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特表2022-532222改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ
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  • 特表-改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ 図1
  • 特表-改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ 図2
  • 特表-改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ 図3
  • 特表-改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ 図4
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  • 特表-改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ 図7
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  • 特表-改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ 図11
  • 特表-改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】改善された角度安定性及び快適性のための新しい安定化ゾーンを有するソフトコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568043
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 IB2020054539
(87)【国際公開番号】W WO2020230059
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】16/411,406
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェルリガン・ピエール-イーブス
(72)【発明者】
【氏名】ジュビン・フィリップ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン・ゲイリー
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BC02
2H006BC07
(57)【要約】
眼用レンズが本明細書に記載される。例示的な眼用レンズは、第1の表面を備えることができる。例示的な眼用レンズは、第1の表面の反対側に配置された第2の表面を備えることができる。第2の表面は、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成することができる。例示的な眼用レンズは、第1の表面に隣接して配置されたレンズ安定化ゾーンを備えてもよい。レンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭は、眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用レンズであって、
第1の表面と、
前記第1の表面の反対側に配置された第2の表面であって、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成されている、第2の表面と、
前記第1の表面に隣接して配置されたレンズ安定化ゾーンであって、前記レンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭が、前記眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成されている、レンズ安定化ゾーンと、
を備える、
眼用レンズ。
【請求項2】
前記眼用レンズが、概ね丸い形状を有する、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項3】
前記眼用レンズが、丸くない形状を有する、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項4】
前記第1の表面に隣接して配置された第2のレンズ安定化ゾーンを更に備える、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項5】
前記第2のレンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭が、前記着用者の少なくとも1つの眼瞼との相互作用により、前記眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成されている、請求項4に記載の眼用レンズ。
【請求項6】
前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面に対して対称である、請求項4に記載の眼用レンズ。
【請求項7】
前記レンズ安定化ゾーンが、タンジェンシャル面に対して対称である、請求項4に記載の眼用レンズ。
【請求項8】
前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称である、請求項4に記載の眼用レンズ。
【請求項9】
前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面に対して対称ではない、請求項4に記載の眼用レンズ。
【請求項10】
前記レンズ安定化ゾーンが、タンジェンシャル面に対して対称ではない、請求項4に記載の眼用レンズ。
【請求項11】
前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称ではない、請求項4に記載の眼用レンズ。
【請求項12】
