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特表2022-532121海洋構造物と海底杭との間の機械的連結方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】海洋構造物と海底杭との間の機械的連結方法および装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/52 20060101AFI20220706BHJP
   E02D 27/16 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
E02D27/52 A
E02D27/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566224
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 GB2020051117
(87)【国際公開番号】W WO2020225561
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】1906375.9
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521485852
【氏名又は名称】カーリー オーシャン システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Caley Ocean Systems Limited
(71)【出願人】
【識別番号】521485863
【氏名又は名称】ホウルダー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Houlder Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン,グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】デメニシス,ルイス
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA08
2D046DA62
(57)【要約】
海洋構造物(2)を海底杭(1)に連結するための方法は、構造物の連結部分(14)を海底杭の内部に挿入するステップを含む。連結部分(14)は、外向きに移動可能な複数のクランプ部材(5)を備える。複数のクランプ部材(5)の各々を移動させて、海底杭の内面と保持接触させることで、機械的連結が得られる。本方法は、連結を恒久的なものにするためにグラウトを注入するステップも含むことができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物を海底杭に連結するための方法であって、
a)前記海底杭の内部に構造物の連結部分を挿入するステップであって、前記連結部分が、外向きに移動可能な複数のクランプ部材を有する、ステップと、
b)前記複数のクランプ部材の各々を外向きに移動させて、前記海底杭の内面に保持接触させるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記クランプ部材が、保持接触を解除するために、引き込み可能であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記クランプ部材が、前記連結部分で間隔を空けて配置され、その外周の周りの間隔を空けた位置で、かつ/または杭の長さに沿って軸方向に間隔を空けた位置で、杭の内面に接触するようになっていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材が、作動時にその外周の周りの実質的に等間隔の位置で杭の内面に接触するように前記連結部分に分散配置されていることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材が、前記海底杭の内面に作用する直径方向に反対向きの保持力を生成するために、反対側に位置するペアで連結部分に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、
前記複数のクランプ部材が、第1および第2のグループのクランプ部材を含み、前記第1のグループが、前記連結部分にその長さに沿ったある位置に設けられ、前記第2のグループが、前記連結部分の長さに沿った異なる位置に設けられていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記クランプ部材の各グループの部材が、その外周の周りの間隔を空けた位置で海底杭の内面に接触するように配置されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材がそれぞれ、前記海底杭の内面に一致する形状の、前記海底杭の内面に接触するための接触面を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材がそれぞれ、テクスチャが施された、前記海底杭の内面に接触するための接触面を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材がそれぞれ、シリンダ装置の流体圧ピストンから延びるピストンを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記クランプ部材の少なくとも1つが、シリンダ装置のそれぞれのピストンから構成されるか、またはシリンダ装置のそれぞれのピストンから本質的に構成されており、前記ピストンの端部が、前記海底杭の内面に保持接触で接触することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
