(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】非晶質のPI3K阻害剤及びこれを含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20220706BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220706BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220706BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220706BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220706BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C07D471/04 118A
C07D471/04 CSP
A61K31/519
A61P37/02
A61P35/00
A61P29/00
A61P35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566580
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 IB2020054365
(87)【国際公開番号】W WO2020225782
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0054507
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521489160
【氏名又は名称】ボリュン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BORYUNG PHARMACEUTICAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】136,Changgyeonggung-ro,Jongno-gu,Seoul 03127,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンホン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンクヮン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジハン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ04
4C065KK01
4C065LL07
4C065PP19
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA11
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、非晶質のPI3K阻害剤及びこれを含有する医薬組成物に関する。本発明によると、溶解性と生体利用率を向上させ、安定性に優れた新規な非晶質PI3K阻害剤及びこれを含有する医薬組成物を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物の非晶質。
[化学式1]
【請求項2】
前記非晶質化合物は、粉末X線回折パターンがハローパターンを示すものである、請求項1に記載の化学式1で表される化合物の非晶質。
【請求項3】
昇温速度が10℃/minである場合、281~285℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移を有する、請求項1に記載の化学式1で表される化合物の非晶質。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の非晶質化合物及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項5】
PIK3関連疾患の予防又は治療用の請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
癌疾患の予防又は治療用の請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一つに記載の非晶質化合物の治療学的に有効な量を対象に投与するステップを含む、癌疾患の治療方法。
【請求項9】
前記癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項8に記載の治療方法。
【請求項10】
癌疾患の予防又は治療用薬剤の製造のための、請求項1~3のいずれか一つに記載の非晶質化合物の使用。
【請求項11】
前記癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質のPI3K阻害剤及びこれを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3 kinase;PI3K)は、タンパク質の代わりに脂質分子をリン酸化する脂質キナーゼ(lipid kinase)であって、細胞生存(cell survival)、シグナル伝達(signal transduction)、細胞膜透過の調節(control of membrane trafficking)などで重要な役割を果たす。これらの調節に問題が生じると、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患などが発生する。
【0003】
近年、PI3キナーゼに対して選択的阻害効果を示す新規な構造の化合物を開発する研究の結果が報告されており、具体的に、国際公開特許 WO2016/204429号は、PI3キナーゼ阻害活性を有し、癌、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患などの治療に有効な化合物を開示しており、本明細書において参考文献として含まれる。
【0004】
医薬品の製造過程において、適正な投与剤形を設計する際には、医薬品原料の物理的な状態、即ち、結晶質であるかそれとも非晶質であるかが非常に重要である。
【0005】
しかし、非晶質は、一般に粒子が小さく表面積が広いためフィルタリングが難しい、不安定なため流通期間が短くなる、そして薬の放出や血中濃度の調節が難しいなど、様々な問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開特許 WO2016/204429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、苛酷な条件下及び長期保存下における安定性に優れ、溶解性と生体利用率を向上できる、下記化学式Iで表されるPI3K阻害剤の非晶質を提供することである。
