(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】毛染めを行うシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A45D 44/02 20060101AFI20220705BHJP
A45D 44/00 20060101ALI20220705BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220705BHJP
【FI】
A45D44/02 Z
A45D44/00 A
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567897
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020032981
(87)【国際公開番号】W WO2020232300
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519007307
【氏名又は名称】クリックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ディー チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】マセド エム レイラニ
(72)【発明者】
【氏名】バック エル ハイディ
(72)【発明者】
【氏名】プレトナー エス ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ハレンボーグ シー エリック
(72)【発明者】
【氏名】ダレサンドロ ステュアート
(72)【発明者】
【氏名】チェファル ジャッキー
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
顧客の毛髪色を初期色から目標色に変更するために、顧客の毛髪をスキャンし、ヘアカラーを分配するシステムが開示されている。システムは、スキャン装置から測定された色を読み取る入力と、測定された色を所望の毛髪の目標色と比較し、顧客の毛髪色を所望の目標色に変更するための染めプロトコルを開発するように構成されたプロセッサと、プロトコルに従う1つ以上の製剤を分配するディスペンサとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の毛髪の色を測定するスキャン装置と、
前記スキャン装置から測定された色を読み取る第1の入力、
前記測定された色を所望の毛髪目標色と比較し、顧客の毛髪色を前記所望の目標色に変更するための染めプロトコルを開発するように構成されたプロセッサ、及び
前記プロトコルに従う1つ以上の製剤を分配するディスペンサを有する毛髪染料分配システムとを備えたシステム。
【請求項2】
前記スキャン装置は、測色計、スペクトル分析器、カメラ、ビデオカメラ、デジタル撮像装置、画像スキャナ、周波数情報の捕捉装置、及び光学スキャナのうちの1つ以上を備えた、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スキャン装置は、前記顧客の毛髪をスキャンし、毛髪のタイプ、毛髪の密度、毛髪の浸透性、毛髪の水分レベル、及びグレーのパーセンテージのうちの1つ以上を測定するように構成された、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ディスペンサによって分配された1つ以上の製剤によって生成された各毛髪色の測定値を含む明度値のライブラリを記憶するように構成されたメモリ回路をさらに備えた、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ライブラリは、前記ディスペンサによって分配された前記1つ以上の製剤によって生成される各毛髪色についての最大の明度値及び最小の明度値を含むルックアップテーブルを備えた、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記顧客の毛髪の色を測定することは、前記顧客の毛髪の明度を測定することを含み、前記スキャン装置から前記測定された色を読み取ることは、前記測定された明度を読み取ることを含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記測定された色を前記所望の毛髪目標色と比較することは、前記測定された明度を、前記ルックアップテーブル内の最小及び最大の明度値と比較して、前記測定された色を識別することを含む、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記毛髪染料分配システムは、ユーザインタフェース及びスキャン装置のうちの1つ以上から前記所望の毛髪目標色を受け取る第2の入力をさらに備えた、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記毛髪染料分配システムは、顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値を受信する第2の入力をさらに含み、前記プロセッサは、前記顧客の最終毛髪色と前記所望の毛髪目標色との間の差を識別するようにさらに構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記識別された差に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上の製剤を更新し、前記更新された1つ以上の製剤を前記顧客のプロファイル内で相関させるようにさらに構成された、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記色の測定値と、複数の顧客の毛髪の1つ以上の特性とを含むデータベースをさらに備え、
前記スキャン装置は、前記顧客の毛髪の1つ以上の特性を測定するようにさらに構成され、
前記第1の入力は、さらに、前記スキャン装置から、前記1つ以上の特性を読み取り、かつ前記スキャン装置、及び前記複数の顧客の毛髪の前記1つ以上の特性から、前記測定された色及び1つ以上の特性を読み取り、
前記プロセッサは、前記スキャン装置からの前記測定された1つ以上の特性と、前記複数の顧客の毛髪の前記1つ以上の特性との比較に基づいて、前記染めプロトコルを開発するように構成された、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の特性が、毛髪の健康、毛髪の色、毛髪のタイプ、毛髪の密度、毛髪の太さ、毛髪の浸透性、毛髪の水分レベル、毛髪のダメージ、毛髪に適用された以前の製剤、及び毛髪のグレーのパーセンテージのうちの1つ以上を含む、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記毛髪染料分配システムは、前記顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値を受信する第2の入力をさらに備え、
前記プロセッサは、前記顧客の最終毛髪色の前記受信された1つ以上の測定値を前記データベースに格納するようにさらに構成された、
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記毛髪染料分配システムは、前記顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値を受信する第2の入力をさらに備え、
前記プロセッサは、前記顧客の最終毛髪色の前記受信された1つ以上の測定値に基づいて前記データベースを更新するようにさらに構成された、
請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記データベースの更新に少なくとも部分的に基づいて、将来の染めプロトコルを開発するようにさらに構成された、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記将来の染めプロトコルを開発することは、前記顧客の毛髪の前記1つ以上の特性を補償するように、前記染めプロトコルと比較して前記将来の染めプロトコルを改善することを含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記顧客の毛髪の前記1つ以上の特性を補償することは、前記所望の毛髪目標色を考慮して、前記顧客の毛髪の前記1つ以上の特性を補償するように、前記将来の染めプロトコルをどのように開発するかを決定するモデルを適用することを含む、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記毛髪染料分配システムは、前記データベース又は別の毛髪染料分配システムのうちの1つ又は複数との通信を可能にするように構成されたネットワークインタフェースをさらに備える、
請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記毛髪染料分配システムは、第1のサロン内に配置され、他の毛髪染料分配システムは、前記第1のサロンとは異なり前記第1のサロンから離れた第2のサロン内に配置され、前記毛髪染料分配システムは、前記他の毛髪染料分配システムによってアクセスされる顧客プロファイルの顧客とは異なる顧客の顧客プロファイルにアクセスする、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサはさらに、前記顧客の顧客プロファイルを生成し、前記顧客プロファイルを前記データベースに格納するように構成され、前記顧客プロファイルは、測定された色、前記スキャン装置からの前記1つ以上の特性、前記所望の毛髪目標色、前記顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値、及び前記顧客の識別子を含む、
請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
顧客の毛髪の色を測定するスキャン装置と、
1つ以上のブランド又はラインの毛髪染料によって提供される毛髪の色に関連するスペクトル測定値のデータベースと、
装置ユーザインタフェースからの既知の調合物のための入力であって、前記既知の調合物が、複数の色項を含む入力、
スペクトル測定値の前記データベースにおいて、前記既知の調合物の1つ以上の前記色項に関連する1つ以上のスペクトル値を識別するように構成されたプロセッサ、及び
前記識別がされたスペクトル測定値に基づいて、前記既知の調合物に関連する毛髪の色を表示するディスプレイを有し、前記ディスプレイは、前記スキャン装置によって測定された前記顧客の毛髪の色に前記既知の調合物を適用することによって、前記毛髪の色を表示する毛髪染料分配システムとを備えたシステム。
【請求項22】
前記スキャン装置が、測色計、スペクトル分析器、カメラ、ビデオカメラ、デジタル撮像装置、画像スキャナ、周波数情報の捕捉装置、及び光学スキャナのうちの1つ以上を備えた、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記スキャン装置は、前記顧客の毛髪をスキャンし、毛髪のタイプ、毛髪の密度、毛髪の浸透性、毛髪の水分レベル、及びグレーのパーセンテージのうちの1つ以上を測定するように構成された、
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
スペクトル測定値の前記データベースは、色及び色特性のルックアップテーブルを含み、
前記既知の調合物のための入力は、色調合物又は色名のうちの1つを含み、
前記プロセッサは、前記入力を前記ルックアップテーブルに適用することから識別された濃度に基づいて、表示するための前記毛髪の色を生成するようにさらに構成された、
請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
スペクトル測定値の前記データベースは、色及び色特性のルックアップテーブルを含み、
前記既知の調合物のための入力は、色調合物又は色名のうちの1つを含み、
前記プロセッサは、前記入力を前記ルックアップテーブルに適用することから識別された濃度に基づいて、表示するための前記毛髪の色を生成するようにさらに構成された、
請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
顧客の毛髪の色を測定するスキャン装置と、
1つ以上のブランド又はラインの毛髪染料によって提供される毛髪の色に関連するスペクトル測定値のデータベースと、
前記スキャン装置から測定された色を読み取る入力、
前記測定された色をスペクトル測定値のデータベースと比較し、顧客の毛髪色を前記測定された色に変更するための染めプロトコルを識別するように構成されたプロセッサ、及び
前記識別がされたプロトコルに従う1つ以上の製剤を分配するディスペンサを有する毛髪染料分配システムとを備えたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年5月15日に出願された米国仮出願第62/848,471号(発明の名称:「毛染めを行う電子システム」)、2019年5月15日に出願された米国仮出願第62/848,504号(発明の名称:「毛染めを行うシステム及び方法」)、2019年5月15日に出願された米国仮出願第62/848,438号(発明の名称:「毛髪の色を表示するシステム及び方法」)、及び2019年5月15日に出願された米国仮出願第62/848,498号(発明の名称:「毛髪の色を適用するシステム及び方法」)の優先権の利益を主張する。これらの出願の各々の開示は、全ての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
毛染め組成物は、人の毛髪を染めるために使用される。カラーサービスはサロン産業において収益性の高い領域であり、サロンを運営するコスト構造のかなりの部分を占め得る。毛染め組成物を作製するために使用される成分は一般に、チューブ又はボトル等の容器内に別々に分配され、スタイリストが顧客ごとにカスタムブレンドを作製することを可能にする。さらに、毛染め組成物の成分はそれらの使用寿命を延ばし、一緒に組み合わせた場合に起こり得る有害な化学反応を回避するために、別々に提供される。
【0003】
毛染めは複雑なプロセスである。顧客の毛髪を染めるとき、スタイリストは顧客の毛髪の開始色を決定し、毛髪の目標色に到達するために顧客の毛髪にどのカラーリング化学薬品を適用するかを決定することができる。スタイリストが顧客の開始毛髪色をどれだけ上手に識別したかに基づいて、カラーリング化学薬品の適用が、前記所望の毛髪の目標色をもたらしたり、又は劇的に異なる結果をもたらし得る。例えば、異なるスタイリストがどのように顧客の開始毛髪色を識別するかの違いが、カラーリング化学薬品の結果が前記所望の毛髪の目標色であるか、又は別の毛髪色であるかに影響を及ぼし得る。
【0004】
さらに、何人かのスタイリストは、所望の毛髪の目標色のためのカスタム毛染め組成物に適切な色配合比を得るために、成分を選択及び混合するために必要とされる知識及び技能を欠いている。これらの誤り、混合の不正確さ、不一致、及び「やり直し」は、より多くの無駄を助長する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のシステム、方法及び装置はそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、それらのうちの1つだけが、本明細書で開示される望ましい属性に単独で責任を負うわけではない。
【0006】
本開示に記載される主題の1つの革新的な態様は、毛染めを行うためのシステムにおいて実施され得る。このシステムは、顧客の毛髪の色を測定するスキャン装置と、毛髪染料分配システムとを含む。前記毛髪染料分配システムは、前記スキャン装置から測定された色を読み取る第1の入力と、測定された色を所望の毛髪目標色と比較し、顧客の毛髪色を前記所望の目標色に変更するための染めプロトコルを開発するように構成されたプロセッサと、前記プロトコルに従う1つ以上の製剤を分配するディスペンサとを有する。
【0007】
いくつかの態様では、前記スキャン装置が、測色計、スペクトル分析器、カメラ、ビデオカメラ、デジタル撮像装置、画像スキャナ、周波数情報の捕捉装置、及び光学スキャナのうちの1つ以上を備える。いくつかの態様では、前記スキャン装置は、前記顧客の毛髪をスキャンし、毛髪のタイプ、毛髪の密度、毛髪の浸透性(気孔率)、毛髪の水分レベル、及びグレーのパーセンテージのうちの1つ以上を測定するように構成される。
【0008】
いくつかの態様では、前記システムが、前記ディスペンサによって分配された1つ以上の製剤によって生成された各毛髪色の測定値を含む明度値のライブラリを記憶するように構成されたメモリ回路をさらに備える。いくつかの態様では、前記ライブラリは、前記ディスペンサによって分配された前記1つ以上の製剤によって生成される各毛髪色についての最大の明度値及び最小の明度値を含むルックアップテーブルを備える。いくつかの態様では、前記顧客の毛髪の色を測定することが、前記顧客の毛髪の明度を測定することを含み、前記スキャン装置から前記測定された色を読み取ることが、前記測定された明度を読み取ることを含む。いくつかの態様では、前記測定された色を前記所望の毛髪目標色と比較することが、前記測定された明度を、前記ルックアップテーブル内の最小及び最大の明度値と比較して、前記測定された色を識別することを含む。
【0009】
いくつかの態様では、前記毛髪染料分配システムが、ユーザインタフェース及びスキャン装置のうちの1つ以上から所望の目標毛髪色を受け取る第2の入力をさらに備える。いくつかの態様では、前記毛髪染料分配システムは、顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値を受信する第2の入力をさらに含み、前記プロセッサは、前記顧客の最終毛髪色と前記所望の毛髪目標色との間の差を識別するようにさらに構成される。いくつかの態様では、前記プロセッサは、前記識別された差に少なくとも部分的に基づいて前記1つ以上の製剤を更新し、前記更新された1つ以上の製剤を前記顧客のプロファイル内で相関させるようにさらに構成される。
【0010】
いくつかの態様では、前記システムが、前記色の測定値と、複数の顧客の毛髪の1つ以上の特性とを含むデータベースをさらに備える。前記スキャン装置は、前記顧客の毛髪の1つ以上の特性を測定するようにさらに構成され、前記第1の入力は、前記スキャン装置から、前記1つ以上の特性を読み取り、かつ前記スキャン装置、及び前記複数の顧客の毛髪の前記1つ以上の特性から、前記測定された色及び1つ以上の特性を読み取り、前記プロセッサは、前記スキャン装置からの前記測定された1つ以上の特性と、前記複数の顧客の毛髪の前記1つ以上の特性との比較に基づいて、前記染めプロトコルを開発するように構成される。いくつかの態様では、前記1つ以上の特性が、毛髪の健康、毛髪の色、毛髪のタイプ、毛髪の密度、毛髪の太さ、毛髪の浸透性、毛髪の水分レベル、毛髪のダメージ、毛髪に適用された以前の製剤、及び毛髪のグレーのパーセンテージのうちの1つ以上を含む。いくつかの態様では、前記毛髪染料分配システムが、前記顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値を受信する第2の入力をさらに備え、前記プロセッサは、前記顧客の最終毛髪色の前記受信された1つ以上の測定値を前記データベースに格納するようにさらに構成される。いくつかの態様では、前記毛髪染料分配システムは、前記顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値を受信する第2の入力をさらに備え、前記プロセッサは、前記顧客の最終毛髪色の前記受信された1つ以上の測定値に基づいて前記データベースを更新するようにさらに構成される。いくつかの態様では、前記プロセッサは、前記データベースの更新に少なくとも部分的に基づいて、将来の染めプロトコルを開発するようにさらに構成される。いくつかの態様では、前記将来の染めプロトコルを開発することは、前記顧客の毛髪の前記1つ以上の特性を補償するように、前記染めプロトコルと比較して前記将来の染めプロトコルを改善することを含む。いくつかの態様では、前記顧客の毛髪の前記1つ以上の特性を補償することは、前記所望の毛髪目標色を考慮して、前記顧客の毛髪の前記1つ以上の特性を補償するように、前記将来の染めプロトコルをどのように開発するかを決定するモデルを適用することを含む。いくつかの態様では、前記毛髪染料分配システムが、前記データベース又は別の毛髪染料分配システムのうちの1つ又は複数との通信を可能にするように構成されたネットワークインタフェースをさらに備える。いくつかの態様では、前記毛髪染料分配システムは、第1のサロン内に配置され、他の毛髪染料分配システムは、前記第1のサロンとは異なり前記第1のサロンから離れた第2のサロン内に配置され、前記毛髪染料分配システムは、前記他の毛髪染料分配システムによってアクセスされる顧客プロファイルの顧客とは異なる顧客の顧客プロファイルにアクセスする。いくつかの態様では、前記プロセッサはさらに、前記顧客の顧客プロファイルを生成し、前記顧客プロファイルを前記データベースに格納するように構成され、前記顧客プロファイルは、測定された色、前記スキャン装置からの前記1つ以上の特性、前記所望の毛髪目標色、前記顧客の最終毛髪色の1つ以上の測定値、及び前記顧客の識別子を含む。
【0011】
別の態様では、毛染めを行うためのもう1つのシステムが開示される。その他方のシステムは、顧客の毛髪の色を測定するスキャン装置と、1つ以上のブランド又はラインの毛髪染料によって提供される毛髪の色に関連するスペクトル測定値のデータベースと、毛髪染料分配システムとを備える。毛髪染料分配システムは、装置ユーザインタフェースからの既知の調合物のための入力であって、前記既知の調合物が、複数の色項を含む入力、スペクトル測定値の前記データベースにおいて、前記既知の調合物の1つ以上の前記色項に関連する1つ以上のスペクトル値を識別するように構成されたプロセッサ、及び前記識別がされたスペクトル測定値に基づいて、前記既知の調合物に関連する毛髪の色を表示するディスプレイを有し、前記ディスプレイは、前記スキャン装置によって測定された前記顧客の毛髪の色に前記既知の調合物を適用することによって、前記毛髪の色を表示する。
