(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】マイクロ流体アレイ、製造方法、マイクロ流体アレイを含む測定システム、及び使用
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20220705BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20220705BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B81B3/00
B01J19/00 321
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566971
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2020056465
(87)【国際公開番号】W WO2020229016
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019112254.6
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019135764.0
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507370644
【氏名又は名称】レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】506151626
【氏名又は名称】オーファウデー キネグラム アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】521490890
【氏名又は名称】ストラテク コンズーマブレス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツェンバ ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】シャルフェンベルク ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】オルスツォウカ ヴィオレッタ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】アトナー ジュリ
(72)【発明者】
【氏名】ビグラー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】エプ ザシャ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】リヒナー マルティン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー マリア
(72)【発明者】
【氏名】ライター ゴットフリート
(72)【発明者】
【氏名】バウアー ゲオルク
【テーマコード(参考)】
3C081
4G075
【Fターム(参考)】
3C081AA17
3C081BA23
3C081BA42
3C081BA72
3C081CA05
3C081CA31
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3C081EA39
4G075AA13
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4G075BA10
4G075CA24
4G075DA02
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4G075EC25
4G075FA01
4G075FA05
4G075FA12
4G075FB02
4G075FB12
4G075FC04
4G075FC11
4G075FC13
4G075FC17
4G075FC20
(57)【要約】
本発明は、マイクロ流体アレイ、それを製造するための方法、マイクロ流体アレイを含む測定システム、及び使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの入口(41)及び少なくとも1つの出口(42)と流体接続して、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路(4)を含むマイクロ流体アレイ(1)を製造するための方法であって、前記方法が、
a)少なくとも1つのベースプライ(2)を提供する工程と、
b)少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)を含む少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)を提供する工程であって、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)が、前記カバープライ(9)の少なくとも一方の側面の表面上に配置されている、工程と、
c)前記少なくとも1つのベースプライ(2)の少なくとも1つの部分領域上に前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)を配置する工程であって、その結果、前記少なくとも1つのベースプライ(2)の少なくとも1つの部分領域が、前記カバープライ(9)の少なくとも一方の側面の前記表面上に配置された前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)の少なくとも1つの部分領域上に配置されて、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路(4)を形成する、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのベースプライ(2)が、剛性であることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも200μm、好ましくは少なくとも600μmの厚さを示すことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、好ましくは室温で、DIN EN ISO 527-3(発行日:2003年7月)に従って決定された1000N/mm
2を超える弾性係数を有することを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも領域内で、電磁放射に対して透明であり、好ましくは、200nm~1000nmの電磁放射の波長範囲にあることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つのガラス、少なくとも1つの金属、少なくとも1つの半導体材料、又はそれらの組み合わせから構成されることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、CCDセンサ又はCMOSセンサであることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、10μmを超える最小構造サイズの巨視的構造、好ましくは、入口、出口、貫通孔、窪み、膨出部、壁要素、チャネル要素、プレチャンバ、混合チャンバ、収集チャンバ、分析チャンバ、又はそれらの組み合わせを有することを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも1つの装飾要素を有し、前記少なくとも1つの装飾要素が、前記少なくとも1つのベースプライ(2)の表面テクスチャ及び/又は前記表面の色に影響を与え、前記少なくとも1つの装飾要素が、好ましくは、モチーフとして、装飾、例えば、単一画像装飾若しくは無限装飾として、パターンとして、又はそれらの組み合わせとして形成されることを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの装飾要素が、少なくとも領域内で、装飾層として形成され、前記装飾層が、好ましくは、透明及び/又は着色されたワニス層からなる群から選択され、前記ワニス層が、特に、1又は複数の染料及び/又は顔料、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層、特に、不透明反射層、透明反射層、金属反射層又は誘電体反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層システム、ボリュームホログラム層、液晶層、特に、コレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁性層、磁気記憶層、並びにそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、最大で250μm、好ましくは最大で100μmの最大厚さを示すことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、いずれの場合も、好ましくは室温で決定して、DIN ISO 527パート3(発行日:2003年7月)に従って決定された100MPa~4000MPaの引張弾性係数を有することを特徴とする、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、少なくとも1つの複製ワニスからなるカバー層(10,10’)を含み、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)が、前記カバー層(10,10’)の少なくとも一方の側面の表面上に配置されることを特徴とする、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの第1の接着剤層(11,11’)が、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)を有する前記カバー層(10,10’)の前記側面上に配置されることを特徴とする、
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、少なくとも1つの装飾要素を更に有し、前記少なくとも1つの装飾要素が、前記少なくとも1つの可撓性カバープライの前記表面テクスチャ及び/又は前記表面の色に影響を与え、前記少なくとも1つの装飾要素が、好ましくは、モチーフとして、装飾、例えば、単一画像装飾若しくは無限装飾として、パターンとして、又はそれらの組み合わせとして形成されることを特徴とする、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの装飾要素が、少なくとも領域内で、装飾層として形成され、前記装飾層が、好ましくは、透明及び/又は着色されたワニス層からなる群から選択され、前記ワニス層が、特に、1又は複数の染料及び/又は顔料、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層、特に、不透明反射層、透明反射層、金属反射層又は誘電体反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層システム、ボリュームホログラム層、液晶層、特に、コレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁性層、磁気記憶層、並びにそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)が、最大で500μm、好ましくは0.1μm~500μmの範囲の高さを有することを特徴とする、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの構造要素が、前記可撓性カバープライ(9)の表面上の少なくとも1つの隆起要素(13e,13e’)及び/又は前記可撓性カバープライ(9)の表面上の少なくとも1つの窪み(13v)から形成されることを特徴とする、
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、好ましくは、後の使用に必要な全ての前記構造要素を含む少なくとも1つの分析要素を更に有することを特徴とする、
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、少なくとも領域内で、好ましくは前記少なくとも1つの分析要素を含む領域内で、電磁放射に対して透明であり、好ましくは、200nm~1000nmの電磁放射の波長範囲にあることを特徴とする、
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの分析要素が、少なくとも1つの機能要素を更に含み、前記少なくとも1つの機能要素が、前記少なくとも1つのチャネルと流体連通して配置され、好ましくは、マイクロ流体セパレータ、マイクロ流体ミキサ、マイクロ流体ポンプ、マイクロ流体バルブ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、少なくとも1つの添加剤を更に含み、前記少なくとも1つの添加剤が、好ましくは、疎水剤、染料、造影剤、安定剤、光安定剤、抗酸化剤、生物学的アジュバント、界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、
請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの添加剤が、前記カバープライ(9)、好ましくはカバー層(10,10’)内及び/又はその上に、好ましくは、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域の中又はその上に、可溶性で配置されることを特徴とする、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの添加剤が、少なくとも1つのリザーバ内に配置され、前記少なくとも1つのリザーバが、好ましくは、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)と流体接続していることを特徴とする、
請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの添加剤が、少なくとも1つの第1のワニス層(14,14’,14’’)内に配置され、前記少なくとも1つの第1のワニス層(14,14’,14’’)が、好ましくは、少なくとも1つの構造要素(13e,13v)を有することを特徴とする、
請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのカバープライ(9)が、転写フィルム(15,15’,15’’)の形態で提供され、前記転写フィルム(15,15’,15’’)が、少なくとも1つの第1のキャリアプライ(20)を更に有し、前記少なくとも1つの第1のキャリアプライ(20)が、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’’,13v)と対向する前記少なくとも1つのカバープライ(9)の前記側面上に着脱可能に配置されることを特徴とする、
請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第1のキャリアプライ(20,20’)が、ポリエステル、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせ、特にPETからなる少なくとも1つの第1のキャリアフィルム(21)を含み、第1のキャリアフィルム(21)は、好ましくは4μm~100μm、好ましくは10μm~50μmの層厚を有することを特徴とする、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第1のキャリアプライ(20,20’)が、前記カバープライ(9)に面する前記第1のキャリアプライ(20,20’)の側面上に配置された少なくとも1つの第1の剥離層(22)を更に含むことを特徴とする、
請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの第1の剥離層(22)が、好ましくは0.1nm~100nmの層厚で、少なくとも1つのワックス、好ましくはモンタンエステルワックス、少なくとも1つのシリコーン、少なくとも1つのポリウレタン又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのカバープライ(9)が、積層フィルムの形態で提供され、前記積層フィルムが、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)と対向する前記少なくとも1つのカバープライ(9)の前記側面上に、好ましくは着脱不能に配置された少なくとも1つのキャリアプライを更に有することを特徴とする、
請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記積層フィルムが、前記カバープライ(9)に面する前記キャリアプライ(20,20’)の前記側面上に配置された少なくとも1つの第2の接着剤層を更に含むことを特徴とする、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのカバープライ(9)が前記ベースプライ(2)上に配置される前に、好ましくは前記カバープライ(9)から取り外される保護プライが、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)を含む前記カバープライ(9)の前記側面上に着脱可能に更に配置されることを特徴とする、
請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
工程c)において、前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、前記カバー層(10)上に着脱不能に配置されることを特徴とする、
請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
好ましくは請求項1~33のいずれか一項に記載の方法によって製造された、少なくとも1つの入口(41)及び少なくとも1つの出口(42)と流体接続して、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路(4)を含むマイクロ流体アレイ(1)であって、
前記マイクロ流体アレイ(1)が、少なくとも1つのベースプライ(2)と、少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)であって、前記カバープライ(9)の少なくとも一方の側面の表面上に配置された少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)を含む少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)と、を含み、前記少なくとも1つのベースプライ(2)の少なくとも1つの部分領域が、前記カバープライ(9)の少なくとも一方の側面の前記表面上に配置された前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)の少なくとも1つの部分領域上に配置されて、少なくとも領域内で完全に覆われた前記少なくとも1つの流路(4)を少なくとも部分的に形成することを特徴とする、
マイクロ流体アレイ(1)。
【請求項35】
前記少なくとも1つのベースプライ(2)が、剛性であることを特徴とする、
請求項34に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項36】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも200μm、好ましくは少なくとも600μmの厚さを示すことを特徴とする、
請求項34又は35に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項37】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、好ましくは室温で、DIN ISO 527パート3(発行日:2003年7月)に従って決定された1000N/mm
2を超える弾性係数を有することを特徴とする、
請求項34~36のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項38】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも領域内で、電磁放射に対して透明であり、好ましくは200nm~1000nmの電磁放射の波長範囲にあることを特徴とする、
請求項34~37のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項39】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つのガラス、少なくとも1つの金属、少なくとも1つの半導体材料、又はそれらの組み合わせから構成されることを特徴とする、
請求項34~38のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項40】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、CCDセンサ又はCMOSセンサであることを特徴とする、
