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特表2022-532194PI3K阻害剤の結晶多形及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】PI3K阻害剤の結晶多形及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20220706BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C07D471/04 118A
C07D471/04 CSP
A61K31/519
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566937
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 IB2020054366
(87)【国際公開番号】W WO2020225783
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0054506
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521489160
【氏名又は名称】ボリュン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BORYUNG PHARMACEUTICAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】136,Changgyeonggung-ro,Jongno-gu,Seoul 03127,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンホン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンクヮン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジハン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA01
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ07
4C065KK01
4C065LL04
4C065PP03
4C065PP19
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、新規なP13K阻害剤の結晶多形及びその製造方法に関する。本発明の新規な結晶形は、非吸湿性に著しく優れ、血中濃度が高く優れた薬理効果を示し、生体利用率が高いため、薬剤学的製剤に適している。
【代表図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折パターンにおいて、6.71°、7.36°、9.39°、12.34°、20.76°及び24.13°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のA形結晶。
[化学式1]
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物のA形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、5.75°、8.19°、9.87°、11.12°、13.71°、16.12°、17.88°、18.90°、19.71°、23.21°、25.18°及び27.09°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項1に記載のA形結晶。
【請求項3】
昇温速度が10℃/minである場合、178~185℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項1に記載のA形結晶。
【請求項4】
1)請求項1に記載の化学式Iで表される化合物をC~Cアルコールに溶解するステップと、
2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項1に記載のA形結晶の製造方法。
【請求項5】
粉末X線回折パターンにおいて、3.34°、6.20°、7.06°、9.45°、18.82°及び24.97°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のB形結晶。
[化学式1]
【請求項6】
前記化学式1で表される化合物のB形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、7.33°、8.06°、8.25°、13.89°、16.22°及び26.42°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項5に記載のB形結晶。
【請求項7】
昇温速度が10℃/minである場合、187~194℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項5に記載のB形結晶。
【請求項8】
1)請求項5に記載の化学式1で表される化合物をC-C10ケトンに溶解するステップと、
2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項5に記載のB形結晶の製造方法。
【請求項9】
粉末X線回折パターンにおいて、3.72°、6.27°、7.22°、9.58°、18.90°及び25.14°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のC形結晶。
[化学式1]
【請求項10】
前記化学式1で表される化合物のC形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、5.11°、7.42°、8.09°、10.15°、13.08°、16.37°、及び26.53°及び31.43°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項9に記載のC形結晶。
【請求項11】
昇温速度が10℃/minである場合、186~192℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項9に記載のC形結晶。
【請求項12】
1)請求項9に記載の化学式Iで表される化合物をC~Cアルコールに溶解するステップと、
2)前記ステップ1)で得た溶液に水を滴加するステップと、
3)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項9に記載のC形結晶の製造方法。
【請求項13】
粉末X線回折パターンにおいて、3.77°、6.14°、6.88°、7.51°、9.25°及び9.92°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のD形結晶。
[化学式1]
【請求項14】
前記化学式1で表される化合物のD形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、10.57°、12.37°、12.69°、14.09°、14.79°、15.75°、17.18°、18.13°、18.85°、19.61°、20.22°、20.99°、23.39°、23.87°、24.61°、26.42°、27.63°、29.76°及び30.31°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項13に記載のD形結晶。
【請求項15】
昇温速度が10℃/minである場合、185~194℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項13に記載のD形結晶。
【請求項16】
1)請求項13に記載の化学式1で表される化合物をC-Cニトリルに溶解するステップと、
2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項13に記載のD形結晶の製造方法。
【請求項17】
粉末X線回折パターンにおいて、3.81°、6.25°、6.98°、7.61°、9.35°及び26.74°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のE形結晶。
[化学式1]
【請求項18】
前記化学式1で表される化合物のE形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、10.29°、10.67°、12.04°、12.36°、13.51°、14.28°、14.76°、15.16°、15.87°、16.28°、16.98°、17.89°、18.71°、19.47°、19.77°、20.66°、21.07°、22.56°、23.04°、23.56°、24.98°、25.39°、25.77°、27.11°、28.08°、28.34°及び29.24°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項17に記載のE形結晶。
【請求項19】
昇温速度が10℃/minである場合、196~211℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項17に記載のE形結晶。
【請求項20】
1)請求項17に記載の化学式1で表される化合物をC-Cニトリルに溶解するステップと、
2)前記ステップ1)で得た溶液に水を滴加するステップと、
3)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項17に記載のE形結晶の製造方法。
【請求項21】
粉末X線回折パターンにおいて、7.33°、8.56°、9.69°、9.94°、19.97°及び25.37°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のG形結晶。
[化学式1]
【請求項22】
前記化学式1で表される化合物のG形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、4.94°、13.34°及び15.53°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項21に記載のG形結晶。
【請求項23】
昇温速度が10℃/minである場合、154~161℃及び173~190℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項21に記載のG形結晶。
【請求項24】
1,4-ジオキサンの溶媒和物である、請求項21に記載のG形結晶。
【請求項25】
1)請求項21に記載の化学式1で表される化合物を1,4-ジオキサンに溶解するステップと、
2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項21に記載のG形結晶の製造方法。
【請求項26】
粉末X線回折パターンにおいて、7.48°、10.24°、10.35°、11.10°、13.55°及び15.18°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のH形結晶。
[化学式1]
【請求項27】
前記化学式Iで表される化合物のH形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、8.01°、11.72°、13.17°、13.59°、15.93°、17.78°、18.26°、19.03°、19.41°、20.86°、21.23°、22.41°、23.55°、23.95°、24.83°、25.26°、25.55°、26.47°、26.83°及び27.94°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項26に記載のH形結晶。
【請求項28】
昇温速度が10℃/minである場合、149~166℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項26に記載のH形結晶。
【請求項29】
テトラヒドロフランの溶媒和物である、請求項26に記載のH形結晶。
【請求項30】
1)請求項26に記載の化学式Iで表される化合物をテトラヒドロフランに溶解するステップと、
2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項26に記載のH形結晶の製造方法。
【請求項31】
粉末X線回折パターンにおいて、12.03°、15.19°、21.77°、22.81°、24.21°及び27.11°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のI形結晶。
