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特表2022-531980二重特異性抗EGFR/C-MET抗体と第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤との併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-12
(54)【発明の名称】二重特異性抗EGFR/C-MET抗体と第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤との併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220705BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220705BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220705BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220705BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220705BHJP
   C12N 15/52 20060101ALN20220705BHJP
【FI】
A61K39/395 E ZNA
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K31/5377
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567974
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2020054594
(87)【国際公開番号】W WO2020230091
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/847,605
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ラケール,シルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツィ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ムーアズ,シェリ
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085BB11
4C085BB12
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA14
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤との併用療法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGFR又はc-Met発現癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に併用療法を施すことを含み、前記併用療法は、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【化1】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩とを含む、前記方法。
【請求項2】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、配列番号6のLCDR3を含む、EGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、c-Metに結合する第2のドメインとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
EGFRに結合する前記第1のドメインが、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに結合する前記第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、式(II):
【化2】
の化合物によって表される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記EGFR又はc-Met発現癌が、野生型EGFR、EGFR変異、EGFR遺伝子増幅、循環HGFのレベルの上昇、野生型c-Met、c-Met変異、c-Met遺伝子増幅、又は変異体KRASに関連する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記EGFR変異が、E709K、L718Q、L718V、G719A、G719X、G724X、G724S、I744T、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C775Y、T790M、L792H、L792V、G796S、G796R、G796C、C797S、T854I、L858P、L858R、L861X、delE746-A750、delE746_T751InsKV、delE746_A750InsHS、delE746_T751InsFPT、delE746_T751InsL、delE746_S752InsIP、delE746_P753InsMS、delE746_T751InsA、delE746_T751InsAPT、delE746_T751InsVA、delE746_S752InsV、delE746_P753InsVS、delE746_K754InsGG、delE746_E749、delE746_E749InsP、delL747_E749、delL747_A750InsP、delL747_T751InsP、delL747_T751InsN、delL747_S752InsPT、delL747_P753InsNS、delL747_S752InsPI、delL747_S752、delL747_P753InsS、delL747_K754、dekL747_T751InsS、dekL747_T751、delL747_P753InsS、delA750_I759InsPT、delT751_I759InsT、delS752_I759、delT751_I759InsN、delT751_D761InsNLY、delS752_I759、delR748-P753、delL747-P753insS、delL747-T751、M766_A767InsA、S768_V769InsSVA、P772_H773InsNS、D761_E762InsX1-7、A763_Y764InsX1-7、Y764_Y765 InsX1-7、M766_A767InsX1-7、A767_V768 InsX1-7、S768_V769 InsX1-7、V769_D770 InsX1-7、D770_N771 InsX1-7、N771_P772 InsX1-7、P772_H773 InsX1-7、H773_V774 InsX1-7、V774_C775 InsX1-7、EGFRのエクソン20中の1つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン20中の1つ以上の挿入、EGRFのエクソン19中の1つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン19中の1つ以上の挿入、又はこれらの任意の組み合わせであり、Xは、任意のアミノ酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記EGFR変異が、エクソン19中の1つ以上の欠失若しくはL858R、又はこれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記c-Met変異が、c-Metのエクソン14スキッピング変異である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記変異体KRASが、G12V、G12C、又はG12Aの置換を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、併用療法を施す前にEGFR変異を有すると診断されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、新たに診断されたEGFR又はc-Met発現癌を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療未経験である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、第1世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1世代EGFR TKIが、エルロチニブ又はゲフィニブである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、第2世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2世代EGFR TKIが、アファチニブである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、第3世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第3世代EGFR TKIが、オシメルチニブである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記EGFR又はc-Met発現癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)、上皮細胞癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、肺扁平上皮癌、肺腺癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頚部癌、咽頭癌、鼻の癌、膵臓癌、皮膚癌、口腔癌、舌の癌、食道癌、膣癌、子宮頚癌、脾臓の癌、精巣癌、胃癌、胸腺の癌、結腸癌、甲状腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(HCC)、又は散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞癌(PRCC)である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記癌が、NSCLCである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約200mg~約2000mgの用量で投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約350mg~約1400mgの用量で投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約350mg、約700mg、約1050mg、又は約1400mgの用量で投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1週間に1回投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、2週間に1回投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、約20mg~約320mgの用量で投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、約160mg又は約240mgの用量で投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日1回投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約350mg~約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mg~約240mgの用量で投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約240mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約240mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約240mgの用量で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に1回以上投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10回又はそれ以上投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、CD16の158位でフェニルアラニンに対してホモ接合型であるか、又はCD16の158位でバリン及びフェニルアラニンについてヘテロ接合型である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象に第3の抗癌療法を更に施すことを含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第3の抗癌療法が、化学療法、標的抗癌療法、又はキナーゼ阻害剤である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【化3】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩との、組み合わせ医薬。
【請求項47】
前記単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体が、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含むEGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含むc-Metに結合する第2のドメインとを含む、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体である、請求項46に記載の医薬組み合わせ。
【請求項48】
式(I):
【化4】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩が、ラゼルチニブである、請求項46又は47に記載の医薬組み合わせ。
【請求項49】
式(I):
【化5】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩が、メシル酸ラゼルチニブである、請求項46又は47に記載の医薬組み合わせ。
【請求項50】
約350mg~約1400mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体と、約160mg~約240mgの式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、請求項46~49のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項51】
式(I)の前記化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドである、請求項46~50のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項52】
前記医薬組み合わせが、非固定組み合わせである、請求項46~51のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項53】
前記二重特異性EGFR/c-Met抗体のEGFRに結合する前記第1のドメインが、配列番号13のVH及び配列番号14のVLを含み、c-Metに結合する前記第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、請求項46~52のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【請求項54】
前記二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17のHC1、配列番号18のLC1、配列番号19のHC2、及び配列番号20のLC2を含む、請求項46~53のいずれか一項に記載の医薬組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年5月14日に出願された米国特許仮出願第62/847,605号、及び2019年5月14日に出願された米国特許仮出願第62/847,563号の優先権を主張するものである。前述の出願のそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、ファイル名「JBI6093USNP1SEQLIST.TXT」及び2020年4月30日の作成日で、22kbのサイズを有するASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出された、配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤との併用療法に関する。
【背景技術】
【0004】
癌におけるEGFR及びc-Met受容体の両方の個々の役割は十分に確立されているので、これらの標的は併用療法にとって魅力的なものになっている。同じERK及びAKT生存経路並びに抗アポトーシス経路を介した両方の受容体シグナルは、いずれかの単一剤治療に対する耐性機構として上方調節されることが多く、そのため、この経路対を共に阻害すると、代償経路が活性化される可能性を制限して、それによって腫瘍の増殖促進シグナル伝達を阻害するよう相乗的に作用し、全体的な臨床効果を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再発又は既存の治療薬に対する抵抗性は一般的である。したがって、EGFR又はc-Met陽性癌などの疾患のより有効な治療を開発するために、改善された治療薬又は治療薬と患者層別化バイオマーカーとの組み合わせが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、EGFR又はc-Met発現癌を有する対象を治療する方法であって、対象に併用療法を施すことを含む、方法を提供し、この併用療法は、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0007】
【化1】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩とを含む。特定の実施形態によると、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩は、ラゼルチニブのメシル酸塩である。
【0008】
本開示の実施形態は、(1)配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含むEGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含むc-Metに結合する第2のドメインとを含む二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と、(2)ラゼルチニブ又はその医薬的に許容される塩(例えば、ラゼルチニブのメシル酸塩)とを含む、医薬組み合わせを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】H1975異種移植片を有するヌードマウスの体重に対する、JNJ-61186372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用の効果を示す。
図2】JNJ-61186372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置した、H1975異種移植片を有するヌードマウスにおける平均腫瘍体積(mm)を示す。
図3】JNJ-61186372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置した、H1975異種移植片を有するマウスにおける生き残った動物割合についてのカプラン・マイヤープロットを示す。
図4】H1975-HGF異種移植片を有するヌードマウスの体重に対する、JNJ-61186372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用の効果を示す。
図5】JNJ-61186372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置した、H1975-HGF異種移植片を有するヌードマウスにおける腫瘍移植後日数の平均腫瘍体積(mm)を示す。
図6】JNJ-61186372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置した、H1975-HGF異種移植片を有するマウスにおける生き残った動物割合についてのカプラン・マイヤープロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書に引用されている特許及び特許出願を含む(但しそれらに限定されない)全ての刊行物は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に援用される。
【0011】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけに使用され、限定することを意図するものではないと理解すべきである。特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0012】
本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の試験を実施するために使用することができるが、例示となる材料及び方法を本明細書に記載する。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が使用される。
【0013】
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0014】
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%までの範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0015】
「約1週間に1回」又は「週1回」とは、約1週間に1回投与することを指す。約1週間とは、7日間±2日、すなわち、5日間~9日間を指す。したがって、「約1週間に1回」の投与頻度は、5日毎に1回、6日毎に1回、7日毎に1回、8日毎に1回、又は9日毎に1回となり得る。
【0016】
「約2週間に1回」は、約2週間に1回投与することを指す。約2週間とは、14日間±2日、すなわち、12日間~16日間を指す。したがって、「約2週間に1回」の投与頻度は、12日毎に1回、13日毎に1回、14日毎に1回、15日毎に1回、又は16日毎に1回となり得る。
【0017】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特にその内容が明確に指示していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどが含まれる。
【0018】
複数の列挙された要素間を接続する用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
【0019】
「アンタゴニスト」又は「阻害剤」とは、細胞タンパク質に結合したときに、タンパク質の天然のリガンドによって誘導される少なくとも1つの反応又は活性を抑制する分子を指す。少なくとも1つの反応若しくは活性が、アンタゴニストの非存在下(例えば、陰性対照)で抑制される少なくとも1つの反応若しくは活性よりも少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%多く抑制されたとき、又はアンタゴニストの非存在下における抑制と比較して抑制が統計的に有意であるとき、その分子はアンタゴニストである。
【0020】
