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特表2022-532230金融市場データからの取引シグナルを低遅延で生成しかつ配信するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】金融市場データからの取引シグナルを低遅延で生成しかつ配信するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20220706BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568186
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020032972
(87)【国際公開番号】W WO2020232294
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/847,641
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】513146077
【氏名又は名称】エクセジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Exegy Incorporated
【住所又は居所原語表記】349 Marshall Avenue, Suite 100, St. Louis, MO 63119, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エドワード テイラー
(72)【発明者】
【氏名】アンディー ヤング リー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ヴィンセント シューラー
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB51
(57)【要約】
高度に並列化された計算リソース、例えば、集積回路、再構成可能なロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)、マルチコア汎用プロセッサおよび/またはチップマルチプロセッサ(CMP)を使用して、低遅延かつ高スループットで取引シグナルを計算するシステムおよび方法が本明細書に開示される。このようにして計算することができる取引シグナルの例は、金融商品についての予備注文の存在を示す流動性インジケータ、金融商品についての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値、金融商品についての価格相場が妥当であろう期間を推定する相場価格安定性推定値および/または金融商品についての次の相場における価格が現在の相場におけるその金融商品についての価格よりも高くなるかまたは低くなるかを推定する相場価格方向性推定値を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低遅延で取引シグナルを導出するためのストリーミング金融市場データの加速された処理のためのシステムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、
前記少なくとも1つのメンバは、(1)ストリーミング金融市場データを受信し、(2)並列化処理ロジックにより、前記ストリーミング金融市場データの複数の特徴を導出すべく前記ストリーミング金融市場データを処理し、(3)前記並列化処理ロジックにより導出された前記特徴に基づいて、前記ストリーミング金融市場データのための取引シグナルを生成するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記並列化処理ロジックは、
それぞれ前記ストリーミング金融市場データの特徴を計算するように構成されたロジックを含む複数の並列パスと、
前記並列パスの下流にあり、前記計算された特徴から前記取引シグナルを導出するように構成された組み合わせロジックと、
を含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ストリーミング金融市場データは、金融市場データの複数のフィールドを含み、複数の並列パスのそれぞれは、
フィールド選択ロジックと、
前記フィールド選択ロジックの下流にある特徴計算ロジックと、
を含み、
前記フィールド選択ロジックは、その並列パスにおける下流の前記特徴計算ロジックが処理する前記ストリーミング金融市場データのフィールドをフィルタリングするように構成されており、
前記特徴計算ロジックは、その並列パスにおける上流のフィールド選択ロジックからの前記フィルタリングされた金融市場データに基づいて、前記ストリーミング金融市場データについての特徴を計算するように構成されている、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記並列パスのうちの少なくとも1つにおける前記特徴計算ロジックは、(1)第1の特徴計算ロジックと、(2)前記第1の特徴計算ロジックの下流にある第2の特徴計算ロジックと、を含み、前記第2の特徴計算ロジックは、前記第1の特徴計算ロジックにより計算された特徴から導出される派生特徴を計算するように構成されている、
請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記組み合わせロジックは、前記計算された特徴の重み付けされた組み合わせとして前記取引シグナルを導出するようにさらに構成されている、
請求項2から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのメンバは、前記重み付けされた組み合わせを用いて、前記組み合わせロジックにより使用される複数の重みを更新するように構成されている、
請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記重みを計算するために、金融市場データのセットに機械学習を適用するように構成されたプロセッサをさらに備える、
請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記ロジックは、経時的に特徴を計算するための状態データを記憶するように構成された状態メモリをさらに備える、
請求項2から7までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
前記ストリーミング金融市場データは、複数の金融市場データストリームを含み、前記少なくとも1つのメンバは、前記金融市場データストリームのそれぞれについて特徴を導出するように構成された別個の並列化処理ロジックを備えるようにさらに構成されており、前記少なくとも1つのメンバは、ストリームごとに前記取引シグナルを生成するようにさらに構成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
前記ストリーミング金融市場データは、複数のシンボルについての金融市場データを含み、前記少なくとも1つのメンバは、シンボルごとに前記取引シグナルを生成するようにさらに構成されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項11】
前記ストリーミング金融市場データは、複数の市場における前記シンボルについての金融市場データをさらに含み、前記少なくとも1つのメンバは、シンボルごと、市場ごとに前記取引シグナルを生成するようにさらに構成されている、
請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記取引シグナルは、シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータを含む、
請求項1から11までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
前記並列化処理ロジックは、前記ストリーミング金融市場データに関する複数の条件に基づいて、前記流動性インジケータをアサートするか否かを判定するようにさらに構成されており、前記条件は、(1)前記シンボルについての価格での注文実行を表すメッセージが前記ストリーミング金融市場データについてのネットワークパケットに存在するという第1の条件、および、(2)同じシンボルについて同じ価格での注文追加を表す別のメッセージが同じネットワークパケットに存在するという第2の条件を含む、
請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記並列化処理ロジックは、前記ストリーミング金融市場データに関する複数の条件に基づいて、前記流動性インジケータをアサートするか否かを判定するようにさらに構成されており、前記条件は、(1)シンボルについての価格での注文実行を表すメッセージが前記ストリーミング金融市場データについてのネットワークパケットに存在するという第1の条件、および、(2)同じシンボルについての同じ価格での注文追加を表す別のメッセージが近くのネットワークパケットに存在するという第2の条件を含む、
請求項12記載のシステム。
【請求項15】
前記取引シグナルは、シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値を含む、
請求項1から14までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項16】
前記並列化処理ロジックは、金融商品もしくは市場についての予備注文の累積出来高および/または前記金融商品についての現在検出されている予備注文の一部として実行された注文の出来高を表す複数の特徴に基づいて、前記流動性推定値を計算するようにさらに構成されている、
請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記流動性推定値は、前記隠れた流動性量が定義された閾値より大きいまたは小さい確率を含み、前記少なくとも1つのメンバは、前記複数の特徴を教師あり機械学習モデルに適用して、前記複数のシンボルのそれぞれについて前記確率を計算するようにさらに構成されている、
請求項15または16記載のシステム。
【請求項18】
前記取引シグナルは、シンボルについての相場価格が変化しないであろう期間を推定する相場価格安定性推定値を含む、
請求項1から16までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項19】
前記相場価格安定性推定値は、前記相場価格が閾値により定義された期間にわたって変化しない可能性を示す確率を含む、
請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記確率は、前記相場価格が前記定義された閾値期間未満の間変化しないであろうという推定を示すショートヒューズインジケータを含む、
請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記確率は、前記相場価格が前記定義された閾値期間より長い間変化しないであろうという推定を示すロングヒューズインジケータを含む、
請求項19記載のシステム。
【請求項22】
前記定義された閾値期間は、10マイクロ秒から10秒の範囲の値である、
請求項20または21記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのメンバは、前記複数の特徴を教師あり機械学習モデルに適用して、前記複数のシンボルのそれぞれについての確率を計算するようにさらに構成されている、
請求項19から22までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項24】
前記取引シグナルは、シンボルについての次の相場価格が前記シンボルについての現在の相場価格より高くなるまたは低くなるか否かを推定する相場価格方向性推定値を含む、
請求項1から23までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項25】
前記並列化処理ロジックは、現在の相場価格期間についてのタイミングデータおよび相場に対する注文アクティビティについてのサイズデータを表す複数の特徴に基づいて、相場価格方向性推定値を計算するようにさらに構成されている、
請求項24記載のシステム。
【請求項26】
前記相場価格方向性推定値は、前記シンボルについての前記次の相場価格が前記シンボルについての前記現在の相場価格より高くなるかまたは低くなる確率を含み、前記少なくとも1つのメンバは、前記複数の特徴を教師あり機械学習モデルに適用して、前記複数のシンボルのそれぞれについての確率を計算するようにさらに構成されている、
請求項24または25記載のシステム。
【請求項27】
前記システムは、
(1)前記確率を受信し、(2)前記受信された確率を定義された確率閾値と比較し、(3)前記受信された確率が前記定義された確率閾値を超えるという判定に応じて、前記受信された確率にリンクされた前記シンボルに関連付けられたアクションをトリガする、
ように構成されたコンピュータシステムをさらに備える、
請求項17、19から23までおよび26のいずれか1項記載のシステム。
【請求項28】
前記定義された確率閾値は、調整可能である、
請求項27記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのメンバは、消費アプリケーションへの配信のためのデータを送信するようにさらに構成されており、前記送信されたデータは、前記生成された取引シグナルを含む、
請求項1から28までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項30】
前記送信されたデータは、前記消費アプリケーションに前記取引シグナルを対応する金融市場データと同期させることが可能となる前記金融市場データの複数のデータフィールドをさらに含む、
請求項29記載のシステム。
【請求項31】
前記データフィールドは、前記複数の取引シグナルのそれぞれに対応する金融市場データメッセージについてのシーケンス番号、タイムスタンプ、商品識別子、更新タイプおよび価格を含む、
請求項30記載のシステム。
【請求項32】
前記送信されたデータは、前記消費アプリケーションに前記取引シグナルを対応する金融市場データと同期させることが可能となる同期識別子をさらに含む、
請求項29記載のシステム。
【請求項33】
前記金融市場データは、複数のデータフィールドを含む複数の金融市場データメッセージを含み、前記少なくとも1つのメンバは、前記複数のデータフィールドから前記同期識別子を計算するようにさらに構成されている、
請求項32記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つのメンバは、ハッシュ関数を前記複数のデータフィールドに適用して、前記同期識別子を計算するように構成されている、
請求項33記載のシステム。
【請求項35】
ハッシュ関数により使用される前記データフィールドは、前記複数の取引シグナルのそれぞれに対応する金融市場データメッセージについてのシーケンス番号、タイムスタンプ、商品識別子、更新タイプおよび価格を含む、
請求項34記載のシステム。
【請求項36】
前記送信されたデータは、前記金融市場データをさらに含む、
請求項29記載のシステム。
【請求項37】
前記少なくとも1つのメンバは、前記ストリーミング金融市場データを正規化するようにさらに構成されており、前記送信されたデータは、前記正規化された金融市場データをさらに含む、
請求項36記載のシステム。
【請求項38】
前記並列化処理ロジックは、前記特徴を導出することと並列に、前記ストリーミング金融市場データを正規化するようにさらに構成されている、
請求項37記載のシステム。
【請求項39】
前記並列化処理ロジックは、前記特徴を導出すべく前記正規化された金融市場データを処理するようにさらに構成されている、
請求項37記載のシステム。
【請求項40】
前記並列化処理ロジックは、(1)前記ストリーミング金融市場データを正規化するように構成された第1の並列化処理ロジック、および、(2)前記第1の並列化処理ロジックの下流にある第2の並列化処理ロジックを備え、前記第2の並列化処理ロジックは、前記正規化された金融市場データに基づいて前記特徴を導出するように構成されている、
請求項39記載のシステム。
【請求項41】
前記金融市場データは、複数のデータフィールドを含む複数の金融市場データメッセージを含み、前記少なくとも1つのメンバは、前記生成された取引シグナルがポピュレートされた追加のデータフィールドにより前記複数のメッセージを増強するようにさらに構成されており、前記送信されたデータは、前記増強されたメッセージを含む、
請求項36から40までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項42】
前記送信されたデータは、複数の取引シグナル増強メッセージを含み、各取引シグナル増強メッセージが複数のフィールドを含み、前記フィールドは、(1)そのメッセージに適用可能な金融市場データについての複数のフィールド、および、(2)そのメッセージに適用可能な生成された取引シグナルについての少なくとも1つのフィールドを含み、これにより、前記生成された取引シグナルとこれらの生成された取引シグナルに対応する金融市場データとの間で、前記送信されたデータの同期が提供される、
請求項36から41までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項43】
前記少なくとも1つのメンバは、前記ストリーミング金融市場データを正規化するようにさらに構成されており、前記送信されたデータ内の前記金融市場データは、正規化された金融市場データを含む、
請求項42記載のシステム。
【請求項44】
前記並列化処理ロジックは、前記ストリーミング金融市場データの集約に基づいて前記複数の特徴を導出するようにさらに構成されている、
請求項1から43までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項45】
前記少なくとも1つのメンバは、前記ストリーミング金融市場データを処理するためのティッカープラントの一部である、
請求項1から44までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項46】
前記ティッカープラントは、前記特徴を導出し、前記取引シグナルを生成するFPGAを備える、
請求項45記載のシステム。
【請求項47】
前記ティッカープラントは、前記特徴を導出し、前記取引シグナルを生成するGPUを備える、
請求項45記載のシステム。
【請求項48】
前記ティッカープラントは、前記ストリーミング金融市場データを受信するためのティッカープラント用のネットワークインタフェースカードとして機能するFPGAを備える、
請求項45から47までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項49】
前記ティッカープラントは、前記ストリーミング金融市場データを受信し、正規化するための前記ティッカープラント用の第1のネットワークインタフェースカードとして機能する第1のFPGAと、前記正規化されたストリーミング金融市場データを送信するための前記ティッカープラント用の第2のネットワークインタフェースカードとして機能する第2のFPGAと、を備える、
請求項45記載のシステム。
【請求項50】
前記第1のFPGAネットワークインタフェースカードは、前記取引シグナルについての前記複数の特徴を導出するようにさらに構成されている、
請求項48記載のシステム。
【請求項51】
前記第2のFPGAネットワークインタフェースカードは、前記取引シグナルを生成するようにさらに構成されている、
請求項49または50記載のシステム。
【請求項52】
前記ティッカープラントは、前記ストリーミング金融市場データを受信し、正規化するための前記ティッカープラント用のネットワークインタフェースカードとして機能するFPGAを備え、前記FPGAネットワークインタフェースカードも、前記正規化された金融市場データに基づいて、前記特徴を導出し、前記取引シグナルを生成するように構成されている、
請求項45記載のシステム。
【請求項53】
前記少なくとも1つのメンバは、前記ストリーミング金融市場データを処理するための取引シグナルプラントの一部である、
請求項1から44までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項54】
前記システムは、前記ティッカープラントまたはシグナルプラントの下流にある取引アプリケーションをさらに含み、前記取引アプリケーションは、前記取引シグナルおよび前記金融市場データに基づいて、複数の金融商品取引注文を生成するように構成されている、
請求項45から53までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項55】
前記少なくとも1つのメンバは、前記金融市場データおよび前記取引シグナルに基づいて、複数の金融商品取引注文を生成するための取引アプリケーションサーバの一部である、
請求項1から44までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項56】
前記取引アプリケーションサーバは、到来する金融市場データおよび/または取引シグナルを解析するAPIを含む、
請求項55記載のシステム。
【請求項57】
前記少なくとも1つのメンバは、前記生成された複数の取引シグナルから導出された要約取引シグナルを経時的に生成するようにさらに構成されている、
請求項1から56までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項58】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項1から57までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項59】
前記再構成可能なロジックデバイスは、複数の再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項58記載のシステム。
【請求項60】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項1から59までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項61】
前記GPUは、複数のGPUを備える、
請求項60記載のシステム。
【請求項62】
前記少なくとも1つのメンバは、前記CMPを備える、
請求項1から61までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項63】
前記CMPは、複数のCMPを備える、
請求項62記載のシステム。
【請求項64】
低遅延で取引シグナルを導出するためのストリーミング金融市場データの加速された処理のための方法であって、前記方法は、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバは、並列化処理ロジックにより、前記ストリーミング金融市場データの複数の特徴を導出すべく前記ストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記少なくとも1つのメンバは、前記並列化処理ロジックにより導出された前記特徴に基づいて、前記ストリーミング金融市場データのための取引シグナルを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項65】
前記並列化処理ロジックは、複数の並列パスと、前記並列パスの下流にある組み合わせロジックと、を含み、
前記処理ステップは、
前記複数の並列パスのそれぞれが、パイプラインロジックを使用して、前記ストリーミング金融市場データの特徴を計算するステップと、
前記組み合わせロジックが、前記計算された特徴から前記取引シグナルを導出するステップと、
を含む、
請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記ストリーミング金融市場データは、金融市場データの複数のフィールドを含み、複数の並列パスのそれぞれは、(1)フィールド選択ロジックおよび(2)前記フィールド選択ロジックの下流にある特徴計算ロジックを含み、
前記処理ステップは、
前記フィールド選択ロジックが、その並列パスにおける下流の前記特徴計算ロジックが処理する前記ストリーミング金融市場データのフィールドをフィルタリングするステップと、
前記特徴計算ロジックが、その並列パスにおける上流のフィールド選択ロジックからの前記フィルタリングされた金融市場データに基づいて、前記ストリーミング金融市場データについての特徴を計算するステップと、
をさらに含む、
請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記並列パスのうちの少なくとも1つにおける前記特徴計算ロジックは、(1)第1の特徴計算ロジックと、(2)前記第1の特徴計算ロジックの下流にある第2の特徴計算ロジックと、を含み、前記第2の特徴計算ロジックは、前記第1の特徴計算ロジックにより計算された特徴から導出される派生特徴を計算する、
請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記導出ステップは、前記組み合わせロジックが前記計算された特徴の重み付けされた組み合わせとして前記取引シグナルを導出するステップを含む、
請求項65から67までのいずれか1項記載の方法。
【請求項69】
前記方法は、前記少なくとも1つのメンバは、前記重み付けされた組み合わせを用いて、前記組み合わせロジックにより使用される複数の重みを更新するステップをさらに含む、
請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記方法は、前記重みを計算するために、金融市場データのセットに機械学習を適用するステップをさらに含む、
請求項69記載の方法。
【請求項71】
前記パイプラインロジックは、状態メモリをさらに備え、前記方法は、状態データを前記状態メモリに記憶するステップを含み、前記記憶された状態データは、経時的に前記特徴を計算するのに使用するためのものである、
請求項65から70までのいずれか1項記載の方法。
【請求項72】
前記ストリーミング金融市場データは、複数の金融市場データストリームを含み、前記処理ステップは、前記少なくとも1つのメンバ内の別個の並列化処理ロジックが前記金融市場データストリームのそれぞれについて特徴を導出するステップをさらに含み、前記生成ステップは、前記少なくとも1つのメンバがストリームごとに前記取引シグナルを生成するステップを含む、
請求項64から71までのいずれか1項記載の方法。
【請求項73】
前記ストリーミング金融市場データは、複数のシンボルについての金融市場データを含み、前記生成ステップは、前記少なくとも1つのメンバがシンボルごとに前記取引シグナルを生成するステップを含む、
請求項64から72までのいずれか1項記載の方法。
【請求項74】
前記ストリーミング金融市場データは、複数の市場における前記シンボルについての金融市場データをさらに含み、前記生成ステップは、前記少なくとも1つのメンバがシンボルごと、市場ごとに前記取引シグナルを生成するステップを含む、
請求項73記載の方法。
【請求項75】
前記取引シグナルは、シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータを含む、
請求項64から74までのいずれか1項記載の方法。
【請求項76】
前記生成ステップは、前記並列化処理ロジックが前記ストリーミング金融市場データに関する複数の条件に基づいて、前記流動性インジケータをアサートするか否かを判定するステップを含み、前記条件は、(1)前記シンボルについての価格での注文実行を表すメッセージが前記ストリーミング金融市場データについてのネットワークパケットに存在するという第1の条件、および、(2)同じシンボルについて同じ価格での注文追加を表す別のメッセージが同じネットワークパケットに存在するという第2の条件を含む、
請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記生成ステップは、前記並列化処理ロジックが前記ストリーミング金融市場データに関する複数の条件に基づいて、前記流動性インジケータをアサートするか否かを判定するステップを含み、前記条件は、(1)シンボルについての価格での注文実行を表すメッセージが前記ストリーミング金融市場データについてのネットワークパケットに存在するという第1の条件、および、(2)同じシンボルについての同じ価格での注文追加を表す別のメッセージが近くのネットワークパケットに存在するという第2の条件を含む、
請求項75記載の方法。
【請求項78】
前記取引シグナルは、シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値を含む、
請求項64から77までのいずれか1項記載の方法。
【請求項79】
前記生成ステップは、前記並列化処理ロジックが金融商品もしくは市場についての予備注文の累積出来高および/または前記金融商品についての現在検出されている予備注文の一部として実行された注文の出来高を表す複数の特徴に基づいて、前記流動性推定値を計算するステップを含む、
請求項78記載の方法。
【請求項80】
前記流動性推定値は、前記隠れた流動性量が定義された閾値より大きいまたは小さい確率を含み、前記生成ステップは、前記少なくとも1つのメンバが前記複数の特徴を教師あり機械学習モデルに適用して、前記複数のシンボルのそれぞれについて前記確率を計算するステップを含む、
請求項78または79記載の方法。
【請求項81】
前記取引シグナルは、シンボルについての相場価格が変化しないであろう期間を推定する相場価格安定性推定値を含む、
請求項64から80までのいずれか1項記載の方法。
【請求項82】
前記相場価格安定性推定値は、前記相場価格が閾値により定義された期間にわたって変化しない可能性を示す確率を含む、
請求項81記載の方法。
【請求項83】
前記確率は、前記相場価格が前記定義された閾値期間未満の間変化しないであろうという推定を示すショートヒューズインジケータを含む、
請求項82記載の方法。
【請求項84】
前記確率は、前記相場価格が前記定義された閾値期間より長い間変化しないであろうという推定を示すロングヒューズインジケータを含む、
請求項82記載の方法。
【請求項85】
前記定義された閾値期間は、10マイクロ秒から10秒の範囲の値である、
請求項83または84記載の方法。
【請求項86】
前記少なくとも1つのメンバは、前記複数の特徴を教師あり機械学習モデルに適用して、前記複数のシンボルのそれぞれについての確率を計算するようにさらに構成されている、
請求項82から85までのいずれか1項記載の方法。
【請求項87】
前記取引シグナルは、シンボルについての次の相場価格が前記シンボルについての現在の相場価格より高くなるかまたは低くなるかを推定する相場価格方向性推定値を含む、
請求項64から86までのいずれか1項記載の方法。
【請求項88】
前記生成ステップは、前記並列化処理ロジックが現在の相場価格期間についてのタイミングデータおよび相場に対する注文アクティビティについてのサイズデータを表す複数の特徴に基づいて、前記相場価格方向性推定値を計算するステップを含む、
請求項87記載の方法。
【請求項89】
前記相場価格方向性推定値は、前記シンボルについての前記次の相場価格が前記シンボルについての前記現在の相場価格より高くなるかまたは低くなる確率を含み、前記少なくとも1つのメンバは、前記複数の特徴を教師あり機械学習モデルに適用して、前記複数のシンボルのそれぞれについての確率を計算するようにさらに構成されている、
請求項87または88記載の方法。
【請求項90】
前記方法は、コンピュータシステムが、(1)前記確率を受信するステップと、(2)前記受信された確率を定義された確率閾値と比較するステップと、(3)前記受信された確率が前記定義された確率閾値を超えるという判定に応じて、前記受信された確率にリンクされた前記シンボルに関連付けられたアクションをトリガするステップと、をさらに含む、
請求項80、82から86までおよび89のいずれか1項記載の方法。
【請求項91】
前記定義された確率閾値は、調整可能である、
請求項90記載の方法。
【請求項92】
前記方法は、前記少なくとも1つのメンバが消費アプリケーションへの配信のためのデータを送信するステップをさらに含み、前記送信されたデータは、前記生成された取引シグナルを含む、
請求項64から91までのいずれか1項記載の方法。
【請求項93】
前記送信されたデータは、前記消費アプリケーションに前記取引シグナルを対応する金融市場データと同期させることが可能となる前記金融市場データの複数のデータフィールドをさらに含む、
請求項92記載の方法。
【請求項94】
前記データフィールドは、前記複数の取引シグナルのそれぞれに対応する金融市場データメッセージについてのシーケンス番号、タイムスタンプ、商品識別子、更新タイプおよび価格を含む、
請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記送信されたデータは、前記消費アプリケーションに前記取引シグナルを対応する金融市場データと同期させることが可能となる同期識別子をさらに含む、
請求項92記載の方法。
【請求項96】
前記金融市場データは、複数のデータフィールドを含む複数の金融市場データメッセージを含み、前記方法は、前記少なくとも1つのメンバが前記複数のデータフィールドから前記同期識別子を計算するステップをさらに含む、
請求項95記載の方法。
【請求項97】
前記計算ステップは、前記少なくとも1つのメンバがハッシュ関数を前記複数のデータフィールドに適用して、前記同期識別子を計算するステップを含む、
請求項96記載の方法。
【請求項98】
ハッシュ関数により使用される前記データフィールドは、前記複数の取引シグナルのそれぞれに対応する金融市場データメッセージについてのシーケンス番号、タイムスタンプ、商品識別子、更新タイプおよび価格を含む、
請求項97記載の方法。
【請求項99】
前記送信されたデータは、前記金融市場データをさらに含む、
請求項92記載の方法。
【請求項100】
前記方法は、前記少なくとも1つのメンバが、前記ストリーミング金融市場データを正規化するステップをさらに含み、前記送信されたデータは、前記正規化された金融市場データをさらに含む、
請求項99記載の方法。
【請求項101】
前記正規化ステップは、前記並列化処理ロジックが、前記特徴を導出することと並列に、前記ストリーミング金融市場データを正規化するステップを含む、
請求項100記載の方法。
【請求項102】
前記処理ステップは、前記並列化処理ロジックが、前記特徴を導出すべく前記正規化された金融市場データを処理するステップを含む、
請求項100記載の方法。
【請求項103】
前記並列化処理ロジックは、第1の並列化処理ロジックおよび前記第1の並列化処理ロジックの下流にある第2の並列化処理ロジックを備え、
前記正規化ステップは、前記第1の並列化処理ロジックが前記ストリーミング金融市場データを正規化するステップを含み、
前記処理ステップは、前記第2の並列化処理ロジックが前記正規化された金融市場データに基づいて前記特徴を導出するステップを含む、
請求項102記載の方法。
【請求項104】
前記金融市場データは、複数のデータフィールドを含む複数の金融市場データメッセージを含み、
前記送信ステップは、前記少なくとも1つのメンバが前記生成された取引シグナルがポピュレートされた追加のデータフィールドにより前記複数のメッセージを増強するステップを含み、
前記送信されたデータは、前記増強されたメッセージを含む、
請求項99から103までのいずれか1項記載の方法。
【請求項105】
前記送信されたデータは、複数の取引シグナル増強メッセージを含み、各取引シグナル増強メッセージは、複数のフィールドを含み、前記方法は、そのメッセージに適用可能な生成された取引シグナルを伴う前記複数のメッセージのそれぞれについての少なくとも1つのフィールドをポピュレートすることにより、前記生成された取引シグナルとこれらの生成された取引シグナルに対応する金融市場データとの間で、前記送信されたデータの同期を提供するステップをさらに含む、
請求項99から104までのいずれか1項記載の方法。
【請求項106】
前記方法は、前記少なくとも1つのメンバが前記ストリーミング金融市場データを正規化するステップをさらに含み、前記送信されたデータ内の前記金融市場データは、正規化された金融市場データを含む、
請求項105記載の方法。
【請求項107】
前記処理ステップは、前記並列化処理ロジックが前記ストリーミング金融市場データの集約に基づいて、前記複数の特徴を導出するステップを含む、
請求項64から106までのいずれか1項記載の方法。
【請求項108】
前記少なくとも1つのメンバは、前記ストリーミング金融市場データを処理するためのティッカープラントの一部である、
請求項64から107までのいずれか1項記載の方法。
【請求項109】
前記ティッカープラントは、前記特徴を導出し、前記取引シグナルを生成するFPGAを備える、
請求項108記載の方法。
【請求項110】
前記ティッカープラントは、前記特徴を導出し、前記取引シグナルを生成するGPUを備える、
請求項109記載の方法。
【請求項111】
前記ティッカープラントは、前記ストリーミング金融市場データを受信するためのティッカープラント用のネットワークインタフェースカードとして機能するFPGAを備える、
請求項108から110までのいずれか1項記載の方法。
【請求項112】
前記ティッカープラントは、前記ストリーミング金融市場データを受信し、正規化するティッカープラント用の第1のネットワークインタフェースカードとして機能する第1のFPGAと、前記正規化されたストリーミング金融市場データを送信するティッカープラント用の第2のネットワークインタフェースカードとして機能する第2のFPGAと、を備える、
請求項108記載の方法。
【請求項113】
前記第1のFPGAネットワークインタフェースカードは、前記取引シグナルについての前記複数の特徴を導出する、
請求項112記載の方法。
【請求項114】
前記第2のFPGAネットワークインタフェースカードは、前記取引シグナルを生成する、
請求項112または113記載の方法。
【請求項115】
前記ティッカープラントは、前記ストリーミング金融市場データを受信し、正規化するための前記ティッカープラント用のネットワークインタフェースカードとして機能するFPGAを備え、前記FPGAネットワークインタフェースカードも、前記正規化された金融市場データに基づいて、前記特徴を導出し、前記取引シグナルを生成する、
請求項108記載の方法。
【請求項116】
前記少なくとも1つのメンバは、前記ストリーミング金融市場データを処理するための取引シグナルプラントの一部である、
請求項64から107までのいずれか1項記載の方法。
【請求項117】
前記方法は、前記ティッカープラントまたはシグナルプラントの下流にある取引アプリケーションが、前記取引シグナルおよび前記金融市場データに基づいて、複数の金融商品取引注文を生成するステップをさらに含む、
請求項108から116までのいずれか1項記載の方法。
【請求項118】
前記少なくとも1つのメンバは、前記金融市場データおよび前記取引シグナルに基づいて、複数の金融商品取引注文を生成するための取引アプリケーションサーバの一部である、
請求項64から107までのいずれか1項記載の方法。
【請求項119】
前記取引アプリケーションサーバは、到来する金融市場データおよび/または取引シグナルを解析するAPIを含む、
請求項118記載の方法。
【請求項120】