前記レンズ安定化ゾーンが、前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用に基づいて、前記レンズの活性領域内に少なくとも部分的に配置されている、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項13】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、対象の着用者の個々の眼の形状に基づく、請求項12に記載の眼用レンズ。
【請求項14】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、複数のサンプルの眼に基づく、請求項12に記載の眼用レンズ。
【請求項15】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、1つ以上の眼瞼プロファイルに基づく、請求項12に記載の眼用レンズ。
【請求項16】
前記1つ以上の眼瞼プロファイルが、二次多項式の形式:a0+a1.x+a2.x2によるデカルト座標系を有し、式中、a0は、主視線における瞳孔中心と上/下眼瞼の縁部との間の距離である、上/下眼瞼裂を表し、a1は、前記上/下眼瞼裂の位置における前記眼瞼の傾斜であり、a2は、同じ前記位置における曲率であり、xは、前記瞳孔の中心に前記デカルト座標系の原点を有する前記デカルト座標系の水平方向に沿った距離である、請求項15に記載の眼用レンズ。
【請求項17】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、所与の視線方向の少なくとも1つの眼瞼に基づく、請求項12に記載の眼用レンズ。
【請求項18】
前記回復時間が、45度の位置ずれに対して2分を下回る、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項19】
前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して5度より大きい、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項20】
前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して10度より大きい、請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項21】
請求項1に記載の前記眼用レンズの製造方法。
【請求項22】
眼用レンズであって、
第1の表面と、
前記第1の表面の反対側に配置された第2の表面であって、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成されている、第2の表面と、
前記第1の表面に隣接して配置された活性領域であって、前記活性領域の少なくとも輪郭が、対象の1つ以上の眼の地形傾斜の分布に基づいて構成されている、活性領域と、
を備える、
眼用レンズ。
【請求項23】
前記輪郭が、累積地形傾斜を有する、請求項22に記載の眼用レンズ。
【請求項24】
前記輪郭が、上眼瞼のみ又は下眼瞼のみと相互作用するように構成されている、請求項22に記載の眼用レンズ。
【請求項25】
前記眼用レンズが、概ね丸い形状を有する、請求項22に記載の眼用レンズ。
【請求項26】
前記眼用レンズが、丸くない形状を有する、請求項22に記載の眼用レンズ。
【請求項27】
前記第1の表面に隣接して配置された第2の活性領域を更に備える、請求項22に記載の眼用レンズ。
【請求項28】
前記第2の活性領域の少なくとも輪郭が、対象の1つ以上の眼の地形傾斜の分布に基づいて構成されている、請求項27に記載の眼用レンズ。
【請求項29】
前記活性領域が、サジタル面に対して対称である、請求項27に記載の眼用レンズ。
【請求項30】
前記活性領域が、タンジェンシャル面に対して対称である、請求項27に記載の眼用レンズ。
【請求項31】
前記活性領域が、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称である、請求項27に記載の眼用レンズ。
【請求項32】
前記活性領域が、サジタル面に対して対称ではない、請求項27に記載の眼用レンズ。
【請求項33】
前記活性領域が、タンジェンシャル面に対して対称ではない、請求項27に記載の眼用レンズ。
【請求項34】
前記活性領域が、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称ではない、請求項27に記載の眼用レンズ。
【請求項35】
前記活性領域が、前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用に基づいて構成されている、請求項22に記載の眼用レンズ。
【請求項36】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、対象の着用者の個々の眼の形状に基づく、請求項35に記載の眼用レンズ。
【請求項37】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、複数のサンプルの眼に基づく、請求項35に記載の眼用レンズ。
【請求項38】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、1つ以上の眼瞼プロファイルに基づく、請求項35に記載の眼用レンズ。
【請求項39】
前記1つ以上の眼瞼プロファイルが、二次多項式の形式:a0+a1.x+a2.x2によるデカルト座標系を有し、式中、a0は、主視線における瞳孔中心と上/下眼瞼の縁部との間の距離である、上/下眼瞼裂を表し、a1は、前記上/下眼瞼裂の位置における前記眼瞼の傾斜であり、a2は、同じ前記位置における曲率であり、xは、前記瞳孔の中心に前記デカルト座標系の原点を有する前記デカルト座標系の水平方向に沿った距離である、請求項38に記載の眼用レンズ。
【請求項40】
前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、所与の視線方向の少なくとも1つの眼瞼に基づく、請求項35に記載の眼用レンズ。
【請求項41】
前記活性領域の少なくとも輪郭が、前記眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成されている、請求項22に記載の眼用レンズ。