「抗体」は、広義が意図され、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性などの多重特異性抗体、二量体の、四量体の、若しくは多量体の抗体、一本鎖抗体、抗体ドメイン、及び必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構造を含む、免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)、並びにこれらの多量体(例えばIgM)からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)が散在しており相補性決定領域(CDR)と呼称される超可変領域に更に分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
【0021】
「抗原結合断片」とは、抗原に結合する免疫グロブリン分子の一部を指す。抗原結合断片は合成ポリペプチド、酵素により入手可能なポリペプチド、又は遺伝子組み換えされたポリペプチドであってよく、VH、VL、VH及びVL、Fab、F(ab’)2、Fd及びFv断片、1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(dAb)、サメ可変性IgNARドメイン、ラクダ化VHドメイン、FR3-CDR3-FR4部分などの、抗体のCDRを再現したアミノ酸残基からなる最小の認識単位、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3が挙げられる。VH及びVLドメインは互いに、合成リンカーを介して結合し、様々なタイプの一本鎖抗体設計を形成することができ、VH及びVLドメインが、個別の一本鎖抗体構築物により発現される場合では、VH/VLドメインが分子内、又は分子間で対形成し、一価の抗原結合部位、例えば一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又は二重特異性抗体を形成することができ、これらは、例えば国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。
【0022】
「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原中の2つの異なるエピトープに特異的に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytesなどの、他の種(ホモログ)の同じ抗原に対して交差反応性を有し得るか、あるいは2つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
【0023】
「二重特異性抗EGFR/c-Met抗体」又は「二重特異性EGFR/c-Met抗体」は、EGFRに特異的に結合する第1のドメイン及びc-Metに特異的に結合する第2のドメインを有する二重特異性抗体を指す。EGFR及びc-Metに特異的に結合するドメインは、典型的にはVH/VL対である。二重特異性抗体は、構造に依存して、EGFR及びc-Metに対する結合に関して一価、二価、又は多価であってもよく、すなわち、EGFRに結合する1つ以上のドメイン、及びc-Metに結合する1つ以上のドメインを有することができる。
【0024】
「生体試料」は、対象から単離された類似の流体、細胞、又は組織並びに、対象の体内に存在する流体、細胞、又は組織の集合体を指す。例示的な試料は、生物学的流体、例えば、血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ液、尿、唾液、嚢胞液、涙液、糞便、喀痰、分泌組織及び器官の粘膜分泌液、膣分泌液、腹水、胸膜腔、心膜腔、腹膜腔、腹腔、及び他の体腔の流体、気管支洗浄によって回収された流体、滑液、対象又は生物学的起源、例えば、細胞又は器官の馴化培地を含む細胞及び器官の培養培地、洗浄液などと接触した液体溶液、組織生検材料、腫瘍組織生検材料、腫瘍組織試料、穿刺吸引、外科的に切除された組織、器官培養液又は細胞培養液である。
【0025】
「相補性決定領域」(CDR)は、抗原に結合する抗体領域である。CDRは、Kabat(Wu et al.(1970) J Exp Med 132:211-50) (Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、Chothia (Chothia et al.(1987) J Mol Biol 196:901-17),IMGT (Lefranc et al.(2003) Dev Comp Immunol 27:55-77)、及びAbM (Martin and Thornton (1996) J Bmol Biol 263:800-15)などの、様々な記述を使用して定義することができる。様々な記述と、可変領域の付番との対応が記載されている(例えば、Lefranc et al.(2003) Dev Comp Immunol 27:55-77、Honegger and Pluckthun,(2001) J Mol Biol 309:657-70、International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース;ウェブリソース、http://www_imgt_orgを参照のこと)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して、CDRを描写することができる。本明細書で使用する場合、「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、本明細書に別途明示的に記載のない限り、上述したKabat、Chothia、IMGT、又はAbMの方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
【0026】
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting)」は、特許用語において一般的に受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程、並びに、特許請求される発明の「基本的かつ新しい特徴(複数可)に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲の範囲を制限する。句「備える/含む(comprising)」(又はその同等語)に関して記載される実施形態はまた、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」に関して独立して記載されるものを提供する。
【0027】
「癌」は、無制御なかたちで増殖し、場合によっては、患者の身体の他の領域へ転移(拡散)する傾向がある細胞の異常な成長を指す。
【0028】
「同時投与」、「と共に投与」、「と併用して投与」、「と併用して」、「併用療法」などは、2つ以上の治療薬の単一の患者への投与を包含し、治療薬が同じ若しくは異なる投与経路によって又は同じ若しくは異なる時間に投与される治療レジメンを含むことを意図する。
【0029】
「診断する」又は「診断」は、対象が所与の疾患若しくは病態に罹患しているかどうか、又は将来的に所与の疾患若しくは病態を発症し得るかどうか、又は予め診断された疾患若しくは病態に対する治療に応答する可能性が高いかどうかを判定する、すなわち、治療に応答する可能性について患者集団を層別化する方法を指す。診断は、典型的には、診断される疾患についての一般的な指針、又は対象が特定の治療に応答する可能性が高いことを示す他の基準に基づいて医師によって行われる。
【0030】
「投薬量」とは、対象によって摂取される治療薬又は薬物の量、及び対象によって摂取される治療薬の回数の頻度に関する情報を指す。
【0031】
「用量」とは、各回に摂取される治療薬又は薬物の量又は分量を指す。
【0032】
「EGFR又はc-Met発現癌」は、EGFR若しくはc-Metの検出可能な発現を有するか、又はEGFR若しくはc-Metの変異若しくは増幅を有する癌を指す。EGFR又はc-Metの発現、増幅、及び変異状態は、腫瘍生検又は血液サンプルを用いる、配列決定、蛍光in situハイブリダイゼーション、免疫組織化学的検査、フローサイトメトリー、又はウェスタンブロッティングなどの既知の方法を使用して検出することができる。発現はまた、循環腫瘍DNA(ctDNA)を配列決定することによって検出することもできる。
【0033】
「上皮成長因子受容体」又は「EGFR」は、GenBankアクセッション番号NP_005219に示されているアミノ酸配列を有するヒトEGFR(HER1又はErbB1としても知られている(Ullrich et al.,Nature 309:418-425,1984)に加えて、その天然に存在するバリアントを指す。
【0034】
「フコース含有量」とは、抗体調製物中のAsn297における糖鎖内のフコース単糖類の量を指す。
【0035】
「肝細胞成長因子受容体」又は「c-Met」は、本明細書で使用するとき、GenBankアクセッション番号NP_001120972に示されているアミノ酸配列を有するヒトc-Metに加えて、その天然のバリアントを指す。
【0036】
「ヒト抗体」とは、ヒト対象に投与されるときに、最小の免疫応答を有するように最適化された抗体を指す。ヒト抗体の可変領域は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、当該定常領域もヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合、ヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。このような例示的な系は、ファージにディスプレイされたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばマウス又はラットを含む。「ヒト抗体」は、典型的には、ヒト抗体及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を得るために使用した系の違い、フレームワーク若しくはCDRへの体細胞変異の導入若しくは置換の意図的な導入、又はこれらの両方により、ヒトで発現した免疫グロブリンと比較したときにアミノ酸の違いを含有する。典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされているアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えばKnappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86に記載されるヒトフレームワーク配列分析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は例えばShi et al.,(2010)J MolBiol 397:385-96及び国際公開第2009/085462号に記載される、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含有し得る。少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
【0037】
「単離された」は、組み換え細胞などの、ある分子が産生される系の他の成分から実質的に分離及び/又は精製された分子の均質な集団(例えば、合成ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、又はウイルス)に加えて、少なくとも1つの精製又は単離工程に供されたタンパク質を指す。「単離された」とは、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない分子を指し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された分子を包含する。
【0038】
「低フコース」又は「低フコース含量」とは、約1%~15%のフコース含量を有する抗体を意味する。
【0039】
「モノクローナル抗体」は、抗体分子の実質的に均質な母集団(すなわち、母集団を構成する個別の抗体が、抗体重鎖からのC末端リジンの除去などの可能な周知の変更、あるいはアミノ酸異性化若しくはアミド分解、メチオニン酸化、又はアスパラギン若しくはグルタミンアミド分解などの翻訳後修飾を除いて同一である)から得られた抗体を指す。モノクローナル抗体は、典型的には、1つの抗原性エピトープに結合する。二重特異性モノクローナル抗体は、2つの異なる抗原性エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性であってよく、又は、二重特異性などの多重特異性であってよく、一価、二価、又は多価であってよい。
【0040】
「新たに診断された」とは、癌、例えばEGFR又はc-Met発現癌と診断されているが、癌の治療を未だ受けていない対象を指す。
【0041】
「正常なフコース」又は「正常なフコース含量」とは、約50%を超える、典型的には約80%を超える、又は約85%を超えるフコース含量を有する抗体を指す。
【0042】
「医薬組成物」又は「医薬組み合わせ」は、二重特異性EGFR/c-Met抗体などの有効成分及び1つ以上の医薬的に許容される担体、又は、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、例えばラゼルチニブ、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩、及び1つ以上の医薬的に許容される担体、を含む、組成物を指し、各有効成分は、連続的又は同時のいずれかで併用して患者に与えることが意図される。
【0043】
「医薬的に許容される担体」又は「賦形剤」は、対象に対して毒性のない有効成分以外の医薬組成物中の成分を指す。医薬的に許容される担体として、緩衝剤、安定剤、又は防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬的に許容される担体は、希釈剤、崩壊剤、若しくは滑剤、又は、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑剤、若しくは潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
疾患又は障害を「予防する」、「予防している」、「予防」、又は「予防処置」は、対象における障害の発生を防ぐことを意味する。
【0045】
「組み換え」は、異なる供給源のセグメントを接合して、組み換えDNA、抗体、又はタンパク質を生成するときに、組み換え手段によって調製、発現、作製、又は単離されたDNA、抗体、及び他のタンパク質を指す。
【0046】
「難治性」とは、治療に応答しない疾患を指す。難治性疾患は、治療前又は治療開始時に治療に抵抗性であり得るか、又は難治性疾患は、治療中に耐性疾患となり得る。
【0047】
「再発性」とは、治療薬による前治療後の改善期間後に疾患又は疾患の徴候及び症状が再開することを指す。
【0048】
「応答する」、「応答性」、又は「応答する可能性が高い」は、検出可能か又は検出不可能であるかにかかわらず、任意の種類の改善又は陽性応答、例えば、1つ又は2つ以上の症状の緩和又は回復、疾患の程度の減少、安定化した(すなわち悪化しない)疾患状態、疾患の蔓延の防止、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的であっても全体的であっても)を指す。
【0049】
「溶媒和物」及び「水和物」は、本発明の化合物が形成できる溶媒付加形態であって、これによって、多成分化合物は、ホスト分子(例えば、式(I)の化合物又はその塩)及び構造中に組み込まれたゲスト分子(水(「水和物」)又は別の溶媒(「溶媒和物」))の両方を含有する。
【0050】
「特異的結合」、又は「特異的に結合する」、又は「特異的な結合」、又は「結合する」とは、抗体が、抗原又は抗原内のエピトープに、他の抗原に対するよりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、約5×10-8M以下、例えば約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(K)で抗原又は抗原内のエピトープに結合し、非特異性抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に関しては、典型的には、そのKより少なくとも100倍小さいKで結合する。解離定数は、既知のプロトコルを用いて測定することができる。しかしながら、抗原又は抗原内のエピトープに結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)、又はPan troglodytes(チンパンジー、chimp)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。単一特異性抗体は、1つの抗原又は1つのエピトープに結合するが、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに結合する。
【0051】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳類及び非哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。用語「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用される。
【0052】
「互変異性体」又は「互変異性型」は、低いエネルギー障壁を通して相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン性互変異性体としても知られている)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化などのプロトンの移動を介した相互変換を含む。価数互変異性体は、結合電子の一部の再構成による相互変換を含む。
【0053】
「治療有効量」は、必要な投与量及び期間で所望の治療結果を達成するための有効量を指す。治療有効量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す1つの治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であってよい。有効な1つの治療薬、又は治療薬の組み合わせの例示的な指標としては、例えば、患者の改善された健康が挙げられる。
【0054】
癌などの疾患又は障害の「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、以下のうちの1つ又は2つ以上を達成することを指す:障害の重篤度及び/若しくは期間を低減する、治療される障害に特徴的な症状の悪化を阻害する、以前に障害を有していた対象における障害の再発を制限若しくは予防する、又は以前に障害について症候性であった対象における症状の再発を制限若しくは予防する。
【0055】
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の文脈において、「治療未経験」は、EGFR TKI治療を受けたことがない対象を指す。
【0056】
「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来し、少なくとも1つのフレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワークに置換を含むことができるため、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖細胞系列遺伝子配列の厳密なコピーではない場合がある。
【0057】
「第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤」(第1世代TKI)は、エクソン19内の欠失及びエクソン21 L858R変異などのEGFR活性化変異を保有しているNSCLCの初回治療に有効な、ゲフィチニブ及びエルロチニブなどの可逆的EGFR阻害剤を指す。
【0058】
「第2世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤」(第2世代TKI)は、エクソン19内の欠失及びエクソン21 L858R変異などのEGFR活性化変異を保有しているNSCLCの初回治療に有効な、アファチニブ及びダコミチニブ(dacomitib)などの共有結合性の非可逆的EGFR阻害剤を指す。
【0059】
「第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤」(第3世代TKI)は、エクソン19内の欠失及びエクソン21 L858RなどのEGFR活性化変異を単独で、又は、T790M変異と組み合わせて選択され、野生型EGFRに対する阻害活性がより低い、オシメルチニブ及びラゼルチニブなどの共有結合性の非可逆的EGFR阻害剤を指す。
【0060】
本開示の方法
NSCLCは、エクソン19内のインフレーム欠失又はエクソン21内のL858R変異として最も一般的に生じる、EGFRのキナーゼドメインにおいて変異を活性化することによって、頻繁に引き起こされる。これらの活性化EGFR変異を有するほとんどの患者は、初期にはゲフィチニブ及びエルロチニブなどの第1世代EGFR TKIに応答するが、薬物耐性により、応答が平均1年未満の持続期間に制限される(Kobayashi et al.,New Engl J Med 2005;352(8):786-792;Perez-Soler R et al.,J Clin Oncol 2004;22(16):3238-3247)。EGFRにおけるT790M二次変異は、耐性疾患を有するEGFR変異型NSCLC患者の約50%で同定されている(Chen et al.,Pathol Oncol Res 2009;15(4):651-658;Jeffers et al.,J Mol Med (Berl).1996;74(9):505-513;Pao et al.,PLoS Med 2005;2(3):e73;Sequist et al.,Sci Transl Med 2011;3(75):75ra26)。この変異は、アデノシン三リン酸に対する親和性が増加したEGFRキナーゼをもたらすことによって、可逆的TKIの効力を低下させる(Yun et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2008;105(6):2070-2075)。加えて、耐性腫瘍は、MET遺伝子の増幅、c-Metたんぱく質発現の増加、及び/又はc-Metリガンド発現の増加、HGFによって、c-Met経路を活性化し得る(Engelman et al.,Science 2007;316(5827):1039-1043;Yano et al.,Cancer Res 2008;68(22):9479-9487)。c-Met経路を刺激すると、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ/Aktシグナル伝達経路を活性化するための代替的機構が提供されることによって、EGFRのTKI遮断を迂回し、癌細胞の生存を促進する。これらの2つの機構は、EGFR TKI抵抗性のNSCLC患者の5%~33%で同時に発生する(Bean et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 2007;104(52):20932-20937)。
【0061】
JNJ-61186372(JNJ-372)は、リガンド誘導活性化を阻害し、受容体の分解を誘発することによって、EGFR及びc-Metシグナル伝達の両方を阻害する二重特異性抗EGFR/c-Met抗体であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,593,164号に記載されている。加えて、腫瘍細胞表面上に高レベルでEGFR及びc-Metが存在すると、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)などのFc介在性エフェクター機構を介して、免疫エフェクター細胞による破壊に対するこれら細胞の標的化を可能にする。JNJ-372は、次のアミノ酸配列によって画定されており、すなわち、EGFR結合ドメインは、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含み、c-Met結合ドメインは、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含み、EGFR結合ドメインは、配列番号13の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号14の軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、c-Met結合ドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含み、抗体は、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む。
