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特表2022-532128自律ビークル及び機械を用いた人及び荷物の複合目的配送用のシステム及び方法
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  • 特表-自律ビークル及び機械を用いた人及び荷物の複合目的配送用のシステム及び方法 図1
  • 特表-自律ビークル及び機械を用いた人及び荷物の複合目的配送用のシステム及び方法 図2
  • 特表-自律ビークル及び機械を用いた人及び荷物の複合目的配送用のシステム及び方法 図3
  • 特表-自律ビークル及び機械を用いた人及び荷物の複合目的配送用のシステム及び方法 図4
  • 特表-自律ビークル及び機械を用いた人及び荷物の複合目的配送用のシステム及び方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】自律ビークル及び機械を用いた人及び荷物の複合目的配送用のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220706BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
B65G61/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566250
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 US2020032250
(87)【国際公開番号】W WO2020227694
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/845,220
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,194
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375324
【氏名又は名称】アジリティ ロボティクス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AGILITY ROBOTICS,INC.
【住所又は居所原語表記】421 NE Water Ave,Suite 1100,Albany,OR 97321 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハースト,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン,ダミオン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【解決手段】 自律型ロボットを搭載した自律ビークルによって、人又は荷物が配送場所に配送され、配送場所でピックアップされる。特定の場所にて荷物のピックアップすること又は特定の場所に荷物を配送することが必要になると、配送ビークルから自律型ロボットが展開されて、玄関先又はその他の所定の場所に荷物を運び、又は、その場所から荷物をピックアップして配送ビークルに持ち帰る。このようなピックアップ又は配送の後、自律型ロボットは再び配送ビークルに格納される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の配送場所に関連付けられている1又は複数のアイテムを配送するための方法において、各配送場所は住所と関連付けられており、前記方法は、
展開可能な運搬ロボットを備えたビークルを用意する工程と、
前記1又は複数の配送場所の住所に基づいて、前記ビークルの配送ルートを決定する工程と、
前記配送ルート上の第1の住所に前記ビークルをナビゲーションする工程であって、前記第1の住所は1又は複数のアイテムと関連付けられている、工程と、
前記運搬ロボットを展開する工程であって、前記運搬ロボットは、前記第1の住所に関連した1又は複数のアイテムを前記ビークルから取り出し、配送場所を特定し、その配送場所に前記1又は複数のアイテムを運び、その配送場所に前記1又は複数のアイテムを置き、前記ビークルに戻るように構成されている、工程と、
前記運搬ロボットを前記ビークルに格納する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
配送場所データを前記運搬ロボットに送る工程を更に含んでおり、前記配送場所データは、センサーデータ及び蓄積データの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
