(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】クガイソウ抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用または治療用の組成物、及びその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 36/68 20060101AFI20220706BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220706BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220706BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20220706BHJP
A61P 11/14 20060101ALI20220706BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220706BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A61K36/68
A61P37/08
A61P29/00
A61P11/06
A61P11/14
A23L33/10
A23L2/52
A23L2/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533144
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 KR2019005466
(87)【国際公開番号】W WO2020226204
(87)【国際公開日】2020-11-12
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シン、ハン-ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ジェー、ビョン-クウォン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ムン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】グワク、ヒョ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、スン-イール
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン-シン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン-フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュル-ヨン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD61
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4C088AB22
4C088BA08
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4C088CA08
4C088CA09
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4C088MA34
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA41
4C088MA43
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA59
4C088ZA62
4C088ZB11
4C088ZB13
(57)【要約】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用または治療用の組成物に係り、該クガイソウ抽出物は、ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能評価実験(実験例1);Balb/c雄マウス(male mouse)を利用した総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響実験(実験例2);総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞数に及ぼす影響実験(実験例3);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例4);肺(lung)細胞における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例5);肺(lung)細胞における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例6);肺(lung)細胞における、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例7);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、炎症因子発現レベルに及ぼす影響実験(実験例8)のような動物実験を介し、すぐれた抗炎、抗アレルギー及び喘息抑制活性を示すことを確認し、炎症、アレルギー及び喘息疾患の予防用または治療用の薬学組成物、健康機能食品または健康補助食品において有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))の抽出物を有効成分として含む、炎症、アレルギー及び喘息を予防または治療するために用いられる薬学組成物。
【請求項2】
前記クガイソウは、韓国産、または中国産、ロシア産、日本産のような輸入産の、根、茎または花である請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記クガイソウの抽出物は、粗抽出物、極性溶媒可溶抽出物または非極性溶媒可溶抽出物である請求項1または2に記載の薬学組成物。
【請求項4】
前記粗抽出物は、精製水を含む水、メタノール・エタノール・ブタノールのようなC
1-C
4低級アルコール、またはそれらの混合溶媒から選択された溶媒に可溶された抽出物である請求項3に記載の薬学組成物。
【請求項5】
前記非極性溶媒可溶抽出物は、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルムまたは酢酸エチルに可溶された抽出物である請求項3または4に記載の薬学組成物。
【請求項6】
前記炎症は、皮膚炎、アトピー、結膜炎、歯周炎、鼻炎、中耳炎、咽喉炎、扁桃炎、肺炎、胃潰瘍、胃炎、クローン病、大腸カタル、痔疾、痛風、強直性脊椎炎、リウマチ熱、ループス、線維筋痛(fibromyalgia)、乾癬関節炎、骨関節炎、リウマチ関節炎、肩関節周囲炎、腱炎、腱鞘炎、腱周囲炎、筋肉炎、肝炎、膀胱炎、腎臓炎、シェーグレン症侯群(Sjogren's syndrome)、多発性硬化症、並びに急性及び慢性の炎症疾患からなる群のうちから選択された疾患である請求項1~5のいずれか一項に記載の薬学組成物。
【請求項7】
前記アレルギーは、過敏症、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、昆虫アレルギー、食品アレルギーまたは薬品アレルギーからなる群のうちから選択された疾患である請求項1~6のいずれか一項に記載の薬学組成物。
【請求項8】
前記喘息は、室内塵、ダニ、花粉、動物毛、頭垢、ごきぶり、食品、薬物、風邪、タバコの煙、室内汚染、大気汚染、食品添加剤、身体的活動、気候変化、黄砂、またはストレスからなる群のうちから選択された要因に起因した気管支喘息である請求項1~7のいずれか一項に記載の薬学組成物。
【請求項9】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む、炎症、アレルギー及び喘息の予防または改善するために用いられる健康機能食品。
【請求項10】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む、炎症、アレルギー及び喘息を予防または改善するために用いられる健康機能食品。
【請求項11】
散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ剤、ティーバッグ剤、浸出茶または健康飲料の形態である、請求項10記載の健康機能食品。
【請求項12】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む、炎症、アレルギー及び喘息を予防または改善するために用いられる健康補助食品。
【請求項13】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息を予防または改善するために用いられる食品。
【請求項14】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息を予防または改善するために用いられる食品添加物。
【請求項15】
クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を、炎症患者、アレルギー患者及び喘息疾患患者に投与することを含む、炎症患者、アレルギー患者及び喘息疾患患者を治療するための治療方法。
