(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】大員環キレータ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 413/14 20060101AFI20220706BHJP
A61K 31/555 20060101ALI20220706BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220706BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20220706BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20220706BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/555
A61K47/68
A61K33/24
A61K51/10 100
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566438
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2020054381
(87)【国際公開番号】W WO2020229974
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ソルター,リース
(72)【発明者】
【氏名】ダドゥキン,ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】ソン,フェンビン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ,シャロム
(72)【発明者】
【氏名】キース,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063CC59
4C063DD12
4C063EE01
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA12
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC76
4C086HA28
4C086HA30
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
アクチニウム-225などのα線放出放射性金属イオンのキレート化のための大員環キレータ(I)が提供される。配位結合により大員環キレータに結合したα線放出放射性金属イオンを含む放射性金属錯体、及び抗体又はその抗原結合フラグメントなどの標的化リガンドに共有結合した放射性金属錯体を含む放射性免疫コンジュゲートも提供される。放射性免疫コンジュゲートは、クリックケミストリー反応によって生成することができる。放射線治療のために腫瘍性細胞を選択的に標的化するため、並びに腫瘍性疾患及び障害を治療するために放射性錯体及び放射性免疫コンジュゲートを使用する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のキレータであって、
【化1】
式中、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換され、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、前記キレータは少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環B上に存在する場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、キレータ。
【請求項2】
式(II)のキレータであり、
【化2】
式中、
A
1は、N若しくはCR
1であるか、又は存在せず、
A
2は、N又はCR
2であり、
A
3は、N又はCR
3であり、
A
4は、N又はCR
4であり、
A
5は、N又はCR
5であり、
A
6は、N若しくはCR
6であるか、又は存在せず、
A
7は、N又はCR
7であり、
A
8は、N又はCR
8であり、
A
9は、N又はCR
9であり、
A
10は、N又はCR
10であり、
但し、A
1、A
2、A
3、A
4及びA
5のうちの3つ以下がNであり、A
6、A
7、A
8、A
9及びA
10のうちの3つ以下がNであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10の各々が、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN、-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択されるか、
あるいは、任意の2つの直接隣接するR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10が、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員の置換又は非置換炭素環又は窒素含有環を形成し、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分又は求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、前記キレータは少なくとも1つのXを含み、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10のうちのいずれか1つがXである場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、請求項1に記載のキレータ。
【請求項3】
式(III)のキレータであり、
【化3】
式中、
各A
11は、独立して、O、S、NMe又はNHであり、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
各R
18は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択され、
但し、前記キレータは少なくとも1つのXを含み、R
18がXである場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、請求項1に記載のキレータ。
【請求項4】
前記キレータが、
【化4】
からなる群から選択され、
式中、
L
1が、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11が、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12が、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12が、-CH
3又は-CH
2CH
3である、請求項1に記載のキレータ。
【請求項5】
R
11が、-NH
2、-NCS、-NCO、-N
3、アルキニル、シクロアルキニル、-C(O)R
13、-COOR
13、-CON(R
13)
2、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン又はトランス-シクロオクテンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のキレータ。
【請求項6】
R
11が、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体である、請求項5に記載のキレータ。
【請求項7】
R
11が、DBCO又はBCNである、請求項6に記載のキレータ。
【請求項8】
R
11が、標的化リガンドを含み、前記標的化リガンドが、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、スキャフォルドタンパク質、小分子又はアプタマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のキレータ。
【請求項9】
L1が、
【化5】
からなる群から選択され、
式中、nは、0~10の整数、好ましくは1~4の整数であり、mは、0~12の整数、好ましくは0~6の整数である、請求項1~8のいずれか一項に記載のキレータ。
【請求項10】
【化6】
からなる群から選択されるキレータ。
【請求項11】
前記キレータが、配位結合により前記キレータに結合した放射性金属イオンを含み、それにより放射性金属錯体を形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載のキレータ。
【請求項12】
配位結合によりα線放出放射性金属イオンに結合したキレータを含む放射性金属錯体であって、前記放射性金属錯体が、式(I-m)の構造を有し、
【化7】
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換され、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分又は求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、前記放射性金属錯体は少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環B上に存在する場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、放射性金属錯体。
【請求項13】
式(II-m)の放射性金属錯体であり、
【化8】
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、
A
1は、N若しくはCR
1であるか、又は存在せず、
A
2は、N又はCR
2であり、
A
3は、N又はCR
3であり、
A
4は、N又はCR
4であり、
A
5は、N又はCR
5であり、
A
6は、N若しくはCR
6であるか、又は存在せず、
A
7は、N又はCR
7であり、
A
8は、N又はCR
8であり、
A
9は、N又はCR
9であり、
A
10は、N又はCR
10であり、
但し、A
1、A
2、A
3、A
4及びA
5のうちの3つ以下がNであり、A
6、A
7、A
8、A
9及びA
10のうちの3つ以下がNであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10の各々は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択されるか、
あるいは、任意の2つの直接隣接するR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10が、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員の置換又は非置換炭素環又は窒素含有環を形成し、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、前記放射性金属錯体が少なくとも1つのXを含み、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10のうちのいずれか1つがXである場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、請求項12に記載の放射性金属錯体。
【請求項14】
式(III-m)の放射性金属錯体であり、
【化9】
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、
各A
11は、独立して、O、S、NMe又はNHであり、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
各R
18は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択され、
但し、前記放射性金属錯体は少なくとも1つのXを含み、R
18がXの場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、請求項12に記載の放射性金属錯体。
【請求項15】
前記放射性金属錯体が、
【化10】
からなる群から選択され、
式中、
Mは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又は-CH
2CH
3である、請求項12~14のいずれか一項に記載の放射性金属錯体。
【請求項16】
抗体又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートされた請求項12~15のいずれか一項に記載の放射性金属錯体を含む、放射性免疫コンジュゲート。
【請求項17】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、トリアゾール部分を介して前記放射性錯体のR
11に結合されている、請求項16に記載の放射性免疫コンジュゲート。
【請求項18】
【化11】
からなる群から選択される構造を有する放射性免疫コンジュゲートであって、
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、
L
1は、リンカーであり、
mAbは、抗体又はその抗原結合フラグメントであり、
各R
12は、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又は-CH
2CH
3である、放射性免疫コンジュゲート。
【請求項19】
前記放射性免疫コンジュゲートが、
【化12】
からなる群から選択され、
式中、mAbは、抗体又はその抗原結合フラグメントであり、好ましくは、腫瘍抗原に特異的に結合する前記抗体又はその抗原結合フラグメントであり、より好ましくは、前記mAbは、PSMB127、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ハーセプチン及びH11B6から選択される、請求項18に記載の放射性免疫コンジュゲート。
【請求項20】
放射性免疫コンジュゲートを調製する方法であって、請求項8に記載のキレータを放射性金属イオンと接触させ、それにより標的化リガンドに結合した放射性金属錯体を形成することを含む、方法。
【請求項21】
前記標的化リガンドが、抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
放射性免疫コンジュゲートを調製する方法であって、前記方法が、
(i)アジド基に共有結合した抗体又はその抗原結合フラグメントを含む修飾ポリペプチドを提供することと、
(ii)アルキニル基又はシクロアルキニル基に共有結合したキレータを含むキレータ錯体を提供することと、
(iii)前記アジド基が前記アルキニル基又はシクロアルキニル基と反応することを可能にする条件下で、前記修飾ポリペプチドを前記キレータ錯体と接触させて、それにより免疫コンジュゲートを形成することと、
(iv)前記免疫コンジュゲートをα線放出放射性金属イオンと接触させて、それにより前記放射性免疫コンジュゲートを形成することと、を含み、前記放射性免疫コンジュゲートが、前記キレータに結合した前記α線放出放射性金属イオンを含む放射性錯体を含み、前記放射性錯体が、式(I-m)の構造を有し、
【化13】
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換され、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11はアルキニル基又はシクロアルキニル基であり、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、前記放射性金属錯体は少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環Bに存在する場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、方法。
【請求項23】
放射性免疫コンジュゲートを調製する方法であって、前記方法が、
(i)アジド基に共有結合した抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを提供することと、
(ii)配位結合によりキレータに結合したα線放出放射性金属イオンを含む放射性錯体を提供することであって、前記キレータが、アルキニル基又はシクロアルキニル基に共有結合している、提供することと、
(iii)前記アジド基が前記アルキニル基又はシクロアルキニル基と反応することを可能にする条件下で、前記修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを前記放射性錯体と接触させ、それにより、前記放射性免疫コンジュゲートを調製することと、を含み、
前記放射性錯体が、式(I-m)の構造を有し、
【化14】
式中、
Mは、α線放出放射性金属イオンであり、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換され、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、アルキニル基又はシクロアルキニル基であり、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、前記放射性金属錯体は少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環Bに存在する場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない、方法。
【請求項24】
R
11が、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
請求項16~19のいずれか一項に記載の放射性免疫コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項26】
放射線治療を必要とする対象において放射線治療のために腫瘍性細胞を選択的に標的化する方法であって、治療有効量の請求項25に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項27】
腫瘍性疾患又は障害の治療を必要とする対象において腫瘍性疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項25に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項28】
癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の請求項25に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年5月10日に出願された米国特許仮出願第62/846,044号の優先権の利益を主張するものであり、その米国特許仮出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、ファイル名が「JBI6072WOPCT1_SeqListing.txt」であり、2020年5月1日に作成され、26kbのサイズを有する、ASCII形式の配列表としてEFS-Webにより電子的に提出された配列表を含む。EFS-Webにより提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
α粒子放出放射性核種は、高エネルギーと短距離作用との組み合わせのため癌治療法に非常に有望であり、ほとんどが腫瘍細胞に限局されて、強力に殺傷する可能性を提供する(Kim,Y.S.and M.W.Brechbiel,An overview of targeted alpha therapy.Tumour Biol,2012.33(3):p.573-90)。抗体、スキャフォルドタンパク質、小分子リガンド、アプタマー、又は癌抗原に特異的な他の結合部分を使用する、α線放出体の標的化送達は、腫瘍への放射線核種の選択的送達の方法を提供して、それらの効力を強化し、オフターゲット効果を軽減する方法を提供する。一般的な実施では、結合部分をα線放出放射性金属に結合するキレータに付着させて、放射性錯体を生成する。多くのこのような例は、標的化リガンドとしてモノクローナル抗体(monoclonal antibody、mAb)を使用し、放射性免疫コンジュゲートとして既知のものを生成する。
【0004】
アクチニウム-225(225Ac)は、医療用途で特に関心が持たれているα線放出放射性同位体である(Miederer et al.,Realizing the potential of the Actinium-225 radionuclide generator in targeted alpha particle therapy applications.Adv Drug Deliv Rev,2008.60(12):71-82)。225Acの10日半減期は、放射性コンジュゲートの生成を促進するのに十分な長さであるが、抗体などの送達ビヒクルの循環薬物動態と一致させるために十分短い。そのため、225Acの放射性免疫コンジュゲートは、特に関心が持たれている。加えて、225Acは、安定した同位体209Biに達する前に最終的に4つのα粒子を放出する一連の工程で減衰することで効力が増す。医療用途で関心が持たれている別の放射性同位体は、画像化に適したγ線照射及び放射線治療に適した中エネルギーβ線照射の両方を放出する、ルテチウム-177(177Lu)である。177Lu標識ペプチドは正常組織の損傷の低減を示し、177Lu標識化は、治療及び画像化の両方に単一の放射性標識化剤の使用を可能にすることが示されている(Kwekkeboom DJ,et al.[177Lu-DOTA0,Tyr3]octreotate:comparison with[111In-DTPA0]octreotide in patients.Eur J Nucl Med.2001;28:p.1319-1325)。治療用途に使用される他の放射性同位体としては、例えば、β線放出体又はα線放出体、例えば、32P、47Sc、67Cu、77As、89Sr、90Y、99Tc、105Rh、109Pd、111Ag、131I、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm,159Gd、165Dy、166Ho、169Er、186Re、188Re、194Ir、198Au、199Au、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、255Fm及び227Thなどが挙げられる。画像化用途に使用される他の放射性同位体としては、例えば、62Cu、64Cu、67Ga、68Ga、86Y、89Zr及び111Inなどのγ線放出放射性同位体が挙げられる。
【0005】
現在最も広く使用されているアクチニウム-225及びランタニドのためのキレータは、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸;テトラキサテン)であり、以前の臨床及び前臨床プログラムは、アクチニウムキレート化のために1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)を主に使用してきた。しかしながら、アクチニウムのDOTAキレート化は、課題があり得ることが知られている(Deal,K.A.,et al.,Improved in vivo stability of actinium-225 macrocyclic complexes.J Med Chem,1999.42(15):p.2988-92)。例えば、DOTAは、タンパク質又は抗体などの標的化リガンドに結合したとき、最大>500:1DOTA:アクチニウム-225のキレート化比しか可能とならず、厳しい条件又は抗体あたり高レベルのDOTAのいずれかを必要とすることが多い。ランタニド及びアクチニウム-225のための他の大員環キレータは、例えば、国際特許出願公開第2018/183906号、Thiele et al.「An Eighteen-Membered Macrocyclic Ligand for Actinium-225 Targeted Alpha Therapy」Angew.Chem.Int.Ed.(2017) 56,14712-14717、Roca-Sabio et al.「Macrocyclic Receptor Exhibiting Unprecedented Selectivity for Light Lanthanides」J.Am.Chem.Soc.(2009)131,3331-3341に記載されている。
【0006】
部位特異性は、ランダムコンジュゲーションと比較して、部位特異的方法により、ADCの有効性と安全性の両方を高められることが実証されていることから、抗体-薬物コンジュゲート(antibody-drug conjugate、ADC)分野において主要な注目領域となっている(Agarwal,P.and C.R.Bertozzi,Site-specific antibody-drug conjugates:the nexus of bioorthogonal chemistry,protein engineering,and drug development,Bioconjug Chem,2015.26(2):p.176-92)。同様の安全性及び有効性の利益が、放射性免疫コンジュゲートに関して達成され得ると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、放射性金属、好ましくはアクチニウム-225(225Ac)などのα線放出放射性金属を結合し、高比活性(specific activity)及び高収率を有する安定した放射性免疫コンジュゲートを生成するために使用することができる、新規なキレータが当該技術分野で必要とされている。本発明は、比活性又は最も一般的な金属不純物に関係なく、α線放出放射性金属、特に225Acなどの放射性金属に結合することができる大員環キレータを提供することにより、この必要性を満たす。本発明のキレータは、抗体、タンパク質、アプタマー、小分子などの標的化リガンドに、好ましくは「クリックケミストリー」を用いた部位特異的な様式で、標的化リガンドにコンジュゲートすることにより、インビトロ及びインビボで高い安定性を有する放射性免疫コンジュゲートを生成するために使用することができる。本発明のキレータを標的化リガンドにコンジュゲートさせることによって生成される放射性免疫コンジュゲートは、腫瘍性細胞の標的化放射線治療及び/又は癌を含む腫瘍性疾患若しくは障害の標的化治療などの標的化治療に使用することができる。
【0008】
一般的な一態様では、本発明は、式(I)のキレータに関し、
【0009】
【化1】
式中、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN、-OC(O)N(R
13)
2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換され、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、キレータは少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環B上に存在する場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない。
【0010】
代替的な実施形態では、環A及び環Bの各々は、任意選択で置換されたヘテロシクリル環、例えば、オキサゾリンであることが企図される。
【0011】
一実施形態では、本発明のキレータは、式(II)のキレータであり、
【0012】
【化2】
式中、
A
1は、N若しくはCR
1であるか、又は存在せず、
A
2は、N又はCR
2であり、
A
3は、N又はCR
3であり、
A
4は、N又はCR
4であり、
A
5は、N又はCR
5であり、
A
6は、N若しくはCR
6であるか、又は存在せず、
A
7は、N又はCR
7であり、
A
8は、N又はCR
8であり、
A
9は、N又はCR
9であり、
A
10は、N又はCR
10であり、
但し、A
1、A
2、A
3、A
4及びA
5のうちの3つ以下がNであり、A
6、A
7、A
8、A
9及びA
10のうちの3つ以下がNであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10の各々は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN、-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択されるか、
あるいは、任意の2つの直接隣接するR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員の置換又は非置換炭素環又は窒素含有環を形成し、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、キレータは少なくとも1つのXを含み、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10のうちのいずれか1つがXである場合、L
1はリンカーである。
【0013】
一実施形態では、本発明のキレータは、式(III)のキレータであり、
【0014】
【化3】
式中、
各A
11は、独立して、O、S、NMe又はNHであり、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
各R
18は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN、-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択され、
但し、キレータは少なくとも1つのXを含み、R
18がXである場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない。
【0015】
特定の実施形態では、キレータは、
【0016】
【化4】
であり、式中、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又はCH
2CH
3である。
【0017】
いくつかの実施形態では、R11は、-NH2、-NCS、-NCO、-N3、アルキニル、シクロアルキニル、C(O)R13、-COOR13、-CON(R13)2、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン又はトランス-シクロオクテンである。
【0018】
特定の実施形態では、R11は、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(bicyclononynyl、BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(difluorinated cyclooctynyl、DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(dibenzocyclooctynyl、DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(biarylazacyclooctynonyl、BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(dibenzoazacyclooctynyl、DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(dimethoxyazacyclooctynyl、DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(difluorobenzocyclooctynyl、DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(monobenzocyclooctynyl、MOBO)及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(tetramethoxy dibenzocyclooctynyl、TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体である。
【0019】
特定の実施形態では、R11は、DBCO又はBCNである。
【0020】
いくつかの実施形態では、R11は、標的化リガンドを含み、標的化リガンドは、その抗体若しくは抗原結合フラグメント、スキャフォルドタンパク質、小分子又はアプタマーを含む。
【0021】
特定の実施形態では、標的化リガンドは、抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0022】
別の態様では、本発明は、配位結合によりキレータに結合した放射性金属イオンを含む、本発明のキレータを含む放射性金属錯体に関する。
【0023】
一実施形態では、本発明の放射性金属錯体は、式(I-m)の構造を有し、
【0024】
【化5】
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオンであり、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換され、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、放射性金属錯体が少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環Bに存在する場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない。
【0025】
代替的な実施形態では、環A及び環Bの各々は、任意選択で置換されたヘテロシクリル環、例えば、オキサゾリンであることが企図される。
【0026】
一実施形態では、本発明の放射性金属錯体は、式(II-m)の放射性金属錯体であり、
【0027】
【化6】
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオンであり、
A
1は、N若しくはCR
1であるか、又は存在せず、
A
2は、N又はCR
2であり、
A
3は、N又はCR
3であり、
A
4は、N又はCR
4であり、
A
5は、N又はCR
5であり、
A
6は、N若しくはCR
6であるか、又は存在せず、
A
7は、N又はCR
7であり、
A
8は、N又はCR
8であり、
A
9は、N又はCR
9であり、
A
10は、N又はCR
10であり、
但し、A
1、A
2、A
3、A
4及びA
5のうちの3つ以下がNであり、A
6、A
7、A
8、A
9及びA
10のうちの3つ以下がNであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10の各々が、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択されるか、
あるいは、任意の2つの直接隣接するR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10が、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員の置換又は非置換炭素環又は窒素含有環を形成し、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、放射性金属錯体は少なくとも1つのXを含み、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10のうちのいずれか1つがXである場合、L
1はリンカーであるか、又は少なくとも1つ又はR
12及びR
14~R
17は水素ではない。
【0028】
一実施形態では、本発明の放射性金属錯体は、式(III-m)の放射性金属錯体であり、
【0029】
【化7】
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオンであり、
各A
11は、独立して、O、S、NMe又はNHであり、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
各R
18は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択され、
但し、放射性金属錯体は少なくとも1つのXを含み、R
18がXの場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない。
【0030】
特定の実施形態では、α線放出放射性金属イオンは、アクチニウム-225(225Ac)である。
【0031】
特定の実施形態では、本発明の放射性金属錯体は、
【0032】
【0033】
【化9】
からなる群から選択され、
式中、
Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、L
1は存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又はCH
2CH
3である。
【0034】
別の一般的な態様では、本発明は、R11を介して標的化リガンド、好ましくは抗体又はその抗原結合フラグメントに共有結合した本発明のキレータを含む免疫コンジュゲートに関する。
【0035】
更に別の一般的態様では、本発明は、R11を介して標的化リガンド、好ましくは抗体又はその抗原結合フラグメントに共有結合した本発明の放射性金属錯体を含む、放射性免疫コンジュゲートに関する。
【0036】
一実施形態では、放射性免疫コンジュゲートは、トリアゾール部分を介して標的化リガンド、特に抗体又はその抗原結合フラグメントに共有結合した本発明の放射性金属錯体を含む。
【0037】
特定の実施形態では、本発明の放射性免疫コンジュゲートは、
【0038】
【化10】
からなる群から選択され、
式中、L
1は、リンカーであり、mAbは、抗体又はその抗原結合フラグメントであり、好ましくは、mAbは、腫瘍細胞、より好ましくは、前立腺特異的膜抗原(prostate-specific membrane antigen、PSMA)、BCMA、Her2、EGFR、KLK2、CD19、CD22、CD30、CD33、Cd79b及びネクチン-4からなる群から選択される腫瘍抗原に特異的に結合する抗体又は抗原結合フラグメントであり、各R
12は、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又は-CH
2CH
3である。
【0039】
別の一般的な態様では、本発明は、本発明のキレータ又は放射性金属錯体を標的化リガンドと共有結合させること、好ましくはキレータ又は放射性金属錯体のR11を介して抗体又はその抗原結合フラグメントと共有結合させることを含む、本発明の免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートを調製する方法に関する。
【0040】
特定の実施形態では、本発明の放射性免疫コンジュゲートを調製する方法は、
(i)第1のクリック反応パートナー(例えば、アジド基)に共有結合したポリペプチド(例えば、抗体又はその抗原結合フラグメント)を含む修飾ポリペプチドを提供することと、
(ii)第2のクリック反応パートナー(例えば、アルキニル基又はシクロアルキニル基)に共有結合した本発明のキレータを含むキレータ錯体を提供することと、
(iii)第1のクリック反応パートナー(例えば、アジド基)を第2のクリック反応パートナー(例えば、アルキニル基又はシクロアルキニル基)と反応させることを可能とする条件下で、修飾ポリペプチドをキレータ錯体と接触させて、それよりポリペプチド-キレータ錯体(すなわち、免疫コンジュゲート)を形成することと、
(iv)ポリペプチド-キレータ錯体を放射性金属イオンと接触させて、それにより放射性免疫コンジュゲートを調製すること(放射性免疫コンジュゲートは、放射性金属イオンで標識化されたポリペプチド、例えば、配位結合によりキレータに結合したα線放出放射性金属イオンで標識化された修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを含む)と、を含む、「1工程直接放射性標識化」方法(例えば、
図2Cに示される)を含む。
【0041】
特定の実施形態によれば、工程(iv)は、金属のない条件下で実施される。好ましくは、方法は、本明細書に記載されるような部位特異的な様式で実施される。
【0042】
代替の実施形態では、本発明の放射性免疫コンジュゲートを調製する方法は、
(i)アジド基に共有結合した抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを提供することと、
(ii)配位結合によりキレータに結合したα線放出放射性金属イオンを含む本発明の放射性錯体を提供することであって、キレータがアルキニル基又はシクロアルキニル基に共有結合している、提供することと、
