(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】半導体部品および半導体部品を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/266 20060101AFI20220706BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20220706BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220706BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20220706BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20220706BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
H01L21/265 M
H01L21/265 F
H01L29/78 658A
H01L29/78 652G
H01L29/78 652Q
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/06 301F
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564508
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020063556
(87)【国際公開番号】W WO2020229639
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019112985.0
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518351230
【氏名又は名称】エムアイツー‐ファクトリー ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】カサト,コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】クリッペンドルフ,フロリアン
(57)【要約】
【課題】高品質の高出力半導体部品をより少ない労力でより低コストで工業的に製造する。
【解決手段】垂直構造を有する半導体部品(4)の製造方法は、4μmから300μmの厚さの半導体材料の基板(12)を提供する工程を含む。次に、半導体部品(4)のドープされたドリフトゾーン(21)が、エネルギーフィルタ(20)を使用して基板(12)にイオン注入することによって生成される。エネルギーフィルタ(20)は、注入によって基板(12)に生成されたドーパント深さプロファイルおよび/または欠陥深さプロファイルを設定するための事前定義された構造プロファイルを有する微細構造膜であり、前記ドープドリフトゾーン(21)が生成されるときに前記ドープドリフトゾーン(21)の全体がドープされる。ドリフトゾーン(21)の生成は、エピタクチック堆積なしに完全に実行される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4μmから300μmの厚さの半導体材料の基板(12)を提供する工程と、
エネルギーフィルタ(20)を用いて前記基板(12)にイオン注入することにより、半導体部品(4)のドープドリフトゾーン(21)を生成する工程であって、前記エネルギフィルタ(20)は、注入によって基板(12)内に生成されたドーパント深さプロファイルおよび/または欠陥深度プロファイルを設定するための事前定義された構造プロファイルを有する微細構造膜であり、前記ドリフトゾーン(21)が生成されるときに前記ドリフトゾーン(21)の全体がドープされることを特徴とする工程と、
を含む方法であって、
前記ドリフトゾーン(21)の生成は、エピタクチック堆積なしに完全に実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基板(12)の前記半導体材料は、炭化シリコンであり、厚さが4μmから30μmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板(12)の前記半導体材料は、前記ドリフトゾーン(21)生成前にドープされていないか、または弱くnドープされていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板(12)の厚さが、4μmから25μm、好ましくは4μmから20μm、より好ましくは4μmから15μm、より好ましくは6μmから14μm、より好ましくは7μmから13μmであることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ドリフトゾーン(21)が前記基板(12)の高さの40から100%を超えて、好ましくは50から98%を超えて、より好ましくは60から95%を超えて延びることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ドリフトゾーン(21)は、前記イオン注入後にnドープされることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ドープされたドリフトゾーン(21)の製造は、前記基板(12)の片側からのイオン注入によって実行されることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ドープされたドリフトゾーン(21)の製造は、前記基板(12)の両側からのイオン注入によって実行されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板(12)が前記注入間で180°回転されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板(12)の両側からの前記2つのイオン注入によって製造された第1および第2のドーパントプロファイルの各々は、濃度プラトー(P1,P2)からなり、一方の濃度プラトー(P1)は、前記基板(12)の第1のエッジ領域から中央領域に向かって延在し、他方の濃度プラトー(P2)は、前記基板(12)の前記第1のエッジ領域の反対側の第2のエッジ領域から前記中央領域に向かって延在しており、前記第1および第2のドーパントプロファイルの各々は、前記基板(12)の前記中央領域内の下降するドーピングフランク(S1,S2)ならなることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記濃度プラトー(P1,P2)の少なくとも一方、好ましくは前記第2のエッジ領域に割り当てられた濃度プラトー(P2)が、前記基板(12)の関連付けられたエッジ領域から前記基板(12)の中央領域に向けて下降していることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記2つのドーピングフランク(S1,S2)が前記基板(12)の中央領域において交差し、前記2つのドーパントプロファイルが前記中央領域で重なることを特徴とする請求項8から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ドープされたドリフトゾーン(21)を製造することは、ドーピング物質として窒素、リン、または水素のイオンを用いて実行されることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ドープされたフィールドストップ層(18)が、エネルギーフィルタ(20)を使用するイオン注入によって前記基板(12)のエッジ領域に生成されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記フィールドストップ層(18)は、イオン注入後にnドープされ、前記フィールドストップ層(18)のドーピングは、前記ドリフトゾーン(21)のドーピングよりも強いことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フィールドストップ層(18)の厚さは、0.5μmから150μm、好ましくは0.8μmから5μmであることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィールドストップ層(18)を生成するための前記イオン注入が、前記フィールドストップ層(18)が形成される前記基板(12)の側面から実行されることを特徴とする、請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
エネルギーフィルタ(20)を用いたイオン注入を使いることにより、異なるドーピング領域を有する表層機能ゾーン(24)が生成されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記表層機能ゾーン(24)が、前記フィールドストップ層(18)の反対側の前記基板(12)のエッジ領域にあることを特徴とする、請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記表層機能ゾーン(24)の領域の注入が、前記表層機能層(24)が形成される前記基板(12)の側面から実行されることを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記表層機能ゾーン(24)の厚さは、0.5μmから6μm、好ましくは0.8μmから5μmであることを特徴とする請求項18から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
