(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】コンピューター処理ユニットの冷却
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20220706BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
G06F1/20 C
H05K7/20 M
G06F1/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563701
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CA2020050600
(87)【国際公開番号】W WO2020223806
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521467629
【氏名又は名称】ゴーティエ,ステファン
(71)【出願人】
【識別番号】521467630
【氏名又は名称】ミラー,オスカー
(71)【出願人】
【識別番号】521467641
【氏名又は名称】トレアルバ,ハートリー
(71)【出願人】
【識別番号】521467652
【氏名又は名称】ル ウォン,アンナ
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ゴーティエ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】トレアルバ,ハートリー
(72)【発明者】
【氏名】ル ウォン,アンナ
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA09
5E322AB08
5E322DA01
5E322DA04
5E322FA01
(57)【要約】
【解決手段】
コンピューター処理システムは冷却され、他の廃熱は、タンク中に冷却誘電液体を提供することによって、空間加熱のために抽出され、冷却誘電液体は管状ハウジングのアレイを通ってタンクの下部にあるマニホールドを通過し、各管状ハウジングは開口した上端と下端を有し、回路基板の列を含む。ハウジングは、圧力が少しあるかあるいは全く無い状態のマニホールドを液体が通過することを可能にするハウジングに位置合わせされた開口部のアレイを有する仕切りシートに収まり、そうすることによって、液体は対流によってハウジングを通って流れ、重層化し、ハウジングの開口した上部の上に加熱された液体の層を発生させ、これを熱交換器に取り出すことができる。ハウジングの周りの液体はマニホールドから供給されず、回路基板の電源はこの液体の本体に収まり、それによって冷却される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューター処理のための方法であって、前記方法は、
誘電材料で形成された冷却液体をタンク中に提供する工程であって、
タンクは複数のコンピューター処理ユニットを含み、各コンピューター処理ユニットは、
下端の下部開口部および上端の上部開口部を有し、上端と下端との間に閉じた周壁を画定する、外側ハウジングと、
熱を発生させながらコンピューター処理動作を実行するために動作する、外側ハウジング内に取り付けられた電気部品を支える少なくとも1つのコンピューター処理基板と、を含み、
タンクは、タンク中に仕切りシートを有し、前記仕切りシートは、タンクを仕切りシートの下の下部マニホールドと仕切りシートの上のタンクの主部と、に仕切り、
各コンピューター処理ユニットの外側ハウジングは、仕切りシートに位置する下部の開口部を有する仕切りシートに取り付けられ、周壁は仕切りシートから離間した上端に対してタンク内で直立している、前記各コンピューター処理ユニットは、
仕切りシートにおける複数の液体伝達開口装置であって、液体伝達開口装置の各々が、液体が下部マニホールドから外側ハウジングに入り、下部開口部を通って通過することを可能にするように、外側ハウジングのそれぞれ1つと関連する、液体伝達開口装置と、を含む、工程と、
冷却液体を下部マニホールドに導入する工程と、
外側ハウジングの上端の上にある位置にタンク内の液体の上面を配置する工程と、
液体を液体伝達開口装置を通って外側ハウジングへ入るようにさせ、外側ハウジング内の熱によって引き起こされる対流によって液体を外側ハウジング内で上昇させ、外側ハウジングから上端を通って液体をタンクへ出ていくようにさせる工程であって、
液体は上面と上端との間のタンクにおいて加熱された層を形成する外側ハウジングの上端から出ていく、工程と、
液体を加熱された層から抽出する工程と、