(iii)アジド基がアルキニル基又はシクロアルキニル基と反応することを可能する条件下で、修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを放射性錯体と接触させて、それにより放射性免疫コンジュゲートを調製することと、を含む、「クリック放射性標識化」方法(例えば、
図2Dに示される)を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、シクロアルキニル基は、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体である。
【0044】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の放射性免疫複コンジュゲート及び薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物に関する。医薬組成物はまた、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される担体を含み得る。
【0045】
更に別の一般的な態様では、本発明は、標的化放射線治療のために、本発明の放射性免疫コンジュゲート及び医薬組成物を使用する方法に関する。
【0046】
一実施形態では、放射線治療を必要とする対象において放射線治療のために腫瘍性細胞を選択的に標的化する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0047】
一実施形態では、本発明は、腫瘍性疾患又は障害の治療を必要とする対象において腫瘍性疾患又は障害を治療する方法であって、対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0048】
上述の「発明の概要」及び以降の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。本発明は、図面に示される正確な実施形態に限定されない点が理解される必要がある。
【0049】
図面は、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1A】実施例1に記載のLa
3+によるキレート化試験のHPLCクロマトグラムを示す。混合(上部)前及びLa
3+との混合後のH2bp18c6-ベンジル-フェニルのHPLCクロマトグラムを示し、La
3+との混合後の14.137分間から12.047分間への保持時間のシフトは、H2bp18c6-ベンジル-フェニルによるLa
3+の迅速なキレート化を示す。
【
図1B】実施例1に記載のLa
3+によるキレート化試験のHPLCクロマトグラムを示す。混合(上部)前及びLa
3+との混合後のH2bp18c6-ベンジル-イソペンチルのHPLCクロマトグラムを示し、La
3+との混合後の17.181分間から15.751分間への保持時間のシフトは、H2bp18c6-ベンジル-イソペンチルによるLa
3+の迅速なキレート化を示す。
【
図2】ランダムコンジュゲーション方法(例えば、リジン残基、システイン残基などの標識化方法)又は部位特異的コンジュゲーション方法(例えば、グリカン特異的方法、コンジュゲーションタグ方法又は工学操作システイン方法)による、本発明の実施形態による放射性免疫コンジュゲートを生成するための抗体の放射性標識化の概略図を示す。Aは、1工程直接放射性標識化によるランダムコンジュゲーションを示す。Bは、クリック放射性標識化によるランダムコンジュゲーションを示す。Cは、1工程直接放射性標識化による部位特異的コンジュゲーションを示す。Dは、クリック放射性標識化による部位特異的コンジュゲーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
背景技術において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載する。これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0052】
別の定義がなされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に全般的に理解されるものと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で引用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によって恰もその全体が本明細書に記載されているものと同様にして組み込まれる。
【0053】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意する必要がある。
【0054】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上必要としない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを意味すると理解されるであろう。本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、用語「含有する(containing)」又は「含む(including)」に置き換えることができ、又はときに本明細書で使用するとき、用語「有する(having)」に置き換えることもできる。
【0055】
本明細書で使用するとき、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程は除外しない。本発明の態様又は実施形態に関連して本明細書で使用するとき、本開示の範囲を変化させるために、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び「有する」という上記用語のいずれかを、用語「からなる」又は「から本質的になる」に置き換えることができる。
【0056】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の接続的な用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしの第1の要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
【0057】
本出願の読者を助けるため、明細書の記載は、様々な段落若しくはセクションに分けられているか、又は本出願の様々な実施形態に向けられている。これらの分離は、段落又はセクション又は実施形態の実体を別の段落又はセクション又は実施形態の実体から切り離すものと見なされるべきではない。反対に、当業者であれば、本明細書の記載が広範な用途を有し、想到され得る様々な段落、パラグラフ、及び文章の全ての組み合わせを包含することを理解するであろう。任意の実施形態の考察は、単なる例示であることを意味するものであり、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がこれらの実施例に限定されることを示唆することを意図するものではない。
【0058】
特に断らない限り、本明細書に記載される濃度又は濃度範囲などのあらゆる数値は、全ての場合において、「約」なる語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、数値は、典型的には、記載される値の±10%を含む。例えば、「10倍」の記載は、9倍及び11倍を含む。本明細書で使用するとき、数値範囲の使用は、文脈上そうでない旨が明確に示されない限り、その範囲内の整数及び値の分数を含む、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含む。
【0059】
本明細書で使用するとき、「対象」とは、本発明の放射性免疫コンジュゲートが投与されるか又は投与された、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用するとき、用語「哺乳動物」は、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル又は類人猿などの非ヒト霊長類(non-human primate、NHP)、ヒト等、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0060】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」は、飽和の一価非分枝鎖又は分枝鎖炭化水素鎖を意味する。アルキル基の例としては、メチル(methyl、Me)、エチル(ethyl、Et)、プロピル(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル)及びペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
用語「シクロアルキル」は、環中に3~12個、より好ましくは3~8個の炭素原子を有する単環又は多環式アルキル基を指す。単環式シクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用するとき、用語「アルコキシ」は、-O-アルキル基又は-OR基を指し、式中、Rはアルキルであり、アルキルは上記で定義したとおりである。アルコキシ基は、酸素原子を介して親分子に結合される。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシ、イソプロポキシ)、ブトキシ(例えば、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ)、ペンチルオキシ(例えば、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ)などが挙げられる。アルコキシ基は、非置換であるか、又は1つ若しくは2つ以上の好適な置換基で置換することができる。同様に、「アルキルチオ」又は「チオアルコキシ」は、-SR基を指し、式中、Rは、硫黄架橋を介して親分子に結合したアルキル、例えば、-S-メチル、-S-エチルなどである。アルキルチオの代表的な例としては、-SCH3、-SCH2CH3などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用するとき、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。相応して、用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0064】
用語「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」は、互換的に使用することができ、-OHを指す。
【0065】
用語「カルボキシ」は、-COOHを指す。
【0066】
用語「シアノ」は、-CNを指す。
【0067】
用語「ニトロ」は、-NO2を指す。
【0068】
用語「イソチオシアネート」は、-N=C=Sを指す。
【0069】
用語「イソシアネート」は、-N=C=Oを指す。
【0070】
用語「アジド」は、-N3を指す。
【0071】
用語「アルケニル」は、2~10個の炭素原子などの少なくとも2個の炭素原子を有し、かつ、2個の炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含む、直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖を指す。アルケニルは、1つの炭素-炭素二重結合又は2、3、4個又はそれ以上の炭素-炭素二重結合などの複数の炭素-炭素二重結合を有することができる。アルケニル基の例としては、メテニル、エテニル、プロペニル、ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
用語「シクロアルケニル」は、環中に3~12個、より好ましくは3~8個の炭素原子を有し、かつ、2個の炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含む、単環式又は多環式アルキル基を指す。シクロアルケニルは、1つの炭素-炭素二重結合又は2、3、4個又はそれ以上の炭素-炭素二重結合などの複数の炭素-炭素二重結合を有することができる。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロヘプテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用するとき、用語「アルキニル」、「アルキン基」又は「アルキン部分」は、2~10個の炭素原子などの少なくとも2個の炭素原子を有し、2個の炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を含む、直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、末端アルキニル基又は環状アルキニル基であり得る。末端アルキンは、三重結合炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子を有する。「環状アルキン」又は「シクロアルキニル」は、2個の炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を含むシクロアルキル環である。環状アルキン又はシクロアルキニル基の例としては、シクロオクチン及びシクロオクチン誘導体、例えば、ビシクロノニン(bicyclononyne、BCN)、二フッ素化シクロオクチン(difluorinated cyclooctynyl、DIFO)、ジベンゾシクロオクチン(dibenzocyclooctynyl、DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノン(biarylazacyclooctynonyl、BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチン(dibenzoazacyclooctyne、DIBAC)、ジメトキシアザシクロオクチン(dimethoxyazacyclooctynyl、DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチン(difluorobenzocyclooctyne、DIFBO)、モノベンゾシクロオクチン(monobenzocyclooctynyl、MOBO)及びテトラメトキシDIBO(TMDIBO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
用語「アミノ」は、NH2を表す。用語「アルキルアミノ」は、窒素に結合した水素原子の1つ又は両方がアルキル基で置換されているアミノ基を指す。アルキルアミン基は、-NR2として表すことができ、式中、各Rは、独立して、水素又はアルキル基である。例えば、アルキルアミンは、メチルアミン(-NHCH3)、ジメチルアミン(-N(CH3)2)、-NHCH-2CH3などが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「アミノアルキル」は、1つ又は2つ以上のアミノ基で置換された分枝鎖及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図する。アミノアルキル基の代表的な例としては、-CH2NH2、-CH2CH2NH2及び-CH2CH(NH2)CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書で使用するとき、「アミド」は、-C(O)N(R)2を指し、式中、各Rは、独立して、アルキル基又は水素である。アミドの例としては、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3及び-C(O)N(CH3)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
用語「ヒドロキシルアルキル」及び「ヒドロキシアルキル」は、互換的に使用され、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基で置換されたアルキル基を指す。アルキルは、分枝鎖又は直鎖脂肪族炭化水素であり得る。ヒドロキシルアルキルの例としてはヒドロキシルメチル(-CH2OH)、ヒドロキシルエチル(-CH2CH2OH)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用するとき、用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラニルなどを含むがこれらに限定されない、任意の炭素系芳香族基を含む基である。アリール部分は周知であり、例えば、Lewis,R.J.,ed.,Hawley’s Condensed Chemical Dictionary,第13版,John Wiley&Sons,Inc.,New York(1997)に記載されている。アリール基は、単一の環構造(すなわち、単環式)であるか、又は縮合環構造である複数の環構造(すなわち、多環式)を含むことができる。好ましくは、アリール基は、単環式アリール基である。
【0078】
本明細書で使用するとき、用語「ヘテロシクリル」は、硫黄、酸素又は窒素などの少なくとも1個のヘテロ原子環員を含む安定な単環式及び多環式炭化水素を含む。本明細書で使用するとき、用語「ヘテロアリール」は、硫黄、酸素又は窒素などの少なくとも1個のヘテロ原子環員を含む安定な単環式及び多環式芳香族炭化水素を含む。ヘテロアリールは、単環式又は多環式、例えば、二環式又は三環式であり得る。ヘテロ原子を含むヘテロシクリル又はヘテロアリール基の各環は、1個又は2個の酸素原子又は硫黄原子及び/又は1~4個の窒素原子を含むことができ、但し、各環中のヘテロ原子の総数は4個以下であり、各環は少なくとも1個の炭素原子を有する。多環式、例えば二環式又は三環式であるヘテロアリール基は、少なくとも1つの完全芳香環を含む必要があるが、他の縮合環又は環は芳香族又は非芳香族であり得る。ヘテロシクリル又はヘテロアリール基は、ヘテロシクリル又はヘテロアリール基のうちの任意の環の任意の利用可能な窒素又は炭素原子に結合することができる。好ましくは、用語「ヘテロアリール」は、環のうちの少なくとも1つに少なくとも1個のヘテロ原子(O、S又はN)を有する5員又は6員の単環式基及び9員又は10員の二環式基を指し、ヘテロ原子含有環は、好ましくは、1、2又は3個のヘテロ原子を有し、より好ましくは、O、S及び/又はNから選択される1又は2個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリールの窒素ヘテロ原子は、置換又は非置換であり得る。更に、ヘテロアリールの窒素及び硫黄ヘテロ原子は、任意選択で酸化することができる(すなわち、N→O及びS(O)rであり、式中、rは、0、1又は2である)。
【0079】
用語「エステル」は、-C(O)2Rを指し、式中、Rはアルキルである。
【0080】
用語「カルバメート」は、-OC(O)NR2を指し、式中、各Rは、独立して、アルキル又は水素である。
【0081】
用語「アルデヒド」は、-C(O)Hを指す。
【0082】
用語「炭酸塩」は、-OC(O)ORを指し、(式中、Rはアルキルである。
【0083】
用語「マレイミド」は、化学式H2C2(CO)2NHを有する基を指す。用語「マレイミド」は、別の基又は分子に共有結合したマレイミド基を指す。好ましくは、マレイミド基は、例えばN-結合される。
【0084】
【0085】
用語「ハロゲン化アシル」は、-C(O)Xを指し、式中、Xはハロ(例えば、Br、Cl)である。例示的なハロゲン化アシルとしては、塩化アシル(-C(O)Cl)及び臭化アシル(-C(O)Br)が挙げられる。
【0086】
本明細書で言及するとき、用語「置換された」は、全ての通常の原子価が維持され、置換が安定した化合物をもたらすという条件で、少なくとも1つの水素原子が非水素基で置換されていることを意味する。特定の基が「置換される」場合、その基は置換基の列挙から独立して選択される、1個又は2個以上の置換基、好ましくは1~5個の置換基、より好ましくは1~3個の置換基、最も好ましくは1~2個の置換基を有することができる。用語「独立して」は、置換基に関して使用されるとき、2つ以上のそのような置換基が可能である場合、そのような置換基は互いに同じ又は異なる得ることを意味する。本明細書に記載の置換基のいずれか(例えば、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールなど)は、非置換であるか、又は1つ若しくは2つ以上の好適な置換基で置換され得る。好適な置換基の例としては、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミド、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、カルボキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
当該技術分野で使用される慣用に従って、
【0088】
【化12】
が、キレータ又は標的化リガンドなど、コア、親又は骨格構造への部分、官能基又は置換基の結合点である結合を示すために、本明細書における構造式において使用される。
【0089】
任意の変数が、化合物の任意の構成又は式において2回以上発生する場合、各発生におけるその定義は、他の全ての発生におけるその定義とは無関係である。したがって、例えば、0~3個のR基で置換されることが示されている場合、この基は、最大3個のR基で任意選択で置換することができ、各々の場合に、Rは、Rの定義から独立して選択される。
【0090】
置換基への結合が環中の2つの原子を結合する結合を横断するように示される場合、そのような置換基は、環上の任意の原子に結合することができる。
【0091】
本明細書で使用するとき、用語「放射性金属イオン」又は「放射活性金属イオン」は、粒子及び/又は光子を放出する元素の1つ又は2つ以上の同位体を指す。本開示を考慮して当業者に既知の任意のキレータを本発明で使用することができる。本発明での使用に好適な放射性金属の例としては、32P、47Sc、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、77As、86Y、89Zr、89Sr、90Y、99Tc、105Rh、109Pd、111Ag、111In、117Sn、131I、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、159Gd、165Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、194Ir、198Au、199Au、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th及び255Fmが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、放射性金属イオンは、治療用途において有用な放射性金属イオンを意味する「治療用放射体」である。治療用放射体の例としては、限定されないが、β線又はα線放出、例えば、32P、47Sc、67Cu、77As、89Sr、90Y、99Tc、105Rh、109Pd、111Ag、131I、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、159Gd、165Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、194Ir、198Au、199Au、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、255Fm及び227Thが挙げられる。好ましくは、本発明で使用される放射性金属イオンは、α線放出放射性金属イオン、例えば、アクチニウム-225(225Ac)である。
【0092】
本明細書で使用するとき、用語「キレー」又は「キレート剤」は、金属、好ましくは放射性金属が、配位結合によりキレート化され得る化学化合物を指す。典型的な実施形態では、キレータは、1つ又は2つ以上のヘテロ原子、例えば、酸素及び/又は窒素を環原子として含む大員環である。好ましくは、キレータは、4,13-ジアザ-18-クラウン-6の誘導体である。
【0093】
本明細書で使用される「放射性金属錯体」は、キレータと会合する放射性金属イオンを含む錯体を指す。典型的には、放射性金属イオンは、配位結合によりキレータに結合又は配位される。大員環のヘテロ原子は、キレータへの放射性金属イオンの配位結合に関与し得る。キレータは、1つ又は2つ以上の置換基で置換することができ、1つ又は2つ以上の置換基はまた、大員環のヘテロ原子に加えて又は代替的に、キレータへの放射性金属イオンの配位結合に関与し得る。
【0094】
本明細書で使用するとき、用語「クリックケミストリー」は、反応基を含む小さな単位を一緒に結合することによって共有結合を迅速かつ確実に生成するように調整された化学を説明する、Sharplessによって導入された化学原理を指す(Kolb,et al.,Angewandte Chemie International Edition(2001)40:2004-2021を参照されたい)。クリックケミストリーは、特定の反応を指すものではないが、自然界に見られる反応を模倣する反応を含むがこれらに限定されない概念を指す。いくつかの実施形態では、クリックケミストリー反応はモジュール式であり、広範囲であり、高い化学収率が得られ、不活性の副生成物を生成し、立体特異的であり、単一の反応生成物との反応に有利になる大きな熱力学的駆動力を示し、かつ/又は生理学的条件下で実施することができる。いくつかの実施形態では、クリックケミストリー反応は、単純な反応条件下で実施することができ、容易に利用可能な出発物質及び試薬を使用し、毒性溶媒を使用せず又は水などの無害な若しくは容易に除去される溶媒を使用し、かつ/又は結晶化若しくは蒸留などの非クロマトグラフィー法による単純な生成物の単離を提供する。
【0095】
クリックケミストリー反応は、天然に存在する生体分子には稀にしか見られず、生体分子に対して化学的に不活性である反応基を利用するが、クリックケミストリーパートナーが一緒に反応した場合、反応は、生物学的に関連する条件下、例えば、過剰な加熱及び/又は強過ぎる試薬が存在しないなどの細胞培養条件で効率的に起こり得る。一般に、クリックケミストリー反応は、互いに反応することができるクリック反応パートナーを含む、少なくとも2つの分子を必要とする。互いに反応性であるこのようなクリック反応パートナーは、本明細書ではクリックケミストリーハンドル対、又はクリックケミストリー対と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、クリック反応パートナーは、アジド及びシクロオクチン又はシクロオクチン誘導体などの歪みを有する(strained)アルキン又は任意の他のアルキンである。他の実施形態では、クリック反応パートナーは、反応性ジエン及び好適なテトラジン求ジエン体である。例えば、トランス-シクロオクテン、ノルボルネン、又はビスシクロノネンは、クリック反応対として好適なテトラジン求ジエン体と対にすることができる。更に他の実施形態では、テトラゾールは、紫外線の存在下で活性化されていないアルケンと対になって、「光クリック」反応対と呼ばれるクリック反応対を作ることができる。他の実施形態では、クリック反応パートナーは、システイン及びマレイミドである。例えば、ペプチドに由来するシステイン(例えば、GGGC)を、キレート剤(例えば、NOTA)に会合しているマレイミドと反応させることができる。他の好適なクリックケミストリーハンドルが当業者に知られている(例えば、Spicer et al.,Selective chemical protein modification.Nature Communications.2014;5:p.4740)。他の実施形態では、クリック反応パートナーは、ホスフィン及びアジドなどのシュタウディンガーライゲーション成分である。他の実施形態では、クリック反応パートナーはジエン(例えば、テトラジン)及びアルケン(例えば、トランス-シクロオクテン(trans-cyclooctene、TCO)又はノルボルネン)などのディールス・アルダー反応成分である。例示的なクリック反応パートナーは、米国特許出願公開第20130266512号及び国際公開第2015073746号に記載されており、両方のクリック反応パートナーについての関連する説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
好ましい実施形態によれば、クリックケミストリー反応は、クリックケミストリー対又は反応パートナーとして、アジド基及びアルキン基、より好ましくは、歪みを有するアルキン基、例えば、シクロオクチン又はシクロオクチン誘導体などのシクロアルキンを利用する。特定の実施形態では、クリックケミストリー反応は、1,2,3-トリアゾールリンカーを形成するためのアジド(-N3)とアルキン又はアルキン部分との間のヒュスゲン環化付加又は1,3-双極子環化付加である。アルキンとアジドとの間のクリックケミストリー反応は、典型的には、1,3-シクロ付加反応を促進するために銅触媒の添加を必要とし、銅触媒アジド-アルキンシクロ付加(CuAAC)反応として知られている。しかしながら、シクロオクチン又はシクロオクチン誘導体とアジドとの間のクリックケミストリー反応は、典型的には銅触媒の添加を必要とせず、代わりに、歪み促進型(strain-promoted)アジド-アルキン付加環化反応(strain-promoted azide-alkyne cycloaddition、SPAAC)を介して進行する(Debets,M.F.,et al.,Bioconjugation with strained alkenes and alkynes.Acc Chem Res,2011.44(9):p.805-15)。
【0097】
本明細書で使用するとき、用語「標的化リガンド」は、選択された標的、例えば、抗原、細胞、細胞種、組織、器官、身体の領域又はコンパートメント(例えば、細胞、組織又は器官コンパートメント)に対する親和性を高める任意の分子を指す。標的化リガンドとしては、抗体又はその抗原結合フラグメント、小分子、アプタマー、ポリペプチド及びスキャフォルドタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、標的化リガンドは、ポリペプチド、より好ましくはその抗体若しくは抗原結合フラグメント、操作されたドメイン又はスキャフォルドタンパク質である。
【0098】
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して連結された、天然に存在する構造変異体、及びそれらの合成非天然起源のアナログで構成されるポリマーを指す。用語「ポリペプチド」は、任意のサイズ、構造、又は機能のポリペプチドを指す。典型的には、ポリペプチドは、少なくとも3個のアミノ酸長である。ポリペプチドは、天然起源、組み換え型、若しくは合成型、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を使用して合成することができる。好ましい実施形態によれば、ポリペプチドは、抗体、好ましくはモノクローナル抗体、又はそのフラグメント、その抗原結合フラグメント等である。好ましい実施形態によれば、抗体又はそのフラグメントは、癌抗原に特異的である。他の実施形態によれば、ポリペプチドは、遺伝子操作されたドメイン又はスキャフォルドタンパク質である。
【0099】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」又は「免疫グロブリン」は広い意味で用いられ、ポリクローナル抗体を含む免疫グロブリン又は抗体分子、マウス、ヒト、ヒト適合、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体、並びにそれらの抗原結合フラグメントを含むモノクローナル抗体を含む。
【0100】
一般に、抗体は、特定の抗原に対して結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖であり、本明細書では「標的」と称する。抗体の構造は、公知である。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。したがって、本発明で使用される抗体は、5つの主要なクラス又は対応するサブクラスのいずれかのものであり得る。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちκ及びλのうちの一方に割り当てることができる。特定の実施形態によれば、本発明で使用される抗体としては、マウス抗体又はヒト抗体の重鎖及び/又は軽鎖定常領域が挙げられる。4つのIgGサブクラスのそれぞれは、エフェクター機能として既知の異なる生物学的機能を有する。これらのエフェクター機能は、一般に、Fc受容体(FcγR)との相互作用によって、又はC1qの結合及び補体の固定によって媒介される。FcγRへの結合は、抗体依存性細胞媒介性細胞溶解をもたらし得るが、補体因子への結合は、補体媒介性細胞溶解をもたらし得る。本発明に有用な抗体は、エフェクター機能を有さないか又は最小であってもよいが、FcRnに結合するその能力を保持する。
【0101】
本明細書で使用するとき、用語「抗原結合フラグメント」は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、ジスルフィド安定化Fvフラグメント(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、単鎖抗体分子(scFv)、単一ドメイン抗体(sdab)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つ若しくは2つ以上のCDRを含む抗体の一部分から形成される多重特異的抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体フラグメントなどの抗体フラグメントを指す。抗原結合フラグメントは、親抗体又は親抗体フラグメントが結合する同じ抗原に結合することができる。本明細書で使用するとき、用語「単鎖抗体」は、約15~約20個のアミノ酸の短いペプチドによって接続される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、この分野における従来の単鎖抗体を指す。本明細書で使用するとき、用語「単一ドメイン抗体」は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含むか、又は重鎖可変領域のみを含む、この分野における従来の単一ドメイン抗体を指す。
【0102】
本明細書で使用するとき、用語「スキャフォルド」又は「スキャフォルドタンパク質」は、標的結合ドメインを有し、標的に結合することができる任意のタンパク質を指す。スキャフォルドは、大部分が構造的である「フレームワーク」と、標的と接触して特異的結合を提供する「結合ドメイン」と、を含む。スキャフォルドの結合ドメインは、スキャフォルドの1つの連続配列によって定義される必要はない。特定の場合、スキャフォルドは、より大きい結合タンパク質の一部であってもよく、それ自体は、複数のスキャフォルドを含む多量体結合タンパク質の一部であってもよい。特定の結合タンパク質は、2つ又はそれ以上の異なるエピトープに結合することができるという点で、二重特異性又は多重特異性であってもよい。スキャフォルドは、単鎖抗体由来であってもよく、又はスキャフォルドは抗体由来でなくてもよい。
【0103】
本明細書で使用するとき、用語「アプタマー」は、高親和性でその標的に特異的に結合することができる一本鎖オリゴヌクレオチド(一本鎖DNA又はRNA分子)を指す。アプタマーは、様々な有機及び無機物質を標的化する分子として使用することができる。
【0104】
本明細書で使用するとき、用語「小分子リガンド」は、低分子量有機化合物を指す。本明細書で使用するとき、小分子リガンドは、約1000ダルトン未満のサイズを有する化合物を指すことができ、実験室で合成され得るか、又は天然に見られ得る化合物を指すことができる。
【0105】
キレータ:
一般的な一態様では、本発明は、キレータ、好ましくは、放射性金属が配位結合によりキレート化されるキレータに関する。本発明の実施形態によれば、キレータは、式(I)の構造を有し、
【0106】
【化13】
式中、
環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールであり、環A及び環Bの各々は、独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換され、
Z
1及びZ
2の各々は、独立して、-(C(R
12)
2)
m-又は-(CH
2)
n-C(R
12)(X)-(CH
2)
n-であり、
各Xは、独立して、-L
1-R
11であり、
各nは、独立して、0、1、2、3、4又は5であり、
各mは、独立して、1、2、3、4又は5であり、
各pは、独立して、0又は1であり、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、
各R
13は、独立して、水素又はアルキルであり、
R
14、R
15、R
16及びR
17の各々は、独立して、水素、アルキル又はXであるか、
あるいは、R
14及びR
15並びに/又はR
16及びR
17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、Xで任意選択で置換された5員又は6員のシクロアルキル環を形成し、
但し、キレータは少なくとも1つのXを含み、Xが環A又は環B上に存在する場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない。
【0107】
本発明の実施形態によれば、キレータは、少なくとも1つのX基を含み、Xは、-L1-R11であり、式中、L1は存在しないか、又はリンカーであり、R11は、求電子性部分若しくは求核性部分であるか、又はR11は、標的化リガンドを含む。R11が求核性又は求電子性部分である場合、そのような部分は、リンカーを介して直接的又は間接的にキレータを標的化リガンドに結合するのに使用することができる。
【0108】
特定の実施形態では、キレータは、単一のX基を含み、好ましくは、X基のL1はリンカーである。
【0109】
本発明のキレータは、大員環の炭素原子のいずれか1つ、Z1若しくはZ2位置、又は環A若しくは環B上においてXで置換することができ、但し、環又は環BがX基を含む場合、L1は、リンカーであるか、又はR12及びR14~R17のうちの少なくとも1つは、水素ではない(すなわち、Z1、Z2の炭素原子及び/又は大員環の炭素のうちの少なくとも1つは、例えば、メチル又はエチルなどのアルキル基で置換される)。好ましくは、そのような位置での置換は、放射性金属イオン、特に225Acのキレータのキレート化効率に影響を及ぼさず、いくつかの実施形態では、置換はキレート化効率を高めることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、L1は、存在しない。L1が存在しない場合、R11は、キレータに(例えば、共有結合を介して)直接結合される。
【0111】
いくつかの実施形態では、L1は、リンカーである。本明細書で使用するとき、用語「リンカー」は、キレータを求核性部分、求電子性部分又は標的化リガンドに結合させる化学部分を指す。本開示を考慮して当業者に既知の任意の好適なリンカーを本発明で使用することができる。リンカーは、例えば、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル部分、置換若しくは非置換アリール若しくはヘテロアリール、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)リンカー、ペプチドリンカー、糖ベースのリンカー、又は切断可能なリンカー、例えば、ジスルフィド結合又はプロテアーゼ切断部位、例えば、バリン-シトルリン-p-アミノベンジル(p-aminobenzyl、PAB)を含むことができる。本発明での使用に好適な例示的なリンカー構造としては、
【0112】
【化14】
が挙げられるが、これらに限定されず、式中、Nは0~10の整数、好ましくは1~4の整数であり、mは0~12の整数、好ましくは0~6の整数である。
【0113】
いくつかの実施形態では、R11は、求核性部分又は求電子性部分である。「求核性部分」又は「求核基」は、化学反応において共有結合を形成するために電子対を供与する官能基を指す。「求電子性部分」又は「求電子基」は、化学反応において共有結合を形成するために電子対を受容する官能基を指す。求核基は、化学反応において、新たな共有結合を形成するために求電子基と反応し、その逆もしかりである。本発明のキレータの求核基又は求電子基を標的化リガンド又は対応する反応パートナーを含む他の化学部分(例えば、リンカー)と反応させることにより、標的化リガンド又は化学部分を本発明のキレータに共有結合させることが可能となる。
【0114】