【請求項16】
炎症治療用、アレルギー治療用及び喘息疾患治療用の薬剤を製造するためのクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クガイソウ抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用または治療用の組成物、及びその用途に係わる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、炎症反応は、生体の細胞や組織に、ある基質的変化をもたらす侵襲が加えられるとき、その損傷部位を修復再生する生体の防御反応過程である。従って、そのような一連の反応には、局所の血管、体液の各種組織細胞、免疫関与細胞などが含まれる。最近、分子生物学の発達に伴い、炎症性疾患が、サイトカイン(cytokine)という分子レベルにおける理解が試みされており、そのような疾患に影響を与える因子も一つずつ究明されている。
【0003】
アレルギー反応は、その反応形態により、I型、II型、III型及びIV型の4種型に分類され、または抗原による再感作後の発症までの時間により、I型,II型及びIII型アレルギーは、即時型アレルギーと呼ばれ、IV型アレルギーは、遅延型アレルギーに分類されうる。
【0004】
そのうち、I型アレルギーは、IgE抗体が関与する反応であり、アナフィラキシー型アレルギーと呼ばれ、そこには、気管支喘息、アトピー性疾患(皮膚炎、腸炎など)、花粉症のようなアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、飲食物アレルギーなどが含まれる。
【0005】
喘息(asthma)とは、さまざまな刺激に対する気道の過敏性をその特徴とする疾患であり、気道の広範囲な狭窄によって生じる喘鳴、呼吸困難、咳のような臨床症状は、自然に、あるいは治療によって可逆的に好転されうる。ほとんどの喘息は、アレルギー性であり、慢性気道炎症(chronic airway inflammation)と気道過敏反応性(bronchial hyperresponsiveness)が特徴である(Minoguchi K and Adachi M. Pathophysiology of asthma. In: Cherniack NS, Altose MD, Homma I, editors. Rehabilitation of the patient with respiratory disease. New York: McGraw-Hill, 1999, pp. 97-104)。
【0006】
喘息は、その原因により、外因性喘息と内因性喘息とにも分けられる。外因性喘息の場合、原因抗原に露出されたとき、症状が示される喘息を言う。原因抗原に対する皮膚試験や気管支誘発試験が陽性反応を示し、発病年齢が若いということが一般的である。室内塵、ダニが最も大きい原因抗原であり、それ以外に、花粉、動物の上皮、かびなどが原因抗原として作用する。内因性喘息の場合には、上気道感染、運動、情緒不安、寒冷気候及び湿度変化などが喘息を誘発させたり悪化させたりする場合であるが、成人型喘息において、一般的に見られる。それ以外にも、薬物によって誘発される喘息、運動誘発性喘息及び職業性喘息などがある。
【0007】
喘息は、TH2(T helper 2)型免疫細胞が生成するインターロイキン-4,5,13により、炎症細胞が増殖、分化及び活性化され、気道及び気道周辺組織に、移動、浸潤するために、慢性炎症疾患としても認識されている(Elias JA, et al., J. Clin. Invest., 111, pp. 291-297, 2003)。喘息を病んでいる患者の気管支で活性化された好酸球、肥満細胞、肺胞大食細胞のような炎症細胞は、多様な炎症媒介因子(システインロイコトリエン、プロスタグランジンなど)を分泌しながら、強力な気管支収縮作用に関与する(Maggi E., Immunotechnology, 3, pp233-244, 1998; Pawankar R., Curr.Opin. Allergy Clin. Immunol., 1, pp. 3-6, 2001; Barnes PJ, et al., Pharmacol Rev., 50, pp. 515-596, 1998)。
【0008】
従って、炎症細胞活性化に関与するIL-4、IL-5、IL-13のようなサイトカイン及び免疫グロブリンEの生産と、それらの作用とにより、好酸球のような炎症細胞で分泌されるシステインロイコトリエン生合成などは、炎症及びアレルギー反応と、それによる喘息とを誘発する主要原因であるので、それらの生産を抑制するための薬物を開発する多くの研究が進められている。
【0009】
これまで、本発明者らは、炎症、アレルギー及び喘息疾患において特徴的に示される多種のサイトカイン及びケモカインに対する抗体を利用した治療剤として、さまざまな資源、特に、安全性及び有効性がすでに知られている天産物資源を利用した治療剤開発を重点的に開発してきた。
【0010】
韓国公開特許第10-2006-0125489号に、エチゴトラノオ(Pseudolysimachion ovatum)、ツクシトラノオ(P. kiusianum)、P. kiusianum var. diamanticum、P. kiusianum var. villosum、P. dahuricum、P. pyrethrinum、P. linarifolium、P. linarifolium var. villosulum、P. rotundum var. subintegrum、P. rotundum var. coreanum、P. insulare、P. undulata、ベロニカロンギフォリア(Veronica longifolia)のようなクワガタソウ属(Veronica genus)の植物抽出物の炎症、アレルギー及び喘息疾患に対する治療効果が公開されたている。
【0011】
一方、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell)は、クガイソウ属(Veronicastrum)植物であり、韓国全域、ロシア極東部、日本、中国東北部のようなところに自生するクワガタソウ属植物とは異なり、葉は、渦を巻き、花びらは、カップ状ではなく、筒状であり、終端のみが薄く四つに分かれているという点において、ベロニカロンギフォリアのクワガタソウ属(Veronica genus)植物と区分され、シベリアクガイソウとも言われる(国家生物多様性センターの国家生物多様性情報共有体系資料、<URL:http://www.kbr.go.kr/home/rsc/rsc01002v.do?data_gbn_cd=BIO&ktsn_no=120000063371&menuKey=448>)。
【0012】
しかしながら、前記文献のどこにも、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息疾患治療剤に係わる内容が開示されたり教示されたりしてはいない。
【0013】
そのために、本発明者らは、既存の韓国公開特許第10-2006-0125489号に開示されたクワガタソウ属(Pseudolysimachion genus)植物であるベロニカロンギフォリアではないクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を対象にしたロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能評価実験(実験例1);Balb/c雄マウス(male mouse)を利用した総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響実験(実験例2);総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球(neutrophil)細胞数に及ぼす影響実験(実験例3);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例4);肺(lung)細胞における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例5);肺(lung)細胞における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例6);肺(lung)細胞における、大食細胞(macrophage)+/CD11b+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例7);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、炎症因子発現レベルに及ぼす影響実験(実験例8)のような動物実験を介し、従来方法で抽出したベロニカロンギフォリア抽出物よりすぐれた抗炎、抗アレルギー及び喘息抑制活性を示すことを確認し、本発明完成に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者らは、炎症、アレルギー及び喘息の予防または治療にさらにすぐれた天産物治療剤開発を技術的課題にする。
【0015】
本発明の目的は、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用または治療用の薬学組成物を提供するためのものである。
【0016】