[化学式1]
【0008】
本発明の目的は、化学式Iで表される化合物の非晶質を有効成分として含有する医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、P13キナーゼ阻害活性を有するものとして知られているヘテロアリール誘導体の一つである(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン(以下、化学式1の化合物)を製剤学的に用いるために、長期間安定性を保ち、かつ産業化にも適用可能な非晶質を開発するため鋭意研究に努めてきた。その結果、前記化合物を非晶質に変換することで、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能であることが分かった。また、非晶質のP13K阻害剤は、高い溶解度を示すため血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、前記化合物の非晶質は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できることを確認して本発明を完成した。
[化学式1]
【0010】
本発明では、非晶質のP13K阻害剤を提供する。
【0011】
本発明の非晶質のP13K阻害剤は、生体利用率が高いため優れた治療効果を有しつつも安定性が非常に高い。
【0012】
本発明の非晶質のP13K阻害剤は、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明の非晶質のP13K阻害剤を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持できる。そのため、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、類縁物質の発生が非常に少なく、優れた安定性を長期間保持できる。また、非晶質のP13K阻害剤は、大量生産にも容易に適用可能である。
【0013】
本発明の非晶質のP13K阻害剤は、高い溶解度を示すため、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、癌疾患を効果的に治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。
【0014】
本発明の非晶質のP13K阻害剤は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0015】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0016】
非晶質のP13K阻害剤
下記化学式1の化合物の非晶質を提供する。
[化学式1]
【0017】
本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、非晶質のPI3K阻害剤は、生体利用率が高く優れた治療効果を示し、かつ高い安定性を有することができる。
【0018】
一般に、非晶質は、溶解度が高く生体利用率が高いにもかかわらず、安定性が低く類縁物質が発生しやすいため安定性に問題が生じることがある。しかし、本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、非晶質のPI3K阻害剤は、生体利用率が高く優れた治療効果を示し、かつ高い安定性を有することができる。
【0019】
本発明の非晶質のP13K阻害剤は、純度が高く、安全で、熱、pH、及び湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明の非晶質のP13K阻害剤を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持できる。そのため、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。また、本発明の非晶質のP13K阻害剤は、高い溶解度を示すため、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明の非晶質のP13K阻害剤は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。従って、本発明の非晶質のP13K阻害剤は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0020】
本明細書において、用語「非晶質」とは、周知の通り、化合物分子が特定の結晶形を有さずに集合している状態を意味するもので、微量の結晶形分子が含まれたとしても粉末X線回折パターンから実質的に何も結晶形が観察されない混合物をも含むものと解する。
【0021】
図1は、本発明の非晶質化合物の粉末X線回折(PXRD)パターンの結果であり、本発明の一実施形態において、前記非晶質化合物は、[
図1]のような粉末X線回折ピークスペクトルを有するものであってもよい。
【0022】
図1で確認できるように、本発明の非晶質化合物は、粉末X線回折パターンにおいて特定の値ではピークが表れず、非晶質物質で典型的な、拡散されたハロー(Halo)の粉末X線回折解析パターンを示した。よって、生成物は、結晶性を有さない非晶質であることを確認した。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記非晶質化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、281~285℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移を有することができ、具体的には、[
図2]のようなDSCスペクトルを有するものであってもよいが、これに限定されない。
【0024】
本発明の非晶質化合物は、
図2で確認できるように、281~285℃でシャープ(sharp)な吸熱ピークを示すことができる。
【0025】
非晶質化合物を有効成分として含有する医薬組成物
本発明は、前記化学式1の非晶質化合物を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。
【0026】
本明細書において、用語「有効成分」とは、内在している薬理作用によってその組成物の効能・効果を直接的又は間接的に発現すると期待される物質又は物質群(薬理学的活性成分などが明かされていない生薬などを含む)であって、主成分を含有するものを意味する。