【0012】
いくつかの態様では、前記スキャン装置が、測色計、スペクトル分析器、カメラ、ビデオカメラ、デジタル撮像装置、画像スキャナ、周波数情報の捕捉装置、及び光学スキャナのうちの1つ以上を備える。いくつかの態様では、前記スキャン装置が、前記顧客の毛髪をスキャンし、毛髪のタイプ、毛髪の密度、毛髪の浸透性、毛髪の水分レベル、及びグレーのパーセンテージのうちの1つ以上を測定するように構成される。いくつかの態様では、スペクトル測定値の前記データベースは、色及び色特性のルックアップテーブルを含み、前記既知の調合物のための入力は、色調合物又は色名のうちの1つを含み、前記プロセッサは、前記入力を前記ルックアップテーブルに適用することから識別された濃度に基づいて、表示するための前記毛髪の色を生成するようにさらに構成される。いくつかの態様では、スペクトル測定値の前記データベースは、色及び色特性のルックアップテーブルを含み、前記既知の調合物のための入力は、色調合物又は色名のうちの1つを含み、前記プロセッサは、前記入力を前記ルックアップテーブルに適用することから識別された濃度に基づいて、表示するための前記毛髪の色を生成するようにさらに構成される。
【0013】
別の態様では、毛染めを行うためのシステムが開示される。このシステムは、顧客の毛髪の色を測定するスキャン装置と、1つ以上のブランド又はラインの毛髪染料によって提供される毛髪の色に関連するスペクトル測定値のデータベースと、毛髪染料分配システムとを備える。いくつかの態様では、毛髪染料分配システムは、前記スキャン装置から測定された色を読み取る入力、前記測定された色をスペクトル測定値のデータベースと比較し、顧客の毛髪色を前記測定された色に変更するための染めプロトコルを識別するように構成されたプロセッサ、及び前記識別がされたプロトコルに従う1つ以上の製剤を分配するディスペンサを有する。
【0014】
いくつかの態様では、上述のシステムのうちのいずれかの1つ以上の態様が、任意の他のシステム又は態様と統合されるか、又は対応する方法に組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態に係る、染料分配装置を組み込んだ染料分配システム環境の簡略化された概略図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態に係る、
図1の染料分配システムに関与するコンピューティングシステムの例示的な構成要素のブロック図を示す。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態に係る、
図1に示される染料分配装置の内部の部分斜視図である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態に係る、染料製剤を調製するための方法において使用される構成要素の簡略化された概略図を示す。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態に係る、
図1の染料分配装置の正面図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態に係る、
図1の複数の染料分配システム環境のネットワーク図である。
【
図7】
図7は、毛染めサービスを自動化するアプリケーションの例示的な顧客リストビューを示す顧客記録保持システムのスクリーンショットである。
【
図8】
図8は、例えば、
図7に示す画面を介してアクセスされる、新しい顧客情報入力画面のスクリーンショットである。
【
図9】
図9~11は、顧客の毛髪プロファイル及びコンサルテーション情報を生成及び/又は更新するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図10】
図9~11は、顧客の毛髪プロファイル及びコンサルテーション情報を生成及び/又は更新するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図11】
図9~11は、顧客の毛髪プロファイル及びコンサルテーション情報を生成及び/又は更新するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図12】
図12~16は、顧客用のカラーアプリケーションを生成又は準備するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図13】
図12~16は、顧客用のカラーアプリケーションを生成又は準備するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図14】
図12~16は、顧客用のカラーアプリケーションを生成又は準備するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図15】
図12~16は、顧客用のカラーアプリケーションを生成又は準備するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図16】
図12~16は、顧客用のカラーアプリケーションを生成又は準備するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図17】
図17~19は、顧客用のカラーアプリケーションの分配を追跡するためのスクリーンショットを示す。
【
図18】
図17~19は、顧客用のカラーアプリケーションの分配を追跡するためのスクリーンショットを示す。
【
図19】
図17~19は、顧客用のカラーアプリケーションの分配を追跡するためのスクリーンショットを示す。
【
図20】
図20~24は、顧客の毛髪及び関連するアプリケーションに分配された色のアプリケーション、及び/又はリンスタイマーを追跡するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図21】
図20~24は、顧客の毛髪及び関連するアプリケーションに分配された色のアプリケーション、及び/又はリンスタイマーを追跡するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図22】
図20~24は、顧客の毛髪及び関連するアプリケーションに分配された色のアプリケーション、及び/又はリンスタイマーを追跡するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図23】
図20~24は、顧客の毛髪及び関連するアプリケーションに分配された色のアプリケーション、及び/又はリンスタイマーを追跡するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図24】
図20~24は、顧客の毛髪及び関連するアプリケーションに分配された色のアプリケーション、及び/又はリンスタイマーを追跡するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図25】
図25は、顧客の毛髪へのアプリケーション等の顧客履歴の画面のスクリーンショットを示す。
【
図26】
図26~28は、顧客の毛髪へのアプリケーション用の新しい色を生成するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図27】
図26~28は、顧客の毛髪へのアプリケーション用の新しい色を生成するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図28】
図26~28は、顧客の毛髪へのアプリケーション用の新しい色を生成するための画面のスクリーンショットを示す。
【
図29】
図29は、顧客のためにカラーアプリケーションを選択できる画面を示す。
【
図30】
図30~32は、利用可能な色変換ツールの画面を示す。
【
図31】
図30~32は、利用可能な色変換ツールの画面を示す。
【
図32】
図30~32は、利用可能な色変換ツールの画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、開示された発明の実施形態を詳細に参照し、その1つ又は複数の例を添付の図面に示す。なお、各実施例は本技術を説明するためのものであり、本技術を限定するものではない。実際、本技術の範囲から逸脱することなく、本技術に修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために別の実施形態と共に使用されてもよい。したがって、本主題は、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内のすべてのそのような修正及び変形を包含することが意図される。
【0017】
本発明の実施形態は、電子装置を使用して顧客の毛髪の現在の色を測定し、次いで、その情報を使用して、顧客の現在の毛髪の色を所望の色に変化させる毛髪染料組成物を正確に提供するためのシステム及びプロセスに関する。知られているように、新しい毛髪色を望む顧客は、サロンに入るときに特定の毛髪の目標色を念頭に置くことができる。しかしながら、スタイリストにとって、顧客の現在の毛髪色を所望の色に変更する方法を知ることは、時には課題となり得る。本明細書に記載されるシステム及び方法は、顧客の現在の毛髪色を測定するデバイスを使用し、次いで、所望の毛髪の目標色に到達するように顧客の毛髪上に置くための適切な組成物を決定するための命令を実行してもよい。
【0018】
一実施形態では、顧客の現在の毛髪色を測定するための装置が、毛髪によって反射された原色のレベルの測定値を返すために毛髪に対してスペクトル分析を実行するハンドヘルドの測色計装置であってもよい。しかしながら、顧客の毛髪色を測定する他の装置も考えられる。例えば、一実施形態では、スタイリストが顧客の毛髪の高解像度写真を撮り、デジタル画像内の色の分析を実行することができる。別の実施形態では、スタイリストが複数の写真又はビデオを撮り、顧客の現在の毛髪色の分析のためにそのデータをシステムに供給することができる。顧客の現在の毛髪色の開始レベルが測定され、スタイリストが所望の目標色が何であるかについて顧客に相談すると、スタイリストは、その所望の色をシステムに入力することができる。一実施形態では、所望の色、色相、又は他の色情報を入力することによって、毛髪の目標色をシステムに入力することができる。別の実施形態では、所望の目標色がパントン(Pantone)番号をシステムに入力することによって取り込まれてもよい。別の実施形態では、目標色が雑誌又は他のソースに印刷された毛髪色の既存の写真又は画像から取り込まれてもよい。例えば、スタイリストはファッション雑誌において顧客が見た毛髪色のデジタル写真を撮ることができ、雑誌において見たのと同じ色を顧客が得ることができるように、システムは目標色としてその取り込まれた色を使用することができる。
【0019】
取り込まれた開始色及び目標色の情報を使用して、システムは、顧客からの他の情報と共にその情報を処理して、顧客の毛髪色を変更するための適切なプロセスを決定することができる。一実施形態では、スタイリストが顧客の毛髪の現在の状態に関する補助情報も収集するであろう。例えば、スタイリストは、乾燥度、太さ、全体的な毛髪の健康状態、及び毛髪の目標色に到達するための正しいプロトコルを決定するためにシステムによって使用され得る他の測定の測定値を収集し得る。いくつかの実施形態では、システムが、毛髪の先端と比較して異なる毛根のための組成物及び処理を含む一連のカラーアプリケーションを含むプロトコルを提案するであろう。いくつかの実施形態では、システムが、初期段階としてブリーチで毛髪を予め明るくすることを提案するかもしれない。システムは、最終結果が所望の毛髪の目標色になるように、提案された配合及び処理を伴うプロセスを通してスタイリストを案内する。
【0020】
スタイリストが、システムによって提案された配合物及び処理を適用すると、スタイリストはハンドヘルドのセンサを用いて(又は本明細書に記載の方法のいずれかを使用して)「後」の測定セットを行い、顧客の新しい毛髪色が所望の目標色にどれほど近いかを決定することができる。システムはこの結果を記録し、染めセッションから収集されたデータを使用して、そのプロセス及びカラーリング計算を更新し、将来の精度を改善するための色及び手順を提供することができる。各顧客の毛髪は異なるので、最終結果は、毛髪の健康状態、太さ、浸透性、グレーの範囲、ダメージ、以前の処理等に応じて大変異なる可能性がある。いくつかの実施形態ではこれらのデータ項目のすべてもセッション中にスタイリストによって収集され、その結果、システムはプロセス及び色の適切な決定を行って、各個々の顧客のための製剤及びカスタマイズされた処理を継続的に改善することができる。
【0021】
本明細書に記載される染料分配装置、システム、及び方法は、比較的多数(例えば、約16,000,000)の独特のカラー製剤を生成する能力と、コンピュータ制御された精密分配を伴う一連の任意の処理とを伴って、毛染め用の染料を分配する。独特のカラー製剤は、熟練の化学者によって作り出され、工場等で遠隔で大きなバッチで製造され、次いで、リサイクル可能で、再充填可能で、かつ再使用可能なキャニスタに包装されてもよい。染料分配装置、システム及び方法は、分配されるカラー製剤の大部分を構成できる「ベーストーン」又は「ベースレベル」、特定の色の高濃度染料である「ピュアトーン」又は「トーン値」、及び異なる強度の過酸化物及びブリーチである可能性がある「顕色剤」等の染料をキャニスタから分配できる。これらの成分を組み合わせると、独特の色調合物が生成される。キャニスタ内の染料は、永久染料、半永久染料、非永久染料、ブリーチ/ライトナ-、カラーリフレッシャー、テンポラリー、トナー又は顕色剤で構成できる。別の実施形態では、顕色剤がキャニスタ内に供給されず、又は染料分配装置によって分配されず、従来の容器内に供給される。キャニスタは、キャニスタ内のほぼ全ての染料が汚染されることなく分配されることを可能にする内部弁を備えて構成される。システムはまた、在庫管理及び通信の機能を含む。
【0022】
染料分配装置又はシステムは、例えば、ネットワーク又は中央サーバ(例えば、クラウドベースのアプリケーション、スタンドアロンのサーバデバイス等)を介して、又は直接接続を介して、データキャプチャ及び化学製剤システムと統合できる。次に、統合は、キャニスタの自動化された直接補充出荷を開始することによって、在庫管理を自動化できる。染料分配システムは、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、又はウェブブラウザ等のモバイル装置上の制御パネル又はアプリケーションを使用して、スタイリストによって操作されてもよい。コマンドはオンラインサーバ上で動作するソフトウェアから、又は中央サーバからシステムに送信できる。
【0023】
いくつかの実施形態では、染料製剤は、少なくとも1つの染料及び染料の量を特定する。いくつかの実施形態では、コントローラが内部データベース、外部データベース、又はユーザによる入力から染料製剤にアクセスする。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキャニスタが少なくとも1つの開口部内で支持される。いくつかの実施形態では、トレイが最大50個のキャニスタを保持するように構成される。いくつかの実施形態では、装置が光学センサをさらに含む。光センサは、少なくとも1つのキャニスタの位置を検出する。
【0024】
いくつかの実施形態では、キャニスタが弁と、ノズルと、染料とを含む。選択されたキャニスタに下向きの力が加えられると、弁が開き、染料がノズルを通して分配される。
【0025】
いくつかの実施形態では、装置が、第2のアクチュエータに接続されて第2の突起を備えるように構成された第2のレバーアームを有する第2のディスペンサをさらに含む。選択されたキャニスタが分配領域に位置合わせされると、第2のディスペンサは、選択されたキャニスタに下向きの力を加え、選択された染料を分配する。
【0026】
いくつかの実施形態では、装置がコントローラと通信する計器をさらに含む。計器は選択された染料の分配量を測定し、ディスペンサは、選択された染料の分配量が少なくとも1つの染料についての染料製剤における染料の量と等しいとき、分配を停止する。本方法のいくつかの実施形態では、本方法が、選択された染料の分配量を測定する計器をさらに含む。ディスペンサは、選択された染料の分配量が少なくとも1つの染料についての染料製剤における染料の量と等しいとき、分配を停止する。少なくとも1つの染料の各々についての測定及び停止のステップは、染料製剤が完成するまで繰り返される。
【0027】
いくつかの実施形態では、選択されたキャニスタの分配領域との位置合わせが駆動機構によって行われる。駆動機構は、トレイを回転させるように構成される。いくつかの実施形態では、装置が延長部を有するシャフトをさらに含み、ディスペンサは延長部に連結される。選択されたキャニスタと分配領域との位置合わせは、駆動機構によって行われる。駆動機構は、トレイが静止している間にシャフトを回転させるように構成されている。いくつかの実施形態では、装置が少なくとも1つのカートを有するトレイに連結されたトラックをさらに含む。カートは、少なくとも1つのキャニスタを保持するように構成される。選択されたキャニスタと分配領域との位置合わせは、駆動機構によって行われる。駆動機構は、トラックに沿ってカートを運ぶように構成される。
【0028】
図1は、いくつかの実施形態に係る染料分配装置100を組み込んだ染料分配システム110環境の簡略化された概略図である。染料分配装置100は、金属、プラスチック、複合材料、又はそれらの組み合わせから作られたハウジング102を有する。装置100が壁に取り付けられるか、カウンタートップに固定されるか、カートに取り付けられるか、又は複数の装置100が連結されることを可能にするために、ハウジング102には、取り付け穴を設けてもよい。キャニスタの装填及び取り外し、又は生じ得るあらゆる大事な事柄の解決等のために、ハウジング102の内側にアクセスできるように、ドア104は、ハウジング102の上部領域(図示されるように)又はハウジング102の側壁に配置できる。ドア104は、錠のオプションを有してもよい。スクリーン又はディスプレイを有するパネル106は、装置100又は分配システム全体との通信のための入力を入力するために、又は情報センターとして役に立つように使用され得る。例えば、パネル106は、電力モード、ログイン機能、分配のための待ち行列、及びシステムメッセージを表示できる。毛髪の色又は染料は、ハウジング102の下部領域に配置された隠れた所のような分配領域108に分配されてもよい。
【0029】
装置100は、ネットワーク114を介して1つ又は複数のモバイル装置112と通信してもよい。いくつかの実施形態では、装置100がコントローラ116を含む。コントローラ116は、ハウジング102内に収容されるか、又は装置100から遠く離れて配置され、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN: wide area network)、ローカルエリアネットワーク(LAN: local area network)等のネットワーク114を介してシステム110と通信してもよい。したがって、コントローラ116は、装置100に組み込まれたマイクロ制御ユニット、別個のスタンドアロンのリモートコントローラ又はコンピュータ、クラウドベースのアプリケーション、又は他の適切な装置又は装置の組み合わせであってもよい。コントローラ116は、1つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)又はプロセッサボード、コンピュータディスプレイ、タッチスクリーン、及びインタフェースハードウェアを含むことができる。通信又は送信は、有線又は無線(又はそれらのハイブリッド結合)であってもよく、Wi-Fiシステム、Bluetooth(登録商標)無線技術、イーサネット(登録商標)、ルータ、セルラ方式通信、衛星通信等を介して達成されてもよい。このシステムは、Wi-Fiハブとして機能することが可能であってもよい。様々な実施形態では、コントローラ116がラップトップ、コンピュータ、又はタブレットもしくは携帯電話等のモバイル装置である。別の実施形態では、コントローラ116がラップトップ、コンピュータ、タブレット、又はモバイル装置112として構成される場合等、ユーザインタフェースは、コントローラ116の一部であってもよく、装置100又はシステム110との通信のための入力を入力するために、又は情報センターとして使用することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、システム110はまた、光学又は同様のスキャナ111を含む。いくつかの実施形態では、スキャナ111が、顧客の毛髪のスキャン又は画像から顧客の毛髪に関する情報を取り込む任意の光学又は他のスキャン又は画像化の装置を備える。いくつかの実施形態では、スキャナ111がデジタル撮像装置(例えば、カメラ又はスキャナ装置)又はハンドヘルドのカラースキャナを備えるかもしれない。スキャナ111は顧客の毛髪をスキャンし、色、タイプ、密度、浸透性、グレーのパーセンテージ、水分レベル等を含むがこれらに限定されない、顧客の毛髪の1つ又は複数の特性を決定するかもしれない。スキャナ111は、決定された毛髪の特性を別の装置、例えば、モバイル装置112又はコントローラ116にネットワーク114を介して伝達するかもしれない。
【0031】
