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特表2022-532141キナーゼ阻害剤として使用される化合物およびその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤として使用される化合物およびその応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220706BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220706BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61K31/519
C07D519/00 301
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P25/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566283
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 CN2020089067
(87)【国際公開番号】W WO2020224626
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】201910379104.0
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】519419832
【氏名又は名称】ティーワイケー メディシンズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TYK MEDICINES INC.
【住所又は居所原語表記】Room 1403-2,Block A,Changxing World Trade Building,No.1278,Mingzhu Road,Changxing Economic Development Zone,Huzhou,Zhejiang 313100,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ニウ,チョンシャン
(72)【発明者】
【氏名】リィアン,アペン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ユーシェン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG04
4C050HH04
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物である。式Iに示される化合物は、キナーゼ阻害剤として、ROS1、NTRK、ALK等のキナーゼ媒介性疾患を治療するための薬物として使用されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物であって、

式I:
【化1】
式Iにおいて、
Aは、
【化2】
であり、ここで、Xは、独立して、NR、O、CR、S、S(O)またはS(O)からなる群から選択され、
Bは、単環式芳香族炭化水素(aromatic hydrocarbon)、二環式芳香族炭化水素、単環式ヘテロ芳香族炭化水素(heteroaromatic hydrocarbon)または二環式ヘテロ芳香族炭化水素からなる群から選択され、ここで、前記Bの任意の炭素原子上のHは、すべて、ハロゲン(halogen)、ヒドロキシル基(hydroxyl group)、アミノ基(amino group)、シアノ基(cyano group)、アシル基(acyl group)、エステル基(ester group)、アルキル基(alkyl group)、シクロアルキル基(cycloalkyl group)、アルキルアミン基(alkylamine group)、アルコキシ基(alkoxy group)、シクロアルコキシ基(cycloalkoxy group)、アリール基(aryl group)、ヘテロアリール基(heteroaryl group)、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換シクロアルコキシ基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基のような置換基によって置換されることができ、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換シクロアルコキシ基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基(haloalkyl group)、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基(halocycloalkyl group)、アルコキシ基、ハロアルコキシ基(haloalkoxy group)、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
Cは、独立して、
【化3】
または
【化4】
であり、ここで、Yは、独立して、O、NRまたはCRからなる群から選択され、
【化5】
は、ZタイプまたはEタイプを表し、
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、またはRおよびRは、それらと結合するC原子と一緒に結合して、置換または非置換の3~7員のシクロアルカン(cycloalkane)、アザシクロアルカン(azacycloalkane)、オキサシクロアルカン(oxacycloalkane)またはチアシクロアルカン(thiacycloalkane)を形成し、ここで、前記置換とは、アルキル基、アシル基、エステル基、スルホニル基(sulfonyl group)、スルフィニル基(sulfinyl group)からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指し、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
またはRおよびRは、それらと結合するC原子と一緒に結合して、置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカン、チアシクロアルカンまたはオキソ基(=O)を形成し、またはRおよびRは、それらと隣接する原子と一緒に置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成し、またはRとYとは、縮合して置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成し、ここで、前記置換とは、アルキル基、アシル基、エステル基、スルホニル基、スルフィニル基からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指し、
、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、それぞれ独立して、N、CRまたはNRからなる群から選択され、
は、独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルアミン基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択され、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択されることを特徴とする、前記式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物。
【請求項2】
式I:
【化6】
式Iにおいて、
Aは、
【化7】
であり、ここで、前記Xは、NR、O、CR、S、S(O)またはS(O)であり、
Bは、単環式芳香族炭化水素、二環式芳香族炭化水素、単環式ヘテロ芳香族炭化水素または二環式ヘテロ芳香族炭化水素から任意に選択され、ここで、前記Bの任意の炭素原子上のHは、すべて、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基によって置換されることができ、
Cは、
【化8】
または
【化9】
から任意に選択され、ここで、前記R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択され、RとRと、RとRと、RとRとまたはRとRとは、結合して、3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成することができ、
、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、それぞれ独立して、N、CRまたはNRから任意に選択され、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択されることを特徴とする
請求項1に記載の式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物。
【請求項3】
式II:
【化10】
式IIにおいて、
*は、キラル中心を表し、
Xは、NR、O、CR、S、S(O)またはS(O)から選択され、
およびRは、異なり、かつそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、独立して、水素原子、アルキル基、一置換または多置換アルキル基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
B、C、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZの定義は、請求項1に記載されるとおりであることを特徴とする
請求項1に記載の式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物。
【請求項4】
Bは、独立して、
【化11】
からなる群から選択され、
ここで、
【化12】
は、単結合または二重結合であり、
およびZは、それぞれ独立して、CR11またはNから選択され、
Pは、独立して、O、NH、Sから選択され、
【化13】
が二重結合である場合、Qは、独立して、CR11またはNから選択され、
【化14】
が単結合である場合、Qは、独立して、O、S、CR1112またはNHから選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基(alkyl amino group)、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
11およびR12は、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、アシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基からなる群から選択され、
eは、0、1、2、3または4であることを特徴とする
請求項1に記載の式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物。
【請求項5】
Cは、
【化15】
であり、
ここで、RおよびRの定義は、請求項1に記載されるとおりであることを特徴とする
請求項1に記載の式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物。
【請求項6】
式Iに示される化合物は、以下の化合物から任意に選択されることを特徴とする
請求項1に記載の式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物。
【化16-1】
【化16-2】
【請求項7】
請求項1に記載の式Iに示される化合物の薬学的に許容される塩であって、
前記薬学的に許容される塩は、無機酸塩または有機酸塩であり、前記無機酸塩は、塩酸塩(hydrochloride)、臭化水素酸塩(hydrobromide)、ヨウ化水素酸塩(hydroiodide)、硫酸塩(sulfate)、重硫酸塩(bisulfate)、硝酸塩(nitrate)、リン酸塩(phosphate)、酸性リン酸塩(acid phosphate)から選択され、前記有機酸塩は、ギ酸塩(formate)、酢酸塩(acetate)、トリフルオロ酢酸塩(trifluoroacetate)、プロピオン酸塩(propionate)、ピルビン酸塩(pyruvate)、グリコール酸塩(glycolate)、シュウ酸塩(oxalate)、マロン酸塩(malonate)、フマル酸塩(fumarate)、マレイン酸塩(maleate)、乳酸塩(lactate)、リンゴ酸塩(malate)、クエン酸塩(citrate)、酒石酸塩(tartrate)、メタンスルホン酸塩(methanesulfonate)、エタンスルホン酸塩(ethanesulfonate)、イセチオネート(isethionate)、ベンゼンスルホン酸塩(benzenesulfonate)、サリチル酸塩(salicylate)、ピグリン酸塩(picrate)、グルタミン酸塩(glutamate)、アスコルビン酸塩(ascorbate)、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳スルホン酸塩(camphorsulfonate)から選択されることを特徴とする、前記請求項1に記載の式Iに示される化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項8】
医薬組成物であって、
治療有効量の請求項1に記載の式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物、ならびに一つまたは複数の薬学的に許容されるベクター、希釈剤または賦形剤を含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項9】
ROS1、NTRK、ALK等によって媒介される病理学的特徴の疾患を予防および/または治療するための薬物の調製における、請求項1に記載の式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物、または式Iに示される化合物を含む組成物の用途。
【請求項10】
前記ROS1、NTRK、ALK等によって媒介される病理学的特徴の疾患は、癌、肉腫および疼痛を含むことを特徴とする
請求項9に記載の用途。
【請求項11】
前記癌は、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、肺がん、胃がん、直腸がん、膵臓がん、脳がん、皮膚がん、口腔がん、前立腺がん、骨がん、腎臓がん、卵巣がん、膀胱がん、肝臓がん、卵管腫瘍、腹膜腫瘍、黒色腫、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、頭頚部がん、乳様突起腎腫瘍、白血病、リンパ腫、骨髄腫、甲状腺腫瘍のいずれか一つであることを特徴とする
請求項10に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の技術分野に関し、具体的には、トロポミオシン受容体キナーゼ阻害剤として使用される化合物、その調製方法、およびROS1、NTRK、ALK等のキナーゼ媒介性疾患を治療するための薬物の調製における応用に関する。
【背景技術】
【0002】
トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)ファミリーは、膜貫通受容体チロシンキナーゼ(RTKs)に属し、哺乳動物の神経系のシナプス成長と機能維持の調節、記憶の発生と発達、および損傷からのニューロンの保護等に参加する。TRKキナーゼは、神経成長因子受容体の一種であり、そのファミリーは、相同性の高いトロポミオシン関連キナーゼA(Tropomyosin―related kinase A、TRKA)、トロポミオシン関連キナーゼB(Tropomyosin―related kinase B、TRKB)、トロポミオシン関連キナーゼC(Tropomyosin―related kinase C、TRKC)で構成され、それぞれNTRK1、NTRK2およびNTRK3遺伝子によってコードされる。完全なTRKキナーゼは、細胞外領域、膜貫通領域および細胞内領域の三つの部分を含み、他のRTKsと同様に、TRKキナーゼの細胞外領域が対応するリガンドと結合した後、二量体形成し、TRKキナーゼの細胞内領域の自己リン酸化を引き起こすことにより、自体のキナーゼ活性を活性化し、さらに活性化下流のシグナル伝達経路をさらに活性化することができる。
【0003】
TRKキナーゼは、Ras/MAPK、PI3K/AKTおよびPLCγ等の下流経路を介して、細胞の増殖、分化、代謝およびアポトーシスに影響を与える。NTRKs遺伝子が融合または突然変異が発生した後、細胞外領域受容体(Greco、A.et.al、Mol.Cell.Biol.1995、15、6118、Oncogene 1998、16、809)を変化または排除し、融合または突然変異されたTRKタンパク質がリガンド結合を要らない場合に、自体は、高度に活性化されたキナーゼ活性状態にあるため、下流のシグナル伝達経路を継続的に活性化し、TRKキナーゼの下流シグナル経路の異常な調節を引き起こし、細胞の増殖を誘導し、腫瘍の発生および発達を促進する。
【0004】
NTRKsの遺伝子融合は、乳がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、甲状腺乳頭がん、スピッツ様黒色腫、神経膠腫および様々な肉腫等を含む、様々な成人および小児の固形腫瘍で発生する。非小細胞肺がん、結腸直腸がん等の一般的な癌において、NTRK遺伝子融合の発生率は、低く、およそ1%~3%、乳児線維肉腫、乳房分泌がん等のいくつかのまれな癌において、NTRK遺伝子融合の発生率は、90%以上に達することができる。最も初期のTPM3―TRKA融合タンパク質は、結腸がん細胞で発見される。その後、乳がん、非小細胞肺がん、甲状腺乳頭がん、スピッツ様黒色腫、神経膠腫等の様々な臨床腫瘍患者サンプルで、例えば、CD74―NTRKA、MPRIP―NTEKA、QKI―NTRKB、ETV6―NTRKC、BTB1―NTRKC等のより多くのNTRK融合タンパク質が見つける。従って、近年、NTRK融合タンパク質は、効果的な抗がん標的となり、抗がん薬物の研究開発のホットスポットとなっている。
【0005】
近年のTRKキナーゼに対する理解が深まるにつれ、より多くのTRK融合タンパク質の種類および突然変異体の種類が発見されるため(Russo、M.et.al Cancer Discovery、2016、6、36、Drilon、A.et.al、Annals of Oncology、2016、27、920)、より良好な活性およびより広い効果を有する新しいNTRK阻害剤の臨床開発することにより、これらのNTRKタンパク質の融合または突然変異によって引き起こす腫瘍治療の問題を解決する必要がある。
【0006】
ROS1(c―ros oncogene 1 receptor kinase)は、人体のROS1癌原遺伝子によってコードされるチロシンプロテインキナーゼであり、染色体6q22.1に位置し、チロシンキナーゼインスリン受容体遺伝子に属し、細胞内チロシンキナーゼ活性領域、膜貫通領域および細胞外領域の三つの部分で構成され、チロシンキナーゼ活性を有するキメラタンパク質をコードする。基本的な構造は、細胞外N―末端リガンド結合領域(アミノ酸1~1861)、膜貫通領域(アミノ酸1862~1882)および細胞内C―末端の464個のアミノ酸で構成されるチロシンキナーゼ活性領域(アミノ酸1883~2347)で構成される。ROS1遺伝子が再構成される場合に、細胞外ドメインが失われ、膜貫通領域および細胞内チロシンキナーゼドメインが保持され、再構成部位は、主にROS1遺伝子のエキソン32~36に発生する。
【0007】
ROS1遺伝子の突然変異は、主に肺がんの患者に発生し、患者の割合は、1%~2%である。NSCLCにおけるROS1遺伝子は、主にSLC34A2およびCD74と融合し、かつROS1チロシンキナーゼ領域および下流のJAK/STAT、PI3K/AKT、RAS/MAPK等のシグナル経路を継続的に活性化することにより、腫瘍の発生を引き起こす。突然変異ROS1キナーゼの活性を阻害することにより、ROS1の過剰な活性化によって引き起こされる疾患、特に癌を治療することが可能であることが、多くの文献および臨床的に確認されている。
【0008】
現在、ROS1陽性の非小細胞肺がんに対する現在市販されている治療薬は、クリゾチニブ(crizotinib)およびエントリチニブ(entrectinib)であり、どちらも第1世代の小分子ROS1阻害剤に属する。しかし、クリゾチニブまたはエントリチニブによる治療過程において、約15か月で薬物耐性が発生し、疾患の進行が発生する。薬物耐性のある患者のうちで、最も一般的な薬物耐性突然変異は、G2032R等の溶媒フロンティア突然変異であり、薬物耐性の患者の場合、現在、治療薬は市販されていない。従って、ROS1の新しい阻害剤、特に臨床治療用のクリゾチニブまたはエントリチニブ等の第1世代のROS1阻害剤に薬物耐性のある新しいROS1阻害剤の薬物を開発する緊急の必要性がある。