【0027】
前記医薬組成物は、癌の予防又は治療用であってもよいが、これに限定されない。
【0028】
本発明において、用語「癌」とは、医学的に細胞の正常な分裂、分化、又は死滅の調節機能に問題が生じて異常な過剰増殖をすることで、周囲の組織又は臓器に浸潤して腫塊を形成し、既存の構造を破壊もしくは変形させる全ての状態を意味する。癌は、大きく分けて、発生した部位に存在する原発癌と、発生部位から別の身体部位に広がっていく転移癌とがある。
【0029】
本発明の一実施形態において、癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫のうちいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
【0030】
本発明の医薬組成物は、前記化学式1の非晶質化合物を含有することにより癌の予防及び治療活性が著しく向上する。
【0031】
本発明において、用語「予防」とは、疾病、障害又は疾患の発病を阻害又は遅延させることを意味する。疾病、障害又は疾患の発病が予定された期間中に阻害又は遅延された場合、予防は完全なものとしてみなすことができる。
【0032】
本発明において、用語「治療」とは、特定の疾病、障害及び/又は疾患、又は疾患による症状を部分的に又は完全に軽減、改善、緩和、阻害又は遅延させ、重症度又は一つ以上の症状もしくは特徴の発生を減少させることを意味する。
【0033】
本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬学的に許容される担体を用いて製剤化することによって、単位容量の形態又は多容量の容器内に入れる形態で製造することができる。
【0034】
本発明において、用語「担体」とは、細胞又は組織内に対する化合物の付加を容易にする化合物を意味し、用語「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され、ヒトに投与される際に、通常、胃腸障害やめまいなどのアレルギー反応、又はこれに類似する反応を起こさない組成物をいう。
【0035】
前記薬学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されない。
【0036】
本発明の医薬組成物は、前記成分の他に、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などの添加剤をさらに含むことができる。本発明において、前記医薬組成物に含まれる添加剤の含量は、特に限定されず、通常の製剤化に用いられる範囲で適宜調整することができる。
【0037】
前記医薬組成物は、当業者に既知の経口用又は非経口用製剤として製造することができる。
【0038】
本発明の医薬組成物は、経口投与用であってもよい。本発明において、用語「経口投与」とは、活性物質が消化されるように製造された物質、即ち、吸収のために消化器官に投与されることを意味する。前記経口投与用製剤の非限定的な例としては、錠剤、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルション、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップ、又はエリキシル剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物を経口投与用に製剤化するために、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース、又はゼラチンなどの結合剤と、ジカルシウムホスフェートなどの賦形剤と、トウモロコシデンプン又はサツマイモデンプンなどの崩壊剤と、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、又はポリエチレングリコールワックスなどの潤滑油などを使用することができ、甘味料、香料、シロップ剤なども使用することができる。また、カプセル剤の場合には、上記した物質の他にも脂肪油などの液体担体などをさらに使用することができる。
【0039】
本発明の医薬組成物の好ましい投与量は、患者の状態及び体重、年齢、性別、健康状態、食事と関連する体質特異性、製剤の性質、疾病の程度、組成物の投与時間、投与方法、投与期間、もしくは間隔、排泄率、及び薬物の形態によってその範囲が様々であり、当該分野の通常の技術者によって適切に選択されることができる。例えば、約0.1~1,000mg/kgの範囲、約1~800mg/kgの範囲、約5~600mg/kgの範囲、又は約10~400mg/kgの範囲であり、好ましくは、約50~500mg/kgの範囲であるが、これに限定されず、1ヵ月に1回投与することができる。
【0040】
本明細書において、用語「医薬組成物の有効投与量」とは、特定の症状を治療するのに十分な活性成分の組成物の量を意味する。医薬組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間及び/又は投与経路などによって様々であり、医薬組成物の投与によって達成しようとする反応の種類や程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食事の内容、排泄、該当個体に対して同時又は異時に一緒に使用される薬剤、その他組成物の成分などをはじめとする様々な因子及び医薬分野でよく知られている類似因子に応じて多様化することができ、当該技術分野で通常の知識を有する者は、目的とする治療に有効な投与量を容易に決定し、処方することができる。
【0041】
本発明の医薬組成物は、1日に1回又は数回に分けて投与することができる。本発明の医薬組成物は、単独の治療薬として又は他の治療薬と併用して投与することができ、従来の治療薬と併用する場合は、順次に又は同時に投与することができる。上記の要素をすべて考慮して、副作用なく、最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することができ、これは、本発明が属する技術分野の通常の技術者によって容易に決定できる。
【0042】
