IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミニスイス・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特表2022-532184駆動ユニット、および駆動ユニットを動作させるための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】駆動ユニット、および駆動ユニットを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/04 20060101AFI20220706BHJP
   H02N 2/12 20060101ALI20220706BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
H02N2/04
H02N2/12
H01L41/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566572
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2020062684
(87)【国際公開番号】W WO2020229290
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】19173678.4
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20169935.2
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505060288
【氏名又は名称】ミニスイス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】MINISWYS S.A.
【住所又は居所原語表記】Quai du Bas 31a, Biel / Bienne Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホースリー,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ローテン,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ブルマン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】バウム,ロアン
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA19
5H681BB02
5H681BB13
5H681BB14
5H681CC02
5H681DD15
5H681DD44
5H681DD63
5H681DD72
(57)【要約】
受動素子(4)を能動素子(1)に対して駆動するための揺動駆動ユニットは、基準平面(28)に対して平行に延びる少なくとも2つのアーム(21,22)を有する共振器(2)を備え、アーム(21,22)のうちの一方は、受動素子(4)を能動素子(1)に対して駆動するための、揺動運動により移動可能な接点素子(31)を備える。少なくとも2つのアーム(21,22)は、略対称式に延び、アーム(21,22)のうちのもう一方は、受動素子(4)と接触しないように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動素子(4)を能動素子(1)に対して駆動するための駆動ユニットであって、前記能動素子(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)とを備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から延びる少なくとも2つのアーム(21,22)を備え、
前記接続領域(20)および前記アーム(21,22)は、基準平面(28)に対して平行に延在し、
前記アーム(21,22)のうちの第1のアーム(21)は、前記アームの外端に接点素子(31)を備え、
前記接点素子(31)は、前記第1のアーム21の揺動運動によって移動可能であり、
前記受動素子(4)は、これらの揺動運動により、前記能動素子(1)に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
前記受動素子(4)は、第1の接点エリア(41)を備え、前記第1の接点エリア41は、前記第1の接点素子31と接触するように配置され、
前記少なくとも2つのアーム(21,22)は、前記接続領域(20)から略対称式に延び、
前記共振器(2)およびそのパーツは、単一の材料片として一体成形され、
前記第2のアーム(22)は、前記受動素子(4)と接触しないように配置されることを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項2】
前記第2のアーム(22)は、前記第1のアーム(21)の揺動運動のバランスをとる揺動運動によって移動するように配置される、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記第1のアーム(21)および前記第2のアーム(22)は、互いに対して(2)回回転対称に配置され、対称軸は前記基準平面(28)に垂直である、請求項1または請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記第1のアーム(21)および前記第2のアーム(22)は、互いに対して鏡面対称に配置され、鏡平面は前記基準平面(28)に垂直であり、前記第1のアーム(21)および前記第2のアーム(22)は前記鏡平面の反対側にそれぞれ配置され、
・ 前記第1のアーム(21)と前記第2のアーム(22)のいずれかが、前記鏡平面(28)に対して垂直方向に延び、または