また、本発明は、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用及び改善用の健康機能食品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述の目的を達成するための1つの様態として、本発明は、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用または治療用の薬学組成物を提供する
【0018】
本願で定義されるクガイソウは、韓国産、または中国産、ロシア産、日本産などの輸入産、望ましくは、韓国産、さらに望ましくは、韓国産京畿道、最も望ましくは、京畿道安山市地域において、自生または栽培されるクガイソウの全草、根、茎または花、望ましくは、全草材料であることを特徴とする。
【0019】
本願で定義されるクガイソウ抽出物は、粗抽出物、極性溶媒可溶抽出物または非極性溶媒可溶抽出物であることを特徴とする。
【0020】
本願で定義される粗抽出物は、精製水を含む水、メタノール・エタノール・ブタノールのようなC1-C4低級アルコール、またはそれらの混合溶媒から選択された溶媒、望ましくは、メタノール、または水とエタノールとの混合溶媒、さらに望ましくは、60~100%エタノールに可溶された抽出物であることを特徴とする。
【0021】
本願で定義される非極性溶媒可溶抽出物は、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルムまたは酢酸エチル、望ましくは、ヘキサン、塩化メチレンまたは酢酸エチル、さらに望ましくは、酢酸エチル、または塩化メチレンの溶媒に可溶された抽出物を含む。
【0022】
本願で定義される極性溶媒可溶抽出物は、前記非極性溶媒可溶抽出物を除いた、水、メタノール、ブタノール、またはそれらの混合溶媒から選択された溶媒、望ましくは、水またはブタノール、さらに望ましくは、ブタノールに可溶された抽出物を含む。
【0023】
本願で定義される「炎症」とは、皮膚炎、アトピー、結膜炎、歯周炎、鼻炎、中耳炎、咽喉炎、扁桃炎、肺炎、胃潰瘍、胃炎、クローン病、大腸カタル、痔疾、痛風、強直性脊椎炎、リウマチ熱、ループス、線維筋痛(fibromyalgia)、乾癬関節炎、骨関節炎、リウマチ関節炎、肩関節周囲炎、腱炎、腱鞘炎、腱周囲炎、筋肉炎、肝炎、膀胱炎、腎臓炎、シェーグレン症侯群(Sjogren's syndrome)、多発性硬化症、並びに急性及び慢性の炎症疾患からなる群のうちから選択されるいずれか一つでもあるが、それらに限定されるものではない。
【0024】
本願で定義される「アレルギー」は、過敏症、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、昆虫アレルギー、食品アレルギーまたは薬品アレルギー、望ましくは、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹、食品アレルギーまたは薬品アレルギー、さらに望ましくは、アトピー性皮膚炎または接触性皮膚炎を含む。
【0025】
本願で定義される「喘息」とは、室内塵、ダニ、花粉、動物の毛や頭垢、ごきぶり、食品、薬物、風邪、タバコ煙及び室内汚染、大気汚染、食品添加剤、運動のような身体的活動、気候変化、黄砂、ストレスなどからなる群のうちから選択された要因に起因した気管支喘息を含む。
【0026】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0027】
本発明の抽出物は、下記のような製造方法によっても得られる。
【0028】
例えば、以下、本発明について詳細に説明する。
【0029】
本発明の粗抽出物は、下記のようにも製造される。乾燥されたクガイソウを、洗浄して細切りにした後、精製水を含む水、メタノール・エタノール・ブタノールのようなC1-C4低級アルコール、またはそれらの混合溶媒から選択された溶媒、望ましくは、メタノール、または水とエタノールとの混合溶媒、さらに望ましくは、60~100%エタノールを数回混ぜた後、30℃から150℃、望ましくは、室温から100℃、さらに望ましくは、室温から60℃の温度で30分から48時間、望ましくは、1時間から12時間、超音波抽出法、熱水抽出法、常温抽出法または還流抽出法、望ましくは、超音波抽出法を、1から20回ほど、望ましくは、2回から10回反復して遂行して得た抽出液を、濾過、減圧濃縮して乾燥させ、本発明のクガイソウ粗抽出物を得ることができる。
【0030】
また、本発明の極性溶媒可溶抽出物または非極性溶媒可溶抽出物は、前述のところで得た粗抽出物、望ましくは、60%から90%エタノール粗抽出物重量の約0.0005から500倍体積、望ましくは、0.05から50倍体積(v/w%)の水を加えた後、n-ヘキサン、塩化メチレン、酢酸エチル及びブタノールを利用した一般的な分画過程を遂行し、n-ヘキサン、塩化メチレン、酢酸エチルのような非極性溶媒に可溶された非極性溶媒可溶抽出分画物、及びブタノール、水のような極性溶媒に可溶された極性溶媒可溶抽出分画物を得ることができる。
【0031】
また追加して、当業界に一般的な通常の分画工程を遂行することもできる(Harborne J.B. Phytochemical methods: A guideto modern techniques of plant analysis. 3rd Ed. pp 6-7, 1998)。
【0032】
本発明者らは、既存の韓国特許公開第10-2006-0125489号に開示されたクワガタソウ属(Pseudolysimachion genus)植物であるVeronica longifoliaではないクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を対象にしたロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能評価実験(実験例1);Balb/c雄マウス(male mouse)を利用した総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響実験(実験例2);総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞数に及ぼす影響実験(実験例3);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例4);肺(lung)細胞における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例5);肺(lung)細胞における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例6);肺(lung)細胞における、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例7);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、炎症因子発現レベルに及ぼす影響実験(実験例8)のような動物実験を介し、従来方法で抽出したベロニカロンギフォリア抽出物よりすぐれた抗炎、抗アレルギー及び喘息抑制活性を示すことを確認し、前記組成物を、炎症、アレルギー及び喘息の予防用及び治療用の薬学組成物または健康機能食品として有用であることを確認した。
【0033】
従って、本発明は、前記製造方法によって得られたクガイソウ抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用及び治療用の薬学組成物または健康機能食品を提供する。
【0034】
また、クガイソウは、長期間、食用に供されたり、生薬で使用されてきた薬材であり、本発明のクガイソウ抽出物は、やはり毒性及び副作用などの問題がない。
【0035】
本発明で使用される用語「予防」は、前記抽出物を含む組成物の投与により、炎症、アレルギーまたは喘息を抑制または遅延させる全ての行為を意味する。また、本発明で使用される用語「治療」は、前記抽出物を含む組成物の投与により、疾患の症状が好転されたり、好ましく変更されたりする全ての行為を意味する。
【0036】
他の1つの様態として、本発明による前記クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を、炎症患者、アレルギー患者及び喘息患者に投与することを含む炎症、アレルギー及び喘息を治療するための治療方法を提供する。
【0037】
他の1つの様態として、炎症患者、アレルギー患者及び喘息患者を治療するための治療剤製造のためのクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物の用途を提供する。
【0038】