本発明の医薬組成物は、経口投与用であってもよい。本明細書において、用語「非経口投与」とは、口に投与することを除いた、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、チューブによる腹腔内投与などの投与方法を意味する。非経口投与用の製剤としては、それぞれ通常の方法によって、滅菌された水溶液、液状剤、非水性溶剤、懸濁剤、エマルション、点眼剤、眼軟膏剤、シロップ剤、坐剤、エアゾール剤などの外用剤及び無菌注射製剤に剤形化して使用することができ、好ましくは、クリーム剤、ゲル剤、パッチ剤、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、眼軟膏剤、点眼剤、パスタ剤又はパップ剤の医薬組成物を製造して使用することができるが、これに限定されない。局所投与の組成物は、臨床的処方によって無水型又は水性型であってもよい。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどを使用することができる。坐剤の基剤としては、ウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイーン61(tween61)、カカオ脂、ラウリンオイル、グリセロゼラチンなどを使用することができる。
【0043】
本発明に係る薬剤学的に許容可能な添加剤は、前記組成物に対して0.1~99.9重量部含まれることができる。
【0044】
本発明の医薬組成物は、前記化学式1の非晶質化合物に、同一又は類似の機能を示す有効成分をさらに1種以上含有することができる。
【0045】
癌疾患の予防又は治療方法
本発明の他の目的は、必要とする個体に前記化学式1の非晶質化合物を含有する癌疾患の予防又は治療用の医薬組成物を投与することを含む、癌の予防又は治療方法を提供することである。
【0046】
本発明において、用語「個体」とは、サル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどの哺乳類を意味し、特にヒトを含む。前記予防又は治療方法は、治療学的に有効な量の投与を含む。
【0047】
本発明において、用語「治療学的に有効な量」とは、癌の予防又は治療に有効な、本発明の前記化学式1の非晶質化合物の量を表す。
【0048】
本発明の予防又は治療方法は、前記化学式1の非晶質化合物を含有する癌疾患の予防又は治療用の医薬組成物を投与することによって、症候の発現前に疾患そのものを扱うだけでなく、その症候を阻害又は回避することも含む。疾患の管理において、特定の活性成分の予防的又は治療学的用量は、疾病又は状態の本性(nature)及び深刻度、そして活性成分が投与される経路によって様々である。用量及び用量の頻度は、各患者の年齢、体重及び反応によって様々である。適切な用量・用法は、これらの因子を当然に考慮する、当業界で通常の知識を有する者によって容易に選択できる。また、本発明の予防又は治療方法は、前記化学式1の非晶質化合物を含有する癌疾患の予防又は治療用の医薬組成物と共に疾患の治療に役立つ追加的活性製剤の治療学的に有効な量の投与をさらに含むことができ、追加的活性製剤は、前記化学式1の非晶質化合物を含有する癌疾患の予防又は治療用の医薬組成物と共に相乗効果又は相加効果を示すことができる。
【0049】
癌の予防又は治療用薬剤の製造のための使用
本発明の目的は、癌の予防又は治療用薬剤の製造のための前記化学式1の非晶質化合物を含有する医薬組成物の使用を提供することである。
【0050】
本発明の一実施形態において、薬剤の製造のための本発明の前記化学式1の非晶質化合物を含有する医薬組成物は、許容される担体などを混合することができ、他の作用剤をさらに含有することもできる。
【0051】
本発明の非晶質化合物、医薬組成物、治療方法、使用に言及された事項は、互いに矛盾しない限り、同様に適用される。
【発明の効果】
【0052】
本発明の新規な非晶質化合物は、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能であり、高い溶解度を示すため血中濃度が高く、優れた薬理効果を示すことができる。
【0053】
本発明の新規な非晶質化合物は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1による非晶質化合物の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1による非晶質化合物の示差走査熱量計(DSC)による熱分析(thermogram)結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例によって詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明の内容を例示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例は、当業界で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供するものである。
【0056】
以下に言及される試薬及び溶媒は、特に言及されない限り、Sigma-Aldrich Korea、TCI、Alfa Aesarより購入したものであり、HLPCは、Agilent Technoliges社の1100Seriesを使用した。1H NMRデータは、Bruker Avance III(400MHz)を使用して測定した。
【0057】
また、下記実施例によって製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オンの様々な結晶は、X線回折法によるX線回折パターン、そして示差走査熱量測定法(DSC)によるDSCパターンで確認した。
【0058】
下記実施例におけるX線回折解析は、回転測定器と固体状態検出器が備えられたBRUKER AXSの粉末X線回折計モデルD2 PHASERを使用し、Cu-Kα線を用いて解析範囲0°~40°、1分あたり3°の照射速度の条件下で、業界に公知の方法により測定した。また、示差走査熱量測定法(DSC)によるDSC測定は、METTLER TOREDO社のHP DSC1を使用して、10℃/minの速度で昇温しながら30~300℃で測定した値である。
【0059】
製造例1.(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オンの製造
[化学式1](S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン
【0060】
表題の(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン(4-((1-(4,8-dichloro-1-oxo-2-phenyl-1,2-dihydroisoquinolin-3-yl)ethyl)amino)pyrido[2,3-d]pyrimidin-5(8H)-one)は、国際公開特許公報 WO2016/204429の実施例10に記載の方法と同様の方法により製造した。