前記クランプ部材の少なくとも1つが、前記海底杭の内面に保持接触で接触するような形状の接触面要素、および/または前記海底杭の内面に保持接触で接触するようにテクスチャが施された接触面要素を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか一項に記載の方法において、
前記ピストンが複動式であることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、
少なくとも2のクランプ部材がクランプアセンブリに設けられ、
各クランプ部材が、シリンダ装置の流体圧ピストンから延びるピストンを含み、
シリンダ装置の各ピストンが、クランプアセンブリ部材の端部に取り付けられ、前記ピストンが、アセンブリから反対方向に外側に向かって延び、前記海底杭の内面に作用する直径方向に反対向きの保持力を提供することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記クランプアセンブリ部材が、円筒形の管であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材がクランプアセンブリに設けられ、このアセンブリの各クランプ部材が、シリンダ装置のピストンからなるピストンを含み、
前記クランプアセンブリが、各端部から伸長可能なピストンを有する単一のシリンダを備え、前記シリンダが、2つのピストンの間の壁によって2つのチャンバに分割され、それにより各ピストンが受ける流体圧が分離されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材がそれぞれ、スクリュジャッキ装置のスクリュを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法において、
前記クランプ部材がクランプアセンブリに設けられ、このアセンブリの各クランプ部材が、スクリュジャッキのスクリュを含み、
各スクリュジャッキが、クランプアセンブリ部材の端部に取り付けられ、前記スクリュが、アセンブリから反対方向に外側に延びて、前記海底杭の内面に作用する直径方向に反対向きの保持力を提供することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の方法において、
前記連結部分と杭が前記クランプ部材によって連結される際に、前記連結部分と前記杭の内面との間の環状空間にグラウト材料を注入するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記連結部分および/または海底杭の内面には、長さ方向に沿ってテクスチャが設けられ、
複数のクランプ部材のうちの第1のグループが、前記連結部分において、表面テクスチャの上方に設けられ、複数のクランプ部材のうちの第2のグループが、表面テクスチャの下方に設けられていることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の方法において、
グラウトが固まった後に、前記海底杭の内面と接触しないように前記クランプ部材を引っ込めるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
前記クランプ部材を引っ込めた後に残った空隙が充填されることを特徴とする方法。
【請求項23】
海洋構造物を海底杭に注入するための方法であって、
a)前記海底杭の内部に構造物の連結部分を挿入するステップであって、前記連結部分が、外向きに移動可能な複数のクランプ部材を有する、ステップと、
b)前記複数のクランプ部材の各々を外向きに移動させて、前記海底杭の内面に保持接触させるステップと、
c)前記連結部分と杭の内面との間の環状空間にグラウト材料を挿入するステップと、
d)前記グラウト材料を硬化させるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
構造物を杭に連結するための方法であって、
a)杭の内部に構造物の連結部分を挿入するステップであって、前記連結部分が、外向きに移動可能な複数のクランプ部材を有する、ステップと、
b)前記複数のクランプ部材の各々を外向きに移動させて、前記杭の内面に保持接触させるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1乃至24の何れか一項に記載の方法に使用するクランプアセンブリであって、