[化学式1]
【請求項32】
前記化学式1で表される化合物のI形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、7.56°、9.84°、10.08°、10.56°、10.83°、11.84°、12.41°、12.87°、13.54°、14.52°、14.75°、15.90°、16.45°、16.90°、17.86°、18.17°、18.55°、18.95°、19.62°、20.39°、20.99°、22.04°、22.43°、22.99°、23.55°、24.36°、25.26°、25.78°、27.31°、27.79°、28.88°及び30.83°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むものである、請求項31に記載のI形結晶。
【請求項33】
昇温速度が10℃/minである場合、281~285℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを有する、請求項31に記載のI形結晶。
【請求項34】
1)請求項31に記載の化学式1で表される化合物を水に添加して還流するステップと、
2)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、請求項31に記載のI形結晶の製造方法。
【請求項35】
請求項1~3のいずれかに記載のA形結晶、請求項5~7のいずれかに記載のB形結晶、請求項9~11のいずれかに記載のC形結晶、請求項13~15のいずれかに記載のD形結晶、請求項17~19のいずれかに記載のE形結晶、請求項21~24のいずれかに記載のG形結晶、請求項26~29のいずれかに記載のH形結晶、又は請求項31~33のいずれかに記載のI形結晶、及び薬学的に許容される担体を含有する、癌疾患の治療又は予防用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の粉末X線回折パターンで定義される新規なP13K阻害剤の結晶多形及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3 kinase;PI3K)は、タンパク質の代わりに脂質分子をリン酸化する脂質キナーゼ(lipid kinase)であって、細胞生存(cell survival)、シグナル伝達(signal transduction)、細胞膜透過の調節(control of membrane trafficking)などで重要な役割を果たす。これらの調節に問題が生じると、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患などが発生する。
【0003】
近年、PI3キナーゼに対して選択的阻害効果を示す新規な構造の化合物を開発する研究の結果が報告されており、具体的に、国際公開特許 WO2016/204429号は、PI3キナーゼ阻害活性を有し、癌、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患などの治療に有効な化合物を開示しており、本明細書において参考文献として含まれる。
【0004】
医薬品の製造過程において、適正な投与剤形を設計する際には、医薬品原料の物理的な状態、即ち、結晶質であるかそれとも非晶質であるかが非常に重要である。
【0005】
しかし、結晶形の原料は、溶解度が低いため、単位重量あたりの生体利用率が低くなってしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開特許 WO2016/204429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、非吸湿性及び安定性に優れ、高い血中濃度を示し、薬剤学的製剤に適したP13K阻害剤の結晶多形及びその製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、6.71°、7.36°、9.39°、12.34°、20.76°及び24.13°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のA形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0009】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物をC~Cアルコールに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記A形結晶の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、3.34°、6.20°、7.06°、9.45°、18.82°及び24.97°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のB形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0011】
本発明の他の目的は、前記化学式1で表される化合物をアセトンに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記B形結晶の製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、3.72°、6.27°、7.22°、9.58°、18.90°及び25.14°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のC形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0013】
本発明の他の目的は、1) 請求項7に化学式1で表される化合物をC~Cアルコールに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液に水を滴加するステップと、3)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記C形結晶の製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、3.77°、6.14°、6.88°、7.51°、9.25°及び9.92°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のD形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0015】
本発明の他の目的は、1)前記化学式1で表される化合物をアセトニトリルに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記D形結晶の製造方法を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、3.81°、6.25°、6.98°、7.61°、9.35°及び26.74°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のE形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0017】
本発明の他の目的は、1)前記化学式1で表される化合物をアセトニトリルに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液に水を滴加するステップと、3)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記E形結晶の製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、7.33°、8.56°、9.69°、9.94°、19.97°及び25.37°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のG形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0019】
本発明の他の目的は、1)前記化学式1で表される化合物を1,4-ジオキサンに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記G形結晶の製造方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、7.48°、10.24°、10.35°、11.10°、13.55°及び15.18°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式1で表される化合物のH形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0021】
本発明の他の目的は、1)前記化学式1で表される化合物をテトラヒドロフランに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記H形結晶の製造方法を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、粉末X線回折パターンにおいて、12.03°、15.19°、21.77°、22.81°、24.21°及び27.11°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式Iで表される化合物のI形結晶を提供することである。
[化学式1]
【0023】
本発明の他の目的は、1)前記化学式Iで表される化合物を水に添加して還流するステップと、2)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記I形結晶の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
そこで本発明者らは、P13キナーゼ阻害活性を有するものとして知られているヘテロアリール誘導体の一つである(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン(以下、化学式1の化合物)を製剤学的に用いるために、長期間安定性を保ち、かつ産業化にも適用可能な形態を開発するため鋭意研究に努めてきた。その結果、特定の粉末X線回折パターンを有する前記化合物の結晶多形は、吸湿性が低いため製剤化に有利であり、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能であることが分かった。また、前記化合物の結晶多形は、血中濃度が高く優れた薬理効果を示し、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示すことを確認して本発明を完成した。
[化学式1]
【0025】
本発明では、P13K阻害剤の結晶多形及びその製造方法を提供する。
【0026】
結晶形は、安定していて持続的放出調節製剤の製造にメリットがあるため、特別なケースを除き、医薬品の製剤ではほとんどが結晶形原料を使用する。
【0027】
本発明のP13K阻害剤の結晶多形は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明のP13K阻害剤の結晶多形を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、類縁物質の発生が非常に少なく、優れた安定性を長期間保持できる。また、PI3K阻害剤の結晶多形は、大量生産にも容易に適用可能であり、前記化合物の結晶多形は、非吸湿性を示すため、医薬品の加工及び保存に非常に有利で、製剤化が容易である。
【0028】
本発明のP13K阻害剤の結晶多形は、血中濃度が高く優れた薬理効果を示すため、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。
【0029】
本発明のP13K阻害剤の結晶多形は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。また、本発明のP13K阻害剤の結晶多形は、作用の開始が早く、熱力学的に安定した形態である。
【0030】
また、本発明のP13K阻害剤の結晶多形の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0031】
本明細書において、用語「結晶多形」とは、構成粒子の配列が規則的でありつつも結晶の構成単位が同じでその配列状態のみが異なるものを意味する。
【0032】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0033】
A形結晶