全てのアイテムが配送されるまで、ナビゲーションすることと、取り出すことと、運ぶことと、戻ることと繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
更なる指示を待つためのアイドリング場所に前記ビークルをナビゲーションする工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記運搬ロボットが、ある住所の取得場所から荷物を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1又は複数の追加の場所にて1又は複数の追加アイテムをピックアップする1又は複数の要求を受信して、前記1又は複数の要求に効率的に対応できるか否かを判定する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記配送ルートを変更して、前記1又は複数の追加アイテムのピックアップを組む込む工程を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記運搬ロボット及び前記運搬ロボットの1又は複数は自律的に動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1又は複数の配送場所は、建物の玄関先と予め定められた配送場所の1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1又は複数の配送場所は、旅行者のピックアップ及びドロップオフに関する住所を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記配送ルートを決定する際に、旅行者のピックアップ及びドロップオフに関する住所は、アイテムの配送に関連する住所よりも優先される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
展開可能な複数の運搬ロボットが設けられて、同時に展開される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1又は複数のアイテム又は乗客を複数の経由地で自律的にピックアップする又は複数の経由地に配送する方法であって、各経由地は住所に関連付けられており、前記方法は、
展開可能な運搬ロボットと、収納領域と、乗客セクションとを有するビークルを用意する工程と、
前記複数の経由地の住所に基づいて、前記ビークルのルートを決定する工程と、
前記ビークルを前記ルート上の第1の住所にナビゲーションする工程であって、前記第1の住所は第1のアイテム又は乗客のピックアップ又はドロップオフに関連している、工程と、
前記住所が乗客に関連付けられている場合、前記乗客に前記ビークルへの乗り降りを許可する工程と、
前記住所がアイテムに関連付けられている場合、前記経由地にて前記アイテムを配送する又はピックアップするために前記運搬ロボットを展開する工程と、
を含む、方法。
【請求項14】
前記アイテムを配送する又はピックアップするために運搬ロボットを展開する工程は、
1又は複数のアイテムが配送される場合、前記運搬ロボットを用いて前記ビークルから前記1又は複数のアイテムを取り出し、前記1又は複数のアイテムを経由地に配送し、前記ビークルに戻る工程と、
前記1又は複数のアイテムがピックアップされる場合、前記運搬ロボットを前記経由地までナビゲーションし、配送する1又は複数のアイテムを取得し、前記1又は複数のアイテムを前記ビークルに持ち帰り、前記1又は複数のアイテムを荷物収納領域に置き、前記ビークルに搭乗させる工程と、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
展開機構上に配置された展開可能な運搬ロボットを有する路上ビークルを用いて、荷物及び人の一方又は両方を1又は複数の配送場所に配送する又は1又は複数の配送場所でピックアップするための自律システムにおいて、各配送場所は住所に関連付けられており、前記システムは、処理モジュール、メモリ記憶モジュール、及び通信ネットワークを備えており、
前記メモリ記憶モジュールは、複数の配送データを受信及び格納するように構成されており、
前記配送データは、配送場所、住所、荷物又は人の識別情報のうちの1又は複数を含んでおり、
前記処理モジュールは、前記通信ネットワークを介して前記電子メモリとデータ通信を行い、前記処理モジュールは、
前記路上ビークルの配送ルートを決定することと、
前記配送ルート上の配送場所まで前記ビークルをナビゲーションすることと、