・ 前記第1のアーム(21)および前記第2のアーム(22)が、前記鏡平面(28)に対して垂直方向に延びる、請求項1または請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記能動素子(1)は、前記第1のアーム(21)および前記第2のアーム(22)に加えてベアリングアーム(8)を備え、前記ベアリングアーム(8)は、具体的には前記能動素子(1)が励起されていないときに、前記ベアリングアーム(8)に、前記第1のアーム(21)に抗して、具体的には前記第1のアーム(21)の第1の接点素子(31)に抗して前記受動素子(4)にプレストレス力を印加させるベアリング領域(81)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記能動素子(1)が、前記第1のアーム(21)により前記能動素子(1)に対して前記受動素子(4)を駆動するための周波数で励起されると、前記ベアリングアーム(8)は、前記受動素子(4)に前記受動素子(4)を前記能動素子(1)に対して駆動する力を与えることなく、揺動する、請求項5に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記能動素子(1)が、前記第1のアーム(21)により前記能動素子(1)に対して前記受動素子(4)を駆動するための周波数で励起されると、揺動する前記ベアリングアーム(8)のベアリング領域(81)は、交互に、前記受動素子(4)へ向かって移動して、これにより前記受動素子(4)と接触するに至り、かつ、前記受動素子(4)から離れて移動して、これにより前記受動素子(4)との接触を失い、よって、前記ベアリング領域(81)における摩擦力を低減する、請求項6に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の駆動ユニットを動作させるための方法であって、前記能動素子(1)を、
・ 前記第1のアーム(21)により揺動運動を実行することによって前記受動素子(4)を前記能動素子(1)に対して駆動するためと、
・ 前記ベアリングアーム(8)により前記受動素子(4)を前記能動素子(1)に対して断続的に保持しかつ解放するため、の周波数で励起するステップを含む方法。
【請求項9】
受動素子(4)を能動素子(1)に対して駆動するための、場合により先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、前記能動素子(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)とを備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から延びる少なくとも1つのアーム(21,22)を備え、
前記接続領域(20)および前記少なくとも1つのアーム(21,22)は、基準平面(28)に対して平行に延在し、
前記少なくとも1つのアーム(21,22)は、前記アームの外端に接点素子(31)を備え、
前記接点素子(31)は、前記少なくとも1つのアーム21の揺動運動によって移動可能であり、
前記受動素子(4)は、これらの揺動運動により、前記能動素子(1)に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
前記受動素子(4)は、第1の接点エリア(41)を備え、前記第1の接点エリア(41)は、前記第1の接点素子(31)と接触するように配置され、
弾性プレストレス素子(6)は、具体的には前記能動素子(1)が励起されていないときに、少なくとも前記第1の接点素子(31)を前記第1の接点エリア(41)へ向かって押圧するプレストレス力を印加するように配置されることと、
前記受動素子(4)は、前記プレストレス力により前記能動素子(1)に抗して所定位置に保持されることを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項10】
前記受動素子(4)および前記能動素子(1)は、被駆動部(7)をベース素子(5)に対して移動するように配置され、前記被駆動部(7)は、ジョイント(51,52,53)によって前記ベース素子(5)に対するその運動を部分的に抑制され、かつ前記受動素子(4)は、前記プレストレス力によって前記ジョイント内に保持される、請求項11に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
前記ジョイントは、前記ベース素子(5)と前記被駆動部(7)との間に配置されるローラを備えるローリングジョイントである、請求項10に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
前記ジョイント(52,53)は、前記被駆動部(7)の、前記ベース素子(5)に対する、直線軸に沿った、または平面内での相対運動を可能にし、かつ前記直線軸または直線平面に対して垂直方向の相対運動を制限し、かつ反対方向の相対運動を抑制せず、前記プレストレス力は、反対方向の相対運動を抑制する、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記ジョイント(51)は、前記被駆動部(7)の、前記ベース素子(5)に対する、回転軸を中心とする相対運動を可能にし、かつ前記回転軸に対して垂直方向の相対運動を制限し、かつ反対方向の相対運動を抑制せず、前記プレストレス力は、反対方向の相対運動を抑制する、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
受動素子(4)を能動素子(1)に対して駆動するための、場合により先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、前記能動素子(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)とを備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から延びる少なくとも2つのアーム(21,22)を備え、
前記接続領域(20)および前記アーム(21,22)は、基準平面(28)に対して平行に延在し、
前記アーム(21,22)は各々、前記アームの外端に個々の接点素子(31,32)を備え、
前記接点素子(31,32)は、個々の前記アーム(21,22)の揺動運動によって移動可能であり、
前記受動素子(4)は、これらの揺動運動により、前記能動素子(1)に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
前記受動素子(4)は、第1および第2の接点エリア(41,42)を備え、各接点エリア(41)、(42)は、第1および第2の前記接点素子(31),(32)の個々の1つと接触するように配置され、
前記共振器(2)は、
・ 前記共振器(2)が前記ベース素子(5)に対して回転するように配置される、その回転の中心である旋回セクション(61)と、
・ 前記共振器の弾性部を備える反力セクション(62)と、を備え、前記弾性部は、前記ベース素子(5)に搭載されると、前記接点エリア(41)、(42)において前記共振器(2)と前記受動素子(4)との間に作用するプレストレス力により引き起こされる、前記旋回セクション(61)の周りのプレストレストルクによって弾性的に変形されることを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項15】
前記反力セクション(62)は、具体的には変形されない場合、前記基準平面(28)内で前記旋回セクション(61)の前記アーム(21)、(22)と同じ側に延在する、請求項14に記載の駆動ユニット。