本発明による精製物を含む薬学組成物は、それぞれ通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形外用剤;坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化しても使用される。前記抽出物を含む組成物に含まれることにもなる担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油を挙げることができる。製剤化する場合には、普通に使用する充填剤、重量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤のような希釈剤または賦形剤を使用して製剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、そのような固形製剤は、前記抽出物及び分画物に、少なくとも1以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて製剤される。また、単純な賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、一般的に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に、さまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。
【0039】
前述の製剤には、非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用されうる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリンジ、グリセロールゼラチンなどが使用されうる。
【0040】
本発明の抽出物を含む薬学組成物の望ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者によって適切に選択されうる。しかし、望ましい効果のため、本発明の抽出物を含む薬学組成物は、1日0.0001から100mg/kgであり、望ましくは、0.001から100mg/kgで投与することが望ましい。該投与は、一日に1回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。前記投与量は、いかなる面においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
本発明の抽出物は、鼠、マウス、家畜、ヒトのような哺乳動物に、多様な経路によっても投与される。投与の全ての方式は、予想されうるものであるが、例えば、経口、直腸、あるいは静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳血管内(intracerebroventricular)への注射によっても投与される。
【0042】
本発明の薬学組成物は、組成物総重量に対し、前記抽出物を0.1から50重量%で含む。
【0043】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤及び坐剤が含まれる。該非水性溶剤、該懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、及びオリーブオイルのような植物性油、並びにエチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用されうる。該坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(Tween)61、カカオ脂、ラウリンジ及びグリセロールゼラチンなどが使用されうる。
【0044】
本発明の抽出物の望ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者によって適切に選択されうる。しかし、望ましい効果のために、本発明の抽出物は、0.0001~100mg/kgであり、望ましくは、0.001~100mg/kgの量を、一日1回から数回に分けて投与することができる。組成物における本発明の抽出物は、全体組成物総重量に対し、0.0001~50重量%の含量にも配合される。
【0045】
本発明の薬学組成物は、鼠、マウス、家畜、ヒトのような哺乳動物に、多様な経路によっても投与される。該投与の全ての方式は、予想されうるものであるが、例えば、経口、直腸、または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜及び脳血管内(intracerebroventricular)への注射によっても投与される。
【0046】
また本発明は、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を、炎症患者、アレルギー患者及び喘息疾患患者に投与することを含む、炎症患者、アレルギー患者及び喘息患者を治療するための治療方法を提供する。
【0047】
また本発明は、炎症治療用、アレルギー治療用及び喘息疾患治療用の薬剤を製造するためのクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物の用途を提供する。
【0048】
また、本発明は、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用及び改善用の健康機能食品を提供する。
【0049】
本願で定義される「健康機能食品」は、健康機能食品に係わる法律第6727号による、人体に有用な機能性を有した原料や成分を使用し、製造及び加工した食品を意味し、「機能性」というのは、人体の構造及び機能に対し、栄養素を調節したり、生理学的作用のような保健用途に有用な効果を得たりする目的で成就することを意味する。
【0050】
本発明の炎症、アレルギー及び喘息の予防または改善のための健康機能食品は、組成物総重量に対し、前記抽出物を0.01から95%、望ましくは、1から80重量%で含む。
【0051】
また、炎症、アレルギー及び喘息の予防または改善のための目的で、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、懸濁液、エマルジョン、シロップのような薬学投与形態、またはティーバッグ剤、浸出茶、健康飲料のような形態である健康機能食品に製造及び加工が可能である。
【0052】
また、本発明は、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用及び改善用の健康補助食品を提供する。
【0053】
また、本発明は、クガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物を有効成分として含む炎症、アレルギー及び喘息の予防用及び改善用の食品または食品添加物を提供する。
【0054】
また、前記健康機能食品は、食品添加物を追加して含むものであり、「食品添加物」としての適合いかんは、他の規定がない限り、食品医薬品安全処に承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法などにより、当該品目に係わる規格及び基準によって判定する。
【0055】
前記「食品添加物公典」に収載された品目として、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、桂皮酸のような化学的合成品;柿色素、甘草抽出物、結晶セルロース、グアガムような天然添加物;L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤ような混合製剤類を挙げることができる。
【0056】
本発明の抽出物が含まれた機能性食品としては、パン、餅類、乾果類、キャンディ類、チョコレート類、チューイングガム、ジャム類のような菓子類;アイスクリーム類、氷果類、アイスクリーム粉末類のようなアイスクリーム製品類;牛乳類、低脂肪牛乳類、乳糖分解牛乳、加工乳類、山羊乳、発酵乳類、バター油類、濃縮乳類、乳クリーム類、バター油、自然チーズ、加工チーズ、粉ミルク類、乳清類のような乳加工品類;食肉加工品、卵加工品、ハンバーガーのような食肉製品類;かまぼこ、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの魚肉加工品のような魚肉製品類;ラーメン類、乾麺類、生麺類、油湯麺類、糊化乾麺類、改良熟麺類、冷凍麺類、パスタ類のような麺類;果実飲物、野菜類飲料、炭酸飲料、豆乳類、ヨーグルトのような乳酸菌飲料・混合飲料のような飲料;醤油、みそ、コチュジャン、春醤、清麹醤、混合醤、酢、ソース類、トマトケチャップ、カレー、ドレッシングのような調味食品;マーガリン、ショートニング及びピザを挙げることができるが、それらに制限されるのではない。
【0057】
本発明の健康機能性飲料組成物は、指示された比率で、必須成分として前記抽出物を含むこと以外には、他の成分には、特別な制限がなく、通常の飲料と共に、さまざまな香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含んでもよい。前述の天然炭水化物の例は、モノサッカライド(例えば、ブドウ糖、果糖など)、ジサッカライド(例えば、マルトース、スクロースなど)、及びポリサッカライド(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような一般的な糖、並びにキシリトール、ソルビトール、エリトリトールのような糖アルコールである。前述のところ以外の香味剤として、天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオシドA、グリチルリチンなど))及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を好ましく使用することができる。前記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100ml当たり、一般的に約1~20g、望ましくは、約5~12gである。
【0058】