さらに、pドープ領域またはピラー(16)が、エネルギーフィルタ(20)を使用するイオン注入によって前記ドリフトゾーン(21)の領域に生成されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記基板(12)の所定の領域が、少なくとも前記表層機能ゾーン(24)および/またはpドープされた領域またはピラー(16)のイオン注入中にマスクされることを特徴とする、請求項18から21または請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記基板(12)の提供は、前記半導体材料の棒状の出発結晶(2)を薄いプレートに分割することによって実行されることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
4μmから300μm、好ましくは4μmから30μmの厚さを有する半導体材料の基板(12)を含む半導体部品(4)であって、前記基板(12)の前記ドーパントプロファイルは、前記基板(12)の中央領域のくぼみまたは隆起を含むことを特徴とする半導体部品(4)。
【請求項26】
前記基板(12)のドーパントプロファイルは、前記基板(12)の前記第1のエッジ領域から前記中間領域まで実質的に一定であることを特徴とする請求項25に記載の半導体部品(4)。
【請求項27】
前記基板(12)のドーパントプロファイルは、前記基板(12)の前記第1のエッジ領域の反対側に位置する前記第2のエッジ領域から前記中間領域まで実質的に一定であることを特徴とする請求項26に記載の半導体部品(4)。
【請求項28】
前記隆起又はくぼみは、前記基板(12)に形成される前記ドリフトゾーン(21)の中央領域に配置されていることを特徴とする請求項25から27のいずれか1項に記載の半導体部品(4)。
【請求項29】
前記基板(12)のドーパントプロファイルは、基板(12)の前記第1のエッジ領域の反対側に配置される第2のエッジ領域から前記中央領域に下降することを特徴とする請求項26に記載の半導体部品(4)。
【請求項30】
前記半導体部品(4)が炭化シリコンであることを特徴とする請求項25から29のいずれか1項に記載の半導体部品(4)。
【請求項31】
前記半導体部品(4)の所定の領域では、ドープされていない領域(14)は、ドープされた領域の隣、特にドリフトゾーン(21)のドープされた領域の隣に配置されることを特徴とする請求項25から30のいずれか1項に記載の半導体部品(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品の製造方法および半導体部品に関する。
【0002】
公称ブロッキング電圧が600Vを超えるディスクリート高ブロッキングパワー半導体部品は、通常、シリコンとSiCの両方で垂直に構築される。MPS(マージドピンショットキー)ダイオード、ショットキーダイオード、またはp-nダイオードなどのダイオードの場合、これは、カソードが基板の前面に配置され、アノードが背面に配置されることを意味する。垂直パワーMOS(金属酸化物半導体)コンポーネントの場合にも同様の配置が使用される。ゲート電極とソース電極は基板の前面にあり、ドレイン電極は背面にある。従来のパワーMOSFETの場合、トランジスタ素子自体またはチャネル領域は、表面に平行(D-MOS)または表面に垂直(トレンチMOS)に配置できる。トレンチトランジスタなどのSiC-MOSFET用に特別なレイアウトが確立されている。
【0003】
ドリフトゾーン(=アクティブゾーン、電圧吸収層)の幅は、必要なブロッキング容量(逆ブロッキング電圧)の関数として設定される。たとえば、シリコンの600VMOSFETコンポーネントのドリフトゾーンの幅は約50μmになる。
【0004】
いわゆるスーパージャンクション部品の場合、「単純な」垂直MOSFETと比較して、電圧吸収層の幅をいくらか小さくすることができる。このタイプの垂直コンポーネントの特別な機能は、ドリフトゾーンが垂直のpドープピラーとnドープピラーの交互の配置によって特徴付けられることある。ブロッキングが発生すると、追加で導入されたpドーピングにより、nドープ領域の電荷の増加が補償される。これにより、電源投入状態で、ソース電極とドレイン電極間の抵抗が決まる。このように、同じブロッキング容量の場合、パワーオン抵抗は、従来の垂直MOSトランジスタのパワーオン抵抗と比較して最大10分の1に減らすことができる。実際のトランジスタ要素またはチャネル面積は、スーパージャンクションMOSFETアーキテクチャの場合、表面に平行(D-MOS)または表面に垂直(トレンチMOS)にすることができる。
【0005】
垂直パワー半導体部品の場合、炭化ケイ素の特殊な材料特性では、特定の製造方法を提供し、チャネルおよびトランジスタ領域に特殊なアーキテクチャを使用する必要がある。
【0006】
従来技術によれば、多くの垂直パワーダイオードおよびすべてのパワートランジスタ(MOSFET)のアクティブゾーンは、エピタクチック、すなわち単結晶層で形成されている。これらのエピタクチック層は、結晶性キャリアウェハ上に堆積される。したがって、アクティブゾーンでのドーピングは、問題のブロッキング電圧と調整することができ、高濃度にドープされたキャリアウェハは、パワーオン抵抗への寄与が最小になるように、そのドーピングに関して最適化することができる。
【0007】
特に炭化ケイ素基板の場合、上記の層構造の製造は複雑で高価である。なぜなら、第一に、構成要素において能動的機能を持たないキャリアウェハは非常に高価であるからである。そして第二に、エピタクチック層の堆積は非常にコストがかかる。
【0008】
本発明は、高品質の高出力半導体部品をより少ない労力でより低コストで工業的に製造することができる半導体部品の製造方法を提供するという目的に基づいている。
【0009】
垂直構造を有する半導体部品を製造するための本発明による方法は、以下のステップを含む。
-4μmから300μmの厚さの半導体材料の基板を提供する。
-エネルギーフィルタを使用して基板にイオン注入することにより、半導体部品のドープされたドリフトゾーンを生成する。エネルギーフィルタは、ドーパントの深さプロファイルを設定するための事前定義された構造プロファイルを備えた微細構造膜である。注入によって基板に生成された欠陥深さプロファイル、ドリフトゾーンの生成中にドリフトゾーン全体がドープされる。ドリフトゾーンの生成は、エピタクティック堆積なしで完全に実行される。
【0010】
半導体部品の製造において、上記のステップを使用してドリフトゾーンを取得すると、製造コストが大幅に削減される。
【0011】
上記の方法における基板の半導体材料は、炭化シリコンであることが特に好ましい。この場合、基板の厚さは4μmから30μmである。ここでは、従来の製造方法と比較した節約が特に顕著である。
【0012】
ドリフトゾーンを生成する前に、基板の半導体材料をドープしないか、または弱くnドープすることが好ましい。
【0013】
基板の厚さは、好ましくは4から25μmの間、より好ましくは4から20μmの間、より好ましくは4から15μmの間、より好ましくは6から14μmの間、より好ましくは7から13μmの間である。基板の厚さのこれらの範囲では、業界で現在利用可能な加速器によるイオン注入によって、炭化シリコンのドリフトゾーンの完全なドーピングを達成することが可能である。
【0014】
ドリフトゾーンは、好ましくは、基板の高さの40から100%を超えて、より好ましくは50から98%を超えて、より好ましくは60から95%を超えて延びる。原則として、パーセンテージは示されている範囲より高い範囲にある傾向がある。
【0015】
好ましい実施形態では、ドリフトゾーンは、イオン注入後にnドープされる。
【0016】
イオン注入によるドープされたドリフトゾーンの生成は、基板の片側から達成されることが好ましい。あるいは、特に10μmを超える炭化ケイ素基板の厚さの場合、ドープされたドリフトゾーンは、基板の両側からのイオン注入によって達成することができる。次に、両側からの2つの注入により、互いに補完して最終的なドーパントプロファイルが生成される。
【0017】
ドープされたドリフトゾーンの生成は、ドーパントとして窒素、リン、および水素(最後に述べたのはシリコン結晶についてのみ)から選択されたイオンを使用して実行されることが特に好ましい。イオン注入によるドリフトゾーンのドーピングに加えて、ドープされたフィールドストップ層が、エネルギーフィルタを使用するイオン注入によって基板の一方の端に生成されることが好ましい。これにより、製造プロセスがさらに簡素化され、全体的なコストが削減される。
【0018】
フィールドストップ層は、イオン注入後にnドープされることが通常望ましい。ここで、フィールドストップ層のドーピングは、ドリフトゾーンのドーピングよりも強く、好ましくは、ドリフトゾーンのドーピングよりも少なくとも2倍強い。
【0019】
フィールドストップ層の厚さは、好ましくは0.6μmから150μmの間であり、より好ましくは0.8μmから5μmの間である。
【0020】
好ましい実施形態では、フィールドストップ層を生成するためのイオン注入は、フィールドストップ層が形成される基板の側から実行される。これにより、製造プロセスが簡素化され、低エネルギーのイオンビームを使用できる。
【0021】
イオン注入によるドリフトゾーンのドーピングに加えて、エネルギーフィルタを用いたイオン注入を使用することによって、異なるドーピングの領域を有する表層機能ゾーンも生成されることが好ましい。その結果、半導体部品の製造がさらに簡素化される。
【0022】
表層機能ゾーンは、好ましくは、フィールドストップ層の反対側にある基板の端に位置する。このようにして、垂直構造の半導体部品が形成される。表層機能ゾーンの注入は、好ましくは、表層機能ゾーンが形成される基板の側から実行される。これにより、方法がさらに簡素化され、より低いエネルギーのイオンビームで作業を行うことができる。
【0023】
表層機能ゾーンの厚さは、好ましくは0.5μmから6μmの間、より好ましくは0.8μmから5μmの間である。
【0024】