本発明は、粉末X線回折パターンにおいて、6.71°、7.36°、9.39°、12.34°、20.76°及び24.13°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、下記化学式Iで表される化合物のA形結晶を提供する。
[化学式1]
【0034】
本発明のA形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明のA形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。また、本発明のA形結晶は、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明のA形結晶は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。また、本発明のA形結晶は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0035】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のA形結晶は、粉末X線回折パターンにおいて、5.75°、8.19°、9.87°、11.12°、13.71°、16.12°、17.88°、18.90°、19.71°、23.21°、25.18°及び27.09°の回折角(2θ±0.2°)から選択される一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のA形結晶は、粉末X線回折パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0037】
本発明の前記化学式Iで表される化合物のA形結晶は、〔図1〕に表される粉末X線回折(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0038】
前記化学式Iで表される化合物は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγからなる群より選択されるPI3キナーゼに対して選択的に阻害することができる。
【0039】
前記化学式Iで表される化合物のA形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、178~185℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図2〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0040】
本発明の一実施形態において、化学式Iで表される化合物のA形結晶は、無溶媒和物で、無水物であってもよい。
【0041】
A形結晶の製造方法
本発明は、1)前記化学式1で表される化合物をC~Cアルコールに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記A形結晶の製造方法を提供する。
【0042】
本発明のA形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0043】
本発明において、官能基「C」のxは、炭素数を表し、C~Cは、炭素数x以上、y以下を有する作用基を意味する。
【0044】
本発明において、用語「アルコール」とは、ヒドロキシル基がアルキル又は置換されたアルキル基の炭素原子に結合された化合物を意味し、具体的には、アルコール類は、線状又は分岐状のC-Cアルキル基又は置換されたアルキル基の炭素原子にヒドロキシル基が結合されたアルコールを意味する。C-Cアルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられ、具体的に、前記ステップ1)で、溶媒としてエタノールを使用することができる。
【0045】
本明細書において、用語「アルキル基」とは、線状(linear)の飽和炭化水素基又は分岐状(branched)の飽和炭化水素基を意味し、「置換されたアルキル基」とは、アルキル基の炭素と結合された置換基がヒドロキシ、シアノ、ハローなどで置換されたものを意味する。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。具体的には、本明細書において、用語「還流撹拌」とは、還流条件で撹拌を行うことを意味し、用語「還流条件」とは、液体が沸騰し、沸騰した液体の蒸気が凝縮されて液体の下に戻ることによって稼働される条件を意味する。具体的には、ステップ1)において、C~Cアルコールの蒸気が凝縮されて液体の下に戻ることによって、化学式Iで表される化合物を撹拌して溶解することを意味する。
【0047】
本発明の一実施形態において、前記ステップ2)は、ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却するステップを含むことができる。具体的には、前記冷却するステップで急激な冷却は、生成されるA形結晶の相転移などをもたらし得るため、なるべく一定の速度で徐々に冷却するのが好ましく、例えば、1分あたりに0.1℃~10℃の速度で冷却することができ、自然冷却などの方法を用いることもできる。前記自然冷却は、単に熱処理に使用された熱源を除去するだけのことを言い、このように熱源を除去するだけでも充分な冷却速度が得られる。
【0048】
本発明において、用語「常温」とは、加温又は減温されていない自然のままの温度であり、約10℃~30℃、約25℃もしくは 約23℃の温度を意味する。
【0049】
前記A形結晶の製造方法は、下記ステップ3)をさらに含むことができる。
【0050】
本発明の一実施形態において、ステップ3)は、ステップ2)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップであってもよい。具体的には、前記ステップ3)で用いられる溶媒は、エタノールであってもよい。
【0051】
前記A形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0052】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0053】
B形結晶
本発明は、粉末X線回折解析パターンにおいて、3.34°、6.20°、7.06°、9.45°、18.82°及び24.97°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、前記化学式1で表される化合物のB形結晶を提供する。
【0054】
本発明のB形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明のB形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。また、本発明のB形結晶は、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明のB形結晶は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。また、本発明のB形結晶は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0055】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のB形結晶は、粉末X線回折解析パターンにおいて、7.33°、8.06°、8.25°、13.89°、16.22°及び26.42°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0056】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のB形結晶は、粉末X線回折解析パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0057】
本発明の前記化学式Iで表される化合物のB形結晶は、〔図3〕に表される粉末X線回折解析(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0058】
前記化学式Iで表される化合物は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγからなる群より選択されるPI3キナーゼに対して選択的に阻害することができる。
【0059】
前記化学式Iで表される化合物のB形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、187~194℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図4〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0060】
本発明の一実施形態において、化学式Iで表される化合物のB形結晶は、無溶媒和物で、無水物であってもよい。
【0061】
B形結晶の製造方法
本発明は、1)前記化学式1で表される化合物をC-C10ケトンに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に1~24時間撹拌するステップとを含む、前記B形結晶の製造方法を提供する。
【0062】
本発明のB形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0063】
本明細書において、用語「ケトン」とは、有機溶媒の一種であって、ケトンの主鎖の炭素数がC-C10であってもよく、ここで主鎖は、線状又は分岐状であってもよく、ケトンの例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。具体的に、前記ステップ1)で、溶媒としてアセトンを使用することができる。
【0064】
前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0065】
前記B形結晶の製造方法は、下記ステップ3)をさらに含むことができる。
【0066】
本発明の一実施形態において、ステップ3)は、ステップ2)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップをさらに含むことができる。具体的には、前記ステップ3)で用いられる溶媒は、アセトンであってもよい。
【0067】
本発明において、用語「常温」に関しては、A形結晶の製造方法で説明した内容と同様である。
【0068】
前記B形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0069】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0070】
C形結晶
本発明は、粉末X線回折解析パターンにおいて、3.72°、6.27°、7.22°、9.58°、18.90°及び25.14°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、前記化学式1で表される化合物のC形結晶を提供する。
【0071】
本発明のC形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明のC形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。また、本発明のC形結晶は、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明のC形結晶は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。また、本発明のC形結晶は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0072】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のC形結晶は、粉末X線回折解析パターンにおいて、5.11°、7.42°、8.09°、10.15°、13.08°、16.37°、及び26.53°、及び31.43°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0073】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のC形結晶は、粉末X線回折解析パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0074】
本発明の前記化学式1で表される化合物のC形結晶は、〔図5〕に表される粉末X線回折解析(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0075】
前記化学式1で表される化合物は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγからなる群より選択されるPI3キナーゼに対して選択的に阻害することができる。