【0009】
NSCLC症例の2~5%は、インスリン受容体スーパーファミリーの受容体型タンパク質チロシンホスホキナーゼである、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)再構成型である。最初に、人々は、未分化大細胞リンパ腫で活性化された融合癌遺伝子の形態でALKを発見し、その後の連続的な研究で、全身性組織異常過形成、炎症性筋線維芽細胞がん、非小細胞肺がん等を含む様々な癌で、ALKの融合形態を発見する。様々な癌における突然変異および異常な活性により、ALKは、ALK陽性癌を治療する薬物標的となっている。現在、多くのALKキナーゼ阻害剤が市販されており、これらの薬物の臨床応用により、患者には、薬物耐性突然変異が発生しており、G1202R等の薬物耐性突然変異により、これらの薬物が有効性を失われる。
【0010】
近年のROS1、NTRK、ALK等のキナーゼに対するさらなる深い理解、ならびに臨床的に薬物耐性のある患者の増加に伴い、臨床的には、ROS1、NTRK、ALK等のキナーゼタンパク質の融合または突然変異によって引き起こす腫瘍治療の問題を解決するために、より優れた活性と、幅広い効果を有する新しいチロシンキナーゼ阻害剤を開発する緊急の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、NTRK、ALKおよび/またはROS1等の発癌性タンパク質に同時に作用することができる、新しく、効率で、広範囲なキナーゼ阻害剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物を提供し、
【化1】
式Iにおいて、
Aは、
【化2】
であり、ここで、Xは、独立して、NR、O、CR、S、S(O)またはS(O)からなる群から選択され、
Bは、単環式芳香族炭化水素(aromatic hydrocarbon)、二環式芳香族炭化水素、単環式ヘテロ芳香族炭化水素(heteroaromatic hydrocarbon)または二環式ヘテロ芳香族炭化水素からなる群から選択され、
【0013】
ここで、前記Bの任意の炭素原子上のHは、すべて、ハロゲン(halogen)、ヒドロキシル基(hydroxyl group)、アミノ基(amino group)、シアノ基(cyano group)、アシル基(acyl group)、エステル基(ester group)、アルキル基(alkyl group)、シクロアルキル基(cycloalkyl group)、アルキルアミン基(alkylamine group)、アルコキシ基(alkoxy group)、シクロアルコキシ基(cycloalkoxy group)、アリール基(aryl group)、ヘテロアリール基(heteroaryl group)、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換シクロアルコキシ基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基のような置換基によって置換されることができ、
【0014】
前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換シクロアルコキシ基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基(haloalkyl group)、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基(halocycloalkyl group)、アルコキシ基、ハロアルコキシ基(haloalkoxy group)、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
Cは、独立して、
【化3】
または
【化4】
であり、ここで、Yは、独立して、O、NRまたはCRからなる群から選択され、
【化5】
は、ZタイプまたはEタイプを表し、
【0015】
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、またはRおよびRは、それらと結合するC原子と一緒に結合して、置換または非置換の3~7員のシクロアルカン(cycloalkane)、アザシクロアルカン(azacycloalkane)、オキサシクロアルカン(oxacycloalkane)またはチアシクロアルカン(thiacycloalkane)を形成し、ここで、前記置換とは、アルキル基、アシル基、エステル基、スルホニル基(sulfonyl group)、スルフィニル基(sulfinyl group)からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指し、
【0016】
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アミノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
【0017】
またはRおよびRは、それらと結合するC原子と一緒に結合して、置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカン、チアシクロアルカンまたはオキソ基(=O)を形成し、またはRおよびRは、それらと隣接する原子と一緒に置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成し、またはRとYとは、縮合して置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成し、ここで、前記置換とは、アルキル基、アシル基、エステル基、スルホニル基、スルフィニル基からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指し、
、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、それぞれ独立して、N、CRまたはNRからなる群から選択され、
【0018】
は、独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択され、
【0019】
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択される。
別の好ましい例において、Aは、
【化6】
であり、ここで、*は、キラル中心を表し、R、RおよびXの定義は、上記のとおりである。
別の好ましい例において、Aは、
【化7】
であり、ここで、*は、R配置を表し、R、RおよびXの定義は、上記のとおりである。
別の好ましい例において、Xは、NH、Oである。
【0020】
別の好ましい例において、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基である。
別の好ましい例において、Cは、
【化8】
からなる群から選択され、ここで、
Zは、Oであり、
、R、R、RおよびRの定義は、上記のとおりである。
【0021】
別の好ましい例において、Cは、
【化9】
であり、R、R、R、RおよびRの定義は、上記のとおりであり、またはRおよびRは、それらと隣接するC原子と一緒に縮合して、置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成し、ここで、前記置換とは、アルキル基、アシル基、エステル基、スルホニル基、スルフィニル基からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指す。
【0022】
別の好ましい例において、Cは、
【化10】
であり、R、RおよびRの定義は、上記のとおりであり、またはRおよびRは、それらと隣接するC原子と一緒に縮合して、置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成し、ここで、前記置換とは、アルキル基、アシル基、エステル基、スルホニル基、スルフィニル基からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指す。
別の好ましい例において、
【化11】
の部分は、
【化12】
である。
【0023】
別の好ましい例において、前記式Iに示される化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物であって、
式I:
【化13】
式Iにおいて、
Aは、
【化14】
であり、ここで、前記Xは、NR、O、CR、S、S(O)またはS(O)であり、
【0024】
Bは、単環式芳香族炭化水素、二環式芳香族炭化水素、単環式ヘテロ芳香族炭化水素または二環式ヘテロ芳香族炭化水素から任意に選択され、ここで、前記Bの任意の炭素原子上のHは、すべて、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基のような置換基によって置換されることができ、
【0025】
Cは、
【化15】
または
【化16】
から任意に選択され、ここで、前記R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択され、RとRと、RとRと、RとRとまたはRとRとは、結合して、3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはチアシクロアルカンを形成することができ、
、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、それぞれ独立して、N、CRまたはNRから任意に選択され、
【0026】
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基から任意に選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択される。
【0027】
別の好ましい例において、前記化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物であって、
式II:
【化17】
式IIにおいて、
*は、キラル中心を表し、
Xは、NR、O、CR、S、S(O)またはS(O)から選択され、
【0028】
およびRは、異なり、かつそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基からなる群から選択され、
【0029】
は、独立して、水素原子、アルキル基、一置換または多置換アルキル基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
B、C、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZの定義は、上記のとおりである。
別の好ましい例において、Z、ZおよびZは、すべてNである。
別の好ましい例において、Z、ZおよびZは、すべてNである。
別の好ましい例において、Z、Z、ZおよびZは、すべてNである。
【0030】
別の好ましい例において、Z、ZおよびZは、すべてCRであり、ここで、Rは、独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択され、好ましくは、Rは、Hまたはハロゲンである。
【0031】
別の好ましい例において、前記化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物であって、ここで、Bは、独立して、
【化18】
からなる群から選択され、
ここで、
【化19】
は、単結合または二重結合であり、
およびZは、それぞれ独立して、CR11またはNから選択され、
Pは、独立して、O、NH、Sから選択され、
【0032】
【化20】
が二重結合である場合、Qは、独立して、CR11またはNから選択され、
【化21】
が単結合である場合、Qは、独立して、O、S、CR1112またはNHから選択され、
【0033】
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択され、
【0034】
11およびR12は、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、アシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基からなる群から選択され、
eは、0、1、2、3または4である。
【0035】
別の好ましい例において、Bは、独立して、
【化22】
からなる群から選択され、ここで、ZおよびZは、それぞれ独立して、CR11またはNから選択され、
【0036】
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基から任意に選択され、
【0037】
各R11は、独立して、H、ヒドロキシル基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、アシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基からなる群から選択され、
eは、0、1、2であり、
P、Qおよび
【化23】
の定義は、上記のとおりである。
別の好ましい例において、Bは、独立して、
【化24】
および
【化25】
であり、ここで、Zは、CR11またはNであり、
【0038】
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基、一置換または多置換シクロアルキル基、一置換または多置換アリール基、一置換または多置換ヘテロアリール基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から任意に選択され、
【0039】
各R11は、独立して、H、ヒドロキシル基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、アシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基からなる群から選択され、
eは、0、1、2である。
【0040】
別の好ましい例において、前記化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物であって、
ここで、Cは、
【化26】
であり、
ここで、RおよびRの定義は、上記のとおりである。
【0041】
別の好ましい例において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換シクロアルキル基の置換基は、独立して、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、エステル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基からなる群から選択される。
【0042】
別の好ましい例において、RおよびRは、それらと結合するC原子と一緒に結合して、置換または非置換の3~7員のシクロアルカン、アザシクロアルカン、オキサシクロアルカンまたはオキソ基(=O)を形成し、ここで、前記置換とは、アルキル基、アシル基、エステル基、スルホニル基、スルフィニル基からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指す。
【0043】
別の好ましい例において、前記式Iの化合物またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物は、以下のグループから選択される一つまたは複数の特徴を有し、
Aは、
【化27】
であり、ここで、Xは、NHまたはOであり、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル基、ハロアルキル基であり、
Bは、独立して、
【化28】
および
【化29】
であり、ここで、Zは、CR11またはNであり、
【0044】
各Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシル基、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基からなる群から選択され、前記一置換または多置換アルキル基、一置換または多置換アルコキシ基の置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、ハロシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基からなる群から任意に選択され、
各R11は、独立して、H、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基からなる群から選択され、
eは、0、1、2であり、
【0045】
Cは、独立して、
【化30】
であり、好ましくは、Cは、
【化31】
であり、ここで、Yは、O、CRからなる群から選択され、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル基、一置換または多置換アルキル基、フェニル基、ピリジル基、一置換または多置換フェニル基、一置換または多置換ピリジル基からなる群から選択され、またはRおよびRは、それらと結合するC原子と一緒に置換または非置換の3―8員シクロアルキル基または複素環基を形成し、前記置換とは、ハロゲン、アルコキシ基、エステル基、スルホニル基からなる群から選択される一つまたは複数の基によって置換されることを指し、
、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCRであり、ここで、Rは、H、ハロゲンからなる群から選択される。
【0046】
別の好ましい例において、前記式Iの化合物またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物は、式IIIに示される構造を有し、
式III:
【化32】
式において、
B、X、Y、R、R、RおよびRの定義は、上記のとおりである。
別の好ましい例において、A、B、C、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Zは、実施例における各具体的な化合物に対応する具体的な基である。
【0047】
別の好ましい例において、前記化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物であって、
式Iに示される化合物は、以下の化合物から任意に選択されることを特徴とする。
【化33-1】
【化33-2】
別の好ましい例において、式Iに示される化合物は、本発明の実施例に示される化合物から選択される。
【0048】
本発明の第2の態様は、式Iに示される化合物の薬学的に許容される塩を提供し、前記薬学的に許容される塩は、無機酸塩または有機酸塩であり、前記無機酸塩は、塩酸塩(hydrochloride)、臭化水素酸塩(hydrobromide)、ヨウ化水素酸塩(hydroiodide)、硫酸塩(sulfate)、重硫酸塩(bisulfate)、硝酸塩(nitrate)、リン酸塩(phosphate)、酸性リン酸塩(acid phosphate)から選択され、前記有機酸塩は、ギ酸塩(formate)、酢酸塩(acetate)、トリフルオロ酢酸塩(trifluoroacetate)、プロピオン酸塩(propionate)、ピルビン酸塩(pyruvate)、グリコール酸塩(glycolate)、シュウ酸塩(oxalate)、マロン酸塩(malonate)、フマル酸塩(fumarate)、マレイン酸塩(maleate)、乳酸塩(lactate)、リンゴ酸塩(malate)、クエン酸塩(citrate)、酒石酸塩(tartrate)、メタンスルホン酸塩(methanesulfonate)、エタンスルホン酸塩(ethanesulfonate)、イセチオネート(isethionate)、ベンゼンスルホン酸塩(benzenesulfonate)、サリチル酸塩(salicylate)、ピグリン酸塩(picrate)、グルタミン酸塩(glutamate)、アスコルビン酸塩(ascorbate)、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳スルホン酸塩(camphorsulfonate)から選択される。
【0049】
本発明の第3の態様は、治療有効量の第1の態様に記載の化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物、ならびに一つまたは複数の薬学的に許容されるベクター、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0050】