【請求項16】
受動素子(4)を能動素子(1)に対して駆動するための、場合により先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、前記能動素子(1)は、
共振器(2)と、前記共振器(2)内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)とを備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から延びる少なくとも2つのアーム(21,22)を備え、
前記接続領域(20)および前記アーム(21,22)は、基準平面(28)に対して平行に延在し、
前記アーム(21,22)のうちの少なくとも一方は、前記アームの外端に接点素子(31,32)を備え、
前記接点素子(31,32)は、前記アーム(21,22)のうちの少なくとも一方の揺動運動によって移動可能であり、
前記受動素子(4)は、これらの揺動運動により、前記能動素子(1)に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
前記受動素子(4)は、少なくとも1つの接点エリア(41,42)を備え、前記少なくとも1つの接点エリア(41,42)は、個々の接点素子(31,32)と接触するように配置され、
前記少なくとも1つの接点エリア(41,42)は、凹形状を有していて、2つの内面は互いに対向し、前記個々の接点素子(31,32)は、前記2つの内面間を移動しかつ前記2つの内面で接触するように配置されることを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項17】
前記少なくとも1つの接点エリア(41,42)は、U字形状を有していて2つのアームを備え、かつ前記個々の接点素子(31,32)は、前記U字形の2アーム間を移動しかつ前記U字形である2アームの内面で接触するように配置される、かつ具体的には、前記少なくとも1つの接点エリア(41,42)は、曲がったシートメタル片として一体製造される、請求項16に記載の駆動ユニット。
【請求項18】
前記接点素子(31,32)は、平坦な接触面を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項19】
共振器長さは、共振器軸(24)に沿った、前記アーム(21,22)の端からそれらの釣り合い錘セクションの対向する端までの前記共振器のサイズとして画定され、前記基準平面(28)上へ投影される平坦な各接触面の延長部(d)は、前記共振器長さの1/10~1/100、具体的には前記共振器長さの1/20~1/80である、請求項24に記載の駆動ユニット。
【請求項20】
前記共振器(2)の長さは、3~5ミリメートル、具体的には4ミリメートルであり、前記平坦な領域の延長部(d)は、0.05ミリメートル~0.15ミリメートル、具体的には0.08ミリメートル~0.12ミリメートル、具体的には0.1ミリメートルである、請求項25に記載の駆動ユニット。
【請求項21】
前記共振器(2)および/または前記受動素子(4)の表面は、高精度の振動仕上げまたは化学研磨で処理される、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項22】
前記接点エリア(41,42,41a,42a)内の前記受動素子(4)上には、摩耗抑制要素が配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項23】
前記摩耗抑制部は、前記受動素子(4)の周囲領域より硬度が高い材料で製造され、または、前記受動素子の材料を硬化処理することによって作製される、請求項22に記載の駆動ユニット。
【請求項24】
前記摩耗抑制部は、セラミック材料製である、請求項22~請求項23のいずれかに記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型駆動装置、たとえば圧電駆動装置の分野に関する。より具体的には、本発明は、対応する独立請求項の前提部分に記載されている駆動ユニットおよび駆動ユニットを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような駆動装置は、たとえば、本出願人の国際公開第2006/000118号パンフレットまたは米国登録特許第7,429,812号明細書に開示されている。このような駆動装置については、具体的にはそれらの構造を単純化すること、かつこれらを小型化および大量生産により適したものにすることにより、さらに改良することが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、構造が単純化されかつ/または性能が向上した、当初述べたタイプの駆動ユニット、およびこのような駆動ユニットを動作させるための方法を作成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的は、特許請求の範囲に記載の駆動ユニット、および駆動ユニットを動作させるための方法によって達成される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、受動素子を能動素子に対して駆動するための駆動ユニットが提供され、能動素子は、
共振器と、共振器内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段とを備え、
共振器は、共振器の接続領域から延びる少なくとも2つのアームを備え、
接続領域およびアームは、基準平面に対して平行に延在し、
アームのうちの第1のアームはその外端に接点素子を備え、
接点素子は、第1のアームの揺動運動によって移動可能であり、
受動素子は、これらの揺動運動により、能動素子に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
受動素子は、第1の接点エリアを備え、第1の接点エリアは、第1の接点素子と接触するように配置される。
【0006】
ここで、少なくとも2つのアームは、接続領域から略対称式に延び、
共振器およびそのパーツは、単一の材料片として一体成形され、
かつ第2のアームは、受動素子と接触しないように配置される。
【0007】
第1の態様による本発明は、単独で実装されることも、他の態様のうちの1つまたはそれ以上による本発明と組み合わせて実装されることも可能である。
【0008】
したがって、第2のアームは、受動素子を駆動しない。受動素子を駆動するただ1つのアームを有することにより、下記のうちの1つまたはそれ以上が可能となる。
【0009】
・ 回転駆動装置を、第1のアームの反対側の受動素子用ベアリングとして作用しかつ受動素子を駆動するトルクを与えないさらなるアームを有するように、構成することができる。さらなるアームおよび駆動アームを、共振器と同じ(基準)平面内に置くことができ、構造が単純化する。
