(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】超音波呼吸作動式呼吸器液滴送達デバイスおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
A61M11/00 300A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565880
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 US2020032383
(87)【国際公開番号】W WO2020227717
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518389853
【氏名又は名称】ニューマ・リスパイラトリー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,チャールズ・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘブランク,ジョン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】リー,チェンジー
(72)【発明者】
【氏名】クレメンツ,ジャドソン・シドニー
(57)【要約】
呼吸使用のために使用者へ正確かつ反復可能な量の物質を送達するための超音波液滴送達デバイスおよび関連する方法が開示される。超音波液滴送達デバイスは一般に、ボディハウジング、吐出器機構を有するマウスピース、および、少なくとも1つの流体リザーバを有する流体カートリッジを備える。いくつかの実施形態では、吐出器機構は、少なくとも1つの超音波アクチュエータと、液滴を吐出するためにその厚さにわたって形成された複数の開口部を有する少なくとも1つの開口板とを備える。デバイスは、デバイス内での所定の圧力変化を検知すると吐出器機構を作動させることにより液滴の吐出流を生成するように構成された少なくとも1つの差圧センサをさらに備え得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の呼吸器系へ液滴の吐出流として流体を送達するための超音波液滴送達デバイスであって、
前記デバイスの空気流出口に位置決めされたマウスピースであって、1つまたは複数の空気流入口ポート、空気流出口開口部、電子的に作動される吐出器機構、吐出チャンバ、および流体搬送嵌合延長部を含む、マウスピースと、
一定量の流体を受容するための少なくとも1つのリザーバリザーバ、および少なくとも1つの密封機構を含む、流体カートリッジであって、前記マウスピース内に配置されるかまたは前記マウスピースと流体連通する、流体カートリッジと、
電源および制御ボードを含むボディハウジングと、
前記マウスピース内に位置決めされるかまたは前記ハウジング内に位置決めされて前記マウスピースと流体連通する、少なくとも1つの差圧センサであって、前記マウスピース内での所定の圧力変化を検知すると前記吐出器機構を作動させ、それにより前記液滴の吐出流を生成するように構成された、少なくとも1つの差圧センサと、
を備え、
前記電子的に作動される吐出器機構が、前記吐出器機構の流体カートリッジ側で前記リザーバと流体連通し、かつ、前記液滴の吐出流を生成するように構成され、前記吐出器機構が、圧電アクチュエータおよび開口板を備え、前記開口板が、その厚さにわたって形成された複数の開口部を有し、前記圧電アクチュエータが、ある周波数で前記開口板を振動させることにより前記液滴の吐出流を生成するように動作可能であり、
前記吐出チャンバが、前記吐出器機構の前記流体カートリッジ側で前記吐出器機構に隣接して配置され、
前記流体搬送嵌合延長部が、前記流体カートリッジの前記密封機構と接合するかまたは前記密封機構を貫通して延在し、前記流体カートリッジと前記吐出器機構との間に流体連通を作り出す、液滴送達デバイス。
【請求項2】
前記吐出器機構が、前記液滴の少なくとも約50%が約6ミクロン未満の平均吐出液滴直径を有する前記液滴の吐出流を生成するように構成され、その結果、前記液滴の吐出流の質量の少なくとも約50%が、使用中に前記対象者の肺系へ呼吸に適した範囲内で送達される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項3】
前記マウスピースの前記1つまたは複数の空気流入口ポートが、空気入口流れ要素として構成され、前記空気入口流れ要素およびマウスピースが、乱れのない空気流が前記開口板の出口側を横切るのを促進するように、また、使用中に十分な空気流が前記マウスピースを通過するのを実現するように構成される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項4】
前記マウスピースが、吐出器機構の前記流体側に1つまたは複数の通気孔空気流出口チャネルもしくは開口部をさらに備える、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項5】
前記1つまたは複数の通気孔空気流出口チャネルもしくは開口部が、1つまたは複数の通気孔フィルタを含む、請求項4に記載の液滴送達デバイス。
【請求項6】
前記流体搬送嵌合延長部が、ウィッキング材料を含む、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項7】
前記流体搬送嵌合延長部が、毛管流れ管を備える、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項8】
前記毛管流れ管が、固体棒、中空管、またはその組合せを含む、請求項7に記載の液滴送達デバイス。
【請求項9】
前記マウスピースおよび吐出器機構が、前記開口板の前記出口側が空気流の方向に直角であるように配向され、前記液滴の流れが、前記空気流の方向に平行に吐出される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項10】
前記マウスピースおよび吐出器機構が、前記開口板の前記出口側が前記空気流の方向に対して斜めに配向されるように配向され、前記液滴の流れが前記空気流の方向に対して斜めに吐出される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項11】
前記マウスピースが、前記流体カートリッジに取外し可能に結合される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項12】
前記マウスピースおよび/または流体カートリッジが、前記ボディハウジングと取外し可能に結合される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項13】
前記流体カートリッジが、前記マウスピースに結合されて、組合せリザーバ/吐出器機構モジュールを形成し、前記組合せリザーバ/吐出器機構モジュールが、前記ハウジングと取外し可能に結合される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項14】
前記複数の開口部のうちの1つまたは複数が、異なる断面形状または直径を有し、それにより異なる平均吐出液滴直径を有する吐出液滴を提供する、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項15】
前記開口板が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリビニリディンフルオライド(polyvinylidine fluoride)(PVDF)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ニッケル、ニッケルコバルト、ニッケルパラジウム、パライジウム(pallaidium)、プラチナ、それらの金属合金、およびそれらの組合せからなる群から選択された材料で構成される、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項16】
無線通信モジュールをさらに備える、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項17】
赤外線送信機、光検出器、追加の圧力センサ、およびそれらの組合せから選択される1つまたは複数のセンサをさらに備える、請求項1に記載の液滴送達デバイス。
【請求項18】
呼吸に適した範囲内の液滴の吐出流として薬剤を使用者の肺系へ送達する方法であって、
(a)請求項1に記載の超音波液滴送達デバイスを介して液滴の吐出流を生成するステップであって、前記液滴の吐出流の少なくとも50%が、約6μm未満の平均吐出液滴直径を有する、ステップと、
(b)使用中に前記液滴の吐出流の質量の少なくとも約50%が呼吸に適した範囲内で対象者の前記肺系へ送達されるように、前記液滴の吐出流を前記対象者の前記肺系へ送達するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記液滴の吐出流が、約2秒未満の期間にわたって送達される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年5月9日に出願され「ULTRASONIC BREATH ACTUATED PULMONARY DROPLET DELIVERY DEVICE AND METHOS OF USE」と題された米国特許出願第62/845,664号、2019年5月23日に出願され「ULTRASONIC BREATH ACTUATED PULMONARY DROPLET DELIVERY DEVICE AND METHOS OF USE」と題された米国特許出願第62/851,910号、2019年7月8日に出願され「ULTRASONIC BREATH ACTUATED PULMONARY DROPLET DELIVERY DEVICE AND METHOS OF USE」と題された米国特許出願第62/871,688号、2019年8月5日に出願され「ULTRASONIC BREATH ACTUATED PULMONARY DROPLET DELIVERY DEVICE AND METHOS OF USE」と題された米国特許出願第62/883,030号、および、2019年10月8日に出願され「ULTRASONIC BREATH ACTUATED RESPIRATORY DROPLET DELIVERY DEVICE AND METHOS OF USE」と題された米国特許出願第62/912,543号に対して、米国特許法第119条(e)に基づいてその優先権を主張するものであり、それらの全内容は、あらゆる目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、呼吸器液滴送達デバイスに関し、より具体的には、呼吸器系への流体の送達のための液滴送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]肺への物質の送達のための液滴生成デバイスの使用は、大きな関心が寄せられている分野である。主要な課題は、呼吸器系の標的領域への送達を成功させるのに適した液滴サイズで、正確で一貫した検証可能な量の物質を送達するデバイスを提供することである。
【0004】
[0004]所望のタイミングでの正確な量のエアロゾルの検証、送達、および吸入が、重要である。使用者が液滴生成デバイスを正しく使用すること、およびそれらが所望のタイミングで適切な量を投与することを確実にする必要性が存在する。使用者が誤用したとき、または呼吸器系へ不正確に物質を送達したときに、問題が発生する。
【0005】
[0005]現在、定量吸入器(MDI)および加圧式定量吸入器(p-MDI)、または空気圧式および超音波駆動式のデバイスなどの、大抵の吸入器タイプのシステムは、一般に、高速度、ならびに高い運動量および運動エネルギーを有する大きな液滴を含む広範囲の液滴サイズを含む、液滴を生成する。そのような高い運動量を有する液滴およびエアロゾルは、遠位の肺または下方の肺通路には到達せず、むしろ口および咽喉内に沈着する。その結果、標的とする呼吸器領域での所望の沈着を得るために、より大きな総薬物用量が必要とされる。そのような大用量は、望ましくない副作用の可能性を増大させる。
【0006】