本発明の第4の態様は、ROS1、NTRK、ALK等によって媒介される病理学的特徴の疾患を予防および/または治療するための薬物の調製における、第1の態様に記載の化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物、または式Iに示される化合物を含む組成物の用途を提供する。
別の好ましい例において、前記ROS1、NTRK、ALK等によって媒介される病理学的特徴を有する疾患は、癌、肉腫および疼痛を含む。
【0051】
別の好ましい例において、前記癌は、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、肺がん、胃がん、直腸がん、膵臓がん、脳がん、皮膚がん、口腔がん、前立腺がん、骨がん、腎臓がん、卵巣がん、膀胱がん、肝臓がん、卵管腫瘍、腹膜腫瘍、黒色腫、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、頭頚部がん、乳様突起腎腫瘍、白血病、リンパ腫、骨髄腫、甲状腺腫瘍のいずれか一つである。
【0052】
本発明で提供される医薬組成物は、投与に適した剤形に調製することができる。これらの剤形は、経口、直腸投与、局所投与、口腔内投与および他の非経口投与(例えば、皮下、筋肉、静脈等)に適したそれらを含む。
【0053】
本発明の医薬組成物は、医療行為基準に適合する方法で処方、定量化および投与することができる。投与される化合物の「有効量」は、治療される具体的な病症、治療される個体、病症の原因、薬物の標的および投与方法等の要因によって决定される。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の発明者らは、広範囲にわたる綿密な研究の結果、予期せずに新しい化合物を発見し、これらの化合物は、ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性突然変異に対して優れた阻害活性を有し、特に、薬物耐性突然変異に対して優れた阻害活性を有し、かつより優れた薬力学、薬物動態性能およびより低い毒性副作用を有し、臨床診療で緊急に必要とされる薬物耐性患者のための効果的な薬物に開発する可能性がある。
【0055】
用語
特に明記しない限り、本発明(明細書および特許請求の範囲を含む)で使用される以下の用語は、以下に与えられる定義を有する。
「アルキル基」とは、炭素原子および水素原子のみから構成される1~12個の炭素原子を含む一価直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基を指す。「アルキル基」は、好ましくは1~6個の炭素原子のアルキル基、即ち、C~Cアルキル基、より好ましくはC~C4アルキル基である。アルキル基の例としては、メチル基(methyl group)、エチル基(ethyl group)、プロピル基(propyl group)、イソプロピル基(isopropyl group)、イソブチル基(isobutyl group)、sec―ブチル基(sec-butyl group)、tert―ブチル基(tert-butyl group)、ペンチル基(pentyl group)、n―ヘキシル基(n-hexyl group)、オクチル基(octyl group)、ドデシル基(dodecyl group)等を含むが、これらに限定されない。本発明において、アルキル基は、重水素化アルキル基を含むことも意図され、重水素化アルキル基の例としては、CD、CDCD、CDCDCDを含むが、これらに限定されない。
【0056】
「アルコキシ基」とは、式―ORまたは―R’―OR基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるアルキル基であり、R’は、アルキレン基(alkylene group)である。アルコキシ基の例としては、メトキシ基(methoxy group)、エトキシ基(ethoxy group)、イソプロポキシ基(isopropoxy group)、tert―ブトキシ基(tert-butoxy group)、―CHO―CH、―CHCH―O―CH、―CH―O―CHCH等を含むが、これらに限定されない。
「ハロゲン(ハロ)」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の置換基を指す。
【0057】
「ハロアルキル基」とは、一つまたは複数の水素が同じまたは異なるハロゲンで代替する、本明細書で定義されるアルキル基を指す。「ハロアルキル基」は、好ましくはハロC―Cアルキル基であり、より好ましくはハロC―C4アルキル基であり、ハロアルキル基の例としては、―CHCl、―CHCF、―CHCCl、パ―フルオロアルキル基(perfluoroalkyl group)(例えば、―CF―、―CFCF)等を含む。
【0058】
「ハロアルコキシ基」とは、式―OR基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるハロアルキル基である。ハロアルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシ基(trifluoromethoxy group)、ジフルオロメトキシ基(difluoromethoxy group)、2,2,2―トリフルオロエトキシ基(2,2,2-trifluoroethoxy group)等を含むが、これらに限定されない。
【0059】
「シクロアルキル基」とは、3~12個(C~C12)、好ましくは3~10個(C~C10)、より好ましくは3~6個の環原子(C~C)を有する単環式または二環式環からなる一価飽和炭素環式基を指す。シクロアルキル基は、任意選択に一つまたは複数の置換基によって置換されることができ、ここで、各置換基は、独立して、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ハロアルキル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基(monoalkylamino group)またはジアルキルアミノ基(dialkylamino group)である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基(cyclopropyl group)、シクロブチル基(cyclobutyl group)、シクロペンチル基(cyclopentyl group)、シクロヘキシル基(cyclohexyl group)、シクロヘプチル基(cycloheptyl group)等を含むが、これらに限定されない。
【0060】
「シクロアルコキシ基」とは、式―OR基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるようなシクロアルキル基である。例示的なシクロアルキルオキシ基は、シクロプロポキシ(cyclopropoxy group)、シクロブトキシ(cyclobutoxy group)、シクロペンチルオキシ基(cyclopentyloxy group)、シクロヘキシルオキシ基(cyclohexyloxy group)等を含む。
【0061】
「アシル基」とは、式―C(O)R基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるようなアルキル基またはアルキルアミノ基である。「アシル基」は、好ましくは―C(O)C―Cアルキル基、―C(O)NH、―C(O)NHC―Cアルキル基、―C(O)N(C―Cアルキル)であり、より好ましくは―C(O)C―Cアルキル基、―C(O)NH、―C(O)NHC―Cアルキル基、―C(O)N(C―Cアルキル)であり、例示的なアシル基は、アセチル基(acetyl group)、n―プロピオニル基(n-propionyl group)、イソプロピオニル基(isopropionyl group)、n―ブチリル基(n-butyryl group)、イソブチリル基(isobutyryl group)、tert―イソブチリル基(tert-butyryl group)、―C(O)NH、―C(O)NHCH、―C(O)N(CH等を含む。
【0062】
「アルキルアミノ基」とは、式―NRaRb基を指し、ここで、RaおよびRbは、同じまたは異なるものであり、かつそれぞれ独立して、Hまたは本明細書で定義されるようなアルキル基である。
【0063】
エステル基とは、式―C(O)ORの基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるようなアルキル基である。エステル基は、好ましくは―C(O)OC―Cアルキル基であり、より好ましくは―C(O)OC―Cアルキル基であり、例示的なエステル基は、―C(O)OMe、―C(O)OEt、―C(O)O―C(CH)3等を含む。
【0064】
スルホニル基とは、式―S(O)―Rを指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるようなアルキル基である。スルホニル基は、好ましくは―S(O)―C―Cアルキル基であり、例としては、―S(O)―Me、―S(O)―Et等を含む。
【0065】
スルフィニル基とは、式―SO―Rを指し、ここで、Rは、本明細書で定義されるようなアルキル基である。スルフィニル基は、好ましくは―SO―C―Cアルキル基であり、例としては、―SO―Me、―SO―Et等を含む。
【0066】
「アルキルチオ基(alkylthio group)」とは、式―SRa基を指し、ここで、Raは、Hまたは本明細書で定義されるようなアルキル基である。
【0067】
「シクロアルキルアミノ基」とは、式―NRRb基を指し、ここで、Raは、H、本明細書で定義されるようなアルキル基または本明細書で定義されるようなシクロアルキル基であり、Rbは、本明細書で定義されるようなシクロアルキル基であり、またはRaおよびRbは、それらと結合するN原子と一緒に、テトラヒドロピロリル基(tetrahydropyrrolyl group)等の3~6員のN含有複素環基を形成する。
【0068】
「複素環式(基)」とは、完全に飽和または部分的に不飽和の環状基(例えば、3~7員単環式,6~11員二環式、または8~16員三環式システムを含むが、これらに限定されない)を指し、ここで、少なくとも一つのヘテロ原子が少なくとも一つの炭素原子を有する環に存在する。ヘテロ原子を含む各複素環は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有し、ここで、窒素原子または硫黄原子は、酸化されることができ、窒素原子も、四級化(Quaternization)することができる。ヘテロシクロアルカン(基)は、完全に飽和された複素環式(基)を指す。複素環式基は、環または環系分子の任意のヘテロ原子または炭素原子残基に結合することができる。典型的な単環式複素環は、アゼチジニル基(azetidinyl group)、ピロリジニル基(pyrrolidinyl group)、オキセタニル基(oxetanyl group)、ピラゾリニル基(pyrazolinyl group)、イミダゾリニル基(imidazolinyl group)、イミダゾリジニル基(imidazolidinyl group)、オキサゾリジニル基(oxazolidinyl group)、イソキサゾリジニル基(isoxazolidinyl group)、チアゾリジニル基(thiazolidinyl group)、イソチアゾリジニル基(isothiazolidinyl group)、テトラヒドロフラン基(tetrahydrofuranyl group)、ピペリジニル基(piperidinyl group)、ピペラジニル基(piperazinyl group)、2―オキソピペラジニル基(2-oxopiperazinyl group)、2―オキソピペリジニル基(2-oxopiperidinyl group)、2―オキソピロリジニル基(2-oxopyrrolidinyl group)、ヘキサヒドロアゼピニル基(hexahydroazepinyl group)、4―ピペリジノン基(4-piperidinonyl group)、テトラヒドロピラニル基(tetrahydropyranyl group)、モルホリニル基(morpholinyl group)、チオモルホリニル基(thiomorpholinyl group)、チオモルホリニルスルホキシド基(thiomorpholine sulfoxide group)、チオモルホリニルスルホン基(thiomorpholine sulfone group)、1,3―ジオキサニル基(1,3-dioxanyl group)およびテトラヒドロ―1,1―ジオキシチオフェン(tetrahydro-1,1-dioxythiophene)等を含むが、これらに限定されない。多環式複素環基は、スピロ環、縮合環および架橋環の複素環基を含み、ここで、関与されるスピロ環、縮合環および架橋環の複素環基は、単結合を介して他の基に任意選択で連結されるか、または環上の任意の二つまたはそれ以上の原子を介して他のシクロアルキル基、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基にさらに連結される。
【0069】
「芳香族炭化水素(基)」とは、1~5環の芳香族環状炭化水素化合物基を指し、特に単環式および二環式基を指し、二つまたはそれ以上の芳香環(二環式等)を含む場合に、アリール基の芳香環は、単結合によって接続(例えば、ビフェニル(biphenyl))されるか、または縮合(例えば、ナフチル(naphthalene)、アントラセン(anthracene)等)されることができる。アリール基は、好ましくはC~C12アリール基であり、6、7、8、9、10、11または12個の環炭素原子を含む芳香族環状炭化水素化合物基を指す。アリール基(特に、単環式および二環式基を指す)の例としては、フェニル基、ビフェニル基またはナフチル基(naphthyl group)を含むが、これらに限定されない。アリール基は、単結合または任意の二つの隣接する環C原子、例えば、ベンゾテトラヒドロフラニル基(benzotetrahydrofuranyl group)、ベンゾテトラヒドロピラニル基(benzotetrahydropyranyl group)、ベンゾジオキサニル基(benzodioxanyl group)、
【化34】
等を介して複素環基と縮合させることができる。
【0070】
「ヘテロ芳香族炭化水素(基)」とは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個(例えば、1、2または3個)のシクロヘテロ原子を含む、5~12個の環原子(5~12員)の単環式、二環式または三環式を指し、残りの環原子は、Cの芳香環であり、ヘテロアリール基の結合点が、ヘテロアリール環上にあるべきであることは明らかでアロハ図である。ヘテロアリール基は、好ましくは5~8個の環原子(5~8員)を有し、より好ましくは5~6個の環原子(5~6員)を有する。ヘテロアリール基の例としては、イミダゾリル基(imidazolyl group)、オキサゾリル基(oxazolyl group)、イソキサゾリル基(isoxazolyl group)、チアゾリル基(thiazolyl group)、イソアゾリル基(isothiazolyl group)、オキサジアゾリル基(oxadiazolyl group)、チアジアゾリル基(thiadiazolyl group)、ピラジニル基(pyrazinyl group)、チエニル基(thienyl group)、フリル基(furyl group)、ピラニル基(pyranyl group)、ピリジル基、ピロリル基(pyrrolyl group)、ピラゾリル基(pyrazolyl group)、ピリミジニル基(pyrimidinyl group)、キノリニル基(quinolinyl group)、イソキノリニル基(isoquinolinyl group)、ベンゾフラン基(benzofuranyl group)、ベンゾチエニル基(benzothienyl group)、ベンゾチオピラニル基(benzothiopyranyl group)、ベンズイミダゾリル基(benzoimidazolyl group)、ベンゾオキサゾリル基(benzoxazolyl group)、ベンゾオキサジアゾリル基(benzoxadiazolyl group)、ベンゾチアゾリル基(benzothiazolyl group)、ベンゾチアジアゾリル基(benzothiadiazolyl group)、ベンゾピラニル基(benzopyranyl group)、インドリル基(indolyl group)、イソインドリル基(isoindolyl group)、トリアゾリル基(triazolyl group)、トリアジニル基(triazinyl group)、キノキサリニル基(quinoxalinyl group)、プリニル基(purinyl group)、キナゾリニル基(quinazolinyl group)、キナジニル基(quinazinyl group)、ナフチリジニル基(naphthyridinyl group)、プテリジニル基(pteridinyl group)、カルバゾリル基(carbazolyl group)、アザピリジン基(azepinyl group)、ジアザピリジン基(diazepinyl group)、アクリジニル基(acridinyl group)等を含むが、これらに限定されない。
「多置換」とは、二つまたはそれ以上の置換を指す。
【0071】
本発明において、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基等の基は、特に明記しない限り、置換のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基等を含み、前記置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、エステル基、スルフィニル基、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、エステル基等である(これらに限定されない)。
「重水素化物」とは、化合物中の一つの水素原子(H)または複数の水素原子(H)が重水素原子(D)によって置換されてから後得られた化合物を指す。
【0072】
有効成分
本明細書に使用されるように、「本発明の化合物」または「本発明の有効成分」という用語は、交換可能に使用され、式Iの化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物を指す。
【0073】
式Iの化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物は、以下の構造を有し、
式I:
【化35】

ここで、A、B、C、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZの定義は、上記のとおりである。
【0074】
好ましくは、式Iの化合物、またはその互変異性体、またはそのメソ化合物、ラセミ化合物およびメソ化合物とラセミ化合物との混合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその重水素化物は、式IIIに示される構造を有し、
式III:
【化36】
式において、
B、X、Y、R、R、RおよびRの定義は、上記のとおりである。
本発明の化合物によって形成され得る塩も、本発明の範囲に属する。特に明記しない限り、本発明の化合物は、それらの塩を含むと理解される。本明細書で使用される「塩」という用語は、無機または有機の酸および塩基を使用して、酸式または塩基の形態の塩を形成することを指す。さらに、本発明の化合物が一つの塩基性フラグメントを含む場合、それはピリジン(pyridine)またはイミダゾール(imidazole)を含むが、これらに限定されず、一つの酸性フラグメントを含む場合、カルボン酸(carboxylic acid)を含むが、これらに限定されず、形成される可能性のある双性イオン(「内塩」)は、「塩」という用語の範囲に含まれる。薬学的に許容される(七和知、非毒性で生理学的に許容される)塩は、好ましいが、他の塩も有用であり、例えば、調製プロセスにおける分離または精製段階に使用されることができる。本発明の化合物は、塩を形成することができ、例えば、化合物Iは、等量等の一定量の酸または塩基と反応させて、媒介で塩析するか、または水溶液で凍結乾燥する。
【0075】