前記方法は、前記少なくとも1つのメンバが、前記生成された複数の取引シグナルから導出された要約取引シグナルを経時的に生成するステップをさらに含む、
請求項64から119までのいずれか1項記載の方法。
【請求項121】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項64から120までのいずれか1項記載の方法。
【請求項122】
前記再構成可能なロジックデバイスは、複数の再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項121記載の方法。
【請求項123】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項64から122までのいずれか1項記載の方法。
【請求項124】
前記GPUは、複数のGPUを備える、
請求項123記載の方法。
【請求項125】
前記少なくとも1つのメンバは、前記CMPを備える、
請求項64から124までのいずれか1項記載の方法。
【請求項126】
前記CMPは、複数のCMPを備える、
請求項125記載の方法。
【請求項127】
取引シグナルを前記取引シグナルに対応する金融市場データと同期させるためのシステムであって、
前記システムは、(1)複数のデータフィールドに前記金融市場データを配置した複数のメッセージを含むストリーミング金融市場データを受信し、(2)前記メッセージのうちの少なくとも1つについての取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理し、(3)取引シグナルが適用可能な前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記取引シグナルについての同期識別子を生成し、(4)消費アプリケーションへの配信のための前記取引シグナルおよび前記同期識別子を送信するように構成されたプロセッサを備える、
システム。
【請求項128】
前記プロセッサは、前記サブセット内の前記データフィールドをハッシュ関数に適用することにより、前記同期識別子を生成するように構成されている、
請求項127記載のシステム。
【請求項129】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのシーケンス番号を含む、
請求項127または128記載のシステム。
【請求項130】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのタイムスタンプを含む、
請求項127から129までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項131】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての商品識別子を含む、
請求項127から130までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項132】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての更新タイプを含む、
請求項127から131までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項133】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての価格を含む、
請求項127から132までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項134】
前記プロセッサは、再構成可能なロジックデバイスを備え、前記再構成可能なロジックデバイスは、前記取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理するように構成されている、
請求項127から133までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項135】
前記プロセッサは、グラフィック処理ユニット(GPU)を備え、前記GPUは、前記取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理するように構成されている、
請求項127から134までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項136】
前記プロセッサは、チップマルチプロセッサ(CMP)を備え、前記CMPは、前記取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理するように構成されている、
請求項127から135までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項137】
前記取引シグナルは、シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータを含む、
請求項127から136までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項138】
前記取引シグナルは、シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値を含む、
請求項127から137までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項139】
前記取引シグナルは、シンボルについての相場価格が妥当であろう期間を推定する相場価格安定性推定値を含む、
請求項127から138までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項140】
前記システムは、第2のプロセッサをさらに備え、前記第2のプロセッサは、(1)前記金融市場データ、前記取引シグナルおよび前記同期識別子を受信し、(2)前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記金融市場データ内の前記メッセージについての同期識別子を生成し、(3)前記取引シグナルについての前記同期識別子と前記メッセージについての前記同期識別子のうちの1つとの対応に基づいて、前記取引シグナルを前記金融市場データ内の対応するメッセージと同期させるように構成されている、
請求項127から139までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項141】
前記第2のプロセッサは、前記同期された取引シグナルに対応する金融商品についての取引注文を生成すべく、前記金融市場データと組み合わせて、前記同期された取引シグナルを処理するようにさらに構成されている、
請求項140記載のシステム。
【請求項142】
前記第2のプロセッサは、前記サブセット内の前記データフィールドを前記ハッシュ関数に適用することにより、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するようにさらに構成されている、
請求項140または141記載のシステム。
【請求項143】
前記第2のプロセッサは、再構成可能なロジックデバイスを備え、前記再構成可能なロジックデバイスは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するように構成されている、
請求項137から142までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項144】
前記第2のプロセッサは、グラフィック処理ユニット(GPU)を備え、前記GPUは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するように構成されている、
請求項137から143までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項145】
前記第2のプロセッサは、チップマルチプロセッサ(CMP)を備え、前記CMPは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するように構成されている、
請求項137から144までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項146】
前記システムは、請求項1から63までのいずれか1項記載の特徴の任意の組み合わせをさらに含む、
請求項127から145までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項147】
取引シグナルを前記取引シグナルに対応する金融市場データと同期させるための方法であって、前記方法は、
プロセッサが、複数のデータフィールドに前記金融市場データを配置した複数のメッセージを含むストリーミング金融市場データを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記メッセージのうちの少なくとも1つについての取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記プロセッサが、取引シグナルが適用可能な前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記取引シグナルについての同期識別子を生成するステップと、
前記プロセッサが、消費アプリケーションへの配信のための前記取引シグナルおよび前記同期識別子を送信するステップと、
を含む方法。
【請求項148】
前記生成ステップは、前記プロセッサが前記サブセット内の前記データフィールドをハッシュ関数に適用することにより、前記同期識別子を生成するステップを含む、
請求項147記載の方法。
【請求項149】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのシーケンス番号を含む、
請求項147または148記載の方法。
【請求項150】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのタイムスタンプを含む、
請求項147から149までのいずれか1項記載の方法。
【請求項151】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての商品識別子を含む、
請求項147から150までのいずれか1項記載の方法。
【請求項152】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての更新タイプを含む、
請求項147から151までのいずれか1項記載の方法。
【請求項153】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての価格を含む、
請求項147から152までのいずれか1項記載の方法。
【請求項154】
前記プロセッサは、再構成可能なロジックデバイスを備え、前記再構成可能なロジックデバイスは、前記取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理する、
請求項147から153までのいずれか1項記載の方法。
【請求項155】
前記プロセッサは、グラフィック処理ユニット(GPU)を備え、前記GPUは、前記取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理する、
請求項147から154までのいずれか1項記載の方法。
【請求項156】
前記プロセッサは、チップマルチプロセッサ(CMP)を備え、前記CMPは、前記取引シグナルを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理する、
請求項147から155までのいずれか1項記載の方法。
【請求項157】
前記取引シグナルは、シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータを含む、
請求項147から156までのいずれか1項記載の方法。
【請求項158】
前記取引シグナルは、シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値を含む、
請求項147から157までのいずれか1項記載の方法。
【請求項159】
前記取引シグナルは、シンボルについての相場価格が妥当であろう期間を推定する相場価格安定性推定値を含む、
請求項147から158までのいずれか1項記載の方法。
【請求項160】
前記方法は、
第2のプロセッサが、前記金融市場データ、前記取引シグナルおよび前記同期識別子を受信するステップと、
前記第2のプロセッサが、前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記金融市場データ内の前記メッセージについての同期識別子を生成するステップと、
前記第2のプロセッサが、前記取引シグナルについての前記同期識別子と前記メッセージについての前記同期識別子のうちの1つとの対応に基づいて、前記取引シグナルを前記金融市場データ内の対応するメッセージと同期させるステップと、
をさらに含む、
請求項147から159までのいずれか1項記載の方法。
【請求項161】
前記第2のプロセッサによる処理ステップは、前記第2のプロセッサが、前記同期された取引シグナルに対応する金融商品についての取引注文を生成すべく、前記金融市場データと組み合わせて、前記同期された取引シグナルを処理するステップを含む、
請求項160記載の方法。
【請求項162】
前記第2のプロセッサによる生成ステップは、前記第2のプロセッサが、前記サブセット内の前記データフィールドを前記ハッシュ関数に適用することにより、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するステップを含む、
請求項160または161記載の方法。
【請求項163】
前記第2のプロセッサは、再構成可能なロジックデバイスを備え、前記再構成可能なロジックデバイスは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成する、
請求項160から162までのいずれか1項記載の方法。
【請求項164】
前記第2のプロセッサは、グラフィック処理ユニット(GPU)を備え、前記GPUは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成する、
請求項160から163までのいずれか1項記載の方法。
【請求項165】
前記第2のプロセッサは、チップマルチプロセッサ(CMP)を備え、前記CMPは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成する、
請求項160から164までのいずれか1項記載の方法。
【請求項166】
前記方法は、請求項64から126までのいずれか1項記載の特徴の任意の組み合わせをさらに含む、
請求項147から165までのいずれか1項記載の方法。
【請求項167】
取引シグナルを前記取引シグナルに対応する金融市場データと同期させるためのシステムであって、
前記システムは、(1)複数のデータフィールドに前記金融市場データを配置した複数のメッセージを含むストリーミング金融市場データを受信し、(2)前記ストリーミング金融市場データ内のメッセージへの適用可能性を有する取引シグナルを受信し、(3)前記受信された取引シグナルについての同期識別子を受信し、(4)前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記金融市場データ内の前記メッセージについての同期識別子を生成し、(5)前記受信された取引シグナルについての前記同期識別子と前記メッセージについての前記生成された同期識別子のうちの1つとの対応に基づいて、前記受信された取引シグナルを前記金融市場データ内の適用可能なメッセージと同期させるように構成されたプロセッサを備える、
システム。
【請求項168】
前記プロセッサは、前記同期された取引シグナルに対応する金融商品についての取引注文を生成すべく、前記金融市場データと組み合わせて、前記同期された取引シグナルを処理するようにさらに構成されている、
請求項167記載のシステム。
【請求項169】
前記プロセッサは、前記サブセット内の前記データフィールドをハッシュ関数に適用することにより、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するようにさらに構成されている、
請求項167または168記載のシステム。
【請求項170】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのシーケンス番号を含む、
請求項167から169までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項171】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのタイムスタンプを含む、
請求項167から170までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項172】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての商品識別子を含む、
請求項167から171までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項173】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての更新タイプを含む、
請求項167から172までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項174】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての価格を含む、
請求項167から173までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項175】
前記取引シグナルは、シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータを含む、
請求項167から174までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項176】
前記取引シグナルは、シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値を含む、
請求項167から175までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項177】
前記取引シグナルは、シンボルについての相場価格が変化しないであろう期間を推定する相場価格安定性推定値を含む、
請求項167から176までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項178】
前記プロセッサは、再構成可能なロジックデバイスを備え、前記再構成可能なロジックデバイスは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するように構成されている、
請求項167から177までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項179】
前記再構成可能なロジックデバイスは、前記同期された取引シグナルに基づいて、金融商品についての取引注文を生成するように構成された取引ロジックをさらに含む、
請求項178記載のシステム。
【請求項180】
前記第2のプロセッサは、グラフィック処理ユニット(GPU)を備え、前記GPUは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するように構成されている、
請求項177から179までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項181】
前記GPUは、前記同期された取引シグナルに基づいて、金融商品についての取引注文を生成するように構成された取引ロジックをさらに含む、
請求項180記載のシステム。
【請求項182】
前記第2のプロセッサは、チップマルチプロセッサ(CMP)を備え、前記CMPは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するように構成されている、
請求項177から181までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項183】
前記CMPは、前記同期された取引シグナルに基づいて、金融商品についての取引注文を生成するように構成された取引ロジックをさらに含む、
請求項182記載のシステム。
【請求項184】
請求項1から63までのいずれか1項記載の特徴の任意の組み合わせをさらに含む、
請求項177から183までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項185】
取引シグナルを前記取引シグナルに対応する金融市場データと同期させるための方法であって、
プロセッサが、複数のデータフィールドに前記金融市場データを配置した複数のメッセージを含むストリーミング金融市場データを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記ストリーミング金融市場データ内のメッセージへの適用可能性を有する取引シグナルを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記受信された取引シグナルについての同期識別子を受信するステップと、
前記プロセッサが、前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記金融市場データ内の前記メッセージについての同期識別子を生成するステップと、
前記プロセッサが、前記受信された取引シグナルについての前記同期識別子と前記メッセージについての前記生成された同期識別子のうちの1つとの対応に基づいて、前記受信された取引シグナルを前記金融市場データ内の適用可能なメッセージと同期させるステップと、
を含む方法。
【請求項186】
前記方法は、前記プロセッサが、前記同期された取引シグナルに対応する金融商品についての取引注文を生成すべく、前記金融市場データと組み合わせて、前記同期された取引シグナルを処理するステップをさらに含む、
請求項185記載の方法。
【請求項187】
前記生成ステップは、前記プロセッサが、前記サブセット内の前記データフィールドをハッシュ関数に適用することにより、前記メッセージについての前記同期識別子を生成するステップを含む、
請求項185または186記載の方法。
【請求項188】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのシーケンス番号を含む、
請求項185から187までのいずれか1項記載の方法。
【請求項189】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについてのタイムスタンプを含む、
請求項185から188までのいずれか1項記載の方法。
【請求項190】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての商品識別子を含む、
請求項185から189までのいずれか1項記載の方法。
【請求項191】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての更新タイプを含む、
請求項185から190までのいずれか1項記載の方法。
【請求項192】
前記サブセット内の前記データフィールドは、前記取引シグナルが適用可能な前記メッセージについての価格を含む、
請求項185から191までのいずれか1項記載の方法。
【請求項193】
前記取引シグナルは、シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータを含む、
請求項185から192までのいずれか1項記載の方法。
【請求項194】
前記取引シグナルは、シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値を含む、
請求項185から193までのいずれか1項記載の方法。
【請求項195】
前記取引シグナルは、シンボルについての相場価格が変化しないであろう期間を推定する相場価格安定性推定値を含む、
請求項185から194までのいずれか1項記載の方法。
【請求項196】
前記プロセッサは、再構成可能なロジックデバイスを備え、前記再構成可能なロジックデバイスは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成する、
請求項185から195までのいずれか1項記載の方法。
【請求項197】
前記方法は、前記再構成可能なロジックデバイス内の取引ロジックが、前記同期された取引シグナルに基づいて、金融商品についての取引注文をさらに生成するステップをさらに含む、
請求項196記載の方法。
【請求項198】
前記第2のプロセッサは、グラフィック処理ユニット(GPU)を備え、前記GPUは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成する、
請求項185から197までのいずれか1項記載の方法。
【請求項199】
前記方法は、前記GPU内の取引ロジックが、前記同期された取引シグナルに基づいて、金融商品についての取引注文を生成するステップをさらに含む、
請求項198記載の方法。
【請求項200】
前記第2のプロセッサは、チップマルチプロセッサ(CMP)を備え、前記CMPは、前記メッセージについての前記同期識別子を生成する、
請求項185から199までのいずれか1項記載の方法。
【請求項201】
前記方法は、前記CMP内の取引ロジックが、前記同期された取引シグナルに基づいて、金融商品についての取引注文を生成するステップをさらに含む、
請求項200記載の方法。
【請求項202】
前記方法は、請求項64から126までのいずれか1項記載の特徴の任意の組み合わせをさらに含む、
請求項185から201までのいずれか1項記載の方法。
【請求項203】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連する注文データを含むメッセージについての流動性インジケータを生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記生成された流動性インジケータを前記注文データに関連付けるステップと、
を含む方法。
【請求項204】
前記処理ステップは、
前記少なくとも1つのメンバが、前記注文データが前記金融商品についての予備注文の一部であるか否かを検出するように構成された複数の条件を検査するステップと、
前記条件が前記注文データにより満たされていると判定された前記検査に応じて、前記流動性インジケータを生成して、前記注文データの少なくとも一部が前記金融商品についての予備注文の一部であるとのフラグを立てるステップと、
を含む、
請求項203記載の方法。
【請求項205】
前記検査ステップは、前記少なくとも1つのメンバが並列化処理ロジックにより前記複数の条件を並列に検査するステップを含む、
請求項204記載の方法。
【請求項206】
前記検査ステップは、前記少なくとも1つのメンバが前記並列化処理ロジックの複数のインスタンスにより、複数の異なる予備注文候補に対して前記条件を並列に検査するステップを含む、
請求項205記載の方法。
【請求項207】
前記注文データは、(1)前記金融商品についての注文に関する第1のアクティビティを記述する複数のフィールドを含む第1の注文データと、(2)前記金融商品についての注文に関する第2のアクティビティを記述する複数のフィールドを含む第2の注文データと、を含み、
前記検査ステップは、前記条件が満たされているか否かを判定するために、前記少なくとも1つのメンバが前記第1および第2の注文データの前記複数のフィールドを検査するステップを含み、
前記条件は、(1)前記第1のアクティビティが注文履行による注文削除に対応するという第1の条件と、(2)前記第2のアクティビティが注文追加に対応するという第2の条件と、(3)前記第1および第2の注文データが同じ金融商品に関連するという第3の条件と、(4)前記第1および第2のデータが前記金融商品について同じ価格を識別するという第4の条件と、(5)前記第1および第2の注文データが同じネットワークパケットまたは近くのネットワークパケット内のメッセージについてのものであるという第5の条件と、を含む、
請求項204から206までのいずれか1項記載の方法。
【請求項208】
前記第5の条件では、前記第1および第2の注文データが前記同じネットワークパケット内のメッセージについてのものであることを必要とする、
請求項207記載の方法。
【請求項209】
前記第5の条件では、前記第1および第2の注文データが近くのネットワークパケット内のメッセージについてのものであることを必要とする、
請求項207記載の方法。
【請求項210】
前記少なくとも1つのメンバは、前記条件が前記注文データにより満たされるか否かを判定するために、前記少なくとも1つのメンバにより使用されるデータを追跡する状態メモリを含む、
請求項204から209までのいずれか1項記載の方法。
【請求項211】
前記処理ステップは、
前記少なくとも1つのメンバが、前記生成された流動性インジケータと並列に、前記メッセージについての流動性サイズ推定値を生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記生成された流動性サイズ推定値を前記注文データに関連付けるステップと、
を含む、
請求項203から210までのいずれか1項記載の方法。
【請求項212】
前記関連付けステップは、データ消費者への配信のための注文データに関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された流動性インジケータを前記注文データに関連付けるステップを含み、前記追加されたフィールドは、前記生成された流動性インジケータを含み、これにより、前記生成された流動性インジケータと前記注文データとの間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項203から211までのいずれか1項記載の方法。
【請求項213】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項203から212までのいずれか1項記載の方法。
【請求項214】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項203から213までのいずれか1項記載の方法。
【請求項215】
前記方法は、
前記流動性インジケータについての状態に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された流動性インジケータおよび前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
をさらに含む、
請求項203から214までのいずれか1項記載の方法。
【請求項216】
前記方法は、
前記生成された流動性インジケータに基づいて、前記金融商品についての取引注文のための市場を選択するステップと、
前記金融商品についての前記取引注文を、前記選択された市場にルーティングするステップと、
をさらに含む、
請求項203から215までのいずれか1項記載の方法。
【請求項217】
システムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、前記少なくとも1つのメンバは、
ストリーミング金融市場データを受信し、
前記金融市場データ内の金融商品に関連する注文データを含むメッセージについての流動性インジケータを生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理し、
前記生成された流動性インジケータを前記注文データに関連付ける、
ように構成されている、
システム。
【請求項218】
前記少なくとも1つのメンバは、
前記注文データが前記金融商品についての予備注文の一部であるか否かを検出するように構成された複数の条件を検査し、
前記条件が前記注文データにより満たされていると判定された前記検査に応じて、前記流動性インジケータを生成して、前記注文データの少なくとも一部が前記金融商品についての予備注文の一部であるとのフラグを立てる、
ことにより、前記ストリーミング金融市場データを処理するようにさらに構成されている、
請求項217記載のシステム。
【請求項219】
前記少なくとも1つのメンバは、並列化処理ロジックを備え、前記並列化処理ロジックは、前記複数の条件を並列に検査するように構成されている、
請求項218記載のシステム。
【請求項220】
前記並列化処理ロジックは、複数の異なる予備注文候補に対して前記条件を並列に検査するための並列化処理ロジックの複数のインスタンスを含む、
請求項219記載のシステム。
【請求項221】
前記注文データは、(1)前記金融商品についての注文に関する第1のアクティビティを記述する複数のフィールドを含む第1の注文データと、(2)前記金融商品についての注文に関する第2のアクティビティを記述する複数のフィールドを含む第2の注文データと、を含み、
前記少なくとも1つのメンバは、前記条件が満たされているか否かを判定するために、前記第1および第2の注文データの前記複数のフィールドを検査するようにさらに構成されており、
前記条件は、(1)前記第1のアクティビティが注文履行による注文削除に対応するという第1の条件と、(2)前記第2のアクティビティが注文追加に対応するという第2の条件と、(3)前記第1および第2の注文データが同じ金融商品に関連するという第3の条件と、(4)前記第1および第2のデータが前記金融商品について同じ価格を識別するという第4の条件と、(5)前記第1および第2の注文データが同じネットワークパケットまたは近くのネットワークパケット内のメッセージについてのものであるという第5の条件と、を含む、
請求項218から220までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項222】
前記第5の条件では、前記第1および第2の注文データは、前記同じネットワークパケット内のメッセージについてのものであることを必要とする、
請求項221記載のシステム。
【請求項223】
前記第5の条件では、前記第1および第2の注文データは、近くのネットワークパケット内のメッセージについてのものであることを必要とする、
請求項221記載のシステム。
【請求項224】
前記少なくとも1つのメンバは、前記条件が前記注文データにより満たされるか否かを判定するために、前記少なくとも1つのメンバにより使用されるデータを追跡する状態メモリを含む、
請求項218から223までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項225】
前記少なくとも1つのメンバは、(1)前記生成された流動性インジケータと並列に、前記メッセージについての流動性サイズ推定値を生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理し、(2)前記生成された流動性サイズ推定値を前記注文データに関連付けるようにさらに構成されている、
請求項217から224までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項226】
前記少なくとも1つのメンバは、データ消費者への配信のための注文データに関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された流動性インジケータを前記注文データに関連付けるように構成されており、前記追加されたフィールドは、前記生成された流動性インジケータを含み、これにより、前記生成された流動性インジケータと前記注文データとの間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項217から225までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項227】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項217から226までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項228】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項217から227までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項229】
前記システムは、(1)流動性インジケータについての状態に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義し、(2)前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された流動性インジケータおよび前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するように構成された取引アプリケーションホストサーバをさらに備える、
請求項217から228までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項230】
前記システムは、(1)前記生成された流動性インジケータに基づいて、前記金融商品についての取引注文のための市場を選択し、(2)前記金融商品についての前記取引注文を、前記選択された市場にルーティングするように構成されたスマート注文ルータをさらに備える、
請求項217から229までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項231】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連するメッセージについての流動性サイズ推定値を生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記生成された流動性サイズ推定値を前記注文データに関連付けるステップと、
を含む方法。
【請求項232】
前記流動性サイズ推定値は、前記金融商品についての予備注文についての推定されたサイズを含み、
前記メッセージは、金融商品の注文に関するアクティビティを記述する複数のフィールドを含む金融商品についての注文データを含み、
前記処理ステップは、
前記複数のフィールドに基づいて、予備注文サイズに相関し、予備注文サイズを予測する複数の特徴を生成するステップと、
前記生成された特徴を教師あり機械学習ベースの確率モデルに適用して、前記メッセージがサイズ閾値より大きいまたは小さいサイズを有する予備注文に関連する確率を決定するステップと、
を含む、
請求項231記載の方法。
【請求項233】
前記方法は、
前記決定された確率を定義された確率閾値と比較するステップと、
前記決定された確率が前記確率閾値より高いかまたは低いかが判定される前記比較に応じて、前記推定された予備注文サイズに基づいてアクションをとるステップと、
をさらに含む、
請求項232記載の方法。
【請求項234】
前記方法は、前記定義された確率閾値を調整するステップをさらに含む、
請求項233記載の方法。
【請求項235】
前記特徴は、前記金融商品についての予備注文の累積出来高または前記注文データについての市場および/または前記金融商品についての現在検出されている予備注文の一部として実行された注文の出来高を表す複数の特徴を含む、
請求項232から234までのいずれか1項記載の方法。