前述のところ以外に、本発明の組成物は、さまざまな栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤のような風味剤、着色剤及び改良剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含むことができる。それ以外に、本発明の組成物は、天然果物ジュース、並びに果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含んでもよい。そのような成分は、独立して、または組み合わせて使用することができる。そのような添加剤の比率は、それほど重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり、0から約20重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0059】
また、本発明の抽出物は、目的疾患の予防効果を目的に、食品または飲料に添加されうる。このとき、食品中または飲料中の前記抽出精製物の量は、全体食品重量の0.01から15重量%で加えることができ、健康飲料組成物は、100mlを基準に、0.02から5g、望ましくは、0.3から1gの比率で加えることができる。
【0060】
前記健康機能食品を製造する過程において、飲料を含む食品に添加される本発明による抽出物は、必要により、その含量を適切に加減することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明のクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum))抽出物は、ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能評価実験(実験例1);Balb/c雄マウス(male mouse)を利用した総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響実験(実験例2);総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞数に及ぼす影響実験(実験例3);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例4);肺(lung)細胞における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例5);肺(lung)細胞における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例6);肺(lung)細胞における、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例7);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、炎症因子発現レベルに及ぼす影響実験(実験例8)のような動物実験を介し、すぐれた抗炎、抗アレルギー及び喘息抑制活性を示すことを確認した。
【0062】
当業者であるならば、多様な変形及び変異が、本発明の精神または範囲を離脱しない範囲において、本発明の組成物、用途及び製造に使用可能であるということが自明であろう。
【0063】
本発明の下記実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明のいかなる方法によっても、下記実施例により、制限するものではないと理解されなければならない。
【0064】
単に、下記の実施例及び実験例は、本発明の範囲を制限しない範囲で例示するものであるのみ、本発明の内容は、下記の実施例及び実験例によって限定されるものではない。
【0065】
比較例1:ベロニカロンギフォリア(Veronica longifolia)粗抽出物の製造
【0066】
先行発明(韓国特許公開第10-2006-0125489号)に開示されているように、下記のように、ベロニカロンギフォリア粗抽出物を製造した。
【0067】
ベロニカロンギフォリア(クワガタソウ属(Pseudolysimachion))全草1.1kgを乾燥させて粉砕し、ベロニカロンギフォリア全草試料に、メタノール5Lを加えた後、常温で24時間撹拌し、真空濾過によって上澄み液を回収した。この過程を2回反復し、上澄み液を集めた後、減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、ベロニカロンギフォリア-メタノール粗抽出物100.5gを得て、下記実験例の比較例試料として使用した(以下、「VLM」とする)。
【0068】
実施例1:クガイソウ粗抽出物の製造
【0069】
1-1:クガイソウ-メタノール抽出物の製造
【0070】
乾燥されて粉砕されたクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum)、栽培(京畿道安山))全草1.16kgをメタノールに分散させ、1回に4Lずつ3回反復し、室温で超音波抽出器(5510R-DTH、Bransonic)を利用し、超音波に60℃で2時間露出させ、クガイソウ-メタノール抽出物を製造した。その後、40℃で減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、凍結乾燥器(FDU-2100、lab corporation)を利用した凍結乾燥を介して完全に乾燥させ、乾燥状態のクガイソウ-メタノール抽出物120.68gを得て(以下、「VSM」とする)、それを-20℃で保管した。
【0071】
1-2:クガイソウ水抽出物の製造
【0072】
乾燥されて粉砕されたクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum)、栽培(京畿道安山))全草1.08kgを蒸溜水に分散させ、1回に4Lずつ3回反復し、室温で超音波抽出器(5510R-DTH、Bransonic)を利用し、超音波に80℃で2時間露出させ、クガイソウ水抽出物を製造した。その後、40℃で減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、凍結乾燥器(FDU-2100、lab corporation)を利用した凍結乾燥を介して完全に乾燥させ、乾燥状態のクガイソウ水抽出物52.3gを得て(以下、「VSW」とする)、-20℃で保管した。
【0073】
1-3:クガイソウ25%エタノール抽出液の製造
【0074】
乾燥されて粉砕されたクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum)、栽培(京畿道安山)全草10.0gを25%エタノール水溶液に分散させ、1回に4Lずつ3回反復し、室温で超音波抽出器(5510R-DTH、Bransonic)を利用し、超音波に80℃で2時間露出させ、クガイソウ25%エタノール抽出物を製造した。その後、40℃で減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、凍結乾燥器(FDU-2100、lab corporation)を利用した凍結乾燥を介して完全に乾燥させ、乾燥状態のクガイソウ25%エタノール抽出物1.6gを得て(以下、「VS25E」とする)、-20℃で保管した。
【0075】
1-4:クガイソウ50%エタノール抽出液の製造
【0076】
乾燥されて粉砕されたクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum)、栽培(京畿道安山)全草10.0gを50%エタノール水溶液に分散させ、1回に4Lずつ3回反復し、室温で超音波抽出器(5510R-DTH、Bransonic)を利用し、超音波に80℃で2時間露出させ、クガイソウ50%エタノール抽出物を製造した。その後、40℃で減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、凍結乾燥器(FDU-2100、lab corporation)を利用した凍結乾燥を介して完全に乾燥させ、乾燥状態のクガイソウ50%エタノール抽出物1.7gを得て(以下、「VS50E」とする)、-20℃で保管した。
【0077】
1-5:クガイソウ75%エタノール抽出液の製造
【0078】
乾燥されて粉砕されたクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum)、栽培(京畿道安山)全草10.0gを75%エタノール水溶液に分散させ、1回に4Lずつ3回反復し、室温で超音波抽出器(5510R-DTH、Bransonic)を利用し、超音波に80℃で2時間露出させ、クガイソウ75%エタノール抽出物を製造した。その後、40℃で減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、凍結乾燥器(FDU-2100、lab corporation)を利用した凍結乾燥を介して完全に乾燥させ、乾燥状態のクガイソウ75%エタノール抽出物12.9gを得て(以下、「VS75E」とする)、-20℃で保管した。
【0079】
1-6:クガイソウ-エタノール抽出液の製造
【0080】