【0010】
・ 基準平面または共振器平面に対して平行に作用するプレストレス力を、たとえばこのようなさらなるアームによって加えることができ、被駆動部にも作用させることができる。
【0011】
・ 受動素子が共振器平面において能動素子の2アーム間を移動する駆動装置とは対照的に、線形駆動装置を、前記平面内に任意の長い直線運動範囲を有するように構成することができる。
【0012】
典型的には、接点素子の運動は、概して楕円形であって、基準平面上への射影に見られる-時計回りまたは反時計回りの-運動方向は、本出願人の先の国際公開第2006/000118号パンフレットまたは米国登録特許第7,429,812号明細書で説明されているように、励起手段の励起周波数によって制御することができる。
【0013】
実施形態において、共振器およびそのパーツは、単一片のシート材料で、具体的にはシートメタルで、製造される。
【0014】
実施形態において、第2のアームは、第1のアームの揺動運動のバランスをとる揺動運動によって移動するように配置される。
【0015】
すなわち、励起手段が、受動素子を能動素子に対して駆動するための周波数で励起されると、第1のアームおよび第2のアームは、互いに釣り合う運動で振動する。
【0016】
ここに提示する類の共振器は、典型的には、共振器の幾何学的形状の対称軸に対応する共振器軸を有する。概して平面形状である共振器の場合、共振器軸は、その基準平面内にある。共振器軸に対する対称性は、アームの全体形状に対応するものと理解され、よって、アーム形状の詳細に完全に一致するものではないことがある。
【0017】
したがって、これらの少なくとも2つのアームは、接続領域から略対称式に延びるが、それらの形状または輪郭の詳細は、異なる可能性がある。たとえば、アームが延びる方向で測定すると、一方のアームは、他方のアームより短いことがある。たとえば、それは、他方のアームより最大10%、または最大20%、または最大30%、または最大40%短いことがある。
【0018】
共振器軸に関して、または対称点に関して互いに対称的に配置されているアームは、それらの揺動時に、アームの運動が互いにバランスをとることを可能にする。その結果、共振器の揺動運動は、共振器軸に対して略対称にされることが可能である。
【0019】
実施形態において、共振器が共振器を担持する別の素子へ付着される1つまたは複数のアタッチメント領域は、共振器軸上にある。
【0020】
実施形態において、励起手段の中心は、共振器軸上にある(何れもが基準平面上へ投影される)。
【0021】
実施形態において、共振器軸は、能動素子の動作中に揺動の振幅が最も低くなる共振器エリアに対応する。
【0022】
実施形態において、第1のアームおよび第2のアームは、互いに対して2回回転対称に配置され、対称軸は基準平面に垂直である。
【0023】
2回回転対称は、本体が対称軸を中心とする0゜回転によってそれ自体と一致する、軸対称の特殊な一事例である。
【0024】
実施形態において、第1のアームおよび第2のアームは、互いに対して鏡面対称に配置され、鏡平面は基準平面に垂直であり、第1のアームおよび第2のアームは鏡平面の反対側にそれぞれ配置され、
・第1のアームと第2のアームのいずれかが、鏡平面に対して垂直方向に延び、または
・第1のアームおよび第2のアームが、鏡平面に対して垂直方向に延びる。
【0025】
実施形態において、鏡平面は、共振器軸を含む。この場合、第1のアームおよび第2のアームが共振器軸の反対側にそれぞれ配置され、実施形態に応じて、それぞれ共振器軸に対して平行方向または垂直方向に延びることもある。
【0026】
実施形態において、受動素子は、第1のアームによって駆動されると、直線運動で移動するように配置される。
【0027】
実施形態において、受動素子は、第1のアームによって駆動されると、回転運動で移動するように配置される。
【0028】
実施形態において、能動素子は、第1のアームおよび第2のアームに加えてベアリングアームを備え、ベアリングアームは、具体的には能動素子が励起されていないときに、ベアリングアームに、第1のアームに抗して、具体的には第1のアームの第1の接点素子に抗して受動素子にプレストレス力を印加させるベアリング領域を備える。
【0029】
プレストレス力は、ベアリングアームの永久歪みにより、具体的にはベアリングアームの屈曲、捻れおよび/またはせん断により、発生させることができる。
【0030】
実施形態において、能動素子が、第1のアームにより能動素子に対して受動素子を駆動するための周波数で励起されると、ベアリングアームは、受動素子に受動素子を能動素子に対して駆動する力を与えることなく、揺動する。
【0031】
実施形態において、能動素子が、第1のアームにより能動素子に対して受動素子を駆動するための周波数で励起されると、揺動するベアリングアームのベアリング領域は、交互に、受動素子へ向かって移動して、これにより受動素子と接触するに至り、かつ、受動素子から離れて移動して、これにより受動素子との接触を失う。
【0032】
実施形態では、励起手段が、第1のアームにより能動素子に対して受動素子を駆動するための周波数で励起される場合、ベアリングアームは、少なくとも3つの揺動節を含む。
【0033】
ベアリングアームは、第2のアームおよび第1のアームとは区別的なものである。言い換えれば、ベアリングアームと、第2のアームおよび第1のアームとは、同じアームではない。
【0034】
実施形態において、ベアリング領域は、間に受動素子が配置される複数のベアリングフィンガを備える。
【0035】
実施形態において、接続領域は、略矩形形状である。励起手段も、典型的には、略長方形である。接続領域の矩形近似に対応する矩形の辺は、励起手段の矩形近似に対応する矩形の辺と平行に位置合わせされることが可能である。
【0036】
共振器およびそのパーツが一体成形されていることは、言い換えれば、接続領域、第1および第2のアーム、アタッチメント領域および場合によりベアリングアームなどの共振器のパーツが、共振器と共に単一の部品として製造されることを意味する。これは、たとえば、共振器をシートメタル片からスタンピングまたはカットすることにより、または鋳造により、または付加製造プロセスにより行うことができる。
【0037】
駆動ユニットを動作させるための方法は、能動素子を、第1のアームにより揺動運動を実行することによって受動素子を能動素子に対して駆動し、かつベアリングアームにより受動素子を能動素子に対して断続的に保持しかつ解放するための周波数で、励起するステップを含む。
【0038】