【請求項236】
前記特徴は、(1)前記金融商品についての現在の予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の第1の定義された期間にわたる移動平均、(2)前記金融商品についての現在の予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の第2の定義された期間にわたる移動平均、および、(3)同じ価格での前記金融商品についての予備注文との交換のカウントからなる群のうちの少なくとも1つのメンバを含む、
請求項232から235までのいずれか1項記載の方法。
【請求項237】
前記推定された予備注文サイズは、前記予備注文について推定された想定値を含む、
請求項232から236までのいずれか1項記載の方法。
【請求項238】
前記確率モデルは、隣接カテゴリモデルを含む、
請求項232から237までのいずれか1項記載の方法。
【請求項239】
前記確率モデルは、可能な推定されたサイズの範囲を注文の部分範囲に細分するために共に作用する各予測特徴についての複数のパラメータを含む、
請求項232から238までのいずれか1項記載の方法。
【請求項240】
前記方法は、前記確率モデルを、既知の予備注文についてのサイズを示すラベル付き訓練データにより訓練するステップをさらに含む、
請求項232から239までのいずれか1項記載の方法。
【請求項241】
前記関連付けステップは、データ消費者への配信のための注文データに関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された流動性サイズ推定値を前記注文データに関連付けるステップを含み、前記追加されたフィールドは、前記生成された流動性サイズ推定値を含み、これにより、前記生成された流動性サイズ推定値と前記注文データとの間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項231から240までのいずれか1項記載の方法。
【請求項242】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項231から241までのいずれか1項記載の方法。
【請求項243】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項231から242までのいずれか1項記載の方法。
【請求項244】
前記方法は、
前記流動性サイズ推定値に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された流動性推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
をさらに含む、
請求項231から243までのいずれか1項記載の方法。
【請求項245】
システムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、前記少なくとも1つのメンバは、
ストリーミング金融市場データを受信し、
前記金融市場データ内の金融商品に関連するメッセージについての流動性サイズ推定値を生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理し、
前記生成された流動性サイズ推定値を前記注文データに関連付ける、
ように構成されている、
システム。
【請求項246】
前記流動性サイズ推定値は、前記金融商品についての予備注文についての推定されたサイズを含み、
前記メッセージは、金融商品についての注文データを含み、前記注文データは、前記金融商品についての注文に関するアクティビティを記述する複数のフィールドを含み、
前記少なくとも1つのメンバは、
前記複数のフィールドに基づいて、予備注文サイズに相関し、予備注文サイズを予測する複数の特徴を生成し、
前記生成された特徴を教師あり機械学習ベースの確率モデルに適用して、前記メッセージがサイズ閾値より大きいまたは小さいサイズを有する予備注文に関連する確率を決定する、
ことにより、前記ストリーミング金融市場データを処理するようにさらに構成されている、
請求項245記載のシステム。
【請求項247】
前記システムは、
(1)前記決定された確率を定義された確率閾値と比較し、(2)前記決定された確率が前記確率閾値より高いかまたは低いかが判定される前記比較に応じて、前記推定された予備注文サイズに基づいてアクションをとる、
ように構成されたコンピュータシステムをさらに備える、
請求項246記載のシステム。
【請求項248】
前記定義された確率閾値は、調整可能である、
請求項247記載のシステム。
【請求項249】
前記特徴は、前記金融商品についての予備注文の累積出来高または前記注文データについての市場および/または前記金融商品についての現在検出されている予備注文の一部として実行された注文の出来高を表す複数の特徴を含む、
請求項246から248までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項250】
前記特徴は、(1)前記金融商品についての現在の予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の第1の定義された期間にわたる移動平均、(2)前記金融商品についての現在の予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の第2の定義された期間にわたる移動平均、および、(3)同じ価格での前記金融商品についての予備注文との交換のカウントからなる群のうちの少なくとも1つのメンバを含む、
請求項246から249までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項251】
前記推定された予備注文サイズは、前記予備注文について推定された想定値を含む、
請求項246から250までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項252】
前記確率モデルは、隣接カテゴリモデルを含む、
請求項246から251までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項253】
前記確率モデルは、可能な推定されたサイズの範囲を注文の部分範囲に細分するために共に作用する各予測特徴についての複数のパラメータを含む、
請求項246から252までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項254】
前記確率モデルは、既知の予備注文についてのサイズを示すラベル付き訓練データにより訓練可能である、
請求項246から253までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項255】
前記少なくとも1つのメンバは、データ消費者への配信のための注文データに関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された流動性サイズ推定値を前記注文データに関連付けるようにさらに構成されており、前記追加されたフィールドは、前記生成された流動性サイズ推定値を含み、これにより、前記生成された流動性サイズ推定値と前記注文データとの間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項245から254までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項256】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項245から255までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項257】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項245から256までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項258】
前記システムは、
(1)流動性サイズ推定値に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義し、(2)前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された流動性推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するように構成された取引アプリケーションホストサーバをさらに備える、
請求項245から257までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項259】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連する相場についての相場価格期間推定値を生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記生成された相場価格期間推定値を前記相場に関連付けるステップと、
を含む方法。
【請求項260】
前記相場価格期間推定値は、前記金融商品についての現在の相場価格が定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しい相場価格に変化する確率を含み、
前記ストリーミング金融市場データは、前記金融商品についての複数の注文を表すメッセージを含み、
前記処理ステップは、
前記メッセージに基づいて、相場価格期間に相関し、相場価格期間を予測する複数の特徴を生成するステップと、
前記生成された特徴を教師あり機械学習ベースの確率モデルに適用して、前記金融商品についての前記現在の相場価格が前記定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しい相場価格に変化する確率を決定するステップと、
を含む、
請求項259記載の方法。
【請求項261】
前記方法は、
前記決定された確率を定義された確率閾値と比較するステップと、
前記決定された確率が前記確率閾値より高いかまたは低いかが判定される前記比較に応じて、前記推定された相場価格期間に基づいてアクションをとるステップと、
をさらに含む、
請求項260記載の方法。
【請求項262】
前記方法は、前記定義された確率閾値を調整するステップをさらに含む、
請求項261記載の方法。
【請求項263】
前記特徴は、現在の相場価格期間についてのタイミングデータおよび前記相場に対する注文アクティビティについてのサイズデータを表す複数の特徴を含む、
請求項260から262までのいずれか1項記載の方法。
【請求項264】
前記特徴は、(1)前記相場についての以前の買値変更からの時間、(2)前記相場についての以前の売値変更からの時間、(3)前記相場についての現在のビッドサイズと前記相場についての前記現在の買値に対して投稿された最大ビッドサイズとの間の差、(4)前記相場についての現在のオファーサイズと前記相場についての前記現在の買値に対して投稿された最大オファーサイズとの間の差、(5)前記相場についての現在の買値期間中に発生した最新の売値変更からの経過時間の対数、および、(6)前記相場についての現在の売値期間中に発生した最新の買値変更からの経過時間の対数からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを含む、
請求項260から263までのいずれか1項記載の方法。
【請求項265】
前記定義された閾値は、10マイクロ秒から10秒の範囲の値を含む、
請求項260から264までのいずれか1項記載の方法。
【請求項266】
前記相場価格期間推定値は、(1)前記金融商品についての現在のビッド相場価格が定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しいビッド相場価格に変化する第1の確率、および、(2)前記金融商品についての現在のオファー相場価格が定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しいオファー相場価格に変化する第2の確率を含む、
請求項260から265までのいずれか1項記載の方法。
【請求項267】
前記確率モデルは、隣接カテゴリモデルを含む、
請求項260から266までのいずれか1項記載の方法。
【請求項268】
前記確率モデルは、複数の重み、ロジスティック回帰および正則化を含む、
請求項260から267までのいずれか1項記載の方法。
【請求項269】
前記方法は、前記確率モデルを、以前の相場についての既知の期間を示すラベル付き訓練データにより訓練するステップをさらに含む、
請求項260から268までのいずれか1項記載の方法。
【請求項270】
前記関連付けステップは、データ消費者への配信のための前記相場に関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された相場価格期間推定値を前記相場に関連付けるステップを含み、前記追加されたフィールドは、前記生成された相場価格期間推定値を含み、これにより、前記生成された相場価格期間推定値と前記相場との間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項259から269までのいずれか1項記載の方法。
【請求項271】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項259から270までのいずれか1項記載の方法。
【請求項272】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項259から271までのいずれか1項記載の方法。
【請求項273】
前記方法は、
前記相場価格期間推定値に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された相場価格期間推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
をさらに含む、
請求項259から272までのいずれか1項記載の方法。
【請求項274】
システムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、前記少なくとも1つのメンバは、
ストリーミング金融市場データを受信し、
前記金融市場データ内の金融商品に関連する相場についての相場価格期間推定値を生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理し、
前記生成された相場価格期間推定値を前記相場に関連付ける、
ように構成されている、
システム。
【請求項275】
前記相場価格期間推定値は、前記金融商品についての現在の相場価格が定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しい相場価格に変化する確率を含み、
前記ストリーミング金融市場データは、前記金融商品についての複数の注文を表すメッセージを含み、
前記少なくとも1つのメンバは、
前記メッセージに基づいて、相場価格期間に相関し、相場価格期間を予測する複数の特徴を生成し、
前記生成された特徴を、教師あり機械学習ベースの確率モデルに適用して、前記金融商品についての前記現在の相場価格が前記定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しい相場価格に変化する確率を決定する、
ことにより、前記ストリーミング金融市場データを処理するようにさらに構成されている、
請求項274記載のシステム。
【請求項276】
前記システムは、
(1)前記決定された確率を定義された確率閾値と比較し、(2)前記決定された確率が前記確率閾値より高いかまたは低いかが判定される前記比較に応じて、前記推定された相場価格期間に基づいてアクションをとる、
ように構成されたコンピュータシステムをさらに備える、
請求項275記載のシステム。
【請求項277】
前記定義された確率閾値は、調整可能である、
請求項276記載のシステム。
【請求項278】
前記特徴は、現在の相場価格期間についてのタイミングデータおよび前記相場に対する注文アクティビティについてのサイズデータを表す複数の特徴を含む、
請求項275から277までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項279】
前記特徴は、(1)前記相場についての以前の買値変更からの時間、(2)前記相場についての以前の売値変更からの時間、(3)前記相場についての現在のビッドサイズと前記相場についての前記現在の買値に対して投稿された最大ビッドサイズとの間の差、(4)前記相場についての現在のオファーサイズと前記相場についての前記現在の買値に対して投稿された最大オファーサイズとの間の差、(5)前記相場についての現在の買値期間中に発生した最新の売値変更からの経過時間の対数、および、(6)前記相場についての現在の売値期間中に発生した最新の買値変更からの経過時間の対数からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを含む、
請求項275から278までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項280】
前記定義された閾値は、10マイクロ秒から10秒の範囲の値を含む、
請求項275から279までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項281】
前記相場価格期間推定値は、(1)前記金融商品についての現在のビッド相場価格が定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しいビッド相場価格に変化する第1の確率、および、(2)前記金融商品についての現在のオファー相場価格が定義された閾値より速くまたは遅く前記金融商品についての新しいオファー相場価格に変化する第2の確率を含む、
請求項275から280までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項282】
前記確率モデルは、隣接カテゴリモデルを含む、
請求項275から281までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項283】
前記確率モデルは、複数の重み、ロジスティック回帰および正則化を含む、
請求項275から282までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項284】
前記確率モデルは、以前の相場についての既知の期間を示すラベル付き訓練データにより訓練可能である、
請求項275から283までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項285】
前記少なくとも1つのメンバは、データ消費者への配信のための前記相場に関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された相場価格期間推定値を前記相場に関連付けるようにさらに構成されており、前記追加されたフィールドは、前記生成された相場価格期間推定値を含み、これにより、前記生成された相場価格期間推定値と前記相場との間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項274から284までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項286】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項274から285までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項287】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項274から286までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項288】
前記システムは、
(1)前記相場価格期間推定値に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義し、(2)前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された相場価格期間推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成する、
ように構成された取引アプリケーションホストサーバをさらに含む、
請求項274から287までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項289】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバは、前記金融市場データ内の金融商品に関連する相場についての相場価格方向性推定値を生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記生成された相場価格方向性推定値を前記相場に関連付けるステップと、
を含む方法。
【請求項290】
前記相場価格方向性推定値は、前記相場についての次の価格が前記相場についての現在の価格より高くなるかまたは低くなる確率を含み、
前記ストリーミング金融市場データは、前記金融商品についての複数の注文を表すメッセージを含み、
前記処理ステップは、
前記メッセージに基づいて、相場価格方向性に相関し、相場価格方向性を予測する複数の特徴を生成するステップと、
前記生成された特徴を、教師あり機械学習ベースの確率モデルに適用して、前記相場についての前記次の価格は、前記相場についての前記現在の価格より高くなるかまたは低くなる確率を決定するステップと、
を含む、
請求項289記載の方法。
【請求項291】
前記方法は、
前記決定された確率を定義された確率閾値と比較するステップと、
前記決定された確率が前記確率閾値より高いかまたは低いかが判定される前記比較に応じて、前記推定された相場価格方向性に基づいてアクションをとるステップと、
をさらに含む、
請求項290記載の方法。
【請求項292】
前記方法は、前記定義された確率閾値を調整するステップをさらに含む、
請求項291記載の方法。
【請求項293】
前記特徴は、(1)前記相場についての価格における以前の方向性変化、および、(2)前記相場についての最新の価格変更からの前記相場への更新の表示を表す複数の特徴を含む、
請求項290から292までのいずれか1項記載の方法。
【請求項294】
前記特徴は、(1)前記相場についての買値における最新の変化の方向性、(2)前記相場についての買値における2番目に新しい変化の方向性、(3)前記相場についての売値における最新の変化の方向性、(4)前記相場についての売値における2番目に新しい変化の方向性、(5)前記相場についての買値における最新の変化からのビッド相場更新のカウント、および、(6)前記相場についての売値における最新の変化からのオファー相場更新のカウントからなる群のうちの少なくとも1つのメンバを含む、
請求項290から293までのいずれか1項記載の方法。
【請求項295】
前記相場価格方向性推定値は、(1)前記相場についての前記次の価格が前記相場についての前記現在の価格より高くなる第1の確率、および、(2)前記相場についての前記次の価格が前記相場についての前記現在の価格より低くなる第2の確率を含み、
前記定義された確率閾値は、第1の確率閾値および第2の確率閾値を含み、
前記比較ステップは、(1)前記第1の確率を前記第1の確率閾値と比較するステップと、(2)前記第2の確率を前記第2の確率閾値と比較するステップと、を含む、
請求項290から294までのいずれか1項記載の方法。
【請求項296】
前記確率モデルは、隣接カテゴリモデルを含む、
請求項290から295までのいずれか1項記載の方法。
【請求項297】
前記確率モデルは、複数の重み、ロジスティック回帰および正則化を含む、
請求項290から296までのいずれか1項記載の方法。
【請求項298】
前記方法は、前記確率モデルを、相場についての既知の価格方向性変化を示すラベル付き訓練データにより訓練するステップをさらに含む、
請求項290から297までのいずれか1項記載の方法。
【請求項299】
前記関連付けステップは、データ消費者への配信のための前記相場に関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された相場価格方向性推定値を前記相場に関連付けるステップを含み、前記追加されたフィールドは、前記生成された相場価格方向性推定値を含み、これにより、前記生成された相場価格方向性推定値と前記相場との間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項289から298までのいずれか1項記載の方法。
【請求項300】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項289から299までのいずれか1項記載の方法。
【請求項301】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項289から300までのいずれか1項記載の方法。
【請求項302】
前記方法は、
前記相場価格方向性推定値に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された相場価格方向性推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
をさらに含む、
請求項289から301までのいずれか1項記載の方法。
【請求項303】
システムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、前記少なくとも1つのメンバは、
ストリーミング金融市場データを受信し、
前記金融市場データ内の金融商品に関連する相場についての相場価格方向性推定値を生成すべく前記ストリーミング金融市場データを処理し、
前記生成された相場価格方向性推定値を前記相場に関連付ける、
ように構成されている、
システム。
【請求項304】
前記相場価格方向性推定値は、前記相場についての次の価格が前記相場についての現在の価格より高くなるかまたは低くなる確率を含み、
前記ストリーミング金融市場データは、前記金融商品についての複数の注文を表すメッセージを含み、
前記少なくとも1つのメンバは、
前記メッセージに基づいて、相場価格方向性に相関し、相場価格方向性を予測する複数の特徴を生成し、
前記生成された特徴を、教師あり機械学習ベースの確率モデルに適用して、前記相場についての前記次の価格が前記相場についての前記現在の価格より高くなるかまたは低くなる確率を決定する、
ことにより、前記ストリーミング金融市場データを処理するようにさらに構成されている、
請求項303記載のシステム。
【請求項305】
前記システムは、
(1)前記決定された確率を定義された確率閾値と比較し、(2)前記決定された確率が前記確率閾値より高いかまたは低いかが判定される前記比較に応じて、前記推定された相場価格方向性に基づいてアクションをとる、
ように構成されたコンピュータシステムをさらに備える、
請求項304記載のシステム。
【請求項306】
前記定義された確率閾値は、調整可能である、
請求項305記載のシステム。
【請求項307】
前記特徴は、(1)前記相場についての価格における以前の方向性変化、および、(2)前記相場についての最新の価格変更からの前記相場への更新の表示を表す複数の特徴を含む、
請求項304から306までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項308】
前記特徴は、(1)前記相場についての買値における最新の変化の方向性、(2)前記相場についての買値における2番目に新しい変化の方向性、(3)前記相場についての売値における最新の変化の方向性、(4)前記相場についての売値における2番目に新しい変化の方向性、(5)前記相場についての買値における最新の変化からのビッド相場更新のカウント、および、(6)前記相場についての売値における最新の変化からのオファー相場更新のカウントからなる群のうちの少なくとも1つのメンバを含む、
請求項304から307までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項309】
前記相場価格方向性推定値は、(1)前記相場についての前記次の価格が前記相場についての前記現在の価格より高くなる第1の確率、および、(2)前記相場についての前記次の価格が前記相場についての前記現在の価格より低くなる第2の確率を含み、
前記定義された確率閾値は、第1の確率閾値および第2の確率閾値を含み、
前記少なくとも1つのメンバは、(1)前記第1の確率を前記第1の確率閾値と比較し、(2)前記第2の確率を前記第2の確率閾値と比較することにより、前記比較を行うようにさらに構成されている、
請求項304から308までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項310】
前記確率モデルは、隣接カテゴリモデルを含む、
請求項304から309までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項311】
前記確率モデルは、複数の重み、ロジスティック回帰および正則化を含む、
請求項304から310までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項312】
前記確率モデルは、相場についての既知の価格方向性変化を示すラベル付き訓練データにより訓練可能である、
請求項304から311までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項313】
前記少なくとも1つのメンバは、データ消費者への配信のための前記相場に関連するメッセージにフィールドを追加することにより、前記生成された相場価格方向性推定値を前記相場に関連付けるようにさらに構成されており、前記追加されたフィールドは、前記生成された相場価格方向性推定値を含み、これにより、前記生成された相場価格方向性推定値と前記相場との間の同期が前記データ消費者に提供される、
請求項303から312までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項314】
前記少なくとも1つのメンバは、前記再構成可能なロジックデバイスを備える、
請求項303から313までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項315】
前記少なくとも1つのメンバは、前記GPUを備える、
請求項303から314までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項316】
前記システムは、
(1)前記相場価格方向性推定値に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義し、(2)前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された相場価格方向性推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成する、
ように構成された取引アプリケーションホストサーバをさらに備える、
請求項303から315までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項317】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連するメッセージについての流動性インジケータを生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記流動性インジケータについての状態に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された流動性インジケータおよび前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項318】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連するメッセージについての流動性インジケータを生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記生成された流動性インジケータに基づいて、前記金融商品についての取引注文のための市場を選択するステップと、
前記金融商品についての前記取引注文を、前記選択された市場にルーティングするステップと、
を含む方法。
【請求項319】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連するメッセージについての流動性推定値を生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記流動性推定値についての量に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された流動性推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項320】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連するメッセージについての相場価格安定性推定値を生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記相場価格安定性推定値についての状態に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された相場価格安定性推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項321】
方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、金融市場データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記金融市場データ内の金融商品に関連するメッセージについての相場価格方向性推定値を生成すべくストリーミング金融市場データを処理するステップと、
前記相場価格方向性推定値についての状態に基づいて、前記金融商品についての取引注文の生成を調整する自動取引アルゴリズムにおける条件を定義するステップと、
前記自動取引アルゴリズムを実行して、前記生成された相場価格方向性推定値および前記定義された条件に基づいて、前記金融商品についての取引注文を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項322】
低遅延でシグナルを導出するためのストリーミングデータの加速された処理のためのシステムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、
前記少なくとも1つのメンバは、請求項317から321までのいずれか1項記載の方法を行うように構成されている、
システム。
【請求項323】
低遅延でシグナルを導出するためのストリーミングデータの加速された処理のためのシステムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、
前記少なくとも1つのメンバは、(1)ストリーミングデータを受信し、(2)前記ストリーミングデータの複数の特徴を導出すべく前記ストリーミングデータを並列化処理ロジックにより処理し、(3)前記並列化処理ロジックにより導出された前記特徴に基づいて、前記ストリーミングデータのためのシグナルを生成するように構成されている、
システム。
【請求項324】
低遅延でシグナルを導出するためのストリーミングデータの加速された処理のための方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、並列化処理ロジックにより、前記ストリーミングデータの複数の特徴を導出すべく前記ストリーミングデータを処理するステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記並列化処理ロジックにより導出された前記特徴に基づいて、前記ストリーミングデータのためのシグナルを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項325】
シグナルを前記シグナルに対応するデータと同期させるためのシステムであって、
前記システムは、(1)複数のデータフィールドに前記データを配置した複数のメッセージを含むストリーミングデータを受信し、(2)前記メッセージのうちの少なくとも1つについてのシグナルを生成すべく前記ストリーミングデータを処理し、(3)シグナルが適用可能な前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記シグナルについての同期識別子を生成し、(4)消費アプリケーションへの配信のための前記シグナルおよび前記同期識別子を送信するように構成されたプロセッサを備える、
システム。
【請求項326】
シグナルを前記シグナルに対応するデータと同期させるための方法であって、
プロセッサが、複数のデータフィールドに前記データを配置した複数のメッセージを含むストリーミングデータを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記メッセージのうちの少なくとも1つについてのシグナルを生成すべく前記ストリーミングデータを処理するステップと、
前記プロセッサが、シグナルが適用可能な前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記シグナルについての同期識別子を生成するステップと、
前記プロセッサが、消費アプリケーションへの配信のための前記シグナルおよび前記同期識別子を送信するステップと、
を含む方法。
【請求項327】
シグナルを前記シグナルに対応するデータと同期させるためのシステムであって、
前記システムは、(1)前記データを複数のデータフィールドに配置した複数のメッセージを含むストリーミングデータを受信し、(2)前記ストリーミングデータ内のメッセージへの適用可能性を有するシグナルを受信し、(3)前記受信されたシグナルについての同期識別子を受信し、(4)前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記ストリーミングデータ内の前記メッセージについての同期識別子を生成し、(5)前記受信されたシグナルについての前記同期識別子と前記メッセージについての前記生成された同期識別子のうちの1つとの対応に基づいて、前記受信されたシグナルを前記ストリーミングデータ内の適用可能なメッセージと同期させるように構成されたプロセッサを備える、
システム。
【請求項328】
シグナルを前記シグナルに対応するデータと同期させるための方法であって、
プロセッサが、複数のデータフィールドに前記データを配置した複数のメッセージを含むストリーミングデータを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記ストリーミングデータ内のメッセージへの適用可能性を有するシグナルを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記受信されたシグナルについての同期識別子を受信するステップと、
前記プロセッサが、前記メッセージの前記データフィールドのサブセットに基づいて、前記ストリーミングデータ内の前記メッセージについての同期識別子を生成するステップと、