請求項34~39のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項41】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、10μmを超える最小構造サイズの巨視的構造、好ましくは、入口、出口、貫通孔、窪み、膨出部、壁要素、チャネル要素、プレチャンバ、混合チャンバ、収集チャンバ、分析チャンバ、又はそれらの組み合わせを有することを特徴とする、
請求項34~40のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項42】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも1つの装飾要素を有し、前記少なくとも1つの装飾要素が、前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(9)の表面テクスチャ及び/又は前記表面の色に影響を与え、前記少なくとも1つの装飾要素が、好ましくは、モチーフとして、装飾、例えば、単一画像装飾若しくは無限装飾として、パターンとして、又はそれらの組み合わせとして形成されることを特徴とする、
請求項34~41のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項43】
前記少なくとも1つの装飾要素が、少なくとも領域内で、装飾層として形成され、前記装飾層が、好ましくは、透明及び/又は着色されたワニス層からなる群から選択され、前記ワニス層が、特に、1又は複数の染料及び/又は顔料、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層、特に、不透明反射層、透明反射層、金属反射層又は誘電体反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層システム、ボリュームホログラム層、液晶層、特に、コレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁性層、磁気記憶層、並びにそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項42に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項44】
前記少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライ(2)が、少なくとも領域内で、電磁放射に対して透明であり、好ましくは200nm~1000nmの電磁放射の波長範囲にあることを特徴とする、
請求項34~43のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項45】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、最大で100μm、好ましくは最大で50μmの最大厚さを示すことを特徴とする、
請求項34~44のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項46】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、いずれの場合も、好ましくは室温で、DIN ISO 527パート3(発行日:2003年7月)に従って決定された100MPa~4000MPaの引張弾性係数を有することを特徴とする、
請求項34~45のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項47】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、少なくとも1つの、好ましくは硬化された複製ワニスからなるカバー層(10,10’)を含み、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)が、前記カバー層(10,10’)の少なくとも一方の側面の表面上に配置されることを特徴とする、
請求項34~46のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項48】
少なくとも1つの第1の接着剤層(11,11’)が、前記可撓性カバー層(10,10’)と前記ベースプライ(2)との間に配置されることを特徴とする、
請求項34~47のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項49】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、少なくとも1つの装飾要素を更に有し、前記少なくとも1つの装飾要素が、前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)の前記表面テクスチャ及び/又は前記表面の色に影響を与え、前記少なくとも1つの装飾要素が、好ましくは、モチーフとして、装飾、例えば、単一画像装飾若しくは無限装飾として、パターンとして、又はそれらの組み合わせとして形成されることを特徴とする、
請求項34~48のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項50】
前記少なくとも1つの装飾要素が、少なくとも領域内で、装飾層として形成され、前記装飾層が、好ましくは、透明及び/又は着色されたワニス層からなる群から選択され、前記ワニス層が、特に、1又は複数の染料及び/又は顔料、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層、特に、不透明反射層、透明反射層、金属反射層又は誘電体反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層システム、ボリュームホログラム層、液晶層、特に、コレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁性層、磁気記憶層、並びにそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項49に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項51】
前記少なくとも1つの構造要素が、前記可撓性カバープライ(9)の表面上の少なくとも1つの隆起要素(13e,13e’)及び/又は前記可撓性カバープライ(9)の表面上の少なくとも1つの窪み(13v)から形成されることを特徴とする、
請求項34~50のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項52】
前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)が、最大で500μm、好ましくは0.1μm~500μmの範囲の高さを有することを特徴とする、
請求項34~51のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項53】
前記少なくとも1つの隆起した構造要素(13e,13e’)が、球形セグメント、四角錐、円錐、円柱、プリズム、角柱、球形層、円錐台、不規則な本体、及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、
請求項34~52のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項54】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、好ましくは、後の使用に必要な全ての前記構造要素を含む少なくとも1つの分析要素を更に有することを特徴とする、
請求項34~53のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項55】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)が、少なくとも領域内で、好ましくは前記少なくとも1つの分析要素を含む領域内で、電磁放射に対して透明であり、好ましくは、200nm~1000nmの電磁放射の波長範囲にあることを特徴とする、
請求項34~54のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項56】
前記少なくとも1つの分析要素が、少なくとも1つの機能要素を更に含み、前記少なくとも1つの機能要素が、前記少なくとも1つのチャネルと流体連通して配置され、好ましくは、マイクロ流体セパレータ、マイクロ流体ミキサ、マイクロ流体ポンプ、マイクロ流体バルブ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、
請求項34~55のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項57】
前記少なくとも1つの可撓性カバープライ(9)及び/又は前記少なくとも1つのベースプライ(2)が、少なくとも1つの添加剤を更に含み、前記少なくとも1つの添加剤が、好ましくは、疎水剤、染料、造影剤、安定剤、光安定剤、抗酸化剤、生物学的アジュバント、界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、
請求項34~56のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項58】
前記少なくとも1つの添加剤が、前記ベースプライ(2)の少なくとも1つの表面上の少なくとも部分領域内及び/又はその上に可溶性で配置されることを特徴とする、
請求項57に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項59】
少なくとも1つの添加剤が、前記ベースプライ(2)内及び/又はその上に、好ましくはベースプライ(2)の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域内及び/又はその上に可溶性で配置され、少なくとも1つの更なる添加剤が、第2のカバープライ(9’)内及び/又はその上に、かつ/あるいは、好ましくは第2のベースプライ(2’)の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域内及び/又はその上に可溶性で配置されることを特徴とする、
請求項57又は58に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項60】
前記少なくとも1つの添加剤が、前記カバープライ(9)、好ましくはカバー層(10,10’)内及び/又はその上に、好ましくは、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域の中又はその上に、可溶性で配置されることを特徴とする、
請求項57~59のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項61】
前記少なくとも1つの添加剤が、少なくとも1つのリザーバ内に配置され、前記少なくとも1つのリザーバが、好ましくは、前記少なくとも1つの構造要素(13e,13e’,13v)と流体接続していることを特徴とする、
請求項57~60のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項62】
前記少なくとも1つの添加剤が、少なくとも1つの第1のワニス層(14,14’,14’’)内に配置され、前記少なくとも1つの第1のワニス層(14,14’,14’’)が、好ましくは、少なくとも1つの構造要素(13e,13v)を含むことを特徴とする、
請求項57~61のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項63】
前記マイクロ流体アレイ(1)が、キュベットとして形成されることを特徴とする、
請求項34~62のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)。
【請求項64】
請求項34~63のいずれか一項に記載の少なくとも1つのマイクロ流体アレイ(1)及び少なくとも1つの検出器を含む、測定システム。
【請求項65】
少なくとも1つの放射線源を更に含む、請求項64に記載の測定システム。
【請求項66】
ヒト又は動物の体液のインビトロ検査、特にインビトロ血液分析における、請求項34~63のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ(1)又は請求項64若しくは65に記載の測定システムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体アレイ、それを製造するための方法、マイクロ流体アレイを含む測定システム、及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学分析及び医療診断の分野では、個々のプロセス工程をマイクロ流体システムに統合することで、従来の実験室での分析を代替及び拡張するシステムの開発が進んでいる。
【0003】
この開発は、特に、厚レジストプロセス又はLIGA(リソグラフィ、電気めっき、成形)などの多くの新しい製造プロセスの開発によって促進されており、マイクロ流体構造の組み合わせに新たな可能性が生まれている。
【0004】
マイクロ流体システムは、ラボチップ、ラボオンチップ、又はμTAS(マイクロトータル分析システム)と称されている。分析システムを小型化することにより、例えば、その場(in-situ)アプリケーションが実現され得、例えば、マイクロ流体システムの形態でイムノアッセイ、分子診断アッセイ又は細胞分析などの生化学的分析を実施することにより、費用効果の高いアプリケーションが広く可能になる。特に、全血から直接その場分析を実行することで、かかる分析のアプリケーションが広がり、患者に大きな利点を提供するだけでなく、コストを削減する可能性も得られる。
【0005】
イムノアッセイは、医療診断でよく使用される生理活性物質(抗原/抗体)を検出するための方法であり、分子診断検出法では、核酸が検出され、サイトメトリ法では、試料中の細胞が特徴づけられる。
【0006】
既知のマイクロ流体システムは、多くの場合、ポンプ作用及び/又は毛細管作用を備えたチャンバシステムを含んでおり、これは、実質的に2つの部分からなる積層体から構成されている。
【0007】
既知の実施形態において、「硬質」であり、しばしば射出成形される底部は、キャリア構造を有しており、当該キャリア構造により、液体及びその成分を検査することが可能となっている。頂部がその上に配置されており、これは、例えば、同様に「硬質」な射出成形された頂部、あるいは可撓性フィルムであり得る。フィルム又は硬質な頂部には構造物がなく、実質的にカバーとして機能する。キャリア構造は、特に、検査チャンバが正確に定義された高さを有するためのスペーサとして使用され、例えば、マイクロ流体チャンバに血液細胞を重ならないように導入するために必要である。頂部に可撓性フィルムを使用する場合、底部の平滑度の違いも、使用したフィルムの可撓性によって均一化することができる。
【0008】
当技術分野で既知のマイクロ流体アレイの製造方法では、高アスペクト比を有する任意の所望の構造を射出成形によって製造することができるが、プロセスに大きく依存するコストに加えて、更なる技術的欠点が存在している。
【0009】
例えば、壁厚が500μm未満の部品は、非常に困難な方法でしか製造できないため、例えば共焦点読み出しを使用することが制限される。これは、標準的な光学システムを使用するためには、光学的厚さが175μm未満であることが前提条件であるためである。最近の光学的手法は、光学的近接場からの現象を検出するために、光学システムと試料との間の更に短い距離を対象としている。これには、10μm未満の壁厚が有利である。
【0010】
更に、より大きな表面積にわたって射出成形部品を射出成形金型から平面的に取り出す際には、大きな力が発生するため、特に射出成形部品の厳密な平滑度を保証する必要がある場合には、制御が困難になる。
【0011】
射出成形部品を修正するには、例えば追加の蒸着や印刷などを個々の部品に対して行う必要があるが、これは複雑でコストがかかり、時間を要するプロセスでしか実現できない。
【0012】
更に、薄肉の射出成形部品は、しばしば所望の寸法安定性を示さず、平坦性が不足し、ねじれ及び/又は反りが発生することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、本発明の目的は、マイクロ流体システムの簡単で費用効果の高い提供を可能とする、マイクロ流体アレイを製造するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口と流体接続して、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路を含むマイクロ流体アレイを製造するための請求項1に記載の方法の提供によって実現され、方法は、
a)少なくとも1つのベースプライを提供する工程と、
b)少なくとも1つの構造要素を含む少なくとも1つの可撓性カバープライを提供する工程であって、少なくとも1つの構造要素が、カバープライの少なくとも一方の側面の表面上に配置されている、工程と、
c)少なくとも1つのベースプライの少なくとも1つの部分領域上に少なくとも1つの可撓性カバープライを配置する工程であって、その結果、少なくとも1つのベースプライの少なくとも1つの部分領域が、カバープライの少なくとも一方の側面の表面上に配置された少なくとも1つの構造要素の少なくとも1つの部分領域上に配置されて、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路を少なくとも部分的に形成する、工程と、を含む。
【0015】
本発明による方法の好ましい実施形態は、従属請求項2~33に開示されている。
【0016】
本発明の目的は更に、好ましくは請求項1~33のいずれか一項に記載の方法によって製造された、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口と流体接続して、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路を含む、請求項34に記載のマイクロ流体アレイを提供することによって実現され、マイクロ流体アレイは、マイクロ流体アレイが、少なくとも1つのベースプライと、カバープライの少なくとも一方の側面の表面上に配置された少なくとも1つの構造要素を含む少なくとも1つの可撓性カバープライと、を含み、少なくとも1つのベースプライの少なくとも1つの部分領域が、カバープライの少なくとも一方の側面の表面上に配置された少なくとも1つの構造要素の少なくとも1つの部分領域上に配置されて、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路を少なくとも部分的に形成することを特徴とする。
【0017】
本発明によるマイクロ流体アレイの好ましい実施形態は、従属請求項35~63に開示されている。
【0018】
本発明の目的は更に、請求項34~63のいずれか一項に記載の少なくとも1つのマイクロ流体アレイ及び少なくとも1つの検出器を含む、請求項64に記載の測定システムを提供することによって実現される。
【0019】
本発明による測定システムの好ましい実施形態は、従属請求項65に開示されている。
【0020】
本発明の目的は更に、ヒト又は動物の体液のインビトロ検査、特にインビトロ血液分析における、請求項34~63のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ、又は請求項64又は65に記載の測定システムの、請求項66に記載の使用を提供することによって実現される。
【0021】
本発明によるマイクロ流体アレイは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口と流体接続して、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路を含み、流路は、好ましくは、適用及び/又は導入された液体に対して毛細管作用を有する。
【0022】
したがって、流路は、好ましくは毛細管活性を有し、これは更に好ましくは、マイクロ流体アレイ内で液体を輸送するために使用され得る。
【0023】
少なくとも1つの流路は、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口と流体接続しており、検査対象の液体は、好ましくは、少なくとも1つの入口を介して本発明によるマイクロ流体アレイに適用又は導入され、検査対象の液体の輸送中に少なくとも1つの流路を通って置換される空気は、好ましくは、少なくとも1つの出口から脱出する。
【0024】
好ましくは、本発明によるマイクロ流体アレイの、更に好ましくは本発明による方法によって生成される少なくとも1つの流路は、最大500μmの、好ましくは0.1μm~500μmの範囲、好ましくは、0.15μm~270μmの範囲、好ましくは、0.2μm~170μmの範囲、好ましくは、0.5μm~100μmの範囲、更に好ましくは、0.65μm~75μmの範囲、更に好ましくは、0.75μm~55μmの範囲、更に好ましくは、0.85μm~35μmの範囲、更に好ましくは、0.95μm~20μmの範囲、特に1μm~10μmの範囲の高さを有する。かかる流路は、好ましくは、毛細管活性流路である。