【請求項42】
前記回復時間が、45度の位置ずれに対して2分を下回る、請求項41に記載の眼用レンズ。
【請求項43】
前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して5度より大きい、請求項41に記載の眼用レンズ。
【請求項44】
前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して10度より大きい、請求項41に記載の眼用レンズ。
【請求項45】
請求項22に記載の前記眼用レンズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ソフトトーリックコンタクトレンズの角度位置に関する機械的態様は、視力性能に有用であり得る。第1の機械的態様は、コンタクトレンズが最終的な角度位置に戻る速度を含むことができる。角度位置ずれは、初期レンズ挿入中に、又は(例えば、異物の存在によって誘発される)眼を擦ること、若しくは激しいまばたきなどの機械的介入から生じることがある。レンズが最終的な静止位置に速く到達するほど、レンズを着用している着用者(例えば、ユーザなど)が視力矯正を速く受けることができる。
【0002】
第2の機械的態様は、眼に対して同じ角度位置を維持するコンタクトレンズの能力を含むことができる。複数の着用者に処方された同様のレンズは、好ましくは、それぞれの着用者の眼に対して同じ位置に角度的に静止することができ、これにより、水平軸に近接したレンズ角度位置を維持することによって、次の利用可能な円柱軸を選択することの発生を低減することができる。水平軸は、円柱軸の基準として使用されてもよい。レンズの静止角度位置の分布がより緊密なほど、レンズが角度的により安定することができる。レンズの静止角度位置のより緊密な分布を提供することにより、特に大きな乱視矯正を必要とする着用者にとって、より少ない視力変動を提供することができる。
【0003】
安定性はまた、高次収差補正などの乱視よりも複雑な視力矯正を必要とする着用者にとっても有用であり得る。円錐角膜状態は、この状態に関連する視力不足がコンタクトレンズの使用により矯正される場合、そのような設計から利益を得ることができる眼疾患の良好な例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
眼用レンズが本明細書に記載される。例示的な眼用レンズは、第1の表面を備えることができる。例示的な眼用レンズは、第1の表面の反対側に配置された第2の表面を備えることができる。第2の表面は、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成することができる。例示的な眼用レンズは、第1の表面に隣接して配置されたレンズ安定化ゾーンを備えてもよい。レンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭は、眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成することができる。
【0006】
別の例示的な眼用レンズは、第1の表面を備えることができる。例示的な眼用レンズは、第1の表面の反対側に配置された第2の表面を備えることができる。第2の表面は、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成することができる。例示的な眼用レンズは、第1の表面に隣接して配置された活性領域を備えてもよい。活性領域の少なくとも輪郭は、対象の1つ以上の眼の地形傾斜の分布に基づいて構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図面は、例として、ただし限定としてではなく、本開示で検討される様々な実施例を一般的に示したものである。図面は、以下のとおりである。
図1】例示的なソフトコンタクトレンズの径方向厚さの等高線図を示す。
図2】位置ずれしたトーリックコンタクトレンズの一例を示す。黒色実線は、任意の眼の上眼瞼プロファイル及び下眼瞼プロファイルを表す。円は、レンズ回転を駆動するコンタクトレンズの活性領域を表す。
図3】くさび効果の図を示す。図面の左側部分には、眼瞼がレンズの表面の法線方向に圧力を作用させることが示されている。圧力がレンズの前面に垂直であるため、横方向の動きは、生成されない。図面の右側部分には、眼瞼が表面の法線とは異なる方向に圧力を作用させることが示されている。圧力の方向は、レンズを回転させる必要なトルクを提供する活性領域における横方向の動きを生成する。
図4】その静止位置にあるトーリックコンタクトレンズの一例を示す。黒色実線は、任意の眼の上眼瞼プロファイル及び下眼瞼プロファイルを表す。円は、回転でのレンズ安定性を駆動するコンタクトレンズの活性領域を表す。
図5】安定性のためのDSZSアプローチを使用したトーリックレンズと相互作用する、右眼上の平均眼瞼及びその圧力バンドの概略図を示す。トーリックレンズは、径方向厚さ輪郭によって表される。灰色ボックスは、対象領域である活性領域を表す。
図6】3.0分間(それぞれ5秒持続する36回のまばたき)にわたって計算された3つのレンズ、レンズ#1、レンズ#2、及びレンズ#3の回転における平均応答を示す。各平均応答は、16個の個々の応答の組から計算された。
図7】3.0分間(それぞれ5秒持続する36回のまばたき)にわたって計算された3つのレンズ、レンズ#1、レンズ#2、及びレンズ#3の角度位置の標準偏差を示す。各標準偏差応答は、16個の個々の応答の組から計算された。
図8】平均レンズ角度位置に対してプロットされたレンズ#1、#2、及びレンズ#3について得られた標準偏差を示す。
図9】100個のヒトの眼の組について、活性領域にわたって計算された地形傾斜の累積ヒストグラムを示す。
図10】各レンズが水平軸と完全に整列しているときの、レンズ#1、#2、及び#3の前面の活性領域にわたって計算された地形傾斜のヒストグラムを示す。
図11】各レンズが鼻方向に10度だけ位置ずれしたときの、レンズ#1、#2、及び#3の前面の活性領域にわたって計算された地形傾斜のヒストグラムを示す。