前記プロセッサが、前記受信されたシグナルについての前記同期識別子と前記メッセージについての前記生成された同期識別子のうちの1つとの対応に基づいて、前記受信されたシグナルを前記ストリーミングデータ内の適用可能なメッセージと同期させるステップと
を含む方法。
【請求項329】
ストリーミング取引シグナルから取引シグナルを導出するためのシステムであって、
前記システムは、(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバを備え、
前記少なくとも1つのメンバは、(1)ストリーミング取引シグナルデータを受信し、(2)並列化処理ロジックにより、複数の取引シグナルを導出すべく前記ストリーミングシグナルデータを処理し、(3)前記導出された取引シグナルを複数の消費者に送信するように構成されている、
システム。
【請求項330】
前記少なくとも1つのメンバは、前記導出された取引シグナルを報告期間の間、前記消費者に送信するようにさらに構成されている、
請求項329記載のシステム。
【請求項331】
前記ストリーミング取引シグナルデータは、リアルタイム取引シグナルを含み、前記導出された取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記リアルタイム取引シグナルの要約を含む、
請求項330記載のシステム。
【請求項332】
前記少なくとも1つのメンバは、前記導出された取引シグナルを、複数の異なる報告期間に対応するタイミングで送信するようにさらに構成されている、
請求項330または331記載のシステム。
【請求項333】
前記ストリーミング取引シグナルデータは、複数のシンボルについての流動性インジケータ取引シグナルを含み、前記導出された取引シグナルは、前記報告期間にわたる流動性インジケータ取引シグナルの要約を含む、
請求項329から332までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項334】
前記要約は、前記報告期間にわたって検出された予備注文のカウントを含む、
請求項333記載のシステム。
【請求項335】
前記ストリーミング取引シグナルデータは、複数のシンボルについての流動性サイズ推定取引シグナルを含み、前記導出された取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記流動性サイズ推定取引シグナルの要約を含む、
請求項329から334までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項336】
前記要約は、前記報告期間にわたって検出された予備注文について推定された想定値の集約を含む、
請求項335記載のシステム。
【請求項337】
前記ストリーミング取引シグナルデータは、複数のシンボルについての相場価格期間推定取引シグナルを含み、前記導出された取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記相場価格期間取引シグナルの要約を含む、
請求項329から336までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項338】
前記ストリーミング取引シグナルデータは、複数のシンボルについての相場価格方向性推定取引シグナルを含み、前記導出された取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記相場価格方向性取引シグナルの要約を含む、
請求項329から337までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項339】
前記システムは、前記送信された導出取引シグナルに基づいて、取引アクティビティを修正するように構成された取引アプリケーションホストサーバをさらに備える、
請求項329から338までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項340】
前記取引アプリケーションホストサーバは、Tier2またはTier3取引アプリケーションホストサーバを含む、
請求項339記載のシステム。
【請求項341】
シグナルを導出するためのストリーミングデータの加速された処理のための方法であって、
(1)再構成可能なロジックデバイス、(2)グラフィック処理ユニット(GPU)、(3)チップマルチプロセッサ(CMP)および(4)マルチコア汎用プロセッサ(GPP)からなる群のうちの少なくとも1つのメンバにより、データをストリーミングするステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、並列化処理ロジックにより、前記処理されたストリーミングデータから複数のリアルタイムシグナルを生成すべく前記ストリーミングデータを処理するステップと、
前記少なくとも1つのメンバが、前記リアルタイムシグナルから複数の要約シグナルを導出するステップと、
前記導出された要約シグナルを複数のデータ消費者に送信するステップと、
を含む方法。
【請求項342】
前記ストリーミングデータは、金融市場データを含み、前記リアルタイムシグナルは、リアルタイム取引シグナルを含む、
請求項341記載の方法。
【請求項343】
前記送信ステップは、前記導出された要約取引シグナルを、報告期間の間、前記消費者に送信するステップを含む、
請求項342記載の方法。
【請求項344】
前記送信ステップは、前記導出された要約取引シグナルを、複数の異なる報告期間に対応するタイミングで送信するステップを含む、
請求項343記載の方法。
【請求項345】
前記リアルタイム取引シグナルは、複数のシンボルについての流動性インジケータ取引シグナルを含み、前記導出された要約取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記流動性インジケータ取引シグナルの要約を含む、
請求項342から344までのいずれか1項記載の方法。
【請求項346】
前記要約は、前記報告期間にわたって検出された予備注文のカウントを含む、
請求項345記載の方法。
【請求項347】
前記リアルタイム取引シグナルは、複数のシンボルについての流動性サイズ推定取引シグナルを含み、前記導出された要約取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記流動性サイズ推定取引シグナルの要約を含む、
請求項342から346までのいずれか1項記載の方法。
【請求項348】
前記要約は、前記報告期間にわたって検出された予備注文について推定された想定値の集約を含む、
請求項347記載の方法。
【請求項349】
前記リアルタイム取引シグナルは、複数のシンボルについての相場価格期間推定取引シグナルを含み、前記導出された要約取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記相場価格期間取引シグナルの要約を含む、
請求項342から348までのいずれか1項記載の方法。
【請求項350】
前記リアルタイム取引シグナルデータは、複数のシンボルについての相場価格方向性推定取引シグナルを含み、前記導出された要約取引シグナルは、前記報告期間にわたる前記相場価格方向性取引シグナルの要約を含む、
請求項342から349までのいずれか1項記載の方法。
【請求項351】
前記方法は、取引アプリケーションホストサーバが、前記送信された派生要約取引シグナルに基づいて、取引アクティビティを修正するステップをさらに含む、
請求項342から350までのいずれか1項記載の方法。
【請求項352】
前記取引アプリケーションホストサーバは、Tier2またはTier3取引アプリケーションホストサーバを含む、
請求項351記載の方法。
【請求項353】
推定取引シグナルを生成するのに使用される教師あり機械学習モデルは、ラベル付き訓練データにより訓練される、
請求項1から126までのいずれか1項記載のシステムまたは方法。
【請求項354】
前記教師あり機械学習モデルは、ラベル付き訓練データにより経時的に訓練され、再訓練される、
請求項353記載のシステムまたは方法。
【請求項355】
前記並列化処理ロジックは、複数の異なるタイプの取引シグナルを並列に生成するようにさらに構成されており、前記取引シグナルタイプは、(1)シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータ、(2)シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性サイズ推定値、(3)シンボルについての相場価格が変化しないであろう期間を推定する相場価格安定性推定値、および、(4)シンボルについての次の相場価格がそのシンボルについての現在の相場価格より高くなるかまたは低くなるかを推定する相場価格方向性推定値からなる群のうちの少なくとも2つのメンバを含む、
請求項1から126まで、353または354のいずれか1項記載のシステムまたは方法。
【請求項356】
本明細書に開示された特徴の任意の組み合わせを備える、装置、システム、方法および/またはコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および優先権主張
本特許出願は、2019年5月14日に出願された米国仮出願第62/847641号、発明の名称“Methods and Systems for Low Latency Generation and Distribution of Trading Signals from Financial Market Data”の優先権を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
金融市場参加者は、市場における役割を果たすために、広範な種類の情報を使用する。情報の主な部分は、金融商品についての現在価格、例えば、商品が取引された最新の価格、商品を買う指値注文の最高価格(ビッド)、および商品を売る指値注文の最低価格(オファー)である。この価格データは、金融商品が購入されまたは販売され得る条件を規定する情報の他の部分と共に、「金融市場データ」(またはより単純に「市場データ」)と称される。本明細書で使用する場合、「金融商品」は、典型的には、企業または政府機関に関する株式所有権、負債または信用を表す契約を指す。この契約は販売可能である。「金融商品」の例は、株式、債券、商品、通貨市場で取引される通貨等を含むが、それらのアイテムが金融取引市場の外部でどのように使用されるかという意味で現金または小切手は含まないものとする(すなわち、現金または小切手を使用する食料雑貨店での食料雑貨の購入は、本明細書で使用される「金融商品」なる用語によってはカバーされない。同様に、デビットカードを使用して現金自動預け払い機から現金を100ドル引き出すことは、本明細書で使用される「金融商品」なる用語によってはカバーされない)。
【0003】
市場データの生成、配信および処理は、金融市場と共に劇的に進化してきた。金融商品の取引が、人間が口頭で価格を交渉することから、完全に自動化された取引システムを有する電子市場に移行するにつれて、市場データは、新聞に終値を印刷することから、コンピュータネットワークを介してリアルタイムメッセージを配信することに拡大してきた。現在、電子金融取引所は、市場データの1つ以上のリアルタイムフィードを発行している。この場合、これらのフィード内のメッセージは、定義されたデータフィールドを有する構造化フォーマットを有する。これらのフィードは、金融市場参加者、例えば、取引所、ブローカー、マーケットメーカー、主なトレーダーおよびアセットマネジャーにより直接に消費される場合がある。これらの企業は、スピードを頼みにする最も洗練された大企業であり、また、1つ以上の金融市場からのリアルタイムの市場データの複数のフィードを消費し、処理し、市場での役割のうちの少なくとも1つを果たす能力を有する傾向がある。例えば、主な取引会社は、低遅延の市場データを使用して、儲けの出る取引機会を特定し、実行することができる。別の例として、取引所または代替取引システム(ATS)は、現在の最良価格で取引を実行することまたは注文を最良価格で市場にルーティングすることを要求する全米市場システム規約(Reg NMS)等の規約に準拠していることを保証するために、低遅延の市場データを使用する場合がある。
【0004】
これらの企業が市場データフィードを高速(低遅延)かつ大容量で消費し、処理し、配信するのを可能にするシステムは、不可欠かつ貴重である。低遅延かつ高スループットで金融市場データフィードを消費し、処理し、配信するためのシステムおよび技術の例は、米国特許第7840482号明細書、同第7921046号明細書、同第8768805号明細書、同第9047243号明細書、同第1037568号明細書、同第10121196号明細書および同第10229453号明細書に記載されている。各文献の開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0005】
また、市場データフィードは、データを処理し、要約し、金融市場参加者に配信する仲介業者によっても消費される場合がある。これらの仲介業者は、主に、データ遅延にあまり敏感でない受信者にデータを配信する金融技術およびサービスベンダーである。例は、第2の規制遵守およびリスク管理システムの一部を超えるポジションを保有する取引会社を含む。リテイルブローカー、例えばFidelityおよびVanguard、メディアアウトレット、例えばケーブルテレビネットワーク、ならびにインターネット検索エンジン、例えばYahooおよびGoogleを含む。
【0006】
議論の目的で、本発明者らは、金融市場参加者の階層を、そのデータ速度要求に基づいて定義する。本発明者らは、Tier1を、最高速度(最小遅延)で配信されるリアルタイムデータを必要とする市場参加者と定義する。これらの企業は、典型的には、電子取引システムと同じデータセンタ内に電子取引システムを共同配置する金融取引所から直接に市場データフィードを消費する。また、これらの企業は、データセンタ間の市場データ転送の遅延を最小限に抑えるために、無線ネットワークリンクを利用する場合もある。Tier1市場参加者は、きわめて短期間(数マイクロ秒から数秒)で金融商品のポジションを保有する企業およびはるかに長期間でポジションを保有する企業を含むことに留意されたい。これらの後者の企業は、大きなポジションを売買する際に、予測可能な価格を達成するために、依然として短い遅延データを必要とし、これは、一般には、「実行品質の最大化」または「スリップの最小化」と称される。
【0007】
本発明者らは、Tier2を、リアルタイムデータを必要とするが、最小データ遅延要求を欠く市場参加者と定義する。また、これらの企業は、データ消費ソースおよびコストを最小限に抑えるために、取引日全体を通して要約されたデータまたは遅延されたデータを取得するのを好む場合もある。
【0008】
本発明者らは、Tier3を、典型的には、各取引セッションまたは日の終わりに配信される要約データに基づいて操作するのを好む市場参加者と定義する。追加の要約期間、例えば、週ごと、月ごと、四半期ごとまたは年ごとが一般的である。
【0009】
Tier2およびTier3は、金融市場参加者、特に、受容可能なリスクをとりながら、価値の増大(すなわち、リターンの達成)を目的として、自己または外部の投資家のいずれかに資本を投資する市場の「バイサイド」を表す企業のかなりの割合を占める。バイサイドのTier2およびTier3の市場参加者の例は、ヘッジファンド、アセットマネジャーおよび「アクティブ運用」ミューチュアルファンドを含む。
【0010】
市場データを使用するのに加えて、各層の市場参加者は、市場においてそれらの機能を実行するために、追加の情報を使用する。取引シグナルは、この点に関して使用することができるある種の追加情報である。本明細書で使用する場合、「取引シグナル」は、市場条件の局面に関する推定または推論を提供する派生情報を指す。この場合、このような局面は、金融市場データ内で直接に報告されず、その推定または推論は、市場参加者が金融市場に関して取引決定を行うための要因として使用される場合がある。Tier1市場参加者は、特に、金融商品についての短期イベント、特に、流動性(容易に購入または販売され得る商品の量)の変化、未決済注文の数および未決済注文の価格を予測する取引シグナルに関心を持っている。Tier2およびTier3市場参加者は、種々の期間にわたるより持続的な価格変動(すなわち、トレンド)ならびに多くの金融商品の価格および流動性に影響を及ぼし得るマクロ経済的イベントを表す取引シグナルにより広く関心を持っている。
【0011】
取引シグナルには、広範な種類のソースがある。金融市場データは、特に、価格の瞬間的な変動に応答するTier1市場参加者にとって主なソースである。一部の取引シグナルは、正規化された市場データメッセージから生成することができ、一方、他の取引シグナルは、取引所からの市場データメッセージの生(またはネイティブ)フォーマットへのアクセスを必要とする場合がある。取引シグナルについての他のソースは、一般には、「代替データ」と称される。このような代替データは、クレジットカード取引データ、天気予報、ソーシャルメディア更新の感情分析および小売店の駐車場内の車をカウントするための地理空間画像分析または既知の出荷ルートに沿って商品を移動させるコンテナ船の数を含むことができる。これらのソースは、Tier2およびTier3の市場参加者にとって、そのより遅い運用速度およびその取引機会のより長い期間に基づいて、より有用である傾向にある。
【0012】
一般的には、リアルタイム市場データから抽出することができる2つのクラスの取引シグナル-ロジックシグナルおよび推定器が存在する。
【0013】
ロジックシグナルは、リアルタイム市場データメッセージのストリーム内の条件または条件の組み合わせを表す金融市場データの1つ以上の特徴から生成される。これらのロジックシグナルおよびこれらを定義する条件は、典型的には、特定の市場がどのように動作するかまたは特定の金融商品がどのように取引されるかについての専門家の知識に基づいている。上述したように、一部のロジックシグナルは、正規化された市場データメッセージから生成することができ、一方、他のロジックシグナルは、取引所からの市場データメッセージの生の(またはネイティブな)フォーマットへのアクセスを必要とする場合がある。例えば、ネットワークを介して送信するために、パッケージをパケットに交換するメッセージの数は、ロジックシグナルの条件の1つである場合がある。
【0014】
推定器は、典型的には、何らかの形式の統計的方法、回帰分析、機械学習、または「人工知能」を利用して、将来のフィールド値または条件を予測する取引シグナルである。推定器は、価格がいつ変化するか、価格がどの方向に動くか、または定義された時間ウィンドウ内でうまく売ることができる株式の数を予測することができる。ほとんどの推定器は、まず金融市場データの多くの特徴を計算し、ついで、特徴計算の出力を組み合わせて、推定値を生成することにより計算される。専門家の知識は、典型的には、所望の推定値を生成するのに役立ち得る特徴を定義するのに使用される。特徴が定義されると、数多くの機械学習(ML)または人工知能(AI)技術を利用して、特徴の可能な組み合わせの探索を自動化して、正確な推定器を生成することができる。例えば、得られた推定器は、定義されたイベントが定義された期間内に発生する確率値の形をとる場合がある。別の例では、この確率値を、真の推定値または偽の推定値を定義する確率についての閾値を選択することによりブール値に変換することができ、推定器は、ブール値の形をとる場合がある。
【0015】
取引シグナルを生成する計算集約的なタスクおよび従来のコンピュータ技術の状態に起因して、これらは、Tier2およびTier3の市場参加者により主に使用される。これは、特に推定器の場合である。Tier1市場参加者は、その取引性能を決定づける即時市場ダイナミクスのための推定器を強く望んでいるが、推定器を十分迅速に生成し、推定値を市場データの現在のビューと同期させるという技術的課題に直面している。したがって、本発明者らは、当技術分野において、金融市場データを処理するのに必要な時間(例えば、数マイクロ秒未満)と同じまたは同等量の時間で取引シグナルの生成を可能にし、市場データと同期して取引シグナルを取引アプリケーションに提示する技術革新が必要であると考える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、低遅延かつ高スループットで取引シグナルを計算し、遅延に敏感なTier1市場参加者に有用なものとする、技術的に革新的なソリューションを開発した。これは、当技術分野における顕著な技術的進歩を表す。なぜなら、従来のコンピュータシステムでは、Tier1市場参加者の要求を満たすべく取引シグナルを有用なものにするために、十分に低遅延かつ高スループットで取引シグナルを生成することができなかったからである。これらの技術的革新は、取引シグナル計算内の機能的並列処理およびデータ並列処理の機会を識別して活用し、ついで、取引シグナル計算を高度に並列化された計算リソース、例えば、集積回路、再構成可能なロジックデバイス、グラフィック処理ユニット(GPU)、マルチコア汎用プロセッサ、および/またはチップマルチプロセッサ(CMP)により実行されるように設計することにより達成される。これらのタイプの計算リソースは、取引シグナル計算がオフロードされるコプロセッサとして機能することができる。このような計算リソースにより、計算リソースが実行する異なる動作に関してきめ細かな並列処理が可能となり、これにより、汎用プロセッサ上での従来のソフトウェア実行によって可能となるより数桁速い速度で取引シグナルを生成する能力を有する計算リソースが提供される。さらに、このようなきめ細かな並列処理を活用することにより、取引シグナルを生成するための処理タスクを、このような計算リソース上に配置された並列化処理ロジックを含む処理パイプライン内に知的に設計することができる。このようなパイプラインでは、下流パイプラインロジックが、上流パイプラインロジックにより先に処理されたデータに対して処理タスクを実行することができ、一方、上流パイプラインロジックは、新しいデータに対して他の処理タスクを同時に実行し、これにより、きわめて大きなスループットゲインを提供する。
【0017】
本明細書で使用する場合、「汎用プロセッサ」(またはGPP)なる用語は、固定形式を有し、その機能性が可変であるハードウェアデバイスを指し、この可変機能性は、命令をフェッチし、この命令を実行することにより定義される。そのなかでも従来の中央演算処理ユニット(CPU)が一般的な例である。GPPの例は、Intel XeonプロセッサおよびAMD Opteronプロセッサを含む。本明細書で使用する場合、「再構成可能なロジック」なる用語は、形式および機能を製造後に現地で相当の変更(すなわち、再構成)を行うことができる任意のロジック技術を指す。これは、製造後にその機能を変更することができるが、製造時にその形式が固定されるGPPとは対照的である。このため、再構成可能なロジックデバイスでは、ゲートレベルロジックおよびゲートレベルロジック間の相互接続を、所望の動作を実行するために、再構成可能なロジックデバイスを効果的に「ハードワイヤ」するように、現場で再構成することができる。再構成可能なロジックデバイスの例は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である。再構成可能なロジックデバイスのゲートレベルロジックを、再構成可能なロジックデバイスにファームウェアをロードすることにより再構成することができる。本明細書で使用する場合、「ファームウェア」なる用語は、再構成可能なロジックデバイスまたは他の処理デバイス上に配置されるデータ処理機能を指す。ファームウェアは、それがロードされたデバイスの形式を変更しまたは定義するのに使用することができる。対照的に、「ソフトウェア」なる用語は、処理デバイス上に配置されるが、それがロードされたデバイスの形式(例えば、ゲートレベルロジックおよび相互接続)を変更せずまたは定義しないデータ処理機能を指す。GPP、GPUおよびCMPは、ソフトウェアにより定義されたデータ処理機能を有することができる。一方、再構成可能なロジックデバイスは、ファームウェアにより定義されたデータ処理機能を有する。
【0018】
以下でより詳細に検討される例示的な実施形態では、本発明者らは、取引シグナルをストリーミング金融市場データに対して動作する専用シグナルプラントによりどのように計算し、送信することができるかを示す。
【0019】
さらなる追加の実施形態では、本発明者らは、ストリーミング金融市場データを消費し、正規化し、集約し、配信するティッカープラントのアーキテクチャを拡張することにより、取引シグナルをどのように計算することができるかも示す。例えば、ティッカープラントパイプラインの処理段階を拡張して、1つ以上の特徴を計算し、これらを後で組み合わせて、推定器を生成することができる。これにより、推定器を最小の追加の処理時間およびリソースで計算することが可能となる。増分特徴計算が、データ正規化および集約計算の容易に利用可能なフィールドおよび中間計算結果を使用するためである。
【0020】
さらに追加の例示的な実施形態では、本発明者らは、取引シグナルを取引アプリケーションサーバ内でどのように計算することができるかを示す。
【0021】
上述したように、取引シグナルのこれらの革新的な計算は、以前は達成できなかったレベルの速度およびスループットを達成するために、機能的並列処理およびデータ並列処理の両方を使用することができる。計算は、2つ以上のパイプライン段階に細分することができる。この場合、各パイプライン段階は、他のパイプライン段階と並列に動作する。ついで、計算の2つ以上のパイプラインが、2つ以上の独立したデータストリームに対して並列に動作することができる。一部の実施形態では、複数のパイプラインの出力を組み合わせて、集約された取引シグナルおよび推定器を生成することができる。上記したように、これらのソリューションを、複数の中央演算処理ユニット(CPU)コア(例えば、CMP)を含む汎用プロセッサ、FPGA内のアプリケーション固有のファームウェアロジックおよび多数のコンピュートコアを含むGPUを含む各種の並列処理技術により実装することができる。したがって、電子取引プラットフォームのヘッドに位置する加速された市場データ装置により、リアルタイムで取引シグナルが生成可能である。この場合、計算リソース、例えば、CPU、FPGA、GPU、CMP等における過剰な処理能力により、取引シグナルをリアルタイムで、正規化された市場データと同期して配信するのが可能となる。このような例示的な実施形態では、取引シグナル生成は、リアルタイム市場データの配信を妨げない。例えば、正規化された市場データおよび取引シグナルを、1桁のマイクロ秒の遅延で一貫して配信することができる。
【0022】
さらに、本発明者らは、市場データと同期して取引シグナルを取引アプリケーションに提示するソリューションも開発した。例示的な実施形態では、取引シグナルを、金融市場データメッセージのペイロードで下流の消費者に配信することができる(この場合、このような下流の消費者は、自動化された取引アプリケーションの形をとることができる)。このため、市場データメッセージの消費者が、例えば、同じ金融商品を参照して、市場データに関連する取引シグナルおよび推定器を受信するように、取引シグナルペイロードを、市場データメッセージに追加することができる。別の例示的な実施形態では、取引シグナルメッセージ(例えば、取引シグナルのみを含む取引シグナルメッセージ)を、市場データ更新の独立したストリームとの消費者における下流同期のために、消費者に配信することができる。本発明者らは、この目的のための革新的な同期識別子の生成および使用を開示する。これにより、金融市場データを消費し、正規化し、強化し、配信するメカニズムを変更することなく、新しい取引シグナルソリューションを既存の取引インフラストラクチャに導入することが可能となる。
【0023】
本明細書に記載された技術を使用して、低遅延かつ高スループットで計算することができる取引シグナルの例は、(1)シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータ、(2)シンボルについての隠れた流動性の量を推定する流動性推定値、(3)シンボルについての相場価格が妥当となる期間を推定する相場価格安定性推定値、および/または(4)シンボルについての次の相場価格の変化の方向性を推定する相場価格方向性推定値を含む。これらは、本明細書に記載された技術を使用して計算することができる取引シグナルの単なる例でしかないことを理解されたい。他の取引シグナルを、以下で検討する技術を使用して、実施者により所望され得るように計算することができる。さらに、例示的な実施形態により、これらの異なるタイプの取引シグナルを、関連する各ストリーミング市場データイベントに対して互いに並列に計算することができ、全てにおいて、取引アクティビティまたは他のアクティビティを実装するような消費アプリケーションの能力を損なう、消費アプリケーションに配信されるストリーミング正規化金融市場データへの遅延の追加が生じない。
【0024】
さらに、Tier2およびTier3の市場参加者のための取引シグナルを、Tier1市場参加者のために生成される低遅延取引シグナルを要約することにより生成することができる。これらの派生取引シグナルを、種々の時間間隔で、例えば、Tier2市場参加者のための取引セッション全体を通して毎分またはTier3市場参加者のための取引セッションの終了後に1日に1回配信することができる。適切な要約間隔を、市場参加者の頻度要求および派生シグナルの使用可能寿命により決定することができる。
【0025】
例として、「自然人(natural)の投資家」の大規模な取引を観察しようとするTier3市場参加者が考えられる。これらの投資家は、ファンダメンタル評価に基づいて株式を評価するアクティブマネジャーおよび社内関係者を含む。また、彼らは、予想されるイベントおよびマクロ環境の変化の影響も評価する。Tier3市場参加者は、この情報を使用して、自然人投資家の動きを追跡し、自然人投資家とは反対のポジションをとることができ、または単に、より高度な予測モデルへの多くの入力のうちの1つとしてこの情報を使用することができる。
【0026】
自然人の投資家取引に関する情報を得るために、Teir3市場参加者は、例えば、米国証券取引委員会(SEC)の電子データ収集、分析および検索(EDGAR)システムの13Fのコンピュータ化された検索を実行することにより、フォーム13Fおよびフォーム4の規約申請を精査することができる。これらの規約上の開示のタイミング要求(取引後数日から数か月)を考慮すると、この情報は、取引シグナルとして使用するには多くの場合古く、実行不可能である。
【0027】
市場データフィードまたは日末要約からの取引レポートをモニタリングすることにより、大規模な機関投資家による注文の実行をより迅速に識別しようとすることは、たとえそれらが1日当たりの出来高の30%を占めるとしても、技術的に困難である。第一に、これらの洗練された投資家は、情報漏洩および市場への影響を最小限に抑えるために種々の技術を使用する。社内またはブローカーにより開発された実行アルゴリズムにより、大きな「親」注文がスライスされ、ついで、「子」注文がスケジューリングされて、種々の取引場所にルーティングされる。代替的には、多くの取引場所により、同じ目標を達成しようとする種々の隠れたまたは「ダーク」な注文タイプが提供される。電子マーケットメーカーおよび高頻度トレーダーからの急速に変化するビッドおよびオファーに着目すると、ノイズから「シグナル」をピックアップするのがきわめて困難になる。
【0028】
予備注文は、取引場所により提供される最も一般的な隠れたまたは「ダーク」な注文タイプである。それらは、情報漏洩を防止し、市場への影響を最小限に抑えるために、機関投資家により広く使用され続けている。Tier2およびTier3の市場参加者のための派生シグナルを、取引セッション内で検出された予備注文を要約することにより生成することができる。こうした日々の情報は、規約申請(例えば、フォーム4および13F申請)から数週間後に何らかの方法で利用可能になるより速く、完全な機関投資家の取引アクティビティの要約を表すため、Tier2およびTier3の市場参加者は、この情報を使用して、市場のトレンドを特定し、より長期の価格変動を予測する自身の能力を改善することができる。Tier2およびTier3の市場参加者は、派生シグナル情報を直接に使用することができ、または自身の能力を改善しかつ/または自身の有用性を広げるために予測機械学習モデルへの追加入力としてこれを含めることができる。
【0029】
このような派生取引シグナルは、各市場データ更新イベントに対する市場ダイナミクスを予測しまたは検出する能力に基づいている。本明細書に開示された例示的な実施形態は、Tier1市場参加者のための低遅延で計算された取引シグナルの出力を消費し、要約することにより、Tier2およびTier3の市場参加者のための派生取引シグナルを生成する能力を含む。このアプローチの効率により、派生シグナルの配信のための広範囲の時間隔が可能となる。
【0030】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点を、当業者に対して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】シグナル生成段階がデータ受信段階とシグナル送信段階との間に挿入され、送信段階がシグナルメッセージを下流の消費者に送信する、例示的なシグナル生成パイプラインを示す図である。
図2】シグナル生成段階がデータ受信段階と送信段階との間に挿入され、送信段階がシグナルメッセージとデータメッセージとの両方を下流の消費者に送信する、例示的なシグナル生成パイプラインを示す図である。シグナル生成は、データメッセージを下流の消費者に送信するのと並列に行われる。
図3】シグナル生成段階がデータ受信段階と送信段階との間に挿入され、データ正規化段階と並列に動作する、例示的なシグナル生成パイプラインを示す図である。送信段階は、正規化されたデータメッセージとシグナルメッセージとの両方を下流の消費者に送信する。
図4】シグナル生成段階がデータ正規化段階を経由する処理ステップ間に挿入される、例示的なシグナル生成パイプラインを示す図である。送信段階は、正規化されたデータメッセージと正規化されたデータおよびシグナルデータの両方を含むメッセージとの両方を下流の消費者に送信する。
図5】シグナル生成段階がデータ正規化段階と送信段階との間に挿入され、送信段階がシグナルメッセージと正規化されたデータメッセージとの両方を下流の消費者に送信する、例示的なシグナル生成パイプラインを示す図である。シグナル生成は、正規化されたデータメッセージを下流の消費者に送信するのと並列に行われる。
図6】2つの独立したシグナル生成段階を有する例示的なシグナル生成パイプラインを示す図である。第1のシグナル生成段階は、場合により、データ正規化段階を経由する処理ステップ間に挿入される。第2のシグナル生成段階は、データ正規化段階と送信段階との間に挿入され、データ正規化段階から出力されたメッセージを下流の消費者に送信するのと並列に動作する。送信段階は、正規化されたデータメッセージと、シグナルメッセージと、正規化されたデータおよびシグナルデータの両方を含むメッセージとを、下流の消費者に送信する。
図7】独立したデータストリームを並列に処理して動作する複数の例示的な独立したシグナル生成パイプラインを示す図である。送信段階は、各パイプラインからのメッセージを下流の消費者に配信する。この場合、所定の消費者は、1つ以上のパイプラインからのメッセージを受信することができる。
図8】複数の独立したパイプラインの出力を消費する例示的なデータ集約段階を示す図である。シグナル生成段階は、場合により、データ集約段階を経由する処理ステップ間に挿入される。別のシグナル生成段階は、データ集約段階と送信段階との間に挿入され、データ集約段階から出力されたメッセージを下流の消費者に送信するのと並列に動作する。
図9】金融市場データについての正規化されたデータメッセージの例を示す図である。
図10】金融市場データについての追加された集約データを有する正規化されたデータメッセージの例を示す図である。
図11】金融市場データについての追加された集約データおよび追加されたシグナルデータを有する正規化されたデータメッセージの例を示す図である。また、同図は、金融市場データについての独立したシグナルメッセージの例も示す。
図12】正規化された市場データメッセージのフィールドから同期識別子(ID)を生成する例を示す図である。
図13】入力データストリーム内のメッセージから推定値を生成する例示的な推定器パイプラインを示す。特徴は、フィールド選択段階および特徴計算段階を含むパイプラインの複数のインスタンスにより並列に計算される。
図14】正規化されたデータ、シグナルおよび推定値を生成し、配信する例示的な金融市場データ、シグナルおよび推定器パイプラインを示す図である。同図は、データ正規化、特徴生成およびシグナル生成と、データ集約段階および少なくとも1つの推定値生成段階のための複数の独立したパイプラインから構成される。
図15】ネットワークインタフェースカード(NIC)、FPGA、汎用CPU上のソフトウェアおよびGPUの組み合わせを使用する金融市場データおよびシグナルパイプラインの例示的な実施形態を示す図である。
図16】NICとFPGAとの組み合わせを使用する金融市場データ、シグナルおよび推定器パイプラインの例示的な実施形態を示す図である。この実施形態では、ほとんどの市場データメッセージが、ファームウェアロジックにおいてのみ処理される。
図17】NIC、FPGAおよびGPUの組み合わせを使用する金融市場データ、シグナルおよび推定器パイプラインの例示的な実施形態を示す。この実施形態では、ほとんどの市場データメッセージが、ファームウェアロジックまたはGPUロジックにおいてのみ処理される。
図18】NIC、FPGAおよび汎用CPU上のソフトウェアの組み合わせを使用する自動取引パイプラインの例示的な実施形態を示す図である。この実施形態では、幾つかの高速パス取引決定が、ファームウェアロジックにおいてのみ処理される。
図19】ティッカープラントにより生成され、正規化された市場データとシグナルデータとの両方を含むメッセージを消費する、取引アプリケーションパイプラインの例示的な実施形態を示す図である。このアプリケーションは、ティッカープラントが所望のメッセージフィールドを抽出するのに使用するメッセージフォーマットを解析する。
図20】シグナルプラントにより生成され、シグナルデータを含むメッセージを消費する、取引アプリケーションパイプラインの例示的な実施形態を示す図である。また、アプリケーションは、市場データフィードを消費し、市場データメッセージを正規化し、正規化された市場データメッセージをシグナルメッセージに同期させる。
図21】ティッカープラントにより生成され、正規化された市場データとシグナルデータとの両方を含むメッセージを消費する、取引アプリケーションパイプラインの例示的な実施形態を示す。アプリケーションプログラミングインタフェース(API)は、ティッカープラントが所望のメッセージフィールドを抽出し、それらをアプリケーションに配信するのに使用するメッセージフォーマットを解析する。
図22A】ティッカープラントにより生成され、正規化された市場データを含むメッセージと、シグナルプラントにより生成され、シグナルデータを含むメッセージを消費する、取引アプリケーションパイプラインの例示的な実施形態を示す図である。アプリケーションプログラミングインタフェース(API)は、ティッカープラントにより使用されるメッセージフォーマットを解析し、シグナルプラントにより使用されるメッセージフォーマットを解析し、正規化された市場データメッセージをシグナルメッセージに同期させ、所望のメッセージフィールドを抽出し、それらをアプリケーションに配信する。
