(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】容積投与量を有する液体の採取及び制御された分配のための装置
(51)【国際特許分類】
F04B 53/14 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
F04B53/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021565887
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 IT2020050084
(87)【国際公開番号】W WO2020225836
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】102019000006584
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517258958
【氏名又は名称】テクノラマ エス アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】スカチッジー、マリオ
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB01
3H071CC47
3H071DD01
3H071DD89
(57)【要約】
液体の制御された採取及び分配のための装置であって、プラットフォーム(1)が液体物質を入れる第1の一連の容器(2)と、第1の一連の容器(2)の物質を受け取るように適合された第2の一連の容器(3)とを収容するプラットフォームを備える構造(S)を含み、前記装置は前記第1の一連の容器(2)から液体を採取しかつその液体を前記第2の一連の容器(3)に分配するための手段をさらに含む。バレル(4)と、ピストン(5)と、針(6)とからなるハーフピペットが前記第1の一連の各容器(2)上に挿着されている。前記採取及び分配手段が、各ハーフピペットのピストン(5)を作動させるための垂直ロッド(95,96)を備えたユニット(9)を含み、当該ユニットは前記プラットフォーム(1)の上方で移動可能とされているキャリッジ(10)に拘束されている。当該ユニット(9)は前記プラットフォーム(1)に対して垂直方向に接離自在に移動可能とされている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容積投与量を有する液体の制御された採取及び分配のための装置であって、
プラットフォーム(1)が、採取及び投与されることになっている液体物質を含む第1の一連の容器(2)と、前記第1の一連の容器(2)に含まれた前記液体物質を所定の投与量で受け取るように適合された第2の一連の容器(3)と、を収容するように配置された構造(S)を含み、
前記装置は、前記第1の一連の容器(2)から液体を採取し、かつその液体を所定の投与量で前記第2の一連の容器(3)に分配するための手段をさらに含み、
前記第1の一連のそれぞれの容器(2)の液体で満たすことができる容積を画定するバレル(4)と、作動ステムのないピストン(5)と、液体を吸引及び注入することができる針(6)と、を含むハーフピペットが、前記第1の一連の各容器(2)に挿入され、
前記第1の一連の容器(2)から前記液体を採取し、かつ前記液体を前記第2の一連の容器(3)に分配するための前記手段が、各ハーフピペット(4,5,6)のピストン(5)と係合して作動させるように適合された垂直ロッド(95,96)を備えたユニット(9)を含み、
前記ユニット(9)は、前記プラットフォーム(1)の上方で順に移動可能とされているキャリッジ(10)に拘束され、
前記ユニット(9)は、前記プラットフォーム(1)に対して垂直方向に接離自在に移動可能とされており、
前記ロッド(95,96)は、その垂直運動を制御するアクチュエータ(93)に接続された第1の部分(95)と、管状体で構成された第2の部分(96)と、を含み、当該管状体において、前記第2の部分(96)への空気の導入によって膨張可能なパッド(98)が膨張させられる場合、各ピストン(5)に設けられた空洞(52)に係合するように適合された前記膨張可能なパッド(98)の膨張のために空気が導入されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ユニット(9)は、前記キャリッジ(10)の対応する表面(103)に配置された垂直ガイド(102)によって前記キャリッジ(10)に接続され、前記垂直ガイド(102)に沿ったその移動(Z)を制御する電動アクチュエータ(104)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ユニット(9)は、前記垂直ガイド(102)によって前記キャリッジ(10)に固定され、その内部を前記ロッド(95,96)が垂直に通過するように設置された中空体(90)を備え、