熱供給をもたらすためと冷却された液体を下部マニホールドに戻すために、抽出された液体から熱を抽出する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
外側ハウジングの上端は加熱された層の下部を画定する共通平面にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抽出された液体はポンプによって下部マニホールドに戻される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポンプは、液体が対流によって実質的に完全に外側ハウジングを通って流されるように、わずかな正圧を作り出すように配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
液体伝達開口装置は、液体が外側ハウジングにのみ入り外側ハウジングの間には入らないように、外側ハウジングに位置する、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
液体伝達開口装置はそれぞれ、外側ハウジングにおいてスムーズな流れの上昇を発生させるために、外側ハウジングの内部形状と一致させるように形成されるアレイを設ける、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
外側ハウジングは断面が長方形であり、アレイは長方形である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アレイは一連の平行なスロットによって形成される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
外側ハウジングは行と列に配置される、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
液体はタンクの片側の開口部を通って抽出される、請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
開口部は、加熱された層からのみ抽出されるように、上端の上および上面の下の高さに配置される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
液体は鉱油である、請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
液体は、
密度:0.92g/m3(7.667 lbs/gal)の近くまたは範囲内
動粘度:33-35mm
2/s @ 40℃の近くまたは範囲内、または15cSt @ 70℃の近くまたは範囲内
絶縁破壊:2mm[kV]≧35(ASTM D6871)
沸点:≧360℃
引火点:≧265℃(クローズドカップ)
自動/自己発火温度:401-404℃(ASTM E659)
蒸気圧:0 PA @ ≦200℃の近くまたは範囲内
熱伝導率: 0.15089 W/mK @ 70℃の近くまたは範囲内
比熱: 2.3472 kJ/kgK @ 70℃の近くまたは範囲内
の特性の1つ以上を有する、請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
誘電液体は、固有の断熱性による、非常に強力な重層化された温度帯を引き起こす特性をもって選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
誘電液体は、最大熱伝達、高い作動流体の温度(摂氏50度より上)および効率的な熱伝達を可能にする特性を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
下部マニホールドへの液体の流れおよび外側ハウジングを通る液体の流れは、加熱された層の温度が10-60℃の範囲であるように、配置される、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
下部マニホールドへの液体の流れおよび外側ハウジングを通る液体の流れは、下部マニホールドに戻された温度が30-85℃の範囲であるように、配置される、請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
各コンピューター処理ユニットは、関連した外側ハウジングに沿ったタンク内に含まれる隣接する電源に関連し、電源は下部マニホールドからのいかなる流れもない外側ハウジングの間の液体に位置し冷却される、請求項1から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
コンピューター処理ユニットは、需要状況がピークであるとき、停止される、請求項1から18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