本発明の化合物に含まれる塩基性フラグメントは、アミン(amine)またはピリジンまたはイミダゾール環を含むがこれらに限定されなく、有機または無機の酸と塩を形成することができる。塩を形成することができる典型的な酸は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩を含み、前記有機酸塩は、ギ酸、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ピルビン酸塩、グリコール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、イセチオネート、ベンゼンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ピグリン酸塩、グルタミン酸塩、アスコルビン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩等から選択される。
本発明のいくつかの化合物が含み得る酸性フラグメントは、カルボン酸を含むがこれらに限定されなく、様々な有機または無機の塩基と塩を形成することができる。塩基によって形成される典型的な塩は、アンモニウム塩、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム塩のアルカリ金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、例えば、ベンザチン(benzathine)、ジシクロヘキシルアミン(dicyclohexylamine)、ヒドラバミン(hydrabamine)(N,N―ビス(ジデヒドロアビエチル)エチレンジアミン(N,N-bis(dehydroabietyl)ethylenediamine)と形成された塩)、N―メチル―D―グルコサミン(N-Methyl-D-glucosamine)、N―メチル―D―グルカミド(N-methyl-D-glucamide)、tert―ブチルアミン(tert-butylamine)等の有機塩基で形成される塩(例えば、有機アミン)、および例えば、アルギニン(arginine)、リシン(lysine)等のアミノ酸と形成される塩を含む。塩基性窒素含有基は、例えば、小分子アルキルハロゲン化物(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基の塩化物、臭化物およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(dialkyl sulfate)(例えば、硫酸ジメチル(dimethyl sulfate)、硫酸ジエチル(diethyl sulfate)、硫酸ジブチル(dibutyl sulfate)および硫酸ジペンチル(dipentyl sulfate))、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル基(decyl group)、ドデシル基、テトラデシル基(tetradecyl group)およびテトラデシル基の塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(aralkyl)(例えば、ベンジル基(benzyl group)およびフェニル基の臭化物)等のハロゲン化物第四級アンモニウム塩(quaternary ammonium salt)と組み合わせることができる。
【0076】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も、範囲内に含まれる。本明細書における「プロドラッグ」という用語は、関連する疾患を治療する場合に、代謝的または化学的プロセスによる化学転換によって、本発明の化合物、塩、または溶媒和物を生成する、化合物を指す。本発明の化合物は、水和物等の溶媒和物を含む。
【0077】
本発明の化合物、塩または溶媒和物は、互変異性形態(例えば、アミド(amide)およびイミンエーテル(iminoether))で存在することができる。これらの互変異性体は、すべて本発明の一部である。
【0078】
エナンチオマー形態およびジアステレオマー形態を含む、化合物のすべての立体異性体(例えば、様々な置換によって存在する可能性のある不斉炭素原子)は、すべて本発明の範囲内にある。本発明の化合物の独立した立体異性体は、他の異性体と共存してはならず(例えば、一つの純粋または実質的に純粋な光学異性体として特別な活性を有する)、またはラセミ体等の混合物または他のすべての立体異性体またはそれらの一部と形成される混合物であり得る。本発明のキラル中心は、1974年に国際理論応用科学連合会(IUPAC)によって定義された、SまたはRの二つの配置を有する。ラセミ形態は、例えば、分別結晶化、またはジアステレオマーへの誘導による結晶の分離、またはキラルカラムクロマトグラフィーによる分離等の物理的方法によって解決されることができる。個々の光学異性体は、光学活性酸によって塩形成した後再結晶する等の従来の方法を含むがこれらに限定されない、適切な方法によってラセミ化合物から得られることができる。
【0079】
本発明の化合物において、連続的な調製、分離および精製によって得られる当該化合物の重量含有量は、≧90%、例えば、≧95%、≧99%(「非常に純粋」な化合物)であり、本明細書で説明される。ここで、このような「非常に純粋」な本発明の化合物も、本発明の一部として使用される。
【0080】
本発明の化合物のすべての配置の異性体は、混合物であろうと、純粋なまたは非常に純粋な形態であろうと、すべて範囲内にある。本発明の化合物の定義は、シス(Z)およびトランス(E)の二つのオレフィン異性体、ならびに炭素環および複素環のシスおよびトランス異性体を含む。
本明細書の全体において、安定したフラグメントおよび化合物を提供するために、基および置換基を選択することができる。
【0081】
特定の官能基および化学用語の定義については、以下で詳細に説明される。本発明の場合、化学元素は、元素の周期表(Periodic Table of the Elements)、CASバージョン(version)、化学および物理学ハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)、第75版(75th Ed.)で定義されるものと一致している。特定の官能基の定義も、記載されている。さらに、有機化学の基本原理および特定の官能基および反応性は、「有機化学(Organic Chemistry)」、トマスソレル(Thomas Sorrell)、大学科学書(University Science Books)、Sausalito:1999でも説明されており、内容全体が参照文献として含まれる。
【0082】
本発明のいくつかの化合物は、特定の幾何学的または立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、シスおよびトランス異性体、RおよびSエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)型異性体、(L)型異性体、ラセミ混合物および他の混合物等の、すべての化合物を含む。さらに、不斉炭素原子は、アルキル基等の置換基を表すことができる。すべての異性体およびそれらの混合物は、すべて本発明に含まれる。
【0083】
本発明によれば、異性体を含む異性体の混合物の比率は、様々であり得る。例えば、二つの異性体のみの混合物は、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、または100:0の組み合わせを有することができ、異性体のすべての比率は、本発明の範囲内にある。当業者によって容易に理解される同様の比率、およびより複雑な異性体の混合物である比率も、本発明の範囲にある。
【0084】
本発明は、本明細書に開示される元の化合物と同等である同位体で標識される化合物をさらに含む。ただし、実際には、通常、一つまたは複数の原子が、その原子量または質量数の異なる原子よって置換される場合も発生する。本発明の化合物の同位体として分類されることができる例としては、それぞれH、H、13C、11C、4C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clのような、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素同位体を含む。上記化合物を含む、本発明の化合物、またはエナンチオマー,ジアステレオマー,異性体、または薬学的に許容される塩または溶媒化物の同位体または他の同位体原子は、すべて本発明の範囲にある。Hおよび14Cの放射性同位体等の、本発明のいくつかの同位体標識化合物も薬物および基質の組織分布実験において有用である。トリチウム、即ちHおよびカーボン―14、即ち14Cの調製および検出は、比較的に容易である。同位体の中で最適な選択肢である。さらに、重水素、即ちH等のより重い同位体置換は、体内での半減期の延長または投与量の減少等、代謝安定性が優れているため、特定の治療法で利点があり、従って、いくつかの場合によって優先することができる。同位体標識化合物は、例に開示される方法を使用して、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体試薬に置き換えることにより、一般的な方法によって調製されることができる。
【0085】
本発明の化合物の特定的エナンチオマーの合成を設計する場合に、それは、不斉合成によって調製されるか、またはキラル補助剤で誘導体化して、生成されたジアステレオマー混合物を分離してから、キラル補助剤を除去することにより、純粋なエナンチオマーを得ることができる。さらに、分子には例えばアミノ酸などの塩基性官能基、またはカルボキシル基等の酸性官能基が含まれる場合に、適切な光学活性的な酸または塩基を使用してジアステレオマー塩を形成して、次に結晶の分離またはクロマトグラフィー等の従来の手段によって分離することができ、次に純粋なエナンチオマーを得ることができる。
【0086】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、任意の数の置換基または官能基と組み合わせて、それらの包含の範囲を拡大する。通常、「置換」という用語が「選択可能」という用語の前または後ろに現れるかどうかに関係なく、本発明の式に置換基を含む一般式は、水素ラジカルの指定された構造置換基による置換を指す。特定の構造内の複数の位置が複数の特定の置換基よって置換される場合、置換基の各位置は、同じであっても異なってもよい。本明細書で使用される「置換」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換を含む。大まかにいえば、許容される置換基は、非環式、環式、分岐鎖の非分岐鎖式、炭素環式および複素環式、芳香族環および非芳香族環の有機化合物が含む。本発明において、例えば、ヘテロ原子窒素は、その原子価を補うために、水素置換基または上記の任意の許容される有機化合物を有することができる。さらに、本発明は、いかなる方法においても、許容される有機化合物の置換を制限することを意図するものではない。本発明は、置換基および可変基の組み合わせが、安定な化合物の形態での疾患の治療に優れていると考えている。本明細書における「安定」という用語は、化合物の構造的完全性を維持するのに十分に長い時間、好ましくは、効果的であるのに十分に長い時間内で実験することができ、本明細書で上記の目的に使用される、安定性を有する化合物を指す。
【0087】
本発明に関与される化合物およびそれらの薬学的に許容される塩の代謝産物、ならびに本発明に関与される化合物およびそれらの薬学的に許容される塩の構造に変換することができるプロドラッグも、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【0088】
調製方法
本発明の化合物は、本明細書に記載または当技術分野で知られている様々な合成方法を任意に組み合わせることにより都合よく調製されることができ、そのような組み合わせは、当業者によって容易に実施することができる。
【0089】
通常、調製プロセスにおいて、各反応は、一般に不活性溶媒中で、―60℃~100℃、好ましくは―60℃~80℃下で行われる。反応時間は、一般に0.1時間~60時間、好ましくは、0.5~48時間である。
好ましい合成ルートは、次のとおりである。
【化37】
ルート1
【化38】
ルート2
【化39】
ルート3
式において、Zは、Oであり、Rは、C~Cアルキル基であり、
A、B、C、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、R、RおよびRの定義は、上記のとおりであり、
【0090】
ここで、
ルート1:(1)不活性溶媒(例えば、エタノール(ethanol)、メタノール(methanol))において、化合物1および化合物2は、塩基(例えば、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、炭酸カリウム(potassium carbonate)、水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)、トリエチルアミン(triethylamine)、ピリジン等)の作用下で求核置換反応を起こして、化合物3を生成し、(2)不活性溶媒(例えば、エタノール、メタノール)において、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)の作用下で、化合物3は、塩酸ヒドロキシルアミン(hydroxylamine hydrochloride)と反応させて、化合物4を生成し、(3)不活性溶媒(例えば、1,2―ジクロロエタン(1,2-dichloroethane)および/または氷酢酸)中で、化合物4は、ジメトキシプロパン(dimethoxy acetonide)と反応させて、最終生成物5を得る。
【0091】
ルート2:(1)不活性溶媒(例えば、エタノール、メタノール)において、化合物1および化合物2は、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)の作用下で求核置換反応を起こして、化合物3を生成し、(2)不活性溶媒(例えば、エタノール、メタノール)において、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)の作用下で、化合物3は、塩酸ヒドロキシルアミンと反応させて、化合物4を生成し、(3)不活性溶媒(例えば、1,2―ジクロロエタンおよび/または氷酢酸)中で、化合物4は、ジメトキシプロパン(dimethoxy propane)と反応させて、最終生成物5を得る。
【0092】
ルート3:(1)不活性溶媒(例えば、トルエン(toluene))において、化合物1および化合物2は、塩基(例えば、ナトリウムtert―ブトキシド(sodium tert-butoxide)、カリウムtert―ブトキシド(potassium tert-butoxide)、水素化ナトリウム(sodium hydride)、水素化カリウム(potassium hydride)、炭酸カリウム、炭酸セシウム(cesium carbonate)、リン酸カリウム(potassium phosphate)、水酸化カリウム(potassium hydroxide)、水酸化ナトリウム等)の作用下で求核置換反応をおこして、化合物3を生成し、(2)不活性溶媒(例えば、トルエン)において、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminum)の存在下で、化合物3は
【化40】
と反応させて、最終生成物4を得る。
本発明の出発物質は、すべて既知であり、かつ市販されているか、または当技術分野で報告される文献に従って合成することができる。
【0093】
医薬組成物および投与方法
本発明に記載の医薬組成物は、炎症、癌、心血管疾患、感染、免疫性疾患、代謝性疾患等の疾患を予防および/または治療するために使用される。。
本発明に記載の化合物は、同様の状態を治療または改善することができる知られている他の薬物と組み合わせて使用することができる。併用投与の場合、元の薬物投与方法および投与量を変更せずに、本発明の化合物を同時にまたはその後投与することができる。本発明の化合物を他の一つまたは複数の薬物と同時に投与する場合に、一つまたは複数の既知の薬物および本発明の化合物を含む的医薬組成物を好ましく使用することができる。薬物の併用は、本発明の化合物および一つまたは複数の他の既知の薬物を重複する時間で服用することも含む。本発明の化合物を一つまたは複数の他の薬物と薬物併用する場合に、本発明の化合物または既知の薬物の投与量は、単独で使用される化合物の投与量よりも低くてもよい。
【0094】
本発明の前記医薬組成物の剤形は、注射剤、錠剤、カプセル剤、エアロゾル剤、坐剤、フィルム剤、滴下剤、外用塗布剤、放出制御型または徐放型またはナノ製剤を含む(これらに限定されない)。
【0095】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効量の範囲内の本発明の化合物またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容される賦形剤またはベクターを含む。ここで、「安全かつ有効量」とは、化合物の量が、深刻な副作用を引き起こすことなく状態を大幅に改善するのに十分であることを指す。通常、医薬組成物は、1~2000mgの本発明の化合物/薬剤、より好ましくは、10~1000mgの本発明の化合物/薬剤を含む。好ましくは、前記「1回投与」は、一つのカプセルまたは錠剤である。
【0096】
「薬学的に許容されるベクター」とは、ヒトでの使用に適しており、十分な純度および十分に低い毒性を有さなければならない、一つまたは複数の適合性のある固体または液体の充填剤またはゲル物質を指す。「適合性」とは、組成物中の各成分が、化合物の効力を著しく低下させることなく、本発明の化合物と、およびそれらの間の相互混合することができることを意味する。薬学的に許容されるベクターの一部の例としては、セルロース(cellulose)およびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose)、エチルセルロースナトリウム(sodium ethyl cellulose)、酢酸セルロース(cellulose acetate)等)、ゼラチン(gelatin)、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate))、硫酸カルシウム(Calcium sulfate)、植物油(例えば、大豆油、ごま油、落花生油、オリーブ油等)、ポリオール(polyol)(例えば、プロピレングリコール(propylene glycol)、グルセリン(glycerin)、マンニトール(mannitol)、ソルビトール(sorbitol)等)、乳化剤(例えば、tweenR)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate))、着色剤、香味剤、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、パイロジェンフリー水等を有する。
【0097】
本発明の化合物または医薬組成物の投与方式は、特に限定されず、代表的な投与方法は、経口、腫瘍内、直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、および局所投与を含む(これらに限定されない)。
【0098】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤および顆粒剤を含む。これらの固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム(sodium citrate)またはリン酸二カルシウム(dicalcium phosphate)等の少なくとも一つの従来の不活性賦形剤(またはベクター)と混合されるか、または(a)澱粉、乳糖(lactose)、ショ糖(sucrose)、ブドウ糖、マンニトールおよびケイ酸(silicic acid)等の充填剤または相溶化剤、(b)ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethyl cellulose)、アルギン酸塩(alginate)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ショ糖およびアラビアゴム等の結合剤、(c)グルセリン等の保湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、馬鈴薯澱粉またはタピオカ澱粉、アルギン酸(alginic acid)、特定の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、(e)パラフィン(paraffin)等の鎮静溶剤、(f)第四級アミン化合物等の吸収加速剤、(g)セチルアルコール(cetyl alcohol)およびモノステアリン酸グリセリル(glyceryl monostearate)等の湿潤剤、(h)カオリン(kaolin)等の吸着剤、ならびに(i)タルク、ステアリン酸カルシウム(calcium stearate)、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール(solid polyethylene glycol)、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、またはそれらの混合物等の成分と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤において、剤形は、緩衝剤も含み得る。
