(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】衝撃杭打機においてノイズを減衰するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E02D 13/04 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
E02D13/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560422
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 FI2019050277
(87)【国際公開番号】W WO2020201612
(87)【国際公開日】2020-10-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441892
【氏名又は名称】ユンッタン オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】トゥルネン ペトリ
(72)【発明者】
【氏名】コッフェルト マルック
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050EE09
2D050EE10
(57)【要約】
本発明は、衝撃杭打機におけるノイズを減衰するための装置に関し、この装置は、衝撃杭打機のハンマ(10)の下端に取り付け可能な杭ガイド(11)を備えるに関する。本発明による装置は、少なくとも1つの圧縮要素(15)と、前記少なくとも1つの圧縮要素(15)によって杭ガイド(11)に取り付けられた杭(20)を横方向に圧縮するための機械的、油圧的、または空気圧的圧縮手段とを有する杭ガイド(11)と接続している圧縮構成(14)を備える。また、本発明は、衝撃杭打機および衝撃杭打機におけるノイズ減衰の方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃杭打機においてノイズを減衰するための装置であって、前記装置が、衝撃杭打機のハンマ(10)の下端に取り付け可能な杭ガイド(11)を備え、前記装置が、少なくとも1つの圧縮要素(15)と、前記少なくとも1つの圧縮要素(15)によって前記杭ガイド(11)に取り付けられた杭(20)を横方向に圧縮するための機械的、油圧的、または空気圧的圧縮手段とを有する前記杭ガイド(11)と接続している圧縮構成(14)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記圧縮構成(11)が、前記杭(20)の断面の周りの少なくとも1つの圧縮要素(15)によって、前記杭(20)を圧縮するように配置されている、装置。
【請求項3】
前記圧縮構成(11)の圧縮圧力が、少なくとも0.1MPaである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
圧縮構成(14)は、前記杭ガイド(11)の下端、前記杭ガイド(11)の上端、または前記杭ガイド(11)の前記下端と前記上端との間の任意の位置に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
圧縮要素(15)が、前記杭(15)を圧縮するための少なくとも1つの膨張可能なクッションを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記圧縮構成(14)は、前記少なくとも1つの圧縮要素を前記杭(20)に対して移動させ、押圧するためのウェッジ機構または偏心機構を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ウェッジ機構は、前記少なくとも1つの圧縮要素のウェッジ面と、前記杭ガイド(11)内の対向面とを備え、これにより、前記圧縮要素が前記杭ガイド(11)に対して前記対向面に沿って移動するとき、前記圧縮要素が前記杭(20)に対して移動する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記圧縮要素は、前記杭ガイド(11)に移動可能に取り付けられ、これにより、前記杭(20)と前記圧縮要素との間の摩擦力が、前記杭ガイド(11)の前記対向面に沿って前記杭(20)の走行方向に制限された距離を移動させ、こうして、前記圧縮要素が所定の圧力だけ前記杭(20)に押圧される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