前記ロッド(95,96)は、垂直軸を有する対応するアクチュエータ(91)によって前記中空体(90)の内部を垂直に移動させられることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記垂直軸を有するアクチュエータ(91)は、前記中空体(90)の内部に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記管状体(96)は、前記膨張可能なパッド(98)の下方に設けられた先端部(99)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記パッド(98)は、前記ピストン自体を上昇させる段階においてのみ前記ピストン(5)と係合することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ロッド(95,96)は、各ピストン(5)に設けられた空洞(52)と係合するように適合された端部を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に、排他的ではないが、テキスタイル産業の染色溶液の調製のための容積投与量を有する液体の制御された採取及び分配のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、容量投与量を有する液体の制御された採取及び分配のための装置を開示しており、この装置はプラットフォームを有する構造を備え、当該プラットフォームの上の第1の位置において、液体物質を収容するいくつかの容器が配置され、同じプラットフォーム上の第2の位置において、第1のステーションの容器内に収容された液体の所定の投与量を受け取ることを意図した更なる容器が存在する。第1のステーションの容器からの液体の採取及び第2のステーションの容器内の同じ液体の投与は、プログラム可能な制御ユニットによって管理される作業計画に従って、前述のプラットフォームの上方にそれを移動させるキャリジに接続された注射器によって操作される。このシステムは第1のステーションの容器内に収容された液体の汚染を回避するために、各使用後に適切な溶媒で注射器を洗浄する必要があるという欠点を有する。これは、一方では現在の製造ニーズと比較して過剰な操作時間を必要とし、他方では洗浄後、注射器が洗浄に使用される溶媒の残留物を完全に含まないことを保証しない。さらに、各洗浄は注射器に含まれる液体の損失に関連し、これはまた、注射器の繰り返し洗浄によって生成される物質の特別な処理を必要とするため、プロセスの経済性に悪影響を及ぼす。
【0003】
特許文献2は、容量投与量を有する液体の制御された採取及び分配のための装置を開示しており、この装置は、液体物質を収容する第1の一連の容器と当該物質の1つ以上を所定の投与量で受け入れるのに適した第2の一連の容器とを支えるのに適した支持構造と、第1の一連の容器から当該物質を採取しかつ第2の一連の容器に当該物質の所定の投与量を分配する自動手段と、から成る。上記採取及び分配手段は、前記容器の各々に対応して配置されかつ前記部材を作動及び移動させるためのユニットと分解可能に結合された複数の個々の採取及び分配部材を含む。特許文献2に記載されている実施形態において、前記個々の部材は第1の一連の容器とそれぞれ対応するように配置され注射器であり、従って、第1の一連の各容器は対応する注射器に関連付けられている。このシステムは使用前に各注射器の洗浄を避けているが、第1の一連の各容器に対応して注射器を準備する必要があるため、比較的高いコストを必要とする。
【0004】
特許文献3は、計量装置として注入器を使用する自動液体計量装置を開示している。この装置は、主として、平面上に均等に間隔を置いて複数列に配置された複数の貯蔵容器を含む。各貯蔵容器は、キャップで密封され、その中に配置された天然磁石を有する。上記天然磁石を回転させるための攪拌手段が貯蔵容器の下に配置され、それによって貯蔵容器内の液を均等に攪拌する。各貯蔵容器のキャップは、それを貫通する少なくとも1つの注入器を有する。移動手段に取り付けられた液吸引放出手段は、制御装置の制御のもとで、選択された貯蔵容器の上方に位置するように移動させることができる。液体吸引放出手段が下降すると、選択された貯蔵容器上の注入器を掴み、当該手段が上昇すると、選択された貯蔵容器からある量の液体を注入器に吸引させ、その上、選択された貯蔵容器から当該注入器を抜き出す。抜き出された注入器は、次に、移動手段によって電子天秤上に配置された容器に移動させられ、そして前記液体吸引放出手段によって、上記の吸引された全ての液体を前記容器内に放出し、そこで当該液体は電子天秤で正確に測定される。
【0005】