超接合成分を形成するために、エネルギーフィルターを使用するイオン注入によってドリフトゾーンの領域にもpドープピラーを製造することが好ましい。pドープピラーは、ドリフトゾーンのnドープ領域の電荷を補償するのに役立つ。
【0025】
表層機能ゾーンおよび/またはpドープピラーの形成のために、基板の所定の領域は、好ましくはマスクされる。
【0026】
基板を提供するステップは、好ましくは、半導体材料の棒状の出発結晶を薄いプレートに分割することによって実行される。次に、これらの薄いプレートのそれぞれが薄い基板を形成し、これはイオン注入によるさらなる処理にかけられる。
【0027】
また、本発明によれば、厚さが4μmから300μm、好ましくは4μmから30μmの半導体材料の基板を備えた半導体部品であり、基板のドーパントプロファイルは、基板の中央領域のくぼみまたは隆起を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の追加の利点および特徴は、図面を参照する以下の説明から導き出すことができる。
図1は、本発明で使用することができる、出発結晶の薄い基板プレートへの分割の概略図である。
【0029】
図2は、ドリフトゾーンのイオン注入前の基板のドーパントプロファイルを示している。
【0030】
図3は、エネルギーフィルタを使用した基板へのイオン注入の主な効果の概略図である。
【0031】
図4は、本発明による方法で使用することができるエネルギーフィルタが機能する方法の概略図である。
【0032】
図5は、異なる構造を有するエネルギーフィルタによって生成することができる様々なドーパントプロファイルの概略図である。
【0033】
図6は、ドリフトゾーンのドーピングの過程と、結果として得られた基板の結果として生じるドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0034】
図7は、ドリフトゾーンのドーピングの過程と、結果として得られた基板内の代替ドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0035】
図8aは、ドリフトゾーンのドーピングの代替コースおよび結果として生じる代替ドーパントプロファイルを概略的に示しており、注入は基板の2つの側面から実行される。
【0036】
図8bは、
図8aと同様に、両側からの注入のための基板の凝集ドーパントプロファイルを示している。
【0037】
図9は、ドリフトゾーンのドーピングの代替コースおよび結果として生じる基板の代替ドーパントプロファイルを概略的に示しており、注入は基板の2つの側面から実行される。
【0038】
図10は、基板の所定の領域のマスキングを使用したドリフトゾーンのドーピングの過程と、結果として生じる基板の代替ドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0039】
図11は、マスクされた領域を使用した、基板の2つの側面からのイオン注入の過程を概略的に示している。
【0040】
図12は、電界停止層を形成するためのイオン注入の過程と、結果として生じる基板のドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0041】
図13は、関連するドーパントプロファイルを含む、本発明による方法によって製造された半導体部品の第1の実施形態の概略断面図を示す。
【0042】
図14は、本発明による方法によって製造された半導体部品の第2の実施形態の概略断面図を示す。
【0043】
図15は、本発明による方法によって製造された半導体素子の第3の実施形態の概略断面図、ならびに互いに垂直な方向の2つの関連するドーパントプロファイルを示している。
【0044】
半導体素子を製造するための本発明による方法は、半導体材料の基板12を提供するステップから始まる。基板12の材料は、好ましくは炭化ケイ素(SiC)である。シリコン、アルセニドガリウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、窒化ガリウムなどの他の半導体材料も検討できる。基板12は、好ましくはウェーハとして構成される。基板12は、最初にドープされていないか、または非常に弱くnドープされており、例えば、ドーパント濃度が5×1013cm-3未満である。
【0045】
基板12は4μmから300μmの厚さを有する。しかしながら、原則として、本発明による方法における基板12は非常に薄い。ほとんどの場合、基板12は、4から30μmの間、好ましくは4から25μmの間、より好ましくは4から20μmの間、より好ましくは4から15μmの間、より好ましくは6から14μmの間、より好ましくは7から13μmの間の厚さを有する。
【0046】
そのような基板12を得る例を
図1に示す。ドープされていない、または、弱くnドープされた出発結晶2(例えば、ウェハロッド)が薄いプレートに分割され、その結果、基板12(薄いウェハ)が形成される。分割された基板12は、必要に応じて、基板12の破壊を回避するために、キャリアウェハまたは同様の構造によって製造プロセス中に一時的に機械的に、すなわち可逆的に支持され得る。
【0047】
個々の基板12の厚さは、好ましくは、以下でさらに説明するように、アクティブドリフトゾーンとフィールドストップ層および表層機能ゾーンとの組み合わせの以前に決定された幅に対応する。したがって、基板12の全体の厚さは、製造される半導体のタイプによってのみ、とりわけその電圧クラスによって決定される。電圧クラスが高いほど、基板12は厚くなる。300μmの上限は、イオン注入(シリコンの陽子ビーム)で合理的に使用できる範囲から生じる。炭化ケイ素においては、現在業界で入手可能な加速器の最大厚さは30μmです。したがって、これも妥当な上限です。これは、非常に高いイオンビームエネルギーに起因する母材の放射性活性化を回避する必要があるためである。
【0048】
弱くnドープされた基板12のドーパントプロファイルを
図2に示す。ドーパントプロファイルは断面A-A’に沿って示されている。cはドーパント濃度を表す。
【0049】
基板12が提供された後、ドープされたドリフトゾーン(アクティブゾーンまたは電圧吸収ゾーンとも呼ばれる)が、イオン注入によって基板内に生成される。対応する基本的なレイアウトを
図3に示す。基板12へのイオン注入について
図3に示すレイアウトは、通常は高真空が存在する照射チャンバー8を示す。照射チャンバー8において、ドープされる基板12は、基板ホルダー30に取り付けられる。
【0050】
イオンビーム10は、粒子加速器(図示せず)によって生成され、照射チャンバー8に伝導される。そこで、イオンビーム10のエネルギーは、エネルギーフィルタ20によって拡散され、照射される基板12に衝突する。あるいは、エネルギーフィルタ20は、弁によって密閉することができ、照射チャンバー8の内部に配置されるか、または照射チャンバー8に直接隣接して配置される別個の真空チャンバー内に配置することができる。
【0051】
基板ホルダー30は静止している必要はない。基板ホルダー30は、その代わりに、オプションとして、基板12をxy方向(ページの平面に垂直な平面内)にシフトするための装置を備えることができる。注入される基板12が取り付けられ、注入プロセス中に回転するウェハホイールもまた、基板ホルダー30と見なすことができる。ビーム方向(z方向)における基板ホルダー30の線形変位も可能である。基板ホルダー30はまた、オプションとして、ヒーターまたはクーラーを備えることができる。
【0052】
エネルギーフィルタ20の基本原理を
図4に示す。ビームが微細構造膜として構成されたエネルギーフィルタ20を通過するとき、単一エネルギーイオンビーム10のエネルギーは、それが存在する点の関数として変更されるエネルギーフィルタに入る。結果として生じるイオンビーム10のイオンのエネルギー分布は、基板12のマトリックスに埋め込まれた物質の深さプロファイルの変更をもたらす。E1は、第1のイオンのエネルギーを示し、E2は、第2のイオンのエネルギーを示す。cはドーパント濃度を示し、dは基板12の深さを示す。図の右側では、従来のガウス分布は参照記号Aで識別される。これは、エネルギーフィルタ20を使用せずに得られるものです。対照的に、エネルギーフィルタ20を使用して得ることができる長方形の分布は、例として、参照記号Bによって示されている。
【0053】
図5に示されるエネルギーフィルタ20のレイアウトまたは3次元構造は、エネルギーフィルタ20によって複数のドーパント深さプロファイルまたは欠陥深さプロファイルを生成する基本的な可能性を示している。cは再びドーパント濃度を示し、dは再び基板12の深さ示す。フィルタ構造プロファイルは、原則として、互いに組み合わせて、新しいフィルタ構造プロファイル、したがって新しいドーパント深さプロファイルまたは欠陥深さプロファイルを取得することができる。
【0054】
このタイプのエネルギーフィルタ20は、通常、シリコン製である。それらは、3μmから200μmの間、好ましくは5μmから50μmの間、特に好ましくは7μmから20μmの間の厚さを有し、フィルターフレーム(図示せず)に取り付けることができる。フィルタフレームは、簡単に交換できるようにフィルタホルダー(図示せず)に取り付けることができる。
【0055】
nドープドリフトゾーン21の好ましい形成には、窒素、リン、または水素のイオン(最後に述べたのはシリコン結晶のみ)の注入が特に適切である。
【0056】
図6に示されるようなドリフトゾーン21をドープする方法ステップの例示的な実施形態の場合、基板12へのイオン注入は、片側のみから実行される。この場合、それは基板12の正面から実行される。短い、黒い実線の矢印は、エネルギーフィルタ20を透過する最小のエネルギーのイオンを示し、長い、黒い実線の矢印は、エネルギーフィルタ20を透過した最大エネルギーのイオンを示す。セクションA-A’に沿って得られたドーパントプロファイルは、座標系の右側に示されている。ここで、cは、再び、ドーパント濃度を表す。ドーパントプロファイルは、基板12全体にわたってほぼ均一である。基板12へのイオン注入は、基板12の背面から実行することもできる。この例示的な実施形態では、他のすべての例示的なものと同様に、基板12である。実施形態は、それ自体がドリフトゾーン21として形成される。エピタキシャル堆積はない。