記偏心機構は、偏心ホイールを備え、その外面は、前記偏心ホイールが回転するときに、前記少なくとも1つの圧縮要素が前記杭(20)に対して移動するように、前記少なくとも1つの圧縮要素に対して外面が配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの圧縮要素(15)が、前記圧縮要素(15)と前記杭(20)の表面との間に適切な摩擦量を確保するために、前記杭(20)の表面に対して配置可能な摺動面を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記杭ガイド(11)は、少なくとも前記杭ガイド(11)の下端から前記ハンマ(10)の下端まで延在するノイズシールドを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記衝撃杭打機が、請求項1~11に記載の装置を備えることを特徴とする、衝撃杭打機。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置が前記杭打ちで形成されるノイズの減衰に用いられることを特徴とする、衝撃杭打機におけるノイズを減衰するための方法。
【請求項14】
前記方法は、金属板、好ましくは、鋼板またはコンクリートで作られた杭(20)の打ち込みに適用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
金属板の前記杭(20)は、円形、長方形、または別の閉鎖断面を有するか、あるいはI、L、T、Z、またはHのプロファイルなどのシート構造を有する開放プロファイルで形成される杭を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記杭(20)が前記圧縮構成(11)によって前記ハンマ(10)および杭打ちキャップ(12)に対して中央に配置されるように、前記杭(20)の全体の断面において、または前記杭(20)に対して互いに反対である複数の点において、前記杭(20)が各方向から圧縮される、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃杭打機においてノイズを減衰するための装置および方法に関する。本発明は、また、本発明による装置を備えた衝撃杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや建築物の基礎工法としての杭打ちの使用は、近年、広く普及してきている。その理由は、例えば、多くの大都市周辺で建築用地が希少になりつつあること、また、地盤に打ち込まれた杭は、土の支持力が弱いために建築が不可能な場所でも、強力な基礎を提供するのに使用できることにある。さらに、杭打ちに使用されるより効率的な杭打機の開発、機械の杭打機の開発、杭打ちに伴うコストの低下により、杭打ちに基づく基礎は、代替的な基礎の解決策と比較して、より安価になり、より競争力のあるものとなっている。
【0003】
従来、杭打ちの用途が限定されていた要因は、衝撃によって杭を地面に打ち込むと、比較的大きなノイズが発生して、すぐ近くの地域(例えば、住宅地)まで入り込むことがあり得るからである。衝撃杭打機に関するノイズ調査では、ハンマラム(hammer ram)のフレームに接続して前後に移動する塊状部、すなわち、ラムブロックが杭の頂部に置かれた杭打ちキャップハウジング(drive cap housing)に当たると、衝撃が杭に伝わり、地面に打ち込まれ、衝撃杭打機のハンマラムにおいて、ノイズが発生することが判明した。これにより、激しい瞬間的な衝撃と機械的接触により、杭が、特に鋼杭の場合、杭が固有振動数で振動して鳴り響き始める。このように鳴り響いて、振動が生じるため、環境に対して顕著な圧力変動、すなわちノイズを発することになる。ノイズ防護なしでは、衝撃杭打機近傍のノイズレベルは、地盤への杭の衝撃杭打ち中(特に鋼杭の場合)に、通常130~140dBであり、あるいはそれを超えることすらある。この欠点があるために、特に人口密度の高い住宅地のようにノイズが非常に有害な影響を及ぼす地域では、衝撃杭打ちの使用が制限されてきた。当然、衝撃杭打機の使用中にノイズレベルが高いことは、衝撃杭打機のオペレータにとっても、建設現場で作業する他の人にとっても有害である。衝撃杭打ちは、ノイズがあるために、効果が低く、より高価で、環境への負荷が大きい他の杭打ち方法に、置き換えられることが多い。
【0004】