スキャナ111は、ほとんどのスタイリストの視力と比較して、はるかに正確な毛髪色レベル及び/又はテクスチャ状態を決定するために使用され得る。スキャナ111からの顧客の毛髪の毛髪色レベル及び/又はテクスチャ状態は、記憶された情報のデータベースに適用されるように、記録され、1つ又は複数のアルゴリズム、モデル、ニューラルネットワーク、分析を使用して、(同じ顧客又は異なる顧客の)以前の処理からの他のデータと比較され得る。スキャナ111からの情報は、また、カラーサービス全体の各ステップの前、間、及び後に読み取り可能にすることによって、スタイリストを染料製剤のアプリケーション全体を通して案内するのを助けるために、着実なプロセス中に利用され得る。染料製剤のアプリケーション前に取得されたスキャナ111からの情報は、目標色に到達するために、顧客の毛髪が色空間内を(初期の毛髪色から)どの程度通過して暗くされるか、又は明るくされる必要があるかをスタイリストが決定するのを助けることができる。染料製剤のアプリケーション中に、スキャナ111を使用して読み取りを行うことは、顧客の毛髪の現在の状態(例えば、毛髪色、テクスチャ等)が何であるかを、はるかに正確な方法で決定するのに役立つことができる。測定は、顧客の毛髪を、色及び/又はテクスチャの空間内における最適な次の位置(例えば、毛髪の目標色を得るために提供する最良の位置)に移動させるために、顧客の毛髪にどのような次の最良の染料製剤を適用するかを通知又は命令することができる。読み取り後(例えば、染料製剤が完全に適用された後の顧客の毛髪の測定)は目標レベルに到達したかどうかを確認し、それらの結果は、以前の処理、完了した結果、及び/又は顧客情報及び/又は毛髪特性のデータベースに保存される。
【0032】
染料の配合処方は、少なくとも1つの染料及び染料の量を特定する。これは、顧客に実行されるカラーサービスのための毛染め組成物を生成するためのレシピであってもよい。染料の配合処方は、内部データベース、外部データベース、又はユーザによる入力からのデータ117を含んでもよい。
【0033】
ネットワーク114を介して、要求、コマンド、応答及びデータが送信され得る。装置100及びシステム110は、内部IPアドレスのDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)割り当てをサポートしてもよく、入力に応答してネットワーク114を介して通信を開始してもよい。ネットワーク114は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)又はHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)のようなイーサネット及びインターネットプロトコルと、これらのトランザクションのためのHTML(Hyper Text Markup Language)、JSON(JavaScript Object Notation)又はXML(Extensible Markup Language)のようなデータフォーマットとを利用することができる。様々な実施形態では、これらの通信は、ユーザインタフェースのインタラクション、定期的な装置100のタイムアウト、キャニスタが挿入又は取り外されるなどのシステム110のイベント、又は分配シーケンスの完了を含むことができる。装置100とコントローラ116との間の通信は、ネットワーク114を介する直接又は独立したアクセスチャネルを介して行うことができる。一次ネットワーク接続が利用不可能になった場合、GPS(Global Positioning System)座標を報告し、通信動作をサポートできるバックアップシステムを使用できる。
【0034】
別の実施形態では、サロン等の1つのサイト、又は複数のサイトに配置された複数の染料分配システム110を、ネットワーク114を介して一緒につなぐことができる。各分配装置100を接続し、データを収集し、コマンドを複数の染料分配システム110に分配するハブとして動作する1つの中央コントローラ116又はサーバがあってもよい。中央コントローラ116は、データ、情報又はコマンドを受信及び送信することができる。このようにネットワーク114を提供することにより、高品質の顧客サービス及びカラー製剤分析が可能になる。
【0035】
図2は、例示的な実施形態に係る、
図1の染料分配システム110に関与するコンピューティングシステム200の例示的な構成要素のブロック図を示す。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム200が染料分配システム110と一体化されるか、又はその内部に組み込まれる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム200は、染料分配システム100の外にあり、例えば遠隔サーバとして染料分配システム100によって遠隔からアクセス可能である。本明細書での議論のために、コンピューティングシステム200は、染料分配システム110の一部であると仮定される。コンピューティングシステム200は例えば、1つ又は複数のモバイル装置112、コントローラ116、装置100、スキャナ111等によって、又はこれらとともに利用され得る。コンピューティングデバイス及びシステムは例えば、IBM(International Business Machines Corporation)、マッキントッシュ、又はLinux/Unix互換であるコンピューティングデバイス又はシステム、又は端末又はワークステーションを含む。一実施形態ではコンピューティングシステム200が1つ又は複数の中央処理装置(「CPU」)205を含み、それはそれぞれ従来の又は独自のマイクロプロセッサを含むことができる。いくつかの実施形態では、CPU205がデータストアに格納されたデータの様々な計算、関連付け等を実行できる。したがって、CPU205は、コンピューティングシステム200がデータストアの情報を処理し、他のデバイスに向けて、及び他のデバイスとの間で伝送するための情報を生成するのを可能にできる。コンピューティングシステム200は、情報を一時的に格納するためのランダムアクセスメモリ(「RAM」:random access memory)等の1つ又は複数のメモリ232と、情報を永続的に格納するための1つ又は複数の読み出し専用メモリ(「ROM」:read only memory)と、ハードドライブ、ディスケット、ソリッドステートドライブ、又は光学式メディアストレージデバイス等の1つ又は複数の大容量ストレージデバイス222とをさらに含む。通常、コンピューティングシステム200の構成要素は標準ベースのバスシステム290を使用してコンピュータに接続される。異なる実施形態において、標準ベースのバスシステム290は、例えば、PCI(Peripheral Component Interconnect)、マイクロチャネル、SCSI(Small computer System Interface)、ISA(Industrial Standard Architecture)、EISA(Extended ISA)、及びネットワーク化されたアーキテクチャに実装され得る。さらに、コンピューティングシステム200の構成要素及びモジュールに提供される機能は、
図2に示されるものよりも少ない構成要素及びモジュールに結合されるか、又は追加の構成要素及びモジュールにさらに分離されてもよい。
【0036】
コンピューティングシステム200は、一般に、Windows XP、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 10、Windows Server、Unix、Linux、SunOS、Solaris、iOS、Blackberry OS、又は他の互換性のあるオペレーティングシステム等のオペレーティングシステムソフトウェアによって制御及び調整される。マッキントッシュシステムでは、オペレーティングシステムをMAC OS X等、使用可能な任意のオペレーティングシステムとすることができる。他の実施形態では、コンピューティングシステム200を独自のオペレーティングシステムによって制御することができる。従来のオペレーティングシステムは、実行のためのコンピュータプロセスを制御し、スケジューリングし、メモリ管理を実行し、ファイルシステム、ネットワーキング、入出力サービスを提供し、特にグラフィカルユーザインタフェース等のユーザインタフェースを提供する。
【0037】
例示的なコンピューティングシステム200は、キーボード、マウス、タッチパッド、及びプリンタ等、1つ又は複数の一般に入手可能な入出力(I/O)装置及びインタフェース212を含むことができる。一実施形態では、入出力装置及びインタフェース212が、ユーザへのデータの視覚的な提示を可能にする、モニター、表示画面、又は同様の表示コンポーネント等の1つ以上の表示装置を含む。より詳細には、表示装置が例えば、ユーザインタフェース又はGUI(graphical user interface)、アプリケーションソフトウェアデータ、及びマルチメディアプレゼンテーションの提示を提供する。コンピューティングシステム200は例えば、スピーカ、ビデオカード、グラフィックスアクセラレータ、及びマイクロフォン等の1つ又は複数のマルチメディアデバイスを含むこともできる。
【0038】
いくつかの実施形態では、入出力装置及びインタフェース212が様々な外部装置への通信インタフェースを提供する。ある実施形態では、コンピューティングシステム200が、1つ以上のネットワーク装置214を介して、有線、無線、又は有線と無線の組合せの通信リンクを介して、1つ以上のネットワークに電子的に結合され、このネットワークは例えば、LAN、WAN、及び/又はインターネットの1つ以上を含む。例えば、コンピューティングシステム200は、ネットワーク装置214を使用する有線又は無線接続を介して
図1のネットワーク114に電子的に結合される。ネットワーク装置214を使用して、コンピューティングシステム200は、有線又は無線通信リンクを介して、様々なコンピューティングデバイス及び/又は他の電子装置とネットワークを介して通信できる。いくつかの実施形態では、ネットワーク装置214が、1つのコンピューティングシステム200(例えば、装置100)が別のコンピューティングシステム200(例えば、コントローラ116、又は1つ以上のモバイル装置112、又は
図1には示されていないデータベース)と通信することを可能にする。さらに、又は代替として、ネットワーキング装置214は、スキャナ111がシステム110に示される別のコンピューティングシステム200と通信することを可能にし得る。そのような通信を介して、顧客及び/又はスタイリストは例えば、装置100の1つ又は複数のモバイル装置112又はパネル106上で、スキャンされた毛髪色及び対応する毛髪の特性(浸透性、密度、水分含有量、毛髪のグレーの範囲のパーセンテージ等)を閲覧できる。いくつかの実施形態において、顧客及び/又はスタイリストは例えば、メモリ232又は大容量ストレージデバイス222に保存される顧客のプロファイルの一部として、スキャンされた情報を顧客と関連付けて保存することができる。
【0039】
ある実施形態では、入出力装置及びインタフェース212がユーザインタフェース(UI:user interface)を生成又は提供してもよい。UIは、1つ又は複数のモバイル装置112、コントローラ116、スキャナ111、及び/又は装置100の顧客、スタイリスト、及び/又は他のユーザがシステム110の任意の装置と対話することを可能にできる。いくつかの実施形態では、UIが、顧客、スタイリスト、及び/又は他のユーザが顧客情報(例えば、格納された毛髪の特性)を閲覧、更新、及び/又は格納し、染料製剤情報、毛髪の目標色の入力情報等を更新及び/又は調整することを可能にする。いくつかの実施形態では、UIが、顧客、スタイリスト、及び/又は他のユーザが装置100、コントローラ116、及び/又はスキャナ111の動作を監視及び/又は制御することを可能にする。
【0040】
コンピューティングシステム200は、色分析モジュール216をさらに備える。色分析モジュールは、スキャナ111を用いた見本のスキャン又は光学的取り込みに基づいて、さらされたサンプル又は見本の色を決定及び/又は分析することができる。例えば、スキャナ111のオペレータ又はユーザ(例えば、スタイリスト、顧客、又は別のユーザ)は、スキャナ111を用いて見本をスキャンできる。見本は、特定の色を有する、人間の毛髪、天然の織物、ヤクの毛、合成織物等のサンプルを含んでもよい。スキャナ111の出力は、1つ又は複数のCIE(International Commission on Illumination)LAB値を含むことができる。色分析モジュール216はスキャナ111からLAB値を受け取り、毛髪色のルックアップテーブルの明度値のライブラリを生成し、かつ/又はルックアップテーブルから見本の毛髪色又は染料色を識別することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、スキャナ111及び色分析モジュール216が明度値のライブラリを生成する。明度値のライブラリは、毛髪色の特定のブランド又はラインに特有であってもよく、又は毛髪色の全て又は多くのブランド又はラインの集合体であってもよい。明度値のライブラリは、毛髪色の特定のラインについて完成すると、その毛髪色のラインについてのあらゆる定式化された色についての測定値を含む。明度値のライブラリが毛髪色の全て又は多くのラインについて完成すると、ライブラリは、含まれる毛髪色のラインについての全ての定式化された色についての測定値を含む。
【0042】
ルックアップテーブル用の明度値のライブラリを生成するとき、スキャナ111は、毛髪色の1つ又は多くのブランドの見本に適用される様々な毛髪色のCIELAB値を測定する。いくつかの実施形態では、測定された毛髪色毎の明度値を含むCIELAB測定値が例えば、大容量ストレージデバイス222又はネットワーク記憶装置に記憶される。見本のCIELAB値は分光光度計を使用してさらに測定することができ、分光光度計からの対応するCIELAB値も、例えば大容量ストレージデバイス222又はネットワーク記憶装置に記憶される。見本の各々について明度(L:lightness)値が分かると、ルックアップテーブルが作成される。ルックアップテーブルは第2及び第3の列における特定の毛髪色についての(スキャナ111及び分光光度計からの)対応する最低及び最高の許容可能な明度値を有する毛髪色(例えば、天然の毛髪色についての1N-12N識別子等)を有する列を含むことができる。したがって、ルックアップテーブル内の単一の行は(1)第1の列内の毛髪色の特定の識別子(例えば、名前、番号等)、(2)第2の列内の識別された毛髪色に関連する対応する最小明度レベル、及び(3)第3の列内の識別された毛髪色に関連する最大明度レベルを含むことができる。
【0043】
ルックアップテーブルが生成されると、色分析モジュール216は、ルックアップテーブル内のデータを使用して、(スキャナ111によってスキャンされた)スキャンされた顧客の髪の色、又はスキャンされた見本又はサンプルの色を識別することができる。例えば、スタイリスト(又は顧客)は顧客の毛髪に関連するCIELAB測定値を識別するために、3つの異なる位置で顧客の毛髪をスキャンする。3つの位置は、顧客の毛髪の根元位置、顧客の毛髪上のシャフト位置、及び顧客の毛髪の先端位置を含むことができる。スキャナ111からの測定値はコンピューティングシステム200に伝達でき、色分析モジュール216は、顧客の毛髪の3つの測定値すべてに対応する単一の明度値を識別できる。例えば、色分析モジュール216(又はスキャナ111)は、3つの測定位置からの明度測定値を平均化して、単一の明度測定値を生成する。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216(又はスキャナ111)が単一の明度測定値として、3つの明度測定値の中央値を生成する。いくつかの実施形態では、単一の明度測定値を決定するために他の計算が使用される。いくつかの実施形態では、3つの明度測定値及び単一の明度測定値が大容量ストレージデバイス222又はネットワーク記憶装置に記憶される。
【0044】
決定された単一の明度測定値に基づいて、色分析モジュール216は、特定の毛髪色についての最小明度レベルと最大明度レベルとの間にある単一の明度測定値に基づいて、単一の明度測定値に関連付けられた毛髪色レベル(例えば、名前、識別子等)を識別するためにルックアップテーブルを参照する。例えば、色分析モジュール216は、単一の明度測定値がL=34であることを識別し、色分析モジュール216は、ルックアップテーブルを参照して、L=34が対応する最小明度測定値と最大明度測定値との間にある毛髪色レベルを識別する。色8が35の最大L値及び30の最小L値を有する場合、色分析モジュール216は、顧客の毛髪色レベルが色レベル8に対応することを識別する。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216が単一の明度測定値と最小/最大明度レベルとの間の関係に基づいて、正確な毛髪色レベルを計算することができる。例えば、最小及び最大のL値がそれぞれ30及び35であるL=34の単一の明度測定値では、色分析モジュール216が顧客の毛髪色レベルが8.8である(30が色レベル8に達し、次いで4/5が色レベル.8に達する)と判定することができる。色分析モジュール216は、8.8の色レベルを、最も近い全体(9)又は半分(8.5)の色レベルに丸めることができる。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216がコンピューティングシステム200のUIを介して顧客又はスタイリストに表示するために、識別された色レベルを提供する。識別された色レベルは、顧客のプロファイルと共に、又は大容量ストレージデバイス222又はネットワーク記憶装置に、さらに又はその代わりに記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、色レベルに対応する色の名前又は画像が、顧客及び/又はスタイリストによる視覚的な確認のためにUIを介して表示されてもよい。
【0045】
あるいは、顧客の毛髪からの3つの測定値に対応する単一の明度測定値を決定する代わりに、色分析モジュール216はルックアップテーブルから、3つの測定位置からの明度測定値に対応する色を識別してもよい。したがって、色分析モジュール216は、各測定位置について明度測定値が互いにどの程度異なるかに応じて、3つまでの異なる色レベル(又は3つを超える測定値が顧客の毛髪から取得される場合にはそれ以上の色レベル)を識別することができる。
【0046】
スキャンされた顧客の毛髪の識別された色(複数可)は、顧客の開始又は初期の毛髪色(複数可)に対応することができる。スキャナ111及びルックアップテーブルを色分析モジュール216と共に使用することにより、スタイリストの視力のみを使用する場合と比較して、顧客のためのより精密又は正確な初期毛髪色(複数可)を識別することができる。したがって、スタイリストは、スタイリスト間の違いなく顧客の初期毛髪色を正確に「じっと見る」ことができない可能性があるので、ルックアップテーブル、スキャナ111、及び色分析モジュール216を統合することによって、顧客の毛髪に毛染めを適用する際の可変性又は不一致を低減することができる。(例えば、スキャナ111、ルックアップテーブル、及び色分析モジュール216を使用せずに)初期毛髪色を正確に識別しないことによって、所望の毛髪の目標色を得るために顧客の毛髪に適用する製剤の識別が不正確になり、誤った最終毛髪色という結果をもたらす可能性がある。
【0047】
コンピューティングシステム200は、製剤モジュール218も含む。製剤モジュール218は、様々な入力に基づいて、顧客の毛髪に適用するための染料又はカラー製剤を決定することができる。例えば、コンピューティングシステム200は色分析モジュール216を使用して、顧客の初期毛髪色(複数可)を決定し、UIを介して、顧客の毛髪の目標色(複数可)を受信する。決定された初期毛髪色(複数可)及び受信された毛髪の目標色(複数可)に基づいて、製剤モジュール218は所望に応じて顧客の毛髪色を変えるために、適切な製剤又は製剤の組合せを決定することができる。いくつかの実施形態では、製剤モジュール218が製剤又は製剤の組合せを決定すると、対応する製剤情報が検証のためにUIを介して顧客又はスタイリストに表示される。
【0048】
例えば、上述の明度測定値が顧客の毛髪の根及び先端で異なり、顧客の毛髪の目標色が顧客の毛髪内の位置にかかわらず同じである場合、製剤モジュール218は、顧客の毛髪の異なる位置に適用するための異なる製剤を生成する。根が先端よりも明るい場合、顧客の毛髪は、先端と比較してより暗い製剤を根に適用するために必要とするかもしれない。いくつかの実施形態では、製剤モジュール218は、毛髪の目標色への変化の一部として、顧客の毛髪をブリーチで予め明るくすることが必要であると決定できる。顧客の毛髪を着色する際の様々な複雑さが与えられると、製剤モジュール218は、色分析モジュール216、スキャナ111、及びルックアップテーブルと共に、スタイリストによって適用される毛染めプロセスの正確さ及び効率を改善し、顧客の毛髪の目標色を達成するための製剤の識別から任意の推測作業を取り除くことによって、スタイリストが所望の結果を達成するのを助ける。
【0049】
このように、製剤モジュール218は、システム110のどの装置で動作するかに関係なく、顧客の初期毛髪色及び顧客の毛髪の目標色に基づいて決定された製剤を装置100に伝達して、スタイリストが顧客の毛髪に適用するための容器154に分配することができる。いくつかの実施形態では、製剤モジュール218によって生成された製剤が、スタイリストが装置100から色を分配する前にレビュー及び/又は調整するためにスタイリストに伝達される。いくつかの実施形態では、スタイリストが製剤モジュール218からの結果をレビューすることなく、製剤を生成又は選択する。
【0050】
スタイリストが製剤を顧客の毛髪に適用した後、顧客の毛髪から余分なカラーを洗い落とし、毛髪を乾燥させた後、スタイリスト又は顧客は、センサ111を用いて顧客の毛髪の「後」の明度測定を行うことができる。後の明度測定値は最終色が目標色からどれだけ近いか、又は遠いかを決定するために、所望の毛髪の目標色と比較され得る。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216が最終色と目標色との間の差(例えば、明度値又は色レベルの差)を識別することができる。差は例えば、顧客プロファイルと関連付けて大容量ストレージデバイス222又はネットワーク記憶装置に記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、識別された差は、顧客に関連付けられ、次いで、製剤モジュール218によって将来の製剤決定を更新するために使用され得る。例えば、製剤モジュール218は将来のアプリケーションにおいて目標色に近づくように、そのアルゴリズム及び/又は製剤選択を更新することができる。各顧客の毛髪は製剤に対して異なるように応答するかもしれないので、2人の顧客が同じ初期毛髪色を有し、同一の調合物が適用される場合であっても、最終色は、毛髪の健康、太さ、浸透性、グレーの範囲、ダメージ、以前の処理等を含む顧客の毛髪の様々な特性に応じて非常に異なることがある。従って、前後の測定値の保存は、装置100及び製剤モジュール218の精度の改善を助けるかもしれない。この記録されたデータは、製剤を継続的に改善し、個々の顧客ごとに処理をカスタマイズするために提供されるであろう。