ルーティングの配送場所が、前記1又は複数荷物の配送又はピックアップに関連している場合、前記運搬ロボット及び前記展開機構のうちの1又は複数に信号を送って前記ビークルから展開することと、
を行うように構成されている、自律システム。
【請求項16】
前記ビークルに装着されて前記運搬ロボットとデータ通信をするセンサーを更に備えており、前記センサーは、ローカルマップと、前記ビークルと前記配送場所との間で前記運搬ロボットが遭遇する可能性のある障害物に関するリアルタイム情報とを提供する、請求項15に記載の自律システム。
【請求項17】
自律型ロボットを用いて、配送ビークルから所望の目的場所までアイテムを輸送する方法であって、
配送するアイテムを特定し、前記自律型ロボットに積む工程と、
前記自律型ロボットを前記配送ビークルから展開する工程と、
前記配送ビークルから前記所望の目的場所までのルートを決定する工程と、
前記意図した目的場所に前記アイテムを運ぶ工程と、
前記所望の目的場所に前記アイテムを置く工程と、
を含む方法。
【請求項18】
ペイロードを1又は複数の場所に配送する又は1又は複数の場所でピックアップする方法であって、前記ペイロードは、人とアイテムのうちの1又は複数を含む方法において、
前記ペイロードを配送するための路上ビークルを用意する工程であって、前記ビークルには展開可能な自律型運搬ロボットが格納されている、工程と、
前記1又は複数の場所に基づいて、前記路上ビークルの移動ルートを決定する工程と、
前記路上ビークルを前記配送ルート上の第1の場所にナビゲーションする工程であって、前記第1の場所は第1のペイロードに関連付けられている、工程と、
前記第1のペイロードを配送する又はピックアップする工程と、新しいペイロード、新しい要求、及び交通状況の1又は複数に基づいて前記移動ルートを再計算する工程と、
前記移動ルート上の次の場所に前記路上ビークルをナビゲーションする工程と、
を含む方法。
【請求項19】
前記第1のペイロードを配送する又はピックアップする工程は、前記自律型運搬ロボットを前記ビークルから展開して、前記場所において所定のスポットに前記ペイロードを運ぶ又は所定のスポットにて前記ペイロードを取ってくる工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記自律型運搬ロボットを前記路上ビークルに格納する工程を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2019年5月8日に出願された米国仮特許出願第62/845,194号と、同じく2019年5月8日に出願された米国仮特許出願第62/845,220号の利益を主張する国際出願であって、これらは、参照により全体として本明細書の一部となる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的に、自律ビークル及び機械を用いて、荷物やその他のアイテムについて近距離又は都市全域での集配を行うシステム及び方法に関するものである。幾つかの実施形態ではまた、本明細書に開示されているシステム及び方法は、1台のビークルが宅配と乗客移動の両方を同時に行うことができる複合使用になるように構成されていると考えられる。
【0003】
今の世の中においては、長距離を配送される荷物は、送り主の自宅やオフィスから運送業者によってピックアップされて、運送業者が管理する集積場所に、又は、概ね集積場所の近くにある仕分け施設に届けられる。リスト又は目録に掲載された後、荷物は、飛行機、船、鉄道、トレーラートラックなどで、仕分け施設から、荷物の最終送り先に近い場所にある別の仕分け施設に輸送される。その後、荷物は送り先の場所に応じて細かく仕分けされて、実際に配送するために、最終的には有人の配送ビークルに乗せられる。
【0004】
仕分け作業が十分に確立された効率的な自動化プロセスを採用している一方で、十分に確立されておらず低効率なのが、仕分け施設と荷物の送り先との間での集配を含む、所謂「ラストマイルロジスティクス(last-mile logistics)」である。洗練されたルートプランニングアルゴリズムが使用されて、配送ルート、場合によってはピックアップルートが最適化されているが、荷物がドロップオフ又はピックアップされる方法には未だに多くの非効率性が存在している。人は、時には道に迷い、怪我をし、病気になり、関心がなくなり、そして、限られた時間で働かなければならないが、トラックを運転して受取り先や送り先の住所に向かい、正しい荷物を玄関先でピックアップし、又は玄関先から運ぶ必要がある。人を雇うためのコストはその他の必要なインフラストラクチャーのコストに比べて高く、このコストが現在よりも一般的に普及するための宅配便の能力を制限している。更に、パンデミックの時期には、荷物の取り扱いへの人の関与をできるだけ少なくすることが有利である。