図12】活性領域内の45度を下回る地形傾斜の累積分布に対する、鼻方向に0度~10度の範囲の異なるレンズ位置ずれについてのレンズ#1、#2、及び#3の標準偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載されるコンタクトレンズは、1つ以上の安定化ゾーンを備えることができる。安定化ゾーンは、眼瞼からの圧力がコンタクトレンズを眼の瞳孔に対してある位置に固定することができるような様式で輪郭形成されてもよい。第1の輪郭領域は、眼の瞳孔の左にあってもよい。第2の輪郭領域は、眼の瞳孔の右にあってもよい。輪郭領域は、外周及び内周を含んでもよい。外周から内周に向かって移動すると、輪郭領域は、概ね厚さが増加してもよい。眼の瞳孔の左及び右に概ね増加する厚さを有する輪郭領域を有することにより、眼瞼からの圧力が第2の輪郭領域の水平位置と同様の第1の輪郭領域の水平位置に瞳孔に対してコンタクトレンズを安定化させることを可能にすることができる。
【0009】
眼用レンズは、第1の表面を備えることができる。眼用レンズは、概ね丸い形状を有してもよい。眼用レンズはまた、丸くない形状を有してもよい。
【0010】
眼用レンズは、第1の表面の反対側に配置された第2の表面を備えることができる。第2の表面は、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成することができる。
【0011】
眼用レンズは、第1の表面に隣接して配置されたレンズ安定化ゾーンを備えてもよい。レンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭は、眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成することができる。
【0012】
眼用レンズは、第1の表面に隣接して配置された第2のレンズ安定化ゾーンを備えてもよい。第2のレンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭は、着用者の少なくとも1つの眼瞼との相互作用により、眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成することができる。レンズ安定化ゾーンは、サジタル面に対して対称であってもよい。レンズ安定化ゾーンは、タンジェンシャル面に対して対称であってもよい。レンズ安定化ゾーンは、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称であってもよい。レンズ安定化ゾーンは、サジタル面に対して対称でなくてもよい。レンズ安定化ゾーンは、タンジェンシャル面に対して対称でなくてもよい。レンズ安定化ゾーンは、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称でなくてもよい。
【0013】
レンズは、瞳孔のための領域を備えることができる。第1のレンズ安定化ゾーンは、レンズが正しい位置にあるとき、瞳孔のための領域の左にあってもよい。第2のレンズ安定化ゾーンは、レンズが正しい位置にあるとき、瞳孔のための領域の右にあってもよい。レンズ安定化ゾーンは、瞳孔のための領域から等しい距離であってもよい。レンズ安定化ゾーンは、瞳孔のための領域から等しい距離でなくてもよい。
【0014】
レンズ安定化ゾーンはそれぞれ、それぞれの外側パラメータを有してもよい。レンズ安定化ゾーンはそれぞれ、それぞれの内側パラメータを有してもよい。第1の厚さは、それぞれの外側パラメータと関連付けられてもよい。第2の厚さは、それぞれの内側パラメータと関連付けられてもよい。レンズ安定化ゾーンは、第1の厚さから第2の厚さに滑らかに、かつ/又は徐々に移行するように輪郭形成されてもよい。第1の厚さ、第2の厚さ、及び/又は第1の厚さと第2の厚さとの間の輪郭領域は、眼瞼からの圧力がレンズに瞳孔のための領域に対して正しい位置を達成させるように構成することができる。
【0015】
レンズ安定化ゾーンは、着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用に基づいて、レンズの活性領域内に少なくとも部分的に配置されてもよい。着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、対象の着用者の個々の眼の形状に基づくことができる。着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、複数のサンプルの眼に基づくことができる。着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、1つ以上の眼瞼プロファイルに基づいてもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、1回以上のまばたきを含んでもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、開放位置を含んでもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、閉鎖位置を含んでもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、静止位置を含んでもよい。
【0016】
1つ以上の眼瞼プロファイルは、二次多項式の形式:a0+a1.x+a2.xによるデカルト座標系を有してもよく、式中、a0は、主視線における瞳孔中心と上/下眼瞼の縁部との間の距離である、上/下眼瞼裂を表し、a1は、上/下眼瞼裂の位置における眼瞼の傾斜であり、a2は、その同じ位置における曲率であり、xは、瞳孔の中心にその原点を有するデカルト座標系の水平方向に沿った距離である。
【0017】
回復時間は、45度の位置ずれに対して2分を下回ってもよい。位置ずれした位置は、水平軸から角度で測定して5度より大きくてもよい。位置ずれした位置は、水平軸から角度で測定して10度より大きくてもよい。
【0018】
眼用レンズは、1種以上のシリコーンヒドロゲルを含んでもよい。眼用レンズは、1種以上の従来のヒドロゲルを含んでもよい。
【0019】