乾燥されて粉砕されたクガイソウ(Veronicastrum sibiricum L. Pennell,クガイソウ属(Veronicastrum)、栽培(京畿道安山)全草10.0gを100%エタノールに分散させ、1回に4Lずつ3回反復し、室温で超音波抽出器(5510R-DTH、Bransonic)を利用し、超音波に80℃で2時間露出させ、クガイソウ-エタノール抽出物を製造した。その後、40℃で減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、凍結乾燥器(FDU-2100、lab corporation)を利用した凍結乾燥を介して完全に乾燥させ、乾燥状態のクガイソウ100%エタノール抽出物0.5gを得て(以下、「VSE」とする)、-20℃で保管した。
【0081】
実施例2:クガイソウ非極性溶媒可溶抽出物の製造
【0082】
前記実施例1のクガイソウ-メタノール抽出物120.68gを水に溶解させた。そして、ノルマルヘキサン4Lに分画し、水溶液層を取った後、それをさらに酢酸エチル4Lに分画し、クガイソウ酢酸エチル溶液層を集め、クガイソウ酢酸エチル抽出物を製造した。その後、40℃で減圧濃縮器(EYELA、N-2100、日本)で減圧濃縮し、凍結乾燥器(FDU-2100、lab corporation)を利用した凍結乾燥を介して完全に乾燥させた後、乾燥状態のクガイソウ酢酸エチル可溶分画物12.6gを得て(以下、「VSEA」とする)、-20℃で保管した。
【0083】
実験例1:ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能評価
【0084】
前記製造例試料のロイコトリエン(leukotriene)発生抑制活性を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Goulet, J. L., et al., J Immunol, 164(9), 4899-4907 (2000))。
【0085】
1-1.実験方法
【0086】
前記実施例試料の5-リポオキシゲナーゼ(lipoxygenase)の抑制作用を確認するために、文献(Goulet, J. L., et al., J Immunol, 164(9), 4899-4907 (2000))などの方法を応用し、ロイコトリエン(leukotriene)を定量し、その結果を表2に示した。表2において、陽性対照群であるモンテルカスト(montelukast、PHR1603、Sigma-Aldrich)は、培地内最終濃度が100μMに、残り試験薬物は、製造例1及び2は、最終濃度が10から50μg/mlに、製造例3から7は、最終濃度が100から200μg/mlになるように処理した。
【0087】
前記抽出物最終濃度が、それぞれ10から50μg/mlあるいは100から200μg/mlになるように濃度を調整し、5×105個ずつ分注されたRBL-2H3細胞(22256、KCLB)に処理した。試料処理10分後、カルシウムイオノフォア(calcium ionophore、A23187、Sigma-Aldrich)を20μg処理し、ロイコトリエン(leukotriene)を誘発させた。さらに10分後、上澄み液を集め、ELISA方法(enzyme-linked immunosorbent assay、ADI-900-070、Ezno lifescience)を利用し、ロイコトリエン(leukotriene)をELISAリーダ(Powerwave XS、Biotek)で405nmで定量した。
【0088】
1-2.実験結果
【0089】
前記試料に対するロイコトリエン(leukotriene)発生量を測定した結果を、下記の表1及び表2に示した。実施例1,2を見れば、それらは、いずれも10μg/mlにおいては、抑制効果がなかったが、50μg/mlにおいて、実施例2試料が実施例1試料に比べ、ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制に効果があり、実施例2試料が、気管支炎症抑制にさらに効果的であることを確認した(表1)。実施例1試料を見れば、100μg/mlにおいては、実施例1-2から1-4を除いては、ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制に効果があり、特に、実施例1-6試料において、効果がすぐれている。200μg/mlにおいては、実施例1-2試料を除いた実施例1-3試料から実施例1-6試料が、気管支炎症抑制に効果があり、特に、実施例1-6試料が、気管支炎症抑制にさらに効果的であることを確認した(表2)。
【0090】
【表1】
ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能実験結果
【0091】
【表2】
ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能実験結果
【0092】
実験例2:総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における総細胞数測定
【0093】
前記実施例試料の総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Schins et al., Toxicol Appl Pharmacol. 195(1), 1-11 (2004);Smith et al., Toxicol Sci, 93(2), 390-399 (2006))。
【0094】
2-1.実験方法
Balb/c雄マウスを、各群当たり6匹にし、正常群を除いた全ての群に、微細ほこりの構成成分である0.25mg/ml石炭(coal)、10mg/mlフライアッシュ(fly ash)、0.2mg/ml DEP(diesel exhaust particle)の混合物に、ミョウバン(alum)の最終濃度が8%になるように混合し、該微細ほこり混合物を、実験動物の気道及び鼻に、文献に記載されたINT(intra-nazal-trachea)注入(injection)法(Lim et al., Free Radic Biol Med. 25(6), 635-644. (1998))を利用し、実験開始の3日目、6日目に50μlずつ直接注入した。前述の陽性対照群(N-acetylcysteine、Sigma A7250)、実施例試料を、各群に200mg/kgの濃度で、0.5%ナトリウムCMC(carboxymethyl cellulose)、419273、Sigma-Aldrich)溶液に希釈し、毎日(10日)経口投与した。実験開始後11日目に、剖検を進め、気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)を回収した。
【0095】
2-2.実験結果
前記試料に対する総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響を測定した結果を、下記表3に示した。総BAL細胞数は、誘発群に比べ、減少したことを示し、前記試料がいずれも炎症数値低下に寄与することを確認し、さらに比較例1より実施例1-1が、さらに低い総BAL細胞数を示し、実施例1-1に比べ、実施例2処置群において、さらに低い総BAL細胞数を示し、実施例2試料が、さらに高い気管支炎症抑制活性を有することを示した。
【0096】
【表3】
総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響実験結果
【0097】
実験例3:総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞比率測定
【0098】
前記実施例試料の総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞数に及ぼす影響を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Schins et al., Toxicol Appl Pharmacol. 195(1), 1-11 (2004);Smith et al., Toxicol Sci, 93(2), 390-399 (2006))。
【0099】
3-1.実験方法
前記実験例2の方法と同一に進めた。回収した気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)において、ディフ・クイック(Diff-Qick)染色法(Takano et al., Am J Respir Crit Care Med, 156 (1), 36-42. (1997), Hemacolor Rapid staining of blood smear, 1.11661.0001, Merck)で好中球を染色した後で観察した。
【0100】
3-2.実験結果
前記試料に対する総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞比率に及ぼす影響を測定した結果を、下記表4に示した。総好中球細胞比率は、誘発群に比べ、低下したことを示し、前記試料が、いずれも炎症数値低減に寄与することを確認し、さらに比較例1より実施例1-1において、低い総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞比率を示し、実施例1-1に比べ、実施例2において、さらに低い総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞比率を示し、実施例2試料が、さらに高い気管支炎症抑制活性を有することを示した(表4)。
【0101】
【表4】
