(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラ
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20220706BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220706BHJP
【FI】
A41G3/00 G
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564155
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2020006268
(87)【国際公開番号】W WO2020231167
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0055885
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507073343
【氏名又は名称】リム,ソン-キュ
(71)【出願人】
【識別番号】515203859
【氏名又は名称】キム,ミョン-ヒ
(71)【出願人】
【識別番号】515203192
【氏名又は名称】リム,ジョン-ホ
(71)【出願人】
【識別番号】515203206
【氏名又は名称】リム,ジョン-ユン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リム,ソン-キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ジョン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ジョン-ユン
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142CB14
5F142CD02
5F142CD24
5F142CD32
5F142GA40
(57)【要約】
本発明は、自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラに係り、さらに詳しくは、着用者の頭の周りに沿って包み込まれるベース板100の上部に構成される毛髪部200の外側の表面に透明マイクロLEDディスプレイスキン300が被せられるように構成し、前記ベース板100の内部に前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300を制御するマスター部400と遠隔スレーブ500を構成する一方、着用者が最終的に透明マイクロLEDディスプレイスキン300を選択的に制御するためのスマートフォン600が構成されて、自分の現在の状況に合わせて多種多様に毛髪部200の色を可変にできる有用な発明である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光可能なカツラであって、
人間の頭に被せられて固定されるベース板(100)と;
前記ベース板(100)の上部に一定の間隔を隔てた状態で構成される複数の毛髪部(200)と;
透明性と可撓性を有する透明可撓性基板(310)と、前記透明可撓性基板(310)の上に転写され且つ取り付けられ、マイクロLED画素(330)を有する半導体デバイス層(320)とを備え、前記毛髪部(200)の表面に全体的にもしくは部分的に被せられる透明マイクロLEDディスプレイスキン(300)と;
前記ベース板(100)に構成され、電源部(430)を制御する電源スイッチ(410)と、USBケーブルを介したバッテリーの充電のための充電ポート(420)と、前記電源スイッチ(410)から制御される電源部(430)と、前記充電ポート(420)により充電された電力を蓄えるバッテリー(440)と、前記電源部(430)に電源を無線にて供給するための無線電気コイルを有する電源無線供給部(450)と、スマートフォン(600)をはじめとする外部機器及びその他の装置との近距離無線通信のための近距離無線通信部(460)と、前記毛髪部(200)の透明マイクロLEDディスプレイスキン(300)における色の表現のための制御を行う主制御部(470)と、エネルギーそれ自体の生成のためのエネルギーハーベスティング部(480)と、カツラの外部の光の明るさを検出するための光検出部(490)とを備えるマスター部(400)と;
前記ベース板(100)のマスター部(400)と一定の間隔を隔てた位置に構成され、前記電源無線供給部(450)から発生されたパワーを受信する無線電気アンテナ(510)と、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン(300)の駆動及び制御のための遠隔制御部(520)と、前記マスター部(400)との超近接遠隔送受信のための送受信部(530)と、エネルギーそれ自体の生成のためのエネルギーハーベスティング部(540)と、外部の光の明るさを検出するための光検出部(550)とを備える遠隔スレーブ(500)と;
前記マスター部(400)と前記近距離無線通信部(460)との間の近距離無線通信方式を用いて、前記マスター部(400)の主制御部(470)または前記遠隔スレーブ(500)の遠隔制御部(520)を制御可能なAPPを備えるスマートフォン(600)と;
を備えることを特徴とする自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラ。