コンピューター処理ユニットは、需要がピークであるときの管理に役に立つユーティリティスマートメータに接続される、請求項1から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
仕切りシートに取り付けられ、外側ハウジングおよび直立に支持された電源を保持するために配置されたU字型ホルダーが設けられる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
タンクは、液面の変動に対応するために拡張エリアとしても作用する液体の上のヘッドゾーンを有する、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
ヘッドゾーンは、いかなる水分もない状態に保たれ、粒子状物質だけでなく水分も濾過するフィルターシステムを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
タンクは密閉され、蒸気密である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューター処理ユニット、および特に、装置に関するものであり、前記装置は冷却タンクを含み、コンピューター処理の動作による熱を抽出および利用し、ユニットが冷却されることを維持し、熱を伝達し別の動作で利用することを可能にする。
【0002】
この方法で、過剰熱は抽出され熱交換器に伝達することができ、前記熱交換器は、抽出した熱を多くの異なるエリアで使用することを可能にし、前記多くの異なるエリアは、
商用/工業用のインフロアまたは地熱の温水循環式の加熱システム
温室
農業の納屋-豚、鶏および乳製品
より大規模な工業用用途での温水の加熱-車/トラックの洗浄
住宅暖房
穀物乾燥
アサの乾燥/脱水システム
低温蒸発システム
加熱および低温脱水を含むアサ産業
水を熱するための水産養殖設備
地下採鉱作業-坑道の加熱
大規模スイミングプール
を含むが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0003】
本明細書の装置は、空間加熱のためのユニークな装置を提供し、前記装置は、調節する負荷抵抗ヒーターを作る従来の発熱体の代用としてコンピューティングチップを使用する。本目的は、より低コストの商用電気料金と、電気事業特に水力発電をベースとした事業によって提供される、100%再生可能エネルギーを利用して、2つの機能を果たすことであり、1つ目は空間加熱を提供することであり、2つ目は暗号通貨のマイニングまたは同様のデータ処理などの収益を創出する強力なコンピューティングを冷却する手段を提供することである。
【0004】
近年、ブロックチェーン技術の開発に伴い、コンピューティングのこの新しい方法は、より分散化したコンピューティングを可能にし、全ての発生熱を活用する能力を同時に所与する、より強固で冗長なデータ処理システムを設置する、より大きな可能性を提示するということが、現在明らかになっている。
【0005】
本発明は特により寒い気候の国での空間加熱の解決策を提示する。例えば、多くの北の地域は天然ガスを利用することができず、典型的には電気ボイラーおよび、または化石燃料で加熱している。本発明は既存の温水循環式システムに効率的に統合するように、簡単な「迅速継手」の選択肢を可能にするだろう。ボイラーシステムは、所望の熱出力を得るように、個別ユニットまたは多数のボイラーを含むモジュールとして、設置することができる。ボイラー設計は、20KWの単一のタンクから400+KWのシステムまでの大きな範囲で、任意のサイズにカスタマイズすることができる。タンク設計は、それが既存のインフラ内部に単独で設置されること、またはコンテナ型モジュールに収容して設置されることのいずれかで設置されることが可能になるような設計である。
【0006】
現在、コンピューター、サーバーまたはマイニングリグを冷却する従来の方式は、高体積ファンを使用して空気を使用する。これにより、維持および設置により高いコストがかかることに相当する、ノイズおよびダストの制御システムの重大な問題が引き起こされる。システムは浸漬冷却を使用し、それ自体は新しいものではない。しかしながら、本発明は、キロワットあたりの設置の単純さと非常に低いコストを考慮することができる。タンク設計は、適用および変更することもでき、システムがコンピューティング市場へ入ってくる最新の技術に対応できることを確実にする。
【発明の概要】
【0007】
本発明によると、コンピューター処理のための方法が提供され、前記方法は、
誘電材料で形成された冷却液体をタンク中に提供する工程であって、