【0076】
前記化学式1で表される化合物のC形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、186~192℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図6〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0077】
本発明の一実施形態において、化学式Iで表される化合物のC形結晶は、無溶媒和物で、無水物であってもよい。
【0078】
C形結晶の製造方法
本発明の他の様態は、1)前記化学式Iで表される化合物をC~Cアルコールに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液に水を滴加するステップと、3)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記C形結晶の製造方法を提供する。
【0079】
本発明のC形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0080】
前記C-Cアルコールに関しては、A形結晶の製造方法で説明した内容と同様であり、具体的に、前記ステップ1)で、溶媒としてエタノールを使用することができる。
【0081】
本発明の一実施形態において、前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0082】
本発明の一実施形態において、前記ステップ2)は、ステップ1)で得た溶液に水を滴加することができ、ここで、ステップ1)で得た溶液と水は、1~2:1~2の体積比(Volume ratio)で混合することができる。
【0083】
本発明の一実施形態において、前記ステップ3)は、ステップ2)で得た溶液を常温で徐々に冷却するステップを含むことができる。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0084】
前記C形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0085】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップをさらに含むことができる。具体的には、前記ステップ4)で用いられる溶媒は、エタノールであってもよい。
【0086】
本発明において、用語「常温」に関しては、A形結晶の製造方法で説明した内容と同様である。
【0087】
前記C形結晶の製造方法は、下記ステップ5)をさらに含むことができる。
【0088】
本発明の一実施形態において、ステップ5)は、ステップ4)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0089】
D形結晶
本発明は、粉末X線回折解析パターンにおいて、3.77°、6.14°、6.88°、7.51°、9.25°及び9.92°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、前記化学式1で表される化合物のD形結晶を提供する。
【0090】
本発明のD形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明のD形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。また、本発明のD形結晶は、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。従って、本発明のD形結晶は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。また、本発明のD形結晶は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0091】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のD形結晶は、粉末X線回折解析パターンにおいて、10.57°、12.37°、12.69°、14.09°、14.79°、15.75°、17.18°、18.13°、18.85°、19.61°、20.22°、20.99°、23.39°、23.87°、24.61°、26.42°、27.63°、29.76°及び30.31°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のD形結晶は、粉末X線回折解析パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0093】
本発明の前記化学式Iで表される化合物のD形結晶は、〔図7〕に表される粉末X線回折(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0094】
前記化学式1で表される化合物は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγからなる群より選択されるPI3キナーゼに対して選択的に阻害することができる。
【0095】
前記化学式1で表される化合物のD形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、185~194℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図8〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0096】
本発明の一実施形態において、化学式Iで表される化合物のD形結晶は、無溶媒和物で、無水物であってもよい。
【0097】
D形結晶の製造方法
本発明の他の様態は、1)前記化学式Iで表される化合物をC-Cニトリルに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記D形結晶の製造方法を提供する。
【0098】
本発明のD形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0099】
本明細書において、用語「ニトリル」とは、CNで表され、C-Cニトリルは、揮発性の高い有機溶媒を意味する。ニトリルの例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられる。具体的に、前記ステップ1)で、溶媒としてアセトニトリルを使用することができる。
【0100】
本発明の一実施形態において、前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0101】
本発明の一実施形態において、前記ステップ2)は、ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却するステップを含むことができる。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0102】
前記D形結晶の製造方法は、下記ステップ3)をさらに含むことができる。
【0103】
本発明の一実施形態において、ステップ3)は、ステップ2)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップをさらに含むことができる。具体的には、前記ステップ3)で用いられる溶媒は、アセトニトリルであってもよい。
【0104】
本発明において、用語「常温」に関しては、A形結晶の製造方法で説明した内容と同様である。
【0105】
前記D形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0106】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0107】
E形結晶
本発明は、粉末X線回折解析パターンにおいて、3.81°、6.25°、6.98°、7.61°、9.35°及び26.74°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、前記化学式Iで表される化合物のE形結晶を提供する。
【0108】
本発明のE形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明のE形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。また、本発明のE形結晶は、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。本発明のE形結晶は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。また、本発明のE形結晶は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0109】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のE形結晶は、粉末X線回折解析パターンにおいて、10.29°、10.67°、12.04°、12.36°、13.51°、14.28°、14.76°、15.16°、15.87°、16.28°、16.98°、17.89°、18.71°、19.47°、19.77°、20.66°、21.07°、22.56°、23.04°、23.56°、24.98°、25.39°、25.77°、27.11°、28.08°、28.34°及び29.24°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0110】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のE形結晶は、粉末X線回折解析パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0111】
本発明の前記化学式1で表される化合物のE形結晶は、〔図9〕に表される粉末X線回折解析(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0112】
前記化学式1で表される化合物は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγからなる群より選択されるPI3キナーゼに対して選択的に阻害することができる。
【0113】
前記化学式1で表される化合物のE形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、196~211℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図10〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0114】
本発明の一実施形態において、化学式1で表される化合物のE形結晶は、無溶媒和物で、無水物であってもよい。
【0115】
E形結晶の製造方法
本発明は、1)前記化学式1で表される化合物をC-Cニトリルに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液に水を滴加するステップと、3)常温で1~24時間撹拌するステップとを含む、前記E形結晶の製造方法を提供する。
【0116】
本発明のE形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0117】
前記C-Cニトリルに関しては、D形結晶の製造方法で説明した内容と同様であり、具体的に、前記ステップ1)で、溶媒としてアセトニトリルを用いることができるが、これに限定されない。
【0118】
本発明の一実施形態において、前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0119】
本発明の一実施形態において、前記ステップ2)は、ステップ1)で得た溶液に水を滴加することができ、ここで、ステップ1)で得た溶液と水は、1~2:1~2の体積比(Volume ratio)で混合されることができるが、これに限定されない。
【0120】
前記E形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0121】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップをさらに含むことができる。具体的には、前記ステップ4)で用いられる溶媒は、アセトニトリルであってもよい。
【0122】
本発明において、用語「常温」に関しては、A形結晶の製造方法で説明した内容と同様である。
【0123】
前記E形結晶の製造方法は、下記ステップ5)をさらに含むことができる。
【0124】