2つのクランプ部材を備え、各クランプ部材が、シリンダ装置の流体圧ピストンから延びるピストンを備え、
シリンダ装置の各ピストンが、クランプアセンブリ部材の端部に取り付けられ、前記ピストンが、使用時にアセンブリから反対方向に外に向かって伸長することを特徴とするクランプアセンブリ。
【請求項26】
請求項25に記載のクランプアセンブリにおいて、
前記クランプアセンブリ部材が、円筒形の管であることを特徴とするクランプアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋構造物を1または複数の海底杭に連結するための装置および方法に関するものである。海洋構造物は、石油およびガスプラットフォーム用のジャケット、または風力タービン設備用のマストまたは他の構造物であってもよい。
【背景技術】
【0002】
典型的な(先行技術の)アセンブリが、図1および図1aに示されている。海洋構造物の設置において重要な要素は、海底3にある海底杭1と、上方に延在する構造物2(「ジャケット」すなわち、例えば石油プラットフォームを支持するための下部構造物が図面に描かれている)との間の連結である。
【0003】
それら構造物の一般的な構成は、海底3に打ち込まれた単一または複数の円形の杭1を含み、その上に構造物2が配置される。構造物は、多くの場合、杭1の内部で下方に延びる要素(例えば、脚、または脚延長部または「スタブイン」6-図1a)を有し、構造物を杭上に配置するとともに、オーバーラップの領域を提供する役割を果たす。
【0004】
この要素6と杭1の内部との間の間隙4は、最終的に、一般にグラウトと呼ばれるセメントまたはセメント状の媒体で満たされる。このグラウトは、流体の形態で環状空隙4に導入され、時間をかけて固化して剛性の高い固体材料となる。
【0005】
制約がない場合、構造物と杭は、おそらく波の作用や設置場所に特有の他の環境条件によって、互いに相対的に動くことが理解される。グラウトが定位置に配置された後であって、グラウトが固まる前に、このような相対的な動き発生した場合、最終的に固化したグラウトの機械的強度に望ましくない有害な影響を与える可能性がある。弱い連結は、海洋構造物の寿命を損ない、それが早期のまたは予期せぬ障害を引き起こし、機器や環境へのダメージ、さらには人命の損失につながる悪影響を与える可能性がある。
【0006】
そのため、グラウトが固まるまでに必要な期間、構造物と杭のと間の相対的な動きを可能な限り制限することが非常に重要である。それには、構造物を杭に固定する一時的な方法を採用する必要がある。
【0007】
これに対する現在の解決策は、構造物に取り付けられるクランプのようなデバイスを伴い、それが頂部で杭1の外周に作用する。しかしながら、グラウトが結合を形成するのに十分な表面積を確保するためには、杭1の内部にある構造物の要素6が、杭の頂部から海底に向かってある程度の距離を伸ばす必要がある。現在のクランプの設計では、杭の頂部の局所的な領域で動きを制限するだけである。
【0008】
一般的に、最終的なグラウト連結部の主な強度は、構造物2と杭1との間の間隙4の頂部ではなく、海底3に向かってさらに下方の距離にあると考えられている。既存のクランプ設計は、相対的な動きの制限が最も重要な領域では直接機能しない。それらの既存のクランプ設計が最初に想定されて以来、最終的なグラウト強度に対する僅かな相対的な動きの影響についての理解が深まり、その結果、認証機関により許容される動きに関するガイダンスがより厳しくなっている。
【0009】
既存のクランプ設計では、クランプ要素を保持するために追加の製作物を構築する必要もあり、一般的には流体圧シリンダ(シリンダ装置の流体圧で動くピストン)が採用されている。この製作物は、多くの場合、時間のかかる溶接によって主構造物に接合される。
【0010】
最小許容たわみ量に関する新たな要求を満たすために、クランプの製作物は設計がより困難になり、構造も複雑になり、その結果、製造コストも高くなることが多い。また、それらのクランプは最も重要な領域で直接作用していないため、たとえ使用時にそれらのクランプが100%の剛性を持つことができたとしても、クランプと、固体グラウトの最終的な強度にとって最も重要な領域との間の距離にわたって主構造物が撓んだり歪んだりする可能性があるため、その有効性は大幅に制限されると云える。
【0011】
そのため、連結方法の改善が求められている。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、海洋構造物を海底杭に連結するための方法を提供するものであり、この方法が、
a)海底杭の内部に構造物の連結部分を挿入するステップであって、連結部分が、複数の外向きに移動可能なクランプ部材を有する、ステップと、
b)複数のクランプ部材の各々を外向きに移動させて、海底杭の内面に保持接触させるステップとを備える。
【0013】
典型的には、海底杭はほぼ円筒形であり得る。構造物の連結部分は、ジャケット脚部または他の部材の端部、典型的には管状の、典型的には断面が円筒形の部材の端部であり得る。管状のほぼ円筒形の連結部分は、本質的に恒久的な連結を提供するためにグラウト注入処理が採用される海底杭への連結にしばしば使用される。例えば、連結部分は、風力タービン設置用の管状マストの端部であるか、またはその端部に取り付けられるものであってもよい。代替的な連結部分として、杭に連結される構造物の一部である鉄骨梁または鉄骨格子(パイプや桁)なども考えられる。