【0062】
>配列番号1(HCDR1、EGFR結合アーム)
TYGMH
>配列番号2(HCDR2、EGFR結合アーム)
VIWDDGSYKYYGDSVKG
>配列番号3(HCDR3、EGFR結合アーム)
DGITMVRGVMKDYFDY
>配列番号4(LCDR1、EGFR結合アーム)
RASQDISSALV
>配列番号5(LCDR2、EGFR結合アーム)
DASSLES
>配列番号6(LCDR3、EGFR結合アーム)
QQFNSYPLT
>配列番号7(HCDR1、c-Met結合アーム)
SYGIS
>配列番号8(HCDR2、c-Met結合アーム)
WISAYNGYTNYAQKLQG
>配列番号9(HCDR3、c-Met結合アーム)
DLRGTNYFDY
>配列番号10(LCDR1、c-Met結合アーム)
RASQGISNWLA
>配列番号11(LCDR2、c-Met結合アーム)
AASSLLS
>配列番号12(LCDR3、c-Met結合アーム)
QQANSFPIT
>配列番号13(VH、EGFR結合アーム)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSTYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGSYKYYGDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGITMVRGVMKDYFDYWGQGTLVTVSS
>配列番号14(VL、EGFR結合アーム)
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISSALVWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSESGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPLTFGGGTKVEIK
>配列番号15(VH、c-Met結合アーム)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCETSGYTFTSYGISWVRQAPGHGLEWMGWISAYNGYTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDLRGTNYFDYWGQGTLVTVSS
>配列番号16(VL、c-Met結合アーム)
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISNWLAWFQHKPGKAPKLLIYAASSLLSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPITFGQGTRLEIK
>配列番号17 HC1
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSTYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGSYKYYGDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGITMVRGVMKDYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFLLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
>配列番号18 LC1
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISSALVWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPSRFSGSESGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
>配列番号19 HC2
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCETSGYTFTSYGISWVRQAPGHGLEWMGWISAYNGYTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDLRGTNYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
>配列番号20 LC2
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISNWLAWFQHKPGKAPKLLIYAASSLLSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPITFGQGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0063】
ラゼルチニブは、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であり、ラゼルチニブの構造及び合成は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,593,098号に記載されている。本明細書の式(I)で表されるラゼルチニブ遊離塩基の化学名は、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(本明細書ではラゼルチニブと呼ぶ)である。ラゼルチニブのメシル酸塩は、式II:
【0064】
【化2】
によって表現され得る。
【0065】
ラゼルチニブ(例えば、塩及び結晶形態)の実施形態は、国際出願PCT/KR2018/004473号に記載されており、これもまた、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
特定の実施形態によると、遊離塩基の形態のラゼルチニブは、野生型EGFRに対してほとんど又は全く効果がなく、T790Mの単一変異及び二重変異に対して強い阻害活性を有する高度に選択的かつ不可逆的なEGFR TKIであり、例えば、活性化EGFR変異del19及びL858R、並びにT790M変異を標的とする。本発明の一態様では、変異は、delE746-A750、L858R、又はT790Mであってもよく、delE746-A750/T790M又はL858R/T790Mから選択される二重変異であってもよい。
【0067】
本開示の実施形態は、癌を有する対象を治療する方法であって、対象に併用療法を施すことを含む、方法を提供し、この併用療法は、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0068】
【化3】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩とを含む。
【0069】
本開示の実施形態は、EGFR又はc-Met発現癌を有する対象を治療する方法であって、対象に併用療法を施すことを含む、方法を提供し、この併用療法は、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0070】
【化4】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩とを含む。
【0071】
本開示の実施形態は、医薬品として使用するための、特に対象における医薬品として使用するための、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0072】
【化5】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、医薬組み合わせを提供する。
【0073】
本開示の実施形態は、癌の治療に使用するための、特に対象における癌の治療に使用するための、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0074】
【化6】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、医薬組み合わせを提供する。
【0075】
本開示の実施形態は、EGFR又はc-Met発現癌の治療に使用するための、特に対象におけるEGFR又はc-Met発現癌の治療に使用するための、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0076】
【化7】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、医薬組み合わせを提供する。
【0077】
本開示の実施形態は、癌の治療用、特に対象における癌の治療用の医薬品の製造のための、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0078】
【化8】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、組み合わせの使用を提供する。
【0079】
本開示の実施形態は、EGFR又はc-Met発現癌の治療用、特に対象におけるEGFR又はc-Met発現癌の治療用の医薬品の製造のための、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0080】
【化9】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、組み合わせの使用を提供する。
【0081】
本開示の実施形態は、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0082】
【化10】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩とを含む、医薬組み合わせを提供する。
【0083】
本開示の実施形態は、癌の治療、特に対象における癌の治療において、同時に、別々に、又は連続的に使用するための組み合わせ製剤としての、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0084】
【化11】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩とを含有する、製品を提供する。
【0085】
本開示の実施形態は、EGFR又はc-Met発現癌の治療、特に対象におけるEGFR又はc-Met発現癌の治療において、同時に、別々に、又は連続的に使用するための組み合わせ製剤としての、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0086】
【化12】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩とを含有する、製品を提供する。
【0087】
本開示の実施形態は、癌の治療、特に対象における癌の治療において、式(I)の化合物、特に治療的に有効な量の式(I):
【0088】
【化13】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩と併用して使用するための、単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体、特に、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体を提供する。
【0089】
本開示の実施形態は、EGFR又はc-Met発現癌の治療、特に対象におけるEGFR又はc-Met発現癌の治療において、式(I)の化合物、特に治療的に有効な量の式(I):
【0090】
【化14】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩と併用して使用するための、単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体、特に、治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体を提供する。
【0091】
各実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体及びラゼルチニブ化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、本明細書に記載されるように、同時に(例えば、同じ医薬組成物の一部として、又は別個の医薬組成物中で)、又は異なる時間で投与されてもよい。
【0092】
医薬的に許容される塩形態としては、医薬的に許容される酸性/アニオン性又は塩基性/カチオン性の塩が挙げられる。医薬的に許容される酸性/アニオン性塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩及びトリエチオジド塩が挙げられる。医薬的に許容される塩基性/カチオン性塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ジエタノールアミン、N-メチル-グルカミン、L-リジン、L-アルギニン、アンモニウム、エタノールアミン、ピペラジン及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0093】
医薬的に許容される酸性塩は、式(I)の化合物の遊離塩基形態と、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸塩、乳酸、安息香酸塩、サリチル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、例えば2-ナフタレンスルホン酸、又はヘキサン酸が挙げられるが、これらに限定されない、好適な無機又は有機酸との反応によって形成される。式(I)の化合物の医薬的に許容される酸付加塩は、例えば、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば、2-ナフタレンスルホン酸塩)、又はヘキサン酸塩を含んでよく、又はこれらであってよい。
【0094】
式(I)の化合物の遊離酸又は遊離塩基形態は、それぞれ、対応する塩基付加塩又は酸付加塩形態から調製することができる。例えば、酸付加塩形態の本発明の化合物は、好適な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することによって、対応する遊離塩基形態に変換することができる。塩基付加塩形態の本発明の化合物は、好適な酸(例えば、塩酸など)で処理することによって、対応する遊離酸に変換することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、配列番号6のLCDR3を含む、EGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、c-Metに結合する第2のドメインとを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、EGFRに結合する第1のドメインは、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに結合する第2のドメインは、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、IgG1アイソタイプである。IgG1定常ドメイン内にはいくつかの多様性(例えば、周知のアロタイプ)が存在し、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU付番に従った残基の付番)に多様性を有する(例えば、IMGT Webリソース;IMGT Repertoire (IG and TR);Proteins and alleles;allotypesを参照されたい)。二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。代表的なIgG1定常ドメインのアミノ酸配列を配列番号21に示す。
【0098】
IgG1定常ドメイン(配列番号21)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0099】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、配列番号17のHC1、配列番号18のLC1、配列番号19のHC2、及び配列番号20のLC2を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1%~約15%の、例えば、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は1%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を有する。
【0102】
フコースの相対量は、フコース含有構造の全糖構造に対する割合である。これらの糖構造は、複数の方法、例えば、1)国際公開第2008/0775462号に記載されるような、N-グリコシダーゼF処理試料(例えば、複合体、ハイブリッド、及びオリゴ-並びに高マンノース構造)のMALDI-TOFの使用、2)Asn297グリカンの酵素放出、その後の誘導体化、並びに蛍光検出を備えたHPLC(UPLC)及び/又はHPLC-MS(UPLC-MS)による検出/定量化、3)第1のGlcNAc単糖類と第2のGlcNAc単糖類との間を切断し、フコースを第1のGlcNAcに付加されたままにさせる、Endo S又は他の酵素によるAsn297グリカンの処理を伴うか又はこの処理なしでの、天然又は還元mAbのインタクトプロテイン分析、4)酵素消化(例えば、トリプシン又はエンドペプチダーゼLys-C)によるmAbの構成ペプチドへの消化、その後のHPLC-MS(UPLC-MS)による分離、検出及び定量、5)Asn297にPNGase Fを有する特異的な酵素脱グリコシル化により、mAbタンパク質からmAbオリゴ糖を分離すること、により特性決定及び定量化可能である。このようにして放出されるオリゴ糖は、フルオロフォアで標識され、グリカン構造の細かな特性評価を可能にする様々な補足的技術によって分離かつ特定することが可能であり、これらは、実験的質量の理論的質量との比較によるマトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)質量分析、イオン交換HPLC(GlycoSep C)によるシアル化の程度の決定、順相HPLC(GlycoSep N)による親水性の基準に準拠するオリゴ糖型の分離及び定量、並びに高性能キャピラリー電気泳動-レーザ誘起蛍光(HPCE-LIF)によるオリゴ糖の分離及び定量による。
【0103】
ADCCを誘導する抗体の能力は、そのオリゴ糖成分を操作することにより増強され得る。ヒトIgG1又はIgG3は、Asn297においてN-グリコシル化される。ここで、グリカンの大部分は、公知の二分岐G0、G0F、G1、G1F、G2、又はG2Fの形態である。遺伝子操作されていないCHO細胞により生成される抗体は、典型的には、少なくとも約85%のグリカンフコース含量を有する。二分岐の複合体型オリゴ糖からコアフコースを除去すると、抗原結合又は抗体依存性細胞傷害(CDC)活性を変更することなく、FcγRIIIa結合の改善によって、抗体の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を増強する。フコース含量が低下した抗体は、培地のオスモル濃度の制御(Konno et al.,Cytotechnology 64:249-65,2012)、変異体CHO系Lec13の宿主細胞系としての適用(Shields et al.,J Biol Chem 277:26733-26740,2002)、変異体CHO系EB66の宿主細胞系としての適用(Olivier et al.,MAbs;2(4),2010;Epub ahead of print;PMID:20562582)、ラットハイブリドーマ細胞系YB2/0の宿主細胞系としての適用(Shinkawa et al.,J Biol Chem 278:3466-3473,2003)、αα1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)遺伝子に対して特異的な低分子干渉RNAの導入(Mori et al.,Biotechnol Bioeng 88:901-908,2004)、又はβ-1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII及びゴルジα-マンノシダーゼII若しくは強力なα-マンノシダーゼI阻害物質であるキフネンシンの共発現(Ferrara et al.,Biotechnol Bioeng 93:851-861,2006;Xhou et al.,Biotechnol Bioeng 99:652-65,2008)などの、二分岐複合型のFcオリゴ糖を保有する脱フコシル化抗体の比較的高い発現をもたらすことが報告されている、様々な方法を用いて作製することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、式(II):
【0105】
【化15】
の化合物、溶媒和物、水和物、又は互変異性体によって表される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、式(II):
【0106】
【化16】
の化合物によって表される。
【0107】
いくつかの実施形態では、癌は、EGFR又はc-Met発現癌である。
【0108】
いくつかの実施形態では、癌は、EGFR及びc-Met発現癌である。
【0109】
いくつかの実施形態では、癌は、EGFR発現癌である。
【0110】
いくつかの実施形態では、癌は、c-Met発現癌である。
【0111】
いくつかの実施形態では、EGFR又はc-Met発現癌は、野生型EGFR、EGFR変異、EGFR遺伝子増幅、循環HGFのレベルの上昇、野生型c-Met、c-Met変異、c-Met遺伝子増幅、又は変異体KRASに関連する。EGFR変異は、エクソン19欠失又はL858R変異などの活性化変異であってもよい。
【0112】
癌に関連し得る例示的なEGFR変異、例えばEGFR活性化変異としては、チロシンキナーゼ活性の上昇、受容体ホモ二量体及びヘテロ二量体の形成、リガンド結合の強化などのEGFRの少なくとも1つの生物活性を増加させる点変異、欠失変異、挿入変異、逆位、又は遺伝子増幅が挙げられる。変異は、EGFR遺伝子又はEGFR遺伝子に関連する調節領域の任意の部分に位置し得、エクソン18、19、20、若しくは21における変異を含む。EGFR活性化変異の他の例は、当該技術分野において既知である(例えば、米国特許出願公開第2005/0272083号を参照されたい)。受容体ホモ及びヘテロ二量体、受容体リガンド、自己リン酸化部位、並びにErbBの媒介によるシグナル伝達に関与するシグナル伝達分子を含むEGFR及び他のErbB受容体に関する情報は、当該技術分野において既知である(例えば、Hynes and Lane,Nature Reviews Cancer 5:341-354,2005を参照されたい)。
【0113】