[0006]現在の液滴送達システムから生成されるエアロゾルプルームは、それらの高い吐出速度および物質運搬推進剤の急速な膨張により、局所的な冷却と、それに続くデバイス表面への物質の濃縮、沈着、および結晶化とを引き起こし得る。沈着した物質残留物によるデバイス表面の閉塞もまた、問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]したがって、検証可能な量で、適切なサイズ範囲の液滴を送達し、表面流体沈着および開口部の閉塞を回避し、かつ、デバイスの正確で一貫した使用に関するフィードバックを使用者に提供する、液滴送達デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本開示の1つの態様では、対象者の呼吸器系へ液滴の吐出流として流体を送達するための超音波液滴送達デバイス。デバイスは一般に、マウスピース、流体カートリッジ、ボディハウジング、および少なくとも1つの差圧センサを備える。いくつかの実施形態では、マウスピースは、デバイスの空気流出口に位置決めされ、マウスピースは、1つまたは複数の空気流入口ポート、空気流出口開口部、電子的に作動される吐出器機構、吐出チャンバ、および流体搬送嵌合延長部を備える。流体カートリッジは一般に、一定量の流体を受け入れるための少なくとも1つのリザーバ、および少なくとも1つの密封機構を備え、流体カートリッジは、マウスピース内に配置されるかまたはマウスピースと流体連通して配置される。ボディハウジングは、電源および制御ボードを備える。少なくとも1つの差圧センサは、マウスピース内に位置決めされるか、またはボディハウジング内に位置決めされてマウスピースと流体連通し、少なくとも1つの差圧センサは、マウスピース内の所定の圧力変化を検知すると吐出器機構を作動させることにより液滴の吐出流を生成するように構成される。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、電子的に作動される吐出器機構は、吐出器機構の流体カートリッジ側でリザーバと流体連通し、かつ、液滴の吐出流を生成するように構成され、吐出器機構は、圧電アクチュエータおよび開口板を備え、開口板は、その厚さにわたって形成された複数の開口部を有し、圧電アクチュエータは、ある周波数で開口板を振動させることにより液滴の吐出流を生成するように動作可能であり、吐出チャンバは、吐出器機構の流体カートリッジ側で吐出器機構に隣接して配置される。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、流体搬送嵌合延長部は、マウスピースの流体カートリッジ側でマウスピース内に位置決めされる。流体搬送嵌合延長部は、流体カートリッジと吐出器機構との間に流体経路を提供するように構成される。流体搬送嵌合延長部は、流体カートリッジの密封機構と接合するか、または密封機構を貫通して延在し、前記流体カートリッジと前記吐出器機構との間に流体連通を作り出し得る。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、マウスピースの1つまたは複数の空気流入口ポートは、空気入口流れ要素として構成され、空気入口流れ要素およびマウスピースは、乱れのない空気流が開口板の出口側を横切るのを促進するように、また、使用中に十分な空気流がマウスピースを通過することを実現するように、構成される。
【0012】
[0012]他の態様では、呼吸に適した範囲内の液滴の吐出流として薬剤を使用者の肺系へ送達する方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、(a)本開示の超音波液滴送達デバイスを介して液滴の吐出流を生成するステップであって、液滴の吐出流の少なくとも一部分(例えば、少なくとも約50%)が、約6μm未満の平均吐出液滴直径を有する、ステップと、(b)使用中に液滴の吐出流の質量の少なくとも一部分(例えば、少なくとも約50%)が呼吸に適した範囲内で対象者の肺系へ送達されるように、液滴の吐出流を対象者の肺系へ送達するステップと、を含む。
【0013】
[0013]複数の実施形態が開示されるが、本開示の例示的な説明を示しかつ説明する以下の詳細な説明から、本開示のさらなる他の実施形態が当業者には明らかになるであろう。認識されるであろうように、本発明は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な態様での修正が可能である。したがって、詳細な説明は、本質的に限定ではなく例示と見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014]
図1Aは、吐出器機構が圧電アクチュエータおよび超音波ホーンを備える、本開示の実施形態による液滴送達デバイスの断面図である。
図1Bは、吐出器機構がデバイスを通る空気流の方向におおむね垂直である、本開示の実施形態による液滴送達デバイスの断面図である。
図1Cは、吐出器機構がデバイスを通る空気流の方向に関して斜めに配向されている、本開示の実施形態による液滴送達デバイスの断面図である。
【
図2】[0015]
図2Aは、マウスピース、流体カートリッジ、およびボディハウジングを別々の要素として示す、本開示の実施形態による液滴送デバイスの斜視図である。
図2Bは、組合せマウスピース/流体カートリッジを形成するためにマウスピースと接合された流体カートリッジと、別体の要素としてのボディハウジングとを示す、本開示の実施形態による液滴送達デバイスの斜視図である。
図2Cは、マウスピース/流体カートリッジがボディハウジングに固着されている、完全に組み立てられたデバイスを示す、本開示の実施形態による液滴送達デバイスの斜視図である。
【
図3】[0016]
図3Aは、例示的なストッパの流体カートリッジに面する側を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
図3Bは、例示的なストッパの吐出器機構に面する側を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
図3Cは、他とは異なる内部密封構造を有するホイールスポーク開口部構成の一実施形態を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
図3Dは、他とは異なる内部密封構造を有するホイールスポーク開口部構成の一実施形態を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
図3Eは、他とは異なる内部密封構造を有するホイールスポーク開口部構成の一実施形態の図を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
図3Fは、単一切れ目開口部構成を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
図3Gは、十字切れ目開口部構成を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
図3Hは、ホイールスポーク開口部構成を示す、本開示の態様による自己密封ストッパの一実施形態の図である。
【
図4】[0017]
図4Aは、本開示の一実施形態による、流体カートリッジに固着された自己密封ストッパの斜視図である。
図4Bは、
図4Aの自己密封ストッパを含む流体カートリッジの断面図である。
図4Cは、
図4Aの自己密封ストッパを含む流体カートリッジ内への流体搬送嵌合延長部の挿入を示す図である。
図4Dは、
図4Aの自己密封ストッパを含む流体カートリッジ内への流体搬送嵌合延長部の挿入を示す図である。
図4Eは、
図4Aの自己密封ストッパを含む流体カートリッジ内への流体搬送嵌合延長部の挿入を示す図である。
【
図5】[0018]本開示の一実施形態による、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースの斜視図である。
【
図6】[0019]
図6Aは、本開示の一実施形態による、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースの代替的な構成を示す図である。
図6Bは、本開示の一実施形態による、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースの代替的な構成を示す図である。
【
図7】[0020]
図7Aは、外部毛管流れチャネルを有する固体棒として構成された毛管流れ管を示す、本開示の一実施形態による、毛管流れ管を備える流体搬送嵌合延長部の一実施形態を示す図である。
図7Bは、外部毛管流れチャネルを有する固体棒として構成された毛管流れ管を示す、本開示の一実施形態による、毛管流れ管を備える流体搬送嵌合延長部の一実施形態を示す図である。
図7Cは、内部毛管流れチャネルを有する中空管として構成された毛管流れ管を示す、本開示の一実施形態による、毛管流れ管を備える流体搬送嵌合延長部の一実施形態を示す図である。
図7Dは、組合せ固体棒および中空管として構成された毛管流れ管を示す、本開示の一実施形態による、毛管流れ管を備える流体搬送嵌合延長部の一実施形態を示す図である。
図7Eは、組合せ固体棒および中空管として構成された毛管流れ管を示す、本開示の一実施形態による、毛管流れ管を備える流体搬送嵌合延長部の一実施形態を示す図である。
【
図8】[0021]
図8Aは、本開示の一実施形態による、他とは異なる流体搬送嵌合延長部構成を有する組合せマウスピース/流体カートリッジの代替的な構成を示す図である。
図8Bは、本開示の一実施形態による、他とは異なる流体搬送嵌合延長部構成を有する組合せマウスピース/流体カートリッジの代替的な構成を示す図である。
図8Cは、本開示の一実施形態による、他とは異なる流体搬送嵌合延長部構成を有する組合せマウスピース/流体カートリッジの代替的な構成を示す図である。
【
図9A】[0022]ウィッキング材料を含む流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジを別々の要素として示す、本開示の一実施形態による、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジの一構成の断面図である。
【
図9B】組み合わせられた
図9Aのマウスピース/流体カートリッジを示す、本開示の一実施形態による、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジの一構成の断面図である。
【
図9C】毛管流れ管を含む流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジを別々の要素として示す、本開示の一実施形態による、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジの一構成の断面図である。
【
図9D】組み合わせられた
図9Cのマウスピース/流体カートリッジを示す、本開示の一実施形態による、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジの一構成の断面図である。
【
図10】[0023]
図10Aは、ウィッキング材料を含む流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジを別々の要素として示す、本開示の一実施形態による、流体流れ経路が例示された、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジの別の構成の断面図である。
図10Bは、組み合わせられた
図10Aのマウスピース/流体カートリッジを示す、本開示の一実施形態による、流体流れ経路が例示された、流体搬送嵌合延長部を有するマウスピースおよび流体カートリッジの別の構成の断面図である。
【
図11】[0024]
図11Aは、自己密封ストッパにおいて流体カートリッジに固着された圧漬可能な流体リザーバを示す、圧漬可能な流体リザーバを有する流体カートリッジの一構成の断面図である。
図11Bは、圧漬構成における
図11Aの流体リザーバを示す、圧漬可能な流体リザーバを有する流体カートリッジの一構成の断面図である。
図11Cは、流体カートリッジの長さに沿って流体カートリッジに固着された圧漬可能な流体リザーバを示す、圧漬可能な流体リザーバを有する流体カートリッジの一構成の断面図である。
図11Dは、圧漬構成における
図11Cの流体リザーバを示す、圧漬可能な流体リザーバを有する流体カートリッジの一構成の断面図である。
【
図12】[0025]2つの吐出器機構および2つの流体リザーバを有するマウスピース/流体カートリッジの断面図であって、吐出器機構および流体リザーバがおおむね並んで配置されている実施形態の断面図である。
【
図13】[0026]
図13Aは、2つの吐出器機構と、それぞれが流体リザーバを有する2つの別体の流体カートリッジとを有するマウスピース/流体カートリッジの断面図であって、吐出器機構および流体カートリッジがおおむね前後に配置されている実施形態の断面図である。
図13Bは、マウスピース内への流体カートリッジの挿入のために位置合わせされた、別々の要素としての
図13Aのマウスピースおよび流体カートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0027]本明細書に記載された本開示の上記その他の目的、特徴、および利点は、添付の図面に示されたようなそれらの発明性のある概念の個々の実施形態に関する以下の説明から明らかになるであろう。また、図面において、同様の参照文字は、様々な図にわたって同じ部品を指す。図面は、単に本開示の典型的な実施形態を示すものであり、したがって、範囲の限定と見なされるべきではない。
【0016】
[0028]呼吸器系の所望の領域への呼吸器液滴送達デバイスを使用した物質の効果的かつ効率的な送達、および、そのようなデバイスを使用した液滴の投与と吸息/呼息周期との同調は、常に問題を課してきた。例えば、肺胞気道での最適な沈着は一般に、1から6μmの範囲内の空気動力学的直径を有する液滴を必要とし、約4μm未満の液滴は、より効果的に肺の肺胞領域に到達することが認められており、また、約6μmを超えるより大きな液滴は、典型的には舌上に沈着するか、または咽喉にぶつかって気管支路(bronchial passage)を覆うことが認められている。より小さな液滴、例えば約1μm未満の液滴は、肺の中へより深く侵入し、かつ、吐き出される傾向がある。したがって、呼吸使用のための液滴送達デバイスの設計は、特定の使用に対して液滴サイズを正確に合わせる能力を必要とする。
【0017】
[0029]本開示のいくつかの態様は、本明細書において呼吸器液滴送達デバイスとして説明される、吸入物質の送達のための呼吸作動式プラットフォームに関する。デバイスは、正確さ、信頼性、および使用者への送達を改善することにより、現在の吸入送達システムに対する実質的な改善を提供する。いくつかの実施形態では、本開示のデバイスは、使用者体験および服薬遵守を強化するように設計された、完全に組み込まれた監視能力を含む。いくつかの態様では、本明細書において説明される超音波液滴送達デバイスは、使用者の呼吸器系への液滴の吐出流としての流体の送達、および、安全で適切でかつ反復可能な用量を使用者の呼吸器系へ送達する関連方法に有用である。
【0018】