タンクは複数のコンピューター処理ユニットを含み、各コンピューター処理ユニットは、
下端の下部開口部および上端の上部開口部を有し、上端と下端との間に閉じた周壁を画定する、外側ハウジングと、
熱を発生させながらコンピューター処理動作を実行するために動作する、外側ハウジング内に取り付けられた電気部品を支える少なくとも1つのコンピューター処理基板と、を含み、
タンクは、タンク中に仕切りシートを有し、前記仕切りシートは、タンクを仕切りシートの下の下部マニホールドとシートの上のタンクの主部と、に仕切り、
各コンピューター処理ユニットの外側ハウジングは、シートに位置する下部の開口部を有するシートに取り付けられ、周壁は仕切りシートから離間した上端に対してタンク内で直立している、前記各コンピューター処理ユニットは、
シートにおける複数の液体伝達開口装置であって、各開口装置が、液体がマニホールドからハウジングに入り、開口部を通って通過することを可能にするように、ハウジングのそれぞれ1つと関連する、液体伝達開口装置と、を含む、工程と、
冷却液体をマニホールドに導入する工程と、
外側ハウジングの上端の上にある位置にタンク内の液体の上面を配置する工程と、
液体を開口装置を通って外側ハウジングへ入るようにさせ、ハウジング内の熱によって引き起こされる対流によって液体をハウジング内で上昇させ、ハウジングから上端を通って液体をタンクへ出ていくようにさせる工程であって、
液体は、表面と上端との間のタンクにおいて加熱された層を形成するハウジングの上端から出ていく、工程と、
液体を層から抽出する工程と、
熱供給をもたらすためと冷却された液体をマニホールドに戻すために、抽出された液体から熱を抽出する工程と、を含む、方法。
【0008】
好ましくは、上端は層の下部を画定する共通平面にあり、タンクの最も熱いエリアを取り出すように、層内の液体の重層化を改善する。このゾーンの深さは様々な作動流体の温度に対応するように調節することもできる。層が厚いほど、液体は熱くなる。
【0009】
典型的に、抽出された液体は、わずかな正圧を作り出すように配置されるポンプによって、マニホールドに戻され、そうすることによって、液体が正の流れとしてよりはむしろ対流によって実質的に完全にハウジングを通って流されるようになる。これは液体の重層化を再び改善する。管状ハウジングの間の静止ゾーンに液体が入ることはなく、そうすることによって、このエリアによって熱が管状ハウジングの上部の重層化された加熱されたゾーンに集まることを再び可能にする。ハウジングは好ましくは、上部と下部で完全に開いており、そうすることによって、これがハウジングを通って必要な流れを作り出すため、周壁が各端で完全に開口するようになる。
【0010】
すなわち、一実施形態では、マニホールドから仕切りシートを通る開口部はハウジングに位置し、そうすることによって、液体がハウジングにのみ入りハウジングの間には入らないようになり、静止ゾーンを形成するようになる。
【0011】
一実施形態では、開口部はそれぞれ、ハウジングでスムーズな流れの上昇を発生させるためにハウジングの内部形状と一致させるように形成されるアレイを設け、そうすることによって、例えば、ハウジングは断面が長方形であり、アレイも長方形であり、ハウジングの内部表面とおおよそ一致するようになる。例えば、アレイはハウジングにわたる寸法とおおよそ同じ長さを呈する一連の平行なスロットによって形成されるが、他の穴のアレイを使用することができる。
【0012】
一実施形態では、タンクはそれが行と列に配置されるハウジングを含むような寸法である。
【0013】
一実施形態では、液体はタンクの片側の開口部を通って抽出され、前記タンクの片側の開口部は、離れた熱交換器に供給する単一のダクトに連結する単一の開口部として設けることができる。
【0014】
好ましくは、開口部は、層からのみ抽出するように、上端の上および上面の下の高さに配置される。
【0015】
好ましくは、液体は鉱油、植物油性、またはいくつかの場合では、完全に合成の誘電流体を使用することができる。
好ましくは、液体は、
---密度:0.92g/m3(7.667 lbs/gal)の近くまたは範囲内
---動粘度:33-35mm2/s @ 40℃の近くまたは範囲内、または15cSt @ 70℃の近くまたは範囲内、
---絶縁破壊:2mm[kV]≧35 (ASTM D6871)
---沸点:≧360℃
---引火点:≧265℃(クローズドカップ)
---自動/自己発火温度:401-404℃(ASTM E659)
---蒸気圧:0 PA @ ≦200℃の近くまたは範囲内
---熱伝導率:0.15089 W/mK @ 70℃の近くまたは範囲内
---比熱:2.3472 kJ/kgK @ 70℃の近くまたは範囲内
の特性の1つ以上を有する。
【0016】