特許文献4は、特に医療診断用途のために、流体又は気体を研究するための分析ユニットと共に使用されるカートリッジを開示しており、このカートリッジは、作動ロッドを備えたピストンによって針を介して送り込まれかつ送り出される流体/気体のための開口部を有する円筒状タンクを有する。前記ピストンの作動ロッドは、駆動装置がピストンを前後に移動させるための接続部材を有している。前記接続部材と駆動装置は、前記タンクの1つの区間に沿った長手方向の移動中に接触し、逆方向の動きで離されるように構成されている。前記タンクの第2の区間に沿った移動中、上記接触は接触したままである。
【0006】
特許文献5は、溶液を自動的に調製するための複合測定システムを備えた装置を開示している。前記装置は、作業台を備えた構造を含み、前記作業台上の、固体製品のための1つ又は複数の容器、液体製品のための1つ又は複数のボトル容器、溶液のための1つ又は複数の容器、及び1つ又は複数の空及び清浄なボトル容器を配置することができ、軸受デバイスを作業台上で移動させることができ、そして前記装置が上記したボトルを移動させて処理し、及び少なくとも固体製品のための容器を移動させ、処理し、駆動するための軸受デバイスに接続されたデバイス、及び固体製品を使用することによって溶液及び/又は混合物を調製するための別のデバイスを含むことを特徴とする。
【0007】
上記文献には全体的に形成されたポンプを含む分配手段を使用する装置が開示されており、この装置は現行の製造ニーズに関して過剰なコストを伴うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP 0602737
【特許文献2】EP 0945728
【特許文献3】US 6302168 B1
【特許文献4】EP 1402952 A1
【特許文献5】CN 1404908 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、前述の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は本発明によれば、請求項1に示された特徴を有する装置を提供することによって達成された。本発明の他の特徴は、従属請求項の主題である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、出発容器に含まれる液体の汚染を回避し、同時に、単純化された全体構造及び比較的小さい製造コストを有する、容積投与量を有する液体の制御された採取及び分配のための装置を実現することが可能である。
【0012】
本発明のこれら及びさらなる利点及び特徴は以下の説明及び添付の図面(例として提供されるが、限定的な意味で考慮されるべきではない)によって、各当業者によってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本発明装置に使用可能なハーフピペットの概略垂直断面図である。
【
図4】液体物質を収容する容器(2)に挿入されたセミピペットを示す図面である。
【
図5】それぞれのハーフピペットを位置決めするためのアダプタを有する容器(2)のみを示す図面である。
【
図6A】容器(2)からの液体物質の用量の採取に関する一連の段階を概略的に示す第1の図面である。
【
図6B】容器(2)からの液体物質の用量の採取に関する一連の段階を概略的に示す第2の図面である。
【
図6C】容器(2)からの液体物質の用量の採取に関する一連の段階を概略的に示す第3の図面である。
【
図6D】容器(2)からの液体物質の用量の採取に関する一連の段階を概略的に示す第4の図面である。
【
図6E】容器(2)からの液体物質の用量の採取に関する一連の段階を概略的に示す第5の図面である。
【
図6F】容器(2)からの液体物質の用量の採取に関する一連の段階を概略的に示す第6の図面である。
【
図6G】容器(2)からの液体物質の用量の採取に関する一連の段階を概略的に示す第7の図面である。
【
図7A】異なる容器(3)における液体物質の投与量に関する一連の段階を概略的に示す第1の図面である。
【
図7B】異なる容器(3)における液体物質の投与量に関する一連の段階を概略的に示す第2の図面である。
【
図7C】異なる容器(3)における液体物質の投与量に関する一連の段階を概略的に示す第3の図面である。
【
図7D】異なる容器(3)における液体物質の投与量に関する一連の段階を概略的に示す第4の図面である。
【
図8A】それぞれの容器(2)におけるハーフピペットの再配置を概略的に示す第1の図面である。
【
図8B】それぞれの容器(2)におけるハーフピペットの再配置を概略的に示す第2の図面である。
【
図8C】それぞれの容器(2)におけるハーフピペットの再配置を概略的に示す第3の図面である。
【
図8D】それぞれの容器(2)におけるハーフピペットの再配置を概略的に示す第4の図面である。
【
図10】ハーフピペットのピストン(5)内のパッド(98)の膨張構造を示す