[0030]いくつかの態様では、本開示は、正確な液滴サイズで使用者の呼吸器系に流体を投与するための超音波液滴送達デバイスに関する。いくつかの実施形態では、デバイスは、ボディハウジング、吐出器機構を有するマウスピース、少なくとも1つの流体リザーバを有する流体カートリッジを備える。いくつかの実施形態では、吐出器機構は、少なくとも1つの超音波アクチュエータと、液滴を吐出するためにその厚さにわたって複数の開口部が形成されている少なくとも1つの開口板とを備え得る。デバイスは、デバイス内の所定の圧力変化を検知すると吐出器機構を作動させることにより液滴の吐出流を生成するように構成された少なくとも1つの差圧センサをさらに備え得る。
【0019】
[0031]いくつかの実施形態では、液滴送達デバイスは一般に、マウスピース、流体カートリッジ、ボディハウジング、および少なくとも1つの差圧センサを備える。いくつかの実施形態では、マウスピースは、デバイスの空気流出口に位置決めされ、マウスピースは、1つまたは複数の空気流入口ポート、空気流出口開口部、電子的に作動される吐出器機構、吐出チャンバ、および流体搬送嵌合延長部を備える。流体カートリッジは一般に、一定量の流体を受け入れるための少なくとも1つのリザーバ、および少なくとも1つの密封機構を備え、流体カートリッジは、マウスピース内に配置されるか、またはマウスピースと流体連通して配置される。ボディハウジングは、電源および制御ボードを備える。少なくとも1つの差圧センサは、マウスピース内に位置決めされるか、またはボディハウジング内に位置決めされてマウスピースと流体連通し、少なくとも1つの差圧センサは、マウスピース内の所定の圧力変化を検知すると吐出器機構を作動させることにより液滴の吐出流を生成するように構成される。
【0020】
[0032]いくつかの実施形態では、電子的に作動される吐出器機構は、吐出器機構の流体カートリッジ側でリザーバと流体連通し、かつ、液滴の吐出流を生成するように構成され、吐出器機構は、圧電アクチュエータおよび開口板を備え、開口板は、その厚さにわたって形成された複数の開口部を有し、圧電アクチュエータは、ある周波数で開口板を振動させることにより液滴の吐出流を生成するように動作可能であり、吐出チャンバは、吐出器機構の流体カートリッジ側で吐出器機構に隣接して配置される。
【0021】
[0033]いくつかの実施形態では、流体搬送嵌合延長部は、マウスピースの流体カートリッジ側でマウスピース内に位置決めされる。流体搬送嵌合延長部は、流体カートリッジと吐出器機構との間に流体経路を提供するように構成される。流体搬送嵌合延長部は、流体カートリッジの密封機構と接合するか、または密封機構を貫通して延在し、前記流体カートリッジと前記吐出器機構との間に流体連通を作り出し得る。
【0022】
[0034]いくつかの実施形態では、マウスピースの1つまたは複数の空気流入口ポートは、空気入口流れ要素として構成され、空気入口流れ要素およびマウスピースは、乱れのない空気流が開口板の出口側を横切るのを促進するように、また、使用中に十分な空気流がマウスピースを通過することを実現するように、構成される。
【0023】
[0035]他の態様では、本明細書において説明される超音波液滴送達デバイスは、使用中に適当かつ反復可能な高率の液滴が使用者の気道、例えば肺胞気道内の所望の箇所へ送達されるように、定められた量の流体を液滴の吐出流の形態で送達することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、液滴の流れは、約6ミクロン未満、約5ミクロン未満、約4ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2.6ミクロン未満、約2.3ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1.6ミクロン未満、約1.3ミクロン未満、約1ミクロン未満、等の平均吐出液滴直径を有し得る。
【0024】
[0036]特定の実施形態では、吐出器機構は、超音波液滴送達デバイス内に配置された少なくとも1つの差圧センサにより、マウスピース内の所定の圧力変化を検知すると、電子的に呼吸作動される。いくつかの実施形態では、そのような所定の圧力変化は、デバイスの使用者による吸息周期中に検知される。いくつかの実施形態では、圧力センサは、吐出器機構の空気流出口側において、マウスピース内に配置され得る。他の実施形態では、圧力センサは、ボディハウジング内に配置される場合があり、また、吐出器機構の空気流出口側と流体連通する場合がある。
【0025】
[0037]いくつかの態様では、液滴送達デバイスは、デバイスの空気流入口における空気流内に位置決めされ、かつ、乱れのない(すなわち、層状のおよび/または遷移的な)空気流が少なくとも1つの開口板の出口側を横切るのを促進するように、また、使用中に液滴の吐出流が液滴送達デバイスを通って流れることを確実とするのに十分な空気流を提供するように構成された、1つまたは複数の空気入口流れ要素をさらに含む。いくつかの実施形態では、空気入口流れ要素は、マウスピース内に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、空気入口流れ要素は、空気流の方向に沿って開口板の出口側の背後に位置決めされるか、または、空気流の方向に沿って開口板の出口側に一列にもしくは正面に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、空気入口流れ要素は、使用中の液滴送達デバイス内の内部圧力抵抗を増減させるように構成された1つまたは複数の開口部を備える。例えば、いくつかの実施形態では、空気入口流れ要素は、1つまたは開口部のアレイを備える。他の実施形態では、空気入口流れ要素は、1つまたは複数の邪魔板を備え、例えば、1つまたは複数の邪魔板は、1つまたは複数の空気流開口部を備える。
【0026】
[0038]液滴の吐出エアロゾルが対象者の気道内へ吸入されるときにそこを通って液滴の吐出エアロゾルが出て行く液滴送達デバイスのマウスピースの空気流出口は、限定されることなしに、構成され、かつ、円形、楕円形、矩形、6角形、または他の形状の断面形状を有し得るが、管の形状は、やはり限定されることなしに、直線状、曲線状であり得るか、またはベンチュリタイプの形状を有し得る。
【0027】
[0039]本開示のいくつかの態様によれば、複数の開口部が貫通している少なくとも1つの開口板と流体連通している少なくとも1つの超音波吐出器機構を含む液滴送達デバイスが開示される。いくつかの実施形態では、超音波吐出器機構は、場合により細長い超音波「ホーン」によって増幅される、圧電アクチュエータを備え得る。そのような超音波「ホーン」アクチュエータは、振動を生成する圧電端部では幅広であって流体が接触するホーン端部では薄い、インピーダンス整合デバイスである。
【0028】
[0040]いくつかの実施形態では、例示的な超音波ホーンアクチュエータは、約半分の波長長さ(wavelength long)であり、かつ、典型的には金属、例えばチタン、ステンレス鋼、またはアルミニウムで作られ得る。ホーンは、特別にテーパ付けされた、溝付けされた、または段付けされた棒であってよく、かつ、液滴またはエアロゾルの流れを作り出すのに十分な大きさの変位をもたらし得る。ホーンは、流体内への圧電エネルギー(piezo energy)の(すなわち、小さくて高剛性の運動から、大きくてあまり穏やかではない運動への)効率的な結合を可能にするように設計される。非限定的な例として、ピエゾの1%の歪みがホーンにおける1%の歪みを作り出す場合、10倍長いホーンは、潜在的に10倍の変位を有する。
【0029】
[0041]いくつかの実施形態では、超音波ホーンを含むように構成された場合、開口板は、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、ホーンの流体端部の近くに、しかし厳密に言えばホーンには接触せずに、位置決めされ得る。ホーンは一般に、ホーンのボディの中間点とホーン内の段との間に高応力および最小運動の点を有する節点を含む半波長構造をホーンと圧電素子とが形成するのに十分な長さであり得る。ホーン長さは、設計中に最適化されてよく、パラメータは、それらの複合的な質量に基づいて設定される。非限定的な例として、チタンホーンは、強い節点応力に対処するために、高温、高摩耗設定において使用され得る。
【0030】
[0042]理論に制限されるものではないが、ホーンは、振動する圧電素子からエネルギーを取り出し、開口板を通して吐出される流体に上記エネルギーを伝達する。実際には、ホーンは、圧電素子振動の振幅を拡大するために、共鳴時に伸展し得る。したがって、ホーンの材料は、好ましくは、伸展(歪み)に関連する応力を支持するために、節点における低損失および十分な強度を有して伸展するべきである。いくつかの態様では、ホーン長さは、例えば100kHzにおいて、最小限で波長の半分である。例として、音速は金属と比較するとポリマーの場合は約半分であるので、ポリマーホーンは一般に、2倍の長さである必要があるであろう。
【0031】
[0043]マウスピース104、吐出器機構106、流体カートリッジ108、圧力/流れセンサ110、制御ボード112、電源/電池114、およびボディハウジング102を含む本開示の例示的な液滴送達デバイス100が、
図1A~1Cに示される。吐出器機構106は、マウスピース304もしくは流体カートリッジ108と接合されるか、またはマウスピース304もしくは流体カートリッジ108内に配置され得る。
【0032】
[0044]本明細書においてさらに詳細に説明されるように、吐出器機構は、液滴生成、デバイスを通る空気流、およびデバイス内の内部表面の方向に対して、デバイス内で様々な角度に配向され得る。理論に制限されるものではないが、液滴生成、デバイスを通る空気流、およびデバイス内の内部表面の方向に対する吐出器機構の配向は、液滴プルームからより大きな液滴を選別して除外する内部フィルタリングを介して液滴サイズ分布を最適化する働きをすると考えられる。
【0033】
[0045]いくつかの実施形態では、吐出器機構は、液滴が最初に空気流の方向に吐出されるように、デバイスを通る空気流の方向に対して直角に(例えば、垂直)配向され得る。そのような構成は、生成された液滴の内部フィルタリングを最小限に抑えて、ほとんどの液滴がマウスピース内で同伴空気流に流入することを可能にする(マウスピースの側壁における液滴の衝突、および、空気流経路に沿った慣性沈降は除く)。他の実施形態では、吐出器機構は、デバイスを通る空気流の方向に対して斜めに配向され得る。例として、吐出器機構は、直角から約5°、直角から約10°、直角から約15°、直角から約20°、直角から約25°、直角から約30°、直角から約35°、直角から約40°、直角から約45°、等に配向され得る。そのような実施形態では、液滴は、空気流内へ斜めに吐出されることが可能であり、その結果、より小さな液滴は、マウスピース内で同伴空気流に流入することができ、また、より大きな液滴は、空気流経路に沿ってマウスピースの側壁に衝突する(または、空気流経路に沿って沈降する)可能性が高い。
【0034】
[0046]
図1Aは、吐出器機構106が音響ホーン106aを含む実施形態を示す。使用中、超音波アクチュエータが振動すると、液滴が流体リザーバから吐出器機構の開口板にある開口部を通して吐出される。超音波アクチュエータは、超音波ホーンに固定されるかまたは超音波ホーンと接合されかつホーンを振動させるように動作可能な圧電アクチュエータが、電子盤上に配置された制御回路によって作動されたときに、振動する。ホーンは、流体リザーバ内の流体への圧電振動の振幅を増幅する。他の実施形態(図示せず)では、流体カートリッジは、片側では開口板と接合し、反対側では薄い超音波ポートと接合し得る。超音波ポートは、振動エネルギーを伝導するのに適した任意の材料、例えば薄いまたは弾性のフィルムであってよい。すると、超音波ホーン/圧電アクチュエータは、超音波ポートを通じて流体カートリッジに振動エネルギーを伝達することができる。
【0035】
[0047]いくつかの実施形態では、ホーンの端部と流体との間での超音波振動(エネルギー伝達)の効果的な結合のために、ホーンの端部は、超音波振動の各周期の圧縮相および緊張相の両方を流体内へ伝達しなければならない。本明細書において説明されるように、ホーンは、液滴の吐出を達成するために開口板に物理的に結合または接触する必要はない。むしろ、ホーンは、ホーンと開口板との間のエネルギー伝達を可能にするために、例えば開口板から約0.1から2mmの範囲内で、開口板と振動連通している必要がある。いくつかの実施形態では、これは、開口板およびホーンの両方が、デバイスのボディの外側シェルに付着する構造体上に支持されることにより、達成され得る。しかし、本開示は、効果的かつ効率的な結合を達成するためのさらなる構成を検討する。
【0036】
[0048]いくつかの態様によれば、本開示のデバイスは、流体カートリッジと超音波ホーンとの間の接合部分おける流体の漏れまたは蒸発に関する課題に対処する。例えば、流体リザーバ内の流体は、ホーンとリザーバとの間のOリングシールにより、漏れを抑制され得る。ホーン接続部における流体漏れを抑制するための代替的な実施形態では、ホーンは、カートリッジの浮遊「壁」または超音波ポートに接続され得、この浮遊「壁」または超音波ポートは、内部要素により開口板に振動を伝える。この壁またはポートは、弾性ゴム、または屈曲するプラスチックシートなどの、柔軟な材料であり得る。いくつかの実施形態では、動く壁の総面積は、超音波エネルギー損失を回避するために、最小限に抑えられ得る。壁と開口板との間隔もまた、所望の流体リザーバのサイズに対応するために、最小限に(ミリメートル、または数分の1ミリメートルに)抑えられ得る。ホーンと壁との間の接続は、超音波振動の圧縮力および張力の両方を伝達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、接続は、止めねじまたは「差込み」接続などの適切な機械的接続によって達成されてよく、この場合、ホーンは、カートリッジの一部である伝達要素内の溝に入り込むタングを有し、ひねることにより、タングを軸方向運動に対して堅固に保持することができる。振動を伝達する内部要素は、取付膜の一部であり、かつ、ホーンの振動特性にわずかな影響しか及ぼさないように、短いものである。ホーン接続部における流体漏れを抑制するためのさらなる追加的な実施形態では、超音波ホーンは、超音波振動の緊張相および圧縮相の両方を伝達するために、剛体接続ブロックを介して流体リザーバに接続され得る。この実施形態は、流体量が少ない構成(典型的には、単一用量カートリッジの例)に特に適している。この場合もやはり、止めねじまたは差込みタイプの接続が、ホーンを剛体接続ブロックに接続するために使用され得る。
