計量装置118aから118nから標本化される信号を受信する。計量装置118aから118nは、標本化される電圧信号が時系列として標本化されるように(例えば、スペクトルがない均一時系列または、別名、不均一時系列)、電圧信号を処理および標本化することができる。
【0051】
電圧信号処理回路126は、計量装置118aから118nから、通信メディア122aから122nを介して信号を受信し、信号を処理し、電圧調節判定プロセッサ回路128にそれらを送ることができる。用語「回路」はこの説明で使用されるが、この用語は、この開示を特定の種類のハードウェアまたは設計に限定することを意味せず、用語「要素」、「ハードウェア」、「装置」または「機器」などの一般に知られる他の用語は、用語「回路」と同義に、またはその代わりに使用されることができ、同じ機能を実行することができる。例えば、いくつかの実施形態では、機能性は、例えば、1つ以上のデジタル信号処理アルゴリズムを実装する、1つ以上のデジタルプロセッサを使用して実行されることができる。調節判定プロセッサ回路128は、所定の判定境界に関する電圧位置を判定することができ、判定される位置に応答してタップ位置と設定とを設定することができる。例えば、電圧制御装置108内の調節判定処理回路128は、電気装置に供給される電力の電圧レベル出力を調節するために使用される、偏差電圧レベルを計算することができる。したがって、調整変圧器106の複数のタップ設定のうちの1つは、調整器インタフェース110を介して電圧制御装置108によって連続的に選択され、計算された偏差電圧レベルに基づいて1つ以上の電気装置に電力を供給することができる。また、電圧制御装置108は、電圧調整変圧器106aまたは出力タップ設定106bに関する情報を、調整器インタフェース110を介して受信することができる。調整器インタフェース110はプロセッサ制御回路を含むことができ、プロセッサ制御回路は、電圧制御装置108からの指示信号に応答して、電圧調整変圧器106内の複数のタップ設定のうちの1つを選択する。計算された偏差電圧レベルが変化すると、調整変圧器106aの他のタップ設定106b(または設定)は、電圧制御装置108によって選択され、1つ以上の電気装置119に供給される電力の電圧レベルを変更する。
【0052】
ネットワーク140は、有線または無線リンクを介して接続されることができる。有線リンクは、デジタル加入者回線(DSL)、同軸ケーブル線、または光ファイバ線を含む。無線リンクは、BLUETOOTH、Wi?Fi、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、赤外線チャネルまたは衛星帯域を含むことができる。また、無線リンクは、移動体装置間の通信に使用される任意のセルラネットワーク規格を含むことができ、1G、2G、3G、または4Gとして認定する規格を含む。ネットワーク規格は、国際電気通信連合によって維持される仕様などの仕様または規格を満たすことによって、移動体電気通信規格の1つ以上の世代と認定することができる。例えば、3G規格は、IMT-2000(the International Mobile Telecommunications-2000)仕様に対応することができ、4G規格は、IMT-Advanced(the International Mobile Telecommunications Advanced)仕様に対応することができる。セルラネットワーク規格の例は、AMPS、GSM、GPRS、UMTS、LTE、LTE Advanced、Mobile WiMAX、およびWiMAX-Advancedを含む。セルラネットワーク規格は、例えば、FDMA、TDMA、CDMA、またはSDMAなどの様々なチャネルアクセス方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、異なる種類のデータは、異なるリンクおよび規格を介して送信されることができる。他の実施形態では、同じ種類のデータが異なるリンクおよび規格を介して送信されることができる。
【0053】
ネットワーク140は、任意の種類および/または形態のネットワークとすることができる。ネットワーク140の地理的範囲は広く変えることができ、ネットワーク140は、ボディエリアネットワーク(BAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、例えばイントラネットなどの構内通信網(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域通信網(WAN)、またはインターネットとすることができる。ネットワーク140のトポロジは、任意の形態とすることができ、例えば、二地点間、バス型、スター型、リング型、メッシュ型、またはツリー型のうちのいずれかを含むことができる。ネットワーク140は、仮想であり、他のネットワーク140の1つ以上の層の上に位置するオーバーレイネットワークとすることができる。ネットワーク140は、本明細書で説明される動作を扱うことができる当業者に知られるような任意のそのようなネットワークトポロジとすることができる。ネットワーク140は、異なる技術および層またはプロトコルスタックを利用することができ、例えば、イーサネットプロトコル、インターネットプロトコルスイート(TCP/IP)、ATM(非同期転送モード)技術、SONET(同期光ネットワーキング)プロトコル、またはSDH(同期デジタル階層)プロトコルを含む。TCP/IPインターネットプロトコルスイートは、アプリケーション層、トランスポート層、インターネット層(例えば、IPv6を含む)、リンク層を含むことができる。ネットワーク140は、ブロードキャストネットワーク、電気通信ネットワーク、データ通信ネットワーク、またはコンピュータネットワークの種類とすることができる。
【0054】
電力系統100の1つ以上の構成要素、資産、または装置は、ネットワーク140を介して通信することができる。電力系統100は、パブリックネットワークまたはプライベートネットワークなどの1つ以上のネットワークを使用することができる。電力系統100は、データ処理システム202と通信またはインタフェースで接続することができ、データ処理システム202は、ネットワーク140を介して電力系統100と通信する、インタフェースで接続する、または制御するように設計および構成される。電力系統100の各資産、装置、または構成要素は、1つ以上のコンピューティング装置500、またはコンピューティング装置500の一部、またはコンピューティング装置500の一部の機能性若しくはすべての機能性を含むことができる。
【0055】
図2は、電力系統の構成要素を制御するためのシステムの一例を示すブロック図を示す。システム200は、少なくとも1つのデータ処理システム202を含むことができる。データ処理システム202は、少なくとも1つのインタフェース204、少なくとも1つのプリプロセッサ206(またはプリプロセッサ構成要素)、少なくとも1つの入力行列生成器212(または入力行列生成器構成要素)、少なくとも1つの機械学習モデル生成器214(または機械学習モデル生成器構成要素)、少なくとも1つの回路最適化器216(または回路最適化器構成要素)、または少なくとも1つの送電網制御装置218(または送電網制御装置構成要素)を含むことができる。プリプロセッサ206は、少なくとも1つのデータクリーニング構成要素208または少なくとも1つのデータフィルタリング構成要素210を含むことができる。データ処理システム202は、少なくとも1つのデータリポジトリ220を含むことができる。データ処理システム202は、とりわけ、通信バス、回路、プロセッサ、通信インタフェースなど、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せを含むことができる。
【0056】
データ処理システム202は、電力系統100のコンピューティング装置上、外部のコンピューティング装置若しくはサーバの形態上、または電力系統100から離れた場所、に存在することができる。データ処理システム202は、クラウドコンピューティング環境内または分散コンピューティング環境内に存在または実行することができる。データ処理システム202は、電力系統100全体に配置される複数のローカルコンピューティング装置上に存在または実行することができる。例えば、電力系統100は、データ処理システム202の1つ以上の構成要素または機能性でそれぞれ構成される複数のローカルコンピューティング装置を含むことができる。
【0057】
データ処理システム202の構成要素の各々は、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組合せを使用して実装されることができる。データ処理システム202の各構成要素は、論理回路(例えば、中央処理ユニットまたはCPU)を含むことができ、論理回路は、記憶ユニット(例えば、記憶部515または記憶装置525)に応答して、記憶ユニットから取り出される命令を処理する。データ処理システム202の各構成要素は、マイクロプロセッサまたはマルチコアプロセッサを含む、または使用することができる。マルチコアプロセッサは、単一のコンピューティング構成要素上に2つ以上の処理ユニットを含むことができる。データ処理システム202の各構成要素は、任意のこれらのプロセッサ、または本明細書に記載されるように動作可能な任意の他のプロセッサに基づくことができる。各プロセッサは、命令レベル並列性、スレッドレベル並列性、異なるキャッシュレベルなどを利用することができる。例えば、データ処理システム202は、少なくとも1つのプロセッサを有するコンピューティング装置またはサーバなどの少なくとも1つの論理装置を含むことができ、ネットワーク140を介して通信する。
【0058】
データ処理システム202の構成要素と要素とは、別個の構成要素、単一の構成要素、またはデータ処理システム202の部分とすることができる。例えば、インタフェース204、プリプロセッサ206、または入力行列生成器212(およびデータ処理システム202の他の要素)は、例えば、データを取り込む、入力行列を生成する、またはモデルを実行するように構成される1つ以上のプロセッサなどの、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含むことができる。
【0059】
データ処理システム202の構成要素は、互いに、接続される、または通信可能に結合されることができる。データ処理システム202の様々な構成要素の間の接続は、有線若しくは無線、またはそれらの任意の組合せとすることができる。対応するシステムまたは構成要素は、他のコンピューティング装置上で提供(host)されることができる。
【0060】
ネットワーク140は、インターネット、ローカル、広域、近距離通信、メトロまたは他のエリアネットワークなどのコンピュータネットワーク、ならびに衛星ネットワーク、または音声若しくはデータ移動電話通信ネットワークなどの他のコンピュータネットワーク、およびそれらの組み合わせを含むことができる。ネットワーク140は、例えば、二地点間ネットワーク、ブロードキャストネットワーク、電気通信ネットワーク、非同期転送モードネットワーク、同期光ネットワーク、または同期デジタル階層ネットワークを含むことができる。ネットワーク140は、赤外線チャネルまたは衛星帯域などの少なくとも1つの無線リンクを含むことができる。ネットワーク140のトポロジは、バス型、スター型、またはリング型のネットワークトポロジを含むことができる。ネットワーク140は、車両または他の装置の間で通信するための任意の1つまたは複数のプロトコルを使用する移動電話またはデータネットワークを含むことができ、高度な(advanced)移動体プロトコル、時分割または符号分割多元接続プロトコル、移動体通信プロトコルのためのグローバルシステム、汎用パケット無線サービスプロトコル、またはユニバーサル移動体通信システムプロトコルを含む。同じ種類のデータは異なるプロトコルを介して送信されることができる。
【0061】
データ処理システム202は、データリポジトリ220を含むことができる、またはアクセスすることができる。データリポジトリ220は、データベースを含むことができる、またはデータベースによって管理されることができる。データリポジトリ220は、任意の種類のデータ記憶装置、記憶部、ファイルサーバ、ハードドライブ、またはクラウド記憶装置を含むことができる。データリポジトリ220は、1つ以上のデータ構造内またはデータファイル内にデータを格納することができる。データリポジトリ220は、システム200の1つ以上の構成要素または機能を容易にする他の情報、規則、プログラム、またはデータに加えて、電力系統データ222、モデル224、命令226、またはフィルタ228を含む、記憶する、または管理することができる。