総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞比率に及ぼす影響実験結果
【0102】
実験例4:気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数測定
前記実施例試料の気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Beutner EH., Bacteriological Reviews., 25(1):49-76, ((1961))。
【0103】
4-1.実験方法
気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)において、細胞数を測定することを除いては、前記実験例2の方法と同一に進めた。回収した気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)を対象に、蛍光標識が結合されたGr-1抗体(553128、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)を利用し、特異的蛍光抗体染色法(specific fluorescent antibody staining method)を進め、FACS(fluorescence-activated cell sorting、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)法を利用し、全体白血球(leukocyte)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数を測定した。
【0104】
4-2.実験結果
前記試料の気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数を測定した結果を、下記表5に示した。それらのいずれにおいても、誘発群に比べ、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数が減少したことを確認し、さらに実施例1-1試料に比べ、実施例2試料処置群において、さらに低い好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数を示し、実施例2試料が、高い気管支炎症抑制活性を示すことを確認した(表5)。
【0105】
【表5】
気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験結果
【0106】
実験例5:肺(lung)細胞における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数測定
前記実施例試料の肺(lung)細胞における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Beutner EH., Bacteriological Reviews., 25(1):49-76, ((1961))。
【0107】
5-1.実験方法
気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)において、細胞数を測定することを除いては、前記実験例2の方法と同一に進めた。回収した肺(lung)を対象に、蛍光標識が結合されたCD11b抗体(553310、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)及びGr-1抗体(553128、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)を利用し、特異的蛍光抗体染色法(specific fluorescent antibody staining method)を進め、FACS(fluorescence-activated cell sorting、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)法を利用し、全体肺細胞数におけるCD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数を測定した。
【0108】
5-2.実験結果
前記試料の肺(lung)細胞中のCD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数を測定した結果を、下記表6に示した。それらのいずれにおいても、誘発群に比べ、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数が減少したことを確認し、さらに実施例1-1に比べ、実施例2において、さらに低いCD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数を示し、実施例2試料が、高い気管支炎症抑制活性を示すことを確認した。
【0109】
【表6】
総肺(lung)細胞数における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験結果
【0110】
実験例6:肺(lung)細胞における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数測定
前記実施例試料の肺(lung)細胞における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Beutner EH., Bacteriological Reviews., 25(1):49-76, ((1961))。
【0111】
6-1.実験方法
気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)において、細胞数を測定することを除いては、前記実験例2の方法と同一に進めた。回収した肺(lung)を対象に、蛍光標識が結合されたCD4抗体(550280、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)及びGr-1抗体(554829、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)を利用し、特異的蛍光抗体染色法(specific fluorescent antibody staining method)を進め、FACS(fluorescence-activated cell sorting、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)法を利用し、全体肺細胞数におけるCD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数を測定した。
【0112】
6-2.実験結果
前記試料の肺(lung)細胞におけるCD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数を測定した結果を、下記表7に示した。それらのいずれにおいても、誘発群に比べ、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数が減少したことを確認し、さらに実施例1-1に比べ、実施例2において、さらに低いCD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数を示し、実施例2試料が、高い気管支炎症抑制活性を示すことを確認した。
【0113】
【表7】
総肺(lung)細胞数における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験結果
【0114】
実験例7:肺(lung)細胞における、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数測定
前記実施例試料の肺(lung)細胞における、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Beutner EH., Bacteriological Reviews., 25(1):49-76, ((1961))。
【0115】
7-1.実験方法
気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)において、細胞数を測定することを除いては、前記実験例2の方法と同一に進めた。回収した肺(lung)を対象に、蛍光標識が結合されたCD11b抗体(553310、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)を利用し、特異的蛍光抗体染色法(specific fluorescent antibody staining method)を進め、FACS(fluorescence-activated cell sorting、BD Biosciences、San Jose、CA、米国)法を利用し、全体肺細胞数における大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数を測定した。
【0116】
7-2.実験結果
