(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】サルコイドーシス関連肺高血圧症の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4965 20060101AFI20220706BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220706BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20220706BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220706BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A61K31/4965
A61P11/00
A61P9/12
A61P29/00
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565886
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2020062568
(87)【国際公開番号】W WO2020225297
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500226786
【氏名又は名称】アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH-4123 Allschwil,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ティー プライス
(72)【発明者】
【氏名】タティアナ レメノヴァ
(72)【発明者】
【氏名】イリーナ コヌリーナ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ファイスター
(72)【発明者】
【氏名】ルネ ロッシャー
(72)【発明者】
【氏名】アリーヌ フレイ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア カタリーナ ヤヌリス アルシダ
(72)【発明者】
【氏名】レイナー ジマーマン
(72)【発明者】
【氏名】キース ジョン モリソン
(72)【発明者】
【氏名】シリン ブルーダラー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC11
4C076CC15
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC48
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA42
4C086ZA59
4C086ZB11
(57)【要約】
本発明は、サルコイドーシス関連肺高血圧症(SAPH)を治療するための方法であって、治療を要する患者に治療有効量のセレキシパグを投与することを含み、患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症と診断されている、方法を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サルコイドーシス関連肺高血圧症の治療を要する患者のサルコイドーシス関連肺高血圧症の治療に使用するためのセレキシパグ。
【請求項2】
サルコイドーシス関連肺高血圧症の治療を要する患者のサルコイドーシス関連肺高血圧症を治療に使用するためのセレキシパグであって、(a)前記患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有するか否かを判定することと、(b)前記患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有する場合、治療有効量のセレキシパグを投与することと、を含む、セレキシパグ。
【請求項3】
前記セレキシパグの投与開始の約90日以内に、前記患者が、肺血管抵抗(PVR)≧約240dyn.秒.cm
-5(≧3Wood単位)、平均肺動脈圧(mPAP)≧約25mmHg、及び肺動脈楔入圧(PAWP)≦約15mmHg又は左室拡張終末期圧(LVEDP)≦約15mmHgを有する、請求項1又は2に記載のセレキシパグ。
【請求項4】
前記セレキシパグの投与開始前に、前記患者が世界保健機関機能分類クラスII、III、又はIVにある、請求項1~3のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項5】
前記患者が世界保健機関機能分類クラスIVにある場合に、前記患者が安定状態にあり、6分間歩行試験(6MWT)を行うことができる、請求項4に記載のセレキシパグ。
【請求項6】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に、肺高血圧症の治療を受けていないか、又は、少なくとも約90日間にわたって肺高血圧症の安定的治療を受けている、請求項1~5のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項7】
前記肺高血圧症の前記安定的治療が、リオシグアト、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、又はエンドセリン受容体拮抗薬を含む、請求項6に記載のセレキシパグ。
【請求項8】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に、少なくとも約90日間にわたってサルコイドーシスの治療を受けていないか又は少なくとも30日間にわたってサルコイドーシスの安定的治療を受けている、請求項1~7のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項9】
前記サルコイドーシスの治療が、抗炎症治療を含む、請求項8に記載のセレキシパグ。
【請求項10】
前記患者が、努力肺活量(FVC)>50%を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項11】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前の6分間歩行距離(6MWD)が約50m~約450mである、請求項1~10のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項12】
前記セレキシパグの投与開始前に、前記患者が左心不全を有していない、請求項1~11のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項13】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に約90日間にわたってプロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、又はプロスタサイクリン受容体拮抗薬による治療を受けていない、請求項1~12のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項14】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前にチャイルド・ピュー分類Cの肝疾患を有さない、請求項1~13のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項15】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に約90mmHg未満の収縮期血圧を有さない、請求項1~14のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項16】
前記セレキシパグが開始用量で投与され、増量されて個々の最大耐用量(iMTD)が決定される、請求項1~15のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項17】
前記開始用量が、約200μgを1日2回である、請求項16に記載のセレキシパグ。
【請求項18】
前記iMTDが、約200μg~約1600μgを1日2回である、請求項16又は17に記載のセレキシパグ。
【請求項19】
前記iMTDが用量調整フェーズで決定されるまで、前記開始用量が、約200μgずつ1日2回の増分で増加される、請求項16~18のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項20】
前記用量調整フェーズが約8~約12週間である、請求項19に記載のセレキシパグ。
【請求項21】
前記iMTDが、約1600μgで1日2回を超えない、請求項16~20のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項22】
前記iMTDが、前記用量調整フェーズの後の維持フェーズ中に維持される、請求項19~21のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項23】
前記維持フェーズが少なくとも約14週間である、請求項22に記載のセレキシパグ。
【請求項24】
前記維持フェーズが少なくとも約26週間である、請求項23に記載のセレキシパグ。
【請求項25】
更なる用量増加が、前記維持フェーズの後に行われるが、約1600μgで1日2回を超えない、請求項23又は24に記載のセレキシパグ。
【請求項26】
前記方法が、セレキシパグによる治療を受けていない同じ又は同様のレベルの疾患を診断されている患者母集団に対して患者のPVRを低減する、請求項1~25のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項27】
前記方法が、あらゆる原因の死亡、予定外の肺高血圧症関連の入院、WHO機能分類のクラスが上がること、6MWDによって測定される運動能力のベースラインからの少なくとも15%の悪化、肺移植、バルーン心房中隔切開術、
臨床的悪化に対する非経口若しくは新たなクラスのPH特異的治療の開始、又はセレキシパグによる治療を受けていない、同じ若しくは同様のレベルの疾患の診断を有する患者母集団に対する右心不全の症状から選択される1つ以上の事象の最初の発生までの時間を増加させる、請求項1~26のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項28】
前記セレキシパグが、錠剤の形態で経口投与される、請求項1~27のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項29】
前記患者は、前記セレキシパグの投与前に、FEV
1/FVCが60%以上であるか、又は前記FEV
1/FVCが60%未満である場合、前記FEV
1が60%以上である、請求項1~28のいずれか1項に記載のセレキシパグ。
【請求項30】
サルコイドーシス関連肺高血圧症を治療するための方法であって、治療を要する患者に治療有効量のセレキシパグを投与することを含む、方法。
【請求項31】
サルコイドーシス関連肺高血圧症の治療を要する患者のサルコイドーシス関連肺高血圧症を治療するための方法であって、(a)前記患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有するか否かを判定することと、(b)前記患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有する場合、治療有効量のセレキシパグを投与することと、を含む、方法。
【請求項32】
前記セレキシパグの投与開始の約90日以内に、前記患者が、肺血管抵抗(PVR)≧約240dyn.秒.cm
-5(≧3Wood単位)、平均肺動脈圧(mPAP)≧約25mmHg、及び肺動脈楔入圧(PAWP)≦約15mmHg又は左室拡張終末期圧(LVEDP)≦約15mmHgを有する、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記セレキシパグの投与開始前に、前記患者が世界保健機関機能分類クラスII、III、又はIVにある、請求項30~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者が世界保健機関機能分類クラスIVにある場合に、前記患者が安定状態にあり、6分間歩行試験(6MWT)を行うことができる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に、肺高血圧症の治療を受けていないか、又は、少なくとも約90日間にわたって肺高血圧症の安定的治療を受けている、請求項30~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記肺高血圧症の前記安定的治療が、リオシグアト、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、又はエンドセリン受容体拮抗薬を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に、少なくとも約90日間にわたってサルコイドーシスの治療を受けていないか又は少なくとも30日間にわたってサルコイドーシスの安定的治療を受けている、請求項30~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記サルコイドーシスの治療が、抗炎症治療を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記患者が、努力肺活量(FVC)>50%を有する、請求項30~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前の6分間歩行距離(6MWD)が約50m~約450mである、請求項30~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記セレキシパグの投与開始前に、前記患者が左心不全を有していない、請求項30~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に約90日間にわたってプロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、又はプロスタサイクリン受容体拮抗薬による治療を受けていない、請求項30~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前にチャイルド・ピュー分類Cの肝疾患を有さない、請求項30~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記患者が、前記セレキシパグの投与開始前に約90mmHg未満の収縮期血圧を有さない、請求項30~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記セレキシパグが開始用量で投与され、増量されて個々の最大耐用量(iMTD)が決定される、請求項30~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記開始用量が、約200μgを1日2回である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記iMTDが、約200μg~約1600μgを1日2回である、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記iMTDが用量調整フェーズで決定されるまで、前記開始用量が、約200μgずつ1日2回の増分で増加される、請求項45~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記用量調整フェーズが約8~約12週間である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記iMTDが、約1600μgで1日2回を超えない、請求項45~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記iMTDが、前記用量調整フェーズの後の維持フェーズ中に維持される、請求項48~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記維持フェーズが少なくとも約14週間である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記維持フェーズが少なくとも約26週間である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
更なる用量増加が、前記維持フェーズの後に行われるが、約1600μgで1日2回を超えない、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
前記方法が、セレキシパグによる治療を受けていない同じ又は同様のレベルの疾患を診断されている患者母集団に対して患者のPVRを低減する、請求項30~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が、あらゆる原因の死亡、予定外の肺高血圧症関連の入院、WHO機能分類のクラスが上がること、6MWDによって測定される運動能力のベースラインからの少なくとも15%の悪化、肺移植、バルーン心房中隔切開術、
臨床的悪化に対する非経口若しくは新たなクラスのPH特異的治療の開始、又はセレキシパグによる治療を受けていない、同じ若しくは同様のレベルの疾患の診断を有する患者母集団に対する右心不全の症状から選択される1つ以上の事象の最初の発生までの時間を増加させる、請求項30~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記セレキシパグが、錠剤の形態で経口投与される、請求項30~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記患者は、前記セレキシパグの投与前に、FEV
1/FVCが60%以上であるか、又は前記FEV
1/FVCが60%未満である場合、前記FEV
1が60%以上である、請求項30~57のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2019年5月6日出願の米国特許仮出願第62/843,848号の利益を主張するものであり、その開示内容の全体を参照により本明細書に援用するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、サルコイドーシス関連肺高血圧症を有する対象を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
サルコイドーシスは、複数の組織、特に肺及びリンパ系中に存在する非乾酪性肉芽腫を特徴とする多全身性障害である。肺高血圧症(右心カテーテル法[RHC]により測定される安静時平均肺動脈圧[PAP]が25mmHgと定義される)は、肺サルコイドーシスの深刻な合併症としての認識が高まりつつあり、高い罹患率及び死亡率、特に前毛細血管性サルコイドーシス関連肺高血圧症(SAPH)と関連付けられている。世界保健機関(WHO)は、一般的に、グループ5としてSAPHを分類している(すなわち、未知の多因子機序を有するPH)。重度の無治療の肺高血圧症(PH)は、予後が悪く、間質性肺疾患及びサルコイドーシスを有する患者における高い死亡率と関連付けられている。早期の診断及び治療選択肢の検討は、患者の転帰を改善するうえで重要な要素となり得る。SAPHの真の有病率に関する明確なデータは存在していない。PHを有するサルコイドーシス患者の割合は、5%~20%のばらつきがある。
【0004】
SAPHに対して承認されている治療薬は存在しないが、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA;例えば、ボセンタン、アンブリセンタン、マシテンタン)、ホスホジエステラーゼ型5阻害剤(PDE5i;例えば、シルデナフィル)、グアニル酸シクラーゼ作動薬(例えば、リオシグアト)、及びプロスタサイクリン類似体(例えば、静脈内エポプロステノール又は吸入イロプロスト)を含む、PH特異的治療薬がしばしば用いられる。PH特異的治療薬が肺血管抵抗(PVR)を低減し、SAPHを有する患者における他の肺血行動態パラメータを改善することの小規模試験及び症例シリーズによるエビデンスが存在する。これらの試験のいくつかによって、WHO機能分類クラス(FC)、運動能力、又は生活の品質(QoL)の改善も示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の標準治療にもかかわらず、SAPHを有する患者に対する特異的な治療は存在していない。SAPHを有する患者を治療する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの態様では、本開示は、サルコイドーシス関連肺高血圧症患者を治療することに関する。この方法は、治療有効量のセレキシパグを投与することを含む。
【0007】
更なる態様では、本開示は、サルコイドーシス関連肺高血圧症の治療を要する患者のサルコイドーシス関連肺高血圧症を治療するための方法であって、(a)患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有するか否かを判定することと、(b)患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有する場合、治療有効量のセレキシパグを投与することと、を含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例2に記載される滴定フェーズの設計の概略図である。この図では、D=日、V=来院、及びW=週である。
【
図4】実施例3に記載される滴定期間の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示では、特に明示しない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の言及を包含し、特定の数値への言及は、少なくともその特定の値を包含する。したがって、例えば、「材料(a material)」への言及は、少なくとも1つのこのような材料、及び当業者に既知のその等価物、及び類似のものへの言及である。
【0010】
値が、記述語「約」又は「実質的に」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。一般的に、用語「約」又は「実質的に」の使用は、開示する発明主題によって得ようとしている所望の特性に依存して変動し得る近似値を示すが、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これを日常的な問題として解釈することができる。一部の場合、特定の値に対して用いられる有効数字の数は、用語「約」又は「実質的に」の程度を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値において用いられる漸次的変化を用いて、それぞれの値について用語「約」又は「実質的に」に利用可能な意図する範囲を決定することができる。存在する場合、全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲で記述される値への言及は、その範囲内の全ての値を含む。
【0011】
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせを別々の実施形態として解釈すべきであることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0012】
別個の実施形態の文脈において明確性のために本明細書に記載される、本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は除外されない限り、それぞれ個別の実施形態は、任意の他の実施形態に適合するとみなされ、このような組み合わせは、別の実施形態であると考えられる。逆に、説明を簡単にするために単一の実施形態との関連において述べられる本発明の異なる特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供される場合もある。特許請求の範囲は、いずれかの任意要素を除外するように起案される場合もあることに更に留意されたい。したがって、この記載は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「だけ」、「のみ」などの排他的な用語の使用、又は「否定的」限定の使用に対する先行的限定の根拠として機能することを意図する。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより一般的な構造の一部として記載し得るが、各工程をそれ自体が独立する実施形態であると考えてもよい。
【0013】
方法
本発明は、サルコイドーシス関連肺高血圧症(SAPH)を治療するための方法であって、サルコイドーシス関連肺高血圧症(SAPH)の治療を要する患者に治療有効量のセレキシパグを投与することを含む、方法を提供する。本明細書に記載される方法は、肺高血圧症を有する患者の特定の部分集団、すなわち、サルコイドーシス関連肺高血圧症を有する患者を治療するうえでのセレキシパグの有効性及び安全性を反映したものである。