【0005】
宅配と同様に、人は通常、長距離を移動する際に飛行機、電車やバス(この例ではトレーラートラックの人間版)を利用する。しかしながら、単一の都市の地理的領域内を移動する場合には、大抵の人は、自分の車、友人の車、タクシーサービス、又は商用の相乗りビークルの何れかであれ、自動車に乗る。現在のケースの大半では、これらの電車、バス、及び自動車は人間の運転手によって運転されている。しかしながら、自律ビークルは、国内の一部の地域で旅客輸送のために実験的に既に導入されており、技術の進歩と安全性が証明されるとより一般的になることは間違いない。
【0006】
アメリカ中の町や都市で現在行われている宅配と人の輸送は、ほとんどの場合、別個のエコシステムでサイロ化されており、ビークル部隊の効率的な使用にはなっていない。人は、大多数の人々が仕事に向かっている又は仕事から家に帰っている特定の時間帯において交通手段をより必要としており、残りの時間、多くのビークルは使われずに停められている。これはかなりのスペースを無駄にする。何万台ものビークルを所有している大企業では、それらは、夜になるとどこに駐められるのだろうか?これらのビークルを物流や宅配にも使えれば、より効率的であろう。人の移動がピークを外れた時間帯に、これらのビークルを継続して路上に留めておければ、昼間の人の移動の合間に荷物を届けることができる。所謂「デッドヘッド(dead head)」マイルは、人を遠隔地に運び、運賃なしで戻る必要があるライドシェアリングやタクシーサービスで共通する問題である。しかしながら、荷物の配送と配達もできるよう装備されていれば、ビークルは近くの配送センターに停まって、荷物をピックアップして、本部の場所に戻る途中で配送することができる。
【0007】
自律ビークルの部隊が路上にある場合、中央施設でそれらに荷物をどのように積み込むことができるかは明らかである。しかしながら、完全に自動化された宅配の障害となっているのは、ビークルから玄関先まで荷物を運ぶことである。幾つかの自律ビークル配送ソリューションでは、メッセージを顧客に送って、縁石で配送ビークルに会ってコンパートメントから加熱又は冷却されたアイテムを取り出すように要求する。このようなシステムで生じる問題は、受取人が荷物を適時に引き取ることに依存していることである。受取人が少しでも遅れて荷物を受け取ると、自律ビークルが配送場所の前でアイドリングして交通問題を起こしたり、1回の宅配のために予想以上に長く待たされたり、配送場所に再度戻る必要があったりすることで、システムに非効率性が生じる。更に別のソリューションでは、顧客は、荷物を回収するために、アクセスできるロッカー又はその他の安全な保管収納がある特定の場所に移動する必要がある。残念ながら、これらのソリューションは、遅延を防ぐために顧客が何らかの行動を実行することに依存していることから、大抵の配送において非効率的で機能しない。
【0008】
必要とされているのは、既存の歩道と、階段、ゲート、ドア、砕けたコンクリートや木の根などを含むインフラストラクチャーと、人間の移動のために概ね設計された環境とを利用して、人と荷物の両方をそれらの意図された送り先に自律的に配送し、自律ビークルから玄関先まで荷物を運ぶ方法及びシステムである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、人や荷物を1又は複数の配送場所に配送するシステム及び方法に向けられており、各配送場所は、住所に関連付けられている。これを実現するために、配送ビークルには1又は複数の展開可能なロボットが設けられており、これらのロボットは、実施形態では、自律的又は遠隔操作される。配送ルートは、既知のすべての配送場所について計画され、ビークルは各配送場所に関連する住所に進み、そこで乗客をドロップオフ又はピックアップし、運搬ロボットを展開して1又は複数の荷物を配送又はピックアップする。幾つかの実施形態では、2つ以上の運搬ロボットが同時に使用される。他の実施形態では、配送ルートは、人の乗客を又は特別な配達時間制限のある荷物を優先して変更される。
【0010】
ある実施形態では、運搬ロボットは、配送される1又は複数の荷物を識別して、ビークルから取り出すように構成される。その後、ロボットは、予め設定されていてよい又は住宅に付随するポーチのような配送場所まで荷物を運び、その場所に荷物を置き、その後、配送ビークルに戻り、その内に自らを格納する。ロボットが荷物をピックアップする場合、ロボットは配送ビークルから展開し、配送場所まで歩いて行き、そこで配送する1又は複数の荷物をピックアップして、それらを持ってビークルに戻る。そこに着くと、ロボットは、荷物をビークル内の収納領域に置き、そして、ビークル内に格納される。運搬ロボットはまた、配送ビークルから展開する前に、それ自体に荷物を積むように構成されてよい。