【0014】
本方法によって提供される連結は、一時的なものであってもよい。提供される方法は、構造物と海底杭との間に恒久的または実質的に恒久的な連結を形成するために、例えばグラウト注入ステップまたは溶接ステップなどの更なるステップを含むことができる。
【0015】
複数のクランプ部材の各々は、外向きに移動可能である。また、クランプ部材は、引き込み可能であってもよい。引き込み可能なクランプ部材は、グラウト注入ステップを含む方法、または、後述するように、連結が一時的なものである場合に使用することができる。
【0016】
クランプ部材は、連結部分で間隔を空けて配置され、作動時に、その外周の周りの間隔を空けた位置で、かつ/または杭の長さに沿って軸方向に間隔を空けた位置で、杭の内面に接触するようになっている。そのような配置により、連結部分を、環状空間を挟んで、海底杭に固くまたは相対的に固く連結することができる。そのような配置により、構造物および杭が、例えば強い波の動きから大きな応力を受けたとしても、非常にしっかり固定されて適切な剛性を備えた連結を提供することができる。
【0017】
複数のクランプ部材は、作動時にその外周の周りの実質的に等間隔の位置で杭の内面に接触するように連結部分に分散配置されるものであってもよい。クランプ部材が等間隔に配置されていない構成も考えられる。例えば、構造物や構造物に加わる力によって、杭との連結部分に不均一な荷重がかかる場合に予想される力に適切に対応するために、異なる間隔の配置を提供することができる。
【0018】
クランプ部材は、海底杭の内面に作用する直径方向に反対向きの保持力を生成するために、反対側に位置するペアで連結部分に取り付けられるようにしてもよい。
【0019】
複数のクランプ部材は、第1および第2のグループのクランプ部材を含むことができる。例えば、複数のクランプ部材のうち、第1のグループは、連結部分にその長さに沿ったある位置に設けられ、第2のグループは、連結部分の長さに沿った異なる位置に設けられるものであってもよい。クランプ部材の各グループの部材は、その外周の周りの間隔を空けた位置で海底杭の内面に接触するように配置されるものであってもよい。
【0020】
クランプ部材は、外向きに移動して海底杭の内面と保持接触する。クランプ装置のいくつかの任意選択的な特徴については後で述べる。
【0021】
保持作用を助けるために、クランプ部材は、杭の内面に一致する形状の接触面を含むことができる。例えば、湾曲した接触面は、典型的な円筒形の管状杭の曲率に適合することができる。また、クランプ部材と海底杭との間の摩擦係数を増加させるために、例えば、突起および/またはリッジを有するテクスチャが施された接触面をクランプ部材に提供することが有利となる場合がある。海底杭の内面は、グリップを向上させるためにそれ自体にテクスチャが施されるようにしてもよい。
【0022】
クランプ部材は、様々な形態をとることができ、様々な方法で動作させることができる。好都合なことに、クランプ部材は、流体圧シリンダアセンブリから延びるピストンを含むことができ、すなわち、構造物の連結部分に取り付けられるクランプアセンブリは、シリンダ装置の流体圧ピストンを含むことができる。クランプ部材は、ピストンで構成することができ、あるいは本質的にピストンで構成することができる。ピストンの端部は、海底杭の内面に接触することができる。ピストンの端部は、成形された、かつ/またはテクスチャが施された接触面を有することができる。ピストンの端部は、それに取り付けられた成形および/またはテクスチャ加工された接触面要素を有することができる。適切な流体圧回路からの流体圧で駆動されると、ピストンは、ピストン端部の接触面、または接触面要素の接触面が、海底杭の内面にグリップ接触で係合するまで伸長する。
【0023】
このような流体圧回路を使用することで、制御可能な方法で実質的なクランプ圧を加えることができる。使用する流体圧は、ポンプを継続して使用することなく、流体圧回路内に閉じ込めて継続的な圧力を可能にすることができる。さらに、流体圧回路内の圧力は、ピストンおよびシリンダ装置から離れた位置で監視することができる。
【0024】
流体圧シリンダ装置が採用される場合、ピストンは複動式とすることができ、シリンダ壁と密封接触するピストン本体部のどちらか一方に作動流体を供給することができ、これにより、ピストンは外向きに伸長するだけでなく、引っ込めることもできる。
【0025】
構造物の連結部分に取り付けるためのクランプアセンブリを形成するために、1または複数のシリンダ装置の流体圧ピストンを提供することができる。
【0026】
流体圧シリンダとピストンの構成を含むクランプアセンブリは、構造物の連結部分に別々に取り付けることができる。
【0027】
都合の良い配置構成では、クランプアセンブリが、各端部から伸長可能なピストンを有する単一のシリンダを備えることができる。シリンダは、2つのピストンの間の壁によって2つのチャンバに分割され、それにより各ピストンが受ける流体圧が分離される。このような「両頭」アセンブリは、海底杭の内面に作用する直径方向に反対向きの保持力を提供するように、連結部分に提供することができる。