【0014】
用語「サルコイドーシス関連肺高血圧症」と「SAPH」とは互換可能であり、患者が肺高血圧症及びサルコイドーシスを有する状態を定義する。一般的に、SAPHは、以下に記載されるように肺高血圧症の機能的分類を用いて世界保健機関(WHO)によって分類されている。本明細書に記載される方法は、患者がSAPHを有するという判定を含んでもよい。典型的には、その判定は主治医によって行われる。SAPHの診断又は判定は、当業者に既知の技術を用いて行うことができる。例えば、右心カテーテル法を行ってサルコイドーシスを有する患者の肺高血圧症を確認することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、セレキシパグによる治療を開始する前に、SAPHを有する患者は、約50%超の努力肺活量(FVC)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、又は約99%のFVCを有する。更なる実施形態では、患者は、約50~約99、約50~約95、約50~約90、約50~約85、約50~約80、約50~約75、約50~約70、約50~約65、約50~約60、約50~約55、約55~約99、約55~約95、約55~約90、約55~約85、約55~約80、約55~約75、約55~約70、約55~約65、約55~約60、約60~約99、約60~約95、約60~約90、約60~約85、約60~約80、約60~約75、約60~約70、約60~約65、約65~約99、約65~約95、約65~約90、約65~約85、約65~約80、約65~約75、約65~約70、約70~約99、約70~約95、約70~約90、約70~約85、約70~約80、約70~約75、約75~約99、約75~約95、約75~約90、約75~約85、約75~約80、約80~約99、約80~約95、約80~約90、約80~約85、約95~約99、約85~約95、約85~約90、約90~約99、又は約95~約99%のFVCを有する。
【0016】
他の実施形態では、セレキシパグによる治療を開始する前に、SAPHを有する患者は、約1秒で約30%超の努力呼気肺活量(FEV1)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、1秒で約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、又は約99%のFEV1を有する。更なる実施形態では、患者は、約1秒で約30~約99、約30~約95、約30~約90、約30~約85、約30~約80、約30~約80、約30~約75、約30~約70、約30~約65、約30~約60、約30~約55、約30~約50、約30~約45、約30~約40、約30~約35、約35~約99、約35~約95、約35~約90、約35~約85、約35~約80、約35~約75、約35~約70、約35~約65、約35~約60、約35~約55、約35~約50、約35~約45、約35~約40、約40~約99、約40~約95、約40~約90、約40~約85、約40~約80、約40~約75、約40~約70、約40~約65、約40~約60、約40~約55、約40~約50、約45~約50、約45~約99、約45~約95、約45~約95、約45~約90、約45~約85、約45~約80、約45~約75、約45~約70、約45~約65、約45~約60、約45~約55、約45~約50、約50~約99、約50~約95、約50~約90、約50~約85、約50~約80、約50~約75、約50~約70、約50~約65、約50~約60、約50~約55、約55~約99、約55~約95、約55~約90、約55~約85、約55~約80、約55~約75、約55~約70、約55~約65、約55~約60、約60~約99、約60~約95、約60~約90、約60~約85、約60~約80、約60~約75、約60~約70、約60~約65、約65~約99、約65~約95、約65~約90、約65~約85、約65~約80、約65~約75、約65~約70、約70~約99、約70~約95、約70~約90、約70~約85、約70~約80、約70~約75、約75~約99、約75~約95、約75~約90、約75~約85、約75~約80、約80~約99、約80~約95、約80~約90、約80~約85、約95~約99、約85~約9
5、約85~約90、約90~約99、又は約95~約99%のFEV1を有する。いくつかの実施形態では、SAPHを有する患者は、FVC>約50%、FEV1(約1秒の)>30%である。他の実施形態では、SAPHを有する患者は、約60%以上のFEV1/FVCを有するか、又はFEV1/FVCが約60%以下である場合、FEV1は約60%以上である。
【0017】
本明細書に記載される方法は、有利な点として、セレキシパグ(プラセボ)による治療を受けていない同じ又は同様のレベルの疾患を診断されている患者母集団に対して患者のPVRを低減する。このような相対分析は、本明細書の実施例に開示されている。いくつかの実施形態では、SAPH患者は、セレキシパグによる治療開始前の肺血管抵抗(PVR)≧約240dyn.秒.cm-5(≧3Wood単位)である。更なる実施形態では、SAPH患者は、セレキシパグによる治療開始前の肺血管抵抗(PVR)≧約320dyn.秒.cm-5(≧4Wood単位)である。他の実施形態では、患者は、セレキシパグの投与開始の約90日以内の肺血管抵抗(PVR)≧約240dyn.秒.cm-5である。更に他の実施形態では、患者は、セレキシパグの投与開始の約90日以内の肺血管抵抗(PVR)≧約320dyn.秒.cm-5である。いくつかの実施形態では、PVRは、少なくとも約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約310、約320、約330、約340、約350、約360、約370、約380、約390、約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、約500、約510、約520、約530、約540、約550、約560、約570、約580、約590、又は約600dyn.秒.cm-5である。他の実施形態では、PVRは、約240~約600、約240~約550、約240~約500、約240~約450、約240~約400、約240~約350、約240~約300、約260~約600、約260~約550、約260~約500、約260~約550、約260~約500、約260~約450、約260~約400、約260~約350、約260~約300、約280~約600、約280~約600、約280~約550、約280~約500、約280~約500、約280~約450、約280~約400、約280~約350、約300~約600、約300~約550、約300~約500、約300~約450、約350~約600、約320~約550、約320~約500、約320~約450、約320~約600、約350~約550、約350~約500、約350~約450、約350~約400、約400~約600、約400~約550、約400~約500、約400~約450、約450~約600、約450~約550、約450~約500、約500~約600、約500~約550、又は約550~約600dyn.秒.cm-5以上である。本明細書に記載されるように、PVRは、右心カテーテル法(RHC)によって評価される。
【0018】
本明細書に記載される方法は、セレキシパグ(プラセボ)による治療を受けていない同じ又は同様のレベルの疾患を診断された患者に対して患者の平均肺動脈圧(mPAP)を更に低減する。いくつかの実施形態では、SAPH患者は、セレキシパグによる治療の開始前に約25mmHg以上(すなわち、≧約25mmHg)の安静時mPAPを有する。いくつかの実施形態では、セレキシパグの投与の開始の約90日以内に、患者は、約25mmHg以上(すなわち、≧約25mmHg)の安静時mPAPを有する。いくつかの態様では、患者は、安静時に約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、又は約45mmHgの安静時mPAPを有する。更なる実施形態では、患者は、安静時に約25~約45、約25~約40、約25~約35、約25~約30、約30~約45、約30~約40、約30~約35、約35~約45、約35~約40、約40~約45mmHgの安静時mPAPを有する。他の実施形態では、患者は、約25mmHg~約45mmHg未満の安静時mPAPを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、SAPH患者は、セレキシパグによる治療の開始前に約15mmHg未満のPAWPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグの投与の開始の約90日以内に、約15mmHg未満のPAWPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、又は約1mmHg未満のPAWPを有する。他の実施形態では、患者は、約1~約15、約1~約10、約1~約5、約5~約15、約5~約10、約10~約15mmHgのPAWPを有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグによる治療の開始前に約15mmHg未満のLVEDPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグの投与の開始の約90日以内に、約15mmHg未満のLVEDPを有する。いくつかの実施形態では、患者は、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、又は約1mmHg未満のLVEDPを有する。他の実施形態では、患者は、約1~約15、約1~約10、約1~約5、約5~約15、約5~約10、又は約10~約15mmHgのLVEDPを有する。
【0021】
更なる実施形態では、患者は、セレキシパグによる治療を開始する前に、世界保健機関(WHO)機能分類クラスII、III、又はIVである。当業者に既知であるように、WHOは肺高血圧症を機能分類クラスI~IVに分類している。表Aを参照されたい。いくつかの実施形態では、患者は、WHO機能分類クラスIIである。他の実施形態では、患者は、WHO機能分類クラスIIIである。更なる実施形態では、患者は、WHO機能分類クラスIVである。
【0022】
【0023】
SAPH患者は、セレキシパグによる治療の開始前に安定状態にあることが望ましい。本明細書で使用するとき、用語「安定状態」とは、1つ以上の身体能力を有する患者を指す。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグの投与開始前にWHO機能分類クラスIVである場合に6分間歩行試験(6MWT)を行うことができる。本明細書で使用するとき、語句「6分間歩行試験」とは、6分で歩行した距離(6MWD)を測定する非強制的試験を指す。6MWTの実施に関するガイドラインは、American Thoracic Society Committee on Proficiency Standards for Clinical Pulmonary Functional Laboratories.ATS statement:guidelines for the six-minute walk test.Am.J.Respir.Crit.Care.Med.2002;166:111-117に記載されており、当該文献を参照により本明細書に援用する。他の実施形態では、患者は、セレキシパグの投与開始前の6分間歩行距離(6MWD)が5m~450mである。更なる実施形態では、患者は、セレキシパグの投与開始前に左心不全を有さない。更に他の実施形態では、患者は、セレキシパグの投与開始前にチャイルド・ピュー分類Cの肝疾患を有さない。いっそう更なる実施形態では、患者は、セレキシパグの投与開始前に90mmHg未
満の収縮期血圧を有さない。
【0024】
患者は、典型的には、セレキシパグの投与開始前に、肺高血圧症の治療を受けていないか、又はセレキシパグの投与開始前の少なくとも90日間にわたって肺高血圧症の安定的治療を受けている。いくつかの態様では、患者は、セレキシパグの投与開始前に肺高血圧症の治療を受けていない。他の態様では、患者は、セレキシパグの投与開始前の少なくとも90日間にわたって肺高血圧症の安定的治療を受けている。本明細書で使用するとき、用語「肺高血圧症の安定的治療」とは、医師によって処方される肺高血圧症の治療、及び処方されるあらゆる薬剤に対する大きな変化が生じないことを指す。いくつかの実施形態では、安定的治療は、ホスホジエステラーゼ5阻害剤であるリオシグアト、又はエンドセリン受容体拮抗薬、又はこれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、安定的治療は、リオシグアトを含む。更なる実施形態では、安定的治療は、シルデナフィジル又はタダラフィルなどのホスホジエステラーゼ5阻害剤を含む。更に他の実施形態では、安定的治療は、マシテンタン、アンブリセンタン、又はボセンタンなどのエンドセリン受容体アンタゴニストを含む。
【0025】
患者はまた、一般的にセレキシパグの投与開始前に、少なくとも約90日間にわたってサルコイドーシスの治療を受けていないか又は少なくとも約30日間にわたってサルコイドーシスの安定的治療を受けている。一部の態様では、患者は、セレキシパグの投与開始前に、少なくとも約90日間にわたってサルコイドーシスの治療を受けていない。他の態様では、患者は、セレキシパグの投与開始前に、少なくとも約90日間にわたって新規なサルコイドーシス特異的治療を受けていない。他の態様では、患者は、セレキシパグの投与開始前に、少なくとも約30日間にわたってサルコイドーシスに対する安定的治療を受けている。本明細書で使用するとき、用語「サルコイドーシスに対する治療」は、サルコイドーシスを治療するために医師によって投与される当該技術分野における薬剤を指す。いくつかの態様では、サルコイドーシスの治療は、抗炎症薬を含む。他の態様では、サルコイドーシスの治療は、インフリキシマブ、メトトレキサート、アザチオプリン、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、又はステロイドなどの薬剤を含む。
【0026】
SAPH患者は、場合により、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、又はプロスタサイクリン受容体拮抗薬による治療を受けていない。一部の態様では、患者は、セレキシパグの投与の開始前の約90日間、プロスタサイクリンによる治療を受けていない。他の態様では、患者は、セレキシパグの投与開始前の約90日間、プロスタサイクリン類似体による治療を受けていない。更なる態様では、患者は、セレキシパグの投与開始前の約90日間、プロスタサイクリン受容体拮抗薬による治療を受けていない。
【0027】
この方法は、治療有効量のセレキシパグを投与することを含む。本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、治療される疾患又は障害の症状の緩和を含む、試験者、医師、又は他の臨床医により求められるヒトにおける生物学的反応又は医薬反応を誘発する活性化合物又は医薬成分の量を意味する。セレキシパグは、治療有効量に達するように、1日1回、1日2回、又は1日3回投与することができる。いくつかの態様では、セレキシパグは、1日1回投与される。他の態様では、セレキシパグは、1日2回投与される。更なる態様では、セレキシパグは、1日3回投与される。更に他の態様では、セレキシパグは、治療有効量に達するように1日2回投与される。
【0028】
セレキシパグは開始用量で投与され、個々の最大耐用量(iMTD)を決定するまで増量される。本明細書で使用される「iMTD」という用語は、有害な物理的及び/又は薬理学的作用をもたらすことなく、1日当たりに患者に投与することができるセレキシパグの最大量を指す。したがって、iMTDは、典型的に、個人ごとに各患者について評価される。一部の態様では、セレキシパグの開始用量は、iMTDと同じである。更なる態様
では、セレキシパグの開始用量は、iMTDよりも低い。
【0029】
1日当たりの開始用量又はiMTDは、少なくとも約10μgである。いくつかの実施形態では、1日当たりの開始用量又はiMTDは、少なくとも約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、又は約3500μgである。1日用量は、1日1回、1日2回、又は1日3回、好ましくは1日2回投与することができる。
【0030】
望ましくは、iMTDは、約1600μgで1日2回、すなわち、1日当たり3200μgを超えない。いくつかの実施形態では、1日2回のiMTDは、約100~約3500μg、約200~約3200、約200~約3000、約200~約2800、約200~約2600、約200~約2400、約200~約2200、約200~約2000、約200~約1800、約200~約1600、約200~約1400、約200~約1200、約200~約1000、約200~約800、約200~約600、約200~約400、約400~約3200、約400~約3000、約400~約2800、約400~約2600、約400~約2400、約400~約2200、約400~約2000、約400~約1800、約400~約1600、約400~約1400、約400~約1200、約400~約1000、約400~約800、約400~約600、約600~約3200、約600~約3000、約600~約2800、約600~約2600、約600~約2400、約600~約2200、約600~約2000、約600~約1800、約600~約1600、約600~約1400、約600~約1200、約600~約1000、約600~約800、約800~約3200、約800~約3000、約800~約2800、約800~約2600、約800~約2400、約800~約2200、約800~約2000、約800~約1800、約800~約1600、約800~約1400、約800~約1200、約800~約1000、約1000~約3200、約1000~約3000、約1000~約2800、約1000~約2600、約1000~約2400、約1000~約2200、約1000~約2000、約1000~約1800、約1000~約1600、約1000~約1400、約1000~約1200、約1200~約3200、約1200~約3000、約1200~約2800、約1200~約2600、約1200~約2400、約1200~約2200、約1200~約2000、約1200~約1800、約1200~約1600、約1200~約1400、約1400~約3200、約1400~約3000、約1400~約2800、約1400~約2600、約1400~約2400、約1400~約2200、約1400~約2000、約1400~約1800、約1400~約1600、約1600~約3200、約1600~約3000、約1600~約2800、約1600~約2600、約1600~約2400、約1600~約2200、約1600~約2000、約1600~約1800、約1800~約3200、約1800~約3000、約1800~約2800、約1800~約2600、約1800~約2400、約1800~約2200、約1800~約2000、約2000~約3200、約2000~約3000、約2000~約2800、約2000~約2600、約2000~約2400、約2000~約2200、約2200~約3200、約2200~約3000、約2200~約2800、約2200~約2600、約2200~約2400、約2400~約3200、約2400~約3000、約2400~約2800、約2400~約2600、約2600~約3200、約2600~約3000、約2600~約2800、約2800~約3200、約2800~約3000、又は約3000~約3200μgである。更なる実施形態では、1日2回のiMTDは、約200~約1600μgである。
【0031】
望ましくは、開始用量は、用量調整フェーズで増加される。この「用量調整フェーズ」は、当業者が決定することができる。典型的には、用量調整フェーズは、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約14週間、約16週間、約18週間、約20週間、約22週間、約25週間、約30週間、約35週間、約40週間、約45週間、又は約50週間である。いくつかの実施形態では、用量調整フェーズは、少なくとも約6週間、より典型的には約8週間~約12週間である。
【0032】
用量調整フェーズ中、iMTDが決定されるまで、セレキシパグの用量が当業者によって決定されるように増加される。典型的には、iMTDは、約8週間以内に決定され得る。いくつかの実施形態では、セレキシパグ用量は1日1回増加される。他の実施形態では、セレキシパグ用量は、週1回増加される。更なる実施形態では、セレキシパグ用量は月1回増加される。好ましくは、セレキシパグ用量は、週1回(週7日間に基づく)増加される。週1回増加させる場合、次のセレキシパグ投与量は、毎週同じ曜日、又は予定された投与日の1日以内に投与することができる。例えば、セレキシパグ用量が月曜日に投与される場合、次の用量のセレキシパグは、翌週の日曜日、月曜日、又は火曜日に投与することができる。月1回増加される場合、セレキシパグの用量は、毎月の同じ日、又は次の予定された投与日の3日以内に投与することができる。例えば、セレキシパグ用量が1月7日に投与される場合、セレキシパグの次の用量は、2月4日、5日、6日、7日、8日、9日、又は10日に投与することができる。
【0033】
用量調整フェーズの後、患者のiMTDは維持フェーズ中に維持される。この維持フェーズの長さは、当業者によって決定されてもよく、一般的には少なくとも約14週間であり、患者が治療を必要とする限り継続させることができる。いくつかの実施形態では、維持フェーズは、約14、約16、約18、約20、約22、約24、約26、約28、約30、約32、約34、約36、約38、約40、約42、約44、約46、約48、約50、又は約52週間である。他の実施形態では、誘導フェーズは、少なくとも約14週間である。他の実施形態では、誘導フェーズは、少なくとも約26週間である。更に他の実施形態では、維持フェーズは、患者の治療の必要性に応じて、少なくとも約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、約10年間、約20年間、又はそれ以上である。
【0034】
更なる用量増加は、当業者によって決定されるように維持フェーズの後で行うことができる。しかしながら、任意のこのような増加は、望ましくは1600μgで1日2回を超えない。
【0035】
本明細書に記載される方法は、あらゆる原因の死亡、予定外の肺高血圧症関連の入院、WHO機能分類のクラスが上がること、肺移植、バルーン心房中隔切開術、臨床的悪化に対する非経口又は新たなクラスのPH特異的治療の開始、6MWDによって測定される運動能力のベースラインからの少なくとも15%の悪化、又はセレキシパグ(プラセボ)による治療を受けていない同じ若しくは同様のレベルの疾患の診断を有する患者母集団に対する右心不全の症状から選択される1つ以上の事象の最初の発生までの時間を増加させる。いくつかの実施形態では、方法は、あらゆる原因の死亡までの時間を増加させる。他の実施形態では、方法は、予定外の肺高血圧症関連の入院までの時間を増加させる。更なる実施形態では、方法は、WHO機能分類のクラスが上がるまでの時間を増加させる。更に他の実施形態では、本方法は、本明細書で定義される6MWDによって測定される運動能力のベースラインからの少なくとも15%の悪化までの時間を増加させる。更に更なる実施形態では、この方法は、セレキシパグによる治療を受けていない、同じ若しくは同様のレベルの疾患の診断を有する患者母集団に対する右心不全の症状までの時間を増加させる。他の実施形態では、方法は、肺移植が最初に行われるまでの時間を増加させる。更なる実施形態では、方法は、バルーン心房中隔切開術が最初に行われるまでの時間を増加させ
る。更に他の実施形態では、方法は、臨床的悪化に対する非経口又は新たなクラスのPH特異的治療の開始が最初に行われるまでの時間を増加させる。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、
アクティグラフィーで評価される日常生活の身体活動に基づいて、患者の日常生活の身体活動(DLPA)、睡眠パラメータ、又はこれらの組み合わせの改善をもたらす。かかるDLPAパラメータとしては、これらに限定されるものではないが、総DLPA(カウント/分)、活動(座って行う活動以上の)の総量、座らずに行われる活動に費やされる1日当たりの時間(分)、座らずに行われる活動、及び中度~激しい身体活動(MVPA)に費やされる1日の時間の割合、異なる活動分類に費やされる時間、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。このような睡眠パラメータとしては、限定するものではないが、総睡眠時間(TST、分)、入眠後覚醒時間(WASO、分)、覚醒回数、及び睡眠効率(%)、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。