【0011】
配送ビークルにセンサーが装備されている場合、配送ビークルと配送場所の間でロボットが遭遇する可能性のある障害物に関する情報を含む配送場所データをロボットに通信してよい。ビークルはまた、荷物の識別情報と、その住所で置くべき正確な物理的位置とに関する格納された情報を通信する。或いは、荷物が特定の住所でピックアップされる場合にも同様の情報が提供される。
【0012】
新たな配送又はピックアップ要求が受信されると、ビークルは、新たな要求を効率的に対応できるか否かを判定し、対応できるのであれば、新たな要求を含むように配送ルートが更新される。荷物及び人が配送又はピックアップされると、ビークルは作業時間を終了するか、予め設定されたアイドリング場所で待機する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、展開機構に配置された展開可能な運搬ロボットを有する路上ビークルを用いて、複数の荷物及び人を1又は複数の配送場所に配送又はピックアップするための自律システムである。そのシステムは、少なくとも処理モジュール、メモリ記憶モジュール、及び通信ネットワークで構成されており、これらが協働して、路上ビークルの配送ルートを決定し、配送ルート上の1又は複数の目的場所にビークルをナビゲートし、配送先が1又は複数の荷物の配送又はピックアップに関連している場合には、運搬ロボット又は展開機構に信号を送ってビークルから展開させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、詳細な説明と併せて本発明の効果、特徴、特性を説明するものである。
【0015】
図1図1は、複合目的配送プロセス全体の一実施形態を示すフローチャートである。
【0016】
図2図2は、縁石から玄関先(curb to doorstep)プロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【0017】
図3図3は、本発明の特定の実施形態に基づいており、縁石から玄関先の配送を達成するために用意された配送バン及びロボットの説明図である。
【0018】
図4図4は、本明細書に記載されている縁石から玄関先プロセスで使用する自律型ロボットの説明図である。
【0019】
図5図5は、自律型ロボットが先端に配置された展開機構の伸長配置を示す説明図である。
【0020】
開示する発明の実施が例示によって本明細書に説明されているが、当業者は、記載されている実施形態又は図面に限定されないことを理解するであろう。図面と図面についての詳細な説明とは、開示される特定の形態に実施を限定することを意図しておらず、添付の特許請求の範囲によって規定される精神及び範囲内での変更、均等物、及び代替物の全てをカバーすることを意図している。本明細書で使用する表題は、明細書又は特許請求の範囲を限定するために用いられることを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の記載では、説明の目的で、例示的な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの具体的な詳細がなくても実施形態が実施可能であることは明らかであろう。幾つかの実施例では、本発明の詳細が不明瞭にならないように、周知の方法又は構成要素は詳細に記載されていない。
【0022】
分かり易さのために、本明細書に記載された実施におけるありふれた特徴の幾つかは省略されている。本発明の実際の実施の開発においては、特定の目的を達成するためにある決定をしなければならず、様々な目的を達成するために、発明の開示から逸脱することなく、様々な決定がなされてよいことが理解されるであろう。実施には複雑で時間がかかるものもあるが、これらは、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、日常的に遂行することであろう。
【0023】
本明細書に記載の発明は、主として、自律配送ビークルの行動範囲内、特に、自律配送ビークルが所定の4時間又は8時間の期間に移動できる行動範囲内での人や荷物のピックアップと配送に使用することを意図している。幾つかの実施形態では、本発明は、100平方マイル未満の地域や50平方マイル未満の地域など、定義された地域内での人や荷物ピックアップと配送に対応している。本発明は、都市や郊外の環境での使用に適しているであろうと考えられるが、効率性を実現できる他の環境もあり得る。