【0051】
CIELAB測定値からの明度の1つの大きさのみを利用する例として、顧客の毛髪の開始L値がL=40であり、顧客がより暗い毛髪、L=30を有することを望むと仮定する。スタイリスト(又は製剤モジュール218)は、見本で測定されるように、L=30となる調合物を作成する。しかし、その調合物が顧客のL=40の毛髪に適用される場合に、顧客の毛髪が非常に多孔質であり、予想よりも色を吸収するので、最終結果が実際にはL=25となり、暗すぎるかもしれない。システム110は、前後の測定値を保存することによって、色の過剰吸収を認識し、将来、製剤が顧客の毛髪に適用されたときに、L=30の目標レベルをもたらすように、L=35を有する毛髪の目標色を選択するであろう。あるいは、顧客がはるかに明るい色、例えばL=60を望む場合、生成される配合処方はまず顧客の毛髪をL=70まで脱色し、次に毛髪をL=60まで暗くする別の製剤を適用することを含むことができる。
【0052】
本明細書で説明される例及び実施形態は一般に、CIELAB測定の結果として、明度測定値に言及する。しかしながら、CIELAB測定からの色成分についても同様の関連付け、ルックアップテーブル等が存在することが理解される。例えば、CIELAB測定値は、明度値、緑から赤の色値、及び青から黄の色値を含む。したがって、いくつかの実施形態では、CIELAB測定値からの異なる色値を使用して、追加のルックアップテーブルを生成するか、又は単一のルックアップテーブルに追加の情報を追加して、色分析モジュール216が明度及び色値に基づいて初期毛髪色を識別するのを可能にできる。これはまた、製剤モジュール218が、明度及び色の測定値に基づいて初期毛髪色から目標毛髪色に変化させする製剤を生成することを可能にする。
【0053】
コンピューティングシステム200は、遠隔データモジュール220をさらに備える。遠隔データモジュール220は、システム110を、ネットワーク210及びネットワーク化されたデータベース208(以下で説明する
図6を参照してより詳細に説明する)と統合することができる。いくつかの実施形態では、遠隔データモジュール220がネットワーク化されたデータベース208内にデータを格納し、かつ/又はデータベース208からデータを取り出す。遠隔データモジュール220はさらに、ネットワーク化されたデータベース208から取り出されたデータに対して1つ以上の機能を実行できる。例えば、遠隔データモジュール220は顧客の染めセッションを改善するために、ネットワーク化されたデータベース208に保存されたデータに対して、モデルの分析の1つ以上の実行、ニューラルネットワークの適用、及び/又は他の方法での使用を行える。
【0054】
ある実施形態では、各システム110のための装置のうちの1つの遠隔データモジュール220が、スキャナ110から取り込まれた情報をネットワーク化されたデータベース208に保存できる。データベース208から取り出された情報はローカルに保存でき、かつ/又は、現在の顧客の染めセッションのための染料製剤を改善するために、分析において遠隔データモジュール220によって使用できる。いくつかの実施形態では、遠隔データモジュール220が1つ又は複数のモデル、ニューラルネットワーク等を適用して、顧客の毛髪に適用されたスキャナ111から受信された情報を使用して、特定の染めセッションの最も可能性の高い結果を計算することができる。いくつかの実施形態ではモデル、ニューラルネットワーク等は、顧客の毛髪に適用されたスキャナ111からの情報を、以前の顧客からの毛髪特性等に関する情報(例えば、ネットワーク化されたデータベース208からの)と組み合わせて、可能性のある結果及び結果として生じる染料製剤を拡張して、目標の色調又はテクスチャを達成することができる。遠隔データモジュール220は、分析、モデリング、及び/又はニューラルネットワークを使用して、製剤モジュール218による染料製剤の調節及び/又は調整の方法の出力を生成できる。したがって、製剤モジュール218は遠隔データモジュール220からの入力を使用して、染料製剤を調整及び/又は生成して、遠隔データモジュール220からの入力を使用しない場合よりも、最終色値が目標色値により近くなるように、顧客の毛髪色を初期色値から目標色値に変えることができる。生成された染料製剤(又は顔料又は他の化学物質)は、本明細書に記載されるように、装置100に電子的に送達でき、装置は、1つ又は複数の染料、顔料又は他の材料を含み、目標の色調又はテクスチャを達成するために、目標の色調又はテクスチャに対する正確性が決定された範囲内となるように適切な量の材料を分配する。
【0055】
本明細書に記載されるように、染料、顔料又はブリーチを使用するヘアカラーアプリケーションでは、基礎となるプロセスが、染料製剤適用の1つ以上の工程の前、間、及び後に、開始、中間、及び終了の色又はテクスチャの状態情報を取り込むことを含み得る。いくつかの実施形態では、染料製剤適用の各ステップで、データベース208は、染料製剤適用の次のステップを改善するために使用され得る任意のデータのために、遠隔データモジュール220によってマイニングされる。いくつかの実施形態では、改善が、データベース情報に適用されるモデル及び/又はニューラルネットワークを考慮して、分析、処理等が行われる情報と比較して、染料製剤適用中に顧客の毛髪について取り込まれる情報を考慮する染料製剤の調整を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データモジュール220によって、ネットワーク化されたデータベース208内で顧客の毛髪に最も匹敵する情報を決定し、その情報を使用して、染料製剤適用の各ステップについての更新及び/又は処方を作成して、目標の色調(トーン)又はテクスチャの結果を達成することに基づいて染料製剤の調整を行うことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、遠隔データモジュール220は、初期の色調及び/又はテクスチャが与えられた場合に目標の色調及び/又はテクスチャを正確に達成するために必要とされる、化学元素、染料等のそれぞれの正確な量を含む染料製剤を生成する確率を改善するために、複数の情報源及び情報タイプ(例えば、ローカルスキャナ111からの情報及びネットワーク化されたデータベース208からの情報)を使用することができる。どの染料製剤等が所望の色調及び/又はテクスチャを正確に達成するかをうまく予測するためにモデル化及び/又はニューラルネットワーク又は同様の処理を使用する能力は、スタイリスト等によって必要とされる手作業の試験の量を低減し、システム110によって推奨される染料製剤が有効であり、かつ目標の色調及び/又はテクスチャに到達するのに最も適していることを実証でき、そうでなければ必要とされる多数の手作業の試験を確認するために手作業の試験を行わなくてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム200が、
図1の1つ又は複数の装置(例えば、装置100、1つ又は複数のモバイル装置112、コントローラ116等)から
図1のネットワーク114を介して情報を受信する。いくつかの実施形態では、ネットワーク化されたデータ記憶装置(この図には示されていない)が、1つ又は複数のモバイル装置112又はコントローラ116、及び/又は
図1に示されている装置のいずれかに対してローカル又はリモートである任意の他のコンピューティングデバイスのためのデータを記憶する。いくつかの実施形態では、各顧客の顧客プロファイルからの情報、顧客の毛髪の以前の特性、以前に適用された製剤、及び/又は以前に適用された製剤からの結果のうちの1つ又は複数が、ネットワーク化されたデータ記憶装置に記憶される。データ記憶装置は、上述の対応するデータを記憶及び/又は提供する1つ又は複数の内部及び/又は外部のデータソースを含むことができる。データソースは内部(例えば、ローカル又はファーストパーティ)及び外部(例えば、リモート又はサードパーティ)のデータソースを含んでもよく、これらは、例えば、各顧客についての1つ以上の顧客プロファイル、毛髪の特性、毛髪の特性及び染料製剤の間の関係、染料製剤適用からの結果等を記憶する。
【0058】
一般に、本明細書で使用される「モジュール」という語は、ハードウェア又はファームウェアで具体化される論理、又は、例えば、Java、Lua、C又はC++のようなプログラミング言語で書かれた入口及び出口のポイントを有する可能性のあるソフトウェア命令の集合を指す。ソフトウェアモジュールはコンパイルされて実行可能プログラムにリンクされてもよく、ダイナミックリンクライブラリにインストールされてもよく、あるいは例えばBASIC、Perl、又はPythonのような解釈されたプログラミング言語で書かれてもよい。ソフトウェアモジュールは他のモジュールから又はそれ自体から呼び出すことができ、かつ/又は検出されたイベント又は割り込みに応答して呼び出すことができることが理解されるのであろう。コンピューティングデバイスで実行するように構成されたソフトウェアモジュールは、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、フラッシュドライブ、又は他の任意の有形媒体のような、コンピュータ読み取り可能な媒体に設けられてもよい。このようなソフトウェアコードは、コンピューティングシステム200による実行のために、1つ以上のモバイル装置112又はコントローラ116のような実行中のコンピューティングデバイスのメモリデバイス上に、部分的又は全体的に格納できる。ソフトウェア命令は、EPROM(erasable and programmable read only memory)のようなファームウェアに組み込まれてもよい。ハードウェアモジュールは、ゲート及びフリップフロップ等の接続された論理ユニットから構成されてもよく、かつ/又はプログラマブルゲートアレイ又はプロセッサ等のプログラマブルユニットから構成されてもよいことがさらに理解されるのであろう。本明細書で説明されるモジュールは、好ましくはソフトウェアモジュールとして実装されるが、ハードウェア又はファームウェア、あるいはそれらの組合せで表されてもよい。一般に、本明細書で説明されるモジュールは、それらの物理的な編成又は記憶装置にかかわらず、他のモジュールと組み合わせることができるか又はサブモジュールに分割することができる論理モジュールを指す。
【0059】
図3は、いくつかの実施形態に係る、
図1に示される染料分配装置100の内部の部分斜視図である。ハウジング102内のトレイ118は、ハウジング102に連結されてもよく、少なくとも1つのキャニスタ120を保持するように構成されている。ベアリングはトレイ118に連結され、トレイ118が回転できるようにしてもよい。トレイ118は丸い、カルーセル構成のような任意の形状を有してもよく、モータのような駆動機構124によって操作されてもよい。トレイ118は、コントローラ116と通信する。他の実施形態では、トレイ118は固定される。トレイ118は、少なくとも1つの開口部を有するように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、2つの同心列など、複数列の開口部があってもよい。例えば、トレイ118は、20個の開口部を有する内側列と30個の開口部を有する外側列とを有し、2列に配置された50個までの開口部を含むことができる。他の実施形態では、トレイ118が4列に配置された40個の開口部を有する正方形であってもよい。さらに別の実施形態では、トレイ118が40個の開口部がクラスター状に配置された八角形形状であってもよい。トレイ118の形状及び開口部の配置は、用途に応じてカスタマイズ可能である。サイズ、形状及び開口部の数を変更する能力によって、装置100はサロン内のスペースの制約に対応するために全体的なサイズを縮小することが可能になる。さらに、特定の用途が少数のキャニスタ120を必要とする場合には、装置100の全体的なサイズを縮小できる。例えば、サロンは限られた量のカラー製剤を提供し、したがって、最大50個のキャニスタ120の代わりに10個のキャニスタ120のみを必要とするかもしれない。
【0061】
各キャニスタ120は、識別子、内部弁、ノズル、スリーブ、及び染料を含むことができる。スリーブは、染料を収容するように構成される。一実施形態では、キャニスタ120がモジュール式であり、互いに交換可能である。貯蔵能力は、例えば8.6オンスまでであってもよいが、スリーブのサイズに応じて変化してもよい。実際には、染料は着色処理の直前まで空気に曝すことができない。したがって、キャニスタ120は密閉されており、アルミニウム、複合材料、又はそれらの組合せ等の金属から構成されるであろう。
【0062】
各キャニスタ120は、バーコード、QRコード、カタログ番号又はアイコンコードのような固有の識別子でラベル付けされる。この識別子は、読取装置又はスキャナのような装置によってスキャン、読取り、及び認識がされてもよい。読取装置は、スタンドアロンのユニット又はコントローラ116の一部であってもよく、ハウジング内に配置されてもよい。読取装置は、キャニスタ120を直接観察する状況で、ディスペンサ上又は任意の位置で、ハウジングの側壁又は上壁に連結されてもよい。キャニスタ120を一意に識別するために、RFID(radio-frequency identification)技術、NFC(near-field communication)技術等による他の技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、識別子が装置100内のキャニスタ120の存在を確かめ、染料の色等のキャニスタ120内の特定の内容物を識別する。製品名、キャニスタ120が特定の染料で満たされた日付、キャニスタ120内に残っている染料の量、ロット又はバッチ番号、及び製造業者が含めることを望む可能性がある任意の他のメモ等の他の情報を、識別子に含めることができる。
【0063】
読取装置はコントローラ116と通信する。読取装置は、キャニスタにラベル付けされた識別子のスキャン、読取り、及び認識をするように構成され、情報をコントローラ116に伝える。コントローラ116は識別子に埋め込まれた情報、例えば、製品名、キャニスタ120に残っている量、及びロット又はバッチ番号を認識できる。別の実施形態では、トレイ118の特定の領域に配置されたキャニスタ120を識別するように設計された2つ以上の読取装置があってもよい。例えば、1つの読取装置は、トレイ118の内側列のキャニスタ120を識別し、別の読取装置は、トレイ118の外側列のキャニスタ120を識別するようにしてもよい。
【0064】
キャニスタ120は、システム110内でリサイクル可能、再充填可能で、かつ再利用可能であり、ガスによって加圧されるように構成される。キャニスタ120は、ガスを注入するためのポートを含むかもしれない。例えば、キャニスタ120は、窒素加圧キャニスタ120であってもよい。ガス及び染料は、キャニスタ120に外力又は圧力が加えられたときに、染料が内部弁に向かって均一に下方に移動することを可能にする内部スリーブによってキャニスタ内で分離される。キャニスタ120の上端に力が加えられると、弁がカプラの突起に押し付けられ、弁を開き、ノズルを介して染料を分配することができる。内部弁は、キャニスタ120が装置100によってノズルを介して、染料のような内部の内容物のほぼ全てを分配することを可能にする。別の実施形態では、キャニスタ120が、重力を使用して染料134をキャニスタ120を介して下方に移動させる重力供給システムを利用する。
【0065】
ディスペンサ142は、少なくとも1つのアクチュエータを含む。アクチュエータは、ソレノイド、モータ及び/又はピストン及びロッドアセンブリ、レバーアーム、及び突起等の機械的及び電気的構成要素を含むことができる。アクチュエータは、コントローラ116と通信する。アクチュエータは、レバーアームの第1の端部に連結され、突起は、レバーアームの第2の端部に連結される。取付けブラケットは、ディスペンサ142をハウジング102のような表面に連結する。取付けブラケットは、接続点でレバーアームに連結される。接続点は、レバーアームの支持体及び旋回点として機能する。アクチュエータが作動すると、アクチュエータの内部ロッドが上方向に移動し、アクチュエータの第1の端部に連結されたレバーアームも上方向に移動する。接続点において、レバーアームはシーソー効果のように下方向に移動し、したがって、突起が下方向に移動し、キャニスタ120の表面(図示せず)に接触することが可能になる。この作用によりキャニスタ120に圧力が加えられ、染料の分配が開始される。
【0066】
いくつかの実施態様において、突起は、キャニスタ120の上端との完全な接触を可能にするように旋回及び回転するように構成される。突起はレバーアームの端部から延びる構成要素であり、ある実施形態では、突起がレバーアームの一部であってもよい。この突起は、キャニスタ120の上端面と最適に嵌合するように設計される。いくつかの実施形態では、突起が可撓性及び吸引力を提供するために、プラスチック又はゴムなどのバネ状の材料の平坦又は湾曲した表面を有するかもしれない。他の実施形態では、突起148がキャニスタ120の上端面に抵抗を与える剛性材料から構成される。
【0067】
キャニスタ120が分配領域108と一列に並ぶと、ディスペンサ142はキャニスタ120に下向きの力を加え、染料を分配する。例えば、コントローラ116は、読取装置と通信する。読取装置は、識別子に基づいて、染料製剤に関連する選択されたキャニスタ120内の選択された染料を識別する。選択されたキャニスタ120は、分配領域108と一列に並ぶ。コントローラ116は、選択されたキャニスタ120の真上の突起と共に、レバーアームを作動させてかつ位置決めするアクチュエータと通信する。ディスペンサ142は、突起がキャニスタ120の上端面に直接接触している間に、選択されたキャニスタ120に下向きの力を加える。これにより、キャニスタ120の弁が開き、染料がキャニスタ120のノズルを通って漏れ出る。染料は、0.01グラム~140.00グラム等の量で、任意のプログラムされた範囲で分配される。
【0068】
コントローラ116は、ディスペンサ142を介して、染料の分配を開始させるとともに停止させ、可変の分配速度を可能にする。例えば、分配はゆっくりと開始し、増加し、横ばいになり、次いで、必要な量の染料の分配に近づくにつれて減少し得る。分配の速度は、分配される染料の量、及び装置100が染料製剤を完成させる必要がある時間に応じて、カスタマイズされ得る。別の実施形態では、第1のディスペンサと同様に動作する第2のディスペンサを装置100内に設けてもよい。ディスペンサが複数ある場合、ディスペンサは交互に1つずつ、又は同時に作動してもよい。
【0069】
装置100は、コントローラ116と通信する計器をさらに含む。計器は選択された染料の分配量を測定し、ディスペンサは、選択された染料の分配量が少なくとも1つの染料についての染料製剤中の染料の量に等しいとき、分配を停止する。プレートは、分配領域108内に配置され、選択されたキャニスタ120と共に少なくとも1つの開口部の鉛直方向下側に配置される。プレートはプレート上の内容物を測定するために、計器と一緒に構成されてもよい。計器は、トランスデューサ、スケール、ひずみゲージのようなゲージ、又はそれらの組合せであってもよい。プレートの上部に容器が配置される。カップ又はボウルのような容器が、染料がキャニスタ120から分配されるときに、染料を収集する。安定性を確保するために、容器がプレートに固着又はスナップしてもよい。計器は分配された染料の量を測定し、次いで、このデータをコントローラ116に伝達する。一実施形態では、容器が適切な位置にない限り、分配は行われない。これは、インジケータライトで視覚的に示すことができる。少なくとも1つの染料の各々についての測定及び停止工程は、染料製剤が完成するまで繰り返されるであろう。
【0070】
一般に、染料製剤を生成し、染料製剤を含む染料の正しい量を分配し、手で混合するスタイリストの知識及び能力にサロン産業は依存している。このことは、不正確さ及び反復不可能な結果をもたらす可能性がある。リサイクル可能で、再充填可能で、再使用可能なキャニスタに独特の毛染め組成物を提供する本発明の染料分配システム及び方法は、廃棄物を削減し、染料製剤及び分配制御によるヘアカラーサービスを改善し、したがって、新しい顧客機会を提供しながら顧客を維持する。
図4は、いくつかの実施形態に係る、染料製剤を調製するための方法において使用される構成要素の簡略化された概略図を示す。この実施形態では、構成要素がキャニスタ120に含まれる異なる顔料の様々な色のベースレベル156及び色調値158であってもよい。これらの構成要素は、染料製剤に従って装置100によって分配され、容器154に収集される。顧客の毛髪に使用するための最終的な毛染め組成物を製造するために、例えば、5~40%の顕色剤160を、染料製剤に添加するか、又は染料製剤の一部にすることができる。
【0071】
非限定的な例では、顧客は、毛髪の色を変更したいと考えている。染料分配装置100及び方法1100を使用するために、スタイリストは、ラップトップ、コンピュータ、タブレット又は携帯電話等のデバイス112のようなユーザインタフェースを用いる。これは、アプリケーション又はソフトウェアのパッケージ又はプログラムを介して行われてもよい。スタイリストは、所望の色、毛髪の長さ、毛髪の太さ、毛髪の質感等、染料の配合処方(染料製剤)が適用される顧客に関する情報を入力する。コントローラ116は、その情報に基づいて、染料の配合処方の要求を生成する。染料の配合処方は、内部データベース、外部データベース、又はユーザの入力からのデータ117で構成される。例えば、いくつかの実施形態では、染料の配合処方は、コントローラ116が、コントローラ116に格納されたデータベース、又は装置100から遠隔に格納されたデータベースにアクセスすることによって作成されてもよいし、ユーザが染料の配合処方を入力してもよい。