【0025】
本発明者らは、本発明による方法を使用して、壁厚が薄く、なおかつマイクロ流体アレイの提供された毛細管活性構造の十分な安定性を有するマイクロ流体アレイを提供することが可能であることを見出した。
【0026】
本発明によるマイクロ流体アレイは、好ましくは、少なくとも1つのベースプライ及びその上に配置された少なくとも1つのカバープライを有し、少なくとも1つのベースプライは、更に好ましくは、構造要素、好ましくは、少なくとも部分的に構造要素で形成された毛細管活性チャネル及びチャンバを有さない。
【0027】
本発明によるマイクロ流体アレイに含まれる構造要素、例えば、毛細管活性チャネル及び/又は毛細管活性チャンバ及び/又はスペーサ及び/又は入口要素及び/又は少なくとも部分的に構造要素で形成された出口要素は、好ましくは、少なくとも部分的に、少なくとも1つのカバープライ内及び/又は少なくとも1つのカバープライ上に、及び/又は少なくとも1つのカバープライの表面上に配置される。特に、毛細管活性チャネル及び/又は毛細管活性チャンバは、好ましくは、ベースプライとカバープライとを一緒に合わせることによってのみ形成される。
【0028】
本発明による方法において本発明によるマイクロ流体アレイの製造に使用される少なくとも1つのカバープライは、カバープライの少なくとも一方の側面の表面上に配置された少なくとも1つの構造要素を含む。
【0029】
「少なくとも1つの構造要素」という用語は、好ましくは、カバープライの一方の側面の表面上、好ましくはカバー層の表面上に配置された少なくとも1つの窪み及び/又は少なくとも1つの隆起要素を意味する。
【0030】
窪みは、チャネル及び/又はチャンバとして形成することができる。
【0031】
好ましくは、隆起要素は、好ましくは楕円形又は角形に形成され、好ましくはカバー層のカバープライの一方の側面の表面上に配置された、好ましくは平面のベース表面を有する。隆起要素は、例えば、凸体又はその一部として形成することができる。例えば、隆起要素は、それぞれの場合において互いに独立して、球形セグメント、四角錐、円錐、円柱、プリズム、角柱、球形層、円錐台、不規則な形状の物体又はそれらの組み合わせとして形成することができる。
【0032】
隆起要素は、好ましくは、ベース表面と対向して配置された、好ましくはベース表面に平行に配置された上面を有しており、これは、ベース表面と合同又は非合同である。
【0033】
少なくとも1つの可撓性カバープライが少なくとも1つのベースプライの少なくとも1つの部分領域に配置された後、少なくとも1つの構造要素は、好ましくは、少なくとも1つの可撓性カバープライと少なくとも1つのベースプライとを離して、少なくとも領域内で完全に覆われる少なくとも1つの流路を形成する。ベースプライとカバープライとの間の間隔は、非充填状態では、所望により局所的にのみ、構造要素の高さよりも大きくすることができる。
【0034】
流路は、少なくとも1つの液体及び/又は分散液、好ましくは懸濁液及び/又はエマルジョンで充填されており、それぞれの場合において、標準状態(例えば、圧力1013mbar、温度:25℃)並びに/又は高温及び/若しくはより高いかより低い圧力(例えば、900mbar~1100mbarの圧力、温度:50℃)において少なくとも1つの液相を有する場合、少なくとも1つの可撓性カバープライは、好ましくは、結果として生じる毛細管力によって、特に吸引力及び/又は圧縮力によって、少なくとも1つのベースプライに近づけられるか、又は押し付けられ、その結果、少なくとも1つの流路の高さは、好ましくは、少なくとも1つの構造要素のそれぞれの高さに応じて適合される。これはまた、対向するプライと直接接触している構造要素の寸法が既知である場合、好ましくは、少なくとも1つの流路の正確な高さを確立できるという利点も提供する。
【0035】
液体及び/又は分散液、好ましくは懸濁液及び/又はエマルジョンとは、好ましくは、1000mPas未満、好ましくは100mPas未満、特に好ましくは50mPas未満の動的粘度を有する流動性媒体を意味する。粘度データは、好ましくは、約20℃~約50℃の温度範囲に関する。動的粘度は、いずれの場合も、DIN EN ISO 2555:2018-09(Plastics-Resins in the liquid state or as emulsions or dispersions-Determination of apparent viscosity using a single cylinder type rotational viscometer(ISO 2555:2018);EN ISO 2555:2018のドイツ語版-発行日:2018年9月)に記載された方法に従って、回転粘度計を使用して標準条件下で測定することが好ましい。ここで、制御された手法で回転する定義された回転体は、好ましくは、測定される対応する温度制御された媒体に浸漬され、特に異なる回転速度及び/又は温度での媒体の抵抗が確立される。
【0036】
かかる液体及び/又は分散液は、例えば、血液、汗、涙、リンパ液、唾液、痰、胃液、膵臓の分泌物、胆汁、尿、精液、羊水、水性液、母乳、滑液、脳脊髄液、骨髄穿刺液、又はそれらの混合物などのヒト又は動物の体液であり得る。
【0037】
かかる液体はまた、例えば、分散液又は懸濁液又は溶液であり得る。
【0038】
最大500μm、好ましくは0.1μm~500μmの範囲、好ましくは、0.15μm~270μmの範囲、好ましくは、0.2μm~170μmの範囲、好ましくは、0.5μm~100μmの範囲、更に好ましくは、0.65μm~75μmの範囲、更に好ましくは、0.75μm~55μmの範囲、更に好ましくは、0.85μm~35μmの範囲、更に好ましくは、0.95μm~20μmの範囲、特に1μm~10μmの範囲の高さを有する本発明によるマイクロ流体アレイの少なくとも1つの流路の高さは、好ましくは、少なくとも部分的に少なくとも1つの構造要素によって提供される。
【0039】
チャンバが充填されると、少なくとも1つの可撓性カバープライが、毛細管圧によって少なくとも1つのベースプライに「吸引」される。このプロセスでは、少なくとも1つの構造要素がベースプライと直接接触する。更に好ましくは、これにより、透過光における少なくとも1つの構造要素の輝度の変化をもたらす。直接接触する前に、少なくとも1つの構造要素の材料とは異なる屈折率を有する空気又は別の媒体が、少なくとも1つの構造要素とベースプライとの間に配置され、これにより、少なくとも1つの構造要素が、透過光において少なくとも1つの構造要素の断面の形態で明領域として表示される。ベースプライと直接接触すると、光学的活性境界面が、更に好ましくは、もはや存在しないか、又は無視できる程度にすぎなくなるため、少なくとも1つの構造要素は、好ましくは、この接触がない場合よりも透過光において暗く見える。
【0040】
「透過光において」という用語は、好ましくは、好ましくは300nm~800nm、好ましくは380nm~750nmの範囲の波長を有する電磁放射が、マイクロ流体アレイの少なくとも部分領域を通過し、好ましくは、少なくとも1つのベースプライ及びその上に配置されたカバープライの少なくとも部分領域を通過することを意味する。UV光(UV=紫外線)及びIR光(IR=赤外線)を、更に好ましくは(発光、リン光などの)アップコンバータ及び/若しくはダウンコンバータ又は(UV-IR感受性)カメラシステムと組み合わせて使用することも可能である。
【0041】
透過光における少なくとも1つの構造要素の輝度のこの変化は、基準として、又は少なくとも1つの可撓性カバープライと(好ましくは、少なくとも1つの構造要素の高さに対応する)少なくとも1つのベースプライとの間の所望の間隔が確立されているかどうかの測定要素として使用することができる。
【0042】
この輝度の変化、又はこの所望の間隔の有利な対応する光学的測定又は検出のために、この光学的測定又は検出が特に容易に及び/又は確実に実行され得る、少なくとも1つの特定の形状の構造要素を提供することができる。例えば、少なくとも1つの特定の断面形状及び/又は少なくとも1つの特定の断面サイズが可能である。高さが仔細かつ段階的に変化する少なくとも1つの構造要素も可能であり、その結果、好ましくは計測的に、輝度の段階的変化を、例えば少なくとも1つの適切に配置されたセンサによって光学的又は計測的に検出することができる。また、構造要素の位置を決定することができ、その結果、それらを画像評価に組み込むことができる。
【0043】
少なくとも1つの構造要素は、最先端技術において知られている方法を使用して、例えば、熱複製、すなわち、加熱されたスタンピングツールによって熱可塑性ワニスに構造を導入すること、及び/又はUV複製、すなわち、ワニスがスタンピングツールと接触している間にUV放射の照射を伴う液体又はゼラチン状ワニスに構造を導入すること、及び/又はレーザ構造化、すなわちプラスチックの構造のアブレーション、及び/又はフォトリソグラフィ、すなわち、マスクを介した放射線によるフォトレジストの露光、その後のフォトレジストの現像及び洗浄による、構造の形成、及び/又は機械的構造化若しくは機械加工によって、製造することができる。
【0044】
少なくとも1つのカバー層、好ましくはカバープライは、好ましくは少なくとも1つの分析要素を有する。
【0045】
少なくとも1つの分析要素は、好ましくは、後の使用に必要な全ての構造要素、例えば、少なくとも1つの構造要素で形成された流路及び/又は少なくとも1つの構造要素で形成されたチャンバの少なくとも一部を有しており、それぞれの場合で、好ましくは、本発明によるマイクロ流体アレイ内の少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口と流体接続している。
【0046】
少なくとも1つのカバープライは、好ましくは、少なくとも1つの分析要素の少なくとも領域内で、例えば、少なくとも1つのカバープライの厚さ及び/又は少なくとも1つの流路の高さ及び/又はその幅に関して、定義された光学的及び/又は機械的特性を有する。少なくとも1つの分析要素に存在する幾何学的構造は、好ましくは、定義された高さを有し、好ましくは、ベースプライとともに、画定された体積を形成しており、これは、特に検査対象の液体及び/又は分散液の成分、好ましくはヒト又は動物の体液、例えば血液中の血球の分析及び/又は定量化のために本発明によるマイクロ流体アレイで使用することができる。
【0047】
少なくとも1つの分析要素は、好ましくは、少なくとも1つの入口及び/又は少なくとも1つの出口を含むことができ、これらは、それぞれ、少なくとも1つの流路と流体接続している。あるいは、少なくとも1つの分析要素の少なくとも1つの流路はまた、少なくとも1つの更なる流路を介して、本発明によるマイクロ流体アレイの少なくとも1つの入口及び/又は少なくとも1つの出口と流体接続することができる。
【0048】
少なくとも1つの入口及び/又は少なくとも出口の間の流体接続は、好ましくは、本発明による方法の工程c)で提供される。
【0049】
例えば、少なくとも1つのベースプライは、少なくとも1つの入口及び/又は少なくとも1つの出口を有することができ、これらは、少なくとも1つのベースプライが少なくとも1つのカバープライ上に配置された後、それぞれの場合において、少なくとも1つの流路と流体接続される。
【0050】
少なくとも1つのベースプライの少なくとも1つの部分領域上に少なくとも1つの分析要素の構造を備えた少なくとも1つのカバープライを配置することによって、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路が好ましくは形成される。
【0051】
少なくとも1つの分析要素、好ましくは少なくとも1つの分析要素の少なくとも1つの流路は、好ましくは少なくとも1つの構造要素、及び所望により、例えば、少なくとも1つの表面テクスチャ及び/又は少なくとも1つの外縁を有する。
【0052】
少なくとも1つの流路の構造要素は、例えば隆起部の形態で、例えば流れ方向に対して横方向に少なくとも1つの流路の端部に配置された停止縁部として形成することができる。停止縁部は、例えば、10nm~500nm、好ましくは10nm~200nmの高さを有することができ、液体が停止縁部の縁を越えて流れないようにすることができる。これには、液体が制御されずに流路から脱出し得ないという利点があり、これはまた、アレイの実際の取り扱いにおいても利点を提供する。
【0053】
表面テクスチャは、例えば、少なくとも1つの流路の少なくとも1つの表面粗さ、特に1μm未満のRa、好ましくは0.1μm未満のRa、特に好ましくは0.05μm未満のRaの粗さであり得る。この粗さは、少なくとも1つの流路が500μm未満、好ましくは20μm未満の高さを有する場合に特に有利である。
【0054】
例えば、本発明による方法では、マイクロ流体アレイの少なくとも1つの流路の幅及び/又は高さ及び/又は長さは、少なくとも1つの構造要素の好適な幅及び/又は高さ及び/又は長さを選択することによって決定することができる。
【0055】
少なくとも1つの構造要素、好ましくは少なくとも1つの窪み、例えば少なくとも1つのチャネル及び/又は少なくとも1つのチャンバ、及び/又は少なくとも1つの隆起部は、好ましくは最大500μm、好ましくは0.1μm~500μmの範囲、好ましくは、0.15μm~270μmの範囲、好ましくは、0.2μm~170μmの範囲、好ましくは、0.5μm~100μmの範囲、更に好ましくは、0.65μm~75μmの範囲、更に好ましくは、0.75μm~55μmの範囲、更に好ましくは、0.85μm~35μmの範囲、更に好ましくは、0.95μm~20μmの範囲、特に1μm~10μmの範囲の高さを有する。
【0056】
隆起要素は、例えば、凸体又はその一部として形成することができる。例えば、隆起要素は、それぞれの場合において互いに独立して、球形セグメント、四角錐、円錐、円柱、プリズム、角柱、球形層、円錐台、不規則な本体、又はそれらの組み合わせとして形成することができる。
【0057】
隆起要素は、好ましくは、ベース表面と対向して配置された、好ましくはベース表面に平行に配置された上面を有しており、これは、ベース表面と合同又は非合同である。
【0058】
少なくとも1つの構造要素は、好ましくは隆起要素の形態で形成され、更に好ましくは平坦なベース表面を有しており、これは、好ましくは楕円形又は角形で形成され、少なくとも1つの流路の一方の側面の表面上に配置され、更に、少なくとも1つの流路内に配置することができる。
【0059】
更に好ましくは、流路内に配置された少なくとも1つの構造要素は、柱、半球、及びそれらの組み合わせから選択される。上面図、すなわち構造要素の断面において、少なくとも1つの柱は、以下の形状、すなわち円形、楕円形、角形、更に好ましくは、同じ又は異なる長さの側面を有する3つ以上の角部、星状など、並びに不規則な形状を示すことができる。
【0060】
少なくとも1つの構造要素の側面は、互いに独立して、平坦及び/又は湾曲及び/又は垂直及び/又は傾斜及び/又はそれらの組み合わせであり得る。
【0061】
少なくとも1つの構造要素は、流れの方向に対して異なって整列させることができる。例えば、構造要素は、細長い柱(上面図)として形成することができ、好ましくは、少なくとも1つの分析要素を通して検査対象の流体の流れ方向に整列される。少なくとも1つの流路の内部で、複数の構造要素を、異なる形状のスペーサとして更に形成することができる。
【0062】
好適な構造要素は、好ましくは、スペーサとして、少なくとも1つの流路の高さを維持することに寄与する。更に、少なくとも1つの流路内の流れ及び/又は乱流の形成は、好適な構造要素の選択を通じて、例えば、促進又は抑制されるように制御することができる。
【0063】
好適な構造要素は、代替的又は追加的に、例えば、過大な粒子を濾過するためのフィルタ要素として形成することができる。更に、構造はまた、フィルタ領域を形成することができ、フィルタ領域では、例えば、分析の前に大きな細胞が分離されるか、又は異なるサイズの細胞が異なる局所領域で検出及び/又は分析される。
【0064】
フィルタ要素として形成された構造要素は、好ましくは、少なくとも1つの側面に、少なくとも1つの通路、少なくとも1つの細孔、又はそれらの組み合わせを有し、これはそれぞれ、流体、好ましくは液体、及び/又は粒子が構造要素形成フィルタ要素を通過することを可能にする。
【0065】
例えば、少なくとも1つの好適な構造要素は、同様に、1又は複数の好適な検出分子、例えば、対応する構造要素の表面の少なくとも部分領域上に配置され得る抗体のためのキャリアとして使用され得る。
【0066】
したがって、少なくとも1つの分析要素は、好ましくは、対応する少なくとも1つの幾何学的構造要素を有する。
【0067】
分析要素の対応する少なくとも1つの幾何学的構造要素は、例えば、少なくとも1つのカバー層が少なくとも1つのベース層に適用される前に、少なくとも1つの分析要素の少なくとも部分領域に配置することができる。
【0068】
したがって、本発明による方法により、好適な手段を使用して、好ましくは、例えば層の形態で、少なくとも1つの好適な変性要素(modifying element)を、少なくとも1つの分析要素の表面の少なくとも1つの部分領域に適用することによって、少なくとも1つの分析要素の特定の部分領域を修正することが容易に可能である。
【0069】
代替として、又は分析要素への変性要素の適用に加えて、変性要素は、ベースプライに適用することも可能であり、また適用されている。特に、1又は複数の変性要素を分析要素に適用し、更に変性要素をベースプライに適用することも可能である。これは、例えば、変性要素の複数の層を上下に適用することが技術的に問題かつ/又は不便であるか、若しくはそうである可能性がある場合、あるいは流路が充填される前に異なる種類の変性要素が別々に保たれ、一方又は両方の変性要素が充填され、検査対象の液体に溶解された後にのみ互いに反応できるようにする場合に好ましい。
【0070】
少なくとも1つの変性要素の設計に応じて、物理的特性、好ましくは光学的及び/又は電気的及び/又は機械的特性、及び/又は少なくとも1つの構造要素の表面の化学的特性及び/又は流路に影響が受ける可能性がある。
【0071】
例えば、少なくとも1つのチャネルの表面の少なくとも部分領域の結合能力は、例えば、好適な抗体、抗原、及び/又はそれぞれの場合にそれらの生理活性フラグメントを適用することによって、好適な変性要素の選択を通じて影響を受ける可能性がある。
【0072】
例えば、好適な分子、例えば疎水剤を適用することによって、疎水性及び/又は親水性の特性を変更することも可能である。
【0073】
変性要素は、少なくとも部分的な蒸着及び/又はスパッタリング及び/又は噴霧及び/又は印刷方法及び/又は浸漬方法によって適用することができる。ここで、無機材料若しくは有機材料又はそれらの組み合わせの両方を1又は複数の層に適用することができ、個々の層は、互いに異なる又は同一の材料を有し得る。局所的な噴霧は、例えば、事前にマスク層で覆うことによって行うことができる。このために、開口部を有するマスクが分析要素の部分に正確に適用され、次に、覆われていない部分が、変性要素、特に試薬を噴霧することによって変更される。
【0074】
少なくとも1つの流路の断面は、例えば、分析対象の液体の流量を制御するために、例えば、更に狭く及び/又は広くすることができる。
【0075】
好適な変性要素は、例えば、添加剤として少なくとも1つのカバー層に配置することができる。好適な添加剤は、好ましくは、例えば拡散及び/又は移動によって、少なくとも1つのカバー層から脱出し得る。
【0076】
少なくとも1つの可撓性カバープライ、好ましくはカバー層、及び/又は少なくとも1つのベースプライ、好ましくはベース層は、好ましくは少なくとも1つの添加剤を含み、これは、好ましくは、更なる成分と反応して染料を形成するか、又は色度が低下するように既に存在する他の染料と反応する染料及び/又は試薬、造影剤、安定剤、光安定剤、抗酸化剤、生物学的アジュバント、界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。染料とは、特に、UV放射、可視光、及びIR放射の範囲内で光学的に知覚可能な作用を発現する物質を意味する。
【0077】
複数の添加剤がマイクロ流体アレイで使用される場合、それらは、複数の層に重ねて適用され、互いに重なり合って及び/又は隣接して、かつ/あるいは単層又は多層混合物としても適用され得る。互いに隣接して適用される添加剤を有する表面領域は、特に、それぞれの場合において、異なる形状の構造要素と組み合わせることができ、これは、特に、異なる添加剤に対して異なる体積を提供する。例えば、添加剤が次に導入される異なる形状の窪みを、異なる添加剤のために配置することができる。添加剤の種類に応じて、窪みの体積は種々のサイズにすることができる。
【0078】
更に好ましくは、少なくとも1つの添加剤は、カバープライ、好ましくはカバー層内及び/又はその上に、好ましくは少なくとも1つの構造要素及び/又はカバー層の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域の中又はその上に、可溶性で配置される。
【0079】