本発明の一実施形態において、ステップ5)は、ステップ4)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0125】
G形結晶
本発明は、粉末X線回折解析パターンにおいて、7.33°、8.56°、9.69°、9.94°、19.97°及び25.37°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、前記化学式1で表される化合物のG形結晶を提供する。
【0126】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のG形結晶は、前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であってもよい。具体的には、前記G形結晶は、前記化学式Iで表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であってもよく、より具体的には、前記G形結晶である前記化学式Iで表される化合物の溶媒和物において、前記化学式Iで表される化合物と1,4-ジオキサンとのモル比は1:1~3であってもよく、具体的には、1:1であってもよい。
【0127】
本発明の前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明の前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。
【0128】
また、本発明の前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶は、非吸湿性を示すため、医薬品の加工及び保存において非常に有利で、製剤化が容易である。
【0129】
また、本発明の前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶は、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。
【0130】
従って、本発明の前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。
【0131】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のG形結晶は、粉末X線回折解析パターンにおいて、4.94°、13.34°及び15.53°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0132】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のG形結晶は、粉末X線回折解析パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0133】
本発明の前記化学式Iで表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶は、〔図11〕に表される粉末X線回折解析(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0134】
前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγからなる群より選択されるPI3キナーゼに対して選択的に阻害することができる。
【0135】
前記化学式Iで表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物G形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、154~161℃及び173~190℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図12〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0136】
G形結晶の製造方法
本発明は、1)前記化学式Iで表される化合物を1,4-ジオキサンに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶の製造方法を提供する。
【0137】
本発明の前記化学式1で表される化合物の1,4-ジオキサン溶媒和物であるG形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0138】
本発明の一実施形態において、前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0139】
本発明の一実施形態において、前記ステップ2)は、ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却するステップを含むことができる。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0140】
前記G形結晶の製造方法は、下記ステップ3)をさらに含むことができる。
【0141】
本発明の一実施形態において、ステップ3)は、ステップ2)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップをさらに含むことができる。具体的には、前記ステップ3)で用いられる溶媒は、1,4-ジオキサンであってもよい。
【0142】
本発明において、用語「常温」に関しては、A形結晶の製造方法で説明した内容と同様である。
【0143】
前記G形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0144】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0145】
H形結晶
本発明の他の実施例は、粉末X線回折解析パターンにおいて、7.48°、10.24°、10.35°、11.10°、13.55°及び15.18°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、前記化学式1で表されるH形結晶を提供する。
【0146】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のH形結晶は、前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であってもよい。具体的には、前記H形結晶は、前記化学式Iで表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であってもよく、より具体的には、前記H形結晶である前記化学式1で表される化合物の溶媒和物において、前記化学式Iで表される化合物とテトラヒドロフランとのモル比が1:1~3であってもよく、具体的には、1:1であってもよい。
【0147】
本発明の前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。
【0148】
本発明の前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。
【0149】
特に、本発明の前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶は、非吸湿性を示すため、医薬品の加工及び保存において非常に有利で、製剤化が容易である。
【0150】
また、本発明の前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶は、血中濃度及び生体利用率が高く、優れた薬理効果を示す。
【0151】
従って、本発明の前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶は、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。
【0152】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のH形結晶は、粉末X線回折解析パターンにおいて、8.01°、11.72°、13.17°、13.59°、15.93°、17.78°、18.26°、19.03°、19.41°、20.86°、21.23°、22.41°、23.55°、23.95°、24.83°、25.26°、25.55°、26.47°、26.83°及び27.94°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0153】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のH形結晶は、粉末X線回折解析パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0154】
本発明の前記化学式1で表される化合物のH形結晶は、〔図13〕に表される粉末X線回折解析(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0155】
前記化学式1で表される化合物は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ及びPI3Kγからなる群より選択されるPI3キナーゼに対して選択的に阻害することができる。
【0156】
前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、149~166℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図14〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0157】
H形結晶の製造方法
本発明は、1)前記化学式Iで表される化合物をテトラヒドロフランに溶解するステップと、2)前記ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記化学式Iで表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶の製造方法を提供する。
【0158】
本発明の前記化学式Iで表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0159】
本発明の一実施形態において、前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0160】
本発明の一実施形態において、前記ステップ2)は、ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却するステップを含むことができる。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0161】
前記化学式1で表される化合物のテトラヒドロフラン溶媒和物であるH形結晶の製造方法は、下記ステップ3)をさらに含むことができる。
【0162】
本発明の一実施形態において、ステップ3)は、ステップ2)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップをさらに含むことができる。具体的には、前記ステップ3)で用いられる溶媒は、テトラヒドロフランであってもよい。
【0163】
本発明において、用語「常温」に関しては、A形結晶の製造方法で説明した内容と同様である。
【0164】
前記H形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0165】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0166】
I形結晶
本発明は、粉末X線回折解析パターンにおいて、12.03°、15.19°、21.77°、22.81°、24.21°及び27.11°の回折角(2θ±0.2°)でピークを有する、前記化学式1で表される化合物のI形結晶を提供する。
【0167】
本発明のI形結晶は、純度が高く、安全で、熱や湿度に対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能である。従って、本発明のI形結晶を用いて製剤を製造する際、そしてこれを含有する製剤を製造した後にも同一の状態を保持し、長期にわたって製剤の含量均一性を安定的に保ち、大量生産にも容易に適用可能である。
【0168】
特に、I形結晶は、非吸湿性を示すため、医薬品の加工及び保存において非常に有利で、製剤化が容易である。
【0169】
また、本発明のI形結晶は、血中濃度が高く優れた薬理効果を示すため、癌疾患を治療できる医薬組成物の新規な有効成分として有用である。また、本発明のI形結晶は、経口投与した際に、生体利用率が高く少量の服用でも優れた治療効果を示し、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0170】