【0062】
電力系統データ222は、
図1に示される電力系統100から受信される、またはそれと関連付けられる、1つ以上の信号、値、または他の情報を含むことができる。データ処理システム202は、電力系統100に位置する装置、または電力系統100若しくはデータ処理システム202と関連付けられる他のデータ供給源若しくはサーバ、から、一部または全部の電力系統データを受信することができる。
【0063】
電力系統データ222は、様々な種類の信号を含むことができる。信号の種類は、電力系統100上の異なる位置に対応することができる。例えば、第1の種類の信号は位置汎用信号に対応でき、第2の種類の信号は電力系統100上の変電所位置(例えば、変電所104)に対応でき、第3の種類の信号は電力系統100上の一次回路(例えば、一次配電回路112)に対応でき、及び第4の種類の信号は電力系統100上の二次回路(例えば、二次利用回路116または消費者の場所119aから119n)に対応できる。
【0064】
変電所104からの信号(変電所信号と呼ばれることができる)は、変電所104に配置される、または変電所104と関連付けられる装置から受信される信号を含む、または対応することができる。変電所装置は、例えば、電圧調整器(例えば、調整器インタフェース110または電圧調整変圧器106a)、負荷タップ切換器(例えば、106b)、変電所計、デジタル型継電器、または回路遮断器を含むことができる。電圧調整器または負荷タップ切換器からの信号は、タップ位置、電圧設定値、動作状態、または滞留時間を含むことができる。変電所計からの信号は、有効電力(単相または三相)、無効電力(単相または三相)、電圧(単相)、または力率(単相または三相)を含むことができる。デジタル型継電器からの信号は、電流(位相、位相間、正のシーケンス、負のシーケンスおよびゼロのシーケンス)、電圧(位相、位相間、正のシーケンス、負のシーケンスおよびゼロのシーケンス)、または周波数を含むことができる。変電所104に配置される回路遮断器からの信号は、状態または始動装置の設定を含むことができる。
【0065】
データ処理システム202は、一次回路112に配置される、または関連付けられる装置から信号を受信することができる。一次回路112に配置される装置は、例えば、一次回路計、コンデンサバンク、電圧調整器、線間電圧監視装置、太陽光逆変換装置、デジタル継電器、回路遮断器、リクローザ、スイッチ、又はヒューズを含むことができる。一次回路計から受信される信号は、有効電力(単相または三相)、無効電力(単相または三相)、電圧(位相または位相間)、または力率(単相または三相)を含むことができる。一次回路112に配置されるコンデンサバンクから受信される信号は、バンク状態、設定値、動作状態、滞留時間、無効電力(単相または三相)、または電圧(位相または位相間)を含むことができる。一次回路112に配置される電圧調整器から受信される信号は、タップ位置、設定値、動作状態、滞留時間、電源側電圧(位相または位相間)、または負荷側電圧(位相または位相間)を含むことができる。一次回路112に配置される線間電圧監視装置から受信される信号は、電圧(単相)、電流(位相又は位相間)、有効電力(単相又は三相)、又は無効電力(単相又は三相)を含むことができる。一次回路112に配置される太陽光逆変換装置から受信される信号は、逆変換装置の状態、動作状態、電流、電圧、有効電力及び無効電力を含むことができる。一次回路112に配置されるデジタル継電器から受信される信号は、電流(位相、位相間、正のシーケンス、負のシーケンス及びゼロのシーケンス)、電圧(位相、位相間、正のシーケンス、負のシーケンス及びゼロのシーケンス)、又は周波数を含むことができる。一次回路112に配置される回路遮断器、リクローザ、スイッチ、またはヒューズから受信される信号は、状態信号または始動装置の設定を含むことができる。
【0066】
データ処理システム202は、二次回路116に配置される装置からの信号を、受信して、電力系統データ222内に格納することができる。二次回路116に配置される装置は、例えば、太陽光逆変換装置、電気自動車の充電ポイント、電気自動車の逆変換装置、住宅用電力計、又は消費者の場所119aから119nに配置される他の装置を含むことができる。太陽光または電力逆変換装置、または電気自動車の充電ポイントから受信される信号は、動作状態、設定値、有効電力(単相または三相)、無効電力(単相または三相)、または電圧(位相または位相間)を含むことができる。住宅用電力計から受信される信号は、例えば、有効電力(単相または三相)、無効電力(単相または三相)、電圧(位相または位相間)、電流(単相または三相)、力率(単相または三相)、電流角(単相または三相)、相間の電圧角(三相のみ)、周波数、または温度を含むことができる。
【0067】
電力系統100の外部の供給源からの信号またはデータを、データ処理システム202は受信することができ、電力系統データ222は含むことができる。外部の供給源は、例えば、サーバ230、またはサーバ230と関連付けられるデータベース(すなわち、データ処理システム202と電力系統100とから離れている)を含むことができる。外部の供給源は、電力系統100上の特定の装置から来ない、または電力系統100上の特定の装置によって測定されないという意味において一般的な情報を提供することができる。一般的な情報は、地理的領域、時間的情報、またはその他の種類の情報と関連付けられる一般的な情報を指すことができる。一般的なまたは汎用信号は、例えば、時間、曜日、通日、現在の天候、予想される天候、発電の現在および予想される費用(例えば、電送のリソース率)、エネルギー伝送の現在および予想される費用(例えば、エネルギー伝送のリソース率)、現在および予想される送電、価格信号、または配電容量を含むことができる。
【0068】
データリポジトリ220は、1つ以上のモデル224を含む、格納する、または管理することができる。モデル224は、機械学習モデルを指す、または含むことができる。モデル224は、電圧電力潮流モデルを含むことができ、電圧電力潮流モデルは、機械学習モデル生成器214によって、生成される、構成される、または訓練される。モデル224は、電力系統データ222に基づいて生成される電力系統100の処理の統計的表現を含むことができる。
【0069】
データリポジトリ220は、命令226を含む、または格納することができる。命令226データ構造は、電力系統100上の装置を制御するための制御命令、警告、通知、報告、指示、または電力系統データ222に応答して、若しくはそれに基づいてデータ処理システム202によって実行されることができる他のアクション、を含むことができる。命令226の例は、一次回路112上の電圧調整変圧器106aのタップ設定を増加若しくは減少させる命令、または一次回路112若しくは二次回路116上の設定値を変更する命令、を含むことができる。追加のアクションまたは判定は、電力系統100のトポロジ(例えば、主分岐、二次分岐、顧客の場所、または電力系統101の他の接続若しくは結合)を判定することを含むことができる。
【0070】
データリポジトリ220は、フィルタ228を含むことができる。フィルタ228は、低域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、または高域通過フィルタなどの信号処理フィルタを指す、または含むことができる。フィルタ228は、平滑フィルタなどの電力系統データ又は信号を平滑化するためのフィルタを含むことができる。平滑フィルタは、ノイズまたはその他の細かい尺度の構造または一時的な上昇若しくは下落を除外しながら、データのパターンまたは傾向を捕捉しようとする近似関数を作成することができる。データ処理システム202は、平滑フィルタを使用して、信号のデータポイントを修正することができるので、個々のポイントは減らされることができ、隣接ポイントよりも低いポイントが増やされ、より滑らかな信号が得られる。平滑フィルタまたは技術の例は、線形平滑化(例えば、平滑化値が観察値の線形変換として提供される場合)、付加的な平滑化、バタワースフィルタ、チェビシェフフィルタ、デジタルフィルタ、楕円フィルタ、指数平滑化、カルマンフィルタ、または移動平均を含むことができる。
【0071】
データ処理システム202は、インタフェース204を含むことができ、インタフェース204は、電力系統データまたは信号を識別または受信するように設計され、構成され、及び動作可能である。インタフェース204は、任意の種類の通信インタフェースを含むことができ、有線若しくは無線インタフェース、ネットワークインタフェース、または通信ポートを含む。電力系統データ又は信号は、電力系統100上のそれぞれの装置によってデジタル的に記録され、処理のためにデータ処理システム202に送信されることができる。データ処理システム202は、電力系統データを、リアルタイム供給またはストリームとして受信することができる。リアルタイムは、定期的に、または時間間隔(例えば、6時間毎、12時間毎、24時間毎、48時間毎、または何らかの他の期間)に基づいて発生するバッチ更新で信号を受信することとは対照的に、信号についての値を測定または検出する電力系統100上の装置に応答して、電力系統100からの信号を受信することを指すことができる。信号をリアルタイムで受信することは、信号を測定または検出する装置の30分の範囲内で、15分、10分、5分、1分、30秒、10秒、5秒またはそれより少ない範囲内で、信号を受信することを指すことができる。
【0072】
データ処理システム202は、信号のリアルタイム供給またはストリームを受信することができる。信号は標本化率で標本抽出されることができる。信号は、同じ割合または異なる割合で標本抽出されることができる。異なる種類の信号は、異なる割合で標本抽出されることができる。異なる装置からの信号は、同じ種類の信号ではあるが、異なる装置の構成または能力により、異なる割合で標本抽出されることができる。インタフェース204は、1つ以上の標本化率で信号を受信することができ、データ処理システム202による更なる処理のために、信号を電力系統データ構造222内に格納することができる。
【0073】
インタフェース204は、信号を引き出すことができ、またはデータ処理システム202に押し出された信号を受信することができる。例えば、インタフェース204は、信号またはデータについて電力系統100上の装置をポーリングまたはピングすることができる。インタフェース204は、電力系統データまたは信号の要求を生成し、要求を送信し、要求に応答してデータを受信することができる。インタフェース204は、電力系統データの要求を生成し、ネットワーク140を介してサーバ230に要求を送信することができる。例えば、データ処理システム202は、インタフェース204を介して、時間若しくは日付、現在の天候、予想される天候、電力の費用、またはエネルギー伝送の費用に関する要求をサーバ230に送信することができる。
【0074】
データ処理システム202は、プリプロセッサ206を含むことができる。プリプロセッサ206は、受信される電力系統データまたは信号をクリーニングする、フィルタリングする、または、操作若しくは処理するように設計される、構成される、または動作可能である。プリプロセッサ206は、入力行列生成器212が、受信された電力系統データを使用して、機械学習モデル生成器214または機械学習モデルに入力するための入力行列を生成する前に、受信された電力系統データまたは信号をクリーニングする、フィルタリングする、または操作若しくは処理することができる。いくつかの場合では、電力系統100上の装置は、データまたは信号をデータ処理システム202に送信する前に、1つ以上の前処理技術を適用することができる。プリプロセッサ206の1つ以上の技術または機能を使用する電力系統100上の装置によるローカルな前処理は、ネットワーク帯域幅の消費を低減することができる、またはデータ処理システム202によるより高い予測精度を容易にすることができる。
【0075】