【0037】
[0049]
図1Bは、吐出器機構がデバイスを通る空気流の方向におおむね直角な(例えば、垂直な)配向に位置合わせされている実施形態を示す。
図1Bの実施形態に示されるように、流体吐出チャンバ108aが、吐出器機構106の後ろに配置され、密封機構116が、吐出器機構106と流体カートリッジ108との間に配置される。吐出器機構が垂直に配向される構成は、吐出液滴の流れが、おおむね妨げのない態様で、デバイスを通る空気流に流入することを、可能にすることができ、つまり、マウスピースの側面に沿った衝突に起因する液滴の内部フィルタリングは、最小限である。
【0038】
[0050]
図1Cは、吐出器機構がデバイスを通る空気流の方向に対して角度を付けられた配向に位置合わせされている実施形態を示す。やはり、この実施形態においても、流体吐出チャンバ108aが、吐出器機構の後ろに配置され、密封機構116が、吐出器機構106と流体カートリッジ108との間に配置される。吐出器機構が斜めに配向される構成は、吐出液滴の流れが、マウスピースの側面に沿った衝突に起因する内部フィルタリングにさらされるような態様で、デバイスを通る空気流に流入することを、可能にすることができる。この内部フィルタリングは、より大きな液滴を空気流の流れから望ましい程度まで捕捉しかつ除去する働きをすることができる。
【0039】
[0051]いくつかの実施形態では、マウスピースは、ボディハウジングと接合される(場合により、取外し可能および/または交換可能)か、ボディハウジングに組み入れられるか、または、ボディハウジングの一部とされ得る。他の実施形態では、マウスピースは、流体カートリッジと接合される(場合により、取外し可能および/または交換可能)か、流体カートリッジに組み入れられるか、または、流体カートリッジの一部とされ得る。
【0040】
[0052]
図2A~2Cを参照すると、いくつかの態様では、ボディハウジング202およびマウスピース204は、流体カートリッジ208および吐出器機構(図示せず)を密閉形デバイス200内に封入するために、互いに嵌合し得る。
図2Aに示されるように、いくつかの実施形態では、マウスピース204、流体カートリッジ208、およびボディハウジング202は、別々の要素としてそれぞれ構成され得る。
図2Bを参照すると、マウスピース204は、吐出器機構(図示せず)を収容することができ、流体カートリッジ208は、流体カートリッジ208をマウスピース204内の吐出器機構(図示せず)と流体連通させるために、最初にマウスピース204に接続され得る。
図2Cに示されるように、いったん流体カートリッジ208がマウスピース204に接続されると、組合せマウスピース/流体カートリッジ220は、ボディハウジング202内に挿入されて、流体カートリッジ208をデバイス200内に封入することができる。
【0041】
[0053]いくつかの実施形態では、ボディハウジング202は、吐出器機構、流れ/圧力センサ、等の動作および作動を制御するための電源(例えば、電池)と電子装置(例えば、制御ボード)とを備えることができる。マウスピース204は、カートリッジスライド216aを含むことができ、流体カートリッジ208は、カートリッジスライド216aと協働することにより流体カートリッジ208をマウスピース204に固定するように構成されたカートリッジレール216bを含むことができる。流体カートリッジ408は、ボディハウジング202と接合しかつボディハウジング202内にロックするように構成された、1つまたは複数のハウジングロック226を含み得る。流体カートリッジ208はまた、1つまたは複数の通気孔222を含むことができ、かつ、自己密封式であるように構成され得るアクセスポート224を含むことができる。
【0042】
[0054]マウスピース204は、一般に、デバイス200の空気流出口に配置され、1つまたは複数の空気流入口ポート218が、一般に、マウスピース204またはボディハウジング202の空気流入口(図示せず)上に配置される。吐出器機構は、使用中に吐出器機構が流体リザーバから流体を受け取ることができるように、流体カートリッジと流体連通するために、デバイス200内に、例えばマウスピース204または流体カートリッジ208内に配置され得る。いくつかの実施形態では、超音波(例えば、圧電)アクチュエータは、開口板と接合され、かつ、ある周波数で開口板を振動させることにより液滴の吐出流を発生させるように動作可能である。示されるように、流体カートリッジ208は、デバイス200から取外し可能かつ交換可能であり得る。流体カートリッジは、使用者へ送達されるべき組成物の1回分または複数回分の投与量を封入する、1つまたは複数の流体リザーバを含み得る。
【0043】
[0055]本開示の液滴送達デバイスは、1つまたは複数の密封機構を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のデバイスは、流体カートリッジから密封テープを取り除いた後でのデバイス内に配置された複数回使用カートリッジまたは単回使用カートリッジからの蒸発を最小限に抑えるように構成される。例として、1つの実施形態では、マウスピースは、使用していないときにいかなる流体出口経路をも覆うための、および/または、使用していないときに開口板を覆うための、1つまたは複数の密封機構を含み得る。例えば、1つの実施形態では、使用していないときに開口板を覆う端面シールが設けられ得る。任意の適切な端面シールが使用されてよく、例えば、シールは、吸入後に使用者によって閉じられるマウスピースキャップの一部であってよい。キャップは、マウスピース内の、しかし開口板の外側の、滑らかなステンレス鋼表面を圧迫する、ばね留めされた端面シールを含み得る。別の実施形態では、圧電ホーンおよび流体カートリッジの接続部の間に、シールが設けられ得る。
【0044】
[0056]他の実施形態では、流体カートリッジおよび/またはマウスピースは、リザーバ内の流体の蒸発を最小限に抑えるために、流体カートリッジと吐出器機構との接合部分に1つまたは複数の密封機構を含み得る。いくつかの実施形態では、流体カートリッジは、ボディへの取付け前に蒸発を防止する、取外し可能な密封テープを有し得る。他の実施形態では、デバイスは、流体カートリッジとボディとの間の接続点における蒸発を最小限に抑えるために、1つまたは複数の密封機構を含み得る。
【0045】
[0057]非限定的な例として、流体カートリッジと吐出器機構との間の接合部分における密封機構は、自己密封ポリマー(例えば、ゴム)タイプのストッパを含み得る。
図3A~3Bを参照すると、単一切れ目構成302を含む例示的な自己密封ストッパ300が示されている。
図3Aは、ストッパの吐出器機構に面する側300aを示し、一方で、
図3Bは、ストッパの流体カートリッジに面する側300bを示す。いくつかの実施形態では、ストッパは、例えば流体リザーバの充填または流体リザーバへの試料採取アクセスを容易にするために、1つまたは複数の追加的なアクセスポート304を含み得る。例えば、1つのポートが、流体リザーバの充填(例えば、ハイスループット自動充填)のために使用されてよく、他のポートが、充填プロセス中の空気の排出を提供するために使用されてもよい。充填されると、ポートは、任意の適切な手段により、例えば栓クロージャ、ポリマーシーラント、等を介して、密封され得る。
【0046】
[0058]いくつかの実施形態では、密封機構は、吐出器機構への接合部分において流体カートリッジ上に配置され得る。マウスピースおよび/または吐出器機構は、流体カートリッジと吐出器機構との間に流体経路を提供するために、流体搬送嵌合延長部(例えば、突起または針様の延長部)を含み得る。嵌合延長部は、密封機構と接合するかまたは密封機構を貫通して延在し、流体カートリッジと吐出器機構との間の流体連通を作り出し得る。ストッパは、両側が全体的に平面状であるように成形され得る(
図3C~3H)か、または、マウスピースもしくは吐出器機構の嵌合延長部の配置を容易にするように成形され得る(
図3A~3B)。例えば、
図3A~3Bに示されるように、ストッパは、ストッパの吐出器機構に面する側300a上の全体的に凹形の表面と、ストッパの流体カートリッジに面する側300b上の全体的に凸形の突出部とによる、嵌合延長部の配置を容易にするように成形された中央ドーム形構造306を含み得る。中央ドーム形構造306の1つまたは複数の表面は、使用中のストッパの密封を容易にするために、密封リング308およびトラフ310を含み得る。
【0047】
[0059]自己密封ストッパの代替的な開口部切れ目構成が、
図3C~3Fに示されている。
図3C~3Eは、マウスピースの嵌合延長部との協動を最適化するように設計された代替的な内部密封構成を含むスポークホイール切れ目構成312を示す。
図3F~3Hは、単一切れ目構成302(
図3F)、十字切れ目構成314(
図3G)、およびスポークホイール構成312(
図3H)を含むがこれらに限定されるものではない、代替的な切れ目構成を示す。しかし、本開示は、示された切れ目構成に限定されるものではなく、任意の適切な構成が使用され得る。
【0048】
[0060]
図4Aは、流体カートリッジ400と接合された自己密封ストッパ402を示し、
図4Bは、自己密封ストッパ402と接合された例示的な流体カートリッジ400の断面図を示す。いくつかの実施形態では、ストッパは、例えば流体リザーバの充填または流体リザーバへの試料採取アクセスを容易にするために、1つまたは複数の追加的なアクセスポート414を含み得る。例えば、1つのポートが、流体リザーバの充填(例えば、ハイスループット自動充填)のために使用されてよく、他のポートが、充填プロセス中の空気の排出を提供するために使用されてもよい。充填されると、ポートは、任意の適切な手段により、例えば栓クロージャ、ポリマーシーラント、等を介して、密封され得る。
【0049】
[0061]
図4Bに示されるように、流体カートリッジ400は、1つまたは複数の通気孔404を含み得る。いくつかの実施形態では、通気孔404は、流体に面する側上の内部超疎水性フィルタまたは表面処理メッシュ406、および外部開口部408を含み得る。外部開口部408は、渦形通気孔空気流経路を含むように構成され得るか、または、1つもしくは複数の穴を含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、内部フィルタ/メッシュは、通気を実現するためにそれを貫通して開口部が形成されているポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))または金属メッシュから形成され得る。メッシュは、所望の表面接触角度を有するように(例えば、その意図された使用に応じて、親水性または疎水性であるように)表面処理され得る。一般に、水に対する表面接触角度が90°よりも小さい場合、表面は親水性と見なされ、また、水に対する表面接触角度が90°よりも大きい場合、表面は疎水性と見なされる。いくつかの実施形態では、メッシュは、高い接触角度を得るように(すなわち、疎水性)、または低い接触角度を得るように(すなわち、親水性)、表面処理され得る。非限定的な例として、メッシュは、例えばマイクロモールディング、化学エッチング、ドライエッチング(例えば、イオン化酸素またはプラズマによる)、等を介して表面処理され得る。
【0050】
[0062]
図4C~4Eは、嵌合延長部410がストッパ402と一直線に位置決めされ(
図4C)、次いで嵌合延長部410がストッパ402の中央ドーム形構造412内に挿入され(
図4D)、最後に嵌合延長部410がストッパ402の自己密封開口部414を突き抜けて流体カートリッジ400と吐出器機構(図示せず)との間に流体経路を形成する(
図4E)、例示的な実施形態を示す。
【0051】
[0063]嵌合延長部は、使用時に流体カートリッジと吐出器機構との間に流体流れ経路を提供するように、任意の適切な態様で構成され得る。例として、
図5を参照すると、嵌合延長部502は、マウスピース500と一体であり得る。いくつかの実施形態では、嵌合延長部502は、マウスピースの流体カートリッジに面する側に位置決めされてよく、かつ、全体的に吐出器機構(図示せず)に隣接し得る。嵌合延長部は、使用時に流体カートリッジと吐出器機構との間に流体流れ経路を提供するために、任意の適切な流体流れ経路または構成を含み得る。例えば、適切なウィッキング材料、毛管フィン、および/または流れチャネルが使用され得る。
【0052】
[0064]
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、嵌合延長部502は、流体流れを流体カートリッジから吐出器機構へ向かわせるために、1つまたは複数の毛管フィン504を含み得る。いくつかの実施形態では、嵌合延長部は、1つまたは複数の流れノッチを含み得る。例えば、
図6Aに示されるように、マウスピース602は、嵌合延長部604を含むことができ、嵌合延長部604は、嵌合延長部604の外部表面上に1つまたは複数の流れノッチ606を含む。示されるように、1つの流れノッチ606が示されているが、嵌合延長部の反対側に類似の流れノッチが存在し得る。別の実施形態では、