周波数に依存して、能動素子は、受動素子を第1の方向に、または第1の方向とは反対の第2の方向に移動するべく駆動することができる。実施形態において、受動素子による運動は、並進運動である。他の実施形態において、それは、回転運動である。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、受動素子を能動素子に対して駆動するための駆動ユニットが提供され、能動素子は、
共振器と、共振器内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段とを備え、
共振器は、共振器の接続領域から延びる少なくとも1つのアームを備え、
接続領域および少なくとも1つのアームは、基準平面に対して平行に延在し、
少なくとも1つのアームはその外端に接点素子を備え、
接点素子は、少なくとも1つのアームの揺動運動によって移動可能であり、
受動素子は、これらの揺動運動により、能動素子に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
受動素子は、第1の接点エリアを備え、第1の接点エリアは、第1の接点素子と接触するように配置される。
【0040】
ここで、具体的には能動素子が励起されていないときに、少なくとも第1の接点素子を第1の接点エリアに向かって押すプレストレス力を加えるための弾性プレストレス素子が配置され、かつ、
受動素子は、プレストレス力により、能動素子に抗して所定位置に保持される。
【0041】
第2の態様による本発明は、単独で実装されることも、他の態様のうちの1つまたはそれ以上による本発明と組み合わせて実装されることも可能である。
【0042】
したがって、プレストレス力は、能動素子と受動素子との間に作用して、1つまたは複数のアームの揺動運動による駆動効果を高めるだけでなく、駆動装置の構造、かつ具体的には能動素子と受動素子との間の、典型的には能動素子および受動素子が搭載されるベース素子と被駆動部との間のジョイントの構造、を単純化することをも可能にする。
【0043】
受動素子が所定位置に保持されているとは、これがプレストレス力のためではないとしても、受動素子-および場合により、受動素子に接続されるさらなる素子-は、能動素子に対するその位置またはそれらの位置から自由に動けることを意味する。換言すれば、作用するプレストレス力がなければ、能動素子および受動素子は崩壊する。
【0044】
実施形態において、受動素子および能動素子は、被駆動部をベース素子に対して移動するように配置され、被駆動部は、ジョイントによってベース素子に対するその運動を部分的に抑制され、かつ被駆動部は、プレストレス力によってジョイント内に保持される。この場合も、プレストレス力がなければ、ベース素子および被駆動部は、互いに対するそれらの場所から自由に出ることができる。
【0045】
実施形態において、プレストレス力は、共振器平面内で、ひいては基準平面に平行に作用する。
【0046】
概して、被駆動部をベース素子に対して移動する場合、1つの駆動ユニットだけでなく、2つ以上の駆動ユニットも配置されることが可能である。
【0047】
実施形態において、ジョイントは、ベース素子と被駆動部との間に配置されるローラを備えるローリングジョイントである。
【0048】
ローラは、たとえば、球面ローラ、円筒ローラまたは樽形ローラであってもよい。
実施形態において、プレストレス力は、ローリングジョイントの全てのローラに作用する。
【0049】
言い換えれば、全てのローラは、プレストレス力が能動素子および受動素子を互いに向かって押すロケーションに配置される。
【0050】
実施形態において、ジョイントは、回転ジョイント、直線ジョイントまたは平面ジョイントである。
【0051】
実施形態において、ジョイントは、被駆動部の、ベース素子に対する、直線軸に沿った、または平面内での相対運動を可能にし、かつ前記直線軸または直線平面に対して垂直方向の相対運動を制限し、かつ反対方向の相対運動を抑制せず、プレストレス力は、反対方向の相対運動を抑制する。
【0052】
実施形態において、ジョイントは、被駆動部の、ベース素子に対する、回転軸を中心とする相対運動を可能にし、かつ前記回転軸に対して垂直方向の相対運動を制限し、かつ反対方向の相対運動を抑制せず、プレストレス力は、反対方向の相対運動を抑制する。
【0053】
本発明の第3の態様によれば、受動素子を能動素子に対して駆動するための駆動ユニットが提供され、能動素子は、
共振器と、共振器内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段とを備え、
共振器は、共振器の接続領域から延びる少なくとも2つのアームを備え、
接続領域およびアームは、基準平面に対して平行に延在し、
アームの各々はその外端に個々の接点素子を備え、
接点素子は、個々のアームの揺動運動によって移動可能であり、
受動素子は、これらの揺動運動により、能動素子に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
受動素子は、第1および第2の接点エリアを備え、各接点エリアは、第1および第2の接点素子の個々の1つと接触するように配置される。
【0054】
ここで、共振器は、
共振器がベース素子に対して回転するように配置される、その回転の中心である旋回セクションと、
共振器の弾性部を備える反力セクションと、を備え、弾性部は、ベース素子に搭載されると、接点エリアにおいて共振器と受動素子との間に作用するプレストレス力により引き起こされる、旋回セクションの周りのプレストレストルクによって弾性的に変形される。
【0055】
第3の態様による本発明は、単独で実装されることも、他の態様のうちの1つまたはそれ以上による本発明と組み合わせて実装されることも可能である。
【0056】
これにより、具体的には駆動装置の小型化のために、駆動装置および関連パーツの構造を単純化することが可能となる。
【0057】
実施形態において、共振器およびそのアームに外力が加えられない場合、これらは、基準平面に平行に延在する。ベース素子などの別の素子に搭載されると、かつ/または受動素子と接触した場合、共振器のパーツ、具体的にはそのアームおよび/または反力セクションは、弾性的に変形されて基準平面から移動され得る。相応して、プレストレス力は、共振器または基準平面に対し、ある角度で作用することができる。この角度は、75゜超、85゜超、かつ具体的には直角であり得る。
【0058】
実施形態において、共振器は、その全ての素子が基準平面に平行である、平坦な物体として製造されることが可能であり、その後、駆動ユニットの他の素子と共に搭載される前に、塑性変形されることが可能である。
【0059】
実施形態において、反力セクションは、具体的には変形されない場合、基準平面内で旋回セクションのアームと同じ側に延在する。
【0060】
実施形態において、反力セクションは、具体的には変形されない場合、基準平面内で旋回セクションのアームとは反対側に延在する。