求核基の例示としては、アジド、アミン及びチオールが挙げられるが、これらに限定されない。求電子基の例示としては、アミン反応性基、チオール反応基、アルキニル及びシクロアルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。アミン反応性基は、好ましくは、各ポリペプチド鎖のN末端及びリジン残基の側鎖に存在する第一級アミンを含む、第一級アミンと反応する。本発明での使用に好適なアミン反応性基の例としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxy succinimide、NHS)、置換NHS(スルホ-NHSなど)、イソチオシアネート(-NCS)、イソシアネート(-NCO)、エステル、カルボン酸、ハロゲン化アシル、アミド、アルキルアミド、並びにテトラフルオロフェニルエステル及びパーフルオロフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。チオール反応性基は、チオール又はスルフヒドリルと反応し、好ましくは、ポリペプチドのシステイン残基の側鎖に存在するチオールと反応する。本発明での使用に好適なチオール反応性基の例としては、マイケル受容体(例えば、マレイミド)、ハロアセチル、ハロゲン化アシル、活性化ジスルフィド及びフェニルオキサジアゾールスルホンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
特定の実施形態では、R11は、-NH2、-NCS(イソチオシアネート)、-NCO(イソシアネート)、-N3(アジド)、アルキニル、シクロアルキニル、カルボン酸、エステル、アミド、アルキルアミド、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン又はトランス-シクロオクテンであり、より具体的には、-NCS、-NCO、-N3、アルキニル、シクロアルキニル、-C(O)R13、-COOR13、-CON(R13)2、マレイミド、ハロゲン化アシル(例えば、-C(O)Cl、-C(O)Br)、テトラジン、又はトランスシクロオクテンであり、式中、各R13は、独立して、水素又はアルキルである。
【0116】
いくつかの実施形態では、R11は、アルキニル基、シクロアルキニル基又はアジド基であり、これにより、クリックケミストリー反応を用いて、キレータを標的化リガンド又は他の化学部分(例えば、リンカー)に結合させることが可能となる。そのような実施形態では、実施することができるクリックケミストリー反応は、1,2,4-トリアゾールリンカー又は部分を形成するためのアジド(-N3)とアルキニル基又はシクロアルキニル基との間のヒュスゲン環化付加又は1,3-双極子環化付加である。一実施形態では、キレータはアルキニル基又はシクロアルキニル基を含み、標的化リガンド又は他の化学部分はアジド基を含む。別の実施形態では、キレータはアジド基を含み、標的化リガンド又は他の化学部分は、アルキニル基又はシクロアルキニル基を含む。
【0117】
特定の実施形態では、R11は、アルキニル基であり、より好ましくは、特に、歪み促進型アジド-アルキンシクロ環化付加(SPAAC)によりアジド基と反応性である末端アルキニル基又はシクロアルキニル基である。SPAACによりアジド基と反応することができるシクロアルキニル基の例としては、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
特定の実施形態では、R11は、以下の構造を有するジベンゾアザシクロオクチニル(dibenzoazacyclooctynyl、DIBAC、DBCO、ADIBO)である。
【0119】
【0120】
R11がDBCOであるそのような実施形態では、DBCOは、リンカーを介して直接的又は間接的にキレータに共有結合することができ、好ましくは、リンカーを介して間接的にキレータに結合される。
【0121】
いくつかの実施形態では、R11は、標的化リガンドを含む。標的化リガンドは、共有結合により直接的に又はリンカーを介して間接的にキレータに結合することができる。標的化リガンドは、ポリペプチド、例えば、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、小分子、アプタマー又はスキャフォルドタンパク質などであり得る。好ましい実施形態では、標的化リガンドは、抗体又はその抗原結合フラグメント、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、BCMA、Her2、EGFR、KLK2、CD19、CD22、CD30、CD33、CD79b又はネクチン-4であり得る癌抗原などの腫瘍性疾患又は障害に関連する抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合フラグメントである。
【0122】
本発明の実施形態によれば、環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールである。代替的な実施形態では、環A及び環Bの各々は、任意選択で置換されたヘテロシクリル環、例えば、オキサゾリンであることが企図される。環A及び環Bの各々は、任意選択でかつ独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR13、-SR13、-(CH2)pCOOR13、-OC(O)R13、-N(R13)2、-CON(R13)2、-NO2、-CN-OC(O)N(R13)2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で置換され得る。この目的に好適な6~10員のアリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。この目的に好適な5~10員のヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル及びイミダゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。5~10員のヘテロアリール及び6~10員のアリール基の好適な置換基の例としては、-COOH、テトラゾリル及び-CH2COOHが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、置換基は、-COOH、又は-COOHのアイソスターであるテトラゾリルである。
【0123】
特定の実施形態では、環A及び環Bの各々は、独立してかつ任意選択で-COOH及び-CH2COOHを含むがこれらに限定されない1つ又は2つ以上のカルボキシル基で置換される。
【0124】
特定の実施形態では、環A及び環Bの各々は、独立してかつ任意選択でテトラゾリルで置換されている。
【0125】
一実施形態では、環A及び環Bは同じであり、例えば、環A及び環Bの両方がピリジニルである。別の実施形態では、環A及び環Bは異なり、例えば、環A及び環のうちの1つがピリジニルであり、他方がフェニルである。
【0126】
特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、-COOHで置換されたピリジニルである。
【0127】
特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、テトラゾリルで置換されたピリジニルである。
【0128】
別の特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、以下の構造を有するピコリン酸基である。
【0129】
【0130】
本発明の実施形態によれば、Z1及びZ2の各々は、独立して、-(C(R12)2)m-又は-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、各Xは、独立して、-L1-R11であり、各R12は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであり、各nは、独立して、0、1、2、3、4、又は5であり、各mは、独立して、1、2、3、4、又は5である。
【0131】
いくつかの実施形態では、各R12は、独立して、水素又はアルキル、より好ましくは水素、-CH3又は-CH2CH3である。
【0132】
いくつかの実施形態では、各R12は、水素である。
【0133】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2の両方が-(CH2)m-であり、式中、各mは好ましくは1である。そのような実施形態では、大員環、環A又は環Bの炭素原子は、X基で置換される。
【0134】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2のうちの1つは、-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、他方が-(CH2)m-である。
【0135】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2のうちの1つが-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、他方が-(CH2)m-であり、各nは、0であり、mは、1であり、Xは、-L1-R11であり、L1は、リンカーである。
【0136】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2の両方が、-(CH2)m-であり、各mは、独立して、0、1、2、3、4、又は5であり、好ましくは、各mは1であり、R14、R15、R16及びR17のうちの1つはXであり、R14、R15、R16及びR17のうちの残りはそれぞれ水素である。
【0137】
いくつかの実施形態では、R14及びR15は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員のシクロアルキル環(すなわち、シクロペンチル又はシクロヘキシル)を形成する。そのような5員又は6員のシクロアルキル環は、X基で置換することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、R16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員のシクロアルキル環(すなわち、シクロペンチル又はシクロヘキシル)を形成する。そのような5員又は6員のシクロアルキル環は、X基で置換することができる。
【0139】
特定の実施形態では、キレータは、式(II)の構造を有し、
【0140】
【化17】
式中、
A
1は、N若しくはCR
1であるか、又は存在せず、
A
2は、N又はCR
2であり、
A
3は、N又はCR
3であり、
A
4は、N又はCR
4であり、
A
5は、N又はCR
5であり、
A
6は、N若しくはCR
6であるか、又は存在せず、
A
7は、N又はCR
7であり、
A
8は、N又はCR
8であり、
A
9は、N又はCR
9であり、
A
10は、N又はCR
10であり、
但し、A
1、A
2、A
3、A
4及びA
5のうちの3つ以下がNであり、A
6、A
7、A
8、A
9及びA
10のうちの3つ以下がNであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10の各々は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-(CH
2)
pCOOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN、-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択されるか、
あるいは、任意の2つの直接隣接するR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員の置換又は非置換炭素環又は窒素含有環を形成し、
Z
1、Z
2、X、n、m、p、L
1及びR
11~R
17は、式(I)について上述したとおりであり、
但し、キレータは少なくとも1つのXを含み、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10のうちのいずれか1つがXである場合、L
1はリンカーであり、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない。
【0141】
いくつかの実施形態では、任意の2つの直接隣接するR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それらが結合している原子と一緒になって、5員又は6員の置換又は非置換炭素環又は窒素含有環を形成する。形成することができるそのような炭素環の例としては、ナフチルが挙げられるが、これに限定されない。形成することができるそのような窒素含有環の例としては、キノリニルが挙げられるが、これに限定されない。炭素環又は窒素含有環は、非置換であってもよく、又は1つ若しくは2つ以上の好適な置換基、例えば、-COOH、-CH2COOH、テトラゾリルなどで置換されてもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、L1は、存在しない。L1が存在しない場合、R11は、キレータに(例えば、共有結合を介して)直接結合される。
【0143】
いくつかの実施形態では、L1は、リンカーである。上記のものなどの、本開示を考慮して当業者に既知の任意の好適なリンカーを本発明で使用することができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3、A4及びA5のうちの1つは窒素であり、A1、A2、A3、A4及びA5のうちの1つは、-COOHで置換された炭素であり、残りはCHであり、すなわち、カルボン酸で置換されたピリジニル環を形成する。
【0145】
いくつかの実施形態では、A6、A7、A8、A9及びA10のうちの1つは窒素であり、A6、A7、A8、A9及びA10のうちの1つは、-COOHで置換された炭素であり、残りはCHであり、すなわち、カルボン酸で置換されたピリジニル環を形成する。
【0146】
一実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つは-COOHである。一実施形態では、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つは-COOHである。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つは-COOHであり、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つは-COOHである。
【0147】
いくつかの実施形態では、A1及びA10の各々は、窒素であり、A2はCR2であり、R2は-COOHであり、
A9はCR9であり、R9は-COOHであり、A3~A8の各々は、それぞれCR2、CR3、CR4、CR5、CR6、CR7及びCR8であり、R3~R8の各々は水素である。
【0148】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3、A4及びA5のうちの1つは窒素であり、A1、A2、A3、A4及びA5のうちの1つはテトラゾリルで置換された炭素であり、残りはCHである。
【0149】
いくつかの実施形態では、A6、A7、A8、A9及びA10のうちの1つは窒素であり、A6、A7、A8、A9及びA10のうちの1つはテトラゾリルで置換された炭素であり、残りはCHである。
【0150】
一実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つはテトラゾリルである。一実施形態では、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つはテトラゾリルである。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つはテトラゾリルであり、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つはテトラゾリルである。
【0151】
いくつかの実施形態では、各R12は、水素である。
【0152】
いくつかの実施形態では、R11は、アルキニル基又はシクロアルキニル基、好ましくはシクロオクチニル又はシクロオクチニル誘導体、例えばDBCOである。
【0153】
式(II)のキレータの特定の実施形態では、
A1及びA10の各々は、窒素であり、
A2はCR2であり、R2は-COOHであり、
A9はCR9であり、R9は-COOHであり、
A3~A8の各々は、それぞれCR2、CR3、CR4、CR5、CR6、CR7及びCR8であり、
R3~R8の各々は、水素であり、
Z1及びZ2のうちの1つは-(CH2)m-であり、Z1及びZ2のうちの他方は-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、
R12は、水素であり、
mは、1であり、
各nは、0であり、
Xは、-L1-R11であり、式中、L1はリンカーであり、-R11は、求電子基、例えば、シクロオクチニル、又はDBCOなどのシクロオクチニル誘導体であり、
R14~R17の各々は、水素であるか、あるいはR16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって5員又は6員のシクロアルキル環を形成する。
【0154】
特定の実施形態では、化合物は、式(III)の構造を有し、
【0155】
【化18】
式中、
各A
11は、独立して、O、S、NMe又はNHであり、
各R
18は、独立して、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR
13、-SR
13、-COOR
13、-OC(O)R
13、-N(R
13)
2、-CON(R
13)
2、-NO
2、-CN-OC(O)N(R
13)
2及び-Xからなる群から選択され、
Z
1、Z
2、X、n、m、L
1、R
11-R
17は、式(I)について上述したとおりであり、
但し、キレータは少なくとも1つのXを含み、R
18がXである場合、L
1はリンカーであるか、又はR
12及びR
14~R
17のうちの少なくとも1つが水素ではない。
【0156】
いくつかの実施形態では、各A11は同じであり、各A11は、O、S、NMe又はNHである。例えば、各A11は、Sであり得る。他の実施形態では、各A11は異なっており、各々が、独立して、O、S、NMe及びNHから選択される。
【0157】
いくつかの実施形態では、各R18は、独立して、-(CH2)p-COOR13又はテトラゾリルであり、式中、R13は水素であり、各pは独立して0又は1である。
【0158】
いくつかの実施形態では、各R18は、-COOHである。
【0159】
いくつかの実施形態では、各R18は、-CH2COOHである。
【0160】
いくつかの実施形態では、各R18は、テトラゾリルである。
【0161】
式(III)のキレータの特定の実施形態では、
各R18は、COOHであり、
Z1及びZ2のうちの1つは-(CH2)m-であり、Z1及びZ2のうちの他方は-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、
R12は、水素であり、
mは、1であり、各nは、0であり、
Xは、-L1-R11であり、式中、L1はリンカーであり、-R11は、求電子基、例えば、シクロオクチニル、又はDBCO若しくはBCNなどのシクロオクチニル誘導体であり、
R14~R17の各々は、水素であるか、あるいはR16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって5員又は6員のシクロアルキル環を形成する。
【0162】
本発明の特定の実施形態は、以下からなる群より選択されるキレータであり、
【0163】
【化19】
式中、
L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又は-CH
2CH
3である。
【0164】
いくつかの実施形態では、R11は、-NH2、-NCS、-NCO、-N3、アルキニル、シクロアルキニル、-C(O)R13、-COOR13、-CON(R13)2、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン又はトランス-シクロオクテンである。
【0165】
特定の実施形態では、R11は、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)、及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体である。
【0166】
好ましくは、R11は、アルキニル基又はシクロアルキニル基であり、より好ましくはシクロアルキニル基、例えば、DBCO又はBCNである。
【0167】
本発明における例示的なキレータとしては、
【0168】
【0169】
【化21】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
以下により詳細に記載されるクリックケミストリー反応により、キレータをアジド標識標的化リガンドと反応させて1,2,3-トリアゾールリンカーを形成することによって、そのようなキレータは、標的化リガンド(例えば、抗体又はその抗原結合フラグメント)に共有結合して、免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートを形成することができる。
【0171】
本発明のキレータは、本開示を考慮して当該技術分野で既知の任意の方法によって製造することができる。例えば、ペンダント芳香族/複素芳香族基は、以下に例示及び記載されるものなどの当該技術分野で既知の方法によって、大員環部分に結合することができる。
【0172】
放射性金属錯体
別の一般的な態様では、本発明は、配位結合により本発明のキレータに配位された放射性金属イオンを含む放射性金属錯体に関する。本明細書に記載される本発明のキレータのいずれも、放射性金属イオンを含むことができる。好ましくは、放射性金属イオンは、α線放出放射性金属イオン、より好ましくは225Acである。本発明のキレータは、金属不純物に関係なく、任意の比活性で、放射性金属イオン、特に225Acを堅固にキレート化することができ、したがって、インビボ及びインビトロで高いキレート安定性を有し、かつ、負荷剤(challenge agent)、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(diethylene triamine pentaacetic acid、DTPA)に対して安定である放射性金属錯体を形成する。
【0173】
本発明の実施形態によれば、放射性金属錯体は、式(I-m)の構造を有し、
【0174】
【化22】
式中、可変基は、本発明のキレータ、例えば、式(I)のキレータにおいて上記で定義したとおりであり、Mは、放射性金属イオンである。放射性金属イオンMは、配位結合によりキレータに結合して、放射性金属錯体を形成する。キレータの大員環のヘテロ原子及びペンダントアーム(すなわち、-Z
1-環A及び/又は-Z
2-環B)の任意の官能基は、放射性金属イオンの配位結合に関与し得る。
【0175】
上記の式(I)のキレータのいずれかを使用して、式(I-m)の放射性金属錯体を形成することができる。
【0176】
特定の実施形態では、放射性金属イオンMは、α線放出放射性金属イオンである。好ましくは、α線放出放射性金属イオンは、225Acである。
【0177】
本発明の実施形態によれば、放射性金属錯体は、少なくとも1つのX基を含み、Xは、-L1-R11であり、式中、L1は存在しないか、又はリンカーであり、R11は求電子性部分若しくは求核性部分であるか、又はR11は標的化リガンドを含む。R11が求核性又は求電子性部分である場合、そのような部分は、リンカーを介して直接的又は間接的に放射性金属錯体を標的化リガンドに結合するのに使用することができる。
【0178】
特定の実施形態では、放射性金属は、単一のX基を含み、好ましくは、X基のL1はリンカーである。
【0179】
特定の実施形態では、R11は、-NH2、-NCS(イソチオシアネート)、-NCO(イソシアネート)、-N3(アジド)、アルキニル、シクロアルキニル、カルボン酸、エステル、アミド、アルキルアミド、マレイミド、ハロゲン化アシル、テトラジン又はトランス-シクロオクテンであり、より具体的には、-NCS、-NCO、-N3、アルキニル、シクロアルキニル、-C(O)R13、-COOR13、-CON(R13)2、マレイミド又はハロゲン化アシル(例えば、-C(O)Cl又は-C(O)Br)であり、式中、各R13は、独立して、水素又はアルキルである。
【0180】
いくつかの実施形態では、R11は、アルキニル基、シクロアルキニル基又はアジド基であり、これにより、クリックケミストリー反応を用いて、キレータを標的化リガンド又は他の化学部分(例えば、リンカー)に結合させることが可能となる。
【0181】
特定の実施形態では、R11は、アルキニル基であり、より好ましくは、特に歪み促進型アジド-アルキンシクロ付加環化(SPAAC)によりアジド基と反応性である、末端アルキニル基又はシクロアルキニル基である。SPAACによりアジド基と反応することができるシクロアルキニル基の例としては、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
特定の実施形態では、R11は、以下の構造を有するジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)である。
【0183】
【0184】
R11がDBCOであるそのような実施形態では、DBCOは、リンカーを介して直接的又は間接的にキレータに共有結合することができ、好ましくは、リンカーを介して間接的にキレータに結合される。
【0185】
別の特定の実施形態では、R11は、ビクロノニル(BCN)である。
【0186】
本発明の実施形態によれば、環A及び環Bの各々は、独立して、6~10員のアリール又は5~10員のヘテロアリールである。代替的な実施形態では、環A及び環Bの各々は、任意選択で置換されたヘテロシクリル環、例えば、オキサゾリンであることが企図される。環A及び環Bの各々は、任意選択でかつ独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-OR13、-SR13、-(CH2)pCOOR13、-OC(O)R13、-N(R13)2、-CON(R13)2、-NO2、-CN-OC(O)N(R13)2及びXからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基で置換され得る。この目的に好適な6~10員のアリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。この目的に好適な5~10員のヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル及びイミダゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。5~10員のヘテロアリール及び6~10員のアリール基の好適な置換基の例としては、-COOH、テトラゾリル及び-CH2COOHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
特定の実施形態では、環A及び環Bの各々は、独立してかつ任意選択で-COOH及び-CH2COOHを含むがこれらに限定されない1つ又は2つ以上のカルボキシル基で置換される。
【0188】
一実施形態では、環A及び環Bは同じであり、例えば、環A及び環Bの両方がピリジニルである。別の実施形態では、環A及び環Bは異なり、例えば、環A及び環のうちの1つがピリジニルであり、他方がフェニルである。
【0189】
特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、-COOHで置換されたピリジニルである。
【0190】
特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、テトラゾリルで置換されたピリジニルである。
【0191】
別の特定の実施形態では、環A及び環Bの両方は、以下の構造を有するピコリン酸基である。
【0192】
【0193】
本発明の実施形態によれば、Z1及びZ2の各々は、独立して、-(C(R12)2)m-又は-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、各Xは、独立して、-L1-R11であり、各nは、独立して、0、1、2、3、4、又は5であり、各mは、独立して、1、2、3、4、又は5である。
【0194】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2の両方が-(CH2)m-であり、式中、各mは好ましくは1である。そのような実施形態では、大員環、環A又は環Bの炭素原子は、X基で置換される。
【0195】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2のうちの1つは、-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、他方が-(CH2)m-である。
【0196】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2のうちの1つが-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、他方が-(CH2)m-であり、各nは、0であり、mは、1であり、Xは、-L1-R11であり、L1は、リンカーである。
【0197】
いくつかの実施形態では、Z1及びZ2の両方が、-(CH2)m-であり、各mは、独立して、0、1、2、3、4、又は5であり、好ましくは、各mは1であり、R14、R15、R16及びR17のうちの1つはXであり、R14、R15、R16及びR17のうちの残りはそれぞれ水素である。
【0198】
いくつかの実施形態では、R14及びR15は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員のシクロアルキル環(例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシル)を形成する。そのような5員又は6員のシクロアルキル環は、X基で置換することができる。
【0199】
いくつかの実施形態ではR16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員のシクロアルキル環(例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシル)を形成する。そのような5員又は6員のシクロアルキル環は、X基で置換することができる。
【0200】
特定の実施形態では、放射性金属錯体は、式(II-m)の構造を有し、
【0201】
【化25】
式中、可変基は、本発明のキレータ、例えば、式(II)のキレータにおいて上記で定義したとおりであり、Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは
225Acである。
【0202】
上記の式(II)のキレータのいずれかを使用して、式(II-m)の放射性金属錯体を形成することができる。
【0203】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3、A4及びA5のうちの1つは窒素であり、A1、A2、A3、A4及びA5のうちの1つは、-COOHで置換された炭素であり、残りはCHであり、すなわち、カルボン酸で置換されたピリジニル環を形成する。
【0204】
いくつかの実施形態では、A6、A7、A8、A9及びA10のうちの1つは窒素であり、A6、A7、A8、A9及びA10のうちの1つは、-COOHで置換された炭素であり、残りはCHであり、すなわち、カルボン酸で置換されたピリジニル環を形成する。
【0205】
一実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つは-COOHである。一実施形態では、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つは-COOHである。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つは-COOHであり、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つは-COOHである。
【0206】
いくつかの実施形態では、A1及びA10の各々は、窒素であり、A2はCR2であり、R2は-COOHであり、
A9はCR9であり、R9は-COOHであり、A3~A8の各々は、それぞれCR2、CR3、CR4、CR5、CR6、CR7及びCR8であり、R3~R8の各々は水素である。
【0207】
一実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つはテトラゾリルである。一実施形態では、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つはテトラゾリルである。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つはテトラゾリルであり、R6、R7、R8、R9及びR10のうちの少なくとも1つはテトラゾリルである。
【0208】
いくつかの実施形態では、各R12は、水素である。
【0209】
いくつかの実施形態では、R11は、アルキニル基又はシクロアルキニル基、好ましくはシクロオクチニル又はシクロオクチニル誘導体、例えばDBCOである。
【0210】
式(II-m)の放射性金属錯体の特定の実施形態では、
Mは、225Acであり、
A1及びA10の各々は、窒素であり、
A2はCR2であり、R2は-COOHであり、
A9はCR9であり、R9は-COOHであり、
A3~A8の各々は、それぞれCR2、CR3、CR4、CR5、CR6、CR7及びCR8であり、
R3~R8の各々は、水素であり、
Z1及びZ2のうちの1つは-(CH2)m-であり、Z1及びZ2のうちの他方は-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、
R12は、水素であり、
mは、1であり、
各nは、0であり、
Xは、-L1-R11であり、式中、L1はリンカーであり、-R11は、求電子基、例えば、シクロオクチニル、又はDBCOなどのシクロオクチニル誘導体であり、
R14~R17の各々は、水素であるか、あるいはR16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって5員又は6員のシクロアルキル環を形成する。
【0211】
特定の実施形態では、放射性金属錯体は、式(III-m)の構造を有し、
【0212】
【化26】
式中、可変基は、本発明のキレータ、例えば、式(III)のキレータにおいて上記で定義したとおりであり、Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは
225Acである。
【0213】
上記の式(III)のキレータのいずれかを使用して、式(III-m)の放射性金属錯体を形成することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、各A11は同じであり、各A11は、O、S、NMe又はNHである。例えば、各A11は、Sであり得る。他の実施形態では、各A11は異なっており、各々が、独立して、O、S、NMe及びNHから選択される。
【0215】
いくつかの実施形態では、各R18は、独立して、-(CH2)p-COOR13であり、式中、R13は水素であり、各pは独立して0又は1である。
【0216】
いくつかの実施形態では、各R18は、-COOHである。
【0217】
いくつかの実施形態では、各R18は、-CH2COOHである。
【0218】
いくつかの実施形態では、各R18は、テトラゾリルである。
【0219】
式(III-m)の放射性金属錯体の特定の実施形態では、
各R18は、COOHであり、
Z1及びZ2のうちの1つは-(CH2)m-であり、Z1及びZ2のうちの他方は-(CH2)n-C(R12)(X)-(CH2)n-であり、
R12は、水素であり、
mは、1であり、各nは、0であり、
Xは、-L1-R11であり、式中、L1はリンカーであり、-R11は、求電子基、例えば、シクロオクチニル、又はDBCOなどのシクロオクチニル誘導体であり、
R14~R17の各々は、水素であるか、あるいはR16及びR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって5員又は6員のシクロアルキル環を形成する。
【0220】
本発明の特定の実施形態では、放射性金属錯体は、以下の構造のうちの1つを有し、
【0221】
【化27】
式中、
Mは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、L
1は存在しないか、又はリンカーであり、
R
11は、求核性部分若しくは求電子性部分であるか、又はR
11は、標的化リガンドを含み、
各R
12は、独立して、水素、-CH
3又は-CH
2CH
3であり、但し、少なくとも1つのR
12は、-CH
3又は-CH
2CH
3である。
【0222】
放射性金属錯体は、本開示を考慮して当該技術分野で既知の任意の方法によって製造することができる。例えば、本発明のキレータを、放射性金属イオンと混合することができ、混合物をインキュベートして、放射性金属錯体を形成することができる。例示的な実施形態では、キレータを225Ac(NO3)3の溶液と混合して、配位結合によりキレータに結合した225Acを含む放射性錯体を形成する。上記のように、本発明のキレータは、放射性金属、特に225Acを効率的にキレート化する。したがって、特定の実施形態では、本発明のキレータは、1:1000、1:500、1:400、1:300、1:200、1:100、1:50、1:10、又は1:5、好ましくは1:5~1:200、より好ましくは1:5~1:100のキレータと225Acイオンとの濃度比で、225Acイオンの溶液と混合される。したがって、いくつかの実施形態では、放射性金属錯体を形成するために使用できる本発明のキレータと225Acとの比は、他の既知の225Acキレータ、例えば、DOTAで達成できる比よりもはるかに低い。放射性錯体は、インスタント薄層クロマトグラフィー(例えば、iTLC-SG)、HPLC、LC-MSなどによって特徴付けることができる。例示的な方法は、本明細書中に、例えば以下の実施例に記載される。
【0223】
免疫コンジュゲート及び放射性免疫コンジュゲート
別の一般的な態様では、本発明は、免疫コンジュゲート及び放射性免疫コンジュゲートに関する。本発明のキレータ及び放射性金属錯体は、免疫物質などの標的化リガンドにコンジュゲートさせて(すなわち、共有結合させて)、標的化放射線治療などの対象における医療用途に好適な免疫コンジュゲート及び/又は放射性免疫コンジュゲートを生成することができる。本発明のキレータ及び放射性金属錯体を使用して、標的化リガンド、特に、目的の標的(癌細胞など)に特異的に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメントを放射線金属イオンで特異的に標識して、放射性免疫コンジュゲートを生成することができる。具体的には、本発明のキレータ及び/又は放射性金属錯体を使用して、放射性金属イオン、特に225Acの高収率キレート化及び所望のキレータ-抗体比(CAR)を有する放射性免疫コンジュゲートを生成することができる。特定の実施形態によれば、本発明の方法は、10未満、8未満、6未満、若しくは4未満の平均CAR、又は約2~約8、若しくは約2~約6、若しくは約2~約4、若しくは約2~約3のCAR、又は約2、若しくは約3、若しくは約4、若しくは約5、若しくは約6、若しくは約7、若しくは約8のCARを提供する。
【0224】
本明細書で使用するとき、「免疫コンジュゲート」は、毒素、薬物、放射性金属イオン、キレータ、放射性金属錯体などの第2の分子にコンジュゲートされた(例えば、共有結合により結合された)抗体又はその抗原結合フラグメントである。「放射性免疫コンジュゲート」は、特に、抗体又はその抗原結合フラグメントが、放射性金属で標識された又は放射性金属錯体にコンジュゲートされた免疫コンジュゲートである。
【0225】
本発明の実施形態によれば、免疫コンジュゲートは、抗体又はその抗原結合フラグメントに、好ましくはリンカーを介して共有結合した、本発明のキレータ、例えば、本明細書に記載の式(I)、式(II)、又は式(III)のキレータを含む。キレータと抗体又はその抗原結合フラグメントとの間の異なる結合を有する多くの結合形態が、キレータ及び抗体又はその抗原結合フラグメント上の反応性官能基(すなわち、求核性及び求電子性)に応じて可能である。
【0226】