図6Dの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本質的な構造に変形しかつ添付の図面を参照すると、本発明の容積投与量を有する液体の採取及び制御された分配のための装置は、溶液の調製のために使用されることが意図される液体物質を収容する第1の一連の容器(2)と、第1の一連の容器(2)に収容される物質の所定の投与量を収容するのに適した第2の一連の容器(3)と、を収容するのに適したプラットフォーム(1)がその上に配置される構造(S)を含むタイプのものである。前記装置は第1の一連の容器(2)から液体を採取し、第2の一連の容器(3)に所定の用量の前記液体を分配するための手段をさらに備える。
【0015】
前記溶液は、例えば、テキスタイル産業のための染色液の調製、又は医薬、食品又は化粧品配合物の調製も意図される。
【0016】
本発明によれば、関連するピストン(5)及び針(6)を備える注射器又は「ピペット」のバレル(4)は第1の一連の各容器(2)に適用される。前記ピストン(5)には作動ステムはない。前記針(6)は、それぞれの容器(2)に挿入されるのに適した長さでありかつ前記容器(2)からの液体を吸引及び注入することができる要素を構成する。前記バレル(4)の下部(46)は、前記針(6)との接続部分を画定する。実際には前記バレル(4)、ステムのない前記ピストン(5)及び前記針(6)は、ピストン作動ロッドのない注射器又はピペットを構成し、これは本明細書の文脈において、「ハーフピペット」と定義される。各ピストン(5)は環状ゴムガスケット(50)を装備しかつ対応する円周シート(51)に配置されており、それによりそれぞれのジャケット(4)の内壁との接触がしっかりと保たれるようになっている。前記針(6)は、それを介して液体の吸引及び分配が行われるバレル(4)の下方延長部を画定する。
【0017】
各ハーフピペット(4,5,6)は前記ピストン(5)を作動させるための作動ロッドと可逆的に関連することができ、作動ロッドは、前記プラットフォーム(1)の上方に配置されたキャリッジ(10)に接続されたユニット(9)によって支持されている。前記キャリッジ(10)は、前記構造(S)に対して横方向に延在するガイド(100)上に載せられ、次いで、前記構造の長手方向縁部に沿って延在する2つのガイド(101)上に載せられる。さらに、前記キャリッジ(10)は、キャリッジが横方向のガイド(100)に沿って、及び長手方向のガイド(101)に沿っての移動を可能にするそれぞれの移動手段(それ自体は当業者に知られており、従ってさらに詳細には説明されない)に追従する。このようにして、前記ユニット(9)は、両矢印「X」及び「Y」によって概略的に示されるように、前記構造(S)上で、即ち、前記プラットフォーム(1)上で水平に移動され得る。前記ユニット(9)は、前記キャリッジ(10)の対応する面(103)に配置された垂直ガイド(102)によって前記キャリッジ(10)に拘束され、そして前記垂直ガイド(102)に沿ってその運動(Z)を制御する電動アクチュエータ(104)に接続されている。従って、前記ユニット(9)は、前記プラットフォーム(1)に対して接離自在に垂直に移動することもできる。前記ユニット(9)を前記方向(X、Y、Z)に沿って移動させるための機構は、任意の他の適切なタイプであってもよいことが理解される。
【0018】
前記ユニット(9)は、垂直ガイド(102)によってキャリッジ(10)に連結された本体(90)を備えている。前記本体(90)は中空であり、そしてその内部には、垂直空気圧アクチュエータ(91)が取り付けられており、そのステムは前記本体(90)の上壁(900)を貫通している。逆「L」字形状のブラケット(92)がアクチュエータのステム(91)に取り付けられており、その垂直部分も前記本体(90)の上壁(900)を自由に貫通する。前記ブラケット(92)の水平部分は、シャフトが垂直で下方に向いているステッパモータ(93)の支持体として作用する。ナットねじブッシュ(94)が前記モータ(93)に適用され、そして対応するねじロッド(95)の上側によって係合される。前記ロッド(95)の下側には、半径方向穴(97)を備えた管(96)があり、その上にフレキシブル導管(図面では見えない)が挿入されており、これにより前記管(96)に圧縮空気を供給する。前記管(96)は前記本体(90)の内側を通り、前記本体の下壁(901)を越えて延びる。前記モータ(93)に関連する前記ロッド(95)は、前記本体(90)の上壁(900)を貫通している。前記管(96)の下側には、圧縮空気が前記管(96)に供給されると膨張する膨張可能なパッド(98)が取り付けられている。底部において、前記管(96)は閉鎖され、以下にさらに説明するように、前記ピストン(5)の各々に挿入されるように意図された先端部(99)で終端する。実際には前記アクチュエータ(104)が前記ガイド(102)に沿って前記ユニット(9)の前記本体(90)の動きを制御するが、一方、前記アクチュエータ(91)は前記本体(90)に対する前記モータ(93)の垂直方向の動きを制御し、そして前記モータ(93)は前記管(96)の垂直方向の動きを独立して制御する。