プリプロセッサ206は、受信された電力系統データまたは信号を分析して、標本化分解能を判定することができる。プリプロセッサ206は、各々の種類の信号、特定の装置からの各々の種類の信号、または電力系統100上に配置される特定の装置からの各々の信号についての標本化分解能を判定することができる。ある種類の信号は、異なる装置の中で同じ標本抽出率を有することができる、または異なる装置間で異なる標本化率を有することができる。ある種類の装置は、同じ種類の他の装置と同じ割合で信号を標本抽出することができる、または同じ種類の装置は、異なる割合で信号を標本抽出することができる。単一の装置は、装置が同じ割合で標本抽出するように構成されるすべての信号を標本抽出することができ、または同じ装置は、異なる割合で異なる信号を標本抽出することができる。したがって、データ処理システム202によって受信される信号は、変化する標本化率を有することができる。標本化率は、例えば、120秒毎に1標本、90秒毎に1標本、60秒毎に1標本、45秒毎に1標本、30秒毎に1標本以上とすることができる。高い標本化率を有することは、データ処理システム202が電力系統回路の物理的電送機能を適切に捕捉することを容易にすることができる。
【0076】
データ処理システム202(例えば、プリプロセッサ206を介して)は、第1の複数の信号のうちの第1の信号についての標本化率が第1の複数の信号のうちの第2の信号についての標本化率と異なることを判定することができる。データ処理システム202は、第1の信号を第2の信号と同期することができる。データ処理システム202は、第1の複数の信号をクリーニングして、ノイズによって破損される、または空値を含む期間を除去することができる。
【0077】
例えば、データクリーニング構成要素208は、信号を同期することができる。信号は、標本が異なるタイムスタンプを有するように、異なる割合で標本抽出されることができる。データ処理システム202は、期間を識別し、次に、各信号が、タイムスタンプについての標本を有するように信号を同期することができる。例えば、データ処理システム202は、受信される信号に共通する標本抽出率を確立することができる。共通の標本抽出率は、60秒毎に1標本など、受信される信号の最低標本抽出率とすることができる。次に、データ処理システム202は、60秒毎に1標本を標本抽出率として使用して、受信される信号を同期することができる。データ処理システム202は、60秒の期間毎に各信号について1つの標本を識別することにより、信号を同期することができる。データ処理システム202は、期間中の標本の平均(または他の統計)、期間中の第1の標本(例えば、信号が30秒毎に1回標本抽出される場合)に基づいて、標本を識別することができる。
【0078】
データクリーニング構成要素208は、信号間でタイムスタンプを互いに関係づけて、標本が対応する期間を識別することによって、信号を同期することができる。例えば、2つの信号は、同じ標本抽出率(例えば、60秒毎に1回)で標本抽出されることができるが、約5秒だけ相殺されることができる。データ処理システム202は、2つの標本の間の相殺が信号の標本抽出期間未満であると判定することによって、2つの標本を同期することを判定することができる。データ処理システム202は、例えば、2つの異なる信号の2つの標本を、異なる信号が信号の標本抽出期間の半分以下である場合に、第1の期間と関連付けること、および相殺が標本抽出期間の半分より大きい場合に第1の信号の標本を後続の信号と関連付けること、を判定することができる。したがって、データ処理システム202は、1つ以上のデータ同期技術を使用することができる。
【0079】
データ処理システム202によって受信される信号は、無効な標本、欠落する標本、外れ値、破損される標本、または他の誤ったデータを含むことができる。プリプロセッサ206は、データクリーニング構成要素208を含むことができ、データクリーニング構成要素208は、受信されたデータをクリーニングして信号を同期するように設計され、構成され、及び動作可能である。データクリーニング構成要素208は、機械学習モデルを用いて正確な予測結果の生成を容易にするために、データをクリーニングすることができる。データクリーニング構成要素208は、1つ以上の技術を使用して、データをクリーニングすることができる。データクリーニング構成要素208は、データ内の誤りおよび異常を検出することができ、異常を修正する、またはデータの集合から標本を除去することができる。データクリーニング構成要素208は、1つ以上の規則、方針、論理、または発見的技術を用いて、データ内の誤りまたは異常を検出し、そのような誤りを解決するように構成されることができる。例えば、データクリーニング構成要素208は、ノイズによって破損された、基準挙動からの外れ値(この外れ値が、予測することに関心がある場合を除く)である何かによって影響を受けた、または通信損失若しくは記録の失敗により空値を有する、変数または信号からデータの期間を除去することによって、データをクリーニングすることができる。
【0080】
データをクリーニングするために、データクリーニング構成要素208は、信号の標本値を閾値、基準値、または統計的測定基準と比較して、標本値が外れ値または誤りであるか否かを判定することができる。例えば、標本値が空値である場合、データ処理システム102は、標本値が誤りであると判定し、標本値を除去することができる。標本値が所定の閾値以下である場合、データ処理システム102は、標本値が誤りであると判定し、標本値を除去することができる。標本値が所定の閾値以上である場合、データ処理システム102は、標本値が誤りであると判定し、標本値を除去することができる。所定の閾値は、データリポジトリ220内に格納される構成ファイル内のデータ処理システム202の管理者によって確立または設定されることができる。閾値は、例えば、平均、移動平均、または同じ信号の以前の標本と関連付けられる他の統計的測定基準に基づいて、動的に判定されることができる。
【0081】
受信される電力系統データの集合から少なくとも1つの信号の1つ以上の標本が、無効であること、ノイズによって破損されること、または空値を含むことを検出すると、データ処理システム202は、信号をクリーニングすることができる。データ処理システム202は、データ集合から標本を除去することによって信号をクリーニングすることができる。データ処理システム202は、同じタイムスタンプで他の信号の標本をさらに識別することができ、それらの標本も同様に除去することができ、それによって電力系統データの同期性を維持することができる。例えば、データ処理システム202は、タイムスタンプにおける第1の信号の標本が無効または誤りであると判定することができる。次に、データ処理システム202は、同じタイムスタンプを有するすべての信号からすべての標本を識別し、次に、それらの標本をデータ集合から除去することができる。1つの変数または信号から除去されたデータの期間は、(入力と出力との両方の)すべての変数から除去されることができる。
【0082】
データ処理システム202は、(例えば、データフィルタリング構成要素210を介して)、信号または電力系統データをフィルタリングすることができる。データ処理システム202またはプリプロセッサ206は、データフィルタ構成要素210を含むことができ、データフィルタ構成要素210は、信号をフィルタリングするように設計される、構成される、または動作可能である。信号をフィルタリングすることは、機械学習モデル生成器214によって生成される機械学習モデルの精度を高めることができる。データフィルタ構成要素210は、データリポジトリ220内のフィルタ228データ構造からフィルタを選択することができる。データフィルタ構成要素210は、フィルタリングされる信号の特性、またはフィルタリングするデータ集合に基づいて、フィルタを選択することができる。データフィルタリング構成要素210は、フィルタを適用して、データ集合内のノイズを低減することができる。データフィルタ構成要素210は、フィルタを適用して、ノイズを除去することによって、しかし信号内の傾向を除去することなく、データ集合又は信号を平滑化することができる。データフィルタ構成要素210は、低域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、または高域通過フィルタなどのフィルタ228を適用することができる。データフィルタ構成要素210は、平滑フィルタなどのフィルタ228を適用して、電力系統データ又は信号を円滑にすることができる。平滑フィルタは、ノイズまたは他の細かい尺度の構造または一時的な上昇若しくは下落を除外しながら、データのパターンまたは傾向を捕捉しようとする近似関数を作成することができる。データ処理システム202は、平滑フィルタを使用して、信号のデータポイントを修正することができるので、個々のポイントは減らされることができ、隣接ポイントよりも低いポイントが増やされ、より滑らかな信号が得られる。平滑フィルタまたは技術の例は、線形平滑化(例えば、平滑化値が観察値の線形変換として提供される場合)、付加的平滑化、バタワースフィルタ、チェビシェフフィルタ、デジタルフィルタ、楕円フィルタ、指数平滑化、カルマンフィルタ、または移動平均(例えば、各データポイントを、期間で定義される隣接データポイントの平均で置き換える)を含むことができる。
【0083】
したがって、データ処理システム202は、信号または電力系統データに低域通過フィルタを適用することができ、データの標本化率と出力信号の所望の平滑度とに基づいて選択される平滑フィルタを適用することができる。データ処理システム202は、基礎となる傾向が保存される一方、確率的ノイズを破棄するように、平滑フィルタを選択することができる。例えば、データ処理システム202は、入力標本に対して等しい重みを適用するように構成されるフィルタを選択することができる。別の例では、データ処理システム202は、入力データの所望の重視に基づいて各標本に異なる重みを適用するユーザ指定の重み付けで構成されるフィルタを選択することができる。フィルタの時間の長さは、目標とされている基礎となる特性の時間尺度に基づいて選択されることができる。例えば、過渡信号のための短いフィルタと、より定常的な特性のための長いフィルタとである。例えば、標本抽出率が速い場合、データ処理システム202は、追加のデータ標本を活用して、傾向を判定し、データを平滑化することができる平滑フィルタを選択することができる。しかしながら、標本抽出率が低い場合、データ処理システム202は、低いデータ率と十分なデータ不足とに対してより敏感である平滑フィルタを選択することができ、それによって、平滑フィルタが信号傾向を不注意に変更することを防止する。
【0084】
プリプロセッサ206は、受信信号または電力系統データに基づいて、統計的測定基準を判定または生成することができる。プリプロセッサ206は、変電所104、一次回路112、二次回路116からの信号、または電力系統100からではない汎用信号に基づいて、1つ以上の統計的測定基準を判定することができる。プリプロセッサ206は、例えば、平均値、中央値、最小値、最大値、標準偏差、平均値差、中央値差、最小値差、最大値差、および標準偏差の差を含む統計的測定基準を生成する、判定する、または識別することができる。プリプロセッサ206は、電力系統システムの挙動または外因性の挙動の物理的な出現を示す期間にわたる統計的測定基準を生成することができる。プリプロセッサ206は、入力行列生成器212に新しい入力としてこれらの統計を提供して、入力行列生成器212に、これらの統計的測定基準と、同時に電力系統100上の装置から受信される電力系統信号とを使用させることができる。
【0085】
プリプロセッサ206は、データ処理システム202によるさらなる処理のために、前処理される信号を電力系統データ構造222内に格納することができる。プリプロセッサ206は、さらなる処理のために、前処理された信号を入力行列生成器212に提供することができる。例えば、プリプロセッサ206は、受信信号または電力系統データを同期し、クリーニングし、及びフィルタリングすると、データを入力行列生成器212に提供することができる。
【0086】
データ処理システム202は、入力行列生成器212を含むことができる。入力行列生成器212は、入力行列を生成するように設計され、構成され、及び動作可能である。入力行列生成器212は、プリプロセッサ206から電力系統データまたは信号を受信することができる。いくつかの場合には、入力行列生成器212は、インタフェース204または電力系統100上の装置から、直接、電力系統データ又は信号を受信することができる。例えば、電力系統100上の装置は、プリプロセッサ206の1つ以上の機能性を含む、ローカルな前処理を実行することが可能であり、その場合、データ処理システム202は、プリプロセッサ206を介してさらに前処理を実行することができない。
【0087】
入力行列生成器212は、2つ以上の次元を有する行列を生成することができる。入力行列生成器212は、第1の次元がタイムスタンプに対応し、第2の次元が信号(または変数または値)に対応する2次元(「2D」)行列を生成することができる。例えば、2D行列または配列では、表1に示されるように、列はタイムスタンプに対応することができ、行は信号に対応することができる。