好ましくは、誘電液体は、固有の断熱性による、非常に強力な重層化された温度帯を引き起こす特性をもって選択される。
【0017】
好ましくは、誘電液体は、最大熱伝達、高い作動流体の温度(摂氏60度より上)および効率的な熱伝達を可能にする、特性を有する。
【0018】
好ましくは、マニホールドへの液体の流れおよびハウジングを通る液体の流れは、層の温度が10-60℃の範囲であるように、配置される。
【0019】
好ましくは、マニホールドへの液体の流れおよびハウジングを通る液体の流れは、マニホールドに戻る温度が30-85℃の範囲であるように、配置される。
【0020】
好ましくは、各コンピューター処理ユニットは、関連したハウジングに沿ったタンク内に含まれる隣接する電源に関連し、電源はマニホールドからのいかなる流れもないハウジングの間の液体に位置し冷却される。
【0021】
好ましくは、コンピューター処理ユニットは、需要状況がピークであるとき、停止される。
【0022】
好ましくは、コンピューター処理ユニットは、需要がピークであるときの管理に役に立つユーティリティスマートメータに接続される。
【0023】
好ましくは、シートに取り付けられ、ハウジングおよび直立に支持された電源を保持するために配置されたU字型ホルダーが設けられる。
【0024】
好ましくは、タンクは、液面の変動に対応するために拡張エリアとしても作用するヘッドゾーンを有する。このヘッドゾーンは、いかなる水分も無い状態に保たれ、粒子状物質だけでなく水分も濾過するように装備されるべきである。
【0025】
好ましくは、タンクは完全に密閉され蒸気密である。1-2のPSIで設定された圧抜きチェック弁の設置は、損傷を引き起こすいかなる過圧も防ぐために設置される。
【0026】
好ましくは、使用されるコンピューティングリグまたはプロセッサーは、設置されたいかなるファンも取り外すか無効にすること以外に、いかなる変更もせずに浸すことができる。全ての空冷装置または微粒子は無傷のままであることができる。
【0027】
目的は、非常に簡単でコスト効率の良いタンクシステムを開発することであり、最大熱伝達、高い作動流体の温度(摂氏60度より上)および効率的な熱伝達を可能にするいくらかの特性を有する誘電流体を使用するコンピューティングリグまたはチップを冷却する。タンク内には可動部品が最小又は全くない。その結果、約300ワットの電力を使用して、作動流体(誘電流体)を熱交換器に送り出す、たった1つの小さな循環ポンプで動作する設計となる。
【0028】
可動部品や過度に複雑な部品のないシステムを実現するために、重要なのは、工場で製造されたアルミニウム製の本体および電源の利用を含む従来の空冷式のコンピューティングリグに必要な変更を最小限にすることであった。我々はCPUアルミニウムシャーシまたは本体が直立に(垂直に)支持された特別なホルダーと、各ユニットに電力を供給するための電源を設計した。
【0029】
タンク設計の別の態様は、冷却作動流体が循環ポンプがわずかな正圧を作るバッフルプレートの下にあるタンクの「クールゾーン」で集めることを可能にするバッフルプレートである。バッフルプレートは、流体を各コンピューティングリグのハウジングまたは「チューブ」に向ける多くの正確に切り込みが入ったスロットを有する。スロットの量およびサイズは、コンピューティングチップにいかなる損傷が生じる前に、流体の粘性および許容可能な最大温度に基づいて決定される。これは典型的に最大摂氏85度である。ハウジングまたは「チューブ」は煙突の働きをし、いかなる種類のコンピューティング母基板にも対応するようにカスタマイズすることができる。
【0030】
作動流体の冷却流れがバッフルプレートスロットを通過し、アルミニウムマイニングリグの本体またはチューブに向けられることの組み合わせは、非常に強い熱力学的ポンプ作用または煙突の効果を与える。この効果は、冷却作動流体をバッフルプレートの下からチューブ構造を通って効率的に移動させ、処理チップを含むコンピューティング基板を通過させ、発生した強度の熱を取り除くことに役に立つ。
【0031】
マイニングリグ本体またはチューブから出ていくとき、高温作動流体はタンクエリアまたは「ホットゾーン」の上部に集まる。本発明の別の興味深い部分は、我々が、複雑なバッフル設計およびコストがかかるマニホールドシステムを低減する1つのポートのみで高温作動流体を効率的に取り除くことができることである。我々は誘電流体の自然な傾向を使用して、固有の断熱性による非常に強力な重層化された温度帯を引き起こす。
【0032】
設計は、またホルダーの高い位置に吊り下げられる電源が「ニュートラルゾーン」の温度を使用することを可能にして、電源を冷却する(図面参照)。電源はメインのコンピューティング基板またはチップほどの熱量を発生させないため、ユニット中を循環するために必要な作動流体がより少なくて済む。