図22B】ティッカープラントにより生成され、正規化された市場データを含むメッセージと、シグナルプラントにより生成され、シグナルデータを含むメッセージを、NIC FPGAを使用して消費する、取引アプリケーションパイプラインの例示的な実施形態を示す図である。NIC FPGA上に配置されたファームウェアは、ティッカープラントにより使用されるメッセージフォーマットを解析し、シグナルプラントにより使用されるメッセージフォーマットを解析し、正規化された市場データメッセージをシグナルメッセージに同期させ、同期されたメッセージをアプリケーションプログラミングインタフェース(API)に配信する。APIは、ローカルキャッシュレコードを更新し、所望のメッセージフィールドを抽出し、それらをアプリケーションに配信する。
図23A】予備注文が存在するという結論を引き出すべきか否かを決定するために、メッセージデータに対して幾つかの条件を検査する並列化処理ロジックを含むシグナル生成段階の例示的な実施形態を示す図である。
図23B】予備注文が存在するという結論を引き出すべきか否かを決定するために、メッセージデータに対して幾つかの条件を検査する並列化処理ロジックを含むシグナル生成段階の例示的な実施形態を示す図である。
図23C】予備注文が存在するという結論を引き出すべきか否かを決定するために、メッセージデータに対して幾つかの条件を検査する並列化処理ロジックを含むシグナル生成段階の例示的な実施形態を示す図である。
図24】流動性インジケータ取引シグナルにより検出された予備注文を介して実行された1日当たりの出来高の割合によるS&P500インデックスの構成銘柄(company)の分布を示す図である。
図25】流動性インジケータ取引シグナルを通じた予備注文による総出来高の割合に関して、種々の取引所がどのように異なるかを示す図である。
図26】サンプルデータセットに対するNMS取引所にわたって検出された全ての予備注文実行の市場シェアのチャートを示す図である。
図27】集中比による取引所のランキングを示す図である。
図28A】市場データフィードにおける予備注文の検出に基づいて生成され得る取引シグナルの例示的なリストを提供する図である。
図28B】市場データフィードにおける予備注文の検出に基づいて生成され得る取引シグナルの例示的なリストを提供する図である。
図29A】検出された予備注文のサイズの推定値を計算するために、教師あり機械学習モデルを使用する並列化処理ロジックを含むシグナル生成段階の例示的な実施形態を示す図である。
図29B】教師あり機械学習モデルを構築し、維持するのに使用されるステップの例示的な実施形態を示す図である。
図30】異なる注文サイズにおける予備注文の頻度を示す図である。
図31】異なる想定値間隔で実行された予備注文の頻度を示す図である。
図32】想定値の種々のバケットについての隠れた流動性サイズ推定取引シグナルについての例示的な実施形態の精度を分解する図である。
図33】典型的な取引日を通して30分間隔での隠れた流動性サイズ推定器取引シグナルについての例示的な実施形態の精度をプロットする図である。
図34A】特定の取引日における調査された証券セットについてのNational Best Bidの価格期間の分布を示す図である。
図34B】幾つかの異なる取引所についての市場当たりのNational Bestの価格期間の分布を示す図である。
図35A】予測閾値が50%である相場ヒューズ取引シグナルの例示的な実施形態に関する価格期間および機会獲得の分布を示す図である。
図35B】広範囲の予測閾値について、特定の取引日からの取引アクティビティについての精度、機会獲得および観察された価格期間の中央値を示す図である。
図36】予測閾値が68%である相場ヒューズ取引シグナルの例示的な実施形態に関する価格期間および機会獲得の分布を示す図である。
図37】予測閾値が32%である相場ヒューズ取引シグナルの例示的な実施形態に関する価格期間および機会獲得の分布を示す図である。
図38】ビッドおよびオファーティック方向の各順列に対する相場ヒューズシグナルについての例示的な実施形態によるショートヒューズ予測およびロングヒューズ予測についての精度測定基準を提供する図である。
図39】(NBBO価格の次の変化までの時間として測定される)取引が行われる時間に対する米国株式の取引出来高の割合をプロットする図である。
図40A】ユーザが予測閾値として55%を選択した相場ヒューズシグナルの例を示す図である。
図40B】例示的な相場ヒューズシグナルの実施形態を参照して、2つの視点における広範囲の予測閾値についての精度および機会獲得測定基準を提示する図である。
図40C】例示的な相場ヒューズシグナルの実施形態を参照して、2つの視点における広範囲の予測閾値についての精度および機会獲得測定基準を提示する図である。
図41】ユーザが価格上昇を予測するための閾値として70%を選択した相場ベクトルシグナルの例を示す図である。
図42】相場ベクトルシグナルの例示的な実施形態に関する精度および機会獲得の概念を示す図を示す。
図43】ボラティリティが高い日とボラティリティが低い日との両方を有する日付からのサンプル取引データを使用する3つの性能測定基準を提供するチャートである。
図44】1000超の相場を有するティッカーについての相場崩壊に対する改善の割合に対する平均スプレッドの関係をプロットする図である。
図45】相場ベクトルシグナルの例示的な実施形態に関して、種々の取引シナリオ例について正味価格改善をどのように定量化することができるかを示す例を提供する図である。
図46】相場ベクトルシグナルの例示的な実施形態について、1日にわたって取引される平均スプレッドに対して、「1株当たりのパース(purse)」(PPS)をプロットする図である。
図47】ティッカープラントにより生成され、正規化された市場データとシグナルデータとの両方を含むメッセージを消費する、派生シグナル生成器の例示的な実施形態を示す図である。
図48】自然人の投資家の行動を推論するための従来の技法に関する派生取引シグナル生成のための例示的な実施形態間の比較を提供する図である。
図49】2名のユーザが、買値および売値が定義された目標時間値未満で変化するショートヒューズ相場を表すか否かを予測するための異なる予測閾値を選択する、例示的な実施形態を提供する図である。
図50】2名のユーザが、買値および売値に対する次の変化の方向性を予測するための異なる予測閾値を選択する、例示的な実施形態を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に、シグナル生成パイプラインの例示的な実施形態を基本形式で示す。パイプラインは、入力データストリームから導出されたシグナルメッセージの出力ストリームを生成する。入力データストリームが金融市場データである場合、例示的な出力シグナルメッセージは、IBM株式の未知の数量を購入するための予備注文がニューヨーク証券取引所(NYSE)での最良の買値にあることを示す。このシグナルは、自動取引アプリケーションにより使用されて、取引を決定し、取引注文を生成する(例えば、最新の相場メッセージにおける最良のビッドサイズ(または株式数)により示されるより多量のIBM株をNYSEで売る)ことができる。別の例示的な出力シグナルメッセージは、AAPL株についての最良の売値に対する次の更新が現在の最良の売値より高くなる確率を与える推定器である。確率が選択された閾値を超える場合、このシグナルは、自動化取引アプリケーションにより使用されて、取引を決定し、適時に取引注文(例えば、価格が上昇する前にAAPL株の利用可能な株式を購入するための取引注文)を生成することができる。
【0033】
本発明者らは、金融市場データから取引シグナルおよび推定器を生成することに焦点を当てているが、本明細書に記載された技術は他のユースケースにも適用可能であることを理解されたい。例えば、入力データストリームがサプライヤからのサプライチェーンデータおよび小売業者からの販売データである場合、例示的な出力シグナルメッセージは、製品に対する需要を満たさない供給の確率の推定器である。なお、説明の目的のために、以下で検討される例示的な実施形態により生成されるシグナルは、金融商品に関する取引シグナルであるものとする。
【0034】
図1の実施形態では、シグナル生成段階は、データ受信段階と送信段階との間に挿入される。各段階は並列に動作し、これにより、データストリームからの複数のアイテム(例えば、メッセージ)を並列に処理することが可能となる。この機能的並列処理により、シグナル生成計算の容量またはスループットが顕著に増大する。各パイプライン段階が、毎秒1つのメッセージを処理する単純な場合を考える。メッセージを処理するのに必要な合計時間は3秒であるが、パイプラインは、1秒当たりに1つのメッセージの計算速度を維持することが可能である。
【0035】
データ受信段階は、データストリームからデータを受信する計算タスクからシグナル生成段階をオフロードする。例示的なタスクは、ネットワークプロトコルスタック処理を実行すること、例えば、パケットをバッファにコピーすること、巡回冗長検査(CRC)を使用してパケットの内容の正確さを検証すること、順序が違って到着するパケットを並べ直すことおよび送信者からの欠落パケットの再送を要求するステップを含む。また、データ受信段階は、入力データストリームを解析して、シグナル生成段階に必要な特定のデータフィールドを抽出することもできる。データ受信段階は、そのスループットを最大にするために、その作業をパイプライン段階と並列パイプラインとに細分することができる。参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書、同第8768805号明細書および同第10121196号明細書には、金融市場データをデータ受信段階の一部としてどのように処理することができるのかについての例が記載されている。
【0036】
シグナル生成段階は、入力データストリームからの1つ以上のフィールドに対して動作して、取引シグナルを生成する。シグナル生成段階は、ロジックシグナルまたは推定器シグナルのクラスに属する1つ以上のシグナルを計算する。以下に、シグナル生成段階の幾つかの例示的な実施形態を記載する。シグナル生成段階は、シグナルメッセージを生成し、これを送信段階に渡す。
【0037】
送信段階は、シグナルメッセージを下流の消費者に送信する。送信段階は、各種の信頼性、遅延、スループットおよび効率目標を達成するソリューションを使用して、メッセージを消費者に配信することができる。送信段階の1つの例示的な実施形態は、全てのシグナルメッセージを全ての消費者に配信するブロードキャストネットワークを使用してシグナルメッセージを送信する。送信段階の別の例示的な実施形態は、消費者が適切なチャネルを消費することによりシグナルメッセージのサブセットを選択することが可能となる1つ以上のマルチキャストチャネルを使用してシグナルメッセージを送信する。例えば、シンボルが文字「A」で始まる株式に関連するシグナルメッセージを第1のマルチキャストチャネル上で送信することができ、シンボルが文字「B」で始まる株式に関連するシグナルメッセージを第2のマルチキャストチャネル上で送信することができる等である。AAPL株についてのシグナルメッセージに関心がある消費者は、第1のマルチキャストチャネルのみを消費し、シンボルが「A」で始まる他の株式についてのシグナルメッセージを廃棄することができる。送信段階の別の例示的な実施形態は、消費者がシグナルメッセージの特定のセットに加入した(または関心を登録した)場合にのみ、シグナルメッセージを消費者に送信する。送信段階は、各消費者へのユニキャスト接続を使用する。各消費者に対して、送信段階は、消費者が加入したシグナルメッセージのコピーを送信し、消費者が加入していないシグナルメッセージをフィルタリングする。送信段階は、消費者に加入されたメッセージが消費者に配信されることを保証するために、信頼性の高いユニキャストプロトコルを使用することができる。例示的なプロトコルは、伝送制御プロトコル(TCP)およびリモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)信頼性接続(RC)を含む。送信段階は、そのスループットを最大にするために、その作業をパイプライン段階と並列パイプラインとに細分することができる。参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書および同第10121196号明細書には、金融市場データを送信段階の一部としてどのように処理することができるかの例が記載されている(参照され援用された上記の米国特許第9047243号明細書も参照のこと)。
【0038】
例示的な実施形態では、データ受信段階、シグナル生成段階および送信段階のスループットは、各段階がパイプラインにボトルネックを課さないことを保証するために同等である。段階により行われる計算量は、入力データの種類により異なっていてもよいことに留意されたい。パイプライン段階の入力または出力に、バッファを使用して、段階間で瞬間的な処理速度が異なる場合のデータ損失を防ぐことができる。
【0039】
図2に示されているように、別の例示的な実施形態では、シグナルメッセージと入力データストリームとの組み合わせを下流の消費者に伝搬させることができる。これを「Bump in The Wire」アーキテクチャと称することができ、幾つかのユースケースに幾らかの利点がもたらされる。これにより、シグナルメッセージをデータメッセージと同じネットワーク上で配信することが可能となり、典型的には、既存のデータ処理および配信インフラストラクチャへの変更を最小限に抑えることが可能となる。また、データメッセージ配信の最小限の遅延により利益を得る消費者へのデータメッセージ配信の遅延も最小限に抑えるかまたは完全に排除する。これらの消費者は、シグナルメッセージを消費しない場合がある。代替的に、消費者は、データメッセージを受け取るとすぐに幾つかのアクションを実行し、ついで、シグナルメッセージを受け取ると後続のアクションを実行することができる。
【0040】
例えば、マーケットメイキングを実行する自動通貨(すなわち、外国為替)取引アプリケーションは、取引が異なる市場でより低い購入価格(すなわち、通貨為替レート)で行われたというデータメッセージを受信すると、所定の通貨を購入するためのその注文を直ちにキャンセルすることができる。これにより、マーケットメーカーが市場で劣った価格で通貨を購入するリスクが直ちに除去される。ついで、このアプリケーションは、その市場における最良の買値の動きを推定するシグナルメッセージを使用して、修正された価格で通貨を購入するための新しい注文を送信することができる。この推定値により、マーケットメーカーは、他の市場参加者より先に優れた価格を投稿し、よって取引機会を獲得することが可能となる場合がある。
【0041】
図2の実施形態では、シグナル発生パイプラインは、データ受信段階と送信段階との間に挿入されたシグナル発生段階を含む。データ受信段階は、シグナル生成段階と送信段階との両方にデータを渡す。送信段階は、シグナルメッセージとデータメッセージとの両方を下流の消費者に送信する。シグナル生成は、データメッセージを下流の消費者に送信するのと並列に行われる。
【0042】
図3に示されているように、別の例示的な実施形態では、シグナル生成パイプラインは、正規化されたデータメッセージとシグナルメッセージとの両方を下流の消費者に送信する。シグナル生成段階は、データ受信段階と送信段階との間に挿入され、データ正規化段階と並列に動作する。データ正規化が望ましい広範な種類のユースケースが存在する。参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書および同第10121196号明細書には、金融市場データをどのように正規化することができるかの例が記載されている。他の例は、複数のクレジットカード処理会社により報告されたクレジットカード取引データの正規化を含む。正規化された取引データの例示的な消費者は、小売データを集約して将来の消費者行動を予測する共通メッセージフォーマットのために1回記述される分析アプリケーションである。
【0043】
図3の実施形態は、データ正規化段階に必要な時間の量だけ、シグナル生成段階の相対的オーバーヘッドをさらに低減する。シグナル生成段階がデータ正規化段階と同じ時間量またはそれ未満でその処理を完了する場合には、シグナルメッセージを、関連する正規化されたデータメッセージと同時にまたはそれより早く配信することができる。この実施形態では、シグナル生成段階は、データストリームからのそのネイティブフォーマットの入力データを消費する。多くの場合、これは、シグナル生成段階がメッセージデータに対してのメッセージ解析およびフィールド抽出の動作も実行することを意味する。
【0044】
図4に示されているように、別の例示的な実施形態では、シグナル生成段階は、データ正規化段階を経由する処理ステップの間に挿入される。これにより、シグナル生成段階が、データ正規化段階によりメモリから取り出された中間処理ステップの結果およびキャッシュレコードを使用することが可能となる。これにより、データ正規化とシグナル生成との組み合わせを、独立したパイプライン段階による冗長なメッセージ解析、フィールド抽出およびキャッシュレコード維持なしに効率的に実行することが可能となる。
【0045】
金融市場データの例を考える。幾つかの金融市場では、注文実行を観察し、続いて同じネットワークパケット内で同じ価格での注文追加を観察することにより、予備注文の存在を推論することにより検出することが可能である。予備注文により、市場参加者は、売買される株式の総数を隠すことが可能となる。市場参加者は、注文のわずかな部分を公開するように市場に指示し、その部分が実行されると、注文の次のわずかな部分を直ちに公開し、全ての株式が実行されるかまたは注文の残り部分がキャンセルされるまで、以下同様である。市場において所定の価格での休止中の予備注文の存在を検出することは、各種の市場参加者にとって価値のある情報となる場合がある。したがって、シグナル生成段階により生成することができる取引シグナルの例は、シンボルについての予備注文の存在を示す流動性インジケータを含む。流動性インジケータにより、例えば、市場参加者が、予備注文での価格に対して注文を実行するために注文のサイズを大きくすることを奨励することができ、大きな取引を、より迅速に、取引価格に関してより確実に完了させることが可能となる(すなわち、価格「スリップ」のリスクを低減する)。予備注文の存在を示す取引シグナルをどのように使用することができるかに関する例示的な実施形態は、以下で検討される。
【0046】
送信段階は、正規化されたデータメッセージと、正規化されたデータおよびシグナルデータの両方を含むメッセージとの両方を、下流の消費者に送信する。正規化されたデータにのみ関心のある消費者には、不要なシグナルデータを、送信段階により除去することができる。また、不要なシグナルデータを、データ消費者におけるアプリケーションプログラミングインタフェース(API)層により除去することもできまたは単純に消費者が無視することもできる。正規化されたデータとシグナルデータとの両方に関心のある消費者には、単一のメッセージで両方のデータペイロードを配信することにより、より高い効率およびより短いデータ転送遅延をもたらすことができる。典型的には、ネットワークインタフェースデバイスのトランザクションレートは、ネットワークリンクの帯域幅(またはビットレート)よりも大幅に低い。このため、コンピュータネットワーク上でサイズX+Yのシグナルメッセージを送信することは、サイズXおよびYの2つのメッセージを送信するのと比較してより効率的である。ペイロードを単一のメッセージに結合するときに償却されるメッセージを送受信するための処理オーバーヘッドも存在し、その結果、総遅延が短くなる。
【0047】
図5に示されているように、別の例示的な実施形態では、シグナル生成段階は、データ正規化段階と送信段階との間に挿入され、これにより、正規化されたデータからシグナルが生成されることが可能となる。これにより、メッセージ解析、データタイプ変換およびデータ正規化段階により実行される他の処理ステップを活用することにより、幾つかのタイプのシグナルを実装するのに必要な計算リソースが最小化される。送信段階は、シグナルメッセージと正規化されたデータメッセージとの両方を、下流の消費者に送信する。正規化されたデータメッセージに専ら関心があるデータ消費者には、データ正規化段階は、シグナル生成段階に加えて、出力メッセージを送信段階に直接に送信する。これにより、シグナル生成段階の処理時間による追加のデータ遅延の寄与が排除される。
【0048】
図6に示されているように、別の例示的な実施形態では、シグナル生成パイプラインは、2つの独立したシグナル生成段階を含む。第1のシグナル生成段階は、データ正規化段階を経由する処理ステップ間に挿入されていることができる。第2のシグナル生成段階は、データ正規化段階と送信段階との間に挿入される。この第2のシグナル生成段階は、データ正規化段階から受信された正規化されたデータから追加のシグナルを生成する。また、第2のシグナル生成段階は、第1のシグナル生成段階により生成され、正規化されたデータメッセージに追加されたシグナルデータを使用することもできる。例えば、第2のシグナル生成段階は、予備注文のサイズの推定値を生成することができる。この推定値への入力は、上述した第1のシグナル生成段階により生成された予備注文インジケータ取引シグナルおよびデータ正規化フィールドにより生成された正規化された市場データフィールドである。予備注文サイズ推定器により使用されるフィールドの例は、実行された予備注文の部分の価格およびサイズならびに市場において現在見える予備注文の次の部分の価格およびサイズを含むことができる。
【0049】
また、シグナル生成段階は、予備注文サイズの推定値を生成することを可能にする状態フィールドを計算し、メモリ内に維持することもできる。例示的な状態フィールドは、(1)予備注文インジケータが所定の市場における所定のシンボルに対してイネーブルになってから実行された予備注文部分の合計と、(2)所定の市場における所定のシンボルに対して実行された予備注文の平均サイズとを含むことができる。シグナル生成段階におけるロジックは、これらの状態フィールドを、好ましくはシグナルメッセージを生成してデータ送信段階に渡すのと並列に、更新して記憶することができる。予備注文サイズを推定するための例示的な実施形態については以下で検討する。
【0050】
送信段階は、正規化されたデータメッセージ、シグナルメッセージおよび正規化されたデータとシグナルデータとの両方を含むメッセージを下流の消費者に送信する。上記されたように、送信段階は、データ正規化段階および第1のシグナル生成段階により生成されたデータを配信することが可能である。これにより、第2のシグナル生成段階の出力に関心を登録していないデータ消費者についてのデータ遅延が最小化される。
【0051】
図7に示されているように、別の例示的な実施形態では、複数の独立したシグナル生成パイプラインが並列に動作する。これにより、複数の入力データストリームを処理する場合のデータスループットが増大する。この実施形態は、単一の入力データストリームが複数のデータストリームに分割される場合にも使用できることに留意されたい。例えば、金融市場データフィードは、単一のUDPマルチキャストチャネル上で1000個の金融商品についての更新を送信することができる。このフィードを、更新メッセージが適用される金融商品に基づいて、複数のデータストリームに分割することができる。例えば、フィードを、8つのデータストリームに分割することができる。この場合、各データストリームは、フィードの約1/8の更新レートを有する。図7の複数の入力データストリームが同じデータレートを有する場合には、本実施形態は、図6の実施形態よりN倍高いスループットを達成する。参照され援用された上記の米国特許第10121196号明細書には、フィードをこのような様式でどのように分割することができるかの例が記載されている。
【0052】
送信段階は、各パイプラインからのメッセージを下流の消費者に配信する。この場合、所定の消費者は、1つ以上のパイプラインからメッセージを受信することができる。参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書および同第10121196号明細書には、このような送信および処理をどのように行うことができるかの例が記載されている。上記されたように、この例についての送信段階は、データ消費者が消費に関心を有するシグナルのセットの指定を可能にすることにより、その作業を拡張する。
【0053】
図8に示されているように、別の例示的な実施形態では、データ集約段階は、複数の独立したパイプラインの出力を消費する。金融市場データのデータ集約の一例は、National Best Bid and Offer(NBBO)の計算である。NBBOは、全米市場システム(NMS)内の任意の市場で所定の証券を買うための全ての残りの注文の中で最も高い価格および所定の証券を売るための全ての残りの注文の中で最も低い価格である。上述したように、NBBOは、規約の対象となる証券のブローカー-ディーラーに対するNMS規約への準拠を規定する基準価格である。NBBO価格の変化を迅速に計算することは、Reg NMSの対象となる証券を取引する広範な種類の市場参加者にとって高い価値を有する。取引を行う場合、取引所、ダークプールおよび代替取引システム(ATS)は、その価格を一致させもしくは改善するかまたは注文を優れた価格を有する市場にルーティングしなければならない。同様に、裁定取引戦略は、利益のある取引機会を特定するために、複数の市場にわたる優れた価格および劣った価格を特定することができるべきである。参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書および同第8768805号明細書には、例えば、集約価格ビュー、例えばNBBOを高速かつ高スループットで計算することにより市場データメッセージをどのように集約して強化することができるかと、その値のさらなる説明が記載されている(参照され援用された上記の米国特許第10229453号明細書も参照のこと)。集約価格ビューの計算および高速計算および予測シグナルの値は、複数の市場にわたって取引する任意の代替可能な金融商品に適用されることに留意されたい。例は、通貨(すなわち、FX市場)、一部の債券、例えば、オンザラン国債ならびに米国、カナダ、ヨーロッパおよび日本における株式およびオプションを含む。
【0054】
図8の例では、シグナル生成段階は、データ集約段階を経由する処理ステップ間に挿入される。データ正規化段階の処理ステップ間にシグナル生成段階を挿入する先の例と同様に、この実施形態により、データ集約動作の結果から、シグナルを効率的に生成することが可能となる。例は、取引する全ての市場にわたって株式の売買の両方をするために、特定された予備注文の総数を計算するステップを含む。同様に、株式の売買の両方をするための予備注文の総推定サイズを、このシグナル生成段階により効率的に計算することができる。
【0055】
図8に、データ集約段階と送信段階との間に挿入される別のシグナル生成段階を示す。これにより、データ集約段階から出力されたメッセージおよびこれらのメッセージに追加された任意のシグナルデータから、シグナルを生成することが可能となる。例は、将来の時点で株式を売買するための原株式およびオプション契約についての価格方向性予測値の整合または逸脱を示すシグナルを含む。この例では、データ集約段階は、NBBOを計算し、その並列シグナル生成段階は、価格方向予測値を生成する。出力メッセージは、NBBO価格更新と価格方向性予測値との両方を含む。下流のシグナル生成段階は、原株式のNBBOについての最新の価格方向性予測値を含むレコードのルックアップテーブルを維持する。レコードは、オプション契約シンボルをその原株式シンボルにマッピングすることにより取得される。下流のシグナル生成段階が、オプション契約のNBBO価格についての更新およびシグナルデータ内の関連する価格方向性予測値を含む正規化されたメッセージを受信すると、下流のシグナル生成段階は、原株式のNBBOについての最新の価格方向性予測値を含むレコードを取得する。下流のシグナル生成段階は、価格方向性予測値を比較し、これらが異なる場合には、買値方向性、売値方向性または両方の価格方向性に関する異なる予測のためのインジケータを、メッセージのシグナルデータ部分に追加する。
【0056】
図1から図8の段階を、上述したように、並列化処理ロジックにおいて、再構成可能なロジックデバイス、GPU、および/またはCMPのうちの少なくとも1つに配置することができる。
【0057】
例示的なメッセージフォーマットおよび同期
図9に、正規化された金融市場データについての代表的なメッセージフォーマットの例を示す。ヘッダフィールドのグループは、典型的には、メッセージのルーティングおよび配信に有用なデータフィールド、例えばソースIDと、消費者により受信されたデータの適時性および完全性を保証するのに有用なデータフィールド、例えばタイムスタンプおよびシーケンス番号とを含む。図10に、追加された集約データを有する金融市場データについての代表的な正規化されたメッセージの例を示す。先に検討したように、金融市場データメッセージ内の正規化されたデータに集約データを追加することにより、データ生成器および送信機ならびにデータルータおよび受信機の両方の効率をより高めることができる。図10の例では、集約データフィールドは、最良価格(例えば、National Best Bid)、全ての市場における最良価格での注文のサイズの合計である最良価格での合計サイズおよび最良価格で少なくとも1つの注文を含む場所のカウントを含む。参照され援用された上記の米国特許第8768805号明細書には、金融市場データメッセージを集約データによりどのように強化することができるかの例が記載されている(参照され援用された上記の米国特許第7840482号明細書および同第10229453号明細書も参照のこと)。
【0058】
図11に、正規化された金融市場データ、集約データおよびシグナルデータについての代表的なメッセージフォーマットの例を示す。先に検討したように、シグナルデータを金融市場データペイロードに追加することにより、上記で言及したのと同じ効率上の利点をもたらすことができる。また、この追加により、同時に消費する取引アプリケーションへの正規化された金融市場データおよび関連するシグナルデータの提示も大幅に単純化される。具体的には、この追加により、市場データ(例えば、金融商品についての現在の価格)および取引シグナル(例えば、価格変動の予測値)が同期から外れ、これにより、シーケンス番号Yを有するイベントからの市場データを使用する場合、シーケンス番号Xを有するイベントから生成されたシグナルデータが、取引アプリケーションにより使用される可能性が排除される。関連する正規化された市場データを含むメッセージにシグナルデータを追加することにより、上述したシナリオを防止するために、市場データおよびシグナルデータを同期させるために消費アプリケーションが必要とする任意の計算も排除される。
【0059】
シグナルデータを市場データメッセージに追加することは、データ消費者がシグナル生成デバイスを流れる市場データを利用するであろうことを意味する。このことが望ましくないものとなり得る多くの理由が存在する。市場データインフラストラクチャは、典型的には、取引企業によりミッションクリティカルと見なされる。企業は、既存の市場データインフラストラクチャを混乱させることなく、新しい取引シグナルを取引戦略に組み込むことに関心がある場合がある。同様に、新しい取引シグナルを生成するベンダーは、新しいシグナルを顧客に配信する障害を最小限に抑えたい。取引企業に市場データインフラストラクチャをスワップアウトするように要求することは、新たな顧客を獲得する機会を減速させるかまたは排除してしまうおそれがある。したがって、このような市場データインフラストラクチャの中断および変更を最小限に抑えながら、取引シグナルを取引会社の既存の市場データインフラストラクチャに統合することができる技術的ソリューションが望ましい。
【0060】
このような理由で、リアルタイム市場データメッセージを市場データメッセージから生成されたまたは市場データメッセージに相関されたリアルタイムシグナルメッセージと同期させる効率的な技術が必要とされている。この問題に対する望ましい例示的なソリューションは、市場データまたは正規化された市場データメッセージのフォーマットを処理し、配信するデバイスに対するいかなる変更も必要としない。さらに、望ましい例示的なソリューションは、正規化された市場データメッセージの完全なコピーがシグナルデータと共に消費アプリケーションに送信されることを必要としないであろう。これは、シグナル生成器のかなりの量のデータ送信容量、シグナルデータ配信ネットワークのためのネットワーク帯域幅、データ受信容量、およびデータ消費者の処理リソースを消費するであろう。
【0061】
場合によっては、市場データフィードソースまたは市場データノーマライザが、所定の金融商品についての各市場データメッセージに固有のシーケンス番号を割り当てる。これらの場合、シグナル生成器は、単純に、市場データおよびシグナルデータをリンクするための同期識別子(ID)として、シグナルメッセージ内に市場データメッセージシーケンス番号を含むことができる。ただし、より典型的には、メッセージごとに固有のシーケンス番号は利用できず、同期IDは、何らかの他の手段により生成される必要が生じる。図12に、この同期問題を解決するための例示的な実施形態を示す。シグナル生成器は、正規化されたデータメッセージ内のフィールドのサブセットから同期IDを生成する。この場合、このフィールドのサブセットは、組み合わされて、市場データメッセージを固有に識別する。図12の例では、処理ロジックは、市場データメッセージフィールドを入力として使用して、ハッシュ関数を実行する。ハッシング技術、例えば、参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書に記載されているものを、ハッシュ関数に使用することができる。この場合にも、図12のハッシュ関数により、入力データは、ティッカーシンボルまたはメモリアドレスではなく、同期IDにマッピングされる。
【0062】
市場データメッセージを固有に識別するフィールドのサブセットは、フィードソースまたは市場データ正規化ソースにより変化する場合がある。ハッシュ関数に含めるために選択されるフィールドは、指定されたソースによって定まり得る。図12の例では、フィールドのサブセットは、シーケンス番号、タイムスタンプ、商品ID、更新タイプおよび価格を含む。このハッシュ関数は、シグナル生成器により実行され、得られた同期IDは、消費アプリケーションに送信されるシグナルメッセージ内のフィールドとして含まれる。消費アプリケーションは、市場データメッセージを処理する際に、同じフィールドのサブセットで同じハッシュ関数を計算する。ついで、アプリケーションは、市場データメッセージについての計算された同期IDをシグナルメッセージ内の同期IDフィールドと比較して、これらの間の対応を見つけ、市場データメッセージをシグナルメッセージと整列させる。例として、下流のアプリケーションにおけるこの機能は、図20および図22Aから図22Bのメッセージ同期ロジックブロックにより示されている。
【0063】
推定器取引シグナル計算
推定値を提供する取引シグナルは、高い価値および取引アプリケーションへの広い適用可能性を有する。広範な種類の人工知能(AI)および機械学習(ML)技術を使用して、推定器を構築することができる。リアルタイム金融市場データは、適用可能な方法の範囲を狭める制約および要件を課す。第1の最も困難な要件は、利益のある機会を獲得するのを妨げる遅延を引き起こすことなく、推定器シグナルを、取引アプリケーションの意思決定に含ませることができるように、遅延を最小限に抑えることである。高スループットで、望ましくは、市場データが正規化され、配信されるのと同じスループットで推定器を計算する必要性が密接に関係している。また、規約により、一部の市場参加者、例えば、ブローカー-ディーラーは、顧客注文を管理するために使用するアルゴリズムを文書化し、このアルゴリズムをモニタリングして制御する能力を有することを証明することを要求される。これらの規約により、広範なクラスの教師なし学習法等の不透明なまたは非決定論的な計算による推定方法を排除することができる。
【0064】
対照的に、教師あり学習法、例えばロジスティック回帰は、透明性および決定論の規約基準を満たすことができる。リアルタイム市場データから推定器を生成する低遅延および高スループット要件を満たすために、これらの教師あり学習法の例示的な実施形態を設計することができる。教師あり学習法は、一般的には、次のようにして開発される。
1.目標変数と相関し、目標変数を予測する可能性の高い特徴のセットを構築する
2.目標変数の相関性および予測性を有する特徴の組み合わせを特定する
3.コスト関数を使用することにより、目標変数を予測するための特徴の精度および特徴の組み合わせを評価する
4.コスト関数が最適化されるように、特徴のセットおよび特徴の組み合わせ、選択された各特徴または組み合わせの相対重みおよび(重み付けされた特徴を確率に結合するための)係数を選択する
5.重みを正則化して、モデルを訓練データに過剰適合させるリスクを低減する。
【0065】
教師あり学習法は、目標変数を予測するために、訓練データおよび既知のアウトカムまたはデータラベルを使用して、特徴の精度および特徴の組み合わせを評価するタスクを実行する。訓練から得られるパラメータの特定のセットの有効性は、サンプル外検査としても公知の、訓練データセットとは異なる検査データセット上のこれらのパラメータを使用することにより評価される。正則化は、各重みに適用されるペナルティのセットを生成する。これにより、サンプル外入力に対するモデルの応答のスムージングまたはダンピングが提供される。例えば、L2およびL1の正則化を実行して、適切に簡潔なモデル(例えば、最適に近い予測力をもたらし、モデルの過剰適合を回避する、最も少ない数の特徴)を達成することができる。
【0066】
図29Aに、検出された予備注文のサイズの推定値を計算するためのサンプル処理ロジックを示す。上記にて検討したように、AIおよびML技術を、推定値の計算に使用することができ、例えば、教師あり学習を、特定のサイズを有する検出された予備注文確率を推定するモデルの開発に使用することができる。教師あり学習モデルを、推定器取引シグナルを計算するためのニューラルネットワークの一部として使用することができる。相場価格期間および相場価格方向性を推定するための機械学習モデルの使用のさらなる例を、以下でより詳細に検討する。
【0067】
図29Bに、これらの教師あり機械学習モデルの作成に使用されるステップについての例示的な実施形態を示す。ここでの説明では米国の株式市場を例として説明するが、このステップは、他の地域市場および資産クラスのための推定器の開発に適用することができると理解されたい。
【0068】
ステップ1:データの準備
過去の正規化された市場データを、機械可読フォーマットで収集する。この場合、市場データは、National Best Bid and Offer(NBBO)に寄与する全ての市場からの相場および取引イベントデータならびにNBBO相場イベントデータを含む。データファイルに対し、全てのデータフィールドが正規化され、選択されたフィールド(例えば、タイムスタンプ)に従ってイベントが順に一覧表示される等を保証するためのクレンジングおよび前処理ステップを実行する。
【0069】
ステップ2:特徴設定
特徴設定ステップは、ベース特徴を識別し、作成するステップである。ベース特徴は、フィールド値、または目標変数に相関し目標変数を予測する可能性が高いが互いに相関がない複数のフィールド値に対する数学的計算もしくは組み合わせロジック演算の結果である。検出された予備注文の想定値が$25000未満であることは、目標変数の一例である。これらのベース特徴の開発は、典型的には、ドメイン知識、例えば金融市場の微細構造および電子取引のプロトコルに基づいている。ベース特徴の例は、