ノイズレベルを低減するために、衝撃杭打機のために様々なノイズ抑制解決策が開発されてきた。その目的は、ハンマラムの構造をできるだけ低ノイズ化することであり、杭打ちハンマと地面に打ち込まれる杭の周囲に設置するノイズ低減デバイスが、杭打ちによるノイズを低減するために、開発されてきた。出願人によってなされた試験および実験によれば、ハンマラムおよび杭打ちキャップのために開発された解決策は、限定された効果を有する。また、ハンマや杭の周囲に設置されているノイズ低減デバイスを使用すると、ノイズ低減デバイスの内部で杭が見えないままになり、杭打ち作業を目視で追従できないという欠点がある。さらに、このようなノイズ低減デバイスを使用するには、新しい杭の地中への衝撃杭打ちを開始する前に、その都度、ハンマと杭の周囲に、このデバイスを設置する必要がある。当然、このため、杭打ちプロセス全体がより遅くなり、より複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術のノイズ抑制解決策よりも効果的で有利な、鋼杭の地中への衝撃杭打ちによって生じるノイズを低減するための新しい装置および方法を導入することである。本発明の目的は、このようなノイズ低減デバイスを備えた衝撃杭打機と、衝撃杭打機におけるノイズ低減方法とを導入することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、本発明による装置および方法によって達成される。その理由は、このような装置および方法では、杭はその上部から(好ましくは、杭の少なくとも1つの振動ノードの点で)圧縮されるからであり、また杭がハンマと杭打ちキャップの中心軸とともに中心にあるので、杭の横振動の発生を低減するからである。
【0007】
さらに、本発明の目的は、本発明による装置により、杭の上端部が、閉鎖杭ガイドによって覆われるため、ラムブロックが杭打ちキャップに衝突し、杭打ちキャップが突然杭に接触することで発生するノイズ(いわゆるエアーノイズ)が大幅に減少することでも達成される。より正確に言えば、本発明による装置は、独立請求項1に提示されるものによって、衝撃杭打機は、従属請求項12に提示されるものによって、また本発明による方法は、従属請求項13に提示されるものによって特徴付けられる。従属請求項2~11は、本発明による装置のいくつかの好ましい実施形態を開示し、従属請求項14~16は、本発明による方法のいくつかの好ましい実施形態を開示する。
【0008】
衝撃杭打機で行われたノイズ測定によれば、上記の原理によって形成される本発明による構成によって、そのような構成を有しない衝撃杭打機によるよりも著しく低いノイズレベルが達成される。本発明による装置を有する杭ガイドを備えた衝撃杭打機で実施したノイズ測定では、杭打ち時に環境に放出される音圧は、約n3~5dB低下した。これは、実用上、このようなノイズ低減構成なしに、金属板の杭の打ち込み過程で形成されるノイズレベルに起因する有害な影響を大幅に低減することを意味する。
【0009】
本特許出願において、衝撃杭打機によって地中に打ち込まれるべき杭は、いわゆる金属板の杭であることは注目に値する。金属板の杭は、閉鎖または開放断面プロファイルを有し、典型的には金属板からなり、好ましくは鋼板プロファイルからなる。したがって、本出願で言及される金属板の杭(metal sheet piles)は、円形、長方形、または別の断面を有する配管から形成される杭、またはI、L、T、Z、またはHのプロファイルなどのシート構造を有する開放プロファイルから形成される杭のいずれかであり得る。さらに、本出願で言及される金属板の杭は、いわゆる矢板(sheet piling)プロファイルで形成される薄い壁を有する金属板の杭であり得る。本出願において、「鋼杭」という用語は、鋼板材料から作られた杭を意味し、例えば、熱間圧延された鋼板であっても、あるいは冷間圧延された鋼板であってもよい。また、ここでいう鋼杭は、中空であり、かつ、杭の外形寸法(例えば、直径)に対して極めて小さな厚みを有するものをいうが、鋼杭は、杭の厚みによって制限されるものではない。しかしながら、本発明による方法は、あらゆる種類のコンクリート杭にも適用することができる。
【0010】
以下において、本発明は、添付図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による装置を備えた衝撃杭打機における鋼杭の上部の垂直断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す装置の実施形態は、衝撃杭打機のハンマ10の下端に取り付け可能な杭ガイド11を備える。杭ガイド11は、通常、杭打ちキャップがクッション16を備えることができるハンマ10の下端におけるその杭打ちキャップハウジング13内の杭打ちキャップ12に対して、その杭20を適切に案内するのを助けるために使用される(