本発明の実施形態によれば、放射性免疫コンジュゲートは、本発明の放射性金属錯体、例えば、本明細書に記載される式(I-m)、式(II-m)又は式(III-m)の放射性金属錯体を含み、好ましくはリンカーを介して、抗体又はその抗原結合フラグメントに共有結合されている。
【0227】
本明細書に記載されるものなどの本発明のキレータ又は放射性金属錯体のいずれかを使用して、本発明の免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートを生成することができる。
【0228】
いくつかの実施形態では、本発明の放射性免疫コンジュゲートの放射性金属錯体は、放射性錯体のキレート部分に配位されたα線放出放射性金属イオンを含む。好ましくは、α線放出放射性金属イオンは225Acである。
【0229】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、トリアゾール部分を介して放射性錯体に結合し、本発明の放射性免疫コンジュゲートを形成する。
【0230】
特定の実施形態では、本出願の免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲート中の抗体又は抗原結合フラグメントは、腫瘍抗原に特異的に結合することができる。好ましくは、抗体又は抗原結合フラグメントは、癌抗原に特異的に結合する。癌抗原の例としては、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、BCMA、Her2、EGFR、KLK2、CD19、CD22、CD30、CD33、CD79b及びネクチン-4が挙げられるが、これらに限定されない。
【0231】
一実施形態では、抗体は、PSMAに特異的に結合する。好ましくは、抗体はPSMB127である。本明細書で「抗PSMA mAb」と称され、「PSMB127」と表される、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合するヒトIgG4抗体は、配列番号3の重鎖(heavy chain、HC)CDR1配列、配列番号4のHC CDR2配列、配列番号5のHC CDR3配列、配列番号6の軽鎖(light chain、LC)CDR1配列、配列番号7のLC CDR2配列及び配列番号8のLC CDR3配列を有し、かつ、配列番号9のHC配列及び配列番号10のLC配列を有する。抗PSMA mAbを発現させ、標準クロマトグラフィー法を用いて精製した。抗体PSMB127、その生物学的活性、その使用又は他の関連情報は、例えば、米国特許出願公開第20200024360(A1)号に記載されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0232】
別の実施形態では、抗体は、ヒトカリクレイン-2(KLK2)に特異的に結合する。好ましくは、抗体はH11B6である。H11B6抗体、生物学的活性、使用又はその他関連情報は、米国特許第10,100,125号に記載されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるように、H11B6抗体ポリペプチドは、配列番号11及び配列番号12及び配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域、並びに配列番号14及び配列番号15及び配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域を含む。抗H11B6抗体は、更に、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有するか、又は配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域及び配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を有するか、あるいは配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域及び配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を有することができる。
【0233】
市販の抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン)、セツキシマブ(アービタックス)、ペルツズマブ(パージェタ)及びパニツムマブ(ベクティビックス)をそれぞれRoche、Lilly、Roche及びAmgenから購入した。トラスツズマブ及びペルツズマブは、ヒトHer2に結合する。セツキシマブ及びパニツムマブは、ヒトEGFRに結合する。
【0234】
本発明の免疫コンジュゲート及び放射性免疫コンジュゲートは、化学的及び/又は酵素的方法を含む、リガンド、例えば抗体をキレータへのコンジュゲーションのための本開示を考慮して当技術分野で既知の任意の方法によって調製することができる。例えば、免疫コンジュゲート及び放射性免疫コンジュゲートは、活性化酸又はハロゲン化アシルからのエステル、チオエステル又はアミドの形成を含む、結合反応;求核置換反応(例えば、ハロゲン化環の求核置換又は歪みを有する環系の開環など);アジド-アルキンヒュスゲン環化付加(例えば、1,2,3-トリアゾールリンカーを形成するためのアジドとアルキンとの間の1,3双極子環化付加);チオリン付加反応;イミン形成;テトラジンとトランスシクロクテン(TCO)との間のディールス・アルダー反応;及びマイケル付加(例えば、マレイミド付加)によって調製することができる。使用される反応性官能基に応じて、異なる結合を有する多くの他の付加様式が可能である。リガンドの結合は、放射性金属イオンに配位されているキレータ又は放射性金属イオンに配位されていないキレータに対して行うことができる。
【0235】
一実施形態によれば、本発明の放射性金属コンジュゲートは、例えばクリックケミストリー反応(例えば、
図2B及び2Dを参照されたい、「クリック放射性標識化」と称する)によって、本発明の放射性金属錯体を抗体又はその抗原結合フラグメントに共有結合させることによって生成することができる。あるいは、放射性免疫コンジュゲートは、例えばクリックケミストリー反応によって、本発明のキレータを抗体又はその抗原結合フラグメントに共有結合させることによって、本発明の免疫コンジュゲートを最初に調製し、続いて、放射性免疫コンジュゲートを生成するために、免疫コンジュゲートを放射性金属イオンで標識化すること(例えば、
図2A及び2Cを参照されたい、「1工程直接放射性標識化」と称する)により、生成することができる。コンジュゲーションの残基特異的方法(例えば、
図2A及び2B)及び部位特異的方法(例えば、
図2C及び
図2D)の両方を、本発明の免疫コンジュゲート及び放射性免疫コンジュゲートを生成するために使用することができる。
【0236】
タンパク質へのコンジュゲーションのための残基特異的方法は十分に確立されており、最も一般的には、活性化エステル又はイソチオシアネートを使用したリシン側鎖、又はマレイミド、ハロアセチル誘導体又は活性化ジスルフィドを有するシステイン側鎖のいずれかを伴う(Brinkley Bioconjugate Chem1992:2)。ほとんどのタンパク質は複数のリジン及びシステイン残基を有するため、様々なアミノ酸位置において異なる数のコンジュゲート分子を有する生成物の不均一な混合物は、典型的には、そのような方法を使用して得られる。チロシン特異的コンジュゲーション(Ban et al.Bioconjugate Chemistry 2013:520)、メチオニン特異的方法(Lin et al.Science 2017(355)597)、追加のシステインに焦点を当てたアプローチ(Toda et al.Angew Chemie 2013:12592)などを含む、追加の方法が確立されている。
【0237】
より最近では、モノクローナル抗体及び他のタンパク質について、部位選択的及び部位特異的コンジュゲーション方法が確立されている(Agarwal,P.and C.R.Bertozzi,Bioconjug Chem,2015.26(2):p.176-92;Rabuka et al.Curr Opin Chem Biol 2010:790)。これらとしては、天然アミノ酸の組み込み;SNAP又はDHFRなどの「自己標識化タグ」又はソルターゼA、リポ酸リガーゼ及びホルミルグリシン生成酵素などの別の酵素によって特異的に認識及び修飾されるタグへの目的のタンパク質の融合;目的のペイロードのコンジュゲートを可能にするためのグリカンの酵素修飾(Hu et al.Chem Soc Rev 2016:1691);抗体上の定義された位置を選択的に認識するための微生物トランスグルタミナーゼの使用;並びに選択的コンジュゲートに影響を及ぼすための分子認識及び/又は化学的アプローチを使用する追加の方法(Yamada et al.2019:5592;Park et al.Bioconjugate Chem 2018:3240;Pham et al.Chembiochem 2018:799)が挙げられる。
【0238】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートは、本発明のキレータを抗体又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートさせるための残基特異的方法を使用して生成される。そのような残基特異的方法により、典型的には、抗体の様々な位置においてキレータ又は放射性金属錯体に共有結合した免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートが得られる。本開示を考慮して当業者に既知のタンパク質又は抗体コンジュゲートを形成するための任意の残基特異的方法を使用することができる。使用することができるコンジュゲートのための残基特異的方法の例としては、例えば活性化エステル又はイソチオシアネート基を含むキレータ又は放射性金属錯体を使用して、キレータ又は放射性金属錯体を抗体のリシン残基にコンジュゲートすること、例えば、マレイミド、ハロアセチル誘導体、アシルハライド、活性化ジスルフィド基又はメチルスルホニルフェニルオキサジアゾール基を含むキレータ又は放射性金属錯体を使用して、抗体のシステイン残基にコンジュゲートすること例えば、4-フェニル-3H-1,2,4-トリアゾリン-3,5-(4H)-ジオン(PTAD)を含むキレータ又は放射性金属錯体を使用して、抗体のチロシン残基にコンジュゲートすること、例えばオキサジリジン誘導体を含むキレータ又は放射性金属錯体を使用して、抗体のメチオニン残基にコンジュゲートすることが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のキレータ又は放射性金属錯体にコンジュゲートする前に、上記の方法のうちの1つ又は2つ以上を使用して、特異的な残基において、抗体を双直交(biorthogonal)反応性官能基で標識化することも可能である。例えば、双直交反応性官能基、例えば、アジド、アルキニル又はシクロアルキニルに結合されたオキサジリジン誘導体を使用して、チロシン残基を、双直交反応性官能基において部位特異的に標識化することができ、次いで、適合性の反応性官能基を有するキレータ又は放射性金属錯体を使用して、標識されたチロシン残基を含む抗体を、本発明のキレータ又は放射性金属錯体にコンジュゲートさせることができる。
【0239】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートは、本発明のキレータを抗体又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートさせるための部位特異的又は部位選択的方法を用いて生成される。残基特異的方法とは対照的に、「部位特異的」又は「部位選択的」方法により、典型的には、抗体の特定の位置においてキレータ又は放射性金属錯体に共有結合した免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートが得られる。本開示を考慮して当業者に既知のタンパク質又は抗体コンジュゲートを形成するための任意の部位特異的方法を使用することができる。例えば、目的の非天然アミノ酸を有するtRNAを選択的にアミノアクリレートすることができる変異アミノアシルt-RNAシンセターゼを使用して、非天然アミノ酸(例えば、アジドアミノ酸又はアルキニルアミノ酸)を抗体に特異的に組み込むことができる。次に、アンバーサプレッサーtRNAとともに変異アシル化tRNAを使用して、アンバーナンセンスコドンに応答して、非天然アミノ酸をタンパク質に部位特異的に組み込むことができる。上記の方法のうちの1つ又は2つ以上によって特異的に標識された抗体は、続いて、適合性の反応性官能基を有する本発明のキレータ又は放射性金属錯体とコンジュゲートさせることができる。
【0240】
本発明の実施形態によれば、放射性免疫コンジュゲートの製造方法は、R11が求核性若しくは求電子性部分である本発明のキレータ又は放射性錯体を、抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は求核性部分若しくは求電子性部分を含む修飾された抗体若しくはその抗原結合フラグメントと反応させることを含む。
【0241】
一実施形態では、方法は、本発明のキレータを、抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は求核性官能基若しくは求電子性官能基を含む修飾された抗体若しくはその抗原結合フラグメントを反応させて、キレータと抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は修飾された抗体若しくは抗原結合フラグメントとの間に共有結合を有する免疫コンジュゲートを形成することと、放射性金属イオンが配位結合により免疫コンジュゲートのキレータに結合するように、免疫コンジュゲートを放射性金属イオンと反応させて、それにより、放射性免疫コンジュゲートを形成することと、を含む。この実施形態は、放射性金属を含む化学反応工程が1つしかないので、「1工程直接放射性標識化」方法(例えば、
図2Cに概略的に示される)と称されてもよい。
【0242】
別の実施形態では、方法は、本発明の放射性錯体を、抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は求核性若しくは求電子性官能基を含む修飾された抗体若しくはその抗原結合フラグメントを反応させ、それにより、放射性免疫コンジュゲートを形成することを含む。この実施形態は、「クリック放射性標識化」方法(例えば、
図2Dに概略的に示される)と称されてもよい。修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントは、本開示を考慮して当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、上記の方法のうちの1つ又は2つ以上を使用して、特定の残基において、抗体を2つの直交性反応性官能基で標識化することによって、あるいは、上記の方法のうちの1つ又は2つ以上を使用して、非天然アミノ酸(例えば、アジドアミノ酸又はアルキニルアミノ酸)を抗体に特異的に組み込むことによって、生成することができる。標識化の程度(DOL)は、置換度(DOS)と称する場合もあり、非天然アミノ酸によって修飾された抗体などのバイオコンジュゲートを特徴付ける及び最適化するための特に有用なパラメータである。これは、タンパク質分子(抗体など)に結合した非天然アミノ酸の平均数として、又は標識/タンパク質の形態でのモル比として表される。DOLは、当該分野における任意の既知の方法により、標識抗体の吸収スペクトルから決定することができる。
【0243】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるように、本発明の免疫コンジュゲート及び放射性免疫コンジュゲートは、クリックケミストリー反応を用いて調製される。例えば、本発明の放射性免疫コンジュゲートは、「クリック放射性標識化」と称するクリックケミストリー反応を使用して調製することができる(例えば、
図2B及び2Dを参照)。クリック放射性標識化は、クリックケミストリー反応パートナー、好ましくはアジド及びアルキン(例えば、シクロオクチン又はシクロオクチン誘導体)を使用して、放射性錯体(キレータに結合した放射性金属イオン)と抗体又はその抗原結合フラグメントとの間にトリアゾール共有結合を形成する。抗体のクリック放射性標識化方法は、例えば、「Radiolabeling of Polypeptides」と題する国際特許出願第PCT/US18/65913号に記載されており、その関連する説明は参照により本明細書に組み込まれる。「1工程直接放射性標識化」と称する他の実施形態では、免疫コンジュゲートが、抗体又はその抗原結合フラグメントとキレータとの間のクリックケミストリー反応を使用して調製され、次いで、免疫コンジュゲートを放射性金属イオンと接触させて、放射性免疫コンジュゲートを形成する(例えば、
図2A及び2Cを参照)。
【0244】
一実施形態によれば、放射性免疫コンジュゲートを調製する方法は、放射性金属イオンを(例えば、配位結合により)本発明のキレータに結合することを含む。
【0245】
「1工程直接放射性標識化」方法の一実施形態は、免疫コンジュゲート(すなわち、ポリペプチド-キレータ錯体)を放射性金属イオンと接触させて、それにより放射性免疫コンジュゲートを形成することを含み、免疫コンジュゲートは本発明のキレータを含む、放射性免疫コンジュゲートを調製する方法として記載し得る。特定の実施形態によれば、免疫コンジュゲートは、本発明のキレータとポリペプチドとの間のクリックケミストリー反応により形成されている。特定の実施形態によれば、放射性免疫コンジュゲートは、金属のない条件を用いずに(例えば、反応混合物から一般的な金属不純物を除去又は積極的に排除する任意の工程なしに)形成されている。これは、製造プロセスに重大な課題をもたらす鉄、亜鉛及び銅などの一般的な金属の競合的(非生産的)キレート化を回避するために、金属のない厳密な条件下で抗体を放射性標識化する必要がある特定の従来方法とは対照的である。
【0246】
特定の実施形態では、本発明の放射性免疫コンジュゲートを調製する方法は、
(i)第1のクリック反応パートナー(例えば、アジド基)に共有結合したポリペプチド(例えば、抗体又はその抗原結合フラグメント)を提供することと、
(ii)第2のクリック反応パートナー(例えば、アルキニル基又はシクロアルキニル基)に共有結合した本発明のキレータを含むキレータ錯体を提供することと、
(iii)第1のクリック反応パートナー(例えば、アジド基)を第2のクリック反応パートナー(例えば、アルキニル基又はシクロアルキニル基)と反応させることを可能とする条件下で、修飾されたポリペプチドをキレータ錯体と接触させて、それよりポリペプチド-キレータ錯体(すなわち、免疫コンジュゲート)を形成することと、
(iv)ポリペプチド-キレータ錯体を放射性金属イオンと接触させて、それにより放射性免疫コンジュゲートを調製すること(放射性免疫コンジュゲートは、放射性金属イオンで標識化されたポリペプチド、例えば、配位結合によりキレータに結合したα線放出放射性金属イオンで標識化された修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを含む)と、を含む、「1工程直接放射性標識化」方法を含む。
【0247】
特定の実施形態によれば、工程(iv)は、金属のない条件下で実施される。
【0248】
別の実施形態では、放射性免疫コンジュゲートを調製する方法は、
(i)アジド基に共有結合した抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを提供することと、
(ii)配位結合によりキレータに結合したα線放出放射性金属イオンを含む放射性錯体を提供することであって、キレータが、アルキニル基又はシクロアルキニル基に共有結合している、提供することと、
(iii)アジド基がアルキニル基又はシクロアルキニル基と反応することを可能にする条件下で、修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを放射性錯体と接触させ、それにより、放射性免疫コンジュゲートを調製することと、を含む、「クリック放射性標識化」方法(例えば、
図2Dに示される)を含む。
【0249】
クリックケミストリー反応を実施するための条件は、技術分野において知られており、本開示を考慮して当業者に既知のクリックケミストリー反応を実施するための任意の条件を本発明で使用することができる。条件の例としては、限定されないが、pH4~10及び温度20℃~70℃において、1:1~1000:1の比で、修飾ポリペプチド及び放射性錯体をインキュベートすることが挙げられる。
【0250】
上記のクリック放射性標識化方法は、低若しくは高pH及び/又は高温条件下での放射性金属イオンのキレート化を可能にして率を最大化し、これは、アルキン反応パートナーを不活性化するリスクなしに達成することができる。アジド標識化抗体又はその抗原結合フラグメントと放射性錯体との間の効率的なキレート化及び効率的なSPAAC反応により、アジド:抗体の低い比でも高い放射化学的収率で放射性免疫コンジュゲートを生成することが可能となる。微量金属を除外しなければならない唯一の工程は、キレート化部分に対する放射性金属イオンキレート化であり、抗体の生産、精製、及びコンジュゲーションの工程は、金属を含まない条件下で行われる必要はない。
【0251】
本発明のキレータ及び放射性金属錯体はまた、部位特異的放射性標識化ポリペプチド(例えば、抗体)の生成に使用することもできる。本明細書に記載のクリック放射性標識化方法は、アジド基を抗体上に部位特異的に導入するための確立された方法を利用することにより、放射性免疫コンジュゲートの部位特異的な生成を容易にする(Li,X.,et al.Preparation of well-defined antibody-drug conjugates through glycan remodeling and strain-promoted azide-alkyne cycloadditions.Angew Chem Int Ed Engl,2014.53(28):p.7179-82、Xiao,H.,et al.,Genetic incorporation of multiple unnatural amino acids into proteins in mammalian cells.Angew Chem Int Ed Engl,2013.52(52):p.14080-3)。部位特異的方法でタンパク質又は抗体に分子を付着させる方法は、技術分野において知られており、当業者に既知の抗体を部位特異的に標識する任意の方法を、本開示を考慮して本発明で使用することができる。本発明での使用に好適な抗体を部位特異的に修飾する方法の例としては、限定されないが、修飾システイン残基(例えば、THIOMAB(商標))の組み込み、非天然アミノ酸又はグリカン(例えば、セレノシステイン、p-AcPhe、ホルミルグリシン生成酵素(FGE、SMARTag(商標))など)、及び酵素法(例えば、グリコトランスフェラーゼ、エンドグリコシダーゼ、微生物又は細菌トランスグルタミナーゼ(MTG又はBTG)、ソルターゼAなど)の使用が挙げられる。
【0252】
いくつかの実施形態によれば、本発明の免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートの生成に使用するための修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗体又はその抗原結合フラグメントを、抗体のFc-グリコシル化部位におけるコアGlcNac残基間のβ-1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼ、例えば、GlycINATOR(Genovis)(これは、Fc上の最も内側のGlcNAcをインタクトなままとし、その部位でアジド糖の部位特異的な組み込みを可能にする)で短縮する(trim)ことによって得られる。次いで、短縮された抗体又はその抗原結合フラグメントを、GalTガラクトシルトランスフェラーゼ又はGalNAcトランスフェラーゼなどの糖転移酵素の存在下で、UDP-N-アジドアセチルガラクトサミン(UDP-GalNaz)又はUDP-6-アジド6-デオキシGalNacなどのアジド標識化糖と反応させて、それにより修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを得ることができる。
【0253】
他の実施形態では、本発明の免疫コンジュゲート又は放射性免疫コンジュゲートの生成に使用するための修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗体又はその抗原結合フラグメントをアミダーゼで脱グリコシル化することによって得られる。次いで、得られた脱グリコシル化抗体又はその抗原結合フラグメントを、アジドアミン、好ましくは3-アジドプロピルアミン、6-アジドヘキシルアミン又は任意のアジドリンカーアミン若しくは任意のアジドアルキル/ヘテロアルキルアミン、例えば、アジド-ポリエチレングリコール(PEG)-アミン、例えば、O-(2-アミノエチル)-O’-(2-アジドエチル)テトラエチレングリコール、O-(2-アミノエチル)-O’-(2-アジドエチル)ペンタエチレングリコール、O-(2-アミノエチル)-O’-(2-アジドエチル)トリエチレングリコールと反応させ、あるいは微生物トランスグルタミナーゼの存在下で反応させて、修飾された抗体又はその抗原結合フラグメントを得ることができる。
【0254】
本明細書に記載の任意の放射性金属錯体を使用して、本発明の放射性免疫コンジュゲートを生成することができる。特定の実施形態では、放射性金属錯体は、式(I-m)、式(II-m)又は式(III-m)の構造を有する。好ましい実施形態では、放射性金属錯体は、以下からなる群から選択される構造を有し、
【0255】
【化28】
式中、Mは、放射性金属イオン、好ましくはα線放出放射性金属イオン、より好ましくは、アクチニウム-225(
225Ac)であり、R
11は、シクロオクチニル、又はビシクロノニニル(BCN)、ジフッ素化シクロオクチニル(DIFO)、ジベンゾシクロオクチニル(DIBO)、ケト-DIBO、ビアリールアザシクロオクチノニル(BARAC)、ジベンゾアザシクロオクチニル(DIBAC、DBCO、ADIBO)、ジメトキシアザシクロオクチニル(DIMAC)、ジフルオロベンゾシクロオクチニル(DIFBO)、モノベンゾシクロオクチニル(MOBO)及びテトラメトキシジベンゾシクロオクチニル(TMDIBO)からなる群から選択されるシクロオクチニル誘導体である。
【0256】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、本開示を考慮して当業者に既知の抗体及びポリペプチドの化学修飾又は酵素修飾のための任意の方法を使用して、アジド基に共有結合される。アジド及びアルキニル又はシクロアルキニル基をクリックケミストリー反応に供して1,2,3-トリアゾール部分を形成するのに十分な条件下で、アジド標識化抗体又はその抗原結合フラグメントを、アルキニル又はシクロアルキニル基、好ましくはシクロオクチニル基、より好ましくはDBCOを含む、本発明のキレータ又は放射性金属錯体と反応させる。
【0257】
特定の実施形態では、本出願の放射性免疫コンジュゲートとしては、
【0258】
【化29】
が挙げられるが、これらに限定されず、
式中、mAbは、抗体又はその抗原結合フラグメントであり、L
1は、存在しないか、又はリンカーであり、好ましくはリンカーであり、各R
12は、独立して、水素、CH
3又はCH
2CH
3であり、少なくとも1つのR
12は-CH
3又は-CH
2CH
3であり、Mは、α線放出放射性核種、好ましくは
225Acである。
【0259】
本出願の放射性免疫コンジュゲートの例には、
【0260】
【化30】
が挙げられるが、これらに限定されず、
好ましくは、mAbは、PSMB127、ペルツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ハーセプチン、又はH11B6から選択される。
【0261】
本明細書に記載の方法によって生成された放射性免疫コンジュゲートは、本開示を考慮して当業者に既知の方法を使用して分析することができる。例えば、LC/MS分析を使用して、キレータと、標識されたポリペプチド、例えば、抗体又はその抗原結合フラグメントとの比率を決定することができ、分析サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、ポリペプチド及びポリペプチドコンジュゲート、例えば、抗体及び抗体コンジュゲートのオリゴマー状態を決定することができ、放射化学的収率は、インスタント薄層クロマトグラフィー(例えば、iTLC-SG)によって決定することができ、放射化学純度は、サイズ排除HPLCによって決定することができる。例示的な方法は、本明細書で、例えば、以下の実施例に記載される。
【0262】
医薬組成物及び使用方法
別の一般的な態様では、本発明は、本発明のキレータ、放射性金属錯体、免疫コンジュゲート、又は放射性免疫コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。医薬組成物はまた、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される担体を含み得る。
【0263】
一実施形態では、医薬組成物は、本発明の放射性金属錯体及び薬学的に許容される担体を含む。
【0264】
別の実施形態では、医薬組成物は、本発明の放射性免疫コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む。
【0265】
本明細書で使用するとき、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有小胞、ミクロスフェア、リポソーム封入体、又は医薬製剤で使用するための当該技術分野で周知の他の材料を指す。担体、賦形剤又は希釈剤の特性は、特定の用途の投与経路によって決まる点は理解されよう。本明細書で使用するとき、用語「薬学的に許容される担体」は、本発明による組成物の効果にも本発明による組成物の生物活性にも干渉しない無毒性材料を指す。特定の実施形態によれば、本開示を考慮して、抗体に基づく又は放射性錯体に基づく医薬組成物での使用に好適な、任意の薬学的に許容可能な担体を本発明において使用することができる。
【0266】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載される組成物は、対象への想定される投与経路に好適であるように製剤化される。例えば、本明細書に記載の組成物は、非経口投与、例えば、静脈内、皮下、筋肉内又は腫瘍内投与に好適であるように製剤化することができる。
【0267】
他の一般的な態様では、本発明は、放射線治療及び腫瘍性疾患又は障害を治療するために腫瘍性細胞を選択的に標的化する方法に関する。本明細書に記載の放射性錯体又は放射性免疫コンジュゲートのいずれか及びそれらの医薬組成物を本発明の方法で使用することができる。
【0268】
「腫瘍(neoplasm)」は、細胞が必要以上に分裂したとき、又は死滅しなければいけない場合に死滅しないときに生じる異常な組織塊である。腫瘍は、良性(癌ではない)又は悪性(癌)であり得る。腫瘍(neoplasm)は腫瘍(tumor)とも呼ばれる。腫瘍性疾患又は障害は、癌などの腫瘍に関連する疾患又は障害である。腫瘍性疾患又は障害の例としては、播種性癌及び固形腫瘍癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0269】
一実施形態によれば、前立腺癌の治療を必要とする対象における前立腺癌(例えば、転移性前立腺癌、又は転移性去勢抵抗性前立腺癌)を治療する方法は、治療有効量の本明細書に記載される放射性免疫コンジュゲートを対象に投与することを含み、放射性免疫コンジュゲートは、H11B6にコンジュゲートした本明細書に記載の放射性金属錯体を含む。
【0270】
本明細書に記載の方法によって治療又は放射線治療のために標的化される疾患の他の例としては、肥大、冠状動脈疾患、若しくは血管閉塞性疾患、感染した細胞、微生物、若しくはウイルスに関連する疾患又は障害、又は関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)などの炎症性細胞に関連する疾患又は障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0271】
本発明の一実施形態では、放射線治療のために腫瘍性細胞を選択的に標的化する方法は、放射性免疫コンジュゲート又は本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0272】
本発明の一実施形態では、腫瘍性疾患又は障害を治療する方法は、それを必要とする対象に本発明の放射性免疫コンジュゲート又は医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0273】
本発明の一実施形態では、癌を治療する必要のある対象において癌を治療する方法は、本発明の放射性免疫コンジュゲート又は医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0274】
放射性免疫コンジュゲートは、例えば標的化リガンドによって標的化された細胞などに直接放射線を送達する。好ましくは、放射性免疫コンジュゲートは、225Acなどのα線放出放射性金属イオンを担持する。標的化すると、α線放出放射性金属イオン、例えば、225Ac及びその娘からのα粒子が標的化細胞に送達され、それに対して細胞毒性効果を引き起こし、それにより放射線治療及び/又は腫瘍性疾患若しくは障害を治療するために腫瘍性細胞を選択的に標的化する。
【0275】
放射線治療のため及び腫瘍性疾患又は障害を治療するために腫瘍性細胞を選択的に標的化するためのプレ標的化アプローチも、本発明によって企図される。プレ標的化(pre-targeting)アプローチによれば、アジド標識化抗体又はその抗原結合フラグメントは、投与され、抗体の標的抗原を有する細胞に結合し、循環から経時的に除去されるか又は除去剤で除去される。続いて、本発明の放射性錯体、好ましくはシクロオクチン又はシクロオクチン誘導体(例えば、DBCO)を含む放射性錯体は、投与されて、標的部位に結合したアジド標識化抗体とのSPAAC反応を受け、残りの非結合放射性錯体は、循環から急速に除去される。このプレ標的化技術は、対象における標的部位での放射性金属イオン局在を強化する方法を提供する。
【0276】
他の実施形態では、修飾されたポリペプチド、例えば、アジド標識化抗体又はその抗原結合フラグメント及び本発明の放射性錯体は、標的化放射線治療又は腫瘍性疾患若しくは障害の治療を必要とする対象に、同じ組成物中又は異なる組成物中で投与される。
【0277】
本明細書で使用するとき、用語「治療有効量」は、対象に所望の生物学的又は薬理的応答を惹起する活性成分又は構成成分の量を指す。治療有効量は、記載される目的に対して経験的かつ通常の方法で決定することができる。例えば、インビトロアッセイを任意選択で用いて、最適な用量範囲を特定するのに役立てることができる。具体的な有効用量の選択は、治療又は予防される疾病、伴う症状、患者の体重、患者の免疫状態、及び当業者に既知の他の因子を含むいくつかの因子の考慮に基づいて、当業者によって(例えば、臨床試験により)決定することができる。また、製剤に用いられる正確な用量は、投与経路及び疾患の重症度に応じて決まり、医師の判断及び各患者の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導かれる用量応答曲線から推定することができる。
【0278】
本明細書で使用するとき、用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」はいずれも、対象において必ずしも認識可能ではないが、対象において認識可能であり得る、腫瘍性疾患又は障害などの放射能金属イオンの投与が有益となり得る疾患、障害又は状態に関連する、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善又は回復を指すことを意図する。用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」はまた、疾患、障害、又は病態を退縮させる、その進行を防止する、又は少なくともその進行を遅らせることを指す場合もある。特定の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」は、腫瘍性疾患又は障害などの放射能金属イオンの投与が有益となり得る疾患、障害、若しくは状態に関連する1つ又は2つ以上の症状の改善、発達若しくは発症の予防又はそれらの持続期間の短縮を指す。特定の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」」は、疾患、障害又は状態の再発の防止を指す。特定の実施形態では、「治療(treat)」、「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」は、疾患、障害又は状態を有する対象の生存率の向上を指す。特定の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」及び「治療(treatment)」は、対象における疾患、障害又は状態の消失を指す。
【0279】
いくつかの実施形態では、治療有効量の本発明の放射性免疫コンジュゲート又は医薬組成物は、癌などの対象における腫瘍性疾患又は障害を治療するために対象に投与される。
【0280】
本発明の他の実施形態では、本発明の放射性免疫コンジュゲート及び医薬組成物は、腫瘍性疾患又は障害の治療に有効な他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0281】
放射線治療及び/又は腫瘍性疾患若しくは障害の治療のために腫瘍性細胞を選択的に標的化するのに使用するための、本明細書に記載される放射性免疫コンジュゲート及び医薬組成物、並びに放射線治療及び/又は腫瘍性疾患若しくは障害の治療のために腫瘍性細胞を選択的に標的化するための医薬の製造における、本明細書に記載される放射性免疫コンジュゲート又は医薬組成物の使用も提供される。
【実施例】
【0282】
以下の本発明の実施例は、本発明の本質を更に説明するためのものである。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の請求項によって定められる点を理解されたい。
【0283】
実施例1:異なる位置のリンカー置換を有する大員環キレートの合成及びキレート化効率
アクチニウム-225(225Ac)のキレート化効率に対するリンカー位置の効果を研究するために、大員環キレータN,N’-ビス[(6-カルボキシ-2-ピリジル)メチル]-4,13-ジアザ-18-クラウン-6(H2bp18c6)に基づく2つのキレータを合成した。具体的には、H2bp18c6-ベンジル-イソペンチル及びH2bp18c6-ベンジル-フェニルを合成した。
【0284】
【0285】
H2bp18c6-ベンジル-イソペンチルの合成及び特性決定
H2bp18c6-ベンジル-イソペンチルをスキーム1に従って合成した。
【0286】
【0287】
ZnCl2(2-メチルテトラヒドロフラン中1.9M、3.50mL、6.65mmol)及びTHF(25mL)の溶液に-78℃で、イソペンチルマグネシウムクロリド(Et2O中2M、3.33mL、6.66mmol)を滴加した。白濁した混合物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。THF(10mL)中のメチル6-ホルミルピコリネート(1.00g、6.1mmol)の溶液を添加した。混合物を50℃で3時間加熱した。冷却した反応混合物を飽和NH4Cl水溶液に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。合わせた抽出物をNa2SO4で乾燥させた。濾過及び濾液の濃縮により、粗生成物を褐色油状物として得た。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン中50%EtOAc)により、693mg(収率48%)の生成物を黄色油状物として得た。
【0288】
室温のCH2Cl2(3mL)中のメチル6-(1-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)ピコリネート(91mg、0.38mmol)の溶液に、PPh3(120mg、0.46mmol)及びNBS(56mg、0.42mmol)を添加した。反応溶液を室温で1時間撹拌し、次に濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン中30%EtOAc)により、85mg(87%収率)の生成物を無色油状物として得た。
【0289】