更に好ましくは、少なくとも1つの添加剤は、ベースプライ、好ましくはベース層の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域内及び/又はその上に可溶性で配置される。例えば、少なくとも1つの添加剤は、ベースプライ、好ましくはベース層の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域内及び/又はその上に可溶性で配置することができ、少なくとも1つの更なる添加剤は、第2のカバープライ、好ましくは第2のカバー層の表面の少なくとも部分領域内及び/又はその上、並びに/あるいは好ましくは第2のベースプライ、好ましくは第2のベース層の表面の少なくとも部分領域内及び/又はその上に可溶性で配置することができる。
【0080】
貯蔵中に互いに反応することができ、及び/又は流入中に拡散し、及び/又は溶解及び/又は異なる挙動をする複数の好ましくは異なる添加剤が、マイクロ流体アレイに配置される場合、印刷プロセスを介して少なくとも1つの添加剤をベースプライに塗布し、前述のプロセスを介して、少なくとも1つの更なる添加剤を可撓性プライ、好ましくはカバープライ、更に好ましくはカバー層に導入することが好ましい場合がある。
【0081】
毛細管現象によって充填されないが、圧力によって充填され、圧力に供されるフローセル及び/又はキュベットが前述のプロセスで製造される場合、ベースプライの、構造層及び/又はカバー層とは反対側の面に可撓性プライを取り付けて、第2の剛性プライに対してこれを結合、特に糊付け及び/又は接着させるか、又はホルダを使用してプレスすることが有利な場合がある。
【0082】
他方、複数の添加剤が、圧力によって充填されるか、又は圧力に供されるフローセル及び/又はキュベットに導入される場合、第1のベースプライの、構造層及び/又はカバー層とは反対側の面に第1の可撓性プライを適用し、第2のベースプライの、構造層及び/又はカバー層とは反対側の面に第2の可撓性プライを適用し、続いて、形成された2つの積層体と構造側面とを、結合、特に糊付け及び/又は接着させるか、又はホルダを使用してプレスすることが有利な場合がある。
【0083】
更に好ましくは、少なくとも1つの添加剤は、カバープライ、好ましくはカバー層内及び/又はその上に配置され、好ましくは、少なくとも1つの構造要素及び/又はカバー層の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域の中又は上に配置された粒子にマイクロカプセル化される。
【0084】
少なくとも1つの添加剤がカバープライに配置されている場合、少なくとも1つの添加剤は、特に押出手順によって導入することができる。別様で、溶解度が低い添加剤も、押出によってカバープライに導入することができる。
【0085】
少なくとも1つの添加剤は、好ましくは少なくとも1つのチャネルと流体接続している少なくとも1つのチャンバ内、及び/又は少なくとも1つのワニス層内に配置することができ、少なくとも1つのワニス層は、好ましくは、少なくとも1つのチャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域上に配置される。
【0086】
少なくとも1つの添加剤は、好ましくは少なくとも1つのチャネルと流体接続している少なくとも1つの窪み内、及び/又は少なくとも1つのワニス層内に配置することができ、少なくとも1つのワニス層は、好ましくは、少なくとも1つのチャネルの少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域上に配置される。
【0087】
上記の添加剤は、好ましくは、例えば、液体に含まれる粒子、例えば細胞を修飾するために、かつ/又は特定の検出反応を可能にするために、検査対象の液体に少なくとも部分的に放出される。
【0088】
上記の変性要素、例えば層は、好ましくは、適用された表面に結合されたままとなる。
【0089】
上記の添加剤は、好ましくは、検査対象の流体、好ましくは液体に拡散することができる。
【0090】
変性を通じて、特に変性要素、特に変性要素の部分領域を好適な材料で覆うことにより、溶解の速度及び/又は拡散の速度は、変性要素、特に試薬の、検査対象の液体への遅延放出について制御することができる。これらは、1又は複数の変性剤、特に試薬であり得、その溶解の速度及び/又は拡散の速度は、好ましくは同一若しくは異なっており、かつ/又は異なる程度に遅延されている。
【0091】
少なくとも1つの構造要素、したがって形成される流路の幾何学的設計は、好ましくは、例えば、好適な傾斜の選択を通じて影響を受ける可能性がある。
【0092】
少なくとも1つの構造要素は、好ましくは、それぞれの場合に少なくとも1つのベース表面、及びそれぞれの場合にベース表面に直接接続された少なくとも1つの第1の側面を含み、少なくとも1つのベース表面と少なくとも1つの第1の側面との間の角度は、30°~90°、好ましくは45°~90°、特に好ましくは70°~90°である。
【0093】
例えば、少なくとも1つの流路は、少なくとも領域内で、少なくとも1つのチャンバとして形成することができる。
【0094】
チャンバは、好ましくは、画定された体積を有しており、これは、定義された期間にわたって定義された量の液体を貯蔵するのに適している。したがって、チャンバの画定された体積を通して、チャンバが可能な限り完全に充填されている場合、その中に位置する液体の量の体積も比較的正確に知ることができる。例えば、チャンバは、試薬、例えば上記の添加剤の貯蔵容器として形成することができる。
【0095】
流れ方向のチャンバの部分的な充填の場合、チャンバ内の液体の量は、例えば、画像取得及びその後の評価を通じて、充填された領域を決定することによって決定することができる。
【0096】
好ましくは、少なくとも1つの分析要素は、少なくとも1つの機能要素を更に含み得、少なくとも1つの機能要素は、少なくとも1つのチャネルと流体連通して配置され、好ましくは、マイクロ流体セパレータ、マイクロ流体ミキサ、マイクロ流体ポンプ、マイクロ流体バルブ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0097】
好ましくは、少なくとも1つの分析要素は、好ましくは光学レンズのグループからの少なくとも1つの光学要素、好ましくはマイクロレンズ、回折要素、モアレ要素、位置合わせマーク、及び上記の要素の組み合わせを更に含み得る。
【0098】
流路は、1又は複数のチャンバを有することができ、特に1つのプレチャンバ及び1つのメインチャンバが提供され、プレチャンバは、例えば、変性要素を混合し得る混合チャンバとして機能し得る。
【0099】
更に、好ましくは少なくとも1つのメインチャンバと流体連通している少なくとも1つのプレチャンバ及び/又は少なくとも1つのアフターチャンバを、少なくとも1つの分析要素内に配置することができる。
【0100】
上記の機能要素を介して、マイクロ流体アレイの少なくとも1つの流路内の移動、混合、分離、及び/又は他のプロセス工程の制御もまた、好ましくは実現され得る。
【0101】
少なくとも1つの液体は、好ましくは、少なくとも1つの流路内で移動、混合、分離、及び/又は別様に処理することができ、更に好ましくは、本発明による方法によって生成される。
【0102】
いずれの場合も、標準状態(例えば、圧力1013mbar、温度:25℃)並びに/あるいはより高温及び/又はより高圧若しくはより低圧(例えば、900mbar~1100mbarの圧力、温度:50℃)で少なくとも1つの液相を有する液体及び/又は分散液、好ましくは懸濁液及び/又はエマルジョンは、好ましくは、少なくとも1つの流路内で移動、混合、分離、及び/又は別様に処理することができ、更に好ましくは、本発明による方法によって製造することができる。
【0103】
好適な懸濁液は、例えば、非常に多様な起源の細胞を含み得る生物学的液体である。生物学的液体に含まれる細胞として、例えば、赤血液細胞、白血液細胞、又は血小板などの内因性細胞に限定されるだけでなく、外因性細胞、例えば、細菌、ウイルス、藻類、寄生虫、真菌、又は原生動物などの病原体も挙げられる。
【0104】
標準条件下(圧力1013mbar、温度:25℃)で少なくとも1つの液相を有する少なくとも1つの液体及び/又は分散液、好ましくは懸濁液及び/又はエマルジョンは、好ましくは、少なくとも1つの流路において、例えば、特定の病原体の特定の検出を可能にする、少なくとも1つの添加剤と接触させることができ、更に好ましくは、本発明による方法によって生成され、次いで、好ましくは光学的評価方法を使用して、好ましくは本発明による測定システムにおいて分析及び/又は定量化され得る。
【0105】
機能要素は、好ましくは、例えば意図しない液体の漏れを防ぐために、液体吸収材料、例えばセルロース繊維を含み得る。
【0106】
定量化は、例えば、粒子数、例えば、細胞数を数えることによって、かつ/又は当業者に知られている方法に従って段階希釈から得られた較正曲線と着色を比較することによって行うことができる。着色は、それぞれの場合に局所的に確認することも、試料全体にわたって統合的に決定することもできる。これにより、内部標準を実質的に追加コストなしで適用することもできる。
【0107】
請求項35~62のいずれか一項に記載の少なくとも1つのマイクロ流体アレイと、少なくとも1つの検出器、例えば、フォトセル、撮像チップ又は光電子増倍管などの少なくとも1つの広範な放射線検出器とを含む、本発明による測定システム。
【0108】
更に、測定システムはまた、例えば、操作員がセルの充填を監視できるようにするために、及び/又は操作員による特定の評価を可能にするために、光学顕微鏡又は拡大鏡を有し得る。
【0109】
本発明による測定システムは、好ましくは、少なくとも1つの放射線源を更に含む。放射源とは、1又は複数の個別の波長で、又は特定の所望により波長に依存する強度で特定のスペクトルにわたって電磁放射を生成する放射源を意味する。これには、UV、可視光、IRの範囲の電磁放射が含まれる。好ましくは、複数の同一又は異なる放射線源もまた使用される。
【0110】
少なくとも1つのマイクロ流体アレイは、単回使用及び/又は複数回使用のために、本発明による測定システムに配置することができる。
【0111】
様々な分析が、好ましくは、1つの測定システムによって実行される。
【0112】
例えば、1つの測定システムを使用して、試料中の細胞の数及び/又はその形状を決定する、あるいは、定量的蛍光測定を実行する、及び/又は例えば、種々の細胞型、その細胞周期、及び任意の変性の識別などの細胞の特徴付けを行うことができる。
【0113】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの可撓性カバープライは、最大で250μm、好ましくは最大で100μmの最大厚さを有する。
【0114】
更に好ましくは、少なくとも1つの可撓性カバープライは、好ましくは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び熱可塑性エラストマー(TPE)、好ましくはPET、PMMA、ABS、PEN、BOPP、PVC、PA、特に好ましくはPET又はPEN及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
【0115】
可撓性カバープライの好適な構成要素及びそれらの厚さを選択することにより、カバープライの光学特性は、特に、意図された用途に合わせて調整することができ、例えば、カバープライの透明性及び/又は吸収などの光学特性を、例えば、使用する分析システムに適合させることができる。
【0116】
少なくとも1つの可撓性カバープライは、少なくとも領域内で、好ましくは少なくとも1つの分析要素を含む領域において、好ましくは、電磁放射に対して透明であり、好ましくは、少なくとも200nmの電磁放射の波長を有し、更に好ましくは、200nm~1000nmの電磁放射の波長範囲にある。この範囲は、特に紫外線放射の範囲(約200nm~約400nmの波長)と、人間の目に可視の放射線の範囲(約400nm~約800nmの波長)と、赤外線の範囲(約800nmの波長)と、を含む。
【0117】
少なくとも1つの可撓性カバープライは、いずれの場合も、好ましくは室温(25℃)で、DIN EN ISO 527-3:2003-07(「Plastics-Determination of tensile properties-Part 3:Test conditions for films and sheets」発行日:2003年7月)に従って決定して、好ましくは100MPa~4000MPa、好ましくは1500MPa~3000MPaの引張弾性係数を有する。引張弾性係数は、本明細書において引張試験機(例えば、ZwickRoell GmbH&Co.(KG,Ulm,ドイツ国)製の引張試験機)を使用してフィルム試験ストリップ上で確認される。フィルムストリップの幅は好ましくは15mm+/-0.1mmであり、フィルムストリップの長さは好ましくは100mm+/-0.5mm又は50mm+/-0.5mmである。フィルム長100mmの試験速度は10mm/分+/-1mm/分であり、又はフィルム長50mmの試験速度は5mm/分+/-1mm/分である。
【0118】
少なくとも1つの可撓性カバープライは、好ましくは、微視的スケールで安定した構造を有し、同時に巨視的スケールで非常に薄い層を表すことができ、これにより、巨視的スケールで薄い分析要素の壁厚が可能になるだけでなく、ロールツーロール複製などの既知の方法による構造要素の簡単な作成が可能になる。
【0119】
例えば、熱可塑性フィルム、例えば、PETフィルムは、キャリアプライとして、印刷及び/若しくは注入及び/若しくはドクターブレードで塗布される、並びに/又は噴霧される、好ましくは放射線硬化性ワニスのコーティングを有し得る。少なくとも1つの構造要素は、更に好ましくは、いずれの場合も次の構造要素から約10μm~200μm、好ましくは15μm~90μmの間隔を任意の方向に有しており、このワニス層の表面上又は表面内に、好ましくはワニス層の、キャリアプライの表面から離れた側に配置される。また、間隔は、方向ごとに異なり得る。例えば、間隔は、流れ方向に対して横方向に大きくすることができ、かつ流れ方向に対して小さくすることができる。また、間隔は、局所的に変化し得る。例えば、一方向の間隔は、線形又は非線形に次第に大きすることができる。また、間隔は、2つの方向に対応して同時にそれぞれ異なり得る、又は、間隔は、パターン若しくはモチーフを形成し得る。好ましくは、2つ以上の配置された構造要素間の最小間隔が、特に多層の可撓性カバープライの厚さの約2倍~4倍に対応する場合、十分である。
【0120】
構造要素は、特に複製して、可撓性カバープライのキャリア材料に直接導入することができる。また、特にその順序付けられた位置により、部分的な体積を決定することが可能となり、機能的な焦点面を迅速に見出すことが容易となる。更に、構造要素のこの順序付けられた位置の撮像における不規則性は、誤り訂正のために使用することができる。
【0121】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの可撓性カバープライは、キャリアプライ上に、少なくとも1つの複製ワニスからなるカバー層を含み、少なくとも1つの分析要素の構造は、カバー層の少なくとも一方の側面の表面上に配置されている。
【0122】
ここで、キャリアプライ及びカバー層の可撓性は、互いに異なる場合もあれば、類似している場合もある。例えば、キャリアプライ及びカバー層は、同様の機械的特性、特に同様の弾性係数を有する熱可塑性ポリマーから構成することができる。あるいは、キャリアプライは熱可塑性ポリマーで構成でき、対照的に、カバー層は、架橋及び熱硬化性、特に放射線硬化性ポリマーで構成でき、キャリアプライ及びカバー層は、それぞれの場合に異なる機械的特性、特に異なる弾性係数を有する。特に、熱可塑性カバー層は、例えば、2000MPaの弾性係数を有し得、架橋されたカバー層は、例えば、9000MPaの弾性係数を有し得る。ここでのカバー層は、30μm未満、好ましくは10μm未満、特に好ましくは5μm未満の厚さを有し得る。
【0123】
少なくとも1つの分析要素の構造は、例えば、正の構造又は負の構造の形態で形成することができる。特に、正の構造は、周囲の表面に対して主に凸状又は隆起している構造によって形成することができ、対照的に、負の構造は、特に、周囲の表面に対して主に凹状又は陥没している構造によって形成することができる。
【0124】
更に好ましくは、少なくとも1つの複製ワニスは、少なくとも1つのポリマーを含み、これは、好ましくは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)からなる群から選択され、好ましくは、PET、PMMA、ABS、PEN、BOPP、PVC、PAからなり、特に好ましくは、PET又はPEN及びそれらの混合物から構成される。
【0125】
好ましくは、少なくとも1つの可撓性カバープライは、少なくとも1つの装飾要素を更に有し、少なくとも1つの装飾要素は、少なくとも1つの可撓性カバープライ、好ましくはカバー層の表面テクスチャ及び/又は表面の色に影響を与え、少なくとも1つの装飾要素は、好ましくは、モチーフとして、装飾、例えば、単一画像装飾若しくは無限装飾として、パターンとして、又はそれらの組み合わせとして形成されている。
【0126】
更に好ましくは、少なくとも1つの装飾要素は、少なくとも領域内で、装飾層として形成され、装飾層は、好ましくは、透明及び/又は着色されたワニス層からなる群から選択され、ワニス層は、特に、1又は複数の染料及び/又は顔料、成形された光学的及び/又は機能的に活性な表面構造を有する複製層、反射層、特に、不透明反射層、透明反射層、金属反射層又は誘電体反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層システム、ボリュームホログラム層、液晶層、特に、コレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁性層、磁気記憶層、並びにそれらの組み合わせを含む。
【0127】
更に好ましくは、少なくとも1つの可撓性カバープライ及び/又は少なくとも1つの装飾要素は、更なる複製層、コーティング、光結合要素、着色剤、レジスタマーク、刻印、位置マーク、参照マーク、顕微鏡調整補助/焦点合わせ補助、識別マーキング(番号、バーコード)、品質マーク、マイクロレンズ、及び/又は部分的金属層を有する。
【0128】
レジスタ若しくは位置合わせ、又はレジスタ精度若しくは位置合わせ精度とは、好ましくは、2つ以上の要素及び/又は層及び/又はプライ、ここでは特にドナーフィルム及び/又はフィルム要素、例えばカバープライの、レシーバフィルム、例えばベースプライに対する位置精度を意味する。
【0129】
レジスタ精度は、可能な限り低くなるよう事前定義された許容範囲内の範囲である。同時に、複数の要素、部分領域、特に1又は複数のフィルム要素、フィルム、プライ、及び/又は層の互いに対するレジスタ精度は、プロセスの信頼性を高めるための重要な特徴である。
【0130】
位置的に正確なポジショニングは、特にマーキングによって、特に感覚的に、好ましくは光学的に検出可能な位置合わせマーク又はレジスタマークによってもたらされる。これらのマーキング、特に位置合わせマーク又はレジスタマークは、好ましくは、特定の別個の要素又は領域又は層を表すか、又は好ましくは、それ自体が、位置決めされる要素又は領域又は層の一部である。
【0131】
少なくとも1つの可撓性カバープライは、例えば、補強リブなどを備えて局所的に厚くするか、又は薄くすることができる。更なる装飾的又は機能的な層又は要素を、構造側又は構造とは反対側の面に更に配置することができる。かかる配置により、吸引効果、したがって充填速度の高速化を図ることができる。
【0132】
更に好ましくは、少なくとも熱可塑性成分、架橋成分又はそれらの組み合わせを好ましくは含む少なくとも1つの接着剤プライが、少なくとも1つのチャネルを有するカバープライ、好ましくはカバー層の側面上に配置される。
【0133】
典型的な熱可塑性接着剤成分は、例えば、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、クロロプレン樹脂、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリウレタンである。
【0134】
典型的な架橋接着剤成分は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、UV架橋樹脂、カチオン架橋樹脂、電子線架橋樹脂である。
【0135】
熱可塑性成分及び架橋成分は、接着剤プライに組み合わせることができる。熱可塑性接着剤プライと架橋接着剤プライとを表面領域で互いに隣接して配置することも可能である。熱可塑性接着剤プライと架橋接着剤プライとを互いに隣接して複数の層に重ねて配置することも可能である。
【0136】
可塑剤及び/又は湿潤剤を接着剤プライに更に加えることができる。
【0137】
接着剤プライは、平面接着剤層又は接着剤部分領域としてカバープライ上に配置することができる。
【0138】
少なくとも1つの分析要素を有するカバープライ、好ましくはカバー層の側面上に接着剤プライを配置することにより、ベースプライのカバープライへの接着が改善されることが好ましい。接着剤プライは、接着剤部分領域として、少なくとも部分的に流路の側縁又は側壁を更に形成することができる。
【0139】
少なくとも1つのカバープライ、好ましくはカバー層は、好ましくは、少なくとも1つの接着剤を塗布し得るか、又は接着剤の塗布及びベースプライのカバープライへの適用後に覆われ、光学的に知覚できないか、若しくは低減された程度でしか知覚できない追加の構造を有することができる。
【0140】