【0072】
染料の配合処方は、識別子128と、少なくとも1つの染料134のそれぞれについての染料134の指定された量とを含む。染料の配合処方は、レシピのように、識別子128と、染料製剤を完成させるのに必要な各染料134の量とを含み、少なくとも1つの染料134から構成されてもよい。この例では、3つの異なる染料134が染料製剤に必要とされる。例えば、0.1グラムの染料F1、5.05グラムの染料F2、及び4.03グラムの染料F3が染料の配合処方(染料製剤)を構成する。
【0073】
一実施形態では、製剤コードが生成され、装置100のパネル106に、又はユーザインタフェースを介して、コントローラ116と同じであってもよいコンピュータ、ラップトップ、タブレット、又は携帯電話等のデバイス112に入力される。製剤コードはまた、特定のスタイリストに関連付けられ、スタイリストにより異なる情報又は側面を追跡するために使用されてもよい。例えば、スタイリストは、装置100に配置されたタッチスクリーン、又はパネル106上に製剤コードを入力する。別の実施形態では、スタイリストは、個人用モバイル装置112上で情報を入力する。次に、コントローラ116は、信号を読取装置136に送信し、読取装置136は、キャニスタ120上の識別子128を読み取り、識別子128に基づいて、染料F1のような染料の配合処方に関連付けられた選択されたキャニスタ120内の選択された染料134を識別する。コントローラ116は、モータ等の駆動機構に信号を送信し、本実施形態では、駆動機構は、選択されたキャニスタ120の染料F1が分配領域108と一列に並ぶまでトレイ118を回転させる。アクチュエータは、コントローラ116から信号を受信し、レバーアームは、突起が染料F1の選択されたキャニスタ120の真上に位置するまで移動又は並進する。下方向の力が、アクチュエータによって、染料F1の選択されたキャニスタ120にレバーアーム及び突起を介して加えられ、染料F1の選択されたキャニスタ120に圧力が加えられる。一実施形態では、0.01グラムの染料F1が分配されるように、約0.01秒~3.0秒の間、10~15psiの圧力が印加される。染料は、ノズルを介して分配され、分配領域108のプレート150の上に配置された容器154内に収集される。
【0074】
プレートに連結されたトランスデューサ等の計器は、コントローラ116がディスペンサ142の分配を停止できるように、染料の配合処方に関連付けられた選択された染料の提供量を測定し、コントローラ116にフィードバックを提供する。ディスペンサ142は、選択された染料の分配量が、少なくとも1つの染料のための染料の配合処方中の染料の量に等しいときに、分配を停止する。これにより、分配される染料の正確な量が保証される。この例では、計器は、分配された染料F1を測定し、0.01グラムの染料F1が受け取られたことを報告する信号をコントローラ116に送信する。次に、コントローラ116は、染料の配合処方中の次の識別子128である染料F2を見つけるために、読取装置に信号を送信する。方法のそのステップは、染料製剤が完成するまで、少なくとも1つの染料のそれぞれについて測定及び停止のステップを繰り返すのと同様に、繰り返される。これには、染料F2のキャニスタ120を特定すること、トレイ118を回転させること、選択された染料を分配すること、分配された染料の量を測定することが含まれる。その後、方法1100は、染料F3の内容物を分配するために繰り返される。染料F1、染料F2、及び染料F3の内容物が分配されると、染料製剤が完成する。いくつかの実施形態では、F1、F2、F3~F(x)は、染料の代わりに顕色剤であってもよい。染料製剤が完成すると、スタイリストに、表示ライト及び/又はユーザインタフェース又はパネル106上のメッセージによって通知される。
【0075】
染料の全てがキャニスタ120から提供され、キャニスタ120が空になったときに、キャニスタ120が再充填され、染料分配装置100に再装填されてもよいように、キャニスタ120は、リサイクル可能で、詰め替え可能で、かつ再利用可能であってもよい。一実施形態では、キャニスタ120は、製造業者によって遠隔で再充填され、その後、サロンに出荷される。再充填されたキャニスタ120は、ハウジング102のドア104を介して装置100に装填されてもよい。
【0076】
装置、システム又は方法は、操作中に、表示ライト、ユーザインタフェース上のメッセージ又は同様のものの形式で通知を送信してもよい。例えば、スタイリストに、特定のキャニスタ120を装填するようにユーザインタフェース上で指示が与えられてもよい。これは、キャニスタ120内の必要な染料が装置100内で利用できない場合、特定のキャニスタが分配中に染料を使い果たした場合、又は染料分配装置、システム又は方法が故障した場合に起こり得る。
【0077】
図5は、いくつかの実施形態に係る、
図1の染料分配装置100の正面図である。装置は、パネル106又はモバイル装置112によって操作されてもよい。一実施形態では、複数の装置100が一緒に取り付けられ、それぞれが1つのキャニスタ120を有し、通信し、コントローラ116によって制御される。染料製剤は、異なる染料、例えば、F1、F2、F3からF(x)で構成され、パネル106上で、又はモバイル装置112によってユーザに伝えられてもよい。F1が分配された後、容器154は、F2が分配される次の装置100に移動させてもよい。F2が分配された後、容器154を、F3が分配される次の装置100に移動させること等が、染料製剤が完成するまで行われてもよい。あるいは、装置100は1つだけであってもよく、選択されたキャニスタ120が、染料製剤が完成するまで、各染料が分配された後に装填されてもよい。ユーザは、キャニスタ120の装填及び取り外し、及び/又は分配された染料を収集する容器154の移動を達成するように、ユーザインタフェースを介して指示されてもよい。
【0078】
染料分配システム又は方法は、注文の染料調合物の精密な再現性、包装の革新、店頭商品の在庫のための補助、及び再注文機能を提供する包括的な解決策である。いくつかの実施形態では、キャニスタ内の染料が実質的にすべて利用される。サロン業界は一般に、カラーサービス中の廃棄物、在庫管理費用及び保管費用、ヘアカラー製剤の品質に関連した顧客維持の問題、及び高い顧客獲得コストに悩まされている。毛髪の染料については、業界は一般的に染料が充填されたチューブ等の小さな容器に依存している。顧客にカラーサービスを行う際には、スタイリストがチューブの染料の一部を使用してヘアカラーを混合し、複数のチューブが一般的に必要となる。このことは、残留したヘアカラー及び包装が水道システム及び埋め立て地に分配されるので、過剰な包装及び廃棄物で環境にストレスを与えている。さらに、容器内の染料の未使用部分は、別の顧客のために必要とされないかもしれず、又は酸素に触れることによってだめになるので、しばしば廃棄物となる。一般的な染料のチューブとは対照的に、キャニスタを利用することにより、チューブ、染料の廃棄物及び包装がなくなる。染料の典型的なチューブは、約1.7オンスから3.2オンスである。一実施形態では、8.6オンスを含むように構成されたキャニスタを使用することにより、多くのチューブが、リサイクル可能で、詰め替え可能で、かつ再利用可能な1つのキャニスタに置き換えられる。
【0079】
染料分配システム110は、在庫を追跡し、レポートを生成するように構成されてもよい。例えば、各キャニスタ120の識別子は、取り付け中に読み取られてもよく、それにより、染料分配システム110は、在庫を監視し、追跡し、再整理してもよい。自己診断スキャンが、現在の動作状態、位置エラー、警告又は故障を監視するために、コントローラ116又は読取装置、又はその2つの組み合わせによって実行されてもよい。
【0080】
染料分配システム110は、キャニスタ120の再注文手順及びサロン支払い手順を自動化してもよい。例えば、在庫管理システムが、交換注文を開始するようにしてもよい。注文は、自動出荷を提供する排他的な売り主とのものであってもよく、したがって、サロンのオーナーの在庫保管費用及び管理労力を削減できる。在庫が、注文から配送までの情報を追跡するための出荷データに対して吟味されるようにしてもよい。染料を有するキャニスタ120は、自動的に請求書を発行し、電子的に自動的に購入されてもよく、このようにして、支払いの労力を最小化し、サロンの売掛金の処理を合理化できる。いくつかの実施形態では、方法が、上位層のサロン、及び下位層のための製造業者の代表者への直接販売を提供する層別マーケティング戦略を有する。他の実施形態では、工場のキャニスタの直送が、輸送コスト及び外包装を削減する。
【0081】
従来、スタイリストは、チューブ、容器又はボトルから手動で提供されるヘアカラーの染料の組み合わせを手で混合する。当業界では、手で混合する原始的な道具に依存している。不十分に混合されたヘアカラーの調合物は、頭皮にホットスポットを生じさせ、毛髪の色の一貫性がなくなるという結果をもたらす可能性がある。一実施形態では、容器154の蓋が提供される。蓋は、蓋が容器に結合されているときに、分配された染料が通過して流れてもよい開口を有するように構成される。蓋はまた、モータによって駆動される泡立て器を有するように構成されてもよい。蓋が容器154に結合されるとき、容器154内の分配された染料は、泡立て器によって適切な粘度に混合されてもよく、それによって、容器154の表面に未混合のカラーを残さないように染料のすべてを均一に混合できる。泡立て器は、例えば、泡立て器の回転に対して反時計回りに作動するプッシュアンドターン(押圧回転)機構によって、モータから切り離されるように構成されていてもよい。容器及び泡立て器の材料は、摩擦を最小化し、疎水性材料の洗浄の助けとなってもよい。泡立て器は取り外し可能であり、各使用後に洗浄されてもよい。
【0082】
別の実施形態では、染料分配システム110は、顧客の頭及び肩の画像を生成するように設計された360°画像取り込み能力を有するように構成される。関連するアプリケーションが、毛髪及び顔のアバターを、試しにつけてみるための染料の色のパレットと共に提供すると、これにより、顧客が、様々な色の毛髪でどのように見えるかを想像することができる。一旦選択されると、目標色は、染料分配システム110による分配のための調合物に変換されてもよい。さらなる実施形態では、光学スキャナが、毛髪を染めるのに必要な染料の量を計算するために使用されるかもしれない顧客の三次元画像を取り込み、その情報を染料分配システム110に送信してもよい。
【0083】
さらに別の実施形態では、染料分配システムは、ヘアカラーフィードバックを提供するためのセンサを備えて構成されている。ヘアカラーの適用前及び適用後の顧客の毛髪のデジタルプロファイルは、顧客によって選択された目標色に関連する染料調合物の品質にアクセスするために評価されてもよい。各顧客の毛髪は、ヘアカラー処理の結果に影響を与える異なる特性を有する。フィードバックループが、目標と実際の色の間の差異を、顧客ごとに最適化され、カスタマイズされた配合処方に変換するアルゴリズムに基づいて、使用ごとに目標の色に向けて調合法を最適化するためのデータを提供してもよい。顧客からデータが収集されると、システムは、調合法の調整を学習することができ、それによって、より少ない適用回数で目標の色を達成する調合法を正確に作成できるかもしれない。また、このことは、スタイリスト及び顧客の共通の不安の原因である「初めての施術」を改善できるかもしれない。
【0084】
更なる実施形態では、装置100及び方法は、例えば、顕色剤、シャンプー、コンディショナー、添加剤、又はそれらの任意の組み合わせ等の他の液体を分配できる。
【0085】
本発明の実施形態は、顧客の毛髪の現在の色を測定し、次いで、その情報を複数の他の顧客から集約された情報と共に使用して、顧客の現在の毛髪の色を所望の色に変化させる毛髪染料組成物を正確に提供するためのシステム及びプロセスに関する。例えば、毛髪のパラメータと色との間の関連付けを記憶するためにルックアップテーブル又は同様の構造を組み込み、かつ/又は利用する本明細書に記載のシステムは他のシステムとネットワーク化され、そのようなネットワーク化された情報を利用して、毛髪染料組成物を改善することができる。知られているように、新しい毛髪色を望む顧客は、サロンに入るときに特定の毛髪の目標色を念頭に置くことができる。しかしながら、スタイリストにとって、顧客の現在の毛髪色を所望の色に変更する方法を知ることは、時には課題となり得る。毛染めは複雑であり、多くの場合、染料製剤を塗布した後の顧客の毛髪の最終色を知ることは困難であり得る。さらに、顧客の毛髪の1つ又は複数の態様又は特性のバリエーションは、毛髪染料組成物が顧客の毛髪をどのように変化させるかに影響を及ぼし得る。例えば、異なる顧客の毛髪は、同じ毛髪染料組成物に対して異なる反応をするかもしれず、そのため、同じ毛髪の色で開始する2人の顧客が、同じ毛髪染料組成物を適用された状況で、異なる色となって終わるかもしれない。本発明の実施形態は、スタイリストが顧客の毛髪を染めて目標色に到達させることを適切に可能にする染料組成物を調合するのを助けるために、顧客の毛髪の特徴を、他の以前の染めセッションの大きなデータセットと比較する。例えば、スタイリストは毛髪の特性を決定するために、顧客の毛髪の複数の現在の測定値を取得できる。これらの測定値及び特性は、毛髪の目標色と共に、システムに入力されてもよい。次いで、システムは、これらの開始測定値及び特性、ならびに目標色を、以前の染めセッションの大きなデータセットと比較して、顧客が目標色に到達することを可能にするために提案されたプロトコルを出力できる。システムは、人工知能及び機械学習プロセスを使用して、以前の顧客データを編成及び分析し、次いで、以前の毛髪特性のデータベースから対応する特性を識別するための命令を実行し、所望の毛髪の目標色に到達するように顧客の毛髪上に配置するための適切なプロトコル及び組成物を決定するための命令とともに、データベースからの情報を使用することができる。
【0086】
一実施形態では、スタイリストが顧客の現在の毛髪の色を測定するための電子装置を使用できる。装置は、ハンドヘルドの測色計、光学センサ、カメラ、狭い又は広い周波数情報の捕捉装置、又は毛髪の様々な特性(毛髪の健康、色、タイプ、密度、太さ、浸透性、グレーの範囲、ダメージ、水分レベル、以前の処理、及び毛髪によって反射される原色のレベル等を含む)の測定値を戻すために毛髪に対して分析を実行する同様の装置であってもよい。しかしながら、顧客の毛髪のこれらの特性を測定する他の装置も考えられる。例えば、一実施形態では、スタイリストが顧客の毛髪の高解像度写真を撮り、デジタル画像内の色の分析を実行できる。別の実施形態では、スタイリストが複数の写真又はビデオを撮り、顧客の現在の毛髪色の分析のためにそのデータをシステムに供給できる。顧客の現在の毛髪の開始特性が測定され、スタイリストが、所望の目標色が何であるかについて顧客に相談すると、スタイリストは測定された特性及び所望の色をシステムに入力して、記憶された測定された特性のデータベースと比較し、毛髪染料組成物を生成することができる。
【0087】
一実施形態では、所望の色、色相、又は他の色情報を入力することによって、毛髪の目標色をシステムに入力することができる。別の実施形態では、所望の目標色を、パントン(又は同様の)番号又は識別子をシステムに入力することによって取り込むことができる。別の実施形態では、目標色が雑誌又は他のソースに印刷された毛髪色の既存の写真又は画像から取り込まれてもよい。例えば、スタイリストはファッション雑誌において顧客が見た毛髪色のデジタル写真を撮ることができ、雑誌において見たのと同じ色を顧客が得ることができるように、システムは目標色としてその取り込まれた色を使用することができる。
【0088】
取り込まれた毛髪特性を使用して、システムは取り込まれた毛髪特性が与えられた顧客の毛髪に染料組成物を適用する場合の推定結果を識別するために、集中型データベース又はいくつかの分散型データベース又はストレージデバイスにアクセスすることができる。例えば、システムは、対応する目標色及び染料組成物に基づいて、類似の毛髪特性及び染め結果を有する他の顧客について集中型又は分散型データベースを検索して、取り込まれた毛髪特性を有する顧客の染料組成物を目標色を得るためにより良好に決定できる。
【0089】
得られた毛髪特性、得られたデータベース情報、及び目標色情報に基づいて、システムは、顧客の毛髪色を変更するための適切なプロセスを決定するために、その情報を処理することができる。いくつかの実施形態では、システムが、毛髪の先端と比較して異なる毛根のための組成物及び処理を含む一連のカラーアプリケーションを含むプロトコルを提案するであろう。いくつかの実施形態では、システムが、初期段階としてブリーチで毛髪を予め明るくすることを提案するかもしれない。システムは、最終結果が所望の毛髪の目標色になるように、提案された配合及び処理を伴うプロセスを通してスタイリストを案内する。
【0090】
スタイリストが、システムによって提案された配合及び処理を適用すると、スタイリストはハンドヘルドのセンサを用いて「後」の測定セットを行い、顧客の新しい毛髪色が所望の目標色にどれほど近いかを決定することができる。システムはこの結果を記録し、染めセッションから収集されたデータを使用して、そのプロセス及びカラーリング計算を更新し、将来の精度を改善するための色及び手順を提供することができる。例えば、結果は、1つ以上の毛髪特性が顧客の初期毛髪色から最終毛髪色への変化にどのように影響を及ぼしたかを示すために、顧客の毛髪特性及び目標色のうちの1つ以上と共に、集中型データベース又は複数の分散型データベースのうちの1つに記憶されてもよい。これらの結果は、システムが毛髪の目標色に到達するために染料組成物を生成する場合に、顧客に特有であり得る毛髪特性を補償することを可能にし得る。結果を(集中型データベース又は分散型データベースを介して)他のシステムに利用可能にすることによって、他のシステムは、同じ情報を使用して、染料組成物の生成を改善し、1つ又は複数の毛髪特性を補償できる。
【0091】
いくつかの実施形態では、
図1の染料分配システム110は、1人又は複数の顧客がヘアカラーサービスのために来る1人又は複数のスタイリストによってサポートされるサロン又は同様の施設を表すであろう。上述したように、また本明細書に記載したように、染料分配システム110(例えば、サロン)は、スタイリストによって顧客の毛髪に塗布される染料組成物及び/又は製剤を正確に分配するために使用される装置を含む。いくつかの実施形態では、染料分配システム110の各々が、そのシステム110に特有の顧客及び/又はスタイリストに関するデータ(例えば、システム110を構成する特定のサロン)があるデータベース又はデータ記憶装置を含むことができる。例えば、システム110のデータベース(図示せず)は顧客プロファイルを格納し、過去の毛髪特性及び毛髪色を含む。例えば、システム110のデータベースは、サロンを訪れたか、又はシステム110を使用した各顧客の顧客プロファイルを含む。いくつかの実施形態では、顧客プロファイルが顧客の識別子(例えば、顧客の名前、電話番号等)と、以前に測定又は提供された毛髪特性(例えば、毛髪の健康、色、タイプ、密度、太さ、浸透性、グレーの範囲、ダメージ、水分レベル、以前の処理、毛髪によって反射される原色のレベル等のうちの1つ又は複数)の詳細とを含む。いくつかの実施形態では、顧客プロファイルはまた、以前の毛染めセッションの詳細を含み、それは、初期開始毛髪色、所望の毛髪の目標色、最終毛髪色、及び/又は初期毛髪色から最終毛髪色に遷移させるために顧客の毛髪に適用された染料組成物及び/又は製剤に関する詳細を含む。いくつかの実施形態では、顧客のプロファイルに格納されているか、又は関連付けられたこのデータを使用して、顧客の毛髪の将来の染めセッションを改善することができる。なぜなら、以前の結果及び毛髪特性を分析して将来の染めセッションでもたらされる変化を識別して、最終色が毛髪の目標色に近くなることを保証し、それによって顧客(したがって、スタイリスト及びサロン)の将来の結果を改善できるからである。
【0092】
いくつかの実施形態では、各顧客プロファイルに関連するシステム110のデータベース内のデータストアも、集合的に使用される。例えば、各顧客のためのデータは匿名化され、システム110の別の顧客であって、初期毛髪色、毛髪の目標色、又は1つ以上の毛髪特性のうちの1つ以上を共有する顧客のカラーリングを改善するために使用されてもよい。例えば、第1の色値(及び/又は明度値)を有する初期毛髪色と、第2の色値を有する所望の毛髪の目標色とを有する以前の顧客が、第1の染料製剤が顧客の毛髪に適用され、第3の色値を有する最終毛髪色となったとする。同じ第1の色値の初期毛髪色と、同じ第2の色値を有する所望の毛髪の目標色とを有する次の顧客を有するスタイリストは、最終色が目標色に近くなるのを確実にするのを助けるように染料製剤を調整することができる。染料製剤に行う調整は、以前の顧客からの結果、ならびに以前の顧客と次の顧客との間の毛髪特性の類似性及び/又は違いによって知らされてもよい。例えば、以前及び次の顧客の両方が浸透性の毛髪を有し、以前の顧客の最終毛髪色が目標色よりも暗かった場合、スタイリストは次の顧客の毛髪が(同様の浸透性のために)余分な色を吸収するであろうことを識別し、目標色に近づくように試みるために、より少ない色を含むように次の染料製剤を調整してもよい。同様に、毛髪特性の他の類似性又は違いが、スタイリストが染料製剤をどのように調節するか、又は調節するか否かを知らせるであろう。
【0093】