図1に示されるように)。
図1に示す杭ガイド11は、圧縮要素15によって杭20をその断面の周りから、横方向(すなわち、杭打ち方向に垂直な方向)に圧縮するための圧縮構成14を備える。このような圧縮に対する最低限の要件は、杭20が、杭20に関して互いに反対である2つの圧縮点から、1つの垂直位置で横方向に圧縮されることである。しかしながら、
図1に示す実施形態では、圧縮要素15は、杭20を、その断面の全体の周りを、またはその断面の少なくとも幾つかの部分であって、杭に関して互いに反対にあるいくつかの部分の周りを、均等に圧縮する。圧縮に用いる圧縮圧力は、
図1の実施形態では、少なくとも0.1MPaである。
【0013】
図1に示す実施形態では、圧縮構成14は、杭ガイド11の下端に位置している。しかしながら、圧縮構成14は、また、杭ガイド11の上端と下端との間の他の位置に配置されてもよい。さらに、他の実施形態では、杭ガイドの上端と下端との間に、2つ以上の圧縮構成があってもよい。
【0014】
図1に示す実施形態の場合、圧縮要素15は、杭ガイド11に杭20が嵌め込まれ、圧縮要素15が膨張するときに、杭20を圧縮するように配置される膨張可能なクッションである。この場合、圧縮構成11は、円形断面を有する杭を圧縮するために設計される。したがって、圧縮要素15は、この場合、リング状管であり、この管は、その外周の周りで杭を均等に圧縮するように膨張される。したがって、
図1に示す装置を使用するとき、杭20は、杭打ちキャップハウジング13内の杭打ちキャップ12に対して杭ガイド11を通って正常に嵌合される。そして、ハンマを始動する前に、圧縮構成14の圧縮要素15は、適切な圧縮圧力(すなわち、少なくとも0.1MPa)が達成されるように膨張される。その後、杭打ちが開始されると、杭の中心軸とハンマの移動ラムブロックの中心軸とが一致するように、杭20が杭打ちキャップ12の中央部で中心にある。また、圧縮要素15は、杭ガイド11の下端と杭20との間のクリアランスをシールするとともに、杭打ちプロセス全体の間、杭を支持する。杭が地面に適切に打ち込まれた後、圧縮要素14は、圧縮圧力を解放する収縮され、杭ガイド11は、通常の方法で杭20の上端で除去することができる。
【0015】
圧縮構成14は、膨張可能な圧縮要素15が杭を横方向に支持するときに、空気音(ラムブロックの杭打ちキャップへの打撃によって形成される)がガイドバーの外に出るのを防止し、杭がハンマおよび駆動キャップに対して中心にあるようにするので、杭打ちによって生じるノイズを減少させる。横方向からの支持は、杭の振動を減衰させるので、ノイズを低減する。杭が中心にあることで、確実に、衝撃エネルギーの方向が杭の縦方向中心軸と平行で整列し、したがって、衝撃エネルギーの横方向成分(杭の振動を増加させる)は、可能な限り小さいままである。
【0016】
圧縮構成は、1つ以上の圧縮要素によって形成することもでき、この圧縮要素は、杭20を互いに移動または回転させたときに、杭20を押圧するように配置される。このタイプの圧縮要素は、例えば、金属本体を有することができ、杭20に対して圧縮される摺動面は、プラスチックまたはフェルト布などの何らかの適切な摺動材料によって覆われている。このような圧縮要素を杭20に対して移動または回転させることは、機械的手段、油圧手段、または空気圧手段によって達成することができる。また、このタイプの圧縮構成は、杭20を支持し、空気音の形成を防止し、または少なくとも抑制し、またハンマおよび杭打ちキャップ12に対して、杭20を中心にする。
【0017】
装置の一実施形態では、圧縮構成は、少なくとも1つの圧縮要素を杭20に移動させ、押圧するためのウェッジ機構または偏心機構を備える。ウェッジ機構は、例えば、少なくとも1つの圧縮要素のウェッジ面と、杭ガイド11内の対向面とを備えることができ、それにより。少なくとも1つの圧縮要素が杭ガイド11に対して対向面に沿って移動するとき、少なくとも1つの圧縮要素が杭20に対して移動する。この対向面は、例えば、杭ガイド11の下端で、杭ガイド11の内面であってもよい。杭ガイド11の対向面に対して少なくとも1つの圧縮要素を固定するために、杭ガイド11は、杭ガイド11の下端の内側に少なくとも1つの圧縮要素を保持するように配置された何らかの種類のガイドバー、または対応する部材もしくは要素を含むことができ、その結果、少なくとも1つの圧縮要素のウェッジ面が杭ガイド11の対向面に当接し、少なくとも1つの圧縮要素は、杭20を圧縮するために、少なくとも1つの圧縮要素が杭20に向かって横方向に同時に移動するように、対向面に沿って適切な距離だけ移動することができる。