本発明によるマイクロ流体アレイは、少なくとも1つの、好ましくは剛性のベース層を含んでおり、これは更に好ましくは少なくとも200μm、好ましくは少なくとも600μmの厚さを示す。
【0141】
少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは、好ましくは、少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つのガラス、少なくとも1つの金属、少なくとも1つの半導体材料、又はそれらの組み合わせから構成される。
【0142】
少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは、いずれの場合も、好ましくは室温(25℃)で決定して、DIN EN ISO 527-3(発行日:2003年7月)に従って決定して、好ましくは1000MPaを超える、好ましくは2000MPaを超える、特に好ましくは2500MPaを超える弾性係数を有する。
【0143】
少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは、好ましくは、少なくとも領域内で、電磁放射に対して透明であり、好ましくは、少なくとも200nmの電磁放射の波長を有する。この範囲は、特に紫外線放射の範囲(約200nm~約400nmの波長)と、人間の目に可視の放射線の範囲(約400nm~約800nmの波長)と、赤外線の範囲(約800nmの波長)と、を含む。更に好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは、少なくとも領域内で、電磁放射に対して透明であり、好ましくは、少なくとも200nm~1000nmの電磁放射の波長を有する。
【0144】
例えば、本発明によるマイクロ流体アレイ内で検査される液体の光学的評価は、それによって、例えば、ベースプライを介した電磁放射の照射によって実現することができる。
【0145】
少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは、更に、例えば、CCDセンサ又はCMOSセンサを含むか、又はそれらから構成され得る。
【0146】
CCDセンサ又はCMOSセンサを含むか、又はそれらから構成されるベースプライの代替として、かかるCCDセンサ又はCMOSセンサを別個の要素として、特に測定装置又は分析装置の構成要素として、好ましくはベースプライに直接隣接して配置することが可能である。この別個のセンサは、ベースプライ、又は光学活性構造、例えばマイクロレンズ若しくは他のマイクロ光学アレイに対して直接配置することができ、また、センサをマイクロ流体アレイに光学的に適合させ、それにより、センサ上の細胞などの試料中の成分を撮像することを可能にするために、ベースプライとセンサとの間に設けられる。マイクロレンズ又は他のマイクロ光学アレイは、ベースプライの構成要素であり得るか、又は別個のプライとして提供され得る。
【0147】
更に好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは、10μmを超える最小構造サイズの巨視的構造、好ましくは、入口、出口、貫通孔、窪み、膨出部、壁要素、チャネル要素、プレチャンバ、混合チャンバ、収集チャンバ、分析チャンバ、又はそれらの組み合わせの機能要素のうちの少なくとも1又は複数を有する。収集チャンバは、好ましくは、流れ方向の分析チャンバの後に配置される。
【0148】
機能要素は、「空」であり得るか、部分的に充填され得るか、又は完全に充填され得る。例えば、収集チャンバに入った液体が制御不能に流出することを防ぐために、収集チャンバは吸収剤で50%まで充填することができる。充填物の例は、液体を吸収するセルロース繊維、液体及び/又は固体を吸収するための活性炭などである。
【0149】
入口又は出口チャンバにフィルタ要素を取り付けることも可能であり、その結果、入口チャンバの場合、検査対象の液体の特定の部分が分離される。
【0150】
少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは更に、少なくとも1つの装飾要素を有することができ、少なくとも1つの装飾要素は、少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライの表面テクスチャ及び/又は表面の色に影響を与え、少なくとも1つの装飾要素は、好ましくは、モチーフとして、装飾、例えば、単一画像装飾若しくは無限装飾として、パターンとして、又はそれらの組み合わせとして形成されている。
【0151】
好ましくは、少なくとも1つの装飾要素は、少なくとも領域内で、装飾層として形成され、装飾層は、好ましくは、透明及び/又は着色されたワニス層からなる群から選択され、ワニス層は、特に、1又は複数の染料及び/又は顔料、成形された光学活性表面構造を有する複製層、反射層、特に、不透明反射層、透明反射層、金属反射層又は誘電体反射層、光学可変層、光学活性層、干渉多層システム、ボリュームホログラム層、液晶層、特に、コレステリック液晶層、導電層、アンテナ層、電極層、磁性層、磁気記憶層、並びにそれらの組み合わせを含む。
【0152】
更に好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライは、更なるコーティング、光結合要素、着色剤、レジスタマーク、刻印、位置マーク、顕微鏡調整補助/焦点合わせ補助、識別マーキング(番号、バーコード)、品質マーク、タイトルブロック、ロゴ、及び/又は部分的金属層を有する。
【0153】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのカバープライは、転写フィルムの形態で提供され、転写フィルムは、少なくとも1つの分析要素と対向する少なくとも1つのカバープライの側面上に着脱可能に配置された少なくとも1つのキャリアプライを更に有する。
【0154】
少なくとも1つのキャリアプライは、好ましくは、ポリエステル、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせ、特にPETからなる少なくとも1つのキャリア層を含み、キャリア層は、好ましくは4μm~150μm、好ましくは10μm~50μmの層厚を有する。
【0155】
少なくとも1つのキャリアプライは、好ましくは、カバープライに面するキャリアプライの側面上に配置された少なくとも1つの剥離層を更に含む。
【0156】
少なくとも1つの剥離層は、好ましくは0.1nm~100nmの層厚で、好ましくは、少なくとも1つのワックス、好ましくはモンタンエステルワックス、少なくとも1つのシリコーン、少なくとも1つのポリウレタン又はアクリレート、又はそれらの組み合わせを含む。
【0157】
あるいは、少なくとも1つのカバープライは、積層フィルムの形態で提供することができ、積層フィルムは、少なくとも1つのチャネルと対向する少なくとも1つのカバープライの側面上に、好ましくは着脱不能に配置された少なくとも1つのキャリアプライを更に有する。
【0158】
積層フィルムは、好ましくは、カバープライに面するキャリアプライの側面上に配置された少なくとも1つの接着剤層を更に含む。キャリアフィルムは、カバープライが適用された後、カバープライから取り外すことができる。
【0159】
少なくとも1つのカバープライがベースプライ上に配置される前に、カバープライから好ましくは取り外される保護プライは、少なくとも1つの分析要素を含むカバープライの側面上に更に着脱可能に配置されることが好ましい。
【0160】
更に好ましくは、工程c)において、少なくとも1つの、好ましくは剛性のベースプライが、カバー層上に着脱不能に配置される。
【0161】
本発明による方法で使用される少なくとも1つのカバープライは、例えば、キャリアプライ上に着脱可能に配置された少なくとも1つの転写プライを有する少なくとも1つの転写フィルムの形態で提供することができる。少なくとも1つのカバープライ上で、少なくとも1つの構造要素を有する少なくとも1つのカバープライの表面は、特に、キャリアプライと対向する少なくとも1つの転写プライの側面上に配置される。
【0162】
本発明による方法で使用される転写フィルムは、少なくとも1つの転写プライを少なくとも1つのベースプライに転写するために使用され、キャリアプライと対向する少なくとも1つの転写プライの側面は、ベースプライの少なくとも一方の側面の少なくとも1つの表面上に、少なくとも部分的に、好ましくは着脱不能に配置される。
【0163】
転写プライでは、少なくとも1つのカバープライと少なくとも1つの分析要素とが少なくとも1つのベースプライに転写される。
【0164】
特に、キャリアプライと対向する少なくとも1つの転写プライの側面の少なくとも表面上に配置された少なくとも1つの構造要素は、ベースプライの少なくとも一方の側面の少なくとも1つの表面上に、好ましくは着脱不能に配置されて、少なくとも領域内で完全に覆われた少なくとも1つの流路が得られる。
【0165】
ベースプライの少なくとも一方の側面の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域上に転写プライが配置された後、キャリアプライが転写プライから、好ましくは完全に除去され、その結果、転写プライのみが、ベースプライの少なくとも一方の側面の少なくとも1つの表面の少なくとも部分領域に残り、本発明によるマイクロ流体アレイが得られる。
【0166】
少なくとも1つのキャリアプライが、ポリエステル、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせ、特にPETからなる少なくとも1つのキャリア層、好ましくはキャリアフィルムを含み、キャリア層は、好ましくは4μm~100μm、好ましくは10μm~50μmの層厚を有することが提供され得る。
【0167】
少なくとも1つのキャリアプライが、カバープライに面するキャリアプライの側面上に配置された少なくとも1つの剥離層を更に含むことが提供され得る。少なくとも1つの剥離層は、好ましくは0.1nm~100nmの層厚で、好ましくは、少なくとも1つのワックス、好ましくはモンタンエステルワックス、少なくとも1つのシリコーン、少なくとも1つのポリウレタン、少なくとも1つのアクリレート、又はそれらの組み合わせを含む。
【0168】
剥離層は、剥離後、好ましくはキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルム上に残る。
【0169】
転写フィルムは、その転写プライ、特に少なくとも1つの構造要素を有するカバープライの表面に面する転写プライの側面上に、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを有し得る。
【0170】
第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、少なくとも1つの構造要素を有するカバープライの表面の保護層として形成することができる。
【0171】
第2の転写フィルムは、好ましくは、転写プライに面する側にマスターレリーフ構造を有することができ、少なくとも1つの構造要素を有するカバープライの表面は、好ましくは、第2のキャリアフィルムのマスターレリーフ構造に相補的なレリーフ構造を有する。
【0172】
マスターレリーフ構造は、好ましくは、実際に試行及び試験され、大量生産に適した方法工程及び装置によって、例えばロールツーロールプロセスによって、好ましくは、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに導入され、かつ/又は第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに適用される。
【0173】
マスターレリーフ構造は、好ましくは、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムにスタンピングすることによって形成することができる。フィルム本体の製造に使用されるスタンピング方法を提供することができる。第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが熱可塑性キャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムである場合、マスターレリーフ構造は、圧力及び温度下でスタンピングローラーによる熱スタンピング法を使用して導入することができる。かかる方法でスタンピングされた第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、第2のレリーフ構造のホットスタンピング中の構造層の変形を排除するのに十分な安定性を有している。
【0174】
ただし、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが、その中にマスターレリーフ構造が成形される層を有することもまた提供され得る。例えば、熱可塑性複製ワニス層を第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布してワニス層を乾燥させ、次にマスターレリーフ構造をこのワニス層に成形することが提供され得る。
【0175】
更に、UV硬化性複製ワニスを第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布し、スタンピングローラーを使用して塗布中にマスターレリーフ構造を導入することが提供され得る。UVワニスを硬化するために必要なUV源は、透明なスタンピングローラー内に、又は第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの下に配置することができる。修正された実施形態では、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムのUV硬化性複製ワニス層の部分照射によってマスターレリーフ構造を成形し、続いて洗浄によって未硬化領域を除去することが提供され得る。
【0176】
少なくとも1つの構造要素を形成するために、複製ワニス、例えば熱可塑性複製ワニス及び/又はUV硬化性複製ワニスの形態で、少なくとも1つの可撓性カバープライを第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布し、好ましくは少なくとも1つのスタンピングローラーを使用して、少なくとも1つの構造要素を成形することが提供され得る。
【0177】
UV硬化性複製ワニスを使用することは、UV硬化性ワニスを特に流動的に形成することができ、マスターレリーフ構造の最小の空洞を完全に充填することができるので、有利である。
【0178】
UV硬化性ワニスが特に温度安定性の層を形成することが有利である。したがって、2つの層から少なくとも1つの構造要素を形成するように提供することもでき、有利には、第1の層はUV硬化性ワニスで形成でき、第2の層は熱可塑性ワニスで形成することができる。両方の層は、有利には、同じ光屈折率で形成され得、その結果、層構造は光学的に知覚可能ではなくなる。
【0179】
更に有利な設計では、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが部分的に印刷されることが提供され得る。部分印刷は、深さ対幅の比が低いマスターレリーフ構造を特に容易に形成するために特に有利であり得る。
【0180】
印刷層の厚さは、例えば2μm~5μmなど、異なって設定することができる。また、部分的な印刷が、例えば、マスターレリーフ構造を個別化するために、マスターレリーフ構造の上記のスタンピングを補足するために提供され得る。
【0181】
第2のキャリアプライは、好ましくは、ポリエステル、ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせ、特にPETからなる少なくとも1つのキャリア層、好ましくはキャリアフィルムを含み、キャリア層は、好ましくは4μm~150μm、好ましくは10μm~50μmの層厚を有する。
【0182】
第2のキャリアプライは、カバープライに面する第2のキャリアプライの側面上に配置された少なくとも1つの剥離層を更に含み得る。少なくとも1つの剥離層は、好ましくは0.1nm~100nmの層厚で、好ましくは、少なくとも1つのワックス、好ましくはモンタンエステルワックス、少なくとも1つのシリコーン、少なくとも1つのポリウレタン、少なくとも1つのアクリレート、又はそれらの組み合わせを含む。
【0183】
好ましい実施形態では、本発明の方法で使用される転写フィルムは、互いに分離され、互いに隣接して配置され、それぞれが、互いに分離され、互いに隣接して配置されたカバープライ又はカバープライ領域を含む、1又は複数の転写プライを有し、それぞれの場合において、カバープライ、特に少なくとも1つの構造要素を有するカバープライの表面は、第1のキャリアプライと対向する各転写プライの側面上に配置される。
【0184】
転写フィルムは、好ましくは、連続したマルチプライベースフィルムとして提供され、好ましくは、少なくとも1つの第1の部分領域を画定し、少なくとも1つの第1の部分領域を第2の部分領域から分離する少なくとも1つの境界線に沿って切断される。
【0185】
更に好ましくは、転写フィルムは、転写プライと対向する第1のキャリアプライの側面上に配置された第2のキャリアプライを含む。
【0186】
更に好ましくは、転写フィルムは、第2のキャリアプライと、第1のキャリアプライの表面であって転写プライとは反対側の面に塗布された第1の接着剤層とを有し、第1の接着剤層は、第1のキャリアプライと第2のキャリアプライとの間に配置され、第1の接着剤層は、ベースフィルムの少なくとも1つの第1の部分領域を少なくとも部分的に覆う第1の領域で活性化され、その結果、ベースフィルムは、少なくとも1つの第1の部分領域において第2のキャリアフィルムに付着するが、少なくとも1つの第1の部分領域に隣接する第2の部分において、活性化されず、提供されず、部分的にのみ提供又は非活性化され、第1のキャリアフィルムは、少なくとも1つの第1の部分領域を画定し、少なくとも1つの第1の部分領域をベースフィルムの第2の部分領域から分離する境界線に沿って切断され、第2の部分領域を含むベースフィルムの一部は、第2のキャリアフィルムから除去される。この設計は、第1及び/又は第2のキャリアフィルムの光学的及び他の欠陥(例えば、背景の蛍光)の両方がマイクロ流体アレイの機能に影響を及ぼさないため、特に有利である。
【0187】
ベースフィルムは、好ましくは、第1のキャリアプライと転写プライとの間に配置された剥離層を有する。更に、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルム、並びに第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに面する転写プライの層の材料及び表面の性質を、転写プライが第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムから分離できるように選択することも可能である。
【0188】
更に好ましくは、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムと転写プライとの間には、剥離層が存在しない。この実施形態によれば、転写プライと標的基板との間に配置された第1の接着剤層及び第2の接着剤層は、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムと第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとの間の活性化された第1の接着剤層によって生成される接着強度が、活性化された第2の接着剤層によって転写プライと標的基板との間に生成される接着強度よりも低くなるように選択される。これにより、第2の接着剤層が活性化された後、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムをベースフィルムの第1の部分領域から除去し、ベースフィルムの第1の部分領域全体、すなわち、転写プライ及び第1のキャリアプライ、好ましくはキャリア層を、転写プロセスによって標的基板に適用することが可能となる。
【0189】
第1の接着剤層を第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布し、次に第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを第1の接着剤層に塗布することが有益であることが判明した。しかしながら、第1の接着剤層を第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布し、続けて、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを含むフィルム本体、及び第1の接着剤層を第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布し、これにより、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの助けを借りて、第1の接着剤層を第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布することも可能である。
【0190】