【0019】
従って、前記プラットフォーム(1)上に配置された容器に対する前記管(96)の垂直方向の動きは、前記アクチュエータ(104)、前記アクチュエータ(91)及び前記モータ(93)の組み合わされた作用によって制御可能である。
【0020】
前記ロッド(95)と前記管(96)とからなるセットは、前記ハーフピペットの前記ピストン(5)を駆動するためのロッドを構成する。
【0021】
添付図面に示す例では、前記ロッド(95)及び前記管(96)は互いに垂直及び同軸である。
【0022】
前記本体(90)は、その下側に、以下にさらに説明するように、ハーフピペットと係合し、それぞれ解放するように意図された3つの半径方向顎部(RP)を有する自己センタリング空気式半径方向把持具(P)を備える。前記把持具(P)は、それ自体公知の構成要素である。前記顎部(RP)は以下にさらに説明するように、各ハーフピペットの上部カラー(40)と係合するようにL字形であることが好ましい。
【0023】
各ピストン(5)は、その側面が上を向いている中央空洞(52)を有している。好ましくは、前記空洞(52)が膨張可能なパッド(98)との係合を容易にするために円形断面を有する。さらに、好ましくは、前記空洞(52)の上部(520)が円錐形状を有し、これにより、前記先端部(99)及び前記パッド(98)が前記空洞内に入るのを助けかつガイドする。
【0024】
前記ハーフピペット(4,5,6)の前記バレル(4)の上部(40)は、把持具(P)の顎部(RP)によるその係合を容易にするために、カラーのような形状であるのが好ましい。前記バレル(4)の上部(40)は、また、容器(2)の各々に配置された管(T2)の上縁に載ることができ、そして前記バレルが把持具(P)によって係合されていない時、バレル自体のためのアダプタ支持体として作用する。実際には、前記管(T2)が前記ハーフピペット(4,5,6)をそれぞれの容器(2)内の垂直位置に保持することを可能にする。
【0025】
上述の装置の可能な動作モードは以下の通りである。
【0026】
なされる投与量に従って前記キャリッジを移動させるプログラム可能な電子ユニット(図面では見えない)によって制御される当該キャリッジ(10)は、所望の液体を収容しかつ前記それぞれのハーフピペット(4,5,6)が挿入される容器(2)上に運ばれる。この時点で、前記アクチュエータ(104)は前記ユニット(9)を選択された容器(2)に向かって下降させるように指令し、その後、前記アクチュエータ(91)は前記本体(90)に対する群(92,93,95,96)の下降を指令しかつ上記選択された容器(2)に挿入された前記ハーフピペットの前記ピストン(5)の空洞(52)内への先端部(99)及びパッド(98)の挿入を決定する。続いて、前記把持具(P)が作動され、そして前記バレル(4)の上部カラー(40)を把持する。次いで、圧縮空気が前記管(96)内に供給され、これが前記空洞(52)内の前記パッド(98)の膨張を決定する。従って、前記ピストン(5)は前記ロッド(95,96)と関連している。前記ステッパモータ(93)によるロッド(95,96)のその後のリフティングは、前記容器(2)からの所定量の液体の採取を決定する。前述の動作は、
図6A-6Fに概略的に示されている。この時点で、
図6Gに示されるように、前記ユニット(9)は前記動作とは逆の移動で上昇され、前記キャリッジ(10)は
図7Aに示されるように、前記ハーフピペットに吸引された液体の所定の用量を受け入れることが意図される容器(3)に対応して、前記把持具(P)によって把持された前記ハーフピペット(4,5,6)と共に、前記ユニット(9)を移送する。そして、
図7B-7Dに模式的に示すように、前記ユニット(9)は前記容器(3)から所定の距離まで降下し、前記パッド(98)は収縮し、前記管(96)への圧縮空気の供給を中断し、そして前記容器(3)に分配される液体の用量に対応する値だけ前記ステッパモータは前記ピストン(5)の降下を作動させる。この操作が完了すると、前記キャリッジ(10)は前記ハーフピペット(4,5,6)を有する前記ユニット(9)を出発容器(2)に戻し、そして前記動作とは逆の移動で、前記ハーフピペット(4,5,6)をこの容器上に再配置する。続いて、前記アクチュエータ(91)が群(92,93,95,96)のリフティングを制御し、そして前記把持具(P)が前記ハーフピペット(4,5,6)を解放する。
【0027】
完全なピペットは各容器(2)と関連していないが、反対に、ピストン作動ロッドのないピペットが関連しており、そして1つの作動ロッドのみが液体の採取及び分配のために使用されるので、装置の全体的なコストは既知の装置と比較して低減される。同時に、ハーフピペットに含まれるピストンを作動させるためのロッドが液体と接触しないので、汚染がなく、中間洗浄が必要とされない。