コンタクトレンズの着用者は、コンタクトレンズを着用者の眼に挿入することができる。コンタクトレンズは、2つの輪郭形成された安定化ゾーンを備えてもよい。コンタクトレンズは、最初に眼の瞳孔に対して適所から外れていてもよい。着用者は、眼をまばたきして、眼瞼からの圧力をコンタクトレンズにかけさせることができる。眼瞼からの圧力は、コンタクトレンズに瞳孔に対して正しい位置を達成させることができる。
【0020】
眼用レンズは、第1の表面を備えることができる。眼用レンズは、概ね丸い形状を有してもよい。眼用レンズはまた、丸くない形状を有してもよい。
【0021】
眼用レンズは、第1の表面の反対側に配置された第2の表面を備えることができる。第2の表面は、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成することができる。
【0022】
眼用レンズは、第1の表面に隣接して配置された活性領域を備えてもよい。活性領域の少なくとも輪郭は、対象の1つ以上の眼の地形傾斜の分布に基づいて構成することができる。輪郭は、累積地形傾斜を有してもよい。輪郭は、上眼瞼のみ又は下眼瞼のみとの相互作用のために構成することができる。
【0023】
眼用レンズは、第1の表面に隣接して配置された第2の活性領域を備えてもよい。第2の活性領域の少なくとも輪郭は、対象の1つ以上の眼の地形傾斜の分布に基づいて構成することができる。活性領域は、サジタル面に対して対称であってもよい。活性領域は、タンジェンシャル面に対して対称であってもよい。活性領域は、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称であってもよい。活性領域は、サジタル面に対して対称でなくてもよい。活性領域は、タンジェンシャル面に対して対称でなくてもよい。活性領域は、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称でなくてもよい。
【0024】
レンズは、瞳孔のための領域を備えることができる。第1の活性領域は、レンズが正しい位置にあるとき、瞳孔のための領域の左にあってもよい。第2の活性領域は、レンズが正しい位置にあるとき、瞳孔のための領域の右にあってもよい。活性領域は、瞳孔ための領域から等しい距離であってもよい。活性領域は、瞳孔ための領域から等しい距離でなくてもよい。
【0025】
活性領域はそれぞれ、それぞれの外側パラメータを有してもよい。活性領域はそれぞれ、それぞれの内側パラメータを有してもよい。第1の厚さは、それぞれの外側パラメータと関連付けられてもよい。第2の厚さは、それぞれの内側パラメータと関連付けられてもよい。活性領域は、第1の厚さから第2の厚さに滑らかに、かつ/又は徐々に移行するように輪郭形成されてもよい。第1の厚さ、第2の厚さ、及び/又は第1の厚さと第2の厚さとの間の輪郭領域は、眼瞼からの圧力がレンズに瞳孔のための領域に対して正しい位置を達成させるように構成することができる。
【0026】
活性領域は、着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用に基づいて構成することができる。着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、対象の着用者の個々の眼の形状に基づくことができる。着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、複数のサンプルの眼に基づくことができる。着用者の少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、1つ以上の眼瞼プロファイルに基づいてもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、1回以上のまばたきを含んでもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、開放位置を含んでもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、閉鎖位置を含んでもよい。少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用は、静止位置を含んでもよい。
【0027】
1つ以上の眼瞼プロファイルは、二次多項式の形式:a0+a1.x+a2.x2によるデカルト座標系を有してもよく、式中、a0は、主視線における瞳孔中心と上/下眼瞼の縁部との間の距離である、上/下眼瞼裂を表し、a1は、上/下眼瞼裂の位置における眼瞼の傾斜であり、a2は、その同じ位置における曲率であり、xは、瞳孔の中心にその原点を有するデカルト座標系の水平方向に沿った距離である。
【0028】
活性領域の少なくとも輪郭は、眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成することができる。回復時間は、45度の位置ずれに対して2分を下回ってもよい。位置ずれした位置は、水平軸から角度で測定して5度より大きくてもよい。位置ずれした位置は、水平軸から角度で測定して10度より大きくてもよい。
【0029】
眼用レンズは、1種以上のシリコーンヒドロゲルを含んでもよい。眼用レンズは、1種以上の従来のヒドロゲルを含んでもよい。
【0030】
コンタクトレンズの着用者は、コンタクトレンズを着用者の眼に挿入することができる。コンタクトレンズは、2つの輪郭形成された活性領域を備えてもよい。コンタクトレンズは、最初に眼の瞳孔に対して適所から外れていてもよい。着用者は、眼をまばたきして、眼瞼からの圧力をコンタクトレンズにかけさせることができる。眼瞼からの圧力は、コンタクトレンズに瞳孔に対して正しい位置を達成させることができる。
【0031】
図1は、例示的なレンズ上の標準的な二重安定化ゾーンシステムを説明する。図1は、-3.00D/-0.75D@180度Rxのレンズの径方向厚さの等高線図を表す。周辺領域とも呼ばれるレンズの外側領域内に位置する安定化ゾーンは、周辺領域の垂直方向の厚さよりも水平方向に沿って中心を置くより大きな厚さを呈する。安定化ゾーンの幾何学形状は、レンズの外側輪郭に従う。
【0032】