【0088】
【0089】
表1の例に例示されるように、入力行列生成器212は、2つ以上の次元を有する入力行列を生成することができる。第1の次元は、タイムスタンプを含む列とすることができる。第1のタイムスタンプは、<date>、<hr>、<min>、<sec>などの形式にすることができる。この例においてt0として表される最初のタイムスタンプは、この形式にすることができる。また、第2および後続のタイムスタンプは、この形式、または任意の他の形式にすることができる。表1の入力行列の例は、現在の天候、変電所電圧調整器のタップ位置、一次回路計電圧、二次回路電荷ポイント動作状態、および3つの標本にわたる電圧の移動平均を含む。この例では、入力信号は、現在の天気、変電所電圧調整器のタップ位置、二次回路電荷ポイント動作状態を含むことができる。出力信号は、一次回路計電圧と3つの標本にわたる電圧の移動平均とを含むことができる。また、いくつかの場合では、入力信号は、一次回路計電圧と3つの標本にわたる電圧の移動平均とを含むことができる。信号についての値は、温度、タップ位置、電圧、または状況若しくは状態情報(例えば、充電オン若しくはオフ、稼働中若しくは休止中、または待機状態)とすることができる。
【0090】
入力行列生成器212は、受信信号に基づいて生成される統計的測定基準と同様に、電力系統100から受信される同期化され、クリーニングされ、及びフィルタリングされた信号を使用して、入力行列を生成することができる。統計的測定基準は、同期化され、クリーニングされ、及びフィルタリングされた信号を使用して生成されることができる。行列の列は、データが記録されたタイムスタンプとすることができ、行列の行は、別個の変数または信号、ならびに測定された入力から判定される統計的入力とすることができる。行列の列によって含まれる時間の長さは、機械学習モデルが予測可能とする必要がある任意の関連する挙動を包含することができる。
【0091】
入力行列は、過去の入力行列を含むことができる。過去の入力行列は、信号が以前に受信されたという点で、リアルタイム信号とすることができない信号を指す、または含むことができる。例えば、過去の入力行列は、24時間の期間以前、48時間の期間以前、72時間の期間以前、1週間以前、2週間以前、30日以前、または現在の期間より前の何らかの他の期間からの信号を含むことができる。過去の入力行列は、データ処理システム202の管理者によって提供されることができる、またはデータリポジトリ220内に格納されることができる。入力行列生成器212は、過去の入力行列の次元に1つ以上の重みを適用して、機械学習モデル上の次元の影響値を調節することができる。
【0092】
入力行列生成器212は、次元の値を重み付けして、機械学習モデル生成器214がモデルを形成するときに値が有する影響を増加または減少させることができる。例えば、入力行列生成器構成要素212は、モデルを形成するときにタイムスタンプについての信号の重要性を増加または減少させるために、ある期間内にタイムスタンプ(例えば、列)に重み付けすることができる。入力行列は入力変数と出力変数と(行)に分離されることができ、入力変数と出力変数とは、選択される出力変数の予測を出力するように構成される機械学習モデルを生成するために使用される機械学習技術への入力として使用されることができる。入力行列生成器212は、信号の分析に基づいて、またはデータ処理システム202の管理者からの入力に基づいて、列をどのように重み付けするかを判定することができる。重みは、信号内で識別される事象、または電力系統100と関連付けられる他の供給源によって判定される事象に基づいて与えられることができる。重みは、入力行列を解析または処理するために使用される規則または論理に基づいて与えられ、より高いまたはより低い重要度を反映する状態または事象を識別することができる。例えば、重みは、タップ設定変更事象の周囲で増加されることができる(例えば、表1において、タップ設定がt0+0.4で3から4に変化する)。タップ設定変更は、電力系統100を介する配電の特性の結果であるシステムの挙動とすることができる。重みは、電気自動車の充電ポイントでの動作状態変更(例えば、「充電しない」から「充電する」)の周囲で増加されることができる。
【0093】
例えば、入力行列は、特定のタイムスタンプ又は信号が、機械学習モデル生成器214によって、増加又は減少される重要度で処理されるように重み付けすることができる。重みは、自動的にまたは手動で適用されることができる。例えば、入力行列生成器212は、入力行列の状態または事象を検出することに基づいてなど、規則を使用して、入力行列の値に自動的に重み付けすることができる。重みは、因子または関数に基づいて値を修正することを指すことができる(例えば、各値に2を乗算することによって重みを2倍にすること、または閾値を使用して、入力値が閾値より小さいか、閾値に等しいか、若しくは閾値より大きいかに基づいて、所定値に値を修正すること)。
【0094】
入力行列を作成するために、入力行列生成器構成要素212は、受信信号を取得し、信号の各々と関連付けられるタイムスタンプに基づいてそれらを時系列的に順序付けし、値をある次元に配置して、タイムスタンプを別の次元に配置することができる。入力行列生成器212は、1つ以上の行列を生成することができる。例えば、入力行列生成器212は、各関連する期間(例えば、1分、5分、10分、30分、60分、または何らかの他の期間などの所定の期間)について異なる行列を生成することができる。入力行列生成器212は、タップ設定変更、充電ポイントの動作状態、または他の状態若しくは事象など、データ内で識別される挙動に基づいて、別個の行列を生成することができる。例えば、第1の入力行列は、タップ設定の変更を示す任意の信号を含むことができず、一方で、第2の入力行列は、タップ設定の変更の前とタップ設定の変更の後との信号を含むことができる。
【0095】
入力行列生成器212は、機械学習モデル生成器214に入力行列を提供する前に、1つ以上の妥当検査または誤り検査を実行することができる。例えば、入力行列生成器212は、入力行列の次元が所定数の最小次元を満たすことを確認することができる。入力行列生成器212は、タイムスタンプまたは信号の数がタイムスタンプ(若しくは期間)の数または信号の数の最小閾値を満たすことを確認することができる。例えば、期間の最小閾値は、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、1時間、または電力系統100の挙動を表す若しくは示す何らかの他の期間とすることができる。最小数の信号は、例えば、電力系統100の各位置からの少なくとも1つの信号(例えば、変電所、一次回路、及び二次回路)、又は電力系統100上の各位置からの最小数の種類の信号(例えば、有効電力、電圧、電流、又はタップ位置)を含むことができる。
【0096】
入力行列生成器212は、生成される入力行列が、最小数の次元、タイムスタンプ、または値を含まないと判定する場合、入力行列生成器212は、入力行列を機械学習モデル生成器214に入力することを阻止または防止することができる。機械学習モデル生成器214への入力行列の入力を阻止することは、無効な、不完全な、または失敗した入力行列が、機械学習モデル生成器214によって訓練されるモデルまたは生成されるモデルを歪めること、又は破損することを防止することができる。しかしながら、いくつかの場合では、入力行列生成器212は、不完全な入力行列を機械学習モデル生成器214に渡して、欠落値を予測することによって(例えば、入力行列が、機械学習モデル生成器214が、十分な信頼度で、欠落値を予測することができる十分なデータを含む場合)、機械学習モデル生成器214に入力行列を完成させる。
【0097】
データ処理システム202は、機械学習モデル生成器214を含むことができる。機械学習モデル生成器214は、機械学習モデルを生成するように設計され、構成され、及び動作可能とすることができる。機械学習モデル生成器214は、1つ以上の機械学習技術、機能、または処理を使用することができ、モデルを生成または訓練する。例えば、機械学習モデル生成器214は、線形判別分析(例えば、出力信号などの従属変数を、入力行列内の他の特徴または測定信号の線形結合として表現するために、2つ以上のクラスのオブジェクトまたは事象を特徴付ける、または分離する特徴の線形結合を識別するように構成される技術)、ナイーブベイズ(例えば、特徴とクラスとを用いて事後決定規則を使用して分類を行い、入力行列内などの特徴が、出力信号などの各クラス内で発生する確率を判定し、最も可能性の高いクラスを返すことができる確率的分類)、回帰ツリー(例えば、目標変数が入力行列の連続値をとることができ、入力行列に関する観察から、出力信号などの目標値または出力信号に関する結論に進むことができる予測モデルとして決定ツリーを使用する)、ランダムフォレスト(例えば、訓練時に複数の決定ツリーまたは回帰ツリーを構築し、個々のツリーの平均予測値を出力する)、k近傍法(例えば、入力行列は、特徴空間内のk個の近い訓練例を含み、出力は、k近傍の値の平均に基づいて、クラスメンバーシップまたは出力信号の値とすることができる、分類または回帰のためのノンパラメトリック処理)、サポートベクターマシン(例えば、新しい入力行列などの新しい例を1つのカテゴリまたは他のカテゴリに割り当てるモデルを構築するように構成される、分類と回帰分析とに使用される入力行列データを分析して、それを非確率的バイナリ線形分類器(個別のカテゴリの例が隔たり(gap)で分割されるため、入力行列などの新しい例が同じ空間に対応付けられること、及びそれらがある隔たりの側に基づくカテゴリに属すると予測されること、を可能にするように対応付けられる空間内の点としてモデルが例を表す)にする、教師あり学習モデル)、エクストリームラーニングマシン(例えば、隠れノードの1つ以上の層を含み、隠れノードのパラメータは、調整される必要がなく、経験的リスク最小化関数(その学習処理は、複数の反復と局所最小化とを回避する単一の反復で学習処理が実行されることができる)に基づく、分類または回帰のための順伝播型ニューラルネットワーク)、またはニューラルネットワーク(例えば、入力の和の非線形関数に基づいて入力信号を処理して別の層の別のノードに出力信号を提供し、ノード間の接続は、学習が進行すると調節する重みを有することができるエッジである、接続されるユニットまたはノードの集まり)を含む機械学習技術と共に構成されることができる。
【0098】
機械学習モデル生成器214は、入力行列生成器212によって生成される入力行列を、入力として、受信することができる。機械学習モデル生成器214は、1つ以上の機械学習技術を使用して機械学習モデルを生成することができ、モデルをデータリポジトリ内のモデルデータ構造224に格納する、またはモデルを管理若しくは維持することができる。機械学習モデル生成器214は、重み付けされることができる最初の訓練データ集合に基づいて最初のモデルを生成して訓練するように構成されることができる。機械学習モデル生成器214は、(例えば、過去の信号と、過去の信号から判定される過去の統計的測定基準とから生成される)過去の入力行列を使用して、機械学習モデルを訓練することができる。訓練されると、モデルは、新しい入力行列を使用して、新しい出力を予測するために使用されることができる。
【0099】
従って、データ処理システム202は、入力行列に基づいて電力系統の信号についての値を出力するように構成される機械学習モデルに入力行列を入力することができる。出力値は、将来の期間についてのものとすることができる。例えば、将来の期間は、入力行列内に含まれていないタイムスタンプを参照することができる(例えば、表1では、将来のタイムスタンプはt0+5とすることができる)。したがって、データ処理システム202は、将来の1つ以上の信号についての値を予測することができる。
【0100】
別の例では、データ処理システム202は、入力行列内の、ある期間についての値を予測することができるが、入力行列内の値を有さない信号についての値を予測することができる。例えば、入力行列は、1つ以上のタイムスタンプにおける信号の値を不完全とする、または欠落することができる。入力行列は、そのタイムスタンプにおける信号値が破損される、または無効であり、プリプロセッサ206によって除去されるため、信号を欠落することができる。プリプロセッサ206は、誤り検証または検証処理を失敗することによりタイムスタンプにおける信号値を除去することができるが、モデル機械学習モデル生成器215は、除去される信号標本の前または後に生じる有効な信号標本を使用して、値を予測することができる。したがって、データ処理システム202は、対応する出力行列を予測するように訓練される機械学習モデルに、入力行列を供給することができる。これは、データ処理システム202が、データが一時的に利用できないときに出力を予測することを可能にし、またはデータ処理システム202が、発生するであろう出力の変更を予測することを可能にする。したがって、データ処理システム202は、入力行列に基づいておよび機械学習モデルを介して、値が入力行列において提供されない期間における電力系統100の信号についての値(将来の値または入力行列から欠落している現在の値のいずれか)を予測することができる。