PI3K阻害剤の結晶多形のうちI形結晶は、他の結晶形に比べて生体利用率が高く優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0171】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物のI形結晶は、粉末X線回折解析パターンにおいて、7.56°、9.84°、10.08°、10.56°、10.83°、11.84°、12.41°、12.87°、13.54°、14.52°、14.75°、15.90°、16.45°、16.90°、17.86°、18.17°、18.55°、18.95°、19.62°、20.39°、20.99°、22.04°、22.43°、22.99°、23.55°、24.36°、25.26°、25.78°、27.31°、27.79°、28.88°及び30.83°の回折角(2θ±0.2°)で一つ以上のピークをさらに含むことができる。
【0172】
本発明の一実施形態において、前記化学式Iで表される化合物のI形結晶は、粉末X線回折解析パターンがCuKα放射線を用いて作られたものであってもよい。
【0173】
本発明の前記化学式1で表される化合物のI形結晶は、〔図15〕に表される粉末X線回折解析(PXRD)スペクトルと実質的に同一のスペクトルを有する。
【0174】
前記化学式1で表される化合物のI形結晶は、昇温速度が10℃/minである場合、281~285℃でDSC(Differential Scanning Calorimetry)吸熱転移ピークを示すことができる。具体的には、〔図16〕のようなDSCスペクトルを有するものであってもよい。
【0175】
本発明の一実施形態において、化学式1で表される化合物のI形結晶は、無溶媒和物で、無水物であってもよい。
【0176】
I形結晶の製造方法
本発明は、1)前記化学式1で表される化合物を水に添加して還流するステップと、2)常温で徐々に冷却し1~24時間撹拌するステップとを含む、前記I形結晶の製造方法を提供する。
【0177】
本発明のI形結晶の製造方法は、低コストで高い収率及び純度を示すため、大量生産が可能である。
【0178】
本発明の一実施形態において、前記ステップ1)は、還流撹拌するステップであってもよい。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0179】
本発明の一実施形態において、前記ステップ2)は、ステップ1)で得た溶液を常温で徐々に冷却するステップを含むことができる。その内容に関しては、A形結晶の製造方法で説明したものと同様である。
【0180】
前記I形結晶の製造方法は、前記化学式1で表される化合物に水を添加することによって、化合物が水に溶解されない状態で還流撹拌され、I形結晶に変換されてもよい。
【0181】
前記I形結晶の製造方法は、下記ステップ3)をさらに含むことができる。
【0182】
本発明の一実施形態において、ステップ3)は、ステップ2)で得た固体を濾過してエタノール、アセトン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、水及びこれらの混合物からなる群より選択されるいずれか一つの溶媒で洗浄するステップをさらに含むことができる。具体的には、前記ステップ3)で用いられる溶媒は、精製水であってもよい。
【0183】
前記H形結晶の製造方法は、下記ステップ4)をさらに含むことができる。
【0184】
本発明の一実施形態において、ステップ4)は、ステップ3)で得た洗浄された固体を30~60℃の温度で乾燥するステップであってもよく、具体的には、35~55℃の温度で熱風乾燥することができる。
【0185】
結晶多形を含む癌疾患の予防又は治療用医薬組成物
本発明の癌疾患の予防又は治療用医薬組成物は、前記A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有する。
【0186】
本発明の癌疾患の予防又は治療用医薬組成物は、前記A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有することにより、癌の予防及び治療活性が著しく向上する。特に、PI3K阻害剤の結晶多形のうちI形結晶は、他の結晶形に比べて生体利用率が高く優れた治療効果を示し、安全で副作用が少なく、患者の服薬の利便性を著しく改善できる。
【0187】
本発明において、用語「予防」とは、疾病、障害又は疾患の発病を阻害又は遅延させることを意味する。疾病、障害又は疾患の発病が予定された期間中に阻害又は遅延された場合、予防は完全なものとみなすことができる。
【0188】
本発明において用語「治療」とは、特定の疾病、障害及び/又は疾患、又は疾患による症状を部分的に又は完全に軽減、改善、緩和、阻害、又は遅延させ、重症度、又は、一つ以上の症状もしくは特徴の発生を減少させることを意味する。
【0189】
本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬学的に許容される担体を用いて製剤化し、単位容量の形態又は多容量の容器内に入れる形態で製造することができる。
【0190】
本発明において用語「担体」とは、細胞又は組織内に対する化合物の付加を容易にする化合物を意味し、用語「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され、ヒトに投与される際に、通常、胃腸障害やめまいなどのアレルギー反応、又はこれに類似する反応を起こさない組成物をいう。
【0191】
前記薬学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されない。
【0192】
本発明の医薬組成物は、前記成分の他に、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などの添加剤をさらに含むことができる。本発明において、前記医薬組成物に含まれる添加剤の含量は、特に限定されず、通常の製剤化に用いられる範囲で適宜調整することができる。
【0193】
本発明の医薬組成物は、経口投与用であってもよい。本発明において、用語「経口投与」とは、活性物質が消化されるように製造された物質、即ち、吸収のために消化器官に投与されることを意味する。前記経口投与用製剤の非限定的な例としては、錠剤、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルション、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップ、又はエリキシル剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物を経口投与用に製剤化するために、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース、又はゼラチンなどの結合剤と、ジカルシウムホスフェートなどの賦形剤と、トウモロコシデンプン又はサツマイモデンプンなどの崩壊剤と、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、又はポリエチレングリコールワックスなどの潤滑油などを使用することができ、甘味料、香料、シロップ剤なども使用することができる。また、カプセル剤の場合には、上記した物質の他にも脂肪油などの液体担体などをさらに使用することができる。
【0194】
本発明の組成物は、それぞれの使用目的に応じて、常法により、液剤、懸濁剤、散剤、顆粒、錠剤、カプセル、丸薬、エキス剤、エマルション、シロップ剤、エアゾール剤などの経口剤、無菌注射溶液の注射剤など、様々な形態に剤形化して使用することができ、経口投与するか、又は、静脈内、腹腔内、皮下、直腸、局所などを含む様々な経路に投与することができる。
【0195】
本発明の医薬組成物の好ましい投与量は、患者の状態及び体重、年齢、性別、健康状態、食事と関連する体質特異性、製剤の性質、疾病の程度、組成物の投与時間、投与方法、投与期間もしくは間隔、排泄率、及び薬物の形態によってその範囲が様々であり、当該分野の通常の技術者によって適切に選択されることができる。例えば、約0.1~1,000mg/kgの範囲、約1~800mg/kgの範囲、約5~600mg/kgの範囲、又は約10~400mg/kgの範囲であり、具体的には、約50~500mg/kgの範囲であるが、これに限定されず、1ヵ月に1回投与することができる。
【0196】
本明細書において、用語「医薬組成物の有効投与量」とは、特定の症状を治療するのに十分な活性成分の組成物の量を意味する。医薬組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間及び/又は投与経路などによって様々であり、医薬組成物の投与によって達成しようとする反応の種類や程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食事の内容、排泄、該当個体に対して同時又は異時に一緒に使用される薬剤、その他の組成物の成分などをはじめとする様々な因子及び医薬分野でよく知られている類似因子によって多様化することができ、当該技術分野で通常の知識を有する者は、目的とする治療に有効な投与量を容易に決定し、処方することができる。
【0197】
本発明の医薬組成物は、1日に1回又は数回に分けて投与することができる。本発明の医薬組成物は、単独の治療薬として又は他の治療薬と併用して投与することができ、従来の治療薬と併用する場合は、順次に又は同時に投与することができる。上記の要素をすべて考慮して、副作用なく、最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することができ、これは、本発明が属する技術分野の通常の技術者によって容易に決定できる。
【0198】
本発明において、用語「癌」とは、医学的に細胞の正常な分裂、分化、又は死滅の調節機能に問題が生じて異常に過剰増殖することで周囲の組織又は臓器に浸潤して腫塊を形成し、既存の構造を破壊もしくは変形させる全ての状態を意味する。癌は、大きく分けて、発生した部位に存在する原発癌と、発生部位から別の身体部位に広がっていく転移癌とがある。
【0199】
本発明の一実施形態において、癌疾患は、肺癌、非小細胞肺癌(NSCL)、細気管支肺胞上皮癌、胃癌、消化管癌、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼球黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、子宮肉腫、ラッパ管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、食道癌、喉頭癌、小腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫又は脳下垂体腺腫のうちいずれか一つであってもよい。
【0200】
本発明の癌疾患の予防又は治療用医薬組成物に含まれる結晶多形は、前記A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、及びI形結晶で説明した内容と同様である。
【0201】
癌疾患の予防又は治療方法
本発明の他の目的は、必要とする個体に、前記A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有する癌疾患の予防又は治療用医薬組成物を投与することを含む、癌の予防又は治療方法を提供することである。
【0202】
本発明において、用語「個体」とは、サル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどの哺乳類を意味し、特にヒトを含む。前記予防又は治療方法は、治療学的に有効な量の投与を含む。
【0203】
本発明において、用語「治療学的に有効な量」とは、癌の予防又は治療に有効な、本発明のA形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物の量を表す。
【0204】
本発明の予防又は治療方法は、A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有する癌疾患の予防又は治療用医薬組成物を投与することによって、症候の発現前に疾患そのものを扱うだけでなく、その症候を阻害又は回避することも含む。疾患の管理において、特定の活性成分の予防的又は治療学的用量は、疾病又は状態の本性(nature)及び深刻度、そして活性成分が投与される経路によって様々である。用量及び用量の頻度は、各患者の年齢、体重及び反応によって様々である。適切な用量・用法は、これらの因子を当然に考慮する、当業界で通常の知識を有する者によって容易に選択できる。また、本発明の予防又は治療方法は、A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有する癌疾患の予防又は治療用医薬組成物と共に疾患の治療に役立つ追加的活性製剤の治療学的に有効な量の投与をさらに含むことができ、追加的活性製剤は、A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有する癌疾患の予防又は治療用医薬組成物と共に相乗効果又は相加効果を示すことができる。