ACN(30mL)中の1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン(315mg、1.2mmol)及びK2CO3(691mg、5mmol)の撹拌混合物に60℃で、シリンジポンプを使用して、ACN(5mL)中のメチル6-(クロロメチル)ピコリネートの溶液を1時間かけてゆっくりと添加した。添加後、反応混合物を60℃で6時間撹拌し、次に濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(CH2Cl2からCH2Cl2中10%MeOH)により精製して、黄色がかったフォーム状固体として206mg(50%収率)の生成物を得た。
【0290】
DMF(0.5mL)中のメチル6-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(31mg、0.075mmol)、Na2CO3(40mg、0.38mmol)及びNaI(1.5mg)の混合物に、6-(1-クロロ-4-メチルペンチル)ピコリネート(29mg、0.11mmol)を添加した。反応混合物を100℃で20時間加熱した。シリカゲル上のクロマトグラフィー(EtOAcからCH2Cl2中10%MeOH)により、18.9mg(収率40%)の生成物を黄色フィルムとして得た。
【0291】
THF/MeOH/H2O(4:1:1v/v/v、0.6mL)中のメチル6-((16-(1-(6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)-4-メチルペンチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7ーイル)メチル)ピコリネート(3mg、0.005mmol)の溶液をLiOH(1N,0.1mL)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、これを濃縮乾固させた。残渣を0.95mLの金属を含まない水に溶解し、0.05mLの2N HClで中和して、水中のH2bp18c6-ベンジル-イソペンチルの溶液(約3mg/mLの=約5mM、約pH6)を得た。
【0292】
H2bp18c6-ベンジル-イソペンチル(MW=602Da)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によって特性決定した。HPLC分析は、遊離キレータに対応する17.181分の溶出時間での主ピークを示した。LC-MS分析は、603[M+H+]、625[M+Na+]及び302[M+2H+]において質量イオンピーク(ES、m/z)を示し、H2bp18c6-ベンジル-イソペンチルの合成を確認した。
【0293】
HPLC法:XBridge C18 3.5μm 150×4.6mm、100Åカラム、移動相A:H2O中0.1%TFA、B:ACN中0.1%TFA;0~20分では勾配10%~30%B、20~20.1分では勾配30%~100%B、20.1~25分では100%Bでのアイソクラティック、25~25.1分では勾配100%~10%B、25.1~30分では10%Bでのアイソクラティック;運転後3分;流量1mL/分、カラム温度:30℃;注入量:5uL。
【0294】
H2bp18c6-ベンジル-フェニルの合成及び特性決定
H2bp18c6-ベンジル-フェニルをスキーム2に従って合成した。
【0295】
【0296】
メチル6-ホルミルピコリネート(165mg、1.0mmol)、フェニルボロン酸(244mg、2.0mmol)、Cs2CO3(326mg、1.0mmol)、Pd2(dba)3・CHCl3(52mg、0.05mmol)及びPPh3(26mg、0.1mmol)の混合物を、N2下で密封バイアル中に入れた。トルエン(3mL)をシリンジを介して添加し、混合物をマイクロ波で100℃で4時間加熱した。冷却した反応混合物をセライトを通して濾過した後、濾液を濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン中50%EtOAc)により、146mg(収率60%)の生成物を黄色油状物として得た。
【0297】
CH2Cl2(8mL)中のメチル6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)ピコリネート(141mg、0.58mmol)、PPh3(183mg、0.70mmol)及びNBS(113mg、0.64mmol)の溶液を、室温で1時間撹拌した。更なるPPh3(133mg、0.70mmol)及びNBS(113mg、0.64mmol)を添加し、溶液を室温で更に1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン中30%EtOAc)により精製して、73mg(41%収率)の生成物を無色油状物として得た。
【0298】
ACN(1.0mL)中のメチル6-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(33mg、0.080mmol)、メチル6-(ブロモ(フェニル)メチル)ピコリネート(37mg、0.12mmol)及びNa2CO3(42mg、0.40mmol)の混合物を80℃で3時間加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(EtOAcからCH2Cl2中10%MeOH)により、51mg(収率64%)の生成物を白色固体として得た。
【0299】
THF/MeOH/H2O(4:1:1v/v/v、1.2mL)中のメチル6-((16-((6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)(フェニル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(16mg、0.025mmol)の溶液をLiOH(1N、0.2mL)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、これを濃縮乾固させた。残渣を5.2mLの金属を含まない水に溶解し、0.10mLの2N HClで中和して、水中のH2bp18c6-ベンジル-フェニルの溶液(約3mg/mL=5mM、約pH6)を得た。
【0300】
H2bp18c6-ベンジル-フェニル(MW=608Da)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によって特性決定した。イソペンタン-H2bp18c6について上述したように、HPLC分析を行った。HPLC分析は、遊離キレータに対応する14.137分の溶出時間での主ピークを示した。LC-MS分析は、609[M+H+]、631[M+Na+]及び305[M+2H+]において質量イオンピーク(ES、m/z)を示し、H2bp18c6-ベンジル-フェニルの合成を確認した。
【0301】
ランタン(III)によるキレート化試験
H2bp18c6-ベンジル-イソペンチルの水溶液(約3mg/mL=約5mM、20μL、0.1μmol)をLa(NO3)3(金属を含まない水中10mM、50μL、0.5μmol)で処理した。水中のH2bp18c6-ベンジル-フェニルの水溶液(約3mg/mL=約5mM、20μL、0.1μmol)をLa(NO3)3(金属を含まない水中10mM、50μL、0.5μmol)で処理した。十分に混合した後、各溶液をLCMS及びHPLCにより分析して、キレータとLa3+との錯体が形成されたかどうかを決定した。
【0302】
イソペンタン-H
2bp18c6及びH2bp18c6-ベンジル-フェニルキレートの両方は、H
2bp18c6の合成についての上記の方法に従って分析したHPLCピーク保持時間の有意なシフトによって示されるように、室温でのLa
3+による迅速かつ化学量論的キレート化を示した(
図1A及び1B)。錯体形成もLCMSにより確認した。La(NO
3)
3と混合した後のイソペンタン-H
2bp18c6のLCMS分析は、739において質量イオンピーク(ES、m/z)を示した(H2bp18c6-ベンジル-イソペンチル+La
+3-2H
+)。LA(NO
3)
3と混合した後のH2bp18c6-ベンジル-フェニルのLC-MS分析は、745において質量イオンピーク(ES,m/z)を示し(H2bp18c6-ベンジル-フェニル+La
+3-2H
+)、両方のキレータによる錯体形成を確認した。
【0303】
225Ac(III)によるH2bp18c6-ベンジル-イソペンチルのキレート化
(i)低い225Ac/キレート比での225Ac(III)によるキレート化
プラスチックバイアルに、テトラメチルアンモニウムアセテート(水中1M、10μL)、H2bp18c6-ベンジル-イソペンチル(水中1.66mM、2μL、約3.32nmol)及び225Ac(NO3)3(0.1N HCl中10mCi/mL、3μL、30μCi)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を室温で1.5時間放置した。
【0304】
iTLC-SG分析:0.5μLの反応溶液をiTLC-SGにスポットし、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載される条件下では、結合したAc-225は、iTLC-SGのベースラインン上に留まったが、遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。放射能はiTLC-SGの溶媒先端では観察されなかったが、これは、キレータが225Acイオンを首尾よくキレート化したことを示す。
【0305】
HPLC分析:5μLの反応混合物を95μLのPBS緩衝液で希釈した。希釈した混合物をHPLCにより分析した。HPLC後、画分を1分間隔で回収した。回収した画分を室温で一晩放置した後、γ計数器で計数した。HPLC放射能トレース(radio-trace)は、画分の活性から構築された。
【0306】
HPLC分析により、
図1AのHPLCクロマトグラムに示すものと同様の保持時間のシフトに基づいて、
225Ac錯体が形成されたことが確認された。
【0307】
DTPA負荷:0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA溶液と混合し、混合物を30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGにスポットし、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、安定的にキレート化されたAc-225は、iTLC-SGのベースライン上に留まったが、遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。DTPA負荷後、放射能はiTLC-SGの溶媒先端では観察されなかったが、これは、225Acイオンとの安定した錯体が形成されたことを示す。
【0308】
(ii)高い225Ac/キレート比での225Ac(III)によるキレート化
プラスチックバイアルに、テトラメチルアンモニウムアセテート(水中1M、10μL)、H2bp18c6-ベンジル-イソペンチル(水中0.33mM、2μL、約0.66nmol)及び225Ac(NO3)3(0.1N HCl中10mCi/mL、5μL、50μCi)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を室温で1.5時間放置した。次いで、上記のiTLC-SG及びDTPA負荷により、反応物を分析した。DTPA負荷の前又は後に遊離225Acが検出されなかったが、これは、225Acイオンとの安定した錯体が形成されたことを示す。
【0309】
225Ac(III)によるH2bp18c6-ベンジル-フェニルのキレート化
(i)低い225Ac/キレート比での225Ac(III)によるキレート化
プラスチックバイアルに、テトラメチルアンモニウムアセテート(水中1M溶液、10μL)、H2bp18c6-ベンジル-フェニル(水中1.64mM、2μL、約3.28nmol)及び225Ac(NO3)3(0.1N HCl中10mCi/mL、3μL、30μCi)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を室温で2時間放置した。遊離225Acイオンは検出されなかったが、これは、キレータが首尾よく225Acイオンをキレート化したことを示す。
【0310】
iTLC-SG分析:0.5μLの反応溶液をiTLC-SGにスポットし、これを10mMのEDTAにより展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載される条件下では、結合したAc-225は、iTLC-SGのベースラインン上に留まったが、遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端ではX線活性が観察されなかったが、これは、Ac-225の良好なキレート化を示している。
【0311】
HPLC分析:5μLの反応混合物を95μLのPBS緩衝液で希釈した。希釈した混合物をHPLCにより分析した。HPLC後、画分を1分間隔で回収した。回収した画分を室温で一晩放置した後、γ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、画分の活性から構築された。HPLC分析により、
図1BのHPLCクロマトグラムに示すものと同様の保持時間のシフトに基づいて、
225Ac錯体が形成されたことが確認された。
【0312】
DTPA負荷:0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA溶液と混合し、混合物を30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGにスポットし、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、安定的にキレート化されたAc-225は、iTLC-SGのベースライン上に留まったが、遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。DTPA負荷後に遊離225Acが検出されなかったが、これは、225Acイオンとの安定な錯体が形成されたことを示す。DTPA負荷の前又は後に、iTLC-SGの溶媒先端ではX線活性が観察されなかったが、これは、225Acイオンとの安定した錯体が形成されたことを示す。
【0313】
(ii)高い225Ac/キレート比での225Ac(III)によるキレート化
プラスチックバイアルに、テトラメチルアンモニウムアセテート(水中1M溶液、10μL)、H2bp18c6-ベンジル-フェニル(水中0.16mM、2μL、約0.33nmol)及び225Ac(NO3)3(0.1N HCl中10mCi/mL、5μL、50μCi)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を室温で2時間放置した。上記のiTLC-SG及びDTPA負荷により、反応物を分析した。DTPA負荷の前又は後に遊離225Acが検出されなかったが、これは、225Acイオンとの安定した錯体が形成されたことを示す。
【0314】
要約
纏めると、上記の結果は、「ベンジル」炭素において誘導体化されたH2bp18c6が、迅速なキレート化反応速度論で、室温で225Acを効率的にキレート化し、安定した錯体を形成することを示している。結果はまた、高い比活性(すなわち、より低いキレータと225Acとの比)が、「ベンジル」位置による結合によって達成することができることを示している。
【0315】
実施例2:DBCO「クリック」リンカーを有するH2bp18c6誘導体の合成及びキレート化効率
続いてクリックケミストリー反応により標的化リガンドへのコンジュゲーションのためのDBCOリンカーを有する、以下のH2bp18c6誘導体を合成することができる:
【0316】
【0317】
例えば、H2bp18c6-アセテート-DBCOは、スキーム3に従って合成することができる。
【0318】
【0319】
パラジウム触媒の存在下で、メチル6-ブロモピコリネートを2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル臭化亜鉛と反応させて、メチル6-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)ピコリネートを得る。続いてNBS及びAIBNにより臭素化することにより、メチル6-(1-ブロモ-2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)ピコリネートを得ることができる。塩基性反応条件下でのメチル6-(1-ブロモ-2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)ピコリネートとメチル6-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネートとの置換反応により、メチル6-(2-(tert-ブトキシ)-1-(16-((6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)-2-オキソエチル)ピコリネートを生成することができる。TFAの存在下で、tert-ブチルエステルをカルボン酸に加水分解することができる。ジベンゾシクロオクチン-アミンとのアミド結合形成及びその後の水酸化リチウムによるメチルエステルの加水分解により、H2bp18c6-ベンジル-アセテート-DBCOを得ることができる。
【0320】
H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOは、スキーム4に従って合成される。
【0321】
【0322】
THF(5mL)を、メチル6-ホルミルピコリネート(165mg、1.0mmol)、(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸(444mg、2.0mmol)、PdCl2(8.9mg、0.05mmol)、トリ(ナフタレン-1-イル)ホスファン(20.6mg、0.05mmol)及びK2CO3(415mg、3.0mmol)の混合物にN2下で-78℃で添加した。混合物をN2でパージし、室温で0.5時間撹拌し、次いで65℃で24時間加熱した。冷却した反応混合物をセライトを通して濾過し、濾液を濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン中50%EtOAc)により、116mg(収率34%)の生成物を黄色油状物として得た。
【0323】
CH2Cl2(5mL)中のメチル6-((4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピコリネート(138mg、0.40mmol)、PPh3(126mg、0.48mmol)及びNBS(79mg、0.44mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。更なるPPh3(63mg、0.24mmol)及びNBS(39mg、0.22mmol)を添加し、これを更に1時間撹拌した。反応溶液をシリカゲルカラムに充填した。クロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン中30%EtOAc)により、62mg(収率38%)の生成物をフラスコ壁に付着した黄色がかったフィルムとして得た。
【0324】
ACN(1mL)中のメチル6-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(56mg、0.14mmol)、メチル6-(ブロモ(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)メチル)ピコリネート(60mg、0.15mmol)及びNa2CO3(72mg、0.68mmol)の混合物を80℃で13時間加熱した。冷却した反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(CH2Cl2からCH2Cl2中10%MeOH)により、37mg(37%収率)の生成物を白色固体として得た。
【0325】
CH2Cl2(1.5mL)中のメチル6-((4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)(16-((6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(22mg、0.03mmol)の溶液に、TFA(0.5mL)を添加した。溶液を1時間撹拌した。反応溶液を濃縮して、黄色がかった残渣として粗生成物を得て、これを更に精製することなく次の工程反応に使用した。
【0326】
CH2Cl2(0.5mL)中の上記粗生成物の溶液に、0℃で、Et3N(42μL、0.3mmol)、次いでHBTU(15mg、0.04mmol)を添加した。溶液を0℃で5分間撹拌した後、CH2Cl2(0.5mL)中のジベンゾシクロオクチン-アミンを添加した。冷浴を除去し、それを室温で18時間撹拌した。水を反応混合物に添加し、これをCH2Cl2で3回抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、次いで食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。濾液を濃縮して、粗生成物を得た。シリカゲルでのクロマトグラフィー(CH2Cl2からCH2Cl2中10%MeOH)により、13.2mg(収率47%)の生成物をフラスコ壁に付着した無色のフィルムとして得た。
【0327】
THF/MeOH/H2O(4:1:1v/v/v、0.6mL)中のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO(4.8mg、0.005mmol)の溶液に、NaOH(1N,0.1mL)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、これをHCl(1N)でpH=6.5に中和した。反応混合物を室温でロータリーエバポレーターで濃縮して、揮発性溶媒を除去した。残渣をH2O(4mL)及びACN(1mL)に溶解した。凍結乾燥後、粗生成物を白色固体として得た。
【0328】
La(III)によるH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOのキレート化
H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO(約1.55mg/mL=4:1v/vのH2O/ACN中約1.7mM、約pH6.5、pH試験紙による)の溶液を上記の粗生成物から調製した。
【0329】
H2bp18c6-ベンジル-フェニル(約1.55mg/mL=約1.7mM、50μL、0.085μmol)の溶液をLa(NO3)3(金属を含まない水中10mM、50μL、0.5μmol)で処理した。十分に混合した後、溶液をLCMS及びHPLCにより分析した。MS(ES,m/z)1047(H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO+La+3-2H+)。
【0330】
HPLC法:XBridge C18 3.5μm 150×4.6mm、100Åカラム、移動相A:H2O中0.1%TFA、B:ACN中0.1%TFA;0~20分では勾配10%~50%B、20~20.1分では勾配50%~100%B、20.1~25分では100%Bでのアイソクラティック、25~25.1分では勾配100%~10%B、25.1~30分では10%Bでのアイソクラティック;流量1mL/分、カラム温度:30℃;注入量:5μL。
【0331】
225Ac(III)によるH2bp18c6-ベンジル-フェニルのキレート化
(i)低い225Ac/キレート比での225Ac(III)によるキレート化
プラスチックバイアルに、テトラメチルアンモニウムアセテート(水中1M溶液、10μL)、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO(H2O/ACN中1.7mM、2μL、約3.4nmol)及び225Ac(NO3)3(0.1N HCl中10mCi/mL、3μL、30μCi)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を室温で1時間放置した。
【0332】
iTLC-SG分析:0.5μLの反応溶液をiTLC-SGにスポットし、これを10mMのEDTAにより展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能は観察されなかったが、これは、1時間後に反応溶液中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0333】
HPLC分析:5μLの反応混合物を95μLのPBS緩衝液で希釈した。希釈した混合物をHPLCにより分析した。HPLC後、画分を1分間隔で回収した。回収した画分を室温で一晩放置し、次いでγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、画分の活性から構築された。
【0334】
DTPA負荷:0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA溶液と混合し、混合物を30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGにスポットし、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能は検出されなかった。
【0335】
(ii)高い225Ac/キレート比での225Ac(III)によるキレート化
プラスチックバイアルに、テトラメチルアンモニウムアセテート(水中1M溶液、10μL)、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO(水中0.17mM、2μL、約0.34nmol)及び225Ac(NO3)3(0.1N HCl中10mCi/mL、5μL、50μCi)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を室温で2時間放置した。上記のiTLC-SG及びDTPA負荷により、反応物を分析した。
【0336】
実施例3:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-IgG4の調製及び
225Ac(III)標識化
放射性免疫コンジュゲートを調製するための一般的方法:
抗体に共有結合した本発明の放射性金属錯体を含む放射性免疫コンジュゲートをクリック放射性標識化により調製する。本発明の放射性免疫コンジュゲートを生成するためのクリック放射性標識化の例示的な方法の概略図については
図2A~2Dを参照されたい。
【0337】
抗体へのアジドハンドルのランダムコンジュゲーション
10mM酢酸ナトリウム(pH5.2)、リン酸緩衝生理食塩水(pH7)又は他の適合性緩衝液中の抗体(1~10mg/mL)のストック溶液を、20%(v/v)の1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9)と混合して最終pHを約9にした。NHS-PEG4-アジド(Thermoカタログ番号26130)をDMSOに溶解して最終濃度を100mMにし、0.2%(v/v)のストック溶液を添加して、抗体(Ab)に対して約3~10のモル過剰を生成した。反応物を22℃で10分間インキュベートした後、1M Tris(pH7.5)を添加しながらクエンチして、最終濃度を50mM Trisにした。
【0338】
アジド-mAbコンジュゲートを精製し、7K MWカットオフでのZeba脱塩カラム(Thermo)、透析、標準的なプロテインAアフィニティークロマトグラフィー、又は別の適合した方法などの方法を使用して、適合性緩衝液(PBS;20mM Hepes 150mM、NaCl(pH7.5);又は10mM酢酸ナトリウムpH5.2)に交換した。精製後、50K MWカットオフを有するAmicon濃縮器(Millipore)を使用して、コンジュゲートを10~20mg/mLに濃縮した。コンジュゲーション効率をLC-MSによって決定した。
【0339】
抗体グリカンへのアジド糖の部位特異的組み込み
抗体グリカンを、Fcグリコシル化部位(複数の場合もある)内のコアGlcNac残基間のβ-1,4結合に特異的な細菌エンドグリコシダーゼであるGlycINATOR(Genovis)でトリミングし、後でアジド糖の部位特異的組み込みに使用することができる、最も内側のGlcNacをFc上にそのまま残した。より具体的には、カラム(Genovis)に充填されたアガロースビーズ上に固定化したGlycINATORを、Tris緩衝生理食塩水pH7.4(TBS)中で平衡化した。5~10mg/mLのmAb 1mLを樹脂に添加し、室温で1時間ロッカー(rocker)上でインキュベートし、100Xgで1分間回転させることにより溶出した。カラムを0.5mLのTBSで3回溶出した。トリミングされたmAbを含む溶出液をプールし、供給された緩衝液添加剤(Genovis)をUDP-GALNazアジド糖基質及びGalTガラクトシルトランスフェラーゼ酵素とともに添加した。反応混合物を、30℃で一晩撹拌した。最終アジドmAbを、AKTA Avant機器でmAb選択カラム(GE)を用いて精製した。アジド修飾をLC-MSにより確認した。
【0340】
アジド-Abへのキレータのコンジュゲーション
DBCO基を含む本発明のキレータ、例えば、
【0341】
【化37】
を実施例1に記載のように
225Acなどの放射性金属イオンに配位して、放射性錯体を生成する。PBS又は他の相溶性緩衝液(10~20mg/mL)中のランダム又は部位特異的アジド修飾抗体を、放射性錯体の溶液に添加する。反応溶液を穏やかに撹拌し、室温で3時間放置した後、例えば15mLのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)又は別の適合性緩衝液でプレコンディショニングしたPD-10カラム(GE Healthcare)により、精製した。純度をiTLC-SGによって評価した。生成物溶液を、化学及び放射化学純度についてHPLCにより分析した。検量線を使用した紫外線吸収により、生成物溶液中の抗体濃度を決定した。Capintec CRC-55TW用量キャリブレーターを使用して、生成物溶液の活性を定量化した。
【0342】
クリック標識した放射性免疫コンジュゲートの分析的特性評価
放射化学的変換(%RA変換)をiTLC-SG(Instant Thin Layer Chromatography(iTLC))によって決定する。Ac-225キレートの放射化学純度(%RA純度)をSE-HPLC(サイズ排除HPLC)によって決定する。
【0343】
H2bp18c6-フェニル-IgG4への225Ac(III)の直接キレート化
放射性免疫コンジュゲートを調製する以下の方法は、1工程直接放射性標識化方法(例えば、
図2Cに概略的に示される)と称し得る。放射性標識化は金属不存在ではない条件下で首尾よく行われたが、これは、金属汚染物質に対する耐性を有するキレータの能力を更に例示している。
【0344】
本実施例で使用されるIgG4は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原に結合するアイソタイプ対照である。IgG4の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1及び配列番号2として以下に提供される。
【0345】
配列番号1 mAb HC
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGFSLSTSGMGVSWIRQPPGKALEWLAHIYWDDDKRYNPSLKSRLTITKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARLYGFTYGFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0346】
配列番号2 mAb LC
DIVMTQSPDSLAVSLGERNATINCRASQSVDYNGISYMHWYQQKPGQPPKLLIYAASNPESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQIIEDPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0347】
【0348】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:上記mAb IgG4を、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mLのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰の3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで、7K Zeba脱塩カラムを使用して、20mMのHepes、100mMのNaCl(pH7.5)に交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOを、振盪せずに、37℃で1時間、部位特異的アジド-IgG4(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを20mM Hepes、100mM NaCl(pH7.5)に脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、20mM Hepes、100mM NaCl(pH7.5)中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-IgG4コンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0349】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、20μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、20μL、0.098mCi)及びH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-IgG4(部位特異的、CAR=2、
20mM Hepes中1.7mg/mL、100mM NaCl(pH7.5)、36μL、61.2μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0350】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0351】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0352】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5 μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない);流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:30μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射活性から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-IgG4ピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上に示した。
【0353】
実施例4:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-PSMB127の調製及び225Ac(III)標識化
【0354】
【化39】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:PSMB127を、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mLのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰の3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して、20mMのHepes、100mMのNaCl(pH7.5)に交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOを、振盪せずに、37℃で1時間、部位特異的アジド-PSMB127(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを20mM Hepes、100mM NaCl(pH7.5)に脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、20mM Hepes、100mM NaCl(pH7.5)中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-PSMB127コンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0355】
標識:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、20μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、20μL、0.098mCi)及びH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-PSMB127(部位特異的、CAR=2、20mM Hepes、100mM NaCl(pH7.5)中2.8mg/mL、22μL、61.6μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0356】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0357】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0358】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:30μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-PSMB127ピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上に示した。
【0359】
実施例5:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ペルツズマブの調製及び225Ac(III)標識化
【0360】
【化40】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:ペルツズマブを、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mLのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰の3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOを、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-ペルツズマブ(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ペルツズマブコンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、。カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0361】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.042mCi)及びH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ペルツズマブ(部位特異的、CAR=2、PBS緩衝溶液中2.4mg/mL、12.5μL、30μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0362】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0363】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0364】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:30μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ペルツズマブピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上に示した。