【0101】
データ処理システム202は、変更を予測して、入力信号の調節に基づいて出力することができる。データ処理システム202は、入力信号を調節して、電力系統100の挙動を制御する、または電力系統100の性能若しくは機能性を最適化することができる。データ処理システム202は、回路最適化器216を含むことができる。回路最適化器216は、電力系統100の最適または所望の性能を実現するために信号または値の変化を識別するように設計され、構成され、及び動作可能である。回路最適化器216は、機械学習モデル生成器214によって生成される機械学習モデルを使用して、入力信号の調節に基づいて、電力系統100の挙動を予測することができる。回路最適化器216は、入力信号を調節して、(例えば、入力行列生成器212を介して)シミュレートされる入力行列を生成することができる。回路最適化器216は、シミュレートされる入力行列を機械学習モデルに入力して、出力値を予測または判定することができる。
【0102】
回路最適化器216は、配電と電送との効率性または信頼性を改善するために、1つ以上の規則、方針、または論理式を用いて、電力系統100のパラメータまたは挙動を最適化するように構成されることができる。例えば、回路最適化器216は、電圧/VARの最適化および電圧管理、様々な分散型エネルギー資源シナリオ(例えば、太陽光発電、風力発電、または電気自動車の普及)の下でのシステム状態予測、最適化及び制御、故障、位置、免震、およびシステム回復、単独運転防止検出、または自動スイッチングと電圧制御と保護システム動作との順序および制御の検証、を容易にするように構成されることができる。
【0103】
回路最適化器216は、電圧/VAR最適化(「VVO」)と電圧管理とを実行するように構成されることができる。VVOは、電圧レベルと無効電力とを最適に管理して、システム損失、ピーク需要またはエネルギー消費、または3つの組み合わせを削減することによって、より効率的な送電網動作を実現する処理を指すことができる。処理の間、データ処理システム202は、(例えば、送電網制御装置218を介して)変電所104で、及び電力系統100回路上の、電圧制御装置を制御して、変電所104から線の端部(例えば、一次回路112または二次回路116)への電圧降下を低減して、所定の制限内に電圧を維持しながら顧客の場所119aから119nへの供給電圧を低減することができる。効率性向上は、系統電圧の低下から実現されることができ、その結果、電力系統100によって供給される最終使用機器によって消費されるエネルギーを少なくすることができる。設定可能な電圧レベルを判定するために、回路最適化器216は、例えば、変電所104における電圧またはタップ設定に対する変更を伴うシミュレートされる入力行列を生成して、電圧またはタップ設定に対する変更が電力系統100内の他の位置における信号に及ぼす影響を判定することができる。また、回路最適化器216は、1日の時刻、天候、または送信リソースなどの汎用信号を考慮に入れることができる。機械学習モデルを使用して、回路最適化器216は、信号についての予測出力が所望の範囲内にあるか否かを判定することができる。例えば、回路最適化器216は、タップ設定を調節することによって、変電所104での電圧を断続的に下げて、1日の時刻、1日の時刻の予測消費量などの他の信号を考慮に入れて、電力系統100内の他の位置における所望の電圧が最小の所望の電圧(例えば、顧客の場所119aで120V)を満たすか否かを判定することができる。したがって、回路最適化器216は、モデルを使用して、VVOを容易にする変電所における信号を判定することができ、値を送電網制御装置218に提供して、1つ以上の命令を生成し、電力系統100上の1つ以上の装置に、VVOを容易にする予測値を実現するように命令することができる。
【0104】
回路最適化器216は、様々な分散型エネルギー資源シナリオ(例えば、太陽光発電、風力発電、または電気自動車の普及)の下で、システムの状態を予測することができる。そうするために、回路最適化器216は、資源シナリオを示す入力信号(例えば、一次回路上に配置される太陽光逆変換装置によって示される太陽光発電、及び一次回路上の太陽光逆変換装置によって生成される電力を示す信号)を調節することができる。信号についての値を変更することによって、回路最適化器216は、例えば、電力系統100上の他の位置において、電圧レベルにどのように影響するかを判定することができる。さらに、回路最適化器216は、例えば、変電所でのタップ設定を示す信号を調節しながら、太陽光逆変換装置によって生成される電力を示す信号を増加させ、電力系統100の様々な位置での電圧レベルへの影響を判定することができる。そうすることにより、回路最適化器216は、太陽光発電の間、電力系統100全体の所望の電圧レベルを維持しながら、電圧レベルが変電所104において予測レベルまで低下されることができることを判定することができる。データ処理システム202は、インタフェース204を介して受信されるリアルタイムな入力行列に基づいて、リアルタイムでこの最適化を実行することができる、または入力行列をシミュレートして、どの状態が信号調節および制御を可能にすることができるかを予測することができる。回路最適化器216は、機械学習モデルを使用して、
図3に示されるように、目標(例えば、減少したエネルギー使用量、断続的な再生可能発電の間の安定性など)のために、回路上の電圧およびVARレベルを最適化することができる。
【0105】
データ処理システム202は、ピーク時のエネルギー消費の間の過剰な電力使用(例えば、空調使用の増加による電圧低下、又は電気自動車の充電の増加)などに起因して、いつ故障が電力系統100上で発生する可能性があるかを判定することができる。データ処理システム202は、機械学習モデルを使用して入力行列内の傾向を検出することに基づいて、そのような故障が差し迫っていることを検出することができ、電力系統100上の装置に対する命令を生成することによって、電力系統100の信号を事前に調節することができる。
【0106】
データ処理システム202は、モデルとシミュレートされる入力行列とを使用して、故障後に電力系統100をどのように回復させるかを予測することができる。例えば、データ処理システム202は、別の差し迫った故障を生じることなく、信号についてのどの値が実質的に電力系統100を回復させることになるのかを判定することができ、送電網制御装置218に所望の結果を達成するための制御信号を生成させることができる。そのようにするために、データ処理システム202は、第1のインスタンスにおいて故障をもたらす入力行列内の傾向に基づいて、さらに時間内までに入力行列をシミュレートすることができる。シミュレートされる入力行列は、電力系統100を回復するために、VVOとは対照的に、回復期間(例えば、10分、15分、20分、30分、1時間)の間の故障の回避に優先順位を付けることができる。したがって、回復段階の間、回路最適化器216は、故障回避のための信号の重みを増加させながら、VVO目標のための信号の重みを無効化または減少させることができる。
【0107】
データ処理システム202は単独運転防止検出を実行することができ、これは、電気送電網の電力がもはや存在しないにもかかわらず、分散型発電機(例えば、電力系統100上のガス発電機または太陽光逆変換装置)がある位置に電力を供給し続ける状態を指すことができる。これは、安全上の危険、並びに単独運転される回路における負荷と発生との間の不均衡をもたらすことができ、異常な周波数と電圧とをもたらす可能性がある。データ処理システム202は、機械学習モデルと入力行列とを使用して、周波数および電圧などの信号についての出力値の予測に基づいて、そのような単独運転がいつ発生する可能性があるかを検出することができる。データ処理システム202は、周波数と閾値を有する電圧との間の比較に基づいて、または出力行列の分類を介して、予測される出力変数または信号を単独運転のインスタンスとして分類するか否かを判定することができる。例えば、データ処理システム202は、機械学習モデルを使用して、単独運転の分類(例えば、単独運転が存在する若しくは存在しない、または単独運転が存在する可能性、または二元分類と関連付けられる信頼スコア、を示す二元分類)に対応する出力信号を出力行列内に含むことができる。データ処理システム202は、予測される出力信号に基づいて単独運転を予測することができる、又は機械学習モデルを介して生成される出力行列は、単独運転の分類信号又は変数を含むことができる。
【0108】
データ処理システム202は、機械学習モデルを使用して、電力系統100の挙動を検証することができる。例えば、データ処理システム202は、シミュレートされる入力行列に基づいて出力値を予測することができる。データ処理システム202は、シミュレートされる入力行列を生成することができ、次に、機械学習モデルとシミュレートされる入力行列とを介して出力行列を予測することができる。次に、データ処理システム202は、リアルタイム信号を受信して、リアルタイム入力行列を生成し、入力行列内の値がシミュレートされる値または予測される値と一致するか否かを判定することができる。一致は、正確な一致とすることができ、または所定の割合(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、または何らかの他の割合)若しくは他の範囲などの許容範囲内の一致とすることができる。リアルタイムで測定される信号が予測される信号と一致しない場合、データ処理システム202は、電力系統100の挙動が異常である可能性があることを判定することができる。データ処理システム202は、異常な挙動が、電力系統100上の不良装置、または電力系統100上の他の故障、不良、若しくは攻撃の結果である可能性があることを判定することができる。
【0109】
したがって、データ処理システム202は、入力行列と機械学習モデルとを介して、電力系統100の構成要素(または装置)と関連付けられる信号に対する変更を予測することができる。データ処理システム202は、(例えば、回路最適化器216を介して)変更を評価して、電力系統100についての所望の結果を識別することができる。データ処理システム202は、(例えば、送電網制御装置218を介して)、1つ以上の命令を生成して、1つ以上の構成要素を制御し、電力系統100についての所望の結果を達成することができる。データ処理システム202は、機械学習モデルを介して回路最適化器216によって予測される電力系統100の信号についての値を閾値と比較し、その比較に基づいて電力系統100の構成要素を制御する命令を生成することができる(例えば、タップ設定を調節して電圧レベルを増加または減少させる)。
【0110】
データ処理システム202は送電網制御装置218を含むことができる。送電網制御装置218は、電力系統100の装置または構成要素を制御するための命令を生成するように設計され、構成され、及び動作可能である。送電網制御装置218は、電力系統100の装置または位置と関連付けられる信号または値に対する所望の変更に関して、回路最適化器216から指示を受信することができる。送電網制御装置218は、データリポジトリ220に格納される命令データ構造226にアクセスして、電力系統100の1つ以上の構成要素または装置に出す命令を判定することができ、その結果、機械学習モデルを介して回路最適化器216によって予測される所望の信号または値を得ることになる。
【0111】
例えば、回路最適化器216は、タップ位置変更がVVOを容易にするであろうことを予測することができる。送電網制御装置218は、回路最適化器216から、所望のタップ位置変更、および電力系統100の装置または構成要素、の指示を受信できる。送電網制御装置218は、装置のアドレスまたは識別子を判定することができる。例えば、送電網制御装置218は、命令データ構造226または他のデータファイル内の探索を実行して、装置のインターネットプロトコルアドレス、または装置と関連付けられる他のアドレス若しくは一意の識別子を判定することができる。
【0112】