【0099】
錠剤、糖丸、カプセル剤、丸剤および顆粒剤等の固体剤形は、腸溶コーティングおよび当技術分野で知られている他の材料等のコーティングおよびシェル材料を用いて調製することができる。それらは、混濁剤を含み得、また、そのような組成物の活性化合物または化合物の放出は、消化管の特定の部分において遅延的に放出されることができる。採用できる埋め込み成分は、高分子物質およびワックスである。必要に応じて、活性化合物は、上記の賦形剤の一つまたは複数を用いてマイクロカプセルに形成することもできる。
【0100】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、水または放火の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エタノール、イソプロパノール(isopropanol)、炭酸エチル(ethyl carbonate)、酢酸エチル(ethyl acetate)、プロピレングリコール、1,3―ブタンアルコール(1,3-butyleneglycol)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)および油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、蓖麻子油およびごま油またはこれらの物質の混合物等、当技術分野で従来から使用される不活性希釈剤を含み得る。
これらの不活性希釈剤に加えて、組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および香料も含み得る。
【0101】
活性化合物に加えて、懸濁液は、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール(ethoxylated isooctadecanol)、ポリオキシエチレンソルビトール(polyoxyethylene sorbitol)およびソルビタンエステル(sorbitan ester)、微結晶セルロース、メトキシドアルミニウム(aluminum methoxide)ならびに寒天(agar)またはこれらの物質的混合物等を含み得る。
【0102】
非経口注射用の組成物は、生理学的に許容される滅菌水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、および滅菌注射可能溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含み得る。適切な水性および非水性ベクター、希釈剤、溶媒または賦形剤は、水、エタノール、ポリオールおよびそれらの適切な混合物が含まれる。
【0103】
局所投与用の本発明の化合物の剤形は、軟膏剤、粉末剤、パッチ剤、噴射剤および吸入剤を含む。有効成分は、無菌条件下で、生理学的に許容されるベクター、および任意の防腐剤、緩衝剤、または必要に応じて必要となる可能性のある推進剤と混合される。
本発明の治療方法は、単特投与で、またはその他の治療手段または治療薬と併用することができる。
【0104】
医薬組成物を使用する場合、安全かつ有効量の本発明の化合物が、治療を必要とする哺乳動物(ヒト等)に適用され、ここで、投与時の投与量は、薬学的に許容される有効投与量であり、体重が60kgであるヒトの場合、一日投与量は、通常1~2000mg、好ましくは10~1000mgである。もちろん、具体的な投与量は、投与経路、患者の健康状態等、熟練した医師のスキル範囲にある要因も考慮する必要がある。
【0105】
本発明は、薬学的に許容されるベクターを本発明の前記化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒化物またはプロドラッグと混合して、医薬組成物を形成する段階を含む、医薬組成物の調製方法をさらに提供する。
【0106】
本発明は、ROS1、NTRK、ALK等の融合突然変異およびその薬物耐性突然変異体の選択的阻害に使用される、治療を必要とする対象に、本発明の前記化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒化物またはプロドラッグを投与するか、または本発明に記載の医薬組成物を投与する段階を含む、治療方法をさらに含む。
【0107】
本発明は、次のような利点を有する。
(1)本発明の化合物は、ROS1、NTRK、ALKキナーゼに対して、すべて優れた阻害能力を有し、特にこれらの標的薬物耐性突然変異に対して優れた活性を有する。
(2)本発明の化合物は、より優れた薬力学、薬物動態性能およびより低い毒性副作用を有する。
(3)本発明の化合物は、臨床診療で緊急に必要とされる薬物耐性患者のための効果的な薬物に発展する可能性がある。
本発明の技術的解決策を以下でさらに説明するが、本発明の保護範囲はこれらに限定されない。
以下、いくつかの具体的な実施例を示して説明する。
【0108】
実施例1
合成ルート:
【化41】
反応段階:
(1)化合物2の合成:100mLシングルネックフラスコ、コンデンサーチューブ、アルゴンガス保護。化合物1(5.2g)を秤量し、メタノール(50mL)およびテトラヒドロフラン(25mL)を加え、アルゴンガス保護下で60℃に昇温し、1M/Lのメタノールナトリウムのメタノール溶液(32mL)(自作)をゆっくりと滴下し、1時間で滴下完了し、次に、60℃下で一晩攪拌する。翌日、溶媒をスピン乾燥し、水および酢酸エチルを加えて液体を分離し、次に、酢酸エチルでもう一回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、4.21gの油性生成物を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ10.48(d、J=1.0Hz、1H)、7.31(dd、J=9.2、8.2Hz、1H)、6.88(dd、J=9.2、3.7Hz、1H)、3.92(s、3H)。
【0109】
(2)化合物3の合成:250mLのシングルネックフラスコにコンデンサーチューブで上を密閉し、化合物2(4.01g)、(R)―tert―ブチルスルフィンアミド(3.87g、1.5eq)、チタン酸テトラエチル(9.73g、2.0eq)、テトラヒドロフラン(100mL)を加え、80℃下で一晩攪拌し、翌日冷却する。大量の飽和食塩水および酢酸エチルを加え、液体を分離し、水相をジクロロメタンでもう一回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、4.73gの油性生成物を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.93(s、1H)、7.23(dd、J=9.1、8.4Hz、1H)、6.85(dd、J=9.2、3.9Hz、1H)、3.88(s、3H)、1.30(s、9H)。
【0110】
(3)化合物4の合成:250mLの三つ口フラスコに、化合物3(4.73g)およびテトラヒドロフラン(200mL)を加え、アルゴンガス保護で、まず室温下で10分間攪拌し、―10℃に冷却し、3Mメチルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液(25ml、3eq)を加え、反応物をゆっくりと室温に昇温し、一晩攪拌する。翌日、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。水および酢酸エチルを加えて液体を分離し、次に、酢酸エチルでもう一回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、4.525gの固体生成物を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.01(td、J=9.2、8.4Hz、1H)、6.76(ddd、J=9.1、6.9、4.1Hz、1H)、5.33-4.39(m、2H)、3.87(d、J=6.2Hz、3H)、1.57(dd、J=56.9、7.0Hz、3H)、1.17(d、J=28.1Hz、9H)。
【0111】
(4)化合物5の合成:500mLのシングルネックフラスコに、化合物4(4.525g)および塩酸/ジオキサン(150mL)を加える。室温下で4時間攪拌し、TLCにより原料が完全に反応するのをモニタリングする。溶媒を直接スピン乾燥し、水を加え、炭酸ナトリウム水溶液でpHを9~10に調整する。酢酸エチルで抽出し、2回抽出し、乾燥し、濃縮して、2.86gの淡黄色油状物を得る。
【0112】
(5)化合物6の合成:100mLシングルネックフラスコ、化合物5(1.06g)、5―クロロピラゾロピリミジン―3―カルボニトリル(0.93g、1.0eq)、エタノール(60mL)およびトリエチルアミン(1.581g、3.0eq)をシングルネックフラスコに加え、コンデンサーチューブを加え、アルゴンガス保護下で、まず室温下で10分間攪拌し、その後55℃下で一晩反応させる。翌日、TLCは、反応が完了するのをモニタリングし、直接吸引およびろ過して、0.93gの粉末固体生成物を得る。H NMR(400MHz、DMSO)δ8.57(d、J=7.6Hz、1H)、8.46(d、J=7.3Hz、1H)、8.23(s、1H)、7.26(t、J=9.0Hz、1H)、7.02(dd、J=9.2、4.3Hz、1H)、6.59(d、J=7.6Hz、1H)、5.82(q、J=7.1Hz、1H)、3.89(s、3H)、1.56(d、J=7.2Hz、3H)。
【0113】
(6)化合物7の合成:100mLのシングルネックフラスコに、化合物6(0.93g)、無水炭酸カリウム(1.12g、3eq)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.563g、3eq)、エタノール(40mL)およびジオキサン(20mL)を加え、80℃下で一晩反応させる。翌日、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。溶媒を直接スピン乾燥し、水および酢酸エチルを加え、水相をジクロロメタンでもう一回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、0.411gの純粋な生成物を得る。H NMR(400MHz、DMSO)δ9.02(s、1H)、8.46(d、J=7.6Hz、1H)、8.13(d、J=7.5Hz、1H)、7.88(s、1H)、7.26(t、J=9.0Hz、1H)、7.04(dd、J=9.2、4.3Hz、1H)、6.44(d、J=7.6Hz、1H)、5.89-5.61(m、3H)、3.87(s、3H)、1.54(d、J=7.2Hz、3H)。
【0114】
化合物の実施例1の合成:化合物7(0.411g)を秤量し、ジメトキシプロパン(0.457g、4eq)、1,2―ジクロロエタン(15mL)および氷酢酸(7.5mL)を加え、80℃下で4時間攪拌し、TLCは、反応が完了するのをモニタリングし、溶媒を直接スピン乾燥し、水およびジクロロメタンを加え、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、170mgの最終生成物を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.25-8.12(m、2H)、7.05(dd、J=9.1、8.2Hz、1H)、6.80(dd、J=9.1、4.0Hz、1H)、6.08(t、J=30.1Hz、4H)、3.91(s、2H)、1.58(t、J=5.8Hz、8H)。
【0115】
実施例2
合成ルート:
【化42】
【0116】
反応段階:
(1)化合物2の合成:500mLの三つ口フラスコ、温度計、コンデンサーチューブ、アルゴンガス保護。化合物1(14.77g)を秤量し、メタノール(200mL)およびテトラヒドロフラン(85mL)を加え、アルゴンガス保護下で60℃に昇温し、1M/Lのメタノールナトリウムのメタノール溶液(85mL)(自作)をゆっくりと滴下し、1時間で滴下完了する。その後60℃下で一晩攪拌する。翌日、溶媒をスピン乾燥し、水および酢酸エチルを加えて抽出し、次に、酢酸エチルでもう一回抽出し、12gの油性生成物を得る。
【0117】
(2)化合物3の合成:500mLのシングルネックフラスコにコンデンサーチューブで上を密閉し、化合物2(12g)、(R)―tert―ブチルスルフィンアミド(19.52g、2.5eq)、チタン酸テトラエチル(36.8g、2.5eq)およびテトラヒドロフラン(300mL)を加える。80℃下で一晩攪拌し、翌日冷却する。大量の飽和食塩水および酢酸エチルを加えて層を分離し、水相をジクロロメタンでもう一回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、3.0gの油性生成物を得る。
【0118】
(3)化合物4の合成:500mLのシングルネックフラスコに、化合物3(3.0g)およびテトラヒドロフラン(200mL)を加え、アルゴンガス保護下で、まず室温下で10分間攪拌し、その後ドライアイスで―60℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(1.2g、3.0eq)を加え、反応物をゆっくりと室温に昇温し、一晩攪拌する。翌日、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。水および酢酸エチルを加えて抽出し、次に酢酸エチルでもう一回抽出する。有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、2.25gの油性生成物を得る。
【0119】
(4)化合物5の合成:100mLのシングルネックフラスコに、化合物4(2.25g)および塩酸/ジオキサン(50mL)を加え、室温下で4時間攪拌し、原料が完全に反応するのを検出する。溶媒を直接スピン乾燥し、水を加え、炭酸ナトリウム水溶液でpHを9~10に調整する。酢酸エチルで抽出し、2回抽出し、乾燥し、濃縮して、1.8gの淡黄色油状物を得る。
【0120】
(5)化合物6の合成:100mLのシングルネックフラスコに、化合物5(0.92g)、5―クロロピラゾロピリミジン―3―カルボニトリル(0.81g、1.1eq)、エタノール(40mL)およびトリエチルアミン(1.25g、3.0eq)を加え、コンデンサーチューブを加え、アルゴンガス保護下で、まず室温下で10分間攪拌し、その後55℃下で一晩反応させる。翌日、TLCは、反応が完了するのをモニタリングし、直接スピン乾燥し、水および酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、0.95gの油性生成物を得る。
【0121】
(6)化合物7の合成:100mLのシングルネックフラスコに、化合物6(0.95g)、無水炭酸カリウム(0.8g、2eq)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.4g、2eq)、エタノール(40mL)およびジオキサン(20mL)を加える。80℃下で一晩反応させ、翌日、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。溶媒を直接スピン乾燥し、水および酢酸エチルを加え、水相をジクロロメタンでもう一回抽出する。有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、0.4gの純粋な生成物を得る。H NMR(400MHz、DMSO)δ9.02(s、1H)、8.46(d、J=7.6Hz、1H)、8.23(d、J=7.1Hz、1H)、7.89(s、1H)、7.20(ddd、J=11.1、9.2、5.2Hz、1H)、6.98(td、J=9.6、3.8Hz、1H)、6.40(d、J=7.6Hz、1H)、5.78(d、J=11.3Hz、2H)、5.55-5.33(m、1H)、3.91(d、J=1.7Hz、3H)、1.59(d、J=7.1Hz、3H)。
【0122】
(7)化合物の実施例2の合成:化合物7(0.3g)を秤量し、ジメトキシプロパン(0.345g、4eq)、1,2―ジクロロエタン(10mL)および氷酢酸(5mL)を加え、80℃下で4時間攪拌し、TLCは、反応が完了するのをモニタリングし、溶媒を直接スピン乾燥し、水およびジクロロメタンを加える。乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、130mgの最終生成物を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.20(s、1H)、8.15(d、J=7.6Hz、1H)、6.97(ddd、J=10.8、9.2、5.3Hz、1H)、6.75(td、J=9.4、3.7Hz、1H)、6.34(s、1H)、6.06(d、J=7.5Hz、1H)、5.79-5.59(m、2H)、4.03(d、J=1.8Hz、2H)、1.72-1.64(m、5H)、1.60(s、3H)。
【0123】
実施例3
合成ルート:
【化43】
反応段階:
(1)化合物2の合成:500mLの三つ口フラスコ、温度計、コンデンサーチューブ、アルゴンガス保護。化合物1(9.65g)を秤量し、ジクロロメタン(350mL)およびp―トルエンスルホニルクロリド(23.84g、1.3eq)を加え、アルゴンガス保護下で0℃に冷却し、トリエチルアミン(29.24g、3.0eq)をゆっくりと滴下し、10分で滴下完了し、その後室温下で一晩攪拌する。翌日、水およびジクロロメタンを加え、ジクロロメタンでもう一回抽出し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、20gの生成物を得る。
【0124】
(2)化合物4の合成:500mLの三つ口フラスコ、温度計、コンデンサーチューブ、アルゴンガス保護。化合物2(20g)を秤量し、N,N―ジメチルホルムアミド(350mL)および化合物3(12.13g、1eq)を加え、無水炭酸カリウム(54.33g、5eq)を加え、アルゴンガス保護下で60℃に昇温し、一晩攪拌する。翌日、水および酢酸エチルを加え、酢酸エチルでもう一回抽出し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、13gの油性生成物を得る。収率は、70.3%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.51(dd、J=8.8、3.3Hz、1H)、7.19(ddd、J=9.0、7.2、3.3Hz、1H)、6.88(dd、J=9.0、3.9Hz、1H)、4.43(q、J=7.9Hz、2H)、2.63(s、3H)。
【0125】
(3)化合物5の合成:500mLのシングルネックフラスコにコンデンサーチューブで上を密閉し、化合物4(13g)、(R)―tert―ブチルスルフィンアミド(13.33g、2eq)、チタン酸テトラエチル(25.13g、2eq)およびテトラヒドロフラン(300mL)を加え、80℃下で一晩攪拌し、翌日冷却する。大量の飽和食塩水および酢酸エチルを加え、層を分離し、水相をジクロロメタンでもう一回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、9.6gの油性生成物を得、収率は、51.6%である。
【0126】
(4)化合物6の合成:250mLのシングルネックフラスコに、化合物5(9.6g)およびテトラヒドロフラン(150mL)を加え、アルゴンガス保護下で、まず室温下で10分間攪拌し、その後ドライアイスで―60℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(3.23g、3eq)を加え、反応物をゆっくりと室温に昇温し、一晩攪拌する。翌日、TLCで検出する。飽和塩化アンモニウム水溶液および酢酸エチルを加え、酢酸エチルでもう一回抽出する。有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、0.9gの油性生成物を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.05(dd、J=8.8、3.1Hz、1H)、6.94(ddd、J=8.9、7.7、3.1Hz、1H)、6.78(dd、J=9.0、4.3Hz、1H)、4.67(p、J=6.8Hz、1H)、4.47-4.32(m、2H)、3.79(d、J=6.9Hz、1H)、1.50(d、J=6.8Hz、3H)、1.21(s、9H)。
【0127】
(5)化合物7の合成:100mLのシングルネックフラスコに、化合物6(0.9g)および塩酸/ジオキサン(50mL)を加え、室温下で4時間攪拌し、TLC原料が完全に反応するのを検出する。溶媒を直接スピン乾燥し、0.865gの淡黄色固体を得る。