電磁放射により活性化できる接着剤層、特にUV光の照射により活性化することができるUV活性化可能な接着剤からなる接着剤層が、好ましくは第1の接着剤層として使用される。一方で、この場合、第1の領域における第1の接着剤層の活性化をピンポイントの精度で制御できるという利点が実現される。更に、かかる接着剤層を使用することにより、後続の転写プロセス中に、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムから剥離するのを確実に防止し、転写結果を更に改善できることが示されている。
【0191】
第1の接着剤層は、少なくとも1つの第1の部分領域及び第2の部分領域の両方において、好ましくは、キャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの、転写プライとは反対側の表面全体に塗布される。ここで、第1の領域における第1の接着剤層の活性化は、ベースフィルムの第2の部分が除去される前に続いて行われる。第1の接着剤層は、ここでは、例えば、グラビア印刷又はスクリーン印刷などの印刷プロセスによって、また、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに注入するか、噴霧するか、又はドクターブレードを使用してコーティングすることによって塗布することができる。
【0192】
第1の接着剤層は、好ましくは、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが適用された後、第1の領域での照射によって活性化され、その結果、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが、第1の領域において第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに付着する。第1の接着剤層の材料は、ここで更に好ましくは、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルム、及び第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに関して選択され、それにより、第1の接着剤層の活性化後、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムと第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとの間の接着は、室温(20℃)であっても、転写プライと第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとの間の剥離層によって与えられる接着よりも高い。更に、第1の接着剤層の材料は、好ましくは、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルム、及び第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに関して選択され、それにより、活性化されていない第1の接着剤層の場合、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムと第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとの間の接着は、室温(20℃)及びスタンピング温度(180℃)の両方で、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムと転写プライとの間の剥離層によって与えられる接着よりも低い。
【0193】
第1の接着剤層と第1及び/又は第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとの間の接着特性が、プライマー、接着促進剤を適用することによって、又は第1又は第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムのコロナ、火炎又はプラズマ処理によって適合させることが有利であることが更に判明した。
【0194】
本発明の好ましい実施形態の例によれば、第1の接着剤層は、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの、転写プライとは反対側の面の方向に間隔を置いて配置された放射線源によって照射される。ここで、放射線源は、好ましくは、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムから.10mmを超えて離間して配置される。第1の接着剤層をコリメート光、好ましくはUV光に露光させるUV放射線源が、好ましくは、放射線源として使用される。例えば、下流のコリメータ又はレーザを備えたUVランプが、放射線源として好適である。
【0195】
かかる第1の接着剤層の露光を通して、ベースフィルムの転写プライの設計とは無関係に、第1の接着剤層の露光を選択することが可能である。第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、本明細書では、好ましくは、露光に使用される放射線源の波長範囲に対して実質的に透明な材料から構成される。
【0196】
所望の領域における第1の接着剤層の選択的露光、例えば、第1の領域における第1の接着剤層を活性化するための第1の領域における第1の接着剤層の選択的照射は、放射線源がこれに対応して作動することによって、又は放射線源と第1の接着剤層との間のビーム経路に露光マスクを配置することで実現され得る。
【0197】
更に、第2の領域での露光によって第1の接着剤層を非活性化することも可能である。したがって、例えば、第1の接着剤層に対応する接着剤を使用することが可能であり、これは、例えば、UV放射によって非活性化することができる。更に、第1の接着剤層に、UV光を照射すると硬化するUV活性化可能な接着剤を使用し、第2の領域に、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが塗布される前に第1の接着剤層を照射することも可能である。したがって、第1の接着剤層は、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが第2の領域に塗布される前に硬化され、その結果、第2の領域における第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの接着は、第1の接着剤層が既に硬化され、この領域で非活性化されているため、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが適用された後はもはや不可能である。
【0198】
第1の接着剤層が第2の領域ではなく第1の領域で照射されるように制御されるレーザ、及び/又は第1の領域ではなく第2の領域で照射されるように制御されるレーザが、好ましくは放射線源として使用される。これは、例えば、レーザの位置又はレーザビームの偏向角を決定する制御要素の対応する作動によって実現することができる。
【0199】
更に好ましくは、放射線源と第1の接着剤層との間のビーム経路に、露光マスクが配置され、これは、第1の接着剤層が第2の領域ではなく第1の領域で照射されるように、又は、第1の接着剤層が第1の領域ではなく第2の領域で照射されるように、形成及び配置される。ここでの露光マスクは、例えば、ドラム又はフラットベッドイメージセッタの一部であり得る。
【0200】
転写プライは、好ましくは、第1の接着剤層の照射を制御するために使用される。
【0201】
このため、第1の接着剤層は、好ましくは、転写プライの側面であって、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとは反対側の側面の方向に配置され、転写プライから間隔を置いて配置された放射線源によって照射される。したがって、転写プライは、放射線源と第1の接着剤層との間のビーム経路に配置される。
【0202】
転写プライは、好ましくは、第1の又は第2の領域に提供され、第2又は第1の領域にはそれぞれ提供されない不透明層を有しており、これは、第1の接着剤層の照射を制御するためのマスキング層として使用される。したがって、例えば、転写プライの金属反射層をマスキング層として使用して、第1の接着剤層の照射を制御することが可能である。これにより、装飾層の設計に関連して、第1の接着剤層レジスタの露光を正確に制御することが可能となる。
【0203】
金属反射層は、好ましくは、クロム、銅、銀、又は金からなる金属層、又はかかる金属の合金であり、例えば、真空下で0.01μm~0.04μmの層厚で蒸着することができる。
【0204】
第1の照射工程において、第2のキャリアフィルムが適用される前に、転写プライの側面であって、第1のキャリアフィルムとは反対側の側面の方向に配置され、転写プライから間隔を置いて配置された放射線源によって、マスキング層として機能するプライを介して、第1の接着剤層が好ましくは照射され、第2の領域で非活性化される。第2の照射工程において、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが適用された後、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの側面であって、第1のキャリアフィルムとは反対側の側面の方向に配置され、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムから間隔をあけて配置された放射線源によって、第1の接着剤層が次に照射され、第1の領域で活性化される。
【0205】
第1の接着剤層の露光は、上記のように、1つの工程で実施することができる。ただし、露光を複数の工程で行うことも可能である。したがって、例えば、接着剤層を第1の露光工程で活性化し、接着剤の完全な硬化はまだ行わないことが可能である。ベースフィルムの第2の部分が除去された後、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを有する残りのフィルム、及びベースフィルムの第1の部分がポスト照射され、第1の接着剤層が完全に硬化する。
【0206】
転写プライは、好ましくは、第1の接着剤層の第1及び第2の領域を決定するために、かつ/又はベースフィルムの第1及び第2の部分領域を決定するために使用され得るマークを含み得る。したがって、これらのマークはレジスタマークを表している。マークは、印刷材料、表面レリーフ、磁性材料又は導電性材料で形成することができる。したがって、マークは、例えば、それらの色値、それらの不透明度、又はそれらの反射特性において背景とは異なる光学的に可読なレジスタマークであり得る。また、マークは、入射光を所定の角度範囲で偏向させる巨視的又は回折的なレリーフ構造とすることができ、これらの特性によって背景領域と光学的に異なる。ただし、レジスタマークは、磁気センサ又は電気伝導率を検出するセンサによって検出可能なレジスタマークであってもよい。マークは、例えば、光学センサ、及びキャリアプライ、好ましくはキャリアプライの切断、第1の接着剤層の活性化、第1の接着剤層の非活性化によって検出され、かつ/又は第1の接着剤層の塗布は、マークによって制御される。したがって、転写プライは、例えば、光学的に可読なレジスタマークを有し、これは、第1の接着剤層の照射を制御し、好ましくは、少なくとも1つの第1の部分領域と第2の部分領域との間の境界線に沿った第1のキャリアプライの切断も制御する。これにより、転写プライの設計に関連して、第1の接着剤層の位置合わせ精度の活性化と、キャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの位置合わせ精度の切断との両方が可能である。
【0207】
マークは、好ましくは、ベースフィルムの第2の部分領域内に配置される。ここで、マークは、例えば、ライン又はストリップとして形成することができ、これらは、好ましくは、ベースフィルムを形成するフィルムウェブの長手方向に対して横方向に延在する。ここで、マークは、好ましくは、ベースフィルムの2つの第1の領域の間に配置される。
【0208】
好ましくは、1又は複数のレジスタマークは、ベースフィルムの各第1の部分に更に割り当てられる。
【0209】
更に、第1の接着剤層が、ホットメルト接着剤層又は圧力活性化可能な接着剤層によって形成されることも可能である。
【0210】
更に、第1の接着剤層が、潜在反応性接着剤層によって、好ましくは潜在反応性ホットメルト接着剤層によって形成されることも可能である。潜在反応性接着剤層は、活性化後にまだ完全に硬化していない接着剤層であり、その完全な硬化、したがって完全な接着強度の発現は、事前定義された環境条件下での活性化から事前定義された期間の後にのみ実現される。例えば、それが潜在反応性ホットメルト接着剤層又は潜在反応性コールド接着剤層である場合、接着剤層は、温度及び/又は圧力によって第1の工程で活性化され、最大接着強度の10%~90%が実現される。接着剤の組成に依存する所定の時間、例えば10分~72時間後、接着剤層は次に完全に硬化し、その完全な接着強度を発現する。例えば、ベースフィルムの第2の部分が除去された後、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを有する残りのフィルム、及びベースフィルムの第1の部分は、潜在反応性接着剤層を硬化させるために、室温、及び所望により高温で所定の時間保存され、これにより、潜在反応性接着剤層の完全な硬化が達成される。第1の接着剤層の活性化とは、特にこれに関連して、接着剤層に化学反応を引き起こし、化学反応が実質的に完了した後に接着剤強度の少なくとも10%の増加をもたらす接着剤層への影響を意味する。
【0211】
マイクロカプセル化された反応性接着剤は、潜在反応性接着剤としても使用でき、例えば、スイスのゼンバッハにあるEbnoether AG社からPurbond HCMOの名称で販売されている。かかる接着剤は、例えば、約60℃~70℃の間の温度で、粉体塗装法において、第1又は第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに塗布することができ、この温度で行われる固定を通して、まだ活性化されていないワニス様接着剤層が形成される。熱及び/又は圧力を加えることにより、マイクロカプセルが破壊されて開放され、接着剤がこの領域で硬化する。
【0212】
本発明の好ましい実施形態の例によれば、第1の接着剤層はホットメルト接着剤からなり、第1の接着剤層は、ベースフィルムの第2の部分が除去される前に、第2の領域ではなく第1の領域で加熱スタンピングダイによって活性化される。
【0213】
更に、第1の接着剤層が非活性化層でのオーバープリントによって第2の領域で非活性化されるか、又は第1の接着剤層が、第2の領域ではなく第1の領域で第1及び/又は第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルム上に印刷される場合も有利である。更に、第1の接着剤層が、第1の領域及び第2の領域において異なる面密度で塗布されることも可能であり、その結果、単位面積あたり、特にcm2あたりの平均接着強度は、第1の領域と第2の領域で異なる。
【0214】
更に、第1の接着剤層が非活性化層でのオーバープリントによって第2の領域で非活性化されるか、又は第1の接着剤層が、第2の領域ではなく第1の領域で第1及び/又は第2のキャリアフィルム上に印刷される場合も有利である。非活性化層は、例えば、シリコーン又はシリコーン含有材料、あるいはポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Teflon(登録商標))で作製することができる。
【0215】
この実施形態では、第1の接着剤層は、好ましくは、第1及び/又は第2の表面領域内に点状のパターンで印刷され、面密度の違いは、接着スポット間のドットサイズ及び/又はグリッド幅を変えることによって実現され得る。更に、この目的のために、第1の領域で表面全体に接着剤層を塗布し、第2の領域でドットグリッドの形でのみ接着剤層を塗布し、又は、第2の領域に第1の接着剤層を塗布せず、第1の領域のドットグリッドに接着剤層を塗布することも可能である。第1の領域の第1の接着剤層を有する第1及び/又は第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの平均表面被覆率は、ここでは、第2の領域のそれと少なくとも15%異なる。
【0216】
第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、好ましくは、2つの対向するローラーによってベースフィルム上に積層される。
【0217】
本発明の好ましい実施形態の例によれば、転写プライ、剥離層、及び第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、少なくとも1つの第1の部分領域を画定する境界線に沿って完全に切断される。ここで、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムも部分的に切断されることが可能である。しかしながら、ここでは、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが50%未満、好ましくは90%未満で切断されるように注意することが好ましい。
【0218】
第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、好ましくは、パンチングによって、例えば、回転ダイカッター又はレーザによって切断される。
【0219】
第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、好ましくは、第1の領域と第2の領域との間の境界線に対して位置合わせされて切断される。他方、本発明による方法は、第1の接着剤層を構造化するプロセス(露光、印刷、スタンピング)と切断プロセス(パンチング)との間に高いレジスタ精度を必要とせず、その結果、費用効果の高い大規模な工業プロセスを使用することができる。
【0220】
ベースフィルム、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルム、及び第1の接着剤層によって形成されたフィルム本体が、ホットスタンピングダイによって処理され、同時に、第1の部分領域の第1の接着剤層を活性化し、少なくとも1つの第1の部分領域を画定する境界線に沿って、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを少なくとも部分的にパンチングすることが更に有利である。これにより、これら2つのプロセス間の非常に高いレジスタ精度が実現され、処理工程の数が更に削減される。
【0221】
ベースフィルムの第2の部分が除去された後、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを有する残りのフィルム、及びベースフィルムの第1の部分は、好ましくは、本発明によるマイクロ流体アレイの製造のための転写フィルム、特にホットスタンプフィルムとして使用される。
【0222】
更に、この転写フィルムが複数の第1の部分領域を有することが可能であり、これらはそれぞれ、少なくとも分析要素を含み、これは、それぞれの場合に、ベースプライへの転写によって使用される。
【0223】
例えば、転写後に、例えば互いに流体接続されている1又は複数の分析要素をベースプライに転写することができる。
【0224】
ベースフィルムの第2の部分が除去された後、この目的のために第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを備えた残りのフィルム、及びベースフィルムの第1の部分は、好ましくは、標的基板上に配置することができ、ベースフィルムの1又は複数の第1の部分領域は、装飾プライと標的基板との間に配置された接着剤層を活性化することによって、標的基板に適用することができ、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムと、第1の接着剤層と、第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとを含む多層本体は、ベースフィルムの適用された1又は複数の第1の部分領域の転写プライから除去することができる。
【0225】
このために、好ましくはホットメルト接着剤層である第2の接着剤層が、転写プライの、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとは反対側の側面上に塗布される。更に、第2の接着剤層が、低温接着剤層又は潜在反応性ホットメルト接着剤層であることも可能である。
【0226】
異なる接着剤が、好ましくは、第1の接着剤層及び第2の接着剤層に使用される。したがって、例えば、第1の接着剤層にコールド接着剤を使用し、第2の接着剤層にホットメルト接着剤を使用することが可能である。ホットメルト接着剤層を第1及び第2の接着剤層として使用する場合、第1の接着剤層の活性化温度が第2の接着剤層の活性化温度よりも高い、異なる活性化温度を有するホットメルト接着剤層を選択することが有利である。これにより、転写結果が改善される。
【0227】
厚さが6μmを超える、好ましくは6μm~250μmの厚さの透明なプラスチックフィルムが、好ましくは、第2のキャリアフィルムとして使用される。ただし、第2のキャリアフィルムとして紙基板又はTeslin(登録商標)(マット、白色、コーティングされていないシングルプライポリエチレンフィルム)を使用することもできる。4μm~75μmの厚さのプラスチックフィルムが、好ましくは、第1のキャリアフィルムとして使用される。