送電網制御装置218は、装置に命令するためのプロトコルまたはフォーマットを判定することができる。例えば、命令データ構造226を使用して、送電網制御装置218は、装置の種類に関する情報(例えば、装置の識別子に基づいて取得される、または回路最適化器216から取得される)を使用して探索を実行し、命令のフォーマット、プロトコル、または構造を判定することができる。送電網制御装置218は、1つ以上の規則または論理命題を使用して命令を構成することができる。送電網制御装置218は、テンプレートを使用して命令を構成することができる。テンプレートは、データリポジトリ220から(例えば、命令データ構造226から)取り出されることができる。送電網制御装置218は、所望の変更を判定することができ、次に、テンプレートを追加して命令を生成することができる。送電網制御装置218は、インタフェース204とネットワーク140とを介して装置に命令を送信することができる。したがって、送電網制御装置218は、機械学習モデルによって予測される、及び回路最適化器216を介する、電力系統100の信号についての値に応答して、電力系統100の構成要素を制御する命令を提供することができる。
【0113】
送電網制御装置218が命令を用いて電力系統100上の構成要素を制御した後、データ処理システム202は、リアルタイムで追加の信号を受信することができる。データ処理システム202は、送電網制御装置218によって提供される命令の結果である、受信入力信号を評価または処理することができる。データ処理システム202(例えば、機械学習モデル生成器214)は、命令と受信信号とに基づいて、機械学習モデルを更新または訓練することができる。
【0114】
送電網制御装置218は、警告、通知、報告、または他の情報を生成して提供し、電力系統100の操作、管理、または保守を容易にすることができる。例えば、電力系統100の装置に制御命令を送信する代わりに、またはそれに加えて、送電網制御装置は、予測される出力状態の命令、報告、警告、または他の通知を生成することができる。電力系統100またはデータ処理システム202の管理者は、報告を(例えば、ネットワーク140を介して)受信し、電力系統100を管理または維持するための動作をとることができる。例えば、報告または通知は、電力系統100の装置が故障しつつある、または故障したことを示すことができる。電力系統100の管理者は、通知に応答して、装置を交換または修理することができる。いくつかの場合では、送電網制御装置218は、制御命令を使用して、故障した装置または故障している装置を自動的に無効にできる。制御命令の種類は、例えば、装置を活動化する若しくは非活動化すること、装置のパラメータを変更すること、装置のパラメータを設定すること、装置の動作を調節すること、装置を無効にする若しくは電源を切ること、装置上で診断検査を実行すること、または装置から情報を要求すること、を含むことができる。
【0115】
図3をここで参照すると、実施形態による、電力系統内の構成要素を制御するためのシステムの動作を示すフロー図が示される。フロー
図300は、
図1に示される電力系統100、または
図2に示されるシステム200、またはその1つ以上の構成要素などの、システムの動作を表すことができる。例えば、フロー300の態様は、データ処理システム、入力行列生成器、回路最適化器、機械学習モデル生成器、送電網制御装置、または電力系統によって実行されることができる。フロー300は、動作302で電力系統からデータを受信することと、動作304で前の命令を受信することとを含むことができる。動作306において、データ処理システムは、最適化処理を通して反復することができ、これは、動作308で、電力系統データと前の命令とに基づいて、出力値に対する変更を予測することを含むことができる。動作310において、予測される変更が提供される。動作312において、データ処理システムは、目標をどのように最適化するかを判定する変更を評価することができる。動作314において、最適化信号が提供される。フロー306は、最適な状態が検出されるまで、1回以上反復することができる。動作316において、最適な制御が電力系統に提供される。動作318において、フィードバックは、動作304を介して反復フロー306に戻されることができる。この例示的な例では、フロー306は、送電網装置に命令を出すために使用される閉最適化ループを示す。線形フローなどの他のフローが、最適化を提供するために使用されることができる。
【0116】
さらに
図3を参照すると、さらに詳細には、動作302において、送電網装置からのリアルタイムデータが取り込まれることができる。リアルタイムデータは、電力系統上の装置によって行われる、またはデータ処理システムに送信される、測定値を指すことができる。データ処理システムは、ネットワークを介してリアルタイム測定値を受信することができる。データ処理システムは、時間間隔またはバッチ更新に基づいて測定値を受信することができる。測定値は、1つ以上のフォーマット、ユニット、または種類とすることができる。電力系統データは、電力系統上の様々な装置と関連付けられるタイムスタンプと信号とを指す、または含むことができる。電力系統データは、測定値が取得される装置の標示または識別子を含むことができる。電力系統データは、装置の位置情報を含むことができる。
【0117】
動作304において、前の命令は、反復フロー306に入力されることができる。前の命令が出されなかった場合、前の命令は、データ処理システムによって提供または受信されないことができる。前の命令は、データ処理システムによって提供されたか否かにかかわらず、任意の前の命令を指すことができる。例えば、前の命令は、電力系統と関連付けられる他の制御システム、またはその管理者によって提供されることができる。前の命令は、例えば、電力系統データが提供される現在の期間と関連付けられていない場合、利用できないことがある。
【0118】
反復処理306の間、データ処理システムは、(動作302を介して受信される)電力系統データと、(動作304を介して受信される)任意の前の命令とを取り込む。動作308において、データ処理システムは(例えば、機械学習モデルを使用して)、入力値に基づいて、出力値に対する変更を予測することができる。データ処理システムは、動作302と304とからのデータに基づいて入力行列を生成することができ、入力行列を機械学習モデルに与えて、出力に対する変更を生成または予測することができる。
【0119】
動作310において、予測される変更が提供されることができる。変更は、電力系統データと前の制御命令とを基礎として、所与の状態と電力系統の状態とに基づく解決法と呼ばれることができる。例えば、仮想電力潮流モデル(例えば、機械学習モデル)は、データ処理システムによって使用され、装置の変更の所与の集合について送電網状態の変更を予測することができる。これらの変更は、動作310を介して、最適化処理に送られることができ、最適化処理は、動作312において、送電網状態の変更を所望の結果に対して評価する。最適化処理312は、変更を評価して、さらなる調節を行うか否かを判定して、VVOなどの所望の結果を容易にすることができる。データ処理システムは、所定の送電網の位置又は装置における目標の状態に基づいてパラメータを調節することによって変更をさらにシミュレートすることができ、動作314を介して、変更される信号値を機械学習モデルに提供することができる。動作308において、データ処理システムは、変更される入力信号値に基づいて変更を再び予測することができる。
【0120】
この処理306は、変更の最適な集合が取得されるまで反復され、次に、動作316において送電網装置に送られる。(例えば、達成されるVVOに基づいて)最適な制御が満たされると、データ処理システムは、電力系統の装置の制御装置または装置に命令を送信することができる。送電網上の装置は、変更に基づいてそれらの動作を修正することができる。出された命令は、送電網上のそれらの効果が(例えば、動作304を介して)学習されるように、(例えば、フィードバック動作318を介して)フィードバックされることができる。
【0121】
フロー300の1つ以上の部分は、データ処理システムなどの集中システムによって実行されることができる。いくつかの場合では、フローの1つ以上の部分が、ローカルデータ処理システムによって実行されることができる。例えば、電力系統上の1つ以上のローカル装置は、データ処理システムの1つ以上の構成要素または機能性と共に構成されることができ、そのような機能性を実行することができる。1つ以上のローカル装置は、ローカル機械学習モデルを含むことができ、ローカル機械学習モデルを使用して、変更または出力を予測することができる。ローカル予測は、さらなる処理と制御とのために、集中型データ処理システムに提供されることができる。
【0122】
図4は、実施形態による、電力系統内の構成要素を制御する方法の一例を示すフロー図である。方法400は、例えば、データ処理システムまたは電力系統を含む、
図1および
図2に示される1つ以上のシステムまたは構成要素によって実行されることができる。
【0123】
方法400は、動作402において信号を識別または受信することを含むことができる。データ処理システムは、リアルタイムデータ供給またはストリームを介して信号を受信または識別することができる。信号は、電力の特性、装置設定、装置動作状態、または天候状態などの、電力系統データを指す、または含むことができる。信号は、電力系統上の異なる位置における異なる装置、または外部サーバまたは他のデータ供給源など、様々な供給源から取得されることができる。
【0124】
判定ブロック404において、データ処理システムは、任意の無効な標本があるか否かを判定することができる。データ処理システムは、標本化値を閾値と比較すること、ノイズを検出すること、破損された標本を検出すること、または欠落標本若しくは空標本を検出することに基づいて、無効標本を識別することができる。データ処理システムは、様々な装置から受信される信号が互いに同期するか否かを判定することができる。データ処理システムが、無効な標本または同期標本を検出する場合、データ処理システムは、動作406に進み、信号をクリーニングすることができる。
【0125】
動作406において、データ処理システムは、1つ以上のデータクリーニング技術を使用して、信号をクリーニングすることができる。データ処理システムは、無効な標本を除去することができる。無効な標本を除去することは、無効な標本を有するタイムスタンプに対応する各信号から標本を除去することを含むことができる。しかしながら、いくつかの場合において、機械学習モデルを使用して無効な標本の値を予測するために、データ処理システムは、同じタイムスタンプについての他の有効な標本とは対照的に、無効な標本のみを除去することができる。
【0126】
動作406において標本をクリーニングすると、データ処理システムは判定ブロック408に進むことができる。データ処理システムは、判定ブロック404において、データ処理システムが、無効な標本はなかったと判定した場合、判定ブロック408に進むことができる。判定ブロック408において、データ処理システムは、フィルタを適用するか否かを判定することができる。データ処理システムが、(例えば、低周波数などの負の影響を有すると判定される周波数を検出すること、またはデータ内の変更度若しくはノイズを検出することに基づいて)入力データをフィルタリングすることによって、予測の精度または信頼性が改善されることができると判定する場合、データ処理システムはフィルタを適用することができる。
【0127】
判定ブロック408において、データ処理システムがフィルタを適用すると判定する場合、データ処理システムは、動作410に進み、フィルタを選択して適用することができる。データ処理システムは、標本抽出率、傾向、ノイズ特性、または検出された不要な周波数など、電力系統データの特性に基づいてフィルタを選択することができる。例えば、データ処理システムは、低域通過フィルタと平滑フィルタとを選択して、データの所望の傾向を維持しながらノイズを除去することができる。
【0128】
データにフィルタを適用すると、データ処理システムは、動作412に進み、統計的測定基準を判定することができる。判定ブロック408において、データ処理システムがフィルタを適用しないと判定する場合(例えば、データ品質が高く、不要なノイズまたは周波数を含まない)、データ処理システムは、動作412に進むことができる。動作412において、データ処理システムは、平均値、中央値、最小値、最大値、標準偏差、平均値差、中央値差などのような統計的測定基準を判定することができる。データ処理システムは、ある期間、または所定の期間、または所定の数の標本について、統計的測定基準を判定することができる。データ処理システムは、故障、タップ変化、閾値を超える若しくは下回る電圧、または他の状態など、データと関連付けられる状態または事象に基づいて、標本数または期間を判定することができる。