・予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の2分間のウィンドウにわたる移動平均
・予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の120分間のウィンドウにわたる移動平均
・予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の5日間のウィンドウにわたる移動平均
・同じ価格での予備注文を有する取引所数
を含む。
【0070】
ステップ3:モデル構築
図29Aの例は、隣接カテゴリモデルを使用する。式中、φijは、i番目の観察およびj番目の順序カテゴリ(順序レベル)についてのモデルの推定された確率を表す。確率推定値は、(想定値範囲の)j=1~L-1の部分範囲のそれぞれについての切片項αを含む回帰モデルから形成される。xirは、i番目の観察およびr番目の特徴についての特徴値であり、r=0~m-1の予測特徴のそれぞれについての重みβを伴う。この例では、j=0成分についての切片および重みは、常に0であることに留意されたい。モデルにより使用される重みを計算するために、市場ダイナミクスの様々な期間から訓練データをサンプリングするロジスティック回帰技術を使用することができる。
【0071】
ステップ4:モデル評価
得られたモデルソリューションを、サンプル外履歴市場データに適用する。この場合、サンプル外データは、訓練データに対して時間的に順方向である。例えば、訓練データを、選択された期間(例えば、2018年8月から11月)からサンプリングすることができる。一方、検査データは、この期間の後の任意の日付からのものである。検査データのスコア付けされた出力を、主な性能インジケータ、例えば、精度、リコール、F1、ブライアスコア、マシュー相関係数等に対してベンチマークする。サンプル外検査に合格したモデルは、バックテストを受ける。バックテストは、モデルを長年の履歴市場データに適用して、複数の市場サイクルにわたるその有効性を確認する。バックテスト日は、訓練日と検査日との両方を包含することができる。
【0072】
ステップ5:生成物評価
モデルソリューションを、本明細書に記載された実施形態を使用するシグナル生成器における推定器としての生成使用に配置する。自動モデル品質監視システムにより、生成データに対する推定器の有効性を検証するために、毎日の性能レポートが生成される。この検証は、フォワードテストとも称される。ライブモデルは、減衰についてまたは任意の重要な性能インジケータ(KPI)における重大な変更についてモニタリングされる。各KPIにより、性能減衰または重大な変更の客観的または主観的決定のいずれかが可能となる。図29Bの例では、再訓練の決定は人間による決定であるが、これを自動化することができる。追加の新たに利用可能なラベル付けされたデータによりモデルを再訓練すると、このモデルの性能精度を経時的に改善することができる。
【0073】
図13には、教師あり学習法を使用し、リアルタイム市場データの遅延およびスループット要件を満たすことができるリアルタイム推定値生成段階の実施形態を示すが、この例では、N個の特徴のセットを計算し、ついで特徴を組み合わせ、各組み合わせに重みを割り当て、重み付けされた結果を累積することにより、推定器取引シグナルが生成される。推定結果、例えば確率値(例えば、次の価格が正の方向に移動する確率の値)を、直接に配信することができる。また、推定結果を、(例えば、予備注文のサイズが想定値で10000USDより大きいブールシグナル、例えば、真/偽シグナルを計算するために、確率値を閾値と比較することにより)ブールシグナルとして要約された様式で送信することもできる。
【0074】
図13に示されているように、市場データメッセージは、1つ以上のフィールド選択段階に配信される。このフィールド選択段階は、関連する特徴計算のための入力として使用される入力市場データメッセージからフィールドを選択する。米国特許第8374986号明細書(その開示全体が参照により本明細書に援用される)には、フィールド選択段階として機能することができるフィールド選択モジュールの例が記載されている。選択されたフィールドは1つ以上の特徴計算段階に渡され、そのうちの幾つかは、状態変数、例えば、指定された時間ウィンドウのフィールド値の移動平均を維持することができる。
【0075】
特徴計算段階のうちの異なるものにより実行することができる特徴計算の例は、
・前回の買値変化からの時間
・前回の売値変化からの時間
・最大ビッドサイズが現在の買値に対して投稿されてからの時間
・最高オファーサイズが現在の売値に対して投稿されてからの時間
・過去10回の買値変更に対する買値期間の移動平均
・過去10回の売値変更に対する売値期間の移動平均
を含む。
【0076】
例として、これらの特徴を使用して、1つ以上の市場にわたるシンボルについての現在の最良買値期間の推定値である取引シグナルの計算をサポートすることができる。その例を以下でより詳細に検討する。ただし、上記特徴のリストは単なる例であり、実務者により必要に応じて他の特徴を計算することができると理解されたい。
【0077】
特徴計算段階の出力を、派生特徴計算段階と特徴重み付けおよび結合段階との両方に配信することができる。派生特徴計算段階は、訓練パラメータによって指定されている通りに、1つ以上の上流特徴計算の結果の1つ以上の組み合わせを生成する。同様に、特徴重み付けおよび結合段階は、特徴結果および派生特徴結果のそれぞれに重みを割り当て、重み付けされた結果を累積して、推定値を生成する。
【0078】
例示的な実施形態では、図13に反映された各計算段階を、機能的並列処理とデータレベル並列処理との両方が利用されるように、並列パスで実行する。例えば、各段階は、その上流段階および下流段階に相互接続され、再構成可能なロジックデバイス、例えばFPGA上に配置され得る集積回路として実装することができる。代替的に(または追加的に)、各段階を、数千の相互接続されたコンピュータコアを含むGPUのコンピュータコア内に実装することができる。他の例示的な実施形態は、GPP上でのソフトウェア実装を含むことができ、これにより、段階は、メモリに記憶されている段階からの中間結果と共に順に計算される。
【0079】
実務者であれば、シグナル生成段階の一部として、図13に示されているものより多いもしくは少ない並列パスまたは図13に示されているものとは異なる並列パスを含むことを選択可能であると理解されたい。同様に、図13に示されているものよりも多いもしくは少ない(全く含まない)派生特徴計算段階または図13に示されているものとは異なる派生特徴計算段階を、シグナル生成段階の一部として含むことができる。
【0080】
図14に示されているように、推定器の計算を市場データの正規化と統合すると、特徴の計算を配信する際に、かなりの効率を得ることができる。シグナル生成段階に関して先に記載されたように、特徴生成段階を、場合により、データ正規化段階およびデータ集約段階によるメッセージ処理に挿入することができる。これにより、特徴生成段階は、データ正規化段階およびデータ集約段階のメッセージ解析および中間処理結果を活用し、特徴生成段階による冗長処理を排除することが可能となる。シグナルデータと同様に、特徴データを、パイプラインを流れるメッセージに追加して、派生特徴計算段階ならびに推定値生成段階内の特徴重み付けおよび結合段階に配信することができる。図14の例では、推定値生成段階は、データ集約段階とデータ送信段階との間に挿入される。この構成により、NBBO価格についての次の価格方向性を推定する等の推定値を、正規化された集約データから生成することが可能となる。
【0081】
ティッカープラントおよび取引アプリケーションサーバにおける例示的な実装
図15に、金融市場データとシグナルパイプラインとの両方を含むティッカープラントの例示的な実施形態を示す。この実施形態は、ネットワークインタフェースカード(NIC)、FPGA、汎用CPU上のソフトウェアおよびGPUの組み合わせを有する高性能サーバプラットフォームを使用する。これらの各コンポーネントは、複数のベンダーから広く入手可能であり、各種のフォームファクタで組み立てることができる。この実施形態では、FPGAを含むNICが、1つ以上の市場データフィードへのアクセスを提供するコンピュータネットワークに接続している。データ受信処理は、NICカード上でホストされるFPGAデバイス上に配置されたファームウェアにより実行される。市場データメッセージは、ソフトウェアで実装され、1つ以上の汎用処理コアで実行される1つ以上のデータ正規化段階に渡される。データ正規化段階からの出力メッセージは、送信段階およびシグナル生成段階の両方に渡される。送信段階は、ソフトウェアで実装され、1つ以上の汎用処理コアで実行される。1つ以上のシグナル生成段階を、FPGAに実装することができる。代替的に(または追加的に)、1つ以上のシグナル生成段階を、GPUに実装することができる。シグナル生成段階からの出力メッセージは、送信段階に渡される。送信段階からの出力メッセージは、NICにより、正規化された市場データおよびシグナル配信ネットワークを介して、データ消費者に配信される。同じNICは、ティッカープラントのモニタリング、管理および制御のためのネットワーク接続性を提供することができる。
【0082】
図15の実施形態の利点は、その柔軟性およびスケーラビリティである。市場データ正規化の速度および容量を、データ正規化段階のそれぞれに、より多いまたはより少ない汎用処理コアを割り当てることにより、向上させまたは低下させることができる。シグナル生成段階を別個のFPGAまたはGPUカードに実装することにより、データ正規化性能に影響を与えることなく、シグナル生成段階の速度および容量を調整することができる。さらに、正規化された市場データのみの消費者は、シグナル生成からの相対的な性能への影響を経験することはない。参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書には、データがどのようにして、低遅延かつ高スループットで、1つの計算リソースから別の計算リソースにストリーミングすることができるのかの例が記載されている(米国特許第7954114号明細書も参照のこと。その開示全体が、参照により本明細書に援用される)。
【0083】
正規化された市場データおよびシグナルデータの消費者にとって、シグナルデータの遅延は、主に、FPGAまたはGPUにおける計算時間ならびにホストからデバイス(FPGA/GPU)およびデバイスからホストへのシステム相互接続を横切るメッセージ転送時間により決定される。一方向転送時間を、現在のサーバプラットフォームでは、数百ナノ秒になるように最適化することができるが、一部の取引アプリケーションにとっては、これは、その全体的なデータ遅延バジェットの相当の部分となる。
【0084】
図16に、シグナル生成のためのこれらのデータ転送遅延を排除する例示的な実施形態を示す。この実施形態では、データ正規化段階は、入力NIC上でホストされるFPGAに組み込まれる。さらに、特徴生成段階を、データ正規化段階に挿入することができる。これらは、上述したように、シグナル生成段階であることもできることに留意されたい。出力メッセージは、出力NIC上でホストされる第2のFPGAに直接に渡される。このメッセージは、送信段階とデータ集約段階との両方に配信される。データ集約段階に、特徴生成段階を挿入することができる。これは、上述したように、シグナル生成段階であることもできる。データ集約段階の出力メッセージは、送信段階および推定値生成段階に渡される。送信段階は、正規化された市場データ、集約データ、シグナルデータまたはそれらの任意の組み合わせを含むメッセージを消費アプリケーションに配信する能力を有する。この実施形態では、別個のNICが、モニタリング、管理および制御アクセスを提供するのに使用される。このトラフィックを、FPGAデバイスを含む出力NICにより取り扱うこともできることに留意されたい。
【0085】
この実施形態の利点は、FPGA上でホストされるファームウェアにおいて、データ正規化、データ集約およびシグナル生成動作の全てを実行することにより、データ遅延が短縮されることである。これにより、典型的には、より洗練されたファームウェア設計を作製するためのより高い開発コストと、より洗練されたファームウェア設計に十分なロジックゲート容量を提供するためにより多数のまたはより大きなFPGAデバイスが必要となり得ることによるより高い実装コストとがもたらされる。
【0086】
図17に、GPUに推定値生成段階を実装している例示的で代替的な実施形態を示す。これにより、推定実装の柔軟性が向上し、出力NIC内のFPGAの必要なロジックゲート容量が減少させることが可能となる。正規化されたデータメッセージの遅延は、図16における実施形態の遅延と同一である。シグナルデータの相対的な遅延は、別個のGPUへのおよび別個のGPUからのデータ転送遅延のために、より長くなる場合がある。これは、上述したコスト低減および柔軟性の獲得のために許容可能であると考えることができる。
【0087】
ティッカープラントが、正規化された市場データとシグナルデータとの両方を同じメッセージで配信する場合、市場データとシグナルデータとの同期表示は、大幅に簡略化される。図19に、ティッカープラントにより生成され、正規化された市場データとシグナルデータとの両方を含むメッセージを消費する取引アプリケーションパイプラインの例示的な実施形態を示す。このアプリケーションは、ネットワークインタフェースを介してメッセージを受信し、所望のメッセージフィールドを抽出するために、ティッカープラントにより使用されるメッセージフォーマットを解析する。一部のアプリケーションは、ティッカープラントからの更新に加入している金融商品の現在の状態のレコードを含むローカルキャッシュを維持する。この場合、メッセージフィールドは、キャッシュから取得されたレコードを更新するのに使用される。
【0088】
アプリケーションの取引ロジックは、各種の方法でメッセージを受信することができる。一実施形態では、コールバック関数が実行される。取引アプリケーションは、コールバック関数内のメッセージの受信時に実行されるアクションを指定する。これは、メッセージ内の正規化された市場データ、メッセージ内のシグナルデータまたはキャッシュレコード内の市場データもしくはシグナルデータからの1つ以上のフィールドの取得を含む。別の実施形態では、このアプリケーションは、受信バッファの占有を能動的にチェックし、占有が空でない場合、受信バッファのヘッドのメッセージを処理する。参照され援用された上記の米国特許第10037568号明細書には、取引ロジックが複数のタイプの計算リソースにわたってどのように分散され得るかが記載されている。
【0089】
取引ロジックにより生成された注文は、取引前リスクチェック段階に渡される。取引前リスク段階は、注文により生じるアクションが規約、口座証拠金、オープンポジション等により定義される各種のポリシーに違反しないことを保証する。参照され援用された上記の米国特許第8374986号明細書には、取引前リスクチェックロジックを実装することができるルールエンジンのための例示的なアーキテクチャが記載されている。注文ゲートウェイ段階は、取引場所における適切な受信機に注文を送信し、取引場所からのメッセージを取引アプリケーションに戻す。
【0090】
図21に、取引アプリケーションサーバがメッセージ解析およびキャッシュ更新動作から取引アプリケーションを抽象化するアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を含む例示的な実施形態を示す。これにより、新しい取引アプリケーションを開発するタスクが単純化される。また、新しいコンテンツを使用しない既存の取引アプリケーションに影響を及ぼすことなく、新しい市場データおよびフィールドならびに新しいシグナルおよびフィールドをメッセージに追加することが可能となる。
【0091】
図20に示されているように、取引アプリケーションが、別個のソースからの市場データを消費する場合、シグナル生成は、シグナルメッセージを配信するシグナルプラントにより実行される。この実施形態では、市場データフィードは、シグナルプラントと取引アプリケーションホストマシンとの両方に配信される。取引アプリケーションは、市場データ遅延を最小限に抑えるために、データ受信ステップおよびデータ正規化ステップをローカルに実行する。これは、図12に関連して上記されたように、市場データフィールドのサブセットから同期IDを計算することにより、市場データメッセージをシグナルメッセージに同期させる(図20におけるメッセージ同期ロジックを参照のこと)。その取引戦略と正規化された市場データメッセージに対するシグナルメッセージの相対的な遅延とに応じて、取引アプリケーションは、その同期化されたシグナルメッセージを決定することなく(逆もまた同様である)、一部の市場データメッセージに作用することを選択することができる。
【0092】
図22Aに、別個のティッカープラントおよびシグナルプラントデバイスが使用される例示的な実施形態を示す。上述したように、この実施形態は、取引会社がティッカープラントを有する既存の取引インフラストラクチャにシグナルプラントを追加するのを望む場合に有用である。アプリケーションプログラミングインタフェース(API)は、データ受信メッセージ解析、メッセージ同期およびキャッシュ更新動作から、取引アプリケーションを抽象化する。これは、取引アプリケーションに、より迅速な開発および検査の同じ利益ならびに取引戦略に適用できない市場データおよびシグナルデータコンテンツに対する変更からの断絶を提供する。
【0093】
図22Bに、遅延を短縮し、データ受信メッセージ解析およびメッセージ同期動作の能力を向上させる例示的な実施形態を示す。NIC FPGA上に配置されたファームウェアは、ティッカープラントにより使用されるメッセージフォーマットを解析し、シグナルプラントにより使用されるメッセージフォーマットを解析し、正規化された市場データメッセージをシグナルメッセージに同期させ、同期されたメッセージをアプリケーションプログラミングインタフェース(API)に配信する。ブロードキャストまたはマルチキャストプロトコルが、正規化された市場データメッセージまたはシグナルデータメッセージを配信するために、ティッカープラントまたはシグナルプラントにより使用される場合には、NIC FPGA上に配置されたファームウェアは、フィルタリング機能を実行することもでき、これにより、所望のメッセージのみがAPIに配信される。APIは、ローカルキャッシュレコードを更新し、所望のメッセージフィールドを抽出し、これをアプリケーションに配信する。これらの機能をNIC FPGA上のファームウェアに実装することにより、取引アプリケーションは、同期化された市場データおよびシグナルデータをより高速に受信する。さらに、これにより、取引アプリケーションホストサーバ上で必要な計算リソースの消費が低減される。
【0094】
最も速い速度を必要とする市場参加者は、電子取引インフラストラクチャからデータ遅延に寄与する任意かつ全てのものを排除しようとする。ティッカープラントを経由し、正規化された市場データ配信ネットワーク全体にわたるデータ遅延は、一部の市場参加者、例えば、電子マーケットメーカーには大きすぎるものになっている。データ遅延へのこれらの寄与を排除するために、市場データフィードは、取引アプリケーションをホストするマシンに直接に配信される。市場データ処理は、同じホストマシン上に実装され、注文処理は、売買のための注文を取引場所に戻すように実装される。ここでの議論の目的のため、これを統合取引プラットフォームと称する。
【0095】
図18に、取引シグナルおよび推定器生成器を含む統合取引プラットフォームの例示的な実施形態を示す。図16におけるティッカープラントの実施形態と同様に、データ受信、データ正規化、特徴生成、データ集約および推定値生成段階は、ファームウェアで実装され、NICによりホストされるFPGA上に配置される。追加の処理段階-高速経路取引ロジック段階、取引前リスクチェック段階および注文ゲートウェイ段階は、統合取引プラットフォームのデータパスを完了させる。このようなプラットフォームは、プラットフォームについての能力要件がティッカープラントよりはるかに低くなるように、単一の市場または商品のサブセットに焦点を当てる場合があることに留意されたい。これにより、市場データ処理段階およびシグナル生成段階をより低いスループットで実装し、このため、より少ないロジックゲートを消費することが可能となる。次に、これにより、取引ロジックおよび注文処理のための追加の段階を、同じFPGA内でホストすることが可能となる。
【0096】
高速パス取引ロジック段階は、取引アプリケーションにより指定されるように、注文を追加し、修正し、キャンセルするために、遅延が致命的となる動作のサブセットを実装する。取引決定の残り部分は、ソフトウェアに実装され、ホストマシンのGPP内の1つ以上のコア上でホストされる取引アプリケーションロジックにより実行される(例えば、参照され援用された上記の米国特許第10037568号明細書を参照のこと)。図18では、高速パスロジック段階について、取引アプリケーションは、ロジック条件のセットおよび得られた注文アクションを指定する。例えば、取引アプリケーションは、メッセージが市場における最良の売値の上昇を推定するシグナルを含む場合、保留中の売り注文の価格を1ティック増分だけ上昇させる変更を指定することができる。高速パス取引ロジックにより生成された注文は、取引前リスクチェック段階に渡され、通知が取引アプリケーションに渡される。上述したように、取引前リスクチェック段階は、注文により生じるアクションが規約、口座証拠金、オープンポジション等により定義される各種のポリシーに違反しないことを保証する。注文ゲートウェイ段階は、取引場所における適切な受信機に注文を送信し、取引場所からのメッセージを取引アプリケーションに戻す。
【0097】
予備注文検出(流動性ランプ)
上記にて検討したように、例示的な実施形態により生成することができる取引シグナルの例は、金融商品についての予備注文の存在を示す流動性インジケータである。このような流動性インジケータを「流動性ランプ」と称することができる。
【0098】
流動性、特に、流動性の大きなブロックを市場に引き付けるために、多くの取引所は、予備注文として公知の注文タイプを提供する。このような予備注文は、アイスバーグとしても公知である。予備注文により、トレーダーは、自身の注文をより小さな注文にスライスし、実行のためにいつどこにこの小さな注文を送るかを選択するという複雑さを考慮することなく、注文のトータルサイズを隠すことにより、大きな注文の(価格に対する)市場への影響を最小限に抑えることが可能となる。予備注文は、注文が注文帳簿上で休止している間に公開するサイズ(株式数)を指定する。公開サイズが満たされると、予備注文の次のチャンクが公開され、予備注文のフルサイズが満たされる(または注文の残り部分がキャンセルされる)まで、このプロセス自体繰り返される。各チャンクのサイズは、固定であることができ、または(例えば、各公開チャンクのサイズをランダム化することにより)予備注文の存在をさらに偽装するために可変的にサイズ決定することができる。
【0099】
市場において所定の価格で休止している予備注文の存在を検出することは、対象の金融商品についての市場における隠れた流動性の存在を示すため、各種の市場参加者にとって価値のある情報となる場合がある。例えば、予備注文の検出が、市場参加者に、予備注文についての価格に対して実行する注文のサイズを大きくすることを促進する場合がある。これにより、大きな取引が、取引価格に関してより迅速かつより確実に完了されることが可能となる(すなわち、価格「スリップ」のリスクが低減される)。ただし、予備注文の存在を検出する能力は、取引所における注文アクティビティの速度および量ならびに取引所による予備注文の意図的な隠蔽を考慮すると、技術的に困難である。この技術的困難は、トレーダーに予備注文についての知識を利用可能とするのに十分に低遅延でこのような予備注文の存在を検出することが望ましいという要因がある場合に、さらに増幅される。
【0100】
この課題に対するソリューションの一部として、シグナル生成段階が、計算リソース、例えば、再構成可能なロジックデバイス(例えば、FPGA)、GPU、マルチコアGPP、および/またはCMP上に並列化処理ロジックを配置することができる。この場合、このような並列化処理ロジックは、予備注文の存在を示す金融市場データメッセージを伴う条件を検出するように構成されている。例えば、幾つかの金融市場において、注文実行を観察し、続いて同じネットワークパケット内で同じ価格での注文追加を観察することにより、予備注文の存在を推論することにより検出することが可能である。
【0101】
図23Aに、予備注文を検出するために、シグナル生成段階2300に実装することができる並列化処理ロジック2302の例を示す。この例では、シグナル生成段階2300が、データ正規化段階2304と協働する。この場合、データ正規化段階は、キャッシュレコードを更新し、正規化された出力メッセージを生成する。データ正規化段階は、市場データフィードから受信された受信パケットを個々のメッセージに分解し、これらのメッセージをフィールドに分解し、フィールド値を標準データ型に変換することができる(例えば、参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書を参照のこと)。ついで、各メッセージについてのこれらの正規化されたフィールド値を、正規化されたメッセージバッファ2306内の標準位置にコピーすることができる(例えば、図23Aにおけるパケットメッセージ1~3を参照のこと)。
【0102】
ついで、並列化処理ロジック2302は、ストリーミング金融市場データから導出された特徴(例えば、バッファ2306からのフィールド値バッファメッセージデータ)に対して幾つかの条件を検査して、予備注文が存在するという結論を引き出すべきか否かを判定することができる。このロジック2302は、(1)メッセージのうちの2つが同じ単一のネットワークパケットからのものであるか否かを検査するロジックと、(2)これら2つのメッセージが(i)価格Pでのシンボルの実行(取引履行)による注文削除、続いて(ii)同じ価格Pでの同じシンボルについての注文追加を表すか否かを検査するロジックとを含むことができる。これらのロジック検査の出力は、ストリーミング金融市場データから導出される特徴としても機能する。これらの条件が検出されると、シグナル生成段階2300は、対象シンボルについての予備注文が市場において価格Pで休止していることを示す取引シグナルを生成することができる。これらの条件についての個々の検査の出力を、全ての条件が満たされたときに、予備注文の存在が検出され得るように、ANDロジック2330を介して結合させることができる。ついで、この取引シグナルの状態を、データ正規化段階から出力される正規化された市場データメッセージに追加することができる(バッファ2306内のメッセージについては、フィールド2320を参照のこと)。
【0103】
図23Bに、予備注文を検出するために、シグナル生成段階2300に実装することができる並列化処理ロジック2352の別の例を示す。この例では、シグナル生成段階2300が、データ正規化段階2304と協働して、(余分な遅延を誘引する)「記憶および転送」処理を必要としない方法で動作する。図23Bの例では、予備注文の検出およびフラグ立てを、「カットスルー」方法で実行することができ、これにより、シグナル生成段階2300は、すでに処理され、転送された予備注文候補のフィールド値を記憶する。上述したように、データ正規化段階2304は、市場データフィードから受信された受信パケットを個々のメッセージに分解し、これらのメッセージをフィールドに分解し、フィールド値を標準データ型に変換することができる。ついで、各メッセージについてのこれらの正規化されたフィールド値を使用して、参照され援用された上記の米国特許第7921046号明細書に記載されているように、キャッシュレコードメモリから取得されたキャッシュレコードを更新することができる。正規化されたフィールド値を、予備注文を検出するために、並列化処理ロジック2352を含むシグナル生成段階に渡すこともできる。
【0104】
並列化処理ロジック2352は、まず、メッセージタイプについての正規化されたフィールド値が注文履行条件を含むか否かをチェックすることにより、現在のメッセージが予備注文を検出するための新しい候補を表すか否かを判定する。そうであれば、並列化処理ロジック2352は、選択されたフィールド値を予備注文候補レジスタまたはバッファ2354に記憶する。レジスタ/バッファ2354は、予備注文候補として適格である注文アクティビティを表すメッセージデータを追跡する一時的な状態データの記録に用いられる。ついで、並列に、ロジック2352は、予備注文候補レジスタ/バッファ2354の現在の内容からのメッセージデータに対して幾つかの条件を検査して、予備注文が存在するという結論を引き出すべきか否かを判定することができる。このロジック2352は、(1)メッセージのうちの2つが同じ単一のネットワークパケットからのものであるか否かを検査するロジックと、(2)これら2つのメッセージが(i)価格Pでのシンボルの実行(取引履行)による注文削除、続いて(ii)同じ価格Pでの同じシンボルについての注文追加を表すか否かを検査するロジックとを含むことができる。これらの条件が検出されると、シグナル生成段階2300は、対象シンボルについての予備注文が市場において価格Pで休止していることを示す取引シグナルを生成することができる。これらの条件についての個々の検査の出力を、全ての条件が満たされたときに、予備注文の存在が検出され得るように、ANDロジック2356を介して結合させることができる。ついで、この取引シグナルの状態を、データ正規化段階2304に提供し、データ正規化段階から出力される正規化された市場データメッセージに追加することができる。また、この取引シグナルの状態を、注文IDに関連付けられたキャッシュレコードに記憶させることもできる。追加の要約されたキャッシュレコード、例えば、価格Pでの集約量のレコードは、取引シグナルの状態を記憶することができることに留意されたい。
【0105】
説明を容易にするために、図23Bに、(以前に受信された予備注文候補としての)パケット736189101内のメッセージ1および現在のメッセージとしてのパケット736189101内のメッセージ3のみについての並列化処理ロジック2352を示す。ただし、この並列化処理ロジック2352を、さらなる予備注文候補および現在のメッセージから構成されるメッセージの他のペアのために複製することができると理解されたい。これにより、各メッセージを、以前に受信された複数の予備注文候補に対して可能な予備注文の検出のために同時に検査することが可能となる。
【0106】
図23Cに、メッセージデータに対して幾つかの条件を検査して、予備注文が存在するという結論を引き出すべきか否かを判定する並列化処理ロジック2362を含む、シグナル生成段階2300の別の例示的な実施形態を示す。図23Cの例は、実行される予備注文の公開部分を表す先行注文実行メッセージとは別個のパケットに含まれ得る予備注文の次の公開部分を表す注文追加メッセージを生じさせ得る条件が考慮されるように、予備注文の存在を検出すべく、ロジック2362を拡張する。この条件は、市場データフィードを生成する取引インフラストラクチャ内の輻輳および予備注文の存在を不明瞭にするための取引所による意図的なアクションを含む、複数の理由により生じる場合がある。
【0107】
図23Cの例では、並列化処理ロジック2362は、現在のメッセージに関連する市場に基づいて、パラメータ値のルックアップを実行するように拡張される。予備注文のためのアクティビティの可能な継続についての候補として、どのパケットがシーケンスおよび/または時間において互いに十分に近いと見なされるかを管理するパラメータを設定することができる。例えば、パケットシーケンス番号および/またはパケットタイムスタンプの差異を、所定のパケットが予備注文のための追加のアクティビティを表すメッセージを含む可能性がある「近く」のパケットとして適格であるか否かを判定するのに使用することができる。これらのパラメータは、図23Cのパラメータテーブル2364により示されているように、交換固有であることができる。この例では、テーブル2364は、潜在的な予備注文状態について評価されるメッセージを含むパケットについて、パケットシーケンス番号の最大差を境界とする第1のパラメータを定義する。また、テーブル2364は、潜在的な予備注文状態について評価されるメッセージを含むパケットに関連するタイムスタンプの最大差を境界とする第2のパラメータを定義する。このようにして、ロジック2362は、テーブル2364からのパラメータ値を適用可能な取引所に使用して、所定のメッセージが以前の予備注文候補メッセージを含んだパケットに十分「近く」のパケットの一部であるか否かを判定することができる。
【0108】
図23Cの例では、予備注文候補(すなわち、注文実行メッセージ)および現在の注文追加メッセージが示されている。この場合、両方とも、同じNASD市場からのものである。NASD市場についてのテーブル2364におけるパラメータは、「近くのパケット」ロジック検査についての境界を指定する。この例では、2つのメッセージについてのパケットシーケンス番号の差は、2(736189101と736189103の差)であり、これは、NASD取引所についてのルックアップテーブル2364における最大シーケンス距離値(最大値が3である)より小さい。また、2つのメッセージについてのタイムスタンプの差は、62(24389841と24389903との差)であり、これは、NASD取引所についてのルックアップテーブル2364における最大時間距離値(最大値が70である)より小さい。したがって、検討中のメッセージについて、近くのパケットロジック検査が満たされる。ロジック2362により示された予備注文検出のための残りのロジック検査は、図23Bに関連して上記にて検討したように動作する。
【0109】
説明を容易にするために、図23Aから図23Cは、2つのメッセージのみの間として、予備注文状態のみを評価するための並列化処理ロジック2302/2352/2362を示す。ただし、並列化処理ロジック2302/2352/2362は、ストリーミングデータ内の他のメッセージペア(例えば、ペア(パケットメッセージ1、パケットメッセージ2)およびペア(パケットメッセージ2、パケットメッセージ3)等)に対して、図23Aを参照して複製することができると理解されたい。これにより、正規化されたストリームからの各メッセージを、遷座的な予備注文の検出のために同時に検査することが可能となる。
【0110】
また、図23Aから図23Cに、計算された流動性インジケータが、データ正規化段階にフィードバックされて、出て行く正規化メッセージを増強することを示しているが、これは、必要でない場合があることと理解されたい。例えば、シグナル生成段階2300は、図1から図3および図5等の実施形態により示されているように、それ自体の流動性インジケータ取引シグナルを出力として生成することができる。
【0111】
流動性インジケータ取引シグナルは、予備注文が帳簿のトップで休止しているとき、予備注文を識別可能である。識別されると、個々の注文を、システムまたはアプライアンスキャッシュに予備注文としてタグ付けし、そのライフサイクルを通じて追跡することができる。これは、予備注文が完全に実行される前に、市場価格が予備注文価格から離れるにつれて、予備注文が、注文帳簿の複数のレベルで追跡され得ることを意味する。また、この予備注文指示を、注文帳簿、例えば価格集約された帳簿および最上位のBest Bid and Offer(BBO)相場の他の要約ビューにおいても提供することができる。
【0112】
流動性インジケータ取引シグナルについての価値は、流動性インジケータ取引シグナルの流動性探索取引戦略が予備注文を検出する際に有効であるだけでなく、予備注文の実行が主要な米国株式における取引アクティビティのかなりの割合を占めることに関して、特に強力であろうと考えられる。
【0113】
これを判定するために、複数日の正規化された取引データをバックテストして、その取引データについての流動性インジケータを計算した。この分析は、S&P500インデックスを構成する証券に焦点を当てた。S&P500インデックスの各証券について、「流動性インジケータ取引シグナルにより検出された予備注文の一部として、1日当たりの出来高の何%が実行されたか」と質問した。その結果は、図24に反映されている。平均的には、90社が、1日当たりの出来高の10%以上が流動性インジケータ取引シグナルにより検出された予備注文として実行されている。例えば、図24のヒストグラムに、52社が、対象期間の1日当たりの出来高の7.5%~10.0%を予備注文が占めていたことを示す。さらに、流動性インジケータ取引シグナルの妥当性を支持するように、流動性インジケータ取引シグナルにより検出された予備注文として、その出来高の10%以上が実行されている少なくとも1日を有するS&P500からの209の固有の取引銘柄が観察された。
【0114】
このように、図24に、予備注文が所定の証券についての実行された注文タイプのかなりの割合を占める場合があることを示す。次に、注文帳簿のトップで休止している予備注文を識別することが実行アクティビティの集中を開始するか否かを質問した。この現象を定量化するために、新たな測定基準-集合比を定義する。これは、流動性インジケータ取引シグナルが「点灯」している(例えば、検出された予備注文が帳簿のトップで休止している)取引セッション時間の割合と比較した、流動性インジケータ取引シグナルにより検出された予備注文により実行される1日当たりの出来高の割合である。例えば、1日当たりの出来高の10%が予備注文により実行され、流動性インジケータ取引シグナルが取引セッション時間の1%の間「点灯」している場合には、集中比は10:1である。
【0115】
調査期間中のS&P500証券にわたる集約において、流動性インジケータ取引シグナルは、取引セッション時間の1.78%の間、帳簿のトップで休止している予備注文を検出し、一方、1日当たりの出来高の11.39%または6:1の比を占めた。さらに、Bats EDGA取引所の場合、集中比が23:1にまでなり得ることに注目した。集中比による取引所のランキングについては、図27の第1の表を参照のこと。これは、予備注文が取引アクティビティの集中の中心を形成し、このため、流動性インジケータ取引シグナルが、実行のバーストが発生するであろう有効なシグナルであるという本発明者らの主張を支持する。
【0116】
集中比データを調べたところ、実行アクティビティのバーストは、全米市場システム(NMS)を構成する取引所全体にわたって、出来高が均等に分布しなかったことに注目した。具体的には、5つの取引所が、流動性インジケータ取引シグナルにより検出された全ての予備注文実行の90%超を占めた。以下の図25に示されるように、全ての予備注文実行の56%以上が、NYSEおよびNasdaqという2つの最大の上場市場で行われた。具体的には、Nasdaq市場の総出来高のほぼ3分の1が、流動性インジケータ取引シグナルにより検出された予備注文タイプであった。
【0117】
予備注文実行の分布における重大な不均衡は、シンボルごと、市場ごとに生成され、配信される流動性インジケータ取引シグナルの価値を強調する。流動性探索アプリケーション、例えば、Smart Order Router(SOR)は、他の市場についての標準的なスライスロジックおよびルーティングロジックを保持しながら、特定の市場における隠れた流動性プールと積極的に対話するために、流動性インジケータ取引シグナルのシンボルごと、市場ごとの精度を活用することができる。
【0118】