【0205】
本発明の癌疾患の予防又は治療用医薬組成物に含まれる結晶多形は、前記A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、及びI形結晶で説明した内容と同様である。
【0206】
癌の予防又は治療用薬剤の製造のための使用
本発明の目的は、癌の予防又は治療用薬剤の製造のための前記A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有する医薬組成物の使用を提供することである。
【0207】
本発明の一実施形態において、薬剤の製造のための本発明のA形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、I形結晶、又はこれらの混合物を含有する医薬組成物は、許容される担体などを混合することができ、他の作用剤をさらに含むこともできる。
【0208】
本発明の癌疾患の予防又は治療用医薬組成物に含まれる結晶多形は、前記A形結晶、B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、G形結晶、H形結晶、及びI形結晶で説明した内容と同様である。
【0209】
本発明の結晶多形、結晶多形の製造方法、医薬組成物、治療方法、使用に言及された事項は、互いに矛盾しない限り、同様に適用される。
【発明の効果】
【0210】
本発明のP13K阻害剤の新規な結晶形は、吸湿性が低いため製剤化に有利であり、加速、長期、苛酷といった保存条件下における安定性、熱安定性、pHに対する安定性に優れ、長期にわたって含量の変化なく安定的に保持可能であり、新規な結晶形化合物は、血中濃度が高く優れた薬理効果を示すため、薬剤学的製剤に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0211】
図1は、本発明の実施例1による新規なA形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0212】
図2は、本発明の実施例1による新規なA形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示したものである。
【0213】
図3は、本発明の実施例2による新規なB形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0214】
図4は、本発明の実施例3による新規なB形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示したものである。
【0215】
図5は、本発明の実施例3による新規なC形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0216】
図6は、本発明の実施例3による新規なC形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示したものである。
【0217】
図7は、本発明の実施例4による新規なD形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0218】
図8は、本発明の実施例4による新規なD形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示したものである。
【0219】
図9は、本発明の実施例5による新規なE形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0220】
図10は、本発明の実施例5による新規なE形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示したものである。
【0221】
図11は、本発明の実施例6による新規なG形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0222】
図12は、本発明の実施例6による新規なG形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示したものである。
【0223】
図13は、本発明の実施例7による新規なH形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0224】
図14は、本発明の実施例7による新規なH形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示したものである。
【0225】
図15は、本発明の実施例8による新規なI形結晶の粉末X線回折(PXRD)の解析結果を示したものである(横軸の2Thetaの単位は°である)。
【0226】
図16は、本発明の実施例8による新規なI形結晶の示差走査熱量計(differential scanning calorimetry:DSC)の熱分析(thermogram)結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0227】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例によって詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例は、当業界で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供するものである。
【0228】
以下に言及される試薬及び溶媒は、特に言及されない限り、Sigma-Aldrich Korea、TCI、Alfa Aesarより購入したものであり、HLPCは、Agilent Technoliges社の1100Seriesを使用した。H NMRデータは、Bruker Avance III(400MHz)を使用して測定した。
【0229】
また、下記実施例によって製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オンの様々な結晶は、X線回折法によるX線回折パターン、そして示差走査熱量測定法(DSC)によるDSCパターンで確認した。下記実施例におけるX線回折解析は、回転測定器と固体状態検出器が備えられたBRUKER AXSの粉末X線回折計モデルD2 PHASERを使用し、Cu-Kα線を用いて解析範囲0°~40°、1分あたり3°の照射速度の条件下で、業界に公知の方法により測定した。また、示差走査熱量測定法(DSC)によるDSC測定は、METTLER TOREDO社のHP DSC1を使用して、10℃/minの速度で昇温しながら30~300℃で測定した値である。
【0230】
製造例 1.(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オンの製造
[化学式I]
【0231】
表題の(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン(4-((1-(4,8-dichloro-1-oxo-2-phenyl-1,2-dihydroisoquinolin-3-yl)ethyl)amino)pyrido[2,3-d]pyrimidin-5(8H)-one)は、国際公開特許公報 WO2016/204429の実施例10に記載の方法と同様の方法により製造した。
【0232】
実施例1.A形結晶
エタノール240mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)6gを添加し、還流撹拌して溶解した後、常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。生成された固体を濾過してエタノール30mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、A形結晶化合物4.12g(収率69%)を得た。
【0233】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図1及び図2の通りである。
【0234】
図1で確認できるように、前記固体化合物は、6.71°、7.36°、9.39°、12.34°、20.76°及び24.13°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0235】
また、図2で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、178~185℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。
【0236】
実施例2.B形結晶
アセトン200mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)4gを添加し、還流撹拌して溶解した後、常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。生成された固体を濾過してアセトン15mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、B形結晶化合物1.61g(収率40%)を得た。
【0237】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図3及び図4の通りである。
【0238】
図3で確認できるように、前記固体化合物は、3.34°、6.20°、7.06°、9.45°、18.82°及び24.97°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0239】
また、図4で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、187~194℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。
【0240】
実施例3.C形結晶
エタノール240mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)6gを添加し、還流撹拌して溶解した後、精製水(HO)240mLを滴加して常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。生成された固体を濾過してエタノール30mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、C形結晶化合物5.15g(収率86%)を得た。
【0241】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図5及び図6の通りである。
【0242】
図5で確認できるように、前記固体化合物は、3.72°、6.27°、7.22°、9.58°、18.90°及び25.14°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0243】
また、図6で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、186~192℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。
【0244】
実施例4.D形結晶
アセトニトリル300mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)6gを添加し、還流撹拌して溶解した後、常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。生成された固体を濾過してアセトニトリル24mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、D形結晶化合物4.86g(収率81%)を得た。
【0245】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図7及び図8の通りである。
【0246】
図7で確認できるように、前記固体化合物は、3.77°、6.14°、6.88°、7.51°、9.25°及び9.92°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0247】