【0365】
実施例6:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-セツキシマブの調製及び225Ac(III)標識化
【0366】
【化41】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:セツキシマブを、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mLのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰の3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOを、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-セツキシマブ(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-セツキシマブコンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0367】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.044mCi)及びH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-セツキシマブ(部位特異的、CAR=2、PBS緩衝溶液中1.8mg/mL、16.7μL、30μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0368】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0369】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0370】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:30μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-セツキシマブピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上で示した。
【0371】
実施例7:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-パニツムマブの調製及び225Ac(III)標識化
【0372】
【化42】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:パニツムマブを、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mLのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰の3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOを、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-パニツムマブ(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-パニツムマブコンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μL
で溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0373】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.043mCi)及及びH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-パニツムマブ(部位特異的、CAR=2、PBS緩衝溶液中2.6mg/mL、11.5μL、30μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0374】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0375】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0376】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:30μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-パニツムマブピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上に示した。
【0377】
実施例8:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ハーセプチンの調製及び225Ac(III)標識化
【0378】
【化43】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:ハーセプチンを、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mlのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰な3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOを、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-ハーセプチン(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ハーセプチンコンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0379】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.041mCi)及びH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ハーセプチン(部位特異的、CAR=2、PBS緩衝溶液中1.7mg/mL、17.6μL、30μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0380】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0381】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0382】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:30μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-ハーセプチンピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上に示した。
【0383】
実施例9:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-H11B6の調製及び225Ac(III)標識化
【0384】
【化44】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:H11B6を、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mlのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰な3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCOを、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-H11B6(DOL=1.82)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=1.82の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-H11B6コンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0385】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.043mCi)及びH2bp18c6-フェニル-DBCO-H11B6(部位特異的、CAR=1.82、PBS緩衝溶液中1.2mg/mL、25.0μL、30μg)を添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0386】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0387】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0388】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:30μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-H11B6ピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上で示した。
【0389】
実施例10:H2bp18c6-フェニル-BCNの合成
【0390】
【化45】
CH
2Cl
2(2.5mL)中の4-((6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)(16-((6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)安息香酸(50mg、0.073mmol)及びEt
3N(0.1mL、0.73mmol)の溶液に0℃で、HATU(37mg、0.10mmol)を添加した。溶液を0℃で5分間撹拌した後、CH
2Cl
2(1mL)中のN-[(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメチルオキシカルボニル]-1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタンを添加した。冷浴を除去し、室温で18時間にわたって撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をアミン官能化シリカゲル(CH
2Cl
2からCH
2Cl
2中10%MeOH)でのクロマトグラフィーにより精製して、19.8mg(収率27%)の生成物をフラスコ壁に付着した無色のフィルムとして得た。LC-MS分析は、987.6[M+H
+]で質量/イオンピークを示した。
【0391】
THF/MeOH/H2O(4:1:1v/v/v、1.8mL)中の6-((4-((1-((1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザドデカン-12-イル)カルバモイル)フェニル)(16-((6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(14.5mg、0.015mmol)の溶液に室温で、LiOH(1N、0.3mL)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、これをHCl(1N)でpH=6.5に中和した。反応混合物を真空下で濃縮した。残渣をアミン官能化シリカゲルでのクロマトグラフィー(CH2Cl2からCH2Cl2中約10%MeOH)により精製し、9.5mg(収率48%)のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-BCNを無色フィルムとして得て、これをH2O(4mL)及びACN(1mL)に溶解した。凍結乾燥後、これにより生成物を白色固体として得た。H NMR(CD3OD,400MHz)δ 7.91(d,J=8Hz,2H)、7.84(t,J=8Hz,2H)、7.81(d,J=8Hz,2H)、7.60(d,J=8Hz,2H)、7.53(d,J=8Hz,1H)、7.46(d,J=8Hz,1H)、5.24(s,1H)、4.10(d,J=8Hz,2H)、3.91(brs,2H)、3.75-3.58(m,22H)、3.56(t,J=4Hz,2H)、3.51(t,J=4Hz,2H)、3.23(t,J=4Hz,2H)、2.97(dt,J=8,4Hz,2H)、2.92-2.82(m,4H)、2.78(dt,J=8,4Hz,2H)、2.28-2.08(m,6H)、1.65-1.50 9m,2H)、1.39-1.27(m,1H)、0.96-0.84(m,2H)。MS(ESI)981.4[M+Na+]。
【0392】
実施例11:H2bp18c6-ベンジル-フェニル-BCN-PSMB127の調製及び225Ac(III)標識化
【0393】
【化46】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:PSMB127を、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mLのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰の3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-ベンジル-フェニル-BCNを、振盪せずに、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-PSMB127(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析によって、BCN-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-ベンジル-フェニル-BCN-PSMB127コンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0394】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.046mCi)及びH2bp18c6-ベンジル-フェニル-BCN-PSMB127(部位特異的、CAR=2、PBS緩衝溶液中2.3mg/mL、13.0μL、30μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0395】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0396】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0397】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:40μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-ベンジル-フェニル-BCN-PSMB127ピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上で示した。
【0398】
実施例12:H2bp18c6-オフ(off)大員環-エチルスルフィド-DBCOの合成
標的化リガンドへのコンジュゲーションのためのリンカーを有する大員環の炭素原子において置換されたH2bp18c6誘導体を、一般的に、以下のスキーム14a及びスキーム14bに従って合成する:
【0399】
【0400】
-CH2OR1で置換されたジアザ-18-クラウン-6の合成をOrg.Lett.2005,7(6),1105-1108に記載の手順を用いて合成し、続いて、スキーム3及び4に関して上述したように、これを6-(ハロメチル)ピコリン酸の誘導体と反応させる。官能基OR1は、ヘテロ原子、アルキル、ヘテロ原子を有するアルキル、置換アリールなどであるリンカーWを伴って又はリンカーWなしで、リンカー、標的化リガンドなどへのライゲーション又はコンジュゲーションのために、NH2、N3、アルデヒド、カルボン酸塩、アルキンなどを含むがこれらに限定されない、別の官能基WR2に変換することができる。スキーム6aにおいて、Xは、脱離基、例えば、ハロ、メシラート、トシラートなどであり、R1は、アリル、ベンジル、アルコールなどであり、Wは存在しないか、又はリンカー、例えば、ヘテロ原子、アルキル、ヘテロアルキル、置換アリールなどであり、R2は、NH2、N3アルデヒド、カルボキシレート、アルキニルなどである。
【0401】
【0402】
-CH2OR1で置換されたジアザ-18-クラウン-6を、Journal of Organic Chemistry,1988,53(14)、3190-5 及びJournal of Heterocyclic Chemistry,1986,23(2)、609-13に記載の手順を用いて合成することができ、続いて、スキーム3及び4に関して上述したように、これを6-(ハロメチル)ピコリン酸の誘導体と反応させる。官能基OR1は、ヘテロ原子、アルキル、ヘテロ原子を有するアルキル、置換アリールなどであるリンカーWを伴って又はリンカーWなしで、リンカー、標的化リガンドなどへのライゲーション又はコンジュゲーションのために、NH2、N3、アルデヒド、カルボン酸塩、アルキンなどを含むがこれらに限定されない、別の官能基R2に変換することができる。
【0403】
次に、H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCOの合成を説明する。
【0404】
【0405】
水素化ナトリウム(18.16g、鉱油中60%、454mmol)を、無水DMF(500mL)中の(S)-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール(50g、378mmol)の溶液に0℃で添加した。この温度で10分間撹拌した後、臭化ベンジル(77.63g、454mmol)をこの懸濁液にゆっくりと添加した。反応物を30分後に室温にし、更に8時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液を用いてクエンチし、ジクロロメタン(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、残渣を石油エーテル及び酢酸エチルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(S)-4-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(72g、86%)を無色液体として得た。
【0406】
THF(100mL)中の(S)-4-((ベンジルオキシ)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(72g、324mmol)の溶液に、1.5N HCl(100mL)を添加し、続いて室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、10%重炭酸ナトリウム溶液で中和した。反応混合物を酢酸エチル(2×500mL)で抽出し、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル及び酢酸エチルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(R)-3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジオール(51g、85%)を無色油状物として得た。
【0407】
DMF(20mL)中の水素化ナトリウム(26.29g、鉱油中60%、686mmol)の懸濁液に、DMF(100mL)中の(R)-3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジオール(25.0g、137mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを再度0℃に冷却し、DMF(100mL)中の2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(85.89g、411mmol)を滴加した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の油を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2,2’-(((((R)-3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(テトラヒドロ-2H-ピラン)(32g、53%)を無色液体として得た。
【0408】
500mLのメタノール中の2,2’-(((((R)-3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(テトラヒドロ-2H-ピラン)(32g、73.05mmol)の溶液に、ジオキサン中5mLのHClを添加した。反応物を1時間還流撹拌し、冷却し、蒸発させた。粗生成物(R)-2,2’-((3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(20g)を精製せずに次の工程で使用した。
【0409】
ジクロロメタン(250mL)及びトリエチルアミン(53mL、370mmol)中の(R)-2,2’-((3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(20g、74.07mmol)の溶液に10℃で、固体p-トルエンスルホニルクロリド(42.2g、222mmol)を少しずつ添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、懸濁液を1000mLのジクロロメタンで希釈し、冷1M HCl(3×100mL)で洗浄し、続いて2×500mLの氷冷水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、固体のガムとした。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製し、(R)-((3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(30g、70%)を無色液体として得た。
【0410】
200mLの乾燥DMF中の(R)-((3-(ベンジルオキシ)プロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(30g、51.9mmol)及び炭酸セシウム(50.76g、155.7mmol)の混合物を、周囲温度で1.5時間撹拌した。懸濁液に、200mLのDMF中のN、N’-((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(4-メチルベンゼンスルホンアミド)(23.56g、51.9mmol)を2時間にわたって滴加した。混合物を周囲温度で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、固体ペーストを得た。これを1000mLのジクロロメタン中に懸濁し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、濾液を高真空下で蒸発させた。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製し、(R)-2-((ベンジルオキシ)メチル)-7,16-ジトシル-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン(24g、67%)を無色液体として得た。
【0411】
酢酸(50%、100mL)中の(R)-2-((ベンジルオキシ)メチル)-7,16-ジトシル-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン(24g、34.78mmol)の溶液に、フェノール(16.35g、174mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。反応完了後、室温に冷却し、高真空下で酢酸を除去した。粗生成物を、水(0.1%TFA)中の0~100%アセトニトリルを使用した逆相カラムで精製して、(S)-(1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-2-イル)メチルアセテート(8.0g、69%)を無色液体として得た。
【0412】
乾燥アセトニトリル(100mL)中の(S)-(1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-2-イル)メチルアセテート(8.0g、23.95mmol)、6-(クロロメチル)ピコリネートメチル(11.07g、59.88mmol)及び炭酸ナトリウム(12.69g、119.75mmol)の懸濁液を90℃で16時間加熱した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物質を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製し、ジメチル6,6’-((2-(アセトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(5.0g、33%)を褐色液体として得た。
【0413】
メタノール(50mL)中の6,6’-((2-(アセトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(5.0g、7.91mmol)の溶液に、炭酸カリウム(0.11g、0.79mmol)を室温で添加し、10分間撹拌した。反応完了後、これを減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中0~10%メタノールの勾配で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(R)-ジピコリネート(3.5g、75%)を褐色液体として得た。
【0414】
ジクロロメタン(20mL)中のジメチル6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(R)-ジピコリネート(1.0g、1.7mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.51g、0.70mL、5.1mmol)を添加した。塩化メシル(0.39g、0.26mL、3.4mmol)を0℃でこの溶液に滴加した。反応物を室温で30分間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニタリングした。反応完了後、これを濃縮し、粗生成物を溶出液としてジクロロメタン中のメタノール(1~2%)を使用したカラムクロマトグラフィー(アルミナ-中性)により精製して、ジメチル6,6’-((2-(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(0.7g、62%)を褐色液体として得た。
【0415】
DMF(2mL)中のTert-ブチル(2-メルカプトエチル)カルバメート(53mg、0.3mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(12mg、鉱油中60%、0.3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物に、DMF(1mL)中のジメチル6,6’-((2-(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(100mg、0.15mmol)を0℃で添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニタリングした。反応完了後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。粗生成物を、水(0.1%TFA)中のアセトニトリルを使用した分取HPLCにより精製して、ジメチル6,6’-((2-(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(20mg、18%)を褐色液体として得た。
【0416】
ジメチル6,6’-((2-(((2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(100mg、0.15mmol)、メタノール(2mL、4N)中のHClの冷溶液を添加し、溶液を2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、ジメチル6,6’-((2-(((2-アミノエチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネートを黄色液体として得た(55mg、64%)。
【0417】
ジクロロメタン(0.5mL)中のジメチル6,6’-((2-(((2-アミノエチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(60mg、0.09mmol)の溶液に0℃で、トリエチルアミン(0.04mL、0.27mmol)を添加し、次いでHATU(51mg、0.13mmol)を添加した。溶液を0℃で5分間撹拌した後、ジクロロメタン(0.5mL)中のDBCO-酸(27mg、0.09mmol)を添加した。冷浴を除去し、室温で18時間撹拌した。水を反応混合物に添加し、これをジクロロメタン(2mL×3)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO3水溶液、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。溶液を濃縮して、粗生成物を得た。ジクロロメタン及びメタノールを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO(20mg、23%)のジメチルエステルを無色液体として得た。
【0418】
室温のメタノール(0.5mL)中のH2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO(20mg、0.02mmol)の溶液に、H2O中のLiOH(0.64mL、0.1N、0.06mmol)を添加した。室温で16時間撹拌した後、これを酢酸でpH=6.5.に中和した。反応混合物を室温でエバポレーターで濃縮して、揮発性溶媒を除去した。残渣を分取HPLCにより精製し、H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO(6mg、31%)をオフホワイト色固体として得た。LC-MS APCI:C48H56N6O10Sについての計算値909.07;観測値m/z[M+H]+ 909.4。LC-MSによる純度:92.92%RT:1.86。HPLCによる純度:91.56% RT:3.87。1H NMR(400MHz,D2O):δ 7.83-7.76(m,4H)、7.54-7.17(m,10H)、4.97-4.90(m,1H)、4.80(s,4H)、4.23(s,4H)、3.78-3.42(m,18H)、3.04-3.00(m,2H)、2.51-2.39(m,3H)、2.31-2.29(m,2H)、2.10-2.04(m,3H)。
【0419】
実施例13:H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO-PSMB127の調製及び225Ac(III)標識化
【0420】
【化50】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:PSMB127を、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mlのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰な3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCOを、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-PSMB127(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO-PSMB127コンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0421】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.048mCi)及びH2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO-PSMB127(部位特異的、CAR=2、PBS緩衝溶液中2.4mg/mL、10μL、24μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0422】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝液溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0423】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0424】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:40μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO-PSMB127ピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上に示した。
【0425】
実施例14:H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCOの合成
【0426】
【化51】
DMF(2mL)中のTert-ブチル(5-メルカプトペンチル)カルバメート(65mg、0.3mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(12mg、鉱油中60%、0.3mmol)を0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物に、DMF(1mL)中のジメチル6,6’-((2-(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(100mg、0.15mmol)を0℃で添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニタリングした。反応完了後、これを濃縮し、残渣をアセトニトリル及び0.1% TFAを使用した分取HPLCにより精製して、ジメチル6,6’-((2-(((5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(15mg、13%)を褐色液体として得た。
【0427】
ジメチル6,6’-((2-(((5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(120mg、0.15mmol)に、メタノール中のHClの冷溶液(2mL、4N)を添加し、2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、ジメチル6,6’-((2-(((5-アミノペンチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(70mg、66%)を黄色液体として得た。
【0428】
ジクロロメタン(0.5mL)中のジメチル6,6’-((2-(((5-アミノペンチル)チオ)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(50mg、0.07mmol)の溶液に0℃で、トリエチルアミン(0.03mL、0.21mmol)を添加し、次いでHATU(38mg、0.10mmol)を添加した。溶液を0℃で5分間撹拌した後、ジクロロメタン(0.5mL)中のDBCO-酸(21mg、0.07mmol)を添加した。冷浴を除去し、室温で18時間撹拌した。水を反応混合物に添加し、これをジクロロメタン(2mL×3)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO3水溶液、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。溶液を濃縮して、粗生成物を得た。ジクロロメタン及びメタノールを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO(16mg、23%)のジメチルエステルを無色液体として得た。
【0429】
メタノール(0.5mL)中のH2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO(16mg、0.01mmol)の溶液に、H2O中のLiOH(0.49mL、0.1N、0.05mmol)に添加した。室温で16時間撹拌した後、これを酢酸でpH=6.5.に中和した。反応混合物を室温でエバポレーターで濃縮して、揮発性溶媒を除去した。残渣を分取HPLCにより精製し、H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO(5mg、33%)をオフホワイト色固体として得た。LC-MS APCI:C51H62N6O10Sについての計算値;951.15;観測値m/z[M+H]+ 951.4。LC-MSによる純度:94.51%RT:1.98。HPLCによる純度:98.41% RT:4.13。1H NMR(400MHz,D2O):δ 7.81-7.75(m,4H)、7.52-7.17(m,10H)、4.97-4.90(m,1H)、4.80(s,4H)、4.14(s,3H)、3.77-3.46(m,16H)、3.10(s,7H)、2.83-2.80(m,2H)、2.55-2.53(m,2H)、2.42-2.38(m,3H)、2.11-2.08(m,3H),1.39-1.35(m,2H)、1.20-1.10(m,4H)。
【0430】
実施例15:H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO-PSMB127の調製及び225Ac(III)標識化
【0431】
【化52】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:PSMB127を、100倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mLのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰の3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のH2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCOを、振盪せずに、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジド-PSMB127(DOL=2)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=2の最終部位特異的H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO-PSMB127コンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0432】
標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約5mCi/mL、10μL、0.047mCi)及びH2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO-PSMB127(部位特異的、CAR=2、PBS緩衝溶液中2.8mg/mL、8μL、22μg)を順次添加した。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0433】
精製:反応混合物をPD-10カラムで精製した:5mL×3のNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)をカラムに通過させ、洗浄液を廃棄することにより、PD-10樹脂をNaOAc緩衝溶液でコンディショニングした。全ての反応混合物をカラムのリザーバに適用し、溶出液を予め番号付けしたプラスチックチューブに回収した。反応バイアルを、0.2mL×3 NaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)溶液で洗浄し、洗浄液をPD-10カラムのリザーバにピぺットで入れ、溶出液を回収した。各チューブは約1mLの溶出液を含んでいた。PD-10カラムのリザーバへのNaOAc緩衝液(10mM、pH6~6.5)の継続的な適用を10mLの総溶出体積に達するまで行った。