【0057】
図7に示されるドリフトゾーン21をドープする方法ステップの実施形態は、
図6による例示的な実施形態と同様であり、唯一の違いは、基板12の背面に向かって上昇する形状を有するドーパントプロファイルの形態のみである。
【0058】
図8aに示されるドリフトゾーン21をドープする方法ステップの例示的な実施形態は、ここでは基板12が前面および背面からの2つの反対側からドープされることを除いて、
図6による例示的な実施形態と同様である。ドーパントプロファイルは、適切に構成されたエネルギーフィルタ20によって基板12の前面および背面から実現され、各ドーパントプロファイルは、濃度プラトーP1、P2およびドーピングフランクS1、S2によって特徴付けられる。結果として、重なり合うドーパントプロファイルが通常形成され、したがって、基板12のドープ可能な厚さを増加させることができる。
図8a、S1、S2に示されている直線的な上昇と下降に加えて、S2は任意の湾曲した形状で形成することもできる。プラトーP1およびP2はまた、上昇または下降形状、または任意の所望の湾曲形状を提供することができる。
【0059】
たとえば、今日の業界で利用可能な加速器を使用した炭化シリコンへの窒素注入の範囲は非常に限られている。利用可能な加速器を用いて、1つは前面から、もう1つは背面から実行される、2つの注入の組み合わせによって、最大20μm、場合によっては最大30μmのドープ基板の厚さを実現できる。これにより、製造される半導体部品の絶縁耐力が増加する。
【0060】
通常、両側からの注入は連続して行われる。この場合、基板12は、通常、注入間で180°回転されるので、同じイオンビーム方法で作業を実行することができる。注入は、2つの異なるイオンビーム方法を用いて2つの側面から実行され得ることも考えられる。したがって、両側からの同時注入も考えられる。
【0061】
図8bは、例として、
図8aに示したものと同様の注入用の基板の総ドーパントプロファイルを示している。ドリフトゾーン21の凝集ドーパントプロファイルは、基板12の中央領域のくぼみを含む。ここで隆起を有することも可能である。ドリフトゾーン21のドーパントプロファイルは、基板12の第1のエッジ領域(左側)から中央領域まで実質的に一定である。ドリフトゾーン21のドーパントプロファイルもまた、基板12の第2のエッジ領域(右側)、第1のエッジ領域の反対側から中央領域まで実質的に一定である。
【0062】
基板12のドーピングを使用して、ドリフトゾーン21を生成するだけでなく、半導体素子4の他の領域を生成することも可能である。その場合、図に示すように、ドーパントプロファイルが第1のエッジ領域の反対側である基板12の第2のエッジ領域から中央領域に向かって破線に示すように落下することは、両側からの注入の場合にも効果的である可能性がある。結果として、より高濃度にドープされたフィールドストップ層を、例えば、第2のエッジ領域に形成することができる。
【0063】
これらの実施形態のすべてにおいて、中央領域は、通常、基板12の厚さの20%から80%の間、好ましくは30%から70%の間、より好ましくは40%から60%の間の範囲内に位置する。
【0064】
別の有利な実施形態を
図9に示す。該実施形態は、その本質的な部分において、
図8aおよび8bによる実施形態に対応する。ドーパントプロファイルは、基板12の前面および背面からの注入を伴う適切に構成されたエネルギーフィルタ20によって再び実現され、各ドーパントプロファイルは、濃度プラトーP1、P2およびドーパント側面S1、S2によって特徴付けられる。この実施形態の利点は、基板12の厚さの変動が、結果として生じる骨材ドーパント濃度のわずかな変動のみをもたらし、したがって、ドリフトゾーン21の中央領域における上昇または下降が、以下のように効果的に回避されることである。S1とS2の形状が平坦であるほど、結果として生じるドーパント濃度の変動は小さくなる。
図9に示す線形の立ち上がりと立ち下がりに加えて、S1、S2も任意の曲線形状で構成できる。プラトーP1およびP2は、再び、上昇または下降、または任意の所望の湾曲した形状で構成することができる。
【0065】
特定のコンポーネントを製造する場合、以下に
図14および15を参照して説明するように、エネルギーフィルタをかけた注入はマスクを使用して実行する必要があり、マスクをしてエネルギーフィルタをかけた注入を複数回実行する必要がある場合がある。
図10に示されるように、マスク26が基板12の前面に配置される。これは、マスク26によって覆われる基板12の領域がドープされないという目的を達成する。マスク26は、基板12に恒久的に接続されている必要はないが、代わりに、基板12から所定の距離離れて配置されたスクリーンマスク(図示せず)によって実現することができる。
【0066】
図10に示されるように、ドリフトゾーン21のドーピングにもかかわらず、このように、ドープされていない領域14が基板12に留まることが可能である。
【0067】
マスク26はまた、基板12の反対側に提供され得、そしておそらく同時に使用され得る。この例を
図11に示す。ここでは、
図15による半導体部品4の製造に必要なように、pドープピラー16がnドープドリフトゾーン21に形成されている。上部は、例えば、アルミニウムイオンをpドーピングするためのイオンビームであり、一方、下部のイオンビーム10は、例えば、窒素原子をドープするためのイオンビームである。
【0068】
基板12の背面に
図12に示されるフィールドストップ層18のドーピングは、ドリフトゾーン21のドーピングの形成の前、同時、または後に実行される。フィールドストップ層のドーピングは、好ましくは、基板12の背面から実行されるが、埋め込みプロセスが適切に構成されている場合、埋め込みは、前面から実行されてもよい。
【0069】
フィールドストップ層18は、好ましくは、nドープされている。したがって、特に窒素イオンまたはリンイオンは、フィールドストップ層18の形成に適している。フィールドストップ層18のドーピングは、ドリフトゾーン21のドーピングよりも強力である。フィールドストップ層18のドーピングは、好ましくは、ドリフトゾーン21のドーピングの2倍以上の強度である。フィールドストップ層18の厚さは、0.5μmから6μmの間、好ましくは0.8μmから5μmの間である。フィールドストップ層18の形成にエピタキシャルプロセスは必要ない。
【0070】
表層機能ゾーン24はまた、基板12におけるドリフトゾーン21のドーピングの形成の前、同時、または後に、またフィールドストップ層18の形成の前、同時、または後に、基板12の前面に形成することができる。これは、エネルギーフィルタ20を使用するイオン注入によって基板12の前面の異なる領域をドープすることによって達成することができるが、他の技術も考えられる。
【0071】
表層機能ゾーン24の一部またはすべての領域が注入によってドープされる場合、表層機能ゾーン24のこれらの領域のドーピングは、好ましくは、基板12の前面から達成されるが、注入プロセスおよびエネルギーフィルタ20が適切に構成されている場合、該ドーピングは、後部からも行われてもよい。
【0072】
表層機能ゾーン24の厚さは、0.5μmから6μmの間であり、好ましくは、0.8μmから5μmの間である。表層機能ゾーン24は、多種多様な方法で構成することができる。
【0073】
本発明の一部を形成すると記載されているすべての注入は、ドーピング原子が電気的に活性化され得るように、アニーリングプロセスで修復されなければならない。
【0074】
最後に、チャネル領域、p-n遷移、端子のメタライゼーションなどを前面に適用できる。基板12の背面には、ドレイン端子メタライゼーションおよび、場合によっては、n++端子領域を配置することができる。
【0075】
本発明による方法により製造された垂直構造を有する半導体部品4の例を
図13に示す。
【0076】
特にダイオード(ショットキーダイオード、MPSダイオード、およびpnダイオード)および表層機能ゾーン24(IGBT、MOSトランジスタ、チャネル領域、pn遷移、ショットキーダイオード)、ドリフトゾーン21、およびフィールドストップ層18は、キャリアウェハなしで、本発明により製造することができる。
【0077】
この構造は、その垂直方向の寸法に関して、ドリフトゾーン21の必要な幅+フィールドストップ層18の幅+機能的表面ゾーン24の幅に正確に対応することを特徴とする。特に注目すべきは、この構造は、完全に垂直な高電圧電力部品を形成するために、チップまたは基板12の考えられる最小の厚さを達成する。
【0078】
図13の場合、例としてMOSFETが示されている。Sはソース端子、Gはゲート端子、Dはドレイン端子を表す。表層機能ゾーン24は、MOSチャネル領域31、ゲート電極32、pボディ33、およびソース端子領域34からなる。
【0079】
垂直構造を有する本発明による方法によって製造された半導体部品4の別の例が
図14に示されている。同じ参照記号が、
図13に示されているものと同じ要素を示すために使用される。
【0080】
実際の高電圧成分は、アクティブ領域40およびエッジ領域41からなる。完全に絶縁されていない基板12の切断されたエッジのために、基板12のエッジのドレイン電位も常に表面に存在する。エッジ領域41のタスクは、定義された信頼できる方法で、表面のソースとドレインとの間の電圧を横方向に減少させることである。具体的には、これは、等電位線44が、定義された曲率で表面に導かれなければならないことを意味する。ここで重要な点は、等電位線44の曲率が許容電界強度を超えてはならないということである。したがって、エッジ領域でのドーピングを最小限に抑えることが有利である。