【0033】
システムは、カナダやアメリカの北部地域を含む単独動作のため、完全なモジュレーションとリモートコントロールのインターフェイスを持つように設計される。それはまた、需要がピークであるときの管理に役に立つユーティリティスマートメータに連結される。システムは、需要状況がピークであるとき、停止するように設計することができる。
【0034】
現在のタンク設計は、住宅環境から大規模な産業環境にまで適し得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の一実施形態は、ここでは添付の図面と併せて記載されるだろう。
【0036】
【
図1】冷却タンク、熱交換器、加熱負荷、電気接続、および本発明に係る電力ユーティリティへの接続を含む器具一式の等角図である。
【
図2】
図1のタンク内部に取り付けるために、取付ブラケットに取り付けられる処理ユニットおよび電源の等角図である。
【
図3】
図2の処理ユニット、電源、およびブラケットの立面図である。
【
図4】
図2の処理ユニット、電源、およびブラケットの平面図である。
【
図5】タンクの内部を示す
図1のライン5-5に沿った断面図である。
【
図6】液体がプレートを通って管状ハウジングの内部に通過することを示す
図4のライン6-6に沿った断面図である。
【0037】
図面中の参照文字は、異なる図面の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書の装置は、複数の回路基板(12)を冷却し、そこから負荷(13)に熱を伝達するために、冷却液体(11)を含むタンク(10)を設ける。冷却液体(11)は、吐出口(14)を通してタンクから抽出され、熱交換器(16)を通過し、リターン(15)を通ってタンクに戻る。ポンプ(17)は、熱交換器を通る回路で設けられ、液体内で流れを引き起こし、リターン(15)で低圧を発生させる。
【0039】
タンクは4つの直立側部(18)、上部カバー(19)、およびベース(20)を有する長方体を含む。これは閉じたコンテナを形成し、タンクは液面(11A)の上および上部(19)の下にあるヘッドゾーンを有し、前記ヘッドゾーンは液面の変動に対応するための拡張エリアとしても作用する。ヘッドゾーンは、抽出部および、液体だけでなくいかなる水分の粒子状物質も濾過するフィルターシステム(21)によって、いかなる水分も無い状態に保たれる。タンクは従って密閉され蒸気密である。
【0040】
ベース(20)と上部層(11A)との間のエリアを満たすタンク中の液体は、上で画定された特性を有する適切な誘電材料で形成される冷却液体として作用する。
【0041】
タンクは、タンクの端に上部構造を接続するエンドブラケット(23)に取り付けられた上部構造(22)を支える。上部構造は、回路基板の動作を制御するために必要な電子機器およびシステムを動作するために必要な通信を含む長方形のハウジングを設ける。これは、処理システムに必要な電力を供給する電力ユーティリティ(25)との通信のための通信システム(24)を含む。
【0042】
タンク(10)は、タンク内の行および列のアレイにおいて配置された複数のコンピューター処理ユニット(30)を含む。各ユニット(30)は下面(33)から上面(34)まで伸びる4つの長方形の側面(32)によって画定された外部の管状ハウジング(31)を含む。上面および下面は一般に、ハウジングが、液体が下面から上面まで自由に通過することができる管状ダクトを形成するように、開口している。ハウジングは、多くのコンピューター処理サプライヤーによって供給される従来のハウジング構造であり、典型的に、ハウジング内の処理基板(12)は、ハウジングの片端または両端にあるファンによって発生した空気の流れによって冷却される。ファンは、既存の基板を含む既存のハウジングが液体によって直ちに冷却されるように、取り外される。ハウジングは、従って、下端の下面開口部、上端の上面開口部、および上端と下端との間の閉じられた周壁を画定する。
【0043】
ハウジング内に取り付けられた電気部品を支えるコンピューター処理基板は、ハウジングにわたって離間された場所に平行な基板として配置される。これらは、熱を発生させながら、従来の様式でコンピューター処理動作を実行するように動作する。よく知られているように、様々な高い処理動作に必要な処理電力の量は、除去されるべき高いレベルの熱を発生させ、それは特に寒冷地での相当量の空間加熱には十分な量である。
【0044】