【0128】
(6)化合物9の合成:100mLのシングルネックフラスコに、化合物7(0.865g)、5―クロロピラゾロピリミジン―3―カルボニトリル(0.562g、1eq)、エタノール(40mL)およびトリエチルアミン(0.96g、3eq)を加える。コンデンサーチューブを加え、アルゴンガス保護下で、まず室温下で10分間攪拌し、その後55℃下で一晩反応させる。翌日、直接スピン乾燥し、水および酢酸エチルを加えて抽出し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、0.988gの油性生成物を得る。
【0129】
(7)化合物10の合成:100mLのシングルネックフラスコに、化合物9(0.988g)、無水炭酸カリウム(1.08g、3eq)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.544g、3eq)、エタノール(40mL)およびジオキサン(20mL)を加え、80℃下で一晩反応させ、翌日、TLCで検出する。溶媒を直接スピン乾燥し、水および酢酸エチルを加え、水相をジクロロメタンでもう一回抽出し、有機相を合併し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、0.65gの純粋な生成物を得、収率は、60.5%である。H NMR(400MHz、DMSO)δ9.00(s、1H)、8.55(dd、J=38.2、7.8Hz、1H)、8.28(d、J=6.5Hz、1H)、7.92(d、J=33.3Hz、1H)、7.18-7.02(m、3H)、6.47(dd、J=77.2、7.8Hz、1H)、5.63(s、2H)、5.44-5.27(m、1H)、5.08-4.74(m、2H)、1.42(d、J=6.9Hz、3H)。
【0130】
化合物の実施例3の合成:化合物10(0.65g)、ジメトキシプロパン(0.656g、4eq)、1,2―ジクロロエタン(15mL)および氷酢酸(7.5mL)を反応フラスコに加え、80℃下で4時間攪拌する。溶媒を直接スピン乾燥し、水およびジクロロメタンを加えて抽出し、乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、180mgの最終生成物を得る。液相の純度は、99%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.29-8.10(m、2H)、7.03(dd、J=8.6、2.9Hz、1H)、7.00-6.92(m、1H)、6.83(dd、J=9.0、4.2Hz、1H)、6.08(d、J=7.6Hz、1H)、5.79(s、1H)、5.51(d、J=5.5Hz、1H)、5.25(s、1H)、4.53-4.29(m、2H)、1.62(s、3H)、1.59(s、3H)、1.47(s、3H)。
【0131】
実施例4
合成ルート:
【化44】
【0132】
反応段階:
(1)化合物2の合成:化合物1(6.6g、42.8mmol、1eq)をアセトニトリル(100mL)溶液に溶解し、CDOTs(9.72g、51.4mmol、1.2eq)およびK2CO3(8.88g、64.2mmol、1.5eq)を加え、80℃下で12時間反応させ、原料の反応が終了した後、水および酢酸エチルを加えて抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、化合物2(7.0g、40.9mmol、収率95.5%)を得る。
【0133】
(2)化合物3の合成:化合物2(6.0g、35.1mmol、1.0eq)を60mLの乾燥THF溶液に溶解し、(R)―(+)―tert―ブチルスルフィンアミド(8.5g、70.1mmol、2eq)およびTi(OEt)4(16.0g、70.1mmol、2eq)を加え、70℃下で12時間反応させ、原料の反応が終了した後、水および酢酸エチルを加えて抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)によって精製して、化合物3(8.0g、29.1mmol、収率83.2%)を得る。
【0134】
(3)化合物4の合成:化合物3(3.0g、10.9mmol、1.0eq)を30mLの乾燥THF溶液に溶解し、―50℃下でNaBH4(1.24g、32.8mmol、3eq)を加え、―50℃下で4時間反応し続け、原料の反応が終了した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=8:1)によって精製して、化合物4(1g、3.62mmol、収率33.1%)を得る。
【0135】
(4)化合物5の合成:化合物4(1.0g、3.62mmol、1eq)を冰浴下で4M塩酸ジオキサン(10mL)に加え、0℃下で1時間反応し続け、原料の反応が終了した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、化合物5(0.5g、黄色油状液体、収率80.2%)を得る。
【0136】
(5)化合物6の合成:化合物5(500mg、2.9mmol、1eq)をエタノール(8mL)に溶解し、次に化合物5a(622mg、3.48mmol、1.2eq)およびトリエチルアミン(881mg、8.71mmol、2eq)を加え、次に60℃に昇温して2時間反応させ、原料の反応が終了した後、溶媒をスピン乾燥し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)によって精製して、化合物6(0.75g、2.39mmol、収率82.2%)を得る。
MS:300(M+H+)。
【0137】
(6)化合物7の合成:化合物6(700mg、2.23mmol、1eq)をエタノール(10mL)に溶解し、次に塩酸ヒドロキシルアミン(310mg、4.45mmol、2eq)および炭酸カリウム(616mg、4.45mmol、2eq)を加え、次に80℃に昇温させて12時間反応させ、原料の反応が終了した後、水および酢酸エチルを加えて抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=50:1)によって精製して、化合物7(700mg、2.02mmol、収率90.5%)を得る。
【0138】
化合物の実施例4の合成:化合物7(400mg、1.15mmol、1eq)を5mLの酢酸および1,2―ジクロロエタン(5mL)に溶解し、次に化合物7a(480mg、4.61mmol、4eq)を加え、次に80℃に昇温させて2時間反応させ、原料の反応が終了した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=0:1)によって精製して、化合物の実施例4(300mg、白色固体、0.77mmol、収率67.2%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.17(d、J=7.6Hz、1H)、8.15(s、1H)、6.98(dd、J=8.8、3.3Hz、1H)、6.95-6.88(m、1H)、6.86(dd、J=8.8、4.4Hz、1H)、6.17(d、J=6.4Hz、1H)、5.95(s、1H)、5.86(d、J=5.4Hz、1H)、1.62(s、3H)、1.54(d、J=6.9Hz、3H)、1.44(s、3H)。
【0139】
実施例5
合成ルート:
【化45】
反応段階:
(1)化合物2の合成:化合物1(8g、32.6mmol、1eq)を乾燥テトラヒドロフラン(60mL)に溶解し、―70℃下で臭化メチルマグネシウム溶液(21mL、65.2mmol、3M、2eq)を滴加し、滴下完了後、温度を維持しながら2時間反応し続け、原料の反応が終了した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)によって精製して、化合物2(2g、黄色固体、収率23.5%)を得る。
【0140】
(2)化合物3の合成:化合物2(1.5g、5.74mmol、1eq)を冰浴下で4M塩酸ジオキサン(10mL)に加え、0℃下で1時間反応し続け、原料の反応が終了した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、化合物3(0.8g、黄色油状液体、収率88.7%)を得る。
【0141】
(3)化合物4の合成:化合物3(200mg、1.27mmol、1eq)をエタノール(4mL)に溶解し、次に化合物3a(272mg、1.53mmol、1.2eq)およびトリエチルアミン(257mg、2.55mmol、2eq)を加え、次に55℃に昇温して2時間反応させ、原料の反応が終了した後、溶媒をスピン乾燥し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)によって精製して、化合物4(150mgの白色固体、収率39.4%)を得る。
MS:300(M+H+)。
【0142】
(4)化合物5の合成:化合物4(150mg、0.5mmol、1eq)をエタノール(2mL)に溶解し、次に塩酸ヒドロキシルアミン(70mg、1.0mmol、2eq)および炭酸カリウム(138mg、1.0mmol、2eq)を加え、次に80℃に昇温させて12時間反応させ、原料の反応が終了した後、水および酢酸エチルを加えて抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=50:1)によって精製して、化合物5(50mg、褐色油状液体、収率30.0%)を得る。
【0143】
化合物の実施例5の合成:化合物5(50mg、0.15mmol、1eq)を酢酸(0.5mL)および1,2―ジクロロエタン(0.5mL)に溶解し、次に化合物5a(62mg、0.6mmol、4eq)を加え、次に80℃に昇温させて2時間反応させ、原料の反応が終了した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=0:1)によって精製して、実施例5(20mg、白色固体、収率35.7%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.21(d、J=7.6Hz、1H)、8.18(s、1H)、7.09-6.99(m、2H)、6.92(m、1H)、6.16(d、J=7.6Hz、1H)、5.94(s、1H)、5.55(d、J=5.7Hz、1H)、5.38(m、1H)、1.64(s、3H)、1.60(s、3H)、1.50(s、3H)。MS:373(M+H+)。
【0144】
実施例6
合成ルート:
【化46】
反応段階:
(1)化合物2の合成:化合物1a(10g、92.5mmol、1eq)および化合物1(17.3g、97.1mmol、1.05eq)を200mLエタノールに溶解し、EtONa(8.81g、129.5mmol、1.4eq)を加え、次に80℃に昇温させて12時間反応させ、原料の反応が終了した後、溶媒をスピン乾燥し、水を加え、1MHClでpHをpHに2~3に調節し、沈殿物が析出され、沈殿物をろ過し、乾燥して、化合物2(14g、72.12mmol、収率66.8%)を得る。
【0145】
(2)化合物3の合成:化合物2(14g、72.12mmol、1eq)をPOCl(100mL)に加え、100℃下で12時間反応させ、原料の反応が終了した後、溶媒をスピン乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物3(2.2g、9.52mmol、収率13.2%)を得る。
【0146】
(3)化合物4の合成:化合物3(2.2g、9.52mmol、1eq)をエタノール(42mL)、テトラヒドロフラン(14mL)および水(28mL)に溶解し、次にZn粉末(3.11g、47.6mmol、5eq)およびNH4Cl(2.04g、38.1mmol、4eq)を加え、次に20℃で10分間反応さえ、原料の反応が終了した後、水および酢酸エチルを加えて抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物4(1.0g、5.09mmol、収率53.4%)を得る。
【0147】
(4)化合物5の合成:化合物4a(500mg、3.22mmol、1eq)をエタノール(6mL)に溶解し、次に化合物4(696mg、3.54mmol、1.1eq)およびトリエチルアミン(978mg、9.67mmol、3eq)を加え、次に60℃に昇温して2時間反応させ、原料の反応が終了した後、溶媒をスピン乾燥し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)によって精製して、化合物5(600mg白色固体、収率59.0%)を得る。
【0148】
(5)化合物6の合成:化合物5(600mg、1.9mmol、1eq)を6mLアセトニトリルに溶解し、次にCDOTs(432mg、2.28mmol、1.2eq)および炭酸カリウム(395mg、2.85mmol、2eq)を加え、次に80℃に昇温させて2時間反応させ、原料の反応が終了した後、水および酢酸エチルを加えて抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物6(400mg、1.2mmol、収率63.2%)を得る。
【0149】
(6)化合物7の合成:化合物6(250mg、0.75mmol、1eq)をエタノール(5mL)に溶解し、次に塩酸ヒドロキシルアミン(105mg、1.5mmol、2eq)および炭酸カリウム(208mg、1.5mmol、2eq)をを加え、次に80℃に昇温させて12時間反応させ、原料の反応が終了した後、水および酢酸エチルを加えて抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=50:1)によって得到る化合物7(250mg、褐色の油状液体、収率91.0%)。
【0150】
化合物実施例6の的合成:化合物7(250mg、0.68mmol、1eq)を酢酸(2mL)および1,2―ジクロロエタン(2mL)に加え、差とのを、化合物7a(285mg、2.74mmol、4eq)を加え、次に80℃に昇温させて2時間反応させ、原料の反応が終了した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で3回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機相をスピン乾燥して、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=0:1)によって精製して、実施例6(50mg、白色固体、収率18.0%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.27(d、J=5.6Hz、1H)、8.18(s、1H)、6.94(m、2H)、6.88(m、1H)、5.87(d、J=6.0Hz、1H)、5.71(s、1H)、5.36(m、1H)、1.62(m、6H)、1.44(s、3H)。
【0151】
実施例7
合成ルート:
【化47】
反応段階:
(1)化合物2の合成:100mLの三つ口フラスコにおいて、6gの化合物1およびトリエチルアミン(4.97g、1.2eq)をジクロロメタンに溶解し、0℃下塩化アセチル(3.86g、1.2eq)をゆっくりと加え、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、スピン乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより、7gの化合物2を得る。GC―MS[M]は、188である。
【0152】
(2)化合物3の合成:100mLの丸底フラスコに化合物2(7g)および三塩化アルミニウム(14.86g、3eq)を加え、160℃に昇温させ、攪拌しながら1時間反応させ、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。塩酸(6mol/L)を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、スピン乾燥し、カラムクロマトグラフィーにより、6.16gの化合物3を得る。GC―MS[M]は、188である。
【0153】
(3)化合物4の合成:100mL丸底フラスコにおいて、化合物3(2g)および炭酸カリウム(7.3g、5eq)をアセトンに溶解し、攪拌しながらヨウ化メチル(7.5g、5eq)を加え、60℃に昇温させ、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、スピン乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離して、2.05gの化合物4を得る。LC―MS[M+1]は、203である。
【0154】
(4)化合物5の合成:100mL丸底フラスコにおいて、化合物4(2.05 g)およびR―tert―ブチルスルフィンアミド(2.42g、2eq)を無水テトラヒドロフランに溶解し、攪拌しながらチタン酸エチル(4.56g、2eq)を加え、60℃に昇温する。TLCにより反応が完了するのをモニタリングし、水を加え、吸引ろ過し、酢酸エチルで抽出し、スピン乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離して、2.63gの化合物5を得る。LC―MS[M+1]は、306である。
【0155】
(5)化合物6の合成:100mLの三つ口フラスコにおいて、化合物5(2.63g)を無水テトラヒドロフランに溶解し、―50℃下で水素化ホウ素ナトリウム(0.98g、3eq)を加え、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルを加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離して、1.76gの化合物6を得る。LC―MS[M+1]は、308である。
【0156】
(6)化合物7の合成:化合物6(1.76 g)を100mLの丸底フラスコに加え、塩酸ジオキサン(10mL)を加え、1時間攪拌した後、TLCにより反応が終了するのを示す。吸引ろ過し、フィルターケーキとして1.1gの化合物7を得る。
【0157】
(7)化合物8の合成:100mLの丸底フラスコにおいて、化合物7(1.1 g)および5―クロロ―3―シアノピラゾロ[1,5―α]ピリジン(0.98g、1.2eq)を無水エタノールに溶解し、攪拌しながらトリエチルアミン(1.8g、4eq)を滴下し、60℃に昇温させ、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。溶媒をスピン乾燥し、水および酢酸エチルを加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離して、1.35gの化合物8を得る。LC―MS[M+1]は、346である。
【0158】
(8)化合物9の合成:100mLの丸底フラスコに、それぞれ化合物8(1.35g)、塩酸ヒドロキシルアミン(1g、4eq)、炭酸カリウム(2g、4eq)およびエタノール(10mL)を加える。80℃に昇温させ、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。溶媒をスピン乾燥し、水および酢酸エチルを加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離して、0.73gの化合物9を得る。LC―MS[M+1]は、379である。
【0159】
実施例7の合成:100mLの丸底フラスコにおいて、化合物9(0.73g)を酢酸(4mL)および1,2―ジクロロエタン(4mL)に溶解し、攪拌しながら2,2―ジメトキシプロパン(1g、5eq)を加え、80℃に昇温させ、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。炭酸ナトリウム水溶液および酢酸エチルを加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、カラムクロマトグラフィーによって分離して、0.36gの実施例8を得る。LC―MS[M+1]=419。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.14(dd、J=7.7、1.9Hz、2H)、7.07(dt、J=7.9、3.9Hz、1H)、7.01(dd、J=7.4、2.6Hz、1H)、6.33-6.21(m、2H)、5.58(d、J=5.7Hz、1H)、3.98(s、3H)、1.72(s、3H)、1.62-1.55(m、6H)。
【0160】
実施例8
合成ルート:
【化48】
反応段階:
【0161】
(1)化合物2の合成:ナトリウムtert―ブトキシド(0.07g、1.5eq)を5mlトルエンに溶解し、0℃下で化合物1(0.1g、1eq)を加え、5分後に化合物1’(5―クロロピラゾロ[1,5―a]ピリジン―3―カルボン酸エチルエステル)(0.13g、1.2eq)を反応系に加え、徐々にrt増加し、2時間反応させる。スポッティング反応が終了した後、塩化アンモニウム溶液でクエンチし、EAを抽出して乾燥し、サンプルを混合してカラムに通して、0.1gの化合物2を得、収率は、50%である。