【0129】
動作414において、データ処理システムは、入力行列を生成することができる。データ処理システムは、受信入力信号と所定の統計的測定基準とを含む入力行列を生成することができる。データ処理システムは、同期化され、クリーニングされ、及びフィルタリングされた電力系統データを用いて入力行列を生成することができる。データ処理システムは、タイムスタンプと信号値とにそれぞれ対応する列と行とを有する入力行列を生成することができる。入力行列のサイズは、所定の値に基づいて判定される、または電力系統データと関連付けられる状態若しくは事象に基づいて動的に判定される、標本の数または期間に対応することができる。データ処理システムは、機械学習モデルを生成または訓練するときに、タイムスタンプにおける信号値の重要性を増加または減少させるために、1つ以上の列(例えば、タイムスタンプ)に重み付けすることができる。
【0130】
動作416において、データ処理システムは、生成される入力行列を機械学習モデルに入力して出力値を予測することができる。データ処理システムは、1つ以上の種類の機械学習モデルを使用するように構成されることができる。データ処理システムは、入力行列に基づいて出力行列を生成することができる。出力行列は、入力行列内の期間とは異なる期間についての値(例えば、将来の出力値)を含むことができる。また、出力行列は、入力行列内の欠落値を埋めることができ、例えば、入力行列から欠落している信号についての値を判定することができる。
【0131】
判定ブロック418において、データ処理システムは、電力系統の動作または性能の態様を最適化するか否かを判定することができる。データ処理システムは、例えば、VVOを実行する、または電力系統の何らかの他の態様若しくは特性を最適化することを判定することができる。データ処理システムが電力系統を最適化することを判定する場合、データ処理システムは、動作420に進み、パラメータを調節することができる。
【0132】
動作420において、データ処理システムは、信号のパラメータ又は値(例えば、電力系統上の位置における電圧、又は電力系統の位置における装置の設定)を調節することができる。データ処理システムは、調節されたパラメータを提供することができ、動作414に戻り、新しい入力行列を生成することができる。この入力行列は、データ処理システムがパラメータまたは制御命令を装置に送信する前にパラメータを調節して、調節されたパラメータを実装したため、シミュレートされる入力行列と呼ばれることができる。したがって、データ処理システムは、動作420からの調節されたパラメータを使用して動作414と416とを再実行することによって、パラメータを調節することが電力系統にどのように影響することになるかをシミュレートすることができる。データ処理システムは、1回以上、このループを通して反復することができる。
【0133】
データ処理システムは、判定ブロック418に戻るとき、性能が最適化されたと判定することができる。例えば、データ処理システムは、所望の閾値が調節されたパラメータによって満たされたことを判定することができ、またはデータ処理システムは、さらなる調節が電力系統の性能を低下させ始めていると判定することができる(例えば、タップ変更は、電力系統の位置における電圧レベルが最小閾値未満になることをもたらす)。
【0134】
判定ブロック418において、データ処理システムが電力系統を最適化しないと判定する場合、または調節されたパラメータが最適な性能をもたらすと判定されたためにさらに最適化しないと判定する場合、データ処理システムは、動作422に進み、命令を送信することができる。データ処理システムは、動作416からの出力値に基づいて、制御命令、指示、通知、報告、または警告を送信することができる。データ処理システムは、動作402に戻ってフィードバックとして制御命令を提供することができ、この時点で、データ処理システムは、リアルタイム信号と他の制御命令とを含む更新された電力系統データを受信することができ、電力系統を評価または管理し、電力系統の性能を最適化するために、電力系統の挙動を予測し続けることができる。
【0135】
図5は、例示的なコンピュータシステム500のブロック図である。コンピュータシステムまたはコンピューティング装置500は、データ処理システム202、または、データ処理システム202などのその構成要素、を含む、または実装するために使用されることができる。コンピューティングシステム500は、情報を通信するための少なくとも1つのバス505または他の通信構成要素と、情報を処理するため、バス505に接続される少なくとも1つのプロセッサ510または処理回路とを含む。また、コンピューティングシステム500は、情報を処理するため、バスに接続される1つ以上のプロセッサ510または処理回路を含むことができる。また、コンピューティングシステム500は、情報とプロセッサ510によって実行される命令とを格納するため、バス505に接続される、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶装置などの少なくとも1つの主記憶部515を含む。また、主記憶部515は、位置情報、電力系統データ、命令指示、装置状態情報、電力系統の内部若しくは外部の環境情報、電力の特性に関する情報、またはプロセッサ510による命令の実行中の他の情報を格納するために使用されることができる。コンピューティングシステム500は、プロセッサ510のための静的情報と命令とを記憶するため、バス505に結合される少なくとも1つの読み出し専用メモリ(ROM)520または他の静的記憶装置をさらに含むことができる。固体装置、磁気ディスク、または光ディスクなどの記憶装置525は、バス505に結合され、情報と命令とを持続的に格納することができる。
【0136】
コンピューティングシステム500は、データ処理システムまたは電力系統の管理者などのユーザに情報を表示するために、バス505を介して、液晶表示装置またはアクティブマトリクス表示装置などの表示装置535に結合されることができる。キーボードまたは音声インタフェースなどの入力装置530は、情報と命令とをプロセッサ510に通信するため、バス505に結合されることができる。入力装置530は、タッチスクリーン表示装置535を含むことができる。また、入力装置530は、プロセッサ510に方向情報と命令選択とを通信するため、および表示装置535上のカーソル移動を制御するため、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御を含むことができる。表示装置535は、データ処理システム202の部分、または
図1の他の構成要素とすることができる。
【0137】
本明細書に説明される処理、システムおよび方法は、主記憶部515に含まれる命令の配列を実行するプロセッサ510に応答して、コンピューティングシステム500によって実装されることができる。このような命令は、記憶装置525などの別のコンピュータ可読メディアから主記憶部515内に読み込まれることができる。主記憶部515に含まれる命令の配列の実行は、コンピューティングシステム500に、本明細書で説明される例示的な処理を実行させる。また、複数の処理配列の1つ以上のプロセッサは、主記憶部515に含まれる命令を実行するために使用されることができる。結線接続回路は、本明細書で説明されるシステムおよび方法と共に、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて使用されることができる。本明細書で説明されるシステムおよび方法は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されない。
【0138】
例示的なコンピューティングシステムは
図5で説明されたが、本明細書で説明される動作を含む主題は、本明細書で開示される構造およびその構造的等価物を含む、他の種類のデジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、またはそれらの1つ以上の組合せで実装されることができる。
【0139】
本明細書の説明の一部は、システム構成要素(例えば、アービトレーション構成要素)の態様の構造的独立性に重きを置き、位置構成要素105とマップデータとは、これらのシステム構成要素の動作と信頼性との1つのグループ分けを示す。同様の全体の動作を実行する他のグループ分けは、本出願の範囲内であると理解される。モジュールは、ハードウェアで実施されることができる、または非一時的コンピュータ可読記憶メディア上のコンピュータ命令として実施されることができる。モジュールは、様々なハードウェアまたはコンピュータを基礎とする構成要素にわたって分散されることができる。
【0140】
上述されたシステムは、これらの構成要素のうちのいずれかまたは各々の複数のものを提供することができ、これらの構成要素は、スタンドアロンシステムまたは分散システム内の複数のインスタンス化のいずれかで提供されることができる。さらに、上述されたシステムおよび方法は、1つ以上のコンピュータ可読プログラム、または1つ以上の製造物品上に若しくはその中に具体化される実行可能命令として提供されることができる。製造物品は、クラウド記憶装置、ハードディスク、CD-ROM、フラッシュメモリカード、PROM、RAM、ROM、または磁気テープとすることができる。一般に、コンピュータ可読プログラムは、LISP、PERL、C、C++、C♯、PROLOGなどの任意のプログラミング言語、またはJAVAなどの任意のバイトコード言語で実装されることができる。ソフトウェアプログラムまたは実行可能命令は、オブジェクトコードとして、1つ以上の製造物品上またはその中に格納されることができる。
【0141】
例示的かつ非限定的なモジュール実装要素は、
本明細書で判定される任意の値を提供するセンサ、又は、
本明細書で判定される値の前兆である任意の値を提供するセンサ、又は、
通信チップ、水晶振動子、通信リンク、ケーブル、ツイストペア配線、同軸配線、シールド配線、送信機、受信機、若しくは送受信機を含むデータリンク若しくはネットワークハードウェア、又は、
論理回路、又は、
結線接続論理回路、又は、
モジュール仕様に従って構成される特定の非過渡状態の再構成可能論理回路、又は、
少なくとも電力、水力、若しくは空気圧の駆動装置、又は、
ソレノイド、又は、
演算増幅器、又は、
アナログ制御構成要素(ばね、フィルタ、積分器、加算器、分周器、利得要素)、又は、
デジタル制御要素、
を含む。
【0142】
本明細書で説明される主題および動作は、本明細書で開示される構造およびそれらの構造的等価物を含む、デジタル電子回路、若しくはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア、またはそれらの1つ以上の組合せで実装されることができる。本明細書で説明される主題は、データ処理機器による実行のため、またはデータ処理機器の動作を制御するため、1つ以上のコンピュータ記憶メディア上に符号化された、1つ以上のコンピュータプログラム、例えば、コンピュータプログラム命令の1つ以上の回路、として実装されることができる。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成される伝播信号、例えば、データ処理機器による実行のため、適切な受信機器に送信する情報を符号化するために生成される機械生成電気信号、光信号、又は電磁信号、に符号化されることができる。コンピュータ記憶メディアは、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリ配列若しくは装置、またはそれらの1つ以上の組み合わせ、とすることができる、または含まれることができる。コンピュータ記憶メディアは伝播信号ではないが、コンピュータ記憶メディアは、人工的に生成される伝播信号に符号化されるコンピュータプログラム命令の供給源または宛先とすることができる。また、コンピュータ記憶メディアは、1つ以上の別個の構成要素またはメディア(例えば、複数のCD、ディスク、またはクラウド記憶装置を含む他の記憶装置)とすることができる、または含まれることができる。本明細書に説明される動作は、1つ以上のコンピュータ可読記憶装置に記憶されるデータまたは他の供給源から受信されるデータのデータ処理機器によって実行される動作として実施されることができる。
【0143】