【0061】
実施形態において、反力セクションは、具体的には変形されない場合、基準平面に対してある角度で延在する。
【0062】
本発明の第4の態様によれば、受動素子を能動素子に対して駆動するための駆動ユニットが提供され、能動素子は、
共振器と、共振器内で揺動を励起するための少なくとも1つの励起手段とを備え、
共振器は、共振器の接続領域から延びる少なくとも2つのアームを備え、
接続領域およびこれらのアームは、基準平面に対して平行に延在し、
アームのうちの少なくとも一方はその外端に接点素子を備え、
接点素子は、アームのうちの少なくとも一方の揺動運動によって移動可能であり、
受動素子は、これらの揺動運動により、能動素子に対して駆動されかつ移動されるように配置され、
受動素子は、少なくとも1つの接点エリアを備え、この少なくとも1つの接点エリアは、個々の接点素子と接触するように配置される。
【0063】
ここで、少なくとも1つの接点エリアは、凹形状を有していて、2つの内面は互いに対向し、個々の接点素子は、2つの内面間を移動しかつ2つの内面で接触するように配置される。
【0064】
第4の態様による本発明は、単独で実装されることも、他の態様のうちの1つまたはそれ以上による本発明と組み合わせて実装されることも可能である。
【0065】
これにより、相対的な能動素子および受動素子が付着されるパーツを、駆動装置の直線運動軸に対して垂直方向へ互いに相対して移動することが可能になる。これにより、接点素子は凹部の間に保持され、よって、接触を失わない。
【0066】
実施形態において、少なくとも1つの接点エリアは、U字形状を有していて2つのアームを備え、かつ個々の接点素子は、U字形の2アーム間を移動しかつU字形である2アームの内面で接触するように配置される。
【0067】
実施形態において、少なくとも1つの接点エリアは、曲がったシートメタル片として一体製造される。
【0068】
実施形態において、接点素子は、平坦な接触面を備える。
実施形態において、共振器長さは、共振器軸に沿った、アームの端からそれらの釣り合い錘セクションの対向する端までの共振器のサイズとして画定され、基準平面上へ投影される平坦な各接触面の延長部(d)は、共振器長さの1/10~1/100、具体的には共振器長さの1/20~1/80である。
【0069】
実施形態において、共振器長さは、3~5ミリメートル、具体的には4ミリメートルであり、平坦な領域の延長部(d)は、0.05ミリメートル~0.15ミリメートル、具体的には0.08ミリメートル~0.12ミリメートル、具体的には0.1ミリメートルである。
【0070】
実施形態において、共振器および/または受動素子の表面は、高精度の振動仕上げまたは化学研磨で処理される。
【0071】
実施形態において、接点エリア内の受動素子上には、摩耗抑制要素が配置される。
実施形態において、摩耗抑制部は、受動素子の周囲領域より硬度が高い材料で製造され、または、受動素子の材料を硬化処理することによって作製される。
【0072】
実施形態において、摩耗抑制部は、セラミック材料で製造される。
概して、全ての態様で、第1および第2のアームの幅は、アームの幅と同じ方向かつ基準平面に対して平行方向に測定した場合に、接続領域の幅の10%超、かつ60%未満、または40%未満であり得る。
【0073】
概して、全ての態様で、第1および第2のアームの長さは、アームの長さと同じ方向かつ基準平面に対して平行方向に測定した場合に、接続領域の長さの20%超、または40%超、または60%超、または80%超、または100%超であり得る。
【0074】
概して、全ての態様で、接続領域および励起手段は、基準平面上へ投影される場合に、100平方ミリメートル未満、または50平方ミリメートル未満、または25平方ミリメートル未満の面積を有し得る。
【0075】
さらなる実施形態は、特許請求の従属請求項から明らかである。方法クレームの特徴は、デバイスクレームの特徴と組み合わされ得、逆もまた同様である。
【0076】
以下、添付の図面に示されている例示的実施形態を参照して、本発明の主題をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】一方のみが受動素子と接触してこれを駆動する1対のアームを有する共振器を備えた能動素子を有する駆動装置である。
図2】1対のアームを異なる配置で有する共振器である。
図3】ベアリングとして作用する追加のアームを有する駆動装置である。
図4】このタイプの駆動装置のアームの一配置である。
図5】このタイプの駆動装置のアームの異なる配置である。
図6】このタイプの駆動装置のアームの異なる配置である。
図7】プレストレス素子を伴う一配置である。
図8】プレストレス素子を伴う異なる配置である。
図9】プレストレス素子を伴う異なる配置である。
図10】プレストレス力がベース素子および被駆動部を共に保持する駆動ユニットを示す図である。
図11】プレストレス力がベース素子および被駆動部を共に保持する駆動ユニットを示す図である。
図12】プレストレス力がベース素子および被駆動部を共に保持する駆動ユニットを示す図である。
図13】プレストレス力を発生するための一体型反力セクションを有する共振器である。
図14】反力セクションの一構成である。
図15】反力セクションの異なる構成である。
図16】反力セクションの異なる構成である。
図17】能動素子が受動素子の凹領域に接触しかつこれを駆動する駆動ユニットである。
図18図17の分解図である。
図19】接点素子の詳細である。
図20】回転受動素子を有する一実施形態である。
図21】回転受動素子を有する一実施形態である。
図22】回転受動素子を有する一実施形態である。
図23】回転受動素子を有する一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
原則的に、諸図を通じて、同一のパーツ、または機能的に同一のパーツには、同じ参照符号が付されている。
【0079】
図1は、能動素子1を有する駆動装置を示し、能動素子1は、1対のアーム、すなわち第1のアーム21および第2のアーム22であって、そのうちの第1のアーム21のみが受動素子受動素子4と接触してこれを駆動する1対のアーム、を有する共振器2を備える。アーム21,22およびアタッチメント領域14は、共振器2の接続領域20へ付着される。アタッチメント領域14は、共振器2をベース素子5(図7図12に示す)などの別のパーツへ搭載する働きをする。接続領域20上には、励起手段23、たとえば圧電素子、が配置される。励起手段23は、励起手段23の反対の両側に配置される2つの別個の素子(図11図13図18に見ることができる)を備えてもよい。共振器2および励起手段23は、互いに積み重ねられて基準平面28に平行に延在する平坦な素子である。交流電圧により励起周波数で励起されると、アーム21,22は、揺動し、周波数に依存して、第1のアーム21の第1の接点素子31は、略楕円運動を実行させられる。周波数に依存して、この運動は、時計回り(矢印が示す通り)である場合も、反時計回りである場合もある。これにより、第1の接点素子31は、能動素子1に対して受動素子4の第1の接点エリア41に繰り返し接触しかつこれを駆動する。この実施形態において、受動素子4は、図示されていないベアリング手段により、直線運動軸26に沿って移動することができる。