このようなレンズの再配向及び安定性は、レンズの前面上の上眼瞼及び下眼瞼によって及ぼされる圧力から駆動される。レンズが角度的に位置ずれしているとき(図2)、眼瞼は、大きな勾配厚さが存在し、くさびとして作用する(図3)、活性領域内のレンズに圧力を及ぼし、実施例で提供されるようにレンズを時計回り方向に回転させるトルクをもたらす。大きな厚さ勾配を有さない眼瞼と接触するレンズの領域は、くさび効果の欠如に起因して、レンズの回転に寄与しない。レンズがその最終的な角度位置(図4)に到達すると、4つ全ての活性領域が、眼瞼(側頭領域及び鼻領域)内及び眼瞼(上方領域と下方領域)の間で互いにバランスをとり、レンズをその静止位置に維持することになる。
【0033】
本明細書では、コンタクトレンズの活性領域が、そのようなレンズがその最終的な角度静止位置に到達したときに、角度安定性のために最適化されている、二重安定化ゾーンシステム(dual stabilization zone system、DSZS)により角度安定化が提供される、新しいトーリックレンズ設計が記載される。
【0034】
平均眼瞼プロファイルは、異なる民族性(白人、東アジア人、インド/中東人)を表す100人の被験者の集団にわたって右眼について収集された複数のプロファイルの測定から得た。各眼瞼プロファイルは、以下の二次多項式の形式によってデカルト座標系で記載した。
a0+a1.x+a2.x
【0035】
式中、a0は、主視線における瞳孔中心と上/下眼瞼の縁部との間の距離である、上/下眼瞼裂を表し、a1は、上/下眼瞼裂の位置における眼瞼の傾斜であり、a2は、その同じ位置における曲率であり、xは、瞳孔の中心にその原点を有するデカルト座標系の水平方向に沿った距離である。以下の表1は、異なる民族性の100人の被験者にわたって計算された上眼瞼及び下眼瞼の平均幾何学形状を記述する多項式の係数を提供する。
【0036】
【表1】
【0037】
上眼瞼とレンズとの間の相互作用の領域は、上眼瞼の輪郭に続くバンドとして定義した(図5)。眼瞼に沿った眼瞼圧力バンドを表す0.75mmの全バンド幅が、そのようなレンズが装着されたときに眼又はコンタクトレンズに直接圧力を及ぼしているという条件で、上眼瞼輪郭の下のバンド幅を0.25mmに設定し、眼瞼輪郭の上のバンド幅を0.50mmに設定した。
【0038】
このような作業に精通している人には、平均眼瞼輪郭を個々の輪郭又は特定の民族性を表す平均輪郭によって置き換えることができることは明白であるはずである。例えば、平均輪郭は、非常に特徴的な眼瞼幾何形状を有する白人集団又はアジア人集団を表すことができる。
【0039】
トーリックレンズのレンズ回転は、主に、上眼瞼及び下眼瞼によって及ぼされる圧力、並びにまばたきサイクル中の上眼瞼の動き、より具体的には、上眼瞼とソフトコンタクトレンズの安定化ゾーンとの相互作用によって駆動される。活性領域(図5)は、レンズ安定化ゾーンと直接相互作用する上眼瞼の領域として定義される。提供された実施例では、活性領域の開始は、4.00mmの水平座標で定義されていた。4.00mmを下回る水平座標では、上眼瞼は、レンズ安定化ゾーンとの任意の相互作用を有さない。この位置では、光学ゾーンの外側縁部を周辺部の内側領域に接続するブレンド領域を通常見出すことができる。トーリックソフトコンタクトレンズを熟知している者には、活性ゾーンの開始点は、ソフトコンタクトレンズの寸法及びそのコンタクトレンズ内に組み込まれた安定化ゾーンの位置に従って調整されなければならないことは明白であるはずである。
【0040】
一態様では、安定化ゾーンの輪郭は、コンタクトレンズの向きがその最終的な静止位置に対応する(レンズが水平軸と整列した)ときに、眼瞼圧力バンドと相互作用する活性領域内の傾斜の分布が1組の眼にわたって計算されたその分布とより良好に一致するように、修正される。
【0041】
別の態様では、安定化ゾーンの輪郭は、コンタクトレンズがその最終的な静止位置から反時計回り方向に10度だけ位置ずれしたときに、眼瞼圧力バンドと相互作用する活性領域内の傾斜の分布が1組の眼にわたって計算されたその分布とより良好に一致するように、修正される。
【0042】
より良好な傾斜の一致とは、眼上にレンズが存在しないときの眼眼瞼相互作用と比較して、より自然なレンズ眼瞼相互作用を意味する。これは、眼瞼の変形が少ないことを意味し、したがって、装着するのがより快適であるレンズを意味する。
【実施例
【0043】
第1の実施例では、ソフトトーリックコンタクトレンズ(レンズ#1)は、レンズの回転及び安定性について最初に評価される。評価は、眼のトポグラフィ及び眼瞼の幾何学形状が測定された16個の眼の集団を使用して行った。回転及びセントレーションのシミュレーションモデル(米国特許第8,403,479号)を使用して、回転及び安定性のデータを得た。Rx-3.00D/-0.75D@180度のトーリックレンズを鼻側に25度だけ位置ずれさせ、レンズ再配向を、各まばたきサイクルが5秒持続する36回のまばたきサイクルにわたって観察した。平均レンズ回転(図6)及び標準偏差(図7)を、時間枠全体にわたって計算した。
【0044】
第2の実施例では、実施例1のレンズと同じ条件及び眼集団を使用して、レンズ#1の同じ処方のソフトトーリックコンタクトレンズ(レンズ#2)を評価した。平均レンズ回転(図6)及び標準偏差(図7)を、また、時間枠全体にわたって計算した。
【0045】
第3の実施例では、実施例1のレンズと同じ条件及び眼集団を使用して、レンズ#1の同じ処方のソフトトーリックコンタクトレンズ(レンズ#3)を評価した。平均レンズ回転(図6)及び標準偏差(図7)を、また、時間枠全体にわたって計算した。
【0046】
3つのレンズの全ては、レンズ再配向において同様の応答を呈する。全てのレンズは、水平方向に近い最終的な角度静止位置に収束する。これらのレンズを互いにより良好に比較するために、標準偏差を平均レンズ角度位置に対してプロットした(図8)。したがって、図8は、同じ平均角度位置に対する各レンズの標準偏差を提供する。
【0047】
レンズ#2及び#3は、レンズ#1と同じベースカーブ幾何形状、中心厚、水平経線に沿って位置する最大周辺厚さ、及び垂直経線に沿って位置する同じ最小周辺厚さを有するように設計された。回転及び安定性の性能に影響を与える唯一の幾何学形状は、周辺領域に位置する安定化ゾーンの前面幾何学形状である。
【0048】
図9は、活性領域内の100個の眼の組にわたって計算された地形傾斜の累積ヒストグラムである。これらの眼は、白人の眼、東アジア人の眼、及びインド/中東人の眼の混合物である。地形傾斜は、単一の位置で計算された最も急な傾斜として定義される。傾斜は、約25度~45度の範囲である。