【0018】
装置の一実施形態では、少なくとも1つの圧縮要素は、杭ガイド11に移動可能に取り付けられ、それにより、杭20と少なくとも1つの圧縮要素との間の摩擦力が、杭ガイド11の対向面に沿って杭20の杭打ち方向に制限された距離を移動させ、その結果、少なくとも1つの圧縮要素が所定の圧力だけ杭20に対して押圧される。移動距離を制限することは、例えば、少なくとも1つの圧縮要素の上側および下側の少なくとも1つの圧縮要素の上端面および下端面から距離を置いて配置されたいくつかの適切な停止部材によって達成することができる。したがって、少なくとも1つの圧縮要素と杭20との間の摩擦力によって、少なくとも1つの圧縮要素が杭20とともに走行方向に移動するときに、少なくとも1つの圧縮部材の下側における停止部材は、少なくとも1つの圧縮要素の移動を停止することになる。したがって、停止部材は、少なくとも1つの圧縮要素と杭20との間の圧縮圧力が高すぎることを防止する。さらに、このような実施形態では、停止部材の位置は、圧縮圧力をある適切な値に調整するために、調整することができる。この調整は、最適なノイズ低減を引き起こすが、杭打ちプロセス自体に何ら不利な影響(摩擦が大きすぎるなど)を及ぼさない。
【0019】
装置の一実施形態では、圧縮構成は、例えば、ハンマ10が杭20の上端で下降したときに、ハンマ10の機械的エネルギーを利用することによって、圧縮構成の圧縮要素を締め付ける偏心機構を含む。したがって、このような実施例では、偏心機構は、例えば、偏心ホイールを備え、その外面は、偏心ホイールが回転するときに、少なくとも1つの圧縮要素が杭20に対して移動するように、少なくとも1つの圧縮要素に対して配置される。
【0020】
好ましくは、本発明による装置は、円形、長方形または他の断面を有する鋼杭に適用される。しかしながら、この装置は、I、L、T、Z、またはHプロファイルのような開放プロファイルを有する鋼杭にも適用することができる。
【0021】
杭20の全断面を圧縮するために、膨張可能な圧縮要素15および他のタイプの圧縮要素は、圧縮されるべき杭の断面の形状に合致する形状を有していなければならない。例えば、円形断面を有する杭は、リング状管である膨張可能な圧縮要素によって、(
図1の実施形態と同様に)圧縮することができる。長方形断面の場合、管の形状は長方形であってもよく、あるいは、例えば、杭の各側面に対して4つの別個の膨張可能なクッションがあってもよい。開放プロファイルの杭の場合、杭に当たる面の形状は、開放プロファイルの断面の形状に適合しなければならない。横方向に可動または回転可能な圧縮要素(金属製で、杭に当たる表面にプラスチックまたはフェルト布材料を有する圧縮要素など)を適用する場合、必要な最小量の圧縮要素は、円形断面またはL字形プロファイルについて、2つである。I、ZまたはHプロファイルと同様に長方形断面についても、好ましくは、4つの圧縮要素が必要とされる。
【0022】
本発明による装置は、上述の実施形態とは異なる多くの方法で実現することができる。本発明に係る装置の圧縮構成は、上述したウェッジ機構または偏心機構移動手段の代わりに、例えば、少なくとも1つの圧縮要素を杭に対して移動させる1つまたは複数の油圧式、空気圧式または電気式リニアアクチュエータ(例えば、シリンダまたはリニアモータ)から形成される圧縮要素を移動させるための移動手段を備えることができる。本発明の一実施形態では、圧縮構成は、少なくとも1つの圧縮要素の周りに配置された締付けベルトを備える。こうして、杭を圧縮するとき、締付けベルトが少なくとも1つの圧縮要素を杭の外面に対して圧縮するように、締付けベルトは、その長さを短くすることによって締め付けられる。このような締付けベルトを使用する利点は、単一のアクチュエータ(例えば、油圧シリンダ/モータまたは電動モータ)によって、あるいは、例えば、ハンマのポテンシャルエネルギーを利用する機械的手段によって、いくつかのブロックを圧縮されるべき杭の外面に対して移動させることができることである。したがって、このような実施形態では、締付けベルトは、例えば、ホースクランプ(hose clamp)のようなものとすることができ、ホースクランプは、例えば、油圧、電動モータによって、または杭打ち処理を開始する前にハンマが杭上で下降したときのハンマのポテンシャルエネルギーによって作動される。さらに、装置のすべての実施形態において、装置は、杭ガイド上にノイズシールドを追加で備えてもよい。ノイズシールドは、ゴムマット、フェルト布マットまたは対応する材料で作られてもよく、杭ガイドの下端からハンマの下端まで延びていてもよい。