【0028】
より経済的に製造することができる同様の都合の良い配置構成では、2つのシリンダを採用することができ、それぞれがクランプアセンブリ部材の端部に取り付けられ、例えば、円筒形の管のどちらかの端部に取り付けられる。ピストンは、アセンブリの各シリンダから外に向かって伸びる。シリンダは、ピストンが反対方向に外に向かって伸長するように取り付けられている。この形式の両頭アセンブリは、連結部分に取り付けて、海底杭の内面に作用する直径方向に反対向きの保持力を提供することもできる。
【0029】
シリンダ装置の流体圧ピストンを利用するクランプアセンブリの代わりに、スクリュジャッキ装置を同様の方法で利用して、外向きに移動可能なクランプ部材を提供することもできる。クランプ部材は、スクリュで構成することができ、あるいは本質的にスクリュで構成することができる。スクリュの端部は、海底杭の内面に接触することができる。スクリュの端部は、成形および/またはテクスチャ加工された接触面を有することができる。スクリュの端部は、それに取り付けられた成形および/またはテクスチャ加工された接触面要素を有することができる。スクリュジャッキは、電気的に、より好ましくは流体圧的に動力が供給されるものであってもよい。動力が供給されると、スクリュの端部の接触面または接触面要素の接触面が海底杭の内面に保持接触で係合するまで、スクリュが伸長する。
【0030】
スクリュジャッキ装置から構成されるクランプアセンブリは、構造物の連結部分に別々に取り付けることができる。代替的には、両頭構成を提供することもできる。すなわち、2つのスクリュジャッキを含むクランプアセンブリを採用することができ、それぞれがクランプアセンブリ部材の端部に取り付けられ、例えば、円筒状の管のどちらかの端部に取り付けられる。スクリュは、アセンブリの各ジャッキから外に向かって伸びる。この形式の両頭アセンブリは、連結部分に取り付けて、海底杭の内面に作用する直径方向に反対向きの保持力を提供することもできる。
【0031】
第1の態様の方法は、連結部分と杭がクランプ部材によって連結される際に、連結部分と杭の内面との間の環状空間にグラウト材料が挿入されるグラウト注入ステップも含むことができる。その後、グラウトを硬化させることができる。強力なグラウト連結を形成するために、環状空間の軸方向の長さに沿ってグラウトを提供することができる。軸方向の長さは、大型のアセンブリの場合、例えば、数メートルになることがある。
【0032】
先行技術のグラウト処理では、溝および/またはリッジなどの表面テクスチャ(「キー」とも呼ばれる)を、杭の内面の長さに沿って、連結部分の対応する長さに設けることができる。表面テクスチャは、杭からグラウト層への、かつグラウト層から連結部分への、しっかり固定された剛性の高い連結を提供するのに役立つ。
【0033】
都合の良い配置構成では、複数のクランプ部材のうちの第1のグループが、連結部分において表面テクスチャの上に設けられ、複数のクランプ部材のうちの第2のグループが、表面テクスチャの下に設けられるようにしてもよい。これにより、表面テクスチャが設けられる場合に、長さに沿ったグラウト連結を、クランプ部材から干渉を受けることなく行うことができる。これは、連結部分と杭のキー付きの長さにわたって、より確実な連結を提供するのに役立つ可能性がある。
【0034】
さらに、クランプ部材の第1のグループと第2のグループとの間の軸方向の間隔は、構造物および杭が、例えば強い波の動きから大きな応力を受ける場合でも、非常にしっかり固定されて適切な剛性を有するグラウト注入前の初期連結を提供することができる。
【0035】
グラウトが固まった後、クランプ部材と海底杭との間の保持接触によってアセンブリの部品(海底杭、連結部分およびクランプ部材)にかかる圧力を緩和することが望ましい場合がある。これは、例えば、加えられた流体圧を除去して、接触圧力を低く、あるいはゼロレベルに低減することによって行うことができる。さらに、例えば、クランプ部材は、杭との接触から離れるように引っ込められるようにしてもよい。クランプ部材と海底杭との間の接触を取り除くことは、望ましくないガルバニック腐食を引き起こす可能性のあるそれら構成要素間の電気的接続(導電経路)を除去するという利点もある。
【0036】
典型的には、グラウト注入ステップが採用される場合、クランプ部材はグラウトによって囲まれ得る。その場合、クランプ部材を引っ込めると、空隙が残ることになる。本方法は、その後、例えば連結部分からまたは連結部分を介して供給される流体で、例えば、空隙を埋めるステップを含むことができる。
【0037】
上述したように、連結方法は、グラウト注入ステップを含むことができる。したがって、第2の態様によれば、本発明は、海洋構造物を海底杭に注入するための方法を提供し、この方法が、
a)海底杭の内部に構造物の連結部分を挿入するステップであって、連結部分が、複数の外向きに移動可能なクランプ部材を有する、ステップと、
b)複数のクランプ部材の各々を外向きに移動させて、海底杭の内面に保持接触させるステップと、