システム110のすべての顧客の毛髪特性を集合的に使用することによって、スタイリスト(及び/又はシステム110)は、染料製剤を指示し、かつ/又は知らせるために大きなデータセットを使用することができる。大きなデータセットを集約及び/又は分析し、機械学習又は人工知能プロセスを使用することによって、システム110は以前の結果及び以前の結果を導いた毛髪特性を組み込み、経時的なフィードバック及びバック伝播ループを通して改善することによって、顧客の毛髪への染料製剤適用の結果を改善することができる。集約及び分析のためにより多くの情報が利用可能になるにつれて、染料製剤の改良は、毛髪の目標色と最終毛髪色とをより近づけるであろう。
【0094】
図6は、例示的な実施形態に係る、
図1の複数の染料分配システム110環境のネットワーク図である。上述のように、
図1の染料分配システム110の環境は、顧客がスタイリストと協働して顧客の毛髪を染めるサロン又は他の施設に対応するか又はこれを表すことができる。さらに、これらの個々のサロン又はシステム110は、異なるサロン又はシステム110間の情報の通信を可能にするために、それら自体がネットワーク化されてもよい。
図6に示すように、3つのシステム110は、ネットワーク210を介して一緒にネットワーク化することができる。第1のシステム110a、第2のシステム110b、及び第3のシステム110cのそれぞれは、
図1を参照して説明したように、ローカルに(例えば、システム110又はサロン内で)ネットワーク化された装置100、及び1つ又は複数のモバイル装置等を備えることができる。さらに、ネットワーク210は、システム110a~110cをネットワーク化されたデータベース208に接続してもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク化されたデータベース208が、情報(例えば、システム110a~110cの各々の顧客からの毛髪特性、染めセッションからの初期毛髪色、毛髪の目標色、及び最終毛髪色、着色結果に影響を及ぼす可能性がある対応する態様等)が共通の匿名化されたフォーマットで格納される集中型データベースとして動作できる。いくつかの実施形態では、ネットワーク化されたデータベース208が、顧客がシステム110a~110cのいずれかに移動して、以前の訪問に基づいてカスタマイズされた毛染めサービスを受けることを可能にする顧客プロファイルを記憶することもできる。
【0095】
上述したように、単一のシステム110の全ての顧客の毛髪特性は、初期毛髪色、毛髪の目標色、及び1つ以上の毛髪特性のうちの1つ以上の類似性に基づいて将来の顧客のための染料製剤を調整することに有益及び/又は参考になり得る。ネットワーク化されたデータベース208内の複数のシステム110からの顧客情報を集約することによって、ネットワーク化されたシステム110a~110cの各々は、システム110a~110cが染料製剤に対する調整をさらに改善して、染めセッションからの最終色が顧客の目標色にできるだけ近くなることをより確実にすることができるように、より多くの情報へのアクセスを有する。ますます多くのシステム110が、ネットワーク化されたデータベース208とネットワーク化され、ネットワーク化されたデータベース208に顧客の毛髪特性及び染めセッション結果(例えば、初期、目標、及び最終の毛髪色)を保存するにつれて、ネットワーク化されたシステム110は、最終色が可能な限り目標色に近くなるように、染料製剤をより良く特徴付けるために、ネットワーク化されたデータベース208及び分析、及びモデル等に記憶された情報と共に、顧客の毛髪特性、初期毛髪色、及び毛髪の目標色を利用することによって、将来の顧客の染料製剤を調製するときに使用するための改善されたリソースを有する。
【0096】
いくつかの実施形態において、ネットワーク化されたデータベース208(又は例えば、各システム110に分散されているが、すべてのネットワーク化されたシステム110によるアクセスのためにネットワーク化された分散ストレージデバイス)は各システム110のスキャナ111によって取り込まれた情報、ならびに任意の手動の又は他の入力を記憶することができる。ネットワーク化されたデータベース208(又は分散デバイス)内の情報は、スキャナ111からの入力を使用して染めセッションの最も可能性の高い結果を計算するために、1つ又は複数の遠隔データモジュール(本明細書でさらに詳細に説明する)によって利用することができる。いくつかの実施形態では、スキャナ111及び色分析モジュール216が、毛髪特性のデータベース及び/又は毛髪値のライブラリ(例えば、本明細書に記載の毛髪明度値のルックアップテーブル又は他の毛髪特性等)を生成及び/又は利用する。ライブラリ又はデータベースは、本明細書でさらに詳細に説明するように、毛髪特性が毛染めプロセスにどのように影響を及ぼしたかに関する詳細を含むことができる。
【0097】
上述のようなルックアップテーブルを使用して、色分析モジュール216は、ルックアップテーブル内のデータを使用して、(スキャナ111によってスキャンされた)スキャンされた顧客の毛髪の色、又はスキャンされた見本又はサンプルの色を識別することができる。例えば、スタイリスト(又は顧客)は顧客の毛髪に関連する様々な毛髪特性の測定値を識別するために、3つ(又はそれより多い、又はそれより少ない)異なる位置で顧客の毛髪をスキャンする。3つの位置は、顧客の毛髪の根元位置、顧客の毛髪上のシャフト位置、及び顧客の毛髪の先端位置を含むことができる。スキャナ111からの測定値は、コンピューティングシステム200に伝達することができる。色分析モジュール216は、顧客の毛髪の3つの測定値すべてに対応する単一の明度値及び/又は色値を識別できる。例えば、色分析モジュール216(又はスキャナ111)は、単一の明度及び/又は色の測定値を生成するために、3つの測定位置からの明度及び/又は色の測定値を平均化する。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216(又はスキャナ111)が単一の明度及び/又は色の測定値として、3つの明度及び/又は色の測定値の中央値を生成する。いくつかの実施形態では、単一の明度及び/又は色の測定値を決定するために、他の計算が使用される。いくつかの実施形態では、3つの明度及び/又は色の測定値、ならびに単一の明度及び/又は色の測定値が、大容量ストレージデバイス222又はネットワーク記憶装置に記憶される。
【0098】
決定された単一の測定値に基づいて、色分析モジュール216は、特定の毛髪色についての最小レベルと最大レベルとの間にある単一の測定値に基づいて、単一の測定値に関連付けられた毛髪色レベル(例えば、名前、識別子等)を識別するためにルックアップテーブルを参照する。例えば、色分析モジュール216は、単一の測定値がL=34であることを識別し、色分析モジュール216は、ルックアップテーブルを参照して、L=34が対応する最小測定値と最大測定値との間にある毛髪色レベルを識別する。色8が35の最大L値及び30の最小L値を有する場合、色分析モジュール216は、顧客の毛髪色レベルが色レベル8に対応することを識別する。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216が単一の測定値と最小/最大レベルとの間の関係に基づいて、正確な毛髪色レベルを計算することができる。例えば、最小及び最大のL値がそれぞれ30及び35であるL=34の単一の測定値では、色分析モジュール216が顧客の毛髪色レベルが8.8である(30が色レベル8に達し、次いで4/5が色レベル.8に達する)と判定することができる。色分析モジュール216は、8.8の色レベルを最も近い全体(9)又は半分(8.5)の色レベルに丸めることができる。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216がコンピューティングシステム200のUIを介して顧客又はスタイリストに表示するために、識別された色レベルを提供する。識別された色レベルは、顧客のプロファイルと共に、又は大容量ストレージデバイス222又はネットワーク記憶装置に、さらに又はその代わりに記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、色レベルに対応する色の名前又は画像が、顧客及び/又はスタイリストによる視覚的な確認のためにUIを介して表示されてもよい。
【0099】
あるいは、顧客の毛髪からの3つの測定値に対応する単一の測定値を決定する代わりに、色分析モジュール216はルックアップテーブルから、3つの測定位置からの測定値に対応する色を識別してもよい。したがって、色分析モジュール216は、各測定位置について測定値が互いにどの程度異なるかに応じて、3つまでの異なる色レベル(又は3つを超える測定値が顧客の毛髪から取得される場合にはそれ以上の色レベル)を識別することができる。
【0100】
本明細書に記載される本発明の実施形態はさらに、所望の毛髪色に基づいて顧客のための染料製剤を識別し、次いで、識別された製剤に基づいて予測される毛髪色の画像又は表示を顧客に表示するためのシステム及び方法に関する。知られているように、新しい毛髪色を望む顧客は、特定の毛髪の目標色を念頭に置くことができる。場合によっては、顧客がサンプルの毛髪色をスタイリストに持ってきて、スタイリストに、サンプルの毛髪色に一致する毛髪をもたらす毛染めプロトコル及び染料製剤を作成するように求めることができる。しかしながら、スタイリストが所望のレシピ又は製剤が顧客の毛髪に適用されたときにどのように見えるかを顧客に示し、リアルタイムで、又はほぼリアルタイムで調整を行い、染料製剤を調整し、調整の結果を顧客に示すことは、時には課題となり得る。本発明の一実施形態は、顧客の毛髪を特定の製剤で染めた結果である可能性が高い毛髪色を顧客に表示するためのシステムである。ディスプレイ装置上で特定の配合処方を修正することによって、スタイリストは、処理後に顧客の毛髪に現れるであろう様々な異なる毛髪色を顧客に示すことができる。一実施形態では、毛髪の目標色が、印刷又はデジタルカラーサンプルから毛髪の目標色を測定し、次いで、顧客の毛髪色をカラーサンプルに一致させるためのプロトコル及び染料製剤を作成することによるものとなり得る。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態では、システムは、毛髪の目標色を入力し、次いで、例えば、色のトーン、テクスチャ、及び他の毛髪特性のうちの1つ又は複数に関する顧客の現在の毛髪測定値を測定するための装置を含む。次いで、システムは、(1)初期毛髪色から所望の毛髪の目標色に到達するように顧客の毛髪に置くための適切なプロトコル及び染料組成物及び/又は製剤を決定し、かつ/又は(2)染料製剤及び入力毛髪色が与えられた場合に予測される最終毛髪色を示すための命令を実行することができる。
【0102】
一実施形態では、予測された最終毛髪色は、顧客の毛髪、顔、及び/又は身体と共に予測された最終毛髪色を示すように構成された電子装置の画面に示されてもよい。例えば、顧客は、友人又はスタイリストを顧客(又は家族等)に紹介した人によって以前に使用された特定の染料製剤を使用することを望む場合がある。このような実施形態では、スタイリストが顧客の写真を取り込み、次いで、染料製剤及び顧客の開始毛髪色に基づいて期待される最終色を重ね合わせることができる。いくつかの実施形態では、電子装置が、顧客を顧客の初期毛髪色から所望の目標色に到達させるための適切な染料組成物及び/又は製剤を決定する。
【0103】
別の実施形態では、顧客が毛髪の目標色を含む写真又は画像を持ってくるかもしれず、スタイリストは装置(例えば、ハンドヘルドのスキャナ又は同様の装置)を使用して、写真又は写真からの毛髪色をスキャンし、目標色を識別し、顧客自身の毛髪に毛髪の目標色をもたらす製剤を生成できる。各顧客の毛髪は色、健康等の独自の特性を有するので、各顧客が同じ毛髪の目標色に到達するために使用される染料製剤は異なることがある。したがって、システムは顧客自身の毛髪から変数のすべてを入力し、予測される毛髪の色を計算し、電子ディスプレイ上に表示することができ、その結果、顧客は、毛髪の最終的な外観及び色が所望の外観であることを確認することができる。一実施形態では、スタイリストが顧客のデジタル画像を撮ることができ、システムは毛髪である画像の部分を識別し、システムによって決定された、又はスタイリストによって入力された様々な製剤に従って毛髪色を変更して、染色された毛髪色の最終的な外観を顧客に表示することができる。
【0104】
一実施形態では、顧客の現在の又は目標の毛髪色を測定するために使用される装置が測色計であってもよい。他の実施形態では、顧客の現在の又は目標の毛髪色を測定するために使用される装置がデジタルカメラである。しかしながら、顧客の毛髪色を測定する他の装置も考えられる。例えば、一実施形態では、スタイリストはシステムに知られている標準的な色のセットのプリントアウト又はチャートに隣接して置かれた顧客の毛髪の高解像度写真を撮り、デジタル画像内の顧客の毛髪色の分析を実行することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、色分析モジュール216(例えば、上述のような)は様々な実施形態で分析及び出力を提供できる。例えば、顧客又はスタイリストが使用したいと思うが、混合されたときに最終色がどのように見えるかが分からない毛髪染料組成物又は製剤のための調合物を有する場合に、色分析モジュール216は出力を提供できる。そのような実施形態では、染料製剤がシステム110に入力される場合(例えば、UI又は同様の入出力装置及びインタフェース212を介して)、色分析モジュール216は、入力された染料製剤がどの毛髪色、テクスチャ等に適用されるかを入力するか又は読み取り、次いで、結果として得られる毛髪色、テクスチャ等をモバイル装置112のうちの1つのディスプレイに表示する(例えば、UI又は入出力装置及びインタフェース212を介して)。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216が、決定された毛髪色、テクスチャ等を顧客の画像に適用し、それにより、顧客は染料製剤の結果が顧客自身の毛髪で具体的にどのように見えると予想されるかを見ることができる。したがって、色分析モジュール216は、スタイリスト及び顧客が毛髪変換プロセスを開始する前に、予想される最終毛髪色等を見ることを可能にできる。
【0106】
さらに、又は代替として、顧客が所望の毛髪色を有する場合の結果を色分析モジュール216は提供することができ、その結果は、そこに到達するためにどの特定の染料成分を混合すべきかを含む(例えば、色分析モジュールが所望の毛髪色に基づいて染料製剤を生成する場合)。いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳細に説明されるように、色分析モジュール216は、製剤モジュール218と連携して動作することができる。
【0107】
提供された染料製剤に基づいて表示のための毛髪色を生成する際に、色分析モジュール216は、複数のステップを実行できる。ステップのいくつかでは、コンピューティングシステム200及び/又はシステム110の他の構成要素と共同する。例えば、色分析モジュール216(又は外部の構成要素)は、特定の毛髪色のライン又はブランドのすべての色について、又は多くの毛髪色のライン又はブランドについて、スペクトルシグネチャのライブラリを作成及び/又はアクセスすることができる。いくつかの実施形態ではライブラリ(例えば、特定の色のブランド又はラインのすべての基本色、自然色、及び純粋な色調(ピュアトーン)について)を作成するとき、スキャナ111及び色分析モジュール216はスキャナ111及び/又は分光光度計を使用してスキャンされたサンプルの測定値に基づいてスペクトル値のライブラリを生成する。いくつかの実施形態では、測定されるサンプルが、測定前に30分間、国際標準化機構(ISO)のウールクロスに十分な濃度で適用された染料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、測定されるサンプルは、異なる染料濃度、媒体(例えば、ヒトの毛髪、天然布織物、合成布織物、動物の毛等)、又は設定時間を有する。いくつかの実施形態では、スペクトル測定値が、染料のスペクトルシグネチャ及び/又はXYZ色又はCIELAB値(例えば、明度及び/又は色の値)の測定値を含んでもよい。測定値は、対応する染料又は色の名前又は他の識別子と共に、例えば大容量ストレージデバイス222、又はローカルの又はネットワーク化されたデータベース(図示せず)のライブラリに記憶される。このプロセスは、色のブランド又はラインの全ての色について、かつ/又は多くの又は全ての色のブランド又はラインについて繰り返すことができ、従って、結果として得られるライブラリは、色及び色情報の大きなデータベースを含むことができる。色スペクトルライブラリに記憶された測定値は、特定の色名に関連付けられた波長等を含むことができる。
【0108】
ライブラリが存在すると、スタイリスト及び/又は顧客は、所望の又は既知の調合物をコンピューティングシステム200に入力することができる。例えば、所望の又は既知の調合物は、入出力装置又はインタフェース212又はUIを介して手動でタイプ入力され得るか、又は存在する調合物のリストから選択され得る。いくつかの実施形態では、所望の又は既知の調合物が、別の文書又はバーコード等からスキャンされてもよい。例えば、所望の又は既知の調合物は、40gの6N及び60gのROであってもよい。既知の調合物は、既知の染料製剤の2つの異なる色又は成分についてのグラム重量を含む。第1のグラム重量は40gであり、第2のグラム重量は60gである。
【0109】
色分析モジュール216は、既知の調合物のグラム重量を濃度に変換することができる。濃度は、染浴相対濃度を含んでもよい。濃度を計算することは、識別された色の各々について全体の一部を計算することを含む。色分析モジュール216は、両方のグラム重量(40g+60g=100g)を合計し、次いで、各グラム重量を合計(40g/100g=0.4及び60g/100g=0.6)で割ることができる。したがって、濃度C1及びC2は、それぞれ0.4及び0.6である。既知の調合物に応じて、色分析モジュール216によって解かれるN個の濃度が存在し得る。
【0110】
濃度C1及びC2がわかると、色分析モジュール216は、色入力6N及びROに基づいて色スペクトルライブラリをレビューする。例えば、6N及びROは、色スペクトルライブラリに記憶された情報を有する1つ又は複数の色のブランド又はラインによって色を表すことができる。いくつかの実施形態では、色スペクトルライブラリがルックアップテーブルとして動作することができ、色分析モジュール216はスペクトルライブラリ内の既知の色入力を検索できる。上述のように、色スペクトルライブラリに記憶された測定値は、特定の色名に関連付けられた波長などを含むことができる。いくつかの実施形態では、色スペクトルライブラリがR(波長又はnmのユニットにおいて)として定義される色スペクトルシグネチャを含む。R値は不透明(無限の「光学的太さ」)材料に対する反射率値(例えば、色反射率)に対応し得る。したがって、2つの色入力6N及びROに基づいて、色分析モジュール216は、R値R1及びR2をそれぞれ識別する。N個の色及び濃度を有する既知の調合物について、N個のR値は、スペクトルカラーライブラリから特定され得る。
【0111】
色分析モジュール216は、識別されたスペクトルシグネチャR1及びR2を定数に変換できる。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216が式#1に従って、識別されたスペクトルシグネチャR1及びR2を、散乱中の吸収を表す値Fに変換できる。
【0112】
F=(1-R)2/2*R
式#1
既知の調合物には2つのR値(R1及びR2)があるので、2つのF値(各R値に対して1つ)がある。したがって、式#1に基づいて、色分析モジュール216は、2つのF値F1及びF2を生成する。上述のように、N色が既知の調合物に含まれる場合、色分析モジュール216はN個のR値に基づいてN個のF値を生成することができ、以下同様である。決定された濃度及びF値に基づいて、色分析モジュール216は、既知の調合物の視覚の色を生成することができる。例えば、色分析モジュール216は各濃度C1及びC2とその対応するF1及びF2(Fスペクトル)値とを掛け、既知の調合物全体についての結果を合計することができる。上記で提供された例示的な公知の調合物40gの6N及び60gのROについて、色分析モジュール216は、式#2に基づいて、合計されたFMixed値を生成する。
【0113】
FMixed=C1*F1+C2*F2
式#2
既知の調合物にN個の項が存在する場合、FMixed値はN個の項すべてについてC及びFの値を掛けて、合計する。
【0114】
次に、色分析モジュール216は、式#3によって、FMixed結果を反射率スペクトルシグネチャに戻すように変換する。
【0115】
RMixed=1-FMixed-(2*FMixed+FMixed 2)1/2
式#3
次に、色分析モジュール216は、1つ又は複数の一般に理解されている変換方法によって、RMixedスペクトルシグネチャをRGB色に変換することができる。色分析モジュール216はUI上に表示するため、又は顧客及び/又はスタイリストに提示するために、生成されたRGB色を伝達することができる。いくつかの実施形態ではRGB色はUI上に表示され(例えば、顧客の画像上に表示され)、顧客は既知の調合物が顧客上でどのように見えると予想されるかを見ることができる。いくつかの実施形態では、顧客及び/又はスタイリストが所望に応じて最終予測色を変更するために、既知の調合物の態様(例えば、グラム重量又は識別された色のうちの1つ又は複数)を調整することができる。いくつかの実施形態では、色分析モジュール216は、UI上に更新された画像を提供するための任意の変更を再計算する等し、顧客及び/又はスタイリストは既知の調合物に対して行われた調整を見ることができる。このプロセスは、既知の調合物に対して行われる任意の調整について繰り返すことができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、色分析モジュール216は、スペクトルライブラリ内の特定の色についての特別な状況に直面することができる。例えば、いくつかの公知の調合物では、FMixed値及びRMixed値を計算する際に、1つ又は複数の濃度及び/又は色が無視される。例えば、既知の調合物が、00N及び12Nの色量の一方又は両方を含む場合、色分析モジュール216は、上述したものとは異なるように濃度を計算することができる。例えば、色分析モジュール216は、00N色又は12N色のいずれかを含む既知の調合物に基づいて視覚の色を生成し、00Nの項又は12Nの項を無視することができる。したがって、色分析モジュール216は、上述したように、残りの色項を扱いながら、00N項のスペクトルシグネチャを無視して、60gの00Nと共に既知の方程式40gの6Nの濃度を計算することができる。したがって、公知の調合物40gの6N及び60gの00Nについて、C1=40g/100g=.4でかつFMixed=C1*F1である。