【0081】
図14に示される構造の場合、エッジ領域41は、ドープされていないか、または活性領域40よりも弱くドープされているか、または一般的に言えば、エッジ領域41のドーパントプロファイルは、活性領域40のドーパントプロファイルとは異なる。したがって、活性領域40とエッジ領域41との間の遷移には、ドーピング勾配によって特徴付けられる遷移領域43が存在する。フィールドストップ層18は、アクティブエリア40にのみ配置され、遷移エリア43で終了することができ、またはそれは、エッジエリア41内に部分的に延在することができ、またはエッジエリア41上に完全に延在することができる。
【0082】
図14に示されるエッジ領域41(フィールドプレートエッジ)の構造は、例えば、pリングなどの他の考えられる既知のエッジ構造の一例にすぎない。
【0083】
本発明による方法によって製造された垂直構造を有する半導体部品4の別の例が
図15に示されている。
図13のものと同じ参照記号は、同一の要素を示す。
【0084】
示されている構造はスーパージャンクションMOSFETであり、
図13のMOSFETと同じ構造を持っているが、pドープピラー16または導入された領域も含む。電圧吸収層。右側には、垂直および横方向のドーパントプロファイルが示されている。横方向のドーパントプロファイルのドナー濃度は上方向にプロットされ、アクセプター濃度は下方向にプロットされる。参照符号45は、正味のドーピングがゼロに近い遷移ゾーンを示している。
【0085】
垂直構造を有する他の多くの半導体部品4は、本発明による方法によって製造することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品の製造方法および半導体部品に関する。
【背景技術】
【0002】
公称ブロッキング電圧が600Vを超えるディスクリート高ブロッキングパワー半導体部品は、通常、シリコンとSiCの両方で垂直に構築される。 MPS(マージドピンショットキー)ダイオード、ショットキーダイオード、またはp-nダイオードなどのダイオードの場合、これは、カソードが基板の前面に配置され、アノードが背面に配置されることを意味する。 垂直パワーMOS(金属酸化物半導体)コンポーネントの場合にも同様の配置が使用される。 ゲート電極とソース電極は基板の前面にあり、ドレイン電極は背面にある。 従来のパワーMOSFETの場合、トランジスタ素子自体またはチャネル領域は、表面に平行(D-MOS)または表面に垂直(トレンチMOS)に配置できる。 トレンチトランジスタなどのSiC-MOSFET用に特別なレイアウトが確立されている。
【0003】
ドリフトゾーン(=アクティブゾーン、電圧吸収層)の幅は、必要なブロッキング容量(逆ブロッキング電圧)の関数として設定される。たとえば、シリコンの600VMOSFETコンポーネントのドリフトゾーンの幅は約50μmになる。
【0004】
いわゆるスーパージャンクション部品の場合、「単純な」垂直MOSFETと比較して、電圧吸収層の幅をいくらか小さくすることができる。このタイプの垂直コンポーネントの特別な機能は、ドリフトゾーンが垂直のpドープピラーとnドープピラーの交互の配置によって特徴付けられることある。ブロッキングが発生すると、追加で導入されたpドーピングにより、nドープ領域の電荷の増加が補償される。これにより、電源投入状態で、ソース電極とドレイン電極間の抵抗が決まる。このように、同じブロッキング容量の場合、パワーオン抵抗は、従来の垂直MOSトランジスタのパワーオン抵抗と比較して最大10分の1に減らすことができる。実際のトランジスタ要素またはチャネル面積は、スーパージャンクションMOSFETアーキテクチャの場合、表面に平行(D-MOS)または表面に垂直(トレンチMOS)にすることができる。
【0005】
垂直パワー半導体部品の場合、炭化ケイ素の特殊な材料特性では、特定の製造方法を提供し、チャネルおよびトランジスタ領域に特殊なアーキテクチャを使用する必要がある。
【0006】
従来技術によれば、多くの垂直パワーダイオードおよびすべてのパワートランジスタ(MOSFET)のアクティブゾーンは、エピタクチック、すなわち単結晶層で形成されている。これらのエピタクチック層は、結晶性キャリアウェハ上に堆積される。したがって、アクティブゾーンでのドーピングは、問題のブロッキング電圧と調整することができ、高濃度にドープされたキャリアウェハは、パワーオン抵抗への寄与が最小になるように、そのドーピングに関して最適化することができる。
【0007】
特に炭化ケイ素基板の場合、上記の層構造の製造は複雑で高価である。なぜなら、第一に、構成要素において能動的機能を持たないキャリアウェハは非常に高価であるからである。そして第二に、エピタクチック層の堆積は非常にコストがかかる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、高品質の高出力半導体部品をより少ない労力でより低コストで工業的に製造することができる半導体部品の製造方法を提供するということである。
【0009】
本発明の1つの側面によれば、垂直構造を有する半導体部品を製造するための方法は、以下のステップを含む。
-4μmから300μmの厚さの半導体材料の基板を提供する。
-エネルギーフィルタを使用して基板にイオン注入することにより、半導体部品のドープされたドリフトゾーンを生成する。エネルギーフィルタは、ドーパントの深さプロファイルを設定するための事前定義された構造プロファイルを備えた微細構造膜である。注入によって基板に生成された欠陥深さプロファイル、ドリフトゾーンの生成中にドリフトゾーン全体がドープされる。ドリフトゾーンの生成は、エピタクティック堆積なしで完全に実行される。
【0010】
半導体部品の製造において、上記のステップを使用してドリフトゾーンを取得すると、製造コストが大幅に削減される。
【0011】
上記の方法における基板の半導体材料は、炭化シリコンであることが特に好ましい。この場合、基板の厚さは4μmから30μmである。ここでは、従来の製造方法と比較した節約が特に顕著である。
【0012】
ドリフトゾーンを生成する前に、基板の半導体材料をドープしないか、または弱くnドープすることが好ましい。
【0013】
基板の厚さは、好ましくは4から25μmの間、より好ましくは4から20μmの間、より好ましくは4から15μmの間、より好ましくは6から14μmの間、より好ましくは7から13μmの間である。基板の厚さのこれらの範囲では、業界で現在利用可能な加速器によるイオン注入によって、炭化シリコンのドリフトゾーンの完全なドーピングを達成することが可能である。
【0014】
ドリフトゾーンは、好ましくは、基板の高さの40から100%を超えて、より好ましくは50から98%を超えて、より好ましくは60から95%を超えて延びる。原則として、パーセンテージは示されている範囲より高い範囲にある傾向がある。
【0015】
好ましい実施形態では、ドリフトゾーンは、イオン注入後にnドープされる。
【0016】
イオン注入によるドープされたドリフトゾーンの生成は、基板の片側から達成されることが好ましい。あるいは、特に10μmを超える炭化ケイ素基板の厚さの場合、ドープされたドリフトゾーンは、基板の両側からのイオン注入によって達成することができる。次に、両側からの2つの注入により、互いに補完して最終的なドーパントプロファイルが生成される。
【0017】
ドープされたドリフトゾーンの生成は、ドーパントとして窒素、リン、および水素(最後に述べたのはシリコン結晶についてのみ)から選択されたイオンを使用して実行されることが特に好ましい。イオン注入によるドリフトゾーンのドーピングに加えて、ドープされたフィールドストップ層が、エネルギーフィルタを使用するイオン注入によって基板の一方の端に生成されることが好ましい。これにより、製造プロセスがさらに簡素化され、全体的なコストが削減される。
【0018】
フィールドストップ層は、イオン注入後にnドープされることが通常望ましい。ここで、フィールドストップ層のドーピングは、ドリフトゾーンのドーピングよりも強く、好ましくは、ドリフトゾーンのドーピングよりも少なくとも2倍強い。
【0019】
フィールドストップ層の厚さは、好ましくは0.6μmから150μmの間であり、より好ましくは0.8μmから5μmの間である。
【0020】
好ましい実施形態では、フィールドストップ層を生成するためのイオン注入は、フィールドストップ層が形成される基板の側から実行される。これにより、製造プロセスが簡素化され、低エネルギーのイオンビームを使用できる。
【0021】
イオン注入によるドリフトゾーンのドーピングに加えて、エネルギーフィルタを用いたイオン注入を使用することによって、異なるドーピングの領域を有する表層機能ゾーンも生成されることが好ましい。その結果、半導体部品の製造がさらに簡素化される。
【0022】
表層機能ゾーンは、好ましくは、フィールドストップ層の反対側にある基板の端に位置する。このようにして、垂直構造の半導体部品が形成される。表層機能ゾーンの注入は、好ましくは、表層機能ゾーンが形成される基板の側から実行される。これにより、方法がさらに簡素化され、より低いエネルギーのイオンビームで作業を行うことができる。
【0023】
表層機能ゾーンの厚さは、好ましくは0.5μmから6μmの間、より好ましくは0.8μmから5μmの間である。
【0024】
超接合成分を形成するために、エネルギーフィルターを使用するイオン注入によってドリフトゾーンの領域にもpドープピラーを製造することが好ましい。pドープピラーは、ドリフトゾーンのnドープ領域の電荷を補償するのに役立つ。
【0025】
表層機能ゾーンおよび/またはpドープピラーの形成のために、基板の所定の領域は、好ましくはマスクされる。
【0026】