前記試料の肺(lung)細胞における大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数を測定した結果を、下記表8に示した。それらのいずれにおいても、誘発群に比べ、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数が減少したことを確認し、さらに実施例1-1試料に比べ、実施例2試料処置群において、さらに低い大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数を示し、実施例2試料が、高い気管支炎症抑制活性を示すことを確認した。
【0117】
【表8】
総肺(lung)細胞数における、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験結果
【0118】
実験例8:気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における炎症因子発現測定
前記実施例試料の気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、炎症因子発現レベルに及ぼす影響を確認するために、下記のように文献に記載された方法を応用し、実験した(Brandt EB et al., J. Allergy Clin. Immunol., 132(5):1194-1204, (2013))。
【0119】
気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、IL-17A、TNF-αMIP2及びCXCL-1のような炎症因子発現を測定するために、ELISAを利用し、評価試験を行った。
【0120】
8-1.実験過程
気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)において、細胞数を測定することを除いては、前記実験例2の方法と同一に進めた。気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)において、IL-17A、TNF-αMIP2及びCXCL-1のレベルをELISAで測定した。IL-17A抗体(M1700、R&D Systems、Minneapolis、米国)、TNF-α抗体(MTA00B、R&D Systems、Minneapolis、米国)、MIP2抗体(MM200、R&D Systems、Minneapolis、米国)及びCXCL-1抗体(MKC00B、R&D Systems、Minneapolis、米国)を緩衝溶液希釈し、微細ウェル(micro well)にコーティングした後、4℃で16時間培養した。各ウェル(well)を3回洗浄(washing)緩衝溶液で洗浄した後、10倍希釈した血清を100μlずつ分注した。
【0121】
1時間、室温に放置した後、2回洗浄し、アビジン(avidin)-HRPが結合された抗体(DY007、R&D Systems、Minneapolis、米国)100μlを処理し、1時間、室温に放置した後、さらに洗浄した。TMB基質(DY007、R&D Systems、Minneapolis、米国)を100μlずつ分注し、暗所に30分間放置した後、50μlの停止(stop)溶液(DY007、R&D Systems、Minneapolis、米国)を処理した後、450nmで吸光度を測定した。
【0122】
8-2.実験結果
下記表9から分かるように、前記試料投与群の炎症因子(IL-17A、TNF-α、MIP2、CXCL-1)は、誘発群に比べて減少した。実施例1-1に比べ、実施例2試料処置群において、さらに低いIL-17A,TNF-α,MIP2,CXCL-1発現を示し、実施例2試料が、高い気管支炎症抑制活性を示すことを確認した。
【0123】
【表9】
気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、炎症因子発現に及ぼす影響実験結果
【0124】
以下において、本発明の剤形化方法、及び担体の種類について説明するが、本発明は、それらを限定するものではなく、単に具体的に、代表的な製剤例について、下記に説明するものである。
【0125】
以下に、本発明の試料抽出物を含む組成物の製剤例について説明するが、本発明は、それを限定するものではなく、単に、具体的に説明するものである。
【0126】
製剤例1.散剤の製造
抽出物(VSM): 20mg
乳糖: 100mg
タルク: 10mg
前述の成分を混合し、気密包に充填して散剤を製造する。
【0127】
製剤例2.錠剤の製造
分画物(VSW): 10mg
とうもろこし澱粉: 100mg
乳糖: 100mg
ステアリン酸マグネシウム: 2mg
前述の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法によって打錠し、錠剤を製造する。
【0128】
製剤例3.カプセル剤の製造
分画物(VS25E): 10mg
結晶性セルロース: 3mg
ラクトース: 14.8mg
ステアリン酸マグネシウム: 0.2mg 通常のカプセル剤製造方法により、前述の成分を混合し、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0129】
製剤例4.注射剤の製造
分画物(VS50E): 10mg
マンニトール: 180mg
注射用滅菌蒸溜水: 2,974mg
Na2HPO4・12H2O: 26mg
通常の注射剤の製造方法により、1アンプル当たり(2ml)、前述の成分含量で製造する。
【0130】
製剤例5.液剤の製造
抽出物(VS75E): 20mg
異性化糖: 10g
マンニトール: 5g
精製水: 適量
通常の液剤の製造方法により、精製水にそれぞれの成分を加えて溶解させ、レモン香を適量加えた後、前述の成分を混合した後、精製水を加え、全体100mlに調節した後、褐色瓶に充填して滅菌させ、液剤を製造する。
製剤例6.健康食品の製造
抽出物(VSE): 1,000mg
ビタミン混合物: 適量
ビタミンAアセテート: 70μg
ビタミンE: 1.0mg
ビタミンB1: 0.13mg
ビタミンB2: 0.15mg
ビタミンB6: 0.5mg
ビタミンB12: 0.2μg
ビタミンC: 10mg
ビオチン: 10μg
ニコチン酸アミド: 1.7mg
葉酸: 50μg
パントテン酸カルシウム: 0.5mg
無機質混合物: 適量
硫酸第1鉄: 1.75mg
酸化亜鉛: 0.82mg
炭酸マグネシウム: 25.3mg
第1リン酸カリウム: 15mg
第2リン酸カルシウム: 55mg
クエン酸カリウム: 90mg
炭酸カルシウム: 100mg
塩化マグネシウム: 24.8mg
前述のビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的健康食品にふさわしい成分を、望ましい実施例において混合組成したが、その配合比を、本発明の精神及び範囲を外れないと見なされる任意に変形実施してもよい。
【0131】
製剤例7.健康飲料の製造
抽出物(VSEA): 1,000mg
クエン酸: 1,000mg
オリゴ糖: 100g
梅濃縮液: 2g
タウリン: 1g
精製水加える: 全体900ml
通常の健康飲料製造方法により、前述の成分を混合した後、約1時間85℃で撹拌加熱した後、作られた溶液を濾過し、滅菌された2L容器に取り、密封滅菌した後、冷蔵保管した後、本発明の健康飲料組成物製造に使用する。
【0132】
前記組成比は、比較的嗜好飲料にふさわしい成分を、望ましい実施例において混合組成したが、需要階層、需要国家、使用用途のような地域的、民族的な嗜好度により、その配合比を任意に変形実施してもよい。
【0133】
前述のように、多様な方法により、本発明は、変形可能であり、そのような変形は、本発明の精神及び範囲を外れるものではないと見なされ、そのような全ての変形は、当業者には、本発明の特許請求の範囲内に含まれる意図であるということが自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0134】
前述のように、本発明のガイソウ抽出物及びその化合物を対象に、ロイコトリエン(leukotriene)発生抑制能評価実験(実験例1);Balb/c雄マウス(male mouse)を利用した、総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数に及ぼす影響実験(実験例2);総気管支肺胞洗浄液(BAL:bronchoalveolar lavage)における、総細胞数対比の好中球細胞数に及ぼす影響実験(実験例3);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、好中球+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例4);肺(lung)細胞における、CD11b+/Gr-1+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例5);肺(lung)細胞における、CD4+/CD3+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例6);肺(lung)細胞における、大食細胞+/CD11b+絶対(absolute)細胞数に及ぼす影響実験(実験例7);気管支肺胞洗浄液(BAL fluid)における、炎症因子発現レベルに及ぼす影響実験(実験例8)のような動物実験を介し、すぐれた抗炎、抗アレルギー及び喘息抑制活性を示すことを確認し、炎症、アレルギー及び喘息疾患の予防用または治療用の薬学組成物、健康機能食品または健康補助食品において有用である。
【国際調査報告】