【0434】
DTPA負荷:PD-10カラム後に回収した10μLの画分#3を、15μLの10mMのDTPA溶液(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに装填し、これを10mMのEDTAで展開し、一晩乾燥させた。これをBioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の条件下では、遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、画分#3中に遊離Ac-225が存在しなかったことを示す。
【0435】
HPLC分析:PD-10カラム後に回収した画分#3をHPLCにより分析した。HPLC法:Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5μmカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、20分の運転、注入量:40μLで溶出した。HPLC後、画分を30秒又は1分の時間間隔で回収した。回収したHPLC画分を室温で一晩放置した。回収した画分の各々の放射能をγ計数器で計数した。HPLC放射能トレースは、各HPLC画分中の放射能から構築された。HPLC放射能トレースは、H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO-PSMB127ピークに対応する放射能ピークをHPLC UVトレース上に示した。
【0436】
実施例16:DOTA-DBCO-H11B6(部位特異的)の調製及び225Ac(III)標識化
【0437】
【化53】
mAbのアジド修飾及びクリック反応:H11B6を、200倍モル過剰の3-アジドプロピルアミン及び微生物トランスグルタミナーゼ(MTG;Activa TI)で37℃で部位選択的に修飾した。Agilent G224機器でのインタクト質量ESI-TOF LC-MSにより、mAbの重鎖上の2つのアジドの付加をモニタリングした。1mlのGE Healthcare MabSelectカラムを使用して、過剰な3-アジドプロピルアミン及びMTGを精製して除去した。100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)を使用して、アジド-mAbを樹脂から溶出し、次いで7K Zeba脱塩カラムを使用して1×dPBSに交換する。10倍モル過剰のDOTA-DBCOを、振盪せずに、1×dPBS中、37℃で1時間、部位特異的アジドH11B6(DOL=1.94)と反応させた。インタクト質量分析により、DBCO-アジドクリック反応の完了をモニタリングした。過剰な遊離キレータは、Zeba7K脱塩カラムでコンジュゲートを1×dPBSに脱塩し、続いて、3回の15倍段階希釈工程及び30K MWCO Amicon濃縮器デバイスを使用して、3800Xgで回転させることにより、PBS中に濃縮する工程により除去した。これにより、CAR=1.94の最終部位特異的DOTA-DBCO-H11B6コンジュゲートを得た。Tosoh TSKgel G3000SWxl 7.8mm×30cm、5uカラム、カラム温度:室温で、このカラムをDPBS緩衝液(×1、カルシウム及びマグネシウムを含まない)、流量:0.7mL/分、18分の運転、注入量:18μLで溶出する分析サイズ排除クロマトグラフィーにより、最終コンジュゲートがモノマーであることが確認された。
【0438】
50:1:のH11B6:Ac-225の比での標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約10mCi/mL、5μL)及びDOTA-H11B6(部位特異的、CAR=1.94、PBS緩衝溶液中2.4mg/mL、12.5μL、30μg)を順次添加した。H11B6:Ac-225の比は50:1.である。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。約21%の放射能シグナルがiTLC-SGの溶媒先端で観察されたが、これは、約79%のAc-225が2時間後に反応溶液中でキレート化されたことを示す。
【0439】
実施例17:様々なSAを標的化する225Ac(III)を有するDOTA-DBCO-H11B6(ランダムコンジュゲーション)の標識化
【0440】
【化54】
880:1のH11B6:Ac-225の比での標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H
2O中3M、20μL)の溶液に、
225Ac(NO
3)
3(0.1N HCl中約10mCi/mL、5μL)、DOTA-H11B6(ランダムコンジュゲート、CAR約2.5、25mM酢酸緩衝溶液中10mg/mL、pH5.5、50μL、500μg)及びNaOH溶液(0.1M、2μL)を順次添加した。H11B6:Ac-225の比は880:1である。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0441】
440:1のH11B6:Ac-225の比での標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、20μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約10mCi/mL、5μL)、DOTA-H11B6(ランダムコンジュゲート、CAR約2.5、25mM酢酸緩衝溶液中10mg/mL、pH5.5、25μL、250μg)及びNaOH溶液(0.1M、1μL)を順次添加した。H11B6:Ac-225の比は440:1である。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLC-SGの溶媒先端では、放射能シグナルは観察されなかったが、これは、全てのAc-225が、2時間後に反応溶液中で完全にキレート化されたことを示す。
【0442】
220:1のH11B6:Ac-225の比での標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、20μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約10mCi/mL、5μL)、DOTA-H11B6(ランダムコンジュゲート、CAR約2.5、25mM酢酸緩衝溶液中10mg/mL、pH5.5、12.5μL、125μg)及びNaOH溶液(0.1M、1μL)を順次添加した。H11B6:Ac-225の比は220:1である。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。5%の放射能シグナルがiTLC-SGの溶媒先端で観察されたが、これは、95%のAc-225が2時間後に反応溶液中でキレート化されたことを示す。
【0443】
110:1のH11B6:Ac-225の比での標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約10mCi/mL、5μL)、DOTA-H11B6(ランダムコンジュゲート、CAR約2.5、25mM酢酸緩衝溶液中10mg/mL、pH5.5、6.25μL、62.5μg)及びNaOH溶液(0.1M、1μL)を順次添加した。H11B6:Ac-225の比は110:1である。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。71%の放射能シグナルがiTLC-SGの溶媒先端で観察されたが、これは、29%のAc-225が2時間後に反応溶液中でキレート化されたことを示す。
【0444】
55:1のH11B6:Ac-225の比での標識化:プラスチックバイアル中のNaOAc(H2O中3M、10μL)の溶液に、225Ac(NO3)3(0.1N HCl中約10mCi/mL、5μL)、DOTA-H11B6(ランダムコンジュゲート、CAR約2.5、25mM酢酸緩衝溶液中10mg/mL、pH5.5、3.13μL、31.3μg)及びNaOH溶液(0.1M、1μL)を順次添加した。H11B6:Ac-225の比は55:1である。混合後、pH試験紙により、pHは約6.5であった。反応溶液を37℃で2時間放置した。次いで、0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。64%の放射能シグナルがiTLC-SGの溶媒先端で観察されたが、これは、36%のAc-225が2時間後に反応溶液中でキレート化されたことを示す。
【0445】
結論:実施例9、16及び17は、キレータを含むDOTAが、キレータを含むH2bp18c6と比較して、低いアクチニウムキレート化効能を有することを実証した。
【0446】
実施例18:H2bp18c6-シス-シクロペンチル-縮合大員環及び225Ac(III)キレートの合成
【0447】
【化55】
大員環上に環結合を有する上記のH
2bp18c6誘導体を、一般的に、以下のスキーム21に従って合成する。
【0448】
【0449】
標的化リガンドへのコンジュゲーションのためのリンカーを、例えば、スキーム3及び4に関して上述したように、中間体7をメチル6-(ブロモ(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)メチル)ピコリネートと反応させることによって「ベンジル」位置に導入することができる。シクロペンタン1,2-ジオール(化合物1)をシクロヘキサン1,2-ジオールと置き換えて、シクロヘキシル環縮合を有するH2bp18c6誘導体を得ることができる。
【0450】
次に、H2bp18c6-シス-シクロペンチル-縮合大員環の合成を説明する。
【0451】
【0452】
DMF(30mL)中の水素化ナトリウム(5.63g、鉱油中60%、147.05mmol)の懸濁液に、DMF(30mL)中の(1R,2S)-シクロペンタン-1,2-ジオール(3.0g、29.41mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを再度0℃に冷却し、DMF(30mL)中の2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(18.44g、88.23mmol)を滴加した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の油を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(1R,2S)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロペンタン(3.5g、33%)を無色液体として得た。
【0453】
100mLのメタノール中の((1R,2S)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロペンタン(3.5g、9.77mmol)の溶液に、1mLのジオキサン中HClの溶液を添加し、1時間還流撹拌し、冷却し、蒸発させて、2,2’-(((1R,2S)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(2.0g)を得て、これを精製せずに次の工程で使用した。
【0454】
ジクロロメタン(50mL)及びトリエチルアミン(7.60mL、52.63mmol)中の2,2’-(((1R,2S)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)2(2.0g、10.52mmol)の溶液に10℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(6.0g、31.56mmol)を少しずつ添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、懸濁液を200mLのジクロロメタンで希釈し、冷1M HCl(3×100mL)で洗浄し、続いて氷冷水(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、固体のガムを得た。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(((1R,2S)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(2.2g、42%)を得た。
【0455】
50mLの乾燥DMF中の(((1R,2S)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(2.2g、4.42mmol)及び炭酸セシウム(4.32g、13.25mmol)の混合物を、周囲温度で1.5時間撹拌した。懸濁液に、50mLのDMF中の1,2-ビス(2-(トシル-λ2-アザネイル)エトキシ)エタン(2.06g、4.42mmol)を2時間にわたって滴加した。混合物を周囲温度で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、固体ペーストを得た。これを200mLのジクロロメタン中に懸濁し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、濾液を高真空下で蒸発させた。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(16aR,19aS)-4,13-ジトシルテトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.8g、67%)を無色液体として得た。
【0456】
酢酸中臭化水素酸中(50%、10mL)の(16aR,19aS)-4,13-ジトシルテトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.8g、2.95mmol)の溶液に、フェノール(1.38g、14.75mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。反応完了後、反応物を室温に冷却し、酢酸を高真空下で除去した。残渣を、水(0.1%TFA)中の0~100%アセトニトリルを使用した逆相カラム精製により精製して、(16aR,19aS)-テトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(0.7g、78%)を無色液体として得た。
【0457】
乾燥アセトニトリル(10mL)中の(16aR,19aS)-テトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(0.7g、2.32mmol)、メチル6-(クロロメチル)ピコリネート(1.73g、5.80mmol)及び炭酸ナトリウム(0.74g、6.96mmol)の懸濁液を90℃で16時間加熱した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物質を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製し、ジメチル6,6’-(((16aR,19aS)-テトラデカヒドロ-4H,13H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(0.55g、39%)を褐色液体として得た。
【0458】
6N塩酸(5mL)中のジメチル6,6’-(((16aR,19aS)-テトラデカヒドロ-4H,13H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(0.55g、0.92mmol)の溶液を80℃で5時間加熱した。反応完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、H2bp18c6-シス-シクロペンチル-縮合大員環(0.3g、58%)を無色の粘着性の固体として得た。LC-MS APCI:C29H40N4O8についての計算値572.66;観測値m/z[M+H]+572.9。LC-MSによる純度:99.27%RT:1.17。HPLCによる純度:99.05% RT:2.12。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.86-7.84(m,4H)、7.59-7.56(m,2H)、3.80(s,4H)、3.60-3.49(m,10H)、3.44-3.41(m,4H)、2.75-2.68(m,8H)、1.57-1.47(m,6H)。
【0459】
【0460】
225Ac(III)でのキレート化:0.1N HCl(10mCi/mL、3μL、30μCi)中のテトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-シス-シクロペンチル-縮合大員環(水中2mg/mL、3μL)、225Ac(NO3)3をプラスチックバイアルに連続的に添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0461】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端面に移動する。iTLCは99%のキレート化Ac-225を示した。
【0462】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端面に移動する。iTLCは99%のキレート化Ac-225を示した。
【0463】
実施例19:H2bp18c6-トランス-シクロペンチル-縮合大員環及び225Ac(III)キレートの合成
【0464】
【化59】
DMF(30mL)中の水素化ナトリウム(5.63g、鉱油中60%、147.05mmol)の懸濁液に、DMF(30mL)中の(1R,2R)-シクロペンタン-1,2-ジオール(3.0g、29.41mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを再び0℃に冷却し、DMF(30mL)中の2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(18.44g、88.23mmol)を滴加した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の油を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(1R,2R)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロペンタン(4.8g、46%)を無色液体として得た。
【0465】
100mLのメタノール中の(1R,2R)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロペンタン(4.8g、13.40mmol)の溶液に、1mLのジオキサン中HClを添加し、1時間還流撹拌し、冷却し、蒸発させて、2’-(((1R,2R)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(2.9g)を得て、これを精製せずに次の工程で使用した。
【0466】
ジクロロメタン(50mL)及びトリエチルアミン(11.03mL、76.31mmol)中の2’-(((1R,2R)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(2.9g、10.52mmol)に10℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(8.70g、45.78mmol)を少しずつ添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、懸濁液を200mLのジクロロメタンで希釈し、冷1M HCl(3×100mL)で洗浄し、続いて氷冷水(2×100)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、固体のガムを得た。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(((1R,2R)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(3.5g、46%)を無色液体として得た。
【0467】
50mLの乾燥DMF中の(((1R,2R)-シクロペンタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(3.5g、7.03mmol)及び炭酸セシウム(6.87g、21.08mmol)の混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。懸濁液に、50mLのDMF中の1,2-ビス(2-(トシル-λ2-アザニル)エトキシ)エタン((3.19g、7.03mmol)を2時間にわたって滴加した。混合物を周囲温度で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、固体ペーストを得た。これを200mLのジクロロメタン中に懸濁し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、濾液を高真空下で蒸発させた。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(16aR,19aR)-4,13-ジトシルテトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(3.5g、82%)を無色液体として得た。
【0468】
酢酸中臭化水素酸(50%、15mL)中の(16aR,19aR)-4,13-ジトシルテトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(3.5g、5.73mmol)の溶液に、フェノール(2.70g、28.68mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。反応完了後、反応物を室温に冷却し、酢酸を高真空下で除去した。粗製物質を、水(0.1%TFA)中の0~100%アセトニトリルを使用した逆相カラム精製により精製して、(16aR,19aR)-テトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.3g、75%)を無色液体として得た。
【0469】
乾燥アセトニトリル(20mL)中の(16aR,19aS)-テトラデカヒドロ-2H,11H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.3g、4.30mmol)、メチル6-(クロロメチル)ピコリネート(1.99g、10.76mmol)及び炭酸ナトリウム(1.37g、12.90mmol)の懸濁液を90℃で16時間加熱した。反応の完了後、反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物質を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、ジメチル6,6’-(((16aR,19aR)-テトラデカヒドロ-4H,13H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(1.0g、39%)を褐色液体として得た。
【0470】
6N塩酸(10mL)中のジメチル6,6’-(((16aR,19aR)-テトラデカヒドロ-4H,13H,17H-シクロペンタ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(1.0g、1.66mmol)の溶液を80℃で5時間加熱した。反応完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製し、H2bp18c6-トランス-シクロペンチル-縮合大員環(0.8g、84%)を無色の粘着性の固体として得た。LC-MS APCI:C29H40N4O8についての計算値572.66;観測値m/z[M+H]+573.0。LC-MSによる純度:96.10%RT:1.18。HPLCによる純度:97.77% RT:2.29。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.42(s,1H)、9.70(s,1H)、8.15-8.09(m,4H)、7.80-7.78(m,2H)、4.69(s,4H)、3.93-3.55(m,22H)、1.90-1.85(m,2H)、1.57-1.52(m,2H)、1.46-1.39(m,2H)。
【0471】
【0472】
225Ac(III)によるキレート化:テトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-トランス-シクロペンチル-縮合大員環(水中2mg/mL、3μL)、225Ac(NO3)3を0.1N HCl(10mCi/mL、3μL、30μCi)に添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0473】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端面に移動する。iTLCは99%のキレート化Ac-225を示した。
【0474】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下で、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端面に移動し、iTLCは99%キレート化Ac-225を示した。
【0475】
実施例20:H2bp18c6-シス-シクロヘキシル縮合大員環及び225Ac(III)キレートの合成
【0476】
【化61】
DMF(20mL)中の水素化ナトリウム(3.3g、鉱油中60%、86.20mmol)の懸濁液に、DMF(20mL)中の(1R,2S)-1,2-シクロヘキサン-ジオール(2.0g、17.24mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを再度0℃に冷却し、DMF(20mL)中の2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(10.81g、51.72mmol)を滴加した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の油を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(1R,2S)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロヘキサン(2.5g、39%)を無色液体として得た。
【0477】
100mLのメタノール中の1R,2S)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロヘキサン(2.5g、6.7mmol)の溶液に、1mLのジオキサン中HClを添加し、1時間還流撹拌し、冷却し、蒸発させた。粗2,2’-(((1R,2S)-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.5g)を精製せずに次の工程で使用した。
【0478】
ジクロロメタン(25mL)及びトリエチルアミン(5.31mL、36.76mmol)中の2,2’-(((1R,2S)-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.5g、7.35mmol)の溶液に10℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(4.20g、22.05mmol)を少しずつ添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、懸濁液を200mLのジクロロメタンで希釈し、冷1M HCl(3×100mL)で洗浄し、続いて氷冷水(2×100)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、固体のガムを得た。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(((1R,2S)-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(1.9g、50%)を無色液体として得た。
【0479】
50mLの乾燥DMF中の(((1R,2S)-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(1.9g、3.71mmol)及び炭酸セシウム(3.63g、11.13mmol)の混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。懸濁液に、50mLのDMF中の1,2-ビス(2-(トシル-λ2-アザネイル)エトキシ)エタン(1.68g、3.71mmol)を2時間にわたって滴加した。混合物を周囲温度で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、固体ペーストを得た。これを200mLのジクロロメタン中に懸濁し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、濾液を高真空下で蒸発させた。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して(16aR,20aS)-4,13-ジトシルヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.2g、52%)を無色液体として得た。
【0480】
酢酸中臭化水素酸(50%、5mL)中の(16aR,20aS)-4,13-ジトシルヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.2g、1.92mmol)の溶液に、フェノール(0.9g、9.61mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。反応完了後、反応物を室温に冷却し、酢酸を高真空下で除去した。残渣を、水(0.1%TFA)中の0~100%アセトニトリルを使用した逆相カラム精製により精製して、(16aR,20aS)-ヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(0.45g、74%)を無色液体として得た。
【0481】
乾燥アセトニトリル(10mL)中の(16aR,20aS)-ヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(0.45g、1.42mmol)、メチル6-(クロロメチル)ピコリネート(0.65g、3.56mmol)及び炭酸ナトリウム(0.45g、4.26mmol)の懸濁液を90℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物質を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、ジメチル6,6’-(((16aR,20aS)-ヘキサデカヒドロ-4H,13H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(0.26g、30%)を褐色液体として得た。
【0482】
6N塩酸(5mL)中のジメチル6,6’-(((16aR,20aS)-ヘキサデカヒドロ-4H,13H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(0.26g、0.42mmol)の溶液を80℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、生成物H2bp18c6-シス-シクロヘキシル-縮合大員環(0.11g、44%)をオフホワイト色固体として得た。LC-MS APCI:C30H42N4O8についての計算値586.69;観測値m/z[M+H]+587.0。LC-MSによる純度:98.15%RT:1.31。HPLCによる純度:97.78% RT:2.32.1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.35(s,1H)、9.84(s,1H)、8.15-8.09(m,4H)、7.80-7.78(m,2H)、4.70(s,4H)、3.97-3.54(m,22H)、1.70-1.23(m,8H)。
【0483】
【0484】
225Ac(III)によるキレート化:テトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-シス-シクロヘキシル-縮合大員環(水中2mg/mL、3μL)、0.1N HCl中の225Ac(NO3)3(10mCi/mL、3μL、30μCi)をプラスチックバイアルに順次添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0485】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0486】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0487】
実施例21:H2bp18c6-トランス-シクロヘキシル縮合大員環及び225Ac(III)キレートの合成
【0488】
【化63】
DMF(20mL)中の水素化ナトリウム(3.3g、鉱油中60%、86.20mmol)の懸濁液に、DMF(20mL)中の(1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジオール(2.0g、17.24mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを再度0℃に冷却し、DMF(20mL)中の2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(10.81g、51.72mmol)を滴加した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の油を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(1R,2R)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロヘキサン(2.45g、38%)を無色液体として得た。
【0489】
100mLのメタノール中の(1R,2R)-1,2-ビス(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)シクロヘキサン(2.45g、6.5mmol)の溶液に、1mLのジオキサン中HClを添加し、1時間還流撹拌し、冷却し、蒸発させた。粗2,2’-(((1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.5g)を精製せずに次の工程で使用した。
【0490】
ジクロロメタン(25mL)及びトリエチルアミン(5.31mL、36.76mmol)中の2,2’-((((1R,2R-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.5g、7.35mmol)の溶液に10℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(4.20g、22.05mmol)を少しずつ添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌した。懸濁液を更に200mLのジクロロメタンで希釈し、冷1M HCl(3×100mL)で洗浄し、続いて氷冷水(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、固体のガムを得た。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(((1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(2.1g、56%)を無色液体として得た。
【0491】
30mLの乾燥DMF中の(((1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(2.1g、4.1mmol)及び炭酸セシウム(4.01g、12.30mmol)の混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。懸濁液に、30mLのDMF中の1,2-ビス(2-(トシル-λ2-アザニル)エトキシ)エタン(1.86g、4.1mmol)を2時間にわたって滴加した。混合物を周囲温度で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、固体ペーストを得た。これを200mLのジクロロメタン中に懸濁し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、濾液を高真空下で蒸発させた。残渣を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、(16aR,20aR)-4,13-ジトシルヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.35g、54%)を無色液体として得た。
【0492】
酢酸中臭化水素酸(50%、5mL)中の(16aR,20aR)-4,13-ジトシルヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(1.35g、2.16mmol)の溶液に、フェノール(1.01g、1.81mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。室温に冷却し、酢酸を高真空下で除去した。残渣を、水(0.1%TFA)中の0~100%アセトニトリルをで使用した逆相カラム精製により精製して、(16aR,20aR)-ヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(0.5g、72%)を無色液体として得た。
【0493】
乾燥アセトニトリル(10mL)中の(16aR,20aR)-ヘキサデカヒドロ-2H,11H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン(0.5g、1.58mmol)、メチル6-(クロロメチル)ピコリネート(0.73g、3.95mmol)及び炭酸ナトリウム(0.5g、4.74mmol)の懸濁液を90℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、ジメチル6,6’-(((16aR,20aR)-ヘキサデカヒドロ-4H,13H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(0.3g、31%)を褐色液体として得た。
【0494】
6N塩酸(5mL)中のジメチル6,6’-(((16aR,20aR)-ヘキサデカヒドロ-4H,13H-ベンゾ[b][1,4,10,13]テトラオキサ[7,16]ジアザシクロオクタデシン-4,13-ジイル)ビス(メチレン))ジピコリネート(0.3g、0.49mmol)の溶液を80℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製して、H2bp18c6-トランス-シクロヘキシル-縮合大員環(0.16g、56%)をオフホワイト色固体として得た。LC-MS APCI:C30H42N4O8についての計算値586.69;観測値m/z[M+H]+587.0。LC-MSによる純度:98.97%RT:1.31。HPLCによる純度:97.08% RT:2.27。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.35(s,1H)、9.84(s,1H)、8.16-8.10(m,4H)、7.80-7.78(m,2H)、4.71(s,4H)、4.00-3.82(m,8H)、3.73-3.53(m,12H)、3.20-3.18(m,2H)、2.03-2.00(m,2H)、1.61-1.60(m,2H)、1.15-1.02(m,4H)。
【0495】
【0496】
225Ac(III)によるキレート化:テトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-トランス-シクロヘキシル-縮合大員環(水中2mg/mL、3μL)、0.1N HCl中の225Ac(NO3)3(10mCi/mL、3μL、30μCi)をプラスチックバイアルに順次添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0497】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0498】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0499】