用語「コンピューティング装置」、「構成要素」、または「データ処理機器」などは、データを処理するための様々な機器、装置、および機械を包含し、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステム、または複数のもの、または前記の組合せを含む。機器は、特定目的論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。また、機器は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのために実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、動作システム、クロスプラットフォーム実行時環境、仮想機械、またはそれらの1つ以上の組み合わせを構成するコード、を含むことができる。機器および実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング、および送電網コンピューティング基盤などの様々な異なるコンピューティングモデル基盤を実現することができる。
【0144】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリ、スクリプト、またはコードとも呼ばれる)は、コンパイラ言語またはインタプリタ言語、宣言型言語または手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述されることができ、スタンドアロンプログラムとして、またはコンピューティング環境での使用に適したモジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、またはその他のユニットとして、任意の形態で使用されることができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができる。コンピュータプログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納される1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部、問題のプログラム専用の単一のファイル、または複数の統合されるファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を格納するファイル)に格納されることができる。コンピュータプログラムは、1つの場所に配置される、または複数の場所にわたって分散されて通信ネットワークによって相互接続される、1つまたは複数のコンピュータ上で実行されるように配置されることができる。
【0145】
本明細書で説明される処理および論理フローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する、1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行され、入力データに対して動作して出力を生成することによって、アクションを実行することができる。また、処理および論理フローは、特定目的論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)、によって実行されることができ、機器は、特定目的論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)として実装されることができる。コンピュータプログラム命令とデータとを格納するのに適した装置は、不揮発性メモリ、メディアおよび記憶装置を含むことができ、例として、半導体記憶装置(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ記憶装置)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、およびCD ROMとDVD?ROMとのディスクを含む。プロセッサおよび記憶部は、特定目的論理回路によって追加されることができる、または組み込まれることができる。
【0146】
本明細書で説明される主題は、例えばデータサーバとしてバックエンド構成要素を含む、または例えばアプリケーションサーバなどのミドルウェア構成要素を含む、または例えばユーザがこの明細書で説明される主題の実装、若しくは1つ以上のそのようなバックエンド、ミドルウェア、若しくはフロントエンド構成要素の組合せ、と対話することができる、グラフィカルユーザインタフェース若しくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンド構成要素を含む、コンピューティングシステムで実装されることができる。システムの構成要素は、任意の形態またはメディアのデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワーク、によって相互接続されることができる。通信ネットワークの例は、構内通信網(「LAN」)および広域通信網(「WAN」)、ネットワーク間(インターネットなど)、およびピアツーピアネットワーク(アドホックピアツーピアネットワークなど)を含む。
【0147】
動作は特定の順序で図面に示されるが、そのような動作は、示される特定の順序で、または一連の順序で実行される必要はなく、図示されるすべての動作が実行される必要はない。本明細書で説明される動作は、異なる順序で実行されることができる。
【0148】
以上、いくつかの例示的な実施を説明したが、上記は例示的なものであり、限定的なものではなく、例として提示されたことは明らかである。特に、本明細書で提示される例の多くは、動作方法またはシステム要素の特定の組み合わせを含むが、これらの動作およびこれらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされることができる。ある実装に関連して論じられる動作、要素、および特徴は、他の実装または実施の類似の役割から除外されることを意図されない。
【0149】
本明細書で使用される語法および用語法は、説明の目的のためであり、限定とみなされるべきではない。「含む」「備える」「有する」「包含する」「関係する」「によって特徴付けられる」「の点で特徴付けられる」の使用および本明細書でのその変形は、その後に列挙される項目、その均等物、および追加の項目、ならびにその後に排他的に列挙される項目から成る代替の実装を包含することを意味する。一実施態様では、本明細書で説明されるシステムおよび方法は、説明される要素、動作、または構成要素のうちの1つ、2つ以上の各々の組合せ、またはすべてから成る。
【0150】
また、本明細書において単数形で言及されるシステムおよび方法の実装または要素または動作へのいかなる言及は、複数のこれらの要素を含む実装を包含することができ、本明細書のいかなる実装または要素または動作への複数形でのいかなる言及もまた、単一の要素のみを含む実装を包含することができる。単数形または複数形での言及は、現在開示されるシステムまたは方法、それらの構成要素、動作、または要素を、単一または複数の構成に限定することを意図されない。任意の情報、動作、または要素に基づく任意の動作または要素への言及は、動作または要素が任意の情報、動作、または要素に少なくとも部分的に基づく実装を含むことができる。
【0151】
本明細書で開示される任意の実装は、任意の他の実装または実施形態と組み合わせることができ、「実装」、「いくつかの実装」、「1つの実装」などへの言及は、必ずしも相互排他的ではなく、実装に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実装または実施形態に含まれることができることを示すように意図される。本明細書で使用されるそのような用語は、必ずしもすべてが同じ実装を指しているわけではない。任意の実装は、本明細書で開示される態様および実装と矛盾しない任意の方法で、包括的にまたは排他的に、任意の他の実装と組み合わせることができる。
【0152】
「または」への言及は包括的であると解釈されることができるため、「または」を使用して説明される任意の用語は、説明される用語のいずれか1つ、2つ以上、およびすべてを示すことができる。例えば、「「A」および「B」のうちの少なくとも1つ」への言及は、「A」のみ、「B」のみ、ならびに「A」と「B」との両方を含むことができる。「含む」または他の公開用語法と併せて使用されるそのような言及は、追加の項目を含むことができる。
【0153】
図面、詳細な説明、または任意の請求項における技術的特徴は、後に参照符号が続く場合、参照符号は、図面、詳細な説明、および請求項の理解度を高めるために含まれた。したがって、参照符号も、それらの欠如も、任意の請求項の要素の範囲にいずれも限定的な効果を及ぼさない。
【0154】
様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状および割合、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、方向などの、説明される要素および動作の修正は、本明細書で開示される主題の教示および利点から実質的に逸脱することなく行うことができる。例えば、一体的に形成されるように示される要素は、複数の部品又は要素で構成されることができ、要素の位置は、反転されるか、または変化されることができ、離散的な要素又は位置の性質又は数は、変更又は変化されることができる。また、他の置換、修正、変更、および省略は、開示される要素および動作の設計、動作条件、および配置において、本開示の範囲から逸脱することなく、行われることができる。
【0155】
本明細書で説明されるシステムおよび方法は、その特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化されることができる。したがって、本明細書で説明されるシステムおよび方法の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内に入る変更は特許請求の範囲に包含される。
【0156】
本明細書は多くの具体的な実施の詳細を含むが、これらは、任意の発明または請求されることができるものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の態様の特定の実施形態に対する特有の特徴の説明として解釈されるべきである。また、別個の実施形態の文脈において本明細書で説明される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施されることができる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、または任意の適切な副組み合わせで実施されることもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで動作するものとして上述されることができ、そのようなものとして最初に特許請求されることさえできるが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によってはその組み合わせから削除されることができ、特許請求される組み合わせは、副組み合わせまたは副組み合わせの変形を対象とすることができる。
【0157】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されるが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示される特定の順序で若しくは一連の順序で実行されること、または示されるすべての動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況において、マルチタスキングおよび並列処理は利点とすることができる。さらに、上述される実施形態における様々なシステムの構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラム構成要素とシステムとは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合されることができる、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化されることができることを理解されたい。
【0158】
したがって、主題の特定の実施形態は説明された。いくつかの場合において、特許請求の範囲に列挙される動作は、異なる順序で実行されることができ、それでも望ましい結果を達成することができる。加えて、添付の図面に示される処理は、所望の結果を達成するために、必ずしも示される特定の順序、または連続する順序を必要としない。
【国際調査報告】