更なる実施形態では、本方法は、PH低リスク基準の数のベースラインからの絶対的変化率及び変化率を評価するうえで効果的となり得る。このような評価は、これらに限定されるものではないが、治療開始の6ヶ月後までの、WHO機能分類、6MWD、NT-proBNP心臓指数、又はこれらの組み合わせなどの測定値を用いて行うことができる。
【0037】
他の実施形態では、本方法は、セレキシパグ治療の開始前に患者に必要とされる任意のコルチコステロイド療法、セレキシパグ治療の開始前に患者に必要とされる酸素療法の負荷、又は患者におけるそれらの組み合わせを低減するうえで効果的となり得る。
【0038】
更に更なる実施形態では、本明細書に記載される方法は、血漿及び/又は血清バイオマーカーなどの疾患及び経路関連バイオマーカーに対するセレキシパグの効果を評価するのに有用である。このような測定値は、セレキシパグの開始後、最初の9ヶ月間、例えば約39週間におけるベースラインからの変化率、及びバイオマーカーレベルと臨床応答との間の関連に基づいたものとすることができる。
【0039】
更に他の実施形態では、本方法は、肺線維症の改善、毛細血管後PHの改善、肺機能FVCの改善、右室ストレインのECG徴候の改善、又はこれらの組み合わせをもたらす。
【0040】
特に断りがない限り、本明細書で使用される「セレキシパグ」という用語は、式(I)の2-{4-[(5,6-ジフェニルピラジン-2-イル)(プロパン-2-イル)アミノ]ブトキシ}-N-(メタンスルホニル)アセトアミドを指す。
【0041】
【0042】
本明細書で使用される「セレキシパグ」は、セレキシパグの非晶形態又はセレキシパグの多形などの結晶形態も指す。いくつかの実施形態では、セレキシパグは、多形などの結晶形態である。他の実施形態では、セレキシパグは非晶形態である。他の実施形態では、セレキシパグは、いずれも本明細書に参照により援用する、米国特許第8,791,122号及び同第9,284,280号に記載される形態I、米国特許第9,340,516号に記載される形態II、又は米国特許第9,440,931号に記載される形態III
である。結晶化度は、例えば、中でも単一結晶X線回折、粉末X線回折、示差走査熱量測定、融点などの1つ以上の技術を使用して、当業者によって決定され得る。
【0043】
本明細書で使用される「セレキシパグ」はその無水物又はその水和物を含む。特定の実施形態では、セレキシパグは無水形態である。他の実施形態では、セレキシパグはその水和物である。
【0044】
本明細書で使用される「セレキシパグ」は、更にその溶媒和物を指す。そのような溶媒和物としては、分子間力又は化学結合を介して、セレキシパグ分子の1つ以上の位置に結合した溶媒の分子が含まれる。
【0045】
「マシテンタン」という用語は、当業者によって容易に選択され得る、薬学的に許容されるその塩も含み得る。「薬学的に許容される塩」とは、無毒性の、生物学的耐容性を有するか、又は他の形で対象への投与に生物学的に適したセレキシパグの塩を意味するものとする。例えば、参照によって本明細書に援用する、Berge,「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.,1977,66:1-19、及びHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use,Stahl and Wermuth,Eds.,Wiley-VCH and VHCA,Zurich,2002を参照されたい。セレキシパグは、遊離塩基又は酸の形態で使用することもできるが、既知の方法によって薬学的に許容される塩とした後に使用することもできる。セレキシパグが塩基性である場合、「塩」の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸及び臭化水素酸などの無機酸の塩、並びに酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びカンファースルホン酸などの有機酸の塩が挙げられる。セレキシパグが酸性である場合、「塩」の例としては、ナトリウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0046】
セレキシパグの幾何異性体(Z形態及びE形態)又はこれらの混合物も想到される。
【0047】
セレキシパグは、当業者には理解されるように市販されている。例えば、参照により本明細書に援用する米国特許第7,205,302号を参照されたい。例えば、セレキシパグはUptravi(登録商標)として市販されており、ACT-293987、NS-304、又はJNJ-6786049としても知られている。セレキシパグは、プロスタサイクリン受容体の拮抗薬であり、米国特許第7,205,302号に開示されるプロセスに従って調製することができる。
【0048】
本発明はまた、セレキシパグ代謝産物の投与も想定している。望ましくは、セレキシパグ代謝産物は、代謝的に活性な化合物である。したがって、特定の実施形態では、セレキシパグ代謝産物は式M1のものである。M1はまた、コード名ACT-333679又はMRE-269としても知られている。
【0049】
【0050】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「治療すること」、「治療」などは、疾患、状態、又は障害と闘う目的での、患者の管理及びケアを含むものとする。用語「治療すること」及び「治療」はまた、(a)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の症状若しくは合併症を緩和するため、(b)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の症状若しくは合併症の発病を予防するため、及び/又は(c)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の症状若しくは合併症を排除するための、本明細書に記載される化合物又は医薬組成物の投与を含む。
【0051】
本明細書で使用されるとき、特に断りがない限り、用語「予防すること」及び「予防」は、(a)1つ以上の症状の頻度を低減すること、(b)1つ以上の症状の重大度を低減すること、(c)更なる症状の発症を遅延させる、緩徐化する若しくは回避すること、及び/又は(d)障害若しくは状態の後期若しくはより重篤な形態への発症を緩徐化する若しくは回避すること、を含むものとする。
【0052】
本開示が予防方法に関する場合、こうした予防方法を要する患者には、予防すべき障害、疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状の既往を有するか若しくはこれらを呈したことがある全ての患者が含まれることが当業者には認識されよう。更に、それを必要とする患者は、加えて、予防すべき障害、疾患若しくは状態の症状を全く呈したことのないものの、内科医、臨床医若しくは他の医療専門家により、このような障害、疾患若しくは状態を発症するリスクがあるとみなされた患者とすることができる。例えば、特に限定されるものではないが、患者の家族歴、素因、併発(重複)疾患又は併発(重複)状態、遺伝子検査などを含む患者の医療歴の結果として、患者を、障害、疾患、又は状態の発症のリスクがある(それ故に予防又は予防的治療の必要がある)とみなし得る。
【0053】
「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では、治療、観察、又は実験の対象とされたヒトを指して互換的に使用される。好ましくは、患者は、治療すべき及び/又は予防すべき疾病又は障害の少なくとも1つの症状を経験し及び/又は示している。
【0054】
本明細書に記載される方法では、セレキシパグの治療有効量は安全である。本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「安全」は、過度の有害な副作用(毒性、刺激、若しくはアレルギー反応など)がないことを意味するものとし、本発明の様式で使用されるとき、妥当な利益/リスク比に相応する。
【0055】
処方/組成物
セレキシパグを活性成分として含有する医薬組成物は、従来の医薬配合技術によって、1種類以上の化合物を製薬担体とよく混合することによって調製され得る。本明細書で使用するとき、用語「組成物」及び「処方」は、互換的に使用され、指定の量の指定の成分を含む生成物に加えて、指定の量の指定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に生じる、医薬製品などの任意の生成物を包含する。医薬組成物の概要は、かかる開示に関して参照により本明細書に組み込まれているが、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Willi
ams&Wilkins 1999)に記載されている。
【0056】
セレキシパグは、未希釈で、又は薬学的に許容される無毒性の不活性担体との混合物中で、例えば、組成物の総重量に基づいて、0.1%~99.5重量%、好ましくは0.5%~90%の濃度で化合物を含有する医薬組成物として投与することができる。担体として、固体、半固体、及び液体希釈剤などの製剤用の1つ以上の補助剤、並びに薬物製剤用の充填剤及び他の補助剤を使用することもできる。医薬組成物は単位剤形として投与されることが望ましい。医薬組成物は、組織、又は静脈内、経口、局所(経皮)又は直腸内に投与することができる。上記の投与形態のいずれかに適した剤形が用いられることは当然である。例えば、経口投与が好ましい。
【0057】
医薬組成物は、当業者によって決められる多くの経路によって投与され得る。好ましくは、医薬組成物は、セレキシパグに適した経路によって投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口、非経口、又はこれらの任意の組み合わせで投与される。他の実施形態において、医薬組成物は経口投与される。更なる実施形態において、医薬組成物は非経口投与される。
【0058】
医薬組成物は、選択された投与経路に適した形態で投与することができる。したがって、医薬組成物は、懸濁液、エリキシル剤、溶液、散剤;カプセル、錠剤、又はカプレットなどの丸剤、香錠剤、粒剤、シロップ、薄膜、トローチ剤、スプレー、ペースト、又は注射剤として投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、骨内注射、腹腔内注射、又は静脈内注射などの注射として投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、懸濁液、エリキシル剤、溶液、散剤;カプセル(ハード又はソフト)などの丸剤、錠剤、又はカプレット、香錠剤、粒剤、シロップ、薄膜、トローチ剤、スプレー、又はペーストとして投与される。丸剤は、嚥下、チュアブル、舌下使用、若しくは口腔内使用に合わせて製剤化されてもよく、又は投与に先立って水に溶解若しくは分散される発泡性とすることができる。いくつかの実施形態では、医薬製品は、丸剤、錠剤、粉末、滅菌非経口溶液、又は液体スプレーを含む。望ましくは、医薬製品は錠剤を含む。
【0059】
担体は、望ましい投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて様々な形態を有することができる。それゆえに、例えば懸濁液、エリキシル剤、及び溶液などの経口液体製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、安定剤、着色剤などが挙げられ、散剤、カプセル剤、及び錠剤などの経口固形製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。経口固形製剤は、糖などの物質でコーティングされてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶剤でコーティングされてもよい。非経口投与では、担体は通常、滅菌水から構成され、溶解度の上昇又は保存のために他の成分を添加されてもよい。したがって、非経口投与の場合、医薬組成物又は医薬製品は無菌の非経口溶液である。注射用の懸濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤と共に用いて製造してもよい。
【0060】
かかる医薬組成物を調製するには、有効成分としてのセレキシパグを、例えば、経口投与又は筋肉内などの非経口投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態のものであってよい医薬担体と従来の医薬配合技術に従ってよく混合する。組成物を経口剤形態で調製する際、任意の通常の医薬媒体を用いることができる。それゆえに、例えば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液などの経口液体製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤などが挙げられる。散剤、カプセル剤、カプレット、ゲルキャップ、及び錠剤などの経口固形製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられ
る。投与が容易であるため、錠剤及びカプセルは最も有利な経口投薬単位形態であるが、この場合、固体医薬担体が使用されることは明らかである。所望される場合には、標準的な技術により錠剤を糖衣又は腸溶剤コーティングしてもよい。非経口用の担体は、通常、滅菌水を含むが、例えば溶解性の補助などを目的として又は保存のために他の成分を含んでもよい。注射用懸濁液を調製してもよく、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを用いてよい。本明細書の医薬組成物は、投薬単位、例えば、錠剤、カプセル、粉末、注射液、小さじ1杯などごとに、上記の有効用量を送達するのに必要な活性成分の量を含有することになる。
【0061】
本明細書の医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、坐剤、茶さじなどの単位用量単位、好ましくは1錠剤当たり、少なくとも約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、又は約3500μgを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100~約3500μg、約200~約3200、約200~約3000、約200~約2800、約200~約2600、約200~約2400、約200~約2200、約200~約2000、約200~約1800、約200~約1600、約200~約1400、約200~約1200、約200~約1000、約200~約800、約200~約600、約200~約400、約400~約3200、約400~約3000、約400~約2800、約400~約2600、約400~約2400、約400~約2200、約400~約2000、約400~約1800、約400~約1600、約400~約1400、約400~約1200、約400~約1000、約400~約800、約400~約600、約600~約3200、約600~約3000、約600~約2800、約600~約2600、約600~約2400、約600~約2200、約600~約2000、約600~約1800、約600~約1600、約600~約1400、約600~約1200、約600~約1000、約600~約800、約800~約3200、約800~約3000、約800~約2800、約800~約2600、約800~約2400、約800~約2200、約800~約2000、約800~約1800、約800~約1600、約800~約1400、約800~約1200、約800~約1000、約1000~約3200、約1000~約3000、約1000~約2800、約1000~約2600、約1000~約2400、約1000~約2200、約1000~約2000、約1000~約1800、約1000~約1600、約1000~約1400、約1000~約1200、約1200~約3200、約1200~約3000、約1200~約2800、約1200~約2600、約1200~約2400、約1200~約2200、約1200~約2000、約1200~約1800、約1200~約1600、約1200~約1400、約1400~約3200、約1400~約3000、約1400~約2800、約1400~約2600、約1400~約2400、約1400~約2200、約1400~約2000、約1400~約1800、約1400~約1600、約1600~約3200、約1600~約3000、約1600~約2800、約1600~約2600、約1600~約2400、約1600~約2200、約1600~約2000、約1600~約1800、約1800~約3200、約1800~約3000、約1800~約2800、約1800~約2600、約1800~約2400、約1800~約2200、約1800~約2000、約2000~約3200、約2000~約3000、約2000~約2800、約2000~約2600、約2000~約2400、約2000~約2200、約2200~約3200、約2200~約3000、約2200~約2800、約2200~約2600、約2200~約2400、約2400~約3200、約2400~約3000、約2400~約2800、約2400~約2600、約2600~約3200、約2600~約3000、
約2600~約2800、約2800~約3200、約2800~約3000、又は約3000~約3200μgのセレキシパグを含む。更なる実施形態では、医薬組成物は、約200~約1600μgのセレキシパグを含む。更に他の実施形態では、医薬組成物は、約200μgのセレキシパグを含む。いっそう更なる実施形態では、医薬組成物は、約400μgのセレキシパグを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約800μgのセレキシパグを含む。更なる実施形態では、医薬組成物は、約1000μgのセレキシパグを含む。いっそう更なる実施形態では、医薬組成物は、約1200μgのセレキシパグを含む。よりいっそう更なる実施形態では、医薬組成物は、約1400μgのセレキシパグを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約1600μgのセレキシパグを含む。しかし、患者の要求、治療する状態の重症度、及び用いる化合物に応じて投薬量を変えてもよい。
【0062】
好ましくは、医薬組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与、又は吸入若しくは吹送による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、粒剤、無菌非経口溶液又は懸濁液、定量エアゾール又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬のような単位剤形である。錠剤などの固体組成物を調製するため、主要な有効成分(例えば、セレキシパグ)を、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はゴムなどの従来の錠剤化成分、及びその他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本開示の化合物の均質混合物又はその薬学的に許容される塩を含有する固体の前配合組成物を形成する。特定の実施形態では、2つの活性成分が、例えば二相錠剤製剤のように一緒に配合され得る。これらの事前処方組成物を均質と呼ぶ場合、組成物を錠剤、丸剤及びカプセルのような同等に有効な投与形態に容易に細分することができるように、有効成分が組成物の全体にわたって均一に分散していることを意味する。組成物の錠剤若しくは丸剤は、コーティングされ、又は他の方法により調合され、持続的作用の利点を付与する投薬剤形を提供し得る。例えば、錠剤若しくは丸剤は、内殻投与成分及び外殻投与成分を含むことができ、後者は前者を封入する形態のものである。
【0063】
本開示の組成物を経口投与又は注射により組み込み得る液剤の剤形としては、水性液剤、好適に香味付けされたシロップ剤、水性若しくは油性懸濁剤、及び、綿実油、ゴマ油、ヤシ油若しくはピーナッツ油などの食用油による、香味付けされたエマルジョン、並びにエリキシル剤及び同様の製薬用賦形剤が挙げられる。水性懸濁剤用の好適な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル-ピロリドン、又はゼラチンが挙げられる。
【0064】
本明細書に記載される方法はまた、セレキシパグ、及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を使用して実施されてもよい。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない、必要とされ不活性な医薬賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物としては、固形剤形、例えば、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤(各々、即時放出、時限放出及び徐放性処方が挙げられる)、顆粒剤、及び散剤など、並びに液体剤形、例えば、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、エマルジョン、及び懸濁剤などが挙げられる。非経口投与に有用な形態としては、滅菌液剤、エマルジョン及び懸濁液が挙げられる。
【0065】
有利な点として、セレキシパグは、1日1回の用量を投与してもよく、又は1日の総用量を1日2回、3回若しくは4回に分割して投与してもよい。
【0066】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与の際には、活性薬剤成分(例えば、セレキシパグ)をエタノール、グリセロール、水などのような経口用の無毒の薬学的に許容さ
れる好不活性担体と組み合わせることができる。更に、望ましい又は必要な場合、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤もまた、その混合物に組み込まれ得る。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβ-ラクトースなどの天然の糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカントなどの天然及び合成ガム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
液体は、例えばトラガカント、アカシア、メチルセルロースなどのような好適に香味付けされた懸濁化剤又は分散剤の形態をとる。非経口投与には、滅菌懸濁液及び溶液が望ましい。静脈内投与が所望される場合、好適な保存剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0068】
本開示の医薬組成物を調整するには、活性成分として、セレキシパグは、従来の医薬配合技術に従って、医薬担体とよく混合されるが、担体は、投与(例えば、経口又は非経口)において所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。医薬的に許容される好適な担体は、当該技術分野において周知である。これらの医薬的に許容される担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会及び英国薬剤師会により出版されたThe
Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見出すことができるが、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
薬学的組成物を製剤化する方法は、Marcel Dekker,Inc.によって発行されたPharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Second Edition,Revised and Expanded,Volumes 1-3,edited by Lieberman et al、Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Volumes 1-2,edited by Avis et al、及びPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Volumes 1-2,edited by Lieberman et alなど多くの出版物に記述されている。それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
本明細書では、以下の略語を使用する場合がある。
【0071】
【0072】
【0073】
態様
態様1.サルコイドーシス関連肺高血圧症を治療するための方法であって、治療を要する患者に治療有効量のセレキシパグを投与することを含む、方法。
【0074】
態様2.サルコイドーシス関連肺高血圧症の治療を要する患者のサルコイドーシス関連肺高血圧症を治療するための方法であって、(a)患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有するか否かを判定することと、(b)患者がサルコイドーシス関連肺高血圧症を有する場合、治療有効量のセレキシパグを投与することと、を含む、方法。
【0075】