【請求項2】
前記光検出部(480、540)は、
カツラに印加される外部の光量を感知した後、前記主制御部(470)及び前記遠隔制御部(520)にそれぞれ印加し、
前記主制御部(470)及び前記遠隔制御部(520)は、印加された光量に基づいて、透明マイクロLEDディスプレイスキン(300)のディスプレイの輝度(明るさ)を制御することを特徴とする、請求項1に記載の自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラ。
【請求項3】
ハーベスティング部(480、540)は、光電素子、熱電素子、圧電素子、無線電気変換素子のうちのいずれか一種またはそれらの組み合わせで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラ。
【請求項4】
前記透明マイクロLEDディスプレイスキン(300)は、
前記APPを介して特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン(300)が制御されるとき、前記特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン(300)に近い前記マスター部(400)または前記遠隔スレーブ(500)により制御されることを特徴とする、請求項1に記載の自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラ(ウィッグ)に係り、さらに詳しくは、通常のカツラの毛髪部の外部の表面に選択的に色及びデザインを表現可能な透明マイクロLEDディスプレイスキンを被せて、状況に応じて毛髪部の単一の色または様々な色を表現することのできる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カツラは、日差しから頭皮を保護するなどの役割も果たすが、外見を目立たせたり、自分の地位を見せ付けたりする意図に用いられた場合も多い。カツラの歴史は非常に長く、紀元前5000~6000年頃からチリとエジプトの壁画や石像などからカツラをかぶった女性の姿が頻繁に見られ、韓国のカツラは三国時代にまで遡る。すなわち、最も究極的には、先天的または後天的な要因による脱毛を隠すために用いられてきており、最近には、このような脱毛症による使用の他にも、インターネットや放送などを通じてファッションアイテムとして十分にその用途が認められており、現在は、雰囲気を出したりイメージチェンジをしたりするときに用いるアクセサリーの一種となっており、多種多様なヘアスタイルの演出など比較的に短い時間の間に用いる場合にも広く用いられている。
【0003】
例えば、町の催し、祭り、パーティ、イベントなど興行の小品として様々な色のカツラが多用されており、このようなイベント用途にカツラから光が発せられるようにして、様々な色を変化させることができればなお一層面白くなり、暗い場所において目立って見えるような効果を奏することができる。
【0004】
一方、カツラから光が発せられるようにするために、カツラの毛髪に蓄光剤などを塗布していたが、単一の色の光としてしか発せられず、しかも、その明るさが低いため、夜には暗く見え、昼間には識別し難いという問題があった。
【0005】
また、蓄光剤の発光効果もまた持続的ではないため、短い時間しか使えず、その結果、多数のカツラを買うことを余儀なくされるという煩雑さがあり、しかも、経済的な効率性に非常に劣っているという問題を抱えている。
【0006】
まず、従来の技術を調べてみると、韓国登録特許第10-1279558号公報は、頭に着用される支持棒と、前記支持棒に植え付けられる複数本の仮毛と、で構成されたカツラにおいて、前記支持棒に取り付けられ、複数の光源が取り付けられたプリント回路基板(PCB)と、前記プリント回路基板(PCB)に電源を供給するバッテリーと、前記光源の点灯または消灯を制御するスイッチと、前記プリント回路基板(PCB)の光源と一方の端が接触されて光が届くように植え付けられる複数本の光ファイバ糸毛髪と、を備え、前記プリント回路基板(PCB)はケースに納められ、前記ケースの上部に植付け部が形成され、前記植付け部に前記複数の光ファイバ糸毛髪が植え付けられた光ファイバ糸を用いた発光カツラに関する技術である。
【0007】
上記の従来の技術は、光ファイバ糸に光源を照射して毛髪に光が放射されるようにする技術について重点的に記載している。しかしながら、技術的な構成要素は、バッテリーの消耗量が多大であるが故に長時間にわたって使い難く、従来の毛髪の代わりに光ファイバ糸毛髪を用いるが故に、多かれ少なかれ人為的な雰囲気しか演出することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1279558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来の技術の問題を解決するために案出されたものであり、従来のカツラの構成のように、基本的に使用者の頭に着用するためのベース板と、前記ベース板の上部に構成される複数の毛髪部と、を備えるが、前記毛髪部の外側の表面に透明マイクロLEDディスプレイスキンが被せられるように構成し、前記ベース板の内部に前記透明マイクロLEDディスプレイスキンを選択的に制御できるようにマスター部及び前記マスター部と一定の間隔だけ隔てられ、無線にて送受