【0080】
第1のアーム21および第2のアーム22は、平坦な材料片から製造される場合、接続領域20から略対称式に延びるが、それらの形状の詳細、具体的には輪郭が異なり得る。共振器軸24は、そこで共振器2、具体的には接続領域20およびアーム21,22が、先に述べたアームの詳細を除いて、鏡像化され得る対称軸に対応する。励起手段23により励起された場合の接続領域20およびアーム21,22の動きは、概して、同じ対称軸による対称性であり得る。この動きのノード、すなわち最小の動作領域は、共振器軸24上に位置決めされ得る。能動素子1を別の素子上へ搭載するためのアタッチメント領域14も、共振器軸24上に位置決めされ得る。
【0081】
図2は、1対のアームを異なる配置で有する共振器を示し、図1におけるアーム21,22が共振器軸24に対して平行に延びているのに対して、図2では、共振器軸24に対して直角に延びている。共振器2は、第1のアーム21のみで唯一の受動素子4(図2には示されていない)を駆動するように配置されることが可能であって、第2のアーム22は、第1のアーム21の動きのバランスをとる働きをする。
【0082】
図3は、既に提示されている素子に加えて、この場合は能動素子1と相対的に回転するように配置される受動素子4を支持する、ベアリングとして作用するベアリングアーム8を伴う駆動装置を示す。この場合も同じく、受動素子4の駆動は、受動素子4の第1の接点エリア41に接触しかつこれを揺動運動により駆動する第1の接点素子31によって実行される。同時に、ベアリングアーム8のベアリング領域81は、受動素子4に向かって、かつ受動素子4から離れて揺動する。図3において、この動きは二重矢印で表されている。この方式において、ベアリングアーム8は、第1の接点素子31が受動素子4を駆動する間の、受動素子4に作用する接触力を低減する。これにより、受動素子4の運動が促進される。
【0083】
ベアリングアーム8の運動、ひいてはベアリング領域81の運動は、ベアリングアーム8の長さを調整することによって、第1のアーム21の運動と同期されることが可能である。受動素子4を反対の2方向へ移動するべく第1のアーム21を駆動するための2つの揺動周波数を所与とすれば、ベアリングアーム8の曲げセクション84の長さは、これらの2周波数の双方で、曲げセクション84が先に述べたようにベアリング領域81を移動するべく揺動するように選択されることが可能である。2つの周波数は、第1のアーム21が周波数に従って異なる方向へ揺動するが、ベアリングアーム8の揺動モードは双方の周波数で略同じであるように、互いに近しく選択されることが可能である。
【0084】
励起周波数に依存して、ベアリングアーム8は、対応する揺動モードを呈する。このようなモードは、揺動ノードの位置によって特徴付けられ得る。たとえば、ノードは、次のような少なくとも3つが存在し得る。
【0085】
・ ベアリングアーム8が接続領域20へ付着される点に近い、たとえば、図3におけるC字形の曲がりにおける1つ、
・ ベアリングアーム8が方向を変える点に近い、たとえば図3におけるL字形の曲がりにおける1つ、
・ ベアリング領域81に近い1つ。
【0086】
駆動装置が励起されていないとき、ベアリングアーム8は、静止位置にあって、受動素子4を第1の接点素子31に向かいかつこれを押すプレストレス力を働かせ、これにより、受動素子4の運動を抑止する。
【0087】
図4図6は、このタイプの駆動装置用の、異なる配置のアームをおおまかに略示したものである。図4は、図3の配置に対応していて、両アームは、共振器軸24に対して平行に延びている。図5は、両アームが共振器軸24に対して直角に延びる配置を表す。図5は、両アームが一点対称または2回回転対称に配置される配置を表す。これらの構成において、2アームの揺動は、互いにバランスをとり合うことができる。
【0088】
図7図9は、プレストレス素子を備える異なる配置を高度に略示したものである。各図は、能動素子1から受動素子4までの運動連鎖を示し、能動素子1は、ベース素子5へリンクされていて、受動素子4は、被駆動部7へリンクされている(概して、この関連づけは慣例であり、すなわち、視点次第で、能動素子1が被駆動部へリンクされるものとされ、かつ受動素子4がベース素子へリンクされるものと考えることもできる)。ベース素子5および被駆動部7は、直線ジョイント52、または鎖を完成させる平面ジョイントなどのジョイントによってリンクされる。同じ運動連鎖でも、回転ジョイント52’を用いるものが図21図23に示されている。ジョイントは、ベース素子5と被駆動部7との間のローラ54によって実装されることが可能である。連鎖は、能動素子1と受動素子4との間に、またジョイント上にも力を及ぼすための弾性プレストレス素子6を備える。プレストレス素子6は、連鎖に沿った様々な位置のうちの1つに配置されることが可能である。
【0089】
図7によれば、プレストレス素子6は、ベース素子5の2パーツ間、またはベース素子5と能動素子1との間に配置される。
【0090】
図8および図9によれば、それは、被駆動部7の2パーツ間、または被駆動部7と受動素子4との間に配置される。図8では、能動素子1に対する受動素子4の運動方向または直線運動軸26が、能動素子1の共振器軸24に対して垂直であるが、図9では、平行である。
【0091】
プレストレス素子6は、プレストレス力を、能動素子1と受動素子4との間だけでなく、被駆動部7とベース素子5とのジョイントにも及ぼす。ジョイント内に複数のローラ54が存在する場合、プレストレス力は、これらにも作用する。プレストレス力は、被駆動部7およびベース素子5を互いに向かって押す。これは、そうでなければ被駆動部7およびベース素子5を所定位置で互いに抗して保持するために必要となる素子を省くことができるという理由で、ジョイントの構造の単純化を可能にする。
【0092】
他の実施形態では、2つ以上のプレストレス素子6が存在してもよい。
他の実施形態では、ベース素子5と被駆動部7との間に、角運動の範囲が限定されかつジョイントの片側にのみローラを有する回転ジョイントまたは球面ジョイントが存在する。この配置は、図7の配置に対応するものであるが、被駆動部7およびベース素子5の対向する側面は、ローラ54により分離される同心の円筒または球を形成する。