図6Bに示されるように、マウスピース602は、嵌合延長部604を含むことができ、嵌合延長部604は、1つまたは複数の流れノッチ606を備えるカバー608を含む。制限されるものではないが、カバー608は、嵌合延長部604に構造完全性を提供する一方で流体がノッチ606を通って流れることを可能にするように構成され得る。
【0053】
[0065]他の実施形態では、嵌合延長部は、毛管流れ管を含むように構成され得る。例えば、
図7A~7Eを参照すると、毛管流れ管は、流れチャネルを提供するための外部毛管構造を含む固体棒(
図7A~7B)、流れチャネルを提供するための内部毛管構造を含む中空管(
図7C)、または、流れチャネルを提供するための内部毛管構造と外部毛管構造を含む棒との組合せ管(
図7D~7E)であり得る。必要に応じて、嵌合延長部は、ウィッキング材料から形成されるかもしくはウィッキング材料を含んでもよく、または、所望の表面接触角度を提供するために表面処理されてもよい。例えば、嵌合延長部および/または毛管流れ管は、金属またはポリマーから形成され、かつ、親水性であるように、例えばマイクロモールディング、化学エッチング、ドライエッチング(例えば、イオン化酸素またはプラズマによる)、等を介して表面処理され得る。
【0054】
[0066]
図8A~8Cは、流体カートリッジ804と接合されたマウスピース802の種々の実施形態を示し、マウスピース802は、例示的な嵌合延長部806を備える。
図8Aは、嵌合延長部806が内部流れチャネル810を含む実施形態を示し、内部流れチャネル810は、場合によりウィッキング材料(図示せず)を含み得る。
図8Bは、内部流れチャネル810の一部分内に配置された毛管流れ管812を嵌合延長部806が含む実施形態を示す。
図8Cは、毛管流れ管812を備える類似の構成を示すが、毛管流れ管812は、使用時に流体カートリッジ内へさらに延在するように、より長いものである。
【0055】
[0067]
図9A~9Dは、嵌合延長部904を有するマウスピース902、および自己密封ストッパ908を有する流体カートリッジ906を示す。
図9Aは、マウスピース902および流体カートリッジ906を、分離された構成要素として示すが、
図9Bは、流体カートリッジ906と接合されたマウスピース902を示す。マウスピース902は、空気流の方向に対して斜めに構成された吐出器機構910と、吐出器機構910の流体カートリッジに面する側上の吐出チャンバ912とを含む。嵌合延長部904は、使用時の流体カートリッジ906と吐出器機構910との間での流体流れを促進するために、内部流れチャネルに沿ってウィッキング材料914を備える。マウスピースは、吐出器機構910の流体カートリッジに面する側上に1つまたは複数の通気孔916をさらに含み得る。
図9C~9Dは、嵌合延長部904の代替的な構成を示し、嵌合延長部は、毛管流れ管918を含む。
図9Cは、マウスピース920および流体カートリッジ906を、分離された構成要素として示すが、
図9Dは、流体カートリッジ906と接合されたマウスピース902を示す。
【0056】
[0068]
図10A~10Bは、嵌合延長部1004を有するマウスピース1002および自己密封ストッパ1008を有する流体カートリッジ1006の代替的な構成を示す。
図10Aは、マウスピース1002および流体カートリッジ1006を分離された構成要素として示すが、
図10Bは、流体カートリッジ1006と接合されたマウスピース1002を示す。マウスピース1002は、空気流の方向に対して斜めに構成された吐出器機構1010と、吐出器機構1010の流体カートリッジに面する側上の吐出チャンバ1012とを含む。嵌合延長部1004は、使用時の流体カートリッジ1006と吐出器機構1010との間での流体流れを促進するために、内部流れチャネルに沿ってウィッキング材料および/または毛管流れ管1014を備える。マウスピース1002は、吐出器機構1010の流体カートリッジに面する側上に1つまたは複数の通気孔1016をさらに含み得る。
【0057】
[0069]示された実施形態では、通気孔1016は、流体に面する側上の内部超疎水性フィルタまたは表面処理メッシュ1018、および、マウスピース1002の空気流出口側への外部開口部または流れ経路1020を含む。いくつかの実施形態では、内部フィルタ/メッシュは、通気を実現するために開口部が貫通して形成されているポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))または金属メッシュから形成され得る。メッシュは、所望の表面接触角度を有するように(例えば、その意図された使用に応じて、親水性または疎水性であるように)表面処理され得る。一般に、水に対する表面接触角度が90°よりも小さい場合、表面は親水性と見なされ、また、水に対する表面接触角度が90°よりも大きい場合、表面は疎水性と見なされる。いくつかの実施形態では、メッシュは、高い接触角度を得るように(すなわち、疎水性)、または低い接触角度を得るように(すなわち、親水性)、表面処理され得る。非限定的な例として、メッシュは、例えばマイクロモールディング、化学エッチング、ドライエッチング(例えば、イオン化酸素またはプラズマによる)、等を介して表面処理され得る。
【0058】
[0070]示されるように、マウスピース1002の空気流出口側を通じて空気流が開始され、液滴送達デバイスが作動されると、液滴の流れは、液滴流れ経路1022aに沿って流れるように、吐出器機構1010から吐出される。同時に、吐出器機構1010の流体カートリッジ側は、吸込空気流経路1022bに沿って空気流を作り出すために、通気孔1016を通じて通気され得る。制限されるものではないが、通気孔1016および吸込流れ経路1022bを含むそのような構成は、流体カートリッジ1006から吐出チャンバ1012へのウィッキング流体流れ1022cをさらに促進することにより、また、吐出チャンバ1012内の気泡の除去を促進することにより、吐出器機構1010の機能を向上させることができる。
【0059】
[0071]本明細書において論じられるように、流体カートリッジは、1つまたは複数の流体リザーバを含み得る。いくつかの実施形態では、流体リザーバは、一定量の流体を保管するための容器として構成され得る。他の実施形態では、流体リザーバは、密封された容器であり得、また、使用中に圧漬可能(collapsible)であるかまたは圧縮可能であり得る。例えば、
図11A~11Dを参照すると、圧漬可能な流体リザーバの実施形態が示されている。
図11A~11Bでは、流体リザーバは、流体カートリッジ1102内に収容される圧漬可能な袋1104を備える(
図11A)。使用中、マウスピース(図示せず)の嵌合延長部1106は、流体カートリッジ1102と流体連通して接合される。使用中に流体が消費されるにつれて、圧漬可能な袋1104は、流体カートリッジ1102内で圧漬される(
図11B)。示されるように、圧漬可能な袋1104は、自己密封ストッパ1108において流体カートリッジ1102に固着され得る。他の実施形態では、
図11C~11Dに示されるように、圧漬可能な袋1104は、流体カートリッジの外壁沿い位置において、例えば流体カートリッジの中間点の中央において、流体カートリッジ1102に固着され得る(
図11C)。この場合もやはり、使用中、マウスピース(図示せず)の嵌合延長部1104は、流体カートリッジ1102と流体連通して接合される。使用中に流体が消費されるにつれて、圧漬可能な袋1104は、流体カートリッジ 1102内で圧漬される(
図11D)。流体カートリッジ1102は、圧漬可能な袋1104の外部の圧力が等しくなることを可能にするために、1つまたは複数の通気孔1110を含む。
【0060】
[0072]いくつかの実施形態では、流体カートリッジは、分注すべき流体の密度よりも大きい密度を有する材料から形成されるかまたはそのような材料をその組成に含む流体変位要素(例えば、球体またはシリンダ)を、その体積内にさらに含み得る。流体変位要素は、使用中に流体リザーバ内でリザーバの最下点に移動するか転動するかまたは位置決めされるように構成され、それにより、流体を変位させ、かつ、リザーバ内のデッドスペース体積を減少させて、流体/開口板接触表面積を増大させる。
【0061】
[0073]本開示のいくつかの態様によれば、肺内への効果的な沈着は、一般に、直径が約5~6μm未満、好ましくは約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2.5μm未満、約2.3μm未満、約2μm未満、約1.6μm未満、約1.3μm未満、約1μm未満、等の液滴を必要とする。理論に制限されるものではないが、液滴送達デバイスは、流体を肺へ送達するために、デバイス外への吐出を可能とするのに十分に高いが舌上または咽喉の後ろでの沈着を防ぐのに十分に低い運動量を与えなければならない。おおよそこのサイズを下回る液滴は、それら自体の運動量によってではなく、液滴を運ぶ空気流および同伴空気の運動によって、ほぼ完全に搬送される。
【0062】
[0074]いくつかの態様では、本開示は、約5~6μm未満、好ましくは約5μm未満、約4ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2.5ミクロン未満、約2.3ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1.6ミクロン未満、約1.3ミクロン未満、約1ミクロン未満、等の呼吸に適した範囲内で液滴の流れを吐出するように構成された吐出器機構を含み、かつ、そのような吐出器機構を提供する。吐出器機構は、本明細書において説明されるように、圧電素子、および任意選択の超音波ホーンで構成される。吐出器機構は、本明細書において説明されるように、少なくとも1つの開口板に振動的に結合される。開口板は、一般に、その厚さにわたって形成された複数の開口部を含み、吐出器機構は、開口板の1つの表面と流体接触している吐出器機構が、開口板を(その振動エネルギーを介して)振動させることにより、使用者が吸入するときに開口板の開口部から肺に入る液滴の指向性エアロゾル流を発生させる。
【0063】
[0075]液滴の吐出流は、限定されることなしに、吐出器機構および開口板を使用して液滴を形成することができる範囲内の粘性を有する溶液、懸濁液、またはエマルジョンから形成された液滴を含む。いくつかの態様では、治療薬は、代替的な投与ルートおよび標準的な吸入技術と比較して、高い投与濃度および有効性で送達され得る。
【0064】
[0076]いくつかの実施形態では、本開示の液滴送達デバイスは、任意の適切な物質または薬剤を使用者の呼吸器系へ送達するために使用され得る。例えば、液滴送達デバイスは、大小の分子を含む治療薬を送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の超音波液滴送達デバイスは、治療薬を対象者の呼吸器系へ送達することにより様々な病気、疾患、および状態を治療するために使用され得る。この点に関して、超音波液滴送達デバイスは、治療薬を呼吸器系へ局所的に送達するためにも身体へ全身的に送達するためにも使用され得る。
【0065】
[0077]いくつかの実施形態では、デバイスおよび方法は、大麻から単離または抽出され得る薬剤を含む組成物を送達するために使用され得る。例えば、薬剤は、天然または剛性のカンナビノイド、例えばTHC(テトラヒドロカンナビノール)、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、CBD(カンナビジオール)、CBDA(カンナビジオール酸)、CBN(カンナビノール)、CBG(カンナビゲロール)、CBC(カンナビクロメン)、CBL(カンナビシクロル)、CBV(カンナビバリン)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、CBDV(カンナビジバリン)、CBCV(カンナビクロメバリン)、CBGV(カンナビゲロバリン)、CBGM(カンナビゲロールモノメチルエーテル)、CBE(カンナビエルソイン)、CBT(カンナビシトラン)、およびそれらの種々の組合わせであり得る。他の実施形態では、薬剤は、カンナビノイド受容体1型(CB1)、カンナビノイド受容体2型(CB2)、またはそれらの組合せを結合させる配位子であり得る。特定の実施形態では、薬剤は、THC、CBD、またはそれらの組合せを含み得る。例として、薬剤は、95%THC、98%THC、99%THC、95%CBD、98%CBD、99%CBD、等を含み得る。
【0066】
[0078]他の実施形態では、本開示のデバイスおよび方法は、例えば水-ニコチン共沸混合物(water-nicotine azeotrope)を含む、ニコチンまたはその塩の溶液を送達するために使用され得る。非限定的な例として、ニコチンまたはその塩は、化学名S-3-(1-メチル-2-ピロリジニル)ピリジンを有する自然発生的なアルカロイド化合物であってよく、これは、自然界から単離および精製されるかもしくは任意の態様で合成的に作製されてよく、または、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩もしくは重硫酸塩、リン酸塩もしくは酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩もしくは酸性クエン酸塩、酒石酸塩もしくは重酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ピルビン酸塩、庶糖塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ショウノウ酸塩、およびパモ酸塩などの薬理学的に許容されるアニオンを含むそれ由来の塩のいずれかであってよい。他の実施形態では、組成物は、ニコチンに類似した薬理療法学的特性を示す、薬理学的に許容される任意のニコチンの派生物、代謝物、または類似物をさらに含み得る。そのような派生物および代謝物は、当技術分野で知られており、コチニン、ノルコチニン、ノルニコチン、ニコチンN-オキシド、コチニンN-オキシド、3-ヒドロキシコチニン、および5-ヒドロキシコチニン、または薬理学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0067】