信される遠隔スレーブを構成して、前記透明マイクロLEDディスプレイスキンが単色または様々な色を表現できるようにする自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラを提供するところに主眼点をおいてその技術的な課題を解決するために完成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、発光可能なカツラおいて、人間の頭に被せられて固定されるベース板100と;前記ベース板100の上部に一定の間隔を隔てた状態で構成される複数の毛髪部200と;透明性と可撓性を有する透明可撓性基板310と、前記透明可撓性基板310の上に転写され且つ取り付けられ、マイクロLED画素330を有する半導体デバイス層320とを備え、前記毛髪部200の表面に全体的にもしくは部分的に被せられる透明マイクロLEDディスプレイスキン300と;前記ベース板100に構成されるが、電源部430を制御する電源スイッチ410と、USBケーブルを介したバッテリーの充電のための充電ポート420と、前記電源スイッチ410から制御される電源部430と、前記充電ポート420により充電された電力を蓄えるバッテリー440と、前記電源部430に電源を無線にて供給するための無線電気コイルを有する電源無線供給部450と、スマートフォン600をはじめとする外部機器及びその他の装置との近距離無線通信のための近距離無線通信部460と、前記毛髪部200の透明マイクロLEDディスプレイスキン300における色の表現のための制御を行う主制御部470と、エネルギーそれ自体の生成のためのエネルギーハーベスティング部480と、カツラの外部の光の明るさを検出するための光検出部490とを備えるマスター部400と;前記ベース板100のマスター部400と一定の間隔を隔てた位置に構成されるが、前記電源無線供給部450から発生されたパワーを受信する無線電気アンテナ510と、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300の駆動及び制御のための遠隔制御部520と、前記マスター部400との超近接遠隔送受信のための送受信部530と、エネルギーそれ自体の生成のためのエネルギーハーベスティング部540と、外部の光の明るさを検出するための光検出部550とを備える遠隔スレーブ500と;前記マスター部400と近距離無線通信部460との間の近距離無線通信方式を用いて、前記マスター部400または遠隔スレーブ500の主制御部470または遠隔制御部520を制御可能なAPPを備えるスマートフォン600と;を備えることを技術的な特徴とする。
【0011】
前記光検出部480、540は、カツラに印加される外部の光量を感知した後、前記主制御部470と遠隔制御部520にそれぞれ印加し、前記主制御部470と遠隔制御部520は、印加された光量に基づいて、透明マイクロLEDディスプレイスキン300のディスプレイの輝度(明るさ)を制御することを技術的な特徴とする。
【0012】
前記ハーベスティング部480、540は、光電素子、熱電素子、圧電素子、無線電気変換素子のうちのいずれか一種またはそれらの組み合わせで構成されることを技術的な特徴とする。
【0013】
前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300は、前記APPを介して特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300を制御するとき、前記特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300に近いマスター部400または遠隔スレーブ500により制御されることを技術的な特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラによれば、最近用いられるカツラの本然の目的をそのまま保つとともに、自己表現の飾りや催し、祭り、パーティ、イベントなど自分の現在の状況に合わせて全体的にもしくは部分的に様々な色及びキラキラを手軽に変形することができて現場の状況に即座で対応することができて、使用者の興味と満足感をそそることができ、しかも、低電力・充電可能なバッテリーを用いて自体的に電力を供給することにより、長時間にわたって使用可能であるという効果を奏する有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の好適な実施形態を示す正断面図及び拡大図である。
【
図2】本発明の好適な実施形態を示す分解図及び拡大図である。
【
図3】本発明の好適な実施形態を示す平面図である。
【
図4】本発明の透明マイクロLEDディスプレイスキンを示す図である。
【
図5】本発明のマスター部の好適な実施形態を示す構成図である。
【
図6】本発明の遠隔スレーブの好適な実施形態を示す構成図である。
【
図7】本発明のスマートフォンとカツラとの間の近距離部線通信方式により作動されることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来には、染髪などして自分ならではの個性を表現していたが、染髪の場合、次回の染髪までは単色または多色をそのまま保たなければならず、髪の毛が伸びるにつれて髪の毛ならではの固有の色がさらに追加される一方、持続的に染髪をする場合、毛髪が損傷を受け、しかも、経済的・時間的に深刻な問題があった。