【0049】
図10は、コンタクトレンズがその静止位置に到達したときにとることができる最適な角度位置である水平軸と各レンズが完全に整列したときの、レンズ#1、#2、及び#3の前面の同じ活性領域内の地形傾斜を表示している。図11は、各レンズが鼻方向に10度だけ位置ずれしたときの、レンズ#1、#、及び#3の前面の同じ活性領域内の地形傾斜を表示している。トーリックレンズの円柱軸は通常10度毎に提供されるため、必要とされる処方された円柱軸から5度より大きい位置ずれを有して眼上に静止したトーリックレンズは、通常、軸誤差を5度を下回って低減するように次の円柱軸を選択することによって、調整される。したがって、レンズが10度だけ位置ずれした場合を考慮することは、患者に正しく適合したレンズでは決して発生しないため、非常に控えめである。
【0050】
一態様では、レンズ#3の安定化ゾーンは、活性領域内の前面が100個のヒトの眼の組について計算された累積地形傾斜とより良好に一致するように設計された。具体的には、活性領域内の45度を下回る地形傾斜の累積分布は、レンズ#1の地形傾斜の累積分布のより高いパーセンテージを呈する(以下の表2)。換言すれば、45度を下回る地形傾斜の累積分布が高いほど、角膜傾斜と一致するより大きな面積が活性領域内にある。第2の実施例では、レンズ#2の安定化ゾーンは、活性領域内の前面が累積地形傾斜に一致しないように、かつ活性領域内の45度を下回る地形傾斜の累積分布がレンズ#1の地形傾斜の累積分布のより低いパーセンテージを呈するように設計された。
【0051】
トーリックソフトコンタクトレンズを熟知している者には、閾値角度は、レンズが設計された眼の集団に基づいて変化し得ることは明らかであるはずである。提案される実施例では、閾値角度は、眼の混合集団に基づく。閾値角度はまた、トーリックソフトコンタクトレンズが特定の種類の眼用に設計される場合、民族性固有又は他の種類の基準であってもよい。
【0052】
【表2】
【0053】
レンズの再配向の3.0分間にわたってレンズ#3について得られた平均角度応答は、レンズ#1の平均角度安定性と密接に一致し、標準偏差がより小さいという条件で、より良好なレンズ角度安定性を有する。レンズの再配向の3分間にわたってレンズ#2について得られた平均角度応答は、レンズ#1の平均角度安定性と依然として一致するが、標準偏差がより大きいという条件で、より悪いレンズ角度安定性を有する。
【0054】
図12は、活性領域内の45度を下回る地形傾斜の累積分布に対する、鼻方向に0度~10度の範囲の異なるレンズ位置ずれについての各レンズの標準偏差を表示している。図12は、累積分布が38%より大きい前面地形傾斜を有するトーリックレンズが、地形傾斜の累積分布が38%を下回るトーリックレンズよりも良好な角度安定性を提供することを示す。好ましくは、累積分布は、48%を上回る必要がある。
【0055】
図示及び説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更がそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) 眼用レンズであって、
第1の表面と、
前記第1の表面の反対側に配置された第2の表面であって、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成されている、第2の表面と、
前記第1の表面に隣接して配置されたレンズ安定化ゾーンであって、前記レンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭が、前記眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成されている、レンズ安定化ゾーンと、
を備える、
眼用レンズ。
(2) 前記眼用レンズが、概ね丸い形状を有する、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(3) 前記眼用レンズが、丸くない形状を有する、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(4) 前記第1の表面に隣接して配置された第2のレンズ安定化ゾーンを更に備える、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(5) 前記第2のレンズ安定化ゾーンの少なくとも輪郭が、前記着用者の少なくとも1つの眼瞼との相互作用により、前記眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成されている、実施態様4に記載の眼用レンズ。
【0057】
(6) 前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面に対して対称である、実施態様4に記載の眼用レンズ。
(7) 前記レンズ安定化ゾーンが、タンジェンシャル面に対して対称である、実施態様4に記載の眼用レンズ。
(8) 前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称である、実施態様4に記載の眼用レンズ。
(9) 前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面に対して対称ではない、実施態様4に記載の眼用レンズ。
(10) 前記レンズ安定化ゾーンが、タンジェンシャル面に対して対称ではない、実施態様4に記載の眼用レンズ。
【0058】
(11) 前記レンズ安定化ゾーンが、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称ではない、実施態様4に記載の眼用レンズ。
(12) 前記レンズ安定化ゾーンが、前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用に基づいて、前記レンズの活性領域内に少なくとも部分的に配置されている、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(13) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、対象の着用者の個々の眼の形状に基づく、実施態様12に記載の眼用レンズ。