【0061】
実施例1.非晶質化合物の製造
ジメチルスルホキシド(DMSO)10mLに、製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン3gを添加して溶解し、精製水(H2O)100mLを滴加した後、常温で一晩中撹拌した。生成された固体を濾過して精製水(H2O)15mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、固体化合物2.99g(収率100%)を得た。
【0062】
前記固体化合物に対する粉末X線回折(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ
図1及び
図2の通りである。
【0063】
図1で確認できるように、前記固体化合物は、特定の値ではピークが表れず、非晶質物質で典型的な、拡散されたハロー(Halo)の粉末X線回折解析パターンを示した。生成物は、結晶性を有さない非晶質であることを確認した。
【0064】
また、前記
図2で確認できるように、前記固体化合物は、281~285℃でシャープ(sharp)な吸熱ピークを示すことが分かった。
【0065】
実験例1.安定性試験(加速試験)
前記実施例1で製造された固体化合物のパウダーをLDPEバッグで二重に密封包装してからアルミニウムバッグで密封包装し、40±2℃、RH75±5%で0ヶ月、6ヶ月放置した後、Karl Fischer法により水分を測定し、標準品を使用したHPLC法により含量を測定し、下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により不純物の量を測定した。その結果を下記表1に示した。
<HPLCの条件>
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長307nm)
-カラム:Kromasil 100-5C18(4.6×250mm、5μm)又はこれに類似するカラム
-カラム温度:25℃
-注入量:10μl
-移動相:移動相A-20mmol/L酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5、酢酸)
移動相B-アセトニトリル:メタノール=8:2
【表1】
【0066】
前記表1の結果から、非晶質化合物は、類縁物質及び含量において有意な変化及び経時変化が観察されなかった。
【0067】
従って、実施例1の非晶質化合物は、加速条件で6ヶ月間高い純度を安定的に保持でき安定性(stability)に優れ、類縁物質の発生が非常に少なく優れた安全性(safety)を長期間保持でき、水分の含量にほとんど変化がなく保存中に水分をほとんど吸収しないことが分かった。
【0068】
実験例2.安定性試験(長期保存試験)
前記実施例1で製造された固体化合物のパウダーをLDPEバッグで二重に密封包装してからアルミニウムバッグで密封包装し、長期保存試験(25±2℃、60±5%RH)を行い、実験例1と同様の方法により水分含量及び不純物の量を測定した。その結果を下記表2に示した。
【表2】
【0069】
前記表2の結果から、非晶質化合物は、類縁物質及び含量において有意な変化及び経時変化が観察されなかった。
【0070】
従って、実施例1の非晶質化合物は、6ヶ月間高い純度を安定的に保持でき安定性(stability)に優れ、類縁物質の発生が非常に少なく優れた安全性(safety)を長期間保持でき、水分の含量にほとんど変化がなく保存中に水分をほとんど吸収しないことが分かった。
【0071】
実験例3.安定性試験(苛酷試験)
前記実施例1で製造された固体化合物を苛酷な条件(温度:60℃、湿度:40℃、RH75%)で0、7、14日間放置した後、高速液体クロマトグラフィーにより不純物を測定した。その結果を下記表3に示した。
【表3】
【0072】
前記表3の結果から、非晶質化合物は、類縁物質及び含量において有意な変化及び経時変化が観察されなかった。
【0073】
従って、実施例1の非晶質化合物は、6ヶ月間高い純度を安定的に保持でき安定性(stability)に優れ、類縁物質の発生が非常に少なく優れた安全性(safety)を長期間保持でき、水分の含量にほとんど変化がなく保存中に水分をほとんど吸収しないことが分かった。
【0074】
実験例4.薬物動態学(PK)試験
実施例1の非晶質化合物に対して薬物動態学(PK)試験を行った。
【0075】
実施例1の非晶質化合物のパウダーをカプセルに100mg充填し、前記カプセルを1日1回100mgビーグル犬に経口投与した後、薬物の体内動態を確認した。
【0076】
具体的には、ビーグル犬に非晶質化合物を100mg用量で経口投与し、決められた時間に採血した後、(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オンの濃度を測定した。薬物動態パラメータは、BA Calc 2007プログラムを使用してAUCt(投薬時間から最終血中濃度の定量時間tまでの血中濃度-時間曲線下面積)、AUCi(投薬時間から無限時間までの血中濃度-時間曲線下面積)、C
max(最高血中濃度)、T
max(最高血中濃度到達時間)及びt
1/2(血中消失半減期)を算出した。結果は、95%信頼区間でStudent t-test(SPSS)により物質間の有意性を確認した。その結果は、下記表4の通りである。
【表4】
【0077】
前記表4で確認できるように、実施例1の非晶質は、高い血中濃度を示した。
【0078】
従って、実施例1による非晶質化合物は、優れた生体利用率を示し、治療効果が非常に高いことが分かった。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の目的は、苛酷な条件下及び長期保存下における安定性に優れ、溶解性と生体利用率を向上できる、下記化学式
1で表されるPI3K阻害剤の非晶質を提供することである。
[化学式1]
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の目的は、化学式1で表される化合物の非晶質を有効成分として含有する医薬組成物を提供することである。
[課題を解決するための手段]
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明者らは、
PI3キナーゼ阻害活性を有するものとして知られているヘテロアリール誘導体の一つである(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン(以下、化学式1の化合物)を製剤学的に用いるために、長期間安定性を保ち、かつ産業化にも適用可能な非晶質を開発するため鋭意研究に努めてきた。その結果、前記化合物を非晶質に変換することで、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能であることが分かった。また、非晶質の