【0117】
所望の色を適切な染料製剤又は調合物に変換することに関して、色分析モジュール216は、上述の色スペクトルライブラリを使用することができる。例えば、色スペクトルライブラリに記憶された全ての色及び測定(例えば、スペクトル等)情報に基づいて、色分析モジュール216(又は外部の構成要素)は、仮想混合の大きなデータベースを作成する。例えば、色分析モジュール216又は他の構成要素は、色スペクトルライブラリにおいて可能な色及び濃度の(例えば、4色までの)すべての組合せを実行することに基づいて、仮想混合データベース(大容量ストレージデバイス222又は外部又はネットワーク化されたデータベースに格納されてもよい)を作成してもよい。いくつかの実施形態では、組合せにおける色の数が3色、5色、又は任意の他の数に限定されてもよい。一般に可能な調合物を含むように仮想混合データベースが作成されると、色スペクトルデータベース内の色情報が与えられる。色分析モジュール216は、所望の色を仮想混合データベース内の色と比較し、最も近い色の同等物から調合物を識別することによって、仮想混合データベース内の最も近く一致する調合物を所望の色(例えば、スキャナ111又は他の光学スキャナでスキャンされたもの)のために見つけることができる。いくつかの実施形態では、一致が、デルタE CMC(Color Measurement Committee)の色差方程式によって計算される。
【0118】
したがって、色分析モジュール216は、所望の色に最も近いDE(delta E)CMCを有する仮想混合データベース内の混合物を識別することができる。次いで、識別された混合物は、UI上に表示され得るか、又は製剤モジュール218に出力され得る。いくつかの実施形態では、顧客及び/又はスタイリストが、識別された混合物及び調合物に調整を行うことができ、任意の変更をリアルタイムで更新して、変更に基づいて期待される最終色を示すことができる。
【0119】
したがって、色分析モジュール216は色及び/又は製剤の決定のより正確で迅速な結果を提供し、これにより、サロンにおける酸化的な毛髪色の混合及び試行錯誤を数学的に予測する問題が回避される。
【0120】
本発明の実施形態は、染めサービスを調製するためのシステム及び方法に関し、染めサービスのために分配されるべき適切な量及び配合処方の染料を有し、染料製剤を顧客の毛髪に塗布してカラーアプリケーションプロセスを容易にする。いくつかの実施形態では、顧客の染めサービスのための染料製剤を識別することは、所望の毛髪色及び/又は既知の染料製剤、ならびに顧客の初期毛髪色に基づく。いくつかの実施形態では、顧客の毛髪の毛髪特性が得られ、顧客の毛染めサービスを作り出す際に使用される。知られているように、新しい毛髪色を望む顧客は、特定の毛髪の目標色を念頭に置くことができる。場合によっては、顧客がサンプルの毛髪色をスタイリストに持ってきて、スタイリストに、サンプルの毛髪色に一致する毛髪をもたらす毛染めプロトコル及び染料製剤を作成するように求めることができる。しかしながら、スタイリストが試行錯誤なしに、又は最小限の試行錯誤で、手動で染料製剤を生成し、分配し、顧客の毛髪に適用して毛髪の目標色を得ることは、時には課題となり得る。本明細書に記載される方法及びシステムは、リアルタイム、又はほぼリアルタイムでの調整を可能にして、染料製剤を調整し、調整の結果を顧客に示す。本発明の一実施形態は、顧客の毛髪を特定の製剤で染めた結果となる可能性が高い毛髪色を顧客に表示するシステムである。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態では、システムが毛髪の目標色を入力し、次いで、例えば、色のトーン、テクスチャ、及び他の毛髪特性のうちの1つ又は複数に関する顧客の現在の毛髪測定値を測定するための装置を含む。次いで、システムは、(1)初期毛髪色から所望の毛髪の目標色に到達するように顧客の毛髪に置くための適切なプロトコル及び染料組成物及び/又は製剤を決定し、かつ/又は(2)染料組成物及び/又は製剤を分配し、かつ/又は(3)顧客の毛髪への染料組成物及び/又は製剤の適用を指示しかつ/又は容易にするための命令を実行することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、命令が、スタイリストが顧客の毛髪へのカラーアプリケーションの工程、時間、技法等を管理するのを助ける。
【0123】
別の実施形態では、顧客が毛髪の目標色を含む写真又は画像を持ってくるかもしれず、スタイリストは装置(例えば、ハンドヘルドのスキャナ又は同様の装置)を使用して、写真又は写真からの毛髪色をスキャンし、目標色を識別し、顧客自身の毛髪に毛髪の目標色をもたらす製剤を生成できる。各顧客の毛髪は色、健康等の独自の特性を有するので、各顧客が同じ毛髪の目標色に到達するために使用される染料製剤は異なることがある。したがって、システムは顧客自身の毛髪から変数のすべてを入力し、顧客の毛髪に適用するための適切な染料製剤を計算し、生成することができる。
【0124】
一実施形態では、顧客の現在の又は目標の毛髪色を測定するために使用される装置が測色計であってもよい。他の実施形態では、顧客の現在の又は目標の毛髪色を測定するために使用される装置がデジタルカメラである。しかしながら、顧客の毛髪色を測定する他の装置も考えられる。例えば、一実施形態では、スタイリストはシステムに知られている標準的な色のセットのプリントアウト又はチャートに隣接して置かれた顧客の毛髪の高解像度写真を撮り、デジタル画像内の顧客の毛髪色の分析を実行することができる。
【0125】
色分析モジュールは、様々な実施形態において、分析及び出力を提供できる。例えば、顧客又はスタイリストが使用したいと思うが、混合されたときに最終的な色がどのように見えるかが分からない毛髪染料組成物又は製剤のための調合物を有する場合に、色分析モジュール216は出力を提供できる。そのような実施形態では、染料製剤がシステム110に入力される場合(例えば、UI又は同様の入出力装置及びインタフェース212を介して)、色分析モジュール216は、入力された染料製剤がどの毛髪色、テクスチャ等に適用されるかを入力するか又は読み取り、次いで、結果として得られる毛髪色、テクスチャ等をモバイル装置112のうちの1つのディスプレイに表示する(例えば、UI又は入出力装置及びインタフェース212を介して)。いくつかの実施形態では色分析モジュール216が、決定された毛髪色、テクスチャ等を顧客の画像に適用し、それにより、顧客は染料製剤の結果が顧客自身の毛髪で具体的にどのように見えると予想されるかを見ることができる。したがって、色分析モジュール216は、スタイリスト及び顧客が毛髪変換プロセスを開始する前に、予想される最終毛髪色等を見ることを可能にできる。
【0126】
さらに、又は代替として、顧客が所望の毛髪色を有する場合の結果を色分析モジュール216は提供することができ、その結果は、そこに到達するためにどの特定の染料成分を混合すべきかを含む(例えば、色分析モジュールが所望の毛髪色に基づいて染料製剤を生成する場合)。いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳細に説明されるように、色分析モジュール216は、製剤モジュール218と連携して動作することができる。
【0127】
色分析モジュール216は色及び/又は製剤の決定のより正確で迅速な結果を提供し、これにより、サロンにおける酸化的な毛髪色の混合及び試行錯誤を数学的に予測する問題が回避される。
【0128】
いくつかの実施形態では、スタイリスト及び/又は顧客によって使用される装置112のうちの1つ又は複数が、毛染めサービスを自動化するアプリケーションを有することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のモバイル装置112が携帯電話、タブレット、又はパーソナルコンピュータのうちの1つ又は複数を備えることができる。アプリケーションは、顧客記録保持システム、色のデザインのための実験室、顧客アプリケーション、及びディスペンサ/装置管理ツールを含む、複数の別の構成要素又は関数を含むことができる。
【0129】
図7は、毛染めサービスを自動化するアプリケーションの例示的な顧客リストビューを示す顧客記録保持システムのスクリーンショットである。アプリケーションのこの画面は、最近の顧客及びすべての顧客のリストを示し、新しい顧客の追加を提供するか、又はアプリケーション(実験室及び/又はディスペンサ/装置)の他の機能を選択することができる。アプリケーションは、顧客プロファイル、ヘアカラーアプリケーション、及び/又は顧客の履歴の選択を提供する。
【0130】
図8は例えば、
図7に示す画面を介してアクセスされる、新しい顧客情報入力画面のスクリーンショットである。この画面は、サービスプロセスの最初のステップを提供する。これは特定の新しい顧客の名前と連絡先情報を含む顧客記録を創設することから始まる。
図8に示す画面を介して入力された情報は、アプリケーションによってローカルデータベース又は遠隔の(又はネットワーク化された)データベースに格納されてもよい。
【0131】
図9~11は、顧客の毛髪プロファイル及びコンサルテーション情報を生成及び/又は更新するための入力画面のスクリーンショットを示す。例えば、
図9は、アプリケーション内のプロファイルツールが、顧客の毛髪プロファイルを取り込みかつ/又は記録し、コンサルテーション情報を生成するための1つ又は複数のテンプレートを提供することを示す。プロファイルツールは、顧客のプロファイルに関連して任意の取り込まれた画像又はビデオを保存し、顧客の取り込まれた任意の画像、ならびに顧客の現在の毛髪のスタイル及び色を保持することができる。
図10は、顧客の毛髪の異なる特徴又は態様及び/又は特性(毛髪が以前に染められているかどうかにかかわらず、長さ、密度、浸透性、タイプ、及びグレーのパーセンテージを含む)が毛髪プロファイルに関連してどのように格納されるかを示す。いくつかの実施形態では、
図10に見られるように、顧客の毛髪プロファイルに追加するために使用される情報は、スタイリストによって行われる視覚的観察、及び/又はカメラ、光学、もしくは他のセンサ等のセンサデバイスから得られる。この情報は、有線又は無線接続を介してアプリケーションにリンクされたセンサ装置を使用して毛髪プロファイルに記憶され、顧客の毛髪の開始のレベル又は色を決定するために使用されてもよい。
図11は、コンサルテーション情報テンプレートを介して、顧客の訪問に関する異なる情報を顧客のプロファイルに入力する方法を示す。
【0132】
図12~16は、顧客用のカラーアプリケーションを生成又は準備するための入力画面のスクリーンショットを示す。
図12の「作成」コマンドをタップすることによって、カラーアプリケーションデザインプロセスを開始できる。
図13は、「作成」をタップした後に現れるメニューを示し、このメニューは色ライブラリから1つ以上の色調合物を選択すること、(例えば、スキャンされた、所望の色等に基づいて)実験室内でカスタム色をデザインすること、新しいアプリケーションを作成すること、又はアプリケーションライブラリ又は顧客の履歴から、1つ以上の顧客に関連付けられたカラーアプリケーションワークスペースにインポート、及び/又は選択された既存のアプリケーションを編集することを含む、4つの選択肢をスタイリストに提供する。
図14は、いくつかの実施形態において、カラーライブラリが以前にデザインされた色調合物を格納し、スタイリスト(又は別のスタイリスト又は顧客)が1つ又は複数の色を選択し、「使用」コマンドを選択して、それらを顧客アプリケーションワークスペースに移動させることをどのように可能にするかを示す。
図15は、顧客アプリケーションワークスペース内の色調合物のそれぞれについて、選択された色又はライブラリ色がどのように表示されるかを示す。スタイルリスト又は顧客は、そのステップの調合色の色画像の横にある3行のアイコンを使用して、ステップをタッチ、保持、及びドラッグすることによって、カラーステップのシーケンス(つまり、上から下への表示順序で表示される色)を再配置できる。いくつかの実施形態では、顧客アプリケーションは、いくら単純又は複雑であっても、1つ又は複数のステップを含み、各ステップは、要素又はプロトコルの共通のセットを有する。要素は、
図16に示すように、1)毛髪に適用される調合物、2)その調合物の量、3)その調合物が毛髪に適用される位置、4)a)パーマネント、b)デミ、c)トナー、d)グロス、又はe)セミパーマネントの範囲、及び5)共結合剤等の1つ又は複数の添加剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、顧客アプリケーションが、1つ又は複数のステップのそのような設定に編成され得る。
【0133】
図17~19は、顧客用のカラーアプリケーションの分配を追跡するための画面のスクリーンショットを示す。
図16に示すように、顧客アプリケーションが完了すると、顧客又はスタイリストは、「分配」コマンドを選択して、カラーアプリケーションのための調合物を装置100に送信することができ、スタイリスト又はアシスタントは装置100上のタッチスクリーンを介して(例えば、パネル106を介して)、カラーアプリケーション染料調合物で識別される化学物質を出力するプロセスを開始する。いくつかの実施形態では、カラーアプリケーション染料調合物用の化学物質が、自動的に、又は容器154が検出されたときに、容器154に自動的に分配される。顧客アプリケーションワークスペースは、アプリケーション作成プロセスからアプリケーションサービスプロセスに遷移し、その間に、カラーアプリケーションが分配され、顧客の毛髪に適用される。プロセスのこの時点で、経過時間タイマー、リンスタイマー、及び前後の顧客写真を撮る選択肢/能力を含む追加の項目が画面上に示される。また、カラーアプリケーションプロセスの各工程は、毛髪の目標色を達成するためのステップの適切な順序の明確な意味を提示するように番号付けされる。
図18は、「分配」コマンドが実行又は選択されると、分配ツールが、選択された毛髪の位置(もしあれば)とともに、顧客の名前でキューに入れられた調合物を示し、かつ(例えば、ごみ箱アイコンを選択することによって)調合物を除去する選択肢と共に、調合物の色の画像を示すことを示す。
図19では、画面が、処理状態で分配又はサービスのためにキューに入れられた状態を示す。スタイリストは、この画面を使用してステップを複製及び/又は削除することができる。
【0134】
図20~24は、顧客の毛髪及び関連するアプリケーションに分配された色のアプリケーション、及び/又はリンスタイマーを追跡するための画面のスクリーンショットを示す。
図20は、顧客アプリケーションに関連するステップのいずれかに調合物が分配されると、経過時間タイマー及びリンスタイマーがそれぞれ、カウントアップ及びカウントダウンを開始することを示す。現在分配されている調合物のためのステップは、ここで、開始されると、スタイリストが現在分配されている調合物をアプリケーションに従って顧客の毛髪に適用する間の秒数をカウントする「適用」コマンドを示す。
図21に示されるように、「さらに」コマンドは、現在分配されている調合物の定義された目標領域への適用を完了する必要がある場合に、スタイリストがより多くの同じ調合物を分配することを可能にするように現れるか、又は要求されてもよい。「さらに」コマンドが選択されると、染料の追加の量が装置100のキューに追加され、顧客アプリケーションサービス画面に追加された後に、装置100によって分配される。いくつかの実施形態では、分配された調合物の色を描写するカラー画像の周りに着色された正方形が示され、それは、そのステップの調合物を含む容器154の色(例えば、正方形の色)を示す。いくつかの実施形態では、容器154の色情報が装置100内に配置された1つ又は複数のセンサを使用してアプリケーションに提供される。「リンス」コマンドは、実行されたときに、すべてのステップにおいて、経過時間、リンス、適用、及び処理タイマーを含むすべてのタイマーを停止すると思われる。
図20からの「適用」コマンドが選択されると、「適用中」の用語が画面上に現れ、タイマーが刻一刻とカウントアップを開始することを
図22は示す。
図23は、色が毛髪の目標領域に完全に適用されると、スタイリスト又はアシスタント又は顧客が「適用中」コマンドを選択でき、そのことが、「適用」タイマーを停止し、処理タイマーを開始することを示している。適用ステップの後に顧客の毛髪上に色が存在する時間量は、結果として生じるトーンと直接関係がある。装置は、顧客の毛髪上で色が処理されて目標のトーンの結果に到達する時間量を計算することができる。
図24は、スタイリストが「リンス」コマンドを選択したときに、すべてのタイマーが停止し、画面が、顧客アプリケーションのための適用及び処理の合計時間を表示することを示している。この情報は、システム内に保持され、スタイリスト、及び/又は顧客のためのスタイリストの技能及び結果を改善するために情報を使用することができる装置100の他のオペレータに利用可能にされる。
【0135】
図25は、顧客の毛髪へのアプリケーション等の顧客履歴の画面のスクリーンショットを示す。カラーアプリケーションサービスの完了時点で、日付、アプリケーションサービスのタイプ、及びサービス品質格付けを含むサービスの記録が、顧客の顧客履歴に記録される。いくつかの実施形態では、アプリケーションが顧客に送信するための電子メール、テキストメッセージ、又は他の通知を生成し、スタイリスト、管理、染めプロセス、サロン等についてのフィードバックを与える機会を提供することができ、それは上記のそれぞれについてのサービス格付けを事前設定してもよい。いくつかの実施形態では、スタイリストが、顧客履歴内のアプリケーションを選択し、「使用」コマンドを実行して、同じ又は異なる顧客に対してそのアプリケーションを使用することができる。
【0136】
図26~28は、顧客の毛髪へのアプリケーション用の新しい色を生成するための画面のスクリーンショットを示す。
図26に示すように、スタイリストが、顧客アプリケーション作成プロセス中に上述のように「作成」コマンドを選択すると、スタイリストは、「色作成」の選択肢をさらに選択できる。このような選択が、上で紹介した実験室ツールの一部である
図26の「色作成」画面を表示できる。「色作成」ツールは、スタイリスト及び/又は顧客又は他のオペレータが、1つ又は複数のヘアカラーブランド又はラインからの調合物要素を使用してトーンを作成し、結果として生じるトーンが何を生じるかを直ちに見ることを可能にする固有かつ強力な性能である。いくつかの実施形態では、結果として得られるトーンを顧客に表示して、顧客上で毛髪のトーンがどのように見えるかを示すことができる(例えば、顧客の毛髪に重ね合わせる)。いくつかの実施形態では、スタイリストが作成された調合物に特定の調合物要素を追加するか、又はそれらの量を調整すると、1つ又は複数のアルゴリズムが結果として得られるトーンを計算し、それがスタイリストのために表示される。次に、調合物は、「見本」コマンドを使用して装置100に送信されるか、「使用」コマンドで顧客のアプリケーションワークスペースにコピーされるか、又は「セーブ」コマンドで名前付きライブラリに保持され得る。いくつかの実施形態では、「色作成」ツールが、顧客の毛髪に適用されるような特定の組み合わせで、混合可能な毛髪色のラインの選択されたセットの結果を見る性能をスタイリストに提供する。いくつかの実施形態では、「色作成」ツールが、
図28に示すように、色相環を使用して色空間から選択できる毛髪色のセットをスタイリストに提示する性能を提供する。
図28の画面は、スタイリスト又は顧客が、CIELAB色空間内のL値によって定義される明度の範囲を表す明度レベルを選択し、次に、色相環のどこかをタップして毛髪色レベルを選択することを可能にすることを示す。ナビゲーション矢印の設定は、スタイリスト及び/又は顧客に、色相環の色空間を介して細かいナビゲーションを実行する性能を提供することができる。
【0137】
図29は、顧客のためにカラーアプリケーションを選択できる画面を示す。上述のように、本明細書に記載のアプリケーションは、顧客カラーアプリケーションを順序付けられたステップに編成することを可能にすることを含む。いくつかの実施形態において、アプリケーションは、あらかじめ定義された顧客アプリケーションタイプのライブラリを含む。いくつかの実施形態では、各カラーアプリケーションが、ステップの数、各ステップが適用される毛髪上の位置、及び各ステップの固有の構成に従って、他のすべてのカラーアプリケーションと比べて固有である。顧客アプリケーションの「作成」プロセス中に、スタイリストは事前定義されたアプリケーションのライブラリから選択できる。
【0138】
いくつかの実施形態では、既存のカラーアプリケーションを編集するための「作成」コマンドからスタイリストに選択肢が提供され、これにより、スタイリストはカラーアプリケーションタイプをカスタマイズできる。カラーアプリケーションがその構成において固有である場合、スタイリストはスタイリストがデザインしたアプリケーションのタイプに名前を付けることができる。アプリケーションは、スタイリストに、ソーシャルメディアプラットフォーム上でデザインする色及びアプリケーションを公開する能力をさらに与える。上述の能力に加えて、実験室ツールは、「変換」コマンドを使用して、ヘアカラーサプライヤのリストと、彼らが提供するヘアカラートーンの名前付きラインとを見る能力を含む。スタイリストは利用可能な色変換ツールの画面を示す
図30に示すように、サプライヤのリストから選択するオプションを有する。これは、1つのブランド又はラインからの色が別のブランド又はラインの同様の色に変換されることを可能にし得る。