【0162】
化合物の実施例8の合成:1,2―ジアミノ―2―メチルプロパン(1.5eq)を乾燥トルエン(3ml)に溶解し、Ar保護下で、0℃下でトリメチルアルミニウム(5eq)を滴加し、滴下完了後、RTに増加して2時間反応させ、0℃に冷却して化合物2(0.1g、1eq)のトルエン溶液(3ml)を滴加し、温度を維持ながら30分間反応させた後、80℃に昇温して3時間反応させる。TLCにより反応が完了するのをモニタリングし、メタノールクでエンチし、pH=8~9に調整し、EAを抽出して乾燥し、調製プレートを分離して、20mgを得、収率は、20%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ9.54(s、1H)、8.63(d、J=7.5Hz、1H)、7.36-7.28(m、2H)、7.13(dd、J=8.9、7.9Hz、1H)、6.71(d、J=7.5Hz、1H)、6.61(q、J=6.8Hz、1H)、3.71(dd、J=27.5、10.7Hz、2H)、1.86(d、J=6.9Hz、3H)、1.58(d、J=4.4Hz、6H)。
【0163】
実施例9
合成ルート:
【化49】
反応段階:
(1)化合物2の合成:ナトリウムtert―ブトキシド(0.35g、1.5eq)を25mlのトルエンに溶解し、0℃下で化合物1(0.5g、1eq)を加え、5分後に化合物1’(0.51g、1.2eq)を反応系に加え、徐々にrt増加し、2時間反応させる。TLCにより反応が完了するのをモニタリングし、塩化アンモニウム溶液でクエンチし、EAを抽出して乾燥し、サンプルを混合してカラムに通して、0.7gを得、収率は、83%である。
【0164】
(2)化合物3の合成:化合物2(0.7g、1eq)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.28g、2eq)および炭酸カリウム(0.56g、2eq)を順次に無水エタノール(7ml)に加え、80℃下で一晩反応させ、反応終了後、水を加え、EAで抽出し、乾燥し、サンプルを混合し、カラムを通して、0.3gを得、収率は、39.5%である。LCMS(384.0、386.0)。
【0165】
化合物の実施例9の合成:化合物3(0.1g、1eq)および2,2―ジメトキシプロパン(0.11g、4eq)を酢酸(4ml)に加え、50℃下で一晩反応させ、反応終了後、重炭酸ナトリウム溶液で塩基を調節し、EAで抽出し、乾燥し、サンプルを混合してカラムに通して、0.07gを得、収率は、63.6%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.43(d、J=7.5Hz、1H)、8.32(s、1H)、7.31-7.27(m、1H)、7.07(dd、J=8.8、8.0Hz、1H)、6.59(q、J=6.9Hz、1H)、6.49(d、J=7.5Hz、1H)、5.61(s、1H)、1.81(d、J=6.9Hz、3H)、1.63(s、3H)、1.55(s、3H)。
【0166】
実施例10
合成ルート:
【化50】
反応段階:
(1)化合物2の合成:化合物1(5g、1eq)をTHF(50ml)に溶解し、R―tert―ブチルスルフィンアミド(7.25g、2eq)を加え、次にチタン酸テトラエチル(13.75g、2eq)を反応系に加え、60℃下で一晩反応させる。TLCにより反応が完了するのをモニタリングし、サンプルを混合し、カラムに通して(PE:EA=10:1-5:1)、4.3gの化合物2を得、収率は、53.7%である。
【0167】
(2)化合物3の合成:化合物2(4.4g、1eq)をTHF(35ml)に溶解し、―50℃下で水素化ホウ素ナトリウム(1.85g、3eq)をバッチで加え、次に徐々にRTに上げ、5時間反応させ、反応終了後、後処理:水を加え、EAで抽出し、サンプルを混合してカラムに通して、2.6g+1gのクロス(そのジアステレオマーを含む)を得、収率は、59.1%である。
【0168】
(3)化合物4の合成:化合物3(0.8g、1eq)を取り、8mlの4M塩酸ジオキサンを加え、4時間RT反応し、TLCにより反応が完了するのをモニタリングし、炭酸ナトリウム溶液を加えてpH=9~10に調節し、EAで抽出し、乾燥スピン乾燥して、0.5gの化合物4を得、収率は、98%である。
【0169】
(4)化合物5の合成:化合物4(0.5g、1eq)を取り、15mlの無水エタノールを加え、次に5―クロロピラゾロ[1,5―a]ピリジン―3―シアノ(0.58g、1.1eq)およびトリエチルアミン(0.9g、3eq)を加え、60℃下で一晩反応させる。TLCにより反応が完了するのをモニタリングし、PEを加え、ろ過して、0.4gを得、収率は、43.5%である。
【0170】
(5)化合物6の合成:化合物5(0.4g、1eq)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.18g、2eq)および炭酸カリウム(0.36g、2eq)を順次に無水エタノール:ジオキサン=2:1の混合溶媒(15ml)に加え、80℃下で一晩反応させ、反応終了後、水を加え、EAで抽出し、乾燥し、サンプルを混合してカラムに通して、0.4gを得、収率は、91%である。
【0171】
化合物の実施例10の合成:化合物6(0.2g、1eq)および2,2―ジメトキシプロパン(0.25g、4eq)を酢酸:1,2―ジクロロエタン=1:1の混合溶媒(6ml)に加え、80℃下で2時間反応させ、反応終了後、重炭酸ナトリウム溶液を塩基性に調節し、EAで抽出し、乾燥し、サンプルを混合してカラムに通して、0.13gを得、収率は、59.1%である。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.19(d、J=7.8Hz、2H)、6.92(m、J=13.3、8.8、3.7Hz、3H)、6.09(d、J=7.4Hz、1H)、5.87(s、1H)、5.47(s、1H)、5.29(s、1H)、3.91(s、3H)、1.62(s、3H)、1.56(d、J=6.7Hz、6H)。
【0172】
実施例11
合成ルート:
【化51】
反応段階:
(1)化合物2の合成:化合物1(1.0g、1.5eq)に10mlの無水エタノールを加え、次にそれぞれINT―1(947mg、1.0eq)およびTEA(1.6ml、3.0eq)を加え、窒素ガスを交換した後60℃下で18時間反応させ、TLCにより反応が終了するのをモニタリングし、エタノールをスピン乾燥し、次に反応系に水(50ml)を加えた後、EA(50ml×3)を加えて抽出し、EA相を合併し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥カラムに通して、1.1gの化合物2(収率86%)を得る。
【0173】
(2)化合物3の合成:150mlの三つ口フラスコに50mlのトルエンを加え、―10~0℃の間に冷却し、次に飽和するまでトルエンにアンモニアガスを吹き込み、次に0℃下でトリメチルアルミニウム(12.4ml、4.5eq)を滴加し、滴下完了後、室温に昇温して2時間攪拌し、次に0℃に冷却して化合物2(1.1g、1.0eq)のトルエン溶液を滴下し、滴下完了後、80℃に昇温して18時間反応させる。TLCにより反応が終了するのをモニタリングした後、ろ過し、EAでフィルターケーキを洗浄し、ろ液を収集し、ろ液に水を加え、液体を分離し、有機相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥カラムに通して、600mgの化合物3(収率51%)を得る。
【0174】
(3)化合物4の合成:化合物3(600mg、1.0eq)にオキシ塩化リン(10ml)を加え、80℃下で5時間攪拌し、TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、オキシ塩化リンをスピン乾燥し、次に重炭酸ナトリウム水溶液でpHを7~8に調節し、次にEA(40×3)を加えて抽出し、液体を分離し、EA相を合併し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥カラムに通して、120mgの化合物4(収率21%)を得る。
【0175】
(4)化合物5の合成:化合物4(80mg、1.0eq)に無水エタノール(3ml)および1,4―ジオキサン(3ml)を加え、次に塩酸ヒドロキシルアミン(42.6mg、2.0eq)および炭酸カリウム(85mg、2eq)を加え、窒素ガスを交換し、80℃下で16時間反応させ、TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、ろ過し、スピン乾燥し、直接カラムに通して、70mgの化合物5(収率79%)を得る。
【0176】
実施例11の合成:化合物5(70mg、1.0eq)に1mlの氷酢酸および1,2―ジクロロエタン(1ml)を加え、次に2,2―ジメトキシプロパン(81mg、4eq)を加え、窒素ガスを交換し、80℃下で1時間反応させる。TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、溶媒をスピン乾燥し、次にシステムに重炭酸ナトリウム水溶液を加え、pHを7~8に調節し、次にEA(10ml×3)を加えて抽出し、EA相を合併し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥カラムに通して、15mg(収率19%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.91(d、J=7.4Hz、1H)、7.02-6.82(m、3H)、5.84(d、J=7.3Hz、1H)、5.78(s、1H)、5.24-5.13(m、1H)、4.93(s、2H)、3.90(s、3H)、3.75(t、J=6.7Hz、1H)、1.61(s、3H)、1.53(d、J=6.7Hz、6H)。
【0177】
実施例12
合成ルート:
【化52】
反応段階:
(1)化合物2の合成:化合物1(15g、1.0eq)にBAST(23g、1.5eq)を加え、窒素ガスを交換し、70℃下で18時間反応させる。TLCにより原料が消失するのとモニタリングし、反応系に水(100ml)を加え、次にエーテル(100ml)を加えて抽出し、エーテル相を収集し、次に10%のクエン酸水溶液を加えて洗浄し、液体を分離し、次に重炭酸ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、液体を分離し、食塩水を加えて1回洗浄し、有機相を収集して乾燥し、低温下でエーテルをスピン乾燥し、純粋な石油エーテルをカラムに通して、9.6gの化合物2(収率58%)を得る。
【0178】
(2)化合物3の合成:化合物2(5g)に無水THF(50ml)を加え、―78℃に冷却し、次にn―BuLi(10.08ml、1.2eq)をゆっくりと滴下し、滴下完了後、低温を維持しながら1時間攪拌し、次にINT―1(1.6g、1.2eq)のTHF溶液を滴加し、滴下完了後、温度を維持しながら1時間反応させる。TLCにより反応が終了するのをモニタリングし、反応系に塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、次にEAを加えて抽出し、EA相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥カラムに通して、680mgの化合物3(収率16%)を得る。
【0179】
(3)化合物4の合成:化合物3(680mg、1.0eq)を無水THF(8ml)に溶解し、次にR―tert―ブチルスルフィンアミド(814.6mg、2eq)を加えて、次にチタン酸テトラエチル(1.56g、2eq)を加え、60℃下で2時間反応させる。TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、反応液を水に注ぎ、固体が析出され、ろ過し、ろ液を収集し、水およびEAを加えて抽出し、EA相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、900mgの化合物4(収率87%)を得る。
【0180】
(4)化合物5の合成:化合物4(900mg、1.0eq)をTHF(10ml)に溶解し、―50℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(224mg、2eq)をバッチで加え、完了後、徐々に室温に昇温して2時間反応させ、TLCにより反応が終了するのをモニタリングし、反応系に水を加え、次にEA(30ml×3)を加えて抽出し、EA相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、115mgの化合物5(収率12.7%)を得る。
【0181】
(5)化合物6の合成:化合物5(115mg、1.0eq)に塩酸ジオキサン(2ml)を加え、室温下で2時間反応させ、TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、溶媒をスピン乾燥し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加えてpHを7~8に調節し、次にジクロロメタンおよびメタノールを加え、複数回抽出し、有機相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥して、80mgの化合物6(収率95%)を得る。
【0182】
(6)化合物7の合成:化合物6(80mg、1.0eq)に無水エタノール(10ml)を加え、次にそれぞれINT―2(84mg、1.1eq)およびTEA(0.17ml、3.0eq)を加え、窒素ガスを交換した後、60℃下で18時間反応させ、TLCにより反応が終了するのをモニタリングし、エタノールをスピン乾燥し、次に反応系に水を加えた後、EA(10ml×3)を加えて抽出し、EA相を合併し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥し、カラムに通して、120mgの化合物7(収率88%)を得る。
【0183】
(7)化合物8の合成:化合物4(120mg、1.0eq)に無水エタノール(1.2ml)および1,4―ジオキサン(0.4ml)を加え、次に塩酸ヒドロキシルアミン(63.9mg、2.0eq)および炭酸カリウム(127.5mg、2.0eq)を加え、窒素ガスを交換し、80℃下で16時間反応させ、TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、ろ過し、スピン乾燥し、直接カラムに通して、100mgの化合物8(収率76%)を得る。
【0184】
実施例12の合成:化合物8(100mg、1.0eq)に氷酢酸(1ml)および1,2―ジクロロエタン(1ml)を加え、次に2,2―ジメトキシプロパン(112mg、4eq)を加え、窒素ガスを交換し、80℃下で1時間反応させる。TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、溶媒をスピン乾燥し、次にシステムに重炭酸ナトリウム水溶液を加え、pHを7~8に調節し、次にEA(20ml×3)を加えて抽出し、EA相を合併し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥し、カラムに通して、40mgの実施例14(収率36%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.21(d、J=7.6Hz、1H)、8.19(s、1H)、7.50(d、J=7.0Hz、1H)、7.38(s、1H)、7.17-7.08(m、1H)、6.13(d、J=7.6Hz、1H)、5.96(s、1H)、5.49(s、1H)、5.43(s、1H)、1.87(t、J=18.2Hz、3H)、1.67-1.58(m、6H)、1.53(s、3H)。
【0185】
実施例13
合成ルート:
【化53】
反応段階:
(1)化合物2の合成:化合物1(3g、1.0eq)を無水THF(10ml)に溶解し、次にR―tert―ブチルスルフィンアミド(4.17g、2.0eq)を加え、次にチタン酸テトラエチル(7.86g、2.0eq)を加え、60℃下で2時間反応させる。TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、反応液を水に注ぎ、固体が析出され、ろ過し、ろ液を収集し、水およびEA(150mg×3)を加えて抽出し、EA相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、3.8gの化合物2(収率97%)を得る。
【0186】
(2)化合物3の合成:化合物2(3.8g、1.0eq)をTHF(40ml)に溶解し、―50℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(1.04g、2.0eq)をバッチで加え、完了後、徐々に室温に昇温して2時間反応させ、TLCにより反応が終了するのをモニタリングし、反応系に水を加え、次にEA(100ml×3)を加えて抽出し、EA相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、スピン乾燥し、カラムに通して、1.2gの化合物3(収率31%)を得る。
【0187】
(3)化合物4の合成:化合物3(1.2g、1.0eq)に塩酸ジオキサンを加え、室温下で2時間反応させ、TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、溶媒をスピン乾燥し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加えてPHを7~8に調節し、次にジクロロメタンおよびメタノールを加え、複数回抽出し、有機相を収集し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥して、700mgの化合物4(収率93%)を得る。
【0188】
(4)化合物5の合成:化合物4(700mg、1.0eq)に10mlの無水エタノールを加え、次にそれぞれINT―1(783mg、1.1eq)およびTEA(1.2ml、3.0eq)を加え、窒素ガスを交換した後60℃下で18時間反応させ、TLCにより反応が終了するのをモニタリングし、エタノールをスピン乾燥し、次に反応系に水を加えた後、EA(50ml×3)を加えて抽出し、EA相を合併し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥し、カラムに通して、900mgの化合物5(収率71%)を得る。
【0189】
(5)化合物6の合成:化合物5(900mg、1.0eq)に無水エタノール(8ml)および1,4―ジオキサン(4ml)を加え、次に塩酸ヒドロキシルアミン(394.6mg、2.0eq)および炭酸カリウム(783.6mg、2.0eq)を加え、窒素ガスを交換し、80℃下で16時間反応させ、TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、ろ過し、スピン乾燥し、直接カラムに通して、730mgの化合物6(収率74%)を得る。
【0190】
実施例13の合成:化合物8(700mg、1.0eq)に氷酢酸(7ml)および1,2―ジクロロエタン(7ml)を加え、次に2,2―ジメトキシプロパン(832mg、4.0eq)を加え、窒素ガスを交換し、80℃下で1時間反応させる。TLCにより反応が完全に終了するのをモニタリングし、溶媒をスピン乾燥し、次にシステムに重炭酸ナトリウム水溶液を加え、pHを7~8に調節し、次にEA(30ml×3)を加えて抽出し、EA相を合併し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、ろ過し、スピン乾燥し、カラムに通して、42mg(収率5%)を得る。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.23(d、J=7.6Hz、1H)、8.19(s、1H)、6.85(dd、J=8.3、4.9Hz、2H)、6.17(d、J=7.6Hz、1H)、5.85(s、1H)、5.60(d、J=5.6Hz、1H)、5.49-5.37(m、1H)、1.60(d、J=7.0Hz、6H)、1.51(s、3H)。
【0191】
実施例14
合成ルート:
【化54】
反応段階:
(1)化合物2の合成:250mLの丸底フラスコにおいて10gの化合物1およびMsCl(7.1g、1.3eq)をトルエン溶媒に溶解し、塩基としてトリエチルアミン(7.3g、1.5eq)を加え、室温条件下で4時間反応させ、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。抽出し、乾燥し、有機相をスピン乾燥して、石油エーテル:酢酸エチル(10:1)を用いてカラムに通して、13.1gの淡黄色の液体化合物2を得る。