【0228】
本発明の好ましい実施形態の例によれば、2つ以上の第1の部分領域が提供され、第1の部分領域の各々は、コヒーレント領域として形成された第2の部分領域によって囲まれる。これにより、ベースフィルムの第2の領域の除去が容易になる。
【0229】
第1の領域は、好ましくは、各第1の部分領域の少なくとも50%、更に好ましくは、各第1の部分領域の70%以上を覆う。更に、第1の領域が各第1の部分領域を完全に覆うことも可能である。更に、第2の部分領域は、好ましくは5%未満で第1の領域を覆う。この措置により、ベースフィルムの第2の部分を高い信頼性で除去できることが更に保証される。
【0230】
本発明による方法では、前述のベースフィルムは、転写フィルムとしても積層フィルムとしても形成することができる。ベースフィルムが転写フィルムとして形成される場合、特に、ベースフィルムの転写プライが基板上に転写され、続いて、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムがそこから除去され、好ましくは第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルム上に残る。ここで、剥離層は、特に好ましくは、転写プライと第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとの間に配置される。
【0231】
ベースフィルムが積層フィルムとして形成される場合、特に、ベースフィルムの転写プライ及び第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムが基板上に転写され、続いて第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムがそこから除去される。ここで、剥離システムは、特に好ましくは、第1のキャリアプライと第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムとの間に配置される。
【0232】
更に、種々の形状の転写フィルムを均一なダイ形状で転写することができる。単一のダイを使用して、隣接する複数の孤立したパッチを転写することもできる。パッチの外形は、ホットスタンピングダイの外形と一致している必要はない。ここで、ホットスタンピングダイは、転写されるベースフィルムの部分よりも大きく選択されることが好ましい。
【0233】
スタンピング圧力及び熱によってホットスタンピングが行われるホットスタンピングダイに加えて、対応して設計されたスラストベアリングを備える超音波スタンピングダイを使用することもでき、これを使用して、エネルギーの代替形態としてスタンピング圧力及び超音波を使用してホットスタンピングを実行することができる。同様に、ロールラミネータ、特に半回転ラミネータ及び/又はマルチロールラミネータを使用することが可能である(例えば、紙幣の用途の場合、複数のラミネーションローラーが一列に並んで配置されている)。更に、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムに近づけ、2つのキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムを一緒にプレスすることなく、ガイドローラーの助けを借りてUV接着剤で印刷することが可能である。次に、追加の次のガイドローラーにより、UV光で硬化する前に、2つのキャリアプライの間、好ましくはキャリアフィルムの間の必要な接触が確保される。
【0234】
第2の部分領域が、コヒーレントでないか、又は複合フィルム全体が除去されるサブ領域を有することも可能である。例えば、一実施形態では、各パッチは、少なくとも1つの囲まれた自由空間、例えば、入口及び/又は出口を有し得る。入口及び/又は出口は、例えば、パンチング手順中に製造することもできる。入口及び/又は出口及び/又は他の貫通孔又は開口はまた、例えば、別個の操作、例えば、別個のパンチング手順及び/又は別個のレーザ手順及び/又は別個のミリングパスで製造することができる。
【0235】
使用されるパンチングシートには、例えば2つのパンチング高さがあり、一方は、第1の領域と所望により存在するマーク領域とを解放するための転写プライのみを切断して保持するためのもので、他方のより高い方は、複合フィルム全体を切断して孔を作成するためのものである。原則として、キスカット及びパンチングスルーの設定が異なるレーザも可能である。このプロセスで形成されるフィルムの破片は、通常、複合フィルムから押し出されるか、又は吹き飛ばされる。したがって、この部分領域では、複合フィルム全体が除去される。
【0236】
第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、シングルプライ及びマルチプライの両方であり得る。このプライは、異なる又は同じ材料、例えば、紙及び/又は布及び/又はTeslin(登録商標)及び/又は同じ又は異なるプラスチック層から構成することができる。それらは互いに接着することができ、又は例えば共押出し若しくは複数のコーティングによって製造することができる。
【0237】
したがって、異なる接着剤、特に異なる活性化可能な接着剤が、好ましくは、第1及び第2の接着剤層に使用される。特に、第1の接着剤層には放射線活性化可能な接着剤を使用し、第2の接着剤層には熱活性化可能な接着剤を使用することが有利である。熱活性化可能な接着剤は、反応性及び非反応性の両方であり得る。更に、多層構造も可能である。放射線活性化可能な接着剤に加えて、例えば一成分及び二成分系(エポキシ系及び/又は例えば重合若しくは架橋開始剤としてイソシアネートを使用する)などの他の反応性型の接着剤も可能である。
【0238】
ここで、ベースフィルムの第1の部分が基板上にホットスタンプされたときに第2の接着剤層が活性化される場合が有利である。したがって、ホットスタンピングの前に、第2の接着剤層は好ましくは粘着性を有しない。次に、ホットスタンピング及び活性化の間に、キャリアプライ間の層間接着が、好ましくは50%を超えて、好ましくは100%を超えて、特に好ましくは200%を超えて増加する。
【0239】
ホットスタンピングは、80℃~300℃、好ましくは100℃~240℃、特に好ましくは100℃~180℃の温度で、かつ/又は10N/cm2~10,000N/cm2、好ましくは100N/cm2~5000N/cm2のスタンピング圧力で、かつ/又は0.01秒~2秒、好ましくは0.01秒~1秒のスタンピング時間で行われる場合が好ましい。
【0240】
第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムがベースフィルムに適用される前に第2の接着剤層が乾燥される場合が更に有利である。これにより、ホットスタンプの前に第2の接着剤層に粘着性がないことが保証される。第2の接着剤層の種々の程度の表面被覆(例えば、第1の部分領域の内側又は外側領域における異なる程度の表面被覆)も使用することができる。更に、第2の接着剤層がグリッド状に塗布されている場合が有利であり、特にライングリッド又はドットグリッドのグリッド密度が40ライン/cm~80ライン/cmである場合が有利である。
【0241】
第2の接着剤層が、50℃~150℃、好ましくは100℃~120℃のガラス転移温度を有する熱可塑性接着剤で形成される場合が特に好ましい。第2の接着剤層は、多層で構築することができる。
【0242】
第2の接着剤層が、0.1g/m2~10g/m2、好ましくは2g/m2~5g/m2の単位面積あたりの重量で堆積される場合が好都合である。
【0243】
第1の接着剤層がグリッド、特にグリッド密度が40ライン/cm~80ライン/cmのライングリッド又はドットグリッドに塗布される場合が更に有利である。第1の接着剤層の種々の程度の表面被覆(例えば、第1の部分領域の内側又は外側領域における異なる程度の表面被覆)も使用することができる。
【0244】
第1の接着剤層が、0.01μm~10μm、好ましくは2μm~5μmの層厚で印刷されたグリッドの領域に堆積される場合が好都合である。
【0245】
第1の接着剤層を部分的に塗布するのみで、第2の接着剤層が両方の転写プライと直接接触することが保証され、このようにして、所望の方法で接着力を高めることができる。
【0246】
剥離システムは、好ましくは、特にホットスタンピング手順中に生じる熱によって軟化するワックス状材料から構成される。剥離システムの全体の厚さは、好ましくは0.01μm~4μmであり、軟化され、第2のキャリアフィルムの確実な分離が可能になる。
【0247】
剥離システムは多層で構築することができる。それは、例えば、ワックスで作製された層及びワニスで作製された層を含む。アクリレート、ポリウレタン、又はセルロース誘導体をワニスとして使用できる。ワニス層は、好ましくは、0.1μm~3μmの範囲内、好ましくは0.2μm~1.5μmの範囲内の厚さを有する。
【0248】
多層本体又は固定要素上の剥離システムの層は、好ましくは、固定要素と、又は標的基板に適用した後の第1の部分領域と実質的に同じ領域サイズを有する。これは、特に、塗布中に、剥離システムが第1の部分領域内でのみ活性化され、隣接する第2の部分領域では活性化されないため、剥離層システムが第2の部分領域の第2のキャリアフィルム上に残るという点で可能になる。剥離システムの厚みが薄いため、第1の部分領域の外縁で剥離層システムの鋭い縁部の分離が可能になる。
【0249】
剥離システムの1又は複数の層は、好ましくは、標的基板に適用された後、固定要素上に残る。これは、剥離システムが第2のキャリアフィルムと接着剤層との間に配置されている場合に好ましい。これにより、これらの層の助けを借りて、多層本体又は固定要素の外面に追加の機能を提供することが可能となる。例として、更なる機能層によるより良い濡れ性又はオーバープリント性、又は逆に、疎水性機能又は他の液体をはじく機能、又は光学的なマット感及び/又は光学的な光沢の生成及び/又は特定の触覚特性の生成が挙げられる。可視波長範囲、UV範囲、又はIR範囲に固定プリントを追加することもできる。剥離層システムの個々の層又は全ての層は、表面全体にわたって、又は部分的な表面領域でのみ提供することができる。
【0250】
更に、剥離システムが適用される前に、ベースフィルムの第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムの、転写プライとは反対側の側面に、1又は複数の補助層を適用することが可能である。したがって、補助層は、第1のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムと剥離システムとの間に配置される。
【0251】
例として、更なる機能層によるより良い濡れ性又はオーバープリント性、又は逆に、疎水性機能又は他の液体をはじく機能、又は光学的なマット感及び/又は光学的な光沢の生成及び/又は特定の触覚特性の生成が挙げられる。
【0252】
剥離層システムの個々の層又は全ての層は、表面全体にわたって、又は部分的な表面領域でのみ提供することができる。
【0253】
剥離システムの1又は複数の層は、好ましくは、ベース基板への適用後に転写プライから剥離され、補助層は、カバープライの外側の自由表面を形成する。
【0254】
第2のキャリアプライ、好ましくはキャリアフィルムは、好ましくは、2つの対向するローラーによってベースフィルム上に積層される。
【0255】
好ましい実施形態では、本発明のマイクロ流体アレイは、キュベットとして形成される。
【0256】
請求項34~63のいずれか一項に記載のマイクロ流体アレイ又は請求項65若しくは66に記載の測定システムは、ヒト又は動物の体液のインビトロ検査、特にインビトロ血液分析において使用することができる。
【0257】
以下において、添付の図面を利用する複数の実施形態の例を参照して、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0258】
【
図1】
図1は、マイクロ流体アレイの概略上面図を示す。
【
図2】
図2は、マイクロ流体アレイの実施形態の概略断面図を示す。
【
図3】
図3は、マイクロ流体アレイの更なる実施形態の概略断面図を示す。
【
図4a】
図4aは、マイクロ流体アレイの更なる実施形態の概略断面図を示す。
【
図4b】
図4bは、充填状態のマイクロ流体アレイの更なる実施形態の概略断面図を示す。
【
図5a】
図5aは、転写フィルムの更なる実施形態の概略断面図を示す。
【
図5b】
図5bは、転写フィルムの更なる実施形態の概略断面図を示す。
【
図6a】
図6aは、本発明による方法の方法工程を説明するための概略断面図を示す。
【
図6b】
図6bは、本発明による方法の方法工程を説明するための概略断面図を示す。
【
図6c】
図6cは、本発明による方法の方法工程を説明するための概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0259】
図面では、別段明記しない限り、同じ要素又は同じ機能を有する要素に同じ参照番号が付されている。
【0260】
図1は、概略上面図において、好ましくは剛性のベースプライ2及びその上に配置された可撓性カバープライ9を含むマイクロ流体アレイ1を示している。カバープライ9は、少なくとも部分的に覆われた流路4及び第1の接着剤層11を含み、第1の接着剤層11は、ベースプライ2とカバープライ9との間に、好ましくはカバープライ9の端に配置され、ベースプライ2とカバープライ9とを離して配置している。マイクロ流体アレイ1に配置された流路4は、入口41及び出口42と流体接続しており、入口41及び出口42はそれぞれ、カバープライ9の少なくとも円形又は楕円形の穿孔として形成することができる。流路4は更に、隆起部として形成された複数の構造要素13vを有する。
【0261】
図2は、マイクロ流体アレイ1の好ましい実施形態の断面図を示している。この断面は、例えば
図1のA-A線に沿っている。マイクロ流体アレイは、ベース層3から構成される、好ましくは剛性のベースプライ2と、その上に配置された可撓性カバープライ9とを含む。カバープライ9は、カバー層10及び第1の接着剤層11を含み、第1の接着剤層11は、ベースプライ2に面するカバー層10の表面上に配置され、カバー層10及びベースプライ2、好ましくはベース層3を離して配置される。カバー層10は、ベースプライ2に面するカバー層10の側面の表面に配置された窪みの形態の構造要素13vを有する。構造要素13vを有するカバープライ9、好ましくはカバー層10の側面が、ベースプライ2、好ましくはベース層3上に配置された後、構造要素13vは流路4を実質的に形成する。示される実施形態では、流路4は更に、凸状の隆起部の形態の複数の構造要素13eを有する。構造要素13eは、ベースプライ2と対向する流路4の側面の表面上に配置され、
図2に示す実施形態では、好ましくは、ベースプライ2、好ましくはベース層3の、カバープライ9に面する側面と、マイクロ流体アレイの非充填状態の少なくとも1つの構造要素13eとの間に間隔が形成される。もちろん、示された間隔が非充填状態で存在しない実施形態も考えられる。例えば
図4bに示されるマイクロ流体アレイの充填状態では、カバープライ9は、特に毛細管力によって、ベースプライ2に「吸引」され、これにより、この間隔がもはや存在しなくなり、構造要素13eの高さにより流路4の高さが画定される。
【0262】
図3は、マイクロ流体アレイ1の好ましい実施形態の断面図を示している。この断面は、例えば
図1のA-A線に沿っている。マイクロ流体アレイは、ベース層3から構成される、好ましくは剛性のベースプライ2と、その上に配置されたカバープライ9とを含む。カバープライ9は、カバー層10、ベースプライ2に面するカバー層10の側面の表面上に配置された第1のワニス層14、及び第1の接着剤層11を含み、第1の接着剤層11は、は、ベースプライ2に面する第1のワニス層14の側面の表面上に配置される。第1のワニス層14は、ベースプライ2に面する第1のワニス層14の側面の表面に配置された窪みの形態の構造要素13vを有する。構造要素13vを有するカバープライ9、好ましくはワニス層14の側面が、ベースプライ2、好ましくはベース層3上に配置された後、構造要素13vは流路4を実質的に形成する。示される実施形態では、流路4は更に、凸状の隆起部の形態の複数の構造要素13eを有する。構造要素13eは、ベースプライ2と対向する流路4の側面の表面上に配置され、
図2に示す実施形態では、好ましくは、ベースプライ2、好ましくはベース層3の、カバープライ9に面する側面と、マイクロ流体アレイの非充填状態の少なくとも1つの構造要素13eとの間に間隔が形成される。もちろん、示された間隔が非充填状態で存在しない実施形態も考えられる。例えば
図4bに示されるマイクロ流体アレイの充填状態(わずかに修正された構造に基づいて存在する)では、カバープライ9は、特に毛細管力によって、ベースプライ2に「吸引」され、これにより、この間隔がもはや存在しなくなり、構造要素13eの高さにより流路4の高さが画定される。
【0263】
それぞれの場合の
図4a及び
図4bは、非充填状態(
図4a)又は、例えば溶液、懸濁液、又は乳濁液の形態で検査対象の流体Fが導入された後(
図4b)のマイクロ流体アレイ1の好ましい実施形態の断面図を示している。この断面は、例えば
図1のA-A線に沿っている。マイクロ流体アレイは、ベース層3から構成される、好ましくは剛性のベースプライ2と、その上に配置されたカバープライ9とを含む。カバープライ9は、カバー層10、ベースプライ2に面するカバー層10の側面の表面上に配置された第1のワニス層14’、及び第1の接着剤層11’を含み、第1の接着剤層11’は、ベースプライ2に面する第1のワニス層14’の側面の表面上に配置される。第1の接着剤層11’は、隆起部の形態で少なくとも1つの構造要素13e’を形成し、構造要素13e’を有するカバープライ9、好ましくはワニス層14’の側面が、ベースプライ2、好ましくはベース層3上に配置された後、構造要素13e’により流路4が実質的に形成される。示される実施形態では、流路4は更に、凸状の隆起部の形態の複数の構造要素13eを有する。構造要素13eは、ベースプライ2と対向する流路4の側面の表面上に配置され、
図2に示す実施形態では、好ましくは、ベースプライ2、好ましくはベース層3の、カバープライ9に面する側面と、マイクロ流体アレイの非充填状態の少なくとも1つの構造要素13eとの間に間隔が形成される。もちろん、示された間隔が非充填状態で存在しない実施形態も考えられる。例えば
図4bに示されるマイクロ流体アレイの充填状態では、カバープライ9は、特に毛細管力によって、ベースプライ2に「吸引」され、これにより、この間隔がもはや存在しなくなり、構造要素13eの高さにより流路4の高さが画定される。
【0264】
図4bに示されるように、検査対象の流体Fの存在下で、可撓性カバープライ9は、好ましくは、毛細管圧力によって少なくとも1つのベースプライ2に「吸引」され、その結果、少なくとも1つの構造要素13eと、カバープライ9に面するベースプライ2、好ましくはベース層3の側面との間に間隔が存在しなくなり、少なくとも1つの構造要素13eは、ベースプライ2、好ましくはベース層3と直接接触するようになる。
【0265】
これにより、プライの画定された間隔が生成され、したがって、流路4の画定された体積も生成される。
【0266】
接着剤層11’は、好ましくは、構造要素13eの高さに対応する厚さ、好ましくは0.2μm~500μmの範囲、好ましくは、0.15μm~270μmの範囲、好ましくは、0.2μm~170μmの範囲、好ましくは、0.5μm~100μmの範囲、更に好ましくは、0.65μm~75μmの範囲、更に好ましくは、0.75μm~55μmの範囲、更に好ましくは、0.85μm~35μmの範囲、更に好ましくは、0.95μm~20μmの範囲、特に1μm~10μmの範囲の厚さを有する。
【0267】
前述のように、この直接接触は、更に好ましくは、透過光における少なくとも1つの構造要素13eの輝度の変化をもたらす。透過光における少なくとも1つの構造要素13eの輝度の変化は、基準として、又は少なくとも1つの流路4の所望の高さであるかどうか、好ましくは、少なくとも1つの構造要素13eの高さに対応するものが確立されているかどうかの測定要素として使用することができる。
【0268】
図1~
図4bのベースプライ2、好ましくはベース層3は、好ましくは、少なくとも1つのポリマー及び/又は少なくとも1つのガラス及び/又は少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの半導体材料又はそれらの組み合わせから構成される。
【0269】
図5a及び5bはそれぞれ、第1のキャリアプライ20及びその上に配置された転写プライ17を含む、本発明による方法で使用される転写フィルム15の好ましい実施形態の断面図を示している。転写フィルム15は、転写プライ20とは反対側の転写プライ17の側面によってベースプライ2に適用され、続いて転写プライ20が除去された後、転写プライ17は、好ましくは、マイクロ流体アレイ1のカバープライ9を形成する。
【0270】
キャリアプライ20は、好ましくは、第1のキャリアフィルム21と、転写プライ17に面する側面上に配置された第1の剥離層22とを含む。
【0271】
本発明に従って使用される転写フィルム15の転写プライ17は、好ましくは、上記の例として
図2、
図3及び