図31は、スタイリストがカラーオプションのメニューにアクセスし、特定のトーンを選択することを可能にする画面を示す。スタイリストは次いで、特定のアイテムを選択し、
図32で、そのトーンと、調合物要素として別のブランドの色を使用して、選択されたトーンを再現する調合物とを見ることができる。次いで、スタイリストは、顧客のアプリケーションでトーンを使用するための「使用」コマンド、調合物をISO布又は毛髪に適用することができる装置100に実際の色を見るために調合物を出力するための「見本」コマンド、色相環でトーンを見るための「マップ」コマンド、又は実験室で調合物を作成カラーツールに引き込む「カスタマイズ」コマンドを含む4つのコマンドのうちの1つから選択することができる。
【0139】
本明細書で説明されるアプリケーションによって、1つ又は複数の顧客の毛髪プロファイル、コンサルテーション、アプリケーションサービスプロセス、調合物、及び結果として得られる画像の記憶、保持、及び検索、リアルタイムのヘアカラートーンのデザイン及びカスタマイズ、色空間の視覚化、及び色空間内からの選択を可能にすることを含む、様々な利点が提供される。このアプリケーションは、自動化された段階的な顧客アプリケーションサービスツール、精密な分配制御のためのコンピュータ化されたディスペンサの自動化されたアプリケーション制御、及びスタイリストによってデザインされた調合物が格納され得るか、又は他のスタイリストからの寄与を含み得る既存のライブラリから引き出され得る色のライブラリを提供する。アプリケーションはまた、スタイリストの技能を改善するための支援及び訓練情報を有するアプリケーションタイプのライブラリ、他のヘアカラーサプライヤによって提供される広範囲のトーンから選択し、他のブランドの色を使用してそれらを複製する能力、品質管理及び訓練目的のために使用され得る記録をスタイリスト及びマネージャが呼び出す能力、顧客履歴記録から調合物及びアプリケーションを呼び出す能力、顧客に一貫した結果を提供するために調合物、トーン、及びアプリケーションを正確に再現する能力、動作コースを推奨するか、又はスタイリストが達成しようと試みているもの以外の結果を生成し得るステップを識別することによってスタイリストを支援するアプリケーションの能力、及びアプリケーションサービスプロセスの前に遠隔位置から顧客アプリケーションを設計し、調合物を次の分配を行う装置100に送信する能力を提供する。アプリケーションはまた、デザインされた色に名前を付ける能力、ソーシャルメディア上の他のスタイリスト又は顧客とデザインされた色及びアプリケーションを共有する能力、及びISO布及び毛髪上で試験するための見本の量を分配し、センサ技術を使用してそれらの結果を記録し、その後の使用のためにその情報を保持する能力を提供する。
【0140】
本明細書は本発明の特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、当業者は前述の理解を達成すると、これらの実施形態の変更、変形、及び均等物を容易に考えることができることが理解されるであろう。本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。さらに、当業者は前述の説明が単に例示であり、本発明を限定することを意図しないことを理解するのであろう。したがって、本主題は、そのような修正及び変形を包含することが意図される。
【0141】
<追加の実施形態>
本明細書で使用されるように、「システム」、「計器」、「装置」、及び「デバイス(装置)」は一般に、ハードウェア(例えば、機械的及び電子的)と、いくつかの実装形態では、関連するソフトウェア(例えば、グラフィックス制御のための専用コンピュータプログラム)要素との両方を包含する。
【0142】
必ずしもすべての目的又は利点が、本明細書で説明される任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、特定の実施形態が、本明細書で教示又は示唆され得るような他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点のグループを達成又は最適化する様式で動作するように構成され得ることを認識するのであろう。
【0143】
前のセクションで説明した各プロセス、方法、及びアルゴリズムは、コンピュータハードウェアを含む1つ以上のコンピュータシステム又はコンピュータプロセッサによって実行されるコードモジュールにおいて具体化され、当該コードモジュールによって完全に又は部分的に自動化されてもよい。コードモジュールは、ハードドライブ、ソリッドステートメモリ、光ディスク、及び/又は同様のもののような任意の種類の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体又はコンピュータストレージデバイスに記憶され得る。システム及びモジュールはまた、生成されたデータ信号(例えば、搬送波又は他のアナログ又はデジタルの伝播信号の一部として)として、無線ベース及び有線/ケーブルベースの媒体を含む様々なコンピュータ読み取り可能な伝送媒体上で伝送されてもよく、様々な形態(例えば、単一の又は多重化されたアナログ信号の一部として、又は複数の離散デジタルパケット又はフレームとして)をとってもよい。プロセス及びアルゴリズムは、アプリケーション固有の回路に部分的に又は全体的に実装され得る。開示されたプロセス及びプロセスステップの結果は、例えば、揮発性又は不揮発性の記憶装置等の任意の種類の非一時的なコンピュータ記憶装置に、永続的に、又は他の方法で記憶され得る。
【0144】
本明細書で説明した以外の多くの他の変形が、本開示から明らかになるのであろう。例えば、実施形態に応じて、本明細書で説明されるアルゴリズムのいずれかの特定の動作、イベント、又は機能は、異なるシーケンスで実行されることができ、追加されることができ、併合されることができ、又は完全に除外されることができる(例えば、説明される動作又はイベントのすべてが、アルゴリズムの実施に必要であるわけではない)。さらに、特定の実施形態では、動作又はイベントは、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサもしくはプロセッサコアによって、又は他の並列アーキテクチャ上で、順次ではなく同時に実行することができる。さらに、異なるタスク又はプロセスは、共同で機能し得る異なる機械及び/又はコンピューティングシステムによって実行できる。
【0145】
本明細書で開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及びアルゴリズム要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組合せとして実装され得る。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を明確に説明するために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、及び構成部分が、本明細書では概してそれらの機能に関して説明されてきた。このような機能をハードウェアとソフトウェアのいずれで実施するかは、特定のアプリケーションとシステムに課される設計上の制約とに左右される。説明された機能は、各特定のアプリケーションに対して様々な方法で実装され得るが、そのような実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0146】
本明細書で説明される様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用されてもよいし、又は様々な方法で組み合わされてもよい。全ての可能な組合せ及び部分的な組合せは、本開示の範囲内に入ることが意図される。さらに、特定の方法又はプロセスブロックは、一部の実施において省略されてもよい。本明細書で説明される方法及びプロセスはまた、任意の特定のシーケンスに限定されず、それに関連するブロック又は状態は、適切な他のシーケンスで実行され得る。例えば、説明されたブロック又は状態は、具体的に開示された順序以外の順序で実行されてもよく、又は複数のブロック又は状態が単一のブロック又は状態に組み合わされてもよい。例示的なブロック又は状態は、シリアル、パラレル、又は他の何らかの方法で実行され得る。ブロック又は状態は、開示された例示的な実施形態に追加されてもよいし、開示された例示的な実施形態から削除されてもよい。本明細書で説明される例示的なシステム及び構成要素は、説明されるものとは異なるように構成され得る。例えば、構成要素は、開示された例示的な実施形態と比較して、追加され、除去され、又は再配置されてもよい。
【0147】
本明細書で開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック及びモジュールは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(「DSP」:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(「ASIC」:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」:field programmable gate array)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書で説明される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せ等の機械によって実装又は実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代わりに、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシン、同じものの組み合わせ、又は類似のもの等であってもよい。プロセッサは、コンピュータによる実行が可能な命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサが、コンピュータによる実行が可能な命令を処理することなく論理演算を実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサは、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又はその他のそのような構成等、コンピューティングデバイスの組み合わせとしても実装できる。本明細書では、主にデジタル技術に関して説明するが、プロセッサは主にアナログ構成要素を含んでもよい。例えば、本明細書で説明される信号処理アルゴリズムのいくつか、又はすべては、アナログ回路又はアナログとデジタルの混合回路で実装されてもよい。コンピューティング環境は、いくつか例を挙げると、マイクロプロセッサに基づくコンピュータシステム、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブルコンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又は機器内のコンピューティングエンジンを含むがこれらに限定されない任意のタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
【0148】
本明細書で開示される実施形態に関連して説明される方法、プロセス、又はアルゴリズムの構成要素は、ハードウェアで直接的に実施されるか、1つ又は複数のメモリデバイスに格納され、1つ又は複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで実施されるか、又はその2つの組合せで実施され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は当技術分野で公知の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、メディア、又は物理的コンピュータ記憶装置の任意の他の形態に存在し得る。一例の記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに接続され得る。代わりに、記憶媒体はプロセッサと一体であってもよい。記憶媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。プロセッサと記憶媒体は、ASIC内に存在し得る。ASICは、ユーザ端末に存在し得る。代わりに、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末内の別々の構成要素として存在し得る。
【0149】
とりわけ、「し得る」、「できる」、「であろう」、又は「でもよい」等の条件付き言語は、特に違ったふうに明記されているか、又は使用された文脈で違ったふうに理解されない限り、一般に、特定の特徴、要素及び/又はステップを、他の実施形態が含まない一方で、特定の実施形態が含むことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き言語が、一般に、特徴、要素、及び/又はステップが、1つ又は複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、又は1つ又は複数の実施形態が、ユーザ入力又はプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれるか、又は実行されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを暗示することは、意図されない。
【0150】
本明細書で使用されるように、「データ記憶システム」は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートメモリ、及び/又は記載されているアクセス装置、サーバ、又は他のコンピューティングデバイス等の装置へのアクセス、又は当該装置によるアクセスが可能な、非一時的な任意の他のタイプのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を利用するコンピューティングシステムにおいて実施可能である。データ記憶システムは、本開示の範囲から逸脱することなく、当技術分野で知られているように、複数のローカルであって、かつ/又は遠隔のストレージデバイスに、さらに、又は代替的に、分散、又は分割され得る。さらに他の実施形態では、データ記憶システムが、データ記憶ウェブサービスを含むか、又はそれに具現化されてもよい。
【0151】
本明細書で使用されるように、「決定する」という用語は、多種多様な動作を包含する。例えば、「決定する」は、計算、コンピューティング、処理、導出、ルックアップ(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造においてルックアップする)、及び確認等を含み得る。また、「決定する」は、受信(例えば、情報を受信すること)、及びアクセス(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)等を含むことができる。また、「決定する」は、解決、選出、選択、及び確証等を含むことができる。
【0152】
本明細書で使用されるように、用語「選択的に」又は「選択的な」は多種多様な動作を包含し得る。例えば、「選択的な」プロセスは、複数の選択肢から1つの選択肢を決定することを含み得る。「選択的な」プロセスは、決定を行うための、動的に決定された入力、事前に構成された入力、又はユーザによって開始された入力のうちの1つ又は複数を含むことができる。いくつかの実装形態では、選択機能を提供するために、n個の入力スイッチを含めることができ、ここで、nは選択を行うために使用される入力の数である。
【0153】
本明細書で使用されるように、用語「提供する」は、多種多様な動作を包含する。例えば、「提供する」は、後続の検索のための位置に値を格納すること、受信者に値を直接送信すること、値への参照を送信又は格納することなどを含むことができる。「提供する」は、符号化、復号化、暗号化、解読、確認、及び検証等も含むことができる。
【0154】
本明細書で使用されるように、用語「メッセージ」は情報を通信する(例えば、送信又は受信する)ための多種多様なフォーマットを包含する。メッセージは、XML文書、固定フィールドメッセージ、カンマで区切られたメッセージ等の情報の機械読み取り可能な集合体を含むことができる。いくつかの実装形態では、メッセージが情報の1つ又は複数の表現を送信するために利用される信号を含むことができる。単数形で記載されているが、メッセージは複数の部分で構成、送信、格納、受信等され得ることが理解されるのであろう。
【0155】
本明細書で使用されるように、「ユーザインタフェース」(対話型ユーザインタフェース、グラフィカルユーザインタフェース、又はUIとも呼ばれる)は、入力信号を受信するか、又は電子情報を提供するため、及び/又は任意の受信された入力信号に応答してユーザに情報を提供するための、データフィールド及び/又は他の制御を含むネットワークベースのインタフェースを指すことができる。UIは、HTML、ADOBE(登録商標)、FLASH(登録商標)、JAVA(登録商標)、MICROSOFT(登録商標).NET(登録商標)、ウェブサービス、及びリッチサイトサマリー(RSS:rich site summary)等の技術を使用して、全体的に又は部分的に実装され得る。いくつかの実装では、UIが、記載された態様の1つ以上に従って通信(例えば、結果を送受信)するように構成されたスタンドアロンの顧客(例えば、シッククライアント、ファットクライアント)に含まれてもよい。
【0156】
フレーズ「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」等の選言的な言い回しは特に断らない限り、項目、用語等がX、Y、又はZ、あるいはそれらの任意の組合せ(例えば、X、Y、及び/又はZ)であり得ることを提示するために一般に使用される文脈とは別に理解される。したがって、そのような選言的な言い回しは一般に、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、又はZのうちの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意図せず、暗示するべきではない。
【0157】
本明細書に記載され、かつ/又は添付の図面に示されるフロー図における任意のプロセス記述、要素、又はブロックは、プロセスにおける特定の論理機能又はステップを実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又はコードの一部を潜在的に表すものとして理解されるべきである。当業者によって理解されるように、含まれる機能に応じて、要素又は機能が削除され、実質的に同時又は逆の順序を含めて、示された順序とは異なる順序で実行され得る代替の実装が、本明細書で説明される実施形態の範囲内に含まれる。
【0158】
特に明記しない限り、「a」又は「an」等の冠詞は一般に、1つ又は複数の記載項目を含むと解釈されるべきである。したがって、「構成された装置」等の言い回しは、1つ又は複数の記載された装置を含むことが意図される。そのような1つ又は複数の記載された装置は、記載された列挙を実行するように集合的に構成することもできる。例えば、「列挙A、B、及びCを実行するように構成されたプロセッサ」は、列挙B及びCを実行するように構成された第2のプロセッサと連携して動作する列挙Aを実行するように構成された第1のプロセッサを含むことができる。
【0159】
本明細書で説明される方法及びプロセスのすべては、1つ又は複数の汎用コンピュータによって実行されるソフトウェアコードモジュールで実施され、部分的に又は完全に自動化され得る。例えば、本明細書で説明される方法は、コンピューティングシステム及び/又は任意の他の適切なコンピューティングデバイスによって実行され得る。本方法は、ソフトウェア命令、又は有形のコンピュータ読み取り可能な媒体から読み取られた他の実行可能なコードの実行に応答して、コンピューティングデバイス上で実行されてもよい。有形のコンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータシステムによって読み取り可能なデータを記憶することができるデータストレージデバイスである。コンピュータ読み取り可能な媒体の例には、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、他の揮発性又は不揮発性メモリデバイス、CD-ROM、磁気テープ、フラッシュドライブ、及び光データストレージデバイスが含まれる。
【0160】
本明細書に記載された実施形態に対して多くの変形及び修正を行うことができ、その要素は、他の許容可能な例の中の1つであると理解されるべきであることを強調すべきである。全てのそのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。前述の説明は、特定の実施形態を詳述する。しかしながら、前述の内容が文章にどのように詳細に現れても、システム及び方法は多くの方法で実施することができることが理解されるであろう。また、本明細書で述べられるように、システム及び方法の特定の特徴又は態様を説明するときの特定の用語の使用は、その用語が関連付けられるシステム及び方法の特徴又は態様の任意の特定の特性を含むことに限定されるように本明細書で用語が再定義されることを暗示すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0161】
当業者は、情報、メッセージ、及び信号が様々な異なる技術及び技法のうちの任意のものを使用して表され得ることを理解するのであろう。たとえば、上記の説明の全体にわたって参照されるかもしれないデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場又は磁性粒子、光学場又は光学粒子、又はそれらのいかなる組み合わせによって表わされてよい。
【国際調査報告】