また、図8で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、185~194℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。
【0248】
実施例5.E形結晶
アセトニトリル300mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)6gを添加し、還流撹拌して溶解した後、精製水(HO)300mLを滴加して常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。生成された固体を濾過してアセトニトリル24mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、E形結晶化合物5.12g(収率85%)を得た。
【0249】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図9及び図10の通りである。
【0250】
図9で確認できるように、前記固体化合物は、3.81°、6.25°、6.98°、7.61°、9.35°及び26.74°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0251】
また、図10で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、196~211℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。
【0252】
実施例6.G形結晶
1,4-ジオキサン19.2mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)3gを添加し、還流撹拌して溶解した後、常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。生成された固体を濾過して1,4-ジオキサン15mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、G形結晶化合物2.56g(収率85%)を得た。
【0253】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図11及び図12の通りである。
【0254】
図11で確認できるように、前記固体化合物は、7.33°、8.56°、9.69°、9.94°、19.97°及び25.37°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0255】
また、図12で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、154~161℃及び173~190℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。2つの吸熱ピーク(溶融)の後に表れる発熱ピークは、結晶が析出されたことを意味する。結晶の析出(発熱ピーク)後には、再び281~285℃で吸熱ピークが表れた。
【0256】
実施例7.H形結晶
テトラヒドロフラン(THF)35mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)3gを添加し、還流撹拌して溶解した後、常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。生成された固体を濾過してテトラヒドロフラン15mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、H形結晶化合物1.26g(収率42%)を得た。
【0257】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図13及び図14の通りである。
【0258】
図13で確認できるように、前記固体化合物は、7.48°、10.24°、10.35°、11.10°、13.55°及び15.18°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0259】
また、図14で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、149~166℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。
【0260】
実施例8.I形結晶
精製水20mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)2gを添加して3時間還流撹拌した後、常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。固体を濾過して精製水10mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、I形結晶化合物1.94g(収率97%)を得た。
【0261】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図15及び図16の通りである。
【0262】
図15で確認できるように、前記固体化合物は、12.03°、15.19°、21.77°、22.81°、24.21°及び27.11°の2θ(±0.2°)値でピークを示した。
【0263】
また、図16で確認できるように、前記固体化合物は、昇温速度が10℃/minである場合、281~285℃で示差走査熱量(DSC)吸熱転移ピークを示すことが分かった。
【0264】
実施例9.I形結晶
精製水4500mLに製造例1で製造された(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オン)900gを添加して3時間還流撹拌した後、常温で徐々に冷却し一晩中撹拌した。固体を濾過して精製水2000mLで洗浄した後、45℃の熱風乾燥機で乾燥し、I形結晶化合物881gを得た(収率98%)。
【0265】
前記固体化合物に対する粉末X線回折解析(PXRD)ピーク及び示差走査熱量(DSC)吸熱ピークを解析した。その結果は、それぞれ図15及び図16の通りである。
【0266】
実験例1.吸湿性(DVS)測定実験
前記実施例8のI形結晶を用いて吸湿性を実験した。
【0267】
a.実験に使用した機器
i)モデル名:DVS Intrinsic(Surface Measurement Systems LTD.UK)
ii)Specifications
Temperature:25℃
Temperature stability:±0.1℃
Maximum sample mass:1g/4g(low/high mass instrument)
Mass change:±150mg/1.0g(low/high mass instrument)
Humidity range:0~98%RH
RH Accuracy:±1%RH
Typical gas(Nitrogen+water vapor) flow rate:200sccm
Sample chamber:40mm wide×50mm deep×50mm high
Heating system:Peltier+Cartridge
【0268】
b.試料
前記実施例8のI形結晶に対して実験を行った。
【0269】
c.実験条件
i)温度:25℃
ii)湿度:初期0%、最大95%
iii)実験時間:7時間
iv)Solvent:Water
【0270】
d.実験方法
実施例8で製造されたI形結晶化合物の一定量(10mg)をsample chamber内のsample panに載せ、最初1時間sample chamber内に繋がっている管を通して窒素を流し、chamber内の水分とsampleの水分を除去した。水蒸気を調節してchamber内の湿度を調節し、ターゲットの相対湿度を最初0%から約20分ごとに10%ずつ段階的に増やし、205分間I形結晶の水分含有量を測定した。1時間ごとにsampleの質量を測定して(0%RHから95%RHまで)データを10%RH間隔で収集し、湿度の増減によるsampleの重さの変化をグラフで表した。
【0271】
実施例8によるI形結晶化合物の水分含有量の変化は、下記表1の通りである。

【表1】
【0272】
その結果、前記表1の通り、I形結晶化合物は、水分含有量にほとんど変化がなく、非吸湿性に著しく優れていることが確認できた。これは、活性成分の製造、保存、製剤化など、全工程において、I形結晶が製剤学的に著しく優れていることを示す。
以下、I形結晶に対してさらなる実験を行った。
【0273】
実験例2.薬物動態学(PK)試験
実施例8のI形結晶化合物に対して薬物動態学(PK)試験を行った。
【0274】
実施例8のI形結晶化合物のパウダーを100mg充填し、前記カプセルを1日1回100mgビーグル犬に経口投与した後、薬物の体内動態を確認した。
【0275】
具体的には、ビーグル犬にI形結晶化合物を100mg用量で経口投与し、決められた時間に採血した後、(S)-4-((1-(4,8-ジクロロ-1-オキソ-2-フェニル-1,2-ジヒドロイソキノリン-3-イル)エチル)アミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-5(8H)-オンの濃度を測定した。薬物動態パラメータは、BA Calc 2007プログラムを使用してAUCt(投薬時間から最終血中濃度の定量時間tまでの血中濃度-時間曲線下面積)、AUCi(投薬時間から無限時間までの血中濃度-時間曲線下面積)、Cmax(最高血中濃度)、Tmax(最高血中濃度到達時間)及びt1/2(血中消失半減期)を算出した。結果は、95%信頼区間でStudent t-test(SPSS)により物質間の有意性を確認した。その結果は、下記表2の通りである。

【表2】
【0276】
前記表2で確認できるように、実施例8のI形結晶化合物は、高い血中濃度を示した。
【0277】
従って、実施例8によるI形結晶化合物は、優れた生体利用率を示し、治療効果が非常に高いことが分かった。
【0278】
実験例3.安定性試験(加速試験)
前記実施例8によるI形結晶化合物のパウダーをLDPEバッグで二重包装してから紙管包装し、40±2℃、RH75±5%で0ヶ月、6ヶ月放置した後、下記条件の高速液体クロマトグラフィーにより不純物を測定した。その結果を下記表3に示した。
【0279】
<HPLCの条件>
-検出器:紫外部吸光光度計(測定波長307nm)
-カラム:Kromasil 100-5C18(4.6×250mm、5μmこれに類似するカラム
-カラム温度:25℃
-注入量:10μl
-移動相:移動相A-20mmol/L酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5、酢酸)
移動相B-アセトニトリル:メタノール=8:2
【表3】
【0280】
前記表3の結果から、実施例8のI形結晶化合物は、類縁物質及び含量において有意な変化及び経時変化が観察されなかった。
【0281】
従って、実施例8のI形結晶化合物は、加速条件で6ヶ月間高い純度を安定的に保持でき安定性(stability)に優れ、類縁物質の発生が非常に少なく優れた安全性(safety)を長期間保持でき、水分の含量にほとんど変化がなく吸湿性が非常に低いことが分かった。
【0282】
実験例4.安定性試験(長期保存試験)
前記実施例8によるI形結晶化合物のパウダーをLDPEバッグで二重包装してから紙管包装し、カプセルに充填した後、前記カプセルをPTP包装して長期保存試験(25±2℃、RH60±5%)を行った。その結果を下記表4に示した。

【表4】
【0283】
前記表4の結果から、実施例8のI形結晶化合物は、類縁物質及び含量において有意な変化及び経時変化が観察されなかった。
【0284】
従って、実施例8のI形結晶化合物は、6ヶ月間高い純度を安定的に保持でき安定性(stability)に優れ、類縁物質の発生が非常に少なく優れた安全性(safety)を長期間保持でき、水分の含量にほとんど変化がなく吸湿性が非常に低いことが分かった。
【0285】
実験例5.安定性試験(苛酷試験)
前記実施例8で製造されたI形結晶を苛酷な条件(温度:60℃、湿度:40℃、RH75%)で0、7、14日間放置した後、高速液体クロマトグラフィーにより不純物を測定した。その結果を下記表5に示した。

【表5】
【0286】
前記表5の結果から、実施例8のI形結晶化合物は、類縁物質及び含量において有意な変化及び経時変化が観察されなかった。
【0287】
従って、実施例8のI形結晶化合物は、6ヶ月間高い純度を安定的に保持でき安定性(stability)に優れ、類縁物質の発生が非常に少なく優れた安全性(safety)を長期間保持でき、水分の含量にほとんど変化がなく吸湿性が非常に低いことが分かった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】