【0023】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板またはコンクリートの杭の衝撃杭打機においてノイズを減衰するための装置であって、前記装置が、衝撃杭打機の
移動ラムブロックを有するハンマ(10)の下端に取り付け可能な杭ガイド(11)
と、杭打ちキャップ(12)とを備え、前記装置が、少なくとも1つの圧縮要素(15)と、前記少なくとも1つの圧縮要素(15)によって前記杭ガイド(11)に取り付けられた杭(20)を横方向に圧縮するための機械的、油圧的、または空気圧的圧縮手段とを有する前記杭ガイド(11)と接続している圧縮構成(14)を備え
、それにより、前記杭(20)が前記杭打ちキャップ(12)に対して中央に配置され、前記杭の中心軸と前記移動ラムブロックの中心軸とが一致するようになることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記圧縮構成(
14)が、前記杭(20)の断面の周りの少なくとも1つの圧縮要素(15)によって、前記杭(20)を圧縮するように配置されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧縮構成(
14)の圧縮圧力が、少なくとも0.1MPaである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記圧縮構成(14)は、前記杭ガイド(11)の下端、前記杭ガイド(11)の上端、または前記杭ガイド(11)の前記下端と前記上端との間の任意の位置に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの圧縮要素(15)が、前記杭(15)を圧縮するための少なくとも1つの膨張可能なクッションを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記圧縮構成(14)は、前記少なくとも1つの圧縮要素を前記杭(20)に対して移動させ、押圧するためのウェッジ機構または偏心機構を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ウェッジ機構は、前記少なくとも1つの圧縮要素
(15)のウェッジ面と、前記杭ガイド(11)内の対向面とを備え、これにより、前記
少なくとも1つの圧縮要素
(15)が前記杭ガイド(11)に対して前記対向面に沿って移動するとき、前記
少なくとも1つの圧縮要素が前記杭(
15)に対して移動する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記
少なくとも1つの圧縮要素
(15)は、前記杭ガイド(11)に移動可能に取り付けられ、これにより、前記杭(20)と前記
少なくとも1つの圧縮要素
(15)との間の摩擦力が、前記杭ガイド(11)の前記対向面に沿って前記杭(20)の走行方向に制限された距離を移動させ、こうして、前記
少なくとも1つの圧縮要素
(15)が所定の圧力だけ前記杭(20)に押圧される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記偏心機構は、偏心ホイールを備え、その外面は、前記偏心ホイールが回転するときに、前記少なくとも1つの圧縮要素
(15)が前記杭(20)に対して移動するように、前記少なくとも1つの圧縮要素
(15)に対して外面が配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの圧縮要素(15)が、前記
少なくとも1つの圧縮要素(15)と前記杭(20)の表面との間に適切な摩擦量を確保するために、前記杭(20)の表面に対して配置可能な摺動面を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記杭ガイド(11)は、少なくとも前記杭ガイド(11)の下端から前記ハンマ(10)の下端まで延在するノイズシールドを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
金属板またはコンクリートの杭(20)の衝撃杭打機であって、金属板またはコンクリートの杭(20)の前記衝撃杭打機が、請求項1~11に記載の装置を備えることを特徴とする、衝撃杭打機。