【0024】
実施形態では、本明細書に記載されている本発明の方法は、完全な自律性のために改造されたフォードトランジットコネクトバン(Ford Transit Connect Van)など、乗客と荷物の両方を運ぶことができるドライバーレス配送ビークルを採用する。現在、Uber ATG、Argo AI、Waymoなど、自律ナビゲーション及び運転が可能なビークル(「無人ビークル」)を開発しているサードパーティの組織や企業が多数存在している。本発明は、荷物を配送するためのルートを保存できるメモリを有しており、配送中に起こり得る変更に効率的に対応するためにそのルートを容易に再計算できるシステムであれば、採用されるドライバーレスシステムの種類を問わないことを意図している。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態では、同時に混在している(タクシーサービスでのような)人の輸送及び荷物の宅配のための方法及び例示的な実施形態を具体的に提示する。幾つかの実施形態では、一般的な自律ビークルの改造は必要とされないが、他の実施形態では、別の「縁石から玄関先」配送ビークル又はロボットの展開機構を収容するために、極めて僅かな改造が必要されることがある。実施形態では、自動ドアゲートを備えたビークルの後部に装着されて、荷物を玄関に配達することができるオンボードの「縁石から玄関まで」の自律型ロボットを用いて、人と荷物を同時に運んでよい。或いは、郵便物や荷物を郵便受けに配達するなどの用途に応じてビークルのサイドドアに隣接した場所にロボットが搭載されてよい。更に別の実施形態では、人用の座席とは別に、荷物ロボット用ベイを有する特別に設計された専用ビークルがあってよい。
【0026】
図1では、本発明の特定の実施形態に基づいた、荷物又は人の集まりを配送するためのプロセス(10)が全般的に記載されている。実施形態では、ワークシフトの開始時に、自律配送ビークルに1又は複数の荷物、1又は複数人の乗客、或いは、それら両方が載せられる。ある実施形態では、この積み込みは、配送センターや仕分け施設で行われる。或いは、空港又は駅で起こる可能性がある。他の実施形態では、ワークシフトは、住居や職場でのピックアップから始まることもあろう。ピックアップの際に又はピックアップの依頼がなされると、ルート計算システムが、配送又はピックアップされる全ての人又は荷物に対して最適な配送ルートを計算する(15)。これが計算されると、配送ビークルは最初の計算された場所へのナビゲーションを開始する(20)。幾つかの実施形態では、新しい立ち寄り先だけでなく、交通状況や道路工事における変化も考慮して、30秒毎など、継続的にルートが再計算される。当業者には明らかなように、WazeやGoogle Mapsなどの既存のサードパーティのGPS対応ナビゲーションソフトウェアを使用して、配送ルートの生成を支援できる。Wazeは、カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle LLCの登録商標である。
【0027】
配送ビークルが第1の場所に到達する前を含む仕事期間中の任意の時点で、ピックアップ及び/又は配送の新たな要求がルート計算システムによって受信され得る(25)。そのような要求が受信されて、ルート計算システムが、新しい立ち寄り先を既存のルート構造に効率的に組み込むことができると判定する場合(30)、ルートがそれに応じて更新されて、配送ビークルは、最も効率的なときに新しい目的場所に関連する住所にナビゲーションされて、前述のように進行する。或いは、人である乗客の移動時間を最小限にするために、荷物よりも乗客のピックアップ及び配送を優先するようにルート計算システムを偏らせることができる。同様に、食料品などの温度に敏感な荷物やアイテムを優先させることもできる。
【0028】
最初の目的場所に到着する前に新たな要求がなされない場合、又は、そのような要求が既存のルートに効率的に組み込まれないであろうと判断される場合、配送ビークルは、配送又ピックアップのために最初の目的場所の住所に進む(35)。荷物を配送する場合には、図2に示すように、自律型ロボットが配送ビークルから展開されて、配送ビークルと玄関先又は他の目的場所との間で荷物を運ぶか、回収する。ある実施形態では、そのロボットは二足歩行で自律型であり、ロボットの自律性に混乱きたすような状況に対処するために、人による遠隔操作のオプションがある。配送又はピックアップするのが人である場合、配送ビークルは、ピックアップ又は配送に関連した住所に進み、アプリを通じて、又は、人がビークルに出入りしたことを判定できる内蔵ビークルセンサーを使用して、進むための信号を待つ。