【0192】
(2)化合物3の合成:化合物2(13g)を100mLの丸底フラスコに置き、溶媒としてDMF(60mL)加え、次にNaN3(5.9g、2.0eq)を加え、50℃条件下で3.5時間反応させ、TLCにより反応が完了するのをモニタリングする。水および酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を乾燥し、スピン乾燥する。石油エーテル:酢酸エチル(10:1)を用いて、カラムに通して、10.2gの化合物3を得る。
【0193】
(3)化合物4の合成:化合物3(10.2g)を250mLの丸底フラスコに置き、混合溶媒としてエタノール(102mL)および水(34mL)(3:1)を加え、Zn(3.7g、1.3eq)およびNH4Cl(5.85g、2.5eq)を加え、80℃下で還流して6時間加熱し、反応が終了するのをモニタリングする。ろ過し、酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥し、スピン乾燥する。石油エーテル:酢酸エチル(10:1)を用いて、カラムに通して、7.3gの化合物4を得る。
【0194】
(4)化合物5の合成:化合物4(1.5g)を取って100mLの丸底フラスコに置き、次に化合物a(1.56g、1.2eq)を加え、溶媒としてトリエチルアミン(3ml、3eq)およびエタノール(50ml)を加え、還流して加熱し、反応が終了するのを約2時間モニタリングする。少量のエタノールをスピン除去し、水および酢酸エチルを加えて抽出する。次に石油エーテル:酢酸エチル(3:1)を用いて、カラムに通して、2.1gの化合物5を得る。
【0195】
(5)化合物6の合成:化合物5(1.0g)取って100mLの丸底フラスコに置き、塩酸ヒドロキシルアミン(1.12g、5.6eq)および無水炭酸カリウム(2.2g、5.6eq)を加え、溶媒として次にエタノール(50ml)を加え、80℃下で還流しながら一晩加熱し、反応が終了するのをモニタリングする。少量のエタノールをスピン乾燥し、水および酢酸エチルを加えて抽出する。次に石油エーテル:酢酸エチル(3:1)を用いて、カラムに通して、0.6gの化合物6を得る。
【0196】
実施例14の合成:化合物6(0.2g)を秤量して50mLの丸底フラスコに置き、2,2―ジメトキシプロパン(0.22g、4eq)を加え、混合溶媒として1,2―ジクロロエタン(4mL)および酢酸(4mL)を秤量し、80℃下で還流しながら2時間加熱し、反応が終了するのをモニタリングする。少量の三つを加え、飽和重炭酸ナトリウムを加えて反応系の酢酸を中和し、次にジクロロメタンを使用して抽出する。次にジクロロメタン:メタノール(30:1)を用いて、カラムに通して、66mgの最終化合物を得る。H NMR(400MHz、DMSO)δ:8.59(d、J=6.0Hz、1H)、8.55(d、J=7.6Hz、1H)、7.97(s、1H)、7.52(brs、1H)、7.40(t、J=8.7Hz、1H)、6.51(d、J=7.6Hz、1H)、5.65―5.59(m、1H)、1.59(d、J=7.2Hz、3H)、1.48(s、3H)、1.39(s、3H)。
【0197】
実施例15
合成ルート:
【化55】
反応段階:
(1)化合物2の合成:100mLの丸底フラスコに反応溶媒としてDMF(20mL)を加え、次に0℃に冷却し、NaH(1.71g、2.5eq、42.9mmol)をゆっくりと加え、完了後約30分間冷却し、2―クロロ―5―フルオロニコチン酸(3g、17.1mmol)をバッチで秤量に加え、次に室温に昇温して反応させ、4時間反応させた後、75℃に加熱して一晩置き、化合物2を得ることができ、処理する必要なく、直接次の段階を行う。
【0198】
(2)化合物3の合成:化合物2に基づいて、ヨウ化エチル(4.01g、1.5eq、25.7mmol)を滴加し、次に30分間反応し、反応を停止する。まず回転蒸発により大量のDMFをスピン除去し、次に酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、石油エーテル:酢酸エチル(20:1)を用いて、カラムに通して、精製処理して、1.3gの化合物3を得る。
【0199】
(3)化合物4の合成:化合物3(1.3g、4.87mmol)を100mLの三つ口フラスコに置き、反応溶媒としてDCM(20mL)を加え、窒素ガスで保護し、次に―78℃に冷却し、安定した後、DIBAL―H(3.4mL、1.05eq、5.11mmol)を滴下し、温度を―78℃に約1時間維持し、反応が終了するのを検出する。水およびメタノールクを加えてエンチ反応し、不溶固体を生成し、少量のNaOH溶液を加え、固体が消失し、DCMを使用して抽出反応を行い、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、石油エーテル:酢酸エチル(20:1)を用いて、カラムに通して、精製処理して、0.63gの化合物4を得る。
【0200】
(4)化合物5の合成:化合物4(0.63g、2.8mmol)を100mLの丸底フラスコに置き、反応溶媒として酢酸エチル(10mL)を加え、次にIBX(1.88g、2.4eq、6.72mmol)を加え、80℃下で加熱反応を行い、約2時間で反応を終了し、サンドコア漏斗で吸引ろ過し、酢酸エチルで洗浄し、ろ液を収集し、スピン乾燥し、濃縮して、0.35gの化合物5を得る。液体の質量によって生成されるマススペクトルのピーク分子量は、化合物よりも18高く、一つの水を組み合わせるのと同等であり、次の反応には影響を与えない。
【0201】
(5)化合物6の合成:化合物5(0.35g、1.57mmol)を100mLの丸底フラスコに加え、次に(R)―tert―ブチルスルフィンアミド(0.29g、1.5eq、2.35mmol)および炭酸セシウム(0.36g、0.7eq、1.1mmol)を秤量して丸底フラスコに加え、反応溶媒としてジクロロメタン(10mL)を加え、室温下で反応させ、約2時間で反応が終了し、ジクロロメタンを加えて抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、石油エーテル:酢酸エチル(10:1)を用いて、カラムに通して、精製処理して、0.6gの化合物6を得る。
【0202】
(6)化合物7の合成:化合物6(0.6g、1.84mmol)を100mLの三つ口フラスコに置き、反応溶媒として無水THF(10mL)を加え、窒素ガスで保護し、―20℃に冷却し、温度が安定した後、臭化メチルマグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(2.2mL、1.2eq、2.21mmol)をゆっくりと滴下し、次に昇温して反応させ、一晩反応させた後、大量の原料が残り、次に臭化メチルマグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(2.2mL)を加え、室温下で室温に戻させ、反応が終了するのと検出する。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチ反応する。酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、石油エーテル:酢酸エチル(1.5:1)を用いて、カラムに通して、精製処理して、0.2gの化合物7を得る。
【0203】
(7)化合物8の合成:化合物7(0.2g、0.3mmol)を50mLの丸底フラスコに加え、HCl/1,4―ジオキサン(dioxane)(3mL)およびメタノール(3mL)を加え、室温下で約1時間反応させ、反応終了後、NaHCO3溶液で反応を中和し、酢酸エチルを加えて抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、0.1gの化合物8を得る。
【0204】
(8)化合物9の合成:化合物8(0.1g、0.42mmol)取って50mLの丸底フラスコに入れ、次にクロロシアノ化合物(90mg、1.2eq、0.51mmol)を加え、溶媒としてトリエチルアミン(0.13g、3eq)およびエタノール(10mL)を加え、還流しながら加熱し、約2時間で反応が終了するのをモニタリングする。少量のエタノールをスピン除去し、水および酢酸エチルを加えて抽出する。次に石油エーテル:酢酸エチル(3:1)を用いて、カラムに通して、55mgの化合物9を得る。
【0205】
(9)化合物10の合成:化合物9(55mg、0.15mmol)を取って50mLの丸底フラスコに入れ、次に塩酸ヒドロキシルアミン(56mg、5.6eq)および無水炭酸カリウム(113mg、5.6eq)を加え、次に溶媒としてエタノール(5mL)を加え、80℃下で還流しながら加熱し、反応が終了するのをモニタリングする。少量のエタノールをスピン除去し、水および酢酸エチルを加えて抽出する。次に石油エーテル:酢酸エチル(3:1)を用いて、カラムに通して、41mgの化合物10を得る。
【0206】
(10)実施例15の合成:化合物10(41mg、0.1mmol)を50mLの丸底フラスコに入れ、2,2―ジメトキシプロパン(61.95mg、6eq、0.6mmol)を加えて、混合溶媒として1,2―ジクロロエタン(2mL)および酢酸(2mL)を秤量し、80℃下で還流しながら2時間加熱し、反応が終了するのをモニタリングする。少量の水を加え、飽和重炭酸ナトリウムを加えて反応系の酢酸を中和し、次にジクロロメタンで抽出する。次にジクロロメタン:メタノール(30:1)を用いて、カラムに通して、15mgの最終化合物を得る。
【0207】
実施例16
合成ルート:
【化56】
反応段階:
(1)化合物2の合成:250mLの三つ口フラスコに化合物1(5g、32.5mmol)を加え、反応溶媒としてアセトニトリルおよび水(1:1)の混合溶液(100mL)を加え、窒素ガスで保護し、次に―78℃に冷却し、冷却のプロセスにおいて、―反応系を50℃で凍結し、次にブロモフルオロメチルホスホン酸ジエチル(17.3g、2eq、65mmol)をゆっくりと滴下し、滴下完了後室温に昇温して攪拌し、約4時間反応させ、反応が終了するのをモニタリングし、酢酸エチルを加えて抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、石油エーテル:酢酸エチル(19:1)を用いて、カラムに通して、精製処理して、5.6gの化合物2を得、生成物は、マススペクトル吸収ピークがない。
【0208】
(2)化合物3の合成:化合物2(3.04g、14.9mmol)を100mLの丸底フラスコに加え、(R)―tert―ブチルスルフィンアミド(3.62g、2eq、29.8mmol)およびチタン酸テトラエチルエステル(8.5g、2.5eq、37.3mmol)を加え、反応溶媒として無水THF(20mL)を取り、80℃条件下で反応させ、約4時間で反応が終了するのをモニタリングし、水を加えた後、反応系は、大量の固体を生成し、珪藻土で吸引ろ過し、洗浄し、次に酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、石油エーテル:酢酸エチル(4:1)を用いて、カラムに通して、精製処理して、4.827gの化合物3を得る。
【0209】
(3)化合物4の合成:化合物3(4.827g、15.7mmol)を100mLの丸底フラスコに加え、反応溶媒として無水メタノール(10mL)を取り、冰浴条件下で水素化ホウ素ナトリウム(1.487g、2.5eq、39.3mmol)をゆっくりと加え、完了後昇温して30分間攪拌し、反応終了後、水および酢酸エチルをゆっくりと加えて抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、石油エーテル:酢酸エチル(1.5:1)を用いて、カラムに通して、精製処理して、1.82gの化合物4を得る。
【0210】
(4)化合物5の合成:化合物4(1.82g、0.3mmol)を100mLの丸底フラスコに加え、HCl/1,4―ジオキサン(5mL)およびメタノール(5mL)を加え、室温下で約1時間反応させ、反応終了後、NaHCO3溶液で反応を中和し、酢酸エチルを加えて抽出し、NaSOで乾燥し、溶媒をスピン乾燥し、1.4gの化合物6を得る。
【0211】
(5)化合物6の合成:化合物5(0.5g、2.44mmol)を取って50mLの丸底フラスコに入れ、次にクロロシアノ化合物(0.52g、1.2eq、2.93mmol)を加え、溶媒としてトリエチルアミン(0.65mL、2eq)およびエタノール(10mL)を加え、還流しながら加熱し、約2時間で反応が終了するのをモニタリングする。少量のエタノールをスピン除去し、水および酢酸エチルを加えて抽出する。次に石油エーテル:酢酸エチル(3:1)を用いて、カラムに通して、0.53gの化合物6を得る。
【0212】
(6)化合物7の合成:化合物6(0.53g、1.53mmol)を取って50mLの丸底フラスコに加え、塩酸ヒドロキシルアミン(0.59g、5.6eq)および無水炭酸カリウム(1.18g、5.6eq)を加え、次に溶媒としてエタノール(10mL)を加え、80℃下で還流しながら加熱し、反応が終了するのをモニタリングする。少量のエタノールをスピン除去し、水および酢酸エチルを加えて抽出する。次にジクロロメタン:メタノール(30:1)を用いて、カラムに通して、420mgの化合物7を得る。
【0213】
実施例16の合成:化合物7(420mg、1.1mmol)を50mLの丸底フラスコに入れ、2,2―ジメトキシプロパン(0.46g、4eq、4.44mmol)を加え、混合溶媒として1,2―ジクロロエタン(3mL)および酢酸(3mL)を秤量し、80℃下で還流しながら加熱し、反応が終了するのをモニタリングする。少量の水を加え、飽和重炭酸ナトリウムを加えて反応系の酢酸を中和し、次にジクロロメタンで抽出する。次にジクロロメタン:メタノール(30:1)を用いて、カラムに通して、26mgの最終化合物を得る。
実施例1~16は、以下のように表1―1に要約される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0214】
同時に、上記の実施例を参照して、実施例17~83を合成し、具体的には以下の表1―2に示される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【0215】
実施例84.実施例25およびそのエナンチオマー
【化57】
キラルアミン中間体の合成ルート:
【化58】
【0216】
実施例12のキラルアミン中間体化合物4の合成、および実施例84の合成を参照して、p―フルオロアセトフェノンおよび(R)―tert―ブチルスルフィンアミドを原料として、イミンを生成し、次に水素化ホウ素ナトリウムで還元し、二つの段階で、一対のジアステレオマー化合物3および化合物3’のペアを得、カラムクロマトグラフィーで二つの化合物を分離して、次にtert―ブチルスルフィニル基を除去して、R配置およびS配置の二つのキラルアミン中間体を得る。二つのキラルアミン中間体を別々に反応させて、実施例84がR配置(即ち、実施例25)およびS配置の二つの配置である化合物を得ることができ、二つのキラルアミン中間体を混合して、ラセミ体である実施例84を得る。
【0217】
実施例85.実施例48の分離
【化59】
二つの化合物は、分取クロマトグラフィーにより分離され、分離条件は、次のとおりである。
機器:waters2525&waters2767、
クロマトグラフィーカラム:Innoval ODS―2(30×100mm、5μm)、
流速:15.0mL/分間、検出波長:254nm、
溶媒:メタノール、サンプル濃度:12mg/mL、
サンプル注入量:0.5mL、遅延時間:24秒、
閾値:20000、スケジュール:2.00、
移動相:A:水(0.1%トリフルオロ酢酸)、B:メタノール。
勾配プログラム:
【表3】
【0218】
試験例1:ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性キナーゼに対する本発明の化合物の阻害活性
プロテインキナーゼに対する化合物の活性阻害実験は、Reaction Biology Corporationによって放射性標識されたHotSpotキナーゼ実験プラットフォームで実施される。対応する基質を含む新しい反応液(20mM HEPES pH 7.5、10mM MgCl、1mM EGTA、0.02%Brij35、0.02mg/mL BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、1%DMSO)を調製し、必要な補因子および試験キナーゼを上記溶液に加えてから穏やかに混合し、Echo550ピペッティングシステムを使用して、各ウェルに試験化合物DMSO溶液(空白対照グループを対応する体積のDMSOに加える)を加え、33P―ATP(最終比放射能0.01μCi/μL)を加えて反応を開始し、反応液を室温下で120分間インキュベートする。インキュベートした後の反応液をP81イオン交換クロマトグラフィーペーパー(Whatman#3698―915)に移し、0.75%のリン酸溶液で溶出し、クロマトグラフィーペーパーに残っている放射性物質を含むリン酸化基質の量を検出する。
【0219】
表2は、ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性キナーゼに対する本発明の化合物の阻害活性IC50値を示し、ここで、A<0.5nM、0.5nM≦B≦5.0nM、5.0nM<C<50nM、50nM≦D≦500nM、E>500nM。
【表4】
【0220】
キナーゼ活性試験は、本発明の一連の化合物が、ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性突然変異に対して、優れた阻害活性を有し、特に薬物耐性突然変異に対してもっと優れていることを示す。
【0221】
ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性突然変異体のうちの一つまたは複数の活性に対して、本発明の化合物は、すべて現在の臨床上の薬物よりも優れた阻害活性を有する。
【0222】
本発明のほとんどの化合物は、ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性突然変異体の一つまたは複数の活性に対して、優れているか、または現在の臨床上の薬物と同等である。
本発明の化合物は、ROS1、NTRKおよびALK等によって媒介される疾患の治療に適用される大きなことをする。
【0223】
試験例2:細胞に対する化合物の増殖阻害
細胞増殖に対する化合物の阻害実験は、合肥中科プレイション生物医薬技術株式会社で実施される。異なるキナーゼ遺伝子を安定的にトランスフェクトされるBa/F3操作細胞株を蘇生した後、RPMI 1640培地(Biological Industries、IsRel)+10%ウシ胎児血清(Biological Industries、IsRel)+1%二重抗体(Penicillin Streptomycin solution、Coring、USA)で2世代培養し、対数増殖期の細胞懸濁液を取り、96ウェル白血球培養プレート(Corning 3917、NY、USA)に、2000細胞/ウェルをウェルあたり95μLの容量で接種する。5μLの20×試験化合物DMSO溶液を、95μLの細胞懸濁液を含む上記の培養プレートに加え、空白対照グループに対応する体積のDMSOを加え、均等に混合し、37℃、5%CO2下でインキュベーターで72時間インキュベートし、CellTiter―Gloを使用して細胞の生存率を検出する。
【0224】
表3は、ROS1、NTRK、ALKまたはそれらの薬物耐性突然変異体のBa/F操作細胞株に対する本発明の化合物の阻害活性IC50値を示す。
【表5】
【0225】
細胞活性試験を通じて、本発明の一連の化合物は、ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性突然変異体のBa/F操作細胞株に対して良好な阻害活性を有し、特に薬物耐性突然変異体に対してより優れた阻害活性を有することが見出される。本発明の化合物は、ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性突然変異体のBa/F3操作細胞株の活性に対してより優れた阻害剤活性を有し、本発明のほとんどの化合物は、ROS1、NTRK、ALKおよびそれらの薬物耐性突然変異体のBa/F操作細胞株の活性に対しても非常に優れており、ROS1、NTRKおよびALK等によって媒介される疾患の治療に応用できる可能性ある。
【0226】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、医薬の技術分野に関し、具体的には、キナーゼ阻害剤として使用される化合物、その調製方法、およびROS1、NTRK、ALK等のキナーゼ媒介性疾患を治療するための薬物の調製における応用に関する。
【国際調査報告】