【0017】
このため、本発明においては、周りの環境や自分の気持ちに応じて、カツラの着用者がヘアデザイナーになって、髪色の全体または一部を非常に手軽に且つ瞬時に変えることができ、光が発せられるようにできる他、キラキラ光らせるなど色々な効果をも出すことができて、カツラを最終的なヘアファッションとして捉えて、カツラの毛髪部の外部の表面に選択的に色及びデザインを表現可能な透明マイクロLEDディスプレイスキンを被せて、状況に応じて毛髪部の単色または多色及びきらめきを表現することのできる自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラを提供する。
【0018】
以下、添付の
図1から
図8に基づいて、前記目的を達成するための本発明の好適な実施形態について説明する。
【0019】
まず、本発明は、着用者の頭に着用するベース板100と、前記ベース板100に構成される毛髪部200と、前記毛髪部200の表面に全体的にもしくは部分的に被せられる透明マイクロLEDディスプレイスキン300と、前記ベース板100に構成されるマスター部400及び遠隔スレーブ500と、前記マスター部400及び遠隔スレーブ500を選択的に制御するスマートフォン600と、を備える。
【0020】
前記ベース板100は、
図1から
図3に示すように、人間の頭の周りに被せられて固定される構成要素であって、着用感のよい様々な軟質の材質から形成され、上部板には比較的硬めの材質から形成されて、前記毛髪部200を選択的に嵌脱可能な複数の嵌入溝110が一定の間隔を隔てた状態で形成される。
【0021】
前記嵌入溝110は、多種多様な形状に形成されてもよい。
【0022】
前記毛髪部200は、
図1から
図3に示すように、通常のカツラに用いられる毛髪部であって、下部には前記嵌入溝110にそれぞれ嵌め込まれる嵌入部210が形成される。このとき、通常、前記毛髪部200は全体的に黒色を帯びてもよく、あるいは、透明な色で表現されてもよい。このような前記毛髪部200の嵌脱構造を用いて、毀損により作動できなくなった毛髪部200のみを嵌め替えて、経済的な効率性を高めることができる。
【0023】
ここで、
図8に示すように、ベース板100の嵌入溝110に近い個所には駆動モーター120を構成し、前記駆動モーター120の終端に別途の固定部材を連結して構成するが、前記駆動モーターの終端に前記毛髪部200の嵌入部210を固定して、前記駆動モーターを作動させることで、前記毛髪部200を回転させられるように構成される。
【0024】
このような毛髪部200の回転は、後述する透明マイクロLEDディスプレイスキン300とマスター部400及び遠隔スレーブ500、スマートフォン600を構成して用いるに際して、色が発光された状態で行えるので、使用上の興味をそそることができるという効果がある。
【0025】
前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300は、
図4に示すように、透明性と可撓性を有する透明可撓性基板310と、前記透明可撓性基板310の上に転写され且つ取り付けられ、マイクロLED画素330を有する半導体デバイス層320と、を備え、前記毛髪部200の表面に全体的にもしくは部分的に被せられるように構成される。
【0026】
すなわち、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300が被せられた毛髪部200は、それぞれ別々に抜き外すことができるので、様々な形状と大きさを有する毛髪部200を用いることができ、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300が被せられていない通常の毛髪部を用いることもできる。
【0027】
マイクロLEDディスプレイは、5~100μm(10万分の1cmである)の粒径の超小型LED粒子を基板(本発明においては、透明基板)に接合したディスプレイであって、LEDチップそれ自体を画素(ピクセル)として活用して柔軟性があるか(flexible)、あるいは、丸く巻ける(rollable)画面を実現するのに適しており、有機発光ディスプレイ(OLED)に比べて電力の消耗量が非常に少ないため、長時間にわたって使用可能であり、既存のOLEDに比べても照度、彩度、電力効率性の面からみても遥かに優れている。
【0028】
上述したような透明マイクロLEDディスプレイスキン300を毛髪部200の表面に被せて取り付けるが、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300は、マイクロLEDディスプレイが作動していない場合であっても毛髪部200の役割をそのまま果たせるように透明性と可撓性を併せ持つ透明可撓性基板310を採用し、マイクロLEDチップからなる画素、すなわち、マイクロLED画素330もまた透明性を最大限に有するように構成する。
【0029】
一方、マイクロp-nダイオード層からなる数多くのマイクロLED画素330を有する半導体デバイス層320がマイクロ転写印刷技術を用いた方式 により透明可撓性基板310に移植されて形成されることにより、本発明の透明マイクロLEDディスプレイスキン300が構成されるが、このとき、転写印刷技術を行うに当たって、ロール転写技術を用いて一秒当たりに一万余個以上のマイクロLED画素330を透明可撓性基板310に転写して取り付けることが好ましい。