【0093】
図10図12は、プレストレス力が、図7図9を参照して先に述べたように、ベース素子5および被駆動部7を共に保持する、駆動ユニットの図を示す。図7図9との違いは、共振器2の双方のアームが受動素子4に、第1のアーム21上の第1の接点素子31によって、かつ第2のアーム22上の第2の接点素子32によって接触することにある。図11の分解図には、2つのローラ54が示されている。ベース素子5と被駆動部7との間には、第3のローラに代えて、すり接点が存在する。
【0094】
図13は、図10図12の配置で使用されるような、プレストレス力を発生するための一体型反力セクション62を有する共振器2を示す。アーム21,23を伴う接続領域20に加えて、共振器2は、共振器2の他のパーツと一体成形されることが可能な反力セクション62も備える。被駆動部7に搭載されると、共振器2は、共振器2の旋回セクション61を中心に-ある程度-自由に回転することができる。共振器2、および具体的には反力セクション62および旋回セクション61は、図10図12に示すように、接点素子31および32に作用する力、および反力セクション62がベース素子5の対応するパーツの下にクランプされる力印加領域63に作用する力によって弾性変形される。この弾性変形は、一方で第1の接点素子31と、第2の接点素子32と、受動素子4との間に及ぼされるプレストレス力に対応する。一方で、プレストレス力は、受動素子4および被駆動部7全体をベース素子5に向かって下方へ押すことにより、被駆動部7とベース素子5との間のジョイントのローラ54へ及ぼされる。
【0095】
図14図16は、反力セクション62の異なる構成を示す略図である。図14は、アーム21,22が、負荷がかかっていないときは反力セクション62および基準平面28に対して平行であり、接点素子31,32および力印加領域63に作用する力によって負荷がかかっているときは、旋回セクション61で反力セクション62および基準平面28とは互いに離れて曲げられる、図13の構成を示す。図15は、反力セクション62がアーム21,22に対しある角度を成して上方へ延在する構成を示す。別の実施形態において、反力セクション62は、ある角度で下方へ延在する。図15は、反力セクション62がアーム21,22と平行に、但し負荷がかかっていないときは反対方向に延在する構成を示す。
【0096】
図17は、能動素子が受動素子の凹領域に接触しかつこれを駆動する駆動ユニットを示し、図18は、これを分解図で示している。能動素子1は、既出の素子を備える。受動素子4は、受動素子4を、たとえば被駆動部7またはベース素子5へ付着するためのアタッチメントセクションおよび取付穴47を備える。第1のアタッチメントセクション45は、第1の接点エリア41を支持し、かつ第2のアタッチメントセクション46は、第2の接点エリア42を支持する。各接点エリア41,42、および場合により受動素子4全体は、たとえばシートメタルであるシート材料の平坦な部分から製造される。接点エリア41,42は、凹形状、具体的にはU字形を形成するように曲げられる。各接点素子31,32は、個々の接点エリア41,42に、この凹形状内へ突っ込むことによって接触するように配置される。受動素子4は、直線運動軸26に沿って移動するように駆動されることが可能である。アタッチメントセクション45,46は、運動方向に比較的剛性であり、かつ直線運動軸26に対して垂直方向に比較的弾性である。これは、駆動装置がこれらの方向における心狂いおよび動きを吸収することを可能にする。同時に、個々の接点エリア41,42の凹形状は、接点素子31,32を接点エリア41,42内に保持する。
【0097】
図17は、励起手段23を構成する2つの圧電プレートを接続領域20に対してクランプする接点素子13も示している。圧電プレートを駆動するための電気接点は、一方で接点素子13によって、かつ一方で共振器2およびそのアタッチメント領域14によって構成される。
【0098】
図示されていない他の実施形態において、第2のアーム22は、対応する第2の接点エリア42と接触しない。したがって、受動素子4は、第1のアーム21によってのみ駆動される。
【0099】
図19は、基準平面28における接点素子31の接触面の延長部dを示す。この延長部は、共振器長さに関連づけられ得るが、共振器長さは、共振器軸24に沿ったアーム21,22の端からそれらの釣り合い錘セクション(もしあれば)の対向する端までの共振器サイズとして画定される。言い換えれば、共振器長さは、共振器軸24に沿った方向における、固定エリアまたは支持エリア27なしの共振器2のサイズである。平坦な接触面の延長部dは、基準平面28上へ投影される平坦領域の射影上で測定される。
【0100】
接触面は、受動素子4と断続的に接触する表面を含む。その形状が、受動素子4上の対応する接点エリアの表面の形状に対応することにより、接触力は、接触面全体に渡って分散され、これにより、接点素子の摩耗が低減される。
【0101】
図19の実施形態において、接触面は、平坦であり、かつ平坦な接触面の位置は、図9図18のうちのいずれかのように配置される受動素子4に対応する。図1図7および図8による実施形態において、平坦な接触面は、受動素子4に面する個々の接点素子31上に配置されることが可能である。
【0102】
図3、および図20図23による実施形態において、接触面は、受動素子4の外径に従って曲げられ、かつ受動素子4に面する個々の接点素子31上に配置されることが可能である。接触面の延長部dは、表面の曲線を辿る円弧に沿って測定される。
【0103】
図20図23は、回転式の受動素子4および/または被駆動部を伴う実施形態を示す。その運動構造は、各々、図1図7図8および図9のそれに対応するものであるが、直線ジョイント52が回転ジョイント52’に代わっている。その他の機能、および能動素子1と受動素子4との相互作用は、同じである。
【0104】
図20によれば、図1の受動素子4は、直線運動軸26に沿って直線的に移動可能である代わりに、回転運動軸26’を中心にして回転可能である。
【0105】
図21によれば、プレストレス素子6は、ベース素子5の2パーツ間、またはベース素子5と能動素子1との間に配置される。
【0106】
図22および図23によれば、プレストレス素子6は、被駆動部7の2パーツ間、または被駆動部7と受動素子4との間に配置される。図22では、受動素子4の、第1の接点エリア41における接線方向運動が、能動素子1の共振器軸24に対してほぼ垂直であり、図23では、平行またはほぼ平行である。
【0107】
本発明を本実施形態で説明したが、本発明がこれに限定されず、他に特許請求の範囲内で様々に具現されかつ実施され得ることは、明確に理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】