(14) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、複数のサンプルの眼に基づく、実施態様12に記載の眼用レンズ。
(15) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、1つ以上の眼瞼プロファイルに基づく、実施態様12に記載の眼用レンズ。
【0059】
(16) 前記1つ以上の眼瞼プロファイルが、二次多項式の形式:a0+a1.x+a2.x2によるデカルト座標系を有し、式中、a0は、主視線における瞳孔中心と上/下眼瞼の縁部との間の距離である、上/下眼瞼裂を表し、a1は、前記上/下眼瞼裂の位置における前記眼瞼の傾斜であり、a2は、同じ前記位置における曲率であり、xは、前記瞳孔の中心に前記デカルト座標系の原点を有する前記デカルト座標系の水平方向に沿った距離である、実施態様15に記載の眼用レンズ。
(17) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、所与の視線方向の少なくとも1つの眼瞼に基づく、実施態様12に記載の眼用レンズ。
(18) 前記回復時間が、45度の位置ずれに対して2分を下回る、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(19) 前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して5度より大きい、実施態様1に記載の眼用レンズ。
(20) 前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して10度より大きい、実施態様1に記載の眼用レンズ。
【0060】
(21) 実施態様1に記載の前記眼用レンズの製造方法。
(22) 眼用レンズであって、
第1の表面と、
前記第1の表面の反対側に配置された第2の表面であって、着用者の眼の少なくとも一部分に当接するように構成されている、第2の表面と、
前記第1の表面に隣接して配置された活性領域であって、前記活性領域の少なくとも輪郭が、対象の1つ以上の眼の地形傾斜(terrain slope)の分布に基づいて構成されている、活性領域と、
を備える、
眼用レンズ。
(23) 前記輪郭が、累積地形傾斜を有する、実施態様22に記載の眼用レンズ。
(24) 前記輪郭が、上眼瞼のみ又は下眼瞼のみと相互作用するように構成されている、実施態様22に記載の眼用レンズ。
(25) 前記眼用レンズが、概ね丸い形状を有する、実施態様22に記載の眼用レンズ。
【0061】
(26) 前記眼用レンズが、丸くない形状を有する、実施態様22に記載の眼用レンズ。
(27) 前記第1の表面に隣接して配置された第2の活性領域を更に備える、実施態様22に記載の眼用レンズ。
(28) 前記第2の活性領域の少なくとも輪郭が、対象の1つ以上の眼の地形傾斜の分布に基づいて構成されている、実施態様27に記載の眼用レンズ。
(29) 前記活性領域が、サジタル面に対して対称である、実施態様27に記載の眼用レンズ。
(30) 前記活性領域が、タンジェンシャル面に対して対称である、実施態様27に記載の眼用レンズ。
【0062】
(31) 前記活性領域が、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称である、実施態様27に記載の眼用レンズ。
(32) 前記活性領域が、サジタル面に対して対称ではない、実施態様27に記載の眼用レンズ。
(33) 前記活性領域が、タンジェンシャル面に対して対称ではない、実施態様27に記載の眼用レンズ。
(34) 前記活性領域が、サジタル面及びタンジェンシャル面に対して対称ではない、実施態様27に記載の眼用レンズ。
(35) 前記活性領域が、前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との予想される相互作用に基づいて構成されている、実施態様22に記載の眼用レンズ。
【0063】
(36) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、対象の着用者の個々の眼の形状に基づく、実施態様35に記載の眼用レンズ。
(37) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、複数のサンプルの眼に基づく、実施態様35に記載の眼用レンズ。
(38) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、1つ以上の眼瞼プロファイルに基づく、実施態様35に記載の眼用レンズ。
(39) 前記1つ以上の眼瞼プロファイルが、二次多項式の形式:a0+a1.x+a2.x2によるデカルト座標系を有し、式中、a0は、主視線における瞳孔中心と上/下眼瞼の縁部との間の距離である、上/下眼瞼裂を表し、a1は、前記上/下眼瞼裂の位置における前記眼瞼の傾斜であり、a2は、同じ前記位置における曲率であり、xは、前記瞳孔の中心に前記デカルト座標系の原点を有する前記デカルト座標系の水平方向に沿った距離である、実施態様38に記載の眼用レンズ。
(40) 前記着用者の前記少なくとも1つの眼瞼との前記予想される相互作用が、所与の視線方向の少なくとも1つの眼瞼に基づく、実施態様35に記載の眼用レンズ。
【0064】
(41) 前記活性領域の少なくとも輪郭が、前記眼用レンズが位置ずれした位置から静止位置に向くための回復時間を最小化するように構成されている、実施態様22に記載の眼用レンズ。
(42) 前記回復時間が、45度の位置ずれに対して2分を下回る、実施態様41に記載の眼用レンズ。
(43) 前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して5度より大きい、実施態様41に記載の眼用レンズ。
(44) 前記位置ずれした位置が、水平軸から角度で測定して10度より大きい、実施態様41に記載の眼用レンズ。
(45) 実施態様22に記載の前記眼用レンズの製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】