[0079]いくつかの実施形態では、本開示の方法および液滴送達デバイスは、薬剤を対象者の呼吸器系へ送達することにより様々な病気、疾患、および状態を治療するために使用され得る。この点に関して、液滴送達デバイスは、治療薬を呼吸器系へ局所的に送達するためにも身体へ全身的に送達するためにも使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法および液滴送達デバイスは、てんかん、発作性疾患、疼痛、慢性痛、神経性疼痛、頭痛、片頭痛、関節炎、多発性硬化症、食欲不振、吐き気、嘔吐症状、食欲不振、食欲喪失、不安症、不眠症、等を治療するために使用され得る。他の実施形態では、本開示の方法および直列液滴送達デバイスは、喘息および/またはCOPDを治療するために使用され得る。
【0068】
[0080]いくつかの実施形態では、本開示の超音波薬物送達デバイスは、投与が監視されるかまたは他の方法で制御される鎮痛薬の高度に制御された分注のための麻薬などの計画的かつ制御された物質を送達するために使用され得る。
【0069】
[0081]いくつかの実施形態では、非限定的な例として、作動および/または液滴送達は、デバイスによるまたはデバイスへの通信、医師もしくは薬局によるデバイスへの通信を介した特定使用者識別により、(使用者のスマートフォン上のGPS位置によって検証される、患者の住居、学校または他の禁止指定区域の付近でない場所、等のような)特定の場所においてのみ、利用可能とされ得、かつ/あるいは、作動および/または液滴送達は、投与スケジュール、量、乱用コンプライアンス、等を含む服薬遵守を監視することによって制御され得る。いくつかの態様では、この高度に制御された物質の分注の機構は、規制物質の乱用または過量投与を防ぐことができる。
【0070】
[0082]他の実施形態では、超音波液滴送達デバイスは、喘息、慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、結核症、慢性気管支炎、もしくは肺炎などの呼吸器の病気または疾患を治療または防止するために、治療薬を液滴の吐出流として対象者の呼吸器系へ送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、超音波液滴送達デバイスは、COPD薬、喘息薬、または抗生物質などの治療薬を送達するために使用され得る。非限定的な例として、そのような治療薬は、アルブテロールサルフェート、臭化イプラトロピウム、トブラマイシン、フルチカゾンプロピオネート、フルチカゾンフロエート、チオトロピウム、グリコピロレート、オロダテロール、サルメテロール、ウメクリジニウム、およびそれらの組合せを含む。
【0071】
[0083]他の実施形態では、超音波液滴送達デバイスは、小分子、治療用ペプチド、タンパク質、抗体、および他の生物工学処理分子(bioengineered molecule)を含む治療薬の呼吸器系を介した全身的な送達のために使用され得る。非限定的な例として、直列液滴送達デバイスは、例えば真性糖尿病、リウマチ性関節炎、尋常性乾癬、クローン病、ホルモン補充、好中球減少症、吐き気、インフルエンザ、等を含む兆候の治療または予防のための治療薬を全身的に送達するために使用され得る。
【0072】
[0084]非限定的な例として、治療用ペプチド、タンパク質、抗体、および他の生物工学処理分子は、成長因子、インスリン、ワクチン(プレブノール(Prevnor)-肺炎、ガーダシル(Gardasil)-HPV)、抗体(キイトルーダ(Keytruda)(ペムブロリズマブ(pembrolizumab))、オプジーボ(Opdivo)(ニボルマブ(nivolumab))、アバスチン(Avastin)(ベバシズマブ(bevacizumab))、ヒュミラ(Humira)(アダリムマブ(adalimumab))、レミケード(Remicade)(インフリキシマブ(infliximab))、ハーセプチン(Herceptin)(トラスツズマブ(trastuzumab)))、Fc融合タンパク質(エンブレル(Enbrel)(エタネルセプト(etanercept))、オレンシア(Orencia)(アバタセプト(abatacept)))、ホルモン(エロンバ(Elonva)-長時間作用型FSH、成長ホルモン)、酵素(プルモザイム(Pulmozyme)-rHu-DNAase-)、他のタンパク質(凝固因子、インターロイキン、アルブミン)、遺伝子治療およびRNAi、細胞治療(プロベンジ(Provenge)-前立腺癌ワクチン)、抗体薬物抱合対-アドセトリス(Adcetris)(HLのためのブレンツキシマブベドチン(Brentuximab vedotin))、サイトカイン、抗感染剤、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド(例えば、遺伝子ベクター)、またはそれらの任意の組合せ、あるいは、フロナーゼ(Flonase)(フルチカゾンプロピオネート)もしくはアドベア(Advair)(フルチカゾンプロピオネートおよびサルメテロールキシナホエート)などの固体液滴または懸濁液を含む。
【0073】
[0085]上述のように、肺気道内深くへの効果的な液滴の送達は、直径が約5~6ミクロンの液滴、具体的には約5ミクロン未満の質量平均空気力学的直径(MMAD)を有する液滴を必要とする。質量平均空気力学的直径は、質量による液滴の50%がより大きく、50%がより小さい直径として定義される。本開示のいくつかの態様では、肺胞気道内での沈着のために、このサイズ範囲内の液滴は、デバイス外への吐出を可能とするのに十分に高いが舌(軟口蓋)または咽頭上への沈着を克服するのに十分に低い運動量を有さなければならない。
【0074】
[0086]いくつかの態様では、液滴送達デバイスは、液滴が適切かつ反復可能な高い割合で使用中に対象者の気道、例えば肺胞気道内の所望の箇所へ送達されるように、定められた量の流体を、小さな直径を有する液滴の吐出流の形態で送達することができる。いくつかの実施形態では、液滴直径は、約0.7μmから約5μm、約0.7μmから約4.7μm、約0.7μmから約4μm、約0.7μmから約2.5μm、約0.7μmから約1.3μm、等に及び得る。
【0075】
[0087]本開示の他の態様では、本開示の液滴送達デバイスを使用して使用者の呼吸器系への送達のための液滴の吐出流を生成する方法が提供される。いくつかの実施形態では、液滴の吐出流は、制御可能かつ規定された液滴サイズ範囲において生成される。例として、液滴サイズ範囲は、約6μmを下回る、好ましくは約5μmを下回る呼吸に適した範囲内の吐出液滴の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、約50%から約90%の間、約60%から約90%の間、約70%から約90%の間、約70%から約95%の間、等を含む。
【0076】
[0088]他の実施形態では、液滴の吐出流は、気道内の複数の領域(口、舌、咽喉、上気道、下気道、深肺、等)を標的とするために複数の直径を有する液滴が生成されるように、1つまたは複数の直径を有し得る。例として、液滴直径は、約0.25μmから約200μm、約0.25μmから約100μm、約0.25μmから約60μm、約0.25μmから約40μm、約0.25μmから約20μm、約0.25μmから約5μm、約0.25μmから約4.7μm、約0.25μmから約4μm、約6μmから約50μm、約10μmから100μm、約10μmから50μm、約10μmから40μm、約10μmから30μm、約10μmから20μm、約5μmから約10μm、約0.7μmから約5μm、約0.7μmから約4.7μm、約0.7μmから約4μm、約0.7μmから約2.5μm、約0.7μmから約1.3μm、およびそれらの組合せに及び得る。
【0077】
[0089]特定の実施形態では、一部分の液滴は、呼吸に適した範囲内の直径を有し、一方で他の液滴は、呼吸に適さない位置を標的とするために、他のサイズの直径(例えば、約5μmよりも大きい)を有し得る。この点に関して、例示的な吐出液滴流は、例えば口および/または喉を標的とするために、呼吸に適した範囲(約5μm未満)内に液滴の50%~70%を有し、かつ、呼吸に適した範囲外(約5μm~約10μm、約5μm~約20μm、約5μm~約30μm、約10μm~約30μm、等)に液滴の30%~50%を有し得る。
【0078】
[0090]いくつかの構成では、2つ以上の直径の液滴を有する液滴の流れを吐出するために、単一の超音波アクチュエータおよび単一の開口板が使用され得る。他の実施形態では、複数の超音波アクチュエータおよび複数の開口板が(複数の流体カートリッジと一緒に、または複数の開口板と接合される複数の流体リザーバを含む単一の流体カートリッジと一緒に)使用され得る。さらに他の実施形態では、複数の開口板を含む単一の超音波アクチュエータが、この場合もやはり複数の流体カートリッジと一緒に、または複数の流体リザーバを含む単一の流体カートリッジと一緒に、使用され得る。
【0079】
[0091]非限定的な例として、約0.25μmから約5、約0.7μmから約5μm、約0.7μmから約4.7μm、約0.7μmから約4μm、約0.7μmから約2.5μm、約0.7μmから約1.3μm、等の平均液滴直径の一部の液滴と、約10μmから100μm、約10μmから50μm、約10μmから40μm、約10μmから30μm、約10μmから20μm、等の平均液滴直径の他の液滴とを有する液滴の流れが、吐出され得る。いくつかの実施形態では、小さい方の液滴は、肺への送達のための組成物、例えばニコチンを含む場合があり、一方で、大きい方の液滴は、口および咽喉への送達のための組成物、例えばフラボラント(flavorant)を含む場合がある。他の実施形態では、大小の液滴を介して送達される組成物は、同じであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、同じであり得るが、1つの濃度(投与量)においては小さい方の液滴を介して肺へ送達され、第2の濃度においては大きい方の液滴を介して口および/または咽喉へ送達され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、ニコチン、カンナビノイド、または医薬などの物質を含み得る。
【0080】
[0092]いくつかの実施形態では、異なる平均液滴直径を有する2つ以上の液滴の流れを吐出するように構成された例示的なデバイスが、単一の超音波アクチュエータと接合するように構成された開口板/カートリッジを備えることができ、開口板/カートリッジは、2つの流体リザーバ、および、異なる直径の開口部を有する2つの開口板を含む。リザーバおよび開口板は、超音波アクチュエータ接合域に配置された構造分割要素によって分離される。他の実施形態では、デバイスは、別々の開口板/流体リザーバモジュールと接合される別々の超音波アクチュエータ要素を有して構成され得る。さらに他の実施形態では、デバイスは、別々の開口板/流体リザーバモジュールと接合される単一の超音波アクチュエータ要素を有して構成され得る。
【0081】
[0093]非限定的な例として、
図12および
図13A~13Bは、2つ以上の直径を有する液滴の送達を促進するための開口板、リザーバ、および超音波アクチュエータの様々な組合わせを含む液滴送達デバイスを例示するいくつかの実施形態を示す。
【0082】
[0094]例えば、
図12を参照すると、並んで配置された2つの流体リザーバ1204、1206を流体カートリッジ1202が含む一実施形態が示されている。マウスピース1208が、やはりおおむね並んで配置された2つの吐出器機構1210、1212を含む。示された実施形態では、吐出器機構1210、1212は、おおむね並んだ構成において互いにオフセットして配置される。示されるように、一方の吐出器機構1210は、デバイスを通る空気流の方向に対しておおむね直角に(垂直に)配向される。他方の吐出器機構1212は、デバイスを通る空気流の方向に対して斜めに配向される。
【0083】
[0095]別の実施形態では、
図13A~13Bを参照すると、デバイスは、それぞれ流体リザーバ1306、1308を備える2つの流体カートリッジ1302、1304を含むことができ、カートリッジは、おおむね前後に配置される。マウスピース1310が、やはりおおむね前後に配置された2つの吐出器機構1312、1314を含む(
図13A)。示された実施形態では、吐出器機構1312、1314は、おおむね前後の構成において互いにオフセットされ、かつ、後方の吐出器機構1314からマウスピース1310の出口側への空気流を可能にするように構成される。この場合もやはり、一方の吐出器機構は、デバイスを通る空気流の方向に対しておおむね直角に(垂直に)配向されてもよく、また、他方の吐出器機構は、デバイスを通る空気流の方向に対して斜めに配向されてもよい(図示せず)。いくつかの実施形態では、個々の流体カートリッジ1302、1304は、やはりおおむね前後に配置された別々のアクセス点1316、1318を介してマウスピース1310と接合され得る(
図13B)。
【0084】
[0096]本開示の別の態様では、本開示の液滴送達デバイスを使用して安全、適切、かつ反復可能な用量の物質、例えば医薬を呼吸器系へ送達するための方法が提供される。方法は、深肺および肺胞気道を含む対象者の呼吸器系内の所望の箇所へ、液滴の吐出流を送達する。
【0085】