c)連結部分と杭の内面との間の環状空間にグラウト材料を挿入するステップと、
d)グラウト材料を硬化させるステップとを備える。
【0038】
第2の態様の注入方法は、第1の態様の連結方法が一時的であり得るのに対し、当該注入方法が恒久的または実質的に恒久的な連結を典型的に形成することを除いて、第1の態様に関して本明細書に記載のすべてのステップおよび装置を含むことができる。
【0039】
上述した方法および装置は、海洋構造物を海底の杭に連結するためのものであるが、構造物と杭との間の一時的または恒久的な連結の形成に使用するために、陸上環境で採用することもできる。
【0040】
したがって、第3の態様によれば、本発明は、構造物を杭に連結するための方法を提供し、この方法が、
a)杭の内部に構造物の連結部分を挿入するステップであって、連結部分が、複数の外向きに移動可能なクランプ部材を有する、ステップと、
b)複数のクランプ部材の各々を外向きに移動させて、杭の内面に保持接触させるステップとを備える。
【0041】
第3の態様の方法は、第1および第2の態様に関して本明細書に記載のすべてのステップおよび装置を含むことができる。
【0042】
第4の態様によれば、本発明は、本明細書に記載の本発明の方法で使用するためのクランプアセンブリを提供し、このクランプアセンブリが、2つのクランプ部材を含み、各クランプ部材がシリンダ装置の流体圧ピストンから延びるピストンを備え、
シリンダ装置の各ピストンが、クランプアセンブリ部材の端部に取り付けられ、ピストンが、使用時にアセンブリから反対方向に外に向かって伸長する。
【0043】
クランプアセンブリ部材は、円筒形の管であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、海底3の定位置にある海底杭1および支持構造物2の1つの可能性のある配置構成を示している。図1aは、先行技術の海底杭と構造物の連結を断面図で詳細に示している。
図2図2は、環状間隙4を横切って延びる互いに反対側に位置するクランプ部材5の単一のペアを有する杭1および構造物2の一部の断面を示している。
図3図3は、中間構造体7に組み込まれてクランプアセンブリ8を形成する流体圧シリンダのペアを示している。
図4図4は、杭の頂部から異なる距離に、杭の長手方向軸に対して異なる向きに複数のクランプアセンブリ8が配置された、杭と構造物の一部の説明図を示している。
図5図5は、杭の頂部から異なる距離に、杭の長手方向軸に対して異なる向きに複数のクランプアセンブリ8が配置された、杭の一端から見た杭および構造物の一部の説明図(すなわち、断面図)を示している。図5aは、図5と同様の説明図であるが、構造物と杭が偏心している場合を示している。
図6図6は、クランプ部材の端部が杭の内面と接触するように成形された、杭の一端から見た杭およびクランプ部材の断面図である。
図7図7は、杭と接触するクランプ部材の端部を成形するための3つの可能性のある異なる方法の説明図、リッジ10、突起11、および別個の材料片12から形成されてクランプ部材5に連結される接触部を示している。
図8図8は、本発明に係る海底杭と構造物の連結を断面図で詳細に示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面を参照した本発明の簡単な概要
本発明の方法は、最も重要な領域に直接作用することにより、構造物2と杭1(図1)との間の動きを制限する改良された手段を提供する。また、本発明は、既存の設計で必要とされる複雑な製作物の必要性も排除する。
【0046】
本発明は、杭6の内部に延びて杭の内面と接触する構造物2の要素から外向きに作用することによって機能する(図2)。このようにして、機械的な連結を提供するクランプ部材5は、杭の頂部に位置することに限定されず、より低い下方の位置に配置されて、最も重要な領域に直接作用することができる。
【0047】
本発明は、伸長状態において単純な構造体7の両端部に配置される2つのクランプ部材5を含むことができる(図3)。このユニットは、杭1の内側で突き出て定位置にしっかりと固定されることが意図される構造物2の部分の穴に通される。
【0048】
構造物が杭に対して定位置に配置されると、クランプ部材は環状間隙4を横切って伸長し、外向きの方向に力を加えて杭の内面に作用する。これにより、クランプ部材5の間の構造体7が主に圧縮状態となり、その結果、単純な構造にすることができるという利点がある。
【0049】
クランプ部材は好ましくは流体圧シリンダであり、この流体圧シリンダはデバイスに対して遠隔でまたは現地で操作することが可能である。これらの流体圧シリンダは、管状構造体などの中間構造体8に組み込まれて、クランプアセンブリを形成することができる(図3)。
【0050】
複数のこれらのアセンブリ8を、全体的な設置の具体的な要件に合わせて、様々な高さ(図4)および半径方向の角度(図5)で設置することができる。
【0051】
複数のこれらのアセンブリを単一の状況で使用すると、複数の方向から構造物に作用する力に対しても、杭と構造物の相対的な位置を僅かなマージン内に維持することができる。
【0052】