いくつかの実施形態では、EGFR変異は、E709K、L718Q、L718V、G719A、G719X、G724X、G724S、I744T、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C775Y、T790M、L792H、L792V、G796S、G796R、G796C、C797S、T854I、L858P、L858R、L861X、delE746-A750、delE746_T751InsKV、delE746_A750InsHS、delE746_T751InsFPT、delE746_T751InsL、delE746_S752InsIP、delE746_P753InsMS、delE746_T751InsA、delE746_T751InsAPT、delE746_T751InsVA、delE746_S752InsV、delE746_P753InsVS、delE746_K754InsGG、delE746_E749、delE746_E749InsP、delL747_E749、delL747_A750InsP、delL747_T751InsP、delL747_T751InsN、delL747_S752InsPT、delL747_P753InsNS、delL747_S752InsPI、delL747_S752、delL747_P753InsS、delL747_K754、delL747_T751InsS、delL747_T751、delL747_P753InsS、delA750_I759InsPT、delT751_I759InsT、delS752_I759、delT751_I759InsN、delT751_D761InsNLY、delS752_I759、delR748-P753、delL747-P753insS、delL747-T751、M766_A767InsA、S768_V769InsSVA、P772_H773InsNS、D761_E762InsX、A763_Y764InsX、Y764_Y765 InsX、M766_A767InsX、A767_V768 InsX、S768_V769 InsX、V769_D770 InsX、D770_N771 InsX、N771_P772 InsX、P772_H773 InsX、H773_V774 InsX、V774_C775 InsX、EGFRのエクソン20内の1つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン20内の1つ以上の挿入、EGRFのエクソン19内の1つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン19内の1つ以上の挿入、又はこれらの任意の組み合わせであり、Xは、天然に存在するアミノ酸のうち任意のものを指し、1~7個のアミノ酸長であってよい。変異の命名法は周知である。
【0114】
いくつかの実施形態では、EGFR変異は、エクソン19内の1つ以上の欠失若しくはL858R、又はこれらの任意の組み合わせである。例示的なエクソン19欠失は、delE746-A750、delE746_T751InsKV、delE746_A750InsHS、delE746_T751InsFPT、delE746_T751InsL、delE746_S752InsIP、delE746_P753InsMS、delE746_T751InsA、delE746_T751InsAPT、delE746_T751InsVA、delE746_S752InsV、delE746_P753InsVS、delE746_K754InsGG、delE746_E749、delE746_E749InsP、delL747_E749、delL747_A750InsP、delL747_T751InsP、delL747_T751InsN、delL747_S752InsPT、delL747_P753InsNS、delL747_S752InsPI、delL747_S752、delL747_P753InsS、delL747_K754、delL747_T751InsS、delL747_T751、delL747_P753InsS、delA750_I759InsPT、delT751_I759InsT、delS752_I759、delT751_I759InsN、delT751_D761InsNLY、delS752_I759、delR748-P753及びdelL747-P753insS、delL747-T751である。
【0115】
例示的なc-Met変異としては、チロシンキナーゼ活性の上昇、受容体ホモ二量体及びヘテロ二量体の形成、リガンド結合の強化などのc-Metタンパク質の少なくとも1つの生物活性を増加させる点変異、欠失変異、挿入変異、逆位、又は遺伝子増幅が挙げられる。変異は、c-Met遺伝子の任意の部分又はc-Metのキナーゼドメインにおける変異などの遺伝子に関連する制御領域に位置し得る。例示的なc-Met変異は、残基位置N375、V13、V923、R175、V136、L229、S323、R988、S1058/T1010、及びE168における変異、又はエクソン14スキッピング変異である。
【0116】
いくつかの実施形態では、c-Met変異は、c-Metのエクソン14スキッピング変異である。
【0117】
EGFR及びc-Metの変異又は遺伝子増幅を検出する方法は周知である。
【0118】
いくつかの実施形態では、癌は、KRAS変異体である。例示的なKRAS変異として、G12V、G12C又はG12A置換が挙げられる。
【0119】
いくつかの実施形態では、対象は、併用療法を施す前にEGFR変異と診断されている。
【0120】
いくつかの実施形態では、対象は、新たに診断された癌を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、対象は、新たに診断されたEGFR又はc-Met発現癌を有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、対象は、新たに診断されたEGFR及びc-Met発現癌を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、対象は、新たに診断されたEGFR発現癌を有する。
【0124】
いくつかの実施形態では、対象は、新たに診断されたc-Met発現癌を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、新たに診断された癌を有する対象は、1つ以上のEGFRエクソン20変異を有する。いくつかの実施形態では、新たに診断されたEGFR又はc-Met発現癌を有する対象は、1つ以上のEGFRエクソン20変異を有する。エクソン20変異(1つ又は2つ以上のアミノ酸の挿入は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して一般的に抵抗性である(例えば、国際公開第2018/094225号を参照されたい)。例示的なエクソン20変異としては、M766_A767InsA、S768_V769InsSVA、P772_H773InsNS、D761_E762InsX、A763_Y764InsX、Y764_Y765 InsX、M766_A767InsX、A767_V768 InsX、S768_V769 InsX、V769_D770 InsX、D770_N771 InsX、N771_P772 InsX、P772_H773 InsX、H773_V774 InsX、及びV774_C775 InsXが挙げられ、Xは、1~7個のアミノ酸である。
【0126】
いくつかの実施形態では、対象は、ポジオチニブによる治療に対して抵抗性である。
【0127】
いくつかの実施形態では、対象は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療未経験である。
【0128】
いくつかの実施形態では、対象は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療未経験である。
【0129】
いくつかの実施形態では、対象は、第1世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である。
【0130】
いくつかの実施形態では、第1世代EGFR TKIは、エルロチニブ又はゲフィニブである。
【0131】
いくつかの実施形態では、対象は、第2世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である。
【0132】
いくつかの実施形態では、第2世代EGFR TKIは、アファチニブである。
【0133】
いくつかの実施形態では、対象は、第3世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である。
【0134】
いくつかの実施形態では、第3世代EGFR TKIは、オシメルチニブである。
【0135】
いくつかの実施形態では、対象は、以前の抗癌療法による治療に対して抵抗性であるか又は抵抗性を獲得している。
【0136】
いくつかの実施形態では、以前の抗癌療法は、化学療法、標的抗癌療法、又はキナーゼ阻害剤である。
【0137】
いくつかの実施形態では、TKIは、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である。
【0138】
いくつかの実施形態では、TKIは、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである。
【0139】
いくつかの実施形態では、対象は、EGFR阻害剤に対して抵抗性であるか又は抵抗性を獲得している。癌が抵抗性を獲得し得る例示的なEGFR阻害剤は、抗EGFR抗体であるセツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パンチヌムマブ(VECTIBIX(登録商標))、マツズマブ、ニモツズマブ、低分子EGFR阻害剤であるエルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、EKB-569(ペリチニブ、不可逆的EGFR TKI)、汎ErbB及び他の受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるラパチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、ペリチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、バンデタニブ(ZD6474、ZACTIMA(商標)、EGFR、VEGFR2、及びRET TKI)、PF00299804(ダコミチニブ、不可逆的汎ErbB TKI)、CI-1033(不可逆的汎erbB TKI)、アファチニブ(BIBW2992、不可逆的汎ErbB TKI)、AV-412(二重EGFR及びErbB2阻害剤)、EXEL-7647(EGFR、ErbB2、GEVGR、及びEphB4阻害剤)、CO-1686(不可逆的変異体選択的EGFR TKI)、AZD9291(不可逆的変異体選択的EGFR TKI)、並びにHKI-272(ネラチニブ、不可逆的EGFR/ErbB2阻害剤)である。
【0140】
様々な定性的及び/又は定量的な方法を用いて、対象が抗癌療法による治療に対して抵抗性であるかどうか、抵抗性を発現しているかどうか、又は抵抗性を発現しやすいかどうかを判定することができる。抗癌療法に対する抵抗性に関連し得る症状としては、患者の健康の低下若しくは定常状態、腫瘍サイズの増大、腫瘍の成長の低減の停止若しくは減速、及び/又は1つの位置から他の器官、組織、若しくは細胞への体内における癌性細胞の拡散が挙げられる。食欲低下、認知障害、うつ病、呼吸困難、疲労、ホルモン撹乱、好中球減少、疼痛、末梢神経障害、及び性機能不全などの癌に関連する様々な症状の再確立又は悪化も、対象が抗癌療法に対する抵抗性を発現しているか又は発現しやすいことの指標となり得る。癌に関連する症状は、癌の種類に応じて異なり得る。例えば、子宮頸部癌に関連する症状としては、異常出血、異常な激しい膣分泌物、通常の月経周期に関連しない骨盤痛、膀胱痛又は排尿中の疼痛、及び定期的な月経期間の間、性交、膣洗浄、又は内診後の出血を挙げることができる。肺癌に関連する症状としては、しつこい咳、喀血、息切れ、ぜーぜーする胸痛、食欲減退、意図しない体重減少、及び疲労を挙げることができる。肝癌の症状としては、食欲及び体重の減少、特に背部及び肩部に及び得る腹部の右上部分における腹痛、悪心及び嘔吐、全身の衰弱及び疲労、肝肥大、腹部膨潤(腹水)、並びに皮膚及び白眼の黄変(黄疸)を挙げることができる。腫瘍学の当業者であれば、特定の種類の癌に関連する症状を容易に特定することが可能である。
【0141】
いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、上皮細胞癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頚部癌、咽頭癌、鼻の癌、膵臓癌、皮膚癌、口腔癌、舌の癌、食道癌、膣癌、子宮頚癌、脾臓の癌、精巣癌、胃癌、胸腺の癌、結腸癌、甲状腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(HCC)、又は散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞癌(PRCC)である。いくつかの実施形態では、癌は転移性癌である。
【0142】
いくつかの実施形態では、癌はNSCLCである。いくつかの実施形態では、癌は上皮細胞癌である。いくつかの実施形態では、癌は乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は卵巣癌である。いくつかの実施形態では、癌は肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は肺腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は肺扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、癌は小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は肛門癌である。いくつかの実施形態では、癌は前立腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は腎臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は膀胱癌である。いくつかの実施形態では、癌は頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、癌は咽頭癌である。いくつかの実施形態では、癌は鼻の癌である。いくつかの実施形態では、癌は膵臓癌である。いくつかの実施形態では、癌は皮膚癌である。いくつかの実施形態では、癌は口腔癌である。いくつかの実施形態では、癌は舌の癌である。いくつかの実施形態では、癌は食道癌である。いくつかの実施形態では、癌は膣癌である。いくつかの実施形態では、癌は子宮頸癌である。いくつかの実施形態では、癌は脾臓の癌である。いくつかの実施形態では、癌は精巣癌である。いくつかの実施形態では、癌は胃癌である。いくつかの実施形態では、癌は胸腺の癌である。いくつかの実施形態では、癌は結腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は甲状腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は肝臓癌である。いくつかの実施形態では、癌はHCCである。いくつかの実施形態では、癌はPRCCである。
【0143】
いくつかの実施形態では、NSCLCは、扁平上皮癌、腺癌、及び大細胞癌を含む。いくつかの実施形態では、NSCLCの細胞は、上皮表現型を有する。いくつかの実施形態では、NSCLCは、1つ又は2つ以上のEGFR阻害剤による治療に対する抵抗性を獲得している。
【0144】
NSCLCでは、EGFR遺伝子における特定の変異は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR TKI)に対する高い応答率(70~80%)に関連する。エクソン19内の5つのアミノ酸欠失又はEGFRにおける点変異L858Rは、EGFR TKIの感度に関連している(Nakata and Gotoh,Expert Opin Ther Targets 16:771-781,2012)。これら変異は、EGFRキナーゼ活性のリガンド非依存性活性化をもたらす。活性化EGFR変異は、NSCLC患者の10~30%において発生し、東アジア人、女性、喫煙未経験者、及び腺癌の組織学的所見を有する患者において有意により一般的である(Janne and Johnson Clin Cancer Res 12(14 Suppl):4416s-4420s,2006)。EGFR遺伝子増幅は、EGFR TKI治療後の応答にも強く相関する(Cappuzzo et al.,J Natl Cancer Inst 97:643-55,2005)。EGFRエクソン20挿入は、EGFR TKI抵抗性と関連している。
【0145】
EGFR変異を有するNSCLC患者の大部分は、初期にはEGFR TKI療法に応答するが、事実上全てが、持続的応答を防止する抵抗性を獲得する。患者の50~60%は、EGFRのキナーゼドメインにおける第二部位点変異(T790M)に起因して抵抗を獲得する。EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対して抵抗性となった全ての腫瘍のほぼ60%で、c-Met発現が増加する、c-Metが増幅する、又はその唯一の公知のリガンドであるHGFが増加する(Turke et al.,Cancer Cell,17:77-88,2010)。
【0146】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約200mg~約2000mgの用量で投与される。
【0147】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mg~約1400mgの用量で投与される。
【0148】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、約800mg、約810mg、約820mg、約830mg、約840mg、約850mg、約860mg、約870mg、約880mg、約890mg、約900mg、約910mg、約920mg、約930mg、約940mg、約950mg、約960mg、約970mg、約980mg、約990mg、約1000mg、約1010mg、約1020mg、約1030mg、約1040mg、約1050mg、約1060mg、約1070mg、約1080mg、約1090mg、約1100mg、約1110mg、約1120mg、約1130mg、約1140mg、約1150mg、約1160mg、約1170mg、約1180mg、約1190mg、約1200mg、約1210mg、約1220mg、約1230mg、約1240mg、約1250mg、約1260mg、約1270mg、約1280mg、約1290mg、約1300mg、約1310mg、約1320mg、約1330mg、約1340mg、約1350mg、約1360mg、約1370mg、約1380mg、約1390mg、約1400mg、約1410mg、約1420mg、約1430mg、約1440mg、約1450mg、約1460mg、約1470mg、約1480mg、約1490mg、約1500mg、約1510mg、約1520mg、約1530mg、約1540mg、約1550mg、約1560mg、約1570mg、約1580mg、約1590mg、約1600mg、約1610mg、1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、約1700mg、約1710mg、約1720mg、約1730mg、約1740mg、約1750mg、約1760mg、約1770mg、約1780mg、約1790mg、約1800mg、約1810mg、約1820mg、約1830mg、約1840mg、約1850mg、約1860mg、約1870mg、約1880mg、1890mg、約1900mg、約1910mg、約1920mg、約1930mg、約1940mg、約1950mg、約1960mg、約1970mg、約9810mg、約1990mg、又は約2000mgの用量で投与される。
【0149】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mg、約700mg、約1050mg、又は約1400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1400mgの用量で投与される。
【0150】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、1週間に1回投与される。
【0151】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。
【0152】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物、ラゼルチニブのメシル酸塩)は、約20mg~約320mgの用量で投与される。本明細書に記載される式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の用量は、その用量における式(I)の化合物の遊離塩基の量を指す。例えば、用量が、ラゼルチニブのメシル酸塩(式(II)の化合物)を含む実施形態によると、用量は、ラゼルチニブ遊離塩基(式(I)の化合物)の量を指し、例えば、表1に示すように、mg/用量である。
【0153】
【表1】
【0154】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約40mg~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約80mg~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約160mg~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約240mg~約320mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約20mg~約240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約40mg~約240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約80mg~約240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約100mg~約300mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約160mg~約240mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、約100mg~約300mgの用量で投与される。
【0155】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物、ラゼルチニブのメシル酸塩)は、少なくとも約20mg、少なくとも約40mg、少なくとも約60mg、少なくとも約80mg、少なくとも約100mg、少なくとも約120mg、少なくとも約140mg、少なくとも約160mg、少なくとも約180mg、少なくとも約200mg、少なくとも約220mg、少なくとも約240mg、少なくとも約260mg、少なくとも約280mg、少なくとも約300mg、又は少なくとも約320mgの用量で投与される。
【0156】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物、ラゼルチニブのメシル酸塩)は、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、又は約320mgの用量で投与される。
【0157】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物、ラゼルチニブのメシル酸塩)は、1日1回投与される。
【0158】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物、ラゼルチニブのメシル酸塩)は、1日約20mg~約320mg(例えば、1日約240mg)の用量で投与される。
【0159】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物、ラゼルチニブのメシル酸塩)は、1日約160mg~約240mgの用量で投与される。
【0160】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約200mg~約2000mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、本明細書に記載の任意の用量、例えば、1日約20mg~約320mg(例えば、1日約240mg)の用量で投与される。
【0161】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約200mg~約2000mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、本明細書に記載の任意の用量、例えば、1日約20mg~約320mg(例えば、1日約240mg)の用量で投与される。