[0097]いくつかの実施形態では、超音波液滴送達デバイスは、流体リザーバおよび開口板を含む別体の流体カートリッジと、吐出器機構、差圧センサ、マイクロプロセッサ、および3本の単4電池を含むハンドヘルド形ベースユニット(例えば、ハウジング/ボディ)とで構成される。いくつかの実施形態では、ハンドヘルド形ベースユニットはまた、場合により取外し可能なマウスピース、任意選択のマウスピースカバー、および任意選択の吐出器プレートシールを含む。マイクロプロセッサは、ブルートゥース(登録商標)技術を通じて送信され得る投与量送達パラメータ、投与量計数パラメータ、およびソフトウェア設計監視パラメータを制御する。吐出器機構は、開口板と相まって、高い精度と再現性で所定の範囲内で吐出液滴流を作り出すことにより、肺への液滴送達を最適化する。初期の液滴研究は、デバイスから吐出される液滴の少なくとも65%から70%が呼吸に適した範囲(例えば、1~5μm)内にあることを示す。
【0086】
[0098]いくつかの実施形態では、超音波液滴送達デバイスは、1つまたは複数の流体リザーバを含む流体カートリッジを具備することができ、この流体カートリッジは、定期的に、例えば毎日、毎週、毎月、必要に応じて、等で、交換可能または使い捨て可能であってよい。流体リザーバは、予め充填されて、使用者に分配するための店舗もしくは薬局に保管されるか、または、手動で駆動されるかまたはマイクロポンプによって駆動される中空注入シリンジなどの適切な注入手段を使用することにより、店舗、薬局、または他の場所で充填されてもよい。シリンジは、硬質容器または他の圧漬可能なもしくは圧漬不能なリザーバの中へ、あるいはそこから流体を圧送することにより、リザーバを満たすことができる。いくつかの態様では、そのような流体カートリッジは、その短い使用時間のおかげで、開口板上での表面沈着または表面微生物汚染の蓄積を最小限に抑えかつ防止することができる。
【0087】
[0099]本開示のいくつかの態様では、マウスピースおよび吐出器機構、ならびに流体カートリッジは、約5um未満の液滴直径を有するプルームを生成するように機能する。上述のように、いくつかの実施形態では、吐出器機構は、ボディハウジング内の電子装置によって電力供給され、流体リザーバは、薬剤の単回投与、数回投与、または数百回投与のための十分な物質を保有することができる。
【0088】
[00100]いくつかの態様では、本開示のデバイスは、差圧センサを使用して、吸入の開始に応答して圧電吐出器を始動させることにより、使用者/デバイスの協調の必要性を排除する。
【0089】
[00101]本明細書において説明されるように、いくつかの実施形態では、超音波液滴送達デバイスは、マウスピース/流体カートリッジをボディハウジングに挿入すること、マウスピースカバー(存在するのであれば)を開くこと、および/またはオン/オフスイッチ、スライドバー、もしくはボタンを切り替えることにより、使用のためにオンにされ、作動され得る。この点に関して、いくつかの実施形態では、視覚および/または音声インジケータが、例えばオン、オフ、スタンバイ、準備中、等のデバイスの状態を示すために使用され得る。例として、1つまたは複数のLEDライトが、デバイスが使える状態であることを示すために、緑色になりかつ/または緑色で点滅してもよい。他の実施形態では、視覚および/または音声インジケータは、行われた吸入の回数、残りの吸入の回数、使用に関する指示、等を含む流体カートリッジの状態を示すために使用され得る。例えば、LED視覚スクリーンが、リザーバ内の残りの吸入回数による吸入カウンター数値表示を示し得る。
【0090】
[00102]本明細書においてさらに詳細に説明されるように、使用中、使用者が本開示の超音波液滴送達デバイスのマウスピースを通じて吸入すると、デバイス内の差圧センサが、例えば、例えばマウスピース内またはボディハウジング内に配置されたベンチュリ板または他の適切な圧力センサにまたがる圧力降下を測定することにより、吸気流を検出する。閾値圧力減退(例えば、8slm)が達成されると、マイクロプロセッサは吐出器機構を作動させ、吐出器機構は、使用者がマウスピースを通じて吸息するデバイスの空気流内への液滴の吐出流を生成する。いくつかの実施形態では、投与が開始されたことを示すために音声および/または視覚インジケータが使用されてもよく、例えば、1つまたは複数のLEDが、緑色に点灯してもよい。次いで、マイクロプロセッサは、所望の投与量、例えば1~1.45秒を達成するために、開始後の指定された時間に吐出器を停止させる。あるいは、マイクロプロセッサは、吸息がもはや検出されないことを圧力センサが示すときに、停止させてもよい。そのような実施形態では、閾値は、過量投与および乱用が起こらないことを確実にするように設定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、デバイスは、適切な投与を促進するために、視覚および/または音声インジケータを提供することができ、例えば、デバイスは、投与の開始後に明確なチャイム音を発して、所定の時間、例えば10秒間にわたって息を止めることを始めるように使用者に指示することができる。息止め期間中、例えば3つの緑色LEDが点滅してもよい。さらに、息を吐き出し、吸い込み、そして保持するように適切なタイミングで患者に指示する、息止めカウントダウンの音声インジケータによる音声命令が存在してもよい。
【0091】
[00103]投与に続いて、超音波液滴送達デバイスは、任意の適切な態様で、例えばマウスピースカバーを閉じること、オン/オフスイッチ、スライドバー、もしくはボタンを切り替えること、不使用からタイムアウトすること、流体カートリッジを取り外すこと、等により、オフにされかつ停止され得る。必要に応じて、音声および/または視覚インジケータが、例えば1つまたは複数の赤色LEDライトをきらめかすこと、マウスピースカバーを閉じるための音声命令を提供すること、等により、使用者にデバイスを停止するように促してもよい。
【0092】
[00104]いくつかの実施形態では、超音波液滴送達デバイスは、開口板の完全性を保護するために、また、リザーバ内の流体の汚染および蒸発を最小限に抑えかつ防止するために、不使用時に開口板を密封する、吐出器機構閉鎖システムを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、マウスピースカバーを含むことができ、マウスピースカバーは、カバーが閉じられたときに開口板の出口側表面を密封するためのサイズおよび形状とされたゴム栓を含む。他の実施形態では、マウスピースカバーは、カバーが閉じられたときに開口板の出口側表面を密封するためのスライドを動作させることができる。他の実施形態および構成、例えば手動のスライド、カバー、および栓、等も想定される。いくつかの態様では、マイクロプロセッサは、吐出器機構クロージャ、開口板シール、等が所定の位置にあるときにそのことを検出するように構成されてよく、また、その後でデバイスを停止させることができる。
【0093】
[00105]デバイスのいくつかの特徴は、特定の液滴サイズの正確な投与を可能にする。液滴サイズは、開口板にある穴の直径によって設定され、それらの穴は、高精度で形成される。例として、開口板にある出口側穴のサイズは、1μmから6μm、2μmから5μm、3μmから5μm、3μmから4μm、等に及び得る。他の実施形態では、本明細書において説明されるように、複数のサイズの液滴が望まれる場合、開口板は、複数の直径を有する穴の領域を有して構成され得る。例えば、開口板は、異なるサイズの穴直径を有する同心リング、第1の穴サイズ直径を有する内部領域および異なる穴サイズ直径を有する外部リング、第1のサイズの穴直径を有する片側および第2のサイズの穴直径を有するもう片側、等を有し得る。液滴の毎秒当たりの吐出量は一般に、マイクロプロセッサによって作動される開口板の振動の周波数、例えば108-kHzによって固定される。いくつかの実施形態では、吸入開始の検出と完全な液滴生成との間に50ミリ秒未満の遅れが存在する。
【0094】
[00106]特定の液滴サイズの正確な投与を可能にする本開示のデバイスの他の態様は、吸入周期の早期に呼吸に適した範囲内で液滴を生成することを含み、それにより、吸入の終わりに口または上気道内に沈着する製剤の量を最小限に抑える。加えて、流体カートリッジの設計は、開口板表面が使用者の介入を伴わずに濡れて吐出の準備が整うことを可能にし、したがって、振り混ぜおよびプライミングの必要性を除去する。さらに、流体カートリッジの設計は、端面シールと一緒に、リザーバからの流体蒸発を毎月150μL未満から350μLまでに抑える。
【0095】
[00107]デバイスは、FDAに認可されたデバイスで現在使用されている材料を用いて構成され得る。抽出物を最小限に抑えるために、標準的な製造方法が用いられ得る。
【0096】
[00108]液滴送達デバイスのマウスピース、流体カートリッジ、およびボディハウジングを形成するために、任意の適切な材料が使用され得る。特定の実施形態では、材料は、デバイスの構成成分または吐出される流体の構成成分(例えば、薬物または医薬の成分)と相互作用しないように選択されるべきである。例えば、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリウレタン、フェノール類、ポリカーボネート、ポリイミド類、芳香族ポリエステル類(PET、PETG)、等のようなガンマ線適合性ポリマー材料を含む製薬学的用途での使用に適したポリマー材料が、使用され得る。
【0097】
[00109]開口板は、(本明細書においてさらに論じられるように)おおよそ所望の液滴の直径の開口部を有する金属またはポリマー製であってよい。非限定的な例として、開口板は、ケイ素、炭化ケイ素、ニッケルパラジウム、または、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、カプトン(Kapton)、もしくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの高剛性ポリマーから形成され得る。他の実施形態では、開口板は、ケイ素または炭化ケイ素から形成され得る。限定されることはないが、これらの材料の両方が、ウェットエッチングなどのバルクマイクロマシニングプロセスによって形成され得る。
【0098】
[00110]開口板は、例えば100個から10,000個の開口部、500個から10,000個の開口部、等に及ぶ開口部のアレイを有し得る。本明細書においてさらに説明されるように、開口部は一般に、所望の液滴の直径に似た直径を有し得る。
【0099】
[00111]デバイスのいくつかの特徴は、特定の液滴サイズの正確な投与を可能にする。液滴サイズは、開口板にある穴の直径によって設定され、それらの穴は、高精度で形成される。例として、開口板にある出口側穴のサイズは、1μmから100μm、1μmから50μm、1μmから20μm、1μmから6μm、2μmから5μm、3μmから5μm、3μmから4μm、5μmから50μm、等に及び得る。他の実施形態では、本明細書において説明されるように、複数のサイズの液滴が望まれる場合、開口板は、複数の直径を有する穴の領域を有して構成され得る。例えば、開口板は、異なるサイズの穴直径を有する同心リング、第1の穴サイズ直径を有する内部領域および異なる穴サイズ直径を有する外部リング、第1のサイズの穴直径を有する片側および第2のサイズの穴直径を有するもう片側、等を有し得る。 液滴の毎秒当たりの吐出量は一般に、マイクロプロセッサによって作動される振動板の振動の周波数、例えば108-Hzによって固定される。いくつかの実施形態では、吸入開始の検出と完全な液滴生成との間に50ミリ秒未満の遅れが存在する。
【0100】
[00112]ポリマー開口板を使用する場合、穴は、圧延、スタンピング、レーザーアブレーション、バルクエッチング、または他の知られたマイクロマシニングプロセスによって作製され得る。シリコンおよびSiCの開口板を使用する場合、開口部は、典型的な半導体プロセスを使用して形成され得る。加えて、開口板領域は、開口板の剛性を高めかつ一定の吐出加速をもたらすために、ドーム様の形状を有するように形成され得る。
【0101】
[00113]本明細書において論じられるように、いくつかの態様では、超音波液滴送達デバイスは、開口板を有する吐出器機構を含むことができ、表面は、所望の液滴サイズ分布、例えば4μm未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、約1.5ミクロン未満、約1ミクロン未満、等での液滴の生成を促進するように構成される。
【0102】
[00114]いくつかの実施形態では、所望の液滴サイズ分布での液滴の生成を促進するために、開口板の表面は、約50度未満、約40度未満、約35度未満、約30度未満、約20度未満、約10度未満、約10度から約35度の間、約15度から約35度の間、等の流体取入れ口表面における所望の表面接触角度を提供するように構成(例えば、処理、被覆、表面改質、またはそれらの組合せ)され得る。
【0103】
[00115]いくつかの実施形態では、開口板は、所望の親水性表面接触角度を得るために、少なくとも開口板の流体取入れ口側を処理または被覆され得る。他の実施形態では、開口板は、1つもしくは複数の開口部の内部表面の少なくとも一部分、1つもしくは複数の開口部の内部表面全体、開口板の流体取入れ口表面および流体吐出表面の両方、またはそれらの組合せを処理あるいは被覆され得る。
【0104】
[00116]理論に制限されるものではないが、親水性表面接触角度は、圧電素子による開口板の振動中に水性組成物をより効果的に吐出器開口板の開口部内に引き込み、それにより開口板から出るエアロゾル液滴の質量流量を増大させると考えられる。表面は、その角度が約50度未満であるときには親水性であると考えられ、また、その角度が約10度から20度未満であるときには超親水性であると考えられる(液滴は、表面にわたって広がろうとする)。
【0105】