基板を提供するステップは、好ましくは、半導体材料の棒状の出発結晶を薄いプレートに分割することによって実行される。次に、これらの薄いプレートのそれぞれが薄い基板を形成し、これはイオン注入によるさらなる処理にかけられる。
【0027】
また、本発明の別の側面によれば、厚さが4μmから300μm、好ましくは4μmから30μmの半導体材料の基板を備えた半導体部品であり、基板のドーパントプロファイルは、基板の中央領域のくぼみまたは隆起を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1は、本発明で使用することができる、出発結晶の薄い基板プレートへの分割の概略図である。
【0029】
図2は、ドリフトゾーンのイオン注入前の基板のドーパントプロファイルを示している。
【0030】
図3は、エネルギーフィルタを使用した基板へのイオン注入の主な効果の概略図である。
【0031】
図4は、本発明による方法で使用することができるエネルギーフィルタが機能する方法の概略図である。
【0032】
図5は、異なる構造を有するエネルギーフィルタによって生成することができる様々なドーパントプロファイルの概略図である。
【0033】
図6は、ドリフトゾーンのドーピングの過程と、結果として得られた基板の結果として生じるドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0034】
図7は、ドリフトゾーンのドーピングの過程と、結果として得られた基板内の代替ドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0035】
図8aは、ドリフトゾーンのドーピングの代替コースおよび結果として生じる代替ドーパントプロファイルを概略的に示しており、注入は基板の2つの
反対の側面から実行される。
【0036】
図8bは、
図8aと同様に、
2つの反対の側面からの注入のための基板の凝集ドーパントプロファイルを示している。
【0037】
図9は、ドリフトゾーンのドーピングの代替コースおよび結果として生じる基板の代替ドーパントプロファイルを概略的に示しており、注入は基板の2つの
反対の側面から実行される。
【0038】
図10は、基板の所定の領域のマスキングを使用したドリフトゾーンのドーピングの過程と、結果として生じる基板の代替ドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0039】
図11は、マスクされた領域を使用した、基板の2つの
反対の側面からのイオン注入の過程を概略的に示している。
【0040】
図12は、電界停止層を形成するためのイオン注入の過程と、結果として生じる基板のドーパントプロファイルを概略的に示している。
【0041】
図13は、関連するドーパントプロファイルを含む、本発明によ
る半導体部品の第1の実施形態の概略断面図を示す。
【0042】
図14は、本発明によ
る半導体部品の第2の実施形態の概略断面図を示す。
【0043】
図15は、本発明によ
る半導体素子の第3の実施形態の概略断面図、ならびに互いに垂直な方向の2つの関連するドーパントプロファイルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
半導体素子を製造するための本発明による方法は、好ましくは半導体材料の基板12を提供するステップから始まる。基板12の材料は、好ましくは炭化ケイ素(SiC)である。シリコン、アルセニドガリウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、窒化ガリウムなどの他の半導体材料も検討できる。基板12は、好ましくはウェーハとして構成される。基板12は、最初にドープされていないか、または非常に弱くnドープされており、例えば、ドーパント濃度が5×1013cm-3未満である。
【0045】
基板12は4μmから300μmの厚さを有する。しかしながら、原則として、本発明による方法における基板12は非常に薄い。ほとんどの場合、基板12は、4から30μmの間、好ましくは4から25μmの間、より好ましくは4から20μmの間、より好ましくは4から15μmの間、より好ましくは6から14μmの間、より好ましくは7から13μmの間の厚さを有する。
【0046】
そのような基板12を得る例を
図1に示す。ドープされていない、または、弱くnドープされた出発結晶2(例えば、ウェハロッド)が薄いプレートに分割され、その結果、基板12(薄いウェハ)が形成される。分割された基板12は、必要に応じて、基板12の破壊を回避するために、キャリアウェハまたは同様の構造によって製造プロセス中に一時的に機械的に、すなわち可逆的に支持され得る。
【0047】
個々の基板12の厚さは、好ましくは、以下でさらに説明するように、アクティブドリフトゾーンとフィールドストップ層および表層機能ゾーンとの組み合わせの以前に決定された幅に対応する。したがって、基板12の全体の厚さは、製造される半導体のタイプによってのみ、とりわけその電圧クラスによって決定される。電圧クラスが高いほど、基板12は厚くなる。300μmの上限は、イオン注入(シリコンの陽子ビーム)で合理的に使用できる範囲から生じる。炭化ケイ素においては、現在業界で入手可能な加速器の最大厚さは30μmです。したがって、これも妥当な上限です。これは、非常に高いイオンビームエネルギーに起因する母材の放射性活性化を回避する必要があるためである。
【0048】
弱くnドープされた基板12のドーパントプロファイルを
図2に示す。ドーパントプロファイルは断面A-A’に沿って示されている。cはドーパント濃度を表す。
【0049】
基板12が提供された後、ドープされたドリフトゾーン(アクティブゾーンまたは電圧吸収ゾーンとも呼ばれる)が、イオン注入によって基板内に生成される。対応する基本的なレイアウトを
図3に示す。基板12へのイオン注入について
図3に示すレイアウトは、通常は高真空が存在する照射チャンバー8を示す。照射チャンバー8において、ドープされる基板12は、基板ホルダー30に取り付けられる。
【0050】
イオンビーム10は、粒子加速器(図示せず)によって生成され、照射チャンバー8に伝導される。そこで、イオンビーム10のエネルギーは、エネルギーフィルタ20によって拡散され、照射される基板12に衝突する。あるいは、エネルギーフィルタ20は、弁によって密閉することができ、照射チャンバー8の内部に配置されるか、または照射チャンバー8に直接隣接して配置される別個の真空チャンバー内に配置することができる。
【0051】
基板ホルダー30は静止している必要はない。基板ホルダー30は、その代わりに、オプションとして、基板12をxy方向(ページの平面に垂直な平面内)にシフトするための装置を備えることができる。注入される基板12が取り付けられ、注入プロセス中に回転するウェハホイールもまた、基板ホルダー30と見なすことができる。ビーム方向(z方向)における基板ホルダー30の線形変位も可能である。基板ホルダー30はまた、オプションとして、ヒーターまたはクーラーを備えることができる。
【0052】
エネルギーフィルタ20の基本原理を
図4に示す。ビームが微細構造膜として構成されたエネルギーフィルタ20を通過するとき、単一エネルギーイオンビーム10のエネルギーは、それが存在する点の関数として変更されるエネルギーフィルタに入る。結果として生じるイオンビーム10のイオンのエネルギー分布は、基板12のマトリックスに埋め込まれた物質の深さプロファイルの変更をもたらす。E1は、第1のイオンのエネルギーを示し、E2は、第2のイオンのエネルギーを示す。cはドーパント濃度を示し、dは基板12の深さを示す。図の右側では、従来のガウス分布は参照記号Aで識別される。これは、エネルギーフィルタ20を使用せずに得られるものです。対照的に、エネルギーフィルタ20を使用して得ることができる長方形の分布は、例として、参照記号Bによって示されている。
【0053】
図5に示されるエネルギーフィルタ20のレイアウトまたは3次元構造は、エネルギーフィルタ20によって複数のドーパント深さプロファイルまたは欠陥深さプロファイルを生成する基本的な可能性を示している。cは再びドーパント濃度を示し、dは再び基板12の深さ示す。フィルタ構造プロファイルは、原則として、互いに組み合わせて、新しいフィルタ構造プロファイル、したがって新しいドーパント深さプロファイルまたは欠陥深さプロファイルを取得することができる。
【0054】
このタイプのエネルギーフィルタ20は、通常、シリコン製である。それらは、3μmから200μmの間、好ましくは5μmから50μmの間、特に好ましくは7μmから20μmの間の厚さを有し、フィルターフレーム(図示せず)に取り付けることができる。フィルタフレームは、簡単に交換できるようにフィルタホルダー(図示せず)に取り付けることができる。
【0055】
nドープドリフトゾーン21の好ましい形成には、窒素、リン、または水素のイオン(最後に述べたのはシリコン結晶のみ)の注入が特に適切である。
【0056】
図6に示されるようなドリフトゾーン21をドープする方法ステップの例示的な実施形態の場合、基板12へのイオン注入は、片側のみから実行される。この場合、それは基板12の正面から実行される。短い、黒い実線の矢印は、エネルギーフィルタ20を透過する最小のエネルギーのイオンを示し、長い、黒い実線の矢印は、エネルギーフィルタ20を透過した最大エネルギーのイオンを示す。セクションA-A’に沿って得られたドーパントプロファイルは、座標系の右側に示されている。ここで、cは、再び、ドーパント濃度を表す。ドーパントプロファイルは、基板12全体にわたってほぼ均一である。基板12へのイオン注入は、基板12の背面から実行することもできる。この例示的な実施形態では、他のすべての例示的なものと同様に、基板12である。実施形態は、それ自体がドリフトゾーン21として形成される。エピタキシャル堆積はない。
【0057】
図7に示されるドリフトゾーン21をドープする方法ステップの実施形態は、