態様3.セレキシパグの投与開始の約90日以内に、患者が、肺血管抵抗(PVR)≧約240dyn.秒.cm-5(≧3Wood単位)、平均肺動脈圧(mPAP)≧約25mmHg、及び肺動脈楔入圧(PAWP)≦約15mmHg又は左室拡張終末期圧(L
VEDP)≦約15mmHgを有する、態様1又は2に記載の方法。
【0076】
態様4.セレキシパグの投与開始前に、患者が世界保健機関機能分類クラスII、III、又はIVにある、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
態様5.患者が世界保健機関機能分類クラスIVにある場合に、患者が安定状態にあり、6分間歩行試験(6MWT)を行うことができる、態様4に記載の方法。
【0078】
態様6.患者が、セレキシパグの投与開始前に、少なくとも、約90日間にわたって肺高血圧症の治療を受けていないか又は肺高血圧症の安定的治療を受けている、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
態様7.肺高血圧症の安定的治療が、リオシグアト、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、又はエンドセリン受容体拮抗薬を含む、態様6に記載の方法。
【0080】
態様8.患者が、セレキシパグの投与開始前に、少なくとも、約90日間にわたってサルコイドーシスの治療を受けていないか又は少なくとも30日間にわたってサルコイドーシスの安定的治療を受けている、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
態様9.サルコイドーシスの治療が、抗炎症治療を含む、態様8に記載の方法。
【0082】
態様10.患者が、セレキシパグの投与開始前に、努力肺活量(FVC)>50%及び努力呼気肺活量(1秒間)(FEV1)>約30%を有する、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
態様11.患者が、セレキシパグの投与開始前の6分間歩行距離(6MWD)が約50m~約450mである、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
態様12.セレキシパグの投与開始前に、患者が左心不全を有していない、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
態様13.患者が、セレキシパグの投与開始前に約90日間にわたってプロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、又はプロスタサイクリン受容体拮抗薬による治療を受けていない、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
態様14.患者が、セレキシパグの投与開始前にチャイルド・ピュー分類Cの肝疾患を有さない、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
態様15.患者が、セレキシパグの投与開始前に約90mmHg未満の収縮期血圧を有さない、態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
態様16.セレキシパグが開始用量で投与され、増量されて個々の最大耐用量(iMTD)が決定される、態様1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
態様17.開始用量が、約200μgを1日2回である、態様16に記載の方法。
【0090】
態様18.iMTDが、約200μg~約1600μgを1日2回である、態様16又は17に記載の方法。
【0091】
態様19.iMTDが用量調整フェーズで決定されるまで、開始用量が、約200μg
ずつ1日2回の増分で増加される、態様16~18のいずれか1項に記載の方法。
【0092】
態様20.用量調整フェーズが少なくとも約12週間である、態様19に記載の方法。
【0093】
態様21.iMTDが、約1600μgで1日2回を超えない、態様16~20のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
態様22.iMTDが、用量調整フェーズの後の維持フェーズ中に維持される、態様19~21のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
態様23.維持フェーズが少なくとも約14週間である、態様22に記載の方法。
【0096】
態様24.維持フェーズが少なくとも約26週間である、態様23に記載の方法。
【0097】
態様25.更なる用量増加が、維持フェーズの後に行われるが、約1600μgで1日2回を超えない、態様23又は24に記載の方法。
【0098】
態様26.方法が、セレキシパグによる治療を受けていない同じレベルの疾患を診断されている患者に対して患者のPVRを低減する、態様1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
態様27.方法が、あらゆる原因の死亡、予定外の肺高血圧症関連の入院、WHO機能分類のクラスが上がること、6MWDによって測定される運動能力のベースラインからの少なくとも15%の悪化、又はセレキシパグによる治療を受けていない同じレベルの疾患の診断を有する患者に対する右心不全の症状から選択される1つ以上の事象の最初の発生までの時間を増加させる、態様1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
態様28.セレキシパグが、錠剤の形態で経口投与される、態様1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
以下の実施例は、この開示内に記載する概念の一部を示すために提供される。実施例は、実施形態を提供するものとみなされるが、本明細書に記載されるより一般的な実施形態を限定するものとみなされるべきではない。以下の実施例では、使用される数値(例えば、量、温度など)に関する精度を担保するための努力はしているが、若干の実験誤差及び偏差は考慮されなければならない。
【実施例】
【0102】
(実施例1)
セレキシパグを、強度200、400、600、800、1000、1200、1400、及び1600μgの異なる強度の丸いフィルムコーティングされた錠剤として得る。
【0103】
各組成を表1及び表2に示す。
【0104】
【0105】
【0106】
(実施例2)
この臨床試験の総合的なベネフィット/リスク評価は、SAPHを有する患者の治療選択肢において満たされていない医療ニーズがあることから、許容可能であると考えられる。
【0107】
試験全体を通じて安全性を注意深く監視する。
・一般的に、安全性評価(甲状腺機能検査、血圧監視、血液臨床検査を含むがこれらに限定されない)は、表4及び表5に示されるように、試験中に予定された来院で行われる。
・あらゆる臨床的に有意な異常(試験終了/早期離脱時に持続しているものを含む)は、解消されるまで、又は臨床的に安定した状態に達するまで経過観察する。
【0108】
被験者は、本明細書に記載される理由により、試験介入を中止する。
【0109】
A.目的及びエンドポイント
表3は、本明細書に記載される方法の目的及びエンドポイントを示す。
【0110】
【0111】
【0112】
B.試験デザイン
1.全体的なデザイン
本試験は、SAPHを有する18歳以上75歳以下の男女における、104週間のOL継続投与期間を伴う、前向き無作為化二重盲検(DB)、群逐次、プラセボ対照、多施設共同の52週の介入試験である。試験介入は、各被験者が、200μg~1600μgを1日2回(bid)の範囲でiMTDに達するように増量を行う。中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は(a)適度なシトクロムP450(CYP)2C8阻害剤(複数可)を同時に服用している被験者の場合、投与頻度は1日1回(qd)である。試験デザイン及び用量調整の図を、それぞれ、
図1及び
図2に示す。これらの図では、投与頻度は一般的に、投与頻度がqdに減らされている中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有する、又は(a)中度のCYP2C8阻害剤(複数可)を同時に服用している被験者を除いて、1日2回(bid)とする。二重盲検期間中、これらの被験者は、朝に試験介入を服用しなければならず、したがって試験介入の最初の用量は、2日目の朝に服用されなければならない。非盲検期間中、qdレジメンの被験者は、その日のラン
ダムな時点で試験介入の最初の用量を服用することができ、試験介入は、好ましくはその後の同じ時点に投与される。
【0113】
約150人の被験者を2つの連続コホートで募集する。最初の86人の無作為化被験者は血流力学的コホートを構成し、試験の総合的評価に加えてベースライン及び20週目にRHCを受ける。残りの被験者は、非血流力学的コホートを構成する。血流力学的コホートに登録された被験者とは対照的に、非血流力学的コホートからの被験者は、20週目のRHCを受けない。他の評価は、2つのコホートで同じである。全ての被験者の将来的分析について参照されたい。両方のコホートは、血流力学的評価を必要としない副次的有効性エンドポイントの評価を行うために組み合わされる。表4及び表5を参照されたい。
【0114】
【0115】
【0116】
(上記表の続き)
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
被験者は、52週間のDB期間中にセレキシパグ又はプラセボのいずれかを投与するために1:1の比で無作為化する。無作為化は、ベースラインでのPH特異的治療によって層別化される(ありとなし)。DB期間中、来院7(52週目)まで試験介入を中止しない被験者はOL期間に入り、更に104週間にわたってセレキシパグを投与される。DB試験介入を早期に中止する被験者は、OL期間に入ることはできない。被験者がDB試験介入を中止するか又はOL試験介入を早期に中止するかをフォローするための必要な手順に関する情報を本明細書に示す。
【0124】
本試験は、最初の被験者によって署名された最初のICFで開始し、最後の被験者の最後の安全性経過観察TC又は来院で終了する。試験には、以下の期間が含まれる。
(a)ICFの署名で開始し、1日目の来院2の被験者の無作為化によって終了する、8~30日間のスクリーニング期間。
(b)2つの介入期間:
・無作為化の日の夕方(1日目の来院2)におけるDB試験介入の最初の用量の投与で開始し、最大12週間の用量調整フェーズを含む、52週間のDB期間。DB期間は、EDBT来院(来院7)によるDB試験介入の最後の投与日に終了する。
・52週間のDB介入を完了した被験者における104週間のシングルアームのOL継続投与介入期間。この期間は、DB試験介入の最後の投与日(すなわち、EDBT来院(来院7))の夕方のOL試験介入(セレキシパグ)の最初の用量で開始し、EOLT来院(来院12)で終了する。OL期間に入る全ての被験者で、前の介入の割り当てに関係なくOLセレキシパグを増量する必要がある。
(c)試験介入の最後の用量の翌日に開始し、30(+5)日後に安全性経過観察TCで終了する、安全性経過観察期間。
【0125】
個々の参加期間の長さは約3年となる。来院スケジュール及びプロトコル-義務的手順をそれぞれの試験期間で表4及び表5に従って実施する。有効性の評価項目としては、こ
れらに限定されるものではないが、20週目のRHC(血流力学的コホートのみ)、運動能力の評価、呼吸困難、及びWHO機能分類、NT-proBNPレベルの測定、PRO及びCROの記録、並びに肺機能試験が挙げられる。
【0126】
安全性及び忍容性は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて評価する。安全性及び忍容性の評価項目としては、併用薬及びAE、臨床検査、12誘導心電図(ECG)、バイタルサイン、身体的検査、及び妊娠検査の再検討が挙げられる。
【0127】
血漿及び血清サンプルを収集する。
【0128】
医療資源利用データを収集する。以下の4つの分析時点がある:
・分析時点1(PVRの無益性):血流力学的コホートの約34人の被験者が、20週目のRHC評価を完了した(又は早期に中止した)時点。
・分析時点2(PVRの最終分析及びTTCWの中間分析[IA]):血流コホートの全ての被験者(事前に予定された86人の被験者)が20週目のRHC及び26週目の評価を完了した(又は早期に中止した)時点。
・分析時点3(TTCWの最終分析、DBの終了):全ての被験者がDB期間を完了した(又は早期に中止した)時点。この時点で、TTCWエンドポイントの最終分析を行う。残りの全てのエンドポイントのデータの分析も行う。DB期間の中間データベースロックを行った後、試験群を非盲検化する。
・分析時点4(OLの終了):全ての被験者がOL期間(24ヶ月)及び安全性経過観察を完了したか、又は早期に中止した時点。この時点で、全ての利用可能なデータを分析する。
【0129】
2.試験デザインの科学的な理論的根拠
プラセボ/無作為化/安定化/盲検化/コホートの使用の根拠
無作為化された形、及びDBの形で実施されるプラセボ対照試験はセレキシパグの有効性を評価するために用いられ、能動的介入を行わない場合に生じ得る血流力学的及び臨床的エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立することを可能とする。プラセボ対照の使用はまた、試験中に観察される安全性に関連した事象又は異常及び疾患の進行の適切な評価を可能とし、セレキシパグの使用に関連する可能性のある事象と、基礎疾患に関連するものとの区別も可能とする。
【0130】
PH特異的療法(プロスタノイド、プロスタサイクリン類似体、及び非プロスタノイド系IP受容体拮抗薬を除く)によるバックグラウンド治療の使用は認められる。更に、26週目の来院(来院5)後のPH特異的療法の治療用量漸増も認められる。サルコイドーシスの安定的治療も可能である。
【0131】
無作為化は、各介入群への被験者への割り当ての偏りを最小化し、既知及び未知の被験者属性(例えば人口統計学的特性及びベースライン特性)が介入群間で均等なバランスとなる可能性を高め、介入群間の統計学的比較の妥当性を高めるために用いられる。
【0132】
盲検化介入は、データ収集及び臨床的エンドポイントの評価時の潜在的な偏りを低減するために用いられる。無作為化は、治療群間の統計学的比較の妥当性を高めるため、また、治療不感受性の被験者と比較して、PH特異的治療を既に受けている被験者における潜在的に異なる治療効果を考慮するためにベースラインのPH特異的治療によって層別化される(ありとなし)。
【0133】
血流力学的コホートの被験者の数を最小限に抑えるため、被験者は2つの連続コホート
で募集する。最初のおよそ86人の被験者は血流力学的コホートを構成し、総合的試験評価に加えて20週目のRHCを受ける。残りの被験者は、非血流力学的コホートを構成する。両方のコホートは、ベースライン後の血流力学的評価を必要としない副次的有効性エンドポイントの評価を行うために組み合わされる。
【0134】
試験期間の長さの根拠
被験者は、DBでセレキシパグ又はプラセボを52週間にわたって投与される。PVR及び他の血流力学的エンドポイントを、RHCにより20週目に評価する。TTCW並びに他の副次的及び探索的エンドポイント、例えば、PH悪化又は死亡及び運動能力に関連する入院の割合を52週目まで評価する。
【0135】
治療意図原則に準拠するため、DB試験介入を早期に中止した被験者を52週目まで経過観察する。
【0136】
OL継続投与期間は、セレキシパグに関する長期有効性、安全性及び忍容性情報、SAPHを有する被験者の生存率の状態を収集し、DB介入を完了した被験者にセレキシパグへのアクセスを与えることを目的とする。
【0137】
右心カテーテル法の根拠
前毛細血管性PHは、PVRによって定量化される肺血管系の血流に対する抵抗の増大によって特徴付けられる。PVRは、RHCによって決定される。加えて、本明細書に示される指針に従って過去のRHCが実施されている場合、過去のRHCは、非血流力学的コホートの全ての被験者及び血流力学的コホートの被験者で許可される。
【0138】
試験特異的倫理デザインの考慮点:本試験は、SAPHを有する被験者におけるセレキシパグの有効性及び安全性を評価するために行われる。試験期間(表7を参照)にわたって母集団から採取される全血量は、WHOの推奨に基づいて許容可能とみなされる。
【0139】
3.用量が正当である理由
試験介入は、200μg~1600μgを1日2回(bid)の範囲で、又は中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか若しくは適度なCYP2C8阻害剤を同時に服用している被験者では200μg~1600μgを1日1回(qd)の範囲で各被験者がiMTDに達するように増量される。iMTDに応じて、1回用量の試験介入は1~8錠の錠剤(200μg~1600μg)からなる。各用量のセレキシパグ製剤については実施例1を参照されたい。
【0140】
4.試験終了の定義
EOS来院:DB試験介入を完了し、OL期間中に試験介入を完了するか又は何らかの理由(本明細書で定義される試験からの離脱を除く)で試験介入を早期に中止した被験者では、EOS来院は、OL期間中のEOS TCに対応する。何らかの理由(本明細書で定義される試験からの離脱を除く)で、DB試験介入を早期に中止したがDB期間を完了した被験者では、EOS来院は最後の来院/TCに対応し、来院7(52週目)又は安全性経過観察TCのいずれかのうち、DB期間中に最後に行われた方である。表4及び表5を参照されたい。
【0141】
5.被験者の完了
二重盲検期間:被験者は、試験介入の有無にかかわらず、来院7(52週目)又は安全性経過観察電話通話に至るまでの、かつこれらを含む来院のいずれか最後に行われる方を完了した場合に試験のDB期間を完了したものとみなされる。DB試験介入を早期に中止する被験者は、OL期間に入ることはできない。
【0142】
非盲検期間:被験者は、試験介入の有無に関わらず、EOS安全性経過観察電話通話を完了した場合、試験のOL期間を完了したものとみなされる。
【0143】
試験:被験者は、試験から早期に離脱せずにEOS来院を完了した場合に試験を完了したものとみなされる。上記で定義したDB又はOL期間を完了しない被験者、及び/又は試験から離脱する被験者は、試験を完了したものとはみなされない。
【0144】
試験完了:試験終了(EOS)は、試験の最後の被験者について、最後の来院又はEOS来院のどちらか最後に行われた方とみなされる。
【0145】
C.試験母集団
1.組み入れ基準
各潜在的被験者が試験に登録されるためには、以下の基準の全てを満たす必要がある。
・男性又は女性
・スクリーニング時に18歳(又は試験が行われている管轄区で法廷承諾年齢)~75歳である。
・ATS基準に従って確認されたサルコイドーシスの診断を有する。
・無作為化前の90日以内にRHC(安静時)により確認された、サルコイドーシス関連前毛細血管性PH:
a.PVR≧240dyn*秒/cm5(≧3.0Wood単位)
b.平均肺動脈圧(mPAP)≧25mmHg
c.肺動脈楔入圧(PAWP)≦15mmHg、又は値が利用可能でないか信頼できない場合にはLVEDP≦15mmHg。本明細書に示される制限を考慮し、過去のRHCは許可される。履歴結果が利用可能でない場合は、スクリーニング期間中にRHCを実施しなければならないが、他の全ての組み入れ基準が満たされ、除外基準がいずれも満たされてない場合のみに限られる。
・スクリーニング及び無作為化時に改変WHO機能分類II~IVに従うPH重篤度である。すなわち、WHO機能分類IVの被験者は安定状態になければならず、かつ6MWTを実施することができなければならない。
・無作為化及び登録のためのRHC適格性判断の前の少なくとも90日間、PHの治療を受けていないか又は安定的治療(すなわち、リオシグアト、PDE5i、ERA)を受けている(すなわち、新たな治療の導入又は用量の変化がない)。
・安定的なサルコイドーシス治療レジメン、すなわち、無作為化及び登録のためのRHC適格性判断の前の少なくとも90日間にわたってサルコイドーシスの新たな特異的抗炎症治療を受けておらず、かつ少なくとも30日間にわたって安定用量(複数可)が投与されている。
・スクリーニング時及び無作為化時の両方で6MWDが50~450m。
・スクリーニング時に予測された努力肺活量(FVC)>50%かつFEV1>30%。短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)及び長時間作用型β刺激薬が、スパイロメトリー検査のそれぞれ6時間及び24時間前に服用されてはならない。
・FEV1/FVC≧60%であるか、又はFEV1/FVC<60%の場合、FEV1がスクリーニング時に予測された値の65%以上でなければならない。短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)及び長時間作用型β刺激薬が、スパイロメトリー検査のそれぞれ6時間及び24時間前に服用されてはならない。
・運動訓練に基づいて心肺機能回復プログラムに登録されるか又は登録が予定されている患者は、以下のうちの1つに当てはまらなければならない。
(a)無作為化時のプログラムの維持フェーズにおいて、26週目までプログラムを中止する予定がないこと、又は
(b)運動訓練に基づく心肺機能回復プログラムの開始が26週目以降に予定されてい
ること。
・女性は、以下の条件を満たさなければならない。
a.妊娠の可能性がないこと
b.妊娠の可能性があり、かつ、
○スクリーニング時の高感度血清(β-hCG)が陰性であり、かつ無作為化時の尿妊娠検査が陰性である。
○試験中及び試験介入中止の少なくとも30日後まで尿妊娠検査を毎月受けることに同意する。
○試験介入が投与される期間、及び試験介入の最後の投与の30日後まで許容される避妊法を実施し、許容される方法を継続することに同意する。
・経口避妊薬を使用する女性は、無作為化の前少なくとも1ヶ月間にわたってこの方法を使用していなければならない。
・本明細書に指定される生活様式の制限事項を守る意思があり、それが可能であること。
【0146】
2.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす潜在的被験者は、試験の参加から除外される。
・左心臓疾患によるPH(PAWP>15mmHg)。
・肺動脈及び/又は肺静脈の圧縮によるPH。
・LVEF<40%である心筋症、心臓サルコイドーシスを含むLHFの履歴
・CHD又は不安定な狭心症。
・スクリーニング前又はスクリーニング中の最後の6ヶ月以内の心筋梗塞。
・厳重な管理下でない場合、非代償性心不全。
・重症として評価される不整脈。
・二次予防のためのICD
・スクリーニング前又はスクリーニング中の最後の90日以内の脳血管の事象(例えば、一過性虚血発作、脳卒中)。
・PHに関連しない臨床的に関連する心筋機能障害を伴う先天性又は後天性の弁膜奇形。
・肺静脈閉塞症(PVOD)の特徴を顕性の特徴。
・顕著な肺気腫。
・既知の確認された重度の肝障害(チャイルド・ピュー分類C)。
・スクリーニング血液サンプルからの中央検査機関の結果に基づく重度の腎不全(eGFR<30mL/分/1.73m2又は血清クレアチニン>2.5mg/dL)。
・RHC中の血管拡張検査で投与されるものを除く、無作為化前かつ/又は登録のためのRHC適格性判断の前90日間のプロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体又はIP受容体拮抗薬(すなわち、セレキシパグ)による治療。
・来院5/26週目までに肺移植リストに含まれるか、又は含まれることが計画されている。
・管理されていない既知の、又は疑われる甲状腺疾患。
・無作為化時又は無作為化の前14日以内のCYP2C8の中度の誘導剤、例えば、リファンピシン又はCYP2C8の強力な阻害剤、例えば、ゲムフィブロジルによる治療。
・登録のためのRHC適格性判断の前1週間以内の新たな利尿薬及び/又はカルシウムチャネル遮断薬の用量の変化又は開始。
・スクリーニング時又は無作為化時のSBP<90mmHg
・セレキシパグ又はその賦形剤に対する既知のアレルギー、過敏症、又は不耐性。
・無作為化の前最大90日間の別の治験治療による計画されている、又は現在の治療。
・無作為化の前90日以内の治験介入の投与、又は侵襲性治験医療装置の使用。
・参加が被験者の最善の利益とならない(例えば、健全性を損ねる)か、又はプロトコルに指定された評価を妨げる、制限する、若しくは混乱させる可能性がある何らかの条件
。
・RHC、信頼性がありかつ再現可能な6MWT(例えば、歩行補助具(杖、歩行器など)の使用)、又は肺機能試験の実施などの試験要件に適合する能力に影響を及ぼし得る、任意の急性又は慢性障害。
・治験責任医師又は治験実施施設の被雇用者であり、治験責任医師又は治験実施施設の指示に基づいて提案された試験又は他の試験に直接的に関与している者、あるいはそのような被雇用者又は治験責任医師の家族である者。
【0147】
D.試験介入
1.試験介入の説明
二重盲検セレキシパグ200μg、マッチしたプラセボ、及びOLセレキシパグ200μgを与える。
【0148】
2.試験介入の投与