同様に、NMS取引所の予備注文「市場シェア」、例えば、取引所にわたる全ての予備注文実行の分布を調査した。図26に示されているように、NYSEは、対象期間の予備注文出来高の最も高いシェア(約3分の1)を有した。Bats Z取引所およびEDGX取引所は、対象期間中の市場シェアの次の3分の1を占めた。予備注文と対話するような取引ロジックを設計する場合、流動性インジケータ取引シグナルから導き出すことができる知識は、予備注文がどこにルーティングされるのか(どこに予備注文がルーティングされないのか)を理解するのに役立つ。
【0119】
図27に、図25から図27に適用可能な期間の経過にわたって検出された予備注文に関連する種々の基準で取引所をランク付けした表のセットを示す。4つの表のうちの3つの取引所ランキングは、アルファベット順に、ARCA、BZX、EDGX、NASDAQおよびNYSEという同じ上位5つの構成要素を有することが分かる。これらの上位5つの取引所は、(1)絶対値ベースで検出された全ての予備注文実行の94%を占め、(2)検出された予備注文の最大の集中を有し(例えば、Bats Zの出来高の18.02%が検出された予備注文であり)、(3)取引セッション中に検出された予備注文により帳簿のトップで費やされた時間の最大の割合を占める。これは、予備注文と対話しようとする取引アルゴリズムがこれらの5つの取引所を標的にしようとしている場合があるという結論につながる。
【0120】
したがって、集中比により、予備注文の検出付近の取引のクラスタリングが定量化されることを理解されたい。集中比が大きいほど、予備注文が帳簿のトップで休止していることを流動性インジケータ取引シグナルが示すときに生じる実行アクティビティの相関が強くなる。図27を参照すると、集中比は、流動性インジケータ取引シグナルがEDGA取引所で「点灯」している場合、予備注文の割合がNASDAQより高くなる確率が高いことを示唆している。NASDAQでは絶対量が多くなる場合があるが、EDGAは、流動性インジケータ取引シグナルが「点灯」している場合、より良好な充足率を提供する場合がある。
【0121】
さらに、ユーザが流動性インジケータ取引シグナルを活用するために取引ロジックを設計することを検討する際に、「どのくらいの長さで応答しなければならないか?」と尋ねることは自然である。この点に関して、本明細書に開示された実施形態は、実質的に遅延の影響を伴わずに、流動性インジケータ取引シグナルを生成し、これを正規化された市場データと同期して配信することが可能である。流動性インジケータ取引シグナルが、マイクロ秒単位で応答するための取引ロジックを必要とする短い期間を示す場合、流動性インジケータ取引シグナルの価値は、高頻度および/または高速取引ユースケースの小さなサブセットに限定される可能性がある。一方、驚くべきことに、所定の流動性インジケータ取引シグナルが「ハイ」のままである期間の中央値が14.8秒であったことが見出された。「ファーストムーバーアドバンテージ」が適用される可能性があるが、この期間は、流動性インジケータ取引シグナルを活用することができる各種のエージェンシー実行およびsmart order routing(SOR)アプリケーションのための扉を開く。
【0122】
また、流動性インジケータ取引シグナルにより検出された予備注文は、市場における大規模で自然なトレーダーの効果的なシグナルとなり得ることも見出された。
【0123】
流動性インジケータ取引シグナルを有利に使用することができる方法のためのユースケースの例は、下記のものを含む。
・例示的なユースケース1:Smart Order Router(SOR)アプリケーションは、隠れ流動性インジケータを使用して、流動性インジケータ取引シグナルを介した予備注文の検出に基づいて注文を選択的にルーティングすることにより、充足率および実行品質を改善することができる。したがって、流動性インジケータ取引シグナルにより、好ましい場所で注文のより大きなスライスを実行する機会を識別することにより、より積極的なスライシングおよびルーティング戦略が可能となる。アルゴリズムの積極性を、隠れた注文実行測定基準を使用して動的に調整することができ、例えば、価格で実行される隠れた量が平均予備注文サイズに近づくにつれて、注文をより細かくスライスすることができる。
・例示的なユースケース2:価格帳の複数のレベルを標的とする流動性探索アルゴリズムは、複数の価格レベルに存在する隠れた流動性の検出および隠れた流動性についてのより大きな可視性に基づいて動作する場合、より低いリスクでより積極的に動作することができる。これは、全出来高が実行される前に、市場が予備注文から離れるように動く時の隠れた流動性の可視性および追跡を含む。
・例示的なユースケース3:トレーダーは、自然人の投資家の関心を評価するための代理としておよび価格方向性およびモメンタムの主な指標として、予備注文の存在および実行を使用することができる。
【0124】
さらに、流動性インジケータ取引シグナルを、注文帳簿のビッド側とアスク側との両方について計算することができ、その場合、シグナル生成段階2300は、ビッド流動性インジケータおよびアスク流動性インジケータを生成することができると理解されたい。さらに、シグナル生成段階2300を、予備注文の存在を示すだけでなく、検出された予備注文のさらなる態様、例えば、予備注文について検出された量、予備注文について検出された充足等も定量化する、より完全なセットの流動性インジケータデータを生成するように構成することができる。これらの追加データ値を、メッセージのデータフィールド(例えば、サイズフィールド等)の種々のフィールドから集約を介して計算することができる。図28Aおよび図28Bは、市場データフィードにおける予備注文の検出に基づいて生成することができる取引シグナルの例示的なリストを提供する。
【0125】
流動性インジケータデータセットを、クライアントAPI等のインタフェースを介して、付加価値を付きの正規化されたデータフィールドとして配信することができる。予備注文を検出すると、シグナル生成段階は、ブール値を真に設定することができる(例えば、「流動性ランプを点灯させる」)。このブール値は、次の条件、すなわち(1)相場価格のいずれかが不十分に変化する(より低いビッドまたはより高いアスク)ときに、検出された予備注文が(帳簿のトップで)使い尽くされること、または(2)予備注文サイズが完全に実行されること、のうちの1つが流動性インジケータ取引シグナルを偽にするまで真のままであることができる。
【0126】
予備注文が検出されると、流動性インジケータ取引シグナルは、例えば、10.09ドルのビッドでのアイスバーグ注文を検出した後に、より高いビットが続いて到着し、当該アイスバーグ注文を2番目の価格帳簿レベルに押し上げる、というように、価格帳簿レベルで注文を追跡する。流動性インジケータ取引シグナルは、注文がキャンセルされるかまたは注文が実行可能な帳簿のトップに戻るかのいずれかまで、アイスバーグを無期限に追跡する。このようにして、流動性インジケータ取引シグナルは、帳簿の両側で複数のレベルで真であることができかつ真であろう。これにより、市場参加者が、隠れた流動性の複数の層を標的にすることが可能となる。さらに、図28Aおよび図28Bに、検出された予備注文の態様をさらに定量化する追加のコンテキストデータの例を示す。これらのフィールドを、クライアントAPI等を介して出力として渡すことができる。
【0127】
隠れた流動性サイズ推定値(サーチライト)
上記にて検討したように、本明細書に開示された実施形態により生成することができる推定器取引シグナルの例は、検出された予備注文のサイズを示す推定値である。この推定値を、隠れた流動性サイズ推定値と称することができる。このため、上記にて検討した流動性インジケータ取引シグナルの目的が、実行アクティビティの集中を開始する市場状態をシグナルで伝えることである場合には、隠れた流動性サイズ推定取引シグナルは、顧客が高効率かつ低リスクで流動性インジケータ取引シグナルに応答することが可能となる有用なコンパニオンシグナルとして機能することができる。
【0128】
図29Aに、上記にて検討したように、検出された予備注文のサイズの推定値を計算するための例示的な処理ロジックを示す。AIおよびML技術を、特定のサイズを有する検出された予備注文の確率を推定するモデルを開発するために、図29Bに示されているような教師あり学習等のこのような推定値を計算するのに使用することができる。
【0129】
モデルを開発する第1のステップは、目標変数-検出された予備注文の想定値と相関し、これを予測する可能性が高い特徴の大きなセットを構築することである。この場合、想定値は、予備注文に包含される株式の推定数に対象価格を乗じたものを表す。これらの特徴の開発は、金融市場および取引メカニズムの知識に基づくことができる。例えば、隠れた流動性サイズ推定値を計算するのに使用される特徴は、金融商品についての予備注文の累積出来高または注文データについての市場および/または金融商品についての現在検出されている予備注文の一部として実行される注文の出来高を表すことができる。この点に関して、例示的な特徴は、
・予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の2分間のウィンドウにわたる移動平均
・予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の120分間のウィンドウにわたる移動平均
・予備注文が検出されてから実行された予備注文株式の出来高の5日間のウィンドウにわたる移動平均
・同じ価格での予備注文を有する取引所のカウント
を含む。
【0130】
図29に示されている特徴生成ロジック2902を、メッセージデータフィールドからこれらの特徴を計算しかつ/または抽出するように構成することができる。
【0131】
予備注文サイズを予測するこの例では、モデルが予備注文の想定値を正しく予測するか否かにより精度が評価される。特定の想定値を予測することを試みるのではなく、この例では、可能な想定値の範囲を指定された部分範囲に分割する。各部分範囲にわたる精度を評価した後、パーティションの両側の部分範囲についての精度の合計がほぼ均衡するように、2つの部分範囲間で、パーティションポイントが選択される。これにより、このモデルは、検出された予備注文がパーティションに関連付けられた値より想定値が大きいかまたは小さいかを予測するバイナリ推定を行うことが可能となる。
【0132】
隠れた流動性サイズ推定取引シグナルの例示的な実施形態は、シンボルの大部分について、流動性インジケータ取引シグナルが利用可能な場所にわたって、厳密な分散(例えば、約2%の標準偏差)で、高精度(例えば、時間の約75~80%の流動性プールサイズの正確な予測)をもたらす。
【0133】
本発明者らの研究から、予備注文は、株式出来高により測定されるような巨大な取引により支配されず、むしろ、100~500株の範囲の出来高を有する取引に一般に使用されることが示された。図30に、各注文サイズにおける予備注文の頻度を示す。
【0134】
このように図30に示されているように、大規模な流動性プールに従事する機会を顧客に区別させ、警告する目的は、任意の「大量」の目標変数によっては十分に果たされないであろう。例えば、5ドルの株価の1000株の予測は、100ドルの株価とは著しく異なる。このため、本発明者らは、株式の絶対量よりも、予備注文の想定値を使用することが、利用可能な流動性プールのサイズを決定することとより一致するであろうと結論付けた。クライアントAPIを介して隠れた流動性サイズ推定取引シグナルを公開する場合、隠れた流動性サイズ推定値として、推定された想定値、推定株式数またはその両方を表すデータ値を提供する能力を有する。
【0135】
図31に、想定値間隔で実行される予備注文の頻度を示す。全ての予備注文のうちの81%が、25000ドルを下回る想定値を有することが観察される。また、50000ドルを超える想定値間隔の予備注文の頻度も劇的に低下していることが分かる。目標変数を、希少な「大規模」流動性プールと「小規模~中規模」(SMID)流動性プールとを区別するように訓練することができる。これは、過去に観察された予備注文値に従って、想定値の範囲を上位3分の1と下位3分の2とに分割する。
【0136】
想定値の範囲を上位3分の1と下位3分の2とに分割することにより、上記にて検討した機械学習技術により駆動されるバイナリ予測モデルの開発が可能となる。このアプローチにより、隠れた流動性サイズ推定シグナルが、一貫して高い精度の結果を達成することが可能となる。図32は、上記にて検討した隠れた流動性サイズ推定取引シグナルについての例示的な実施形態の精度のスコアリングを、全体、大規模(想定値の上位3分の1)およびSMID(想定値の下位3分の2)により分解する。この場合、S&P500およびRussell2000について約1か月にわたる取引アクティビティのサンプルセットから、隠れた流動性サイズ推定値を計算した。
【0137】
これらの結果に基づき、次のことが観察された。
・一貫して高い精度:隠れた流動性サイズ推定取引シグナルが大規模流動性プールとSMID流動性プールとの両方について高い精度で予測する能力により、アルファ探索取引戦略が多様な市場条件で動作することが可能となる。
・ボラティリティが高い市場における低ボラティリティ:隠れた流動性サイズ推定器を、市場のボラティリティが低い日と高い日とで検査し、厳密な精度範囲で高度な予測を維持することが証明された。4.2%のモデル全体の範囲は、80%~75.8%のピーク・ツー・トラフ精度を有していた。この一貫性は、大規模流動性プールとSMID流動性プールとの両方の予測において観察された。
・高機会かつ低リスク:隠れた流動性サイズ推定器は、標準偏差がわずか1.9%であるという厳しさが示すように、市場におけるボラティリティにより季節性を被ることがない。これにより、隠れた流動性プールを標的にする場合に、アルファ探索取引戦略が保守的すぎるかまたは積極的すぎるかのリスクを最小限に抑えることを可能となる。
【0138】
さらに、隠れた流動性サイズ推定取引シグナルは、典型的な日を通して発生する種々の取引条件下で適切に一貫したままであることに留意されたい。図33は、典型的な取引日を通した30分間隔での隠れた流動性サイズ推定器の精度をプロットする。また、図33は、大規模流動性プールとSMID流動性プールとを独立して予測する精度をプロットする。これらのプロットは、各30分間隔での流動性イベント(大規模およびSMIDの両方)のヒストグラム上に挿入される。これは、隠れた流動性サイズ推定器の精度がオークションの開始、正午のアナウンスおよびオークションの終了を通じて一貫したままであることを示す。これにより、利用可能な流動性プールと対話するために、隠れた流動性サイズ推定取引シグナルを活用する取引戦略を設計する複雑さを低減することが期待される。
【0139】
相場価格期間推定(相場ヒューズ)
本明細書に開示された実施形態により生成することができる推定器取引シグナルの別の例は、現在のNBBO価格がシンボルについていつ変化するかを予測する推定値である。これを、相場価格期間または安定性の推定値と称することができる。第1の実施形態では、価格期間を、その価格レベルをサポートする注文の変化にかかわらず、新しい最良価格の投稿からその価格への変化までの経過時間と定義することができる。NBBOの場合、価格期間は、最良価格の属性(すなわち、その最良価格を設定することに寄与する取引所)の変化とも無関係である。相場価格期間推定取引シグナルを相場ヒューズシグナルと称することができ、相場ヒューズシグナルは、相場が投稿された時間に対して、相場(例えば、米国証券についてのNMSにおける最良価格)が定義された閾値T(例えば、2ミリ秒、50ミリ秒、他の値等)より速く(例えば、「ショートヒューズ」)または遅く(例えば、「ロングヒューズ」)変化するか否かを予測することができる。この価格期間推定値を、教師あり機械学習技術により駆動される予測モデルを使用して、リアルタイムで計算することができ、上記にて検討したように、正規化された市場データと同期して配信することができる。
【0140】
価格期間推定値を計算するのに使用されるモデルを、異なる特徴および重みを有するにもかかわらず、隠れた流動性サイズ推定器に関して図29Aから図29Bについて上記にて検討したのと同様に計算することができる。上記にて検討した図13に、この点に関する処理ロジックの例を示し、相場価格期間推定値に使用される特徴は、現在の相場価格期間についてのタイミングデータおよび相場に対する注文アクティビティについてのサイズデータを表す特徴であることができる。この点に関して、価格期間推定値のための特徴の例示的なセットは、
・以前の買値変更からの時間
・以前の売値変更からの時間
・現在のビッドサイズと現在の買値に対して投稿された最大ビッドサイズとの間の差
・現在のオファーサイズと現在の売値に対して投稿された最大オファーサイズとの間の差
・現在の買値期間中に発生した最新の売値変更からの経過時間の対数
・現在の売値期間中に発生した最新の買値変更からの経過時間の対数
を含むことができる。
【0141】
隠れた流動性サイズ推定器について上記にて検討したように、価格期間推定のための教師あり機械学習モデルは、ロジスティック回帰、データが各相場について測定された価格期間でラベル付けされた各種の市場条件についてサンプリングされた訓練データ、モデルについての重みを開発し、適切に節約的なモデル(例えば、最適に近い予測力をもたらし、モデルの過剰適合を回避する最も少ない数の特徴)を達成するための正則化(例えば、L1およびL2正則化)を使用することができる。さらに、このモデルを、相場についての既知の価格期間でラベル付けされた追加の訓練データに基づいて再訓練して、経時的にモデルの性能精度を改善することができる。
【0142】
相場ヒューズシグナルの例示的な実施形態は、確率ペア-ショートヒューズ買値の確率およびショートヒューズ売値の確率を配信することができる。相場ヒューズシグナルの他の例示的な実施形態は、ロングヒューズ買値の確率およびロングヒューズ売値の確率を配信することができると理解されたい。さらに他の組み合わせも可能である。ロングヒューズ相場の確率は、単にショートヒューズ相場の補数、すなわち、1からショートヒューズ確率を引いたものである。
【0143】
ここで、シグナル精度と「機会獲得」(リコールとしても公知)との間の関係を検討する。シグナル精度は、正しい予測の割合である。一方、機会獲得は、ショートヒューズまたはロングヒューズとして正しく予測される市場における価格期間の割合である(以下で検討される図42も参照のこと。この場合、精度と機会獲得との間の関係に対する相場ベクトルシグナルに関連して以下に記載される原理も、相場ヒューズシグナルに関連する)。例えば、一連の40回の相場価格更新を考えると、そのうちの10回はショートヒューズであり、30回はロングヒューズである。10回のショートヒューズ相場のうち、相場ヒューズシグナルが、6回のショートヒューズ相場を予測すると仮定する。30回のロングヒューズ相場のうち、相場ヒューズシグナルが2回のショートヒューズ相場を予測すると仮定する。この例についてのショートヒューズ相場の精度および機会獲得はそれぞれ、80%(8回のうち6回)および60%(10回のうち6回)であろう。この例についてのロングヒューズ相場の精度および機会獲得はそれぞれ、87.5%(32回のうち28回)および93%(30回のうち28回)である。
【0144】
また、所定のユースケースについて、精度と機会獲得との間の最適なトレードオフを見出すために、アプリケーションが、予測閾値をどのように選択することができるかについても説明する。予測閾値は、ショートヒューズ相場価格を予測するのに使用される確率の下限とすることができる。例えば、ショートヒューズ価格の偽陽性予測に対する許容度が高いアプリケーションは、53%(この場合、予測の47%が偽陽性である)の精度を提供し、市場で発生するショートヒューズ価格の41%(1取引日に500000回を超える機会)を正確に識別することが可能となる閾値を選択することができる。逆に、ショートヒューズ価格の偽陽性予測に対する許容度が低いアプリケーションは、72%の精度を提供する予測閾値を選択することができる。ただし、これによっては、市場で発生するショートヒューズ価格の約9%(1取引日に160000回を超える機会)しか正確に識別することが可能とならない。
【0145】
図49に、相場メッセージが34.59ドルおよび34.63ドルのそれぞれの買値および売値を含む例示的な実施形態を示す。特徴生成段階および推定値生成段階により生成された相場ヒューズ確率により、それぞれ34%および62%の買値および売値に対するショートヒューズ確率が生成される。出力された正規化された相場メッセージ4902は、価格およびショートヒューズ推定値の両方を含み、このメッセージ4902は、2つの異なるユーザ(コンピュータシステム4904および4906)に配信される。ユーザ1は、60%のショートヒューズ確率閾値を選択する。ユーザ1の取引アプリケーションは、正規化された相場メッセージ4902内のショートヒューズ推定値を、その選択されたショートヒューズ確率閾値と比較する。比較の結果、指定された目標時間より早く変化するであろうショートヒューズ売値が予測される。このシグナルは、予測された売値変更の前に取引決定を行うために取引ロジックにより使用される。ユーザ2は、33%のショートヒューズ確率閾値を選択する。ユーザ2の取引アプリケーションは、正規化された相場メッセージ内のショートヒューズ推定値を、その選択されたショートヒューズ確率閾値と比較する。比較の結果、指定された目標時間より早く変化するであろうショートヒューズ買値およびショートヒューズ売値が予測される。これらのシグナルは、売値変更の前に取引決定を行うために取引ロジックにより使用される。
【0146】
ロングヒューズ精度および機会獲得は、予測閾値の選択に対する感度がはるかに低い。調査された予測閾値の全範囲について、精度は73%~82%の範囲であり、機会獲得は68%~99%の範囲(1取引日に3.4~4.5百万回の機会)である。安定した価格の信頼できる予測から活用可能なアプリケーションの場合、相場ヒューズシグナルは、前例のない精度と、1取引日当たり数百万回の機会をもたらし、利益をもたらす。
【0147】
本発明者らは、マーケットメーカー、実行アルゴリズム、smart order routerおよび注文管理システムへの最適化入力として機能する、相場ヒューズシグナルのための例示的な実施形態を設計した。NBBO価格の期間を評価する能力をより良好な取引結果のために活用することができる複数のシナリオ、すなわち
・マッチング-ダークプールおよび代替取引システム(ATS)におけるルートアウェイ要求および中間点価格設定の将来の動きのプロアクティブな視点で、マッチングエンジンの性能を最適化すること
・スイープ-NBBOの価格設定の安定性に基づいて、ダークな場所または点灯している場所のいずれかを選択することにより、市場への影響を最小限に抑える積極的な実行戦略を可能にすること
・投稿-不利な価格変動からパッシブ注文を保護し、利用可能な場合に価格改善の機会を獲得する任意の注文タイプを可能にすること
・ルーティング-価格を安定的または古いものとして差別化することにより、充足率を最大化すること
が想定される。
【0148】
さらに、相場ヒューズシグナルは、不安定なNMS価格を識別する他の公知の技術と類似性を共有するが、これらは、本明細書に記載された相場ヒューズシグナルの例示的な実施形態がその低い遅延/高スループットMLベースの設計のために不安定なNMS価格を識別するこのような従来の技術に対して提供する重要な差異および利点である。このような区別の注目すべき例は、
・相場ヒューズシグナルが、「崩壊」および「改善」価格変更の両方について同等の精度を提供できること
・相場ヒューズシグナルが、NBBO価格変更のサブセットのみについてブールシグナルを発火するのではなく、全てのNBBO価格変更について確率を提供できること
・相場ヒューズシグナルが、(単一の市場での特定の注文タイプを可能にするのではなく)ユーザアプリケーションに直接に利用可能にすることができること
・相場ヒューズシグナルを、所有権を主張できる(直接的な)取引所フィードまたは証券情報プロセッサ(SIP)フィードから生成することができ、これにより、ユーザが、取引所からの関連する市場データ料金を最小限に抑えることが可能となること(例えば、参照され援用された上記の特許に開示されているように、ハードウェア加速ロジックが、NMS内の各保護された市場についての直接的な市場データフィードから、相場データを合成することができる。この相場合成は、データ伝搬遅延を低減し、ハードウェア加速を介してNBBO計算を実行することにより、SIPフィードに対してNBBOのより高速なビューを提供することができる)
を含む。
【0149】
米国の主な株価指数であるS&P500およびRussell2000についてのNBBO価格期間の分析ならびに主要な上場投資信託(ETF)の選択から、価格期間が、一貫して二峰性分布を有することが見出された。図34Aに、特定の取引日における調査された証券のセットについてのNational Best Bid価格の分布を示す。この二峰性分布は、99.5ミリ秒の中央値を有する。一貫した二峰性分布に加えて、20ミリ秒付近での価格期間の一貫したクラスタにも注目した。このアーチファクトをより良く理解するために、National Best価格を設定することに起因する取引所に基づいて、データを分割した。取引所ごとの分布を、図34Bに示す。
【0150】
実務者は、「ヒューズ」の長さを定義する定義済み閾値Tを設定するための多くの選択肢を有する。例えば、相場ヒューズシグナルについての例示的な実施形態を、新しい相場価格が適用可能な二峰性分布の中央値より短い(ショートヒューズ)または長い(ロングヒューズ)価格期間を有するか否かを予測するように構成することができる。このような実施形態は、50%の固定予測閾値を有するバイナリモデルを利用することができる。価格変更のインスタンスにおいて、価格期間が中央値よりも短くなる50%より確率が大きかった場合には、モデルはショートヒューズを予測する。このようなモデルは、ショートヒューズまたはロングヒューズのいずれかで、時間の66%において、相場の価格期間を正しく予測することが見出された。検査期間にわたって、精度は65.5%~66.7%の範囲であり、標準偏差はわずか0.4%であった。このレベルの精度は、訓練データセットと標的データセットとの間の時間が長くなるにつれて安定したままであった。ショートヒューズシグナルは価格変更の45.4%で発火し、ショートヒューズ相場インスタンスの30.64%の機会獲得をもたらした。
【0151】
ただし、一部のユーザは、シンボル、市場および時間にわたる価格期間の中央値より一貫性を示す相場ヒューズシグナルを望む場合がある。これを容易にするために、これらの要因間における価格期間の中央値の変動範囲を定量化した。この問題に対するソリューションを探索した後、相場ヒューズシグナルの別の例示的な実施形態について、ショートヒューズ価格期間とロングヒューズ価格期間との間の境界として固定された時点を選択した。これにより、シグナルの意味の変動性が取り除かれ、ユーザがアプリケーションおよび取引インフラストラクチャをより容易に設計し、それを利用することが可能となる。データ伝搬遅延には概ね一貫性があり、このため、固定境界アプローチにより、相場ヒューズシグナルに応答する時間の一貫したウィンドウを有するアプリケーションが提供される。
【0152】
ついで、相場ヒューズシグナルの有用性を最大化するために境界点を選択した。まず、NMSを構成する米国証券取引所をホストするデータセンタ間のデータ伝播遅延を考察した。ネットワーキング技術に応じて、データセンタ間の伝搬遅延は、100~500マイクロ秒の範囲である。ラウンドトリップ時間(RTT)は、少なくともその2倍である。ほとんどの「高速」アルゴリズム取引アプリケーションが1ミリ秒未満で新しい価格に応答すると仮定すると、短い価格期間と長い価格期間との間の境界は、2ミリ秒以下に設定されることが示唆される。以下の説明では、より低い境界点(例えば、200マイクロ秒以下)が有用性を有することができる場合を考察する。
【0153】
ある期間に奇妙な価格期間挙動を示す取引所について、例えば、Nasdaq PSXおよびシカゴ証券取引所は、10ミリ秒と20ミリ秒との間に集中する奇妙な価格期間挙動を示す可能性があることが、研究により示された(図34Bを参照のこと)。これらの市場ダイナミクスから相場ヒューズシグナルを切り離すために、境界は、この時間範囲に設定されるべきではない。
【0154】
境界を2ミリ秒に設定すると、観察されたNMS相場の約3分の1がショートヒューズと定義され、残りの3分の2がロングヒューズと定義される。図35Aに、垂直分割器として示される2ミリ秒境界を有する価格期間分布を灰色(3500)で示す。また、図35Aに、この境界定義および50%の予測閾値を使用した場合の正しい予測(機会獲得)を青色(3502)で示す。以下の説明では、予測閾値の選択とシグナル頻度、精度および機会獲得へのその影響とについて詳しく説明する。
【0155】
まず、相場ヒューズシグナルの潜在的なパワーを示すために、潜在的なユースケースを説明する。この場合、このユースケースは、古い相場を識別することにより充足率を最大化するステップを含む。多数の代理実行ビジネスが直面する1つの困難は「古い」相場価格の問題である。「古い」とは、実行ブローカーが投稿された最良価格を有する取引所に注文を送った場合に獲得することができなかった新しいNBBO価格を意味すると定義される。価格を設定する注文は、ブローカーからの注文がこれに対して実行される前に修正されまたはキャンセルされる。
【0156】
新しいNBBO価格が投稿されると、相場ヒューズシグナルは、買値および売値がショートヒューズ相場である確率の新しいセットを提供する。以下に記載するように、ブローカーアルゴリズムは、精度と偽陽性との正しいバランスを見出す予測閾値を選択することができる。保守的なアルゴリズムは、34%という低い予測閾値を選択することができる。この選択により、獲得できなかったショートヒューズ相場の54%を正しく識別することが可能となり、充足率および全体的な実行品質を大幅に改善すること可能となる。また、この選択により、ロングヒューズ相場の76%を正しく識別することも可能となる。高いロングヒューズ相場精度は、投稿された価格が安定しているという高い信頼度で、取引アルゴリズムがそれらの価格に即座に作用することが可能となるため、特に価値があることに留意されたい。この点に関して、相場ヒューズシグナルは、古い相場に対して防御するための他の信頼性の低いメカニズムを除去することにより、実行品質をさらに改善することができる。
【0157】
代理実行アルゴリズムの充足率を最適化することは、相場ヒューズシグナルのユースケースの一例に過ぎない。上述したように、相場ヒューズシグナルの例示的な実施形態は、確率ペア-ショートヒューズ買値の確率およびショートヒューズ売値の確率を提供することができる。ユーザは、確率値を選択された閾値と比較することにより、価格がショートヒューズであるかまたはロングヒューズであるかが予測されるか否かを判定することができる。例えば、アプリケーションが32%の予測閾値を選択し、ショートヒューズ確率が25%である場合には、予測はロングヒューズ価格である。次の価格更新によりトリガされる新しいショートヒューズ確率が43%であると仮定する。ここでの予測は、ショートヒューズ価格である。買値および売値についての確率値は独立していることに留意されたい。アプリケーションは、そのユースケースがこのアプローチから利益を得る場合、ビッドおよびオファー予測のための固有の閾値を選択することができる。
【0158】
予測閾値の選択により、精度(正しい予測の割合)および機会獲得(ショートヒューズまたはロングヒューズとして正しく予測される価格変更の割合)が決定される。図35B(精度、機会獲得および広範囲の予測閾値(この場合、定義された閾値Tは、2ミリ秒である)についての特定の取引日からの取引アクティビティについて観察された価格期間の中央値を示す)に反映されているように、精度は、予測閾値が上げられるにつれて向上する。70%の予測閾値により、ショートヒューズ相場およびロングヒューズ相場について72%を超える精度が提供される。精度が上昇するにつれて、機会獲得は減少する。ユーザが、ショートヒューズ予測が正しいという確実性を高めることを望む場合、ショートヒューズ予測の数は減少する。
【0159】
上述したように、ロングヒューズ価格の確率は、ショートヒューズ確率の補数である。ショートヒューズ予測についての予測閾値を上げると、ショートヒューズ予測の精度が向上し、ロングヒューズ予測の精度が低下する。図35Bから、ショートヒューズ予測の精度により、11%~15%の予測閾値が導かれることに留意されたい。予測閾値の40%の範囲では、ショートヒューズ予測精度に付随する52.7%の範囲が存在する。ロングヒューズ予測については、精度範囲は、10%未満ではるかに厳しい。予測閾値に対するこの感度の低下は、イベント(相場価格期間)の約72%がロングヒューズ(2ミリ秒より長い)と定義されるためである。これにより、アプリケーションは、ショートヒューズ予測についての所望の精度および付随する機会獲得を、ロングヒューズ予測についての精度および機会獲得への影響をより少なくしてダイアルインすることが可能となる。
【0160】
偽陽性率は、精度の補数である。図35Bに示されている偽陽性予測と機会獲得との間の関係が留意される。アプリケーションが、機会獲得を増大させるために、予測閾値を減少させるにつれて、偽陽性率も上昇する。このため、追加の機会を利用しようとするアプリケーションは、より多数の偽陽性予測を許容する必要があるであろう。
【0161】
図36に、予測閾値を50%から68%に上昇させた例について、価格期間分布を灰色(3600)で、正しい予測を青色(3602)で示す。50%予測閾値で、図35Aと比較した場合、多くの相当な差異が認められる。
・ショートヒューズ相場についての機会獲得は、相場の16.9%から9.0%まで減少した
・ショートヒューズ相場(2ミリ秒分割の右側の分布3600の部分)の偽陽性予測は、11.61%まで低下した(精度の向上に対して相補的である)
・ロングヒューズ相場についての機会獲得は、5.55%だけ増大し、ほぼ完全な98.65%となった
・ロングヒューズ相場(2ミリ秒分割の左側の分布3600の可視部分)の偽陽性予測も、2.84%だけ上昇した。
【0162】
予測閾値を68%に上昇させると、約72%のショートヒューズ精度が得られるが、イベントの3.6%のみが閾値を超える。これにより、アプリケーションは、相場の9.0%でショートヒューズ相場の正しい予測を活用することが可能となる(機会獲得)。公共市場に注文を送ることにより獲得することができない価格を識別することにより、これは、ATSおよびダークプールにおける実行アルゴリズムおよびマッチングエンジンのための充足率を改善し、価格改善レートを増大させる有意義なエッジを表すことができる。
【0163】
予測閾値を低下させることにより、ショートヒューズ相場についての機会獲得が増大するが、偽陽性予測も増大する。予測閾値を32%に低下させると(図37を参照のこと)、結果は、新しいNMS相場価格がショートヒューズまたはロングヒューズを有するか否かに関するランダム推測に近づく。精度は約50%であり(このため、偽陽性率も同様である)、機会獲得は約25%である。このシナリオを図37に表す。
【0164】
相場ヒューズシグナルの利益は、次のティックの方向にかかわらず、NBBO相場価格の期間を予測するその能力である。価格下落、すなわち「崩壊相場」を予測する機械学習アルゴリズムを構想することは概念的には容易である。例えば、National Best Bid価格は、その価格での全てのNMS市場で利用可能な流動性の全てが取得(またはキャンセル)されたときにのみ下落(または崩壊)する。これが起こると、1つ以上の市場における次の最良価格が、新しいNational Best Bidを設定する。これが起こる前に、アルゴリズムにより、National Best Bid価格をサポートする市場における流動性の獲得またはキャンセルを観察することができる。
【0165】
反対に、NBBO価格を改善するには、単一のNMS市場に提出される単一の注文のみが必要である。これは、予測するのが概念的により困難である。予測を可能にする2つの市場ダイナミクスは、ビッドとオファーとの間のスプレッドのモメンタムおよび一貫性である。相場ヒューズシグナルを計算するのに利用される機械学習アルゴリズムにより、これらのマーケットダイナミクスを活用することが可能であり、とりわけ「崩壊」と全く同じように正確に価格改善を予測することが可能である。図38は、ビッドおよびオファーティック方向の各順列についてのショートヒューズ予測およびロングヒューズ予測のための精度測定基準を提供する。
【0166】
例示的な実施形態では、NBBO価格の変化が、買値および売値についてのショートヒューズ確率を提供する新しい相場ヒューズシグナルイベントの生成をトリガすることができる。さらに、相場ヒューズシグナルイベントは、ユーザがシグナルをリアルタイム市場データに相関させることを可能にする次のフィールド、すなわち、シンボル(証券についての固有の識別子)、基準フィードシーケンス番号(NBBO価格に対する更新をトリガしたフィードからのイベントのシーケンス番号)および基準フィード識別子(NBBO価格に対する更新をトリガしたフィードの固有の識別子)を含むことができる。
【0167】
定義された閾値Tについての値を選択するための別の例として、50ミリ秒の値が有用であり得ることに留意されたい。本発明者らの調査から、米国株式で取引される1日当たりの出来高の約3分の2が、NBBO価格変更に対する50ミリ秒プレルードの間に起こることが示される。これは、図39に示される。図39は、取引が発生した時点(NBBO価格の次の変更までの時間として測定)に対する米国株式の取引量の割合をプロットする。図39のx軸は対数であることに留意されたい。
【0168】
図39は、「NBBOの価格変更に対するプレルードの間に取引の何%が発生するのか?」という質問に答えている。図39における破線の垂直線は、相場ヒューズ予測の目標を定義する50ミリ秒のプレルードである。図39に示されているように、取引量の66%は、NBBO価格変更に対する50ミリ秒プレルードで発生する。
【0169】
図39における実線の垂直線は、50%の精度閾値がユーザにより選択された場合の相場ヒューズシグナルの期間の中央値である。これは、相場ヒューズ確率が50%の精度閾値を超え(すなわち、シグナルが「発火」し)、次のNBBO価格が変化した時から測定された時間である。この期間の中央値は、ユーザが相場ヒューズシグナルによりトリガされたアクションを実行するための典型的な反応時間と見なされる。図39に示されているように、50%の精度閾値についての期間の中央値は、785マイクロ秒である。取引量の約40%は、NBBO価格変更に対するプレルードの期間の中央値で発生する。
【0170】
全米市場システム(NMS)を構成する米国証券取引所をホストするデータセンタ間のデータ伝播遅延を考察する。ネットワーキング技術に応じて、データセンタ間の伝搬遅延は、(ファイバを介して)92~181マイクロ秒の範囲である。ラウンドトリップ時間は、少なくともその2倍である。これは、ショートヒューズ予測に反応するために、顧客に少なくとも400マイクロ秒を与えるのが望ましいことを意味する。50ミリ秒の目標を選択することにより、この目標が達成される。
【0171】
さらに、新しい相場ヒューズシグナルを、正規化された相場イベントごとに配信することができる。図40Aに、ユーザがショートヒューズ価格変更についての予測閾値として55%を選択した場合の、相場ヒューズシグナルにより調整された連続する相場イベントについての例示的な価格系列を示す。図40Aでは、このようにして、相場ヒューズシグナルは、相場ヒューズ確率がユーザ選択の予測閾値を横切るときに「発火」するであろう。ユーザ選択の予測閾値を横切る確率の1回目のインスタンスは、図40Aにおける「1回目の発火」インスタンスである。
【0172】