【請求項13】
金属板またはコンクリートの杭(20)を打ち込むための衝撃杭打機を使用するときに、ノイズを減衰するための方法であって、
・請求項1~11に記載の装置または請求項12に記載の衝撃杭打機を提供するステップと、
・金属板またはコンクリートの杭(20)の上端部を杭打ちキャップに配置するステップと、
・前記杭を横方向に圧縮するなどの前記圧縮構成(14)を操作するステップと、
を含み、
・金属板またはコンクリートの前記杭(20)は、それによって、前記杭の中心軸と前記ハンマの前記移動ラムブロックの中心軸とが一致するように、前記杭打ちキャップ(12)の中央に配置され、
・前記ハンマを起動して、杭打ちを開始する、
方法。
【請求項14】
金属板の前記杭(20)は、円形、長方形、または別の閉鎖断面を有するか、あるいはI、L、T、Z、またはHのプロファイルなどのシート構造を有する開放プロファイルで形成される杭を有する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
金属板またはコンクリートの前記杭(20)が、前記圧縮構成(11)によって前記ハンマ(10)および
前記杭打ちキャップ(12)に対して中央に配置されるように、
金属板またはコンクリートの前記杭(20)に対して、
金属板またはコンクリートの前記杭(20)の全体の断面において、または前記杭(20)に対して互いに反対である複数の点において、各方向から圧縮される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
金属板またはコンクリートの杭(20)を地面に打ち込むための、請求項1~11に記載のノイズを減衰するための装置、または請求項12に記載の衝撃杭打機の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
図1に示す装置の実施形態は、衝撃杭打機のハンマ10の下端に取り付け可能な杭ガイド11を備える。杭ガイド11は、通常、杭打ちキャップがクッション16を備えることができるハンマ10の下端におけ
る杭打ちキャップハウジング13内の杭打ちキャップ12に対して
、杭20を適切に案内するのを助けるために使用される(
図1に示されるように)。
図1に示す杭ガイド11は、圧縮要素15によって杭20をその断面の周りから、横方向(すなわち、杭打ち方向に垂直な方向)に圧縮するための圧縮構成14を備える。このような圧縮に対する最低限の要件は、杭20が、杭20に関して互いに反対である2つの圧縮点から、1つの垂直位置で横方向に圧縮されることである。しかしながら、
図1に示す実施形態では、圧縮要素15は、杭20を、その断面の全体の周りを、またはその断面の少なくとも幾つかの部分であって、杭に関して互いに反対にあるいくつかの部分の周りを、均等に圧縮する。圧縮に用いる圧縮圧力は、
図1の実施形態では、少なくとも0.1MPaである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
圧縮構成14は、膨張可能な圧縮要素15が杭を横方向に支持するときに、空気音(ラムブロックの杭打ちキャップ12への打撃によって形成される)がガイドバーの外に出るのを防止し、杭20がハンマ10および駆動キャップ12に対して中心にあるようにするので、杭打ちによって生じるノイズを減少させる。横方向からの支持は、杭20の振動を減衰させるので、ノイズを低減する。杭が中心にあることで、確実に、衝撃エネルギーの方向が杭20の縦方向中心軸と平行で整列し、したがって、衝撃エネルギーの横方向成分(杭20の振動を増加させる)は、可能な限り小さいままである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
圧縮構成は、1つ以上の圧縮要素によって形成することもでき、この圧縮要素は、杭20を互いに移動または回転させたときに、杭20を押圧するように配置される。このタイプの圧縮要素は、例えば、金属本体を有することができ、杭20に対して圧縮される摺動面は、プラスチックまたはフェルト布などの何らかの適切な摺動材料によって覆われている。このような圧縮要素を杭20に対して移動または回転させることは、機械的手段、油圧手段、または空気圧手段によって達成することができる。また、このタイプの圧縮構成は、杭20を支持し、空気音の形成を防止し、または少なくとも抑制し、またハンマ10および杭打ちキャップ12に対して、杭20を中心にする。
【国際調査報告】