【0029】
配送又はピックアップが完了する(35)と、追加の立ち寄り先があるか否かが判定されて、ビークルは説明したプロセスを繰り返す(40)。しかしながら、更なる配達又はピックアップが予定されていない場合、配送ビークルは、新た配送要求が出される(25)か、シフトが終了するまで、予め決められた又は現在の位置に基づいて計算されたアイドリング場所に移動する(45)。しかしながら、このようなシステムの目標は、部隊のインフラストラクチャーを最大限に活用し、ロボット又はビークルのサービス時間を100%にすることである。
【0030】
図2は、本発明の特定の実施形態に基づいており、配送ビークルが、住所を有しており目的場所の前にある縁石に到着した(110)後における、荷物の配送又はピックアップのシステム及び方法(100)の実施形態を示している。図3は、本発明の幾つかの実施形態に基づく配送ビークル(200)を示す。荷物がピックアップ又は配送されている場合、ビークル(200)の後部にあるリフトゲートなどの配送ビークルのドア(210)が開かれて、自律型ロボット(220)が出て行くことを可能にする。ビークル(200)から降りる前に、ロボット(220)は、現地環境に関する利用可能な情報にアクセスする。幾つかの実施形態では、ロボット(220)は、例えば、住所、通りから見た家又はオフィスの写真、不動産の以前に取得した地図、天気、受取人が提出した情報、配送ビークル(200)が収集した遠隔測定又はその他のデータ、或いは、他の関連情報を含む、目的場所に関する情報にアクセスする(120)。この情報は、外部データプロバイダを介して又は配送ビークルに搭載された電子制御システムによってロボット(220)に提供されてよい。幾つかの実施形態では、外部データプロバイダは、ロボット(220)が無線データリンクを介してアクセスするリモートデータストレージセンターである。
【0031】
次に、ロボット(220)は、配送ビークル(200)から展開し(130)、適切な荷物(230)を取り出し、配送のために自宅又はオフィスの玄関先に運ぶか、或いは、荷物をピックアップするための立ち寄り先であれば、玄関先又は他の所定の場所から荷物を回収する。代替的な実施形態では、ロボット(220)は、展開する前に自らに荷物(230)を載せる。ピックアップ又は配送が完了すると、ロボットは配送ビークル(200)に再搭乗し、配送ビークル(200)は次の立ち寄り先へと進む。幾つかの実施形態では、ビークルは、ロボットが搭載されている場合にそれを再充電することで、ロボットの必要とされるバッテリー寿命を、1日中ロボットを動作させるのに必要な充電量ではなく、1回の配達に必要な量のみに減らすことができる。実施形態では、自律的な配送又はピックアップを選択した人は、ロボットが自分の不動産に入ることを許可し、配送を支援するために、事前に敷地の詳細な地図を作成する必要があるだろう。
【0032】
図4を参照すると、特定の実施形態では、ロボット(220)は、「ウォーキング(walking)」と呼ばれ得る方法で場所から場所へと移動することを可能にする脚部(410)を有する二足歩行の自律型ロボットである。ロボット(220)は更に、先に言及した荷物(230)を配送ビークル(200)との間で運ぶために使用可能なアーム(420)を有する。ロボット(220)は、多数の内蔵センサーと、制御回路と、モーターと、バネとを使用して自律的に動作し、荷物を持っても持たなくてもバランスをとることができ、センサーを使用して進路上の障害物を回避することができるほか、保存された位置情報やマッピングデータを使用して、ビークル(200)との間のナビゲーションを支援することができる。
【0033】
実施形態では、ロボット(220)は、図3に図示されているような格納形態と、図4に図示されているような動作形態との間で移行可能であるように構成されている。ロボット(220)が歩行し、配送ビークル(200)との間で荷物を運んでいる場合は動作形態であるが、そのアーム(420)及び脚部(410)は折り畳むことができ、配送ビークル(200)の内部に設けられた展開機構(310)に載せられる又はそれに接続する格納形態に移行することができる。実施形態では、展開機構(310)は、ビークルに恒久的に設置されてよく、又は、着脱可能であってよい。展開機構(310)の一実施形態は、図5に示されている。
【0034】