【0030】
マイクロLED画素330は、母(native)基板の上に用意された後、透明可撓性基板310に転写され且つ印刷され、次いで、母基板及び不要な部分は取り除かれる。
【0031】
前記透明可撓性基板310は、透明であり、しかも、軟性を有し、5~10μm、10~50μm、50~100μm、100~200μm、200~500μm、0.5~1mm、1~5mm、5~10mmの厚さ範囲のうちのいずれか一つの厚さの範囲が選定される。
【0032】
すなわち、
図4に示すように、透明マイクロLEDディスプレイスキン300は、透明性と可撓性を併せ持つ透明可撓性基板310の上にマイクロLED画素330を有する半導体デバイス層320が取り付けられて形成された構成要素である。
【0033】
前記半導体デバイス層320のマイクロLED画素330は、正電極層331、透明導電層332、透明p-電極層333、p-GaN層334、活性層335、n-GaN層336及び上部の透明n-電極層337で構成され、各マイクロLEDマイクロLED画素330の間には透明性絶縁層338が 形成される。半導体デバイス層320に形成されたマイクロLED画素330のそれぞれは、p-nダイオード層であって、スペクトル内の特定の領域に対応するバンドギャップを有する化合物半導体から形成され、一例を挙げると、III~V属窒化物材料である窒化ガリウム(GaN)から形成される。
【0034】
前記p-電極層333は、電源の供給のためのものであって、透過率が70%以上のAl、Ga、Ag、Sn、In、Zn、Co、Ni、Auを含む酸化物から電極を形成し、正電極層331は、回路パターンやバンプ、伝導性接着層となり、透明n-電極層337は電気伝導性を有する。正電極層331は、可視スペクトルに対して反射性を有する銀及びニッケルの群から選ばれることが可能であり、潜在的な反射性ミラー層を形成する。
【0035】
因みに、本発明は、赤色、緑色及び青色を有する3種類の素子、すなわち、マイクロLEDパネルを並べることにより、透明マイクロLEDディスプレイスキン300をフルカラーで実現することができる。
【0036】
換言すれば、本発明は、毛髪部200の透明マイクロLEDディスプレイスキン300が作動しなければ、一般的な毛髪部の色及びデザインが表現され、透明マイクロLEDディスプレイスキン300が作動すれば、外部に様々な色を出力することが可能になる。
【0037】
ここで、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300は、前記APPを介して特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300を制御するとき、前記特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300に近いマスター部400または遠隔スレーブ500により制御される。
【0038】
また、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300は、前記毛髪部200の外側の表面に全体的にもしくは部分的に構成されて、後述するスマートフォン600の制御に従って一つの毛髪部200に様々な色を表現することができる。
【0039】
一方、前記マスター部400は、
図5に示すように、前記ベース板100に構成されるが、電源部430を制御する電源スイッチ410と、USBケーブルを介したバッテリーの充電のための充電ポート420と、前記電源スイッチ410から制御される電源部430と、前記充電ポート420により充電された電力を蓄えるバッテリー440と、前記電源部430に電源を無線にて供給するための無線電気コイルを有する電源無線供給部450と、スマートフォン600をはじめとする外部機器及びその他の装置との近距離無線通信のための近距離無線通信部460と、前記毛髪部200の透明マイクロLEDディスプレイスキン300における色の表現のための制御を行う主制御部470と、エネルギーそれ自体の生成のためのエネルギーハーベスティング部480と、カツラの外部の光の明るさを検出するための光検出部490と、を備える。
【0040】
前記ベース板100に組み込む主制御部470のICチップは、注文型半導体チップ(Application specific integrated circuit;ASIC)により実現することが好ましく、無線電気と エネルギーハーベスティング部480は、太陽電池(photovoltaic)を適用してエネルギーの供給が可能になる。
【0041】
一方、前記遠隔スレーブ500は、
図6に示すように、前記ベース板100に構成されたマスター部400から供給される電源を無線にて受信するためのものであって、該遠隔スレーブ500は、前記ベース板100のマスター部400と一定の間隔を隔てた位置に構成されるが、前記電源無線供給部450から発生されたパワーを受信する無線電気アンテナ510と、前記透明マイクロLEDディスプレイスキン300の駆動及び制御のためのICチップタイプの遠隔制御部520と、前記マスター部400との超近接遠隔送受信のための送受信部530と、エネルギーそれ自体の生成のためのエネルギーハーベスティング部540と、カツラの外部の光の明るさを検出するための光検出部550と、を備える。
【0042】