各コンピューター処理ユニットは、処理ユニット(30)の従来部品を含む一般的な長方体の形をとった隣接する電源(35)に関連する。シートに取り付けられたL字型のホルダーブラケット(36)が設けられ、ハウジングおよび直立に支持された電源を保持するように配置される。ブラケットは、ハウジング(31)の下端(33)にわたって伸びる水平なベースプレート(37)を含む。先端部(36A)にあるベースに接続された直立プレート(38)は、プレートの内面にある電源を支え、そうすることによって、それはハウジング(31)に隣接して位置し、両方は一般に平行に保持され、わずかに離間するようになる。コネクタ(35A)は、タンクを通って出口のグランド(示さず)までの電源から上部構造の制御システムまで伸びる。
【0045】
ブラケット(36)はベース(37)および開口部(37A)を有し、前記開口部(37A)は冷却液体をベース(37)を通って管状ハウジング(31)へ入れるために基板(12)の下端(12A)に晒す。開口部は、縁(37C)が側壁(32)に平行になるように、一般に長方形である。しかしながら、三角形のフランジ(37B)は、ベース(37)に取り付けられる下端(33)に、同様の型のフランジを取り付けるためにコーナーに位置する。従って、ハウジング(31)およびその中の基板(12)はベース(37)に取り付けられ、電源(35)は、両方をタンク内の
図5に示される列および行に取り付けることを可能にするプレート(38)に取り付けられる。
【0046】
長方形のタンクは、ベース(20)に平行なタンク(10)中に仕切りシート(40)を有し、前記仕切りシート(40)は、タンクを仕切りシート(40)の下およびベース(20)の下部マニホールド(41)とシート(40)の上のタンク(42)の主部と、に仕切る。
【0047】
ブラケット(36)は行および列の底面シート(40)に固定され、そうすることによって、各コンピューター処理ユニットの外側ハウジング(31)は、シート(40)に位置する下端(33)の開口部を有するシート(40)に取り付けられ、周壁(32)は仕切りシート(40)から離間した上端(34)に対してタンク内で直立している。
【0048】
冷却液体がマニホールド(41)から各ハウジング(32)へと通過するために、複数の液体伝達開口装置(44)はシートに設けられ、各開口装置(44)は液体がマニホールド(41)からハウジング(31)に入り、開口部(37A)を通ってハウジングへと通過することを可能にするようにハウジング(31)のそれぞれ1つと関連する。液体はリターン(15)を通してマニホールドに入り、マニホールドで広がるため、ハウジングへの通過のための開口装置(44)がある。示されるように開口装置(44)は、開口部(37A)のエリアに一般に一致するエリアを形成する並列に離間したスロット(44A)、(44B)および(44C)の行を含み、そうすることによって、スロットはハウジング(31)の幅に一致する長さであるようになる。
【0049】
液体の深さは、タンク内の液体の上面(11A)が上壁(19)の下の場所、および外側ハウジング(31)の上端(35)の上の位置にあるように、配置される。
【0050】
液体は、従って、開口装置(44)を通って外側ハウジングへ入るように作用し、それぞれはハウジングの内部形状と一致させるように形成されるアレイを設け、ハウジングにおいてスムーズな流れの上昇を発生させ、ハウジング内の熱によって引き起こされる対流によってハウジング内で上昇させ、ハウジングから上端(34)を通ってタンク(10)へ出ていくようにさせる。これは、液体が表面(11A)と上端(34)との間のタンク中に加熱された層(11B)を形成するハウジングの上端(34)から出ていくように、作用する。
【0051】
加熱された層(11B)中の液体は、重層化された層に完全にある吐出口(14)を通して抽出され、そうすることによって、加熱された重層化された層のみが実質的に取り除かれるようになる。
【0052】
図6で示されるように、上端(34)はすべて、層(11B)の下部を画定する共通平面にある。抽出された液体はわずかな正圧を作り出すように配置されたポンプによってマニホールドに戻され、そうすることによって、液体が対流によって実質的に完全にハウジング(31)を通って流されるようになる。
【0053】
上で説明されたように、開口装置(44)はハウジング(31)に位置し、そうすることによって、液体がハウジング(31)にのみ入り、電源がハウジングの間に静止液体があることのみによって十分に冷却され、いかなる加熱された液体も重層化された層(11B)へと上昇するため、冷却がほとんど必要がないハウジングの間には入らないようになる。
【0054】
誘電液体は、固有の断熱性による、非常に強力な重層化された温度帯を引き起こす特性をもって選択され、最大熱伝達、高い作動流体の温度(摂氏50度より上)および効率的な熱伝達を可能にする。
【国際調査報告】