【0162】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mg~約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、本明細書に記載の任意の用量、例えば、1日約160mg~約240mg(例えば、1日約240mg)の用量で投与される。
【0163】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mg~約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、本明細書に記載の任意の用量、例えば、1日約160mg~約240mg(例えば、1日約240mg)の用量で投与される。
【0164】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、1日約160mgの用量で投与される。
【0165】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、1日約160mgの用量で投与される。
【0166】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、1日約160mgの用量で投与される。
【0167】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、1日約160mgの用量で投与される。
【0168】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、1日約160mgの用量で投与される。
【0169】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、1日約160mgの用量で投与される。
【0170】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、1日約240mgの用量で投与される。
【0171】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、1日約240mgの用量で投与される。
【0172】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、1日約240mgの用量で投与される。
【0173】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、1日約240mgの用量で投与される。
【0174】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩は、1日約240mgの用量で投与される。
【0175】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、1日約240mgの用量で投与される。
【0176】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載される(例えば、上記及び実施例3に記載される)投与レジメンに従って、本明細書に記載されるような使用のための、JNJ-61186372と併用したラゼルチニブ、又はJNJ-61186372と併用したラゼルチニブを用いて、患者を治療する方法は、患者の腫瘍体積を減少させるのに有効である(例えば、実施例4を参照されたい)。例えば、そのような効果は、第1世代TKIでの増悪後、EGFR T790M陰性疾患を有するNSCLCと診断された患者、及び、第3世代TKIによる前治療後の増悪を伴う患者において、観察され得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、対象は、CD16の158位でフェニルアラニンについてホモ接合型であるか、又はCD16の158位でバリン及びフェニルアラニンについてヘテロ接合型である。
【0178】
CD16の158位におけるフェニルアラニンについてホモ接合型である対象は、FcγRIIIa-158F/F遺伝子型を有する。CD16の158位におけるバリン及びフェニルアラニンについてヘテロ接合型である対象は、FcγRIIIa-158F/V遺伝子型を有する。CD16は、Fcガンマ受容体IIIa(FcγRIIIa)又は低親和性免疫グロブリンガンマFc領域受容体III-Aアイソフォームとしても知られている。FcγRIIIaタンパク質残基の158位におけるバリン/フェニルアラニン(V/F)多型性は、ヒトIgGに対するFcγRIIIa親和性に影響を及ぼすことが示されている。FcγRIIIaー158F/F又はFcγRIIIa-158F/V多型性を有する受容体は、FcγRIIIa-158V/Vと比較するとき、Fc結合の低減を示し、したがってADCCの低減を示す。低フコース含量を有する二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、FcγRIIIa-158F/F又はFcγRIIIa-158F/V遺伝子型を有する患者の治療においてより有効であり得る。日常的方法を用いて、患者をFcγRIIIa多型性について分析することができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、対象には、第3の抗癌療法が更に施される。
【0180】
いくつかの実施形態では、第3の抗癌療法は、化学療法、標的抗癌療法、又はキナーゼ阻害剤である。
【0181】
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4、VEGFR、又はAXLの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、EGFRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、c-Metの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER2の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER3の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、HER4の阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、VEGFRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、又はAXLの阻害剤である。
【0182】
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ポジオチニブ、クリオチニブ、カボザンチニブ、カプマチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、レゴラフェニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、又はスニチニブである。
【0183】
いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、エルロチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ラパチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、バンデタニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アファチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、オシメルチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ポジオチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、クリオチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、カボザンチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、カプマチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アキシチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、レンバチニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ニンテダニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、レゴラフェニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、パゾパニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ソラフェニブである。いくつかの実施形態では、キナーゼ阻害剤は、スニチニブである。
【0184】
本開示の方法において二重特異性抗EGFR/c-Met抗体及びラゼルチニブと併用して施され得る抗癌療法としては、化学療法薬又は当業者に既知の他の抗癌治療薬のうちの任意の1つ以上が挙げられる。化学療法剤は、癌の治療に有用な化学化合物であり、増殖阻害剤又は他の細胞毒性剤を含み、アルキル化剤、抗代謝剤、抗微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤などが挙げられる。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))など;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなど;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパなど;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えばアクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮抗物質、例えばメトトレキサート及び5-FUなど;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;副腎皮質ホルモン合成阻害薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤(folic acid replenisher)、例えばフォリン酸(frolinic acid)など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン(elfornithine);エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン(triaziquone);2,2′,2″-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド又はタキサンファミリーのメンバー、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))及びその類似体;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、スニチニブ(SUTENT(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(商標))、トセラニブ(PALLADIA(商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(商標))、セジラニブ(RECENTIN(登録商標))、レゴラフェニブ(BAY73-4506)、アキシチニブ(AG013736)、レスタウルチニブ(CEP-701)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(商標))、アファチニブ(BIBW 2992)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、ネラチニブ(HKI-272)などを含む受容体チロシンキナーゼ及び/又は血管新生の阻害剤、並びに上述のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。腫瘍に対するホルモン作用を制御又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(FARESTON(登録商標))を含む抗エストロゲン薬など;並びに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;並びに上述のいずれかの医薬的に許容される塩、酸又は誘導体もまた、この定義に含まれる。Wiemann et al.,1985,Medical Oncology(Calabresi et aL,eds.),Chapter 10,McMillan Publishingに記載されているような他の一般的な細胞毒性化合物もまた、本発明の方法に適用可能である。
【0185】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与に先立って投与される。
【0186】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体の投与に先立って投与される。
【0187】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に投与される。
【0188】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体の投与後に投与される。
【0189】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に、1回以上投与される。
【0190】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体の投与後に、1回以上投与される。
【0191】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10回又はそれ以上投与される。
【0192】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体の投与後に、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10回又はそれ以上投与される。
【0193】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に、断続的に投与される。
【0194】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体の投与後に、断続的に投与される。
【0195】
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩、又は、式(II)又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体、又は、第3の抗癌療法との投与間の時間の長さは、数分間、例えば、約1、2、5、10、30、若しくは60分間、又は数時間、例えば、約2、4、6、10、12、24、若しくは36時間、又は例えば、約2、4、7、14、21、28、35、42、49、56日間以上であり得る。
【0196】
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体、及び式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩又は、第3の抗癌剤は、医薬組成物として投与され得る。
【0197】
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体、及び式(II)の化合物又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体、又は、第3の抗癌剤は、医薬組成物として投与され得る。
【0198】
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物内に配合され得る。医薬的に許容される担体は、1つ以上の希釈剤、補助剤、賦形剤、ビヒクルなどであってよい。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用して、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を製剤化してもよい。これらの溶液は滅菌され、一般には粒子状物質を含まない。これらは、通常の周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。
【0199】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、静脈内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、皮下注射によって投与される。
【0200】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又は溶媒和物、水和物、互変異性体若しくはその医薬的に許容される塩、又は、式(II)の化合物、又はその溶媒和物、水和物、若しくは互変異性体は、経口製剤、例えば、粉末、カプセル及び錠剤などの固体経口製剤などとして投与される。
【0201】
例えば、式(I)の化合物又は式(II)の化合物などの粉末、カプセル剤、及び錠剤などの経口固形製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。経口固形製剤は、糖などの物質でコーティングしてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶性コーティングしてもよい。非経口投与の場合、担体は、滅菌水を含み得、溶解度の上昇又は保存のために他の賦形剤を添加してもよい。注射用の懸濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤と共に用いて製造してもよい。好適なビヒクル、及び他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp691-1092に記載され、特にpp.958-989を参照されたい。
【0202】
この組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる医薬的に許容可能な補助物質、例えばpH調整剤及び緩衝剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などを含むことができる。医薬製剤中の二重特異性抗EGFR/c-Met抗体の濃度は、約0.5重量%未満から、通常少なくとも約1重量%まで、最大で15重量%、20重量%、30重量%、40重量%、又は50重量%まで変動し得、また、選択される具体的な投与モードに従って、必要用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。固体形態を含む医薬組成物は、約0.1mg~約2000mg、例えば、約1mg、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約300mg、約500mg、約600mg、又は約1000mgの有効成分を含有し得る。
【0203】
投与モードは、錠剤、カプセル剤、液剤、散剤、ゲル剤、粒子の製剤を用いた、宿主に抗体を送達する任意の好適な経路、例えば、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)であってもよく、シリンジ、埋込デバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプに含まれていてもよく、又は当該技術分野において周知の、当業者によって認識される他の手段に含まれ得る製剤を用いた、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺、経粘膜投与(経口、鼻腔内、膣内、直腸)などの、抗体を宿主に送達する任意の好適な経路であり得る。部位特異的投与は、例えば、腫瘍内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣内、直腸内、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され得る。
【0204】
次に、本発明を以下の特定の非限定的な実施例を参照して説明する。
【0205】
実施例1.ラゼルチニブと併用したJNJ-372は、H1975ヒト肺癌異種移植モデルにおいて腫瘍細胞の死滅を示した。
この試験の目的は、活性化EGFR変異(L858R)及び第2部位耐性EGFR変異(T790M)を有する、H1975ヒト肺異種移植片、並びに、c-Met経路がヒトHGF(c-Metリガンド)の過剰発現によって活性化されている、H1975-HGF異種移植片における、第3世代TKIであるラゼルチニブ及びオシメルチニブと併用したJNJ-372の抗腫瘍活性を評価することであった。
【0206】
方法
雌性無胸腺ヌードマウス(Crl:NU(Ncr)-Foxn1nu、Charles River)は9週齢であり、処置開始時に19.0~27.2グラム(g)の体重(BW)範囲を有した。動物には、自由に、水(逆浸透、1ppm Cl)及び、18.0%の粗タンパク質、5.0%の粗脂肪、及び5.0%の粗繊維からなる、NIH 31 Modified and Irradiated Lab Diet(登録商標)を与えた。20~22℃(68~72°F)及び40~60%湿度にて12時間の光サイクルで静止マイクロアイソレーター内のガンマ線滅菌済Enrich-o’cobs(商標)実験動物用床敷にマウスを収容した。全ての試験は、拘束、管理、外科的処置、給餌及び給水調節、並びに獣医学的治療に関する、Guide for Care and Use of Laboratory Animalsの推奨に準拠した。
【0207】
腫瘍細胞の培養
NCI-H1975細胞を、10%のウシ胎児血清、2mMのグルタミン、100単位/mLのペニシリンG、25μg/mLのゲンタマイシン、及び100μg/mLのストレプトマイシン硫酸塩を含有するRPMI 1640培地中で、対数増殖期中期まで増殖させた。腫瘍細胞を、37℃の加湿インキュベーター内、5%CO2及び95%空気の雰囲気中で、組織培養フラスコで培養した。
【0208】
in vivo移植及び腫瘍増殖
移植日に、NCI-H1975細胞を対数増殖中に回収し、5×10細胞個/mLの濃度でリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に再懸濁した。異種移植は、5×10個のNCI-H1975細胞/動物(0.1mL懸濁液)を各試験動物の右側腹部に皮下移植することによって開始し、腫瘍の体積が150~200mmの標的範囲に近づいたことをモニタリングした。15日後、腫瘍幅及び長さのmm単位でのノギスによる測定値に基づいて計算された腫瘍体積によって、動物をビンに分類した。次いで、動物を処置群間でヒューリスティックに選別し、群割り当て間の小から大への腫瘍体積の分布を平均化した。各コホートに割り当てられた動物の数がプロトコルデザインを満たすまで、残りの動物を主観的に配置し、群間の腫瘍体積における標準誤差を最小化した。個々の腫瘍体積は、108~288mmの範囲であり、群平均腫瘍体積は、全ての群について206~209mmであった。腫瘍サイズ(mm3)は、以下の式を使用して算出した。
腫瘍体積=(w×l)/2
式中、ww=腫瘍の幅(mm)であり、l=腫瘍の長さ(mm)である。腫瘍重量は、1mgが1mmの腫瘍体積と同等であると仮定して推定した。
【0209】
試験物品
JNJ-372(CNTO4424又はHH80とも称する)及びアイソタイプ対照を、1mg/mL PBSで投与し、10mg/kgの投薬量を得た。オシメルチニブ粉末を、脱イオン水中20%(w/v)ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(20%HPBCD)中に1mg/mLで懸濁し、15分間磁気的に撹拌して、均一に分散した懸濁液を作製した。ラゼルチニブ(JNJ-70080595、JNJ-595又はYH-CNTとも称する)粉末を、脱イオン水中0.5%(w/v)メチルセルロース(0.5%MC、ビヒクル)中に1.17mg/mLで懸濁し、10mg/kgの活性剤投薬量を得た。全ての投与溶液は、10mL/kgの投与量で記載されたmg/kg投薬量となるように配合した。