錠剤は経口投与され、丸ごと嚥下されなければならない(すなわち、粉砕、分割、又は咀嚼されない)。投薬頻度は、中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は投与頻度が1日1回(qd)である中度のCYP2C8阻害剤(複数可)を同時に服用している被験者を除いて、1日2回(bid)である。bid投与の場合、各増量段階の開始時に、第1の用量は、夕方に服用されなければならない。DB期間中、及びqd投与の場合、被験者は、朝に試験介入を服用しなければならない。したがって、試験介入の第1の用量は、2日目の朝に服用されなければならない。OL期間中、qdレジメンの被験者は、その日のランダムな時点で試験介入の最初の用量を服用することができ、試験介入は、好ましくはその後の同じ時点に投与される。来院3の朝から始まり、その後のDB期間の各来院時に、被験者は、来院に関係する処置の前に朝の試験介入の用量を服用しなければならない。忍容性は、試験薬が食事と共に服用される場合に改善され得る。
【0149】
3.試験介入の増量
試験介入は、各被験者がそれらのiMTDに達するように200μg~1600μg(すなわち、1~8錠)をbid/qdの範囲で増量される。投薬頻度は、中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は試験介入を1日1回(qd)投与されている中度のCYP2C8阻害剤(複数可)を同時に服用している被験者を除いて、1日2回(bid)である。
【0150】
(i)二重盲検試験介入の増量
各被験者は、DB試験介入、すなわち、セレキシパグ(200μg)又はマッチしたプラセボを1日目の夕方に1錠で開始し、2日目に200μgをbidで継続する。中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は(a)中度のCYP2C8阻害剤(複数可)を同時服用している被験者は、2日目の朝に200μgをqdで開始する。用量は、iMTDに達するまで、予定されたTCにおいて1週間隔で200μgをbid/qd刻みで増量する。表6及び
図2を参照されたい。
【0151】
【0152】
用量レジメンが十分に忍容されないか、又は症状が対症療法により完全に管理できない場合、増量段階の時間の長さを2週間まで延長してもよい。必要に応じて、用量を200μgでbid/qdだけ低減させることができる。12週目(来院3)では、各被験者で達したbid/qd用量は、iMTDとして定義される。この用量は、少なくとも26週目(来院5)まで安定状態に維持されなければならない。3日以上の試験介入の中断は、忍容性を制限する副作用を回避するために新たな増量を必要とする。
【0153】
26週目以降、予定された又は予定外の来院時に200μgのbid/qd刻みで(適用可能な場合、最大で1600μgをbid/qd)、被験者の用量を必要に応じて更に増量することも可能である。被験者には、52週目(来院7)まで試験介入の投与を継続する。来院3から開始して、DB期間中の全ての連続した来院時に、6MWT及びRHCを投与後2~5時間以内に実施しなければならない。
【0154】
(ii)非盲検試験の試験介入の増量:
OL期間に入る全ての被験者で、前の介入の割り当てに関係なくOLセレキシパグを増量する必要がある。最後のDB試験介入の用量は、来院7の評価を行う前の朝に服用されなければならない。OL試験介入の増量は、来院7の夕方に1錠のOLセレキシパグ(200μg)で開始し、翌日の200μgをbidまで継続する。中程度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は(a)中度のCYP2C8阻害剤(複数可)を同時に服用している被験者は、(a)200μgをqdの第1の用量をその日のランダムな時点で投与し、試験介入は好ましくはその後、同じ時点で投与される。
【0155】
増量手順は、DB試験介入の増量と同様である。用量は、iMTDに達するまで、1週又は2週間隔で200μgをbid/qd刻みで増量する。増量間隔は柔軟であってよいが、iMTDに達するまでの合計時間は、12週間と予想される。しかしながら、12週目以降は、予定された又は予定外の来院時に200μgのbid/qd刻みで(適用可能な場合、最大で1600μgをbid/qd)、用量を必要に応じて更に増量することも可能である。非盲検セレキシパグは、156週目(来院12)のOL期間の終了時まで最大で24ヶ月間服用される。
【0156】
E.バイアスを最小化するための手段:無作為化及び盲検化
1.介入の割り当て
無作為化及び層別化の手順:この試験では中央無作為化が実施される。被験者は、試験前に作成されたコンピュータ生成無作為化スケジュールに基づいて、2つの介入群の1つに無作為に割り当てられる。無作為化は、無作為に並べ換えられるブロックを使用することによってバランスがとられ、ベースラインでのPH特異的治療によって層別化される(ありとなし)。
【0157】
盲検化:この試験の無作為化から最初の52週間はDBの形式で実施される。
【0158】
2.試験介入の服薬遵守
試験介入の服薬遵守は、試験介入の報告義務に基づく。試験介入の服薬遵守は、下式を用いて各来院時に治験実施施設の担当者によって計算される。
【0159】
【0160】
3.併用療法
試験介入の初回投与の30日前までに投与された予防療法、並びにベースラインRHCの90日前及び無作為化の90日前までに投与されたPH(ERA、PDE5i、リオシグアト)及びサルコイドーシス(例えば、インフリキシマブ、メトトレキサート、アザチオプリン、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、ステロイド)を治療するためのあらゆる以前の療法は、スクリーニング時に記録されなければならない。
【0161】
以下に列挙するものを除く併用薬剤が許容される。併用療法は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて記録されなければならない。試験介入とは異なる全ての療法(酸素補充;ワクチン、ビタミン、ハーブ栄養補助食品を含む処方薬又は市販薬、電気刺激、鍼、特別食、運動レジメンなどの非薬理学的療法)は記録されなければならない。以下の薬剤及び/又は療法は、試験介入と同時に投与されることは許可されない。
・試験介入の中止までのプロスタサイクリン(エポプロステノール)、プロスタサイクリン類似体(例えば、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロスト)又はプロスタサイクリン受容体作動薬(すなわち、セレキシパグ/UPTRAVI(登録商標))。
・試験介入の中止までのCYP2C8(例えば、ゲムフィブロジル)の強力な阻害剤。
・登録のためのRHC適格性判断の前1週間以内の新たな利尿薬及び/又はカルシウムチャネル遮断薬の用量の変化又は開始。
・試験介入中止の30日後までの他のあらゆる治験薬。
【0162】
試験介入と同時に投与することが可能な薬剤及び/又は療法としては、これらに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
・PHの治療用の療法(すなわち、リオシグアト、PDE5i、ERA)の安定な用量。PHの治療用の新たな療法の用量の変化又は開始は、26週目(来院5)の時点で許容される。
・短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)及び長時間作用型β刺激薬、ただし、スパイロメトリー検査の前、それぞれ6時間及び24時間以内に服用されてはならない。
・RHC処置中の急性血管拡張試験に使用されるプロスタサイクリン又は類似体の単回
投与。
・CYP2C8の中度の阻害剤CYP2C8の中度の阻害剤(例えば、クロピドグレル、デベラシロクス、テリフルノミド、レフルノミド)が同時投与される場合、試験介入の投与頻度はqdに低減されなければならない。中度のCYP2C8阻害剤の同時投与が停止される場合、セレキシパグの投与頻度は、bidに戻されなければならない。
・サルコイドーシス特異的治療、例えば、インフリキシマブ、メトトレキサート、アザチオプリン、ヒドロキシクロロキン、レフルノマイド、ステロイド類。新たな治療薬の開始又は用量の変化は、第26週目(来院5)の時点で許容される。
・UGT1A3及びUGT2B7の強力な阻害剤(例えば、バルプロ酸、プロベネシド、及びフルコナゾール)。セレキシパグ及びその活性代謝産物への曝露に対するUGT1A3及びUGT2B7の強力な阻害剤の効果については試験されていない。これらの薬剤製品をセレキシパグと併用して投与する場合には注意を要する。UGT1A3及びUGT2B7の強力な阻害剤との潜在的な薬物動態的相互作用は排除することはできない。
【0163】
4.用量調整
プロトコルで指定された投与スキームを忍容することができない被験者については、用量調整は、減量の指示に従わなければならない。
【0164】
F.試験介入の中止及び被験者の中止/離脱
1.試験介入の中止
被験者の試験介入は、以下の場合に中止されなければならない。
・安全性又は忍容性の理由(例えば、AE)で、試験介入を中止することが被験者の最良の利益となる場合。
・被験者が妊娠した場合。
・肝障害が生じるか、又は疑われる場合。肝障害が疑われる場合、重症度の臨床評価(チャイルド・ピュースコア)を行わなければならない。被験者が、試験中のいずれかの時点で重度の肝障害(チャイルド・ピュー分類C)を発症した場合、試験介入は永続的に中止されなければならない。
・PVODによる肺浮腫が生じた場合。肺浮腫の兆候が生じた場合、関連するPVODの可能性を考慮しなければならない。確認された場合には試験介入を中止しなければならない。
・連続14日間を超える試験介入の中断。
・被験者が試験介入を受ける同意を撤回した場合。
【0165】
被験者がDB期間の終了前に試験介入を中止した場合、試験へのこの制限された参加についての被験者の同意が撤回されていないという条件の下、被験者は52週目まで来院及び評価を予定通りに継続して実施する。被験者には、DB試験介入の最後の服用の7日以内、及びDB試験介入の最後の服用の30(+5)日後の安全性経過観察電話通話のために早期EDBT来院を行うために戻ってもらう。早期EDBT来院が任意の他の予定された来院の来院時間枠内に入る場合、これらの来院を組み合わせることができ、評価は繰り返さない。これらの被験者はOL期間には入らない。
【0166】
被験者がOL期間の終了前に試験介入を中止した場合、試験へのこの制限された参加についての被験者の同意が撤回されていないという条件の下、被験者はOL試験介入の中止の30(+5)日後まで経過観察される。被験者には、OL試験介入の最後の服用の7日以内に早期EOLT来院に戻ってもらい、OL試験介入の最後の服用の30(+5)日後に安全性経過観察の電話通話を行ってもらう。早期EOLT来院時に、定期的なEOLT来院(来院12)について記載された評価を実施する。表4及び表5を参照されたい。
【0167】
一時的中止:試験介入は、AE、診断又は治療処置、検査異常、又は管理上の理由に応
じて一時的に中止することができる。試験介入の中断は、できるだけ短くしなければならない。3日以上のあらゆる試験介入の中断では、1錠の試験介入(200μg)をbid/qdで開始して新たな増量が必要である。各被験者について、増量頻度は、治験責任医師の医学的判断に従い、その中断前の試験薬の被験者の忍容性の臨床評価に基づく。以前に達した用量への再増量は、予定された又は予定されていない電話通話又は来院時にそれぞれ行うことができる。試験介入が連続14日間を超えて中断された場合、試験介入を永続的に中断しなければならない。
【0168】
2.被験者の試験の中止/離脱
被験者は、介入レジメンの終了前に試験介入を中止しなければならない場合、試験から自動的に離脱しない。被験者は、以下の理由のいずれかで試験から離脱する。
・追跡不能。
・同意の撤回。
・死亡。
・被験者が、試験手順、来院、及び評価にあまり従わない。
・継続的な試験参加が被験者の最良の利益に反すると考えられる。
・試験の早期終了又は中断を含む(ただし、これらに限定されない)任意の理由による決定。
【0169】
G.試験の評価及び手順
1.概要
表4及び表5に、本試験に適用可能な有効性、安全性、バイオマーカー、及び医療資源利用の測定の頻度及びタイミングを要約する。同じ日に全ての評価を完了することができない場合、来院は、許可された時間枠内で1日を超えて延長することができる。以下の評価順序が適用可能な場合に推奨される。
・各治験実施施設の来院時に完了されるPRO:SF-12、King’s SQ、PGA-S
・安全性評価
・肺機能試験
・WHO機能分類
・6MWT*並びに酸素飽和度及びBDI(6MWTの前後)
・血液学及び臨床化学検査用の血液サンプル、NT-proBNP、及び/又はバイオマーカー
・RHC*(血流力学的コホートのみに適用)。
*投与後2~5時間以内に評価を行う。
【0170】
各被験者から全試験中に採取される最大総血液量は、約172 mLである(表7を参照)。
【0171】
【0172】
2.被験者の人口統計学的特性及びベースライン特性:
無作為化された全ての被験者について収集される人口統計学的及びベースライン特性データとしては、年齢、性別、人種及び民族性(現地規制により許可される場合)、体重及び身長、最初のSAPH診断の日付、WHO機能分類、及び喫煙歴(なし、以前、現在)が挙げられる。
【0173】
PH特異的治療にナイーブである被験者については、ERA/PDE-5阻害剤/リオシグアトを処方しない理由(複数可)を収集する。
【0174】
3.有効性評価
(a)主要有効性エンドポイント評価
(i)右心カテーテル法
以下の血流力学的変数、すなわち、RHC処置の開始時のHR及び末梢収縮期及び拡張期血圧を収集する。
【0175】
肺動脈楔入圧(PAWP;あるいは、LVEDP)、mRAP、収縮期/拡張期/平均肺動脈圧(sPAP/dPAP/mPAP)、CO、混合静脈酸素飽和度(SvO2)、及びPVRを収集する。
【0176】
(ii)ベースラインRHC:全ての被験者はベースラインRHCを行わなければならない。以下の基準を満たす場合、過去のRHCが許容される。
・本明細書に記載されるのと同様にして過去のRHCが実施されている。
・過去のRHCと同じ場所及び同じ条件下(例えば、同じ方法、同じ酸素流量[該当する場合]、及び可能な場合、同じ術者によって)で20週目のRHCを実施することが可能である。
・過去のRHCを以下のように実施した:
〇無作為化の前90日以内、
〇PH特異的治療における最後の変更(すなわち、新しいクラスの薬物の用量の変化又は開始)後、少なくとも90日。
〇サルコイドーシス用の新たな特定の抗炎症治療薬の開始後、少なくとも90日。
〇サルコイドーシス用の新たな特定の抗炎症治療薬の用量の最後の変更後、少なくとも30日。
【0177】
上記の基準を満たす履歴結果が利用可能でない場合は、他の全ての組み入れ基準が満たされ、除外基準がいずれも満たされてない場合にのみ、スクリーニング期間中にRHCを実施しなければならない。
【0178】
(iii)20週目のRHC
20週目に、血流力学的コホートに登録された被験者でRHCを行う。RHCは、ベースラインRHCと同じ場所及び同じ条件下(例えば、同じ方法、同じ酸素流量[該当する場合]、及び可能な場合、同じ術者によって)で投与後2~5時間以内に実施しなければならない。
【0179】
(b)副次的有効性エンドポイント評価
(i)臨床的悪化及びPHの悪化に関連した入院:TTCWをCHMP定義に従って導出するには以下のデータが必要とされる:死亡の報告、計画外のPH関連入院、WHO機能分類、6MWD、AE及びSAE。
(ii)運動能力:6MWTによって測定される。DB期間中、6MWTは、投与後2~5時間以内かつRHC(該当する場合)の前に実施しなければならない。試験介入の朝の用量服用時間を記録する。6MWTを以前に実施したことがない被験者については、組み入れのためのスクリーニング6MWTの前にトレーニング試験が求められる。歩行距離は、25~30mでなければならず、正確な長さは、6MWTコリドールカードに記録されなければならない。6MWTを来院2よりも後の予定された来院時、又は予定外の来院時に実施することができない場合、理由が示されなければならない(すなわち、PH関連又は他の理由)。
(iii)酸素飽和度(6MWTの前後):パルス酸素測定法(治験実施施設での標準的手法に従って実施される)を用いて6MWTの開始直前及び終了直後に測定する。
(iv)呼吸困難(6MWTの前後):身体ストレスの指標としてBorg G.Perceived exertionに記載される、「0」~「10」のスケールで息切れの程度を定量化するために用いられる尺度であるBDIによって評価される(Scand.J.Rehab.Med.1970;2:92-98)。呼吸困難は、6MWTの開始直前及び終了直後に各個々の被験者によって評価される。
(v)WHO機能分類:本明細書に記載され、当該技術分野で理解されるように評価される。
(vi)NT-proBNP:血液サンプルを採取する。
(vii)患者報告アウトカム:
・PAH-SYMPACT(商標)質問票:PAH-SYMPACT(商標)質問票は、Actelion Pharmaceuticals Ltd.により開発されたPRO機器である。PAH-SYMPACT(商標)は、就寝前の夜に完了しなければならない。この質問票は、PAH患者における使用のために開発及び検証されたものである。PAH-SYMPACT(商標)は、2つのパートからなる:
〇症状パートは、治験実施施設への来院後(すなわち来院日の翌日から開始)、連続7日間にわたって完了される。
〇影響パートは、症状パートと共に(すなわち、その夜)、症状日記データ収集期間の7日目に1回、完了される。
・SF-12:SF-12v2(登録商標)Healthy Surveyは、SF-36v2(登録商標)から導かれた生活自己評価の品質である(Medical Outcomes Trust and Quality Metric IncorporatedによるHealth Survey1996,2000)。SF-12は、身体機能、身体的役割の制限、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、感情的役割の制限、及び心の健康を含む、8つの尺度を測定する12項目を有する。SF-12は、SF-36v2(登録商標)と同じ方法で、国民標準値に基づいたスコアリングを使用して得
点化される。
・Kingのサルコイドーシス質問票(KSQ):KSQは、サルコイドーシス患者に対して開発及び検証された健康状態質問票である。この質問票は、簡単で、個々の患者に適応可能であり、一般的健康状態及び臓器特異的な健康状態を評価する。KSQは、一般的な健康状態(10項目)、肺(6項目)、皮膚(3項目)、目(7項目)、薬剤(3項目)の5つのモジュールからなる。患者の全体的な健康状態を評価するために、どの臓器が疾患に罹患しているかに応じて、臓器特異的モジュールを一般的な健康状態モジュールと組み合わせることができる。KSQは、1~100の数として要約され、数字が大きいほど、より良好な健康を示す。
・患者による疾患重症度の全般的評価(PGA-S):PGA-Sは、6点の単一項目の自己評価尺度である。被験者に、投与日の疾患の全体的な重症度を、なし、極めて軽度、軽度、中度、重度、又は極めて重度の回答で評価してもらう。
・臨床医による重症度の全般的印象(CGI-S):CGI-Sは、6点の単一項目の尺度である。被験者の疾患の全体的な重症度を、なし、極めて軽度、軽度、中度、重度、又は極めて重度の回答で投与日に評価する。
・臨床医による変化の全般的印象(CGI-C):CGI-Cは、7点の単一項目の尺度である。ベースラインからの被験者の疾患の全体的な被験者の変化を、大幅な改善、中度の改善、わずかな改善、変化なし、わずかな悪化、中度の悪化、又は大幅な悪化の回答で評価する。
(viii)他のエンドポイント評価
・肺機能検査
〇スパイロメトリー:スパイロメトリー検査を、ATS/ERSに従って行う。全てのスパイロメトリー評価は、試験全体を通じて同時に、かつ同じ条件下で実施されることが推奨される。被験者は、スパイロメトリー試験の前の6時間は、短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)を、24時間は、長時間作用型β刺激薬の服用を控えなければならない。服用した場合、試験のスケジュールを変更しなければならない。スパイロメトリー検査を実施するには、被験者は開始前に最低5分間は安静にする。以下の変数、すなわち、FEV1、FVC、TLCを、スクリーニング(来院1)時及び適用可能な場合にはその後の来院時に収集する。
〇肺の一酸化炭素拡散能力(DLCO):一酸化炭素を使用して測定される肺の拡散能力(DLCO)を、ATS/ERSガイドラインに従って実施し、1回呼吸法により評価する。最大5回までのDLCO呼気努力を行って、少なくとも2つの技術的に許容可能かつ反復可能なトレースを生成する(ATS/ERSガイドライン基準に従って)。実施される各呼気努力の間には、少なくとも4分間の最小間隔を置かなければならない。
【0180】
4.安全性評価
安全性及び忍容性は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日までこの試験全体を通じて評価する。本試験におけるセレキシパグの安全性及び忍容性を評価するための標準的な安全評価には、SAE、妊娠、バイタルサイン、身体的検査、ECG、及び安全性臨床検査の報告及び経過観察が含まれる。本試験は、表4及び表5に示される時点に従って、安全性及び忍容性の以下の評価を含む。
(i)身体的審査:スクリーニング時及びその後の来院時の身体的検査には、一般的な外観、心臓、肺、四肢、目の検査が含まれる。医療履歴及び/又は症状に基づいて、指示される場合には他の検査が実行される。身長は靴を履かずに測定する。体重は室内着は着るが、靴は履かずに測定する。
(ii)バイタルサイン:脈拍数、SBP、及びDBPは、仰臥位又は座位で評価される。被験者は、測定前に少なくとも5分間安静にすることが推奨される。また、測定は、各個々の被験者について、試験全体を通じて、同じ腕及び同じ姿勢(仰臥位又は座位)で実施することも推奨される。バイタルサインは、血液採取前に測定されるべきである。
(iii)心電図:単一の標準的な12誘導ECGを実施し、局所的に解釈する。EC
Gを収集する間、被験者は、気を散らすもの(例えば、テレビ、携帯電話)がない静かな環境に置かれなければならない。被験者は、ECGの収集前に少なくとも5分間は仰臥位で安静にしなければならず、話すこと又は腕若しくは脚を動かすことを控えなければならない。ECG記録と同じ時点で血液サンプリング又はバイタルサイン測定が予定される場合、処置は、ECG(複数可)、バイタルサイン、採血の順序で実行されるべきである。
(iv)臨床安全性検査の評価
血清化学検査及び血液学用の血液サンプルを収集する。
【0181】
5.有害事象及び重篤な有害事象
有害事象は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて報告する。
(i)有害事象及び重大な有害事象情報を収集する期間及び頻度
全ての有害事象:全てのAE及び特別な報告を要する条件は、重篤であるかないかに関わらず、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて報告する。
重篤な有害事象:試験中に発生する全てのSAEは、事象が認識された24時間以内に報告されなければならない。ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて自然に報告されたものを含め、重篤な有害事象は、被験者によって投与された試験介入に関係なく、また、この事象が試験介入に関連するとみなされるか否かによらず、報告されなければならない。EOS来院後に発生した重篤な有害事象は、その原因が試験介入への以前の曝露に関連するとみなされる場合にのみ報告されなければならない。
(ii)妊娠:女性の被験者における妊娠の最初の報告は全て、事象が認識された24時間以内に報告されなければならない。妊娠はAEとして報告されなければならず、EOS来院又は最後の連絡日までに発生した妊娠に関連した全てのAEは、別のAEとして報告されなければならない。
(iii)過剰用量の治療薬:過剰用量は、1600μgを超える任意の単回用量又は3200μgを超える総1日用量の服用によって定義される(被験者がbidレジメンを行っている場合のみ)。
(iv)バイオマーカー:バイオマーカー分析は、各被験者に対して任意選択的である。薬物動態及び疾患関連バイオマーカーの分析用の血漿及び血清サンプルは、表4及び表5に示される時点で採取することができる。
【0182】
H.統計的考慮事項
DB期間中に収集されたデータは、介入群ごとに要約し、適切かつ適用可能である場合、仮説検定により介入群間で比較する。OL期間中に収集されたデータは全体的に要約し、処理群ごとに要約する。
【0183】
1.分析の母集団
分析目的のため、各母集団を表8に定義する。
【0184】
【0185】
表9に、全ての分析時点における全ての分析対象集団及びそれらの特定の用途を定義する。分析時点1及び分析時点2での意思決定について、PVRをHSで評価する。他の全ての有効性分析は、主にFASで評価する。SISを用いて任意の時点でセレキシパグを開始した被験者を評価する。安全性エンドポイントは、主にSASで評価する。
【0186】
【0187】
2.統計的仮説
20週目のピーク濃度におけるPVRの主要エンドポイントの仮説を、プラセボ(GMプラセボ)に対してセレキシパグ(GMセレキシパグ)で治療した被験者におけるPVR(介入前に対する介入後のパーセント)の幾何平均(GM)に関して公式化する。
【0188】
【0189】