図40Aの例では、500株が10.02ドルでビッドされ、300株が10.04ドルでオファーされるNBBO相場1から始まる。この相場が配信された時点で、50ミリ秒未満で発生するビッドおよびオファーについての次の価格変更の相場ヒューズ確率はそれぞれ、53%および31%である。再度、これらの確率値を、クライアントAPIを介して、正規化された相場イベントフィールドと同期して配信することができる。これらの相場ヒューズ確率を計算するための時間は、相場イベントの正規化および配信遅延に1マイクロ秒未満を加える。
【0173】
上述したように、この例では、ユーザが差し迫った(ショートヒューズ)価格予測についての閾値として55%を選択したと仮定する。拡張すると、55%閾値を下回る確率値は、次の50ミリ秒以内に変化しない安定した価格を予測する。相場1の場合、NBBおよびNBOについての相場ヒューズ確率は、次の価格変更予測についての閾値を超えず、実際に、相場価格は、次の相場イベントが到着するまで1.3秒間安定したままである。
【0174】
この商品についての次のNBBO相場2では、ビッドされる株式の数が700に増大する。NBBおよびNBO価格に変化はなかったが、ビッドおよびオファーの相場ヒューズ確率の両方がそれぞれ、71%および43%に更新されていることに留意されたい。この直観的な例では、NBB価格に対するサポートが増大すると、より多くの買い手が同等またはより良好なビッドで到着する確率が上昇する。NBBについての新しい相場ヒューズ確率は、ユーザが選択した閾値を超えているため、「ショートヒューズ」シグナルが初めて発火する(図40Aの「最初の発火」インスタンス)。相場ヒューズの性能分析には、最初の発火精度についての測定基準が含まれることに留意されたい(図40Cを参照のこと)。多くのアルゴリズムが、差し迫った価格変更の最初のシグナルに対して決定的な行動をとるであろうことが期待される。
【0175】
次のNBBO相場3では、10.03ドルへのNBBについての価格変更が提示されるが、NBOについての価格変更は提示しない。この例では、相場ヒューズが、次のNBB価格変更が50ミリ秒未満で起こることを正しく予測した(相場3は、相場2の34ミリ秒後に到着するため)。この新しい相場により、NBBおよびNBOのそれぞれについて、39%および57%の新しい相場ヒューズ確率がもたらされる。再度、直観の目的で、この例は、NBB価格が現在のこの相場に変化したため、次のNBB価格変更が50ミリ秒未満である確率が、次の変更を予測するために、より多くのデータが到着するまで低下することを示す。一方、NBOについての相場ヒューズ確率は上昇している。これは、このモデルが買値の上昇の結果として売値が変化することを予測することを示す。
【0176】
図40Aの例は、サイズのみを更新するが、ユーザが選択した閾値を超え、ショートヒューズ予測を発火するNBOについての新しい相場ヒューズ確率をもたらす、後続の相場を示し続ける。その予測は、NBO価格変更のちょうど0.8ミリ秒前に到着する後続の相場4により強化される。
【0177】
この例の最後の注記として、現在の価格を保持するが、サイズおよび属性(すなわち、最良価格を設定する場所)を価格シリーズとして更新する一連の相場に言及する。価格シリーズは、価格が変化すると終了する。NBO価格を変更するが、現在のNBB価格を保持する相場が、新しいNBO価格シリーズを開始し、現在のNBB価格シリーズを継続するように、NBBとNBOとを独立して扱う。上記にて言及したように、NBBとNBOとの両方についての相場ヒューズ確率は、全ての相場で更新される。一般的には、相場ヒューズ確率の精度は、価格シリーズに追加される各相場で改善される。各相場と共に配信される新しい情報、例えば、株式サイズをNBOに追加することは、基礎となる機械学習モデルに、正確な予測値を生成するためのより多くの燃料を提供する。
【0178】
図40Bおよび図40Cに反映されているように、精度は、予測閾値が上昇するにつれて向上する。70%の予測閾値(および500ミリ秒の定義された閾値T)により、ショートヒューズ相場について74.8%、ロングヒューズ相場について90.8%の精度がもたらされる。精度が向上するにつれて、機会獲得は減少する。ユーザが、ショートヒューズ予測が正しいという確実性を高めることを望む場合には、ショートヒューズ予測の数は減少する。
【0179】
ロングヒューズ価格の確率は、ショートヒューズ確率の補数であることに留意されたい。ショートヒューズ予測についての予測閾値を上昇させると、ショートヒューズの予測の精度が向上し、ロングヒューズ予測の精度が低下する。図40Bおよび図40Cに、2つの視点における広範囲の予測閾値についての精度および機会獲得測定基準を提示する。「全体」の測定基準は、全ての相場予測を含む。一方、「最初の発火」は、価格シリーズ当たりの閾値を満たすかまたは超えるための第1の相場のみから導出される測定基準である。
【0180】
分子と分母は等しくなるため、最初の発火についての機会獲得測定基準は存在しないことに留意されたい。分母は、閾値を超え、価格変更(分子に等しい)から50ミリ秒未満であった価格シリーズの最初の相場の母集団に等しい。ショートヒューズ予測の精度は、閾値ごとに予測閾値を導くことに留意されたい。この場合、精度マイナス閾値のデルタは、閾値が上昇するにつれて収縮する。偽陽性率は、精度の補数である。偽陽性予測と機会獲得との間の関係が留意される。アプリケーションが、機会獲得を増大させるために予測閾値を低下させるにつれて、偽陽性率も上昇する。さらなる機会を利用しようとするアプリケーションは、より多数の偽陽性予測を許容する必要があるであろう。
【0181】
相場価格方向性推定値(相場ベクトル)
本明細書に開示された実施形態により生成することができる推定器取引シグナルの別の例は、証券についてのNBBOの次の価格変更の方向性を予測する推定値である。この相場価格方向性推定取引シグナルを、相場ベクトルシグナルと称することができる。
【0182】
このため、上記にて検討した相場ヒューズシグナルと対になった時、例示的な実施形態が、(相場ヒューズシグナルを介して)現在の価格についての期間を予測することができるだけでなく、例示的な実施形態は、(相場ベクトルシグナルを介して)対象の相場についての次の価格が上がるかまたは下がるかを予測することもできる。さらに、例示的な実施形態は、列挙された証券についての全ての相場について、次の価格方向性を予測することができ、これは、実施形態が消費者への市場データの流れを妨げることなく、取引日当たり5億を超える相場ベクトルシグナルを提供できることを意味する。
【0183】
相場価格方向性推定値を、教師あり機械学習技術により駆動される予測モデルを使用してリアルタイムで計算することができ、上記にて検討したように、正規化された市場データと同期して配信することができる。
【0184】
価格方向性推定値を計算するのに使用されるモデルを、異なる特徴および重みを有するにもかかわらず、隠れた流動性サイズ推定器に関して図29A図29Bについて上記にて検討したものと同様に計算することができる。上記にて検討した図13に、この点に関する処理ロジックの一例を示す。相場価格方向性推定値に使用される特徴は、(1)相場についての価格の以前の方向性変化、および、(2)相場についての最新の価格変化からの相場に対する更新の表示を表す特徴であることができる。この点に関して、価格方向性推定値についての特徴の例示的なセットは、
・買値推定器の場合、最新の買値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・売値推定器の場合、最新の売値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・買値推定器の場合、2番目に新しい買値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・売値推定器の場合、2番目に新しい売値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・買値推定器の場合、最新の売値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・売値推定器の場合、最新の買値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・買値推定器の場合、2番目に新しい売値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・売値推定器の場合、2番目に新しい買値変更の方向性:-1=下落、0=変更なし、1=上昇
・買値推定器の場合、最新の価格変更からのビッド相場の更新回数のカウント
・売値推定器の場合、最新の価格変更からのオファー相場の更新回数のカウント
を含むことができる。
【0185】
隠れた流動性サイズ推定器および価格期間推定器について上記にて検討したように、価格方向推定値のための教師あり機械学習モデルは、ロジスティック回帰、各相場イベントが買値および売値の変化の既知の方向性でラベル付けされた各種の市場条件についてのサンプリングされた訓練データ、正則化(例えば、L1およびL2正則化)を使用して、モデルについての重みを開発し、適切に簡潔なモデル(例えば、最適に近い予測力をもたらし、モデルの過剰適合を回避する特徴の数が最も少ない)を達成することができる。さらに、このモデルを、相場についての既知の価格方向性でラベル付けされた追加の訓練データに基づいて再訓練して、モデルの性能精度を経時的に改善することができる。
【0186】
例示的な実施形態では、取引アプリケーションは、相場ベクトルシグナルがいつ「発火」されるか(方向性予測がいつ行われるか)を制御する確率閾値を選択することができる。なぜなら、確率が、選択された閾値より高いからである。以下の説明により、アプリケーション開発者がシグナルの精度と頻度とのトレードオフをどのように管理するかを強調する予測精度の分析が提供される。
【0187】
相場ベクトルシグナルでは、全ての新しいNBBO相場イベントと共に配信される「シグナル」は、2つの確率値、すなわち、買値に対する次の変更が上昇となる確率、および売値に対する次の変更が上昇となる確率であることができる。相場ベクトルシグナルの他の例示的な実施形態は、買値に対する次の変更が下落となる確率および売値に対する次の変更が下落となる確率を提供することができると理解されたい。さらに他の組み合わせも可能である。価格に対する次の変更が下落となる確率は、単に「上昇」確率の補数である。これらの確率値は、買値および売値が変化しない場合でも変化することに留意されたい。
【0188】
図41には、例えば、ユーザが価格上昇を予測するための閾値として70%を選択した場合の相場ベクトルシグナリングの例を示す。拡大解釈すると、価格下落を予測するための閾値は、30%であり、相場ベクトルシグナルは、ユーザが選択した閾値を確率が超えるときに「発火」する。
【0189】
図41の例では、500株が10.02ドルでビッドされ、300株が10.04ドルでオファーされるNBBO相場1から始まる。この相場が配信された時点で、ビッドおよびオファーが上昇する次の価格変更の相場ベクトルシグナル確率は、それぞれ63%および25%である。再度、これらの確率値を、クライアントAPIを介して、正規化された相場イベントフィールドと同期して配信することができる。これらの相場ヒューズ確率を計算するための時間は、相場イベントの正規化および配信遅延に1マイクロ秒未満を加える。
【0190】
上述したように、この例では、ユーザが、価格上昇予測のための閾値として70%を選択したと仮定する(これは、価格下落の変化を予測するための30%の閾値に変換される)。相場1について、NBBおよびNBOについての相場ベクトル確率は、次の価格変更予測のための閾値を超えない。
【0191】
この商品についての次のNBBO相場2では、ビッドされる株式の数が700に増大する。NBBおよびNBO価格に変化はなかったが、ビッドおよびオファー相場ベクトル確率の両方がそれぞれ71%および31%に更新されていることに留意されたい。この直観的な例では、NBB価格に対するサポートが増大すると、より多くの買い手が同等またはより良好なビッドで到着する確率が上昇する。買値が動く場合(または動く時)、スプレッドの一貫性が維持される可能性が高く、売値も同様に上昇するであろう(ただし、おそらく、次の価格変更NBBO相場イベントでは上昇しない)。NBBについての新しい相場ベクトル確率は、ユーザが選択した閾値を超えているため、図41に示されているように、上昇予測シグナルが発火する。
【0192】
次のNBBO相場3では、10.03ドルへのNBBについての価格変更が提示されるが、NBOについての価格変更は提示しない。この例では、相場ベクトルシグナルが、次のNBB価格変更が上昇となることを正しく予測した。この新しい相場により、NBBおよびNBOのそれぞれについて、39%および57%の新しい相場ベクトル確率がもたらされる。再度、直観の目的で、この例は、NBB価格が現在のこの相場に変化したため、次のNBB価格変更が上昇となる確率が、次の変更を予測するために、より多くのデータが到着するまで低下することを示す。一方、NBOについての相場ベクトル確率は上昇している。これは、このモデルが買値の上昇の結果として売値が上昇することを予測することを示す。
【0193】
この例は、図41に示されているように、サイズのみを更新するが、ユーザが選択した閾値を超え、価格上昇変更予測を発火するNBOについての新しい相場ベクトル確率をもたらす、後続の相場を示し続ける。
【0194】
この例の最後の注記として、現在の価格を保持するが、サイズおよび属性(すなわち、最良価格を設定する場所)を「価格シリーズ」として更新する一連の相場に言及する。価格シリーズは、価格が変化すると終了する。NBO価格を変更するが、現在のNBB価格を保持する相場が、新しいNBO価格シリーズを開始し、現在のNBB価格シリーズを継続するように、NBBとNBOとを独立して扱う。上記にて言及したように、NBBとNBOとの両方についての相場ベクトル確率は、全ての相場で更新される。一般的には、相場ベクトル確率の精度は、価格シリーズに追加される各相場で改善される。例えば、各相場と共に配信される新しい情報、例えば株式サイズをNBOへ追加することにより、基礎となる機械学習モデルに正確な予測値を生成するためのより多くの燃料が提供される。
【0195】
図50に、相場メッセージが34.59ドルおよび34.63ドルのそれぞれの買値および売値を含む別の例示的な実施形態を提供する。特徴生成段階および推定値生成段階により生成された相場ベクトル確率により、それぞれ41%および52%の買値および売値に対する上昇確率が生成される。この例では、下落確率は上昇確率の補数であり、それぞれ59%および48%のビッドおよびオファー下落確率をもたらす。出力された正規化された相場メッセージ5002は、価格および上昇推定値の両方を含み、このメッセージ5002は、2つの異なるユーザ(コンピュータシステム5004および5006)に配信される。ユーザ1は、51%の予測確率閾値を選択する。ユーザ1の取引アプリケーションは、正規化された相場メッセージ内の上昇推定値および補完的な下落推定値を、その選択された予測確率閾値と比較する。比較の結果、次の買値が下落し、次の売値が上昇する、すなわち、スプレッドが拡大すると予測される。これらのシグナルは、予測された売値変更の前に取引決定を行うために取引ロジックにより使用される。ユーザ2は、70%の予測確率閾値を選択する。ユーザ2の取引アプリケーションは、正規化された相場メッセージ内の上昇推定値および補完的な下落推定値を、その選択された予測確率閾値と比較する。比較の結果、予測は行われず、すなわち、シグナルは、買値または売値のいずれについても「発火」しない。取引ロジックは、相場価格の変動の方向性予測を組み込むことなく取引決定を行うことができることに留意されたい。
【0196】
ここで、相場ベクトルシグナルの例示的な実施形態の性能を調査するものとする。この分析を容易にするために、下記の用語を定義する。
【0197】
精度:相場ベクトル精度は、予測の総数に対する正しい予測の割合を指す。すなわち、相場ベクトルシグナルが「発火」した時(確率が選択された閾値を超えているため)、「発火」の何%が正しかったかを指す。
【0198】
機会獲得:相場ベクトル機会獲得は、(選択された閾値が与えられた場合に)正しく予測されたイベントの割合を指す。つまり、価格上昇のうち、どれくらいが上昇すると予測されたかを指す。
【0199】
応答時間:相場ベクトル応答時間は、予測(相場ベクトルシグナル「発火」)から次の価格変更イベントが発生するまでの時間の中央値を指す。
【0200】
図42に、これらの定義に対する視覚的ガイドを提供する。図42に示されている全てのドットは、相場イベントを表し、分割線4200の左側の図42のボックス内のドットは、真のイベント(価格上昇)である。一方、分割線4200の右側のドットは、偽のイベント(価格下落)を表す。円4202は、(確率が選択された閾値を超えた)価格上昇の予測を表す。図42に、(価格上昇のうちの)7つのドットが正しい予測であることを示す(線4200の左側の円4202内の7つのドットを参照のこと)。一方、誤った予測を表す3つのドットが存在する(線4200の右側の円4202内の3つのドット)。
【0201】
この例では、精度は70.0%であり、10の予測のうち7が正しい。機会獲得は、63.6%であり、11の価格上昇のうち、7が正しく予測された。価格上昇した相場は、線4200の左側にあり、線4200の左側には、円4202の外側にある4つの機会が見逃されていることに留意されたい。
【0202】
選択された閾値の影響について直感的に理解するために、閾値が上昇するにつれて、縮小する円4202のサイズを想像する。その結果、予測円4202の内側に入るドットの数が減少する。この結果、より高い精度が得られるが、正しい予測を使用する機会は少なくなる。精度と機会獲得との間のバランスを調整することは、アプリケーション開発者にとって、カスタマイズおよび制御の重要なポイントである。
【0203】
相場ベクトルシグナルの性能測定基準は、「上昇」または「下落」相場ではなく、「改善」対「崩壊」相場の観点から最も良く理解される。崩壊相場は、中点から離れるように移動するかまたはスプレッドが拡大する価格変更(買値下落または売値上昇)である。一方、改善相場は、スプレッドが崩壊するかまたは中点に向かって移動する逆価格変更(ビッド上昇またはオファー下落)相場である。「相場が上昇するかまたは下落するかを正しく予測したか」という代わりに、「モデルは、中点に向かって移動するかまたは中点から離れるように移動する相場を正しく予測したか」と質問する。崩壊相場のメカニクス特性は、それがビッド相場であろうとまたはオファー相場であろうと同じであり、表示される株式の総数は、次の価格レベルが新しい最良価格になる前に失われなければならない。メカニクスは同じであるが、ビッドとオファーとでは動きの方向が反対である。改善相場も、同様に逆方向の動き(ビッド上昇およびオファー下落)を有するが、メカニクスは同じであり、スプレッドを縮小しまたは価格レベル全体を引き上げたりするのに1名の市場参加者のみを必要とする。図43は、3つの測定基準と、この視点から導き出すことができる特性とを説明している。
【0204】
この点に関して、図43に、2018年12月から2019年2月までのボラティリティが高い日とボラティリティが低い日との両方を有する日付からのサンプル取引データを使用する3つの主な性能測定基準を示す。参考のために、図43に、各検査日についてのCboeボラティリティ指数(VIX)も提供する。図43に、50%閾値についての測定基準を示す。
【0205】
図43に、ボラティリティ(VIX)にかかわらず、精度および機会獲得結果が全ての検査日にわたって信じられないほど一貫していることを示す。相場が改善している場合の平均精度は66.7%であり、標準偏差は0.6%である。日々の精度および機会獲得における微小な変動性により、アプリケーションが、全ての市場条件において高い信頼度で相場ベクトルシグナルを使用することが可能となる。
【0206】
また、図43に、「改善」相場についての精度が、「崩壊」相場より4%~8%一貫して高いことも示されている点に留意されたい。また、改善相場についての機会獲得は、崩壊相場についての機会獲得よりかなり高い(崩壊相場について46.6%に対して、改善相場について78.1%である)。この差は、伸張および圧縮を受けた後に、通常のスプレッドを再開する相場の傾向を測定する相場ベクトル機械学習モデルの特徴に起因する。相場ベクトルシグナルを計算するための機械学習モデルにより提供される柔軟性によって、個々の特徴の有効性が強まりまた弱まるにつれて、実務者が相場ベクトル機械学習モデルを追跡可能かつ更新可能となると理解されたい。さらに、機械学習モデルに使用される特徴および重みの性能を経時的に追跡し、定量化する能力により、実務者が、規制当局への注文処理開示の対象となり得る顧客をサポートすることが可能となるという利点も提供される。この点に関して、相場ベクトルシグナル(および本明細書で検討された他の取引シグナル)は、マーケットメイキングおよび所有権を主張できる取引戦略に加えて、実行アルゴリズムおよびマッチングエンジンに有用である場合がある。
【0207】
応答時間(マイクロ秒(μs)で測定される)の結果により、基礎となる特徴のダイナミクスへのさらなる洞察が提供される。崩壊相場についての応答時間は、改善相場についての応答時間よりはるかに早いことに留意されたい。妥当な説明は、価格シリーズの最後の瞬間に、表示された流動性が急速に低下することである。対照的に、スプレッドを縮小する(おそらく反対側の価格変更を追いかける)価格の改善は、応答性が低い。「改善」相場を称するための相場ベクトルシグナルの傾向の別の説明は、単に、より多くの相場が存在するからである。図44に、1000相場を超えるティッカーについて、平均スプレッドと、崩壊相場に対する改善相場の割合との関係をプロットし、個々の証券のスプレッドと「改善相場」の割合との正の線形関係を示す。図44に、株式(ドット)についてスプレッドが広がる(x軸)につれて、スプレッドを縮小する(「改善する」)相場の割合が向上することを示す。
【0208】
相場ベクトルシグナルの精度は、価格シリーズポジションにより(すなわち、価格が変化する時点に近づくにつれて)改善するであろうことが期待され、分析から、価格シリーズポジションの最終的な四分位点が、最も多い数の正確な予測値を有することと、価格シリーズポジションの精度が向上こととの両方が示される。
【0209】
NBBOの次の価格変更の方向性を予測するための相場ベクトルシグナルの能力は、広範な種類のユースケースに価値がある。例えば、相場ベクトルシグナルを、流動性提供者と流動性取得者との両方の観点から、全ての取引の価格を改善するのに使用することができる。流動性提供者は、相場ベクトルシグナルを使用して、(価格が次の変更で低下するであろうため)最良価格で今投稿するか、(価格が次の変更で改善するであろうため)次の(より良い)価格で投稿する(または戦略に応じて投稿するのを待つ)ことを決定することができる。流動性取得者は、相場ベクトルシグナルを使用して、(価格が次の変更で低下するであろうため)最良価格で今取得するかまたは(価格が次の変更で改善するであろうため)次の(より良い)価格で取得するのを待つことを決定することができる。
【0210】
全ての価格改善の取引値の合計を、純価格改善(NPI)または略して「パース(purse)」と定義する。分析から、過去2年間の米国上場株式の1日当たりのパース値は、650万ドルから1420万ドルの範囲であることが示される。過去12か月にわたり、全パースは23億ドルを超える。これは、相場ベクトルシグナルにより支援することができる改善された取引についてのきわめて大きな機会を表す。図45に、所定の取引についてNPIへの寄与をどのように決定することができるかを実証する例を提供する。
【0211】
図45の基礎となる仮定は、次のこと、すなわち(1)NBB価格またはNBO価格で利用可能な流動性が取引サイズを超えること、(2)市場への影響、待ち行列ポジショニングまたは市場データ遅延を考慮しないこと、および(3)取引アプリケーションが相場ベクトルシグナル予測値について50%閾値を選択すると仮定するステップを含む。
【0212】
図45からの例1は、検討中の取引が10.39ドルの売値で100株である場合の価格上昇を表す。この例では、
・売値が上昇する確率は、54.4%であり、このため、相場ベクトルシグナルは、価格上昇予測を発火する;
・相場ベクトルが売値の上昇を正しく予測することは、流動性取得者および流動性提供者の両方に有益である;
‐流動性取得者は、価格が上昇する前に取得すべきである;
‐流動性提供者は、次の(より良い)価格で投稿するのを待つべきである;
・次のオファーは10.43ドルへと0.04ドル上昇したため予測は正しかった;
・相場ベクトルシグナルによるこの正しい予測に基づいてアクションすることにより、4.00ドル=出来高×Δ相場のパースに対する正のクレジットが生じる。
【0213】
図45からの例2は、検討中の取引が10.41ドルの売値で2000株である場合の価格下落を表す。
・売値が下落する確率は、59.6%(1-40.4%)であり、このため、相場ベクトルシグナルは、価格下落予測を発火する;
・相場ベクトルが売値の下落を予測することは、流動性取得者および流動性提供者の両方に有益である;
‐流動性取得者は、より低い価格を待つべきである;
‐流動性提供者は、現在の価格で注文を続けるかまたは今投稿すべきである;
・次のオファーは10.40ドルへと0.01ドル下落したため、予測は正しかった;
・この正しい予測に基づいてアクションすることにより、20.00ドル=出来高×Δ相場のパースに対する正のクレジットが生じる。
【0214】
図45からの例3は、検討中の取引が10.45ドルの売値で1500株である場合の不正確な予測を表す。
・売値が上昇する確率は57.8%であり、このため、相場ベクトルシグナルは、価格上昇予測を発火する;
・相場ベクトルが売値の上昇を予測することは、流動性取得者および流動性提供者の両方にマイナスの影響を及ぼす;
‐流動性取得者は、より低い価格を待つべきであった;
‐流動性提供者は、現在の価格で注文を続けるかまたは10.44ドルで投稿すべきであった。
・次の売値は10.44ドルへと0.01ドル下落したため、予測は間違っていた;
・この間違った予測に基づいてアクションすることにより、-15.00ドル=出来高×Δ相場のパースに対する負のクレジットが生じる。
【0215】
図45からの例4は、中点取引を表し、この場合、検討中の取引は、10.29ドルの優勢な中点価格で1000株の中点取引である。
・ビッド上昇結果およびオファー上昇結果の確率は両方とも50%を超える;
・相場ベクトルシグナルが中点価格の上昇を予測することは、流動性取得者および流動性提供者の両方に利益をもたらす;
‐流動性取得者は、より低い価格で購入するかまたはより高い価格で売却するために待つべきである;
‐流動性提供者は、より高い価格で売却するために待つかまたはそれらの現在の中点買い注文を保つかのいずれかをすべきである。売却するために待つのであれば、注文を修正するかまたは投稿を待つことができる;
・次の売値は10.31ドルに上昇し、中点が半セントだけ上昇する;
・この正しい予測に基づいてアクションすることにより、5.00ドル=出来高×Δ相場のパースに対する正のクレジットが生じる;
‐分析では、パースクレジットの50%がそれぞれ、「ビッド」パースおよび「オファー」パースのそれぞれに割り当てられる。
【0216】
任意の所定の日における「パース」値は、本質的に取引量に依存し、毎日のパースの価値、ボラティリティおよび取引量の間には、強い相関が存在することに留意されたい。これらの関係は、相場ベクトルシグナルの価値を示すが、分析がより精細となるにつれて、正の性能が一貫したままである場合、相場ベクトルシグナルもアクセス可能な値を有することがさらに留意される。まず、過去12か月にわたる毎日のパースを調べ、パースが毎日正であった-相場ベクトルシグナルが研究された期間の間、一度も下落日を有していなかったことが見出された。この結果は、ビッドまたはオファーで発生する取引の間に毎日のパースを割り当てるときに成り立つ。
【0217】
各シンボルについて利用可能なパースが一貫して正である場合、相場ベクトルシグナルが最も広く適用可能であると考えられる。これにより、一度に1つのシンボルについての現在の相場価格および相場ベクトル確率のみを考慮する場合、単純な取引戦略により、利益を得ることが可能となるであろう。12か月間の取引データを調査したところ、94.7%~96.4%のシンボルが、各取引日に正の値を有するパースを有したことが見出された。シンボルの約95%について正のパースを得ることは、一貫性の並外れた達成である。次に、1取引当たり(または1株当たり)ベースでの各シンボルのパース値の変動について考えた。ペニースプレッドで典型的に取引されるSPY等のシンボルは、1ペニーの増分の期待価格変更を有し、一方、Berkshire Hathaway等の高価格株は、連続するNBBO相場と取引イベントとの間で、かなり大きな価格変更を有する可能性があることに留意されたい。パースは、相場価格差(デルタ)に取引のサイズを乗じたものとして計算されるため、新しい測定基準、すなわち「1株当たりのパース」(PPS)を計算することができる。PPSを、各取引について計算し、各シンボルについて毎日平均することができる。test universeでの各シンボルについて、図46は、1日にわたって取引された平均スプレッドに対するPPSをプロットする。
【0218】
次のNBBO価格変更の方向性を正確に予測することにより、広範な種類の取引戦略に並外れた改善をもたらすことができる。例示のために、マーケットメイキングから実行管理までの範囲にわたる、相場ベクトルシグナルの有利な使用のための幾つかのユースケースを強調する。これらの例示的なユースケースを、上記にて検討した図41の文脈において考慮することができる。
【0219】
1つの例示的なユースケースは、スプレッド獲得を増大させることができるマーケットメーカーについてのものである。例えば、10.03ドルでのオープンロングポジション(図41における相場3を参照のこと)と10.04ドルの休止しているオファー注文を有するマーケットメーカーは、スプレッドを獲得するために、このポジションをクローズする必要がある。スプレッドの100%獲得は、マーケットメーカーに、1株当たり0.01ドルの純益を得させる。相場ベクトルシグナルは、売値が相場4で上昇するであろうことを予測する。これに対応して、マーケットメーカーは、自身のオファー注文を0.01ドル高く修正し、他人がその価格に加わる前に好ましい待ち行列ポジションを受け取る。1株当たりに0.02ドルのスプレッドを獲得して10.05ドルで取引をクローズするかまたは当初の機会を倍増させる。
【0220】
別の例示的なユースケースは、資本をより利益的に割り当てることができる、所有権を主張できるトレーダーのためのものである。例えば、中頻度または高頻度戦略を使用する所有権を主張できるトレーダーは、最も収益性の高い取引機会に資本を割り当てる必要がある。相場ベクトルシグナルにより、トレーダーが大きな1株当たりのパース(PPS)機会を有する流動性名を選択することが可能となる。例えば、価格がそれぞれ18.50ドルおよび14.75ドルであり、PPS値がそれぞれ0.03ドルおよび0.01ドルである株式Aおよび株式Bを考える。株式Aは、1株当たりに8.5%より高い資本コミットメントを必要とするが、トレーダーは、相場ベクトルシグナルを使用することにより、1株当たりに3倍の利益を獲得することができる。取引に利用可能な資本に限界があるため、トレーダーは、株式Aを取引することを選択し、収益性の高い取引を推進する相場ベクトルの能力を最大限に活用する。
【0221】
別の例示的なユースケースは、実行品質を改善することができるブローカーのためのものである。例えば、代理ブローカーは、市場微小構造予測を使用して、実行品質を改善するための幾つかの機会を特定する。
・機会を狙って、スプレッドがタイトであるかまたは市場が自身の取引と同じ方向に動いているときに、スプレッドを横切る;
・市場取引が明らかな逆選択を有するかまたは市場が自身の取引とは逆方向に移動している場合、注文を市場から削除する;
・スプレッドを獲得しながら、充足確率を改善するために、スプレッドに進む。
【0222】
相場ベクトルシグナルにより、これらの機会が信頼性の高い現実となる。
【0223】
さらに別の例示的なユースケースは、AI駆動の注文タイプで流動性を引き付けることができるエンジンをマッチングさせるためのものである。取引場所(取引所、ダークプール、またはATS)のオペレータは、実行品質を改善する注文タイプを提供することにより、より多くの注文フローを引き付ける。また、マッチングエンジンも、戦術的取引ロジックを組み込んだ注文タイプを提供することにより、より直接的な市場アクセスビジネスを獲得する。任意のペッグ注文は、NBBO価格変動の相場ベクトル予測を使用して、任意のオフセットの大きさを管理することができる。スリップを軽減する代わりに、マッチングエンジンの顧客は、一貫して価格改善を受け取る。
【0224】
取引シグナルの導出された要約
上記にて検討したように、本明細書に記載された実施形態により生成することができる別のクラスの取引シグナルは、リアルタイム取引シグナルの要約である。例えば、Tier1市場参加者のために生成された取引シグナルを、Tier2またはTier3の市場参加者が使用するために集約し、要約することができる。これらの要約を、派生(derivative)(または導出された(derived))取引シグナルと称することができ、定期的なベースで、例えば、時間ごと、日ごと等で消費者に配信することができる。
【0225】
図47に、ティッカープラントにより生成されたメッセージを消費し、正規化された市場データおよび取引シグナルデータの両方を含む、派生シグナル生成器の例示的な実施形態を示す。派生シグナル要約ロジックは、メッセージを処理して、定期的にTier2およびTier3の取引アプリケーションに配信される派生取引シグナルを生成する。これらの派生取引シグナルは、アップストリーム処理の結果としてメッセージに含まれるリアルタイムで低遅延の取引シグナルデータの要約を表す。これらの派生取引シグナルを、Tier2/3取引アプリケーションに定期的に報告される派生取引シグナルファイルに集約することができる(例えば、派生シグナル生成器により定期的に出力される派生取引シグナルファイルを消費するものとして、図47に示されているTier2/3取引アプリケーションホストサーバを参照のこと)。Tier2およびTier3の取引アプリケーションは、市場データ、過去の市場データおよび他の内部シグナルと共に、派生取引シグナルファイルを消費する予測モデルを使用することができる。予測モデルにより、Tier1取引アプリケーションより低頻度で、金融商品についての売買注文を行う取引ロジックが駆動される。
【0226】
派生シグナル要約ロジックの例として、予備注文取引アクティビティを要約する取引セッションの終了後に配信される要約ファイルを考える。具体的には、要約ファイルは、検出された総予備買い注文、検出された総予備売り注文、検出された総買い注文の出来高重み付け平均価格、検出された総売り注文の出来高重み付け平均価格、検出された総買い注文の想定値、および検出された総売り注文の想定値のうちのいずれかまたは全ての各証券取引について提供することができる。上記にて検討したように、この情報を、自然人のトレーダーのポジションの変化を理解するために、Tier3市場参加者により使用することができる。Tier3市場参加者は、この情報を直接に使用して、投資決定を行うかまたはこの情報を予測モデルに供給して、将来の価格変動を予測しもしくはそのポートフォリオに対するリスクを定量化するためにその能力を改善することができる。
【0227】
この例では、派生シグナル要約ロジックは、市場データメッセージに関連する流動性インジケータシグナルを処理することができ、流動性ランプシグナルについて上記にて検討した流動性インジケータ取引シグナルデータおよびサーチライトシグナルについて上記にて検討した隠れた流動性推定取引シグナルデータを集約して、要約ファイルをポピュレートする値を計算することができる。例えば、派生要約ロジックは、売買予備注文が流動性インジケータ取引シグナルによりどれだけ検出されたカウントを累積するカウントロジックを含むことができる。同様に、派生要約ロジックは、検出された買い側および売り側の予備注文の全ての計算された想定値を合計することができる合計ロジックを含むことができる。
【0228】
図47に示されているように、派生シグナル要約ロジックの出力は、周期的送信コンポーネントにより周期的に配信される。このコンポーネントは、複数の間隔、例えば、異なってスケジュールされた間隔(例えば、毎分、毎時、毎日等)で、所定の派生シグナルを送信するように構成することができる。例として、予備注文取引アクティビティの要約に戻ると、周期的送信コンポーネントは、マルチキャストチャネルA上で1分間隔をカバーする要約、マルチキャストチャネルB上で30分間隔をカバーする要約、およびファイル転送を介した丸1日分の取引セッションの要約を配信するように構成することができる。
【0229】
派生シグナルのフォーマットには、複数のフォーマットを使用することができる。例は、自己記述フォーマット、例えば、Financial Information eXchange(FIX)フォーマットおよびカンマ区切り値(CSV)を使用するファイル、拡張マークアップ言語(XML)またはJavaScript Object Notation(JSON)フォーマットを有するメッセージを含む。
【0230】
図47に示されているように、例示的なTier2/3取引アプリケーションは、市場データ、過去の市場データおよび他の内部シグナルと共に、派生シグナル要約を消費する予測モデルを使用することができる。この例における市場データを、より遅い速度およびより低いコストでTier2およびTier3の市場参加者に市場データを集約し、配信するために、集中化されたインフラストラクチャまたは地域インフラストラクチャを使用する市場データフィードコンソリデータにより提供できることに留意されたい。予測モデルにより、Tier1取引アプリケーションより低頻度で金融商品についての売買注文を行う取引ロジックが駆動される。
【0231】
上記にて検討したように、リアルタイムで低遅延の取引シグナルから派生取引シグナルを生成する能力により、劇的に短縮された遅延の形態で重要な技術的利点が提供される。自然人の投資家の取引アクティビティを検出する場合の使用について上記にて検討したように、従来のアプローチは、米国証券取引委員会(SEC)の電子データ収集、分析および検索(EDGAR)システムのコンピュータ化された検索を介してフォーム13Fおよびフォーム4の規制申請を明らかにして、大規模な自然人の投資家によるいわゆる「スマートマネー」移動を収集することであった。しかしながら、この従来のアプローチは、典型的には、図48(同図に、規約データベースの非常に遅い検索/分析と比較して、予備注文アクティビティを反映する低遅延の流動性インジケータ取引シグナルの派生要約を表す毎日の「署名」ファイルを示す例を示す)に示されているように、トレーダーにきわめて古いデータをもたらす。従来のアプローチとは対照的に、流動性インジケータ取引シグナルの派生要約を使用することにより、従来のアプローチに対してはるかに短い時間フレーム(例えば、毎時、毎日等)内に自然人の投資家による取引アクティビティを推測するためのメカニズムが、トレーダーに提供される。
【0232】
本発明をその例示的な実施形態に関連して説明したが、本発明の範囲内に依然として含まれる種々の修正を本発明について行うことができる。本発明に対するこのような修正は、本明細書における教示をレビューすることにより認識可能であろう。
図1
図2
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【国際調査報告】