【0210】
処置
雌性無胸腺ヌードマウスを試験に使用した(n=10/群)。SC腫瘍が約100~300mmのサイズに達したときに処置を開始し、表2に要約された処置計画に従って投与を開始した。JNJ-372、アイソタイプ対照抗体、オシメルチニブ、及びラゼルチニブ(JNJ-595とも称する)を、10mg/kg(有効濃度)で投与した。JNJ-372は1週間に2回IPで3週間投与し、オシメルチニブ及びラゼルチニブは毎日経口で21日間投与した。対照群はビヒクルを毎日経口で21日間投与し、アイソタイプ対照抗体は週2回IPで3週間投与した。マウスは、体重及び腫瘍体積について95日目までモニタリングし、個々の腫瘍体積が2,000mmに達したとき、又は試験終了時に安楽死させた。
【0211】
【表2】
【0212】
計算及びデータ分析
個々のマウスの相対体重は、式:(W/W0)×100を用いて計算した(式中、「W」は特定の日の体重を表し、「W0」は処置開始時の体重を表す)。体重は、初期体重に対する平均%±SEMとしてグラフで表した。
【0213】
腫瘍体積データは、平均腫瘍体積±SEMとしてグラフで表した。腫瘍体積を、式:腫瘍体積(mm)=(D×d2)/2を用いて計算した(ノギス測定により求めたとき、式中、「D」は大きい方の直径を表し、「d」は小さい方の腫瘍の直径を表す)。
【0214】
%TGIは、処置群と対照群との間の腫瘍量の差として求め、%ΔTGI=([(TVc-TVc0)-(TVt-TVt0)]/(TVc-TVc0))×100として計算した(式中、「TVc」は所与の対照群の平均腫瘍量であり、「TVc0」は所与の対照群の平均初期腫瘍量であり、「TVt」は処置群の平均腫瘍量であり、「TVt0」は処置群の平均初期腫瘍量である)。≧2,000mmの最大腫瘍体積に達したとき、又は有害な臨床的徴候が認められたときに、動物を試験から除外した。CRは、分析の最終日に腫瘍が測定可能でなかった場合である、完全奏功(完全な腫瘍退縮)として定義した。
【0215】
腫瘍体積及び体重データは、Prismソフトウェア(GraphPad、バージョン7)を使用してグラフで表した。統計的有意性は、少なくとも8例のマウスが各群に残ったときの試験の最終日に、全ての一対比較について評価した。p≦0.05のとき、群間の差異は有意であるとみなした。腫瘍体積及び体重の統計的有意性は、処置と時間を固定効果、動物をランダム効果として、Rソフトウェアバージョン3.4.2(Janssen社内で開発したShinyアプリケーションバージョン3.3を使用)における線形混合効果解析を用いて計算した。個々の縦方向の応答軌跡が線形でない場合、対数変換(基数10)を実施した。このモデルから導出された情報を使用して、対照群に対する、又は全ての処置群間での処置の一対比較を行った。
【0216】
生存データをグラフ化し、処置開始日として1日目にWindows用GraphPad Prism 7.04を使用して分析した。ログランク(マンテル-コックス)解析には、非処置関連(NTR)死として評価されたもの以外の群の全ての動物についてのデータを含めた。両側統計解析を有意水準P=0.05で実施した。統計検定は、多重比較のために補正しなかった。p≦0.05のとき、群間の差異は有意であるとみなした。
【0217】
結果
体重
JNJ-372はマウスEGFR又はc-Metに結合しないため、JNJ-372の単剤療法、又はいずれかのTKIとの併用に対する忍容性は、これらの試験では評価できなかった。これと一致して、JNJ-372単剤療法は、H1975異種移植片を有するヌードマウスにおいて29日目の対照群と比較して、有意な体重減少を起こさなかった(図1)。単剤療法又はJNJ-372との併用のいずれかの、オシメルチニブ又はラゼルチニブによる処置は、H1975モデルにおけるある程度の一過性体重減少、及び、対照と比較して体重増加の欠如を誘発した(p<0.05)。オシメルチニブ又はラゼルチニブの単剤療法と比較したとき、オシメルチニブ又はラゼルチニブ+JNJ-372の併用において、体重減少は有意に異なるものではなかった。ラゼルチニブ、JNJ-372、及びJNJ-372+ラゼルチニブの併用で処置した群におけるそれぞれ1例の動物について、好ましくない臨床的徴候のため、それぞれ21日目、43日目及び71日目に安楽死させたが、腫瘍量又は処置に起因するかどうかはわからなかった。
【0218】
有効性
H1975試験では、JNJ-372、ラゼルチニブ、又はオシメルチニブによる単剤療法は、対照と比較して、28日目におけるH1975異種移植片の有意なTGIを誘発した(それぞれ、86%、112%、及び111%)(p≦0.0003)。JNJ-372と、ラゼルチニブ又はオシメルチニブのいずれかとの併用は、28日目に対照と比較したとき、112%のTGIをもたらした(p<0.0001)。加えて、JNJ-372+オシメルチニブの併用は、いずれかの単剤療法と比較したとき統計的に有意なTGIを示し(p≦0.03)、1例の動物ではCRをもたらした。JNJ-372とラゼルチニブの併用は、単一のJNJ-372処置と比較して有意なTGIを示し(p<0.0001)、ラゼルチニブ単剤療法と比較して、有意ではない腫瘍再増殖をより長期間遅延させる傾向を示した。JNJ-372+ラゼルチニブの併用は、ラゼルチニブ単独で処置したマウス10例のうち1例でCRが見られたことに対して、マウス10例のうち7例でCRをもたらした。JNJ-372と、ラゼルチニブ又はオシメルチニブのいずれかとの併用は、対照と比較して統計的に有意な延命効果をもたらした(p≦0.0003)。JNJ-372とラゼルチニブの併用は、単一のJNJ-372及び単一のラゼルチニブ処置と比較して、統計的に有意な延命効果を示した(p≦0.0344)。JNJ-372とオシメルチニブの併用は、単一のJNJ-372処置と比較して統計的に有意な延命効果を示し(p<0.0001)、単一のオシメルチニブ処置と比較して有意ではない延命効果の傾向を示した。
【0219】
表3は、H1975異種移植片モデルにおける腫瘍増殖阻害でのp値を示す。図2は、JNJ-372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置した、H1975異種移植片を有するヌードマウスにおける腫瘍移植後日数の平均腫瘍体積(mm)を示す。図3は、JNJ-372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置して処置した、H1975異種移植片を有するマウスにおける生き残った動物割合についてのカプラン・マイヤープロットを示す。表4は、H1975異種移植モデルにおける生存率統計でのp値を示す。
【0220】
【表3】
【0221】
【表4】
【0222】
実施例2。H1975-HGFにおいてラゼルチニブ又はオシメルチニブと併用したJNJ-372は、ヒト肺癌異種移植モデルにおいて腫瘍細胞の死滅を示した。
実験計画は、肝細胞成長因子(HGF)を発現するように安定的にトランスフェクトされたH1975細胞(H1975-HGF細胞)(以下、H1975-HGF-CNTと称する)をこの試験で使用したこと以外は、実施例1に記載のとおりとした。細胞を、2mM L-グルタミン(Invitrogen、カタログ番号11875-127)を含有するRPMI 1640培地中で培養した。培地に、10%の熱不活化ウシ胎児血清及び2μg/mLのピューロマイシンを添加した。ピューロマイシンは、細胞培養系において選択剤として使用した。細胞を、37℃の加湿インキュベーター内、5%CO及び95%空気の雰囲気中で、組織培養フラスコで培養した。
【0223】
結果
体重
H1975-HGF試験では、JNJ-372単剤療法は、H1975-HGF腫瘍担持マウスにおいて28日目の対照と比較して、有意な体重減少を起こさなかった(図4)。単剤療法又はJNJ-372との併用のいずれかの、オシメルチニブ又はラゼルチニブによる処置は、ある程度の一過性体重減少、及び、対照群と比較して体重増加の欠如を誘発した(p<0.05)。それぞれオシメルチニブ又はラゼルチニブの単剤療法と比較したとき、オシメルチニブ又はラゼルチニブ+JNJ-372の併用において、体重減少は有意に異なるものではなかった。オシメルチニブ及びJNJ-372単剤療法群のそれぞれ1例のマウス、並びに、JNJ-372+ラゼルチニブの併用で処置した群における2例のマウスについて、好ましくない臨床的徴候のため、それぞれ51日目、53日目、70日目及び36日目に死亡した発見された、又は安楽死させたが、腫瘍量又は処置に起因するかどうかはわからなかった。
【0224】
処置群を表2に示す。
【0225】
有効性
H1975-HGF試験では、JNJ-372又はラゼルチニブを用いた単剤療法は、28日目の対照と比較して、H1975-HGF異種移植片のそれぞれ70%及び75%のTGIをもたらした(それぞれ、p=0.0059及びp=0.0030)。オシメルチニブによる処置は、28日目の対照と比較して、統計的に有意でない57%のTGIをもたらした(p=0.0651)。JNJ-372と、ラゼルチニブ又はオシメルチニブのいずれかとの併用は、処置28日目に対照と比較したとき、それぞれ109%又は108%のTGIをもたらした(p<0.0001)。加えて、JNJ-372と、ラゼルチニブ又はオシメルチニブのいずれかとの併用は、JNJ-372又は各TKI単独療法と比較したとき、有意なTGIをもたらした(p<0.0001)。最後に、JNJ-372+ラゼルチニブは、10例中3例のマウスでCRをもたらしたが、ラゼルチニブ単剤療法では、10例中2例のCRであった。JNJ-372+オシメルチニブは、10例中4例のマウスにおいてCRをもたらした。JNJ-372と、ラゼルチニブ又はオシメルチニブのいずれかとの併用は、対照と比較して統計的に有意な延命効果をもたらした(p<0.0001)。JNJ-372とラゼルチニブの併用は、単一のJNJ-372及び単一のラゼルチニブ処置と比較して、統計的に有意な延命効果を示した(p≦0.0131)。JNJ-372とオシメルチニブの併用は、単一のJNJ-372及び単一のオシメルチニブ処置と比較して、統計的に有意な延命効果を示した(p<0.0001)。
【0226】
表5は、H1975-HGF異種移植片モデルにおける腫瘍増殖阻害でのp値を示す。図5は、JNJ-372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置した、H1975-HGF異種移植片を有するヌードマウスにおける腫瘍移植後日数の平均腫瘍体積(mm)を示す。図6は、JNJ-372単剤療法又はラゼルチニブ若しくはオシメルチニブとの併用で処置した、H1975-HGF異種移植片を有するマウスにおける生き残った動物割合についてのカプラン・マイヤープロットを示す。表6は、H1975-HGF異種移植モデルにおける生存率統計でのp値を示す。
【0227】
【表5】
【0228】
【表6】
【0229】
結論
これらの試験の目的は、H1975及びH1975-HGFヒトNSCLC腫瘍における第3世代EGFR TKIであるオシメルチニブ及びラゼルチニブと併用するJNJ-372の抗腫瘍活性を評価することであった。
【0230】
オシメルチニブ又はラゼルチニブと併用したJNJ-372は、H1975及びH1975-HGF異種移植モデルの両方において、JNJ-372及びそれぞれのTKI単剤療法と比較して、亢進した抗腫瘍有効性(TGI及び/又はCRの増加による)を示した。オシメルチニブ又はラゼルチニブ処置により、一部に一過性の体重減少が観察された。JNJ-372はマウスEGFR又はc-METに結合しないため、JNJ-372+TKI併用に対する忍容性は評価できなかった。
【0231】
全体として、H1975及びH1975-HGFモデルの両方のデータは、TKI+JNJ-61186372による併用治療が、TKI単剤療法と比較して優れた抗腫瘍活性を提供することができ、臨床の場での更なる試験が考慮され得ることを示唆した。
【0232】
実施例3:試験61186372EDI1001:進行性非小細胞肺癌被験者における、ヒト二重特異性EGFR及びc-Met抗体であるJNJ-61186372の第1相ヒト初回非盲検用量漸増試験
この試験は、18歳以上の進行性NSCLC被験者において、安全性及びPKを評価し、推奨される第2相用量(RP2D)及び推奨される第2相併用用量(RP2CD)レジメンを確立し、JNJ-61186372の単剤療法として及びラゼルチニブとの併用の予備有効性を評価するための、ヒト初回非盲検多施設共同二部構成の第1相用量漸増試験である。本試験の目的及びエンドポイントは、表7に記載されている。
【0233】
【表7】
【0234】
試験デザインの概要
この試験は、18歳以上の進行性NSCLC被験者において、安全性及びPKを評価し、推奨される第2相用量(RP2D)及び推奨される第2相併用用量(RP2CD)レジメンを確立し、JNJ-61186372の単剤療法として及びラゼルチニブとの併用の予備有効性を評価するための、ヒト初回非盲検多施設共同二部構成の第1相用量漸増試験である。
【0235】
パート1 JNJ-61186372単剤療法及び併用用量漸増:従来の3+3デザインを利用して、進行性NSCLC被験者における、MTD(又は、MTDが定義されない場合は最大投与用量[MAD])及びJNJ-61186372のRP2Dレジメン、及びJNJ-61186372とラゼルチニブの併用のRP2CDを決定する。各用量漸増で登録された被験者の総数は、MTD又はMADに達する投与量、及び用量コホートの拡大が示されているかどうかに依存する。SETによって既に安全であると宣言された用量コホート内に、用量コホート当たり20例まで追加の被験者を登録し、その用量における追加の安全性及びPKデータを収集してもよい。各保健当局によって要求された場合、追加の被験者を各国ごとのパート1用量コホートに登録し、安全性及びPKを定義してもよい。
【0236】
JNJ-61186372及びラゼルチニブ併用用量漸増では、EGFR変異型NSCLC被験者において以前の抗体及びTKI併用試験から適応された戦略を利用して、JNJ-61186372及びラゼルチニブのRP2CDを決定し、RP2CDにおける各薬剤の標的用量は、単剤療法としての各薬剤のRP2Dと同じである。併用用量漸増で登録された被験者の総数は、試験する用量レベル及びRP2CDに達した用量コホートの数、並びに、RP2CDを決定するために用量コホートの拡大が必要であるかどうかに依存する。単剤療法用量漸増と同様に、各保健当局によって要求された場合、追加の各国ごとの併用コホートを登録し、安全性及びPKを定義してもよい。
【0237】
パート2 JNJ-61186372単回療法及び併用用量拡大:パート2コホートA~Dへの登録は、パート1においてJNJ-61186372の単剤療法のRP2Dレジメンが決定された後に開始する。以前に、活性化EGFR変異、測定可能な疾患、及び疾病に対するこれまでの全身性抗癌治療後の進行と診断されている進行性NSCLC被験者を約120例までを、最初にパート1で決定したRP2Dレジメンに登録する。パート2コホートA~Dの目的は、JNJ-61186372の安全性及びPK特性を更に確認し、分子的に定義された腫瘍サブグループ内の臨床活性を検討することである。コホートC及びDにおいて、SETは、安全性及び有効性データに基づいて、被験者を追加的にそれぞれ70例まで登録することを推奨してもよい。更に、臨床的有用性がコホート内の分子的に定義された集団で実証される場合、SETは、サブ集団への登録を制限してもよい。
【0238】
JNJ-61186372とラゼルチニブの併用のRP2CDがパート1の併用用量漸増で特定されると、利用可能な安全性、PK、及び予備有効性データについて関連保健当局と相談した後、パート2併用コホートEの拡大を開始する。進行性EGFR変異型NSCLCを有する約25例の被験者を登録し、併用の安全性、忍容性、及び予備有効性の特性を更に確認する。被検者は、進行性疾患に対する治療未経験であるか、又は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アフィチニブによる第1選択治療後、若しくは第3世代EGFR TKIによる第1若しくは第2選択治療後に進行しているかのいずれかである。
【0239】
全体試験
パート1及びパート2の両方について、試験は3つの期間に分けられる。スクリーニング期間中、被験者の適格性は、治験薬の初回投与の28日前までに決定される。治療期間は、治験薬の初回投与から、治験薬の最終投与30日後までである。追跡期間は、治療期間の終了時に開始し、被験者の生存及び後続抗癌療法について追跡する間、試験の終了まで継続する。放射線学的な疾患の進行又は同意の撤回以外の何らかの理由によって全ての試験治療を恒久的に中止した被験者について、放射線学的な進行が確認されるか、又は新しい抗癌療法が開始されるかのいずれか早い方まで、プロトコルスケジュールに基づいて疾患評価を継続する。
【0240】
この試験は、外来で行われる。被験者を、治験薬投与及び試験評価(例えば、有害事象モニタリング、物理的検査、併用薬の使用、検査値評価、及びPKサンプルの採取)について予め特定した日に、試験施設において診察する。新たな安全性観察結果に基づいて、必要に応じて、より頻回の来院を予定することができる。安全性モニタリングは、試験のパート1及びパート2の両方に関して同様であり、NCI CTCAE(バージョン4.03)に従ってグレード分類される有害事象及び検査値異常の評価を含む。他の安全対策には、バイタルサイン、心電図(ECG)、及び物理的検査値のモニタリングを含む。胸部X線及びLVEF評価(心エコー図又はMUGA)などの追加的安全性評価は、試験のパート1及びパート2において、JNJ-61186372とラゼルチニブの併用投与を受けた被験者に対して行われる。単剤療法及びラゼルチニブと併用の両方でのJNJ-61186372の全体的な安全性は、安全性評価チーム(SET)によって評価される。
【0241】
抗腫瘍活性は、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST v1.1)(Eisenhauer et al..,Eur J Cancer 2009;45(2):228-247)のとおり、臨床的反応によって評価する。必要に応じて、治験責任医師は、放射線画像、物理的検査、及び他の手法によって疾患の部位を評価し、全ての結果を症例報告書(CRF)に記録する。パート2では、SETによって新たな又は変更されたRP2D又はRP2CDが選択された場合、非進行性疾患を有する被験者において被験者内用量漸増が許容され得る(セクション3.5を参照)。
【0242】
被験者集団
本試験では、進行性NSCLCがJNJ-61186372による治療に反応する可能性があり得るため、これらの腫瘍を有する被験者が登録される。加えて、全ての被験者は、前治療で進行しているか、又は他の現在利用可能な治療選択肢の全てに不適格であるか、若しくはその治療を拒否しており、追加の有効な治療を必要とする。
【0243】
試験のパート1(用量漸増)では、進行性NSCLCを有する被験者を登録する。パート1の併用用量漸増のみにおいて、被験者は、EGFRのエクソン19欠失若しくはL858R活性化変異と診断され、かつ進行性疾患についてTKI治療未経験であるか、又は、第1世代若しくは第2世代TKIによる第1選択治療後に進行しているか、又は、第1選択又は第2選択治療のいずれかで第3世代TKIで治療されているか、のいずれかであり、かつ、コホートCへの登録については適格ではないことが条件である。登録された被験者の総数は、MTD又はMADに達する投与量、及び用量コホートの拡大が示されているかどうかに依存する。
【0244】
試験のパート2(用量拡大)において、EGFR変異及び測定可能な疾患を有するこれまで治療経験のある進行性NSCLCを有すると診断されている最大約145例の被験者を、以下に定義されるように、最初に5つの各コホートのうちの1つに登録する。
・ コホートA:治療経験のあるEGFRによる腫瘍が進行した被験者
・ コホートB:治療経験のあるEGFR非依存性腫瘍が進行した被験者。
・ コホートC:第3世代TKI(例えば、オシメルチニブ)による前治療、又は原発性エクソン20挿入変異疾患の場合は、エクソン20挿入変異疾患に対する活性が知られているTKI(例えば、ポジオチニブ)による前治療に対する耐性を媒介する、EGFR又はc-Metの変異が実証されている被験者。この変異は、中央での検査のための適切にバリデーションされたctDNA又は腫瘍組織のNGSが利用可能になるまで、スクリーニング前の同じ腫瘍組織の施設での検査を利用して、予め特性を確認しておくことによって実証されなければならない。利用可能になった後、全ての被験者は、スクリーニング期間中に得られた腫瘍サンプル、又はスクリーニング期間前であるが直近の全身性抗癌療法で治療後に得られた同じ腫瘍組織のEGFR及びc-Met特性評価に基づいて、適格性について中央で評価される。
・ コホートD:EGFRエクソン20挿入変異を有すると診断されている被験者。
・ コホートE(JNJ-61186372とラゼルチニブの併用):エクソン19欠失又はL858R感受性活性化変異を特徴とする進行性EGFR変異型NSCLCを有する被験者。
【0245】
コホートC及びDにおいて、SETは、中間モニタリングの結果に基づいて、被験者を追加的にそれぞれ70例まで登録することを推奨してもよい。中央検査室においてEGFR変異を持たないことが確認された被験者を代えることができる。標準治療の変化及び標的集団の重複により、コホートA及びBは、コホートC及びDの募集開始時に、更なる募集を終了する。およそ25例の被験者を併用コホートEに登録し、RP2CDでのJNJ-61186372とラゼルチニブの併用の安全性、忍容性、及び予備有効性の特徴を更に確認する。
【0246】
JNJ-61186372とラゼルチニブの併用
単剤療法のRP2D(JNJ-61186372は1050/1400mg、ラゼルチニブは240mg)、並びにJNJ-61186372及びラゼルチニブの両方のPKプロファイルは、それぞれのFIH用量漸増試験を通じて確立されており、この試験では、それぞれのRP2Dを超える用量(JNJ-61186372は1400mg、ラゼルチニブは320mg)によって、いずれの化合物についてもDLTは観察されなかった。EGFR変異型NSCLC集団における両剤の安全性プロファイル及び予備的有効性は、それぞれの試験における約100例の被験者(それぞれのRP2Dでの拡大コホートに登録されるものを含む)の臨床経験に基づくものである。加えて、両剤は、それぞれのRP2Dよりも低い用量(JNJ-61186372は700mg、ラゼルチニブは240mg)で開始した標的集団において臨床活性が実証されており、併用の安全性プロファイルにより、各薬剤の単剤療法RP2Dより低い用量が必要である場合に、有効性を維持できる可能性がある。
【0247】
用量及びレジメン選択の根拠
併用試験(表8)で検討される用量は、上記のように、両剤のFIH試験で観察された現在利用可能な臨床安全性、忍容性、有効性、及び臨床PKに基づき、重複毒性プロファイルの可能性と予測されるDDIの不足を考慮して選択した。JNJ-61186372の開始用量は、単剤療法RP2Dよりも1段階低い用量(700/1050mg)に設定したが、ラゼルチニブはRP2D(240mg)に設定した。表8は、併用試験において検討が予想される用量レベルを記載する。
【0248】
【表8】
追加及び/又は中間用量レベルを試験の実施中に追加してもよい。安全性、PK、又はPDをより良く理解するため、MTDより低い任意の用量レベルでコホートを追加してもよい。
**用量レベル-1は、開始用量レベルから用量の減量を必要とする患者に対する用量漸減コホート又は治療用量を表す。
【0249】
併用におけるJNJ-61186372及びラゼルチニブの両方の標的用量は、単剤療法時のRP2D(それぞれ1050/1400mg、及び240mg)と一致しているが、発展的な曝露データが、同等の標的PK曝露を達成するためにより高い用量が必要であることを示唆する場合、より高い用量が追求され得る。発展的な曝露データが、レベル2(表8)よりも高い用量が、いずれかの薬剤の単剤療法RP2Dで観察された曝露を達成するために必要とされる場合、併用安全性、PK、及び有効性データは、次の併用コホートの開始前に、次に提案する用量コホートレベルの根拠について関連保健当局と相談する。
【0250】
併用の投与スケジュール
現在の単剤療法投与レジメンでは、ラゼルチニブは毎日経口投与されるが、JNJ-61186372は、サイクル1中は週1回、その後、サイクル2の1日目から隔週で静脈内投与される。
【0251】