図6による例示的な実施形態と同様であり、唯一の違いは、基板12の背面に向かって上昇する形状を有するドーパントプロファイルの形態のみである。
【0058】
図8aに示されるドリフトゾーン21をドープする方法ステップの例示的な実施形態は、ここでは基板12が前面および背面からの2つの反対側からドープされることを除いて、
図6による例示的な実施形態と同様である。ドーパントプロファイルは、適切に構成されたエネルギーフィルタ20によって基板12の前面および背面から実現され、各ドーパントプロファイルは、濃度プラトーP1、P2およびドーピングフランクS1、S2によって特徴付けられる。結果として、重なり合うドーパントプロファイルが通常形成され、したがって、基板12のドープ可能な厚さを増加させることができる。
図8a、S1、S2に示されている直線的な上昇と下降に加えて、S2は任意の湾曲した形状で形成することもできる。プラトーP1およびP2はまた、上昇または下降形状、または任意の所望の湾曲形状を提供することができる。
【0059】
たとえば、今日の業界で利用可能な加速器を使用した炭化シリコンへの窒素注入の範囲は非常に限られている。利用可能な加速器を用いて、1つは前面から、もう1つは背面から実行される、2つの注入の組み合わせによって、最大20μm、場合によっては最大30μmのドープ基板の厚さを実現できる。これにより、製造される半導体部品の絶縁耐力が増加する。
【0060】
通常、両側からの注入は連続して行われる。この場合、基板12は、通常、注入間で180°回転されるので、同じイオンビーム方法で作業を実行することができる。注入は、2つの異なるイオンビーム方法を用いて2つの側面から実行され得ることも考えられる。したがって、両側からの同時注入も考えられる。
【0061】
図8bは、例として、
図8aに示したものと同様の注入用の基板の総ドーパントプロファイルを示している。ドリフトゾーン21の凝集ドーパントプロファイルは、基板12の中央領域のくぼみを含む。ここで隆起を有することも可能である。ドリフトゾーン21のドーパントプロファイルは、基板12の第1のエッジ領域(左側)から中央領域まで実質的に一定である。ドリフトゾーン21のドーパントプロファイルもまた、基板12の第2のエッジ領域(右側)、第1のエッジ領域の反対側から中央領域まで実質的に一定である。
【0062】
基板12のドーピングを使用して、ドリフトゾーン21を生成するだけでなく、半導体素子4の他の領域を生成することも可能である。その場合、図に示すように、ドーパントプロファイルが第1のエッジ領域の反対側である基板12の第2のエッジ領域から中央領域に向かって破線に示すように落下することは、両側からの注入の場合にも効果的である可能性がある。結果として、より高濃度にドープされたフィールドストップ層を、例えば、第2のエッジ領域に形成することができる。
【0063】
これらの実施形態のすべてにおいて、中央領域は、通常、基板12の厚さの20%から80%の間、好ましくは30%から70%の間、より好ましくは40%から60%の間の範囲内に位置する。
【0064】
別の有利な実施形態を
図9に示す。該実施形態は、その本質的な部分において、
図8aおよび8bによる実施形態に対応する。ドーパントプロファイルは、基板12の前面および背面からの注入を伴う適切に構成されたエネルギーフィルタ20によって再び実現され、各ドーパントプロファイルは、濃度プラトーP1、P2およびドーパント側面S1、S2によって特徴付けられる。この実施形態の利点は、基板12の厚さの変動が、結果として生じる骨材ドーパント濃度のわずかな変動のみをもたらし、したがって、ドリフトゾーン21の中央領域における上昇または下降が、以下のように効果的に回避されることである。S1とS2の形状が平坦であるほど、結果として生じるドーパント濃度の変動は小さくなる。
図9に示す線形の立ち上がりと立ち下がりに加えて、S1、S2も任意の曲線形状で構成できる。プラトーP1およびP2は、再び、上昇または下降、または任意の所望の湾曲した形状で構成することができる。
【0065】
特定のコンポーネントを製造する場合、以下に
図14および15を参照して説明するように、エネルギーフィルタをかけた注入はマスクを使用して実行する必要があり、マスクをしてエネルギーフィルタをかけた注入を複数回実行する必要がある場合がある。
図10に示されるように、マスク26が基板12の前面に配置される。これは、マスク26によって覆われる基板12の領域がドープされないという目的を達成する。マスク26は、基板12に恒久的に接続されている必要はないが、代わりに、基板12から所定の距離離れて配置されたスクリーンマスク(図示せず)によって実現することができる。
【0066】
図10に示されるように、ドリフトゾーン21のドーピングにもかかわらず、このように、ドープされていない領域14が基板12に留まることが可能である。
【0067】
マスク26はまた、基板12の反対側に提供され得、そしておそらく同時に使用され得る。この例を
図11に示す。ここでは、
図15による半導体部品4の製造に必要なように、pドープピラー16がnドープドリフトゾーン21に形成されている。上部は、例えば、アルミニウムイオンをpドーピングするためのイオンビームであり、一方、下部のイオンビーム10は、例えば、窒素原子をドープするためのイオンビームである。
【0068】
基板12の背面に
図12に示されるフィールドストップ層18のドーピングは、ドリフトゾーン21のドーピングの形成の前、同時、または後に実行される。フィールドストップ層のドーピングは、好ましくは、基板12の背面から実行されるが、埋め込みプロセスが適切に構成されている場合、埋め込みは、前面から実行されてもよい。
【0069】
フィールドストップ層18は、好ましくは、nドープされている。したがって、特に窒素イオンまたはリンイオンは、フィールドストップ層18の形成に適している。フィールドストップ層18のドーピングは、ドリフトゾーン21のドーピングよりも強力である。フィールドストップ層18のドーピングは、好ましくは、ドリフトゾーン21のドーピングの2倍以上の強度である。フィールドストップ層18の厚さは、0.5μmから6μmの間、好ましくは0.8μmから5μmの間である。フィールドストップ層18の形成にエピタキシャルプロセスは必要ない。
【0070】
表層機能ゾーン24はまた、基板12におけるドリフトゾーン21のドーピングの形成の前、同時、または後に、またフィールドストップ層18の形成の前、同時、または後に、基板12の前面に形成することができる。これは、エネルギーフィルタ20を使用するイオン注入によって基板12の前面の異なる領域をドープすることによって達成することができるが、他の技術も考えられる。
【0071】
表層機能ゾーン24の一部またはすべての領域が注入によってドープされる場合、表層機能ゾーン24のこれらの領域のドーピングは、好ましくは、基板12の前面から達成されるが、注入プロセスおよびエネルギーフィルタ20が適切に構成されている場合、該ドーピングは、後部からも行われてもよい。
【0072】
表層機能ゾーン24の厚さは、0.5μmから6μmの間であり、好ましくは、0.8μmから5μmの間である。表層機能ゾーン24は、多種多様な方法で構成することができる。
【0073】
本発明の一部を形成すると記載されているすべての注入は、ドーピング原子が電気的に活性化され得るように、アニーリングプロセスで修復されなければならない。
【0074】
最後に、チャネル領域、p-n遷移、端子のメタライゼーションなどを前面に適用できる。基板12の背面には、ドレイン端子メタライゼーションおよび、場合によっては、n++端子領域を配置することができる。
【0075】
本発明による方法によ
る垂直構造を有する半導体部品4の例を
図13に示す。
【0076】
特にダイオード(ショットキーダイオード、MPSダイオード、およびpnダイオード)および表層機能ゾーン24(IGBT、MOSトランジスタ、チャネル領域、pn遷移、ショットキーダイオード)、ドリフトゾーン21、およびフィールドストップ層18は、キャリアウェハなしで、本発明により製造することができる。
【0077】
この構造は、その垂直方向の寸法に関して、ドリフトゾーン21の必要な幅+フィールドストップ層18の幅+機能的表面ゾーン24の幅に正確に対応することを特徴とする。特に注目すべきは、この構造は、完全に垂直な高電圧電力部品を形成するために、チップまたは基板12の考えられる最小の厚さを達成する。
【0078】
図13の場合、例としてMOSFETが示されている。Sはソース端子、Gはゲート端子、Dはドレイン端子を表す。表層機能ゾーン24は、MOSチャネル領域31、ゲート電極32、pボディ33、およびソース端子領域34からなる。
【0079】
垂直構造を有する本発明によ
る半導体部品4の別の例が
図14に示されている。同じ参照記号が、
図13に示されているものと同じ要素を示すために使用される。
【0080】
実際の高電圧成分は、アクティブ領域40およびエッジ領域41からなる。完全に絶縁されていない基板12の切断されたエッジのために、基板12のエッジのドレイン電位も常に表面に存在する。エッジ領域41のタスクは、定義された信頼できる方法で、表面のソースとドレインとの間の電圧を横方向に減少させることである。具体的には、これは、等電位線44が、定義された曲率で表面に導かれなければならないことを意味する。ここで重要な点は、等電位線44の曲率が許容電界強度を超えてはならないということである。したがって、エッジ領域でのドーピングを最小限に抑えることが有利である。
【0081】
図14に示される構造の場合、エッジ領域41は、ドープされていないか、または活性領域40よりも弱くドープされているか、または一般的に言えば、エッジ領域41のドーパントプロファイルは、活性領域40のドーパントプロファイルとは異なる。したがって、活性領域40とエッジ領域41との間の遷移には、ドーピング勾配によって特徴付けられる遷移領域43が存在する。フィールドストップ層18は、アクティブエリア40にのみ配置され、遷移エリア43で終了することができ、またはそれは、エッジエリア41内に部分的に延在することができ、またはエッジエリア41上に完全に延在することができる。