杭の内面と接触するクランプ部材5の端部9は、部材が杭に及ぼす力の均等な分散を容易にするような形状であってもよい(図6)。
【0053】
具体的な設置の要件に応じて、クランプ部材と杭との間の摩擦係数を増加させて、部材の主軸に沿った方向以外の方向への動きに抵抗するように、杭に接触するクランプ部材の端部を一連の突起11またはリッジ10の形状にすることも有利である(図7)。クランプ部材および杭の製造に使用される具体的な材料に応じて、この形状の接触部を別個の材料片12(図7)から作成し、それを部材に取り付けることが有利な場合もある。このようにして、異なる材料の特性を利用して、クランプ部材と杭との間の摩擦係数をさらに高めることができる。
【0054】
間隙4が適切な媒体で満たされ、その媒体が固体になると、本発明は、望ましくないガルバニック腐食につながる可能性のある杭と構造物との間の電気的接続を確実になくすために、クランプ部材5を引っ込めることができる引き抜き手段を含むことができる。
【0055】
本発明は、以下の非限定的な番号付き条項のように説明することもできる。
【0056】
番号付き条項
1)海洋構造物と海底杭との間の機械的連結方法であって、構造物と杭との間の相対的な動きに抵抗するために、杭の内面に作用することを特徴とする方法。
【0057】
2)第1項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、その連結方法が流体圧シリンダの使用によって達成されることを特徴とする方法。
【0058】
3)第2項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、流体圧シリンダが、杭内に延びる構造体の要素内に組み込まれることを特徴とする方法。
【0059】
4)第2項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、流体圧シリンダが中間構造体の両端部に組み込まれていることを特徴とする方法。
【0060】
5)第3項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、流体圧シリンダのロッドの端部が、杭の内面と一致するように成形されていることを特徴とする方法。
【0061】
6)第3項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、シリンダロッドの外側端部が、シリンダロッド端部と杭の内面との間の摩擦を増加させるように、シリンダが伸長したときに杭の内面に接触する複数のリッジまたは突起を与えるように成形されていることを特徴とする方法。
【0062】
7)第3項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、シリンダロッドの外側端部が、シリンダロッド端部と杭の内面との間の摩擦を増加させるように、シリンダが伸長したときに杭の内面に接触する複数のリッジまたは突起をもたらすように成形された追加の材料片で終端されていることを特徴とする方法。
【0063】
8)第4項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、複数のこのようなアセンブリが主構造物に取り付けられていることを特徴とする方法。
【0064】
9)第8項に記載の海洋構造物と杭との間の機械的連結方法において、複数のアセンブリが、それらが取り付けられている構造物の部分の主軸に対して、様々な高さおよび角度で配置されていることを特徴とする方法。
【0065】
図面の詳細な説明
図1は、予め海底3に打ち込まれた杭1に各脚部が嵌め込まれた3本脚の構造物2(ジャケットアセンブリ)の概略図を示している。
【0066】
模式的な断面詳細図1aに示すように、構造物2の脚部は、杭1の内部に嵌入する連結部分14を有する。この例では、連結部分14が脚部の端部である。
【0067】
連結部分14と杭1の内面との間の環状空間4は、例えば両矢印Lで示唆される長さに沿って、グラウトで満たすことができる。グラウト層の硬化により、構造物2と杭1との間の恒久的な連結が得られる。環状空間4を満たすグラウトの層との良好な連結を確保するために、複数の溝および/またはリッジ16が、杭1の内面の長さに沿って、かつ連結部分14の外面の長さに沿って設けられている。
【0068】
強力な連結を得るためには、グラウトの挿入中およびその硬化中の連結部分14と杭1との間の動きを可能な限り防止しなければならない。先行技術の方法は、矢印Cで示唆されるように、構造物2の脚部を、杭1の頂部またはその近傍で、杭の外側にクランプする。杭1の頂部でクランプすることは、構造物2が、例えば波または潮の動きからの強い力を受ける場合に、杭1内の低い位置での連結部分14の動きを防止する上で効果的ではない可能性がある。
【0069】
図2は、グラウト注入作業を開始する前に、連結部分14と杭1の内面との間に機械的な連結が行われていることを除いて、図1と同様の連結構成を概略斜視図で示している。この機械的連結は、クランプ部材の外向きの動きによってなされ、この例では、クランプ部材が流体圧シリンダ装置18のピストン5である。図2には2つの流体圧シリンダ装置18が示され、ピストン5は、直径方向に反対向きに作用して、杭1の内面と構造物2の連結部分との間に直径方向に反対向きの保持力を与える。