3.分析時点
以下の4つの分析時点がある:
(a)分析時点1(PVRの無益性)
血流力学的コホートにおけるおよそ34人の被験者が20週目のRHC評価(又は早期に中断)を完了した時点で、PVRエンドポイントのIAが、さもなくば試験実施、分析、又は結果評価に関与しないISSGによって行われる。IAの結果は提示される。
(b)分析時点2(PVRの最終分析及びTTCWのIA)
血流力学的コホート(事前計画された86人の被験者)の全ての被験者が20週目のRHC及び26週目の評価を完了した(又は早期に中止した)時点で、ISSGは以下の分析を実施する。最初に、以下の場合にPVRについての最終分析が実行される。
・PVRが成功した場合、すなわち、セレキシパグを投与した被験者とプラセボを投与した被験者との間の統計的に有意な差がある場合、この時点で利用可能な全てのデータを使用して二次エンドポイントTTCWに対する公式IAが実施される。
〇TTCWで観察されたHR(セレキシパグ/プラセボ)が1よりも大きい場合、試験を無益性のため早期に中止する。
〇TTCWの有効性境界(Hwang et al.,「Group sequential designs using a family of type I error probability spending functions,」Stat.Med.1990;9:1439-1445)が交差する場合、成功のため、試験を終了することができる。この場合、募集は停止され、全てのデータは、さもなくば試験行為又は結果評価に関与しない専門の申請チームによって分析される。試験は、DB期間中のエンドポイントの完全な評価を可能とするために既に登録されている被験者については、引き続き変更されない。
〇早期に終了されない場合、150人の被験者の総サンプルサイズに達するまで募集を継続する。
・PVRが成功しなかった場合、試験を早期に中止する。
(c)分析時点3(TTCWの最終分析、DBの終了)
全ての被験者が52週間のDB期間を完了した(又は、早期に中止した)時点。DB期間の中間データベースロックを行った後、試験群を非盲検化する。TTCWエンドポイントの最終分析は、試験チームによって行われる。全ての残りのエンドポイントのデータも、既に実施されているPVRの分析を除いて分析される。
(d)分析時点4(OLの終了)
全ての被験者がOL期間(24ヶ月)及び安全性経過観察を完了した(又は早期に中止した)時点。
【0190】
4.サンプルサイズの決定
本試験は2つのコホートからなる。すなわち、最初の86人の被験者は、20週目のPVRの主要エンドポイントを目標とする血流力学的コホートを形成する。残りの64人の被験者は、全ての二次エンドポイントについての情報を増やすために登録される。被験者の登録が分析時点1又は2での無益性又は有効性のために終了されない場合、合計サンプルサイズは、150人の被験者を目標とする。
【0191】
(i)PVRのサンプルサイズ
PVRについては、条件付き検出力が10%未満である場合、無益性による早期の中止
を可能とするため、分析時点1で1回のIAが34人の被験者で計画される。サンプルサイズの計算は、平均の差についてのソフトウェアパッケージEAST(商標)バージョン6.4.0.1を使用して、20週目のベースライン値の対数変換されたPVRの割合に対する優越性のZ検定によって近似した。血流力学的コホートの86人の被験者の総サンプルサイズは、変動係数0.5及び両側有意水準0.05で、プラセボと比較してGMの30%の相対的減少率(すなわち、改善率)の治療効果について90%の検出力を与える。少量の有意水準(すなわち、0.000001)が、無益性のIAに消費される。サンプルサイズ計算のためのCVを0.5と仮定することは、保存的アプローチであり、TTCWのIAの適切なサンプルサイズを与える。
【0192】
PVRのこの設計の動作特性を表10に要約する。
【0193】
【0194】
(ii)TTCWのサンプルサイズ
CHMP定義によるTTCWのデータは、SAPHで報告されていない。PAHのSScサブタイプは、SAPHの代理とみなされる。このまれな疾患では、予想される集積率は、1ヶ月当たり約5人の被験者である。各被験者は、DB期間の52週目まで経過観察される。両側有意水準0.05で検出力90%に達するため、IAを考慮しない、シナリオA及びBの下で必要なサンプルサイズ及びDB期間の持続時間を、EASTバージョン6.4.0.1を使用して計算し、表11に示す。
【0195】
【0196】
TTCW用の被験者150人のサンプルサイズ(すなわち、血流力学的コホートの86人の被験者と非血流力学的コホートにおける64人の被験者)を、実現性の考慮事項に基づいて選択した。1ヶ月当たり5人の被験者の集積率を仮定すると、DB期間を完了するために約42ヶ月を要することになる。
【0197】
TTCWのIAは、全ての利用可能なデータを使用して(すなわち、26週目の評価を完了していない被験者も含む)、分析時点2で計画される。観察されたハザード比が1よ
りも大きい場合、試験を無益性のため早期に中止する。制約されたサンプルサイズでTTCWにおける潜在的な有効性シグナルを見落とさないよう、0.3の大きな両側有意水準が選択される。主な統計的推論は、ハザード比について両側70%CIに基づく。
【0198】
シナリオA及びシナリオBの下での早期中止の予測される事象数、検出力及び確率を表12に要約する。
【0199】
【0200】
各IAで消費される有意水準の量は、パラメータγ=-8として、Hwang、Shih、及びDeCaniの誤差消費関数によって決定される。
【0201】
【0202】
有意水準の正確な値α(t)は、観察された事象の実際の数を、表12のシナリオBの下での必要な総数で割ったものである、実際の情報割合tに依存する。TTCWに対する治療効果がない場合、IA2での無益性による中止の確率は、約50%である。
【0203】
5.統計分析:
(i)主要有効性分析
PVRエンドポイントの定義:主要エンドポイントは、20週目のピーク濃度におけるPVRである。
【0204】
エスティマンド
主要PVRエスティマンドは、以下の4つの属性に従って説明される。
【0205】
母集団:無作為化されたHS(全ての無作為化された被験者)。
【0206】
変数:自然対数変換されたPVR値のベースラインから20週目の来院までの絶対変化率。結果は、自然対数スケールで得られた絶対平均変化率の指数化後の元のスケール(幾何学的手段、GM)上に示される。
【0207】
20週目の介入開始後のPVR値(介入後)とベースラインにおける介入開始前のPVR値(介入前)との比は、パーセンテージ、すなわち、
【0208】
【0209】
中間事象(変数の観察をできなくするか又はその解釈に影響を及ぼす事象):ベースライン又は20週目におけるPVR評価の欠測は、データ欠測の理由に対して固有であると考えられる。
【0210】
母集団レベルの要約:セレキシパグとプラセボとの間のPVR(介入前に対する介入後のパーセント)の幾何平均の比。
【0211】
要約手段として、セレキシパグとプラセボとの間の自然対数変換されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)の平均の差、又は同等なものとして、セレキシパグとプラセボとの間のPVR(介入前に対する介入後のパーセント)のGMの比を計算する。すなわち、
【0212】
【0213】
このエスティマンドは、変数測定値に対する介入開始の影響を目的とし、「治療企図」戦略に従う。
【0214】
仮説:20週目のピーク濃度におけるPVRの主要エンドポイントの仮説を、プラセボ(GMプラセボ)に対してセレキシパグ(GMセレキシパグ)で治療した被験者におけるPVR(介入前に対する介入後のパーセント)(上記に定義したもの)のGMに関して公式化する。
【0215】
【0216】
帰無仮説は、自然対数変換されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)に対するANCOVAモデルによってHSで試験されるように計画される。モデル共変数には、無作為化された介入、層別化係数、及び自然対数変換されたベースラインPVR値が含まれる。
【0217】
欠測データの処理:PVRの代入法は、データ欠測の理由に対して固有である。PVRのベースライン基準値は、DB試験介入の開始前に実施された最後のRHCに基づく。PAWPが欠測しているためにPVRを計算できない場合、mPAP及びCOの両方が評価されている来院時の計算において以下の慣例が適用される。
1.PAWPのみが欠測している場合、LVEDPが用いられる。
2.PAWP及びLVEDPがベースライン及びベースライン後の両方で欠測している場合、欠測したPAWPは、同じ無作為化された介入群からの全ての被験者でそれぞれの時点で観察された全ての値の中央値を使用して代入される。
3.PAWP及びLVEDPがベースライン又はベースライン後のいずれかで欠測している場合、対象の利用可能なPAWPが、欠測PAWPの代入値として使用される。
【0218】
20週目のPVR値が欠測している場合、20週目の分析時間枠の前に得られた最後の利用可能なベースライン後の値が持ち越される。代入値を導出するために観察された全てのPVR値が使用される。
【0219】
この代入は、以下の場合を除いて実施される。
・20週目の値を得ることなく被験者が死亡した場合、欠測したPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値は、同じ介入群及び分析対象集団の全ての被験者間の20週目の最大のPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値で代入される。得られる代入された20週目のPVRは、この代入されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値と対応するベースラインPVR値との積である。
・被験者が生存しており、ベースライン後の値を有さない場合には、欠測したPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値は、同じ介入群及び分析対象集団の全ての被験者からのPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値の50パーセンタイルで代入される。得られる代入された20週目のPVRは、この代入されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値と対応するベースラインPVR値との積である。
【0220】
主要分析:観察された値又は欠測した値を有する主要有効性エンドポイントの中間分析及び最終分析は、ANCOVAモデルを使用してHSで検定される。ANCOVAモデルから、PVR(介入前に対する介入後のパーセント)は、共変量調整されたGM及び対応する両側95%CIを用いて介入群ごとに要約される。対応する未調整の95%両側CI及びp値を用いたGMの群間比は、プラセボ補正介入効果として示される。複数の検定を調整するには、分析時点1及び分析時点2における介入効果の反復CIが与えられる。各介入群について、PVR(介入前に対する介入後のパーセント)の自然対数の最小二乗平均及び両側95%CIを指数関数を用いて逆変換し、100を掛けることで、パーセントで表されるPVR(介入前に対する介入後のパーセント)のGM及び対応する両側95%CIが得られる。ベースライン及び20週目の絶対値、並びにPVRのベースラインから20週目までの絶対(介入前に対する介入後)変化は、記述統計を用いて要約される。
【0221】
支持/感度分析:感度分析は、20週目のPVRに対する主要統計分析の代入仮定を評価するために代替的な代入規則を用いて行われる。更に、20週目のPVRの感度分析は、PPSからの除外につながる治験実施計画からの逸脱に対する主要統計分析の結果のロバスト性を評価するために、治験実施計画に適合した対象集団で実施される。
【0222】
(ii)副次的有効性分析
52週目までの臨床的悪化までの時間(CHMP定義に従った)
エンドポイント定義:このエンドポイントは、関連するデータ(あらゆる原因による死亡、計画外のPH関連入院、WHO機能分類、RHFの兆候又は症状、及び6MWD)から導かれる。臨床的悪化までの時間は、無作為化の日から最初の構成要因事象の発生日までとして計算される。それぞれの分析カットオフ日までに事象が発生しない被験者については、そのTTCWは、分析カットオフ日まで、DB期間の最も遅い利用可能な来院/連絡日で右側打ち切りされる。
【0223】
主要分析:両側層別化(層別化係数の場合)ログランク検定を適用する。生存機能についてのカプラン・マイヤー推定量は、両側95%CIと共に与えられる。ハザード比は、共変数として介入群、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加を含むCoxモデルを使用して推定される。各構成要因事象の頻度も与えられる。このサンプルサイズは、TTCWに十分な検出力を与えることはできない(表12を参照)。TTCWにおける介入効果は、分析時点2及び3におけるハザード比について、対応する両側70%CIによって要約される。
【0224】
52週目までの6MWDの長期的傾向
エンドポイント定義:各被験者について52週目までの異なる時点で得られた全ての6MWDが分析に含まれる。
【0225】
主要分析:データは、介入群、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加の共変数を含む混合モデルを使用して分析される。モデルは、患者にまたがったベースライン、切片、及び傾きに対するランダムな影響を含む。ベースライン後に対するベースラインに対する、傾きに対する、及びベースラインから52週目までの推定された変化に対する介入の効果(プラセボに対するセレキシパグ)が評価される。
【0226】
6MWT後から52週目までの酸素飽和度の低下(SpO2)を有する被験者の割合
エンドポイント定義:酸素飽和度の低下(SpO2)は、対応する6MWT前の酸素飽和度の値から少なくとも5%の6MWT後の酸素飽和度の低下として定義される。
【0227】
主要分析:データは、介入群、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加によって調整されたCochran-Mantel-Haenszel検定により分析される。共通のオッズ比及びCIは、各層にまたがる共通のオッズ比に対する明らかな証拠がないという条件の下で推定される(Breslow-Day検定によって評価される)。
【0228】
52週目のWHO機能分類でベースラインに対する改善/変化なし/悪化を有する被験者の割合。
【0229】
エンドポイント定義:ベースラインから52週目までのWHO機能分類の改善/変化なし/悪化は、ベースラインのWHO機能分類に対する機能分類の低下/変化なし/増加として定義される。
【0230】
主要分析:データは、WHO機能分類、介入群、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加によって調整されたCochran-Mantel-Haenszel検定により分析される。
【0231】
52週目までのあらゆる原因による死亡又はPH関連入院があった被験者の割合。
エンドポイント定義:これは各介入群において、52週目までに少なくとも1回のPH関連入院を経験したか又は死亡した被験者の割合である。
【0232】
主分析:共変数として介入群、層別化因子、及び血流力学的コホートへの参加を含むロジスティック回帰モデルを使用してデータを分析する。
【0233】
52週目までのあらゆる原因による死亡又はPH関連入院の割合。
エンドポイント定義:この割合は、あらゆる原因による死亡又はPHの悪化に関連する入院の総数を、各介入群の全被験者の52週目までの累積曝露量で割ることにより計算される、100被験者年当たりとして表される。
【0234】
主要分析:共変数として介入群、層別化因子、及び血流力学的コホートへの参加を含む負の2項回帰モデルを使用してデータを分析する。被験者間で異なる経過観察時間の長さが、オフセット変数で考慮される。
【0235】
SF-12スコアのベースラインから52週目までの変化。
エンドポイント定義:身体的及び精神的構成要因の要約スコアが、機器の指示に従って導出される。各サマリースコアについて、ベースラインから52週目までの変化率が各被
験者について計算される。
【0236】
主要分析:ベースラインから52週目までの変化率が、ANCOVAモデルによって分析され、共変量として介入、ベースラインスコア値、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加を含む。各介入群及びプラシーボ補正介入効果の最小二乗推定値は、平均、95%CI及びp値と共に示される。
【0237】
KSQスコアのベースラインから52週目までの変化。
エンドポイント定義:全体的な要約スコアは、機器の指示に従って導出される。ベースラインから52週目までの変化率が各被験者について計算される。
【0238】
主要分析:ベースラインから52週目までの全体のKSQスコアの変化率が、ANCOVAモデルによって分析され、共変量として介入、ベースラインスコア値、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加を含む。各介入群及びプラシーボ補正介入効果の最小二乗推定値は、平均、95%CI及びp値と共に示される。
【0239】
PAH-SYMPACTスコアのベースラインから39週目までの変化。
エンドポイント定義:症状及び影響の要約スコアが、機器の指示に従って導出される。各サマリースコアについて、ベースラインから39週目までの変化率が各被験者について計算される。
【0240】
主要分析:ベースラインから39週目までの各SYMPACT(商標)スコアの変化率が、ANCOVAモデルによって分析され、共変量として介入、ベースラインスコア値、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加を含む。各介入群及びプラシーボ補正介入効果の最小二乗推定値は、平均、95%CI及びp値と共に示される。レスポンダー分析もPAH-SYMPACT(商標)スコアについて実施され、SAPに定義される。
【0241】
PGA-Sスコアのベースラインから52週目までの変化。
エンドポイント定義:ベースラインから52週目までの変化率が各被験者について計算される。仮説:帰無仮説は、セレキシパグとプラセボとの間でベースラインから52週目までの平均変化率に差がないことである。代替的仮説は、介入群間にある程度の差があることである。
【0242】
主要分析:ベースラインから52週目までの変化率が、ANCOVAモデルによって分析され、共変量として介入、ベースラインスコア値、層別化係数、及び血流力学的コホートへの参加を含む。各介入群及びプラシーボ補正介入効果の最小二乗推定値は、平均、95%CI及びp値と共に示される。
【0243】
CGI-Sスコアのベースラインから52週目までの変化:エンドポイント定義、仮説及び主要分析は、PGA-Sスコアのベースラインから52週目までの変化と同様である。
【0244】
CGI-Cスコアの52週目までの変化:エンドポイント定義、仮説及び主要分析は、PGA-Sスコアのベースラインから52週目までの変化と同様である。
【0245】
(iii)安全性分析
有害事象:AEを識別するための逐語的用語が、MedDRAを用いてコード化される。介入により発現した有害事象は、介入期間中に発症するAEであるか、又はベースラインから悪化した既往症の結果であるAEである。報告された全てのAEが分析に含まれる。各AEについて、特定の事象の少なくとも1回の発生を経験する被験者の割合が介入群
ごとに要約される。更に、適切な場合、介入群間の比較が与えられる。
【0246】
臨床検査:ベースラインの各検査検体について、また、予定された各時点の観測値及びベースラインからの変化についての記述統計が介入群ごとに計算される。異常の頻度集計を行う。
【0247】
バイタルサイン:心拍数、SBP値、及びDBP値の記述統計、並びにベースラインからの変化が、介入群ごとに予定された各時点で要約される。
【0248】
酸素補充速度:酸素補充速度の値及びベースラインからの変化の記述統計が、介入群ごとに要約される。
【0249】
(iv)バイオマーカー分析:バイオマーカーサンプルを使用して、計算分析用の血漿及び血清マーカーデータが生成される。経時的な血漿及び血清バイオマーカーの変化が、介入群ごとに要約される。選択されたマーカーのベースライン値及びベースラインからの変化と臨床応答との間の関連性が探索される。
【0250】
(実施例3)
この臨床試験の総合的なベネフィット/リスク評価は、SAPHを有する患者の治療選択肢において満たされていない医療ニーズがあることから、許容可能であると考えられる。
【0251】
研究全体を通じて安全性を注意深く監視する。
・一般的に、安全性評価(甲状腺機能検査、血圧監視、血液臨床検査を含むがこれらに限定されない)は、表14及び表15に示されるように、試験中に予定された来院で行われる。
・あらゆる臨床的に有意な異常(試験の終了/早期離脱時に持続しているものを含む)は、解消されるまで、又は臨床的に安定した状態に達するまで経過観察する。
【0252】
被験者は、本明細書に記載される理由により、試験介入を中止する。
【0253】
A.目的及びエンドポイント
表13は、本明細書に記載される方法の目的及びエンドポイントを示す。
【0254】
【0255】
【0256】
試験デザイン
1.全体的なデザイン
本試験は、SAPHを有する74人の被験者、すなわち、18歳以上75歳以下の男女における、前向き無作為化二重盲検(DB)、プラセボ対照、多施設共同の介入試験である。被験者のうち、64人は成人(18~64歳)であり、14人は高齢であった(65歳以上)。試験介入は、各被験者が、200μg~1600μgを1日2回(bid)の範囲で個々の最大耐用量(iMTD)に達するように増量を行う。中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は(a)適度なシトクロムP450(CYP)2C8阻害剤(複数可)を同時に服用している被験者の場合、投与頻度はqdである。試験デザイン及び用量調整の図を、それぞれ、
図14及び
図15に示す。
【0257】
本試験は、最初の被験者によって署名された最初のICFで開始し、最後の被験者の最後の安全性経過観察TC又は来院で終了する。試験には、以下の期間が含まれる。
(a)ICFの署名で開始し、1日目の来院2の被験者の無作為化で終了する、最大30日間のスクリーニング期間。スクリーニング期間は、日常生活の身体活動(DLPA)、睡眠パラメータ、及びPAH-SYMPACT(商標)のベースラインデータの収集を可能とするために、少なくとも14日間持続されなければならない。
(b)介入及び観察期間:
-1日目の来院2の被験者の無作為化及び最大12週間の用量調整フェーズで開始する、主要観察期間(MOP)。被験者には、この期間中、二重盲検試験介入(セレキシパグ又はプラセボ)が投与される。この期間は、EOMOP来院の日に終了する。EOMOP来院は、主要有効性及び安全性分析のデータカットオフである。全ての被験者のEOMOP来院は、最後の被験者の無作為化の39週間+/-1ヶ月後に計画される。MOPの長さは、個々の被験者ごとに異なり、各被験者の個々の無作為化の日の時点に依存する。
【0258】
EOMOP来院の前に試験介入を早期に中止する被験者は、EOMOP来院までに予定されている来院及び評価を継続する。
【0259】
EOMOP来院前に試験介入を早期に中止し、EOMOP来院までに予定されている来院及び評価の実施に同意しない被験者については、被験者の生存状態に関する長期経過観察情報が、死亡又はEOMOPの時点まで収集される。
【0260】
被験者が試験介入を早期に中止するかどうかをフォローするための必要な手順に関する情報を本明細書に示す。
【0261】
-EOMOP前の試験介入を早期に中止しない被験者について介入を延長するDB延長期間。この期間は、EOMOP来院の日の夕方に開始し、EOT来院で終了する。この期間は、約5ヶ月間続く。DB延長期間に入る全ての被験者は、この期間中に試験介入(セレキシパグ又はプラセボ)の服用を継続する。試験介入の割り当ては、EOT来院の約1ヶ月前に非盲検化される。
【0262】
(c)試験介入の最後の用量の翌日に開始し、30(+5)日後に安全性経過観察TCで終了する、安全性経過観察期間。試験デザイン及び用量調整の図を、それぞれ、
図14及び
図15に示す。
【0263】
約74人の被験者を募集する。
【0264】
来院予定及び治験実施計画により義務付けられた手順は、表14及び表15の活動のスケジュールに従って実施される。
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
被験者は、セレキシパグ又はプラセボのいずれかを投与するために1:1の比で無作為化される。無作為化は、ベースラインでのPH特異的治療によって層別化される(ありとなし)。
【0273】
試験への個々の参加の期間の長さは、被験者ごとに異なり(約15ヶ月~最大約3.5年まで)、各被験者の個々の試験参加日の時点、及び総応募時間によって決まる。
【0274】
有効性の評価項目としては、これらに限定されるものではないが、26週目のRHC、運動能力の評価、呼吸困難、及びWHO機能分類、NT-proBNPレベルの測定、PRO及びCROの記録が挙げられる。
【0275】