JNJ-61186372の初回投与は、JNJ-61186372に関連してよく見られる毒性の1つで、主に初回(C1D1)投与で発生する注入関連反応のリスクに対する軽減策として、2日にかけて分割用量として投与される(すなわち、サイクル1の1日目[350mg]とサイクル1の2日目[用量の残り])。加えて、ステロイド前投薬は、現在、この初回投与のみに必要である。
【0252】
ラゼルチニブの投与はJNJ-61186372開始前である、サイクル1の1日目のJNJ-61186372初回投与の開始前2時間以内に開始し、その後、同じ順序で毎日継続する。
【0253】
併用レジメンは、初回投与のJNJ-61186372及びラゼルチニブで開始する28日間のサイクルで投与される。併用レジメンの最初の28日サイクル(サイクル1)は、JNJ-61186372の週1回投与を4回、及びラゼルチニブの28回投与を含まないといけないが、サイクル2及び全ての後続サイクルは、JNJ-61186372の隔週投与を2回、及びラゼルチニブの毎日28回投与が含まれる。
【0254】
被験者の選択
適格な被験者のスクリーニングは、治験薬の初回投与前28日以内に実施される。
【0255】
この試験に被験者を登録するための組み入れ基準及び除外基準は、以下の2つのサブセクションに記述される。被検者は、試験参加に適格であるためにはこれらの基準の全てを満たさなければならず、これらの基準の例外は、治験依頼者によって許可されていない。しかしながら、以下の組み入れ又は除外基準について疑問がある場合、治験責任医師は、この試験に被験者を登録する前に適切な治験依頼者の担当者に相談しなければならない。
【0256】
組み入れ基準
可能性のある被験者はそれぞれ、この試験に登録されるには下記の基準全てを満たす必要がある。
【0257】
1. 被験者は、年齢が18歳以上で、試験が行われる管轄において同意の法定年齢を満たす必要がある。
【0258】
2. 被験者は、転移性又は切除不能な組織学的又は細胞学的に確認されたNSCLCを有する必要がある。被検者は、転移性疾患のための前治療を受けた後に進行しているか、他の現在利用可能な治療選択肢の全てに不適格であるか、又はその治療を拒否している必要がある。被験者が現在利用可能な治療選択肢を拒否する場合、試験記録中に文書化する必要がある。
【0259】
3. パート1併用用量漸増のみ:被験者は、EGFRのエクソン19欠失又はL858R活性化変異と診断されており、かつ、
・ 進行性疾患に対してTKI治療未経験であるか、又は
・ 第1世代(エルロチニブ若しくはゲフィチニブ)又は第2世代(アファチニブ)TKIによる第1選択治療後に進行したか、又は
・ 第1選択又は第2選択治療のいずれかにおいて第3世代TKI(例えば、オシメルチニブ)で治療されており、コホートCへの登録に適格ではない必要がある。
パート2のみ:被験者はまた、活性化EGFR変異を有する(エクソン19欠失及びL858R[コホートC及びE]などの阻害剤感受性一次変異、並びにエクソン20挿入[コホートC及びD]などの市販のTKI耐性変異の両方を含む)と診断されている疾患も有する必要がある。CLIA認定検査室(又は同等の検査室)での検査によってEGFR変異適格性の文書化が必要である。
【0260】
4. パート1:被験者は評価可能な疾患を有する必要がある。
パート2:被験者は、RECIST v1.1に従って測定可能な疾患を有する必要がある。
【0261】
5. パート2:
コホートA及びB:被験者の疾患は、市販のEGFR阻害剤による治療後、直近で進行している必要がある。例外:de novo EGFR阻害剤耐性に関連する変異(例えば、エクソン20挿入)を有すると診断された被験者では、併用白金系化学療法による前治療のみが必要である。
コホートC:被験者は、第3世代TKI(例えば、オシメルチニブ)による前治療、又は一次エクソン20挿入変異疾患の場合、エクソン20挿入変異疾患に対する既知の活性を有するTKI(例えば、ポジオチニブ)による前治療に対する耐性を媒介するEGFR又はc-Met変異を有する必要があり、中央での検査のための適切にバリデーションされたctDNA又は腫瘍組織のNGSが利用可能になるまで、スクリーニング前の同じ腫瘍組織の施設での検査を利用して、予め特性を確認しておくことによって実証されなければならない。利用可能になった後、全ての被験者は、スクリーニング期間中に得られた腫瘍サンプル、又はスクリーニング期間前であるが直近の全身性抗癌療法で治療後に得られた同じ腫瘍組織のEGFR及びc-Met特性評価に基づいて、適格性について中央で評価される。
コホートD:被験者は、EGFRエクソン20挿入を有すると診断されている必要がある。
コホートE(JNJ-61186372とラゼルチニブの併用):被験者は、EGFRのエクソン19欠失又はL858R活性化変異と診断されており、かつ、
・ 進行性疾患に対してTKI治療未経験であるか、又は
・ 第1世代(エルロチニブ若しくはゲフィチニブ)又は第2世代(アファチニブ)TKIによる第1選択治療後に進行したか、又は
・ 第1選択又は第2選択治療のいずれかにおいて第3世代TKI(例えば、オシメルチニブ)で治療された後に進行しており、コホートCへの登録に適格ではない必要がある。
【0262】
6. 被験者は、ECOGのパフォーマンスステイタスで0又は1を有する必要がある。
【0263】
7. 被験者は、以下のような臓器及び骨髄機能を有する必要がある。
ヘモグロビン ≧10g/dL
ANC ≧1.5x10/L
血小板 ≧75×10/L
AST及びALT ≦3×ULN(正常上限)
総ビリルビン≦1.5×ULN;ジルベール症候群の被験者は、抱合ビリルビンが正常範囲内にある場合に登録することができる
血清クレアチニン <1.5×ULN、又は利用可能な場合、計算又は測定されたクレアチニンクリアランス >50mL/分/1.73m
被験者は、検査日以前7日以内に、赤血球輸血、血小板輸血、又はG-CSF支持療法の治療歴を有することなく、上記の検査基準を満たさなければならない。
【0264】
8. 登録前、女性は以下のいずれかである必要がある。
a. 妊娠する可能性がない:初経前、閉経後(少なくとも12ヶ月間無月経の>45歳)、永久的不妊(例えば、両側卵管閉塞[各国の規制に合致するとき、卵管結紮術を含む]、子宮摘出、両側卵管摘除、両側卵巣摘出)、若しくはそれら以外で、妊娠できない、
b. 妊娠する可能性があり、かつ以下のような、臨床試験に参加している被験者に対する受胎調節法の使用に関する各国の規制に合致する受胎調節の効果的な方法を実施:
1) 禁欲の実施(被験者の好ましくかつ通常の生活習慣と一致している場合)、治験薬の最終投与後6ヶ月までを含む、試験の全期間中の異性間性交を控えることとして定義される。周期的禁欲(月経周期、基礎体温、排卵後を考慮した避妊法)許容可能な避妊法とはみなされない。
又は
2) 精管切除された唯一のパートナーを有する
又は
3) 2つの避妊法の実施、1つは非常に効果的な方法(すなわち、経口、注入、若しくは埋め込みホルモン法による避妊の確立された使用、子宮内避妊用具[IUD]又は子宮内システム[IUS]の配置、かつ、第2の方法(例えば、殺精子フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬の付いたコンドーム又は殺精子フォーム/ゲル/フィルム/クリーム/座薬の付いた閉塞キャップ[ペッサリー又は子宮頸部/膣円蓋キャップ])
被験者は、試験中避妊を継続し、治験薬の最終投与後6ヶ月間継続することに同意する必要がある。
注記:試験開始後に妊娠の可能性が変更する場合(例えば、異性と性的関係を持たない女性が性的に活動的になり、初経前の女性が初経を経験する)、上述のように、女性は非常に効果的な避妊方法を開始しなければならない。
【0265】
9. 妊娠する可能性がある女性は、スクリーニング時に血清が陰性(β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン[β-hCG])である必要がある。
【0266】
10. 女性は、試験中、及び治験薬の最終投与後6ヶ月間、生殖補助の目的で卵子(卵子、卵母細胞)を提供しないことに同意する必要がある。
【0267】
11. 妊娠する可能性がある女性と性的に活動的である男性は、殺精子フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬の付いたコンドームの使用に同意する必要があり、そのパートナーもまた、非常に効果的な避妊方法(すなわち、経口、注入、若しくは埋め込みホルモン法による避妊の確立された使用、子宮内避妊用具[IUD]又は子宮内システム[IUS]の配置)を実施する必要がある。
被験者が精管切除している場合、引き続きコンドーム(殺精子剤を含む又は含まない)を使用しなければならないが、そのパートナーは避妊法を使用する必要はない。
また、男性は全員、試験中及び治験薬の最終投与後6カ月間は、精液を提供してはならない。
【0268】
12. 被験者は、このプロトコルに指定された禁止事項及び制限事項を守る意思があり、それが可能でなければならない。
【0269】
13. 各被験者は、フォローアップ期間中に情報提供が要求されることを含む、各自が試験の目的とそれに必要な手順を理解し、試験に参加する意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名する必要がある。
【0270】
14. パート2に適格である被験者は、治療前腫瘍生検(又は同等の保存試料の提出)及び疾患の進行時の腫瘍生検、並びにctDNA分析のための対応する血液採取に同意する必要がある。コホートCの被験者では、同等の治療前腫瘍組織は、直近の事前の全身性抗癌治療で治療した後に採取されなければならない。
【0271】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかを満たす任意の潜在的な被験者は、この試験の参加から除外される。
【0272】
1. 被験者が、コントロール不良の高血圧若しくは糖尿病、進行性若しくは活動性の感染症、又は試験要件の遵守を制限し得る精神疾患/社会的状況を含むがこれらに限定されない、コントロールされていない併発疾患を有する。
【0273】
2. 被験者が、JNJ-61186372の初回投与前2週間又は半減期の4倍以内に、事前の化学療法、標的癌療法、免疫療法、又は治験中の抗癌剤による治療を受けていた。長い半減期の薬剤では、必要とされる最終投与からの最大期間は4週間である。以前の抗癌療法由来の毒性は、基準レベル又はグレード1以下まで解消されていなくてはならない(脱毛症[全てのグレード]、グレード≦2の末梢神経障害、及びホルモン補充に対して安定なグレード<2の甲状腺機能低下を除く)。
パート1併用用量漸増:抗PD-1、抗PD-L1、及び抗CTLA-4剤が挙げられるがこれらに限定されない、全身性抗癌免疫療法による前治療。
パート2のみ:
コホートA及びB:腫瘍変異がEGFR TKIに対するde novo耐性(例えば、エクソン-20挿入)を保有しない限り、転移性疾患のための化学療法による前治療は許可されない。
コホートC:転移性疾患のための2種類を超える細胞毒性化学療法による前治療(維持療法は含まれない)。
コホートD:EGFRのエクソン20挿入に対する活性を有するEGFR TKI(ポジオチニブなど)による前治療。
コホートE(JNJ-61186372とラゼルチニブの併用):抗PD-1、抗PD-L1、及び抗CTLA-4剤が挙げられるがこれらに限定されない、全身性抗癌免疫療法による前治療。
注:緩和目的の局所放射線療法は、JNJ-61186372による治療の少なくとも7日前に完了しなければならない。
【0274】
3. 未治療の脳転移を有する被験者。臨床的に安定であり、かつ少なくとも2週間無症候である治療済みの転移を有する患者であって、試験による治療の少なくとも2週間前にコルチコステロイド治療(≦10mgのプレドニゾン又は同等物)が終了しているか、低用量治療を受けているものは適格である。例外:それぞれ直径1cm未満の無症候性未治療の脳転移を有する被験者は、パート1併用用量漸増又はパート2併用拡大コホートEでの、JNJ-61186372とラゼルチニブの併用療法に適格であり得る。
【0275】
4. 被験者が、スクリーニング前3年以内に、治験対象の疾患以外の悪性腫瘍の既往を有する(例外は、皮膚の扁平上皮癌及び基底細胞内癌、並びに子宮頸部の上皮内癌、又は治験依頼者のメディカルモニターと同調する治験責任者の意見において、治癒したと考えられる、又は、スクリーニングから1年以内の再発のリスクが最小限であると考えられる悪性腫瘍)。
【0276】
5. 被験者が、非限定的に以下を含む、臨床的に重大な心血管疾患の既往を有する。
治験薬の初回投与前1ヶ月以内の深部静脈血栓症若しくは肺塞栓症の診断、又は治験薬の初回投与6ヶ月以内の以下のいずれかの診断:心筋梗塞、不安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、冠動脈/末梢動脈バイパス移植、又は任意の急性冠動脈症候群。非閉塞性のカテーテル関連血塊などの臨床的に重大ではない血栓症は除外されない。
・ >480msecのQTcF間隔延長、又は臨床的に重大な心不整脈若しくは電気生理学的疾患(例えば、埋め込み型除細動器の埋め込み、又はコントロールされていない速度での心房細動)。
コントロールされていない(持続性)高血圧症:収縮期血圧>180mmHg;拡張期血圧>100mmHg
・ 治験の1日目から6ヶ月以内の、New York Heart Association(NYHA)クラスIII~IV(Attachment 2)又はCHFで入院(任意のNYHAクラス)と定義される鬱血性心不全
・ 心膜炎/臨床的に重大な心膜液貯留
・ 心筋炎
・ 心エコー図又はマルチゲート収集(MUGA)スキャンのスクリーニングによって評価される、正常下限(LLN)未満のベースラインでのLVEF駆出率。
【0277】
6. 被験者が、軟膜疾患を有する。
【0278】
7. 被験者が、JNJ-61186372又はその賦形剤に対する既知のアレルギー、過敏症、又は不耐性がある。
【0279】
8. 被験者が、計画される治験薬の初回投与前6週間以内に、治験薬(治験用ワクチンを含むが、抗癌療法を含まない[除外基準#2参照])を投与されたか、又は侵襲性の治験用医療機器を使用した。
【0280】
9. 被験者が、この試験に登録している間、又は試験薬剤の最後の投薬後6カ月以内に、妊娠している又は母乳を与えている又は妊娠する計画をしている女性である。
【0281】
10. 被験者が、この試験に組み込まれている間、又は治験薬の最終投与の後6ヶ月以内に、父親となる計画をしている男性である。
【0282】
11. 被験者が、以下のいずれかを有するか、又は将来有する。
a. サイクル1の1日目に先立って4週間以内、又は完全に回復しない、体腔内への侵入を伴う侵襲的手術処置。胸腔穿刺(必要な場合)及びベースラインの腫瘍組織試料のための経皮生検は、治験責任医師の臨床的判断において、被験者が治験薬の初回投与前に手術から適切に回復している場合、サイクル1の1日目に先立って4週間未満に行われてもよい、
b. サイクル1の1日目の開始前3週間以内の重大な外傷性傷害(全ての創傷は、1日目に先立って完全に治癒されなければならない)、
c. 完全な創傷治癒能力を必要とし、治験薬の投与中に創傷治癒能力が大幅に低下する場合に、被験者の安全性を危うくすることが予期される、任意の医学的状態、
d. 治験薬投与中、又は治験薬の最終投与後6ヶ月以内に予定されている大きな手術。
【0283】
12. 被験者が、治験責任医師の意見によって、参加が被験者の利益を最優先にしていない(例えば、健康状態を損なう)か、又はプロトコル指定の評価を妨げる、制限する、若しくは混乱させ得るような任意の状況を有する。
【0284】
13. いずれかの治験施設の担当者が、この試験に直接関連している。
【0285】
14. 被験者が、B型肝炎表面抗原(HBsAg)若しくはC型肝炎抗体(抗HCV)陽性又は他の臨床的に活性な感染性肝疾患の既往を有する、又はスクリーニング時にHBsAg若しくは抗HCVが陽性である。
注:スクリーニング時に、抗ウイルス治療を完了しており、以降血清HCV RNAがないことが記録されているC型肝炎の既往を有する被験者は、参加可能である。
【0286】
15. 被験者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体陽性であるか、スクリーニング時にHIV検査結果が陽性である。
【0287】
16. 被験者が、任意の重篤な基礎の医学的又は精神医学的状態(例えば、アルコール又は薬物乱用)、認知症若しくは精神状態の変化、又は、インフォームドコンセントを理解するための、被験者の治験施設で計画された治療を受ける若しくは耐える能力を損ない得る、若しくは治験責任医師の意見において、試験への被験者の参加が禁忌となり得るか、若しくは試験結果を混乱させ得る任意の問題を有する。
【0288】
17. 最近2年間の、長期のステロイド又は他の免疫抑制剤による治療を必要とする間質性肺炎(ILD)、例えば薬物誘発性ILD又は放射線肺炎の病歴。
【0289】
毒性モニタリング及び用量変更
JNJ-61186372とラゼルチニブの併用療法を受けている被験者に対する毒性のモニタリングは、JNJ-61186372単剤療法を受けた被験者と同一であるが、1)ベースライン及びサイクル1の終了時の胸部X線、及び2)ベースライン及び再び6週間後のLVEFの評価を追加する。
【0290】
減量が示されたと感じられる場合、表9に概説されるように行わなければならない。
【0291】
【表9】
【0292】
安全性の評価
単剤療法として、又はラゼルチニブと併用したJNJ-61186372の安全性を、物理的検査、パフォーマンスステイタスについての、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)基準、臨床検査、バイタルサイン、心電図、有害事象のモニタリング、及び併用薬の使用によって評価する。追加の胸部X線及びLVEF評価は、JNJ-61186372とラゼルチニブの併用療法による治療を受ける被験者に対して行われる。インフォームドコンセントへの署名から治験薬の最終投与30日後までに発生した有害事象が記録される。有害事象の重篤度は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events (NCI CTCAE)バージョン4.03を使用して評価される。全ての被検者は、試験の終了まで生存について追跡調査される。疾患進行又はフォローアップについての同意の撤回以外の何らかの理由で試験治療を中止する被験者は、疾患進行が画像診断によって記録されるか、又は被験者が新たな癌療法を開始するまで、疾患評価の実施を継続する。この試験の後に投与される抗癌療法のデータも収集される。
【0293】
薬物動態評価
PK解析用の血清中JNJ-61186372濃度及び血漿中ラゼルチニブ濃度の測定のため、全ての被験者から血液サンプルを採取する。JNJ-61186372のPKプロファイルは、初回投与及び5回目の投与時の時点から得られる血清濃度データに基づく。スパースなPK用の血液サンプルは、他の全ての投与後にも得られる。薬物動態パラメータが個人に対して推定され、記述統計量が各用量レベルに対して計算される。
【0294】
免疫原性評価
血液サンプルを採取し、バリデーションされたイムノアッセイを使用してJNJ-61186372に対する抗体について分析する。血清サンプルは、JNJ-61186372に結合する抗体についてスクリーニングされ、血清力価を陽性サンプルから決定される。免疫応答分析のために採取された全てのサンプルを、血清中のJNJ-61186372濃度について評価し、免疫応答データの適切な解釈を確実にする。他の免疫原性分析を行って、発生する任意の免疫応答を更に特性評価してもよい。JNJ-61186372に対する抗体の発生率を、治験薬を少なくとも1回投与される全ての被験者についてまとめる。
【0295】
薬力学的及びバイオマーカー評価
スクリーニング時及び試験中に採取された血液サンプルは、循環腫瘍DNA(ctDNA)について分析し、コホートの割り当てのためのベースラインにおける分子改変の評価、治療に対する応答の追跡、JNJ-61186372に対する抵抗性のメカニズムの理解を行う。加えて、PD評価のための血液サンプルが採取される。スクリーニング時、治療後、及び進行後(疾患進行の記録後約30日以内)に採取される腫瘍組織は、癌に関連するバイオマーカーについて評価することができる。これらの腫瘍組織サンプルの分析は、腫瘍の分子生物学、JNJ-61186372で観察された有効性、及びJNJ-61186372に対する獲得抵抗のメカニズムの理解に役立つ。また、これらのサンプルを利用して、ctDNA検査結果を確認することもできる。
【0296】
有効性分析
最良総合効果を確認したORRの主要有効性解析は、最後の被験者が初回注入を受けた後から約16週間、又は試験終了時のいずれか早い方に実施する。データカットオフは、治験実施施設に伝達される。全ての治療された解析集団を、主要有効性解析に使用する。全ての被験者が治験薬投与をやめるとき、CSRの補足中の任意の追加データが適切な保健当局に報告される。
【0297】
コホートA及びBについては、被験者数が限定されていることと試験の性質に起因して、全ての有効性解析が記述的であると考えられる。
【0298】
コホートC及びコホートDについては、中間モニタリングが行われる。
【0299】
全奏効率(ORR)は、RECIST v1.1によって定義されるように、各拡大コホート(パート2)において、全ての治療された解析集団(又は、中間モニタリングの場合は奏効率の評価が可能な解析集団)中、完全奏功(CR)又は部分奏功(PR)のいずれかを達成する被験者の割合として定義される。それぞれのコホート及び必要に応じて用量レベルについて、観察されたORRを両側95%信頼区間と共に提示する。
【0300】
以下のベイズ的アプローチを感度解析として使用する。第1の基準は、ORRが臨床的な最低有効閾値である50%よりも良好であることを確実にし、第2の基準は、第一種の過誤の0.2が制御されることを確実にすることである。
1. P(真のORR≧50%|観察されたORR、n=100)≧0.5;真のORR≧50%の事後確率は、少なくとも0.5である
2. P(真のORR>30%|観察されたORR、n=100)≧0.8;真のORR>30%の事後確率は、少なくとも0.8である
【0301】
ベイズの検出力を使用して、各コホートの終了時に第2の基準を満たすことにより、確認された奏功数が、各コホートC及びコホートD中の100例の被験者のうち少なくとも34例である場合、抗腫瘍活性の予備的証拠を明らかにすることができる。
【0302】
臨床的有用率(CBR)は、RECIST v1.1によって定義されるように、完全奏功若しくは部分奏功、又は継続的な病状の安定(少なくとも6ヶ月間)を達成する被験者の割合として定義される。それぞれのコホート及び必要に応じて用量レベルについて、観察されたORR及びCBRを両側95%信頼区間と共に提示する。
【0303】
無増悪生存期間(PFS)、奏功期間(DOR)、治療成功期間(TTF)、及び全生存期間(OS)を含む、事象までの期間についてのエンドポイントは、カプラン・マイヤー法を使用して推定される。DORは、CR又はPRを達成した被験者のみについて、CR又はPRの初回応答から疾患の進行(PD)又は基礎疾患による死亡のいずれか早い方までの期間として計算される。PFSは、治験薬の初回注入からPD又はあらゆる原因による死亡までの期間として定義される。TTFは、治験薬の初回注入から、疾患進行、治療毒性、死などの何らかの理由で治療を中止するまでの期間として定義され、RECIST v1.1で定義される疾患進行を過ぎて治療を継続する患者に対する臨床的有用性を捕捉するために利用される。OSは、治験薬の初回注入からあらゆる原因による死亡までの期間として定義される。エンドポイントまでの時間のエンドポイントでは、カプラン・マイヤー推定をグラフで提示し、事象までの期間の中央値は、対応する95%CIと共に、カプラン・マイヤー推定から取得される。
【0304】
実施例4.臨床結果