【0070】
模式的な断面図である図3は、例えば、図2に示すような管状の連結部分への取付に使用することができる便利な装置を示している。クランプアセンブリ8は、互いに反対側に2つの流体圧シリンダ装置18が取り付けられた管状構造体7を含む。各流体圧シリンダ装置18は、ピストン5をクランプ部材として取り付ける流体圧シリンダ20を有する。流体圧シリンダ20は、管状構造体7にねじ止めされるものであってもよい。この例では、ピストン5が複動式であり、ピストンとシリンダ壁との間の小さなアニュラス24に流体を送り込むことによって、図示の外側に伸長した位置から引っ込めることができる。流体圧回路のための流体圧ラインは、明確にするために、これらの図面には示されていない。
【0071】
図4は、図3に示した形式のクランプアセンブリ8の使用法を示している。構造物2は、杭1に取り付けられて示されている。杭1の内部の連結部分14は、影で示されている。複数のクランプアセンブリ8が、図示のように、連結部分14の直径を通して取り付けられており、杭1の内面に連結できるようになっている。
【0072】
クランプアセンブリ8の動作は、図5の平面図でより明確に見ることができる。クランプアセンブリ8はそれぞれ、構造物2の連結部分14の直径を横切って取り付けられている。アセンブリ8の端部、例えば管状構造体7の端部22は、連結部分14の壁に溶接されて、強固な取付を提供することができる。
【0073】
図5に示すように、連結部分14は杭1の内側の中心に配置され、各ピストン5(クランプ部材)は、杭1の内面に保持接触するように伸長されている。この例では、ピストン5が連結部分の外周の周りに等間隔で配置され、杭1と構造物2との間に相対的に均等に配置された保持力を提供している。なお、ピストンが等間隔ではない配置も考えられる。その後、必要に応じて、アニュラス4にグラウトを充填して恒久的な連結を形成することができる。
【0074】
図5aは、構造物2の連結部分14が杭1の中心に位置していないことを除いて、図5と同じ図を示している。このような状況は、図1に示す3本脚のジャケット装置のように、構造物2を複数の杭に連結する場合に生じることがある。海底での杭の位置決めに小さな誤差が予想され、杭の中での連結部分の中心から外れた位置決めに繋がる可能性がある。図5aから分かるように、ピストン5は、構造物2と杭1との間の確実な連結を形成するために、様々な程度まで延びることができる。図5の配置構成と同様に、アニュラス4にグラウトを充填して恒久的な連結を形成することができる。
【0075】
図6は、クランプ部材として接近するピストン5とともに、杭1の壁の一部を概略的に示している。ピストン5の端部9は、杭1の内面との係合を改善するように成形されるか、またはテクスチャが施されるようにしてもよい。図7は、クランプ部材の接触面(例えば、ピストン5の端部)にテクスチャを施すためのいくつかのオプションを示している。
【0076】
一連の突起11またはリッジ10は、クランプ部材と杭との間の摩擦係数を増加させるために使用することができ、よって部材の主軸に沿った方向以外の方向への動きに抵抗することができる。クランプ部材および杭の製造に採用された具体的な材料によっては、この形状の接触部を別個の材料片12から作成し、それをクランプ部材本体(ピストン5)に取り付けることが有利な場合もある。このようにして、異なる材料の特性を利用して、クランプ部材と杭との間の摩擦係数をさらに高めることができる。
【0077】
図6は、図1aと同様に、本発明の方法および装置の使用を示す断面図を示している。構造物2のジャケット脚部は、海底杭1の内部に取り付けられる連結部分14として機能する端部を有する。杭1の内面および連結部分14の外面には、グラウト用のキーとして機能するように、長さ方向L1に沿って溝および/またはリッジ16が設けられている。クランプアセンブリ8の2つのグループが提供され、一方が長さL1の上に、他方が長さL1の下に設けられている。各グループのクランプアセンブリ8は、図3図5aに示す形態をとり、(クランプ部材として)ピストン5が外向きに作用する直径方向に反対側に位置する流体圧シリンダ20のペアを有している。
【0078】
この方法では、ピストン5が、流体圧ポンプによって加えられるかなりの力で、杭1の内面をグリップする。杭1と構造物2との間に固定された連結が確立されると、それらの間のアニュラス4にグラウトを充填することができる。グラウトが固まった後(通常は24時間以上経過後)、固体グラウトがしっかり固定された機械的連結を提供するため、流体圧システムの圧力を緩めることができる。代替的には、流体圧シリンダを引っ込めて、杭と構造物との間にグラウトの連結部分のみを残すこともできる。ピストンを引き込むことによりグラウト層に残された空隙は、例えば、アセンブリ8の小さなポート(図示省略)から供給される作動流体などの流体で充填することができる。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図5a
図6
図7
図8
【国際調査報告】