[00117]本開示の態様によれば、表面エッチング法、浸漬被覆法、および化学蒸着法を含む、金属製開口板の流体側上に親水性表面を作り出すための例示的な方法。浸漬被覆法は、所望の被覆および溶媒を含む溶液に金属吐出器開口板を浸すことを含み、その溶液は、溶媒が蒸発したときに金属上に親水性被覆を形成する。化学蒸着法は、例えばプラズマエッチ、プラズマ被覆、プラズマ蒸着、CVD、無電解めっき、電気めっき等の、既知の蒸着法を含み、この場合、化学蒸着は、酸素分子またはヒドロキシル分子が表面に付着して表面に極性を与えるように、プラズマまたは蒸気を使用して、金属の表面上の結合を開放する。いくつかの実施形態では、蒸着する親水性層は、生成される液滴のサイズに影響を及ぼさないように、開口部サイズよりも著しく薄い。
【0106】
[00118]流体カートリッジおよび流体リザーバは、意図された製薬学的用途のための任意の適切な材料で構成され得る。具体的には、組成物接触部分は、所望の薬剤、例えばニコチン、アルブテロールサルフェート、および臭化イプラトロピウムに適合する材料から作られ得る。例として、いくつかの実施形態では、薬剤は、薬物リザーバの内側および開口板の内面としか接触しない。いくつかの実施形態では、流体リザーバは、1回分の用量または複数回分の用量の薬剤を保持するように構成され得る。例として、流体リザーバは、10から2000μLの間の流体を保持し得る。
【0107】
[00119]いくつかの実施形態では、デバイスマウスピースは、取外し可能、交換可能であり得、かつ、洗浄され得る。同様に、ボディハウジングおよび流体カートリッジは、湿った布で拭うことによって洗浄され得る。いくつかの実施形態では、マウスピースは、ハウジングと接合される(場合により、取外し可能および/または交換可能)か、ハウジングに組み入れられるか、または、ハウジングの一部とされ得る。他の実施形態では、マウスピースは、流体カートリッジと接合される(場合により、取外し可能および/または交換可能)か、流体カートリッジに組み入れられるか、または、流体カートリッジの一部とされ得る。いくつかの実施形態では、マウスピースは、ボディハウジングおよび流体カートリッジと接合される(場合により、取外し可能および/または交換可能)か、ボディハウジングおよび流体カートリッジに組み入れられるか、または、ボディハウジングおよび流体カートリッジの一部とされ得る。
【0108】
[00120]この場合もやはり、液滴送達デバイスのマウスピースを形成するために、任意の適切な材料が使用され得る。特定の実施形態では、材料は、デバイスの構成成分または吐出される流体の構成成分(例えば、薬剤、薬物、もしくは医薬の構成成分)とネガティブに相互作用しないように選択されるべきである。例えば、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリウレタン、フェノール類、ポリカーボネート、ポリイミド類、芳香族ポリエステル類(PET、PETG)、等のようなガンマ線適合性ポリマー材料を含む、製薬学的用途での使用に適したポリマー材料が使用され得る。いくつかの実施形態では、マウスピースは、取外し可能、交換可能、かつ滅菌可能であり得る。1つの実施形態では、マウスピースチューブは、本明細書において論じられるように、ポリカーボネート、ポリエチレン、またはポリプロピレンなどの、滅菌可能かつ透明なポリマー組成物から形成され得る。
【0109】
[00121]本開示のいくつかの態様では、使用中の吐出液滴の沈着を減少させるのを支援するために、デバイスの1つまたは複数の部分、例えばマウスピースの内部表面などの空気流経路に沿ったデバイスの内側表面に、疎水性処理/被覆、および/または静電処理/被覆が適用され得る。いくつかの実施形態では、疎水性処理/被覆は、吐出流体との疎水性の相互作用により、液滴沈着を最小限に抑えることができる。他の実施形態では、静電処理/被覆は、静電荷の蓄積により、液滴沈着を最小限に抑えることができる。あるいは、マウスピース、流体カートリッジ、もしくはハウジングの1つまたは複数の部分が、電荷散逸性ポリマー(charge-dissipative polymer)から形成され得る。例えば、導電性充填材が市販されており、かつ、医療用途において使用されるより一般的なポリマー、例えばPEEK、ポリカーボネート、ポリオレフィン類(ポリプロピレンもしくはポリエチレン)、または、ポリスチレンもしくはアクリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマーなどのスチレン類に配合され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、使用中の吐出液滴の沈着を減少させるのを支援するために、デバイスの1つまたは複数の部分、例えばマウスピースなどの空気流経路に沿ったデバイスの内側表面が、抗菌被覆で被覆され得るか、または、疎水性被覆で被覆され得る。そのような目的のために知られている任意の適切な被覆、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))が使用され得る。
【0110】
[00122]例えば±5SLM、10SLM、20SLM、等である、標準的な吸息周期中に得られる圧力変化を測定するのに適した感度を有する任意の適切な差圧センサが使用され得る。例えば、Sensirion,Inc.による圧力センサSDP31またはSDP32(米国特許第7,490,511(B2)号)が、これらの用途に特に適している。
【0111】
[00123]いくつかの態様では、デバイス内のマイクロプロセッサは、所望のパラメータに従って、例えば所望の投与量を得るための圧電作動の持続時間等に基づいて、吐出器機構の正確な計時および作動を確実とするように、プログラムされ得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、各吐出事象の日時と、使用者監視を容易にするための投与吸入中の使用者の吸入流量と、薬物アンプル使用監視とを記録するために、記憶装置を含むか、または(デバイス、スマートフォン、App、コンピュータ、等にある)記憶装置と相互作用する。例えば、マイクロプロセッサおよび記憶装置は、投与された用量、および特定の薬物アンプル内に残っている用量を監視することができる。いくつかの実施形態では、薬物アンプルは、識別可能情報を含む構成要素を備えることができ、また、ベースユニットは、薬物アンプルがベースユニットに挿入されたときにそのことを検知するために、例えば個々のアンプルの固有の電気抵抗、RFIDチップ、または他の読取り可能なマイクロチップ(例えば、クリプトオーセンティケーション(cryptoauthentication)マイクロチップ)に基づいて識別可能情報を「読み取る」ことができる構成要素を備えることができる。投与の計数およびロックアウトもまた、マイクロプロセッサにプログラムされ得る。
【0112】
[00124]本開示のいくつかの実施形態では、圧力センサによって生成される信号は、吐出器機構の起動および作動のためのトリガを提供し、それにより、患者の吸入(吸息)周期のピーク期間時にまたはピーク期間中に液滴を生成しかつ液滴を送達し、かつ、液滴のプルームの最適な沈着および使用者の呼吸気道内への医薬の送達を保証する。
【0113】
[00125]本開示のいくつかの態様によれば、超音波液滴送達デバイスは、物質の実際の送達に日付および時刻の記録を付け、かつ、(デバイス、スマートフォン、App、コンピュータ、等にある)記憶装置に吸息流量を記録/記憶することができる、信頼性のある監視システムを提供する。ブルートゥース(登録商標)または他の無線通信能力が、データの無線伝送を可能にし得る。
【0114】
[00126]デバイスにおけるブルートゥース(登録商標)通信は、日付、時刻、セッションごとの作動回数を使用者のスマートフォンに伝える。ソフトウェアプログラミングは、チャート、グラフィック、投薬リマインダ、および警告を、患者およびデータへの許可が与えられた人に提供することができる。ソフトウェアアプリケーションは、デバイスの複数の使用および使用者(例えば、複数の物質、異なる使用者、等)を組み込むことができるであろう。
【0115】
[00127]本開示のデバイスは、吸入周期の正しい部分の間に液滴を分注するように構成され、また、例えば吸入後に正確な時間にわたって息を止めるように指示することによる、患者がデバイスを適切に使用するのを支援するための指示および/または指導特徴を含むことができる。本開示のデバイスは、吸入中の空気流の監視をすること、および、吸入の終わりを(測定された流量に基づいて)検出して吸入停止後の一定期間にわたって息を止めるように患者に合図することができる内部センサ/制御を有することの両方ができるので、この二重機能性を可能にする。
【0116】
[00128]1つの例示的な実施形態では、患者は、吸入の終わりにオンにされて例えば10秒間といった所定の期間(すなわち、所望の息止め期間)後にオフにされるLEDにより、息を止めるように指導され得る。あるいは、LEDは、吸入後に点滅し、息止め期間が終わるまで点滅し続けてもよい。この場合、デバイス内の処理は、吸入の終わりを検出し、LEDをオンにし(または、LEDの点滅等を引き起こし)、所定の期間待機して、LEDをオフにする。同様に、デバイスは、吸入の終わりに、音声指示、例えば1つまたは複数の音のバースト(例えば、1000Hzの50ミリ秒パルス)、息止めに対する言語による命令、言語によるカウントダウン、音楽、節、旋律、等を発して、音声信号の間は息を止めるように患者に合図してもよい。必要に応じて、デバイスは、息止め期間の間または終了時に振動してもよい。
【0117】
[00129]いくつかの実施形態では、デバイスは、息止め期間が始まったとき、および息止め期間が終わったときに、使用者に伝えるために、上記で説明された音声および視覚の方法(または、音、光、および振動)の組合せを提供する。または、息止め中に進行状況を示すために(例えば、視覚または音声カウントダウン)。
【0118】
[00130]他の態様では、本開示のデバイスは、より長く吸入する、より深く吸入する、等の指導を提供することができる。吸入(または投与)中の平均ピーク呼吸流量は、指導を提供するために利用され得る。例えば、患者は、デバイス、電話機、またはクラウドに保存されている吸息(投与)中に測定された平均ピーク呼吸流量の90%に達するまで、より深く呼吸する命令を聞いてもよい。
【0119】
[00131]加えて、カメラ、スキャナ、または他のセンサを含む画像取得デバイス、例えば、限定されるものではないが電荷結合素子(CCD)が、吐出エアロゾルプルームを検出および測定するために設けられてもよい。これらの検出器、LED、デルタP変換器、CCDデバイスは、全て、液滴のプルームの吐出を監視、検知、測定、および制御しかつ患者の服薬遵守や処置時間、用量、患者の使用履歴、等を報告するために使用されるデバイス内のマイクロプロセッサまたは制御装置に、例えばブルートゥース(登録商標)を介して制御信号を提供する。
【0120】
[00132]いくつかの実施形態では、吐出器機構および/または流体カートリッジは、吐出器機構機能性、薬物識別、および患者の投与間隔に関係する情報などの主要パラメータを含むデバイス電子装置によって読み取られる情報を伝達する構成要素を含み得る。一部の情報は、工場において追加されてよく、また、一部の情報は、店舗または薬局において追加されてよい。いくつかの実施形態では、工場によって入力された情報は、店舗または薬局による改変から保護され得る。情報は、印刷されたバーコード、またはデバイスの幾何形状に符号化される(デバイス内のセンサによって読み取られる、フランジ上の光透過穴などの)物理的なバーコードとして伝達され得る。情報はまた、ボディハウジング内の電子装置と通信する、流体カートリッジおよび/またはマウスピース内のプログラム可能なもしくはプログラム不可能なマイクロチップによって伝達され得る。
【0121】
[00133]例として、工場、店舗、または薬局でのプログラミングは、物質コードを含んでもよく、この物質コードは、デバイスによって読み取られ、ブルートゥース(登録商標)を介して関連する使用者のスマートフォンに伝達されて、使用者に対して正しいものであることを検証される。正しくない流体カートリッジ、ジェネリックの流体カートリッジ、損傷した流体カートリッジ、等を使用者がデバイスに挿入した場合、スマートフォンは、デバイスの操作をロックアウトするように促されてもよく、それにより、受動的な吸入デバイスでは不可能な使用者の安全性および保証の手段を提供する。他の実施形態では、デバイスの電子装置は、物質の熟成またはデバイス内での汚染物質もしくは微粒子の蓄積に関連する問題を回避するために、限られた期間(おそらく1日、または数週間もしくは数ヶ月間)に使用を制限することができる。
【0122】
[00134]超音波液滴送達デバイスは、デバイスの起動、噴霧の検証、患者の服薬遵守、診断機構を促進するために、または、データ記憶、ビッグデータ解析、ならびに対象者のケアおよび治療のために使用される相互作用しかつ相互接続されたデバイスのためのより大きなネットワークの一部として、様々なセンサおよび検出器をさらに含み得る。さらに、ボディハウジングは、様々な状態通知、例えばオン/レディ、エラー、等を示すために、その表面上にLED組立体を含み得る。
【0123】
[00135]本明細書において引用される全ての刊行物および特許出願は、あたかも個々の刊行物または特許出願が参照により具体的にかつ個別に組み込まれることが示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
[00136]本発明は、例示的な実施形態を参照して説明されたが、本発明の範囲から逸脱することなしに、様々な変更がなされ得ること、および、それらの要素が均等物で置換され得ることが、当業者によって理解されるであろう。加えて、その本質的な範囲から逸脱することなしに、特定の状況または材料を教示に適合させるために、多くの修正がなされ得る。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記載の範囲に含まれる全ての実施形態を含むことが、意図されている。
【国際調査報告】