【0028】
実際には、本装置は各ピストン(5)に係合して作動させるようになっている1つのロッド、即ち、前記ユニット(9)のロッドのみを備えている。上述のように、前記ピストン(5)は前記ユニット(9)のロッドによって可逆的に係合されるように構成され、そして逆もまた同様であり、当該ロッドは、前記ピストン(5)と可逆的に係合するように構成される。上記に提示した例によれば、前記ピストン(5)の空洞(52)は、次に、前記空洞(52)と係合するように構成されている前記ユニット(9)によって提供されるロッドによって係合される。より一般的に言えば、本発明によれば、各ピストン(5)は前記ロッドによって直接かつ可逆的に係合可能な表面を備え、当該ロッドは各ピストン(5)を作動させるための唯一の作動ロッドである。但し、ピストン(5)が前記ユニット(9)によって提供される作動ロッドによって係合されている場合にのみ、ピストン(5)はそれぞれのバレル(4)の内側にポンピング装置を形成する。
【0029】
好ましくは、前述したように、液体投与工程は前記パッド(98)を収縮させた後に実施される。これは投与段階におけるより高い精度を決定する。何故なら、前記パッド(98)の空気膨張による弾性が排除されるため、前記ロッド(96)によって行われる押圧作用は前記弾性によって影響されないからである。
【0030】
前記キャリッジ(10)及び上記アクチュエータの作動は、産業オートメーション技術者に既知のタイプの制御ユニットによって制御される。
【0031】
従って、本発明による容積投与量を有する液体の制御された採取及び分配のための装置は、プラットフォーム(1)が採取及び投与されることになっている液体物質を入れる第1の一連の容器(2)と、第1の一連の容器(2)に入っている物質の所定の投与量を受け取るように適合された第2の一連の容器(3)とを収容するように配置された構造(S)を含み、前記装置は前記第1の一連の容器(2)から液体を採取しかつその液体を所定の投与量で前記第2の一連の容器(3)に分配するための手段をさらに含み、前記第1の一連のそれぞれの容器(2)の液体で満たすことができる容積を画定するバレル(4)と、作動ロッドのないピストン(5)と、液体を吸引及び注入することができる針(6)とからなるハーフピペットが前記第1の一連の各容器(2)に挿着され、前記第1の一連の容器(2)から液体を採取しかつその液体を前記第2の一連の容器(3)に分配するための手段が、各ハーフピペット(4,5,6)のピストン(5)と係合して作動させるように適合された垂直ロッド(95,96)を備えたユニット(9)を含み、当該ユニット(9)は前記プラットフォーム(1)の上方でさらに移動可能とされているキャリッジ(10)に拘束され、当該ユニット(9)は前記プラットフォーム(1)に対して垂直方向に接離自在に移動可能とされている。
【0032】
本発明の可能な実施形態によれば、好ましくは、前記ユニット(9)は、前記キャリッジ(10)の対応する面(103)に配置された垂直ガイド(102)によって前記キャリッジ(10)に接続され、かつ前記垂直ガイド(102)に沿ったその運動(Z)を制御する電動アクチュエータ(104)に接続されている。
【0033】
さらに、好ましくは、前記ユニット(9)は中空体(90)を備え、当該中空体は垂直ガイド(102)によって前記キャリッジ(10)に固定されかつその内部に前記ロッド(95,96)が垂直方向に貫通して配置されており、そして当該ロッドは垂直軸を有する対応するアクチュエータ(91)によって前記中空体(90)の内部を垂直方向に移動させられる。
【0034】
前記垂直軸アクチュエータ(91)は前記中空体(90)の内部に配置されることが好ましい。
【0035】
好ましくは、前記ロッド(95,96)がその垂直的な動きを制御するアクチュエータ(93)に接続された第一の部分(95)と、管状体(96)によって構成された第二の部分とを含み、当該第二の部分(96)の空気の導入に起因して膨張可能なパッド(98)が膨張する時、各ピストン(5)の内部に設けられた空胴(52)と係合するように適応された膨張可能なパッド(98)の膨張のために前記第二の部分に空気を導入することが可能である。
【0036】
好ましくは、前記管状体(96)が拡張可能なパッド(98)の下に設けられた先端部(99)を有する。
【0037】
好ましくは、前記パッド(98)が前記ピストン(5)自体を上昇させる段階においてのみ前記ピストン(5)と係合する。
【0038】
しかしながら、実際には、実行の詳細が記載され且つ図示された個々の要素に関して均等の態様で、それによって、採用された解決策の概念から逸脱することなく、従って、添付の特許請求の範囲によって定義されるように本特許によって付与される保護の範囲内にとどまる状態で変更することができる。
【国際調査報告】