【0082】
図14に示されるエッジ領域41(フィールドプレートエッジ)の構造は、例えば、pリングなどの他の考えられる既知のエッジ構造の一例にすぎない。
【0083】
本発明によ
る垂直構造を有する半導体部品4の別の例が
図15に示されている。
図13のものと同じ参照記号は、同一の要素を示す。
【0084】
示されている構造はスーパージャンクションMOSFETであり、
図13のMOSFETと同じ構造を持っているが、pドープピラー16または導入された領域も含む。電圧吸収層。右側には、垂直および横方向のドーパントプロファイルが示されている。横方向のドーパントプロファイルのドナー濃度は上方向にプロットされ、アクセプター濃度は下方向にプロットされる。参照符号45は、正味のドーピングがゼロに近い遷移ゾーンを示している。
【0085】
垂直構造を有する他の多くの半導体部品4は、本発明による方法によって製造することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4μmから300μmの厚さの半導体材料の基板(12)を提供する工程と、
エネルギーフィルタ(20)を用いて前記基板(12)にイオン注入することにより、半導体部品(4)のドープドリフトゾーン(21)を生成する工程であって、前記エネルギフィルタ(20)は、注入によって基板(12)内に生成されたドーパント深さプロファイルおよび/または欠陥深度プロファイルを設定するための事前定義された構造プロファイルを有する微細構造膜であり、前記ドリフトゾーン(21)が生成されるときに前記ドリフトゾーン(21)の全体がドープされることを特徴とする工程と、
を含む方法であって、
前記ドリフトゾーン(21)の生成は、エピタクチック堆積なしに完全に実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基板(12)の前記半導体材料は、炭化シリコンであり、
前記基板(12)の厚さが4μmから30μmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板(12)の前記半導体材料は、前記ドリフトゾーン(21)生成前にドープされていないか、または弱くnドープされていることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板(12)の厚さが、4μmから25μ
mであることを特徴とする
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ドリフトゾーン(21)が前記基板(12)の高さの40から100%を超え
て延びることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドリフトゾーン(21)は、前記イオン注入後にnドープされることを特徴とする
請求項1に記載の方法。。
【請求項7】
前記ドープされたドリフトゾーン(21)の製造は、前記基板(12)の片側からのイオン注入によって実行されることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ドープされたドリフトゾーン(21)の製造は、前記基板(12)の
反対の両側からの
2つのイオン注入によって実行されることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板(12)が前記
2つの注入間で180°回転されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板(12)の
反対の両側からの前記2つのイオン注入によって製造された第1および第2のドーパントプロファイルの各々は、濃度プラトー(P1,P2)からなり、
第1の濃度プラトー(P1)は、前記基板(12)の第1のエッジ領域から中央領域に向かって延在し、
第2の濃度プラトー(P2)は、前記基板(12)の前記第1のエッジ領域の反対側の第2のエッジ領域から前記中央領域に向かって延在しており、前記第1および第2のドーパントプロファイルの各々は、前記基板(12)の前記中央領域内の下降するドーピングフランク(S1,S2)ならなることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のエッジ領域に割り当てられた
前記第2の濃度プラトー(P2)が、前記基板(12)の
前記第2のエッジ領域から前記基板(12)の中央領域に向けて下降していることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記2つのドーピングフランク(S1,S2)が前記基板(12)の中央領域において交差し、前記2つのドーパントプロファイルが前記中央領域で重なることを特徴とする請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記ドープされたドリフトゾーン(21)を製造することは、ドーピング物質として窒素、リン、または水素のイオンを用いて実行されることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ドープされたフィールドストップ層(18)が、エネルギーフィルタ(20)を使用するイオン注入によって前記基板(12)のエッジ領域に生成されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記フィールドストップ層(18)は、イオン注入後にnドープされ、前記フィールドストップ層(18)のドーピングは、前記ドリフトゾーン(21)のドーピングよりも強いことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フィールドストップ層(18)の厚さは
、0.8μmから5μmであることを特徴とする請求項1
4に記載の方法。
【請求項17】
前記フィールドストップ層(18)を生成するための前記イオン注入が、前記フィールドストップ層(18)が形成される前記基板(12)の側面から実行されることを特徴とする、請求項1
4に記載の方法。
【請求項18】
エネルギーフィルタ(20)を用いたイオン注入を使いることにより、異なるドーピング領域を有する表層機能ゾーン(24)が生成されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ドープされたフィールドストップ層(18)は、エネルギーフィルタ(20)を用いたイオン注入によって前記基板(12)の第2のエッジ領域に生成され、前記表層機能ゾーン(24)が、前記フィールドストップ層(18)の反対側の前記基板(12)の
第1のエッジ領域にあることを特徴とする、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記表層機能ゾーン(24)の領域の注入が、前記表層機能層(24)が形成される前記基板(12)の側面から実行されることを特徴とする、請求項1
8に記載の方法。
【請求項21】
前記表層機能ゾーン(24)の厚さは、0.5μmから6μ
mであることを特徴とする請求項1
8に記載の方法。
【請求項22】
さらに、pドープ領域またはピラー(16)が、エネルギーフィルタ(20)を使用するイオン注入によって前記ドリフトゾーン(21)の領域に生成されることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記基板(12)の所定の領域が、少なくとも前記表層機能ゾーン(24
)のイオン注入中にマスクされることを特徴とする、請求項1
8に記載の方法。
【請求項24】
少なくともpドープ領域またはピラー(16)のイオン注入中に前記基板(12)の所定の領域がマスクされることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記基板(12)
を提供
する工程は、前記半導体材料の棒状の出発結晶(2)を薄いプレートに分割することによって実行されることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項26】
4μmから30μmの厚さを有
し、ドーパントプロファイルを有する半導体材料の基板(12)を含む半導体部品(4)であって、前記基板(12)の前記ドーパントプロファイルは、前記基板(12)の中央領域のくぼみまたは隆起を含むことを特徴とする半導体部品(4)。
【請求項27】
前記基板(12)のドーパントプロファイルは、前記基板(12)の前記第1のエッジ領域から前記中間領域まで実質的に一定であることを特徴とする請求項
26に記載の半導体部品(4)。
【請求項28】
前記基板(12)のドーパントプロファイルは、前記基板(12)の前記第1のエッジ領域の反対側に位置する前記第2のエッジ領域から前記中間領域まで実質的に一定であることを特徴とする請求項
27に記載の半導体部品(4)。
【請求項29】
前記隆起又はくぼみは、前記基板(12)に形成される前記ドリフトゾーン(21)の中央領域に配置されていることを特徴とする
請求項26に記載の半導体部品(4)。
【請求項30】
前記基板(12)のドーパントプロファイルは、基板(12)の前記第1のエッジ領域の反対側に配置される第2のエッジ領域から前記中央領域に下降することを特徴とする請求項
27に記載の半導体部品(4)。
【請求項31】
前記半導体部品(4)が炭化シリコンであることを特徴とする
請求項26に記載の半導体部品(4)。
【請求項32】
前記半導体部品(4)の事前定義された領域では、ドープされていない領域(14)は、
前記ドリフトゾーン(21)のドープされた領域の
隣に配置されることを特徴とする
請求項26に記載の半導体部品(4)。
【国際調査報告】