PI3K阻害剤は、高い溶解度を示すため血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、前記化合物の非晶質は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できることを確認して本発明を完成した。
[化学式1]
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明では、非晶質のPI3K阻害剤を提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、生体利用率が高いため優れた治療効果を有しつつも安定性が非常に高い。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明の非晶質のPI3K阻害剤を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持できる。そのため、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、類縁物質の発生が非常に少なく、優れた安定性を長期間保持できる。また、非晶質のPI3K阻害剤は、大量生産にも容易に適用可能である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、高い溶解度を示すため、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、癌疾患を効果的に治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
非晶質のPI3K阻害剤
下記化学式1の化合物の非晶質を提供する。
[化学式1]
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、純度が高く、安全で、熱、pH、及び湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明の非晶質のPI3K阻害剤を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持できる。そのため、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。また、本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、高い溶解度を示すため、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。従って、本発明の非晶質のPI3K阻害剤は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本発明の一実施形態において、癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫のうちいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
実験例1.安定性試験(加速試験)
前記実施例1で製造された固体化合物のパウダーをLDPEバッグで二重に密封包装してからアルミニウムバッグで密封包装し、40±2℃、RH75±5%で0ヶ月、6ヶ月放置した後、Karl Fischer法により水分を測定し、標準品を使用したHPLC法により含量を測定し、下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により不純物の量を測定した。その結果を下記表1に示した。
<HPLCの条件>
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長307nm)
-カラム:Kromasil 100-5C18(4.6×250mm、5μm)又はこれに類似するカラム
-カラム温度:25℃
-注入量:10μl
-移動相:移動相A-20mmol/L酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5、酢酸)
移動相B-アセトニトリル:メタノール=8:2
【表1】
【手続補正13】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物の非晶質。
[化学式1]
【請求項2】
前記非晶質化合物は、粉末X線回折パターンがハローパターンを示すものである、請求項1に記載の化学式1で表される化合物の非晶質。
【請求項3】
昇温速度が10℃/minである場合、281~285℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移を有する、請求項1に記載の化学式1で表される化合物の非晶質。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の非晶質化合物及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項5】
PI
3K関連疾患の予防又は治療用の請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
癌疾患の予防又は治療用の請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL
C)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一つに記載の非晶質化合物の治療学的に有効な量を対象に投与するステップを含む、癌疾患の治療方法。
【請求項9】
前記癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL
C)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項8に記載の治療方法。
【請求項10】
癌疾患の予防又は治療用薬剤の製造のための、請求項1~3のいずれか一つに記載の非晶質化合物の使用。
【請求項11】
前記癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL
C)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫からなる群より選択されるいずれか一つである、請求項10に記載の使用。
【国際調査報告】