安全性及び忍容性は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて評価する。安全性及び忍容性の評価項目としては、併用薬及びAE、臨床検査、12誘導心電図(ECG)、バイタルサイン、身体的検査、肺機能検査、DLCO、酸素飽和度及び妊娠検査の再検討が挙げられる。
【0276】
以下の2つの分析時点がある:
・分析時点1(主要エンドポイント及び全ての支持有効性エンドポイントの最終分析):全ての被験者がEOMOP来院を完了したか又は生存情報が利用可能である場合(又は被験者が早期に試験を中止した場合)。この時点で、PVRエンドポイントの主要分析を行う。他の全てのエンドポイントのデータの分析も行う。MOPのデータベースロックを行った後、試験群を非盲検化する。
・分析時点2(更なる安全性経過観察):全ての被験者が安全性経過観察電話通話を完了したか、又は試験を早期に中止した時点。この時点で、DB延長期間中に収集された更
なる安全データが報告される。
【0277】
2.試験デザインの科学的な理論的根拠
プラセボ/無作為化/安定化/盲検化の使用の根拠
無作為化された形、及びDBの形で実施されるプラセボ対照試験はセレキシパグの有効性を評価するために用いられ、能動的介入を行わない場合に生じ得る血流力学的及び臨床的エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立することを可能とする。プラセボ対照の使用はまた、試験中に観察される安全性に関連した事象又は異常及び疾患の進行の適切な評価を可能とし、セレキシパグの使用に関連する可能性のある事象と、基礎疾患に関連するものとの区別も可能とする。
【0278】
PH特異的療法(プロスタノイド、プロスタサイクリン類似体、及び非プロスタノイド系IP受容体拮抗薬を除く)によるバックグラウンド治療の使用は認められる。更に、39週目の来院(来院6)後のPH特異的療法の治療用量漸増も認められる。サルコイドーシスの安定的治療も可能である。
【0279】
無作為化は、各介入群への被験者への割り当ての偏りを最小化し、既知及び未知の被験者属性(例えば人口統計学的特性及びベースライン特性)が介入群間で均等なバランスとなる可能性を高め、介入群間の統計学的比較の妥当性を高めるために用いられる。
【0280】
盲検化介入は、データ収集及び臨床的エンドポイントの評価時の潜在的な偏りを低減するために用いられる。無作為化は、治療群間の統計学的比較の妥当性を高めるため、また、治療不感受性の被験者と比較して、PH特異的治療を既に受けている被験者における潜在的に異なる治療効果を考慮するためにベースラインのPH特異的治療によって層別化される(ありとなし)。
【0281】
試験期間の長さの根拠
被験者には、EOTまでDBセレキシパグ又はプラセボが投与される。PVR及び他の血流力学的エンドポイントを、血流力学的変化を観察するのに十分であると考えられる26週目のRHCによって評価する。他の臨床エンドポイント、例えば運動能力及びPROは39週目まで評価され、TTCW及びPH悪化に関連する入院又は死亡の割合は、EOMOPまで評価される。
【0282】
計画された治療過程(治療企図原則)の遵守にかかわらず、最初にベースラインで割り当てられた治療の効果を推定できるようにするため、試験介入を早期に中止した被験者は、EOMOPまで経過観察する。
【0283】
試験結果が利用可能になるまでEOMOP後までおよそ5ヶ月間の盲検化された試験介入による継続的治療を行うことによって、治験責任医師は、主要分析の結果及び試験被験者に投与された実際の介入に基づいて試験後の治療に対して十分な情報を得たうえで決定を行うことができる。
【0284】
右心カテーテル法の根拠
前毛細血管性PHは、PVRによって定量化される肺血管系の血流に対する抵抗の増大によって特徴付けられる。PVRは、RHCによって決定される。加えて、過去のRHCが本明細書に示される指針に従って実施されている場合には、過去のRHCが許容される。
【0285】
試験特異的倫理デザインの考慮点:本試験は、SAPHを有する被験者におけるセレキシパグの有効性及び安全性を評価するために行われる。試験期間(表17を参照)にわた
って母集団から採取される全血量は、WHOの推奨に基づいて許容可能とみなされる。
【0286】
3.用量が正当である理由
試験介入は、中程度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は適度なCYP2C8阻害剤を同時に服用している被験者で200μg~1600μgをbidの範囲で、又は200μg~1600μgをqdの範囲で、各被験者がiMTDに達するように増量を行う。iMTDに応じて、1回用量の試験介入は1~8錠の錠剤(200μg~1600μg)からなる。各用量のセレキシパグ製剤については実施例1を参照されたい。
【0287】
4.試験終了の定義
EOS来院:EOMOPの約5ヶ月後のEOT来院までの治験介入を完了する被験者では、EOS来院は、安全性経過観察TC(EOS)に対応する。任意の理由(試験からの離脱を除く)で、EOMOPとEOT来院との間で試験介入を早期に中止する被験者では、EOS来院は、安全性経過観察TC(EOS)に対応する。EOMOP来院の前に任意の理由(試験からの離脱を除く)で試験介入を早期に中止するが主要観察期間を完了した被験者では、EOS来院は最後の来院/TCに対応し、EOMOP来院又は安全性経過観察TCのいずれかのうち、最後に行われた方である。EOMOP来院の前に任意の理由で試験介入を早期に中止し、EOMOP来院までの来院及び評価を継続することは拒否するが、長期生存情報の収集には同意する被験者では、EOS来院は、試験中止前の最後の来院又は電話通話に対応する。表14及び表15を参照されたい。
【0288】
5.被験者の完了
被験者は、試験介入を投与しているか否かに関わらず、主要観察期間(すなわち、EOMOP来院を含む、EOMOP来院までの来院及び評価)を完了した場合に試験を完了したものとみなされる。試験介入を早期に中止し、試験から離脱する被験者は、試験を完了していないものとみなされる。
【0289】
試験完了:試験終了(EOS)は、試験の最後の被験者について、最後の来院又はEOS来院のどちらか最後に行われた方とみなされる。
【0290】
C.試験集団
1.組み入れ基準
各潜在的参加者は、試験に登録されるには、以下の基準の全てを満たす必要がある。
・男性又は女性
・スクリーニング時に18歳(又は試験が行われている管轄区で法廷承諾年齢)~75歳である。
・ATS基準に従って確認されたサルコイドーシスの診断を有する。
・無作為化前の90日以内にRHC(安静時)により確認された、サルコイドーシス関連前毛細血管性PH:
a.PVR≧320dyn*秒/cm5(≧4.0Wood単位)
b.平均肺動脈圧(mPAP)≧25mmHg
c.肺動脈楔入圧(PAWP)≦15mmHg、又は値が利用可能でないか信頼できない場合にはLVEDP≦15mmHg。本明細書に示される制限を考慮し、過去のRHCは許可される。履歴結果が利用可能でない場合は、スクリーニング期間中にRHCを実施しなければならないが、他の全ての組み入れ基準が満たされ、除外基準がいずれも満たされてない場合のみに限られる。
・スクリーニング及び無作為化時に改変WHO機能分類II~IVに従うPH重篤度である。すなわち、WHO機能分類IVの被験者は安定状態になければならず、かつ6MWTを実施することができなければならない。
・PH特異的療法又は経口PH特異的単剤療法(すなわち、リオシグアト又はPDE5
i又はERA)による治療が行われていない。経口PH特異的単剤療法が行われている場合、治療は、無作為化及び登録のためのRHC適格性判断の前の少なくとも90日間の間、安定していなければならない(すなわち、新たな治療の導入又は用量の変化がない)。
・安定的なサルコイドーシス治療レジメン、すなわち、無作為化及び登録のためのRHC適格性判断の前の少なくとも90日間にわたってサルコイドーシスの新たな特異的抗炎症治療を受けておらず、かつ少なくとも30日間にわたって安定用量(複数可)が投与されている。
・スクリーニング時及び無作為化時の両方で6MWDが50~450m。
・スクリーニング時に予測された努力肺活量(FVC)>50%。短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)及び長時間作用型β刺激薬が、スパイロメトリー検査のそれぞれ6時間及び24時間前に服用されてはならない。
・FEV1/FVC≧60%であるか、又はFEV1/FVC<60%の場合、FEV1がスクリーニング時に予測された値の60%以上でなければならない。短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)及び長時間作用型β刺激薬が、スパイロメトリー検査のそれぞれ6時間及び24時間前に服用されてはならない。
・運動訓練に基づいて心肺機能回復プログラムに登録されるか又は登録が予定されている患者は、以下のうちの1つに当てはまらなければならない。
(a)無作為化時のプログラムの維持フェーズにおいて、39週目までプログラムを中止する予定がないこと、又は
(b)運動訓練に基づく心臓肺機能回復プログラムの開始が39週目以降に予定されていること。
・女性は、以下の条件を満たさなければならない。
a.妊娠の可能性がないこと
b.妊娠の可能性があり、かつ、
○スクリーニング時の高感度血清(β-ヒト線毛性性腺刺激ホルモン[β-hCG)が陰性であり、かつ無作為化時の尿妊娠検査が陰性である。
○試験中及び試験介入中止の少なくとも30日後まで尿妊娠検査を毎月受けることに同意する。
○試験介入が投与される期間、及び試験介入の最後の投与の30日後まで許容される避妊法を実施し、許容される方法を継続することに同意する。
・経口避妊薬を使用する女性は、無作為化の前少なくとも1ヶ月間にわたってこの方法を使用していなければならない。
・本明細書に指定される生活様式の制限事項を守る意思があり、それが可能であること。
【0291】
2.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす潜在的被験者は、試験の参加から除外される。
・左心臓疾患によるPH(PAWP>15mmHg)。
・肺動脈及び/又は肺静脈の圧縮によるPH。
・LVEF<40%である心筋症、心臓サルコイドーシスを含むLHFの履歴
・CHD又は不安定な狭心症。
・スクリーニング前又はスクリーニング中の最後の6ヶ月以内の心筋梗塞。
・厳重な管理下でない場合、非代償性心不全。
・重症として評価される不整脈。
・二次予防のためのICD
・スクリーニング前又はスクリーニング中の最後の90日以内の脳血管の事象(例えば、一過性虚血発作、脳卒中)。
・PHに関連しない臨床的に関連する心筋機能障害を伴う先天性又は後天性の弁膜奇形。
・肺静脈閉塞症(PVOD)の明白な特徴。
・顕著な肺気腫。
・既知の確認された重度の肝障害(チャイルド・ピュー分類C)。
・スクリーニング血液サンプルからの中央検査機関の結果に基づく重度の腎不全(eGFR<30mL/分/1.73m2又は血清クレアチニン>2.5mg/dL)。
・RHC中の血管拡張検査で投与されるものを除く、無作為化前かつ/又は登録のためのRHC適格性判断の前90日間のプロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体又はIP受容体拮抗薬(すなわち、セレキシパグ)による治療。
・来院6/39週目までに肺移植リストに含まれるか、又は含まれることが計画されている。
・管理されていない既知の、又は疑われる甲状腺疾患。
・無作為化時又は無作為化の前14日以内のCYP2C8の中度の誘導剤、例えば、リファンピシン又はCYP2C8の強力な阻害剤、例えば、ゲムフィブロジルによる治療。
・登録のためのRHC適格性判断の前1週間以内の新たな利尿薬及び/又はカルシウムチャネル遮断薬の用量の変化又は開始。
・スクリーニング時又は無作為化時のSBP<90mmHg
・セレキシパグ又はその賦形剤に対する既知のアレルギー、過敏症、又は不耐性。
・無作為化の前最大90日間の別の治験治療による計画されている、又は現在の治療。
・無作為化の前90日以内の治験介入の投与、又は侵襲性治験医療装置の使用。
・参加が被験者の最善の利益とならない(例えば、健全性を損ねる)か、又はプロトコルに指定された評価を妨げる、制限する、若しくは混乱させる可能性がある何らかの条件。
・RHC、信頼性がありかつ再現可能な6MWT(例えば、歩行補助具(杖、歩行器など)の使用)、又は肺機能試験の実施などの試験要件に適合する能力に影響を及ぼし得る、任意の急性又は慢性障害。
・治験責任医師又は治験実施施設の被雇用者であり、治験責任医師又は治験実施施設の指示に基づいて提案された試験又は他の試験に直接的に関与している者、あるいはそのような被雇用者又は治験責任医師の家族である者。
・この試験に登録している間、又は試験介入の最後の投与後30日以内に、妊娠しているか、又は母乳を与えているか、又は妊娠する計画をしている
【0292】
D.試験介入
1.試験介入の説明
セレキシパグ200μg及びマッチしたプラセボが投与される。
【0293】
2.試験介入の投与
錠剤は経口投与され、丸ごと嚥下されなければならない(すなわち、粉砕、分割、又は咀嚼されない)。投薬頻度は、中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は投与頻度が1日1回(qd)である中度のCYP2C8阻害剤(複数可)を同時に服用している被験者を除いて、1日2回(bid)である。bid投与の場合、各増量段階の開始時に、第1の用量は、夕方に服用されなければならない。qd投与の場合、被験者は、朝に試験介入を服用しなければならない。したがって、試験介入の第1の用量は、2日目の朝に服用されなければならない。来院3の朝から始まり、EOMOP来院までのその後の各来院時に、被験者は、来院に関係する処置の前に、好ましくは治験実施施設において朝の試験介入の用量を服用しなければならない。忍容性は、試験介入が食事と共に服用される場合に改善され得る。
【0294】
3.試験介入の増量
試験介入は、各被験者がそれらのiMTDに達するように200μg~1600μg(すなわち、1~8錠)をbid/qdの範囲で増量される。投薬頻度は、中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は試験介入を1日1回(qd)投与されている
被験者を除いて、1日2回(bid)である。
【0295】
各被験者は、DB試験介入、すなわち、セレキシパグ(200μg)又はマッチしたプラセボを1日目の夕方に1錠で開始し、2日目に200μgをbidで継続する。中度の肝障害(チャイルド・ピュー分類B)を有するか又は(a)中度のCYP2C8阻害剤(複数可)を同時服用している被験者は、2日目の朝に200μgをqdで開始する。用量は、iMTDに達するまで、予定されたTCにおいて1週間隔で200μgをbid/qd刻みで増量する。表16及び
図4を参照されたい。
【0296】
【0297】
用量レジメンが十分に忍容されないか、又は症状が対症療法により完全に管理できない場合、増量段階の時間の長さを2週間まで延長してもよい。必要に応じて、用量を200μgでbid/qdだけ低減させることができる。12週目(来院3)では、各被験者で達したbid/qd用量は、iMTDとして定義される。この用量は、少なくとも39週目(来院6)まで安定状態に維持されなければならない。3日以上の試験介入の中断は、忍容性を制限する副作用を回避するために新たな増量を必要とする。
【0298】
39週目以降、予定された又は予定外の来院時に200μgのbid/qd刻みで(適用可能な場合、最大で1600μgをbid/qd)、被験者の用量を必要に応じて更に増量することも可能である。来院3から開始して、EOMOPラインを含むEOMOPまでの全ての連続した来院時に、6MWT及びRHCを投与後2~5時間以内に実施しなければならない。
【0299】
E.バイアスを最小化するための手段:無作為化及び盲検化
1.介入の割り当て
無作為化及び層別化の手順:この試験では中央無作為化が実施される。被験者は、試験前に作成されたコンピュータ生成無作為化スケジュールに基づいて、2つの介入群の1つに無作為に割り当てられる。無作為化は、無作為に並べ換えられるブロックを使用することによってバランスがとられ、ベースラインでのPH特異的治療によって層別化される(
ありとなし)。
【0300】
盲検化:本試験はDBの形式で実施される。
【0301】
2.試験介入の服薬遵守
試験介入の服薬遵守は、試験介入の報告義務に基づく。試験介入の服薬遵守は、下式を用いて各来院時に治験実施施設の担当者によって計算される。
【0302】
【0303】
3.併用療法
試験介入の初回投与の30日前までに投与された予防療法、並びにベースラインRHCの90日前及び無作為化の90日前までに投与されたPH(ERA、PDE5i、リオシグアト)及びサルコイドーシス(例えば、インフリキシマブ、メトトレキサート、アザチオプリン、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、ステロイド)を治療するためのあらゆる以前の療法は、スクリーニング時に記録されなければならない。
【0304】
以下に列挙するものを除く併用薬剤が許容される。併用療法は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて記録されなければならない。試験介入とは異なる全ての療法(酸素補充;ワクチン、ビタミン、ハーブ栄養補助食品を含む処方薬又は市販薬、電気刺激、鍼、特別食、運動レジメンなどの非薬理学的療法)は記録されなければならない。以下の薬剤及び/又は療法は、試験介入と同時に投与されることは許可されない。
・試験介入の中止までのプロスタサイクリン(エポプロステノール)、プロスタサイクリン類似体(例えば、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロスト)又はプロスタサイクリン受容体作動薬(すなわち、セレキシパグ/UPTRAVI(登録商標))。
・試験介入の中止までのCYP2C8(例えば、ゲムフィブロジル)の強力な阻害剤。
・登録のためのRHC適格性判断の前1週間以内の新たな利尿薬及び/又はカルシウムチャネル遮断薬の用量の変化又は開始。
・試験介入中止の30日後までの他のあらゆる治験薬。
【0305】
試験介入と同時に投与することが可能な薬剤及び/又は療法としては、これらに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
・PHの治療用の療法(すなわち、リオシグアト、PDE5i、ERA)の安定な用量。PHの治療用の新たな療法の用量の変化又は開始は、39週目(来院6)の時点で許容される。
・短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)及び長時間作用型β刺激薬、ただし、スパイロメトリー検査の前、それぞれ6時間及び24時間以内に服用してはならない。
・RHC処置中の急性血管拡張試験に使用されるプロスタサイクリン又は類似体の単回投与。
・CYP2C8の中度の阻害剤。CYP2C8の中度の阻害剤(例えば、クロピドグレル、デベラシロクス、テリフルノミド、レフルノミド)が同時投与される場合、試験介入の投与頻度はqdに低減されなければならない。中度のCYP2C8阻害剤の同時投与が停止される場合、セレキシパグの投与頻度は、bidに戻されなければならない。
・サルコイドーシス特異的治療、例えば、インフリキシマブ、メトトレキサート、アザチオプリン、ヒドロキシクロロキン、レフルノマイド、ステロイド類。新たな治療薬の開
始又は用量の変化は、第39週目(来院6)の時点で許容される。
・UGT1A3及びUGT2B7の強力な阻害剤(例えば、バルプロ酸、プロベネシド、及びフルコナゾール)。セレキシパグ及びその活性代謝産物への曝露に対するUGT1A3及びUGT2B7の強力な阻害剤の効果については試験されていない。これらの薬剤製品をセレキシパグと併用して投与する場合には注意を要する。UGT1A3及びUGT2B7の強力な阻害剤との潜在的な薬物動態的相互作用は排除することはできない。
【0306】
4.用量調整
プロトコルで指定された投与スキームを忍容することができない被験者については、用量調整は、減量の指示に従わなければならない。
【0307】
F.試験介入及び被験者の中断/引き出しの中断
1.試験介入の中止
被験者の試験介入は、以下の場合に中止されなければならない。
・安全性又は忍容性の理由(例えば、AE)で、試験介入を中止することが被験者の最良の利益となる場合。
・被験者が妊娠した場合。
・肝障害が生じるか、又は疑われる場合。肝障害が疑われる場合、重症度の臨床評価(チャイルド・ピュースコア)を行わなければならない。被験者が、試験中のいずれかの時点で重度の肝障害(チャイルド・ピュー分類C)を発症した場合、試験介入は永続的に中止されなければならない。
・PVODによる肺浮腫が生じた場合。肺浮腫の兆候が生じた場合、関連するPVODの可能性を考慮しなければならない。確認された場合には試験介入を中止しなければならない。
・連続14日間を超える試験介入の中断。
・被験者が試験介入を受ける同意を撤回した場合。
【0308】
被験者がEOMOP来院前に早期に試験介入を中止した場合、試験へのこの制限された参加についての被験者の同意が撤回されていないという条件の下、被験者はEOMOP来院まで来院及び評価を予定通りに継続して実施する。被験者には、試験介入の最後の服用の7日以内、及び試験介入の最後の服用の30(+5)日後の安全性経過観察電話通話のために早期EOT来院を行うために戻ってもらう。早期EOT来院が任意の他の予定された来院の来院時間枠内に入る場合、これらの来院を組み合わせることができ、評価は繰り返さない。
【0309】
被験者が、EOMOP来院前に早期に試験介入を中止し、EOMOP来院まで予定された来院及び評価を継続して実施することに同意しない場合、被験者は、試験へのこの制限された参加についての被験者の同意が撤回されていないという条件の下、試験介入の最後の服用の7日以内に早期EOT来院を行うために、試験介入の最後の服用の30(+5)日後に安全性経過観察電話通話を行うために戻ってもらう長期生存経過観察情報を、死亡又はEOMOPの時点まで毎年収集する。表14及び表15を参照されたい。
【0310】
一時的中止:試験介入は、AE、診断又は治療処置、検査異常、又は管理上の理由に応じて一時的に中止することができる。試験介入の中断は、できるだけ短くしなければならない。3日以上のあらゆる試験介入の中断では、1錠の試験介入(200μg)をbid/qdで開始して新たな増量が必要である。各被験者について、増量頻度は、治験責任医師の医学的判断に従い、その中断前の試験薬の被験者の忍容性の臨床評価に基づく。以前に達した用量への再増量は、予定された又は予定されていない電話通話又は来院時にそれぞれ行うことができる。試験介入が連続14日間を超えて中断された場合、試験介入を永続的に中断しなければならない。
【0311】
2.被験者の試験の中止/離脱
被験者は、介入レジメンの終了前に試験介入を中止しなければならない場合、試験から自動的に離脱しない。被験者は、以下の理由のいずれかで試験から離脱する。
・追跡不能。
・同意の撤回。
・死亡。
・被験者が、試験手順、来院、及び評価にあまり従わない。
・継続的な試験参加が被験者の最良の利益に反すると考えられる。
・試験の早期終了又は中断を含む(ただし、これらに限定されない)任意の理由による決定。
【0312】
G.試験の評価及び手順
1.概要
表14及び表15に、本試験に適用可能な有効性、安全性、及びバイオマーカーの測定の頻度及びタイミングを要約する。同じ日に全ての評価を完了することができない場合、来院は、許可された時間枠内で1日を超えて延長することができる。以下の評価順序が適用可能な場合に推奨される。
・各治験実施施設の来院時に完了されるPRO:SF-12、King’s SQ、PGA-S
【0313】
治験責任医師がCGI-S及びCGI-Cを完了させるためには
・安全性評価
・肺機能試験
・WHO機能分類
・6MWT*並びに酸素飽和度及びBDI(6MWTの前後)
・血液学及び臨床化学検査用の血液サンプル、NT-proBNP、及び/又はバイオマーカー
【0314】
動脈血流中ガス分析
・RHC*
*投与後2~5時間以内に評価を行う。
【0315】
各被験者から全試験中に採取される最大総血液量は、患者がいつ試験に入るかに応じて異なる。スクリーニングから39週目/来院6までの、及び65週目/来院7からEOTまでの各来院で採取される最大全血量(血清β-hCG妊娠検査及び動脈血中ガスを含む)は、それぞれ約26mL及び12mLである。(表xxを参照)。Fickの方法に従ってCOを測定するために更に1mL~3mLの血液をRHCの間に採取してもよい。
【0316】
【0317】
2.被験者の人口統計学的特性及びベースライン特性:
無作為化された全ての被験者について収集される人口統計学的及びベースライン特性データとしては、年齢、性別、人種及び民族性(現地規制により許可される場合)、体重及び身長、最初のSAPH診断の日付、WHO機能分類、及び喫煙歴(なし、以前、現在)が挙げられる。
【0318】
PH特異的治療にナイーブである被験者については、ERA/PDE-5阻害剤/リオシグアトを処方しない理由(複数可)を収集する。
【0319】
3.有効性評価
(a)主要有効性エンドポイント評価
(i)右心カテーテル法
以下の血流力学的変数、すなわち、HR、末梢収縮期及び拡張期血圧、肺動脈楔入圧(PAWP;あるいは、LVEDP)、mRAP、収縮期/拡張期肺動脈圧(sPAP/dPAP)、CO、及び混合静脈酸素飽和度(SvO2)を収集する。