更に他の実施形態では、複数の展開機構(310)と、ビークル(200)から同時に展開される複数のロボット(220)とが存在してよく、ビークル(200)が短時間の停止で幾つかのロボット(220)をドロップオフすることを可能としており、それらが配送を行う時間を確保し、そして、それらを再び乗せることができる。ビークル(200)は、交通の妨げにならないために、ロボット(220)が荷物(230)を持ってビークル(200)から出ることができるように一時的にだけ停止してもよい。この問題は特に都市部で顕著であり、配送ビークルは配送中に違法に駐車する以外に選択肢がほとんどないことから、頻繁に駐車違反で検挙されている。
【0035】
ロボット(220)が格納形態にある間、アーム(420)を使用して、脚部(410)の使用を必要としないタスクを実行することができる。実施形態では、アーム(420)がビークル(200)の横側から伸びて、ロボット(220)がビークル(200)から出ることなく、郵便物又は荷物を郵便受け又は他の置き場に置くことができる。幾つかの実施形態では、ロボット(220)を保持するために使用される展開機構(310)は、格納されたロボット(220)を外の場所へのアクセスを容易にする方向に移動させることによって作業空間の到達範囲を拡張するように作動してよい。
【0036】
実施形態のある態様は、本明細書に記載されたプロセスステップ及び命令をアルゴリズムとして含む。実施形態のプロセスステップ及び命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで具体化することができ、ソフトウェアで具体化される場合には、ダウンロードされて、様々なオペレーティングシステムによって使用される様々なプラットフォーム上に常駐して、そこから操作され得ることに留意のこと。実施形態はまた、コンピューティングシステム上で実行可能なコンピュータプログラム製品にされてよい。
【0037】
本実施形態はまた、本明細書の動作を実行するための装置に関するものである。この装置は、目的のために特別に構築された、例えば特定のコンピュータであってよく、或いは、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを備えていてよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてよく、メモリ/記憶媒体は一過性又は非一過性であってよい。メモリは、上記の何れかを、及び/又は、情報/データ/プログラムを格納できる他のデバイスを含んでよい。
【0038】
具体的な実施形態では、本明細書で説明されたビークルやロボットを使用して人又は荷物を配送する方法は、少なくとも配送ビークルの電子制御システムを使用することで実現される。幾つかの実施形態では、電子制御システムは、メモリ記憶モジュールと、処理モジュールと、通信ネットワークとを有する配送サーバーで構成され、ビークルの運転の幾つかの側面と、実施形態では展開機構との通信を可能にし、それらを制御する。このような通信の例としては、ロボットを展開するためにビークル後部のリフトゲートを開くこと、配送ルートを決定すること、有線又は無線であり得る通信ネットワークを介してデータを交換しプロンプトを提供する目的でロボットと通信することなどが挙げられる。幾つかの実施形態では、ビークルとロボットの間で交換されるデータには、住所での配送場所と、特定の住所に配送される荷物又は荷物に関する識別情報と、ビークルと目的場所の間で地面にある可能性のある障害物に関してビークルのセンサーによって収集されたデータと、荷物を玄関先又は他の所定の目的場所に配送することに関連する可能性のあるその他の情報又はデータとが含まれる。幾つかの実施形態では、配送サーバーはまた、ロボットを展開及び回収するために展開機構と通信する。
【0039】
本発明の大半は、住宅やオフィスへの配送にロボットを使用することに向けられているが、ワークシフトの開始時にバンに荷物を積み込むプロセスは、本明細書に記載されている自律型ロボットを使用して達成することができる。ロボットは、例えば、ルックアップテーブルとスキャナーを装備しており、マークを付けた荷物を棚から「つまんで(pick)」、配送するためにバンに乗せることができる。
【0040】
本願の教示の原理を組み込んだ種々の例示的な実施形態を開示してきたが、本願の教示は、開示された実施形態に限定されない。むしろ、本願は、本願の教示の如何なる変形、使用、及び用途もカバーしており、その一般的な原理を使用することが意図されている。更に、本願は、これらの教示が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実施の範囲内にある本開示からのそのような逸脱をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】