前記遠隔制御部520の集積回路(IC:integrated ciruit)は、相補性金属酸化膜半導体(complemntary-metal-oxide semiconductor;CMOS)を用いてミクロン単位に構成された集積回路であってもよく、ICチップの面積は1mm×1mmであり、厚さは0.5mmであることが好ましい。
【0043】
一方、本発明のカツラのベース板100に構成された電源無線供給部450の無線電気コイルにおいて共振現象により発生されたパワーは、前記遠隔スレーブ500の無線電気アンテナ510において受信され、遠隔制御部520の制御により受信されたパワーを透明マイクロLEDディスプレイスキン300の駆動に用いることになる。
【0044】
ここで、前記ハーベスティング部480、540は、周りのエネルギーを採取する手段であって、別途のバッテリーの電源を供給されなくても電力を生成して内部の各部に供給し、光電素子、熱電素子、圧電素子、無線電気変換素子のうちのいずれか一種またはそれらの組み合わせで構成されることが好ましく、前記光検出部490、550は、カツラに印加される外部の光量を感知した後、前記主制御部470と遠隔制御部520にそれぞれ印加し、前記主制御部470と遠隔制御部520は、印加された光量に基づいて、透明マイクロLEDディスプレイスキン300のディスプレイの輝度(明るさ)を制御することができる。
【0045】
また、
図7に示すように、且つ、上述したように、前記マスター部400と近距離無線通信部460との間の近距離無線通信方式を用いて、前記マスター部400または遠隔スレーブ500の主制御部470または遠隔制御部520を制御可能なAPPを備えるスマートフォン600をさらに備えてなる。
【0046】
前記マスター部400とスマートフォン600との間の無線送受信方式は、LEDから発せられる光の波長を用いて高速の通信速度を実現するライファイ(Li-Fi)技術を用いた方式であってもよく、特に、本発明のマイクロLED技術を適用すれば、部品の小型化と軽量化が図れるという効果が高まる。
【0047】
すなわち、本発明のスマートフォン600を介して、
図7に示すように、自分好みにカスタマイズ可能なカツラとスマートフォン600との間の近距離遠隔制御を行うことにより、デザイン及び色の変化を制御することが可能になり、前記マスター部400がブルーテゥース通信、ワイファイ(Wi-Fi(登録商標))通信、近距離無線通信(NFC)、赤外線(IR)通信、ライファイ(Li-Fi)通信などといった近距離無線通信方式を用いてスマートフォン600と無線にて接続することができ、前記スマートフォン600にインストールされているAPPをユーザーが選択的に制御するとき、その制御指令に従って透明マイクロLEDディスプレイスキン300に様々な色を表現することができる。
【0048】
さらに、本発明のマスター部400と遠隔スレーブ500を制御する前記スマートフォン600のAPPを用いて透明マイクロLEDディスプレイスキン300を作動させるに当たって、前記マスター部400に最初の制御指令を引き渡す場合、マスター部400が透明マイクロLEDディスプレイスキン300を作動させるが、前記マスター部400と特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300との距離が遠い場合には、その制御指令を前記遠隔スレーブ500に引き渡し、前記遠隔スレーブ500が当該透明マイクロLEDディスプレイスキン300を作動させることになる。
【0049】
すなわち、最初にスマートフォン600を用いて特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300を作動させるとき、前記特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300との距離が近いマスター部400または遠隔スレーブ500が特定の透明マイクロLEDディスプレイスキン300を作動させることになって、速やかに且つ正確に制御可能であるというメリットを有する。
【0050】
本発明の自分好みにカスタマイズ可能なマイクロLEDカツラによれば、最近用いられるカツラの本然の目的をそのまま保つとともに、自己表現の飾りや催し、祭り、パーティ、イベントなど自分の現在の状況に合わせて全体的にもしくは部分的に様々な色及びキラキラを手軽に変形することができて現場の状況に即座で対応することができて、使用者の興味と満足感をそそることができ、しかも、低電力・充電可能なバッテリーを用いて自体的に電力を供給することにより、長時間にわたって使用可能であるという効果を奏する有用な発明である。
【符号の説明】
【0051】
100 ベース板
110 嵌入部溝
120 モーター
200 毛髪部
210 嵌入部
300 透明マイクロLEDディスプレイスキン
310 透明可撓性基板
320 半導体デバイス層
330 マイクロLED画素
331 正電極層
332 透明導電層
333 透明p-電極層
334 p-GaN層
335 活性層
336 n-Gan層
337 透明n-電極層
338 透明性絶縁層
400 マスター部
410 電源スイッチ
420 充電ポート
430 電源部
440 バッテリー
450 電源無線供給部
460 近距離無線通信部
470 主制御部
480 ハーベスティング部
490 光検出部
500 遠隔スレーブ
510 無線電機アンテナ
520 遠隔制御部
530 送受信部
540 ハーベスティング部
550 光検出部
600 スマートフォン
【国際調査報告】