【0320】
(ii)ベースラインRHC:全ての被験者はベースラインRHCを行わなければならない。以下の基準を満たす場合、過去のRHCが許容される。
RHCガイダンス文書により、必要な全ての変数が利用可能である。
【0321】
RHCガイダンス文書に記載されているように、26週目にRHCを実施することが可能である。
【0322】
過去のRHCを、以下のように実施した。
【0323】
無作為化の前90日以内、
【0324】
PH特異的治療における最後の変更(すなわち、新しいクラスの薬物の用量の変化又は開始)後、少なくとも90日。
【0325】
サルコイドーシス用の新たな特定の抗炎症治療薬の開始後、少なくとも90日。
【0326】
サルコイドーシス用の新たな特定の抗炎症治療薬の用量の最後の変更後、少なくとも30日。
【0327】
上記の基準を満たす履歴結果が利用可能でない場合は、他の全ての組み入れ基準が満たされ、除外基準がいずれも満たされてない場合にのみ、スクリーニング期間中にRHCを実施しなければならない。
【0328】
(iii)26週目のRHC
*26週目に、投与後2~5時間以内にRHCを行う。いずれのベースライン後RHCも、同じ基準及び手順に従って、同じカテーテル法検査機関において、同じ術者によって実施されることが推奨される。RHC評価の指針は、RHCガイダンス文書に示されている。
【0329】
被験者が、12週目と26週目との間の試験介入を早期に中止する場合、最後の試験介入投与後3日以内にRHCを実施することが推奨される。
【0330】
(b)探索的エンドポイント評価
(i)臨床的悪化及びPHの悪化に関連した入院:TTCWを導出するには以下のデータ(他の評価の一部として得られる)が必要とされる:すなわち、死亡の報告、計画外のPH関連入院、WHO機能分類、併用薬剤、AE及びSAE。以下の場合は、CECによって裁定される:入院、WHO機能分類のクラスが上がること、及び新たなPH療法の開始。全ての被験者で、全ての更なる疾患進行の評価及び報告は、EOMOP来院まで継続される。
【0331】
(ii)生存経過観察:試験介入を早期に中止し、かつEOMOPまで来院及び評価を継続的に実施することに同意しない被験者では、長期生存情報が死亡又はEOMOPの時点まで毎年収集される。生命状態(死亡の日付及び原因を含む)が収集される。
【0332】
(iii)運動能力:
6MWT。試験全体で、6MWTは、投与後2~5時間以内かつRHC(該当する場合)の前に実施しなければならない。試験介入の朝の用量服用時間を記録する。6MWTを以前に実施したことがない被験者については、組み入れのためのスクリーニング6MWTの前にトレーニング試験が求められる。
【0333】
日常生活の身体活動(DLPA)及び睡眠パラメータ:DLPA及び睡眠パラメータは、アクティグラフィー装置によって評価される。装置は来院1(スクリーニング来院)で被験者に与えられ、被験者は、スクリーニング期間中及びその後の治験実施施設来院時に2週間、アクティグラフィー装置を手首に装着するように指示される。アクティグラフィー装置及び付属品の使用の詳細な指示は、被験者ガイドにより被験者に与えられる。アクティグラフィー装置は、収集されたデータを表示しない。すなわち、被験者の行動に影響を及ぼし得ることから、被験者は被験者の活動測定値を知ることはできない。データは、被験者ガイドに記載されているようにベンダーに対してアップロードされる。受信されたデータは、コンプライアンスのために監視される。是正措置が必要な場合、被験者は治験実施施設の担当者と接触してもよい。被験者には、試験中の個々の活動レベルを要約した報告が提供される。アクティグラフィー装置からのデータはベンダーによって収集され、ベンダーはその結果を治験依頼者に送信する。
【0334】
(iv)酸素飽和度(6MWTの前後):パルス酸素測定法(治験実施施設での標準的手法に従って実施される)を用いて6MWTの開始直前及び終了直後に測定する。
【0335】
(v)呼吸困難(6MWTの前後):Borg,G 1998.Borg’s Perceived Exertion and Pain Scales.Champaign,IL:HKに記載されるBorg CR10(登録商標)スケールにより評価される。呼吸困難は、6MWTの開始直前及び終了直後に各個々の被験者によって評価される。
【0336】
(vi)WHO機能分類:本明細書に記載され、当該技術分野で理解されるように評価される。
【0337】
(vii)NT-proBNP:血液サンプルを採取する。
【0338】
(viii)患者報告アウトカム:
・PAH-SYMPACT(商標)質問票:PAH-SYMPACT(商標)質問票は、Actelion Pharmaceuticals Ltd.により開発されたPRO機器である。PAH-SYMPACT(商標)は、就寝前の夜に完了しなければならない。この質問票は、PAH患者における使用のために開発及び検証されたものである。PAH-SYMPACT(商標)は、2つのパートからなる:
〇症状パートは、治験実施施設への来院後(すなわち来院日の翌日から開始)、連続7日間にわたって完了される。
〇影響パートは、症状パートと共に(すなわち、その夜)、症状日記データ収集期間の7日目に1回、完了される。
・SF-12:SF-12v2(登録商標)Healthy Surveyは、SF-36v2(登録商標)から導かれた生活自己評価の品質である(Medical Outcomes Trust and Quality Metric IncorporatedによるHealth Survey1996,2000)。SF-12は、身体機能、身体的役割の制限、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、感情的役割の制限、及び心の健康を含む、8つの尺度を測定する12項目を有する。SF-12は、SF-36v2(登録商標)と同じ方法で、国民標準値に基づいたスコアリングを使用して得点化される。
・Kingのサルコイドーシス質問票(KSQ):KSQは、サルコイドーシス患者に対して開発及び検証された健康状態質問票である。この質問票は、簡単で、個々の患者に適応可能であり、一般的健康状態及び臓器特異的な健康状態を評価する。KSQは、一般的な健康状態(10項目)、肺(6項目)、皮膚(3項目)、目(7項目)、薬剤(3項目)の5つのモジュールからなる。患者の全体的な健康状態を評価するために、どの臓器が疾患に罹患しているかに応じて、臓器特異的モジュールを一般的な健康状態モジュールと組み合わせることができる。KSQは、1~100の数として要約され、数字が大きいほど、より良好な健康を示す。
・患者による疾患重症度の全般的評価(PGA-S):PGA-Sは、6点の単一項目の自己評価尺度である。被験者に、投与日の疾患の全体的な重症度を、なし、極めて軽度、軽度、中度、重度、又は極めて重度の回答で評価してもらう。
・臨床医による重症度の全般的印象(CGI-S):CGI-Sは、6点の単一項目の尺度である。被験者の疾患の全体的な重症度を、なし、極めて軽度、軽度、中度、重度、又は極めて重度の回答で投与日に評価する。
・臨床医による変化の全般的印象(CGI-C):CGI-Cは、7点の単一項目の尺度である。ベースラインからの被験者の疾患の全体的な被験者の変化を、大幅な改善、中度の改善、わずかな改善、変化なし、わずかな悪化、中度の悪化、又は大幅な悪化の回答で評価する。
【0339】
4.安全性評価
安全性及び忍容性は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日までこの試験全体を通じて評価する。本試験におけるセレキシパグの安全性及び忍容性を評価するための標準的な安全評価には、SAE、妊娠、バイタルサイン、身体的検査、ECG、及び安全性臨床検査の報告及び経過観察が含まれる。更に、肺機能、DLCO及び動脈血中ガスを監視する。本試験は、表14及び表15に示される時点に従って、安全性及び忍容性の以下の評価を含む。
【0340】
(i)身体的審査:スクリーニング時及びその後の来院時の身体的検査には、一般的な外観、心臓、肺、四肢、目の検査が含まれる。医療履歴及び/又は症状に基づいて、指示される場合には他の検査が実行される。身長は靴を履かずに測定する。体重は室内着は着るが、靴は履かずに測定する。
【0341】
(ii)バイタルサイン:脈拍数、SBP、及びDBPは、仰臥位又は座位で評価される。被験者は、測定前に少なくとも5分間安静にすることが推奨される。また、測定は、各個々の被験者について、試験全体を通じて、同じ腕及び同じ姿勢(仰臥位又は座位)で実施することも推奨される。バイタルサインは、血液採取前に測定されるべきである。
【0342】
(iii)心電図:単一の標準的な12誘導ECGを実施し、局所的に解釈する。ECGを収集する間、被験者は、気を散らすもの(例えば、テレビ、携帯電話)がない静かな環境に置かれなければならない。被験者は、ECGの収集前に少なくとも5分間は仰臥位で安静にしなければならず、話すこと又は腕若しくは脚を動かすことを控えなければならない。ECG記録と同じ時点で血液サンプリング又はバイタルサイン測定が予定される場合、処置は、ECG(複数可)、バイタルサイン、採血の順序で実行されるべきである。
【0343】
(iv)臨床安全性検査の評価:血清化学検査及び血液学用の血液サンプルを収集する。
【0344】
(v)肺機能試験
〇スパイロメトリー:スパイロメトリー検査を、ATS/ERSに従って行う。全てのスパイロメトリー評価は、試験全体を通じて同時に、かつ同じ条件下で実施されることが推奨される。被験者は、スパイロメトリー試験の前の6時間は、短時間作用型β刺激薬(例えば、サルブタモール)を、24時間は、長時間作用型β刺激薬の服用を控えなければならない。服用された場合、試験を再スケジューリングしなければならない。スパイロメトリー検査を実施するには、被験者は開始前に最低5分間は安静にする。以下の変数、すなわち、FEV1、FVC、TLCを、スクリーニング(来院1)時及び適用可能な場合にはその後の来院時に収集する。
〇肺の一酸化炭素拡散能力(DLCO):一酸化炭素を使用して測定される肺の拡散能力(DLCO)を、ATS/ERSガイドラインに従って実施し、1回呼吸法により評価する。最大5回までのDLCO呼気努力を行って、少なくとも2つの技術的に許容可能かつ反復可能なトレースを生成する(ATS/ERSガイドライン基準に従って)。実施される各呼気努力の間には、少なくとも4分間の最小間隔を置かなければならない。
【0345】
(vi)安静時動脈血中ガス:安静時の動脈経過観察中ガス(ABG)の測定は、治験実施施設の基準に従って実施される。可能な場合、測定はRHCの間に実施されることが推奨される。26週目のABGは、スクリーニング時に実施されるABGと同じ条件、例えば、同じ酸素速度(該当する場合)で実施されなければならない。過去のRHCが利用可能であり、ABGがそのRHCの一部である場合、スクリーニング時にABGを繰り返す必要はない。記録される値としては、評価の日のPaCO2(mmHg)、PaO2(mmHg)、SaO2(mmHg)、吸入酸素濃度
(FiO2、%)及び気圧(BP)が挙げられる。
【0346】
5.有害事象及び重篤な有害事象
有害事象は、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて報告する。
【0347】
(i)有害事象及び重大な有害事象情報を収集する期間及び頻度
全ての有害事象:全てのAE及び特別な報告を要する条件は、重篤であるかないかに関わらず、ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて報告する。
【0348】
重篤な有害事象:試験中に発生する全てのSAEは、事象が認識された24時間以内に報告されなければならない。ICFの署名から、EOS来院又は最後の連絡日まで試験全体を通じて自然に報告されたものを含め、重篤な有害事象は、被験者によって投与された試験介入に関係なく、また、この事象が試験介入に関連するとみなされるか否かによらず、報告されなければならない。EOS来院後に発生した重篤な有害事象は、その原因が試験介入への以前の曝露に関連するとみなされる場合にのみ報告されなければならない。
【0349】
(ii)妊娠:女性の被験者における妊娠の最初の報告は全て、事象が認識された24時間以内に報告されなければならない。妊娠はAEとして報告されなければならず、EOS来院又は最後の連絡日までに発生した妊娠に関連した全てのAEは、別のAEとして報告されなければならない。
【0350】
(iii)過剰用量の治療薬:過剰用量は、1600μgを超える任意の単回用量又は3200μgを超える総1日用量の服用によって定義される(被験者がbidレジメンを行っている場合のみ)。
【0351】
(iv)バイオマーカー:バイオマーカー分析は、各被験者に対して任意選択的である。薬物動態及び疾患関連バイオマーカーの分析用の血漿及び血清サンプルは、表14及び表15に示される時点で採取することができる。
【0352】
H.統計的考慮事項
試験中に収集されたデータは、介入群ごとに要約し、適切かつ適用可能である場合、仮説検定により介入群間で比較する。
【0353】
1.分析の母集団
分析目的のため、各母集団を表18に定義する。
【0354】
【0355】
PVR及び他の全ての有効性分析は、主にFASで評価される。PPSとFASの被験者の数の差が5%未満でない限り、PVR分析はPPSでも実施され、その場合、PPSを用いた分析は行われない。安全性エンドポイントは、主にSASで評価する。
【0356】
2.分析時点
以下の2つの分析時点がある:
【0357】
3.サンプルサイズの決定
サンプルサイズの計算は、2つの平均の差についてのソフトウェアパッケージEAST(商標)バージョン6.4.0.1を使用して、ベースラインの対数変換されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)に対する優越性のZ検定によって近似した。適切なデザイン特性を保証するためには、合計74人の患者が必要とされる(すなわち、治療アーム当たり37人の患者)。被験者74人のサンプルサイズ(治療アーム当たり37人)は、セレキシパグ群とプラセボ群との間のベースラインPVR値に対するベースライン後PVRの比の幾何平均の臨床的に関連する30%の相対的改善を検出するための90%の検出力(第一種過誤5%)を与えるものと判定された(比の変動係数0.5と仮定)。
【0358】
表19は、これら2つのパラメータ及び両側α=0.05での異なる仮定について検出力の計算を示す。
【0359】
【0360】
表19の太字、イタリック体の値は、上記の段落におけるサンプルサイズの計算に対応する。
【0361】
4.統計分析:
(i)主要有効性分析
PVRエンドポイントの定義:主要エンドポイントは、26週目までの、すなわち、26週目、又は26週目よりも前の試験治療の中止の場合には早期EOTにおけるピーク濃度である。
【0362】
エスティマンド
主要PVRエスティマンドは、以下の4つの属性に従って説明される。
a.母集団:無作為化されたFAS(全分析対象集団)。
【0363】
b.変数:各患者当たり、自然対数変換されたPVR値のベースラインから26週目(又は早期EOT)の来院までの絶対変化が推定される。26週目の介入開始後のPVR値(又は早期EOT)(介入後)とベースラインにおける介入開始前のPVR値(介入前)との対応する比(パーセンテージとして表される)も推定される。すなわち、
【0364】
【0365】
c.中間事象(変数の観察をできなくするか、又はその解釈に影響を及ぼす事象):
-26週目(又は早期EOT)の来院前に発生する死亡、
-プロスタサイクリン(エポプロステノール)、プロスタサイクリン類似体(例えば、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロスト)、又はプロスタサイクリン受容体拮抗薬(すなわち、セレキシパグ/UPTRAVI)の開始、
-ベースライン後のRHCの直前に3日間を超える試験治療中止/中断
【0366】
d.母集団レベルの要約:セレキシパグとプラセボとの間の自然対数変換されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)の平均の差を指数化することによって得られる、セレキシパグとプラセボとの間のPVR(介入前に対する介入後のパーセント)の幾何平均(GM)の比:
【0367】
【0368】
このエスティマンドは、死亡の発生又は禁止されたPH特異的薬剤の導入の前の変数測定に対する治療開始の影響を対象とし、「治療下」戦略に従う。主要エンドポイントの目的で、治療下は、最後の試験介入服用の3日後までとして定義される。
【0369】
中間事象は、以下のように扱われる。
-「ベースライン後のRHCよりも前に発生する死亡」は、後のセクションで示される欠測データ規則を用いてベースライン後のPVR値を代入することによって対処される。
-プロスタサイクリン(エポプロステノール)、プロスタサイクリン類似体(例えば、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロスト)、又はプロスタサイクリン受容体拮抗薬(すなわち、セレキシパグ/UPTRAVI)の開始は、ベースライン後のPVR評価を無視し、後のセクションで示される欠測データ規則を用いてこれらを代入することによって対処される。
-「ベースライン後のRHCの直前の3日間を超える試験治療の中止/中断」は、試験治療中止後の3日間を越えて得られたPVR評価を無視し、後のセクションで示される欠測データ規則を用いてこれらを代入することによって対処される。
【0370】
仮説
26週目(又は早期EOT)のピーク濃度におけるPVRの主要エンドポイントの仮説を、プラセボ(GMプラセボ)に対してセレキシパグ(GMセレキシパグ)で治療した被験者におけるPVR(介入前に対する介入後のパーセント)(上記に定義したもの)のGMに関して公式化する。
H0:GMセレキシパグ/GMプラセボ=1
HA:GMセレキシパグ/GMプラセボ≠1
【0371】
統計モデル
帰無仮説は、自然対数変換されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)に対するANCOVAモデルによってFASで試験されるように計画される。モデル共変数には、無作為化された介入、層別化係数、及び自然対数変換されたベースラインPVR値が含
まれる。結果は、自然対数スケールで得られた絶対調整平均変化率の指数化後の元のスケール(GM)上に示される。
【0372】
欠測データの扱い
設計上、予定された26週目の時点で、又は早期EOT来院時に、1回のみのベースライン後のPVR測定が行われる。場合により、26週目(又は早期EOT)評価が欠測しており、他のベースライン評価がない場合がある。
【0373】
PVRの代入法は、データ欠測の理由に対して固有である。
【0374】
PVRのベースライン基準値は、試験介入の開始前に実施された最後のRHCに基づく。
【0375】
PAWPが欠測しているためにPVRを計算できない場合、mPAP及びCOの両方が評価されていて、欠測していない来院時の計算において以下の慣例が適用される。
【0376】
PAWPのみが欠測している場合、LVEDPが用いられる。
【0377】
PAWP及びLVEDPがベースライン及びベースライン後の両方で欠測している場合、欠測したPAWPは、同じ無作為化された介入群からの全ての被験者でそれぞれの時点で観察された全ての値の中央値を使用して代入される。
【0378】
PAWP及びLVEDPがベースライン又はベースライン後のいずれかで欠落している場合、対象の利用可能なPAWPは、欠落PAWPの代用品として使用される。
【0379】
ベースライン後のPVR評価が26週目まで欠測している場合、以下の欠測データ代入規則が用いられる。
【0380】
・ベースライン後の値を得ることなく被験者が死亡した場合、欠測したPVR(介入前に対する介入後の倍率)値は、同じ分析対象集団の全ての被験者間のベースライン後の最大のPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値で代入される。得られる代入されたベースライン後のPVRは、この代入されたPVR(介入前に対する介入後のパーセント)値と対応するベースラインPVR値との積である。
【0381】
被験者が臨床的悪化を経験し、その後のPVR(介入前に対する介入後の倍率)値が欠測している場合、ベースライン後の値は、同じ分析対象集団の全ての被験者からのPVR(介入前に対する介入後の倍率)値の75パーセンタイルで代入される。得られる代入されたベースライン目のPVRは、この代入されたPVR(介入前に対する介入後の倍率)値と対応するベースラインPVR値との積である。
【0382】
・被験者が生存しており、臨床的悪化を経験しない場合には、欠測したPVR(介入前に対する介入後の倍率)値は、同じ介入群及び分析対象集団の全ての被験者からのPVR(介入前に対する介入後の倍率)値の50パーセンタイルで代入される。得られる代入されたベースライン目のPVRは、この代入されたPVR(介入前に対する介入後の倍率)値と対応するベースラインPVR値との積である。
【0383】
主要分析
主要有効性エンドポイントの分析は、ANCOVAモデルを使用してFASで試験される。
【0384】
ANCOVAモデルから、PVR(介入前に対する介入後のパーセント)は、共変量調整されたGM及び対応する両側95%CIを用いて介入群ごとに要約される。対応する95%両側CI及びp値を用いたGMの群間比は、プラセボ補正介入効果として示される。
【0385】
各介入群について、PVR(介入前に対する介入後のパーセント)の自然対数の最小二乗平均及び両側95%CIを指数関数を用いて逆変換し、100を掛けることで、パーセントで表されるPVR(介入前に対する介入後のパーセント)のGM及び対応する両側95%CIが得られる。
【0386】
ベースライン及びベースライン後の絶対値、並びにPVRのベースラインからベースライン後までの絶対(介入前に対する介入後)変化は、記述統計を用いて要約される。
【0387】
支持/感度分析
感度分析は、26週目(又は早期EOT)のPVRに対する主要統計分析の代入仮定を評価するために代替的な代入規則を用いて行われる。
【0388】
更に、26週目(又は早期EOT)のPVRの感度分析は、PPSからの除外につながる治験実施計画からの逸脱に対する主要統計分析の結果のロバスト性を評価するために、治験実施計画に適合した対象集団で実施される。
【0389】
(ii)その他の有効性分析
適用可能な場合、連続的かつカテゴリー別のエンドポイントについて、経時的な応答プロファイル(例えば、ベースラインからの変化、カテゴリー別エンドポイントのカテゴリーごとの被験者の割合)は、RSの無作為化治療群ごとにグラフにより、また、EOMOP来院までの各来院時の通常の要約統計(95%CI)によって検証される。EOMOP来院まで試験介入で測定された評価を考慮したものと、治療の中止にかかわらず、EOMOP来院までに収集された全てのデータを含むものの2組のプロファイルが与えられる。
【0390】
試験治療の中止にかかわらず、EOMOPまで無作為化処理群ごとにKaplan-Meier法を用いて事象までの時間のエンドポイントを分析する。
【0391】
(iii)安全性分析
有害事象:AEを識別するために用いられる逐語的用語が、MedDRAを用いてコード化される。介入により発現した有害事象は、介入期間中に発症するAEであるか、又はベースラインから悪化した既往症の結果であるAEである。報告された全てのAEが分析に含まれる。各AEについて、特定の事象の少なくとも1回の発生を経験する被験者の割合が介入群ごとに要約される。更に、適切な場合、介入群間の比較が与えられる。死亡した、AEのために介入を中止した、又は重篤なすなわちSAEを経験した参加者の要約、リスト、データセット、又は被験者のナラティブが、適宜与えられてもよい。要約は、介入(セレキシパグ又はプラセボ)ごとに行われ、試験全体を通じて収集された全ての事象を含む。
【0392】
臨床検査:臨床検査の種類ごとに検査データを要約する。基準範囲及び顕著に異常な結果が検査データの要約に用いられる。ベースラインの各検査検体について、また、予定された各時点の観測値及びベースラインからの変化についての記述統計が介入群ごとに計算される。異常の頻度集計を行う。
【0393】
バイタルサイン:心拍数、SBP値、及びDBP値の記述統計、並びにベースラインからの変化が、介入群ごとに予定された各時点で要約される。
【0394】
酸素補充速度:酸素補充速度の値及びベースラインからの変化の記述統計が、介入群ごとに要約される。
【0395】
肺機能試験:DLCO及びFVCの値及びベースラインからの変化の記述統計が、介入群ごとに要約される。
【0396】
動脈血中ガス:ABGパラメータの値及びベースラインからの変化の記述統計が、介入群ごとに要約される。
【0397】
(iv)バイオマーカー分析:バイオマーカーサンプルを使用して、計算分析用の血漿及び血清マーカーデータが生成される。経時的な血漿及び血清バイオマーカーの変化が、介入群ごとに要約される。選択されたマーカーにおけるベースライン値及びベースラインからの変化と、臨床応答と、の間の関連性を探索する。
【0398】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示の目的のみであって、様々な修正又は変更が当業者に提示され、本出願の趣旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】