図4aに記載されたカバープライ9の要素を有しており、カバープライ9の要素、例えば、カバー層10、第1のワニス層14、14’及び第1の接着剤層11、11’、並びに構造要素13v、13e、13e’は、第1のキャリアプライ20の側面、好ましくは第1のキャリアフィルム21とは反対側の第1の剥離層22の側面に、対応する層を順次配置し、構造要素の製造のために、対応する適用方法及び/又は成形方法を使用することによって提供される。
【0272】
図5aに例として表されている転写フィルム15は、好ましくは、第1の剥離層22の、第1のキャリアフィルム21とは反対側の側面上に配置されたカバー層10を有する。第1のワニス層14’は、好ましくは、カバー層10の、第1のキャリアプライ20とは反対側の側面上に更に配置される。
【0273】
例えば、カバー層10は、23μmの厚さのPETフィルムで形成することができ、その上に、印刷及び/又は注入及び/又はドクターブレードを用いて塗布されるか、並びに/あるいは噴霧される、厚さ8μmの好ましくは放射線硬化性又は熱可塑性の第1のワニス層14’からなるコーティングが配置される。
【0274】
構造要素13eは、好ましくは、平面内の任意の方向に、それぞれ隣の構造要素13eから約50μmの間隔を有し、例えば、第1のワニス層14の、第1のキャリアプライ20とは反対側の表面上に配置される。更に好ましくは、2つの構造要素13e間の最小間隔が、特に多層の可撓性転写プライ17の厚さの約2倍~4倍に対応する場合に十分である。
【0275】
少なくとも1つの構造要素13e及び/又は13vは、好ましくは、例えば、成形ツール、例えば、印刷ローラー又はスタンピングローラー又は複製ツールを使用して少なくとも1つの構造要素13eを成形し、続いて、UV硬化性ワニス層として形成された第1のワニス層14、14’を、電磁放射、例えば、UV放射によって硬化させることによって、第1のワニス層14、14’の、第1のキャリアプライ20とは反対側の表面上に配置される。
【0276】
UV硬化性ワニスは、特に流動性のある配合が可能であり、その結果、印刷ローラー、スタンピングローラー、又は複製ツールの最も狭い空洞を完全に充填することができる。UV硬化性ワニスは、例えばカバー層10の裏側を透過するUV光によって直接硬化させることができる。UV硬化性ワニスは、表面全体に、又は限られた範囲で局所的にのみ堆積することができ、カバー層10の裏側又は透明な印刷ローラーを通して硬化させることができる。
【0277】
UV硬化性ワニスとして、モノマー若しくはオリゴマーポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、並びにアミン変性ポリエステルアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート若しくはアミン変性ウレタンアクリレートのいずれかのワニスを挙げることができる。
【0278】
しかしながら、第1のワニス層14、14’のワニスは、特に少なくとも部分的に乾燥された熱可塑性ワニスであり、圧力及び温度下で複製されることも提供され得る。例えば、次の組成のワニスとすることができる。
【表1】
【0279】
ワニス層14、14’が硬化した後、第1の接着剤層11、11’は、好ましくは、第1のワニス層14、14’の、第1のキャリアプライ20とは反対側の表面の少なくとも部分領域に塗布される。
【0280】
図5bに例として表される転写フィルム15は、キャリアプライ20及びその上に配置された転写プライ17を有し、カバー層10及び少なくとも1つの構造要素13vを窪みの形態で含んでおり、これは、カバー層10の、第1のキャリアプライ20とは反対側の表面上に配置されている。更に好ましくは、カバー層10は、構造要素13vによって形成された窪みの表面上に配置された、隆起部の形態の少なくとも1つの構造要素13eを有する。
【0281】
例えば、カバー層10は、熱可塑性フィルム、例えば、厚さ30μmのPETフィルムで形成することができ、その中に、少なくとも1つの構造要素13vが配置され、好ましくは導入される。少なくとも1つの構造要素13v、並びに好ましくは少なくとも1つの構造要素13eは、例えば圧力及び温度の下で、カバー層10の側面の表面に導入することができる。
【0282】
少なくとも1つの構造要素13v、及び更に好ましくは少なくとも1つの構造要素13eが配置された後、第1の接着剤層11が、好ましくは、カバー層10の、第1のキャリアプライ20とは反対側の表面の少なくとも部分領域に、好ましくは少なくとも1つの構造要素13vの表面の少なくとも部分領域に塗布される。
【0283】
更なる実施形態では、カバー層10は、好ましくは放射線硬化性又は熱可塑性ワニス層の形態で、第1のキャリアプライ20、好ましくはキャリアフィルム21に塗布することができ、これは、印刷及び/又は注入及び/又はドクターブレードを用いて塗布されるか、並びに/あるいは噴霧される。続いて、少なくとも1つの構造要素13vが、例えば成形によって、第1のキャリアプライ20と対向する塗布されたワニス層の側面の表面に導入され、塗布され成形されたワニス層が硬化され、好ましくは、例えば電磁放射の作用によって架橋されて、転写フィルム15が得られる。
【0284】
カバー層10は、好ましくは、0.5μm~500μmの層厚のワニス、特に熱可塑性ワニス又はUV硬化性ワニスから構成される。
【0285】
好ましい実施形態では、カバー層10はまた、UV硬化性ワニス22を備え、第1のキャリアフィルム21上に気泡のないように積層された薄いPETキャリアからなり得る。
【0286】
更に、種々の部分領域を印刷することにより、表面上に局所的に異なる材料からカバー層10を構築することが可能である。マイクロ流体アレイの異なる領域に対して位置合わせされた異なる材料を適用することが特に有利である。これにより、材料と少なくとも1つの構造要素13vとの最適な組み合わせを、1つのカバー層10で局所的に実現することができる。
【0287】
概して、例えば熱放射によって、又は加熱された物体、例えば回転ローラーとの接触によって、又は高エネルギー放射、特にUV放射によって、塗布されたワニスを乾燥又は硬化することが提供され得る。特に平滑な裏側を有するカバー層10を形成するために、回転式乾燥機を提供することができる。UV硬化性ワニスを使用する場合、構造層の硬化は、透明ローラーを介して、又はキャリアフィルム21の、カバー層10とは反対側の側面から、特に容易に実施することができる。
【0288】
また、UV硬化により、位置依存の屈折率を有するカバー層10を形成することが提供され得る。これに必要なパターン照射は、例えば、放射線源と構造層との間に配置されたマスクを通して、又はマスターレリーフ構造を通して行うことができる。
【0289】
更に、カバー層10は、例えば、カバー層10に配置された分析要素12の光学特性を設定するために、所定の屈折率で形成することができる。カバー層10が、例えば、ポリマーベースプライ又はベースプライとしての光学ガラスに適用される場合、1.4~1.7の屈折率が有利に提供される。
【0290】
更に、機械的応力及び/又は化学的応力に対して特に耐性があり、及び/又は疎水性であるカバー層10を形成することが提供され得る。
【0291】
特に機械的に耐性のあるUV硬化性ワニスは、次の組成を有し得る。
【表2】
【0292】
次の組成で、UV硬化疎水性ワニスが得られる。
【表3】
【0293】
図5a及び/又は
図5bに示される剥離層22は、好ましくは、UV活性化可能な接着剤である。剥離層22に使用され得る接着剤は、例えば、以下の組成を有する。
ジシクロペンチルオキシエチルメタクリレート 50-60%
2-ヒドロキシエチルメタクリレート 8%
トリメチロールプロパントリアクリレート 40-30%
(3-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピル)トリメトキシシラン 1%
Irgacure 184(CIBA) 1-2%
【0294】
剥離層22は、印刷プロセス、注入、又はドクターブレードによって、0.1μm~10μmの層厚でキャリアフィルム21に塗布される。
【0295】
最初に、少なくとも1つの剥離層22が、好ましくは、第1のキャリアプライ20、好ましくはキャリアフィルム21に最初に塗布される。続いて、上記のように、印刷及び/又は注入及び/又はドクターブレードを用いて塗布されるか、並びに/あるいは噴霧される、好ましくは放射線硬化性ワニス層の形態のカバー層10が、塗布された剥離層22に適用される。
【0296】
続いて、少なくとも1つの構造要素13vが、例えば成形によって、剥離層22と対向する塗布されたワニス層の側面の表面に導入され、塗布され成形されたワニス層が硬化され、好ましくは、例えば電磁放射の作用によって架橋されて、カバー層10が得られる。
【0297】
代替実施形態では、最初に、ワニス層14,14’は、例えば、印刷、注入、ドクターブレードを用いた塗布により、カバー層10に塗布される。次に、少なくとも1つの構造要素13vが、例えば成形によって、塗布されたワニス層14、14’の、カバー層10とは反対側の表面に導入され、塗布され成形されたワニス層は、例えば電磁放射の作用によって、硬化され、好ましくは架橋される。好ましくは、ワニス層14、14’が硬化した後、第1の接着剤層11、11’が、第1のワニス層14、14’の、カバー層10とは反対側の表面の少なくとも部分領域に塗布される。次に、剥離層22がキャリアフィルム21又はカバー層10上に配置されたキャリアフィルム21が、カバー層10の、ワニス層14、14’とは反対側の側面に塗布される。ここで、剥離層は、キャリアフィルム21とカバー層10との間に配置されている。
【0298】
図6aは、第1のキャリアプライ20’及びその上に配置された転写プライ17’を含む転写フィルム15’を示している。転写プライ17’は、カバー層10’、カバー層10’の、第1のキャリアプライ20’とは反対側の側面上に配置されたワニス層14’’、並びにワニス層14’’の、第1のキャリアプライ20’とは反対側の表面上に配置された複数の構造要素13eを含む。第1の接着剤層11’は、更に、ワニス層14’’の、第1のキャリアプライ20’とは反対側の表面の部分領域上に配置される。
【0299】
転写フィルム15’は、少なくとも2つの第1の部分領域30と、好ましくは第1の部分領域30を取り囲む第2の部分領域31とを有する。ここでの第1の部分領域30は、好ましくは転写プライ17’としてベースプライ2に転写される転写フィルム15’の部分を表す。
【0300】
第1のキャリアフィルム21は、好ましくは、6μm~125μmの厚さのPET、PEN又はBOPPフィルムである。まず、剥離層22を第1のキャリアフィルム21に塗布する。剥離層22は、例えば、特にホットスタンピング手順中に生じる熱のために軟化され、第1のキャリアプライ20’からの転写プライ17’の確実な分離を可能にするワックス状材料から構成される。剥離層22の厚さは、好ましくは0.01μm~1.2μmである。剥離層22は、好ましくはUV活性化可能な接着剤であり、これは更に好ましくは上記で指定された組成を有する。剥離層22は、好ましくは、印刷プロセスによって、注入によって、又はドクターブレードによって、キャリアフィルム21に塗布される。
【0301】
次に、保護ワニス層を0.5μm~1.5μmの層厚で塗布することができる。ここで、保護ワニス層が剥離層22の機能を引き受けることも可能であり、転写プライ17’をキャリアプライ20’から分離することを可能にすることと、転写プライ17’を機械的影響及び環境的影響から保護することとの両方を可能にする。ここでは、保護ワニス層を着色し、マイクロ粒子及びナノ粒子を含めることもできる。
【0302】
カバー層10’は、複製ワニス層として、熱可塑性ワニスで形成することができ、その中に構造要素13eが、スタンピングツールの作用による熱及び圧力によって成形される。更に、カバー層10’がUV架橋可能なワニスによって形成され、表面構造がUV複製によってカバー層10’に成形されることも可能である。
【0303】
上記のように、カバー層10’は、印刷及び/又は注入及び/又はドクターブレードを用いて塗布並びに/あるいは噴霧される、好ましくは放射線硬化性ワニス層の形態で塗布することができる。
【0304】
カバー層10’は、好ましくは、0.5μm~500μmの層厚を有する。カバー層10’に成形された少なくとも1つの構造要素13eは、好ましくは、任意の方向に、それぞれ次の構造要素から約10μm~200μm、好ましくは15μm~90μmの間隔を有する。また、間隔は、方向ごとに異なり得る。
【0305】
好ましくは、カバー層10’が硬化した後、第1の接着剤層11は、剥離層22と対向するカバー層10’の側面の表面の部分領域上に、約0.1μm~1μmの層厚で配置される。第1の接着剤層11は、好ましくは、熱活性化可能な接着剤から構成される。
【0306】
次に、剥離層22の第1の領域は、光への露光によって活性化される。このために、
図6aに示される転写フィルム15’は、領域30のUV光に露光される。これには、コリメートされた光源を使用することができ、これは、第1のキャリアフィルム21の、転写プライ17’とは反対側の側面上に、第1のキャリアフィルム21と間隔をあけて置かれる。ここで、領域31をマスキングし、領域30の選択的露光を可能にする露光マスクは、好ましくは、光源と剥離層22との間のビーム経路に配置される。露光光源及び露光マスクは、好ましくは、転写フィルム15’が導かれるドラムイメージセッタの一部である。
【0307】
領域31では、剥離層22はUV光に露光されておらず、したがって活性化されていない。
【0308】
次に、転写プライ17’及び第1の剥離層22は、第1の部分領域30を画定し、第1の部分領域30を第2の部分領域31から分離する境界線に沿って切断される。これらの層は、好ましくはパンチングによって切断される。
【0309】
ここで、第1のキャリアフィルム21も部分的に切断されるように、例えばその厚さの20%~80%を超えて、パンチング深さを選択することも可能である。
【0310】
切断後、第2の部分領域31を含む転写プライ17’の部分が第1のキャリアフィルム21から除去され、転写プライ17’は、領域31で活性化された剥離層22のために、第1の部分領域30において第1のキャリアフィルム21に付着したままであり、
図6bに表される修正された転写フィルム15’’が得られる。
【0311】
ここで、
図6bに示されるように、剥離層22の非活性化材料の残留物は、領域31の第1のキャリアフィルム21上に残り得る。所望により、フィルムのポスト露光が行われる。
【0312】
転写対象でない部分領域が適用された後、
図6bに示される修正された転写フィルム15’’が得られ、これを使用して、少なくとも1つの転写プライ17’をベースプライ2に適用することができる。このため、
図6cに示されるように、修正された転写フィルム15’’がベースプライ2上に配置され、第1の接着剤層11’が、例えば対応する形状のホットスタンピングダイ71によって第1の部分領域で活性化される。
【0313】
次に、第1のキャリアフィルム21及び剥離層22を含む修正された転写フィルム15’’は、ベースプライ2上に残っている転写プライ17’の適用領域から除去され、その結果、少なくとも1つのベースプライ2の少なくとも1つの部分領域は、好ましくは、転写プライ17’の少なくとも一方の側面の表面上に配置された少なくとも1つの構造要素13e、13e’の少なくとも1つの部分領域上に配置され、少なくとも領域内で完全に覆われる少なくとも1つの流路4が少なくとも部分的に形成される。
【0314】
約2ml~50mlの静脈血又は動脈血の抽出は、通常、実験室の条件下で行われる。これから、アリコート部分又はアリカント部分が、所望により試薬を希釈及び/又は添加するか、又は例えば遠心分離によって成分を分離した後、マイクロ流体アレイの入口領域に注入される。
【0315】
注入される血液の量は、入口の容積と、好適な場合は出口領域及び実際の検査チャンバの容積によって決定される。高さが4μmでベース表面積が200mm2(10mm×20mm)の検査チャンバの一般的な値は、約0.8μl(μl=マイクロリットル)である。入口チャンバの典型的な値は、例えば、0.5μl~10μlであり、その結果、本実施例では、約1.3μl~10.8μlが注入された。
【0316】
血液を注入した後、毛細管現象により検査チャンバが検査対象の血液で充填されるか、実質的に充填されるまで、約10秒~300秒の待機時間であった。充填手順及びチャンバ内の血液の流れの挙動を視覚的に監視した。所望により、電子画像情報を記憶装置又は記憶媒体に記憶することにより、カメラを用いて充填手順を監視することも可能である。
【0317】
マイクロ流体アレイは、固有の割り当て及び/又は識別及び/又は追跡に加えて、1又は複数のバーコード及び/又は刻印及び/又はRFID要素を有し得る。
【0318】
充填手順の監視中に、概して、充填手順が所定の基準を満たしているかどうか、例えば、気泡のない充填であるか、又は定義された量及び/又は数未満の気泡のみであるかどうか、液体フロントの特定の形成、液体フロントの速度、例えば、蛍光シグナルの均一な分布又は予想される局所領域における蛍光シグナル、蛍光強度、蛍光スペクトルなどが影響を受けたかどうかも同様に決定された。
【0319】
評価は、最初に視覚的に行われた。あるいは、自動化された画像評価装置を用いて評価を行うことができる。ここでは、機械アルゴリズム、特に自己学習型機械アルゴリズムを使用することもできる。これらのアルゴリズムは、特に再帰によって改善され、かつ/又はその機能が拡張される。
【0320】
観察、画像取得及び/又は評価は、測定装置又は測定装置の外側及び測定装置の内側の両方で行うことができる。それぞれの場合に、評価の結果を文書化した。基準が充足されていない場合、測定は手動又は自動で中止した。
【0321】
これに続いて、試料の実際の画像取得が試料チャンバ内で行われ、例えば、血液成分の特定の数及び/又は形状、例えば、鎌状赤血球の特定の形状及び/又は細胞内のDNAの存在及び/又は特定の血液成分の不在及び/又は試料チャンバ内の異なる血液成分、特に血球の数の相互の比率が検査された。
【0322】
更に、例えば、種々の細胞型を互いに区別するために使用される当業者に知られているギムザ染色などの特定の染色方法を使用することもできる。これに使用されるギムザ溶液は、安定剤としてグリセロールを含むメタノール中の染料アズールAエオシネート、アズールBエオシネート、メチレンブルーエオシネート及びメチレンブルークロリドの混合物から構成される。
【0323】
更なる組織学的染色及び/又は反応は、当業者に知られている。
【0324】
ここでは、対象物に応じて特定の照明方法を更に使用することができる。単色光又は特定のスペクトル範囲の光、あるいはそれらの組み合わせによる照明が可能である。
【0325】
照明は、反射光及び/又は透過光で行うことができる。種々の照明のオンとオフとを切り替えたり、かつ/又は照明の位置を変更したりすることもできる(照明、明視野、暗視野の移動)。影付き画像などを生成するために、横方向の位置(水平又は水平に対して60°~0°の浅い角度)から照明することも可能である。画像取得は、高解像度カメラ、カメラ内蔵/装着型顕微鏡、又は画像チップとの直接接触(撮像部品なしの画像取得)によって行うことができる。画像取得は、照射された光の波長範囲で、かつ/又は放出された光が照射された光と異なる波長を有する場合は、(例えば、材料をアップコンバータ及び/又はダウンコンバータとして使用することによって)放出された光の1又は複数の波長で行われる。
【0326】
顕微鏡の場合、好ましくは、試料チャンバの部分的な画像が最初に取得され、次にそれらが組み合わされて画像処理プログラムを介して全体的な画像を形成する技術が使用される。観察及び/又は評価は、顕微鏡検査によって訓練を受けた担当者が行うこともできる。
【0327】
血液分析中、例えば、血液成分の特定の数及び/又は形状、例えば、鎌状赤血球の特定の形状及び/又は細胞内のDNAの存在及び/又は特定の血液成分の不在及び/又は異なる血液成分、特に血球の数の相互の比率が検出される。血液成分は、例えば、蛍光染料で染色することができる。
【0328】
次に、所望により、当業者に知られている方法に従って、異なる取得技術/照明からの画像を比較することによって、画像評価が行われる。
【0329】
評価結果は文書化され、分析結果としてアナログ形式又はデジタル形式で出力された。必要に応じて、結果は暗号化形式又は非暗号化形式で、特にネットワーク(ワイヤレス、有線)を介して、ローカルで利用可能な又はリモートのディスプレイデバイスに送信される。
【0330】
不完全に充填された分析チャンバ、微細構造のある部位、気泡は、対応する評価方法で検出され、評価において考慮される。
【0331】
分析が完了すると、マイクロ流体アレイは、マイクロ流体アレイに含まれる試料とともに適切に廃棄された。
【符号の説明】
【0332】
F 検査対象の流体
1 マイクロ流体アレイ
2 ベースプライ
3 ベース層
4 流路
9 カバープライ
10,10’ カバー層
11,11’ 第1の接着剤層
13e、13e’ 構造要素(隆起部)
13v 構造要素(窪み)
14,14’,14’’ 第1のワニス層
15,15’,15’’ 転写フィルム
17,17’ 転写プライ
20,20’ 第1のキャリアプライ
21 第1のキャリアフィルム
22 第1の剥離層
30 第1の領域
31 第2の領域
41 入口
42 出口
71 ホットスタンピングダイ
【国際調査報告】