実施例22:H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシメチル異性体I及び225Ac(III)キレートの合成
【0500】
【化65】
DMF(20mL)中の水素化ナトリウム(3.33g、鉱油中60%、83.33mmol)の懸濁液に、DMF(20mL)中の3-エトキシプロパン-1,2-ジオール(2.0g、16.66mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを再度0℃に冷却し、DMF(20mL)中の2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(10.44g、49.98mmol)を滴加した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣油を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2,2’-((((3-エトキシプロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(テトラヒドロ-2H-ピラン)(2.2g、35%)を無色液体として得た。
【0501】
50mLのメタノール中の2,2’-((((3-エトキシプロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(テトラヒドロ-2H-ピラン)(2.2g、5.85mmol)の溶液に、1mLのジオキサン中HClを添加した。反応物を還流で1時間撹拌し、冷却し、そして蒸発させた。粗2,2’-((3-エトキシプロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.3g)を精製せずに次の工程で使用した。
【0502】
ジクロロメタン(30mL)及びトリエチルアミン(4.51mL、31.25mmol)中の2,2’-((3-エトキシプロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)(1.3g、6.25mmol)の溶液に10℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(3.56g、18.75mmol)を少しずつ添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌した。懸濁液を200mLのジクロロメタンで希釈し、冷1M HCl(3×100mL)、続いて氷冷水(1×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、固体のガムを得た。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)で精製により、((3-エトキシプロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(2.0g、62%)を無色液体として得た。
【0503】
25mLの乾燥DMF中の((3-エトキシプロパン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(2.0g、3.87mmol)及び炭酸セシウム(3.79g、11.62mmol)の混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。懸濁液に、25mLのDMF中の1,2-ビス(2-(トシル-λ2-アザニル)エトキシ)エタン(1.75g、3.87mmol)を2時間にわたって滴加した。混合物を周囲温度で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、固体ペーストを得た。これを200mLのジクロロメタン中に懸濁し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、濾液を高真空下で蒸発させた。残渣を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、2-(エトキシメチル)-7,16-ジトシル-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン(1.1g、45%)を無色液体として得た。生成物をSFCによって更に精製して、2つのエナンチオマー異性体-I(0.3g、12%)及び異性体-II(0.26g、11%)を分解した。異性体I及びIIの立体化学を恣意的に割り当てた。
【0504】
酢酸(50%、1mL)中の(S)-2-(エトキシメチル)-7,16-ジトシル-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン(異性体I、0.3g、0.48mmol)の溶液に、フェノール(0.22g、2.39mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。室温に冷却し、酢酸を高真空下で除去した。残渣を、水(0.1%TFA)中の0~100%アセトニトリルをで使用した逆相カラムにより精製して、(R)-(1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-2-イル)メチルアセテート(恣意的に割り当てられた立体化学)(0.1g、63%)を無色液体として得た。
【0505】
乾燥アセトニトリル(3mL)中の(R)-(1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-2-イル)メチルアセテート(恣意的に割り当てられた立体化学)(100mg、0.30mmol)、メチル6-(クロロメチル)ピコリネート(138mg、0.75mmol)及び炭酸ナトリウム(159mg、1.5mmol)を90℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)によって精製し、ジメチル6,6’-((2-(アセトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン)-(R)-ジピコリネート(恣意的に割り当てられた立体化学)(50mg、26%)を褐色液体として得た。
【0506】
メタノール(1mL)中の6,6’-((2-(アセトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン)-(R)-ジピコリネート(恣意的に割り当てられた立体化学)(50mg、0.08mmol)の溶液に、炭酸カリウム(1mg、0.008mmol)を室温で添加し、10分間撹拌した。これを減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))-(S)-ジピコリネート(恣意的に割り当てられた立体化学)(22mg、48%)を褐色液体として得た。
【0507】
6N塩酸(0.5mL)中の6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))-(S)-ジピコリネート(恣意的に割り当てられた立体化学)(22mg、0.04mmol)の溶液を80℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシメチル異性体I(12mg、57%)を粘着性の固体として得た。LC-MS APCI:C27H38N4O9についての計算値562.62;観測値m/z[M+H]+562.8。LC-MSによる純度:96.89%RT:1.61。HPLCによる純度:96.47% RT:1.57。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 3.39(s,1H)、9.81(s,1H)、8.14-8.09(m,4H)、7.80-7.78(m,2H)、4.70(s,4H)、3.98-3.85(m,10H)、3.60-3.42(m,15H)。
【0508】
【0509】
225Ac(III)によるキレート化:テトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシルメチル異性体I(水中2mg/mL、3μL)、0.1N HCl中の225Ac(NO3)3(10mCi/mL、3μL、30μCi)をプラスチックバイアルに順次添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0510】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0511】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0512】
実施例23:H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシメチル異性体II及び225Ac(III)キレートの合成
【0513】
【化67】
酢酸(50%,1mL)中の(R)-2-(エトキシメチル)-7,16-ジトシル-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン(恣意的に割り当てられた立体化学)(異性体II、0.26g、0.42mmol)の溶液に、フェノール(197mg、2.07mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。室温に冷却し、酢酸を高真空下で除去した。残渣を、水(0.1%TFA)中の0~100%アセトニトリルを使用した逆相カラム精製により精製して、(S)-(1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-2-イル)メチルアセテート(恣意的に割り当てた立体化学)(0.06g、43%)を無色液体として得た。
【0514】
(S)-(1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-2-イル)メチルアセテート(恣意的に割り当てられた立体化学)(0.06g、0.18mmol)、メチル6-(クロロメチル)ピコリネート(0.083g、乾燥アセトニトリル(3mL)中、0.45mmol)及び炭酸ナトリウム(0.095g、0.9mmol)を90℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製し、ジメチル6,6’-((2-(アセトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))-(S)-ジピコリネート(恣意的に割り当てられた立体化学)(0.025g、22%)を褐色液体として得た。
【0515】
メタノール(0.5mL)中のジメチル6,6’-((2-(アセトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))-(S)-ジピコリネート(恣意的に割り当てられた立体化学)(0.025g、0.04mmol)の溶液に、炭酸カリウム(0.5mg、0.004mmol)を室温で添加した。混合物を10分間撹拌した。これを減圧下で濃縮した。粗生成物を、ジクロロメタン中の0~10%メタノールの勾配で溶出するシリカ(230~400メッシュ)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、ジメチル6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))-(R)-ジピコリネート(0.01g、43%)を褐色液体として得た。
【0516】
6N塩酸(0.5mL)中のジメチル6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))-ジピコリネート(0.01g、0.02mmol)の溶液を80℃で3時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシメチル異性体II(4mg、44%)を粘着性の液体として得た。LC-MS APCI:C27H38N4O9についての計算値562.62;観測値m/z[M+H]+562.8。LC-MSによる純度:96.89%RT:6.31。HPLCによる純度:93.97% RT:6.67。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.34(s,1H)、9.86(s,1H)、8.13-8.11(m,4H)、7.80-7.78(m,2H)、4.70(s,4H)、3.95-3.84(m,10H)、3.58-3.42(m,15H)。
【0517】
【0518】
225Ac(III)によるキレート化:テトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシルメチル異性体II(水中2mg/mL、3μL)、0.1N HCl中の225Ac(NO3)3(10mCi/mL、3μL、30μCi)をプラスチックバイアルに順次添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0519】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0520】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0521】
実施例24:H2bp18c6-オフ大員環-エトキシルメチル異性体I及び225Ac(III)キレートの合成
【0522】
【化69】
DMF(2mL)中のジメチル6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(100mg、0.17mmol)(恣意的に割り当てられた立体化学)の撹拌溶液に0℃で、水素化ナトリウム(10mg、鉱油中60%分散液、0.25mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、10時間撹拌した。反応混合物を再び0℃に冷却し、DMF(1ml)中のヨウ化エチル(39mg、0.25mmol、20uL)の溶液を滴加した。反応混合物を室温にし、次いでこの温度で2時間撹拌した。反応完了後(LCMSによりモニタリング)、反応混合物を飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を、溶出液としてジクロロメタン中の5%メタノールを使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物ジメチル6,6’-((2-(エトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(恣意的に割り当てられた立体化学)(45mg、42%)を褐色液体として得た。
【0523】
THF(0.25mL)、水(0.5mL)及びメタノール(0.25mL)中のジメチル6,6’-((2-(エトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(S)-ジピコリネート(45mg、0.07mmol)(恣意的に割り当てられた立体化学)の撹拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(9mg、0.21mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応完了後(UPLC-MSによりモニタリング)、反応のpHを1.5M HCl水溶液を用いて3~4に調整し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、H2bp18c6-オフ大員環-エトキシルメチル異性体I(28mg、66%)を粘着性の液体として得た。LC-MS APCI:C29H42N4O9について計算値590.30;観測値m/z[M+H]+591.2。LC-MSによる純度:99.59%RT:1.19。HPLCによる純度:96.12%RT:2.01。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.40(s,1H)、9.75(s,1H)、8.16-8.09(m,4H)、7.80-7.78(m,2H)、4.69(s,4H)、3.98-3.34(m,28H)、1.06(t,J=6.80Hz,3H)。
【0524】
【0525】
225Ac(III)によるキレート化:テトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシルメチル異性体I(水中1mg/mL、1μL)、0.1N HCl中の225Ac(NO3)3(10mCi/mL、3μL、30μCi)をプラスチックバイアルに順次添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0526】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0527】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0528】
実施例25:H2bp18c6-オフ大員環-エトキシルメチル異性体II及び225Ac(III)キレートの合成
【0529】
【化71】
DMF(1.5mL)中の6,6’-((2-(ヒドロキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(R)-ジピコリネートジメチル(恣意的に割り当てられた立体化学)(60mg、0.1mmol)の撹拌溶液に0℃で、水素化ナトリウム(6mg、鉱油中60%分散液、0.15mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、10時間撹拌した。反応混合物を再び0℃に冷却し、DMF(0.5ml)中のヨウ化エチル(23mg、0.15mmol、12uL)の溶液を滴加した。反応混合物を室温にし、次いでこの温度で2時間撹拌した。反応完了後(LCMSによりモニタリング)、反応混合物を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、溶出液としてジクロロメタン中の5%メタノールを使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、6,6’-((2-(エトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(R)-ジピコリネートジメチル(恣意的に割り当てられた立体化学)(20mg、32%)を褐色液体として得た。
【0530】
THF(0.1mL)、水(0.25mL)、メタノール(0.1mL)中の6,6’-((2-(エトキシメチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7,16-ジイル)ビス(メチレン))(R)-ジピコリネートジメチル(恣意的に割り当てられた立体化学)(20mg、0.03mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(4mg、0.09mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応完了後(UPLC-MSによりモニタリング)、反応物のpHを1.5M HCl水溶液を用いて3~4に調整し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、H2bp18c6-オフ大員環-エトキシルメチル異性体II(5mg、26%)を粘着性の液体として得た。LC-MS APCI:C29H42N4O9について計算値590.30;観測値m/z[M+H]+591.3。LC-MSによる純度:99.28%,RT:1.199。HPLCによる純度:97.60% RT:2.01。1H NMR1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.40(s,1H)、9.72(s,1H)、8.16-8.00(m,4H)、7.80-7.77(m,2H)、4.69(s,4H)、4.34-3.38(m,28H)、1.06(t,J=6.80Hz,3H)。
【0531】
【0532】
225Ac(III)によるキレート化:テトラメチルアンモニウムアセテート(1M、10μL)、H2bp18c6-オフ大員環-ヒドロキシルメチル異性体II(水中1mg/mL、1μL)、0.1N HCl中の225Ac(NO3)3(10mCi/mL、3μL、30μCi)をプラスチックバイアルに順次添加した。pH試験紙により、pHは約6.5であった。バイアルを37℃で2時間加熱した。
【0533】
0.5μLの反応混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0534】
0.5μLの反応混合物を15μLの10mMのDTPA(pH6.5)と混合し、30分間インキュベートした。10μLの混合物をiTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLCを、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで20時間後に走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は溶媒とともに溶媒先端に移動する。iTLCは、99%のキレート化Ac-225を示した。
【0535】
実施例26:H2bp18c6-オフ大員環-NCSの合成
【0536】
【化73】
工程1:水素化ナトリウム(18.16g、鉱油中60%、454mmol)を無水DMF(500mL)中の(S)-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール(50g、378mmol)の溶液に0℃で添加した。この温度で10分間撹拌した後、臭化ベンジル(77.63g、454mmol)をこの懸濁液にゆっくりと添加した。反応物を30分後に室温にし、更に8時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液を用いてクエンチし、ジクロロメタン(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、残渣を石油エーテル及び酢酸エチルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、化合物1(72g、86%)を無色液体として得た。
【0537】
工程2:化合物1(72g、324mmol)をTHF(100mL)に溶解し、HCl(1.5N、100mL)水溶液を添加し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、10%重炭酸ナトリウム溶液で中和した。溶液を酢酸エチル(2×500mL)で抽出し、合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテル及び酢酸エチルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製して、化合物2(51g、85%)を無色油状物を得た。
【0538】
工程3:DMF(20mL)中の水素化ナトリウム(26.29g、鉱油中60%、686mmol)の懸濁液に、DMF(100mL)中の化合物2(25.0g、137mmol)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。これを再度0℃に冷却し、DMF(100mL)中の2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン((85.89g、411mmol)を滴加した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム溶液を使用してクエンチし、酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の油を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を使用したシリカゲル(230~400メッシュ)フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物3(32g、53%)を無色液体として得た。
【0539】
工程4:500mLのメタノール中の化合物3(32g、73.05mmol)の溶液に、5mLのジオキサン中HClを添加し、1時間還流撹拌し、冷却し、蒸発させた。粗製物質4(20g)を精製せずに次の工程で使用した。
【0540】
工程5:化合物4(20g、74.07mmol)をジクロロメタン(250mL)及びトリエチルアミン(53mL、370mmol)に溶解した。溶液を10℃に冷却し、固体p-トルエンスルホニルクロリド(42.20g、222mmol)を少しずつ添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応完了後、懸濁液を1000mLのジクロロメタンで更に希釈し、冷HCl(1M、3×200mL)水溶液、氷冷水(2×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、固体のガムとした。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製した。生成物5(30g、70%)を無色液体として得た。
【0541】
工程6:200mLの乾燥DMF中の化合物5(30g、51.9mmol)及び炭酸セシウム(50.76g、155.7mmol)の混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。懸濁液に、200mLのDMF中の化合物6(23.56g、51.9mmol)を2時間にわたって滴加した。混合物を周囲温度で更に20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、固体ペーストを得た。これを1000mLのジクロロメタン中に懸濁し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾別し、濾液を高真空下で蒸発させた。粗製物質を、石油エーテル中の酢酸エチル(0~40%)を用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製した。生成物7(24g、67%)を無色液体として得た。
【0542】
工程7:臭化水素酸(酢酸50%、100mL)中の化合物7(24g、34.78mmol)の溶液に、フェノール(16.35g、174mmol)を室温で添加した。反応物を60℃で6時間加熱した。反応完了後、これを室温に冷却し、酢酸を高真空下で除去した。粗生成物を、アセトニトリル及び水中0.1% TFAを使用した逆相カラム精製により精製し、化合物8(8.0g、69%)を無色液体として得た。
【0543】
工程8:乾燥アセトニトリル(100mL)中の化合物8(8.0g、23.95mmol)、化合物9(11.07g、59.88mmol)及び炭酸ナトリウム(12.69g、119.75mmol)の懸濁液を90℃で16時間加熱した。反応完了後、反応混合物を室温に冷却し、セライトに通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物質を、ジクロロメタン中のメタノール(0~10%)を使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュ)により精製した。生成物10(5.0g、33%)を褐色液体として得た。
【0544】
工程9:メタノール(50mL)中の化合物10(5.0g、7.91mmol)の溶液に、炭酸カリウム(0.11g、0.79mmol)を室温で添加し、10分間撹拌した。反応完了後、これを減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中の0~10%メタノールの勾配で溶出させるシリカ(230~400メッシュ)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物11(3.5g、75%)を褐色液体として得た。
【0545】
工程10:ジクロロメタン(20mL)中の化合物11(1.0g、1.7mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.51g、0.70mL、5.1mmol)を添加した。塩化メシル(0.39g、0.26mL、3.4mmol)をこの溶液に0℃で滴加した。反応物を室温で30分間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニタリングした。反応完了後、これを濃縮し、粗生成物を溶出液としてジクロロメタン中のメタノール(1~2%)を使用してカラムクロマトグラフィー(アルミナ-中性)により精製して、化合物12(0.7g、62%)を褐色液体として得た。
【0546】
工程11:DMF(2mL)中の化合物13(53mg、0.3mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(12mg、鉱油中60%、0.3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物に化合物12(100mg,0.15mmol)をDMF(1mL)中に0℃で添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニタリングした。反応完了後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。粗生成物を、アセトニトリル及び0.1% TFAを使用した分取HPLCにより精製し、化合物14(20mg、18%)を褐色液体として得た。
【0547】
工程12:6N塩酸(0.5mL)中の化合物14(20mg、0.02mmol)の溶液を室温で一晩撹拌した。反応完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製し、生成物H2bp18c6-オフ大員環-エチルサルファイドアミン(6mg、36%)を粘着性の固体として得た。LC-MS APCI:C29H43N5O8S について計算値621.75;観測値m/z[M+H]+622.2。LC-MSによる純度:97.94%RT:1.38。HPLCによる純度:94.11% RT:2.94。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ11.02-11.00(m,2H)、8.21(s,2H)、8.16-8.09(m,4H)、7.93-7.90(m,2H)、4.78-4.75(m,4H)、4.15-3.93(m,9H)、3.56-3.50(m,14H)、2.97-2.96(m,2H)、2.81-2.79(m,2H)、2.70-2.67(m,2H)。
【0548】
【0549】
工程1:化合物14(100mg、0.15mmol)に、メタノール(2mL、4N)中のHClの冷溶液を添加し、2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、化合物2を黄色液体として得た(55mg、64%)。
【0550】
工程2:乾燥ジクロロメタン(2mL)中の化合物15(50mg、0.08mmol)及びトリエチルアミン(24mg、0.24mmol)の溶液に、二硫化炭素(12mg、0.16mmol)を添加した。バイアルに、MW照射(150W電力)を90℃で30分間供した。その後、反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、水(5mL)、1M HCl(5mL)、水(5mL)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、粗生成物を溶出液としてジクロロメタン中の0~10%メタノールを使用したシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、化合物1616(20mg、38%)を黄色固体として化得た。
【0551】
工程3:化合物16(20mg、0.03mmol)の塩酸(6N、0.5mL)溶液を室温で一晩撹拌した。反応完了後、これを減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製して、H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィドNCS(6mg、31%)を白色固体として得た。LC-MS APCI:C30H41N5O8S2について計算値:663.81;観測値m/z[M+H]+ 664.2。LC-MSによる純度:99.94%RT:1.41。HPLCによる純度:98.77% RT:2.76。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 9.78(s,1H)、8.10(s,4H)、7.78(d,J=6.00Hz,2H)、4.69(s,4H)、3.96-3.52(m,23H)、2.85(t,J=6.40Hz,2H)、2.70(t,J=8.00Hz,2H)。
【0552】
【0553】
工程1:ジクロロメタン(20mL)中の化合物17(1.0g、1.7mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.51g、0.70mL、5.1mmol)を添加した。塩化メシル(0.39g、0.26mL、3.4mmol)をこの溶液に0℃で滴加した。反応物を室温で30分間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニタリングした。反応完了後、これを濃縮し、残渣を溶出液としてジクロロメタン(1~2%)中メタノールを使用したカラムクロマトグラフィー(アルミナ-中性)により精製して、化合物18(0.7g、62%)を褐色液体として得た。
【0554】
工程2:DMF(2mL)中の化合物19(65mg、0.3mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(12mg、鉱油中60%、0.3mmol)を0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物に、DMF(1mL)中の化合物18(100mg,0.15mmol)を0℃で添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニタリングした。反応完了後、これを濃縮し、残渣をアセトニトリル及び0.1% TFAを使用した分取HPLCにより精製して、化合物20(15mg、13%)を褐色液体として得た。
【0555】
工程3:塩酸(6N,0.5mL)中の化合物20(15mg、0.02mmol)の溶液を室温で一晩撹拌した。反応完了後、これを減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、生成物H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィドアミン(4mg、33%)を粘着性の液体として得た。LC-MS APCI:C32H49N5O8S について計算値663.83;観測値m/z[M+H]+664.2。LC-MSによる純度:90.31% RT:1.43。HPLCによる純度:90.69% RT:3.11。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.85-7.83(m,2H)、7.79-7.75(m,2H)、7.30(dd,J=6.80,24.00Hz,2H)、4.01-3.38(m,29H)、2.89-2.85(m,4H)、1.80-1.60(m,2H)、1.44-1.39(m,4H)。
【0556】
【0557】
工程1:化合物20(120mg、0.15mmol)に、メタノール(2mL、4N)中のHClの冷溶液を添加し、2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、化合物21を黄色液体として得た(70mg、66%)。
【0558】
工程2:乾燥ジクロロメタン(2mL)中の化合物21(70mg、0.1mmol)及びトリエチルアミン(20mg、0.2mmol)の溶液に、二硫化炭素(15mg、0.2mmol)を添加した。バイアルに、MW照射(150W電力)を90℃で30分間供した。その後、反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、水(5mL)、1M HCl(5mL)、水(5mL)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、粗生成物を溶出液としてジクロロメタン中0~10%メタノールを使用したシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、化合物22(30mg、40%)を黄色固体として得た。
【0559】
工程3:塩酸(6N,0.5mL)中の化合物22(30mg、0.04mmol)の溶液を室温で一晩撹拌した。反応完了後、これを減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製して、H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィドNCS(12mg、41%)を白色固体として得た。LC-MS APCI:C33H47N5O8S2について計算値:705.89;観測値m/z[M+H]+706.2。LC-MSによる純度:99.33%RT:1.58。HPLCによる純度:98.92% RT:2.76。1H NMR1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.40(s,1H)、9.90(s,1H)、8.17-8.09(m,4H)、7.78(d,J=6.80Hz,2H)、4.70(s,4H)、3.93-3.17(m,27H)、2.68-2.67(m,2H)、1.64-1.60(m,2H)、1.53-1.49(m,2H)、1.40-1.38(m,2H)。
【0560】
実施例26:放射性免疫コンジュゲートの特性
表1は、実施例で調製した放射性免疫コンジュゲートのキレート化効率を要約したものである。
【0561】
【0562】
4つ225Ac-キレータ-mAbコンジュゲートのヒト血清安定性は、以下の方法に従って測定される。
225Ac-H2bp18c6-ベンジル-フェニル-DBCO-PSMB127
225Ac-H2bp18c6-オフ大員環-エチルスルフィド-DBCO-PSMB127
225Ac-H2bp18c6-オフ大員環-ペンチルスルフィド-DBCO-PSMB127
225Ac-H2bp18c6-ベンジル-フェニル-BCN-PSMB127
【0563】
900μLのプールされたヒト血清(BioIVT)の各溶液に、100μLの約300μCi/mgの4つのコンジュゲートのうちの1つを添加する。個々のコンジュゲート溶液を混合し、10μLを7日間にわたっていくつかの時点で回収する。各10μLの試料を、30μLの50mMのDTPAを含む別個のプラスチックバイアルに移し、室温で5分間放置する。10μLの混合物を回収し、次いで、iTLC-SGに充填し、これを10mMのEDTAで展開した。乾燥したiTLC-SGを室温で一晩放置した後、Bioscan AR-2000ラジオTLCスキャナで走査した。本明細書に記載の溶出条件下では、任意の遊離Ac-225は、溶媒とともに溶媒先端に移動する。安定性の結果を表2に列挙する。
【0564】
【0565】
実施例27:放射性免疫コンジュゲート細胞結合アッセイ
アジド修飾抗体及び本発明のキレータ又は放射性金属錯体にコンジュゲートしたアジド修飾抗体の細胞結合を、親抗体と比較する。抗体の抗原標的を発現する細胞を、緩衝液で希釈した親抗体、アジド修飾抗体又はコンジュゲート抗体とともにインキュベートし、次いでフローサイトメトリーによる細胞結合について分析する。
【0566】
本明細書に記載された実施例及び実施形態は、例示のみを目的としたものであり、上述の実施形態に対する変更は、その広範な発明概念から逸脱することなくなされ得ることが理解される。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内の修正をも包含することを意図するものと理解される。
【0567】
参考文献
1. WO 2018/183906
2. Thiele et al.「An Eighteen-Membered Macrocyclic Lig for Actinium-225 Targeted Alpha Therapy」Angew.Chem.Int.Ed.(2017)56,14712-14717。
3. Roca-Sabio et al.「Macrocyclic Receptor Exhibiting Unprecedented Selectivity for Light Lanthanides」J.Am.Chem.Soc.(2009)131,3331-3341。
【配列表】
【国際調査報告】