ラゼルチニブとJNJ-61186372の併用を、併用用量漸増コホート(パート1、実施例3参照)において、第1相試験で検討した。240mg用量のラゼルチニブ(経口、1日1回)及び1050mg(<80kgの被験者)/1400mg(>80kgの被験者)のJNJ61186372(IV、サイクル1では週1回、サイクル2から隔週)は、評価した用量コホートにおいて投与量制限毒性(DLT)が観察されなかった後、安全かつ忍容可能として識別された。パート2の拡大コホート(コホートE、実施例3参照)を開始し、オシメルチニブで進行したEGFR変異型NSCLCを有する40例の被験者における併用の安全性、忍容性、及び予備有効性を更に確認した。並行して、治療未経験のEGFR変異型NSCLCを有する被験者について追加のパート1コホートを評価して、この集団における用量を確認し、続いて20例の被験者に拡大して、抗EGFR療法の事前曝露がない被験者における併用の安全性及び忍容性について更に確認した。合計36例の被験者を、第1相試験においてJNJ-61186372と併用するラゼルチニブで治療した(パート1の34例と、拡大コホート(コホートE)の2例)。最もよく見られた有害事象(AE)は、発疹、ざ瘡様皮膚炎、爪囲炎、口内炎、掻痒、及び下痢を含む、併用で治療された被験者におけるEGFR阻害に関連する毒性と一致しており、他の承認済みのEGFR TKIで観察されたAEと同様であった。治験責任医師によって評価される腫瘍応答又は収縮として定義される臨床活性の証拠は、満たされていないニーズを有し、第1世代TKIでの進行後のいずれかのEGFR T790M陰性疾患を有する被験者、及び第3世代TKIによる前治療後に進行した被験者を含む、最初の26例の被験者の併用用量漸増において、被験者の大部分で観察された。これらの結果は、現在承認された標的療法がない被験者における併用の活性を実証した。
【0305】
実施形態
以下の項目は、本発明の特定の実施形態を説明する。
【0306】
1) 治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0307】
【化17】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくはその医薬的に許容される塩とを含む、医薬組み合わせであって、EGFR又はc-Met発現癌の治療への使用のための医薬組み合わせ。
【0308】
2) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、配列番号6のLCDR3を含む、EGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含む、c-Metに結合する第2のドメインとを含む、実施形態1に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0309】
3) EGFRに結合する第1のドメインが、配列番号13の重鎖可変領域(VH)及び配列番号14の軽鎖可変領域(VL)を含み、c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、実施形態2に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0310】
4) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0311】
5) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17の第1の重鎖(HC1)、配列番号18の第1の軽鎖(LC1)、配列番号19の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号20の第2の軽鎖(LC2)を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0312】
6) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1%~約15%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0313】
7) 式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、式(II):
【0314】
【化18】
の化合物によって表される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0315】
8) 式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0316】
9) EGFR又はc-Met発現癌が、野生型EGFR、EGFR変異、EGFR遺伝子増幅、循環HGFのレベルの上昇、野生型c-Met、c-Met変異、c-Met遺伝子増幅、又は変異体KRASに関連する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0317】
10) EGFR変異が、E709K、L718Q、L718V、G719A、G719X、G724X、G724S、I744T、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C775Y、T790M、L792H、L792V、G796S、G796R、G796C、C797S、T854I、L858P、L858R、L861X、delE746-A750、delE746_T751InsKV、delE746_A750InsHS、delE746_T751InsFPT、delE746_T751InsL、delE746_S752InsIP、delE746_P753InsMS、delE746_T751InsA、delE746_T751InsAPT、delE746_T751InsVA、delE746_S752InsV、delE746_P753InsVS、delE746_K754InsGG、delE746_E749、delE746_E749InsP、delL747_E749、delL747_A750InsP、delL747_T751InsP、delL747_T751InsN、delL747_S752InsPT、delL747_P753InsNS、delL747_S752InsPI、delL747_S752、delL747_P753InsS、delL747_K754、dekL747_T751InsS、dekL747_T751、delL747_P753InsS、delA750_I759InsPT、delT751_I759InsT、delS752_I759、delT751_I759InsN、delT751_D761InsNLY、delS752_I759、delR748-P753、delL747-P753insS、delL747-T751、M766_A767InsA、S768_V769InsSVA、P772_H773InsNS、D761_E762InsX1-7、A763_Y764InsX1-7、Y764_Y765 InsX1-7、M766_A767InsX1-7、A767_V768 InsX1-7、S768_V769 InsX1-7、V769_D770 InsX1-7、D770_N771 InsX1-7、N771_P772 InsX1-7、P772_H773 InsX1-7、H773_V774 InsX1-7、V774_C775 InsX1-7、EGFRのエクソン20内の1つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン20内の1つ以上の挿入、EGRFのエクソン19内の1つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン19内の1つ以上の挿入、又はこれらの任意の組み合わせであり、Xは、任意のアミノ酸である、実施形態9に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0318】
11) EGFR変異が、エクソン19内の1つ以上の欠失若しくはL858R、又はこれらの任意の組み合わせである、実施形態10に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0319】
12) c-Met変異が、c-Metのエクソン14スキッピング変異である、実施形態9に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0320】
13) 変異体KRASが、G12V、G12C、又はG12Aの置換を有する、実施形態9に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0321】
14) 対象が、併用療法を施す前にEGFR変異を有すると診断されている、実施形態1~13のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0322】
15) 対象が、新たに診断されたEGFR又はc-Met発現癌を有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0323】
16) 対象が、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療未経験である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0324】
17) 対象が、第1世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0325】
18) 第1世代EGFR TKIが、エルロチニブ又はゲフィニブである、実施形態17に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0326】
19) 対象が、第2世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0327】
20) 第2世代EGFR TKIが、アファチニブである、実施形態19に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0328】
21) 対象が、第3世代EGFR TKIによる治療に対して抵抗性又は再発性である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0329】
22) 第3世代EGFR TKIが、オシメルチニブである、実施形態21に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0330】
23) EGFR又はc-Met発現癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)、上皮細胞癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、肺扁平上皮癌、肺腺癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頚部癌、咽頭癌、鼻の癌、膵臓癌、皮膚癌、口腔癌、舌の癌、食道癌、膣癌、子宮頚癌、脾臓の癌、精巣癌、胃癌、胸腺の癌、結腸癌、甲状腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(HCC)、又は散発性若しくは遺伝性の乳頭状腎細胞癌(PRCC)である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0331】
24) 癌がNSCLCである、実施形態23に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0332】
25) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約200mg~約2000mgの用量で投与される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0333】
26) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約350mg~約1400mgの用量で投与される、実施形態25に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0334】
27) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約350mg、約700mg、約1050mg、又は約1400mgの用量で投与される、実施形態26に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0335】
28) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、1週間に1回投与される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0336】
29) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、2週間に1回投与される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0337】
30) 式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、約20mg~約320mgの用量で投与される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0338】
31) 式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、約160mg又は約240mgの用量で投与される、実施形態30に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0339】
32) 式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日1回投与される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0340】
33) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約350mg~約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mg~約240mgの用量で投与される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0341】
34) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mgの用量で投与される、実施形態33に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0342】
35) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mgの用量で投与される、実施形態33に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0343】
36) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約160mgの用量で投与される、実施形態33に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0344】
37) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約700mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約240mgの用量で投与される、実施形態33に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0345】
38) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1050mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約240mgの用量で投与される、実施形態33に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0346】
39) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、約1400mgの用量で、週1回4週間にわたって、その後2週間に1回投与され、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、1日約240mgの用量で投与される、実施形態33に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0347】
40) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に投与される、実施形態1~39のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0348】
41) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に1回以上投与される、実施形態40に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0349】
42) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩の投与後に、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10回又はそれ以上投与される、実施形態41に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0350】
43) 対象が、CD16の158位でフェニルアラニンに対してホモ接合型であるか、又はCD16の158位でバリン及びフェニルアラニンについてヘテロ接合型である、実施形態1~42のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0351】
44) 第3の抗癌療法を更に施すことを含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0352】
45) 第3の抗癌療法が、化学療法、標的抗癌療法、又はキナーゼ阻害剤である、実施形態44に記載の使用のための医薬組み合わせ。
【0353】
46) 治療的に有効な量の単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体と、治療的に有効な量の式(I):
【0354】
【化19】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩との、組み合わせ医薬。
【0355】
47) 単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体が、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含むEGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含むc-Metに結合する第2のドメインとを含む、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体である、実施形態46に記載の医薬組み合わせ。
【0356】
48) 式(I):
【0357】
【化20】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩が、ラゼルチニブである、実施形態46又は47に記載の医薬組み合わせ。
【0358】
49) 式(I):
【0359】
【化21】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩が、メシル酸ラゼルチニブである、実施形態46又は47に記載の医薬組み合わせ。
【0360】
50) 約350mg~約1400mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体と、約160mg~約240mgの式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、実施形態46~49のいずれか1つに記載の医薬組み合わせ。
【0361】
51) 式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩が、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドである、実施形態47に記載の医薬組み合わせ。
【0362】
52) 医薬組み合わせが、非固定組み合わせである、実施形態46~51のいずれか1つに記載の医薬組み合わせ。
【0363】
53) 二重特異性EGFR/c-Met抗体のEGFRに結合する第1のドメインが、配列番号13のVH及び配列番号14のVLを含み、c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、実施形態46~52のいずれか1つに記載の医薬組み合わせ。
【0364】
54) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17のHC1、配列番号18のLC1、配列番号19のHC2、及び配列番号20のLC2を含む、実施形態46~53のいずれか1つに記載の医薬組み合わせ。
【0365】
55) EGFR又はc-Met発現癌の治療、特に対象におけるEGFR又はc-Met発現癌の治療における、式(I):
【0366】
【化22】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩との併用での使用のための単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体。
【0367】
56) 単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体が、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含むEGFRに結合する第1のドメインと、配列番号7のHCDR1、配列番号8のHCDR2、配列番号9のHCDR3、配列番号10のLCDR1、配列番号11のLCDR2、及び配列番号12のLCDR3を含むc-Metに結合する第2のドメインとを含む、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体である、実施形態55に記載の使用のための単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体。
【0368】
57) 式(I):
【0369】
【化23】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩が、ラゼルチニブである、実施形態55又は56に記載の使用のための単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体。
【0370】
58) 式(I):
【0371】
【化24】
の化合物、又はその溶媒和物、水和物、互変異性体若しくは医薬的に許容される塩が、メシル酸ラゼルチニブである、実施形態55又は56に記載の使用のための単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体。
【0372】
59) 約350mg~約1400mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体と、約160mg~約240mgの式(I)の化合物又はその溶媒和物、水和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩とを含む、実施形態55~58のいずれか1つに記載の使用のための単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体。
【0373】
60) 二重特異性EGFR/c-Met抗体のEGFRに結合する第1のドメインが、配列番号13のVH及び配列番号14のVLを含み、c-Metに結合する第2のドメインが、配列番号15のVH及び配列番号16のVLを含む、実施形態55~59のいずれか1つに記載の使用のための単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体。
【0374】
61) 二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が、配列番号17のHC1、配列番号18のLC1、配列番号19のHC2、及び配列番号20のLC2を含む、実施形態55~60のいずれか1つに記載の使用のための単離された二重特異性抗上皮成長因子受容体(EGFR)/肝細胞成長因子受容体(c-Met)抗体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2022531980000001.app
【国際調査報告】